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1971/10/15 第66回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第066回国会 災害対策特別委員会 第7号
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1971/10/15 第66回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第066回国会 災害対策特別委員会 第7号

#1
第066回国会 災害対策特別委員会 第7号
昭和四十六年十月十五日(金曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 中井徳次郎君
   理事 天野 光晴君 理事 内海 英男君
   理事 進藤 一馬君 理事 細田 吉藏君
   理事 米田 東吾君 理事 北側 義一君
   理事 合沢  栄君
      小沢 一郎君    坂元 親男君
      中村 拓道君    羽田  孜君
      別川悠紀夫君    村田敬次郎君
      千葉 七郎君    辻原 弘市君
      内藤 良平君    芳賀  貢君
      美濃 政市君    相沢 武彦君
      伊藤惣助丸君    瀬野栄次郎君
      津川 武一君
 委員外の出席者
        総理府総務副長
        官       砂田 重民君
        内閣総理大臣官
        房参事官    高橋 盛雄君
        北海道開発庁総
        務監理官    山田 嘉治君
        大蔵省主計官  山口 光秀君
        厚生省社会局保
        護課長     藤森 昭一君
        農林政務次官  伊藤宗一郎君
        農林大臣官房技
        術審議官    遠藤 寛二君
        農林大臣官房参
        事官     大河原太一郎君
        農林大臣官房参
        事官      内藤  隆君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        農林省農林経済
        局金融課長   渡邉 文雄君
        農林省農林経済
        局保険業務課長 川村 文雄君
        農林省農林経済
        局統計調査部長 中沢 三郎君
        農林省農林経済
        局統計調査部作
        物統計課長   福島 武雄君
        農林省農政局長 内村 良英君
        農林省農地局参
        事官      住吉 勇三君
        農林省畜産局長 増田  久君
        農林省畜産局参
        事官      斎藤 吉郎君
        農林水産技術会
        議事務局研究参
        事官      川井 一之君
        食糧庁業務部長 森  重弘君
        林野庁指導部長 松形 祐堯君
        中小企業庁計画
        部金融課長   高橋  清君
        運輸省港湾局防
        災課長     日下  宏君
        気象庁長官   高橋浩一郎君
        気象庁予報部予
        報課主任予報官 大野 義輝君
        気象庁海洋気象
        部長      今井 一郎君
        労働省職業安定
        局事務指導課長 関  英夫君
        労働省職業訓練
        局訓練政策課長 山口 政治君
        建設省河川局次
        長       川田 陽吉君
        建設省河川局水
        政課長     伊藤 晴朗君
        建設省河川局防
        災課長     生瀬 隆夫君
        建設省道路局企
        画課長     井上  孝君
        自治省財政局財
        政課長     近藤 隆之君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月四日
 辞任         補欠選任
  小宮 武喜君     寒川 喜一君
同月十一日
 辞任         補欠選任
  貝沼 次郎君     伊藤惣助丸君
  鈴切 康雄君     北側 義一君
同月十五日
 辞任         補欠選任
  卜部 政巳君     美濃 政市君
  中村 重光君     芳賀  貢君
  小川新一郎君     相沢 武彦君
同日
 辞任         補欠選任
  芳賀  貢君     中村 重光君
  美濃 政市君     卜部 政巳君
  相沢 武彦君     小川新一郎君
同日
 理事瀬野栄次郎君同日理事辞任につき、その補
 欠として北側義一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 台風第二十三号、第二十五号、第二十六号及び
 秋雨前線豪雨による災害に対する政府の措置並
 びに局地激甚災害指定基準の改正について
 北海道における異常低温等による災害対策
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○中井委員長 これより会議を開きます。
 まず、おはかりいたします。
 理事瀬野栄次郎君から理事を辞任したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 引き続きまして、理事の補欠選任を行ないます。先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○中井委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長は、北側義一君を理事に指名いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○中井委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます。
 まず、北海道における異常低温等による被害状況調査のため、去る十月六日から四日間、北海道に委員派遣を行ないましたので、現地に派遣されました委員から報告を聴取いたしたいと存じます。天野光晴君。
#6
○天野(光)委員 去る十月六日から四日間、北海道における異常低温等による被害状況調査のため派遣されました委員を代表して、調査の概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、中井委員長をはじめ自由民主党の進藤一馬君、私、天野光晴、公明党の貝沼次郎君、民社党の寒川喜一君及び日本共産党の津川武一君の六名で、ほかに地元選出議員の御参加を得、現地の実情をつぶさに調査してまいりました。
 調査団は、六日、道庁当局、道議会、道町村会、道農協中央会等から被害の実情及び要望事項等について説明を聴取した後、同日から九日にかけ、空知支庁管内の奈井江町、上川支庁管内の名寄市共和地区、朝日町及び上川町を、また網走支庁管内の北見市相内地区、遠軽町等でそれぞれ水稲の被害状況を視察、また網走支庁管内の生田原町、置戸町、十勝支庁管内の足寄町、大樹町及び中札内村等においてアズキ、大豆等畑作物の被害状況を視察し、それぞれ関係団体及び農民から切実な要望を聴取してまいりました。詳細につきましては、道、支庁、市町村、関係団体からの資料等を委員長のお手元に提出いたしておりますので、それらを御参照いただくこととし、以下取りまとめて重点的に御報告いたします。
 北海道では、四月下旬から五月上旬にかけ、札幌の平均気温が五・一度、帯広で三・三度、網走で二・三度を記録、五月五日には道北に二十センチメートルから四十センチメートルの積雪を見、六月十三日には全道が凍霜に襲われ、旭川で三・五度、帯広で二・四度の最低気温を記録、七月中旬の平均気温が旭川で十六・二度、網走で十三・五度、さらに同月十六日から二十五日にかけての日照時間が各地とも平年の二〇%前後という状態で、八月の中旬には最低気温が十度を割るという日が続き、北見でも、上川でも朝夕ストーブなしでは生活できないという、北海道開拓以来初めてという異常気象が続いたとのことであります。
 これがため、水稲及び畑作物等に大きな被害を受け、道当局の調査によれば、九月十五日現在、水稲で約五百十億円、畑作物で約二百四十億円、あわせて約七百五十億円の激甚な被害を見、さらに九月下旬の悪天候により被害額は増大している状態であります。
 まず、水稲の被害状況について申し述べます。
 水稲は、初期の生育おくれとともに、七月中旬の類例のない異常低温と日照不足が冷害危険期と合致したため、多くの品種が低温障害を受け、障害型となり、多量の不稔の発生を見ております。さらに八月中旬の低温により、開花及び米粒の充実がおくれ、遅延型冷害を併発、北海道全体としては作況指数五七というものの、道東、道北では収穫皆無の地域も多くあり、かりに収穫はあっても黒蝕米、奇型粒等品質がきわめて悪く、深刻な状況を呈しております。
 視察いたしました空知支庁管内の平均作況指数は五九で、被害額は約百八十億円、上川支庁管内では四七で、被害額は約百六十七億円、網走支庁管内で一・四、被害額は約三百七十一億円が見込まれております。特に激甚な被害をこうむった北見地方では背たけ三十センチぐらいの稲が穂をつけてはいるものの、白茶けたもみの中には米粒は一つもなく、緑色が残っているもみの中も空洞で、実をはらむ見込みもなく、共済金をもらうため、検査が終わるまで実のない稲をそのままにしている状態であります。空知及び上川地方でも稲穂をたれている稲はほとんどなく、穂先のもみはほとんど不稔で、わずかに穂元に実りかけたもみがある程度であります。上川支庁管内、旭川、名寄の食糧事務所支所の十月五日現在の統計によれば、出荷米のうち三〇%が不合格で、合格米七〇%のうち三等米が三%、四等米が二三%、五等米が七四%という状況で、特に品質の低下が著しいとのことでありますが、これでも、道の平均からいえばいいほうだとのことであります。
 次に、畑作物の被害状況について申し述べます。
 畑作物、特にアズキ、大豆等は、六月十三日の降霜により、上川、十勝、網走地方を中心に被害が発生、再播、補播が行なわれ、七月中旬以降の低温、日照不足、多湿の悪天候により、生育がおくれ、開花がばらばらで、開花数も少なく、草のできも劣り、加えて八月中旬の低温と日照不足により着莢が少なく、さやの伸長、肥大が著しく劣り、道南地域の主生産地では降霜をこうむる危険があり、再播種等を行なったアズキの収穫はほとんど期待できず、大豆も大豆矮化病の被害が多発しております。
 視察した網走支庁管内では、アズキの平均作況指数が八で大豆が一一と潰滅的で、畑作物の被害額は約六十四億円にのぼり、十勝支庁管内でもアズキ二七、大豆三九ときわめて悪く、被害額は約九十七億円が見込まれております。生田原町及び置戸町の豆類は、葉、茎は一応生長しているものの、さやそのものが未成熟で、中の実はわずかに一個か二個が豆の形をなしているという状態であります。十勝支庁管内の大樹町及び中札内村では特にアズキの被害が激甚で、草の未成熟の上に降霜による被害が発生、葉も茎も枯れ、収穫せずにそのまま耕うん機ですき込む農家も多いとのことであります。
 なお、このほか、酪農地帯において牧草の生育が悪く、質も低下、越冬用の飼料の不足が懸念され、バレイショ、てん菜、トウモロコシ等についても比較的冷害は少なかったようですが、品質の低下は免れない状態であります。
 北海道庁当局から、二十一項目にわたる要望事項を、また市町村をはじめ関係各団体から同趣旨の要望を受けてまいりましたが、それらの内容につきましては、一々の説明を省略させていただき、特に必要と認められる諸点について所見を交えて申し述べたいと思います。
 まず第一は、水稲の被害の認定を早急に行ない、農業共済金をできるだけ早く支払うよう措置すべきであります。また、共済損害評価にあたっては、本年の異常な冷害の実態を十分に勘案した損害評価の特例を設けるとともに、規格外品の政府買い入れの措置を早急に講じ、これらの方策を有機的に駆使して、被災農家の窮地を救済すべきであります。また、豆類につきましても、検査規格に下位等級を設ける措置を早急に行なうべきであります。
 第二は、生活資金を得るための救農事業を早急に実施すべきであります。救農事業の実施にあたっては、地域の実情に応じ、農道、林道の整備、排水溝の改修、土地改良等、規模を問わず、種類を多くし、高齢者、婦人等も含め一家総出で収入が得られるよう配慮し、賃金は一日二千五百円程度を保障することを要請しておきます。また、道、市町村の財政負担をできるだけ軽減し、特に市町村に対して十分な技術援助等を配慮すべきであります。
 第三は、農家に対する金融措置についてであります。天災融資法及び激甚法の適用は一日も早く行なうべきであります。また、天災融資法の経営資金の貸し付け限度額の引き上げについてはかねてから強い要望があった問題でありますが、この機会に、現在の諸情勢に見合った金額に引き上げるべきであります。できるだけ早い機会に、政府から改正案を提出するよう要望しておきます。
 なお、自作農維持資金の災害特別ワクの貸し付け限度額の引き上げ、制度資金の償還猶予等についても特別な配慮を行ない、融資手続の簡素化等についても検討されんことを要望しておきます。
 また、農家の固定負債の整理についてでありますが、北海道の農家は経営規模が大きく、平均して一戸当たり約二百五十万円の負債を負っているとのことであります。これが、一たび災害に見舞われると影響はまことに甚大で、すでに自殺者も出ておる状態であります。制度的にもきわめてむずかしい問題もあろうかと思いますが、これが救済について真剣に検討すべきであります。
 第四は、中小企業者対策についてであります。
 北海道では、商店等中小企業者が農家所得に依存している程度はまことに高く、すでに売り上げも約二割減という状況とのことで、年末には被災農家に対する貸し金の未回収が多額にのぼることが予想され、冷害の影響は、中小企業者にとっても、まことに深刻なものがあります。政府関係金融機関に冷害特別ワクを設け、資金の確保及び貸し付け限度額の引上げ、償還期限の延長等の措置を早急に講ずべきであります。
 そのほか、再生産用種子の確保、越冬用飼料の確保、本年度産米予約概算金返納に関する特例措置、米生産調整奨励金精算払い及び協力費の早期支払い、飯米の確保、国営土地改良事業負担金の徴収猶予、土地改良資金の全額融資、一級河川にかかる土地占用料の減免、国民健康保険事業の助成、被災地方団体に対する特別交付税、起債等についての特別な配慮、要保護等の児童生徒援助費の補助金の増額及び育英奨学生採用ワクを特別に増加して割り当てること、農業気象観測、通報施設の整備について要望がありましたが、特に地域的な問題として、岩見沢測候所の気象台昇格、北見気象通報所の測候所昇格、十勝地方に寒冷地畑作のための試験研究機関を設置されたいとの要請を受けてまいりました。
 今年の北海道の冷害は、明治以来まれに見るきびしい異常気象でありました。しかも、この冷害が、米の生産調整、農産物の自由化という問題のさなかに発生、農民の不安はつのり、離農、過疎化は一段と進み、まことに深刻な状態であります。
 政府は、今回の北海道の冷害対策にあたって、道庁及び市町村並びに関係団体の要望に対して積極的な措置を講じ、被災農家の気持ちになって、きめこまかな施策を早急に実施すべきであります。しかし、基本的には、北海道の農業が、わが国における主要な食糧基地として重要な役割りを持っていることを再認識し、農民が安心して就業できる、農業政策を確立することが必要でありましょう。
 最後に、今回の調査に御協力いただいた関係各位に心から謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
#7
○中井委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。
 派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。
#8
○中井委員長 この際、台風第二十三号、第二十五号、第二十六号及び秋雨前線豪雨による災害に関し、その後政府においてとった措置並びに局地激甚災害指定基準の改正について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長官砂田重民君。
#9
○砂田説明員 台風二十三号等の災害、これにつきまして、激甚災害の指定をいたしました件並びに局地激甚の災害指定基準の緩和、改正をいたしましたので、この件二件について御報告を申し上げます。
 政府は、昭和四十六年台風第二十三号、第二十五号及び第二十六号並びに九月一日から十三日までの断続した豪雨による災害を激甚災害として指定することといたしまして、昨十四日政令第三百二十九号をもって公布、施行をいたしました。
 この激甚災害に対しまして適用すべき措置としましては、農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例、水防資材費の補助の特例、農地及び農業用施設等小災害に係る地方債の元利補給等の四つの各措置でございます。
 次に、局地激甚の災害指定基準の改正をいたしましたことについて御報告をいたします。
 激甚災害の指定基準につきましては、当委員会でもしばしばお取り上げをいただいて御検討をいただいたことでございます。また、従来から中央防災会議の事務局におきましても検討を進めてまいったのでございますが、最近頻発いたします災害の実情等を考慮いたしまして、今般市町村を対象とした局地激甚災害指定基準に関しまして、公共施設災害復旧事業にかかわる基準を緩和いたしまして、去る十一日中央防災会議において決定をいたしました。
 その内容は、従来、市町村の公共施設災害復旧事業の査定額が当該市町村の標準税収入の二倍をこえる場合、激甚災害として指定することができるということになっておりましたものを、標準税収入をこえる場合に指定できるというふうに改めたものでございます。すなわち、いままでは査定額が標準税収入の二倍をこえたものでなければ局地激甚の査定を受けられなかったのでございますけれども、査定額が標準税収入そのものをこえた場合には局地激甚の指定をするということに改めたわけでございます。
 これの適用は本年一月一日以降発生いたしました災害に対して適用することといたしておりますことをつけ加えて御報告をさせていただきます。
#10
○中井委員長 これにて政府からの説明は終わりました。
     ――――◇―――――
#11
○中井委員長 北海道における異常低温等による災害対策について調査を進めます。
 質疑の申し出がありまするので、順次これを許します。美濃政市君。
#12
○美濃委員 まだ北海道の最終被害額は出てきていないと思うのでありますが、政策の進め方として、すでに私どもの予想では九月十五日の被害額を上回るだろう、こういうふうに考えておるわけでありますが、第一に天災融資法の適用、それから激甚災害法に基づく災害の指定、それからすでにもう北海道からも各農業団体からも、経営規模が非常に拡大されておるので、これらの資金の限度額の引き上げ、これが要請されておるわけですが、この作業がどこまで進んでおるのか、現在におけるその見通しについてまず説明を願いたいと思います。
#13
○砂田説明員 お尋ねの件でございますが、中央防災会議が農林省から聞いておりますところは、北海道の冷害については激甚法第八条、すなわち天災融資法の特例の適用が予想をされますので、現在被害額の集計を急いでおりますという報告を農林省から中央防災会議としては聞いております。そこで、農林省の集計作業の終了を待ちまして、できるだけ早い時期に激甚の指定の件を検討したい、かように考えております。
 数字については、ただいま先生がおっしゃったような数字を私どもも聞いているところでございます。
