1971/10/01 第66回国会 衆議院
衆議院会議録情報 第066回国会 災害対策特別委員会 第6号
#1
第066回国会 災害対策特別委員会 第6号昭和四十六年十月一日(金曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 中井徳次郎君
理事 稻葉 修君 理事 細田 吉藏君
理事 米田 東吾君 理事 瀬野栄次郎君
宇田 國榮君 江藤 隆美君
小沢 一郎君 奧田 敬和君
坂元 親男君 高鳥 修君
田村 元君 羽田 孜君
藤波 孝生君 水野 清君
安田 貴六君 角屋堅次郎君
川村 継義君 千葉 七郎君
辻原 弘市君 芳賀 貢君
安井 吉典君 和田 耕作君
津川 武一君
委員外の出席者
総理府総務副長
官 栗山 廉平君
内閣総理大臣官
房参事官 高橋 盛雄君
北海道開発庁総
務監理官 山田 嘉治君
環境庁自然保護
局計画課長 宇野 佐君
大蔵省主計官 山口 光秀君
大蔵省主計官 藤井 直樹君
大蔵省主税局税
制第一課長 高橋 元君
文部省初等中等
教育局財務課長 説田 三郎君
文部省大学学術
局学生課長 齋藤寛治郎君
文部省体育局学
校給食課長 高石 邦男君
文部省管理局教
育施設部長 菅野 誠君
厚生省保険局国
民健康保険課長 吉村 仁君
農林大臣官房参
事官 大河原太一郎君
農林省農林経済
局金融課長 渡邉 文雄君
農林省農林経済
局保険管理課長 板野 権二君
農林省農地局参
事官 住吉 勇三君
農林省畜産局参
事官 斎藤 吉郎君
食糧庁業務部長 森 重弘君
林野庁指導部長 松形 祐堯君
水産庁漁政部長 田中 慶二君
水産庁漁政部漁
船保険課長 山内 静夫君
水産庁漁港部建
設課長 坂井 溢郎君
中小企業庁計画
部金融課長 高橋 清君
運輸省港湾局技
術参事官 竹内 良夫君
海上保安庁水路
部長 川上喜代四君
気象庁予報部予
報課主任予報官 大野 義輝君
気象庁海洋気象
部海洋課長 増沢譲太郎君
建設政務次官 藤尾 正行君
建設省河川局長 川崎 精一君
建設省河川局防
災課長 生瀬 隆夫君
建設省河川局砂
防部砂防課長 谷 勲君
建設省道路局国
道第二課長 川上 賢司君
建設省河川局地
すべり対策室長 中村 二郎君
自治大臣官房参
事官 石川 一郎君
自治大臣官房調
査官 福島 栄造君
自治省財政局長 鎌田 要人君
農林漁業金融公
庫副総裁 岩尾 一君
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委員の異動
十月一日
辞任 補欠選任
宇田 國榮君 渡辺美智雄君
江藤 隆美君 小沢 辰男君
笠岡 喬君 塩谷 一夫君
塩崎 潤君 藤波 孝生君
古内 広雄君 水野 清君
森 美秀君 羽田 孜君
吉田 実君 田村 元君
卜部 政巳君 安井 吉典君
川村 継義君 辻原 弘市君
内藤 良平君 芳賀 貢君
古川 喜一君 角屋堅次郎君
和田 耕作君 小宮 武喜君
同日
辞任 補欠選任
田村 元君 吉田 実君
藤波 孝生君 塩崎 潤君
水野 清君 古内 広雄君
角屋堅次郎君 古川 喜一君
芳賀 貢君 内藤 良平君
安井 吉典君 卜部 政巳君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
台風第二十三号、第二十五号、第二十九号及び
秋雨前線豪雨等による災害対策
北海道における異常低温等による災害対策
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
#2
○中井委員長 ただいまより会議を開きます。災害対策に関する件について調査を進めます。
本日は、台風第二十三号並びに秋雨前線豪雨による被害状況調査のため、去る九月二十日から三重県に委員派遣を行ないましたので、現地に派遣されました委員から、まず報告を聴取いたしたいと存じます。瀬野栄次郎君。
#3
○瀬野委員 台風第二十三号及び秋雨前線豪雨による被害状況調査のため、去る九月二十日から三日間、三重県に派遣されました委員を代表して、調査の概要を御報告いたします。派遣委員は、自由民主党の内海英男君、森美秀君、日本社会党の米田東吾君、公明党の私、瀬野栄次郎、民社党の和田耕作君及び日本共産党の津川武一君の六名で、ほかに、同県選出の中井委員長の御参加を得、現地の実情をつぶさに調査してまいりました。
本日は、時間の関係で、詳細な状況、要望等につきましては資料を委員長に提出しておきましたので、御参照いただくこととし、重点的に御報告申し上げます。
八月三十日から三十一日にかけて近畿地方を横断した台風二十三号は、典型的な雨台風で、かつ速度がおそく、三重県全域に長時間にわたり豪雨をもたらし、とりわけ北勢、中勢地域は記録的な集中豪雨に見舞われ、同地域内の中小河川の堤防の決壊及び山間部における山地崩壊、がけくずれ等による被害が続出、松坂市ほか三市に災害救助法が発動され、死者四名、住家の全半壊四十二戸、床上・床下浸水二万余戸、被害額は土木関係施設で約百八億円、農林水産関係で約八十四億円をはじめとして、総額二百十五億円に達しております。
さらに同県では、九月九日未明から同県南部の尾鷲、熊野地方が局地的な集中豪雨に見舞われ、十日夜半までに千ミリを突破する記録的な豪雨となり、同地方至るところ、河川のはんらん、山津波等により、瞬時にして多数の民家が押し流され、土石に埋没し、死者、行くえ不明者、負傷者が続出するという惨事が発生したのであります。被害は、死者四十二名、負傷者三十四名、住家の全壊六十五戸、床上・床下浸水千七百五十余戸、道路、橋梁、堤防の決壊・流失をはじめ被害総額は約七十三億円にのぼり、尾鷲及び熊野両市に災害救助法が発動され、局地的には、昭和三十四年の伊勢湾台風をしのぐ激甚な被害を受けております。
調査団は、九月二十日三重県庁において、県当局から、被害状況及び救援対策並びに両災害に対する要望等について詳細な説明を聴取した後、鈴鹿郡関町、亀山市、鈴鹿市、松坂市の被災現場を視察、翌二十一日には尾鷲、熊野市において県及び被災各市町当局から説明を聴取、同日と二十二日にかけ被災現場を調査してまいりました。
まず、台風二十三号による被害の状況等について申し述べます。
関町では、八月三十日から三十一日にかけ、三百四十一ミリという集中豪雨に見舞われ、約百八十六ヘクタールの山林が崩壊し、流れ出した土砂、流木等が鈴鹿川、中ノ川の本支川の濁流とともに住家、道路、農地等を埋め、激甚な被害をもたらし、公共土木関係約十二億円、農林関係約八億円を中心に、被害総額は約二十一億円に達しております。国道一号線沿いに被害の状況を視察しましたが、沢という沢から土石が流出、川幅の狭い中ノ川上流では、至るところ護岸が崩落、東海自然歩道等が大きな被害を受け、坂下地区では、長さ約五十メートルにわたる護岸の崩落により、道路と住家の土台が削り取られ、土のうの積み上げによる応急工事がなされているものの、次の雨には危険が予想され、同町当局から復旧工事の早期着工、激甚法の適用、特別交付税の大幅増額等について要望を受けてまいりました。
亀山市の被害は、中ノ川中流部のはんらんによる護岸の決壊、橋梁の流失等で、被害総額は約十七億円にのぼっております。同市からは、激甚法の適用、山腹砂防事業の促進、中ノ川、椋川等中小河川の早急な改良復旧、鈴鹿川の直轄河川区域を同市まで延長し改修の促進をはかること等について、熱心な要望がありました。
鈴鹿市は、鈴鹿川のはんらんによる橋梁の流失、中ノ川堤防の決壊、がけくずれ等による公共土木施設、農地等の被害総額は約八億円にのぼっており、同市から激甚法の適用、流失した木橋を永久橋として改良復旧すること、同市内加佐登町の家屋全壊周辺地を急傾斜地崩壊防止事業として採択されたいこと等の要望を受けてまいりました。
松坂市では、中小河川のはんらん、堤防の決壊、山くずれ、住家の浸水等により、総額約九億円の被害を受けております。視察した坂内川流域では、山津波による住家、農地等の埋没の被害が激甚で、住民は、奥地の森林伐採が遠因ではないかと語っておりました。市当局から、激甚法の適用、災害復旧工事の早期完成、砂防事業の積極的実施、天災融資法の適用、等外米の政府買い入れの実施等について、強い要望がありました。
次に、尾鷲、熊野地方の集中豪雨による被害状況等について申し上げます。
同地方は熊野灘に面し、山は海まで迫り、わずかな谷間に漁村が点在し、日本でも有数な雨どころであります。今回大きな被害を見た一番の原因は、台風二十三号により約五百ミリの隆雨のあと連日のように雨が降り続き、地盤がゆるんでいたところに、九月九日未明から十日の夜半にかけて、時間最大雨量百十ミリ、連続雨量千二百ミリをこえる記録的な集中豪雨を見、渓流のはんらん、山津波、がけくずれ等により、尾鷲市では二十六名、熊野市では十五名の犠牲者を出すという惨事を引き起こしております。県では、直ちに現地に災害対策本部を設置、警察官、自衛隊、海上保安庁等から延べ九千名を動員して、行くえ不明者の捜索、被災者の救援、応急復旧工事等を行なったとのことであります。
尾鷲市では、多数の死傷者のほか、土木関係約二十三億円をはじめ林業関係約十二億円等被害総額は約四十五億円にのぼり、予算規模の四倍をこえる巨額に達しております。
視察した賀田町では、十日午後三時ごろから深夜にかけ、二十一カ所で山くずれが発生、うち四カ所が住家を襲い、二十四戸が全壊、床上まで土砂に埋まった家が二十六戸、床上浸水が六十二戸という壊滅的被害をこうむっております。住民の話によれば、十日午後四時ごろ、数十個の雷が一度に落ちたかと思うほどの爆発音とともに、山賀山が土煙をあげて住家を襲い、一瞬にして生き地獄と化したとのことで、現場は長さ五百メートル、幅五十メートルにわたり、自動車ほどの巨石が住家、道路、畑を埋め尽くし、想像を絶する惨状を呈しておりました。
大河谷川沿いに建築してある賀田小学校も土石に埋もれ、校舎の形はとどめているものの、本館裏側の柱はことごとく折れ、修理不能の状態であります。もともと小学校の立地条件としては危険な場所であり、安全な場所へ改築されるべきものであります。故老の話によれば、この地区は、五年ほど前に農免道路を山の中腹につくってから水勢が変わり、山くずれが頻発するようになったとのことで、記録的豪雨が原因とはいえ、今回の災害の原因については多角的に研究されるべきであります。
古江町でも小学校の左裏山の山くずれは長さ約五百メートル、幅約五十メートルにわたり、岩石、土砂が鉄砲水とともに吹き出て、新築の家もあとかたもなくなるという惨状で、死者十三名、全壊九戸という被害を出しており、また三木里地区でも、香川のはんらんによる住家、農地の流埋没、国道三百十一号線の崩落、がけくずれ等、大きな被害が発生しておりました。
尾鷲市当局からは、激甚法の適用、緊急査定の実施、改良復旧の実施、危険地域については新しい町づくりという観点から復旧したいので財政援助を行なわれたいとの要望を受けてまいりました。なお、紀伊長島町及び海山町当局から、それぞれ被災の状況と災害復旧工事の早期着工について説明を聴取いたしました。
熊野市では、九日午後から、大雨注意報が出される以前から破説害が発生、十日夜半の豪雨で一気に各所で山津波、がけくずれが続出、死者十五名をはじめ、土木関係約十四億円、林業関係約七億円を中心に被害総額は約二十六億円に達し、同市の予算規模の二倍に相当する被害をこうむっております。
視察しました井戸町では、泉大谷川等の渓流が狂ったようにふくれ上がり、岩石と濁流を小さな集落にたたきつけ、一瞬にして住家十戸を全壊し、十名が死亡するという惨状で、現場は沢の両わきが幅五十メートル、深さ約四メートルに削り取られ、巨大な石と岩の墓場と化し、この世のできごととは思えない情景を呈しておりました。なお、井戸川流域山間部には、ひび割れの危険個所が数カ所もあるとのことで、早急な調査と緊急な砂防工事が必要であります。波田須地区では、去年四月県道から昇格したばかりの国道三百十一号線の路床が約五十メートルにわたり削られ、山津波となって集落になだれ込み、住家四戸を全壊、死者四名を出しております。このほか、二木島地区の土石流による住家の被害、県営金山パイロット事業による果樹園の施設の被害を視察いたしました。市当局から激甚法の適用、山地崩壊防止対策の実施、急傾斜地対策の徹底、早急な改良復旧等について要望を受けてまいりました。
また、熊野市と広域行政圏を構成している紀宝町及び御浜町から被害の状況等について説明を聴取してまいりましたが、御浜町の開拓パイロット等によるミカン園が、山くずれにより被覆が発生しており、膨大な資金の投資を行なった農家の再建について陳情を受けてきました。
県当局からの要望事項を取りまとめて申し上げます。
第一に、災害復旧事業に対する財源措置についてでありますが、激甚法の適用並びに激甚災害指定基準、特に公共土木関係の指定基準の緩和、自然公園施設災害復旧事業費に対する国庫負担の制度化、水道施設の災害復旧事業を激甚法の対象事業とすること、小規模災害の財源措置、特別交付税、地方債等の財源措置等について特別に配慮されたいとのことであります。
第二に、災害復旧事業等の推進についてでありますが、緊急査定の実施、災害復旧事業の早期着工、事業期間の短縮、災害関連及び災害助成事業の積極的採択、緊急砂防、治山事業の早急な採択、治山治水五カ年計画を改定し大幅な進度の促進、規模の拡大、緊急傾斜地対策事業の採択及び補助対象の引き下げ、また再災害を防止するための急傾斜地地帯の宅地、住宅の復旧についての特別な配慮並びに県、市町村を結ぶ防災無線の整備について財政援助を講ずること等であります。
第三に、被災者対策の推進についてであります。天災融資法による特別被害地域の指定、農林漁業金融公庫資金による各種資金の融資ワクの拡大及び償還期限の延期、金利負担の引き下げ並びに世帯更生貸付資金に対する国庫補助金の増額について、特別に配慮されたいこと等であります。
次に、調査団として、今回の災害の調査を終えて感じました諸点について申し述べます。
第一は、被災箇所の復旧を早急に行ない、再災害を最小限度に防止すべきであります。これがため政府は、県及び被災市町村に対し、あらゆる援助を行なうべきであります。また、被災地方自治体からの切実な要望に対し、かのう限りの援助施策を講ずべきであります。
第二は、公共土木関係の激甚法の適用の問題についてであります。地方自治団体の標税は年々増加しているとはいえ、交通、公害等新しい問題をかかえ、その財政力は一段と苦しくなっているのが実情であります。さらに、不況に続くドル・ショックで地方自治体の財政収入は悪化し、本日も、地方財政危機突破全国大会が開かれている状態であります。公共土木関係の指定基準の問題点については、すでに機会あるごとに指摘され、政府においてもその緩和について検討を始めているとのことでありますが、この機会に最近の災害の実態をよく検討し、地方自治体、特に市町村の財政を救済すべく、大幅に指定基準を緩和することを要望しておきます。また、三重県の被災各市町村議会は、こぞって激甚法の適用についての決議を行ない、激甚法が適用されるかどうかが災害復旧の士気にかかわる状況であります。激甚法の適用に格別の配慮を行なうよう重ねて要望しておきます。
第三は、尾鷲、熊野地方気象観測綱の整備拡充についてであります。同地方は複雑な地形で、全国でも有数な最多雨量地帯であり、また漁業基地としても重要な役割りを持っております。同地方における地域的な気象観測網及び情報伝達施設を整備し、地域住民の生活と直結した気象観測体制を早急に確立すべきであります。
第四は、災害復旧事業のあり方についてであります。尾鷲、熊野地方は、特殊な地形から再び惨事を起こさないためにも、災害復旧を新しい町づくりとあわせて行なう必要があります。各市町村も、今回の災害の教訓を生かして新しい町づくりをやろうとの意欲でありますので、政府も、災害関連、災害助成事業を積極的に採択、最大限の援助を行なうべきであります。
最後に、今回の尾鷲、熊野地方の災害は、異常な豪雨に原因があるとはいえ、私たちに対して、いろいろな意味で警鐘をもたらすものがありました。雨に対する油断、森林伐採の非計画性、砂防事業のおくれ、急傾斜地における危険意識の欠如、自然の中に生活しているとはいえ、いつのまにか人為的に自然の調和を狂わしていく開発、安全対策を忘れ、便利さや能率や自己の利益を優先さす生活意識等々、自然に対する人間の心のおごりが災害を大きくしたのではないでしょうか。災害は決して宿命ではありません。人間の生活環境、生活基盤の整備を通じて対処でき得るものであります。
なお、去る九月二十六日、台風二十九号により、先般視察いたしました亀山市等で堤防、道路の決壊等再び大きな被害が発生し、三重県における被害総額は約三百三十億円に達しております。政府はこれらの地方に対し充分な配慮を講じることを要請しておきます。
終わりに、今回の調査に御協力いただきました関係各位に謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
#4
○中井委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。
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#5
○中井委員長 次に、台風第二十三号、第二十五号、第二十九号及び秋雨前線豪雨等による災害対策について調査を進めます。まず、台風第二十九号による被害状況及び台風第二十三号以降の災害に対して政府においてとった措置の概要について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長官栗山廉平君。
#6
○栗山説明員 初めに、前回の委員会以降に起こりました災害につきまして御報告を申し上げます。九月二十一日から二十二日にかけまして、日本南岸沿いの秋雨前線が活発化しまして、南九州地方を中心に大雨が降りまして、鹿児島県において一名の死者が出ております。この災害によりまして、被害の著しい宮崎市に災害救助法が適用されております。
次に、台風第二十九号による災害につきまして申し上げます。
九月二十六日、足摺岬の南約四百キロの海上で台風に発達しました台風第二十九号は、同日午後一時紀伊半島に上陸いたしまして、渥美湾から静岡、関東中部を経まして、午後十一時鹿島灘に抜けたのであります。この台風は小型の台風であったため、雨の降り方が局部的で、ごく短期間に激しい雨を降らせたのでございます。
この災害による一般被害は、警察庁の調べによりますると、死者・行くえ不明二十名、負傷十一名、家屋全半壊・流失十五棟、床上浸水三千六百九棟、床下浸水五万六千五十六棟、罹災者数一万三千三百六十二人と相なっております。
また、施設関係等の被害額は、県の報告によりますると、公共土木施設約五十二億円、農地等約十三億円、農作物等約十億円、その他約八億円でございまして、合計いたしますると約八十三億円と相なっております。
この災害により、被害の大きかった三重県四日市市及び津市に災害救助法の適用が発動されております。
次に、台風第二十三号等による災害に対する措置につきまして御報告申し上げます。
台風第二十三号、二十五号、二十六号及び秋雨前線による豪雨による災害、以上を一括いたしまして激甚災害として指定することを、昨三十日の中央防災会議主事会議の開催において決定し、できるだけ早く政令を公布するため目下作業中でございます。
なお、この激甚災害に対しまして適用すべき措置といたしましては、農地等の補助の特別措置、天災融資法の特例、水防資材費の補助の特例、小災害債の元利補給等の四つの措置を決定いたしております。
以上をもちまして報告を終わります。
#7
○中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。―――――――――――――
#8
○中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田村元君。#9
○田村(元)委員 まず冒頭、このたびの諸災害に関しまして、委員長はじめ当委員会がおとりになりました迅速かつ親切なる御処置に対して、深く敬意を表するものであります。さて、さっそく政府に若干の点をただしたいと思いますが、現在仄聞するところによりますと、激甚地指定の指定基準の緩和で相当突っ込んだ話し合いがなされておるということを聞いておりますけれども、建設政務次官、建設省としては――いま総務副長官のお話によりますと、あとは大体建設省所管のことにしぼられてくると思うのでありますけれども、どういうような話し合いをしておられるのか。見通しを聞くことはあるいは酷かもしれませんが、見通しを持っておられたならばお答えを願いたいと思います。
#10
○藤尾説明員 お答え申し上げます。ただいま総理府の事務当局から御報告を申し上げましたとおり、私どもといたしましては、台風二十三号、二十五号、二十六号並びに秋雨前線による被害、さらにつけ加えまして二十九号の台風被害、これを一括いたしまして同一気象状況のもとに起こりました災害としてとらえまして、これを全部足しまして何とか激甚災害に対する財政補助の法律に当たらないかどうか、こういうことを強く訴えまして、総理府において御検討いただいておるわけであります。しかしながら、ただいま御報告のとおり、私どもの所管をいたしております公共土木というものだけは、その激甚災害にいまのところは当たらない、こういうことでございます。私どもといたしましては、いままでの基準といいまするものを、はなはだ僭越でございますけれども、ひとつ半分に下げてもらいたい、こういうことで、できるだけ激甚災害の網の中に今回の被害を受けられました多数の地域の方々の御救済を入れたい、かように考えて努力をしておるわけでありますけれども、公共土木被害といいまするものだけを足しましたならば、基準を半分に下げましてもなおかつ激甚地指定に当たらないというのが、いまの大体の様子のようでございます。さらに検討を加えて、基準を下げ得るかどうか、そういったこともあわせまして今後の検討にゆだねたい、かように考えておるわけであります。近くその最終決定が、中央防災会議等の議を経まして発表せられる段階に至るであろうと考えておりまするが、ただいまのところでは、残念ながらそのような段階にしかないということを申し上げざるを得ないと考えております。
#11
○田村(元)委員 私は、激甚災害というものをどういうふうに認定すべきかということについて、従来政府がとってまいりました考え方に非常な異議を持っておるものであります。しかし、いずれにしても激甚災害の地域の指定をしなければなりますまいから、当然その指定基準というものは、どのような形であれ、示されるべきでありましょうけれども、いま藤尾君が、なお新たに検討すべきものは検討して、なお引き下げるべきであれば、そういう点もがんばりたいということでありますから、私から申し上げるならば、現在の指定基準は昭和三十七年に決定をされたものである。言うなれば、約十年の歳月を経過いたしておるのであります。その約十年の間にどういうふうに世の中が変わってきたか。十年一昔と申しますが、これは非常な変わり方であります。特に標準税収の伸びあるいはいわゆる物価のコストアップ、そういうものを考えますと、三十七年に決定された当時に救われたところが今日では救われないというような、非常な不合理をもたらす。たとえば全国の地方税は、昨年、昭和四十五年度のをとりましても、三十七年度に比べて三三五%になっている。ところが、総合物価指数は一三七・九%、卸売り物価指数、これは投資財でありますけれども、わずかに一一一・七%ということになっておる。このような数字を比べてながめてみますと、はたして標準税収というものに従来のような考え方を持っておっていいものであろうかと、疑わざるを得ないのであります。ところが、標準税収の伸びというものは、裏を返せば、それだけ地方公共団体の財政能力が強くなったのだというふうに力説する当局者もあります。違います、これは。それだけ地方公共団体の力が強まっただけに、なおさら地方公共団体はやらなければならないことが多くなっておる。たとえば、三十七年に比べて公共事業の伸びというものは膨大なものがある。あるいはまた、社会福祉政策というものは毎年どんどんと伸びておる。たとえば、私がかつて建設省の政務次官をしたときに手がけましたのが、二兆一千億円の道路五カ年計画であった。この道路五カ年計画の第二年度に当たるのが昭和三十七年。ところが、現在の道路整備五カ年計画というものは当時の何倍かになっておる。道路整備五カ年計画一つ例にとっても、それだけ地方公共団体はやはり負担がふえておるのであります。しかも大蔵省主計局は、どのような五カ年計画でも、当初その所管の省が要求する、それに対して現実に国庫負担の分を減らして、そうして地方単独をふやしておるというのが、作業上のこれは一つの技術であります。つまり、それだけ地方に負担が余分にかかっておる。
このように考えれば、私は、昭和三十七年の決定の当時に比べて、指定基準は少なくとも五ないし三分の一くらいにすべきではなかろうか、このように考えるのであります。一分の二を標準税収と被害裁定額の割合、被害裁定額二に対して標準税収一という現在のこの基準というものは荒唐無稽の数字になりましたが、一対一ということも私はおかしいと思うのです。だんだんと基準が緩和されるのならわかりますけれども、現実の姿から見れば、これは基準がますますきびしくなっておる。一対一にしても、なお三十七年よりきびしくなっておる。このように考えれば、私は、いま建設省が、せめて現在の基準の半分にしてくれと言っておられることは、どうしても解せないのであります。政務次官、どうですか、こういうような数字を勘案して、現実の基準をより緩和するために、昭和三十七年度の四分の一とか五分の一に再要求する御意思ありますか。
