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1970/03/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1970/03/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十六年三月十九日(金曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十七日
    辞任         補欠選任
     永野 鎮雄君     長田 裕二君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     平泉  渉君     永野 鎮雄君
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     高橋雄之助君     岩動 道行君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     矢追 秀彦君     塩出 啓典君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     矢追 秀彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                長田 裕二君
                平島 敏夫君
                久保  等君
                矢追 秀彦君
    委 員
                岩動 道行君
                源田  実君
                永野 鎮雄君
                船田  譲君
                矢野  登君
                横山 フク君
                向井 長年君
   国務大臣
       国 務 大 臣  西田 信一君
   政府委員
       科学審議官    石倉 秀次君
       科学技術庁長官
       官房長      矢島 嗣郎君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   野崎 博之君
       科学技術庁計画
       局長       楢林 愛朗君
       科学技術庁振興
       局長       田中 好雄君
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   柏木 輝彦君
   説明員
       科学技術庁研究
       調整局宇宙開発
       参事官      市瀬 輝雄君
       原子力委員会委
       員        有澤 廣巳君
   参考人
       日本原子力船開
       発事業団理事長  佐々木周一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害
 賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○海洋科学技術センター法案(内閣送付、予備審
 査)
○派遣委員の報告
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (昭和四十六年度科学技術庁関係の施策及び予
 算に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 本委員会は、委員の異動に伴い、理事が二名欠員となっております。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に、長田裕二君及び矢追秀彦君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(鈴木一弘君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案、海洋科学技術センター法案、以上三案を一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。西田科学技術庁長官。
#5
○国務大臣(西田信一君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 最近における世界海運の趨勢を見ますと、世界経済の発展に伴い海上輸送量が著しく増加しつつあり、これに伴い、船舶の高速化、巨大化の傾向がますます顕著なものとなっております。
 船舶の高速化、巨大化に伴い、経済的な高出力推進機関の開発が要請されますが、将来、原子力推進機関がその有利性を発揮できるものと期待され、世界の主要海運造船国におきましては、原子力船の実用化に関する研究開発を鋭意進めており、すでに米国のサバンナ号、ソ連のレーニン号、ドイツのオットー・ハーン号は就航を見ております。
 わが国におきましても、原子力第一船の建造運航により、原子力船に関する技術の確立をはかるため、その開発を担当する機関として、日本原子力船開発事業団を設立することとして、昭和三十八年に日本原子力船開発事業団法を制定いたしました。
 日本原子力船開発事業団は、原子力委員会の決定した原子力第一船開発基本計画に従いまして、原子力船「むつ」の開発につとめてまいりましたが、船価の大幅上昇等の事情によりまして、当初計画による昭和三十九年度における建造着手が困難となり、これに伴い、昭和四十二年三月原子力委員会は、基本計画の改定を余儀なくされたのであります。
 日本原子力船開発事業団は、改定後の基本計画に従い、昭和四十二年十一月原子力船の建造に着手し、昭和四十五年七月船体建造工事を終え、現在、青森県むつ市の定係港におきまして、原子炉装工事を行なっておりますが、今後、原子炉艤装工事、燃料装荷、出力上昇試験の上、慣熟運転、実験航海等を終了するのは昭和五十年度になるものと見込まれております。
 このような状況にかんがみ、原子力第一船開発の所期の目的を達成するため、日本原子力船開発事業団法の存続期限を、現行法に規定する昭和四十七年三月三十一日から四年延長し、昭和五十一年三月三十一日と改正する必要があります。
 以上、この法律案の提案の理由並びにその内容を御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
    ―――――――――――――
 次に、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 原子力の開発利用を進めるにあたりましては、その安全性を確保することが絶対的な要件であることは申すまでもありませんが、さらに万一の際における損害賠償制度を確立して、国民の不安感を除去するとともに、原子力事業の健全な発展に資することが必要であります。
 このような観点から、昭和三十六年に制定されました原子力損害賠償関係二法律に基づき、原子力事業者に無過失損害賠償責任を課するとともに、原子力事業者への責任の集中、損害賠償措置の義務づけ等を行ない、また、責任保険等でカバーされないリスクについては国家補償契約制度を導入してまいったのでありまして、わが国の原子力事業は、安全面で他に類を見ない厳重な規制と、このような損害賠償制度の適切な運用によって、順調な歩みを続けております。
 しかるに、現行法は、国の補償契約制度と損害賠償措置をこえる原子力損害が発生した場合の原子力事業者に対する国の援助の規定を、法制定、後十年間、すなわち昭和四十六年末までに運転を開始する原子炉等に限り適用することとしております。これは、十年経過した時点で原子力の開発利用の進展等に応じ原子力損害賠償制度を再検討するためのものでありますが、今後の原子力開発利用の促進のためには、昭和四十七年以降に運転を開始する原子炉等についても、これらの規定を適用できるようにすることが必要であります。
 また、現行賠償制度発足時には、わが国において原子力船の建造が現実のものとなっておりませんでしたが、近く原子力第一船「むつ」の就航が実現いたしますとともに、米国、西独等の原子力船の本邦寄港の要請も従来から強く行なわれてきております。
 したがって、内外の原子力船の円滑な相互寄港をはかるため、原子力船に関連して原子力損害賠償制度を整備することが必要であります。
 さらに、最近における原子力の開発利用の進展に応じ、損害賠償措置額の引き上げ、核燃料輸送中の責任等に関連する所要の改正を行なうことが必要であります。
 このため、原子力委員会に原子力損害賠償制度検討専門部会を設けて、原子力損害賠償制度に関する諸条約あるいは欧米諸国の原子力損害賠償制度を参考として検討してまいりましたが、その結論が得られましたので、このたび本法律案を提案した次第であります。
 次に、本法律案の内容につきまして主要な点を御説明申し上げます。
 本法律案は、賠償法の一部改正と補償契約法の一部改正とから成っておりますが、まず、賠償法の一部改正につきましては、
 第一に、さきに述べましたとおり、国の補償契約制度と国の援助に関する規定の適用が昭和四十六年十二月末までに運転を開始した原子炉等に限定されておりますので、この規定をさらに十年延長し、昭和五十六年十二月末までに運転を開始する原子炉等に適用することとしております。
 第二に、原子力船にかかる原子力損害賠償制度の整備についてでありますが、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合には、「原子力船運航者の責任に関する条約」等を参考として、両国政府間の合意に基づき原子力事業者の損害賠償責任を一定の額までとし、国内で要求される損害賠償措置に加えてその額までの損害賠償措置を講じさせることとしております。その場合の損害賠償措置としては、民間の責任保険等のほかに、民間の責任保険等でカバーされない部分について、後に述べますように、国の補償契約制度を拡大することとしております。
 また、現在、わが国の原子力船については、その原子炉に着目して、陸上原子炉と同じ損害賠償措置が義務づけられておりますが、外国原子力船については賠償法上の規定を欠いておりますので、外国原子力船が本邦水域に立ち入る場合の運航者に関する賠償法上の規定を整備することとしております。
 すなわち、外国原子力船が本邦の水域に立ち入る場合にも、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合と同様、両国政府間の合意に基づき原子力事業者の損害賠償責任を一定の額までとし、その額までの損害賠償措置を講じさせることとしております。なお、その額は、一原子力事故当たり三百六十億円を下らない額とすることとしております。
 また、万一合意した額をこえる損害が発生した場合には、被災者の救助及び被害の拡大の防止のための必要な措置を政府が講ずるようにすることとしております。
 第三に、賠償措置額については、現在の五十億円を民間責任保険の引き受け能力、外国の例等を勘案し、六十億円に引き上げることとしております。
 第四に、求償権の制限及び核燃料物質運搬中の責任については、特約がある場合を除き、原子力事業者の求償権の行使を第三者に故意がある場合に限るとともに、核燃料物質の運搬中の責任は受け取り人ではなく発送人にあることとする等、関連規定を整備することとしております。
    ―――――――――――――
 次に、補償契約法の一部改正につきましては、賠償法の改正に対応して、わが国の原子力船の外国の水域への立ち入りに伴い生じた原子力損害であって、民間の責任保険等で埋められないものをカバーするため、両国政府間の合意で定められる損害賠償責任額まで政府と原子力事業者の間で補償契約を締結できることとしております。
 以上、この法律案の提案の理由並びにその内容を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わりますようお願いいたします。
 次に、海洋科学技術センター法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 海洋には、水産資源をはじめ、石油、天然ガス、金属などの鉱物資源、さらには広大な空間など、豊かな可能性が秘められています。陸上資源に乏しいわが国が、今後、経済社会の発展をはかり、国民生活の向上を期するためには、わが国を取り囲む海洋が包蔵するこれら資源の開発、利用が不可欠であります。水産、海運等の伝統的な海洋利用の分野では、わが国は、世界的な水準にあると考えられますが、海底石油の掘削、海上または海中空間の開発など、新しい海洋の開発については、まだその緒についたばかりであり、先進諸国に比して、かなりの立ちおくれを示しています。
 海洋の開発を推進するためには、まず、これに必要な科学技術の開発が重要であることは言うまでもありません。このため、政府といたしましては、かねてから、関係各省庁における試験研究等を強力に実施してきたところであります。しかし、アメリカやフランスをはじめとする先進諸国の水準に急速に到達し、豊かな海洋資源の開発利用をはかるためには、海洋の開発のための新しい要請に応じた試験研究や、研究者、技術者の研修等を行なう必要があり、これには、既存の試験研究機関等では必ずしも十分であるとは言えません。
 このような現状にかんがみ、海洋の開発にかかる科学技術、すなわち海洋科学技術に関する試験研究、研究者及び技術者の研修を行ない、試験研究施設を共用に供する等、海洋科学技術の向上をはかるために必要な業務を行なう機関として、海洋科学技術センターを設立しようとするものであります。
 次に、この法案の要旨について御説明申し上げます。
  まず第一に、海洋科学技術センターの設立につきましては、海洋の開発について専門的な知識を有する者十五人以上が発起人となって科学技術庁長官に設立の認可申請を行なうこととし、科学技術庁長官は、その申請の内容を審査いたしまして、その業務が健全に行なわれ、海洋科学技術の向上に寄与することが確実であると認めるときは、一を限り、設立を認可することとなっております。
 第二に、海洋科学技術センターの資本金は、政府及び民間の出資によって構成されることとなっており、政府は、昭和四十六年度予算案においては一億円の出資を予定しております。
 第三に、海洋科学技術センターの役員として、会長、理事長、理事及び監事を置くこととし、これらの役員は、定款の定めるところに従って選任され、その選任には科学技術庁長官の認可を要することといたしております。また、運営に関する重要事項を審議する機関として、海洋科学技術センターに評議員会を置くこととしております。
 第四に、海洋科学技術センターの行なう主たる業務は次のとおりであります。第一は、海洋科学技術につきまして、多くの技術分野にまたがる総合的試験研究を行なうことであります。第二は、海洋科学技術の各種の試験研究に共通して用いられる施設及び設備を保有して、これを海洋科学技術の試験研究を行なう者の共用に供することであります。第三の業務としましては、海洋科学技術に関し、研究者及び技術者の研修を行なうことであり、第四は、海洋科学技術に関する資料を広く収集し、一般の利用に資することであります。
 最後に、海洋科学技術センターの適正な運営を一確保するため、科学技術庁長官がその監督を行なうこととしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決を賜わりまするようお願いいたします。
#6
○委員長(鈴木一弘君) 次に、政府委員から順次補足説明を聴取いたします。
 梅澤原子力局長。
#7
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 長官から御説明申し上げましたとおり、日本原子力船開発事業団は、昭和三十八年八月の設立以後、原子力委員会の決定した原子力第一船開発基本計画に従いまして、昭和三十九年度着工、昭和四十六年度実験航海終了を目途に第一船の開発を進めることとしておりましたが、建造費の上昇等のため、計画どおり昭和三十九年度に着工することが困難となりました。
 このため、原子力委員会は、原子力船懇談会を設けまして、原子力第一船開発基本計画の実施上の問題点につきまして慎重に検討を重ねました結果、昭和四十二年三月、原子力第一船開発基本計画を改定し、船種を海洋観測船から特殊貨物の輸送船に変更するとともに、昭和四十二年度に建造に着手することといたしました。
 その際、原子力委員会におきましては、同船の完成後に必要とされる慣熟運転及び実験航海の期間をも考慮して、事業団の事業の進展に応じて日本原子力船開発事業団法に所要の改正を行なう必要がある旨の決定を行なっております。
 その後、日本原子力船開発事業団は、改定基本計画に従いまして、昭和四十二年十一月、船体及び原子炉についてそれぞれ建造契約を締結し、船体部については昭和四十五年七月に工事を完了いたしました。
 原子力第一船「むつ」は、現在むつ市の定係港におきまして原子炉艤装工事が進められておりますが、同工事の完了は昭和四十七年六月の予定であります。
 原子炉艤装工事終了後に実施いたします燃料装荷、出力上昇試験及び慣熟運転、実験航海等につきましては、昭和四十五年六月、科学技術庁に「原子力船「むつ」の実験航海等に関する検討会」を設けまして、その具体的内容及び所要期間を慎重に検討いたし、これらの業務が終了いたしますのは昭和五十年度になるとの結論を得たのであります。
 これら諸事情を勘案して検討いたしました結果、日本原子力船開発事業団の設立の目的を達成するためには、その存続期限を、現行法に規定する昭和四十六年度末から昭和五十年度末まで、四年延長することが必要であるとの結論を得たのであります。
 次に、日本原子力船開発事業団法の延長期間における日本原子力船開発事業団の主要な事業の概要につきまして御説明いたします。
 事業団は、昭和四十七年六月原子炉艤装完了後、燃料装荷、出力上昇試験を行ない、昭和四十七年度末までに海上公試運転を完了いたします。これに引続きまして、昭和四十八、四十九両年度におきまして、慣熟運転並びに安全性及び性能の確認のため、さらに出入港の経験を得るための実験航海を行ないます。
 実験航海終了後におきましては、原子力船「むつ」の内部総点検、機器補修等を行ないますとともに、それまでに集積いたしましたデータについて総合的な解析評価を行なうことといたしております。
 また、定係港につきましては、諸施設を整備するとともに、原子力船「むつ」の支援業務等を行ないます。
 なお、世界における原子力船の開発状況につきまして御参考までに一言御説明いたしますと、米国のサバンナ号は、一九六二年完成以来、一九七〇年までデモンストレーションシップまたは貨物船として運航され、世界の二十七カ国を訪問しており、また、ソ連のレーニン号は、一九五九年完成以来、北極海等の砕氷船として運航されておりますが、運航状況の詳細については明らかではありません。ドイツにおきましては、オットー・ハーン号を一九六八年に完成し、その後実験航海を行ない、一九七〇年二月以来、鉱石運搬船として運航中でありまして、五カ国を訪問しております。このほか、イタリアにおきましても、原子力船を建造する計画を進めているようでございます。
 以上、長官から御説明申し上げました提案理由につけ加えまして御説明申し上げました。
    ―――――――――――――
 また、ただいま議題となりました原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本改正法律案の趣旨の説明は、提案理由で尽きておりますので、以下、条文を追いまして主要な点を御説明申し上げます。
 改正法律案第一条は、原子力損害の賠償に関する法律の一部改正に関する規定であります。
 その内容は、まず第一に、賠償法第二条の定義に関する規定を改めることにより、核燃料物質のほか、放射性廃棄物等、核燃料物質によって汚染されたものの運搬等により生じた原子力損害についても、賠償法の対象にするとともに、外国原子力船運航者を原子力事業者に含め、外国原子力船運航者についても、原子力損害に関する無過失賠償責任、原子力事業者への賠償責任の集中を明確にいたすものであります。
 第二に、核燃料物質等の運搬中の責任の所在について、現行の賠償法第三条第二項は、受け取り人である原子力事業者に責任を集中しておりますが、諸条約等を参考として、受け取り人と発送人との間の契約で、いずれの原子力事業者の責任とするかにつき定め得ることにするとともに、もし両者間に特約がないときは、現実に運搬に関係が深いのは発送人であることに着目して、発送人である原子力事業者に責任があることとしております。
 第三に、本改正により、外国原子力船が本邦の水域に立ち入る場合におきましては、その損害賠償責任額は、両国政府の合意するところによることといたしておりますが、賠償法第四条第二項の規定の追加は、その場合における外国原子力船運航者の損害賠償責任額を規定するものであり、これは、原子力船の相互寄港をはかるための原子力損害賠償制度の整備の一部を構成するものでありまして、すでに提案理由説明で述べられたとおりであります。
 第四に、原子力船「むつ」が近く就航する等、原子力船に関する原子力損害賠償制度を明確にする必要がありますので、第四条第三項の規定を追加し、商法の船舶所有者の免責委付及び船舶の衝突の場合の短期消滅時効の規定が原子力船等船舶にかかわる原子力損害については適用されないことを念のために明らかにするものであります。
 第五に、現行賠償法では、第五条の規定により、原子力損害を賠償した原子力事業者は、その損害が一般第三者の故意、過失または関連事業者もしくはその従業員の故意によって生じた場合には、その者に対し求償権を有することとされていますが、これを、同条の改正により、一般第三者に対しても関連事業者並みに故意がある場合に限って求償権の行使を認めることとするものであります。これは、たまたま過失で核燃料物質等を運搬中の輸送手段等と衝突したため原子力損害が発生したような場合に、一般第三者が原子力事業者から巨額の求償を受けることになるのは、その者にとって酷でありますので、諸条約等を参考に、改正いたすものであります。
 第六に、第七条の損害賠償措置額について、現行の五十億円を民間の責任保険の引き受け能力、外国の例等を勘案して、六十億円に引き上げることとしていることは、提案理由説明で述べられているとおりであります。
 第七に、第七条の二の規定を新たに設け、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合及び外国の原子力船が本邦の水域に立ち入る場合の損害賠償措置の内容を規定いたしておりますが、提案理由説明にありましたように、原子力船の国際的な相互寄港を円滑にするための規定であります。
 第八に、外国原子力船の本邦の水域への立ち入りに伴い、万一にも両国政府間で合意した損害賠償責任額をこえると認められる原子力損害が発生した場合には、第十七条の改正により、政府が被災者の救助及び被害の拡大の防止のための必要な措置を講ずるようにすることとするものであります。
 第九に、第二十条の改正は、提案理由説明にもありますとおり、国の補償契約と国の援助に関する規定の適用を、さらに十年延長し、昭和五十六年十二月末までに運転を開始する原子炉等に適用することとするものであります。
 改正法律案第二条は、原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部改正に関する規定であります。
 御承知のように、補償契約法は、賠償法の姉妹法として同時に制定されましたものであり、これまでは、原子力事業者が講じなければならない損害賠償措置の一部として、民間の責任保険契約ではてん補していない原子力事故、たとえば地震、津波、事故発生後十年以降の後発損害等について、五十億円の範囲で、国が補償契約により損失補償してきたものであります。ところが、前にも御説明いたしましたように、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合には、両国政府が合意した額の損害賠償措置を講ずる必要がありますが、このため、これまでの補償契約制度を拡大して、これに対処できるようにしたのが第一の改正点であります。すなわち、第三条の改正は、政府が補償する損失として、原子力船の外国の水域への立ち入りに伴い生じた原子力損害であって、原子力損害賠償責任保険契約その他の原子力損害を賠償するための措置によっては埋めることができないものを加えることであります。また、第四条第二項の規定は、わが国の原子力船が外国の水域に立ち入る場合の補償契約金額を規定するものであり、第五条第二項の規定は、その場合の補償契約の期間を規定するものであります。
 第二に、原子力事業者の保険会社に対する通知義務違反がありますときは、これまで民間の責任保険では支払いを拒否できることとなっておりましたため、やむなく、補償契約の対象といたしておりましたが、最近、民間の責任保険でてん補し得ることとなりましたので、補償契約の対象から除外することとし、これに伴う条文整理を第十三条の改正により行なっております。
 最後に、本改正法律案の附則の規定でありますが、第一項は施行期日について規定しており、保険契約約款及び補償契約約款の改訂の準備期間等を見込んで、公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 第二項は、改正法の施行の際現に行なわれている核燃料物質の運搬については、改正後の賠償法第三条第二項の規定にかかわらず、受け取り人である原子力事業者が運搬により生じた原子力損害を賠償する責めに任ずる旨の経過措置であります。
 第三項は、今回の改正において、外国原子力船の損害賠償措置について賠償法で統一的に規定したことに伴い、原子炉等規制法から関係の規定を削るものであります。
 以上、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案の各条にわたりまして、その要旨を補足説明申し上げました。
#8
○委員長(鈴木一弘君) 続いて、矢島官房長。
#9
○政府委員(矢島嗣郎君) ただいま議題となりました海洋科学技術センター法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 海洋の開発にかかわる科学技術につきましては、一昨年、海洋科学技術審議会の答申を受け、関係各省庁の事務次官申し合せにより「海洋科学技術開発推進連絡会議」を設け、その具体化を進めているところであります。
 科学技術庁におきましても、これまで特別研究促進調整費の支出により、日本海に関する総合研究等の諸研究を推進するとともに、潜水調査船「しんかい」の建造及び運用、海中作業基地、潜水シュミレーターの建造を進めてきているところでありますが、わが国の海洋科学技術は、先進諸外国に比べ、いまだかなり低い状態にあり、近年の海洋開発の急速な進展に伴って飛躍的にその水準を向上させることが強く要請されております。
 このような状況にかんがみ、政府、民間を問わず、わが国の関係分野の密接な協力のもとに、海洋科学技術の中核的な推進母体として海洋科学技術センターを設立しようとするものであります。
 次に、当センターにおいて行なうことが予定されている業務について御説明申し上げます。
 まず第一は、海洋の開発に必要な科学技術につきまして、多くの技術分野にまたがる総合的な試験研究を行なうことであります。これは、海洋科学技術の推進には多数の分野の力を結集して取り組む必要があり、また、大型の実験施設を必要とするような研究開発を既存の研究機関等が単独で行なうことは困難である等の状況にかんがみ、この種の研究開発を当センターが中心となって総合的に推進しようとするものであります。当面の研究開発課題といたしましては、海中医学、潜水機器等の潜水技術に関する研究開発、海中における物性、海洋構造物の材料等の海洋工学に関する研究開発などが考えられております。
 次に、海洋科学技術の各種の試験研究に共通して用いられる施設及び設備を保有して、これを海洋科学技術に関する試験研究を行なう者の共用に供することであります。これは、多額の経費を要するような大型の施設等を当センターに集中して設置することにより、投資の無用の重複を避けることをねらいとするもので、このような施設といたしましては、海中作業基地、潜水シミュレーター、高圧実験水槽等が考えられております。
 第三の業務は、研究者及び技術者の研修であります。これは、研究者、技術者に対し、すでに修得したそれぞれの専門分野の知識に加えて、海洋科学関係の知識を賦与し、あるいは、潜水技術を習得させること等を目的とするものであります。
 このほか、海洋科学技術に関する資料を広く収集し、一般の利用に資すること等を行なうこととしており、このような業務を通じ、わが国の海洋科学技術の水準の飛躍的な向上がはかられるものと期待しております。
 以上、この法律案につきまして、補足して御説明申し上げました。
#10
○委員長(鈴木一弘君) 以上をもちまして、三案の趣旨説明及び補足説明の聴取は終了いたしました。
 なお、三案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(鈴木一弘君) 科学技術振興対策の樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、派遣委員の報告を聴取いたします。
 先般行ないました委員派遣についての御報告を願います。久保等君。
#12
○久保等君 去る二月四日から三日間、鈴木委員長、平島、矢追両理事、金丸委員と私、久保の五名は、三菱重工神戸造船所で建造中の海中作業基地、並びに和歌山県下の資源培養型漁業及び海中公園の実情を調査してまいりました。以下その概要を簡単に御報告申し上げます。
 海洋において鉱物資源、生物資源を開発し、あるいは海洋空間を利用する場合に、人間が海中に直接潜水し、調査活動や海中施設の管理等の作業を行なうことが非常に重要でありますが、現在サルベージ等で活躍するダイバーでも、深度五十メートルくらいまでが限度であり、水中での作業時間が短い上に、潜水病を避けるため長時間かけてゆっくり浮上しなければなりません。これは、潜水深度と時間が長いほど、血液中に溶け込む呼吸ガスの量が多いので、それを徐々に排出するために浮上時間を長くとらなければならないからであります。しかし、血液中に溶け込む呼吸ガスの量は、約四十八時間で飽和することがわかり、四十八時間以上潜水した場合でも、浮上時間は大体同じでよいという、いわゆる飽和潜水方式が確認された結果、海中に長くとどまれるような設備があれば、潜水時間に対する浮上時間の比率を小さくし、浮上回数を減らすことができて、潜水効率を高めることができます。
 海中作業基地は、この要請にこたえるものでありまして、その規模は長さ約十一メートル、幅四・五メートル、高さ約六・五メートル、重量約六十五トンで、中心となる居住部分は直径二・三メートル、長さ十・八メートルの円筒型の対圧の容器であり、四人のアクアノートが、水深百メートル、十気圧の海底で三十日間居住できるように設計されております。
 この作業基地を使用する場合には、まず、海上の支援ブイから基地を海底におろした後、支援ブイの減圧室で海底の水圧にひとしい圧力まで加圧されたアクアノートたちが、水中エレベーターに乗って海底におり、基地に乗り移って海中居住を開始し、長時間にわたる任務が終了すると、海中エレベーターで海上に戻り、減圧室で大気圧まで減圧されてから大気中に出るわけであります。
 基地は、海上の支援ブイと、電力、真水、通信用の補給ケーブルで結ばれ、有線電話のほかに、一方で字を書けば他方にそのままの字が書き出されるエレクトロライターがあり、かりに音声が不明瞭の場合でもブイとの間に連絡がとれるようになっており、非常用として超音波による水中無線電話も設けられております。また、四台のテレビカメラで基地内の状況を随時確認することができるようになっているほか、通風、換気、暖房、圧力調整装置等についても十分安全性が考慮されております。
 この海中作業基地は、十一月に伊東沖で海面下三十メートルの地点に設置され、四人のアクアノートが百日間の海中生活を始めることになっており、四十七年には六十メートル、四十八年には百メートルの海底生活にいどむ予定であります。
 すでに、去る二月二十一日から伊東沖で海中エレベーターの実験が行なわれ、成功をおさめましたが、これを踏み台として海中作業基地全体のシステムが完成し、水深百メートルまでの海中作業を可能にする潜水技術が一日も早く確立されることを期待する次第であります。
 次に、資源培養型漁業について申し上げます。
 和歌山県では、串本町の古座地区に防波堤を設置し、百十四万一千平米に及ぶ日本最大の大型浅海養殖漁場を造成する計画を有しております。すでに基礎調査は完了し、目下実施設計調査の段階でありますが、四十七年度から着工し、五カ年間に二十四億円を要すると試算されております。この計画の完成により、年間十五億円の水揚げと五百数十名の就労者増が見込まれており、漁業就労者の平均年齢が四十四歳に達し、過疎化傾向にある本地域としては、青少年の定着化、後継者養成の観点からも、本計画の実現について国の格段の協力を熱望しております。
 串本町にある県の水産試験場も本計画に必要な海況調査を行なっておりますが、本試験場は「くろしお」の漁海況調査の重要な拠点でもあります。しかしながら、現在運航中の約三十五トンの木造の調査船が老朽化し、新船建造の必要に迫られております。海洋調査を十分に行なうには百トン級の調査船が必要であり、その建造は、県としては予算的にも困難でありますので、海洋調査は、国が総合的視野に立って統一的に行なうことが必要ではないかと存じます。
 魚類の養殖の面では、白浜町にある近畿大学の水産研究所は画期的な業績をあげております。すなわち、昭和二十九年、ハマチの細いけす養殖に成功し、三十五年から、ハマチの種苗であるブリの稚魚養成のため、人工受精の研究を始めて成果をあげ、その後、有用魚種の品種改良につとめ、最近では、マグロの人工受精に成功をおさめております。このような研究は、卵から稚魚、稚魚から成魚へと魚類の一生を管理して初めて可能であり、研究員の日夜を分かたぬ努力がなければ成果をあげることができません。しかるに、その研究費の大半は、研究所付属の実験場で養殖した魚類の販売収益でまかなっているのが実情であります。国民に魚を大量に供給することを可能にし、かつ、物価安定にも寄与するかかる研究に、国は積極的に研究費を投入すべきであると存じます。
 潮岬半島に隣接する西海岸に串本海中公園があります。本海中公園は昨年七月に指定され、一号から四号までの四水域からなり、総面積三十九・二ヘクタールで、透明度は二十メートル程度で良好であり、二号水域には百メートルの沖合いに本年一月から海中展望塔が開設されております。展望塔は鉄板の円塔構造で、高さ十四メートル、下部の展望室の直径は七・六メートル、目の高さに直径二十センチの展望丸窓が四十個ついており、一度に六十人を収容でき、海岸と歩道橋で連絡しております。この展望塔周辺の海中には、ソラスズメ等の熱帯魚をはじめ、沿岸魚も合わせて約二十種が住みついており、また、起伏に富んだ海底には直径一メートルもあるテーブルサンゴ群が群生しております。海中公園には現在グラスボート二隻が就航しておりますが、このほかに水族館や研究所が建設される予定であります。
 海洋の自然環境を保護する上からも、また海洋に関する知識を国民に普及する立場からも、国は海中公園を指定するだけではなく、関連諸施設の建設にも積極的に取り組んでいく必要があると存じます。
 以上御報告を終わります。
#13
○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(鈴木一弘君) 次に、昭和四十六年度科学技術庁関係の施策及び予算に関する件の質疑を行ないます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#15
○久保等君 昭和四十六年度の科学技術庁関係の予算案について質問をいたしたいのですが、まず最初に、インテルサットの問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 ここ数年、インテルサットの問題につきましては、政府のほうでもいろいろと各国と折衝を重ねてまいっておったわけですが、昨年の十一月から十二月にかけての国際会議で、ある程度の協定締結についての合意に達したという報道等を聞いておるわけなんですが、このインテルサットの交渉経過について、一応郵政当局のほうから御説明を願いたいと思うのです。
#16
○政府委員(柏木輝彦君) 御説明を申し上げます。
 御承知のように、現在七十数カ国が参加して実用商業通信衛生組織を運営しているわけでございますが、この組織は一九六四年の暫定協定として発足したわけでございます。それが、この協定の第九条に、この協定を恒久協定組織として発足することを定めておりまして、その期限を一九七〇年の一月から新協定に切りかえる、ただし新協定が発足できないときには暫定協定が効力を存続するわけでございまして、現在では、まだその暫定協定によって運用をいたしておるわけでございます。
 この新協定は、一つは政府間の協定と、それに付属いたします電気通信事業体が協定します付属協定の、この二つからなるものでございまして、その第一回の条約会議を一昨年アメリカ合衆国が招請いたしましてワシントンで開催しているわけでございます。その後、第二回の政府間会議が同じく昨年の二月から三月にかけまして行なわれたわけでございますが、この第一回政府間会議におきましては、いろいろの重要問題につきましての各種の提案が出されまして、それにつきましてのほとんど合意に達することができないまま終わりまして、第二回会議までに三回の中間会議を開きまして、それらの意見の調整につとめたわけでございます。この結果開かれました昨年の第二回会議におきましても、各種の重要問題、特に参加国の権利義務、あるいは新組織の恒久組織の運営に関します各国の権能、あるいはその組織問題につきまして、アメリカ合衆国等を一方とするグループと西欧諸国を一方とするグループと激しい意見の対立に入りまして、その後半に至りまして日本及びオーストラリアが妥協案をその間に示しまして、その大綱が全会の一致で承認されまして、その線に従いまして、その後の協定案文作成が急がれたわけでございます。しかし、第二回政府間協定会議は期限切れとなりまして、その後重ねて、三度この問題をさらに中間会議を開催しておりまして、ただいま御指摘の、昨年の暮れの第三回の会議のときにおきまして、ほぼ大きい問題につきましての合意ができ上がってきたというわけでございます。ただ、この合意と申しましても、さらに第三回会議が来月中旬から開催されるわけでございますが、各国は、いままでの案文の内容に対しまして種々の留保もしておりますし、また、新しい提案も形式上はできるたてまえになっておりますので、このままの姿で案文が合意に達するかどうかにつきましては、まだ予断を許さぬ事情もございます。
 また、さらに、政府間協定自体につきましては大半の問題がこのような一本化された原案ができ上がっておるのでございますが、通信事業者間の付属協定につきましては、まだその作業が終了しておりませんので、いろいろそれについての重要問題が残っているというのが現在の段階でございます。
#17
○久保等君 荒筋の御説明は終わったのですが、特に従来はアメリカが非常に強く、独占体制といいますか、独占の主張を強くしておったわけなんですが、いま言った日本とオーストラリアとの間でつくったというか、提出した妥協案といったようなものが中心になって、政府間協定の場合にはほぼ合意の線にたどりついたといったようなお話なんですが、中身の主たる点を、合意に達した面、もう少し具体的に御説明願えませんか。
#18
○政府委員(柏木輝彦君) 第一の問題は、参加国の権利義務の問題でございます。この問題につきましては、当初、アメリカ合衆国といたしましては、インテルサットの組織に参加する国々は、インテルサットの打ち上げる星以外のものを打ち上げ、これを利用することを全面的に禁止したいという問題があったわけでございます。そのほか、インテルサットの星の利用につきまして、これを国際公衆通信以外のほうに、たとえば放送衛星でありますとか、航行衛星というような用除に向けるような使い方をどの程度認めていくべきかという問題についても意見の対立があったわけでございます。これらの問題につきましては、まず、参加国は原則といたしまして、国際公衆通信業務の用に供しまする衛星を打ち上げ、これを利用する権能というものを、基本的にはインテルサットのメンバーもこれを認めるという方向で合意に達したわけでございます。また、インテルサットの星の機能といたしまして、国際公衆通信の業務の用除に支障のない、また、その他の技術的な条件が満たされる限り、二次的業務といたしましてこれを国際公衆通信業務以外の特殊業務のためにも利用できる、あるいは国内の業務のためにも利用できるということとなったわけでございます。
 さらに、組織運営の問題といたしましては、まず、組織の最高機関といたしましてどのようなものを構成するかという問題でございます。これにつきましては、一国一票を原則といたします政府間の、政府の代表者で構成します総会を設けることといたしております。さらに、この付属協定、つまり事業者間協定の署名者をもって構成する、やはり一国一票を原則といたします。署名当事者総会と、かりに申しておりますが、そういう組織を設ける。それから、この組織に一定の出資比率以上のものを持つものの事業者でもって構成します理事会、これには、新たに世界を五つの地域に分けまして、その地域の代表として、出資比率にかかわらず選出されるものも加えるということで理事会を構成する。その理事会の運営につきまして重要な表決権の問題でございますが、これにつきましては、最大の出資比率を持つものといえども、全体の四〇%以上の投票率を行使できないということとしているわけでございます。
 また、日常業務の運営は、現在は、暫定協定におきましては、アメリカ合衆国の法律に基づく法人コムサットがこの運営にあたっているわけでございますが、これにかわる組織をインテルサットの中に設けるということになりまして、ひとまず暫定期間を設けまして、暫定期間六カ年の間におきましては、星の開発、運用と、技術的あるいは運用の問題につきましてはコムサットからこれを契約でサービスを受けるということにいたしまして、それ以外の業務面につきましては、新たにセクレタリー・ゼネラルと申すものを選出いたしまして、それがインテルサットを代表する地位を与える。さらに五年目に、セクレタリーゼネラルにかわるディレクター・ゼネラルを選出いたしまして、この六年間のコムサットとインテルサットの契約の満了までにおいて全体の業務を引き継ぐ準備をする。したがいまして、六年間経過いたしましたときにおきましては、新たに任命されますディレクター・ゼネラルをインテルサットの業務並びに運用、技術問題全体につきましての責任者にするということをうたっているわけでございます。
 以上が、いままでの一番対立点の多かった問題で、これにつきましては、先ほど申し上げましたような日豪共同提案の原則に基づいて解決が見られたわけでございます。
#19
○久保等君 だいぶ中身は詳細にわかったわけですが、いま御説明の中に、世界を五つの地域に分けて、その地域からそれぞれ代表を出して、それで理事会を構成するというお話なんですが、五つの地域で出る代表というものは、ほぼ見当がついているんですか。
#20
○政府委員(柏木輝彦君) ただいま申し上げました五つの代表は、一定出資比率を持つ代表に加えまして、最高五つだけのメンバーが加わるというわけでございまして、通常二十五前後のメンバーが予定されているわけでございます。それら五つの地域の代表の選出につきましては、この協定に選出手続をきめておるわけでございますが、この手続によりまして選出される暁におきまして、各地域に少なくとも一名、また、たとえばある区域――この五つの区域は、現在の電気通信条約に基づいて定めております五つの地域ごとにまとめておるわけでございますが、かりに、ある一つの地域からは全然立候補がないという場合には、それにかわりまして他の地域から最高二カ国までは選出できる、こういう規定になりまして、全体として五カ国以内というふうに押えているわけでございます。
#21
○久保等君 まあ、総員二十五名ということであって、そのうち五名が地域代表というか、五地域に分割して、その地域からそれぞれ代表的なものを選ぶということになると、あと二十が、結局、出資比率に基づいて選ばれる理事ということになりますか。
 それから、その出資比率がどういう比率でその二十名の理事を選ぶのか、そういったことも、わかっておれば御説明願います。
#22
○政府委員(柏木輝彦君) 現在の暫定協定におきましては、出資比率、五%を発足当時において出資しておりましたものを理事国のメンバーとしております。ただし、当初は十一カ国でありましたものが、その後、現在八十カ国近くなっておりますので、新しいメン八三がふえるごとに持ち分が各国とも少なくなっておりますので、たとえば、現在は、日本は一・七二%程度の出資比率でございますが、しかし、協定の条文によりまして、出発当初一・五%であればいいということで、最初の日本の出資比率二%をもって現在も理事国となっておるわけでございます。で、さらに新協定におきましては、この一・五%を一体どの程度に定めればいいか、これがたいへんむずかしい問題になるわけでございまして、一応、十二番目の高い出資率を持っているものをこの新協定発効後の最初の理事国の確定の際には採用するということを定めております。十二国と申しますと、これと地域代表五を合わせますと十七になるわけでございますが、そのほかはどういうことかと申しますと、いまでも、現在の暫定協定でもそのようになっておるわけでございますが、一カ国で、ある定められた出資率を持たなくても、数カ国がグループで、その合計がその比率に達すれば、その中から代表を出すという定めになっておりまして、この規定は今後も維持されるためでございます。
#23
○久保等君 このインテルサットの組織として、特に実験静止衛星等を打ち上げた場合は、こういったものは当然そういったものの対象にならないで、自由に運営はできるのですか。どういうことになりますか。
#24
○政府委員(柏木輝彦君) この協定の対象となっておりますのは実用商業通信衛星でございます。したがいまして、科学衛星のようなものにつきましては、この対象にはなっておりません。したがいまして、科学衛星を実験をするというような場合には、この協定とは無関係なものでございます。
#25
○久保等君 いまの問題なんですが、そういう科学衛星というよりも、さらにもう一歩進めて、実用衛星を目ざしておるのだけれども、その実用衛星の前段として、実験用で通信衛星として使う――静止衛星ですけれども、使うといったような、そういう場合には、やはりこれはまだ純然たる実用衛星として営業を目的として使っているわけじゃもちろんありませんしするから、そういったものは、こういったインテルサットの対象にはならぬ、協定の対象にはならぬというふうに理解していいですか。
#26
○政府委員(柏木輝彦君) 実用と実験と、実際上はなかなか判定の困難な場合もあるかと存じます。それが純然たる実験ということに理解されるものであれば問題はないかと思いますが、しかし、世上いろいろ、実験と称して実用を同時に行なうものもありますのが、かなり例も多いものでございますので、その点につきましての具体的な扱いにつきましては、若干の問題が残るかと存じます。
#27
○久保等君 わかりました。
 インテルサットの交渉経過についての質問は私打ち切りますが、問題は、日本の国内における通信衛星の打ち上げを今後どう進めていくかという問題があると思うのです。その前段の問題として、いま、例のロケットの打ち上げの問題で、いろいろ科学技術庁並びに宇宙開発事業団だとか、あるいは東大の宇宙航空研究所とか、こういつたところでせっかく努力をせられておるわけですが、例の昨年の九月の実験等で、ロケットの打ち上げがうまくいかなかったという問題等もあって、本年度の実験計画等も大幅に改定を昨年の十月の段階で行なっておるわけですが、一般のしろうと考えで考えて、一体、日本の静止通信衛星というものはいつごろ打ち上げられるのだろうかという素朴な疑問が私は出てくると思いますけれども、こういったことに対する見通しはどういうことになりますか、きわめて素朴な質問ですが、ひとつお伺いしたいと思うのです。
#28
○説明員(市瀬輝雄君) お答えいたします。
 昨年十月二十一日に決定されました新しい宇宙開発計画にも述べられておりますように、実験用の通信衛星、これは昭和五十二年を目標にして作業を進めることになっておりまして、現在は、通信衛星のシステム関係、それから衛星に塔載する機器の研究、こういう面で、五十二年度目標に向かって研究を進めております。
#29
○久保等君 まあ、それは一応目標なんですけれども、こまかいスケジュールというか、各年度ごとの計画等についても詳細に計画をお持ちなんでしょうか、どうでしょうか。
#30
○説明員(市瀬輝雄君) ただいま具体的に詳細な計画ができておりますのは、一応、科学衛星、それから電離層観測衛星、こういう面でございますが、また、気象衛星、通信衛星等につきましては、詳細と申しますか、一応五十二年度打ち上げ目標のスケジュールは立てておるわけでございますが、科学衛星、電離層衛星のように具体的にはまだ進んでおりません。
#31
○久保等君 五十二年に打ち上げるというのも、これはいわゆる実験用の静止通信衛星なので、実用とかなんとかいうことには、これは全然まだほど遠いわけですからね。まあ私のお聞きしているのは、したがって、実用衛星ということも、これはある程度具体的な日程にのぼらなければ一いまインテルサットのお話をお聞きしたのだけれども、いろいろ交渉をしてインテルサットの協定もできたというものの、いく先は、全然日本の場合にはその通信衛星の打ち上げの能力がないのだ、わからないのだと、将来、というようなことでは、これはもう全くバランスのとれない話でしてね。だから、その実用通信衛星そのものが、これはもうだいぶ先の話ですから、六年も先の話ですから、相当な期間を要するわけなんですけれども、その計画そのものも、年度ごとに、一体それならどういう計画でもって、今度は当初の予定が狂うようなことがなく、必ず五十二年には、おそくとも実験用の通信衛星の打ち上げができるだろうということでなければならぬと思うのだけれども、同時に、さらに、実用じゃなくて、これはもうほんとうの商業用の通信衛星が打ち上げられる目標というものは一体どのあたりに置いているのですか。その目標は、いまのところお持ち合わせじゃないのですか。
#32
○説明員(市瀬輝雄君) 先ほどの私の説明、ちょっと御理解願いにくかったと思いますので、もうちょっと詳細に全体のロケット衛星の計画について申し上げてみたいと思います。
 宇宙開発計画におきましては、まず試験用のロケットを開発いたしまして、それからその次に技術試験衛星というものを打ち上げます。それから次に電離層衛星を打ち上げる。その結果、五十二年には実験用の通信衛星を打ち上げる。これを各年次別に一応計画は立てております。それで、今度実用衛星の段階につきましては、この五十二年の実験用通信衛星の成果を見まして、どの時期に打ち上げるかということを検討したいと考えております。
#33
○久保等君 その概略は、これはもう前々からそういう計画で進んでおったことは私も承知しておるのです。問題は、実験用の静止通信衛星が打ち上げられれば、直ちにその後引き続き、もしこれが成功すれば、これはもうほとんど日月を要せずして実用の通信衛星が打ち上げ得るのだ、技術的に、という理解なんですか。それとも、その間、やはり若干の日月というものは必要なんですか。技術的にはどういうように判断されておりますか。
#34
○説明員(市瀬輝雄君) 五十二年といいますと、まだかなりの時間もございますので、その間に、地上施設その他の関連の国内体制等も整備を続けまして、五十二年の実験用静止通信衛星に引き継ぎまして、その実用衛星との間隙をなるべく縮めるという方向でわれわれも努力したいと思います。
#35
○久保等君 その地上施設とかなんとかということは、これは比較的私はそうむずかしい問題じゃないと思うのです。四十六年度の予算、関係省の予算を見ても、むしろ、そのロケットの打ち上げそのものが予定よりも非常におくれたために、来年度予算の中では経費を削減したりして、当初の計画よりも縮小しているようです。だから、そういう地上施設は、見通しさえはっきりすれば、そうむずかしい問題じゃないし、すでにもういろいろ通信衛星を受けたり送ったりしてやっておるわけですから、そうたいした技術的に開発しなければならぬという問題は、私はそうないんじゃないかと思うのです。問題は、やはりロケットの開発問題が、これはなかなか当初の予定と狂ってきた。昨年の九月の実験にしても失敗をしたという経緯があるわけですから、特にその問題と、それから通信衛星のたまそのもの、これも私は、今日の技術をもってすれば、そう至難の問題じゃないんじゃないかと思うのです。やはり一番問題になってくるのは、ロケットの開発の問題です。これは、いま懸案で、いろいろと御苦労をされておると思うのですが、だから、そういった面から見れば、一番問題になっているネックの問題は、その計画どおり今度はだいじょうぶだと、それから実験用の衛星を打ち上げられれば、それが成功さえするならば、あとはほとんどそうたいして期間もとらずに実用衛星が打ち上げられるのだ、通信衛星が打ち上げられるのだ、というふうに理解してよろしいのですか。
#36
○説明員(市瀬輝雄君) 去年、計画の大改定が行なわれましたが、それを受けまして、特にその一番基準になりますロケットの開発という面の現状を少々申し上げたいと思います。
 ロケットにつきましては、現在、新しいN計画というNロケットの概念設計をやりまして、大体ここ数カ月の間にはこれがまとまる予定でございます。引き続いて予備設計、それから基本設計と進める段取りになっております。
#37
○久保等君 当面の問題は、いま言われたようなことで作業を進めておられるのだと思うのですが、当初予定しておった、事業団が打ち上げる予定だった、例の液体燃料ロケットのSICの打ち上げの問題、これも一応計画を変更せざるを得ないということになったのですが、これそのものは、いつごろ打ち上げる予定なんですか。どういうふうになっておりますか。
#38
○説明員(市瀬輝雄君) 小型ロケットの打ち上げにつきましては、これは計画どおり比較的順調に進んでおりまして、これは大型ロケットの打ち上げを完成するための必要ないろいろな実験を繰り返しておるわけでございまして、特に現在のところ支障はないと思っております。
#39
○久保等君 私のいま質問しているLSICの打ち上げは、どういう予定になっておるのですか。
#40
○説明員(市瀬輝雄君) LSICの5号機というのを本年の九月に打ち上げます。それから6号機は来年の一、二月期において打ち上げまして、以下8号機まで打ち上げる予定になっております。
#41
○久保等君 目下のところ、そういったことは順調に進んでおると理解していいんですか。したがって、いまお話があったように、九月ごろ5号機、さらに翌年一、二月期には6号機ですかね、打ち上げをやり得るということの準備というのは、順調に進んでおるわけですか。
#42
○説明員(市瀬輝雄君) 順調に進んでおります。
#43
○久保等君 それから科学衛星の一号衛星でF2ですね、これも、どういう今後の見通しになりますか。
#44
○説明員(市瀬輝雄君) 御存じのように、本年二月、ミューロケットによります実験用の科学衛星がめでたく軌道を回りまして、それで今年の八月、九月期に第一号科学衛星を打ち上げるという計画になっておりますが、これはたいへん自信を深めて東大は進めております。
#45
○久保等君 まあ、いずれにしても、これは基礎的な実験から、さらに先ほど申し上げたような目的に向かって精力的に御努力を願わなければならぬ。この問題は特に技術的な問題ですから、予算上云々という問題ではありませんけれども、私は特に、事業団のほうにしろ、あるいは東大の研究所にしろ、いま言った客観的な情勢を、世界の情勢をながめたときに、日本のいま言ったロケットの打ち上げは非常に予定よりおくれたりなんかして、われわれも若干気分的にも非常に弱ったなあという気持ちが率直にしておるのですが、ぜひひとつ、十分に精力的に取り組んでもらって、計画がさらにまた変更せられて、おそくなるといったようなことのないように、一段と御努力を願いたいと思うのです。
 まあ、いずれにしても、通信衛星の問題については、国際的な一つの競争というか、各国のやはり動き等もありましてね。私は、やはりそういう情勢におくれるというようなことは、あとでもう取り返しがつかないというか、非常に大きな面が出てくると思うのですが、そういった点で、ひとつ御努力を願いたいと思います。
 時間があまりありませんから、次に移って、予算関係の問題をさらにお尋ねしたいと思うのですが、昭和四十六年度の予算、前年度予算と比べて約一八%ばかり予算総額は金額の面ではふえておるようですが、しかし、日本の科学技術全般をながめて、これまた非常に立ちおくれたような感じが非常に強くするわけです。
 ちょっと前もって念のためにお尋ねしたいと思うのですが、本年度の予算総額六百一億円余ですが、この予算に対して、当初科学技術庁で要求をせられた予算総額は幾らでしたか。ちょっと御説明を願いたいと思います。
#46
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生の御質問は、六百一億とおっしゃっているので、四十五年度の予算の話だろうと思いますが、四十五年度の予算は、要求額は八百十億でございます。それに対して、いまおっしゃった六百一億がついたわけでございます。
#47
○久保等君 昭和四十五年度で要求せられた予算総額は八百十億というんですが、本年度は七百七億というふうに、前年度よりも約百億ぐらい少なくなっておるのは、これはまたどういう考え方ですか。
#48
○政府委員(矢島嗣郎君) 先生いま七百七億と……。七百九億でございます。四十六年度の予算は。
#49
○久保等君 要求額の話をしている。
#50
○政府委員(矢島嗣郎君) 四十六年度の要求額は八百八十六億でございます。
#51
○久保等君 資料でちょっと見た限りでは、私は七百七億と理解しておったんですが、数字的に何か印刷の……。
#52
○政府委員(矢島嗣郎君) あるいは適当でない資料を差し上、げたかと思いますけれども、正確にはジャスト七百九億。
#53
○久保等君 要求額だよ。
#54
○政府委員(矢島嗣郎君) 要求は、さっき申し上げましたように八百八十六億です。
#55
○久保等君 それはわかりました。私は要求額を七百七億と数字で見たものですから、ちょっとふしぎに思ったのですが、まあ八百八十六億なら、その点ではわかりました。
 そうすると、まあいずれも要求額に対しては予算というものは相当査定を受けたということになっておると思うんです。特に四十六年度の場合にはどういったところを削られたんですか。どういった費目ですか。ある程度まとまった金額のところ、各項目について。こまかいところはいいですから。
#56
○政府委員(矢島嗣郎君) それでは、大きな分類でもって、どの程度概算要求に対して予算がついたかということを申し上げますと、最初に原子力関係でございますが、原子力関係は、要求額が五百七十億、それに対しまして予算案では四百七十四億ということになりまして、この歩どまりと申しますか、獲得率は八三・一%に相なるわけでございます。次のグループは、宇宙関係予算で、要求額が百九十一億に対し、予算案では百十七億で、歩どまりは六一・八尾でございます。それから次のグループ、海洋関係、概算要求八億に対して予算案が六億八千万で、歩どまりは八二・七%。あと、非常にこまかいのはたくさんあるんですが、その他をまとめますと、その他では百十六億に対して百十一億で、歩どまり九五・九%と、こういうことに相なっております。
#57
○久保等君 前年度というか、本年度ですね、昭和四十五年度の予算、これはまあ、昨年度の予算に比べると金額の面でも約三六%増の予算だったと思うんですが、明年度予算は本年度予算に比べると、いま言ったように一八%程度の増額にとどまってるんですけれども、ここらの、まあこまかいことは別として、基本的に予算編成にあたって、科学技術庁の長官としてどういう一体目標で予算編成に取り組んでこられておるのか、お伺いしたいと思うのですが、十数%という程度の予算増加では、これは一般物価あるいは経済成長率、それとおっつかっつの程度の予算増だと思うのですが、いまの日本の科学技術、これは非常に予算関係からながめてみても貧弱だと思うのですが、まず、そのことについて、長官、どのようにお考えですか。
#58
○国務大臣(西田信一君) 全体をひっくるめまして、私は十分な予算とは存じません。もう少し充実したいと思うのでありますが、ことしの予算には若干特別な事情もございます。昨年は三十数%伸びておりますが、まあ一般的に申しまして、科学技術庁は非常に新しい仕事と取り組んでおりまするし、したがいまして、ベースがだんだん上がってまいりますと、伸び率は若干鈍化の傾向をとるのは、これはやむを得ないことだと思うのであります。そういう意味で、昨年とは、まあそういう事情もございます。
 それからもう一つは、これは率直に申しまして、昨年要求しました当時は、まだ、たとえば宇宙開発につきましても、計画の改定を行なうちょうどその時点にぶつかっておるわけでございましたけれども、予算要求後に大幅な改定を行ないました。したがいまして、改定作業をやっております間におきまして、その先行するというようなことの前提がございますものですから、今年度の予算が予算計上どおり進行しない面もございまして、そこら辺、若干使い残しのものも相当出たことは、これは残念ながら事実でございます。したがいまして、来年度の宇宙開発におきましては、予算の伸び率は非常に低いのでございますけれども、そこら辺の事情もございまして、繰り越し分も相当ございまするし、また、本年度、改定後にことしの予算をそれに振り向けるという面も若干ございまして、それらを合わせますと、この百十何億というものは、かなりまた実質的な増額と申しますか、金が使えるわけでございます。そういう面もございます。
 それから、原子力関係におきましても、いま宇宙開発で申しましたような傾向も若干ございます。したがいまして、これらを合わせますと、原子力関係におきましては大体満足すべき予算内容になつおると思うてのでございます。そういった事情もございまして、伸び率はことしは必ずしも十分でなかった、率の面におきましては高率ではないのでございまするが、内容におきましては、原子力関係におきましても、あるいは宇宙開発におきましても、所期の計画を進めてまいりますのに、さほど不自由する予算ではないというふうに考えておるのでございます。しかしながら、たとえば原子力におきましても、いま非常に大きな問題になりつつありますところのウラン濃縮の問題でありますとか、あるいは核燃料確保の問題でございますとか、こういったことにも、もう少しあるいは積極的な取り組みをしなければならぬというふうに考えますから、いま原子力等におきましても長期計画の見直しを行なっておりまして、年内に改定を行ないたいと思いますが、こういったことを踏まえまして、今後の、明年度以降の予算に取り組んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#59
○久保等君 いまの長官の御説明で、前年度と比べて多少伸びが少なかったとかなんとかということは、私、長官の説明せられた一、二の問題等の理由で、ある程度わかる面もあるのです。しかし、まず、もう少し基本的に、科学技術庁の科学技術振興についての態度について、私はもうちょっと反省があってしかるべきじゃないかと思うんですね。それは、要するに、たとえば昭和三十五年に、例の総理が議長をやっている科学技術会議ですが、ここらできめた基本方針というものは、どういうふうに一体十年間の計画の中で進展してきているのかということも、これ、非常に大きな一つの私は骨格をなすものだと思うんです。だから私はかなり、一年、二年だけのそういう短期間をとらえてどうこうと言うよりも、長期的に見た場合にも、あの基本計画というものは十年後の展望の上に立って、少なくとも国民所得の二・五%程度のものはひとつ科学技術関係の予算として考えていきたいと、こういう非常に強い答申が出たと思うんですね。科学技術会議というものは、顔ぶれなりメンバーから見れば日本最高のメンバーだと私は思うんです。長官も、もちろんその構成メンバーに入っていると思うんですが、そういったところできめた二・五%という目標も、現在は二%に及ばないんじゃないかと私思うんですが、そのことが具体的ないろんな政策の上にやっぱり出てきていると思うんですね。
 たとえば、研究者の年間当たりの研究費というものは一体どうなっているかというようなことも、おたくのほうで出されている資料等に、はっきり数字として出ているんですが、これなんかも、各国と比べると非常な格差がありますね。少しばかり日本がおくれているという程度じゃなくて、アメリカなんかと比べては、これはまあちょっと問題にならぬと思うんですけれども、西ドイツあたりと比べても相当な私は開きがあると思うんですね。これは資料等で拝見しても、まず、科学技術関係の予算が国全体の総予算に対する割合から見ても、日本の場合には、このおたくのほうの資料によると、昭和四十四年、前年度あたりの資料のようですけれども、総額二千六百三十四億円という科学技術関係予算では、結局、パーセンテージにすると、総予算に対して三・三%程度、来年度予算でも逆に三・二%程度ですね。〇・一%落ちるんですから、数字からいって、たいしたことないと言うかもしらぬけれども、しかし、これも伸びるんじゃなくて、逆に本年度と来年度の予算を比べると落ちるというようなことになっておることは、これは全体の問題として非常に大きな問題だと思うんです。あるいは科学技術者に対する研究費の問題なんかにしても、日本の場合には、昭和四十二年あたりのこれ、資料でしょうか、一人当たり四百四十万円、これに対して、イタリーあたりでも一千百万円、ドイツあたりでは一千五百万円、フランスで一千八百万円という、年間の研究者一人当たりの国家予算というものが、いま言ったように、倍数ぐらいで私は格差があると思うんですね。こういったようなことは、やっぱり最初きめた目標の、せめて国民所得の二・五%程度はぜひひとつ科学技術振興の予算として組もうじゃないかといった、そういうことが忘れられたというか、軽視せられたことが、結局こういった面に端的に、もう予算の金額として出てきていると思うんですね。
 そのことは、また反面においては、技術貿易といいますか、輸出技術、輸入技術の関係を見ても、たいへんなこれまた格差があるわけですね。日本の場合には約十倍近い、輸入技術に対する支払いが輸出技術に対する収入に比べて支出されているという問題等もあるんですが、こういったことを考えると、昭和三十五年というんですから、いまからちょうど十年前ですね、十年前ですが、あの計画も、昭和四十六年の三月というから、ちょうど今月ですね、今月末までには少なくとも二・五%程度のところにひとつ持っていこうと、予算規模をですね、国民所得に対する二・五%程度にはぜひ持っていこうということが十年前にきめられたと思うんです。その目標の十年が、この三月でちょうどぎりぎり一ぱい切れるわけで、そういう点では、私は、一つの区切りとしても、この際非常な反省を要する時期であり、また大きな問題だと思うんですよ。総決算の時期を迎えて、この問題について、先ほどの長官の御答弁程度では一これはただ去年とことしの話だけしていればそれは答弁としては済むのかもしらぬけれども、十年前からこの経過をたどって考えたときには、私はちょっとその答弁では納得できないんですが、いかがですか。
#60
○国務大臣(西田信一君) 冒頭に申し上げましたように、決して十分な予算とは考えておらないのであります。最近の、いま先生が御指摘になりました研究投資額なんかにおきましても、ようやく一・九%に到達したということであります。最近この二、三年の間に〇・二%くらい上昇したようでございます。また、国全体の研究投資は最近の数年間が二〇%くらいでございますが、四十四年度でとりますと二一・五%程度というようなことで、若干ここ数年間の平珍の上昇率を上回ってはおりますが、しかしながらまだ一・九%で、二・五%にははるかに遠いのでございまして、御指摘のことは全くそのとおりでございます。ことに、この研究投資等におきまして民間のほうが非常にわが国の場合は多うございまして、国の投資が二五、六%というようなところでございまして、これは諸外国と比べますと非常に懸隔がございます。こういう点も、ぜひこれは是正をしていかなきゃならぬことだろうと考えておるのでありまして、私は、諸外国の科学技術に対する国の投資の毎年の累積を比較してみますと、イタリアなんかとはそれほど懸隔がないといたしましても、その他に比べて、アメリカやソ連は別といたしましても、フランスであるとか西独であるとかとは、だんだん格差が開いていく傾向がはっきりしております。そういう点から申しましても、国が立てた計画目標の二・五%に到達しないという面から申しましても、これはもう科学技術に対する国の予算あるいはまた国全体の研究投資等がかなりおくれておるということは、もう否定できないのであります。したがいまして、いま、一九七〇年代の科学技術の基本政策につきまして科学技術会議が鋭意検討をいたしておりますが、これらの場におきましても、こういう面を踏まえまして、このような計画に対する立ちおくれ、あるいは諸外国に対するところの非常な立ちおくれ、こういうものを急速に取り戻していかなきゃならない、そういう姿勢でなきやならないと考えております。
 そういう意味におきまして、さらに個々の問題につきましても、また宇宙開発におきましても、海洋開発においても、あるいはまた原子力等におきましても、これらの個々の面をとらえましても、やはりまだ、アメリカ、ソ連は別といたしましても、西欧諸国に対しても相当おくれをとっておるということは否定できないのでありますから、そういう面におきまして、私どもは積極的な姿勢でこの問題と取り組んでいかなきゃならぬ、私は、できるならば財政当局と、もう少しひざを交えた話し合いをいたしまして、そうして将来の科学技術の振興に対して、国がもう少し積極的な姿勢をとるように努力をいたしたいと考えております。
#61
○久保等君 先ほど私が申し上げた昭和三十五年十月の例の科学技術会議の、まあ科学技術行政に対する非常に大きな柱だったと思いますが、科学技術振興の総合的基本方策ということについて答申をつくり、その実施を、いま申したように、十年間にわたってやってきた。その結果は、先ほど私が例を二、三あげたわけですが、その例の中に示されるように、非常に当初の計画そのものも縮小されたような形で実施せられてきたし、したがって、諸外国と比べてもたいへんな見劣りがするわけなんですが、さらにまた、同じ研究機関でながめてみますと、大学の研究機関と、それから国立の試験研究所あたりの予算なんかは、これまた、だいぶ格差があるようですね。こういったことについては、私は、だから総体的な一つの目標を定めたら、その目標に向かってもう少し積極的にやってもらわぬと、年々一〇数%か、あるいは二〇%程度上がったり下がったり多少してやっている程度では追っつかないと思うんですね。特に、十年の期間がちょうどたったいま、いま長官の言われたように、新しいというか、次の基本方策というものをいま考えつつある段階だと思うんですが、ぜひひとつ、いままでの過去の十年間の実績等も私は反省をしてもらう必要があると思うんですね。やれなかったらやれなかったで、何かお役所仕事で、だれが責任をとるわけじゃなくて十年経過していくというのは、これは実に無責任だと思うんですね。長官の一人の立場から言えば、おれが十年間長官やったわけじゃなくて、ただ一年か二年長官をやっているんだからという気持ちも内心ないでもないと思うんだが、私はそういう気持ちは許されないと思うんですね。佐藤総理だって、十年前の話になれば、おれの当時つくった基本方策じゃないんだということになるかもしれぬですが、そういうことじゃ困ると思うんですね。だから、私は、そういう点で一つの区切りに来ているわけですから、少なくとも今後の展望については、やはり基本的な問題についてしっかりした計画を立てたら、これについては強力に推進していかなきゃならないと思うんです。幸い、この会議のメンバーには大蔵大臣も入っておるようですしね、するんだから、大蔵大臣もそういう基本方策をつくることについて了解をしたというなら、あまりこまかい、あと予算編成のときに削減することばかりが大蔵省の任務だなんという考え方でなくて、やはりやらせるようにしなければならぬと思うんですが、それには科学技術庁長官が中心になってやらなければ、先ほどのように少しずつ、年々少しずつ比率が下がるのは、むしろ総体の経費がふえるから率としては下がるんだという、そんなふうな――安定状態までいっているならけっこうですが、まだまだ私はそんな状態にはほど遠いと思う。だから、あまりにも総体の金額が大きくなったというんなら、一兆円ぐらいになったならそういった話も通用するけれども、いま言ったように、イタリアあたりと比べても、一研究者の国家予算というものが半分前後ぐらいの程度では少しお粗末と言わざるを得ないと思うんですね。
 そういう基礎的に研究するものは、日本の場合は非常におくれていると思うんです。そのことがロケットの打ち上げにしろ何にしろ、いざ実用的なことをやろうとしたときに、私は、そういった底の浅さが技術面で出てくると思うんですね。だから、具体的な実用衛星なら実用衛星を打ち上げようということでやったときに、結局、関連する基礎研究というものが十分になされておらないものですから、そういうつけ焼き刃的な技術で成功するはずがないんですね。こんなことは、しろうとの考え、きわめて素朴な疑問であり、また質問だと思うんですけれども、幸い科学技術会議の十年前に出した答申が、ちょうど目標上する十年を終わった時期ですし、するものですから、次の段階について少し思い切った施策を実行してもらいたいと思うんです。計画だけつくった、答申は比較的いいものができるだろうと私は思うんですがね。問題は、その答申が実行せられるかどうかが問題だと思うんですよ。当初長官の言われたような、そういった程度ではなくて、根本的にひとつ、科学技術振興の問題について、予算編成等についても、きめた目標については断々固として実行していくんだという気がまえを持って実行してもらいたいと思うんです。いかがでございますか。
#62
○国務大臣(西田信一君) 久保先生の御指摘は、まさにずぼしをついておられると思います。私どもも先生と同じ気持ちで積極的な姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。ことに、いま策定をされております次の十年計画の策定にあたりましても、ただいま先生がお述べになりましたような、そういう心がまえでこの策定に臨みたいと考えております。また、できました計画は、これは忠実に実行するということでなければ、絵にかいたもちになるわけでございますから、過去の反省を十分いたしまして、ひとつこれから積極的に取り組んでまいりたい。財政当局にも十分な理解を求めるように努力したいと思います。
#63
○久保等君 それじゃ、私、まあ時間の関係もありますから、終わりたいと思います。
 ちょっと繰り返すようですけれども、本年度の予算が前年度に比べて三六%ばかり増であったということに比べると、明年度予算というものが本年度予算に比べて、その増加分が半分、一八%程度になっている問題も、これはいまの長官の意気込みをもってすると、いささかどうも、ふに落ちない結果になっておると思うのですが、そういった点、ひとつぜひ、まあこまかい点を、こまかく質問をしたりお尋ねする時間もありませんから、お尋ねはしませんけれども、いま言ったような総体的な予算のワク等についても、やはり一つの目標なり計画をお持ちになっておやりになったほうが私はいいと思うのです。そのとき、たまたま査定をいろいろやられたりなんかした結論が何%になったんじゃなくて、毎年何%程度の増は確保していくんだという、私はやっぱり心がまえが必要だと思うのですね。だから、本年度の予算については三六%ふえたけれども翌年度は一八%になったというんじゃ、これまた、ちょっと振幅が大き過ぎるのじゃないかという気がしますね。まあ、そのときの実行計画が変更になって、予算が多少違ってくることは、これはもうあり得ることだし、繰り越しが多かったり少なかったり、年度末になって計画が若干狂うことはあり得ると思うのですが、しかし、一八%と三六%では、これはちょっと大き過ぎますよ、長官。
#64
○国務大臣(西田信一君) これは、申しわけを申すわけではございませんけれども、確かに、科学技術予算全体が諸外国に比べても十分でないということは、もう率直に認めます。ただ、先ほどの、ことしの特殊の事情も若干ございまして、三〇何%が一八%に落ちておりますけれども、実質的に使える金は、繰り越しその他合わせますと三〇%はこえることになりまして、当面その計画の遂行にはそれほど支障のない予算であるということを、さっき申したわけでございますけれども、全体につきまして、もっともっと積極的な取り組みをしなければならぬということにつきましては、御指摘のとおりでございます。全力をあげて努力したいと思います。
#65
○久保等君 もう長官の御答弁はよくわかりますから、問題は、そういうことを実行してもらいたいと思うのです。
 それと、まあちょっと思いついたというか、気がついたことなんですが、たとえば試験研究の問題にちょっと私触れたのですが、国立の特に科学技術庁に関係する試験研究所、これについても、ある程度看板がえをやられるような予定のようですけれども、問題は、やっぱり中身を充実させていかないと、看板を書きかえたり、それから何か組織を多少新鮮味を持たせるような程度に編成がえをしてみても、これは、やらないのよりいいかもしれませんけれども、やはり中身をもう少し充実させる必要があると思うのですね。たとえば研究者をふやすとか、あるいは研究者に対する施設なり、あるいはまた待遇なり、あるいはまた試験研究費ですね、こういったようなものをやはり考えていかなければ、何か新しい年度予算の中ではそういったことについての多少看板の塗りかえ程度のことを考えておられるようですけれども、これも、いま言った中身の問題を充実をしていくということからすれば、やっぱり金がかかる問題ですし、それがやはり予算の上であらわれてこなければいけないと思うのですけれども、金がなくて充実できるならけっこうなことですが、何といっても、突き詰めていけば、予算がつかないで、ただ単に組織の名前だけ変えてみたりしたところで、たいして私は効果が期待できないと思うのですね。