#14
○小暮説明員 ただいま総理府からのお答えがございましたように、また農林大臣がこれまでの審議を通じても申し上げておりますが、今回の北海道の冷害につきましては、九月十五日現在の作柄を見ましても天災融資法の発動を考慮すべき災害状況であるというふうに判断されますので、そうした基本的な方針のもとに作業を進めるようにというふうに指示を受けております。ただ、御承知のように、内地の一部にも冷害の様相がございます。北海道につきましても、さらに遅延型の被害がこれに積み重なるということの可能性もございますので、十月十五日現在で実施いたします農林省の統計調査部の被害調査結果、これの把握を待ちまして、できるだけ急いで諸般の手続を進めたいというふうに考えておる次第でございます。
#15
○美濃委員 天災融資法の限度額の引き上げについては、いまどういう準備を進めておるか、これは経営面積が拡大されておりますから、いま確たる何ぼまで引き上げるという答弁は得られなくても、当然もう準備してこの臨時国会に法改正を――先ほどの本委員会の調査報告にも引き上げる必要があるという調査報告が行なわれておるわけです。これらとの関連は、いま腹がまえとしてどう考えておるか、また限度額の引き上げの方針がきまっておるかどうか、その状況と、法改正を臨時国会提出の腹がまえでおるかどうか、それをちょっと伺っておきたい。
#16
○小暮説明員 この問題につきましては、今回の北海道冷害に対する対策の一環として検討をいたしております。ただ、現行の貸し付け限度額が農家経済の現状に照らしてどのような形にあるか、さらに今次の災害についての農家経済の実態、これは概況としてはわかるわけでございますけれども、実際にこれを把握いたします責任者としての北海道庁からの事情の聴取を急いでおる段階でございます。
#17
○美濃委員 次に、自作農維持資金につきまして、これももう限度額を引き上げなければ、ワクはきめても適用されないという現況にあるわけですが、この関係の作業はどうなっておるか。
#18
○住吉説明員 お答えいたします。
 自作農維持資金につきましても、十月十五日の統計調査部の調査結果、これが大体十月十五日現在でまとめられるようになっておるわけでございますが、この結果によりまして災害ワクの設定ということを検討する方向で進めております。
 なお、貸し付け限度額の引き上げにつきましては、被害の状況とか資金需要の実態というような農家個々の調査が非常に必要でございますので、この点いま道庁のほうへ督促いたしまして鋭意調査中でございます。道庁のほうも、現在のところ非常に急いで調査中でございますが、先ほどの調査結果とも関連がございますので、今月中にはぜひ調査結果をまとめたいというように言っております。道庁からの報告のあり次第、前向きで検討してまいりたいというように考えております。
#19
○美濃委員 この災害で制度資金の償還延長についての措置、この方針を承りたいと思います。
#20
○小暮説明員 今回の冷害によって被害を受けられた農業者は、これまでにさまざまの制度資金を借り入れておるわけでございます。その既存の制度資金借入金の償還が今回の冷害によって当面困難になっておるという状況が確認されますものにつきましては、農林公庫資金につきましては、すでに公庫総裁に、被害農業者の実情に応じて貸し付け条件の変更を行なうことについて、具体的な準備をするようにということを申しております。
 それから農業近代化資金につきましても、これは法定の融資期間の範囲内においてなお若干の年限を残して貸し付けておるのが通例でございます。これらのものにつきましても、必要に応じ、法定の範囲内で償還期限を延長いたしました場合には、当然国が利子補給を行なうという考え方でございまして、これらの点につきましては関係機関にも十分周知徹底させて、いたしております。
 なお、公庫資金あるいは近代化資金、改良資金、さまざまな資金を同一の農家が借りておる場合があろうかと思います。これらのものを一括処理するということができますれば農家の側としては便利かと思いますけれども、各資金ごとに原資も異なりますし、融資機関あるいは融資目的、制度の目的が異なりますので、すべてを一括することはできませんけれども、少なくともそれぞれの制度ごとに手続を可能な限り簡素化するということにつきましては、ただいま具体的な検討を急がせております。
#21
○美濃委員 検討されておる方向ですが、償還年限延長の方式でないと、過去において償還猶予をして、残存償還年限に一年分を、何といいますか元金を割り込んで償還をさした。この場合、受託機関もまた貸し付け機関も、端数ができて利子計算にも非常に事務の過重という問題が著しいわけなんですが、これはやはり一年間償還年限を延長するということで検討してもらわなければ実情に合わないと思うのですが、この点はどうなっておりますか。
#22
○小暮説明員 先ほども申し上げましたように、法定の範囲内で期間の延長の可能なものも多々ございます。全部というわけにはまいりませんけれども、そういうことを考慮いたしまして、できるだけそうした方向で措置するように努力いたしたいと思います。
#23
○美濃委員 金融の問題につきましては、御答弁にもありましたようにまだ最終被害額はきまっておりませんので、本日の段階ではこれ以上はやむを得ないと思いますが、ひとつ極力実情に合うように、早急に決定されるように要望申し上げておきます。
 次に、農産物の規格問題でございますが、まず最初に食糧庁にお伺いしたいと思いますが、下位等級の買い入れ基準、これはもうできるだけ早く決定するようにかねがね要請をしておるわけですが、それはどうなっておるのか。それからもう一つは、豆類その他の農産物の下位等級の設定、この二件について現在までにお考えになっております状況を説明していただきたいと思います。
#24
○森説明員 お答えいたします。
 北海道の今回の冷害対策の中で低品位米の買い入れの問題につきまして、その実態把握に懸命の努力をいたしておりますが、例年に比しましてその出回りが十日ないし二週間程度おくれておるようであります。そこで、私どももいま現地に専門官を派遣いたしまして現物の収集をやって、これが主食になり得る程度につきまして目下検討中でございますが、なるべく早く今回は規格外米等を買い入れる方向で検討しておる段階でございますから、その技術的な問題もありまして、なるべくならば今月中には告示の段階までこぎつけたい、こういうことで努力中でございます。
 なお、豆類等の問題の下位等級の設定の状況でございますが、豆類の作柄も非常に悪いということでございますから、その作柄の低下の状況に応じまして、下位等級もずいぶん出るであろう、こういうことも予想されますから、本年のその実情と関係者の意見を考慮しながら、臨時特例として規格その一に五等を設置することといたしまして、エンドウにつきましては十月の十三日に告示を行ないまして、また大豆だとかあるいは小豆、インゲンにつきましては目下事務手続中でございまして、今月の二十日ごろあるいは若干延びるかもしれませんが、改正の告示をいたすような気持ちでいま努力をいたしておる次第でございます。
#25
○美濃委員 次に、これは飼料確保の対策、これは畜産局だと思いますが、この冷害によって量の低下と質の低下を来たしておりますが、飼料確保対策はどこまで進んでおるか、状況の説明を願いたいと思います。
#26
○増田説明員 お答え申し上げます。
 これは前々から越冬用の飼料確保につきましては道庁と緊密な連絡をとって万全を期したいということを申し上げておりまして、道庁の被害状況あるいは需要の実態、そういうものの報告、調査を待っているわけでありますが、調査が若干ずれてまいっておりまして、これがきょう付あるいは二十日ごろということに相なるのではないかという連絡をいまいただいているわけでございますが、その具体的な報告をいただきまして具体的な措置を講じてまいりたいと思っております。特に地元からいろいろの要望がございますけれども、政府としてやはり一番具体的にできますことは大麦の払い下げ、これが現在政府が現実に管理いたしておるわけでございますので、これにつきましては調査の結果を待ちまして具体的に措置していきたいと思っております。
 それからビートパルプ、これにつきましては、三十九年も四十一年もそうでございましたが、これは現地にあるわけでございますので、道庁の道の事業として実施するようにということで、これは道といま緊密な連絡をとっているわけでございます。
 なお、ふすまにつきましては、現在政府の手持ちというものは全然ございませんので、これは具体的にちょっと何ともいたしかねる、こういうのが現状でございます。
#27
○美濃委員 飼料対策につきましては、いわゆる飼料が質の低下をしている、あるいは量的に減収したという二つの原因から、ただいまのような措置が行なわれるにしても、その購入に対するいわゆる資金を必要といたしますから、特に質低下についての損害把握の措置が不十分でありまして、農林省においてもこれから畜産経営は拡大されるわけでありますから、十分質低下に対する損害額の把握ということに努力されまして、それらの購入代金が、災害資金が適用されるような措置について万遺憾なきを期してもらいたいと思います。これは御注文だけ申し上げておきますから御答弁は要りません。
 それから次に、救農工事の実施につきまして、過般北海道新聞を見ておりますと五十二億円、これは閣議決定して、国の事業できまったというような新聞を見たわけでありますが、この事業は所管別にどうなるか。農林省と建設省にまたがるのではないかと思うのですが、所管別あるいは事業内容――概要でよろしゅうございますから御説明願いたいと思います。
#28
○住吉説明員 ただいま救農土木事業の内容につきましての御質問でございましたが、農地局関係の救農土木事業の内容につきましてお答え申し上げます。
 冷害によりまして被害を受けられました被災農家の方に就労の機会を与えるという目的で、農業基盤整備事業の中でこの救農土木事業を考えたわけでございますが、既定予算の中から、事業費で十三億一千七百万円をこの救農土木事業に充当するように考えております。そのほか、補正予算におきまして追加計上しておるわけでございますが、このうち事業費で四十一億一千万円をこれに充てることといたしまして、総額でおおむね五十四億円をこの救農土木事業に充当する考えでございます。
 なお、補正予算で計上しておりますこの事業の一部につきましては、被害農家の実態等考慮いたしまして、採択の基準とか地区採択とか、こういうことを弾力的に運営いたしまして、この救農土木事業の趣旨に沿うように実施してまいりたいというふうに考えております。
#29
○川田説明員 建設省関係についてお答えいたしますと、特に建設省といたしましては救農土木事業と銘打った特別の項目は起こしておりませんが、今度の補正予算を組む過程におきまして、北海道開発庁当局と十分打ち合わせいたしまして、そうした点も加味いたしまして、北海道関係といたしましておおむね百三十七億円の補正予算の計上を昨日閣議のほうで決定いただいたというふうに了解しております。そのほか、四十四年の災害復旧を特に繰り上げて実施するということで、北海道関係におきまして、補正予算で約三億六千万円ほど追加する、こういう措置も講じております。
 以上でございます。
#30
○美濃委員 以上のうち、概要でけっこうですが、賃金収入はどのくらいになる見通しですか。事業費はお聞きいたしました。問題は賃金収入ですから……。救農工事ですから、賃金収入部分――ただいま御説明をいただいたうち大体どのくらいの賃金収入が得られるか。
 それと、御説明を願うときに、一日当たり何ぼで見込んでおるか。
#31
○住吉説明員 この救農土木事業につきましては、道庁からの要望といたしましては、一般農家の方は五〇%以上被害を受けられた農家、開拓農家におきましては三〇%以上の被害を受けられた農家という方を対象にいたしまして積算の基準を設けましてはじいておるわけでございますが、これによりますと、約二十億円程度の賃金を確保する必要があるのじゃないかというように、道庁の積算ではなっております。この道庁の要望について、道庁と打ち合わせまして、農地局関係の救農土木事業も、先ほどお答え申し上げましたような準備をしたわけでございます。
 なお、個々の賃金につきましては、この救農土木でやります事業といたしましては、何ぶん冬場の事業でございますので非常に制約を受けますが、客土事業とか農道事業とか圃場整備事業――主として農道等の事業になろうかと思いますが、ただいまの御趣旨にもございましたように、なるべく人力施行できるようにいたしまして、被災農家の現金収入を極力はかっていく方向で実施をしてまいりたいというように考えております。
 一日当たりの労賃につきましては、これはいろいろ積算の準備がございまして、ただいまお話しました工種によりまして労務者の賃金がきまっておるわけでございますので、これらを勘案いたしまして、ただいまの作業内容に合わせまして、なるべく人力で、現金収入がはかられるような設計、積算で実施してまいりたいというように考えております。
#32
○美濃委員 建設省の関係、わかる範囲で……。
#33
○川田説明員 お答えいたします。
 特に救農土木事業ということで労務費の算出はいたしておりませんが、災害復旧工事について申し上げますと、おおむね二五%の労務費になっております。そこで四十四年災の特に繰り上げた分三億六千万円のほかに、四十六年度発生災害が約十六億円ほどございますので、二十億円ほどの災害復旧が北海道で実施されることになりますが、二五%の労務費率をかけますと、約五億円の労務費ということになっております。補正予算全体につきましては、事業費目が道路、治山治水、都市計画、住宅、全部入っておりまして、ちょっと正確な数字はただいまお答えできません。
#34
○美濃委員 次に、厚生省見えておりますか。――北海道は不幸にして連年災害も続いておりますし、被災農家のうち、そう多くの戸数にならぬと思いますが、生活保護の適用が農家の自立を助長するためにどうしても必要な面が出てくると思います。この点について、厚生省はどう考えておるか。特に、適用の基準の考え方について御説明を願いたいと思います。
#35
○藤森説明員 お答え申し上げます。
 生活保護法は、制度の性格といたしまして、貧困におちいった原因のいかんを問わず無差別平等にこれを保護する、こういう考え方でございますので、今回の災害につきましても、その災害なるがゆえに特別な措置を講ずるということは、制度上困難かと思います。
 しかしながら、この制度の運用上の実際について申し上げますと、たとえば資産保有の面につきましても、田畑等の農地の考え方につきましては、保護を要する状態になったかどうかを判定する場合には、北海道の一般地域の平均保有面積あるいは稼働人員等の実情を勘案して、その保有が適当と認められるものについてはこれを認めるというふうな考え方をとっております。あるいはまた牧草地等につきましても、地域の一般低所得階層の保有している面積等を考えまして、それとの均衡を失しない限りその保有を認めていくという考え方をとっております。事業用のその他の資産につきましても、同様の考え方をとっております。したがいまして、内地と違いまして営農規模の大きい北海道の実情につきましては、ただいま申しました配慮の中で、制度の運営上十分反映できると私どもは考えております。
 また、収入につきましては、農業災害補償法の共済金等の収入が与えられることになると思いますが、これらにつきましても、それらの収入を世帯全体の収入というふうに見ないで、これに必要な肥料代であるとか、種苗代あるいは薬剤費等の必要経費は、その収入から控除いたしました上で収入として認定する、こういう措置をとっております。
 なお、天災融資法等の貸し付け金の償還の問題につきましては、先ほどもお話がございましたけれども、私どもとしましては、制度上可能な限り免除とかあるいは償還の猶予等を講ぜられるべきものと思いますが、それらが不可能な場合には、生活保護法上も、これらは収入から必要な償還金は必要な経費としてこれを落とし、その残りを収入として認定するというふうな措置をとっておるわけでございます。したがいまして、今回の被災農家のうち、不幸にして生活保護にたよらざるを得ない農家があった場合にも、その将来の自立助長のためにこれらの措置をもって十分な措置を講じ得る、このように考えております。
 なお、これらの実施につきましては、北海道当局がこの保護の第一線の機関になるわけでございますけれども、北海道とは事前に十分連絡をとりながら、今後発生し得る事態に十分対処し得る措置をとっておるところでございます。
#36
○美濃委員 もう時間が参りましたので、最後に――。
 自治省の方、来ておりますか。――すでに予想される被害額は甚大でありまして、これが及ぼす市町村の財政への影響、あるいは市町村事業で行なう救農工事等が今後予定されるわけですが、これらに対して自治省はどういう考え方と対策方針を立てておるか、これを説明願いたいと思います。
#37
○近藤説明員 今度の災害に際しまして、地方団体にそれが及ぼす影響ということになりますと、まず、救農土木事業の地元負担の問題があろうかと思います。補助事業の地元負担につきましては、今回の補正予算関連の財投計画の修正ですでに措置済みでございます。単独事業につきましては、現在道庁あるいは政府部内と協議しつつ、そのワクをどの程度にするかということを詰めておる最中でございまして、所要額の一〇〇%起債充当を予定いたしております。
 それからもう一つ、冷害に伴いまして税の減免あるいは固定資産税の徴収猶予というようなことも生じようかと思いますけれども、それらの点につきましては、その他の冷害に伴う市町村の財政需要の増大とのからみ合いにおきまして、市町村の財政事情を見きわめつつ特別交付税等で措置していきたい、このように存じております。
#38
○美濃委員 申し合わされた時間が参りましたので、非常に短い時間で煮詰めをすることができませんでしたが、災害地域は、調査報告にもございましたような状況でございますから、どうかひとつ早急に、少なくとも今月中にすべての諸対策を完了してもらいたいと思います。
 以上申し上げまして、質問を終わります。
#39
○中井委員長 次に、相沢武彦君。
#40
○相沢委員 質問時間が限られておりますので、御答弁のほうはひとつ簡単に、要領よくまとめてお願いをしたいと思います。
 最初に基本的な問題からお尋ねしますが、六十数年ぶりという今回の北海道の大冷害は、米の過剰による生産調整という中で発生したという、これまでの冷害にない特徴があると私は思います。また、これを機会にしまして、いわゆる北限の米は不要であるというようなことで、北海道の稲作への風当たりも非常に強まるでしょうし、また、円切り上げに関連しまして農作物の自由化がいまクローズアップされておりますけれども、自由化予定品目に含まれている雑豆やビート類あるいはチーズ、牛乳などは北海道の基幹作目であるだけに、今後の成り行きによっては、北海道農業というものが根底からゆすぶられるのではないかということを心配いたします。
 そこで、今回の冷害に対しましては、単に当面の緊急対策だけに終わることなく、こうした北海道農業の現状というものを見詰めた上で、いわゆる日本農業における寒地農業の進路というものを政府としてはこの際明確にすべきであると私は思います。何よりも私が主張しておきたいことは、農林省当局が北海道農業の位置づけというものを、日本の遠隔地における食糧基地としてきめて、しかも地理的あるいは自然条件に伴いまして寒冷地として適合した農業を確立する必要性がある、こういうことを十分認めていながら、いまなお、わずかに幾つかの北海道向けの対策を加味した程度で、全国農政の中の仕組みにとどめているということでは、もうだめだということを言いたいわけです。
 先日から農水委員会あるいは災害対策委員会で現地調査に参られましたけれども、本州から参加された委員の中からも、現地を見られて、北海道はやはり全国規模の立法の中だけでは無理だ、どうしても特殊立法が必要じゃないかということを話されておったそうでございますけれども、この際、北海道の寒地農業開発法というような立法を制定するお考えはないかどうか、その点を確かめておきたいと思います。
#41
○内村説明員 お答え申し上げます。
