くにさくロゴ
1971/07/23 第66回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第066回国会 石炭対策特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1971/07/23 第66回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第066回国会 石炭対策特別委員会 第3号

#1
第066回国会 石炭対策特別委員会 第3号
昭和四十六年七月二十三日(金曜日)
    午後一時四十分開議
 出席委員
   委員長 鬼木 勝利君
   理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君
   理事 藏内 修治君 理事 地崎宇三郎君
   理事 相沢 武彦君
      三池  信君    山崎平八郎君
      島本 虎三君    細谷 治嘉君
      松本 七郎君    田畑 金光君
      田代 文久君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  田中 角榮君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官      稻村佐近四郎君
        通商産業政務次
        官       林田悠紀夫君
委員外の出席者
        通商産業省公害
        保安局長    久良知章悟君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    荘   清君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 阿部  茂君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 遠藤 政夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十三日
 辞任         補欠選任
  島本 虎三君     細谷 治嘉君
  斎藤  実君     相沢 武彦君
同日
 理事相沢武彦君同月十九日委員辞任につき、そ
 の補欠として相沢武彦君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
七月二十一日
 石炭鉱業安定対策に関する請願(鈴木善幸君紹
 介)(第一三四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月二十一日
 石炭産業の安定等に関する陳情書外二件(三笠
 市議会議長本田三七男外二名)(第四四号)
 住友石炭鉱業の合理化案反対に関する陳情書外
 一件(夕張市議会議長岡山碧外一名)(第四五号)
 石炭対策の確立に関する陳情書(岩見沢市議会
 議長松下久信)(第一一七号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 閉会中審査に関する件
 石炭対策に関する件(石炭対策の基本施策)
 派遣委員からの報告聴取
 請 願
  一 石炭鉱業安定対策に関する請願(鈴木善
    幸君紹介)(第一三四号)
     ――――◇―――――
#2
○鬼木委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 この際、石炭対策の基本施策について、通商産業大臣並びに労働大臣から、それぞれ所信を承ることにいたします。田中通商産業大臣。
#3
○田中国務大臣 今般の内閣改造に際しまして通商産業大臣に任命せられました田中角榮でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 政府の石炭対策の推進につき、かねてより種々御支援、御協力を賜わっておりますことにつきまして、この際、厚く御礼申し上げたいと存じます。
 最初に、去る七月十七日に、住友石炭鉱業歌志内炭礦におきまして、死亡者三十名、重軽傷者十七名という多数の罹災者を伴う重大災害の発生を見ましたことは、まことに遺憾でございまして、鉱山保安行政の重要性をいまさら痛感する次第でございます。
 通商産業省といたしましては、事故の報告に接しまして、直ちに札幌鉱山保安監督局長ほか係官を現場に急行させ、罹災者の救出及び災害原因の究明に当たらせるとともに、本省からも政務次官及び公害保安局長を派遣し、罹災者の救出作業の指導等に当たらせたわけでございます。
 また、遺家族に対する援護措置、罹災者の医療対策等につきましては、関係方面の御協力を得て、万全の措置を講ずる所存でございます。
 今回の事故につきましては、その原因を徹底的に究明し、問題点を明らかにいたしますとともに、今後再びこのような災害を起こすことのないよう、かたい決意をもって、保安対策の推進に一そうの努力を払う覚悟でございます。
 次に、石炭対策全般につきまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。
 石炭対策といたしましては、いわゆるエネルギー革命の進行の中で困難な状態に置かれている石炭鉱業の合理化を促進し、その再建を援助するとともに、保安を確保し、閉山を円滑に進め、鉱害復旧を推進し、産炭地域を振興するなど、石炭鉱業を取り巻く広範かつ複雑なる問題の処理につとめてまいっております。
 私といたしましては、国会その他関係各方面の御協力のもとに、誠心誠意これらの問題に取り組み、広い視野からその解決をはかってまいりたい所存でございます。
