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1970/02/17 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
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1970/02/17 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号

#1
第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号
昭和四十六年二月十七日(水曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         米田 正文君
    理 事
                源田  実君
                長谷川 仁君
                松井  誠君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                塚田十一郎君
                増田  盛君
                山本 利壽君
                山本茂一郎君
                渡辺  武君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
       外務省欧亜局長  有田 圭輔君
       外務省条約局長  井川 克一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       郵政省電波監理
       局放送部長    福守 博一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (昭和四十六年度沖繩及び北方に関しての施策
 及び予算等に関する件)
 (沖繩及び北方問題に関する外務省所管事項に
 ついて)
 (当面の沖繩問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(米田正文君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、理事の辞任及び補欠選任についておはかりをいたします。
 山本茂一郎君から文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に長谷川仁君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(米田正文君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 この際、昭和四十六年度沖縄及び北方に関しての施策及び予算並びに今期国会提出予定法律案の概要について政府側の説明を聴取いたします。
 山中総理府総務長官。
#6
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩及び北方問題について、所信の一端を述べさせていただきます。
 一昨年秋の佐藤総理とニクソン米国大統領との会談において沖縄の施政権が一九七二年中に核抜き本土並みという国民の総意に沿った形で返還されることとなり、昨年十一月には、沖縄県選出国会議員も国政に参加されたことを心から喜ぶものであります。
 現在、政府は、沖繩の祖国復帰を円滑に実現し、かつ、豊かな沖縄県を建設するために、全力を傾けてその作業を進めているところであります。
 私はかねてより沖縄問題の解決に微力を注いできたものでありますが、とくに、昨年一月に沖繩問題の担当大臣である総務長官に就任して以来三たび沖繩を訪れ、離島を含めつぶさにその実情を視察し、また沖繩県民の民意の把握につとめる等戦後四半世紀にわたる県民の労苦に思いをいたしつつこの問題に真正面から取り組んでまいりました。
 幸い、就任後直ちに取りかかった昭和四十五年度の沖縄援助費については、三百三十億円余に達し、前年度に比し大幅な増額を見たのでありますが、さらに、昨年三月には「沖縄復帰対策の基本方針」を閣議決定して政府の沖繩復帰に対する基本的な姿勢を明らかにしたのであります。進んで五月には沖繩・北方対策庁を発足させ、外交関係を除き、沖縄にかかわる国の行政事務を総合的に行なわしめることとし、十一月には、沖縄復帰対策のうち県民生活及び産業活動に重大な影響を及ぼすと思われるものについて政府の施策をまとめ、沖縄復帰対策要綱の第一次分として発表いたしたのであります。
 さて、政府が現在鋭意検討を進めているものは、主として次の二点であります。
 第一は、復帰後の沖縄の姿を県民をはじめ広く一般に明らかにすることであります。
 このため、政府は、さきの沖繩復帰対策要綱第一次分に続き、残された問題についても、成案を得次第早い時期に第二次分として公表すべく鋭意作業を進めている次第であります。
 第二は、沖繩の経済、社会の開発、発展をはかるための施策を策定することであります。政府は、このために長期的な展望のもとに沖縄経済の振興開発計画を策定する必要があると考えており、目下その準備を進めているところであります。
 これらの施策に関する立法措置については、施政権返還協定とともに一括していわゆる沖繩国会において御審議をお願いすることといたしております。
 なお、これらの復帰対策の樹立推進にあたっては、琉球政府をはじめ沖繩県民の意思を尊重することはもちろん、各界各層の意向を十分反映して復帰後の県民の生活に急激な変化を来たさないよう配慮していく所存でありますが、これに関連し、昨年秋の沖縄県民国政参加の実現は沖繩の声が直接国政に反映されるという意味からして、私としてもまことに意を強くするところであります。
 次に、今次国会において御検討をお願いしている明年度の沖繩復帰対策費は、一般会計において四百二十七億二千万円余、財政投融資において百四十億円合計五百六十七億二千万円余となっており、これに本土産米穀資金三十三億円を加えると総計六百億二千万円となり、本年度に比し、さらに飛躍的な増加となっております。
 ところで、御承知のように、昨年暮にはコザ市において不幸な事件が発生し、また、本年に入っては毒ガス兵器の移送問題、軍労務者の解雇をめぐる問題等県民の生活に多くの影響を及ぼす問題が相ついで起きており、心痛している次第であります。
 政府としては、従来より祖国復帰という重大な時期を控え、県民生活に深刻な影響を及ぼすような不祥事態の発生をできるだけ回避するよう努力し、また、不幸にして問題が生じた場合には米琉両政府との密接な連絡、協調のもとに早急にその解決をはかるよう必要な指導を講じてきたところであります。
 私は、沖繩県民のこのような不安を取り除くことが何よりも重要なことであると考えており、さきに述べた沖繩復帰対策要綱についても、政府の方針が決定したものから逐次公表することといたしましたのも、このような趣旨に基づいているのであります。
 日本国民の多年の願いであり、沖繩の悲願である祖国復帰は、明年実現いたします。いま大切なことは、本土と沖繩とが一体となって復帰準備を強力にかつ着実に進めていくことであると確信いたしております。
 政府は、今後とも、沖繩県民の民意を察知しつつ、全力を尽して復帰準備を進めていく所存であります。
 ひるがえって、北方領土の問題について申し上げます。
 御承知のとおり、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方領土は、法的にも、また歴史的にも明らかにわが国固有の領土であることは一点の疑問の余地もないところであります。
 しかしながら、今日の複雑な国際情勢のもとにおいは、従来の日ソ交渉の経緯から見ても、戦後処理として最後に残されたこの北方領土問題の解決をはかることは容易なことではないと思われますが、日ソ間の真の友好親善関係の樹立という大局的見地から見れば、新しい状況の推移に即応しつつねばり強く外交交渉を続けていくことが肝要であり、それには国民一人一人の正しい理解と認識を必要としているのであります。
 また、これら北方領土に住んでいた人々に対する援護措置についても適切な措置を講じていかなければなりません。
 このため、政府としては沖繩・北方対策庁が中心となって、関係行政機関との緊密な連携のもとにこれら北方領土問題の解決の促進に当たるとともに、一昨年発足した北方領土問題対策協会を推進母体として、北方領土問題に対する国民世論の高揚を引き続き強力に推進してまいりたいと考えております。
 ここに、沖繩及び北方問題に対する所信の一端を述べ、各位の御協力を切望する次第であります。
#7
○委員長(米田正文君) 引き続き、ただいまの総務長官の説明に対する補足説明並びに提出予定法律案の概要について岡部対策庁長官から聴取いたします。岡部対策庁長官。
#8
○政府委員(岡部秀一君) 去る一月二十日づけをもちまして沖繩北方対策庁長官を拝命いたしました岡部秀一でございます。誠心誠意を傾け、職務の遂行に当たりたいと思いますので、特に皆さま方の御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 昭和四十六年度の沖繩復帰対策費等について、その概要を御説明申し上げます。
 一九七二年中に実現することとなった沖繩の本土復帰に備え、従来の沖繩援助費を「沖繩復帰対策費」に改め、豊かな沖繩県づくりを目標に施政権の移転及び沖繩県への移行等諸般の復帰施策を円滑に行なうとともに、沖繩の経済社会の開発発展を促進するため、所要の財政措置を講ずることを基本とし、これがために、
  琉球政府及び市町村の財政を強化するため、 琉球政府に対する行政運営費についての財政措 置を充実するとともに市町村交付税に対する措 置の増額等により、一般財源の充実をはかるこ ととし、さらに本土の財政資金を琉球政府及び 沖繩の市町村の公共的施設の充実等のために必 要な資金として貸し付ける措置を講ずることに より、琉球政府等の財政の円滑な運営に資する こととしたこと。
  次に、社会保障制度、医療体制の整備充実及 び文教施設の拡充強化等本土との格差の是正、 制度の整備等について復帰対策措置を強化した こと。
  次に、復帰に備え、沖繩経済の開発と産業基 盤の整備、特に離島の振興をはかるため、復帰 記念主要島嶼一周道路整備事業をはじめとし
 て、港湾、道路、空港、漁港等に対する公共投 資の大幅な拡大をはかることといたしました。その結果一般会計において六四%、財政投融資計画において一〇〇%と前年度に比べ大幅に増額されており、これに本土産米穀の売り渡し代金の積み立て金の運用額を加えると実質的には七一%程度の伸びとなり、これによって復帰施策は着実に遂行されるものと考えております。
 以下復帰対策のおもな内容について逐次簡単に御説明申し上げます。
 第一に、沖繩の復帰対策の一環として、かつ、琉球政府の財政を強化するため、国政事務及び県政事務にかかる行政運営費についての財政措置を大幅に拡大するとともに、市町村に対する一般財源強化のための措置も一そう充実することといたしました。
 第二に、琉球政府及び沖繩の市町村の公共的施設の充実と義務教育職員等の退職手当に必要な資金として新らたに財投資金を貸し付けることといたしました。
 第三に、国民健康保険、国民年金、厚生年金、生活保護、児童福祉、老人福祉等の社会保障制度の全般にわたり整備充実をはかるため、これに要する対策費を大幅に増額いたしました。
 特に明年度は、住宅対策として、公営住宅の増加及び財政資金による融資住宅の充実をはかるとともに、精神衛生対策、ハンセン氏病対策、原爆被爆者対策、結核対策等、いずれも前年度の対策をさらに充実することとしました。なお、売春防止法の施行に伴う婦人保護事業費についても所要の措置をとることといたしております。
 軍雇用者の解雇対策といたしましては、失業保険の運用に要する財源措置をはじめ、軍雇用者援護措置として本土における駐留軍離職者対策に準ずる援護が沖繩においても実施できるよう措置し、再就職訓練のため、公共職業訓練所の整備及び基地内職業訓練に要する経費等についても措置することといたしております。
