1971/07/23 第66回国会 参議院
参議院会議録情報 第066回国会 地方行政委員会 第1号
#1
第066回国会 地方行政委員会 第1号昭和四十六年七月二十三日(金曜日)
午後二時十二分開会
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委員氏名
委員長 若林 正武君
理 事 熊谷太三郎君
理 事 増田 盛君
理 事 藤原 房雄君
重宗 雄三君
西田 信一君
初村瀧一郎君
林田悠紀夫君
竹田 四郎君
和田 静夫君
昭和四十六年七月二十日右の者は本委員を辞任
した。
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七月二十日議長において本委員を左のとおり指
名した。
片山 正英君
塩見 俊二君
柴立 芳文君
高橋 邦雄君
寺本 広作君
鍋島 直紹君
原 文兵衛君
増田 盛君
安井 謙君
安田 隆明君
若林 正武君
占部 秀男君
加瀬 完君
神沢 浄君
小谷 守君
杉原 一雄君
上林繁次郎君
藤原 房雄君
中沢伊登子君
河田 賢治君
同日議院において左の者を委員長に選任した。
若林 正武君
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委員の異動
七月二十二日
辞任 補欠選任
安田 隆明君 佐藤 隆君
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出席者は左のとおり。
委員長 若林 正武君
理 事
増田 盛君
占部 秀男君
河田 賢治君
委 員
片山 正英君
柴立 芳文君
高橋 邦雄君
寺本 広作君
原 文兵衛君
加瀬 完君
神沢 浄君
小谷 守君
杉原 一雄君
上林繁次郎君
藤原 房雄君
中沢伊登子君
国務大臣
自 治 大 臣 渡海元三郎君
国 務 大 臣 中村 寅太君
政府委員
自治政務次官 小山 省二君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
環境庁企画調整
局企画調整課長 岩田 幸基君
自治大臣官房長 岸 昌君
自治省財政局長 長野 士郎君
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本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○調査承認要求に関する件
○地方行政の改革に関する調査
(地方行政の基本施策に関する件)
(警察行政の基本施策に関する件)
○自動車税の納税義務に関する地方税法改正に関
する請願(第一号)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
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#2
○委員長(若林正武君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。最初に、一言ごあいさつを申し上げます。
私、このたび重ねて委員長に選任せられました。委員会の運営につきましては円滑、公正に行なってまいりたいと思います。皆さまの御協力をお願いいたします。
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#3
○委員長(若林正武君) 委員の異動について御報告いたします。昨二十二日、安田隆明君が委員を辞任され、その補欠として佐藤隆君が選任されました。
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#4
○委員長(若林正武君) ただいまから理事の選任を行ないます。本委員会の理事の数は四名でございます。理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に増田盛君、占部秀男君及び河田賢治君を指名いたします。
なお、あと一名につきましては、後日これを指名いたします。
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#6
○委員長(若林正武君) 次に、調査承認要求に関する件についておはかりいたします。本委員会は、今期国会におきましても、地方行政の改革に関する調査を行なうこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。#9
○委員長(若林正武君) 地方行政の改革に関する調査のうち、地方行政及び警察行政の基本施策に関する件を議題といたします。渡海自治大臣及び中村国家公安委員長から所信を聴取いたします。渡海自治大臣。
#10
○国務大臣(渡海元三郎君) 私は、このたびの内閣改造に際し自治大臣を命ぜられました。内政を充実することが大きな政策課題となっているこの時期に自治大臣を拝命し、地方自治行政の重要性をあらためて認識するとともに、その責任の重大さを痛感いたしております。
この機会に所管行政の当面する諸問題について所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と格別の御協力を賜わりたいと存じます。
御承知のように、一九七〇年代は内政充実の年代といわれ、過密過疎等の地域対策、交通対策、公害対策、福祉対策等数々の内政上の問題に適切に対処し、豊かで住みよい地域社会を建設することが国及び地方を通ずる最大の課題となっております。地方公共団体の行政は、住民生活と直結しているだけにこれらの問題解決の主たるにない手として国民の期待はきわめて大きいものがあります。このため、私は時代の変化と地域の特性に応じた行財政上の措置を適切かつ積極的に講じ、地域社会の総合的な発展と国民福祉の向上に万全を期してまいる所存であります。
社会経済情勢の著しい変貌と住民の生活圏の拡大に即応し、住民の諸要請にこたえ得る適切な行政体制を整備することの必要性は、今日ますます強くなりつつあると考えられます。このような観点から、従来に引き続き広域市町村圏の振興整備をはかるとともに、市町村内の近隣社会の形成に配意してまいりたいと存じます。また、大都市制度をはじめ地方制度全般にわたり、引き続き調査研究を進めるとともに、広域的な行政需要に対処するための方策についても考えてまいりたいと存じます。
また、公務員行政につきましては、かねてより公務員秩序の確立と公務の公正かつ能率的な遂行につとめてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき公務員制度の合理化とその適正な運用につとめてまいりたいと考えております。
公害に対処する地方公共団体の責任は、今日ますます重要なものとなっております。さきの国会において公害の規制強化、規制権限の地方委譲等を実現していますので、今後は地方公共団体が行なう公害対策を十分なものとするため、行財政面で所要の措置を講じてまいる所存であります。
過疎対策につきましては、過疎地域における緊急的な諸措置を講じてまいりましたが、今後これらの諸措置をさらに強力に推進するとともに、根本的な過疎対策として実効ある総合的施策の検討をいたしてまいる所存であります。
また、僻地病院等に勤務する医師の養成を目的とする自治医科大学は栃木県下に設置することといたし、来年四月開校を目途にその準備を進めているところであります。