 北海道が日本の食糧基地として非常に重要であるということは先生のお説のとおりでございまして、過去におきましても、農林省といたしましては、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法あるいは北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法といったような特別立法をつくりまして、北海道農業の振興をはかってきたわけでございます。
 そこで、今後それでは北海道の農業発展のために特別立法をするかどうかという点につきましては、御承知のとおり、現在総合農政におきましては、地域の特性に応じて農業の振興をはかることといたしまして、農業生産の地域指標を作成して、これに基づいて生産を誘導するとともに、農業振興地域の整備に関する法律に基づき、地域の特性に十分配慮した農業振興地域整備計画を作成することになっております。したがいまして、農林省といたしましては、北海道庁が北海道の寒冷地農業の実態を十分踏んまえた上で、北海道の農業振興地域整備計画をつくっていただいて、それを援助していくということで当面対処していきたいというふうに考えております。
  〔委員長退席、米田委員長代理着席〕
#42
○相沢委員 いろいろお考えであるということはわかりますが、どうかその作業を一そう進められて、この北海道農業確立のために、寒地農業に適した立法化に一日も早く当局は踏み切られることを強く要望しておきたいと思います。
 次に、北海道の米作に対する農林省の方針について確認をしておきたいのでありますが、これまでの審議におきまして、大臣からも、今回の冷害と稲作転換とはからめない、寒冷地ではあらゆる土地の改良、品種の改良を進めて稲作は進めていく、しかし生産については五十二年までには現在の七割強に引き下げる、こういう趣旨のことを言われております。
 そこで考えられますことは、米の生産施策が続くきびしいこの情勢の中で、いわゆる米作不安定地帯に対する風当たりがきびしくなるということは当然予想されることでありまして、農林省としてもまた道のほうも、この地帯に対する米作を酪農あるいは畑作に転換していくというのが基本方針のようであります。そこで、北限地帯の米作農家は、今回の冷害というものは、九州も一部冷害があるということを聞きましたけれども、非常に例外中の例外というような状況でありまして、こんなことはめったにあることではない、現在の技術をもってすれば、この寒地のいろいろな悪条件は克服できるのだ、こういうことを言っております。それで、特にこの不安定地域の農家の人たちが言うことは、これまで北海道こそ日本の食糧基地である、そういうふうにおだてて、借金で土地改良を進めさせてきて、いまさら米づくりをやめろというようなことを言われては、これはもう自殺する以外にない、こういう強い反発を示しているわけですが、今後の技術指導で、こういった北限地帯、米作不安定地帯においても米作は可能なのかどうか、水稲は可能なのかどうか、その点の見通しをどのように当局は考えておるのか、その点を確認しておきたいと思います。
#43
○内村説明員 お答え申し上げます。
 北海道の主要な稲作地帯は、申し上げるまでもなく北緯四十二度以北の寒冷な地帯でございまして、特にことしのような七、八月に低温が参りますと、ちょうど稲の幼穂形成期や出穂期に当たるものでございますから、非常にひどい被害を受ける。さらに、十月の初めに霜がございますと、ちょうど登熟期末期に当たりますので、これがまた稲作に影響を与えるということで、内地の他の地域の稲作に比べますと、確かに不安定な要素があることは事実だと思います。
  〔米田委員長代理退席、委員長着席〕
 しかしながらその反面、申し上げるまでもなく北海道の稲作というものは、一戸当たりの経営規模が非常に大きいということ、さらに機械化が進んでおりまして、生産性が非常に高い日本の農業の中において、国際競争力を持ったような農業ができる可能性が非常に多いところであります。したがいまして、農林省といたしまして北海道の稲作をやめてしまうということは全く考えておりません。しかも上川、空知というような伝統的な北限の稲作地帯というものもございます。したがいまして、農林省といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、昨年十二月につくりました農業生産の地域指標というものにマッチして、北海道の稲作につきましても、北海道における適地適産の推進ということの中で、いろいろ土地改良あるいは品種の改良、栽培法の改良等について、十分前向きな施策を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#44
○相沢委員 北海道内における適地適作を進めれば、やはり不安定地帯というものは、米作から酪農あるいは畑作へ切りかえてほしいという要望がどうしても道内でも高まるし、また、そういう方向に進まざるを得なくなるということなんですが、今回の冷害地帯を見ても、同じ冷害の被害を受けたにしても、米作農家と畑作農家ではその痛手の度合いが違うということです。これは行かれた方たちはみんな同じように感じられたと思うのですが、何回も主張されておりますように、この点から考えても、共済制度のない畑作を主体とする農家こそ今回の冷害の直接の被害者ではないか、こういうこともいわれております。特に北海道の場合は、農家面積の七五%が酪農と畑作の地帯であるということから考えても、農林省は、もっと北海道における畑作の重要性を考えて、いわゆる畑作共済というものを早急に制度化すべきではないか、こう思うわけです。
 果樹については、四十八年度から実施の方向にあるといわれておりますけれども、北海道農業の特殊性ということ、また適地適作の実現をはかるというならば、当然北海道の畑作転換を優遇するという、この環境整備ということにもっともっと力を入れるべきだ。北海道に対しては、金融制度についてはマル寒制度ですか、こういった制度をやっておるわけでありますが、現時点における適切な措置の一つとして、少なくとも北海道の主要畑作である大豆、アズキあるいはバレイショ、こういったものに対してまず共済制度を制定する、その後これは全国各地における畑作物を含めて検討した上で、総合的な畑作共済制度を確立していく、これによって冷害その他の災害の被害を補償し、経営の安定をはかる、こういう方向で進むべきである、こう思うのでありますが、この点についての御答弁をいただきたい。
#45
○小暮説明員 御指摘のように、米麦あるいは一部の畜産物については、農災制度がそれぞれ動いておりますけれども、畑作物にはございません。現在果樹についての研究はほぼ終わりましたので、できるだけ早い機会にこれを本格実施したい。
 その次に、実はビニールハウスの問題をどのように制度化しようかという研究が続いておるというのが実態でございまして、畑作の問題につきましては、すでに十年に近い調査研究をいろいろな形で繰り返しておりますけれども、残念ながら今日のところ、まだ具体的にこれを制度化できるという自信がございません。これは率直に申し上げざるを得ないと思うのです。一つには、個々の畑作物ということでとらえようといたしますと、御承知のように、年次間の作付変動が非常に極端でございまして、水田を把握しておれば全体の姿が把握できる米のような形にまいりません。したがって、共済制度の一つのポイントは、年次的にと申しますか、時間的に危険分散する、いい年と悪い年とで危険分散をするという要素があるわけですけれども、むしろいい年、悪い年をいろいろ選択したり逆選択しながら、生産者が作付をどんどんふやしたり減らしたりすればいいんですから、そういう関係でなかなか時間的分散が仕組めない。それから数量変動が非常に極端なものが多くて、基準数量のきめ方に非常に当惑する。それからこれらのものを全部のみ込んで、とにかく一つの仕組みに組んでみようということで、さまざまな試算をいたしますと、逆に危険率が高いために掛け金が非常に高くなってしまう。国庫負担ということで、これをどこまで軽減するかという判断はもちろんございますけれども、少なくとも農済制度という形で組もうといたしますと、基本的な点はやはりそういう危険の分散あるいは基準的な数量の把握、これに基づいての掛け金率が共済という名に値するようなものとして仕組めるかどうか、こういう点でございまして、その点では実はさまざまの暗礁に乗り上げておるというのが実態なんです。ただ、私どもといたしましては、御指摘のような趣旨は十分痛感いたしております。
 それから問題を北海道だけに限るのかどうか。内地につきましても、稲作転換というような政策との関連で、たとえば豆類をできるだけもう一ぺんやってみようというようなことがございます。これらのものも含めまして、地域農業の振興という角度から何とか制度を仕組めないかということで、思いを新たにしてまた調査に取り組んでおるというのが現状でございます。
#46
○相沢委員 行政サイドからいろいろむずかしい問題点はあろうかと思いますけれども、やはり生産調整また適地適作を実現するためには、どうしても主要農産物の価格補償制度の実現と同時に、この畑作共済というものは実現しなければならない政策の一つでございますので、鋭意検討中ではあろうと思いますけれども、どうか重要課題でありますので、早急に実現されるように、さらに御努力願いたいというように思います。
 それから特に北海道において冷害が起こるたびに強く訴えられている固定負債の処理の問題につきましてお尋ねしますが、今回のような激甚災害の現状から考えますと、各種の緊急対策、これと並行して、この固定負債の処理について何らかの対策が今回は講じられなければ、実のある冷害対策にならないのではないか、こう思うわけです。構造改善あるいは規模拡大という国の政策に協力して、北海道の場合は水田をかなり増田しまして、十五年間に約十万ヘクタールふえておりますけれども、各農家はこの経営規模拡大のために、土地の取得、その他土地改良の自己負担金あるいは機械購入費、そういったものを含めて、先ほどもお話がありましたように、平均で二百五十万、多いところでは一千三百万からの負債をかかえ込んでおる。農林省としては、昭和三十四年から三十六年までと、昭和四十二年から四十三年までの間に、自作農維持資金の融資によって解消に努力してきたということですが、九月二十日の農水の審議のときにも大臣おっしゃっていましたが、この自作農維持資金でのやり方ではもう限界に来ている。そこで、負債の状況についてできるだけその実態を把握して措置したい、こう御答弁されております。当局としては、ではいつまでにこの負債の実態を把握するのか、その後どう手を打ったのか、そこをまずお聞きしたい。
#47
○小暮説明員 固定化負債の問題は、ただいまも御指摘の中に出ましたように、これまでも、二十八年、二十九年、三十一年と、この三回の冷害を受けて消化が困難になりましたものの実態を把握して、昭和三十四年から三十六年にかけて五十五億ほど自創資金に肩がわりするということをやりました。それから三十九年、四十年、四十一年と、この三カ年間のいわば連続被害、これに基づいて、焦げつきになりましたものを三十二億四千七百万というふうに把握して、四十二年、四十三年の二が年間で自創資金に肩がわりするというようなことをいたしたわけであります。今回の冷害と申しますか、むしろその後の事情を申しますと、四十二年、四十三年は、二年間連続して比較的よい年が続きまして、かなりの農家経営余剰を生じましたが、四十四年がまたあまりよくない。そこへ今度の冷害というかっこうになってきておるわけでありますが、しかしいま申しましたように、過去の負債を五十五億、三十二億、合計八十七億自創資金に肩がわりいたしております。
 その後の姿につきましては、いま申しましたような二カ年間農家経営余剰を生じた年のあとにまた若干の被害があり、今回の大きな被害になったという形でございますので、今回の冷害対策としての天災融資その他当面の措置が済みましたあとで、これらの負債について詳細に実態を調査したい。これは決してその調査をおくらせるという意味ではございませんで、若干説明になりますが、制度資金については、もちろん先ほど申しましたように、返せないものを何とか据え置き期間あるいは期間の延長というような形でそこをしのぐ形を国がくふうするわけでございますが、それ以外にまだ償還期限のきていない前向きの負債があるわけです。それから現にこれから償還期限のくるものもある。それから実は不良債務化しているものもあるという実態でございまして、個々の農家について、かりに借り入れ金が百万、二百万というふうになるところまでは達観して把握できても、その中の前向きのものと、それからここ一、二年のうちに償還期限の形で、まさに今回の冷害との関連で焦げつきという形になるものとの仕分けの問題がございまして、過去二回の例でも、この調査にはかなりの労力と時間を実は必要としております。これらの点につきましては、適期にその調査をいたしたいというふうに考えますが、いまの短期の緊急の措置と同じようなテンポで進むものでないことを御了解いただきたいと思います。
#48
○相沢委員 ただいまの御説明は了解できますが、実態を検討したならば、直ちにこれまでも言われておりますような負債のたな上げあるいは金利の引き下げあるいは償還年限の延長、こういった具体的な方針を必ず打ち出すのかどうか、この辺をはっきりしてほしいと思います。収穫皆無の被害を受けた北限地帯農家の人たちは、あれだけの被害を受けながらまだこれからも米づくりはやめない、こう言い切っているわけです。多少離農する方は出るかもしれないけれども、ほとんどは米づくりはやめないと言っております。なぜか。これまでの借金を返すのには米づくり以外に方法はないのだということです。この辺のところをやはり十分に考えて取り組んでいただかなければならないと思います。御答弁いただきます。
#49
○小暮説明員 前に大臣からもお答えがございましたように、どのような方法でやるのが適当であるかについてもなお研究を要すると思いますけれども、必要な措置についてはこれをくふういたしたいというふうに考えております。
#50
○相沢委員 被害農産物の等級設定と買い上げにつきましては、先ほどもお話がございましたが、現在例年よりも十日から二週間おくれて刈り入れ、出荷が始まっておりますが、実際に集荷してみると、思ったよりも稲作指数が非常に大幅に下がっておる。しかも低品位米がかなり多く出そうだというような現状でございます。新聞報道によりますと、上川郡東神楽町は、十二日現在で二千六百四十二俵の出荷のうち、四等が三百六十一俵、残りは五等米である、収穫量は当初の指数よりも一、二割下回る、こういう現状ですし、また中富良野農協関係も、千八百六十俵出荷してほとんどが四等米、五等米、収量も当初見込み指数よりも一〇%下がる、こういう現状でございまして、五等以下の規格を設定して買い上げてもらわなければどうしようもない、こういう声でございます。
 そこで、食糧庁のほうでは四十四年度の青米混入の買い上げ事例を参考にしながら今後の米の出回りを見て考えたい、こういう方針のようでありますが、農林大臣は徳用米の基準を考慮することも政治的な配慮としてはあり得る、こういう発言をされておりますが、この辺の調整はどうなっているのか。
 それから、災害規模の設定を何段階に分けるのか。全量買い上げという非常措置を講ずる方向で検討はされておるのか、この点をここでお答えいただきたい。
#51
○森説明員 お答えいたします。
 先般までは、私どものほうで通常の冷害のタイプを考えますと、青未熟混入規格外がほとんど大半であろう、こういう想定をいたしておりました。しかしながら、今日の段階におきましてややその出回りの実態が明らかになってまいりましたが、お話しのように、茶米等の混入が多い、あるいは胴割れが多い、こういう現況になってまいっております。現在、私どもの専門家をば派遣いたしまして、それを分類、いろいろ調整をいたしております。したがいまして、ただいまお尋ねの、私ども食糧管理といたしましては主食用になる限度しか買えませんから、それはどの辺の規格に相当するかについて、いわゆる胴割れなりあるいは茶米等の混入の度合いの限度というものをどの辺の規格の中で検討したら、それがただいまお話しのように徳用米に沿う精米になり得るかということで目下鋭意検討中でございます。したがいまして、いままで私どもが申し上げておりました青未熟混入よりもむしろそっちのほうの量的な出回りがあるいは多いのではなかろうかと想像をいたしておる。そこに重点を置いていま技術的に検討しておる段階でございます。
#52
○相沢委員 次に、被害農家の生活保障対策について若干お尋ねしたいのですが、冷害農家の現金収入の道を切り開くための早期の実施が望まれております救農関係事業ですが、もうすでに道からの具体的な実施計画が立てられて政府当局と相談がなされたと思いますが、先ほどもお話がありました、道のほうとして組んでいる総事業費約十九億円、この土木事業の対象となる人たちは、一般農家で五〇%以上の被害を受けた方、開拓農家で三〇%以上の被害を受けた方、こうなっております。いただいた資料には、被害が三〇%から五〇%の農家が約二万八千戸あるわけですが、この中で四〇%から五〇%の被害農家はどのくらいあるのか。こういう人たちが全然救農土木事業の対象とならない場合に一体どうなるのか。政府当局も、どこかで線は切らなければならないわけでありますが、被害が四〇%から五〇%の人たちに対する何らかの対策がもう少し考えられないのかどうか、ここのところをお尋ねしたいと思います。
#53
○住吉説明員 ただいまの御質問でございますが、先生御質問のとおり、一般農家は五〇%以上の被害、開拓農家は三〇%以上の被害というようになっておりますが、私ども道庁のほうから聴取いたしました説明によりますと、それを基準にいたしまして大体二万三千九百戸ぐらいの農家がおられる。そのうち他に就労の機会のある方を引きまして、救農土木事業で就労の機会を与えなければならない方を約一万三千戸と考えまして、そしてなお被害の状況によりまして九〇%以上の被害を受けられた方は百日くらい就労する必要があるのではないか。七〇%以上の方は八十日以上、そういうようなこまかい積算をいたしまして、労賃の見込み額といたしまして約二十億円くらいの救農土木事業を予定する必要があるのじゃないか、こういう道庁からの積算の基礎になっておるわけでございます。
 ただいま先生からお話がございましたが、これによりまして、農地局といたしましては、農業基盤整備事業の中から既定事業をこれに振り分けるもの、あるいは補正予算で新たに救農土木事業としてこれに割り当てるものというような準備をいたしまして事業のワクを予定しておるわけでございますが、これに就労される方は――先ほどのは積算の基準でございますので、これに就労される方は、たとえ被害が僅少な方でございましても、現金収入が必要で、就労の機会が必要な方は、五〇%以下の方をはばむというようなことはございませんので、就労機会の必要な方は喜んでこの事業で就労して現金を得ていただくというように考えておりますので、一つの算定基準でございまして、この事業には喜んで吸収して働いていただけるというように御理解いただきたいと思っております。
#54
○相沢委員 さらにお尋ねしたいのですが、稼働の対象には、被害農家の婦人も稼働できるような配慮がされているかどうか。
 それから建設省のほうにお尋ねしたいのですが、いまのお話ですと、九〇%以上の被害を受けた方に対しては満度百日の稼働を考えている。そうしますと、十二月から始まって一、二、三月でございますが、特に上川、空知方面は、積雪の多いところは約一メートル五十から一メートル八十ぐらいになると思いますが、その問いま考えられている河川の改修とかあるいは砂防施設、それから農道、暗渠排水あるいは抜根作業、こういったものは冬季間はちょっとできなくなるといったことで、こういった積雪地帯に対しては、除雪作業もこの救農土木事業の中に含めて考えてはどうかと思うのですが、この点についての御見解を承りたい。
#55
○住吉説明員 ただいま婦人、老人も就労できるようなことを配慮しておるかというような御質問の趣旨と承りましたが、先ほど申し上げましたように、冬場の北海道の作業というのは非常に困難でございますが、道路工事の中でも切り土、盛り土、砂利の敷きならしというような比較的単純な労務作業を予定しておりますので、婦人、老人の方々も就労の機会を得られるように設計、内容その他において十分考慮してまいりたいと思っております。