#12
○藤尾説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては二分の一にこの基準を下げろということを主張したわけでありますけれども、それでなお、三十七年現在と比べてみて基準が過酷になっておるという御指摘でございます。私は、そのようなことがほんとうにあり得るであろう、かように考えますので、さらに、先生の御指摘のように、これを引き下げるために努力をいたす覚悟でございます。#13
○田村(元)委員 さすがは果断速決の士藤尾君であろうと、私は非常に敬意を表します。どうぞひとつ、大いにがんばっていただきたいと思います。大体私は、このような基準を持ったものに激甚地という名前をつけることがおかしいと思うのですよ。激甚災害の指定をするのならば、もうちょっと悲壮感がみなぎらなければいかぬ。現在の政府当局の一連の考え方あるいは説明をながめておりますと、大体この基準をきめる措置を名前を変えるべきであろうと思う。要するに、特定災害に見舞われた地方公共団体の財政援助をする何それというように、むしろ名前を改めたほうがいいと思う。激甚指定というものは、もっと悲壮なものですよ。特に、同じ地域で同じ程度の災害に見舞われて死者まで出しておる、こういうときに、同じ程度の災害を受けておる市町村が、一方は、標準税収が少ないからこれは激甚だ、一方は、標準税収が多いからこれは激甚でない。このような隔てをするということは、財政上はわかりますけれども、現地の住民感情、特に被害者の住民感情というものはおさまりません。激甚災害と名を打った以上は、おさまりません。おれのところは、隣の村よりももっとひどくやられているのに激甚じゃないそうだ。隣の村はそれで激甚になっている。これはやっぱり住民感情ですよ。でありますから、私はきょうはひとつ、あとで提案したいことがあるのであります。激甚地指定から漏れた都道府県、市町村でも、とりわけ局激のほうの市町村は、同じ地域でありながら、しかも同じ程度の被害を受けながら、標準税収の関係から指定からはずされたということをいかにして住民感情に納得してもらうかということを、あとで私はちょっと提案をしてみたいと思いますが、その前にお尋ねしたいことが二、三ありますから、それをお尋ねしておきます。
先ほど来御説明の中に、二十三号以後二十九号に至るまでの秋雨その他のいろんなものを含めた災害は、一連の気象条件のもとにおいて起こったんだ、これが気象庁によって認定された場合には、これを一つのものとして考えるようにいま努力しておるということでありますが、これはどうなんですか、ほとんどもう煮詰まっておりますか、この考え方は。
#14
○藤尾説明員 煮詰まっておると御解釈いただいてけっこうでございます。#15
○田村(元)委員 それならば、私は一つ申し上げたいことがあります。そういう一連の気象条件をまとめるのならば、一定期間内の災害をまとめるべきではなかろうかと思うのです。たとえば昭和四十六年度、現在の基準を例にとっていえば、一分の一・七の災害を三度食らった、全部局激に入らない、激甚地指定に入らない、これはだめだ。いわゆる一般災害だ。ところが――かりにですよ、これは。ところが、ただ一度、一分の二の災害を食らったら激甚地だ。これは政務次官、不合理だと思いませんか。#16
○藤尾説明員 私は、激甚災害ということば自体が、これは田村先生と御同様に、非常に奇妙なことばだと思っております。私自体の考え方では、いやしくも人命が何十名と失われるというような災害は、その被害額がどうであろうと、あるいは税収額がどうであろうと、気象条件がどうであろうと、激甚であるのに違いないのであって、そういう主観的な判断をしなければいけないものだろう、私はかように考えておりますけれども、残念ながら法律自体の指定といいますものは、そこに一つのワクをはめております。そういったワクを取っ払う努力が当然なされなければならない。したがいまして、それを運用上できるだけ取っ払い得るように努力をしてまいることが政治の努力であって、そこに当然、国民とともにある政治を確立していかなければならぬ、さように思いまするので、ことば自体での響き、これは確かに田村先生御指摘のように、ある地域は激甚であって、ある地域は激甚でない、ある特定の時期の災害が激甚であって、ある特定の時期をはずしたものは激甚でないというような考え方は、きわめておかしい。あるいは、人命が失われたから激甚であって、人命が失われないから激甚でないというような考え方もきわめておかしいのであって、これはもう直観的にひどいと思ったものは激甚だというような取り扱いができるような考え方をとれるような運用をしてまいらなければならぬ、かように考えております。#17
○田村(元)委員 いよいよ感心をいたしますが、政務次官がそういう考え方であるならば、いまからでもおそくない、ひとつ大いにがんばってもらいたいと思うのであります。そこで、私は、今度の災害にこれが当てはまるかどうかはわからないけれども、いい機会でありますから政府に訴えておきたいことは、一連の気象状況の関連ということになると、これはなかなかやっかいな問題がある。そこで、先例をつくるなら、それが一つの先例になって、それも一つのファクターとして取り上げて、もう一つは、三カ月なり六カ月なり、あるいは年度内一年なりという期間に受けた災害をひっくるめて、そして高率適用の措置をするというようなことを、将来の問題としてこの際検討してもらいたいと思うのです。これをまず申し上げておきたいと思うのであります。
そこで、先ほど私が申し上げました一つの提案をいたしたいということでありますけれども、ある地域で、一つのエリアで同じ程度の災害が随所で起こった。ところが、標準税収の多い少ないで、この地方公共団体は激甚地指定をもらったが、こちらははずされた、こういうことが起こるわけですね。これは、こういう基準がある以上は当然起こり得るわけなんです。ところが、いま政務次官が言われたように、少なくとも激甚指定を受けるような災害が起こったなら、これは激甚災害に違いないが、同じような災害が起こりながら、一方は激甚地であり、一方は一般災害だということになることは、住民感情としては耐えられませんよ。単なる公共土木施設に対する国の財政援助の措置なんだと説明をしても、現地住民はなかなか納得できない。これは感情というものです。
そこで、まず、一つの地域でそういうことが起こって、しかも標準税収の見合いで、気の毒ながら激甚指定がもらえなかった地方公共団体に対して、言うなれば準激甚地のような特別の措置ができないものだろうか。もちろん災害にやられると特別交付金はふえるわけですけれども、それとは別に自治省は――またすぐに役所というやつは、からめて妙な削り方をしますからね。それとは別途に、当該都道府県と十分相談をして、市町村に対して特別交付金の措置をするというような手が打てないものだろうか。そうすれば、おそらく当該地方公共団体の長あるいは議員は、現地に対して説得力を持ちますね。
それからもう一つは、激甚指定をもらって、公共土木施設について一体どれだけのプラスがあるかということになると、実際にはあまり大きいプラスがない。もちろん高率補助適用と――それも累進だから一がいには言えないけれども、高率補助の適用と三分の二の一般災害補助率との差額について、いわゆる地方債の九五%を交付するというようなこともありますけれども、私は、それよりもっと大きな問題は、むしろ十万円以下の小災害だと思う。十万円以下の小災害については、激甚指定をもらえば三八・二%は国からまかなわれるわけですよ。これはやはり非常に大きな現実の問題だと思うのです。ところが、何かというと市町村単独事業にかかわる災害については、査定が技術的に非常にむずかしい、国はこれを査定しない、こういうことを言う人もおりますけれども、あとで私はその方法論を聞いてみたいのですが、現実に三八・二%を渡すということは、査定しておるんじゃないか。私は、これはしろうとでしっかりわかりませんが、三八・二%に見合う金額を算出するというのは、どういうような査定方法をとるんでしょうね。まずそこいらから、ちょっとお尋ねしたいのです。
#18
○藤尾説明員 技術的なむずかしい問題は私にはわかりませんから、その点は役人から答弁をさせますけれども、ただいま御指摘のとおりでございまして、たとえば尾鷲というところの今回の災害、こういうものを見てみますと、尾鷲市自体にあまり災害がなかったことは非常にけっこうなことでございますけれども、それが飛び地であります賀田、古江というところに非常に激甚な災害が起こった。ところが、尾鷲市全体としての税収自体が非常に大きいということで、これは激甚に当たらぬとか当たるとかというようなものの考え方が先行しておる。そういうところの配慮が、私はきわめておかしいと思うのです。ですから、激甚であろうとなかろうと、それに対します国の政治の責任というものをできるだけここに、先生方が御指摘になられますように明確にする。これは私の私見でございますから、こういった際に御発表申し上げることが不遜であるかもしれませんけれども、たとえば交付税の見方とかなんとかというようなことは、九五%だとかなんとかということにこだわらずに、全額これは認めたらよかろうというようなこともございますし、あるいは、復旧ということを旧に復するというような考え方でなくて、進んで住民の将来の福祉に対して貢献のできるような措置にこれを切りかえていく。そういう積極的な、復旧というよりもむしろ建設的な意味を持たせて、そうしてそういうものもひっくるめた一つの仕事にこれを転化させていただく、そういう運用というものが政治の面でできるような気が私はいたしますし、また、それをやらなければほんとうに国民のための政治にはならぬ、かように考えますので、その点は極力そのような方向で指導してまいりたいと考えております。なお、一般小規模災害に対します政府の補助率と申しますか、三八・二%というような問題につきましては、技術的に何が根拠になっておるのか、私も不勉強でございますので、まだそれを承知いたしておりません。これは役人をもって答弁いたさせます。
#19
○鎌田説明員 お答え申し上げます。小災害債を起こします場合の具体的な査定は、それぞれの県の地方課が当該県の地方財務部と一件ごとに査定をいたしまして、その額について起債を起こす、こういう仕組みに相なっております。
#20
○田村(元)委員 時間がないから急ぎますが、いまの自治省の局長の御説明で非常によくわかりました。それならば、激甚指定を受けない市町村の十万円以下のいわゆる小災害というものについて、おおむねの算出ができるという自信を私は持ったわけです。これは自治省並びに特に窓口である副長官のほうで十分考えられて、この特交による措置を実現してもらいたい、これを私から申し上げておきます。実は、一人三十分ということでありますので、私の持ち時間はほとんどもう切れかけてまいりましたから、あまり多くをただすことができませんでしたけれども、ここで建設省並びに農林省にも言っておきたいことは、今度少なくとも三重県に関する限り、私は各地を見てまいりましたが、おおよそ砂防のやってあるところは助かっておる。大きな山津波が来たところでも食いとめておる。それがよしんばくずれたところでも、被害を僅少に食いとめておる。ところが、砂防工事のやってないところは、もう理屈抜きに根こそぎやられておる。たとえば中小河川でもそのとおりである。予算がついて工事がしてある堤防の破堤はない。あれをやらなければならぬがなあと言いながらほうりっぱなしてあるところが、ほとんどやられておる。これを考えますと、建設省並びに農林省は、それぞれの所管にかかわる公共事業について、おそ過ぎるとは思うけれども、これからも思い切った改良復旧をやってもらいたい。そのためには金に糸目をつけないでやってもらいたい。精神的には伊勢湾台風の先例にならってもらいたい。私はこれをよく申し上げておきたいのであります。たとえば緊急砂防が少な過ぎます。私のしろうと目で見ても、緊急砂防が少な過ぎる。あるいは林野砂防の査定がきびし過ぎる。特にこれだけの人命を奪った災害でありますだけに、それ以来、夜もろくに眠れない。雨がちょっとしょぼついても避難をするという住民感情を官庁は察知すべきだ。まず同情から始めた措置でなければならぬ。私は、その温情的な措置を強く要望しておくものであります。
私はまだ申し上げたいことがたくさんありますが、以上で一応私の質問を終わりますが、特に委員長に私から強くお願いをいたしておきたいのでございます。当委員会が、いま私が申し上げました点につきまして、適切かつ強力な忠告を政府になさっていただきますことをお願い申し上げる次第でございます。
これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
#21
○中井委員長 次に、水野清君。#22
○水野委員 ただいま先輩の田村委員から、激甚災の認定に関する質問がございましたので、実は私も似たようなことを伺いたかったのでありますが、時間の関係で、その質問になかった点をまず申し上げたいのであります。〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
先ほど藤尾政務次官から、公共土木の激甚指定の問題についてお話がございましたが、これは補足して確認をしておきたいのですが、建設省関係の公共土木の災害は、二十三、二十五、二十六、秋雨前線の四つの気象について、概算一千億円に達しておるというふうに私は聞いておりまして、この点ではいまだに激甚災害の指定には合わないという話でございました。藤尾政務次官のお話には、さらに二十九号台風というものが加わっていたように思いますが、それを入れてもなおかつ達しないのであるかということを確認しておきたいのです。
#23
○藤尾説明員 たいへんに失礼をいたしましたが、二十九号台風によります被害はいま集計中でございます。したがいまして、これは入れますけれども、しかしながら、おそらくこれを入れましてもなかなか基準には達しがたいということであろうと思います。#24
○水野委員 なるべく二十九号台風も入れまして――何か、三重県の災害の額がもう少し伸びれば、三重県には非常にお気の毒でありますけれども、全体としては激甚指定を受けられる条件に合致するそうでありますので、御検討をいただきたいと思います。さらに問題は、局地激甚災の――これは、公共土木について激甚災害の指定を受けられなかった場合のことでありますが、実は私の出身の千葉県において、二十五号台風で香取郡、海上郡、匝瑳郡、それから県南の各地において御承知のように――御視察をいただきまして非常に感謝しておりますが、私の関係しております四、五カ町村香取郡の干潟町、東庄町、小見川町、さらに山武郡の芝山町の四町について、先ほど申し上げましたように、公共土木について激甚災の指定が受けられない場合は、局地激甚災の指定を受けたいということを、関係を通じてお願いをしているように思います。
〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
これは実は昨日来質問の内容を通告申し上げておりますが、それについて事務当局から見解をいただきたいと思います。
#25
○栗山説明員 ただいま水野先生御質問の、二十五号等による局地激甚の関係でございますが、市町村を一つの単位としておりまするところの局地激甚の基準に照らしましてこの査定事業費が判明いたしますれば、あるいは該当する市町村が出るのではないかと存じますけれども、この査定がまだ完了いたしておりません。関係各省の災害査定を全部待ちまして、その上で何ぶんの結果を出していきたい、かように存じておる次第でございます。#26
○水野委員 その点、ひとつよろしくお願い申し上げます。さらに、これは法律の精神は違う法律でありますが、災害救助法の適用を受けた町村というのがあるわけでございます。先ほど申し上げた町村も、もちろんそれに当てはまっておりますが、これは実は千葉県だけでなくて、各地からの話が来ております。法の精神が違いますが、災害救助法の適用を受けている町村に対して、激甚災の指定も受けられない、局地激甚災の指定も受けられない場合、さらにその次の段階として、こういう町村に対して何らか公共土木の関係で優遇措置を考えるということができないかということについて、お話をいただきたい。
#27
○藤尾説明員 お答え申し上げます。御指摘の局地激甚指定の問題でございますが、御案内のとおり、激甚地に指定をいたしました町村に対しましては、その災害復旧に対しまして国が責任を持っていく、それが趣旨になっておるわけであります。しかしながら、実際問題といたしましては、一般災害の場合でございましても、その災害が非常にひどいというような場合に対しましては、災害に対する起債が、先ほど、いままでの慣行では九五%と申しておりまするけれども、九五%の差額の起債が許されておりまするし、その起債額に対しましては、全額これは交付税というもので充足をいたすことになっております。したがいまして、問題は、一〇〇%か九五%かという五%の問題に実質的にはなってまいる、さように考えるのでございますけれども、それにいたしましても、先ほど田村先生から御指摘になられましたように、一方が激甚地指定を受けて一方が受けないというようなことはきわめておかしいわけで、こういったものは運用におきまして激甚地指定と同じような、準激甚地というような取り扱いのもとにその起債額を上げていくというような運用をしてまいるということが必要ではないか、そのようにできないことはない、私はかように考えておりまするので、そのようなことで自治省ともよく話を詰めまして、救済措置を進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
#28
○水野委員 その点、ひとつよろしくお願いを申し上げます。次に、先ほど来、藤尾政務次官のお話にもありましたように、今度の激甚指定については、五条関係、八条関係、いわゆる農地、農用地、林道、さらに天災融資法発動についての激甚指定は受けられるという見通しは、新聞紙上でも承っておりますし、ただいまの政務次官のお話でも、田村委員に対する御答弁で明らかになったように思いますが、それについて少し農林省に伺いたいのですが、食糧庁はいらっしゃいますか。
#29
○中井委員長 おります。#30
○水野委員 これは直接激甚災害とは関係がないわけでありますが、千葉県における米の検査において、御承知のように二十五号台風で、ちょうど稲を刈ったあと、あるいは稲を刈る前でありましたか、非常に倒伏をしてしまって、実は米の質が非常に落ちている。御承知のように、予約買い付け数量を達成できない農家が非常にあるわけであります。現在、これも数字の上ではまだ私どもにもわかっておりませんし、食糧庁にも正確な数字は把握できていないと思いますが、この際、予約買い付け数量を達成できない農家に対しては、規格外米であっても、その程度にいろいろな問題があると思いますが、ひとつ予約買い付け数量まではそれをもって充足できる、要するに規格外米の買い付けを認めるという措置を先般来何度かお願いをしているわけでありますが、その見通しについてひとつお願いをしたいと思います。それからついでに、時間がないので申し上げておきます。実はこれをやってもらった例も二、三年前にもありますが、これは時期が十二月ごろになって確定をいたしますと、実際にはそんな時期まで規格外米を持っている農家はなくなってしまう。非常に安く、菓子材料なんかで横へ流れてしまうわけであります。ですから、早く方針を出していただきたい。これはひとつ食糧庁にお答えをいただきたいと思います。
#31
○森説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、実は現地にも問い合わせをいたしておりますが、ことしの災害によりまして、若干検査の状況もおくれております。ですから、出回りの実態が一体どういうものか、その被害の実態、まあ主として発芽だとか胴割れ、それを中心とした被害粒の混入だろうと思いますが、その辺の量的あるいは質的の問題について、目下懸命に調査をいたしております。したがいまして、原則は、私どももかねがね申し上げておりますが、これは民間ルートの道を開いておりまして、私どもの事務所の組織を通じて促進をするという方向でやっております。しかし、こういう場合でございますから、政府買い入れの要否につきましては関係当局とも打ち合わせをしまして、早急にこれは結論を出したいとは思っておりますが、何しろまだ出回りの実態、現物の実態がよく把握できておりませんので、まずそれをすることが何よりも大切だろう、こう考えております。
#32
○水野委員 実は先般農林省に行きまして、食糧庁長官にお目にかかったのですが、このことについては、農林当局としてはなるべく前向きで検討するが、何ぶん金を出す大蔵省のほうがなかなか、こういう米の需給状態だから、大蔵省の了解を取りつけることがむずかしいのだ、こういうふうな回答もあったのですが、ここで、主計官に来ていただいておるのですが、主計官からひとつ、大蔵省の見解としてはどう考えておられるか、この際お答えをいただきたいと思います。#33
○山口説明員 ただいまのお尋ねでございますが、食糧庁で目下検討中でございますので、その検討の結果、食糧庁から御相談がございましたら、とくと検討さしていただきたいと思います。#34
○水野委員 規格外米の買い付けにつきましては、これで私の質問を終わります。次に、がけくずれの問題について林野庁と建設省の両方に、少しこまかく伺いたいと思います。
実は私の県の千葉県におきまして、二十五号台風の災害として一つの特徴でありますが、がけくずれが非常に多くて、御承知のように千葉県においても数十名の死者を出したわけでございますが、そのあとの復旧の問題について、その所管、復旧の方法、予算が建設、農林両省にわたっておりまして、現地の市町村や県当局では非常に頭を痛めているわけであります。要するに、一つの崩壊地について建設省でやってもらえるのか、林野庁でやってもらえるのかということが非常にわからない。私も、昨日来いろいろおいでをいただいて伺ってみますが、いろいろな方法があるようですが、それについて少し承りたいと思うのです。
まず、建設省の河川局に伺いたいのですが、急傾斜地の崩壊による災害防止の法律というのがあって、これによって崩壊地の復旧というのはできるというふうに聞いております。しかし、これは実はあらかじめ指定を受けておかなければいけないのじゃないかと思うのですが、今回のような災害についても、この法律に当てはめて復旧事業をやってもらえるだろうかどうだろうかということをまず承りたい。
#35
○川崎説明員 お答え申し上げます。私どもの所管しております急傾斜地の崩壊による災害防止の法律でございますが、これによりますと、危険区域をあらかじめ指定することになっております。これにつきましては、法律で急傾斜の危険区域というのは、勾配が三十度以上傾斜しておるということと、それから人家が相当数あって、それに被害を与えるおそれがある、こういうようなことが条件になっております。そういった点を考えまして、私どものほうでは、五戸以上人家があって危険なところは区域指定をしなさいというような指導の方法をしておるわけでございます。ただし、その危険地に対して防止工事を行ないますときに国として援助をする対象ということになりますと、やはり被害が大きいとかいろんな事情で、所有者なりあるいは権利者が自分ではできない、こういったところについて援助をしましょう、こういうたてまえで、現在は大体五十戸以上、それから災害等がございまして、しかも今後増破の危険性がある、こういったところについては三十戸まで基準を下げましょう、こういったことで進めておるわけでございます。現在危険区域に指定をされてなくとも、そういったような条件を満たすところは急いで指定の指導をしまして、あわせて工事もやるといったような措置をとっております。
#36
○水野委員 そうすると、今度の災害でも、要するにあと追いで指定をすることはできる、こういう御見解か、まずそれが一つです。それから、いま三十戸というお話があったが、これは実は、激甚災害の指定を受ければ、五十戸という基準を三十戸に下げることができるというふうに私はきのう聞いたんですが、そうであるかどうかということです。
それからもう一つ、いま五戸以上の人家があるところということを指定の対象にするということを言われたけれども、要するに、五戸なら五戸の人家があるがけ下を指定しておきながら、被害は三十戸以上なければめんどう見てやらぬというなら、指定の価値がないわけです。この辺、非常にこの法律は不親切だ、私は今回調べてみてそう思ったのですが、私も割り当ての時間が三十分と言われているから、時間がないものだから、ひとつ簡単にお答えいただきたい。
#37
○川崎説明員 最初の区域指定の問題は、これはあと追いとかなんとかいうようなことじゃなくて、危険であれば、そして先ほど申し上げた……#38
○水野委員 今回の災害にやれるかということです。#39
