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1970/02/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号
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1970/02/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号

#1
第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号
昭和四十六年二月十九日(金曜日)
   午前十時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十九日
    辞任         補欠選任
     達田 龍彦君     森中 守義君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         米田 正文君
    理 事
                長谷川 仁君
                松井  誠君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                稲嶺 一郎君
                河口 陽一君
                大松 博文君
                塚田十一郎君
                山本 利壽君
                山本茂一郎君
                三木 忠雄君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩派遣議員団報告
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査
 (当面の沖繩問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(米田正文君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。この際、去る一月十八日から二十日までの三日間にわたり沖繩の現地事情視察のための議員派遣が行なわれましたその結果につきましては、二月九日参議院沖繩派遣議員団報告書として、議院運営委員会を通じて議長に提出をいたしました。よって本委員会におきましても報告を聴取することにいたします。
#3
○塚田十一郎君 参議院沖繩派遣議員団は、本特別委員会の山本茂一郎、河口陽一、達田龍彦、松井誠、三木忠雄、松下正寿、渡辺武の各委員と私の計八名で構成され、私が団長となって、去る一月十八日から二十日までの三日間、沖繩の現地事情視察のために参議院から派遣されたのであります。なお、本特別委員会の稲嶺一郎、喜屋武眞榮の両委員が現地参加いたしました。
 参議院の議員団の沖繩派遣は今回で四度目でありますが、今回は特に、昨年十二月のコザ事件を契機にクローズ・アップされた米軍人・軍属の犯罪とその捜査権・裁判権の問題、去る一月十三日に第一回の移送が行なわれた毒ガス撤去問題、及び、昨年暮れに米軍と地元住民との間に衝突事件の起こった国頭村の実弾射撃演習場の問題等、最近の沖繩で重要問題と化した諸点について、重点的に調査を行なうようつとめました。
 このため、屋良琉球政府行政主席、高瀬準備委員会日本政府代表、ランパート高等弁務官らと会談したほか、琉球警察本部、琉球政府高等裁判所、コザ市、国頭村等の各当局者から意見を聴取し、さらに、嘉手納空軍基地、コザ市街、毒ガス移送経路、国頭村の実弾射撃演習場等を視察し、あわせて、平安座島にあるガルフ石油会社の基地等を視察いたしました。
 これらの調査の詳細につきましては、別途「参議院沖繩派遣議員団報告書」として議長に提出済みでありますので、これを本特別委員会の会議録に掲載し、これによってごらんいただくよう委員長においてお取り計らい願いたいと存じます。
 以上、とりあえず口頭の報告といたします。
#4
○委員長(米田正文君) それでは、ただいまの塚田君の報告中にございました報告書の会議録掲載につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(米田正文君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
 これをもちまして報告の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#6
○委貴長(米田正文君) 沖繩及び北方問.題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
 ただ、一言委員長から申し上げておきたいことは、割り当ての時間をそれぞれ各位に御通知をしてありますから、時間を厳守するようにお願いを申し上げます。
#7
○稲嶺一郎君 総務長官にお伺いいたしたいと存じます。
 去る二月九日に立法院が全会一致で採択いたしました「沖繩の施政権返還協定に関する要請決議」にもあらわされておりますように、現在、沖繩県民が大きないら立ちを覚えておることは、返還協定の交渉経過も、日本政府の復帰準備の進みぐあいも、ほとんど県民に知らされていないのではないかという印象があることでございます。県民の中には、かつて対日平和条約第三条によって、県民の意思が全く問われることなく、祖国から切り離されたと同じように、再び県民不在のままに返還協定や復帰対策が一方的に進められるのではないかという不安があります。「琉球処分」ということばがときおり聞かれるのもこの不安を裏書きするものであります。政府は、これまで県民の意向を尊重することを再三言明いたしてまいりましたが、この政府の方針は、具体的にどのような方法で実現されるのか、この点について総務長官の所信をお伺いいたしたいと存じます。
#8
○国務大臣(山中貞則君) まず初めに、返還協定の問題は私はその折衝の立場ではございませんが、ただいまの稲嶺君の御意見のような沖繩県民の人々の意向を、私自身が代弁と申しますか、受けとめる形でもって、返還協定の中にそういうことが盛り込まれるように、意思が反映するような努力を政府の中でいたしておるわけでございます。さしあたり、立法院の決議にかかる五項目については、大体その方向で進んでおるものと考えるわけであります。
 第一の、施政権返還は、おそくとも一九七二年四月一日までに実現するよう努力しろということでございますが、私どもも、できれば会計年度の切りかえの四月一日か七月一日か、このいずれかが最良でありますし、結果、その選択の問題に日米両国の合意が求められると思いますが、私どもはなるべく早く本土に抱き取りたいという気持ちがございますから、四月一日を一応の目標として交渉をいたしていると考えております。
 次の第二点、「基地については、毒ガス兵器及び一切の核兵器の即時完全撤去をはじめ、平和と安全を願う県民の要求が正しく取り入れられるようにすること」、これはもう総理も明言いたしておりますように、復帰のときに毒ガスか残ることはない、核兵器も完全に撤去するんだということで、アメリカ側との間の話し合いは支障なく進んでおるわけでございますが、この意味では、この決議は返還協定についてでございますが、毒ガス兵器はその以前においてもすみやかに撤去すべき要請があるわけでありますので、核兵器も含めてなるべく早い撤去、しかも、毒ガスは焦眉の急という感触で私としては推進してまいりたいと思います。
三は、「米軍の一九四五年の占領以来施政権返還主での期間に生じた県民の有形無形の各種損失に関しては、県民の請求権を認め、日米両政府の取決めによって完全に補償すること」、これもこの方向に遊んでおるものと考えます。詳しくは外務大臣から個々には説明を聴取していただきたいと思いますが、アメリカ側に対して要求すべきものがアメリカ側に対して一掃して請求権を放棄した中に入ってしまったものについては、本土政府のほうで何らかの措置を考えるという日米両国政府同士の話し合いというものは進められておるものと考えます。
 第四点の、「米国支出金及び米国管理資産」、例として琉球電力公社、琉球水道公社、琉球開発金融公社等をあげておりますが、「を県民に無償譲渡すること」、これは、日本のほうとしては大蔵省、アメリカ側は財務省などの間にいわゆる資産引き継ぎの問題として議論をしておりますが、県民の立場からの「県民に無償譲渡」という形において結果的にそういうことに進むであろうと考えております。
 第五の、「沖繩に既に進出している外国企業については、県民経済を阻害する不当な特権の存続を認めないこと」、これについては、外資企業の扱いについてすでに私からも名言いたしておりまするように、佐藤・ニクソン会談以前の、すでに沖繩において企業活動をいたしておりましたものについては、これは雇用者その他の問題から日常生活を含めて、沖繩県民のプラスになるものはなるべくこれを認めていきたいという考えでありますし、既得権を認めるという立場に立ちます。しかしながら、佐藤・ニクソン会談以後の進出企業については、意図は別として、形式はかけ込み的なものがあるということでございますので、これは本土の外資法あるいはそれそれの業種法――たとえば石油でありますならば石油業法というものに照らし、それに従うという条件によってやっていただく。しかし、それに従わない場合においては、これは沖繩県民の方々も雇用その他において関連.需要、付加価値等をやはりプラスの面で持っておられるわけでありますから、いわゆる自由貿易地区としてその工場を指定して、保税地区と申しますか、フリー・ポイントと申しますか、企業活動は認めるが、国内に対しての営業活動は認めないということになろうかと考えます。
 以上、五点に対する私どもの立場から御意見を申し上げましたが、ほぼこの方向で返還協定の運びが進められておるものと考えておるわけでございます。
 なお、国内措置の問題についても言及されましたが、すでに第一次の協定、第一次の復帰対策要綱の閣議決定、さらに第二次の閣議決定に持ち込むべく、要綱についていま日夜作業をいたしておりますが、これ等については閣議決定前に琉球政府の当局者並に関係者と十分意見を交換をして、そごのないようにいたしながら定めてまいりたいと思います。大体三月に入りますと、閣議決定に持ち込める段階になるのではないかと思いますが、なお、それからもこぼれましたもの、むずかしい問題で作業が延びておりますもの等については、最悪の場合は第三次の復帰、要綱をつくらなければならないかもしれないと思っておりますが、なるべく第二次要綱の中に取り入れる。その際においては、県民の方々に県民不在の立法であると言われないように十分に私のほうはオープンで議論をしておりますし、それぞれの人たちとも、死活の問題としていろいろと税法から始まってたくさんの問題がありますから、十分にあけっ広げで議論をして進めてまいりたい、なるべく合意を見るまで努力をしたいと考えております。
#9
○稲嶺一郎君 ただいま総務長官のお答えを聞きますと、前向きの姿勢で沖繩県民の声を反映していきたい、また立法院で決議された五項目については、その線に沿うていかれるということをお聞きいたしました。敬意を表します。
 それから、復帰実現にあたりましては、県民の意向をぜひ尊重して、いやしくも復帰ショックや復帰不安を起こさないためには、復帰準備策定の過程におきまして、沖繩県民の声を直接に反映させることが大切じゃないかと思います。政府のこれまでの説明では、復帰のための特別措置法その他関連法律案の準備のために万全の努力を払っておるとのことではございますが、これらの法律が今後の沖繩県民の生活に大きな影響を及ぼしますことを考えますと、沖繩県民の代表を含む審議機関のようなものを設けて、復帰に際して万全を期すべきだと考えるのでございますが、総務.長官の御意見はいかがですか。
#10
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩との間に審議機関を設けるといいますと、沖繩県民が選びました主席のもとに構成される琉球政府というものの存在は一体どういう立場になるのかという問題も起こってまいりますし、琉球政府の中で県民会というものを持っておられまして、そのメンバーを見ますと、片寄らずに、大体良識のある方々がお集まりになって議論をしておられる会合のようでございますので、現地においても、選挙された立法院とのあり方についての議論が一部あったようでありますが、いまのところ、この「復帰に関する県民会議」というものが受け入れられておるようでございますが、たとえば主席や立法院議員の選挙をどうするのか、復帰の時点におけるあり方をどうするのか等については、現地の県民会議並びに、もちろん立法院等の議を経た現地の意向を尊重して、私どもはそれに従っていくという気持ちでございますので、いま一つ、本土と琉球政府との同に屋上屋と申しますか、中二階みたいなものをつくるのは、かえっていたずらに混乱させるのではないかという気がいたしまして、せっかくの御提案でございますが、その気持ちはよくわかりますけれども、そういう形式でなくても目的を達することは可能であると考えて努力をいたすつもりでございます。
#11
○稲嶺一郎君 ただいまの問題ですが、これは本土政府と琉球政府あるいは立法院関係、県民との間にまだしっくりいかない面があるように感じられるわけです。私ども沖繩に行っていろいろの方面と話をいたしましてもその点が感じられますので、そういう誤解を招かないような方法において今後この問題を処理していただくよう、ひとつ要望いたしたいと存じます。
 次に、現在沖繩で大きな問題になっておるのが毒ガス撤去の問題と軍雇用員の解雇の問題があります。毒ガスについてはすでに第一回目の移送が行なわれましたが、問題は第二回目以後の移送コースをどうするかということであります。これにつきましては琉球政府もいろいろの案を検討中でございますが、新コースを選定、整備するには、何といたしましてもアメリカ側と折衝する必要もありますし、また多額の資金も要することでございまして、琉球政府の力では十分ではないと思います。その意味におきまして、本土政府といたしましても、この問題については相当突っ込んで、アメリカとも、あるいは琉球政府とも折衝の上に問題を展開していく必要があると思いますが、長官の御意見はいかがですか。
#12
○国務大臣(山中貞則君) たいへん私も心痛いたしております問題でございますが、先般の一次撤去においても、二日間の延期の期間に幸いにして合意を得ることができて、とりあえず百五十トンの移送ができたと申しましても、あと残りの九九%、しかも、毒ガスの性質もきわめて強力な殺人兵器であるものを運び出すことについて甲論乙駁ありますことは当然のことだと思うのです。やはり沖繩の現在の立場からいえば、早く運び出せ、しかしこの道は通るなという、一見、ほことたての論理のようなものがあるわけですが、これは現地の人たちの気持ちとしては無理からぬことでございますので、私も弁務官との会談において、この点を卒直に理解するように申し伝えましたし、アメリカ側もまた理解するにやぶさかでない態度を示しております。したがって、琉球政府のほうでいま六案ぐらいの案を検討しておられるようでありますが、私も地図を前にしていろいろと御相談を主席から受けましたけれども、私自身、あるいは本土政府として、このルートを通りなさいというようなことは、それらの地域の町村、あるいは部落の人たちの御意向というものをよく聞いた上でないときめかねることでありまするし、本土政府が五万分の一の地図にルートを書き込むなんという冒険はすべきでないと思いまして、琉球政府のほうでなるべく各方面と広く相談をされ、米側はその面については技術的にも資金的にも協力するにやぶさかでない、こう言っておるのであるからまず琉球政府の中で、このルートにしたいというルートをすみやかにきめていただきたいということを現在申し上げておるわけでございます。もしルートが決定をいたし、もちろん、その決定の前提に関係の住民や地主の方々等の御了解がとられた上の決定であると思いますし、そうでなければ建設してもまさにむだになるわけでございますから、そういうルートが確定をしましたならば、米側についてもさらに具体的な問題提起をして交渉いたしたいと存じますが、仮定の問答としては、撤去に要する経費について本土政府側も、沖繩住民のいたたまれない心情の上に立って経費の半分は持とうじゃないかということをすでに政府としては態度もきめて、米側にも申し入れておるわけでございます。また米側も、最近の琉球政府の現地の各ルートの上地調査については、米側自体もそれに一緒にに案内をしたり打ち合わせたりしてやっておりますから、私とランバート高等弁務官との会談の際に、技術的にも援助したい、自分たちも協力すると言っておりましたことがそのまま裏づけされておるものと、私、すなおに受け取っておるわけでございます。アメリカの発表は、夏の暮れ――晩夏と申しますか――までには撤去できるようにジョンストン島手配は整えたということを言っております。しかし、その前提にに、ジョンストン島その作業が途中でとまったり、あるいは、予定しておるのはいまの現行ルートであるから、それが変えられたことによって遅延しないものというようなことを前提に置いて考えるならばという八月末でございますので、大体私どものほうでは、それに間に合わせるような工事というものを、最大の安全性を保持した上での突貫工事というものを、日米一体となってこの新ルートの建設というものによって、なるべく関係地域が少なくなるように、そして最終的に住民の関係者の理解がとられますようなルートの建設を急ぎたいと考えておる次第でございます。
#13
○稲嶺一郎君 政府におかれては道路修理あるいはその他の経費については半分は負担するという提案をアメリカ側になされたという話を聞いておりますが、これに対してアメリカとしては予算がないというふうなことも言っているという話を聞いておりますが、これはほんとうですか、どうなんですか。
#14
○国務大臣(山中貞則君) アメリカ側は新ルートについて協力するということを言っております。私のほうとしてはその際の建設について半分見ようじゃないかと言っております。アメリカ側については、それを半分見てもらっても、残りの半分は自分のほうの支出だからそれは困るんだという意向の表明を私は受けておりません。
#15
○稲嶺一郎君 次に全軍労の問題とコザの問題について御質問いたしたいと思います。
 軍雇用者の解雇問題及びそれに伴う全軍労のストライキ、そして昨年十二月に発生したコザ事件以後に起こった基地関係業者の収入落ち込み等に対する政府の施策及び考え方について質問をいたしたいと存じます。
 先般三千人にのぼる大量解雇の通知がありました。その撤回をめぐりまして全沖繩軍労働組合の四十八時間ストが行なわれました。まあ、全体的に見ますと、このストライキは大きな混乱もなく去る十一日、平穏無事に終了いたしたのでございますが、今回のストライキは、軍雇用者の組合と基地関係業者の対立がこれまでになく鋭く浮き彫りにされたところに大きな問題があると考えるのでございます。政府は、ややともいたしますと県民同士の衝突で流血の惨事にも発展しかねなかった今回のような事態についてどのように受けとめられておられるのか。また、流血の惨事を阻止すべく、ストを回避するためにアメリカ政府及び琉球政府とはどのような交渉を持たれたか、お伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(山中貞則君) 私としては、先月参りました際にコザ市に一泊いたしまして、基地に関係ある市町村長、議長並びに青年、婦人会、商工会議所、各般の方々のお集まりをいただきまして意見の交換をいたしました。幸いコザ市民の方々も私のコザ市の宿泊を歓迎され、そして、自分たちは長期的な展望は別として、米軍のいままでどおりの外出禁止その他のすみやかな解除と申しますか、要するに、正常な基地との関係というものに依存できるならば、いまのところ自分たちとしてはそれが最大の望みである。この間のコザ事件については、大多数の市民というものは、その結果についてアメリカ側のほうで全面的な外出禁止、あるいはゆるめても夜中の十二時までしか認めないということで、ホテル業者の八〇%以上の収人の減をはじめとして、当然のことながらAサイン関係業者等の倒産あるいは売り上げ激減、小さくはおもちゃに至るまで、理髪店等に至るまで影響が出ておるという事態を深刻に訴えておられましたが、長期的には、いずれ本土に復帰した後であっても逐次米軍の撤収というものは続くはずだ。その際において、いつまでもいままでの基地依存形態にいられることは自分たちもできないと思っているので、ぜひ長期的な展望に立って転廃業資金等について考えてもらいたいという御要請もございました。これらについては、それぞれの個人個人において、業種において差がございますので、それらの実態を把握しながら最悪の場合における転廃業等についても十分配慮をしてまいりたいと考えます。
 なお、全軍労ストは、基地依存の業者あるいは基地内に居舗を持つ業者の人々にとっては、四十八時間のストライキということは、同時に四十八時間の営業禁止ということと直結をいたしますために、非常に県民同士のトラブルを起こしやすい。利害全く相反する立場にございます。でありますから、全軍労は自分たちの生活権の問題だと言う。しかし、われわれ基地依存の形態の業種も生活権の問題である。全軍労は、何かやれば、今度は本土から六億二千万円引き出したではないか。しかし、われわれ基地依存形態の業者、基地内業者については四十八時間の損失そのもの、あるいは長期的な、先ほど申し上げました売り上げ減等について何の措置もないではないかというようなことがひどく対立的な感情としてなお残っているものと考えるわけであります。先般のストライキについては、一番問題となるコザ市に関係のある嘉手納基地の第二ゲートの閉鎖によって事なきを得たということは不掌中の幸いでございますが、これに対しては今後も、復帰を前にして、ともにいたわり合い、ともに再び合うべき県民の間に、生活権の問題とはいえ軍事基地にまつわってのそのような対立の状態というものをなるべく解きほぐして、お互いの間で対話し、あるいはともに手をとり合う、あるいは共通の自分たちのあすへの道を切り開くことについての合意を望むことはもちろんでありますか、それらについて本上政府としても十分の援助、配慮をしていきたいと考えております。
#17
○稲嶺一郎君 ただいま総務長官のお話をお伺いいたしまして、基地業者の実態についてもう十分な御理解を示しておられるのをお聞きいたしまして、たいへん心強く思っている次第でございます。このストが起きる前に、コザの市役所、それから金軍労、基地の業者、あるいは政党関係が集まりまして話をいたしましたときにも問題提起されたわけでございますが、ただいま総務長官がおっしゃったように、基地の業者としては、今度の事件で一日に十六万ドル、約六千万円もわれわれは損しておる。ところが、全軍労の場合においては政府の手厚いいろんな手当てがある。ところが、われわれの場合においては結局損は自分でひっかぶる。銀行からも借りておるし、また、沖繩の場合は頼母子講というのがありまして、これを通じてずいぶん借りている。いまのようにわれわれが毎日毎日損失を受けていく場合においては、われわれの支払い能力は全然なくなっていく。だから、これが金融関係にも影響を与えるし、また、市民生活全般にも影響を与える。コザ市は基地に対して約八〇%その生活が依存をしている。その意味からして、復帰に対してわれわれは何とかして自力をつけて日本復帰をやりたい。健康なるからだでもって、経済でもってわれわれは日本復帰をやりたい。ところが、現在のような状態が続く限りにおいては、われわれの復帰に際しては十分なる体質改善というものはできない情勢にある。これに対する対策をぜひ関係各方面にも考えてもらいたい。私どもが全軍労とどこまでも対決するということは、われわれはもういまぎりぎりのところまで来ているんだ、これ以上になった場合、おそらく倒産する者が続出するであろうということが彼らの一致した見解でございました。この点につきましては総務長官もすでにお聞きになったようでございますが、この問題について、私は琉球政府のほうも、市のほうも、政党のほうも、全軍労のほうも、みんな一体となってこの問題を考えるべきじゃないか。さもないと、私は何か不祥事件が起きてくるんじゃないか。最近の新聞報道によりますと、全駐労と一緒になってストをこれからやるんだということも新聞に載っております。ところが、全駐労の日本経済に与える影響と全軍労のストの沖繩の経済に与える影響とは全然異なってまいります。一方は一億の人口のうちの、多く見てわずか三万人、〇・〇三%しかない。沖繩の場合においてはこれが三万にすれば大体三%になる。しかも、コザ市の場合においてはその八〇%の収入が基地によっているわけであります。その意味におきまして、その受ける被害たるや、まことに重大なるものがあります。だから、全駐労がここでストをやるからそれに呼応して沖繩でもストを打つということには、私ども非常に何かしらぬがひっかかるものがあります。まあ、全駐労があるいは沖繩の経済というものを考えてやっておられるのかどうか。いまのままだと、これがたび重なる場合においては、おそらくコザの町は麻痺する状態になるのじゃないか。この点についての総務長官のお考えをお聞きいたしたいと存じます。
#18
○国務大臣(山中貞則君) ランパート高等弁務官と私との会見の際において、コザ市は平穏にしてかっ変わりのない安全な町であるということを理解してほしい。したがって、あなたの立場から、ことに婦女子等がこわがって、危険な町だということで、コザ市を離れたところに用足しに出られる、あるいはコザ市内のアパートに入っていた者もコザ市外のアパートに住みかえていくというような状況等を話をしまして、公式な通達でなくても、コザは安全であるというようなことを言ってほしいということを頼んでおきました。そのためであったかどうか知りませんが、全軍労の四十八時間ストの終結と同時に、それまで十二時までしか認めていなかった外出も全面的にこれを認めたようでございますので、さしあたりはコザの業者の方々もほっと一息ついておられる立場にございます。しかし、長期的な展望をすれば、ただいま稲嶺君の言われるような八〇%の依存度というものから考えて、やはり自分たちの生活権これがストップするわけでございますから、琉球政府において、たとえば本土において災害が起こりますと、一般の商店とか、そのような人たちの営業について、各種税等について減免をいたしております。そのような措置がとられるかどうかの御相談もされたらどうだろうかというようなこともいまいたしておるわけでございますが、直接の被害はなかなか補てんしにくい。補償という立場になじまないということでもございますし、本土政府の免許したものでもありませんし、かといって、基地がなければいまのような形態の発展はなかったという現実もございますので、せめてそれらの措置でもとれないものかというような話し合いをいまいたしておるところでございますが、長期的には、先ほど申しましたように、転業、廃業等について資金その他のあっせん指導をいたすということにあるかと思います。
#19
○稲嶺一郎君 ただいまの問題につきまして私もこの前コザ市の基地の業者の諸君と話をしたのですが、当然これは税金の減免等あるべきだと思うということで話をしてきたわけでございます。しかし、この点については、琉球政府はまだ何も手は打っていないように考えられますが、こういうふうに考えてみますと、基地業者と全軍労との立場がだいぶん違ってまいりますので、こういうふうに利害関係の対立することについては、政府が、あるいは全軍労は全軍労を対象としてだけ考える、あるいは基地業者は基地業者を対象として考えるのじゃなしに、これを総合的に考える措置というものが必要じゃないか。まあ、基地の経済の問題につきましては、たとえばアメリカでもやっているようでございますが、基地経済調整委員会というふうな組織でもつくり、これを全体的に把握しその上においてこれが対策を立てるという措置も講ずる必要があると思います。まあ、私は、基地業者の問題は非常に大きいと思いますのは、実はいまのコザ市が戦前においてはわずかに八千人、現在においては六万人。これが全琉から来ております。だから、これがもし経済的に成り立たないということになると、沖繩のいまの人口構造、経済構造、いろいろな面に影響を与えてくると存じますので、やっぱりこういったような全軍労、基地業者を含めたところの総合的な施策というものが必要だと思います。この基地経済調整委員会のようなものを設けることについての総務長官の御意見はいかがですか。
#20
○国務大臣(山中貞則君) 先ほど稲嶺君が例にあられましたように、全軍労ストが一方的に行なわれておりましたものが、今回はストについての相談と申しますが、利害相反する人々、あるいは各党の代表者の方々等で、各種の業者の方々、業界の方々がコザで懇談会を開かれた。意見はもちろん最終的に一致しなかったとはいえ、やはりこれはコンセンサスを得るための最も好ましき形態の一つであろうと考えます。本土政府のほうでこういう機構を、どのようなものになるかも問題がありますが、つくることはどうであろうかと私としては思いますし、そういうものが必要であるならば、琉球政府の立場において、そういう恒久的な機関と申しますか、いまのような不祥事を事前に話し合って対策を講じつつ避けていくというための機関が必要であるならば、琉政の段階ではなかろうか。これもやはり先ほどの御提案と同じような感触でたいへんいいことである。アイデアとしてもいいと思いますが、本土政府のもとにつくるのはむずかしいという感じがいたします。
#21
○稲嶺一郎君 この問題につきましては、まあ、私いまの総務長官のお考えのようなことも考えた次第でございますが、これについては、まだ復帰前一年有半でございますが、もっと積極的にこの問題については日本政府が取り組むような姿勢が必要じゃないかというふうに考えます。この前の全軍労のストの場合におきましても、あのストを回避する意味において六億何千万円かの措置を直ちに講じられた。その点から考えまして、私は基地業者が非常に不満を述べているのも、自分らは何らの保護もない。先ほど総務長官が言われたように、自分らから進んでやったことはやったんだが、しかし、われわれのいま受けているこの被害というものは他動的に受けているんのであって、われわれに対しては何らのこれに対する保護措置も講ぜられていないと。こういう意味から考えて、私は全軍労に対して与えられたこの御好意と同じような形において基地業者に対しても何らか対策を立てる必要があるんじゃないか。しかも、これについてはもっと前向きの姿勢で本土政府が当たっていいんじゃないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
#22
○国務大臣(山中貞則君) これはちょっと気持においては差別しておりませんが、たてまえがいますのは、全軍労の諸君は復帰いたしますと政府の雇用という形式になって、いわゆる俗にいう間接雇用という形態で、いずれにしても国が責任を米側とともに持たなければならない人たちでございます。したがって、現在とっております措置も、本来ならばアメリカ軍が本土で措置していると同じようなものを沖繩に、当然退職等の場合には支払うべきものの差額を払ってくれませんし、事実払わないのですから、その差額を埋めよう、あるいは本土のほうにおいて大量解雇が発生したと、しそうであると、したがって予算編成の際に退職金、平均五万から八万に上げた。差額の三万円を本土においても四月からの予算で組んだわけですが、これは本土全駐労に波及することは当然のことに結果としてはなるということを覚悟の上で、沖繩においてはこれを一月に繰り上げて、三千名近い人たちのせめてものはなむけと申しますか、寸志という気持ちでやったわけでありますが、予算は、これは来年度予算できまった内容を、さかのぼってことしの一月から適用するという問題は、技術的にもあるいはその支出のあり方についても非常に大きな問題でございまして、したがって、私は総理の裁断も仰がざるを得なかったというぐらいの中身を持つものであります。しかしながら、一方、たてまえ上自由に集まり自由に営業しているという、先ほどお話しのとおりの人たち、しかし、それは基地というものによって八千から六万の都市になった。そうすると、基地がなくなった場合はどうなるかという問題は、本土においても青森県の三沢等において大問題として受けとめられておりますけれども、コザ市においてはもっと大きな問題であると考えますし、狭い経済環境の中のコザ市でございますから、これらの問題は非常に深刻な問題として受け取っております。那覇空港の輸送師団が撤退したというだけで、クリーニング業者の特契しておりまする人々は倒産寸前であるということ等でもよく現実にそれが把握できますように、やはり大きな問題として私たちは考えておりますが、決してこれを国が全軍労との取り扱いに差をつけるという意味においての差はつけるつもりはございません。しかし、自分らはこうしたい、あるいは自分たちの業種はこういうふうにしたいというようなものを受ける形でありませんと、私のほうで、あなたたちは集団移住しなさい、職業を転換しなさいと申し上げるような性格のもので少しないような気がいたしまして、その意味においては、「消極的」という立場ではなくて「受動的」という立場のほうで、真心において、なすべき措置については、全軍労の解雇される方々と変わりはないという気持ちでやっていくつもりでございますから、その点はぜひ御了解を賜わりたいと思います。
#23
○稲嶺一郎君 ただいまの問題につきましてはよく御趣旨はわかりましたが、政府におかれてもぜひこの問題を前向きの姿勢においてとらえ、そうして復帰の時期においてみんなが倒産したり、あるいは貧乏になってどうにもならぬというような状態におちいらないような措置を、琉球政府と十分に打ち合わせの上に対策を立てていただきたいと存じます。
 次に、海洋博のことについてお伺いいたしますが、昨年十二月十六日の当委員会におきまして、山中長官が私の質問に対しまして、沖繩での海洋博開催をぜひ実現さしたいとの所存を明らかにされたのでございます。次年度日本政府援助といたしまして海洋博調査費四百七十二万円も計上されておりますのは山中総務長官のお考えのあらわれだと、私ども非常に喜んでおります。ところが、もし一九七五年開催となりますと、もう準備に着手すべきではないかというように考えられます。特に政府の基本方針決定等が急がれなければならないと思いますが、海洋博沖繩開催を具体的に今後どういうふうに推進していかれるか、この御方針をお伺いいたしたいと存じます。
#24
○国務大臣(山中貞則君) 沖繩側の御希望は、一九七五年には開いてほしいという御希望であることはよく承知いたしております。私たちもできればそういうふうにしたいと念願をしておりますから、ことしの予算も調査費というものにしては相当大きな金額でございます。これは一つには、現在の条約である万国博覧会条約の中で、日本の沖繩において特別博覧会としての海洋博を開くことの了解を取りつけなければなりません。日本がかってに条約に基づかない海洋博をやってもかまわぬですけれども、やはり万博の成功に見られましたように、条約のもとで大多数の国々が競って参加してもらうということに大きな意義がございますし、また、相当なきちんとしたものであって、これが残されることによって、大阪の万博のあと地とは違って、沖繩の、先ほど来議論しておりまする第三次産業の従事者の人々全体の問題としても将来の展望の中に入れていくつもりでありますが、沖繩の持つ特殊な立地条件を観光立県という一つの大きな柱にもしたい。そのときに誇るべき観光資源はやはり海である。そう考えますと、この沖繩海洋博については、将来も沖繩のために残され、そのときの施設が残ったことによって沖繩が観光立県の大きな糸口、ルートをそこに発見するというようなものにぜひしなければならぬと考えておるわけであります。すでに企業サイドにおいては、民間でも何社か、いろいろな形の総合的な商社みたいなものがいろんな青写真を書いておるようでありますが、いずれも慶良間(けらま)群島を中心に本島の残波(ざんぱ)岬も含めたそれらのレイ・アウトをいたしておるようであります。したがって、相当大規模な本島並びに慶良間あるいは慶良間の北の粟国(あぐに)、座間味(ざまみ)等まで含むような計画になると思いますが、こういうようなもので国際的な規模のもとに開きたいということでございますので、今回の予算を通産省につけましたのも、実はそのような国際的な折衝、あるいはそれに対して日本本土においても幅広い、各種業界が競って日本の海洋科学技術、あるいは海洋資源開発、あるいは海洋の未来図の設計、こういうものに参加できるように、予算として総理府の予算ではなくて通産省に計上したのも、そういう通産省側の、企業側の協力というものをやりやすくするために計上したものでございますでありますので、これは単なる調査費と申しましても、やるかやらぬかを調査するのではなくて、やることについての調査に取りかかるわけでございますから、具体的な青写真を次々と政府の責任において打ち出していくことになろうと考えますなるべく一九七五年を目標として進めてまいりたいと思います。
#25
○稲嶺一郎君 私どもはこの海洋博の開催については全県民、百万県民が熱望しておりますので、総務長官におかれましてもこれの推進に一そうの御尽力をお願いいたしたいと存じます。
 それから次に、下地島(しもじしま)の。パイロット訓練飛行場の問題でございますが、私どもはこれは沖繩経済開発の先導的役割りを果たすものだと思いまして、また離島振興のプロジェクトといたしましても下地島の。パイロット訓練飛行場の建設はぜひ実現しなければならないと思っております。今日までいろいろな問題がありましたが、先般、伊良部(いらぶ)村の村議会では全会一致で誘致を決議いたしております。しかし、いま根強い反対運動もあります。その一つは、訓練飛行場が軍事基地として使われるのじゃないかというふうにあるいは考えられる方々もおられるし、また、そういう宣伝をされる方々もおられる。これに対して村民の皆さんが非常な危惧の念を抱いておる。私自身としてはこれは軍事基地として使われるということは絶対にないという確信を持っておりますが、総務長官のほうから直接にはっきりと、これが軍事基地としては使われないということを言明していただきたい、そのように思います。
#26
○国務大臣(山中貞則君) これは沖繩のあの小さな――そういう言い方は失礼かもしれませんが全国的な規模で見れば小さな島にしては軍事的な飛行場が多過ぎるわけです。ですから、わざわざ下地島の。パイロット訓練飛行場を完成したあと軍事目的に転用するということは全くあり得ないことでありますし、第一、県営でやるわけですから、県営の軍事飛行場というのは考えられないことでありますし、国営にするつもりもなければ、これを軍用に転用する可能性も見込みも考えも全くない。その意味において下地島あるいは宮古群島全体の人たちの御了解と申しますか、そういう御懸念は払拭していただきたいと考えます。
#27
○委員長(米田正文君) 時間ですから、最後にひとつまとめてください。
#28
○稲嶺一郎君 時間が参りましたので、ただ最後に一点だけ御質問申し上げ床して終わりたいと存じます。
 それは身体障害者施設についてでございます。現在沖繩には九千二十五人のおとなの身体障害者と約二千五百人の肢体不自由児がおります。そのうち施設入所者はわずかに三百人余りにすぎません。児童福祉法による十八歳未満の児童は沖繩整肢療護園に入園して治療と教育を受けることにななっているわけでございますが、その施設の収容能力が乏しいため、ほとんどが在宅治療を余儀なくされている実情であります。また、リハビリテーション医学によって身体障害者に光明を与えることが可能でありますが、沖繩におきましてはおとなに対する医学的リハビリテーションの施設は皆無のような状態であります。このように恵まれない沖繩の身体障害者のために、整肢療護園の拡充とおとなのリハビリテーション医学センターを早急に設置すべきではないかと思います。来年度予算においてはこれら施設関係予算が含まれていないことはまことに残念でございます。このかわいそうな人たちに一日も早くあたたかい手を差し伸べるためには、何とか予備費等の支出によってでも施設の早急な設置を強く要望いたしたいのでございます。私が沖繩身体障害者団体連合会会長の立場におりまして、日々いろいろ話を聞いておりまして、まことに気の毒な状態だと思いまして、ひとつ総務長官に要望する次第でございますが、総務長官の御所見を承ることができれば幸いだと存じます。
 これでもって私の質問は終わります。
#29
○国務大臣(山中貞則君) 来年度予算においては新しく西原村に身体障害者総合授産場をつくることにいたしております。これに対して本土側の対策費で出しますものが二千八百万円、新設として組んでございます。さらに、いままでございました宮城原の更生センターの約五十人収容増ということを考えまして一千八百万円組んであるわけでございますが、いままでございます首里の政府立沖繩身障者、更生指導所等、ただいま申し上げましたようなものを総合的に考えてまいりたいと思いまするし、さらに沖繩のろう学校の中に聴覚障害児福祉センターというものが先般南援のルートを通じて完成をいたしました。これもやはり、限定されてはおりますが、貢献するものと存じます。なお、風疹児等についてもそれぞれの風疹児に対応できる義務教育施設の予算を完全に今回組み込んでございますので、そういう身体障害者の方々の社会福祉あるいは学校教育という問題にはより一そう、社会から取りこぼされるおそれのある人たちでございますから、そういう人たちに見落としのないように、手落ちのないように重点的に政策を進めてまいる決意でございます。
#30
○松井誠君 私は、一昨日長官がこの席で表明された所信について基本的な点を一、二お伺いをしたいと思います。ただその前に、緊急の問題が一つ出ましたものですから、そのことをまずお尋ねを、というよりもむしろお願いをしたいと思います。