 第四に、教育準水の一層の向上をはかるため前年度に引き続き小中学校及び高等学校施設等の整備を行なうとともに、特に琉球大学の国立移管のための琉球大学施設設備及び大学附属病院の充実について所要の措置を講じました。また、義務教育職員の給与費、教科書無償給与費、要保護準要保護児童生徒及び特殊学校児童生徒の就学奨励費、私学振興費、国費学生招致に要する経費等について引き続き措置することといたしました。
 第五に、復帰記念事業として本島北部、久米島、宮古島、石垣島、西表島等主要五島の一周道路の整備及び水資源開発のための調査等を継続するとともに、戦跡公園の整備費及びカラーテレビマイクロ回線整備費等を計上いたしましたほか、空港、港湾、漁港を中心に産業基盤整備のための公共投資の拡大をはかりました。
 第六に、産業経済の振興開発を促進するため、本土産米穀の売り渡し代金の積み立て金の運用をはかるとともに、財政投融資計画を拡充し、特に農林漁業及び中小企業の振興対策について援助を強化いたしました。また中小企業につきましては、新たに中小企業高度化資金制度及び中小企業設備貸与制度の創設、信用保証事業の充実、指導事業の強化等を行ない、復帰に備える体制を整えることとし、農林漁業関係では、家畜導入、糖業振興、キビ作合理化対策、病害虫防除、農産物流通対策、沿岸漁業振興対策等従前からの事業にあわせ、新たに沖繩農業開発実験事業水産研究所整備等の事業を行ない、基幹産業の体質改善と振興をはかることとしております。
 また、都市計画事業により那覇市を中心とする都市建設を推進するほか、下地島訓練飛行場建設事業を継続し、離島の効果的開発をはかることとしております。
 なお、治山事業、河川改修、海岸護岸改修、造林事業等についても前年に引き続き措置し、国土の保全につとめることといたしました。
 第七に、オーバークラフト等の施設補助をはじめ離島航路補助、離島医療施設及びテレビの難視聴地域の解消等のための離島通信施設等の整備に要する財政措置を講じ離島の振興開発を促進することといたしました。
 第八に、復帰を記念し、青少年の健全な育成に寄与するため一九七三年に復帰記念沖繩特別国民体育大会を開催することとし、そのための経費について措置しました。
 以上のほか、前年に引き続き、航路標識、気象観測施設、警察通信施設の整備及び南方同胞援護会を通ずる福祉事業を行なうとともに、米軍基地周辺の小学校、中学校、公民館の公共建物の防音工事及び消防施設の強化に必要な措置を行なうこととしました。
 以上の結果、明年度復帰対策計画実施に要する経費は本土産米穀資金による三十三億円を除き、総額五百六十七億二千万余円となりますが、予算計上等については、日本政府と琉球政府との会計年度の相違を考慮し、昭和四十六年度一般会計分三百四億五千余万円、同財政投融資計画分七十億円、合計三百七十四億五千余万円と昭和四十七年度一般会計計上予定分百二十二億六千余万円、同財政投融資計画予定分七十億円、合計百九十二億六千余万円とにそれぞれ区分計上または計上予定いたしております。
 なお、昭和四十六年度の沖繩復帰対策費は、一般会計分及び財政投融資計画分を含め、先に述べた三百七十四億五千余万円に前年度分百九億五千余万円を加えた四百八十四億一千余万円と相なっております。
 次に、以上で説明いたしましたほかに、沖繩復帰対策及び北方領土対策を推進するための沖繩北方対策庁の一般行政経費として四億二千二百余万円、尖閣列島及びその周辺の資源調査に必要な経費として三千二百余万円、本土産米穀の琉球政府への売り渡しにより生ずる食糧管理特別会計の損失を補てんするための繰り入れ金として三十七億円を含め所要の経費を計上いたしております。
 また、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決を推進するための対策に必要な経費といたしまして約五百万円を計上するほか、北方領土問題対策協会が啓蒙宣伝を行なうとともに、調査研究及び北方領土元居住者に対する援護を行なうために必要な経費として八千万円余、合計約八千五百万円を計上いたしておりまして、最初に述べました沖繩復帰対策費以外のこれらの経費の合計は四十四億九千七百余万円となっております。
 次に、本国会に提出を予定しております法律案について御説明をいたします。
 第一は、「沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案」であります。
 この法律案は、沖繩の税関貨物取り扱い人の資格を有する者を本土の通関士試験の合格者とみなして講習を受けることを条件に通関士として認めること、並びに、選考による測量士または測量士補についても、試験に合格した者と同様講習を行なった上本土の資格を付与すること等を内容としております。
 第二は、「沖繩地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案」であります。
 この法律案は、琉球政府及び沖繩の市町村の公共施設の充実及び財政運営の合理化に資するため、資金運用部資金等を琉球政府及び沖繩の市町村に貸し付けることを内容としております。
 なお、以上のほかに、日本学術会議会員の選挙権及び被選挙権を沖繩に居住する有資格に与えることを内容とする「日本学術会議法の一部を改正する法律案」について検討を進めているところであります。
 以上をもちまして私の説明を終わります。
#9
○委員長(米田正文君) 次に、愛知外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
 愛知外務大臣。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 外務省の所管事項につきまして、その概略を御説明いたします。
 百万沖繩県民をはじめ、日本全国民の長年にわたる念願であった沖繩の祖国復帰をいよいよ明年に控え、本年は沖繩返還協定に署名を行なう年であります。
 沖繩の祖国復帰につきましては、すでに御高承のとおり、一昨年十一月のワシントンにおける佐藤総理大臣とニクソン大統領との会談の結果発表されました日米共同声明に示されております「核抜き、本土並み、一九七二年中」という沖繩の施政権返還の基本的大綱について、日米間の合意が成立しておりますので、外務省といたしましては、右共同声明の趣旨に沿って沖繩返還を実現すべく、返還協定及びこれに関連する諸事項につきまして、目下関係省庁とも密接に連絡を保ちつつ、米側と鋭意交渉に当たっております。
 返還協定につきまして、さらに具体的に申しますと、この交渉は昨年六月五日の私とマイヤー駐日米国大使との会談を起点といたしまして、その後原則として毎月一回右会談を行なうほか、日米双方の事務当局において、鋭意かつ密接に協議を進めてまいりました。
 その結果、政府としては、沖繩返還のための作業は順調に進んでいるものと確信しております。具体的日程としましては、明一九七二年内のできるだけ早い時期に沖繩返還を実現するとの基本方針にのっとり、本年春より夏にかけて協定に署名の上、本年内に国会の承認手続を完了したいと考えておりますので、ここに各位の御協力をお願いする次第であります。
 返還協定の内容につきましては、目下鋭意交渉中の段階でありますが、先ほど申し述べました一昨年十一月の日米共同声明に明記されております「核抜き、本土並み、一九七二年中」という施政権返還の大綱のワクの中で、返還協定が確保されることは申すまでもありません。
 これまでの対米交渉を通じて明らかとなりました沖繩返還に関連する主要交渉事項としましては沖繩住民の対米請求の取り扱い、裁判等に関連する諸問題の取り扱い、米国資産の処理、在沖繩外資系企業の取り扱い等がありますが、これら諸事項のうち何を協定に規定するかはいまだきまっておりません。また、このほか施政権返還の日から沖網に地位協定をそのまま適用するため、米側と十分話し合いつつ、必要な準備を進めております。
 以上述べました主要交渉事項につきまして、交渉の現況を中心に若干補足説明いたしたいと思います。
 まず、沖繩住民の対米請求の取り扱いにつきましては、施政権返還に際しどのように取り扱うことが適当であるかの点につき、現地の実態、法的側面等をも勘案しつつ、慎重に検討中であります。これらの対米請求の取り扱いぶりにつき、返還協定中にいかなる規定が置かれるかは、日米間の話し合いによりきめられるものであり、現段階では何とも申し上げられませんが、いずれにしましても、政府としては、沖繩住民の要望を十分念頭に置きつつ、公正妥当な解決につとめる所存であります。
 次に裁判の引き継ぎ問題につきましては、現在関係各省庁間で、あらゆる角度からの問題点の検討が進められており、外務省としましても、右検討の進捗を見つつ米側と本件に関する話し合いを詰める所存であります。
 また、三公社、軍事基地外道路、行政用建築物、航路援助施設等のごとく、施政権返還後も沖繩の住民にとって有益であると認められるような資産の引き継ぎについては、日米間の協議を通じ、公正かつ公平な解決をはかってまいりたいと考えております。
 また、在沖繩外資系企業の取り扱いにつきましては、右企業の実態につき復帰準備委員会を通じすでに米側から相当の資料を収集し、現在関係各省庁において内容を検討中であります。その具体的取り扱いぶりは、右検討により各企業の実態を十分に把握した上できめるべき問題でありますが、一般的に言って、政府としましては、沖繩の施政権返還が具体的な日程にのぼる以前から、沖繩で正当に事業活動に従事してきた外資系企業に対しましては、復帰後においても公平な取り扱いをすることが必要と考えております。いずれにせよ、在沖繩外資系企業の取り扱いにつきましては、日本の外資政策及びこれに関連する政策との斉合性を保たせたいと考えております。
 最後に、復帰後の沖繩に対する安保条約及び地位協定等関連取りきめの適用につきまして、一言触れたいと思います。
 返還時における沖繩の米軍基地につきましては、一昨年十一月の日米共同声明にも明らかなとおり、施政権返還にあたっては日米安保条約及びその関連諸取りきめが、本土の場合と同様そのまま変更なしに沖繩に適用されるのでありますから、米側に提供されるべき施設・区域が、右条約及びその関連取りきめに従って提供されることとなることは、言うまでもありません。
 その際政府といたしましては、不要不急の基地に加えて、沖繩の民生及び経済開発発展のため、その移転返還が望ましい基地もあろうかと思われますので、これらの点を踏まえ、日米安保条約の目的に照らしつつ、米側と鋭意検討を進め、日本側の意向が十分に反映された形で決定が行なわれるように努力してまいる所存であります。
 次に、わが国の北方領土問題につきまして、同様政府の所信を申し述べたいと思います。
 戦後二十五年余を経た現在なお北方領土問題が未解決であるために、日ソ間に平和条約が締結されていないことはまことに遺憾であります。特に、明年には沖繩がわが国に返還されることを考えるならば、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島に対するソ連の不法占拠が依然として続けられているという事態がひとしお残念に感ぜられるのであります。政府は、かかる異常な事態をすみやかに解消し、日ソ関係を真に安定的な基礎のもとに発展させることが、ひとり両国関係のみならず、アジア全体の緊張緩和に資するゆえんであると信じ、過去久しきにわたりソ連政府に対し領土問題の解決方を強く働きかけてきました。しかしながら、ソ連はわが国をあげてのかかる要望に耳を傾けず、いつかなわが国との話し合いに応じようといたしません。しかのみならず、昨年十一月十一日にわが政府に対して行なわれたソ連政府の口頭声明で、ソ連は、わが国における北方領土復帰促進運動を、戦後の国際秩序を破壊しようとする一部の人士による復讐主義的性格を持つものと述べている次第であります。かかる批判がおおよそ事実と相反していることはここに申すまでもないことであります。
 日本国憲法には、日本国民は恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意したと述べられています。
 わが国がソ連との善隣関係の発展を求めているのも、かかる平和外交の理念に根ざすものでありまして、特に最近日ソ間に貿易経済、運輸、文化等広い分野にわたって顕著な成果が得られておりますことを喜ぶものであります。しかしながら、いずれの国にもあれ、外交関係の発展は一国の努力のみで達成し得るものではありません。日ソ関係についても、われわれの隣国たるソ連が何よりもまず北方領土問題の解決に誠意を示すことによってわが国との関係を真に安定的な基礎のもとに発展させていくことができるのであります。
 政府は、ソ連が近い将来このことを正しく理解するに至ることを衷心望むとともに、今後とも北方領土問題の解決を目ざしてソ連政府の要路に対し、粘り強く働きかけていく所存であります。
 以上簡単でありますが、外務省の所管事項につきまして、概略御説明申し上げた次第でございます。
#11
○委員長(米田正文君) 以上で政府側の説明は終わりました。
 それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#12
○松井誠君 私は、沖繩返還にからむ諸問題について外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 いま、大臣の所信表明をお聞きをしておりますと、もう実は何を質問してもむだではないかという気がしないわけでもございません。しかし、それでは委員会の役割りを果たすわけにもまいらぬと思いますので、あえてお聞きをいたしたいと思います。
 最初に、この委員会がきょう始まります前に、琉球政府の立法院の議員の方がお見えになりまして、この委員会に陳情をされたわけです。この陳情はおそらく外務大臣にも回ると思いますけれども、そのことについてまず最初にお伺いをいたします。
 それはこの立法院が今月の九日に超党派で決議をした要請であります。問題点として具体的には五つあげられておりますけれども、私がお尋ねをしたいのは、この五つの具体的な要望の前提になっておる問題、それは「琉球政府立法院は、日米両政府に対し、施政権返還協定交渉の内容を直ちに明らかにするとともに」、つまり、まず交渉の内容を明らかにしてもらいたいという前提要件で具体的ないろいろな要求を決議をしておる。この返還協定交渉の内容を明らかにしてもらいたいという、こういう立法院の要望、これについてどのように取り扱われるか、どのようにお考えになるか、その点からまず御質問をしておきます。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) 実は私も昨日琉球立法院の各党の代表の方々とお目にかかりまして、この要請の決議を中心にしていろいろ御意見も承り、懇談もいたしました。
 まず、ただいまのお尋ねの点でございますけれども、きょうも中間的に日米の折衝の状況もできるだけ詳しく申し上げたいと思っておるわけでございますが、先ほども申しましたように、現に現在非常に広範にわたる事案に対しまして、それぞれ政府といたしましても、いわばタスク・フォースとでも申しましょうか、各省庁すべてに関連する問題がございますので、それぞれの立場に立って、問題によりましてはそれが各省との間でアメリカ側の担当の部局との協議、打ち合わせもしておるような状況であって、したがって、協定の内容、案文づくりというところまではまだいっておりませんので、従来から申し上げておりますように、おそくも夏ごろまでには何とか協定の作成、そして日米間の合意を得たいと思って現に非常な努力を傾けておる間でございますので、全貌について申し上げる段階にまだ中身が煮詰まっておりませんので、それらの状況等につきましては、国会のいろいろの御論議などを通じまして政府の意図しているところもできる限りお話を申し上げたいと思います。
 また、立法院の方々の御意見を伺い、また、国会のいろいろの御論議を通じて、われわれとしてもあらためて重要な点、あるいは沖繩の県民の方方が非常に要望されておる点、これをますますもって十分腹中に置いて今後の折衝につとめてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
#14
○松井誠君 いまの御答弁、必ずしも私には趣旨がはっきりいたしません。非常に問題が複雑で多岐にわたって、全貌を把握するのは困難だという意味でおっしゃられたのか、あるいは、現在具体的に妥結をしたものが一つもないという交渉の途中だから公表ができないという趣旨で言われたものなのか、必ずしもはっきりいたしませんけれども、かりに、非常に複雑多岐で全貌がはっきりしないということであれば、はっきりしさえすれば公表してもいいという趣旨になるのか、あるいは、まだ妥結をしていない問題があることは私もそうだろうと思いますけれども、その妥結前の現在の状況というものを説明できないという理由は私にはよくわからない。交渉の途中だからしたがって公表はできないというのは、何か直接に論理的につながるような言い方がしょっちゅうされますけれども、私はちっとも論理的につながっていない。交渉の途中だということは、公表をはばかるということは何も結びつかない。
 ただ、いま大臣が言われた中で、こちら側が考えておる見通しについてもできるだけ意見を言いたいということを言われましたから、あるいはいままでの何か基本的な姿勢が多少変わって、現在の政府の方針というものぐらいは公表してもいいというようになったかどうか、もう一度ひとつ直截簡明にお答えいただきたい。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) 政府といたしましては、基本的な姿勢というものについての政府としての態度というのは、私は明らかにいたしておるつもりでございます。一番根本は、先ほど申し上げましたように三ヵ条が一番の基本的な条項でございますから、これをはっきりと協定の上で明確にするということが何といいましてもこれが一番の眼目でございます。
 それから、沖繩県の方々の御要請というものは、今回の決議はもちろんのことでございますが、従来から、この復帰問題が現実の日程にのぼりましてからはもちろんでございますが、公的の機関、私的の機関、あるいは私的な個々の御要請等についてもできるだけ沖繩県民の方々の考えておられること、御期待に沿うように、また御懸念がある点は、その御懸念が解消するようにということを基本的な姿勢にしてこの交渉に当たっているわけでございます。
 それから、ただいまのお尋ねですが、現在、内容的にまだ煮詰るところまでいっておりません。それから、全体がいわばワン・パッケージでございますから、一つ一つのことについて、これは交渉事ですから、御理解をいただけると思いますけれども、基本的な日本の姿勢を各項目についてできるだけこちらの主張というものを貫徹いたしたいということで、一つ一つ、これはこうする、これはこうするというふうに、一つ一つを、何といいますか、ワン・バイ・ワンにやっていくということも、事柄の性質上不適当な部面もございますから、そういう意味合いで、まだ内容について申し上げるところまでいっていないということが一つでございます。
 それから、今後この協定がほんとうに煮詰まって作成できるというまでにはまだある程度の期間がございますが、その間におきましても、国会の御論議等を通じまして、政府として大体こういうふうな程度にいくであろうという見通しと申しますか、そういうものを掌握する段階に応じて御論議などを通じまして政府の見解というものをだんだんに明らかにしていくということについては、誠意を持って処理していきたい、これを私どもとしては基本的な態度といたしておるつもりでございます。
#16
○委員長(米田正文君) 質問者に申し上げますが、外務省からは、愛知外務大臣のほかに井川条約局長、吉野アメリカ局長が出席しております。
#17
○松井誠君 いま、交渉がワン・パッケージだと言われましたけれども、どうしてそうなるのか私はよくわからない。七二年返還というのは、どっちみち政府によればもう既定の事実のように受け取っておるわけでありますが、どっかがこわれたら全体がこわれる、したがって、返還そのものができなくなるということは、政府はおそらく予想していないと思う。ですから、全体が何がしかの関連は持っておるであろうけれども、まとまるときは一体としてまとまり得ないのだという、そういう提供で交渉を進められておるということは私は理解できない。やはり、問題は切り離して交渉しているわけですし、切り離して具体的にやはり解決することもあり得ると思う。ですから、いまのようなお話ですと、全体がコンクリートしてからやっと公表するということを何か合理化をしようとする、そういう姿勢が私はわからないのです。ほんとうに誠意を持って国民に相談をしながらやっていこうとするならば、私はいまのかたい態度というものは改めなければならぬと思う。もう大臣も御承知のように、「沖繩復帰対策の基本方針」にしても、あるいは「沖繩復帰対策要綱」にしても、たとえば「基本方針」には、「琉球政府をはじめとする沖繩県民の民意を十分に尊重する」、こういううたい文句がある。それから「沖繩復帰対策要綱」にしても同じような文句が書いてある。「琉球政府および沖繩県民の意志を反映するため、できる限りの努力が払われたことはいうまでもない」、こういうことで、作文としては、沖繩の人たちの意向ができるだけ反映をするようにということを形の上では姿勢として示しておる。しかし、それではそれをどういう形で反映をさせるのかということを具体的に考えてみた場合に、やはり交渉の経過――何がいま問題になって、具体的にそれは現在の段階がどうであって、見通しはどうであって、そしてこれに対する日本政府の姿勢は基本的にはどうなんだということがわからなければ、沖繩の人たちにしても、われわれにてしも、その意見を反映をさせる方法がないんじゃないですか。
 先ほど大臣は、国会の論議を通してというようなことを言いました。国会では確かに論議をしている。しかし、具体的な現在の問題点がわからないままに、いわば姿のない敵に向かってものを言っているように、そういう形でやっているわけです。あのドン・キホーテかなんかのように、姿のないものを敵にしてやっているわけですから、ほんとうにかみ合った論議ができるわけはないわけです。だから、そういう議論を幾らやったって、県民なり国民の意向を反映するという具体的な保証にはならぬと思う。具体的な保証になる最大の担保というのは、できるだけ政府がやっぱり現状を公表する、この姿勢になってもらう以外に私はないだろうと思う。ワン・パッケージという話が出たものですから申し上げたんですけれども、どうなんですか、全体が関連しておるからまとまるときには全部一緒、こわれるときには全部こわれる、こういうことも予想しておるわけですか。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) そうおっしゃられると、少し話がなにでございますけれども、返還をするということについての基本的な合意は両政府間でまとまっておるわけでございますが、個々の問題について、まず一つは、日米間の意見というものを十分に協議をして、その間において日本側の基本姿勢が具体的に、できるだけ明確になるようにしたいというのが政府の姿勢であって、それでその具体的な問題について、まだ煮詰まるというところまでいっていないということが現状であるということが一つでございます。
 それから、返還の問題については、御承知のとおりに、返還協定という日米間の基本的な問題がもちろん一番基本でございますけれども、そのほかに、協定に関連していろいろの話を煮詰めておかなければならない点もございます。
 それから、一方において、それに関連をして国内的な立法その他の措置が非常に広範にわたっております。いずれもいわゆる批准国会におきまして、できるだけそれらの点については詳細にわたって御説明ができるように、諸般の準備をそれこそワン・パッケージでしてまいりませんと、これは私はかえって不適当だと思いますので、政府といたしましては、それら万般の点に配慮をいたしながら総合的に取り組んでいくということが非常に大切なことである、そういう趣旨を先ほど申し述べたわけでありまして、なお、今後の扱い方やあるいは国会を通じ、あるいは沖繩の県民はじめ国民の方々に御理解を進めていく方法については、いまお述べになりましたような趣旨は私もよくわかっているつもりでございますから、誠意を尽くしてやってまいりたい、こういうふうに存じております。
#19
○松井誠君 沖繩の人たちが超党派的に、交渉内容をひとつ公表しろと、そういうことを決議をする。これはやはり交渉経過がさっぱりわからない、そういうつんぼさじきに置かれている、そういういら立ちなり不満なりというもののあらわれのわけですね。何か外交交渉は秘密だというようなことが何とはなしに常識みたいになっているわけですけれども、私は少なくともこの沖繩の返還交渉については、もっとわれわれとしては考えるべき問題があるのではないかと思う。
 大臣あれですか、「琉球処分」ということばを御存知ですか。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 的確にその意味するところは掌握いたしておりませんけれども、そういうことばがあることは承知いたしております。