○川崎説明員 災害のあるなしにかかわらず、したがって、いまからでもしていただいてけっこうだと思います。それから、これは激甚災とは無関係に、市町村が同意をいたしまして知事が指定すれば、それで手続きはととのうわけでございます。したがって、激甚災に指定したとかしないとかいうこととは一応無関係で進めていただいて差しつかえないと思います。#40
○水野委員 三十戸の基準も……#41
○川崎説明員 五戸以上あればでございますが、五戸以下は一体ほうっておくのか、五戸で三十戸の基準とは、間にかなり開きがあるじゃないかということでございますが、これにつきましては、やはり個々には、何といいますか所有者あるいは権利者があって、本来からいけば、そういった方が自分の財産を守るためにやるべき本来の趣旨かと思いますので、非常に少ない戸数まで直接国が援助をするというのには、またいろいろ制約を伴うものですから、議論があるわけでございます。したがって、そういったところについても危険区域に指定することによって、いろいろ災害を助長するような行為を規制するとか、避難体制の網に入れるとか、あるいは移転をしたいような場合には公庫の融資を行なうとか、そういったことでカバーをしていきたいと考えておるわけでございます。#42
○水野委員 ちょっと私の質問と要点がずれているが、時間がないから、今度林野庁に聞きたいと思うんですが、林野庁では復旧治山という事業があって、これによっても山腹の崩壊の復旧事業ができるように聞いていますが、今回の二十五号台風の災害で各地、非常に山腹の崩壊が多いわけですけれども、この復旧については予算のワクというものがあるのかないのか、まずそれを承りたいと思います。#43
○松形説明員 お答えいたします。緊急治山といたしましては、十六億の予算のワクがございます。
#44
○水野委員 そうすると、緊急治山については、これは当年度、要するに災害が起こっていますから、この災害復旧について、すぐ今年度内にこの事業を発動して各地をやってもらえるのかどうかということを承りたい。#45
○松形説明員 お答え申し上げます。緊急を要するものにつきましては、その緊急を要する基準でございますけれども、人家とか農地とか、現在崩壊いたしておったり、あるいはこれから拡大するというようなおそれのあるものといたしましては、その個所については緊急治山として取り上げるつもりでございます。
なお、十六億というワクが現在四億残がございますけれども、これをオーバーする場合は予備費の要求というような処置をとるつもりでございます。
#46
○水野委員 こまかい地点について伺いたいのですが、実は千葉県の大利根用水事業という国営事業がありますが、その干潟町の清和甲という部落のところなんか、ここで死者が数人出ております。現在も山腹が非常に崩壊をして、一雨もう一ぺん来れば、下の人家にもう一度土砂がくずれて、死亡者が出る可能性も非常にあるわけでありますが、実は千葉県及び農地局その他の関連に、この復旧工事についての措置を調べてみましたところ、この山腹は崩壊して埋まって、大利根用水事業の復旧については農地局で考えておられるけれども、山腹崩壊のほうはどこもまだ手をつけていないということがはっきりしているわけですが、この地点については、非常に具体的な話で恐縮だが、どういうふうに措置をとっておられるか。#47
○松形説明員 お答え申し上げます。いまお話のございましたとおり、その該当地は、農業用の幹線水路が崩壊いたしておるわけでございます。したがって、農業用施設災害復旧との関連におきまして復旧すべく、現在農地関係の県の課とも調整をしている段階でございます。
#48
○水野委員 林野庁にもう一つ承りたいのは、これは林野庁のパンフレットですが、復旧治山と緊急治山というのがあるわけですね、この区別。それから林地崩壊防止事業というのがありますけれども、これも復旧治山のうちに入ってるのかどうかということを承りたいのです。#49
○松形説明員 お答え申し上げます。復旧治山というのは、前から形状の崩壊いたしておるというようなものの復旧をやる仕事でございまして、当年度発生いたしまして緊急を要する工事を緊急治山として取り上げております。また林地崩壊防止事業としては、治山工事ということではございません。小災害等の復旧に使っておるわけでございます。
#50
○水野委員 そうしますと、今度の二十五号台風の傾斜地の崩壊については、緊急治山と林地崩壊防止事業、この二つで主としてやっていただける、こういうふうに理解していいわけですね。#51
○松形説明員 そのようでございます。#52
○水野委員 いずれにしましても、いま林野庁と建設省から伺いましたが、実は千葉県というのは、いままで傾斜地の崩壊というものは全くなかったわけであります。それが二十五号台風によって、御承知のような非常な雨量でこういう災害を受けたわけでありますけれども、この際、建設省に先ほどの急傾斜地への法律を適用していただき、あるいはいまの緊急治山あるいは林地崩壊防止事業、この三つを適用していただいて、なるべく早急に復旧事業に当たっていただきたい。非常にくどいようでありますけれども、実は各地とも、山はだがくずれたままになっておりまして、これを直さないと、また次に一雨来ると、またもう一度災害が起こる可能性がある。しかもその下に――これは千葉県だけではないと思いますが、昔から、農村において農家が家を建てる立地条件というものは、がけの下に家を建てる。井戸の水に関係があったのでしょうが、非常にそういうことが多いわけです。おそらく今度の千葉県の災害は、百年に一ぺんもあるかないかといわれるような雨量だといわれておりますが、そういうところがみんな山くずれで、家に土砂が落ちて人命を失ったという例が、非常に多いわけであります。さらに事故を起こさないようにするためには、早急にこれを年度内にやっていただかないと、また事故が起こるわけでありますので、両省になるべくひとつ、いまの三つの方法で網にかけていただいて、各地の山腹崩壊を早急た救っていただきたいとお願いをしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。#53
○中井委員長 次に、角屋堅次郎君。#54
○角屋委員 私は、先ほど来同僚の田村委員、水野委員に引き続きまして、今般の全国的な災害、特に私の出身県である地元の災害問題について、政府の所信をお尋ねいたしたいというふうに考えております。その前に、田村委員から先ほどお話がございましたように、本特別委員会といたしましては、三重県下の台風二十三号以来の災害につきまして、いち早く災害対策特別委員長をはじめ自民、社会、公明、民社、共産の各党それぞれの本委員会の委員各位が現地においでになりまして、つまびらかに災害の御調査をされ、先ほど瀬野委員から適切な災害対策に対する御報告を承ったことにつきまして、地元の国会議員の一人として、本委員会に衷心から御礼を申し上げたいと思うわけであります。ただ残念なことに、私自身は、列国議会同盟地域会議の日本の国会代表として、ちょうどこの重要な災害の際に中南米あるいはヨーロッパ等に参っておりまして、皆さんの災害視察についてお迎えできなかった点をおわびを申し上げたいと存じます。
災害の問題については、数日来、被害のひどかった尾鷲、熊野、海山等の現地調査を終えて、急遽本委員会に出席した経緯にございます。そこで、災害対策の県下の問題につきましては、先ほど同僚の田村委員からもお触れになりましたが、それに引き続いて、具体的な問題等も含めてお尋ねをいたします。
先ほど来御報告にもありましたように、今回の三重県の台風災害は、台風二十三号以来、さらに集中豪雨、かつまた二十九号台風を含めまして、三百二十九億円にのぼる大災害でございますし、これは伊勢湾台風に次ぐ大きな災害でございまして、ことにとうとい五十数名の犠牲者まで出すという災害でございました。
そこで、やはり県並びに地方自治体として、最も強く中央の政府並びに本特別委員会に要請をしております第一の問題は、先ほど田村委員からも強く要請のありました激甚災の指定問題でございます。この点については、田村委員からも適切なお話の追及がございましたので、深く触れませんけれども、今回の県下の災害の実態にかんがみまして、ぜひ激甚災害の指定をすみやかに決定をしてもらいたい。当然その場合においては、公共土木災害復旧事業等に関する特別の財政援助等の問題に対する基準の点については、昭和三十七年十二月七日、中央防災会議決定の激甚災害指定基準というものを大幅に緩和する必要がございます。したがいまして、こういうことも含めて、藤尾政務次官のほうから政府を代表して、もうこれから台風災害というのはおそらく予期されないと思いますので、大体どういうふうな時期にこれらの問題が決定をされるかという今後の見通し等の問題について、御見解があればお伺いをしておきたいと思いますし、当然来たるべき十月十六日からの沖繩国会におきまして、災害問題を含む補正予算が提示をされることに相なると予想しております。したがって、今回の全国的な災害に対する災害の補正のおおむねの規模等についても、おおむねの見通しがあれば、そういう補正予算等の問題も含めて御見解を承っておきたいと思います。
#55
○藤尾説明員 お答えいたします。ただいま御指摘になられました激甚地指定、これに伴います政府の財政援助、あるいはこれに伴います補正予算の編成等々の問題につきましては、臨時国会が開かれます前におそらく政府の最終決定が行なわれると私は確信をいたしておりますし、また、その最後の瞬間に至りまするまで、私どもの先ほど申し上げましたような主張を通しますために全力を尽くしますことを、お誓い申し上げます。
#56
○角屋委員 激甚災害の指定問題では、特に公共土木施設災害復旧事業等に関する特別財政援助の三条、四条の点が、基準緩和との関連で重要な問題でありますが、農林水産関係では天災融資法の発動等も含めた問題があるわけであります。これらの問題について、今回の災害に対する農林省としての取り扱い等について、簡潔にお答えを願っておきたいと思います。#57
○大河原説明員 お答え申し上げます。先ほど総理府副長官のほうからもお話し申し上げましたとおり、天災融資法そのものの激甚災の適用並びにいわゆる暫定措置法、農地、農業用施設に対する災害復旧の助成に対する激甚災の適用等につきましては、いずれもその方向がきまりまして、ただいませっかく手続、努力中でございます。その他関連の自作農資金の特別ワクの設定なりあるいは共済金の早期仮渡し等、一連の現地の御要望に即しました施策につきましても、早急に取り進めておるところでございます。
#58
○角屋委員 私、数日来尾鷲、熊野、海山の現地に参っておりました際に、文部省の査定官と賀田、古江、こういう方面の視察のときにぶつかりましたし、また、海山に参りましたときに、ちょうど農政局から農地の災害復旧の査定に来ておって、それが終わったという話等にもぶつかりましたが、大体災害査定はこれからも、さらに来月にかけて行なわれることに相なるわけでありますが、建設、農林等の災害査定の段取り等について、簡潔に各省からお答えを願っておきたいと思います。#59
○川崎説明員 建設省関係についてお答え申し上げます。災害が、二十三号、さらに秋雨前線が起こっておるわけでございます。こういった一連の災害につきまして、すでに三度にわたり査定官を現地に派遣いたしまして、とりあえずの工法指導等を行ないました。県内の設計等の調査の準備もいろいろございますので、現在県と打ち合わせいたしまして、私どものほうといたしましては、今月の十一日から第一回の緊急査定、さらに十一月、十二月と逐次準備が整ったものから査定をする、こういう方針で現在進めておるところでございます。
#60
○大河原説明員 林野及び農地関係がございますので一括して御答弁申し上げますが、事情はただいま建設省のほうから申し上げたとおりでございまして、大体地元体制の整備と並行いたしまして十月中にほぼ全体をやりたい。多少十一月にかかるものもございますが、いずれにいたしましても早急に査定を完了いたしたいと思っております。#61
○角屋委員 災害査定の問題で、これはいつの災害でも感ずる問題でございますが、これは各省それぞれ災害のなわ張りといいますか、そういうものはもちろんございますけれども、たとえば紀州路の災害の場合におきましては、今回、山腹崩壊等によって山の崩壊が起こる。そして途中住居を崩壊させたりあるいは人の犠牲を伴ったり、さらにまた土砂が下流の平たん部に堆積をする。そこには豊地もある。こういう状況で災害が起こるわけでございますが、その際の災害復旧をどうするかという問題については、当然各省の災害査定と同時に、災害復旧に対する各省連携の総合的な災害復旧の方針というものがなければ、山手のほうから平場にかけての災害復旧がみごとにでき上がらない。こういう点での各省の連携をどうするかという問題は、これはやはり災害対策本部の重要な問題であろうというふうに思いますが、それらの指導方針をどういうふうにやっていかれるか、これらについてお伺いしておきたいと思います。#62
○藤尾説明員 各省ばらばらの災害査定をやるというようなことがあってはならぬという御指摘でございます。そのとおりでございまして、私ども政府といたしましては、総理府におきまする中央防災会議その他の検討を経まして、一貫をいたしましてこのような方針で臨めという方針をきめまして、その方針に基づいて各省がやる、こういうようなことになっておりますので、ばらばらには相ならぬであろう、私はかように考えますし、そのようなことがあってはなりませんから、厳重に注意はいたしておきます。#63
○角屋委員 いま藤尾政務次官から基本方針についてお話がございました。私、現地を回りまして、必ずしもそういう感触ばかりは持ちませんのですけれども、これはそれぞれの現地の実情に即した要請等によって総合調整をしながら、災害復旧の万全を期するように指導してもらいたい、こういうことを希望しておきたいと思います。さらに、こういうたとえば紀州路の場合は、全国有数の多雨地帯でございますけれども、いままで、雨に対しては強いというふうに一般的にいわれてまいりました。今回の、特に九月九日、十日の集中豪雨によって、異常な災害を受けたわけでございます。したがって、災害対策の問題については、もちろん万全な災害復旧をやらなければなりませんが、同時に、なぜこういう大災害になったのかという科学的な分析というものが前提にならなければ、万全の災害対策は立たないわけであります。いままで、紀州路は雨に対しては強い、こういうふうにいわれておったところに、それはもちろん千ミリをこえる雨量は降りましたけれども、非常な災害を生じた。で、四日市等の学校の先生からも、最近の紀州路の山の状態が変化をしておる等の提示もございましたけれども、そういうものも含めて、やはり中央においては、非常な災害を生じた地域における科学的な災害の実情の分析というものを真剣にやって、その上に立った万全な災害対策を進めるということは当然であろうと思うのですが、それらの問題については、いかなる研究機関あるいはいかなる連携においてそういう科学的な分析をやられるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#64
○藤尾説明員 お答えをいたします。御案内のとおり、日本のこの列島の土壌の状態は、各地におきまして千差万別でございます。しかしながら、その中におきまして鹿児島あるいは宮崎のシラス地帯でございますとか、あるいは関東のローム地帯でございますとか火山灰地というようなところでございますとか、あるいは北海道の泥炭地でございますとかというような、特殊土壌の地帯があるわけであります。こういった地帯に対しましては、前々から、仰せのとおりの科学的な研究を基礎といたさなければならぬということで、土木研究所の研究員をあげまして、各学界の先生方も御出動を願いまして、それぞれの研究をしていただいております。しかしながら、全国的な地盤、土壌を全部検討するというところまでいっていない。特に、御案内のとおり、ただいま御指摘のとおりの、紀州路というようなところは雨に強いというようなことが一般的にいわれておった。また、事実強かったというようなこともありまして、その研究が科学的になされるという機会がいままでございませんでした。こういったことが、今回の異常な災害を引き起こしました基本的な欠陥であろうと私は思います。したがいまして、こういうことのないように、今後は土木研究所の先生方にできるだけひとつ御勉強を願いまして、国土全体にわたる科学的な調査をやってもらいまして、その結論に基づきました対策を立ててまいるということを考えてみたい、かように考えております。
#65
○大河原説明員 農林省関係につきましても、集中豪雨その他によります防災の問題につきましては、先生御案内のように、農業土木試験場あるいは林業試験場等におきまして、それぞれの地域とそれに対する防災事業の設計とかという点につきましては、それぞれ試験研究を進めておりますので、それらの成果を踏んまえまして、具体的な事業化について推進をいたしたいというふうに考えております。#66
○角屋委員 私は、この際、特に今回の紀州路の大災害の問題については、これは建設、農林を含めて、なぜああいう大災害になったのか、災害対策には基本的にどういう手を打たなければならないのか、これは気象庁の観測体制の整備等の問題が先ほどのレポートでも出ておりましたけれども、そういうことも含めて緊急に手を打っていただきたい。そうして現地側が、これからの災害についても安心をして生業を営めるような体制をつくってもらいたいということを、強く希望しておきたいと思います。同時に、今回の山地崩壊に伴う紀州路の大災害の問題については、これは林野庁にお伺いをしたいわけでありますが、先ほど来水野委員とのやりとりの中でも復旧治山、緊急治山等の問題が出ておりましたけれども、私は、これからの再度災害の防止のためには、同時に予防治山というものを強化していく必要があるということを考えるわけでありますし、また、これから緊急治山等を進めます場合には――伊勢湾台風においては、飯南の奥地においては農林省直結で緊急治山を行なったという経緯がございます。今回の紀州路の緊急治山等については、これは本省直結で緊急治山の総合的な対策を立てる方針でやるのか、あるいは県その他の方向において緊急治山を推進をするという方針でやるのかということについての当面の見解をお伺いしたいわけでありますが、私の見解からしますならば、やはりこれは県との十分な連携、現地側との相談ということもありまするけれども、場合によっては本省直結によって緊急治山の万全を期するということも検討してはどうか、こう考えるわけでありますけれども、それらについての見解を承っておきたい。
#67
○松形説明員 お答え申し上げます。ただいまのところ、やはり県を中心といたしまして、県との連絡を十分にしながら緊急治山に当たりたい、かように考えておりますが、先ほどちょっとお話ございました、科学的な分析のもとにというお話でございますが、私どもといたしましては直ちに三重大学、名古屋大学の関係の教育陣を総動員いたしまして、三重県の全崩壊地について、その態様の分析をいたしたような次第でございます。それらをもとにいたしまして、県との連絡を十分とりながら復旧治山に従事したい、かように考えておる次第でございます。
#68
○角屋委員 建設省関係ですが、土木関係の問題で、現地視察の際に起こっておった問題の二、三を取り上げて、建設省の善処を要望したいと思います。これは紀州路に限らず、県下でも全体的な道路の災害復旧の問題がございますけれども、たとえば尾鷲から出て熊野に行きます国道三百十亘万線、これが尾鷲−九鬼間はずたずたになっておりまして、いままだ災害復旧ができておりません。いまのところ見通しがまだ立っていない。私、九鬼まで足を伸ばしましたが、すみやかに尾鷲−九鬼間の国道三百十一号線の復旧をはかってもらいたいという強い要請がございました。同時に、熊野の波田須の地域に市長の御案内で参りました際に、あれは中腹のところを国道が通っておるわけでございますが、その国道の三分の一くらいは崩壊いたしまして、その下にある家屋を押し流しまして、そうして死傷者が出るという痛ましい犠牲が出たわけでございますが、現地側では建設省に対する補償問題等々の声が出ておりました。これらの問題について、建設省側でも情報をキャッチされておるかと思うのでありますが、従来の例等も関連いたしまして、どういう御見解に立っておられるか、お伺いしておきたいと思います。
#69
○藤尾説明員 御質問の三百十一号線は、私も拝見をいたしましたけれども、国道に昇格はいたしましたけれども、正直に申し上げまして、まだ国道としての体をなしておりません。こんなことでは、とうていこれは話にならぬわけでございますから、こういう機会にと申し上げては非常に失礼でございますけれども、これを本来の国道らしいものに全面的に切りかえろということを、さっそく命令をいたしておきました。少なくとも国道でございますから、国道にふさわしいような、車が交差のできる幅を持つ、またそれにふさわしい防災対策を持つものでなければ、国道としての用をなしません。したがいまして、いかに金がかかりましても、これはそのようにいたさせます。なお、御指摘の熊野におきます国道の崩壊によります、人家の流失というような個所、これは何も熊野に限ることではないわけでございまするけれども、こういった問題につきましては、御案内のとおり、日本国中がこういう山坂が非常に多いわけでございますが、そこに道をつけていくわけでございますから、無理が多少かかっていく、これはやむを得ないと思います。そこで、その山腹に崩壊を防ぐための塗装をするとか、網を張るとか障壁をつくるとかいうようなことはさせますし、しかもそれをできるだけダブラせるようにいたします。しかし、それでもなおかつそのような事態が起こっておるということに対しましては、十二分の補償措置をさせていただきたい、かように考えておりますから、それぞれ地建その他を通じましてさっそくお申し出をいただきたいと思っております。
#70
○角屋委員 農林水産関係の問題について数点見解をお伺いしたいわけであります。海山町に参りました際に、これは尾鷲、熊野あるいは海山にかけまして開拓パイロットがあるわけでありますが、私は、たまたま海山の開拓パイロットの地域へ参ったわけでありますけれども、そういう問題と関連をして、農政局のほうからの災害査定の際にいわゆる安息角線のとり方の問題で、現地側でいろいろ、従来の安息角のとり方あるいは新しく安息角のとり方の変更等に伴うところの災害復旧が、積極的な改良復旧を含めてできるかどうかという点について疑問が提示されておりました。私は、ここで技術的な問題を深く触れようとは思いませんけれども、これらの問題については現地側の声がどうであるかということも含めながら適切な措置をとって、災害対策に万遺憾のないようにひとつしてもらいたい。これは要請にとどめておきたいと思います。
同時に、これは水産関係の問題になりまするけれども、尾鷲の九鬼に参りましたときに、今回は漁港とか港湾とかあるいは漁船という関係は、三重県下ではそう被害らしい被害は私はなかったと承知しておりますけれども、養殖関係の被害があちこちに出ておりまして、九鬼に参りましたときにはハマチ、タイその他の養殖がほとんど全滅状態、こういう状態にございました。ハマチについては漁業災害補償法等の関連がございまするけれども、タイについてはこれは適用になっていない。三重県では真珠が数年来の不況で、真珠から高級魚のタイ等に切りかえた。それが今回の大災害を受けて、再起不能の状態にある者が何名か出ておるという状況等についても、お伺いをしてまいりました。当然これらの問題については現地の実態に即して、また従来のハマチが相当全国的に普及しまして、高級魚に取り組む、そういうやさきに大災害を受けて再起不能であるというのをそのままにしておくわけにはいかない。そういう問題も含めて具体的に助成、融資等をどうするかということは、一つの大きな問題であろうかと思うわけでありますが、これらの問題についての御見解をお伺いしておきたい。
#71
○田中説明員 お答えをいたします。いまお話しの、タイの養殖が進んでいるということはそのとおりでございまして、そのタイの養殖等についての養殖共済の問題につきましては、これはまだ事例等が少のうございまして、いろいろそういう共済の仕組みをどうするかということが非常に問題でございます。現在学識者に依頼をいたしまして、どういうふうにこれを仕組んでいくかということを検討中でございまして、今後できるだけ早い機会にそういうタイの漁獲共済も入れていくように検討をしてまいりたいと考えております。
なお、今回のこの災害に関連いたしましては、天災融資法あるいは激甚災の指定に伴いまして、私どもといたしましても経営資金等について十分配慮をしていきたいというふうに考えております。
#72
○角屋委員 いま水産庁のほうから非常に抽象的な答弁で終わりましたけれども、時間の関係もありますので、具体的にそれぞれの現地から要請が出てまいると思いますが、やはりせっかく着手した事業が今回の災害で再起不能になって放棄せざるを得ないということのないように、助成あるいはまた融資面で積極的な対策を講ずるようにひとつやってもらいたいということを強く希望いたしておきます。さらに、文教関係の災害復旧に関連した問題でありますけれども、先ほどの瀬野さんの御報告の中にもありましたように、私が見てまいりました地域におきましても、賀田の小学校あるいは古江の小学校、その他学校関係の災害が相当出ておるわけでありまして、特に賀田小学校の場合には、先ほどの報告の中では、安全な場所に移転してはどうかという意見を含めた御報告がございました。私、現地に参りまして見たところでは、あの賀田小学校が山の中腹にあって、その背後地に相当の住宅地をかかえておるわけでありまして、したがって学校が二段がまえ、三段がまえの校舎で相当大量の巨岩あるいは砂れきを押え切ったために、その背後の住宅が救われたというふうな実態にございます。これは幸であるか、不幸であるかは別として、したがって前の学校の用地に移転というようなこともあるようでございますが、それならばそれで、あれだけの学校の上の山腹が、非常な災害で死傷者まで出たわけでありますから、あそこの緊急治山問題についてはよほど万全を期さないと、学校の撤去に伴う、自後同じような条件下の雨がさた場合においては、また予期せざる災害を生ずる危険性があるというふうにも感じてまいったわけであります。したがって、そういう問題については、これからの学校の災害復旧をどうするか、あるいは緊急治山をどうするかという問題については、現状のもとで災害がどうであるか、これを学校の移転に伴って、緊急治山関係についてはどういう配慮が必要であるかということも含めた災害復旧について十分な検討をしてもらいたいということを、強く希望しておきたいと思います。
同時に、文教の復旧の問題は、伊勢湾台風のときにも私どもは強く述べ、また文部省としてその要請にこたえて善処をしていただいたわけでございますが、御承知のように、山が迫っておる海岸地帯の漁村におきましては平場が少ないわけでございます。したがって、当然山手にかけて住宅ができるというのは避けられぬ形勢でございます。相当な雨量がきます場合には避難命令を出さなければならぬ。避難命令を出したときにどこに避難をするか。あるいは漁協に、あるいは学校にということになるわけでございます。したがって、やはりああいう漁村地帯におきましては、学校それ自身は教育の場であると同時に、一たんそういう災害の場合においては、緊急避難の場所としても十分それが活用できるという条件を考えることが必要である。そういうふうに考えてまいりますと、当然、今回の大災害を生じた該当の学校等の復旧にあたっては、鉄筋コンクリートのがっちりした災害復旧をやる。そして教育についても十分な態勢をとるとともに、一たん災害等の場合においては、そこがいわゆる老人あるいは子供等の避難場所にも活用できるという配慮が必要であるというふうに思うわけでありますが、特に今回の場合は、賀田小学校が惨たんたる状況にございまして、これは当然災害復旧になるわけでございますけれども、そういう配慮で鉄筋で災害復旧はなされるということに承知しておりますけれども、そう考えてよろしいかどうか、お答えを願いたいと思います。
#73
○菅野説明員 文部省の教育施設部長でございます。ただいま御指摘の、災害で学校が半壊、全壊した場合に、鉄筋コンクリートの改良復旧の問題でございますが、これは御承知の公立学校施設災害復旧費国庫負担法で改良復旧を認めておりますので、地元が鉄筋に改築したい、また位置の変更をしたいという場合につきましても、十分地元の意思を尊重いたしまして、全壊、半壊の部分につきましては鉄筋の改良復旧を認めるように措置いたしたいと考えております。
#74
○角屋委員 これは激甚災害の指定とも関連をいたしますけれども、自治省のほうでこういう災害地に対する財政等の措置の、本年度の問題について具体的などういう手を打たれるか、簡潔に答弁願っておきたいと思います。時間の関係もありますので、私、持ち時間が参りましたから……
#75
○中井委員長 ちょっといまの御質問は保留して、あとで……#76
○角屋委員 他の同僚委員の御質問の際に、特にその点について御答弁願えればけっこうでございます。三重県の災害の場合は、伊勢湾台風に次ぐような大災害でございまして、県下各地の災害の実態に即してお尋ねすれば、三十分というわけにはまいらぬわけでございますが、きょうは盛りだくさんの質問でありますので、私はこの程度で、現地の具体的な問題等も若干加えながら御質問を申し上げましたが、先ほど来藤尾政務次官のほうから、激甚災害の指定問題については基準を大幅に緩和をして、そうして災害対策の万全を期するように最善の努力をしたい――われわれも当然バックアップをしなければなりませんけれども、そういう基本的な問題を含めまして、災害復旧の問題については関係各省の積極的な御支援を賜わるように強くお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
#77
○中井委員長 次に、瀬野栄次郎君。#78
○瀬野委員 台風二十三号、二十五号、二十六号、秋雨前線等に対して質問をいたします。今回の災害で多くの方が犠牲になられ、また、たくさんの方が罹災しておられますことに対して、まずもって心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。
先ほど派遣団の報告をいたしましたように、今回の三重県下の災害については、たいへんな災害でございました。私も派遣委員の一員として現地に参りましたが、何といいましても、先ほどからも論議されておりますように、激甚地指定の問題が一番でございます。先ほどから報告がございましたように、二十三号、二十五号、二十六号、秋雨前線、それにさらに今回の三重県を襲いました二十九号をつけ加えて、現在総理府で検討をいたしておるということの御報告がございましたし、また、これらについて昨日の中央防災会議においては、主事会議でいろいろ検討が詰められたやに聞いております。土木事業を除いて激甚地災害に二十三号、二十五号、二十六号、秋雨前線の一括指定がなされたことについては、ありがたく拝聴したわけでありますが、何といっても一番災害の大きい土木事業が抜けているということでございます。ぜひともひとつ激甚地の指定になりますように努力をしていただきたいと同時に、さらに藤尾政務次官に冒頭お伺いいたしますが、この激甚地指定基準の緩和について先ほども御報告ございましたが、この見通しについて――ぜひひとつ緩和をしていただきたい、かように思うわけですが、私としても一言、ひとつ政務次官の今後の見通しの決意を冒頭承っておきたいのであります。
#79
○藤尾説明員 先刻来田村委員はじめ皆さま方から、いろいろな激甚地指定に対する問題の御質問がございました。瀬野先生の御質問もまた同様でございまするけれども、ただいままでも申し上げましたように、基準は緩和をいたすという方向で、現在までのところ、とりあえず基準を二分の一にしろということでやらしております。しかしながら、それでもなお田村先生の御指摘のように、三十七年の法律施行当時と比べてみて、なおきびしくなっているのではないかというような御指摘もございまするので、その点、先ほども総理府の副長官に命じておきましたが、調査をいたさせます。そうして、少なくとも法律の施行当時よりも基準がきびしくなっておるというようなことで、国民の皆さま方が、法律の精神というものを逸脱をしてより大きな被害を受けておられる、非常に苦しみをなめておられるということでありましたならば、これは政治がどこにあるかわかりませんから、そういったことのないようにいたさせます。#80
○瀬野委員 政務次官から力強い決意がございましたが、ぜひひとつそのような方向で御検討をいただきたいということを、冒頭にお願いをいたします。いろいろ同僚議員からも質問がございましたので、若干私、はしょってお伺いいたしますが、今回の調査で私は特に次のことを強く感じました。尾鷲、熊野市のあのたくさんの犠牲者を出した被害地を見ましても、また三重県下の被害地を見まして、特に紀伊半島、熊野灘に面する地域は、日本でも有数な、得がたい自然の景観を備えたところであります。水もきれいだし、海もよごれていない。しかも山と海が直結しているといいますか、山がすぐ海に迫っている。その谷々または沢に人家が密集している。戦時中でありますが、昭和十九年の津波によって二木島あたりはたいへんな津波の被害を受けて、部落全部が全滅するということもあったし、戦時中であったためにこれが報道されてなかったということも、現地でも詳しく聞いてまいりました。そういった関係から、自然、家もだんだん山の上部に建設されるし、また耕地も少ない関係から、山の中腹等まで家がだんだんにつくられていくというような傾向がございます。日本のこの公害の現状から見まして、東京、名古屋、大阪から見るいわば奥座敷みたいな景観を備えた、得がたいところでもあります。もちろんここには県立公園も指定されておりますし、さらには熊野吉野国立公園が設置されておりますけれども、私は今回の災害で、この得がたい自然還境を備えた、日本でも有数な、よごれていない、きれいなこの紀伊半島を思いましたときに、現在指定されております吉野熊野国立公園の、いわゆる熊野灘のこの指定地域をさらに尾鷲の近くまで延ばして、いわゆる九木崎とかナサ崎あるいは三木崎、二木島等でございますが、ここらの港も含めまして再検討して、環境庁は当然吉野熊野国立公園にこれを拡張すべきである、または別途国立公園を設定すべきである、こういうように思うわけです。この点は環境庁にぜひお聞きしたい。
と同時に、今回の災害については、今回起きました災害は当然徹底してこれを復旧すべきでありますが、現に今回災害が起きていない個所においても、たいへん危険な個所に、急傾斜地に家屋がたくさん集落的にあります。こういったところについても、いわゆる急傾斜指定地域として指定もしていかなければなりませんし、すでにがけくずれの危険性があるような亀裂を生じたところが尾鷲、熊野にも数カ所あるわけでございます。そういったことから、当然この災害地のみならず、それらの以外の地についても総点検をして、これを全部今後検討すべきであるという点が一点でございます。
さらには、環境庁にお伺いしておきますと同時に、建設省並びに農林省、林野庁にもお伺いしておきたいのでありますが、今次災害の復旧を緊急にやると同時に、今回の災害を復旧する際に、農林省側と建設省または運輸省の港湾等にも関係がありますが、環境庁とはよく協議をしていただいて、自然の破壊を生じないように復旧するなり、また復旧の工事費等も、かなり金がかかるかもしれませんが、単価をふやしてでも、復旧について十分な、今後の景観をそこなわないような復旧工事をしていただきたい。特に急傾斜地の林野庁関係と建設省関係の改修についてのいわゆる現地協議、こういったものについても煮詰めていただきたいが、これらの問題についてどのように協議をしてきておられるか、また、どのような見解をお持ちであるか、建設省、林野庁にもお伺いしたいし、と同時に環境庁としても、こういった問題について建設省、林野庁またはその他の省とも関係がございますので、よく事前協議をされまして、これらを総合し、環境保全の面からも当然いろいろ工事も慎重にやっていただきたい、かように実は思っております。
問題がたくさんになりましたが、こまかい問題に触れますと時間も相当制約を受けておりますので、総括的にそれらを含めまして、大きな観点から、各省庁にそれらの問題について、それぞれの立場から御見解を承って、地元住民の方が安心して、そしてまた、この日本の得がたい自然環境が崩壊しないように進めながらこの自然を守っていただいて、今後三重県の発展のためにも資していただきたいし、また日本国全体のためにも得がたい紀州半島、熊野灘一帯を国定公園として指定もしていただいて、それを子孫に残していただきたい、かように思うわけであります。それらについて各省庁の御見解を承りたいのであります。
#81
○藤尾説明員 お答えをいたします。非常に広範な御質問でございまするので、その一部しか私の答えは行き渡りませんけれども、御趣旨の自然環境を守っていくということは当然のことでございまして、そのようにいたしていかなければならぬと思います。しかしながら、何といいましても、災害といいまするものの起こっておりますところは特に人の住居地帯でありますとか、あるいは産業地帯でありますとか、そういうところに起こっているわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、自然環境を守るということはもちろんでありますけれども、それよりも増して大事なことは人命を守る、さらにそれにつきまして人の生存を守るということに徹していかなければならぬと思います。たとえば、これは先生方が全部御視察あそばしておられるわけでありますから、私がちょうちょういたすべきではございませんけれども、熊野路といいまするものは全体が急傾斜地でございます。したがいまして、熊野を例にとりましても、あるいは尾鷲地区を例にとりましても、それぞれ、先ほど角屋先生から御指摘のように平たん地がない、ほとんどが傾斜地にある、こういうことでございますので、その傾斜地におきまする水を守るということになりますと、流路工といいまするものを、これはどうしてもいまのままでほうっておくわけにまいりません。どうしてもこれを幅を広げていかなければならない。しかも、幅を広げるだけではだめでございまして、それをやはり守っていかなければならないわけでございますから、それを強固にいたさなければなりません。したがいまして、これには鉄も使いますしコンクリートも打ちます。そういうことによりましていろいろと環境が阻害をされる、風景が変わってくる、これは私はやむを得ぬことだろうと思うのでございまして、そういった点の復旧事業に対しましては御寛容をいただきまして、とりあえず、まずもって人命を守る、そうして人間の生活を守るということに全力をあげさしていただきたい。そのために必要なことは一〇〇%のものを一二〇%にいたしましてもやっていただかなければならぬというのが、災害に対しまする私どもの姿勢でなければならぬ、かように思っております。これは私どもだけではございませんで、農林省あるいは林野庁におかれましても同様だと思います。政府の立場といたしまして、全体といたしましての自然環境を守るということには徹しますけれども、万やむを得ざる局地の場合には、これを御寛容いただかなければならぬ場合もあり得るということをひとつ御了承いただきたいと思います。
#82
○宇野説明員 ただいまの瀬野先生の御質問にお答え申し上げます。ただいま御指摘ありましたとおり、熊野海岸は従来から、吉野熊野国立公園指定当時、あるいは伊勢志摩国立公園指定当時から候補にのぼっておった地域でございまして、私ども現在、具体的にこういうところの候補地を国立公園に追加するなり、区域を拡張するなりしてよろしいだろうかということで、自然公園審議会に諮問をいたしまして検討いたしておる最中でございます。これは具体的に諮問いたしましたのは去る六月十五日でございまして、そのときにはこの地域の名前があがっておるわけでございます。
それから災害復旧と自然保護の問題でございます。いま政務次官からお答えいたしました点でございますが、私どもといたしまして、国立公園あるいは国定公園の地域内の工事におきましては、いわゆる応急復旧以外につきましては、やはり協議をいただくべきものは協議をいただいております。そういうことで、私どもと関係官庁との間には意思の疏通がはかられておるわけでございますが、この国立公園あるいは国定公園にまだ指定されていないところという場合は、従来は私どもの行政の範囲の及ばないところでございます。現在検討中でございます自然保護法というようなものを制定する場合の一つの検討課題かと思いますが、今後各省庁と協議をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#83
○松形説明員 お答え申し上げます。御質問は、一つは総点検の問題、あとは環境庁なりあるいは建設省との連携の問題、二つだったと思います。
最初の件でございますが、先ほど角屋先生の御質問にもございましたとおり、林野庁といたしましては三重大学あるいは名古屋大学等に委託いたしまして、現実に崩壊した個所につきましては総点検いたしまして、現在、今後危険地と予想され、またそういう拡大するおそれのある個所につきましては、予防治山という観点から点検をいたしておるところでございます。今後ともそのようなことを進めてまいりたい所存でございます。
なお、災害復旧の施行にあたりましての各省との連絡協調でございますが、従来から砂防事業等を通じまして、特に建設省とは各県ごとに地方連絡協議会というものを設けております。したがいまして、それらを通じまして十分連絡調整をいたしているのでございます。
また、環境庁との関係でございますが、自然公園区域内の災害復旧等につきましては、必要に応じましてその自然景観を保持し、あるいはもっとりっぱにするとか、あるいは環境保全というような観点から十分連絡をとるつもりでございます。
なお、特に御心配のございました風景地の山腹工事につきましては慎重な取り扱いをしてまいる所存でございます。
#84
○瀬野委員 ただいま各省庁からいろいろお話がございましたが、政務次官から答弁がございましたように、今回の災害の緊急な復旧をするのは当然でございまして、人命尊重の上からぜひそうあってほしいことは言うまでもないところであります。特に得がたいいわゆる熊野灘一帯でございますので、そういったことも十分配慮されて、当然環境保全ということも考え、今後のいろいろな観光資源ということも考えていけば、これは復旧についてはかなり工事の単価が上がることは当然でございますので、そういうことも十分含めてひとつ御検討していただいて、日本の得がたい自然の保護の面からもさらに慎重にやっていただきたい、かようにお願いをするわけでございます。林野庁からも総点検についての決意等も承りましたので、この点については一応打ち切りまして、こまかい問題をたくさん準備しましたが、はしょりまして、先ほど、今回たいへんな災害を受けました賀田小学校のことが議題になりましたが、大河谷川の川辺に建築してあるこの賀田小学校でございますけれども、先ほどから話がございましたように、この小学校によってどろが防げて人家を守った。学校の状態を見ますと、建物こそ現在残っておりますが、事実使えない状態で柱は折れております。ちょうどその上のほうに廃校になった学校がございます。ここへ移転することが妥当かどうか、地元の検討が必要だと思いますが、現に運動場、廃校になった学校も残っておりますが、いずれにしてもこれを改良復旧するにしても、当然授業をする関係から――この沢の改修をするためには、林野関係あるいは河川局または港湾にまで至る抜本改修が必要である、こういうふうに思います。そうなれば、当然授業もできないし、また地元の父兄も、あんなところでは安心して学校へやれない、こういって心配をしております。そういったことから、今回の賀田小学校の上に廃校となっております地点にぜひ移すことが必要じゃないか、またその他に土地を見つけるべきじゃないか、かように私は思うわけですが、これについては鉄筋の改良復旧でいろいろ検討していきたいという御回答でございましたが、場所については、廃校になっている校庭に移すようにお考えであるのか、またその他の地域に移すように考えておられるのか。いずれにしても早く授業ができるように、また安心して登校できるような対策を立てなければならぬと思うし、今次災害として当然これをとらえるべきである、かように思うわけです。この点について調査団に対する地元の要請が特に強うございましたので、私もあらためて文部省当局にこの点の御見解をさらに承っておきたい、かように思うわけであります。
#85
○菅野説明員 菅野でございます。お答え申し上げます。先ほどもちょっと触れましたが、賀田小学校は、御案内のように、九月九日の夜半から十日にかけまして、集中豪雨によりまして北東部から大量の土砂が流入しまして、便所と普通教室等に被害が生じておるわけでございまして、現在は付近の輪内中学校で教育を実施しております。なお、地元では、今回の災害にかんがみまして、ただいま御指摘のありましたように、他の敷地、もとの小学校のあった敷地でございましょうか、そこへ移転復旧しようかということを検討しておるようでございます。その検討の結果をまちまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、全壊、半壊の部分につきましては改良復旧を行なうような方向で検討いたしたいと思っております。
なお、三重県の公立学校施設の災害査定は現在実施中でございまして、九月二十八日から十月四日まで現地査定の予定になっておりますので、まだその結果については詳細報告を受けてございませんが、被災の状況によりまして、全壊だけでなく半壊の部分につきましても――半壊と申しますのは、全壊に至らないが、主要構造部の被害が著しく、解体しなければならない状態ということになるわけでございますが、そのように認められますれば、災害復旧事業といたしまして、その改良復旧、移転につきましてもこれを検討してまいりたい、その方向で努力してまいりたい、かように考えております。
#86
○藤尾説明員 関連をいたしまして、この際、私からも一言申し上げたいと思います。これは実は、角屋先生の御質問の際に私は申し上げたいと思ったのですが、同じ問題でございますので、この際申し上げたほうがよかろうと思います。
賀田の地区というのは、御案内のとおりこういう急傾斜地でございます。それを横に何本かの土石流が川とともに走っておるわけでありますから、これの流路工を一つ一つ広げていくということ自体が、賀田の持っておられる住居地域あるいはその他の地域の面積を狭めることになるわけでございます。したがいまして、いまの小学校の改築というような個々の問題もさることでございますけれども、そうでなくて、もっと大きく、それでは町全体をどのように立て直していったらいいかということも含めまして、これは地元国会議員の皆さま方からもいろいろ御指導賜わっておるのでありまするから、ひとつ御相談をちょうだいいたしまして、そうして地元との御相談の上でこれが最もよろしいという方法をとって、急傾斜地のこういったところに対してはこうやれば万全だというような一つの見本的なサンプルを、この賀田の地区なりあるいは古江の地区なりあるいは熊野の地区というようなところでつくってみたい、かように考えておるわけでございまして、小学校も含めました町全体の計画を、これは与野党御一緒に知恵を出していただいて、そうして全部でつくり上げてみたい、かように考えておるところでございます。
#87
○瀬野委員 適切な政務次官の御回答がございましたが、確かにこういった地形の問題点がたくさんございますので、ひとつただいまの御発言のようにぜひ御検討いただきたい、かように思います。いろいろ申し上げたいことがたくさんありますが、時間の関係でもう一点、この熊野関係の問題で御答弁いただきたいと思うのですが、今回の災害でいわゆる電話連絡等がとだえて、知事もたいへんに連絡に苦慮し、民間のハムを使っての連絡でやった、また熊野は大阪からの迂回線でやっと連絡をつけたというようなことで、この連絡がさらになかったならばたいへんであったろう、こう思っております。知事は、県と市町村との連絡に五億円の防災無線をぜひ設けたい、また国の財政援助をお願いしたいと強く要望がございました。これに関連をして、このような複雑な地形、しかも全国でも有数な最多雨地帯、しかも漁業基地にもなっておる、こういったところから地域的な気象観測網、それから情報伝達施設の整備、地域住民生活と直結した気象観測体制というようなことについて、これは熊野のみならず全国あちこちあるわけですけれども、特に今回大災害を出したこの三重県下の熊野、尾鷲の地形を見ましたときに痛切に感ずるわけでございますが、これらについて関係庁からひとつ御答弁を簡潔にいただきたい、かように思います。
#88
○大野説明員 ただいまの先生の御質問にお答えいたします。観測網につきましては従来から、特に雨観測でございますが、民間に委託いたしまして、この地区ではたしか十カ所程度ございました。これはいずれも電話線で連絡しているわけでございますが、これでございますと、電話が途絶いたしますと資料も入らないというようなことになりますし、それからもう一つは、従来からの観測網の展開を見ますと、ややもすると山岳方面に片寄っていたというような傾向もございました。こういうような観点から、今後気象庁ではそれの観測点の再配備計画をもちまして、山岳地帯ばかりではなくて、平野部のほうにもそういうものを配置いたしまして、そしてできればそれをロボット化いたしまして、いつでも、電話線が切れても入電するような施設に変えてまいりたいというような計画を持っておりまして、たしか来年度の予算にその一部があるいは提出されるのではないか、そういうふうに聞いております。
それから、ただいま、県では気象庁の警報その他ハムによって連絡したというような御質問もございましたが、気象庁といたしましては、やはり各県の警報を発表いたしますと、これは実は気象業務法の十五条によりまして伝達の義務がございます。これの伝達の義務は、実は地元の都道府県知事あるいは建設省、日本放送協会、運輸省、海上保安庁、警察庁といったところに参るわけでございまして、その警報を発表いたしますと、たとえば日本放送協会ではこれを直ちに放送するというような法律的な拘束がございます。それから、知事でございますと直ちに救援物資をととのえるとか、要するに災害活動が活動するわけでございまして、これは気象庁は一応三重県の場合を考えますと三重県知事に参るわけでございまして、それから先の伝達に関しましては、市町村長への伝達に関しましては、これは知事の仕事でございまして、気象庁は知事に報告する、伝達するというところまでが、ただいまの気象庁のきめられた仕事でございます。
観測網に関しましては、ただいま申したような行き方で今後再検討しようというようなことで、計画が練られている状況でございます。
以上でございます。
#89
○瀬野委員 時間がございませんので、いまの観測網のことについてはぜひひとつ再検討するということでございますので、これは今後のこともございますからそのように取り計らっていただきたい、強く要望いたします。最後に、異常潮位の問題で二点だけ私お伺いして、質問を終わりたいと思うのです。
御承知のように、九月の一日から十日まで、特に三、四、五、六、この四、五日間が一番ひどかったわけですが、九月上旬に九州、四国から関東地方にかけて太平洋岸に、また日本海岸もそうでございますが、不気味な異常潮位がたび重なりまして、各地で浸水、冠水騒ぎとなり、東京では、朝の満潮時に水門の一つが締まらずに、ゼロメートル地帯で三千戸の浸水を起こす。また横浜でも国道の一部が冠水。九州の私の地方でも、熊本市の松尾町で、堤防から潮水があふれでたくさんの人家を冠水する。また熊本県天草郡河浦町でも、水田十三ヘクタールが潮害を受けている。またこれは、全国に潮害を受けた個所もあるわけです。こういったこともございまして、一時ずいぶん騒いで、われわれも突然のことながら非常に驚いたわけでございます。
そこで、異常潮位の原因についてでありますけれども、たしか海上保安庁あるいは水産庁、東大教授あるいは気象庁、これらの方たちが一緒になって、運輸省に異常潮位調査委員会が設けられて、去る八日に第一回の会議で発表になった結果を見ますと、その推論が、台風二十三号と黒潮の相乗作用であったというやに聞いておるわけでございますが、事実は依然としてなぞに包まれておる。災害の中でも、いわゆる風水害の災害とは違いまして、自然現象という、これほどこわいものはないわけです。こういったことで、私は実に――原因がなぞに包まれておる。今後最終結論として原因追及に当たっていかれると思うが、結論はいつごろ出るのか、またこの委員会はたびたび開かれて検討されていくものか、また現時点ではどのような原因であるというようになっておるのか、これらの原因についてまず第一点お伺いしたい。かように思います。
#90
○川上(喜)説明員 ただいまの先生の御質問に対してお答え申し上げます。今回の異常潮位につきましては、非常に長期間続いたということにおいて非常に特色がございます。
御承知のように、台風が通りますと気圧あるいは風、降水等の原因からして潮は高くなるということは間々見られるところでございますが、今回も二十三号が通りましたその直後に水位が高くなっております。ところが、その後それが台風が過ぎ去ってももとへ戻らなくて、場所によって違いますが、大体九月の二十日前後までそれが続いた、これが一つ非常に異常なことでございまして、それでさっそく、先ほどお話のございました異常潮位調査委員会が運輸省の中につくられまして、私が委員長をいたしまして、そして気象庁から二人、海上保安庁から二人、水産庁から一人、それから東京大学の海洋研からお一人、それから東京大学からお一人、こういう方々にお集まりいただきまして、さしあたり持っている資料だけで一応検討したわけでございますが、それによりますと、どうも、直接大きな高潮を起こしたのは確かに台風の影響だろうけれども、そのあと引き続いて潮が引かなかったのは、いろいろな原因が考えられるとしても、それを除去していくというと、黒潮が少しふだんと違った流れをしているということに原因するのではないかという結論に達しました。
そこで、委員会といたしましては、すぐにそのあと観測することをきめまして、気象庁及び海上保安庁の船と飛行機を使いまして、十日から大体十八日ぐらいの間において黒潮の観測をいたしております。そして、さらに各地の潮汐のデータを持ち寄りまして、第二回の会議を九月二十七日に開いております。
これらの資料を持ち寄りました結果、第一回に推論いたしました、最初の異常潮位が台風で起こったということは間違いない。そのあとで長い間続いたのは、どうも最初に推論したように、黒潮が非常に日本に近づいて、そしてそれがもとへ――沿岸の高くなった水をもとへ戻すのをちょうど壁のような関係、形で防いでおったのではなかろうかということがわかりました。
そこで、委員会といたしましては、大体九月の二十日前後にほとんど各地はおさまったわけでございますので、少なくとも九月一ぱいのその後の各地の潮位を集めてもう一度解析をする、そして来週早々再び観測船を出しまして黒潮を観測する、こういうようにして、それらの結果をもう一度解析いたしまして原因の追及につとめたい。私たちの所存では、大体十一月の末ごろまでにはもう少しはっきりした結論が出るのではないか、結論が出ましたならば、さっそく御報告させていただきたいというふうに考えております。
#91
○瀬野委員 時間がございませんので、恐縮ですが、もうちょっと時間をいただきまして……。いまの答弁で十一月末には結論を出すということでございますが、ぜひひとつ真剣に検討されて、結論を早く出して国民が安心するようにしていただきたい、こう思うのですが、それにつけても、四面海に囲まれた日本でございますが、潮流を本格的に解明したデータはこれまでもない、こういうふうに私は伺っておるわけであります。黒潮の流れにしても、商船とかあるいは漁船などに依頼をして、水温図やそれから流向図というものをつくっておるのが実情と聞いておりますし、気象庁や海上保安庁では、月に一回ぐらいそれの観測船を出している。しかもその観測船も四隻である。これも少ないわけでありますが、気象庁、海上保安庁等はこういったことについても十分検討して予算要求をし、必要であれば観測船の補強をするということも当然であるし、また被害が発生する前に警報を出すというようなことは、このような状態ではもう想像もできない現段階でありますし、不可能であると私は思うわけです。海洋日本といわれながら、これは全く検潮体制が貧弱である、かように言うほかございません。今度の異常潮位の原因究明についても、気象庁、海上保安庁で、おくればせながらこのような委員会をつくっていろいろやっておられますが、私はこういったことでは心もとない、国民も不安でならない、かように思うわけです。そういったことから、即刻検潮体制の整備強化に取り組むべきである、これについての対処策はどうかということが一点。
それから、次に建設省にお伺いしますが、この異常潮位によって、またこれは、港湾については運輸省関係でありますが、今回の潮位によっていわゆる堤防の低い所、または川の河口付近でいわゆる潮の満ちてくる地点で、堤防が低くて水田あるいは宅地に水が入ってくる、いわゆる内水面排水のせきがこわれて、今回の潮位で初めてそれが潮が入ってきてわかった、それであわててふさいだということもございますので、これが全国には相当数あると思うが、どのくらいそういった浸水してきた個所があるのか。また、これについてぜひひとつ港湾のほうでも、また河川の河口のほうでも、異常潮位により被害を受けるような個所については、当然堤防のかさ上げ、港湾の改修を行なって復旧をする、また増強すべきであると思うのですが、これについてはどう考えておられるか、これが第二点です。
もう一点は、東京都の新川の水門事件、これもたいへん問題になって騒いで、都側に責任がある、あるいは日立造船に責任があるということでいろいろ論議されておりますけれども、どうやら日立造船のほうにその責任があるやにいろいろいわれてもおります。いずれにしても、この管理のずさんさ、また、あのようにして三千戸も浸水するというような事態が起きました。これに対してどのように政府は考えておられるか、これに対する対策はどのように考えておられるか。これらに対する御答弁を簡潔にいただいて、質問を終わりたいと思います。
#92
○増沢説明員 第一点の検潮業務の整備の方針についてでございますが、気象庁では五十四カ所の検潮所がございまして、おもに地震に伴う津波、それから台風に伴う高潮の二つの現象の解明のために検潮所は置かれておるのでございますが、今後は、今回のような異常潮位の監視も十分できるように、検潮所の自動化並びに検潮記録の予報、警報のセンターへの伝送というふうな、そういった施設の拡充によって、今後このような問題に対処するように努力したいと思います。#93
○川崎説明員 今回の異常潮位によりまして、海岸の沿線において一部浸水を見たところがあるわけでございますが、これらにつきましては、いろいろ港湾区域とかあるいは港湾区域じゃない海岸保全区域、それから河川の河口部とか、いろいろなそれぞれの区域があるわけでございますが、港湾区域等につきましては、これは港湾の機能上、あまり高い堤防で守れないというような事情もございますので、後背地の利用も含めて運輸省とも協議をしていきたいと考えております。なお、河川関係等につきましては、約十数河川の報告が参っております。主として東京湾沿岸でございますけれども、これらの実態は、どうもいわゆる排水管が堤防あるいは海岸に出ております地点で、水位が高かったために逆流をしまして、はんらんをしたというようなのが主たる原因でございまして、中には排水樋管、こういったものが詰まっておったりあるいは老朽しておったというようなこともございましたので、関係の方面につきましては、私どものほうから、そういった点について十分管理の万全を期するように指導をいたしております。
それから、最後に東京都の中川と旧江戸川を結びます新川の水門の件でございますが、これにつきましては、だいぶ前にこの水門を補助事業で東京都が実施したわけでございまして、管理は東京都が行なっております。ただ、東京都におきましても、最近のいろいろ人手不足、こういった問題がございますので、ゲートを自動操作に切りかえたいというようなことで、これは東京都が単独で昨年自動装置をつけたしたわけでございますが、今回の事故によりまして、東京都を中心にいたしまして、建設あるいは電気、機械、こういった関係の学識経験者の方、もちろん私どものほうからも委員を出しまして、現在、事故調査委員会で調査をいたしておりますが、第一の原因は、設計に大きなミスがあった。そのミスの原因が日立によるのか東京都によるのか、この辺についてはつまびらかにいたしませんけれども、そこに大きな原因があった。したがって、今後はこういった装置をどういうふうに改善すべきかというようなことにつきましては、その事故調査委員会で究明をいたしまして、こういった事故防止にできるだけ万全を期するようにいたしたいと考えております。
#94
○竹内説明員 港湾の関係におきましては、一番潮位の高い九月三日から七日までの間の約五日間に最大八十センチ程度の異常潮位がございまして、その間の港湾の区域、海岸線にして約六千キロメートル、その間に起きましたところの被害の状況は、床下浸水で約千九百戸、床上浸水が約三十戸というような数字になっております。これらの原因を調べてみますと、やはりいま河川局長がお答えして御説明がありましたように、どうも堤防の上を越えてくるというような形ではございませんで、排水口、下水管などが海に出ておりますが、そこから海水が逆流してまいりまして、それが人家のほうにまで来ているというような形が多うございます。全体を三十一件といたしますと、そのような海水が逆流したような形で二十六件ばかりが考えられまして、そのほか、たとえば護岸の間からしみ込んできたというのが二件、それから水門の操作がまずかったというようなものが三件ございます。このような形で、おもな原因は、排水口からの逆流であるというようなことがいわれると思います。それから、今後に対する対策といたしましては、護岸の悪いところ、これは当然直していかなければいけませんので、たとえば海岸の五カ年計画等をどんどん進めておりますので、これの一環として進めていきたいと思います。ただし、そのほか、先ほども言いましたような維持、管理の面が非常に大切だと思います。たとえば水門の操作が不完全であったり等のこと、あるいは逆流するような下水管の入り口、こういうところに対する管理を完全にしてやっていきたい。特に下水等の管理者等に対しましては、海岸の管理者のほうからもいろいろお願いいたしまして、管理の体制を完全にしていきたいというように考えております。
以上でございます。
#95
○瀬野委員 以上で終わります。#96
○中井委員長 御苦労さまでした。次は、津川武一君。
#97
○津川委員 共産党を代表いたしまして、三重県でなくなられた方、貴重な財産を失われた方たちに深甚のお見舞いを申し上げる次第でございます。そこで、次官も時間の都合があるようで、端的に次官にお伺いいたしますが、千葉での二十三号以来の災害を見て今度の三重県の災害を見た場合に、開発などで山をくずして木を切って、そのあとの手当てをしなかったために災害が起きたり、成田空港の建設でも、やはり山をくずし、木を切って、そのあと始末をしないために、ああいう形で起きておるわけでございます。今度の三重県の場合も、たとえばくずれ谷などという名前がすでについておって繰り返されておるものに対する処置のおくれなどということが出て、災害を大きくしていると思います。天然災害、自然災だけでなく、人災といいますか、国政でやるべきものだとか行政でやるべきものにも問題があったと思いますが、こういう認識は建設次官も持っておられるかどうか、答えていただきます。
#98
○藤尾説明員 御質問でございますけれども、これは非常にむずかしい問題でございます。人間がそこに住んで、そこにいろいろな事象、天然現象が起こってくる。人間が住んでいることが悪いのだというようなことになれば、住んでおること自体が災害のもとになるというようなことにもこれはなりかねません。したがいまして、人災であるとか人災でないとかいうようなことを議論の対象にするということ自体が、私はきわめて不遜なことだと思いますので、私どもといたしましては、できるだけ災害が人に及ばないように、その防護措置をできるものからやってまいるということは当然でございますし、それは万全を期してやってまいりたい、かように考えております。しかし、それにいたしましても、いずれにいたしましても日本の国全体がこういう島でございますし、そして大きな山を中心にいたしました急傾斜地が全国至るところにございます。したがいまして、これを全部一ぺんに手当てせいといわれましても、いままでにずっと引き続いて大昔からやっておれば、それは御指摘のとおりある程度のことはできたかもしれませんけれども、いまになって、たとえば熊野、尾鷲にしてもいままでくずれてなかったところがくずれているじゃないか、あるいは千葉にいたしましても百年間、大原幽学以来の鉄則が破れているではないか、こういわれるわけでありますけれども、そのとおりでございまして、そういったいままで災害のなかったところに対しまする将来起こり得る災害、そういったものに対する防護措置もあわせてやるのが当然でございますけれども、とりあえずはそこまではなかなか手が届きかねます。そこで、とりあえず私どもで目に見えております全国的な危険個所というようなものをさがさせまして、そしてその危険個所に対しまする措置をとっていくということでとりあえずは手一ぱいではないかというように考えております。それが政治のおくれである、それが人災であるといわれればそれまででございますけれども、私どもといたしましては、それにいたしましても最善を講じていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。#99
○津川委員 天災か人災かの議論は繰り返しませんが、そこで具体的に、三重県の波田須の県道から国道に昇格したときの道路の管理、国道として殿溝もない。降ってきたら、あそこからくずれて四人がなくなった。したがって、被害者の関係者は、国が何らかの補償をすべきじゃないか。先ほど次官が、補償は当然だと言っておりますが、もう一つ千葉県の岡飯田で四人なくなっております。ここへも行ってみました。ちょうどくずれてきたがけのすぐそこが、がけくずれの工事をしたあとでございます。そのあとがくずれてきて四人がなくなっておる。作為か不作為か、そこいらの議論もあるでしょうけれども、そこでも国に何らかの形でそのとうとい失われた人命に対する直接の配慮が必要じゃないかということが、両方の場合皆さんの声でありましたので、これが明らかになった場合、作為か不作為によって人命が失われたというときに、国が何らかの補償をすべきだと思うのですが、先ほどの次官の答弁もありましたが、重ねてひとつ具体的に答えていただきたい。#100
○藤尾説明員 まず、御指摘の道路の問題でございますけれども、これは完全にこしたことはないわけでございます。しかしながら、今日まで私ども、戦争に敗れましてからたかだか二十五、六年の間に、こうやって日本の建設をやってまいったわけでございますけれども、その際に一つ一つを完全に仕上げていく、それがなされれば一番よかったはずでございますけれども、何といいましても全国的な御要望が非常に強うございます。したがいまして、今日までは、はなはだ残念なことでございますけれども、道路延長を延ばしていく、そして日本国土至るところ、国民に対しまして均一等に御便宜を供与させていただくということのほうが先ではないかということで、とりあえず延長に努力していく、あるいは舗装に努力をしていくということに傾きがややあった。それはいまから考えてみましてはたしてどうかという考え方には、一応私どもは耳を傾けなければならぬ、検討いたさなければならぬ問題があるように思います。しかしながら、ともかくいままでそういう傾向でやってまいったわけでありますから、これからはそうであってはならぬと思いまするので、御指摘のように側溝のないような道路というようなもの、あるいは道幅のないような道路、あるいは車の交差のできないような道路、そういったものがあってはならないわけでありまして、私どもはそういった点につきましてみずからを戒め、そしてそういった御指摘がなくなりまするように全力を尽くしてやってまいらなければならぬ、かように考えておるわけであります。次に、御指摘の千葉の災害現場におきまして、急傾斜地に対します防護措置をとっておったところが一つの崩壊の原因になってきたというところがあるではないか、こういう御指摘でございまするけれども、御案内のとおり、千葉というところは、関東ローム地帯の中で最も地盤の弱いところでございます。したがいまして、別に防護措置をとったから、とらないからということを問わず、いままではあれだけの雨にたえられるような対策というものがとられておりません。まことに残念なことではございまするけれども、家々は大原幽学先生が御指摘になられました当時からの、山を背負って、南面をして建てるというようなところに家が建てられておる。その背後の丘陵がくずれてくる。だれもそんなことは考えていなかった。しかしながら、今回のあの――しかもこれは、そんなことを申し上げますと千葉の方々から非常なおしかりをちょうだいすると思いますけれども、熊野、尾鷲地区ならばそうたいした雨ではないではないかといわれるような雨でさえ、千葉の場合には一切が流れ去っておるというような状況を来たしております。したがいまして、これらに対します対策がおくれておったということはもちろんでありまするけれども、防護措置をとっておったからそれができたんだというような御解釈をなさらないように――そういう地盤的に非常に弱いところである。したがって、それを角屋先生御指摘のように、学問的にもっと基本的な面から検討をし直して、そして基本的な科学的な対策を立てるように、こういう御指導が賜わりたいと思うわけでございまして、ひとつ先生からもぜひそういうお立場から御指摘をちょうだいし、御叱正をちょうだいいたしたい、かように考えるわけであります。
#101
○津川委員 具体的にこの波田須のところと千葉県の四人のところで、国に対する慰謝料なり損害補償の請求が具体的に起きたときに、政府はその補償請求と話し合うつもりか、突っぱねるつもりか、この点を明らかにしていただきます。#102
○藤尾説明員 これまた、まだ非常に検討すべき、詰めなければならない問題があるところです。と申しますのは、くずれました山が個人の財産である、こういうことでございまして、個人の財産のすべてに対する責任が一体国にあるのかいなかというようなことまでこれは詰めていきますと、たいへんなことになりかねない。しかしながら、それを放置しておくということもゆゆしい問題でございますので、この問題につきましては、なお検討の時間をかしていただきたいということをお願いを申し上げます。#103
○津川委員 両地区から国に対してそういう請求が起きたときには、私は、政府としてよく話し合いして必要な納得を得られて、もしこちらで補償する必要があるならば補償してやるという態度を堅持するよう要求して、これ以上の議論はしません。そこで、第二の問題ですが、建設省の公共事業費を見ていると、道路に対する費用が国土保全よりも四倍、五倍、いつでもかなり多くなっておって、私は、日本のこれからの国のあり方として、高度成長、経済成長もけっこうですが、そうではなく、建設省の仕事、国の仕事の第一義的なものの一つとして国土保全をあげるべきだ、災害復旧はもちろんのこと、改良復旧はもちろんのこと、予防的処置はもちろんのこと、河川の改修はもちろんのこと、私の県などというと、中小の河川の予算が一年に十億円、河川改修すべき予算が三千億円、これだと三百年かかる、こういう形にありますので、国の政治、建設省のお仕事をそういう立場でやるべきだと思うのですが、次官の方針といいますか決意、先ほどからだいぶいい決意を伺っておりますが、この点の所見を伺いたいのです。
#104
○藤尾説明員 これは確かに津川委員の御指摘も一つの見識だと思います。したがいまして、私ども取り組んでおりまする全体の問題が、国土の安全であり、そうして国土の建設でございますから、これを当然まず中心に置いてやっていかなければならぬ、かように思います。しかしながら、その中におきましても、私どもが対象といたしまする建設事業、国土保全事業が全面的に全部行き渡るということであるならばよろしゅうございますけれども、なかなかそうはまいらぬというときには、まずもって、人が住んでおるところ、人に対しまする措置というものをまず重点に考えていく、これは当然であろうと思います。したがいまして、ただいま御指摘のように、道路に少しウエートがかかり過ぎておるではないかという御指摘もございまするけれども、決して産業に優先をさしておるとかということでございませんで、まずもって人が生活するという上において最も便利なことは何かといって、その土地土地の方々にお伺いを申し上げましたらば、まず道路をつくってもらいたいという御要望がいままでは非常に多かった、こういうことでございまして、私どもといたしましては、御見識といいまするものをひとつ拝聴さしていただいた上で、私どもといたしましても十二分に考えさしていただきまして対策を講じてまいりたい、かように考えております。
#105
○津川委員 そこで、次官に最後に、いま各省で四十七年度の要求予算がまとまってしまっておりますが、二十三号以来今日までのこのような状況を顧みて、各省の要求しておる公共事業、これを国土保全面からもう一度検討し直してみる必要があるかと思いますが、そのお気持ちをひとつ聞かしていただきます。#106
○藤尾説明員 御指摘の点につきましては、御案内のとおり、四十六年度の予算の中におきましても補正というものがございまするし、また、四十七年度予算の編成作業はすでに進んでおりますけれども、しかし、それにいたしましても、なおかつこれに検討を加えるという余地は十二分にございます。したがいまして、そういうフレキシブルな姿勢をもちましてこの問題に対処してまいるつもりでございます。#107
○津川委員 今度は林野庁にお尋ねしてみます。先ほども問題になりましたが、くずれ谷ということばが、三重県に行ってみましたらありまして、非常に大きな損害を生んだ井戸町の隣あたりに、またくずれているがけがある。ここであんな大きな石がどうして落ちてくるのかと、私たちもびっくりしたわけなんですが、どうやら営林行政、植林行政に問題がないわけでもないという認識に私たち達したわけであります。視察した委員の報告書にもその点が指摘されてありますが、三重県に行って非常に感心したのは、よく植林されておるということで、裸山がなくなって、三重県の方たちの勤勉さに私も感打たれたのでございます。
そこで、くずれた場所です。カシ、アカガシなどの闊葉樹を切って、この天然林を人工林に改造した、そこまでは非常によろしい、私も賛成です。この闊葉樹のカシなどが、がっちりと根を広く深く据えつけて、隣の闊葉樹と根をからみ合わせておって、しっかりと石を抱いておって、国土を保全しておった。それを杉、ヒノキに植えかえて、そのささえがなくなり、ここで五年、十年の幼木のところがもののみごとにがけくずれをして、あの大きな石を落としておったわけであります。ここで砂防工事をしておったところは、先ほど瀬野委員も指摘しておりましたが、あったわけです。
そこで、この点、植林行政、営林行政としてどう考えるか。この自然を守っておった濶葉樹を、天然林を人工林に植えたときには、そこに必要な砂防工事をすることが条件になって植えられなければならない、こういうことがこれからの行政として考えられる。もう一つ、がけくずれの裏側のほうにも小さながけくずれがあったわけですが、そこのところが竹の林によってささえられておった。こういう事態をわれわれ見せられたわけであります。これからどんどん植林はしなければならない、人工林に切りかえなければならぬというときに、こういう点の林野庁の教訓のくみ方、これからの植林のあり方、これをひとつ答えていただきます。
#108
○松形説明員 お答え申し上げます。ただいま、がけくずれの原因として植林政策の問題があるのではないかというような御質問でございます。このたびの尾鷲地方の山くずれの問題でございますが、数百年に一回来るという確率の異常降雨ということもございますし、また、基岩が最もくずれやすい花こう岩であるということが一つございます。さらに、先ほど先生御指摘のございましたように、徳川以来非常に植林を進めてまいったところでございます。したがって、何回かの伐採が繰り返されておりまして、特に今度の山くずれは十五年生前後の植林地が多いというふうに、私ども聞いておるのでございます。まさにそうでございまして、前生樹が、必ずしも先生御指摘のように広葉樹でなかった地帯も多いと思いますけれども、十五年ぐらいたちますと、前生樹の根株が腐れてまいります。また同時に、植えた木の根もまだ深くは入っていない。そういうことから、十五年生前後までが、造林地といたしますと山くずれに非常に弱いということが学問的にも証明されております。
したがって、そういう原因が重なってまいりましてこのような結果になったと思いますが、私ども、森林の施業体系あるいは植林ということを、裸土地よりは植林地がいいということははっきりいたしておりますし、また、御指摘のような杉、ヒノキ及び闊葉樹地帯、これが一番よろしい、その次にカラマツ、その次が黒松というような順序になっているのでございますが、やはり植林いたしましても、それの施業方法と申しますか、伐採時期とかあるいは大面積皆伐を避けるとか、御指摘のございましたように、尾根筋、谷筋には当然針葉樹と濶葉樹を混淆さした森林を残すとか、そういう指導を今後すべきであろう、なお不足なところにつきましては、保安林あるいは保安林としての機能をさらに増進させるための治山治水工事というものが補完されるべきじゃないか、このような指導をしてまいるつもりでございます。
なお、最後に竹林のお話がございました。竹林は、私ども経験的に見まして、堤防に植えたらいいとか、あるいは地震のときに竹林に逃げたら地割れが少なくて安全であるということが、よく昔から伝えられておりますが、山の傾斜の場合に、竹林の地下茎と申しますのは非常に浅いわけでございます。深くても一メートル程度しか中に入らないという性格がございます。したがって、傾斜面における山くずれの防止というものには、やはり針葉樹あるいは雑木の植林というようなものが一番ベターだというふうに思っております。
以上でございます。
#109
○津川委員 もう一つ、皆伐でございますが、三重県に行ってみまして、国有林野であれ、県有のものであれ、個人有のものであれ、くずれているのを覚えているのです。皆さんは百年に一ぺんと言っているけれども、おととしもくずれている。皆伐をやられてくずれたので、皆伐を非常におそれているわけです。皆伐するならば、必ずそこに砂防工事をしてから皆伐してくれ、これが非常に具体的な地元の要求でありました。こういう配慮が必要だと思う。これが一つ。第二番目には、民家の近くを切らせないでくださいという、こういう話なんです。これは私有林もありますけれども、民家近くの保安林的な役割りを果たしておる森林の評価、これの保護育成、このことをぜひひとつ問題にしてくれというのが、地元の人たちの要求であったし、私もそう思うわけであります。
この二点を答えていただきます。
#110
○松形説明員 お答え申し上げます。御指摘のとおり、大面積の皆伐というようなことは、この基岩と申しますかそういうこと、さらには樹木の年齢構成等から見まして、なるべく避けていくというような指導を今後とも続けてまいるつもりでございます。
なお、先ほど角屋先生の御質問等にございましたような各大学の調査も進んでまいっておりますので、それらを参考にいたしまして、施業方法等につきましても十分な検討をさしていただきたいと思います。
なお、民家の近くを切らないで、こういう御質問でございますが、保安林に指定するとかあるいは予防治山をやるとか、そういうものを含めまして対策を立てたい、かように考えております。
#111
○津川委員 終わります。――――◇―――――
#112
○中井委員長 だいぶ時間がたちましたけれども、引き続きもう少し質疑を続行したいと思いますので、皆さんどうぞ御協力をお願いします。次に、北海道における異常低温等による災害対策について調査を進めます。
まず、被害状況等について政府当局から説明を聴取いたします。農林省大臣官房参事官大河原太一郎君。
#113
○大河原説明員 北海道の低温災害について御報告申し上げます。御承知のとおり、本年の北海道の気象は変動が大きく、かつ、農作物の生育にとって重要な時期に異常な低温と日照不足が重なりましたため、水稲や豆類を中心に作柄はきわめて不良となっておるわけでございます。
特に水稲は、七月二十日を中心とする異常低温によりまして、減数分裂期に当たったわせ及びなかての早いものについては花粉の形成が妨げられましたため、いわゆる障害型の冷害となりまして、著しい不稔粒の発生を見たわけでございます。また引き続いて八月中旬ごろ出穂したなかで及びおくてにつきましては、八月十七日前後の異常な低温、これはいずれも数十年来というような低温でございますが、その低温によりまして開花、受精が非常におくれまして八月下旬に行なわれ、登熟が著しくおくれまして、いわゆる遅延型の冷害となっておるわけでございます。
この結果、本日公表いたしました九月十五日現在の農林省統計調査部の調べによりますと、水稲の作柄も北海道は五八というわけでございまして、三十一年以来の大きな冷害となっているわけでございます。なお、九月十五日現在道庁からの報告によりますと、被害の状況は、水稲では被害面積十七万八千ヘクタール、被害金額五百十億円、豆類では九万八千ヘクタール、百八億円、飼料作物三十万一千ヘクタール、五十一億円、野菜その他が九万八千ヘクタール、八十一億円ということで、合計被害面積といたしましては約七十万ヘクタール、七百五十億円の被害金額という報告を受けておるわけでございます。なお、稲の作柄もほぼ最終段階に到達しておりますが、今後の降霜の時期等も多少関係いたしまして、作柄が多少動くというように判断しておるわけでございます。
農林省といたしましては、北海道の異常低温という情勢を踏んまえまして、最終稲作段階においてもなお低温に対する技術指導を強化する必要があるということで、当面の対策を指導したわけでございます。九月に入りましては、来年の再生産用の種子の確保につきましては特に万全を期する必要があるということで指導通達を出しまして、さらに、今後の対策を踏んまえまして、早急に実態を確保する必要があるということでございまして、九月五日から九日にかけまして技術関係の責任者六名を現地に派遣いたしまして、実態調査に当たらせているところでございます。
このような実態を踏んまえまして、農林省といたしましても逐次早急に対策を樹立する必要があると判断いたしまして、農林省にはすでに、本年度は災害が多発しておりますので災害対策本部を設けて、緊急の事に処するような体制を整えておりますが、対策本部を数回開きまして、特に北海道の副知事等責任者を二度も招致いたしまして、本部の会議におきまして現状の報告を求め、今後の対策について検討しておるわけでございまして、被害状況及び現地の要望等十分把握につとめまして、早急に対策を確立いたしたいという所存でございます。
#114
○中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。―――――――――――――
#115
○中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。#116
○芳賀委員 ただいま農林省の大河原官房参事官から、今次の北海道における冷害の被害の概要並びに災害対策の一環について説明がありましたが、この際、冷害対策の問題について質問をいたします。なお、当委員会においては、午前の理事会におきまして、北海道の冷害を重視して現地に調査団を派遣することになっておりますので、いずれ現地調査の結果と相まって、さらに具体的な対策等については、当委員会等を通じまして進めていきたいと考えておるわけであります。いま冷害による被害総額等について説明がありましたが、特に水稲について、北海道庁の調査によっても、九月十五日現在で五百十億円、畑作関係については二百四十億円ということになっておりますから、総額にして七百五十億円の冷害による災害額ということになるわけです。きょうの農林省の九月十五日現在の水稲の全国的な作柄概況の公表を見ましても、北海道は八月十五日現在と同じく五八ということになっておるわけですが、現在農林省からは、共済関係の経済局の保険業務課長の川村君と、それから統計調査部からは作物統計課長の福島課長が現地に出向いておりますので、被害の実態等については、担当官の調査によってさらに明確になると思うわけであります。
そこで、順を追ってお尋ねします。
まず第一に、今次の北海道の冷害に対する災害としての格づけの問題ですが、これは激甚災害法からいえば、特例措置の適用ということは天災融資法の特例措置の適用指定ということに尽きておるわけであります。ことしの被害の実態から見て、激甚災害法の適用については、A基準を採用してもB基準を採用しても、これは激甚指定をやるということは明らかになっておるわけですが、問題は、従来の冷害による激甚災害の指定時期というものは非常におそいわけです。たとえば昭和三十九年、四十一年、一昨年の四十四年にいたしましても、いずれも十二月に入ってから指定を行なっておる。特に一昨年の場合には、十二月二十八日に激甚法の発動を行なったというようなことになっておるので、これではもう激甚災害であるということが明らかになっておるわけだから、何も無理に年末まで延ばす必要はないと思うのですよ。おそらく理由としては、十月十五日現在の農林省の最終的な作況の結果を見て手続をやるということになると思うのです。それにしても十月の下旬あるいは十一月早々には激甚災害の指定ができると思いますが、この点についての発動の時期については一体どう考えておるのですか。これは総理府から。
#117
○栗山説明員 北海道の冷害に対する激甚の関係はいつごろになるかという御質問でございます。北海道の冷害につきましては、農林省のほうの天災融資法の発動との関係がございます。そこで、現在、先生もいまお話がございましたように、農林省のほうで被害額の集計について鋭意仕事をしておりますので、その集計を急いでいただくとともに、今後その点がはっきりしまして農林省とよく相談した上で、できるだけ早く発動いたしたいというふうに考えている次第でございます。#118
○芳賀委員 それでは農林省のほう、作業を順調に進めた場合にはいつごろになるのですか。#119
○大河原説明員 お答え申し上げます。先生お話しのように相当な被害でございまして、従来の融資制度あるいは激甚災害を含めました発動についても、これが適用等については当然前向きに考えるべき状況になっているとわれわれは判断しておるわけでございます。先生御案内のように、制度の発動は国の統計調査組織の調査、先生のお話にございました十月十五日現在の被害把握ということによりまして、融資の発動そのものあるいは金額というものを確定するわけでございます。そういうことでございますので、確定いたしましたら早急に諸般の手続を終えたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、災害が非常に大きいし、また現地の農家の方々も非常に不安がっておるという事態もございますので、金額等は最終は若干の時間はかかるにいたしましても、その方針的なものはできるだけ早く国全体としても、農林省といたしましても固めていただくというような方向でせっかく努力中でございます。
#120
○芳賀委員 ですから、十月十五日現在の最終的な減収量がわかるわけですから、そうすると、たとえば十一月一日公表ということになっても、それと同時に天災融資法並びに激甚法の発動はできると思うのですね。その時期にやればいつもより一カ月早くやれるということになるわけですから、無理に引き延ばして待たせる必要はないと思うのですよ。社会不安も伴うわけですから、ことしは激甚災害であることは間違いないから、従来よりも極力早期に適用をするということを、ぜひこれは政府として言明しておいてもらいたい。#121
○栗山説明員 御趣旨に沿いまして十分努力をいたしたい、かように存じております。#122
○芳賀委員 次に、天災資金のワクを示すことになるわけですが、たとえば、大河原参事官も言われた七百五十億円ということになれば、およそどのくらいの天災融資資金のワクになるわけですか、過去の……。#123
○大河原説明員 本件につきましても、先生十分御案内のように、被害の全体の金融も大事でございますけれども、たとえば被害程度の問題その他の問題によって、非常に深い被害の場合には金額も大きいということになるわけでありますし、また個々の農家の資金需要も、実際問題といたしましては融資ワクの設定の際にしなければならないというようなこともございまして、ただいまのところ、この金額を明確に申し上げる段階にはなっておらないわけでございますが、現地の道庁等の調査とわれわれの数字を早急に整理いたしまして、できるだけ早い機会に金額と発動等――天災融資法の政令発動は、御案内のように金額もきめなければならないわけでございますので、両者あわせまして極力急ぎたいというふうに考えております。#124
○芳賀委員 天災資金は、言うまでもなくこれは再生産資金、いわゆる経営資金ということになっておるわけですから、従来のように天下り的に、北海道はたとえば百三十億とか二百億というようなことでなくて、これは発動まで相当時期があるわけですから、来年度の再生産を完全にやるためには、被害農家個々においてどのぐらいの資金需要があるかということ、これはやはり法律に基づいて町村長が認定するわけですから、ぜひことしは積み上げ方式でやってもらいたいと思うわけです。もちろんワクがふえれば、農林省あるいは北海道、市町村等においても金利負担というものは伴うが、そういうものはささたるものだと思うのですよ。だから、ことしは必ず積み上げ方式で適正な経営資金の需要額というものを集計して、それを基礎にして的確な資金の割り当てを行なうということをやってもらいたいと思いますが、いかがですか。#125
○大河原説明員 お答え申し上げます。お話のとおりでございまして、一定の従来の資金ワクを算定するルールというものもございますが、一方では資金需要の実態というものを十分取り入れましてきめたいというふうに考えておるわけでございまして、その点につきましては、ただいま北海道庁等督励いたしまして、末端の現実に即した計数、判断の資料を整備して、すみやかに農林省のほうに提出するようにというふうに指導中でございます。
#126
○芳賀委員 いまの天災融資法は、昭和三十九年に相当大幅な改正をしておるわけです。ちょうど赤城農林大臣――どうも赤城さんが農林大臣になるたびに激甚災が起きるというのは因縁があるわけですが、三十九年の時点と現在の農業経営の実態というのは相当変わっておるわけですから、必ずしも現行天災融資法の貸し付け限度あるいは政令資金の限度あるいは償還年限とか金利の関係等についても、これで十分だということにはならぬと思うのです。だから、この点は農林当局において十分実態を掌握して、適合しない点があれば、十月十六日から臨時国会がもう召集になっておるわけですから、その際根本的な制度の改正をやるということで、ぜひ前向きに取り組む必要があると思いますが、その点はついてはどうお考えになりますか。#127
○大河原説明員 お話のとおり、現地の要望も、天災資金につきまして貸し付け限度の相当な引き上げという強い要望があることを承知しております。先生お話しのように、三十九年に現在の制度ができまして、限度は法律事項として規定されておるわけでございます。われわれも時の経過とともに、北海道ももちろんでございますが、農家経営の現金支出動向というものを十分承知いたしまして、制度との適合について検討いたしてきておるわけでございますが、今次の非常に大きな災害というような点もございますので、その点についても十分実態を把握いたしまして検討していきたいというふうに考えております。#128
○芳賀委員 あわせて自作農維持資金の関係ですが、これは災害が起きて相当農家の経営が窮迫する、生活維持 困難であるという場合に、災害対策の一環として自作農維持資金を融通することになっておるわけですが、この資金の場合には、農林漁業金融公庫の業務方法書の改正によって限度の引き上げは弾力的にできるということになっておるわけです。現在までは最高八十万円というふうに承知しているわけですが、この維持資金の最高限度については、八十万円ではなかなか不十分であるというふうに考えられるし、また維持資金の場合は、いままでの既往の災害について維持資金を貸し出しをしておるという場合には、償還年限が少なくとも二十年を要するわけですから、まだ償還未済の資金が残っておるわけです。そういう残額分については、貸し付けワクの中に繰り入れて計算をするということになっておるわけですから、たびたびの災害を受けて自作農維持資金を借り入れしている農家の場合においては、最高限度がたとえば八十万とか六十万であっても、その金額全部を当該災害年において活用するということはできないわけですね。そこに問題があると思うわけですが、それについて農林省並びに農林金融公庫として、どういうような改善策を持っていますか。
#129
○岩尾説明員 自作農維持資金の限度の問題と、それからいまおっしゃいましたのは通算の問題だと思います。これは私のほうは、農林省のほうの指示に従いまして業務方法書を改正し、そして実際に行なうというたてまえになっておりますので、私らといたしましては、現在のやり方でいいかどうかということを現在検討中でございますが、農林省のほうで御答弁を願いたいと思います。#130
○芳賀委員 あわせて、災害対策として各制度資金の延納措置を従来も行なっておるわけです。いま問題にしました自作農資金、天災資金あるいは近代化資金、これらの延納措置が講ぜられるわけですが、たとえば北海道のように被害が連続する地帯においては、資金の種類としては自作農資金、天災資金、近代化資金の三種類ということになるが、災害年次ごとに毎回借り入れをしておるということになれば、その借り入れ件数ということになれば、あるいは十件以上とか十五件にもわたるということになるわけです。従来の一件別延納措置ということになれば、借り入れ金の年次別の件数ごとに全部複雑な延納計画や手続をしなければならぬということになるので、これは業務を担当する農協においてもなかなかたいへんなことになるわけです。ところが、公庫のほうはただ貸しっぱなしでしょう。延納を認めるぞということで、ちゃんとした書類が出てくれば承認するという程度であなたのほうは済むが、末端はたいへんなことになるわけです。だから、激甚災のような場合においては各制度資金をそれぞれ延納するということになれば、これが一括延納の措置が講ぜられるということになれば、事務的にも非常に能率があがる、あるいは被害農家もそれによって相当恩恵を受けることができるということになるわけですが、これは実務を取り扱っている立場から見て、できないことはないと思うんですよ。ぜひこの際、そういう取り扱い上の改善ということに対しても積極的にやってもらいたいと思うのです。これは公庫並びに農林省のほうから――これはやれることをいままでやってないわけですから、これからやるとか、こういうふうにやるということで明らかにしてもらいたい。#131
○岩尾説明員 農家の方、いろいろな制度資金を借りておられるわけでございますけれども、その中には、農林公庫から借りておられる金もございますし、あるいは近代化資金で借りておられる金もございますし、農協から借りておられる金もあるということで、実際にお貸ししている機関にもいろいろ区別がございますし、それから私のほうで貸しております金の中にも、農協を通じて貸しておるものとか直貸しをしておるものとか、いろいろな形態がございます。先生のおっしゃいました、一括して延納なりそういった救済の措置を講じたらどうかということは、私も大賛成でございますが、現実にこれを行ないますことは、たとえば個人的な個人施設の金で、自作農維持資金とかそういったものについて一人の人に集中しておるから、その分をまとめていくということはできるけれども、今度は、農協が土地改良で借りたものをまた農家の方が借りておられるというような形のものは、なかなかそういう点は、直接に支店だけでやるというのはむずかしい。私らの公庫で貸しておる金をできるだけ一括して簡便に迅速に処理できるという体制は、ぜひ勉強したい、こう思っております。#132
○大河原説明員 お答え申し上げます。制度資金については、いろいろ原資とか条件その他が違っておりますので、一括して一律に償還猶予をすることはなかなか困難だと思いますが、公庫資金に限っては、取り扱い金融機関ごとにそういう迅速な償還延期の措置等を積極的にする必要があるとわれわれのほうも考えておりますので、農林漁業金融公庫とも十分打ち合わせまして、早急に具体的な成案を得たいというように考えております。
#133
○芳賀委員 自作農資金はそれでわかったが、天災資金と近代化資金。天災資金の場合は当年度償還分については一定の限度内で上置きするか、あるいはその分については二年間の範囲内で償還延期できるということになるわけだから、いずれか、被害農家の立場から見て有利なほうにするということで、これはいけると思うのですよ。いや、首を曲げる必要はない、そうなっているんですから。それから、近代化資金については、これも天災資金と同じ、原資は農協の金ですからね、農協というよりも農民の蓄積ですから、自分の蓄積を自分で災害のときに使うわけですから、だれにも遠慮は要らない。ただ、それにわずかな利子補給を政府あるいは都道府県がやっておるという程度ですが、特に近代化資金については、内容的に相当の種類があるわけですね。しかし、激甚な災害によって、ことしは各種の近代化資金の返還はできないという場合には、近代化資金そのものを一括して延納できるということは、これは実際問題としてやれると思うのです。農林省としても、延納分だけにわずかの利子補給をすればいいわけでしょう。その点を、金融課長もいますか、もう少し具体的に。参事官ではちょっとばく然としてわからぬかもしれぬから。
#134
○渡邉説明員 お答え申し上げます。近代化資金につきましても、先生御案内のように、まだこまかい北海道の各農家の貸し付けの実態、一人どれだけ、被害を受けた方々が借りているか、必ずしもそういうことが十分わかっておりません。現在調査中でございますが、いままでの感じ、総額とか件数の感じからいきますと、公庫資金のほうが非常に件数は多いという感じがしております。
近代化資金につきまして、従来のやっておりますこととしましては、まあ法律できまっております期限の範囲内で延ばすことにつきましては、利子補給の継続をいたすということはやっておるわけですが、各農協におきましてその趣旨を徹底させまして、各農協の中で借り受け者につきましてそういう実態がある場合には、たとえば二本借りておりますとすれば、二本まとめて二年延ばすとか一年延ばすということで、私のほうでできるだけやるように道庁と打ち合わしてみたい、かように考えております。
#135
○芳賀委員 では、各制度資金の一括延納方式といいますか、そういうことについて、きょう即座にこうしますということはなかなかできないと思いますから、次回の委員会までにこの具体的な方法というものを整理して、ことしはこういうようにやるということで臨んでもらいたいと思うのですが、その点はよろしいですか。#136
○大河原説明員 早急に具体案について成案を得たいというふうに考えております。#137
○芳賀委員 次に、先ほど大河原参事官の言われた、明年度の再生産確保のための種子の確保ですね。これは積極的にやるというお話ですが、従来は種子の購入費については三分の一の国庫補助ということになっておるわけですが、現地では少なくともこれを二分の一ないし三分の二の助成にしてもらいたいという要望が非常に強いわけです。この点はどうですか。#138
○大河原説明員 種子確保た対する助成率は、ただいま先生がおっしゃったとおりでございますが、本件は財政負担を伴う問題でございますので、実際の種子の要確保量なりその他金額というようなもの、それに伴う農家負担というようなものにつきまして、十分検討の上、最終的な判断を下したいというように考えております。#139
○芳賀委員 次に、畜産農家の越冬用の飼料の確保について、まず政府の保有しておるふすまあるいは大麦等を生産者団体に直接特別価格で払い下げをする、あるいは代金の無利子延納措置を講ずるとか、さらにまた、北海道ではてん菜糖の製造による副産物のビートパルプが相当生産されるわけですから、これを冷害を受けた畜産農家に特別供給をして、その購入費の一部についても国庫の助成を講ぜられたいというような希望が強いわけですが、この点についてはいかがですか。
#140
○斎藤(吉)説明員 お答えいたします。ただいま先生の申されました点につきましては、北海道のほうからそういう要望が強いということで承知いたしております。
まず、北海道の今回の災害によりましての畜産農家、これの越冬用の飼料の関係がどういうぐあいになるかということにつきましては、北海道でいま調べておられまして、数字がまだ固まっておらないようでございますが、この調査がまとまりましたところによりましていろいろと対策を考えたい、こういうぐあいに全般的には考えております。
いま御指摘のございました政府所有のふすまを払い下げるようにということ、これは前に例があったわけでございますけれども、先生御案内のとおり、現在政府は輸入ふすまを持っておりません。前回輸入ふすまを払い下げたということはございますけれども、ただいま政府は在庫がないということでございます。そこで大麦等につきまして、ひとつ政府の在庫のものについて払い下げをしていくこと等につきましては、その数字を北海道庁のほうと十分連絡をとりまして、その結果によって善処いたしたい、こう考えております。
さらに、御指摘のビートパルプの関係でございますが、これは御案内のとおり、道内にありまして、いわゆるビート工場がしぼったあとを農家に還元をするという形でやっているわけでございますが、それと一般流通を道内あるいは内地のほうにしているというものの値段の差があるわけでございまして、この辺を見るようにという御趣旨と思いますけれども、これは前回三十九年あるいは四十一年にもこの点ございました。これは道内のものでございますので、道内に引きとめるという意味合いもございますので、これはひとつ道のほうでお考えをいただきたいというふうに考えております。
#141
○芳賀委員 次に、食糧庁にお尋ねします。第一は、冷害によって水稲の品位が非常に低下するわけですが、これは従来も災害対策の一環として、規格外あるいは等外上の等級を設定して買い入れをやっておるわけです。これはやると思いますが、ただ、この規格外の買い入れ措置を行なう告示が、いつも十一月に入らぬとやらぬでしょう。これは単に規格外の買い上げだけではなくて、農業共済金の早期支払いの問題と関連があるわけですね。食糧庁のほうではたしてことしは等外上にしても、規格外米にしても、どの程度までのものを買い入れ対象にするかという方針がきまらないと、共済制度による水稲の損害評価の特例措置を講ずることができないということになるわけです。一方において、共済金はなるたけ早期払いしますということを言っておきながら、それを、規格外等の買い入れ方針がきまらないと実行できないということになるわけです。もちろん、ことしは障害型と遅延型で北海道は災害を受けておるわけでして、きのうは全道的に霜の警報が発令になって、徹宵して薫煙等を行なって霜の防止につとめたわけですが、とにかく九月は幸いにして強度の降霜はなかったわけです。しかし、いつまでもこれを刈らないで待っているわけにいかぬですからね。十月下旬になれば地域によっては初雪が降るということになるわけですから、いくら未熟だといっても十月十日ごろには一斉にかま入れということになるわけですから、その前に規格外の規格を発表することはできないとしても、従来よりも少なくとも半月ぐらいは早目に食糧庁としての方針をきめてもらわぬと、共済金の早期支払いのための特例措置の実施もできないということになるわけですから、この点について前向きな方針を示してもらいたいのですよ。
それともう一つは、アズキにしても菜豆類にしても、平年度のような商品価値のあるものは十分に生産されないわけですね。そうかといって、従来等級以外は、全部等外だからだめだというわけにもいかぬと思うのです。ですから、これらについても従来の例にならって、特別等級等を設定して、被害を受けた豆類についてもできるだけ有利に販売ができるようにする必要があると思うわけです。
この二点について食糧庁から、それから共済金の関係等については経済局から、要点だけを述べてもらいたいと思います。
#142
○森説明員 今回の北海道の冷害によりますいわゆる等外なりあるいは規格外米の発生を見るということはわかっておりますが、まだ十分に刈り取りをやっておりません今日の段階でございます。通常、先生おっしゃいましたように、大体十月の十日過ぎからかま入れが行なわれる。出てきた品物を十分見きわめながら、まあ従来の例から申しますと、青未熟混入規格外というのが大多数を占めると思いますが、従来の例もございますから、現物をよく見、そして技術的にもそれをいろいろな搗精をやったりして、これは食用に向くという限界等の問題もございまして、そういう時期までに出回りの実態を見きわめてやることがまず何よりも大事だということで、極力そういう場合の調査を早めて早急に決定したいというのが米に対する考え方でございます。なお、豆類等の御質問につきましては、現在、御承知のように一等から四等まで、それから規格外と、こういう農検法上の規格の制度になっておりますが、農家なりあるいは消費者なり流通の関係の皆さま方の御要望があれば、五等設置についても考えたい、こういうふうに考えております。
#143
○板野説明員 共済金の関係について御説明申し上げます。共済金の支払いにつきましては、特例措置を講じます場合には買い入れ基準の決定が前提になりますので、われわれといたしましてはその基準が決定され次第、共済金の支払いができるように準備を進めて、早期支払いに支障ないようにしてまいりたい、かように考えております。
#144
○芳賀委員 次に、共通の問題をできるだけ整理してお尋ねいたします。第一は、四十六年産米のいわゆる予約概算金の返納に関する特例、これは概算金の返納のできない被害激甚の農家もあるわけですからして、これは当然特例措置を講ずると思いますが、その場合、従来は集荷業者である農協が代位弁済をする、それに対して利子の減免措置等が講ぜられるということになっておるわけですが、今回行なう場合には、どういう形で概算金の返納の特例を行なうか、その方法についてお尋ねしたいと思います。
それから第二の問題は、休耕、転作については一定の奨励金が出るわけですが、これは直接災害とは関係がないのですが、被害農家の中には、やはり二〇%あるいは三〇%の休耕、転作を、政府の方針に協力して実行している農家がほとんどであります。北海道は二一%の減反目標に対して三〇%、目標の五割増しということになっておるわけですが、いままで奨励金の半額分は八月の中旬に支払いになっておるわけです。あとの半額については十二月末までにということになっておるわけですが、この分について災害対策の一環として、被害農家あるいは被害地域に対しては残額の奨励金を早期に支払いをするということはできると思うのですね。この措置をどうされるかという点。
それからもう一つは、ことしの米価決定の際に、約百億円の生産調整協力費というような名前で政府が支出するということになっておるわけですが、この点についてもまだ、いつどういう方法で米の販売農家に対して支払いをするというようなことは示されていないし、これに対しての方針というものを明らかにしてもらいたい。
以上三点について、それぞれ説明を願います。
#145
○森説明員 概算金の返納の問題については、先生のおっしゃるとおりでございまして、代位弁済を農協がすることにはかわりはございませんが、その方法等についてとおっしゃいますと、その趣旨はどういう……。いままでやったような、支払い期日までに生産者が支払えない場合には集荷業者がこれを代位、かわって支払いますと、こういう……。#146
○芳賀委員 そこまではいいのです。利子の免除をもちろんやるわけですね。#147
○森説明員 利子の免除につきましては、実は四十三年からやっておりませんで、非常に困難であるということだけでございまして、今日の段階でどうということは、四十三年からやっておりませんから、これは非常に困難であるという考え方でございます。#148
○大河原説明員 生産調整奨励金の早期交付と協力費の早期交付の関係についてお答え申し上げます。御案内のように、生産調整については、本年度は休耕と転作の差がございまして、転作作物の作付は、作目によりまして相当あとになってやらざるを得ない。したがって、転作の締め切りでございますが、認定の締め切りを十一月末ということにしておるわけでございますが、地域によりましては十二月末という点があるわけでございます。もう一つは、転用に直ちに移ってしまうようなものは休耕扱いできないということからも、十一日末時点で生産調整の協力の判断をしておるというような事態が実はあるわけでございます。もう一一つは、本年度は転作の割合が当初の予算よりも非常にふえたわけです。単価が高いわけでございますので、当初の予算措置よりも財源が不足するというような問題がございまして、これについては別途財源措置を講ずるというような関係があるわけでございまして、財源の手当てをした上で、できるだけ早く支払いたいというふうに考えておるわけでございます。
協力等につきましても、当初予算編成後の問題でございますので、これについて補正等の財源措置を早急にいたして、お話の趣旨に沿いたいというふうに考えております。
#149
○芳賀委員 あわせて食糧庁から飯米の確保の問題、飯米がほとんど確保できない、あるいは年間の飯米が確保できないという農家の割合が相当多いと思うわけですが、これに対する政府の保有米の払い下げです。これは従来のとおり、被害を受けた当該道県の知事に対して必要量を一括払い下げをして、知事が、被害地域の市町村の集荷業者であり配給業者も兼ねておる農協が多いわけですが、その登録業者に取り扱いを一任する、代金については延納措置を講ずる、さらにまた、払い下げ価格についても特別な措置を講ずる、こういうような点について、具体的に固まっておれば明らかにしてもらいたい。#150
○森説明員 飯米農家に対する措置といたしまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、一括知事に卸売り価格で売って、その代金については、いままでの過去の例では一年延期の制度がございます。そのほかに政府手持ち米もございますから、別途四十四産米なり、その辺をどういうふうな処置を講ずるかということの研究をせいということもございましたから、ただいま検討をいたしております。#151
○芳賀委員 次に、救農事業の実施についてお尋ねいたします。これは農林省においては農地局あるいは林野庁、さらにまた、公共事業関係については建設省、北海道は開発庁ですが、これらの各関係庁において、総合的に北海道の冷害に対する救農事業というものをどういう規模で、どういう内容で、特にこの被害農家に対して何日くらいの日数を稼働させて、一日基準の賃金がどのくらいになるかというような具体的な方針の上に立って、ことしは実効のあがる救農事業をやってもらいたいと思います。これが十分に行なわれないと、結局借金政策に終わるわけですね。それはまた返さなければならぬということになるわけですから、やはり基本的には適正な共済金の支払いと、もう一つは救農事業によって、できるだけ生活維持ができる賃金を確保させるということが大事だと思うわけですから、それぞれ、関係各省において方針がきまっておれば、内容を示してもらいたいと思います。
#152
○大河原説明員 お話しのとおり、道庁の報告でも七百億をこえるような非常な減収というような事態がございまして、共済金等の十分な支払いその他によって補てんし、一方では融資措置によって補完いたしますとともに、過去の例にならいまして、現金収入の確保という点でこの救農土木事業についてわれわれも真剣に検討中でございますが、いずれにいたしましても、道庁のほうで町村別に被害の程度なりあるいは現金収入の必要額というような点、あるいはその地域における適切な事業というようなものについてまとめましたものを、現在われわれのほうで聴取中でございます。それによりまして、われわれといたしましては、今回の臨時国会等におきましても補正予算等の計上、公共事業費の計上というようなことも予定されているように承知しておりますので、十分な措置等についても検討中でございますが、なおわれわれ、農家の農業をあずかる関係省といたしましては、建設省その他各省に対して、道庁から具体的な事業の種目なり要望がございましたら十分配慮していただくように、現在お願いをしているところでございまして、先生おっしゃいますように、具体的にどの程度の規模なりあるいはどの程度の現金所得の確保という点については、もうしばらく時日をかしていただきまして、道庁とも十分打ち合わせて結論を出したいというふうに考えております。#153
○芳賀委員 十月十六日から臨時国会が開かれる、政府においてはおおよそ六千億程度の大型の補正予算を出すということで、財政当局でこれは作業を進めておるわけですから、その補正の中に予算を確保しなくても北海道の救農事業がやれるというのならこれは別ですよ。補正予算に計上しなければ十分なことができないということになれば、すでに予算要求の手順を踏んでおかなければならぬと思うのです。もう何日もないわけですからね。そういうことは、何も委員会で伏せておく必要はないと思うのです。何もまだ考えてない、やっておらぬなら、これはしようがないですけれども、もう少しこの時点で具体的に委員会を通じて明らかにしてもらいたいと思うのです。われわれとしては、救農事業に出動して働く場合は、少なくとも一日の賃金額を最低三千円程度にしてもらわなければならぬという点、あるいはまた、もう十月中に収穫が終わっても、十一月から十二月の中旬まで、それから三月から四月にかけての融雪期ということになれば、稼働できる期間というのは前後五十日ぐらいしかないと思うのです。あるいはそれだけ出動できない農家もあるわけですからね。五十日、三千円としても、これは十五万円ということにしかならぬわけですから、やはり一日の賃金基準とか稼動日数の目標というものをまず設定して、そして十一万二千戸の被害農家のうち救農事業に出動するものが一体どのぐらいあるか、あるいは三万人か五万人ということは、これは北海道において町村別に調べると思いますが、そういう点を十分具体的に積み上げをして、だからこれだけの救農事業費が必要である、それを農林省あるいは建設省、開発庁において、どういうような適当な事業を選定して行なうか、あるいは四十六年度の追加事業としてやれるものはやるとか、あるいは継続事業の場合には次年度の分を一部繰り上げてやるとか、あるいは道並びに関係市町村の救農事業の単独起債を自治省が積極的に認めて、それによって目標の事業が実行できるというようなことをやってもらわなければいかぬと思うのですよ。それも、農林省、建設省、開発庁、個々ばらばらということでなくて、激甚災害ということになるわけですからして、そうなれば、たとえば総理府が適当かどうかわかりませんが、とにかく窓口は、激甚災は総理府ということになっているでしょう。能力があるかないかわかりませんが、とにかくこういうものについては政府部内で総合的に、北海道の冷害対策として救農事業をこのような計画でやりますということを早期に示してもらう必要があると思いますが、その点はいかがですか。各省からはっきりしてもらいたいと思うのですよ。#154
○大河原説明員 お話しのとおりでございまして、財源措置その他の面から見ましても、また現地の農家の安心感と申しますか、そういう点からいいましても、早急に具体的な成案を得る必要があるわけでございまして、ただいまおっしゃいました所要の救農事業中、道なり市町村等で単独の起債事業で、最も現状に即した、末端に即したような比較的弾力的な事業をどの程度やるか、あるいは土地基盤整備その他農林関係の土木事業をいかにするかというような点について、所要の時期までに間に合うようにただいまやっておる最中でございまして、道のほうといたしましては、現地における総合窓口でございます北海道庁におきましても、それぞれの事業を中央の所管に即しまして振り分けて要望いたすということになっておりますので、われわれ農林省といたしましても道と十分連絡をとりまして、関係各省に対して、それぞれその所管に応じまして全体の所要がまかなわれるようにということについて努力中でございます。#155
○川崎説明員 救農の土木関係の事業の基本的な考え方につきましては、ただいま農林省からお話のあったとおりでございます。私ども、どういうような方法で具体的に援助をすべきか、どの程度の量が消化できるのか、あるいは非常に専門にわたるような職種についてはこれは該当するのは無理かと思いますが、どの程度の方がどのくらいおられるのか、そういった点については直接つまびらかにいたしませんので、先ほどお話もございましたように、現在開発庁な通じまして道の実態等をよく調べるように指示をいたしてございます。そういった要望がございましたら、全般的にはやはり農林省のほうがよく事情がおわかりかと思いますけれども、私どもの分野でできるだけ雇用の拡大等につきまして協力いたしたいというようなことで、補正予算等もこれから内容なりを詰めていく段階でございますので、そういったものをできるだけ弾力的に活用するようにいたしたいと考えております。
#156
○山田説明員 救農土木事業に関する基本的な考え方は、ただいま農林省及び建設省のほうからお話しになったとおりでございますが、芳賀先生からお尋ねがございましたので、現在関係省庁の間で鋭意検討している段階でございますけれども、北海道庁のほうから大体どういう程度の要望があがってきているかということを御紹介申し上げます。道庁のほうでは、被害程度が五〇%以上、開拓農家の場合には三〇%以上の被害を受けた農家を対象として調べましたうちで、いわゆる救農土木事業以外の事業に就労すると見込まれる農家、これは約一万戸ございますが、それを差し引きまして救農事業が必要だと考えられる農家が約一万三千戸というように見ておられるようでございます。これに対しまして、約二十億円の労賃収入を得させてやりたいというのが考え方の基本でございます。
それで、その二十億円の計算の根拠でございますが、一戸当たり一日の労賃といたしまして約二千五百円、二千四百八十円でございます。これは建設省、農林省、運輸省、いわゆる三省協定というのがございまして、それによりますところの標準の作業賃金、現在四十六年度で二千四百八十円でございますが、それを採用したようでございます。それで、たとえば被害程度が三〇%から五〇%程度の農家につきましては、所要の就労日数を四十日と見まして、それに掛け合わせますと九万九千二百円、一番被害のひどい九〇%以上の農家につきましては、就労日数を百日と見まして計算いたしますと二十四万八千円というような労賃収入が出てまいります。そういうような計算で積み上げますと、先ほど申しましたように約二十億円の労賃収入を得させてやりたいというようなお考えのようでございます。そのうち相当大きな部分につきましては、先ほど農林省からお話がございましたように、道また市町村の単独事業で起債を仰ぎまして、これによりまして非常に柔軟に現地に即した形でもって仕事を進めていきたいというような御計画のようでございます。
そこで、道庁の希望としましては、国費、国の補助によりますところの救農事業としましてはいわゆる一般農道事業、農道の補修ということを中心にいたしまして、事業費で約五億円程度のものをひとつ救農土木事業として考えてほしいという希望が表明されてきておりまして、これは現在私どもと農林省の間でいろいろ相談いたしまして、現在大蔵省も交えまして相談しておるという段階でございます。
#157
○福島説明員 救農対策事業に対します起債措置のお話でございましたが、これにつきましては、計画が具体化いたしますと前向きで自治省としては対処したいと、かように考えております。#158
○芳賀委員 時間の関係もありますので、あと各省に関係ある分について……#159
○中井委員長 だいぶ時間を超過しておりますから、どうぞ簡単にお願いします。#160
○芳賀委員 わかりました。それで、第一に厚生省の関係ですが、被害市町村における国民健康保険事業について、当然国民健康保険税の徴収猶予あるいは減免措置を市町村においては講ずることになるわけですが、これについて所要の財政援助措置というものが必要になるわけです。これらについては厚生省としてどういう方針で臨むかという点でございます。
それから次に、自治省の関係については、いま救農事業に対する単独起債の問題等については説明がありましたが、なお、被害を受けた関係市町村においては、市町村民税をはじめ税の減免あるいは徴収猶予の措置をとるわけですが、それによって既定税収入が相当減収を来たすということになるわけです。それからさらに、いま指摘しました冷害対策の諸般の事業を行なうということになれば、特殊の財政需要が増大するというようなことで、両面から、被害市町村の財政運営が相当窮迫するということが予想されるわけであります。したがって、従来から、災害対策として特別交付税の交付あるいは起債等による財政措置を自治省として強力に進めておるわけですが、これらに対する具体的な方針について明らかにしてもらいたいと思います。
その次は、文部省関係ですが、冷害地域の農村においては、被害の深度によっても違いますけれども、それによって義務教育の小中学校あるいは農村の保育所、いろいろありますけれども、これらの児童生徒に対して従来行なっておる学校給食、これは前例はありますけれども、学校給食費に対する全額公費による負担措置、あるいは特別困難な条件の児童生徒に対しては学用品等を、場合によっては市町村が支給するということも必要になると思いますが、こういうような学校教育上から見た災害対策における具体的な対策について明らかにしてもらいたいと思います。
それから、その次は通産省関係ですが、今回の北海道の冷害は北海道一円の農村に及んでおるわけですから、たとえば人口一万前後の農村が多いわけですが、市街地の中小商工業者はほとんど農業による地元の購買力によって成り立っておるわけですから、その源泉をなす農業の所得が災害によって、北海道全道で七百五十億としても、被害農家一戸当たりにすると約七十万円平均の冷害による被害を受けておるわけですから、したがって、直接間接に購買力が極度に減退する。したがって、農村地域における中小商工業者の経営というものが全く逼迫するということになるわけです。ですから、こういう点については、最近のドル・ショックの影響とかあるいは自由化の関係とか、それでなくてさえ地方の中小企業に対する経済的な重圧が多い中にこういう激甚の被害が生じたわけですから、これら中小企業等に対する具体的な対策というものをどうやるかというような点について明らかにしてもらいたいと思います。
最後に、農業気象の観測体制の強化ですが、農業関係についても一年間の長期の気象というものを的確に掌握して、それを農業経営の面に十分に生かすということはなかなか困難な事情が幾多あると思いますが、たとえば観測体制等についても、今回一番激甚な被害を受けた北海道の網走支庁管内の北見市等においても、気象の予報を発表する、そういう格式がない。ですから、どうしても気象予報を北見の観測所において出せるような格上げをしてもらいたいとか、いろいろ適切な要望があるわけです。ですからこの際、気象庁として農業気象の分野についても十分な内容の充実を行なって、できるだけ農業気象観測の面からも、このような災害というものが繰り返されないように極度の努力をする必要があると思いますが、いかがですか。
以上、各省からそれぞれ的確な答弁を願います。
#161
○吉村説明員 災害等によります国民健康保険料の減免をいたしました場合に特別調整交付金を交付する仕組みになっておりますが、北海道の場合、市町村の減免の実態を見ながら特別調整交付金の交付につきまして考慮していきたいと思っております。#162
○高橋(清)説明員 お答え申し上げます。冷害を含めまして、災害を受けました中小企業者に対します対策は金融措置が根幹となっておりますが、この場合は先生御案内の商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫の三つの、いわゆる政府系の中小企業金融機関を使いまして特別の融資をしてございますが、現在この三機関には、災害を受けました場合には一般案件よりも迅速に処理するとか、あるいは必要に応じまして一件当たりの貸し付け限度を増額いたしますとか、あるいは返済期限を弾力的に延長する等々の優遇措置を盛り込みました災害の特別貸し付け要領が、現在この三機関にございます。北海道の冷害の場合も、過去におきましても、三十九年にはこの制度を使いまして六百四件、約五億円、また四十一年度の場合にも三百四十七件、約五億六千万円ほど、この特別貸し付け要領を使いまして、冷害を受けました中小企業者に対しまして特別の融資をしてございますので、私どもといたしましては、今後この三機関と十分連絡をとりまして、こういった措置につきまして検討していきたいと思っております。
#163