#56
○井上説明員 お答えいたします。
 北海道におきます道路の除雪作業につきましては、先生御承知のように最近非常に機械化が進んでおりまして、あまり人力を要しない実情になっております。したがいまして、御指摘のようにこの冷害対策の救農事業としてどのくらいこの除雪に雇用の増大を期待できるか、実はあまり多くを望めないのじゃないかというふうに率直に考えております。しかしながら機械化でございますから、オペレーターが主体になりますけれども、これにやはり相当の助手をつけたりいたさなければなりません。したがいまして、御質問の趣旨にどのくらいお役に立てるか、北海道開発庁あるいは現地の当局とさっそく打ち合わせまして、除雪の雇用の実態、それから雇用を増加させるのにどの程度の可能性があるか、さっそく打ち合わせをいたしたいと思っております。
#57
○相沢委員 極度の被害によりましてこれ以上営農を続けることができない、どうしても離農せざるを得ない、こういう離農を希望する農家が若干は出るかと思いますが、それに対して負債の整理あるいは就職あっせん、それから就業訓練の強化充実、こういったことを今回の場合はあらかじめ予測して各関係省と相談し合っているかどうか、それをお伺いしたいと思います。
#58
○内村説明員 お答え申し上げます。
 北海道におきましては、昭和三十六年以降毎年七千戸ないし一万戸の離農農家がございます。今次の冷害によってどの程度離農農家がふえるだろうかということは、現在のところまだ数字がわかりません。
 そこで、ただいま御指摘がございましたが、過去におきましても、離農を希望する農家に対する施策としては、農業者年金制度による離農給付金の支給あるいは開拓者に対する離農補助金の支給等を行なっているわけでございます。他産業への転職を希望する農家に対する施策は、労働省の施策になるわけでございますが、現在まで、たとえば職業紹介活動の充実とか、あるいは御承知のとおり離農訓練等もやっております。
 そこで、北海道の冷害の問題につきましては、現在、特に出かせぎ等にどういう影響があるのかということが農林省といたしましても非常に関心がございますので、労働省とよく連絡をとりながらいろいろな施策を講じたいというふうに考えております。
#59
○関説明員 お答え申し上げます。
 今次の北海道の冷害によりまして不幸にして離農せざるを得ない方々につきましては、ただいま農政局長のお話にもありましたように、農林省関係あるいは市町村、そういったところと十分連絡をとりまして、その情報といいますか、あるいは離農の意向を早期に把握することにまずつとめたいと思っております。その上で、私どもで農村人材銀行あるいは離農転職者の相談員制度、こういったものをやっておりますので、そういうものを活用しますとともに、公共職業安定所の農村巡回相談、こういったものを強化いたしまして、離農希望者に対します親身な相談活動、こういうものを充実してまいりたいと思っております。
 それからまた、離農、転職訓練とかあるいは離農します方の特別の援助金制度、こういうものもございますので、そういったものを十分活用いたしまして、他産業への円滑な就職あっせんにつとめてまいりたい、かように考えております。
#60
○相沢委員 冷害被害に伴う中小企業の救済措置につきまして若干お尋ねしたいのですが、北海道の地方都市の場合は、ほとんどが周辺農業経済の動向によって影響を受けますので、特に中小商工業の今回の冷害に伴う販売額のダウン、あるいは売り掛け金の回収が低下する問題、さらにはサイトの延長等、こういった点が非常に心配されておりますが、道のほうでも年末融資等の支援体制、これを真剣に考えておるようでございます。中小企業庁のほうも、これまでの冷害以上に何らかの救済措置をお考えになっているのかどうか、この点を伺いたいと思います。
#61
○高橋(清)説明員 お答え申し上げます。
 災害を受けました中小企業に対しましては、返済期間の猶予でございますとか、あるいは一件当たりの貸し出し限度等につきまして優遇措置を内容といたしました災害の特別貸し付け制度が政府系の中小企業金融機関、すなわち中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金にございます。この災害の特別融資制度は、北海道の冷害の場合も、たとえば昭和三十九年の場合にも約六百件、金額にいたしまして三億四千万円ほど、また四十一年の場合にも約五百件、五億六千万円ほど融資してございます。したがいまして、こういった制度もございますし、また過去にも実績もございますので、この災害に関します特別制度について早急に検討を進めていきたいと思っております。
 さらに、先生御指摘の道との関係でございますが、一般的な景気浮揚対策と申しますか、それに関しましては、毎年の例にならいまして三機関で年末補正をいたしますので、そういった資金の活用も考えていきたいと思っております。
#62
○相沢委員 最後に、気象庁のほうにお尋ねしたいのですが、北海道の農業に対する的確な気象予報、これは北極圏における歴史的な、また長期的な観測が重要だ、こういわれております。しかし、現状ではその周辺の観測網について昭和八年以前の資料がないということが非常なネックになっているということを聞いておるのですが、この歴史的な検討のおくれ、これに対して今後気象庁としてどういうふうな対策で臨んでいくのか、また体制をとろうとするのか、この点を伺いたい。
#63
○高橋(浩)説明員 ただいまの点についてお答えいたしたいと思います。
 長期予報は特に農業関係で非常に重要なものでございまして、この面につきましても、気象庁としても十分力を入れていきたいと思っているわけでございます。それをやります場合に、現在長期予報の制度は遺憾ながらまだ十分とは申せるほどいっていないわけでございます。
 これは、一つは、学問的にもいろいろ問題がございまして、その学問を発達させるということが一つの重要な点ではないかと思うわけでございます。この問題につきましては、世界気象機関がございまして、そこで世界気象監視計画というものを立てているわけでございます。そこでは、衛星などを上げまして世界の全体の気象を十分観測しまして、そのデータを十分各国に配布いたします。そのデータを分担をいたしまして解析をして天気予報に使う、こういうことでございます。こういうものを使いまして世界的にわたります現象を分析していきますと、長期にわたる状況がだんだんわかってくるのではないか。まずそういったような研究的なことに力を注いでいく必要があるかと思うわけでございます。
 それからもう一つの問題は、いま先生もおっしゃいましたように長期のことでございますので、過去の長いデータが必要でございます。北極周辺の観測もわりあい正確なデータといたしましては昭和八年以後でございますけれども、その前のデータも全然ないわけではございません。さらに昔の歴史的な資料、これを解析いたしますとある程度わかっていくのではないか、こういう点もございます。そういう点で、過去の資料を集めましてそれを十分整理いたしますというようなことも必要ではないか、こういうふうに考えております。
 従来わかっております点から申しますと、大体におきまして、日本付近の状況、というよりは世界的といったほうがよろしいかと思いますけれども、七十年から八十年くらいの周期で北極のほうが非常に温度が上がったり下がったりする現象がございます。それが日本付近の天候にも影響いたします。日本の過去の気象状況を調べてみますと、大体におきましていま申しましたような七、八十年くらいでわりあい温度の高い時期と温度の低い時期がございます。戦後はわりあい温度の高い時期がございまして、こういう意味では北海道あたりも比較的農業にも恵まれたと思うのでございますが、この数年前あたりから温度がだんだん下がってくる傾向がございまして、これからはわりあい冷夏のあらわれやすい時期に入ってくるのではないか、こう考えている次第でございます。
#64
○相沢委員 いずれにしても、北海道農業が今後日本における食糧基地としての使命を果たすために安定した耕作を期するためには、どうしても北極圏の気象観測は万全の体制で行なわれなければならない、こういうことでございますので、一そうの努力をお願いしたいと思うのです。
 次に、北海道内の地域的な気象観測の点からお尋ねしておきたいのですが、空知支庁は道内最大の稲作中核地帯だ、こういわれておりまして、これまでも高度な農業気象予報というものが要求せられてきたわけでありますが、この管内に、さらに気象観測の機能を強化する、将来は地方気象台を設けるというようなことで局地気象施設の強化をはかったらどうかという声がありますが、これについての見通し、御見解はどうでしょうか。
#65
○高橋(浩)説明員 ただいまの点でございますけれども、農業気象に対する予報の問題でございますけれども、この問題につきましては、やはり基本的には長期予報の精度を上げることではないかと思うわけでございます。そして、その長期の現象となりますというと、わりあいこまかい、局地的な問題もございますけれども、それよりは、さらにもうちょっと広い、大きなスケールの問題が非常に問題なわけでございまして、そういう観点から申しますと、必ずしもこまかい観測の必要はないのでございまして、むしろラージスケールの状態をすっかり把握して、その精度を上げるということがまず根本問題ではないかと思います。
 しかしながら、そうは申しましても、やはり、たとえば冷害の場合にいたしましても、場所によって非常に違うわけでございますので、そういう意味では、局地的な観測も必要であり、それに対しての情報をお知らせするということが必要かと思うわけでございます。そういう点も確かにございますので、そういった面につきましては、観測点をふやすこと、測候所あるいは気象台をつくりましてその機能を強化してやる手もございますけれども、それよりは、現在考えておりますのは、むしろそういった観測網は、テレメーターと申しますか、自動的にはかりまして、それを地方気象台なりあるいは測候所に集めまして、それに基づいて十分解析をして、そして正確な状況をお知らせしたほうが結果的にはいいんではないか、そういう考え方でおります。したがって、特に地元の御要望といたしましては、昇格とかなんとかということを御希望なさることはよくわかりますが、現在のところでは、むしろそれよりは、そういったような観測の自動化をいたしまして、十分集めて、それに基づいて解析して、それをお知らせする、したがって、予報の内容の精度を上げるということに重点を置くべきではないか、こんなふうに考えているわけでございます。
#66
○相沢委員 これで終わります。
#67
○中井委員長 芳賀貢君。
#68
○芳賀委員 先ほど本委員会の北海道冷害調査の報告が行なわれたわけでありますが、これに関連して、当面緊急な問題について質問をいたします。
 最初に大河原参事官にお尋ねいたしますが、農林省においても、ことしは北海道の冷害を相当重視されまして、順序からいうと、まず第一に農政局の長谷川参事官一行の調査、それから農林経済局の川村保険業務課長の調査、それから統計調査部の福島作物統計課長の調査――本来でありますと農林大臣が現地調査をされるのが当然でありますが、ソ連訪問の関係等もありまして、そのかわりということで、先日、佐藤農林政務次官と災害担当の大河原官房参事官一行が、これは十日から十三日まで、北海道の主要な地帯を調査されたわけです。
 そこで大河原参事官にお尋ねしますが、農林省としては締めくくりの現地調査であるというふうに判断されますが、特に本委員会の調査報告の中でも強く指摘のありました政府買い上げ米の関係ですが、ことしは調製した玄米が三〇%程度食糧事務所においては検査に合格しないということで、等外、規格外と見られる玄米が三〇%程度現状では出ておるわけです。この点については、大河原参事官も旭川市の永山農業試験場において地元の説明あるいは現況の調査をし、なお永山農業協同組合の経営によるライスセンターを視察されたわけでございますが、この規格外、等外米の買い入れ等の問題については、農林省としてどういう方針で臨むか、それから季節的に進めなければならぬいわゆる救農事業等については、どういう体制で国としては進むかというような問題、それからもう一つは、先般来委員会においても論議したわけでありますが、金融措置の中で、特に法律改正を要する天災融資法の改正、あるいはまた自作農維持資金の改正等の問題についても、明日から臨時国会が開会されるわけですから、すでに農林省においても、あるいは政府としても、こういう重要問題については法律改正はどういうものをやるとか、冷害対策としては予算的な措置はどうするとか、規格外の買い上げに対してはどうする、あるいは共済金の取り扱いの問題にはどうすると、おおよその結論ができて、方針はもう固まったと思いますが、この点についてまず説明をしてもらいたいと思います。
#69
○大河原説明員 お答え申し上げます。
 それぞれの個別事項につきましてはさらに、関係局長ないし関係部長等が参っておりますので御質疑があるかと思いますが、お話のように、十月十五日現在でいよいよ国としての諸施策を決定いたします最終段階にまいっておりましたので、先般政務次官にお供いたしまして、現地の事情をつぶさに拝見いたしまして、具体的な施策の早急な最終の練り上げということで北海道へ参ったわけでございますが、たとえば現地におきまして、最も大きな問題の一つでございます低品位米の買い上げの問題、これはお話のように上川におきまして、現地におきましてつぶさに拝見したわけでございまして、食糧庁当局におきましても、それら低品位米の出回り状況を見て、その買い上げの要否を含めて検討いたすということになっておったわけでございますが、現地からも政務次官等の、食糧庁長官、早急にこれについての施策を進めろというような御指示もございまして、本日業務部長がお答え申し上げましたように、買い上げる方向で具体的な技術的基準を早急にやりたいということで、われわれのほうとしても、もうすでにこの点については、なお進め方がおそいというおしかりがあるかと思いますけれども、急いでおるわけでございます。
 それから天災融資法の問題なりあるいは自作農維持資金の問題につきましては、農政にお詳しい先生十分御案内のように、国としての被害調査が出まして、そこで融資ワクをきめる。融資法の発動はもう必至であるけれども、具体的な金額等につきましては、この十五日現在で調査いたしました国の調査を固めましてその金額を固める。発動方針がきまっておりましても、幾らの金額になり、またどのくらい要るか、それが現地の農家の需要の動向とマッチするかという判断をするためには、国としても調査が必要だ、それが十五日だというようなことを重ねて申し上げるわけでございまして、それぞれにつきまして、できるだけ早い機会に結論を得るために準備を進めておるわけでございます。
 最後に、法律改正等の問題にも先生お触れになりましたが、限度の問題につきましては、先ほど農林経済局長からも若干触れましたけれども、いま道庁が、資金需要の実態から見てどの程度の頭打ちがあり、どのぐらいの限度を引き上げるかというようなことについて数度農林省と往復を重ねまして、詳細な資料――これは政府部内でもいろいろ関係方面と十分議論した上で、必要な、しかも合理的な引き上げ基準をきめる必要があるというようなことでデータの整備を急いでいるわけでございまして、それらのめどがつきました場合において諸般の法制措置も含めまして結論を出したいというようなことで急いでおる御事情を御了察くださるようお願い申し上げます。
#70
○芳賀委員 規格外の買い上げの問題等は政府としても重要な事柄でありますので、きょうは特に食糧庁長官の出席をあらかじめ求めておいたわけでありますが、いまのところまだ出席しておらぬようですが、これはどういう事情ですか。
#71
○森説明員 確かに先生からの御要請があったということは長官にも伝えておりますが、長官はただいまよんどころない事情がございまして、私が
 かわって答弁をいたしたいと思います。
#72
○芳賀委員 それは国会出席よりも優先する問題 ですか。
#73
○中井委員長 食糧庁森業務部長、どんな事情か…。
#74
○伊藤(宗)説明員 まことに申しわけありませんけれども、多少の手違いもあってまだ出席しかねておりますけれども、私が十分拝聴いたしまして、私から趣旨を申し上げたいと思います。
#75
○芳賀委員 それでは食糧庁長官が出席されたのと同じ責任で答弁してもらいたいと思うのです。
 先ほども申しましたとおり、農林省の、特に災害対策上関係のある各局等においては調査を終了しておるわけですが、今年の場合は、食糧庁に限って重要な問題をかかえておるにかかわらず、一いまだに北海道の現地調査をやっていない、行なった結果の報告もわれわれは聞いていないわけですが、これはどういうわけなんですか。規格外の買い上げを避けるために時期をずらしておるわけですか。
#76
○森説明員 私どものほうといたしましても、若干技術的な問題もございまして、検査課の専門官を派遣いたしておりまして、本日帰ってくる予定でございまして、現地事務所といま鋭意検討をいたしておりまして、若干その辺の問題の中で規格外のあり方等につきましては技術的な問題も多うございますから、その辺を中心にして担当官の派遣をいたしたわけであります。
#77
○芳賀委員 農林省の各局においては、あるいは参事官あるいは担当の課長クラスがいずれも責任をもって調査に行っておる。食糧庁は一体いまだれが行っているのですか。
#78
○森説明員 検査一課の米の課長補佐であります世木君が参っております。米の専門家でございます。
#79
○芳賀委員 それでは、本日の分はまだ判明しないと思うわけですが、食糧庁の出先機関である北海道食糧事務所、また北海道各管内に出先機関として食糧事務所の支所が設けられておるわけですから、この支所段階において、昨日まで玄米の出回り状態がどういうことになっておるか、あるいはその出回った米の等級別の内容がどうなっておるか、それから不合格品として持ち帰ったもの、あるいは事前に食糧事務所で下見をしてもらって、これは等級に入らないということで農家の自宅あるいは協同組合の倉庫等に仮保管されておる数量、そういうものの現況はどうなっていますか。
#80
○中井委員長 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#81
○中井委員長 速記を始めてください。
#82
○森説明員 現地の実情でございますけれども、いま出回っておるのは上川の旭川周辺のものが多いわけでございます。それから上川地区以北の部分もございますが、米の生産の中心である空知あたりがまだ若干出おくれておりまして、作柄といたしましては南へ来るほど大体ことしはよかろうということで、被害の一番大きいのは北見でございますけれども、現在北見の問題につきましては、ほとんどもう合格するものがないという、あるいはありましても非常に少ないということでございまして、最大の被害地でございます。
 政府が買い上げする限度のいわゆる規格の問題で中心課題になっておるのは旭川中心の地帯の問題であります。その地帯におきまして現在の検査の状況を見てまいりますと、お説のとおり五等が半分くらいという状況になっておるところもございますし、四等におきましては二〇%を割っておるというような状況もございます。あるいは地区によりましては、まだ数量はごくわずかでございますけれども、一万二千俵検査したところが五等が八〇%程度、こういう状況になっております。あの地区を重点的にいま調査をいたしておりまして、なお、担当の課長補佐はそれから名寄のほうにも参りまして現地調査をいたしておりますが、この地区は若干形態が違いまして、これは青未熟を中心とするような規格外になるであろうというような報告をいたしております。
 旭川中、心あるいは滝川あるいは上川地区の米につきましては、先生もごらんになりましたように、いわゆる黒蝕粒の混入が非常に多いものであります。あるいは茶米の混入の多いというものがございまして、私どもといたしましては、この黒蝕米の問題につきましては従来とも非常に慎重に対処いたしておりまして、これが内部にまで浸透したものにつきましては、ほとんど商品価値が乏しいものとして取り扱ってきておりますが、若干救えるものがあるとするならば、ことしの規格は従前の例にならったということでございますけれども、その辺をもう少し研究してみたいということで、現実に現物の対比の中で盛んにいまやっておるわけであります。私どもがそういう点において作業を怠っておるということではございません。ことしの出方が非常に複雑、まちまちでありまして、たんぼによって一筆ごとになかなか状況が違う、こういう状況もございまして、いままでの冷害のタイプと若干形が違っておりますから、現地としてもその作業がなかなか把握しにくい、こういうことだろうと思っております。
#83
○芳賀委員 いま業務部長の言ったようなことは、けさの本委員会の調査報告の中に全部載っておるのですよ。それを私は聞いているのではないのです。現地の実態を知らないで、食糧庁に被害状態がどうなのだということを聞く必要はないのです。ただ、昨日の十月十四日までに、北海道における米の出回り状態というものは一体どうなっておるか、その等級別の内容はどうなっておるか、不合格品というものはおおよそどのくらいの割合で認められるかという点を聞いておるわけです。これは毎日日報が来ておるでしょう。首をひねる必要はないですよ。出先の食糧事務所で検査を受けて合格したものは政府買い入れのわけだから、出先は、食糧庁に対して、本日はこれだけ買い入れましたという報告が当然出ているわけだから、それが昨日まで一体どうなっているかということを聞いておるわけですよ。
#84
○森説明員 ただいま詳細な資料をここに持ち合わせておりませんから、現在の時点で検査成績はどうなっておるかということは、ただいま資料を取り寄せておりますから、後ほど御返事申し上げます。
#85
○芳賀委員 そんなことは――あなたは毎日それをやっているのでしょう、業務部長というのは。その下に買入課長というのがあるじゃありませんか。だから、年がら年じゅうそれだけを任務としてやっておる者が、毎日資料を見なければ、あなたはわからぬですか。特に北海道の冷害というものに対して重大な関心を持っている、心配しておるということであれば、十月の十四日までに、北海道全体としてどのくらいの数量が出回ったとか、等級別はどうであるかぐらいのことが一々資料を持ってこなければ数字がわからぬようではつとまらぬですよ。そうなんですか。あなたがわからなければ、担当課長でもいいですよ。とにかく担当の役人が数字を頭に置いていないなどというのはけしからぬじゃないですか。
#86
○森説明員 ただいま係員に連絡させておりますから、しばらくお待ちを願います。
#87
○芳賀委員 それでは、けさの委員会で報告のあった十月五日現在の出回り状況の中で、合格したものは全体の七〇%、残り三〇%は、現行の検査等級では不合格であるというのがその割合であると思うのです。合格したものについては、三等米が三%、四等が二三%、残り七四%が一番下位の五等級、本委員会が調査した時点においては、食糧事務所の旭川支所、名寄支所等の管内においてはそういう状況ということになっておるわけであります。
 私は、昨日国会に戻ってきたわけですが、昨日の現況においても、その合格と不合格の割合あるいは等級別の割合というのは大きな差異がない。十月五日現在と大勢において変わりないのですよ。大河原参事官が出向かれた十一日の永山の試験場における説明等を聞いても、大体それは同じようなことになっておると思うわけです。そうなれば、せっかく収穫して調製した現在の三割程度が、現行の検査等級においては買い入れ対象にならぬということがもうすでに判明しておるわけなんですよ。いま何も食糧庁の検査の神さまが行かぬでも、そんなことはわかっているでしょう。何のために、北海道の食糧事務所長とか支所長とか、それぞれ担当の部長や課長を現地に配属しておるわけなんですか。
 そこでお尋ねしたいのは、十月十五日現在の水稲及び各作物の作柄概況というのはきょうの時点で総括されるわけですからして、きょう直ちに統計調査部でも発表ということはできないと思いますが、前回の本委員会において規格外買い上げの問題が質問された場合においても、規格外とか等外上の買い上げについては財政的な措置を伴うので慎重に考えなければならぬということを業務部長が言っておりましたし、また農林委員会においては、食糧庁長官も同一の答弁をしておるわけです。しかし、この特別等級を設けて買い上げするかしないかという対象になる低品位米というものは、ことしの政府の生産調整計画に基づいたいわゆる七百六十万トンの計画のワク内のものであるというふうにわれわれは判断して、これを政府として行政的に善処すべきであるということを言っておるわけなんですよ。それは何も財政的な措置は要らぬじゃないですか。九月十五日の作況指数から見ても、平年を一〇〇とした場合の全国の平均指数が九五ということになっておるわけです。この統計の発表から見ると、政府が予定されたことしの千百六十五万トンの生産目標というものは、これが平年時の一〇〇に相当すると思うのですね。それの九五がことしの作況の内容であるとすれば、減収量というのは当然出てくるわけでしょう。政府の買い入れ制限割り当てをした七百六十万トンの中からどれだけ買い入れできない数量があるかということは、食糧庁として当然検討しているわけでしょう。事前割り当てをした七百六十万トンに対して、ことしの全国的な減収の結果というものは一体どの程度買い入れ計画が不足するかということをここで明らかにしてもらいたい。
#88
○森説明員 その前に、先ほど御質問がありました北海道におきます検査の状況、等級、これを御報告申し上げます。
 十四日現在において、これは主要な支所の集計でございますが、買い入れが二万六千二百四十九袋でございます。三等が四・六%、四等が三九・六%、五等が五五・八%、これが十四日現在におきますところの――主要の支所のみでございまして全体の支所ではございませんが、ただいま連絡のあったところでは主要な支所の統計でございます。
 なお、事前に検査といいますか、持ち込みがございまして、事前に検査官が見て回った状況の中で八千八百七俵のものがございまして、不合格になったものがずいぶんございました。それは胴割れが一六%、等外上相当が三〇%、青混が二%程度、それから黒蝕粒によるものが大部分を占めておりまして、これが五三%、こういうことになっております。
 なお、ただいまの作況から申しまして、九五%の作況指数ということでございますから、その作況の低下がそのまま政府の買い入れに響くという前提で想定をいたしますと、約五十五万トン程度は政府の買い入れが少なくなる見込みでございまして、各地の事情によりまして、生産者の保有のあり方等の問題ともからみますが、必ずしもこの数字がそのまま政府の買い入れの減になるかどうかは現在のところなかなか把握しがたい、こういう状況でございます。
#89
○芳賀委員 だから、九五の作況指数の場合には、いまの業務部長の説明でも五十五万トン、ことしの買い入れ計画が修正されなければならぬということになるでしょう。五十五万トン買い入れ不足という事態も当然できるわけでしょう。いま論議しているのは、このワク外の米を規格外を設定して買えというわけじゃないですよ。たとえば統計調査部あるいはまた共済関係の経済局の減収調査とか、損害額の認定を行なう場合に、まずどれだけ損害があったとか減収が生じたということは、災害であってもどれだけとれたということがわからなければ、その減収量とか被害額は出ないでしょう。これだけとれたというその数量というものは、米の場合には食糧に供されるものがこれだけとれましたということに当然なるわけですからね。政府が認定しあるいは発表する収穫量というものは、これは全部食糧に供することができる米ということになるわけであって、それ以外のものは収穫量の中には当然入っていないわけですからね。政府の確認した収穫量は、これは全部食糧に供されるわけであるけれども、しかし、食糧庁のいまの検査等級からいくと、それは全部買い入れにならぬという問題が一つ出てくるわけだから、食糧になる米を全部政府が買うということになれば、買えるような特別等級というものを設定しなければ具体的には買い入れができないということになる。そうでしょう。だから、この特別等級の設定が行なわれなければ、これは共済金の支払いをする場合の被害認定ができないでしょう。統計調査部もきょう現在の作況の決定をすることになるが、その収穫量というものは、あくまでもこれは食糧である米について、ことしは都道府県別にこれだけとれましたということを最終的に発表するわけですからね。発表をした、あるいは共済のほうで被害認定の作業を進めておる、ところが、その食糧になる米が食糧庁の特別等級等の設定がなければ買い上げ対象にならぬというような事態になるので、ことしはそうした問題の処理を進める順序として、まずこの際食糧庁において規格外あるいは等外上米の買い入れをする、こういうような特別等級というものを数種決定して告示をして、これに適合するものについてはそれぞれ等級間の格差というものがあるわけですからして、それに基づいて買い入れを行なうということを一日も早く進めなければ、これは絶対に歯車が回らぬでしょう。大事なあなたのところが一番サボっているわけですからね。農林省の中でほかの局は全部問題を掌握して整理しているのだが、一番肝心な食糧庁がまことに無関心である。大事な委員会にも長官は出てこない。業務部長だけは来るが、仕事の幅が狭いから全体の問題については責任を持った説明ができないということになる。むずかしい問題じゃないですよ。もうその担当官も行ってあした帰るというわけですから、何日までに規格外とか等外上米の買い上げについては――度初めてやるんじゃないんですからね。災害のたびに災害対策の一環として特例措置を講じているわけですからして、それにことしの特徴的な――いままでとにかく霜は降らないわけですから、気象庁は九月の下旬には相当の霜が降ると言ったが降らないんですから、霜が降らないかわりに毎日雨ばっかり降っているわけですから、これはもう当然収穫した米には青米が多いということは自然現象でわかっておるわけですから、これは生産者のせいじゃないでしょう。そういう問題があるわけですね。
 それから業務部長の言われる胴割れ米というもの、とにかく障害型、遅延型によって、何%かの稲が生きておって、それが徐々に結実しておるわけだから、一斉に結実して一斉に最適期に収穫するということは、なかなかできないわけですからね。そういう関係で、調製した場合には胴割れの混入がいままでよりは多い。あるいはまた特に北海道二番目の都市である旭川市周辺においては、最近特に黒蝕米が相当発見される、あるいはことしは茶米というような、正常な色彩を欠いた米もある程度出ておるというような問題が加わってきておるわけですから、そういう点については現地が一番よくわかっておるわけだから、早く研究を進めて――これは人体に有害な米を買えというわけではないですよ。有害であれば、これは発生源は何であるとか、どういう有毒性があるかということを、農林省だけで結論が出なければ、厚生省でも何でも十分調査研究をして、それは今度別な対策で片づけなければならぬが、いままでのところ、これは有害であるというものについては、われわれとしてはそういうものはないと信じておるわけです。そうなれば食糧に供することができる。もちろん品質は十分なものでないとしても、十分国民食糧に提供することができる。赤城農林大臣も、そういう特別買い上げの米については、それは徳用米というような形で特別に低廉な価格で消費者に供給する道があるということを言っておるわけですから、おおよそ何日までにそういう特別等級というものを設定して被害農家に対して安心をさせる、あるいは現地の食糧事務所においても、はっきりした方針のものに業務ができるようにする必要があると思うのですね。だから、財政的な問題は、私はないと思うのですよ。むしろ下位等級の米を買えば、これは予算よりも安い値段で買うことができるわけですからね。北海道は、生産調整二一%の割り当てが、それよりも一五%上回って大体三〇%減反休耕しておるわけだから、七割耕作した水稲に対して九月十五日現在の作況指数というのは五八%ということになっておるわけです。ことし正常に収穫できる米の期待数量の大体そのまた二分の一程度しか収穫できないわけですからね。その貴重な数量のうちの三割程度特別等級を設定しなければ買い上げ対象にならぬ、処分ができないということになるわけですから、これほど急ぐ問題はないわけでしょう。食糧庁長官きょう来なくても、あなたが責任を持って答弁できるというわけだから、ここでおおよそ何日までにそういう特別等級の設定をして告示をする、これをきょうはぜひ明確にしてもらいたい。
#90
○森説明員 作業が若干おくれてしまって申しわけないと思いますけれども、あくまで出回りの実態の把握ができませんと、私どもの机上作戦ではこれはできないわけでございます。前例もあるということでございますが、ことしの出方が非常に複雑であったということで、非常に頭を悩ましておったわけで、故意に私どもが怠慢であったというふうには私は思っておりませんが、いずれにしましても、もう出回りが最盛期になってまいります。そこで、今月の下旬までにはぜひとも告示の段階にいたしたいということで、事務手続をこれから進めたい、こういうことでございます。
#91
○芳賀委員 今月下旬、十一月早々というのはいままでやっておるわけですよ。何も努力して進めたということにはならぬじゃないですか。特に北海道もそうだし、あるいは東北、北陸の米の主産県の米の調製作業というのは、ほとんどライスセンターとか共同作業を中心にやっておるわけでしょう。だから北海道の、たとえば旭川支所にしても名寄支所にしても、現在持ち込む米というのは、ほとんど農協経営の大型施設のライスセンターで乾燥、調製した玄米を、食糧事務所が来て、見て、これはどういう等級になるとか不合格になるとかいうことでやっておるわけですからね。十年も二十年も前の原始的な、個別農家が乾燥、調製して持ってきてなんというものじゃないですよ。あした担当官が帰るのでしょう。それから十五日間も検討を要する必要はないんじゃないですか。
#92
○森説明員 大事をとって申し上げたわけではございませんが、鋭意これは前進の形と申しますか、二十日過ぎには私ども何らかの結論を得たいと思っておりますが、いろいろ告示の手続等もございますし、ここで確たる自信で、何月何日という返答を迫られましても、その辺の事情もございますから、なるべく早くということでこれから進めてまいります。
#93
○芳賀委員 何日からやれと言っているんじゃないですよ。何日までにやるかということを言っているわけです。あなたは、いままでの例にならって大体十月下旬ということを言っているでしょう。それでは努力したことにならぬわけだ。だから、何日から始めるというのじゃないですよ。二十日までに決定するならするということでいいんですよ。二十日前をとがめるわけじゃないんだからね。おそくても二十日までに決定して実行するならする、このくらいの答弁はあなたはできるでしょう。できなければ食糧庁長官をすぐ連れてきなさい。
#94
○森説明員 お話でございますが、二十日と限定されましても、私はたいへん困惑をいたします。目標といたしましてはなるべく今月下旬ということで、いろいろな作業を進める段階の中で懸命の努力をして、その期日を進めるという以外に、私の答弁としては、前進といいますか、二十日と申されても確約は私はいたしかねます。長官が御出席になっても、いろいろな技術的な問題もございましょうし、鋭意私どもも努力いたしまして、御趣旨に沿うような方向で検討をいたします。
#95
○芳賀委員 そういうものは答弁というものじゃないですよ。あなたの責任では重過ぎるから答弁できないというのであれば、これは災害担当の総括の大河原参事官もいますから、予算的な問題がなければ、官房参事官でも、その等級設定はいつまでに農林省としてやりますくらいの答弁はできるでしょう。しかも、佐藤政務次官と二人で来て、農林大臣がソ連に行って来られぬのでかわりに来ましたというあいさつをしているわけだからね。大臣が来てくれればいいんだけれども、そういうことならやむを得ぬ。しかし、佐藤政務次官と大河原参事官がわざわざ北海道に来たので、これで農林省の締めくくり調査で結論がすぐ出るというふうに期待しているわけだから、食糧庁の業務部長でわからなければ、これは大河原参事官でいいですよ。また、伊藤政務次官も来ておられるわけだから。ただ、いままでの逃げ口上の、特別買い上げをすれば財政措置が伴うからということは、これは理由にならぬわけですよ。災害で五割しかとれていないんだから、とれたものの三割程度しかいまの状態では買い上げにならないわけだからして、これは適正に措置すべきだということを言っておるわけだ。きょう大蔵省の山口主計官も来ていますけれども、これは財政措置を伴わないんだから、何も大蔵省の協議とか承認は要らないでしょう。食糧にならない米を買えと言っているんじゃない。これでは大河原参事官あるいは伊藤政務次官の今月下旬なんというのは、全くどこを向いて答弁しているかわからぬじゃないか。
#96
○大河原説明員 お答え申し上げます。
 私も現地でつぶさに低位米の状況を見たわけでございまして、その買い入れなり、その基準の設定を早急にやるべきと判断いたしまして、現地からも、政務次官から先ほど申し上げましたように、食糧庁長官に対して指示したというような経緯もあるわけでございます。本日の食糧庁方面からの答弁にもございますように、買い入れる方向でということで、前回買うということはきめたわけでございます。ただ、るる食糧庁の担当部長から申し上げましたように、ことしの低位米の発生状況は非常に複雑だ、したがって、全く基準をつくる技術的な問題であるということで申し上げたわけでございます。したがいまして、この技術的な困難性を、特に現地農家がたいへん不安に思っているという実情を加味して、全力をあげて克服していくということ以外にはないと思うわけでございます。その意味で、告示の手続その他事務的な手続を勘案して下旬というようなことを申し上げたと思うわけでございますが、これは二日でも三日でも、とにかく早く内容を明らかにして現地にも伝えるということが必要であると思いますので、食糧庁方面を督励いたしまして先生の御趣旨に沿うようにしたいというように考えております。
#97
○芳賀委員 委員長、時間がかかるのは答弁が全く誠意がないから時間がかかるんですよ。いいですか、私のせいじゃないですからね。
 いま繰り返している問題は、大河原参事官も永山のライスセンターを見てわかっておりますが、永山農協等においては、ライスセンターで調製した米の五割程度は、いまの状態では合格しないですよ。一日に何千も調製されておるわけですが、袋に入れてちゃんと包装して合格しないというものは、もうライスセンターの付属倉庫だけでは仮保管ができないわけだ。当然今度は農協の政府指定倉庫へ仮保管しなければならぬというような事態が出るわけです。だから、たとえば個人が三十俵とか五十俵調製する場合は、農林省の規格決定を待つということもできるが、そういうように共同的に集中的にやっておるわけですから、これはだめだということになれば、あるいは等級の設定に非常にひまがかかるということになれば、せっかく規格どおり六十キロの包装をして仮保管したのを全部やり直すか、別途の処分をしなければならぬというような事態が起きるんですよ。こういう問題は食糧庁が一番よく知っているわけですからね。それを全くしろうと流に認識はずれなことを言って、今月末にならなければできません――それじゃ未決定の米を一体どうするのだ。あなたはあしたでも現地に行って適切なる指導をしますか、あと半月も待たしている間に。食糧庁は一体何だと思っているんだ。生産者から米を買うのをいかにも恩恵を施すような態度でおるんじゃないですか。こういうところに問題の誤りがあるんですよ。そういうところに食糧庁長官がことさらに口実を設けてきょう出てこない理由もあるんじゃないですか。絶対に今月の末なんということは、われわれとしては正常な判断では了承できません。