公共事業の施行、地域開発の推進、大規模開発プロジェクトの実施等にとって最も必要なことは先行的な土地の取得であります。このため、所要の財源措置の強化、民間資金の活用等機動的な用地取得を行ない得る道を開くよう検討いたしたいと考えております。
次に地方財政について申し上げます。
地方公共団体が現在当面している課題については、さきに申し上げましたとおりでありますが、地方公共団体がこれらの問題に積極的に対処し、住民福祉の向上を推進していくためには、長期的な視点のもとに地方税、地方交付税等の充実確保を中心とし、国庫補助負担金、地方債等の拡充を通じて地方財源の増強をはかっていくことが何よりも必要であります。このような見地から、今後の地方財政対策としては、都市税源の増強などによる都市財源の充実強化、市街地の再開発、人口急増地域における公共施設の整備などに対する財政措置を拡充するとともに、過疎地域、広域市町村圏等の地域振興対策に対する財政措置を充実し、また、地方道、下水道などの各種の地方の行政施設の計画的な整備、公害対策、交通安全対策等の充実により住みよい生活環境の整備を推進するほか、都市地域、過疎地域などそれぞれの地域の実態に即した交通確保の措置を講ずることなどにその重点を置いてまいる所存であります。
また、地方公営企業につきましては、経営の健全化と近代化をさらに前進させるとともに、企業債資金の拡充と改善に一そうの努力を払ってまいりたいと存じます。
地方税につきましては、ここ数年来あとう限りの減税と税負担の合理化を行ないながらも地方税源の確保につとめてまいっております。しかしながら、社会資本の整備、社会福祉の向上等地方公共団体の財政需要は増高の一途をたどっているところであり、これに対処するためには、なお一そう地方自主財源の充実をはかる必要があると考えられますので、一方においては住民税を中心とする税負担の軽減合理化につき十分配慮するとともに、他方、市町村特に都市税源の充実についても税制調査会の審議をわずらわしながら、適切な措置を講じてまいる所存であります。
社会経済の発展に伴い、災害の態様も激しい変化を示し、特に旅館、ホテル等の火災において一度に多数の死傷者を出し、あるいは林野火災により多数の消防吏員が殉職するという事故等が起きております。このような事故に対処するため、人命尊重を第一義とする対策はもちろん、地域住民の火災予防及び防災に関する意識の高揚につとめ、また、消防防災の見地に立脚した町づくりの推進をはかるとともに消防の常備化と広域化を推進し、大震火災対策、林野火災対策及び石油コンビナート地帯対策をも織り込みつつ、さらに消防施設の整備につとめてまいる所存であります。
そのほか、消防職員及び消防団員の士気高揚をはかるための処遇改善と教育訓練の充実につとめてまいりたいと考えております。
去る六月十七日沖繩返還協定が調印され、沖繩が明年度中に本土に復帰することになりましたことはまことに喜びにたえません。
沖繩は、四半世紀にも及ぶ長い期間にわたり、わが国の施政権の外にあり、そのため、地方行財政上本土復帰に伴って解決しなければならない問題点を数多くかかえているのであります。
まず、沖繩と本土との間には、なおかなりの行政格差がありますが、この格差を是正し、さらにすすんで沖繩の振興開発をはかるためには巨額の公共投資を集中して行なう必要があり、これらの措置を含めて行財政上特別の措置を講ずるよう配意をいたす所存であります。
また、地方自治制度の面におきましては、本土と沖繩との一体化に関する基本方針により、従来から積極的に一体化をはかってきたところでありますが、復帰後の沖繩県及び沖繩の市町村について、本土と同じ法制を適用するためには必要な暫定特例措置を講ずるとともに、一そうの助言、指導が必要であると考えます。これらにつきましては、遺漏のないように努力してまいりたいと存じます。
以上所管行政の当面の諸問題点について所信の一端を申し上げましたが、委員各位の格段の御協力によりましてその実をあげることができますよう、一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。
#11
○委員長(若林正武君) 中村国家公安委員長。#12
○国務大臣(中村寅太君) 私は、先般の内閣改造に伴いまして国家公安委員会委員長を命ぜられ、時局きびしいおりから、その責務の重大さを痛感いたしております。委員長はじめ委員各位には、平素から警察行政につきまして多大の御尽力をいただいており、感謝にたえないところでありますが、今後とも格別の御指導と御協力を賜わりますよう、お願い申し上げる次第であります。
この機会に、警察行政をめぐる当面の諸問題につきまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。
私は、警察行政の目的は、国民全体が安んじて、日々の生活を送り得る状態を確保することにあると信ずるものでありますが、複雑多様化しつつある社会情勢に対応しつつ、このことを達成するためには、警察が国民に心から親しまれ、信頼されるということが不可欠の基盤であると考えるのであります。
このような見地から、私は、警察行政の各分野にわたり、およそ一般国民の日常生活に影響を与える事犯については、その規模の大小を問わず、国民の立場に立って、きめこまかな対策を講じてまいる所存であります。
最近の犯罪情勢を見ますと、凶悪犯罪は、ここ数年、件数こそ減少の傾向を示しておりますものの、内容的には、航空機や船舶の乗っ取り事件、銃器、爆発物等を使用した凶悪事件の多発等の新しい傾向が生じていることにかんがみまして、科学的、合理的な捜査活動を推進し、犯罪の検挙及び抑止に努力してまいる所存であります。
また、暴力団犯罪につきましては、最近、組織の大規模化、広域化の傾向が顕著になっておりますので、地区を指定した総合的な取り締まりを実施する等の努力を重み重ね、この種犯罪を一掃して、国民の期待にこたえる所存であります。
さらに国民生活に重大な影響を与えつつある公害問題につきましては、地域住民に密着した組織を有し、常時勤務体制にあるという警察の特性を生かし、市民からの苦情の処理や公害関係法令の適用について、積極的に対処してまいりたいと考えております。
次に、全国民の悲願ともいうべき交通事故の防止についてでありますが、関係者の努力にもかかわらず、年間約百万人に近い死傷者の発生を見ておりますことは、憂慮にたえないところであります。
本年に入りまして、やや横ばいの傾向を見せてはおりますが、依然として自動車は増加の一途をたどっており、道路環境の不備や交通モラルの未確立等と相まって、今後の成り行きは全く予断を許さないものがあります。
このような状況に対し、警察といたしましては、関係省庁との緊密な連絡のもとに、歩行者保護を重点とした積極的な交通安全対策を強力に推進してまいる所存であります。特に道路整備の進展、交通量の増大に比べて立ちおくれている交通安全施設の整備につきましては、さきに本年度を初年度として策定いたしました交通安全施設等整備事業五カ年計画に基づき、大幅な整備を進めてまいる考えであります。
次に、最近の治安情勢において憂慮にたえないのは、爆発物の使用といった非人道的行為までも敢行し、多くの市民に不安をいだかせ迷惑をかけている極左暴力集団の動向であります。これらの最近における動きなどから見まして、状況によっては、さらに過激な行動に出るおそれも多分にあり、今後とも、厳重な警戒と万全の備えが必要と存ずるのでありますが、警備体制の確立その他所要の措置を講じ、市民生活の平穏の確保に万全を期してまいる所存であります。
