1971/09/10 第66回国会 衆議院
衆議院会議録情報 第066回国会 運輸委員会 第4号
#1
第066回国会 運輸委員会 第4号昭和四十六年九月十日(金曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 小峯 柳多君
理事 加藤 六月君 理事 徳安 實藏君
理事 斉藤 正男君 理事 内藤 良平君
理事 松本 忠助君 理事 河村 勝君
石井 一君 佐藤 文生君
關谷 勝利君 福井 勇君
細田 吉藏君 山村新治郎君
井岡 大治君 井野 正揮君
金丸 徳重君 久保 三郎君
田中 昭二君 和田 春生君
田代 文久君
委員外の出席者
経済企画庁国民
生活局参事官 山下 一郎君
運輸政務次官 佐藤 孝行君
運輸省海運局長 鈴木 珊吉君
運輸省港湾局参
事官 田中 光次君
運輸省鉄道監督
局長 山口 真弘君
運輸省自動車局
長 野村 一彦君
運輸省航空局長 内村 信行君
運輸省航空局飛
行場部長 丸居 幹一君
運輸委員会調査
室長 鎌瀬 正己君
―――――――――――――
委員の異動
八月十日
辞任 補欠選任
斉藤 正男君 土井たか子君
同日
辞任 補欠選任
土井たか子君 斉藤 正男君
九月三日
辞任 補欠選任
井野 正揮君 八木 昇君
同日
辞任 補欠選任
八木 昇君 井野 正揮君
同月十日
辞任 補欠選任
細田 吉藏君 金子 岩三君
同日
理事内藤良平君同日理事辞任につき、その補欠
として斉藤正男君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
航空に関する件(新関西国際空港に関する問題)
陸運に関する件(タクシー行政に関する問題等)
海運及び港湾に関する件(港湾運送に関する問
題)
陸運及び日本国有鉄道の経営に関する件(国鉄
常磐線と営団地下鉄千代田線の相互乗り入れに
関する問題)
日本国有鉄道の経営に関する件(地方交通線の
廃止に関する問題)
――――◇―――――
#2
○小峯委員長 これより会議を開きます。この際、理事辞任の件についておはかりいたします。
理事内藤良平君から理事を辞任いたしたい旨の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小峯委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
つきましては、その補欠選任をいたさなければなりませんが、これは、先例によって委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小峯委員長 御異議なしと認めます。それでは、斉藤正男君を理事に指名いたします。
――――◇―――――
#5
○小峯委員長 この際、国鉄常磐線と営団地下鉄千代田線との相互乗り入れについて、政府当局から発言を求められております。これを許します。山口鉄道監督局長。#6
○山口説明員 国鉄常磐線の線路増設並びに千代田線開通に伴います、これとの相互直通運転の開始につきましては、当委員会におかれまして現地視察をなされまして、また、再三再四にわたりまする御審議を賜わりまして、ありがとうございます。直通運転の開始当初におきましては、若干の混乱もございましたことはまことに残念でございますが、その後約五カ月間を経過をいたしまして、おかげをもちまして、その間快速列車、緩行列車、両線を利用する乗客の流れも平均化をいたしてまいっておりまして、当初の目的でございまするこの地区におきますところの都心への直通の便、さらに常磐線の輸送力増強によりまするところの利便の向上、それから上野、日暮里の乗りかえをなくするということによりまするところの混雑の緩和という、当初の目的を着々と達しておるわけでございまして、この点、地元の御利益にもなり、慶賀すべきことと考えておるところでございます。
なお、その際いろいろ問題がございました、たとえば緩行線を快速線に乗り入れる等の問題につきましては、技術的にも非常に困難でございますし、また、運賃関係の問題につきましては、いろいろと検討いたしましたが、現段階におきまして、国鉄、営団両運賃制度が異なっておるという問題につきましては、いまの段階で直ちにこれを解決することが非常に困難でございまして、これにつきましては、都市交通全体のあり方との関連におきまして、今後とも十分に検討をいたしてまいりたいと思います。
なお、ただいま申し上げましたように、この地区の輸送の状況は、おかげさまをもちまして非常に改善をされてまいりましたが、しかしながら、従来からこの常磐線地区というのは非常に輸送がおくれておった面でございますので、この際、私どもといたしましても、さらに一そうの輸送の向上をいたしたい、乗客の利便の向上をいたしたいということで、緩行線の下りでございますが、綾瀬どまりの列車を延長をしたいという措置をとりたいと思います。これは、従来綾瀬どまりになっておりました列車がございまして、そうしてそれがために綾瀬で乗りかえをして次の列車を待たねばならぬというような御不便が非常にございまして、地元からこの増強方の要請が強かったわけでございますが、この要請にこたえまして、綾瀬どまりの列車を我孫子あるいは松戸方面に延長をするということを、この十月一日の時刻改正を期しましてかなり大幅に行ないたいと思います。
それから第二に、快速列車の増発でございますが、これは地下鉄との乗りかえの便をはかるということのために、来年三月のダイヤ改正を機会に、九時から十七時のデータイムにつきまして、一時間に約一本の割合で快速電車の増発を計画いたしております。
それからなお、北千住駅におきます乗りかえの便をはかるという意味におきまして、北千住駅にエスカレーターを設備する。地下鉄部門におきましてはすでにエスカレーターがございますが、国鉄部門につきましてはございませんのを、国鉄部門につきましてもエスカレーターを設備する。こういうことによりまして乗りかえの便益を向上する、このように考えておるところでございます。
以上、常磐線問題についていろいろと御審議をいただき、ましたが、こういうことで、私どもといたしましてはできるだけこの地区のサービスの向上というものにつとめてまいりたい所存でございますので、このような措置を今回とることにいたしました。
御報告をいたします。
#7
○小峯委員長 以上で、報告は終わりました。―――――――――――――
#8
○小峯委員長 陸運、海運、航空、日本国有鉄道の経営及び港湾に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。石井一君。
#9
○石井(一)委員 関西国際新空港の建設の問題がいよいよ大詰めに来ておるようでございまして、来年度の予算編成にあたりましても、公団の設立なり相当の予算の計上というふうなものも見られておる現状でございます。そういうことでございますから、きょうは時間も限られておりますので、単刀直入に、これは地元でも非常に関心の深い問題でございますし、国策としても基本的な姿勢をひとつ示していただきたい、こう考えまして、こまかい問題についても御質問をしていきたい、こう思います。政務次官なり、あるいは各論に入りますと政府委員のほうから、簡潔にお答えをいただきたいと思います。運輸省内で、新空港に対する特別の調査計画室であるとか、あるいはまた委員会などもできましてからもう一年有余になっております。その間、どういう調査を積み重ねられてきたか、ひとつ簡単に、まずこの点からお伺いしたいと思います。
#10
○内村説明員 従来の調査の概要を御説明申し上げます。関西新空港につきましては、私どもは昭和四十三年度以来調査を進めてまいりました。四十四年度までのおもな調査の内容といたしましては、関西地区におきます航空需要の予測、管制上の問題、気象、土質あるいは建設技術上の問題等に関する調査を行なってまいりました。昭和四十五年度になりましてからは、経済的な調査あるいは航空機の運航上の調査、それから気象、施行計画調査等を行なうと同時に、港湾計画、海上航路との調整等について検討してまいったわけでございます。さらに昭和四十六年度に入りましてからは、埋め立てとかあるいは地盤沈下対策、こういったような建設技術上の問題、それから都心との交通、つまりアクセスの問題、それから管制上の問題等についての補足調査を行なうと同時に、さらに潮流とか波浪とか、そういった問題に関する追加調査も実施中でございます。
以上が、大体現在までに行なっております調査の内容でございます。
#11
○石井(一)委員 内容の結果につきましては、できるだけすみやかに公表していただいて、遺憾なきを期していただきたいと思いますが、多少こまかい点については、あとでお伺いすることにいたします。第二点は、今後どのようなスケジュールでこの空港問題の処理がついていくのか、非常に時間も迫っておりますけれども、今後の見通しについて伺いたい。
#12
○小峯委員長 きょうは、委員の皆さんに時間を詰めてもらっておりますから、どうぞ答弁を簡潔に願います。#13
○佐藤説明員 経過はいま航空局長から説明したとおりでありますが、設置の場所、規模その他について、九月末もしくは十月初めに航空審議会に諮問いたしたいと考えております。なお、あわせて関係各省並びに地方公共団体とも協議する予定でございます。#14
○石井(一)委員 諮問いたしましてからもかなりの時間がかかるのかどうかというふうなこと、それから航空審議会は、従来設立されておるそのままの形で審議をするのかどうか、最終的の決定はいつごろの時期になるかということを、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。#15
○内村説明員 航空審議会でございますが、これは運輸大臣の諮問機関といたしまして常設されておる機関でございます。ただし、今度の空港の場所その他の決定につきましては、相当専門的な知識を要することもございますので、さらに専門委員的な方を御委嘱申し上げまして、そこでもって従来の委員の方々と一緒に御審議を願いたい、こう思っております。それから、この後の見込みでございますが、私どもの希望といたしましては、できるならば十二月の初めごろ、つまり年内くらいには御答申をいただきまして、閣議決定に持ち込みたいというふうに希望をいたしております。
#16
○石井(一)委員 そういたしますと、くどいようでございますけれども、航空審議会における決定というものが絶対的なものになるのかどうか。それから後に形式的な閣議決定をするのか。あるいはその間に、運輸当局としては審議会に対して、これまでいろいろの非常に膨大な調査を進められておるわけでありますから、そういうものに関して詳しく審議会に報告され、運輸当局としての基本的な姿勢も示されるというふうなことがあるのか。あるいはまたこの間に、これは非常に大きな政治的問題ですから、そういう政治的配慮というものがどういうふうに組み込まれてくるのか。この辺を、もう少し突っ込んでお答え願いたい。#17
○内村説明員 航空審議会と申しますのは諮問機関でございますから、もちろんその答申が出ました場合には、意見を尊重するということになっております。したがいまして、法律的に絶対拘束されるものではございませんけれども、実体的にはそれを尊重してやっていくということになっております。したがいまして、その審議におきましては、ほんとうに深い審議をいただくことが望ましいわけでございまして、私どもといたしましては、従来の調査の結果のいろいろな問題点とか実情をありのままに申し上げまして、そこにおきまして客観的な御判断をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。#18
○石井(一)委員 いまの問題についてケリをつけますが、要するに九月の終わりから十月の初めにかけて航審に諮問して、皆さん方の調査の結果をそこで十分御審議をいただいて、十二月上旬にでも答申を得て年内に決定をしたい、こういうふうに伺って間違いございませんですね。――それでは次に移ります。そこで、いままでの調査、今後のスケジュールなどを考えまして、いわゆる位置の選定ということがもうぼつぼつ大詰めにきておるのではないか、こう思うわけでございますけれども、現在までに判明しておる問題点について、七つか八つ候補地があるようであります。一々聞いておりますとたいへん時間がかかりますから、どういうことが判明したのか、簡潔でけっこうですから、ひとつお答えいただきたい。
#19
○内村説明員 なかなかむずかしい問題でございますけれども、先生おっしゃいましたように、大体七、八カ所ぐらいいままで調査いたしました。調査個所を申し上げますと、まず南のほうから申し上げますと、阪和県境の調査をいたしました。この辺につきましては、相当距離が遠いということが問題でございます。と申しますのは、この新関西空港は、国際空港でもございますけれども、同時に国内線が発着するというふうな空港になると思います。したがいまして、利用者としては阪神が中心になりますので、その阪神の中心からあまり遠くては利用が非常に困難であるということからいたしますと、相当距離が遠いということが難点でございます。
さらに、もう少し上がりまして、泉南沖あるいは岸和田沖というふうな点がございます。この辺につきましても、当初は陸岸から約二キロぐらい離れたところというふうなことで考えておりましたが、騒音の関係その他もございますので、やはり相当沖のほうに、少なくとも五キロぐらい離して設定しなければいかぬというふうなことがございます。その辺の問題がございます。
それから西宮沖、ここも調査いたしましたけれども、ここは大阪からの距離は近うございますが、騒音あるいは港湾機能の問題からいって相当問題が出てくるというふうに思います。
さらに六甲沖、ここも調査いたしました。これもやはり港湾機能との調整上の問題点がございます。
それからポートアイランドの沖、この辺も考えております。これにつきましては、港湾あるいは船舶の航路、こういったものとの調整がやはり問題でございますが、さらにこの辺は検討いたしたい。これも先ほどの泉南沖あるいは岸和田沖と同様に、五キロ程度は陸岸から離すということをいたしませんと、騒音問題あるいは船舶交通の問題が解決いたしません。相当沖に出さなければならぬという点がございます。
それから明石沖、こういうふうなことも考えてみたわけでございますけれども、これについても、あまり陸岸に近いところではやはり騒音の問題がございます。さらに沖のほうへ出してまいりますと、この辺は非常に漁業の盛んなところでございまして、漁業権との問題が非常にあるというふうなところでございます。
さらに淡路島、ここにつきましても、これはある意味では、空港着陸の面から見ますとよい場所でございますけれども、いまの五百メートルくらいの山を三百メートルくらいに切りくずすというようなことをやらなければなりません。そのためにはやはり七億立米くらいの相当な土量を切る。そういった土工というのは、非常に困難な問題があるというふうな点がございます。
そういったような点で、いろいろ各地区各様で、それぞれ問題点がございますが、大体の問題点を申し上げますと以上のようなことでございます。
#20
○石井(一)委員 非常に簡単にお答えいただきましたので、私、もう少し焦点をしぼって聞かしていただきたいと思いますが、要するにいまのお答えから推察して、また私がいろいろ調べた結果から見ましても、七つか八つかある候補地の中で、もう最終的には二つくらいにしぼられてきておるんじゃなかろうか。全然問題にならぬところもいま御説明がございましたし、まだいろいろな観点から検討を加えなければいかぬということもございますが、もう決定しなければいかぬ時期が二カ月先に来ておるし、五十二、三年からこれを使っていかなければいかぬという現実的な問題から考えると、これは理想論はいろいろありますけれども、やはり一つは泉南なり岸和田を中心にした地点、もう一つはポートアイランド沖周辺というふうに考えて、これはもう詰めていかなければどうにもならない状態になっておるんじゃないか、私はこう考えるのですが、この点はいかがですか。#21
○内村説明員 この点、いま直ちに御即答申し上げるのは非常にむずかしいと思います。と申しますのは、これから当然航空審議会にかけまして、いままでのいろいろな実情を申し上げまして、それで御検討いただくわけでございますから、その前にどこそこというふうなことは申し上げかねるわけでございますが、大まかに申し上げまして、いわゆる大阪湾の東側の部分あるいは北側の部分、この二つの場所というふうに考えます。#22
○石井(一)委員 位置に関しては、私はこだわるつもりはございませんが、今後どういう事態が起こってくるのか、あるいは新しい調査が出てくるのかということはわかり、ませんけれども、大きく分けてこの二つだというお答えのようでありました。そこで、もう阪和であるとか淡路であるとかということはいまお聞きいたしません。この二つに関してひとつ簡潔にお答えをいただきたいのですが、空港を決定しようとする場合には、非常に重要なポイントといいますか要件が五つなり十ございます。そこで、ひとつ両者を対比して、一つは東、一つは西というふうなおことばでけっこうでございます。それはどこであるということを私は主張しているわけではございませんで、国策として考えていきたい、こういうことでございます。まず第一点は、経済効果ではどちらが有利なのかということ。