 いま大河原参事官からも発言があったように、この際、やはり農林大臣にかわって伊藤政務次官から――少なくともあす食糧庁の担当官が現地の実態を調査して帰ってくるということは、やはり北海道の事務所あるいは各主産地の支所を回って、それではことしは、この生産され調製された米に対してはどういう規格外の等級をきめる必要があるか、胴割れ混入とか青米混入とか、あるいは黒蝕米とか茶米とか、そういう被害粒の一定の混入の許容限度を認めたのが規格外の等級ということになるわけですよ。それからまた、乾燥が若干未熟であるとか等外米であるけれども上位のものについては等外上米として買い上げできるというようなことで、四色あるいは五色の特別等級を設定して買い上げをいままでもやっておるわけですから、前例があるわけですからね。専門家が検討すれば、そんなものは一日か二日でわかるのですよ、技術者がやれば。だから、少なくともあしたやれというわけじゃないのだから、帰ってきたらすぐやれというわけじゃないんだから、五日間ぐらい余裕を持たして、二十日をめどとして鋭意努力するというくらいの態度というものはきめることができると思うのですよ。その点を伊藤次官から明確にしてもらいたい。
#98
○伊藤(宗)説明員 芳賀先生からのお話で、たいへんふつつかな点もあったようでございますけれども、御趣旨に沿うようにひとつ政治的に政務次官のほうから大臣と相談して、一日でも早くするようにさっそく作業を進めるようにします。
#99
○芳賀委員 それでは、もうこれできょうは質問を閉じますが、最後に、特に救農事業の実施の問題です。
 大体今月一ぱいに災害の被害を受けた作物の収穫を終わらせて、十一月からこの救農事業が開始されれば、そこへ出動して賃金収入を得るということになるわけですから、前回の本委員会においても質問しましたが、その後、具体的に農林省あるいは開発局あるいは建設省において、国営事業とか、あるいは北海道ですから、道営事業あるいは農協等が主体になって行なう団体営事業とか、あるいは北海道または市町村が単独起債等によって行なう事業等いろいろこれは行なうことになるわけですが、問題は、先ほども政府側から話がありましたとおり、このいろんな事業があっても、現地の被害農家がその事業に参加して働いて確実に賃金を得ることができるような作業というのは、いまの状態ではなかなか少ないわけです。それでは救農事業にならぬわけだから、たとえば圃場整備事業等についても、いま北海道においては相当重点的にやっていますが、大型の場合は道営事業になっておるわけだから、北海道において、まず指名業者の中から入札等によって指名をして、そうして工事を行なうわけであって、この業者がまた下請等に付して仕事をやっておるわけだから、そういう手法ではなかなか救農事業にならないわけです。追加工事をやるとか繰り上げ工事を行なうとしても、そういう場合には、やはり当然救農事業の対象になる土地改良あるいは農道の事業とか国有林関係の事業にしても、現地の被害農民が直接参加してできるというような施業の方法に改善しないと効果があがらぬわけですね。それには、道営事業であってもやはりその事業については町村の直轄営にまかせるとか、あるいは農協で団体事業の経験のあるところはそこにまかして、そして設計どおりに仕事をやらすというようなことも大事だと思う。
 それから特に補助対象にならぬような小規模な土地改良、暗渠排水とかあるいは散発的な客土事業とか、これは労力を投入してできるわけですが、なかなかその採択の基準とか補助の要件というものが救農事業として十分でないというような欠点があるわけですから、こういう点についてもすでにもう方針がきまっておれば説明をしてもらえばいいわけですが、まだ検討中であるということであれば、そういう点についても十分の配慮を講じてもらいたい。そうすればほんとうに激甚被害を受けた被害農家が地元の救農事業に出動して安心して働くことができる。何でもかんでも出かせぎをして生活をささえるということになれば、これは反復するとまた離農につながる、地域社会の崩壊につながるということになるので、ことしはやはり地元の救農事業というものを中心にして、離農に拍車をかけることのないような政治的な配慮というものが政府においては必要だと思うのです。
 これで質問は終わりますが、いまの点について各関係当局から、再び質問しなくてもいいように、十分熱意のある答弁をしてもらいたいと思います。
#100
○住吉説明員 救農土木事業につきましてはただいま先生から御指摘ございましたとおりでございまして、就労の時期を早く準備するということはきわめて大切なことでございます。先ほども申し上げましたように、農地局といたしましては、既定予算による分と補正予算によるものと考えまして、五十四億ほどの救農土木事業の計画を立てておるわけでございますが、この既定事業に関しましては、補正予算の成立以前におきましても実施が可能でございますので、これにつきましてはすでに開発局、道庁等を通じまして、救農土木の趣旨に沿いまして被災農家が就労できる体制をつくるように強く指導して実施の体制を整えておりますが、補正につきましては何ぶんにも補正予算が成立したあとになりますので、こちらにつきましても成立後直ちに事業実施できる体制で準備を進めるように指示をしております。
#101
○山田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、救農土木事業をやりましても、実際に農民の方が就労の機会ができるように、また実際十分な手取りと申しますか、歩どまりがあるように、施業の方法についてくふうをしなければならぬということは仰せのとおりでございまして、これは農林省とも私どもよく打ち合わせをいたしまして、関係の市町村等を通じまして、そういうことが実際に行なわれるように、施業の方法について効果的な方法がとれるように十分の指導をしてまいりたいと思います。
 また、そういうことと関連いたしまして、できるだけ現地の実情に合うように、現地の被害農民の方が就労できるようにするためには、前回の当委員会でも申し上げましたように、できるだけ現地の実情に即応した道あるいは地元市町村の単独事業で小規模な事業をやるというほうが実際的であるというふうに考えますので、これは私どものほうからも自治省等にもお願いをしておりますけれども、先ほど自治省の担当官の方からも御答弁がございましたように、地元の単独事業につきましては十分な起債等を認めていただきまして、こういう事業が現地の実情に即して十分にできるように考えていくことが大事じゃないかというふうに考えております。
 それから、補助事業のほうにつきまして、採択の基準等を緩和すると申しますか、条件を弾力的に考えないとなかなか救農土木事業にならないのじゃないかという点も御指摘のとおりでございますが、これは実はまだわれわれ内部で検討している段階でございまして、こういうふうにきまったということはまだ御答弁できませんが、御趣旨に沿いますように、できるだけ条件の弾力化、緩和というようなことを考慮してまいりたいと思います。
#102
○松形説明員 お答えを申し上げます。
 林野庁といたしましても、治山あるいは林道等を中、心といたしまして、補正予算なりあるいは国庫債務負担行為等によりまして、来年度当初におきましても引き続き事業ができますよう配慮いたしておるわけでございます。
 また、御質問のございました国有林事業につきましても同様事業を計画いたしております。既定事業等の関係もございますし、あるいは地元の要望等十分お聞きして、事業の実態に検討を加えながら実行してまいるということを考えておるわけでございます。同時にまた、道有林なりあるいは市町村有というふうになっております公有林等につきましても、それぞれ救農事業を計画いたしておるわけでございます。
 以上でございます。
#103
○川田説明員 お答えいたします。
 北海道関係の災害復旧事業につきましては、特に四十四災の繰り上げ施行を補正予算におきまして追加して三億六千六百万円ほど加えました。その趣旨は、やはり過去の災害は早く復旧するということのほかに、災害復旧事業は一般の直轄河川改修事業に比べまして労務コストがほぼ倍になっておりますので、そういう意味で、小規模工事も多うございますし、北海道に特に追加したという考え方で実施しております。
#104
○中井委員長 瀬野栄次郎君。
#105
○瀬野委員 災害対策について政府当局に質問をいたします。
 先ほど総理府副長官から、台風二十三号、二十五号、二十六号並びに九月一日−十三日における秋雨前線等について三百二十九号で政令指定をした旨の報告がありました。これらの災害については、本年は例年にないほど連続してやってまいったわけでございます。どうかひとつ早急なる処置をしていただいて、早く地元民が安心して生活できますように、今後とも格段の努力をまず要望いたします。
 さらに、北海道冷害については、当委員会でもしばしば論議をしてきたところでございまして、本日も各委員からいろいろ発言がございました。今回の北海道の調査においても、先ほど報告がございましたように、たいへんな冷害でございます。特に網走方面あるいは北見方面では作況指数が一・二というようなずいぶんひどい状況であるようですが、特に激甚災害の早期指定、天災融資法の限度ワクの引き上げ等を改正して早く発動してもらいたいし、救農土木事業の実施とか自作農創設資金の適用、また中小企業対策、種子及び飼料の確保、こういった問題等についての対策、またはそれらを含みました全般にわたる冷害対策を早急にひとつしていただく。特にこれは北海道のみならず全国的ともいえますが、等外米の買い上げ等についても早急なる対策をしていただくように強く要望しておきます。
 そこで、質問に入る前に最初に総理府または農林省関係にお尋ねいたしますが、北海道はまれに見る災害でございましたけれども、北海道を除く全国の各都府県でも、たとえば熊本県の阿蘇地方でも北海道に準ずるような被害を受けておるところもありますし、また、東北六県等でも高原地帯では災害を受けております。これらについてどのように把握をしておられるか。もちろん十月十五日の作況指数によって明らかにしてまいることは承知しておりますが、こういった問題について昨日までどのように把握しておられるか、また報告を受けておられるか、この点冒頭にお尋ねをいたしたいと思います。
#106
○中沢説明員 お答え申し上げます。
 ことしは、御質問にございましたように、冷害を含めて災害が非常に多うございました。そのうち風水害等の災害はそのつど被害の状況を把握してございますが、冷害という性質の被害につきましては、全国的にまだ進行状況でございまして、最終的には、いま御質問の中にもございましたように、十月十五日現在で把握することになっております。ただ、冷害を受けた地方は北海道以外にもございまして、これまで入っております情報によりますと、東北地方なり北陸あるいはまた関東、東山――これは北関東、山梨の一部にございます。あるいはそのほか九州の阿蘇地域とか、あるいは中国、四国の山間部に冷害がございまして、水稲その他の農作物に被害が出ておるという情報も入っております。その被害状況は、先ほど申し上げましたように、十月十五日で把握した上で月末に発表したい、こういうふうに考えております。
#107
○瀬野委員 本年は北海道冷害が特に明治以来の冷害ということで、まれに見る冷害であったことはたいへん気の毒に思うわけですが、全国的にも高原地帯ではかなりの冷害が起きまして、相当痛手を受けております。前回の委員会でも、農林大臣に私質問しましたおりに、全国的な冷害については北海道に準じて当然対策をしていく、こういう答弁をいただいておりますが、そのように対策をしていただくものと思いますし、ぜひそうしていただきたい、かように思っております。十月十五日の作況指数によって明らかにされてくると思いますが、これら全国的な冷害についても、ひとつ手落ちのないように対策を立てていただきますように、これまた強く要望をいたしておきます。
 そこで、本日は、私は前回の質問のときに保留しておきました問題についてお尋ねをいたします。
 本日特に質問いたすものは、冷害による牧草の被害についてお尋ねいたしたいと思うのです。北海道は、先ほどから申しますように、たいへんなまれに見る冷害でございましたので、いろいろ対策が講ぜられておりますが、熊本県の阿蘇地方なんかでも、相当牧草がいたんで、畜産農家に被害をもたらしておるわけです。そこで、これら牧草の被害によりまして甚大な酪農経営上の問題が起きておるわけでございまして、草地酪農は、低温でも牧草が伸びるために寒地農業のにない手とされてきたのでありまして、今回の冷害が常識を大きく狂わせておるということでございますが、特に先般、北海道調査の際に各地で陳情を受けました中に、牧草を刈ったものが乾燥できないまま腐ったりあるいは結束した牧草が発酵して、畜舎内で敷きわらにもどうかと思うというような状態にまでなっておりますが、またサイレージの質も落ちまして乳量がたいへん減産しております。今後これはかなりまた影響が大きく出てくると思うのです。そこで、これら牧草の冷害による被害については当局はいかなる対策を考えておられるか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
#108
○斎藤説明員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘いただきましたように、牧草の被害というものにつきまして畜産の酪農経営上、非常にいろいろ問題が生じますということにつきましては、私ども十分調査をいたしまして、それぞれに対応いたしますところの対策を立てたいというぐあいに考えておりますが、今回の冷害につきまして現在いろいろと先ほど来申し上げておりますように調査中でございますので、この数字あるいはその必要といたしますところの大体のものといったようなものの形が出ましたところで、それぞれにつきまして、それぞれの地方庁と十分連絡をとりまして、これに対します措置を具体的にはとってまいりたいということでございまして、現在のところ、先生の御指摘の点につきまして具体的にどうというところまで申し上げられませんことをひとつ御了承いただきたいと思います。
#109
○瀬野委員 調査中で具体的な答弁ができないことは残念でありますが、この牧草の天災融資の適用ということについては、収量が三割、収入で一割の減収がないといけないというようになっているように私記憶しておりますが、こういった牧草に対する冷害について天災融資の対象とする場合に、査定基準といいますか、こういったものがたいへん問題になるわけですけれども、どんな査定基準でどのような要領でやるのか、ひとつ明らかに説明をいただきたいと思います。
#110
○渡邉説明員 お答え申し上げます。
 天災融資法のたてまえといたしましては、先生御承知のように冷害の期間に栽培いたしておりました農作物の減収量が平年の三割以上であって、その結果、年間の総収入の一割以上の損失があるということにつきましての市町村長の認定があった場合に対象になるわけでございます。したがいまして、牧草につきましてもそのような状態であるということでございますれば、当然天災法の対象になるわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、圃場において牧草が腐ってしまったとかというような場合には当然減収として市町村長が認定するだろうというふうに考えております。
#111
○瀬野委員 熊本県の阿蘇地方の問題に若干触れますが、この阿蘇地方を第二の北海道と、こうわれわれは言っておりまして、北海道とは比べものになりませんけれども、九州では相当広範な面積をかかえております。現在、阿蘇、久住、飯田高原開発等も計画をされつつあるわけですが、九州の畜産の拠点として国、県あげていまようやく大規模草地改良を推進しておるところでございます。もちろん牧草には寒地牧草と暖地牧草とあるわけですが、熊本の阿蘇地方の牧草は、北海道から持ってきたというのと、アメリカから輸入したものといろいろあるわけですけれども、オーチャードグラスとかペレニアル・ライグラス、ケンタッキー三十一、それにニュージーランド・ホワイトクローバー、H−ライグラス等、こういった七種類ぐらいが現にまかれております。またはこれらを混植して現在草地改良に植えつけておるわけでございますが、これらの種類が、いわゆる北海道に適するものと、同じ高原地帯であっても阿蘇地方のような標高が六百から七百という程度のところのいわゆる寒冷地帯に植える場合とは、これはいきなり持ってきてもなかなか合わない、こういうふうな状態があるわけですけれども、これらについて国の試験場なんかでもいろいろ研究しておられると思いますけれども、現在こういった牧草が阿蘇地方あたりでは適当と思っておられるか、今後畜産経営を拡大していく上にもこれがたいへんな悩みとして、今回の冷害でいろいろ現象が出まして心配をされておりますので、ひとつこの点から当局の御説明をお伺いしたいと思います。
#112
○斎藤説明員 畜産局のほうから一応お答え申し上げまして、さらに技術的にこまかいことに触れます場合には技術会議のほうから補足してもらいたいと思います。一応畜産局のほうからお答えいたします。
 いま先生おっしゃいましたように、わが国で草地に一般的に栽培されております永年性の牧草の多くは、いわゆる北方型ということで、大体摂氏五度前後というところから生育を開始いたしまして、ちょうど好適の温度の範囲は十五度ないし二十度ということで、二十二度以上の高温になりますとやはり生育に有害な作用が起こるというぐあいに考えておるわけでございます。
 御指摘の阿蘇地域、これは御案内のとおり、九州ではやはり最も低温な地域に属するわけでございまして、年の平均気温がおおむね十二度ないし十三度ということで、北海道の四度ないし十度というのに比べますればやはり高目であるわけでございますけれども、北方型の牧草の生育の適地だというぐあいに考えておるわけでございまして、現に阿蘇におきましては、先生御存じのとおり国営の草地開発事業をはじめといたしまして、これらの北方型の牧草を用いて一応成功をおさめつつあるというぐあいに考えておるわけでございます。
 そこで、今回の北海道に発生いたしました冷害というものと比べまして、これらの北方型の牧草にやはり――北海道では生育のおくれが出ておるわけでございますけれども、この阿蘇地域は北海道の地域よりは高温帯に属するわけでございますので、そういう点では阿蘇地域は今回の被害でそう大きなダメージを受けないということで、好適地として、今後とも阿蘇でこういう牧草を栽培するということを私どもとしては進めてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#113
○川井説明員 試験研究に関連するお話を申し上げますが、先生御指摘のように草地あるいは牧草の問題は非常に重要な問題でございまして、特に畜産の基本となるということで、技術会議といたしましても、牧草の品種改良を中心にいたしまして、牧草の関係の研究体制を最近強化してまいっておるわけでございますが、たとえば四十五年には草地試験場を認めていただきまして、現在その機構拡充に努力しています。それから同じく北海道に草地開発部というものがございましたが、これをさらに第一部、第二部というふうに部を二つにいたしました。さらに、東北の試験場及び九州の試験場に草地部を増設いたしまして、現在品種改良及び栽培技術の改良ということで研究の推進をはかってきておるわけでございますが、特にただいまお話のございました九州地帯の牧草といたしましては、やはり阿蘇、久住地域には、寒地型の北海道で改良されてきているもので好適するものがかなりあるという考え方でございますが、ただ若干低くなってまいりますとやはり夏枯れの問題も出てまいりますので、一応国のほうといたしましては、寒地型の牧草の改良を進めると同時に、やはり夏枯れに強い種類、たとえばダリヤグラスあるいはバーミューダグラスあるいはバヒアグラスとか、ローズグラス、さらにトールフェスク、最近いろいろこういう暖地型の牧草も非常に重要視されておりまして、海外から原種を導入して改良したりということをいたしておりますが、その結果四十六年度には、簡単に申し上げますと、新しく牧草の品種ができまして、たとえばニシアカ――これはアメリカクローバーの改良でございまして、ニシアカという新しい品種になって出てきております。同じくキタオーハ、これはクローバーでございます。三番目にはアカネカブ、これはカブ類でございます。それから次はセンダチ、これはソルガムで、わが国で初めて品種ができたというものでございますが、そのほかトーモロコシとか、いろいろ新しい品種がようやく昨年から今年あたり出始めてまいりまして、これからできるだけ優良な系統を至急育成していくという状況にございますので、その点もあわせて報告しておきます。