以上、警察当面の二、三の問題について申し述べたのでありますが、激動するこの時期において、治安の万全を期し得るかいなかは、現実にこの重責をになう警察職員の資質と士気のいかんにかかるのであります。このような観点から、私は、警察職員の採用、教養にあたり、格段の配慮をいたすとともに、その処遇の改善についても、最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。
最後に、委員長はじめ委員各位の御支援、御鞭撻を重ねてお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
#13
○委員長(若林正武君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。#14
○杉原一雄君 先ほど自治大臣が所信表明の中で、最後のほうで、沖復帰対策、このことについて若干触れられたわけですが、大臣は都合によって議運に出席のようでございますが、だれかかわるべき人からしかるべく御答弁をいただきたいと思いますけれども、その所信表明の沖繩復帰対策をかいつまんで考えた場合に、非常に本土と沖が行政格差があるということです。だから復帰にあたっては本土と沖繩を一体化させる、これがまあ基本方針のようでございます。私の伺いたいのは、その格差というのはどういう面で、あるいは地方公共団体の機構なり、あるいは議会なり、さまざまなところに、財政の問題は特にそうでしょうけれども、いろいろなところに出ているのだろうと思うが、それはどういうところにどう出ているのか。そうしたことをも含めてお聞きしたいし、まあ一体化だというとたいへんきれいなことばで、こう反対の余地もないような表現ですが、しかし沖繩の九十四万なにがしの県民が今日まで非常に苦労してまいりました。それと同時に、またアメリカが軍政上これを指導、管理してまいりました点で、非常に悪いこともありましたが、また非常にいいこともある。だから一体化の中で、格差を是正するという一つの大義名分上、悪い点はよくして本土並みにして一体化していく、きわめてけっこうです。だが逆に、非常によい点も残されているのではないか。そういう点をもあわせて一体化という名分のもとに、これが出た分を削ってしまうという意味の平均化ということでございましょうか、そうしたこと等をも今後の作業の中で意図されているのか、こういうことを実は心配をしているわけでございます。そうした点等も現在作業をどこでしておいでになるか知りませんが、私伺いたいのは、やはりもっと方針の中に、よきをとりあしきを捨てるというような基本的なかまえがあるのかどうか。そこで、それは一番心配をしていることでございますから、あわせてそうした作業を自治省内でいまやっておいでになる部分もありましょうけれども、私たち今日まで国会論争の中で明確にされてきているように、総理府で仕事をしているのじゃないかと思いますが、一体その辺のところ、どこにこの問題の作業の重点があって、現在どのような進行状態になっているのか具体的にはなかなか聞きとれないと思いますが、しかしまあ十月に沖繩国会と称せられる国会の召集はもうすでに常識になっているわけでございますから、かなりの作業が進んでいるんじゃないかと思いますので、いま冒頭に申した第一点の問題と、いま作業の中心といいますか、中心的になって進めているところと、現在作業の進行の大まかな状況、それをひとつお伺いしたいと思います。
#15
○政府委員(小山省二君) 御答弁申し上げます前に一言ごあいさつをさせていただきます。このたび政務次官を拝命いたしました小山でございます。微力でございますが、自治行政のためにできるだけの努力をいたしますので、皆さん方の御支援を心からお願いをいたします。
ただいま御指摘をいただきました問題点につきましては、御承知のとおり沖繩の返還協定調印がございましたので、沖繩、本土一体化のためにただいま総理府において各省間の調整をはかっておるのが現状でございます。ただいま御答弁申し上げます中で、問題がこの程度進行しておると具体的に申し上げるまだ段階に至っておりませんことはたいへん残念でございますが、御承知のとおり、本土の規定をそのまま沖繩に直ちに適用いたします場合いろいろ問題点があることは御指摘のとおりでございます。たとえば私ども所管の交付税率にいたしましても、その税率をもってはたして沖繩の地方財政がまかなえるかどうか。またその以外にも御承知のとおり本土とかなり違った制度がしかれておる面が多々あるわけでございます。本土と沖繩の一体化と申しましても、すべての制度をこの際本土並みにするということについてもいろいろ問題点も多うございますので、いま私どもはそれらの面について各省間でいろいろ検討をいたしまして、近く各省間の話し合い、調整というものができるものと考えております。私ども、この場合、具体的にこうなっておるということを御答弁申し上げる段階でないことを、たいへん遺憾でございますが御了承をちょうだいしたいと思います。
#16
○杉原一雄君 まあ大体そういう答弁になると思っていましたが、それでは私全然役に立たないわけであります。でありますから、先ほど大臣が行政格差があるんだということをはっきり言ったわけですから、行政格差ぐらいわかっているわけですね。でありますから、そのことによって地方自治法の何条をどういじくるとか、財政法のどこをどう改革するとか、そういうことをいま私聞くのはやぼだと思いますから、ただ行政格差の問題だけにしぼって考えるならばどういうところに大きな違いがあるか。道を歩くのに、歩く人は、わしらは右だが向こうは左だ、こういったようなこともやはり一つの違いでしょう。これらは警察関係のところでございますけれども、そうしたことなどで、あるいはいろいろいまおっしゃったように問題がある。その問題をおおよそのところひとつ明らかにしてほしいというのがぼくの要望なんですがね。だから政務次官のほうで直ちにお答え困難だろうと思いますが、しかしここでお伺いすれば、各委員の皆さんも今後、これから国会があさってからお休みになるわけですから、十月までの――学校並みに言えば宿題ということになりますので、皆さんから宿題の提供のつもりで地方自治法のこういうところに両方の関係がふくそうすると、あるいは地方財政法ではこういうことで都合が悪い。先ほど政務次官が交付税の問題を明らかにおっしゃったようですが、そうした問題につきましても、これは額の問題であると同時に法体系の問題にも関連してくる、いわゆる臨時処置の問題があるから、そうした問題についても明らかに問題点はここにあるのだという幾つかの柱があると思うのです。きのうから私はこうしたことで委員部を通じてがたがたしております。ですから、警察庁関係者から非常に熱心に部屋をおたずねいただいて、いろいろ警察関係の説明を聞きました。こうしたことの中で明らかになってきたことは、四十四年の十月一日から琉球政府の警察関係が全く本土のいわゆる機構と同じ機構に法改正によって行なわれていて、事、警察行政に関する限りはスムーズにずっと移行できるような体制までできているのだという実は説明まで受けて、ああそうかなと私は思っております。