第二点は、建設技術的な問題ではどうなのかということ。大体五キロ沖だし、私は同じだとは思いますけれども、小さいことはけっこうであります。
第三点は、航空管制上の観点からどちらが有利なのかということ。
第四点は、これは住民の非常に関心の深い問題でありますけれども、騒音公害という問題からはどちらも同じようなものだろうと思いますが、それに対してはどうなのか。プラス、マイナスはどうなのか。
第五点は、これは第三番目と関連してお答えいただいてもけっこうでございますが、伊丹空港との関連はどうかということ。
第六点は、船舶航行上の問題はどうなのかということ。
第七点は、都会からの乗り入れという問題があります。アクセスの問題、これは海を隔てて私は同じじゃないかと思うのですが、この点。
第八点は、地方公共団体の最近の動き、これは非常に大きな協力を得なければいけませんので、この点。
この八点について、簡単にぽんぽんぽんとやっていただきたいのです。
#23
○内村説明員 まず第一点の経済効果の問題につきましては、いま大きく東側と西側というふうに分けましたので、そう明確な回答は出てまいらないわけでございますけれども、やはり利用客の層を考えますと、大阪、西宮近辺のお客さまが現在相当多いようでございます。したがいまして、それに近いところと申しますと、神戸の沖のほう、西側のほうがやや経済効果は大きいのではないかということでございます。それから航空管制上の問題でございますが、この点につきましては、私どもは伊丹の空港と両方使うというふうに想定しております。したがいまして、あまり伊丹のほうに近づいてまいりますと両方の効果が相殺されますので、ある程度離れたほうが航空管制上は都合がいいということでございます。
それから埋め立て技術上の問題でございますが、これはいずれにしましても五キロぐらい離さなければいけませんし、バランスは二十メートルぐらい、その先にさらに粘土質の相当軟弱な層がございますので、そういうふうなものを克服してやりますので、工事上は両方とも同様に相当難工事でございます。
次に騒音の問題でございますけれども、騒音の問題も、いま申し上げましたように五キロぐらい離すとすれば、双方ともそれほど問題はないんではないかというふうに私どもは考えております。
それから船舶交通との関係につきましては、やはり神戸港を中心とする船舶交通のほうが多うございます。したがいまして、船舶交通の関係からまいりますと、むしろ東側のほうがスムーズではないかというふうな感じでございます。
アクセスの問題は、大阪あるいは西宮を中心といたしましてどちらのほうが来やすいかということでございますが、これにつきましては大差ないようなことでございます。いずれにしましても、別個に新しく高速道路なり何なりを設けなければいけないというふうに考えております。
最後に、地方公共団体のいわゆる態勢と申しますか、考え方の問題でございますが、これにつきまして、神戸市におきましては相当積極的にお考えいただいておるようでございます。それから大阪府におきましては、先般大阪府の知事さんがお見えになりましたけれども、そのときのお話では、公害というものに関係のないようなものをつくってほしいというふうな御要望がありました。
大体、以上がお答えでございます。
#24
○石井(一)委員 ただいまお伺いしました八点の中で、五点ぐらいはそのとおりだと思うのですが、二、三点について、私ちょっと疑義を感じますので、簡単にお伺いをしたいと思うのであります。まず航空交通管制の点から言いますと、これはどういうふうに飛行場のあれをつくるかということで非常に違いますけれども、泉南のほうは、何か進入路にかかっておるというふうなことをあちこちの専門書に書いてあるようでありますが、そういう面では、西宮なり芦屋沖につくるという場合は問題があるという国会答弁もございました。しかし、もう少し西に行けば、これは全然問題ないのだということもあるわけでございますけれども、そういう関係では、西のほうがこの点は少しプラスなんじゃないか、こう思うのですが、その点どうですか。
#25
○内村説明員 さしあたり当初だけを考えますと大差はないようでございますけれども、将来を考えますと、やはり西側のほうがやや有利であるというふうな感じでございます。#26
○石井(一)委員 その次に、地方公共団体に関しましては、読売新聞あたりに、地方議会なり地元の動きなりというものが非常に詳しく書いてありますが、泉南は市長が絶対反対で、反対を唱えて市長に当選した、そうして市議会では反対決議をやっておる、こういうふうに周辺都市がものすごい勢いで反対運動をやっておるというような感じがいたします。大阪府知事はごりっぱな方ですから、非常に抽象的なお話のようでございまして、その御答弁がございましたが、やはり基本的には、地元の受け入れ体制というのが今後どう変わるかわからぬけれども、現時点においては西のほうが有利である、こういうふうに考えてもいいのじゃないですか。#27
○内村説明員 飛行場部長から御答弁いたさせます。#28
○丸居説明員 反対運動の程度というのは、なかなかわかりにくいのでございますけれども、私たちのいままで感じておる感触から言いますと、南のほうの反対の動きというのは、先生のおっしゃるように、やはり泉南を中心にしてかなりきついというふうに思います。しかし、ちょっと北にあがりまして岸和田あたりになりますと、むしろ下の底流のほうがわりあいにいいのじゃないかという感じがします。それから神戸のほうは、商工会議所あたりの上層部の方を中心にした動きというのは非常に活発でございますけれども、下のほうに、まだ騒音対策についてどういうふうな考え方でおるというようなことが徹底していないせいかどうか、少しきつい反対があるように聞いておるわけでございます。#29
○石井(一)委員 それでは、この問題はあまり突っ込みますとかえって御迷惑をかけるかもしれませんので、これで終わりたいと思いますが、一応結論としまして、非常にばく然と、現在までの調査の結果であるけれども、ただいま私が御指摘申し上げた八つの項目の中で、東が有利と考えられるものは、航行上の問題で神戸湾を控えておる西が不利である、東が有利であるという一点。それから西が有利であると考えられるものは、これは今後いろいろ調査も進めなければいけませんけれども、まず第一番目の経済効果、それから第三番目の航空管制上の問題、この諸条件、伊丹空港の関係もそれにひっかかるわけです。それから最後のところでありますけれども、地方公共団体の協力態度というものもいま説明がございましたけれども、ややプラス、こういうふうに言えるのじゃないか。そうして、どちらも大体同じだと現在までの調査で考えられるものは、いわゆる建設技術上の問題、どっちも五キロから離れておるわけですから。それからアクセスの問題、それから騒音公害の問題これはどこへでもつきまとうわけです。こういうふうに大まかに分類できるだろう、こう思います。原則的にそうじゃないですか。#30
○内村説明員 いまちょっとお話がございましたけれども、アクセスは都心から飛行場まででございますけれども、特に問題は、海を渡るときどうするかという問題が一つございます。その点につきましては、船舶航行の問題と関連いたしますけれども、東側の場合には、あるいは橋をもってかえることができるかもしれない。西側の場合には、どうしても海底トンネルをつくらなくちゃいかぬというふうな問題はあると思います。その他の点につきましては、一応形式的に見ますと、先生御指摘のようなことではないか。ただ、どこにどういうふうなウエートをつけるかというようなことは一応別といたしまして、形式的に、平面的に見るとそういうふうなことになるのではないか、そういうふうに思います。#31
○石井(一)委員 それでは次に移りまして、住民が非常に問題にいたしておりますのは、いろいろな問題がございますけれども、いわゆる騒音公害の問題だと思います。この点に対してどういうふうに対処されて、また住民に対してどういう説得力を示そうとされておるのか、この点をひとつお伺いしたい。#32
○内村説明員 騒音につきましては、私ども一番心配しておる点でございます。したがいまして、まずその設置場所を、やはり住宅地なり陸岸から五キロぐらい離さなければいかぬ。しかも、滑走路をその陸岸と並行してとるということにいたしますと、騒音問題は相当解決するのではないかと私ども思っております。ただ、こういうふうに御説明申し上げましても、実際に地元におられる方はいろいろ御心配もおありになるわけでございます。したがいまして、そのうちに実際に飛行機を飛ばしてみたい。大体この辺に空港ができるだろうというふうなところを想定いたしまして、これは二カ所でも三カ所でもいいのでございますけれども、実際にジャンボくらいを飛ばしてみて、それで一体騒音がどういうふうであるかということを実際に見ていただきたい、あるいは聞いていただきたい、こういうふうに考えております。それが一番説得力があるのではないかというふうに考えます。
#33
○石井(一)委員 要するに、当局としてはどこへつくっても公害はないものをつくるのだ、そういう基本的な姿勢ですね。ただ、この間神戸市議会あたりでも公聴会などがありまして、地元では非常に関心を呼んでおるわけですが、一回や二回飛行機を飛ばしてもらっても、そのときの風の向きであるとか気象条件などでわからない。この点はどこへ持っていくにしたってたいへん大きな問題だ。もう少ししっかりとこの点に対して調査を、この一カ月、二カ月にやっていかなければならぬのではないかと思うのですが、いかがですか。#34
○内村説明員 騒音の問題に関しましては、私どもいろいろ研究もいたしておりますが、やはり役所でやりますと色めがねをもって見られるということもございますので、その道の専門家にお願いいたしまして、五十嵐先生という方がいらっしゃいますが、そういう方にもお願いいたしまして、実際に科学的に騒音の調査をしていただいております。そういうふうな結果についても、いろいろその結果をよく御説明を申し上げるとか、そういうことはしたいと思っております。#35
○石井(一)委員 そこで、いまの調査などは中立的な権威ということが必要でありますが、やはり地元の住民が非常に不満を感じておりますのは、運輸省当局の具体的な調査の内容の公示もなければ具体的な説明もない。何となく宙に浮いたような意見で空港がやってくるのではないかという危惧がある。そこへもってきて、いま言ったような騒音その他に対しては、いろいろの意見が百出しましてどれも根拠がない。こういうふうなことで、私はやはり住民不在の中央集権的な決定というふうな形でこういうものをつくるということは、たいへん大きな問題があると思うのであります。したがって、今後堂々と正しい調査というものは発表もしていただきたいし、当局がやるとまずいという面もあるかもわかりませんけれども、その辺はひとつ住民の中に踏み込んできて、誠意ある説得といいますか、そういうことをもっとどんどんお進めにならなければならない。それでなければ誤解が誤解を生んで、当然そこへ誘致されるものでも非常にいろいろの問題が起こってくる、私はそういうふうに感ずるのですが、その点いかがですか。#36
○内村説明員 おっしゃるような点が確かにあると思います。実は私どもいままで調査結果を発表しておりませんのは、部分的な調査結果が出まして、それによって一般の方々が、全体的な知識を得ずして部分的な解釈をされると非常に誤解を生ずるというような点も考えまして、発表はしておらないわけでありますけれども、もうだんだんといろいろな、タイミングなり情勢も変わってまいりましたので、この際やはり先生のおっしゃるように、少なくとも現在までの調査で、調査が全部終わったわけではございませんけれども、中間的にいままでの調査の結果はこうであるというふうな事実関係を、ある程度は皆さまにお知らせする必要もあるのではないかというふうに感じます。ただいま地方公共団体、神戸市とかあるいは大阪のあたりでも、それぞれの地方公共団体が、受け入れるかいなかというふうなことをやはり検討しなければいかぬ。そのためには、やはり客観的なデータがほしいというような御要望もございますので、こういう機会に、何らかいままでのことを一応取りまとめてお知らせ申し上げることも、あるいは必要でないかというふうに考えます。なお、この点につきましては、いま大臣も不在でございますので、大臣が帰られましたら、十分その辺も御相談いたしまして、しかるべく方法を考えたいと思います。
#37
○石井(一)委員 ただいまの問題に関連しまして、私は、やはり成田がきまったような形の決定のしかたというのは非常にまずい。特に大都市圏の中へこれを持ってこようとしているわけでありますから、その点住民に対する十分の配慮というものをやっていただきたい。経済効果、技術効果というものも大切でありますし、将来の展望も大切でありますが、やはり人間性といいますか健康的な、そういうふうな問題も、同時にそれ以上に重視して御決定をいただきたい。これは大臣にもひとつよくこの点を申し上げていただきたい、こう思うわけであります。そこで、時間が迫ってまいりましたので次に移りますが、来年度の予算を拝見いたしました。いよいよ事業が着工されるという形で百億が計上されておるようでありますし、その中で地元の負担が一五%、ですから十五億でございますか、そういうふうに計上されておるようでございます。それからまた、公団の設立が来年の後半になるというふうになっておりますが、予算面と公団の設立に関してひとつ御回答いただきたい。
#38
○内村説明員 四十七年度予算におきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、関西新空港の新しい公団を設立するというようなことで予算要求をしております。四十七年度の公団の事業費といたしましては百億円で、そのうち三十億を国が出資をする、それから十五億を地方公共団体の出資をお願いいたしたい、さらにそのあとの五十五億は財投でもってまかないたい、こういうふうな形で予算要求をいたしております。なお、人員については三百十七名を見込んで要求しておるということでございます。#39
○石井(一)委員 発足は……。#40
○内村説明員 発足は、十月から発足の予定でございます。#41
○石井(一)委員 そこで、基本的な方針としては、成田の空港の場合は地元負担というものは見なかったけれども、今度の空港の場合は、地元への還元なり開発ということにも結びつくということで、地元負担ということをいっております。初年度は一五%ということでありますが、それから一〇%くらいというふうな予想のようでありますね。これは一次、二次、三次、十年先ということを考えると、全部でどれだけになるか私もよくわかりませんが、一兆円くらいになるのでしょうか。そういたしますと、その最後までやはり地元に負担をさせるというのが中央の姿勢なのかどうか。地元の負担ということは、地方公共団体の財政は非常に苦しい状態でありますけれども、どういうふうに見ておられ、どういうふうに計画しておられますか。#42
○内村説明員 将来、長い間にわたってということは、ちょっといまそこまで考えておりませんが、少なくとも第一期工事につきましては御負担を願いたいという考え方でございます。その割合は、いまおっしゃいましたように、全体としての一〇%程度を御負担いただきたいということでございます。と申しますのは、やはり今度の関西新空港は工事も相当難工事でございますし、相当な資金量が要ります。したがいまして、公団といたしましては、経営いたしまして、オペレートした場合には当然それを回収するということをしなければいけないわけでございます。したがいまして、なるべく金利のつかない金というものを、特に初期のうちは使ってまいりませんと、開業いたしましてからペイしないことになりますので、そういった意味で国も出資すると同時に、地方にもお願いいたしたい。なお、本四架橋公団でございますとか、あるいは外貿埠頭公団、こういったものにつきましても、大体地方公共団体の御出資をお願いしておるそうでございます。それと平仄を合わせてやれたらいかがなものかというのが、私どもの考え方でございます。
#43
○石井(一)委員 いま最後に触れられましたので、それに関連してあれなんですが、地元のほうの考え方としては、本四架橋もやらなければいかぬ。それに対する出資もたいへんなものである。しかも、その場合は非常に関係公共団体が多いですから非常にばらまかれる。しかし今度の場合は、空港というのはある一つの県にしぼられてきますから、ある一県にかかってくる地元の負担というのはたいへんなものだ。しかし、これはやはり国策としてやっていくのじゃないか、各地からそこにやってこられてこれを利用されていくのじゃないか、地元のプラスもあるけれども。そこで、本四の架橋はかけていただきたい、そのためにどんどんと地元負担が出ていく、それからまた、いまの空港にしましてもそういう状態になってくると、これは歯どめがきかないたいへんな状態です。将来のことはわからぬと思いますが、当面は、いろいろの事情もあるんだろうと思いますけれども、いま第一期工事だけはというふうな見通しもございましたから、そういう地元の立場ということも考えてやっていただきたい。それと同時に、国策として、私はそんなに成田と関西国際新空港と差があるわけでもないと思いますが、基本的には、やはりこういうふうなものはそういう形で、地元の負担がないというふうな形に持っていくべきじゃないか、私はそう思うのですが、そのことに対していかがですか。#44
