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1971/11/06 第67回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第11号
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1971/11/06 第67回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第11号

#1
第067回国会 本会議 第11号
昭和四十六年十一月六日(土曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和四十六年十一月六日
    午後一時開議
 一 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とア
  メリカ合衆国との間の協定の締結について承
  認を求めるの件、沖繩の復帰に伴う特別措置
  に関する法律案(内閣提出)、沖繩の復帰に
  伴う関係法令の改廃に関する法律案(内閣提
  出)、沖繩振興開発特別措置法案(内閣提
  出)、沖繩振興開発金融公庫法案(内閣提
  出)、沖繩開発庁設置法案(内閣提出)、沖
  縄における公用地等の暫定使用に関する法律
  案(内閣提出)及び沖繩の復帰に伴う防衛庁
  関係法律の適用の特別措置等に関する法律案
  (内閣提出)の趣旨説明並びにこれに対する
  質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリ
  カ合衆国との間の協定の締結について承認を
  求めるの件、沖繩の復帰に伴う特別措置に関
  する法律案(内閣提出)、沖繩の復帰に伴う
  関係法令の改廃に関する法律案(内閣提出)、
  沖繩振興開発特別措置法案(内閣提出)、沖
  縄振興開発金融公庫法案(内閣提出)、沖繩
  開発庁設置法案(内閣提出)、沖繩における
  公用地等の暫定使用に関する法律案(内閣提
  出)及び沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の
  適用の特別措置等に関する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明並びにこれに対する質疑
    午後二時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(船田中君) 外務大臣から、昨日の本会議における趣旨説明の発言は全部これを取り消したいとの申し出がありました。よって、議長はこれを許可し、会議録から削除いたします。
     ――――◇―――――
#4
○議長(船田中君) あらためて、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、内閣提出、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩振興開発金融公庫法案、沖繩開発庁設置法案、沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案、及び沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。外務大臣福田赳夫君。
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#5
○国務大臣(福田赳夫君) 本年六月十七日に署名いたしました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨を説明申し上げます。
 戦後二十数年間、異国の施政下にあった沖繩同胞の祖国復帰は、わが国国民の悲願であり、平和条約発効以来歴代内閣にとり最も重要な政治的課題であったわけであります。しかるところ、去る昭和四十四年十一月佐藤総理大臣とニクソン大統領との間の共同声明において、いわゆる核抜き本土並みの沖繩の返還について合意が成立し、自来両国政府間でそのための具体的な取りきめについて交渉が行なわれていたのでありますが、これが最終的妥結を見て、去る六月十七日に愛知外務大臣とロジャーズ国務長官との間で署名の運びとなった次第であります。
 この協定は、前文と本文九カ条からなっておりますが、各条について御説明申し上げます。
 協定の前文におきましては、佐藤総理大臣及びニクソン大統領が一九六九年十一月に琉球諸島及び大東諸島の地位について検討し、これらの諸島の日本国への早期復帰を達成するための具体的な取りきめに関して両国政府が直ちに協議に入ることに合意したこと、並びに、両国政府がこの協議を行ない、これらの諸島の復帰が同年十一月二十一日に発表された両国首脳の共同声明の基礎の上に行なわれることを再確認したこと等、この協定の締結のいきさつを述べております。
 次に、第一条におきましては、米国が琉球諸島及び大東諸島に関して平和条約第三条の規定に基づくすべての権利及び利益を日本国のために放棄し、日本国がこの協定の効力発生の日からこれらの諸島の行政、立法及び司法上のすべての権利を行使する権能及び責任を引き受けることを規定しております。その具体的地域に関しましては、合意議事録で経緯度をもって確認されておるところであります。
 第二条におきましては、日米安保条約及び関連諸取りきめ等の日米両国間の条約は、この協定の効力発生の日から琉球諸島及び大東諸島に適用されることが確認されております。この規定によっていわゆる本土並みが確認されたのでありまして、復帰後は基地の自由使用などということはあり得ないことが明らかにされております。
 第三条におきましては、日本国政府は日米安保条約及び関連諸取りきめに従い、この協定の効力発生の日に米国に対しこれらの諸島における施設及び区域の使用を許可することとしております。
 この規定は、わが国の独立回復時に行なわれたいわゆる岡崎・ラスク交換公文方式や、奄美、小笠原返還協定にあった特定用地の引き続き使用を許すとの規定を設ける方式を排除したものでありまして、これにより日米間における施設、区域の提供手続につきましては、本土と同一の方式をとることといたしておるのであります。
 第四条は、日本国は米国の施政期間中にこれらの諸島において生じた対米請求権を放棄するが、この放棄には、その期間中に適用された米国の法令またはこれらの諸島の現地法令により特に認められる日本国民の請求権の放棄を含まず、このような請求権については、米国政府が復帰後沖繩に職員を置いてその処理に当たることを定めております。また、米国政府は、高等弁務官布令第六十号によって原状回復のための支払いの対象となった土地と同様の損害を受けながらその対象とならなかった土地の所有者に対し、その支払いとの均衡を失しないよう、原状回復のための自発的支払いを行なうことといたしております。
 第五条は、日本国は民事事件及び刑事事件に関し、原則として沖繩における裁判所が行なった最終的裁判の効力を認め、また、係属中の事件について裁判権を引き継ぐこととなる旨を規定しております。これにより、円滑な沖繩復帰にとってきわめて重要でありますところの復帰前後の沖繩の社会秩序と法的安定性の維持を確保することができるわけであります。
 第六条は、琉球電力公社、琉球水道公社及び琉球開発金融公社の財産、並びに、復帰の日に米国に提供される施設、区域外にある米国政府の財産は、原則として日本国政府に移転される旨、及び米国政府が保有している埋め立て地は日本国政府の財産となる旨を規定しております。このようにして日本国政府に移転される財産には、三公社のほかにも那覇空港施設等がございますが、これらは、復帰後も沖繩県民の方々の民生福祉にとってきわめて有益な役割りを果たしていくものと信じます。
 第七条は、日本国政府は米国の資産が日本国政府に移転されること、米国政府がこれら諸島の返還を一九六九年十一月二十一日の佐藤・ニクソン共同声明の第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること、米国政府が復帰後に雇用の分野等において余分の費用を負担することとなること等を考慮して、協定の効力発生の日から五年間に三億二千万ドルを米国政府に支払う旨を規定しております。
 この条項について特記すべき点は、核抜きに関する佐藤・ニクソン共同声明の骨子が条文化されたことであります。すでに申し述べましたごとく、第二条において本土並みが明文化され、ここにまた核抜きが明示されたことによりまして、核抜き本土並みの沖繩返還が返還協定中においても確保されましたことは、政府の最も欣快とするところであります。(拍手)
 第七条でもう一つ重要なことは、在沖繩軍労務者の方々との関係であります。この規定及び合意議事録の規定により、これら軍労務者の方々は、復帰前の勤続期間を含む全勤続期間を算定した退職金を受け取り得ることになり、間接雇用の適用と相まちまして、軍労務関係はきわめて安定した基礎の上に置かれることとなるものと確信いたします。
 第八条は、日本国政府は協定の効力発生の日から五年間沖繩島におけるVOA中継局の運営継続に同意し、両政府は同日から二年後にVOAの将来の運営について協議に入ることを規定しております。
 第九条は、この協定は東京で行なわれる批准書交換の日の後二カ月で効力を生ずることを規定しております。
 この協定の効力発生によりまして、戦後二十数年間異国の施政下にあって廃墟の中から立ち上がり、復興と発展のためにひたむきな努力を続けてまいりました沖繩同胞の方々とその愛する島々を祖国の胸に迎え入れることができるのであります。(拍手)政府といたしましては、本土及び沖繩の国民とともに、その日の一日も早からんことを切に念願するものであり、明るく、豊かな沖繩県の建設のためにあらゆる努力を惜しまないつもりでございます。(拍手)
 沖繩の復帰をもちまして、平和条約第三条の規定に基づいて米国が施政権を有していたわが国の領土は、すべて返還されることとなるわけでありまして、ここに日米関係は文字どおり戦後の時代を終え、一そう強固な友情と理解の基礎の上にその発展を期することができるのであります。(拍手)
 以上が琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(船田中君) 国務大臣山中貞則君。
  〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#7
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案、沖繩振興開発特別措置法案、沖繩振興開発金融公庫法案、及び沖繩開発庁設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 わが国民多年の悲願である沖繩の祖国復帰がいよいよ明年に実現する運びとなったことは、国をあげての喜びであります。(拍手)沖繩はさきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖繩県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間沖繩百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖繩県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。(拍手)祖国復帰というこの歴史的大事業の達成にあたっては、各般の復帰諸施策をすみやかに樹立し、かつ、沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにして、県民の方々が喜んで復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることこそ、政府に課せられた最大の責務であります。
 このような観点から、沖繩の祖国復帰の円滑な実現と明るく豊かで平和な沖繩県の建設こそ、沖繩復帰の基本的な目標でなければならないと存じます。このためには、まず第一に、沖繩の復帰に際し、県民の生活に不安、動揺を来たさないよう最大の配慮を加えつつ、米国施政権下の諸制度からわが国の諸制度への円滑な移行をはかるため、必要な暫定、特例措置を講ずることが肝要であります。第二に、沖繩が戦争で甚大な被害をとうむり、かつ、長期間米国の施政権下にあった事情に加え、本土から遠隔の地にあり、多数の離島から構成される等、各種の不利な条件をになっていることに深く思いをいたし、まずその基礎条件を整備することが喫緊の課題であり、進んでは、沖繩がわが国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と亜熱帯地方特有の気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して産業の均衡ある振興開発をはかることが必要であると考えます。
 政府は、このような見地から、従来より関係諸機関の総力を結集して復帰対策に取り組み、同時に沖繩の各界各層の方々の意見を取り入れ、琉球政府と十分な調整を行ない復帰対策要綱を決定し、この要綱を基礎として関係法律案の立案を進め、今日ここに成案を得て国会の御審議をいただく運びとなった次第であります。
 まず初めに、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案についてその趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、沖繩の復帰に伴い、県民の生活の安定に配慮しつつ、従前の沖繩の諸制度から本邦の諸制度への円滑な移行をはかるために必要な特別措置を定めたものであります。
 その第一は、従前の沖繩県は、当然に地方自治法に定める県として存続すること、また、沖繩県の市町村は地方自治法の規定による市町村となるものとするほか、沖繩県及び市町村の発足に際しての必要な措置を定め、第二に裁判の効力の承継等に関し、民事関係では事件の手続の承継等、刑事関係では罰則に関する経過措置、手続、執行の承継等についての措置を定め、第三に、琉球政府並びに琉球水道公社、琉球電信電話公社、沖繩放送協会等沖繩の法令に基づく特殊法人の権利義務の承継等についての措置を定め、第四に、通貨の交換とそれに伴い必要とされる印紙、切手類の交換等についての措置を定めております。
 第五は、その他法令の適用に関する特別措置を定めた規定でありますが、まず、沖繩法令による免許等の効力の承継等の通則規定を置いた上、各省所管の法令について、たとえば、交通方法等に関する経過措置、外国人弁護士に関する特例、直接税、間接税及び関税に関する特例、沖繩の学校その他の教育機関に関する経過措置、介輔、歯科介輔についての特別措置、小作地所有制限、食糧管理法等に関する特例、特許法等に関する特例、自動車の検査に関する特例及び自動車損害賠償責任保険契約等に関する経過措置、電話の設備料に関する公衆電気通信法の特例、労働者災害補償保険、失業保険等に関する経過措置、土地区画整理に関する経過措置、地方税法に関する経過措置等を定めており、また、この法律に定めるもののほか、沖繩の復帰に伴い必要とされる事項について、政令、最高裁判所規則等に委任するための規定を設けております。
 次に、沖繩の復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、第一に、沖繩の復帰に伴い、従来沖繩がわが国の施政権の外に置かれていたために必要とされていた法律の廃止または特別に必要とされていた規定の削除もしくは改正、第二に、個別に置かれる国の出先機関の設置、管轄区域の追加等のため必要とされる各省設置法の改正その他沖繩の復帰に伴い必要となる規定の整備等をその内容とするものであります。
 次に、沖繩振興開発特別措置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、沖繩の復帰に伴い、総合的な沖繩振興開発計画を策定し、これに基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにより、その基礎条件の改善並びに地理的及び自然的な特性に即した沖繩の振興開発をはかり、もって県民の生活及び職業の安定並びに福祉の向上に資することを目的とするものであります。つまり、この法律案は、本土において従来の地域立法でとられている振興開発の手法を総合的に駆使するとともに、沖繩の実情に合った産業の振興開発の方策を講じ、それらを計画的な沖繩の県づくりに役立てようとするものであり、他方、こうした施策がとられても、制度の変更、米国軍隊の縮小、撤退等に伴う失業等の避けがたい事態も予想され、これに対処するため職業の安定をはかるための特別の措置を講ずることにしております。