ただ一千九百、約二千人の警察官がおるわけですが、その警察官でもいわゆる本土の地方公務員処遇の警察官と国家公務員待遇の警察官との人数の比とか、あるいは移行する場合の、ぼくら並みに言えば余ってきて首を切るといったような問題もあり得ると思うのですが、それはいま私そういう判断を下しているわけではありませんが、そういう身分上の問題などもいろいろあるわけですけれども、幸い警察庁当局からおいでになりまして、いろいろ事情を聞きましてその実態を掌握できました。日本の各県並みの警務部なり、あるいは警備あるいは交通あるいは刑事と部局を四つ置いてやっておるということなども実はお伺いしましたけれども、それでもやはり道交法そのものが本土とは全然違うもんですからこれは非常に問題があり、説明の過程では、スウェーデンでは四年間かかったという話でありますから、たいへんな格差を――一つの向こうの制度を変えるだけでも大ごとだということを私は認識しているわけです。ところがいまの政務次官の説明では、いろいろ問題があるということだけしかわからないのですね。いろいろ問題の問題は何だということをここで柱だけ、ポイントだけ政務次官でなくても局長その他の人からお示しをいただきたいということがぼくの究極のねらいです。でありますから、ここで口頭でできないようなこともあり得ると思いますから、できるだけ早い機会に柱を幾つか立てていただいて、地方自治法のこの辺を手をつけたいというところまで言うのはたいへんだろうと思うけれども、そこまでできればけっこうだし、地方財政法のどこをどう行なうのだというようなことまで含めて、あるいは向こうの市町村議会議員なんというのは本土と比較して非常に数が少ないわけですから、こっちのほうの法律を見ると、どんなに小さな村でも議員が十二人以上おりますからね、向こうは十人を割っているわけです。そこらあたりがしろうとが見てすぐわかる大きな問題ですから、そうした問題をずっと柱を立てながら、ここに問題があるのだ、ここに格差があるのだといったようなことなどが一覧にしてわかるように、もしここで簡単に説明できるなら一応説明いただき、なおかつこうした資料等が提起されてくれば、あさってそれぞれ故郷へ帰りますから、それまでにでもいただけたら幸いだと実は思っておるわけですが、それはどうでしょうか、できますかどうですか。#17
○説明員(岸昌君) 沖繩の復帰に伴います事務的な準備作業と、ただいま御指摘の問題点の柱につきまして概要を申し上げたいと思います。沖繩の復帰に伴います立法措置といたしましては、まず一つは沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律、それからいま一つは沖繩の復帰に伴う関係法律の改正または廃止に関する法律、これいずれも仮称でございますが、このほかに沖繩の振興開発法、それから沖繩振興開発公庫法、この四つの法案を準備いたしておりまして、これは先ほど政務次官からお答えいたしましたとおり、総理府の沖繩・北方対策庁において関係各省から原案を集めまして、そこで調整をし立案をいたすことに相なっておるわけであります。
この自治省関係でただいま申し上げました沖繩の復帰に伴う特別措置法の中に盛り込まれるべき法律は、地方自治法、行政書士法、住民基本台帳法、市町村の合併の特例に関する法律、地方公務員法、地方公務員災害補償法、地方公務員等共済組合法、公職選挙法、沖繩住民の国政参加特別措置法、政治資金規正法、地方交付税法、地方税法、地方公営企業法、消防組織法、消防法、消防団員等公務災害補償等共済基金法等を予定いたしております。
このうち、たとえば地方自治法におきまして取り上げなければならない問題点の柱といたしましては、沖繩県は、昭和二十一年の一月二十九日にマッカーサーの指令によりまして行政の分離が行なわれております。日本国の統治権から分離されておりますので、今度復帰いたしました場合の沖繩県はどういう性質のものとして復帰してくるかということが問題になるわけでありますが、その点に関連いたしまして、行政分離前に沖繩県に属していた権利義務は新しく復活されますところの沖繩県に帰属させるかどうか、こういうような問題でございます。それから、それ以後アメリカの統治のもとに設けられておりました琉球政府に属しております権利義務でございますが、これは琉球政府が国の仕事と県の仕事と市町村の仕事と、本土で申しますとこの三段階の行政機関に相応いたします仕事をいたしておりますので、これらの権利義務をその仕事の内容に応じまして、国、沖繩県、市町村に引き継ぐと、こういうような問題がございます。また職員の引き継ぎの問題がございますが、これもただいま申しましたような仕事の性質に応じまして、琉球政府の職員を国家公務員、それから沖繩県の職員、市町村の職員に引き継いでまいる、こういう問題及びその措置がございます。それからこれは復帰がいつの時点で行なわれるか、四十七年の四月になりますか、七月になりますかということとも関連をいたしておるわけでございますが、琉球政府の一九七二年度の会計年度は、ことしの七月一日から始まりまして来年の六月三十日までが会計年度になっておりますが、この復帰の時点ともからみ合いがございますが、この琉球政府の一九七二年度の決算をどういうふうに処理していくかというような問題がございます。それから復帰の時点におきまして、琉球政府の立法院の議員、それから行政主席その他の公務員は一応身分を失うことに相なりますので、これらの公務員の身分をどうするかという問題がございます。行政主席につきましては、新しい知事の選挙が行なわれますまでの間、沖繩県の知事とみなす、こういうことに復帰対策要綱できまっております。それから立法院の議員につきましても、新しい県会議員の選挙が行なわれますまで沖繩県の議会の議員とみなす、こういう措置が必要であろうかと思います。それに対応いたしまして、新しい知事なり沖繩県議会の議員の一般選挙を復帰の日から何日以内に行なうかという規定が必要になってまいるかと思います。それから、それ以外に副知事なり出納長なり、その他の委員会の委員等につきましてのやはり身分の引き継ぎの規定が必要になってまいります。
それから市町村の関係につきましては、従来琉球政府の市町村自治法、これは地方自治法とおおむね同一の内容でございますが、これによって設けられております市町村を地方自治法の規定による市町村として扱っていく、こういうような問題がございます、それから、先ほど県について申し上げましたと同じように、行政分離前に市町村に属しておりました権利義務の承継の問題がございます。それから市町村の条例、規則その他の規定で、日本の法令及び沖繩県の条例、規則その他の規定に抵触しないものはどういう扱いとするか、この効力をどのように認めていくか、こういう問題がございます。それから先ほど申し上げました議員なり委員会の委員につきまして、任期の定めがございますものにつきましては、その任期をいつから起算していくかとか、またその任期の定めはどういう法律によるかというような問題がございます。市町村につきましても、一九七二年度の決算の処理をどうするか、こういう問題がございます。それから琉球政府のもとにおきましては、市町村のほかに教育区という別の法人がございますが、その教育区の権利義務を市町村に承継をする、こういう問題がございます。教育委員会の委員の身分の引き継ぎ、こういうような問題もございます。教育区に属しておりました職員の身分の引き継ぎもございます。
