1971/07/24 第66回国会 衆議院
衆議院会議録情報 第066回国会 商工委員会 第2号
#1
第066回国会 商工委員会 第2号昭和四十六年七月二十三日(金曜日)委員長の指名
で、次の通り小委員会及び小委員長を選任した。
エネルギー・鉱物資源問題小委員
左藤 恵君 坂本三十次君
始関 伊平君 塩崎 潤君
進藤 一馬君 羽田野忠文君
橋口 隆君 八田 貞義君
山田 久就君 石川 次夫君
岡田 利春君 松平 忠久君
相沢 武彦君 近江巳記夫君
川端 文夫君
エネルギー・鉱物資源問題小委員長
進藤 一馬君
流通問題小委員
稲村 利幸君 小川 平二君
大久保武雄君 海部 俊樹君
北澤 直吉君 田中 榮一君
前田 正男君 増岡 博之君
武藤 嘉文君 加藤 清二君
中村 重光君 横山 利秋君
岡本 富夫君 松尾 信人君
吉田 泰造君
流通問題小委員長 武藤 嘉文君
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昭和四十六年七月二十四日(土曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 鴨田 宗一君
理事 浦野 幸男君 理事 進藤 一馬君
理事 橋口 隆君 理事 武藤 嘉文君
理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君
稲村 利幸君 内田 常雄君
神田 博君 左藤 恵君
坂本三十次君 始関 伊平君
羽田野忠文君 八田 貞義君
増岡 博之君 相沢 武彦君
近江巳記夫君 松尾 信人君
川端 文夫君 米原 昶君
出席国務大臣
通商産業大臣 田中 角榮君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 木村 俊夫君
外務大臣臨時代
理
出席政府委員
通商産業政務次 稻村佐近四郎君
官
委員外の出席者
商工委員会調査 藤沼 六郎君
室長
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本日の会議に付した案件
閉会中審査に関する件
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
請 願
一 中小企業振興対策の推進に関する請願
(鈴木善幸君紹介)(第一二三号)
二 山村開発促進のための法律制定に関す
る請願(笹山茂太郎君紹介)(第二四五
号)
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#2
○鴨田委員長 これより会議を開きます。本日の請願日程を一括して議題といたします。
本会期中付託になりました請願は二件であります。その取り扱いにつきましては、先刻理事会において協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員の説明等を省略し、直ちにその採否を決定したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。本日の請願日程第一及び第二の両請願はいずれも趣旨妥当と認められますので、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
#6
○鴨田委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は、六件でありますが、お手元に配付しておきましたので、御了承願います。――――◇―――――
#7
○鴨田委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件につきましておはかりいたします。伊藤惣助丸君外一名提出、兵器の輸出の禁止に関する法律案
辻原弘市君外十名提出、寡占事業者の供給する寡占商品の価格等の規制に関する法律案
通商産業の基本施策に関する件
経済総合計画に関する件
公益事業に関する件
鉱工業に関する件
商業に関する件
通商に関する件
中小企業に関する件
特許に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
鉱業と一般公益との調整等に関する件
以上、各案件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。なお、今国会に設置いたしました、エネルギー・鉱物資源問題小委員会及び流通問題小委員会は、閉会中もこれを設置し、調査を続けることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。次に閉会中委員派遣に関する件についておはかりいたします。
閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣を行なう必要が生じました場合には、委員派遣承認の申請に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。――――◇―――――
#11
○鴨田委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
#12
○岡本委員 大臣に率直にひとつ前向きに所信を明らかにしていただきたい、こういうことでお願いしておきます。最初に、国際収支が大幅な黒字になった、大体八十億ドルになんなんとするようになってきた、こういうことで、最近、円の切り上げをしなければならぬじゃないかというような圧力が相当かかってきておるわけですけれども、それについて、わが国の輸出が増大したために、円の過小評価、こういうような批判が外国からありますけれども、大臣の考え方、円を非常に過小評価している――要するに何といいますか、どういう説明をしたらよろしいか、円を非常に切り上げなければならぬ、こういう外圧がたくさんあるけれども、それに対する政府の見解と申しますか、大臣の見解をひとつはっきりしてもらいたいと思います。
#13
○田中国務大臣 外貨が積み増しせられておることは事実でございます。これは、ただ日本の経済力が強くなったということだけでこのような現象が起こっておるものだとは考えておりません。これは国内の経済が非常に沈滞ぎみということが一つございます。沈滞ぎみでございますから輸入はだんだんと漸減傾向になって、輸入増大にならない。結果的には輸出ドライブをやっているような結果になって、対前年度三〇%も四〇%も伸びるという面もあるわけでございます。また、短期収支の上でも短期資本の流入もございます。そういう意味で、外貨は一月から六月まで約半年のうちに倍増したということでございます。そのほかに、港湾ストというのが予測せられましたので輸出を急いだという面もございます。去年度輸出ベースが非常に低かったというので、去年に比べてことしが非常に多くなったという面もございます。いろいろなことがございますが、やはり景気に浮揚力がないために、輸出だけが行なわれて輸入が増大しないというところが一番外貨が積み増しをした直接の原因だと考えていいと思います。円切り上げと同じようなことが過去にヨーロッパにおいて行なわれました。これはマルクの切り上げがすでに行なわれました。二回目のマルクの切り上げに対して、この間西ドイツ政府に要請が行なわれたわけでございます。同一のことではないわけでございますが、ドイツの次にドルの積み増しが行なわれている日本に対しても、切り上げの外圧が強まってくるであろう。また、現に一部そう言っている人もございます。日本の中では、気の早い人は段階的にもう切り上げてほしいということさえも言っている人があるわけでございますから、これは外圧ではなく内圧でございます。
