くにさくロゴ
1971/12/24 第67回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第27号
姉妹サイト
 
1971/12/24 第67回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第067回国会 本会議 第27号

#1
第067回国会 本会議 第27号
昭和四十六年十二月二十四日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十六年十二月二十四日
    午前十時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 会期延長の件
 佐藤内閣不信任決議案(成田知巳君外十名提
 出)
    午後三時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 会期延長の件
#3
○議長(船田中君) 会期延長の件につきおはかりいたします。
 本国会の会期を十二月二十七日まで三日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。(発言する者あり)
 本件につき討論の通告があります。これを許します。斉藤正男君。
  〔斉藤正男君登壇〕
#4
○斉藤正男君 私は、日本社会党、公明党並びに民社党を代表し、ただいま議題となりました今国会会期延長に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 最近の国会は、常会、臨時会を問わず、与党の党利党略によって、一方的に大幅な会期の延長が行なわれることが通例のようになってしまいました。このことは、国会審議のあり方から見て、きわめて重大な問題だと思うわけであります。
 国会の会期は、相撲でいうならば土俵であります。相撲取りがあの手この手を使い勝負を争うとしても、それは土俵内のことであります。土俵の広さは最低のルールであり、このことは、国会においては会期内にすべての案件の審議を終了すべきであって、会期の延長などは例外であるということなのであります。したがって、国会法第十二条二項は、「会期の延長は、常会にあっては一回、特別会及び臨時会にあっては二回を超えてはならない。」と規定をし、会期の延長に対し、明らかに制限のワクをはめているのであります。
 特に今国会のように、早くから会期の延長を予定し、通常国会もぎりぎりの二十九日まで召集を延期し、沖繩関係法案の成立をはかろうとする意図は、多数を頼み、見せかけの審議を行なうことにより、議会の機能をまっこうから否定し、数を頼んだ自民党の暴挙といわざるを得ないのであります。(拍手)
 現行憲法のもとにおける会期の設定の意味は、戦前の帝国議会のそれとは本質的に異なり、行政権の優位と多数独裁によって議会を形式的な投票機関化しようとする野望に対し、歯どめをする重要な意義を認識しなければなりません。また、多数にあぐらをかいた専横な行政権によって提出された法案を議会が十分にチェックをし、議会審議と批判を通じて内容を整理していくことも重要な任務であります。
 これまでの会期延長は、常に内閣の方針あるいは政策を強行するために多数によってしゃにむに行なわれてまいりました。その延長の理由は、大部分が反動法案の通過、成立をはかったものばかりであります。第十九国会における当時の堤議長の、指二本で二日間の延長の例に代表されますように、政府・与党の戦術的、党略的引き延ばしがそのほとんどであります。いまだ討議が熟していないからではなく、反国民的案件を強行通過させるために議会を形式化し、多数を頼んで通過を強行することによって、議会の立法機能そのものを麻痺させることにあったのであります。これは例をあげるまでもなく、定員法、破防法、スト規制法、警職法、政防法、安保条約など、最近に至るまでその事例には枚挙にいとまがないのであります。
 今回の会期延長もその例外ではありません。表向きは低姿勢をとりながら、本音とたてまえを巧みに使い分け、なしくずしに会期延長を行ない、沖繩関連法案を中心とする反国民的諸立法を押し切ろうとするものであることは、だれの目にも明らかなのであります。(拍手)
 史上最低の支持率に落ちた佐藤内閣、特に佐藤総理は、恥も外聞もなく沖繩国会にその政治生命をかけたといわれております。今国会に臨む佐藤総理の心境は、信念がいつの間にか執念になり、その執念も最近では怨念にまでなったといわれるのであります。(拍手)国語辞典によりますと、執念とは、かたく思い込んで動かない心、信念とは、かたく信じて疑わない心、怨念とは、恨みの思いを込めた不動の心と解釈をされております。(拍手)今国会中、沖繩案件審議促進のために、なりふりかまわず二人の大臣のなま首を切り、しかばねを乗り越えて、なお立ち向かう総理の身辺には、妖気さえ漂い、不吉な予感を感ずるものであります。(拍手)
 総理の姿はまさに怨念そのものであります。佐藤総理は、この怨念を国会や国民に向けるのでなくて、なぜアメリカに向けないのでありますか。協定並びに関連法案に沖繩の心をもっともっとくみ込んだならば、会期の延長などは全く問題にならなかったと思うのであります。本末を転倒し、すりかえとすれ違いの答弁にあえて終始をし、事実をひた隠しにしようとしたところに問題があるのであります。
 すでに与党自民党は、沖繩協定の審議において重大な前科を犯したのであります。重要な野党の質問には、沖繩県民はもちろん、全国民を納得させる答弁が何一つできなかったではありませんか。わが党楢崎議員の岩国基地における核兵器問題を追及されるや、理不尽にも委員会強行採決を行ない、その上参議院の存在をも無視し自然成立をねらった暴挙は、二重三重の犯罪行為であり、憲政史上消すことのできない汚点を残したことは、きびしく糾弾されなければなりますまい。(拍手)
 十一月十七日午後三時十五分、協定特別委員会におけるやみ討ち的強行採決、それからまるまる六日間の空転空白、二十四日の変則本会議、そして二十六日の正副議長不信任決議案の審議終了まで、前後十日間を費やしたのであります。強行採決を避け、慎重審議を続けたとしたら、この事態もまた避けることは確実にできたのであります。
 その後、参議院における協定の審議、あるいは衆参両院における関連法案の審議が深まるにつれて、協定や法案の問題点が克明に浮き彫りされ、沖繩県民はもちろんのこと、全国民から疑問点の解明と法案の撤回、交渉のやり直しが強く要求されております。憲法違反のかたまりとまでいわれる沖繩軍用地収用法案、屈辱的な対米請求権の放棄、国内法まで改悪をしたVOA放送、沖繩県民が強く反対する自衛隊の派遣などなど、何一つとして納得のいく答弁と説明は聞かされていないのであります。(拍手)
 事実、百万沖繩県民は、協定と関連法案の危険な内容に憤激し、第三の琉球処分だ、再び差別の歴史を繰り返すなと強い反対の声をあげているではありませんか。このような法案を、会期まで延長し、多数を頼んで強行成立させようとする態度は、まさにファッショであり、沖繩県民及び日本国民の悲願を踏みにじり、歴史的な憲政史上の汚点をさらに大きくし、その傷口を深める以外の何ものでもありません。(拍手)
 政府並びに与党自民党は、国民の疑惑を払い、ほんとうに沖繩県民の平和と福祉を実現し、長年の御苦労に報いるために、関連法案を練り直し、あらためて通常会に再提出することを強く要求するものであります。そのことなしに、党利党略がまかり通り、会期の延長が実現するようなことになれば、国民の政治不信、国会軽視の風潮はさらに高まり、本院みずからが議会の権威と機能を放棄し、自殺行為にもひとしいあやまちをおかすことになりかねないのであります。
 そもそも、今国会の会期は、六十日を予定されたものが、むしろ野党の要求によって七十日になった経緯もあります。政府は、この際、国民が不安と期待をもって見守っている来年度予算を年内に編成し、円切り対策を確立をして、国民の期待にこたえるべきでありましょう。
 以上、きわめて簡単でありましたけれども、会期延長反対の理由を申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
#5
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。会期を十二月二十七日まで三日間延長するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#6
○議長(船田中君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#7
○議長(船田中君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#8
○議長(船田中君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#9
○議長(船田中君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 四百二十六
  可とする者(白票)       二百五十五
  〔拍手〕
  否とする者(青票)        百七十一
  〔拍手〕
#10
○議長(船田中君) 右の結果、会期は三日間延長するに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 本国会の会期を十二月二十七日まで三日間延長するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 文男君    相川 勝六君
      青木 正久君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    天野 公義君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    有馬 元治君
      井出一太郎君    伊東 正義君
      伊能繁次郎君    池田 清志君
      池田正之輔君    石井  桂君
      石井  一君    石田 博英君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      稲村 利幸君    宇田 國榮君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    内田 常雄君
      内海 英男君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    遠藤 三郎君
      小川 半次君    小川 平二君
      小此木彦三郎君    小沢 一郎君
      小澤 太郎君    小沢 辰男君
      小渕 恵三君    大石 八治君
      大石 武一君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大西 正男君
      大橋 武夫君    大村 襄治君
      岡崎 英城君    奥田 敬和君
      奥野 誠亮君    加藤常太郎君
      加藤 六月君    加藤 陽三君
      賀屋 興宣君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    笠岡  喬君
      梶山 静六君    金子 一平君
      金子 岩三君    亀岡 高夫君
      亀山 孝一君    鴨田 宗一君
      唐沢俊二郎君    仮谷 忠男君
      神田  博君    菅  太郎君
      菅野和太郎君    木部 佳昭君
      木村 武雄君    木村武千代君
      木村 俊夫君    菊池 義郎君
      岸  信介君    北澤 直吉君
      久野 忠治君    久保田円次君
      鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君
      倉石 忠雄君    倉成  正君
      藏内 修治君    小金 義照君
      小坂徳三郎君    小島 徹三君
      小平 久雄君    小峯 柳多君
      小宮山重四郎君    小山 省二君
      河野 洋平君    國場 幸昌君
      左藤  恵君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 榮作君
      佐藤 孝行君    佐藤 文生君
      佐藤 守良君    齋藤 邦吉君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      坂元 親男君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    始関 伊平君
      椎名悦三郎君    塩川正十郎君
      塩崎  潤君    塩谷 一夫君
      篠田 弘作君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      進藤 一馬君    菅波  茂君
      鈴木 善幸君    砂田 重民君
      砂原  格君    瀬戸山三男君
      關谷 勝利君    園田  直君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      田中 六助君    田村  元君
      田村 良平君    高鳥  修君
      高橋 英吉君    高橋清一郎君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    谷垣 專一君
      谷川 和穗君    千葉 三郎君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    中垣 國男君
      中川 一郎君    中島源太郎君
      中島 茂喜君    中曽根康弘君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 弘海君    中村 拓道君
      中村 寅太君    中山 利生君
      中山 正暉君    永田 亮一君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      丹羽 久章君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      西銘 順治君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田 武夫君
      野中 英二君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田  孜君