○内村説明員 その点、いろいろ御説も確かにあると思いますし、地方公共団体としてはなるべく負担の少ないことをお望みになる、その気持ちもわからないわけではございません。ただ、この空港の実態から申し上げますと、関西新空港の場合には、相当やはり国内線というものが多くなってくるというふうな感じでございます。それからさらに、外貿埠頭公団とかあるいは本四架橋公団、この場合には、政府一に対して地方公共団体が一とこういう比率でございますけれども、現地の御要望もいろいろございますので、その辺特に、政府二に対して公共団体一というふうな若干の格差を設けておるということでもございますので、できるだけ御了承いただきまして、この線でやっていただければたいへんありがたいというふうに私どもは考えております。#45
○石井(一)委員 こういう話を、これまで地方公共団体にされましたか。#46
○内村説明員 申し上げております。必ずしも直ちに賛成でございますとはおっしゃっておりませんけれども、私どもの希望としては申し上げております。#47
○石井(一)委員 それでは、私が聞きたい問題は大体お伺いしたのでございますが、いま非常に大詰めでありますので、ひとつ慎重に調査を進められまして、中央からの押しつけというような形の出ないように、住民に対する配慮、地方公共団体に対する配慮、また財界その他の動きというものを、十分顧慮していただきまして御決定をいただきたいと思います。それで、公団が来年の十月に発足するということでありますが、私いまちょっと思い出したのですが、この点もう一点……。公団をつくってそれから後に位置の決定をするという、そういうことはありませんね。位置の決定というものは本年中にきまって、それから公団は来年の十月に発足する、その公団が発足するのがきまってからどこでやるのかということでなしに、発足したらもうまっしぐらにその決定したところを目ざして動くのだ、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#48
○内村説明員 私どもそういうふうにいたしたいと思っております。#49
○石井(一)委員 終わります。#50
○小峯委員長 久保三郎君。#51
○久保委員 当面のタクシーの政策について二、三お伺いしたいのでありますが、御承知のようにたくさんの質問者がいるので時間が制約されておりますから、簡潔に要点だけをお伺いいたしたいと思います。一つは、最近タクシー業界は、昨年の三月の運賃値上げが、結果として十分でなかったので経営は悪化している、だからこの際大幅な値上げをしてもらいたいという要求があるようでありますが、経営の悪化については、倒産している会社などもあるようでありますから、必ずしもその主張どおりではないにしても、確かに好転しているとは思えない。しかし、このタクシー問題は、一方、符に昨年の運賃値上げに際しては、近代化センターの設置を中心にしてサービスの改善を政府当局は約束させたはずだし、それから業者も、これに協力するということであったわけでありますが、残念ながらこの一年有余の間何ら改善されないばかりか、最近ではかなり悪質の者が出ておる。もちろんこれらの運転手諸君はごく一部の者だとは思うけれども、これはよって来たる原因を尋ねれば、やはり経営者の経営の姿勢にあろうかと思うのであります。この経営の姿勢を正し、現在のタクシー運行について、政府との約束を実行することがまず前提だろうと思うのであります。そういうことを抜きにして、経営が悪化したから、運賃が低位であるから値上げするという単純なコースでは、国民はこれに同意を与えるわけにはいかないし、われわれはこの場で、去年三月の運賃値上げのときに約束されたことをまずひとつ実行をしてもらいたいと思っているわけなんです。ついては、近代化センターはその後、当初の国会における説明どおりに機能を果たしているか。完全な機能をやっているか。
それからもう一つは、乗車拒否あるいは不当料金の要求、最近では暴力運転手の出現に対して、当局はどう思っているか。これは言うならば良質の運転手が減ってきて、悪質の運転手がふえてきたという現象にもなろうかと思うのです。一部ではあってもそういう結果だと思うのであります。ついては、悪質な運転手が入ってきた原因は何にあると思うか。われわれ自身は、いままでも主張したとおり、刺激給を中心にした運転手の労働条件を改善することが一つであると言ってきた。あるいは環境を整備することもその一つである。ところが、いまだにその点はちっとも改められておらないように思うが、これはどういうふうに思っておられるか。
さらにもう一つは、都市における交通渋滞が一つは運行を妨げ、あるいは従来やってきている流しタクシーの制度というものが、はたして現状にマッチしているかどうか。そういう問題については、当然運輸当局が率先して検討を加えて、しかるべき措置を講ずべきものと思うのだが、これはどういうふうに考えられておるか。
さらにもう一つは、当面業者から要求のあるところの運賃値上げに対しては、当局はいまどういう考えでおられるのか、簡単にお答えをいただきたい。
#52
○野村説明員 お答えいたします。まず、昨年発足いたしました近代化センターでございますが、この二つの業務のうちの登録事業につきましては、ほぼ所期の目的を達成をして円滑に行なわれております。それから第二のいわゆる運転者のサービス改善とか福利厚生の面、あるいはそのもっと基本的な問題でありますところの安全教育というような面につきましては、残念ながらきわめて不十分な状態でございます。この原因は、当初計画いたしましたような負担金がなかなか確保できないということでございまして、その負担金が確保できない理由として、業界はこれは経営の困難ということをあげておるわけでありますが、私どもは、負担金というものは、これは十分な負担金は出せないにしても応分の負担金を出して、近代化センターが活動できるようにということでいろいろ指導はいたしておりすますけれども、はなはだ不十分でございまして、その機能が十分営まれていないということは、これはもう率直に認めざるを得ないところでございます。
それから、第二点の悪質運転手が非常に最近多いという御指摘、私どもまことに申しわけないことだと考えております。大部分の人はまじめにやっておられるわけでございまして、そういう中で一部の非常に悪い人がおるということについては、これは業界のやはり姿勢といいますか、あるいは運転者に対する教育というようなことも非常に重要であろうかと思いますが、やはりそこに労働条件というものが一つの大きな要素をなしておると思います。その点につきまして、勤務時間あるいは給与の立て方という面につきましては、昨年の当委員会におきまする御指摘、それを受けて私どものとりました施策というようなことによりまして、たとえば累進歩合制を是正するというような措置は講じてまいりました。また、労働時間の厳守ということにつきましては相当徹底をしてまいったつもりでございますが、やはり一部の業界におきまして、あるいは一部の運転者の中におきまして、きわめて道徳的な観念の欠如した者がおって、不当料金を請求したりあるいは暴行を加えておるという者がありますのは非常に残念でございますが、私どもはあくまでも、せっかくつくりました近代化センターでございますので、これの財政的な、資金的な裏づけを得て、これによってそういうことのないように、今後の指導をしていきたいと考えております。
それから、第三点の大都市におきます交通渋滞、この問題につきましては、まさに先生の御指摘のとおり、私ども最も頭を痛めておる問題でございまして、現在タクシーの経営が悪化している一つの原因は、予想外に交通渋滞というものが激しくて車がスムーズに動かない、そういうことが一つの大きな原因になっております。この点につきましては、先般、総合的に大都市の交通問題を審議していただきました運政審の都市交通部会におきましても、バス・タクシーの渋滞解消というものについていろいろ手を打つような御示唆もございました。したがいまして、御指摘のような流しの幅を狭くして、できるだけ流しというものによらずして、たとえば電話で呼ぶ、あるいはタクシーベイを設けてそこで拾うというような方向でやるような示唆も出ております。私どももそういうことを考えておりますので、これは積極的に取り組んでいきたいと思います。また、レーンの使用につきましては、これはタクシーよりもむしろバスで現在やっておるわけでございますが、これも、残念ながら専用レーンといきませんで、優先レーンということでございますが、私どもはこのバスの優先レーンを拡大するとともに、時間帯等によりましてはタクシーもここを利用するというような方法も技術的に検討していきたい。いずれにしても、交通渋滞の解消という問題は、これは非常に重要なことでございますので、私どもこれと十分積極的に取り組みたいと思っております。
それから、運賃の改定の問題でございますが、私どもといたしましては、現在六大都市から申請の来ております運賃の改定の問題について事務的に検討をいたしておりますが、運賃の問題だけを切り離してこれを実施するということではなくて、ただいま先生が御指摘になりましたようなことを含めまして、また、私どもがかねてから宿題とされておりますところの事業の改善、とりわけその中で利用者に対するサービスの改善というようなことを具体的に計画を立てて、そしてそういう問題の実現をはかっていく、そういう総合的なタクシー事業の改善政策の一環として考えでいくという方向で検討いたしたい、かように私ども事務当局としては考えております。
#53
○久保委員 いまのお答えで、近代化センターに対してもその後そういうふうに指導した、やらせたとおっしゃっておりますが、特に運転手の労働条件等については、かなりまだ立ちおくれている一面が相当あると思うのです。こういうものはやはり積極的にチェックしながら指導し、監督していかなければ直らないという体質だと思うのです。これに対してもう少し、これだけ世論が沸騰している中で、運輸省は単に運輸政策審議会からの答申をもらったからそれで事足りるというかっこうでは、どうもわれわれとしてはもの足りない。たとえばちまたに出て、タクシーどうですかと言ったら、これは改善してもらいたいですという声がすぐはね返ってくる世の中ではないですか。それにこたえていくという運輸当局の姿勢が私はほしいと思うのです。具体的に、政務次官いらっしゃるが、これはあしたからでも、きょうからでも、運輸省の中にタクシー対策委員会でもつくって、強力に、いま局長がおっしゃること、局だけではできない問題がたくさんあるのですが、これをおやりになるという決意はありますか、どうです。#54
○佐藤説明員 運輸省の中に、そういうタクシーだけに関する特別な対策の協議会なりもしくはそういうものを設けるか設けないかは、いずれ大臣が帰った上で早急に結論を出したいと思いますが、業界から、運賃値上げの幅を約八〇%という希望が出ていますが、単なる運賃値上げだけで問題の本質は解決しないのじゃないか。いま先生から御指摘があった経営者の問題、あるいは運転手のモラルの向上、もちろん事故防止を前提としたものですが、その他良質運転手の確保、街頭指導、苦情処理あるいは計画配車、無線車の充実、こういうものを前提とした上で、他の交通機関との運賃のバランスを考えていきたい、かように考えております。#55
○久保委員 私が聞いているのは、委員会をつくるかどうかは別にして、これはやはり即刻直ちに必要なものをやってもらわなければいかぬ事態に来ていると思うのですよ。業者はどういうお考えか知りませんが、ストライキをやろうということでしょう。私は、それだけの理屈があればおやりになることはやむを得ぬとは思っておりますけれども、それだけでは事は解決しないのですね。それから、いま私も言い、それから御答弁もあった中で、一つ抜けているのがあるのですよ。一番大事な点、何があるかというと、経営者のモラルの問題です。これは、経営者のモラルといったらたいへん口幅ったい言い方をしますが、たとえば暴力運転手が出てきた背景には、それはその会社の雇用人、いわゆる従業員ではないという例がありますね。言うなら、車ごとだれかに貸し渡しをしているわけです。だから貸し渡された者は、自分の裁量と自分の腕によってかせごうということでありまして、何らの統制がきいてないのです。いかに経営が苦しくとも、そういうもの自体許すところにモラルの問題があると思うのです。それから乗車拒否についても、いかほど直ったかという問題ですね。これは直っていないでしょう。直っていないのは、これは経営者のモラルの問題もあると思うのです。自分の経営がかわいいのなら、国民大衆の要望にきちっとこたえるという姿勢が私は必要だと思うのですが、どうでしょう、そういうものに対して御指導をいままでしたかどうか。ただやっています、指導しました、言いました……。近代化センターだって、いまお話しのとおりでしょう。金がなければできないのかもしれませんけれども、金も約束どおり出さぬという恨みも言いたいかもしれませんが、出させなくした原因は何だろうか、そういうものを反省してやる。これは業者の責任だけではなくて、まさに運輸行政の責任でもありますし、これは人ごとじゃありません。いかがでしょう。
#56
○野村説明員 ただいま御指摘の経営者のモラルの問題につきましては、これは非常に重要な基本問題であると思います。御指摘のような暴行運転手が出たり、あるいは乗車拒否をしたりということがあとを断たない。その根本原因はいろいろあると思いますが、一つは、やはりその運転者に対する教育あるいは日ごろの経営者の経営の姿勢、モラル、そういうものがおのずからそこに反映されてそういう態度になっておると思います。したがいまして、私ども先般もいろいろ、一斉休業をする、あるいは近代化センターから役員を引き揚げるというような動きがありましたときに、法人及び個人の代表者と会合していろいろ話をしました。まず経営の苦しいことはわれわれもわかっておる、しかしながら運賃が高いとか低いとかという前に、まずサービスの改善をしなさいということで極力説得をいたしました。また、いろいろ学識経験者、部外の第三者等のお力もおかりいたしまして、いろいろ説得と申しますか、指導をいたしましたし、また違反者につきましては、一部相当きびしい処分をしたつもりでございますが、残念ながら所期の効果、目的をあげていない。結局、最後にけんか別れといってはあれでございますが、結局、衣食足って礼節を知るのだ、われわれは衣食が足らないから礼節をいまや失っておるのだという放言めいたやりとりもありまして、私は、そういうことが基本的に間違いではないかということでいろいろとやったわけでございますけれども、先生御指摘のように、一部の不心得な経営者、あるいはそれに雇用されておる運転者の中に非常に不心得な者がおるということは残念でございますが、この点非常に基本的な問題でござ、いますので、あらゆる機会をとらえまして、私ども具体的な事業改善計画を立てるときには、これを一番基本的な問題としてやっていきたいと思います。各界の御協力を得るように、いまいろいろの面で手を打っておるところでございますが、残念ながらまだ十分なところまで来ておりません。
#57
○久保委員 時間もありませんので、最後に政務次官に一つだけ重ねて申し上げますが、いま局長から答弁のあったことも真実だと思うのです。そういうものをそのままにしておいては問題の解決にはならないのです。業者もそういう点は深く考えるべきだと私は思うのです。業者の経営もわからぬわけではありませんよ。倒産する者もあるというのは事実だから、それはそうだろうと考えられますよ。どうしたら走れるか、どうしたらお客さんに喜ばれるかを先に考えないで、経営のこと、金のことを考えたってそれは相手のある仕事ですから、だんだんいやなら乗らなくなりますよ、はっきり言って。そのときに、乗れなくなって国民の経済なり生活が麻痺したら、これは政府の責任ですよ。そういうことを言うならば、さっきも申し上げたように、即刻対策を具体的に立てて推進するという約束をしてほしいのです。運賃はそのあとですよ。そういうあかしが完全についたあとで、初めて運賃が公正であり妥当であり適正であるのかどうか、これは検討をする必要もあるかもしれません。しかし、いまはそんな時期じゃないと私は思うのだが、政務次官、どうです。#58