 石炭鉱業につきましては、現在昭和四十四年度に始まる第四次石炭対策を実施いたしておるのでございますが、石炭鉱業をめぐる内外の環境は、第四次対策のもとでの国の援助の大幅な拡充にもかかわらず、自然条件の悪化、コストの上昇、労務者確保の困難等により一段ときびしいものとなっており、施策の運営について一そう慎重な配慮が必要とされておるわけでございます。また、閉山の進行が地域社会にもたらした影響の回復をはかるため、今後とも鉱害復旧及び産炭地域振興の充実が期待されているところでございます。
 私といたしましては、かかる情勢の進展を考慮しつつ、今後施策の改善とその適時適切な運営に十全の努力を傾けたい所存でございます。
 終わりに、本委員会が政府の石炭対策の推進に以前にも増して深い御理解と御協力を賜わりますことを心からお願いいたしまして、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手)
#4
○鬼木委員長 原労働大臣。
#5
○原国務大臣 このたびはからずも労働省を担当することになりました。今後ともよろしく御指導をお願い申し上げたいと存じます。
 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について一言所信を申し述べ 各位の御理解と御協力を得たいと存じます。
 去る七月十七日発生しました住友石炭株式会社歌志内礦の災害につきましては、まことに遺憾であり、なくなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。
 労働省といたしましては、係官を現地に派遣して、緊急医療措置を講じてまいりましたが、さらに、労災補償の早期支給と遺家族の援護に万遺漏なきを期してまいります。また、今回の災害の原因の究明と相まって、かかる災害の防止に万全の対策を講じてまいる所存でございます。
 今後の石炭政策につきましては、石炭鉱業審議会の答申の趣旨に沿って、炭鉱労働者の労働条件と福祉の向上に一そうの努力を払い、雇用の安定をはかってまいる所存であります。
 また、石炭政策の進行により今後やむを得ず閉山する炭鉱の離職者につきましては、従来の経験を十分に生かして援護対策を推進し、その再就職確保に万全を期し、産炭地域における雇用安定対策を積極的に推進してまいる所存でございます。
 以上、所信の一端を申し上げました。今後とも、各位の御意見を十分拝聴して行政の推進に力を尽くしてまいります。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#6
○鬼木委員長 次に、今回住友石炭鉱業株式会社歌志内礦の災害の実情調査を行ないました派遣委員から報告を聴取いたします。地崎宇三郎君。
#7
○地崎委員 報告に先立ちまして、七月十七日に発生した災害により罹災されました三十名のとうとい犠牲者に対し心より哀悼の意を表するとともに、負傷されました方々の一日も早い回復を祈念するものであります。
 それでは、調査の概要を御報告申し上げます。
 まず派遣委員でございますが、鬼木委員長をはじめ、島本虎三君、斎藤実君、田細金光君、田代文久君及び私の六名であります。なお、現地において井野正揮君、相沢武彦君が参加されました。
 私ども一行は、七月二十日夕刻羽田を出発して、千歳を経て札幌の宿舎に至り、直ちに札幌通商産業局長、札幌鉱山保安監督局長、北海道労働基準局長及び北海道副知事よりそれぞれ説明を聴取したのであります。
 翌二十一日早朝宿舎を出発、歌志内市に向かいました。
 歌志内に到着後、直ちに、災害が発生した登川坑坑口におもむき、生花をささげ、犠牲者の御冥福を祈ったのであります。
 その後、歌志内炭礦体育館において、住友鉱業の会社側、労組、職組代表及び地元代表歌志内市長等より、それぞれの立場から説明を聴取するとともに、要望を承ってまいりました。
 その後、美唄労災病院に参り、現在入院中の十七名の罹災者を訪ね、お見舞いを申し上げますとともに、激励してまいった次第であります。
 以上で日程を終え、同夜帰京いたしました。
 住友歌志内炭礦の概要を申し上げます。
 当礦は、石狩炭田に属し、当初、一般炭山として発足したのでありますが、昭和四十一年ごろより原料炭移行をはかり、今日に至っております。
 住友石炭鉱業としては、赤平、奔別とともに稼働している主力の山で、昭和四十六年度計画における住友三山の出炭量は、…百五十六万五千トン、日産一万一千八百六十トンで、そのうち、歌志内は四十四万一千トン、日魔手四百六十トンとなっておりますが、原料炭比率は六四・八%で、他の二山より高い比率を示しております。
 労務状況並びに能率は、四十六年六月末現在で、常用実働労務者八百八十一人、臨時夫百一人、組夫七十人、職員百八十三人の、計千二百三十五人で、能率は、一人一日当たり四〇・八トンとなっております。
 当炭礦の稼働区域は、登川区域及び文珠区域に分かれ、それぞれ登川來炭層を三払い、美唄來炭層を六払いで採掘しており、最近の出炭実績は、四十五年度四十七万五千トン、四十六年六月三万六千トンであります。
 次に、災害の概況について申し上げます。
 災害の発生日時は、昭和四十六年七月十七日午前九時十五分ころで、歌志内炭臓中央斜坑マイナス四二五レベル東三号登川八番層東払いで発生したガス突出による災害と見られており、罹災者は、死亡三十名、負傷十七名であります。災害当日の十七日、一番方における入坑者は、全坑で三百八名、そのうち災害発生払い及びその周辺の作業員は五十七名でありまして、この災害発生のあったマイナス四二五レベル東三号登川八番層東払いは、払い長百二十七メートルに及ぶもので、炭層傾斜二十八度、山たけ四メートル、炭たけ三・二メートル、稼行たけ二・六メートルという払いであります。
 十七日九時二十分ころ、マイナス四二五レベル東三号登川八番層立て入れ坑道にいた係員は、異常を感じ、坑外事務所に連絡、坑外事務所では、主扇負圧の低下並びにガス自動警報器の作動により電源の遮断を確認したので、九時三十分、全員に退避命令を発したのであります。また、当時坑内巡回中の係員が、マイナス三五〇レベルの沿層坑道で四名の鉱員が倒れているのを発見するとともに、高濃度のガスを検出したことが報告されております。