そういうような状態で、円の問題はいま盛んに議論をせられておりますが、私の率直な考えから申し上げますと、中小企業や零細企業という特殊なものを持つ日本の状態、貿易為替の自由化を進めなければならないということから考えると、少なくとも円平価の切り上げは絶対に行なってはならない、行なわないためにはあらゆる施策を講ずるべきだ、こう考えておるのでございます。
#14
○岡本委員 そこでいま大臣が、輸出がいま非常に縮小されておる、したがって、そう心配することはないというようなお話でありますけれども、調査によると大体毎月ふえておるのですがね。国際収支から見ていくとずっと毎月ふえておる。総理は大体百七十億ドルくらいになったら考えると、こういうようなお話もありましたけれども、しかし、いまちょっとおっしゃったのを聞きますと非常に少ないような気がするのです。#15
○田中国務大臣 ちょっと答弁が徹底しないようでありますが、外貨は積み増しをされております。一月から六月にかけて倍増されておるわけでございますから、四十五億ドルが八十億ドルになっておるわけでございます。この直接の原因は、輸出が必ずしもうんとふえているということではありませんが、輸入がふえませんので、輸入がふえなくて輸出が堅調であると、そのまま外貨がたまっていくということでございます。でございますので、景気を浮揚して輸入をふやさなければならない、輸入をふやせば手持ち外貨は減るわけでございます。そうすれば円の切り上げの外圧は少なくなる、こういうことでございますので、そういう方向に向かっていま八項目を進めておるわけでございます。#16
○岡本委員 大臣の考え方として、いま八項目を出されておるわけですけれども、この八項目を完全に実施するには非常に時間がかかると思うのですね。しかし、この八項目をOECDでも出しておるわけでありますけれども、この八項目で完全に円切り上げの外圧を回避する手段を得られると思うのか、ひとつ、その見通しについて、……。#17
○田中国務大臣 政府は、八項目を早急に実施をすることによって目的を達しなければならない。しかし、達し得るかどうかという問題に対してはいろいろな問題がございます。経済雑誌その他経済評論家なども、これだけでは円切上げの外圧にもうたえることはできないであろうと言っておりますが、政府は、皆さんの御発言も体しながら、柔軟にこの八項目は最低やらなければならないことである。この上にやることはまだまだたくさんございます。中には、この間の新聞には、経済団体連合会では一兆円の国債を発行せよと、八項目以外にこういう大きなことを言っておりますが、これは国会の議決も必要でございます。まあ、いろいろな問題がこれから付加してまいりますので、外圧にたえられるかどうかというよりも、どうしても円切り上げに追い込まれてはならない、そのためには各般の施策を積極的に合理的に行なう、こういうことでございます。#18
○岡本委員 こまごまと一つずつ聞いておる時間がありませんから……。そこで、この八項目の中で、景気刺激政策と思われるようなもの、それは社会資本の投入だと思うのですけれども、これが物価上昇の原因となるのではないか、したがって、その物価の抑制策とあわせて行なうべきではないか、こういうように私は思うのですが、いかがですか。
#19
○田中国務大臣 物価抑制ということは、これはなかなかめんどうな問題でございます。物価抑制で一番いいのは、これは増税をやるとか、それから所得政策をやるとかいうことをして引き締め政策をやることがオーソドックスな物価対策と、こういうことがいわれておりますが、どうも日本の物価はなかなかそう簡単にいっておりません。特に、いまのように景気の悪いときには、不景気の物価高、こういう面もございます。特に特徴のあるのは、ほかの国と比べて卸売り物価は横ばいであって非常にいい状態でありますが、消費者物価そのものが昨年度は年率七%以上という非常に高いことでございますので、ことしはどうしても押えなければならぬ。だから、その中では公共料金を据え置くとかいろいろなことをやってまいっておるわけでございますが、ともかく物価のきめ手というものはなかなかむずかしい。私は、物価に対しては一つの考えを持っておるのです。この物価というものは、ただ俗に言われる学問的な物価抑圧政策ではなかなかうまくいかぬ。これは急速な都市化による一つの現象でありて、これを排除しない限り抜本的な物価対策はないという従来からの持論を私は持っておるのでございますが、そういう意味で、今度通産大臣になってから、私は、産業の立地条件、立地政策というものを強力に推し進めよう、こういうことを考えたわけでございます。これは一つの例を言えば、言うまでもないのですが、いままでは、都市に集まる者は、その労働人口だけが集まってきたわけでありますが、このごろは、一人の労働力が都市に集まるのに三人程度の社会保障対象人口を連れてくるというところに非常に問題があるのです。そこまで話をしますと、ちょっといますぐお答えできる問題ではございませんので、ただ、申し上げるのは、景気を刺激しながら物価を下げなければいかぬ、こういうところに非常に二律背反のむずかしい問題がございます。ございますが、これはうまくいきましたら、いままでの議論のように、財政によって景気を刺激することが必ずしも物価と直接つながりがないということの証明にもなるわけでございます。今度はほんとうにむずかしい。財政資金によって経済は押し上げなさい、そう言いながら物価を押えなければいかぬということでございますから、これは輸入の促進その他消費行政もあわせて行なうということによって、物価は押えながら景気は刺激したい、こういう考えでございます。
#20
○岡本委員 どうも物価を抑制する特効薬がないような御発言のようでありますが、これであまり議論をやっておりますとあれですが、国内の景気刺激策として財投二千六百十億ですか、きのうかおととい水田さんが、その上に二千億を出すというようなことを言っておりますから、相当景気刺激となって物価上昇の要因になるんじゃないか。したがって、この物価抑制策を併用しなければならぬ。その点の政策をはっきりと打ち出していただくことが大事である。これは要求しておきます。そこで、この八項目の中で、対外投資の自由化と拡充、この中に、資源開発等のための外為会計による外貨貸しを検討する、こういうような項目がありますけれども、そこでいま一番問題になっておりますのが石油の開発なんですね。石油開発公団、御承知のようにいまも石油は国際資本に押えられてしまって、ほんとうに向こうの言いなりにならなければならぬというような状態でございますが、この石油開発公団法の改正をしようというような発言があったわけでありますけれども、どういうような改正点を考えておるのか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。
#21
○田中国務大臣 具体的な改正の要点をまだ詰めておりませんので、ここで申し上げることができない段階でございますが、八月の末日が期限である四十七年度予算に対する通産省の概算要求までにはまとめなければならない、こう考えておるわけでございます。きのうも申し上げましたとおり、石油の開発ということに対しては、西欧諸国では大体二千億円ぐらいの金を使っておるということでございます。それから一カ国でも五百億、六百億、七百億、アメリカの資本はもう一社で非常に大きな金を使って採掘権、鉱区権を買ったり、いろんなことをやっておるわけでございますが、日本の石油開発公団はことしの予算で二百三十億、これは問題にならないことだと思います。日本もこれから十年、十五年ということを考えると、五千億、六千億という大きなものが考えられるわけでございますから、そういう意味からいっても、いまのような公団の状態ではとてもまかなっていけないと思います。そういう意味で、特別会計をつくったらどうかという問題もございます。それに対して石炭特別会計との調整をどうするかという問題、石油開発公団法そのものの改正によってもっと拡大をし、もっと弾力的に国際情勢に対応できるようにすべきであるというような考えもございますので、これらをひとつ早急に詰めまして、財政当局とも密接の連携をとりながら、四十七年度予算までにはどうしても結論を出したい、こういう考えでございます。#22
○岡本委員 そこで大臣、私はこの間ヨーロッパをずっと回ってきましたが、日本が防衛費を五兆八千億も出して、飛行機とかあるいはまた軍艦とか大砲とか、こういうものをつくっても、この日本を攻めるにはそんなものは要らぬ、軍隊は要らぬというわけですね。要するに、石油をとめたらおしまいだというわけですよ。そういう意見があるのですね。日本では、これはいまほんとうに使えるというのは二十日分ぐらいじゃないか。四十五日分備蓄されていますけれども、ほんとうに使えるのは二十日分ぐらいしかない。確かにそれがとまれば日本は混乱するにきまっているわけですよ。それに、この石油資源というものは全部国外から輸入しなければならぬ。そのほうの開発に相当力を入れなければ――私は、いま公団の姿を見ておりますと、政府主導型ではないのですね。要するに、民間がやるのに対してうしろから少しずつ援助していく。その援助の方法もほんとうにわずかずつですから、海外の姿を見ますと、やはり経済援助基金とか、そういうものとのにらみ合わせによって利権を取得するというところがたくさんあるわけですね。ですから、民間ではそこまでの力ができない。したがって、いまのままいきますと、この石油資源の行き詰まりははっきりしておるわけです。したがって、もう少し前向きにこの石油開発公団法の改正を考えてもらわなければならぬのですが、もうちょっとはっきりしたことをひとつ言ってください。#23
○田中国務大臣 原油開発の状態もしかりでございますし、それだけではなく、備蓄の問題もいま御指摘のとおりでございます。それだけではなく、どうも中東アジアに集中しておるということもございます。だから、そういう地域的な面からくるものもございます。ですから、いま石油がとまったらどうするんだとか、また、原油国がちょっと原油の値段を上げればすぐに二千億も上がるじゃないかということ、これはマクロ的に見ればたいしたことはないが、ミクロ的にはたいしたものだなどという議論がありますが、私はそうは思っていないのです。ミクロ的に見ればたいへんなものが、マクロ的に見てたいへんでないことはありません。そういう意味で、石油開発公団との問題、また石油特別会計と石炭特別会計との問題をどうするかというような問題は、もっと集中的な経済援助その他とあわせて、長期的なエネルギー資源確保、備蓄の増大、いかなる状態があっても日本の産業エネルギーというものはとまらないのだという自信を持つためにも、四十七年度予算編成までには具体案を確立すべきであるという考え方でございます。ただ、公団との問題、石炭特別会計との問題、特別会計をどうするかというような問題でございますので、通産省としてはいま結論をにわかに得ておりませんので、御了解いただきたいと思います。#24
○岡本委員 どうもはっきりしないのですね。じゃ、この問題は、西ドイツは百八十日分ぐらい備蓄していますね。日本ではどのくらいの備蓄が必要か、そうして一番しなければならぬこと、これに対してはどういう方法をとらなければいかぬか、この二つだけ。#25
○田中国務大臣 いま四十五日と言われておりますが、御指摘のとおり、実際いったら二十日、二十五日、三十日というようになると思います。ですから、いまの倍ぐらいが望ましいと思います。だから、実質的に六十日分ぐらい持てばいいのじゃないかというのがOECDの考え方のようでございますが、あるにしくはない。ですから、日本は石油を全部といっていいほど海外に仰いでおるわけでございます。ですから、マラッカをそのうちの大半が――大半ではなく、ほとんどマラッカを通っている。三十五万トン以上になるとすると、マラッカを通れなくなるわけです。今度インドネシア水域を通らなければならなくなる。そういうことになってまいりますと、なかなかむずかしい問題が一ぱいあると思うのです。ですから、この間、中東から続いておりますスエズがとまったらどうなったかということですが、これは実際そういうことを考えるとたいへんなことでございまして、石油の原油の確保ということはもっと新しい視野と角度から、日本の特性も考えながらより多く備蓄ができるようにすべきだと思います。#26
○岡本委員 それは多いにこしたことはありませんけれども、最低六十日、総理は九十日、あなたのほうが少し少ないですね。通産大臣になったとたんにずいぶん慎重になられたと思うのですけれども、約束の時間が迫ってきますので、それで今度は話はちょっと変えまして、中小企業の税金対策、特に事業者の課税最低額の引き上げ、これをひとつ要求をしたいのです。なぜかならば、配当所得で食べている人たちは、夫婦と子供二人で最低課税額が約二百九十万、それから給与所得者は九十八万五千、約百万ですね。それに対して事業所得者は六十六万九千円、約七十万。事業所得者が非常に課税最低額が低いわけですよ。この点について、ひとつこの課税最低額をもう少し引き上げる考えはないかどうか。なぜかといいますと、事業者は税金、税金で非常に追いまくられているようなものですね。ですから課税最低額をきちっと上げれば、税金ばっかりに追いまくられずに正常な生活が、また営業ができるのじゃないか。これは中小企業としていま一番頭の痛い問題なんです。ですから、一ぺん大臣の決意を伺っておきたい。#27
○田中国務大臣 中小企業者の課税最低限を引き上げる方向に持っていかなければならないことは当然でございます。私自身もそのような考え方で努力を続けてまいるつもりでございます。中小企業というのは、課税最低限を引き上げるということも一つございますし、私もきのうも申し上げましたように、いままでの税の考え方は、同族会社という名において、個人企業ということで、どうも一般法人よりも税率が高かった。私が大蔵省におったときに、これは逆だ逆だとさんざん言ってようやく平準化がなりつつございますが、私は、一般大衆、不特定多数から法人なるがゆえの信用で資金等を調達することのできない中小零細企業というものは、税制上もっと優偶しなければならないという考え方の論者でございます。課税最低限を引き上げるということと、もう一つは、特別に単年度制度の中でというのではなく、中小企業、零細企業に対しては留保金制度を設けまして金繰りを助けてやるということも一つの問題なんです。税学者、税制当局は、そんなことをしても倒産率が多いのでそういう留保制度を設けるとみんな取れなくなってしまうのだ、こういう議論がありますが、それは中小零細企業を育てようという考えではなく、つぶれるものであるという自然現象だけを前提にした考えであって、これを育てていくという考えからいうと、やはり金繰りをつけてやるということで、単年度制度の中にもう少し弾力的な留保制度ということを設けられれば望ましい姿だろう。これは私もいろいろ研究してまいりましたことでありますので、いま御指摘がありました課税最低限の引き上げとあわせて中小企業対策の大きな目標として検討してまいりたい、こう存じます。
#28
○岡本委員 最後にもう一点だけ。そこで、中小企業、特にそういった個人企業の事業者についての贈与税ですね。これは、農地は生前贈与、要するに生きている間にあとを継ぐ長男あるいは次男に贈与するわけですね。そういう場合は非常に税率が低くて、ほとんど贈与税がかからないというようになっておる。ところが、普通の個人企業の事業者のほうはそうではなくして、贈与税をちゃんと取られる。まず私は、この考え方として、農地の場合は、やはり親が購入して子に譲って、子から孫に譲っていくと贈与税を取られて、とうとうしまいには農地はあぜだけになってしまうというようなところから、やはり農地を残すためにそういうような生前贈与の制度を認めておると思うのです。同じように、商店主が二間間口なら二間間口の店をもって商売して、その事業主がなくなった場合に贈与税を取っていく場合、どんどん取っていきましたら、しまいには間口半間とかいうようになって、商売ができないことになるのですね。こういうようなことを考えますと、やはり個人事業者もそういった生前贈与のような特例を認めるべきではないか、こういうように私は思うのですが、大臣、その点についてはいかがですか。#29
○田中国務大臣 農地に対する生前贈与制度は、御承知のとおり、自作農創設維持の大きな目標がございました。もう一つは、戦後の税制改正によりまして均分相続制度がとられましたので、これをやってまいりますと、いま言われたとおり、三反歩が一反歩ずつになるわけです。今度残った一反歩は三畝になるわけでございます。三人でもそうなるわけでございますから、これは三代もたつとあぜだけになってしまう。これは自作農創設維持の政策が全く行なわれないということによっていまの生前贈与制度がとられたわけでございますが、中小企業と農家との間には学問的にも問題がございます。これは財産制度として、農地というようなものよりも価格変動が非常に大きいというような問題もございますし、いろいろございますが、相続税という面で、このごろ子供が相続をする場合、一般国民として当然必要とする限度の住宅等は非課税にすべきであるという考え方が政策税として織り込まれつつあります。私は、学問的な面を拡大していくと、中小企業、零細企業の間口に対する営業権、これに対してはどうも税で救済できるのじゃないかという考え方も考えられます。しかし、これは結論は出ておらないのでございます。これはなかなか学問的にもめんどうな議論があることは御承知のとおりでございまして、通産省も十分勉強しますが、皆さんもひとつお知恵を出していただく。新しい制度でございますし、ちょうど農地改革という大きな時代に均分相続制度と生前贈与制度が認められたというようなきっかけがございませんので、なかなか踏み切りにくい問題であると思いますけれども、これは通産省は当然中小企業の担当省でございますので検討は続けてまいります。いま言われたような間口そのものを長男にやるのがいいか、長男が学校を出て帰らないで次男がうちを継ぐ場合はどうするか、次男が売り飛ばす場合はどうするか、いろいろな問題もございます。ですから、一つのテーマとして、他にいかなる救済方法があるのか、置きかえるものがあるのか、広い角度から検討してまいりたいと存じます。#30
○岡本委員 大臣、これは検討していただいて――農業基本法に基づいて、農地の場合は生前贈与。要するに中小企業基本法もやはり改正しなければならぬのじゃないか。そして、それによってやらなければ、どんどん譲っていきますと、もう、しまいになくなってしまう。いまこの点については検討しようということですから、この検討を要求して私の質問を終わります。#31
○鴨田委員長 次に中村重光君。#32
○中村(重)委員 経済協力関係で通産大臣にお尋ねしたいと思うのです。昨年の五月だったと思うのですが、OECDの閣僚理事会で、一九七五年までにGNPの一%の援助の意向を政府は表明しているわけです。一九七五年ということになりますと、そのGNPは、新経済社会発展計画によると約四千億ドル、その一%は四十億ドルということになりますから、約一兆四千億円になると思うのです。非常な巨額に達するわけですが、そうした熱意はわかるといたしましても、この量的拡充というものはなかなか容易ではないと思うわけです。政府が、去る六月四日であったと思うのですが、「総合的対外経済政策の推進について」そこで八項目を実はおあげになっておったと思うのです。その一項目に「経済協力の推進」というのがあげられているわけですが、非常に抽象的で、「量的、質的両面に留意しつつ、経済協力の一層の推進をはかる。」こういうことになっておるわけです。具体的な構想と申しますか、方向づけが実は明らかにされていないわけです。その後現内閣ができ上がりまして、私はこうする、経済閣僚に聞くというので、田中通産大臣が考え方を明らかにしておられる中に、資源の開発に対する先行投資、これと関連するところの経済協力というものを強調していらっしゃるわけであります。これは私は当然だろうと思うのです。だがしかし、実際問題として、資源を取るための経済協力という打算的なことでは、これまた相手国の反発を招くという形になってくるでありましょうから、そこいらの点についてのこれからの進め方ということについての構想もあろうかと思うわけです。先ほど申し上げました一兆四千億円にも達するそうした量的拡充という問題との関連におきまして、これからどのような経済協力体制を確立していこうとお考えになっていらっしゃるのか、この際ひとつ大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#33
○田中国務大臣 GNPの一%に及ぶ後進国援助、海外経済協力を行なおうという申し合わせに日本も参加をし、承諾をしておるわけでございます。これは世の中が東西問題から南北問題へと移行しつつある現実に徴してみても、この問題を実行せずして平和はあり得ない、こういう考え方を前提にいたしておるわけでございます。主要工業国と後進国、持てる国と持たざる国との調和ということがはかられなければ、紛争は必ず起きる。これはもうその通りだと思うわけでございます。特に輸出立国、貿易立国をもととする日本においては、そのような協定があるなしにかかわらず、やはり資源を確保する意味においても、また長期的な貿易を継続していく意味においても、海外援助、経済協力、経済開発に対する協力というものが必要である、これは当然のことだと思うわけでございます。いままでは確かに、GNPの一%ということは近くなりつつあります。急速に近くなりつつございます。今度の八項目実施ということや石油資源開発というようなものを大きくやろうとすると、これは経済協力部門が非常に大きくなります。いままでは小さいものをやっておりましたからなかなかできませんでしたけれども、これがベースが大きくなりますと、それに対して経済協力の面も非常に大きくなってまいると思います。ですから、私は、一%という限度は守っていけると思います。守らなければならないことだと思いますし、守っていける、こういう感じを持っておるのでございます。これはもうほかの国がどうであるということでなく、それをやらないと日本自体が困るのだという感じでございます。#34
○中村(重)委員 外務大臣臨時代理にお尋ねをするわけですが、外務省の構想として、政府、民間別に経済協力の目標額を設定をして、そこで政府資金の裏づけまで明確にしておったと実は思うわけですが、対外援助五カ年計画というのを明らかにされたことがあるわけです。その計画というものが――これから経済援助の方向も、いま通産大臣がお述べになりましたような非常に多角的なことになってくるわけですが、そうした現状に照らして、また相手国の動向等も考慮に置いてこの計画を変更するということはないのかどうか、その点ひとつ伺ってみたいと思います。#35
○木村国務大臣 いま御指摘になりましたわが国の海外経済協力、これは民間の行なう経済援助も含めまして、最近非常に活発に行なわれておりますが、いまお話のありましたその内容、質的な方面においては、必ずしもまだ満足な程度に至っていないと私は思います。そういう意味におきまして、今後はむしろ、量的面よりも質的な面にウエートを置きまして経済協力のあり方を再検討していく必要があろう、こう考えております。#36