 この法律案においては、まず第一に、土地の利用、産業の振興開発等十三項目にわたる十カ年を目途とした総合的な沖繩振興開発計画を策定することにし、その策定については、沖繩の自治を尊重するたてまえから沖繩県知事が原案を作成し、内閣総理大臣が沖繩振興開発審議会の議を経て決定することにいたしております。また、振興開発計画に基づく事業のうち土地改良、道路、港湾等この法律案の別表に掲げる事業について、同表に掲げる率の範囲内で国の高率の負担または補助の特例を設けることができることにいたしております。さらに、振興開発計画に基づいて行なう県道または市町村道の新設または改築、二級河川の改良工事、維持または修繕及び港湾工事について、県、市町村等からの申請に基づき国が直轄で行なえる道を開いたほか、二級河川に設けられるダムについて、特定多目的ダム法を適用して国が直轄で建設または管理を行なうことができることにいたしております。
 第二に、産業振興開発のための特別措置として、工業開発地区の指定制度を設け、農用地等の譲渡にかかる所得税の軽減、事業用資産の買いかえの場合の課税の特例、減価償却の特例、地方税の課税免除または不均一課税に伴う措置、特定事業所の認定の制度の創設とそれに伴う税制上の優遇措置、工場用地、道路、港湾施設等の整備及び農地法等による処分についての配慮につき規定の整備をはかっております。また、沖繩の中小企業については、沖繩経済の振興のために特に必要と認められる業種について近代化基本計画を定めて近代化を促進するとともに、これらの業種のうちさらに必要なものについては、構造改善計画の承認を行なって、緊急に構造改善をはかることにし、これらの業種に属する中小企業者に対し、金融上、税制上特段の優遇措置を講ずることにしております。
 第三に、沖繩における企業の立地を促進するとともに貿易の振興に資するために必要な地域を自由貿易地域として指定することができることにし、自由貿易地域内における事業の認定を受けた法人について税制上の優遇措置を認めるとともに、国において必要があると認めるときは、別に法律で定めるところにより、自由貿易地域内の土地及び施設に関する事業を行なうことを目的とする特別の法人を設けることにいたしております。
 第四に、電気の安定的かつ適正な供給をはかるため、沖繩の電気事業について資金上、税制上必要な助成を行なうとともに、米国民政府布令で設立され、沖繩における発送電の中核的機関である琉球電力公社の業務を引き継いで実施させるため、新たに特殊法人として沖繩電力株式会社を設立することにいたしております。
 第五に、沖繩の労働者の雇用を促進し、その職業の安定をはかるため、職業紹介、職業訓練、就業機会の増大のための事業等に関する計画を作成し、必要な措置を講ずるとともに、沖繩振興開発計画に基づく事業等への失業者の就労を促進し、さらに、一定の事由による失業者に対しては、就職活動を容易にし生活の安定をはかるため、有効期間三年の求職手帳の発給、手当の支給その他早期再就職のための各種の援護措置を講ずることにいたしております。
 以上のほか、無医地区における医療の確保等その他離島及び過疎地域について必要な定めをするとともに、国有財産の譲与等の特例、地方債についての配慮等に関して必要な規定を設けております。
 次に、沖繩振興開発金融公庫法案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、沖繩の振興開発に資するため、本土における日本開発銀行、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の業務並びに船舶整備公団及び公害防止事業団の融資業務に相当する業務を、一元的に、かつ沖繩のみを対象として行なう総合的な政策金融機関として、沖繩振興開発金融公庫を設立し、沖繩の産業開発を促進するための長期資金の供給、並びに沖繩の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金の融通が円滑に行なわれることを目的とするものであります。
 この法律案においては、まず、公庫は、その成立の際、米国民政府機関である琉球開発金融公社、琉球政府関係機関である大衆金融公庫及び琉球政府の産業開発資金融通特別会計等五つの特別会計の権利義務を承継することにしております。また、公庫の資本金は、その承継した純資産額に相当する金額としておりますが、政府は予算で定める金額の範囲内において公庫に追加して出資することができることにしております。公庫の貸し付け条件については、業務方法書で定めることになりますが、沖繩の現行の貸し付け条件及び本土の各公庫等の条件を勘案して、でき得る限り有利な貸し付け条件を設定することにしております。
 最後に、沖繩開発庁設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、ただいま述べました沖繩振興開発特別措置法及び沖繩振興開発金融公庫法に定める国の諸施策を積極的に推進し、豊かな沖繩県の建設に政府が直接の力添えをするため、総合的な計画の作成並びにその実施に関する事務の総合調整及び推進に当たることを主たる任務とし、国務大臣を長とする沖繩開発庁を総理府の外局として設置しようとするものであります。
 この法律案においては、第一に、沖繩開発庁の所掌事務及び権限について、沖繩振興開発計画の作成及びその作成のため必要な調査並びに振興開発計画の実施に関する関係行政機関の事務の総合調整及び推進に当たるとともに、関係行政機関の振興開発計画に基づく事業に関する経費の見積もり方針の調整を行ない、及び当該事業のうち沖繩の振興開発の根幹となるべき社会資本の整備のための事業に関する経費を沖繩開発庁に一括計上し各省庁に移しかえる等、振興開発関連予算についての権限を同庁に与えることにしております。このほか、沖繩振興開発金融公庫法に関する事務を所掌し、また、当分の間、沖繩の復帰に伴い政府において特別の措置を要する特定の事項に関する施策の推進に関する事務を行なわしめることにいたしております。
 第二に、沖繩開発庁の内部部局として、総務局と振興局の二局を置くことにし、また、付属機関として、沖繩振興開発審議会を置き、沖繩の振興開発に関する重要事項について調査審議することにいたしております。
 第三に、沖繩総合事務局の設置及びその所掌事務等に関する規定であります。沖繩県民の便益に資するため、許認可、補助金交付等の行政事務あるいは沖繩の振興開発に関連する建設工事等について、沖繩現地に関係各省庁の通常のブロック機関の長の有する権限をおろし一元的な事務処理を行なうため、沖繩開発庁の地方支分部局として沖繩総合事務局を置くことにいたしております。
 すなわち、総合事務局は、沖繩開発庁の所掌事務を分掌するほか、公正取引委員会の事務局の地方事務所、財務局、地方農政局、通商産業局、海運局、港湾建設局、陸運局、地方建設局等の地方支分部局において所掌すべきものとされている事務等を分掌することにしております。また、これらの地方支分部局において所掌すべきものとされている事務等については、当該事務に関する主務大臣または公正取引委員会が総合事務局の長を指揮監督することになっております。
 第四に、この法律の施行に伴い従来の沖繩・北方対策庁設置法は廃止されることになりますので、北方領土問題に関する事務については、新たに総理府の機関として総理府総務長官たる国務大臣を長とする北方対策本部を設置して、沖繩・北方対策庁が所掌する北方領土問題に関する事務をこれに引き継がせ、本問題の解決の促進をはかるため、この法律案の附則において総理府設置法の所要の改正を行なうことにいたしております。
 なお、以上五法案の施行期日については、沖繩振興開発金融公庫法案は公布の日から、その他の法律案は原則として琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行することにし、また、これらの法律の内容について沖繩県民に対し周知徹底をはかるため、内閣総理大臣は琉球政府行政主席に通知することにいたしております。
 以上が五法案の趣旨でありますが、これらの法律案は、いずれも沖繩県の自治権を最大限に尊重しつつ新しい沖繩県の伸長、発展に取り組む政府の基本的姿勢を明確にするためのものであることを申し添えておきます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(船田中君) 国務大臣西村直己君。
  〔国務大臣西村直己君登壇〕
#9
○国務大臣(西村直己君) 沖繩における公用地等の暫定使用に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、沖繩の復帰に伴いまして、沖繩におきます公用地等のために必要な土地または工作物に関する暫定使用について特別な措置を定めるものであります。
 いわゆる沖繩返還協定の効力発生の日から沖繩はわが国に復帰することとなりまして、わが国はこの地域に対する施政の権能と責任を持つこととなりますが、アメリカ合衆国が現在施政権者として公の目的のために使用している土地または工作物のうちには、国などがそのまま引き続き公用地等として使用することを必要とするものがあるのであります。
 これらのものを大別いたしますと、第一に、現に米軍が使用している土地などのうち、沖繩の復帰後も引き続き自衛隊の部隊の用に供するものでございます。これは、復帰後の沖繩の防衛責任はわが国が負うこととなりますので、本土と同様に、自衛隊による局地防衛、民生協力、災害救難などを実施することが、政府の当然の責務となり、そのために、所要の部隊を復帰時またはできるだけこれに近い時期に配備することが必要であるからであります。
 第二に、現に米軍の用に供されている土地などのうち、沖繩の復帰後も引き続き駐留米軍の用に供するものであります。これは、日米安全保障条約及びこれに関連する取りきめに従い、米軍の駐留をわが国及びわが国を含む極東における国際の平和と安全のためにわが国が必要と認めているからであります。第三に、現に水道、電気、飛行場、航空保安施設など、航路標識及び道路の用に供されている土地で、沖繩の復帰後も引き続きこれらの用に供されるものであります。これは、住民の日常の生活や福祉に密接な関係を持つ施設等でありますので、復帰の日以後もその機能をとめることのないよう保障しておく必要があるからであります。
 国などがこれらの公用地などを引き続き使用するにあたりましては、できる限り、従来これらの公用地などを提供しておられた所有者その他の権利者との円満なる契約によるべきことは申すまでもございません。しかしながら、現在沖繩では、三万数千名に及ぶ多数の所有者及びその他の権利者が数えられ、しかもそのうちには一部、所在不明者、海外移住者等が含まれておる状況でありますので、わが国の施政権の外に置かれておる沖繩において、これらの人々とあらかじめ話し合いをし、復帰の日までにそのすべてについて契約の締結に至ることは容易ではないのは、御理解いただけると思うのであります。そこで、復帰の日以降国等がこれらの公用地などを引き続いて暫定的に使用する場合も、従来の使用関係の範囲にとどまるのであります。したがって、これらの事情を勘案すると、経過措置といたしまして、暫定的に一定期間これらの土地などの使用権を設定し、その間に契約その他必要な措置をとることとすることは、やむを得ないことと存じます。もちろん、この法律による使用の開始後でありましても、使用者たる国等は、土地などの所有者などとの合意によりこれを使用するようできる限りつとめるべきであり、このことは、法律案の第一条において明確に規定されております。
 次に、この法律案で規定しております土地などの暫定使用の内容の概略を申し上げます。
 第一は、この法律の施行の際沖繩において米軍の用に供されておる土地のうち、引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの、引き続き駐留米軍の用に供するもの、またはこの法律の施行の日から一年以内に米国から返還され引き続き自衛隊の部隊の用に供するもの。
 第二に、この法律の施行の際琉球水道公社または琉球電力公社が水道事業用施設、電気工作物等の用に供している土地で、引き続きこれらの用に供するもの。
 第三に、この法律の施行の際沖繩にある飛行場、航空保安施設、航空通信用電気通信設備または航路標識の用に供されている土地で、引き続きこれらの用に供するもの、またはこの法律の施行の日から一年以内に米国から返還され引き続き航空保安施設の用に供するもの。
 第四に、この法律の施行の際沖繩において一般交通の用に供されている米軍の築造にかかる道路の敷地で、引き続き道路法上の道路の敷地となる土地については、国などがこの法律の施行の日からこれらの土地等について権原を取得するまでの間、使用することができるというもの。であります。ただし、この暫定使用期間は、この法律の施行の日から五年をこえない範囲内で土地などの種類などを考慮して政令で定めることといたしております。
 以上のほか、この法律案では、土地などを使用する場合の手続に関する事項として、使用する土地など及び使用の方法の告示並びに所有者等に対する通知等について規定し、あわせて土地等の使用に伴う損失の補償並びに使用をやめた場合の返還及び原状回復の義務について定めております。また、この法律は、一部の規定を除き、沖繩返還協定の効力発生の日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
 次に、沖繩の復帰に伴う防衛庁関係法律の適用の特別措置等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、沖繩の復帰に伴い、防衛庁関係法律の適用についての暫定措置その他必要な特別措置等を定めるものであります。
 第一は、防衛庁職員の給与等の特別措置に関する規定であります。これは、琉球政府の職員で、沖繩の復帰の日から引き続いて防衛庁の職員となる者及び復帰の日以後沖繩県で勤務する医師または歯科医師である防衛庁職員につきましては、一般職の国家公務員の例に準じ政令で定めるところにより、当分の間、特別の手当を支給することができることとし、また、琉球政府に在職中公務上の災害を受けた琉球政府の職員で、復帰の日から引き続いて防衛庁の職員となる者につきましては、その災害を防衛庁職員としての公務上の災害とみなして、一般職の国家公務員の例に準じ政令で定めるところにより処理するものであります。
 第二は、人身損害に対する見舞い金の支給に関する規定であります。これは、沖繩におきまして、昭和二十年八月十六日から昭和二十七年四月二十八日までの間に、合衆国の軍隊等の行為により人身にかかる損害を受けた沖繩の住民またはその遺族のうち、一九六七年高等弁務官布令第六十号に基づく支払いを受けなかった者またはその遺族に対しまして、その支払いを受けなかった事情を調査の上、必要があるときは、同布令に基づいて行なわれた支払いの例に準じて、見舞い金を支給することができることとしたものであります。
 第三は、防衛施設周辺の民生安定施設の助成の特例に関する規定であります。これは、沖繩におきまする防衛施設周辺の民生安定施設の助成の対象として、市町村のほかに沖繩県を加え、かつ、補助率を十割とすることができることとし、もって基地周辺の民生安定施策の強化をはかることを内容といたしております。
 第四は、沖繩の軍関係離職者に対する特別給付金の支給に関する特例についての規定であります。これは、現在沖繩におきまして、沖繩法上の特別給付金を受けるべき地位を持っておりながら、合衆国の軍隊等に再雇用されたためその支給を停止されている者がおりますが、その者が有する特別給付金を受けるべき地位を本土法の駐留軍関係離職者等臨時措置法上の特別給付金を受けるべき地位を持っている者とみなして、その者が復帰後において駐留軍労務者の職を失ったときに、特別給付金が支給されるように措置したものであります。
 第五は、政令への委任に関する規定であります。これは、防衛庁関係法律の沖繩への適用上必要とされておる事項につきまして、政令に譲ることといたしたものであります。
 最後は、沖繩の復帰に伴う防衛庁設置法の一部を改正する規定であります。これは、防衛施設庁の地方支分部局として、沖繩県那覇市に那覇防衛施設局を設置し、その管轄区域を沖繩県とすることなどを定めたものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#10
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。石橋政嗣君。
  〔石橋政嗣君登壇〕
#11
○石橋政嗣君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び関連七法案につきまして、総理及び関係閣僚に対し、若干の質問をいたしたいと思います。(拍手)
 総理は、所信表明演説におきまして、「沖繩問題は、日米間の友好と信頼のきずなのもとに、戦争で失った領土を平和裏に話し合いで回復するという、とれまでの歴史にない最も好ましい解決を見ることになり、日米修好百年の歴史に、さらに輝かしい一ページを書き加えることになった」と述べられました。このことばは、いままでに何回となく聞かされてきたことばでありますから、おそらく、これは沖繩問題に対する総理の考え方を最も端的に示したものであろうと思います。
 ところで、このような見方、考え方は、はたして正しいのでありましょうか。私は、明らかに間違っていると思います。(拍手)基本的な認識において、このような大きな食い違い、間違いがあるからこそ、国論が大きく割れ、本土と沖繩の間に埋めがたいみぞができたのだと思いますので、この点を最初に取り上げてみたいと思うのであります。