#21
○松井誠君 私もにわかづくりの沖繩学ですけれども、「琉球処分」というのは、明治の初年に廃藩置県をやったときに、沖繩と清国を武力で日本政府が断絶をさした。それを沖繩の人たちは「琉球処分」と言っておる。しかし、それは具体的に歴史的な事実としての「琉球処分」、いま使われているのは、第二、第三の「琉球処分」というような使われ方。これは、沖繩の運命というものも沖繩の人たちの意思できめられない、そういうことに対する非常に激しい憤り、そういうものを「琉球処分」ということばの中に含んでいる。その典型的な琉球処分と見られているのがあの平和条約を結んだときですね。日本はあの戦争の末期に沖繩というものを本土のたてにして、それだけに、沖繩の人たちがそれの戦後処理というものに最も発言権を持つべきだったと思う。しかし、それが全く発言の機会を与えられなくて平和条約が結ばれた。沖繩はまさに「処分」された。そういうときに沖繩では、約一週間ぐらいの短い期間であったそうですけれども、とにかく平和条約について沖繩がそういう形になって取り残されるのは困る、そういうような抗議の署名というのが全県民の七三%集まった。しかし、沖繩の意思というものは全く平和条約に入っていない。今度私たちは第二、第三の琉球処分を絶対にやるわけにはいかぬと思います。私自身もそうですけれども、あの平和条約が単独講和か全面講和かということばかりに目が奪われて、沖繩の痛切な気持ちというものに対する関心が薄かった。私は、今度は具体的に琉球処分というものに手をかすような、そういう役割りだけはわれわれは果たしたくない。だとすれば、できるだけ返還協定に国民の意思、特に沖繩県民の意思を入れるということを組織的に担保するような、そういうものができてなければならぬと思います。現に今度の場合も、返還の内容に具体的な要求を盛った県民の署名運動というものが計画されているといわれているのですね。これは、やはり沖繩県民の意思というものは返還交渉の過程で組織的にちっとも反映されてないということの証拠です。それで一体いいかどうか。形式的に、誠意を持って云々というようなことを言うよりも、やはり具体的に言えるものはできるだけ公表するという姿勢をとらなければ、この沖繩の人たちの特にいら立ちというものをなくするわけにはいかぬじゃないか。で、そういう意味で、私はこの基本的な国民に対する姿勢というものをまず改めていただきたいということを要望したい。それで、たとえばおそらくいまの政府の説明では、でき上がった条約というものについては国会が修正権がないという――その議論の当否は別として――そういう意見が有力であるということは私も知っている。交渉がまとまるまでは公表しない。でき上がったものについては国会は修正ができない。一体どこにわれわれの具体的な意見というものが入る余地があるのか。今度、何か新聞に伝えられるところによりますと、シュナイダーというんですか、アメリカの沖繩返還交渉についての事務的な折衝をやっておるその人がアメリカへ帰って、間もなくこちらへ帰任をする、そのときにはだいぶ問題が煮詰まっておるだろうというのが一般の大方の見方のようでありますけれども、そういう段階でなら、いままでとは違って、相当大幅なことも国民に公表ができる、こういうことぐらいは期待してもよろしゅうございますか。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) いまの「琉球処分」ということばですが、私どもも、先ほど申しましたように、的確にその意味するところというようなことにはいろいろの見解があろうと思いますけれども、ともかくも政府といたしましては、沖繩県民の方々の御意見というものはできる限りの方法を通して直接に伺うようにつとめてまいっておりますし、それから、特に返還に先んじて積極的に国政参加の問題等につきましても、これがやはり一つの大きな方法ではないかと思いまして、積極的にその推進につきまして努力をいたしてまいったつもりでございます。
 それからその次に、現在の状況についてさらに具体的なお尋ねがございましたが、日米双方ともに、この返還についての一昨年十一月の共同声明ができまして以降の本件についての交渉は東京でやるということになりまして、先ほど申しましたように、駐日米大使と私との問で総括的な取りまとめ折衝をいたしておるわけでございますが、これはもう御了承いただけると思いますが、アメリカにもアメリカとしてのいろいろの議論もございます。アメリカの政府部内としても、やはり随時ワシントンに請訓をしたり、あるいはそれでは足りなくて、現実に人がワシントンに行ったり、また、ワシントンからこちらに担当の係官が随時東京へ来ているようでございますから、それらを通しましてだんだんに双方の意見が積み上げられ、煮詰まっていくということが、こういう交渉事の自然の姿だと私は思います。で、先ほど申し上げましたように、だんだん煮詰まってくるに従って、私はいまその方法について具体的に申し上げるだけの用意はございませんけれども、たまたまただいまは国会の会期中でもございますし、また、これが五月の末までも続くわけでもございますから、いろいろの委員会その他を通じまして御質疑にお答えをしたり、また御説明を申し上げたりすることが、だんだんにその間において交渉の経過というものがおわかりいただけるようなふうに政府としてもくふうをこらしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 なお、シュナイダーという人の名前が出ましたが、これは、御承知のように、駐日アメリカ大使館の大使の次の公使でございます。非常に熱心にこの交渉の衝に当たっておる一人でございますから、この人がワシントンに最近も帰りまして、また近く戻ってくるはずでございますが、そういう段階を通じまして、相当の項目等についての米側としての意見というものはある程度明らかになってくる。しかし、そうだからといって、それに対して、こちらがそのまま受け取るわけでももちろんございませんけれども、そういう段階を通してアメリカ側の態度というものもだんだんはっきり具体的に煮詰まってくるだろうということは、政府としても期待しておるようなわけでございます。
#23
○松井誠君 抽象的な禅問答みたいなことをやっておってもしようがありませんからやめますけれども、しかし、有言不実行というのは佐藤内閣の一枚看板に私はなりつつあると思う。今度の場合も、沖繩県民の意思をできるだけ尊重するというようなことが有言不実行にだけはならないようにひとつ強く要望をして、具体的な問題は次回にお尋ねいたしたいと思います。これで終わります。
#24
○渋谷邦彦君 ただいまの返還協定の経緯等についての質疑のやりとりを伺っておりますと、一体作業が進んでいるのだろうかどうなんだろうか、もし作業が、当初予想された日本政府の判断に従って円滑に進められているということならばまた別でしょうけれども、いろいろ協定調印の時期等が取りざたされておりますが、そうした時期を、一応いままで伝えられる時期というものから逆算してみた場合、はたして沖繩県民の要望するような事柄を十分織り込んでいけるのか、はたまた、それまでの間に政府としてはいろいろな具体的な項目について発表し得る時間的な余裕が十分あるのかという疑問がやはりぬぐい切れないという感じを受けるわけでございますけれども、その辺の事情はどうなっておりましょうか。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) 私はよく申しておりますけれども、現在の私の見通しということを申しますと、何としてもことしの夏までには協定は煮詰めたいということを当面の大目標にいたしております。そうやって考えますと、現在二月でございますから、あと三、四月というようなところを最後的な努力をうんと傾倒していかなければならない時期であると思っておりますが、そうして、おそくとも夏ごろまでには協定が両方で合意ができましたならば、これはもうもちろんそこで発表もされますしいたしますが、同時に、先ほど申しましたように、沖繩返還について沖繩県民の方々の御要望に沿うためには、本土政府としてやらなければならない一切のこと、また本土の国会の御協力を得て立法措置を講じなければならぬこともたくさんございますし、これらについて十分御納得を得るような、政府としてのやるべきことを十二分に準備、用意をいたしたいと考えておるわけでございますから、それらの準備ができましたときに協定としては国会の御承認をいただきたいし、また、まあ終局的に何本の法律案になるかまだその辺のところも未確定ですが、従来の考え方から申しますと、六百あるいは七百件以上とも称せられているような一連の案件があるわけでございます。そのくらいでございますから、それらの準備が十分できましたところで国会におはかりをして、十分御審議いただいて、そうして本年内にそれらの手続を完了して、米側の国内措置と相まって、私の希望としては、もう明年になれば何どきでも返還ができるというような態勢にこぎつけたい。これは逆算いたしまして、はなはだたいへんなことでございますけれども、そういう逆算をいたしまして、七二年のできるだけ早い時期に返還が実現できる、効力を発生するというふうにいたしたい、こういうふうな段取りを考えておる次第でございます。
#26
○渋谷邦彦君 いまの御答弁を伺っておりましても、調印は大体夏ごろまでと。そうしますと、いまおっしゃられたようにいろいろな重要な事項が含まれておることは言うまでもございません。はたしていまから五ヵ月か六ヵ月の間に急速に作業が進むものであるのかどうなのか。先ほど申し述べたようないろいろな経緯を踏まえた上で県民の意思を十分取り入れるだけの時間的な余裕があるのかどうなのかということでございますけれども、その辺の物理的な面については政府として絶対自信を持って一応きめためどを中心にこれから急速に煮詰めていきたいと――ただ、急速に煮詰めていく場合、非常に事柄が重要であるだけに、その慎重な配慮を失うような、そういう行き方では困りますので、そういうようなことも十分考えた上で進められるのかどうなのか、私はその点の、政府のお持ちになっている自信のほどを、重ねて伺いたいと思います。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 一昨年の十一月に政府同士の返還の合意は完全にできたわけですから、そのときから始まりまして、政府としてはできるだけの努力を傾けてまいりました。いよいよ日米の間では、この協定を中心にした事項を、はっきりした、そして日本側の要望に沿う線で、まとめることにしなければならない段階にだんだん入りつつあるわけでございます。まあ、「自信のほど」というおことばもございましたが、政府といたしましては、時期が早いということももちろんたいへん大事なことでありますが、そうかといって、それだけにとらわれて内容をいいかげんにするなどということはとんでもないことでございますから、まあ、いまの見通しでは、時期も早く、そして内容的にも政府としてはこれでよろしいというところまで何とか持っていけるような、さような、自信といえば自信と申しましょうか、そういう心証を持っておるのが現状でございます。要するに、夏ごろまでに協定が煮詰まり、これに関連して国内的な諸準備等ができ上がる。そうすれば、ことしの後半期において国会において十分御審議を願える。そうすれば、日本側といたしましては一九七二年のなるべく早い時期に返還が、効力が発生する、返還が実現できる。こういうふうには持っていけるという確信を持って現に努力中である。これが現状でございます。
#28
○渋谷邦彦君 一部伝えられるところによりますと、返還協定の第一次案なるものが報道されております。政府としてはこれに関知しないということでございましょうか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 政府といたしましては、先ほども松井委員からたいへんおしかりをいただいておるわけでございますけれども、ほんとうの実情からいって、第一条何々、第十条何々というような文案というものまでまだいっていないわけでございます。これは実質的な内容がきちっとまとまることが第一であって、それをいま一生懸命やっておる段階でございますから、日本の有能な記者諸君がいろいろの論議や雰囲気をもとにして、こうもあろうかということで条文を作成しておられるのかと思いますが、これは政府筋から出たものではございません。この点は、まず新聞のほうに意図的に流してそうして反響を見るというような、そんな大それたやり方を現政府が考えておるというようなことは毛頭ございませんので、その点はとくと御理解をいただきたいと存じます。
#30
○渋谷邦彦君 私は失礼だと思うのですよ、そういう言論は。少なくとも何らかの感触がない限りは、やはり正確を期するという、公器を通じたそうした報道はなされないのじゃないだろうか。それは憶測、いろいろなことはなされるかもしれません。しかし、ある程度やはり政府当局の言明というものを軸にして、そうしてこうなるであろうということは当然だと私は思うのですね。それだけに、沖繩の方々が、こうなった場合どうしようかという一つの不安がやはりぬぐい切れない。その不安を解消するのがやはり政府の責任ではなかろうかということがしばしばいままで繰り返された大きな政治的課題であることは言うまでもないわけであります。で、いまこの基本的な問題をさらに突っ込んで話をしている時間がなくなりますので、特にいま一、二の問題にしぼってお尋ねをしたいと思います。
 先ほどもお話がありましたように、琉球の立法院からはしばしば決議なるものが提出されております。今回提出されたのも、おそらく相当遠慮して、せめてこの範囲だけは何としてもひとつ貫いていただきたいというのが象徴的にまとめられているのではなかろうか、このように私たちは判断するわけであります。こうした問題等につきましても、政府の決意としてはこう臨みたい、しかし、この決意すらもやはり外交折衝の過程においては言うわけにいかないという事情も、それはあろうかと思います。しかし、何らかのその意図というもの、方向というもの、そうして全力を傾けで政府としては努力するくらいの言質を与えて私はしかるべきではなかろうかというふうに思うわけであります。で、特にこの中で、いままでも衆参を通してしばしば議題になっております案件の中で、一つは事前協議の問題がございます。それから請求権の問題がどうなるであろうかという問題がございます。これも何かすっきりしないままに今日まで経過してきていることを認めざるを得ない。特にこうした問題は、これからも沖繩のいわゆる平和的なそうして繁栄する県づくりというものを目ざす県民にとってみれば、やはり重大な要素であることは見のがすわけにいかないわけであります。それだけに、何回議論されてもその辺が明確になりませんと、やはり今後返還されても一体どうなるのだろうということになることは自明の理だと私は思うわけであります。そこで、そうした観点からお尋ねをするわけでございますが、最近のインドシナ情勢の急変に伴いまして、やはり沖繩の軍事基地としての価値があらためて見直された。おそらくは米国側におきましても高く評価されておることは言うまでもないと思います。それに伴ういろいろなアメリカ側の高官筋の言明等もこれありでございます。そうしたことをあわせ考えてみた場合、大臣は衆議院の予算委員会、また参議院の補正予算の委員会を通じまして御答弁がありました。そのことを通じて思い起こしますと、返還後においてもその沖繩を基地としてインドシナに対する出撃は十分あり得ると、場合によっては事前協議の対象にならないこともあり得るという言明をされております。たとえば、いままで政府当局は、一個師団以上――いわゆる兵力の規模に応じまして重大な変更がある、あるいは装備の重大な変更ということを基本にされての言明だろうと私は思うのでありますが、常にいままで、一個師団以上の兵力が動かない場合には事前協議の対象にならない。しかし、現実には、もうしょっちゅう一個連隊以上の海兵隊あたりの移動が行なわれているわけです。しかも、それが常に沖繩を中心として行なわれているということを考えてみた場合に、間接的に戦争協力への道を開いているのではないだろうかという錯覚を持つわけであります。最近のそうした急変するインドシナ情勢に思いをいたしてみた場合に、はたして大臣としては、今後米側に、事前協議の対象としない、いわゆる自由使用を認めるという基本的な考え方を貫くおつもりなのかどうなのか、この点をまず最初にお伺いしたいと思うのです。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) 内容的に重要だと思われる問題に、事前協議の問題と請求権の問題があるといういまのお尋ねの御趣旨であると思いますが、まず第一に事前協議の問題については、私はもうきわめて事柄が明瞭である。これは断定的に申し上げて差しつかえないと思います。というのは、安保条約関連取りきめが変更なしに沖繩に適用されるということがすでに両国政府間で合意されておりますしいたしますから、これが返還後におきましては何ら問題がない。いま私の答弁などの一節を御引用になりましたけれども、これは沖繩が返還されたあとにおきましては、日本本土と全く同じになるのでございますから、一九六〇年以降、安保条約に対しまして政府がしばしば申し上げております見解がそのまま適用されるわけでございまして、本土においてそうであると同様に、事前協議の対象は明らかに沖繩返還後におきましてはそのまま適用されるわけでございますから、この点は明確に、御心配はないと、こういうふうに申し上げたいと思います。で、たまたまこの点についてまだ御疑念がなかなか晴れないようでございますし、また失礼なことを言うとおしかりを受けるかもしれませんけれども、たとえばこの十二日に報道されておるところでも御承知と思いますけれども、ワシントンの国務省の正式のスポークスマンから、「沖繩の米海兵隊が再びベトナムに出動したとの報道に関連して」――それから先が正式の発言でございますが――「この動きと沖繩返還後の米軍基地使用問題とはなんの関係もない」、「返還後の米軍基地のあり方について」――「本土並み」という日本語が使われておりますが一「〃本土並み〃〃事前協議〃の方針は全く変わらない」と言っております。それから、これは外電の注釈でございますが、「これは今度の海兵隊の動きからベトナム戦争が沖繩返還後も続く場合、沖繩の米軍基地が日本政府との事前協議もなく自由に使用されるのではないか、との疑問に答えたものである。」、こういう注釈がついております。それからさらに、これは御質問の範囲を越えておるかと思いますが御参考までに申し上げますと。これがまた国務省当局の発表でございますが、「また六九年の日米共同声明にある「ベトナム戦争が沖繩返還後も続く場合の基地使用に関する協議」について」国務省としては、「そのような協議は行なわれていないし、今後行なう必要があるとも考えていない」。これはいわゆる共同声明の第四項のいわゆるベトナム再協議というふうに言われているくだりをさしておるものでございますけれども、私は、この国会が始まりましてからも、率直に大胆に申し上げれば、あの第四項に言われておる、ベトナム戦争が沖繩返還の時期まで続いているような場合には協議をすることがあるかもしれないというような趣旨が第四項の末段にございますけれども、私自身、この協議ということはもうないであろうということをこの国会でも申し上げたわけでございますけれども、それを先方から裏打ちをしているようなかっこうになっておる。このことを御参考までに申し上げておきたいと思います。
#32
○渋谷邦彦君 再確認しておきたいと思いますけれども、いまの御答弁のとおりでありますと、しばしば言明されたとおり、沖繩を中心とした場合、本土並みと考えると、将来インドシナ情勢にいかなる変化があろうとも、一個師団以上の兵力の移動に対して初めて事前協議の対象となると、このように了解してよろしゅうございましょうか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう御承知のように、事前協議の問題は、配備と装備とそれから戦闘作戦行動と、この三つがあるわけでございますが、その三つ、いずれも本土の場合と全く同じに事前協議の対象になる。これは先ほど来申しておりますとおり、また、従来からしばしば申しておりますとおりでございます。
#34
○渋谷邦彦君 時間がありませんから、最後に一つだけ。その問題についてはまた次回に十分時間をいただきましたときにお尋ねをすることにしたいと思います。
 最後に一つお伺いしたいことは、沖繩県民の方々の対米請求権の問題であります。現状として政府側は放棄の方向でいくのか、あくまで請求権は堅持されるという方向にいくのか。もし放棄した場合には肩がわりはどうなるのか。請求権はどうなるのか。この点だけひとつお答えいただきたいと思います。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) サンフランシスコ平和条約をもとにいたしまして、沖繩返還が日米間の合意に達したわけでございます。したがいまして、サンフランシスコ平和条約の第十九条による講和前の対米請求権というものは放棄した。
 この「日本国並びに日本国民」という中には、これは沖繩県及び沖繩県民が含まれると、これはさような解釈といいますか、見解に立っておるわけでございますから、そういう意味におきましては対米請求権というものは放棄したということでございます。しかし、日本政府といたしましては、この問題に非常に重大な関心を持っておるわけでございまして、沖繩県民の立場に立っての請求権、これは実態その他も十分いま調査をしてほぼ完了しつつあると申し上げてもよろしいと思いますが、この件につきましては、日本政府としてあらゆる努力をして沖繩県民の方々の御要望に沿うようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
 なお、これはこまかく申しますと、講和前の対米請求の中に常識的に言えば含まれるものと言ってもいいものもあります。そういう点につきましてもアメリカとの間にも十分話を煮詰めてまいりたいと、かように存じております。
#36
○喜屋武眞榮君 外務大臣にお尋ねいたします。お尋ねしたいことは一ぱいございますが、時間の制限がございますので、私はごく簡潔にお尋ねいたしたいと思いますので、できるだけ問題点の多くに触れていきたい、こういうふうに考えておりますので、そのようにひとつお願い申し上げたいと思います。
 まず第一点は、この六十五国会における佐藤総理大臣の施政方針あるいは外務大臣の演説の中からも一貫して受け取れることは、日米間の作業は順調に進んでいる、そうして県民の意思を最大限に尊重する、そうして豊かな沖繩県をつくる、あたたく迎え入れることができるように、こういったことばからいたしますというと、これも手放しで安心していい、こういうふうにも受け取れますけれども、ところが、今日まで日本政府が沖繩にとってこられたもろもろの問題に対する姿勢対米姿勢からしますというと、額面どおりそれを信ずるわけにいかない、こういうことを事実を通してわれわれは確認いたしているわけであります。そこで、まず最初に、相手のあることだからまず返還協定の内容は煮詰まっておらない、流動的である、こうおっしゃるお気持ちはよくわかります。ところが、日本政府の姿勢というものは、私は当然きまっておるべきである、そういう腹をもって交渉されていく中からまだ煮詰まっておらない、こう結局は受けとめております。そこで、けさ立法院代表が百万県民を代表して超党派で決議された五つの事項について大臣どう考えておるか。多くの御説明は私は求めません。第一項の「施政権返還は、おそくとも一九七二年四月一日までに実現し、沖繩に対する日本国の主権が完全に回復されるものであること。」、このことについてどうお考えですか。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 一九七二年四月一日という日は、私としても非常に大切な日であると思うわけでございます。これは琉球政府が発足いたしました私は記念日であるということにおいても意義があると思いますし、それから、日本の会計年度ということから申しましても、非常に大きな意義があると存じますから、私といたしましては、この四月一日という御要望があるということを十分腹に入れて――いままでも腹に入れておったつもりでございますが――あらためて十分腹に入れてまいりたいと思います。ただ、これは現在、先ほど来申し上げておりますように、まだ中身が煮詰まっておりませんし、ただいまのところは、私どもの姿勢として沖繩県民の方々の御要望はここにあるということを十分銘記するということを申し上げるにとどめておきたいと思います。
 それから、「主催が完全に回復される」、それはそのとおりでございます。
#38
○喜屋武眞榮君 わかりました。
 第二点、「基地については、毒ガス兵器及び一切の核器の即時完全撤去をはじめ、平和と安全を願う県民の要求が正しく取り入れられるようにすること。」、これに対する見解。
#39
○国務大臣(愛知揆一君) これもまさにそのとおりでございます。
#40
○喜屋武眞榮君 第三項の、「米軍の一九四五年の占領以来施政権返還までの期間に生じた県民の有形無形の各種損失に関しては、県民の請求を認め、日米両政府の取決めによって完全に補償すること。」、この項目については、いかようにお考えですか。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) これは、この請求権という問題には、内容的に実に各種の問題がございまして、これは前国会の最後のころにも申し上げましたけれども、私の分類したところでも、大分類でも十項目に相なるわけでございまして、この中には講和前の人身事故に対する補償漏れの問題もございますし、漁業補償の問題もございますし、賃借料の増額の問題もございますし、そういう種類のものが、大分けに分けましても、十項目ございますが、これらにつきましては、対米折衝にゆだぬべきものと、それから、その中でカバーし得ないものにつきましては本土政府において十分の考慮をいたすべきものである、かように存じておりますから、第三項にございますように、個々に「日米両政府の取決めによって完全に補償する」、この中に、必ずもしこれは全部米側というわけにはまいらないと思いますけれども、そういう意味に読ましていただければ、私は第三項について政府として全力をあげたいと考えております。
#42
○喜屋武眞榮君 第四点の、「米国支出金及び米国管理資産(琉球電力公社、琉球水道公社、琉球開発金融公社等)を県民に無償譲渡すること。」、このことについて。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) この第四項はややデリケートな問題でございまして、個々に支出金と管理資産と分けてございますが、これは必ずしも支出金と管理資産とは同列に論じ得ない面もあろうかと思いますが、一番御関心の深い問題は、管理資産、いわゆる三公社等の問題であると思うのでございます。で、これにつきましては、一つはガリオアの問題がございますが、ガリオア資金というものは、当初以来、米国側が言うておりましたところから申しましても、それから、日本政府がおりに触れてすでに申しておりますところによっても御承知のとおり、これは弁済といいますか、返すべきものではないと、こう理解すべきものであると政府も考えております。それから同時に、このいわゆるパブリック・ユーティリティーズというようなもの、これは三公社がその中心であろうと思いますけれども、将来長く沖繩県民の生活あるいは福利のためにも役立つものでございますから、これは予算委員会でも直接お聞き取りになったと思いますが、大蔵大臣としても、これまでも、全部ただでというのは、少し日本側としても虫がよ過ぎるのではないかと考えますので、その場合においては、本土政府として買い取りというような観念は使いません。しかし、何らかの対価を払うということは考えなければならぬかもしれないし、用意はあるのだということを大蔵大臣が言明いたしておりますが、政府といたしましては、この大蔵大臣の立場と同じ考えで、政府全体がそういう考えを持っております。しかし、大切なことは、それによって沖繩県民の方々に御負担を願いたいということは毛頭考えておりません。
#44
○喜屋武眞榮君 この問題は、私といたしましてはガリオア資金援助は返すべき必要はないのではないか、こういう一つの前提で、さらに大臣のおっしゃる返還後沖繩県民の福祉、日常生活のために長く役立つ施設などには日本側がそれなりの対価を支払う用意があるとこの前言明しておられますが、そのように県民福祉に利益になるものであればこそ、むしろ私は無償で譲るべきじゃないかということと、さらに私の気持ちを率直に申し上げますならば、アメリカは四半世記も沖繩にお世話になっておる。そういったことを理解するならば、道義的にも、これは長いことお世話になった一つの御恩返しとして、沖繩県民の福祉と繁栄のためにこれを残していく。立つ鳥あとを濁さず、こうしていくことが私は道義的な立場からもそうあるべきであると、また県民はそのような要求しておるわけでありますので、その点もひとつあわせて申し上げまして御配慮をお願いいたしたい、こう思います。
 次に、第五点に対して、「沖繩に既に進出している外国企業については、県民経済を阻害する不当な特権の存続を認めないこと。」、このことについてどうお考えでしょうか。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) これもこのとおりでございます。そうして第一項にございますように、「日本国の主権が完全に回復される」わけでございますから、当委員会の末にも御質疑がございましたけれども、これまでアメリカの施政権下においてたとえば民政府が許可をしていた、あるいは何十年にわたってどういうふうな特別の使用、供与を受ける契約をしていたとかということは返還と同時に、その根拠が全くなくなりますから、沖繩についてだけそういう特殊の権益が残るということはございません。返還と同時に日本本国の法律が適用されるわけでございます。
 なお、これに関連いたしまして、先ほどの法律案の沖繩対策庁からの御説明もあったようでございますけれども、、たとえば自由職業の資格の問題とか、あるいは現在はむしろアメリカ本土並みでございますから、たとえば本土においては輸入の自由化をしていないが、沖繩においてはアメリカ本土とツーツーで物資の搬入等ができていたというようなことについてどういうふうな措置をするというようなことについては、ただいまこれは関係各省の間で十分検討いたしておりますが、沖繩県民の方々の経済を阻害する不当な云々というようなことは毛頭考えておりません。
#46
○喜屋武眞榮君 このことにつきましては要望をかねて申し上げたいのですが、聞くところによりますと、これは返還協定の内容にもなると思いますが、米国側は既得権として認めるよう非常に強硬に出ておるともいわれておる、こう聞いております。そこで、その中で特に二つに分けて日米共同声明後におけるいわゆるかけ込み企業ですね、この企業と、それからそれ以前の問題、二つに分かれると、こう思いますが、この前、参議院の沖特で沖繩視察に行きましたときに、平安座島にガルフの施設があるわけなんです。その施設の対話の中で、復帰後は日本法の適用を受けると一札入れてあると、はっきり係の者が言っておりましたけれども、そういった点、具体的には聞いておりませんか。そのことについてはいかがでありましょうか。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) お話しのとおりでございまして、問題は二つに分けられると思います。いわゆるかけ込み企業については、すでに復帰話が具体化いたしました一昨年十一月以降につきまして、御承知のように、本土政府としては琉球政府とも十分連絡をとり、それから、アメリカ側にも再々申し入れをいたしまして、かけ込み企業の認可ということはやらないということで対処してまいっておりますけれども、その網をくぐっておるようなものがありとすればこれは認めないというのが政府の立場でございます。それから、先ほど所管事項の説明の中でも申し上げましたけれども、復帰話というようなものが具体化するよりもずっと前から平穏に仕事をしておって、沖繩県民の方々あるいは経済の中にとけ込んでおるというようなものについては、公平な原則によって処置してしかるべきではないだろうか、こう考えております。
 それからもう一つの具体的な点でございますが、実は米系の企業などに対する民政府との関係などにおいて、御指摘のように、日本に復帰したあとはこれは無効になるのだぞということが念のために契約書の中にあるものもあるようでございます。あればそれにこしたことはございませんが、そういうことがなくとも、これは第一項の「主権が完全に回復される」わけですから、返還の時点からX日以降におきましては完全に本土の法令の支配下に入ります。同時に、それまで得ておりましたものがあったといたしましても、その権利権原というものはそこからなくなってしまうわけでございます。こういう対処方針でまいらなければならないと思います。
#48
○喜屋武眞榮君 次に、私がこの前代表質問をいたしましたその問題に関連いたしまして、その佐藤総理のお答えの中から一つ、毒ガス撤去については、第一次撤去の条件として第二次以降はコースを変更する、こういうことで第一次は行なわれたわけですが、「政府としては、毒ガスの早期撤去につき、米側と話し合いを行なってきたことは御承知のとおりであり、今後とも沖繩住民の意向を十分にくみつつ、残余の毒ガスが一日も早く安全に撤去されるよう、今後とも米側との連絡を一そう緊密にして」いくと、こうお答えになったわけです。そこでお尋ねしたいことは、その後どのような対米交渉がなされたのであるか、そうして米側はどういう態度をそれに対して示しているのでございましょうか。そのことについてお尋ねしたいと思います。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) ちょうどたまたま本会議の御質問に対して佐藤総理がお答えをいたしましたその比較的直後であったと思いますけれども、かねがねアメリカに対してもうほんとうにこれは政府といたしましても全力をあげて折衝につとめておりました結果、ジョンストン島の受け入れ態勢が当初アメリカが計画しておりましたことよりもずっと繰り上げられることになりまして、「晩夏」と言っておりますから、これは八月ごろと想像するのが常識だと思いますけれども、それまでに、現在沖繩にあります一万三千トンの毒ガスを全部収容することができるような突貫工事が現に始まりましたわけで、アメリカ政府としては相当の支出もいたしたようでございます。これは当然のことでもあろうかと思いますけれども、こういう事態が一つ新しく出てきたわけでございます。それから配船等につきましても、すみやかな撤去について、もう受け入れ態勢が整いつつあるわけでございますから、数千トンずつ積んですみやかに移送ができるというかまえになったと思いますが、これらについては、今後とも十分アメリカ側との話し合い、あるいはその状態の推移を十分こちらも見守ってまいりたいと思います。そしてあとは、ですから、貯蔵庫から港まで移送することが安全ですみやかでなければならない。この点につきましては、たとえば移送の経路等については、何と申しましても、率直に申しまして、本土政府が地図の上で、このルートがよかろうとかこれがどうだろうかと言うことはいささか行き過ぎであろうかと思いますので、ひとえに沖繩県民の方々御納得がいくように、琉政を中心にし、そしてまた高等弁務官とも十分御相談をいただいてこの決定をしていただきたい。で、それにまつわるいろいろの対米折衝を必要とする問題につきまして、もちろん本土政府といたしましてもできる限りのことをいたしたい、かように存じております。
#50
○委員長(米田正文君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#51
○委員長(米田正文君) 速記を起こして。
#52
○喜屋武眞榮君 それじゃまとめて一応申し上げますので、不十分な点はまた後ほど。
 コザ事件についてもお尋ねしたいんですが、飛ばします。
 国頭村米軍実弾演習場撤去につきまして、「政府としては、沖繩における米軍基地をめぐる諸問題に深甚なる関心を寄せており、沖繩住民の納得を得て円満に解決されることを期待しており」、「特に、実弾演習において事故の起こらないことを心から願っている」と、こういう御答弁があったわけです。そうしますと、事故が起こらなければこの実弾演習は日本政府としては認めておられる、こういう解釈をしてよろしゅうございますか。そして、なぜ国頭村長を先頭に着弾地にすわり込みをすると、こういう悲壮な決意で背水の陣をしいておるか、この阻止の理由について十分御存じでしょうか。その二点について。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) この国頭村の演習の問題につきましては、御承知いただいているかと思いますけれども、昨年末押し迫って三十日、大みそかにも東京におきまして米大使との間にもずいぶん話し合いをいたしました。その結果がとりあえず演習は中止になった。それから、今後演習をする場合には三十日以上の予告期間を置いて実施をするというところまで取りつけたわけでございます。ですから、現状を率直に申し上げますと、とにかくこの国頭村の演習ということについては、そこに至った県民の方々の激高された背景や理由は十分本土政府としても理解をいたしまして、その理解の上に立って強力な対米折衝をいたしまして、一応そういう決着になりました。その後三十日の予告云々ということが、まだ御承知のように全然そういう予告なども発せられておりませんし、おそらくこういう経過でございますから、さらに米側がまた実弾演習を始めたいというような希望は軽々しくは日本側に言ってくることはなかろうと思っておりますが、これらの点については十分に本土政府としても関心を深くし、事態の推移を注視してまいりたいと思います。
#54
○喜屋武眞榮君 私がお尋ねしたい真意は、アメリカ側でさえも、沖繩県民側が国頭村長を先頭にあのように激しい阻止をしておることに対して十分配慮していこうと、こういうことで、水資源の問題、保護林の問題、それから鳥類の保護ですね、こういったいろいろの配慮があるわけなんです。そういう大事なところであるならば、これは十分検討しようと、こう言っておるにもかかわらず、日本政府の答えとして、「実弾演習において」ということをいかにも肯定しておられる、実弾射撃を肯定しておられる前提に立った発言であるわけなんです。アメリカでさえもそういう配慮を持っておるにもかかわらず、日本政府側が実弾演習をすでに肯定した前提に立って発言がなされておるということに対して、これはおかしいのではないか、こういうことを私は強く訴えたいわけであります。ただしたいわけであります。私がこの理由を御承知かとお尋ねした意図はそこにありますので、これはぜひひとつとりやめる、こういう前提に立って強く交渉をしていただくようにお願いいたしたいと思います。
 次に、返還時における基地の態様につきましては、安保適用によって全面的に日本政府が引き継ぐのであるか、軍用地は個人契約によるのであるか、いろいろうわさはあるわけですが、その内容がはっきりしませんので、そこで返還協定の中でどうそれを取り扱われるのであるか。そのことと核抜き・本土並みとの関連、それから沖繩の核の撤去の時期の問題、こういったいろいろなものが錯綜してくるわけでありますが、まとめて申しますと、返還時における基地の態様、このこと。
 それから、問題点だけ一応。
 全軍労の雇用形態について。全軍労の雇用形態について、復帰後は当然本土と同様地位協定に基づく間接雇用制度に移行することになると思われますが、その離職者対策あるいはその他の公共職業安定所における職業訓練、あるいは基地内及び公共職業訓練施設における職業訓練の実施、あるいは就職促進手当などの支給による救済措置、こういったいろいろなことがちらほらと発表されておるわけでありますが、そのことを確認いたしたい、こう思います。
 それから、基地の縮小につながらない一方的な、合理化のもとに行なわれた大量解雇、さらに四十八時間ストを決行いたしたわけですが、今後の見通しとして、これは日米の出方によってはさらにまた次のストが計画されておる、こういうこともあるわけでありますので、まことにこのことも騒然たることでありますので、このことについてもひとつ政府の御見解を承りたい。
 次に通貨の切りかえ。返還による通貨の切りかえによって、聞くところによりますと、その切りかえたドルをどうするかということについて問題がある、こういうことも漏れ聞いておるのでありますが、そのドルをどうするかということは一体どういうわけであるのか、その辺のことについてお話し願いたい。
 その次に、外人犯罪の激増ですね、これは目に余るものがある。きのうの夕刊にも、御存じだと思いますが、またひき逃げをして、そのひいた犯人をMPが連れ去って大騒ぎをしておる事件がきのう起こっておるわけであります。この轢殺事件無罪判決と裁判権の問題、こういうことを思うときに、佐藤総理が、いやいましばらくのしんぼうだ、がまんしなさい、こうおっしゃることはあまりにも白々しく、われわれには、いまきょうあすの命をどうするか、このような危機迫る思いで二十六年もこうして犠牲にさらされておって、いまさらのように、気持ちがわからぬわけではない、いましばらくのしんぼうだ、あせりも憤りもよくわかる、こうおっしゃることに対して、ますます私たちとしては憤りを感ずるわけであります。そこで、外交権のない沖繩、そして憲法の保護のない人間の無力さ、こういうこともいやというほど、私たちは刻々味わわされておるわけであります。もし沖繩にあるようなことが本土のどこかの県にあったとするならば、おそらく日本政府は、日本国民は一刻も黙っておらんだろう。こういうことをそのつど思い知らされるわけでありますが、こういったことに対して。――まだまだ一ぱいありますけれども、このあたりで失礼いたします。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) 喜屋武委員の、「まだまだ一ぱいある」というそのお気持ちやお気持ちの底にあるものは、私も非常によくわかるような気がいたします。そこで、いま数点おあげになりましたのでお答えをいたしたいと思いますが、まず国頭村の問題は、実砲射撃といいますか、実弾射撃これをやられることは、いまもおあげになりましたように、水資源の問題もあり、自然の環境の問題もあり、また鳥類の保護ということもありますから、われわれも実弾射撃というもの、そういうものに対して、ほかの要素もいろいろありますけれども、そういう点からいってもこれは困ることであるという態度で、米側に引き続き十分彼らの認識を高めさせたいという姿勢で臨んでおり、今後も臨みたいと思っております。
 それから全軍労の雇用形態でございますが、これはもちろん復帰の時点においては完全に本土と同じように間接雇用にいたします。これは前々から、復帰前においても何か間接雇用に準ずる措置はないかということで、これは山中長官からもしばしばお答えしておると思いますけれども、ずいぶんこれは、日本政府のみならず、米側も協力をして検討を進めてまいりましたのですが、なかなかむずかしい。まあ、雇用契約が、契約でございますから、非常に多数の方々との間にその契約の更改ということもございましょうし、それから、他の雇用関係に関連する法制がまだ本土並みになっていないというような関係もありまして、復帰前においてはなるべく間接雇用に準ずるような考え方でやりたいということで、たしか琉政のほうにも本土の専門家も派遣をいたしまして、あるいは委員会をつくったり、そのほか前進をさせておりますけれども、なかなか復帰前はむずかしいと思います、全部が間接雇用になるというような形態になりますことは。しかし、復帰になりますれば、必ずそういたします。
 それから、解雇は基地の縮小につながらないではないかという御趣旨でございますが、これは政府といたしましても一面において、基地は安保条約の目的に沿うようなものだけを提供したい、沖繩の県民の福利のためになるようなものは提供したくないという基本線で交渉をずっと続けておる関係もございますので、結局においてはこれは基地の縮小との関連が私はあるというふうに考えてもいたしかたないのではなかろうかとも思います。これだけに再就職の問題あるいはまた解雇に至らざる前の配置転換につきましては、いまもできるだけ米側において善処と配慮をするように話し合いをいたしております。
 それから、全軍労のストの問題は、これがストとやめることとの代償というようにおとりになると困りますけれども、本土政府としても誠意を披瀝してということで、先般も退職金の本土との差額については、財政上の措置も緊急にいたしたような次第でございますので、本土政府の微意のあるところを御了察いただきたい。特に沖繩の中で県民同士がかりにも相打つというような事態だけは何とか回避していただきたいということを、強く政府としては御期待申し上げておるような次第でございます。
 それから、通貨の問題については、これは大蔵当局からお答えいただくほうがより正確かとも思いますけれども、交換いたしましたドルの処理、これは当然わがほうの保有保管の中に入ることは当然であると考えております。なお、具体的な細部にわたりましては、専門的な問題でもございますから、その当局から御説明をお聞き取りいただきたいと思います。
 それから、外人犯罪の問題については、ほんとうにこれはお互いに頭の痛い問題でございますけれども、先ほども触れましたけれども、裁判権の移管ということは、復帰協定をつくる中の一つの実質的な問題として実にこれまたややこしい問題でございまして、したがって、復帰前に裁判の態様を全面的に変えるということは、やはり他の法制等が本土並みになっていない関係もあって、なかなかむずかしいことであると考えますが、御満足はいただいておりませんことはよく承知しておりますけれども、たとえば先方の裁判の中に、沖繩県民の方々の中からオブザーバーを入れるというようなことになりましたのも一歩の前進ではなかろうか。政府といたしましては、沖繩高等弁務官に対しましても、まず犯罪を起こさないような処理方について十分関心をこの上ともに払ってもらうこと。それから、せっかくできました琉警とMPとの間の共助協定というようなものがほんとうに適確に実施されるというようなことについても、この上ともその当局の方々の理解ある御協力を願いたい、かように存じておる次第でございます。
 なお、答弁漏れがあったかもしれませんし、また、幾らでも問題があることは御指摘のとおりでございますが、機会をあらためてまた御説明することにいたしたいと思います。
#56
○喜屋武眞榮君 どうも時間超過いたしまして申しわけありませんでした。
#57
○渡辺武君 時間がありませんので端的にお聞きいたします。大臣も質問点について的確で簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。
 大臣は、安保条約に沿わない目的、任務を持った軍隊は返還後の沖繩には残さないという旨の答弁をいままで何回もなさっていらっしゃいますけれども、いまもその立場はお変わりございませんか。
#58
○国務大臣(愛知揆一君) いまもその立場に変わりはございません。ただ、これはやはりいろいろまたこまかい点にわたって御質疑もあろうかと思いますから、いずれまた機会をあらためてこまかい点について御疑念があれば御説明をいたしたいと思います。
#59
○委員長(米田正文君) 渡辺君に申し上げますが、郵政省の福守放送部長が見えておりますから。
#60
○渡辺武君 そこでお聞きしたいのですが、現在沖繩に安保条約に沿わない目的や任務を持った軍隊としてどのような部隊があるのか、幾つか例示をしていただきたいと思います。また、全体としてはどのくらいあるのか、その点もお答えいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点がまだ煮詰まっておりませんので、現在まだお答えをする階段に至っておりません。
#62
○渡辺武君 大臣がいままで、安保条約に沿わない目的、任務を持った軍隊は返還後の沖繩に残さないという趣旨の答弁をされましたのは、
 一つはリーサー米陸軍長官の発言による全太平洋地域を対象とした中央管理機構、すなわち、いわゆる兵たん中枢についてであります。これは昨年三月十八日の本委員会での質疑の中で明らかにされた点です。
 それから二つ目は、チャップマン海兵隊司令官の証言に基づく沖繩の第三海兵師団や海兵隊第一緊急派遣部隊についてであります。これは昨年九月十二日の本委員会でわが党の春日議員の質問に対する御答弁の中で言われました。
 三つ目は、第七心理作戦部隊についてであります。これも同じく九月十二日の本委員会での御答弁であります。
 それから最後に四つ目は、一昨日、十五日に衆議院外務委員会でのわが党松本善明議員への答弁の中で、第一緊急派遣部隊、それからABM、V
○A放送、それから第七心理作戦部隊SR71機、それからCSG、この六つのどれがとはおっしゃいませんでしたけれども、しかし、安保に沿わぬものは云々というふうに言われておられます。したがって、少なくともアメリカの中央兵たん管理機構、第三海兵師団、それから第一緊急派遣部隊、第七心理作戦部隊、これらについては、安保をはみ出すので返還後の沖繩には認めないと、こういうふうに外相が答弁されたと、本土の新聞にも沖繩の新聞にもそのつど報道しております。ですから、国民も沖繩県民もそのとおりに考えているわけです。そこでお聞きしますけれども、第三海兵師団あるいは海兵第一緊急派遣部隊は安保条約の目的を越えた部隊だということを大臣はお認めになっているのでしょうね、その点はいかがですか。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) これは、一番最初の御質問に私お答えいたしましたように、その種の御質問についてはこまかく御論議をいただかなければならないと私は思っております。したがって、一昨日も、松本議員がおあげになりました個々のそういうことについても個別的に私がコメントをしているわけでございません。私の簡潔に申し上げたいのは、安保条約は、いまさら申し上げるまでもございませんが、安保条約に目的としている事項はきわめて明白でございます。そして、その目的を達成するために日本が米国に施設・区域を提供してるわけでございます。そして、その施設・区域を米軍が利用することについては、非常に大きな制約がついてるわけでございます。その最も中核をなすものが事前協議でございますから、その施設・区域を利用し、あるいはそこから飛び出す場合に、これが日本が戦争に巻き込まれるというようなことになってはいけない。反面においては、日本の安全、そして日本を含む極東の安全のためにどうしても必要だという場合には、それなりの対処のしかたがございましょうけれども、要するに、戦争に巻き込まれるような危険が日本にかからないようにということを押えてかかるというのが私は趣旨であると、こう考えます。これが政府の基本的態度でございます。したがって、その基本的の態度から割り出して個々の問題について検討をすべきものである、かように考える次第でございます。それから補給というようなこと、あるいはこれはただ単に部隊の名前をあげて、これがいいとかこれが悪いとか言うべき問題ではないと思うんでありまして、現に日本の本土におきましても、補給というようなことについては、ある程度の附随的な仕事もやってる場合もございましょうけども、要するに、安保条約の目的に沿うたような日本の提供した基地において、日本の意図するような危険が生じないような制約をつけているということに一番基本の制約があり、また、それをもって十分としなければならない、私はかように考えております。
#64
○渡辺武君 大臣るる御答弁がございましたが、私の伺いたいのはそういう抽象的な原則を伺っているわけじゃないのです。そういう原則に照らして、いま伺ったような第三海兵師団あるいは海兵第一緊急派遣部隊、これらは本委員会の論議でも明らかなように、安保条約からはずれた目的や任務を持った部隊だということはすでに明らかになっている、そういうものが現に沖繩にある、それをどうなさるのかということを伺っている。具体的にお答えいただきたい。
 なお、時間の関係で、リーサーの言う全太平洋兵たん中枢、それからまた第七心理作戦部隊、こういうものを具体的にどのようになさるおつもりなのか、それを伺いたいと思うのです。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) 具体的にお答えいたしますが、何々海兵隊、何々補給隊というだけでもってこれが安保条約の目的に合致するのかしないのかということは、具体的にお答えはできない性格の問題であるということを具体的にお答え申し上げます。
#66
○渡辺武君 それは答弁にならぬですよ。そういうような立場でこの問題に接近しているということになってまいりますと、つまり、別のことばで言えば、安保条約に沿わない目的や任務を持った部隊が沖繩にいる。ところがです、いままで国民に対してですよ、新聞記事その他を通じて、そういうものは返還時にはこれはもう沖繩にいることを許さないのだというふうに思わせるような答弁をなさっておられて、実際ここにいらっしゃる新聞記者の方々はそういうふうにお受け取りになったからこそ新聞にそういうような記事を書かれたと思う。国民もまたそういうふうに考えている。抽象的な御答弁で国民に事態をあいまいにして、いかにも返還時にはそういう部隊のいることは許さぬのだというふうに思い込ませている。ところが、いま私その点を伺ったら、先ほどのような御答弁。これでは結局のところ、海兵隊司令官のチャップマンですか、彼が、沖繩の海兵隊基地は恒久基地として維持されようということをはっきりと記者会見の中で言っているんですけれども、彼の言っているとおりだというふうに理解せざるを得ないじゃないですか。その点、どうですか。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、日本の本土にも海兵隊がいて私は差しつかえないと思うのです、概念的に言えば。ただ、その活動といいますか、その性格というものが安保のワク組みの中で押えられておりますから、その限りにおいて、安保の性格をはみ出すような使命、性格、活動というものがこれは認められないということが安保の私は性格である、こう思うのでありまして、海兵隊の所属の部隊がおること自体と、あなたのおっしゃる何々海兵隊のいることが安保に沿うか沿わないかはおのずから別ではないかというのが私の考え方でございます。
#68
○渡辺武君 重大な内容の答弁をされましたが、時間がないので、論議はまた次に譲って、次の点を伺いたいと思うのです。
 VOA放送、これは松本議員も触れました。これが軍関係の施設でないことは十五日の衆議院の外務委員会で大臣御自身がお認めになった。これは国務省系の機関といわれるけれども、そうですね。
#69
○国務大臣(愛知揆一君) これはアメリカの制度としては、国務省系というお話がございましたが、文字どおりそう御理解いただいていいでしょう。系――国務省系の組織であると承知いたしております。
#70
○渡辺武君 そうしますと、安保条約第六条に照らして、これは安保条約の対象になりませんね、どうですか。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) これは施設・区域とは別問題であると思うのです。そういう意味においては安保条約の適用の対象外ではないかと思いますが、このVOAを――その次に御質問があると思うのですが――どうするのかということにつきましては、これまたいま真剣に検討を続けておる次第でございます。
#72
○渡辺武君 そうしますと、安保条約適用外のVOAがいま沖繩にある、その沖繩が返還されたときに、大臣はもういままで、安保条約及びそれに関連した取りきめは、それは何らの変更もなく返還時の沖繩に適用されるのだということを言明されていた。それと矛盾するのじゃないですか。どうなさるおつもりですか、検討するというのは。はっきり安保条約の対象外でしょう。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) これは要するに安保条約とは別個の系統の問題でございますから、安保条約をそのまま変更なしに適用するということと矛盾する問題では私はないと思うのです。しかしながら、VOAというものがどういう仕事でどういう組織でもって、返還後にどうするかということについては、そういう観点から別個に慎重に検討して結論を出すべき問題であると、こう考えております。
#74
○渡辺武君 時間がないので最後に伺いますが、そうしますと、こういうことになりますか。つまり、安保条約の対象外、第六条で施設区域の使用を認められていないものだというのは大臣いまお認めになったとおりですね。その点、重ねて確認したいと思うのですが、どうですか。
#75
○国務大臣(愛知揆一君) これは安保条約によって日本が提供する施設・区域という問題とは別個の問題ではないかと思います。
#76
○渡辺武君 的確に御答弁いただきたいと思うのですよ。もう時間もちょっと過ぎてしまいましたね。安保条約六条で、日本の施設・区域を使用することを許されているものはこれはアメリカの陸軍、空軍及び海軍だということは六条にはっきり書かれているじゃないですか。ところが、その陸軍、空軍及び海軍でもないVOAがいま沖繩にいるんですよ。それがこの沖繩の返還時にどうなるかという問題を伺っている。
 そこで、時間がないので伺いますけれども、もしそういうVOAが沖繩の返還時にそのまま存続を許されるとなると、これは電波法に基づいていかなければならぬと思うのですね。当然のことだと思うのです。ところで、その電波法には、そういう施設を日本の施政下に置くことができるようになっているか。私は、電波法第五条によればそういうものを置くことができないというふうに思います。せっかく電波監理局からおいでいただいておりますので、第五条をちょっとお読みいただきたいと思います。
#77
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとその前に。これは御指摘のとおり、安保条的第六条で、この安保条約によって提供する施設・区域は、「陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」と。これはもう御指摘のとおり明らかなんでありますから、したがって、安保条約の適用という問題とこれは別個の問題であるということを申し上げているわけでございまして、VOAというものについてその実態を十分把握いたしましてこれをどうするかということは、別個の問題として慎重に検討いたしたい。かように考えているわけでございます。
#78
○渡辺武君 電波監理局のほうにお願いしてございますので。
#79
○説明員(福守博一君) 御指摘の条項を読ませていただきます。
 第五条、これは欠格事由の条項でございますが、一項から四項までございますので長うございますが読みます。
#80
○渡辺武君 第一項ですね。
#81
○説明員(福守博一君) 一項は、「左の各号の一に該当する者には、無線局の免許を与えない。一 日本の国籍を有しない人 二 外国政府又はその代表者 三 外国の法人又は団体 四 法人又は団体であって、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの」、以上が第一項でございます
#82
○渡辺武君 いま読んでいただいたところで明らかだと思いますがね、日本の電波法によりますと、VOAのようなものは、これは欠格条項にもぴしゃり真正面から該当するのですよ。そういうものをいまどうするか検討中だと、まことにこれは奇怪きわまりないと思う。もしこういうものを本土に置かせるということになれば、電波法に特例を設けるか、あるいはまたVOAを軍の施設であるというふうに変えるか、どっちかだとしか思えない。どういうふうになさるおつもりなのか。なぜ、安保条約の適用外のものが沖繩にある、こういうものの存続は許さないというふうにはっきり言えないのですか。
 この二点について伺いたいと思う。
#83
○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約との関係はいま申しましたとおりですから繰り返す必要ないと思います。そして、いまお尋ねのような問題でございますからして政府としては慎重に検討いたしておりますと、こう申し上げておるわけでございます。
#84
○渡辺武君 最後に一言。慎重に検討するといったって、あなた安保条約外のものだ。そういうものがあるのです。なぜこれを排除するということをはっきり言明できないのか。まことにこれはもう奇怪きわまりない。そのことからすれば、安保条約及びその関連諸取りきめをこれは文字どおり適用するという政府のたびたびの言明は、まゆつばもののようにしか考えられない。そのことを申し上げて私の質問を終わります。
#85
○国務大臣(愛知揆一君) 私は先ほどから申し上げておりますことを御理解いただけないのはふしぎなんですが、この第六条に該当するものについて安保条約は何ら変更なしに適用するのですが、体系、組織からいって別個の問題ですからそれなりに慎重に検討しなければなるまいと、こう考えておるわけです。
 それから、この沖繩返還の問題については、きょうも朝から貴重な時間をおさきいただいていろいろ御質疑がありますが、具体的な内容についてはまだ申し上げるだけの階段ではございませんものですから自然お答えが抽象的になりましてたいへん恐縮に思いますけれども、いまの階段では、慎重に検討をいたしますということ以上には申し上げられませんのを御理解いただきたいと思います。
#86
○委員長(米田正文君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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