○佐藤説明員 運輸省の中に、タクシーを対象とした特別の会合なり審議会なりを設けようと、現実に機会あるごとに事務当局と大臣、もちろん私も入って、いろいろ今日まで協議してまいっておりますが、いずれそういう部会なりあるいは審議会を設けるかは、大臣の帰った後ほど協議して結論を出したいと思っております。さらに、いま御指摘のように、運賃値上げの以前にもっとやらなければならないことがあるのじゃないか、これはお説のとおり私もごもっともだろうと思います。運輸行政全体の中で運輸省として管理、監督もしくは指導している他の業界も多々ございますが、その中でタクシー業界というもののあり方は、運輸省においてもはなはだ遺憾ですが、他の業界と比較してそれほど時代、社会環境の変化に伴う適切な行政をやっている、あるいはタクシー業界自体が自己の名においてそういう改革をしているかというと、そうでない向きが非常に多い。これも御指摘のとおりでございます。したがって、今回は運賃値上げを前提とするのではなく、運賃値上げによってすべての問題が解決するとは考えられませんので、その以前の前提として体質改善、それからタクシー業界本来の原点に立ち返る、そういう姿勢がない限り、私のほうとすれば運賃値上げは認めるわけにいきません。それとあわせて、運賃改定も他の交通機関とのバランスを考えて考えていきたい、かように考えております。
#59
○久保委員 重ねて申し上げることはございません。とにかく具体的に一日も早く問題の解決の方向を見つけてもらいたい。見つけてもらうというよりも、実行してほしいということなんですね。問題の所在はわかっているのですから、どうかひとつ早くやってほしい、こう思います。時間もありませんので、次には港湾運送事業に関連してお尋ねしたいのでありますが、最近、港湾運送事業といえば、ラッシュ船の入港によって大きな問題になっているわけであります。最近、海陸一貫輸送体制、それによる技術革新によって、御案内のとおりカーフェリーまたはコンテナ、あるいは最近のラッシュ船、そういうものによってかなり、昔からいわれている陸海の結節点である港湾が、結節点ではなくなって通過地点になっている。そういうために、港湾運送事業を中心にして職域というか、そういうものの変化なりあるいは仕事の内容が変わってきているということで、かなり大きな輸送革命だろうと思うのであります。
そこで申し上げたいのは、ラッシュ船に対して、この間横浜ではとうとう入港を拒否されて出ていったわけでありますが、これは近くまた来るようでありますし、アメリカでは国務省から、いわゆる口上書によって日本政府に抗議めいたものが来ているようであります。そういうさなかで二たび、三たび何らの対策がないままに入港されることは、日本国民としても黙って見ているわけにはいかない。言うならば、港湾運送事業の技術革新、そういうものによって職域が変わってくることも必然的なものがあろうかと思うのでありますが、といって、これは時代の流れであり技術革新だからといってそのまま見のがすわけにはいかないのであります。だから、ここできちんと今日の港湾運送事業の分野を確立し、そこで、そこに働く労働者の生活を完全に保障するという対策があって初めてそういうものが導入されてしかるべきだと思うのでありますが、技術革新、そういうものが先行してどんどん入ってきて混乱を巻き起こしている。これではどうも行政がないのじゃなかろうかと思うのであります。
ついてはお聞きしたいが、特にラッシュ船がいま問題でありますが、港湾運送事業の職域をどうして確保し、そこに働く労働者の生活保障をどうしてつけていくか、そういうものについていまどういうふうに考えておられるのか、これをひとつお答えいただきたい。
#60
○田中説明員 先生が御指摘のように、港湾をめぐる輸送革新あるいは技術革新等によりまして、現在港運業界は非常に前途を模索しておる。それに伴いまして港湾労働者の方々も、生活の将来につきましていろいろ不安を感じられていることは事実でございます。運輸省といたしましてはかような情勢を踏んまえて、現在運輸政策審議会で港湾運送の特別委員会を先般設置いたしております。そこにおきまして、学識経験者はもちろんのこと、関係の労使の代表の方にも入っていただきまして、これからどんどんと変わっていく港湾の情勢に対して、港湾運送事業としてはどういうふうに進んでいくべきであるか、あるいはまたその過程において、港湾労働者の雇用安定と生活保障をするためにはどのような配慮を払うべきであるかというような点について、現在審議会で問題点を検討中でございます。
#61
○久保委員 審議会で問題を審議していることもけっこうなんでありますが、とにかくタクシーの問題じゃないが、目の前にラッシュ船がラッシュしてきているのですよ。そういうときに、いまこちらの霞ヶ関かどっかで小田原評議ではないが評議を重ねているのでは、国民としてはああそうですかといって黙って見ているわけにいかない。そこでこれは当面、ここに働く者あるいは業者あるいは関係者、こういう者を加えて一刻も早く当面の対策を立てるべきではないか、こういうふうに思うのですが、その用意はあるのですか。#62
○田中説明員 長期的には先ほど申し上げたとおりでございますが、当面の対策といたしましては、現在横浜市とそれから神戸市におきまして、関係者を含めました協議会を結成して問題点を検討している、そういう手はずになっております。#63
○久保委員 その場合、港湾労働者による共同荷受けというような機関の設置とか、そういうようなものも含めて協議しているのですか。#64
○田中説明員 協議会の設置を要求いたしました労働組合側のほうは、その点を取り上げておりますので、当然協議会ではその辺は問題になると思います。#65
○久保委員 こまかいことは時間がありませんからなんでありますが、どうもそういうものができたらやむを得ぬ、そのほうが便利であるからというだけでは、先ほど申し上げたようにうまくいかないと思うのです。そこで私どもは、さっきから言っているのですけれども、田中さんを前に置いて悪いけれども、港湾のほうは海上コンテナの問題があり、カーフェリーの問題から、そうして今度ラッシュ船でしょう。あと何が出てくるのだろうかというのでみんな心配しているのですよ。その次には何がくるのだろう。全体の利益にならないようなことではもちろんいけませんけれども、といって、だれかの犠牲でそういうものがやっていけるということでも困ると思うのです。だから、大体こういうものは出尽くした感じはいたしますが、制度的にはこれからいろいろなものが出てくると思うのです。そういう中で、いままでやっていた職場が壊滅の状況になっていくということは黙って見ているわけにはいかない。だから、少なくともここで事前にそういう対策があって初めて受け入れるということだと思うのです。さっき空港の話が出ていましたが、公団でもつくれば空港はできるように思っていますが、そんなわけにはいきません。埠頭公団も同じですよ。だから、全体として港湾運送事業もいま検討中であるそうでありますが、このラッシュ、コンテナについてもまだ片はついていないと思うのですね。カーフェリーもこれからだと思うのです。これらも含めて御検討になりますか。#66
○田中説明員 検討いたすつもりでおります。#67
○久保委員 次にラッシュ船が入るのはいつです。今月もまた入ってくるのでしょう。#68
○田中説明員 神戸に今月の十七日に入ってまいります。#69
○久保委員 神戸に入ってくるというのは、横浜じゃなくて神戸はよさそうな顔をしていらっしゃるが、そういうものじゃないと思うのです。これはその後かなり数も多くなってくると思うのです。影響も運輸当局が見ているほど小さいものではないと思うのです。そういうことでありますから、少なくとももう少し急いで対策を立てて、十分関係者が納得してスムーズに移行できるような対策をぜひ結論として出していただきたいと思うのです。政務次官、どうです。#70
○佐藤説明員 先ほどもお話にあったように、運輸政策審議会の港湾輸送特別委員会には、御承知のとおり労働者側も参加しております。しかし審議会から出る結論は結論として、私ども運輸省といたしましては、社会環境の変化に伴う貨物量の増大あるいはバースの建設、そういうものも五カ年計画の中に当然含まれておりますが、何といっても御指摘の点にありましたように、そこで働く労働者の定着なくして満足な運営は望まれないのじゃないか。それがラッシュ船のために多大の影響を受けているので、こういうこともあわせて検討いたしまして、社会環境の変化に伴う労働者の職場の問題あるいは福祉向上の問題、こういうものも総合的に早急に対策を考えたい、かように思っております。#71
○久保委員 最後に、アメリカに対してはどんな回答をしましたか。#72
○鈴木説明員 アメリカのほうから大使館を通じまして、今回の件につきまして、今後こういうことのないように十分配慮してほしいという趣旨のそういった文書が参りました。それに対しましては、別にこちらのほうから文書をもって意思表示はしておりません。#73
○井岡委員 ちょっと関連。いまの協議会ですが、これは神戸のほうでようやく市長のあっせんでいやいやながらできたようです。ところが、横浜でも市長が一生懸命あっせんをしておるわけなんですが、いわゆる船舶関係あるいは海運関係のほうはどうしても応じないというのです。そこで、これはだれが所管をしておるのかということなんですよ。このラッシュ船の問題については、どこを中心におやりになっておるのか、この点が聞きたいのです。これは単に労働者だけの問題でなしに、横浜にしても神戸にしてもいわゆる港運業者がおもに反対しておるわけなんですね。特に一ぱい船主――一ぱい船主というより一ぱいのなにをやっておるこの人たちが仕事を奪われてしまう、こういうことなんです。したがって、この人たちが相談に行って、これはこういうようになるのだという回答はだれがしてやるのです。この点をひとつ明確にしておいてもらいたい。
#74
○田中説明員 この問題につきましては、所管の問題は非常に複雑でございまして、港湾運送事業の問題につきましては運輸大臣、それを受けまして海運局でございますけれども、労働問題になりますと、これは労働省でございます。それからさらに、平穏にラッシュ船を入港させるかどうかという問題になりますと、これは港湾管理者の問題でございます。そういうようなわけでございますので、労使といま申し上げました関係官庁が一緒に相談をしてやっていこう、そういう体制で現在やっています。#75
○井岡委員 港湾管理者といっても、そういう反対運動を起こしておる業界について、あなたはいけない、そういうことをしてはいけないと言う権利を持っていない。権限を持ってないのですよ。そこで一番管理者が困っておるのは、こういう紛争が起こってそして派生的にいろいろな問題が出てくる、それで一番困っておるのですよ。それを運輸大臣として、港湾行政をつかさどる行政官としてあなた方が指導してやらぬといかぬのですよ。だから、たとえばいま一番反対をしておる船の関係、船というか海運の関係、こういう関係にあなた方が一つの場を開いてやらなければ、港湾管理者が幾ら一生懸命、集まってください、そして話をしましょう、こう言ったってみんな横を向いておるじゃないですか。そこで困っておるのですよ。だからどうするのですか、こう言っておるのです。#76
○田中説明員 そういう意味では、先ほどから申し上げておりますように、運輸政策審議会に港湾管理者も含めまして、関係労使、学識経験者を加えまして、将来どうするかということをやっておるわけでございます。今度の場合は、労働組合のほうから特に管理者に対しまして、管理者が中心になってそういう協議会をつくってほしい、そういう要請が出ておりますので、一応形は市のほうが音頭をとった形になっておりますけれども、実際上は海運局もよく相談にあずかりまして、たとえば業者方面に対して、そういう協議会に参加するような指導等は十分いたしております。#77
○井岡委員 それはあなた十分指導しておると言うけれども、指導してないですよ。依然として断わっておるでしょうが。きのう私のところに市会議員がそれを持ってきたのですよ。一生懸命こうやっているけれども、断わられてしまってどうにもならぬのだと言っておるのですよ。ですから、あなたのほうで将来の問題について審議をされておる、それはいいですよ。いま当面しておる問題をどう収拾するのかということでもっと強力に働いてもらう、こういうことでなければだめです。そこのところをおやりになるのかどうかということです。#78
○田中説明員 私どもが現在得ておる情報では、神戸市はすでに片づきました。それから横浜市も、港湾運送業者のほうも入れてやるという点については現在もう落着しております。ただし、最近になりまして、船主あるいは荷主等も当協議会に入れろというような要望が出ているやに聞いておりますけれども、一方におきまして横浜への入港も迫っておりますので、なるべく早く協議会を開いていただくように、そういう意味で、とりあえずあした第一回の協議会を開くわけでございますけれども、船主等に参加してもらうかどうかは協議会の席上で検討する、そういう体制になっております。#79
○井岡委員 そこで、船主は入ってもらうということにかりにきまったら――神戸の場合入ったのですね。横浜は入らないわけですね。きまった場合、また入らない、こう言ったらどうします。いままで再三やっているんですから。#80
○田中説明員 入ってもらうようになるべく努力いたします。#81
○小峯委員長 松本忠助君。#82
○松本(忠)委員 都市交通の問題点について、二点お尋ねをいたしたいわけであります。その第一は、都市と近郊住宅地域を結ぶところの高速鉄道、地下鉄、これの建設状況。それから第二点は、先ほど久保委員からも発言のありましたタクシーの料金値上げの問題、この二点についてお尋ねをいたしたい。まず第一の問題でありますけれども、御承知のように、近年、東京、大阪、名古屋あるいは横浜、あるいは冬季オリンピックの開催されるところの札幌、こういうところにおきまして地下鉄が意欲的に建設をされております。たいへんけっこうなことだと思うわけでありますが、現在、申し上げましたこの各地域の状況、これにつきまして簡単にお答えを願いたいわけです。
#83
○山口説明員 地下鉄につきましては、現在、札幌、東京、横浜、名古屋、大阪等におきまして建設をいたしております。札幌におきましては、現在、南北線の北二十四条−真駒内間でございまして、これは冬季オリンピックを目ざしてやっておりまして、完成予定が四十七年一月ということに予定をいたしております。それから東京におきましては、六号線と称しまして、巣鴨−三田間、十・五キロでございますが、これは東京都が建設をいたしておりまして、四十八年一月完成の予定でございます。それから八号線でございますが、これは成増−明石町間二十・八キロでございますが、これは交通営団が建設をいたしておりまして、完成予定が五十年三月でございます。それから九号線でございますが、これは霞ケ関−代々木上原間、七・二キロでございまして、この完成予定が四十九年三月、これも交通営団が工事をいたしております。
それから横浜市の一号線でございますが、上大岡−尾上町間六・五キロでございます。これは四十八年四月に完成の予定でございます。
それから名古屋市の二号線が大曽根−市役所間、四・六キロでございまして、これは名古屋市が建設をいたしておりまして、完成予定が四十六年十二月でございます。
それから大阪におきましては、二号線、東梅田−都島間、三・三キロでございまして、完成予定が四十八年四月でございます。三号線、玉出−住之江間二・七キロ、完成予定が四十七年四月でございます。この二線は大阪市が建設をいたしております。
なお、今後の計画につきましては、現在免許申請中のものもございます。また、現在都市交通審議会の東京圏小委員会、それから大阪圏部会にそれぞれ諮問中でございますので、その答申を待って推進いたしたいと考えております。
#84
○松本(忠)委員 局長、いまのお話で特に東京の場合でありますけれども、われわれの聞いておるのは、東京の地下鉄は一号線から十一号線まである。一号線から五号線までは一応営業をやっているわけでございます。六号、それからいまお話しのありました八号、九号、それから十号、十一号というのがあるわけでありますけれども、この十号、十一号については、十号のほうは工事の施工認可が出ていると思います。十一号については免許したばかりだと思いますけれども、残るのは東京の場合七号線、こういうことになるわけでありますけれども、この七号線につきましては、昭和三十七年八月二十九日の建設省告示の第二千百八十七号で決定を見ている、このように私どもは承知しておるわけであります。〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
その後いろいろと、いま申し上げました十一号線までについて出てまいりましたけれども、七号線の目黒−赤羽間の二十・七キロ、これは今日に至るも施工がされておらぬわけであります。放置されている。この問題は私は非常にふしぎな問題じゃなかろうかと思うのです。一号から十一号までの中で十号、十一号については施工認可が出、あるいは工事の免許が出ている。ただ七号線についてのみ何の話もなかった。今日まで放置されていた。この点については私は非常にふしぎな現象ではないかと思っておる。この七号線のことは、あらためていま建設の問題について鉄監局長に申し上げることもないと思いますけれども、これは三十七年八月に大臣から告示があり、四十五年着工、五十年完成、こういう内容であったと思うわけです。