 総理、沖繩はほんとうに戦争で失った領土なのでございますか。もしそうだとすれば、アメリカの沖繩支配の根拠法とされているサンフランシスコ平和条約第三条は、領土処分の規定だということになります。そして、そのことは同時に、第三条が、領土不拡大の原則、カイロ宣言、ポツダム宣言に違反するものであることを立証することになるわけであります。総理はそれを認められるわけであるかどうか、お伺いいたします。
 この点に関しましては、去る十月二十七日のアメリカ上院外交委員会において、ロジャーズ国務長官が、「米国は日本から主権を奪い取っていないので、沖繩返還協定によっていかなる主権の移動もないと了解してよい」と証言していることに注目すべきであります。アメリカでさえ、沖繩支配の合法性を立証することは、ついにできなかったのであります。
 戦争で失った領土を平和裏に話し合いで回復するのだなどと、二十六年に及ぶ不法な権力支配を美化したり、合理化する必要は絶対にありません。(拍手)沖繩が祖国に復帰するということは、あやまちが改められ、本来あるべき姿に戻るということにすぎないのであります。
 百歩譲っても、戦争で失った領土を平和裏に回復した例はいままでの歴史にないというのは、明らかに事実に反します。第二次大戦後においてすら、イギリス軍などによって占領され、一九五四年イタリアに復帰したトリエステの例及びフランス軍に占領され、一九五六年西ドイツの主権下に戻ったザールの例をあげることができます。かつてないことをなし遂げたのだと誇りたい気持ちはわからないでもありませんが、史実を曲げるわけにはまいりませんので、指摘しておきたいと思います。(拍手)御意見があれば伺いましょう。
 次に、総理、あなたは、アメリカが沖繩の直接支配をやめようと決意した最大の理由をすら正確に把握いたしてないようであります。アメリカが沖繩を手放すことを決意したのは、ロジャーズ長官の証言でも明らかなように、屋良主席の誕生に代表される復帰運動の高まりによるものなのです。これ以上復帰をおくらせたら、基地の機能の維持に必要な住民の協力が急速に得られなくなると見てとったからにほかならないのであります。言うならば、彼らは、激しい県民の復帰運動に手を焼いて、日本政府との話し合いに応じたわけです。
 それなのに、日本政府には、さきに指摘したように、沖繩の祖国復帰は当然のことという認識がないばかりか、アメリカの政策転換は抵抗闘争のたまものという認識もなく、ひたすらにお願いするという態度をとったため、アメリカはそれをよいことに、数知れぬ要求を次々と突きつけてきたというのが実情ではないのでありますか。(拍手)
 アメリカが、沖繩と引きかえの形で日本に突きつけてきた要求は、枚挙にいとまがございません。おもなものだけでも優に十をこえるありさまであります。
 いま、その幾つかをあげてみますならば、基地の規模、特に機能の維持を保障すること、事前協議制を実質的に廃止し、核の持ち込みと自由使用を保障すること、一年以内に自衛隊六千八百名を沖繩に配置し、米軍基地の防衛、局地防衛の任に当たること、韓国と台湾地域の安全に関する責任を分担すること、自衛隊を増強すること、防衛分担金を支払うこと、アメリカの兵器を購入すること、沖繩における県民の対米請求権を放棄すること、米軍資産の引き継ぎ、移転は有償とすることといったものから、本来、沖繩とは全く関係のない円の切り上げ、貿易・資本の自由化促進、繊維等の対米輸出規制、対外援助費の増額、肩がわりというようなものにまで及んでいることは、いまや周知の事実であります。(拍手)
 アメリカは、みずからの不法、不当な行為をやめる条件として、新たに別の不当な要求を持ち出してきたわけです。それを、こともあろうに、政府は次々と受け入れるか、あるいは受け入れようとしているのが現状なのであります。これでは、総理のおっしゃるように、日米間に友好と信頼の空気が高まるはずなどはございません。それどころか、両国の関係は、戦後の二十六年間を通じて、ある意味ではいまが最も険しいといっても言い過ぎではないのではありませんか。その責任の一端は、長年にわたり、アメリカに対し言うべきことも言わず、追随と迎合を事としてきた日本政府にあるのであります。(拍手)
 総理、あなたが、もしこのようなアメリカの要求を妥当なもの、もしくはやむを得ないものと確信して受け入れられたのであるならば、その信ずるところに従って、ありのままを国民に向かって率直に話したらいかがでございますか。なぜ真実をひた隠しに隠し、うそにうそを積み重ねるのでありますか。
 そのような事実がないというのであれば、いまから幾つかの例をあげてお尋ねをいたします。
 第一は、基地の規模についてであります。
 政府は、基地は縮小されると申します。そしてそれを裏づけるために、返還される基地を示したC表を大きくふくらませ、返還されない基地を示したA表を小さく見せるために、いじましいような小細工をさえ弄しています。しかし、どんな細工をしようと、沖繩全県において基地の占める率は、一四・八%から一二・三%になるにすぎないのです。これがあなた方の言う本土並みの実態であることを、よもや否定はされますまい。(拍手)
 第二は、基地の性格と機能についてであります。
 政府は、日本の領域となる沖繩に、多くの謀略、諜報、破壊活動を任務とする部隊や施設を引き続き置くことを認めているではありませんか。総理、あなたは、このような近隣諸国に対する敵対行為、挑発行為を認めながら、何の影響もないとほんとうに信じておられるのでありますか。それに、あなた方の言うところによれば、日米安保条約は本来平和的なものであり、防衛的なものであったはずではなかったのですか。そうだとすれば、このような敵対行為、挑発行為を日本の領域内から行なうことは、条約の性格や目的にも反するということになるのではないのですか。お尋ねをいたします。(拍手)
 第三は、自衛隊の沖繩派遣問題です。
 自国の領域となる地域に自国の軍事力、すなわち自衛隊を配備するのに、なぜアメリカとの協議や合意書の交換が必要なのでありますか。自衛隊は自発的に沖繩に行くのですか。それとも、アメリカに要求されて、アメリカの基地を守りに行くのですか。みずからの意思で行くのだというのならば、なぜ久保・カーチス取りきめなどというものが必要なのか、ぜひ、国民がわかるように説明していただきたいのであります。(拍手)
 第四は、核兵器の問題であります。
 政府は、協定第七条において、佐藤・ニクソン共同声明第八項で合意された「日本政府の政策に背馳しないよう実施する」ための費用を日本側が負担することになったので、核兵器が沖繩から撤去されることは明白になったと申します。こんな珍妙な論法がまたとあるでしょうか。共同声明第八項でニクソン大統領が約束したのは、あくまでも「事前協議制度に関する米国政府の立場を害すること」のない範囲に限られているのであります。しかし、その点は一応おくことといたしましょう。問題は、ここでいう日本政府の政策なるものが、核をつくらず、持たず、持ち込ませずという、いわゆる非核三原則であるという保証はどこにもないのであります。
 総理、あなたは、よもや自分がかつて主張した核四政策なるものを、いまになって都合よく忘れたわけではございますまい。あなたは、一昨年一月三十日、この壇上で、わが成田委員長の質問に答え、「政府が非核三原則を政策として打ち出したことは、これを可能にする前提、つまり、沖繩基地を含めて米国の戦争抑止力がアジアの平和と安定に有効に働くという保証があったからであります。」と明確に述べているではありませんか。いまになって、核は撤去するというのでありますが、それでは、もはや沖繩の核はわが国の非核三原則の前提条件ではなくなったのでありますか。そうだというのであれば、それはどのような情勢の変化によるものか、その理由を御説明願いたいのであります。(拍手)
 さらに、核撤去の費用を日本側が負担するという以上は、沖繩の核は、アメリカにとっては、引き続き置いておくことが望ましいのであるが、日本の国民感情などを考慮してやむなく撤去するのだというふうに理解すべきだと思うのでありますが、間違いございませんか。沖繩の核についてのこの二つの質問に対し、矛盾のないようお答えを願いたいと思います。(拍手)
 なお、撤去の費用を負担するということは、現在沖繩に核があるということを前提としたものであり、したがって、撤去は施政権返還の日までに完了すると理解してよいのかどうか、撤去確認の方法とともに、あわせてお答えを願いたいと思います。
 第五は、自由使用の問題であります。
 総理は、返還協定の基礎となっておる共同声明の中で、「沖繩の施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではない」との見解を表明し、ニクソン大統領に確約をいたしております。これでは、実際問題として、沖繩からの米軍の行動に制約を加えることは不可能ではありませんか。
 現に、あなたは、ナショナル・プレスクラブにおける演説で、「事前協議に対し前向きにかつすみやかに態度を決定する方針である。」と断言しているのであります。これでどうして、事前協議制は依然として有効であり、今後は沖繩の基地といえども、本土と同様、米軍が自由に使用することはできなくなるなどといえるのでありましょう。
 総理、私が言いたいのは、先ほども申し上げたように、なぜ、ありのままを国民の前に明らかにしないのかということなのです。沖繩の祖国復帰を実現するためには、これらアメリカの要求を受け入れざるを得なかったのだと言えばよいではありませんか。うそにうそを積み重ねることが、どんなに政治に対する信頼をそこなう結果となっているか、そのことを真剣に考えていただきたいと思うのであります。それとも、いまなお、アメリカのそのようなもろもろの要求を承知した覚えはないと言い張るつもりでありますか。それならばそれで、いまあらためてこの席上で、はっきりと次のことを国民の前で誓っていただきたいと思います。
 一、基地の全面撤去を目ざし、復帰の時点においては基地の密度と機能を本土並みに縮小、削減させる。
 二、沖繩から一切の核兵器、毒ガスを撤去させる。そしてそれは、必ず点検の上、確認し、再持ち込みは絶対に許さない。
 三、米軍の沖繩からの自由出撃は認めない。
 四、自衛隊の派遣は行なわない。
 五、攻撃用兵器、特殊部隊、謀略宣伝施設等は必ず撤去もしくは撤退させる。
 六、沖繩県民の対米請求権は放棄しない。
 七、米国資産は無償で県民に譲渡させる。
 八、外国企業の不当な権益は認めない。
 九、県民の自治権はもとより、民主的諸権利と制度は必ず守る。
 十、裁判の効力については、日本国憲法に沿って、すべて申し立てに基づく再審理の道を開く。
 十一、軍用地は、県民の要求に従って返還し、復元補償など、県民の損害は完全に補償する。引き続き軍用地として使用するための強制収用は行なわない。
 十二、形式のいかんを問わず、秘密の取りきめは一切行なわない。
 以上のことは、政府がいまなお核抜き本土並みということばを口にし、アメリカの要求に屈した事実はないというのですから、確約できるはずだと思うのでございますが、いかがでございますか。ぜひお約束をしていただきたいと思います。(拍手)
 最後に、私は、一言大切な問題に触れておきたいと思います。
 それは、あれほどまでに祖国への復帰を熱望した人たち、そのために、異民族支配に立ち向かって勇敢にしかも粘り強く戦ってきた沖繩の人たちが、この協定のもとでの復帰を喜んでいないという事実についてであります。平和条約第三条を第二の琉球処分と呼び、本土の独立回復をあがなうために沖繩は売り渡されたのだと信じている同胞たちは、いままたこの協定をきびしく批判し、第三の琉球処分ということばすら口にし始めているのであります。
 総理、私は心から申し上げます。沖繩県民が目を輝かして、戻ってくることができるようにする責任がわれわれにはあるのです。県民たちが夢にまで見た、核も基地もない平和な島、米軍も自衛隊もいない沖繩の実現が祖国復帰の暁には期待できるのだという、そんな希望の持てる協定を結ぶ義務がわれわれにはあると思うのであります。
 私は、あらためて提案をいたします。
 現地沖繩において必ず公聴会を開き、県民の気持ちをしっかりとつかんだ上で、もう一度アメリカとの交渉を持っていただきたい。
 総理、世界の潮流は大きく変化しているのです。中国は国連における正当な代表権を回復しました。ニクソン大統領はやがて北京を訪問します。南北朝鮮の間でも交流の話し合いが始まっております。この協定の基礎となっている佐藤・ニクソン共同声明は、すでに過去のものとなってしまったのであります。(拍手)ということは、協定そのものが過去のものとなったということであります。断じてやり直すべきです。昨日の外務大臣の失態に象徴的にあらわれたように、どこに精魂を傾けた者の真摯な姿勢がうかがえますか。(拍手)これだけでもやり直しを要求するのは当然だといえるのではありませんか。もし、再交渉に成功するならば、沖繩県民はもちろん、国民があげて、歓呼の声をあげて祝福するでありましょう。日中友好の機運も一段と高まるものと確信いたします。同時に、私は、そのとき初めてゆるぎない真の日米友好関係も確立するであろうということを申し添えて、質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 石橋君にお答えいたします。
 サンフランシスコ平和条約第三条の規定が法律的に無効であるという社会党の年来の主張は、十分に承知しておりますが、政府としては、すでに繰り返しお答えしているとおり、この御意見には同意できません。(拍手)
 戦争の結果としてわが国の施政の手を離れ、二十有余年の間異民族の統治のもとにあった百万県民の住む沖繩、これがいよいよ本土に返ってこようとしているのであります。私は、いまこの時点で、沖繩が戦争で失った領土であるかどうかということを論ずることよりも、沖繩県民が置かれてきたこの歴史的事実をしっかりと認識することのほうが、より大切だと考えるものであります。(拍手)確かに、戦争によって失われた領土が平和時に交渉によって回復された事例は絶無ではありません。しかし、きわめてまれなできごとであることは、よもや石橋君も否定されるとは思いません。石橋君は、沖繩返還が日米間の友好と信頼関係をもとにして可能となったという私の説明に御不満のようでありますが、このことは何としても否定することはできないのではないのでしょうか。そうして、この目標に向かって沖繩県民をはじめ全国民の総力を結集することができたたまものであることは、疑う余地のないところであると私は考えます。(拍手)
 現在、日米関係は経済的に一種の緊張状態にあることは事実でありますが、これはあくまでも経済面だけのことであって、その限りでは競争的共存の時代に入っております。しかし、全体として見れば、日米安保体制のもとに緊密の度合いをますます深めつつ、国際間の緊張緩和と繁栄に向かって相互の役割りを果たしているのであります。(拍手)私は、わが国の対外関係において日米関係は何ものにも増して最も重要であると考えております。(拍手)今後ますます相互信頼と友好関係を深めるべく、できる限り努力する決意であります。(拍手)
 基地の問題につきましては、御指摘のとおり、本土と比べてかなりの密度の濃い基地が存続されることになります。政府としては、復帰後も、現地の要望等を念頭に置きつつ、その整理統合に取り組む所存であります。しかし、返還後は、安保条約及び関連取りきめが本土と同様に適用されることになるので、基地の機能及び性格は大幅に変化することは申すまでもありません。
 返還後の沖繩に駐留する米軍が謀略や破壊活動に従事する場合を想定してのお尋ねがありましたが、復帰後の沖繩には安保条約並びにその関連取りきめがそのまま適用になることを十分に理解していただきたいと思います。復帰後の沖繩に置かれる部隊については、その活動が安全保障条約の目的と精神によって規制されることは当然であり、御指摘のような事例について御懸念になる必要はないと考えます。(拍手)
 次に、自衛隊の海外派遣を米国と約束したのではないかとのお尋ねでありますが、そのような約束は一切ありません。憲法並びに自衛隊法に認められ、沖繩が祖国に復帰すれば、当然われわれが沖繩を防衛するのは責務であります。(拍手)これをもって自衛隊の海外派遣などを言われることは、これは言語道断であります。(拍手、発言する者あり)
 沖繩からの核兵器の撤去については、日米共同声明第八項、返還協定第七条によってはっきり約束がされております。また、米国においても、大統領の決定に基づいて、国務長官が議会での証言を通じてこれを確認しております。
 私が昭和四十三年の国会で述べた核政策四本の柱、すなわち、非核三原則の厳守、核軍縮達成に向かっての努力、核エネルギーの平和利用の推進、日米安保体制によって国際的な核の脅威に対処するという考え方は、いまも変わっておりません。
 また、米国がただいま沖繩で核を必要としているかどうか、申し述べる立場に私はありませんが、返還時において核が存在しなくなることは、以上述べたとおりであります。
 さらに、核が撤去されたかどうか、点検の問題については、国際法上の問題があり、御指摘のとおり困難でありますが、政府としては、県民に不安を残さないよう、何らかの方法を探求したいと念願しているのでございます。