 先ほどもちょっと申し上げたように、大学の研究所も、これはお粗末ですけれども、その大学の研究所に比べても、国立研究所あたりはさらに貧弱だということが数字的にデータ等で出ておるようですが、これらのことについても、科学技術庁、特に研究関係のことについては一番本家ですからね。しっかりしてもらわなきゃ困ると思うのですが、ここらのこともつけ加えて私意見を申し上げておきますが、何か長官から御答弁があれば伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(西田信一君) 科学技術振興のための基礎になる研究者の処遇でありますとか、また、十分研究のできるような環境をつくってやりますとか、こういったことがきわめて大事でありますし、それからまた、たとえば予算をたくさん事業団に取りましても、これを消化していくだけの能力が要る。それにはやっぱり人の数も必要であります。金も必要であります。そういう面におきまして、ことしの予算は、金の面におきましてもそうでありますが、十分予算を消化して、そして使い残しがないように、金が足りないぐらいに、どんどん消化していくということでないと、次の予算は取れないわけです。そういう面におきましては、ことしは、人的充実の面におきまして相当努力を、いままで例のないほど、人の充実ということは、事業団におきまして、宇宙におきましても、原子力関係におきましても、動燃事業団におきましても、やったつもりでございます。それからまた、各研究所の人的充実につきましても相当配慮いたしたつもりでございまして、従来よりは比較的人の充実ができたように思います。それからまた、総定員法の関係もございまして、なかなか人は、減すほうはあれでございますけれども、実はことしは科学技術庁におきましても、いままで、ここ数年ほど、数はわずかでございますけれども、従来の例から言いますというと、例のないくらい人を何名か、七、八名ふえましたか、というようなことをいたしました。
 それからまた、研究者の処遇の問題につきましては、これは私のほうの直接所管しておる研究所だけでなくて、国の研究所、機関全体の、何ですね、研究者の処遇の問題が非常に重要でございますので、これは私ども責任を持っておりますものですから、昨年来人事院等にも相当強くお願いをいたしまして、相当これらの改善も見たわけでございます。また今年も引き続いてそういうことを考えていただくことになっておりまして、ただいま仰せになりましたような問題につきましては十分配慮してまいるつもりでございます。
#67
○久保等君 それじゃ、これで私の質問を終わりますが、いま、要員というか、定員、昭和四十六年度でふえる予定の増員、何名になりますか。それを各部門別に資料で出してくれませんか。それと、よく言われるように、頭脳流出だとかというようなことで、海外に出かけていくようなことが非常に前々から問題になっていますが、こういったようなことも、要するに、技術者なり研究者に対する処遇の悪さから来る。これは国家的に私は非常に大きな損失だと思うのですね。だから、そういった点をやかましく言って音頭をとるのは科学技術庁の長官だと私は思うのですが、そういう点で、そういった処遇なり、あるいはまた人員の充実なんかについては、よほど努力をしてもらわないと、最近、定員削減で千編一律に削減をやったりなにかしておるんですけれども、科学技術庁のように、どんどん新しい技術開発をやっていかなきゃならぬ部門で現在定員をやはり五%削るとかなんとかというようなことで、年々若干ずつでも削るなんという、これはもう全く私は、ナンセンスというよりも悲劇だと思うのですね。だから、そういったことについては、やはり実態というものの上に立った定員を考えてもらわなきゃ困ると思うのですが、これはまあ長官だけに言ったってしょうがない問題だけれども、定員の明年度増の問題について、内訳等を、あとでいいですから、何だったら資料で部門別に出してもらいたいと思う。
 それで私の質問は終わります。
#68
○政府委員(矢島嗣郎君) ただいま御要求の定員の関係は、正確を期するために、後ほど資料で提出さしていただきます。
 それから、先ほど先生が、来年度看板の塗りかえ、看板がえといいましょうか、名称変更のことをおっしゃいましたけれども、科学技術庁の関係では研究機関について名称変更とか、あるいは看板の塗りかえというようなものはございませんで、私のほうは若い研究所でございますから、そういう事態にまだ立ち至っておらないので、むしろ、先ほど長官が申し上げましたように、定員の充実なり、機械の充実、そういう方面に強力に進めておるわけでございます。
#69
○久保等君 先ほど私のお尋ねしたのは、科学技術全般の問題で、科学技術庁だけに限った意味ではないのです。だから、他の省庁にもあるわけですね。そういうことを含めてお聞きしたのですから。わかりました。
#70
○委員長(鈴木一弘君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#71
○委員長(鈴木一弘君) 速記を起こして。
 午後一時四十分再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#72
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#73
○矢追秀彦君 大臣が二時から行かれるそうですから、先に一つだけ聞いておいて、あと、局長さんに伺っておきます。
 大臣の所信表明の第一番の「科学技術振興基盤の強化」の中に「科学技術振興基本計画の策定」のことがうたわれておりますが、この基本計画はいつ出されるのか。大体どういう内容のものであるのか。この基本計画をつくる場合はどうしてもやはりここで問題になるのが科学技術基本法、これの制定がどうしても問題になってくると思いますが、その点についてどのようにお考えでございますか。
#74
○国務大臣(西田信一君) ちょっと私、的確に御質問を把握しなかったのでございますが、科学技術政策を立案中であるが、これに関連して長期計画をどういうふうにする考えであるか、こういうお尋ねでございますか。――科学技術の長期計画につきましては、ただいま科学技術会議が諮問を受けまして、鋭意検討中でございます。その検討の課題は、七〇年代の科学技術政策はいかにあるべきかという課題と取り組んでいるわけでございます。そこで、その答申はおそらく四月中には出ると考えておりますが、科学技術の長期計画をどういうふうに考えておるか、その中にどういうふうに取り組まれるか、こういうことでございますが、この科学技術政策の基本につきまして、いま検討中でございまするから、まだ討議中でございますので、具体的にその内容を申し上げることは困難でございますけれども、科学技術政策全般にわたっての検討がなされているわけでございます。ことに、最近非常に問題になっておりますところの環境問題、あるいは経済の国際化の問題、あるいは情報化社会への移行に対するところの姿勢であるとか、こういったことが特に重要な課題として検討されておるわけでございます。
 そこで、科学技術の基本計画につきましては、いまいろいろな角度から検討を進めておるわけでございます。一度国会に御提案申し上げたのでありますが、これは遺憾ながら審議未了になっておりまして、さらにただいま長期的な技術予測等も行なっておりまするし、また、先ほど申し上げた科学技術会議におきますところの七〇年代の基本的な政策というものを見てまいりますので、これらを受けまして、どういう形の基本計画をつくれるかということにつきましては、ひとつ検討を進めまして、最も時代にふさわしいものを考えていきたいと考えております。
#75
○矢追秀彦君 いま四月に答申を受けてやると言われましたけれども、七〇年代といっても、今年はもう七一年ですから、一年これで減っているわけですよね。いまのようなペースだと、七〇年代のまん中辺になって、七〇年代の長期総合計画では、これはもうおそ過ぎる。しかも、前からずっと相当の年月にわたってずっと議論されてきたのが基本法です。やはりこの点について政府は現在の科学技術者の方たちとの話し合いをもっと進めていただいて――最近全然この基本法については進んでいないと私は思いますが、これについて、もっと政府の態度をはっきりした上で、やはりその基本法に基づいた基本計画がなければ意味がないと私は思いますので、その点について重ねてお伺いして、衆議院の本会議があるようですから、またお帰りになってから次の問題をお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(西田信一君) ことしは七一年でございまして、七〇年代というのは的確に七〇年からスタートを切るのか、七一年からスタートを切るのか、これはいろいろその考え方があると思いますが、七〇年代というのは、まあ考えようによっては七一年からスタートするというふうにもとれるわけでありますが、いずれにいたしましても、先生が御指摘のような基本法のようなものが必要であるということについては私ども同感でございます。そこで、基本法という形になりますか、あるいは計画法というようなことになりますか、これらにつきましては、国会におかれましても超党派的にいろいろと御検討をちょうだいしておりまして、これはもうわれわれとしては十分尊重してまいりたいと考えているわけでございます。先生おっしゃったように、七〇年代の半分も経過する時期になってからというようなことでなしに、私どもも適切な計画をなるべく早くひとつ樹立したいと考えております。
#77
○矢追秀彦君 では、次の問題に移りますが、放射性廃棄物の海洋投棄の問題について、先日来予算委員会でわが党の委員が質問をいたしましたが、立ち入った質問等も行なわれておりませんので、あらためて御質問申し上げますが、まず、放射性廃棄物の海洋投棄実験、これが行なわれておりますが、これが現在まで行なわれた回数、それから日時について発表していただきたい。
#78
○政府委員(梅澤邦臣君) 放射性同位元素協会で、昭和三十年から四十四年まで十五回、大体年に一回でございますが、海洋投棄が行なわれております。二百リットルのドラムかんで千六百本、合計でございます。それが十年の間に館山沖四十キロのところの二千六百メートルの深さのところに実施されております。
#79
○矢追秀彦君 この廃棄の規定はどうなっておりますか。
#80
○政府委員(梅澤邦臣君) 「固体状の放射性廃棄物を海洋に投棄する場合は、次によること。イ放射性廃棄物を封入した容器の比重は、一・二以上であること。口投棄する箇所の海洋の深さは、二千メートル以上であること。」、それから「封入する容器は、廃棄の際及び廃棄後において破損するおそれのない程度の強度を有し、水が浸透せず、かつ、腐食に耐えるものであること。」というのが規定となっております。
#81
○矢追秀彦君 いま言われた一番最後の封入する容器、これが「破損するおそれのない」、そうして「水が浸透せず、かつ、腐食に耐える」、こうなっておりますが、いまの実験で使われておった梱包は、はたしてそのように耐え得るようにこの規則を守られているかどうか、その点はいかがですか。
#82
○政府委員(梅澤邦臣君) これを行ないます当時、海外におきます基準がございました。その基準で安全性を確かめまして、それで行なったわけ
 でございます。
#83
○矢追秀彦君 ところが、去年の九月から行なわれましたフランスの低中レベル放射性廃棄物処理技術シンポジウム、この今度の発表によりますと、梱包された廃棄物は毎年四千メートルの海底に投棄され、これらの廃棄物に含まれる放射性核物質は海底に達すると直ちに海水中に浸出する、
 このようになっておるわけですが、ここは二千六百メートル、四千メートルとの違いはありますけれども、やはり投棄した場合、この梱包が、海水が入ってくる、あるいは出てくる可能性があるん
 じゃないでしょうか。
#84
○政府委員(梅澤邦臣君) 私が学会の様子を調べましたところでは、この計算をやりますときに、まあ理論計算をやりました。そのときに一番仮定の基準といいますか、その考え方を全部非常にシビアな線をとって計算した可能性の数字を出して発表されたと聞いております。それは、アメリカにおきましても一九四六年から六三年まで海洋投棄をいたしておりまして、そのときの基準をわれわれ使ったわけでございますが、私たちのほうも試験という考え方でやっておりまして、現在は投棄はいたしておりません。それで、なお一そう強度の問題あるいは安全性の問題は総合的に研究を進めていきたい、そう思っております。
#85
○矢追秀彦君 いまの梱包が絶対破損しない、あるいは海水が入ってこない、という実験をどこか
 でやった上でやられたわけですか、それとも、ただいま言われたようないままでの常識的な面だけで、大体計算だけでだいじょうぶだろうと……。実際いま海洋関係のほうでは、かなり水槽などを
 つくっていろんな実験が行なわれるようになって叩きておるわけですから、そういう実験が行なわれて安全性を確かめた上でやるべきであると思いますが、その点の実験はなされたのか、なされなかったのか、計算だけでやられていたのか、その点はどうですか。
#86
○政府委員(梅澤邦臣君) 昭和三十年のとき、ちょっと私もよくわかりませんが、実際それをやりましたときには、海外でやりました実験データをこちらで安全的かどうかということを審査してやりましたので、ほんとうにその実験を国内でやってはいないと思います。
#87
○矢追秀彦君 それ、国内でやらないで、最初はやむを得ないとしましても、結局、三十年から四十四年まで十四年間という長い期間、しかも十五回にわたって行なわれております。しかも、最初二十七本だったのが、昭和四十四年十月十六日には二百四十五本という、約十倍近い本数になっておるわけです。それだけだんだん本数をふやしておる以上は、ただ外国のそういう実験があるから、だからいいんだというふうな、ずさんなものでは済まされない。しかも、これはやはり実験という名のもとに行なわれておるわけでありますから、もっと学問的にやらなければいけないと思いますが、その点はいかがですか。
#88
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在におきましては、電力中央研究所というのがございますが、そこで、ドラムかんの地上における強度の研究は進めております。それで、当時これをやりましたときには、先ほど申し上げました間隔でございますが、入れておりますものは、コバルト六〇を海外から輸入いたします。当時輸入したわけでございますが、輸入いたしまして、それを小分けするわけでございますが、そうすると、小分けするときの手袋その他それにくっついている、それを実は投棄の材料といたしました。それ以外のものは投棄していないわけでございます。それで、半減期といたしましては五・三年の半減期のもの、それを投棄いたしましたのですが、私たちはこれを十五年間やりまして、それをいま、観測と申しますか、海洋観測等行なっておりまして、それについては全く現在のところ異状ございません。
#89
○矢追秀彦君 その十五年間の実験ですけれども、毎回毎回報告はどこかの公的な機関にされておるのですか。
#90
○政府委員(梅澤邦臣君) これを投棄いたします場合には、科学技術庁のほうに、投棄しているという届け出がございます。そして投棄する場合に科学技術庁のほうから担当官が来て、それから関係各省からの立ち会いあるいはその処置の指示のもとに投棄を行なっております。したがいまして、私たちとすれば十分投棄のときに了承をいたしているわけでございます。
#91
○矢追秀彦君 そのレポートなり報告書というのは技術庁から出されておりますか。資料として。
#92
○政府委員(梅澤邦臣君) 投棄につきまして、その立ち会いましたときごとのレポートというのはつくっておりません。
#93
○矢追秀彦君 それは、ちょっと、つくったほうがいいのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
#94
○政府委員(梅澤邦臣君) これは放同協がやっておりまして、私たちが監督の意味で立ち会っております。したがいまして、断片的には放同協のその報告が残っていると思います。ただ、私どものほうでその報告書を必ずまとめているということはいたしておりませんでした。
#95
○矢追秀彦君 その放同協というのは、どういう団体でありますか。
#96
○政府委員(梅澤邦臣君) 放射性同位元素協会は、放射性同位元素の応用に関する技術の向上及び普及をはかることを目的として、その目的で昭和二十九年に社団法人として設立されております。実際にやっています中身は、研究発表会、講演会の開催、それから専門図書の編集、刊行、それから放射性同位元素の頒布――この頒布の際に、いま関係したわけでございます。それから放射性廃棄物の回収、保管業務を行なっております。
#97
○矢追秀彦君 この法人に対しては全然政府から、資金とかあるいは補助金とか、そういうものは出ていないのですか。
#98
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在資金その他出ておりません。
#99
○矢追秀彦君 そうすると、この実験は、この放同協が、独自というか、随意でやっているわけですか。この実験については、どうですか。
#100
○政府委員(梅澤邦臣君) これを捨てます場合に、科学技術庁の承認を受けてやっております。したがいまして、まだ試験段階ということで、私たちも試験で了承していたわけでございますが、そういう関係で試験という形でやったわけでございます。
#101
○矢追秀彦君 この費用は一切どこから出ているのですか。一本当たり幾らでやっているわけですか。
#102
○政府委員(梅澤邦臣君) 同位元素協会の費用でやっております。いま先生の、一本当たり幾らというのは、ちょっと私もはっきり存じませんが、実はこれ、先ほど申し上げましたように、コバルト六〇の販売、頒布をやっております。それと一緒の金の中からこのことを行なっている、そういうふうに聞いております。
#103
○矢追秀彦君 そうすると、科学技術庁は、立ち会いはしておられるけれども、実験に対する指導というのは全然やられてないわけですか。私は、このまま十五年もかかる実験というのは、それはいろいろあるでしょうけれども、ちょっとおかしいと思うのです。というのは、最初の年度が二十七本で、三十二年が十本、三十三年が十一本、それから三十三年七月を足しますと六十五本になります。三十四年が九十五本、三十五年は百十本、三十七年が百五十三本、三十八年が百六十五本、三十九年が百二十五本、四十年が二百一本、四十二年が二百二十五本、四十三年が二百三十本、四十四年が二百四十五本、ずっとこうふえてきているわけです。これは実験じゃなくて、営業みたいになっているのじゃないか、こう思うのですが、もし科学技術庁がそういう監督をしておられるなら、むしろ、その放射性廃棄物の海洋投棄の実験としてきちっとオーソライズされまして、そうしてやるべきではないか。要するに、こういう団体にまかしているのは非常にあいまいじゃないかと、こう思うんですが、その点はいかがですか。
#104
○政府委員(梅澤邦臣君) 放射性同位元素協会の業務といたしましては、そのほかに廃棄物の収集をやっております。これについては相当量ございますが、これはそのあっせんをやっているわけでございます。先ほど申し上げましたように、ここへ捨てましたのはコバルト六〇の切りくずその他について実験的に取り上げたわけでございます。もちろん、放同協がこれを捨てまして、その後の観測等、これは気象庁あるいは関係の省、そういうところで総合的に観測をいたしておりまして、それについての異状その他については科学技術庁が常に見ているわけでございます。したがいまして、総合的に試験といいますか、試験して、その後の状況等は観測を私たちのほうでいたしておるわけでございます。
#105
○矢追秀彦君 何か、ちょっと私もわからぬのですがね。はたしてこういう実験のあり方でいいのかどうか、その点はどうお考えですか。ただ要するに、科学技術庁というのは、試験があって、そこを見に行っているのでしょう、その内容を。
#106
○政府委員(梅澤邦臣君) これは、いま試験研究と申し上げまして、確かにその辺少し問題があると思います。ただ、現在のところ、海外でもいま実験をヨーロッパ関係でやっております。その関係も試験投棄という考え方でやっております。したがいまして、私たちのほうは、まだどんどん捨てていいんだという判断は全然いたしておりません。したがいまして、現在、とりあえずこれを試験段階――海外その他も試験投棄と申しておりますので、私どものほうも試験という考え方をとっているわけでございます。また、試験じゃなくて普通に捨てていいという考え方には実際いたしておりません。
#107
○矢追秀彦君 私が問題にしているのは、さっきから何回も言っておりますように、十五年という長きにわたって、しかも本数がどんどん毎年ふえてきておる。しかも、それを科学技術庁がただ監督でいっているにすぎない。しかも、各国においても、まだまだ結論が出ていないものを、こういうふうな、ずるずるずるずるとふやすようなやり方ではいけないんじゃないか。これに対しては、きちっと、はっきり、もちろんたまることはよくないかもわかりませんが、ある程度の結論の出るまでは技術庁なりできちっと指導して、そしてその計画も立てて、こういう実験でこういうふうにやって、こうだ、だからここへ捨てるんだ、ここまで持っていかなくちゃいけないんじゃないか。その点は全然出ていない、こういうわけですか。
#108
○政府委員(梅澤邦臣君) いま、ことば足らずでございましたが、私たちは、この十五年間で捨てることを中止いたしております。これはどうしてかと申しますと、これの観測をなお続けること、それからもう一つは、現在やはり廃棄物はどんどんふえてまいっております。したがいまして、廃棄物の処理、処分についての検討会を原子力委員会の中にいまつくっております。そこで、もう間もなくそこで検討した結果が出ると思います。それで正式に、今後どうするかということを判断して、それから十分なる措置をとっていきたい。それまではもうこれはやめる、中止ということで、いま検討の段階に入っているところでございます。
#109
○矢追秀彦君 中止された理由を、もう一度詳しく聞かせてください。
#110
○政府委員(梅澤邦臣君) この辺のところまで観測を続ければもういいんではないかというのは、試験としては一つの考え方でございます。それから廃棄物がどんどん出てまいりますんで、あまりこういう試験投棄というのをやっておりますと、私たちの了承を得なければ捨てられないという形にはなっておりますが、そういう要望があっても問題でありますし、世界の情勢等も見まして、やはり今後の考え方を十分この際にきめるべきではないかということで、先ほど原子力委員会に検討会をつくりましたんで、その検討会の結論を待つために中止しているということでございます。
#111
○矢追秀彦君 その辺が、私もちょっと、ずさんだと言いたいのです。ずるずるずるずると捨ててきて、問題になってきたからやめる。じゃ、いままでの十五年間のデータが、はたしてどれだけきちっとまとめられておるかどうか。たとえば、梱包して沈めたドラムかんを引き揚げて、それを見られたことはあるのかどうか、その点、いかがですか。
#112
○政府委員(梅澤邦臣君) 私たちが途中でやりましたことは、その投棄いたしましたものが実際にその場所に完全にどういう形でいるかというのを、上から、一昨年だったと思います。その場所を確認をいたしまして、それから定期的にその辺の放射能の監視等を続けて、そのデータを整えております。したがいまして、いま先生おっしゃいました、引っ張り出してそれを調べるか、そこまではまだ検討が進んでおりません。
#113
○矢追秀彦君 それを引き揚げてやられることを前向きに検討されますか。それとも、いまは確認されただけで終わりですか、あるいは不可能ですか、それは。
#114
○政府委員(梅澤邦臣君) これをやりましたときには、海水の中に浸透するかしないかということをおもにした考え方であります。したがって、いまのところ、その観測を続けているわけであります。したがって、よそへ行っては困るので、その場所にあるかどうかを確認するわけですが、いま先生のおっしゃいましたように、引き揚げて中がどうかというところまですぐやるかどうか、考えさせていただきたいと思います。
#115
○矢追秀彦君 それは、技術的な面は別として、そのくらいやれるくらいのめどがなくて、これだけ十五年も捨て続けるというのは問題じゃないかというわけであります。いま言った浸透を調べてみなければ意味がないわけですが、どこにあるかないかということなら、何か物質をつけるとか、いろいろな測定のしかたがあると思います。これは潜水船もあるわけですから、もぐることは可能ですし、写真もとれるし、いろいろな探測ができると思いますが、実際どれだけ容器が破損していて浸透しているか、引き上げて調べてみなければわからない。二、三年の実験で、検討していないと言われるなら私は文句は言わないんですが、十五年の長きにわたってやっていて、規定にないならいいのですが、規定にちゃんとあるのだから、その破損度を調べるのが当然だと思う。もしそれをやるならば、さっき言った水槽実験をやって調べた上で、破損しないということがわかってから中に捨てた、あとは海流の状況でどこに行くか調べる。放同協というのはかなり学者もおられることですからね。そのくらいの実験なんというのはわれわれしろうとが考えてもわかるわけです。その点がずさんじゃないか、こう申し上げているのですが、その点、いかがですか。
#116
○政府委員(梅澤邦臣君) 確かに、一番最初にこれを考えたときに、いささか研究課題その他が不十分でやったと思います。しかし、いま先生おっしゃいました点については、先ほど申しました検討会をいまやっておりまして、その検討会で今後進めるべき研究課題もやっております。その一環としてこれを利用することについては、具体的にその関係で考えさせていただきたいと思います。十分に試験をやりましたことでございますから、これについての成果とか、あるいは検討としては、できるだけ材料として使いたいと思っております。
#117
○矢追秀彦君 先ほど手袋というようなことをおっしゃいましたが、いままで捨てたものの中身は、科学技術庁としては全部報告を受けて、キャッチしておられるわけですか。
#118
○政府委員(梅澤邦臣君) この廃棄物を入れます場合に、コンクリートの中に入れるわけですが、私たちのほうで完全にチェックいたしておりますのは、一本に対してどのくらいのキュリー数が入っているかということをやっております。大体平均一本につきまして二百四十ミリ、キュリーが中に入っております。その点は確認いたしております。
#119
○矢追秀彦君 じゃ、次に量の問題でございますが、放射性物質の量ですね、大体どのくらい入っておりますか、いま少し言われましたが。物質の量です。
#120
○政府委員(梅澤邦臣君) いま先生のおっしゃいましたのは、捨てたものですか。――全部で、合わせまして四百六・八キュリーでございます。
#121
○矢追秀彦君 現在、原研及び各所の原子力発電所から出される許容量は幾らですか、その基準は。
#122
○政府委員(梅澤邦臣君) 原研におきましては、年間約五百から八百本のドラムかんが出ます。それで、現在原研で約一万本の保管がされております。また、動力炉・核燃料開発事業団では年間三百から四百本発生いたします。現在それが二千三百本になっております。それから発電所でございますが、民間の発電所は現在三基ございまして、三基の現在までの総量は二千四百四十本でございます。
#123
○矢追秀彦君 許容量の基準はどうなってますか。
#124
○政府委員(梅澤邦臣君) ICRPの基準に基づきまして、ドラムかんの表面のところの許容線量、それがきめられているわけでございます。
#125
○矢追秀彦君 幾らですか。
#126
○政府委員(梅澤邦臣君) ちょっと時間をかしていただきます。正確な数字をいま調べておりますので。――表面が二百ミリレム・毎時でございます。それから表面から一メーター離れたところで十ミリレム・毎時でございます。
#127
○矢追秀彦君 それでいった場合、やはり相当の本数ですから、やはり大きくなっておるわけですよね。で、まあ海水の中だから拡散するから心配ないと、こういうふうに言われておりますけれども、はたしてそれがどのような拡散をするのか、その点については、現在のところでは、どういうふうな研究結果、それから見解になっておりますか。そうしないと、いま一応海洋投棄の実験はやめると言われましたが、いずれ、現在たまっている相当の廃棄物を捨てなきゃならないときが来ると思います。これからも原子力発電所がどんどんつくられます。その場合どうなるか、それについて。
#128
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど申し上げましたが、確かに、これから廃棄物はたくさん出ますので、いま検討会で検討課題の問題、その具体的やり方、それから今後の体制等検討いたしておりますので、その結果が出るまでしばらくお待ちいただきたいと思います。
#129
○矢追秀彦君 その結論は大体どれくらいまでに出るようなめどでやられますか。
#130
○政府委員(梅澤邦臣君) 一応の問題点の解明、考え方、これにつきましては、実はこの二月までに出る予定でございましたが、ちょっとおくれておりまして、現在のところ、四月半ば過ぎには必ず出る、こう思っております。それから、それを具体的な体制に持っていきますので、それにはまだ時間が少しかかると思います。
#131
○矢追秀彦君 この場合、海洋関係の学者の方の意見を聞かないと、要するに、海流の問題がかなり出てくると思うのですが、そういう点については、まだまだ現在の海洋学の上においても、そう詳しいものは、当面日本の回りの場合、出ないと思うのですが、そういう点についての研究が、やはりこれからもっと早く進められなければならぬと思うのですが、その点と、その放射性廃棄物のたまりぐあいとの関係がどうなるか。このままいきますと、相当たまってしまうわけです。その点はどのような見通しを持っておられるか。
#132
○政府委員(梅澤邦臣君) いま先生おっしゃいました点が、一番いまの検討会の問題になっております。したがいまして、海洋学のほうの関係の研究が明らかになって、絶対だいじょうぶだということが出るまでは、御承知のとおり、十分なる設備をしたところに置かざるを得ない。そういう場合にはどういうふうな置き方をするか、その地上と海洋とつなげまして、その間にまた研究の速度というものを入れて考えなければなりません。その点がいまいろいろ議論の的になって答申がおくれているわけでございますが、そういう点が、もうしばらくして明らかになると思います。
#133
○矢追秀彦君 その結論が出ない前に、もし学問の発達がおくれまして、その場合、たまったものはどこかへ持っていくという代案はお考えになっておられますか。たとえば、ほかの国へ持っていって氷の中に埋めるとか、その点はどうですか。
#134
○政府委員(梅澤邦臣君) いま先生おっしゃいましたのですが、この四月ころには大体の問題点が出ます。ただ、先生おっしゃいましたように、研究が進まない場合どうするか、その点は当然私どもいままで考えておりまして、たとえば発電所あるいは原研等については十分な措置をすること、そういうことをもとにして許可いたしております。したがいまして、その後、将来実際的に十年なり十五年してからどうするかということが、今度の検討会の課題につながってくることでございますが、その点は十分今後考えていきたいと思います。
 なお、いま先生おっしゃいました外へ運ぶとか海外に持っていくとか、そういうことについては、まだ全く考えておりません。
#135
○矢追秀彦君 それから放射性物質の問題ですけれども、いままでの実験の中では、どういうものが捨てられておったのか、その点、わかりますか。
#136
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど申し上げましたように、海洋に捨てました分はコバルト六〇だけでございます。それ以外のものは、すべてドラムかんで原研その他に保管してございます。
#137
○矢追秀彦君 セシウム、ストロンチウムというものは全然捨てられておらないのですか。
#138
○政府委員(梅澤邦臣君) 私の聞いていますところでは、最後の三、四年のところに、ミリキュリー程度のものが、わずかその中に含まれるようになったというふうに聞いております。それはほのわずか入っているというふうに聞いております。
#139
○矢追秀彦君 その点も、私がさっきから繰り返しているように、実験がもう一つずさんであったのではないか。それも、いま私が聞いたからそういうことも言われましたけれども、最初はおっしゃっていなかったわけです。その点、こういう物質とこういう物質を捨てる、これについてはこれだけだと、そこまでの監督指導がやはりちょっとできていなかったのではないか。繰り返すようですが、申しわけありませんが、お伺いいたします。
#140
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほどことばが足りなくて、すみませんでした。やっぱりコバルトが主体でございますが、それに付随して、わずかなものがミリキュリーとして付随しております。それについて、どういうものが入っていたかということについては、私どものほうで十分押えております。
#141
○矢追秀彦君 今後の問題になるかと思いますけれども、トリチウム、クリプトン八五、こういうのもこれから出てくるわけでしょうし、現在もトリチウムについては出てきておりますが、これに対する処分はどういうふうに考えておられますか。
#142
○政府委員(梅澤邦臣君) トリチウム等につきましては、先生おっしゃるように、ソ連その他でいろいろな学説が出てまいりました。したがいまして、日本といたしましても、水産庁の研究所等で目下研究しております。しかし、現在わずか出ておりますが、ICRP基準に基づきまして、それよりはるかに下の分ということで捨てる許可をいたしております。これは、ある種類の原子炉では大気に一部出ますが、これはすべてICRPの基準を守ってやっております。
#143
○矢追秀彦君 いま言われましたけれども、ICRPのほうでも、やはり許容にこだわら、ずに減らせと、こう言っておるのですけれども、そう言っておるのに、いま言われたように捨てていいかどうか、その点はいかがですか。
#144
○政府委員(梅澤邦臣君) もちろん、捨てないほうがなるべくいいので、私たちのほうも安全審査等をいたしますときに、最小限にすることと。したがいまして、私たちは大体ICRPの十分の一以下の基準をとっております。実際に捨てる場合には、またその十分の一以下というのが大体の実施過程になっております。捨てないようにする、そういうことにいたしまして、できる限り出ないようにするという方向で進めております。
#145
○矢追秀彦君 やはり、これについても、できるだけ出ないようにではなくて、はっきりとした基準なり規定なりを、もっと厳格にすべきではないか。というのは、トリチウムも現在議論のあるところらしいのですけれども、議論があればあるほど、やはりシビアな規制をしておいたほうがだいじょうぶなんではないか。そして、そういう実験結果が出ればゆるめていく。そうしないと、要するに原子力公害というものは、単位が小さいのでそう問題ではないと、また、目に見えないということで、ともすれば一般の国民というのはわからなかったり、あるいはまた、ちょっとした量で騒ぎになってしまったりしておりますので、やはり権威ある学問的な上からの規定、そういうものもやはり国民は要求しておると、このように思いますので、その点については厳格にお願いしたいと思います。そういう点で、いま検討中なようでありますけれども、放射性の物質の投棄については慎重にやっていただきたいと思います。それに対して、いまさっき言ったような放同協なるものもありますけれども、もっと科学技術庁としては、きちっとした体制をつくる必要があるのではないか、このように思うんですが、その点、大臣、どうお考えになっておりますか。
#146
○国務大臣(西田信一君) これからの原子力発電等の急速な発展に伴いまして、廃棄物の処理、それから処分の問題が非常に大きな問題であると思います。そこで、ただいま御質問のございましたのは、もちろん試験的に海中投棄を行なったわけでありますけれども、現在は検討会におきましてこれらの問題を真剣に検討いたしておりまして、十分これに対処する体制はとっておるつもりでございます。何と申しましても、これから、狭い国土の日本でこれを陸上処分するか海中投棄するかという問題は、非常に大きな課題でございます。各国によりましてそれぞれ事情が違いますし、あるいは岩塩の廃坑等の中に処分しておるというところもございますし、また、海中投棄によらざるを得ないという国もあるようでありますが、わが国はわが国の立場において十分安全に、そうして影響のないような処理体制をとらなきゃならぬ、こういう意味におきましては万全を期しておる次第でございます。
#147
○矢追秀彦君 いまのに関連して私が痛感することは、海洋開発の問題になってくるわけです。これについては、わが党も法案を一昨年から出して、また去年も出し、ことしもまた出すことにいたしておりますけれども、今度政府のほうでも海洋科学技術センターというものができることになっておりますけれども、非常に急ピッチで海洋の開発が進む一その前に、まず海洋の実態研究あるいはいまのような放射性廃棄物をやる場合の日本のまわりの海流の調査とか、そういった点のことがまだまだわかっておりませんので、これを早急にやらなきゃいけないと思うんですが、結局、本年度予算を見ても、まだまだ海洋開発に対して、予算がふえたとはいいながらも、金額的には少ないわけでありますし、この点について、もっと積極的な姿勢でやっていただきたい。やはり基本計画、そしてできれば、われわれの唱えておる実験的なものまで持っていきたい。できれば基本法という、この点をわれわれは考えておりますけれども、その点について長官はいかがお考えですか。
#148
○国務大臣(西田信一君) 海洋開発の重要なことは、もう申すまでもございませんし、また、この問題に対しまして、特に公明党さんは非常に御熱心に具体的な提案を国会に対してもなさっておりますことは一われわれも非常に高く評価しておるところでございます。そこで、基本法についてお触れになったわけでありますが、何と申しましても、海洋開発は、まず海洋開発技術を開発しなきゃならぬということで、今日まで海洋開発の科学技術に関する問題と取り組んでまいりました。具体的な推進をしてまいったわけでございますが、今日の海洋開発をさらに進めまするためには、何と申しましても、海洋開発全般についての科学技術のみならず、を含めまして、もっと全般的な海洋開発の基本的な検討をしなければならぬということから、ただいま海洋開発審議会というものを設置するための御審議を願っておるわけでございます。この海洋開発審議会の検討の中にも、当然、ただいまお話しになりましたような海洋開発の総合的な計画等が考えられてまいりまするし、また、海洋開発に関する基本的な理念でありますとか、長期的な方針であるとか、各般の問題が取り上げられてくると存じますが、この審議の進行とともに、将来の海洋開発に関する基本的な政策と取り組んでまいりたいと考えておりまして、基本法というようなものが必要であるというような結論が出ますれば、もちろん、そういうふうな取り組みをしていかなきゃならぬと考えておりますが、いずれにいたしましても、ひとつ、科学技術の分野をはるかに越えました広範な海洋開発と取り組むためのいま段取りをいたしておるところでございます。
#149
○矢追秀彦君 時間もあれですから、次の問題に移りますが、濃縮ウランの問題ですが、先日来、原産大会が行なわれまして、いろいろ議論がございましたけれども、この自主開発について、はたしてこれからどのような方向でいかれるのか。特にアメリカが第四工場を一九七三年に建てるまでに、どうしても日本のめどをつけなければならない。こういう点で、非常に日本自身がいま追い込まれておるといいますか、ヨーロッパにおいては遠心分離法を開発することになっておりますし、日本の場合は拡散法と両方やっておりますね。そういう点で、もうことしぐらいには、はっきりめどもつけ、方向もはっきりして、しかもやっていかなければ、非常に問題になってくると思いますが、この原産大会におけるアメリカの発言を考えまして、どうお考えになっているか、お伺いしたい。
#150
○国務大臣(西田信一君) 先日来、アメリカをはじめ、諸外国からかなりの人が参りまして原産大会が開かれました際に、各般の問題が検討されましたが、その中でも、濃縮ウランの問題がかなり大きく取り上げられたことは先生お説のとおりであります。そこで、今度の年次大会では、われわれが考えておったよりもっと積極的な姿勢で、各国が、公開と申しますか、あるいは実情の披瀝と申しますか、そういうのがございまして、わが国としましても非常に参考になり、また、相当刺激を受けたということは確かでございます。
 そこで、わが国といたしましても、いろいろ国際的な動きがございます。アメリカ、フランス、その他いろいろな動きがございますが、また、欧州におきましても共同の濃縮ウラン工場の建設とかいうようなことが具体的に進んでおりまするし、そういう面から申しますと、わが国のウラン濃縮は確かに立ちおくれているということは、いなめないと思います。そこで、いま特別な研究をする体制をとっておるわけでございまするし、それに基づきまして、二つの方式についてそれぞれの機関が具体的な研究開発をやっておるわけでございます。それで、一応は四十七年をめどにいたしましてこの二つの方式の技術的な評価をすると、こういうことで進んでおりますが、予算の面から申しますと、いままでに、四十六年度を含めまして約二十億近くになりましょう。大体当初の計画は、四十七年までに五十七億ぐらいをとりまして、まず技術の評価をやる、そしてさらに引き続いて五十年ごろをめどにいたしまして、これはその分も含めてでございますが、トータル三百億ぐらいかかると思いますけれども、五十年ごろまでには経済性の見通しもっける、こういうような一応のもくろみで、いま進んでいるわけでございます。予算の面から申しますと、必ずしも計画に対して非常な立ちおくれをしているということではございませんけれども、しかし、私はこの程度で、はたして所期の目的を所期の時期までに達成し得るかどうかということにつきましては、もう少し深く検討を要することであろうと考えております。そういう意味から申しますと、このたびの原産大会におきまして、われわれ期待している以上のいろんなことが発表されたということは、非常に大きな意義がございまするし、何と申しましても、国際協力も必要でございます。国際協力の面も十分検討していかなければならぬと思いますが、国際協力ということに取り組むにいたしましても、まずもって自主的な技術開発ということが必要である、国際協力をやるにいたしましても、やはりみずからその能力を持っていなければならぬというふうに考えるわけでございまして、私どもは、国際的な流動の中にありましても自主的な開発は積極的に進めてまいりたい、かように考えておるのでございます。現在は政府べース中心でやっておるわけでございまするけれども、これは私の希望でございまするが、ぜひ民間の協力もお願いをいたしまして、そして官民協力体制において、こういうものを、ウラン濃縮の開発を急いでいく、おくれを取り戻すということに、ひとつ全力をあげなければならぬというふうに考えます。現在、ウラン濃縮懇談会を設けまして、鋭意この問題を、国際的な情勢を背景にいたしまして検討いたしておるわけでございまして、遠からず、ここ数カ月のうちにはある程度の結論が出ると思いますが、それを基礎にいたしまして積極的にひとつ取り組みをしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#151
○矢追秀彦君 まあ、もう一つの問題として、海外のウラン資源の問題ですが、やはり、これも非常に早く積極的に手を打たなければならないと思うんですが、経済協力の問題とあわせて、海外のウラン資源の開発、これをどのようにお考えになっておるか。
#152
○国務大臣(西田信一君) わが国の原子力発電が昭和六十年度には六千万キロワットに達するであろう、こういうふうに推定されております。したがいまして、これに必要な天然ウランの量も非常に大きな数字にのぼると思いますが、大体六十年度までには十万トンをこえるであろう、こえるところのウラン精鉱を確保する必要がある、こういうふうに見通しております。そこで、現在わが国が、電力事業者等が中心となりまして長期購入契約等によりまして確保されておりますものは三万八千トンでございます。したがいまして、いま申し上げました数字に、はるかに遠いわけでございますから、さらに積極的な努力が必要でございますが、米国とかカナダ、あるいはニジェール、こういうところでも共同探鉱を現在進めておるわけでございます。そこで、政府といたしましては、民間――どちらかというと民間中心で今日までやってまいったのでございまするし、その民間が積極的にやりまするために、いろいろな援助、助成等を積極的にやらなければならぬというふうに考えておりますが、ただ、民間への助成とか援助だけで事足りるかと申しますと、私どもは必ずしもそういうふうでなくて、基礎調査等には国ももっと積極的に力を入れる必要があると考えております。
 こういう観点に立ちまして、原子力委員会では原子力開発利用長期計画の改定の検討をいまやっておるわけでございますが、その一環として、ウラン資源の確保の問題も重要課題として取り上げておるわけでございまして、全般的に改定の結論が出るのを待つまでもなく、この問題とも積極的に取り組みまして、そして強力な施策をひとつ打ち出してまいりたい、かように考えておるわけでございます。いま、石油の問題も大きな問題になっておりますが、われわれは、石油の問題に劣らず、このウラン資源、天然ウラン資源の確保ということにつきましては積極的な姿勢で取り組んでまいらなければならぬ、世界の情勢から申しましてもそう言えまするし、また、先ほど申しましたようなわが国の原子力開発の急テンポな速度の趨勢から考えましても、こういうことをいま精力的に検討いたしておるところでございます。
#153
○矢追秀彦君 最後に、要望というようなことになりますが、いま長官が言われたように、石油問題も、こういう情勢になっておりますので特に積極的にお願いをしたいし、特にこういうウラン濃縮の自主開発についても、先ほど言いましたガス拡散法になるか遠心分離法になるか、その点も、このままいったら四年くらいかかると聞いておりますけれども、これでは、第四工場の建設の時点と比べると、非常におくれてしまう。その場合、やはり、急いでいただきたいことが一つと、それからもう一つは、もしそうなった場合、アメリカがああいう一方的なことを言っておりますけれども、それに対する対応策、これが十分なされておるかどうか、この点をもう一回お伺いして、質問を終わります。
#154
○国務大臣(西田信一君) いま日本はアメリカにのみ依存しているわけでございますが、当分の間は、アメリカに、ある数量だけは確保願っておるわけでございますけれども、しかしながら、アメリカのウラン濃縮三工場の能力というものも限界がございまするし、世界の趨勢にこたえて、アメリカも工場の拡張ということを考えておるようでございます。しかしながら、私どもといたしましては、アメリカのみに、一国に依存するということがいいか悪いかということについても今後検討を要するところと考えておりますが、同時に、やはり、国際協力の問題も一面において検討していかなければならぬと考えております。しかしながら、わが国といたしましては、そう、のんびりした姿勢で、態度でおることができないものですから、少なくともアメリカの動き、あるいはまた欧州の動き等も一面において十分これらを見きわめながら、一そうわが国の技術開発に精力的な努力をいたしまして、そうして、かりに国際協力というようなことが可能であるといたしましても、先ほど申し上げましたように、わが国自身がこの技術に対する能力を持つということでなければならぬと存じますので、御趣旨の方向で努力をいたしたいと思います。
#155
○委員長(鈴木一弘君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#156
○委員長(鈴木一弘君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#157
○委員長(鈴木一弘君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案の審査のため、本案審査中、日本原子力船開発事業団理事長佐々木周一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#159
○委員長(鈴木一弘君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#160
○久保等君 いま、法改正の提案の問題につきまして、私、若干お尋ねしたいと思うんですが、きょうは、時間の関係もありますので、主として日本原子力船開発事業団法の一部改正の問題を中心にしてお尋ねをいたしたいと思います。
 これは、結局、事業団そのものを、当初の予定よりも四年間延長しようという中身になっておるんですが、けさほどの提案趣旨の説明を伺っておりましても、結局、当初の予定よりも建造のスタートが三年ばかりでおくれた、したがって、あと事業団そのものの延長して存続をしなければならぬというようなことになっておるようですが、当初の予定よりも大幅に期間が延長になってまいっておるようですが、当初起工がおくれた理由がどういうところにあったのか、まず最初に、そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。ただ、提案趣旨の説明では、建造費の上昇等があったというような理由をあげられておるんですが、少し詳細にひとつ御説明を願いたいと思います。
#161
○政府委員(梅澤邦臣君) 事業団が設立されました当時は、建造費約三十六億円という考え方でまいりました。しかも、それは海洋観測船という考え方でございます。ところが、その後、それをいよいよ始めますというときになりまして、先ほど先生おっしゃいました建造費の上昇がございまして、そこで、原子力委員会でも、それを検討したわけでございますが、その当時になりまして、アメリカのサバンナ号、これが運航が始まりました。それから「オットー・ハーン」の建設等が考えられておりました。そっちのほうを考えておりましたところ、やはり船型も海洋観測船よりは、特殊貨物船、訓練船という形のほうがいいのではないか、経済的理由もそこに入ってまいりますが、そういう考え方で組みかえました。その組みかえによりまして実際の値段が二十億上がりまして、五十六億円という考え方になったわけでございます。それを検討いたしておりました期間で約三年伸びましたのが一番大きく伸びた原因でございます。
#162
○久保等君 原子力委員会に原子力船懇談会を設けて検討したということがいわれておりますが、この原子力船懇談会というものは、いつ設けられて、いつまで検討を加えられたのか、その時期的な問題について御答弁をいただきたい。
#163
○政府委員(梅澤邦臣君) 昭和四十年の八月に懇談会が設置されまして、四十一年の七月に検討結果が出たわけでございます。
#164
○久保等君 四十年の八月に原子力船の懇談会を設けた、そこで突っ込んだ基本計画の改定についていろいろ検討せられたようですが、すでに当初の予定からいくと、建造そのものの着工が三十九年あたりに予定せられておったのですが、その予定よりも一年ばかりたってから検討するための何か懇談会を設けたということになると、約一年間予定よりもおくれておりながら、懇談会すら設けられなかったということは、どういう理由だったのですか。
#165
○政府委員(梅澤邦臣君) 当初三十六億円でいよいよやろうということで、造船関係の大手七社等と相談に入ったわけでございますが、それがなかなかうまくまとまりませんで、そのときに最後に、四十年の六月ごろに、結果的に、だんだん検討しておりましたところが、六十億円という数字が出てまいりました。これではどうにもならないということで、懇談会に移ったわけでございます。いま先生おっしゃいました最初の一年間はそういう経過があったわけでございます。
#166
○久保等君 船種を変更しているわけですが、海洋観測船と、それから特種貨物輸送船、現在つくりつつある船ですが、これは、建造費の面からいくとどちらが割り高になるのか、それから金額の面でいうと、大ざっぱにいって何割増しにどちらのほうがよけいかかるのか、きわめて大づかみの数字でけっこうです。御説明願いたい。
#167
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま申し上げましたように、最初の計画では海洋観測船で六十億というのが出たわけでございます。最後の検討して特殊貨物船にしたのは五十六億円でございます。それで、しかも、海洋観測船の場合は六千トンのもので、今度の特殊貨物船になりまして八千三百トンになっております。そこのところで船価は安くなったという考え方は出ると思います。
#168
○久保等君 本来であれば、同じトン数で同じ大きさであると想定すれば、海洋観測船のほうがやはり高くなるわけですか。
#169
○政府委員(梅澤邦臣君) 海洋観測船のほうが高くなっているようでございます。
#170
○久保等君 特に、この当初三十六億円といわれておったものが結果的に五十六億円と、約倍にもなりませんが、一・五程度の形になったわけでございますが、船価の値上がりといっても、主としてどういう部分ですか。たいへん当初の目算が狂ったというのは、どの部分ですか。
#171
○政府委員(梅澤邦臣君) 最初の三十六億円を考えましたときにも、民間の方が入った検討会をつくったわけでございますが、ただ、そのときそれを実際に言い出しましたときに変わったわけでございますが、私たちいま想像いたしておりますところでは、安全性の充実、それから観測船としての観測態勢の整備等、いろいろ付随するもの、それから、もっと強化すべきだという点が積み上げになりまして、ふえたのが現状だと思います。
#172
○久保等君 当初の基本計画そのものが昭和三十八年につくられ、その後昭和四十二年に改定されておるんですが、その当時当然予見せられた問題じゃないんですか。特にたとえば安全性なんかの問題については、これは少なくともこういった原子力船ということで、特殊な船舶であることはこれは当然のことであるし、当時予見せられなかったという理由が一体どういうことなのか。確かにその値段が、ある程度物価上昇――この点は、これはだれしも納得できる問題だと思うんです。しかし、プラスいま言ったような安全性等の問題について当初の計画よりは変更せざるを得ない、したがって、着工そのものがおくれるというようなことになってくると、当時の一番最初つくった基本計画そのものがどの程度検討せられたものか、きわめて大ざっぱな計画でまずとにかくスタートしよう、したがって事業団もつくろうということで、いざいよいよ契約でもやろうかということで具体的な折衝に入って、そういった安全性の問題について補強しなきゃならぬとか、経費の面でもさらにこれをよけい見ていかなきゃならぬというような問題が出たように考えられるのですが、少なくとも専門家を集めていろいろ検討せられたものだと思うんですけれども、もう少しその間のいきさつを御説明願いたいと思います。
#173
○政府委員(梅澤邦臣君) 一番最初、三十六億という考え方をとりましたのは、どうもやはり、その船の開発費といいますか、建造費といますか、こういうことでできるということを主体で考えておったわけでございますが、それを実際にやろうといたしますと、やはりその途中の段階で、研究あるいは実験をして確かめたほうがいいという慎重性をそこに入れまして積み上げましたので、ふえたのが主体だと思います。その点、実際その当時、先生おっしゃいましたように、ラフであったかどうかということでございますが、初め三十六億をきめましたときも、その状態としては相当考えて、そうラフではなかったと思います。ただ、実際に会社に出すというときになりましたら、会社のほうで受ける場合に、実験確認等の費用というのがつけ加わってきたのがおもだと思います。
#174
○久保等君 多少時期的には時期を異にしておりますが、外国の、特にドイツあたりのオットー・ハーン号なんかの問題について当然検討せられたと思うんですが、世界の原子力船の比較表を見ますと、非常に金額的に、あるいはまた船の規模、構造等から見ても、また船の性能等から見ても、日本の「むつ」の場合には、いわばドイツの「オットー・ハーン」に比べれば小型といいますか、小さな船になっておるわけですね。しかし、金額の面で見ると、どうも単に物価等が一般に上昇したからという程度では理解できない開きがあるのではないかと思うんです。特に、船舶の大きさ等からいっても、「オットー・ハーン」の場合には、長さも百七十一・八メーター、「むつ」の場合には百十六メーター、幅にしても、向こうが二十三・四メーターに対して、こちらのほうが十九メーター、深さにしても、十四・五メーターに対してこちらは十三・二メーター、特に排水量のごときは、「オットー・ハーン」の場合は二万五千九百五十トンというのに対して、日本の場合には八千三百トン、したがって、貨物の積載量にしても、一万五千五百トンに対して、こちらは二千四百トンといったように、大きさの面において格段の開きがあるわけなんですが、スピードのほうでいえば同じような速力というようなことになって、もちろん時期が早かったとはいいながら、四十八億円でこの船ができ上がっている。こちらのほうは五十六億円というようなことを比較してみると、これも大ざっぱな比較なんですけれども、何かこう、非常に割り高につき過ぎているんじゃないかという感じがしますが、こういったことについてはどういう御説明になりますか。
#175
○政府委員(梅澤邦臣君) 確かに「むつ」は五十六億円、「オットー・ハーン」が四十八億円でございます。そこに差額がございますが、「オットーハーン」は、鉱石運搬船と申しまして、鉱石を載せる場所が、どんがらといいますか、船型で空いているところが大きいという点の違いがございます。それから特に内容として違います点は、オットー・ハーン号と比較いたしまして、発電の容量と、それから補助動力設備等が大体向こうの二倍以上になっております。それから安全性を見まして、二次遮蔽、それからコンテナ等も安全率を相当掛けておりまして、その辺がこちらの船の費用がオーバーになったという点の主体だと思います。
#176
○久保等君 特に船種を変更したのは、いま言った建造の面から見れば多少でも安くなるという問題が一つはあったと思うのですが、ただ、建造せられた後の使用目的、その点については、どういうことで変更をせられたのか、お尋ねしたいと思います。
#177
○政府委員(梅澤邦臣君) 先生の御質問、なかなかむずかしい問題でございますが、やはりオットー・ハーン号その他が特殊貨物船式になってきたというのが一つの理由と、それから実際に船ができまして観測船として動く場合と、それからある程度特殊な貨物を運ぶ場合、運べばそこに収入があがります。そういう関係の経済性というのは当然見込んで、その両方から船型変更ということになったと思います。
#178
○久保等君 その船をつくるにあたって、事業団ができたんですが、事業団設立のときに、資本金の政府が出資するのは一億円ということになって、さらに民間からもこれに参加するというようなことができるたてまえに法律はなっておるんですけれども、現実はどういうことになっていますか。
#179
○政府委員(梅澤邦臣君) 民間の出資補助につきましては、船の建造費の四分の一程度をこれに充てるという考え方で進んでおります。
#180
○久保等君 そうすると、金額的にはどういうことになりますか。
#181
○政府委員(梅澤邦臣君) 港の整備等、全部で百二十四億でございます。そのうち、全体といたしまして民間の分が二十一億になっております。
#182
○久保等君 この、まあ特殊貨物船ですが、輸送等がどういう形でこの船が使われていく見通しなのか。貨物を運搬するわけですから、どういう種類のもの――種類というのは、品物の種類というのじゃなくて、政府関係の物資を運ぶようになるのか、民間関係の物資を運ぶようになるのか、そういった使用の内容といいますか、こういつたことについてどんなふうなことを考えておられますか。
#183
○政府委員(梅澤邦臣君) 今度四年延ばしていただきまして、その間に実験航海をいたします。そうして船の総合的成績が出まして、そこで運ぶ物等も考えることにはいたしておりますが、いま現在一応考えられますのは、やはり特殊貨物として何が当たるかといいますと、私たちの分野からまいりますと、やはり、燃料の運搬あるいは再処理燃料の運搬等には十分当たるんではないかという考え方を持っておりますけれども、しかし、実験運転してその成績、総合成果、そういうところを見て、その点ははっきりきめることになると思います。
#184
○久保等君 この原子力船に乗り込みまする乗員の養成、これはもちろん相並行して訓練等が行なわれておると思うのですけれども、その要員の数なり、それから訓練状況等、どういう進捗状態ですか。
#185
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在予定しておりますのは、船員といたしましては五十六人、それから予備要員としまして二十名が予定されております。それから、先生おっしゃいました訓練でございますが、これは二年前からシミュレーター等でその乗員の訓練というのを、逐次、要員をあらかじめとりまして、その訓練を続けております。
#186
○久保等君 それはどこで訓練をされておりますか。同時に、一応の訓練の完了ですが、いつごろまでのめどで訓練されておられますか。
#187
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力でございますので、原研、放医研等も訓練の場所に使ってやっております。それから、いま先生おっしゃいました訓練は、これにつきましては、先ほど五十六名と申しましたが、現在までの訓練要員は四十名でございますが、これも二年にわたって逐次要員をふやして、それの訓練を続けておりますので、それぞれその人によって訓練の期間というのは違っております。
#188
○久保等君 予備要員が何か二十名という、いま説明だったと思うのですが、これはもちろん予備員が要ることはわかるのですが、四十名に対して二十名というのは、どういうことですか。
#189
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど予備と誤解されて申しわけございません。この船を動かした場合の研究員といいますか、実験員といいますか、そういう人でございます。
#190
○久保等君 これは特別お尋ねする必要もないかと思うのですが、ただ、当初考えておった事業の大綱から言いますと、慣熟運転あるいは実験航海等について当初の予定以上に十分の時間をかけて計画をせられておるようです。これは、何といいますか、それこそ慣熟を、できるだけ長期に慎重に訓練をしようということで、けっこうなんですけれども、これは長くなればなるほどいいというものでもないでしょうが、ここらも約一年前後ですか、当初の予定から見ると長期になっておるようですから、これは何か特別、当初考えておったより以上に慣熟訓練を要するような問題でも出てまいったのか、中身に何か特別加わったものでもあるのでしょうか。
#191
○政府委員(梅澤邦臣君) 慣熟運転、実験航海等につきましては、去年あらためまして検討会をつくりました。そうして、これを運航してデータをとるのにどういう課題をすべきか、あるいはどういう期間をかけるべきかということでまいりまして、先生おっしゃいます約二年でありました。ただ、この二年につきましては、原子力委員会が当初実験航海にどのくらいかかるかというときの大ワクとして、やはり二年程度というように考えております。
#192
○久保等君 二年程度じゃなくて、三年程度じゃないですか。何年何月から何年何月までの予定ですか。
#193
○政府委員(梅澤邦臣君) 基本計画では二年と書いております。
#194
○久保等君 何年何月から何年何月……。
#195
○政府委員(梅澤邦臣君) 今度の計画では、四十八年の四月から五十年の三月になっております。
#196
○久保等君 ちょっと私、もらった資料の表で見たものですから、この表では約三年くらいかかるような表になっておるものだからそう思ったのですが、いまので、約二年で、わかりました。
 これで、事業団の運営について、事業団法からまいりますと、年々事前に事業計画あるいは一年間の決算報告といいますか、こういつたようなことについて、それぞれ事前に主務大臣の承認を得、また主務大臣に報告をするというようなことになっておるのですが、今日までの、建造にかかってからの年間の事業報告ですね、こういつたようなものについては、われわれ実は見たことがないのですけれども、完成までの期間における一これはここでの御説明はけっこうですが、資料等で、いわゆる決算報告とでもいいますか、年度ごとの事業結果についての報告、こういったものは、当然、長官が総理大臣に委任せられた問題として、目を通し、認可をしておられるのだろうと思いますが、特別今日まで指摘されるような問題はなかったのでしょうか、どうなんでしょうか。
#197
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在まで指摘されるようなことは全くございませんでした。
#198
○久保等君 この問題は、特別、会計検査院等の検査対象等にはならないものだと思うのですが、どうでしょうか。
#199
○政府委員(梅澤邦臣君) 会計検査院の検査を受けております。
#200
○久保等君 特別指摘事項といったような問題はありませんでしたか。
#201
○政府委員(梅澤邦臣君) そういうものはございませんでした。
#202
○久保等君 理事長がせっかくおいでになっておるわけですが、事業団としてどういう人員の配置になっておるのですか。現在、船は原子炉の艤装工事をやっておるわけでして、当然定係港のほうにあるのだと思うのですが、事業団としてはどういう人員配置でこの建造問題と取り組んでおられるのですか。事業団の本部と、それから出先、そういったところとは、どういう形でできておるのか、お尋ねしたいと思います。
#203
○参考人(佐々木周一君) いま、理事以下百二十四名おりますが、そのうち約七十名がむつにおります。残りが東京におります。東京では、主として研究、それから開発の仕事、各官庁との連絡、そういうことをやっておりまして、むつのほうでは、いま原子炉の積み込み作業をやっておりますので、この監督、そういうことをやっております。
#204
○久保等君 なお、百二十四名の要員の中で技術屋さんというのはどのくらいおられるんですか。
#205
○参考人(佐々木周一君) 約三分の二でございます。
#206
○久保等君 原子力船の建造、もちろん日本では初めてでありますし、いろいろ先ほど堅頭にお尋ねをいたしましたように、予定以上に時間をかけ慎重に扱っておられるようでありますが、この原子力船改定計画に基づいて少なくとも昭和五十一年度までには完全にいよいよ実用の段階に入ってまいると思うんですけれども、原子力委員をおやりになっておられます有澤先生、この計画そのものが、今後の見通しとしては、十分に定められた期間内に予定の成果をあげて船が実際の実用に供せられるような形になっていくという確信をお持ちになっておるんでしょうか、どうでしょうか。当初おつくりになった計画もその後いろいろ具体的な問題にぶつかって、だいぶ御苦労をされたようですけれども、原子力委員会としては、どんなふうにお考えになっておられますか。
#207
○説明員(有澤廣巳君) 第一船の「むつ」の建造がたいへんおくれまして、今回のような法案の改正をお願いしなければならない事態になりましたことを深くおわびいたします。もう現在原子炉の積み込みが進んでおりますので、これが予定よりおくれるということはもうないと私は確信をしております。したがって、大体予定どおりに四十八年度の初めごろには船はでき上がる、そして実験航海に乗り出すことができると思います。それで、かなりの年限がまだありますから、その間に、乗員の訓練であるとか、あるいは船の試験であるとかいうふうなことも十分やれることと思います。要するに、この期間に実用船としての第二船をつくるためのデータも十分得られることになると思いまして、「むつ」が完成するばかりじゃなくて、第二船をつくるために必要なデータも十分収集ができるものと私は確信しております。
#208
○久保等君 当初の予定よりも船の値段が非常にはね上がったんですが、これはすでにそれぞれのメーカーとも契約を済まぜて工事にかかり、ほぼ船体はでき上がって、原子炉の艤装過程にあるわけですから、おそらく問題ないんだろうと思うんですが、しかし、まだここ一両年先の話でありますから、その間に物価上昇その他によって、またぞろ、多少契約の改定なり、造船がさらにまた経費を要するというような事態は、これはもう全然考えなくてもよろしいわけですか。その点、どうですか。
#209
○説明員(有澤廣巳君) もう契約もすっかり完了しておるわけでございますから、今後の物価騰貴で急に船価がはね上がってきたり、あるいはいまの予定よりも金額がオー八丁するようなことは決してないと私は考えております。
#210
○矢追秀彦君 いろいろ質問が出て、おったようなので、簡単にいたしますが、事故の問題についてお伺いします。
 原子力船が完成し、実際活動を行なった場合に、原子炉が事故を起こした場合、これに対する対策はどのようになっておりますか。
#211
○政府委員(梅澤邦臣君) 「むつ」につきましては、舶用炉としての特殊性も十分考慮してございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、非常に厳重な審査で、たとえば対衝突構造、対座礁構造等、通常船には全く使わないようなりっぱな態勢をとっております。そういうことで、万々事故はないという考え方で進んでおります。ただし、いま先生おっしゃいましたように、万が一事故があったという場合を考えましても、原子炉に事故がありました場合に、緊急停止機構、こういうものがすべて備えてございます。それから非常時には確実に原子炉がすぱっととまり得るようにもしてございます。そして補助エンジンもございますし、そういうところで遠隔投錨地に移動するという措置もとれるという形で万全を期しております。
#212
○矢追秀彦君 現在、原子力船は、アメリカ、ソ連、西ドイツが持っておりますけれども、こういう原子力船が外国の港へ寄港する場合はどのような状況になっておりますか。
#213
○政府委員(梅澤邦臣君) 日本の「むつ」が外国に行く場合と、それから外国の原子力船の「オットー・ハーン」等が外国を回っておりますが、これにつきましては、米国のサバンナ号は一九六二年に完成いたしまして、一九七〇年までにデモンストレーション・シップという形、あるいは貨物船という形で運航されまして、世界の約二十七カ国に訪問しております。それからソ連のレーニン号、これは北極海の砕氷船でございまして、その運航している状況についてはつまびらかではございません。それから、先ほど申し上げました「オットー・ハーン」は一九六八年に完成しまして、その後実験航海を行なって、一九七〇年二月以来鉱石運搬船として運航中で、すでに五カ国を訪問いたしております。
#214
○矢追秀彦君 以前、アメリカのサバンナ号、それからドイツのオットー・ハーン号が日本に入港できなかったのは、原子力損害賠償制度、そういうものにあったと、このように聞いておりますけれども、この点はどうなっておるんですか。どのような点が違ったんですか。
#215
○政府委員(梅澤邦臣君) 先般、サバンナ号がどうしても日本に入りたいという話がございました。そうして向こうと検討いたしましたところ、御存じのように、日本の賠償法でいきますと無過失責任で、よく言われております青天井型という形になっております。アメリカでは、アッパー・リミットがついております。五億ドルというところまでの制限がついております。その点が日本と向こうで違いまして、アメリカに対しまして日本の法律でいくようにしてくれという考え方を持っていって、それが不成功で終わったわけでございます。したがいまして、実際的には日本の青天井式の無過失損害賠償制度というところが向こうと食い違ったところが重点でございます。
#216
○矢追秀彦君 今回の改正で、外国の原子力船が日本に立ち寄る場合、責任制限額を三百六十億とされましたけれども、その理由はどういう理由によってこういう値段がついたんですか。
#217
○政府委員(梅澤邦臣君) いま申し上げましたように、たとえばアメリカにおきましては、サバンナ号について五億ドルというアッパー・リミットがございます。それからドイツのオットー・ハーン号につきましては四億マルク、したがいまして、日本円にしましてこれが三百九十三億円になります。先ほどのアメリカのは千八百億円になります。相当差がございますが、ブラッセル条約で、まだ発効いたしておりませんが、それでいきますと、一億ドルということでいきますと、三百六十億という標準になります。したがいまして、今度の法案改正をお願いしております中で三百六十億円以上という考え方をとったのは、そういう観点からとったわけでございます。
#218
○矢追秀彦君 これで外国のほうは大体了承するわけですか。
#219
○政府委員(梅澤邦臣君) 外国の船が入ります場合、またこちらが行きます場合には、両方で交渉いたさなければなりません。その場合、私たちは、今度改正していただきますれば、この関係で十分交渉が成り立つと思っております。
#220
○矢追秀彦君 この原子力船の損害が起こった場合の賠償の基準、これはどうなっておりますか。
#221
○政府委員(梅澤邦臣君) 万が一、原子力船に事故が起こりました場合には、そのつど専門家を集めまして、その専門家でその事故の評価等を行なうことになるわけであります。
#222
○矢追秀彦君 四十七年に完成をした場合、この完成後のスケジュール、これはどうなっておりまますか。
#223
○政府委員(梅澤邦臣君) 四十七年の終わりに完成をいたしましたら、その後、去年検討会を開きましたが、実験航海あるいは慣熟訓練等の検討期間がございます。そこで、実験航海をして、その一部には、ある港への入港の実験も入れまして約二年間実験航海を行なうことになっております。
#224
○矢追秀彦君 原子力委員会の委員にお伺いしますが、「むつ」以後の第二船からは、どのようなスケジュールをお考えになっておりますか。
#225
○説明員(有澤廣巳君) 原子力船の経済性というのは、なかなかまだはっきり見通しがつかないところがある。これはまだ世界的だと思うのです。しかしながら、将来はだんだん原子力実用船が実際に運航されるようになると私は考えておりまして、したがって、第二船をつくる場合におきましては、まず舶用炉を容量の小さい、そうして十分の馬力の出るコンパクトな舶用原子力をつくるということが重要なことだと、こういうふうに考えておりまして、現在舶用炉の研究はわが委員会においても検討を続けております。しかし、最近は、民間におきまして、ドイツのやはり原子力船の機関と、第二船の建造につきまして――これはかなり大きな船で、コンテナ船のようでございますが、その船の建造のための設計の研究をお互いにやろう、その設計をやりまして、そこで経済性を十分確かめた上で、いよいよ経済性が成り立つという確信を得た場合には、日本と、ドイツのGKSSという会社でございますが、その会社と共同いたしまして第二船をそれぞれつくる、こういうふうになっております。私どもは、第二船以降はなるべく民間が主導となってつくってもらいたい、なぜならば、実用船をつくるわけですから、なるべく民間が主導となってつくってもらいたい、こういう考え方でございます。先般、私、ドイツに参りましたときにも、ドイツの原子力局でございますけれども、原子力局では、やはり第二船はドイツとしても民間にこれの建造を期待している、そうしてそれに対して政府が何らかの援助をするつもりである、こういう話を聞いてまいりましたが、われわれ日本の場合も、ただいま同様の見解でおる次第でございます。
#226
○矢追秀彦君 事業団の理事長にお伺いしますが、今後の海運界において原子力船の占める地位という問題について、いま有澤委員のほうからも少し経済性の問題が出てまいりましたけれども、今後どのようなビジョンで臨もうとされているのか、その点をお聞きいたします。
#227
○参考人(佐々木周一君) 御承知のように、日本には、いま現在約二千七百万総トンの船がございまして、これは世界でリベリアに次ぐ保有トン数でございます。造船のほうは、御承知のように、世界の全体の半分以上を日本の造船界が建造しているのでございますが、これは全部油を燃料としている船でございます。ところが、日本はその油をほとんど全部外国から輸入しているのでございます。で、もしこの油が来ないということになりますと、この日本の船は動かないということになるのでありますが、イギリスにいたしましても、アメリカにいたしましても、フランスにいたしましても、それぞれ油については供給地を持っているのでございますが、日本は非常に遠隔なところから、大部分は、御承知のとおりに、中近東から輸入しているのでございます。そういう見地からいたしますと、私は、日本の船の少なくとも二割、できれば三割くらいは油にたよらない燃料をもって船を動かすということを国策として考えていただかなければならぬ、かように思うのでございますが、いま原子力船はまだ開発の途中でございまして、安全性につきましては相当みな確信が得られたのでございますが、経済性につきましてはまだ問題が残っておりますが、しかし、経済性の問題も、御承知のように、最近油も非常に高くなりました。燃料の値段が非常に高くなりました。そういう見地からいきますと、原子力船が海運界で非常に重要視されるんじゃないか、かように考えます。また、舶用原子炉も、いま開発で、一台しかこしらえぬのでございますから、普通の値段の二倍も三倍もかかりますが、これが十台、二十台、百台と、こういうぐあいにこしらえられるようになりますと、値段も下がってくるし、工期も早くなるんじゃないか、そういう意味からいたしまして、事業団としては大いに勉強いたしまして、そういうことに貢献したいと、かように考えている次第でございます。
#228
○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。次回の委員会は広報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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