 それは渡航制限の問題であります。今月の二十三、二十四、二十五と、この三日間に沖繩で「新しい沖繩をつくる国民大会」というものが開かれるのであります。これは本土から約三百名向こうへ行くという予定で計画がされたわけでございます。こういう形で本土と沖繩があらゆるいろいろな意味での断絶をなくして復帰ができるだけスムーズに行くようにという、そういうことも考えて計画をされた大会であります。この約三百名の渡航申請について現地のほうのアメリカ軍でいまだに結論を出さない、あるいはすでにノーという返事が来た、そういう数が相当あるわけでございます。その中には、すでにノーと言われた人の中には、この大会の事務局を預かるそういう人も入っている。知ってか知らずか、そういう者も含まれているわけであります。現に鹿児島では渡航を待ってこのためにずいぶん時間を空費をしておるという緊急の事態。そこで、日本の政府としては何のチェックもなしに取り次いでおるそうでありますが、結果としてはこういう現実がまだある。そういう最近の実態を長官御存じかどうか、まずその点からお聞きをしておきたい。
#31
○国務大臣(山中貞則君) あなたの党の川崎寛治君がおととい来られまして、そうして詳細に承りました。残された人たちについては、拒否が来ております者はこれはもう元に戻しようがございませんのでやむを得ず了解を願うことにいたしましたが、残った者は、私のほうからランパート高等弁務官のほうに直接連絡をさせまして、残りの方方について配慮をしてもらいたいという要請もいたしました。その結果、大体二百八十一件許可が参りまして、残り三件ございますが、これは書類が――書類というのは、本人の出しました書類が若干不備であるというだけのための保留分のようでございます。
 そういうことでおおむねいままでの実績に比べますと、今回は非常に――率で比較するわけではありませんか――拒否された件数は少なかったというふうに思うんです。しかしながら、拒否が一件でもあるということ、そのことが問題でございますので、私のほうとしてはやはりこれは一方交通では困ると、われわれのほうはノン・ストップでやっているのに向こうは公安局のチェックとはいえ、日本政府のリストと申しますか、自由に行ってよろしいというものをチェックしている、このことを改めてもらいたいということは、もうたび重なるぐらい申し入れているわけでありますがやはりアメリカの内部にもいろいろな事情があるようでございまして、高等弁務官の一存でも参らないというような感じがいたしております。でありますので、われわれとしては復帰はもう予定の事実であり、しかも、残された期間もわずかなのであるから、こういうようなつまらないことで日米同の友好というものにひびを入れていくというようなことはやめたらどうか。しかも、復帰したその瞬間においてアメリカはその権利を幾らがんばっても失うことは必至なんですから、しがみついても、長くてあと一年数カ月、そういうむだなことはやめたらどうかということは申しておりますけれども、なかなか私と直接チェックをする担当者と会うというような機会もございませんし、最高責任者と話をする程度しかございませんので、私としては、今後もそういうことが一方交通でないことが日米友好のために必要なんだという認識をアメリカ側も持ってもらい、一人も、一件も拒否されないという事態をつくるためになお努力を重ねてまいりたいと思います。
#32
○松井誠君 まあ、そういう、山中長官の姿勢でぜひやっていただきたいと思いますが、いまちょっとお話しになりましたアメリカの内部事情というものもあるらしい。どういう事情があるか私はつまびらかにいたしませんけれども、しかし、その事情が日本政府として了承し得ないものであるとすれば、その事情そのものについてもひとつ文句を言って、いまのようなあなたのそういう姿勢を貫いていく、そういうこともひとつ格段の努力をしていただきたい。
 それからいま、ノーという返事があった、拒否をされた者については復活しようがないという話でございましたけれども、何せ日時が制限をされておりますから、時間的に間に合うかどうかは別として、再申請をするという形で事実上復活という方法があり得ないものかどうか、この点はどうですか。
#33
○国務大臣(山中貞則君) 川崎君が私のところに来られる前に拒否されてすでに通知を受けておる人々について申し上げたわけでありまして、まだ決定してない人については、私のほうで、善処を配慮するようにという要請をしたわけです。その結果は、大体私の立場から見ても配慮をしたらしいということはわかった。実績としては大体わかると思うのですけれど、今後もそういう姿勢でいきますが、一ぺんこれが現地の入域許可という立場で拒否をいたしました者、その同一人を再申請を出してみても、いままでも実績が大体むだであったということが大部分でありますし、それはもう再申請をしてもらってもけっこうなんでありますが、要は、根本問題としてそういうような事態の起こらないこと、米側がそういう入域のチェックの姿勢をいつまでも保持し続けて何の価値があるのかというようなことを自覚してもらいたい、こういうとこでいまつとめておるところでございます。
#34
○松井誠君 今度具体的に拒否をされた人の顔ぶれなんかを見ますというと、何かやはり政治的な意図があるのじゃないかという疑いを持たざるを得ない。まあ、非常に善意に考えても、実に子供っぽいいやがらせにしか見えない。ですから、どういう形式をとるかわかりませんけれども、かりに再申請をした場合に、長官のほうからそういう側面的なひとつ御支援といいますか、推進といいますか、そういうものをお願いしておきたい。
#35
○国務大臣(山中貞則君) これは、同じ目的であって申請をして許可がおりなかった、不許可になった者についてはなかなかむずかしゅうございます。しかし、アメリカ側がどういう基準でこれをチェックしているのか私もわからない点がありまして、同じ人がまた次の機会に別な会合とか何かで渡航したりしますと許可されたり、あるいは、前には許可されていた者がその次の会合では許可されなかったり、どうも基準がはっきりいたしません。そこらのところを事務局に、向こう側の基準を明らかにできないかと申しますが、どうしてもこれはあかずのとびらであるということで、政治的な配慮なのか、あるいは政治的な立場からのチェックなのか、よく判然としないという点があることはまことに遺憾に私も思います。
#36
○松井誠君 何せこの大会が事務的に進行できるかどうかという、そういう問題をはらんでいるだけに、しかたがないでは済まされない問題をかかえております。そういうことで、ぜひひとつ長官ができることの御努力はやはりお願いをしておきたい。
 そこで私がきょうお尋ねをしたいのは、一昨日所信表明の中で、ひとつ、長期的な沖繩の開発計画、そういうものを策定をする必要がある。目下その準備を進めておる。このことに関連をしてお伺いしたいと思います。
 これは一応この日本政府がつくっておる新全総のいわば沖繩についての開発というのは一部になるのか、そういう問題と、それから、琉球政府自身が御存じのとおり長期構想というものを出しておる、それとの関係はどうなるのか。そういう、策定する計画の基本的な性格ですね。そこからまずお伺いします。
#37
○国務大臣(山中貞則君) 大体政府内で意見を交換しておりますが、沖繩が返ってまいりますことを前提にして、沖繩の経済復興と申しますか、そういう計画を立て京する際には新全総の大体書き直しという感じになるだろうと思います。ただ、返ってくることによって沖繩を新全総のどこかに書き込むというだけでない、沖繩が日本列島に与える経済的な付加価値の大きさというものに着目をした新しい発想の転換というものが新全総に必要であろう。これはもう社会経済発展計画についても同じことが言えると思うのですが、そういう意味において経企庁その他とも話をいたしておりますし、私どものほうの作業もそういう大局的な国家的な見地に立って国の経済計画の書き直しも必要とするような未来の青写真をつくり上げたいと思っております。その際に、琉球政府が今年度を初年度として計画されております経済の具体的な年次計画については、初年度がすでにもう今年度ということになっておりますので、なかなかそれをそのまま取り入れることは困難であるということは琉球政府側も了解をしておられますが、その琉球政府側においてつくられた経済開発計画について、新しく私たちで計画をつくります場合には、その意向と方向とを十分に取り入れられるようにしたい、反映をさせたいと考えております。
#38
○松井誠君 本土の場合には新全総ができる。いわばそれを土台にして各県の開発計画というものができる。それは形式的には各県の自主性において行なわれる形になる。しかしながら、沖繩の場合にはそういう形式ではなくて、総理府あるいは政府が新全総の一環としての沖繩の振興開発計画というものをつくるという形式になりますと、いままでの各県の開発計画の立案をする主体という形からいえば明らかに異例でありますけれども、やはりあえてそういう方法をとるという明確な意識でやられるわけですか。
#39
○国務大臣(山中貞則君) これは復帰前にやはりアウトラインというものはきめなければなりませんのでそういう形式をとりますが、これは琉球政府のお考えというものを十分に相談をしながら取り入れていくべきでありますし、また本土政府のほうとしても、沖繩が返ってきたからということを新全総の中で書き加えるだけのものでない、それだけの価値のある内容のものを持っておると思いますので、そういう意味で遺漏のないようにしていきたいと思います。
#40
○松井誠君 沖繩の開発というのは、そういうふうな歴史的な沿革からいっても、現状からいっても、やはり特殊な特別な取り扱いをしなければならぬというそういう重みは確かに持っておる。そういう意味で、新全総のワクを破るなりあるいは書きかえざるを得ないような形で計画を立てられる。そのこと自体は私は基本的には賛成です。
 ただ、どういう視点で、どういう姿勢でそういう開発計画をつくるかということももとより問題ですけれども、それよりももっと前に問題なのは、この計画を具体的に実行する主体はどこになるのか、それに応じて、その開発計画を立てるその主体も一体どこであるべきなのかということがやはり基本的に大事だと思う。いままでの新全総計画に基づく各県の開発計画というものは、形の上では各県がやっておりますけれども、事実は経済企画庁のいわば一種の統制のもとにやっているような形になっておる。今度この沖繩の開発というものはどういういわば主体がやるのかということについて、たとえば開発庁という議論もありますし、あるいは、沖繩というものを何か特別な自治体にしてそこに開発の主体性を持たせるという考え方もあると思うのです。いろいろありますけれども、私はやはり基本的にはこの沖繩政府が実質的なリーダーシップをとるのじゃなくて、沖繩の人たちが実質的なリーダーシップをとる、形式的な問題は別として。そういう心がまえというものが必要ではないかと思いますけれども、いかがですか。
#41
○国務大臣(山中貞則君) 私も同感であります。内輪のことを申し上げてどうかと思いますが、自民党のほうでは沖繩の開発公団みたいなものをつくりたいというような意向もありましたが、やはりこれは公団的なことでやりますと、開発事業団――事業団みたいなものでやりますと、どうしても事業主体が、事業団と申せばこれは政府の機関になりますので、沖繩政府というものを――復帰後は県になりますが――それを通り越してやるような形になると私は思いましたので、私どものほうの計画の中で、それは私としてははっきりと利用しないということを言っておるのは、そこらを配慮をしておるからでございます。
 復帰いたしました後の本土政府の行政機構がどのようにあるべきか、これは私、腹案を持っております。やはり最終的には総理と話を詰めた後に外に出すべきものであろうと考えますが、できれば第二次の復帰要綱の中に、復帰後の本土政府の沖繩対策の窓口はどのような役所にするかという問題は盛り込んでいかなければいけないだろうと考えております。そのような窓口と申しますか、沖繩のたとえば開発庁というようなものがかりにできたといたしましても、その具体的な計画の中身あるいは開発の具体的な執行をしていくのはやはり沖繩県民であり、沖繩県民に選ばれた沖繩の県というものの責任者、行政あるいは立法当局の手にゆだねるべきであろう。本土政府はそれに対して強力な援助をするということにならなければならないだろうと考えております。
#42
○松井誠君 まだ問題が具体的に煮詰まっておりませんから、いまのうちに申し上げておきたいことは、やはりいま言ったように、開発の主体がどこにあるかということと、計画を立てる者がだれかということとは実質的にはやはり一体でなければならないという、そういう立場であらかじめ計画を立てるようにお願いをしたい。
 そこで、具体的な計画を立てる場合の基本的な姿勢なんですけれども、沖繩は非常にたくさんの問題をかかえておりますし、歴史的な沿革からいっても非常に特異なものがあるだけに、日本の各県の開発計画とは相当違った姿勢をとらなければならぬことは言うまでもないと思いますが、やはり一番大きな問題は、一つは基地経済をどのようにこの開発計画の中に入れるのか入れないのか。その問題が一つ。
 もう一つは、日本本土における外資導入とは相当違った形で現に外資が入ってきておる。それをどうするかという問題。
 この二つは、本土の場合にはそういう問題が全然ないわけではありませんけれども、沖繩の場合には非常に大きな、圧倒的な比重を占めている。だから、これに対してどういう姿勢をとるかということが開発の内容をどうするかということに直接つながる。
 時間があまりありませんから簡単に申し上げたいと思うのでありますけれども、この基地経済が一体将来どうなるか。基地が一体将来どうなるか。そういうことを抜きにして開発の計画は立てられない。いま稲嶺委員からも基地経済の苦悩のようなものがお話がありました。私とは立場が違いますけれども、やはり基地経済の重みというものを現にしょっている、そのことはよくわかります。琉球政府がつくった開発計画では、一応将来は基地はなくなるだろうということを想定はしておりますけれども、しかし、その解放された基地といいますか、返還された基地、それが具体的にどういう形で開発計画の中に繰り入れられるのかということについては何にも触れていない。ですから、この計画を立てるときに、基地の実体、基地の将来というものに対してどういう姿勢をとってやろうとされるのか、その点をまずお聞きをしたいと思います。
#43
○国務大臣(山中貞則君) これは復帰の際の返還協定においても基地のあり方、方向、引き継ぎのしかた等についていろいろと議論が出ることでありましょうが、長期的には、琉球政府の言う基地経済の依存度がほとんどゼロに近いのだというのを一つの理想としてわれわれはとうとばなければなりません。何となれば、戦前の沖繩はそのような状態の沖繩県であったわけでありますから、そういうことを目ざさなければならぬと思いますが、しかしながら、大前提は、沖繩がもし本土各県と同じ状態で歩んできたならば、やはり沖繩はおそらく大きな過疎県として人口が流出し尽くしていたのではないだろうか、そういうことを考えますと、沖繩の戦前の五十数万の人口が、戦争によってそのうち十数万が巻き込まれてなくなったということを差し引いて考えますと、いま現在の九十五万足らずというものはたいへんな膨張であると考えますが、この概略百万の県民の人々がやはり沖繩に定着しながら流出、過疎等の状態にならないように考えていかなければならないと考えております。そうすると、そこに大きな問題として提起されるのは、基地に依存して今日の繁栄――と言えば失礼かもしれませんが、生活が成り立っているその基地の方向はといえば、それはなるべく土地の人たち、県民の人たちの平和利用に適する基地、アメリカ側が手放してもらってもいいのではないかという基地は、強力な折衝をもってなるべく早目に逐次返還してもらうという姿勢を私どもは取り続けて、それを繰り返していかなければなりません。現に来年度予算でも、現在は米軍の所有でありまして、現実にはミサイルの撤去によって管理人がただ一人いるだけの渡嘉敷島の四十万坪については、幸い国有地であったことも伴いまして、来年度予算に「国立青年の家」の実施設計予算を組みまして、アメリカ側もこれについては、非常にいいアイデアである、しかし、その取りきめはやはり国と国との間でしてほしいということを言っておりますが、少しずつ私たちとしてはその姿勢に取り組んでいかなければならない基本的な問題でございます。そこで、そのような姿勢で進めていけば、少くとも琉球政府の展望しているような短時限においては基地依存経済がゼロにならなかったとしても、その方向に進んでいくことは間違いはありませんし、かりに日本の自衛隊がどの程度肩がわりしますかといったところで、日本の予算の中での自衛隊というものは、那覇空港に依存しておりました米軍のクリーニング業者のことを先ほどちょっとお話しいたしましたが、せめて自衛隊が来るというので、自衛隊ならばどの程度自分たちが肩がわりしてもらえるのかということで、鹿児島に上陸して熊本から調べてきて東京にたどりついて全くがっかりした。アメリカに比べたら日本の自衛隊なんかお話にならない。自分で洗たくするわけですから、われわれの昔の軍隊時代と同じように。アメリカはもう全部まとめてランドリーに出しちゃいますし、そういうことで、自衛隊の一年分がかりに那覇空港で発注されても、それは現在のアメリカ軍の一カ月分にも及ばないということがわかってがっかりしたということを言っておられましたけれども、要するに、基地経済について自衛隊等が肩がわりしてみたところで基地経済の貢献する部面はごくわずかであるということを考えますと、やはり沖繩にどうしてもいま三次産業が七〇%、一次産業が二〇%、残りの二次産業のごくわずかの分野しかないものに重点的にしかも場合によってはフリーゾーン等の外資もかかえ込みながら、沖繩の経済のために最も必要なものは二次産業の振興であろうかと思います。さらに、先ほども海洋博の点で申しましたように、三次産業の形態の中で、ちょっと質が違うとしても、そのまま三次産業として繁栄できる沖繩の立地条件のレイアウトができますならば、これはまた非常に好ましいことであり止すので、平和的な三次産業の基本的な計画を立てるということも大きな柱になろうかと考えているわけでございます。
#44
○松井誠君 それらの開発のいろんなそういう問題の前に、いま申し上げたような基地経済からの脱却というのをどの程度入れるのか入れないのかということをもう少し実は大臣にお聞きをしたかった。たとえば本島を縦断をしている那覇青一線――軍用道路ですね――ああいうものを開発計画の中に組み込むことができるかどうか。ある人の話によりますと、現にアメリカが使っておる住宅全部を返してもらえば、沖繩には住宅問題はかいとさえいわれる。そういう意味で基地経済をどう扱うかということが実は開発計画の中における社会資本の比重が一体どれだけかということと直接結びつく。われわれとしても一種の矛盾を感じないわけにはいかない。全面撤去というものを要求する。そういう意味では、全面撤去というものを前提にした開発計画というものを当然つくらなきゃならない。しかし、それは、すぐにはそれが実現しないという意味で現実的でないという非難もあろう。しかし、われわれはやはり全面撤去という運動に水をかけるような開発計画というものをつくるわけにはいかない。運動の中にその計画そのものを巻き込むようなといいますか、そういう形でやらざるを得ぬと思いますけれども、しかし、政府の場合にはそれとは違う。少なくともその沖繩の開発計画の中でどうしてもこれだけは先ほどもちょっと長官からお話がありましたけれども、これなくしては振興計画が成り立たないと言われるようなものについては、やはり思い切ってそういうものは返ってくるという前提でむしろ開発計画を立てるくらいな、そういう、いわば異例さというものがなければいけないんじゃないか、そういうことを先ほどの長官のお話を聞いておりまして、そういういわばニュアンスを受けたんですけれども、そのように受け取ってよろしゅうございますか。
#45
○国務大臣(山中貞則君) おおむねそういう感触でございます。たとえば那覇市は本土に比べて都市計画の最も立ちおくれた市であろうと思いますその都市計画をこれからやっていくのに一番大きな隘路は、いわゆる米軍の基地の関係施設が膨大な面積を占めておる。あるいは那覇軍港というものが南岸を占領してしまっておる。あるいは地先の海面が軍用地先としてなかなか簡単に埋め立てられない。いろんなことがあろうと思います。そういうような問題は、たとえば那覇市内の広大な米軍住宅というものは、場合によっては日本側のほうで沖繩の経済開発に支障のない場所に移しかえる施設を提供してでも、これは返してもらって、そうして那覇の都市計画を思い切って立て直す糸口にしてもらいたいというようなことも考えておりますし、具体的には松井委員の言われるような方向に一体となって進めていかなければならぬと考えます。
#46
○松井誠君 もう時間が来ましたので、外資企業の問題についてはこの次にひとつお尋ねをいたしたいと思います。
 最後に一点だけお尋ねをしたい。それは政府がいろいろ計画をこれから立てようとする。あるいは琉球政府が立てる。そういうときに、その計画に虫食いがすでに現実にできておる。私はこの間、参議院のこの議員派遣という形で沖繩に参りました。あの平安座(へんざ)島ですか、あそこのところにガルフという石油会社ができている。あの辺の一千万坪といいましたかな、あの村の計画では、そういう大規模な埋め立て計画を立てておるそれは県の長期計画と一体どういう関係があるのかと聞けば、ない。そういう大きな埋め立て計画そのものが直接その県の計画の中には組み入れられていない。長官もお読みになっているかどうか知りませんけれども、ちょうど二、三日前の新聞に、三菱開発というものが平安座島ともう一つ宮城(みやぐすく)という島の間を埋め立てをして、そこに石油コンビナートをつくりたい、そういう計画を立てている。そして石油コンビナートは日本の本土ではきらわれるが、沖繩はまだいいのだろうということでそういう計画を具体化しつつあるというニュースがある。大事な公害問題をかかえておるわけですが、日本の公害を沖繩に移出をするような、そういう計画がもうすでに先行しておったのでは話にならぬ。そういう問題について具体的にチェックをするような、少なくとも全島的な開発計画というものの中に組み込まれるような形でしか認めないぞという、そういう具体的なチェックの方法というものを考えるわけにはいきませんか。
#47
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府の埋め立て計画の中には中城湾と金武(きん)湾とが実は入っておるわけです。したがって、宮城島と平安座島との間の埋め立ての問題は別といたしまして、これも私のほうとしては、工業用水等の関係も、公害等の関係も、中南部は人口密集地域でもあり、したがって、来年の調査費は工業立地調査と申しますか、埋め立て調査等については大浦湾を中心に考えておるわけでありますが、琉政の計画は中城湾と金武湾にあるわけでございます。その際、たとえば現実にいまガルフとの間において海中道路というものを計画をしておられます、私もトラックで引き潮のときに走ってみたのですが、なるほど道路をつくるのは簡単だと思うのですが、しかし、その道路で遮蔽された金武湾の中の公害の問題あるいは水産動植物と漁業者の問題等を考えますと、よほど、これが金武湾の海流やその他に影響を与えないように、橋の部分とか、あるいは暗渠の部分というのは相当計画されませんと、せきとめるような計画であっては困るということを琉政のほうに話をしておるわけでありますが、ただいまの三菱関係のCTS基地の進出の問題は私も新聞で見ましたが、これは私の手元ではまだ全然聞いておりません。進出にあたっては、CTSだけであっても、当然油の流出とか不測の火災とかということをよく考えていかなければいけませんし、平安座島の住民の人たちも、自分たちの村の収入が豊かになることと島に巨大な火薬庫になりかねないものをかかえておることの矛盾というものを訴えておられたわけでありますが、十分に進出企業はそれらについて配慮をしていかなけれがならぬと思います。ましてや、精製となりますと、それは当然今度は大気汚染というものを引き起こしてまいりますので、これらについては当然無条件進出とか、本土企業が沖繩に行くならば全部賛成だという態度を私たちはとっておりませんので、それらに対する対策が十分に行なわれ、そして本土のきびしい公害防止の規制の網の目をのがれて、沖繩に行って、向こうで公害を出すような不心得なものでないということが確認されて、しかも、沖繩がそれに対してあらゆる意味において歓迎をする内容の構想でなければ、われわれとしてはこれを認めないというつもりでおるわけでございます。
#48
○渋谷邦彦君 すでに昨年「復帰対策要綱」の第一次案が提出されておりますが、第二次案はいつごろ完了の予定でございますか。
#49
○国務大臣(山中貞則君) 作業は事務的に大体今月一ぱいに終わらせまして、三月の初めごろにおいて閣議決定に持ち込みたい。そのためには、先ほどもちょっと触れましたが、三次ということに、他の残るものがあり得るということも考えます。たとえば。パイナップルであるとか、サトウキビという沖繩の基幹産業、これはしかし本土に返りました場合にいろいろな問題があります。原材料の、いわゆる生産者の価格保障というものが、キビは大体だいじょうぶですが、パインについては現在行なわれているものが、本土に返ったならば、根拠法がない、どうするか、あるいは共済の対象にしてくれという問題があるか、これをどうするか、あるいは黒糖というのは現在の本土法では買い入れ対象にも、ましてや価格安定の対象にもなっていないが、沖繩の場合は、離島において黒糖しか操業できない島がある。分みつ糖ができない島がある。そたらは法律の適用がないからといって放置できるであろうかという問題等はなかなかむずかしゅうございまして、できれば二次に盛り込みたいと思いますが、話が詰まらない場合は、重大な問題でありますので、三次分にずれ込んでも明らかにして、そして国会に出しまする際にそれらの関係法をきちんと整理して、場合によっては、本土法そのものを沖繩のために変えるというようなことも必要であろうかと考えておるわけでございます。
#50
○渋谷邦彦君 いずれにいたしましても、第三次分まで発表される。そういう作業がこれから進められるかどうか。いまの御答弁でよくわかりますが、沖繩県民としては、もうあと一年余というきわめて限られたその範囲内で一切のことを整理していかなければならないし、またそれに対する対応策というものも、県民自身の手によって考えていかなければならないということが残されているわけであります。したがいまして、拙速をとうとぶというわけではありませんけれども、できるだけ早い機会に、そうした点についての政府としてのまず考え方を明らかにしていただきたいということを御要望申し上げたいと思うわけであります 次に、最近おそらく長官のところにも陳情が行っているだろうと私は思うのでありますけれども、いまも同僚議員の方々から質疑が行なわれておりましたけれども、地場産業について地元の方方がまだ相当不安というものがぬぐい切れない。特に課税の問題についてなお一そう、そうした深刻なものをかかえているというふうにわれわれは承知しておるわけでございますけれども、おそらくこうした問題は具体的にこうするぞという一つの基本的な方向を示してあげませんと、あるいは倒産するかもしれない。一体われわれはどうなるのだろうという、最後の最後までそういう不安感というものを地元の方々に持たせるということはきわめてまずいのじゃないか。これはまあ「復帰対策要綱」と裏表になる問題であろうかと思いますけれども、できることなれば、そうした特段の問題については、何とか早くその方向というものだけでも安心できる政治的な配慮を示していただけないものだろうか。これはいかがでございましようか。
#51
○国務大臣(山中貞則君) 二次要綱では、ほとんどそういう県民の方々の、まだそこのところがはっきりしてないではないかという点を網羅することができると思います。ただ、税制などの点もほとんどそれは入ると思いますが、税制をそのまま適用した場合に、たとえば現地で施政権下の切り離された環境においてのみしか考えられない産業、たとえばビールとかセメントとか製粉とかいうようなものは、なかなか税制上の措置もむずかしゅうございまして、甲論乙駁いろいろの知恵を持ち寄ってやっておるわけでありますが、そういうような問題等も含めまして、日常の生活必需品に至るまで、日本本土の税制と現地と違うことがどのように影響するかをしさいに検討し、こまかい対比表でもってやっておるわけであります。要望もいろいろと中には矛盾もありまして、キビ作農家を保護するためにある糖価安定法、あるいは関税、消費税、そういうようなもので沖繩が復帰すると砂糖が高くなる。砂糖は安くなめさせる、しかし、キビはうんと保護しろと、キビの保護のために日本国民は高い砂糖をなめさせられるんだという因果関係があることは承知の上で御要望がございます。これらの点を割り切るのにはなかなか心情的にはわかるものの、制度の上でそれをやれるかどうかたいへんむずかしい問題がございますし、中には本土に復帰しますと、砂糖に例をとれば、直消分も全量買い上げになるので、いまよりも前進なんですけれども、しかし、加工業者、パインとかお菓子の業者の人々は、いままでどおり安い原料糖を輸入させてくれとか、いろんな矛盾の中に入るような要望がございますから、それらを逐一整理しながら、沖繩の人々が復帰を間近に控えて自分はどうなるんだろう、私の職業は、春分たちの団体はというような問題がことごとく明確になるように作業を急いでおるわけでございます。要綱は要綱でございますから、その点、一定期間とか、あるいは特別の配慮をするとかという表現では、それではなお不安だということは、一次要綱の決定のあとにも御意見がございますので、それは次の沖網臨時国会に出しまする際に全部法律化して、復帰前にこのような法律にしたということで明らかにしたい。その間において、関係の団体とか業界とかあるいは政府等については、何も隠す必要のないことでありますから、こういう内容の作業をいたしております、法制化は八月一ぱいかかりますということで、包み隠しなく相談をしてまいるつもりでございます。
#52
○渋谷邦彦君 政府としても特段の沖繩復帰の混乱を起こさないという決意のほどがうかがえるわけでありますが、先ほど御答弁にもありましたように、ものによっては本土法を変えてまでも沖繩県民の不安を解消したいといま述べられました。第二次復帰要綱等をこれから私どもが見せていただければさらに明確になるだろうと思うのでありますが、くどいようでありますが、重ねて、いま現在政府が検討されいろいろ苦心をされて配慮されている第二次あるいは第三次にまたがる要綱を通じまして、いま私が申し述べましたような復帰ショックというようないろいろ問題がありますが、全く解消されると、こう断定してよろしゅうございましょうか。
#53
○国務大臣(山中貞則君) その復帰ショック、不安というものを解消しなければならぬと思っております。場合によっては、たとえば金地金を自由に無税で入れさしてくれという要望もございますが、いま日本は、本土は金の密輸王国といわれておりまして、絶えずばれることを半分覚悟の上でチョッキに縫い込み、羽田税関でつかまるのを見るのですけれども、沖繩だけ金をいままでどおり自由にするということになりますと、夜間ひそかに地金に形を変えたものにして奄美本島の大島のすぐ目と鼻の先の与論島に持ち渡っていくことも簡単にできるわけでございますから、金地金の無条件の無関税自由輸入ということは非常に困難ですということは事前にお知らせもしておりますし、これら業界の人たちにしばしば、金というものはやはり数少ない本土の物統令の対象でもあるし、国家管理のものでもある、それに従った場合にはどうなるかという作業をしてみてくださいということで、納得ずくで、できないものはできない、隠さないで作業をしておるわけでございます。
#54
○渋谷邦彦君 少し論点を変えて、いま心配になっている問題をひとつ取り上げてみたいと思いますが、前にも私その点で長官の方針をお尋ねしたことがありますが、例のAサイン業者の問題であります。先般も全軍労が四十八時間ストを行なった際に、彼らにAサイン業者と思われる人たちがなぐり込みをかけたと、こういう問題が惹起されたわけであります。これがどう一体整理されていくものなのか。おそらくいまからこの問題についても相当苦慮されておるだろうと私は思うのですけれども、一年ちょっとというけれども、時間的に見ましても決してもう長くはない時間でございますので、おそらくそういう問題が、よほどの対策を立てませんと、やはりそういうトラブルが起こる可能性を十分はらんでおるんじゃないか。これは何か、基本的にこうしたい、こういう方向で行きたい、また、現地の方々にも大体了解していただくような方向に向かっておるものがございましょうか。
#55
○国務大臣(山中貞則君) Aサイン業者の話が出ましたが、Aサイン業者に限って言うと、表向きの復帰ショックと、いま一つ、裏面のショックがございます。それは売春禁止法というものが立法院で昨年制定されて二カ年の期間を経たのちは本土法と同じになる、禁止されるということでありますから、これは復帰と同時くらいの時点においてそれが本土法の適用を受けるような態勢がいますでに法律としてできております。それらは、やはり好むと好まざるとにかかわらず、批判は別として現実にある営業の形態の一つでございますから、これをどうするかという問題は、従業員の再出発のためのいろいろなめんどうを見ますと同時に、これは婦人問題その他で配慮しておるところでありますが、事業そのものの営業形態というものは変わってまいります。それらの点を私たちとしては見落としてはならない。いわゆる収入の形態が違ってくるという人たちもおられる。これらも好きこのんでやっておられるわけではありませんから、やはりこれを、やっていけるような営業形態に変えていくための援助もしなければならぬだろうと思いますが、全体的には復帰ショックの中の基地経済の依存の形態が変わっていくという中で受けとめていくべきことだろうと思います。その意味において、ただいまお話しになりました問題について、たとえば復帰後もドルの使用を認める日本人の方じゃありませんが、外国人がドルを使うことを認める。あるいはフリーゾーンとしてそれぞれの店を指定して、それぞれの店が非課税であるいは現在の沖繩の観光税制の一律低率の五%の関税のままで営業できるようにするというようなこと等については一応の配慮をしておるつもりでございます。全体としては、基地の形態の変化に件う復帰の時点における変化を見通してそれに対処する措置がさらに必要であろうかと考えます。
#56
○渋谷邦彦君 業種の形態については、原地の方方のそれぞれの希望等もありまして、一がいにきめるわけにはいかないと思いますけれども、政府としてはその対案をお考えでございましょうか。こういう方向ならば喜んで応じてくれるであろう、また積極的に政府としても援助をしていきたいというものがございましょうか。
#57
○国務大臣(山中貞則君) これは見通しの問題でございますが、たとえば典型的な例としてコザをとっても間違いじゃないと思いますが、コザの場合には、これまた賛否は別として、復帰の時点においても、米側の軍事基地としての機能と申しますか、そういうような基地依存形態というものは相当やっぱり残っていくのではないだろうか。そうすると、いまのような営業形態というものが相当部門においては残っていくだろう。現実の問題として。一年半後には嘉手納基地というものはなくなるのだという見通しは、いまのところちょっと現実にはないだろうと思います。それらのことを考えますと、本土の営業では、売春禁止法は別でありますが、営業時間が制限があるというような場合においても、沖繩においてはその営業時間を現在どおり徹夜で営業してもよろしいというようなこと等も配慮してもいい一つではないかと考えますが、これはなるべく現地の人たちの御意向、関係者の御意向というものを受けて、それに私たちが沿い得る限界はどこまでか、あるいは、それに対して意見の交換をした結果、合意すべきものはどういう形態であるか、これはよく御相談を申し上げていくべき事柄であろうと思っております。
#58
○渋谷邦彦君 そうしますと、ただいまの答弁の・とおりでありますと、当分というよりも、まだ遠い将来に及ぶと判断されるわけでありますが、米軍のいわゆる削減ということはあり得ない、現状のままで継続されていくであろうという判断に基づいての御答弁でございましょうか。
#59
○国務大臣(山中貞則君) そうではありませんで私の説明不足でありますが、逐次米側が撤収し基地が返されていっても、いわゆる現時点で見るときに、嘉手納基地というものは最後になるであろうというような感触を持っているわけでございます。そうすると、その最後はいつの時点かといえば、あとしばらくはどうもいまの形態――B52は持っておりませんし、核片器その他もない基地でありましょうが、相当の数が要る基地であるということは、今後那覇空港というものをアメリカ側か撤収するということを発表しましたのも、嘉手納基地というものがあればこそであろうと思うわけであります。そういう意味において、最後まで残る基地は一つは嘉手納ではないだろうかという気がいたしましたので申し上げたので、全体的には、なるべく基地というものは現地の要請を受けて逐次日本側に返還され、除々に返還されていくそうして平和な産業というものに変わっていくということでなければならぬと思います。
#60
○渋谷邦彦君 次に、過疎化現象の問題にどう対応するかということなのでありますが、御承知のとおり、最近は本土からの求人というものがしきりでございます。一年間何万という、特に中学卒あるいは高校卒の人たちが本土のそれぞれの企業に就職をする。これはおそらくこれからも加速度的にエスカレートしてくる現象ではなかろうか。それでなくても、宮古であるとかあるいは石垣島等においてはだんだんとその現象がきびしくなってまいりまして、特にサトウキビ等を主軸とした産業というものがますます疲弊していく。その他の産業についても同じことが言えるであろう。こうした場合に、現地の強い要望は、やはり何とか地元に残ってもらって、特に若い人たちに残ってもらって今後の豊かな県づくりというものに取り組んでもらいたい、これはおそらく沖繩県民の共通した願いであろうと思うのであります。そうしたことに対応する考え方もいままで委員会を通じましてしばしば議論が繰り返されてきてはおりますけれども、いま申し上げたように、これから速度を増していくような過疎化現象に対して、やはり「復帰対策要綱」にもおそらく盛られるであろうと思うのでありますが、その手段といいますか、対策といいますか、どんなふうにいま取り組んでいらっしゃいますか。
#61
○国務大臣(山中貞則君) 私の願いも実はそこに大きな願いがあるわけでありますが、離島をこまかに回っておりますのも、琉球政府とやりとりをしておりますと、どうしても基地問題とか毒ガス、B52、軍労の問題とか、いろいろな問題が時の問題というものに話の大半が過ごされがちでありますので、どうしても離島の人たちがまず第一に過疎の波をかぶっております。特に島ぐるみ移転をする人たちが最近三つほど出ておりまして、たいへん胸を痛めておるわけでありますが、たとえば竹富町あたりは、一番最南端にある離島の町として自分の町にも役場を置けないで、石垣市に町役場を置いているようなところであります。沖繩列島の中で二番目に大きい西表(いりおもて)島をかかえておりますし、たくさんの有人島――人の住んでおる島をかかえておる役場でもございますので、一番大きな問題は足の確保であろうということで、ホーバークラフトを予算化いたしました。これによって少なくとも足の問題というものは解決されると思うのでありますけれども、離島それぞれの島においての願いが違っております。その一つ一つを、行きまして現実に私がその場でくみ上げて具体化していくということによって、自分たちの島にできるならば残りたいという人たちの願望のかなう沖繩にしてあげなければいけませんし、そのためには、基幹産業のキビ、パイン、並びに、それに有機的にどうしてもつないでいってもらいたい畜産等を奨励することはもちろんでありますが、将来も企業が進出することがむずかしい宮古諸島の中では、やはり下地島のジェット・パイロットの関連需要が年間四、五十億に達するということで何とか解決することは非常に喜ばしいことでありますし、石垣市のほうは、八重山のほうには観光的なもので本土資本等も一応考えておるようでありますから、海中公園とか、西表の特別保護地域を中心とした自然公園的なものについて十分の配慮をしていきながら、全体としては本島も含めて過疎化の波を沖繩がもろにかぶらないように、できれば自分の島に住みたいのがみんなの願いでありますから、それらがところを得て定住し、できれば沖繩県の人口もだんだんふえていき、豊かな沖繩県としての実感が――流出ということが沖繩については奇跡的に起きなかったという事態をどうしてもつくり上げたいというのが私の念願でございますから、各種の「復帰対策要綱」の中には、その見地から沖繩だけに特別に措置しなければならないものが特色づけられてまいると思いますので、なるべくそういう目標の達成せられるような万全の措置を講ずるつもりでございます
#62
○渋谷邦彦君 次に、復帰に伴って通貨の切りかえが行なわれるわけでありますが、たいへんこまかい問題で恐縮でありますけれども、そのためには約五百五十億から六百億用意しなければならない。ただ、それを運ぶ際に、たいへんないまその照会があると聞いておるわけです。一体、どういうふうにして運ぶのか、相当のトン数になる。一体船はどうするんだ等々、現在、もうすでに那覇においては日銀の営業所が建築中である。十分に通貨切りかえに間に合うような日程でもっておそらく営業所の完成が待たれるだろうと思うのです。要するに、運ぶ際はどういう配慮と、そしてまた船等についてはどうなっておるのか。この問題はどういうふうにこれから対応されていくおつもりでございますか。
#63
○国務大臣(山中貞則君) これは、どうも007的な話になりますが、壁に耳あり、速記録はオープン(笑声)ということでございますので、これは秘中の秘としてちょっとお許しを願いたいと思います。要するに、海上で略奪されたり飛行機ごと乗っ取られたりするようなことのないような配慮、さらにそれをまた各離島になるべく短い期間の間に、できれば一諸に切りかえなければなりませんので、そこらのところは最高の秘密作戦におまかせを願いたいと存じます。(笑声)
#64
○三木忠雄君 一つだけ私は伺いたいと思うのですが、恩赦の問題について伺いたいと思います。沖繩の施政権返還の記念事業の一環として、沖繩返還恩赦を実施する方針であると、こういうように承っておるわけでありますが、この問題についてはどうお考えですか。
#65
○国務大臣(山中貞則君) これは法務省の問題でございまして、私は一切タッチいたしておりませんが、しかし、沖繩が本土に復帰する。あのような悲惨な犠牲となった沖繩の人々が二十七年ぶりに帰ってくる。これはやはり、どの範囲にするかは別にして、国をあげてお祝いをすることであろうと思います。そのときに、常識上、恩赦というものは行なわれるであろうと思いますが、この問題は私の所管外でありますし、法務大臣あたりの見解等が必要なのではないかと思いますが、とにかくお喜びの中の一つとして恩赦ということもあり得るのであろう。しかし、これはまだ私と法務大臣とも話しておりませんし、総理と法務大臣が話して私のほうに連絡があったというものでもございませんで、とにかく、国をあげてお喜びをすることの一つに恩赦ということもあり得るだろうと思っております。
#66
○三木忠雄君 総務長官という立場もありましょうけれども、国務大臣という立場でいろいろ話し合いは私は進んでおるのじゃないかということも考えられるのじゃないかと思うのです。実は、本土に対して恩赦の問題というといろいろ問題があろうと思うのでありますけれども、沖繩県民の心は総務長官が私は一番よく御存じだと思うのです。したがって、米軍施政下においていろいろ人権を侵害されたり、あるいはまた、不当な条件のもとに立たされている場合もあると思うのです。こういう問題について、沖繩県民の心を、やはり総務長官として法務大臣なりあるいは総理大臣と、沖繩県民に対するこういう不当な条件に対して、今回の沖繩返還に伴う恩赦として私は前向きの姿勢で強い要望を出すべきじゃないか、あるいはまたこれに伴ってやはり立法措置を講じていかなければならないんじゃないかと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、この問題についてはどうお考えですか。
#67
○国務大臣(山中貞則君) これは恩赦の形ではなくて、沖繩が日本に返ってまいりますときの本土側のとるべき措置の一つに入ってまいります。でありますから、まあ、軍事裁判等でさばかれた沖繩県民はわりに少ないとしても、米民政府の裁判等においてさばかれた者、原則としてはおそらくこれは全部無罪、あるいは前科も消えるということになるかと思いますが、中には琉球政府の裁判所でさばいても有罪であったようなケースもあるかもしれませんが、これらのところはやはり検討するということになろうと思います。そういう意味において、これは恩赦以前の問題として当然それらの問題は洗い直されるということになると思います。恩赦はまた別のケースであろうと思いますが、これは全くまだ話し合っておりません。私は、知っておることを知らぬ顔をして話をするほどどうもずるい男でございませんで、正直申し上げて、その話は新聞では見ましたけれども、まだ閣議の席でも、あるいは法務大臣というのは最近多忙でございましたから、打ち合わせするひまも事実なかったということで、いまのところ何もありません。
#68
○三木忠雄君 もう一つ別の問題として、沖繩の返還記念事業としてどういうふうな問題を具体的に考えておられるか、この点をお伺いしたい。
#69
○国務大臣(山中貞則君) これはまず沖繩側としての、復帰が実現することに際してどのような復帰そのものを祝う――あるいは祝わないとおっしゃれば別でありますが――あるいはお考えがあるのかどうか、これらのところはまだ承っておりませんが、本土側としては、復帰記念の特別国民体育祭というものを予算化いたしまして、さらに同時ごろを予定いたしまして、沖繩復帰の記念の植樹祭というものを本土各県の持ち回りの例外として沖繩で行なおうじゃないかということで予算化いたしております。
#70
○喜屋武眞榮君 きわめて時間の制約を受けておりますので、私、申し上げたい、お尋ねしたいことたくさんありますが、要望と質問を含めた、こういう形で質問を申し上げたいと思います。
 まず第一点、前に発表されました第一次の返還要綱四十四項、あの内容はその後順調に検討されて煮詰まっておるでしょうか、どうでしょうか。
#71
○国務大臣(山中貞則君) もう第一次要綱は閣議決定済みでございますから、あとは立法をするだけでございますので、それらについては作業を事務当局において進めておるところで、順調でございます。
#72
○喜屋武眞榮君 そこで、この発表要綱の末尾に、さらに項目として(1)の「離島振興」から(10)の「労働環境の整備」まであけられておりまして、これらの「各般にわたる総合開発計画を策定することとし、その策定にあたっては、先に琉球政府の発表した「長期経済開発計画」を尊重する」、さらに、「各界各層の意見を反映できるようにする」、こう銘打たれておるわけでございまするが、その琉球政府の長期経済計画は、まあ額面どおり最大限に尊重されておる、こう受けとめてよろしゅうございますか。
#73
○国務大臣(山中貞則君) そのとおりでございます。
#74
○喜屋武眞榮君 そうした場合に、極端に言いますと、なるほどこの書かれた、あげられた文句は非常に沖繩県民にとって何一つとして歓迎せざるものはないという表現、まあ喜んでいい面が一ぱいあるわけでございますが、その現実の問題といたしまして、率直に申し上げまして、この沖繩側の計画が遅々として進まない、そういったあせりも県民側が私も同様感じておるわけでございますところが、なぜ遅々として進まないだろうかと、こうい、りことを考えた場合に、一体その根本の壁はどこにあるのか、こう思い詰めた場合に、こういうことが私は最も大きな壁の一つになるのじゃないか、こう思っておりますのは、琉球政府の経済開発計画、また本土の総合開発計画を含めてのこの問題が、米国民政府が管理しておる国県有地は一億坪余りといわれております。さらにその他の軍事基地もあるわけなんです。ところが、この琉球政府の総合開発その他あらゆる施策の遂行に大きな支障を来たしておるのは国県有地の払い下げの対米折衝、この中でなかなからちがあかない.さらに軍事基地の解放を前提とした計画が一ぱいあるわけであります。そうしますと、これが解放されない限りこのスケジュールは具体化していかない、前進していかない、こういう壁があるわけでありますので、これに対してどうお考えか、またその対米折衝の経過を承りたい、こう思うわけでございます。
 で、承る前に、はしょって、私が特に心配しますのは、現実の問題としてやれ毒ガス問題だとか、やれ轢殺事件だとか、やれコザ事件だとか何々だとか、人身犯罪事件とか、もうこういうものに琉球政府はうき身をやつして、精力と時間をそこに傾けて、大事な、じっくりとかまえて復帰体制つくりをしていくという時間的精神的ゆとりが皆無の状態にあるのですね。このような状態で、刻々復帰のめどが迫っている。こういうことを思うときに、これは一体沖繩県民だけの責任ではないはずです。何としてもこれは日本政府がもっと対来姿勢を正して、アメリカに対して強硬に、ことばは妥当でないかもしれませんが、開き直ってもらってやっていかない限り、結局はこれは絵に書いたもちにしかならない。こういう証左として、たとえば二月十七日の朝日新聞の社説の中にも、「毒ガス撤去と二者択一論の虚構」という見出しで、末尾に「米国の責任と同時に、事態の解決に踏込もうとしない本土政府の傍観者的姿勢が、強く問われねばなるまい。」、こう社説もきびしくきめつけておる。まあ、その前にも、二者択一を迫っておるアメリカの態度に対しても、われわれはどうしても合点がいかないわけでありますが、完全に、早期に、安全にと、この三つの条件の、何としても「安全に」ということが最重点でなければいけませんが、そういった責任転嫁を琉球政府あるいは日本政府側にやっておるということに対しても、これは合点がいかないわけであります、その点ひとつ、いま私の申し上げた点に対してどうお思いか、またそれに対する長官の折衝の経過を承りたいと思います。
#75
○国務大臣(山中貞則君) 対米折衝の問題でございますので、私自身が対米折衝に関係をいたしますのは、日米協議会の場合に正式メンバーである公式な立場が唯一の立場でございます。それらのときには、文字どおり、ことばとしてはどうかとおっしゃいましたが、私としては、ときに開き直った態度でやっておりまして、外務当局からあるいはやり過ぎであるというふうに見られておるかもしれませんが、しかし、沖繩県民の気持ちを察しますと、私が強硬な態度をとらなければだれもとる者がいないということで、私としてはあくまでも沖繩県民の意向を踏まえて進むつもりでございます。その意味で、第一点の、経済開発計画を幾ら推進し意向を尊重しようとしても基地の問題というものがらち外に置かれては設計書が書けないではないか。私もそのような面がありますことは承知いたしております。したがって、それらの方向に沿い得るように平和的に使用しなければならない、そしてアメリカ側もここらはもう放棄してもらいたいというようなところについては、積極的にそういう経済開発計画の中で出てくる問題として取り上げて、そういう角度も持って議論をしてみたいと思っております。
 さらに、毒ガス問題に例をとられて、本土政府が傍観している態度を非難すべきであるという記事を引用してのお話でありますが、これは私どもは傍観はいたしておりませんし、すみやかに持ち去ってもらいたい、どんなことがあっても復帰のときに毒ガスなど残してもらっちゃ困るのだということで強く折衝しておりますから、米側としても議会の予算等の了承を公的に取りつけないままジョンストン島そのものを移送基地として施設を整えて完成することで現実に進めておることは、その一つの証明だと思います。さらにルートの問題等については、これは先ほど稲嶺委員にもお答えしましたように、本土政府側が一方的にこういうルートにしろと押しつける問題でございませんので、この性格から考えて、どうしても部落あるいは市町村単位の住民の御了解というものが取りつけられて、そうしてまた琉球政府のあるいは議会の各党の了解というものの合意の上に立ったルートでなければならぬと思っておりますが、その意味で、琉球政府の責任と申し上げておるのではなくて、琉球政府のほうでおきめいただいたルートについて全責任を持って御協力をさしていただきたいというっもりでございますので、そういう意味で決して傍観しておるつもりではございませんので、御了解を賜わりたいと思います。
#76
○喜屋武眞榮君 それじゃ時間が差し迫っておるようで、まとめて問題点を申し上げますので、一括してひとつお答えをお願いいたしたいと思います。
 まず、この第一次の要綱の中で確認したいことそれから第二次の中にぜひ入れてほしい、そういったものに対する要望もかねて、まず一つは、琉球大学が日本の学術会議に加入したいという切なる要望を持っておることは御承知だと思いますこれは時間的に時期的に、三月一ばいで法改正をしなければ十一月の役員選挙に間に合わない。それに間に合わないというと、任期三カ年の期間があるので、復帰後もある一定期間取り残される。そういったいきさつもありまして、非常にあせってこの機会にと、こういうことでありますので、ぜひこれを実現してもらうように御努力をお願いしたいということ。
 次に、第一次の要綱の中の国費沖繩学生制度の一定期間の問題、私はさきの質疑の中で、その一定期間は原則として五カ年であると長官から承った。ただし、交通問題に対しては三カ年ということを承っておりますが、このことが十分現地でまだ確認されておらない、こういう不安があって、きのうも実は代表が陳情に来ておったのでありますが、その点、この一定期間というのは復帰後五年、こう理解していきたいと思いますが、それで確認していきたい、こう再確認いたしたい、こう思っております。
 次に、さっき申し上げましたあとの項目の点で含みつ糖保護についての陳情がございまして、これが奄美の例をたてにとられておるので困る、沖繩の特殊事情というものをどうしても配慮してもらいたい、保護してもらわなければいけない、こういう強い要望がございます。この点。
 次に交通問題、これは第一次の内容でありますが、その車両の右側通行に対して現地の側から非常なる反発がございますが、これは科学的に数字的に証明をした資料を長官にも渡されておると思いますが、基地が存続する限り、沖繩においては、本土を基準にしてやった場合に、そこから起こる交通事故の問題。さらに第二点は、文化国家の、国際的にいってもこういう立場をとっておるのはこの日本だけである。車両の右側通行という世界の趨勢からいたしましても、むしろ思い切って日本側が改めていく。学ぶべきものがあるならば沖繩に学んでもらってもいいんじゃないか。こういう誇りも持っておるし、またわれわれも、ある面で、他の面でもそういう点があるわけでございますが、この交通規則の問題について。
 次に、毒ガス撤去につきましては、ぜひひとつ先ほども申し上げましたが、重ねて念を押すようでありますが、この問題も沖繩県民の緊急最大の課題であり不安でありますので、どうしてもこのことは現地にまかしておくわけにいかない、日本政府の責任においてひとつ対米交渉を強く進めていただきたい。
 次にコザ事件につきまして、この前の佐藤総理の所信表明によりますと、緊密な連絡をとって万全を期していきたい、こういったお答えがありましたが、どのような対米交渉をその後なされたかこういうことについてもお聞きしたいわけでありますが、私が特に強調いたしたいことは現地における全軍労あるいは基地依存業者との、あるいは市当局との話し合い、こういうこともけっこうなことである。これはしかし糊塗的なその易しのぎの対策にしかならない。全軍労の立場からしますと、アメリカは施政権者である、あるいは雇用主である。こういう立場から当然全軍労の主張する立場はこれは否定できない、正しいことであります。今度は基地業者の立場としますと、これは死活問題である。私もまあ沖繩の基地の目といわれるコザ市民の一人でありますが、その面からも、それに伴うところの経済がどう落ち込んでいくかということを数字的に私は持っております。そういう立場を考えた場合、どうしてもこれは両立させなければならない、一方的に押し切るわけにはいかない。そのためにはこれはどうしても日本政府の責任ある姿勢から生まれた諸施策が裏づけられていかなければならない。これについても具体的にお聞きいたしたい点もあるわけでありますが、時間がございませんので。
 次に、復帰に向けての記念事業の一つとしてスポーツ大会のことでありますが、このことは沖繩の一つの施設充実という観点からも、健全性と明朗性の回復という面からも、私もこれは充実さしていただきたい。そのことがどのようにいま運んでおるのであるか、その点をお伺いしたい、こう思います。
 それから尖閣列島の例の問題が世界的な注目を浴びておるわけでありますが、このことについてもひとつ日本政府の明確な態度を、また現時点における状況もお聞きしたい、こう思います。
 次に、下地島訓練飛行場の問題に関連して、さらに輪を広げまして、沖繩の企業開発に対するものとも関連いたしておりますが、先ほど稲嶺委員の質問によりましてこれが戦争の不安のないいわゆる基地として心配のないものであるということを明確にお答え願ったわけでありますが、それだけで問題は解決しないと思います。下地島の問題をはじめ、いま全国的に話題になっております、政治問題にもなっております公害の問題。この公害の面からどうなるかという明確な保証、そして基地につながらないという明確なお答えとしてはいまありましたし、もう一つは特に下地、宮古村民が要望しておりますのは、いわゆる沖繩の開発という面から、機会均等の願いから宮古にもこういう非常に切なる要望があるわけであります。こういうことは、単に宮古が開発されるということは、土地と低賃金の労務を提供した形での開発であり、その意味では意味がない。宮古島民のほんとうに福祉利益の発展につながる、こういう形で県民福祉に等しく利益が落ちてくる。こういうことにならないというと、吸い上げられていくような土地と労務を提供していくような形であるならば、この三つの要素は私は沖繩における企業開発の三要素、このことを抜きにしては必ず解決されない問題がまつわってくる、こういうことを思うわけでございます。
 時間もございませんので、最後にもう一つだけ問題点として出しておきたいと思うのでありますが、長官は前から全軍労のストに関連して御心労願っておることはたいへんありがたく思っておりますが、そういった御好意が問題解決の大きな力になっておることもよく存じておるわけでありますが、この全軍労側の強い要望の一つである間接雇用の問題。間接雇用はその後どのように運んでおるのであるか、そのことについてお伺いしてからとも思いますが、ところが、お答え願う前に、この問題については非常に困難性があるということも理解いたしております。その困難を克服してスムーズにのせていくためには、まず軍雇用員の数は幾ら、あるいは職種別はどうなっておるか、賃金階層別はどうなっておるか、男女別はどうなっておるか、技能資格別はどうなっておるか、こういうことが明確に調査されておらない限り簡単には乗っかかってこない、こう思います。またこのことが将来の再就職の、いわゆる離職者対策とも関連があるわけでありますので、以上大急ぎで問題点だけ申し上げて長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#77
○国務大臣(山中貞則君) ずいぶんどえらい質問で、これだけで一時間もかかりそうですから、誠意がないわけではございませんので、要点だけ簡略に答弁させていただきます。
 まず、学術会議に参加する件でございますが、これは今国会に法案を提出いたします。でありますので、この法案を三月末の締め切りまでに立法化できますよう、これは私のほうからお願いでございますが、ことに沖特委の委員を中心として、できれば衆参両院、法律は単純なものでございますので、したがって、提案をいたしましたならばすみやかに成立をさせていただく、こういうことをお願いしておきたいと思います。
 さらに、現在の国費留学生についての一定期間は五カ年としておりますが、その五カ年とは、特別選考によって入学せしめる措置を五カ年ということを考えております。国費を支給しそのままでやっていく制度については、いまいろいろ育英会とも相談をいたしておりますが、いろいろの方法がありまして、たとえば現地で育英会のほうの御希望として言われておるようなものとして、本土政府が復帰の際に十億なら十億の基金をくれ、そうすると償還金やその他をひっくるめて現在の規模の与え切りの奨学資金としてやれるというような御意向もありますし、また、これらについては特別選考を残すと同時に、これらに対して国費の貸与制度というもので、特別に沖繩に全額貸与いたしまして、そして沖繩に帰って地方の中核となって働いていただく人にはそれを免除する、しかし、本土に残って帰らないという人はその資金は返済してもらうという制度と二通りあると思いますが、そのいずれも沖繩側の御希望の方向に沿いたいと思っておるわけでございます。その検討をいたしております。
 それから、含みつ糖の保護措置については、これは御承知のように、先ほども少しお答えをいたしましたが、本土法では糖価安定事業団のほうで買い入れの対象にいたしておりません。したがって、現在の法律では、生産者価格の告示等もできないということでございますので、沖繩か返ってまいりますと、沖繩の離島というものは含みつ糖以外につくれない離島でございますから、それについて特別の配慮ができるかどうか、どのような手段が一番適確であるのか。含みつ糖の場合は、二百五十万トンの推定の消費に対して国産が五分の一もございませんから、これを法律で措置して事業団が買い上げていってもだいじょうぶなんですが、黒糖の場合は年間需要が約三万トンばかりでございますので、これを奨励する策をとりますと、奄美大島を含めて黒糖に切りかえる事業も出てまいります。そうすると、三万トンをオーバーした場合には直ちに価格の暴落につながる。暴落は、事業団が現物を買い入れて保管するということになりますと、売り先のないものを保管しなければならないことにもなりまして、非常にむずかしい問題がございますので、どのような措置をすべきか、いま農林省を中心に大蔵も交えて相談をしておるわけでございます。
 右側通行の問題は、お話しのように、本土こそこの機会に切りかえてしまえという御意見があることは、これは私も承知いたしております。単に喜屋武君だけの御意見でないんで、現実にそういう御意見があることを承知いたしておりますが、同一国内において、右と左と両方の交通区分を採用してはいけないという、こういうことが幸か不幸か沖繩は離島でございますので、全体が離島でございますから、何とか経過措置が講じられる。しかし、最終的には一本にしなければなるまい。これは条約のたてまえでございます。しかし諸外国を展望したときに、日本のほうは比較的少ない例外的な通行区分をとっておる国である。しかも、日本の自動車産業等は、国内では右ハンドル、輸出は、相当なウエートになっておりますが、むしろ輸出産業に近い形態にかっていても、輸出の場合に左ハンドルというふうに、わざわざ仕分けしてつくらなければならない。いっそのこと本土側は世界の趨勢並みに右側通行にしてしまったらどうだ、これも決して私は暴論ではないと思うのです。しかし、これをやりますと、もうすでに本土において自動車道というものは相当な整備がされておりますから、インターチェンジ、乗り入れ口、おり口、いずれを一つとって考えてみてもたいへんな投資を必要とさせられるわけであります。沖繩は、軍用道路に例をとるまでもなく、人の通る道路の前に、軍用車両の優先通行道路的な感じが非常に強い。数年前までは、ほとんど那覇市と郊外に一カ所くらい信号があったくらいの道路でございました。これが最近ややあちこちに信号ができたとはいえども、交通安全施設という点においては非常におくれておりますので、これらの点を今後やっていきまする際に、やはり本土と同じ安全施設その他を逐次設備しながら、バス等の昇降口その他乗客等を見合わせながら、その年次等に合わすように、あるいは学校教育の場において、車が右、左になった場合に、どういう交通安全の教育が必要か等を、子供たちにとっては、ことに弱い立場にある子供でございますから、十分事前の準備がなされなければならぬと思います。米軍の車が非常に多い沖繩における特色でございますが、本土においても米軍の車は輸入車両を使っているものも相当あるわけでございます。ハンドルの位置にしても、通行区分の別なしに沖繩と同じ事情にあるのでございます。むしろ左ハンドルで左側通行にすると見通しもききませんから、逆に追越しその他慎重になるということも言える点もあるかと思いますが、しかし、沖繩の米軍の今日までの運転のしかた、交通違反の実情等を見ますと、これは簡単なものではないと思いますので、切りかえる際は十分にそれらの点は配慮をしなければならないことだろうと思います。
 毒ガス撤去に関しての対米交渉でありますが、これは先ほども御答弁申し上げましたように、私としては、あるいは外務大臣も含めて政府としてすみやかに、しかも一つも残さずという折衝をいたしております。しかし、それが現在の既存の道路では困難であるということが一次の撤去において判明いたしましたので、それにかわるルートについては、先ほど来お話し申し上げているような姿勢でもってやっていきたいと思いますが、決して日本政府が責任を回避しているつもりはありませんし、責任を持って進めたいと思うわけでございます。
 コザ事件については、軍労と業者の対立の形でなくて、今後引き続き予想される事態として、両者とも両立できるような、それぞれの生活権が主張できるような配慮をすべきである。この点はまさに私もそのとおり思っていますので、具体的な手段としてはなかなかむずかしい問題でございますけれども、よく良識を持って、そして具体的な代案を持ちながらこの困難な両立問題ができるように努力を傾けていきたいと思います。
 それから特別国体のその後の進行状況でございますが、予算措置は本年度の補正予算の十五億も含めて御承知のとおりでございますので、復帰までにメーン競技場でございます奥武山を中心にして、北部のほうもコザ市を中心にいたしまして、やがてはこれが逐次特別国体のみならず、数年後に本国体が沖繩で開かれるようなレイアウトのもとに諸準備を進めていきたいと考えますが、少なくとも一九七三年の春には沖繩において特別国体が順調に開催されるような措置を講じたいと思っております。これにはまだほかに大量の役員、選手団を送り込む輸送手段と宿泊の問題がございますので、これらも、予算とは別に船の建造その他について特別の配慮、ホテル建設等についてどのような援助ができるか、具体的に支障のないように進めたいと思っているわけでございます。
 尖閣列島の問題は、領有権の問題と、石油開発の問題、いろいろあろうかと思いますが、これは愛知外務大臣からも申し上げておりますように、尖閣列島について領有をどの国とも議論をするつもりはない。当然日本国の領土であり、現在の米施政権下においても明確に施政権の版図の中に入っておる列島であるということで尽きるかと思います。開発については、これはすでに沖繩の県民の方が先願としてそれぞれの権利改定の申請がなされておりますので、十分にそれぞれの人たちの権利を尊重し得るものを本土法に照らしてそれを優先的に認めていくという姿勢でもって尖閣列島の抽出の現実の開発にピッチを上げてまいりたいと存じます。
 次に、下地島のジェット・パイロット訓練飛行場の問題について、残りまだ公害の問題が残っておる。いわゆる騒音公害というものにどのように対処するか、場合によっては――あまりございませんが、油等の問題も起こるかもしれません。そのようなことなど、当然これは下地島訓練飛行場建設の際に本土政府の責任において十分に対処をしなければならぬと考えるわけでございます。もちろん、これについて宮古まで考えた発展策でなければならぬ。その他経済政策も沖繩の低賃金、瞬取というような角度からの企業進出なり経済発展計画はいけないというお話でございますが、私どももそのとおり考えておるわけでございます。したがって、下地島についてだけ言うならば、それは低賃金で何もやろうというのではなくて、建設その他の労賃も正常な労賃で支払いましょうしあるいは訓練飛行場ができましたあとにおいて必要な物資の納入、あるいはそれに関連する必要な業者、そういうものがすべてまず一義的に下地島の旧地主の人々、そして村の人々、やがては農作物その他の搬入等については宮古全体というようなものが一体となって、年間の総需要四、五十億を宮古群島においてまかなえるようにというつもりでおるわけでございます。
 最後に、軍労の間接雇用の問題の前提として実態の把握ということが必要であるということでございます。もちろんそのとおり考えております。私どものほうにおいても、つかみ得る限り実態把握に努力をいたしておるわけでございます。数字もございますが、それらは省略するといたしまして、その中でもことに御指摘の点で同感でありますのは、どのような技能を現在すでに持っておるのか、あるいは、基地内の訓練等においてもうちょっとそれに手を貸してやれば、これは米側のことですけれども、予算も組んでおりますから、頼んでおりますけれども、現在は沖繩法、本土に戻ったら本土法の特殊免許なりなんなり技術の免許が与えられる者は、基地内で働いているうちに訓練でもって免許を与えておいてもらいたい。そういう者に不幸にして解雇という事態があっても、腕に覚えのある免許証を持ってライセンスがりっぱにその人の職業として成り立っていく、人生を保証するようなものが絶対必要だと思いますので、これらの技能、職能というようなものについても十分調査をいたしたいと存じますが、退職金等の差額を支出いたしますのも、一体何人、正確にはだれとだれが、どのような月給のものが解雇されて、それに対して本土の差額にしてどれだけだれがもらうか、総額幾らになるかということが琉球政府のほうもなかなか手が回りかねて支給等が遅延いたしておるような例もございますので、これらは私どもの沖繩事務局も一体となって御協力することによって、きめた方針、金額が支給の段階で遅延することのないように、立法においてはそういう努力もしてまいりたいと思います。
 以上、御不満かもしれませんが概略骨だけを一応答弁させていただきました。
#78
○委員長(米田正文君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
#79
○委員長(米田正文君) この際、委員の異動につきまして御報告いたします。
 本日達田龍彦君が委員を辞任され、その補欠ととして森中守義君が選任されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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