      羽田野忠文君    橋口  隆君
      橋本登美三郎君    橋本龍太郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      八田 貞義君    服部 安司君
      浜田 幸一君    濱野 清吾君
      早川  崇君    林  義郎君
      原 健三郎君    原田  憲君
      廣瀬 正雄君    福井  勇君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 一臣君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤尾 正行君    藤波 孝生君
      藤本 孝雄君    藤山愛一郎君
      古内 広雄君    古屋  亨君
      別川悠紀夫君    保利  茂君
      坊  秀男君    細田 吉藏君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      前田 正男君    増田甲子七君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田竹千代君    松永  光君
      松野 幸泰君    松野 頼三君
      松本 十郎君    松山千惠子君
      三池  信君    三ツ林弥太郎君
      三原 朝雄君    箕輪  登君
      水田三喜男君    水野  清君
      湊  徹郎君    宮澤 喜一君
      武藤 嘉文君    向山 一人君
      村上  勇君    村上信二郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      毛利 松平君    粟山 ひで君
      森  美秀君    森下 國雄君
      森田重次郎君    森山 欽司君
      山口 敏夫君    山崎平八郎君
      山下 元利君    山下 徳夫君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    山本 幸雄君
      豊  永光君    吉田 重延君
      吉田  実君    早稻田柳右エ門君
      綿貫 民輔君    渡部 恒三君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
      渡辺美智雄君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    阿部未喜男君
      赤松  勇君    井岡 大治君
      井野 正揮君    井上 普方君
      石川 次夫君    石橋 政嗣君
      上原 康助君    卜部 政巳君
      江田 三郎君    大出  俊君
      大原  亨君    岡田 利春君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    川崎 寛治君
      川俣健二郎君    川村 継義君
      木島喜兵衞君    木原  実君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      黒田 寿男君    小林 信一君
      小林  進君    後藤 俊男君
      河野  密君    佐々木更三君
      佐藤 観樹君    佐野 憲治君
      斉藤 正男君    阪上安太郎君
      島本 虎三君    下平 正一君
      田中 武夫君    田中 恒利君
      田邊  誠君    高田 富之君
      武部  文君    楯 兼次郎君
      千葉 七郎君    辻原 弘市君
      土井たか子君    堂森 芳夫君
      内藤 良平君    中井徳次郎君
      中嶋 英夫君    中谷 鉄也君
      中村 重光君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    西宮  弘君
      芳賀  貢君    長谷部七郎君
      畑   和君    華山 親義君
      原   茂君    日野 吉夫君
      平林  剛君    広瀬 秀吉君
      藤田 高敏君    古川 喜一君
      細谷 治嘉君    松浦 利尚君
      松沢 俊昭君    松平 忠久君
      松本 七郎君    三木 喜夫君
      三宅 正一君    美濃 政市君
      八百板 正君    八木  昇君
      安井 吉典君    柳田 秀一君
      山口 鶴男君    山中 吾郎君
      山本 幸一君    山本 政弘君
      山本弥之助君    横路 孝弘君
      横山 利秋君    米田 東吾君
      相沢 武彦君    浅井 美幸君
      新井 彬之君    伊藤惣助丸君
      小川新一郎君    大久保直彦君
      大野  潔君    大橋 敏雄君
      近江巳記夫君    岡本 富夫君
      沖本 泰幸君    鬼木 勝利君
      貝沼 次郎君    北側 義一君
      桑名 義治君    小濱 新次君
      古寺  宏君    斎藤  実君
      坂井 弘一君    鈴切 康雄君
      瀬野栄次郎君    田中 昭二君
      多田 時子君    鶴岡  洋君
      鳥居 一雄君    中川 嘉美君
      中野  明君    西中  清君
      林  孝矩君    樋上 新一君
      広沢 直樹君    伏木 和雄君
      二見 伸明君    古川 雅司君
      正木 良明君    松尾 信人君
      松尾 正吉君    松本 忠助君
      宮井 泰良君    矢野 絢也君
      山田 太郎君    和田 一郎君
      渡部 一郎君    渡部 通子君
      合沢  栄君    麻生 良方君
      伊藤卯四郎君    池田 禎治君
      今澄  勇君    受田 新吉君
      内海  清君    岡沢 完治君
      春日 一幸君    川端 文夫君
      河村  勝君    寒川 喜一君
      栗山 礼行君    小宮 武喜君
      佐々木良作君    曾禰  益君
      竹本 孫一君    塚本 三郎君
      西田 八郎君    門司  亮君
      吉田 賢一君    吉田 泰造君
      吉田 之久君    和田 耕作君
      和田 春生君    渡辺 武三君
      青柳 盛雄君    浦井  洋君
      田代 文久君    津川 武一君
      寺前  巖君    土橋 一吉君
      林  百郎君    東中 光雄君
      不破 哲三君    松本 善明君
      山原健二郎君    安里積千代君
      瀬長亀次郎君
     ――――◇―――――
 佐藤内閣不信任決議案(成田知巳君外十名提出)      (委員会審査省略要求案件)
#11
○藤波孝生君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、成田知巳君外十名提出、佐藤内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#12
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 佐藤内閣不信任決議案を議題といたします。
#14
○議長(船田中君) 提出者の趣旨弁明を許します。成田知巳君。
  〔成田知巳君登壇〕
#15
○成田知巳君 私は、日本社会党、公明党並びに民社党を代表し、ただいま議題となりました佐藤内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明し、同僚各位の全面的な御賛同を得たいと存じます。(拍手)
 まず、決議文を朗読いたします。
    佐藤内閣不信任決議案
  本院は、佐藤内閣を信任せず。
   右決議する。
  〔拍手〕
 佐藤総理は、本臨時国会での所信表明演説の中で、国際秩序は戦後体制のワクの中では処理しきれなくなったと告白されておりますが、国際秩序はもちろんのこと、国内秩序、国内政治も、戦後体制、すなわち佐藤体制のワク内でもはや処理できなくなっていることは、国民多数のひとしく認めるところであります。(拍手)
 内閣不信任の理由は、お手元に配付の文書に記載のとおりでありますが、本決議案は、いわば国民の名による佐藤内閣退陣を要求する冷厳なる告発状というべきであります。(拍手)
 以下、告発の理由を順を追うて御説明いたします。
 その第一は、佐藤内閣の今日までの外交、防衛政策は、異常なまでの失敗と挫折の連続であり、日本の平和、安全、繁栄を願うわれわれにとって、佐藤内閣の存在は、もはや一日といえども許されないということであります。(拍手)
 御承知のとおり、国連総会でアルバニア決議案が圧倒的多数で可決され、中華人民共和国の国連における合法的権利の回復が実現されましたが、これは、真理は必ず自己を貫徹するということ、時計の針はさかさに回すことはできるが、時の流れをさかさに回すことはできないことを示す歴史的な事実であります。(拍手)
 総理、あなたは、この歴史の必然を洞察することができず、いわゆる国府擁護のため、知能犯よろしく、逆重要事項指定決議案なるものを考え出し、なりふりかまわず中国の国連における合法的権利回復の妨害工作に狂奔しましたが、その結果は、国際世論からきびしい審判を受け、むざんな敗北に終わったのであります。(拍手)にもかかわらず、総理は、国連における表決の結果は自分の政治責任とは関係はないと言い張ってこられました。国際情勢の変化に正しく対応できず、国辱ともいうべき重大な誤りをおかしてなお責任なしと言う総理は、一体何をもって責任をとろうとしておられるのでしょうか。(拍手)佐藤総理の辞書には責任という文字はないとしか考えられません。
 言うまでもありませんが、結果に対する責任よりも手続を尊重するのが、官僚の常であります。政治家は、官僚と異なり、その行動が善意に出たものであっても、また、手続に欠けるところがなくとも、結果に対し責任をとることに敏感であり、勇気がなければなりません。(拍手)責任をとることに鈍感であり、ひきょうである佐藤総理は、政治家としての最も大切な資格を欠く人だと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 もちろん、佐藤内閣を不信任するゆえんは、国連での表決に敗れたからというだけではございません。むしろ、より大きな理由は、日本外交の最大課題である日中国交回復を佐藤内閣に期待することは、すでに絶望的になったということ、いや、佐藤内閣の存在は、日中国交回復にますます大きな障害をもたらす以外の何ものでもないということであります。(拍手)
 かの悪名高い保利書簡が中国側からきびしく拒絶されたことでもわかるように、いわゆる日華条約を廃棄しないで中国との国交回復の実現が絶対にあり得ないことは、いまや国民の常識となっております。数日前調印された日中覚書貿易協定の共同声明も、この点を重ねてきびしく指摘しております。もともと、日華条約なるものは、全面講和か単独講和かの岐路に立たされたとき、ダレスの圧力に屈し、国際共産主義の亡霊に引きずり回された吉田総理が、重大な選択上の誤りをおかした結果の産物であります。その吉田総理も、さすがに事の重大性を知ってか、日華条約を限定的なものにしようとしたことは、吉田書簡のみならず、条約第六条並びにその交換公文で明らかであります。にもかかわらず、日華条約の締結で中国との戦争状態は終わったとの政府解釈を固定化し、国府を中国を代表する唯一の政権とみなすという最大の虚構をつくり上げたのが、佐藤総理、あなたであります。(拍手)その総理も、国連から国府が完全に追放されるや、日華条約の基礎はくずれたと今日は認められておりますが、基礎というより、条約の内容そのものがくずれ去ったのであります。だとすれば、日華条約を廃棄し、名実ともにこれを消滅させることは、政府の条約論としても当然過ぎるほど当然のことであります。(拍手)私は、総理が日華条約は廃棄しないとかたくなに主張されるのを聞くにつれ、つくられた虚構のとりこになり、日本民族の将来のために中国政策を転換しようとする一片の意思ももはや総理はお持ちにならないと、残念ながら断定せざるを得ないのであります。(拍手)
 総理は、口を開けば平和、国益、信義を強調されます。総理の言う信義とは、蒋介石個人に対する小さな信義であります。満州事変以来十五カ年間にわたって中国大陸を侵略し、人的、物的に言語に絶する損害を与えたわれわれが果たさなければならない信義とは、中国八億の人々に対する信義でなければなりません。(拍手)この大きな信義と小さな信義を混同するほど国を誤るものはございません。日華条約を廃棄し、中国八億の国民がみずからを代表する唯一の正統政府として支持している中華人民共和国政府と平和条約を結ぶことにより、初めて日中間の戦争状態は終わり、われわれの信義も果たされるのであります。それこそ、総理の言う、日本の平和と国益にかなう道にほかなりません。
 われわれは、平和、信義、国益を願うがゆえに、平和に背を向け、信義に反し、国益にもとった外交路線を固執してきた佐藤内閣の退陣を、国民の名において強く要求するものであります。(拍手)
 佐藤内閣告発の第二は、沖繩問題についてであります。
 政府・自民党は、沖繩返還協定の強行採決、いや、採決の名にも値しない暴挙をあえてやってのけました。沖繩国会の成り行きいかんは、議会制民主主義に対する国民のぎりぎりの信頼感を左右するものとして、民主的な徹底的審議が強く望まれていましたが、その国民の期待もついに自民党の手によりむざんに打ちこわされたのであります。(拍手)この議会制民主主義を圧殺する自民党の暴走をなぜ総理は許されたのか、その答えはまことに簡単であります。
 すなわち、沖繩返還協定審議の経過が明らかに示すように、これ以上審議を続けるならば、返還協定の欺瞞性がますます国民の前に明らかになり、佐藤内閣の命取りにもなりかねないことをおそれたためであります。(拍手)
 言うまでもありませんが、返還協定は、その前文の示すように、佐藤・ニクソン共同声明を基礎にし、それを条約化したものであります。この共同声明第八項には、核兵器持ち込みについて、「日米安保条約の事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく、」と明記されております。当時、ジョンソン国務次官は、その背景説明として、「特別の事態に際しアメリカがもし必要と認めれば日本と事前協議を行なうというアメリカの権利を慎重に保留しております。しかも、このことが核兵器に適用されることは明確であり、その協議で日本の答えがいかなる場合においてもノーであることを前提としているわけではありません」と述べております。さらに、「それは単に沖繩に関して適用されるだけでなく、日本本土東南部の基地に関しても同様に適用される」と、特につけ加えております。
 総理は、今日まで、ジョンソンの背景説明よりも、核の持ち込みは絶対認めないという自分の言うことを信用してもらいたいと言い続けてまいりました。しかし、みずからの主張を国民に押しつける前に、国民の疑惑を解くために、まずジョンソンのこの重大発言に抗議し、その取り消しを要求するのが、日本国総理の国民に対する当然の責任だといわなければなりません。(拍手)また、絶対に核持ち込みを認めないというならば、事前協議の対象から核持ち込みをはずすのが、論理の当然の帰結であります。
 この核についての事前協議の問題といい、また、沖繩から核を撤去するといいながら、その点検、調査はできないというなど、全く国民に理解しがたい態度を総理がなぜとられるのか。この国民の疑問は、われわれ野党の追及により、そのよって来たるところが明らかにされたのであります。
 私どもは、沖繩の核撤去問題もさることながら、その前にすでに本土へ核兵器が持ち込まれているとの重大疑義を、具体的資料に基づいて指摘しました。さらに、核兵器部隊のみならず、生物化学兵器部隊の配備についての重大な疑惑を示す米軍電話帳が岩国基地で使われておるという事実も明らかにしました。特に、核問題の中心は、現実に核兵器の持ち込みがあったかどうかということよりも、システムとして核配備の体制があるかどうかにあることを考えるとき、われわれの、いや、国民の不安と疑惑が高まるのは当然だといわなければなりません。(拍手)
 これに対する政府の答弁は、アメリカが核兵器を持ち込んでいないと言っているからこれを信用しろ、と言うにすぎません。しかも、政府は、われわれの当然の要求である現地調査さえ拒否されたのであります。
  〔発言する者あり〕
#16
○議長(船田中君) 静粛に願います。
#17
○成田知巳君(続) これが裁判ならば、政府に黒の判決が下ることは……
  〔発言する者あり〕
#18
○議長(船田中君) 不規則発言は慎んでください。
#19
○成田知巳君(続) 間違いないといわなければなりません。
 総理、あなたが国民に公約し続けてきた、核はつくらず、持たず、持ち込まないといういわゆる非核三原則は、すでに破られていると国民が考えても、それは当然ではないでしょうか。
 また、共同声明第四項には、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要であり、台湾における平和と安全の維持も日本の安全にとって重要な要素である」とうたっております。これを受けて、総理は、ワシントンでの演説で、万一韓国に対して武力攻撃が発生し、これに対応するため、米軍が日本国内の施設、区域を発進基地として使用しなければならない場合には、日本政府としては、事前協議に対して積極的かつすみやかに態度を決定する方針であり、台湾についても同様の措置をとることを米国に約束しておられるのであります。
 これは、沖繩のみならず、日本本土の基地から米軍が韓国、台湾へ直接戦闘作戦行動をとることを事前協議で認めるということであります。ノーの事前協議からイエスの事前協議への重大な変質であり、安保条約のアジア安保、核安保への拡大強化にほかなりません。もしそうでないと言われるならば、まず、総理は、公式にみずからの演説を取り消すのが政治家としての責任ある態度だと思います。(拍手)
 最近、総理は、われわれの追及にあって、共同声明中の韓国、台湾に触れた項は一言多かったと国会で答えておられますが、一言多かったで済まされる問題ではございません。事は、日本とアジアの平和と安全にかかわる重大問題であります。問題の沖繩返還協定は、総理の言う一言多かったその共同声明を基礎としてつくられたものであります。だとすれば、あやまちをあやまちとし、当然、返還協定のやり直しを米国に求めるのが、日本国総理としてのあなたの国民に対する責任ではないでしょうか。(拍手)
 にもかかわらず、総理は、自民党による協定の強行採決という暴挙をあえて許されました。さらにまた、返還協定の実質をなす関連国内法案が会期中に成立困難と見るや、ただいま……
  〔発言する者あり〕
#20
○議長(船田中君) 静粛に願います。
#21
○成田知巳君(続) 会期延長を多数の力で押し切られたのであります。言うこととなすことの不一致、これよりはなはだしいものはございません。目的のためには手段を選ばぬ陰湿なマキャベリストとしての総理の政治姿勢を、国民とともに、きびしく指弾するものであります。(拍手)
 さらに、総理は、自衛隊の沖繩への大量派遣を米国に約束して、日米共同作戦体制を強化するとともに、ニクソン・ドクトリンに基づき、アメリカの極東戦略を肩がわりし、日本自身のアジア進出、軍国主義復活の道を推し進めようとしております。そのために、政府は、異例中の異例である土地収用法の内容をさらに改悪し、私権保護のための一切の有効な手続を省略した公用地等の暫定使用法をつくって、沖繩県民から土地を強奪しようといたしております。まさにこれは沖繩県民に対する差別と挑戦であり、かつてその前例を見ないような違憲立法であって、断じて許すことはできません。(拍手)
 沖繩の人々は、次のように言っております。返還協定により基地が縮小、撤去されないということは、沖繩県民にとって、復帰により事態が少しもよくならないということである、しかし、自衛隊が派遣されるということは、復帰により事態が今日より一そう悪くなることだ、と語っております。沖繩県民の歴史的体験から出たこのことばを聞くにつけても、本土のわれわれは、沖繩問題とは何なのかという原点に立ち戻って、みずからに問い直してみなければなりません。
 薩摩藩時代の琉球の収奪、明治の琉球処分はしばらくおくとしても、ごく最近の歴史においても、本土のわれわれは沖繩県民に対して二度まで恥ずべき裏切り行為をしておることを忘れてはなりません。
 その第一は、祖国防衛の名のもとに、あの悲惨な沖繩戦争を強要したということであります。その第二は、国際法上不法不当のサンフランシスコ平和条約第三条により、沖繩県民を本土から切り離し、自来今日まで、異民族支配のもと、沖繩県民に無権利と差別の生活をしいてきたということであります。(拍手)
 このなまなましい歴史の教えるところは、沖繩県民の悲願にこたえて、核も基地もない平和の島としての沖繩の祖国復帰を実現することが、本土のわれわれの沖繩県民に対する大きな道義的、政治的責任だということであります。(拍手)
 しかるに、政府・自民党は、核つきの膨大な軍事基地を半永久的に存続させる返還協定を沖繩県民に突きつけて、沖繩は返らなくてもよいのかと、どうかつ的態度に出たのでありますが、これは、平和な島として一日も早く祖国に復帰したいことを願う沖繩百万県民に対して、過酷きわまる選択をしいたものであります。パンを求める者に石を、いや渇して水を求める者に毒入りの水を与えようとする、あまりにも非人間的な冷酷きわまりない仕打ちであり、まさに第三の琉球処分であります。(拍手)
 かつて佐藤総理は、沖繩の祖国復帰なき限り戦後は終わらないと言われましたが、私は、沖繩県民とともに、佐藤総理が総理大臣官邸から出て行かない限り戦後は終わらないと断言するものであります。(拍手)
 告発の第三は、佐藤内閣の財政経済政策についてであります。
 総理は、最初の組閣にあたって、人間不在の高度経済成長を批判して、人間尊重と社会開発を中心とした安定成長を国民に約束されたことを御記憶だと思います。ところが、その後七年間、佐藤内閣はその公約とは全く逆に、池田内閣以上の超高度経済成長の道を馬車馬のように走り続けてまいりました。その当然の結果として、日本経済には、はなはだしい対外的不均衡と対内的不均衡という危機的状況がつくり出されたのであります。
 今日、日本の外貨保有量は百五十六億ドルをこえ、アメリカから円の切り上げを迫られ、ついに政府はこの外圧に屈して、一六・八八%という円大幅切り上げに踏み切りました。外貨が急速かつ大量に蓄積されたこと、すなわち、日本の輸出貿易が異常なまでに伸びたのは、日本の労働者の低賃金、過酷な合理化と長時間労働、社会保障と生活環境投資の著しい立ちおくれ、さらには、公害防止施策を無視した生産第一主義など、いわゆるソシアルダンピングによるものであります。したがって、輸出の増加は、佐藤総理の自慢されるように、自民党の政策よろしきを得た結果ではなくして、国民の大きな犠牲の上に、はなはだしい国内不均衡の上に築き上げられたものであります。だとすれば、円の大幅切り上げの前に日本政府がまずなすべきことは、生産第一主義から国民福祉第一主義へ経済運営を根本的に転換することであったはずであります。(拍手)
 すなわち、先進国並みの週休二日、四十時間労働制の実施、労働基本権の尊重、国と企業の責任において労働者の雇用を保障すること、生活環境投資と社会保障の思い切った充実、完全なる公害対策の実現をはかることこそ、外貨問題に正しく対処し、国際収支の均衡をもたらす唯一の合理的な解決方法であります。(拍手)これを怠り、ついにアメリカの外圧により一七%近くの円大幅切り上げに追い込まれた佐藤総理の政治責任はまことに重大であり、後世の歴史家は、佐藤内閣は戦後最大の失政をおかしたと必ず批判するでありましょう。(拍手)
 アメリカは、国際収支の大幅逆調、それからくるドル危機を理由に、円の切り上げをしゃにむに要求してまいりました。しかし、ドル危機の根本原因は、アメリカがあのきたないインドシナ侵略戦争に巨額のドルを乱費したこと、資本の自由化でアメリカの世界企業が膨大なドルの海外投資を行なってきたことにあることは言うまでもありません。このアメリカのインドシナ戦争を即時中止させ、世界企業の節度のない海外投資を取りやめさせることこそが、ドル危機を解決する根本的対策であります。
 しかるに、アメリカの資本自由化の要求に屈服し、世界企業の日本進出を許し、日本の重要産業をアメリカ資本の支配下に置いてきたのは、佐藤総理、あなたであります。(拍手)
 アメリカ国防総省の秘密文書で暴露された、あの醜いインドシナ侵略戦争に積極的な支持、協力を与えてきたのも、佐藤総理であります。皮肉にも、アメリカのパートナーをもって任ずる人が、アメリカのドル危機をつくった共犯者の役割りを演じたということであります。(拍手)その総理が、またまた国際協調の名において円の大幅切り上げを行ない、ドル圏内にある沖繩県民の生活を破壊し、日本の労働者、農民、中小企業者に大きな犠牲を強要せんとしていることは、道理と正義の立場に立つ限り、絶対に許すわけにはまいりません。(拍手)
 一農民は、次のように訴えております。
 養鶏農家は安い卵であえいでいる。野菜が高過ぎると町の人から非難されるときは、畑にはもう野菜はない。野菜が豊作のときは、ただ同然で、何一つ補償はしてくれない。生活の最後のとりでである米づくりも、減反、買い入れ制限でいまや取りくずされようとしておる。このとりでがくずされるとき、麦めしを食うぐらいの覚悟はあるが、死ねと言われたら、立ち上がらずにはおられない。農民がほしいのは、米価の引き上げそのものではない、日本農業のビジョンであり、未来への希望である、と。
 この農民の血を吐くような叫びに耳を傾けようともせず、外国食糧の輸入を毎年二〇%もふやし続け、米を除いて、食糧自給率六七%という奇形的な日本経済をつくってきたのも、佐藤自民党政府であります。(拍手)アメリカ農業と日本の大企業のために日本農民は犠牲になれ、死んでもかまわないというのが、佐藤内閣の一貫した農業政策であります。(拍手)
 かつて経済白書は、中小企業について次のように指摘しております。好景気の波がようやく中小企業に及ぼうとするとき、必ずといっていいほど国際収支の壁にぶつかって、不況政策をとらざるを得なくなるのが日本経済の宿命である、しかも、不況になってその波を最初にかぶるのは中小企業である、と。ところが、今日外貨はあり余っているにもかかわらず、円切り上げからくる不況の波をかぶり、多くの破産、倒産者を出しているのが中小企業であります。つまり、自民党政治のもとでは、国際収支が赤字であっても黒字であっても、いつも犠牲になるのは弱い中小企業者だということであります。(拍手)
 特に、いま日本の繊維産業界は、国際取りきめに違反し、国会決議を無視した政府間協定により、深刻な危機にさらされております。政府は、国益のためにはやむを得ないと言っておりますが、政府の言う国益とは、アメリカ企業と日本総資本の要求の前には、国民の利益、労働者、中小企業者の利益はもちろん、個別資本の利益もじゅうりんしてはばからぬという自民党政府の本質を暴露したのが、今回の繊維政府間協定であります。(拍手)
 さらに、佐藤内閣と財界は、円の大幅切り上げに伴い、国際競争力強化を理由に、合理化を強行し、労働者には首切り、賃金ストップと所得政策を押しつけ、他方、不況克服と称し大量の赤字公債を発行し、大企業のためのインフレ政策を強行して、すでに二十年ぶりの急騰を示しておる異常な物価高に拍車を加え、不況下の高物価で、台所を通じて国民生活を根底から破壊しようとしております。この佐藤内閣を一日延命さすことは、それだけ国民に不幸と不利益をもたらします。
 農民、中小企業者、労働者、市民の立場に立ち、安定した経済、国民福祉経済を心から願うわれわれは、働く国民大衆の名において、総理に即時退陣を迫るものであります。(拍手)
 告発の第四は、総理の政治姿勢についてであります。
 ニクソン訪中、中国の国連における合法的地位の回復、国際通貨危機と国内不況の深刻化は、自民党が戦後一貫してとってきた、安保体制下の核のかさとドルのかさのもとでの政治経済路線が大きな壁にぶつかったということ、すなわち、安保繁栄論がもののみごとに破産したということであります。(拍手)
 七年前、佐藤内閣誕生のときから、内外の政治経済情勢はすでに激しく流動しつつあったにもかかわらず、それを見抜くことができず、保守党としての対応にすら大きな誤まりをおかしたのが佐藤総理であります。しかも、官僚政治家は、情勢がきびしく、困難になると、権力にものをいわせて事態を処理しようとする危険な体質を持っております。現に去る七月の内閣改造以来五カ月間に三名の閣僚を更迭し、内閣の延命をはかったことは、許しがたい任免権の乱用であり、総理の権力主義的政治姿勢を浮き彫りにしたものというべきであります。(拍手)
 それだけではありません。佐藤内閣七年の施政の間に、司法と教育の反動化は、急速かつ露骨に進められてまいりました。沖繩の人々が血みどろになって築き上げてきた教育委員公選制を廃止せんとする権力主義の思い上がった姿勢がそれであります。
 中教審答申を受けて、教育を国策の実現と労働力培養の手段としてのみとらえ、国家権力の教育への不当な介入によって、憲法と教育基本法に定める平和と民主主義の教育、国民の教育権を否定せんとしておるのが、そのあらわれであります。(拍手)
 平賀書簡問題、青法協所属の裁判官、司法修習生に対する組織的、系統的な攻撃、公安調査官による裁判官の言動調査、国会周辺デモについての裁判所決定に対する異議申し立て権の乱発などに見られるように、司法権の独立、三権分立の憲法の精神を根底から否定しておるのが佐藤内閣であります。(拍手)
 国家権力による司法と教育の規制、その反動化が軍国主義への精神的側面であるとすれば、第四次防計画、自衛隊の大量沖繩派遣、兵器の国産化による兵器産業の育成は、軍国主義化への物質的側面であります。政府・自民党は、近く平和憲法の改正を党議決定すると伝えられておりますが、中国をはじめとするアジアの国々だけではなく、アメリカの有識者の中にも日本軍国主義復活を警戒する声があがっているのは、けだし当然だといわなければなりません。(拍手)
 佐藤総理、あなたは、日本を破滅に導いた危険な軍国主義への道を推し進めてこられました。だが、再びアジアの人々への加害者となるだけではなく、日本国民自身にもはかり知れない災危と不幸をもたらす軍国主義の道を歩むことを、日本国民は、いまはっきり拒否いたしております。今日の日本国民は、戦前の日本国民ではございません。危険な軍国主義日本を再現しようとする総理の即刻退陣を、日本とアジアの平和を願う国民の名において、強く要求するものであります。(拍手)
 総理、あなたは、今日まで、多くのことを国民に約束してこられましたが、何一つ実行には移されませんでした。政界浄化のための政治資金規正法の改正、公害に対する無過失賠償責任法の制定など、何度あなたは国民に約束され、何度国民を裏切ったか、みずから指折り数えていただきたいと存じます。(拍手)国民は、あなたの政治をもう信用しないどころか、いまや心から憤りに燃え、その爆発をじっと押えておるのであります。内閣不信任がかりに国民投票制であり、三分の二の多数を必要とするとしても、佐藤内閣不信任は圧倒的多数で成立することは間違いございません。(拍手)
 総理、権力の地位を去ることは、権力につくことよりもむずかしいことであります。しかし、総理に残された唯一の道は、今日直ちに総理の地位から退くことであり、その勇断は即刻行なわれねばなりません。私は、総理が政治家として晩節を全うされることを国民とともに心から願うとともに、最後に、自民党の諸君に訴えたいことがございます。
 自民党内に政局に対するいろいろの議論のあることは承知しておりますが、「道に迷ったときは勇気をふるって大通りに引き返せ」というアルピニストの指針に従い、今度こそ佐藤内閣不信任案に賛成されて、議会制民主主義の原則、その大道に立ち戻られんことを心から願って、佐藤内閣不信任案の提案理由の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。田中伊三次君。
  〔田中伊三次君登壇〕
#23
○田中伊三次君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました内閣不信任案に対し、反対の討論をいたします。(拍手)
 およそ内閣不信任案なるものは、次期政権を担当する準備のある野党によって提出されてこそ、初めて意義あるものであります。(拍手)政権を担当するについて何らの準備もない野党の党利党略的不信任案ほどナンセンスなものはないのであります。(拍手)
 佐藤内閣は、組閣以来すでに七年有余にわたり、引き続き政局を担当し、連続の内閣としては明治以来最も長期の記録を持ち、その間における治績はまことに顕著なものがあります。
 佐藤総理が初めて内閣を組織された昭和三十九年末ごろは、いわゆるなべ底景気といわれ、まことに不況のどん底にありましたが、新内閣は、まず景気転換のため画期的な財政金融政策を断行して、みごとにこれを克服し、その後五年間、長期間にわたる好景気を持続せしめ、わが国経済に驚異的な繁栄をもたらしましたことは、史上かつて先例を見なかったところであります。(拍手)
 昨今、国民総生産は実に八十兆円にも達する見込みでありまして、わが国力が近時とみに増大をしてまいりました。昨年大阪で開かれました万博が、世界各国から絶賛を拍するに至りましたのも、わが国国力の一端を示すものであります。(拍手)
 野党は、口をそろえて物価高の攻撃をされるのでありますが、物価問題は世界共通の悩みであります。しかしながら、わが国における消費者物価上昇の根本要因は、何といっても賃金と物価の悪循環であります。春闘が大幅賃金アップをやるから、必然的に物価にはね返るのであります。わが佐藤内閣が物価対策に数々の施策を行なっても、なおかつ効果があがらないのは、大幅賃金アップを年中行事として繰り返すからであります。野党の諸君は、物価高を攻撃される前に、まず大幅賃金闘争を自粛させ、節度ある賃金要求に転換させるとともに、企業の合理化と生産性の向上に協力してくれるよう、とくと御指導を願いたいのであります。(拍手)
 先般、十カ国の蔵相会議において決定をいたしました円の切り上げについては、種々論難をする向きもありますが、先般の決定は、わが国円の実勢を正しく反映したものでありまして、何ら非難するには当たらないのであります。ただ、このたびの平価の調整は、わが国経済に少なからざる影響を与えるものでありますから、今後政府は、貿易関係産業はもちろん、体質上特に配慮を必要とする中小企業、農業等に対しましては、この新しい通貨体制に十分なじむようになるまでは、きめのこまかい、周到な施策が必要となり、さらに国民各層に対しましては、社会福祉の向上、社会資本の充実などの施策を通じまして、国民生活の安定に役立つように最善を尽くす必要があります。(拍手)
 野党の諸君は、不信任案提案の理由として、佐藤内閣外交の失敗をあげるのでありますが、これは驚くべき見当違いである。佐藤内閣の外交上の功績は、歴代内閣中随一であると申すも過言でないと存じます。
 まず、戦乱の多い世界、ことにアジアにおいて、わが国が何らの影響を受けることなく、平和のうちに、穏やかに国民生活を守り抜くことができておりますのは、平和に徹する佐藤内閣の特筆すべき平和外交の功績であります。(拍手)
 さらに、永年の懸案であった日韓両国の国交正常化をやり遂げ、小笠原諸島の返還を実現したばかりでなく、ILO八十七号条約の批准、日ソ航空協定の締結にも力をいたし、さらに、アジア、太平洋諸国との関係の緊密化をはかり、一億国民の悲願であった沖繩の祖国復帰という歴史的偉業をついになし遂げんとしておるのであります。戦争によって失われた領土が話し合いによって戻ってくるということは世界史上きわめてまれであることは、世間周知のとおりであります。
 佐藤内閣成立して間もなく、総理みずから沖繩を訪問して、沖繩が返らなければ日本の戦後は終わらないと言われて以来、一億国民の悲願を双肩ににない、終始一貫、苦心に苦心を重ね、ついに国民的悲願達成の日を目前に迎えるに至ったのであります。このことは、日米両国の友好親善と相互信頼を外交上の基調としてきた佐藤内閣にして初めてなし得たものであります。(拍手)私たちは、この歴史的成果をすなおに評価すべきものと信ずるのでありまして、沖繩を返せ、交渉には行くな、協定には反対などと、わけのわからぬことは言うべきでないと信じます。(拍手)
 不信任提出の理由のうち最も的はずれのものは、日中問題に関する野党の攻撃であります。国連議席問題について国民政府の肩を持ったことがけしからぬと、成田君も仰せになるのでありますが、諸君、おおよそ、外交の基本なるものは、国際信義を重んずるということに尽きるのである。
 わが国と台湾にある国民政府との間には、すでに平和条約がある。歴史的にも文化的にも、まことに浅からぬ関係に置かれておる。経済、人事の交流は日々活発となり、わが国からの輸出額は年間すでに七億ドルをこえ、アメリカ、大韓民国に次ぐ世界第三の輸出相手国となっております。在留邦人の数、いまや五千名をこえております。
 あの太平洋戦争終結の際、蒋介石総統が、当時中国にあった三百数十万人に及ぶわが同胞に対し、まことに寛大なあたたかい取り扱いをしてくれたことを思い、また、誤った戦争により多大の損害をかけたにかかわらず、わが国の立場に同情のあまり、一切の賠償請求権を放棄してくれたことなどを思い起こすならば、わが国がよその国々と同じような冷たい態度をとり得なかった事情は、心ある人々にはとくと御理解をいただけるものと存じます。(拍手)この重大な国際信義が、はたして成田委員長仰せのごとく、小さい信義として忘れ去られてよいものでありましょうか。私は、政府が国民政府の肩を持ち、国連の議席を守らんとした行動は、国際信義を重んずる佐藤内閣、自由を守り平和に徹する佐藤内閣のとるべき当然の態度であったと信ずるのであります。(拍手)
 他方において、わが国と中華人民共和国との正常化は、申すまでもなく外交上の急務であります。現内閣は、去る国連総会に臨むにあたり、中国の国連参加を歓迎し、かつ、安保理事会に加わることにも賛成の態度を明らかにしたのであります。わが党佐藤総裁も、日中正常化については、なみなみならぬ熱意を示しておられるのでありますが、何ぶんにも外交には相手のあることであります。私は、政府が今後とも日中両国の不自然なこの状態をすみやかに解消し、両国の正常化に向かって力強く前進されんことを期待いたします。
 最後に一言いたします。内閣総理大臣並びに閣僚諸君、この不信任案は間もなく採決の結果、現内閣は信任されるのであります。国民の名において行なう院議による信任である。内閣諸公は大いなる自信を持たれ、内政、外交に万全を期し、もって国民の負託にこたえられんことを望み、討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(船田中君) 川村継義君。
  〔川村継義君登壇〕
#25
○川村継義君 私は、ただいま議題となりました佐藤内閣不信任決議案に対し、日本社会党を代表いたしまして、賛成の意思を表明いたします。(拍手)
 沖繩返還協定は、一昨二十二日、参議院において承認されました。返還協定が自然承認される前日、討論、採決が行なわれたことは、参議院の自主性と権威を守るための唯一の抗議の意思表示であり、決して衆議院における沖繩協定審議の不法、不当性を免罪したものではないことを、佐藤総理は銘記すべきであります。(拍手)
 それにしても、十一月十七日の衆議院返還協定特別委員会における政府・自民党の無法な暴挙、冒涜行為に対する憤りは、沖繩県民、全国民すべてが永久に忘れ去ることのできないものであります。多数決の原理は、少数意見が生かされるところにのみ成り立つと、哲学者の定言がありますが、十七日の暴挙は、多数決の原理などと口にすることさえ許されない無法そのものでありました。
 佐藤・ニクソン共同声明路線を基調とする沖繩返還協定は、すでに論及されたごとく、政府が豊かな沖繩県づくりとか、本土並み返還とか、いかに声を大にしても、沖繩県民が願ってやまない平和な沖繩の返還協定でないことは明らかであります。
 アメリカの軍事戦略に組み込まれた協定の本質は、わが党がたびたび指摘してきたように、日米安保条約をアジア安保、核安保へと拡大強化するものであります。政府がいかに核抜き本土並みだと弁明これつとめようと、核撤去の確たる保障はないのであります。すでに提案者の成田委員長が、るる説明いたしたとおりであります。安保条約のワクを破る特殊部隊、SR71戦略偵察機隊、第七心理作戦部隊などの存続を許す政府の釈明も欺瞞に満ちております。社会主義国に向けた謀略放送の本拠VOA放送も、撤去の保障はありません。基地の密度は依然として存在し、あまつさえ自衛隊を配備して、沖繩の基地機能を一そう強化拡充しようとしております。そのためには、憲法違反の疑いある公用地等の暫定使用法案という土地強奪法案までおくめんもなく押し通そうとしているのであります。米系企業の権益は確実に存続が保障され、わが沖繩県民の対米請求権は放棄してしまったのであります。これでも本土並みと言えるでありましょうか。沖繩の人々をあたたかく本土に迎えましょうと言えるのでありましょうか。
 ニクソン訪中発表による米中国交の打開、中国の国連復帰、大きく転換するであろうアジア情勢を踏まえて、返還交渉をやり直すべきだとする野党の追及にも、その意思なしと耳をかさず、理不尽な、多数横暴な挙に出たことは、欺瞞に満ちたおそるべき協定の本質と実体を隠蔽するためでありました。沖繩県民の心を心とせず、沖繩の返還を安保の変質強化に利用しようとする佐藤内閣の陰謀は明白であります。
 佐藤内閣は、日韓国会をはじめ、幾たびか不法な強行採決をあえてして、命長らえてきました。そのたびに、議会政治に対する国民の不信をかき立ててまいりました。民主主義政治を危殆におとしいれてまいりました。佐藤内閣の官僚政治、議会民主主義に挑戦した権力政治は、もはや政権の座にあるべき資格を失っていると断ぜざるを得ません。(拍手)
 佐藤内閣は、本年秋の国連総会に逆重要事項決議の提案国となり、口では中国の国連復帰を歓迎すると、そらぞらしい言辞を弄し、ねらいは、蒋介石政権を擁護することによって中国の国連復帰を妨害しようといたしました。世界の動向も察知できず、むざんにも一敗地にまみれ、国連外交にその恥をさらしたのであります。しかも、総理は一片の政治責任も感ぜず、「多数決に従うまでだ」などと責任を転嫁して恥といたしませんでした。政治節操いずこにありやといわざるを得ません。
 日中国交回復の実現は、いまや産業界、商社、海運、経済界はもちろん、あげて国民各界の願いであります。全国民の願いをいまなお妨害し続けておるのは佐藤政権であります。
 超党派三百九十四名にのぼる有志議員によって構成された日中国交回復議員連盟の決定要請による、日中国交回復のためには当然である三原則を踏まえた日中国交回復決議の提案を、今日まで阻止しておるのも佐藤政府であります。
 中国は、すでに七十カ国にのぼる国々と国交を樹立し、国連のひのき舞台では世界外交にその発言を高めております。隣国日本の佐藤内閣は、これをいかに受けとめているのか。いつまで中国の地位を無視し続けていこうというのか。日中国交回復というわが国最高の外交課題も、来春一月、ニクソンの御意向を承ったあとでなければその方針がきめられないというのか。まことに愚かな自主性なき外交といわねばなりません。(拍手)
 佐藤総理のもとでは、日中国交回復は不可能であります。沖繩に強大なる米軍基地を温存するのみか、自衛隊を配備し、米軍との共同作戦を強化しようという返還協定、沖繩を米韓、米台、日米安保のかなめ石として相手国のわき腹に銃を突きつけるがごときえせ平和論では、真のアジアの平和は望めません。総理の感情的反共思想は政治ではありません。外交は成り立ちません。「平和に徹する」という総理のことばはむなしい響きで消えていくのであります。私は、国民の名において、日中外交の失敗は断じて許すことができないのであります。
 佐藤内閣の対米追従の破綻は、沖繩、日中の外交問題だけではありません。ドル依存の経済政策がもたらした繊維協定、農産物の貿易自由化、通貨調整の経済外交にも明らかであります。
 八月、米大統領のドル防衛政策実施以来、ゆれにゆれた通貨問題は、ワシントンにおける十カ国蔵相会議で去る十九日一応の妥結は見ました。この間、輸入課徴金にゆさぶられ、輸出規制と貿易自由化を強要され、強引な繊維協定を押しつけられ、繊維業者は破滅的打撃をこうむり、数十万の労働者は失業に追い込まれました。そればかりでなく、対米輸出に依存する中小企業をはじめ、わが国産業経済の痛手ははかり知れないものがあったのであります。
 妥結を見た一ドル・三百八円、一六・八八%の大幅切り上げは、九月の十カ国蔵相会議、日米貿易経済合同委員会以来、強引なアメリカのかけ引きに振り回され、EC諸国の結束の前になすすべなかった佐藤内閣の経済外交の姿をさらけ出したものといわざるを得ません。引き続き、円・ドル調整の見返りに農産物の輸入ワクの拡大、自由化に拍車を加え、農業の危機を一段と深刻化させることは必至であります。
 わが国があまりにも高価な代償を払った通貨問題は、要するに、ドルの世界支配を夢見た米国の経済政策、米国国際収支の不均衡要因が通貨混迷の元凶であったことは言うまでもありませんが、加えて、わが国経済の高度成長、輸出第一主義、アメリカ一辺倒、主体性のない佐藤内閣の経済外交が引き起こした事態といわねばなりません。
 今後、わが国の経済、貿易は深刻な影響を受けるでありましょうが、総理は、レートの上げ幅が世界で一番高いのを自慢していいとか、国民の適応能力に期待するとか、記者会見で語っておりますが、この事態に対する何らの反省もなく、政策転換の具体策を語ることができなかったということは、あまりにも無責任、国民の不安と苦しみを一顧だにしない冷血そのものの態度であったといわねばなりません。
 もはや佐藤内閣にその政権担当能力なしと断ぜざるを得ません。国民に背を向け佐藤内閣が推し進めてきた経済外交、アジア外交、数々の失政は、全く日本の威信を傷つけてしまいました。佐藤総理に政治責任を知る一片の良心がおありであるならば、いさぎよく退陣をして国民にその責任を明らかにすべきであります。(拍手)
 佐藤内閣は、昭和三十九年十一月の組閣以来満七年を経過いたしました。しかるに、佐藤長期政権は、はたして国家、国民にとって敬服すべき内閣であったでありましょうか。「山高きがゆえにたっとからず、木あるをもってたっとしとなす。人肥するがゆえにたっとからず、知あるをもってたっとしとなす。」形は長期政権を誇るといっても、国民を忘れた実なき政治は、まさに「長きがゆえにたっとからず」であります。今日、佐藤内閣に対し国民が史上最低の二三%の支持しか与えていないのも、それを証明いたしております。命長ければ恥多し、佐藤総理に荘子のことばを進呈し、自決を求めねばなりません。
 佐藤内閣は、成立以来、人間尊重、社会開発、政界浄化、物価安定、食管堅持、公害追放など、数々の公約を繰り返し繰り返し国民に約束してまいりました。しかし、はたしてそれらの公約が実行されたでありましょうか。総理はいま静かに手を胸に当てて、公約の一つ一つを反省してみる必要があると思うのであります。あなたの公約は、口先だけの思いつき公約か、佐藤内閣の延命をはかる巧みな世論操作としてその場限りの公約でしがなかったのではありませんか。
 総理、高度に発達した国家独占資本主義の支配する管理社会の中で、人間疎外と人間性破壊が広がっております。独占資本による技術革新と合理化によって、労働が単純化し、その密度も高められ、働く者は生産の場で働く意欲を失いつつあります。資本主義文明の悲劇であります。
 教育の場でも、資本の要請にこたえんとする産学一体の教育が推し進められ、管理体制を強化することによって、人間形成の教育が無視されつつあります。
 資本主義にさいなまれる国家社会は、金力万能、利己主義、享楽主義の横行となり、汚職、投機、詐欺、殺人、性の紊乱、資本主義特有の社会病理現象を拡大し、人間不信と社会不安を引き起こしております。このまま放置すれば、「病めるアメリカ」の著者が指摘するアメリカと同様、わが国は、荒廃と不安と断絶の様相を呈するでありましょう。これ、すべて政治の責任であります。総理、あなたの責任であります。人間尊重を唱える佐藤内閣は、一体これにこたえているのでありましょうか。いな、何一つこたえていないのであります。人間性の喪失は、公害がもたらす国民の健康、生命の破壊とともに、あなたの政治によって増大しているのであります。
 佐藤内閣は、その初め、池田前内閣の高度経済政策を批判し、そのひずみの是正を約束して組閣いたしました。それは物価の高騰を押え、社会開発を進めて、国民生活を安定させることでありました。しかし、公害と交通事故におののく国民生活、年々異常に上昇する物価高、公害、物価、税金にあえぐ国民の実情は、これまた総理の公約が何一つ実現されていないことを端的に物語っております。(拍手)
 先ほど自民党の田中さんは、物価上昇は賃金とのイタチごっこなどというお話がありましたが、物価に与える賃金、賃金がその原因でないことは、すでに労働省が明らかにしておる。政府の言明にも明らかであります。そのようなことを申されるということは、つまり、みずから佐藤内閣が物価対策が何もなかったということを告白されるのとひとしいのであります。(拍手)
 佐藤内閣の政治責任は、内政においてもきびしく追及をされなければなりません。いま通算四回目の不名誉きわまる不信任案が投ぜられたということを謙虚に受けとめ、政治の最高責任者として、省みてみずからを決するものがあってしかるべきであります。決断していただきたいのであります。
 佐藤内閣がさらに糾弾されなければならない失政は、十指に余ります。端的に要約して指摘いたします。
 その一つは、裁判官の再任拒否に見られる司法権への介入、地裁、最高裁の判決に示された公務員の人権侵害、自衛隊の増強など、憲法べつ視の罪であります。
 その二つは、政治資金規正の改正を妨害し、数百億円にのぼる財界献金をもってする悪質きわまる腐敗選挙の累増など、政治腐敗の罪であります。
 その三つは、さきにも述べたとおり、日中国交回復を妨害し、アメリカのベトナム侵略戦争に協力し、ニクソン・ドクトリン体制に奉仕する対米追随の罪であります。
 その四つは、大資本、大企業奉仕の経済政策、物価値上げ、国民生活圧迫の罪であります。
 その五つは、金持ち優遇、大衆重税の罪であります。
 その六つは、中小企業対策の貧困、日米繊維協定の締結、輸出規制など、ドル防衛追随、中小企業倒産の罪であります。
 その七つは、農業犠牲の罪であります。すなわち、食管制度の破壊、農産物輸入の自由化、総合農政の停滞、過疎出かせぎ農民の激増、資本優先、農業を犠牲にする農村生活の荒廃であります。
 その八は、公害、労働災害、事故対策等の立ちおくれ、売薬医療の放置など、生命軽視の罪であります。
 その九つは、貧困な年金制度、医療保障の後退など、社会保障政策怠慢の罪であります。
 その十は、産業資本に奉仕する教育体系、選別教育の拡大、教科書検定の強化など、民主教育破壊の罪であります。(拍手)
 以上、われわれ社会党は、今日まで、佐藤内閣の十大悪政の罪と呼び、糾弾してまいりましたが、佐藤内閣の失政は、なお以上の十悪にとどまらないのであります。
 私は、佐藤内閣の退陣を目前にして、「罪を憎んで人を憎まず」の格言を守り、「天を仰いでつばす」愚かさをおかしてはならないと私自身に言い聞かせまして、佐藤内閣のはなむけとなる政治功績をさがし求めてまいりましたが、残念ながら不可能でした。まことに遺憾なことであります。
 総理、激動する内外の諸情勢の中に迎えんとする昭和四十七年は、まさしく易姓革命の年であります。あなたも、天命に従い、国民の声にこれ従って、政権の座をおりねばなりません。
 世界は変わりつつあります。アジアも変わります。日本も政治の流れを変えねばなりません。(拍手)対米追随をやめ、平和自立の道を打ち立てねばなりません。金権政治を断ち切らねばなりません。労働者を犠牲にした大企業擁護の成長政策を転換し、生活優先の経済に切りかえねばなりません。真に人間を大事にする政治を樹立しなければなりません。佐藤内閣をこれ以上温存することは、議会政治の崩壊につながり、民主主義が圧殺されるばかりでなく、平和にとって危険きわまりない道を進むことになる。
 来春一月、サンクレメンテにおけるニクソン・佐藤会談は、また大きな荷物をしょい込まされることになるのではないかという国民は不安を抱いております。国民の声をお聞き願いたいのであります。
 佐藤総理の退陣は、あなたがたびたび口にする国家、国益に沿うものであります。(拍手)政治を知るものであれば、この不信任の可決を待たず、せめて政治家らしく、これ以上悪政の上塗りを重ねることなく、進退を決意されんことを忠告をいたします。(拍手)
 ここに、私は、国民の名において強く佐藤内閣の即時退陣を要求し、本不信任決議案に賛意を表し、討論を終わります。(拍手)
#26
○議長(船田中君) 浅井美幸君。
  〔浅井美幸君登壇〕
#27
○浅井美幸君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました佐藤内閣不信任決議案について賛成の討論を行なうものであります。
 昨年七月以来の、ニクソン米大統領訪中発表、中国の国連復帰、ドル・金兌換停止を中心としたニクソン新経済政策、国際通貨危機とその激動から一応のまとまりを見せた通貨の多国間調整、ヨーロッパにおける欧州共同体の拡大、ベルリン協定等、これらの一連の動きは、戦後体制である東西二極構造とアメリカのドル経済支配体制の崩壊を告げるものであり、国際社会の政治、経済の多極化時代が展開されたことを明らかに示しております。
 いまや、世界は新しい秩序づくりに向かって前進を始めております。したがって、いま日本にとって重要な問題は、新しい世界の激動の中で、わが国の位置づけとその進路と体制づくりをしなければならないといろ重大なときが参っております。しかし、今日までのわが国内外の政治を見るとき、これからの日本を佐藤内閣にゆだねるという勇気をどうしても持てないというのが、大多数の国民の心情であると確信するものであります。(拍手)
 アメリカのよきパートナーであると自負していた日本、また、日米安保体制を堅持することを国是であると自認して、沖繩返還交渉を機に、佐藤・ニクソン共同声明で、台湾、韓国の安全は日本の安全にとって緊要であると佐藤総理は合意しました。このことは、日米軍事複合体制の強化を約束するとともに、日米安保をアジア核安保に変質することを積極的に進めてきたことであり、アジアの緊張緩和とはおよそ逆行するものであります。
 さらに、ニクソン・ドクトリンを忠実に実行して、アジアの冷戦構造を崩壊させるどころか、アメリカにかわって日本がその主役をになおうとしているのであります。われわれの強い忠告や反対も押し切って沖繩返還協定に調印し、さらにこれに加え、四次防計画によって軍事力を積極的に強化しようとする政府の姿勢は、平和に逆行するものとして、日本国民はもちろん、アジアの近隣諸国からの疑惑と非難を受けるに至ったのであります。
 特に、アジアの平和と安全のために最も必要な日中国交回復についても、佐藤内閣は依然として虚構の日台関係に執着し、積極的な姿勢をとろうとしないのは、全く遺憾であります。
 佐藤内閣が最も信頼し協力してきたアメリカは、突如、日本の頭越しに訪中計画を発表し、その一カ月後には、新経済政策の発表をいたしました。アメリカは、IMFやガットなどの国際的な体制すら平然と無視し、自国の経済立て直しに非常な高姿勢をあらわしてきたのであります。このアメリカの高圧的態度は、繊維の日米政府間協定の締結という理不尽な要求に発展し、政府はこのどうかつに屈して仮調印をしたのであります。日本の繊維産業界の受けた打撃は想像に余るものがあります。国会の決議を無視し、日本国民の犠牲においてアメリカにあくまでも追随した佐藤内閣の態度は、この一事をもってしても不信任に値するものであります。(拍手)
 一方、国連における中国代表権問題は、これまた、わが党はじめ各野党が理を尽くして、中国国連復帰を実際において阻止する逆重要事項指定、複合二重代表制の不当性について糾弾し、まして共同提案国になるべきではないと注意を喚起したにもかかわらず、それを無視し、アメリカ以上に多数派工作に狂奔し、その結果は惨敗となり、アルバニア決議案が圧倒的多数によって可決され、そして国連は、中華人民共和国政府を中国を代表する唯一の合法政府と認め、国府を国連から追放するという劇的な総会となり、政府が守り続けた二十三年間の虚構の歴史は、動かすことのできない国際世論の潮流によってまさに打ち砕かれたのであります。
 一方、これら一連の佐藤政権の予測を裏切った米国の不当な、また高圧的な態度は、国際社会の激動と変革を背景として沖繩国会の審議が進められ、今日に至っているのであります。その結果、国民の抱く多くの疑惑と不当性を解明、修正もできないまま、沖繩協定特別委員会において採決を強行しましたが、議会制民主主義をじゅうりんした多数横暴は、絶対に許されるべきではありません。(拍手)
 さらに、一六・八八%の大幅な円切り上げは、輸出主導型の経済政策がもたらしたものであり、国民福祉を犠牲にするものであることは実に明らかであるにもかかわらず、政府は、厚顔無恥にも、日本の円の価値が高くなったことを示すものであり、決して政府の経済政策の失敗ではないと佐藤総理が強弁しているのは、いかなる政治感覚によるものでありましょうか。いまになって、おそまきながら、ようやく国民福祉優先の経済政策に転換するなどと言い出していることこそ、いままでの佐藤内閣の経済政策が、国民福祉の犠牲の上に、大企業優先、産業第一主義であったことをみずから示す何よりの証拠ではありませんか。
 総理、七年前に言われた国民生活の安定のためにという公約をあなたがいままでに実行しておられれば、一六・八八%の円の切り上げもなかったでありましょう。また、今日の国民のかかる不満も不安もなく、公害実験国の悪名もなかったでありましょう。また、日本の自然もこんなに破壊しなかったのであります。住宅難も解消していたでありましょうし、国民の心にも大きなゆとりができたでありましょう。ゲバ棒の乱闘もなく、火炎びんや、また爆弾事件もなかった。そして、機動隊のあのものものしい服装や、悲しい犠牲者も出なかったでしょう。調和のとれた資源配分で、GNPの内容も変わっていたでありましょう。GNPが世界第二位になれなくとも、国民福祉は経済成長と調和され、人間性のある政治が国民に意識され、総理も言行一致の名政治家として力強い国民の支持を得られたに違いありません。
 あなたにとってはお気には召さないと思いますけれども、朝日新聞の全国世論調査によりますと、現在の佐藤内閣の支持率は、支持するが二四%、支持しないが五八%、この不支持率はいままでの最高記録を示しております。一方、政党支持のほうでは、議席は本院では三百議席でありますが、もともと、さきの総選挙の得票率は四七・六%、過半数の率を割っております。最近の世論調査によれば、自民党支持率は四二%、野党の支持率はまさに四五%と、自民党よりも多くなっているのが現状でございます。