 沖繩からの米軍の出動に制約を加えることはできないのではないかとの御意見でありますが、先ほども申したとおり、返還後の沖繩には安保条約及びその関連取りきめが何らの変更もなしに適用されるのでありますから、したがって、事前協議制も本土の場合と全く同様に適用されますので、米軍の自由出撃というようなことは一切ありません。この点は、国民の皆さまに正直に申し上げておきます。(拍手)
 毒ガスの撤去は、すでに完了し、その点検が行なわれたことは御承知のとおりであります。
 核の点検の問題はすでに述べましたが、その再持ち込みを許さないことは、政府の非核三原則で明らかであります。これが事前協議になった場合には、ノーとはっきり答えるものであります。(拍手)
 また、重ねてお尋ねのありました基地の縮小並びに自由出撃につきましての考え方は、さきに申し述べたとおりであります。
 自衛隊の配備は、国家として当然の義務であります。(拍手)政府は、そのための準備を進めておりますが、その場合、施設科部隊をはじめ、民生協力関係の部隊の配備を重視するなど、県民の理解を得るよう努力する考えであります。
 さらに、米軍の攻撃用兵器、特殊部隊等の撤去を約束せよとのことでありますが、再三にわたってお答えしているとおり、沖繩に駐留する米軍は、安保条約のワク内でしかその行動は許されないのであり、すべて本土並みになる点を御理解いただきたいと思います。
 次に、自由と民主主義を守り、また、地方自治を尊重することがわが国の大原則であることは、日本国憲法に明記されているとおりであります。沖繩の祖国復帰にあたっても、沖繩県民の意思を尊重し、また、沖繩の自治を侵害しないよう政府は十分配慮しつつ、本土の諸制度への円滑な移行と、沖繩の振興開発を進めていくことにしております。御心配の点はないものと私は考えます。
 なお、沖繩は、戦後長い間本土と施政権が分離されていたために、現在本土にはない制度が存在しております。たとえば、沖繩では教育委員は本土とは異なり公選制になっているのでありますが、教育は一国の基本的な課題でありますから、制度上一体化をはかるべきものと私は考える次第であります。(拍手)
 次に、返還協定は、復帰の前後における沖繩の社会秩序の維持をはかりつつ、その円滑な復帰を実現する観点から、原則として沖繩の裁判権を引き継ぐこととしております。もし、沖繩の確定裁判に対して、一般に申し立て等による再審理の制度を設けることとすれば、復帰の前後における沖繩の法的安定性を害することとなり、適当でないと考えております。しかし、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律案において、復帰後、本土の確定裁判と同様の取り扱いのもとに、再審理等の救済措置を講じ得ることとし、関係者の権利の保障をはかっているところであります。
 次に、返還後の沖繩に駐留する米軍に対し、その必要とする施設、区域を提供することは、安保条約上わが国が負っている義務であります。その義務を履行するため必要な土地、工作物等を確保するために、公用地等暫定使用法案を提案しているのであります。施設、区域の提供という事柄の性質上、復帰と同時に引き続いて施設の運用を確保せねばならず、政府としては、その責任上、その使用の権限を取得するまでの間、暫定的に国等が当該土地または工作物を使用できることとしたもので、やむを得ないものであります。このような事情でありますから、復帰の段階では問題の軍用地を大幅に返還できないことは、遺憾ながらやむを得ません。
 また、沖繩返還協定において一切の秘密取りきめはありません。また、今後とも秘密の取りきめなどする考えは全くないことをはっきり申し上げておきます。(拍手)
 最後に、石橋君は米国と再交渉せよとの御意見でありますが、政府は再交渉は全く考えておりません。第三の琉球処分としないためにも、一日も早く復帰を実現することが、本土のわれわれの義務である、責任であると考えます。(拍手)その上で、積極的な住みよい沖繩県建設を行なって、県民の生活と福祉を向上しなければならないと思うのであります。
 すみやかな協定の承認と法案の成立を衷心より希望し、お願いいたしまして、私の答弁といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(船田中君) 原田憲君。
  〔原田憲君登壇〕
#14
○原田憲君 私は、ただいま趣旨説明のありました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定並びにこれに伴う関連七法案につき、佐藤総理大臣及び関係大臣に、自由民主党を代表して質問いたそうとするものであります。(拍手)
 人間の歴史は、平和を求めながらも互いに殺し合い、傷つけ合うという繰り返しが行なわれ、われわれもまたその例に漏れずその愚を行ない、過ぐる大戦において、沖繩においても日米両国将兵は命をかけて戦い、沖繩県民また、老いも若きも、男も女もその戦火に巻き込まれ、とうとい生命を失い、全島焦土と化したのであります。しかも沖繩県民は、日本本土が独立を回復し、国連に加盟した後においても、今日まで異国民の施政下に置かれてきました。
 私は、この戦争の古傷のあとに終末をつけ、沖繩の本土復帰を実現し、新しい出発をしようとするこの協定の審議に際し、とうとい生命を沖繩に散らした日米両国民の霊に対し、心から追悼の意を表し、長期間にわたって異国民の施政下に置かれた沖繩県民の皆さまに、御苦労さまでしたと、衷心より御慰労申し上げる次第であります。(拍手)
 そしてまた、いまだに不法に占拠されて返らざる領土もあるのに、法律論だけではなかなか片づかない領土問題について、日米両国間の長き友好を望むがゆえに、世界にもまれな無血領土返還のこの協定調印に同意されたニクソン大統領の勇断と、これを全会一致で承認されたアメリカ上院外交委員会の諸賢をはじめ、これを支持するアメリカ国民諸君に、深く敬意を表するものであります。(拍手)
 さて、質問の第一は、この提案にあたっての佐藤総理の決意についてであります。
 沖繩の本土復帰は、民族の悲願であり、アメリカに対する日本の民族的要求であるといわれてきました。総理の沖繩訪問の際、本島はもちろん、先島まで、全沖繩を埋めた日の丸の旗はまさにそれを象徴し、国会においても、常に政府に対し復帰要求の交渉が求められてきました。「沖繩の返還ならざる限り、日本の戦後は終わらない」、これは昭和四十年八月、沖繩那覇空港における佐藤総理、あなたの演説でありました。そして、復帰実現のため、昭和四十二年十一月、あなたはジョンソン米大統領と二回目の会談において、沖繩返還のめどを両三年内につけようとの了解を取りつけました。このことは、沖繩復帰を具体化せしめた始まりであるといって過言ではなく、岸、池田内閣当時からの努力は認めるといたしましても、みずから沖繩に初めて足を印した佐藤総理大臣、あなたの努力のたまものと申しても過言でないと存ずるのであります。(拍手)
 これ以来、沖繩問題は、何といっても施政権の返還、日本の主権回復が目的であり、基地の処理等安全保障上の問題は民族的要求に優先させるべきではない、施政権の返還が一日でも早いほうがよいという点では、各党の原則的立場は一致している。せめて核基地の撤去と安保条約の事前協議の完全適用、すなわち、核抜き本土並みに自民党が同調し、野党との共通の広場を求め、対米交渉すべきである、ここに国民の合意を求めるべきであるとの世論が高まってきたのであります。そして、佐藤・ニクソン会談が持たれるまでの間、野党の諸君の多くは、慎重に、白紙であると答える総理大臣に対して、口をすっぱくして求めたものは、核抜き本土並み、早期返還の実現を明らかにせよというものでありました。
 昭和四十四年十一月、総理は、ニクソン大統領との会談において沖繩復帰に関する協定締結の約束をかわし、日米共同宣言を行ないました。その内容は、核抜き本土並み、一九七二年返還、事前協議の実行という、国民の要望に沿うものでありました。(拍手)
 続いて十二月、国会解散、総選挙となりましたが、これは沖繩復帰に関する信を国民に問うたものであり、選挙の結果は、主権者、国民の答えでありました。(拍手)すなわち、自民党の大勝は、野党の主張をも自民党佐藤内閣は取り入れて、国民の総意である沖繩復帰を実現しようとしていることへの国民の支持のあらわれでありました。(拍手)しかるに、これに反対し、当時この交渉におもむく佐藤総理を暴力によって阻止しようとした暴力集団を擁護するような態度を見せた社会党に対し、国民の批判は強くあらわれたことは、皆さまよく承知のところであります。(拍手)この総選挙は国民の意思を表明したものであり、また、沖繩復帰は本土並みということであればこそ、この選挙で沖繩出身議員が選ばれてきたのではございませんか。(拍手)
 しかるに、本年六月、本協定が調印され、現在この協定を審議しておる最中になお、結び直せという議論があります。無責任の一語に尽きるのであります。また、核兵器を発見したと政府を追及している向きもありますが、これも方向違いの議論であります。現在の沖繩はアメリカの施政権下にあり、アメリカは核の保有国でありますから、沖繩に核兵器があってもふしぎではないのであります。日本は、非核三原則を守る、核を持たない国であります。沖繩から核をなくするためには、一日も早くアメリカから日本に復帰することであり、そのためには、この協定が一日でも早く成立して実施されること、これほど明白なことはないのであります。(拍手)
 協定のやり直しをやれと言われますが、いつどこで、だれとだれが交渉するのでございますか。アメリカは、来年は大統領選挙の年であり、ニクソン訪中や何やかやで、とても交渉のやり直しどころではございますまい。それでも待っておるというのでございましょうか。沖繩県民は、いまのまま危険な核兵器と一緒に暮らして待っておれというのでございましょうか。(拍手)さんざん、復帰復帰と言いながら、核はあぶないあぶないと言いながら、まことに無責任の一語に尽きる議論でございます。(拍手)
 そこでお尋ねいたします。総理、あなたはいかがされますか。待っておられますか。あなたの師、吉田茂総理は、日本の独立を回復されました。鳩山一郎総理は、日ソ国交を回復し、国連加盟を実現されました。あなたは、「沖繩復帰ならざる限り、日本の戦後は終わらない」と言われましたが、民族の悲願達成のためのこの協定と法律にこそ政治生命をかけておられると思いますが、いかがでございますか、とくとお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 質問の第二は、復帰に伴う不安の解消についてであります。
 本土には復帰したい、しかし、復帰後どうなるだろう、これが沖繩県民の心の中だろうと思います。
 その第一は、核問題でございます。核の撤去は、協定第七条に加えて、今回、ロジャーズ国務長官、パッカード国防次官のアメリカ国会公聴会の証言によりまして、ますます明白になったと思いますが、なお、それ以上、何らかの方法を求めておられるのか、この際伺っておきたいのであります。
 第二は、基地問題についてであります。
 沖繩県民の中には、復帰後は基地の返還はない、本土並みではないというような宣伝を信じている向きもあるようでございますから、この際明らかにしておいていただきたい。復帰後も基地の漸減を求めていくべきであると私は考えますが、どうでございますか。
 また、一方、基地の減少することは、それだけ基地で働く就労者の転業がふえてまいるのでございますが、これらに対する準備は十分できておりますか。基地周辺の住民福祉措置は十分でございますか。VOAの撤去についても、国頭村では、村民の死活問題であるから、簡単に撤去撤去といってもらっては困るという話もございますだけに、特に伺っておきたいのでございます。
 第三は、自衛隊の配置と公共用地の使用についてであります。
 自衛隊の配置はどうなりますか。沖繩も本土になるのでありますから当然とはいえ、沖繩にとっては初めてのことでございますから、十分の配慮が必要と思われます。たとえば、米軍が行なっていた災害出動なども、日本本土と同じように自衛隊が出動するのが当然であります。大阪の知事は、自衛隊違憲論者でありますが、行政の責任者としては、自衛隊の出動を求めるときには進んで措置をとりますと言っております。自衛隊に対する県民の協力を求め、理解を深める配慮が特に必要と思います。このことは、公共用地の使用についても同様で、できる限りの協力を求める必要があると存じますが、この際、総理のお考えを伺っておきたいのであります。(拍手)
 質問の最後は、将来の沖繩のビジョン、沖繩の開発発展等と県民生活についてであります。
 基地経済から転換して沖繩はどうするか、沖繩県の特色を生かした発展策が講ぜられるべきであります。たとえば、沖繩はハワイのような常夏の島である。しかし、一方、台風の常襲地域でございます。台風が来なければ、ことしの宮古島のように、九十年ぶりの干ばつで生活ができなくなるという地域であります。このようないまの沖繩には、生活の基本条件である社会資本の充実のために、水、電力、港湾、道路、空港等の公共投資は、とても本土並みでは足りません。北海道庁や北海道開発公庫による北海道の開発はめざましいものがございますが、沖繩に対してはそれにもまさるとも劣らぬ配慮がされなければならぬと思うのでありますが、どうでございますか。
 また、その反面、本土で見られるような無秩序な開発や自然破壊の横行が、観光や産業開発にこと寄せて沖繩で許されてはならないと思いますが、対策はできておりますか。
 また、沖繩は、社会保障、社会福祉関係がおくれておりますが、この水準の向上をどのように進めていきますか。
 沖繩の現在の屋良さんの政治のもとで、上がったのは物価と公務員の給与、下がったのは学力と行政能力であるとの声があります。(拍手)物価問題は国民の生活の問題でございます。昨日の新聞を見ますと、この物価の問題について、九月の主要都市の消費者物価、これは一番高いのは、物価の神さまの美濃部さんの東京であります。その次に、それと同じように高いのは飛鳥田さんの横浜。大阪、名古屋、広島、札幌、ぐっと下がって福岡ということになるのでありますが、物価問題は、保守や革新というようなイデオロギー論争では片づかない要素を持っております。
 これらの問題について、政府は一体どのような対策をなそうとするか。(拍手)国務大臣山中総務長官より、総括して答弁をいただきたいのであります。
 最後に、私は、この際、一言発言しておきたい。
 中華人民共和国の国連加盟は、これは新しい世界の幕あけであります。新しい幕あきのためには、前の幕は閉じなければなりません。沖繩問題の目的は本土復帰であって、沖繩の安保問題は、新しい舞台の上で、日本全体の問題として論ぜられるべきであります。(拍手)まずこの際は、沖繩復帰の幕を引いて終止符を打つことが日本のとるべき手段であると信じます。(拍手)
 すでにアメリカ上院外交委員会は、この協定を全会一致で賛成の上、上院に早期承認の要望をつけて送付し、昨日のアメリカからのニュースでは、米国では、九日にも上院本会議において本協定の討論終了の予定であることを知らされております。(拍手)現地沖繩におきましても、立法院では、批准促進、復帰実現の決議もされております。
 私は、日本国民の立場に立って、あたたかく沖繩を迎えるために、一日も早く協定と関連法案の成立を望みつつ、質問を終わるものであります。(拍手)
#15
○議長(船田中君) ただいまの原田君の発言中、不穏当の言辞があるとの申し出がありますが、議長は、速記録を取り調べることといたします。
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 原田君にお答えいたします。
 沖繩の祖国復帰は全国民の悲願であり、その実現は現在の政治に携わる者の使命であることは、かねがね私が申し述べているとおりであります。(拍手)政府といたしましては、さきの私とニクソン大統領の共同声明以来、誠心誠意その交渉に当たってまいりました。その結果、本年六月、ようやくにして協定に調印するところまでこぎつけたのでありますが、この協定は、御承知のとおり、平和条約第三条に基づいて米国の施政権下にあった沖繩を、核抜き本土並みで一九七二年中に日本に返還することを明らかにしたものであります。(拍手)責任ある政府として、政府が合意したことを全世界注視の中で公にしたのでありますから、国際信義に照らしても、この約束を破ることはできないのは、日米双方とも同じであります。まして、沖繩の祖国復帰の早期実現は、二十年余に及ぶ国民の悲願であり、同時に、国際間の緊張緩和に資することの大きさは、何人も否定し得ないところであると信じます。(拍手)
 また、私としては、これ以上沖繩百万の同胞を外国の施政権下にとどめることは忍びないのであります。(拍手)本会議、委員会等でも申したとおり、私は、この協定並びに関連諸法案が、すべて完ぺきなものとは必ずしも考えておりませんが、不十分な点は、今後沖繩県民の意向をも取り入れて逐次改善し、県民の福祉向上に最善を尽くしたいと念願しております。(拍手)
 重ねて申しますが、政府は、先ほども社会党の石橋君にお答えいたしましたように、再交渉する考えはございません。何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。(拍手)
 沖繩における核撤去の問題につきましては、原田君御指摘のとおり、日米共同声明第八項並びに沖繩返還協定第七条によって明らかであります。また、わが国の国会と期を一にして開かれた米国上院の審議の過程で、ロジャーズ国務長官、パッカード国防次官も、これを裏づける証言をしております。政府として、現在沖繩にどのような種類の核がどの程度存在するかについて申し述べる立場にはありませんが、日米間の約束どおり返還時には核は存在しないことをはっきりお約束できるのであります。(拍手)したがって、現在これ以上の確認をすることは考えておりませんが、沖繩県民の不安を除くよう、さらに細心の注意を払ってまいりたいと考えております。
 次に、沖繩の基地の問題でありますが、確かに、復帰の時点では本土とは比べものにならないほど密度の濃い基地が存在することになりますが、これは事後の日米間の話し合いで逐次縮小したいと考えております。
 復帰反対という立場から県民の不安を助長するような動きが一部にあることは、まことに遺憾であります。(拍手)政府としては、復帰に伴って県民生活に急激な変化が起こらないよう、現地住民の要望を十分取り入れて、この問題に積極的に対処してまいる所存であります。
 沖繩復帰後、米軍基地の縮小等により基地関連業者で転業を余儀なくされるものが出てくることが予想されますが、これらのものに対しては、転業対策等についても十分な施策を講ずる考えであります。すなわち、沖繩開発金融公庫等からの転業資金の融資あっせん等適切な施策を講ずるほか、職業指導、職業紹介、職業訓練の実施、また、公共事業への失業者吸収の促進、さらには、一定の事由による離職者については、三年間の有効期間を持つ沖繩失業者求職手帳を発給するなど、県民生活に不安のないよう、万全の措置を講ずる方針であります。
 次に、自衛隊配備の問題でありますが、返還後の沖繩の防衛については、御指摘のとおり、二つの側面があることを認識しなければならないと思います。第一は、わが国の領土をわが国が自主的に防衛するのは、もとより当然なことであります。その意味から、政府としては、新たに自衛隊の部隊を沖繩に配備し、必要な防衛体制を整えると同時に、本土におけると同様、住民の災害時の救援活動などを行なうべく、目下計画を推進しているところであります。しかし、一方、沖繩は、戦争中いわゆる沖繩決戦の場となり、全島をあげて戦火の中に巻き込まれ、多くの犠牲者を出しました。また、戦後の経緯から見て、県民が自衛隊の配備について過敏になっていることをも理解しなければならないと思うのであります。現在、本土においては、専守防衛を主眼とする自衛隊に対する理解も深まり、愛される自衛隊として国民の間に定着しておりますが、政府としては、一日も早く沖繩県民に自衛隊の本質を理解してもらうよう、部隊の配備にあたっては、自衛隊の配備がなぜ必要なのか、また、自衛隊が県民のためにどのように役立つかなどについて十分広報を行ない、また、施設科部隊をはじめ、民生協力関係の部隊の配備を重視するなど、県民の理解と支持を得るよう、最善の努力を払ってまいる所存であります。(拍手)
 次に、沖繩の公用地等の使用にあたっては、地主との円満な話し合いによる合意の上あくまで契約を締結して使用する所存であります。借用についても、地主の要望を配慮しつつ措置することとしているので、地主の大部分の方は契約に応じてくれるものと確信しておりますが、地主の中には、居所不明者、海外移住者等、契約できない地主もあり、すべてについて契約が締結できるとは言い切れない、さような状態でありますので、暫定的に国などが当該土地を使用できることとしたのであります。
 もちろん、原田君御指摘のとおり、本法による使用権を取得した後においても、地主と話し合いにより使用できるよう、最善の努力を払うことは申すまでもありません。
 その他、経済問題についてのお尋ねは、山中君からお答えすることにいたします。(拍手)
  〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#17
○国務大臣(山中貞則君) ただいま総理の答弁されました以外の点について、若干答弁をさしていただきます。
 基地関係の業界の方々、あるいはそれらに働いておられます従業員の方々等を含めて、やはり基地の縮小あるいは返還等によって、それぞれ、一例をあげれば、那覇空港の輸送中隊がいなくなっただけで、ランドリー業者の失業が出るというようなこと等が明確になっておりますので、旅館や、あるいは飲食店等も含めた、あらゆる基地関係業界の転廃業のために、総理が述べられました金融公庫法の融資の対象として法律でこれを明確に定めて、融資のあっせんにつとめて、転廃業その他の再出発の道へ助力をしたいと考えておりますが、なお失業する、不幸にして職を一時失う方々に対しては、総理の御答弁にありました沖繩失業者求職手帳の発給によりまして、就職促進手当、職業訓練手当、移転資金、自営支度金、あるいはそれに対する債務保証、あるいは事業主に対する雇用奨励金、職場適応訓練費等、本土で考えられる炭鉱離職者臨時措置法等を上回る手段を講じて、万全を期してまいりたいと考えている次第でございます。(拍手)
 第二番目は、沖繩の将来のビジョンの問題でありますが、まず、沖繩は日本列島の最南端の立地条件を備えているという有利な条件下にありますことが一つ。さらに、今日までの版図の中ではなかった条件、すなわち、全列島が亜熱帯の風土の中に置かれているという条件。この二つを最大限に生かすことによって、本土との、俗に格差といわれておりますところの基礎的条件の立ちおくれの整備を急がなければならないと同時に、この有利な二つの点に着目して、新生沖繩にわれわれ祖国が持っておるあらゆる援助の手を差し伸べ、そして新しい沖繩県の繁栄のもとをつくらなければなりません。
 そのためには、まず、亜熱帯の気候風土を最大限に利用するために、現在パイン、キビが基幹産業となっておりますけれども、遺憾ながら、パイン産業が完全に沖繩の農村の人々の生活をささえる手段であり得ないことは、先般の干ばつあるいは打ち続く台風等によって証明されたところであり、また、共済制度等の対象等にも入っておりませんし、これらの点を十分補完しつつ、さらに、年じゅうあたたかい、牧草の生育に適したところでありますから、キビやパインの栽培とあわせて、肉牛の生産の好条件も備えておりますし、さらに、水産については、非常な好漁場の拠点に沖繩諸島があるわけでありますけれども、それは、一方において、六〇%以上がくり船という非常に小型の零細な操業をしておるという現実を見ますときに、その大型化、近代化をはかることによって、県内の魚の自給はもちろんのこと、大きく一次産業従事者の所得の向上に貢献することであろうと考えます。
 さらに、ミカンコミバエ、ウリミバエ等の防除等の成功をすることによって、メロン類その他の高価なくだもの類が沖繩においてその有利な条件のもとに生産をされて、一次産業の収益性と、そして土地から得られる収入、農家にとって豊かな収入がもたらされるように努力をいたしてまいるつもりでございます。
 さらに、この持っております沖繩の条件の有利なものの一つに、やはり美しい海と青い空と緑の島があります。したがって、われわれは、先般、昭和五十年に沖繩で海洋博を開催することを閣議決定し、そして十一月に予定されております国際万国博覧会条約の理事会にこれを正式に日本政府の決定として提案することにいたしました。私たちは、これを成功させると同時に、この海洋博覧会でつくられました沖繩に対する膨大なる公共投資が、大阪の万国博覧会のあと地のようにただの緑地として残るのではなく、沖繩においては今後の沖繩県の観光立県の基礎としてりっぱに役立つように、今後設計をいたしてまいるつもりでございます。(拍手)
 さらに、第二の条件である日本の最南端に置かれておるという条件を有利に生かすためには、どうしても、原材料を東南アジアを中心とする外国から輸入しておる輸出工業立県の日本として、その立地条件を生かさなければなりませんが、これについては、アルミ、石油、造船等、すでに予定された産業について着実に進出していくための助成をしてまいりたいと存じますが、それにつけても、御指摘のように、基本条件の整備が先行することは申すまでもありません。電力、水あるいは港湾、道路、空港等、御指摘のとおりであります。したがって、われわれは、今回の法案の別表において沖繩に対して特別の補助率を設定し、水についても、ダム、基本送水パイプ、あるいはまた、電力については、全額ほとんど国の手による特殊法人を設立し、あるいは道路、港湾、空港等についても、全面的に国庫補助全額をもって国がこれを寄贈し、条件の整備をはかることにいたしております。(拍手)この場合における条件としては、旧北海道開発の際の補助率、あるいは旧奄美復興法、離島、新産都市、あるいは過疎、山村、あるいは低開発地域工業開発、農業専用地域工業誘致導入促進法、これらの地域政策立法のあらゆる有利な条件を上回る条件を総合的に設定、駆使して、そうして沖繩県の基礎条件の整備を飛躍的にはかってまいるつもりであります。
 次に、質問の第三点の、これらのものを行なっていくにあたっては自然破壊、公害等に十分留意せよということであります。先ほど海洋博の決定についてちょっと触れましたごとく、沖繩において美しきその風景、自然というものを破壊するような沖繩の新しい立地、立県計画というものは厳に慎まなければなりません。したがって、企業の進出なり、立地を促進させるといっても、それは明らかに沖繩の持っておる唯一とも言っていい、この美しい、海洋博が開けるような美しい条件を破壊することのないように十分に注意してまいりますし、来年度予算においても沖繩に廃油処理施設を先がけてつくり上げていきたいと考えております。
 次に、第四番目の社会福祉の問題についてでございますが、沖繩においておくれております条件は、教育の環境と社会福祉施設であります。この二つはすみやかに本土並みにしなければならない義務と責任を私たちは負っておるわけであります。(拍手)したがって、今日までは沖繩に置かれておりませんでした結核、精神に関して国立の療養所を設置することもすでに決定をいたして予算要求をいたしておりまするし、復帰前においても本土と同様の国民健康保険が全琉に実施できまするようにお願いをしつつ、予算上は年間全額八億九千万円すでに計上を終わって、私たちはその実施を待っているばかりにしておるところでございます。(拍手)
 最後の第五点、沖繩における今後の総合的な問題の中の物価の問題でございますが、沖繩の今日の時点における物価問題については、残念ながら、わが本土政府に八割以上の責任があると私は感じておるわけであります。それは八月十六日のニクソン・ショック、あるいはまた八月二十八日の変動相場制採用によって、生活はドル圏にありながら、生活必需物資の八割以上は本土に依存しておる沖繩の現状がダブってあらわれましたために、沖繩においては生活環境をめぐる物資のおおよそがきわめて著しい価格の上昇を来たしております。このことを私たちは率直に認め、したがって、先般の閣議において十億円の予備費を支出いたしまして、そして、これらの品目について、その値上がり分について、少なくとも八月三十日以前の価格に据え置かれるよう琉球政府の立法をお願いし、これに対して財源措置をいたしておるところでありますが、その後、現地調査の結果、これらの品目は四百四十品目程度に広げてあげなければ、沖繩県の復帰までの貴重な足取りが、この変動相場制の採用によって物価の面から沖繩の人々に大きく悪影響を与える可能性ありと判断し、したがって、四百四十品目の決定をいたすと同時に、予算が当然十億では不足いたしてまいりますから、ただいま検討中でありますが、近くこの追加について予算決定をいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(船田中君) 浅井美幸君。
  〔浅井美幸君登壇〕
#19
○浅井美幸君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました沖繩返還協定並びに関係諸法案に対し、佐藤総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 さきの国連総会における中国代表権問題における表決結果は、まさに、軍事力を背景とした戦後の冷戦構造、なかんずく対中国封じ込め政策の転換を迫る歴史的なものでありました。さらに、この厳粛な事実は、相次ぐ世界各国の中国承認、ニクソン訪中の決定など、特にアジアにおける反共軍事同盟体制は崩壊しようとしており、力による論理から、話し合いによる平和への道の探求という大きな転換をもたらそうとしているのであります。したがって、アジアにおける緊張緩和に対応して、わが国は、アメリカの軍事力への盲目的な過信を捨てて、平和に徹する政策にいまこそ転換しなければならないのであります。(拍手)
 わが党がかねてから主張してきましたとおり、ニクソン・ドクトリンに基づく佐藤・ニクソン共同声明、また、それによってでき上がった沖繩返還協定は、日本をアメリカの極東核軍事戦略体制のもとに編入する危険性にあふれたものであるといわざるを得ないのであります。
 しかし、この数カ月来の国際情勢の変化は、アジアの緊張という口実が全く架空なものとなろうとしていることを証明しているのであります。米中の首脳会談、南北朝鮮融和への動き、南ベトナム戦争の縮小、こうした一連の動きは、国際的な冷戦構造に終わりを告げさせ、いまや多極化する国際政治の舞台が開いていくことを示しているのであります。沖繩はすでに太平洋のキーストーンとしての意味はなくなり、日米共同声明にいう軍事的意味にウエートを置いた沖繩返還協定は、国際情勢の変化と相まって、その基礎を喪失したというべきであります。したがって、この情勢に対応することこそ、政府のまず第一に考えるべきことではありませんか。
 総理、先ほどから協定及び付属文書の再検討、再交渉をあなたはしないとおっしゃっておりますが、私どもはこの実態に即して当然考えるべきであると思いますが、重ねて伺っておきます。
 また、日中国交回復と沖繩返還は緊密な関係を持つものであります。それはアメリカのアジア核安保政策のかなめが沖繩を最大の拠点としており、それは即中国封じ込め政策に通じているのであります。すなわち、アメリカと極東諸国の間で結ばれた米韓、米台、米比、ANZUSなどをはじめ、日米安保条約を含めた一連の防衛条約のかなめは、沖繩の米軍であるからであります。
 しかるに、わが佐藤内閣は、アメリカに追随し、世界の大勢を見失い、国民世論を無視して、虚構の台湾との関係に固執し、中国の国連復帰阻止に狂奔してきた政治責任は重大であります。いままた、沖繩返還協定においても、アメリカ追随の姿勢を改めずに、日本の平和的存立の方向を無視していることは、必ずや大いなる禍根となることは明らかであります。
 最近、政府は、日中間の国交回復に対し、やや前向きともとれる発言をしていますが、現実の上において、沖繩に米軍基地を存続させ、さらに自衛隊の配備強化をはかることは、アジアの平和と安定のためには大いなる逆行であり、これが日中間の解決に大きな影を落とすことは、当然認識されねばならないのであります。いま、わが国の重要な外交課題は、日中国交回復の実現であります。そのためには、これらの矛盾を解決せねばならないと思いますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 国民的願望である沖繩返還協定が、日を追うごとに、沖繩県民並びに国民から、返還協定反対の声と佐藤内閣に対する批判が高まってきております。なぜかなら、この沖繩返還協定がきわめて欺瞞的なものであり、県民の真の要求にこたえていないからであります。欺瞞的とは何か。本土へ復帰して本土並みになるとは名目だけで、本土の米軍基地の二百倍にのぼる膨大な米軍基地、侵略的な特殊部隊の存在、核兵器の撤去の保証のないことなど、数え上げれば切りがありません。その上、平和な島になりたいとの全島民の希望を裏切って、極東侵略戦争のとりでになる可能性すらあるのでございます。このような返還をどうして沖繩県民が手放しで喜べましょうか。喜べるわけはないのであります。
 総理は、今国会における所信表明演説の中で、戦争で失った領土を平和的な話し合いによって返還されたことは、歴史上ほとんどその先例を見ないと述べ、先ほどの答弁においてもこの点を強調されましたが、沖繩は戦争で失った領土ではありません。沖繩はわが国固有の領土であり、大西洋憲章、カイロ宣言に基づく領土不拡大原則は厳然として適用されており、平和条約第三条は施政権の行使のみをアメリカに認めたものであって、沖繩という領土は日本側に厳に潜在主権の形で残されていたのであります。だからこそ返還ができたのであり、所信表明において誤って宣伝することは許されないのであります。(拍手)むしろ、歴史上例を見ないというなら、日本の領土である沖繩が、戦後の二十五年間もの長い間、米軍の支配下に置かれてきた事実と、また、膨大な米軍基地つきが前提となるような返還こそ、まさに歴史的に類例を見ないものであります。(拍手)
 日本の固有の領土である沖繩は、本来、即時無条件に全面返還されるべきものでございます。総理が本会議において、わが党矢野書記長の、沖繩の非武装宣言、平和宣言の提案に対して、その理由も述べずに拒否されたことは一体なぜか。拒否される前に、まずわれわれに対して拒否する理由を明らかにすべきであります。(拍手)
 そこで、私は、以下、返還協定という名の欺瞞的軍事協定に対し、重要な問題のみにしぼって順次質問してまいります。
 まず、核兵器の問題であります。
 政府は核抜きの根拠を、共同声明第八項並びに返還協定第七条にあるとしておりますが、これらはいずれも核兵器の撤去を保証したものではないことは明らかであります。しいて言うならば、わが国政府の願望を述べ、一方、アメリカは、事前協議のアメリカ側の権利を再確認したものにすぎず、何らここからは、核撤去はアメリカの恩恵か気まぐれしか期待できないし、もちろん証明することもできません。国民は、核抜きの証明、査察を要求しているのであります。
 過日、米上院でのロジャーズ国務長官の沖繩基地の核撤去問題に言及したことをもって、政府は返還時核抜きの保証としておりますが、その確認はあくまでも日本側によって行なわれなければならないのであります。同時に、核の再持ち込みに対して何らの保証は行なわれておりません。事前協議にイエスの予約とさえ思われる数々の日本側の態度から見て、国民の疑惑は一向に消すことはできないのであります。政府の明確な答弁を願うものであります。
 また、先日の本会議で佐藤総理は、何らかの形で核兵器撤去を確認したいとわが党に答えております。それでは総理は、必ず核抜きの確認を国民の納得できる方法で明らかにすることができる確信をお持ちかどうか。また、どういう方法で確認するのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 さらに、総理、国会における非核決議の提案のつど、言を左右にして応じられませんが、この際、国民の疑いを晴らす意味においても、今国会においてこの決議を行なう意思は全然お持ちにならないのか、この際あわせて伺っておきたい。
 返還協定第七条の中で核撤去費分として七千万ドル、邦貨に換算して約二百五十億円という膨大なわが国の財政支出、すなわち国民の血税の支払いを約束しております。こうした膨大な財政支出を行なうものであるならば、その明細が示されないということはあり得ないことであります。もし明細を明らかにできないとするなら、なぜできないのか、それを国民の前に明らかにすべきであります。
 核兵器の撤去の際には、一昨日の参議院予算委員会におけるわが党の黒柳議員の質問にも明らかなとおり、起爆剤HEの存在により、毒ガス撤去の場合を上回るきわめて大きな危険が広範囲に予想されるのであります。その際に、運搬のコース、日時、安全性については当然政府の責任において県民に知らせるべきであります。また、万が一の場合の避難場所、補償などはあらかじめ明らかにしておかねばならないものであります。人命の尊重は機密の保持に優先すると考えますが、政府の所信を問うものであります。(拍手)
 次に、事前協議についてただします。
 ベトナム戦争は依然として続いております。返還後の沖繩を基地としてベトナムへの出撃は継続するのか、それとも一切なくなるのか、この点についてお答えいただきたい。
 また、その他の地域に直接作戦行動を米軍がとる場合、事前協議をアメリカ側が申し入れてきた場合の政府の態度について明らかにしていただきたいのであります。
 たとえばポラリス型潜水艦の寄港につきましては、本土では、核そのものであるから事前協議の対象になり、その場合日本政府は拒否するという見解でありました。それなら、沖繩返還後も当然に沖繩米軍基地への寄港はあり得ないし、事前協議があっても常にノーであるべきでありますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 さらに、B52の沖繩並びに本土基地への駐留もまたあり得ないと思うが、念のために確認しておきます。
 また、高性能のスパイ機といわれるSR71偵察機も駐留を認めるべきではないと思うが、政府の明快なる答弁を求めるものであります。
 日米共同声明第七項は、アメリカの極東における条約上の効果的遂行を妨げないことをうたっております。この前提のもとに返還される沖繩からの米軍の出撃の場合、総理がイエスもノーもあり得るなどと言ってはいるが、すでにこの選択はなくなって、すべてイエスといわざるを得ないのではないでしょうか。かつて、サイミントン委員会において、ジョンソン国務次官は、全体としてイエスだとはっきり証言しているではありませんか。総理、この点についての明確な見解を伺いたいのであります。
 もし、総理がこの点について否定されるならば、これを実証するために、事前協議においてわが国にも提案権、拒否権があることを日米間に確認する公式文書をあらためてつくるべきであると思うのでありますが、総理の見解を承りたいのであります。
 次に、基地問題について伺います。
 沖繩が名実ともにわが国に返還されるというならば、一切の米軍基地は撤去されるべきであります。しかるに、政府は、日米了解覚書なる文書によってこれをごまかし、しかも、引き続いて従来どおりの膨大な基地を固定化させようとしているのであります。政府は、米軍基地並びに自衛隊基地の確保のために土地の強制使用法を制定しようとしておりますが、これこそ沖繩県民の悲願を無視した暴挙であります。
 沖繩の米軍基地の多くが、土地所有者との間の合意ではなく、占領者としての問答無用の強権と、銃剣の威嚇のもとで強制的に取り上げられたのであり、国民は本土の一角でそういう暴挙が継続することを認めることはできないのであります。今回、公用地法案によって、日本政府みずからの手により、この暴挙と無法を、暫定措置という名目でさらに五年間追認しようとしております。これは不当なる私権の侵害を恒久化するもの以外の何ものでもございません。総理の見解をしかと承りたいのであります。
 さらに、自衛隊は、平時において、土地収用法はもちろん、土地等の強制使用を根拠づける法律はありません。沖繩で自衛隊が米軍と同一の立場をとろうとしているのは、一体何を意味するのか。沖繩県民に対するおそるべき差別であり、植民地政策であるというしかないではありませんか。何を理由にして自衛隊は沖繩においてかくも権力を横暴に行使するのか、政府の見解を承りたいのであります。
 さらに、本土基地貸借契約は、民法第六百四条の規定によって二十年をこえることができないことになっており、来年の四月にはその期限が来るが、その際、土地所有者が契約の更新を拒否した場合、政府はどのような措置をとるのか。もちろん、沖繩の特別措置法は適用されないと思うが、政府の見解を伺っておきたいのであります。
 この場合、本土においても強制収用の立法を意図しておるかどうかも、あわせてお答え願いたいのであります。
 次に、自衛隊の沖繩配備については、沖繩の直接防衛責任の日本国による引き受けに関する取りきめ、すなわち久保・カーチス協定が取りきめられております。自国の領土に自衛隊を配置するのは、明らかにわが国の内政問題であり、わが国自身のみによって決定されるべきものであります。しかるに、こうした取りきめがアメリカとの間に行なわれること自体、内政干渉であるとともに、わが国にとってはきわめて屈辱的なものといわねばなりません。これでは、自衛隊による米軍の肩がわりそのものであると思うけれども、この点についてどう考えているのか、御答弁を願いたい。
 また、自衛隊の沖繩移駐が返還の条件になっているのかどうかも明らかにしていただきたいのであります。
 軍国主義復活の声は、中国をはじめアジアの国々からいわれている今日、特に考慮すべき問題であると思うのでありますが、政府は、第四次防の中止を、あるいは大幅な修正を考えているのかどうかもお答え願いたいと思うのであります。
 さらに、日本の法律を曲げてまで、協定第八条でVOA放送の運営を許可した理由は何か、また、五年後には必ず撤去されるのかどうか。この一点をとってみても、一片の協定文が日本国憲法及び法律に優先し、それらを排除してまかり通ることは、許しがたい暴挙であります。法治国家日本に、法律以上のものを押し通すとは、何ということでありましょうか。民主国家の国民として、納得できないのであります。
 最後に、佐藤総理は、所信表明演説で、「現在の国際秩序は、第二次大戦終結前後の国際情勢を反映したものだが、もはやこのような戦後体制のワクの中では処理し切れない国際間の諸問題が生じている」と述べております。
 それならば、総理、世界に誇る平和憲法を持つわが日本は、核を中心とする軍事力による東西冷戦構造をいまこそ振りほどき、緊張緩和から平和へと転換する重大なときではないかと私どもは思うのであります。
 かかる観点から、冷静に沖繩返還の実態を見るとき、まさに歴史の流れに逆行するものといわざるを得ません。
 返還実現の日まで実態に即する再交渉を強く望んで、質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず、浅井君にお答えいたします。
 浅井君御指摘のように、軍事力を盲目的に過信すべきではないという御意見には私も賛成でありますが、国民の国を守る気概のもと、自衛力を整備し、その足らざるところを日米安保体制によって補完するという政府の基本政策は堅持する方針であります。したがって、いわゆる中立政策をとる考えはございません。しかし、話し合いを通じ国際間の緊張緩和をはかり、恒久平和の確立のため、わが国として相応の役割りを果たすための努力、これを努力することは申すまでもないところであります。
 また、浅井君は、日米共同声明に基づく沖繩返還は日中間の国交正常化を困難にするとの御意見でありますが、私はそうは考えておりません。むしろ、沖繩返還という背景があったからこそ、今回の米中会談も可能になったものと私は見ております。私は、沖繩返還によって極東の緊張が著しく緩和されることを確信すると同時に、日中間の国交正常化にも役立つものと考えておるものであります。(拍手)
 次に、沖繩基地の性格の変化でありますが、復帰後は安保条約及び関連取りきめがそのまま適用されるのでありますから、当然のことながら、その性格は大きく変化いたします。しかしながら、沖繩は極東における米軍基地の中で重要な地位を占めており、今後とも極東における平和と安全維持に貢献するとともに、緊張緩和政策のよりどころとなるものと私は考えます。ただいま、かような観点から再交渉しろ、こういうことについては、先ほど来たびたびお答えいたしましたように、再交渉する考えはございません。
 次に、返還協定反対と佐藤内閣批判の声が高まっているという御意見でありますが、私は、沖繩返還を早期に実現することこそ、全国民並びに沖繩百万同胞の期待に沿うゆえんであると確信しております。(拍手)今後とも勇気をもってその実現をはかる決意であります。そうして、このことは必ずや国民各位の御理解を得るゆえんであると信じております。
 そこで、日中問題に積極的に真剣に取り組め、かような御発言がございました。私は、他の委員会におきましてもこの点に触れておりますから、この機会に重ねては申し上げませんが、私は、中華人民共和国と国交の正常化をはかること、これは当然の現在日本政府の置かれておる立場じゃないか、当然のことではないか、かように思っております。
 沖繩は戦争で失った領土ではないとの御意見でありますが、先ほども社会党の石橋君にお答えしたとおり、平和条約第三条が無効であるとか有効であるとかの議論はともかく、さきの戦争の結果今日の状態に置かれていることは事実であります。このことを否定することはできないところであります。私は、領土権のことを申しているのではなく、歴史的事実を率直に述べているのであります。どうか、その点誤解のないようにお願いをいたします。
 次に、沖繩の非武装、平和宣言を拒否したのはなぜかとのお尋ねでありますが、申すまでもなく、沖繩が祖国復帰後は、日本国憲法及び安全保障条約等がそのまま沖繩にも適用されるのであります。したがって、特に沖繩を本土と区別して、特別な宣言などをする、そういうことは、祖国復帰、そういう立場からも許されないことだと考えます。私は、その意味において、過日の矢野書記長の質問に対しては反対を申し上げたのであります。
 核の撤去に関する条項は、単なる日本側の願望にすぎないという御意見でありますが、米国上院外交委員会のやりとりでも明らかなとおり、これは、日本側の願望などというあやふやなものではなく、二国間の条約に基づくはっきりした約束でありますから、その点重ねてはっきり申し上げておきます。(拍手)
 非核三原則については、しばしば申し述べているとおり、これを堅持することは、政府の断固たる方針でありますから、新たに国会の決議を求める考えはありません。
 協定第七条に基づく核撤去費七千万ドルは、高度の政治的判断により、七千万ドル程度を支払うことを適当であると認め、日米間で妥結したものであり、事柄の性格からしてもその内容を明らかにできない点を御理解いただきたいと思います。
 返還後の沖繩からベトナムへの出撃は一切なくなるのかとのお尋ねでありましたが、繰り返し述べているように、返還後の沖繩には、安保条約並びにその関連取りきめがそのまま適用になるのであります。したがいまして、沖繩からの直接戦闘作戦行動は、当然に事前協議の対象になるわけでありますから、ベトナムへの自由出撃というようなことは一切なくなると、はっきり申し上げておきます。
 公用地等暫定使用法案は、自衛隊の施設及び米駐留軍の施設並びに水道等、県民の日常生活に不可欠な施設に関する土地または工作物について、所有者の合意が得られない場合の経過措置として、暫定的に国等が当該地域または工作物を使用できることとしたものでありますが、これは、公共のためのやむを得ない措置であります。
 また、公用地等暫定使用法案は、沖繩の施政権がわが国に返還されるという特殊な事態に対処するために、関係土地等を一定期間に限り使用できるよう措置したものであり、これも公共のためのやむを得ない措置であります。この使用の期間は、五年以内に限り、政令で定めることとしているもので、あくまでも公用地等について国などが使用する権原を取得するまでの間の暫定的なものであります。いずれも、県民の権利を不当に圧迫しようとするものではありません。
 なお、本土において米軍に提供している民有財産については、過去二十年間、関係所有者の同意を得て円満に処理してきたので、今後とも話し合いにより関係所有者の理解と協力が得られるものと確信しております。
 四次防計画については、最近の経済情勢等の変化により、防衛庁が、防衛庁原案の修正について関係省庁と検討を始めつつあると聞いているので、その作業の進展を見て今後の進め方をきめたいと考えております。いずれにしても、今後十分に検討を加え、適正な計画を策定したいと、かように考えておる次第であります。
 最後に、浅井君は、沖繩返還協定を無法、不当ときめつけておられるようでありますが、私はそうは思っておりません。私は、沖繩県民並びに全国民の総力を結集してやったからこそ、やっとここまでこぎつけることができたのだと、感慨を新たにしているものであります。政府としては、この協定の承認及び関連法案の成立が今国会で実現し、明年のできるだけ早い機会に沖繩の本土復帰がかなえられ、平和で豊かな沖繩県の建設に一日も早く取り組みたいと念願しているものであります。(拍手)協定の再交渉などは、この点からも考えておりません。御協力をお願いする次第であります。
 なおお尋ねの数点、私は外務大臣等に譲りましたから、それらの点もお聞き取りをいただきたい、かように思います。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#21
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま浅井さんから、核はほんとうになくなるのか、また、再持ち込みはないのか、こういう御質問でございます。前段につきましては、総理から明快にお答えいたしましたので、繰り返しはいたしません。
 第二点の、再持ち込みはないのかという点につきましては、再持ち込みはありませんです。これははっきり申し上げます。
 次に、ポラリス潜水艦につきましてお尋ねでございますが、ポラリス潜水艦に限らず、いやしくも原子兵器を積載いたしました潜水艦は、一切、沖繩といえども本土同様寄せつけません。御安心願います。
 B52につきましては、御承知のような状況下で沖繩から去り行ったわけでございます。私は、再びB52が沖繩に移駐してくるというような事態は考えておりませんから、何も心配はしておりませんけれども、さような事態がありましたならば、その際、浅井さんの御心配されるような方向において対処したい、かように考えます。
 次に、SR71の問題につきましては、これはただいま駐留があるわけであります。しかし、沖繩協定が発効した後におきましては、このSR航空機が他国の領空を侵犯をするということは絶対にいたさせないようにいたしたい、かように考えております。
 次に、事前協議を沖繩に適用するというならば、わがほうにおいて提案権あるいは発議権があってしかるべきではあるまいか、そういうお尋ねでございますが、ただいまの安保条約、地位協定等によりますると、わがほうには提案権あるいは発議権はないのです。ないのでありまするけれども、随時協議という形ができておりまするので、それによってお尋ねのような御趣旨は十分に実現できる、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣西村直己君登壇〕
#22
○国務大臣(西村直己君) 大部分総理から御答弁いただきましたが、一、二補足を私から申し上げます。
 一つは、基地、自衛隊の配備であります。基地につきましては、政府としまして、しばしば申し上げているように、復帰後におきましても、できるだけ効率化を折衝して、はかってもらって、基地を縮小する。これはもう当然やらなければならぬととだと思いますが、当面、沖繩におきましては、日本本土とは違いまして基地周辺整備が非常におくれております。これに対しましては、先ほど提案申し上げました法律にもあらわれておりますように、私どもは、今後本格的にひとつ基地の周辺整備等はやって、少しでもこの周辺の方々に御迷惑をかけないようにいたしたいと思います。
 それから、この暫定使用法案につきまして、あの法律の第一条第二項にございますように、私どもは、できるだけ御理解をいただいて、円満な契約でまいりたい。今日、大多数の方々は円満な契約をしていただけるように、ただし、復帰日までには数が多いから間に合わない場合もあるが、やってくださるような確信を得つつあります。しかし、いずれにしましても、私どもとしては、いろいろな安保上の責務とか機能を中断して空白をつくるわけにいかないので、ああいう法律をつくっておりますので、現在撤回するような意思はないのでございます。
 それから自衛隊の配備であります。特に、先ほど、久保・カーチス取りきめというのがしばしば問題になっております。御存じのとおり、沖繩に自衛隊を配備さしてもらうということは……(発言する者多し)配備をしていくということは、自衛隊の配備につきましては、これは当然わが国の責務ではないかと思うのであります。したがって、このためには、わが国として自衛隊というものを自主的にやるわけであります。自衛隊そのものは自主的に配備をいたします。ただ、それが円滑に遂行されるためには、防衛当局者の間において事務的、技術的に取りきめをしなければならぬ、それが今回の久保・カーチス協定でありまして、あくまでもこれは事務的な技術的な取りきめであるということを御了解いただきたいのであります。(拍手)
#23
○議長(船田中君) 田畑金光君。
  〔田畑金光君登壇〕
#24
○田畑金光君 私は、民社党を代表し、ただいま趣旨説明のありました沖繩返還協定並びに関連法案について、以下数点にわたり、佐藤総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。(拍手)
 わが党が、早期核抜き本土並み返還を打ち出したのは、昭和四十二年八月、いまはなき西村委員長が沖繩訪問の第一歩を那覇市に印したときであります。その年の秋、佐藤総理はアメリカを訪問し、ジョンソン大統領と返還交渉を開始するというのに、いかなる内容、どんな方針で折衝に当たろうとするのか、ついに態度を明らかにしなかったのであります。いな、核抜き本土並みという主張をもってしては、返還をおくらすのみだというのが、政府の答えであり、国民へのPRでありました。
 しかし、わが党の正論はやがて国民世論の支持を受け、政府もまたこの路線に沿いつつ対米折衝を進めてまいりましたが、さて、史上初の日米同時宇宙中継というはなやかな演出をもって調印された沖繩返還協定は、はたしてわれわれの期待し待望したものでありましょうか。佐藤総理の長年の御努力は多といたしまするが、でき上がった返還協定は、単に日米安保条約と関連取りきめを沖繩に適用するという形式的本土並みにすぎず、多くの疑点と不安をかかえたものであります。
 また、この協定は、その前文が明らかにしておりますように、佐藤・ニクソン共同声明の基礎の上に作成されたものでありまして、中国封じ込めを念頭に置き、緊張の継続を予想し、沖繩の基地機能はあくまでも低下させないとする内容であります。
 しかし、この二年間に情勢は大きく変わっております。ニクソン大統領によるベトナムからの撤兵計画の発表、台湾海峡における第七艦隊の随時パトロールへの切りかえ、上院でのトンキン湾決議の廃案等、そうしてこれらの動きのハイライトとして、ニクソン訪中による米中正常化への動きなど、まさにアジアの情勢は一変しつつあります。かつて、米プエブロ号拿捕やEC121偵察機の撃墜事件など、一触即発の事態にありました朝鮮半島にも、いまや、南北両鮮の対話ムードが高まりつつあります。なかんずく、去る十月二十六日には、アルバニア決議案が圧倒的多数で可決され、中華人民共和国の国連登場という新たな歴史の一ページが始まっております。それだけに、韓国の安全は日本の安全、台湾地域の平和と安全が日本の安全という考え方に立って、日台韓の軍事的結びつきを固定化した共同声明と返還協定は、動きのとれない矛盾に直面しておると私は指摘したいのであります。(拍手)
 いま佐藤総理に望まれることは、ためらうことなく、この情勢の激変に対処する姿勢と方策を打ち出されて、国民の負託にこたえることだと考えておりまするが、総理の御所見をまず承りたいと思います。(拍手)
 わが党は、早くから、本協定は、核、基地、VOAの三項目の点で、核抜き本土並み返還とは縁遠いものであると指摘し、しばしば政府に善処方を求めてまいりました。
 佐藤総理は、六九年秋のニクソン大統領との会談以来、口を開くたびに胸をたたいて、核抜き本土並みが実現することになったと大みえを切っておられます。なるほど、協定第七条には、沖繩の日本国への返還を、「共同声明第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施する」となっております。しかし、総理、この条文を読んで、これが核抜きの保証であるとだれが理解できましょうか。政府が今後とも非核三原則の政策を堅持するというのであれば、法的拘束力のない共同声明の文言を引用するというこそくな手段をやめ、復帰時には日米両政府間による核撤去の確認を行なうなど、なぜ積極的行動がとれないのでありましょうか。(拍手)
 先ほど来、佐藤総理は、去る十月二十七日の米上院外交委員会におけるロジャーズ発言をしばしば引用されております。私たちは、ロジャーズ証言から次の二つの問題をくみ取ることができます。
 その一つは、従来、日本政府は、核の問題は大統領の専管事項であり、アメリカは原子力法のたてまえから核の有無を公表できないと述べてまいりましたが、それが欺瞞であることが明らかになったということであります。(拍手)
 その二は、ロジャーズ発言は、日本政府がその気になれば、核撤去確認の取りきめを結ぶことも決して不可能ではないということを立証したものと考えております。(拍手)
 そこで、佐藤総理にお尋ねいたしますが、総理は、返還時までに米大統領と核の取り扱いについてあらためて話し合いをなさる用意はないでありましょうか。また、国会における非核三原則の決議について、先ほど頭から拒否されたのでありまするが、政府がほんとうに非核政策を堅持するのであるならば、これぐらいの、国会の、しかも権威ある国会の決議に賛成できない理由はないと考えまするが、あらためて総理の所見をお聞かせ願います。(拍手)
 質問の第三点は、基地の整理、縮小についてであります。
 政府は、本土並み返還の根拠として協定二条を持ち出し、日米両国間の条約がそのまま沖繩に適用されることをあげております。しかし、本土並みであるかどうかは、条文上、形式上の問題ではなく、実質上、内容上の問題であると考えます。協定三条により、返還後の沖繩米軍に使用を認める施設、区域の面積は、約三百平方キロ、これはほぼ本土全体の米軍基地と同じであります。基地の密度といたしましては、本土の約二百倍に相当いたします。また、駐留米軍は、沖繩四万五千に対し、本土約三万人弱、しかも、沖繩駐留米軍の中には、本土には全く配備されていない幾つかの特殊部隊が含まれております。
 さらには、久保・カーチス取りきめにより、施政権は返還されても、基地の数も機能も兵力もほとんど変わりのない巨大な米軍のほかに、本土に比べますると二倍以上の密度を持つ自衛隊が配備されることになります。
 このように、沖繩の戦略基地としての性格や機能にはほとんど改変が加えられておりません。しかも、施政権返還の代償として、日米安保条約第六条の運用に関する事前協議制は骨抜きとなり、歯どめの機能が失われようとしております。また、韓国や台湾に紛争が起きた場合、日本は、事前協議で、米軍の本土や沖繩からの出撃に好意的に回答するとは、佐藤総理のナショナル・プレスクラブにおける演説でありまするが、これは日米安保の質的な転換を意味するものではないでありましょうか。(拍手)
 このように見てまいりますると、佐藤総理の言う本土並みとは見せかけであり、虚構であることは明らかで、基地をこのようなものとして存続させることは絶対に認めることはできません。(拍手)この際、沖繩県民と国民の期待にこたえ、また、アジアの緊張緩和にも寄与できますように、沖繩基地の機能と規模を大幅に整理、縮小するために、強力に米国と交渉すべきであると私は考えますが、総理の御所見を承っておきます。(拍手)
 第四にお尋ねしたいことは、沖繩にあるいわゆる特殊部隊についてであります。沖繩に残留するといわれる第七心理作戦部隊、グリーンベレー、SR71等は、いずれもアジア全域にわたり謀略、宣伝、ゲリラ、諜報の任務を担当するものであります。日米安保条約の目的は、根本的には国連憲章五十一条に基づく自衛のためのものであるというのが政府の一貫した解釈でありました。このような政府の公式見解に照らして見ますならば、これら特殊部隊は明らかに安保条約の目的を逸脱するものであり、返還後これを存続させることは、日米安保の変質にもなるわけであります。
 また、第三海兵師団のように、随時第七艦隊麾下の空母に乗り移り、公海から緊急出撃することを常とするものは、事実上事前協議の対象になり得ないのでありまして、同様に退去せしむべきものであると考えまするが、総理並びに外相の御所見を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 第五に、VOAの早期撤去についてお尋ねいたします。
 琉球立法院は、本年の五月、返還協定の調印を前に、核兵器、毒ガス兵器の即時撤去と同時に、第七心理作戦部隊等の特殊部隊、そうしてVOA等の特殊施設の完全撤去を求め、政府にこれが実現を迫りました。われわれもまた、この問題については異常な関心を払いつつ、交渉の経過を見守ってまいりました。ことに総理が、VOAの撤去について交渉当局者に強い指示を与えられたことが報道されましたとき、大いに意を強うしたのであります。しかるに、結果は、協定第八条でその存続を認めたのであります。そしてVOAを存続させるため、国内法との矛盾は、当面電波法の特別措置を立法化することによって解決しようとしております。国内法のたてまえをくずしてまでVOAの存続を認める理由は何でありましょうか。ことに、基本法である放送法との関係はどのようにお考えでありましょうか。
 放送法第一条は、放送を公共の福祉に適合させるため、次の原則を定めております。「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」であります。これは憲法上の問題であります。しかし、VOA放送の性格から申しまして、このような保障が得られるはずはありません。法律論を離れましても、VOAはもはやアメリカにとっては不要な、あるいは使うことのできない放送施設ではありませんか。この放送は、中国語、ロシア語、朝鮮語を使うことができることになっていますが、主たる対象国家が中国であることは明らかであります。しかし、米中接近の今日、このような謀略放送が許されるはずはありません。返還協定には五年の存続期間と二年後の協議が定められておりますが、それはあくまでも猶予期間であって、あすからの交渉を妨げるものではありません。国内法で本来認めることができない施設であり、また、日中間の友好を阻害する好ましからざる施設を一日も早く撤去させるために、政府は早急にアメリカと協議を開始すべきであると考えますが、その意思ありやいなや、佐藤総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 最後にお尋ねすることは、公用地等暫定使用法案についてであります。
 沖繩県民の二十六年に及ぶ闘争の歴史は土地の闘争であり、布令、布告に基づくアメリカの土地取り上げ、土地強制収用に対する権利擁護の闘争でありました。アメリカが施政権返還に決意した大きな要因の一つは、住民の協力なしには基地を維持することはできないと判断したからであり、百万県民の復帰要求、反基地闘争が復帰実現に拍車をかけたことは、何人も否定できない事実であります。しかるに、返ってくる沖繩の基地縮小は小幅にとどまり、基地の規模、機能にはほとんど変化がないのであります。本土においては、地位協定の実施に伴う土地使用については、米軍用地の強制使用は六カ月と限定されていたのに、今回の法律案では五年に及ぶ長期使用が認められております。本土と沖繩と差別する理由は何か。憲法十四条にいう法の前の平等に違反すると考えますが、その理由を明らかにしていただきたい。(拍手)
 ことに、この法律の適用対象は、米軍用地のみでなく、自衛隊用地にまで拡大されていることは、便乗もはなはだしいと申さなければなりません。本土にあっては、自衛隊の必要とする演習場等は、最終的には土地収用法ということになっております。しかるに、沖繩についてのみ、なぜ、軍用地の先取りを強要する特別法に便乗し、沖繩県民の感情を無視してまで自衛隊の配備を急がねばならないのか、その理由を明らかにしていただきたい。
 特に、自衛隊の沖繩配備を約束いたしました久保・カーチス取りきめは、わが国の防衛政策に大きな意義を持つものであります。このような重大な政策の展開を一行政官の取りきめにゆだね、国会の承認を避けることは、明らかにいわゆるシビリアンコントロールの原則に反するものと考えまするが、佐藤総理並びに防衛庁長官の御見解を承ります。(拍手)
 以上、私は、わが党の立場から幾つかの本質的問題について質問をいたしました。復帰を前にした名実ともに本土並み返還を求める声は、沖繩現地は申すに及ばず、国民世論となってますます高まってまいりました。内外の情勢も大きく変わったのであります。佐藤総理がその気になって決意し、行動を起こすならば、途中にはいろいろ困難があるにいたしましても、最終的には国民の期待する本土並み返還の方向に大きく前進させることも決して不可能事ではないと考えます。(拍手)先ほど来お答えはございましたが、返還までにはまだ時期もあることでありまするから、佐藤総理、国民の世論をお考えになって、もう一度ひとつアメリカと話し合ってみるだけの決意と勇気はお持ちでないでありましょうか。もし、現在のままの協定内容であるといたしますならば、遺憾ながら、わが党は反対せざるを得ないのであります。
 佐藤総理の奮起と勇断を強く期待いたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 田畑君にお答えをいたします。
 御承知のように、沖繩返還問題は、サンフランシスコ条約第三条によって米国の施政権下に置かれていたわが国の領土及びそこに住む日本国民を、本来あるべき姿、すなわちわが国の施政権下に復帰させるという問題であります。政府としては、一昨年十一月の日米共同声明にうたわれた核抜き本土並みの原則を完全に貫き、沖繩住民をはじめ国民の十分な納得を得られる協定に合意し得たものと確信しております。世界情勢の変化によって沖繩返還協定の前提がくずれたとは全く考えておりません。むしろ、沖繩返還問題が転機になって国際情勢は緊張緩和に大きく動いたと見るべきである、かように考えておるのでありまして、先ほど来お答えしたとおりであります。
 次に、核撤去の問題は、日米共同声明、沖繩返還協定、並びに、これを議会で確認したロジャーズ証言等ですでに明らかとなっておりますので、政府としてこれ以上確認することは考えておりません。しかしながら、沖繩県民の不安を除くため、さらに何らかの方法を探求したいと念願しております。
 非核三原則については、さきの質問にもお答えしたとおり、政府の政策として確立しており、国会決議の必要があるとは私は考えておりません。
 次に、基地あるいはVOAの問題についてお答えをいたします。
 基地につきましては、了解覚書A表に掲げる設備、用地は、地位協定の手続に従い、復帰時に施設、区域として提供に合意する用意のあるもので、これらは、個々の設備、用地の実態、機能に即してそれぞれ分類、整理したものでありますが、本土と比べましてその密度が非常に高い。これを今後復帰後におきまして整理統合して縮小する考えで、さらに米国と十分連絡、協議を遂げてまいりたい、かように考えております。
 この点は、ただいま御審議をいただいております協定、これは協定として御審議をいただく。その前にただいまのような再協定をするということはいたしませんから、いまの問題はぜひともただいまの状態で御審議をいただきた、さらにまた、今後の政府の、ただいま申し上げるように整理統合と、こういう方針であること、御鞭撻賜わりまして、十分の成果があがるようにわれわれも努力いたしますが、政府を御鞭撻いただきたいと思います。
 また、VOAにつきましては、協定上わが国が同意したのは、中継活動の五年間の暫定的存続であり、このことは第八条の規定に明らかであるのみならず、合意議事録において五年後の継続は予見されない事情であることが示されていることからも明らかであります。いずれにせよ、特に新たな条約の締結等の措置がとられない限り、中継活動がそのまま認められるのは最大限五年間であることは、前述のとおりであります。憲法上疑義があるとは私は考えておりません。また、沖繩返還協定は、この問題につきましてもわれわれが五年の期限を待たないで交渉することを別に禁止はしておりませんから、できるだけ早急にこの問題も、このVOAがなくなるように努力したいものだと思っております。(「放送法との関係を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)放送法との関係は、外国の放送が存在することは、わが国の放送法は予見しておりません。したがって、これがただいまのような協定で特に認める範囲というようなことになるわけであります。例外的なものになるわけであります。
 次に、一九六九年十一月の日米共同声明は、沖繩の、一九七二年、核抜き本土並み返還を定めたものであります。返還後の沖繩に安保条約及び関連取りきめが何ら変更なしに適用されることは、共同声明第七条に明記されているとおりであります。事前協議制を含め、安保条約の性格に何ら変更はありません。安保条約に基づき米軍の駐留を認める以上、所要の施設、区域を提供しなければならないことは当然でありますが、政府としては、現地の要望等を念頭に置きつつ、基地の整理統合に復帰後もさらに取り組み、沖繩住民の福祉の向上に一そう努力してまいる所存であります。
 また、復帰後の沖繩には安保条約がそのまま適用され、米軍は安保条約の目的のワク内においてのみ施設、区域の使用が認められるのであります。
 私は、以上の点で、プレスクラブの私の記者会見等についての御疑問がありましたのが氷解することだ、かように思います。
 次に、公用地等の暫定使用法案について政府の再考を求めるとの御意見でありますが、この法案は、地位協定によって米軍に提供される施設、区域並びに自衛隊の施設等について、政府が責任上、その使用の権原を取得するまでの間、暫定的に当該土地または工作物を使用できるようにしたものであります。この中には住民の日常生活に不可欠な電気、水道等も含まれており、事柄の性質上、復帰と同時に運用開始しなければならないもので、やむを得ない措置であることを御理解いただきたいと思います。もちろん、公用地等の取得については、できるだけ関係者の合意を得、混乱を生じないよう、最善の努力を払う所存であります。
 以上、私からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#26
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず第一に、特殊部隊についての御心配でありますが、それはおそらく今日の状態の特殊部隊についてのことじゃあるまいか、そういうふうに思います。
 返還後におきましては、安保条約及び関連諸法令がすべて適用に相なるわけでございまして、もちろん、これは事前協議の厳重な対象にいたす、そういうことになるわけであります。したがいまして、現在、それがいかなる形であるにせよ、返還後におきましては、事前協議下において御心配に相ならないような形にいたしたい、かように考えております。
 次に、第七艦隊についてのお尋ねでございますが、第七艦隊自体の行動につきましてはわが国は関知いたさないところでありまして、したがいまして、事前協議の対象とは相ならないのであります。しかしながら、第七艦隊が沖繩の施設を使用するという場合におきましては、これは事前協議の対象に相なるのでありまして、その際におきましては、その際の客観事情、また、わが国の国益、そういうことを踏まえまして適正に善処していきたいと、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣西村直己君登壇〕
#27
○国務大臣(西村直己君) 暫定使用に関する法律で、実は、平和条約が締結された際の米軍の土地の暫定使用期間が六カ月、今回は五年を最高としているのは非常に違うじゃないか、この点であります。
 本土におきまする平和条約発効の際は、条約の発効以前からすでに日本政府自体が全部の契約の当事者となっておりまして、契約をそのまま引き継いでいけば事が足りたのでありまして、そこに格別の困難はなかったのであります。このたび沖縄の復帰にあたりましては、従来琉球政府が契約の当事者となってきた土地につきまして、日本政府が全く新しく契約を締結するという事情、また、契約の相手方が三万数千人という数にのぼっておりますし、一部には海外移住者あるいは居所不明の方もあるわけであります。しかも、復帰前には沖繩の土地は米国の施政権下にありますから、事前準備にも相当な制約を受けております。このような状況から、今回は、小笠原の先例もありますので、五年限りということにいたしたのであります。しかし、復帰後におきまして暫定使用の形になりましても、地主の方々とできる限り話し合いを進めていくということが基本的態度であるということは、言うまでもないのであります。
 それからいま一つ、久保・カーチスの取りきめというものに対するお話が出ておりました。これは御存じのとおり、本土に戻りますれば国土の一部でございますから、自衛隊が当然わが国の国土として主体的に配備されてこれを守る、当然の責務と考えております。ただ、アメリカの基地の一部が返される、それを使うのであります。したがって、その間にいろいろな技術的、事務的な段階を十分調節し合っていく、こういう意味の技術的、事務的な取りきめであることを御了承いただきたいのであります。(拍手)
#28
○議長(船田中君) 米原昶君。
  〔米原昶君登壇〕
#29
○米原昶君 私は、日本共産党を代表して、沖繩協定並びに関連法案について、佐藤総理に若干の質問をいたします。(拍手)
 沖繩の返還は、米軍による犯罪的占領に終止符を打ち、無条件で、一刻も早く行なわれるべきであり、返還される沖繩は、軍事占領終結にあたっての国際法上の原則である原状回復の原則に基づき、全占領軍の撤退と全米軍基地の撤去、占領期間中の県民被害の完全な賠償が行なわれるべきは、当然のことであります。しかるに、この沖繩協定は、核基地を含む沖繩米軍基地をほとんどそのまま固定化し、日本国民の賠償請求権を放棄するなど、全く侵略的、屈辱的なものであります。
 四半世紀の間、沖繩百万県民に筆舌に尽くしがたい苦しみをもたらしたサンフランシスコ条約第三条は、信託統治への移行を名目にして、アメリカの極東最大の侵略基地の建設を行なうための、米国の沖繩に対する犯罪的占領支配をごまかす法的擬制にすぎなかったことは、きわめて明白であります。それは、信託統治制度に関する国連憲章の規定に反し、領土不拡大の原則をきめたカイロ宣言、ポツダム宣言等の国際的諸取りきめに反する無効のものでありました。この第三条には、何ら施政権返還を規定していなかったのであります。アメリカ議会でも、ロジャーズ国務長官は、沖繩の施政権の返還をしなければ基地の維持ができなくなったことを強調しておりますが、サンフランシスコ条約第三条に規定していない施政権の返還ということが現実に起こっていること自体、この条項の不当性をはっきりと証明するものとなっております。この第三条は、当然廃棄しなければならないものであります。
 ところで、総理は、いまなおサンフランシスコ条約第三条を正当であったと考えているのかどうか、また、沖繩返還は、日本国と日本国民にとって当然の正当な権利だと思われるのか、それともアメリカの好意、恩恵によるものと思っておられるのか、その基本的な立場、考え方を明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、沖繩の無条件返還は国際法上も当然のことであるにもかかわらず、アメリカは不当な条件をつけ、日米軍事同盟の侵略的強化を実現しようとし、佐藤内閣はこれに全面的に協力しようとしております。
 ロジャーズ米国務長官は、去る十月二十七日、米上院外交委員会で、「沖繩はアメリカにとって戦略的にきわめて重要な地域である。協定はこのことを十分考慮に入れている」と述べ、この協定は「極東におけるアメリカの安全上の利益を守り、推進する」ものであり、「ニクソン・ドクトリンの原則遂行のより大きな一歩となる」と述べております。明らかに、ニクソン・ドクトリンに基づき日米共同声明を条約化し、米軍の一部肩がわりを進めながら日米軍事同盟を強化し、アメリカの核のかさのもとに日韓台を結ぶ多角的軍事同盟の強化をねらい、ベトナム侵略を継続しようとするものであります。
 アメリカと自民党政府は、この日米共同声明に基づく危険な沖繩協定か、それとも従来どおりの米軍の沖繩全面占領の継続か、二者択一しかないように事態を描き出し、国民をおどかしさえしているのであります。この二者択一は、故意につくり出された欺瞞的策略といわなければなりません。日本国民が真に選択を迫られているのは、日米共同声明に基づく侵略的で屈辱的な沖繩協定か、それとも核も基地もない沖繩全面返還協定かという選択であります。この危険な沖繩協定の道を日本国民に選ばせることは、かつてサンフランシスコ条約第三条を押しつけたと同じ誤りを繰り返すのではないかと思いますが、総理の所見を伺います。
 次に、私は、若干の具体的な問題について質問します。
 第一は、国民が最も大きな疑問を持っている核問題であります。
 ロジャーズ米国務長官は、先日、米議会で、沖繩に核兵器が存在することを初めて公式に認めました。日本共産党沖繩調査団は、米軍資料によって沖繩に米軍核部隊がいることを確認しております。核部隊の存続をそのまま認め、核の点検もしない核撤去はごまかしであり、核隠しにすぎません。総理は、核撤去の確認はできないという答弁を繰り返しておりますが、核が存在すれば協定に違反することになると政府が主張する核兵器の有無を、日本領土の中で点検できないというのは、主権の放棄ではありませんか。明確な答弁を求めます。
 第二に、基地機能についてであります。
 総理は、沖繩の米軍基地はこれまでのような使用はできなくなる、米軍が出撃する際は事前協議の対象となると答弁してきました。ところが、パッカード国防次官は、米上院で、「沖繩及び本土から韓国、台湾その他われわれの欲する地域に移動してから直接戦闘作戦行動に従事する場合は事前協議の対象にならない」と公言しております。このような解釈は、事前協議を一そう何の意味もないものにしてしまうといわなければなりません。総理はこのような解釈を容認されるのでありますか、明確な答弁を求めます。
 パッカード国防次官はまた、「沖繩が西太平洋防衛に持つ重大な機能はたいしてそこなわれない」とも証言しております。総理は、沖繩が返還になれば米軍の軍事的機能が大きく変わると述べてきましたが、パッカード証言とは明白に食い違っております。基地を使用するのは米軍である以上、アメリカ側の解釈と相反する解釈は、単なる言いのがれでしかありません。総理の責任ある答弁を求めます。
 第三は、土地強制使用の問題です。
 総理は、小笠原群島の例もあり、決して沖繩を差別するものではないと述べておりますが、沖繩における公用地等暫定使用法案は、使用対象となる土地を特定せず、所有者に対する通知または公示さえも行なわないで、一方的に五カ年間もの長期にわたり強制的に取り上げようとするもので、小笠原方式とも明らかに異なり、本土における米軍用地使用特別措置法とも明白に区別された土地強奪法であります。また、昭和三十七年十一月二十八日の最高裁大法廷が、国民の財産権の取り上げに関し、国が「当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは著しく不合理であって、憲法の容認しないところである」と判示した判例にさえまっこうから反する違憲立法であり、差別立法であります。(拍手)総理の答弁を求めます。
 最後に、沖繩県民の賠償請求権について、二十六年間アメリカの軍事専制支配下に置かれてきた沖繩県民が、米国・米軍人などの不法行為、不当行為によってこうむった生命、身体、財産の損失、損害ははかり知れないものがあります。政府は、この協定ですべての請求権を放棄するとしておりますが、県民の損害、損失の実態を直接調査されたことがあるのかどうか。人身損害、漁業権、軍用地復元補償、通損補償、滅失地、基地公害など、いわゆる十項目の損害内容さえまだ具体的に明らかにされていないのではないか。屈辱的な主権放棄の上に、軍事占領下の賠償請求権さえ放棄して恥じないというこのやり方は、県民無視もはなはだしいといわなければなりません。このことにこそ本協定の屈辱的性格、佐藤内閣の対米追従的性格が最も端的にあらわれております。(拍手)放棄した請求権の内容、金額等の明細を明らかにすることを要求するものであります。
 日本共産党は、このような侵略的、屈辱的な沖繩協定に断固反対し、核も基地もない沖繩の全面返還を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 米原君にお答えをいたします。
 第一問と第二問、それを一緒にしてお答えをいたしますから、お聞き取りをいただきます。
 沖繩返還問題に関する基本的な考え方におきまして、私は米原君と全く見解を異にしております。平和条約第三条が不当であり無効だとの共産党のかねてよりの議論には、私は同意できません。したがって、米国が同条約に基づいて施政権を行使してきたこと自体を不当とは考えませんし、沖繩返還は日本にとっての当然の権利だという議論にも、残念ながら同意できません。
 また、共同声明に基づく沖繩返還協定を承認するか、さもなければ、現状どおりの米軍占領の継続を甘受するかという二者択一しかないといって国民を脅迫しているとのお説でありますが、そのようなととは絶対にありません。政府としては、昨年十一月の私とニクソン大統領との共同声盟以来、終始、誠心誠意を尽くして返還協定作成に当たって、前質問者にもたびたびお答えいたしましたように、核抜き本土並みの原則を完全に貫き、沖繩県民をはじめ国民大多数の納得を得られる協定に合意し得たものと確信しております。私は、米原君の御指摘にもかかわらず、返還協定交渉をやり直すことは全く考えておりません。御了承をいただきます。
 国会審議を通じて核部隊の存在が明らかになったら、その撤去を求めるかとのお尋ねがありましたが、すでに繰り返し申し述べているように、返還後の沖繩は、核抜きであり本土並みであります。非核三原則も本土と全く同じように沖繩にも適用されますから、御懸念のようなことが起こるとは考えておりません。(拍手)
 核の点検ができないというのは主権の放棄ではないかとのお尋ねでありますが、これは国際法に基づく問題でありまして、主権の放棄という問題とは違うのでございます。
 パッカード国防次官の証言を引用して、日米両政府の解釈が違っているとの御指摘がありましたが、パッカード国防次官の事前協議に関する証言内容は、政府が従来行なってきた説明ぶりと完全に一致しており、御指摘のような解釈上の食い違いはございません。よく読んでいただきたいと思います。
 公用地等の暫定使用法案は、差別立法であり、違憲ではないかとのお尋ねがありました。この法案については、すでにさきの質問者にもお答えしたとおりであり、憲法に抵触するとは考えておりません。もちろん、公用地等の取得にあたっては、できる限り地主等関係者の合意を得るよう、最善の努力は払ってまいることは当然であります。
 最後に、米国の法令及び現地の法令によって米国による処理が認められている請求権は、第四条二項に基づいて、米国がその処理の責任を引き続き負うことになっております。それ以外の種々の請求のうちでも、実定法上の根拠はなくても、実態的に見て米国が処理すべきであると考えられた軍用地の講和前復元補償漏れ及び海没地の二つの問題の解決は、第四条二項及び交換公文で合意されております。第四条一項の一般的請求権の放棄は、前に述べたもの以外のものについて、施政権返還後米国に対し外交的にこれを取り上げないこととし、施政権移転の際の日米間の法律関係の明確化をはかったものであります。
 以上、私のお答えといたします。(拍手)
#31
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#32
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        国 務 大 臣 西村 直己君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        防衛施設庁長官 島田  豊君
        外務省アメリカ
        局長      吉野 文六君
        外務省条約局長 井川 克一君
        外務省国際連合
        局長      西堀 正弘君
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ソース: 国立国会図書館
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