それから非常にこまかい問題になって恐縮でございますが、市町村の出納職員等の賠償責任につきましては、以前に行なわれた行為に基づきまして賠償責任のあるものにつきましては、自治法のもとにおいても賠償を命ずることができるようにする、こういうような問題がございます。それから、これは若干政策的なものでございますが、国有財産で、従来琉球政府が使っておりましたもので沖繩県なり市町村の仕事に必要なものは、そのまま沖繩県なり市町村に無償で譲渡させる、こういうような問題もあろうかと思います。またさらに、沖繩県の経済的、社会的な発展をはかりますために、積極的に国有財産または国の物品を地方団体その他の公共団体に無償または時価より低い価格で譲渡してもらう、あるいは貸し付けてもらう、こういうような問題もあろうかと思います。これは一例でございますが、ただいま申しましたように、新しい地方団体が復活し、また設けられるのに伴います行政の引き継ぎを円滑にいたしますためにいろいろな問題があるわけでございます。
さらに公職選挙法の関係で申し上げますと、新しく沖繩衆議院議員の選挙区として沖繩県の選挙区、参議院地方区の選挙区として沖繩県の選挙区及び議員定数をどういうように定めるかという、かような問題もございます。それから従前の沖繩の立法院議員選挙法によりまして、選挙権が停止をされておりますような場合に、その効果を公職選挙法の上においても引き継いでいくかどうか、こういうような問題もあるわけでございます。
お聞き取りいただくだけではなかなか御理解いただきにくいと思いますので、私どもが検討をいたしております主要な問題点につきましては、いずれ後刻資料を差し上げるようにいたしたいと思いますが、一例を申し上げますとただいまのような問題です。
#18
○占部秀男君 ちょっと関連して、いまの点は非常に重大な問題が入っているので。やはり十月に国会が開かれるということは明らかなんですから、速急にいまの柱とそれから検討しておる方向ですね、ある程度の説明の入ったもの、これをつくってもらって、日にちは切るわけじゃないけども、少なくとも来月の十日ぐらいまでには何とか配れるようにしてもらいたいと思うんですがね、どうですか。
#19
○説明員(岸昌君) 最初にお断わり申し上げましたように、総理府のほうで取りまとめておるわけでございますので、関係する各省との関連もございますと思いますので、総理府ともよく相談をいたしました上でお答え申し上げます。#20
○杉原一雄君 これで終わるわけですけれども、いま、はからずも岸官房長が沖繩県と言ったでしょう。そういうこともまだきまってないわけでしょう。いいですか、沖繩県でいくんですか、これはきまっておるんですか。#21
○説明員(岸昌君) 復帰いたしました後におきましては、当然沖繩県になるものとして私どもは考えております。#22
○杉原一雄君 沖繩県になるかどうかわからぬでしょう、名前は。とにかく常識的には沖繩県になると思いますが、そうしたことも問題点の一つだと私は思います。同時に、占部さんの要求も私非常に大事だと思いますからあわせて……。いまの説明の過程の中で、われわれのところにすでにそういうものが配付されているかどうか、私自信がありませんので、重ねてお尋ねいたしますが、行政府の主席がいまきまっているわけですね。すでに行政を推進しておられるわけですが、この方は直ちに改選選挙をやらないで県知事とみなすと、こうおっしゃったわけですが、そのみなすことの根拠は、やっぱりその時点で臨時特別措置法のようなかっこうをとるのか。いま何か説明の過程の中で復帰対策基本要綱だとおっしゃったわけですが、それ、ぼくらのところにいつか配ったことがあるのですか。なければ、いつかいただきたいと思うんですが、私不熱心なんですが、もしもらっておれば変な質問になるので申しわけないのですが、もしそういうものがあるなら、議会へ示されたかどうか私わからないのです。もし示されておれば、いついっか配ったということをおっしゃっていただけば私のたなをひっくり返してみたいと思います。配ってなければほしいということです、本日のところは。
#23
○説明員(岸昌君) ただいまの点は、閣議決定、関係閣僚協議会できめたものでございまして、お配りいたしますとすれば総理府のほうから御配付になると思いますが、これが第一次要綱、第二次要綱と二回きまっているわけでございます。#24
○杉原一雄君 それでは要望しておきますが、第一次、第二次ともに秘密書類じゃありませんからね、ベトナム戦争の秘密、あれと違いますから、遠慮なくぼくらに下さいよ。そうでないと、ぼくらだらだらと十月まで手をあけてまっているということになる。それは一番国政参加のわれわれとしては不安であり不満ですから、勉強できるような態勢をとらしてください。そうせぬと、十月に入ってばっと膨大な法律案なんか前に並べられてみたってもう追っつかないわけですから、それひとつ岸さんお願いしますね。あともう一つ、先ほどいいことと悪いことと言いましたけれども、そのいいことは何だということをほんとうはお聞きしたかったんですが、たとえばぼくは文教にいるものですから、教育委員会の制度は非常に本土と比較して向こうはすぐれた公選制をとっているわけです。これは本土並みに一体化ということで公選制パアになるんでしょう、どうでしょう岸さん、見通しは、パアにするんでしょう。これは論ずるまでもないので、政務次官笑っていないで、あなたもそう考えているんでしょう。それにぼくらは反対なんだけれども、非常に私たち復帰以前の沖繩の行政としてはすぐれたりっぱなものだと考えますがね、そういったものが教育委員会のほかにないだろうか。そうしたものを今度占部さんの要求の書類の中で、もしお示しいただけば非常にいいんじゃないかと思います。
#25
○説明員(岸昌君) ただいまの点は、先ほど申し上げました第一次の復帰対策要綱にすでに入っておりますので、それによって御了承いただきたいと思います。#26
○藤原房雄君 所信表明なさった大臣がいなくなってしまったんで、ちょっときょうは時間もあまりないようなんで大綱的なことだけ申し上げまして、事務局から、それに対して大いにこれは取り組んでいただいて、今後委員会の席上で一つ一つの問題については詰めていきたいと思いますが、大臣の所信表明の中に「一九七〇年代は内政充実の年代といわれ、過密過疎」云々と、こうあります。その中には「交通対策、公害対策、福祉対策等数多くの内政上の問題に適切に対処し、豊かで住みよい地域社会を建設することが国及び地方を通ずる最大の課題となっております。」と、冒頭、「内政を充実することが大きな政策課題となっているこの時期に自治大臣を拝命し、」云々とあります。このように非常に決意を新たにして自治大臣に御就任なさったんだろうと思います。しかしいまここに並べられた一つ一つのことは実に大きな問題であり、また緊急を要する重要な課題ばかりであります。特にこの中で、私はきょう問題提起といいますか、大臣にお聞きしたがったんでありますが、これはそのあとの公害対策というところにおきまして「公害に対処する地方公共団体の責任は、今日ますます重要なものとなっております。さきの国会において公害の規制強化、規制権限の地方委譲等を実現していますので、今後は地方公共団体が行なう公害対策を十分なものとするため、行財政面で所要の措置を講じてまいる所存であります。」、このようにはっきり公害対策には行財政面で所要の措置を講ずると、こう述べております。このことにつきまして具体的にはどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか。特に公害対策の問題について――いろいろな問題についても真剣に取り組むと言われますけれども、公害対策につきまして、特に行財政面で所要の措置を講ずると大臣がこう所信表明しているわけでありますが、時間もありませんので柱になる大事なことだけでもけっこうでありますけれどもお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(小山省二君) 先ほど大臣の所信表明の中で、特に七〇年代は内政の年代だと言われているので、この問題解決のために最善の努力を尽くすという考え方を申し上げたわけでございますが、ただいま公害に対する具体的な考え方のお尋ねがございました。自治省といたしましては、御承知のとおり公害関係の所管の省でございます環境庁と常に緊密な連携を保ちながら、地方公共団体に公害対策についてできるだけのまあ物心ともに援助をいたしたいと考えて、特に地方公共団体が行なっております監視、測定体制の強化をはかってまいりたいと、それから公害担当職員の質量ともの充実を期してまいりたいと、さらに公害防止条例等の指導等にできるだけの御協力を申し上げ、さらにまた地方公共団体が実施いたします公害防止事業につきましては、先般制定を見ました公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、これによりまして、この法律の積極的な運営をはかって、地方交付税でありますとか地方債の増額等、できるだけ地方財政の面から御援助を申し上げる、かような考え方で公害対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#28
○藤原房雄君 非常に時間がないのであれでございますが、いまおっしゃったことは実に大事なことで、権限が委譲されても、実際に国の大きなバックアップがなければそれはでき得ないことであります。具体的に監視体制をどうする、担当職員をどうする、その予算措置はどうなっておるのか。いろんなことについて、具体的な問題についていろいろお聞きしたいところでありますが、それはさておきまして、現実の問題として、各地方自治体でも何とかこの公害防除という公害対策に対しては積極的に取り組もうと、こういう姿勢で各市町村、都道府県、取り組んでおります。具体的な例として、宮城県の塩釜におきましても、日本三景の一つといわれる松島湾を汚染してはならない、また魚介類、ノリ養殖に対することも考え合わせまして積極的に水産加工団地をつくったと、こういうふうに地方自治体としましても非常に真剣に取り組んでおるわけであります。しかし、それが所期の目的が達せられれば問題はなかったのだろうと思うのでありますが、現実、その公害施設が十分な働きをしなかったということのためにいろいろ問題が起こり、地方自治体としてもほんとうにどうしようかということで、議会の中でも騒然としておる現実もあるわけでございますが、これは塩釜だけに限らず、公害に真剣に取り組んでおるところほどそういう問題があるように聞いておるわけであります。きょう時間があったらいろいろお聞きしたいと思いまして環境庁の方お呼びしておったわけですが、せっかくおいでになっておりますので、具体的な問題として塩釜のこの問題について、いままでの経過と現在どうなっておるか、その現状をあらあらひとつ報告を願いたいと思うんですが。
#29
○説明員(岩田幸基君) それでは塩釜の問題につきまして、経過と現状とを簡単に御報告申し上げます。これは去る昭和四十二年の九月に塩釜市当局が、市内に散在しております二百六十余りの水産加工――主としてかまぼこでございますが、その工場を一カ所に集めまして汚水の処理あるいは悪臭の処理をしたいということで、県がつくりました埋め立て地の中に、第一次分といたしまして十六社の工場アパートを建設をし、ここに共同の排水処理施設をつくるという計画を立てまして、これを公害防止事業団に建設を依頼をしたわけでございます。で、公害防止事業団といたしましては、当時、市当局とも打ち合わせをいたしまして、一応、第一次加工工場から出てまいります二一三〇PPM――BODでございますが――の汚水を一〇〇PPMくらいまでに希釈をするというような前提で設計をいたしまして、四十三年の十二月に市にこれを譲渡したわけでございます。ところが、実際に操業をしてみますと、当初考えられなかったような条件がいろいろと出てまいりました。それは、たとえば魚の頭とか骨とかいうようなものが一緒に処理施設に流れ込んでくるというようなこともございまして、最盛期には二一三〇PPMの汚水と考えておりましたのが、一〇〇〇〇PPMをこすような塩水が流れ込んできたというようなことでございます。このために活性汚泥の機能が不完全になりまして、うまくこれが働かなくなったわけでございます。そこで四十四年の九月になりまして、ラグーン池――ため池でございますが――を約二千万円ばかりかけまして、これに取りつけをしたわけでございますけれども、これでも汚泥の除去作業がうまくいかない、あるいは上に浮いてきた油の除去がうまくいかないというようなこともございまして、四十四年の最盛期にはノリ業者にかなりの被害を与えた。そのために一時操業停止をするというようなところに追い込まれたわけでございます。こういう状態であったものですから、四十五年の一月に入りまして、学識経験者あるいは関係省庁からなりますこの排水処理施設をどうするかという基本構想委員会をつくりまして、七月にその中間答申を受けまして、前処理施設といたしましてロータリースクリーンあるいは油水分離器というようなものを約五千万円ばかりかけましてこれにつけ加えたわけでございます。この結果、四十五年のときには、そう大きなノリ業者に被害を与えるというようなことなく過ごしてきたわけでございます。
しかし、現在宮城県の条例によりまして、松島湾の排水基準はBOD一〇〇PPMというようにきめられております。現在この改造されました排水処理施設から出ております汚水が約二〇〇〇PPM程度でございますので、ことしの九月から十一月にかけましての最盛期までには何とかこれを一〇〇PPMまでさらに改造する必要があるということで、先ほどの基本構想委員会の御意見もありまして、これにさらにフロスの処理器、それから加圧浮上器というようなものを約一億二千万円ばかりかけて取りつけるという構想に現在なっております。この取りつけ費用につきましては、現在までのところ、塩釜市当局が公害防止事業団に対しまして融資の申し入れをしたいというような意向を持っておられるというところまできているわけでございます。当然公害防止事業団といたしましては、こういった融資の申し入れがございましたら、重大な問題でもございますので、積極的にこれに応じたいというような考えでいるわけでございます。
それからなお第二次分といたしまして、現在市当局は百四十八企業をさらにこの埋め立て地に集結をいたしますというような計画で、四十五年の二月に土地の造成につきまして公害防止事業団にやはり依頼がございました。公害防止事業団のほうといたしましては、この土地造成の融資を行ないまして、現在ボーリングその他を終わりまして着工に取りかかるという段階になっております。ただ、第二次分の排水処理につきましては、第一次分で相当問題を起こしたために完全なものをつくる必要がある。完全なものをつくるには四億以上の金がかかるというようなこともございますので、目下のところ塩釜市が考えておられますのは、三カ年計画ぐらいでこの第二次の完成をしたい。それに要する費用につきましては、一応これも公害防止事業団の融資を仰ぎたいというような意向を持っておられる。この点に関しましても、公害防止事業団といたしましては積極的に融資に取り組んでまいりたい、こう考えているのが現状でございます。
#30
○藤原房雄君 この問題につきましては、前国会のときにもちょっと、こういう問題があるからということで、自治省にもよく調査しておいてくださいということを申し上げておったんですが、きょう時間もありませんから、まあ先、急ぎますが、いずれにしましても、公害防止事業団と市との間でこの契約が結ばれて、そしてそのできた施設を水産加工団地が使用することになるわけでありますが、これは当初の計画がきちっと誤りなくものごとが進んでおれば、これは償還期間がきましても、そしてまた毎年毎年の、この二十年年賦の償還につきましても計画どおりいったろうと思うのでありますが、現実、先ほど報告ありましたように、当初の計画に大きな問題があった。責任はどこにある云々ということについてはま歩後にいたしますけれども、いずれにしても計画どおりいかなかったわけであります。事業団と市とがこの契約を取りかわしておって、いかに融資をするといいましても、まあ塩釜のようなところで年間三千万近い償還をしなきゃならない。こういうことで水産加工団地のめんどうはとてもこれは見切れないだろうと思います。水産加工団地にいたしましても当初の計画どおり稼働いたしませんし、化成工場にいたしましても働きをしないわけなんで、当初の見込みだけの収入はないということで、現在たいへんな負債をかかえ、償還期間がきても払うことはできませんと、こういう現状になっておるわけであります。市当局といたしましても、もちろんこういう大きなお金を振りかぶってしまったのではどうしようもない。先ほど経過の中にもありまして、応急措置としていろいろしたようでありますが、それはあくまでも応急措置でありまして、恒久的な、当初のこの県条例に十分こたえられるだけの処理施設であれば問題はなかったわけでありますけれども、こういう問題が起きた、当初計画に問題があったという、そこから派生いたしまして、水産加工団地はもちろんのこと、市当局としましても、知事、地方自治体としましてもたいへんな迷惑をこうむっておる。しかも償還期間がきておる、差し迫ってこの問題をどうするのかと、こういう問題がありまして、当事者としましても、また議会といたしましても、これはたいへんな頭を悩める問題になってるわけであります。責任の所在云々、またその事業団そのものの事業内容が云々ということにつきましては、ほかの委員会でもいろいろなされたようでありますが、地方自治体として積極的にこの公害防止をするためにこういう公害事業団を使って、事業団によって施設をつくろうという非常に積極的な姿勢で取り組んだ。それが結局はまあ大きな悩みの種になってしまった、逆の現象になってしまった。まあこういうことで、これは塩釜市といたしましてもたいへんな問題で、いま議会はもちろんのこと、市長はじめ理事者の方々も悩んでおるわけであります。こういう実態につきましては、自治省としましてもたいへんなことなんで、十分にこの実態、この問題につきましては掌握していると思うのでありますけれども、この点についてはどのように認識していらっしゃるか。またこの問題について何らかの解決のめどといいますか、どういう方向でどうするのかということについて、いま自治省としてどういう見解を持ってるか。これは大臣がおりませんので財政局長にお伺いしたいと思うのです。急を要する非常に大事な問題なので責任ある答弁をひとつしていただきたいと思うのです。
#31
○説明員(長野士郎君) この塩釜の問題につきましては、私どもも実情は再三にわたって伺っておりまして、現在御指摘のような事情におきまして関係者非常に苦慮いたしておることも聞いております。そこで問題は、きわめて常識的なことになるようなことでございますけれども、この種のものを単なる産業公害ということで企業者だけの負担で考えていくことができるかということになれば、これは事業団その他のあらゆる関係機関のあれにもかかわらず、当初の見込みが、予定が狂ったというような状況もあるわけで、したがいまして、そういう点からいたしますというと、事業者の負担に全部をまかせるということもなかなか実際問題としていきがたい、御指摘のとおりの問題があろうかと思います。したがいまして、これはなお私どもとしては事業団、業者――業界といいますか、その関係の事業者と、それから最近では県、市通じまして、まあこの三者がととのった、考え方を調整をした上で、私どももさらにその上において県、市の負担関係なり何なりというものを考えていかなければならないというふうに実は思っておるわけでございます。事業団との契約があるから当然に返さなければならないというのも一つの議論でございましょうけれども、しかし問題は、事業団には全く責任はなかったとも言えないと思います。つまり当初の目的からいいますと、そういうふうにならなかった結果が生じたわけでありますから、融資については従来の予定どおり返っていくというわけのものでもあるまい、これも話し合いをして適切なところに持っていくということも考えなければいけないというふうに思うわけであります。せっかく、その点につきましては、現在宮城県の当局が中心になりましていま調整中でございますので、私どもとしてはその調整の成り行きを見ながら、地方団体側として考えなければならない問題が出てまいることも考えられますので、その際には当該団体の状況に応じて措置を私どもとしても考えてまいらなければならない、こう思っております。
#32
○藤原房雄君 まあ時間もありませんので、積極的な解決の方法が見出されることを切望する次第でありますが、これはどうか自治省としましても、これは自治体が積極的に取り組んだ公害対策のところから発生した問題でもありますし、傍観視するというようなことでなく、ひとつ積極的な解決のめどを与え、地方自治体が一日も早く安心してやっていけるような方向というものを見出していただきたい。これは全国でも初めてのケースとして当初こういうことが行なわれたやさきに起きただけに、他の市町村、自治体も非常に関心を持って見ている。それだけにこれは塩釜だけのことでなくして、全国の公害防除に対する積極的な姿勢に大きなブレーキをかけることになるのではないか、そういう気持ちもありますので、どうかその点ひとつよろしくお願いしたいと思います。まあこの問題についてはきょうはこれで。それからもう一つ、いまいろいろ問題になっておりますが、地方自治体の病院の財政的な危機が叫ばれておるわけでありますけれども、これもたいへんな問題で五分や三分でできることではないのですけれども、せっかく大臣の施政方針も出たことでもありますし、基本的にこの問題についてどう考えていらっしゃるか。先日、根室の状況を聞きますと、一年間一億から赤字が出る。現在五億からの赤字をかかえているけれども、これは根室に限らず各地方自治体たいへん頭を悩ませている問題であります。現在、医療制度につきましては、いろいろ議論もされているところでございますが、基本的な考え方、またこれに対する自治省としての考えもございましたらひとつお聞きしたい、こう思うのです。
#33
○説明員(長野士郎君) まあ公立病院の経営の赤字は御指摘のとおりでございまして、手元にいま数字を持っておりませんが、たしか四十四年度の決算におきましても約三百億、あるいは三百億こえておるような累積赤字をかかえておるというような現状だというふうに記憶いたしております。問題の原因は大きく分けまして私は三つあると思っております。一つは、病院経営悪化一般の問題でありますが、これは社会保険診療報酬制度が実際に適していないということでございます。これはまあそういう言い方をするのはどうかということになりますか、事実の問題でございまして、世間によく言われておりますように、国民宿舎に入るのよりも病院に入院したほうが安いというふうな単価でございますと、病院としては入院患者がふえればふえるほど赤字が出る。他の私立病院になりますと、その場合に差額支給その他の問題ということも考えられるかもしれませんが、公立病院におきましては少なくともそういうことはなかなか困難だというようなことが起こるわけです。
それからもう一つは、病院の配置なり規模。まあ赤字の出る出方というものも、規模なり配置なりというものと相当関係もいたしております。つまり、申しますことは、百ベッド以下の病院というものは非常に経営が困難だというようなことがございまして、一定規模以上のものでないとなかなかいかない。と同時に、さらに言えますことは、公立、私立を含めてでございますが、公立だけをとりましても、地域によって、隣接した市町村に、以前は病院、診療所を持っているというような場合に、相互に競合と申しますか重複いたしておりますような関係もありまして、そういうことが経営を困難にしておるような場合もございますので、結局そういう意味で病院の配置とか規模による問題も実はあるわけでございます。
さらに、第三番目には、医師確保が非常に困難である。医師の絶対数が非常に不足をいたしておりまして、そしてその関係での補充その他の問題がうまくいかないというような問題。こういうような大きな三つの問題というものに基因して、全体として病院の経営が困難である。
ただ、財源措置その他といたしましては、病院の整備と、病院の体系化と申しますとやや語弊がございますけれども、そういう意味で合理的な配置と合理的な規模というものを考えて従来も指導いたしておりますが、今後さらにその点は続けてまいりたいと思っております。それから同時に、病院の整備等につきましての良質の資金を供給するようにいたしたい。
しかし、同時に、経営だけを考えるわけにまいらないというのが公立病院の一つの使命でございます。つまり、それは地域医療の確保という問題、それからまた特殊な診療についての業務を考えていかなければならないというような問題もあるわけでございまして、こういう意味では行政施策という観点からの考え方も当然あるわけでございますから、その点につきましては、これも毎年地方財政計画等を通じまして一般財源で負担すべきものは一般財源で負担をいたしまして、そして病院の会計にこれを繰り出していくというようなことをいたしておるわけでございます。これはやはり毎年増額いたしております。四十四年度におきましては、建設勘定をひっくるめにいたしますと約六百億近い繰り出しをいたして病院の経営の補完をいたしておりますが、もう一つは、先ほど申し上げました保険診療報酬制度の現実に合った適正化。これは最近言われておりますようないろいろな保険の問題についての抜本的改革というようなことも行なわれるような話もございますが、したがって、この病院経営につきまして、実態に合った診療報酬制度というものをぜひつくっていただきたい。こういうふうに思いますが、これはまあ公立病院だけの問題ではございませんが、そういう外部の条件も病院経営を非常に苦しくいたしておるものでございます。
以上申し上げましたような、大まかなことになってしまいましたけれども、そういう点を通じまして病院経営の合理化、そうして現在公立病院がベッド数として占めている割合はそう高くはございません。全体のベッド数の約二割前後でございます。しかしながら、公立病院が維持しておりますところの医療確保ということになりますと、僻地等を通じましても、これはまあ最後に残った医療の機会を確保していくという状況でございますので、それに必要な措置は年々強化をいたしてまいりたい。まあ当面いろいろな問題がございますが、逐次充実をはかってきておりますけれども、今後ともそういう措置を充実をさせまして、必要な維持経営ができるようにぜひつとめてまいりたい、こう思っております。
#34
○委員長(若林正武君) 本件はこの程度にとどめます。―――――――――――――
#35
○委員長(若林正武君) これより請願の審査を行ないます。第一号、自動車税の納税義務に関する地方税法改正に関する請願を議題といたします。専門員から説明をいたさせます。
#36
○専門員(鈴木武君) 第一号、自動車税の納税義務に関する地方税法改正に関する請願。本件は、割賦で販売する自動車の自動車税の納税義務者は買い主だけとし、売り主及び買い主の共有物とみなす制度を廃止されたいという趣旨のものでございます。
その理由は、現在、自動車の販売は大部分が割賦でありますが、代金完済まで自動車の所有権を売り主に留保する制度をとっております。現在の取り扱いは、買い主がその税を納めない場合に売り主に督促がいくことになっておりますので、負担が過重となっておるという趣旨のものでございます。
本件につきましては、地方税法第百四十五条第一項に「自動車税は、」「その所有者に課する。」、第二項に、所有権留保つき売買の場合は「売主及び買主の共有物とみなす。」と規定されておりまして、同趣旨の規定は固定資産税の償却資産についても同様でございます。で、地方税制のたてまえといたしまして、納税義務者が所有者とされております。この場合、「共有物とみなす制度を廃止されたい」というのでございますが、本件につきましては、制度のたてまえ上なおよく検討を要しまするので保留となった次第でございます。
#37
○委員長(若林正武君) 速記をとめて。〔速記中止〕
#38
○委員長(若林正武君) 速記を起こして。本請願は、保留と決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。―――――――――――――
#40
○委員長(若林正武君) 継続審査要求に関する件についておはかりいたします。地方自治法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出したいと存じますが、賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
#41
○委員長(若林正武君) 多数と認め、さよう決定いたします。なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。―――――――――――――
#43
○委員長(若林正武君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。地方行政の改革に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。―――――――――――――
#46
○委員長(若林正武君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(若林正武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十九分散会
―――――・―――――