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1970/03/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
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1970/03/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号

#1
第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号
昭和四十六年三月十九日(金曜日)
   午後一時五十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         米田 正文君
    理 事
                源田  実君
                長谷川 仁君
                松井  誠君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                河口 陽一君
                大松 博文君
                増田  盛君
                山本 利壽君
                山本茂一郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
       沖繩・北方対策
       庁調整部長    田辺 博通君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       平井 廸郎君
       大蔵省関税局関
       税参事官     白鳥 正人君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関
 する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出)
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査(当面の沖繩問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(米田正文君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する政府側の説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
#3
○松井誠君 きわめて事務的なことを二、三お尋ねをしたいと思うのですが、最初に、沖繩の貨物取扱人法による貨物取扱人というものと貨物取扱人の資格を有する者との関係ですね。本土の法律の通関業法で通関士と通関業者ですか、それからもう一つ、あるのかないのかわかりませんけれども、通関士の試験に受かった者が当然通関士になるなら問題ありませんが、何がしかの手続を経て初めて通関士になるものとすれば、通関士の試験に合格した者と通関業者、これの関係をちょっと御説明を願いたい。
#4
○政府委員(岡部秀一君) 沖繩の税関貨物取扱人となる資格を有する者、この中には二種類ありまして、試験に合格をしておる者五十一名、それから試験合格者でなくても税務局長が認定をしている者九十六名、合わせて百四十七名、これが税関貨物取扱人となる資格を有しておる者でございます。そうしてこの大蔵省令で定める講習課程を終えた者を本土のほうの通関士に認める、こういうことでございます。通関士の資格を持っている者が通関業を行なうという人はいるわけでございますが、通関士がそのまま通関業者となることもできますし、別に通関士でない人が通関の仕事をやることもできる。この通関業者の人たちは、五大港におきましては通関士を必ず使わなくてはならない、置かなくてはならないと、こういう規定がございます。そのような仕組みになっております。
#5
○松井誠君 私のお聞きしたのは、沖繩の法律で資格を有する者と、取扱人あるいは取扱業者ですか−法文には「取扱人」というようですがそれとの関係、それから、やはりいまちょっと見ましたら、通関士と通関士となる資格を有する者との関係はまた違うのですね。通関士の資格は持っているけれども通関士でもない人もあり得るわけです。それから、沖繩の場合でも取扱人となり得る資格はあっても取扱人ではないという人もいるわけです。もう一つ、通関士ではないけれども通関業者であり得る場合もあるし、そういうことで関係をお聞きしたい。
#6
○政府委員(岡部秀一君) 税関貨物取扱人たる資格を有する者以外でも、なお、税関経歴が十年以上たっておって、その人たちは認定を受けていない。受ければ「資格を有する者」になりますが、認定を受けていないというものがもう一群ございます。
 それから、通関士の資格を持っておる人と、それから通関士の資格を持っておらなくても通関業務を行なうということができる者がございます。その通関業を行なう人は、自分で資格を持っていなくても、その業務をやる場合には、通関士を雇って、その仕事をさせるという者を必ず置かなくてはならないということになっております。
#7
○松井誠君 私の聞いているのはそういう意味ではなくて、私のほうから申し上げますけれども、沖繩の場合に、取扱人の資格を持っておる人は、許可を得れば取扱人となることができる。取扱人の資格を持っておっても許可がなければ取扱人とはなり得ない。そういう関係を聞いておるわけです。そこで、日本の場合には通関士の試験を受かっただけではどうも通関士ではなさそうなので、通関士の試験を受かった人は、通関士の資格を有する人なんで、通関士ではないわけですね。そういう場合に一体どうすれば通関士になれるのかということを聞きたいと思います。
#8
○説明員(白鳥正人君) 通関士と通関業との区別でございますが、沖繩の場合には税関貨物取扱人と税関貨物取扱人の業務というものはこれは同じものになっておりますが、本土の場合には通関士と通関業者というものは別のカテゴリーになっておりまして、通関業者は通関士を一人使えば五大港においては営業をすることができます。「通関士の資格を有する者」と通関士そのものとの違いの御質問かと思いますが、これにつきましては「通関士の資格を有する者」と申しますのは、通関士の試験を受けて合格した者が「通関士の資格を有する者」になるわけでございます。この合格したことを確認を受ければすなわち通関士になるわけでございまして、まあ、確認という行為が間に入るわけでございますけれども、事実上同じものとお考えいただいてよろしいかと思います。
#9
○松井誠君 それでわかりました。
 先ほどちょっと数字のお答えがありましたので、その各数字をお伺いをしたいのですが、沖繩の場合で、有資格者の数と取扱人の数。それから、日本の本土の場合は、そうすると、通関士の資格を持っておる者と通関士とはほとんど同じだと考えてもいいわけですから、通関士の数と通関業者の数、これをちょっと知りたいのですけれどもも。
#10
○政府委員(岡田純夫君) 現在は沖繩では税関貨物取扱人でございますが、それの資格を持っております者は、試験合格者とそれから主税局長の認定した者と合計いたしまして百四十七人あります。一方、そういう税関貨物取扱人を含む企業がございますので、それの従業員のトータルは三百十二人でございます。
#11
○松井誠君 従業員のトータルというのは、取扱人の数ではなくて取扱人の従業員の数ですね。私の聞きたいのは取扱人の数です。
#12
○政府委員(岡田純夫君) いま申し上げました従業員を含みます企業が業者でございまして、業態と申しますか、それが三十二が税関貨物取扱人業者の数でございます。
#13
○松井誠君 それから本土の場合の通関士の数と通関業者の数。
#14
○説明員(白鳥正人君) 昨年の十一月一日現在の数字でございますが、通関業者の数は全国で七百六十一業者ございます。これに対して、この中で従事しております通関士試験に合格した者が二千二十六人ございまして、その合格者の中で従事している者が千五百十三名ございます。
#15
○松井誠君 この今度の法律は、沖繩で取扱人をやっている人が日本の通関業者になれるということでは全然ないんですね。
#16
○政府委員(岡部秀一君) 「大蔵省令で定める講習の課程を終了したもの」にその通関士の資格を与えるということにいたそうとするものでございます。
#17
○松井誠君 どうも私の質問をよくお聞きになっていない。私の聞くのは、沖繩の取扱人が日本の通関業者になれるという規定とは全然違うのですね、ということです。
#18
○政府委員(岡部秀一君) 違います。
#19
○松井誠君 そうしますと、沖繩の取扱人が通関業者になる方法というのは、特別法というのは全然なくて、全く日本のこの法律でやるということになるわけですね。
#20
○政府委員(岡部秀一君) さようでございます。
#21
○松井誠君 その沖繩の法律ですと、取り扱い人になるためには必ずその取扱の有資格者が要るわけですね。ところが、日本の場合には、通関士の全然いない通関業者というものがある規定のようなんですが、そういうふうに理解していいですか。
#22
○説明員(白鳥正人君) 五大港地区におきましては、通関業者は少なくとも一人は通関士を使っていなければならない、しかしながら、それ以外の港におきましては、通関士がいなくても通関業務を営むことができることになっております。
#23
○松井誠君 それで、沖繩の場合には、その取扱人の資格を有する者がいなければ取扱人の許可はおりないのですね。
#24
○政府委員(岡田純夫君) 許可の要件といたしまして、税関貨物取扱人の資格を有する者を役員ないしは使用人として置く業者であること、かつまた、十分なそういう営業をやる能力のある者となっておりまして、したがって、そういうふうな者を置かなければならないということになっております。
#25
○松井誠君 そういう意味で、日本本土と沖繩との制度はちょっと違うわけですが、その違いは一体どこから来たのか。通関業者というものは通関士が全然いなくても通関業ができるとすれば、通関士というこの試験制度を設けた意味がちょっとわからなくなるものですから、それでお聞きをするのです。
#26
○説明員(白鳥正人君) 本土におきましては、通関士という資格を特に設けまして、五大港においてはこの通関士を置かなければならないとしておりますのは、五大港におきましては非常に貨物の種類も多く、専門的な知識が必要である。一方、それ以外の港におきましては、非常に貨物の種類も少のうございますし、地方の港に行きますと、木材港だけというようなものもございますので、そういうところにおきましては、ある程度の知識さえあれば、特に通関士という資格までを持たなくても通関業を営むことを認めても差しつかえなかろうということで、本土の制度におきましては特に通関士の資格を有するところを限定しているわけでございます。沖繩におきましては、この沖繩の通関業法と申しますのは本土の通関士法の前の形態でありまして、本土でも通関士法の前には税関貨物取扱人という形をとっておりまして、その古い形の残りでございますので、若干本土の扱いとは異なっておりますが、実態はそういうようなことでございまして、沖繩が本土に復帰いたしますと、やはり本土の法令が適用されますと、沖繩においても、五大港からはずれますので、通関士の資格がなくても通関業務が営める。そういう意味では本土のほうが扱いがゆるくなっているというふうに考えていただいてよろしいのではないかと思います。
#27
○松井誠君 本土に復帰をしたあとこの通関業法が沖繩にも施行されるようになりますと、いままでこの取扱人であった人が通関業者に当然なるのではなくて、この通関業法による許可が要るわけですね。
#28
○説明員(白鳥正人君) 必要でございます。
#29
○松井誠君 そうしますと、いままで取扱人をやっておったけれども、新たに通関業法による許可が要る。逆に、いままでは取扱人を必ず置かなければならなかったけれども、今度は通関士という者がいなくても通関業を許可があればやることができる。そういう形になると理解していいですね。
#30
○説明員(白鳥正人君) そのとおりでございます。復帰後はもう通関士を置かなくてもできるということになっているわけでございます。
#31
○松井誠君 ところが、本土の場合に五大港というのは法律の規定ですか。政令か何かですか。
#32
○説明員(白鳥正人君) 政令の規定でございます。
#33
○松井誠君 その五大港というのは、相当国際的な規模の港ということなんでしょうけれども、まあ五大港といえば大体の見当はつきますけれども、それ以外に外国船がしょっちゅう入ってくるという港もあり得ると思うんですね。まあ、新潟なんかもそうなり得るわけなんですが、この通関士という制度を、いまお話を聞けば、やはりそういう国際的な色彩の港にはできるだけやっぱり通関士を置いたほうが通関業務を円滑に行なえるということになると思うんですけれども、五大港という以外には、いまのところ、別に広めるという、そういう方向というものはないですか。
#34
○説明員(平井廸郎君) 現在のところ、五大港とその他の港をとらえますと、かなり事業量等において差がございますので、さしあたり五大港以外に直ちにこの地域を広げる考えはございません。
#35
○渋谷邦彦君 今度の改正内容を見ますと、「通関業務が大幅に減少することが見込まれるに至った」と、こういうことが一つの要素になっているようでありますが、この背景はどうなんでしょうか。
#36
○国務大臣(山中貞則君) これはまあ提案理由でそう書きましたけれども、実際は、沖繩が復帰すれば、本土との間の貿易が大部分ですから、そうなることはわかり切っていたわけです。結局、まあ私どものほうが全部責任があるわけですけれども、各省に依頼をして、どういう特例措置や免許試験等を事前に行なっておかなければならない種類があるかの総集計をやって、実は測量士とこの二つがそれぞれ漏れていたということが掛け価のない正直な話でございます。しかしながら、実際にはほとんどの貿易という立場の取り扱いはなくなるということは現実でございますから、そのように表現をしておるわけでございます。
#37
○渋谷邦彦君 そこで貿易港としての資格というよりも条件がなくなるというお話でございますけれども、将来この沖繩の置かれた位置というものを考えてみた場合に、やはり国際港として、産業の発展の上からもそういう規模に移しかえていく必要があるのではないだろうか。那覇空港の問題も当然ございますけれども、那覇に、あるいはその他の地域でもけっこうだと私思うのでございますが、すでにフリーゾーン構想を意図されている長官としては、何らかの形で、海外貿易というものを活発化させるためにも、沖繩はやはり本土に準じた枢要な位置に置かれているのではないだろうか、そういうことから、今後、横浜とかあるいは神戸とか、そういう規模に至らないまでも、それに準じたような港の開発というものは考えられないのか。考えられれば、当然この通関士の問題がまたクローズアップされてくるだろう、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。
#38
○説明員(平井廸郎君) 現在五大港地域に限って通関士制度を義務づけております趣旨は、これらの地域で非常に各通関業者における事務量が多いというようなことが実態でございまして、現在の状況では、沖繩地区の貿易量の八割程度が本土との業務でございますので、さしあたりの問題としては、沖繩地区において本土復帰の後にはそれに匹敵するような大きな事務量が残るというふうには考えられませんが、ただ将来の問題として、沖繩地区における港湾の開発その他によりまして、本土の南の玄関としての港湾における貿易量がふえてまいりますれば、当然そういうことも考える段階が来ることを期待するものでございますが、さしあたりは直ちに通関士制度を義務づけるようなところまではいくまいというふうに考えているわけでございます。
#39
○渋谷邦彦君 長官、どうですか。
#40
○国務大臣(山中貞則君) この通関士の資格付与に関する問題は、復帰した後、通関士の資格を持っておられる方々で本土等においてその業務を営みたいという方にそういう資格を与えておきたいということの配慮でございます。したがって、沖繩における通関士の問題とは若干別個の問題として、貿易量のほとんど激減と申しますか、ほとんど残らないという貿易事情が新しく発生するわけでございますから、それに対して通関を業とする人々の問題と、また、通関士の人々と別の問題としても一つの問題が提起されておるわけであります。したがって、今後沖繩は、私としては南における日本の足場ということで、フリーゾーン等の設計を行ないながら、やはり相当いんしんをきわめる港もできるようにぜひしなければならぬというふうに考えておるわけであります。でありますが、いますぐ通関士を必ず置かなければならない港湾というのには、ちょっと現在の那覇港あるいは安謝新港等についてもまだ未完成でもありますし、それだけの規模では、現在のところ、沖繩において通関士を必要とするという状態にはならないのではないかと考えております。
#41
○渋谷邦彦君 おっしゃられるとおり、当面の問題としては、その必要性というものは、先ほどの政府委員の答弁等を通じましてもそれは理解できます。私が伺ったのは、やはりこれからの沖繩の開発を含めて、貿易港としてのそういう役割りというものが考えられますだけに、それに関連いたしましてお尋ねをしたわけでありますが、どうなんでしょうか。いままでこれら対象となっている人が相当減ることが予測されるのでありますけれども、一つには、ここでも述べられておりますように、本土において通関士の仕事をしたいという人に対する特例措置として今回そういう資格を与える、こういうことになるわけでありましょうけれども、それを希望しない向きについては、どういうふうな考え方をいまお持ちになっていらっしゃいますか、救済措置として。
#42
○国務大臣(山中貞則君) 必ずしも救済措置の問題と関係ありませんで、通関士の資格を取ってみても、これが本土のどっかの港で通関業務を行なうということでなければ収入を得る道はなくなるわけでありますから、やはり現地において通関業に携わる人々の生活という問題の中でとらえていくべき問題ではなかろうか。現に沖繩からは、本土復帰に伴って大幅に貿易量の減少に伴う通関業の方々の生活権の問題として、要求としては補償の問題が出ておるくらいでございます。
#43
○渋谷邦彦君 この要綱にもまた関連するわけでございますが、通関業従事者の間で転職の問題が取り上げられ、こういう具体的には業務事項だろうと私は思うのですけれども、こういう転職の希望に対しての措置というものは、これは通関業務に限った問題ではないと思います。まあ、ほかにもいろいろあるわけです。しかし、具体的にこうした問題がもうそろそろ頭をもたげてきたというよりか、もう急速度にやはり転職であるとか、あるいは役所につとめておられる人々であれば配置転換とか、総合的に考えるべきいろいろの問題があろうと思いますが、しかしながら、いまこの点だけに限っていった場合、転職の希望というものはどういうことで要望があるのか、また、どういう方面の要望があったか、政府としてはこの要望を充たしてあげるためにはどのような対策を現在考えておいでになるか。
#44
○国務大臣(山中貞則君) 具体的にどういう職業に転じたいという者は出てきておりません。ほとんど通関業が営めなくなるということに伴って、本土政府側において、沖繩側の要求する条件としては補償を考えてもらいたい。これに類するものとしては、たばこの輸入業に携わる人々、これは輸入はできますが、いまの現地のように直接販売できないという、本土と同じような制約下に置かれますから、そういうもの、あるいは自動車の車検業務を行なっておる民間の企業、これは昨年の法改正によりまして本土のほうでも民間に業務委託をするということになりましたので、沖繩では原則として現在の民間のたしか六社でございますか、それらの方々が引き続き車検業務を国の営む業務として行なっていくということでおおむね解決するだろうと思いますが、その種類の問題であろうと考えます。
#45
○渋谷邦彦君 逐次こうして本土並みの免許資格というものが、あるいは特例措置によって与えられつつある。これは当然の成り行きだろうと私は思うのでありますが、たしか私の記憶に残っている問題としては、二、三こうした特例に準じられないような問題点がまだ残されておる。これが、もう復帰の時点も刻一刻迫っておる実情にかんがみて、はたして整理ができるものなのかどうなのか。あるいは、その復帰後においていま懸案にないような問題の解決をされるおつもりなのか。いまどういうものがあと残っておるのか。この点について長官の考え方を伺っておきたいと思います。
#46
○国務大臣(山中貞則君) これはいろいろ分け方がありますが、沖繩に本土と同じ制度がないものとしては、不動産鑑定士、海事代理士、熱営理士、歯科技工士。
 資格に内容の差があるもの。医師、歯科医師、診療エックス線技師、衛生検査技師、家畜人工授精師等。
 制度の発足が新しく、したがって実績に乏しいものとして、准看護婦、職業訓練指導員、技能検定等であります。
 それから、免許資格がその性質上他の場所で通用させ得ないものとしては、水先人というものがあります。
 それから、身分上公務員であるため公務員の引き継ぎとして検討さるべき範囲のものは、農林水産業専門技術員、農業改良研究員、農林水産業改良普及員というものでございますが、ほとんど大体第一次案で措置済みでございますし、さらに残りは近く決定する第二次要綱できめていくというものでございます。
#47
○渋谷邦彦君 そういたしますと、本土と全く性格の異なるものが残されたということで、ほとんど整理がついて、まさしくこの面についての懸案というものは解消している、また解消の方向に向かって進んでいる、このように理解してよろしゅうございますか。
#48
○国務大臣(山中貞則君) 今回の通関士、測量士の場合に、私としては取り残しがあったことをはなはだ遺憾に思いまして、各省に対して、まさかほかに取り残しはないだろうなということで徹底して点検いたしましたので、もうないと思いますが、しかし、絶対ないと言うとまた間違いがあるといけませんけれども、現在の点検の段階では、ほぼ全部何らかの措置をすることになると思っていただいてけっこうだと思います。
#49
○渋谷邦彦君 こうした免許資格という問題については、沖繩県民の方々が異常なくらい関心が強いだろうと私は思います。ほんとうに本土並みになるだろうか、その一まつの不安は、まだなってみないとわからない等々のいろんなそういう不安がないとは言えない。しかし、こうした案件を整理され法律案としてまとめられる段階に至るまでは、長官がかねがね言われておりますように、県民の意向というものを十分そんたくした上でそうして結論を出していきたい。おそらくはそうした方向にのっとってこうしたものがまとめられたであろうと思いますけれども、こうした中身についての県民の意向というものには不満がないのかどうなのだろうか――不満がないだろうと私は思いたいのでありますが――十分そういう点を尊重されて今回おきめになったかどうか。
#50
○国務大臣(山中貞則君) もちろん不満はこれらの問題についてはございません。ただし、復帰対策要綱できめましたもののまだ法律になっていないものでありますから、若干その点でその後どうなっただろうという御心配のあることも承知いたしております。したがって、今第二次対策要綱でも、残った問題等をすみやかに現地と詰めて全貌を対策要綱として明らかにすると同時に、沖繩国会に向けてすみやかに法律化して、法律としてそれぞれの人々が自分たちの職務、権限、身分というものを確認されるような措置をすみやかに周知徹底させる方法をとりたいと思います。
#51
○喜屋武眞榮君 この法律につきましては、ただいまお二人の質疑の中で、私がお聞きしようと思っておったことの大部分が重複いたしておりますので、それは避けたいと思いますから、基本的には、この「本土並み」という立場から、二十五年の断層がある中でいろんな形で問題が起こり、そうしてまたその裏づけの沖繩なりに権限等ができたわけでありますが、それが復帰がいよいよ近づいてきますというと、先ほど来お話がありまするように、一体どうなるんだろうかという、こういう不安が一ぱいあるわけであります。それに対して、私たちは特に沖繩の立場から「本土並み」ということについては、まず第一には、そのまま無条件に何もかも本土並み、こういうことに対しては、個々の問題に照らしました場合に、必ずしも無条件で手放しで本土並みを肯定するわけにはいかない面もあるわけであります。その場合に特に私たちが要望したい一つは、既得権を剥奪しないように、既得権の侵害にならないように、こういうことが一つ。二つには、それぞれの立場が不利にならないように、本土並みに適用されたために不利にならないように、こういうことを強く感じるわけです。また、本土のものと沖繩のものと比較して、むしろ沖繩のものが条文によっては有利である、その権利を守られておる。こういった面もあるわけであります。その場合に、有利なものはそのまま沖繩のものを吸い上げていただきたい、こういう考え方を持っておるし、また、かみ合わないものについては、ぜひ暫定措置をとって、有利になる方向でかみ合わしていただきたい。さらに、不利になるものに対しては特別措置をもってぜひそれを守っていただきたい、生かしていただきたい。こういう態度を持っておるわけであります。そういう考え方に立って、今度のこの法案はいわゆる暫定措置法によるあれであるわけですが、この中身は、結論としては、沖繩側としますと、非常に今日まで強い要望があるその一つであります。それにこたえてくださったものとして喜んでおるわけでございます。そこで、この問題は、そういう資格を暫定措置で与えられたとしても、それがはたしてどのように自分の将来に向かって有利になるか。それが生かされていくと、こういうことに望みがなければ、これは無用の長物としかなりません。資格持って悪いということはないと思いますが、これが十分に生かされて初めて意義があるわけです。そういった点から、通関士の資格を得た場合に、それを必要とする貿易港ですか、貿易港の基準があるでありましょうか。お尋ねします。
#52
○説明員(平井廸郎君) 先ほどちょっと御説明申し上げましたように、現在通関業務について通関士を必要とするというふうに法律的に義務づけておりますのは、京浜港、名古屋港、並びに京阪神港、北九州の関門港等々のいわゆる五大港地域といわれているところでございます。したがいまして、現在の段階では、本土におきましてもこの程度の港に限られて通関士の設置を義務づけておるわけでございますが、将来の方向といたしましては、本土におきましても通関業務の適正化をはかるためにできるだけ通関士を設置するように、こういう方向で行政指導もいたしております。ただ、法律的な義務づけに至るまでにはまだ相当の年月を要するのではないかと考えておる次第でございます。沖繩の場合に目を向けますと、先ほど申し上げましたように、さしあたりの状況としては、本土復帰直後において通関士の設置を義務づけるほどの業務量にはなかなかならないかとは存じますが、将来の発展によりましてそういう事態ができるだけ早く来ることを望んでいるものでございますし、かたがた、本土におきまして通関士設置がもっと広がっていくような事態でございますれば、それが加速されるということにもなろうかと思います。
#53
○喜屋武眞榮君 そうしますと、現状におきましては、復帰時点、あるいはこの資格をどうしても生かしていきたいという強い要望がそれぞれの該当者にはあると思いますが、沖繩は逆に今度は大幅に減少する、こういうことになりますと、沖繩は将来国際港に、というわれわれは希望を持っておるわけですが、さしあたり、その資格を獲得すれば本土に進出をしてそれを生かしていきたい、こういう希望が強くなると思います。その場合に、沖繩からの進出に対して優先的に配慮してもらう、こういうことの可能性があるでありましょうか、どうでしょうか。
#54
○説明員(平井廸郎君) 今度の通関業法の施行に関連いたしまして審議会が設けられておりまして、この法案の提出にあたりましては、事前にそういうところでも協議をいたしておりますが、その際にも、通関業界とも各地区で話し合いをいたしまして、できるだけ沖繩地区において通関士の資格をお取りになった方が本土で就職する機会の多いようにごあっせんを申し上げたいということを業界としても考えているようでございますし、私どももそれを推進してまいりたいと考えている次第でございます。
#55
○喜屋武眞榮君 要望になりまするが、このような御配慮で立案されたものでありますので、これがただ形式的に終わらずに、ほんとうに中身を持って、そうして個々の資格者に対して希望を与えてもらう、その道をぜひひとつ開いていただきたい。そうして初めてこの御配慮の意義があるのでありますので、それを一つ御要望申し上げまして私の質問を終わります。
#56
○委員長(米田正文君) 答弁要りませんか。いまの要望に対して答弁は要りませんか。
#57
○説明員(平井廸郎君) 御趣旨の点、まことに私も同感でございまして、極力そういう方向で努力をいたしたいと考えております。
#58
○委員長(米田正文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
 別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。
 沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#60
○委員長(米田正文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#62
○委員長(米田正文君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#63
○松井誠君 私は、沖繩における毒ガスの問題だけに限って山中長官にお伺いをいたしたいと思います。
 この間の委員会で、この第一次撤去の際に、琉球政府の要請で現地に調査をされた東大の田村教授に来ていただいて、いろいろとたいへん示唆に富むお話を伺ったわけです。そういうことに関連していろいろとお尋ねをいたしたいのでありますが、いま、御承知のように、第二次の撤去というか、あるいは最終的な撤去というか、それをめぐっていろいろの問題が起きておる。これは毒ガスというものが持っておる非常に深刻な性質から来るわけであります。そこで、この第一次の撤去の経験、教訓というものをできるだけ生かして、このあとの処理に資するようにしなければならぬと思うのでありますが、そういう意味でお尋ねをいたします。
 最初に、この第一次の撤去のときに本土政府からやはり調査団が現地へ行った。しかし、その調査の報告というものはわれわれには公開をされていないように思うのでありますが、それはそのとおりでありますか。
#64
○国務大臣(山中貞則君) 文書によって発表という形式はとっていないそうであります。ただ、田辺君もここに来ておりますが、団長で行きましたけれども、専門家でもありませんし、参考人の御意見等を聞かれた皆さまから見れば、むしろ答弁にたえ得るかどうか疑問でありますけれども、第一次の問題についての御質問があればお答えするかと思います。
#65
○松井誠君 私がお聞きをしたいのはそういう趣旨では実はございません。御承知のように、琉球政府が呼んだ調査団の報告はいち早く発表されました。一般の人の目にもとまったわけです。そして、団としての正式な報告ではないようでありますが、田村教授と小山内という団員の連名の署名のある非常に詳細な調査報告も発表されておる。それに反して、本土政府の調査団の報告というのは、中でどういう報告があったか存じませんけれども、われわれの目には触れなかった。そのことをまず確認をしたい。
#66
○政府委員(田辺博通君) 第一次の毒ガスの撤去作業に立ち会い、かつ、その安全性の確認の調査団の一員に加わった者としてお答えいたしますが、私どもの目的は、マスタードガス百五十トンの輸送をいかに安全にしかも確実に早期に輸送するかということにあったわけでございまして、事前に十分その安全性の確認をいたしこれは専門家が調査をしたわけでございますがその旨を琉球政府、屋良主席に口頭をもって報告をいたしております。しかして、実際の輸送にあたりましては、私どもは全部その輸送に立ち会いまして、そして輸送は完了したわけでございますので、別段文書をもってその状況を報告するということは用意いたしておりません。
#67
○松井誠君 安全かどうかの確認は、あなた方調査団やあるいは琉球政府の首脳部、それが知っておればいいというものじゃない。むしろ、一番知らなければならないのは地元の人たちであるはずです。その地元の人たちがそういうことを知る必要があるというのは、その移送に対して非常に大きな不安を持っているからでしょう。そういう不安というものをなくするということが調査団の仕事であったとすれば、当然公開をしなければならないはずだと私は思う。ただあなた方が幾ら安全だと思っても、それは住民には通じないわけでしょう。一体、何のために調査に行かれたのか。私は、そういう形式一つとってみても、非常に疑問に思うのです。そうじゃありませんか。
#68
○国務大臣(山中貞則君) これは琉球政府のほうから、本土政府が、専門家を交えた立ち合い人と申しますか、そういうものを派遣してもらいたい、こういう御要望がございましたので、政府の役人としては防衛庁の専門の制服二名、さらに外交折衝等も必要とするかもしれませんので、外務省の北米一課長並びに私どもの田辺調整部長、そして琉球政府の、こういう方の中からも選んでほしいと言われました中の一人である長東大助教授の五名をもって編成してまいりました。要請されたのも、立ち会って安全性を確認してほしいということでございましたから、ただいま田辺君が申しましたように琉球政府に対して申し上げたわけでありますから、一方また、琉球政府としては、私どもに要請された以外に、琉球政府自体で別途自分たちの選んだ、まあ専門家と申しますか、軍事評論家等を委嘱されて、そして別に調査やあるいは打ち合わせ、発表等をしておられるわけであります。でありますので、私どもとしても、本土政府側から琉球政府の要望に応じて出した調査団が現地でどのように扱われておるのか、現地の住民との話し合い等にも参加させてもらっておるのか等についてたいへん心配もいたしまして、連絡もとったのでありますが、それらの話し合いにも参加させてもらえなかったということがあとでわかったわけでございます。まあ、そこらの点で少し混乱もございましたわけでありまして、文書でもって沖繩の県民に調査団が独自で発表するという立場で参ったものではございませんし、琉球政府に対して求められたことに対する立ち合い人としての報告をいたせばそれで済むものと私も考えておるわけでございます。
#69
○松井誠君 私は、長官ともあろうものが非常に事務的にそういう問題を考えておられるとすれば問題だと思うのです。琉球政府が別の調査団をみずから編成せざるを得なかったのは、まあ詳しいいきさつは私も存じませんけれども、おそらくは、そういう本土の調査団に対する不信があったのではないかと私は思う。そしてこの琉球政府の調査団が公開をすることによって、とにかく曲がりなりにもこれからあとの安全対策の非常に大きな資料に現実になっている。あのときに、やはり政府の調査団とこの琉球政府の呼んだ調査団との間に意見の対立、相違があった。そのことをやはり住民の前に両方明らかにすることによって私は問題の所在がはっきりするし、そして、われわれとしてとるべき措置が一体何であるかということも当然はっきりする、そういう非常にいいチャンスであったと思いますね。ただ呼ばれたから行って調査をする、呼ばれたから行って立ち合いをするというようなものではなくて、ほんとうに住民の不安をどうしたらなくしていけるのか、そのために具体的な安全対策は何を要求すべきであるのか、こういうことがこのほんとうの目的であったことは疑いないのです。当然私は公開をすべきであったと思います。そうでなければ説得性が第一あるわけはないじゃないですか。ですから、これは、その公開という一番大事な点を抜いたこの調査のやり方というのは、基本的に不満です。そういう考えはどうでしょう。間違っていますか。
#70
○国務大臣(山中貞則君) これは間違っているいないじゃなくて、事柄の推移の実際の問題であります。ということは、まず、毒ガス撤去に際して第三者を立ち会わせるかどうかという問題は外交折衝をやったわけです。当初は非常に壁がかたかったのですけれども、本土政府が責任を持って派遣するからということで立ち会いを認めました。その結果、琉政が独自で呼ばれた人たちも一緒に立ち会いを認められたということでありまして、まずその壁を突破する努力を私どもとしてはしたわけです。そして現地において、私たちは琉政の安全性確認等の要請に応じて行ったわけでありますから、それを御報告申し上げて、琉政側の御要請があればその立場を県民に発表することもいたしましたでしょうし、あるいは、琉球政府がそのまま文書等を求められて、琉球政府の発表とするとおっしゃれば、それでもよかったと思うわけで、本土の調査団の方が住民の方に言って、私たちも確認したからだいじょうぶであるという現地説得とか、公表による安心感を与えようとか、そういうところまでは私どものほうも琉政側の要請もありませんし、また私どもが立ち入るべき範囲以外のものである。琉球政府自体が私どもの調査団を最大限に御利用くださればけっこうであるというつもりでやったわけでありますから、決して私どもが琉球の、ことに沖繩の毒ガス撤去の
 ルートに関係のある地域の住民の方々にまず一義的に本土政府が何かしなければならないという問題の前の、琉球政府という問題をむしろ私どもは尊重したというつもりでおったわけでありますが、いま伺いますと、あるいは琉球政府自体で呼びました調査団の方々というものが個人的にも集団でもいろいろな場所でいろいろな見解を発表しておられますことに比べて、公務員の諸君でありますからそういう行為もやっておりませんし、あるいはよくいえばじみである、悪くいえば沈黙を守っておるとおとりになったのかなというふうに思いましたので、決して私どもとしては他意があってそういうことをしているわけではないわけであります。
#71
○松井誠君 お尋ねしますが、その調査の結果というのは文書としてまとめてあるのですか。
#72
○政府委員(田辺博通君) 別に文書としてまとめてはございません。
#73
○松井誠君 私がこのことをくどくお尋ねをするのは、やはりできるだけ公開をさせるという、そういう基本的な姿勢を強く持つべきではないか、それがその不安を解消する何よりも欠くべからざる前提条件じゃないか、そういうことを考えないで、安全だ安全だということを幾ら百万べん宣伝したって、これは全く通じない。だから、これからあとの問題として考えるときに、やはりできるだけあらゆる面でこの公開の原則というものを貫くような姿勢を私はとってほしいと思う。それがなければ、この住民に対する説得力なんというものはない。この点はいかがですか。
#74
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府のほうで本土の派遣調査団が調査した結果を発表してほしいということであれば、おそらく現地でも本土の参りました調査団がその発表を断わったというようなことはなかったわけでありますから、現地でそういう御希望があれば従いますし、現地の琉球政府の意向を無視して私どもの政府の調査団というものがかってな意見や、あるいは集会に出て討論に参加するとかというようなことはやはり慎むべき事柄であると私は思っておるわけであります。
#75
○松井誠君 どうも私の言うことをちょっと誤解をされておるようですが、私はそういう意味で言っているのじゃないのです。つまり、住民に直接会ってそういうことを説得をしろというような意味ではない。そうではなくて、あて名は琉球政府でもけっこうですから、あるいは本土政府でもけっこうですから、調査結果というものを公表するということが必要じゃないか、こういう意味です。そして、これからあとも、これは調査結果だけの問題ではございません、いろいろな問題でこの毒ガスの問題に関してはできるだけ資料を公開するという姿勢が基本的に必要ではないかという意味です。
#76
○国務大臣(山中貞則君) そういう意味なら私も賛成でございます。
#77
○松井誠君 そういうことでお伺いをしたいのでありますけれども、私たちがいま唯一の知り得る資料というのは、先ほど申しましたようないわゆる田村調査団の報告書しかございません。それで、その報告書というものを手がかりにしていろいろ実は資料を集めたのでありますけれども、その中に出ておる資料の一つに、最初、あのジョンストン島にきまる前に、オレゴン州に輸送しようかというそのことが問題になったときに、アメリカの国防総省が、どこへ向けてのパンフレットかわかりませんけれども、この沖繩からの毒ガスの輸送について相当詳細なデータを発表しておる。これを見ますと、私はやはりこのアメリカ軍の毒ガスに対する安全性というものについての考え方に基本的に疑問を持つのですね。特に、ちょうどこの第一次撤去の際に現地のアメリカ軍が発表した安全基準というやつが地元の新聞に載っておるのですけれども、それを見ますと、これ、ほとんど安全対策というのは撤去に直接従事をするそういう人たちに対する安全対策が主であって、住民に対する安全対策というものは非常に軽んぜられておりますね。で、あの撤去のときにアメリカ軍が発表した安全対策というものの一つに、民間に対する災害対策というのが少しある。しかし、これはこういう書き方をしていますね。「各指揮官は民間災害発生のばあいにとるべき計画をたてる。同計画では人命、財産への損害を減じ、」――「減じ」ですよ――「人命、財産への損害を減じ、原因などの証拠となるものを保全するようにする。」これはもうどうしたら住民を被害から救うかということじゃなくて、やあ多少の損害はやむを得ないと言わぬばかりのいわば姿勢なんですね。で、先ほど私が言いました国防総省のパンフレットも、別にことばじりをつかまえるわけじゃございませんけれども、絶対事故を起こすまいというそういうたてまえからはだいぶ感覚がずれているのです。それは「化学兵器の輸送に直接関係しない人達に重大な危険を及ぼすような事故、または事件が起り得ることはほとんどあり得ないと言う結論に達した。」、こういう書き方ですね。安全性に対するこういう考え方で一体いいのだろうかという基本的な疑問を持つのです。田村先生も言っておりましたけれども、絶対安全ということはあり得ない。それは当然だと思うのですね。九九%安全であっても、一%の事故があれば、それで人間は命を失ってしまう。そういうものであるとすれば、絶対安全などということを考えて、安全対策をなおざりにするなどということはあり得ようはずは私はないと思うのですがね。これはたとえば原子力学者の武谷さんなんかも、原子力について絶対安全ということはない、絶対安全ということはないのだから、だから、できる限り安全になるように万全の措置をとる、そういう姿勢をいつでもとり続けなければだめなんだ。田村先生も同じようなことを言っている。これは爆発物、危険物、したがって絶対安全ということは元来ない。ところがアメリカ軍は、絶対安全でありますということを盛んに繰り返している。絶対安全ということがあり得るというたてまえからは、これだけやったから絶対安全だ、それでよろしいという態度になってしまう。しかし、そうでなくて、一%であろうと〇・五%であろうと、とにかく少しでも不安があればできるだけの措置をとる。これが、もろに人命が危険にさらされておる、こういう問題でありますから、当然やはりとらなければならない姿勢だと思う。そういう意味で、アメリカ軍の基本的な考え方に私は不満を持つ。やはりこれからあと、ほんとうに一〇〇%の安全というものをあくまでも追求していく、そういう姿勢で臨んでいただきたいと思いますけれども、いかがですか。
#78
○国務大臣(山中貞則君) もちろん、これは物が物でありますから一〇〇%の安全ということが目的で、完全にそれが達成されなければならぬ事柄だと思っております。しかし、私も専門家でありませんし、また、現物について私自身も知り得ない範囲が多いわけでありますから、したがって、アメリカが資料を公開しているわけでもありませんし、それらの確認の手段等も今後実際の撤去には必要になろうかと思いますけれども、米側においても、やはり人命の尊重ということを第一に、まず撤去に従事するのも米人ですから、米軍人であるはずですから、それらの連中の安全は別だということではないはずでしょうし、それらのことについても米側も同じ気持ちで当たってもらいたいと私も思っております。
#79
○松井誠君 御承知のように、この毒ガスというのはアメリカ本土でとうとう拒否をされ、グラベル修正案というやつでいわばアメリカ本土から締め出され、そしてジョンストン島へ行かざるを得なかったというそういう経緯を見ても、これはもう住民の不安というものがいやなほどわかるわけです。また田村先生の話になりますけれども、何かこのGBガスあるいはVXガスというのは、一トン流れても、これは計算の上では、沖繩の県民全部が死んでしまう、そういうものだというんです。ですから、いまちょうど長官も言われましたけれども、われわれは資料がない。だとすれば、資料をもらって、ひとつ公開をさせる要求をする。そういうところから安全対策のいわばイロハが始まっていかなきゃならぬ。そういう意味で、一体、いま沖繩にあるといわれる毒ガス、撤去されるという毒ガスはどういう毒ガスがどれぐらいあるのか。そのことも正確な資料としてはわれわれは持っていないわけでしょう。
#80
○政府委員(田辺博通君) 先般の第一回の輸送にあたりまして米側が発表しましたのは、沖繩にある毒ガスの全量は約一万二千トン、その中にはVX、GB、HDという種類のものがあるということを発表しておりますが、その内訳はそれぞれが幾らあるということはわかっておりません。
#81
○松井誠君 先ほど私が申し上げました国防総省のパンフレットというものを見ても、種類は三種類しか書いてないようであります。しかし、その量は必ずしもわかりません。いまあなたが言われました一万二千トンというものは、普通いわれておるのは一万三千トンではございませんか。その一万三千トンであるとして、それが一体何の量なのか。ガスだけの量なのか、いわば兵器の重さを含めてのものなのか。そういうこともはっきりしないんじゃないですか。
#82
○政府委員(田辺博通君) 失礼いたしました。先ほどの一万二千トンと申しましたのは訂正さしていただきます。約一万三千トンとなっております。それからそのトン数、重量が容器を込めたものか、中身だけかという問題でございますが、これは直接は説明いたしておりませんが、前回百五十トンのガスを輸送いたしましたときに、この百五十トンというのは中身であるということがはっきりいたしております。したがって、これは推測でございますけれども、前に発表しました一万三千トンのうち百五十トンを第一回に輸送するんだと言っているところから見ますと、一万三千トンというのは中身の問題であろうというぐあいに推測をいたしております。
#83
○松井誠君 あなたもしろうとだそうだからやむを得ませんけれども、しかし、さっき言いましたこの国防総省のパンフレットには、ガスだけのものがある、つまり、兵器に詰められていないガスだけのものがある、そういうことを書いてあるんですよ。そして、そのガス、それは兵器とは書いてありません、「容器詰めの化学薬剤」と書いてあります。そして、その化学薬剤を最も近代的で最も安全な容器に移したと、そういう措置を搬出の前にアメリカはやっておるんですよ。それで、そのことと、先ほど百五十トンは中身と言いましたけれども、中身ではないでしょう、これは。
#84
○政府委員(田辺博通君) ちょっとうっかり間違いましてたいへん済みません。百五十トンは容器込みのものでございます。したがいまして、先ほど申しましたのは、推測からいいますと、容器込みの数量であろうと思います。
#85
○松井誠君 田村報告では百五十トンの約一割の十五トン、それがおそらくガスの量だろう、その調子でいけば、一万三千トンは千三百トンのガスの量だろうということになるかもしれない。しかし、私のいま言ったように、全部が兵器に詰められているのではない。ガスのままの、いわば兵器に詰められていない、ほかの容器に入っているガスがあるんです。それから、二万三千トンといっても、その兵器の重さを含めて何ぼになるのか、あるいはどうなのかということ自体もわからないんじゃないですか。
#86
○政府委員(田辺博通君) わからないので、ただ推測を申し上げただけでございます。
#87
○松井誠君 ですから、そういう基本的な問題について集めようと思えばそういう資料は集められるわけですね。いわば責任者であるあなた方がそういう資料さえ持っていないということはおかしいんじゃないですか。つまり、中に何が入っておるかといえば、この資料を見れば一応の想像はつくんです。だから私はできるだけやっぱり公開するという、そういうたてまえでやらなければならぬと言うのは、たとえばそういうことなんです。これは長官ごらんになったでしょう。
#88
○国務大臣(山中貞則君) 拝見しました。
#89
○松井誠君 それには明らかに、兵器だけではなく薬剤のままのものがある、これは間違いありませんね。
#90
○国務大臣(山中貞則君) 油状と書いてあるもの、それから液体と書いてあるもの。ですから、やっぱり弾体とか容器に詰められておるということは表現されておりません。表現されていないと思います。
#91
○松井誠君 六ページを見てください、六枚目。「容器詰めの化学薬剤を州間通商委員会及び運輸省の基準に合致した最も近代的で最も安全的な容器に移した。」、そう書いてありますから間違いないわけでしょう。
#92
○国務大臣(山中貞則君) この文書によれば、いまお話しのように書いてございます。
#93
○松井誠君 これは国防総省が去年五月に発表したものであるからそう古いものではないわけです。したがって、たとえば兵器として輸送するのか、ガスのままで輸送するのかによっておそらく輸送の方法が非常に違ってくるだろう。そういうことも確かめないで安全対策が立てられますか。そういう意味で私は言っているんですよ。ですから、これはやっぱり最初に、まず種類は大体わかるとしても、具体的にどういう状態でそれが貯蔵されておるのか。数量が幾らなのか。つまり、全量撤去するかどうかを監視をする意味であって、具体的な数量なり、そのガスの状態なり、そういうものをやはり公開をさせるようにする。そういう姿勢が必要でないかと思うんですけれどもどうですか。
#94
○国務大臣(山中貞則君) これはさらに、それと安全対策とを含めて、外務省のルートでもって折衝してもらいたいと思っております。
#95
○松井誠君 それからもう一つ。一体アメリカにこういう毒ガスの安全基準というものがあるのかないのかわれわれにはわからない。これはどうなんですか。
#96
○国務大臣(山中貞則君) これも私も実はよくわからないのですけれども、あるいはお手元に資料があるかと思いますが、陸軍省の化学兵器の専門家でオレゴン州への輸送計画、フロリダ沖への廃棄計画作成にあたり、関係州当局との折衝にも参加した陸軍省のオーズイック大佐という人の折衝の過程において出た話として、オレゴン州当局と予備的な話し合いをしている過程で、現地民間団体より、個々の事項を想定して、その場合の安全対策についての質問が出されていたため、陸軍省側より、かりに山の全くない平たん地で、かつ高温で風のあるという気象条件のもとで液体ガスが漏れた場合、それを放置しておけば、という条件のもとでは、ガスが最大限二十マイルまで流れることがあり得るとの答えをした経緯がある。しかし、これはそのこと自体が行なわれなくなったわけでありますから、その具体的な基準設定までは至らなかったという経緯については、私の入手した資料として持っております。
#97
○松井誠君 それはおそらく、もし事故が起きた場合にどの範囲の住民までが避難をしなければならないのか、どの範囲が汚染をされるのか、その汚染をされる地域の広さは一体どれくらいと推定をしたらいいのかという、この田村報告に書いてあるそういう質問に対する何かのときに出てくる資料ですね。私の聞いているのはそうではなくて、一般的な安全基準、先ほど言いましたけれども、一次撤去の際に現地のアメリカ軍が安全基準か安全対策か、そういうものを一応発表いたしておる。しかし、それは、当該毒ガスの輸送をこうするぞという、そういうことであって、もし安全基準というものが一般的にあれば、それに照らしてどうなるかという判断の材料にはならない。そういう抽象的な安全基準というものがあるのかどうかということわかりませんか。
#98
○政府委員(田辺博通君) 私も、第一回の立ち会いの際にそれがかなり問題になりましたものですから、本土の専門家に問いただしてみますと、これは常識的な答えでございますが、一般的に、合衆国におきまして危険物の輸送に関する州際通商委員会規則というものがある、それによって、一般的な爆発物も含まれまして、輸送についての、あるいは貯蔵についての規制があるというぐあいに聞いております。
#99
○松井誠君 またさっきのパンフレットに戻りますけれども、これが一番詳しい、そして一番アメリカ側の基本的な資料だと思うのですが、それによると、これは五枚目ですけれども、アメリカの公法――パブリック・ロウですね、「アメリカ公法九十一条の百二十一の規定に従い、検討のため保健厚生文部省に提出された。」――これは輸送の計画の写しですね−ということがあって、このアメリカの公法なるものを調べてもらいましたら、それはこういうときには、その保健厚生文部省ですか、それの許可か何か要るんだという、そういう手続を長々と書いてあるだけで、完全な安全基準というものはない。もし、あなたが先ほど言われた爆発物の安全基準しかないとすれば、もうそれが唯一の毒ガスの安全基準になるかもしれない。その辺のことはそれ以上詰められないのですか。私らがアメリカへ行って聞くというわけにいきませんけれども、ほんとうに皆さん方がその気になれば、この安全基準というものが抽象的にあるのかどうか詰められると思う。
#100
○政府委員(田辺博通君) 当時私が聞きましたのはそういうことでございます。そのほかに爆発物輸送法というものもあるそうでございます。そのほか、軍隊の規則は非常に膨大なものがあるそうでございます。軍隊の中での取り扱い規則でございますね、安全のための。それからさらに、前回の第一回の輸送にあたりましては、通常のそういう既存の規制に従うにとどまらず、公衆衛生局に特に諮問をいたしまして、そのもとに審議会がつくられまして、それによってさらに前回の輸送のための安全基準が承認された、こういうぐあいに聞いております。
#101
○松井誠君 そうしますと、この軍の内部の安全基準というものは私は一番大事だと思いますが、それも含めて、これは日本の資料ではありませんから、資料要求はできないのです。それをアメリカから資料としてもらう。そういうことをひとつ長官やっていただけませんか。
#102
○国務大臣(山中貞則君) 外務省に頼んでおきます。
#103
○松井誠君 先ほど来私が公開、公開と言うのは、そういうものでアメリカが具体的に毒ガスの危険性というものをどのように感じているのかいないのか。そこから、われわれ自身安全対策というものを考えなければならぬ。現にこのアメリカ本土で拒否をされた。そういうときに、そのこと自体を考えてみても、アメリカを通過をするときの安全性の度合い、安全基準と、沖繩を通過するときの安全の基準というものが違ってはならないわけです。そういう差別が絶対あってはならない。そういう意味で、そういう入手し得る資料を、これからあとの安全対策を立てるためにぜひお願いをしたいと思うのです。それで、そういうものがいろいろな資料が出て公開をされて初めてやはり安全対策が明るいところで論議をされるということになる。そのときに、第一回の経験で私の非常に気になるのは、たとえば、その田村報告の中にあるわけでありますけれども、この毒ガスが漏れたかどうか、そういうことを検査をする道具というものは非常にお粗末です。何か、中に薬が入っているスポイト様のものと、それから、毒ガスに入れると色が変わってくるそういう用紙、そういうものしかない。しかし、それはガスが漏れたということがわかった場合に初めて役に立つのであるから、地形が複雑で、ガスが漏れたかどうか、どだいわからない場合は一体どうして検知をするのか。ことにGBかVXかどっちか知りませんけれども、無色無臭だというのですね。日Dみたいなにおいはない、全く無色無臭のもので、しかも、複雑な地形の中ではガスが漏れたかどうかさえわからない。そういう場合には、あの検知の道具ではどだい検知ができない。これは私は常識として当然考えられるのです。そういう具体的な措置一つ一つを点検をして要求をする。そういうことをぜひやってもらいたいと思うのですけれども、いかがですか。
#104
○国務大臣(山中貞則君) 田村報告というのは、私どもは存じませんが、ただ拝見しただけのことでございますので、その田村報告どおりしなければならないのかどうか、そこらは私もよくわかりません。わかりませんが、要は、住民の安全ということが絶対不可欠な前提条件でありますから、アメリカ人も人間ならば、日本人も人間であることには変わりはありませんから、そのことだけは第一次撤去のときから私自身も現地で強く直接要請をいたしましたし、外務省もまた同じような人道的な立場で要請はしておりますので、それに附随しての安全性にもし欠くるところがあるということが米側においても認める点があれば、これは当然改めてもらわなければならぬと思っております。
#105
○松井誠君 私は何も田村報告を全部確かに田村報告の末尾には具体的に要求すべきことを並べてあります。しかし、それが全部要求すべきものであるかどうか私も判断がつかないところがある。しかし、私が申し上げたことは非常にわかりやすい例だと思う。こういう検知の道具で実際に漏れたかどうかが一体検知できるかどうかということになると、これはもう常識でわかるでしょう。ですから、そういう問題があるわけですから、いつも非常に歯切れのいい長官が、きのうのせいかどうか知りませんけれども、きわめて歯切れが悪い。もっとひとつそういう姿勢で要求するということをはっきりおっしゃったらどうですか。
#106
○国務大臣(山中貞則君) 歯切れよく申しますと、私も実はよくわからないんです。要するに、だから人命を大切にしよう、日本人もアメリカ人も同じ人間だということで処理してくれということはもう言っているわけです。だが、そのためにはどういう種類の毒ガスにはどうしたらいいのか私にもわかりませんし、米側について運転する人間はアメリカ人でしょうから、やはりそういう意味では同じ人間の問題ですから、それを、間違いのない安全な撤去ができるようにという目標に連なるための努力はこれはしなければならぬと思うわけでございます。歯切れがいいか悪いかの原因の問題は別の話でございまして、実はこの問題は私もわからないということです。物についても、その手段についてもなさなければならぬ目標は確保しておりますし、そうしなければならないと思うんですけれども、具体的にどういうものがどういうふうに必要なのか、これがわからないものですから、あるいは歯切れが悪いように聞こえたかもしれませんが、なるべく歯切れよくお答えをいたします。
#107
○松井誠君 わからないのはやはり公開をされないからですよ。公開をされて議論をされれば、ほんとうに専門的なむずかしいことは別として、わからないはずはない。もちろん、長官は当の責任者じゃありませんけれども、しかし、おそらく今年度沖繩にとって最大の問題だと思うんです。沖繩だけではない。ほんとうに日本にとっても最大の問題です。輸送に何十日かかるかわかりませんけれども、その間のことを考えてみただけでもこれはたいへんな問題だ。ですから、わかりませんでは済みませんよ。抽象論はわかりますから、具体的な立場から具体的なお尋ねをすればまた抽象論に戻るんでは、これは議論は進展しない。ひとつ私たちも勉強しますけれども、ぜひやはり具体的な知識を持ってもらって、そしてひとつ言うべきことは言う。そういう姿勢をぜひとってもらいたい。先ほどから、運ぶのはアメリカ軍だという話でありますけれども、その運ぶ人たちの安全対策は何がしかやっているわけです。問題は沿道の住民に対する対策、私らが一番心しなければならないのはそれでしょう。たとえばこの除毒剤というのも、調査に行かれた方はわかるでしょうけれども、あるのは、一番出発点の知花とそれから到達点の天願桟橋、そこのところにあるだけで、途中のところにない。運搬する人たちは持っている。そういうことではないですか。
#108
○政府委員(田辺博通君) これはコンボイといいますか、そのトラック、これにガス弾が積まれて
 いるわけですが、その一台一台にそれぞれ消去剤が設置されております。
#109
○松井誠君 ですから、運搬する人たちの安全は何がしかやはり配慮はしておる。しかし、それがほんとうに事故が起きた場合に、住民に全部解毒の除去ができるようなそういう事情であるかどうか。そういうことになると、きわめて足りない。
#110
○政府委員(田辺博通君) 田村先生の御見解を現地でもある程度仄聞しておりました。また、琉球政府招聘の専門家の方々、ほかにもおられますが、それぞれ御意見が必ずしも統一されていないということも現地で仄聞しておりました。ただ、その消去剤の量の問題につきましては、その当時は私ども足りないとかどうであるとかいう議論はなされなかったように聞いております。ただ、この問題は、私専門家ではございませんから、何ともお答えできませんけれども、車にそれぞれ積載してありまして、それからそのあとを随行する、追尾するコンボイの中に消去班がおりまして、したがいまして、もちろん、それは運転をする人のためでもありましょうが、万一発生した場合にはそこで完全に消去するという用意であるというぐあいに私は考えておりました。
#111
○松井誠君 だから、その量が十分であるかどうかという問題なんですよ。
 いままた、あなた、田村調査団の中でも意見が一致しなかったという話があるということでしたけれども、一致しなかったのは、つまり、こういう状態ならばそれを拒否すべきだという人と、そうではなくて、やっぱり条件によれば輸送をしてもよろしいという、そういう見解の違いであって、安全度という、あるいは安全性に関する見解の違いではなかった。私の聞いている範囲ではそうなんですよ。ですから、まあ、これで終わりにしますけれども、ひとつ長官にも、繰り返しますけれども、これはもうおそらく今年度最大の問題になる。それだけにいまから十分の準備をして、できる限り資料を集めて公開をしてこれに備えるという、そういうひとつ姿勢をぜひとっていただきたい。そのことを最後にお願いをして終わります。
#112
○国務大臣(山中貞則君) 私はこまかな問題についてはよくわからないから、何だかはっきりしないように思われるかもわかりませんが、住民の安全ということについては全く同じ見解なんです。その意味で、やはり外務省にお願いをしておりますから、外務省と米側との間でどこまで打ち合わせを−同じ認めるにしても、どこまで事前に検査してどこまでその内容を発表させるか、それについては毒ガスの種類がこういう毒ガスだからこういう手段を事前に講ずるので安全であるとかというような、いろんな問題を対米折衝してもらわなければならない問題でもあるわけです。あまりそれをたびたび繰り返しますと、私が逃げているように見えますから、そうたびたびは繰り返しませんが、外務省と一緒に、あるいは外務省にもやはり同じような立場でもって当たっていただきたい。私はそう念じながら沖繩側の立場に立ってものを言っているつもりでございます。
#113
○渋谷邦彦君 ただいまの毒ガスの問題につきまして、若干私も確認をしておきたいことがございますのでお尋ねいたしますが、去る三月十七日琉球政府が米国政府に対して、おそらく切実なる願望を含めて、要望書を出されたようであります。これは政府当局としても関知しておる問題でございましょうか。
#114
○国務大臣(山中貞則君) 承知いたしております。並びにそれは本土政府に対する要望も同時にございますから。
#115
○渋谷邦彦君 いまもいろいろな質疑が行なわれましたけれども、少なくともこの七項目の中に盛られた内容と申しますのは、これはもう長官御自身もそうであろうと私思いますけれども、だれが見てもこれはやはり当然だという印象を非常に強く持つわけであります。いままで移送経路を早く示してもらいたいというランパート弁務官のそうした話等もございましたけれども、一切そういうことを踏まえた上で琉球政府から、移送経路よりもむしろ安全ということに最大の関心を払った要望が今回の内容に盛られているのではないか。そういう印象を非常に強く持つわけであります。したがいまして、この安全についてはいまるる長官からも御答弁がございました。まさしくそのとおりでありますけれども、まあ現地の住民にしてみれば、具体的にどうするんだ、どうなるんだろうという、その成り行きを依然として注意深く見守ると同時に、その不安感というものがぬぐい切れないというところにこういうような要望となってあらわれたんであろう、このように理解をするわけであります。したがって、まず一つ一つの項目をあえてただす必要はないかと私思うんでありますが、やはり少なくとも復帰までもう物理的にもどんどん日が迫ってきております。はたしてその復帰前において、現在残されている一万三千トン全部についてジョンストン島への移送を完了するであろうかどうか。これを非常に疑わせるいろいろな事実関係がございます。たとえば配船の関係等もありましょうし、また当然それに伴ってどのくらいの積載能力を有する船が配置されるんであろうかという問題等々、何らそういうスケジュール等について明らかにされていない。一体どうなっていくんだろうというような問題がやはりわれわれとしてもございます。こういう点については、別に軍事機密にも属する問題じゃないと思いますので、これは当然政府間の折衝において明らかにすることはできるんではないだろうか。
 それから、いまもしきりに問題になりましたこの解毒剤等の緊急措置の方法等についても、住民がやはり納得するような方法というものが講じられていいんじゃないか。たとえば日本においては木造家屋が非常に多いために、最近では防火弾であるとか、まあ緊急の事態にはそれを投げればその地域はぱっと火がおさまるというようなそういう器具がいまできているわけであります。そういうようなものがはたして、もし今後移送が行なわれた際に、考えられないものかどうなのかですね。あるいはときによっては、まあトラックならトラックが通る場合に、その地域住民に対して防毒マスクを供与するとか、いろいろなそういう措置が考えられてくると思うんです。それも、GBであるとかあるいはVXですか、というような神経ガス等の運搬をする場合には、役に立たないと言われれば役に立たないかもしれない。けれども、やはり政府としては、先ほどから申されておりますように、何らか一つ一つの具体的な、こういたしますから安心してくださいよというようなきめ手がないものかという感じがいたすわけでありますけれども、いま申し上げたようなことに総括的に御答弁いただきたいと思います。
#116
○国務大臣(山中貞則君) ただいまここにおりますうちの首脳部はちょっと記憶がないと言っておりますが、どうも私にはちょっと、おそくとも夏の終わりまでにはというアメリカのそういう発表のあと、一日に何トン積みのトラックで何回、それからたしか九千トンでしたか――その書類をいまさがしておりますが――そういう船でジョンストン島に一回に幾ら運んで何回で済むというようなことがあったように思いますが、いまここに資料がないと申しますので、その点はあとで調べてみます。
 それから解毒剤の問題は、これはまた繰り返しになりますが、私もよくわかりませんので、これは米側のやはり国内においてそういう措置がとられておるならば、そういうものを沖繩にも適用してもらわなければなりませんし、そうでない場合も、沖繩において最大限の安全性のある措置をとるべきことをやはり要請しなければならぬことであろうと考えます。
#117
○渋谷邦彦君 そこで、失礼な言い方かもしれませんが、もちろん専門家でいらっしゃいませんことは重々知っております。しかし、先ほどから伺っておりまして非常にふしぎに思いますことは、まあ知らないから申さないというんじゃなくて、確かに日本には毒ガスの権威者というのがいないんだそうです。いま。したがって、解毒関係についても専門的な知識を持った人がいないのだそうです。また、いては困るわけですね、実際には。そういう社会環境であるわけです。しかし、やはり相当すぐれた学識経験を持っていらっしゃる方々が大ぜいおられるはずなんです。あるいは科学技術庁等々とタイアップするとか、あるいはそういう点を純専門的に扱っている大学の研究室に依頼をするとか、何らかそういう方法というもので、少なくとも、推測でもいいから、その推測を一つの基準にして、日本としてでき得る範囲で、これとこれはできる、できない面についてはアメリカの協力を得て万全を期していくというようなきめのこまかい作業というものがいままでできないものだろうかということなんですよ。
#118
○国務大臣(山中貞則君) 私もそういうふうに考えますが、政府の役人の中では防衛庁の制服にそういう方面の専門家とおぼしき程度の者がいるわけです。ただ、国会では、国会法ではさまっておりませんが、制服をここに呼ばないというしきたりもありますので制服の専門家から聞くわけにはまいりません。また民間で、本土政府調査団で琉球政府からの要請を受けた人の名簿の中に長助教授もいる。しかし、本土政府の派遣団に入ったことがけしからぬということで、あとで帰られてから口外をはばかるようなたいへん気の毒な立場に置かれたということ等も聞いておりまして、長助教授を国会にお願いするということもまた私どもとしてははばからなければならないであろう、長先生のために。こういう気持ちを持っておりまして、たいへん御迷惑をかけたと思っておるところでございます。その意味では、私どものほうでも、部内においてできるだけ日本側の知り得る範囲で、そういう問題に対する対処策はこうあるべきではなかろうかというものを、撤去が始まるまでにはどうしてもそういうものを自分たちでも持っていなければならないと思いますが、遺憾ながら現在の日本の役所の組織においては、お話しのように、そういう問題を常時想定してやっておるわけではありませんので、専門家と言えるほどの者がもうこれでだいじょうぶだというような的確な案はつくりにくかろうと思うわけであります。
#119
○渋谷邦彦君 沖繩島民百万人の方々が、極論すれば、あるいは一発のガス弾によって全地域、全本島の人たちが被害を受けるかもしれない。少なくともこれは考えなくちゃいけないことだと私は思うのです。万が一ということがあるのですから。絶対だいじょうぶということはあり得ない。ならば、百万人の人たちの危険を防ぐためにも、やはり何らかの措置は講ずることは、現在最も関心が深い問題でありますだけに、当然そうしたような措置というものがとられていいのではないだかろうか。できないながらも、そういう努力をしているという姿勢というものを沖繩県民の方々の気持ちに反映さしていくということが必要ではなかろうか、こう思いますけれども、いかがなものでございましょうかね。
#120
○国務大臣(山中貞則君) それもやるべきことだと思いますが、率直に申し上げて、本土政府の琉政の要求に基づいて派遣いたしました調査団は、実はあまりそういうような役に立つ待遇を受けませんでした。そうして、琉政が独自で呼ばれた方々の御意見を中心にいろいろと議論がされたという傾向がございまして、私としては、本土から琉政の依頼によって派遣した諸君にたいへんすまなかったという気持ちであとでわびたくらいでございます。
#121
○渋谷邦彦君 したがいまして、今後あり得ないと私は思いますけれども、いまどういう問題にしろ、そういう行き違いがあったり、あるいは琉球政府と本土政府の間に感情的な対立というものがみじんも残されてはならないだろうと私は思います。まあ、わびられたという、そういう経過を考えてみれば、やはりそこに重大な一つの失敗があったろうとも判断されるわけでありますけれども、やはりそういうところに不信感というものが助長されて、第一次からあるいは第三次に及ぶ復帰要綱全体にまで広がらないとも限らないという――ちょっとこれはうがったものの見方かもしれませんけれども――おそれもあるわけであります。いま当面する問題としては、何といっても直接人命に影響があると思われる毒ガスの問題、もう去年以来今日まで再々にわたってこのことが論議されてきているわけです。しかも、長時間を経過しているにもかかわらず、決して手が打たれていなかったわけではないでしょうけれども、いまここで議論されていることは、一番やはり沖繩県民にとっても切実感をもって、何とか早く安心のできるそういう解決方法というものをわれわれに示してもらいたいということにつながるのではないだろうか、こう思うわけですね。総理府だって大ぜいの有能な役人がいらっしゃるわけですから、当然そのくらいのことについては判断もし、またどういうところと接触を持ってこうした問題についての早急な解決の方途というものを講じなければならないかは、私が言うまでもないことではないだろうかと思うんですね。で、米国政府に対しても、とかく、外交権がない、それはやむを得ないにいたしましても、少なくとも一つの政府部内において、もう外務省でいま意図していることは総理府でもってちゃんとそれは了解している。総理府で意図されていることは外務省でもちゃんとそれが理解されている。そういうような非常に緊密の関係がない限りにおいては、何かこうちぐはぐな行き方をするおそれがないだろうかと。何か一方的に総理府が突っ込んだかと思うと外務省は非常に消極的である。あるいは外務省がやっていることについては――総理府が知らないわけじゃないでしょうけれども――全然関知しないなどということがあったのでは――ぼくはいままでの経過を考えてみると、あり得る。可能性というものは十分にあると思います。
 そこで、私はこれはもう要望を込めての申し上げ方でありますけれども、いまの毒ガスに論点を戻して考えてみた場合に、やはり強力に外務省なら外務省を督促いたしまして、少なくとも軍事秘密として公開をはばかるというのなら、これは何を言ったってどうしようもないことでありまして、お手あげだと。しかし、米国内においても世論を喚起したほどの問題でありますだけに、日本は例外であるということは絶対認められない問題ではないか。ならば、許される範囲において一刻も早く、いままで議論されたような問題点については整理をしていただきまして、そして沖繩の県民の方々が安心できるような、そういう安全な移送の方法というものを、また地域住民によってもそれが納得できたというような方法というものをすみやかに講じていただきたい。少なくとも第二次移送計画の段階までにその結論を出していただきたいもあだ、こんなふうに考えるわけでありますけれども、どうでございましょうか。
#122
○国務大臣(山中貞則君) 私も同感であります。ただ、先ほど琉政側との間の不信ということでありますが、それはそういう意味じゃなくて、やはり本土政府側の派遣を要請されたわけでありますから、要請されたものについても、せめて琉政が独自で招聘したのと同じ待遇を与えてほしかったという点がありまして、その点では私も本土から政府派遣をいたしました諸君にわびたということでございまして、別段琉政との間には何もございません。今後はそういうことのないようにつとめたいと思います。
 さらに外務省との問題は、外務省が一生懸命やっているのに私どもは不熱心であったことは一度もございませんので、むしろ外務省としては総理府あるいは私自身のやり方を苦々しく思うくらい私どものほうは沖繩県民の方々のためには全力をあげて突っ走っておるつもりでございますので、そこらのところが外務省と意見が一致したときに初めて結論が出されるというようなことでございまして、私どもは決して外務省よりか不熱心であったことは一度もないと思っております。
 なお、今後の移送については、私どもとしては、私が一月に参りましたときに、琉政側には、なるべくルートの決定を急いでほしいことと、米側に、それに対する移送ルートの代替ルート――別途ルートについて提案があった場合にはそれに乗ってほしい。そして、それについて米側もいろいろ財政事情等があるようでありますから、本土政府の日本政府としても財政的にも自分たちは配慮したいということまで申し入れて、その意味においては非常に順調にスタートを切ったわけでありますが、その後のルート選定等について、すでに一月以来いまだに、立法院の軍事問題特別委員会でありますか、これに対しては一応の結論が出たようでありますけれども、その後琉球政府の段階になりまして、美里村は態度保留――一部が引っかかっていますから態度保留、具志川市は反対の議決、石川市も近くおそらく反対議決をするであろうというようなことが次々と起こりまして、先週末来の主席以下の関係住民に対する説得もなかなか困難をきわめておるようである。そのときに琉政側としても実際に説得に当たってみて、やはりどうしても納得してもらうためには地域住民の安全性の確認ということがまず先決だということに結論がなったと私も想像いたしますが、その意味において、琉球政府からアメリカへ、並びに日本本土政府へと、ただいまの言われました数点にわたる申し入れというものが行なわれておるわけでございますので、これを踏まえて私どもも早急に外務省からアメリカに対してバックアップをしたいと考えておる次第でございます。
#123
○渋谷邦彦君 ことばというものはいろいろと誤解をされがちでございまして、私は決して不熱心だなんということを申し上げたつもりじゃございません。呼吸を合わしてやっていただきたいということでございます。いずれにしてもいま七項目に対しての要望については政府としても本気になって取り組んでおる。そうして外務省をバックアップしてその実現方を期していきたい、こういうことでございますので、この毒ガス問題については一応ここで質問を終わらさせていただきます。
 次に、ちょっと断片的にいろいろと気になる問題をお尋ねしておきたいと思うのですが、その一つは那覇空港です。那覇空港の今後の取り扱いについて、その管理権をめぐってまだ最終的な結論に至っていないようにわれわれは印象を受けるわけでありますが、防衛庁にするとか、運輸省にするとかということが議論されておるようであります。政府のほんとうの腹はいかがなものでしょうか。
#124
○国務大臣(山中貞則君) これは第二次復帰対策要綱で一応こういう表現をとろうかと思っていま案を作成中でございますが、「那覇空港については、その民間航空路に占める重要性を考慮し、所要の整備の促進を図るものとする」、これはもちろん、「国が図る」という意味でございます。離島空港も書いてありますが、そういうつもりでおりますが、現在この問題は−どうも途中で歯切れが悪くなるのですけれども−外交ルートの問題で資産引き継ぎの問題に関連をいたしまして、当初米側は那覇空港についてはあまり対象にしていないような空気であったのであります。あるいは、もしこれを日本側に返還する場合においては代替空港の建設を求めるというような態度であったようでありますが、その後、米側としても極東の戦略体制の変更等もありましたようで、返す場合にはそういうような代替空港の建設は要らない、そのまま返すということになっておるようであります。そこで、わがほうの受け入れ側としては、お話しにありましたように、運輸省の管理する純然たる民間空港ということが望ましいわけでございますが、そういうことにいたしますか、あるいは防衛庁が管理する空港にいたしますか、この問題についていま話し中でありますが、防衛庁の長官と話をいたしましたところでは、おおむね、これは那覇空港の沖繩における民間空港として国際的に果たす枢要性、そういうものから考えて、防衛庁も使用さしてもらいたいけれども、運輸省の所管の空港とすることに大体異存はないつもりであるということで、ほぼ検討を終わっておるようであります。そういうことを前提として対米折衝に入っておるわけでありますが、米側としては、日本側に返還した後もなお一部若干の部隊を、ごく一部でありますが、残して使わしてほしいという要望があります。その際に、米側のなお使う部分についてのみ提供施設・区域ということで話がセットできるかどうか、ここらのところがいま話し合いの中心になっておるようでございます。でありますから、おおよその方向は移管の方向に話が進められつつあるようである。しかし、これは外交折衝の問題がございますから、これがどのようになりますかは、いまのところ私の立場からは言えないと申しますか、見通しがつかないということでございます。
#125
○渋谷邦彦君 これは長官もよくよく御存じのことでありますけれども、空港の共同使用ということほど危険なことはないわけですね。国内においては千歳空港がそうであります。しかも、これは私の印象でございますから、正確に面積がどのくらいということを申し上げるわけにまいりませんけれども、那覇空港の場合、千歳空港よりも小さいような感じを受ける。そこへ持ってきて、民間航空と自衛隊とそれから米軍が三者一体になって共同使用するということになれば、その危険というものははかり知れないものがあると思うんですね。過去において、御存じかとも思いますけれども、千歳空港においても、あわや事故を引き起こすというような事件があったんです。わずか一瞬の違いでもってジェット戦闘機と日航の航空機が接触を免れたと、そういう可能性というものは十分あるわけです。共同使用の場合には。しかも、防衛庁であるとか米軍の場合には、緊急を要する場合に直ちに飛び立たなければならない。そこへたまたま民間航空の飛行機が、航空管制塔で十分コントロールしているにもかかわらず入ってきたというようなことになって接触事故なんていうものが起きないという保証は何もないわけです。そういうことを踏まえて、私は、これは外交折衝でしょうが、米軍の使用も航空自衛隊の共同使用というものも絶対にやってはいけない。あくまでも国際空港としての面目を保つためには、民間飛行場としてこれを維持していくべきではないだろうか、そのチャンスは、この復帰時点というものが最も望ましい条件である、このように判断しておりますがゆえに、いま一歩これを民間航空用の飛行場として使用できるように進めていただくわけにはいかないもんでしょうか。
#126
○国務大臣(山中貞則君) 私はそういう気持ちでおるわけであります。そういう気持ちで防衛庁にも話をいたしましたし、外務省にもお願いをしておりますが、問題は、資産の引き継ぎの対象として空港を入れるか入れないかという議論。最初はそういうものを入れない立場の話し合いが進んでおったわけでありますから、入れるとすれば代替空港をつくってからの話だというところから前進してきたという経過を申し上げました。これはもう率直な話で、あるいは私はあまりおしゃべりをし過ぎておるのかもしれません、外交折衝について。しかし、現在のところ私としては那覇空港を民間空港として健全な運営をしたいものであるという願望を伝えつつ折衝をしてもらっておるということに尽きるかと思います。
#127
○渋谷邦彦君 なお特段のそうした方向に向けての努力をしていただきたいと、こう思うわけであります。
 次に先般衆議院の沖特でございましたか、議論されました中で、長官の答弁があるんですがね。沖繩県民に対するいわゆる見舞い金制度の問題。いわゆる米軍のいろんな事故等を通しまして、当然賠償金を払わなければならないというような対象になっているような人たちが大ぜいいるわけです。けれども、事実問題としてそれは不可能である、平和条約の適用等を通じまして米国に対する請求権は放棄すると、こういうことが明らかにされておりますだけに、それにかわるべきものとして政府としては見舞い金というようなものを考えたい、こういう御答弁があったのでございますね。その後地元のほうから、この見舞い金については一万ドルぐらいが妥当ではないか、こういう声があったやに私も伺っておりますけれども、こうした一連の動きというものを通じまして、画一的というわけにはいかないにいたしましても、やはりそれ相当の、見舞い金なら見舞い金で私けっこうだと思いますが、当然せめてもの罪の償いの一環としてそういう方途を講じていただくならば、県民としても望外の喜びではないだろうか。この点、重ねてこの機会にお尋ねをしておきたい。
#128
○国務大臣(山中貞則君) これは二つの事柄が一緒になっちゃってそういうことにお受け取りいただいて、結果、恐縮だと思うのですが、一人一万ドルというのは、本土の総評議長の市川君が沖繩の県労協の皆さんを連れて私のところに面会に来られた際に、各種要望の冒頭に、二十五年間の償いに県民一人当たり一万ドル、百万とすれば三兆六千億をまず支払ってから、その賠償を、慰謝料を支払ってからあらゆる特例措置を講じろという話があった。これは私のほうで記者会見をしたものではありませんで、私と会った県労協の方々が総理府の記者クラブで会見して発表された。そして沖繩に帰られて、現地新聞にそういうことを山中長官に要請をしてきたという発表があったということでございまして、私はそういう陳情を受けた事実はありますが、私自身からはそういうことばはいまだ申し上げていないはずでございます。
 そこで、答弁の中にありますのは、外務省が対米請求権は奄美大島、小笠原の例に準じてやはり放棄するのだと言っておりますことに関連をして、私は、請求すべきものは請求すべきである、しかしながら、完全に放棄されたものについてなおかつ本土政府が処理をしなければならないようなものが残る、そういう場合には本土政府がしなければならないだろうということを答弁したつもりでおります。こまかに分けますと、講和前の人身補償の漏れたもの三百三十四件六十万ドルというもの等が公文書として参っておりますが、そういうものとか、あるいは講和後のそういう補償のし残してあるもの、あるいはその他つぶれ地、滅失地、演習に伴う漁業損害、あるいは入り会い権の侵害、あるいは軍事用地の接収に伴う通損補償、あるいは軍事基地のあるための基地公害、いろいろのケースを一応十種類ぐらいに愛知外務大臣のほうで分けておられるようでありますが、そのようなものを含めて、何らかの措置を必要とするものの対象にそういうものを検討していかなくてはならないだろうということを考えたわけであります。なお、入り会い権の問題等も個々の権利の特殊なものとして別途あるわけでございます。
#129
○渋谷邦彦君 検討の段階において、具体的に金額等、そういうことを検討の対象として進められているんでしょうか。
#130
○国務大臣(山中貞則君) これは外務省がアメリカとの間に、請求権を放棄する対象に何と何を入れるか、あるいはアメリカ側が、原則放棄であってもこれは米側の責任であるからこの分については私たちのほうで見ましょうというものがあれば、それはまた落ちるわけでありますが、それらの問題を含めて全体的な感触を申し上げておるわけであります。たまたま講和前の人身被害に関するものは、琉球政府からの権威ある資料として届きましたので、件数並びに金額を申し上げましたということでございます。
#131
○渋谷邦彦君 その問題は、また次の機会に、詰めた議論としてお尋ねすることがあるかと思いますのでその程度にしておきますが、最後に、最近軍雇用者はもとよりでありますけれども、民政府に従事しているような職員までが解雇の対象になる。伝えられるところによれば、その第一段階は六月ごろに実行に移す。おそらくその間は解雇予告期間とみなされるだろうと思いますけれども、もう逐次そういう問題が全面的に波及しつつある。いろいろ政府としても軍労働者に対する救済方法等をいままで十分真剣に検討されてはこられたでしょうけれども、まあ広い意味において言うならば、米民政府も軍の一機関と、こう見られないこともないでしょうけれども、若干立場が違ってくるんじゃないかという感じもいたします。こうしたものを総合しまして、具体的な問題といたしましては、ただいま申し上げました、とりあえず百四十名がもうすでに解雇の対象になっているというような人たちの救済措置、そうしてまた今後引き続き起こるであろう人々については、軍労働者の救済方法と同じような考え方に立って対策を講じていただけるのかどうなのか、あるいは別個に分けて考えていくべき問題なのかどうなのか。その辺、いかがでしょう。
#132
○国務大臣(山中貞則君) 米民政府の職員解雇については、逆に言いますと、復帰の時点においては、民政府がその時点において消滅をするという性格の役所でもございますし、純粋な米側の役所の雇用者であるということで、復帰後は、間接雇用として日本側が責任を持って雇用を提供する軍労務者とは根本的に性格を異にいたす問題でございます。しかしながら私も、沖繩県民が相当つとめていらっしゃるわけでありますから、全員を集めるわけにはまいりませんが、私が民政府の前でヘリを借りましたときの、出てこられました人々に対しては、あなた方自身の問題もあるということで、私としては激励と、それから、いまのうちに、特殊技能等も備えていらっしゃるし、民政府の勤務だから、言語その他身につけていらっしゃるだろうから、自分たちの問題は自分たちの問題としてアメリカ側への要求と同時に、自分たちの問題の処理に真剣に当たらなければなりませんよということで、一応無責任な立場でありますけれども、激励と申しますか、慰めのことばをかけたことがございますが、ほんとうに真剣に聞いていらっしゃいました。しかしながら、本土政府がまずやりますことは、本来、本土であるならば間接雇用として日本政府が責任を持つべき軍労の方々に対してどうするかという問題のほうが先であると考える次第でございます。もちろん、民政府の解雇される職員の人々も、これは同じ軍政下の特殊な状況下において職を持っていた。それが復帰に伴って職を失うということでありますから、ある意味において本土政府もこれに対して援助すべき点があれば応援をしなければならぬと考えるわけであります。そこで軍労の問題でありますが、軍労務者の方々については、解雇の数も当初発表されました三千人弱という数字がだんだんその後変わってまいりましたり、あるいはまた、新しく新規募集をしたりなどするところに、いままで越えられなかった四軍の間の壁を越えて継続雇用等の話が持たれているようでございますので、最終的には幾らになるかはいまのところ見通しがつかなくなっておりますけれども、その後の進展としては、アメリカ側が、本年度の予算から私どものほうで予算化いたしました米側の基地内における職業訓練、ことに私どもが念願しております長年の米軍雇用の期間において特殊な技術を習得した、溶接とか運転とかその他の免許を与えさえすれば、一般社会に入ってその免許によって職場を得るのが容易であるという人々に免許を与えてやるための課程を設ける。いわゆる基地内訓練であります。これらについて最近ようやく日米琉三者の間でそういう問題についてともに相談をして基地内訓練をやろうという話し合いが具体化しつつあるようでございます。これなどは明るい材料の一つかと思いますが、いずれにしても将来米軍基地というものが少なくなっていきますことを願うわけでありますし、そういう方向に向かっておる態勢下において、今後も軍労務者の解雇という問題は起こるわけでありますから、なるべく復帰前に間接雇用に移行してほしい、あるいは移行することを願う私たちの主張が受け入れられる日の早いことを願うべく現在もおるのでありますが、いまのところ復帰前のどの時点くらいで間接雇用に移行するかどうかというその見通しが立たないのは非常に残念に思いますが、しかし、予算措置その他においては、四十六年度において間接雇用移行への準備体制に遺憾なき配慮をしたつもりでございます。
#133
○渋谷邦彦君 いまの御答弁で明らかにされましたように、軍雇用者とそれから民政府従事の職員との立場は違う。違うならば違ったようなやはり措置というものはとられていかなければいけないでしょう。過般長官が出向かれたときに激励されたということでありますが、しかし、あながち百四十人なら百四十人の人たちが全部自分の特殊技能を生かしてそれぞれ自活の道を立てられるかというと、必ずしもその保証もないということになりますれば、やはり総合的に本人の希望、意見というものも十分尊重しながら、一面においては、全然そのめどのつかないそういう職員に対しては、具体的にもう迫っておる問題でありますだけに、政府としてはどういうふうな方向でもって、そういう人たちの救済措置といいますか――救済ということは当たらないことばかもしれません――いわゆるその転職をさせるためのアドバイスをしてあげることができるか。アドバイスにとどまらず、実際にその生活を保証してあげられるだけの具体的措置を考えていらっしゃるのかどうかということを重ねて伺っておきたいと思います。
#134
○国務大臣(山中貞則君) いまのところは、民政府の解雇される職員に対して本土政府がどのような処置をとるかと言われますと、具体的な手段は持っておりません。しかしながら、本土復帰に伴って米軍関係の需要に依存する商売をやっておる人とか、あるいは那覇空港から米軍の輸送中隊が撤退したことに伴ってランドリー業者そのものがもう営業できない状態になっている。いろいろのたくさんの波及する問題がございます。それに、バックにあるものとして琉球内における雇用労働市場の狭さというもの等から考えて、長い目で見た雇用需要の増大につながる施策の展開はもちろんでありますが、当面、それらの人たちの沖繩で生活していける新しい職種への転換、あるいはそれらの指導あっせんというものについては、やはり何らかの措置をとらなければならないと考えておりますが、いまここで具体的に、たとえば転廃業等の融資に何億用意しているというところまでは参っておりません。
#135
○渋谷邦彦君 特にこの転職の場合に、本土にこの機会に転職をしたいという希望を持っている方々がいないとは限らない。そういうことをいろいろ考えてみました場合に、琉球政府としても当然その対策に腐心しておられると私は思うのであります。そういった面で政府自体がそういう非常に限られた現在の人員でありますだけに、何かこう転職への有利な方向を確立してあげるためにも、援助の手を差し伸べてあげることはできないものだろうか、こういうわけであります。早い話が、これはできるかどうかわかりませんよ、たとえばいま沖繩・北方対策庁がありますね。その出先機関が那覇にあります。そこに希望するような人たち、これは全員というわけにはとうてい参らないだろうと思いますけれども、職員として採用するとか、あるいはもし本庁においてつとめたいというような人があれば、その特殊技能というようなものを十分にしんしゃくして、多少でもそうした人たちを受け入れられるような考え方がないのかどうか。むしろ、そういう現地の実情に詳しい方がいることによって非常にプラスの面が出てくるのじゃないかというようなことも考えられますだけに、あえてそのことを申し上げてみたのですが、いかがでしょう。
#136
○国務大臣(山中貞則君) これは役に立つと申しては失礼でありますが、たいへん重宝な人たちもあるわけでありますから、そういう人たちは、正規の職員にはなかなか問題がありますけれども、なるべくそういう人たちも雇用できるような、あるいは来てほしいような人がおります場合は、そういう対策も立てたいと思っております。しかしながら、いま沖繩の現在の政府職員、これの国・県政事務への身分の振り分けをいたさなければなりません。その場合において、なるべく多くの人たちが、できれば沖繩事務局、北方対策庁とも人員の交流というものが行なわれることが一番今後やっていくのにいい方法ではないかと思っておりますし、現在沖繩事務局を大きくいたしまして沖繩・北方対策庁の出先にいたしましたときに、なるべく琉球政府の若手の諸君を第一線に送り出してくれないかということをやってみたのでございますが、現在は俸給制度が琉球は現地の政府職員としての現地勤務でありますし、こちらから行っております者は一応外国という形になっておりますための在勤手当というものが非常に月給に比べて相当大きな金額をもらうわけでありますから、同じ年ごろの同じ経歴ぐらいの者で、本土から来た者は相当いい手取りである。しかし、琉球政府から移った者は安いということでも障害があったようでございます。しかし、これが復帰の時点において、琉球政府の人たちは特地手当の対象にほとんどなりますから、当然なるとすれば、現在よりもそういう手当の面では高い収入になるでありましょうし、現在の沖繩事務局の諸君は気の毒ですけれども、結果、内地並みになるわけですから、これは琉球政府の職員と同じ特地手当しかもらえないということで、そういう意味では月給の平準化ということで、手取り平準化で人事交流の一つの壁は除かれるのではないかと思います。そういうことで、まず沖繩の県庁職員あるいは現在の市町村職員、そういう人たちの中でなるべく国の仕事をやってほしいという人たちは国家公務員に移せるようにという配慮もしなければなりません。また、民政府の職員の前に、解雇された軍労務者の方でもやはりホワイトカラーもおるわけでありますし、それらの人々で実際上役に立つ人たちは、やはり門戸を開放してあげなければならない優先性を持ってると思いますので、民政府の重宝な人について道をあけることはもちろんでありますけれども、そういうふうなもろもろの配慮をしてまいりたいと思ってるわけでございます。
#137
○喜屋武眞榮君 最初に、毒ガス問題について私もお尋ねいたしたいと思うのです。この復帰がだんだん秒刻みで近づくにつれまして、まあ国をあげて、県民が一体となってその体制づくりに取り組まなければいけない、こういう大事な時期に、現地沖繩におきましては、毒ガス問題をはじめ、あれもこれもと毎日のように予期しないことが火を吹いておる。これに時間と精力を傾けて取り組まなければいけない。こういうことに対してまことに遺憾に思う次第であります。ところで、毒ガス問題は、まあ追及していけば、結局、対米交渉。これは外務大臣の問題になると思いまするが、事、沖繩問題に関する限り、山中長官も同等の責任、むしろそれ以上の責任があられると、こう私たちは思っておりまするが、その点、いかがですか。
#138
○国務大臣(山中貞則君) もちろん、私は沖繩担当大臣でございますから、沖繩県民の願う気持ち、あるいはしあわせでありたい、あるいは不幸になりたくない、それらのもろもろの気持ちを代弁する責任者は閣内で私であると考えておりますので、喜屋武君のお話しのとおりの気持ちでやっております。
#139
○喜屋武眞榮君 そこで、この毒ガスの問題につきましても、知らない間に持ち込んだのはアメリカである。今度これがばれて撤去する段になりますというと、いかにもその責任が沖繩県民側にあるような、こういうことで、何か責任が転嫁されておる、こういう感じがいたしてなりません。その点、いかがでしょうか。
#140
○国務大臣(山中貞則君) こういういきさつであったことをお考え願いたいと思うのですが、米側としてはおそくとも夏の終わりごろまでに、ジョンストン島の撤去施設が完了したのでということを発表いたしましたが、そのときに条件としては、第一次撤去ルートを使用したとすればという前提がございました。私はたまたまそのとき弁務官と会談する機会を持ったわけでございますが、そういうことで、それではとても、第一次ルートの百五十トンであのような問題が起きたのであるから、ガスの性質も違い、数量も違い、日数も違えば、その経路では困難である、であるから、これから沖繩の琉球政府のほうとよく相談をして、別に、一番地域住民に被害のないような、心配の住民の数が少ないようなルートを選定するから、その新しいルートにこだわらないで賛成してほしい、米側も協力してほしい、そのために財源措置その他についても考えようという話を提案をしまして、向こう側も気持ちよく、自分たちとしてはなるべく早く撤去してほしいという気持ちに従ってそのスケジュールを発表したのであって、第一次移送ルートにこだわっているわけではない、それを前提として発表したことは事実であるということで、そのところから、新しくルートの設定、選定ということが始まったわけでございますので、やはりルートをどのルートにするかをアメリカ側にきめてくれと言うわけにはこれはいかない問題だと私は思うわけであります。そこで、やはり琉球政府側にどのルートならば地域住民の方々も納得をされて、そしてなるべくすみやかに撤去ルートというものが完成させることができるか。なるべくすみやかに安全にという目的のために第一ルート以外ということで七つの案というものが一応提示されたようでありますが、最終的には通し番号では2のAというコース、いわゆる美里村の一部から東恩納を経て昆布のやや北に当たる天願桟橋に出るコースということに一応議会の承認、委員会のほうできまったということを承っているわけであります。でありますから、先ほど来申しておりますように、これはものごとの順序、手順の問題でございますので、かってにアメリカが持ち込んだのだからかってにアメリカが持ち出せと言った場合には、やはりたいへんな心配ごとの起こるわけでありますから、持ち出させなければならない、しかし、そのためには沖繩県民の、そして琉球政府の納得するルートを通ることである。それをアメリカが賛成し、そのルートの建設に協力することであるという順序を経てきておることでございますから、これを米側にいまさらルートをきめてもらいたいと言うわけにもまいりませんし、そういうことはかえって問題を起こすもとでありますから、やはり根気よくいまの手順を踏んで目的に一歩でも早く近づかなければならぬと考えているところでございます。
#141
○喜屋武眞榮君 そこで、コースの問題につきましては、一応琉球政府の行政府としましても、また立法院としましても、同意を得たように聞いておりますが、ところが問題はそのコースの問題ではなく、先ほど来論じられております十七日の、琉球政府としても再検討しなければいけないという、こういう羽目に追い込まれておるわけでございますが、この七つの項目について、このあたりでさらに決意をされて、具体的にそれを内容を盛り込んでいく。そして安全ということは運び出す側にあるのではなくして、住民側の立場からの安全ということにしぼられてくるわけでありますので、そのためにはということでこの七つの項目が新しく打ち出されて、アメリカ施政権者にも日本政府にも来ておるということでありますが、そこで、この七項目の実現のために県民を、住民を納得させる、これなくしては納得しないであろうし、それで期間をずらしていくと、その中にまた県民のあせりがますます輪に輪をかけて収拾のつかないことになってくると、こう思います。このあたりで総務長官もさらに決意を新たにされて、外務大臣と一緒になりまして、この項目の実現に当たる、こういう御決意がおありでしょうか、どうでしょうか。
#142
○国務大臣(山中貞則君) もちろん決意がありますし、そういう努力をいたしますが、どのルートにするかは、やはり琉球政府、琉球の立法院議員、こういう民意を代表するところできめていただきませんと、本土政府のほうで五万分の一の地図を見てルートをきめて、これでというわけには本土政府としてもまいらない。やはり地域の住民の人々の問題だと思いますので、そのルートについては主席も一応七案を持ってこられまして説明されましたけれども、たとえば具志川市案というものは西海岸に出たルートなんですが、ところが具志川市は東の海岸ですから、みんな自分たちのところを通らない案を出しておるわけなんですね。だからみんな、自分のところを通らない案ならこういうルートがあるじゃないかという言い方をしているわけです。主席とも笑いながら話をしたわけですけれども、それはみんな同じ心理状態だろう、しかしまあ、かといって飛行場から飛行機で積み出すという手がないでもないけれども、しかし、もし落ちたらどうなるかという心配もまた起こるわけだから、やはりどこかのルートを、御苦労だけれども、よく地域住民と話し合ってきめていただきたいということでお別れをしておるわけでございます。その意味では外務省を通じて努力はいたしますが、ルートの決定を私どものほうでやるということは、やはりまた米軍がきめるのとは別の意味の問題を提起することになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 なお、喜屋武議員への答弁の途中で時間を取ることになりますが、先ほどの御質問の中で、うちの首脳部が、記憶がないと申しておりましたが、書類に首脳部が全部判をつきました書類がいま出てまいりました。これは一応秘密事項となっておるようでありますが、たいしたことではありませんから……こういうようなことが明らかになっております。
 一、ルート変更には米日EW医務総監の新たな承認を必要とするが、陸上ルートのみの変更はそれほど時間はかからない。しかし、桟橋をつくることになれば――ここからは別の話ですが――六−七カ月の調査期間を必要とする。第一次移送では医務総監は五名からなる調査団を三回にわたって沖繩に派遣し、承認まで計十カ月を要した。
 二、移送隊は五七台の五トントラクターとSPトレーラーのほか、予備車両、レッカー車、化学消防車、技術班護送専用車、救急車、消防車各一台と、MP車数台で構成する。ガス弾の混載はしない。
 三、移送回数は――この場合は第一次ルートを前提としてこうなっておるようでありますが――一日に五−七回で、日中のみ行なう。この計算では一隻の船積み期間は七日−十日かかり、総撤去には八−十週間を要し、使用船舶は五−六隻となろう。――船の大きさは書いてございませんでした。
 あとは、もしルートの変更の際は、新たなる再検証と申しますか、医務総監でありますから、これは省略され得ると考えられるというようなことがちょっと書いてありますが、船のトン数は書いてありませんで、五−六隻を使用ということになっておるようであります。
#143
○渋谷邦彦君 これからの日時等についてはどうなんですか。
#144
○国務大臣(山中貞則君) それは、この前提でもおそくとも夏の終わりごろまでに撤去するということの内容でございます。
#145
○喜屋武眞榮君 そこで、コース決定が沖繩で難渋しておりますということは、結局、繰り返すようでありますが、安全基準がアメリカにおいて行なわれておる。その安全基準と沖繩で従来いわれた安全基準に対するそのズレがある。そういった安全基準を明確にしてもらって、そうして、その安全対策を住民の側からとらえていただいてそれを公開する。これに尽きると私は思います。そういう面からこの問題をひとつ一日も早く、一刻も早くこれを実現していただきたいと思うわけですが、いかがですか。
#146
○国務大臣(山中貞則君) いままで米側の正式なものの言い方としては、移送は安全である、したがって住民の避難その他の措置は必要ないということを公式に言っておるようであります。一方、アメリカのそういう場合の避難基準といいますのは、私が先ほど読み上げましたオレゴン州の関係地域住民の質問に答えて、もし次々のような状況のもとでガスが漏れた場合はという意味で二十マイルという表現が使ってあった。これはしかし、事故が起こったときのことを言っておるので、しかも、その問題は実行に移すことなくして終わったから、それはアメリカの州の段階であっても基準となっておるものでもないし、軍の安全基準でもないという態度であるようでありますが、しかし、もしアメリカでそういうような事故があった場合は、平地であって暑くて風があったというような条件であったとしても、そういう場合においても沖繩においては平地でなくて山岳地であった場合はどうするかというようないろいろなことを考慮して、アメリカにもない基準であるとははっきり言っておるわけでありますからもし米側との間で相談をして新たなる基準というものができればそれにこしたことはないし、また、日本側としてもアメリカ側の実際のそういうガスの性質その他をよく聞いて、そうして、これならば安全であるという基準がつくれるならばつくってみたいと考えておりますが、しかし、先ほど来渋谷委員ともやりとりしましたように、なかなか専門家がおりませんものですから、はたして絶対安全かと言われると、この問題については「絶対」ということばを使えるものはだれもいないだろうという性質のものであるということでございますので、アメリカ側では、いまはないと言っておりますけれども、一応回答らしいものを質問に対して寄せたものをかりに安全基準とすれば、それを沖繩の場合に当てはめた場合どうなるかという問題を検討して、私ども独自の作業もやっておりますけれども、それではむずかしゅうございますから、やはり対米ルートの専門家の話し合いということで、なるべくそういう方向の解明ができるように努力をいたします。
#147
○喜屋武眞榮君 それで、この撤去の実際の責任は、これはアメリカ側にあることはおっしゃるまでもありませんが、県民側が場所がきまってそうして運び出す段になれば、われわれとしてはその費用の一切はアメリカが負担すべきである、こう思います。ところが長官は、これがきまれば費用の半分は負担してもいいということを公言されましたが、それはどうもわれわれとしてはまことに妥当を欠いておると、こう思うのでありますが、いかがですか。
#148
○国務大臣(山中貞則君) 私どものほうも出さないで済むことを望むわけです。出したいわけではありません。しかし、アメリカ側は新しく金をかけて道路をつくることはしない。しかしながら、新しいルートが必要であるとどうしても言われるならば、それに対して検討をし相談に乗ろうと、こういうことでございます。結局アメリカとしては、ジョンストン島に一千二百万ドルという金をかけて突貫工事で一万三千トンのガスを収容する施設をつくり上げた。現在運び出せるルートがあるのに、これ以外に新しく現地で金を必要とする作業をしなければならないということはアメリカの内部事情で許されないのだというような含みのある話でございましたから、それならば、われわれ本土政府としても沖繩県民の安全のために一日も早く撤去してほしいし、やむを得ない措置としてわれわれも協力するにやぶさかでない。半分くらいはこっちで持ってもいいという話をしたということでございます。でありますから、われわれ本土政府は、もしアメリカが、金がないから、ルートは承認するがその建設については知らぬというような態度をとる場合には、その場合においてももっと前進した本土政府の姿勢を示して工事を完了させる必要があるのではないかという危惧すら抱いておるわけでありまして、アメリカ側がかってに持ち込んだのだからかってに持って出て行けと言うのにはあまりにも危険である。そのためにこそ新ルートをつくろうという努力をしているわけでありますから、そのルートをつくることの作業に財政的な面において協力しないということであれば、その隘路はこれは本土政府においても協力して打開しなければならない隘路であるという意味のことでございますから、アメリカに、お前さんの金で道路をつくって持ち出すべきであると言ってみても、アメリカ側はうんと言わないだろうということでございます。
#149
○喜屋武眞榮君 この問題はもうほんとうにあせりを感じてなりません。いままでもそれぞれの立場で一生懸命にやっておられるとは思いますが、ぜひひとつこれが具体的に実になるように一そうのひとつ御努力を要望したいと思いますが、御決意をひとつ。
#150
○国務大臣(山中貞則君) 私は沖繩復帰の時点において、もしじんぜん日をむなしゅういたしましたために毒ガスがなお沖繩に残っておるという最悪の事態を絶対につくってはならない。アメリカ側がいま、夏の終わりにはジョンストン島に全部移送できるということを表明しております以上、米側の理由によってのみこれが復帰までにおくらせることは大体ないという見通しはついたわけでありますから、そのために本土、沖繩政府が一緒になって対米折衝をやって、アメリカ側も琉球政府、住民の納得をする手段を発見をして、これはすみやかに撤去しなければならないということが何にも一かえがたい大前提であると思っております。そのためには、その目的達成の前提は、いかなる場合においても住民が絶対安全であるというまたもう一つの前提条件を備えたものでなければならぬという決意でございますので、大体、喜屋武議員の御意見と私とは変わっていないと考えてくださってよろしいと思います。
#151
○喜屋武眞榮君 次に、問題を別に移しまして、復帰も差し迫っているこの時点において、この日米の返還の調印、さらには臨時国会も目前に迫っておりますこういう状態の中で、その基本要綱である第一次返還要綱、これも具体的にもう煮詰めていかなければならない時点に来ている、第二次の要綱の発表もまだだという、こういういま現状でありますが、一体第二次の返還要綱はいつ発表される予定でありましょうか。
#152
○国務大臣(山中貞則君) 私はなるべく早く全容を明らかにして沖繩県民のそれぞれの個人の立場、あるいは自分たちの職業、会社、職域、こういうもの等についてそれぞれの立場において復帰後はこうなるのだという見通しと決意、そういう安心感というものをすみやかに与える責任が本土政府にあると考えて急いでいるわけであります。そこで当初は、三月の上旬に閣議決定をする予定でおりましたも一のも、琉球政府側との間に詰めがいろいろむずかしゅうございまして、そこで三月の九日ないし十日ごろと思っておりましたも一のも・ずれましたし、十九日の閣議決定と思っておりましたものも、その後、沖繩に対する国の行政機構の問題と税制の問題その他二、三の点で積み残しが出ましたので、これらを三次に移行することは結論が出ましたのでいま作業中でございますが、十九日の閣議決定ということがはたしてできるかどうか、ちょっとあるいはおくれるかもしれぬと思っております。きょうはもう十九日でございますから、きょうは間に合わなかったわけでございますが、その意味ではおくれていることは申しわけないと思っておりますが、おくれた理由は、琉球政府との間にあるいは沖繩側との間に意見のそごがあるままで閣議決定に持ち込むということを避けようという最大限の努力を繰り返し繰り返しやっておるためにおくれているのであるということでございますので、どうしても積み切れないなと思った問題はもう落としましたから、来週の火曜の閣議にはきめたいというつもりでおります。
#153
○喜屋武眞榮君 沖繩の問題は、切実な要求の項目は大体この立法院の決議の中にも盛られており、たびたび要請されておりますが、その未調整のものはと、こうおっしやっておりまするが、その未調整のものは、一体いわゆる第二次から除外されたもの、第三次に回されたおもなるものは何なのか、その調整がつかない理由は何なのか、そういうことについて。
#154
○国務大臣(山中貞則君) まず第一は、行政機構の問題で、今回の第二次要求で意見が一致しましたものは、県知事、県議会議員、市町村長、そういうものはこれは問題なく意見が一致したわけでありますけれども、問題は、復帰後の沖繩県というものの所管する専門の窓口になる役所を必要とするかしないか。まあ、これをかりに仮称沖繩対策開発庁という名前で呼ぶことにいたしますと、沖繩開発庁をつくるべきであるかつくるべきでないか。そのために、まあ表裏の問題でありますが、沖繩の現地に出先機関をつくる必要があるかどうか。総合出先機関のことでありますが、これらの問題について意見が極端に分かれているわけではありません。私どもとしては、これは沖繩県の出発第一歩に本土政府の予算を決定いたしました時点において、本土の各県はその年の自分たちの県の予算は幾らであるかということはわからないわけです。配分計画その他もありましょうし、特別交付税等含めて言えば、年度の終わりにならなければ最終的にわからない。ことに沖繩において特交の占めるウエートは非常に大きなものになるでありましょうが、そういう未知数のものを残して当初予算というものを県は組むわけであります。そういうような状態に置いていいかどうか。各省とばらばらに折衝をして、あるものは六月、あるものは七月、あるものは九月というふうにだんだんきまっていくようなことでいいだろうか。特別法はたくさんつくりますから、それによって補助率その他の特例はできても、予算そのものが、十二月末に予算がきまったときに、沖繩県の来年の予算は幾らであるということがわからないような予算編成でいいだろうかという心配を私どもとしてはするわけであります。その意味では、やはりいままでのように、沖繩側からいえば苦情の持って行く先、私どもから申し上げれば、沖繩の方々へお世話申し上げる窓口という役所が要るのではなかろうかというつもりでおりますが、これについてはやはり沖繩の自治の自主性というものを侵害されるのではなかろうか。まあ、きたなく申し上げますと、革新自治というものに対して本土のほうの保守政権というものの圧力というものが中央集権的に作用する役所になるのではなかろうか、いわゆる自治権を侵害されるのではなかろうかという意味の意見も一部にありますし、新聞等においてそういうことが、これは氏名を明らかにした投稿でございますけれども、明確にそういうことを言っておられるわけであります。まあ、それらのことは一応の御心配でございまして、それが、私どもの真心がわかっていただいて氷解をいたしますならば、沖繩のために私は開発庁というものが置かれたほうがよろしいと考えております。しかし、これは意見が一致しませんから二次から落としました。出先機関については、本庁が一本であってそして出先も二本であるという表裏の問題もございますが、さらに各県並みに、ことに沖繩は離れておりますから、各県並み以上に多くの出先機関がばらばらに一ぱい行きまして、各種の許認可業務からサービス行政その他について、沖繩県民の方々が数多くの本土の出先機関に行かれなければならないというようなこともまた不便ではなかろうかという意味で、沖繩の出先機関を、独立していなければならない性格のもの以外は、なるべく同一の庁舎の中に総合出先機関として置くことによって、沖繩の県民の利便、そして沖繩県の行政の、本土まで一々来なくても現地で済むような、繁雑さを現地で処理するというサービス行政のためによろしいのではないかと思っておりますが、これまた同じように、開発庁に対する見解とほぼ似た立場においてのまだ疑問があるようでございます。立法院の決議というものはいただいたわけでありますが、沖繩においての与党である革新各派の方々はその決議に退場しておられますので、琉球政府の要請としての形はまだ受け取っておりません。そこらのところにも、まだもっとよく話し合う必要がある問題だと、こう考えておりますので二次から落としたわけでございます。
 第二点は、大きな柱は税制でございます。税制の問題は、国税、県税、地方税については、それぞれ苦干の問題点、たとえば電気ガス税を新たに設けなければならない場合、沖繩において離島における時間送電等の場所については、これはやはり料率なり控除なりというような特別の配慮をしなければ、昼夜送電のところと同じ税金を取っちゃいけないというような問題等もございますから、そういう個々の配慮はいたしますが、まあ大体、町村税であった事業税とか不動産取得税を県税に移す問題とか、県民税を起こす問題とか、ほぼ話はつきやすい問題だと思うんですけれども、問題は、現在一国の状態を形成しております沖繩の状態というものが、関税という名前こそ使っておりませんが、外国に向かっては関税に匹敵する物品税というもので、ある場合においては非常に安い関税あるいは無関税等によって原材料や県民生活のいろんな物資を入れておられるわけでありますし、また、現在本土との間に、同じく物品税という名の本土との間の関税というものの障壁というものがまた日用品まで含めてありました。これらの問題の処理が非常にむつかしゅうございまして、要するに、関税を含む間接税というものの議論がまだ一致いたしておりません。この裏にはまた、沖繩で二十数年の辛苦に耐えて築き上げられました地場産業というものが、本土の企業の類別からいえばほぼ小さい零細企業クラスが規格としては大部分でありますから、本土と全くかきねを取っ払った場合にはたしてそれがやっていけるかどうかについて大きな不安があるわけであります。そうすると、それらの不安に対して私たちは回答を示さなければなりませんが、その際に、企業のことばかり考えますと、今度は県民の生活、日常生活において、消費物資の、本土ならば安く買えるけれども、復帰したけれども沖繩はどうも高いんだというような、いわゆる沖繩県のみの物価高という問題も招きやすい関連性のあるものもございますから、これまたやはり、いずれをとるかという取捨選択の問題と、どの程度までやったらいいかという限界の問題等がありますので、これらの問題も落としたわけでございます。なお、対米折衝を要する問題であって、しかし、まあ方向はきまっておるからといって書き込んだ問題は、今回の沖繩振興開発公庫というものの骨格は、現在の民政府の開発金融公庫というようなことになることを含みにしておるわけでございますが、その他の、いま二つ−水道と電力とがあるわけでございますが、ことに電力の問題について、沖繩側としてまだ民間五社の考え方――本島に関する限りの配電五社ですが、その民間でやりたいという考え方と、民間でやる場合において琉球政府がどうするという、その間の関連がなかなかちょっと一貫性を欠くものがございます。本土政府からは、いかなる金額で引き継ぎをしようとも沖繩県に対しては無償で渡すことはこれは当然の前提としておりますけれども、そのあと民営となりますと、無償というのはなかなかむずかしい。ということは、それによって利潤を上げるための営業行為を行なうわけでございますから、そこらの問題点がいまだ解決されておらないという問題が一つであります。それから、その場合においても新しい発電、送電等は電発で行なってもらいたいし、そしてまた、その配電五社が七月一日に合併して沖繩電力をつくっても、離島の電力をしょい込むことはごめんだというような問題等がございまして、やはり本土としては新しい電力需要にどのように対応していくかということも、事、電力に関してはほっておけない問題でもありますし、また、離島電力といえども、離島の人々はしょうがないのだと言ってほっておける問題ではございませんので、そういう意味において最終的な調整ができないまま三次に落としたということでございますが、まあ、あとまだいろいろございますが、おも立ったところはそういうものでございます。
#155
○委員長(米田正文君) 喜屋武君に申しますが、予定の時間ですから、まとめてひとつ最後のところまで…。
#156
○喜屋武眞榮君 それでは、時間もないようでありますので、まとめて最後の質問をいたしたいと思います。
 まず一点は、いままで琉球政府側から要望されたもの、あるいは日本政府側から打ち出されたものをいろいろ総体的に見まして、特にこの復帰後における沖繩の農業振興これが非常に大きな問題だと私は思うわけでありますが、その面からの振興策が非常に比重が弱いような気がいたしまして、そのことについて長官の抱負をお聞きしたいということが第一点。
 次に、これは立法院の要請の中にも切実な問題として出ておる中の一つでありますが、全軍労の労働者の解雇者に対する退職金の増額と早期支給、このことを強く訴えておりますが、その実情はどうなっておりますかという点。
 第三点は、沖繩の長期経済開発と新全国総合開発及び新経済社会発展計画ですか、それとの結びつき、関係はどのように吸い上げられておるか、また、それに対する構想はどうお考えであるかということ。
 最後に、前から琉球大学の職員が日本学術会議への加盟について正式な要望があるわけであります。これは時間的な問題がありまして、この三月に法改正が行なわれぬと十一月の選挙に間に合わぬと、こういった条件があるわけですが、これが順調に進んでおるやにお聞きしておったんですが、いまどういう状況になっておるのでありますか。以上まとめてお聞きいたしたい。お答え願いたいと思います。
#157
○国務大臣(山中貞則君) 農業振興策の基本構想というのはたいへん大きくなりますから、基幹産業にしぼって申し上げますと、今回分みつ糖については本土復帰とともに沖繩産糖の特別買い入れ措置法を廃止すれば本土並みの条件になるわけでございます。奄美大島と同じ条件になるわけでありますが、その際でも問題として残るのは、種子島から与那国に至る、あれだけの長い、気象条件の異なる条件下における熱帯性作物のキビについて、一本価格の買い入れでいいかどうか。この事業団買い入れ価格等の問題については、本土法をどうするかという問題が一つ背景にあるわけでありますけれども、いずれにしても、現在より悪くなるわけはないということはわかっておるわけであります。そこで、現在では琉球政府限りで保護をしていて、復帰後は、現在の本土法にない黒糖の保護でありますが、含みつ糖についてはいろいろ議論が分かれまして、農林省としても自信が最終的に持てなかったわけでありますが、しかし、現在琉球政府でとっております含みつ糖地域の一本価格の原料告示、並びにそれに伴う企業に対する――間接的には生産者でありますが、五十万ドルの琉球政府の財政措置をもってする救済措置、これについて本土政府が復帰後引き続きめんどうを見ていくことによって、黒糖というものについて、一応の安心感を持ってもらいたいという気持ちでおるわけであります。
 パインについては、一応果樹振興法ということで考えておりますけれども、それだけでは、現在琉政の原料価格の告示で、パインの果実の直径の大きさによって価格が分けて告示されております、いわゆる生産者の、告示による価格の保障、この問題が果樹振興法では目的が達せられませんので、これらの点をどうするかということをまだ詰め残しておるわけでありますが、これまた、復帰後といえども、パイン産業全体を通じて、現在よりもマイナスになることはない。すなわち、現在はLCを組んで商社の手を経由して本土の商社は沖繩のパインを買うと同時に、外国の台湾その他のパインも買う商社でありますから、そこらの思惑がからみ合って、なかなか価格、数量、引き取り時期その他について、通産省の段階で毎年ごたごたしておりましたものが、今度は国内市場になるわけでありますから、琉球農連等の窓口でお互いの組合が一本になって出荷その他の手段を講じますならば、自分たちの国内市場としての、十分のいわゆる商業の原則に成り立った市場獲得の展開が容易になるという意味では前進だと考えておるわけでございます。
 なお、農業に関係しては、今回落としましたものの中に農林漁業の役職員共済の問題がございますが、これは全般の他の共済の問題がございまして、これには、その共済役員としての資格期間の問題、いわゆる掛け金をかけていないで本土並みにいたしますと、給付は掛け金をかけていた人々と同じ条件で給付をしてほしいという問題がございます。これはたいへんむずかしい問題でございます。
 そういう問題等がありまして、これまた第三次で明らかにする問題の一つでございますが、要するに、沖繩を、第三点の、新全総の中の沖繩の位置づけと関連いたしますけれども、やはり日本の最南端の要衝にあって、−ということは、原材料を外国から持ってまいりまして加工して貿易で生きていく日本として原材料の輸入先の東南アジア、中近東に一番近い場所であるという意味であります。それと、気候の上の亜熱帯性の地域であるという二つの条件を有利に生かし、そして農林漁業というものを含めて、漁場の中に沖繩があるというその条件を文字どおり有利に駆使して、本土の漁業者が太刀打ちできない、漁業の自給自足の県であり、本土市場に対して沖繩の漁獲物がどんどん入ってくるような沖繩漁業にしなければならぬということを考えておるわけでございます。
 なお、将来は畜産等も考えていかなければなりませんし、黒糖のキビのバガス、あるいは梢頭部――トップと言っておりまする部分の飼料としての価値は非常に高うございますし、沖繩においては牧野改良のいかんによっては一年じゅう優良な牧草が育つわけでありますから、こういうような条件を利用して、現在二万八千頭ぐらいの肉牛をどうしても十数万頭まで底辺を広げまして、そして、産地処理工場をつくって、コールドチェーンも、カーフェリーの戻り船として冷蔵コンテナで大消費地にこれを運んでいくような有機的な、キビやパインの農家は必ず畜産をやる、畜産をやる農家は必ずキビやパインを植えているという農業形態にしていきたいと考えますし、なお、くだものその他の、ミバエ類、ウリミバエ、ミカンコミバエ、こういうもの等につきましても、大体本島においてはウリミバエはいないということが農林省の一年間の調査でほぼわかりましたので、大体復帰前においても、沖繩の本島においてつくられたメロン等、かんきつ類等は、本土のほうに無検査で大体運び出せるような状態ができつつありますが、これを久米島、あるいはその他の宮古、八重山等の、現在ミバエの生息しておりますところを、奄美大島のように徹底的に駆除いたしまして、優秀な熱帯性の、しかもキビとかみ合わせなければなりませんから、単年性の作物として、これを本土の市場に高価な、優秀な反収をあげるものとして位置づけていくということが必要であろうかと思うわけであります。
 なお、まだ具体的に検討いたしておりませんが、本土のほうがかつて想像もしなかった生糸の輸入国になり下がっております。ところが、沖繩は非常に養蚕において適地が多いそうでございまして、いまのような、かつて戦前の生糸の輸出の王座を誇った姿から衰れな転落をしています姿を見るにつけて、外国から輸入して外貨を払ってまでその輸出の地位を確保し、国内市場のために生糸をやっておる日本の養蚕業というものを、沖繩に対して、新しい活路が沖繩のために求められるのではないか、本土のほうもそれに対して望むところという、いわゆる足らざるを補うという意味において非常に有望ではなかろうかという見解をちょっといま聞いておるわけでありますが、具体的には、私の手元で最終的に技術その他の検討をして、だいじょうぶという確信をつかむまでに至っておりませんが、沖繩における絹のかすりや、あるいはつむぎ等について、原料の糸が地場の特産物としても相当消費されるわけでありますから、一石二鳥ということにもなりますので、その意味において、養蚕もこれからは考えられるのではないかという気持ちを持っておるところでございます。
 第二の、全軍労の解雇者、不幸にして解雇されました方々の退職金については、現在のところ、先般措置いたしました六億三千万円、これは年内の金額でございますが、四十六年度もそういう条件で進みます以外に、再就職のあっせんその他の費用以外に、直接一人一人にお渡しする金としては、ちょっといまのところ考えられないわけでございますが、問題は早期支給という問題で確かに問題がございます。これは私どものほうは、沖繩側に支出をすることを決定いたしますれば、それでいつでも出せるわけでありますけれども、大蔵まで含めて決定をするわけでありますから出せるのでありますが、沖繩側としても無理ないことに、一体どこのだれが、いつから、どんな月給をもらっていて、何年つとめていて、そして退職金を幾らもらって、差額が幾らであるかという、その計算に非常に苦労しておられるようであります。そのために若干支給がおくれておる点が事実ございますので、これらの点は事務当局にもかねがね、やめた人たちに対してはせめて退職金の、本土のほうから支払う分の支給がおくれないように、事務的に督促をいたして努力をさしておるところでございます。
 それから、新全総と沖繩の位置でございますが、これは第二次要綱に考えておりまする文章でございますが、「新全国総合開発計画および新経済社会発展計画については、復帰後所要の改訂および組入れを行なうものとし、この場合、新全国総合開発計画上沖繩を一ブロックとして取り扱う。また、計画の改訂等にあたっては、わが国土に沖繩地域が加わることによりもたらされる価値を明確にするとともに、わが国の最南端に位置する亜熱帯地域の特性を生かし、産業の開発、環境条件の整備保全および交通通信体系の確立を図ることにより、沖繩地域の発展と豊かな社会の建設をめざすことをその基本的な方向とする」、こういう言い方をしたいと思っております。これはまあ意見が一致しておるわけでございますが、本来ならば九州ブロックということになる予定でございまして、しかし、たびたび私が申し上げておりまするように、先ほどの農業のところでちょっと触れましたように、日本の一番南にあるという有利なる条件と、それから日本唯一の純離島亜熱帯地域であるという条件を生かして、これを最も有利な新全総の展開の新たなる付加価値にするという意味において、これからそのブロックに組み入れる作業をいたしたいと考えておるところでございます。
 さらに最後の、学術会議の選挙に対する沖繩の科学者の参加の問題でございますが、私も公的に予算委員会において、今国会に提出し、しかも、三月末の一応の受付締め切りまでに衆参両院を通してもらうようにお願いをするつもりであると申し上げているところでございます。いまもそのつもりでございますが、私どものほうの党の手続でいまだに最終的に閣議決定ができないでおりますることをたいへん申しわけなく思っておりますが、なお、来週急ぎまして国会に提案をいたしましたならば、すみやかに衆参両院の格別なる御審議と御可決の措置をお願いをしたいと考えている次第でございます。
#158
○委員長(米田正文君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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