1971/09/20 第66回国会 衆議院
衆議院会議録情報 第066回国会 農林水産委員会 第4号
#1
第066回国会 農林水産委員会 第4号昭和四十六年九月二十日(月曜日)
午前十時五十七分開議
出席委員
委員長 藤田 義光君
理事 仮谷 忠男君 理事 松野 幸泰君
理事 三ツ林弥太郎君 理事 千葉 七郎君
理事 斎藤 実君 理事 小平 忠君
江藤 隆美君 小沢 辰男君
鹿野 彦吉君 佐々木秀世君
安田 貴六君 山崎平八郎君
田中 恒利君 中澤 茂一君
芳賀 貢君 長谷部七郎君
松沢 俊昭君 美濃 政市君
鶴岡 洋君 二見 伸明君
合沢 栄君 小宮 武喜君
津川 武一君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
委員外の出席者
外務省アジア局
北東アジア課長 中平 立君
農林大臣官房長 中野 和仁君
農林大臣官房技
術審議官 遠藤 寛二君
農林大臣官房参
事官 大河原太一郎君
農林省農林経済
局長 小暮 光美君
農林省農林経済
局保険業務課長 川村 文雄君
農林省農林経済
局統計調査部長 中沢 三郎君
農林省農政局長 内村 良英君
農林省農地局長 三善 信二君
農林省畜産局長 増田 久君
農林省蚕糸園芸
局長 荒勝 巖君
農林水産技術会
議事務局長 加賀山國雄君
食糧庁長官 亀長 友義君
林野庁長官 松本 守雄君
水産庁長官 太田 康二君
海上保安庁次長 上原 啓君
気象庁観測部長 木村 耕三君
日本国有鉄道貨
物局長 泉 幸夫君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
―――――――――――――
委員の異動
九月一日
辞任 補欠選任
二見 伸明君 伏木 和雄君
同日
辞任 補欠選任
伏木 和雄君 二見 伸明君
同月十日
辞任 補欠選任
小山 長規君 金子 岩三君
同月二十日
辞任 補欠選任
角屋堅次郎君 中澤 茂一君
同日
辞任 補欠選任
中澤 茂一君 角屋堅次郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
農林水産業の振興に関する件
派遣委員からの報告聴取
――――◇―――――
#2
○藤田委員長 これより会議を開きます。農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
まず、先般本委員会より北海道地方及び四国地方に委員を派遣し、現地調査をいたしたのでありますが、この際、派遣委員からその報告を聴取することといたします。
第一班松沢俊昭君。
#3
○松沢(俊)委員 それでは、私のほうから、去る九月十三日から十七日までの五日間にわたりまして、委員派遣による国政調査第一班、つまり北海道視察の御報告を申し上げたいと考えます。われわれは、九月十三日北海道に入りまして札幌市グランドホテルにおきまして、北海道副知事、札幌営林局長、北海道開発局長、北海道農業試験場長、農林水産各団体の代表から、北海道における農林水産業、本年の冷害、開発計画、国有林野事業、北海道農業試験場などの概要説明と要望事項を聴取するとともに、石狩、空知、上川、十勝、網走の各支庁管内において実情調査を行なってまいりました。
今回の調査の目的は、当初、土地改良事業の実施状況を中心に北海道の農林水産業の実情調査を行なう予定にしておりましたが、御承知のとおり、本年の北海道は未曽有の大冷害に見舞われるということになりましたので、調査の重点を水稲など農作物の作況調査に置いて冷害の調査を中心に行なってまいりました。報告の内容もそこに焦点を置きたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
以上、御了承いただきまして、まず、北海道における主要農作物の作況及び冷害状況について御報告申し上げます。
本年の北海道は数十年ぶりという異常低温に見舞われ、そのため北海道農業の主要農作物に甚大な被害を与えております。八月二十五日現在の北海道庁の調査結果によりますと、その作況は、水稲五七、小麦七九、大豆六六、アズキ五九、菜豆八六、バレイショ九八、てん菜一〇七、混播牧草九六と、バレイショ、てん菜を除いて大きく平年作を下回っているのであります。
われわれ調査団は、このような報告を聴取いたしまして、道内各地で精力的にこれら農作物の作況及び冷害の実情をつぶさに見てまいりました。
まず、最初に、水稲の生育状況について申し上げます。
稲の生育の特徴といたしまして、八月上旬前半までに出穂したものは、七月二十日前後の悪天候で障害型冷害を受け、不稔が多発し、また八月上旬末以降に出穂したものは、不稔の発生は比較的少なかったのでありますが、八月中旬後半の悪天候により生育がおくれ、遅延型冷害を受けております。
これをわれわれが調査を行ないました各支庁管内で見ますと、石狩六〇、空知五八、上川五一、十勝二八、網走二となっておりまして、不稔の発生は少なくとも平年の二倍、多いものは四倍から五倍に及び、減収の多大な原因となっております。道東、道北地方では収穫が皆無に近いところがたくさんあったのであります。
また、晩生種及び生育のおくれの多い地帯のものの中には、八月中旬後半の低温のため開花がおくれたものが多く、登熟が著しくおくれており、今後の天候次第では被害はさらに大きくなる危険性があり、霜害予防が特に必要と考えられるのであります。
次に、豆類の生育状況について申し上げます。
豆類の生育の特徴といたしましては、六月中旬に晩霜があった網走、十勝、上川支庁管内では再播、補播が行なわれており、七月中旬以降の低温、日照不足、多湿の悪天候によりその生育は一般に停滞し、特に、アズキの草できが劣り、八月初めから開花が始まったが開花数も少なく、加えて八月中旬の低温、日照不足によりさやづきが少なく、さやの伸長、肥大もおくれ、再播、補播したアズキの収量はほとんど期待が持てないような状態でありますし、道東地域の生産地では初霜をこうむる危険性があるのではあります。
豆類のうち代表的なアズキについて、その作況を見ますと、石狩七四、空知七九、上川六五、十勝五三、釧路四二、網走一六となっております。
また、バレイショ、てん菜は比較的冷害が少なかったようでありますが、酪農地帯において牧草がかなりの被害を受け、牧草の質的低下が見られたのであります。
以上が北海道における主要農作物の作況及び冷害の状況であります。
今回の冷害が、米の生産調整や農産物の自由化問題のさなかに起きた現象であり、農民の不安は多大なるものがあるのであります。北海道においては、道はもとより各支庁、市町村、農業団体においても冷害対策本部を発足させ、その対策に真剣に取り組んでおります。われわれは冷害に見舞われた農家の方々の御苦衷を察し、心から御見舞を申し上げ、御要望を十分にしんしゃくして、これが対策を十二分に行なうよう政府を督励することを約束してまいりました。
以下現地において要望されましたおもな事項について申し上げます。
その第一点は、金融対策をしての要望であります。
今次の冷害を天災融資法に基づく災害に指定し、被害農業者の再生産を確保するための経営資金を融通すること、及び重複被害農業者に対する貸し付け限度額の引き上げ措置を講ずること。冷害の被害実態にかんがみ、激甚災害としての指定の措置を講ずること。被害農業者の再生産及び生活の維持をはかるため、自作農維持資金の災害特別のワクについて貸し付け限度額を引き上げの上、所要額を確保する措置を講じ、林業経営維持資金については、貸し付け限度額の引き上げとともに、貸し付け限度額の算定にあたって自作農維持資金と切り離す措置を講ずること。農林漁業金融公庫資金制度資金について、被害農業者の償還不能分について償還猶予の措置を講ずること等。以上でありますが、特に農業団体からは被害農家の負債対策として、各種制度資金の借り入れ金の緊急たな上げと利子の減免措置及び土地改良負担金等の軽減措置を講ぜられたいという強い要望がありました。つまり固定負債のたな上げが強い要望であったと思います。
その第二点は、営農対策としての要望であります。
被害農業者の再生産を確保するため、種子の購入費について国庫補助の措置を講ぜられたいということであります。
その第三点は、飼料対策としての要望であります。
飼料不足を来たす被害農家の越冬用飼料を確保するため、政府保有のふすま、大麦等の払い下げと代金の延納措置を講じ、ビートパルプの購入費についても国庫補助の措置を講ぜられたいということであります。
その第四点は食糧対策としての要望であります。
今次の冷害により農産物の品質低下が見込まれるので、水稲、麦類について規格外品の政府買い入れの措置を講ずるとともに、豆類について検査規格に下位等級を設定すること、被害農業者の昭和四六十年産米予約概算金の返納に関し、利子の減免等特例措置を講ずること、被害農業者にかかわる米生産調整奨励補助金及び米生産調整協力費を早急に支払うよう措置することであります。
そのほか、農業共済命の早期支払い、救農土木事業の実施、飯米の確保等についての要望がありました。
また、北海道の寒冷な気象条件に適応した寒地農業を確立するため、恒久対策として、農業金融制度の改善、農畜産物の価格安定及び流通対策の強化、稲作転換対策の充実、畑作共済制度の確立、試験研究の充実、北海道寒地農業開発法の制度等が強く要望されたのであります。
以上で冷害関係の報告を終わります。
われわれは、このほか豊幌のお茶の水地区内水排除事業、上士幌の肉用牛繁殖育成センター、士幌の国有林活用による新田牧場、富良野の野菜生産団地、上川北部農協の合理化でん粉工場、標茶の多和地区の大規模草地改良事業、パイロットフォーレスト、厚岸のサケ・マスふ化場、釧路支庁管内の大型酪農家及び支笏湖周辺の天然林等の視察を行なったのでありますが、時間の関係もありますので割愛させていただきたいと思います。
次に、北海道及び道内の各農林水産団体から要望されましたおもな点について申し上げます。
農業関係といたしましては、冷害を根絶する恒久対策を確立するとともに、北海道をわが国最大の食糧基地として育成するため、北海道寒地農業開発法を制定するなど、寒地農業の位置づけを明確にし、その確立をはかるほか、農業金融制度の改善、新酪農村建設事業への着手、稲作転換対策の充実、酪農動力電化の促進、開拓者負債整理対策の完全実施、土地改良法の早期成立等について強い要望がありました。
林業関係といたしましては、造林事業の拡充強化、林道網の整備強化など生産基盤の強化を行なうことが要望され、林産業については、現在の不況下に加え、アメリカのドル防衛策により、合板、インチ材の輸出に大きな打撃となっており、課徴金、為替差損の補てん、滞荷への融資のほか、不況対策としての年末融資、製材・合板業者の構造改善事業が要望されたのであります。
また、水産関係といたしましては、北海道水産業がわが国水産業に占める重要性にかんがみ、漁業外交の積極的な促進、沿岸漁場の開発整備及び漁業の特殊性を考慮した金融税制政策の導入が要望されたのであります。
今回の調査は、冷害調査を加えたため従来に例のないほどの強行日程で、特に第二日目は早朝七時より夜九時近くまでの一日十二時間、走行距離五百キロ以上の行程ではありましたが、道をはじめとする関係者の御協力により、無事調査を終了することができたのであります。
終わりに臨み、道、市町村、農林水産関係団体並びに北海道開発局、営林局の関係者に対し深甚なる謝意を表し、御報告を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
#4
○藤田委員長 次に、第二班について斎藤実君の御報告をお願いします。#5
○斎藤(実)委員 委員派遣第二班の調査結果を御報告申し上げます。第二班は、九月十三日から十六日までの四日間に、私のほか五名の委員及び一名の現地参加委員をもって、香川県、愛媛県及び高知県の主として土地改良事業、果樹振興対策等に関し調査してまいりました。
まず簡単に調査日程を申し上げます。
九月十三日は、香川県庁において、県関係者より農林水産業の概要及び国営香川用水事業の概要の説明と要望を聴取した後、香川用水の山田工区、阿讃トンネル、琴平トンネル及び中讃地区、県営大規模農道事業の綾川橋橋梁工事等の現地をそれぞれ調査いたしました。
九月十四日は、愛媛県庁において、県関係者から農林水産業の概要と要望を聴取した後、松山市と北条市にまたがる県営の夫婦山開拓パイロット事業、石手川ダム工事の現場及び県果樹試験場等を調査いたしました。
九月十五日は、高知県宇佐漁港における第四次整備計画の実施状況を調査した後、須崎市の県水産試験場において、県水産団体等の関係者から概況説明及び要望を聴取いたしました。
九月十六日は、高知県庁において、県関係者等から農林水産業の概要と要望を聴取した後、土佐山田町の県営物部川かんがい排水事業及び香我美町の県営圃場整備事業の現地を調査いたしました。
以上をもって調査の全日程を終了したものであります。
以下おもなる調査の概要とその所見について御報告いたします。
第一に、土地改良事業関係について申し上げます。
現在、本委員会で継続審査に付されている土地改良法の一部を改正する法律案の審査の参考に供するため、われわれ第二班には土地改良事業の実情把握が要請されたところでありまして、三県ともこれに重点を置いて調査してまいったのであります。
まず国営香川用水事業について申し上げます。
香川県は古くから用水不足に悩まされ、水田三万二千ヘクタールのうち七〇%は二万個のため池の用水にたよっており、このような用水不足が農業近代化の面に種々の障害をもたらしてきたのであります。他方四国各県における都市用水、工業用水等の需要も増大し、これらの要請と相まって豊富な水資源を包蔵する吉野川の総合開発が要望され、昭和四十一年度に吉野川水系水資源開発基本計画が決定されたのであります。香川用水事業は、この開発計画の一環をなすものでありまして、吉野川の池田ダムから取水して香川県へ農業用水、都市用水等を供給することとし、取水施設、導水路、共用区間の幹線水路等は水資源開発公団が、農業用水は共用区間を除き国営、県営、団体営によってそれぞれ施工することとしております。この国営事業は昭和四十三年度に着工され、その総事業費は二百三億円をもって、五市三十一町村の五万八千戸、三万ヘクタールに対し、用水を供給しようとするものであります。
現在香川用水はおおむね計画どおり進捗し、池田ダム取水口の補償問題の解決を待ってさらに一段に進捗するものと思われるものであります。
この事業と土地改良法の関係につきましては、この地区のように香川県全域にわたる広域農業振興地域の整備計画の中核をなすような基幹的な事業は、現行法における一事業一改良区、しかも三分の二の同意を得る手続方式では、事業の円滑な進捗を妨げるものと思われ、改正案のように国が基幹的な施設を先行的に実施し、かつ各種工事を組み合わせた事業の総合化をはかり、これを市町村の申請により実施する方式を取り入れることは妥当なものと考えられるのであります。
土地改良法の改正案につきましては、県当局、県土地改良団体等より特に早期成立の要請を受けたのであります。
次に、土地改良事業関係では、香川県営中讃大規模農道事業、愛媛県営夫婦山開拓パイロット事業、高知県営物部川かんがい排水事業及び香我美圃場整備事業を調査いたしましたが、大規模農道につきましては、昭和四十五年度より始められたものでありまして、広域地域開発の基幹的施設としてのウエートをますます高め、この種事業の実施の要請が各県ともに強く出されたのであります。また夫婦山開拓パイロット事業につきましては、ミカン生産農家の大幅な経営面積の拡大と生産費の節減をはかり、生産法人による集団的な生産組織を取り入れ、農業近代化に資することとするものでありまして、過去の開拓事業が個々の農家を対象とする方式であり、しかも開拓工法もずさんの点もあったため、これらの面から往々にして失敗した例が見受けられますが、この地域においてはこれらの点に十分な検討が加えられており、その成果が期待されているのであります。
また物部川かんがい排水事業、香我美圃場整備事業等につきましては、いずれも農業経営の安定化、近代化のための事業であることは申すまでもありませんが、ただ香我美圃場整備事業については、米の生産調整に対応して通年施工していることを申し添えるものであります。
以上の各事業について土地改良法との関係を申し上げますと、大規模農道事業では、三分の二の同意による申請方式では手続が煩瑣に過ぎ、改正案の市町村申請方式が妥当と考えられること、開拓パイロット事業では、改正案により農用地の改良、保全の工事を一体として拡充施工し、共同利用施設用地の創設換地制度が取り入れられること、圃場整備事業では、公共用地、工場用地等の創設換地が取り入れられること等により、これらの面から改正法案の早期成立が望まれているのであります。
第二に、果樹振興対策について申し上げます。
本件に関しては、さきにグレープフルーツの輸入自由化が行なわれたこともあり、国内果樹生産の整備合理化は長期的な観点から早急に解決すべき問題であると考え、今回の調査においても、現地の果樹関係者から果樹農業の今後についてその意見を聴取することといたしました。
今回われわれの調査地といたしました愛媛県松山市伊台町の夫婦山開拓パイロット地区の事業内容等につきましては、さきに土地改良事業の際に報告いたしましたとおりでありますが、現地におきましては、多くの人々から本事業に対する感謝とともに、これら新植果樹園が成園となった後の国内市場に対する不安が表明されました。
この調査の所見を申し上げますと、その第一点は、既存果樹園の整備合理化の促進についてであります。すなわち既存の果樹成園は、その多くが山面等急傾斜地の利用によるものであるため、労働力の確保が困難な現況で、良品種にしてしかも十分な肥培管理の行なわれた果実の生産を行なうため、基盤整備事業等を含め、その合理化事業の必要性を痛感いたしました。
その二点は品種改良の必要性についてであります。従来六月より七月にかけて市場を独占しておりましたナツカンのうち、旧品種のままの酸味の強い通称ナツミカン等につきましては、その成園の多くが三十年ないし五十年樹といった最成果樹でありますが、近年における消費動向に伴い、これら果樹園を改植等の方法により早急に他の品種にかえる必要があるものであります。さきの国会における本委員会の果樹に関する決議のうち数点は、このような点からも十分に現地の人々に期待を与えるものであったのであります。また品種改良の促進につきましては、その根本に試験研究の充実の問題があるのであります。
今回のわれわれの調査におきましても、愛媛県松山市内の県立果樹試験場をたずね、従来の花粉の配合による新品種開発方式とあわせて、特にかんきつについて種子からの新品種開発研究等の現状を視察をいたしました。しかし、試験場の施設内容につきましては、実験機具等の老朽化あるいは不足等の問題があり、これに対しては何らかの国としての措置を考えることが必要であると思う次第であります。
なお、果樹問題に関連いたしましては、関係融資資金の償還期限の延長、利率の低減及び融資額の拡大等について強い要望がありました。
最後に、香川、愛媛及び高知の三県を調査いたしました際に、県関係者及び農林漁業団体等から数多くの要望が寄せられました。そのおもな事項をかいつまんで申し上げたいと存じます。
まず、農林関係では、米の生産調整に伴う転換作物の価格安定対策等の確立、土地改良法改正法案の早期成立と土地改良事業の農民負担の軽減、広域大規模農道等の大幅拡充、水田休転作等に伴う土地改良借入金の軽減措置、野菜生産出荷安定制度の拡充、農山漁村同和対策事業の拡充、農協合併助成法の再延長措置、グレープフルーツ輸入自由化に伴う緊急対策の実施、オレンジ、果汁、牛肉等の輸入制限の堅持、外材輸入対策と木材需給制度の確立、再造林に対する助成措置、林道網の整備拡充等の諸事項が要望されました。
また水産関係では、第二次沿岸漁業構造改善事業の繰り上げ実施と融資制度の改善、リマ水域及び土佐湾における米軍等の行動水域の解除、第四次漁港整備計画の完全実施、瀬戸内海赤潮対策の早期実施等の事項が要望されました。
これらの要望はいずれももっともなものと認められます。したがいまして、われわれといたしましては、本委員会において機会をとらえ、これらの問題を取り上げたいと思います。
以上をもって第二班の報告を終わるものでありますが、ここに、今回の調査にあたり御協力をいただいた三県の関係者各位に対し衷心より謝意を表する次第であります。
以上をもって報告を終わります。(拍手)
#6
○藤田委員長 以上をもちまして、派遣委員からの報告聴取は終了いたしました。―――――――――――――
#7
○藤田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。#8
○安田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、特にただいま御報告のありました北海道の本年度における非常に大きな冷害問題、これを中心として御質問をいたしたいと存ずる次第でございます。その前に、まず一言だけ私は、農林常任委員長さんはじめ各委員の皆さま方に対しまして、お礼を申し上げたいと存じます。
今回の北海道の農作物の冷災害につきましては、委員長さんをはじめとしていち早く北海道に調査団を御派遣いただきまして、そしてつぶさに十三日から十七日まで御調査を賜わったわけでありまして、先ほど松沢議員より詳しく御報告をちょうだいいたしたところでございますが、皆さま方の御配慮に対しまして、私は北海道選出の国会議員としてまず厚くお礼を申し上げる次第であります。
そこで私は、今回の冷災害に対します基本的な問題につきまして、農林当局に御質問を申し上げたいわけであります。
北海道はようやく開道百年に入ったばかりでございまして、まだその歴史は非常に浅うございますが、明治二年以来、国の力によって、政府の手によって開発が進められてまいりました。そして、いまではわが国におけるいわゆる農業の主産地として、食糧の供給基地として自他ともに許しておるわけであります。これは政府の適切な施策ももちろんあったわけでありますけれども、その前に、北海道の農民の方々が、非常に長い間辛苦に耐え、そして冷害地帯あるいは非常に異常な気象地帯であります北海道の中で農業を開発し、今日まで積み上げてまいりました御努力のたまものでありまして、まさに汗と血の結晶が今日の北海道の農業を形づくっておる、かように申し上げても差しつかえなかろう、私はこういうふうに考えておるのであります。
しかし、そういう中におきまして、最近におきますところの農産物の貿易自由化、この中で取り上げられております品目は、北海道の農産物の中では主要な農産物が非常に多いわけでありまして、農民に与えております不安は非常に大きい。こういうさなかにおきまして、本年はここ数十年来にないという大冷災害を見ることに相なったわけなのでありまして、農林当局におきましても、もちろんいろいろと施策を重ねていただいておりますが、しかし本年のような冷災害に直面いたしました場合、農林省御当局におきましても、北海道の冷災害の起きてまいらなければならない要因というものに対して十二分にひとつ反省をいただきたいと存ずる次第でございます。
これは農政の問題であります。わが国は、九州から北海道まで農政の仕組みというものは大体画一的でありまして、したがって先ほど農業団体のほうからも強く要望がございましたような北海道寒地農業開発法の制定のような非常に大きな要請の出てまいるゆえんがそこにあるわけであります。したがいまして、これからの北海道農業を一体どのようにして冷害のない、あるいはかりに冷害があっても農民の困らない農政というものを実現していくか、こういうような基本的な問題に対して、私は農林当局の御所見をまず承っておきたいと存ずる次第であります。
#9
○中野説明員 ただいま北海道農業の位置づけというような基本的な農林省の考え方をお尋ねになったわけでございますが、われわれといたしましても、北海道農業が日本の農業の中で遠隔地帯におきます食糧基地であるということは十分承知しております。そこで、昨年の暮れに出しました地域分担によりましてもそういう位置づけをしておるわけでございます。ただ、北海道の地理的、自然的な条件から、寒さによりまして過去いろいろな問題が起こっておりまして、何年かおきに一度冷害があるということでございます。これを恒久的に克服するためには、先ほどお話のありました寒冷地としての適応した農業を確立することが必要ではないかと思います。そのために農林省としましても、先ほどちょっとお話がありましたが、全国画一的だと言われた中でも、北海道については特別の対策をいろいろとってきておるわけでございます。今後ともその方向は続けるべきだと思います。特に北海道の場合は、水田について冷害を受けるごとに問題になります。しかしながら、ここしばらくの間は、やや米の不足というようなこともありまして、開田ブームが非常に続いたわけでございますが、これについても、ここ数年の米の過剰生産を契機にいたしまして、開田を抑制し、ほかの畑作物に転換するということでただいままでやってきているわけでございます。今後はそういう水田の一部の地域の転換、そして畑作の振興と同時に、水田につきましても空知、上川地方になりますと基盤整備も相当進んでおりまして、これ自体を全部転換するということは私は不可能だと思います。この点につきましては、耐冷性品種の育成その他土地基盤の整備をより一そう進めまして、それを伸ばしていくということで、畑作と水田と両方伸ばしていくことが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#10
○安田委員 官房長の御答弁、一応全面的に、内容的に私は了承しているわけではありませんが、御趣旨につきましては了解いたしておきます。ただ私は、いま貿易自由化の問題一つをとらえましても、たとえば牛肉にいたしましても、あるいはでん粉にいたしましても、あるいはまた甘味類にいたしましても、豆類にしましても、あるいはまた酪農製品にいたしましても、その他ほとんどの品目が北海道の寒地農業、いわゆる畑作農業と酪農業、畜産業、これを不安におとしいれるような問題が大きく提起せられておるわけでありまして、農民は非常な不安感に襲われております。後ほども自由化問題について一言触れたいと思いますが、そういう中における冷害、したがって私は、北海道の農業の政策面におきましては基盤整備はもちろん重要でありますが、そのほかにまだ非常におくれております、全然実施されておらない、先ほど要望のあったいわゆる畑作共済の問題でありますとか、寒農法の制定の問題でありますとか、そういうものによってその他の農産物の価格の安定制度を明確に打ち立てまして、そうして少しぐらい冷害があってもびくともしないような農業地帯、こういうふうにすることが急務である。そうでなければ、一度に気象条件を人工的に変えるというわけには、いまのところ日本の科学ではまいらないわけでありますから、したがって農民の方々が、かりに冷害がありましても心配のない、そういうような農業政策というものを早く確立するということが何といっても基本的な課題だと私は思うのでありまして、そういう面については、今後機会を見ながら農林当局にも強く、要請を続けその実現をはかってまいりたい、かように考えておるわけでありますが、農林省におきましても、今回の冷害を契機として、そういう問題を基本的にお考えをいただきたいと存ずる次第であります。
農産物の共済制度は、ほとんどもう米麦もできておりますし、果樹もできておりますし、不十分ながら畜産の場合の共済制度もできておりますが、畑作の共済制度はいまのところ全然ないわけであります。北海道の大体七五%が酪農と畑作地帯でありまして、こういうような地域に対します――金融制度でいいますならば、いわゆるマル寒制度というものが、官房長さんがもっとお若い時代の所産のようでありますが、非常に熱心にこれを制定していただいた、それと同じような情熱をもって、畑作共済のような特殊な制度を早く確立していただきたいということを私は強く要請を申し上げておきたいと存ずる次第でございます。
次に、今度の災害は当然天災法の指定になりますことは明らかでありますが、現時点において激甚災害の指定を、これも私は間違いなくなるものと考えておりますが、農林省当局においては、この点に対する見通しをどういうふうに持っておるのか。まだ道庁のほうからは被害総額の計算の提出はないようでありますけれども、しかし、これだけの北海道の、食糧大基地の冷害でありますから、おそらく内々にはもうどの程度の被害になるかというのを大づかみには積算されていると思うのでありますけれども、そういう点からいって、激甚災害の見通しについていまのところどのように考えておられるか、お聞かせいただきたいと存じます。
#11
○中野説明員 道庁から、土曜日、いろいろ被害の実態等につきまして御報告いただきまして、農林省各局集まりまして聞いたわけであります。農林省といたしましても、九月五日から調査団を派遣して調査をしております。ただ、被害の総額ということになりますと、この九月の霜の対策、霜がどういうふうになるかということによってかなり影響があると思いますので、正確にはまだ数字は申し上げられません。しかし、けさほどから御報告がありましたような実態でございますので、相当大きな額になるというふうに思っております。その場合に、これは冷害でございますから、普通の台風のような農地、農業用施設での激甚災ということはございませんけれども、資金面でのいろいろな手当てが要りますので、そういう面からの激甚災の指定ということがあり得るのではないかというふうに私は考えておりますけれども、これは数字としてまとまった上で決断をすべきだと考えております。
#12
○安田委員 次に私は、今回の冷害にあたりまして一番心配いたしておりますのは、被害額の計算に関する問題であります。この問題は、現地にあります農林省の統計調査事務所の、いままでのいわゆる平均反収、あるいは本年のいわゆる量的な減収量、減収の程度、こういう問題が機械的には出てまいるわけでありますけれども、何といっても酪農地帯における草の減収量というものは、単に量的な計算だけでは徹底した飼料不足の対策は講ぜられるはずがないわけであります。したがいまして、どうしても、この場合におきましては、質的な減収、いわゆる長雨によりますところの乾燥不十分、あるいはまた雨が降ったり湿潤の日が続きますと草が刈れない、刈ってもどうにもならぬから刈らずじまいになる、そういうようなことから生ずる飼料不足、しかもこれは来年の五月ないし場所によっては六月ぐらいまでの飼料不足を計算しておかなければなりません。そうしなければ家畜は、もうすでに現在におきましてもこの冷害の関係で飼料が不十分でありますから、乳量の減収は目に見えておるわけでありまして、前年の同月対比、伸びが非常にとまっておるというばかりでなしに、むしろ減っておるわけであります。こういう状態を見ますと、どうしてもこの飼料対策といたしましては、質的な減収を十分に計算をするような、農林統計調査事務所あるいは北海道庁、そういうような関係機関の一致した方針が前提にならなければ十分な冷害対策は講じがたい、こういうふうに考えておるのでありますが、現在のところ農林統計調査事務所においては、そういう面に対する配慮のもとに現地機関に対しまする指導をなさっていただいておるかどうか、統計調査部長さんが差しつかえなければお答えいただきたいと思います。#13
○中沢説明員 お答え申し上げます。統計調査部におきます調査統計は、先生御存じのように主として量的な把握を中心にずっとやってきておりまして、御質問にございましたような質的な把握の仕事をこれまでやってきておりません。今回の冷害に関しまして御例示になられました牧草の作況そのものにつきましては、平年作よりもやや低いのではないか、現在こう見ておるわけでございます。この量的な把握に加えて質的な把握を指導しているかということでございますが、従来の経験、方針あるいは体制等からいいまして、そういうことを考え得ないような状態でございます。それでは量的な把握をしておりましてこれを質的な把握に換算し得るかといいますと、やはりこれも非常に技術的な問題が困難になりまして、統計調査部限りではそういう方法によります調査は困難ではないか、こういうふうに考えております。
#14
○安田委員 いまの部長さんの御答弁ではちょっと私も満足しかねるわけですが、大体農林統計調査事務所のいまの調査のままでいきますと、草の草生状態、生育状態というものから見る量的な計算しかいたしておりませんが、それでは被害の的確な把握にはならないと私は思うのでありまして、やはり質的な面もこれを調査をするような方針を農林省から打ち出して、そしてこれを現地に御指導をいただきたい。そして、それを前提として酪農地帯のいわゆる飼料対策、あるいはまたそれに対する助成対策あるいは融資対策、これは先ほど副知事はじめ農業団体から要望のありました諸般の事項に全部かかってくるわけでありまして、畑作物のように、あるいは米のように、わりあいに的確に把握できがたいのが草の被害なのでありまして、これを私は、農林省から現地に対して、今回の冷害対策の的確な資料を把握する上にどうしても欠くことのできない点である、かように存じますので、この点を強く要請をしておきたいと存じます。この点に対しましてもし御答弁いただけますならば御答弁いただきたい。#15
○増田説明員 御指摘のとおり、牧草の質的被害の実態把握というのは技術的に非常に困難な点が伴う問題であろうかと思っております。しかしながら、いま私のほうとしては、道庁と連絡をとりまして、九月十五日現在で実際に質的な被害も含めてどうなのであろうかということを調査をしていただいているわけでございます。ただ、これは地域、農家によっていろいろと変化があることだろうと思いますので、それがどこまで統計的に正確なものであるかという点につきましては、私もいろいろ問題があろうかと思いますけれども、とにかく一応九月十五日現在で道庁の調査をしていただいておりますので、その結果を見てわれわれは慎重に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。#16
○安田委員 時間がないという御注意を受けましたからやめますが、いまの問題に対して統計調査部長さんにお願いしておきますが、現地の統計調査事務所の職員の方々は、どうしても旧来の調査方式にこだわりますから、いま畜産局長のおっしゃっているような、農林統計調査事務所のほうは、考え方ではなくなるのではないかということを私は心配しておるのであります。したがって、同じ農林省の中における畜産局長さんの御答弁と統計調査部長さんの御答弁との間に、結果的に相違のないような、いわゆる一貫した御指導を賜わりたいということを一点強く要請をいたしておきます。また、そのほか私、一々申し上げませんが、先ほど副知事なりあるいは農業団体より要望のありました天災資金なり自創資金のいわゆる限度額の引き上げの問題、これも私、農林省からいろいろと御配慮いただいた過去の経験がございますが、なかなかに農林省御当局としても御苦心のあるところでありましょうが、ぜひともこれを引き上げて、そして本年における農民の生活面あるいは来年の再生産のための準備、非常な苦境にありまする農民の方々に十分な資金面の手当てを講じていただきまするように、この点を中心として、諸般の各事項に対して一貫してひとつぜひとも適切な、しかも十分な対策が講ぜられるように私は強く要望いたします。
なお、もう一点要望いたしておきたいと存じまするが、現在の冷害下にありまする農村の中で、開拓農家の負債の始末がまだついておりません。したがいまして、これは昨年度と今年度と二カ年度でこれを処理するように、方針としては農林省としてもとってまいった内容のものでありますが、本年度の分につきましてはまだ非常におくれておるようでありますから、これを急速にひとつ、冷害対策とあわせて完全な措置をしていただくように、十分にその促進をはかっていただきたいと存ずる次第であります。
また、時間がありませんからあまり長くは申し上げられませんが、自由化問題については、特に豆類について、これはせんだって私、新聞を見ますると、大河原参事官が横田副知事にたいへん力強いお話をいただいたように出ております。これは北海道新聞であります。そのとおり、この雑豆の自由化というものが完全に阻止されるということになれば何も言うことはないのでありまするけれども、午後におきましては農林大臣からの報告もあると思いますけれども、ぜひとも北海道の今年度の冷害の実相あるいは北海道農業の特質というものを特に御理解いただいて、絶対この豆類に対します自由化は行なわない、こういう姿勢を貫いていただきますように、この三点を強く御要請申し上げまして私の質問を終わりたいと存じます。
#17
○藤田委員長 美濃政市君。#18
○美濃委員 北海道の冷害対策を主体にして質問をいたしたいと思いますが、午前中の時間があまりありませんから、答弁は要約して――被害農民は非常に苦しんでおるわけでありますから、可能な限り、現況で答弁し得る最高の答弁を期待いたします。まず第一に、農林省も調査をされたわけでありますから、北海道の現在の農作物の作況をどう把握されておるか、それから、特にこれは米一品目でけっこうでありますから、米について全国の状況をどう把握されておるか、この二点をお尋ねをいたしたいと思います。
〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
#19
○中野説明員 けさほどから陳情等もありましたときにいろいろお話が出たとおりでございますが、春以来北海道の気象が非常に異常でございまして、稲について見ますと、特に七月中旬の減数分裂期の低温の影響、それから八月中旬以降の出穂直後の再度の低温を受けたということから非常に作柄が低下しております。農林省の八月十五日現在での調査では、作況指数が八七ということになっております。道庁の八月二十五日現在の調査ではそれが五七ということになっておりまして、特に道東のほうは非常に低いということになっております。それから豆類につきましても、これは道庁からの話でございますが、非常に被害を受けておりまして、全道的にいいますと、大豆は六六、アズキが五九、菜豆が八六というようなことになっておりまして、かなりの被害になっておるわけでございます。
それから全国との関係につきましては統計調査部長から申し上げたいと思います。
#20
○中沢説明員 全国の四十六年産水稲の作況につきましては、去る八月二十七日に、八月十五日現在で作柄の概況として公表しておるわけでございますが、それによりますと、全国の作況指数は九八でございます。これは平年作との比較でございまして、その後九月十五日現在で各県の統計調査事務所から、面積とともにその後の作柄の状況を現在報告を求めているところでございまして、現在整理し検討中でございます。ほぼ九月末か十月の初めに公表できる段階になろうと思いますが、現在の感じでは、九八の作況指数が上がる見込みはまずなくて、ややこれは悪くなるのではないかというふうに把握しておるわけでございます。#21
○美濃委員 ことしの北海道の冷害状況は、もうすでに調査をされましたように障害型が非常に高いわけですね。遅延型もありますけれども、障害型被害でありますから、いま大体被害額を推定してお聞きしてもおそらく、降霜を見て、こう言われるだろうと思う。私はここで思い切って、これは私の私的見解ですが、過般も全道調査をしまして、私の経験から私的見解を申し上げますならば、すでに、障害型ですから不稔粒による水稲被害というものは確定しておるわけですから、今後霜が降るとか降らぬとか、それによって変化が起きる起きぬの問題は、もちろん遅延型の部分にはありますけれども、不稔粒はもうすでに決定した被害でありますから、そういうふうに考え、あるいは畑作の一部において、水稲における不稔粒と同じような、不稔粒というわけではなくて、たとえば小豆等においては不稔粒と同じようにさやのつかないものがあるわけでありますから、そういうものを推定いたしますと、まず今後九月一ぱいあるいは十月上旬まで降霜が延びたとしても、この間調査時点において今後の推移が、降霜がそこまで延びると期待いたしましても、六百億の被害額は下らないと私は見ております。これは全くの私的見解でありますけれども、それに今後の降霜等によるものが上置きされるのだから、それより上回る危険性はあるけれども、被害額が下回ることはまずなかろう、したがってきわめて激甚である、こういうふうに私的に推定をいたしておりますが、農林省としては、額は言えないだろうと思うけれども、ことしの北海道の農作被害は激甚であるのか、それとも軽微なものと考えておるのか、その考え方だけをひとつ伺っておきたいと思います。#22
○中野説明員 お話しされるまでもなく、われわれ非常に激甚だというふうに思っております。特に昭和三十一年の冷害のときに、たしか水稲の作況指数が五一でございました。そのときが、たしか私の記憶では、ほかのものも入れて千億程度の被害だったというふうに思います。そのときに比べまして、物価等の問題もありますので、まだよく計算はできませんけれども、それに匹敵するような相当な被害であるとわれわれは考えております。#23
○美濃委員 そうすると、先ほど官房長は激甚法指定もあり得るということでありましたが、私どもとしては、いまの時点であり得るという表現でなくて、これはもう天災融資法の適用、激甚法を適用して、そして、もちろん冷害でありますから物的損害、人的損害はないわけでありますけれども、この激甚の損害額に対しては天災融資法だけでは不十分でありますから、自創資金の貸し付け、あるいは制度資金の償還延期、道からも要請がありますが、この一連はもうすでにいまの時点で大体適用しなければならぬ、こういうふうに方針をきめてもらいたいと思うのです。官房長の段階でその程度の見解は示せる時期であろう、せっかく調査もしたわけでありますから。示せるなら、額は何ぼというのは、これは最終被害額を見てでけっこうでありますけれども、大体方針としてはこの程度の制度適用はしなければならぬ、ここで明確にひとつお答えを願いたいと思います。#24
○中野説明員 決定いたしますのは、これからの金額が出ましてから正式に決定するわけでございますが、先ほど申し上げましたような非常な激甚な災害だとわれわれ考えておりますので、当然天災融資法の適用にもなり、あるいは激甚災害法に基づく災害の指定等もやらなければならないでございましょうし、それから自作農資金災害のワクの拡大等いろいろ手は打たなければならぬというふうに考えておるわけでございます。そこで数字が出ました段階で具体的に決定をいたしたいと思っておるわけでございます。#25
○美濃委員 それでは次にお尋ねいたしたいことは、下位等級の米の買い入れ限度を明確にしてもらいたい。従来は青混入未熟米まで買ったわけですね。最近の米事情等もありますから、私としては、従来どおりやはり――全国の作況から見ても、おそらくことしは北海道の被害を頂点として、統計部長さんの説明の九八は、全国指数のその後の状況は悪化して下回るのではないかという状況であり、悪くすると、こういうのを契機にして米不足という問題も起きかねない状況もあるんじゃないかと私どもは見ておるわけです。そこで、下位等級米の買い入れについての方針、これはきょう明確にできればしてもらいたい。要請としては青混入未熟米まで、従来青混というのを買ったわけです。これに対する方針は食糧庁としてはどう考えておるのか。#26
○亀長説明員 今回の冷害で御指摘のような低品位の米が相当発生するということを私どもは予測はいたしております。ただ、現在のところ、まだその出回り状況まで明確に把握する段階に至っておりません。それと同時に、こういう低品位米につきましては、原則として民間取引を認められておりますので、そういうもののあっせんということも考えてまいりたいと思います。しかしながら、実際問題として、過去におきましても御指摘のような政府で買い入れた例がございます。私どもは、この出回り状況も考えながら、政府買い入れとしてどういう方針をとるか、今後検討してまいりたいと思いますが、その際には当然従来の事例というものが大きな参考になるわけでございまして、四十四年には御指摘のように青未熟混入の線まで買いました。こういう例も考えながら検討いたしたいと考えております。本日の段階でまだ出回りも十分把握をいたしておりませんので、結論的なことを申し上げられないことは残念でございますけれども、従来の事例も十分配慮をしながら考えてまいりたいと思います。もちろん米不足という問題と、また政府が買うという問題は、私は一応別ではなかろうかというふうに思いますけれども、いろいろ被害を受けた農家の立場も考えながら、従来の事例につきましては十分配慮をいたす、かような考えでおります。#27
○美濃委員 食糧庁長官の答弁としては、きょうの限界はその程度だろうと私も思います。しかし、ここで申し上げておきたいことは、本日の私の要請としては、ひとつ誠意をもって今後できるだけ早い期間に青混入未熟米まで買うように検討願いたい、そこで打ち切っておきます。しかしながら、その決定が行なわれるということ、それからあと民間にあっせんすると言いますけれども、これは政策的なアイデアでありまして、現実の経済効果はあまり伴いません。したがって、ここで政府買い入れ基準と、片や農業共済の被害粒の基準、これはあくまで一致さしてもらいたい。政府がここまで買うという限界は、それは収量に入れてけっこうでございますけれども、政府の買わない限界、ここ以下は買いませんよという限界と、共済金を支払う被害粒とは、同じ農林省の政策でありますから、これはあくまで一致をして、被害農民が政府買い入れ対象から除外されて、えさ用とかそういうきわめて経済効果の薄い、言うならほんとうに安い価格で処分する。無償ということはあり得ないと思います。しかし、その基準と農業共済を支払う基準とが食い違って、被害農民と、片や政府買い入れ対象にならない収量が、共済の基準では、たとえば一・七ミリ以下などという基準で、そこに差が生じるということは、政策として全くいけないことだと私は思いますので、あくまで一致さす、これをきょうひとつはっきりしてもらいたいと思います。
#28
○小暮説明員 政府買い入れ対象外となったものを農済でどう扱うかという問題であります。政府の買い入れ対象外となったものはすべて無価値になるというふうに見るわけにはまいりませんけれども、しかしその場合に、大きな災害で大量の被害米が生じましたような場合、これまでにも損害評価上の特例措置を講じた例がございました。具体的に坪刈り資料によりまして、縦目ふるいでの調整を行なった結果に基づいて、政府買い入れ対象外になったものを精白した場合の歩どまりの低下の算定をいたしまして、これに相当するものを減収として取り扱うということを過去においてもやっております。今回の被害の大きさから見まして、当然これらの措置を考慮すべきであるというふうに考えております。#29
○美濃委員 これらの問題は、いずれ今後の推移を見て、さらにその時点で的確なる措置を要請をすることにして、次の質問にまいります。次は、先ほどの質疑を聞いておりましたが、牧草の質的被害に対して、今日まだ酪農における牧草というものがいかに大切かという認識が欠けて、単なる雑草か何かのように考えて、統計部長は質的被害調査は技術的にきわめて困難である、畜産局長もその点非常にあいまいにしておりますが、私から大体私見を申し上げますから、御参考にしていただいて、統計調査部長が質的調査はできないというのであれば、すみやかに改良普及所等を通じて行政的に権威のある損害額を出すのか、それとも、統計調査部でめんどうだというけれども、私どもからいえばそうめんどうなことはありません。めんどうだというのは、やる気がないからめんどうだということになると私は思うのです。やる気ならばそうめんどうなものではないのです。と申しますことは、通例私どもの考えは、牧草を刈りまして一雨あったものは質的低下一〇%というふうに見ております、これはもう確実に。あるいは一〇%以上かもしれません。少しかわきかけているものに一雨当たると一〇%以上です。したがって、わりかた乾燥がまだしていない青いものに雨がかかったものは質的低下は少ないけれども、平均して一〇%、二雨当たると二〇%。今回の調査の中でも、非常に悪天候の中で無理して収穫しておりますから、せっかくベーラーで牧草を梱包したが、中が発酵しておる。これは収穫皆無ですよ、発酵してかびがはえれば乾草として給与することはできませんから。これははっきり見えるわけです。
それからもう一つは、乾草の経済価値ですね。これは販売作物ではございませんから、市場価格というものはあまりないわけです。しかし、あえて市場価格を言うなら、競馬用に売るのを酪農家は持っておりませんけれども、北海道は土地が広いですから、畑作飼料農家が地力増進用にまいておる牧草は、自家用をこえて余るものがあるわけです。これを競馬協会等に乾草として売っておりますが、この価格はそれぞれの地方の貨車乗り一トン一万五千円です。それからまた加工原料乳補給金法のいわゆる粗飼料が分類されておるあれを検討しても、競馬協会に売るのは大幅な流通じゃありませんから、穀物のように標準価格というものはないわけですね。しかし、乾草については一万円はどうしても評価しなければならぬ。良質の乾牧草が一トン一万円以下で牛乳が生産できるのだというふうに考えるのであれば、それはもう問題である。ですから、最低一万円と評価して、雨に一回かかれば一〇%、二回かかったものは二〇%、かびがはえたものをゼロ、こういうようにすれば出るのじゃないですか。そんなに技術的に統計調査部の皆さんが評価できないものじゃありません。困難だというのは、私はやる気がないのだと思います。やる気がなければ、困難だ、困難だといっていつまでたってもそういうものはできない。
しかも今回調査をいたしました根室を見ましたが、大体質的低下三〇%と私見ました。三〇ないし三五。三五%とすると一トン当たり三千五百円。一応二トンで計算いたしますと、七千円の被害が起きている。この七千円の被害というものは、そのまま牧草を給与していくと、大体あの良質の牧草と同じように穀物をやった場合、ことしの統計乳量は牛乳価格にすると牧草の被害額の倍の被害が出ています。七千五百円は二万五千円、乳量が少なくなる。搾乳量一トン当たり五千円乳量が低下する。この乳量を補うために穀物飼料を七千円給与すれば、一トン当たり七千円の穀物飼料を、粗飼料が悪いから増し買いをすれば、それは乳量は低下しないけれども、それにはやはり七千円の穀物飼料の経費支出が伴う。同時に、北海道の酪農であっても、牛はそもそも良質の乾草を必要とする草食動物であります。現在やっておる穀物の量は、乳牛の穀物飼料に対応する許容限度の量をやって乳量を出しておるわけでありますから、その上に穀物飼料をやるということになると、乳牛を脂肪体質にして、明年はそういう方法で乳量の確保をはかるということになれば、その面でもそういう穀物飼料増加による経費増となり、さらに明年は大体十頭のうち三頭は空胎牛になります。牛の体質の許容限度を濃厚飼料はこえますから、体質の弱い牛は正常な発情がこないわけです。そうしてものすごい冷害の損害というものが今度は明年度の一年間の乳量に反映して出てくるわけです。ですから、この酪農飼料地帯における牧草のいたみというものは、そこまで考えるとほんとうに、質的に三〇%いたんでおるということは、これはいわゆる畑作においてあるいは水稲において六〇%の被害に該当する激甚な牧草被害が起きておるのだという認識をしてもらわなければならぬ。それに対する対策は、やはり北海道からも要請が来ておりますように、ビートパルプなりそういうかわるべき粗飼料でこれが対策をやらないと、濃厚飼料でこれが対策をやって乳量の確保をはかるということは、全く酪農を無視した政策である。酪農の現実、酪農経営というものを無視した対策ということがいえるわけでありますから、ここでやはり種牛確保に対する対策とあわせまして万全を期してもらいたい。したがって、どんなことがあっても、これはいままでは不明確でありましたけれども、私がさっき聞いておりました統計調査部の技術的に困難であるという表現、それから畜産局長の答弁、これではもう農林省の酪農対策としてはゼロである、こう率直に申し上げます。ですから私は参考意見を申し上げたわけでありますが、時間の関係でこまかいデータを出しての説明はいたしませんけれども、申し上げた範囲については、私もこれだけの損害が起きておるという自信と確信による表現をしておるわけでありますから、これが技術的に困難だというような表現では済まされぬわけであります。ひとつ誠意をもって今後の確たる対策の方針を承りたいと思います。
#30
○増田説明員 先生からいま非常に貴重な御意見をいろいろお聞かせ願ったわけでございますが、われわれも牧草につきまして乾燥の悪い、特に乾燥のときに雨を受けるということによって牧草の質が悪くなる、それが酪農経営にいろいろな問題を引き起こしてくるということは十分承知いたしておるわけでございまして、これを先ほども申し上げましたとおり、九月十五日現在で道庁に一斉に農家を調べていただきまして、どの程度の被害状況であるか、それにかわるべき粗飼料、先生のおっしゃいましたビートパルプなりでん粉かすなり、そういう粗飼料というものがどれだけの需要量があるのか、そういうことを十分に把握していただきまして、その上に立ってわれわれの対策を立てていく、こういうことでいま道庁と緊密に連絡をとりながらその調査の結果を待っているわけでございます。これはおおむね今月中にはまとまるものというようにわれわれ期待しているわけでございますが、先ほど申しましたとおり、これは非常に率直に申し上げて、技術的にはむずかしい点があろうかと思います。先生のおっしゃったとおり一雨で一〇%、二雨で二〇%、こういうことの基準でいいのか、ほんとうに厳密に言えば、私は個別農家についての分析調査ということがなければいかぬことであろうとは思いますけれども、緊急の問題でもありましょうから、そこはある程度行政的に割り切って考えていくということにならざるを得ない。そういう意味で、むしろ統計調査ということよりも行政ベースの話ではないかというように、われわれも理解しているわけでございまして、そういう点は道庁の報告を待ちまして前向きで対処してまいりたい、かように考えているわけでございます。#31
○美濃委員 最後に、あと冷害諸対策の共済金の年内支払いとか、そういう問題をもう少し先になって、どうせ時期的にいろいろまた促進対策を要請する場合があると思いますが、本日はもう時間が参りましたので、最後に、これは冷害と別の問題になりますが、国鉄貨物運賃の公共割引制を九月末をもって打ち切る、こういう情勢が出ておるということで、特に農林物資についていま直ちにこの割引制を撤廃されると、かなり物価にもはね返ってまいります。また、生産地の経済事情にも大きな影響が起きるわけでありまして、この存続は、やはり国策をもって踏襲しなければならぬと私どもは思うわけです。特に農林物資関係について、農林省はこの対策をやっておるのかどうか。きょうはもうきょうの日程もございまして、国鉄から出席を求める余裕はなかったと思いますが、どなたか国鉄来ておりますか。――これは国鉄がどういうふうに、農林漁業団体から強く要請があるわけですが、国鉄としては九月末をもって打ち切りという方針をきめたのかどうか、それに対する農林省としての農林物資に対する対策はどういうことをやっておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。#32
○泉説明員 国鉄の貨物局長でございます。公共政策割引につきましては、国鉄の財政再建期間に入ります前提となりました政府の財政再建計画におきましても、閣議におきまして公共割引をやめていくという基本的な線をいただいておるわけでございまして、私どもはそれ以来関係省庁と十分連絡をとりながら今日に至ったわけでございます。当初、ことしの三月で廃止ということでございましたが、その後運輸省からの行政指導もございまして、一応九月末まで延期ということで今日に至っているわけでございます。御案内のとおり、財政再建下にあります国鉄といたしましては、さらにその後、特に貨物輸送の面におきまして輸送機関の多様化しております今日、私どもが計画をいたしておりますような実績があがっていない、予定に対しまして収入が大幅に伸びないといったようなことにつきまして、今年度はまさに破局的な状態にも立ち至っております実態にかんがみまして、ぜひひとつ今月中にやめさせていただきたいということで、この九月十四日には副総裁の名前をもちまして農林、通産、文部各省に、国鉄としてはこれ以上公共負担に耐え得られないということで、ぜひ廃止方をお願いをしておるようなわけでございます。
#33
○小暮説明員 農林省は、ただいまのような趣旨で、九月十四日付で国鉄当局から、今月一ぱいで打ち切りたいという趣旨の意向の伝達がございました。しかしながら、農林省といたしましては、昨年の十二月の物価対策閣僚協議会におきまして、公共料金抑制の一環として本割引措置の廃止を延期したという経緯がございます。とりあえず九月末ということにはなっておったと思いますけれども、事は公共料金の抑制の趣旨にかんがみまして、明年度予算の編成を通じて、国鉄当局と私ども、あるいは関係の省庁とよく相談したほうがいいのではないかということで、年度半ばでございます九月末をもって廃止ということは適当でないと考えますので、その旨国鉄に対し文書をもって申し入れておる次第でございます。#34
○美濃委員 もう時間がちょっとオーバーしましたから、この問題は非常に重要でありますから、午後同僚議員に継承してもらうか、あるいは時間割りで私が午後もやるようになったら、きょうの委員会である程度これはもう少し明確に詰めていかなければならぬと考えますので、よろしくお願いいたします。以上で午前中の質問を終わります。
#35
○三ツ林委員長代理 午後一時に再開することとし、これにて休憩いたします。午後零時三十五分休憩
――――◇―――――
午後一時二十四分開議
#36
○藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。この際、赤城農林大臣より発言を求められております。これを許します。赤城農林大臣。
#37
○赤城国務大臣 このたび、アメリカ及びカナダとの経済閣僚会議に出てまいりましたので、その経過等を御報告申し上げます。今回の日米及び日加の閣僚会議におきまして、問題は円の切り上げ問題あるいはアメリカの課徴金の撤廃問題あるいは繊維問題等が本会議等において問題になったのでありますが、そのほかに自由化の問題が議題になりました。そしてまたその自由化の問題につきまして、資本の自由化とともに物の自由化、こういう問題を強く要請されたのであります。でありますので、アメリカ等においてもロジャーズ国務長官の冒頭演説の中のあとのほうに、日本の自由化が非常におくれておる、また、自由化品目等につきましても品目を明示しまして、電算機とか、あるいは牛肉、オレンジ、ジュース、こういうものの自由化を強く要請されたのであります。でありますので、私のほうでも、団長から冒頭演説がありましたが、そのあとで農林大臣のほうの発言をいたしたわけでございます。
私は、日本の農協というものがアメリカ――これはカナダでもそうでありますが、こういうものと根本的に違っておる、日本の農業の実態は食料の自給を目途として、そして足らない分を輸入によって補っているというような形で、アメリカの、あるいはカナダのように農業が輸出産業の一つのようになって農産物を輸出している国とまるきり日本の状態は違うのだ、したがって農産物に限ってはアメリカの日本への輸出は二十億ドルくらいになっておるが、日本のアメリカへの輸出は一億八千万ドル程度である。そこで日本の農業とアメリカの農業との違いが如実に輸出入貿易等にもあらわれておる。日本との関係は片貿易である。こういう関係であるからして、日本の農業の実態とアメリカの農業の実態と比較して、それを対等の立場で自由化を迫るということは、私から見れば間違いである。でありますので、日本もそれではいけないので、目下構造政策等を極力進めて国際競争力の培養につとめてはいるが、現在において基幹的な農産物の自由化はこれ以上進めがたい。こういうことを日米、日加の全体会議等において強く要望、主張しまして、また個別会談等を通じて十分説明いたしまして、アメリカ等におきましても初日にその説明をしましたので、日本側の状況も、全部関係閣僚も日本もアメリカも出ておりましたが、相当理解せしめ得たと考えております。特にワシントンにおきましては、先ほど申し上げましたように、ロジャーズ国務長官が全体会議の冒頭に発言をしましたし、またハーディン農務長官からもアメリカ側が最も関心を持っている牛肉、オレンジ、果汁等につきまして強い自由化の要請がありましたが、総合農政の推進のため、これら品目の自由化には応じがたい、こういう旨をはっきり述べておいたわけであります。
なお、日本の八項目につきまして、ニクソン新経済政策、円の変動為替制度への移行等の状況の変化に応じまして、それをそのまま全部完全実行というわけにはいかないんだ、しかし日本の対外経済政策の基本的姿勢を示すものであるので、その推進にはつとめるという立場から、農水産物の自由化については、私のほうからはトマトピューレ、ペーストを含む四ないし五品目程度の自由化を実施するつもりである旨を表明したわけであります。具体的品目はどういうものだということをハーディン農務長官との個別会談でも問われましたが、本会議で言ったとおりトマトピューレ、ペーストを含む四ないし五品目だ、それは日本側で決定するんだから、ここであなた方とどういう品目ということを言う段階ではない、日本で、私が帰ってからそれぞれの機関や何かとも相談した上にきめる、こういうことで品目の明示は向こうでいたしません。トマトピューレ、ペーストだけは四ないし五品目の中に入れて話しておきましたが、そのほかの品目につきましては、向こうに明示しなかったのであります。
それから関税の引き下げでございますが、それにつきまして、アメリカ側の輸入課徴金の関係をも考えなくちゃならぬし、生活関連物資を中心に、これは大蔵大臣の発言でありますが、三十品目程度の関税の引き下げを所要の国内手続を踏んだ上、あるいは関税審議会とか、あるいは法律を提案するという場合には、法律事項として国会の議決も必要なんでございますので、そういう手続を踏んだ上で関税の引き下げを実施する意図がある、こういうことを大蔵大臣から発言があったのに続きまして、私、農林大臣のほうからも、大豆がこの三十品目の中の一つに含まれているということを申し述べたわけであります。というのは、自由化の品目を、重要品目をけりましたので、向こうのロジャーズ国務長官も大豆に対して非常に関心を持っておりまして、三十品目の中に大豆も入るのかというようなことでございましたから、三十品目の中に大豆も入れます、しかしそれは所要の手続を経た上でないと、ここで関税を引き下げるということを確言はいたしかねる、しかしその所要の手続を経て三十品目等が関税の引き下げということになる場合には大豆もその中に入れます、こういうふうに発言をいたしたわけであります。
なおカナダ側は、なたねはどうするんだ――カナダ側におきましては、もうアメリカではっきり自由化品目を拒否しておったことをよく承知しておりましたので、品目の自由化というような要請は、あるいは希望もあまりなかったわけでありますが、なたねにつきましては、従来関税についても、大豆となたねの間に差別があるんじゃないか、こういうようなことをカナダの農務長官が強く言っておりました。これについては、個別会談において、実質的な差別はないのだということを私のほうの事務当局からもよく説明いたしましたので、その点は向こうも了解したようでありますが、しかし、大豆の関税を引き下げるということになれば、なたねの関税の引き下げもしてほしいという強い要請があったわけであります。わが国といたしましては、油脂原料として見るときに、大豆、なたね両者の取り扱いの間に均衡をはかる必要があることを考えまして、カナダ側に対しまして、大豆関税の取り扱いが検討される場合には、なたねにつきましても、大豆の取り扱いとの均衡を考慮して十分検討する旨の言質を与えておいたわけであります。
付言いたしますが、大豆及びなたねは、稲作転換とも関連しますが、大豆なたね交付金の運用によりまして、生産者に不安を与えることはないと考えましたので、三十品目とともに大豆及びなたねが問題になった場合には、引き下げに応じてもいいというふうに、大蔵大臣とも相談の上で、以上のような発言をしたわけであります。
次に、温州ミカンの解禁州拡大問題につきましては、これはわがほうの冒頭演説の中にもつけ加えてあったのでございますが、農林大臣として私のほうからもその促進方を強く要請いたしたのであります。
本件に関するアメリカ農務省の検討は相当に進んでおるようでございますが、なお若干の詰めが残っておる、こういうことで、引き続き検討したいということでありましたので、重ねてその促進方を要望いたしました。私のほうからは、ハワイを含め十州ぐらいの解禁州を要望したのでございますが、向こうの考え方を聞いてみると、ハワイを含め五、六州というふうに感じたのでございます。これは感じでございます。
また、事務当局などがお茶の休憩時間などに、温州ミカンの解禁州は拡大してもいいが、オレンジの自由化のほうはどうなんだというようなことを立ち話で言っていましたので、それは違うぞ、オレンジとの兼ね合いじゃなくて、あれはグレープフルーツのときに、日本だけが自由化しちゃって温州ミカンの解禁州をあなたのほうでは拡大しなかったので、そのほうの見合いだ、これとオレンジの自由化とひっかけられては困る、こういうことを向こうの事務当局には言っておいたのでございますが、そういうようなことで、本会議あるいは個別会議におきまして、そういうひっかけた話は全然向こうの農務長官からもありませんでした。しかし、それは別として、解禁州の問題については、なお詰めがあるからその詰めを待ってもらいたいというようなことでございました。
それから、私のほうから要望したもう一つのことは、マグロのかん詰めが、品質の問題あるいはいろいろな問題で向こうから返品が多いのでございます。でありますので、かん詰めの問題につきまして、課徴金の撤廃ということ及び品質検査に関連しての問題等につきまして善処方を要望しておきましたが、これは農務長官の管轄でもないので、向こうの管轄、担当のほうへ十分連絡をするということを言っておったわけであります。
なおカナダにおきまして、なたね問題のほか、農産物の長期需給見通しで長期的な農産物の輸出とか、日本に対しては輸入でございますが、そういう長期的な約束ができないかというような話がございました。しかしこれはなかなかそうはいかない。日本においても、需給計画のもとである程度生産をそれに見合ったようなことにしたり、あるいは地域的な計画を立ててガイドポストもつくっておる。これは計画ではないけれども、その方針に従ってやっているので、それはお互いにカナダもそういうふうなことであろうと思う。だからときどきそういうものを話し合ってやればいいことで、長期的に需給の見通しをつけて約束をするというようなことはいま私のほうでは応じかねる、こういうことにいたしておきました。
なお、動植物の検疫でございますが、この点につきましてもカナダのほうから強い要望がありまして、定期的の会合かその他によってこの問題を解決したい。食品衛生問題等も提起されましたが、これもそのつど、そういう問題があるときに話し合うということにしたいということで、たいへんな問題もなく友好裡に意見の交換を行なったのであります。
以上のような農林水産関係についての向こうとの会議の状況あるいは個別会談の状況を御報告申し上げておきますが、初日の様子では非常に強く迫るような情勢でございましたが、初日のうちに大体私のほうの主張を理解したような状況でありまして、個別会談等におきましても、向こうの関心品目とかその他についての突っ込んだ要求はなかったのでございます。全体的に見ますならば、アメリカも非常に通貨の問題あるいは課徴金の問題で撤廃を迫られておるあるいは日本との関係で繊維の問題等もあるというようなことで、一言でいえば、いままでは日本の言うことをアメリカは何でもかんでも聞いておったのだが、今度はおれのほうの言うことも少し聞いてもらいたいというような、だんだん低姿勢的なことでの要望が強かったのでございますけれども、農業の問題等につきましては、日本の農業事情等もある程度理解をしたのではないか。そういうことで自由化の問題、関税の問題等につきましても、わりあいにスムーズな話で終わったわけであります。
以上御報告申し上げます。
#38
○藤田委員長 それでは質疑を続行いたします。芳賀貢君。#39
○芳賀委員 当面する重要な問題について四点ほど農林大臣にお尋ねいたします。第一は、ただいま農林大臣から先般の日米貿易経済合同会議の経過について報告を承ったわけでありますが、われわれとしては農林大臣が佐藤内閣の閣僚の一員としての大きな制約がある中で、日本の農林大臣としてあとう限りの努力をされたということについては、率直に評価しておるものであります。
ちょうど大臣が出発前の九月二日と思いましたが、当委員会におきましては委員会を開会するいとまがありませんで、それにかわって、藤田委員長を中心といたしまして各党の代表的な委員一同が大臣と会見いたしまして、ワシントン会議に臨む農林大臣としての行動等について率直に意見の交換をしたわけであります。その際農林大臣は、特に貿易の自由化の問題等につきましては、これは相手側から指示されたり強要されてきめる筋合いのものではない、アメリカに指示されたり指図をされてきめる筋合いのものではない、こういう問題は自国の政策の立場に立ってきめるべきであるという信念を自分は持っておる。われわれもそれを了としまして、ぜひその信念に基づいて十分な努力をしていただきたいということをお話ししたことを記憶しておるわけであります。
そこで、ただいまの御報告の中の共同声明にも載っておりますが、農林水産品目の中でトマト加工品を含め四ないし五品目については十分検討して、自由化の意思があるということを表明されておるわけであります。これはあくまでも農林大臣が信念とせられておる自由化の問題等につきましては、自分の国の農政の進路については農林大臣の責任においてきめる、この基本的な方針の上に立って今後十分検討するものであるというふうに理解してよろしいですか。
〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
#40
○赤城国務大臣 おっしゃるとおりでございます。でございまするから、帰ってきてから、重要品目の牛肉などを四ないし五品目の中へ入れるとかあるいはオレンジを入れるとか、そういうことは絶対にやらないつもりであります。トマト加工品だけは向こうでも口にしましたからこれは入れますが、その他の四ないし五品目等につきましては私のほうで決定いたしたい。いまのお話のとおりにいたしたいと思います。#41
○芳賀委員 これは大臣も御承知のとおり、たとえば農林省関係の残存二十八品目にしても、これはどれ一つを自由化した場合においては、その品目は国内的にもう生産が全滅するような事態になることは過去の事例で明らかになっておるわけですから、この際四ないし五を何を考えておるなんというむだな質問はしませんが、あくまでも信念を貫いたそういう行政的な態度で検討の結果どれもできないということであれば、それでもよろしいと思うわけですので、ぜひ方針を――これは佐藤内閣は何をするかわからぬですよ、しかし赤城農林大臣についてはわれわれ相当信頼しておるわけですから、その線で十分努力してもらいたいと思います。次に、関税の引き下げをおよそ三十品目について行なう、これは大蔵大臣がこちらから積極的に提起した問題だと思うわけです。その筆頭に大豆関税の引き下げということに共同声明でもなっておるので、この点についてはわれわれ理解に苦しんでおるわけです。現在におきましても年間約三百二十万トン程度の大豆がほとんどアメリカを中心にして輸入されておるわけですし、これは昭和三十六年に、いまの外務大臣の福田さんが農林大臣であったときに農産物価格安定法からはずして自由化をやったわけです。その際名目的に大豆なたね交付金法という法律をつくったわけですが、これは全然効力を発揮しない。その後十年足らずでどんどん国内の大豆の生産が減退して、いまではほとんど全量を輸入するというような状態になっておるわけです。関税の問題についても、途中関税率の改正等を大豆についてもやっておるわけです。ですから大豆について今後引き下げをするということになれば、これは大豆については関税を無税にするという意味の引き下げのものであるか。現行は従価税率、従量税率の二本立てで運営されておるわけですが、これはどの程度を考えておるのですか。関税は取っ払ってしまうということになれば、ますます国内における大豆というものは生産を放棄する。これはつくるなということに通ずると思うのです。去年農林省が発表いたしました農業の生産指標においても、水田の減反、作付転換については大豆を筆頭に転換作目に指定しておるわけですが、関税を撤廃するというような条件のもとで強力な保護政策を大豆その他についても採用するということは大きな矛盾になるわけですが、この点は農林大臣としてはどういう御意図であるか明らかにしていただきたい。
#42
○赤城国務大臣 三十品目の関税の引き下げ、こういうことでありましたが、またそのとおりの大蔵大臣の発言でございましたが、先ほど申し上げましたように大豆につきましては向こうでも非常に重要品目と考えておりまして、共同コミュニケをつくる際に大豆外三十品目、大豆というのを入れてくれ、こういうことで共同コミュニケには大豆外三十品目の関税引き下げに所要の手続を経て協力する、こういうようなことになって大豆が頭に出たわけでありますが、向こうで重要品目と考え、また共同声明の中に入れてくれということでありましたのでそういうふうになったいきさつはそのとおりでございます。そして引き下げというのをどの程度に考えているのか、撤廃までかということでございます。
三十品目の中に数えられたので引き下げという表現を使いましたが、私のほうの考えとしては、引き下げは結局大豆の関税撤廃というところまでいくというふうに考えております。しかしこれも所要の手続を経ての上でございますが、私の考えはそういうふうに考えております。
しからばそういうふうな場合に日本における大豆の生産はどうなるのだろうか。いま御指摘のように稲作の転換で大豆等に転換したのもある程度ございます。そういう際にこの関税を撤廃するということと矛盾しやしないか、こういう御指摘でございます。大豆につきましてはいまもお話のありましたように不足買い制度等もありそれがあまり実効が伴っていないじゃないか、こういうお話もありましたが、この点を関税の引き下げとにらみ合わせまして十分これが活用できるようにしていきたい。その他のいろいろな方法も事務当局などで考えておりますので、そういう方法をとりたいと思います。
また、先ほどお話がありましたが、四、五品目につきましても自由化をしたからといってそれを手放しにしているわけじゃなくて、自由化後の対策等につきましては、対策もあるいは予算措置等につきましても十分検討の上その措置をとりたい、こういうふうに考えておりますので念のため申し添えておきます。
#43
○芳賀委員 関税引き下げの問題等はこれは当然法律事項になるわけですから、もし無謀な引き下げをやるような場合には来たるべき国会で十分論議をする機会があるわけですが、次にアメリカ側の課徴金の撤廃の問題です。これは会議を通じた感触から見てもある程度長期に及ぶんでないかというふうにも判断されておるわけですが、この点について農林大臣としてはわが国の農作物を保護する上からアメリカの課徴金に対抗して、全面的というわけではありませんけれども、必要なものについては課徴金制度を創設するというぐらいの気魄があってしかるべきと思いますが、その点はどう考えておりますか。#44
○赤城国務大臣 アメリカの課徴金の撤廃も強く迫り、あるいはカナダとの会議等におきましてはカナダと一緒になって課徴金の撤廃ということを強く協議したのでございますが、いまの見通しのように課徴金の撤廃が急速に行なわれそうな様子もございません。しからば日本も報復的に農産物について課徴金をかけるというふうな態度に出る意思があるかどうか、こういうようなお尋ねだと思います。実は課徴金の撤廃を迫っておるときでございますので、課徴金が相当恒久化する、長年にもわたるというようなことであればまた考えざるを得ない面もあると思いますが、一方において課徴金の撤廃を迫っておりながら今度は日本も農産物について課徴金をかける、こういうことにすると、まあどろ仕合い的ということばはいいか悪いか知りませんが、そういうことになってはアメリカの課徴金の撤廃を強く迫るのが弱くなるということにもなりかねませんから、それは課徴金の撤廃の様子を見ませんといまのお話のような態度に出るのは私はあまり好ましくない、こういうふうに考えておりますが、お話しの点も十分頭に入れておきます。#45
○芳賀委員 いま大臣の言われたようなことになると、自由化についてもある程度行なう、関税の引き下げも行ないます、保護政策としての課徴金の創設もやりませんということになれば、程度の差はあってもこちらはもうノーズロースになって向こうは課徴金制度が一年以上二年程度は続くんじゃないかということになれば、これはちょっと国民の立場から見ると理解のできない点なわけなんです。〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
何も報復手段としなくても、以前政府としてもある程度の貿易自由化を進める場合には、やはり国内の農業保護の見地から、課徴金制度等についてもEC諸国あるいはイギリス等においても、これは有力な手段としてやっておるわけですから、そういう点は十分検討して、効果的な措置を講ずるということを言っておったわけですが、いまの大臣の説明から言うとそれもやらぬということですね。
#46
○赤城国務大臣 自由化の問題は、御承知のように日本とアメリカとの関係だけではございません。ガットの関係もありまして、国際的な中においての自由化の問題でもありますから、アメリカとの関係だけではございません、御承知のことと思います。また、関税の問題は、これはアメリカとの関係でございます。ノーズロといいますが、そういうこともありませんで、ただ課徴金をこっちで農産物にかけるということは、いま課徴金の撤廃を迫っているときでありますから、それでは向こうの課徴金を認めちゃって、こっちでやはり課徴金をかけるということになったのでは、課徴金の撤廃を要請する力が非常に弱くなる、こういう私の予想でございます。でありますので、向こうは課徴金をかけたけれども、課徴金の撤廃を日本ばかりでなく世界的に迫っておる、そういうときでありますから、日本でいま課徴金をかけるということになると、では課徴金の撤廃はあきらめちゃって、日本だけでも課徴金をかけるように出たのかというと、課徴金の撤廃を迫る力がちょっと弱くなるのではないか、こういう考え方から先ほど申し上げたようなことを言ったわけでございますから、その点御了承願います。
#47
○芳賀委員 農林大臣の努力はわかるのですが、たとえば水田大蔵大臣が十カ国蔵相会議から帰ってきて、直ちに円の単独切り上げもやむを得ぬということを言っておるわけです。加えて円の切り上げも単独でやるということになれば、やはり国際間における日本の正当な主張というものは全面的に通らぬじゃないかというようなことになると思うわけです。次にお尋ねしたい点は、農林大臣としては九月二十二日に米価審議会を開会して、この審議会において、かねて政府が主張された物価統制令の消費者米価に対する適用を除外するということについて、米審の了解を求めるということで招集をしておったわけですが、これが最近急遽延期したということになっておるわけですが、これはいかなる理由ですか。結局最近の四十六年度の米の作況見通し等を検討した場合に、特に昭和四十六年度の需給見通し等の理由で、十一月一日から物統令適用除外はこれは行なうべきでない、できないという判断で、しからば米審の招集は不必要であるというようなことになったわけですか。その間の経緯を明らかにしてもらいたい。
#48
○赤城国務大臣 いまの物統令の適用から米をはずすとか、はずさないとかいうような結論を出しての上ではございません。私が帰ってきまして、いろいろ様子を聞きますと、北海道の冷害あるいは全国の災害等が非常にひどくなってきていますので、こういう面の作況等もよく調べてみる必要がある。しからば、この作況によって米の需給が非常にくずれるのじゃないかというようなことにつきましては、私もいろいろ調査してみましたが、需給に心配であるというほどのものではないということは、私も聞きました。しかし、これからまた凶作といいますか、これが度を増すだろう、統計上そういうふうに出てくるだろうというふうな予想もつきます。それにつきまして、いろいろ銘柄とかなんとかのようなことも考える必要もあるし、その関係から何も急いで二十二日に米価審議会の懇談会等を開く必要もないじゃないか、もう少し作況の状況を見たりして、そうして米価審議会の委員の意見等も聞いてみたほうがよかろう、こういうことで、別に他意はないのでございますが、何も急に――というのは、私の出る前に招集はしておったのでありますが、二十二日に米価審議会の懇談会をやらないでも、もう少しおいてから懇談会をやってもいいじゃないか。懇談会の延期でございます。でありますので、物価統制令から米を除外するというための延期ではございませんで、審議会の懇談会だけの延期、こういうふうに御了解願いたいと思います。#49
○芳賀委員 四十六年度生産される米については、もうこれは相当大幅な平年作を下回る減収ということは決定的なわけです。午前中の統計調査部長の説明によっても、八月十五日現在の作況指数九八は、九月十五日現在の調査によれば、さらに相当下回るということを言っておるわけですからね。国民の気持ちの中には、ことしは米不足という、そういう決定的な考えが強いわけです。ですから北海道の場合においても、あとで述べますが、少なくとも四十万トン程度の減収ということになるわけですから、内地各府県の台風被害等によるところの減収と、それからまた生産調整の目標超過というようなものも含めると、確実な数字はまだここで断定できないとしても、少なくとも単年度だけでいけば七十万ないし八十万トン程度は当初計画より生産面において下回る。四十五年の繰り越しが百四十万トンぐらいあることになっていますから、直ちに米の供給不足の現象は生じないとしても、とにかく米は足らぬぞということは決定的なことになるわけですから、そういう気配の中で消費者米価の統制を撤廃するということになれば、政府みずからが消費者米価をつり上げるための施策を進めるのではないかということに当然なるわけです。だから、われわれとしてはむしろ好意的に考えて、さすが農林大臣は外国から帰っただけあって、先見性を十分働かして、いや、そういうものは必要ない、開くべきでない、物統令除外なんというのはとんでもないぞということで食糧庁長官以下をしかって、ではこれは延期しなさいというふうな手を打ったと私は思っておったのですがね。ほんとうはそうなんでしょう。そうであれば、国民に安心させる意味においても、物統令の問題はもうこれは考えておりません、やはり国民生活を守る立場においては、いまの時点では十分判断して、これをはずすということは国民に対して大きなマイナスの影響を与える、そう思っておるのなら、この委員会を通じてはっきり言ったらいいじゃないかと思うのですよ。これを延ばしたといっても、十月十五日ごろから今度は相当長期な臨時国会に入るわけですから、臨時国会に突入してから物統令をはずすとかはずさぬなんという議論をしたって、これは通りっこないわけですから、きょうはいい機会ですから、これについては、物統令適用除外は農林大臣の判断で断念したということであれば率直に述べてもらいたい。#50
○赤城国務大臣 まあたいていのことは私もずばっと言ってしまうほうですが、これは農林大臣ばかりの所管でもないものですから、この辺は行政官としていろいろ考える、相談する面もありまするし、どっちとも、この席で私だけでどうこうということを申し上げられないものですから、まあしばらくお待ち願いたい、こう思います。#51
○芳賀委員 大臣は、アメリカ出発前に閣議において、佐藤総理に対して、中国問題については逆重要方式のごとき提案国にはなるべきではないとはっきりあなた発言したじゃないですか。それから見ると、物統令は国民のためにもうはずしませんぐらいのことは堂々と言っちゃったほうがいいと思うんですがね。次にお尋ねしたいのは、これは時間切れのおそれもあるので申しておきますが、国鉄の貨物運賃の公共割引制度について、公共割引の対象品目は農業関係、林業、水産関係が一番多いわけです。これを九月の十四日付で国鉄総裁が農林大臣はじめ関係各省に対して、公共割引については九月三十日をもってこれを打ち切り廃止する、その後継続はしないというそういう通告をしておるはずですが、この点についても重要な問題でありますので、帰朝されて担当の局長等から説明は聞いたと思いますが、これは非常に重要な問題を含んでおりますので、この際農林大臣として、さらに政府を代表する大臣の立場においてこの問題はどうするかということについて明らかにしてもらいたいわけです。
#52
○赤城国務大臣 芳賀さんから経過が説明あったようでございますが、私からちょっとつけ加えますと、国鉄当局は、九月の十四日貨物公共政策割引は国鉄財政の現状から見て、国鉄の負担でこれ以上継続実施することは困難である、これらの公共負担については昭和四十五年度日本国有鉄道監査報告書においてもその是正方を強く指摘されているとして、九月三十日限りこれを廃止することにいたしたい、こういう連絡がありました。しかしながら、本措置の廃止につきましては関係各省庁とも連絡してしかるべき対応策を講じ、物価及び農林水産業に悪影響を及ぼさないよう慎重に対処する必要があるものと考えておりまして、したがいまして公共料金抑制の趣旨にかんがみましても、年度途中でもある現在、これが廃止は適当でないと考えまして、その旨の申し入れを国鉄に対して行なっているところであります。でありますので、私のほうとしてはいまの御指摘のとおりその趣旨を強くなお要請を続けていきたい、こう思います。#53
○芳賀委員 この点については後刻当委員会として適切な意思表示をすると思いますが、最後にお尋ねしたいのは、北海道の冷害対策についてです。詳しいことは大臣退席後また事務当局に質問しますが、基本的な方針についてだけ明確にしてもらいたいと思います。この点につきましても、農林大臣ワシントン出発前に、私どもから、ことしは北海道の冷害は戦後最も深度の深い冷害であるので、農林大臣約半月にわたって留守をされるので、その間事務次官はじめ各局長、長官を十分督励して、大臣不在中においても十分な調査あるいは適切な対策というものを進めていただきたい、それに対して農林大臣は、今度の冷害については十分内容を承知しておるので、できるだけのことを努力して行なわせますというようなお話があったわけであります。午前中、北海道の調査については藤田委員長が団長として、非常に強行な日程の中で実態を調査されて当委員会に報告があったわけですので、その内容については後刻また大臣においても十分検討しておいてもらいたいと思うわけであります。
そこで、冷害ですから施設も何もこれは破損されていないわけですから、全く静かな、深刻な災害ということになるわけです。それで現在まで、制度のもとにおいて行ない得る措置というものは大体きまっておるわけですが、従来の制度を基礎にして対策を進めるか、あるいは法律によって行なうような、天災融資法とか激甚法、さらにまた自創法あるいはまた近代化資金法等いろいろ法律がありますが、これらは検討の結果、必要であれば法律の改正を行なうとか、あるいは固定化した負債整理等については新たに法律を制定する必要があるとか、法律事項によらなくて政府の行政措置で十分やれるような事項については最大限積極的に行政措置として行なうというふうに、これは区分ができると思うわけですが、これらについて、農林大臣としてはどういうような基本的な方針で臨まれるかを明確にしてもらいたいと思います。
#54
○赤城国務大臣 北海道の冷害につきましては、私も非常に憂慮しておるところでございますので、いまのお話のように、既存の法律等におきまして措置すべきものは急速に、そして最大限にこれをそれによって行なっていきまするし、それに足りない分がありまするならば、行政的にやれる限度を十二分に生かして行政的にやりまするし、あるいは法律の一部改正、特例的なものが必要というような事態になりまするならば、そういう事態も考慮して措置をとっていきたいと思います。いずれにいたしましても、なお十分、現地の状況あるいは現地からの要望、報告等も聞いた上で、いま申し上げたような措置をとっていきたい、こう思っております。#55
○芳賀委員 大臣の発言で大体了承できたわけですが、ここで一点だけつけ加えておきたいことは、午前中も今度の北海道の冷害というものの災害の格づけについて、激甚法の発動が必要でないかというような同僚からの意見も出ましたが、これは法律事項で一定の条件が、災害の結果によって適用できることになれば、これはもう政治的な配慮というものは要らぬことになっているわけですね。たとえば激甚法の第八条は、これは天災融資法の特例措置を明定しておるわけですが、この場合、激甚指定をする場合の基準が二つありまして、A基準の場合は、災害が発生しました当該年の全国農業所得の推定額の〇・五%以上の被害を認めた場合においては、中央防災会議の議を経て激甚法の発動を行なうということになっておるわけです。ことしの全国の農業所得の推計額はまだ承知しておりませんが、最近時の、四十五年の場合は農業総生産額が四兆五千五百三十五億、これを基礎にした農業所得は全国で二兆六千二百二十八億円ということになっておるわけです。昨年度に対して、ことしは減反政策等が行なわれておるので、これ以上農業所得は伸びていないと思うのです。そうすれば、全国の規模から見ても、〇・五%以上ということになれば、百三十億を上回った被害が認定された場合には、これはA基準による激甚法の発動が行なわれるということになるわけです。B基準の場合は、一つの都道府県単位のことが規定されておるのですが、これは全国の農業所得推計額の〇・一五%以上ということになるので、これを北海道に当てはめれば大体四十億円以上の被害があった場合には単独の発動ができる、これについてはその都道府県の特別被害農家が、農業を主とする農家戸数が全体の三%以上ということになればよろしいということになっておるので、A基準を用いてもB基準を用いても四十六年の冷害は当然この点では疑義がないのです。ただ最終的な被害の認定を行なって、最も適当な時期に激甚法並びに天災法の指定を同時発動するという事務上の手続を防災会議の議を経て行なえばいいということになっておるので、こういう点はこの際大臣から明確にもうそうなるんだということを言ってもらったほうがいいと思うのです、不安を除去するために。これは何ももったいをつける必要はないわけですから。特に北海道の場合には、五月十五日現在の作況からいっても、作況指数九八ですから、ちょうどそれによりましても三十六万トンの減収ということになっておるわけです。五月十五日現在がそれより下回るということになれば、少なくとも四十万トンの平年に対する減収ということになるわけですから、少なくともトン当たり十四万円ということしの米価で計算すると、五百億ないし五百五十億円程度の水稲だけの損害ということになるわけです。畑作においても豆類をはじめほとんどの作物が被害を受けておるのですから、これを少なく見ても、百五十億としても総額七百億円を上回る北海道だけの単独被害ということにこれはなるわけです。それほどにこれは激甚な被害ということになっておるので、一日も早くこの北海道の被害農家がどうしてもらいたいとか、不安としておるような点については、やはり農林大臣が率先して、こういう問題はこうします、できるだけのことをしますということを明らかにしてもらったほうが、不安を一掃して、対策いかんによっては来年から北海道の農業は回復できないような事態にもなるし、また対策よろしきを得れば将来に一るの望みを持って努力するかということにもなると思うので、この機会に農林大臣の所信のほどを示しておいてもらいたいと思うのです。#56
○赤城国務大臣 私も北海道の冷害は激甚だと思いますから、激甚法でも天災融資法でも、これはもういまの段階でもこれは適用することになると私は考えております。事務的な手続を急がしておりますから、その点御了承願います。なお、数字的なことなどあれば事務当局から御答弁申し上げます。
#57
○芳賀委員 詳しいことは後刻また事務当局から十分説明を聞きたいと思います。#58
○藤田委員長 二見伸明君。#59
○二見委員 先ほど芳賀委員のほうから物統令についての質問がありまして、大臣はあまり御答弁になりたくないような御様子でございましたけれども、一点だけこの点についてお尋ねしたいと思います。というのは、この春の予算委員会のときに物統令が問題になったときに、佐藤総理大臣あるいは倉石前農林大臣の答弁は、米が余っているのだから物統令の適用を除外してもだいじょうぶなんだと、これが終始一貫した答弁でございました。ところが、ことしは米がとれないということが明らかになった現在、二月、三月の時点に佐藤総理大臣や前農林大臣が言われた物統令適用除外のための条件というのは、私は、もう変わってきているんじゃないかと思うのですが、大臣はこの点はいかがでしょうか。いまでもそのときの条件と変わらないと考えているのか、もう半年後の今日、条件は大きく変わっているというふうに御判断なさっているのか、その点はいかがでしょうか。#60
○赤城国務大臣 条件は、米の余っているときと、今度の米の生産が非常に減っておるというときと、状況が違っておると思います。ただ、減っておっても、需給上にどういうふうな関係があるか、あるいは消費者にどういうふうな影響があるかということについて、もう少し作況等を見る必要がありますから、いまのところ、いま直ちに適用解除をするというような考え方で申し上げる時期ではない、こう思いましたから、先ほどから申し上げているとおりでございますが、状況の変化というものは、相当私も考慮をしておるわけでございます。#61
○二見委員 状況が変化しているのだから適用除外は見送るということもあり得るわけですね、いままでどおり物統令の適用をしていく、除外することはないと。これからも作況を見て――四十六年産米については、除外すればもう値上がりするのは必至だと私は思います。状況の変化を考えれば、適用除外はしないということもこれはあり得るんだ、いまの大臣の御答弁は、こういうふうに私は理解したいんですけれども、それでよろしいでしょうか。#62
○赤城国務大臣 状況の変化によりまして、あるいは根本的な問題も考えて、そういうこともあり得るし、そういうこともあり得ないこともありますが、両方考えております。#63
○二見委員 過日行なわれました日米経済合同委員会で大臣は非常に御苦心なされたこと、先ほどの報告でも、あるいは新聞紙上その他の報道機関等を通じてでもわれわれはうかがい知ることができるわけでございますけれども、経済委員会に出席されて、帰国なされての御感想をひとつ伺いたいのです。というのは、新聞で二種類の大臣の発言があるわけです。一つは、これは日経の夕刊ですけれども、大臣は「米国からの農林水産物自由化要求はこれ以上強くならないと考える。」こういうふうに言われておりまして、もう一カ所別の新聞では「農業部門での米側の自由化要求は今後強くなると思う。」と、いわば相反する評価を下しているわけですけれども、今後農林水産物に対する自由化要求というのは強くなるというふうに大臣は帰国後判断されていらっしゃるのか、もうアメリカはこれ以上要求してこないだろうというふうに判断されているのか、その点はいかがでしょうか。#64
○赤城国務大臣 私が会議に出た限りにおいては、農林水産物の自由化の要請はそう強くなるとは私は考えていません。ただ帰るころに、向こうの、ホワイトハウスの何か報告がありまして、その報告には、その会議の前からの案かもしれませんが、自由化を進めるべきだと、こういうふうなことが出ておりました。しかし私は農林水産物の自由化についてはこれ以上強く要望するというようなことはないというふうに、会議の席からは感じ取ったのであります。あったとしても私のほうでは断わるつもりでございます。#65
○二見委員 そうすると、これからアメリカからの自由化に対する要請はあまり強くならないだろうという御判断ですね。そういたしますと、自由化というものはもうこれで打ちどめになるというふうに大臣は判断されているのか、あるいは多少時期がずれるだけのことであって、近い将来には自由化もさらに積極的に考えていかなければならないというふうに判断されているのか。その点はいかがでしょうか。#66
○赤城国務大臣 私はこれで打ちどめになるとは考えておりません。向こうでいろいろな人と会ってみても、あるいは農務長官なんかに会って見ても、閣僚級においては十分私のほうの考え方を了解しましたが、向こうも選挙を控えておって、オレンジなんかでもそんなことを言っておりましたが、あなたはそう言うけれども、選挙区ではずいぶん騒いでいるんだ。カリフォルニアあたりでは騒いでいて、農務長官もなかなかそこへは行けないのだというようなことを言っておりました。あるいはそのほかの話でも選挙区などを考えての発言もありました。しかしこれは日本だって同じだということを話したのですが、そういう意味から、向こうでも全然打ち切るということではなかろうかと思います。あるいは出てくるかと思います。全然打ち切りだとはまだ申し上げられないと思います。また日本のほうでも、これは農林水産物ばかりではございませんが、全部において自由化品目も十分西ドイツ並みにいっておるのですから、私の考え方としては農林水産物に関してはこれ以上は自由化を進めていくということには消極的でございます。しかしこれからの情勢について私もにわかに判断はできませんが、そういうアメリカ側の選挙区などの関係でいろいろ問題もありますから、あるいはまだ言ってくる場合もあり得るかとは思います。
#67
○二見委員 大臣は「問答ざっくばらん」の中で、「グレープフルーツの自由化に踏み切ったときに「これで農林水産物の自由化は打どめ」とはっきりいっておけばよかったんだ。」とありますが、確かに私もそのとおりだと思います。いまの大臣の発言でも打ちどめということばははっきり出しておりませんけれども、大臣も自由化には消極的である。われわれのほうはむしろ自由化というものはすべきではないというのが基本的な考え方でありまして、その点で大臣とは若干のニュアンスの違いがあるように私は思います。ところで大臣は、農林水産物の自由化については今後やらないような方向だけれども、そこまでちょっと言い切れないということですが、そういう状況の中での農林水産物の自由化についての基本的な考え方ですね。実は先日、農林省から「農水産物自由化についての基本的考え方」という印刷物をいただきました。これでよろしいかどうか。ちょっとまず確認をしたいのです。
第一項目が、「本年九月末以降残存する輸入制限品目は、酪農品、牛肉等の畜産物、オレンジ、果汁等の果実、野菜関連品及び精製糖並びにでん粉、雑豆、落花生等の畑作物のほか、近海魚、海苔等であるが、これらはいづれもその対外競争力は劣っているうえに、総合農政の推進に関連する産品或いは沿岸漁民の生活にかかる品目であるので、その自由化は、極めて困難な実情にある。しかしながら、最近における国際情勢や物価面からの要請等内外の情勢の急速な変化にともない、今後その自由化の促進に努力せざるをえない事情にある。」
二番目に、「自由化に際しては、わが国農水産業の将来の方向、当該農水産物の置かれている地位、対外競争力等を十分考慮して慎重に対処すべきものと考える。この場合、わが国農水産業の現在および将来の基幹となるべき品目とみられるものについては、特に慎重な配慮を必要とする。しかしながら、これら基幹となるべき品目についても、その構造の改善、生産性の向上等につとめ、将来適正な関税その他の措置により、対外競争にたえる体質改善を図る必要がある。」
三番、「今回、先きに決定された八項目の趣旨の方向に沿って自由化を検討する場合にあっても、併せてその対策の十分な検討が必要であり、関税制度についてさらに工夫をこらすほか、不足払制度、生産、構造対策等幅広い、かつ思い切った対策を検討措置することが必要と考えられ、これに関連して財政金融措置についても特段の配慮を必要とする。なお、対策の検討にあたっては、検討の基礎となるべき国内価格水準の妥当性、当該産品の対外競争力の程度とその強化の見通しを勘案のうえ、とるべき対策が内外の批判に堪えうるものでなければならないと考える。」こういうふうな考え方がそのまま大臣並びに農林省の基本的な考え方である、こういうふうに了承してよろしいでしょうか。
#68
○赤城国務大臣 そのとおりお考えになってけっこうです。#69
○二見委員 大臣は自由化には消極的ではあるけれども、しかしこの第二項目には自由化に対しての条件が入っております。「わが国農水産業の将来の方向、当該農水産物の置かれている地位、対外競争力等を十分考慮して慎重に対処すべきものと考える。」この三つが条件です。そして基幹となるべき品目については、特に慎重な配慮を必要とする、こういうふうに条件がつけられているわけでありますけれども、残存輸入制限品目二十八品目のうち、わが国農水産業の将来の方向というものから考えて自由化の可能な品目というのはどれなんでしょうか。私はわが国農水産業の将来の方向ということから考えるとこの二十八品目の自由化というのは不可能じゃないかと思うし、これをベースとする以上は当然自由化すべきではないという基本的な考え方です。たとえば落花生については、これは農林省としても転作の指導作目のはずでありますし、そういう基本的な考え方からいって二十八品目は自由化できる品目なのかどうか。この点をまずお尋ねをしたいと思います。#70
○赤城国務大臣 自由化につきましては、先ほどから申し上げているようにアメリカだけの問題ではございません。国際的な取りきめに沿ってやらなければならぬ、こういうことでございます。日本からだけ考えまするならば自由化はほとんどしたくない、こういう状況でございますが、国際的な話し合いも進んできた今日でございます。あるいはまたアメリカのニクソン新経済政策が出る前からの続きでございます。また国内におきましても八項目というようなことでこれを内外に公表しておりまするから、農林水産物についてはどの品目でも自由化していくのは非常に困難でございますが、しかし国際的な関係からいいましても、日本の国内にそういう方針をとってきたいきさつもありますから四、五品目は自由化する。ことに九月において相当自由化するものがございますから、それに加えてまた四、五品目でございますが、それをもってまあ大体国際的にも大手を振って自由化の面では協調してきたということが言い得る、こういうふうに考えておりますので、そういう方針だけはとっていきたい、こう思っております。#71
○二見委員 自由化する場合、これによりますと構造改善、生産性向上につとめるという、一つの国内の農業の体質改善といいますか、そういう農業基盤の整備の問題があると思います。日本の農業が非常に力がついて、国際競争にもたえ得るというそういう条件ができた段階で大臣は自由化ということを考えるのか、そういう条件がなくても自由化せざるを得ない場合もあるというふうに御判断になっているのかですね。今後とも構造改善事業を進めていくのだ、生産性向上にも思い切って力を入れていくのだ、そうしてアメリカやカナダの外国の農産物と対抗できるところまで日本の農業の力がついたときには、ここに述べられている二十八品目についても考えてもいいけれども、それだけの力がない限りは自由化はすべきではない、こういうふうにお考えになっているのか。これはもちろん大臣のお話のように、アメリカとの関係ばかりではない、国際経済の中に生きていく日本としてもいろいろ考えなければならぬと思いますけれども、最終的には自分の国の利益がどうなるかということが私は一番大事だろうと思います。そういう点では大臣の基本的なお考えはどうでしょうか。#72
○赤城国務大臣 国内の農業の体質を強化する、国際競争に耐え得るというようなことは、自由化、自由化でないにかかわらずやるべきことだと私は思います。しかし、これがアメリカやカナダ、その他の国と対抗できるまでには、実際的に考えまして、そう急速に一年や二年でそういう対抗力が培養されるとは私ども考えません。だから、それができ上がってからは自由化するが、それができ上がる前は自由化しないという意味ではございません。とにかく二十八品目の中には今度の四、五品目も入っているわけですから、これはこれとして自由化のほうをやっていくが、体質改善のほうはどんどん進めていきたい。やはりそれだけ国際的になっている日本の農業の面もありますから、その面において農民生活におきましても、あるいは農業の経営におきましてもひけをとる、こういうことでございますから、そのほうはそのほうで進めていく。しかしそれができてからは自由化する、こういう考えは持っておりません。初めから自由化の限度にきている、こう思っておるわけであります。それとかね合いでなくて別々に、農林水産物につきましては消極的に、これ以上の自由化を私は進める気はないし、言われても断わりたい。しかし一方においては、体質改善は体質改善で自由化のいかんにかかわらずやっていかなくちゃならぬ、こういうふうな考え方でございます。#73
○二見委員 体質改善は自由化するとしないとにかかわらずやっていくべきものだ、私もそのように思います。ただ問題は、体質改善をやっていく過程で自由化が行なわれてしまう。大臣はトマトピューレその他四、五品目自由化をされるという御見解のようでありますけれども、それが農民に与える心理的な影響も考える必要があるのではないか。たとえばトマトピューレ、トマトペーストを自由化した、しかし、はたしてこれで自由化がとまるのだろうか。構造改善もいいけれども、構造改善を一生懸命やっている間に自由化でもって日本の農業の基盤というものはどんどんくずされていくのではないだろうかという率直な不安も日本の農民の中にはあるわけです。四、五品目というのは当面の四、五品目であって、これが六品目にふえる、七品目にふえる、十品目にふえていくのではないか、そういった強烈な不安も農村を回ればあるということ。そういうことを考えると、大臣も自由化が限度にきているのだと再三おっしゃいますけれども、自由化が限度にきているのだからもうやらないのだ、しかし農業の力をつけていくだけの政策はこれからも進めていくけれども、もう自由化は原則としてやらないのだ、安心して農業をやってもだいじょうぶだというきちんとした見通しというものをいま与えるべきではないだろうか。それをはっきり示していくのがいま一番大事なことではないかと私は思うわけですけれども、その点大臣もう一度御答弁をお願いいたします。#74
○赤城国務大臣 体質強化と自由化とを私がひっかけて考えておりませんことは先ほど申し上げたとおりでございます。でございますので、いかに体質改善をしても自由化をされたのでは体質改善がむだになっちゃうじゃないかということはございますが、農業の体質改善は自由化ばかりではありません。自由化以外にも国内的にも体質改善をしなければ他産業との関係でも農業というものが落ち目でございますから、そういう面でも体質改善はやっていかなければならない、こう思います。ですから自由化になるから農業はつぶれるということではなくて、農業が非常に困っておることは御指摘のとおりでございますから、それに自由化をされればなお困る、こういうことのお話だと思います。でございますので、体質改善は強く進めたいと思いますし、またこれ以上の自由化には私も消極的だと言っているのですから、これは先のことをあまり請け負ってしまっても責任もございますが消極的であるという腹、覚悟だけは持っておりますから、そういう面で自由化というものをあまり心配しないでこれからはやってもらうようにまたそういう意味で体質改善も私のほうでも進めていく、こういうふうに御理解願いたいと思います。#75
○二見委員 所定の時間が来ましたので、以上で終わります。#76
○藤田委員長 田中恒利君。#77
○田中(恒)委員 先ほど来各委員より九月の九日、十日持たれました日米経済会議の問題につきましていろいろ御質問がありましたので、私も重複を避けながら、なお若干の問題について大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
一つは、今度の日米交渉はアメリカのドル防衛という観点で、日本の経済に対してアメリカの不当な諸要求が大きくかぶさってきておることの中で持たれただけに、従来とは違った特徴を持っておると思うわけでございますが、特に農産物の自由化の問題については会議以前は非常に大きくアメリカの要求という形で持ち上げられてきた感がするのですが、どうもいま大臣の御報告、その後の新聞論調等を見ると、むしろ別の面のほうが強いような感じがいたしまして、私どもこの問題の本質がどこにあったのか、いま一ぺん再検討しなければいけないような感じがいたしておりますが、いずれにせよ予想される日本の経済の変動、特に固定為替相場から変動為替相場への変化、実質的には円の切り上げ、想定される円の正式切り上げという事態の中で日本の貿易構造というものに大きな動揺と変化がくると思うのです。その場合農産物の自由化という問題がどういうふうに位置づけられるのか、これに対して政策はどう対応していくのか、こういう問題が一つあろうか、こういうふうに思うわけであります。したがって私はいまいろいろ御意見をお聞きしながら、一つは円の切り上げが予想される中で農産物がたいへん多量に入ってくる、こういうふうに公式論的にはいわれるわけでありますので、円切り上げで安い農産物がどんどん入ってくるというと、いま大臣が言われたようにとめるという努力を政策的にしても、現在まで自由化されている品目等がますます大きくなるという事態の中で、日本の劣弱な農業の生産物をどう日本の農政が守っていくか、こういう問題についての大臣の御所見を、基本的な方面になろうかと思いますが、この際ひとつお聞かせをしていただきたいと思うのです。
#78
○赤城国務大臣 いま最初に日本で予想したようなことと今度の会議の様相は少し変わっていたんじゃないかということでございますが、確かに今度の会議はニクソンの訪中というできごとが一つあります。それからもう一つはニクソン新経済政策と、こういう二つの面があっての会議でございまするから、従来の会議とは相当違った会議になっておりました。でありますので、アメリカ側でも次々と日本に対する要求を言いましたし、日本自体もざっくばらんに日本の立場というものを、私ばかりでなくほかの閣僚からも言いましたので、相当まあ討論会的な様相もあったのでございます。で、予想したとおりなことは、円の問題、あるいはまた課徴金のこちらからの要求、あるいはまた繊維の政府間交渉というような問題もありましたが、自由化の問題につきましても、先ほども申し上げましたように、ロジャーズ長官から自由化物資を例示しまして、それについての要請がございました。そういう点は私などもあり得るのかどうかと思ったのですが、強い要請があったのですが、それに対して論議をしている間におきましては、日本の自由化につきましての、ことに農産物の自由化につきましての日本の立場というものを相当――まあ理解までいったかどうか知らぬが、わかった面があると思います。そこで、円の切り上げと同じような変動相場制をとりました。これがどういうふうに固定的になるかどうかは、まだこれからのことでございますが、そういう状況もございますので、御指摘のとおり、農産物の輸入が相当ふえるのじゃないかと、こういう御質問でございましたが、向こうではそれほど農産物の輸出がふえるというふうには見ておりませんで、むしろ日本の貿易が多角化して、たとえばトウモロコシなどアメリカでは減らされるのではないか、日本の輸入が減るのじゃないか、カナダあたりでは小麦が非常に減ってしまうのじゃないか、こういうことを当面心配している向きがございました。しかし、これが長引くということになれば、ある程度は農産物の日本への輸入がふえる可能性もないわけではないと思いますけれども、向こうの状況から見ればそれほど急激にふえるというような形でもございません。たとえばカナダ等におきましては、御承知のように小麦の生産制限を九割やっておりますが、実績は五割くらいでございます。そういうように過剰問題につきまして、それぞれ国内においても農産物の過剰を抑制するということでございますので、輸出にばかり頼ってはいけないというような国内情勢もあるように思います。でありますが、ほかの物資といいますか、農林水産以外のものにつきましては、国際収支の面からいっても相当日本へ輸出したがっているようでございまするが、農産物についてそれほど急激に輸出をしてくるという態勢ではないように私は感じました。しかし、それは別としても、農産物の輸入につきましては、冒頭申し上げましたように日本の農業の成り立ちから言いますならば、自給をしていって足らない分を輸入するというようなことでございまするから、たとえば小麦につきましても、あるいはトウモロコシその他につきましても、国が管理しておる小麦等食糧管理の関係などにつきまして、あえてこれをふやそうというような考え方は持っていませんし、その他につきましてもできるだけ国内でまかなえる程度を上げていくというような形で、国内の農業も進めていきたい、こう思いますので、御心配のようにこの円の問題、通貨の問題等から急激に輸入を増すということもないし、また増させたくない方途を講じていきたい、こう思っています。#79
○田中(恒)委員 時間がありませんので、こまかく議論をする余裕がありませんけれども、いま大臣言われました、多面貿易の方向が出るのじゃないかと向こうは心配しておるということですが、私どももやはり日本の農産物だけではありませんが、貿易全体がこの際そういう方向をたどるべきだ、こういう主張を持っておるわけであります。〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
特にえさ等については、中国との関係というものにこの際思い切って顔を向けるべきだ、こういう主張を持っておるわけでありますが、農産物自由化についても、いわゆるアメリカへの依存というものが――アメリカの農産物が約三九%くらい入っておると思いますが、ほとんどアメリカに依存していくという、こういう形態からやはり脱却をして、アメリカに対しても牽制球を投げていく、こういう形でないと、私はやはり日本の国益を守るという態勢がとれないと思うのです。そういう意味で一ぺん大臣のこの問題に対するお考えと、それからもう一つは、これから自由化の問題で、やはり国内に特に農産物の自由化を求める動きがあると思うのです。牛肉等の自由化についても、商社系統がこれに対して非常に積極的に働きかけたという動きがありました。今後商社の自由化について今日のような状態で野放しにしていいのかどうか、私はこういう問題があろうかと思うのです。いま残された二十八品目、あと四、五品目はどうなるかわからないという事態、あと残ったものはだれがどう考えても、日本の農業にとってはもう決定的な要素になるものばかりであります。それらについても直接的に入ってくるもの以外に、間接的にそういうものに代替される品目がやはりいろいろ影響を与えると私は思うのです。その商社の動きというものに対して、これは農林省の所管というよりも通産省に該当しますけれども、農林省としてもこの問題に対して一つのはっきりした方針を打ち立てるべきだ、こういうように思うわけでありますが、大臣はどういうふうにお考えになっておるか。
#80
○赤城国務大臣 農産物ばかりではございませんが、貿易の多面化ということは私も前々からそういうふうに考えておるのでございます。今度の会議におきましてもアメリカの農務長官なんかが心配しまして、そういうふうにえさや何か多面化するのではないか、こういう質問が個別会談でございました。だから私ははっきり言っておきまして、日本の立場としても実は多面化したいのだ。あなたの心配するというか、考えておるようなことになるかもしらぬが、日本としてもそういう方針だ。しかしいま急にアメリカからのえさなどを減らすというようなことにもなかなかならないのは、日本の畜産がまだそれほど進んでおらないからだ。まだこれからどんどん進めるから、いますぐにあなたのほうのを減らすというような考え方でないが、多面化という方向は日本ではとりますよ、こういうことを私も率直に言っておいたのでございます。そういう話は別としても、私は多面化することには賛成であるし、そうすべきだ、こういうふうに考えております。それから自由化の残存品目に関連しまして、消費者のほうでも、まあ何でも自由化して、口に入り、手に入ればいいというような感じ方も日本の消費者の中にあると思いますが、やはりこれは日本の立場といたしましても日本の農業を育て、日本の工業を育成するという意味におきましてもできるだけ日本の生産物を消費していく、こういうような態勢に少し持っていってもらいたい、そういうような、運動ではございませんが、そういうふうな方向を持たせるようなことに、国として、政府としても持っていくべきじゃないか、こういうふうに考えております。
#81
○田中(恒)委員 さらにこれと関連いたしまして、今度のドルのショックで中小企業、輸出産業、繊維をはじめたいへん大きな打撃を受けておるわけでありますが、その中でこの農産物に関連するものとしては日本の輸出農産物の約三割を占めておるミカンかん詰め、このミカンかん詰めがたいへん大きな影響を受けておりまして、過般一ドル三百六十円のレートで協定されておったものを一ドル三百二十三円、一一・四%の引き下げで契約をとって、現在中止をしておるものを再開しなければいかぬだろう、こういうふうにいわれております。このことが今後日本の果樹の加工部面に対して相当影響を与えてくる。このかん詰め果汁、こういう方面に力を注ぐということで農林省も果汁工場をいま予算化をして積極的に進めておるわけでありますが、こういったようなものがすぐ今度のドル・ショックで直接打撃を受けるという事態になっておるわけでありますが、繊維等中小企業に対して必要な救済処置が考えられておるようでありますが、当面ミカンかん詰めの今日の事態に対しての救済処置といったようなものを農林省、通産省それぞれお考えになっていなければいけないと思うのですが、この点何かお考えがあるようでしたら明らかにしていただきたいと思うのです。#82
○赤城国務大臣 御指摘のような事情を私も承知しております。輸出拡大の方向も先ほど申し上げましたように講じておるのでございますが、それは別といたしまして、円の問題から中小企業等におきまして輸出がストップしているような状況でもありまするし、輸出しても非常に採算がまずくいくというような状況でもあるようでございます。これは全般的な問題でございますので、通産省との関係の物資もあると思います。私どものほうでも中小企業としてのミカンかん詰めその他についての問題もあります。この問題につきましてはいま鋭意検討中でございますので、いま対策があるかといっても、その対策といっても具体的には申し上げられませんが、種々検討中でございますのでそういうふうに申し上げておきたいと思います。#83
○田中(恒)委員 先ほど芳賀委員、二見委員のほうからも、農産物の自由化はこれで一応打ち切る、こういう態度を政府は示すべきじゃないかという御意見が強く出されておるわけですが、大臣も気持ちとしてはそういうお気持ちのようですが、時代の推移でいまここではっきり御言明されにくいような節も一面感じられるわけですが、やはりいま日本の農民はこの自由化ということに対しては非常におそれおののいておると私は思うのです。今度牛肉、オレンジ、ジュースというものの自由化を、まあ赤城さんアメリカへ行って、きっぱりお断わりになったということは、たいへん好感を持たれておると思いますが、しかしそれは先ほどのお話ではないが、赤城さんが農林大臣だからやったのであって、ほかの人だったらどうなるかわからぬ、こういう感じは私はあると思いますよ。私はそれではやはり農政じゃないと思うのですね。だからやはりここまで追い込まれてきたら、もうやれない、こういうものを意味づける客観的な条件というものを明らかにして、これ以上の事態になったらやれないのだというようなものが設定されてしかるべきだ。それが、だれが農林大臣だろうがだれが総理大臣になろうが、非常に重要な指標として位置づけられていく。こういうものがあってもしかるべきだ、こういうふうに考えるわけでありますが、農林大臣がかわるごとにこういう方向がかわったのでは、佐藤内閣おそらくそう長くないと思いますので、そうなっていくといま問題になっておる牛肉、オレンジ、果汁、こういう目玉商品ですらやはり私は心配だ、こういうふうに思うのです。農民は現に心配しておりますよ。今度は乗り切ったが来年はやはりあぶないんじゃないか、こういう不安があるわけでありますが、こういう素朴な農民の不安に対して赤城農林大臣としてはもう一歩突っ込んで、これらの品目については二、三年なら二、三年、あるいはこういう条件が整うまでやれない、こういうことがわかるように明らかにしてもらいたいと私は思うのですが、いかがですか。#84
○赤城国務大臣 佐藤内閣の話も出ましたが、私は佐藤内閣におる間、あるいはほかの内閣になってもいまの御指摘の三品目などはやらせないというつもりで、いまの佐藤内閣でもみんな了解していますし、また内閣がかわって私が農林大臣をやめる場合にもそれはちゃんと引き継いでおきますから、いま口だけで声明したってかわっちゃったらだめなんでございますから、そういうことがないようにひとつ引き継ぎもしておきまするし、農林省の幹部もそう心得ておりますから、そういうふうな措置をとっていきたい、こう思います。#85
○田中(恒)委員 さらに四ないし五品目、こういうものについては今年末か来春までには自由化の日程にのぼる、こういうことでありますが、これらの品目についての国内の対応策というものは現在どの程度具体的に進められておるのか。農林省は過般私どもにこういうような対策を、不足払い制度等を中心としたものをお考えになっておりますが、ああいう内容のものを中心にしてかちんと体制をとられるという方針でありますか。#86
○赤城国務大臣 その方針で、予算の編成期でもございまするから、それに対する予算の要求等も大蔵当局にしておるというような状況でございます。#87
○田中(恒)委員 次に米の問題について御質問いたしますが、あとで松沢委員のほうからこまかく御質問があろうかと思いますが、本年度の米の需給事情はどうなっておるか。これ食糧庁長官、本年度単年度の需給状況、どうなっているか、ちょっとお知らせいただきたいのです。#88
○亀長説明員 新米穀年度は十一月から始まることになりますが、四十七米穀年度ということに相なります。四十七米穀年度へ持ち越します四十五年産米、これはおおむね百五十万トン程度というふうに考えております。通常備蓄の機能を兼ねまして翌米穀年度に持ち越すものは大体百万トンという想定をいたしておりまして、その程度必要だというふうに考えておりましたが、そういう観点からは五十万トンばかり余分のものを持ち越すことになる、かように考えます。新米につきましては、これは作況いかんにもよることでございますが、御承知のように政府では自主流通米を合わせまして七百六十万トンを確保するということにいたしております。このうち政府米は五百八十万トンを予定いたしております。現在のところ七百六十万トンに対しまして予約の数量はそれを十四万トンばかり下がりまして七百四十六万トン程度というふうに考えております。政府の買い入れは五百八十万トンでございますが、そのうち四十七米穀年度で新米として配給をいたすものは四百八十万トンの予定でございまして、百万トンは四十五年産米を持ち越して配給をする、かような観点に立っております。したがいまして、私どもの現在の見込みでは、予約の限度数量に見合う予約量がおおむね確保されれば、現在のところ新米の配給につきましても、また全体の米穀の需給につきましても何ら不足という事態はあり得ない、かように考えております。#89
○田中(恒)委員 去年の米を配給に回していくという考えで困らないということでありますが、政府が物統令廃止でねらったように、おいしい米を国民に供給していくという考え方からいくと、古い米を配給するということは、最近非常に評判が悪いわけでありまして、しかもことしの作況の事情からいうと、私どもはいま新聞等が最近言い始めた米不足の徴候というのが出始めた、こういうふうに思っておるわけでありますが、そういう背景の中で、私はやはり物統令というものについての配慮が、最近急激に出てきて、物統令廃止についての時期を延期あるいはやめる、こういうものが、今度の米価審議会懇談会の延期、こういう背景になっておる、こういうように理解したわけでありますが、当面ことしの予約に対して出てきておる不足分、この十四万トンの分と、それから余り米と普通いわれる、その余り米というものが一体どの程度出るというように食糧庁のほうでは見ておりますか。#90
○亀長説明員 この余り米の数字は、作況次第によってかなり変わってくるものだというふうに考えております。したがいまして、作況がもう少し確定をしないと、この数字について、私どもとして、そう明確なお答えをすることはできない事情にございます。#91
○田中(恒)委員 余り米の取り扱いについては、大臣が最終的には団体等と相談をして、この問題については第二自主流通米として、第一自主流通米と同じような取り扱いをするかどうか、この辺の判断をするということになっておったと思うのですが、大体時期的には結論を下さなければならない時期にあると思うのですが、大臣はこの余り米を、ことしの作況を予想され、来年度の米の需給事情等を勘案して、政府がこの際はっきりと――最近食糧庁が出しておる通達を見ると、自主流通米と全く同じ形で規制しておるわけですね、配給面については。配給米の制度の中に完全に全部入れておるわけですね。ですから、私は余り米というのは、少なくとも自主流通米と同じ取り扱いをすべきだと思うのですが、こういう方向で大臣としてはお考えになって進めていらっしゃるかどうかお尋ねをしておきます。#92
○亀長説明員 ちょっと、先に私から説明さしていただきますが、余り米の数量は、現在のところ数量的に把握することは非常に困難があるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。私どもが自主流通米と同じように販売ルートを規制しておるというのは、これにつきましては、政府で本来めんどうを見ない米であるから自由米にしたらいいじゃないかという意見がかなりあるわけであります。しかし、そういうことでございますと、いろいろ混乱もあるということで、販売ルートだけを規制しておるわけでありまして、そういうことがあるからといって、これを自主流通米と同じようにいろいろな恩典を与えるというわけにはまいらない、かように考えます。本来余り米というのは、予約限度数量の外に発生をした米だというようにわれわれは考えておりますので、政府の買い入れを適正にすると同時に、生産調整の協力を促進するという目的もあるわけでございますから、この余り米に対して自主流通米であるとか、あるいは政府買い入れ米と同様の待遇をするということに相なりますれば、生産調整を促進するために買い入れ限度数量を設けて、それ以外にできるだけ米はつくらないようにしてほしいということに合致しない、かように考えます。したがいまして、私どもとしては、できるだけこれは、もしそういうものがあれば、農家において自主流通米と同じようなルートで売っていただく。ただ生産調整に協力をしてもそういうものが発生をしたというやむを得ない場合には、いろいろな販売努力をして、なお万一売れ残った場合においては、政府が農業団体と相談をして考える。かように従来とも方針をきめておる次第でございます。#93
○田中(恒)委員 大臣に質問したのですよ。それは従来の方針はわかっていますけれども、最終的に余り米というものについては、その時点で大臣が最終的に団体等の意見を聞きながらきめるということでしたでしょう。ここで。だから、その時期が来たのじゃないかということを大臣にお尋ねをしておるわけです。#94
○赤城国務大臣 いま食糧庁長官が御答弁申し上げましたように、売れ残りが出た場合等において農家に迷惑をかけないように農業団体とよく相談して処置をいたしたいと思います。その時期がもう来ておるのじゃないかというお話でございますが、作況の状況等を見まして、そういう手続といいますか、とりたい、こう思っております。#95
○田中(恒)委員 生産調整に協力をしたから、せぬからとか言われますけれども、余り米の原因というのは、生産調整に協力したから、しないからということだけではなくて、私はいろいろな原因があると思うのです。農家の飯用米の基準がどうなっておるか、共済基準反収がどうなっておるか。私は、農林省の基準からいうと、余り米が出るというのは、当然出るようなことになって出ておると思うのです。だからそういうような観点から、それなら生産調整に協力するとかせぬとかということになりますれば、私どもは、もっと配給の面からも食糧庁はぴしゃっと監視しなければいけない問題が、たいへんずさんに飛ばされておるでしょう、この間の物特でも問題になりましたけれども、政府が米を買っておいて、配給に流した場合は、政府の配給米よりもやみ米・に流れたもののほうが多いわけでしょう。東京、大阪なんかの数字を見たら、大臣御承知だと思いますけれども、東京では消費者が買う場合には、配給米は四三・九%、それからやみ米は四六・九%、大阪はもっとひどくて、配給米は二八・四%、やみ米は六九・二%、これがいま消費者が配給段階で買っておる米流通の実態ですよ。こういう点をもっときびしくやらないと、これは食管堅持とかなんとかいったって、実質的に末端の配給段階ががたがたになっておる。これはいままで黙認しておるのです。しかもいまの米の物統令廃止の問題をめぐっていろいろな動きが米問題では出てきておることは、この委員会でいろいろ議論をされてきておるわけであります。そういう点に、もっと当然向けるべき目を向けていただいて、米の需給が、単に余っておる、余っておると言ってきたけれども、条件が非常に変わってきておる。もう古米、古々米等については食糧としてはできませんし、それから先般の食管特別会計の一部改正、いわゆる過剰米の処理の方向というものが出てきておるものですから、この単年度の需給の基準として見たらあれが足らなくなってきておるわけですから、そういうものに対処する観点で、私はこの余り米の問題も取り扱っていただきたいと思う。こういうふうに要望をいたしておきます。それからあともう一つ長官に御質問しておきますが、米の検査ですね、ことし米の検査で自主流通米をやって、それから政府米をやって、それが終わって余り米、こういうことになっておるが、これがもし末端へこのままストレートにおりたら、農家が米を持っていっても、それは仕分けをされて、自主流通米がまず最初に検査せられ、それが終わって政府米、一番最後に余り米、こういうことになってくれば、非常に手間がかかるわけでありますが、この検査の実態というものをもう少し弾力的に並行調査をやるとか、従来のような形で買っていくとか、こういうことにさせなければ、末端ではこのことで非常に困る問題が起きるという心配があるんですが、この辺はどうでしょうか。
#96
○亀長説明員 御承知のように、政府は、七百六十万トン予約をしたものは優先的に確保するというたてまえであります。したがいまして、予約のもとにある政府買い入れ米、それから本来の自主流通米というものを優先的に確保をする、それを果たしてもなお後に農家が売ってきた米というのが初めて余り米となるわけでありますから、検査の順番としてもおのずからそうならざるを得ないわけであります。ただそれを県単位とかあるいは村単位とかいうことで、そこまで厳重にいたしますと、余り米はもちろん農家でもお困りの場合もあろうと思うので、私どもはそういう場合には、人別に予約数量を果たした後は余り米の検査をしてもいい、人別にそれは考えてもよろしいということもいたしておるわけであります。また非常に特例的に、現地の実情で、政府の予約米は必ず果たしますというようなことで、その見通しが非常に明らかなものにつきましては、私どもとしては個々に現地の実情によって御相談に応じておる例もございます。原則的にはやはりそういう考え方は避けられないというふうに思いますけれども、実情につきましては、それぞれ要望のあったところにつきましては、私どももできるだけ現地において配慮ができるようなことも考えてまいりたいと思っております。#97
○藤田委員長 小平忠君。#98
○小平(忠)委員 農林大臣に端的にお伺いをいたしたいと思います。先般の日米貿易経済委員会におきましては、わが国の農畜産物の自由化という線については、あなたが出かける前に、われわれ農林水産委員会の理事並びに代表が大臣にお目にかかって、わが国の農業が置かれている立場から、絶対に自由化を拡大することはまかりならぬ、大いにがんばってきてもらいたいというこの要請にもこたえられまして、大臣はたいへんな御努力をされましたことを、その途中におきまする外電や、また本日の劈頭における大臣の御報告によりまして、われわれ敬意を表する次第であります。ただ問題は、ただいままでの質疑を通じまして明らかになっておりまするように、やはりアメリカ側としましては、さらに自由化の拡大、決して打ちどめにしたという筋合いのものではないのでありまして、今後相当尾を引く問題であります。いよいよ最終的に、今年度のいわゆる当面差し迫ったこの期間においての最終結論を近く出される段階におきまして、もう帰国されまして数日たっておられますから、大臣の胸中には、最終決定をされる四品目ないし六品目の中身も、もう大体きめておられるのじゃなかろうかと思うのであります。重ねてお伺いいたしますが、どのような考えであられるのか、この際お漏らしいただきたいと思います。
#99
○赤城国務大臣 四ないし五品目につきましては、先ほども御答弁いたしましたように、アメリカ側のハーディン農務長官なども、その品目はどれとどれなんですか、こういう質問がありました。そのときにトマトピューレ、ペーストですか、ほか三あるいは四品目だが、これは日本においてきめるんだから、あなたのほうに相談も何もしないで私が帰ってからきめます、そうですかということで別れてきていますので、日本できめなくちゃならぬと思います。大体新聞なども早耳で、ああだこうだという品目を出しておるようでありますが、そういう中から四ないし五品目をきめていきたいと思いますが、まだどれだけだときめておりませんので、それを申し上げる段階ではございませんので御了承願っておきたいと思います。#100
○小平(忠)委員 牛肉、果汁、オレンジはだいじょうぶですね。#101
○赤城国務大臣 これはもう絶対にだいじょうぶだといってもいいくらいに、私はそれを入れさせないつもりでございますし、また日本できめるのですから、ほかの閣僚も会議でも聞いておりましたし、行く前にも私はそういうものは入れません、こういうことを言っておりましたからこれを入れることはない、こう御了承いただいてけっこうだと思います。#102
○小平(忠)委員 今次北海道の冷害の現状にかんがみまして、豆類の被害もきわめて甚大でありますが、雑豆はいかがでございますか。#103
○赤城国務大臣 被害の状況なども考えまして、実はどっちともつかないところで考えていますが、なるたけ除くほうに考えながらいまいるところでございます。#104
○小平(忠)委員 私は、わが国の農業、特に一国の食料の自給度を高めなければならないという見地から、貿易自由化の中で残存品目が特に農林関係が二十八品目という非常に多い数を占めている中で、農林大臣の立場というのは非常に重大であります。したがって、これは全国民、いな農業あるいは畜産、林業に携わっておるところの従事者あるいはまた指導者が、いかにこの自由化について大きなふんまんと、これを食いとめるための熱意が今日ほど強いものはないと思うのです。したがって、やはりこれは国の政治の中で、農林大臣が断固この際この拡大について阻止してもらう決意を新たにしていただきたい、こう思うのであります。ましていまどの品目も重要でない品目はないのですから、その重要でない品目はないということに重点を置かれまして最後の配慮をいただきたい。さらに、このたび農林水産委員会の藤田委員長以下の現地調査によっても、これは未曽有の冷災害であります。その中で豆が占める比率というものは非常に大きい。北海道の畑作の中でもばく大なウエートを占めている。その中でもし雑豆の自由化を強行された場合にどういう打撃を受けるかは、本日の劈頭に北海道の副知事や農業団体の代表者が切実なる訴えをされておりますので考慮いただきたいと思うのであります。時間の関係でその内部の詳しい点まで入れないことは残念でありますが、最後に農林大臣が四ないし五品目を決定されるその最終段階において、以上のような点を配慮されまして善処いただくと同時に、さらに、今後残存二十八品目の自由化が――あなたが日米貿易経済委員会に出席されたその感じと、わが国のいろいろな諸情勢を勘案して、これらの自由化に対して今後どう対処されんとするのか、あるいは見通し、忌憚のない大臣の御意見を伺いたいと思います。
#105
○赤城国務大臣 会議に出た感じからいいまするならば、劈頭に、関心の最も深い品目については絶対もう受け入れないということをはっきり言いましてから、向こうは繰り返してそれをどうするかこうするかということをもう言わなくなりました。そういう感じから見れば、農水産物に対して向こうから、基幹的な三品目のほかにもなお強く要求するような様子ではございませんでした。しかし、先ほど申し上げましたように、自由化という面につきましては、なお自由化を迫るといいますか、要望するような空気が、その会議ではございませんが、ほかのほうの、ホワイトハウスの報告書などをちょっと見ましたが、それなどにはあるようでございますのと、もう一つは選挙区の状況でございます。やはり日本と同じように選挙区の圧力もなかなか強いようでございますから、そういう点からまた農産物の自由化について要望するようなこともあり得るかとも考えます。しかし、先ほど申し上げましたように、三品目あるいはその他の自由化につきましても、いま申し上げました四あるいは五品目のほかの自由化はもう私は消極的に、向こうから言ってきたにしても受け入れない、こういうことに進めていきたいと思います。なお、自由化すべきものにつきましても、その対策は十分講じた上で自由化をやっていく。十二分というわけにはいかぬと思いますが、十分その対策を講じながら、いままできまったものあるいはきめていくものについて、この九月末に自由化になるもの、あるいは今度の会議で四、五品目を自由化する方針でございますが、そういうものに対しての対策は十分講じていきたい。そしてまた、それ以外のものにつきまして向こうから要望がありましても、その要望には日本の農業事情からこたえ得られない、こういう態度で進みたいと思います。
#106
○小平(忠)委員 次は冷害対策についてお伺いいたします。北海道の今次の冷災害は、先ほどの調査団の報告にもありましたように、地域によっては未曽有の冷災害でございます。私は、本件の内容質問に入る前に、特に本委員会が、恒例のいわゆる農水産業の国政調査を冷害調査に切りかえて、藤田委員長以下各党の代表が強行軍で現地をつぶさに調査願ったことについて、私は、地元出身の議員として心から感謝と敬意を表したいと思います。
私は、今次の災害が、ともすれば北海道は恒例的に冷災害を受けるような感じを持つ人が多いのでありますが、内容からいって決してそのようなものではない。端的に申し上げて、今日のような農業技術、栽培技術あるいは品種の改良などが進んでいる段階で、この被害額において、今後の降霜などの被害を見込まないでも、水稲において五百億を上回り、畑作においても百億を上回る、六百五十億前後の被害というものはまさに甚大な被害であります。こういう被害に対しまして、私は、やはりこの際緊急対策を講ずると同時に、恒久対策を講じていただかなければならぬ、このように前もって考えるのであります。大臣も、日米貿易経済委員会から帰ってこられた早々、まだ詳細な被害の内容も聞いておられないと思いますけれども、ただいままでの質疑を通じ、あるいは内容につきましてある程度の認識を深められたと思うのでありますが、やはり緊急に措置してもらわなければならぬ問題がたくさんあります。したがいまして、現時点において、今後の降霜被害など考えに入れないで、一体この被害をどのように大臣は把握されておられるのか。同時に、先ほどの答弁によっても明らかなように、天災融資法の指定あるいは激甚災の適用、これらも当然やりたいという御意見のようでありますが、しからば、この天災融資法並びに激甚災の指定並びに適用をいつごろ発動されるお考えか伺いたいと思います。
#107
○赤城国務大臣 私も、いま御指摘のとおり、冷害の実情等につきましては、農林省からも調査団が行きましたし、また農林水産委員長からもよく聞いております。また私も、前の災害がありました当時やはり農林大臣をしておりまして、冷害当時に現地も見てきておりましたから、大体冷害の状況等は頭に入っているようなわけでございます。でございますので、法律、制度的にきまっておる冷害災害の対策等につきましては、もうできるだけ早く、また融資の方面、共済金の支払い等につきましても仮払いでもなんでも進めるというような緊急的な面につきましては、できる限り早い時期に措置していきたい、こう思います。また、お話のように、恒久対策等につきましても、北海道は農業関係から言いまするならば一番農業基地で大事なところでございまするから、恒久的な対策につきましても北海道に十分力を入れていかなくちゃならぬ、こう考えております。
#108
○小平(忠)委員 いつごろ指定並びに適用されるか伺ったのでありますが、いまの大臣の答弁では可及的すみやかにやりたいということで、その被害の実態もまだ十分把握されてない現状から了解できますので、それは可及的すみやかにその指定並びに適用を実施していただきたいと私は思うのであります。そこで、ちょっと具体的な問題でありますが、先般、八月十五日現在農林省の発表で、米のいわゆる作況指数を全国九八という数字を発表されておられますが、この九八というのは、北海道の指数を五八と見ておるようであります。全国的にやや不良という九八というこの作況指数は、米においてどの程度の減産となりますか。
#109
○中野説明員 作付面積が正確になりませんとはっきりいたさないわけでございます。この作付面積が出ますのがたしか九月十五日で出てくると思います。したがって、正確には申し上げられませんが、大ざっぱにいいまして、一%で十二万トン程度だというふうに思いますから、二%でありますと、二十四、五万トンということになるかと思います。#110
○小平(忠)委員 先ほどの統計調査部長の話だと、この二%をさらに指数が上回るだろう。というのは被害が伸びるだろう。そうしますと、九八が九七になり九六ということになりますと、やはり現在の作付面積からいって五十万トン前後のいわゆる減収ということが考えられると見てよろしいのですか。同時にこの指数は、先般の二十三号台風、二十四号、これらの台風被害もこの中に入っているのか入っていないのか、この九八というのは。あわせてお伺いしたいと思います。#111
○中野説明員 九八を出しましたのは八月十五日現在でございますから、その後の参りました台風等の被害は入っておりません。今度の九月十五日現在の分について、それまでの分はできるだけ入るようなかっこうで調査が進められておるわけでございます。#112
○小平(忠)委員 そうすると、入ってないとするならば、北海道の被害もだんだんまだ当時の状態から見て進んでいるということになれば、やはりこの指数はそれらの台風被害とあわせて冷害被害と見てどのぐらい現在予定されておられるのですか。#113
○中野説明員 午前中統計調査部長が御答弁申し上げておったわけでございますが、九月に入りまして天候がかなり不順でございます。それからまた台風等も来ておりますので、若干その九八の指数が下がるということを申し上げたわけでございますが、それじゃ正確にどれぐらいかということにつきましては、大体九月の終わりか十月の初めごろに正確にわかるということでございますので、ただいま正確な数字を申し上げる段階ではまだないわけでございます。#114
○小平(忠)委員 これは食糧庁長官にお伺いいたしますが、今次の冷災害の現状を見ますると、障害型というのが異常気象によって非常に多いということから、米作地帯である石狩川水系とか、あるいは上川、そういった米の適産地においても、結局ひどいところは三分作、いいところで六分作、そういうような状態から見ますると、これは相当青米、低品位米というものが多いと見なければならぬ。先ほど検査規格の問題についての御質問もありましたけれども、私は従来、過去昭和四十四年の青米混入の買い上げを認めたそのような基準では、これはなかなか冷災害農家を救うということは困難だろうと思うのです。したがって、これはもう少し出回りを見てからなんということではなくて、やはり思い切った買い入れの措置をとらないと、実際にほんとうに共済金も、現状のような状態では、足切り三割というものが大きな影響をいたしておりますから、それらを勘案いたしまして十分に善処してもらいたいと思うが、重ねて食糧庁長官、このいわゆる低品位米、規格外となるであろうこれらの米の処置についてどのようにお考えか伺いたいのであります。#115
○亀長説明員 先ほど美濃先生の御質問にもお答えいたしましたとおり、私ども四十四年の事例をも参考にしながら方針をきめてまいりたいと思います。実際にまだ米が大幅に出回っておるという事情でもございませんし、今後事情を見て適時考えてまいりたいと思います。どの程度かということの御質問でございますが、私どもの食糧管理法のたてまえから申しますならば、主食用に供し得るということが買い入れの限界でございまして、そういう点から申しますると、徳用米の原料になり得る程度が限界だというふうに考えております。もちろん農政上の問題としては、それ以外にやはり農家に対する救済を考えるべきであろうということはいろいろございましょうが、食管法での買い入れということになりますと、いま申し上げましたように、徳用米の原料になし得るというのが限度かと考えます。
#116
○小平(忠)委員 大臣、いまの食糧庁長官の答弁によると、食用に供することを基準に考えるから、食用に供し得ないものはだめだということになるので、それ以外は農政上の救済策を考える以外にない、こういう答弁です。そうすると、ことしの被害の現状から見て、やはり買い入れ対象外となる米が相当多い。これを農政上どのような救済策を考えられるか、大臣の所見を承りたいと思います。#117
○赤城国務大臣 食糧庁としては徳用米というのが一つの標準であろうと思います。しかし徳用米の基準を考慮することも政治的にもあり得るだろうと思いまするし、実際に食べ得られるというようなことであれば、それも考えなくてはならぬと思います。そのほかに政治的の問題等につきましては、いろいろ考えておりますが、いま具体的にどうこうということは申し上げかねますけれども、十分政治的にも考慮する、こういうふうに申し上げて差しつかえないと思います。#118
○小平(忠)委員 私はこれに対する具体策も一つここに考えてきておるのでありますけれども、どうもあとからやる人の時間がだんだんと制約されてきておるようです。ですから、これは次回の委員会に譲りまして割愛したいと思いますが、これは、先ほど来のいろいろ要請があります。現に道からも吸い上がっておる要請の中に含めまして、ひとつ真剣に考えていただきたいと思うのであります。それで緊急対策としまして、融資の関係、いわゆる金融の関係、それからもちろん天災融資法あるいは激甚災の指定並びに適用を受けましても、北海道の今次の災害の現状から見まして、結局ワクの拡大とか、いわゆる延長、その他いろいろ手を施さなければならない点がありまするので、十分にひとつ御配慮をいただきたいと思うのであります。
それで、今次のこういう激甚な災害の現状にかんがみて、やはり恒久対策でありますが、何といっても国の政策に協力し、経営規模の拡大、農業の近代化というようなことによりまして、すでに被害農家がばく大な負債をかかえておるこの固定負債の処理でありますが、すでに前者の質問にもありましたように、これは思い切った対策を講じないと、今度この救済の上に上積みをした災害の対策もなかなかその処理に困難であるというのが現状であります。従来の経営規模の拡大のための農地の取得資金あるいは農機具その他のいわゆる施設資金、土地改良などの自己負担の資金等々の負債が、多いところでは千三百万、少ないところでも五、六百万という負債をかかえておるのが現状であります。したがって、きょう農民組織の代表からもこれらの負債のたな上げ、並びに諸外国でも現に行なっておる百カ年の長期の、いわゆる償還利率においても年二分というような長期低利の思い切った施策を行なわなければ、やはり北海道の農業は救えないというこの現状を十分に認識していただきたいと思うのであります。私は今次冷災害の現場を藤田委員長、各党の幹部と一緒に回ってみて感じたことは、やはりことしの災害がいかに異常災害だったか、異常気象だったかということ、これほど栽培技術やあるいは品種改良が進んでおるにもかかわらず、結局米は地域によっては収穫皆無、豆でも、その他北海道の北方作物といわれるいわゆるビートであっても、あるいは牧草であっても、先般の農林省の作況指数でビートが一〇七とか、バレイショが一〇三であるとか、そういう数字は一体どこから出たか、実はほんとうはわからない。時間があればもっと根本的にそれを追及し、お伺いしたいのだけれども、一そういうようなことは、これからの収穫をもってしてみて明らかになってくることでありますが、何せ異常気象であったわけです。ですから劈頭に申し上げたように、地域によっては、作物によっては大正三年のいわゆる大凶作に次ぐものであるし、またものによっては未曽有の被害であったということが言えるのであって、決して俗に言う、水稲のごときは北海道では危険作物だなんていう非常識なことには当てはまらないのです。五十年あるいは百年に一ぺんの被害でありますから、決してそんな危険作物でない。こういうことを考えて、私はこの現状打開のために恒久対策として固定負債の処理について、ひとつ大臣の偽らざる、忌憚のない所見を承りたいと思うのであります。
#119
○赤城国務大臣 前々も固定負債についての問題があったことも私も承知しております。今般の冷害等につきましても御趣旨の点はよくわかります。いま利率をどのくらいにするか、償還年限をどのくらいにするかということについて申し上げられませんけれども、自作農資金等においては限度まできていますが、御趣旨の点等も十分考慮に入れてこれから対策を講じていきたい、こう思います。#120
○小平(忠)委員 あわせて恒久対策としてぜひ考えていただきたいことは、実はわれわれ同僚議員の現地調査が終わった時点で、現地参加をした北海道選出の議員でなく、本州から参加された委員の中から、こういう発言が必然に出ました。というのは、北海道の農業は、現地を見て、やはり全国一律の立法ではだめだな、やはり特殊立法が必要だな、こういうことばが出ました。われわれ北海道から出ておる立場からいうと、よくこれを主張するのですが、現地を見てもらって、別に質問したわけでもない、聞いたわけでもないのだが、達観して、やはり北海道の農業というものは特殊立法が必要であるということを、いわゆる見た結果としてこれを強調されました。私はやはり北海道の経営規模、農業の実態から見て、北海道こそやはり食糧の基地として国際農業に太刀打ちのできる基盤を持ったところであろうと思うのであります。そういう見地から、本年当初農林省から非公式に発表されました、いわゆる国土の総合的土地利用区分という見地から例の地域分担的な構想を示された、それを見ると、米のいわゆる作付転換も何か一律に考えられているきらいがあって、端的にいいますと米が余っているんだから、その北海道の生産がいまや全国第一位となったのでウエートを低めよう、あるいは寒地だからそうしょうというわけで一律に計算したのによると、八万ヘクタールの減産、八万ヘクタールの転換をなんというその数字を見て、ぼくはこれはあまりにも非現実的であると思う。北海道においても、現に適地適作主義、その考え方から見るならば、それは特に水稲栽培は、俗にいう積算温度二千五百度以下のところは適しないというのであるならば、確かに北限、冷涼地帯で、わが国の農政の貧困からくる――共済金をもらえばほかの作物よりも米づくりがいいんだといってだんだん米が北上したり、山の上に登ったりするこの行き方は、農政の貧困からくる問題なのです。そういう面においてこれらの規制、転換は考えられるとしても、俗に北海道で八万ヘクタールの転換なんということは、これは無定見であります。しかしだれが見ても、全体の国民が公平に見ても、この際やはり適地適作主義による地域配分をやろうというならば、こういうことを真剣に考えて取り組むべきであろうと思うし、同時に北海道はどうしても寒冷地にふさわしい、適合する北海道寒地農業開発法というようなものをすみやかに制定をしてもらうべきでないか、このように私は考えるのでありますが、大臣の所見いかがでございましょうか。#121
○赤城国務大臣 北海道が経営規模におきましても、あるいはしたがって機械化等におきましても、日本農業の基地として非常に重要なところだということは私も強く認識いたしております。でありますので、適地適産を目標とした全国的な秩序におきましても、相当強く北海道に期待しておることがあることは御指摘のとおりであります。そういうことでありますので、実は前の農林大臣の時代にも、畑作振興法というようなものを北海道に特に重点を置きましてつくったようなこともございます。〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
でございますので、北海道が冷害があったからということでなくて、北海道の農業を日本全体から見て伸ばしていくという観点に立って、いま直ちに特別立法というところまで考えてはおりませんけれども、そういうような考えを入れていろいろ農業政策、根本的対策を講じていきたい、こう思っております。
#122
○小平(忠)委員 冷害対策につきましては、ただいまの理事会で、来月の四日にも委員会を開いて具体的な内容について政府の所信をただし、これを促進しようということでございますから、時間の関係で冷害問題については以上で終わりたいと思います。次に、米の生産調整と食管制度の問題で一、二点お伺いしたいと思います。
米の生産調整の目標と実施計画ですが、現状はどのようになっておりましょうか。
#123
○内村説明員 お答え申し上げます。四十六年産米の生産調整につきましては、御承知のとおり二百三十万トンという目標数量を定めまして農家の御協力を願ったわけでございます。六月に実施計画をまとめましたところ、全国平均二百四十七万トンという数字で、目標数量を十七万トン上回るという結果が実施計画で出たわけでございます。これは六月に定めました実施計画でございますので、現在その後の実行状況というものを調べております。これにつきましては今月の二十七日ごろに発表できることになるかと思いますが、現状では、その後の状況で二百三十万トンが若干下回るということに相なるのではないかと思っております。
#124
○小平(忠)委員 政府の生産調整二百三十万トンの目標に対して協力をしておる府県あるいは非協力の府県等がありますが、おもなもので協力県はどういう県があるか、非協力の県はどういう県があるか、ちょっと教えてくれませんか。#125
○内村説明員 現在数字を取りまとめ中のため必ずしも正確なことを申し上げる段階ではございませんが、大体の感じといたしましては、西日本のほうが非常に協力的であり、さらに東日本の米どころがやや数字が達していないという状況になっております。それから北海道、青森は大体一五〇%ぐらいの達成率になるのではないかと思います。#126
○小平(忠)委員 協力をしない県に対してはどういう処置を農林省としてされておるか。あるいは協力を一〇〇%以上した県に対してはどういうようないわゆる奨励措置をされておるのか。いかがでございますか。#127
○内村説明員 御承知のとおり、米の生産調整は、政府が目標数量を定めまして、それに基づいて農家の協力を得てやっておるわけでございます。したがいまして協力、非協力という問題が出るわけでございますが、法制上の問題ではございませんので、協力しなかったから罰則がかかるというような性質のものではございません。しかしながら、米の生産調整は御承知のとおり五年計画でやるということになっておりますので、来年以降の生産調整のやり方についてはそれらの問題についても検討を加える必要があるのではないかというふうに感じております。#128
○小平(忠)委員 農林大臣にお伺いしますが、現状のような生産調整の状態と、さらにことしの北海道の冷害あるいは本州、四国、九州における台風災害、これらの状況を勘案いたしまして、この生産調整を今後どのようにお考えになっておられるか。現状どおり進められるとお考えでございますか、あるいは変更しようというお考えか、いまの時点で農林大臣の所信を承りたいと思います。#129
○赤城国務大臣 農政の一つの大きな目標は、私から申し上げるまでもなく需給の調整ということが、農家のためにもあるいは国民の食糧という立場からも大事なことだと思います。そういう意味で、話は飛びますが、この間カナダへ行きましても、カナダで小麦の九割減反といいますか、そういう制度をやったようです。しかしこれは実績が五割、半分くらいのようでございます。米につきましても、やはり需給の調整という意味から米の生産調整ということを手がけて、五カ年の計画で需給を安定させる、こういう方法をとったのでございますが、ことしの災害でその計画がくずれるか、あるいはやめるかというようなことのお考えも一部になきにしもあらずでございますけれども、やはりこれはまだ需給の安定というところまでいきませんから、いまの計画を続けていきたい、こう思います。しかし、原則といいますか、事情の変更というものがありますから、それは続けていくが、幾らか変更というようなこともなきにしもあらずでございますが、現在の時点でどうかというお尋ねでございますが、それに対しましてはいままでの計画どおりやっていく、現時点においてはそう考えております。#130
○小平(忠)委員 農林省は食管法の改正を目下準備中と承っておりますが、ほんとうですか。#131
○赤城国務大臣 どこからお承りになったのか知りませんが、食管法の改正の方向で進もうという考えは持っておりません。しかし運用やその他におきまして、食管法の本来の趣旨どおりにいっていない面もございます。法律ができておっても法律が実行されないということは、法に対する国民の不信もございます。でありますので、その運用とかあるいはどういう点で欠陥を生じておるか、あるいはどういう点がどうしても続けていかなければいかぬという問題点もございます。そういう点がありますので、その運用その他についての検討を、委員を学識経験者の方々に依頼いたしまして、続けて二回ばかり研究会をやっております。食管法を廃止するとか改正するとかいうめどではございません。結論的にはある程度直すところがあれば直すこともあるかとも思いますけれども、それをめどとしてやっておるわけではございませんので、いまのところでは運用の全きを期したい、それについてのいろいろな意見を聞こう、こういうことで進めておりますから、初めから改正するとかやめてしまうというような意図は全然持っておりません。御了承願いたい。#132
○小平(忠)委員 大臣は正直だから何か語るに落ちたような感じですけれども、米穀管理の現状及びその問題点ということで、問題点とさらに付表、これはいま大臣おっしゃったように学識経験者に検討させておる。私はこの中身を拝見いたしまして、いままでの米審においても、俗に御用米審といわれるような方々の手によってゆがめられた作業なり、ゆがめられた方向を非常にわれわれ懸念するのであります。したがって、検討はけっこうでしょうけれども、今日のわが国農政の大きな課題である食管については、これは慎重を期さなければならないし、いやしくも改悪などということについては、これは断固われわれ了解できない問題でありますから、どうぞひとつ大臣におかれましても善処いただきたいと思うのであります。時間の関係で最後にもう一つ、私は今度の北海道農業の現状を見ても、政府が畜産振興に重点を置かれて、来年度の予算要求も酪農、いわゆる乳牛、肉牛についても積極的に取り組んでおられる姿勢については敬意を表します。ただしその中でも、ともすれば肉牛などについては従来のいわゆる和牛一点ばりで何ら前進のない姿では、国際競争力にうちかっていくことはできないという感じもいたすのであります。したがって、農林大臣は、わが国畜産界における練達な、そしてまた常にその指導的地位にあって指導されておる方でもありますが、特に乳牛、肉牛についての画期的な振興をはかる。現に北海道が大正二年以来の冷災が起きる地帯においても、あるいは未曽有の被害を受ける地帯においても、やはり酪農や肉牛についてはりっぱにこれにうちかっていこうという体制になりつつあるのでありますから、私はこの際大臣の忌憚のない意見を承りたいと思います。
#133
○赤城国務大臣 答弁とよけいな話になりますが、この間カナダに行きましたところ、向こうの農林大臣が農場をお見せしたいから視察に行ってくれというので、一日乳牛の農場と肉牛の農場を見まして、その翌日会議がありましたので、実はきのうもカナダの乳牛及び肉牛の農場を視察してくれというので視察したが、日本などはとても追いつきそうもないんだ、だから牛肉の自由化なんということは考えられないと言ったら、それじゃ見せないほうがよかったんだ、日本の農業と同じようなのだってあるんだからなんてことを言っておりました。それで、今度の自由化に牛肉を入れないという理由の一つにも、日本は畜産のほうに相当力を入れて転換していかなければならない過程にあるんだ。ことに酪農においても肉牛においてもそういうほうに力を入れなくちゃならぬ、そういう場合に牛肉などの自由化はできないんだ、こういうことはアメリカでもカナダでも言ってきたような状況でございます。何も向こうへ行ってそういう日本のことを言う必要はございませんが、ほかのこととの関連がありましたからそう言ったのですが、日本の国内における農業におきましてもいまおっしゃるような方向へ持っていかなければならぬ、そしてまた北海道がそういう面におきましても相当の伸びが期待されるところでございますから、御趣旨のような方向にぜひ進めていきたい、こういうふうに考えております。#134
○小平(忠)委員 最後にもう一点。それは大臣、決して北海道だけの問題ではなくて全国的な問題で、特にいまの日本の肉牛の現状を見ましても、在来の神戸牛、松阪牛、これは一種の芸術品なんです。したがって庶民の口に入らないような高価格のもの、これは限界があるのです。したがって、これからは従来の国産和種にシャロレーとかアンガス、ヘレフォードとかいうような外国産の優秀な品種も交配をして、改良を加えて量産をして、そしてもっと安くておいしい肉を庶民、大衆に食べてもらうような施策が真の畜産の振興であろうと思うし、国民が動物たん白を十分に摂取し得るゆえんであろうと思うのです。本件については、増田畜産局長も非常に理解を持って来年度の予算編成についても当たられておられるようでありますが、大臣におかれてはその道の権威者でもあられるので、ひとつ十分な配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#135
○三ツ林委員長代理 斎藤実君。#136
○斎藤(実)委員 大臣にお尋ねをいたします。北海道の冷害につきましては、午前中から各委員の質疑の中で、大臣も緊急対策あるいは恒久対策について前向きの姿勢をとるような御発言がございました。私は、当面北海道の冷害につきまして政府のとるべきことは何かといいますと、やはり天災融資法の早期の適用あるいは激甚災害法に基づく激甚災害の指定を行なって、しかるべくその所定の金融措置を講ずるということが当面最も大事なことだと思うのでありますけれども、この点について時宜を失するようではこの緊急対策が何にもならない。先ほどから早急に考えるという御答弁がございましたけれども、大臣にこの点についての見通しと時期についてお尋ねしたいと思います。
#137
○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように天災融資法とか激甚災指定についての条件はもう十分整っておると思います。ですから、作柄その他がわかり次第早急にその適用をするということにいたしたい、こう思います。#138
○斎藤(実)委員 いま小平委員から固定負債についての質疑がございました。北海道は昭和三十一年から三十九年、四十一年、今回の冷害と、しばしば災害に見舞われているわけであります。したがいまして、この固定負債につきましては、やはり緊急対策と並行していかなければ冷害対策には私はならないと思う。私は、この間上川のある町へ行って事情をつぶさに調べてまいりました。この町は開田ブームに乗って昭和四十一年以降三千ヘクタールの新規の開田をしているわけです。個々の農家では八百個のタコつぼを農協から融資を受けてかんがいをした。その費用は造田と合わせて八億もかかっておる。現在農協には他の貸し付けを含めて二十億の貸し付け残高があるわけです。で、農家一戸当たりの負債が大体二百五十万、米の生産調整で国営の土地改良の農家負担金とともに負債の整理が深刻な問題となっておるわけです。ですから負債を何とかしょうということで営農もできない、離農していくということにもなっておる。ですから、こうした固定負債についてはやはり特別の措置を講ずることが、この冷害対策を根本的に解決する最大の道ではないかと私は思う。大臣も御存じのように、自己資金の蓄積というのは非常に乏しいわけです。その反面構造改善あるいは規模拡大ということで資金の需要がきわめて大きい。昭和三十年に北海道の永田耕作面積は十八万六千九百ヘクタールありました。十五年たった昭和四十五年には二十九万七百ヘクタール、ですから十五年に十万ヘクタールが増加をしておる。こうなりますと当然農家では多額の負債をかかえている。ですから、前にも例があったと思いますけれども、この固定負債をたなあげをして何らかの、金利も安くあるいは償還年限を長くするような特別な措置を講じなければこれからの農家は立ち上がれない、いまの冷害をどう克服するかということで大きな問題になっておりますので、この固定負債の解決について私はこの際政府としても早急に措置をする必要があるのではないかと考えるわけですが、大臣いかがですか。
#139
○赤城国務大臣 実態を把握しましてやっていきたいと思いますが、なお事務当局から答弁いたします。#140
○小暮説明員 北海道農家の固定負債につきましては、昭和三十四年から三十六年まで、及び四十二年から四十三年までの間におきましても、自作農維持資金の融通によってその解消につとめたという前例がございます。今回非常に深刻な冷害の事態に直面いたしております北海道におきます負債の状況についてできるだけその実態を把握いたしまして、これまでの前例等も十分念頭に置きながら措置をしてまいりたいというように考えております。#141
○斎藤(実)委員 天災融資法の適用に伴いまして、資金対策の中で自創資金の問題について若干お尋ねをしたいと思います。御存じのように、この自創資金は北海道は限度が八十万ですか、ほかの制度資金は単年度方式でありますけれども、これは貸し付け残高通算方式で、いままで満度に借りておれば今度災害が起きても借りることができないという、こういう方式になっておるわけです。ですから、私はこういった貸し付け残高通算方式ではなくして、災害があった場合にはその単年度必要額を貸し付けるという方式に改めるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
#142
○三善説明員 自作農維持資金といいますのは、性格的に、まずほかの資金でいろいろ手当てをいたしまして、そのあとやはり農地をも手放さなければならないといったような、そういう最終的に出る一つの資金でございます。そういった性格的な問題もございますので、やはり現在の残高方式と申しますか、そういった方式が妥当ではないかと私どもは考えております。ただ、その残高がもう貸し付け限度満ぱいになってきてなくなったというような場合には、やはり一定の方式によりましてその限度額を引き上げるとかそういうことで対処をいたしておりますので、今回の冷害のような場合にも、実態をよく調査いたしまして、そういった方法でひとつ対処してまいりたい、こう思っております。#143
○斎藤(実)委員 自創資金のいまのワクを拡大するように対処するというような答弁でございましたけれども、実際今回の冷害を通して、やはり一番困っているのは当面の資金ですよりですから、これは自創資金のワクの拡大あるいはこの限度額の引き上げ等、やはり農民は切望しておるわけです。将来検討したいなんということを言っていないで、これは大臣からひとつはっきりとした御答弁をいただきたいと思います。#144
○赤城国務大臣 限度額といいますか、そのワクの拡大はするつもりでおります。そういうことで資金の手当てもしたいと思います。#145
○斎藤(実)委員 大臣からワクの拡大については答弁がございましたから、それでは生産調整による転作について若干お尋ねをしたいと思います。北海道の生産調整の目標は二十三万三千六百二トン、それが実施計画の数字では三十三万二千トン、約一四二%の生産調整が行なわれました。それで八万一千四百八十九ヘクタールの内訳が、転作が四万ヘクタール、休耕が四万ヘクタール、大体半々。この転作の内容が非常に多岐にわたっておるわけです。飼料作物あるいは豆、雑穀、林木、野菜。転作は地域的な生産計画に従って計画的に進められたものではないわけです。これはむしろ農家の意思によって進めてきた。ですから、こうしたことを将来ずっと続けていくと、やはり集荷にも問題が起きてきましょうし、流通でもいろいろ問題が起きてくる。一方、農協はこれに対応する十分な対策あるいは体制が整っているかというと、私はそうではないと思う。主産地の形成によって、特産物の育成という立場からすれば、これは生産のばらばらということは両方に問題が出てくると思う。したがって、転作が定着をして、農家が安心して転作が進められるような、きめのこまかい裏づけ対策が私は必要ではないかと思う。
政府は、さきに、ガイドポストとして、農業生産の地域別指標というものを発表しました。これは全国的な立場で見た需給の均衡あるいは適地適産という基準によって十四の地区を荒っぽい目標できめたわけです。ですから、この地域別の目標、これに伴う現実に即した具体策が現在何ら明らかにされていません。現状では、農家のほうから言わせれば、何を生産したらよいのか、判断をする具体的な根拠というものが与えられていないわけです。ですから、農家としての最大の関心事である転作作物の価格保障についても何ら保証されていない。私は、これを、やはり何らかの具体的な、きめのこまかい、地域別な指標というものを示して、農家の方が安心をしてつくれるような施策というものをこの際明らかにすべきじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
#146
○赤城国務大臣 御指摘のように「農業生産の地域指標の試案」を発表したのでございますが、これは非常に広い区域にわたっております。でありますので、これはだんだん下げていくといいますか、都道府県等におきましても、都道府県内におきましても、この指標に沿うたような一つの目標をつくっていく。これは、指標でございますから、強制的なものじゃございませんが、そういう面を進めさせていきたいと思います。農政局もありまするし、また市町村等あるいは農協等との相談もありますが、そういう面で、もっと、大きな線を地域的にまた下げていって、どういうものをつくったらいいかという目標をつくっていけるように指導していきたい、こう思います。#147
○斎藤(実)委員 なぜ農家が米をつくるかというと、ほかの作物に比べて価格が安定をしているからつくるわけです。政府は生産調整によって転作を奨励をしているわけですれ、ですから、農家最大の関心は何かというと、転作物の価格が不安定だということなんです。ビートあるいはアスパラ、スイートコーン、そういったのは、契約栽培あるいはこれに近いようなものですから、比較的安定していると言ってもいいのではないかと私は思います。しかし、これとても、長い目で見た場合、作柄あるいは価格にも非常に不安であるというふうにいわれております。ですから、これら転作作目で専業化するためには規模の拡大が必要でありましょうし、土地取得資金、そういったものも相当これは必要になってくる。ですから、私は、生産調整によって稲作転換というものは幾多の大きな問題をかかえているわけです。ですから、地域の実情に即した特産物の主産地化ができるような具体的な対策といいますか、転作作物の価格保障についても安心してつくれるような対策を、これは大臣、稲作転換ということについてもう一ぺんひとつ前向きな、農家が安心して営農できるような対策を早急に講じていくべきでないかと思いますが、再度大臣にお尋ねしたい。#148
○赤城国務大臣 各種農産物につきましては価格支持対策も講じておりますが、特に稲作転換につきましては、稲作転換というような大きな目標について転換をするのでございますから、その価格支持政策等が徹底していけるように考えながら転作を進めていきたい、こう思っています。#149
○斎藤(実)委員 大臣、この際ですからお尋ねをしておきたいと思いますけれども、稲作転換と本年度の冷害の関連の中で北海道の冷害は予想以上に大きいし、聞くところによると、農林省の内部では北海道は米作の適産地ではないとして今後の生産計画の中で考え直すというような意見が出ているというふうに聞いておるのですが、私はそんなことはないと思いますけれども、大臣、いかがですか。真偽のほどを大臣から承りたいと思います。#150
○赤城国務大臣 農林省内でそういう声はございません。世間では、北海道に稲作は、ちょっと北のほうは無理じゃないかというような声がないわけではございません。しかし稲作につきましても、技術の進歩もありますし、あるいはまた経営規模も北海道あたりは相当広いのでございますし、稲作もだんだん定着しています。生産調整には協力してもらわなければなりませんが、稲作をやめてしまってほかのものをやれというようなことは絶対に考えておりませんで、稲作につきましても生産性が向上しやすいところの適地でございますから、そういう面から考えまして、稲作を放棄させるようなことを指導したり何かすることは絶対にございません。なお稲作が適当にやれるような構造政策なども進めながら稲作を進めてもらいたい、こういうふうに考えております。#151
○斎藤(実)委員 畑作の災害共済制度については現在麦だけですけれども、果樹については昭和四十八年度から実施の方向にあるというふうに聞いておりますけれども、北海道の主要農産物である大豆、小豆、バレイショというこれらに対して共済制度を早急にやるべきじゃないかと思いますけれども、実施の具体的な計画があれば承っておきたいと思います。#152
○赤城国務大臣 いま具体的にはございません。しかし北海道の畑作物共済制度におきましては、品目が多様でありますのみならず作付面積とか作柄及び価格の変動が大きいことでございますので、こういう理由によりまして共済制度をしくことは困難な問題がありますけれども、稲作転換との関連もありますので、内地におきます同種作物を含めてその検討は続けているところでございます。いま直ちにとは申しかねますが、鋭意検討を続けているということを申し上げておきたいと思います。〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
#153
○斎藤(実)委員 時間もないようですから、水産問題について二、三お尋ねをいたします。七月の本委員会で、日ソ漁業交渉につきまして日本のソビエトに対する政治交渉が非常におくれておる、積極的にこちらから出かけていって事前の交渉をすべきではないかという私の質問に対して、赤城大臣は、私が行くか行かないかはきめていないけれども、本格的な交渉に入る前に出かけていってこの漁業問題については積極的に取り組みたいという答弁がございましたけれども、その後、大臣、訪ソして漁業問題の懸案事項を解決するという御意思があるのかどうか、ひとつ承りたい。
#154
○赤城国務大臣 この前にも斎藤さんに御答弁申し上げでおったのでございますが、交渉時期になって延び延びになって、そうして出漁の準備なんかをしているのに出漁ができなかったり、あるいは減船とかいろいろなことがあっては漁業者に迷惑でございますから、交渉に入ったら、早く交渉が進めるように、基本的な問題につきましては私も話し合いをしたい、こういうことに変わりはありません。でありますので、時間的あるいはいろいろなものを検討しまして、向こうへ行ってみたい、こう考えておるのです。でございますから、いろいろ向こうの都合もありますから、いないときに行ってもしようがありませんから、向こうの都合等をいま打ち合わせというか、照会中でございます。#155
○斎藤(実)委員 それからこれは懸案事項になっていることですが、オホーツク海の産卵ニシンの全面禁漁によって転換すべき漁業について、やはり農林省としても何らかの対策を考えるべきではないかと思いますけれども、どういう措置を考えていらっしゃるのか承りたいと思います。#156
○太田説明員 実は、抱卵ニシンの禁漁に伴いまして業者の団体の方から陳情がございまして、一つは現在十九隻が調査に当たっております地区に対しまして、もう六十五隻調査船を出せるようにしてもらえないか――これは当然日ソ漁業交渉の対象の話にもなるわけでございますけれども、実際になかなか六十五隻さらにふやすということは困難ではなかろうかと、こう思っております。それからいま一つは、残りの船につきましてはノートン海域のほうに出たい、こういうお話でございますが、これらにつきまして、実は私どもといたしましては、現在各漁業の実態につきまして詳細に、一体どれだけ抱卵ニシンというものに経営が依存しているかというようなことの調査をいたしておるわけでございまして、現実にニシンだけに従事いたしておりますのが百三十三隻ございまして、そのうち百トン未満の船につきましては、できれば都道府県の段階で何らかの措置を講じてもらえないかということで都道府県と話し合いをいたしております。残りの七十四隻の問題になるわけでございますけれども、これらにつきましてはいま申し上げたような点を含めまして検討をいたしておるわけでございまして、ちょっと時間をおかしいただきたいと、かように考えておる次第でございます。#157
○斎藤(実)委員 オホーツク海の産卵ニシンの禁漁に伴う漁業者の対策については、ひとつ積極的に対策を講じていただきたいということを申し上げておきます。それから間接的に影響を受けております加工業者の救済対策については、これは聞くところによりますと、水産庁が非常に消極的だというような意見も聞いておるのですが、この加工業者に対する対策はその後どうなっておりますか、お尋ねをしたいと思います。
#158
○太田説明員 加工業者に対する対策といたしましては、御承知のとおり従来は商社割り当てでございましたカズノコの輸入につきまして、本年度は実需者割り当てということで北海道の加工連に対しまして割り当てをいたしたことは御承知のとおりでございます。それ以外に、実は前に先生からお尋ねのございました運転資金についての低利融資の問題、この点につきましては道のほうで経営安定資金ということで三億の資金を用意をいたしまして、農林中央金庫あるいは道の漁信連等から借り受ける加工業者等に対しまして、六分の低利の資金が融通されるような措置を講じたようでございます。それ以外に、ニシンの問題を解決いたしましたときに国としてもさらに対策を講ずるというようなこともございますから、この点につきましては、現在、道が加工業者の方々と話し合いをされているようでございます。これらの案の提出を待ちまして十分道と相談の上対処してまいりたい、かように考えております。#159
○斎藤(実)委員 抱卵ニシンの全面禁漁によりまして特にニシン専業の加工業者の受ける打撃というものは非常に大きいし、零細企業が非常に大きい。ですから、きわめて苦しい状態にあるわけです。こういった実情等を十分把握をして、ひとつ積極的な適切な措置を講じてもらいたい、このことを心から要望申し上げて私の質問を終わります。#160
○藤田委員長 松沢俊昭君。#161
○松沢(俊)委員 時間がないようでありますから、私は大臣に最初に御質問を申し上げたいと思います。まず第一の問題といたしましては、米穀管理の現状とその問題点についてということで、米穀管理に関しまするところの研究会が持たれているようでございますが、私は食管法の歴史をずっと振り返ってみますと、食管法というのは一つの柱がある。いわゆる米を戦争中かり集めるためにでき上がったところの法律であろうと思います。したがって、農家の飯用それから種もみを除いた米というものは全量政府が買い上げるという立場に立っている。それからもう一つの問題といたしましては、政府が強制的に買い上げをやるのでありますから、したがってそれに対しましては生産費を補償いたしまして、再生産が確保できるような体制。また米というものは国民生活の上にとりましてきわめて重大な意見を持っておりますので、家計の問題等も考えて二重価格制というものが一つの柱。もう一つは、政府が直接管理をやるというのが法のたてまえになっているのじゃないか、私はこういうぐあいに考えるのであります。これが食糧管理法の根幹であろうと思います。ところが最近、自主流通米という制度ができました。この自主流通米という制度は政府が買い上げるものではないわけであります。また去年から本格的に生産調整が行なわれまして、買い入れ限度数量というものが定められてきているわけなんです。さらには米価の据え置きという問題が出てきております。
こういうようなことを考えますと、食糧管理法というのは国会できまったものでありますから、したがってその根幹をくずすということであるとするならば、当然のことながら国会に戻ってきて、そして国会の場において食管法というものがいまの時世に適するかどうかという議論が行なわれて改正するのであるなら改正する、こういうことにならなければならないと思うわけなんであります。ところがいままでの歴史から見ますと、政令の改正ですべての解決をつけている。私は、法律の精神を踏まえながらそれをどう実行に移すかという具体的な政府のやり方というものが政令になると思うのであります。したがってそういう立場から考えますと、いまのこういうような一連の政令の改正というものについては食管法違反なんじゃないか、こういう考え方を持っているのでありますが、農林大臣はどのようにお考えになっているか、これが一点であります。それからもう一つの問題といたしましては、二十二日の日、米価審議会を開くということになっておったのがやめられたわけなんでありまして、芳賀先生のほうからも御質問があったそうでありますが、一体物価統制令の消費者米価の適用除外ということをことしはやらないのかやるのかですね。やるとかやらぬとかいうことをきめるところの時期というのはいつなのか、その点をお伺いを申し上げたいと思います。
それから第三点といたしましては余り米の問題であります。いままでの生産調整の実態、そして協力したところの県、非協力の県、こういうようなものを大づかみに出してみたらどうかという御質問がさっきもございましたけれども、大臣は就任されまして所信表明をおやりになったわけなんでありますが、そのときに私、御質問申し上げました。新潟県の場合等におきましては生産目標から六〇%を割ったような実績しか実際あがっておらないわけなんであります。これは非協力でやっているわけはないのだ、新潟県のようなところは米以外に転作するところの何ものもない、したがって生産調整目標そのものが無理であったのじゃないか、こういう質問に対しまして大臣も、無理があったんだということをはっきりと答弁をしておられるわけなんであります。無理な生産目標を府県に割り当てたことによって余り米というものが出てくるわけなんでありますから、したがって余り米の処理の問題等につきましては無理な割り当てをやったところの政府が責任をとるべきなんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけなんであります。
そこで、大臣はいままでたびたび答弁に立たれまして、余り米の問題等につきましては農業団体と十分懇談をして善処をしていきたい、こういう御答弁があったわけなんでありまするが、しかしさっきの長官の答弁からいたしますと農林大臣の答弁と食い違いが起きていると思います。長官のほうといたしましては、余り米というものは自主流通米並みの取り扱いをやらないのだ、こう言っているわけなんであります。農業団体の場合といたしましては、余り米というものも大臣と懇談が行なわれる。行なわれた際においては、金倉の補償をやって、そして余り米も自主流通米並みの取り扱いをやってもらいたいというのが強い要望になっているわけなんであります。もちろんいままでのたびたびの大臣の答弁からして、そういうふうに私たちも受け取ってまいったわけなんでありますが、ところが長官のほうとしては自主流通米とは画然と区別をつけていくということで、要するに大臣の答弁とだいぶ違った答弁が行なわれておるのでありまするが、大臣はこの余り米の問題等についてどういうふうに善処をされるのか。まずこの三点をお伺いを申し上げたいと思います。
#162
○赤城国務大臣 食糧管理法というのは法律だから食管制度の検討は国会でやるべきじゃないか、こういう話でございました。もちろん、食管制度を改正するとかなんとかというときには当然国会において議論されるわけであります。しかしまた、私どものほうとして食管制度のあり方と運用等の研究をやることはこれは自由でございまするし、研究をするのは私どもの責任だと思います。でございまするから、法律改正とかなんとかという場合にはこれは国会で大いに論議をしてもらわなければならぬと思いますが、いまそういうことを意図しているわけではございませんから国会において論議する場がいまのところないわけでありますが、委員会等におきましていまのような話がいろいろ出ることは、これは好ましいことであると思います。ただ、食管制度を政令によって改正しているんじゃないかというふうな御指摘でございますが、やはり法律のたてまえからいえば、政令等は施行規則のようなものでございますから、決して政令によって食管法を改正しているということではございません。たとえば、例をとられましたが、食管制度によりましては再生産を確保するという趣旨で価格を決定するということになっているのではないか、こういうことなのに、それと違うようなことをしているんじゃないかというようなお話もありました。その趣旨はいまでも生きておるのでございますが、その具体的な価格の決定方法などにつきましては、御承知のようにパリティ計算でやっていたときもありまするし、パリティ計算でなくて生産費・所得補償方式というような方式をとったこともございますが、これは食管の根幹を改正したわけではございませんで、買い上げ価格の決定についての一つの方法論、こういうものが政令できめられておるということでございますので、政令によって食糧管理法を改正しているということではないと思います。ことに食糧管理法におきましても政府が買い入れの義務がある、生産されたものは全部強制的に買い入れるというようなたてまえではございません。つくったものを生産者が、政府できめられました必要な食糧を管理しているその限度におきましてこれを売却する義務がある、こういうようなたてまえでございます。そういうことでございますので、買い入れ制限というようなことは決して食糧管理法に違反しているということではないと私は考えております。
第二は消費者関係の、いまの物統令適用廃止という問題であったかと思います。この問題につきましては先ほどから答弁いたしましたように、事実物統令違反も現実には行なわれているような状況でございますし、あるいはその他の事情もありまして、物統令から米の適用を除外するというような方針を政府でもきめてまいったのでございますが、この米の需給状況等から見まして、御承知のとおり米価審議会の正式の会合ではございません懇談会において、これに対し廃止後にどういうような措置をとったらいいかというようなことの意見も聞きたい、こういうことで二十二日に懇談会を招集しておいたのでございますが、北海道の冷害、あるいは全国的には災害等もありまして、物統令の米の適用廃止をすることを急激に行なうことがどういう影響を来たすか。ことに一般の物価政策及び米の消費者価格等につきましてどういう影響があるのかというようなことをもう少し検討する時間がほしいと考えましたので、この懇談会を延期するといろ措置をとったのでございます。
第三に、余り米につきまして大臣と食糧庁長官との意見が違うじゃないか、こういうことでございますが、私も全体的に申し上げたのでございまして、余り米の問題につきましては農業団体ともよく相談してきめていきたい、こういうことを申し上げたのでございますが、だんだん詰めていきますと、いまやっておる政府買い入れあるいは自主流通米、こういうことでもその後においても残った米についてどうするか。これについては農業団体と相談する、こういうことが食糧庁長官の答弁であったわけであります。でありますので、私もそういう場合に農業団体と相談してきめていきたい、こういうことを前々から申し上げておったつもりでございます。それはいまどういう措置をとるか、農業団体とすぐに相談してやるかという御質問であったかとも思いますが、いま直ちにきめるということではございませんが、万一売れ残りがあったときには農業団体と相談してその処分をきめていきたい、こう思っております。
#163
○松沢(俊)委員 食管の法律のたてまえからして三本柱があるのだと私は考えておりますけれども、大臣は必ずしもそう考えておられないようであります。しかし実際はそういうお考えがあるために、この資料を見ますと資料の中でも出ておるのでありまして、たとえば「米穀管理の現状およびその問題点について」の附表を見ましても、これは大阪市、東京都区部、全国、こういうことになっておりますけれども、配給米というものが大阪なんかの場合におきましてはむしろ非配給米が七二・二%、こういうことになっているわけなんであります。この七二・二%という数字というものは、一体農家から行ったところのやみ米というものが大阪に集中したのか、それとも政府の配給米というものが政府から卸業者を通じてやみ米として化けたのかということになれば、これは明らかに農家直接のやみ米ではなしに、政府の配給米というものがやみ米に化けているということが言えると思うのでございます。あるいはまた最近におきましては千葉県等におきましては、丸紅飯田が県の米穀連合会の株の三分の一を買い取って、いよいよ統制が撤廃されるということの前提のもとに、二兆円の商品といわれるところの米に対して手を出してきたというようなことが新聞で報じられているわけなんであります。あるいはまたこの前の委員会等におきましても御指摘を申し上げましたように、関西では正米市場が今度開設されるということも新聞に出ているわけなんであります。こういうぐあいにいろいろな動きというものが出ているということは、食管制度の柱というものが何であるかということを最近政府がぼかしてしまった、そして政令改正等によって柱を空洞化してしまった、そういうところにこういう問題というものが起きてきているのじゃないか。だから政府としてちゃんとしたところの態度をとってもらうならば、これらの問題は解消していくのじゃないか、そういう意味におきまして、やはり食管の根幹というものは一体どういうことなんだということをいま一度問いただしておく必要がある、こういう意味で御質問を申し上げておるわけなんでございまして、したがってそういう立場から大臣の御答弁を聞きますと、食管法の運用についてはいろいろ考えられると思いますけれども、しかし柱を空洞化するということは私は許されないと思うのです。そういう意味で、もう一度その点についての御答弁というものをいただきたいと思うわけなんであります。それから、物価統制令の問題、これは除外の問題でありまするけれども、この問題につきましては、それならば物価統制令からはずれたようなものがあるという、こういうことも大臣は言っておられるわけなんであります。はずれて、そしていま申し上げましたように、たとえば政府がおろしたところの米というものがやみに化けると、東京あたりにおきましては十キロ千五百二十円、それが千九百円、二千円ということになっているわけなんであります。これを要するにはずすということになれば、さらに一そう暴騰するということは当然考えられるわけなんであります。しかも、大臣も言われましたように、北海道の凶作、そして台風被害、こういうようなことからいたしまして、それは長官のほうでは百五十万トンも余裕があるんだ、こういうことを言っていますけれども、これはもうやみ米を取り扱っているところの商社にいたしましても、あるいはまた生産をいたしているところの農民にいたしましても、そんなに百五十万トンも余るなんということを実感としてだれも持っておりません。実際は余らぬと思います。あとで長官にいろいろ御質問申し上げたいと思いますけれども、私はいま米不足が来たというふうに国民は受け取っていると思うのです。商社の連中もそういう受け取り方だと思うのです。そうだといたしまするならば、やはり二十二日の懇談会をおやめになったという、そのいきさつというものは、いまの時期においてこれをやるということになると、むしろ懇談会の席で、物価統制令から除外するなんというようなばかげたことはやめるべきじゃないかというような意見が出るおそれがあるからおやめになったのじゃないか。そうだとすれば、この一年間はその問題については不問に付するのだというような御答弁が聞きたかったわけなんであります。そういう点で、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
それから、もう一つの余り米の問題でありまするけれども、団体と相談してきめるということになるわけなんですが、そうして処理されるということでありますが、団体としては金利、倉敷というものを何とかしてもらいたいというのが団体の要望だと思うのです。私は答弁の際はそういう前向きの受けとめ方をやっておりましたのですが、そういう意味でなかったのかどうか、この点を明らかにしていただきたい、こう思うわけなんであります。
#164
○赤城国務大臣 いわゆるやみ米がどれくらい動いているかというような統計そのものも、私はそのとおりだとは思っていませんが、数字上の問題についてはまた議論があると思います。それはそれとしましても、食管法の根幹というのを政府側から見れば、やはり必要な食糧の管理をするということでございますが、そのために配給米の横流れとか、あるいはいわゆる格上げ販売等が行なわれているという事実はあるようでございまして、まことにこれは遺憾に思っています。今後とも都道府県庁等を通じまして厳重に指導監督を行なっていきたいと思いまするし、悪質な事犯に関しては取り締まり当局とも連絡をとって、必要な措置をとっていきたい、こう思います。こういうことがあるから食管法の根幹がもう変わってしまったのだ、こういうふうには私は考えておりません。食管法に従って悪質な事犯等については取り締まりをしていく、こういうことが必要だと思います。第二の米価審議会の委員の懇談会を開くと物統令から米を除外しろという議論があるから懇談会を延ばしたのではないか、こういうような御推察でございますが、そういう推察と私のほうの方針とは違っております。私のほうとしては先ほどから申し上げましたようにことしの凶作等もありまするし、需給のバランス等も勘案して、いまのところでは需給のバランスがくずれるというふうにも思っていません。松沢さんは需給のバランスがくずれるのは直観的にみな感覚を持っておるとおっしゃいますが、私のほうでは感覚だけではいきませんから、数字を相当調査した上でやっていきたいと考えておりますので、そういう時期ももう少し考えられるというので、懇談会を延期したのでございます。延期が一年になるのか二年になるのかというような御推察もございますが、そう長く懇談会を延期しているわけではございません。相当な時期、近い時期にまた懇談会を開いて、懇談会の意見等も聞くということでございます。
第三の余り米の措置等につきまして再々御質問がありましたけれども、先ほど申し上げましたように売れ残りがあった場合に迷惑をかけたくないから、農業団体ともよく相談して措置をとりたい、こう考えておるわけでありますが、倉敷とか、その他のこまかい点について御心配の点もありましたから、その点は食糧庁長官から御答弁申し上げます。
#165
○亀長説明員 余り米の取り扱いにつきましては、これは原則的にやはり農業団体で売却をする、こういうたてまえでございまして、それがどうしてもうまくいかない場合に、政府としては農業団体と相談をして取り扱いをきめる。しかし、その場合にも今後生産調整の阻害になるようなきめ方はしない、こういうふうな考えでずっとまいっておるわけであります。作況いかんによりましては余り米というものが非常に販売がむずかしいということもございましょうし、あるいはきわめて容易であるということもあるかと思います。これは今後の推移を見なければわからない問題であります。また作況いかんによっては余り米の出る数量というものも非常に変動をするのではないかと思います。そういう意味で私どもは当面はやはり余り米の出方なり、あるいは農業団体の販売力――できるだけ販売をしてもらう、こういうことをお願いして、その後どうしてもうまくいかない場合に、措置について農業団体と話をする、かような考えでございますので、当面出た最初から金利、倉敷を補給するということは困難であろうかと思います。#166
○松沢(俊)委員 そうすると推移を見てきめるということなんですが、そのきめる場合において金利、倉敷料というものをつける場合もあり得る、こう判断してよろしいですか。#167
○亀長説明員 いま具体的にその点につきましてつけるとも、つけないとも、お答えはいたしかねます。#168
○松沢(俊)委員 それから次に御質問を申し上げたいと思いますのですけれども、これは昭和四十六年の生産調整、いままで私たちの聞いておりましたのによりますと、二百三十万トンを上回って二百四十七万トンの生産調整ができた、こういうことでありました。さっき農政局長の御答弁からいたしますと二百三十万トンを下回るのではないか、こういう御答弁になっておりますのですが、その根拠はどういうことなんですか。
#169
○内村説明員 お答え申し上げます。六月に実施計画をつくりましたそのときには、水稲を青刈りにしてしまうというようなところが、特に東北にだいぶあったのでございます。今年の七月、非常に好天候が続きましたので、そういうところではまた継続して水稲をつくるというようなことになったようなところがございます。それからさらに、実際生産調整をやろうと思ったのだけれどもあとで苗が余ったから植えたとか、いろいろなケースがございますが、結果におきましては、先ほど申しましたように二百三十万トンを若干下回るということになるんじゃないかと思います。#170
○松沢(俊)委員 私はこれはもっと具体的に数字を聞きたいと思うのですけれども、時間がありませんので資料として出してもらいたいと思うのでありまするが、それは米の需給の見通しについて、結局生産調整が具体的にどの程度なっているのか、それから府県別のやはり需給計画、それを出してもらいたいと思うのです。昭和四十五年の米というものがどの程度ありまして、そうして配給計画というものがどうなっていくのか、そういうことを出してもらいたい。それからもう一つは、私は百五十万トン余るとか余らぬとかというようないろいろな議論をやってもしようがありませんけれども、ことしの成績を見ますと、たとえば北海道に行きますと二%だなんというところがあるわけですね。二%なんというのは実際は米としてはこれはもう問題にならないということになりますから、したがってそれもやはり数字の中に入ると思います。そういうのはやはり除外していく以外にはないと思うのです。
それから、検査の成績の実態というものがどうなっているか。これはやはり等外米ですね、規格外米、それから五等米、これは徳用米になるわけなんでありまして、あとの要するに普通米になる米というものは一体どのくらいとれるところの見通しなのか、これをやはりはっきりさせてもらいたいと思うのです。そういうふうにしてはっきりさせていくとするならば、百五十万トンの四十五年産米が次年度へ繰り上がっていって、そして四十七年には百万トンの新米というものが繰り上がるというところの根拠というものが私は出てこないと思うのです。そういう要するに具体的な数字をひとつ出してもらいたいということを御要望いたしまして、時間が来たようでありますので、終わりたいと思います。これはぜひひとつ出していただきたいと思います。
#171
○藤田委員長 速記をとめて。〔速記中止〕
#172
○藤田委員長 速記を始めて。小宮武喜君。#173
○小宮委員 私はいままでの質問と角度を変えて、わが国の沿岸漁業の振興の立場から、長崎県対馬の日本漁業専管区域内で不法操業する韓国底びき漁船の取り締まりの強化とその損害補償及び今後の対策について海上保安庁並びに水産庁に質問をいたします。〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
この漁業専管水域は昭和四十年の十二月、日韓漁業協定に基づいて設けられたものでありますが、その漁業協定が結ばれているにもかかわらず、韓国の底びき漁船がこの専管水域内を侵犯して不法操業するという事件がこれまで依然として多発しております。そして幾ら取り締まってもあとを断たないばかりか、最近では昼夜を問わず沿岸三マイルないし五マイルの近くまで接近をして漁場を荒らし回っております。したがって対馬の漁民はあまりにもその悪質な行為に対してもうがまんができぬということで、今月の五日厳原において対馬全島の漁民の総決起大会が開催されております。
そこで海上保安庁に一つ質問をしますが、厳原海上保安部の調べによりましても、この侵犯船の数は、底びき漁船だけでも四十三年の五百四十五隻、四十四年が三百十六隻、四十五年が四百八十五隻、本年も七月末までにすでに百六十隻となっております。しかも実際はこの数字の十数倍に達するであろうということがいわれておりますが、御参考までに漁業協定が締結されてから今日まで、韓国の底びき漁船あるいは小型漁船を含めて、年次別にどれぐらいの侵犯件数があっておるのか、それをまず海上保安庁に質問をいたしたいと思います。
#174
○上原説明員 御説明申し上げます。年次別の韓国漁船の侵犯隻数でございますが、これは海上保安庁の巡視船艇が現場において視認いたしました侵犯漁船の数字で、現地から報告されたものでございます。その数字を御説明申し上げます。
四十年はわずか半月ばかりのことでございますので、あまり申し上げるほどの数字ではございませんが、底びきはゼロでございまして、その他の漁船が七隻となっております。四十一年は底びき百十五隻を含みまして総計百八十五隻、四十二年が底びき九十八隻を含みまして百九十七隻、四十三年が底びき五百四十五隻、これは先生先ほど御指摘のとおりでございますが、これを含みまして七百十一隻、ここが最高でございます。四十四年は底びき三百二十六隻を含みまして四百三十六隻、四十五年は底びき四百八十五隻を含みまして総体で五百三十八隻でございます。なお本四十六年は八月末までの数字でございますが、底びき百九十八隻を含みまして二百十隻となっております。以上はすべて暦年で御説明申し上げました。
以上でございます。
#175
○小宮委員 いまの御答弁にありましたように、大体四十三年、四十四年、四十五年と侵犯件数は一つも減っていないのです。だから以前は昼間だけ侵犯してきていたのが、いまでは夜間も出没しておる。そして対馬の近海を底びきでごっそり魚を持っていくというようなことで、対馬の漁民は非常に困っているわけです。したがって、いま対馬のこの専管水域を警備しておるのは、海上保安部の巡視艇、それから水産庁、それから長崎県の監視船などが六隻でその警備取り締まりに当たっているわけですが、いま言った六隻で実際の取り締まり体制が万全なのかどうかということをまずお聞きしたい。#176
○上原説明員 御説明申し上げます。巡視船艇の配備状況でございますが、昨年までは対馬周辺の専管水域の警備に従事をしておりました船艇は常時一隻という態勢でございましたが、韓国漁船の侵犯問題がだいぶん重大な問題になってまいりましたので、ことしの六月十五日以降さらに一隻巡視船を増強いたしております。なお最近、先ほど先生からお話がございましたように水産資源に対する韓国漁船の侵犯の影響が非常に強い、対馬漁民が非常に不安を抱いておるということを聞きまして、ついせんだって九月十一日でございますが、さらに一隻を増強いたしまして、現在常時三隻をもって警備に担当さしておる次第でございます。水産監視船その他については別に水産庁のほうから御説明いただきたいと思います。
#177
○太田説明員 水産庁のほうは、たしか常時二隻をもちまして韓国の取り締まり船並びに海上保安庁とも連絡をとりながら、主として西側の区域に重点を置きまして巡視を続けておるのでございます。#178
○小宮委員 したがって常時六隻、県の監視船もおりますから、それを含めて常時六隻というのはことしになってからの話ですね。それで、特に私は問題を感じますのは、まあこれまで海上保安庁とか、それから水産庁が韓国漁船を取り締まる場合に、これは私もそうだと思いますが、韓国側とのトラブルを非常におそれるというか、それとも配慮するというのか、そういうような意味からこの侵犯漁船を発見してもこれをやはり警告をしてただ追っ払うというような方針のもとにいままでやってきていたわけなんです。したがって私に言わしめれば、そういうような、ただ警告をして追っ払うというだけではほんとうに効果があっておるのかどうかということについて疑問を持つものです。それでひとつ質問しますが、私の聞くところによれば、同じ警告を受けた漁船がもう多い船になると十何回という船がやはりまた再度侵犯してくるという事実も私は聞いておるのです。そういった意味で、いままで水産庁がとっておるように、海上保安庁がとっておるように、ただ警告をして追っ払うというだけで効果があがっておるのかどうか。またそういうようなことを今後も続ける方針かどうか、まずこれを伺いたい。#179
○太田説明員 実はただいま先生からお話のございましたように、先般対馬の漁民の代表の方がお見えになりまして、取り締まりの強化についての陳情がございました。私どもといたしましては、海上保安庁並びに外務省と相談をいたしまして、外交ルートを通じまして実は韓国側との折衝に当たったわけでございますが、韓国側も事態の重要性にかんがみまして取り締まりの強化等につきまして十分これからは手を尽くすというようなことの返答をいただいておるのでございますが、これらによる結果でもあろうかと思いますが、先般長崎県の担当部長からの連絡によりますと、韓国の取り締まり船あるいは日本の取り締まり船による取り締まりの強化等によりまして、底びき網漁船の違反は全く最近においてはなくなった、こういうことで実は対馬の漁民の方が感謝の意を長崎県庁に言ってきたというようなこともあったわけでございます。なお引き続き今後もこういった警戒態勢を続けまして、自今こういった不祥の事態が起こらぬように、われわれは取り締まりを強化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。#180
○小宮委員 その取り締まりを強化するということは、従来のようにやはり警告をしてただ追っ払うという方針を今後も続けていくということですか。#181
○上原説明員 御説明申し上げます。先生ただいま御指摘のように、従来はまあいわば追っ払い主義と申しますか、現場で退去せしめるという方針でやっておったのでございますが、これでは効果があがらないということで、昨年の十二月からは、巡視船はたとえば領海内操業というような悪質侵犯船を発見いたしました場合には、極力これを現場で接舷を試みまして、操業位置の確認書とか再度不法操業はしないといったような誓約書を徴しまして、これを外交ルートによりまして韓国に対しまして強力にそのつど善処方を申し入れいたしておる次第でございます。
なおそのほか先ほど御説明申し上げましたように、逐次巡視船艇の警備勢力を増強しておる次第でございます。先ほども御説明申し上げましたけれども、本年は八月三十一日までに侵犯漁船の数が二百十隻でございますと申し上げましたが、昨年同期は五百十一隻でございまして、約四〇%に減少しておるわけでございまして、一応の効果はあがっておるのではないかというぐあいにわれわれは判断いたしております。ただいま水産庁長官から御説明がございましたように、水産庁におかれましても、また外務省におかれましても、それぞれこの問題に真剣に取り組んでおられますので、もちろん当庁も密接な連携を保ちながら、当面現在の体制での事態の推移を見ていきたい、そのように考えておる次第でございます。
#182
○小宮委員 それでは先ほど言うた外交ルートによって韓国側に申し入れをしたところ事の重要性にかんがみてやはりいま非常に減ってきたというようなことが、答弁の中にありましたね。そうしますと昭和四十三年からこのようにもう侵犯船が非常に多発しておるという現状からして、水産庁も、それから海上保安庁にしても、外務省にしても、いままで韓国側にそのことを一回も外交ルートを通じて申し入れたことがないのですか。もし申し入れておったとすれば、今回そのように効果が出たというなら、すでに四十三年、四十四年の場合それをやっておったら効果があって減ったんじゃないか。今まで何もしてなかったということなんですね。どうですか。#183
○太田説明員 今回外交ルートを通じて韓国側に申し入れをいたしたということを申し上げたわけでございますが、従来におきましても先ほど保安庁の次長からのお話にもございましたように、取り締まりをいたしまして結果の明らかになりましたものにつきましては、外交ルートを通じまして韓国側に申し入れをいたしておるのでございます。なおそれ以外に日韓会談等の場合を通じまして韓国側に、特にあの地区につきましては日本の底びきも禁止区域にいたしておるわけでございますから、韓国側の違反船につきましては厳重な措置をとってもらいたいというような申し入ればいたしておるのでございます。#184
○小宮委員 それではいままでも外交ルートを通じ、また日韓漁業交渉もあるわけですから、その場にこういうことを申し入れておって、いままで効果はなかったけれども、今回は効果があったということになりますか、そうですか。#185
○太田説明員 今回の申し入れに対しまして、向こうの水産庁も事の重大さを十分認識されましたようでございまして、警備艇をふやすというようなこと、あるいは違反船に対する措置を強化するというような措置を直ちにとっていただいたというふうに聞いております。#186
○小宮委員 そのことはあまり追及いたしませんが、結局いままでも申し入れておったけれどもそのことは韓国側で何ら反応を示さなかった、ということはこちらのほうから向こうに外交ルートを通じて申し入れをする場合に、ほんとうに対馬の八千の漁民の立場からそういうような切実感を訴えていったのか、危機感を持っていったのか、その点は疑問なんですが、そのことはあえて申しません。ただし今回非常に減ってきたと今昔っておられますが、私はこの問題にしてもこれはいつまで続くか。おそらくこれはある時期を経たらまたそういう事態が起きてくるのではなかろうかというふうに感じております。特にこの問題については、長崎では皆さん御承知のように「ペンスク号」の問題もあったのです。あの網を切られたと言って漁船に乗り込んで長崎港まで入り込んできた船もあるわけです。御存じでしょう、水産庁長官も海上保安庁も。そういうような問題を別にしても、対馬の漁民はいまこういった問題が起こるならもう自分で自衛手段を講じようというところまでいっておるのですよ。だから、私は少なくとも、侵犯する船が初犯であれば別ですが、もうすでに十数回も侵犯してくるという船に対しては、やはりこれを拿捕するなり検挙するなり――これは日韓漁業協定の中にも取りきめがあるわけですから、そういった意味では、いま推移を見たいということを言っておりますが、そうではなくて、こういうような悪質な侵犯船に対しては、もし今後このような問題があったならばこれは強硬な措置をとりますと、拿捕するかあるいは検挙するくらいの気持ちで――気持ちではなくて実際やらなければ、私はこの問題はおそらくある時期が来たらまた入ってくると思うのです。いま向こうのほうでは、たとえば三回侵犯したら操業許可を取り消すということを言っておる。韓国側もそういうふうなことをやっておる。やっぱり日本側もそういう点は海上保安庁で調べればわかるわけですから、そういうふうな意味では、今後韓国側に対しても外交ルートを通じても、そういうような問題が起きたらどしどし拿捕するか検挙するくらいの決意でやってもらいたいということを考えておりますが、先ほどの御答弁では推移を見ていきたいというようなことであったが、もっと前向きで、ひとつ強硬な姿勢で取り組んでもらいたいということを要望しておきます。その点についてもし所見があれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。――ないですか。従来の方針を堅持しますか、追っ払い方式を。もういいです。それでは、外務省のほうの北東アジア課長、出席しておられますか。
外交ルートで韓国側に申し入れをし、韓国側のこれに対してとった措置等について、知っておればひとつ御報告願いたい。
#187
○中平説明員 九月十一日に韓国外務部の黄次官補及び金水産庁長に対馬の事情を説明いたしまして、底びき漁業に従事している韓国漁船を排除していただきたいということを申し入れたわけでございます。それに対しまして主管の金水産庁長は、事柄の重大性をすぐ認識いたしまして、直ちに次のような措置をとるということを申しております。その措置は、韓国側の取り締まり船を増強するということが第一点。第二点は、近海漁民代表約二十名を韓国の水産庁に集めまして、水産庁長自身から直接事態を説明して、自制方を強く指示したそうです。第三点は、違反に対する制裁措置を強化するということでございます。韓国の法令によりまして、従来違反を三回以上やった者に対しては、許可取り消し処分を含めまして強硬措置をとるということでございますが、今回からは二回にするということで、この日本側の要請に対する実効を期するということを言っております。以上でございます。
#188
○小宮委員 これは水産庁も外務省も同じようなんですが、たとえば対馬の漁民が総決起大会を開いて、それで陳情に上京してきて皆さん方に訴えたらそういうような措置をとるというようなことでは、何かみんなが東京へ陳情に来てみんなに圧力をかけなければこういうようなことをやらぬということでは、今後の指導のあり方として問題がありはしないか。外務省としても、この問題については今回初めてですか、四十三年、四十四年、四十五年、ずっとこの問題が起きて、この問題についてはもう毎年のように陳情を受けておるわけです。そういうような問題を外務省あたりの外交ルートを通じて向こうに申し入れたら、先ほど言われた三点についてこういうような回答が出てくるわけだ。それをやはりみんなが上京してわんわんやらぬと、声のない声と申しますか、そういうような圧力をかけぬと外務省が動かぬというようなことについては、水産庁にしても問題がありはせぬかというふうに考えますが、今後は水産庁、海上保安庁、外務省もよく連携をとって、もしこういった問題が起きたら、そういうようなときは機を逸せずやはり韓国側に申し入れをして善処を求めるというような手段をとってもらいたいということを要望しておきます。それから対馬周辺は特にアマダイとかタイ、イカ、イッサキ、ブリなどが非常によくとれる。したがって、対馬の漁民はこの漁場でいままで生活をささえてきたわけです。ところが近年このはえなわによるアマダイの水揚げ高が四十一年で十八万五千キロ、四十二年が十四万四千キロ、四十三年、四十四年が十二万二千キロ、四十五年が八万五千キロに急減しております。しかも、ことしは六月までにわずか二万キロです。七月、八月はゼロです。そのほかタイとかイッサキ、ブリなどもこの数年間水揚げはがた減りしておるのです。この原因についてどのように考えておられるのか、これは水産庁長官にお尋ねしたい。
#189
○太田説明員 いま先生がおっしゃいましたように、私のほうも長崎県から報告をいただいておりますが、確かに昭和四十三年度以降アマダイ等の漁獲が減少しております。そしてその間におきまして、いま御指摘のように韓国の底びき船の不法操業というような事実もあったのでございますが、漁獲が減ったということにつきましていろいろ原因が考えられるわけでありまして、現在のところいずれがその主たる原因であるかということにつきましては、まことに残念でございますが、十分なる解明ができていないというのが現状でございます。#190
○小宮委員 それではあまりにも不親切な答弁ですね。このように減ってきたということは、必ずしもそれが韓国漁船の不法操業によるものだということは私も申しません。それは資源も自然に減ってきたでしょう。しかし、その原因の中には、やはり不法操業による問題もその一つではなかろうかというふうに私は判断するのですが、この点だけにしぼって長官のお答えを願いたいと思います。この漁獲が減ってきたということは、韓国底びき漁船の不法操業による問題も原因の一つだと考えられるのかどうか、ちょっとお答え願いたい。#191
○太田説明員 原因にはいろいろあろうかと思いますが、潮流の関係あるいは水温の関係等も関係しているのではないかというふうに考えられます。御指摘の点も、全くそれが影響ないというふうには考えられないというふうに考えております。#192
○小宮委員 まあ影響ないとは考えられないということは、影響もあるということですね。そうしますと、韓国漁船の不法操業によるはえなわ漁業の損失は五億八千万と対馬の漁民たちは言っておるわけです。そうした場合、その責任はどこにありますか。取り締まる側の国のほうにもいま言うように当然責任がありはしないかということを私は考えるのですが、結局そうなると国の責任がある。それは漁獲高が非常に減った、それによって損失をこうむった、それを私は直接補償をしろと言いたいんだけど、しかしそこまでいま言ってもいろいろ問題もあろうし、この補償にかわるべき何らかのものを水産庁としてもやはり私は考えてやるべきじゃないか。先ほど出ました抱卵ニシンの場合も、これは四十億ぐらいの救済金と申しますか、出しているわけですから、そういった意味では、この問題は別にしても、私はこの韓国底びき漁船による損失の問題についても、はえなわ漁業の損失についても、国として何らかの形で補償をすべきだというふうに私は考えるのですが、その意思がありやなしや、ちょっとお聞きします。#193
○太田説明員 たいへん申し上げにくいことでございますが、従来の韓国の底びき船の不法操業につきましての取り締まりという点につきまして、韓国との国際的な関係を考慮しながら行なってきたわけでございまして、これによりますところの漁獲の減というものをどういうふうに測定するかというような困難な問題もあるわけでございまして、いまこれを直ちに補償するかどうかということにつきましての明確なお答えはできがたいわけでございますが、東側の問題、あるいは西側の問題を含めまして、この地域の漁業をどうもっていくかという点につきまして実は検討いたしておるのでございます。現に県のほうにおきましても現地に出向きまして、どういうふうに将来もっていくかというふうな検討をされておるようでございます。いまわれわれが考えておりますのは、東側の点につきましては、先ほど来御指摘のとおり、取り締まりを強化いたしまして、今日の段階におきましては、先ほど申し上げましたように、不法船の操業はないということになっておるようでございますので、これを継続いたしまして、従来もやっておったわけでございますが、さらに大型漁礁の設置等をやっていって、漁場造成をはかっていったらどうかというふうに考えております。
それから西側の関係でございますが、これも今後は韓国側の従来のヨコワ漁業等につきましても自粛をするということも聞いておりますので、これらは他の魚種に転換する方策がありやなしやという点につきまして、現在県が現地に出向きまして調査をされておるようでございますが、それらの結果も十分聴取した上で対処してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#194
○小宮委員 その点については結局、対馬では現在漁船が三千六百隻おるのですが、そのうちイカつり船が約二千八百隻、そのうちヨコワ漁船が約八百隻いるのです。ところが先ほどもすでに長官が答弁したように、ヨコワ漁業も日韓漁業協定によって結局操業制限を受けたわけですね。したがって、そのためにヨコワ漁民がこうむった損失は、これまで大体八億四千二百万と推定されているのです。これはもう確かにそれは日韓漁業協定ができたことによって、昔はまあ拿捕だとかいろいろな問題が起きておりましたが、その点は安全操業ができたともいわれるのですが、こういった問題、ちょうど日ソ漁業交渉によって抱卵ニシンが禁漁になった、それによって国は何らかの救済をした。もちろんこれが昭和四十年ごろ持ち出しておれば、日韓漁業協定によって操業制限を受けたことによってこうむっておる損失ですから、当然何らか水産庁としても考えなければならなかったでありましょうが、すでにもう五年も六年もたってから、いまさらこれを言うのもどうかという感じがいたしますけれども、そういった意味ではこのヨコワ漁民についてもやはり何らかの措置を講じてもらわなければならぬ、非常に彼らは困っておるわけですから。そこでいま言われたように、これは当然国としても責任がある。たとえば東海岸のいまのはえなわによる損失も起きておるし、ヨコワ漁業についての損失もできておる。その問題について、私はいまここで損害金を賠償しろ、補償金を出せということまでは申しかねますけれども、やはりいま言われたように、長崎県が計画しておる東海岸の大型魚漁の問題、こういった問題についてもこの際思い切って、特に水産庁もこれは漁業白書にもはっきりしておるように、従来からのとる漁業から育てる漁業へという方針も打ち出しておる関係もあるし、長崎県が東海岸に計画をしておる大型魚礁についても、この際思い切った財政措置をひとつ講じてもらいたい。また西側のこのヨコワ漁業にしても、それにかわるべき何らかの対策はないものかどうか、それといまいわれている、県でもいろいろ検討もされておるようですから、そういった意味で、水産庁としてもこの対馬の沿岸漁民の人たちの生活を守るために、そういった県が立てて計画を出した場合は、思い切った財政措置をして、それで対馬の漁民が安心して漁業に従事されるように、格段の御配慮を願いたいというふうに考えます。それについて、長官の所見をひとつ聞いておきたいと思います。#195
○太田説明員 先ほども申し上げましたように、現在長崎県の水産関係の課長補佐以下三名が現地に出向きまして、現地の方々と相談をいたしておるようでございます。それによりましておそらく対策が立てられて、その要望が近く私のほうに出てまいると思いますので、その際は十分検討の上、いま御指摘のとおり前向きに対処してまいりたい、かように考えております。#196
○小宮委員 最後にいま一点だけ質問しておきますが、現地の漁民あたりのいろいろの意見を聞いてみますと、ヨコワ漁業が非常に操業制限を受けたということに対して、逆に韓国側のサンマの流し網とか、こういったものとその相互の入り会い海域の設定ができないものかどうかということが、これも日韓漁業協定ができてから数年間の彼らの願いなんです。このことについて、たとえば韓国側と話し合ったことがあるのかどうか、全然不可能なことか、その点もあわせて御答弁を願いたい。#197
○太田説明員 過去におきまして日韓漁業共同委員会が開催されました際に、ただいま御指摘のようにヨコワ漁業と韓国の関係漁業との相互入り会いという問題につきましては、非公式に話し合ったことがあるようでございますが、韓国側の国内事情がございまして、完全な意味におきましては実現を見るに至っていないのでございます。なお今後におきましても機会を見まして、われわれといたしましては韓国側と折衝をしてまいりたい、かように考えております。#198
○小宮委員 これで質問を終わりますけれども、いま申し上げましたように、対島近海に対する県が計画しておる大型魚礁の問題、あるいは西海岸のその他魚種への転換の問題、いろいろそういうような問題についてはひとつ水産庁としても格段の御配慮をお願いしたいということを申し上げまして、私の質問をこれで終わります。#199
○三ツ林委員長代理 芳賀貢君。#200
○芳賀委員 北海道の冷害対策について、当面必要な問題について各担当長官、局長にお尋ねをいたします。まず第一は、農災法に基づく水稲の損害評価が現在進行中でありますが、ことしの作柄実態から見ると、従来農林省が示しておりますところの農作物の共済損害評価要綱、これを基礎にした実測調査要領をもってしては、実態に適応しないというような問題が多々生じておるので、この際担当の経済局長から、これをどういう運営をすれば損害評価あるいは共済の実測収量の把握に役立つかという点について、少し具体的に説明してもらいたいと思います。
#201
○小暮説明員 水稲共済の損害評価につきましては、従来から確立した評価の方法がございます。今回もそれに準拠してやるわけでございますが、ただ、今回の水稲被害の状況から考えまして、低品位米の発生が懸念されます。被害の実情が次第に明らかになりましたら、過去の例にならいまして、低品位米にかかわる損害評価の特例措置を講ずることを考慮いたしたいというふうに考えております。#202
○芳賀委員 いま局長の言ったような程度では現地の共済組合は何にも役に立たないのですよ。どうすれば具体的に、どういう方法を用いれば的確な調査ができるか。それを基礎にして連合会が抜き取り調査をして認定する場合に役立つかということを聞いておるわけです。それじゃ、こちらから少し詳しく聞きますが、実測調査要領によると、連合会の抜き取り調査の場合、抜き取りの刈り取ったもみを脱穀して、乾燥して、もみすりをして、それを縦目ぶるいで選別するということになっておる。その場合、上段からいえば二・二、二・一、二・〇、一・九、一・八、一・七、一・六までの六段階のふるいにかけて、その下に一・六以下の粗玄米が下に落ちるということになっておるわけです。なぜ七段階のふるい選別をしなければならぬかという、この点が現地ではわからぬのです。なぜ七段階でやらなければならぬのかということです。#203
○小暮説明員 技術的な点につきまして担当課長から答弁させたいと思います。#204
○芳賀委員 そのぐらいのことを経済局長がわからなければ何もわからないのと同じじゃないですか。何のために要領で七段ぶるいを必要とするかですね。局長わかるでしょう、そのぐらいのことは。あなたそういう段階を経て局長になったんでしょう。局長になればもう忘れていいというものじゃないでしょう。#205
○川村説明員 お答えします。いまの先生の御質問の七段階でございますが、いろいろ二・二から一・六までございますけれども、一・七以上を収量と見なしているのは、三十四年から農林統計でもそういうかっこうでやっておりますので、それに合わせたかっこうで取り扱いをやっておりますから、これは平年のときにはそれで評価は終わりでございますが、ことしのような低品位米が相当出ます場合には、いま局長がお話ししたように控除選をやって、その上で搗精試験をやって、その歩どまりを減収分に加算する、こういう方法をとっております。これは連合会、組合員によくその点は徹底させております。それで、これは単に初めての経験でございませんで、御案内のとおり冷害がたびたびありまして、農家も組合もすべてそういうことはいまのところ十分承知しているものとわれわれは考えております。
#206
○芳賀委員 それは農災法に基づいて損害評価要綱がある。要綱に基づいて実測調査要領があるということは末端までわかっていますよ。わかっているが一体七段ぶるいを使うのはどういうことかということはいまだにわからないですからね。何のために七段のふるいを使うかということです。いまあなたが言ったとおり、一・七ミリと一・六ミリ以下を区分して、そうして収量の認定をするということは、これはわかるんですよ。しかし、一・七以上、二・二まで六段階上のものがあるわけだから、一体それはどういう意味で七段階のふるい選をやらなければならぬということなんですか。#207
○川村説明員 その点はいろいろ大きさによって見方はあると思いますけれども、農林省としましては、統計も共済もそうでございますが、収量というのは大体通常食用に供されるものという考えから、一・七ミリ以上、それ以上はくず米として取り扱うというかっこうになっております。#208
○芳賀委員 それじゃ一・七ミリ以上は先ほど食糧庁長官からも松沢委員の質問に答えて、食用に供されるもの、それを対象にして、大きな被害発生の年にはその被害地域の、たとえば等外上米であるとか規格外米等を災害対策の一環としていままで実行してきたわけですから、そういう特別買い上げをする場合においても、それはあくまで食用に供されるものというワク内においてということを、長官も言っておるわけですから、これはわれわれわかるわけですけれども、そうなればいま川村さんの言われた一・七ミリ以上というのは、それは今回の特別買い上げ等の対象になる米というふうに判断できるわけですか。一・六ミリのものは、ふるいしたのを別にまた区分されておるわけですから、一・六ミリの分はこれは食用に供されない。だからくず米としてこれを区分して処理するのだということですか。#209
○川村説明員 共済のほうとしましては、先ほど言いましたとおり、農林統計の収量の見方と全く同一の基準によっておりますけれども、一・七ミリ以上になりましても、これは食糧検査事務所の検査を受けまして、買い入れ対象にならぬ場合は、その中にことしのように、北海道の冷害でございますと、砕粒であるとかあるいは青未熟とか、場合によると腐敗粒等が混在する場合があります。それを控除して、また食糧検査事務所に見ていただいて、買い上げ対象にならぬということになれば、それを搗精試験にかけまして、その年の政府買い入れ対象の最低品位の搗精歩合に比較してその減り分を減収として見る。ですから一・七ミリ以上であってもことしのような場合は、相当程度減収として見るということに相なるわけでございます。#210
○芳賀委員 それでは具体的な問題についてお尋ねしておきますが、農林委員会の第一班、藤田委員長を団長とした調査団が十四日の日、北海道の米地帯の空知支庁管内、上川支庁管内に入りまして、その際士別市にまいりまして、士別市の下士別という部落で被害状況を調査したわけです。この部落の村上秀雄君という農家の圃場を見ました際に、士別市の共済組合においては、事前にわれわれが調査に入るということを承知しておりまして、その二日前の九月十二日に刈り取りをして、乾燥をして所定の手続きを経てサンプルをつくっておきまして、それを調査団が持ち帰ったわけです。品種名は「しおかり」、一番対冷性の強い、品種も上質ということになっておるのですが、これによると、いま私が言ったような各段のふるい別けをしたサンプルですが、残念ながら二・二のふるいにとまるのは全然ないんです。それで全体を一〇〇にして区分しますと、二・一ミリ以上のものが〇・六%ですね。それから二ミリ以上のものが三・一%、一・九ミリ以上のものが一・九%、一・八ミリ以上のものが三・二%、大体食糧事務所で検査を受ける場合には、ふるい選別をした場合に一・八ミリ以上のものでなければ検査等級に入らぬということになるわけですね。ですから、共済組合においても検査等級に入り得るものがこれは政府米として売れるものである、一・七ミリ等の場合には、これは災害対策として特別買い上げを行なう場合には対象になるとしても、通常の被害調査の場合には一・八ミリ以上しか買い入れ対象にならぬというような従来の経緯に基づいて一・八以上を計算いたしますと、それは全体の八・八%しかないのです。全部の粗玄米量の一〇%ないのです、八・八%。したがって、残りは一・七ミリが一二・二%、一・六ミリ以上が一六・六%、一・六のふるい下が六二・四%ということになっておるわけです。そうすると、買い上げにならない米の割合というものは九一・二%ということになるわけですね。だから問題は、一・七ミリ以上を入れた場合、一二・二%という大きな比率を持っているわけなんですね、これが買い入れ対象にならぬということになれば、損害評価上これは重大問題ということになるわけです。ですが、ことしは全くこの方式でいけば、要領の中に何が書いてあるということは共済組合も評価員もみんなわかっていますけれども、そのとおりやれば実態に合わぬじゃないかというような問題が生じておるので、これをいま――被害農家はもう全域にわたって一筆ごと七分作以上というのはほとんどないわけですから、全筆について野帳を提出しておるわけですから、これから月末にかけて組合の被害調査、連合会の認定が始まるわけですから、きょうの機会を逸すると、当委員会は来月四日に開くということになっておるが、それではおそ過ぎるということになるのでして、こういう特殊の被害の年には、たとえば一・七以上を収量とみなすということであっても、ことしの場合には実態に合わして一・八以上をいわゆる実測反収と認めるか、何らかの措置を講じないとサンプルの搗精、歩どまりだけで、最後に農林省において収量修正をしただけではなかなか調整がつかぬじゃないかと思うのですが、その点は業務課長としてどう考えておりますか。#211
○川村説明員 いま先生二・一ミリからずっとパーセンテージをおっしゃいましたけれども、特に一・七ミリ以上のクラスでは、一・七ミリそのものが比重が非常に多い。したがって、今回は特別の措置、たとえば一・八ミリというところで切らないと被害が実態を表現したかっこうでできないんじゃなかろうかというお話でございますが、従来もこういうかっこうでやってほとんど問題がなかったということが一つでございますし、これを急に変えるとしますと、いままで収量をそういう見方で減収を見てまいりましたから、共済金の支払いもそういうことで支払ってきた。保険でございますから当然料率という問題がございます。その料率の前提には被害率がありますが、被害率もそういうかっこうでみんなできているわけです。したがいまして、これを変えるとなると、これはそういう基礎から全部変えなければならぬという問題が生じますので、ことしさっそくこれを変えるということは、全体に及ぼす影響が非常に大きいというかっこうじゃなかろうか。それから一・七ミリ以上の比重が非常に多いというお話でございますが、先ほど言いましたとおり、品質低下の面で搗精試験までやりますれば、相当程度これは減収というかっこうになって、農家が考えている減収に近いものが最終的にきまる。先ほど言いましたとおり、農家自体の申告も、たびたび冷害を受けておりますので、ことしはそういう青未熟とか砕粒とか出る可能性があるということを含めまして申告が出ているものと考えますので、あまり先生の御心配になるような事態には結果としてならぬじゃなかろうかというふうに考えます。#212
○芳賀委員 そこで、中沢統計調査部長にお尋ねしますが、八月十五日に予想収穫高が出たわけですが、今度は九月十五日現在というのは相当的確な調査結果が、これは作柄調査の上においても出てくると思うのですよ。ただそれとあわして、やはり北海道の冷害による減収の数量というものが出てくると思うのですが、収穫量をきめる場合に、統計調査部もやはり共済と同じ一・七ミリ以上ということでやるわけですか。#213
○中沢説明員 お答え申し上げますが、統計調査部におきましても、一・七ミリ以上を玄米として選定する基準として採用しておりますので、それ以上のものを収穫量として計算しておりますが、ただ一・七ミリ以下でありましても、政府買い入れされたものの数量、これも計算いたしまして、そういう場合にはそれに該当するものも数量として統計上処理してきておりますし、今後もそうしたい、こういうように考えておるわけであります。#214
○芳賀委員 それでは食糧庁長官に聞きますが、統計調査部においても経済局においても、一・七ミリのふるい上のものは、これは十分食糧として適格であるということで収量認定をやっておるわけですから、この分までは当然もう理屈なしに食糧として買い上げ対象になるというふうに見て差しつかえないわけですね。#215
○亀長説明員 食糧庁といたしましては、御承知のように等外米、等外以下のものを買うというのは特例でございまして、現在どの段階まで買うかまだ決定をいたしておりません。先ほどその点はお答えをいたしたとおりであります。ただ過去の四十四年の例等も勘案をいたしまして、今後どの程度まで買うかということを決定いたしたいという考えでございますので、現在の段階でははっきりどの程度までということを申し上げかねるということも先般お答えしたとおりでございます。一・七ミリのふるいのものを食糧庁が買うものと同様になるかどうかについてもまだ現在のところ決定をいたしておりませんので、その点につきましては今後過去の例も見ながら検討してまいりたいと思います。
#216
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。同じ農林省の中で農済を担当する経済局においては一・七ミリ、ふるい上のものは災害のときであってもこれは食糧としての玄米であるという、そういう収量の認定をするわけですからね。統計調査部でどれだけとれましたということも、これは一・七ミリ以上ということになれば、国民の食糧になる玄米がこれだけことしは収穫できるということになるじゃないですか。それを食糧庁が買うか買わぬかはわからぬなんというのは、これはおかしいですよ。#217
○亀長説明員 私が申すまでもなく、食糧庁は、統計調査部なりで米として生産された数量のすべてを買うというたてまえではございません。五等以下のものは例外的に買うことがあり得るということでありますから、いわゆる統計上米とされているものを全部買うというたてまえではございません。例外的に災害等の場合にどの程度買うかということはこれから検討する問題である、かように申し上げておるわけでございます。#218
○芳賀委員 いいですか、いまの共済制度は、まず三割足切りをやるわけですからね、損害額の全量に対する補償ではないのですよ。基準引き受け反収からまず三割足切りをして、そうして被害計算をすることになっておる。それじゃ足切りをやったあとの被害数量全体に対して当該年の米価に相当する共済金を補償しているかというと、そうじゃないのですよ。これは政府米価に対して大体九〇%ということになっておるわけですから。そうでしょう。そうなれば、これは一〇〇%価格補償ができないとしても、とにかく一・七ミリ以上の分については現行米価の九〇%以上は補償されなければならぬということになるのですよ。だからその場合、一・七ミリ以下のものは全部検査等級に入らないということになれば、その入らない割合というものは全体の何十%か何%かという判断をしなければならぬでしょう。そうして規格外とかあるいは等外という場合であっても、この共済制度全体のたてまえからいうと、やはり価格面においてもそれはもう食糧庁は関知しない、一俵千円か千五百円で売れるところに売れというようなことではこれは済まないのですよ。最低の場合でも九〇%の金額面の補償をしなければならぬということになっておるわけですから、米は要らぬから買わぬというようなわけにはいかないでしょう、共済との関係からいけば。だから、明らかに買わないのであれば、買わない部分というものは収量とみなさない、くず米に落とすということにしなければ、生産者だけが一方的な犠牲を受けるということになるわけですよ。これはどちらでもいいですよ。食糧庁が買わない分についてはくず米に落として、それは減収のほうへ入れればいいわけですからして、どっちになるかわからぬというのは、これは全く無責任な話じゃないか。#219
○小暮説明員 先ほど担当の課長からも御説明いたしましたときに触れましたけれども、政府買い入れ対象外になるものが多量に発生する場合、ことしはたぶんそういうことになるんじゃないかということをおそれているわけですけれども、先ほどのふるいの大きさの問題は別にしまして、統計上この限界からこちらが米であるというふうに判定いたしました場合でも、大量のものが政府買い入れ対象外になるような場合には、損害評価の特例といたしまして、そのものを特にまた精白した場合の歩どまりを調べまして、その歩どまりの低下分に相当する量を減収として加算するということを損害評価の際にいたしたいというふうに考えております。#220
○芳賀委員 それは先ほど川村業務課長が言ったとおりいままでもやっておるのですよ。やってはおるが、そういろ調整だけではことしは足りないんではないかということを言っておるわけです。たとえば四十一年の場合は、北海道の冷害の総被害額が六百八億円というふうに農林省は公表しておるわけです。その場合、北海道平均としては、農林省の搗精歩どまりの修正係数は大体九四%ということになった。これは北海道の中の地域によって違うわけですよ。たとえば、いま士別市を指摘しましたが、上川管内は修正係数九一%、それから一番修正の少なかった北見・十勝管内は九六%ということになっておるわけです。ですから、過去においても大体テン%程度搗精歩どまりによる修正をやったという経過はありますけれども、こういうことを確実にやるということであれば、何も七段ぶるいを使う必要はないと思うんですよ。二段でいいじゃないですか。一段でもいいですよ。一・七ミリ以上とそれから下へ落ちるもの、玄米粒とくず米にこれは区分すればいいわけですから、わざわざ七段ぶるいなんかを小さいモーターで何十分か回してこういうふうに区分してみても何にもならぬじゃないですか。一・七ミリ以上でなければ検査等級に入らないということがわかっても、いや、一・七ミリ以上は食糧に十分なる玄米だからしてこれも収穫とみなすということで経済局は押しつけるわけですから、そうなれば一・八ミリ以上ということにするか、この搗精歩どまりの修正係数というものを、もう積極的に一・七ミリ以上の数量が結果的には買い上げ対象になったという限界まで修正を行なうか、いずれかにしてもらわぬと、ことしの場合正確な損害評価というのはできないと思うんですよ。#221
○川村説明員 いま先生が後段でおっしゃったとおりの結果になっていはしまいかと思うのです。一・七ミリ縦目ぶるいでやりますね。一・七ミリ以上のものを収量と一応みなすのでございますが、それを食糧事務所で見てもらって、買い上げ対象にならぬ、そうすると、買い上げ対象にならぬ原因は、先ほど言いましたとおり砕粒であるとか青未熟とかあるいは腐敗粒が入っているからでございますから、それを除いてまた食糧事務所に見てもらって、これでどうか、それでも買い上げ対象にならぬという場合には、搗精試験をして、当該年度の政府の買い入れ最低等級がたとえば五等だという場合は、五等の搗精歩合いと比較して減収に見るというかっこうでやっておりますから、結果としては先生がおっしゃったとおりのかっこうになる。単に一・七ミリで上が全部収量だ、下は全部くず米――くず米というのは被害粒ですね。ですから一・七ミリの相当大半が減収になる。そのめどはやはり政府買い上げ対象になるかならぬかというかっこうでやるわけでございますから、どうもその方法をとれば先生のおっしゃるようなお答えになるのじゃなかろうか、こういうふうに考えますが……。#222
○芳賀委員 わかりました。それでは、これは川村課長は自分で言ったんだからわかっておられるが、経済局長、いまあなたのところの業務課長が言ったとおり、一・七ミリ以上のものを収量とみなすが、それを食糧事務所で搗精して、そうして修正すべき数値が出たらそれによって修正をする、その結果というものは政府買い上げ対象の数量と合致するようになるはずだというわけですが、それは局長わかったわけですか。私はそれでいいと思うんですよ。そういう方法で的確にやるのであれば、局長もそうするというならこれは問題は片づくわけですから……。#223
○小暮説明員 従来から異常被害の場合にとっております損害評価の特例について、担当課長からるる御説明いたしたわけでございます。この特例に即してやりますならば、精白した場合の歩どまりの低下分、これに相当する量を減収として加算することができるということを申し上げておるのでございます。#224
○芳賀委員 そういうふうに的確にやれば、これは一・七ミリ以上は結果的に全部等級五等であれば、五等米までには入ってしまうわけですから、あとはこれは被害ということになるわけですね。しかし大災害の場合だから、当然これは特別買い上げというものはあるわけですから、たとえば等外甲であるとか、規格外米であるとかいうものは。それは結局一・六ミリのふるいが一つあって、ここにも出ているわけですが、一六・六%じゃ、これは特別買い上げの規格が設定されれば、それに当てはまる分が一・六ミリの中にあれば、これは当然買い上げ対象になるように特別の規格を設けるということになるわけですね、そうでしょう、長官、一・七ミリじゃ、もう心配ないわけだから。#225
○亀長説明員 私のほうで従来全部できておりまして、特別の規格をつくる考えはございませんが、この規格のものまでは買うというふうに決定をすれば、その規格まではもちろん買います。いろいろ先ほどからお話ございましたが、低品位米につきましては自由流通の道が開かれておりますので、その点は共済のほうの評価の問題といろいろ御関連があるかと思いますが、私どもとして、たとえば青未熟混入米まで買うということであれば、すでにその規格は前からできておりますので、それに該当するものは買い入れる、かようなことに相なろうかと思います。#226
○芳賀委員 いや、それでいいんですよ。従来ある等外あるいは規格外の数種の規格がありますね。これは災害対策として、従来どおり今回の場合にも買い上げ対象の規格にするということを、これは食糧庁長官が告示してくれればいいわけだから、そうでしょう。これ、やらぬと言ったって、やらなければならないことになっているわけですからね。それ以外のものはこれはやむを得ないですよ。農協とかに集荷して、できるだけ有利にくず米を売るとか、あるいは食糧庁にあっせんしてもらって、たたかれぬように処分するということに当然なるわけですから、それでは、この問題はこの程度にしておきますが、これは川村さん、やはり責任のあるあなたあたりが北海道に適当な時期にみずから出向いて、いま言ったようなことは、やはり現地で説明、というより、指導をしてもらったほうがいいと思うんですね。これはもう北海道の各町村の共済組合というのはなかなか頭を痛めておる点ですからして、できれば課長みずから出馬して、ことしはこういうふうに間違いなくやってくれ、心配ないよということで、ひとつ親切な指導をしてもらいたいと思いますが、どうですか。#227
○川村説明員 いま先生が前段のほうでおっしゃった点なんでございますが、当該年度の政府買い入れが等外甲にやった場合には、その搗精を一つの基準にして搗精歩合いの減りを見ます。五等であった場合は、五等最低の搗精歩合いとの比較において減る分を減収に見る。食糧庁のほうでいま言いましたとおり、等外甲を買うということになれば、それの搗精歩合いとの比較になりますから、いつも食糧庁の買い入れ最低等級というものと合わせて搗精試験をやるというふうに御了解願いたいと思います。後段のお話は、おっしゃるとおりでございますが、目下前段のほうでもお話がありましたとおり、早冷、降霜等の被害でさらに更新するおそれもありますので、それが大体めどがついた段階において、局長の御指示をいただいて現地に指導、その他視察に参りたいと思います。
#228
○芳賀委員 規格外とか等外米の買い入れの決定は、いつも十二月ごろしかやらぬでしょう。そうすると、十二月までこれは放任しておくということですか。#229
○川村説明員 お答えします。これも、冷害はたびたび経験しておりますので、その準備を全部やらしておりますので、十二月になって食糧庁の告示があり次第、直ちにその事務的な取り扱いをすれば、十分年内支払い等には支障がない。いままでもそういうかっこうで処理してまいりました。
#230
○芳賀委員 次に金融問題です。これは経済局長の所管ですが、天災融資法の普通被害農家、それから特別被害農家と、これによって資金の貸し出し量あるいは金利、据え置き年限、償還年限、みんな違うわけですが、政令できめる限度以外は全部法律事項になっておるわけですが、今回の場合、当然激甚災の発動というのは、天災法と同時的にこれは告示されることになるが、天災融資法の内容について農林省として次期臨時国会にこういう点は改正しなければならぬというような点があれば示してもらいたい。あわせて、自創法による災害の自創資金ですね、これは維持資金ということで、こういう資金を出してやらなければ農地の窮迫販売とかあるいは離農現象が激化するということで、それを防止するために維持資金を政令で最高限度をきめることができるということになっておるわけでして、私の記憶ではいままでの災害の中で最高が八十万であったと思うのですよ。ですから、こういう点についてもこれは法律改正を要しないで災害用の自創資金については政令で最高限度の引き上げをやる。たとえば百万円以上にするならするとか、そういう点はどう考えていますか。
それから、災害が生じた場合には各種の制度資金等については、当然これは延納措置を講ずるということになっておるわけですが、この場合、近代化資金の延納措置というものについては農林省として一体どう考えておるか。それらをあわせて説明してもらいたいと思います。
#231
○小暮説明員 自作農資金については、後ほど農地局長からお答えいただきます。天災融資法の関係につきましては、過去長い経過の中でさまざまな議論を積み重ねてまいりまして、貸し付け利率あるいは償還年限といったような制度の骨組みにつきましては特に間然するところがないというふうに考えております。ただ貸し付け限度の問題につきましては、これは何と申しましても、基本的な考え方が、災害によって当該年の収入が減少いたしました場合に、このために翌期の再生産に必要な経営費が不足する、それが貯蓄や他の収入によってはカバーできないという場合に、その一定部分を低利融資によって援助しようというのが制度の趣旨でございます。したがいまして、貸し付け限度額の現在の仕組み、具体的には、北海道の場合でいいますと、いわゆる激甚指定ということが行なわれますれば、一般農家で四十万、それから家畜等のいわゆる政令指定のものでは六十万というのがございます。この限度で適当であるかどうかというような点につきましては、なお被害の実態、その後の経営費の動向等を見て慎重に調査検討いたしたいというように考えております。
それから農業近代化資金でございますが、農業近代化資金につきまして被害農業者の償還が困難であるというような状況がございました場合、御承知のように、通常近代化資金制度で貸し出します場合に、制度的に限度ということで法定されております期間を若干下回るような形で貸されておるのが実情でございます。これらのものにつきまして、冷害等の災害によって償還に支障があるという場合には、法定限度いっぱいまでは延長しても、国の利子補給は当然これに付随して行なわれるというふうになっております。
#232
○三ツ林委員長代理 質問者に申し上げますが、約束の時間を超過しておりますので、結論を急いでください。#233
○芳賀委員 大事な点ですので、きょう聞いておかないと間に合わない。そこで、経済局長、もう少し具体的に答弁してもらわぬと、委員長が幾ら気をもんでもあいまいで質問を終わるわけにいかぬですからね。たとえば、天災資金にしても激甚指定を受けた場合には、金利については三分、償還年限六年以内。天災資金は据え置き期間というものはないことになっている。この場合、内地二十五万円、北海道が四十万円、政令資金として定めた場合には六十万円ということになっておるわけです。そのほか乳牛飼育農家は五万円加算、農耕の牛馬は加算が三万円。それから、累年災害、たとえば四十四年とか四十一年に激甚指定等を受けて天災資金を借り入れしている場合にはまだ償還が続いているわけですから、そういう場合には五万円の上上げをする、そういうことになっておるが、これは経営資金ですから、来年の再生産ができるということを限度にして貸すわけですから、この場合にはあくまで最高必要額というものを十分掌握してきめないといかないと思うのですよ。もう肥料から種子代から雇用労力賃から全部入るわけですからね、一年間の再生産のための経営資金ということになるのだから。これを政令資金で引き上げるということであれば、これは法律改正をする必要がないわけですから、これを弾力的に運営するのか、法律の改正が必要である場合には国会に出してもらわなければならぬし、政府がやらなければわれわれが国会で改正するわけですからね。それから近代化資金についても、原資は天災資金と同じように農協の資金を使っているわけですからね。それに対して政府が一定率の利子補給をやるということにすぎないわけですから、だから延納措置を講ずるということになれば、つまり利子補給の期間を農林省のほうで延長するということを決定すれば、金は農協が自分の金を使っているわけですから、そういう点に対してもう少し、そのものずばりとまであなたはできないが、大体答弁を聞けば、なるほどそうかなとわかる程度のことをこの際言っておいてもらいたい。
それから自作農維持資金の点については農地局長から答えてもらいたい。
#234
○小暮説明員 農業近代化資金につきましては、先ほども申し上げましたように、法定の範囲内であれば、当初の貸し付けの年限を越えましても、利子補給を必要に応じて延長するという考え方でございます。それから天災融資法の貸し付け条件につきましては、先ほど申しましたように経営費の状況等十分判断いたしまして、今回特段の措置をとる必要があるかどうかということについて十分判断いたしたいというふうに考えております。
#235
○三善説明員 自作農維持資金の限度額の引き上げの問題につきましては、これは先ほど先生がおっしゃいましたとおり、昨年の台風でたしか台風の被害者八十万になっております。今回これを引き上げるかどうかにつきましては、災害の実態やらあるいは資金需要がどの程度あるか、またどの程度貸せばいいか、そういった問題も考慮いたしまして考えたいと思っています。それで自作農維持資金につきましては、限度額の引き上げの問題は公庫の業務方法書で処理できることになっておりますから、政令改正その他は必要でございません。#236
○芳賀委員 委員長はだいぶ気をもんでいるようですから、あと大事な点だけを一括して問題を指摘して、答弁してもらいたいと思います。まず食糧庁長官につきましては、ことしは、午前中に調査報告がありましたとおり、網走支庁管内においては農林省の作況指数が平年に対する二ですからね。二十ではなくてただの二だから、これは皆無と同様なわけです。こういうところは水田専業農家であっても飯米を確保することが全然できないわけです。もう当然、来月あたりになれば政府として激甚被害を受けた農家に対する飯米の供給というものはやってもらわなければならぬわけですが、従来の例から見ると、この場合必要量に対して延納払い下げの措置でやるのか、あるいはまた古米を、各農協みんな大量に倉庫に完全保管しているわけですから、古々米になればこれはもう食糧に供するわけにいきませんが、古米の中で特に上位等級のもので完全に保管されて食糧として何ら遜色がないというようなものについては――もうことしの春の国会で食管特別会計法の改正をして、古米以上については六百万トンを四年間国が損失を一般会計から補てんして、そして処分するということになっているわけです。およそこれはトン当たり二万二、三千円ということになっているわけですから、こういうような方法もあるということを考慮に入れて、全く飯米が確保できないという気の毒な米づくり農家等に対しては、善意な方法で心配のない飯米の延納払い下げをやるか、この点を明らかにしておいてもらいたいと思います。
それから概算金についても、出荷ができないのだから返還できないということになると思いますが、これは従来集荷業者である農協が食糧庁に対しては代位弁済をするということになっておるんで、ことしの場合もこの代位弁済方式でやるのかどうか、その点についても明確にしておいてもらいたいと思います。
それからこれは畜産局長の所管ですが、家畜飼料についても牧草の収量の激減等の現象が各地に生じておるわけですから、越冬用の家畜飼料というものは相当量必要なことになるわけです。そこで、畜産局長もいろいろ配慮されていると思いますが、一番先にやってもらいたいことは、政府手持ちあるいは政府管理の飼料等を重点的に被害畜産農家に対して供給するようにしてもらいたい。もちろん、これは延納方式ということになるわけですが。それから現地の要望としては、北海道の八工場で生産されるビートパルプですね、これらについても災害対策の一環として、これを関係の糖業会社に指示をして積極的な安価な供給をしてもらうことが必要でないかというふうに考えられるので、この点を明確にしてもらいたいと思います。
それから最後に、結局期待した収穫がゼロにひとしい状態になったわけですから、何もかも政府の資金を借りてまかなうということは、これは固定負債をまた累増させることになるので、できるだけ生産者が地元を中心として働く機会をつくって、それによって一定の現金収入というものが確保されるようにすることが、これは一番大事なことであります。
ところが、先般、うちの成田委員長が北海道の調査に入る前に、農林省から北海道の冷害対策の実情を聞いた場合、農林省のほうで、いや救農事業といっても、いま北海道農村にはもう労力がありません。そういうものを心配して救農工事をやるとしても、地元の労働力というものはもう冬季間はいないのだからして、そういうことはやる必要がないというような意味の説明をうちの成田委員長にどなたかがしたというふうに聞いておるわけです。これは全くの誤りだと思うのですよ。だから、この際農林省として積極的に救農事業を興すということであれば、一体どういうような種類の事業を選定して、しかも、それを地元市町村あるいは農協に大幅に委任するような形で救農事業を興して計画に基づいてやってもらう。大事なことは、それでは一日働いた場合にどのぐらいの賃金が保障されるかということになれば、当然私は一日三千円程度の賃金が確保できるような、そういう計算の救農事業をやる必要があると思うのですよ。これはここで広範な事業の方法とか運営を議論する考えはありませんが、今度の臨時国会には相当大幅な補正予算というものを計上するということになるわけですからして、ドル・ショックの問題もあると思いますが、いまだかつてなかったような国内の農業の災害に対してはいわゆる十二分に必要な予算というものは確保して、そうして臨時的な支出を行なって完全な救農事業等を、しかも将来に効果がある、経済効果が残り縛るような事業というものを選定してやる必要があるのじゃないかと思うわけですよ。こういう点についてすでに検討されて方針がきまっておれば、これは官房長からでもいいですからして、内容について明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
以上について、各担当局長及び長官から答弁を願います。
#237
○亀長説明員 御質問の中の食糧庁関係につきましてお答えを申し上げます。飯米の不足する被害農家に対しましては、一般の消費者の場合と同様に、不足分につきまして政府米を配給することにいたしております。また、被害の状況によりまして、知事から申請があれば、従来の例にもございましたように、飯用米を知事に直接卸価格で売り渡す。そこで、その代金については、代金の無利子延納という先例もございますので、そういう点につきましても今後大蔵省と協議を進めてまいりたいと考えております。
なお、古米というお話がございましたが、四十五年産米につきましては、これは一般配給に回す予定でございますので、四十四年産米で中でいいものというものにつきましては、私どもも何らかの措置を御希望があれば考えてもいいのではないかと私考えております。ただ、えさ用に回しておりますのは四十二年、四十三年でございますし、また制度のたてまえといたしまして、えさ用というのは、やはり破砕をしてえさだということでああいう安い値段にしておりますので、主食用ということになりますと、おのずからやはり主食用としての限界があろう、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、困っておられる農家の方々にはできるだけの措置をいたしたいと考えております。
それから予約概算金のお話がありましたが、予約概算金を返納期日までに返納できないというような生産者がございました場合には、私どもとして指定集荷業者に代位弁済を命ずる、かような考えでございます。
以上であります。
#238
○増田説明員 午前中も御説明申し上げましたとおり、現在飼料作物の被害状況あるいは越冬飼料としてどれくらいの数量が必要であるかということにつきましては、九月十五日現在で道庁において調査中、おそらく今月中に調査結果がまとまることと思っております。その結果を待ちまして、過去の先例も勘案しながら、関係方面と早急に交渉に入り、越冬飼料の対策を考えたい。その際当然地元の希望に応じまして、どういう政府操作飼料を払い下げるか、払い下げの条件はどうするか、あるいは必要に応じてビートパルプ等の粗飼料をどのように確保するかというようなこともその中で検討していく考えでございます。#239
○三善説明員 救農土木事業の件でございますが、実はこれにつきまして、先週の土曜でございましたか、北海道の副知事が見えまして、一体どういう事業をやったらいいだろうかというような御相談もありましたし、また北海道のほうでも、現実に道単独としてどういう事業ができるか、そういう点をいろいろ市町村長なんかを通じていま調査をしているということでございました。この救農土木と申しますのは、主として農地局の土地基盤整備の土地改良事業等がそれに該当するかと思いますけれども、特に北海道におきましては冬場は凍結しておりますし、それから積雪等で実は土地改良事業は現実にはあまり冬場はやっていないというのが現状でございます。ただどういう種類の工事がやれるかということを私ども農地局内部でも検討さしておりますが、客土とかそういった種類の事業はやれるのじゃなかろうかということをいろいろ研究をいたしております。具体的には、北海道庁でいろいろ調査をし、その要望を受けて具体的に北海道庁と相談をしながらやっていきたいと思っております。#240
○中野説明員 いま農地局から申し上げたとおりでございますが、成田委員長さんに対しまして、そういう救農土木事業は必要ないということを農林省で申し上げたことは私はないと思います。われわれのところにもだいぶ陳情が見えますが、末端の村長さん、農協長さんその他農家の方々に、われわれもずいぶん、救農土木は何がいいかと聞いてみているわけです。ところがその場合に言われることは、たとえ半作であっても、かなり規模も大きくなっておるから、それのあと始末等があってなかなか出にくいということを一つ言われます。それからもう一つは、いまの土地改良事業も大部分が機械力になっているものですから、さてどういう事業があるかということになりますと、ただいま農地局長が申し上げましたように、いま道庁とよく相談をしまして、必要な事業があればそれは当然補正予算等にも組みましてやるべきだと私も考えておりますけれども、ただいま申し上げますように、調査をやりました上で何をやるかということをきめていきたいと思っております。#241
○芳賀委員 それでは、この救農事業の問題については、次回の委員会までもう少し問題を検討して、いま農地局長の言ったような程度ではこれは十分な救農工事にならぬと思いますから、建設省、北海道はまあ開発庁ですが、それぞれの公共事業あるいは非公共等についても、もう少し幅の広い検討を農林省として、関係各省とも相談をして、次回の委員会までにもう少し実のある内容というものを当委員会に説明してもらいたいと思います。以上で、当面必要な問題について一通り質問を終わったわけですが、確認の意味で申しますが、負債整理の問題にしても、これは当然立法化が必要になるわけでして、これは短時間にどうしますということは、農林省としても言えないと思いますが、これはどうしても避けて通ることのできない問題ということになるので、従来と違って、積極的に、開拓の負債整理は大体終了段階に入ったわけですから、今度はその既存の農家の累積赤字というものを一体制度的にどうするかということについて、積極的な検討を速急に進めてもらいたいと思います。その方針がまとまった時点で、また具体的な内容を論議したいと思います。
それからもう一つ、北海道の各地で最も心配しておりますのは、冷害と来年からの減反政策を、おそらくいまの政府はこれを混同して、追い打ちをかけるように減反政策というものをこの大災害に便乗して押しつけてくるのではないかというような不安が非常に多いのです。私どもは、そういうことはいかなる政府であってもない。たとえ自民党政府であっても、佐藤内閣であっても、そういう非人道的なことを、国民の弱味につけ込んで減反政策を強行するなんということは、これはないと思います。しかし、油断はならぬから、この際、災害とたとえば減反政策、そういうものは全く別である、次元が違うということについて、これは農林大臣もそう考えておると思いますが、幸い、各長官、局長、みんなおられるので、この点を北海道の被害農民に対して明確にしてもらいたいと思うのです。災害対策というものは国の責任で十分講ずる、今後の減反政策等については、これはまた次元が異なるわけだからして、そういう点に対しては心配要りませんなら要りませんというようなことを、この機会に、これは官房長でもいいですから、明らかにしてもらいたい。
#242
○中野説明員 ただいまのお話の、二点あったかと思いますが、一つは負債整理の問題、これは、先ほど経済局長が御答弁しておりましたけれども、過去何回かの冷害を契機に負債整理をやっております。そういう経験もございますので、よく応急対策をやりましたあと、いろいろ固定負債の問題が出てまいりますので、それを詰めました上で、必要な対策をとるべきではないかとわれわれ考えております。それから冷害があったのと減反とをからめるのではないかというお話でございますが、われわれはそういうことを一度も申したことはございません。何かわれわれのほうが言ったようなお話でありますけれども、そういうことは決してございません。減反につきましては、既定方針どおり基本的には五カ年間御承知のような方向で進めていく。その場合の減反の――減反と言いましょうか、減産の目標につきましては、ことしは御承知のように三分の一、三分の一、三分の一でやってきたわけでございます。来年も基本的にはそういう考え方で、若干修正を要するか、これから検討問題であるといたしましても、北海道の冷害を織り込んで、それを減反の目標にするということはないつもりでございます。
#243
○三ツ林委員長代理 津川武一君。#244
○津川委員 ドルの危機や自由化の問題はあらためて農林大臣に質問するといたしまして、北海道の冷害の緊急対策に対して芳賀委員に続いて質問してみます。いま何よりも必要なのは、生活必需物資を手に入れること、現金を手に入れること、この二つでございます。私も北見からずっと行って見ましたが、痛切なものがございます。特に北見付近は、米以外にほとんどつくっていない。そこで食糧庁長官が、必要であるならば、北海道知事に米を売り渡す、その条件に対して大蔵省とも相談すると言っていますが、これはことしもらって、来年みんな請求されるのではとてもかなわない。そこでこれは延納が必要と思うのですが、農民の場合どのくらい延納ができるか。そういう形で大蔵省に交渉するのか。この際利子があったら、これまたたいへんなんで、延納と利子、二つの条件を満たすように大蔵省と交渉するのか、答えていただきます。
#245
○亀長説明員 何年だかよく記憶をいたさないのでございますが、前回の災害のときに、無利子、一年延納という先例もあるようでございますから、今回の特に災害の実情から考えますれば、私としてはさような方針で大蔵省と交渉をいたしたいと考えます。#246
○津川委員 一年延納と言わないで、五年、六年、そうでないと、来年集中的に、再来年の資金の返済が迫りますので、この点は答弁は要らないので、考えていただけばよろしいかと思います。第二番目は、共済金のあれですが、大きな収入源になっているのが共済金、ところが共済組合の掛け金、給付金が、はなはだしい損害では掛けている人たちに渡らなければならないのですが、農協の実態からいうと、いままでの元金、利息のために取られてしまって農民の手に渡らない、これが実情なので、農民の手に渡るように実際どういう指導をするか、これをひとつ確立していただくことが一つ。
第二番目にはすみやかに払う必要があると思うのですが、いつごろ農民の手に届くつもりで支度されているか、この二点。
#247
○小暮説明員 農業共済金の早期支払いにつきましては、すでに必要に応じ共済金保険金の仮渡し及び再保険金の概算払いの請求等の措置をとるように指導を始めております。それから、共済金の本払いにつきましても、損害認定の事務処理を急ぎ、年内に本払いを実施するように措置してまいりたいと思います。
#248
○津川委員 現金収入のもう一つの道は、さっき芳賀委員から出た救農土木事業ですが、東北、北海道で実例を見てみますと、事業をやるときはすでに待っておれない。おしりに火がついて、現金が必要なので出かせぎに出てしまう。いざ事業をやるときにはだれも働く人がないというのが実態なんです。そこでこれはすぐやらなければならない、こういう点が考えられるわけなんですが、こういう具体的な態度で臨んでいるのか。市町村と、相談を受けてあれをやれ、これをやれではなくて、市町村長に必要なものを計画して持ってこい、それをやろうじゃないかという、そういう体制ですぐやらなければならないという点が一つ。それから第二番目は給金の問題です。これは非常に大きな問題で、どんなにやっていてもうわさされておる八百円ないし千三百円では、とてもこれは生活資金が得られないので、この二つ、もう一度答えていただきます。#249
○三善説明員 救農土木事業につきましては、先ほど芳賀先生にお答えいたしましたように、北海道自体としても、それから現地自体としても、どういう事業をやったほうがうまくいくのか、それは先ほど官房長もお答えしましたように、気象条件その他いろいろな具体的な条件がございますものですから、そういうことをもっぱらいま北海道庁と一緒になって、どういう事業がいいかということからスタートをしているわけでございます。おそらく今週か来週ぐらい北海道のほうで具体的に相談に参ると思いますので、そういうことで処理いたしたいと思っています。#250
○津川委員 実際事業が非常にめんどうな場合もあります。そこで非常に具体的な問題はたとえば暗渠排水、もう一つは農林省のワクだけでなく中小河川の改修、護岸工事、道路、こういったものが具体的な問題として出ていますが、こういった点建設省と相談しているかどうか、相談する腹があるのかどうか、二つ答えていただきます。#251
○中野説明員 かつて救農土木事業をやりました場合は、単に農業土木の問題だけでなくして、ただいまお話しのような河川の問題あるいは道路の問題を含めまして、政府全体として対策をとったことがあるわけでございます。今回もかつての冷害に匹敵するようなものでございますので、できるだけ関係各省と相談いたしたいと思っております。
#252
○津川委員 恒久対策でございますが、現地に行ってみて古老に会いましたら、明治三十年の日露戦争の前後のころがこうであったのだ、ぼくらがもっと早く言えばよかったのだ、こういうことを言っています。気象庁としてもことしはあぶないという予報を出しておるようですが、根本的には私はシベリア、ソ連、こことの共同研究、この研究は過去における冷温凶作、そういうものとの関連がどうであったか、これから共同調査していく。この体制がソ連、日本、必要であればアラスカ、ここまで考えていかなければ北海道に対する恒久対策は私は立たないと思うのです。ふらふらした気象状況のもとで、あなたまかせの気象観測のもとではいけない。はっきりした長期的な科学的な認識に立たなければならぬと思うのですが、この点気象庁、技術部の関係、おられたら二人で答弁していただきます。#253
○木村説明員 この五月十三日の災害対策委員会でお答えしたと思いますけれども、国連の下部機構の世界気象機関というのがございまして、そこで協定してお互いに資料を交換し合っております。それで現在もアラスカ、ソ連ばかりでなくアメリカその他各国共同して観測をやっておりますけれども、残念ながら気象庁のような長期予報を発表しているのは、まだイギリスが一カ月というのが最長でございまして、日本以外に三カ月も先のことを予報しているところはございませんものですから、現業的なベースにまだ乗っておりません。各国とも最近異常気象が続いておりますので、現在この研究体制がどんどん進められており、やがて大きな組織となってあらわれてくるものと期待しております。
#254
○津川委員 そこで具体的に日本の皆さんとソ連の気象単音とアメリカの気象学者で、過去のことからずっと今日まで及んで、今度のことを中心としてシンポジウムをやってみませんか。これが一つ。これからの霜の状況はどうでございますか。気象の状況でこれからの霜がまた決定的に影響を及ぼすので、この二点。
#255
○木村説明員 シンポジウムはすでに開かれております。一年おきでございますけれども、学者間の交流は、ことにアメリカに流出しております日本の学者が非常に熱心にやっておりまして、毎年夏になると帰ってまいりまして、われわれとシンポジウムをやっております。それから第二点は霜でございますが、きょう発表された予報によりますと、やはり九月下旬霜の心配がございます。
#256
○津川委員 そのときのシンポジウム私も聞いているけれども、いまの状況はやっているけれども、過去の長い蓄積がある、歴史的な検討、これはやっぱり欠けているというふうに聞いているんだけれども、そうですか。それをやってみなければ私は今度の場合はまずいと思うのですが……。#257
○木村説明員 一番大切なのはやはり北極圏でございます。その周囲の観測網というのが昭和八年以前の資料がございませんものですから、残念ながら古いものはわからない。そこが非常な悩みでございます。#258
○津川委員 日本にも、ソ連にも、年報的なものがあるのです。これでやったほうがいいのではないか。古老の話を聞くと、それをやれば今度の場合かなり防げたのではないか、こういう意見なので、重ねてそこのところを……。#259
○木村説明員 日本の資料は非常に古くからございますし、世界じゅうの資料を集めまして過去を調べておりますが、何ぶんにも大体気候の変動は二百年くらいの周期を持っておりまして、われわれは、気象観測を始める以前の状態がわかりませんと、こういうような異常な状態はよくわからない。ただ経験的に昔の冷害の記録などを調べますと、大体二百年前後の周期を持っているということだけはわかっております。#260
○津川委員 気象状況をやはり科学的に徹底的につかむことが一つ。これをつかまえて、その条件に合う作物の試験研究をやることが決定的な問題だと思うのです。ところが、農林省の最近の方針でいくと、やはり北見の、女満別、端野、美幌、北見に行きますと、米以外に適作がないのでございますが、この稲作に対する試験研究が、だんだんお金が少なくなっている。特に道立農業試験場に対する国の補助金は、多いときには四千五百万円もあったのに、四十六年は一千万円という予算。これでいいのかという。徹底的に、よければいいなりに、悪ければ悪いなりに、稲作の徹底的な試験研究こそ私は北海道の農業に基本的な問題が開発されると思うのです。これが一つ。帯広の農事試験場、これは道立です。行ってみましたら、小豆の試験研究をやっていません。帯広の農事試験場に行ってみましたら、大豆に対する試験研究の冷害装置に対して、国のほうからも、道のほうからも、ほとんど出ていなくて、豆の輸入協会からのお金でやっている。相手のお金で試験研究をやっている、こんな状況でございます。この点、徹底的に試験研究をやって、適作種目、種類、そういう開発が必要かと私は思うのでございますが、どうして北海道の農事試験場に対する稲作の研究費の補助金を少なくしたのか、これが一つ。
今後稲作に対する徹底的な研究開発の計画、二つを答えていただきます。
#261
○加賀山説明員 ただいまのお尋ねでございますが、水稲あるいは豆類というのは、北海道につきましては非常に重要な作物でございますので、特にそれの耐冷性の研究というのは、長くかなり重点的に進めておるわけでございます。特に昭和三十九年、四十年の冷温の害がございましたので、特にそれに対応いたしましてかなり強化いたしまして、たとえば、ただいま先生御指摘の、道に対する補助金の四千万円というのは、あすこで稲作の指定試験をやっております。上川でやっておりますが、それに対するかなり重点的な強化をやったということでございまして、そういうふうな重点的な強化をやった年には金がかなりたくさんいっておりますが、都道府県に対します研究費で一千万というのは必ずしも低いほうではないのでございます。それから、先ほどちょっとお話がございましたように、気象庁からいろいろ材料をもらいまして、それに対応していかに作物をいい品種を育成するかあるいはどういう栽培法を研究するかというのがわれわれの使命でございまして、そういう意味では、人工気象室等もつくりまして、人工的に低い条件をつくりまして研究いたしておりまして、今後ともこういう点についてはさらに配慮いたしてまいりたい、そう考えております。
#262
○津川委員 四千五百万出したときに、重点的に試験研究して、私は北海道の農業、特に米作に対しては、それこそ重点的なものを続けていくべきだと思う。この考え方があるのかどうか、今後の試験研究の計画を明らかにしていただきたい。#263
○加賀山説明員 お答えいたします。ただいま申し上げましたのは、重点的に研究いたします場合に、いろいろ機械とか施設とかいうのが非常に重点的にかかるわけでございまして、そういうものは毎年出すわけでございませんので、強化いたしまして、あとはその施設、機械の運営ということになるわけでございますから、もしその機器あるいは施設が老朽化いたしまして使えないということであれば、さらに強化をしなければならない、そう考えておるわけでございます。
#264
○津川委員 それにしても、いままでは千三百万だとか千五百万も使ってやっているのに、四十六年は一千万、そして帯広の農事試験場に行ってみましたが、豆の試験研究に、一年かかって豆をとって試験研究しているのじゃこれは試験研究じゃないんだ。あれの生成のサイクルを早めなければいけない。一年に四回か五回に早めていくと試験研究になるのだけれども、そういう装置を皆さんが備えてくれないので、このサイクルのために沖繩まで送られていますよ。こういう体制では私は豆の試験研究はやれないと思う。大豆はやはり非常に重要な問題だから、国庫は恒久対策のためにそういう大豆でも小豆でも向こうの適作地に対してはもっとやってほしい。ビートの問題もそうです。品種がまだアメリカの原種そのままです。こういう点を徹底的に洗って徹底的に国庫の手で試験研究をやる。この二つが私は災害に対する根本的な対策と思うので、この点もう少し答えてもらいたい。#265
○加賀山説明員 先生のいまのお話非常に参考になったわけでございます。われわれは育種をする場合に、世代を早めるために南方に持ってまいります、これはそういうことを各国ともやっておるものでございますから。ただその場合にファイトトロン等をつくりまして人工的にやるという方法等もございますけれども、その点につきましては、先ほど申し上げましたように国の試験研究機関あるいは青森県の試験場等には備えたわけでございますが、やはり今後豆類が重要であるということもございますし、育種というのは重点でございますので、研究しなければならないとも考えております。それから先ほどちょっと帯広で稲をやっていないじゃないかというお話でございましたが、(津川委員「小豆の研究」と呼ぶ)小豆の研究は全くやっていないわけではございませんで、われわれ豆類ということでいろいろ補助金等やっておりますが、道立の研究所が大豆と小豆と豆類をやるということになりますので、なかなか識別しがたいということはございます。
#266
○津川委員 時間がないので、もう一つ根本対策として、私も旭川の江丹別というところに行ってみましたが、育種をやるのに皆さん非常に一生懸命かかっている。ところがほしいものは草地なのです。調べていただいた資料によりますと、北海道における農業適地としていけるものは七十六万ヘクタールくらいある。草地としてやれるのは四十九万ばかりある。こういう点で実際上草地開発のために、皆さんがくださった四十九万ヘクタールもしくは農地の二十七万ヘクタール、合わせて七十六万、これをどう利用するつもりなのか、方針を伺わしていただきます。#267
○三善説明員 いまの北海道の農用地の開発可能面積でございますが、これは四十四年に畜産局と一緒になりまして土地改良の総合計画の補測調査と申しますか、そういった趣旨で調査した面積でございます。具体的にいま先生が申されましたように農地で約二十七万ヘクタール、それから草地で四十九万ヘクタール、合わせて七十六万ヘクタール、開発可能の面積があるということでございます。さて、この開発可能な土地をどうやって将来開発していくかというお尋ねでございますが、現在農地局等で考えておりますのは、一つは未墾地を開発して草地にし酪農経営あるいは肉牛の育成、そういった問題を主体に考えていったらどうかということで、現に根室の周辺、相当広い面積につきまして二年間調査も現実的にやっておりますし、できれば来年から多少その計画といいますか、実施、設計と申しますか、そういうことも考えてみようかと思っているような段階でございます。
#268
○津川委員 そこで、さっき話した江丹別のところに行ったら、生産調整で水田に牧草をまいたらだめだという、いいものがとれない。あれもあそこにあるので、あそこをまかしてくれたら、これよりもどんなにいいものができたかわからないという、こういう形なんで、こういう農民の気持ちをくんで前進していただくことを私は要求して、北海道の問題はそれで終わります。次に巨大開発と農業との関係です。私たち日本の経済全体を均衡のとれた経済にする、そのために農業も工業も互いに話し合いをして並列して、どちらも犠牲になることがない、均衡のとれた農業にする、これが私たち共産党の政策なんですが、今度陸奥湾、小川原湖の巨大開発を見てびっくりしたのです。六ケ所村というところで一万二千百ヘクタール、三沢というところで五千二百ヘクタールの農地がつぶされて、そして六ケ所村で千百七十五世帯、三沢で八百五十一世帯、合わせて二千二十六世帯、人口にすると九千六百十四人がそこから追い立てられて、どこへ行くかといったら、漁業はやってはいけない。畜産をやるならほかのところへ出て行け、農業は新しく開田してはいかぬ、土地を水田を買うにしても一町五反以上は持っちゃいかぬ、どこへ行くのかといったら国有林野の傾斜地に行く、これでいまあそこの地域でてんやわんやなんです。村の三分の二がこわれてしまう。こういう計画がいいのかどうかという。この巨大開発はこの間の五月の閣議のときに承認されている。こういう計画を持って農地局長のところに具体的に来たと思うのですが、農地局長はこういうことをやらせるのかどうかという。
それから官房長には、こういう漁業もやっちゃいかぬ、酪農もやるなら別なところに行け、水田も開発してはいかぬ、水田を持つとしても、ほかから買うにしても一町五反以上は持っちゃいかぬ、こういう農政があるのかどうか、二人からお答え願います。
#269
○三善説明員 むつ・小川原地区の工業開発計画でございますが、御承知のようにこれは現在基礎調査をやっている段階でございます。私どもが聞いておりますところでは四十七年まで基礎調査をし、一部四十八年にずれ込むという話も聞いております。したがいまして、基礎調査の段階でございますので、具体的に一体どういう面積でどういう工場あるいはどういう種類の施設が入ってくるかということはまだ具体的にきまっていないというふうに聞いております。ただいま先生が申されましたように、青森県ではこれに関連しましていろいろ調査をやっておりますし、それからまた計画もいろいろ考えているということは承知いたしております。ただ、いま先生が申されましたように、もしこの具体的な計画がきまりまして農地等がある程度転用されるというような場合に、私どもはやはり土地利用の調整という点を十分考えて指導いたしてまいりたいと思っておりますし、農地が転用されて代替地を取得するというような場合には、その営農が利り立つようなかっこうでそういう計画が実施されていくように、県なんかを十分指導してまいりたい、こういうふうに考えております。#270
○津川委員 局長、あなたはこの経過を、結果を、数字をプリンスホテルかどこかに行って県のほうから聞いていますよ。そのときにどうしたの、何と答えたの。四十七年の開発でこれを計画して、公団をつくって先行投資して買い取ると言っている。それであなたの承認を求めに行ったでしょう、説明に行ったでしょう――承認とは言わない、説明に行ったでしょう。だから、そういう形でなく、これで検討してやめさせるならやめさせる、やらせるならやらせるでなければいけないと思う。むちゃだと思う。そういう適当な返事でなく、あなただって具体的に聞いているんだから具体的に答えてください。#271
○三善説明員 おっしゃるとおり私も計画は聞きました。しかしその計画は、たとえば工業開発区域は工場用地あるいは港湾公共用地それからニュータウン用地とか、そういうふうに具体的に一応県では考えております。ただし、これは県だけの計画では何ともなりません。御承知のように、どういう工場があるいはどういう会社がここに入ってくるかという、そういう具体的な計画がまだ出ていないわけでございます。そういう意味におきまして、私どもはまだ構想がほんとうに具体化していないと先ほど申し上げたような次第でございまして、もし具体化していけば、それに即応して、先ほど申し上げましたような土地利用の計画等を考えながら、十分県やこういう会社等を指導してまいりたいと思っております。#272
○津川委員 農地局長、もう一つ。あなた、数字を聞かされて、漁業もやらせない、酪農をやるときにはほかのほうに行く、移っていくところは国有林野だ、がけ地もある、そういう話を聞いて、何と返事しましたか。これが一つ。いいと思ったか、たいへんな計画と思ったかどうか、ひとつ……。二つには、こういう計画を実施されて、計画ができてきてから返事する、対策を講ずる、あなたのいまの答弁だとこれを計画させて実施させる、こう受け取れるわけであります。この二点を答えていただいて、最後に官房長に全体、こういうことでいいのか。
#273
○三善説明員 この工業開発の問題につきましては、私が先ほどから申し上げておりますように、まだ具体化していないと申しましても、いろいろ計画は進んでいるわけでございまして(津川委員「それが具体化……」と呼ぶ)それが具体化してと申しますのは、どういう区域にどういう港湾をつくるとか、あるいはどういう区域に、どの地点にどういう工場を誘致するとか、そういった具体的なあれはまだ何もないわけです。ただ一応の、地図上でこの付近は一応工場を誘致したいとか、この付近には港湾をつくりたいというようなことはございます。たとえば港湾をつくるにしましても、これは農林省の問題でございませんし、運輸省等とも十分相談をしなければその具体化というものは進まない問題でございます。そういう意味でまだ具体化していないというふうに申し上げているわけでございます。やはりこういった大規模な工場誘致計画と申しますか、工業開発計画と申しますか、そういった問題を一様に否定するということは私は好ましいことではないと思いますし、ただそういうのができてくる場合にどういうふうにほかの面をうまく調整をとっていくかということが本質的な問題ではなかろうかと思っております。そういう意味で先ほどから私も答弁させていただいているわけでございます。#274
○津川委員 もう一つ局長に。局長、あなた、立ちのきを迫られて消滅する部落が六十幾つあるということを聞いたでしょう。それでもいいのですか。それに対して何の評価も持たないのですか。そういう計画が進んでいるときに、それが具体化するまで国の指導、態度を待つ、こういう形なのかどうか。#275
○三善説明員 そのとき私が担当者から聞きましたのは、また知事も出席されておられました、これから住民対策と申しますか、関係のそういった住民の方々に対してこういう構想を持っているんで、それを十分示して、そしてどういうふうに今後具体的にスムーズにこういった事業が進んでいくか、そういうことを具体的に市町村あるいは団体等に相談をしていきたいという話はございました。その後この件について、私、まだ具体的な話は聞いておりません。#276
○津川委員 知事が農地局長に示した構想、その構想がこのままだと進むと思う。構想が基本になってくる。そこで、構想のときに手を打たなければならぬ。この構想に対する局長の意見、対策は……。#277
○三善説明員 その構想と申しますのも、ほんとうに具体化した、たとえば代替地を提供するというような場合に、どういう営農を考えていくとかあるいはどういう規模の代替地をあっせんしていくとか、そういった具体的な構想はまだ私聞いておりません。それで私知事に申し上げましたのは、やはり、もしそういうことになる場合に、十分農家の方あるいは移転される漁民の方、そういった方々が営農が成り立つようにというようなことは十分言ってございますし、そういった問題は今後とも私どもとしても指導を十分していきたいと思っております。また、連絡も密にしてやっていきたいと思っております。#278
○中野説明員 大規模開発の問題につきましては、むつ・小川原のほかにも、志布志湾だとかあるいは周防灘等でもいろいろそういう構想があるようでございます。こういう大きな工業開発につきまして、これを全面的に否定するということはできないだろうと私は思います。日本経済の高度化の観点から、あるいは必要な場合があろうかと思います。しかし一方的に工業側が入り込んで、あとそこでの農家をはじめとした住民の対策が何もなしでということは絶対あり得ないことだと思います。ただいままで農地局長がるる申し上げましたように、いまから具体化する段階におきまして、農林省といたしましても、その周辺の農業との調整も必要でありましょうし、具体的に、もし用地が買収されるとなりますれば、そこの農家の対策をどうするかということもこれから問題になってくるわけでございます。具体的に問題が出てまいります段階におきまして、十分それには対処できるようにいたしたいと考えております。#279
○津川委員 最後に一つ。まだ具体化しないと言っているけれども、農地局長、竹内知事は議会でこの構想を説明している、あなたに話した構想を。そこで問題は具体的になってきたわけです。あなたは明らかに逃げているんです。このまま進めさせるつもりとも、悪くいうと考えられる。こんな目にあうのに対して、あなたはいいと思っているか、悪いと思っているか。意見がないはずはないと思う、具体的な構想を聞いているから。これで意見がないとすれば、私は、あなたは農地局長じゃないと思う。行政を預かっていることはないと思う。意見を聞かしていただきます。
#280
○三善説明員 私がもっと具体的と申し上げておりますのは、先ほど申し上げましたように、どういう営農を考えているのか、どういう代替地を考えているのか、そういう点につきましてはまだ相談も受けておりませんが、そういった段階では私は十分指導してまいりたいと思います。いま竹内知事が言われたこの構想についておまえはいいと思っているのか悪いと思っているのかと言われましても、具体的にどういうことを知事が言われているのか、それがはっきりいたしませんので……。私が聞いております限りでは、いま御答弁申し上げましたように――私はまじめに御答弁しているつもりでございますから、その点ひとつ御了承をお願いしたいと思います。#281
○津川委員 それでは、私はこれで質問を終わるけれども、農地局長が知事から受けた説明、その内容を後刻書類で教えていただきたい。終わります。
――――◇―――――
#282
○三ツ林委員長代理 小委員会設置に関する件についておはかりいたします。すなわち小委員九名よりなるいも、でん粉等価格対策に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#283
○三ツ林委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。なお、小委員、小委員長の選任、辞任、補欠選任並びに小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じました場合にはその人選等、所要の手続につきましても委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#284
○三ツ林委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。なお、小委員及び小委員長は、追って公報をもってお知らせいたします。
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時三十一分散会