私は、衆議院に出てまいります以前、毎日の通勤には、東京の中心部に出てまいりますために京浜東北線を使って東十条の駅から乗っておりました。御承知のように毎日毎日非常な混雑で、地獄の苦しみという表現は強過ぎるかもしれないけれども、そういう状況であったことは事実であります。御承知のように、大宮から出てくる京浜東北線は浦和で大体満員状態、川口に来るとしり押しをしてやっと入れている。赤羽に来ると、高崎線あるいは宇都宮方面から来る乗客のために大混雑になる。私の乗る東十条の駅では、乗るためにはほんとうにえらい努力をしなければ乗れないというような状況でございました。そこで東北線のラッシュを避けるためには、東北線に沿ったところの埼玉県の南部、いわゆる東北線の東側を走って都、心へ乗り入れてくる高速鉄道をつくらなければならないのではないかということは、私の多年の考えでございました。これは事実私の体験からにじみ出たところの説であります。
そうした問題を踏まえまして、国会に出てまいりましてからこの問題をさっそく取り上げました。四十三年の三月十四日に予算の第五分科会でこの問題を取り上げ、当時の中曽根運輸大臣、それから増川鉄監局長、これに対して建設の促進方について質問をいたしました。その後四十四年の二月二十五日、それから四十五年には三月十六日と、現在の事務次官である町田さんが当時鉄監局長でありましたが、町田さんに対して建設促進について要望を行なってまいりました。こうして前後三回国会で取り上げましたけれども、なかなか促進がされておりませんでした。どうしてこの七号線だけが延引してきたのか、こういうことについては、建設の主体を都営にするのか営団にするのか、このいずれに免許をおろすかということで非常にトラブルが多かったように聞き及んでおります。これに問題の根があったと私は思う。このような営団にするか都営にするかという競合、これは地元の住民にとってははなはだ迷惑なことなんです。いずれにしてみてもこれが建設され、地下鉄が自由に乗れるようになったときには、営団でやろうとも都営でやろうともどっちでもかまわない。要するに通ってくれればいい。いまの東北線の混雑を緩和するためにはぜひともこの地下鉄を早急に建設してほしいというのが、地元の長年にわたるところの要望であったわけであります。
ところが最近、建設大臣の告示があるにもかかわらず、この七号線について、いわゆる王子から右折をして、豊島から足立区の鹿浜、そうして埼玉県の南部の方面に出るのだというような計画が巷間伝えられてまいりました。先ほども申し上げましたように、地下鉄の七号線の建設というものは、京浜東北線の緩和をはかる上からはぜひともなされなければならないわけであります。これをやらなければ京浜東北線の混雑の緩和はできない、これが結論だと私は思います。こうした計画変更がもしかりに行なわれるとしたならば、地元にとっては、十年この方建設大臣の告示を信じて、一日千秋の思いで待ちに待っていた赤羽の十万都民の切実な期待権を踏みにじるものだ。さらに言うならば、既得権を無視する暴挙といわざるを得ないと私は思う。まことにこれは遺憾のきわみだと思う。
このことにつきまして、七月の二十七日に、私は自民党の濱野代議士と地元の区長、区議会議長を同道いたしまして、丹羽運輸大臣に面会いたしました。そしてそのときも、三十七年の決定どおりにひとつ実行してもらいたいと強く申し入れをいたしました。また八月の十六日には、地元の赤羽におきまして住民の総決起大会を行ないました。そしてここにおいても、三十七年の決定のとおりに実施してほしいという大会決議を行ないました。その後、八月の二十八日に自民党の濱野代議士、社会党の河野代議士と御一緒に、丹羽運輸大臣に面会いたしました。地元の代表から九万五千名の暑名を添えた陳情書を大臣に提出をいたしました。このおりにも大臣から、三十七年の八月に建設大臣が告示した七号線の赤羽への乗り入れについては、地元の強い要望も十分わかったので、最初の計画どおりに実施して、実現をして御期待にこたえたいというような意味の答弁を大臣からいただいております。
ここで結論を急ぎますので、七号線のできることを一日千秋の思いで待っているこの地元住民の切実な願い、期待権、そしてまたその既得権に対する考え方について、一体どうなさろうとするのか。一応この七号線の計画ができ上がり、実施されるならば、東京都におけるところの都市計画あるいは高速鉄道網の計画、こういうもののめどが立つ最後の一線が残っているのが七号線です。この七号線に対して、都市交通に対して重大な関心を持つ私に対しまして、この問題を十分慎重にお答えをいただきたい。大臣が日米経済合同委員会に御出席なので、かわって政務次官、鉄監局長からお答えをいただくことになるわけでありますけれども、どうかこの点について、十分納得できるお答えをひとついただきたいと思うわけであります。
#85
○佐藤説明員 七号線の経過については、御指摘のあったとおりでございます。また、地元から強い御要望もあることも重々承知しております。それから、いまのお話にあったように、大臣はその線に沿うて早急に結論を出したい、これも事実だろうと思います。したがいまして、審議会においてもこれらの事情を十分考慮して、近く結論を出して御希望に沿いたい、かように考えております。#86
○松本(忠)委員 それでは、こまかいことについて鉄監局長から御報告をいただくのもけっこうでありますけれども、時間の関係もありますので、次に大阪のほうの問題に移りたいと思います。大阪の地下鉄の計画につきましても、この一号から六号まで、営業中のもの、建設中のものがそれぞれあるわけでありますけれども、このうち、大阪南部の松原市あるいは藤井寺市方面へ高速鉄道の建設要望が強く地元では叫ばれております。このことは、ただいま申し上げました東京の七号線と同様に、地元では非常に大きな熱意を持って待ちかまえておるわけであります。そこで、いま七号線に対して非常に明快なお答えを政務次官からいただきました。私も了とするわけでありますけれども、ぜひ七号線を実現していただくのと同様に、この大阪の問題についても当局でどのようにお考えであるのか、お伺いしたい。
また、名古屋の三号線、四号線、五号線、これについても計画線について建設の見通しはどうなのか、これが第二点。
それからもう一点は、札幌の地下鉄の車両について、全く従来のものと異なったところのいわゆるゴムタイヤ方式、これを使って今度札幌のほうはできるわけです。このことについては、政務次官は地元でありますからもう十分御承知と思いますけれども、騒音防止の観点からこの考えは私も非常に賛成しておりますけれども、これらの点で、今後新規にできる地下鉄については、札幌の車両方式を取り入れる考えがあるのかないのか、この点についてお答えを願いたいわけであります。
#87
○山口説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のございました大阪の問題につきましては、都市交通審議会でもいろいろ議論になっておりまして、平野線の付近を通りまして藤井寺方面へ延伸をするという内容でございます。これにつきましては、実は高速道路計画との関連がございまして、その意味でも建設を急がれているという点がございまして、都市交通審議会の大阪部会の結論を待ってこれを早急に処理をしたい、そのように考えております。
それから名古屋につきましては、名古屋の建設中の線につきましては先ほど申し上げましたとおりでございますが、計画中のものといたしまして、三号線の上前津と八事の間が計画中でございまして、これは今後地元の事情等を十分考えた上で処理をしたい、このように考えております。
それから札幌の問題でございますが、ただいま先生御指摘のように、札幌の地下鉄は特殊の方法によりましてゴムタイヤによるところの車輪というものを使っております。問題は、ゴムタイヤと鉄の軌道、車輪によるところのものとの功罪でございますが、現在の日本の地下鉄におきましては、鉄の線路による鉄の車輪によるところのものでございますが、輸送力の問題あるいはそれの耐久性の問題その他いろいろな問題があると思います。で、東京、大阪、名古屋その他大都市における地下鉄は、輸送力の点等を考えまして、従来から鉄の車輪によるところのものでやっておるわけでございます。ゴムタイヤがはたして経済的にもあるいは輸送力の面からも適当かどうかということにつきましては、今後もう少し検討をしてみたい。特に札幌におきまして新しい方式のものができるわけでございますから、そういったようなものも十分検討の中に入れまして、将来決定いたしていきたいと考えております。
#88
○松本(忠)委員 わかりました。都市交通の問題について、地下鉄の建設という問題は非常に重要な問題であります。どうしても短時間に大量の輸送をしなければならない。現在のいわゆる国鉄の輸送、こういうものにも限界がある。その点を考えるならば、この都市交通にはどうしても地下鉄あるいはまた新しいものとしてはモノレール、こういうものを考えなければならないと思いますので、これらの点については、今後当局もいわゆる民衆の意見というものを十分入れて、そうしてどんどん実施していただきたい。このように要望をいたしまして、この問題は終わるわけであります。第二の問題でございますが、ただいま久保委員からも質問がございましたタクシー料金の値上げの問題であります。これに関しまして、ただいま自動車局長からもお話がありまして、いろいろの点も私、承知をいたしましたが、なおさらに若干の点についてお伺いをしておきたいと思うのです。
今回、タクシー業界が料金の大幅値上げを申請しているその理由の一つとしては、交通渋滞で水揚げが減った、また低賃金で運転手が集まらない、あるいはLPガスの税金の増額だとか、あるいは自動車重量税の新設だ、あるいは自賠責の保険料が上がった、こういうことで経営が悪化した、こういうことを言って値上げを訴えている。これはもういま話があったとおりだと思います。私この業界の窮状ということについてはわからないわけではありません。しかし、だからといって、何が何でも運賃値上げに結論を持っていくということには問題があるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。このような苦しい状態に追い込まれたタクシーの経営に対して、監督官庁である運輸省としては、一体どのような指導、対策、こういうものをこれまでに講じてきたかというと、先ほどの久保委員の質問に対しても、全く歯切れのいい答弁は何も出てこなかったと思うのです。
たとえて言うならば、一日走行三百六十キロというこの走行の問題に関しましても、交通渋滞によって実際問題は平均二百七十三キロくらいだと私は聞いております。このように三百六十キロが二百七十三キロに落ちている現状、こういうものに対して一体運輸省はどういう手を打ったのか。何にも打っていないと思う。それは結局、この三百六十キロを消化しようとするところに無謀な運転、そしてまた労働時間の延長、または乗車拒否によるところの利用者へのサービスの低下、こういうものにあらわれてくると思うのです。
〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
実情に合わない走行キロの問題、これに対しても何にも手を打たなかったように、近代化センターに対しても、全く手を打たなかったと言ってもよろしいと思う。業界の役員の総引き揚げの問題に対して何をしてきたかと言いたいわけです。払い込みがないと言いますけれども、国民の納めたところの税金をもって、政府からはきちんとした、きめられただけの補助が出ているわけです。それを出しておきながら業界からの分担金が集まらない、だから仕事ができない、こういうことではまことに情けないわけです。私はこういう運輸当局の姿勢に対して、強く強く反省を望みたいわけです。
いまここで自動車局長に対して申し上げることは、釈迦に説法かもしれませんけれども、今日このような道路と自動車のアンバランスを招いた、しかも放置してきたところに、都市の自動車交通問題の根源があると私は思うのです。たとえば東京においては、昭和三十年から四十三年にかけて十三年間に合計七・三倍くらい自動車がふえた、こういう実績があります。その中で自家用車が七・八倍も激増している。反面、抜本的な道路の改革がなされたかというとなされていない。一方自動車は野放しにふやされている。その結果がいわゆるのろのろ運転の増加になる。その被害をまともに受けているのが、公共交通機関であるところのバス、トラック、あるいはまた公共機関とはいえないかもしれませんけれども、都民の足として非常になくてはならないタクシーが、まともにその被害を受けていると言っても過言ではないと思うのです。東京や大阪のように地下鉄が発達しているところでは、タクシーを使いたいといってもラッシュのときには使えません。したがいまして、どうしてもこうしても高速鉄道、地下鉄を利用せざるを得ないわけです。そうした結果がバスやタクシーを敬遠する、その結果はバス、タクシーのほうの経営が悪化する、こういうことになってくる。
特に問題なのは、御承知のとおりのタクシーであります。バスと異なって現在でも運転手さんの賃金形態というものは、歩合給の比率が高いと思います。そのために交通渋滞によるところの料金収入の減少、これはもう直ちに賃金の減少となる。しかも近年の物価の高騰、このために運転手の生活というものが、非常に窮乏におちいっていることは私は事実だと思うのです。こうした労働条件のもとで働かされているからこそ、必然的に接客態度が悪くなるのだと思う。乗車拒否もするようになると思うのだ。そうして結局は割りのいいお客さんを選ぶ、こういう結果になってくると思うのです。ですから、東京におけるところの自動車と道路のアンバランス、この状態の解決をはからなければ、タクシー問題の解決、これはあり得ないと思うのです。そこで、それではいますぐ道路を建設できるかといえば、これもなかなかできないわけです。
そこで、私どもはいろいろ検討いたしました結果、現在のタクシー料金でも収支が償う方法はないのか、利用者に迷惑をかけないで、そうして会社ももうかる、そういう方法はないのか、いろいろ業界の方々とも相談をしてみましたし、検討もしてみました。その結果は、やはり走れるようにしてくれれば現在の料金でもだいじょうぶですということを、個人タクシーの連中は言っています。これは全部とはいいませんよ。しかし走れないところに問題があるのだから、走れるようにしていただければ、現在の料金で経営ができないということは決してありません、こういうふうに言われる方があるわけです。
そこで、さっきも局長からも話がありましたいわゆる専用レーンの問題です。タクシーの専用レーンを設ける、あるいはバスの専用レーンとの併用をする、こういう方向を考えたらどうかということを前々から私ども言っているわけです。先ほど局長の発言にもありましたけれども、私どもはこの問題を春から言い続けてきたわけであります。御承知のように朝のラッシュ、夕方のラッシュを除いては、バスの路線というものは昼間は比較的あいているわけです。そこを使いましてタクシーのレーンを併用にするという考えを一刻も早く実施してみてはどうか。またバスのレーンがないところにおいては、歩道に近い側にタクシーレーンを設けて走らせてみてはどうか。タクシーを公共の機関と現在完全に認めていないわけでありますから、そのまま公共の道路をそういう専用に使わせるということには、大きな問題があるだろうと思います。しかし、この専用レーンをつくることによって、交通事故の防止にも私は役立つと思うのです。なぜかならば、現在のように、お客さんを乗せるために車の流れを突っ切って歩道側に来るということがなくなるわけです。車全体の流れも確保することができる。ひいてはそれがスピードアップでき、スムーズな運行ができる、こういうふうになりましてタクシーが容易に走れる。そうなってくれば、タクシー本来の使命というものを完遂できるのではなかろうか。結局、それが運賃収入の増加につながり、タクシーの運転手の労働時間の短縮、さらには労働者の確保、こうなってくると思う。
そこで、タクシーの値上げによって迷惑をこうむる国民の側からするならば、安易な値上げは断じて反対だ。政府はこの値上げの問題について、最近何か自民党の交通部会、さらには自民党の総務会等におきまして、この値上げを認めようではないかというような空気が新聞報道されております。またそれを受けて運輸当局は、近々値上げをする腹だということさえも新聞には書かれております。いままでも選挙が終わるたびに値上げです。大臣がかわるたびに値上げです。まことにどうも遺憾だと思う。
そこで、去年の三月の値上げのときに公約をしたところのサービスを向上するとか、あるいは乗車拒否を追放するということに対する約束は、一体どうなっているのか。これがきまりもしない、結論も出ていない、何もなされていない、こういう状態にありながら、自民党の交通部会あるいは総務会で値上げを認めよう、その圧力に屈したといいますか何といいますか、運輸当局も値上げに傾いてきたということは、まことにどうも国民に対する挑戦だと私は思う。こういうことがなされてはならないと私は思う。先ほどの久保委員の質問に対して、政務次官は、そういう問題についての解決がなされないうちに値上げを認めることはできない、こういう意味のお話があったように私も聞いておりました。しかしながら、どうしてもいまこの状態において値上げをするということは、都民の足を奪うばかりでなく、ひいてはタクシーの健全発達をかえって阻害するのではないか。昨年の三月の公約を実現し、実施し、都民にこたえた後において、ほんとうにタクシーがよくなった、こういう声をだれからもかれからも聞かれるようになった暁においてこそ、初めて値上げは許されるものではないだろうかと思う。私は値上げがいいとは言いませんが、前の問題が解決していないのに、あとからあとから値上げを安易に認めていこうという姿勢に対しては、断じて反対せざるを得ない。
こういう見地から、この問題に対して、先ほど政務次官は答えられておりますけれども、重ねてお伺いをしたいし、さらにまた、経企庁としては今回の値上げの問題に対してどのような見解を持っているか、御両所からお話を伺いたいわけであります。
#89
○佐藤説明員 先ほど久保委員の御質問にもお答えしたとおり、タクシーが経営あるいはその他の面で非常に行き詰まっていることは、先生御指摘のとおりだろうと思います。しかしながら、問題の本質は、ただ単に運賃の値上げだけによってこれが解決するものとは考えられません。したがって、先ほども申し上げたように、事故防止、経営者並びに運転手のモラルの向上、あわせて良質な運転手の確保、あるいは街頭指導、苦情処理、その他計画配車、つまり利用者の側に立ってのタクシー事業という立場に立って、そういうものを総合的に前向きで実施する、こういう考え方とあわせて、あるいはそれを具体的に運ぶ過程において、料金の値上げも適正な料金改定を考えているわけでございます。したがって、料金だけを値上げすることによって問題を解決するという考えには立っておりません。そういうものを総合的に、あわせて大衆の足を確保したいという観点から運賃問題も検討したい、このように考えております。#90
○山下説明員 公共料金の値上げにつきましては、従来から物価政策上厳に抑制する方針を堅持しておりまして、やむを得ない場合におきましても、企業の合理化努力等を前提として、必要最小限度の改定にとどめることといたしております。今回の六大都市のタクシー運賃の値上げ申請につきましては、経済企画庁といたしましては、運輸省からまだ正式の協議を受けてはおりませんけれども、六大都市のタクシー運賃は四十五年、昨年の一月から三月にかけて値上げをされたばかりでございますし、また先生御指摘のように、この値上げの際に付されました条件の実施状況、タクシー事業の収支の実情などを十分検討いたしますとともに、総合交通体系においてタクシーが占める役割りなどにつきましても十分な検討を行なった上で、先ほど申しました物価抑制、公共料金抑制の基本方針にのっとりながら処理をしてまいりたい、このように考えております。
#91
○松本(忠)委員 次官も御承知と思いますけれども、タクシーのメーター屋さん、メーターをつくるほう、これは十月の十五日実施だということで、猛烈な勢いでつくっていますよ。十月十五日実施だということで、新料金が幾らになるかということを非常に興味を持って、役所へ行って根掘り葉掘り探っていますよ。そして製作にかかっていますよ。この事実をよく御存じにならないと、いま次官がおっしゃったことが空文にならないように私はお願いしたい。この点をひとつはっきり申し上げておきます。最後の一点でありますけれども、運賃、料金の認可の問題でありますけれども、この認可については、道路運送法の第八条によって、運輸大臣の認可を受けることになっておりますが、実際は、道路運送法の百二十二条によって陸運局長に権限の委任が行なわれているわけであります。このことは、料金を地域の実情に合わせるというような趣旨のもとにこのような措置がとられたのだと思いますけれども、事実タクシーには、東京においては一日に二百五十万人も乗るのだというたいへんな数が出ておる。事実そんなに乗るのかしらと私も思うほど乗っているわけであります。こういうような大衆の輸送機関、庶民的な輸送機関に及ぼす影響は非常に大きいと思います。
そこで、先ほども申し上げましたけれども、タクシーを公共の輸送機関と見ることには問題はありますが、現在この料金認可については、物価関係の閣僚協議会あるいは交通関係の閣僚協議会の合同の承認を受けて、陸運局長にまかせているという現在の方向を改めて、国鉄運賃などと同じように、運輸大臣の権限のもとに国会の承認をもって行なうべきではないか、私はこのように考えるわけでありますが、この点についての見解を、運輸省並びに経企庁の御両所からお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#92
○野村説明員 お答えいたします。タクシー運賃の認可の制度は、いま先生のおっしゃったような制度になっております。私ども、道路運送事業に関しますバス、タクシー、トラック、いろいろな業態があるわけでございますが、その認可につきまして社会の実情に応じた措置をとりまして、地方の地域関係の運送事業については、なるべくその地域の実情を一番よく把握している陸運局長にやらせるというたてまえをとりまして、いま先生の御指摘になりましたような条項によって、大臣の権限を、タクシーに関しては地方陸運局長におろしておるわけであります。ただ、御指摘のような六大都市のタクシー運賃につきましては、非常に影響するところも大きいということから、中央にあげまして、関係閣僚会議あるいは経企庁との協議ということで慎重に実施しておるわけでございますが、私ども、現在このシステムでやっておりまして、これがそういう一回で相当の抑制的な効果あるいは調整的な効果をあげておると思いますので、このシステムでやっていきたいと思っております。
#93
○山下説明員 六大都市のタクシー運賃の決定方法について、改めてはいかがかという御質問でございますけれども、経済企画庁といたしましては、六大都市のタクシー運賃につきましては、非常に国民生活に影響するところが大きいために、先ほど先生御指摘のような方法で、物価問題閣僚協議会あるいは交通対策関係閣僚協議会にかけた上で、経済企画庁が運輸省と協議をしてきめるというかっこうに運営をしておりますが、この現在の運営方法で、私どもの立場といたしまして特に支障はないと考えておりますので、ただいま運輸省のほうからお話がありましたように、これを改正する必要は、私どもとしては特に考えておりません。#94
○松本(忠)委員 御両者の見解が期せずして、現行をそのままやりたいというお考えのようであります。しかし私は、国民の側から立ってみたときに、やはり国民の代表であるところの国会において、こういう問題は十分審議すべきではないか。そうした上において、国民の代表である議員の了解ができるその時点において値上げをするというところまで、こういう準公共料金についても認めていくのが正しい行き方ではないかと思いますので、重ねて検討を願いたい。このことを申し上げて質問を終わります。
#95
○小峯委員長 内藤良平君。#96
○内藤委員 佐藤政務次官にお伺いします。最近、国鉄の関係等が主になりますけれども、いろいろ問題が紛糾してまいりますと、住民の意思を無視するとまでは言わないけれども、住民の皆さんの意向を尊重しないままにそういうような行政が強行される、こういうような傾向が全国的にあちこちあるのじゃないかと私は思っているのです。そこで、われわれとしては、この国鉄の財政問題にからんで赤字路線とか合理化の問題、あるいは私鉄の問題、いろいろありますけれども、バスの問題等もありますけれども、今日までの歴代の運輸大臣の御答弁等をいま繰り返して考えますと、地元の皆さんの御了解を得ていろいろな問題を解決したい、こういうぐあいにこれは一貫してきておるわけです。ぼくの記憶では中曽根大臣以来ですか、これは原田さんからかな、ずっと歴代の大臣が、やはりこの国鉄問題あるいはバスの路線廃止問題、民鉄の同様の問題、こういう問題等につきましては、地元の皆さんの要望を十二分にくんで、その上で実施したい、こういう趣旨できておると私は理解しております。その点、佐藤さんどうですか。これは変わりないですか。
#97
○佐藤説明員 御案内のとおり、国鉄の営業の近代化の一環として、拠点貨物駅あるいは自動販売機の整備など、貨物駅の集約化、それから停留所の委託、こういうことを推進しているのは御承知のとおりでございます。しかしながら、関係住民の利益に与える影響はきわめて大きな問題なので、実施にあたっては地元関係者の意思を十分くみ入れて、納得の上実施するように、このような指導を基本方針として今日まで続けてまいっております。ただ、それがそのとおり実施されているかどうか、御指摘の点も多々あろうかと存じます。具体的な事実関係については、国鉄側から御答弁させたいと思います。
#98
○内藤委員 運輸省の最高幹部、大臣はいないけれども、あなたが、大臣代理、代行の議論はちょっとあるようだけれども、代理ですか代行ですか、そこら辺はあれだが、とにかくきょうの委員会においては運輸省の最高の方の御発言として、変わりはない、こういうぐあいに私は確認します。そこで、これはまた国鉄にもいろいろあります。あるいは過疎地帯のバス問題にもいろいろあります。あるいは都市交通にもありますね。たくさんありますけれども、運輸委員会で合意を得て超党派で理事会で一応文案をまとめて、そして政府当局に善処を要望したことがあります。おわかりと思います。これは私も委員会としてはまことに有意義なことだ、国民のために、都民のために思い切った措置だと思っております。ところが、その措置がさっぱり進まないのじゃないか。これは超党派ですから、与党、野党含めてこんなに合意することはめったにないのです。そういうことが行なわれないということは、政治といいますか、あるいは議会対政府との関係がどうなっておるのか、こういうぐあいにも思わざるを得ないのです。何しろ発言の時間が二十分でございますから、委員長、こういう短時間の間に重要問題を論議するなんということは、まさに国会議員を何と考えておるのかと言いたいのだが、これはわがほうの理事さんの関係もあるのでやむを得ないとして、このことは時間もない中で話しません。
短い時間ですからずばり言いまして、常磐線と地下鉄の千代田線の関係ですね。これはどうなっているのですか。いまだに地元を代表するところの区長さんとかあるいは区議会あるいは大衆団体から強硬な意見があちこちから、これも超党派で来ているわけです。だからこの点は、さっきの議会対政府との関係あるいは地元の皆さんとの関係で、どうも運輸交通関係は何をやっているんだ、こういうぐあいに国民の皆さんに言われてもしょうがないのじゃないかと私は思うのですが、これはどうなんですか。端的に言いまして、料金だけでも住民の皆さんの要望にこたえるようなぐあいにできないのですか。いろいろお話は聞いております。技術的な問題も聞いております。波及的なことも聞いておりますけれども、あれほどいわば超党派でこの運輸委員会で皆さんに要望したものが、料金の関係くらいはできそうだと思うのだね。国鉄の場合も、軽微なる料金は総裁限りでできるわけですね。それから公団の場合も、これは運輸大臣の指揮下にあるのです。施設の問題は、われわれも現地を見学しまして、高架線でありますからこれを直ちに行なうこと、これはなかなか容易じゃないと思います。しかし料金問題は、いま申し上げたように双方の当事者が運輸省の指導のもとに実践する気持ちになったら、これはできると思うわけだ。ところが、今日まできてまだそれが答えを得ておらない。その点、経緯は聞いておりますし、いろいろ波及的にあっちこっち問題があるということは聞いておりますけれども、鉄監局長、これはやる気があるのかないのか。多少の矛盾は出ても、料金の面で住民の皆さんの要望だけは取り上げて、あとは営団と国鉄との間に利用率によりまして収入を区分するようなこと、これはまあできることでしょうけれども、この点どうですか。ひとつ、あなた得意の長い答弁じゃなく、いろいろ部長さんからも聞いていますから、時間もないですから……。
#99
○山口説明員 常磐線と千代田線の相互直通にかかわる料金問題につきましては、当委員会でも数回にわたって御審議をいただきまして、また私どももこの問題につきましては、非常にこまかく各般の問題を多々検討いたしまして、その結果、先ほども申し上げましたように、現段階の運賃の制度、国鉄の運賃制度、営団の運賃制度、根本的に違っておりますし、また国鉄自体としても、たとえば通勤定期運賃と通学定期運賃と立て方が違っているというような問題もいろいろございまして、現在の運賃制度のもとにおきましては、これを調整するということは著しく不適当な結果が出るわけでございまして、私ども現段階では、これを行なうことは困難であろうというふうに考えております。#100
○内藤委員 それじゃかわってもらわなくちゃなりませんね。議会側が一致して要望しておる中での一部分を困難であるということであると、それではあなたにかわってもらって、やれる方にその答弁の衝に当たってもらわなくちゃならぬということになりますね。これは時間がないから、冗談のような冗漫な話はやめますが、どうですか佐藤次官、いまの答弁でいいですか。やはりそれじゃ局長は更迭して、やれるような方を引っぱり出してやらせるよりないのじゃないですか。いかがですか。#101
○佐藤説明員 答弁を聞いて感じたことは、私は絶対的なものじゃないのじゃないかというふうに考えます。やはりそこにまた人類の向上もあれば進歩もあるのじゃなかろうか。そういう立場から、どこにネックがあるか、どういう点が具体的に不可能なのか、もう一度よく検討さして結論を出したい、かように考えております。#102
○内藤委員 あまり長くしゃべるとあれですから、佐藤政務次官の答弁で、ぜひひとつやっていただくように期待します。この問題、一応あなたの答弁で、このあとの移り変わりを期待して、これは終わります。またぶり返しになるようですが、だめ押しですが、国鉄問題あるいは過疎バスの問題とか民鉄の問題とか、合理化問題、いろいろあります。特に赤字路線問題で、国鉄総裁が関西か九州方面へ行った際、赤字路線の廃止は、地元の反対があっても強行するのだというような意味合いの発言をされた、こういうぐあいに私は聞いております。その新聞は見てないが、そういうことを聞いております。これは国鉄総裁とあなたのほう、運輸省の最高幹部なり何か意思の疎通といいますか、十分に合意されたものですか。
#103
○佐藤説明員 国鉄の磯崎総裁が、どういう記者会見あるいは談話を発表されたのか、不幸にして私は見ていませんからわかりませんが、先ほどお答えしたように、ローカル線、赤字線、これは関係地域住民に与える影響がきわめて大きいので、その納得の上で適正な処置をするように、こういう指導を現在も、これからも続けていくつもりでございます。#104
○内藤委員 それじゃ、これもさっきのあれと同じように確認します。私の持ち時間が少しまだありますけれども、私、これで終わります。
#105
○小峯委員長 井野正揮君。#106
○井野委員 いままでの私どもの質問は、どうもあとを追ってばかりいるんですが、そのために、起きるんじゃないか、起きるんじゃないかという事故が起きる。よく調べてみると、委員会で確認したことが、いつの間にか当局が忘れてやっていない、こういうことが航空事故の原因だったということを、この間もしみじみ感じておるわけなんです。特に、この前の委員会はたった十五分ということで、丹羽大臣にずいぶん詰め寄りましたけれども、一問一答で終わりですから、きょうはひとつ同じような事故を起こさないために、これは通告してありませんから、次官、少々恐縮なんですが、資料要求したいと思うのです。と申しますのは、オリンピック、二月の雪の祭典です。これは飛行場の運用効率も夏よりは冬のほうが悪いわけですから、かなり安全度をとっておかないと、旅行会社は、もうここを先途とお客さんを集めるでしょうし、航空当局は、いまなんか質問しておいたってだめなんです、忘れてしまうから。やはり数字できちっと示しておいてもらわなければならない。どんなに要求があっても、千歳空港はこれ以上乗り入れてはならないという便をきっちりさせて、オリンピックの旅客計画を確定をして、そうして公表しておいてもらう、これが大切だと思う。その場合、非常に消極的な国鉄なんかも十分サービスをして、貨車構成、客車構成等も変えて、十分国際的に恥ずかしくない旅客の受け入れ体制をとってもらわなければならないと思います。あるいは次官のほうではその計画ができておる、こういうお答えになるかもしれませんが、私は慎重に、いままでの失敗の経緯からかんがみて、このオリンピックの始まりから終わりまでの旅客収容の輸送計画というものも、十分な安全度をとった上でやるようにひとつお示しを願いたい。これはまだ時間があることですから、ひとつ今度は言いわけはできませんぞということで資料をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#107
○佐藤説明員 私まだ不勉強で、どういう計画になっているか、まだ具体的には聞いておりません。当然オリンピックという世紀の事業に際して、国内はもちろん、他の外国からの視察団並びに選手等も大量に札幌に集中しますので、万遺憾のないような計画を策定して、資料として提出することを考えております。#108
○井野委員 その次にお尋ねをしておきたいのは、私は実は他の委員会では石炭対策特別委員会に所属しておったことがあるのですが、この石炭対策特別委員会、通産省はほかのことはたいていルーズなんですけれども、事故が起こったときの連絡報告だけは実に適確でよろしいわけです。私は、それはもちろん鉱山監督の大きな責任があるからだと思うのですが、運輸省に関する限り、資料を突きつけて聞かない限り、申しわけなかった、こういう事故でしたという報告はない。先ほどから地下鉄の質問が続けて出されておりますが、先ほど松本委員から御質問のあった札幌のオリンピックを控えての地下鉄が、最近事故を起こしておると思います。これは次官御承知ですか、次官には報告があっただろうと思いますが。しかし、多くの質問があって、こういう機会に、この機会をお借りいたしまして実はと、この委員会に報告するのが私は行政の姿勢だと思うのですよ。一年九カ月になるけれども、まだ一度もそういう事故報告を積極的にされた例がない。この国民に対する行政姿勢について、次官、どう思いますか。#109
○佐藤説明員 札幌の報告は聞いておりますが、国民から負託された国会、そして立法府、これは審議権がある。こういう点をあわせ考えたとき、国民、社会環境の中に著しい迷惑なり犠牲を払った場合、当然報告されるのがあたりまえだと思います。御指摘の点は十分注意する考えであります。#110
○井野委員 特に、札幌の地下鉄の軌道は新しい技術を導入をして、初めてのことでもあり、去年は運輸委員会が現地調査をもしておるわけなんです。第一回の試運転に事故を起こしたわけです。しかも相当数のけが人が出ておるわけです。私は、この原因並びに結果等について詳細な資料提出があってしかるべきだし、このことを契機にして、国民に奉仕する運輸当局の姿勢として、今後こういう事故は、単に地下鉄に限らず、国鉄にしても、航空にしても、船舶にしても、求められる前に事故報告をするように習慣づけられることが大切だろう、それがほんとうの国民奉仕の行政の基本的姿勢ではないか、こう思うのです。かつてこういうようなことを聞いたとき、前の山村政務次官が、私が政務次官の間に改めるということで、たいへんな御高見を拝聴したのですが、実はちっとも改まっていないように思いますが、佐藤政務次官はいかがですか。この点は、大臣を補佐されて、特にこういう内政面の運輸当局の姿勢について、こんなものだというふうに認めておられるのか、そういう姿勢に非常に欠けると思われるのか、ひとつお伺いしたいと思うのです。#111
○佐藤説明員 御指摘の点、ごもっともだろうと存じます。休会中にも委員会もあることです。また国会開会中は逐次委員会がございますので、そういう機会を利用して御報告するようなことをこれから心がけ、努力する考えであります。#112
○井野委員 次に、もう毎回のことで、私のほうでも持ち出すのがちょっと重たい気持ちになるのですが、やはり過疎地帯における国鉄の合理化の問題であります。審議会の答申の中にも、今日の社会的変化に対応する近代的輸送体系の整備というような一項目をうたわれておるわけですが、磯崎さん以下、この点はお忘れになっているんじゃないか。古くなったのは捨ててしまえ、捨てっちゃえ、捨てっちゃえというのがこのごろの国鉄の姿勢のような気がしますが、先ほどの大臣代理の佐藤さんからの御答弁は、きわめてわれわれの意を得たものであります。ところが、国鉄当局及び磯崎さんが各地方で言っているのはそれとは全く反対のことで、政党政治などはあってなきがごとく、国鉄はわがもの顔に、もうからぬものは切り捨てていくのだ、こういう姿勢でありますが、さて資料要求してみますと、そうじゃなくて、あくまでも地元と合意をするということが書かれてあるのです。だから、こっちを信用しておると、やることは反対だということになるのです。過般、札幌−沼田間の、いわゆる札沼線の一部路線廃止の問題が地元に提起をされて、私も函館の国鉄大会に行くのを引き戻されて、現地の懇談会に出ろということで一日歩いてまいりました。次官、時速三十・九キロという汽車の速さはどのくらいの国際水準を持ったものでしょうか。近代的でしょうか。時速三十キロです。これくらいの速さの汽車は、今日の交通事情から見て、自動車に比べて、ハイヤーに比べて、バスに比べて、一体国民が利用できる速度でしょうか。――いや、専門家でなくて、しろうとのほうがいいんです。
#113
○佐藤説明員 そういう専門的な感覚はあまりないので、的を射た答弁にならぬので恐縮に存じますが、私が自動車の免許証を持って十五年ですか、そういう自分の経験を踏まえて申し上げると、自動車が大体六十キロ前後と判断すると、三十何キロというスピードはいささか社会環境、時代の変化に沿っているとは言いがたい、かように判断いたします。#114
○井野委員 次官の感覚は、非常に庶民的で普遍的で正しいと私も思います。この札沼線のダイヤを調べてみましたら、札幌から沼田まで通っているのが下りで四本、上りで五本であります。いずれも百十三キロを三時間二十分ないし三時間四十分であります。これでは乗る人はないと思います。そして石狩川をはさんで本線になりますと、滝川で乗ろうと深川で乗ろうと、この先はもう指定席はありません。ここまで来ますと、もう札幌まで本線を通れば一時間二十分、札沼線を通れば三時間二十分かかる。これじゃよほどひまな人でないと、汽車に長く乗ることに愉快味を感ずる人でない限り乗らないということでありまして、今日、乗る人がいないのは当然だと思います。ところが国鉄当局は、この線は赤字だから廃止するということは、口が腐っても言いません。なぜなら、この線がつくられてから黒字になったことがないからであります。戦争中一度敷設して撤去になり、戦後再び猛烈な運動によって、代議士の銅像が二つも三つも建つくらいの運動があって、事実、銅像も建っています。そして戦後これは再開したものであります。したがって、赤字だからという理由で廃止をしようとはしておりませんで、利科者がないからだ。そうすると、この線は利用者がないのではなしに利用できない汽車だ、次官、こうお考えになっていただいていいのじゃないかと思うのです。
しかし、この線の歴史的経過を見ますと、あの本線は、石狩川、空知川の水害のために不通になります。復旧に相当の日数がかかり、そのつどバイパスとして利用されておるわけです。
もう一つは、札幌は碁盤の目のように整理されて非常にいい町だとか、牧歌的だというので、夏場はお客さんが非常に多い。冬は、今度は雪が積もって、除雪をしないとほとんどの道路は三分の一くらいに低下してしまうわけです。これは次官、道産子ですからよく御承知だと思います。したがって、いま札幌では、将来東京のようにしないためには、自動車の乗り入れ制限を徹底的にやらなければならないというので、意見の一致があるわけです。
この線を見ますと、ダイヤにも見られますように、月形から札幌の線は合わせて十二本ないし十三本ある。そして新十津川まで来るとお客ががたっと減って、新十津川−沼田間はお客さんがなくなる。また、停車時間の特に長いのがこの月形であります。一つの停車場に三十五分とまっている汽車が今日なおあるのです。三十五分ですよ。少ないので三分、五分、長いのは三十五分。ここはまた、札幌と旭川の局の継ぎ目だそうです。国鉄はつながっておると思ったら切れているのです、三十五分も。これじゃ乗る人がないのは当然じゃなかろうかと思います。言いかえると、国鉄の経営全体が赤字の時期だから、必要があるのにもかかわらず、これらの線については近代化の改修、改善がなされていない。そのままやっかい者扱いをして、線路は敷いたけれども、何らこれの利用度を高める努力がされてないということが具体的に実証されます。磯崎総裁は、そんなことはないと言われるかもしれませんが、事実、何よりもこれは明らかなんであります。ことに、専門的な施設のことはわかりませんけれども、若干信号その他の切りかえ等の補修をすれば、簡単にできて、少なくも時間半は短縮できるということは、国鉄当局の現場技術者が言っておることであります。
こっけいな話が実は北海道にあるのです。釧網線で、利用度が少ないから生産性を向上せいという運動をやって、局長さんが一生懸命に号令をかけた。駅長はまじめなものですから、本気になって荷物を集める運動をやって、ぜひ国鉄を使ってくれということでやったら、一年間で一〇〇%ふえたという。二〇〇の指数なんです。ほめられるだろうと思って、旭川へ呼ばれたから行ったら、このばかものとしかられた。いま廃止しようとしている線になぜ荷物を集めるかとしかられた。私はこれが偽らざる今日の国鉄の姿勢ではないかと思う。
さて、北海道はどうなっているでしょうか。言うまでもなく、片っ方では赤字路線廃止、片っ方では新しい線の建設要請がたくさん出て、開発審議会でも取り上げられ、また陳情団もどんどん来ておる。事実、もう牛の歩みのような工事、建設が行なわれ、投資がされていっている。こういう事実の中で、次官もかかえておられる江差線もそうでありますが、むしろ延ばしてつながなければならぬ線が、切れるかバスになるかという形。また実際に過疎地帯になったところでは、まだ百戸、二百戸という戸数があるのにもかかわらず、線路廃止ということで――私どもは、ここで私自身が言ったように、軌道をはがしてバスにすることに必ずしも反対するものではない。ところが今度は、はがしたら外堀を埋め、内堀を埋めて、そのバスもだめだ、地方団体に押しつけるという傾向が出てきている。政党政治のたてまえをとっておられる自由民主党の運輸部会でも、そういうことはおきめになっていないと思うのです。もしおきめになっているんだとすれば、去年九州へ行ったときの枕崎線の問題にしても、私どもの大先輩から全部、地元陳情団に、この線を廃止することはありませんからと言って副委員長があいさつして、万歳を受けてきたのですから……。
こうしてみますと、国会の意見と国鉄当局の意見は全く反対のほうへ向いて走っておるのではないか。これは皮肉で言うのではないのですよ。皮肉で言うのじゃなしに、まじめに考えてみて、政府与党と国鉄当局は反対を向いているんじゃないかという気がするのですが、この辺、次官になられてまだ日は浅いのですが、どうですか、お気づきになっておられますか。
#115
○佐藤説明員 御指摘のとおりまだ日が浅いので、詳細は承知しておりませんが、ただ言えることは、累積赤字あるいは単年度の赤字を見ても非常に膨大で、国鉄だけで解決をはかるような赤字じゃございません。これは御承知のとおりだろうと思います。これは飛行機も国鉄も、あるいは道路利用を含めて、交通体系全体の中で国鉄というものの格づけを考える時点に来ているのではないか、むしろおそきに失しているのではないか、こんな感じを私は抱いております。なお、赤字線については、必ずしも赤字線が国鉄財政の赤字の重要な部門を占めているとは考えておりません。むしろ他にもっとやらなければならない問題があるんじゃなかろうか。もちろん社会公共性を重んじる国鉄なるがゆえに、そういう赤字線もある程度かかえていかなければならない、それが国鉄の公共性だろうと私は判断しております。いずれにしても、私は自由民主党の党員でございますが、党の交通部会等においてもあるいは審議会においても、交通体系全体の中での国鉄というものの格づけと、それから国鉄が今後どういう方向でどのような地位を占めていくか、これを早急に結論を出すべき時点に到達している、かように判断しております。
#116
○井野委員 表現は少し違いますけれども、前大臣の橋本さんは、いまあなたがおっしゃったとおりの御答弁をなさった。しかも大蔵当局に対して、われわれは言うべきことは言わなければならぬ、赤字の原因は必ずしもローカル線にあるのではないし、国鉄の使命というのは単なる採算性をもって論議すべきではない、こういうふうにびしっと結論づけられております。そうして確かに四十五年度八十億、四十六年度予算においては二百六十億と一般会計から飛躍的に繰り入れが多くなったことも、この論議の成果だと私は思います。しかしながらいま言ったように、たとえばこの札沼線のごとく、むしろ整備をして近代的に改革をして、そうして当然札幌を囲む全体の輸送計画というもの、体系というものを立てなければならぬというときに、せっかくつけてあるものを活用することによって、都市体質の改造あるいは過疎地帯を防ぐという性格を持ち、しかも、日本海を控えての低生産地帯から交通機関を失わしむることによって、逆にいま近郊都市に発展しようとしているところは、その芽をつまれるというようなことを平気でおやりになる。もしこれを自由民主党の見識の高い皆さんのところに相談なさったら、とんでもないことをやるなということになると思いますよ。そうすると、見切り発車か単独発車か信号なしの発車か知りませんが、これがまたあの地帯の農村に大きな不安、動揺を与えていっている。ばく大な経費をかけて反対陳情をやっている。集会をやっておる。これは一体どういうことなのか、それほど日本はひまなのか、こういうことにもなるのですが、それが一人の総裁の独善的な考えで行なわれておるものだとすれば、私はたいへんだと思う。しかし片方勘ぐれば、責任政党である与党は、国民に対しては調子のいいことを言っておいて、小官僚は独善でそういうことを戦術的におとりになるんだとすると、まことにけしからぬということになりますが、私はそんなことはないと思います。そんなことがないんだとするならば、今日国の最高の権威である国会、そしてこれを専門的に受け持っておる運輸委員会で、大臣なり次官なりが答弁されたその趣旨が国鉄運用の中にあらわれてこないとすると、やはり勘ぐるか疑うか不信になるか、それしかないんじゃないか、こう思うのです。この辺に政党責任政治の守らなければならぬ限界があると思うのですが、この点いかがですか。
#117
○佐藤説明員 最高権威の国会の当委員会で審議されたことは、国鉄運営に反映するのは理の当然であると思います。したがいまして、先ほど来申し上げているように、特にローカル線の廃止、合理化等については、関係住民の納得と協力の上にこれを推し進めるように、今日でもそういう指導を続けてまいっておりますし、これからもそういう方針で指導してまいりたいと考えております。#118
○井野委員 時間が参りましたので、最後にもう一言だけ要請をしておきたいと思います。国内外の政局が非常に動いておるときであります。丹羽大臣はアメリカへ行っておられて、きょうはお尋ねすることができませんけれども、より誠実で、より情熱をもってそういう理想的な政治を実現しようとしておられる佐藤次官にかわって御答弁願ったことは、かえってよかったのじゃないかと思うわけです。しかしながら、いま言ったような運動は、具体的に、あるいは根室線の利別駅あるいはまた胆振縦貫の無人化の問題等々、私がいただいた答弁書に関する限りは、地元住民、町村と十分合意を遂げて、具体的な方法について協議中であるということになっておりますから、この線を守っていただいて、少なくも地元の町村の合意を得ないままに一方的にこれを押し切るというようなことがありますと、あなたの答弁もから答弁ということになりますし、やがては将来の政治家に対する不信ともなりかねないと思いますので、ひとつ政党政治の責任性というもの、これが官僚独善にならないように、厳に戒めていただきたいと思います。
それから、先ほど質問いたしました二つのうちの一つの資料の提出要求、もう一つの事故発生等については、機をのがさずその原因、結果報告等を委員会に出される風習の確立については、強く要望いたしまして私の質問を終わります。
#119
○小峯委員長 田代文久君。#120
○田代委員 私は、常磐線の国鉄と営団地下鉄の乗り入れ問題に限って質問いたしたいと思います。実は一昨日、特に地元亀有とか金町あるいは綾瀬その他、いままで非常にこの常磐線を利用されておった方々の代表が、この問題はたいへんだということで利用者の連合会をたくさんの団体でつくられて、そしていろいろ苦しい形で陳情その他もとのようになりたいというようなことで運動をされておりまして、そういう方々が陳情に見えましたし、それからきょうまた、あなた方の手にも渡ったかもしれませんけれども、「発言する常磐線」というような、これはやはり相当金のかかることと思いますけれども、こういうものまで出して運動をされておるということは、これ自体が地元の利用者の方々にとっては非常にゆゆしい事態になっていると思わざるを得ないということですね。