#114
○瀬野委員 先ほども申し上げましたように、この牧草の研究がおくれている。いま技術会議からの説明ですと、かなり強力にやっているように言われましたが、最近になってようやくこれが真剣に取り組まれている感じでございまして、地元では、国の方針に従って牧草をまきましても、一番草はかなり収量はあるけれども、二番、三番になるとその収量ががたっと落ちるわけです。それで、畜産経営上規模拡大をやっていこうということで、草地改良をやって意欲的にやる。地元も負担金を相当つぎ込んで無理してやって、いよいよ牧草を刈るときになりますと、一番草はかなりいいが、二番、三番は収量が落ちる。はたしてこの牧草の品種が適しているかどうか、冷害に強い牧草を研究しているのかどうか、国の研究機関もあるけれども、品種改良その他について、もっと畜産農家が安心するような牧草の指導がなされていないということで、いま畜産農家はたいへんこういったことに行き詰まりを感じ、どこへこれを持っていって訴えていいのかと苦しんでいるのが実情でございます。冷害は三年に一回ともいわれますが、小さい冷害は毎年来ています。北海道に限らず全国的に、また第二の北海道といわれる熊本の阿蘇地方でも――ここは九州の畜産の一大拠点であります。こういうところで牧草によって畜産の経営が今後非常に憂慮されている。
 この間、私も三、四日つぶさに見てまいりましたが、異口同音にこういったことを訴えて旧態依然としてやっているかっこうでありまして、草地改良もしましたけれども、何とかひとつ新しい品種によって、冷害に強い、夏枯れに強いような牧草をつくらなければならぬ、研究機関もあるけれども、どのくらいの予算でどれだけやっているのだろうかと畜産農家は真剣に訴えているわけです。
 いま技術会議からの答弁を聞きますと、品種改良は強化はしている、特にわが国で新品種としてセンダチを今度は発見した、これを優良な原種として至急育成する、こういうように言っておられますけれども、一回まいたらまたこれを改良するのはたいへんなんでありまして、経費も相当かかるわけですから、こういったものこそ畜産農家だけでなく県にも優良な品種を指導してまかして、そうして草地の改良をしていかなければならぬと思うのです。取り組んでおられると思いますが、北海道も阿蘇地方も、また他の県も同じだと思いますが、その地方地方によって標高差、また冷害の度合い、またいろいろな気候条件は違うのでありまして、もっとその地域地域の試験研究に強力な予算を投入して真剣な研究をし、その地に合った牧草を改良して検討すべきだ、こういうように思うのですが、その点についてもう一度技術会議のほうでそういった用意があるのか、そういったことに対してどのように取り組んでいこうとされるのか、決意を伺いたい。
#115
○川井説明員 ただいま御指摘のありました点は一々ごもっともで、われわれもその点は今後非常に努力しなければならぬと思っておりますが、お話しのように、特に西南暖地でございますと、やはり一ぺん植えますと、それが二年くらいたつとどうしても下がってくるというような現象がございます。これは品種の問題と同時に、やはり暖地型の一つの生態型といいますか、特に暖地の影響を受けるところはそういう問題がございますが、そういう問題につきましては、一つは品種の問題と同時に、やはり草の栽培管理ということで生育をコントロールしていくという方向での研究を現在進めておりますし、今後も早急に強化していくということが必要であろうと思います。
 それから確かに育種されたものを早く農家におろさなければならぬわけですが、われわれといたしましては、新しい品種ができましてそれが増殖にすぐ移れるように、畜産局のほうの御協力もいただきながらなるべく早く地元にその指導が届くようにという方向で努力しております。
 それからクローバー類その他のように、品種はできましても日本では花が咲いて結実しないというものもあるわけでございます。これにつきましては、現在UJNR、アメリカとの天然資源会議というのがございまして、日本でできた品種をアメリカで増殖する場合に、その遺伝的形質が変わるかどうかという点の共同研究を過去三年くらいやってきておりますが、それによって、日本で育成した品種を向こうで栽培しても遺伝的形質は変わらないという点が最近はっきりしてまいりました。そういうことで、ものによっては、アメリカで日本の品種を増殖してもらってそれを輸入するというような方法も技術的には可能であるという点が最近出てきております。しかし、技術会議といたしましても、やはり牧草の育種あるいは栽培の問題は、率直に申し上げましてここ三、四年来強化してまいっておる状況でございますが、今後さらに現地の農業振興に対応するようにできるだけ強化推進してまいるというつもりでおります。
#116
○瀬野委員 いま技術会議のほうから答弁がありましたように、三、四年ようやく強化しておる状況である。今後しっかり強化していくということですが、あれだけ畜産を奨励し、規模拡大をしてまいりまして、いわゆるその柱として畜産を進めてきた。われわれもまた大いに奨励してきたにもかかわらず、いまになって今回の冷害で初めて牧草が冷害に弱い、収量が少ない、こういったことにぶつかりましてたいへんな曲がりかどを感じておるわけです。試験研究その他もやっておられるけれども、もっと適格な原種による増殖ができるような方法をとってもらわなければならぬ。アメリカから輸入しておるということでございますが、それはもちろんクローバー等の花が咲いても実が全然ならないという原種はやむを得ないとしても、その他の牧草について、日本に適した原種をとって増殖してまかない切れるのか。北海道ではいわゆる自己生産の分と、また一部原種をとっていろいろとやっているようにも聞いておりますが、国内で需給がまかなえるのか、その点もう一度お伺いをいたしたいと思います。
#117
○斎藤説明員 牧草につきまして、国内的に自給できるか、現在の状況でそういうふうにいけるのであろうかというお話でございますが、ただいま技術会議等からも申し上げましたように、いろいろと牧草につきまして従来からの研究その他が不十分であった点もございます。これらのことにつきましても、急速にいろいろと詰めました検討を進めまして、その上に立ちまして、いわゆる今後の酪農あるいは肉牛生産その他等との関連におきまして、この国内でのいわゆる牧草の自給度の向上ということにつきまして具体的な施策をとりまして、その方向に向けまして十分努力をしてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
#118
○瀬野委員 参事官からも答弁がございましたが、これは技術会議のほうともよく連携をとられて、畜産を振興していく上に農家はたいへん苦しんでいる問題でありますので、こういった地域に合う牧草の開発に力を入れていただいて、何といっても牧草の収量が多くないことには畜産の振興もはかれませんので、根本的な問題であるこういったことについてひとつ――草地改良が今後どんどん進んでまいります。先ほど申しましたように、阿蘇、久住、飯田高原の大開発を今度やる予定でありますが、そういった地域も畜産が中心になっております。一度まけばまたこれを変えるということがなかなか容易でない。経費もかかるので、ひとつ真剣に取り組んで、優良品種を増殖してその地に合った牧草の改良をしていただくようにはかっていただく、そしてまた冷害にも強い品種等をしっかり研究していただきたい、かように思うわけです。
 このことについてもう一点お伺いしておきますが、これは技術会議のほうになると思いますけれども、種子協会があって、この牧草の発芽試験等をやっているが、国の試験研究機関とこの種子協会の発芽試験との関係、連携、こういったことについてはどういうふうになっているのか、ひとつお示しいただきたいと思います。
#119
○川井説明員 技術会議関係では、品種改良をやりましていい品種をつくるということ及びそれを使う栽培法はやっておりますが、さらにそれを一つの普及の種としてどんどん増殖していくということについては、むしろ行政のほうでいろいろ御指導いただいていると思いますので、行政のほうからお答えいただきたいと思います。
#120
○斎藤説明員 種子協会という協会がございまして、先生御案内のとおり、ここでいろいろと種子につきましての普及の事業をやっておるわけでございます。そういうわけで、たとえばアメリカから入ってまいりますようなものにつきましても、種子協会で実際的ないわゆる応用試験と申しますか、適用試験と申しますか、そういったような形での手っとり早いいろいろな試験というようなことに取り組みまして、その上でこれを実際上やっていきます場合のいろいろなノーハウと申しますか、そういったようなものをもろて普及していくということでございまして、長期にわたります基本研究につきましては、国あるいは県というような系統の研究にまつという形になっているわけでございます。
#121
○瀬野委員 冷害関係は以上で一応打ち切りまして、約束の時間が参っているようでありますので、簡単に異常潮位の問題をお尋ねして質問を終わりたいと思うのです。
 九月上旬に九州、四国、関東地方にかけて、太平洋沿岸に不気味な異常潮位がたびたび起こったことは御承知のとおりで、このことについては、十月一日の当委員会で私は政府の見解をただして、その原因等についてお伺いしたわけでありますが、運輸省が設けた異常潮位調査委員会で検討した結果、九月の異常潮位は台風二十三号と黒潮の相乗作用であったというような見解でございました。その後、御承知のように異常潮位がたびたび起こっておるわけです。台風が来なかったけれども異常潮位が起こっている。そういったことから、ひとつ原因を明らかにしてもらいたいわけでありますが、去る三日には熊本県の宇土の三角港、ここは平常よりも二十五センチ高い高潮になりましたし、高知県でも同じ三日に高知港で十五センチ、大阪港では十月五日の午前七時十四分の満潮時で標準値よりも二十六センチ高い異常潮位があり、国鉄の桜島線等が鉄橋が冠水して一時運転を中止するということがありましたし、同じく広島やさらに船橋でも四日の午後標準値よりも四十二センチ高い異常潮位の記録を持っております。その後検討されて、十一月ころには結論を出すという回答をいただいておることも承知しておりますが、委員会をその後開かれたものか、またこれについてどのように検討されておるか。前回は、台風二十三号によるものと黒潮の関係の相乗作用であったということでございますが、今回は台風がなくてもこういうことが起きたということは、こういうことがしばしば起きるということであると、いわゆる欠陥堤防その他があるにもかかわらずこういったことが起これば、国民は不安でしょうがない。依然としてその原因がなぞであるということから、現時点においてどのようにこの原因を検討し、対策を立てておられるか。運輸省のほうから、ひとつこの点について御答弁をいただきたいと思います。
#122
○高橋(浩)説明員 いま先生おっしゃいましたように、この問題につきましては、海上保安庁のほうが中心になりまして委員会をつくりまして調査している状況でございます。
 この問題につきましては、この原因がなかなかむずかしいわけでございまして、異常潮位といっても程度がございまして、非常に高いものとそうでないもの、それから規模が大きいものと小さいもの、いろいろあります。台風が参りますと高潮が起こりますけれども、これも二つの異常潮位でございます。そういったような異常潮位の起こります原因につきましてもいろいろのケースがあるようでございまして、こういった場合にこうなるとかいうようなことを、やはり過去の材料をいろいろ集めまして、個々のケースについて調べていかなければいけないというようなことになるかと思いますので、なかなかまだ結論が出かねているような状況かと思います。実は私、直接そちらのほうの委員会に関係しておりませんものですから、現在どのように進行しておりますかよくは存じておりませんけれども、おそらく一月以内くらいに大体の結論は出す――この前の問題につきましては一応の結論を出しておりましたし、そのほかの問題につきましても検討していくようなことになるのではないかと思います。
#123
○瀬野委員 これはたいへん異常な現象でございますので、ひとつ国民の不安を除くためにも早く結論を出すように努力してもらいたいし、さらに今回の異常潮位で、これは建設省、運輸省に簡単に御答弁いただきたいのですが、いわゆる欠陥堤防ということがいわれますけれども、去る十月一日に私が当委員会で質問しました東京都の新川の西水門、それから東水門の事件、これは東京都でもいろいろ論議されて、委員会で原因追究がいろいろされておるようでありますが、江戸川区や江東区のようないわゆるゼロメートル地帯で、しかも貯水能力や自然に水が流れる能力が失われて、だんだん都市の過密化によって急テンポに都市化が進むといったような地帯は、わずかの異常潮位でも浸水をしてたいへんな騒ぎになるということが起きてまいります。こういったことについて、今回の西水門等は東京都のほうでも明らかな原因が追究されたようでありますけれども、国民はたいへん迷惑を受けるわけです。こういったことについて、ゼロメートル地帯の欠陥堤防を早急に改修するなり、異常潮位に対する対策を立てなければならぬ、こういうふうに思うのですが、この点について、建設省、運輸省、それぞれひとつ御答弁をいただきたい。
 なお、これに関連して、まだ未改修、いわゆる未施工部分が相当残っておるわけです。九月の異常潮位によって、各県等で土のうを築いて応急処置を講じたような個所が全国的にたくさんございますが、こういうものもひとつ早く着工して解決していただきたい、こう思うわけです。
 その二点について、それぞれ答弁をいただいて、私の質問を終わることにいたします。
#124
○川田説明員 お答えいたします。
 先ほどの異常潮位等に基づきますいろいろな浸水を原因別に調査した結果によりますと、下水管やマンホール等からの逆流が大部分でございました。そうしたものにつきましては、逆流防止バルブを下水管等の末端につけるように指導しております。それから護岸、岸壁、堤防等からの溢流が約五十カ所ほどございますが、そうしたものにつきましても、工事の規模に応じまして、大きな規模のものは今度の補正予算、それから四十七年度の予算要求で計画するというような措置をとり、簡単なものにつきましては、県の単独事業でやるように指導いたしております。
 それから、水門等の故障が見られた。新川西水門は、水門そのものの故障ではないようでございまして、構造そのものに欠陥があるようでございますが、そのような意味で、水門の再点検等もやりまして、至急改造を要するものは改造をする。宮崎県の大淀川の水門等はさっそく改造するように措置いたしている次第でございます。
#125
○日下説明員 お答え申し上げます。
 第一点のゼロメートル地帯あるいは地盤沈下地帯の海岸保全でございますが、運輸省は港湾内の海岸を所管いたしておりますが、特にゼロメートル地帯、しかも地盤沈下地帯におきましては、重点的に整備を推進することにいたしておりまして、高潮に対する整備はもちろん内水排除等も含めまして重点的に進めておるところでございます。これらのゼロメートル地帯の整備は、現在特に重要な部分につきましては、七割程度の整備が進んでおりまして、残る部分につきましては、海岸事業五カ年計画によりまして、計画的に整備を推進していきたい、かように考えております。
 第二点の、先般の異常潮位による浸水に対する対策でございますが、先般の委員会でも御報告申し上げましたように、港湾内の海岸におきましては、浸水個所三十一件ございましたが、そのうち二十六件が下水管あるいは排水溝等からの海水の逆流でございました。そのほかに、老朽護岸からの漏水あるいは水門操作の不完全といったことが合計五件ございました。下水管あるいは排水溝からの逆流につきましては、先ほど建設省からお答え申し上げましたようなことで対処してまいりたいということでございます。それから老朽護岸等の漏水、これらに対しましては、現在の海岸事業五カ年計画において特に整備を促進してまいりたい、かように考えております。それから水門操作の不完全でございますが、これらにつきましては、海岸管理者において常時点検を怠らないように十分指導いたしたい、かように考えております。
#126
○瀬野委員 以上で終わります。
#127
○中井委員長 津川武一君。
#128
○津川委員 私たち今度の北海道の冷害減収に対して、必ずしも気象条件だけが原因だとは考えていません。先般も北海道の気象を正確につかまえて、それに必要な農業の試験研究をやり、行政上必要な措置を講ずるならば防ぎ得たということを申したのでございますが、きょうは気象庁に対して、少しまず尋ねてみたいと思います。
 そこで、委員会の報告にもありますように、岩見沢、北見、名寄などには観測所よりなくて、測候所がないのでございます。陳情を受けたところによると、何か二百五十キロの距離の中に測候所が一つもない。こういう形なので、私は早急にこれを整備して測候所なんかつくる必要があるかと思うのですが、この点がどうであるかという点が一つ。
 二つ目には、農業気象観測でございます。政府はなぜか四十四年、四十五年、四十六年は農業気象観測の予算を組まなかったのでございます。現在農業気象観測所は九州、東北、北海道の一部にはございますが、四国、近畿、東海、関東などにはないままになっております。九州や東北、北海道にあります農業気象観測所も、気象庁の報告によりますと一年に一回か二回故障を起こしておる。だが、予算を組まないのでこの故障を直してない。人が足りないので直せない。こういう状態が出ておるのでございます。
 そこで、今度の冷害でございますが、皆さん御承知のとおり、減数分裂のときに、まさにそのとき十五度以下になって、五日間ぐらい続くと皆無作になるというふうな農林省自身の研究があるのであります。このときに具体的に現地の気象を測定する装置がなかった。もしこういうことが指摘されるならば、深水なんかにして冷害を防げばかなりよかったんじゃないか。われわれが今回視察しますと、深水をしておるところではかなりよくなっている。そうでないところはかなり違う。あぜ一枚へだてて深水しておるところとしないところではこんなに違いが出ている。こういう形を考えるときに、この岩見沢や名寄や北見の観測所をもう少し設備のいい測候所に格上げして、人員、施設を整備する必要があると思います。これが一つ。
 第二番目には、現在ある北海道の農業気象観測所をすみやかに全部それが機能を果たせるように整備する。金のこと、人員のこと、機械の補修のこと、この必要があるかと思いますが、この二点についてお答えいただきます。
#129
○高橋(浩)説明員 ただいまの点についてお答えしたいと思います。
 まず、初めの岩見沢、それから北見、名寄でございます。その地点につきまして、現在岩見沢には測候所がございますし、北見と名寄は通報所でございます。もちろんこれを昇格いたしまして、規模を大きくすればいい点もございますけれども、農業気象の場合におきまして問題になりますことは、正確な予報を出してお知らせするということであろうかと思うわけでございます。これをやります場合に、方々からやってもよろしいわけでございますけれども、やはり地方気象台あるいは測候所でまとめまして、そこで十分な解析をいたしましてお知らせするのが一番効果のある方法ではないかと思うわけでございます。そういう点で、必ずしもそれを昇格するというよりはむしろ解析を十分にしてお知らせするということに重点を置くほうが優先するのではないかというような考え方でいるわけでございます。
 それからまた農業観測の点につきましても、もちろん非常にこまかい点になりますと観測地点がたくさんあればよろしいわけでございますけれども、気温の分布を見てみますと、一点でもかなり広い地域を代表できるのでございまして、その状況がわかりますと、ほかの地点もかなりの状況までわかるわけでございます。したがって、対策をとる場合に、もちろんこまかいデータがあればよろしいわけでございますけれども、必ずしもその必要はなく、むしろ一点の状況を正確に解析いたしまして、それによってここでは何度になるというようなことを指導するほうが先決問題ではないかと思うわけでございます。
 また農業との関係におきましては、これは気象条件だけできまるものではございませんし、私たち気象人にとりましては農業のことは存じませんものですから、やはりその点につきましては農業の担当者とよく話し合いましてやる必要があるかと思うわけでございます。この面につきましては、先生も御承知と思いますけれども、農業気象の連絡会議が、たとえば北海道の場合でございますと支庁なんかにございまして、そこへお知らせしてそこで指導をしていただく、このような状況になっておるわけでございます。
 次に、農業気象の観測網と申しましょうか、設備の点でございますが、これは北海道につきましてはいろいろ問題はございましょうけれども、一応従来の線で一通り整備されたわけでございます。四国や何かにつきましてはまだ残っている点もございまして、一応それは打ち切られた状態になっておりますけれども、北海道につきましては一応一通りの整備はできたわけでございます。それをさらによくしようという問題がございますが、この面につきましては、やはり機械が古くなってまいりますと精度が悪くなるという点もございます。
 それからもう一つは、現在でございますと、一般の篤志家にお願いいたし、まして、そこで観測していただいて、それを知らせていただく、こういうような状況にあるわけでございます。そういたしますと、その篤志家に非常にロードをかける点もございますので、むしろあの程度のものならば、テレメーターといいましょうか、電話で直接機械から気象台なり測候所にデータを集めたほうが能率的であり、しかも刻々にデータが集められていいのではないか。こういうことで、そういうような観測網のあり方につきましても新しい体制を考える必要がある、こういう考え方が出ておりまして、来年度そういったようなことをテストいたしまして、それに基づきましておいおいそういった方向に観測網のあり方を変えていきたい、こういうような計画が現在進んでおるような状況でございます。
#130
○津川委員 長官、ことしの春の福島、岩手の気温の低下したときに――一関の気象観測所は山の上にある。平野部のところは霜がおりることは篤農家はわかっている。こういうのが気象観測所だったわけです。そこで農業気象観測の待遇さえよければあそこにはまわりに篤農家がいる。これが具体的に調べることが今度の場合非常によろしい。この長所はテレメーターよりも非常に大事なことなんです。山一つ隔てて、谷一つ隔ててまるっきり気象が違う。皆さんが北海道で石北峠を越えてみれば、旭川のこちら側はいい米作地帯、石北峠一つ越えるとだめなんです。農業の気象観測はその地域地域で具体的になければならない。これに対して一観測所が三千円なんです。これに対してお金を出してやる。いま一億八千万円使っているのを倍にすると、それができる。機械がこわれても直していない。この点をどうするのか。非常に具体的な問題なんです。これはぜひ考慮して人をふやして、観測の委託料を上げるべきだと思うのです。この点が一つ。
 それから長官はテレメーターをつければよろしいと言う。これもそうだ。だけれども、皆さんが四十七年度の予算として要求しているのは三千万です。福島に対して六カ所をやると言う。今度千葉を見てみて三重を見たときにあの集中豪雨なんです。ここに対して何のあれもない。テレメーターをつくるというが、これはたいへんな数が必要だと思うし、防災のためには法律がちゃんと国の責任を定めて、気象のために必要なことをやれといってはっきりうたっているわけだ。そこで皆さんの人員増加を見てみたら、航空気象と公害、大気汚染のための観測のために二百六十一名要求しているが、農業気象観測には要求していないのです。あなたがどんなことを言ってみても、ここで来年三千万の予算を組んで福島で六カ所テレメーターの調査をやってみると言う。ところが、その基礎の中に予算が伴い、人が伴わなければできない。私もテレメーターのほうがいいと思います。しかし、とりあえず北海道、東北、九州なんかは気象観測を使う。その上でテレメーターをつくる。
 そこで、テレメーターをつくるための全国の規模、人員、予算、これをどのように要求しているか。長官はどのような計画を立てているか。もし長官で足りなければ、委員長は運輸大臣を呼んでやると言っているんだから、ここのところを明らかにしてほしい。現在の国家公務員の定数削減によるとまたこれがひどくなってくる。現に秋田の例を見てごらんなさい。人が足りなくて夜、運転してないのです。だからテレメーターをつくるならつくるでよろしいが、どういう地域に全国で幾つのテレメーターをつくって、どのくらいの予算規模でどのくらいの人員を確保するのか。これを明らかにしていただかないとわれわれは納得できないし、われわれがあなたに応援のしようもないのです。これは大いに応援しようと思っているわけなんです。したがって、現在ある農業気象観測をどう有効に使うか、もう一回。もう一つは、テレメーターに対する気象庁の方針を伺わしていただきたい。
#131
○高橋(浩)説明員 まず順序といたしましてテレメーターのほうから先にお答えしたいと思いますけれども、先ほども申しましたように、先生も御指摘のように、来年度につきましては一応福島に六カ所でございますかを置く予定でございます。実はこれは初めてのことでございますので、一度試験的にやってみませんとその結果がよくわからない。そういう意味で、一つのモデル地区といたしまして福島を選んでやるわけでございます。したがって、それがうまくいくような見込みがつきますならばおいおいそれを全国的に展開していきたい、こういう考え方でいるわけでございます。ある程度の計画も出ておりますけれども、そういった結果を見ませんとはっきりした計画はまだ立てかねるわけでございますが、一応目標といたしましては、三年ないし四年くらいを目標にいたしまして全国的に展開をしたい、こう考えているわけでございます。
 それから地点につきましても、これもいろいろのことがございますのであまりはっきりしたことは申し上げかねるのでございますけれども、一応全国的な規模におきましては千地点くらいを目標にいたしましてやれば、おおむね必要な目的には間に合うのではないかと考えているわけでございます。もちろんそれがまだ十分できない間は、従来の農業気象観測なりあるいはそのほかに雨や何かの観測地点もございますので、そういうものを十分活用いたしまして、そして農業気象の問題、それから洪水関係のこともございますけれども、そういった方面に対処していきたい、こう考えているわけでございます。
 なお、農業気象観測と申しましても、雨の観測地点と申しましても、ある意味では目的が違うわけでございますけれども、そのデータというものはどちらにも使えるわけでございますので、そういったいろいろな材料を組み合わせまして活用していくならばかなりのことまではできるのではないか、こう考えているわけでございます。
#132
○津川委員 長官、四十四年度に農業気象観測の予算を組まなかったのですよ。四十五年、四十六年、来年四十七年も実際これは調査費だけで組んでないのですよ。それからそのあと三年かかってやるというのでしょう。ことしみたいに災害があるときにこれでいいかということなんです。そこで、私は長官に大奮起を求めたい。長官は、ここで、千個のテレメーターに対して、人員も答えてくれない。そこで、計画を立ててわれわれ委員会に提示して――これは委員会が全力をあげて応援することにやぶさかではないと思うのです。このことを私は長官の決意をもう一回聞いて、次の質問に移ります。
#133
○高橋(浩)説明員 いろいろ御鞭撻いただいて非常にありがたいことと思うのでございますけれども、テレメーターの問題につきましては、やはり結果を見てみませんとはっきりしたことは申し上げかねるので現在の状態にいるわけでございます。
 なお、農業気象の問題に関しましては、先ほどもちょっと申し上げたかと思うのでございますけれども、もちろんこまかい地点の状況を観測することも重要でございますけれども、やはり基本的には長期予報なり、あるいは週間予報なり、あるいは毎日の天気予報、この精度を向上することのほうがむしろより基本的な問題であって、ある意味でいうと、その点が非常にまだ遺憾ながら十分でない、そういう点での何と申しますか不満足さがあるのではないかと思うのです。むしろ現在の段階におきましてはそういった点を向上するようなほうに努力をしていく、こういったようなことのほうがある意味では効果的ではないか、こう考えているわけでございます。したがって、来年度の予算につきましては、たとえば大型電子計算機を入れて、より精度のいい予報ができるようなふうに持っていきたい、こういうことが重点題目として実はあがっておる状況でございます。
#134
○津川委員 次は、食糧庁に等外米の買い入れについてですが、一つは、水分過多米を買い上げる必要があるかと思いますが、この方針があるのか。
 もう一つは、芳賀委員がかなり詳しくお尋ねしておりますけれども、やはり心配になる問題があるのです。公明党の相沢委員もこの点は触れておりますが、買うことを前向きにきめた。これだけでは安心できないのは、最近北陸でも関東でも、脱穀して検査を受けてみたら、かなり低品位米が多い。東北のある一角では、ポスターを見てびっくりしたんだけれども、「米の相談に応じます」、「米を買い上げます」というポスターが張ってある。びっくりして見たら、「くず米」という「くず」という字が小さく「米」というところの右肩についている。だれがこんなポスターを張ったのかと聞いたら、わら工品関係者、買い、売っておった昔の組織の人たちが、ある大資本の委嘱、お金でくず米を買い集めている。
 これは北海道にも渡っているのです。私は、北海道の冷害を九月の十一、十二、十三と、今度の委員会派遣で二回見たのですが、旭川に行ってびっくりしたのはバレイショ、これも消費者がぐあいが悪いから名前はやめますが、ある資本のお金を手に入れて、バレイショの傷のないものを買い集めて関東の食品加工のところに送るというので五百トン買い集めておる。これは明らかに秋の野菜の値上がりをねらっておる買いあさりなんです。大資本が、わら工品関係者の買い集めて売る組織を使って、いまくず米を買い集めている。北海道にも入り始めているんです。
 このときに農林省が規格外米を買うのだということを早く宣言しなければ、ここでひどくお金に窮しておる農民たちは、これに買い集められる心配があるのです。現在予約なのは六十キロで千五百円だとか二千円ですよ。この勢いを阻止するためにも、芳賀委員が繰り返し繰り返し言っているように、すみやかに農林省の方針をきめ、基準をきめて、農民に、そんなことをしてきても売るな――このことが十月末日だとか二十日を待たない先決事項だ、こういうふうに思うのですが、もう一度農林省の方針を、特にこういうふうに実際に大資本がくず米として買うために予約取り集めに入っております現状に照らして答弁していただきたいのです。
#135
○森説明員 北海道の今回のいわゆる冷害対策の一環としての食糧庁の米の買い入れの問題につきまして、先ほど来からいろいろお話がございました規格外米は買うという姿勢をとっておりました。そこで規格の設定をいっするのかということがさっきから問題になっておるわけでございますから、本委員会でも各先生のお話もありまして、私もそれを肝に銘じまして、一日も早くその設定ができるように努力する所存でございます。
#136
○津川委員 そこで、基準ができると値段がきまるわけだ。大きな資本が買い集めに来てみても、値段がきまると農民が損得で、ここでできるわけです。そこで基準をきめる手続、いつどういう手続でやるのか、きめて発表する――発表するといってもなかなかじれったい問題があるわけです。そこで、いつどんなことにして基準をきめるか。この基準をきめる日程、過程を話していただければ、私も納得できるかと思います。
#137
○森説明員 まず規格設定の場合に、一体今度の買い入れ規格の限度はどういうものにするかということを検討するわけでありますが、先ほどの先生方のお話もありましたが、従来の例もございますから、この規格外の中でも、今回につきましては被害粒の多いいわゆる被害粒混入規格外玄米だとかあるいは未熟粒を主とした――それは青米ですけれども、未熟粒を主とした規格外玄米だとか、そういう規格を二、三つくるわけであります。つくった規格の中で、それが一体どのくらいの品位を保つかということで、私どものほうの企画課で価格の検討をいたします。価格の検討をいたしまして、その価格について財政当局とも打ち合わせをいたしまして、それから告示になる、こういうことでございます。まずどういう企画にするかが先決でございますから、それを調査してそれに対応する品位の価格を決定する、こういうことでございます。
#138
○津川委員 食糧庁は災害にあたって水分過多米は四十五年以降買い入れてないようですが、ことしはどうでございますか。買う必要があると思いますか。
#139
○森説明員 規格外の甲とか乙というのをいままで買っておった経験がございますが、これは先生あるいは御承知かと思いますけれども、品位の問題といたしましては、各検査項目の中で四等以上のものなんです。ただ、水分だけが、いわゆる検査規格にありますところの通常一五%でございますが、一%あるいは二%多いということで、規格外ということになっておるわけでございます。ですから、品位的にほかなりいいものでございまして、これも私どものほうはそういうことがないように、水分については十分末端の生産者にも乾燥調製については注意いたしておりますが、なるべくそういうのが出ないようにということで、もったいないと申しますか、品位そのものは四等規格でございます。そういう努力をいたしておりますので、そういうものはあまり出ないものだと思いまして対処いたしております。
#140
○津川委員 最後に、北海道の米をどうするかという基本問題ですが、私たち陳情に行ったときも、今度の冷害凶作をいいことにして、北海道の米作を一部のところで、特に北限地帯で切られるのじゃないかという心配が方々にあるわけです。実際そういうことがないようにという陳情も受けたわけです。
 そこで、農民の実態を見ますと、米の増産ということが政府の方針になって、ずいぶんと無理して借金して、新しい耕地を拡大したり基盤整備をやったりして、そのための借金が、いま生産調整や冷害を控えて一番大きな荷物になっております。こういう過程からいっても、私はどうしても北海道の米は生産を続けなければならない、これが一つです。
 第二番目には、地域割りでも明らかなように、北海道を日本人の主食の主産地の一つとして考えている、これを進める上にも必要がある。
 三つ目には、実際北見に行ってみましたが、ほかに転作のしょうがない。農民として生きるには米以外にはない。しかもその地域は五、六ヘクタールから十へクタール、多いのは十五、六ヘクタールで、コンバインなんか使っていく。日本のまさに省力、生産コストを低めるための理想的な地帯なんで、ここでの米を維持しなければならないと思うのです。
 これに対する政府の答弁は、決して北海道から米を切らないと言っている。私はこれを信用したい。だが、現地に行ってみたら別な様相なんです。たとえば名寄のもう少し北の美深に行きましたら、農協の指導者は、もう米はだめなんだからやめようと言う。そして離農をすすめている。北海道の中に行ったら、世論の一部にも、北海道は切れ、切っていいのじゃないか――本土にもそういう議論がある。このことで、私は、農民の米づくりに対する士気、気概、研究、積極的な姿勢をそぐことがおそろしいと思うんです。
 実は今度の冷害のもう一つの原因は、生産調整で米に対する情熱を失わしている面がかなりあります。農林省自身は、一枚の田んぼの中にも、一株の中にもいろいろな差があるといっていますけれども、一生懸命情熱を燃やしてやった人たちの中には、かなりの作をあげている人たちがいます。こういう立場から考えると、ここでそういう世論は押えなければならぬ。一部農協の指導者たちの北海道の北限米不可能論、そして実際に米をそういう意味で転作さしている。そういう意味から離農をすすめておる。こういうことに対してほうっておくわけにはいくまいと思いますが、これに対する指導方針、これが問題だと思うのです。ここで幾ら言明していても、現地においてそういう動きがある限りは、北海道の米がじり貧になっていく、この二点に対してもう一度答弁を承りたいと思うのです。
#141
○内村説明員 お答え申し上げます。
 北海道の北限地帯の稲作について、他の内地の稲作等に比べてやや不安定な要素があるということは事実でございます。しかしながら、先刻も御答弁申し上げましたように、農林省といたしましては、北海道の稲作は、特に上川、空知は昔からの伝統的な稲作地帯でございます。そういうところの稲作を切ってしまうというようなことは全く考えておりませんし、生産の地域指標の目標というものを基準にしながら適地適産でやっていきたい。その場合に、北限地帯の稲作につきましては不安定性があるということがございますので、こういった地帯につきましても土地改良を進めるとかあるいは品種の改良を進めるというのが伴っていきませんと、いまのままでは相当不安定な稲作になっているのは事実だと思います。
#142
○津川委員 そこで農政局長、空知、上川はよろしい。問題は網走、北見、それから石北峠を越えた向こうです。これも私、いま農政局長が言うような指導方針で指導すればいけると思うので、ここのところが問題になっているわけです。ここのところもはっきりと農林省が援助、指導して米を守るという体制にあるのかどうか、これを明らかにしていただきたいと思うのです。
#143
○内村説明員 御承知のとおり、現在の農業生産は、一応農家の希望に応じて農家が思うものをつくるということになっておりますので、政府として、たとえば米をつくらなきゃいかぬとか米をやめろということは言えないわけでございます。しかしながら、農家経済の安定あるいは農業生産の健全なる伸長ということを考えれば、そこに国なりあるいは北海道の場合道庁としての指導があるわけでございます。
 そこで、先ほどから申し上げておりますが、要するに今後の日本農業の生産の進め方といたしましては、やはり需要と供給を考えてやらなくてはいかぬということで、農業生産の地域指標というものを示しております。その地域指標によりますと、北海道は若干稲作を縮めるほうがいいのではないかという示唆が出ております。そこで今後農林省といたしましては、北海道の農業の実情というものを考えて、農業生産の地域指標をガイドポストとして北海道農業生産の安定をはかりたいというふうに考えておりますので、道庁とも十分連絡をとりながら、今後の北海道農業の生産伸長について万全の努力をしたいと思っております。
#144
○津川委員 やはり私が心配していたとおりの答弁が出たのです。あなたは、空知、上川は名前を名ざしてやる、ガイドポストの中でも考えると言っている。石北峠の北と網走管区になったら、ことばを濁すんだ。だから不安になる。だから農林省の中にも問題がある。そこで、空知、網走と差別がなくてやる。石北峠の北と南で、それは気象条件に多少不安がある。私もそれは認める。だが、国がそこで米づくり農業が成り立つようにがんばってみるというならこれは話がわかるのだけれども、空知、上川を名ざして、私が今度網走と石北峠の北のところと言うと、そこのことばをぼかす。やっぱり不安になってきます。この不安を解消させる発言をもう一回していただきたいのです。
#145
○内村説明員 農林省といたしましては、たとえば生産調整あるいは政府買い入れ等につきまして、北海道の地域に応じて差別をするというようなことは全く考えておりません。したがいまして、人為的といいますか政策的に上川、空知以外の米作を押えるというようなことは全く考えておりません。しかしながら、北限地帯の稲作ということを考えた場合に、それを何が何でも米でいくほうがいいのか、あるいはガイドポストで示しておりますように、たとえば酪農とかあるいは麦その他の畑作物との輪作がいいのか、その辺は現地の指導に当たっております北海道庁の意見も十分聞きながら農林省としては慎重に対処したい、しかし人為的に米をやめさせるというような政策をとる考えは全くありません。
#146
○津川委員 終わります。
#147
○中井委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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