 一方、九時三十五分ころ、救護隊を招集し、救出作業を行ない、現場に入坑していた作業員五十七名のうち、三十七名は自力脱出または救出隊によって救出されたものの、残り三十名は二十日午前十一時三十分までに全員遺体として収容されたのであります。
 なお、救護隊を含む延べ四百十八名に対して一酸化炭素中毒検出のための検査を実施したところ、全員異常が認められなかったことを申し添えておきます。
 次に、遺家族の援護措置について申し上げます。
 すでに御承知のとおり、労使双方による協定に基づく弔慰金は、扶養者を持っている者で四百万円が会社から支給されることとなっております。労災保険遺族補償給付については、遺族補償年金として約二十三万円から最高八十万円程度が支給されますほか、葬祭料、就学援護金が支給されることになっております。
 現地において、北海道庁、地元歌志内市、労働組合、職員組合等より要望されました主な事項は、一、国の責任による抜本的な保安対策の確立、二、住友三山の存続再建、三、労働力の確保、四、災害原因の早期究明、五、石炭政策の樹立、六、遺家族援護の充実、七、保安資金の助成、八、労災保険金の引き上げ等でありました。
 今回の調査において痛感いたしましたことの一つは、払い面におけるガス突出による事故ではないかという点であります。当礦は、去る昭和四十四年五月、ほとんど同じ個所において掘進によるガス突出災害があり、その後、この点については十分に検討し、掘進によるガス突出は、完全に防止できるとしておりました。しかるに、今度の百二十七メートルに及ぶ払い面からガス突出が起こるということは、過去の経験から見て、全く予想されなかったと、関係者は多大のショックを受けている状態であります。このことにかんがみましても、早急に原因を究明し、今後の保安対策を実施するに際し、従来の技術経験を越える事態に対処し、万全を期することが必要であるということであります。
 次に、住友三山再建との関係についてであります。
 住友三山の再建については、いろいろと紆余曲折があり、ようやく再建の運びときまった直後のこの災害で、私たちも非常なショックを受けた次第であり、関係者においても、当然、同様であろうと存じます。わが国石炭鉱業全体の見地からも、住友三山の再建は果たさねばならぬと確信いたします。しかし、今回の災害が労働者諸君に与える影響はまことに大きく、不安と動揺はおおうべくもないようであります。この不安を除去するよう格段の努力をするとともに、炭鉱労働者の離山ムードを防止するためにも、強力な保安施策が講ぜられねばならないと存じます。
 なお、ハッパに際しての退避基準等についても、きめのこまかい検討が必要と思われます。
 次に、遺家族の援護についてでありますが、不幸にして遺家族となられた方々に対しては、十二分な援護措置を講ずる必要があり、われわれといたしましても、きめられた以上のものが支給されるよう関係者に要請するつもりであります。また、労災法の改正等についても、勇断をもって実施すべきであると存じます。
 さらには、この際炭鉱の保安状況について総点検を実施し、再びかかる悲惨な事故の発生を見ないよう強力な措置を講ずるよう、強く政府当局に要請する次第であります。
 以上をもつて報告を終わります。
#8
○鬼木委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。
     ――――◇―――――
#9
○鬼木委員長 この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。
 理事相沢武彦君が去る十九日委員を辞任されました結果、理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、相沢武彦君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#11
○鬼木委員長 次に、本日の請願日程の、石炭鉱業安定対策に関する請願を議題とし、審査に入ります。
 本請願につきましては、先ほどの理事会において御検討願いましたので、紹介議員の説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、直ちに採決いたします。
 日程第一の請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    ―――――――――――――
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
#14
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  〔報告書は附録に掲載〕
#15
○鬼木委員長 なお、今会期中、本委員会に参考のため送付されました陳情書は、石炭産業の安定等に関する陳情書外二件であります。念のため御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
#16
○鬼木委員長 次に、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。
 石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、閉会中審査案件が付託になりました場合、審査のため参考人から意見を聴取する必要が生じました際には、参考人の出席を求めることとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中委員派遣に関する件についておはかりいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣を行なう必要が生じました際には、議長に対しその承認申請を行なうこととし、その人選、派遣地及び期間等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト