くにさくロゴ
1971/07/24 第66回国会 参議院 参議院会議録情報 第066回国会 交通安全対策特別委員会 第2号
姉妹サイト
 
1971/07/24 第66回国会 参議院

参議院会議録情報 第066回国会 交通安全対策特別委員会 第2号

#1
第066回国会 交通安全対策特別委員会 第2号
昭和四十六年七月二十四日(土曜日)
   午前十一時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十一日
    辞任         補欠選任
     鈴木  強君     伊部  真君
     吉田忠三郎君     中村 波男君
     大矢  正君     野上  元君
 七月二十三日
    辞任         補欠選任
     吉武 恵市君     矢野  登君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤原 道子君
    理 事
                二木 謙吾君
                中村 波男君
                原田  立君
               柴田利右エ門君
    委 員
                今泉 正二君
                岩本 政一君
                岡本  悟君
                鬼丸 勝之君
                橋本 繁蔵君
                山崎 竜男君
                矢野  登君
                森  勝治君
                小笠原貞子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       運輸省航空局長  内村 信行君
       運輸省航空局技
       術部長      金井  洋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○交通安全対策樹立に関する調査
 (航空機の安全対策に関する件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(藤原道子君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る七月二十一日、鈴木強君、吉田忠三郎君及び大矢正君が委員を辞任され、その補欠として伊部真君、中村波男君及び野上元君がそれぞれ委員に選任され、また昨二十三日、吉武恵市君が委員を辞任され、その補欠として矢野登君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(藤原道子君) それでは理事の選任を行ないます。
 理事の選任につきましては、委員長に指名を一任されておりますので、この際、中村波男君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(藤原道子君) それでは交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のもる方は御発言を願います。
#5
○原田立君 航空機事故につきまして若干質問したいと思います。
 七月三日の東亜国内航空のYS11の事故あるいは七月十一日、日航のオーバーラン、あるいはまた十九日には日航機の機首のめちゃめちゃになったこと、こういうふうな事故がここのところずっと続いているわけでありますけれども、東亜航空の事故後、いろいろと対策を講じられただろうと思いますけれども、新聞でも若干お伺いしておりますが、どういうふうなことをされたのか、その点についてまず御報告を願いたい。
#6
○説明員(内村信行君) このたびの東亜国内航空の「ばんだい」号の事故につきましては、たいへん遺憾に存じております。私ども航空行政をあずかる者といたしまして、たいへん皆さまに申しわけなく思っております。この席をおかりしまして深くおわび申し上げます。
 それから次に、先生から御質問のございました「ばんだい」号の事故発生以後いかなることをしているかということについて御説明申し上げます。
 まず第一に、事故発生とともに――三日に行方不明になったわけでございまして――その三日の夕刻、早速ここにおります金井技術部長以下十二名の係官を現地に派遣いたしました。
 一方、本事故の原因を調査、究明いたしますために七月の五日、運輸省に学識経験者十名からなる事故調査委員会を設置いたしました。そしてこの事故調査委員会は当日第一回の会議を開催いたしまして、今後の事故調査方針を検討いたしますとともに、この方針に基づきまして委員全員が七月六日に事故現場におもむいたわけでございます。そこで七月の六日、七日、八日、三日間現地の調査を行ないまして、東京に戻ってこられました。それで、その後鋭意その間の事情について事故原因を究明しておるわけでございますが、七月二十三日に第二回の調査委員会を開催いたしまして、もっぱらいま原因の究明にあたっている状況でございます。なお、この事故の原因の究明はなるべく早く結論を出していただきたいと私ども思っております。そこで、事故調査委員会といたしましても年内にはこの調査を完了し、はっきりした原因を出したいという目途をもって調査をしていただいております。それが事故調査委員会の問題でございます。
 その次に、私どもといたしましては、まず事故が起こってから、七月十日に運輸大臣が東亜国内航空の社長並びにこれは事故を起こした会社ではございませんが全日空あるいは日本航空の責任者をも大臣が呼びまして、事故の防止について強く注意を喚起したわけでございます。その際に七項目をつくりまして、こういった点について特に注意するようにというふうな指示を与えております。
 その後、さらに将来の事故防止の対策といたしまして――これは先ほど申しおくれましたけれども、事故発生とともに東亜国内航空事故の対策本部というものを政府に置いたわけであります。この対策本部にかけまして、七月の十六日に航空安全緊急対策要綱というものをつくりました。
 その概要を御説明申し上げます。まず第一は、定期航空会社に対する立ち入り検査ということでございます。そこで、東亜国内航空につきましては、七月の十五日以降いま立ち入り検査を実施中でございます。さらにそのほかの日本航空及び全日本空輸に対しましても、必要とあらば立ち入り検査を今後も行なってまいりたいというふうに考えております。なお、さらに今後も随時抜き打ち検査的な立ち入り検査を必要に応じてやってまいりたいというふうに考えております。
 その次に、航空保安施設それから空港の整備、これを促進いたしたいということを考えております。これは、今回の事故の原因に関係あるなしは別といたしまして、私どもといたしましても航空保安施設の設置、運用ということをやっておりますし、また空港の整備もやっております。したがいまして、こういう航空保安施設を極力繰り上げて早く整備してまいりたいというふうに考えております。現在航空整備五カ年計画というものが、四十六年を初年度といたしまして五十年までの五カ年間に、この航空整備五カ年計画というものによりまして航空保安施設あるいは航空路における保安施設ともども整備をいたす計画にしておりますけれども、いままでの考え方で五カ年間で行なうというふうなものにつきましても、特にVORあるいはDMEというような航空保安施設につきましては、これは五カ年の前半に繰り上げて完了してまいりたいというふうに考えております。
 さらに、あるいは進入角の指示灯、ランウエーの延長というようなこともでき得る限りにおいて繰り上げて早く施行したいと考えております。そのようなわけでございます。
 それから、さらに航空路の監視レーダーにつきましても、従来は日本全土をカバーするのは大体五カ年計画では全部間に合わないというふうなことでございましたけれども、この際これをピッチを上げまして、五カ年計画の中で北は北海道南は沖繩に至るまで全航空路を航空監視レーダによってカバーできるようにこれを完了いたしたいということを考えております。
 それから、さらにこういった航空保安施設整備、これを行ないますためには金の問題が要るわけでございます。これにつきましては、全体といたしましては、五カ年計画の中の予算内で大体いけると思います。しかし特に必要なのは要員でございます。こういう航空保安施設をつくるにつきましても、やはりこれはできた暁に補修あるいは運用の委員が要るのは、これは当然でございますが、わりに目に見えませんのは、つくりますための設計でございますとか、あるいは工事の指導監督、そういったようなことに携わるためにどうしても管理要員が要るわけでございます。あるいは本省の中に、あるいは地方航空局の中に、こういったことをする管理要員がぜひともなければならない。ところが、御承知のとおり航空行政機構というものは定員がなかなかつきにくいわけでございまして、定員は毎年毎年次々に削減されていくというふうな状況でございます。一方、航空につきましては、現場の需要が非常に多くなりますとともに、その需要に対応いたしますために、現場業務というものが非常に多くなってくるというのは、いま御説明申し上げましたとおりでございますが、現場の仕事が多くなれば当然管理部門の仕事もふえてまいります。しかし、残念ながら、これに対応すべき人員というものは一切認められない。しいて言うならば、削減されることはあってもふえることはないというのが偽らざる現状でございます。したがいまして、こういうことでは、航空保安施設の整備ということを考えましても、かりに予算はとれても実現は不可能でございまして、この際ぜひとも定員というものをつけていただくようにということをお願いいたしまして、目下これにつきまして関係の各省にお願いをしている段階でございます。
 それから次に、かりに定員がとれても、実際の実務をどうするかという問題がございます。管制官、保安職員、それからいろんな建設の計画の施行、管理、そういったものに必要な要員も、ある程度の特殊な技術を持っておりませんとできませんので、定員だけふえても、なかなか現実の実在員がふえませんとできないということもございまして、これにつきましては格段の努力を払いますとともに、さしあたり防衛庁その他の関係省庁にお願いをいたしまして、何とか御協力をいただけるようにということで、現在これまた折衝中でございます。それからさらに現場要員、こういったものについて、やはり特殊な現業の勤務体制をとっておりますので、その形をすっきりした形とし、同時に待遇を改善していくというふうなことをはかって、やはり要員の確保ということをはかりたいと思っております。
 それから、さらにこういった保安施設の整備その他を進めてまいります際に、何と申しましても、人員というものが必要なことは先ほど申し上げましたとおりでございます。これにつきましては格段の努力をいたすつもりでございますけれども、一方、国全体の流れとしての行政関係における人員削減という一つの流れというものは、抵抗し得ない面がございます。なるべく仕事の面におきましても外部に委託できるものは委託する。あるいは自動化できるものは自動化する。そういったことをいたしまして、部内の職員でやらなければならないものをなるべく少なくして、できるだけできるものは外に出していくというふうなこともあわせて検討いたしたいと思います。ただし、これは航空保安というものに関係のあるものでございますから、そうやみくもにできるわけではございませんで、その辺をよく考えながら、安全を確保できるように、できるだけ外部にまかせるものはまかせていくということで、なおこれから検討いたしてまいりたいと思います。
 それから、さらに次は機上の機器でございますけれども、地上における航空保安施設の整備を行なうとともに、それからそれを受ける機上の機器というものを整備しなければなりません。したがいまして、そういったものもさらに充実をはかるというふうなことを主として指導してまいりたいと思います。
 それから乗員の養成でございます。現在乗員が一つの航空発展のネックになっていることは御承知のとおりだと思いますが、さらに現在その不足パイロットにつきましては、外人乗員を雇っているということも皆さま御承知のとおりでございます。ただ、外人パイロットというものは一がいに否定はできませんけれども、やはり望ましいのは、国内におけるいわゆる土地勘といいますか、そういうものもよく知っております日本人のパイロットが国内については飛ぶということがやはり望ましいことではないかと思います。したがいまして、航空機の乗員、特にパイロットの養成というものを格段に進めてまいりたいということで考えております。これにつきましては、現在、この事故が起こります前から航空審議会における乗員部会におきましていろいろ御検討を願っておるところでございますが、さしあたり本年度は大体五百五十名程度の人員の養成をはかっていくということでございまして、来年度以降も大体六百名前後というものは年々養成してまいりたいというふうな考え方でこの乗員養成を進めてまいりたいというふうに考えております。
 さらに、いままでよくいわれておりました事故調査機関の問題でございます。今回の事故調査は臨時の調査委員会というものにお願いをいたしておるわけでございますが、やはりこれは本来常設的な委員会なり何なりの事故調査機関がございまして、それが専門的見地から、あるいは中立的見地から事故調査を行なっていくということが望ましいと思っておりますので、こういった常設の事故調査機関を特に設けまして、公正かつ強力な事故調査を進めていきたいと考えております。これは総理府に置くか、あるいは運輸省に置くか、これにつきましては、航空機だけの事故調査機関にするか、あるいは交通全体を含めた総合的な事故調査機関にするか、いろいろな問題がございますけれども、いずれにせよ航空局の外にこういった事故調査機関を置くということで、現在その内容等について検討しておる段階でございます。
 それから、多少我田引水になりますけれども、航空というものが非常に大きく伸びておりますわりに、航空行政機構というものはあまり伸びていないというのが現状でございまして、この点、たいへん我田引水のようで申し上げにくいことでございますけれども、この際、何とか航空行政機構というものについても、ひとつもう少し充実してまいりたいというふうなことを考えて、これまた関係各省にお願いしておるという状態でございます。
 以上が現在考えております対策の概要でございます。
#7
○原田立君 だいぶ詳しく御説明をいただいたのだけれども、資料があるんだったら、またあとで出していただきたいと思います。
 今度の事故等を見ても、ILSという計器着陸装置がまだまだ充実した設置がなされていない。そこら辺に大きな事故の起きる原因があるのじゃないかというふうに指摘されているわけです。この設置状況が非常によくないことは私ども大体了解しているのですけれども、現在その設置状況はどうなっておりますか。
#8
○説明員(内村信行君) 現状につきましては技術部長から御答弁申し上げます。
#9
○説明員(金井洋君) 現在ILSをつけておりますのは、千歳、東京、名古屋、大阪、福岡・板付、それからやがて運用開始になりますのが新熊本空港。新熊本空港は八月には供用開始になると思います。で、いま局長からも申し上げましたように、ILSのほかにVOR、DMEという保安施設も安全性の向上に役立つものでございますので、四十六年度を初年度とする五カ年計画で整備計画を立てておりましたけれども、今回の事故によりましてこれを早め、全国の各空港に、できるだけ多くの空港に、これをILSとともにつけることに努力しており、そのための要員あるいは予算面についても関係各省庁と相談中でございます。
#10
○原田立君 現在全国で第一種、第二種、第三種全部含めて約六十カ所ぐらいの飛行場がございますね。このうち、いまのお話によると、六カ所ぐらいしかついていないことになりますね。ということは、非常にもう空の安全という面から言っても非常にちゃちな状態だときびしい批判をされることになるのでございますが、一体いままではILS等の計器着陸装置ですね、これは設置する方針じゃなかったんですか。
#11
○説明員(内村信行君) それではILSについて説明申し上げますけれども、つまり航空保安施設にはILSとかVORとか、あるいはNDBとか、いろいろございますけれども、これは要するにいかなる範囲において、いかなる天候のときでも飛べるかということが問題になるわけでございます。もちろん快時のときは、有視界飛行と申しまして目で見て飛んでまいりますから、こういった計器はなくても十分現在の方向、位置がわかるわけでございます。それが天気が悪くなりますと方向がわからないということで、こういう計器が使われております。そこで、まず航空路の計器と飛行場の計器と二つに分かれるわけでございます。航空路につきましては現在NDBあるいはV
○Rというようなものがございまして、それによって自分の位置というものを把握しながら飛んでおるということでございます。ただいま先生御指摘がございましたが、ILSは空港における着陸の援助施設でございます。そこで、空港におきましては、着陸援助施設としてILSだけかと申しますと、空港にVOR、DME、つまりVORは全方向式無線標識、それからDMEは距離測定装置、そういうものがございますと、それを利用して、ある程度視界が悪くても着陸できる。それからILSのときはもう少し視界が悪くても着陸ができるということでございますが、最後の段階においては目で見える状態でないと着陸ができないということでございます。そこで、いわばそのILSがなければ危険かと申しますと、必ずしもそうではございませんで、ただ、そのいわゆるミニマムと申しますか、そこの空港における最低気象条件というものがILSがあるかないかで違ってくるわけでございます。ILSも、最低気象条件がございますから、それ以下の場合には着陸できないことになります。したがいましてILSにつきましては確かにある意味では安全施設でございますが、安全に運航率をよくする施設というように申し上げていいと思います。そこでILSをつけることでございますけれども、ILSをつけることによりていわゆる最低気象条件というものがもっと下がってきて運航能率が非常にふえるということでないと、ILSをつける価値がないわけでございます。そこで、現在の空港の中ではどうかと申しますと、大体千五百メートル程度の空港がございますが、二千五百メートルとか、あるいは三千メートルというふうなところはほとんど幹線空路で、したがいまして大体二千メートル以上になりますとILSをつけた場合に、その最低気象条件というものが下がってまいります。千五百メートルのままでございますと、ILSをかりにつけましても、それほど下がってまいりません。そういうふうなことがございまして、私どもといたしましては、まずローカル空港については二千メートルぐらいに延ばしていく。二千メートルに延ばしたところについては全部ILSをつけていくというふうな方針で進めてまいるというふうに考えております。もちろん、いままでにつきましては、予算の関係等もありましてなかなかはかばかしく進捗しなかったこともありますが、四十六年度からはいわゆる第二次五カ年計画をつくりまして、受益者負担制度をとりまして、いわゆる航行援助施設利用料を設置して新たに財源をつくってまいりますので、財源については相当潤沢にできるんじゃないか。したがいまして今後二千メートルに滑走路を延ばせば、それと同時にILSをつけるということになってまいると思います。
#12
○原田立君 いま局長のお話ですが、そういう考えだから今度のような事故が起きたんじゃないか、こうぼくは指摘したいのです。やっぱり最悪な状態があってもちゃんと安全に運航ができるような、最低線そういうふうな設備、施設を講じておかなければならないのじゃないか。それを、こういう場合には必要で、こういう場合にはなくてもだいじょうぶなんだというような差別を設けておくから、たまたま今度のような大きな事故が起きるんじゃないか。受益者負担とか、そういうふうな問題についてはまた別な委員会でやるとしても、問題は、完ぺきな安全運航をするには一体どういう装置をしなければいけないのか、現在まるっきり穴だらけだと思うのです。さっきのILSにしても、現在五カ所、あとは新しく二カ所、全体の十分の一のようなわずかの設置しかない。これはとうですか。全空港――一種、二種、三種を含んで全部の空港に設置するような、そういう計画はないのですか。
#13
○説明員(内村信行君) 先ほども申し上げたわけでありますけれども、ILSをつけることですが、いわゆる最低気象条件によってきまってくるのでありますが、千五百メートルのままでILSをつけましても、最低気象条件が下がってこないわけでございます。したがって、ILSをつけてその効果を出すためには、やはり二千メートルくらいに延ばして、そこにつけるということにいたしませんと、ILSの本来の効果が発揮できないわけでございます。二千メートルに延ばしてILSをつけるということが私どもの考え方でございます。
 それから、そういうことになれば絶対安全運航ができるかということでありますけれども、やはりいかに計器が進歩いたしましても、気象条件というものは変わらないわけでありまして、どんなにいい計器ができましても、悪い気象条件では飛べないということになるわけでございます。したがいまして、問題は、気象条件を的確に把握して、それでその気象条件ではその当該個所における保安施設その他では無理であるというときは絶対飛ばないということにしていかないと、事故は避けられないというふうに考えております。
#14
○原田立君 もちろん気象条件が悪ければ飛ばないのが一番安全だろうと思う。けれども現在、航空機の利用者はだんだんふえているし、話によると昭和六十年には一億三千万人くらい利用するだろうと、こんなふうにいわれておると新聞に出ているけれども、そうなると気象条件が悪かったら飛ばなきゃいいじゃないか、これが一番安全なんだという、こういう議論はちょっと暴論じゃないかと思う。やはりある程度悪くても飛ばなきゃならない。定期空路というものはそういうものだろうと思う。そういう意味で、今度のような非常な事故が起きないような体制にすべきだ。それには飛行機自身の計器もあるだろうし、あるいはまた空港自身の計器の充実もしなきゃいけないだろうし、両方やらなきゃいけないし、滑走路も延ばさなきゃならないだろうと思うけれども、問題は、やはり現在指摘されるのは、そういう安全装置、その計器は非常に不十分だ、現在ではそういうことははっきりしているだろうと思う。だからそれを早く改善しなきゃいけないんじゃないかという、こういう意見を言っておるわけです。
#15
○説明員(内村信行君) それはお説のとおりでございまして、早く改善するということは当然しなきゃいけないわけでございます。そこで、どういう方向で改善するかということは、先ほど御説明申し上げましたように、やはり航空保安施設、これはいまやるのは、やはり現在のNDBをVOR、DMEに変えていくということはやらなければならぬと思います。それによりますと、これは相当正確さが違ってまいります。ILSにつきましては、先ほど申し上げましたように、千五百メートルのままでつけますとほとんど効果はございません。したがって二千メートルに延ばす。延ばしたところについてILSをつける。そのほかのところにはともかくVOR、DMEをつけるという方向で安全を確保してまいりたいという考え方でございます。
#16
○原田立君 そうすると、それはあれですか、昭和四十二年から着手した第一次空港整備五カ年計画をまた切り上げ、打ち切って、四十六年度から第二次空港整備五カ年計画に着手した。これは何年にでき上がるのですか。
#17
○説明員(内村信行君) 五カ年計画は、四十六年から五十年まででございます。
 そこで、先ほど御説明申し上げましたVOR、DMEの整備でございますけれども、これは当初私どもといたしましては、大体十八カ所程度を五カ年間でやろうというふうに考えておったのでございまするが、今回の事故がございましたので、これを極力促進するということにいたしまして、約十九カ所くらいを前半の三カ年――六、七、八、昭和四十八年度中にはやってしまいたいという考え方でございます。さらにそのあとにつきましては、逐次また進めてまいりたいということでございます。
#18
○原田立君 先ほどの計画の説明の中にもありましたけれども、最小限度必要とされている保安施設及び保安要員はどのくらいなのか。またその確保についてどういうような努力がなされているのか、それはどうですか。
#19
○説明員(内村信行君) これは先ほどから申し上げたように、五カ年につきましては、その計器の点につきましては、空港整備特別会計で受益者負担制度をとって財源を確保するということが五カ年のものでございます。それからさらに繰り上げということを申し上げたけれども、その五カ年計画の中で、繰り上げと同時に、今年すなわち昭和四十六年度において緊急にやらなければならぬことがございます。そういった意味では、具体的に申し上げますと、今回の緊急対策として本年度中に何とかやりたいということといたしましては、函館、新大分、新熊本、松山、名古屋そういったようなところのVOR、DME……
#20
○原田立君 何カ所ですか。
#21
○説明員(内村信行君) 五カ所でございますね。五カ所について調査をいたしまして、それからさらに機器を発注いたします。それからこのうちの四カ所――函館、新大分、新熊本、松山、これにつきましては四十七年度の前半において完了するようにいたしたいと思っております。それからさらに航空路監視レーダーというものがございますが、前半といたしましては、先ほど申し上げたけれども、さしあたり急ぐところといたしましては、まず手をつけるところといたしましては、大阪地方の航空路監視レーダーというものを早くつくりたいということで、その整備を行ないますところの調査、これは相当大規模なものでございますので、相当綿密な調査でございます。その調査を行なうのは今年中にやりたいということでございます。それからさらに帯広、壱岐、その他大体五カ所について進入角指示灯というものを整備してまいりたい。それからさらに二カ所程度の空港につきましては滑走路を延長してまいりたい。これはいずれも今年度に繰り上げてやりたいということでございます。それで、そういうものの整備のために、予備費といたしまして約十億円くらいの金が要るわけでございます。したがってこういった金を予備費として今年度中にいただきたいということで、いま大蔵省等に御要求申し上げておるわけでございます。それからさらに定員につきましても、こういった仕事をやるためにはどうしても定員増が必要でございますので、これも大体百名を上回ります程度の人間につきまして、現在行政管理庁、大蔵省等関係方面にお願いをしておる次第でございます。
#22
○原田立君 あなた方専門家だが、空港の保安を確保する上には十分な滑走路あるいは着陸のための誘導装置、管制官の常駐、この三つはどうしても欠かせないことだろうと思います。先ほど説明の中にありましたけれども、新熊本空港、これが四月に開港をした。ところが計器の設置については四カ月おくれて八月でなければ運用ができない。こういうような計画のずさんさというか、そういうふうな状態のところで開港をするというのは非常に危険なんじゃないか。まあ熊本じゃ事故が起きてないからいいようなものの、もし事故が起きたら何と説明しますか。ですから一つの空港を、新熊本空港の場合には新しく発足したわけだけれども、現在のものだと、継ぎはぎで内容を充実というのではなくて、やっぱり一つ一つきっちりやっていかなければならない。滑走路は延ばしたけれども、計器はまだつけていない。滑走路も延ばしていないし、計器もないというようなところが現状です。だから滑走路を延ばすときには、さっき局長が言ったように二千メートルあればILSは絶対つけるのだ。滑走路を延ばす場合は必ず計器をつけるのだという体制にはなっておりますか。
#23
○説明員(内村信行君) その点、私は先生のおっしゃったとおりだと思います。そこで、おっしゃったように二千メートルになったら同時にILSをつけるということをやるべきでございます。しかし残念ながら、率直に申しますと、現在まではそういうふうになっていませんでした。と申しますのは、現実問題として非常に予算が少なかったわけでございます。四十五年度までは、一方において予算は少ないけれども、やはり相当多数の地方におきまして空港の要請が強いということもございまして、残念ながら開港と同時にあるいは延長と同時にILSをつけたということは――ILSというと語弊がございますが、開港と同時にILSを保安施設としてつけていくということは必ずしもできていなかったことは御指摘のとおりでございます。先生のおっしゃったとおりだと思います。したがって今後の方向としては、航空保安施設というものを飛行場と一緒につけていくということを考えてまいりたいと思います。ただ、誤解をさけるために申し上げておきますけれども、それではそういったILSのない空港は危険かというと、そうではございませんので、この場合には、気象の悪いときにはつけない、そういうときには飛べないということをはっきりしておけばよろしいかと私どもは考えております。しかし先生御指摘のように、両々相まって同時にできることがいいことは申すまでもありませんので、その方向で進めたいというふうに考えております。
#24
○原田立君 その方向で進めたいというけれども、そういうふうにしなければやはり第二、第三のまた事故が起きる可能性があるので心配しておるわけです。もちろん、地元の要請で早く飛ばしたいと、地元はそういうふうな考えを持つのは当然だろうと思う。安全に飛んでいれば飛んだ飛んだと喜んでいるだろうと思うけれども、一ぺんばしんと事故が起きたら、そういうものをなぜ許可するか、こういうことになって、結局責任の所在というか、重大な問題になってくると思うんです。だから、たとえば、いま私が言っていることはそれは当然なんだと、だけど現実はそうなっていないんだと、こういうふうにあなた反省して言っているわけだけれども、今度は滑走路を延ばす、新空港を開港するときには、もうちゃんと計器はついていなければいけないんだ、こういう基礎というか基準というか、これはきまっているんですか。
#25
○説明員(内村信行君) 別に規則としてきまっているわけじゃございませんが、予算要求のときの態度としてそういうふうにしてまいりたいということでございます。
#26
○原田立君 だから私指摘するのは、予算の問題でとあなた言うけれども、予算が少なかったら中途はんぱな状態で全管制官の七〇%ぐらいで飛行機が飛び始めた、これはやむを得ないんだ、こういうふうな言い方のようにぼくは受け取れるわけです。それじゃもし事故が起きた場合どうするんですかと心配するわけです。
#27
○説明員(内村信行君) 先ほど来申し上げておりますけれども、飛行機が飛べるということ、飛ぶか飛ばぬか、これは気象条件と非常に関係がございます。したがいまして、飛行場における航空保安施設というものは、その気象条件、気象条件と申しましても、風が吹いたからどうこうという問題じゃございません、これはつまり視界の問題です、見えるか見えないか。その視界が悪くても飛べるというのが航空保安施設であり、視界が悪い場合には飛べないというのは航空保安施設がないということでございます。したがいまして、視界の問題から考えますと、ある程度VORというものでは、ある一定の気象条件では計器が使える。ILSの場合には、ある一定の気象条件までは飛べるけれども、それでも着陸の最後は目で見ておりますが、それでもなお一定の気象条件が悪いという場合にはILSでは飛べないということでございます。したがいまして、ILSをつければ万能であるということではございませんで、これは気象条件との相対的関係でもって、相対的に飛べるか飛べないかということの程度が違ってくるというものでございます。したがいまして、先生御指摘がございましたけれども、ILSがなければ飛ばしてはいかぬかというと、私どもはそうは考えておりませんで、やはりVORなり何なりがあれば、それはそれで飛ばす。しかし、そうすると当該飛行場における最低気象条件というものは当然高くなってまいりますから、天候が悪いときは飛行機は飛べない、ILSがあるときはこの程度の天候までは飛べる、しかしそれ以上の天候は飛べないということになると思います。
#28
○原田立君 私はしろうとだから、ILSがなければ飛べないなんという、そういうことを言うのじゃなくて、そういう計器着陸装置があることのほうがより安全でしょうという指摘をしているわけです。あなた盛んにVORとかPARですか、というようなことを言っているけれども、それじゃそれが現在の日本の約六十ばかりある空港の中で一体どれだけ設置されているのですか。私の手元で調べた資料によると、ILSが五カ所、VORが九カ所、DMEが二カ所、PARですか、これが十一カ所、ASRは十五カ所、こんな状況じゃないですか。こんな計器の充実のされていない状況では非常に危険だろうと思うのです。だから、新しく開港するような場合には、中途はんぱなものでやるのじゃなくして、ちゃんと整備しなければいけないのだろう、そういう基準をちゃんとしなければいけないのだろうということだと思うのですが、どうですか。
#29
○説明員(内村信行君) お説のとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、そういうふうにしてまいりたいと思っております。そこでV
○R等が少ないではないかとおっしゃいましたが、少ないからこそどんどんそれを整備しなければいけないのじゃないかということで、VOR、DMEというものにつきまして重点的に整備をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#30
○原田立君 その計画はできておるわけですね。あったらば資料として出してもらいたいと思います。
#31
○説明員(内村信行君) 大体、先ほど申し上げましたように、その五カ年計画でやったものを三年に縮めてやるということで、大体十九カ所程度かと思いますが、まだ完全な資料はできておりませんので、後ほど、できましたらひとつ御提出申し上げたいと思います。
#32
○原田立君 ちょっといま話があったけれども、十九カ所ですか。空港全体で約五十七ぐらいあるでしょう。そのうち十九カ所ですか。
#33
○説明員(内村信行君) 今後つけるものが十九カ所でございます。
#34
○原田立君 そうすると、全部のところにぴちっと整備できるのにはどのくらいかかるのか。あるいは十九カ所やって、あと何カ所ぐらい残るのか。
#35
○説明員(内村信行君) ちょっとただいま手元に資料ございませんので、後ほどお届け申し上げます。
#36
○原田立君 現在二千メートル以上の滑走路を確保している空港はわずか九カ所、あとの八〇%以上が二千メートル以下の滑走路ですね、現状は。これは、さっきから局長は再々滑走路を延ばすんだと、こういうふうなお話があったからある程度了解するんだけれども、二千メートル以上の滑走路が九カ所、これも少ないし、二千メートル以下が八〇%、これはあまりに多過ぎるし、ここら辺の整備もその五カ年計画で全体のものをやろうとなさっておられるんだろうと思うのだけれども、そこのところはどうですか。
#37
○説明員(内村信行君) 五カ年計画の大体の考え方を申しますと、大体原則といたしましてローカルでも二千メートルぐらいに延ばしていきたいという考え方でございます。それから特に需要の多いところは、やはりエアバス級が行くことを想定しまして二千五百メートルぐらいに延ばしてまいりたい。もちろんそれから地域的な関係がございますから、物理的に不可能なところはこれはやむを得ませんけれども、大体原則的にそういうふうに考えております。そのほかのところでは、まあ大体需要の少ないようなところ、そういったところは千五百程度で維持する、しかしそれが需要が多くなってくればだんだんに延ばしていきたい、大まかな考え方でございます。個々の空港についてどうするかということは、まだ具体的な計画はできておりません。
#38
○原田立君 じゃこれで終わりにしますけれども、要するに、数字的にその整備状況等を調べてみると、先ほど局長自身たいへんおくれているということを自認しておったけれども、まさしくおくれているのですね。空港行政機構、機構といいますか、その内容も。これはひとつ今度の事故があるなしにかかわらず、もっと内容を充実するように、せっかく努力願いたいと思います。
#39
○説明員(内村信行君) 仰せのように努力いたしたいと思っております。
#40
○委員長(藤原道子君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。
 さらに、委員長といたしまして局長にお願いがございます。国民は非常に不安に思っております。予算がとれないからできない、それでは言いのがれになりませんので、幸いこれから予算の編成期だと思いますが、もっと強く要求して、安全をはかるように特に御努力をお願いしたいと思います。
    ―――――――――――――
#41
○委員長(藤原道子君) 次に、継続調査要求についておはかりをいたします。
 交通安全対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#44
○委員長(藤原道子君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 交通安全対策樹立に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(藤原道子君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  なお、要求書の作成等も便宜これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(藤原道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#48
○委員長(藤原道子君) さらに、最後に、先ほど来資料の御請求がございましたが、ぜひそれは全委員に資料の御提出を願いたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト