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1970/04/17 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
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1970/04/17 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号

#1
第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第5号
昭和四十六年四月十七日(土曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     横山 フク君     初村瀧一郎君
     松澤 兼人君     永岡 光治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                長田 裕二君
                平島 敏夫君
                久保  等君
                矢追 秀彦君
    委 員
                金丸 冨夫君
                木内 四郎君
                源田  実君
                鍋島 直紹君
                初村瀧一郎君
                矢野  登君
                鈴木  強君
                武内 五郎君
                永岡 光治君
                向井 長年君
   国務大臣
       国 務 大 臣  西田 信一君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      矢島 嗣郎君
       科学技術庁計画
       局長       楢林 愛朗君
       科学技術庁研究
       調整局長     石川 晃夫君
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       原子力委員会委
       員        有澤 廣巳君
       外務省アメリカ
       局安全保障課長  宮川  渉君
       通商産業省公益
       事業局技術長   和田 文夫君
       労働省労働基準
       局労災管理課長  桑原 敬一君
   参考人
       日本原子力船開
       発事業団理事長  佐々木周一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害
 賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、横山フク君及び松澤兼人君が委員を辞任され、その補欠として、初村瀧一郎君及び永岡光治君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鈴木一弘君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#4
○久保等君 簡潔に数点お尋ねしたいと思いますが、今度の改正によって、損害賠償の措置額を五十億円から六十億円に引き上げるということになるわけですが、もちろん、措置額が多ければ多いほど被害者に対する補償という意味で好ましいとは思うんですが、ただ、十億円の金額の引き上げにあたって、一応、どういう根拠というか、数字的な面についての考え方で、五十億円を六十億円にしたのか、そこらあたりのいきさつをお尋ねしたいと思います。
#5
○政府委員(梅澤邦臣君) この五十億円を六十億円に引き上げます場合に、検討会で検討していただきました。その内容といたしましては、保険会社の引き受け能力が上がったということが一つでございます。それからもう一つは、世界的に、まあ各国の情勢を見まして、大体四十三億円から七十数億円の間が海外でとられております。したがいまして、六十億円というのは適切なところではないかということで、きめたわけでございます。
#6
○久保等君 現実に、保険会社との間における保険契約、これの契約締結状況は、どういうことに現状はなっておりますか。
#7
○政府委員(梅澤邦臣君) 現行の賠償法が制定されましてから昭和四十五年度末までに科学技術庁長官が承認しました件数が三百四十八件ございます。その金額は三百八十八億円に達しております。その中で、特に核燃料物質の運搬についての件数がどんどん増加しております。
#8
○久保等君 契約当事者の名称、あまりこまかくたくさんにはならぬだろうと思うのですが、件数をまとめて、契約当事者の名称を、ひとつちょっと御説明願いたいと思います。
#9
○政府委員(梅澤邦臣君) 民間の保険会社が十九社で保険プールをつくっております。その契約を結んでおりますのは、やはり発電会社、それから燃料加工会社が主たるものでございます。
#10
○久保等君 四十五年度あたりを例にとって、年間どの程度の保険の掛け金になるものか。それから、掛け金の比率といいますか、そういったものにもいろいろ種類があるんだろうと思うんですけれども、そういった保険料の状況等、御説明願いたいと思います。
#11
○政府委員(梅澤邦臣君) 多い年数で申し上げますと、四十四年度が原子炉がよけい運転いたしました。その関係から原子炉の運転が四件ございます。その契約金額が百五十億でございます。それから核燃料物質の使用、これが二件ございまして二千万円の契約がございます。それから核燃料物質の運搬関係として五十七件ございまして、これが二十億でございます。合計で百七十億の契約金額になっております。
#12
○久保等君 掛け金総額は幾らになりますか。
#13
○政府委員(梅澤邦臣君) 大きい発電所の年間掛け金が約三千万円でございます。それからあと、こまかいのは、それぞれ規定がきまっておりまして、小さな金額でできております。
#14
○久保等君 保険金額に対する、何かパーセンテージみたいなもので、そういったことがきめられておるんでしょうね。
#15
○政府委員(梅澤邦臣君) 点数制をとっておりまして、発電所の場所の問題、それから安全性の問題、その点数できめております。
#16
○久保等君 そうすると、ケース・バイ・ケースで、きわめて多種多様にわたっておるということですか。
#17
○政府委員(梅澤邦臣君) 先生おっしゃいますように、ケース・バイ・ケースになっております。それから日本は約二割持っていまして、再保険制度がとられていまして、八割は外国の保険会社が受け持つという形になっております。
#18
○久保等君 その損害賠償措置額の問題については以上で私質問を終わりますが、原子力委員会の専門部会で答申があり、その答申に基づいて今回の法改正等もなされることになったと思うんですが、原子力の損害賠償制度という問題については、これからいろいろな経験なり、それからまた懸案問題として検討しておられる問題が幾多あるわけですが、今後特に検討を要する問題として原子力委員会のほうでお考えになっておりまする主たる問題はどういうところでしょうか。まああまりこまかい問題は別として、ある程度重要な問題について若干御説明をいただきたいと思います。
#19
○説明員(有澤廣巳君) 原子力災害補償制度につきまして今後なお原子力委員会といたしまして検討していかなければならない問題と私どもが考えておりますのは、一つは、日本の賠償制度では災害補償の限度がなくて、いわゆる青天井になっておるということでございます。これは、各国では、いずれも制限、限定された責任になっておりますが、わが国だけそういうふうな状況になっております。今回の法改正に先立ちまして検討部会におきましても、その問題が十分検討されましたけれども、今回はなお国民の感情と申しましょうか、心情を尊重してなお青天井に残しておきたい、こういうような意見でございます。しかし、これはなお今後十分検討すべき問題だということになっております。
 それからもう一つは、それとも関連いたしますが、今回の法改正におきましては、日本の船の炉、陸上炉との間では、国内においては特別の取り扱いになっておりますが、外国の船が日本に入る場合には違った補償金額になっております。いわゆる青天井でなくなっております。ですから、そういう点も、内外の船の取り扱いが異なるのはどうかという、そこに問題が一つあります。これは、言ってみますれば、たとえばブラッセル条約に日本が加入するということになりますれば、そうすれば船の問題は一応国際的な一億ドルという制限額、補償額にきまるわけでございますが、そうすれば、国内の炉についての補償額は、いま青天井のものを一億ドルなら一億ドルというところに限定する、そういうことにならなければなりませんが、そこに一つ問題がある。これも専門部会でいろいろ検討されましたけれども、先ほど申しましたように、まず、いままで十年間青天井で来ている、それで日本の国民の心情はそれで固まってきているときに、ここに青天井を取っ払って責任額を限定するということになりますと、どういうわけでそういうことになったんだ、こういうような疑問を国民に持たれては今後の立地問題についても悪い影響を及ぼすであろうから、今回はこの法改正案のような形にしておくけれども、今後はなおこの問題についても十分検討するように言われておりますので、私どもこの問題を取り上げたいと思っております。
 それから第三の問題は、従業員の災害補償についての問題でございます。それは検討部会におきましても検討されましたけれども、ちょうど責任保険会社と申しましょうか、損害保険会社が、この従業員の災害補償に関する保険制度について検討をしております。その結論が近く出るということになっておりますので、それが出ました上で、なお十分検討を加えまして、できれば賠償制度の中に従業員の災害補償御度、補償というようなものも取り込んだらどうだろうか、こういうことを考えております。それで、これにつきましても、なお今後検討しなければならない問題と私どもは考えております。
 いま大きな問題として考えられますのは、以上の三問題でございます。
#20
○久保等君 いま、三点の問題に要約してお話がありましたが、特にいま言われた国内における扱い、陸上炉と船舶なんかの原子力炉の関係であるとか、そのバランスを考えれば国際的なベースで考えることに若干の無理があろうというようなお話なんですが、また、長い目で見た将来の問題としては、特に外国船が日本へ入ってくる場合、また日本の「むつ」が外国に行く場合、そういった関係、国際関係の問題としての船舶炉の問題については、これは当然国際的な一つの取りきめにしなければならぬ問題が一面においてあるわけですし、しかもそれが現実化してきつつあるわけですから、そこらが今後のむずかしい点だと思うのですが、そうすると、ブラッセル条約に日本が加盟するかどうかの問題は、いま言ったような、国内における損害賠償問題が金額的には青天井になっておるという面からすると、これに早急に加盟するというようなことが考えられない、非常にむずかしいということになる。まあ、ブラッセル条約加盟問題というのは、一番その問題にしぼられますからね、どうでしょうか。これは所管はどちらになりますか……。
#21
○政府委員(梅澤邦臣君) いま先生おっしゃいましたことが重点でございます。ただ、ブラッセル条約はまだ原子力船を持っている国の批准がございませんので、発効いたしておりませんが、ドイツがなるべく早くしたいという意向がございますので、これから先、早まるのではないかという感じはとられますが、内容としてはいま先生がおっしゃったことが一番問題だと思います。
#22
○久保等君 ブラッセル条約は一九六二年にできたようですが、この成立をした経緯というものは、どういうものでしょうか。せっかくつくったが、なかなか各国とも入れないというような条約、しかし条約は一応でき上がったのですが、その条約作成にあたっての関係国、そこらが一体どういう考え方でこういうものをつくったのか、ちょっと条約としてはおもしろいというか、ちょっと変わった条約だと思うのですが、本来なら、つくったんだから少なくとも二国以上加盟をするということは当然考えられるんだけれども、つくったけれども、どちらかといえば、たなざらしみたいになって、ポルトガル一国だけが賛成というか、批准をしておるようですけれども、そこらの制定せられた当時の各国の気持ちなり考え方というものは、どういうところにあったんでしょうか。
#23
○政府委員(梅澤邦臣君) このブラッセル条約の起草にあたりましては、約十六カ国がその検討に入っておりまして、一応署名いたしております。ただ、その後、たとえばアメリカにおきましては、軍艦が入っているということで非常に慎重な態度をとっております。それからドイツは、ドイツの国内法と少し違っているという点で、ずっと、ほったらかしたといいますか、慎重にしておりましたが、最近「オットー・ハーン」ができましたので、それが海外に出ていく、ついてはこういう条約があったほうが動けるんじゃないかということで、一番ドイツが最近としては興味を持っておるという状況でございます。
#24
○久保等君 これは、アメリカなんかも積極的にその相談には加わっておるのですか。
#25
○政府委員(梅澤邦臣君) 検討にあたりましては、アメリカも加わっております。
#26
○久保等君 外務省は来ているんですか。――いまの原子力局長の御説明なんですけれども、もう少し、主たる提唱国といいますか、そういったところは、どこらが中心になってスタートして、どのくらいの月日をかけてこういった条約ができ上がったのか、もう少し外務省のほうで事情わかっておると思うのですが、多少詳しくひとつ御説明願いたいと思うのです。
#27
○説明員(宮川渉君) 私、この問題の直接の担当ではございませんが、お尋ねがございましたので、それについて簡単に御説明いたしたいと思います。
 この条約につきましては、ブラッセルで海事法の外交会議というのがございまして、そこで国際原子力機関の専門家の人たちが一九六〇年に作成しました条約案と、それから万国海法会が五九年に作成しました条約案と、それを主として審議したようでございます。しかし、そのときは結論が出ずに終わりまして、一九六二年、先ほどおっしゃいましたように、ブラッセルでこれの国際会議が開かれ、そうしまして、これに代表を派遣しましたのは五十カ国でございますが、読み上げましょうか――これは、アルバニア、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブルガリア、白ロシア、カナダ、チリー、中国、チェコスロバキア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、タイ、ハンガリー、インド、インドネシア、イラン、アイルランド、イタリー、日本、韓国、レバノン、リベリア、マレーシア、メキシコ、モナコ、モロッコ、オランダ、ノルウェー、パナマ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セネガル、スペイン、スェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、ソ連、アラブ連合、イギリス、アメリカ、バチカン、ユーゴスラビア、こういう国々でございます。そうしまして、この会議で、先ほどお話がありましたブラッセル条約が採択されたのでございます。
#28
○久保等君 この中には、もちろん、原子力軍艦を対象にすることも含まれておるのですが、しかし、現実になかなか入れないという、アメリカなんかの立場からすれば、そういった問題が非常に大きな問題だと思いますが、こういったことについては、やはり条約を起草するにあたっていろいろと非常に議論の中心になった問題じゃないか、強い反対だとか、また逆に強い賛成だとかという意見もあったと思うのですが、そこらあたりの模様はどういう状況だったでしょうか。
#29
○説明員(宮川渉君) いまのお話は、軍艦を含めるか除外するかということかと思いますが、除外論のほうは、先ほどお話が出ましたアメリカと、それ以外に、ソ連圏のソ連、チェコ、ポーランドなんかが強い除外を主張したようでございます。他方、含めろというほうは、アルゼンチン、アラブ連合、スペイン、イタリー、トルコ、ドイツ、イギリス、ベルギー、韓国、ギリシャ、マレーシア、こういったような国が主張したようでございます。
#30
○久保等君 先ほど原子力局長のほうから今後の見通しについてお話があったのですが、ドイツあたり比較的熱心なような空気が出てきているという話なんですが、それ以外、特別変わった動きは、この条約については動きとしては出ていない状況ですか。
#31
○説明員(宮川渉君) おっしゃるとおり、その後目立った動きはないようでございます。
#32
○久保等君 それではブラッセル条約関係のほうはけっこうです。これで終わります。
 次に、今後特に陸上原子炉、これは電力関係にこれからどんどんと設置をせられてまいると思いますが、原子力発電についての問題について、現状等について一応御説明を願いたいと思うんですが、通産省来られてますか。
#33
○説明員(和田文夫君) お答えいたします。
 原子力発電は、将来において低廉性と安全性を兼ね備えたすぐれたエネルギーであるという点、あるいはわが国の資源事情からいいまして特に開発を積極的に進めるべきだということで、御承知のとおり、積極的に開発を進めております。現在わが国で運転しております原子力発電所は、日本原子力発電会社の東海発電所、それから敦賀発電所、東京電力の福島発電所、それから関西電力の美浜発電所、この四つでございまして、百三十二万キロでございます。
 それから現在建設工事にかかっておりますのは全部で八機ございますが、東京電力の福島二号、三号、それから関西美浜二号、それから高浜一号、二号、それから中国電力の島根、中部電力の浜岡、それから九州の玄海、この合計八機でございます。出力は五百二十七万九千キロ、こういう見通しになっております。
 それから長期的にはいろんな計画もございますが、五十年末で大体九百四十万キロぐらい、それから六十年末で六千万キロぐらいの出力になるだろうという想定がなされております。
#34
○久保等君 現在運転中のこれらの原子力発電所の運転従事員といいますか、直接この仕事に加わる、事業に従事されておられる方はどのくらいの数になりますか。
#35
○説明員(和田文夫君) 現在、最近できた発電所は大体一機当たり百人ぐらいでやっておるようでございます。ただ、東海につきましては、初期のものでありますので、正確な数字を私現在覚えておりませんが、二百何人か三百人近いような数字になっておると思っております。
#36
○久保等君 現在、原子力発電所の建設についての申請をせられておるものも数件あるようですが、それの状況を、なお御説明願いたいと思うんですが、これが計画どおり、しかも実際工事等が進渉しておるのかどうか、お尋ねしたいと思うんです。
#37
○説明員(和田文夫君) 現在申請中のものは四件ございます。東北電力の女川発電所、それから東京電力の福島五号、それから関西電力の大飯の一号、二号、この四基でございます。出力の合計は三百六十五万キロでございます。これも、申請の時期にもよりますが、たとえば女川等は、もう設置の許可あるいは電気事業法による電気工作物の変更の許可も相済みまして、現在通産省のほうで工事計画の認可の審査をしておる段階でございます。それから福島の五号と関西の大飯一号、二号は、現在許可を審査中の段階でございます。
#38
○久保等君 科学技術庁のほうにお尋ねしたいと思うんですが、こうした原子力発電所の建設について、いろいろと今日まで、いまお話があったように、現に運転中のもの、あるいは建設中のもの、さらに今後の建設を目ざして申請中のもの、そういったようなことで、次々と原子力発電所の建設が行なわれてまいるわけなんですが、安全性の確保の問題については、これは最もいろいろ配慮し、力を入れてやっておられる問題だと思うんですが、だんだんと技術的にも安全性確保の問題についていろんな措置がとられてきておると思うのですけれども、その安全性確保の立場から、当初建設をせられた段階から今日に至る間、さらに精密といいますか、技術的な面、あるいはまた、そうじゃなくて安全性の基準等の問題について改正等を行なった経過があろうと思うのですが、そういったことについて、主たる安全性確保の問題についての基準等の問題についてとられた措置について、若干――あまり詳細にわたれば、これは非常にいろいろ問題が多いんだろうと思うのですが、まあ、しろうとにも比較的わかるような、あるいはまた国民一般にも理解せられやすいような問題に限って御説明願えませんか。
#39
○政府委員(梅澤邦臣君) 安全審査の高度化でございますが、これにつきまして改定したことはございません。と申しますのは、やはり技術的な問題でございますので、たとえば日本の専門家とアメリカの専門家と会って合議をするとか、あるいは研究課題で研究が出たもの、というもので実質的に内容が相当変わってきております。
 それから、先生おっしゃいました安全審査に伴っての基準と申しますか、これはだんだん整備しておりまして、たとえば原子炉立地審査指針、それから軽水炉安全設計審査指針等、具体的な指針が整備されております。しかし、これもだんだん原子炉そのものが変わってきておりますので、非常にシビアな指針をつくってございますので、いまのところ、それをもとにいたしまして進んでいるというのが現状でございます。
#40
○久保等君 それから、昨日もこの委員会でいろいろ質疑があった問題ですが、原子炉の施設に従事される従業員の災害補償の問題きのうもいろいろな観点から質疑があったようですから、あまり重ねての質問は省略をいたしますが、今日まで、原子力関係の施設で、事故、災害事故、こういったようなものは、少なくとも労働省あたりに災害事故として報告をせられたような事故は、まあないようなお話なんですが、しかし、研究所等で、まあ事故と言えるかどうか、そこらの判断も何でしょうが、しかし、いずれにしても、若干の放射能による汚染事故、そういった問題があったようですが、そういったことについて御説明を願いたいと思います。あまり件数は多くはないと思うのですが。
#41
○政府委員(梅澤邦臣君) 法規的に見て事故というものはございません。ただ、いま先生おっしゃいました異常を生じたということはございました。それで、去年の三月のころでございますが、そのころに一度、やはりある程度原子力が進みまして皆さんがなれてきたんではないかという考え方で、大臣の御指導のもとに、全面的にもう一度安全体制のあり方ということを再確認しようではないかということで、再確認いたしました。特に原研、動燃等には、われわれのほうの機関でございますので、特に安全の規程その他についての再確認をいたしました。現在のところ、その後そういう事故はございません。ただ、目立って前にありましたのは、よその請負い者といいますか、よそから中に入ってきて、管理地域であるところに、しろうと的な態度で入ってしまったというのが、おととしございましたが、そういう程度のことはございましたが、最近のところは、おかげさまで、そういうことはございません。
#42
○久保等君 一応手元のほうに資料としてもらっております三十九年の三月あるいは四十二年の六月、それから四十三年の七月あたりに、日本原子力研究所の東海村研究所で、若干の不手ぎわというか、そういったような問題があったようですが、これは、従業員そのものに被害が若干あった、被害といいますか、けがをしたり、あるいはまた汚染をしたりといったような問題があったようですが、そういった、人身の事故といいますか、人身に汚染をしたような問題、けがをしたような問題、その問題だけに限って、ちょっと御説明願いたいと思うのですがね。
#43
○政府委員(梅澤邦臣君) 四十一年の一月二十日、原子力研究所の東海研究所でございますが、そこで手先にある程度のレムを受けたというのがございます。それから四十一年の三月でございますが、原研のやはり東海研究所で、これもちょっと不注意でございまして、指先にやはり若干のレムを受けまして、この二人とも、すべてその後の健康診断では異状はございません。それから四十一年の七月に京都大学の先生が二人若干の被曝を受けております。これもどうも研究者の不注意のようでございますが、その後の健康診断では異状ないようでございます。
 それだけでございます。
#44
○久保等君 その程度ではない。これは資料をちょうだいしていますが、これは放射能の関係ではないのかもしらぬのですが、四十二年の十一月十八日、これはガス循環器から火が出て係員三人が死傷したという事故、あるいは四十四年の十月にもこれは四名ばかり何か従事員が汚染をしたということでなにしたのですが、そのうち特に二名の方は何か十日後に検査をした結果、やはり汚染をしておる、体内の特にじん臓あたりが汚染をしておるといったような問題があったようですが、そういったような記録はどうなっていますか。
#45
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいま先生おっしゃいました四十二年の十一月のは原子炉ではございませんで、火事が起こりまして、その火事で五名がやけどをしたというのがございます。それから先ほどは炉で申し上げたのですが、申しわけございませんでした。四十四年の一月に放射性の水銀入りのガラスびんがございますが、そのガラスびんを不注意で取り扱って汚染をしたというのが一つでございます。
#46
○久保等君 こまかいことをあげればいろいろ問題が過去においてあったようですが、要するに、人身の問題として考えた場合には、汚染はしたけれども別にその後特別休むとかなんとかと、あるいは治療するといったようなこともなく、いま言った汚染度の検査等をある程度その後も継続してやっておられるといったような問題はあるのじゃないかと思うのですが、特別休んで治療を要するといったような問題はなかったんでしょうね、今日まで。どうなんでしょうか。
#47
○政府委員(梅澤邦臣君) いまの放射線関係としての人で休むということはございませんでした。ただ、やはり健康管理として十分注意して管理したことは相当長く管理いたしております。
#48
○久保等君 なお、今日も引き続いてそういったことを定期的に検査を要するという状態にある人はいるのですか、いないのですか。
#49
○政府委員(梅澤邦臣君) 私のほうの連絡には、現在ございません。
#50
○久保等君 それから、きのう質疑の中で、この従事者の災害に対する補償の問題、これについては、まず、労災法の方法によって救済をする、それから第二段としては、労使における団体交渉といいますか、そういうことによって救済をしていく、さらに第三点としては、保険会社がこの問題についてこの法律との関連において検討し、きわめて近い将来においてある程度結論が出るだろう、それに伴って立法上の措置が必要ならば立法上の措置もしなければならぬだろう、そういうお話だったと私承るのです。ところが、こういう原子力の放射能による災害関係の問題については、こういった特別立法をして、一般の第三者等の被害について十分な賠償をしていこうという考え方でこれは法律がつくられておるし、また今回も、先ほどお話があったように、金額の面でもさらにこれを引き上げて万全を期していこうという考え方があると思うのです。したがって、従事者の場合にも、これは一般の労災法の問題もさることながら、やはり私は、特別に考える必要があるんじゃないかと思いますし、それからまた、現に、いま私が申し上げた第三番目の保険会社等が検討しているその結論に基づいて、立法上の必要があるとすれば立法をしていこうというようなお考えもあるようですが、現在の労災法の救済措置というものは、これはきわめて私なまぬるいというか、十分ではないと思うのです。これは、もちろん、労災法そのものの問題として考えなければならぬ問題なんですが、一番単純な例を考えてみた場合、たとえば、労働災害でなくなったというような場合に、労災法の上からいくと、どういう特別の手当てが出ることになりますか。かりに日額二千円もらっておる従事者が労災によってなくなったというような場合に対しては、これに対してはどういう手当が特別に出ることになりますか。これは、労働省来られておるようですから、労働省のほうからお答え願います。
#51
○説明員(桑原敬一君) 前国会におきまして労災保険法の改正を御審議、御可決いただきまして、昨年の十一月から一応施行いたしております。その数字は一応、いろいろ御批判ございますけれども、ILOの一二一号条約、一番新しい昭和四十二年にたしか発効いたしました条約に合わせまして改正いたしたのでございます。
 で、従来は、特にこの原子力賠償法ができる前は、基準法ベースで、なくなりました場合には一時金で補償しておりました。したがって、千日分を差し上げるということになりますと、先生の御指摘のように二百万にしかならないということになりますが、今回の改正で、そういった一時金では問題の処理ができませんので、四十年改正で年金制度に切りかえまして、なくなられました方の家族数によって違いますけれども、奥さまと子供さん二人おられました場合には、三人でございます、これが標準世帯でございますけれども、御主人がとっておりました全収入の半分、五〇%、最高は六〇%の刻みで、大体ILOの水準に合わせたわけでございますが、二千円の場合、直ちに計算はいたしておりませんけれども、年金計算で余命年数をずっと計算いたしてまいりますと、大体二千円であれば、最終の、終価と申しますか、一千万ぐらいになるんではなかろうかという計算を私どもはいたしております。いずれにいたしましても、私どもといたしましてはこれで十分だというふうには考えておりませんので、今後やはり社会経済の発展の推移に見合って逐次引き上げていきたい、こういうふうに思っております。
#52
○久保等君 その一千万円というのは、一時金として出るんですか。
#53
○説明員(桑原敬一君) 二つの形態がございまして、たとえば、何と申しますか、なくなられた方に扶養家族が全然ないという場合には一時金を差し上げる、これが最低でございます。それが二千円で千日分、二百万円でございますが、現実に扶養家族がおられまして、年金制度で終生ずっとめんどうを見ていくということになりますと、そういった年金計算を、一応終価計算をいたしますと、そういうふうになっている、これは仮定の計算でございますので、なかなか一時金システムと比較できませんけれども、最低、そういう扶養家族がない場合には、二千円で千日分ですから二百万円、扶養家族がおられました場合には、平均的に、奥さんと子供さん二人、標準世帯三人で二千円でございますれば、大体終価は一千万ぐらいになる、こういうふうな計算をいたしております。
#54
○久保等君 こまかい計算は別として、いま言われた標準世帯の場合、年金として、月額にすると、おおよそどのくらいですか。勤続年数やら何やらありますから、それによっても違うでしょうが。
#55
○説明員(桑原敬一君) 年間四十万ぐらいになると思います。正確な計算ではございませんけれども、年金といたしまして四十万ぐらい。
#56
○久保等君 まあ、こまかい数字は別として、とにかく、なくなって、一時金としてもらう場合には二百万円というような程度で、これは労災関係の一般の問題ですから、これ自体も、この程度では、現在の状況からいくと、課長も言っておられるように、満足すべき金額ではさらさらないと思うんですね。そういう一般的な問題は別として、原子力関係で災害を受けられて、なくなったというような場合を考えてみると、何百万円という金額では、今日、金額的に些少なものだと私は思うんですね。いま交通事故等でなくなられても、一千数百万円ないし二千万円というようなことが、最近、必ずしもそう、まれなものではなくなってきつつある状態で、原子力関係におるという特殊な災害関係の問題について、しかも一般の第三者の被災者に対しては相当手厚く考えていこうという災害補償の法律を特別立法としてやる今日、従事者の場合については労災保険で考えていくんだという考え方では、非常にそこにギャップが大き過ぎるんじゃないかという感じがいたします。
 それから、労使の問で団体交渉でやるんだという話は、これは労使の間でやることなんで、制度としてどうこう、それがあるから問題の解決になるのだということは、これは私はあまり説明としては十分じゃないというふうに感じます。したがって、問題は、第三の、先ほどちょっと申し上げた、また昨日来お答えのあった問題としての第三点の問題、ここらに非常に大きな期待を当面かけざるを得ないと思うんです。これ、まあしかし、保険会社のやることですから、保険数理的ないろいろこまかい数理の上でやることですから、これはあくまでも、恩恵的に、あるいはできるだけ有利に解釈するとかなんとかいう幅は、保険数理的な問題からして、ないと思うんですね。したがって、出た結論を見なければ何とも言えないんですけれども、考え方としては、私は、こういった立法をされる、あるいは法を改正するというようなことをやられるときには、やはり従事者の問題も総合的に考えた形で考慮をしていきませんと、労災問題一般として考えるのには適当ではないのじゃないかという感じがするんです。それで、例の専門部会でも、過去に一応こういったことについての特別の措置を講じたらどうかという答申もあったようですが、最近の答申ではそれがはずされたという話を聞いておるんですけれども、そこらの経緯は、要するに、私が先ほど申し上げた三点の問題で考えていくとして、今回ははずしたというふうな御説明だったと思うんですけれども、それだけでは、やっぱり、ああそうですが、それならば理屈として筋が通っておりますと言って了承するわけにはまいらない。有澤さん、そのあたりのところ、やはり逃げるんじゃなくて、堂々と、本来この問題もこの立法の中に考慮していくべき問題ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#57
○説明員(有澤廣巳君) いま御質問のありました点、全く私も同感でございます。まあ、我妻専門部会の最近の答申におきましては、保険会社の保険による従業員の災害補償を考えていくと、こういうことになっております。これも、むろん、保険会社の場合におきましては、何といいますか、どれくらい保険の額を保険会社が提供してくれるかということで、原子力の第三者損害の場合には六十億が限度だ、こういうふうになっておりますが、その点で、どのくらいの保険金額を保険会社が提供してくれるかということにもかかわりますが、その点も十分見ました上で、従業員に対する災害の補償を十分はかれるようにつとめたいと私は考えております。労災保険のほうに最初ウェートを非常に置きましたのは、労災保険の死亡のような場合はともかくも、放射線の障害は、後遺症だとか、あるいは遺伝的に伝わるとか、非常に将来にわたっての問題が残るわけでございますので、そういうふうな問題を労災保険が十分カバーできるように考えてくれるならたいへんいいだろうというふうに思って、そっちの方面をやってみましたけれども、これはやっぱり一般の労働者に対する労災保険でございますから、原子力従業者に特別に何か給付を厚くするということもなかなかむずかしいであろうと思います。そういうことがはっきりいたしましたので、考え方を変えまして、まあ、昨日来申し上げているようなことをひとつ考えていきたい、また、それで足りない場合には、どうしてもそれだけでは十分でないという場合には、またさらに想を改めて検討いたしたいと考えております。
#58
○久保等君 労働省のほうに念のために伺っておきたいと思うのですが、一般的には労災保険でもって救済をしていくということになっておるし、そういったものの改善については今後一そう努力をされる必要があると思います。
 ところで、この原子力災害に関する補償の問題については、やはりそういった、いまお話があったように、晩発性というか、あとに残ってまいる継続性のある問題だけに、非常にむずかしいと思うんですけれども、それだけに、立法上の問題としては、特別立法というか、一般的な労災保険とかなんとかいうワクの外に置いた形での特別立法をして救済をしていくということのほうが適当だというふうに判断しておりますか、どういうふうに考えておられますか。
#59
○説明員(桑原敬一君) 予防と補償と二つございますけれども、いままでの例で、たとえばじん肺法みたいに、特殊な疾病につきましては健康管理が非常に重要だから、その面について特別立法という例はございます。ただ、何といいますか、産業とか、従事します作業とか、業種によって別の補償をするということは、いままでとっておりませんし、諸外国にもそういう例はございません。したがって、私どもとしては、原子力なり、そういう有害放射線の問題については非常に重要でございますので、電離放射線障害防止規則という分厚い法令をつくりまして、健康管理なんかも、健康診断なんかも、一般には年一回でございますが、二回ないし三回やるということで、相当詳細な予防的な措置を講じて、法令的な措置を講じて、やっております。そういった意味で、御指摘のように、非常に疾病の態様が違いますので、それに応じた適切な健康管理、予防管理、また、それに必要な法令措置、それに基づく監督というものを厳重にやっていかなければならぬと思います。ただ、補償のほうは、やはりあらゆる産業に従事する労働者、同じような補償というのが望ましいんじゃないか、それについての特別立法はやはり労災の分野では無理ではないか、こういうふうに考えております。
#60
○鈴木強君 ちょっと関連。
 これは委員長からいまの件で伺いたいんですけれども、ここにも述べておるように、原子力の開発利用を進めるにあたっては、その安全性の確保ということが絶対条件である――まあ、わが国におきましては平和利用ということですね――と書いてあるんだが、では、どういうふうにして法律的にも実際的にもこれを裏づけしていくかということになると、いまのように、一般労働災害の分野ではむずかしい、したがってこれは特別立法が必要だ……。ところが、原子力委員会なり科学技術庁長官に伺いたいんだが、実際にこれは政府として特別立法でいくという方針をきめておるのか、それとも、一般労災としていくということできめてあるのか、その態度を、この法案の審議にあたって明らかにしてもらいたいんですよ。何か、聞いていると、非常にあいまいだ。しかも、放射線による汚染ということは、これはもう広島、長崎において二度しておるわが国としては、必要以上に神経を使っているわけですよ。いま、佐世保とか横須賀に原子力潜水艦や軍艦が入ってくる、そういうものに対する汚染の防止についても、これは必要以上に神経を使ってもらっているわけですが、そういう意味において、そこに働く労働者、従業員が原子力放射能によって汚染された場合の救済を一体どうするか、額をどうするかということも含めて、これをはっきりしなきゃ、開発は進みませんよ、これは。私はそう思うのですね。一番大事なところがぼやけている。これをはっきりすべきです。だから、もし特別立法でやるとするならば、今回は出せなかったが、ではいつにそれをはっきりするのか、ですね。労災のほうで、もしそういう点も入れて、予防と救済を含めてやるというなら、それは労働省で真剣に考えて対策を立ててもらわなければならない。ところが、いまの課長の話だと、ちょっと手に負えないような話。そういう基本的な問題をぐらつかしておっては困るんですよ、これは。私はちょっと途中から来ておりますから、いきさつが多少ぼけておって、私が変な質問をしておるなら、これは私は質問をやめますけれども、その基本的な考え方を聞きたい。
#61
○説明員(有澤廣巳君) 原子力従事者、従業者の災害補償につきましては、まあ、考え方といたしましては、これは労働者でございますので、一応ベースになるところは労災保険でカバーします。しかし、それではカバーしきれないものがある、または、先ほど久保先生から御指摘がありましたように、不十分である、そういう面を今後充足していくような形に制度としては持っていかなければならないと考えております。それで、いまのところは、その不十分なところは、一応、労働協約で、個々の事業者が従業者と話をして、こういう場合にはこれだけのものを上積みするという労働協約ができております。しかし、これもむろん設置者の上から申しますと限度があります。そこで、保険制度を利用して、すべてのものに一応一律的に上積みができるような保険制度に基づいた従業員災害補償をいたしたい、こういう考え方でございます。で、その保険会社による保険制度に基づく問題は、この我妻委員会におきましてはいろいろ討論されましたけれども、そのときにはまだ、保険会社のほうの構想といいますか、どれくらいのものがどれくらい出せるかというような計算も、構想もまだ十分固まっていないから、いましばらく待ってほしい、で、これも近くその構想が決定することができるというお話でございました。ですから、その構想ができましたならば、私どもそれを受け取りまして、いま皆さま方から御指摘を受けたような点を十分考慮して、そして保険会社の保険制度による補償を取り入れたいと思います。その補償をどういうふうな形の制度にするかということは、この災害補償法の中にそれを取り入れるか、あるいは別途の何か制度にして、特別立法といいますか、そういうものにするかというふうな問題は、いましばらく時間をかしていただきたい。いずれにしましても、そういう問題を十分検討して、そうして、できるのは今年末までには大体できると思います。ですから、その上でひとつ適当な形で、従業員に対する補償制度を、案をつくりまして、またおはかり申し上げたいと、こういうふうに思います。
#62
○鈴木強君 その有澤さんのお話ですけれども、いま開発はどんどん進められていっているわけでしょう。あした災害が起きたらどうするんですか。そんな、ことしの末になったら結論が出るから、それまで待ってほしい――それはいいですよ、いいけれども、現実に災害はいつやってくるかわかりません。その場合に、一体、ではその問のブランクはどうするんですか。そういう、やっぱり基本的な考え方をきちっとやって、そうして、こういう法律をいずれにしても出してもらわないと、一番大事な従業員に対する補償についてはペンディングになっておる。委員会だって、専門部会はそのためにあるわけでしょう。それと同時に、この法律の中に入れるか入れないか、入れないならば労災のほうをどうするかぐらいのことはちゃんとしてくれなければ、これは私は不親切だと思いますよ。これは、外国等におきまして今日まで原子力開発を始めてどういう災害が具体的に労働者にあったか、私は、もしわかったら教えてもらいたいんですが、そういうふうな外国の例等も考えながら、万々一ですよ――これは絶対安全を確保するということが前提ですから、万一起きた場合にどうするか、その万一に対しては皆さんも私たちと同じなんでしょう。ことしの暮れにやるなんて、おそいと思うんですよ。その間に起きたらどうするんですか。そうしたら、いまの労災しかないんでしょう。それでは不公平じゃないですか。だから、もっと早くやってください。おかしい。学者らしくない。
#63
○説明員(有澤廣巳君) 現在の段階は、確かに、まだ私どもの考えている制度が全部でき上がっておりませんから、その点でおしかりを受けるのはまことに当然だと思いまして、まことにすみませんが、いま現在起きたという場合には、一つは、労災のほうで、これは基本的なベースとしての労災があります。それでその上に、いまのところは、先ほど申しました労働協約による補償があります。がしかし、むろんそれでも十分でないという点からいえば確かに十分でないかと思います。それだから、さらにそれを一般化して、そうして十分な制度にするために保険による補償を考えたい。それも、この我妻委員会の席でそれがはっきりきめることができたらたいへんよかったんですが、保険会社のほうではまだそこまで保険会社としての案が詰まっていなかったがために、この専門部会でも十分それを取り上げることができなかったわけでございます。それでまあ、取り急いで、なるべく早く、言ってみれば、ブランクの時期を短くするために急いでやっておるわけでございますが、それが近く保険会社のほうも構想がきまり、提出されることになっておりますので、それが提出され次第十分迅速に制度をつくっておはかり申し上げたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。ですから、現在のところから申しますと、労災保険、それから個々の企業と組合との間で取り結ばれておる労働協約による補償、それしかないことは確かでございます。それで私どもは満足しているわけではないので、さらにもう一段と十分な制度を迅速にきめたい、こういうふうに考えておりますが……。
#64
○鈴木強君 関連ですから、これでやめますが、有澤先生ね、やはり論理の矛盾をおかしておると思うのですね。そういう一番大事な災害に対する補償ということ、これは絶対条件です、これは。ですから、わかりました、あなたいろいろやったけれども間に合わなかったというのですから、これはいまこの法案が出ておるときに、さあ持ってこいといっても無理でしょうから、いまの先生のお話でわかりましたから、ただ一つ、それならば、次の通常国会には、いいですか、必ず、これを改正するか、あるいは別に単独立法を持つかは別として、額を含めまして、補償については必ずやってもらいたいと、ぼくは思うのですよ。ですから、その私の趣旨に賛成して次の国会に必ずやってください。それを確約してください。いいですか、これは最小限度です。
 それから大臣に対しては、労働協約とおっしゃるけれども、これは企業との間ですから支払い能力の問題もあるでしょうから、最終的にはやはり国家補償的なものも当然これは考えなければならぬことですからして、ここでいま具体的に労働協約の内容を聞きたいけれども時間がないから聞きませんけれども、おそらく不十分だと私思います。したがって、研究は進んでおるわけだから、それの結論は待つとしても、できるだけ専門部会の皆さんの意見も聞いて、そしてそれに近寄るような、問題について裏づけをやはり政府がしてやらなければいけませんですから、そういう点を、ひとつ大臣としても協約等の内容について勉強していただいて、できるだけ何らかの方法でもいいですから、最悪の場合の補償をなし得るような措置を検討してみてください。
 この二つをお二人から伺っておきたい。
#65
○国務大臣(西田信一君) 昨日も、向井委員の御質問に対しまして私もはっきりお答え申したのでありますが、このことは労働省にも関係ございます。それからまた、保険のほうで大蔵省にも関係がございます。それから、いま御審議を願っておる法律では私どものほうが中心になるわけでございますが、いずれにいたしましても、現行の制度では不安があり、また不十分であるということはもう結論が出ておるわけでありますから、そこで、これは科学技術庁だけでなくて、政府の責任におきまして急いで検討いたしまして、そして最も適切な解決を早急にはかりたいということを、きのう申し上げたのでありますが、そのつもりで善処いたします。
 それから労働協約の問題も、これはかなりカバーされたと思いますけれども、いま御指摘のとおり、なお、これ強制するわけにもまいりませんし、十分と言えない点もございますけれども、やはり、ほんとうに安心して従業員が働き、そしてまた原子力産業が伸びてまいりますために、必要な措置はひとつ積極的に講じてまいりたいと思います。
#66
○鈴木強君 法案の提出は。次の国会に出してください。それは科学技術庁長官の分野ですよ、法律は。
#67
○国務大臣(西田信一君) 保険のほうの結論が早晩出ると思いますが、それを受けましてやはり若干の検討の時間が必要だと思います。それもなるべくひとつ急いでやるということでございますが、きのうもやはり同様の御質問がございまして、年内の次の国会に約束できるかということでございましたが、まだ保険のほうの結論も出ておらない今日でございますから、私はその時期をここで確約申し上げるのは、ちょっと御遠慮させていただきますけれども、必ず、いま申し上げましたように、政府部内におきまして責任を持ってこの問題を早急に処理するということだけは、ひとつはっきり申し上げておきます。
#68
○鈴木強君 おかしいじゃないですか。早急に出すという、これは出さなければならぬのですよ。私は、この法案の中にするか、どっちかですね、それをできないというから、それじゃ次は出すようにちゃんとしてくださいよと。それは、出すということを確約して、こういう理由で出せなかったということはまたあるかもしれませんけれども、それは大臣だめですよ。それじゃ法案の審議はできないですよ。どうですか。
#69
○国務大臣(西田信一君) おことばを返すようでございますけれども、保険でどういう解決がはかられるかというようなことを見なければなりませんし、それで、なおかつ立法措置が必要かどうかという検討も必要でございますから、ですから、そういう十分な検討の上で善処するということを申しておるのでありまして、いまここで法律を出しますということを申し上げるのはやや……。結論を先に御期待になっておるようでありますけれども、そこで御了承願いたいと思います。
#70
○鈴木強君 了承できないですよ、そんな。
#71
○向井長年君 ぼくは、きのうそれでやりまして、きょうはもう関連質問やらぬと思っておりましたけれども、言わなければならなくなっちゃった、これはもう。だから言いますがね。先ほど久保君の質問で、五十年度は九百四十万キロ、六十年度は六千万キロというふうに、次々と促進しているわけですね。昔は水力が主で火力が従だった。これからは原子力が従になる方向をただいまとっているでしょう、通産省も、そうですね、どんどんと。そういう中で、先ほど言うような、こういう従業員に対する災害補償という問題については十年前から今日まで、これは重要視してきているはずなんです。そこで、きのうの質問で言いましたように、何らかしなければならぬという形で、有澤先生からも、いま鈴木委員の質問に答えて、いま煮詰めているのだ、こういうことでしょう。だから、私は、これははっきり立法化するというほうしかないのじゃないか、まず第一に。そういう中からもろもろの問題が評価されてくると思うのですよ。基本的に立法化するという立場を私はきのう了解しているのですが、そういうことじゃないのですか、長官。だから、そういう特殊な一つの補償という立場から、まずやはり立法化しなければならぬ。こういう立場で検討をいま加えていると思うのです。有澤先生の言われることは、保険会社のほうについても年内に煮詰まるであろう、また煮詰まるために努力しているのだ、こういうことですから、科学技術庁としては、大蔵あるいは労働省とも連係をとりつつ、ただいまからその検討を始めて、できるならば次の通常国会に提案できる方向をとっていかなければならぬじゃないですか。だから、それははっきり言えるじゃないですか。私はきのう、そういうことで了解しているのですよ、一応。あまり時間がなかったから詰めなかったけれども、だから、そういうことは、長官、明確に言って、そしてやはりそれに対する具体的な検討を始める、直ちに始める、こういうことでいいんじゃないですか。いま始めているのだから、もう現在。それを、立法化する必要ないかどうかとか、そういうことを言われると、ちょっとわからなくなるのですがね。あと戻りするような気がするのですがね。きのうのことから考えて。どうですか。
#72
○国務大臣(西田信一君) 決してあと戻りしておりませんので、有澤委員がはっきりお答え申しておりますように、いま検討の対象になっておりますのは、保険でどうかまで入れた段階を考えているわけですね。ですから、その結論を待って、立法の必要があるかどうかという検討、その必要があるならば早急にひとつそういう立法をいたしますと、こう申し上げているわけでありますから、ですから、いま何か、もうすでにここで結論を出せと、こういうお尋ねのように受け取れるわけでございますけれども、そういうふうに御了解願いたいと思います。
#73
○鈴木強君 保険制度をやったって、政府がやはりめんどうをみなければできないですよ。だから、そういう意味においては問題だというのですよ。そのことを否定されたんじゃだめですよ。
#74
○国務大臣(西田信一君) 有澤委員もお答えになっておりますように、それを受けまして、そうしてこの中に取り込むことが必要であろうという考え方をお述べになっておられます。したがいまして、その必要があるということになりますれば、次の国会に出すように努力をいたします。
#75
○久保等君 いまの結論は、これは結論として、西田長官のほうで、大臣は原子力委員会の委員長でもあるわけですから、先ほど有澤先生のお話があったことは、立法化することについても積極的な努力をしたいというふうに理解をしておるわけなんですが、そういう立場に立って、これは当然科学技術庁の長官としても特に責任者の立場で御努力を願いたいと思うのです。
 労働省のほうに言っておきたいのは、その場合に、労働省がとかく一般論で、端的に言って足を引っ張るような結果になるおそれが私はあるのじじゃないかと思うのです。それはもう、意図的に足を引っ張るとかなんとかいう気持ちはさらさらないし、できるだけ厚い保護をしようということが労働省の崇高な使命だと思うのです。ところが、一般的に、なかなかそうは行き得ない事情等があって、できれば労災を中心にして救済していくべきだというような考え方を、とかく労働省は持ちがちだと思うのですが、しかし、全般、労災保険そのものが、今日の情勢からいって、まだまだやはり現状にマッチしない状態に置かれていると思うのです。だから、これ全体を引き上げなければならぬという問題も、労働省自体として労災保険の問題として私はあると思うのです。そういうことを考えるなら、片や原子力関係の災害の問題について、できるだけひとつこれを牽引力に使って、一般の労災関係のほうも上げていくという意味からいっても、一歩二歩先んじた形で、原子力関係の災害問題が取り上げられていくことについては、労働省もむしろ積極的に応援をする、協力をするというような態度をぜひとってもらいたいと思うのです。そのことによって、また、一般の労災そのものも多少なりとも前進していくような形になる。常に均衡均衡ということをやっていきますと、やっぱり全体そのもののレベルアップもなかなかできないと思うのです。特にここにこういった特殊立法をしてまで原子力の問題については災害補償の問題を取り扱っていっているわけですから、いま言った原子力関係の問題について見るならば、むしろ一般の人と従事者との間において非常に懸隔とアンバランスがあるわけですから、それをわれわれとしては同一に扱うべきじゃないか、理論的に言っても、現実的に言っても。そういう理論を展開しているわけなんですから、労働省としても、ぜひ積極的な協力をする。労働省がこの法案を出すことにはならぬと思うのですが、科学技術庁として立案あるいは提出等の作業をこれから順序を経ていくと思いますが、労働省としても、ぜひひとつ積極的な協力をするというような態度をとってもらいたいと思うのです。責任者ではないですが、とにかく担当の課長として、ひとつその点についての賛意を表してもらいたいと思うのです。
#76
○説明員(桑原敬一君) 先生の御趣旨、全く同感でございます。私どもといたしましても、住民と原子力労働者の間に補償の格差があることは好ましくないと思っておりますので、積極的に取り扱ってまいりたいと思います。
#77
○久保等君 労使の労働協約ということにだいぶウエートを置いた御説明があるのですが、労働協約というものはどういう締結状況にあるのですか。当事者の間で結ばれた統一的な労働協約でも何かできているのですか。なければ、何かモデル的な労働協約の中身のところを、具体的に、ほんの簡単でいいですが、主要な点として、どういうことが結ばれておるのか、ひとつお聞きしたいと思うのです。だいぶ期待を持たせるようなお話がきのうからあるのですが。
#78
○説明員(有澤廣巳君) 労働協約につきましては、大きな施設で原子力施設にはみなあります。それで、その内容でございますが、私一々協約を見たわけじゃございませんが、承るところによりますと、労災保険では補償の基準が六割程度、それを上積みして一〇〇%にするというのが大体その労働協約の内容だと、こういうふうに承っております。
#79
○久保等君 その点は、いずれにしても、労使における労働協約云々の問題は、これは異例で、何というか私は、制度として立法する立場から言えば、あまり期待すべき性格のものじゃないですし、したがって、法律制度として確立すべきものはきちっと確立していかなければならぬと思うのですが、現状の御説明としては私それを承っておきますが、政府がそれに何かたよったり、あるいは期待を持つというようなことでは、これは無責任のそしりを免れないと思います。そういうことを付言しておきますが、いずれにしても、ひとつ早急に立法の措置について御努力を願いたいと思います。長官に、なお繰り返して、私のほうからひとつ結論として長官の決意のほども伺っておきたいと思います。
#80
○国務大臣(西田信一君) 現行の制度で不十分であることはわれわれもよく認識いたしておりまして、何といたしましても、この不十分なものをどうこれを充足さしていくかという問題でございます。したがいまして、いろいろな角度から検討はいたしますけれども、その結果といたしまして立法が必要であるという結論が出るならば、その方向で十分努力いたします。
#81
○鈴木強君 ちょっと関連して、私一、二聞きたいのですけれども、きのう科学技術白書というのが、長官、発表されましたね。私は、これは新聞の記事だけですから、詳細な内容はまだ読んでおりませんが、一つは、「技術革新の歩みと新たな展望」の中で、わが国はまだ自主技術開発が弱い、外国追従から脱出できない、これが一つ。それからもう一つは、科学技術開発予算というものが非常に少ない、アメリカなどは、四十二年、四十三年、これは日本暦ですが、六兆一千億、四十五年度でも五兆八千億、ソ連が二兆五千億、フランスが七千五百億、イギリスが五千億、西ドイツが三千六百億、日本が二千六百三十四億、カナダよりかちょっと多いが、非常に少ない。それで、私どもこういう白書を見まして、それでこれは原子力船開発事業団との関連で伺いますが、原子力第一船の「むつ」の開発計画というものが、三十九年に着工するということで、四十六年を目途に就航できるわけだったのですね。それが、建造費の上昇等のためというのだから、建造費の上昇もあったかもしらぬが、やはり技術開発の点においておくれがなかっただろうかという私は心配をするわけです。そういう点からして、四十二年の三月に原子力第一船開発基本計画というものを改定したんですね。そうして四十二年に建造に着手して、この法律の四十七年三月三十一日までには少なくとも竣工できる、一切を終了する、こういうことでスタートしたのだが、途中でぐらぐらと変わってしまったのは、日本の科学技術の基本において欠けておる点があるのではないか。まず第一番に金が少ないということに、あなたが担当の国務大臣としてこういう白書を出されて、みずからの責任を感じないですか。要するに、なぜもっと日本の政府は科学技術開発のために金を出さないのか。そして、少なくとも外国から技術を導入しなければならないというような、こんなみっともないことじゃ困るわけですよ。GNPが世界の第二番目だと言いながら、ただ科学技術に関する限りは外国追従だというような、こんな遺憾な白書を出すことについて、私たちは、前からもう、科学技術に対する日本の政府の態度がなってはおらぬと思っておるんです。もっと各国に負けないように金を出して――技術者はいると思います。科学技術は負けないと思う。だから、金をかけて、もっと総動員態勢をつくれば、私はやれると思うのですね。
 私は、ソ連の科学アカデミーの招待で、おととし行ってきましたけれども、これは、物と予算を最大限に費やして、あそこで未来にわたる科学の研究開発をやっておりますね。私は驚きましたね。だから、わが国も――それは、ソ連やアメリカのような、一面軍事目的を追求するような開発もあるでしょうから、それはまあ、そこまではいかぬとしても、少なくとも、もう少し科学技術開発の予算というものをとってほしいと思うのですよ。たまたま白書を見まして、私はそういう思いを新たにしたものですから、おそらく、この提案されている原子力船開発事業団法の一部を改正して、昭和五十一年の三月三十一日ですか、まで延長しようという、このことも、そういうところに一つは大きな原因があるんじゃないかと思うものですから、ひとつ長官に伺ってみたいと思ったんです。いかがでしょう。
#82
○国務大臣(西田信一君) きのう科学技術白書を閣議で報告をしまして、了承を求めたわけでありますが、その中に書いておりますことは、いま先生が御指摘になったとおりでございます。そこで、これは率直に、科学技術白書――いろいろていさいをつくってというようなことではなくて、ほんとうに反省に基づいて、将来のあるべき姿はどうであるというようなことを率直に書いたつもりでございます。
 それで、終戦当時には、もう三十年も日本の科学技術は諸外国に比べておくれておる、そういう状況であったと思いますが、科学技術に政府も不十分ながら力を入れてまいりまして、この科学技術の研究開発の予算等におきましても、だんだんおくれを取り戻しておることは事実でございます。ここ年間の伸び率が二一%ぐらい伸びておりまして、諸外国よりも伸び率はやや高いかと思います。しかしながら、絶対額におきましては、御指摘のとおり、非常に少ないのでありまして、民間と合わせましても、一兆円には達したと思いますけれども、四十四年時点では九千四百億ぐらいでございますか、でございまして、国民総生産の一・九%ちょっと切れる、一・八九ぐらい、目標は二・五%ぐらいに置いておったわけでありますが、そこまで到達しなかったことは非常に残念でございます。その中でも、アメリカやソ連などは、これは、いま先生がおっしゃったように、軍事的な研究開発が非常に多いのでありますから別といたしましても、まだ、西欧諸国に比べまして、民間と政府の、国が出しますところの研究開発の比率が逆転しておる。日本の場合は民間に六、七〇%依存しておる、そして、政府のほうが三〇%程度であるということは、ちょうど諸外国と逆になっております。したがいまして、二千数百億というような、研究開発の伸び率が高いと申しましても、いまおっしゃったように、外国から八〇何%も技術導入の対価を支払っておる。こっちが売り出すところの技術はわずか一二・五%ぐらいでございますから、そういう状態を早く脱却しなきゃならぬ。それにはどうしても自主技術の開発をやらなきゃならぬということであります。しかも、その自主技術の開発と申しましても、ただ生産性の向上とか、そういう経済面だけでなくて、いま当面問題になっておりますところのいろんな生活優先のそういう技術開発というようなことも十分方向を変えていかなきゃならぬというふうに思っておりまするし、そういう立場から申しまして、単なる技術開発と申しましても、やはり技術の事前評価というものを、一体これはマイナスがどう出るか、プラスがどう出るかというようなことを十分に事前に評価をいたしまして、そして、そういう基礎に立った研究開発をやっていかなきゃならぬというふうに思います。
 そこで、いま、一九七〇年代の科学技術政策というものを科学技術会議が検討しておりまして、近くその結論を出しますけれども、それにおきましても、もっとこの研究開発費等を西欧並みに引き上げていかなきゃならぬということで、具体的な数字も掲げまして、目標を掲げるつもりでおります。その中におきましても、特にいまお話のありましたような、国が出しますところの研究開発費はもっと積極的に伸ばしていくということ、全体の国民所得に対する研究開発費をふやすことと、その中身におきまして、もう少し国が積極的な科学技術に対しますところの予算をふやしていく、こういう姿勢で取り組んでまいりたい。そうして、少なくとも、これからなかなか外国から技術を入れるといたしましても、ただ金をたくさん外国に支払うというだけではなくて、なかなか入れにくくなっております。やはり、こちらにもある程度のギブ・アンド・テイクというようなかっこうになりませんと、いい技術も入ってこない。必ずしも外国から技術を入れることが全面的にけしからぬということではないと思いますけれども、少なくとも対等な立場に立つようなところまで引き上げていかなければならぬというふうに思いますので、そういう意味におきまして率直な反省を加えながらあの白書というものをつくったのでありまして、それをさらに、七〇年代の科学技術政策の中に、十分その反省の上に立ってこれを解明し、かつまた前進をさせていく、こういうような姿勢で取り組んでいきたい。全く御指摘のとおりでございまして、その方向でわれわれは鋭意努力をしたいと決意をいたしておるところでございます。御鞭撻いただきましてありがとうございました。
#83
○鈴木強君 原子力船の、だいぶおくれているという理由はどういう……。
#84
○国務大臣(西田信一君) 原子力船のことにつきましては、特殊な事情がございましたので、ひとつ局長から。
#85
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力船は、当初、推進本部等で検討していただいて、大体金額として三十六億円で六千トンの海洋観測船ができるという見込みで事業団を発足させていただきました。ところが、その後、それで会社に発注するというときになりまして、六十億近くの、約倍近い値段の評価が出たわけでございます。したがいまして、もう一度再検討ということになりまして、海外の「オットー・ハーン」の建造等、いろいろ情報が入りました。その関係から、船種そのものも変えてはという検討が入りまして、それで、特殊貨物船と、それで訓練船という形で八千三百トンになりました。それで、なお金額の検討をいたしまして、五十六億円という金額で発足したわけでございます。したがいまして、その間にいろいろ検討期間が入りまして、約三年おくれたということは、まことに申しわけないことだったと思います。
#86
○鈴木強君 そうすると、三十六億が六十億になり、さらに五十六億ですか、で、特殊貨物船というのですか、変わったわけですけれども、だから、当初の原子力委員会でおきめになった三十六億というこの積算ですね、あまりにもこれは狂い過ぎていますな、これは。それが十年先ならば話はわかる。三年、四年先の設計見積もりというものが倍にも狂うというのは一体どこに原因があるのですか。
#87
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど先生おっしゃいましたように、研究がある程度進んでなかったのではないかと先生おっしゃいましたが、その点があったと思います。と申しますのは、やはり民間も入りまして三十六億の検討をいたしたわけでございますが、やはり、いざつくるとなりました場合、この確認をする、この試験をするという問題が中に含まれてきまして、その関係の積み上げで相当のふえになってしまったわけでございます。その点におきましては、確かに、初めの検討した場合に、第一船でございまして、要するに、まだ研究開発、日本が技術を上げるという立場でございましたものですから、その間に研究課題が相当ふえてきたということがおもなる理由だと、こう思っております。
#88
○鈴木強君 そうすると、日本原子力船開発の基本計画というものがずさんであったということですか。ずさんだったでしょう。開発もしていない研究を取り入れたというのもおかしいじゃないですか。
#89
○政府委員(梅澤邦臣君) 原子力委員会で最初つくりましたときに、先生にずさんと言われますと、あれですが、そのときは確かに海洋観測船として、すぐ態度をとったわけです。ただし、基本計画の中で金額的に幾らということはございませんでした。それで、そのあと船型等が変わりましたので、基本計画をなお一そう検討して、再改定いたしたわけでございます。まあ、その点におきましては、初めの基本計画がその当時としてはずさんではなかったんでございますが、いろいろ研究課題の問題で、結果としてはこういう形になったわけでございます。
#90
○鈴木強君 だから、まだ実際に開発され実用化されてない技術まで計算に入れてこれはやったというんでしょう、さっきのあなたのお話だと。そういうことはずさんじゃないですか。じゃ、それは、何年何月に予定どおり技術が開発できる、そうしてその技術を導入して建造するという、そういうプロセスを持つと思うんですね、そういうものが、政府の金の出しっぷりが悪くて開発ができなかったということですか。その原因はどこにあると思うんですか。
#91
○政府委員(梅澤邦臣君) それは、初め相当基礎研究していただきまして、それでいよいよできるということになりまして原子力委員会で基本計画をつくったわけでございますが、その後、私の知る限りにおきましては、やはり実際に船をつくるという製作段階になった場合に、確認といいますか、試験段階というものを相当中に織り込んだほうがいいという形でふえたのがおもだと思います。したがいまして、研究そのものとしての基礎研究は相当やっておりましたが、製作段階としての試験といいますか、そういう関係の問題点が相当ふえてきたということだと存じます。
#92
○鈴木強君 そうしますと、立法の技術の面からいいましても、ちょっと私はふしぎに思うのは、三十九年から四十六年、いわゆる七カ年間で、昭和四十七年三月三十一日、この事業団法が時限立法ですから、その時点までにできるということでやってきたんですね。それが、スタートが四十二年ですから、三年ばかり延びたわけですね。それで四十六年ということになると、もう四年しかなかったわけですね。だから、どだいそのときに、もうこの法律は延ばしてもらわなきゃできないという想定をしておったんですか、それが一つ。
 それから、もう一つは、今度は五十一年三月三十一日まで延ばしてくれというので、これはいまの段階になればやむを得ないでしょうから、これは延ばすことになると思いますけれども、その際にも、まだ、未開発の技術を今後開発して、それを使って建造していくという要素があるのか、第一次と同じように。今度はもう五十一年三月三十一日にというのは絶対いくかどうか。また、これを延ばしてくれということはないか。この点はいかがですか。
#93
○政府委員(梅澤邦臣君) 建造にかかる前に、先生おっしゃいましたように、まる三年おくれました。したがいまして、今度お延ばしいただくのが四年になっておりますが、これは成績評価等の時間が入れてございます。したがいまして、その建設に入りましてからは順調に進ませていただいております。その関係からは、大体初めの計画がおくれて一応計画が立ちましてからは、体制としても、あるいは技術といたしましても、順調に進んでおります。その前に、おくれた分を主として今度延ばしていただくという点については申しわけないことだと思います。しかし、技術そのものについては、その後非常に確立しておりまして、船のほうはでき上がりましたし、いま炉を積み込み中でございますが、来年の七月までに完成するこことは間違いないと思います。
#94
○鈴木強君 そうすると、昭和四十八年、四十九年の両年度にわたって、慣熟運転並びに安全性及び性能の確認のため、さらに出入港の経験を得るための実験航海を行なって、そして一切の実験航海を終了して、内部総点検、それから機器の補修等をさらに行なって、いよいよ実際に就航する、その時期は、こういう作業が終わって、いつになりますか。四十九年か五十年か、その辺はどうなんですか。いまの見通しとしては。
#95
○政府委員(梅澤邦臣君) ただいまの予定で、五十年の半ばになると思います。
#96
○鈴木強君 それは間違いないですね。
#97
○政府委員(梅澤邦臣君) はい。
#98
○鈴木強君 それからもう一つ、核燃料のことですけれども、これは事業団が違うかも知らぬので、科学技術庁のほうにお尋ねしたいんですけれども、ウラン資源の開発についてはいろいろ御苦労されていると思うんですけれども、いま実際日本で使っている原子力の燃料ですね、これは、外国依存度というのはどの程度になっておりますですか。
 それから、国内の人形峠ですか、私も一度あそこを見せていただいたんですが、予算委員会から。まあいろいろ苦労されてやっておりますけれども、そういう自給自足できるという体制は、その後どうなんでございましょうね、その点、ちょっと。
#99
○政府委員(梅澤邦臣君) わが国の中のウランでございますが、これにつきましては、鉱量といたしましては、U3O8といたしまして、天然ウランとして六千数百トン、そういうデータが出ておりますが、実は、これは品質が非常に悪くて、まだ経済的に合うということではございません。ただ、人形峠で研究用として技術を上げることで月に五十トンのプラントを動かしております。したがいまして、発電所のものにつきましては、すべて海外に依存という形になっております。ことに、いま申し上げましたように、非常に資源そのものは日本にございませんので、そういう依存になっております。
 なお、いま入っております発電所はすべて軽水炉でございまして、これは濃縮ウランを使うわけでございます。濃縮ウランは現在全部アメリカで濃縮してもらうという現状でございまして、その関係におきましては、ほとんど海外に依存している立場でございます。
#100
○鈴木強君 ウランの鉱脈を、まあいろいろ研究されて探検されておると思いますが、日本には、いまの科学技術庁あるいは核燃料公社、こういうところで一生懸命鉱脈をさがされておると思うんですが、一体国内では、そういうウランの資源というのはあるのかないのか、その辺の調査研究というのはどう分析されていますかね。
#101
○政府委員(梅澤邦臣君) 初めの計画といたしましては、実質的には第三紀層の下の花こう岩のところにあるというので、日本全体で約二十万平米の候補地をあげたわけでございます。それを大体全部概査いたしまして、その中で一番よかったのが人形峠で、人形峠はそういう関係になっております。そのほかは、岐阜あるいは山口、その点について現在もすべて具体的な調査は進めております。しかし、徴候としては確かにウランのあるところはございますが、問題は、経済性に合うものになるかという点においては、いまのところ、経済性に合うものはちょっと見つかっていないし、まあ必ず見つかるだろうとも言えない状態だと、そういうふうに考えております。
#102
○鈴木強君 そうすると、核燃料はもう日本はお手上げだと、すべて外国依存という基本方針を日本としてはとらざるを得ない、こういうことでございますか。そういう場合に、これはアメリカから持ってこられるのか、どこから持ってくるのか、よくわかりませんけれど、依存をする国はどこになるのか。それから、一体、実際に核燃料として使われるような形になったものは、どのくらいの価格がするものですか、これを輸入をする場合に。
#103
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど申し上げましたように、日本としてはあまりない。したがいまして、数年前から動力炉開発事業団で海外ウラン探鉱という項目を設けまして、鋭意いま海外に出ておるわけでございます。そうして、いま比較的精密な調査をしていますのが、カナダとオーストラリアとございます。なお、その中間で、フランスが日本と共同でアフリカのニジェールの開発をしたらどうかという話で、共同で現在ニジェールの開発のための海外ウラン開発株式会社というものを去年設置いたしまして、そこは鋭意進んでおります。あと、ソマリアにも手を出す予定にしております。しかし、これではまだ足りませんので、昭和六十年になりますと十二万トンぐらいのウランが必要になりますが、現在民間が長期契約等で獲得しておりますのは三万八千トンぐらいでございます。したがって、まだ三分の一ぐらいの獲得でございますから、もっともっとやはり海外に、たとえば探鉱を進めて日本自身の権利も持って、それで開発していくべきじゃないかということで、もう間もなく始まりますが、原子力委員会にウラン資源開発懇談会を設けまして、この六月までにはその対策を出すという形にしております。
 それから値段の問題でございますが、これはちょっと計算で申し上げますと、たとえば、いまの一キロワット二円七十銭程度としまして、そのうちの八十銭が燃料費でございます。それで、八十銭は、もともと三分の一が天然ウラン費、それからあとの三分の一が濃縮費、あとの三分の一が加工費でございます。
#104
○鈴木強君 これから原子力船というものを、「むつ」をはじめにして、まだつくっていくわけでしょう。そういう計画をお持ちだと思うんですが、この事業団法というのは、「むつ」をつくるだけですわね、これ。だから、第二、第三の原子力船というものをつくる場合、一体、事業団法でなくて、今度は事業団で体験をしたその技術なり製造の方法を、こういうものを、あるいは民間にやらせるのかどうかわかりませんけれどもね、そういうふうな今後の計画ですね、この第二、第三の計画。それから一面においては、原子力の開発もこれはやらなきゃならぬ。私はスウェーデンのを見てきましたけれども、ああいう岩石の中に絶対安全性を確保できるような、ああいう場所がありますわね、向こうの場合は。だから、日本の場合はいろいろ安全性を考えてもらうんだが、いずれにしても、原子力発電というものはこれから絶対に必要になってくる。そういう場合に、日本でこれから十年先、一体このウランを燃料としてどれくらい必要なのか。それをいまいろいろと海外にも出張されて開発されているんだが、その必要量というものは十分に確保できる見通しがあるのかどうなのか。それができなければ、依然として、またアメリカから買うか、どっかから買うか、買わなきゃならぬわけですね。ですから、そういうふうな核燃料と今後の開発計画との関係、これは、十年先、二十年先はどういうふうに青写真を持っているんですか。
#105
○政府委員(梅澤邦臣君) 天然ウランが、昭和六十年に十二万トン、これが必要量として現在予想されております。先ほど申し上げましたように、その中の三万八千トン程度はもうすでに獲得しておりますが、あとはまだ獲得がされておりません。それから、アメリカとの協定を結んでおりまして、アメリカでは、日本に濃縮ウランを入れる場合に、その原料がない場合にはアメリカでできるだけ用意してやるということにはなっております。しかし、濃縮ウランの値段もつい最近上がりましたし、そういう関係から、やはり日本自身がみずから海外に権利を持って獲得しなきゃいけないということで、これはもうほんとうに早急にやらなきゃいけない問題だと思います。ただ、現在のところでは三万八千トン程度の獲得をしているという現状でございます。それから電力会社も、九電力が一緒になって、カナダ等の調査といいますか、探鉱等も一部はやっております。しかし、これも民間ではなかなかやれませんので、われわれのほうが政府として十分なる助成なり何か考えなきゃいけない。これは、先ほど申し上げました懇談会の御意見が六月までには出ると思います。
 それから船の関係でございますが、船は、第一船はどうしても日本の技術を上げるということで船をつくったわけでございますが、その後の問題につきましては、原子力委員会の決定で民間に期待するという形になっております。したがいまして、第二船以降は民間が商業用として発展できるときにつくるという考え方になります。それで、現在では、原子力産業会議が一応仲になりまして、ドイツと技術交流をやっております。これは八万馬力で三十ノット近く出せるコンテナ船でございます。それでいけば経済ベースに合うんではないかというスタディを現在やっておりますが、なかなかまだ、各国とも商業ベースに乗って原子力船が営業にはいれるという検討はまだなお続けられるんではないかと思います。しかし、将来必ずその時期が来ると思いますが、十年後に必ず来るとか、そういう考え方にならず、いまはまだコンテナ船として使える可能性という検討が進められているということでございます。それで、原子力委員会といたしましても、やはり将来としては必ず原子力船は営業になるという期待がございますので、その舶用炉の研究はなお一そう続けろということで、私たちのほうも民間に委託費を出して舶用炉の研究は進めている状態でございます。
#106
○鈴木強君 委員長から御注意がありましたからこれで終わりますが、技術開発の面で一番依存をしておるのは、やっぱりアメリカでしょうか。もしアメリカだとするならば、その原子力――これは原子力船ですがね。そのほか原子力全体としての開発の問題について、特別に秘密的に対外的にはしなければならないような技術というものをアメリカから導入しているかどうか。その場合に、この技術については対外的には公表しちゃいかぬとか、そういうふうな制約を受けておるようなものはないでしょうか。これだけ最後に伺い、なおひとつ大臣にも、今後の第二、第三の原子力船というものを開発されるでしょうし、原子力発電ということも、いま申し上げましたように、当然趨勢としてはいくわけですから、そのための核燃料の開発ということはもう絶対的なことでありますから、さっきの労働者の災害や、また、このことだけでなくて、一般に対する災害の予防ということも当然ですけれど、やはり平和利用という面から見るならば、積極的に技術開発を進めていただかなければならぬと思うわけでして、その場合に、あまり支障にならないように、国家的立場に立って、国家権益を守るという立場に立って、金は惜しまず必要なものは出していただきたい。技術開発も、あまり外国から八〇何%も依存するということのないようにお願いしたいんです。その点も大臣からひとつ御答弁いただきたい。
#107
○国務大臣(西田信一君) これからの科学技術振興、ことにこのために技術開発をより積極的にやらなければならぬということにつきましては十分認識を持っておるつもりでございます。そのためには、やっぱりもう少し研究開発費というようなものも増加をしていかなければならぬ、こういう姿勢でございまして、十分政府部内におきましても、この問題につきましては、財政当局等の十分な認識を求めまして、対処してまいりたいと考えております。
 それから原子力開発利用のことにつきまして、まあ一番中心になりますのは原子力発電でございますが、四十二年に決定をいたしました現行の長期計画というものは、もうすでに実情に合わなくなってまいりました。ことに先ほど来から議論になっておりますウラン資源の確保の問題これは大きな問題だと思います。それからまた、ウラン濃縮ですね。これもアメリカに現在頼んでおりますけれども、やはりこれは自主技術開発によりまして、どうしてもこの能力をみずから持たなければならぬというふうに考えますので、ウラン濃縮の問題とも真剣にいま取り組んでおるわけでございます。それから再処理工場、燃料の効率化のための再処理工場の建設でありますとか、そういうふうに発電所がたくさんできてまいりますと、どうしても廃棄物の処理の問題が大きな問題になってまいります。こういうようなことが、原子力の開発利用につきまして当面の大きな問題点だと考えております。さらにまた新しい動力炉の開発、これもやっぱり進めてまいりませんと、濃縮ウランだけ使っておるということでは問題ございますから、これもいま順調に運んでおりますが、こういう問題、それからいま原子力船の「むつ」ができまするけれども、あとの問題、どうするか。こういった問題。それから最近は、原子炉は、発電だけじゃなくて、多目的に使うということがだいぶ問題になっております。製鉄とかいろいろそのほかございますが、こういうようなことも関心が高まっておりますし、それから核防条約の調印も終えて、あとどうするかという問題がございますが、いろいろこういう情勢が変わってまいっておりますので、これらに対処いたしまして、ことしじゅうに見直しをいたしまして、新しい長期計画をつくりたい、こういう考えでございます。原子力産業会議におきましても、具体的な提案と申しますか、要請も受けておるわけであります。十分これに対処するように総合的に検討いたします。その中の個々のウラン濃縮問題とか、あるいは資源確保の問題とかは、それぞれの別個の懇談会をつくりましてやっておりますが、それを総合いたしまして年内に長期計画をつくり直したい、こういうことで取り組んでおるわけであります。
#108
○政府委員(梅澤邦臣君) 東海発電所のが、最初のは英国型でございます。それから、いま入ります軽水炉はすべてアメリカ型でございます。これは技術導入等しておりまして、もちろん、会社同士の商業機密ということでの契約で、商業機密はございます。
#109
○金丸冨夫君 関連して。
 原子力船が五十一年に運航されるという予定になるわけですね。そうすると、その目的は、同時に、海洋観測だけでなくて、貨物とかというようなものの輸送に当たるということになるわけですね。そうなると、いまのブラッセル国際条約との関係はどうなるわけですか。あれは、加入国も一国しかないという現状であるならば、その条約自身が各国はあまり歓迎してないというようなことであるならば、これのやり直しという問題もあるのだろうと思うんだが、実際に五十一年から運航する場合には、そういうものは関係なく運航ができるわけですか、その点、二点だけ。
#110
○政府委員(梅澤邦臣君) そのために、今度の賠償法の中に船を入れていただいたわけでございます。ブラッセル条約に入らない場合には、二国間の政府協定で進めるという形で入れるようにいたします。
#111
○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#112
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#114
○平島敏夫君 私は、ただいま可決されました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、以上四党の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 日本原子力船開発事業団法の存続期間を延長するにあたり、政府は、次の事項に関し、特に配慮すべきである。
 一、原子力船の開発、利用は、あくまで平和目的に限り、かつ、その安全性の確保に留意し、災害の防止に万全を期すること。
 二、原子力船にかかる造船技術並びに関連諸技術を最高度に活用し、本法の存続期間中に所期の目的を達すること。
  右決議する。
 以上であります。
 委員各位の御賛同をお願いいたします。
#115
○委員長(鈴木一弘君) ただいま平島敏夫君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#116
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、平島敏夫君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#118
○久保等君 私は、ただいま可決されました原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、以上四党の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
  原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行にあたり、左の諸点の実現に努力すべきである。
 一、陸上の原子炉、原子力船、外国の原子力軍艦による原子力損害の賠償については、被害者保護の立場から、均衡を失しないよう措置するとともに、ブラッセル条約の検討等国際条約の確立に努力すること。
 二、本法の適用除外になっている原子力事業者の従業員災害については、原子力災害の特殊性にかんがみ、早急に、立法その他の措置を講じ、被害者の保護に万全を期すること。
  右決議する。
 以上であります。
 委員各位の御賛同をお願いいたします。
#119
○委員長(鈴木一弘君) ただいま久保等君から提出されました決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#120
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、久保等君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの両決議に対し、西田科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
#121
○国務大臣(西田信一君) それぞれの法案に対しまして付せられました附帯決議につきましては、政府は十分その御趣旨を尊重いたしまして善処いたします。
#122
○委員長(鈴木一弘君) なお、両案について議長に提出すべき審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#123
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 次回の委員会は五月七日午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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