そういう点から質問いたしたいのですが、最初に、きょう政府の当局から、最初に計画されておった運行なり運賃その他の問題について、現時点でこれは改善すべき点があったということで改善のプランが報告されました。おそらくこういうことで政府はごまかして、とにかく最初よりは、たとえばエレベーターをつけたとか、あるいはストップする駅を延長したとか、本数をふやしたとかいうことによって、非常に努力しておるのだということのような印象を受けましたけれども、しかし、こういう利用者の方々のあれを見ますと、とてもこんなことで満足できるような問題ではないということははっきり言えます。かりに私が亀有なりあるいは金町方面に住んでおるとしましたら、こういう解決策を出されたら、実際においてとてもがまんできませんよ。
そこで、これは最初にはっきりさせなければならないし、またこれは同僚の内藤委員も先ほど質問されましたけれども、政府の運輸行政、運輸政策に対する基本的な姿勢は一体どこにあるか。社会の公共性、それから当然これは民意を尊重しなければならない、そしてそういう住民の方々の全体の利益、それから職場と住居の間を最も短時間に結ぶいわゆる職住の近接という原則、これを果たさなければならないというようなことは当然である。そのためにはとにかく民意を尊重する。憲法で保障されているいわゆる民主主義の原則、こういうものがやはり運輸行政の基本でなければならないというふうに考えるのは当然なことなんです。そういう点で、私どもはそのように思うわけなんです。そしてまた、先ほど次官は政府を代表して、運輸行政の基本的な方向というのはそういう方向をとっているのだ、またとるのだということを御答弁なさったのですが、もう一度その点はっきり確認しておきたいと思うのです。
#121
○佐藤説明員 基本的な問題だろうと思いますが、先ほど来各委員の方にお答えしたように、単なる営利に走らずに、それ以前に安全、しかも社会環境の変化に伴う時代の要請に即した合理的な輸送体系を確立していきたい、これが基本方針だろうと思います。#122
○田代委員 その原則はいささかもゆるめることなくやっていただきたいし、またやっておられるかどうか、私はあとからはっきりさしてもらいたいと思うのですが、私ども運輸委員会としても現地に調査に行きましたし、その後のこういう地域住民の、非常に迷惑を受けておられるばく大な方々のあれを聞きますと、とてもそれは、さっき運賃問題についての話がありましたけれども、運賃だけの問題ではないですね、これは実際に。そのエネルギーから労力から時間から、迷惑はたいへんなものなんですね。ですから私は、政府当局が現在のこういう、いわゆる乗り入れといっておりますけれども、実際においては迷惑乗り入れだということが、いま定説になるくらいに地元の方々は迷惑されている。もちろん私どもはこれによって、たとえば霞ケ関方面に入ってくる、都心へ入ってくるというような点で非常に便利になった点を否定するものではありません。これは当然なことなんで否定するものではありませんし、私どもはこれは評価いたしますけれども、かといって、都心に来られる方々についてあるいは便利になったからといって、いままでその地域で、駅々で緩行線のために便利で、上野あたりへ来られておった方々が犠牲にされて、そして料金も高くなった、また乗りおりもたいへんなことになったのでは、いま最初の運輸行政の原則、基本的な観点からいいまして、これは全く違反しておると思うわけです。ですから、そういう点で、現在政府当局が非常に効果をあげているというその面だけを強調されておるようだが、そうではないという点について、大体政府は、この地元のそういう関係者の方々が現在どういう困難、どういう不便、どういう不満を持っておられるか、これを調査されておるのかどうか。また、少なくともそれについてはどういうふうな意見が出ておるかということははっきり知っておられると思うのですが、まずそれを述べてください。どういうふうな不便、不満あるいは希望が出ておるか、どういうふうに把握されておるかという点を、まず述べていただきたいと思います。
#123
○山口説明員 常磐線の改善問題につきましては、私ども基本的に、まず常磐線地区が従来非常に輸送の足の便から遠のいていた。つまり常磐線は都心に直通する路線ではございませんで、必ず日暮里、上野で乗りかえなければならぬという点が一つございました。それから第二に、常磐線の輸送というのは、その線路に長距離の列車も走らせ、貨物列車も走らせ、また近郊の電車も走らせるというようなことで、各般の電車を走らしておりましたために過密になっておりまして、たとえば近郊の電車につきましても、本数も少ないし非常なこみようをいたしまして、そしてこれが何ともならないという状態になっていた。それから第三番目に、常磐線につきましては上野、日暮里で常に乗りかえをしなければならぬというようなことがございまして、そのためにいつか日暮里で大きな事故が起きまして、そして多くの死傷者を出したような混乱を生じたようなこともございますし、また上野の大混雑というようなことも御存じのとおりのことでございます。そういった各般の問題を解決をするために常磐線問題というのは始めたわけでございまして、そして国鉄といたしましては工事費三百億円余りを投じ……(田代委員「そういうことはわかっていますから、現在どうなっているか言ってください」と呼ぶ)営団におきましてもキロ当たり六十億円ぐらいのものを投じて建設したわけでございます。
そこで、開設をいたしたときの若干のふなれあるいは手違い等がございまして、混乱を生じたことはまことに申しわけないことでございますが、地元の方、特に亀有等の地元の方の御意見の一つは、都心といいますか、上野方面へ直通をするようなふうにしてもらえないか。緩行線を快速線に直通をするようなことにしてもらえないか。あるいはその駅におけるホームの出づらというような乗客係のサービスをよくしてもらえないか。それから列車本数が非常に少ないということで不便が生じているということで、それを改善をしてもらいたい。さらに北千住駅におきますところの乗りかえの不便という問題があるから、これを何とか解決してもらいたい。あるいは上野方面へ行く、あるいはその他の国鉄線内に行く場合に、常磐線を通ってもあるいは地下鉄線を通っても、どちらも同じ運賃にしてもらいたいというような各般の要望がございました。
これにつきましては、当委員会でもいろいろ御意見が出まして、私どももずいぶん研究をいたしまして、できることにつきましてはできるだけ解決をしてまいったつもりでございますし、また今後解決すべきものも多々あると思います。運賃問題につきましても、先ほど申し上げましたように、現在の運賃制度でございましては同じような運賃にするということは非常にむずかしい問題が多々あるわけでございますので、いますぐにこれを解決することはできませんが、これは将来の大都市における交通網全体の問題との関連で、やはり検討していかなければならないというように一応考えておりますが、輸送上の問題につきましては、設備的にもできるものはどんどんやっていくということにいたしまして、また輸送上の問題といたしましては、たとえば従来綾瀬どまりでありましたために、亀有、金町等の方々は次の電車を待たなければならない。それがかなりの本数、そういう状態がございますので、これを何とかしなければいかぬということで、今般の時刻改正の際に、これを延長して御不便をなくするというようなことにしたい。あるいは快速線につきましても、時刻改正等を利用いたしまして、そしてこれをふやしていきたい。それから乗りかえの混雑等につきましても、エスカレーターを増置するというようなことによってこれを解決していきたい。あるいはホームの乗客係等につきましても、国鉄等で出づらの調整等やりまして地元の方の御不便のないようにしたい。こういうように、いま各般の努力を重ねてきておるのでございます。
#124
○田代委員 そういう御答弁では、実際に政府はそういう地元の――おそらく利用者の方々は十万や二十万ではないと思うのですが、地元の満足を得るものではないと思うのです。そこで、こういう問題を政府が提起し、そして乗り入れ計画を出して、そしてこれは現在どうなっているか、政府がこういうふうに改善方法を出したが、この点についてはこういう方面では利点になった、なおこの点についてこういう不満が残っているということを詳細に調査して、それを委員会へ出すべきだと私は思うのです。いまの御答弁は全く官僚的な、頭ごなしの、ほんとうの地元の意見を聞いた上での御答弁のようには理解できにくいです。ですから、今後この問題を根本的に解決するというためには、さっきの原則に基づいて、どうしてもやはりほんとうに利用される地元の、苦労されている方々の意見を十分聞く必要がある。そのためには、私はその御不便なりあるいは困難になっている事情、地元の声をもう一ぺん政府自体が調査して、その上に立って出直すべきであると思うのですが、地元のあらゆる方面の利用者の意見を聞いて、そしてそうするための調査をやられる意思があるかどうか。これは次官、どうですか。当然私はこれはそういうことをやって、もう少しきめのこまかいことをやってもらわなけりゃ困るのです。どうです。#125
○佐藤説明員 先ほど久保先生のお話と大体同じような問題をとらえておるように思うわけですが、先ほどもお答えしたように、現状の事態が絶対的なものだという考えじゃなく、どういう点がネックになっているか、あるいは地元の要望でそれがどういう点のために実現不可能なのか、それをもう少し詳細に検討さして結論的なものを出したい、かように考えております。#126
○田代委員 そういう方向を出しますためには、ただいま申しましたように、やはり地元の意見を細大漏れなくよく調査し、聞かれた上で、いわゆる民主主義の原則に立ってやっていただくという方向でいきたいということでございますね。これは私は当然だと思うのです。こういう問題がいまになって大問題になったというのは、この計画を出すときに、これは運輸省とそうして営団だけで片づけるのじゃなくて、地元の声をまず聞くべきだと私は思うのですが、しかし、こういうことがいまになってごたごたが起こって、むしろ運動はいまから発展するというような、そういう大問題になっているような原因をつくったというのは、初めの、しょっぱなのスタートするときから、そういう地元の意見、利用者の意見、実に長期にわたって利用されてきて、そうして国鉄に奉仕しておられるし、また国家の産業発展のためにも貢献されている地元の方々ですね、そういう意見をほんとうにとことんまで聞いた上でプランを立てないから、こういう結果になっていると私は思うのです。しかし、これはもうそういうことになっておりますから、いまからでもこれは十分意見を聞いて、どこにほんとうの問題があるか、どこを解決しなければならないかということをはっきりさしていただきたい。いま次官は、そういう方向でいくということをおっしゃいましたので、それを実行していただきたいと思うのですが、重ねてこれは申し上げますけれども、たとえば亀有とか金町ですね、地元の方々が亀有の駅長に会って――大体亀有に乗降客は現在幾らありますか。十一万以上あるというのですよ。これはたいへんなことですね。ところが、そこは以前だといわゆる慣行でとまっていっていたのが、現在快速はノンストップでいってしまうということです。そうすると、十一万もの乗降客があるということになりますと、これは神戸とか九州一の博多駅にそういう急行列車やあるいは特急にしろ全部とまらずにすすっといってしまう、こういうばかげたことになるのですね。だから、実際にこういう計画をされる場合において、政府は、乗降客が幾らあって、利用者が幾らあって、しかもいままでの慣行はどうなっておるか、どのように利用されておるか、その他その地域にどのくらい企業があって、その企業における従業員は大体どれくらいおられるかというような点を詳細に計算しておかないと間違ってくると思うのです。ですから、そういう点からいって、たとえば亀有とか金町を快速がすっとノンストップでいくというようなことは、これはどうしても許されないと思うのです。それは単に賃金の問題だけではなくて、いわゆる既得権と申しますか、そういう過去における慣行から来た長い間の国鉄なり国家あるいは東京都に奉仕し、それとの関連において生活を立てておられるそういう利用者の方々の立場から考えまして、当然これは尊重されなければならない。そこを尊重するという大原則に立たなければ、こういう社会性を持った、公共性を持った事業というものはできない。実際においては、これは非常に公共性あるいは社会性を無視した形でやられておると思わざるを得ないです。
だから、そういう意味で、いままで慣行で亀有とかあるいは金町その他のと、まっておったところの駅、これは当然復活すべきであるし、またその方向で計画を立て直す必要がある。さっき運賃の問題についてはいろいろありました。これについてはあとからまた質問いたしますけれども、運賃問題だけではないのです。こういう点についていままでのそういう慣行なり既得権を尊重して、そしてその方向で計画が立て直されるのかどうか、改善されるかどうか。十一万も乗降客があるところにノンストップでいくというようなことは許されない。その点は十分配慮するという計画に立たれるかどうか、これをひとつ次官からもはっきり御答弁願いたいと思います。
#127
○佐藤説明員 御指摘のように、その地域に住んでいる住民並びに利用者、こういう立場に立って適正な処置を講ずるのが、この場合民主主義の原則だろうと考えます。したがって、先ほど来申し上げたように、どういう点が問題になるのか、あるいはそれが住民の希望どおり実現できるのかどうか、その場合のマイナスはどうか、プラスはどうか、こういう問題もあわせてもう一度検討してみたいと思っております。#128
○田代委員 先ほども申しましたように、こういう問題が起こるにつきましては、やはり国鉄と営団だけの話し合いが基礎になって、それでたとえば協定が結ばれたというような印象を受けざるを得ないのです。私どもはこういう点を国会で審議する必要上からも、いままでこういう問題が起きているわけですが、国鉄、営団がこの乗り入れ問題について協定を結んでいると思うのですが、その協定内容をこの委員会に出していただきたいと思うのです。次官、この点どうです。そうしますと非常にはっきりします。#129
○佐藤説明員 協定内容はどうなっているか、私まだ不勉強で詳細承知しませんので、事務当局よりお答えさせたいと思います。#130
○山口説明員 国鉄と営団との関係の協定でございますが、これはたとえば線路の使用の内容だとか、あるいは運転計画だとか、その他乗務員の関係だとか、そういった各般の問題についての協定がございます。御要求によりまして提出をいたします。#131
○田代委員 じゃ、その協定内容は出していただけますね。わかりました。時間がないそうですから最後に申し上げますけれども、特に次官に申し上げておきたいと思うのですが、前の橋本運輸大臣が国会で、松本同僚議員の五月十二日の質問に対して、同じ区間で国鉄と地下鉄で運賃の違う点につき、大都市に限り共通料金制度がとれるように検討するということを言われた。これはとにかくこの点が非常に値上げ問題となっているわけですね。だから、こういう点にこそ政治力を発揮すべきである。先ほどのしゃくし定木の当局の答弁によりますと、いわゆる国鉄の運賃体系と営団のは違うのだからとてもできないのだ。そんなことならなぜこういう乗り入れ計画を立てるかというのですよ。結局、国鉄を利用しておった国民だけがどろをかぶるという結果になりますから、ここはこういうときにこそ政治的な手を打つべきであるし、これは私はやれる、またやらなければとてもならないと思うのです。だから、前の橋本運輸大臣がはっきり国会のここの委員会で言われたとおりの、そういう同じ区間で国鉄と地下鉄の運賃の違う点については、大都市に限って共通料金の制度がとれるようにするということを検討して、一刻も早くそれを実現していただきたい。
それから、重ねて申し上げますけれども、これは地元の方々の要望は、とにかく亀有から金町の問題にしましても、いままで上野に行っておったのが行くのにたいへんなことになっているという点、そういう点をやはりもとのようにとめるようにしてもらいたいし、それから料金はいま申しましたような形で、それによって乗り入れということになれば非常に便利になるということが期待されたが、なったところが、とんでもない、料金が高くついたということじゃ困りますから、そういう問題と、それから、これは時間がありませんから申しませんけれども、一部駅に勤務されておった国鉄の駅員の方々、これが相当いなくなるように配置されておりますけれども、そのために駅で乗り降りされる人たちは、電車が来たからこっちに来るということで、やはり非常に安全についての危惧を持っておるわけです。だから、こういうための国鉄の職員を非常に大幅に減らしているので、そういうことも再考慮してもらわなければ、いわゆる安全性についてもこれは問題が多いと思うのです。
そういう以上の三点、これは地元の要望でもございますので考慮していただいて、そうしてただいま申しましたような趣旨で解決していただくように要望しまして、質問を終わります。
#132
○小峯委員長 本日はこれにて散会いたします。午後一時三十一分散会