○中村(重)委員 それぞれお答えになりましたことは私は当然だろうと思うわけであります。そうした考え方の上に立って経済協力を進めていくということになってまいりますと、勢い財政資金の投入というものは非常に大きくなってくるわけですね。したがって、国民的合意というものが一番大切ではないかと私は思うわけです。国は非常なお金持ちになった。いわゆる経済大国である。ところが、社会福祉関係というものは非常に低い。国民の総生産、これはいま申し上げたような数字ですが、国民一人当たりの所得ということになってまいりますと、二十位ともいわれ、あるいは十八位になった、あるいは十七位ではないかというので、これは必ずしも統一した数字が明らかにされていないわけであります。また、国民一人当たりの所得の中身も、これまたいろいろあるわけでして、統一したものがない。いずれにいたしましても、社会保障関係ということになってまいりますと、ヨーロッパ諸国と比較して日本が非常に低いということだけは間違いない事実であります。いままで海外援助をずっと進めてこられまして、外国から喜ばれておれば別なんですよ。外国からも非常に批判されているわけですね。エコノミックアニマルとか、いろいろ言われている。それらのこと等を考えてみると、国民は外国に経済協力をやること、そのこと自体には別に反対ではないけれども、国民に対しては少し冷た過ぎるのではないか。外国に対しても喜ばれていないじゃないか。ほんとうに外国に対する、低開発国に対するところの援助が効果を発揮して、その相手国の国民のしあわせにつながってくるならば、お互いにひとつがまんをしようじゃないか。しかし、そうでないというところに合意はあり得ない、私はそのように考えるわけです。国民的な合意を得るための、また相手国から喜ばれるための援助――いまの外務大臣臨時代理の質的というおことば、それから通産大臣、それぞれ先ほどお答えになりましたことは私は当然だろうと思うのですが、そうしたやり方もほんとうに効果のある援助ということでなければならぬと思いますので、それらの点についての考え方をひとつこの際決意としてお聞かせいただきたい、そう思います。#37
○木村国務大臣 いまお話のありましたとおり、対外援助を行なう前提といたしましてまず、国内のコンセンサスが必要だ、私もきわめて同感でございます。そのためには、やはり国内の社会資本の充実というものがまず行なわれなければならない。その上に立っての国内コンセンサスの基礎のもとに対外協力を思い切ってやるということが私は順序でなかろうかと思いますが、そういう意味におきまして、いままでのいまお話のありましたようなエコノミックアニマルとさえ称せられたわが国の対外援助の姿勢をこの際大きく転換しなければならぬ、こう思います。そういう意味において、私は質的援助、質的な意味の改善をしなければならぬということを申し上げたわけでございます。私もそういう面では同じような考えのもとにそういう決意をいたしております。#38
○中村(重)委員 質的援助ということになってまいりますと、政府の援助の姿勢ということの具体的な問題として、政府借款というものと民間と比率をどうするかということがやはり重要なウェートになってくるのではないかと私は思うのです。残念ながら日本の援助というものは相当伸びてはまいりましたものの、これはDACの平均が〇・三六%、これに対しまして日本の場合は〇・二三%でございますか、これを下回っている。ピアソン報告が〇・七%でございますね。それから英国であるとか西ドイツが〇・四%、これもずっと低いわけです。政府も、これまたDECDの閣僚理事会におきましてこの政府援助を高めていくということを表明しているわけですから、これをいつの時点でどの程度まで引き上げていこうとお考えになっていらっしゃるのか、そのことについてもひとつお聞かせをいただきたいと思います。#39
○木村国務大臣 この政府関係の援助、すなわち政府開発援助のパーセンテージがまだきわめて低いことはいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、対外経済協力のパーセンテージは確かに〇・九〇%、一九七五年の一%の目標に近づきつつありますが、その中に占める政府開発援助の率がいかにもまだ貧弱であるという認識を持っております。これをDAC上級会談で目標にいたしました〇・七に近寄せていくためにはまだまだ努力が必要だと思います。そういう意味において、まだ、私の手元でそれに対するスケジュールは具体的にはきめておりませんが、いま申しました基本方針に沿いまして、また、わが国の今日に至る国力というものを背景にいたしまして、そのパーセンテージをできるだけすみやかに上げていくという基本方針で進みたいと思います。#40
○中村(重)委員 援助の質的強化ということになってまいりますと、ただいま申し上げましたようなことも重要でありますが、その具体的な問題としてどうするのかということでございますね。たとえば援助の条件、これは日本は非常にきびしいという。金利にいたしましても、一九六九年でもって三・七%、返済期間が十九・五年、こういうことになっておるわけですね。これもDACの平均の金利が二・八%、返済期間が二十七・八年、こういうことになっておるわけですから、その差も非常に大きいわけです。ここいらも批判をされておるところになっているわけですから、これらの点をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。#41
○木村国務大臣 最近の事例を見ますと、漸次ソフトと申しますか、そういう借款条件をだんだん先方の有利になるようにきめております。たとえば、まだ三%台の事例は少のうございますけれども、三・五%、あるいは償還期限を二十年というふうに、漸次案件ごとにその方向に向かって進めつつあります。#42
○中村(重)委員 いま一つ伺っておきたいのは、この国際機関を通じての経済協力、その方向、それからいま一つは二国間の援助、この関連というものをどのようにお考えになっておられるのか。これは言うまでもなく、国際機関を通ずるというお答えが返ってくるであろうと思うのですが、しかし、その答弁というもの、考え方というものが実行に移されていかなければならない。援助というものが平和に通ずるという先ほどの通産大臣のお考え方と、ここいらにも重要な私はポイントがなければならないと思うわけでございますから、この点に対しましてはひとつ両大臣から考え方をお聞かせいただきたい、こう思います。#43
○田中国務大臣 御指摘のような方向をあわせて行なっていくべきだと思います。これは一九四五年から活動を開始いたしておりますIMFとか世銀とか第二世銀とかの方向、あるいはまたアジア開発銀行の方向から見ても、二国間だけではなくて、これは共同でもって――二国間というと、どうしてもひもがつくという感じで、なかなか現地との問題も困難なこともございます。投資したから、それだけ原材料もその国から買えというようなことで、ひもつきなしのものということで、世銀の資金を各国から集めて、そして世銀資金を低開発国に、第二世銀、IDAの資金と合わせて投資をするというようなことをやっておるわけです。それでもなお、東南アジア等は、もっと合理的な拡大をするためには、それにアジア開銀を付加する、そのほかに二国間のものをやろう、また、アジアハイウエーのようなものを特定な国だけでもやろうじゃないかということで相互的にひものつかない南北問題の解決、これは非常に重要だと思うのです。ですから、そういう意味で二国間のものはGNPの一%にたしか近くなっております。それから金利や条件も非常によくなっております。しかし、DACの平均まではまだまだいっておらないということで、これは努力をすれば解決できる問題でございます。しかし、そういうことよりも、やはり世銀の資金の拡充に応ずるとか、第二世銀の資金を肩がわりをしまして応ずるとかいうことで、やはり多国間援助の中に大きなウエートを占めていくということがこれから日本としてはどうしてもやらなければならない一つの方向だ、こう考えます。#44
○中村(重)委員 外務大臣臨時代理にはあとで次の問題で、経済企画庁長官という立場とあわせてお答えをいただきたいことがあるわけですが、いろいろお尋ねしたいのですが、時間の関係もございますので次の点をお尋ねいたしますが、私の持論ですが、予算委員会でも何回か質問したことがあることですが、輸銀と基金との業務分担の問題なんですよ。端的に私の考え方を申し上げさせていただきますと、輸銀はコマーシャルベースを取り扱え、基金は政府借款、これでいくべきじゃないかということをかねて主張しているわけです。これは私だけの考え方ではなくて、そうした傾向がいろいろ強まってきて、どこかの審議会でもそういう議論が展開されたということを実は伺っておるわけですが、こう申し上げても、相手国に対する援助の条件の問題からなかなかそうもいかない、両者をミックスしてやらなければならないのでそうもいかないんだということばがよく返ってくるわけですけれども、どこかに支障があると私は思うのです。やはり、いまのような姿であるところに混乱だってあるんじゃないでしょうか。この輸銀の実績を見ましても、直接借款なんというのが相当大きな数字を実は占めているわけです。また、日中貿易に対するプラント輸出の延べ払いの問題だって、これがコマーシャルベース一本であれば輸銀を使うというのは問題は起こらないんじゃないですか。これが政府借款というようなものまでここで扱っているところにどうしても問題が出てくるのではないかということ等々、いろいろ考えてみましても、この際、輸銀はコマーシャルベース、基金は政府借款というように区別をされる、勇断をもってこれを実行していただきたいということが一点であります。もう一つは、機構上の問題があるわけです。実は、決してあげ足をとるわけではございませんので、経企長官御了解をいただきたいのですが、昨日の所信表明をそれぞれ両大臣から伺った。通産大臣の所信表明の中には経済協力というのが一項ある。しかし、これはその他大ぜいというのですか、その中にちょっぴり出てきているわけですけれども、経企長官には経済協力の一項が全くどこにも一字も見当たらない。私は、この短い文章ですから、その中に何でも書きあらわさなければならぬという無理な注文はいたしません。しかし、あのときなわ張り争いで、外務省に持っていくか、大蔵省に持っていくか、通産省に持っていくか、がたがたやりまして、そして無難な経企庁に基金を持っていったという経過が実はあるわけですね。実際は、経企庁としては迷惑であったのではないかと思うのです。そのためにも、熱意がないのだとは私は申し上げませんけれども、実施庁、たとえば通産省なら通産省に輸銀を持っていくのか、あるいは基金は外務に持っていくのか、どこかにともかく持っていって、実施面にあまりがたがたしないように、なわ張り争いもしないように、あまり混乱もしないように、そういうような機構の整備もあわせて行なうのでなければ、国内の体制が完全にならずして、外国に対する、低開発国に対する経済援助の効果というものは発揮できないのではなかろうか。また、相手国もどこへ相談したらいいのかわからぬ。外務省に相談するけれども、これは窓口だけ、実際は通産がやっている、あるいは大蔵だ、あっちもこっちも行かなきゃならぬということで非常に迷惑をしているということ、これもまた私は、評判が悪くなっている一例ではなかろうかという感じがいたします。これらの点に対しましては、先に通産大臣からお答えをいただきまして、次は、外務大臣、経企長官という両面から木村大臣のお答えをいただきたいと思います。
#45
○田中国務大臣 海外経済協力基金と輸銀との問題は、設立当初から問題になっていることは御承知のとおりでございます。しかし、あの当時はあれでもよかったと思いますが、今度は、海外経済協力というものが非常に大きなウエートを持ってきたという事実から考えますと、やはりけじめはつけておくほうがいいと思います。確かに、所管問題につきましては、通産、大蔵、外務等がいろいろごたごたいたしました結果、官庁のセクショナリズムといいますか、現在の官庁の設置法に基づく所管の上からいうと、いろいろ権限紛淆が起こるところがございます。それで、結局、権限紛淆のある事項は経済企画庁へということで、経済企画庁は苦情処理担当省にもなっているわけでございます。そういう意味で、海外経済協力基金は経済企画庁所管ということになったわけでございますが、いまの状態――私はかつて大蔵省に在職しておるときには、これはやはり一緒にしたほうがいいという議論だったのです。通産省に来てから変節したわけじゃございません。これは海外経済協力基金と輸銀というものが分野がはっきりしてきたということ、経済協力基金も輸銀と一緒になってやっていけるということではなく、政府ベースのものも非常に大きくなってくる、こういうことを考えますと、やはり経済協力基金と輸銀というものは現在のままでいいような気がいたします。ただ、この量とか、それから積極的に要請にこたえていくための整備というものはどうしてもやらなければいかぬだろう、こう考えております。私自身がいま端的に考えられることは、やはり世銀と第二世銀という――第二世銀は御承知のとおり別なものでございますが、五十年無利息でございます。第二世銀と世銀、特に世銀でも、私もその当時発言をして中心的な役割りを果たしたわけでありますが、利息や償還年限は一本ではなく、世銀債を発行して自由諸国間の自由な市場――自由な市場といっても日銀引き受けになっておりますが、そういうことで資金を集めて、そして中級国、低開発国、後進国というものによって金利や条件及び償還年限を変えられるような融資をする。その上に無利息五十年というのがからんでくるということで、比較的合理的な運営が行なわれておるわけでございます。日本も、そういう国際的な機関があるのでございますから、そういうものとも比較検討しながら、日本の官庁ベースだけでもって見ないで、もう少し改革の方法があるのではないか。これは、私が通産省に参りましてからまだ二週間でございまして、いま変なことを言うと、どうも通産省ベースの発言になると困りますので、国務大臣ベースで発言できるまでの間暫時時間を与えていただきたいと思います。
#46
○木村国務大臣 いま通産大臣がお答えしたことで尽きておると思いますが、もともと、この経済協力基金また輸銀というものの目的、またその対象が根本的に違っておると私は思います。しかしながら、その業務の範囲は非常にオーバーラップしておりますし、その範囲でお互いにあまり重複しないように業務の運営を進めておる、この実態は認めていいと思います。ただ、将来の見通しとしましては、この経済協力基金というものは、今後海外への直接の政府の開発援助にマッチするためにはもう少し性格をはっきりすべきである。特に、今後単なるそういう経済開発援助のみならず、相手国の社会資本の充実にまで手を伸ばしていこうということになれば、ますますこの経済協力基金の性格をそれに応じて発展させなければならぬという面から見ますと、私もただいま通産大臣と同じような意見でおります。しかし、この機構の問題につきましては、いろいろよって来たる歴史もございましょうし、いまのところいろんな案を考えておるということしか申し上げられないわけであります。#47
○中村(重)委員 経済協力の問題はまだたくさんお尋ねしたいことがあるわけですが、四十分までということで、時間が参りました。インドネシアに対する商品援助の問題これもだいぶ議論いたしまして、当時通産大臣は大蔵大臣でございましたか、この問題に対してはずいぶん熱意を示されて、商品援助がいま実施されている。それがはたして当初の期待のとおりいっているのかどうか、インドネシアの発展の上にどの程度寄与しておるのであろうか、私もいろいろと研究調査をいたしておりますが、そのことについてのお伺いもしたい。それからまた、輸銀の実績、基金の実績等をもとにいたしまして、中南米あるいはアジアその旭の地域の経済援助のあり方といったような、いりいろな面についてお尋ねしたい。それから、先はどの輸銀と基金の問題に対しまして現状どおりでよろしいと思うという大臣のお答えに対しましては、現状どおりでよろしいということについてのもっと具体的な考え方、それをあわせてお尋ねしたいと思うのですが、まだ通産省に来て、大臣を引き受けて二週間にしかならない。したがって、いろいろと部内の意向も聞いてないというお答えがあとでつけ加えられましたから、じっくりと、現状をどう進められておるのか、どこに問題点があるのかということを十分検討していただきまして、また適当な機会に、この問題に対しても考え方をお示しいただきたいと思います。これで、きょうの質問は終わります。
#48
○鴨田委員長 次に川端文夫君。#49
○川端委員 大臣が十二時までという時間のようですから、できるだけ問題をしぼって、きのう御質問申し上げた質問から残った問題を一、二お尋ね申し上げたいと存じます。そこで、きのうの通産大臣の御答弁の中に、中国の問題解決の一歩前進として、輸入事前許可品目を減らしたりあるいは税制の処置に対して前向きに輸入を拡大していく努力をするという御発言があって、まことに田中さんならばこそと私どもも心から敬意を表したい気持ちでありますが、もう一歩前進できないかどうかということをお尋ねしたいわけです。
輸銀の使用の問題に対して、たびたびの国会論議の中では、このことは政府はケース・バイ・ケースで、輸銀使用を禁止しているのではない、こうおっしゃるけれども、きのうも御答弁の中にありましたように、それは遠慮しているのか、他の国に気がねしているのか、いろんな問題があってまだ十分の使用をしていない、こういう御発言もありました。そうであるならば、この輸入の問題に対する前向きの発言と同じように、私は、輸銀の使用に対しては積極的にこれを認める方針であるということをおっしゃる答弁をいただけないかどうか、まずもってお尋ねしたいと思います。
#50
○田中国務大臣 この輸銀問題は、長らく国会の議論になっておるのでございまして、政府の統一見解のようにバイ・ケースで行ないます、こう言っているのでございます。佐藤内閣継続中でございますし、私も内閣の閣員の一員として今度任命をせられた者でございますので、オウム返しにそう申し上げているわけでございます。しかし、いま申請がありませんが、一部においては、申請をしても政府は許可しないようなニュアンスの発言をしているから出さないのだというようなことがございますので、そういうことはございません、お出しになればバイ・ケースでもって――そのバイ・ケースとは何ぞや、これは融資の条件その他であって、これは十分考慮いたします、こう申し上げておるのでございまして、これはなお、きのう御質問もございましたように、対中の雰囲気も非常に変わっておりまして、商売をしなければならない、通産省としましては好ましい方向になっておりますからと、こう申し上げておるのですから、買っていただけるものに対して片貿易にならないように、こちらもお買いするようにいろいろ知恵をしぼります、こう言っておるのでございますから、ここらでひとつ、佐藤内閣の閣僚としては非常に誠意のある答弁だ、こう御理解いただきたい。もっとはっきり輸銀問題ということになれば、私は任命されてからもう毎日日程的にちょっとこんでおりまして、そういう問題に対して関係閣僚や省内の意見も十分聞くいとまもなく、ここにいつでも御答弁申し上げているわけでございますが、これはきょうで国会も終わりますし、もっと時間的に余裕もあると思いますので、一体そういうものがあるのかないのか、あればひとつ出してもらおうじゃないかというような事態が来るかどうか検討いたしますから、きょうは国会最終日でもございますし、私は誠意をもってお答えをしておるということで、ひとつおくみ取りのほどお願いいたします。
#51
○川端委員 きのうも私の質問の中でも、田中通産大臣の誠意はわれわれはわかった、しかしながら、いま佐藤内閣ではなかなかそうもいかぬという感じを持って御質問申し上げているんだという発言もしておいたわけですが、けさの新聞報道によると、やはりこういう国交のない国と問題を解決する一つのきっかけというものは、必要のために、アメリカでも上院と下院が協議会を開いて、アメリカの輸銀使用に対して積極的に使用させるべきだという決定を見ておると伝えておるわけです、未確定かどうか知りませんけれども。したがって、やはり長い間いろいろな意味において誤解といえば誤解、封じ込め政策をやっておったといえばやっておったといういろいろな見方がある中国の問題を前向きに前進させるというならば、一つの積極的な機会をつくっていくというこの意味における輸銀の使用に対して、大胆にお答えをいただけたものとしてきょうは理解してよろしいかどうか、いままでの各閣僚の答弁よりは、田中新大臣の答弁はかなり積極的に、前向きに答弁されたと受け取ってよろしいかどうか、もう一ぺん確認をさしていただきたいと思います。#52
○田中国務大臣 日本と中国との問題に対しては、きのうからるる申し述べております。そして二億数千万ドルの輸出、六億数千万ドルの輸入というのが向こう側の状態でございます。これは輸出入のバランスをとるという意味からでも、こちらも拡大をしてもらわなければいかぬが、向こうからのものもできるだけ受け取るようにいたしたい、こう言っておるわけでございまして、これは日中の友好増進のために貿易がパイプになって拡大をしていくべきだということを述べておるわけでございます。ですから、出てこないものが出てきたらどうするかではなくて、これは出てくればどうしたか。私は前に倉レのビニロンをやったという実績があるわけでございます。実績よりも後退するということはなかなか、そういうことをも十分お考えになられて御判断をいただければけっこうであります。お手元にそういうものがございましたら、そういうものをお出しいただいてもけっこうでありますから、どうぞひとつ御理解のほどをお願いいたします。#53
○川端委員 この問題では、もしいまのようなあいまいな態度であるならば、けさの商工委員会の理事会でも、次の国会では、日中問題に対する輸銀なりココムの問題を含めての経済交流の問題に対しては委員会の決議をしたいものだという話し合いもしておったわけでして、私は、何といっても誤解というのにはあまりにも不信感が強過ぎる従来の日本政府のあり方も、反省をした上に立たなければ前進はあり得ないという考えで、やはりどこかで強い態度で前向きというものが出てこなければならぬ。そういう意味において、できればこの委員会でもよろしいが、あるいは新聞記者会見でもよろしいから、輸銀の問題は私は解決してみせるから出しなさいということを、率直にひとつ声を大にしていただくことをまずもってお願いしておきたいと存じます。それから次に、もう一つの問題は、日本のいまの経済の不況脱皮の問題というか、景気浮揚に対するそのきっかけの問題をどのように考えていくかという問題に対して、私は金融の状態からいま政府が考えておいでるのではないかと思う。言うならば、伝えられるところによると、もう一ぺん九月ごろに公定歩合の引き下げを行なって、その中で景気浮揚させたいということを伝えられておりますが、これは大蔵省当局の問題であろうと思いますけれども、とにもかくにも景気が悪いということは、いろいろな機会にみんな明らかにしてきておるわけです。
そこで現在、しからば金融緩和だけで問題の解決がつくのかといえば、私はどっこいそうはいかぬのじゃないかと思う。市中銀行のあり方を見ても、あるいは外資の流入の事情から見ても、輸銀緩和の徴候は非常に大きいと思えるし、特に、中小企業専門店である信用金庫あたりもこのごろ資金がだぶついておる、こういう実態等伝えられておるわけです。そこで、特に中小企業の場合は、現在の条件の中では、借りても返さなければならぬという事情から見て、すくんで借りない、借りたくても借りるきっかけを、見通しを持たないというのがかなり多いということが明らかにされておると思うのですが、そういう中で、私はやはり従来の商工行政の中における政策金融というものをもう一ぺん考え直して、一般金融の補完的な業務より、中小企業に対しては牽引力を持つような先導型の役割りをこの機会に持たすべきじゃないか、こういうことをお考えになっておるかどうかお尋ねしてみたいと思うのです。
#54
○田中国務大臣 御指摘のとおり、現在は資金は比較的にだぶついておるということでございます。コール市場も非常に安定をするというよりも、低落状況をたどっておるわけでございます。そういう状態でありながら、なかなか金融だけで景気が刺激されるということは、いまのところやはり考えられない。私は、この二週間の間にいろいろ手を入れてみたわけでございますが、景気は思ったよりも悪いということでございます。年率一〇・一%予定しておったものが、これから相当浮揚策をとってみても八%ぐらいしかいかないんじゃないか。この間の選挙のときなどはどん底だったというような感じでございます。それはどうしてこんなようなことになったのかと思いましたら、過去の例をとりますと、選挙が上半期に二回行なわれるときに二つの現象があります。一つは、投票率が一〇%程度下がるということが一つの現象であります。もう一つは、公共投資というものが、ほとんど新規事業がストップするということでございます。そういうことでございまして、六月ベースで見ますと、一一・五%の現金支払いベースが九%である、二・五%も少ない、こういうことでありますから、これでは公共投資そのものが全然景気浮揚には作用をしておらぬということでございます。公共投資が先行しないのでございまして、もうすでに議決済みの起債を執行されない状態でありますから、その上に追加をした財投の二千六百億が景気浮揚にまだ作用しておらぬ、こういうことになります。そうすると、行政投資というものが前提になって民間の設備投資意欲が起こるわけでございますが、その前段のものが整備をされておらない状態で、どうもいまの状態で設備投資意欲が起きない。よって、三段論法からいって景気は低落状態を続けておる、こういうことでございます。ですから指数においても、先月は対前年同月比は、設備投資及び鉱工業生産指数等はみんなマイナスでございます。今月になってから多少は向いてきたということで、景気浮揚の曙光が幾らか見えたかな、ことしになってから初めての徴候が一つございます。そういう意味で、これからはやはり一兆円も金を出すというようなことも報道されておりますが、それもさることながら、四十六年度の議決をした予算があるわけでございますから、これをとにかく集中的に投資をするということ、それから金融面においては、〇・七五%も下がっておる公定歩合に対して〇・一%しか実効金利は下がっておらぬ。おかしなことでございます。そういう意味で実効金利を下げるきっかけをつくろう。それはやはり開銀金利と長銀金利に手をつけなければどうもきっかけはつかめないんじゃないか、こういうことで、いまそういうところまで手をつけようということで、財政当局でも非常に大幅な案をつくっておるようでございますので、政府関係協力して景気浮揚には一そうの努力をはかってまいるということでございます。
中小企業に対しては三機関の問題実効金利を下げる問題、また中小企業の景気浮揚に対してはもっともっとひとつ施策を進めてまいるということでまいりたいと思います。
#55
○川端委員 時間がなくなりますから、聞きたい一、二の問題を集約して御質問申し上げて終わりたいと思うのですが、御存じのように、昨日からお尋ね申し上げている、国際化時代に対応するために田中新構想を出しておいでるし、それから円切り上げ回避のための八項目の実施を政府も明らかにされておるし、これらの問題の法律なり予算提出を次の国会にやられる用意をされておるのかどうか。次の国会といえば、沖繩国会といわれている十月国会じゃないかと思うのですが、準備をどういうふうにされておるかということと、もう一つは、やはりこのような日本の外貨蓄積の実績から見て、輸出振興政策の税制改正をも大蔵省等で考えておるようでございますから、これもマクロ的には同じですが、中小企業の今日の実態からいって、このことを見返りの救済対策を持たずにやられたのではたいへんになるんじゃないか。こういう問題に対しての考え方をお答えいただきたいと存じます。#56
○田中国務大臣 いろいろ私が事務当局に検討依頼をいたしたものや、それから対談その他で申し上げておりますこと、質問に答えて申し上げておりますようなことは、これは必要であるという立場からでございますが、事務ベースに完全に乗っておるものもありますし、まだ完全に乗ってないものもございます。また、大蔵省その他とこれから十分相談をしなければならないものもございます。しかし、私はやはり方向としては、どうしても必要だということを真剣に考え、述べておるわけでございますので、次の通常国会にこれが提案できるかどうかわかりません。わかりませんが、八月三十一日の概算要求に間に合わなければ、これは別ワクで要求をしたいとさえ考えておるのでございまして、四十七年度予算編成までにはこれは必ず間に合わしてまいりたいというのが私の希望でございます。第二の輸出税制の問題に対しては、ことしの春までの国会で大体成案を得て実行に移しておるわけでございますが、その上なお輸出税制は全部やめてしまえという議論がございますが、これは極端だと考えます。これは私は通商産業大臣としてだけでなく、日本はやはり貿易立国ということでございまして、原材料を持たない日本が原材料を持っておる国と同じ自由な市場で競争するという宿命があるのでありますから、何らかしてこのハンデをカバーする必要がある。それから低賃金、低コストの昔のものに返るおそれもあるので、私はやはり制度上の問題としては、ちゃんと認められておるその既得権というものを大切にするということが前提でなければならぬと思う。ただ、外圧があるような問題に対しては、これは外圧をやわらげ日本の特殊性を理解してもらうということでなければならないので、こちらがそれをとる場合は、相手国からもひとつ与えていただくということも考えなければならない問題だと思います。特に、中小企業や零細企業の輸出増強力、国際競争力の問題を考えると、その面は特別な配慮を必要とする。これはほんとうに新しく税制に手をつけるとすれば、国内政策、中小企業対応政策を前提としなければならない、こういうことでございます。その面に対する考え方は、大体お説と同一だと思います。
#57
○川端委員 終わりますけれども、いまの答弁である程度信頼していいようにも思うし、しかしながら田中さんが言われているように、国務大臣ベースでやられてしまうおそれもないとは限らぬ。この心配があることを申し上げて、内容についてはこれ以上申しません。ただ、いま一言だけ申し上げますと、通産省には通産省の予算を持って、それを繰り上げ実施すればいいではないかというような意味の御答弁があったわけですが、たとえば近代化融資の場合等においても、これは国独自でやっているのではなく、地方自治体の負担も交えた制度でありますから、なかなかめんどうがあるけれども、景気浮揚のためには思い切ってひとつ特別措置を、臨時措置を行なうという決意をしてもらいたいことを申し上げて、時間がきましたからこれ以上質問は申しません。決意をお願いして質問を終わりたいと存じます。どうもありがとうございました。
#58
○田中国務大臣 まだ就任早々でございまして、不勉強でございますが、皆さんの御意見等を十分拝承いたしまして、遺憾なき通産行政を確立してまいるつもりでございます。#59
○鴨田委員長 本日はこれにて散会いたします。午後零時一分散会