○大野説明員 芳賀先生にお答え申し上げます。ただいまの御質問の中に、網走方面に長期予報の格式がないのではないか、確かにそのとおりでございまして、長期予報の大部分は札幌管区気象台で行なっている状況でございまして、もちろんその資料は各地方気象台に流しているわけでございますが、しかし、この長期予報と申しますのは、やはり北海道の冷害といいましても、規模からいきますと、北半球方面の見方からしますとやはり二千キロ、三千キロというような大きな地球上の寒気の動き、そういうものがございますので、一地方気象台で、比較的人の少ないところでそういうものをマークすることももちろん大事ではございますが、比較的人のそろっている管区気象台でそういう北半球的な大きな視野からの見方、これはやはり管区気象台に置いたほうがいいのではないか、こういうふうに私どもは思っているわけてございまして、その大寒気の一部が北海道あるいは東北地方に触れて、そしてあのような大冷害を起こしたりあるいは軽微な冷害を起こすというようなものでございます。寒気の規模からいくとそういうもので、したがいまして、やはり人の比較的豊富な管区気象台が中心になりまして、さらに微に入り細にわたって、たとえば先生の申されました網走地区にもその旨を流すというふうな方法が最良ではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
それから農業気象は、北海道は、先生御案内のとおり全部展開済みでございます。これは実は道とかあるいは支庁と農業気象協議会というものをつくっておりまして、一週間に一回程度でございますか、資料をそのつどお流ししていて、それに基づきまして道のほうでいろいろな施策を整える。それからまた、その協議会の席上では随時長期予報を発表いたします。これは毎月二十日でございまして、協議会は、聞くところによりますとその翌日、二十一日に道の方々あるいは農林省の方々、関係各省とお打ち合わせをやっているわけでございまして、その席上長期予報の、一般に新聞に出る以外に、具体的に申しますと、一体この長期予報はどの程度の確信があるのかないのか、五分と五分なのか、あるいは七分と三分なのかというようなことまで突っ込んだ協議をやっておりまして、本年の春先からの異常気象に対応してそのつど御協議を申し上げているというのが現状でございます。
なお、低温に対する長期予報とはちょっと関係がないかもわかりませんけれども、幸い本年から釧路にもレーダーができまして、北海道に函館、札幌と合わせて三基できましたので、これを十分に駆使いたしまして、たとえば異常な低気圧が通ったあと大陸方面から異常な寒波が入ってまいりますので、そのレーダーもあわせて利用いたしまして、長期予報あるいは短期予報に寄与させたい、こういうふうに考えております。
それからもう一つ、短期的な見方でございますが、昨日もございましたが、寒波が入ってまいりますとやはり稲作に重大な影響がございますので、これも適時適切に、霜注意報というものも昨日実は発表いたしたわけでございますが、これも即座に道のほうに連絡しているというようなのが目下の状況でございます。
なお、長期予報の今後でございますが、やはりこの波乱含みの天気はこの秋も、あるいは初冬にかけても続くのではないだろうかということでございますので、とりあえず現在は凍霜害について最重点的に警戒をしているというのが現状でございます。
以上でございます。
#164
○福島説明員 地方税の減収補てん措置についてのお尋ねでございましたが、これにつきましては、冷害によります被害の状況と当該団体の財政事情を勘案いたしまして、特別交付税をできるだけ重点的に配分をしてまいりたい、かように考えております。なお、先ほど角屋先生から御質問がございましたが、被災地方公共団体に対する財政措置をどう考えておるかということについて、この機会にお答えいたします。
まず一点は、ただいま申し上げました特別交付税による措置でございます。それから第二点といたしましては地方債による措置でございますが、災害復旧事業に要する地方負担に対しましては、政府資金による地方債を充当することといたしまして、この地方債の元利償還につきましては、その一定率を地方交付税の基準財政需要額に算定することにしておるわけでございます。それから被災地方団体の当面の資金繰りといたしましては、普通交付税の繰り上げ交付を一定の基準によって行なっておる、こういうことでございます。
#165
○説田説明員 御指摘の学用品費等に対する給与の問題でございますが、御承知のように就学援助関係といたしまして、準要保護者の指定に対しましては、学用品費なりあるいは通学用品費、通学費、修学旅行費、また学校給食費、医療費、こういうようなものの補助を行なっておるわけでございますが、これは、市町村が給与いたしました場合に、その申請に基づきまして二分の一の補助をするということになっておりまして、御指摘の北海道の場合等におきまして、冷害等によってその準要保護者等に認定されるということになりますれば、これはその申請がございますならばそれに対する補助をするということになるわけでございまして、現在、予算的にも、そういう場合のことも考慮いたしまして余裕がございますので、その面の拡大は可能であると考えております。#166
○高石説明員 先ほど財務課長がお答えしたとおりに、給食費につきましても、先ほどのお答えのとおりの考え方で措置する予定でございます。#167
○中井委員長 それでは次、安井吉典君。#168
○安井委員 私、ちょっと党務で前橋のほうに行かなければならないので、時間がなくなりましたから、ほんのわずか、重点的に伺ってまいりたいと思います。まず第一に、沖繩臨時国会といわれる国会がいま目の前に迫ってきたわけでありますが、北海道の冷害対策について、この臨時国会で政府はどういう措置をしようとお考えなのか。つまり、法律措置それから予算措置ですね。臨時国会を目ざしての準備というものはあるのかないのか、どういうふうに進んでおられるか、それからまず伺います。
#169
○大河原説明員 お話の、臨時国会を目途に予算措置、法制措置についてはどういう取り進め方をしておるかというお話でございますが、これにつきましては、ただいまも芳賀先生からるる全般の対策について御質問ございまして、現段階のわれわれのこれについての対策の進捗状況なり考え方についていろいろお話し申し上げたわけでございますが、各種の助成措置を伴うものあるいは救農土木事業というようなものについては財源措置を要する。これは災害でございますので、予備費等の措置でも従来の例によりますとやっておる例もございますが、場合によれば、財源あるいはその経費規模の関係で補正予算でまかなうというような問題もございまして、これらは中身が確定次第、それぞれ取り扱うということでございまして、いずれにいたしましても時期を失することはないようにいたしたいというふうに考えております。法制措置等の問題につきましても、きょう先ほども御質問がございました天災融資法その他の措置については、法制措置を要するものもございますので、具体的な、たとえば限度問題等については、これらがもしも前向きな結論が出れば当然早急にこれを措置するというようなことでございまして、それぞれの対策の結論を早急に急ぎまして、国会審議を要するものについては時期を失することがないようにというふうに取り進めておるところでございます。
#170
○栗山説明員 総理府のほうといたしましては、農林省と十分な連絡をとりまして、農林省との相談の上で、必要な措置がございますれば必要な措置をとりたい、かように存じております。#171
○安井委員 主計官おられますね。補正予算はいつごろまとまって、国会提出はいつごろの御予定なんですか。#172
○山口説明員 補正予算について検討しておりますことは御承知のとおりだと思いますが、いつごろこれをまとめるかという点についてはまだ結論を得ておりません。#173
○安井委員 時間がありませんからあまり深く詰めませんけれども、私心配しているのは、いま国の財政でも相当な財源の落ち込みがあって、相当多額の国債発行というような形でまかなった今後の補正予算措置だ、こういうことになりますと、北海道の冷害対策、これはさっきの災害対策も同じだと思いますけれども、措置がおくれて通常国会の補正ということになると、そう財源の見込みがないのではないか。今度は国債発行で相当多額な措置をされるが、また補正予算でたくさんの国債ということになるかならないか、これはわかりませんが、しかし、なかなかむずかしい面もあろうと思うのですね。だから、そういうふうな意味合いからも、できるだけ早く総理府にしても農林省にしても作業を急いでいただいて、補正予算が一回出て、そのあと追加でもいいから、とにかく臨時国会の中で相当できるものは処理する、こういうかまえてやってもらいたい、こう思うわけです。ですから、先ほどの芳賀代議士から詳しく質問のありました天災融資法あるいは激甚災法の指定等も、そういう問題を含んで急いでいただきたい。これは要望みたいになりますけれども、現実のお金がつかなければ何もならぬわけですから、そのことも含んで作業を急いでいただきたいということをひとつ申し上げておきたいと思います。それから、農家が各種の資金を借り入れすることによって新しい再生産の道を開かなければならぬというのは当然でありますが、それはさっきいろいろお話がありましたから省略いたしますが、所得政策という側面からいうと、これは冷害対策はたいていいつも同じなんですけれども、私は三つあると思うのです。第一は、できるだけ現金収入をふやすということ。そのためには少し品位の悪いものまで政府が買い上げてやる、とれた米をできるだけ政府が買い上げてあげるということで農家所得をふやすという方法が一つと、それからもう一つは、農業共済金をできるだけ適正に、もっと率直にいえば多額に農家に渡るような仕組みをとってあげる。これもただのお金ですからね。これが第二。それから第三は救農土木事業、救農事業で賃収入を得させてあげる。この三つが所得政策という上から大事ではないかと思うのです。
その問題について、先ほどの御答弁では、規格外品の買い上げについても、もう少しかま入れが行なわれて調製が進んでからというふうに、比較的のんびりしたお考えのようですが、実はその調製の作業の段階においてどこまで政府が買ってくれるのかということを農家は知りたいわけですよ。それによってだいぶ作業が違うわけですから、そういうような意味合いでこの時期はもっともっと早くならぬかということが一つ。
それから共済金の問題については、私もこの間回ってみたら、盛んにいま被害調査をやっています。全農家が出て、水田一枚ずつ丁寧に見ています。それの共済連合会による地ならし作業等も行なわれています。そこでいつも問題になるのは、その損害評価がふるい一・七ミリということで比較的厳格で、とにかくお米でありさえすればみんなとれたことになる。ところが、農家の感覚からいえば、青米だとか、それからことしは特にいままでなかりたような被害粒があるわけでありますが、そういうのは政府が買ってくれないということになると、被害調査ではとれたことになっているが実際はそれはお金にならないのだ、その差額をどうするのだという問題がいつも出るわけですね。これについては農林省のほうは、被害率の修正等の措置も考えるというふうな言明も別な機会にございましたけれども、その作業もやはり急ぐ必要があるのではないか。この点どうなっているかということ、これが一つ。
それからもう一つは、救農土木事業といいますか、その問題についてはいつもの場合と今度の場合とはちょっと違うわけですね。それはいままでは農家の経営でも、特に北海道の場合は馬がたくさんいて、馬の作業なんかで農家の所得がずいぶん確保されたわけです。そういうようなことと、それからもう一つは、出かせぎというような問題が一般化したということです。そういうふうな要素を考え合わせながら救農土木事業をやらないと、へたすると失敗するのじゃないかという点もあるわけであります。ですから、最近の農業労働者は老人やそれから婦人の作業が多いわけですから、そういうような人たちが就労できるような機会をつくってあげることが一つ大切だということと、それからもう一つは、単価があまり安過ぎますと、それならどこかへ出てしまったほうがいいという――実際は少しぐらい高い出かせぎ賃金でも、現実の最終所得というようなことになるとそうじゃないので、地元で働いたほうがいいのですけれども、そういうようなこともあるものですから、救農事業に対する単価は、先ほどは三省協定賃金、こういうふうなことでありますけれども、もう少し農村の現実の賃金実勢をもっと考慮した単価を考える必要があるのではないか。それからまた、その作業内容につきましても、地元に密着した作業内容を選択する。それは私は、国の事業、都道府県の事業、それからまた市町村の事業という中で、市町村が独自に計画をして創意くふうをこらしたような仕事、そういうようなものも相当部分ふやすべきではないか、こういう考え方を持っています。
規格外の買い入れの問題と共済金の問題と、救農事業の問題、ちょっとそれぞれお答えをいただきたいと思います。
#174
○森説明員 規格外の規格の設定の早期化、こういうお話であろうと思います。いまさっき芳賀先生の質問の中にもございましたから、出回りの実態ということを申し上げたわけでありまして、われわれは、一体どういうものが北海道のこういう冷害の中で出てくるかということは、長年の経験上、検査官がたくさんおるわけですからわからぬとは申しませんけれども、その年々によって、災害の条件によって変わることは、これまた事実なんです。青米の問題も出ましたけれども、青も生き、青も死に、青も、規格外は非常に幅が広いわけですが、その年々のあらわれ方によって――これは私どもは食糧を買っておるわけでありまして、それを食糧として売れなければまた困るわけでございますから、その辺はやはり出回りの実態がわかるころと申しますと十月の半ば過ぎ、こういうことなんでございます。ですから、それがいろいろな手続等がございまして、大体十一月の初めごろが通念になっておる、こういう考え方でございますけれども、先ほど申し上げましたが、極力その実態を私ども、検査官等をして早急に把握させるということが急務であろうと思って、いまやらしておる次第であります。#175
○板野説明員 共済の関係についてお答え申し上げます。共済におきます損害評価につきましては、いま先生も御指摘のように、損害評価の方法といたしましては、一・七ミリの縦目ぶるいにかけまして、それに残ったものを収量というふうにするのが通常の例でございます。ただし、一・七ミリのふるいに残りましても、非常に低品位米が多くて政府の買い入れ対象にならないというふうなものがある場合におきましては、買い入れ対象にならないから全部無価値だというわけにもまいりませんので、精白いたした場合の歩どまりを見まして、その歩どまりの低下分につきましては減収として追加して見る、こういう扱いをしているわけでございます。したがいまして、こういう特別措置を講じますにあたりましては、政府の買い入れとの関係もございますので、その関係を見まして特例措置の作業をやるということにしておるわけでございます。
#176
○住吉説明員 ただいま救農土木についての御質問でございましたが、先生からお話しございましたように、冬場の北海道の仕事といいますのは、馬がなくなり、馬そり客土がなくなりまして、非常に困難でございますが、ただいま先生お話しございましたように、老人、御婦人の方々もできるような単純な土工仕事というようことを考えていきたいと思っております。単価につきましては、先ほどお話しございましたように、この協定の単価を変えるというわけにはまいりませんが、機械で施工するようになっておりましたのを単純な人力で施工できるというような方法を考えまして、この救農土木の所得補てんという趣旨から、できるだけ現金収入を得られるというような方向ではかってまいりたいと思っております。また農林省といたしましては、既定事業を拡大していくという方向でこの事業を考えておりますので、先生御案内のとおり、土地改良事業は申請事業にもなっておりますので、町村の意にまかしてやるというわけにはまいらないのでございますが、ただいま御指摘ございましたように、被災農家の分布と既定事業の分布というような点のそご等もあろうかと思いますので、現在新規地区を新しく採択していくこと、新しく事業を採択していくことと採択条件を緩和していく、そういうような方面で、できるだけ実態に即応した方向で内部的に検討を進めておるところでございます。
#177
○安井委員 まだお答えが私の希望するようなものになっていないのですが、先ほど前向きにというお答えがありましたけれども、けさも理事会に説明をされました北海道議会からの要望書もございましたけれども、自殺者も出ているという悲惨な実態にこたえられるような対策を出していただきたいと思います。そこで、国税の問題ですが、農業所得税、ことしの場合はほとんど税金はかからないだろうと思います。しかし、北海道は経営面積が大きいわけですから、全国のほんのわずかの農業所得税の大部分を占めてきているのが現状でありますだけに、かかる可能性も一部の農家にはないともいえません。
それから共済金の問題、農家のほうでは素朴な要求として、農業共済金などに税金を取るのはおかしいじゃないか、共済金から税金を取らないでくれ、こういう要求もあるわけです。一方、生産調整奨励金については一時所得扱いとか若干の優遇措置もある。何にもしないで遊んでいたほうが優遇措置があって、それなら共済金だって当然何かあっていいじゃないか、こういうわけであります。
それからまた、経営が大きいものですから、明年度への損失繰り越しの問題もあるわけですね。その際におきまして、一般的な繰り越しは認められても、いわゆる専従者控除の繰り越しは認められないといういまの仕組みでありますけれども、専従者控除というのは、農民に対する給与なんだから、それがことしはなかったのだとすれば、これも繰り越しが認められても当然じゃないか、こういう要求もあるわけです。きょうは税制一課長がお見えでありますけれども、ひとつ伺いたいと思います。
#178
○高橋(元)説明員 お答えいたします。ただいまの先生の御質問の中の第一点でございますが、北海道の農業が今回冷害に際しまして受けられます被害につきましては、国税庁執行当局におきまして、いまその実情を十分調査をいたしておるということでございますし、予定納税の減額承認制度の活用をはかってまいりたい、こういうことで対処してまいりたいと考えております。
第二点の御質問でございますが、農業共済の共済金を非課税にすべきであるという御意見であろうかというふうに承ったわけでありますが、現在の損害保険金の取り扱いにつきまして、税法上では二つに分けて考えております。たなおろし資産、農業の未収穫の農作物もたなおろし資産に相当するわけでございますが、そういった将来売られるべきものの損失について補てんを受けた場合には、これは事業所得に算入をいたす。つまり、それは将来得られる収穫代金にかわるべき性質のものでございますから、これは収穫代金と同様に取り扱うということで事業所得に算入をいたすことにしております。これは農業に限らず、すべての営業について同様でございます。なお、農業共済の掛け金、それから種苗費、肥料費、日雇い人費、そういった各種の経費につきましては損金に算入いたす、そういうことで共済金の課税について取り扱っておりますが、これは一般の損害保険の場合と同様の税法の基本的な思想でございます。
それから第三点でございますが、冷害に際して農作物その他のたなおろし資産の災害による被害というものは、この四十六年の純損失の中で、被災事業用資産の損失部分は三年間繰り越しの制度があるということは、御承知のとおりでありますが、純損失を計算していきます際に、農業所得から純損失があった場合も白色の専従者控除の加算を認めるべきであるという御趣旨かと思いますが、これは青色の専従でございますれば帳簿上明確に給与として支払われておるということでございまして、この場合には、青色の専従者給与の支払い額というものが明年以降三年間繰り越しが認められるわけでございますが、白色の専従につきましては、御承知のように一人当たり十七万円とはなっておりますけれども、純所得の額を、専従者プラス一、本人でございますが、一を加えた数で割りました金額が十七万円に達しない場合にはその金額にするというふうになっておりまして、所得がゼロの場合には白色の専従の控除というものはないというたてまえでございます。これは青色の申告のように事業の収支を帳簿上明らかにしていただくということで、税務上給与の支払いが確実であるということが認められる場合に限って専従控除を認めるという法の趣旨からの制度でございますので御了承願いたいと思います。
#179
○安井委員 時間が十分ありませんから、ひとつきょうは問題提起だけにしておきたいと思います。それからもう一つ、税金では地方税で住民税、国民健康保険税の減免措置は、これはいまでもきちっとあるわけですが、固定資産税については徴収猶予という仕組みがあっただけだと私は記憶しておるわけですが、そうではないですか。だとすれば、農家で一番痛いのは、市町村民税はそれほどのウエートがなくて、固定資産税なんですね。そういうような意味合いで、ことしの場合は何とかこれも住民税、国民健康保険税並みの措置ができないか、こういう要求もあるのですが、いかがですか。それから補てん措置の問題もあわせて。
#180
○石川説明員 地方税の問題についてお答えいたします。固定資産税につきましては、固定資産が災害によりまして被害を受けるあるいは価値が減少するという場合に限って減免の措置をすることが適当であろう、こういう考え方の上に立っておりますので、原則的には私ども減免の措置をとることは適当でない、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、冷害等によりまして著しく担税力を失っている、こういうような場合におきましては、減免の措置をとることも考えられ得るという考え方に立っておるわけでございます。なお、減免につきましては、先ほど調査官のほうからお答えいたしましたように、特別交付税で被害額を基準といたしましてその中に含めて措置することにいたしております。
#181
○安井委員 私はもっと幅広い意味での減免措置という――減免措置は幾ら市町村長やってもいいんですけれども、補てんが伴わなければこれはどうにもならぬのであります。かつての冷害のときを見ますと、市町村に行くと、やはり独自で、固定資産税についてもその分作によって減免措置をやっているのですよ。ただ、住民税については補てん措置はあるが、つまり自主財源で固定資産税の減免措置をやっているのですよ。それを見ますと、やはりこれはもう少し国の立場からも考える必要があるんじゃないか、こういう気がするものですから、ちょっと申し上げたわけであります。それから最後に、恒久対策として、けさの要望書の中にたくさんありますけれども、北海道のことしのような深刻な冷害、凶作という洗礼の中から今後の北海道の農業をどうするかということも、これは非常に大きな課題であろうと思うわけであります。もう例外中の例外――これはだじゃれみたいになりますけれども、そういうものとして私どもは受けとめているわけです。たとえば、しおかりなんという品種は、この前の災害のときにはこれだけは実ったのです。だから、あのきびしい災害の中で実った稲ですから、それを奨励品種で盛んにやっていたところが、ことしはそのしおかりというのが最大の被害の主人公になってしまった。こういうことからいって、例外中の例外ということばもあるいは当たるのかもしれませんが、いずれにいたしましても、これから先の北海道農業の方向というものについていろいろ考えなければならぬ段階だと思いますが、きょうは農林大臣も開発庁長官も来ておりませんから、そういう大きな点をお答え願うわけにもまいりません。
そこで、私はことしの場合も、いわゆる基盤整備事業、これが完全に行なわれたたんぼと、それからまだ全然行なわれていないたんぼと二つ並んでいて、その整備が行なわれたものはやはり被害が少ないですね。そういう実態を農村の中で見ています。ですから、いわゆる土地基盤整備事業というようなものは、恒久対策としても北海道の冷害対策としても非常に重要だなという感じを受けるわけでありますが、その点ひとつ最後に開発庁のほうからお答えをいただきたいと思います。
#182
○山田説明員 お答え申し上げます。ただい左先生から御指摘がございましたように、土地基盤整備事業を十分にやった場合に、今回の場合に非常に冷害に対して顕著な効果があらわれていたように考えるがどうかという点でございますが、全般的に詳しい調査はまだいたしておりませんけれども、私どものほうの担当者等も現地へおもむきましていろいろ調査いたしました範囲では、確かに、特に基幹排水事業でございますとか、あるいは暗渠排水等をやったところにおきましては、従来の冷害の場合に非常に大きな被害を受けました、いわゆる湿害と申しますか、そういうような被害を受けましたジャガイモでございますとかビートでございますとか、そういったような根菜類などは今度は非常に発育が良好であるというような実情を承知しておりますので、御指摘のように北海道の土地基盤整備事業は、北海道の今後の根本的な冷害対策として一そう力を入れていかなくてはならぬものだと考えております。
#183
○中井委員長 本日はこの程度にとどめます。次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十五分散会