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1971/11/24 第67回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第18号
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1971/11/24 第67回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第18号

#1
第067回国会 本会議 第18号
昭和四十六年十一月二十四日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十三号
  昭和四十六年十一月二十四日
   午後二時開議
 第一 昭和四十六年度分の地方交付税の特例等
  に関する法律案(内閣提出)
 第二 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国と
  アメリカ合衆国との間の協定の締結について
  承認を求めるの件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 昭和四十六年度分の地方交付税の特
  例等に関する法律案(内閣提出)
 日程第二 琉球諸島及び大東諸島に関する日本
  国とアメリカ合衆国との間の協定の締結につ
  いて承認を求めるの件
 非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決
  議案(塚原俊郎君外五名提出)
   午後二時三分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 昭和四十六年度分の地方交付税の
  特例等に関する法律案(内閣提出)
#3
○議長(船田中君) 日程第一、昭和四十六年度分の地方交付税の特例等に関する法律案を議題といたします。
#4
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。方行政委員長大野市郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔大野市郎君登壇〕
#5
○大野市郎君 ただいま議題となりました昭和四十六年度分の地方交付税の特例等に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、昭和四十六年度当初における経済見通しの改定及び国の補正予算措置に伴い、昭和四十六年度の地方財政におきましては巨額の財源不足が予想されますので、昭和四十六年度分の地方交付税の総額については、当初予算計上額を確保するとともに、給与改定のための所要の財源措置を講じようとするものであります。
 すなわち、所得税の年度内減税に伴う五百二十八億円については、国の一般会計で補てんすることとし、国税三税減額補正に伴う七百四十五億六千万円と給与改定に必要な五百五十億円の合計千二百九十五億六千万円につきましては、交付税及び譲与税配付金特別会計において借り入れることにより所要の財源措置を行なうこととしております。
 また、昭和四十六年度分の普通交付税の総額は、給与改定に必要な五百五十億円を加算した額として交付することとしております。
 なお、千二百九十五億六千万円の借り入れ額については、昭和四十七年度から同五十四年度までの各年度に分割して償還することとしております。
 本案は、十月十八日当委員会に付託され、十一月九日渡海自治大臣から提案理由の説明を聴取し、慎重に審査を行ないました。
 十一月十六日質疑を終了し、討論を行ないましたところ、日本社会党、公明党及び民社党の三党を代表して山本委員が本案に反対の意見を述べられ、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案により、明年度以降の地方財政の危機的状況にかんがみ、地方交付税の所要額の確保、地方自主税源の充実、政府資金による地方債の充実及び沖繩復帰に伴う一般財源の確保等につき、地方財政の運営に支障を生ずることがないよう十分に措置すべき旨の附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#7
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第二 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
#8
○議長(船田中君) 日程第二、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
#9
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。沖繩返還協定特別委員長櫻内義雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔櫻内義雄君登壇〕
#10
○櫻内義雄君 ただいま議題となりました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、沖繩返還協定特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本協定のおもな内容は、米国が琉球諸島及び大東諸島に関し、平和条約第三条の規定に基づくすべての権利及び利益を日本国のために放棄し、わが国は、これら諸島の行政、立法及び司法上のすべての権利を行使する権能及び責任を引き受けることを規定しております。
 いわゆる基地の提供につきましては、わが国は、日米安全保障条約及び関連諸取りきめに従い、米国に対し、これら諸島における施設及び区域の使用を許すことを定めております。
 また、請求権の問題につきましては、米国の施政期間中に米国または現地の法令により特に認められた日本国民の請求権を除き、わが国は、原則としてこれら諸島において生じた対米請求権を放棄することとしております。
 次に、わが国は、民事及び刑事事件に関し、原則として、沖繩における裁判所が行なった最終的裁判の効力を認め、かつ、係属中の事件について裁判権を引き継ぐことを定めております。
 また、琉球電力、水道、開発金融の三公社の財産並びに復帰の日に米国に提供される施設及び区域外にある米国政府の財産は、原則として日本国政府に移転されることを規定しております。
 次に、日本国政府は、米国資産の日本国政府への移転、米国政府がこれらの諸島の返還を佐藤・ニクソン共同声明第八項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施すること、及び米国政府が復帰後の雇用の分野等において余分の費用を負担することとなること等を考慮して、五年間に総額三億二千万合衆国ドルを米国政府に支払うことを定めております。
 本協定は、十月十六日国会に提出され、十月二十九日に本特別委員会の設置が議決されるとともに本委員会に付託されました。
 本委員会は、十一月十日福田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、翌十一日より質疑に入り、自来、慎重な審査が行なわれましたが、そのおもな点を二、三申し上げますと、まず、「復帰後沖繩の基地は規模や機能が縮小することができるのか」との質疑に対し、「基地の縮小について努力したが、それが不十分であるということもわかっているから、今後ともさらにこれについて整理統合を積極的に進め、本土と格差のない沖繩県づくりに邁進したい」との答弁がありました。
 また、「なぜ沖繩県民の対米請求権を放棄したのか」との質問に対しては、「政府は一定の区切りをつける必要があるので請求権を放棄することとした、しかし、政府は、米国の法令に基づく軍用地の復元補償等については具体的な措置をとり、なお補償漏れのものについては調査の上適正な処置をとりたい」とのことでありました。
 次に、「核について沖繩県民に不安があるが、核の撤去にあたっては、住民にとって安全かつ納得のできる十分な措置がとられるべきだと思うが、どうか、また、何らかの方法で撤去を確認する具体案はあるか」との質問に対して、政府は、「核撤去の安全性については、米当局に対し万全を期するよう要望しているが、米国政府も万遺漏なきを期すと言っている、政府としても確認のための何らかの方法を考慮中であり、最善を尽くしている」との答弁があり、さらに、「三億二千万ドルの対米支払い額のうち七千万ドルが核撤去費用に充てられると聞くが、そのとおりか」との質問に対しては、「核があるならば、その撤去費用に使ってほしいという高度の政治的判断で七千万ドルを上積みした」との答弁がありました。その詳細につきましては、会議録により御了承願います。
 かくて、十一月十七日採決いたしました結果、(発言する者あり)本件は多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 なお、十一月二十二日の委員会において、沖繩返還協定に関し発言があった後、自由民主党、公明党及び民社党の三党共同提案にかかる、非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議を全会一致で可決いたしました。
 その決議の内容は、
    非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議
 一、政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込まさずの非核三原則を遵守するとともに、沖繩返還時に適切なる手段をもつて、核が沖繩に存在しないこと、ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである。
 一、政府は、沖繩米軍基地についてすみやかな将来の縮小整理の措置をとるべきである。
  右決議する。
以上でございます。
 本決議に対し、福田外務大臣及び佐藤総理大臣より、決議の趣旨を尊重し、特に非核三原則については、本土、沖繩を問わずこれを忠実に守り抜くことを政府として声明するものであり、また、米軍基地の整理縮小については、復帰後すみやかに実現できるよう、現在から真剣に取り組む方針である旨の所見の表明がありました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。正木良明君。
  〔正木良明君登壇〕
#12
○正木良明君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、いわゆる沖繩返還協定の承認を求めるの件に関し、反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 以下、反対理由を述べるに先だって、まず申したいことは、去る十七日沖繩協定特別委員会において行なわれた、委員長櫻内義雄君の不当きわまりない強行採決の暴挙であります。
 過去において、自民党は、国の進路を決定する、また国民福祉に重大な影響を持つ法案、あるいは六〇年安保条約、日韓条約批准承認案件について、強行採決の暴挙を繰り返し行ない、ために国会を混乱におとしいれ、国民世論のひんしゅくを買うや、議長職権を利用して多数横暴の党略をめぐらし、強行採決を合法化してきたのであります。いわく、野党の引き延ばし戦術に対抗する強行採決は当然の手段であると。しかしながら、かような多数暴力ともいうべき暴挙が、いかに国会の威信を傷つけ、議会制民主主義に対する疑問を国民に抱かしめたかは、今日、国民の中に根強く広がっている政治不信の声を見ても明らかであります。(拍手)現在、高まりつつある直接民主主義の思潮と直接行動、思想の混乱、世代の断絶の中で激化をたどっている青年の過激行動も、その根源をたどれば、真の議会制民主主義の確立を忘れ、神聖なる国民の主権を信託された国権の最高機関たる国会における、多数を頼む強行採決が深因になっていることは認めざるを得ないのであります。
 わが党は、従来からこのような自民党の横暴に対し、ひたすら国民主権の信託を重んじ、国会の威信を守り、隠忍の中で自民党の強い反省を要求し、事態の収拾に積極的な努力をしてきたのであります。それは、国民主権を尊重し、院内においていたずらにエスカレートする不毛の対立を避け、院外にあっては社会の秩序を維持することに配慮し、議会制民主主義の確立をはからんがためでありました。四十二年八月に行なった自、公、民三党申し合わせによる、不当なる委員会採決の議長職権による委員会差し戻し権行使の提案も、強行採決の暴挙をなくし、国会が立法の府として与野党の堂々の論議を尽くし、正常な国会運営の中で広く論議の当、不当を国民世論にはかり、国会審議を誤まりなく世論に反映しながら議を決することを望んだからであります。しかしながら、それ以来といえども自民党の暴挙は一再ならず今日に至ったことは、まことに遺憾とするところでありました。私は、自民党の責任をあくまでも追及するものであります。
 今回、議題であるいわゆる沖繩返還協定批准承認案件は、いまさら申すまでもなく、わが国建国以来初めて経験した敗戦と戦争の惨禍から立ち上がり、四半世紀にわたる国民の努力によって今日ある日体にあって、単に沖繩返還を求めるのみならず、二十六年にわたる外国施政権下にある沖繩百万同胞の苦悩を解消し、国民としてひとしく平和と福祉の享有をはかることができるか。一方、外に向かっては、すでに中国の国連復帰が実現した新しい世界にあって、世界唯一の平和憲法を持つわが国が、新しい国際社会秩序への激動の中で、平和への進路を求め得るかどうか、という緊要な視点に立って案件を慎重に審査すべき重要さがあったのであります。
 したがって、協定特別委員会における委員の質疑による審議はもちろんのこと、参考人意見聴取、本土また沖繩現地における公聴会の開催等、広く国民の意見を聴取することは、この案件審議の重要性から欠くべからざる要件でありました。自民党委員諸君も、このことについては何ら異論がなかったはずでありました。さらに、従来から今日に備え、各常任委員会あるいは各野党、また私的に沖繩現地におもむき視察を行なった数多くの国会議員諸君もあり、他常任委員会との連合審査の必要も要求されていたところであります。
 ところが、当初本会議における福田外相の協定案件提案説明の失態に始まり、十一日から始まった沖繩協定特別委員会は、実質審議日数が五日、審査時間はわずか二十三時間四十分にして、正常なる審議が進められている中で、突如あの強行採決が行なわれたのであります。このことは、自民党が強行採決の口実とする野党の審議態度云々は、一切これに当たらないのは当然であります。いわんや、審議が一応済んだことを採決の理由とする何ものもありません。すなわち、沖繩選出議員二名を含め、質問通告ないし質問予定者が残っていたこと、参考人意見聴取、公聴会の開催等も与野党の理事間で協議中であったのであります。したがって、あの理不尽きわまりない採決の強行は、協定案件の本質をわきまえず、ただ定められた会期中の自然成立のみを目的にしたものであって、国会審議を封殺したものと断ずべきであります。
 わが党が、この暴挙をもってした協定案件の委員会可決を、議長が慣例上やむなく認めたことに対し、委員会強行採決と同様、議会政治の破壊として糾弾し、協定案件の委員会差し戻しを強硬に要求したことも、最も尊重すべき議会制民主主義の事実上の壊滅を憂えたからであります。(拍手)
 同時にまた、委員会審査当初より、沖繩県民はじめ国民が最も疑問とした核抜きの事実確認、本土並みの実態、さらに沖繩県民の人権擁護、損害請求、国民としての権利の平等なる保障、沖繩県の平和的な経済発展等々、これらに対する政府答弁は、いずれもあいまいさにおおわれ、明快を欠き、国民の疑問はむしろ深まるのみであったというべきであります。このような状態で、もし自民党が多数横暴による独裁的態度をとるならば、国民世論の尖鋭化が予想され、重大な社会的混乱をも招くことを容易に想定できるからであります。
 以来、二十二日に至る五日間、全野党が要求した委員会採決の無効、議長の委員会への差し戻しは、自民党並びに議長が容認せず、国会は完全に空転状態になったのであります。
 この間、政府・自民党の横暴を糾弾する声はますます高まりを見せ、自民党内部でさえ、みずからその不当性に反省する声が起こったのであります。しかも、政府・自民党糾弾の実際行動に便乗して、過激行動が重大な社会不安を拡大する趨勢がいよいよ高まってきたことは、これも事実であります。
 この事態の推移を放任して、国会空転を収拾し得なかったならば、佐藤内閣の退陣はもちろん、問題はそれのみに終わらず、自民党の独走がもたらす沖繩返還協定批准は、国民の意見を差しはさむ余地を与えず、国の前途に重大な禍根を残すことになり、同時に、そのような事態の推移は国会空白を長期化し、国の治安能力をこえる社会不安をももたらすことさえ想像できるのであります。
 わが党は二十日、空白国会の中において、事態収拾のための議長あっせんによる書記長・幹事長会談に出席したこと、また、その席上において、一、自民党の不当な強行採決により審議はいまだ十分尽くされておらず、また重大な疑問点が残っている。これらの疑問点を本院の決議によって国民の前に明らかに解明することが必要であり、そのため、非核三原則と沖繩基地縮小撤去のための国会決議を要求する。一、協定特別委員会における強行採決は不当なものであり、議会制民主主義を破壊する暴挙である。したがって、あくまでも委員会に差し戻しと残余の質疑を約束すべきである、と提案したゆえんも、本日議長職権によって行なわれたこの会議に出席した理由も、先刻申し上げたとおり、党利党略を離れ、公党としての責任を果たさんがためであります。(拍手)
 あえて明確にしておきたいことは、協定特別委員会における強行採決は不当なものであり、議会制民主主義を破壊するこの暴挙をわが党は決して容認するものではなく、したがって、この政府・自民党の責任は、今後あらゆる機会を通じて追及すると同時に、再びかような事態を起こすことがあれば、国民とともに、政府・自民党がその非を認めるまで戦うことを宣言するものであり、その事態の混乱の責任は、あげて政府・自民党にあることを銘記しておくべきであります。(拍手)
 わが党のとった事態収拾の方途について、社会、共産両党が容認されなかったのは、きわめて残念であります。
 わが党があえて現在本院会議に臨むゆえんは、先刻申したとおりであり、国会空白の長期化による社会不安の助長、審議拒否の長期化が、われわれの意思とは別に、自民党による協定案件の一方的成立、並びに関連法案の恣意的成立を許すことにほかならないからであります。
 したがって、非核三原則を中心とする非核決議、すなわち、非核兵器及び沖繩米軍基地整理縮小に関する決議案は、沖繩返還協定における最大の欠陥である核撤去と基地縮小の問題を解決するために必要な目的を持つものであり、かかる重大な意義を持つ決議案であります。したがって、国会の威信に立ち、この決議案が採択されることを願い、いやしくも、この事態収拾をはかる一時的な方法論でこの決議案を提出するのではなく、独立国としての名誉と国民の名誉にかけて、佐藤総理以下、自民党の諸君も、われわれとともに全力をあげて実現すべき誓文として銘記すべきであるという点で提出したのであります。(拍手)
 以上、わが党の今般の事態に立った基本的態度を明らかに申し上げておくものであります。
 さて、佐藤総理は、今国会の所信表明演説において、沖繩返還問題の所信をこのように発表されました。
 第一点として、「沖繩問題は、日米間の友好と信頼のきずなのもとに、戦争で失った領土を平和裏に話し合いで回復するという、これまでの歴史にない最も好ましい解決を見ることとなった」。第二点は、ここまでこぎつけることができたのは、国民の総力を結集できたことと、米政府並びに米国民の歴史的決断であり、満腔の敬意を表する。第三点は、「沖繩が核抜き本土並みで返還されることは、アジアの緊張を緩和するのみならず、日米修好百年の歴史に、さらに輝かしい一ページを書き加えるもの」である。第四点は、沖繩百万の県民に対し、さきの戦争においては、全島あげて祖国防衛の第一線に殉じ、戦後は二十余年にわたって外国の施政権下に置かれてきた御苦労に言うべきことばもない。この上は、その御苦労に報いるためにも、一日も早く円滑な復帰を実現し、明るく豊かな、そして平和な沖繩を建設することが、われわれに課せられた使命であると信ずる。このように述べられておるのであります。
 わが党が本協定案件に反対する理由は、さきに申し上げたとおり、十分な審議過程を尽くさずして強行採決をし、あいまいな答弁によって納得のいく解明がなされていないこと、そして、いま申し述べた所信表明演説と沖繩返還協定を照合する場合、至るところに欺瞞がひそんでいるからであります。
 すなわち、これを要約して言うならば、先刻申し述べた第一点の、「戦争で失った領土を平和裏に話し合いで回復する」とは、まさに政府の返還交渉の基本姿勢であり、法的にいっても、事実においても、沖繩は決して失った領土ではなく、日本が沖繩においてなくしたものは、立法、行政、司法の三権にわたるいわゆる沖繩の施政権であり、したがって、国民として沖繩百万の同胞が、その自由と権利を米施政権下で奪われたのであります。ゆえに、領土主権は潜在であっても厳然と存在するものであって、領土主権はなくなっていないのであります。このきわめて明瞭な事実を曲げて国民に述べるところに、返還交渉の基本的姿勢の誤りがあると指摘するものであります。
 第二点の、国民と米政府並びに米国民への敬意は、第一点の誤認識より出発したことばである以上、返還協定を粉飾したものというべきであります。事実、沖繩が対日平和条約締結に至るまでの戦時下、占領時代、さらにこれを事実上延長した対日平和条約第三条という不当な占領措置を通じて、二十六年間、ひたすら本土復帰を念願し、沖繩返還運動を進めてきたのは、沖繩の国民大衆であります。したがって、米政府としては、四半世紀をこえる沖繩占領は、米国史上においてもむしろ汚点を残すものであり、佐藤総理の言う「歴史的な決断」は、恩恵をわが国民に押しつけるものであり、米政府としては、そのような視点からのとらえ方をすることが、かえって日米国民の間に将来にわたってみぞを深めると考えていると判断すべきであります。事実、アメリカ上院外交委員会における米首脳の証言は、アメリカ施政下ではもはや沖繩米軍基地の維持は困難であるとの考えをあらわしているのであります。したがって、佐藤総理が満腔の敬意を表すべき相手は、まさに、返還運動を推進してきた沖繩百万の同胞であるべきであります。
 第三点は、沖繩はもとより、本土、さらにはアジアの将来を定める要点というべきであります。しかしながら、佐藤総理の言った核抜きは、返還協定そのものが明確に一九六九年十一月の佐藤・ニクソン共同声明に基づく限り、その第七項に示された、「日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げ」となってはならないこと、及び第八項の核兵器と事前協議の関係で、「米国政府の立場を害することなく」は、重大な意味を持つことは明瞭であります。このことは、返還協定の第七条で、共同声明第八項にいう日本国政府の政策、いわゆる政府のいう非核三原則に背馳しないように返還を実施する、また、七千万ドルの核撤去費用を支払うとしても、その具体的方法と事実確認がなされない限り、共同声明に対するジョンソン国務次官の背景説明である「第八項は、特別の事態に際しアメリカがもし必要と認めれば日本と協議を行なうというアメリカの権利をきわめて慎重に留保しており、しかもこのことが核兵器に適用されることは明確であります。」と言ったことを打ち消すことにはならないのであります。
 しかも、返還協定で、返還が「共同声明の基礎の上に行なわれることを」確認していることは、返還後の沖繩の実態が、共同声明の諸項目から逸脱できないことを約束したことにほかならないからであります。したがって、共同声明の台湾、韓国の安全と日本の安全を緊密に結びつけた日米安保の変質は、沖繩返還と同時にアジア核安保とならざるを得ない。その限り、日本はアメリカの極東戦略と戦術のワク内に完全にはめ込まれることになるのであります。
 したがって、委員会審査を通じ、核撤去、核の再持ち込み、事前協議問題等において政府が明快な答弁をなし得ず、また、わが党が事前に、本国会までに対米交渉を要求した核撤去、再持ち込みのないことを立証する交換公文の取りつけ、また事前協議に関する合意議事録の提出も実現しなかったと判断するものであります。それがゆえに今回の本院における非核決議は重要な意義を持つものであります。
 さらにまた、このまま推移すれば、沖繩米軍基地の態様、機能の継続使用がなされる。米軍の核戦略体制は、依然として沖繩をキーストーンとしておくことは明瞭であります。そうでなくては、日米、米韓、米台、米比、ANZUS、この諸条約による諸国防衛のための米国の国際義務の効果的遂行の妨げとなってはならないと、米政府が言うわけがないのであります。
 このことをきわめて明瞭に示した返還協定が佐藤総理の言ったとおり、沖繩が本土並みになるわけがありません。したがって、協定審査を通じて政府答弁で明らかになったことは、本土並みは、単に沖繩を安保適用地域とするということの代名詞であり、これほどの詭弁はなく、その実態は、日本の責任において一地方公共団体の区域面積の一〇%にも及ぶ米軍基地を置き、その作戦行動が持つ危険性を本土全般に及ぼす、いわゆる本土の沖繩化をあらわすものであります。しかも、久保・カーチス取りきめによる自衛隊の移駐は、さらにその危険度を加えるものであり、その結果は、佐藤総理の言ったアジアの緊張を緩和するのではなく、日本みずからがアジアの緊張を激化することは明らかであります。
 かかる返還協定が、「日米修好百年の歴史に、さらに輝かしい一ページを書き加える」という総理のことばは、いかなる思考方法に出たものでありましょうか。以上に述べた日本の危険負担と、さらに言うならば、核撤去費用の負担は、その内容が明確にされない状態のままで支払われようとしていることには、断じて反対であります。
 協定第七条に示された三億二千万ドルから核撤去費を除いた主体は、いわゆる資産買い取りであり、さらにその内容の主体は、すでに琉球住民に献呈さると銘打った琉球政府庁舎をはじめ、電力、水道、琉球開発金融等は、いずれも一般資金並びにガリオア資金の見返り等でつくられたものであり、沖繩において営業を行なって現状の資産となっているものであります。このような協定内容が、国会における審査により明らかにされ、講和成立後四半世紀に及ぶ今日、なお当時の尾を引く交渉結果が、国民感情にいかなる影響を及ぼすかは、協定反対の国民の声に如実にあらわれており、日米修好の歴史に輝かしい一ページを書き加えるという根拠を、総理は、いずこをさして言われたかと訴えるものであります。
 第四点の「沖繩百万県民の御苦労に報いるため」に至っては、多くのことばを費やすまでもなく、協定審議を通じて明瞭になったとおり、米国、自衛隊の複合体制で、軍事基地の継続使用を大前提にして、そのために法を追随させる返還が、その当初から県民の自由と権利を、かつてない無謀な法的措置で抑圧し、いかように法的解釈をもてあそんでも、基地の質と量のために私権を制圧し、沖繩県の地方公共団体としての組織、権能、運用を阻害することは、自明の理であります。明るく豊かな、そして平和な沖繩を建設するといいながら、政府みずからがそのプロセスも描き得ないことは、この望みと返還協定の持つ内容の矛盾を政府みずから明らかにしているというべきであります。
 十七日、国会における強行採決の暴挙が行なわれているとき、琉球政府屋良主席は、沖繩の訴えをまとめた復帰措置に関する建議書を沖繩百万県民の心として抱きしめ、二十六年の屈従の生活の苦悩の中からの最後の建議を持って羽田に着いたのであります。そのときの屋良主席の心中を察するに余りあります。「これらの内容がすべて実現されるよう強く要請いたします。」との中にある切々たる沖繩の訴えを実現してこそ、沖繩の人たちの御苦労に報いることになると言いたいのであります。
 以上、要約して反対理由を述べましたが、最後に、私は、総理はじめ各大臣、そして自民党の諸君に申し上げたい。
 ここにいる私たちは、沖繩選出の五人の議員を除くほかは、だれ一人として沖繩の人たちの恐怖と忍従の生活を直接体験いたしておりません。また、暗たんたる不安の奥底を味わった者はありません。その中で、沖繩は、この二十六年間、本土の繁栄の裏側で、激動するアジア情勢の最先端に立って、犠牲になってきたというべきであります。その沖繩の苦悩を知っているようで知らないわれわれは、返還交渉には、何よりも沖繩のすべての意思を聞くべきであり、そのことは、単に沖繩の問題ではなく、日本の将来にも欠くべからざる要素であったと思うのであります。しかし、政府・自民党は、外交交渉権を単に政府・自民党のものとして、沖繩の意思も、われわれ野党の意思もいささかもいれなかった。
 わが日本は、過去の政治において軍国主義を育て、戦争を起こして幾数百万の国民を殺し、また、他国の人を殺し、傷つけてまいりました。それは、すべて議会制を形骸化した一党独裁が原因になっていることに深く思いを及ぼさなければならないと思うのであります。
 しかるに、政府・自民党は、戦後の外交史の中で、過去もそうであるが、国の進路を決定する重大な問題を、いままた、国会を形骸化して一党独裁の外交を強行しようとしております。日本の国は自民党だけのものではありません。したがって、国の命運を峻別する重大な外交課題に対しては、議席数いかんではなく、あくまでも謙虚に意見を聞き、衆知を集めて、正当なる国益と、国際社会の平和秩序を求め合わねばならないと思うのであります。(拍手)そうした姿勢の中でこそ、国民の理解とともに力ある外交の推進ができると確信します。
 外交にはワンス・モアは不可能であります。やり直しは不可能であります。また、すべては物心両面にわたり国民生活を原点とすべきであります。国民の心を離れて行なうことは専横であり、失敗することは、日本の過去の歴史が明白にこれを物語っているというべきであります。
 現在、日本の平和への進路の重大なものの一つは、沖繩返還にかかっているといっても過言ではないと確信するものであります。したがって、いまからでもおそくない。屈従の四半世紀を経て、にじみ出る琉球政府の建議書を尊重し、その内容がすべて実現されることが、沖繩に報い、日本を平和に導く唯一の進路であると訴えるものであります。
 以上をもって、いわゆる沖繩返還協定案件に対して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#13
○議長(船田中君) 福永一臣君。
  〔福永一臣君登壇〕
#14
○福永一臣君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件に対し、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 四分の一世紀という長い間、沖繩の同胞はもとよりのこと、わが国民は、ひとしく沖繩の祖国復帰を待望してまいりました。その民族的悲願を実現する沖繩返還協定が、いま、この国会で━━━━━━━手続を完了しようとしておりますことは、まことに喜びにたえないところであります。(拍手)
 顧みますに、沖繩は、もともと美しい平和な島々であったものが、第二次大戦中、不幸にも国土防衛の第一線となり、全島あげて焦土と化し、おびただしい犠牲者を出したことは、われわれの脳裏から消し去ることのできない悲痛な記憶であります。
 さらに、講和後、サンフランシスコ平和条約第三条により、米国政府の施政権下に置くことに同意せざるを得なかったことは、敗戦国としてやむを得ない立場にあったこととはいえ、沖繩住民はもとより、われわれ日本国民すべてにとって耐えがたいことであったのであります。
 このような異常な状態から沖繩を救い、一日も早く本土に復帰させるために、沖繩県民はもとよりのこと、日本国をあげての願望をになって、歴代政府が対米折衝を重ねてきましたことは当然なことでありまするが、われわれ与党議員といたしましても、あらゆる機会をとらえ、沖繩の祖国復帰についての最大の努力を傾注してまいったのであります。
 ところが、今回、日米両国の友好信頼関係の基礎の上に立つ米国政府の理解ある態度により、古来まれなる平和的話し合いによるところの返還実現の道が開かれるに至りましたことは、まことに欣快とするところであります。(拍手)
 ところが、われわれ与党、政府の沖繩返還に関するあらゆる努力に対しまして、その実現をはばもうとするがごとき一部の批判勢力が、沖繩の返還について、反対、阻止運動を展開するに至ったことは、まことに悲しむべきことであります。(拍手)
 わが自由民主党は、委員会の運営につき、野党議員の要求する現地公聴会の開催、参考人の招致などの日程について、譲歩に譲歩を重ねてきたのであります。しかるに、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━その実現を見なかったことはまことに遺憾でありますが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━沖繩の復帰が実現しなかったならば、一刻も早い祖国復帰を待望する現地沖繩県民の心情はいかがでありましょうか。無責任に協定反対を叫ぶ人たちは、沖繩県民にどう申し開きをするのか。これは、われわれ自由民主党としては、断じて認めるわけにはまいらないところであります。
 われわれは、わが党の公約と沖繩県民の心情を思い、断固採決に踏み切ったのであります。(「強行採決だ」「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━わが党は、沖繩選出の西銘順治君を質問者の冒頭に立て、同君は、現地の心情を披瀝した質問を展開したのであります。われわれは、わが党に割り当てられた質問時間を割愛して、沖繩出身の野党議員、安里、瀬長両君に発言を許したかったのににもかかわらず、かつまた、一昨日も発言の場を与えたにもかかわらず、ついに━━━━━━━━━━━━両君の発言機会を封じ去ったことは、まことに遺憾でありました。
 また、━━━━━協定の再交渉を要求しております。しかし、いやしくも一国の政府が取りきめた協定を、同一政府があらためて交渉のやり直しを求めるなどということは、およそ常識では考えられないことではありませんか。革新系の屋良主席でさえ、協定には反対はできないと言っているではありませんか。━━━━━━、━━野党諸君は、返還協定特別委員会における審査時間が短いことを指摘しております。しかるに、わが自由民主党は、沖繩問題の重要性にかんがみ、野党の諸君の要望も入れ、去る五十五回国会の昭和四十二年二月十七日に本院において初めて沖繩問題特別委員会の設置を議決して以来、毎国会この特別委員会が設置されまして、前回の第六十六回国会に至るまで、委員会を開くこと合計百二十六回、沖繩問題に関する質疑時間は、約二百四十時間に及んでおります。
 本協定に関し、沖繩返還協定特別委員会において慎重審議した結果、去る十一月十七日、起立多数をもって承認されたことは、御承知のとおりであります。
 私は、この審議の過程において、早期核抜き本土並みの三つの条件が完全に満たされていると確信するものであります。
 以下、簡潔にその理由を申し述べます。
 まず第一に、早期返還についてであります。
 一部には、協定再交渉のためには本土復帰がおくれてもよいというような暴論を吐く人たちがおりますが、私は、このような言動に対しましては、心から憤りを禁じ得ないのであります。
 戦後二十数年間、あらゆる分野において本土から切り離されてきた沖繩県民にとって、祖国復帰こそ、その悲願の最たるものであります。しかるに、その返還が来年に行なわれようとしておる今日、本土復帰がおくれてもよいというがごときは、沖繩県民の心を心としない冷酷な仕打ちといわなければなりません。(拍手)
 第二に、核抜きについてであります。
 返還後の沖繩における核兵器の問題は、日米共同声明第八項に明らかにされているところでありますが、返還協定第七条でさらに条文化されておりますので、核隠しなどということはあり得ないことであり、その点は明確であります。最も友好緊密な関係にある日米両国の最高責任者同士が合意したことに疑念を抱くとするならば、国家間の約束というものは成り立たないのであります。
 また、核の再持ち込みについては、安保条約第六条に関する事前協議制度が、本土同様沖繩にも適用されるのであります。わが国には、核兵器について、持たず、つくらず、持ち込ませずという非核三原則の政策が厳然としてあることは御承知のとおりであります。核持ち込みに関する事前協議の際には拒否するということは、一昨日の委員会における決議に対し、佐藤総理が表明された所見によっても明らかなところであります。したがいまして、沖繩の核抜きは確実に実現されるものと確信をいたします。
 次に、本土並みについてであります。
 沖繩の返還は、すべての点で本土と同じ状態になることは当然であります。しかし、一部には、本土に比べ基地の密度が高いとか、あるいは特殊部隊などが残るために、返還後の沖繩の軍事的地位に不安を感ずる方々もおられますが、協定第二条により、安保条約及び地位協定などが、そのまま本土と同様、何らの変更もなく沖繩に適用されることが確認されております。したがって、基地の自由使用や自由出撃などあり得ないことは明確であります。
 なお、審議の過程において、基地の密度が高いことについては、政府もこれを率直に認めており、復帰後は、対米折衝を通じ、その整理縮小を実施すべく鋭意努力することを総理大臣並びに外務大臣から言明があり、われわれとしては大いに期待するものであります。
 二十六年前、戦いの終わった沖繩は、文字どおり死の島と化しました。軍人約十万人、民間人およそ十六万人、合計二十六万の人々がとうとい生命を国のためにささげました。われわれはこれらの方々の天上から響く声に耳を傾けないわけにはまいりません。その中の一人、沖繩の当時の海軍司令官大田実少将は、昭和二十年六月六日夜、自決を前に最後の電報を海軍次官に打電してまいりました。その電文の終わりの部分は次のとおりであります。「本戦闘の末期、沖繩島は一木一草焦土と化せん、糧食六月一ぱいを支うるのみなりという、沖繩県民かく戦えり、県民に対して、後世特別の御高配を賜わらんことを」
「県民に対し、後世特別の御高配を賜わらんことを」これこそ、二十六年たったわれわれに対し、まず一日も早く沖繩返還を実現せよとの天からの至上命令を意味するものではないでしょうか。
 南溟の島々に散っていった同胞、多くの軍人をはじめ、ひめゆり部隊の乙女たち、鉄血勤皇隊の若者たち、この際、これらのみたまに対し、あらためて心からの御冥福を祈りまして、賛成の討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(船田中君) ただいまの福永一臣君の発言中、不穏当の言辞があるとの申し出がありますが、議長は、速記録を取り調べの上、適当の処置をとることといたします。
 門司亮君。
  〔門司亮君登壇〕
#16
○門司亮君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件に対して、心から怒りを込めて反対の討論をするものでございます。(拍手)
 沖繩が二十六年の間、いな、大東亜戦争において、わが国最大の犠牲となった今日、この問題の解決にあたって、ただいま自民党を代表した福永君の御演説がございましたが、その中に、憲法の手続を経て、ということばがある。一体、憲法の手続をどこで経られたのか。日本国憲法は両院制を認めておりましょう。予算と外交という、いわゆる政府の行政権に属するものを一義的に認めておるということは、憲法のしからしむるところであります。しかしながら、この憲法のもとに、衆議院議決後三十日間において参議院が議決しなかった場合においては、衆議院の議決が有効であるというこの規定を悪用して、参議院に真の審議を与える日程を完全に与えたでございましょうか。三十日前にこれを議決するということは、参議院の議決、参議院の審議を認めないということでございましょう。どうしてこれが憲法を尊重しておるか。憲法を尊重しているというならば、憲法の二院制をなぜはっきり認めないのか。私は、二院制を認めない、一人よがりの、自分に都合のいい憲法解釈に対しては、真に政府・与党ともに反省をしてもらいたい。(拍手)
 少なくとも、本協定は、わが国にとって空前絶後、いままでにもなかった、また今日以後にもあってはならないものであります。国会において慎重に審議をし、衆議院において十分なる審査を遂げ、参議院においても十分なる審査をするという二院制のたてまえを貫くべきであった。しかるに、本日これを決定するならば、参議院が議決しようとすまいと、衆議院の議決が優先し、これが決定されることは事実でありましょう。そうするならば、一体、参議院は何のために審議するのか。しかも、外交権は政府にあるのである。われわれは、こうした日本の今日までの憲法のたてまえの上において、きわめて本日のこの会議は遺憾とするものであります。もう少し諸君の反省を私は促したい。
 同時に、私は、本協定に対して最も遺憾とするところは、沖繩の声を聞くことができなかったということである。十七日から今日まで幾日あるか、数えてごらんなさい。一週間あるのである。この間にどうして一体沖繩の声が聞けないという理屈がございますか。少なくとも本協定に対しては、先ほど福永君も申し上げましたように、その苦痛を知り、その実態を知る者は沖繩の諸君でなければなりません。沖繩の諸君の国政参加を認めたものはどこにあったのか。今日に備えることのために沖繩の十分なる意見を国会に反映させ、そのもとにおいて日本国会はこれを決定すべき責任と義務があったはずである。にもかかわらず、沖繩選出議員の、しかも安里君にいたしましても、瀬長君にいたしましても、占領以来二十六年の間、住民の先頭に立って復帰を叫んできた、沖繩における最も復帰に熱心な諸君の一言の意見も聞かなかったという事実は、一体何を物語るか。(拍手)このことについては、私は、いかに自民党の諸君が抗弁をされるといえども、本協定の決定にあたっては最大の欠陥であり、いまこれを認むべきではないというきわめて大きな理屈であろうかと考える次第でございます。私は、こういう理論、批判に対して、自民党の諸君にもし反論があるならば聞かしていただきたい。おそらく何らの抗弁もでき得ないでございましょう。
 われわれは、単に、沖繩の今日ある問題を、これを党利党略に使ってはならないということである。私はこれらの問題を考えていただきたい。なるほど、自民党としては早く通したいかもしれない。しかしながら、沖繩の気持ちは十分聞くべきである。それを聞かずして、参議院で自然成立をする、今日これを決定しようとするいき方は、いかにも党利党略以外の何ものでもないというそしりを受けることを免れないでございましょう。
 私は、これらの問題を前段にいたしまして、この協定に対する背景について、少しく皆さんの反省を促したいと思うのでございます。
 この協定の背景には一体何があるのか。一九六九年の十一月の佐藤・ニクソン会談、いわゆる共同声明の内容は何が書いてあるか。その一つは、韓国及び台湾の危機はわが国の危険であるということが書いてある。これは一体何を物語るか。わが国は戦争をしないという憲法を持っておる。同時に、韓国との同盟国でもなければ、軍事同盟というようなものも結んではおらない。台湾との間にもそういう協定は結んではおらない。ここに軍事協定を結んでおるものはアメリカでございましょう。こうした中において、どうして韓国並びに台湾の危機が直接わが国の危機につながるのか。同時にまた、これを裏返しするものは一体何であるか。そのことのために、沖繩における基地の態様は、その機能、規模において何らの損傷を与えないものであるということを明確に書いているでございましょう。われわれの要求するものは、この沖繩の軍事基地の撤去でなければならない。しかるに、彼らの機能とその規模を縮小するものでない、機能が失われるものでないということは、一体何を物語るか。明らかにアメリカのアジアにおける軍事戦略行動に対するその規模と機能を失わせない範囲においての協定であると申し上げてもちっとも差しつかえがないでございましょう。
 沖繩島民はもとより、日本の国民全体がいま心配をしておるのはこの点である。アメリカのアジアにおける軍事戦略のための沖繩の基地が返還後も十分にその機能を持ち、かつ、その機能を発揮することができるという事態になってまいりまするならば、一体日本の憲法はどうなるのか。
 御承知のように、戦争によるあの大きな被害を受けてきた沖繩の諸君は、戦争に対しては、もはや本土の私どもが考えておる、皆さんが想像されておりまする以上の嫌悪の感を持っておることは言うにやぶさかではございません。と同時に、そのとおりである。その沖繩返還に際して、沖繩島民の要求は、少なくとも米軍基地の全面撤去を要求したことは御承知のとおりである。この沖繩住民の気持ちにこたえることなくして、基地の機能と規模をそのまま残すというようなべらぼうな会談がこの条約の背景にあるということを知らなければなりません。したがいまして、この条約の背景は、アメリカ軍の規模とその機能を縮小することなくして、かりにA、B、Cという三つのあのランクの中に返還されることであり、さらには十二の基地において日本の自衛隊と彼らが同居することにこの規定はなっておりまするが、これらの問題は一体何を物語るか。ここに自衛隊を派遣するということは、明らかにアメリカの軍事協定に対して日本がその肩がわりの行為を行なうものであるということを言わなければなりません。アメリカのこの沖繩返還に対して、アメリカの戦略に対する日本の肩がわりは、日本国民ひとしくこれをいれないところでございましょう。だれひとりとして、アメリカのアジア侵略に対する軍略的その行為に対して、日本の国民のくみするものがあり得るでございましょうか。私は、与党の諸君にこのことをひとつよく考えてもらいたい。
 われわれはかく考えてまいりまするときに、今日のこの協定の中で最も私どもが強く要求いたしてまいりました核の問題に対して、これまた福永君は何と言ったか。核のないことは当然であり、核のないことは証明されておると言うが、どこに核のないことが証明されておりますか。佐藤総理とニクソンとの共同声明の中に、日本の立場を了承するからということが書いてある。同時に、ロジャーズ国務長官が、アメリカの上院外交委員会において、返還時においては核はなくなるであろうというような証言をしたということもわれわれは知っておる。しかしながら、諸君、考えてください。核に対する今日までの考え方、今日までの厳然とした事実は一体何であるか。核に対しては、どこにあるとか、これをどこに動かすとか、どうするかということは、アメリカ大統領の専権事項であるということを言われておるでございましょう。一国防長官がかりにそういうことを言ったからといって、それが核撤去の証拠にどこになるか。もし、核撤去が事実であるとするならば、核は置かない、持ち込まない、核はないということ、いつ撤去するということを具体的にニクソン大統領に声明をさせることこそが、政府の責任ではなかったかということである。(拍手)そうしてこそ初めて核の問題は考える余地があるであろうということを私は考える。にもかかわらず、アメリカの役人の、片言隻句とまでは私は申し上げませんが、ことばを信用して、そうしてそういうことであるから核はないのであるというようなことを、おこがましくもこの壇上から申し上げるということについては、きわめて大きな不満を持つことを表明するものでございます。
 同時に、この核問題についても、いかにして今後これが撤去をせられるかということは、この協定の審議の中においては明確になっておらない。この点は最も国民の不満とし、かつ、沖繩住民の最も遺憾とするところでございましょう。同時に、日本国憲法に対してきわめて大きくその威信を侵害するものである。日本国憲法は、御承知のように、戦争をしないという、世界に比類のない憲法を持っておる。その日本において、最も大量殺戮機能を持っておりまするこの核兵器があるということになってまいりますならば、それこそ全くまっこうから憲法を否定するものであるということを言わなければなりません。私は、この核問題については、ことさらにこの問題に対する政府の今日までの態度に不満を持つものでございます。
 同時に、基地の問題にいたしましても同じことである。A、B、Cと三つに分けておりまするが、一体これはどうなるのか。Aで返されるほうは一体どれだけ返されるのか。全部の基地の中の何分の一、〇・二あるいは〇・三ぐらいの機能しか持ってはおらない。B項で返される十二は一体何であるか。これは自衛隊がそこに入って、そのまま使うというのでございましょう。ただ、返るという名前だけであって、実際は返らないのである。
 私はこういうことを考えてまいりますと、ニクソンと佐藤さんとの間に協定されたいわゆる声明書の、沖繩の基地の機能とその性格については何らこれを阻害するものではないということを明確にこの協定が裏書きしておるものであると申し上げてもちっとも差しつかえはない。こういう点をほんとうにひとつ諸君は考えてもらいたい。
 われわれは、次に主張する。VOAの問題は一体どうなっておるか。今度の審議に際して、VOAがどれだけ議論されたか。VOAは、御承知のように、わが党の曽祢君の質問に対して、政府は、一九六六年二月七日のアメリカの下院の軍事委員会において、その報告書の内容に、沖繩の基地がきわめて重要である、その他沖繩には戦略的にきわめて重要な施設がある、たとえばその一つとしてVOAの施設のごときはと、明確に書いてある、このことを外務省のアメリカ局長吉野君は認めたではありませんか。そうだとするならば、このVOAは、アメリカの声というようななまやさしいものではない、明らかにアメリカの戦略的構想であると申し上げても、これまたちっとも差しつかえがないでございましょう。これらの問題が、国内法を改正してまでもどうして認めなければならないのか。
 私は、今日、沖繩と本土が全く同じだという想定のもとにいろいろ議論はされておりまするが、自民党の諸君に考えてもらいたいことは、この一つだけでも、完全に沖繩と本土が同じでございましょうか。私は、電波法あるいは放送法による日本国法律の改正をしなければならないというこの事実とともに、このVOAに対する、本土と全く異なったアメリカの戦略基地を容認するということが言い得るでございましょうか。これで一体本土並みと言い得るかどうか。
 われわれはこういうことを考えますと同時に、具体的に申し上げてまいりまする一、二の事件を言うならば、すなわち、先ほどもお話のございました財産の損失、人命の損失等に対しまする請求権の問題である。ことに、この請求権は二つに分かれておる。一つは、一九四五年の八月十五日以降、一九五二年のサンフランシスコ会議までの間におけるいわゆる彼らの占領当時における被害と、講和条約締結後における被害と、二つの問題を一体どこで解決をしておるのか明確でないでございましょう。一九五二年までの間の、彼らの占領中にあった間の理不尽なる行為、全く人間を人間として認めない彼らの、人的被害、さらに物的被害を一体どうしようというのか。これらの問題の請求権をどうして放棄されるのか。陸戦法規に照らして見てまいりましても、この占領中の被害その他については、当然占領国がこれを補償すべきであるということである。にもかかわらず、これらの問題が放棄されておるという事実は、一体何を物語るか。さらに、一九五二年サンフランシスコ会議以後における沖繩住民のこうむってまいりました損害を一体どこで補償しようというのか。私は、日本の政府が真に今日の沖繩の復帰を考えるならば、この点について、十分に政府の要求する腰がまえがなければならなかったはずである。にもかかわらず、沖繩住民の意見を全く無視して、全くそれらの当然あるべき姿、当然要求しなければならないすべてのものを放棄してまでも、どうして一体こういう協定を結ばなければならなかったのか。その点が今回のこの国会の中において明確にされたでございましょうか。これらの審議はほとんどなされていないと申し上げてもちっとも差しつかえはない。
 次には裁判権である。御承知のように、沖繩には、立法院における裁判所と、民政府の裁判所、さらに軍の裁判所、三つの裁判所がある。この裁判所によって、これを取り上げてまいりました判決、あるいはこれに対しまする科罪あるいは量刑というようなものは、おのおの違うのでありまして、琉球政府における刑法は日本の刑法と全く同じと言っていいほど似ておりまするが、民政府の裁判所が一体どういう法律によってこれを展開しておるか、軍裁判はどういう法律によってこれを展開しておるか、私は、これらの問題を総合いたしてまいりまするならば、このときこそ真に沖繩百万のそうした、誤ったということばを使うか、間違たった裁判のもとに呻吟いたしておりまする同胞を救い出さなければならないということは、当然本土政府の責任でなければならない。しかるにもかかわらず、この裁判権の問題はきわめてあいまいなうちに置かれておるという今回のこの協定の内容、しかもそれらの問題が十分に審議し得なかった実態に対して、一体政府の責任はこれをどうされようとするのか。
 私は、最後に、今日日本の置かれておりまする地位は、いかなる国際的地位にあるのかということを互いに考えたい。
 ニクソン大統領が中共を訪問し、あるいはソ連に飛び、アジアの平和と世界の平和の中に十分にその働きをしようとするときに、したがって、アジアにおけるわが国の置かれておる国際的地位というものは、これらの国々との間に対するでき得るだけの平和と共存のたてまえの上にその外交の方針は立てられなければならない。しかるに、今回のこの協定の背景をなすものは、先ほど事実を二、三申し上げましたが、もう一つの大きな問題は一体何であるか。
 一つは、アメリカのアジアにおける平和のムードをかき立てることのために、沖繩から表面的に撤退するという口実のもとに、アジアにおけるいろいろな国々に対するアメリカの脅威をある程度やわらげようとするアメリカの意図は明確であるということである。このことのために、アメリカがもし考えておるとするならば、その肩がわりとして日本の自衛隊があそこに進出してまいるということになってまいりまするならば、このアメリカの意図の反対の立場に立って日本が、これからアジアの緊張の緩和のためでなく、アジアの緊張激化の一役を買うという結果になりはしないでございましょうか。
 同時に、アメリカが沖繩を放棄するというその一つの裏には何があるか。いわゆる彼らのドル防衛である。理不尽なるアジアにおけるアメリカの軍事行動は、今日までどれだけアメリカの財産を浪費したか。ベトナムの戦争を中心とする毎年毎年のあのおびただしい費用というものは一体どうしたのか。さらに、沖繩を持っておることによって、沖繩の施政権に対する、きわめて少額ではあると思いまするが、アメリカから援助をしなければならない。これを日本に肩がわりすることによってどれだけアメリカの経済が助かるか。今回の沖繩協定の内部にひそむアメリカの意図はここにあるということを知らなければならない。アメリカのドル防衛の一環であると申し上げてもちっとも差しつかえはない。
 私は、これらの問題を十分に審議し、十分に検討し、日本国の国益の上に立って討論をし、検討し、政府またそれに耳を傾けて、よりよい結果を見ることに努力すべきであると考えるのでございます。これらの問題が忘れられてはいなかったか。私は、今回のこの返還協定に対し、これらの問題を十分に審議し、日本の真意を十分にお互いが心を固め合って、そうしてこういう世紀の大事業といわれておるようなものであるとするならば、日本の国会においても、与野党が全く一致の姿において、日本の国益のために、民族の発展のために努力すべきだったということである。(拍手)このことが忘れられて、一党独裁の党利党略のもとに、しかも先ほど申し上げましたように、憲法の二院制度をじゅうりんしてまでもこれを通そうとする自民党の意図に対しては、私は、沖繩島民の怒りはもとより、日本国民全体の怒りであると申し上げてもちっとも差しつかえない。
 その上に、先ほど申し上げましたように、せっかく屋良主席が本協定に対する沖繩の意図を十分に伝えるべく携帯してまいりましたいわゆる建議書が日の目を見なかったという事実は、一体何を物語るか。これは政府にわからなかったはずはない。屋良主席はちゃんと出る前に、総務長官であるとか、総理大臣であるとか、要路の諸君には、このことあることのために面会を申し込んでおったことは事実でございましょう。したがって政府・与党はそれを知っておったはずである。それを知りながら、この屋良君の建議書を退けたという事実は、どう自民党の諸君が抗弁をいたしましても、沖繩の意見は全く聞かないで本問題を強行採決したというそしりを言われましても、これに抗弁する余地は私はないと考える。
 以上のことは、きわめて簡単でございまするが、私ども民社党がこの協定に反対する理由の一端を申し上げて、自民党各位に最大の反省を促すとともに、われわれの態度を明確にする次第でございます。(拍手)
#17
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#18
○議長(船田中君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#19
○議長(船田中君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#20
○議長(船田中君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#21
○議長(船田中君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 三百五十八
  可とする者(白票)      二百八十五
  〔拍手〕
  否とする者(青票)        七十三
  〔拍手〕
#22
○議長(船田中君) 右の結果、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件は委員長報告のとおり承認するに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 本件を委員長報告のとおり承認するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 文男君    相川 勝六君
      愛知 揆一君    青木 正久君
      赤澤 正道君    秋田 大助君
      天野 公義君    天野 光晴君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    有馬 元治君
      井出一太郎君    伊東 正義君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      池田 清志君    池田正之輔君
      石井  桂君    石井  一君
      石井光次郎君    石田 博英君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      稲村 利幸君    宇田 國榮君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    内田 常雄君
      内海 英男君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    江藤 隆美君
      小川 半次君    小川 平二君
      小此木彦三郎君    小沢 一郎君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    大石 八治君
      大石 武一君    大久保武雄君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大西 正男君    大野  明君
      大野 市郎君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 襄治君
      岡崎 英城君    奥田 敬和君
      奥野 誠亮君    加藤常太郎君
      加藤 六月君    加藤 陽三君
      鹿野 彦吉君    賀屋 興宣君
      鍛冶 良作君    海部 俊樹君
      笠岡  喬君    梶山 静六君
      金丸  信君    金子 一平君
      金子 岩三君    亀岡 高夫君
      亀山 孝一君    唐沢俊二郎君
      川崎 秀二君    神田  博君
      菅  太郎君    菅野和太郎君
      木野 晴夫君    木部 佳昭君
      木村 武雄君    木村武千代君
      菊池 義郎君    岸  信介君
      北澤 直吉君    久野 忠治君
      久保田円次君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      小金 義照君    小坂善太郎君
      小坂徳三郎君    小島 徹三君
      小平 久雄君    小峯 柳多君
      小宮山重四郎君    小山 長規君
      小山 省二君    河野 洋平君
      河本 敏夫君    國場 幸昌君
      左藤  恵君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤 孝行君    佐藤 文生君
      佐藤 守良君    斉藤滋与史君
      齋藤 邦吉君    坂田 道太君
      坂村 吉正君    坂元 親男君
      坂本三十次君    櫻内 義雄君
      笹山茂太郎君    始関 伊平君
      椎名悦三郎君    塩川正十郎君
      塩崎  潤君    塩谷 一夫君
      篠田 弘作君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    進藤 一馬君
      菅波  茂君    鈴木 善幸君
      砂田 重民君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      園田  直君    田川 誠一君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田中 六助君    田村  元君
      高鳥  修君    高橋 英吉君
      高橋清一郎君    高見 三郎君
      竹内 黎一君    竹下  登君
      谷垣 專一君    谷川 和穗君
      千葉 三郎君    地崎宇三郎君
      中馬 辰猪君    塚原 俊郎君
      辻  寛一君    坪川 信三君
      渡海元三郎君    登坂重次郎君
      徳安 實藏君    床次 徳二君
      中尾 栄一君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中島源太郎君
      中島 茂喜君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 弘海君    中村 拓道君
      中村 寅太君    中山 利生君
      中山 正暉君    永田 亮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      南條 徳男君    二階堂 進君
      丹羽 久章君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      西銘 順治君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田 武夫君
      野中 英二君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田  孜君
      羽田野忠文君    葉梨 信行君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      服部 安司君    浜田 幸一君
      濱野 清吾君    早川  崇君
      林  義郎君    原 健三郎君
      原田  憲君    廣瀬 正雄君
      福井  勇君    福田 繁芳君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 一臣君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤尾 正行君    藤田 義光君
      藤波 孝生君    藤本 孝雄君
      藤山愛一郎君    古内 広雄君
      古川 丈吉君    古屋  亨君
      別川悠紀夫君    保利  茂君
      坊  秀男君    細田 吉藏君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      前田 正男君    増岡 博之君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松澤 雄藏君    松田竹千代君
      松永  光君    松野 幸泰君
      松野 頼三君    松本 十郎君
      松山千惠子君    三池  信君
      三木 武夫君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    箕輪  登君
      水田三喜男君    水野  清君
      湊  徹郎君    宮澤 喜一君
      武藤 嘉文君    向山 一人君
      村上  勇君    村上信二郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      毛利 松平君    粟山 ひで君
      森  美秀君    森  喜朗君
      森下 國雄君    森下 元晴君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      安田 貴六君    山口シヅエ君
      山口 敏夫君    山崎平八郎君
      山下 元利君    山下 徳夫君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    山本 幸雄君
      豊  永光君    吉田 重延君
      吉田  実君    早稻田柳右エ門君
      綿貫 民輔君    渡部 恒三君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
      渡辺美智雄君
 否とする議員の氏名
      相沢 武彦君    浅井 美幸君
      新井 彬之君    有島 重武君
      伊藤惣助丸君    小川新一郎君
      大久保直彦君    大野  潔君
      大橋 敏雄君    近江巳記夫君
      岡本 富夫君    沖本 泰幸君
      鬼木 勝利君    貝沼 次郎君
      北側 義一君    桑名 義治君
      小濱 新次君    古寺  宏君
      斎藤  実君    坂井 弘一君
      鈴切 康雄君    瀬野栄次郎君
      田中 昭二君    多田 時子君
      鶴岡  洋君    鳥居 一雄君
      中川 嘉美君    中野  明君
      西中  清君    林  孝矩君
      樋上 新一君    広沢 直樹君
      伏木 和雄君    二見 伸明君
      古川 雅司君    正木 良明君
      松尾 信人君    松尾 正吉君
      松本 忠助君    宮井 泰良君
      矢野 絢也君    山田 太郎君
      渡部 一郎君    渡部 通子君
      合沢  栄君    麻生 良方君
      伊藤卯四郎君    池田 禎治君
      今澄  勇君    受田 新吉君
      内海  清君    岡沢 完治君
      春日 一幸君    川端 文夫君
      河村  勝君    寒川 喜一君
      栗山 礼行君    小宮 武喜君
      佐々木良作君    鈴木  一君
      曾禰  益君    田畑 金光君
      竹本 孫一君    塚本 三郎君
      西尾 末廣君    西田 八郎君
      門司  亮君    吉田 賢一君
      吉田 泰造君    吉田 之久君
      和田 耕作君    和田 春生君
      渡辺 武三君
     ――――◇―――――
 非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議案(塚原俊郎君外五名提出)
          (委員会審査省略要求案件)
#23
○議長(船田中君) 塚原俊郎君外五名から、非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議案が提出されました。
 本決議案は、提出の要求のとおり委員会の審査を省略して議事日程に追加するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議案を議題といたします。
#25
○議長(船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。浅井美幸君。
  〔浅井美幸君登壇〕
#26
○浅井美幸君 ただいま議題となりました非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議案につきまして、自由民主党、公明党、民社党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議
 一 政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込まさずの非核三原則を遵守するとともに、沖繩返還時に適切なる手段をもつて、核が沖繩に存在しないこと、ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである。
 一 政府は、沖繩米軍基地についてすみやかな将来の縮小整理の措置をとるべきである。
   右決議する。
以上であります。(拍手)
 言うまでもなく、わが国は、世界で唯一の核被爆国として、核兵器の持つ残虐性の中で数十万の民族のとうとい生命を奪われ、いかなる理由があろうとも、再びその悲惨さをわが民族の上に繰り返し、すべての人類にもたらしてはならないことは、われわれの不変の決意であります。したがって、核兵器については、その目的と理由のいかんを問わず、すべての国における製造はもとより、実験、保有、使用の一切に反対し、核兵器の全廃を目ざすべきことは当然であります。
 政府は、かねてより、核兵器に対し、持たず、つくらず、持ち込まさずという、いわゆる非核三原則を守ることを政策として明らかにしてまいりました。佐藤総理は、本院において、この非核三原則は、沖繩のみならず、わが国のすべての地域に適用されることを言明しているのであります。しかし、これは、あくまでも政府の政策のみで表明されているにすぎず、今日までの事実は、それと異なっているのであります。まさに、核に対する国民の不安や不信の根本原因は、非核三原則が単なる政府の政策のみであったからであります。
 これを院の決議とすることは、きわめて非核三原則を有効なものとすることができると確信するものであります。(拍手)
 また、沖繩返還問題に関しても、核兵器の撤去、その確認、再持ち込みの禁止、核の隠匿などの諸問題につきまして、依然として沖繩県民並びに本土国民の不安を取り除くに至っていないことは、きわめて遺憾であります。
 また一方、国際政治の現実を見ましても、核軍縮、核の全廃を要求する国際世論にもかかわらず、核軍縮は遅々として進まず、核保有国の間では、この人類の願望に逆行し、核軍備拡張競争が行なわれ、再三にわたって核実験が強行されているのであります。
 したがって、一切の核兵器の禁止に対する国民の悲願を体し、単なる可能性を持つ政府の政策としての非核三原則を、国権の最高機関である国会において、核兵器の製造、保有、持ち込み禁止を明確に決議し、国民の総意として内外に鮮明にすることは、きわめて大きな意義のあるものでございます。(拍手)
 かくして、政府は、本院のこの非核決議をわが国の基本政策として、これに基づき、あらゆる措置をとることにより、わが国内外の不安と不信を取り除くべきであります。また、沖繩の本土復帰については、適切な手段方法をもって、沖繩に核及びその戦略施設のないことと、本土復帰後も核を持ち込まない措置をとるべきであります。このことは、核兵器並びに膨大な軍事基地によって常に生命の危険にさらされながら、不安と屈従の生活をしいられてきた沖繩県民の要求にこたえるものであると確信するものであります。
 さらに、わが国が、本決議に基づき、国際政治において、核兵器の全廃への主張と要求を一段と強めることができることは、言うまでもありません。
 次に、沖繩米軍基地の縮小整理についてであります。
 沖繩米軍基地の実態は、基地の中に沖繩があるといわれてきましたとおり、密度においては本土の二百数十倍にも達し、機能においても本土のそれとは比べものにならないものがあります。沖繩返還によっても、何ら米軍の機能を損することなく、米軍基地が継続使用されるとの印象を与えていることは、きわめて遺憾であります。
 平和で豊かな沖繩県の建設は、本土政府並びに国民に課せられた重大な責務であり、佐藤総理みずから、今国会施政方針演説に明らかにされたところであります。しかし、沖繩の重大関心事は、沖繩の米軍基地を整理縮小し、真に平和な県民生活を約束するための基本的な条件を整えるべきことであります。したがって、米軍基地のすみやかな縮小整理を明確にする措置を講じなければならないのであります。
 すなわち、本院において、政府がすみやかに沖繩米軍基地の将来の縮小整理を保証する措置をとるべきことを決議し、その完全なる実施をはかるべきことが、本土復帰にあたって、沖繩県民はもとより、国民の不安を取り除く方途であると信ずるものであります。(拍手)
 この決議は、非核三原則を国の基本方針とし、沖繩返還協定の重大な問題点である核並びに基地問題の解決を補完するものであることを、本院の総意によって確認するものであります。
 何とぞ、全員の御賛同をお願い申し上げまして、提案趣旨の説明にかえます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。海部俊樹君。
  〔海部俊樹君登壇〕
#28
○海部俊樹君 私は、自由民主党を代表して、非核兵器ならびに沖繩米軍基地縮小に関する決議案に対し、賛成の討論を行なうものであります。(拍手)
 この決議案は、去る二十二日、自民党、公明党、民社党の三党の完全なる合意のもとで共同提案せられ、沖繩返還協定特別委員会において、全会一致採択されたものと軌を一にしていることが特色であります。
 わが国の国益にかかわる重要な問題については、与党も野党も良識を持って共通の土俵にのぼり、同じ道を歩き得るという証拠を身をもって示したものであり、(拍手)議会制民主主義に基づく日本の国会において、一部野党の欠席は遺憾でありますが、忘れてはならないできごとであると考えます。(拍手)
 この決議案は、今国会最大の課題である沖繩返還協定の承認を審議する過程から生まれたものでありますが、その前提とする精神は、沖繩を核抜き本土並みで復帰させようとするものであることは疑う余地のないところであります。(拍手)
 以下、決議案の各項目について、簡潔に賛成の理由を申し述べたいと思います。
 第一項は、いわゆる非核三原則を確認し、沖繩返還時に沖繩に核が存在しないことはもちろんのこと、返還後も沖繩に核を持ち込まないことを明らかにするよう、何らかの措置をとるべきことを政府に要望いたしております。
 核をつくらず、持たず、持ち込まさずの非核三原則は、わが国の核政策の中の重要な一つの要素であり、あらためて国会の決議をするまでもなく、国民周知の事実であり、政府も、今日まで、この方針に従って努力を重ねてきたのでありました。
 しかしながら、核の問題は、日本国民にとって特殊な感情を想起せずにはおかない過去の悲惨な記憶のある問題であります。
 いよいよ沖繩の本土復帰にあたって、今日まで米国の施政権下にあった沖繩県民皆さんの中に、不安と疑惑がもしありとするならば、これを取り除くことは、本土にあるわれわれ国会の責任であり、この決議によって、わが国の立場を一そう明確にすることは、核のない沖繩を迎えるにあたって適切な措置であると考えております。(拍手)
 私は、政府がこの期待にこたえること、また、米国政府も理解ある態度を示すことを確信するものであります。(拍手)
 決議案の第二項は、米軍基地の縮小整理の問題についてであります。
 返還時に予想される沖繩の米軍基地の密度の高いことは、今日までの沖繩の置かれた立場からやむを得ざるものがあったとはいいながら、返還の暁には、すみやかな解決を要する問題でもあります。この点は、特別委員会において、再三にわたり、政府より基地の縮小整理への努力を明らかにいたしてはおりますが、あらためて決議をし推進することは、何よりも沖繩百万同胞にとってきわめて有意義であると信じております。(拍手)
 民族の悲願としての沖繩返還協定が先ほどこの議場で承認せられました。戦後長きにわたった沖繩県の皆さんの気持ちを思うとき、まことに喜ばしいことであります。真に沖繩県民の心を心とし、核抜き本土並み復帰を願う者は、必ずこの決議案を支持し、賛成すべきものであると私は考えます。(拍手)
 以上申し上げました理由によって、本決議案に対し、全面的な賛意を表明して、私の討論といたします。(拍手)
#29
○議長(船田中君) 麻生良方君。
  〔麻生良方君登壇〕
#30
○麻生良方君 私は、ただいま提案になりましたこの重要な決議案について、賛成の意向を表明する前に、若干、一人の国民として、一人の意見として所感を申し上げたいと思うのです。
 私は、総理にこの議場を見ていただきたい。この重要な決議案が、本来、日本国民の全体の意思で推進されなければならないにもかかわらず、国会運営の不手ぎわによって、一部野党の議員が欠席したことは、日本人としてまことに残念しごくであります。私は、この責任がだれにあるかをここで問おうとするものではありません。しかし、先ほど、沖繩の返還協定が、自民党諸君の多数の賛成によってきまったのであります。それだけに、私は、一しお日本の将来に対して、この本会議の、この目の前にあるあり方に対して、一まつの不安を抱かないわけにはまいりません。
 私は、総理をはじめとして自民党の幹部諸公、その非がいずれにあるかは別であります、社会党が欠席をしたのが悪いのであると言ってしまえばそれまででありましょう、しかし、議会の運営は、多数をお持ちになっている自民党の諸君の手にある。議長もまた自民党に所属されておる。多数を持たれる諸君、自民党の諸公が、また幹部が、やはり運営上において、もう少しの配慮があったならば、私は、幾ら社会党が阻止であり、あるいは反対であると唱えても、必ずや議場に出るチャンスはあったろうと思います。民主主義というものはあくまで条理を尽くすべきである。そして、社会党がかりに少数であるといえども、その少数の立場を支持している国民がある限りにおいては、時の政府としては、それらをくるめて国民の信にこたえていくべきが当然であります。私は、このような重要な非核三原則の決議案が上程されるにあたって、その時が時、この国会の状況に対して、なお一段と自民党、与党に対して、国会の正常化を御努力あらんことを、初めに特にお願いを申し上げまして討論に入らしていただきたいと思います。(拍手)
 多少、これから申し上げることの中に、総理及び自民党の幹部諸公にとってはお耳ざわりなことばが出るかもしれません。しかし、それは事の成り行きでございますから、御容赦のほどをお願いをしたいのであります。
 いままで、ただいま提案をされた決議案と同種のものが、野党各派から何回となく議院運営委員会に提示をされてきたことは、皆さんも御承知のとおりでありましょう。そうして、そのつど自民党の反対にあって、きょうのこの日まで、それは日の目を見ることができなかったのであります。これは、すでに天下周知の事実である。これは、おそらく総理が国会答弁において、非核三原則は政府の方針であって、院の決議にする必要はないとあなたが繰り返されてきた、その総理のお立場を配慮した自民党のとられた処置であろうと私は推測をしておる。今国会の当初においても、わが党の今澄議員団長からのこの種の質問に答えて、総理は、きわめてそっけなく拒否の答弁を繰り返したことは、総理もお忘れではございますまい。それから一体……。(「民社党あっさりしろよ。」と呼ぶ者あり)何のことですか、そのやじは。この重要な決議案が出ているときに、あっさりやれとは何だ。まじめに聞いてください、まじめに聞いてください。私は、何も民社党だけの党利党略で言っておるのではないのだ。
 ところが、沖繩特別委員会で自民党が突如、先ほど来触れたような理不尽な強行採決を行ない、世論と野党の反撃を受け、国会審議が空白となるや、その打開の一策として、ようやく本決議案に賛成の態度をとられたということは、まぎれもない事実であります。そのとき自民党は一体何を考えたか。単独でも沖繩協定をあげようと考えていたのでありましょう。もし、それが実現をしていたらどうなっておりますか。私は、この姿を見ている国民の立場から強く反省を求めたい。もちろん、あやまちを改むるにはばかることなかれといいますから、私は、結果的には自民党の一歩前進の態度には敬意を表するにやぶさかではありません。しかし、こんなていたらくな国会運営をやっていたのでは、本決議案を党利党略の具に供したと国民から見られても、弁解の余地はないではありませんか。もし総理が本国会に……。(「社会党の代表のようなことを」と呼ぶ者あり)何を、社会党の代表で言っておるのではない。民社党の立場で言っておるのであるから、黙って聞きなさい。
  〔発言する者あり〕
#31
○議長(船田中君) 静粛に願います。
#32
○麻生良方君(続) もし、総理が、本国会の最初から、英断をもって野党の主張をいれ、本決議案の上程にあなたが賛成の意を表されておられましたならば……。
  〔発言する者あり〕
#33
○議長(船田中君) 静粛に願います。
#34
○麻生良方君(続) あるいはこのような変則国会とはならないで、社会党の同志もこれに参加することができたかもしれないのであります。また、協定の審議に対しても、国民は、もっと明るい気持ちでこれを見守ることができたでありましょう。そして、とどのつまり、いまのような発言もなく、きわめてスムーズに沖繩審議が続けられていたでありましょう。
 今日、わが国の将来を決するかかる重大な決議案が、野党一党たる社会党の欠席のままで審議されることは、重ねて申し上げますが、私個人としても、一国民としても、まことに残念であります。欠席した社会党の態度もさることながら、それにも増して、本院運営の責任を持つ総理をはじめ政府・自民党幹部に、もう一度繰り返して、必ず将来において、この決議案に、欠席している議員諸公も賛成する処置をぜひおとりをいただきますように、私は心からお願いを申し上げたいのであります。(拍手)
 さて、以上申し上げた上で、あらためて私は、本決議案に賛成の意を表したいと思う。
 言うまでもなく、わが国は、アメリカの原爆の最初の洗礼を受けた唯一の国であります。戦争そのものの悲惨さは当然のことでありますけれども、原爆の恐怖は、言語に絶するものがあります。あの戦後に歌われた、「三たび許すまじ原爆を」という原爆の歌は、そのまま日本国民全体の悲願であるばかりでなく、いまや全人類の悲願になりつつあります。今日、本院において、全国民注視のもとに本決議案が採択されることの意義は、まさにはかり知れないほど大きなものがあるといわなくてはなりません。私は、いま、願わくは、本院のこの決議を出発点として、全世界に核兵器がなくなる日の一日も早からんことを国民とともに願わずにはいられないのであります。
 しかし同時に、われわれは、現実から目をそむけるわけにはまいりません。大切なことは、本決議案をわれわれは単なる自己満足と感傷からだけ受けとめてはならないということであります。
 佐藤総理が、従来しばしば繰り返した政府の基本方針としての非核三原則と、いま院の決議によってそれを行なうこととの間には、その本質を大きく異にするものがあることを知らなければなりません。前者にとどまる限り、諸外国から見れば、いつ日本の政府の代表者がかわって、日本がみずから核を持つようになるかもわからないという懸念が持たれるのはやむを得ないことと言えるでありましょう。現に、日本の政界の中にも、核を持つことについて日本はフリーハンドであるべきという有力な意見があることも事実であります。つまり、政策的非核方針は、それ自体決して不変のものではないのであります。確かに、核保有を単なる外交交渉の一つの武器として使うつもりなら、保有について日本が絶えずフリーハンドの立場にあるほうが、より有利であるという見方も当然ここに生まれてくるはずであります。現に、われわれの核の全廃のアピールにもかかわらず、核を持つ国々は依然として核実験をやめるどころか、米中両国は世界の世論を退け、それぞれ、つい最近その実験に踏み切ったばかりであります。
 また一方では、米ソ両国は、自国の核保有を前提とした核拡散防止条約を起草し、日本政府もすでにそれに調印済みであり、近く本院にもその批准が迫られることになるでありましょう。本来、自分の国も核を捨てるからおまえの国も核を捨てよ、というなら筋が通ります。しかし、この条約は、全くその逆であります。まさに大国のエゴイズムそのものと批判しても言い過ぎではないでありましょう。中国が、この大国主義に対抗するために核開発を急いでいる事情は、日本としてはとうてい賛成できがたいことではあるが、しかし、ある意味においてはうなずかれるものがあるといわなくてはなりません。
 かつて、私とアメリカのある上院議員との対話の中で、安全保障の問題から核拡散防止条約に触れたとき、私は、もしアメリカが、日本に核を持つなと言うなら、道は二つしかないと答えたことがあります。その一つは、アメリカも含め、核を持つすべての国々が直ちに核兵器を捨てる道であり、他の一つは、核を持つ国々が共同して、核を持たない国々の安全と核エネルギーの平和利用に完全なる保障を与える道である、と。残念ながら、今日の核拡散防止条約は後者の道に通ずるものでありますが、その完全な保障はいまだに実現されてはおらないのであります。
 このような国際情勢にもかかわらず、あえてわれわれが本院において、核保有についてのフリーハンドの立場を捨て、本院の名において非核三原則を採択するゆえんは、原爆の洗礼を受けた日本のみが自覚し得る真の国際平和確立への悲願からと考えなければなりません。(拍手)
 われわれはまた、本決議案が沖繩返還協定とともに本院において審議されることに新たな意義を見出すものであります。沖繩の返還が真にこの決議案の意に沿ったものになるかどうか、また、政府は今後この決議案の精神を踏まえ、アメリカとの間に核持ち込み禁止の協約を、総理、あなたが結び得るかどうか。もし政府・自民党が、冒頭に私が申し上げたように、本決議案の取り扱いが決して党利党略からではないと言われるなら、いまこそ誠意をもってその実現をはかるべきでございましょう。
 終わりにあたりまして、私は、日本の安全保障のあり方について、一言所感を申し述べておきたいと思います。
 本論において述べましたとおり、本決議案が本院において採択された以上、日本の安全保障のあり方は、全く新たな角度から考えるときが来ていると見なければなりません。特に、核拡散防止条約に調印している日本としては、当然アメリカ一国の核の抑止力だけにたよることは、むしろ今後危険とさえ言えるのであります。
 すでに、中ソの離反、米中の接近によって、アジアにおけるイデオロギーの対立は解消の方向に向かいつつあります。また、それとともに、従来のアジアの平和をささえていたいわゆる西と東のバランス・オブ・パワーも大きく変わろうとしているのであります。日米安全保障条約、中ソ同盟条約、米台、米韓軍事同盟等の中身が実質的に空文化されつつある事実をわれわれは明確に認識しなければなりません。このような情勢の中で、日本のみが依然として日米安保体制だけにたよっていたのでは、やがてはアジアの孤児になりかねないのであります。
 この際、本決議案が本院で採択されるのを機会に、政府もまた、従来の行きがかりにとらわれることなく、非核三原則を持つ日本として、き然とした態度をもって日米安保体制を再検討し、進んで中ソ両国を含めた新しいアジアの平和体制確立のリーダーシップをとられんことを強く要望いたしまして、本決議案に賛成の意を表したいと思います。(拍手)
 以上をもちまして、私の討論は終わります。(拍手)
#35
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)
 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣佐藤榮作君。
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#37
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 一言申し述べます。
 非核三原則を遵守することは、私がすでに繰り返し申し述べているところでありますが、本日、本会議における決議の採択にあたり、政府として非核三原則を遵守する旨、あらためて厳粛に声明するものであります。(拍手)
 今般の決議の趣旨にかんがみ、返還時に沖繩の核抜きがさらに明らかになるよう、適切な措置を考究したいと存じます。
 また、核の持ち込みに関しましては、本土、沖繩を問わずこれを拒否することは、政府が従来より明らかにしている政策でありまして、この機会に、さらにあらためてこれを確認するものであります。(拍手)
 沖繩における米軍基地の整理縮小につきましては、復帰後すみやかに実現できるよう、現在からこの問題に真剣に取り組む方針であります。
 以上、政府の所信を申し述べまして、ただいまの決議におこたえをしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
#38
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 西村 直己君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
ソース: 国立国会図書館
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