 政治に大切な条件は、政治は、政治家や政党のためにあるのではなく、国民のためにあるものであり、いかに多くの国民に物心両面の安心と安定を与えるかが、国民の厳粛な信託にこたえる道であり、主権を尊重する道であります。その道を行く情熱、そして、国際社会にあっては平和を追求し、先見性を十分に持ち、また、みずからの政策に責任を持つことであると考えます。したがって、みずからの政策が現実に結果が得られなかった場合は、衆知を集めて政策を正すべきであります。そのために議会制民主主義が存在するというべきであります。
 また、われわれの忠告、われわれの意見を聞き入れず、みずからの予測、方針を確信を持って行なう場合は、その予測に誤りがあれば、みずからその政治責任を自覚し身を引くことが、政治を正すことであると申し上げたいのであります。(拍手)それが政治家としての責任ある行動というべきであります。
 しかるに、政党内閣制における佐藤内閣の国会感覚は、「ともかくも選挙に勝てばすべてが決定する」、このことは、四十四年七月、大学法案の強行採決が因となった佐藤内閣不信任決議案に対する自民党の賛成演説で言われていることばであります。しかし、そのことが、国権の最高機関たる国会運営について自民党の思い上がった姿勢となり、最も衆知を集め、議論を尽くすべき、国運を左右する外交問題においてすら、野党の意見の一分をもはさむことを許さない自民党の体質になっているというべきであります。ここに議会制民主主義形骸化の根源があるのであり、絶対多数に安住して、少数意見を尊重せず、それは、すなわち、野党の背景にある自民党支持者よりも多い国民の存在を忘れた独善的、独裁的態度であるといわねばなりません。
 さらに、その政治責任を言うならば、職権乱用や憲法侮辱、あるいは議会否定、近くは国連軽視の不謹慎な言動によって、多くの大臣が佐藤内閣を追われました。かくも多くの大臣に対し、その責任を佐藤内閣自身が追及しながら、みずからの政治責任を顧みることのないのは、まさに異常な心理といわねばならないのであります。これもみな、最長不倒の記録をつくるための佐藤総理の異常心理でありましょう。まさにこのことに、一将功成って万骨枯るの実際を私は見た感じがする。この点について、私一人がそのように思うのではないと、このように私は確信するのであります。
 私はこの一年を顧みて、内外ともに孤立の政策をとられ、明らかに政策の失敗の集積がこの点についてあらわれているにもかかわらず、その反省もされず、さらに新しい公約で局面を糊塗される総理の厚顔無恥ぶりに、国民はあきあきしているのであります。あまりにも長い道中でありました。それはまた、力ある総理としての存在を証明するためでありましょうか、それとも自民党に人なきゆえでありましょうか、このように国民は思っております。
 すでに、心ある自民党員の中においてすら、退陣要求の声が高まっています。したがって、新しい時代に新しい日本の進路を開くために、平和と国民福祉を軸とした、そして新しい国際社会の平和国家として、大国主義から脱却した日本の政治パターンを確立するために、すみやかに退陣されることをあえて要求するものであります。(拍手)
 以上、総論的に、佐藤内閣不信任決議に賛成する理由を明らかにしました。
 さらに次に、佐藤内閣の七年間はいかに言行不一致、公約不実行の歴史であったかを、総理自身の発言から申し述べたいと思います。
 第一点は、三十九年第一次佐藤内閣以来、本年まで七年の星霜を経ましたが、旧態依然として佐藤総理の所信は何の前進もありません。佐藤総理は、三十九年のその所信表明演説で、池田内閣のとった高度成長のひずみを批判して、あなたは次のように述べております。「このような時期に国政を担当するにあたって、私は、人間尊重の政治を実現するため、社会開発を推し進めることを政策の基調といたします。」さらに、「経済と技術が巨大な歩みを見せ、ともすれば人間の存在が見失われがちな現代社会にあって、人間としての生活の向上発展をはかることが社会開発であります。」「私は、長期的な展望のもとに、特に住宅、生活環境施設等社会資本の整備、地域開発の促進、社会保障の拡充、教育の振興等の諸施策を講じ、もって、高度の福祉国家の実現を期する考えであります。」このように述べられました。ところが、今国会の所信表明演説においても、「経済の成長のあり方を改めて、活力に満ちた福祉社会の建設に向かうことが、基本的な課題であります。」と、七年たった今日においても全く同じことを繰り返して述べ、問題が何一つ解決していないことをみずから認められておるのであります。(拍手)
 さらに、先日の国際通貨調整で、円切り上げ後の記者会見においては、記者団からの、「円の大幅切り上げは日本のゆとりのあらわれと自慢したが、国内では住宅、道路、生活環境整備が立ちおくれ、物価上昇に国民は泣いている」との質問に対して、総理は、「確かにその一面はある、そこで、今度はもっと内政に力を入れ、国内でもほんとうに豊かになった感じを持たせることが政府の責任であり、このための政策に力を入れる」と答えておられるのであります。まさに、この七年間の高度成長のひずみの是正は全く行なわれず、生産第一主義、設備投資、輸出主導型の経済政策の中で物価の上昇はすさまじく、土地価格は暴騰を続け、消費者物価の高騰は毎年五%以上を記録し、四十五年は七・七%と、池田内閣時代では記録しなかった高騰を示し、総理が口ぐせに言ってこられた物価の安定は、ただ口先だけのものにすぎなかったと言うべきであります。
 しかも、総理就任のときに赤字に転落した国鉄財政は、根本的な再建策も推進されず、運賃値上げによる国民の犠牲によってお茶を濁してきたにすぎず、七年間三回の運賃値上げ、さらには、消費者米価のほか、一連の公共料金値上げは、政府主導型物価上昇のパターンをつくったのであります。
 また、保険医総辞退の紛糾まで引き起こした医療保険制度の抜本改正の怠慢さは、常に国民負担においての安易な解決策を求めるのみであり、全く政府の無策といわざるを得ないのであります。
 こうした中で深刻さを加える産業公害、さらに、ごみ戦争の新語を生んだ都市廃棄物の中で、住宅資本ストックの水準は欧米の二・五分の一ないし六分の一であり、国民の住宅難はいまだ解決の糸口さえも見つからないのが現況であります。また、都市公園は、欧米の四分の一ないし五分の一の面積でしかない。公共下水道普及率は、東京区部においても五〇%に満たない等々。さらに看過できない問題は、年間一万六千数百人を数える死亡者、百万人近い負傷者を出している交通事故、年間六千人をこえる労働災害死亡者、火災死亡者の急増、天災、航空事故の惨事等々、GNP至上主義のもとで現出した悲惨と国民生活の苦悩は、限りないものがあるのであります。
 政府が誇らしげにいう繁栄が、国民不在の政治で進められてきたこの実態は、七年前に総理就任の際の所信表明とはあまりにもかけ離れたものとなりました。いままた国の盛衰を分かつ重大な局面で同じことばを繰り返す胸の中で、はたしてみずからの責任を総理は反省するものがあるかいなか、私は聞きたいのであります。
 その第二点は、対米追随姿勢であります。米中接近を頭越しにされようが、強圧に屈した繊維の日米政府間協定であろうが、沖繩返還協定並びに関連法案の内容が、日米安保、佐藤・ニクソン共同声明、さらに久保・カーチス取りきめ等々、四次防計画強行というラインの中で、日米軍事複合体制を至上方針として、沖繩の公用地強制収用法案のごとく、憲法解釈を独断しての違憲のかたまりといわれる法律を立案しようが、アメリカにさえすがっておればよいという政府の姿勢に、われわれは全く納得できないのであります。そのために、国民としての権利を抑圧されることもやむを得ないとする佐藤総理のアメリカに対する誠意が、今後の日米関係をいよいよ緊密にするとする考えがあるとすれば、それは大きな間違いであります。その間違いの第一は、すでに繊維、中国、円の切り上げでも明瞭であり、その第二は、国民感情を忘れた外交姿勢をありありと見せつけているということであります。
 アメリカのうしろについていて、国際情勢が見えるわけはありません。周総理への保利書簡を美濃部都知事へ託して失敗したことも、そうした結果にほかならないといわなければなりません。国家指標も持たず、みずから平和の道を切り開く情熱もなく、しかも、対米追随の中で孤立政策をとっている限り、かえって、アメリカ政府と国民からも対等の独立国としての信頼をなくし、依然として経済大国として国力、国情に応じた軍事力強化政策を強行する限り、すでに戦後の冷戦構造が組みかえられる中で、アジア諸国からの脅威の的となるのは当然というべきであります。同時に、経済大国主義のもとで軍事力増強を推進するならば、国際経済社会において再び円の切り上げを要求されることは必至であります。
 第三点は、対中国姿勢において、いまだに虚構の日台関係の亡霊に取りつかれる硬直姿勢であり、日台条約を結んだ吉田首相のダレスあて書簡も、日台条約締結の意図も、その本意は台湾を中国の代表としていないことは、その地域限定から見ても明らかに読み取れ、今日あることは予測した上のことであったことは、いままで指摘したとおりであります。
 また、いわゆる吉田書簡の日中貿易輸銀利用の停止も、とりあえずその年のものであり、その後輸銀利用停止を継続してきたのは、ほかならぬ佐藤総理であります。日台条約が虚構の歴史に基づくものであったことは明らかであり、中国の国連復帰、国連からの国府追放は、国際世論から、日台条約の不当と廃棄さるべきことを意味するものであります。にもかかわらず、日台条約の廃棄に断を下し得ない佐藤総理には、もはや日中国交回復の意思はないと断ずる以外はないのであります。(拍手)その奥にあるものは、長期にわたる大陸侵攻と誤った戦争と敗戦の事実に対する反省があるやいなやと、疑いを持つものであります。
 以上、私は、佐藤内閣七年のよって来たる失政の姿と無責任さのごく一部を見ただけでも、もはや今日の重大な局面において政権担当の資格なしと断じ、すみやかなる佐藤内閣総辞職を迫るものであります。
 以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
#28
○議長(船田中君) 曽祢益君。
  〔曽祢益君登壇〕
#29
○曽祢益君 私は、民社党を代表して、ただいま議題になりました、社会、公明、民社三党共同提案にかかる佐藤内閣不信任決議案に対し、賛成の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 不信任の第一の理由は、本年夏以来の二つのニクソン・ショック並びに中国の国連参加及び年末のドル切り下げ、円切り上げ等に象徴される、戦後体制の終わりという画期的な歴史のうねりを予見し、これに対処する準備と能力とを佐藤内閣は全く欠き、ために、国際政治の舞台でのわが国の評価を著しく低下し、経済的にはわが国益をはなはだしく棄損したということであります。(拍手)
 ニクソン訪中に関するキッシンジャー補佐官の行動は、極秘に進められたとはいえ、これに先立つ同大統領の外交路線の、対決から対話への切りかえや、米中接近への段階的なアプローチ、さらには、毛沢東主席のニクソン訪中歓迎の談話等のできごとは、いずれも世界周知の事実であり、米中双方の政策転換のまぎれもない前兆でありました。したがって、アメリカの頭越しの中国接近をうらむ前に、安易にアメリカに寄りかかって、大きく変化しつつある国際情勢の分析を怠り、対米、対中国政策の自主的な転換につとめなかった佐藤内閣の先見性の欠如と無能こそが責められるべきであります。(拍手)
 いずれにしても、現内閣の対米、対中国政策の完全な失敗のため、わが国は、嘆きのピエロと国際的にあざけられ、かつ、日米関係の悪化と米中の直接対話の進展は、わが国の対中国バーゲニングパワーをはなはだしく弱めたのであります。
 他方、米国のドル防衛対策についても、青天のへきれきと受け取り、あわてふためいた佐藤内閣に大きな責任があることは争えないところであります。(拍手)
 すなわち、その経済成長至上主義、輸出強行政策とわがほうの貿易・資本自由化のおくれは、欧米先進国からは、日本の経済的侵略の脅威と反発され、発展途上国からは、エコノミックアニマル、軍国主義の復活と警戒されるに至ったのであります。
 しかも、この間、アメリカのベトナム戦争介入の結果、ドルの危機が深刻化し、アメリカの経済の弱体化が顕著となったにもかかわらず、サミュエルソン教授の言うごとく、佐藤内閣のもと、日本は公害輸出、低賃金輸出がいつまでもアメリカ市場をたよりに可能だという夢を見続けてきたわけであります。
 日本経済が貿易勘定の大幅黒字基調の上に独走する中で、佐藤首相は、ハーマン・カーンの、二十一世紀は日本の世紀だとの予言を信じて、GNP拡大に安住し、国際経済への順応に対する当然の配慮を怠ったところに、八月のドル・ショックが発生したのであります。(拍手)それでもなお佐藤内閣が、厳重な為替管理の上にあぐらをかき、平価調整は主権の問題だとうそぶいて、段階的な円切り上げを怠ったところに、今回のワシントン十カ国蔵相会議において、日本が孤立無援の中で円の大幅切り上げの受諾に追い込まれ、その結果、輸出産業、中小企業、農業を中心とする国民経済に大きな混乱をもたらした原因があります。(拍手)これは、国際通貨戦争における米仏両国の勝利とは対照的に、わが国の惨敗であり、佐藤内閣の責任はまことに重大であります。(拍手)
 およそ、政治は政策の選択であり、先見性の有無がきめ手であります。戦後四半世紀にして発生した国際政治経済の大きな転換に対する洞察を欠き、したがって、これに対処して外交、政治、経済、社会の各般にわたって国政を運営して誤りなきを期する能力の欠如を露呈し、国の威信と国益に重大な損害を与えた佐藤内閣は、いさぎよく責めを負って一刻もすみやかに退陣すべきであります。(拍手)
 佐藤内閣不信任の第二の理由は、その経済成長の偏重と人間性不在の姿勢のゆえであり、なかんずく物価高、地価の高騰及び環境破壊の責任を負うべきだということであります。
 すなわち、物価対策においては、逐年、政府の予測、すなわち前年比四・五%程度をはるかに上回り、東京では七・二%に達する消費者物価の高騰のため、庶民の暮らしが破壊されつつあるにかかわらず、政府は、物価抑制のために何ら真剣な努力を払わず、有効な具体策を実施せず今日に至ったのであります。
 一方、政府の地価抑制策は皆無にひとしく、わが国の大都会及び近郊の地価は世界最高であり、ために住宅建設は進まず、三百六十万勤労者世帯の住宅難は果てしなく続いており、さらに道路、鉄道の建設も、いたずらに土地成金の利潤追求に奉仕しておくれがちのありさまであり、政治の不在これよりはなはだしきものはございません。(拍手)
 次に、産業及び都市公害と環境破壊の深刻化は、佐藤政治の非人間性の代表的なものであり、これは国内的に重大な政治問題であるにとどまらず、国際的にも世界第一位の公害国日本は、他国の迷惑を顧みず輸出を強行する経済的アウトローとしてつまはじきされる原因となったのであります。今回の国際通貨、貿易の調整にあたり、日本が袋だたきにあったゆえんがここにございます。
 したがって、国際通貨調整、貿易規制に伴う当面のわが国経済の立て直しがいかように行なわれるにせよ、基本的かつ長期的には、わが国経済のあり方は、GNP偏重から国民福祉中心への転換と、輸出依存の産業構造の国内社会資本充実型への移行を必要とすることは明らかであります。
 これらの諸問題、特に高度成長でなく、安定成長、社会資本の充実、人間尊重、物価安定等は、今日まで佐藤首相がしばしば提起し、かつ公約したところであります。しかしながら、佐藤首相の言動の特色は、その有言不実行と公約のたなざらしにあります。(拍手)無為無策や無能内閣ならば、その罪はまだ軽しといえます。有言不実行は、うそつきの別名でありまして、政治家の最も恥ずべき行為といわなければなりません。(拍手)このような首相の有言不実行は、その在任中、日韓、健保、沖繩、大学法等の審議にあたり、問答無用の強行採決に訴えた権力主義的議会運営と相まって、国民の政治、特に議会政治に対する不信を深めたところの、民主主義に対する重大な背反であって、断じて許し得ないところであります。(拍手)これ、すなわち、佐藤内閣不信任の第二の理由であります。
 佐藤内閣不信任の第三の理由は、難問題には積極的に取り組まず、あと回しとし、圧力団体には弱い、その日暮らしの無責任な態度のゆえであります。
 その適例は、三K、すなわち、国鉄、米、健保であります。このわが国財政の三大赤字源、すなわち、国鉄、食管会計、政府管掌健保に対し、史上最強の絶対多数の上に立脚する佐藤内閣が、七年の施政を通じ、結局何一つ根幹に触れた改革をなし得ず、いな、なそうとすらしなかったことは、驚くべき責任回避であり、かつ、佐藤内閣が巨大公共企業の民主的な管理、農業の近代化並びに健康保険制度や社会保障制度の改革については、全然無能力な内閣であることを証明しております。(拍手)
 佐藤内閣不信任の第四の理由は、相次ぐ外交上の失態であります。
 まず、沖繩と繊維問題については、首相は、六九年のニクソン大統領との会談の際に、この両問題のからみ合いを認めるような思慮の足りない言動をあえてし、日米間に誤解の種をまいたのであります。しかも首相は、第二回ニクソン大統領との会談で、みずから行き詰まった政府間交渉の再開を提議して、先方に対し品目別規制政府間協定成立への期待を与えながら、最後に、本年初頭、大統領のライバルであるミルズ下院歳入委員長とわがほう業界との間に民間自主規制案が成立するや、保利官房長官が軽率にも日米政府間交渉打ち切りを声明し、米大統領を激怒せしめたことは、驚くべき外交史上の失態であります。(拍手)
 この失策の代価はきわめて高価でありました。政府は、ついにニクソンのドル・ショックに屈し、最も不利な条件で政府間繊維協定を受諾しましたが、それは繊維産業に甚大な損害をもたらしたばかりでなく、国会軽視の不法、不当な措置であります。しかも、タイミングをはずれたこの譲歩は、全く代償なしでもぎ取られ、かえって日米間に重大な感情のしこりを残した外交上の大失敗であります。
 繊維問題のもつれは、さらに、ニクソン大統領の頭越しの二つのショック療法の際における日本の処遇にも投影しなかったとは断じ得ないのでありますが、確実に言えることは、沖繩返還協定に大きな悪影響を及ぼしたということであります。すなわち、政府は、一応、わが民社党の主張した早期、核抜き本土並みの軌道の上で詰めの段階に入ったのでありますが、国務省側は、繊維問題を中心とする貿易、経済問題についての議会側の対日不満を理由に、上院の批准を得るためと称して、基地、請求権、VOA問題等について強硬に既得権擁護の態度をとり続け、これがために、でき上がった協定の内容は、核抜き本土並みの線から著しく後退したものになったことは、周知のとおりであります。(拍手)
 このほか、ニクソン訪中決定以後の緊張緩和の新しい動向に顧み、この際、沖繩返還協定に関しては、少なくとも日米共同声明第四項、特に朝鮮、台湾条項の再検討並びに基地縮小についての再協議が当然必要かつ合理的であるにかかわらず、これを行なわない佐藤内閣の姿勢は、全く沖繩百万同胞の期待を裏切る対米追随以外の何ものでもございません。(拍手)
 以上を総括して、われわれは、繊維問題、沖繩問題に関する佐藤内閣の外交の失敗に対し、ここに首相自身の政治責任を鋭く糾弾するものであります。
 佐藤内閣不信任の第五の理由は、中国政策の失敗についてであります。
 わが党は、七年前佐藤内閣成立のころから、すでに、北京政府を中国の代表者として国連に迎えることと、日華平和条約の正しい解釈に従い、この条約の存在に妨げられることなく北京政府との国交樹立につとめることを主張してまいりましたが、佐藤内閣は、ときとして、思いつきのように中国問題に前向きのジェスチャーを示しつつも、実は一貫してかたくなに国民政府を唯一の正統政府と認め、大陸中国とは政経分離でいくことに固執し、国連においては、重要事項指定方式によって北京政府の国連参加を妨害してまいりました。そこに過般の米中接近の新事態が発生したのでありますが、首相は、それでもなお、国連総会において、複合二重代表制への軌道修正とともに、台湾の議席擁護のための逆重要事項指定方式の積極的な推進役を、党内外の慎重論を振り切って買って出たのであります。
 国連における二重代表制はいまや完全に手おくれであり、また、国府追放に積極的に賛成しないことは理解できるものの、わがほうが進んで逆重要事項指定にまで国府議席問題を深追いすることは、主観的には一佐藤内閣の国民政府への義理立てであっても、客観的には、わが国の敗北を一そうみじめなものとするばかりか、わが国と人民共和国政府とのみぞを深める結果を招来した大失策であります。(拍手)
 われわれは、どこまでも日本の主体的立場を堅持しつつ、この際、人民共和国政府を中国の唯一の正統政府と認め、台湾は中華人民共和国の領土であるが、その処理は平和的に行なわれることを期待し、日華平和条約は中国との国交樹立の過程において解消されるとの原則に立って、両国間に平和の回復と国交樹立のための政府間交渉に入るべきだと確信し、その意味で佐藤内閣の決意を促してきたのであります。
 しかしながら、日中国交回復国会決議に関する与野党間の交渉が、佐藤首相の不決断のためについに決裂したからには、われわれは、北京政府の佐藤内閣に対する批判とは別に、日本の主体的立場から、もはや佐藤内閣には日中国交回復交渉を担当する意思と能力なしと認め、ここに国民の名において、厳粛に、佐藤内閣の退陣を求める次第であります。(拍手)
 以上の理由に基づき、私は、ここに佐藤内閣不信任案に賛意を表するとともに、最長不倒距離を誇るといえども、史上最低の支持率という芳しからざる新記録の保持者である首相佐藤榮作君に対し、この際、退陣することによってせめて最後の出処進退をすがすがしくせられんことを衷心より勧告し、かつ、自民党の心ある同僚議員諸君の御賛同を得て、本決議案が可決せられることを期待しつつ、討論を終わります。(拍手)
#30
○議長(船田中君) 谷口善太郎君。
  〔谷口善太郎君登壇〕
#31
○谷口善太郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、佐藤内閣不信任決議案に対し、賛成の討論を行ないます。(拍手)
 先ほど自由民主党の田中伊三次君が、政権の担当の意思も能力もない野党が内閣不信任決議案を出すというのはナンセンスだと言いましたが、田中君という人はああいうもの言いで相手を煙に巻くことは得意な方でありますが、それならどうでしょう、ここで佐藤内閣はやめてもらって、われわれ野党民主勢力に政権を渡していただけましょうか。われわれは統一戦線を基礎にして、堂々と国会を解散し、信を国民に問う用意があります。(拍手)
 最近発表されました新聞の世論調査によりますと、佐藤内閣を支持する者は二〇%以下になっており、逆に、支持しないとする者が実に六〇%近いと報道されております。一体、自民党の幹部諸君はこの事実をどう考えていられるのでしょうか。
 佐藤内閣は、衆議院における自民党の三百議席にあぐらをかいて、沖繩協定承認案件並びに関連諸法案成立の暴挙をあえて強行し、または強行しようとしておりますが、この世論調査の結果によっても、沖繩県民をはじめ、国民多数の意思は、このような暴挙を許さず、このような自民党の存在に批判を加え、佐藤内閣の一日も早い退陣を要求していることは明らかであります。(拍手)
 七年余りに及ぶ佐藤内閣の政治が、日本国民ばかりか、平和と独立を願うアジアの諸民族にいかなる被害をもたらしたか、その罪状の数々は枚挙にいとまありません。
 佐藤総理、あなたが第一次佐藤内閣を組閣して最初に行なったことは何であったか。米原子力潜水艦の日本寄港承認でありました。あなたは、それ以来、アメリカのベトナム民主共和国への爆撃、ラオス、カンボジアへの進攻などを支持し、アメリカ第七艦隊の日本寄港、B52の沖繩配備を承認し、南ベトナムをはじめ東南アジアの反共かいらい政権に対する肩がわり援助を強化するなど、一貫してアメリカのインドシナ侵略に積極的に協力、加担してきました。あなたが、アメリカ大統領によってその世界一忠誠ぶりを称賛された事実は、そのまま、あなたが平和を願う日本国民と民族解放のために戦っているインドシナ人民に対する最も重大な犯罪者の一人であることを、何よりも明白に証明したもの以外の何ものでもありません。(拍手)
 佐藤内閣が、今日、核も基地もない沖繩全面返還を要求する沖繩県民を無視し、広範な国民世論にあえて挑戦して、沖繩協定批准を強行し、問答無用で土地を強奪して、沖繩を引き続き米軍と、さらに加えて自衛隊の侵略基地に固定しようとしていることは、昨年の日米安保条約の自動延長、日米共同声明に基づく安保条約の実質的な改悪、これをほんとうの中身とする日米軍事同盟の一そうの侵略強化を推し進めるものであり、日本の将来にきわめて危険な道を与えることにほかなりません。
 今国会で政府が、核撤去についても、謀略部隊、緊急出撃部隊の存続についても、また、返還後の米軍自由出撃の問題についても、何一つ国民に納得のいく答弁をなし得なかった事実こそ、この危険な内容を逆に最も雄弁に証明する結果となったのであります。
 日本の国民は、このように屈辱的、侵略的な沖繩協定を断じて容認するものではありません。必ずや、安保条約の廃棄、沖繩の全面返還を目ざして、さらに大きな戦いを進めるでありましょう。(拍手)
 中国の国連代表権回復の問題、日中国交回復の問題等における佐藤内閣のアメリカ追従一辺倒の姿勢がいかに喜劇的なものであったか、それはいまや国際政局の推移の中できわめて明らかに暴露されました。佐藤内閣の手によっては、平和五原則に基づく日中国交回復は望むべくもないことは、いまやだれの目にも明らかになったのであります。
 内政問題での失態については、多言を要しません。アメリカへの経済的従属依存と財界本位の高度成長政策がもたらしたものは、日本独占資本の驚異的な膨張の反面、国民の命と暮らしに重大な脅威を与えたのであります。
 すなわち、消費者物価の上昇は、主要資本主義国で第一位、佐藤政権下の七年間だけでも実に四四・二%の高騰であります。
 公害に至りましては、いまや直接国民の生命を脅かし、工場廃液、大気汚染などによって毎日のように死者が出るという深刻な事態になっております。わが国の河川、海洋は、死の川、死の海と化し、いまや公害は日本列島全体をおおっているのであります。
 そして、今日、佐藤内閣は、アメリカのドル防衛に全面的に協力するため、円の大幅切り上げを強行、自由化の促進等で、農業、中小企業を破壊し、労働者への首切り、合理化など、国民全体に無慈悲な犠牲を強要しているのであります。みずから求めずしてドル圏に置かれました沖繩の県民、この県民の苦しみが、円の切り上げによっていかなる状態になっているかは、現状を見れば明らかであります。われわれはこれを見るだけでも痛憤にたえないところであります。まさに佐藤内閣は国民生活の最も残酷な破壊者以外の何ものでもないのであります。
 佐藤内閣は、これまで安保繁栄論を謳歌し続けてきましたが、佐藤総理はじめ閣僚諸君は、この今日の帰結を見てどのように責任をとろうとしているか、即刻退陣してその罪を国民にわびるべきであります。(拍手)
 しかも、佐藤内閣は、このようなアメリカへの追随と財界本位の政治を強行するために、歴代自民党内閣においても一段と悪逆な反動的手段に訴えてまいりました。日韓条約、大学法、国鉄運賃値上げなどにおける強行採決をはじめ、今回の沖繩協定に至るまで、佐藤内閣七年間の国会における強行採決の暴挙は、実に四十件にも及ぶのでありまして、こういうおそるべき記録をつくったのは、佐藤内閣が初めてであります。
 教育、裁判、司法の反動化、自衛隊の増強、財界との黒い結びつき、それを維持するために政治資金規正法を流産させたこと、選挙制度の改悪から憲法改悪に至る恥知らずな策動など、わが国の民主主義圧殺の方向を一貫して追求している歴然たる証拠でありまして、これまた国民の許すことのできないところであります。(拍手)
 特に、佐藤内閣の衆議院での三百議席なるものが全くの虚構にすぎないことを、この際明らかにしておく必要があります。
 すなわち、自民党の衆議院三百議席は、得票率でも過半数を割る四七・六%、全有権者対比では三分の一以下にすぎぬ三二・三%の上に立ったものでありまして、全くの虚構であります。これが国民多数の意思を代表し得るものでないことは明らかであることは、どなたもお認めになることと存じます。しかも、すでに述べたように、佐藤内閣の支持率は、今日二〇%を割っているのであります。
 佐藤内閣は、まさに、歴代自民党内閣の中にあっても最悪の内閣であります。国民は、佐藤内閣がこれ以上その政権の座に居すわることを断じて許し得ないのであります。(拍手)
 日本共産党は、国民の名において、国の安全と独立、平和、民主主義、人民の生活を守る立場から、佐藤内閣の悪政をきびしく糾弾するとともに、その即刻退陣することを強く要求いたします。
 以上が、本決議案に賛成する日本共産党の主張であります。(拍手)
#32
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。
 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#33
○議長(船田中君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#34
○議長(船田中君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#35
○議長(船田中君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#36
○議長(船田中君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 四百六十一
  可とする者(白票)       百七十八
  〔拍手〕
  否とする者(青票)      二百八十三
  〔拍手〕
#37
○議長(船田中君) 右の結果、佐藤内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
  〔参照〕
 成田知巳君外十名提出佐藤内閣不信任決議案を可とする議員の氏名
      安宅 常彦君    阿部 昭吾君
      阿部 助哉君    阿部未喜男君
      赤松  勇君    井岡 大治君
      井野 正揮君    井上 普方君
      石川 次夫君    石橋 政嗣君
      上原 康助君    卜部 政巳君
      江田 三郎君    大出  俊君
      大原  亨君    岡田 利春君
      加藤 清二君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    川崎 寛治君
      川俣健二郎君    川村 継義君
      木島喜兵衞君    木原  実君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      黒田 寿男君    小林 信一君
      小林  進君    後藤 俊男君
      河野  密君    佐々木更三君
      佐藤 観樹君    佐野 憲治君
      斉藤 正男君    阪上安太郎君
      島本 虎三君    下平 正一君
      田中 武夫君    田中 恒利君
      田邊  誠君    高田 富之君
      武部  文君    楯 兼次郎君
      千葉 七郎君    辻原 弘市君
      土井たか子君    堂森 芳夫君
      内藤 良平君    中井徳次郎君
      中嶋 英夫君    中谷 鉄也君
      中村 重光君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    西宮  弘君
      芳賀  貢君    長谷部七郎君
      畑   和君    華山 親義君
      原   茂君    日野 吉夫君
      平林  剛君    広瀬 秀吉君
      藤田 高敏君    古川 喜一君
      細谷 治嘉君    堀  昌雄君
      松浦 利尚君    松沢 俊昭君
      松平 忠久君    松本 七郎君
      三木 喜夫君    三宅 正一君
      美濃 政市君    八百板 正君
      八木  昇君    安井 吉典君
      柳田 秀一君    山口 鶴男君
      山中 吾郎君    山本 幸一君
      山本 政弘君    山本弥之助君
      横路 孝弘君    横山 利秋君
      米田 東吾君    相沢 武彦君
      浅井 美幸君    新井 彬之君
      有島 重武君    伊藤惣助丸君
      小川新一郎君    大久保直彦君
      大野  潔君    大橋 敏雄君
      近江巳記夫君    岡本 富夫君
      沖本 泰幸君    鬼木 勝利君
      貝沼 次郎君    北側 義一君
      桑名 義治君    小濱 新次君
      古寺  宏君    斎藤  実君
      坂井 弘一君    鈴切 康雄君
      瀬野栄次郎君    田中 昭二君
      多田 時子君    鶴岡  洋君
      鳥居 一雄君    中川 嘉美君
      中野  明君    西中  清君
      林  孝矩君    樋上 新一君
      広沢 直樹君    伏木 和雄君
      二見 伸明君    古川 雅司君
      正木 良明君    松尾 信人君
      松尾 正吉君    松本 忠助君
      宮井 泰良君    矢野 絢也君
      山田 太郎君    渡部 一郎君
      渡部 通子君    合沢  栄君
      麻生 良方君    伊藤卯四郎君
      池田 禎治君    今澄  勇君
      受田 新吉君    内海  清君
      岡沢 完治君    春日 一幸君
      川端 文夫君    河村  勝君
      寒川 喜一君    栗山 礼行君
      小平  忠君    小宮 武喜君
      佐々木良作君    鈴木  一君
      曾禰  益君    田畑 金光君
      竹本 孫一君    塚本 三郎君
      西尾 末廣君    西田 八郎君
      門司  亮君    吉田 賢一君
      吉田 泰造君    吉田 之久君
      和田 耕作君    和田 春生君
      渡辺 武三君    青柳 盛雄君
      浦井  洋君    田代 文久君
      谷口善太郎君    津川 武一君
      寺前  巖君    土橋 一吉君
      林  百郎君    東中 光雄君
      不破 哲三君    松本 善明君
      山原健二郎君    米原  昶君
      安里積千代君    瀬長亀次郎君
 否とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    足立 篤郎君
      阿部 文男君    相川 勝六君
      愛知 揆一君    青木 正久君
      赤澤 正道君    秋田 大助君
      天野 公義君    天野 光晴君
      荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君
      有田 喜一君    有馬 元治君
      井出一太郎君    伊東 正義君
      伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君
      池田 清志君    池田正之輔君
      石井  桂君    石井  一君
      石井光次郎君    石田 博英君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      稲村 利幸君    宇田 國榮君
      宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      内田 常雄君    内海 英男君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      江藤 隆美君    小川 半次君
      小川 平二君    小此木彦三郎君
      小沢 一郎君    小澤 太郎君
      小沢 辰男君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大久保武雄君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大西 正男君
      大野  明君    大野 市郎君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      大村 襄治君    岡崎 英城君
      奥田 敬和君    奥野 誠亮君
      加藤常太郎君    加藤 六月君
      加藤 陽三君    鹿野 彦吉君
      賀屋 興宣君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    笠岡  喬君
      梶山 静六君    金丸  信君
      金子 一平君    金子 岩三君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    唐沢俊二郎君
      仮谷 忠男君    神田  博君
      菅  太郎君    菅野和太郎君
      木野 晴夫君    木部 佳昭君
      木村 武雄君    木村武千代君
      木村 俊夫君    菊池 義郎君
      岸  信介君    北澤 直吉君
      久野 忠治君    久保田円次君
      鯨岡 兵輔君    熊谷 義雄君
      倉石 忠雄君    倉成  正君
      藏内 修治君    小金 義照君
      小坂善太郎君    小坂徳三郎君
      小島 徹三君    小平 久雄君
      小峯 柳多君    小宮山重四郎君
      小山 長規君    小山 省二君
      河野 洋平君    河本 敏夫君
      國場 幸昌君    左藤  恵君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤 孝行君
      佐藤 文生君    佐藤 守良君
      斉藤滋与史君    齋藤 邦吉君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      坂元 親男君    坂本三十次君
      櫻内 義雄君    始関 伊平君
      椎名悦三郎君    塩川正十郎君
      塩崎  潤君    塩谷 一夫君
      篠田 弘作君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    進藤 一馬君
      菅波  茂君    鈴木 善幸君
      砂田 重民君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      園田  直君    田澤 吉郎君
      田中伊三次君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 龍夫君
      田中 正巳君    田中 六助君
      田村  元君    田村 良平君
      高鳥  修君    高橋 英吉君
      高橋清一郎君    高見 三郎君
      竹内 黎一君    竹下  登君
      谷垣 專一君    谷川 和穗君
      千葉 三郎君    中馬 辰猪君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      床次 徳二君    中尾 栄一君
      中垣 國男君    中川 一郎君
      中島源太郎君    中島 茂喜君
      中曽根康弘君    中野 四郎君
      中村 梅吉君    中村 弘海君
      中村 拓道君    中村 寅太君
      中山 利生君    中山 正暉君
      永田 亮一君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    二階堂 進君
      丹羽 久章君    丹羽喬四郎君
      丹羽 兵助君    西岡 武夫君
      西村 英一君    西村 直己君
      西銘 順治君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    野田 武夫君
      野中 英二君    野原 正勝君
      野呂 恭一君    羽田  孜君
      羽田野忠文君    葉梨 信行君
      橋口  隆君    橋本登美三郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      服部 安司君    浜田 幸一君
      濱野 清吾君    早川  崇君
      林  義郎君    原 健三郎君
      原田  憲君    廣瀬 正雄君
      福井  勇君    福田 赳夫君
      福田 篤泰君    福田  一君
      福永 一臣君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤尾 正行君
      藤田 義光君    藤波 孝生君
      藤本 孝雄君    藤山愛一郎君
      古内 広雄君    古川 丈吉君
      古屋  亨君    別川悠紀夫君
      保利  茂君    坊  秀男君
      細田 吉藏君    本名  武君
      前尾繁三郎君    前田 正男君
      増岡 博之君    増田甲子七君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田竹千代君    松永  光君
      松野 幸泰君    松野 頼三君
      松本 十郎君    松山千惠子君
      三池  信君    三木 武夫君
      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君
      箕輪  登君    水田三喜男君
      水野  清君    湊  徹郎君
      宮澤 喜一君    武藤 嘉文君
      向山 一人君    村上  勇君
      村上信二郎君    村田敬次郎君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山 ひで君    森  美秀君
      森  喜朗君    森下 國雄君
      森下 元晴君    森田重次郎君
      森山 欽司君    安田 貴六君
      山口 敏夫君    山崎平八郎君
      山下 元利君    山下 徳夫君
      山田 久就君    山中 貞則君
      山村新治郎君    山本 幸雄君
      豊  永光君    吉田 重延君
      吉田  実君    早稻田柳右エ門君
      綿貫 民輔君    渡部 恒三君
      渡辺 栄一君    渡辺  肇君
      渡辺美智雄君
    ―――――――――――――
#38
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
        外 務 大 臣 福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 高見 三郎君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君
        郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
        建 設 大 臣 西村 英一君
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 江崎 真澄君
        国 務 大 臣 大石 武一君
        国 務 大 臣 木内 四郎君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
        国 務 大 臣 竹下  登君
        国 務 大 臣 中村 寅太君
        農林大臣臨時代
        理
        国 務 大 臣 山中 貞則君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト