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1970/03/26 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号
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1970/03/26 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号

#1
第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         米田 正文君
    理 事
                源田  実君
                長谷川 仁君
                松井  誠君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                稲嶺 一郎君
                河口 陽一君
                大松 博文君
                増田  盛君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
       沖繩・北方対策
       庁調整部長    田辺 博通君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       沖繩・北方対策
       庁調整部参事官  棚町 祥吉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖縄地域における産業の振興開発等のための琉
 球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する
 調査(当面の沖繩問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(米田正文君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府側の趣旨説明を聴取いたします。
 山中総務長官。
#3
○国務大臣(山中貞則君) ただいま議題となりました「沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する法律の一部を改正する法律案」について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、従来琉球政府及び沖縄の市町村の公共施設の整備等のため必要な資金については、琉球政府の資金運用部資金を充てるほか、沖縄の市中銀行の資金を借り入れる方法による以外に道がなく、本土の資金運用部資金等を貸し付ける制度がなかつたのであります。しかしながら、本土復帰を控え、琉球政府及び沖縄の市町村の財政需要の増大に対処するため、沖縄の資金運用部資金等のみによつて琉球政府及び沖縄の市町村の資金需要に応ずることはきわめて困難な状況であります。
 このような事情にかんがみ、琉球政府または沖縄の市町村の公共施設等の整備並びに公立小中学校の教員及び琉球政府職員の退職手当に必要な財政投融資資金を琉球政府に貸し付けることとし、このため「沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法」の一部を改正することといたしました。これが本法律案を提案した理由であります。
 次に、この法律案の内容について、御説明申し上げます。
 まず第一に、琉球政府及び沖縄の市町村の公共施設の整備等に寄与するため、琉球政府が、琉球政府の一般会計または沖縄の市町村に資金を貸し付けることができるように琉球政府に本土の財政投融資資金を貸し付けるために所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 第二に、これらの資金の使途は、琉球政府または沖縄の市町村が経営する企業の施設の建設に必要な資金、琉球政府または沖縄の市町村が設置する公共施設または公用施設の建設に必要な資金並びに琉球政府の支給する公務員にかかる退職手当に必要な資金であります。
 なお、この法律は、昭和四十六年七月一日から施行することといたしております。
 以上が、「沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案」の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(米田正文君) 引き続き補足説明を聴取いたします。
 岡部対策庁長官。
#5
○政府委員(岡部秀一君) ただいま総務長官から提案理由の説明がありましたように、この法律案は、琉球政府及び沖縄の市町村の公共施設の整備等に寄与するため、琉球政府が、琉球政府の一般会計または沖縄の市町村に、琉球政府または沖縄の市町村が経営する企業の施設の建設に必要な資金、琉球政府または沖縄の市町村が設置する公共施設または公用施設の建設に必要な資金及び琉球政府の支給する公務員にかかる退職手当に必要な資金を貸し付けることができるように、本土の財政投融資資金を琉球政府に貸し付ける道を開こうとするものであります。
 まず、第一条の改正規定の趣旨でありますが、従来、琉球政府または沖縄の市町村の公共施設の整備等のため必要な資金については、琉球政府の資金運用部資金を充てるほか、沖縄の市中銀行の資金を借り入れる道以外になく、本土の資金運用部資金を貸し付ける制度がなかつたのであります。
 本土復帰を控え、財政需要の増大に対処するため、沖縄の資金運用部資金等のみによって琉球政府及び沖縄の市町村の財政需要に応ずるには、資金上困難な状況であり、また、本土の地方債制度との一体化を望む琉球政府及び沖縄の市町村の強い要望もあり、この制度を創設することにしました。
 次にこの資金の使途については、第二条の改正規定に定められておりますが、第二条第七号の資金の貸付対象事業は、琉球政府または沖縄の市町村の経営する病院事業、電気事業等の施設の建設事業、第二条第八号は、琉球政府または沖縄の市町村の設置する港湾、学校施設、消防施設、公営住宅、清掃施設等の建設事業、第二条第九号は、琉球政府の支給する公立小中学校の教員及び琉球政府職員にかかる退職手当であります。
 最後に、このたびの公共施設の整備等のための財政投融資資金の貸し付けの手続は、現在の産業開発等のための財政投融資に対する貸し付けの手続に準じ、また、貸し付けの条件は、本土の地方債の各種事業にかかる資金の貸し付け条件の例により取り扱うこととしております。
 なお、この法律案は、琉球政府の会計年度に合わせて昭和四十六年七月一日より施行することにいたしております。
 以上簡単でございますが、この法律案の内容を補足して御説明申し上げた次第であります。
#6
○委員長(米田正文君) 以上で政府側の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(米田正文君) 次に、沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。
 山中総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
 山中総務長官。
#8
○国務大臣(山中貞則君) 対策要綱について説明をするようにという事前の御連絡をいただいておりますればきちんと整理して書いてお渡しできたわけでありますが、昨日の衆議院のほうでも突然の御要望がございましたが、お手元に配ってございます第二次要綱、これについて口頭で私のほうで補足しながら説明をいたしますので、その形式でお許しを願いたいと思います。
 沖縄復帰対策要綱でございますが、第二次に関しまして、まず第一に「沖縄県および市町村」という問題に関しては、知事並びに県の議会の議員につきまして復帰時において琉球政府の主席にある者、これを本土各県の知事とみなす。立法院の議員についても県議会議員とみなすという措置をとるものでありまして、現地の御要望どおりでございます。「市町村」については、これはもう問題はございません、奄美大島の例等もございますから。
 あと、「イ」についてはそれぞれを定めたものでございまして、何も問題はございません。
 「ウ」のところで、「復帰後一定期間、合併市町村に対し従前の特例の趣旨を尊重して所要の措置を講ずる」、これは沖縄においては、本土の市町村合併促進法に比べて全般的に本土のほうが手厚うございますが、沖縄独特のものとして、たとえば合併した市町村、新しい市もしくは町に対して琉球政府から補助ができるようになっております。いわゆる補助金の制度というのは本土にはございません。実際の支出がなされておるかどうかの点について疑問の点がございますけれども、法律はそうなっておりますので、沖縄側の進んでおると申しますか、手厚い点、一定期間促進する必要が沖縄においては、有人離島の数あるいは市町村の数、さらに国民健康保険実施にあたっての現在の市町村の区割り、数等についてたぶんに問題のあるところであり、本土の合併は一応もう終わったという感じがいたしますが、引き続き沖縄においては、琉球政府の特例をさらに上乗せをして一定期間に市町村合併を促進しようというものでございます。この機構のところで当然入っていなければなりませんでした、本土に復帰した場合に本土の政府側における機構をつくるかつくらないか。ほかの県と同じように、それぞれの各省とつながるだけの県にしてしまうかどうか。私どもとしては、沖縄側の、向こうから申しますれば、文句をつける相手という相手がやはり必要であるし、こちらから申し上げれば、責任を持って沖縄の新生第一歩をまとめて、予算も、たとえば復帰時の第一年度の予算であろうと仮定される四十八年度予算の総額は幾らになりますということを、本土の予算が決定いたしますときに、財投まで含めて、たとえばことし六百億二千万円というふうに明らかにいたしましたけれども、こういう措置をとることが、本土政府が予算の面においてどれだけ沖縄の新しい第一歩に支援をしようとしておるかということを具体的に示すものとして、どうしても一本化された行政機構が、たとえば仮称沖縄開発庁というようなものが必要となると思っておりますが、しかし、現地側においてやはり県政の自主性、地方自治の独立性に対する中央権力の圧迫になりはしないか等の懸念等が存在いたしまして、いまだ話の調整がついておりませんので、この点を総合出先機関も含めてこの際は落しておるわけでございます。後ほど御質問等がございますれば、三次に関する問題についていろいろとお答えを申し上げてなお説明をいたしたいと存じます。
 次に、「琉球政府の関係機関」でございますが、琉球電信電話公社についてはこれは問題はございませんです。ただ向こうは一本でございますので、それぞれ日本電信電話公社、国際電信電話株式会社というものがその事務を行なう職員を引き継ぎ、受け入れ、という表現になっておりますのは、電電公社と国際電信電話株式会社の違いでございまして、実体は変わりません。
 「琉球土地住宅公社」というものが存在いたしておりますが、これは公社の形で存在するよりも、やはり本土の地方住宅供給公社という形に切りかえていったほうがすらっとしてよろしいということで、これも意見が一致いたしております。
 「沖縄下水道公社」、これは本土において流域下水道という、市町村固有の下水道業務を越えて行なうという道が開かれましたので、沖縄の体制から考えて県営の下水道にすることが最も好ましいと考えて合意したものでございます。
 「沖縄放送協会」については、いわゆるOHKでございますが、ちょっと文章にニュアンスの違いがございます。「復帰により沖縄の放送法が失効するのに伴い」、あとはNHKが業務を引き継ぎあるいは職員を引き継ぐ、こういうことになって受け入れるということになっておるわけでありますが、これはやはりNHKというものは公共放送でありますが、それゆえに独立性、自主性というものを堅持いたしておりますので、これは義務的に引き継ぐのであるという表現は困るという主張がございました。したがって、これはことばだけの問題ですけれども、沖縄の放送法が失効する、したがってOHKというものは一ぺん消える、しかし、それは形だけのことであって、その形においてNHKが公共放送として引き継いでいくということでありますから、実体は変わらないわけでございます。日本放送協会の自主性の尊重という意味でそういう表現を使っただけでございます。
 「沖縄観光開発事業団」、これは県でやるよりも法人組織がよろしいのではないかということに意見が一致いたしております。事実、事業内容から考えて復帰後はその方向がよかろうと思っておるわけであります。
 「新全総および新経済社会発展計画の改訂等」、これの中で沖縄の地位について一ブロックとして扱う。本来、今日までの経過から考えますと、沖縄県は復帰後は九州ブロックという感じで作業をいたしてまいったのでありますが、私がたびたび申し上げておりますような、また、「計画の改訂等にあたつては」という後段のほうに「わが国土に沖縄地域が加わることによりもたらされる価値を明確にする」、すなわち、付価価値の大きさというものを新全総の中ではっきりと位置づけよう。さらに、それは「わが国の最南端に位置する亜熱帯地域の特性を生かし、産業の開発、環境条件の整備保全および交通通信体系の確立を図ることにより、沖縄地域の発展と豊かな社会の建設をめざす」んだということで、一ブロックとしての取り扱いの扱い方というものを明確にしたつもりでございます。
 次に、「沖縄振興開発公庫」、これは現地においても、さらに本土の各省、各金融機関についても相当な議論をいたしてまいりましたが、最終的に、沖縄のためにこのような方法が最善であるということで沖縄振興開発公庫をつくることにいたしました。一応「仮称」としてございますが、これは法律の段階まで仮称だという意味でございます。これは、日本開発銀行から始まって住宅金融公庫等に至る各種政策金融機関を一本でたばねて沖縄でそれぞれの業務を行なわせようというものであります。さらに、現在沖縄の政府という形をとっておりますために持っております大衆金融公庫から運搬船建造資金融通特別会計等、本土にない制度等もございますが、これらも業務全部を引き継いでまいりましょう。
 アイウエオのエで、それらの体制をもって出発する沖縄振興開発公庫のあり方は、沖縄の産業・経済の実情を勘案し、適切な貸し付け条件その他を定めるということで、貸し付け条件の金利あるいは償還条件等について、それぞれ、本土の開発銀行から住宅金融公庫に至る条件の中では解決し得ないような条件であっても、沖縄振興開発公庫であれば解決し得るということで、それらの事前の打ち合わせを済ませた上でこれらの表現をしたわけでございます。この制度は沖縄の未来にとって非常に大きな進展をもたらし得るものと確信をいたしております。
 「教育・文化」のところではあまり問題はございませんが、1の「学校制度」ア、イについては、それぞれ「本土の」「みなす」という措置をとることだけでございます。
 ただし、「私立大学の取扱い」で若干問題が存在しないとは言い切れません。「私立大学については、復帰までの間に、本土の大学の水準に達することができるよう統合その他の必要な整備」をはかってもらいたいということがまず第一に望んでございます。しかし、それをやらない、復帰して本土のほうの新しい制度である経常費補助あたりをあてにする、悪くいえば、そういうようなことで残っていこうとしてもそれはだめです、学校教育法による大学とみなさないことになりますから、したがって、卒業生、在校生は大学卒業の身分、資格を認めますけれども、新しい補充はできなくなりますよということを言ってあります。非常にドラスチックなものの言い方をしているわけでありますが、これは前提がございまして、琉球政府の私立大学特別委員会において、両大学の統合を勧告いたしております。それに対して、一大学は拒否し、一大学は賛成の意を表明いたしたわけであります。その後大浜私案等々も提案されまして検討の最中でございますが、これはぜひとも一本になってほしいという本土側の希望であります。しかし、復帰して一本になっていなければこうするぞというたいへんきびしいことを言っておりますが、そのかわり、統合整備をされて一本になられても、なお沖縄の私立大学は本土の学校教育法による大学設置基準にはおそらく達しないと思います。しかし、その場合は、達しなくとも、沖縄における唯一の私立大学校として特例でそれを認めていこうということを含みといたしておるわけでありまして、ある意味においては、あたたかい措置をとるにはこのような苦しみ、手段を通り抜けてきてくださいということをお願いしているものでございます。私立学校は、琉球大学を国立に移すのと違いまして、それぞれ私立学校の経営者がおられまして、経営者の人たちの間には賛成もあり反対もあり、教授会のまた意見も分かれております。しかし問題は、沖縄で引き続き私立大学の存在することの必要性、そしてだれのためにこの議論がなされておるのか、すなわち、私立大学の学生たちの将来のためにあるべき姿ということを考えるべく、この問題はぜひともこういう方向で進んでもらいたいし、琉球政府、立法院等もこのことを希望しておるということをつけ加えておきます。
 「教職員の特別研修」については、復帰いたしますと本土派遣というのは少しおかしいんですけれども、しかし、教職員のレベルアップというのは緊急の必要なことでございますので、一定期間――大体ここらから「一定期間」というのは五年ぐらいという意味でありますから――いままでどおりいたしましょうということでございます。
 「宗教法人制度」「学校安全会」等は、それぞれ一定の期間内に規則の承認を受ける等の条件はあるにしても、本土と同じようにしたいということでございます。
 「琉球育英会」については、第一次で国費留学生については触れてありますが、これはその母体である育英会というものについてそのまま民法法人として存続してください。なおさらに、琉球大学等に入学する沖縄県内子弟等においてもやはり奨学資金貸与等の制度が及ばなければなりませんので、これは国費留学とは別に、日本育英会が沖縄に同会の支部を設置することによってその業務を行なうということで、別段これが琉球育英会対立するものとはならないわけでございます。
 「私立学校振興会」、これはやはり存続するわけでございます。
 「厚生・労働」、「福祉事務所」、これは本土法でいえば、必置しなければならない市等について、沖縄の状態ではまだそこまで一挙にできないという場合は、その事務を当分県でやってくださいということを特例で申し上げておるわけでございます。
 「結核および精神病に係る公費負担」については、本土の制度では通院あるいは自発入院等について沖縄よりも手薄くなることになりますので、ここのところについて、沖縄の特例をなお存続しようという精神を貫いておるわけでありますが、この問題で将来検討課題としてできれば第三次要綱等に具体化したいと考えておりますのは、いままでの委員各位との御議論でも申し上げてまいりました、沖縄の精神病、結核の異常な比率の高さ、あるいは精神病院、結核患者の収容ベッド数等の極端な不足、こういうものから考えまして、復帰後琉球大学の保健学部の附属病院としていま整備されつつありますが、国立の病院というものが事実上存在しない地域になるおそれがございます。そこで琉球政府側も、現在の南援でやっております精和病院等を国立にしてほしいという希望等もあるわけでありますが、それらのことも勘案しながら、この結核、精神病の病人を対象の中心とする国立病院の設立が必要ではなかろうかと考えておるわけでございます。単なる財源措置だけでは済まない問題であろうということでいま考えておりますが、これから厚生、大蔵等とよく相談をいたしてみたいと考えておるわけでございます。
 「医療機関」についてはもう御承知でございますから、本土のほうは十九人までとなっております診療所というものを、沖縄では沖縄法によって二十九人までを診療所とみなしております。したがって、五年間ぐらいはいままでどおりやっていってもらいたい。本土では二十人以上は病院ということになります。したがって、その特例を認めますと、診療所における患者の収容時間というものが、二十人から二十九人までの規模の病院において本土の同じ診療所の入院期間というものを規制されることになりますので、これもやはりその規模について従前の例を認めれば収容時間等も沖縄の特例から見てこれを同じように特例として認めるべきではなかろうかということでございます。
 「労働者災害補償保険」、これ等も本土のほうで順調に引き継いでいって、「復帰前に生じた業務上の事故にかかる復帰後に支給すべき諸補償給付等」の問題が、少し具体的に書いておかないといけませんので、そういう場合には、特別の場合でない限りは本土の労災保険が引き継ぎます、こういうことを申し上げておるわけです。
 「失業保険」、これも大体そのまま引き継いではまいりますが、沖縄の失業保険の、船員保険法も含めて、順調に、これが計算方法その他も本土並みになれるようにいたしたいと考えます。
 「外国人季節労働者」、これは沖縄の基幹産業、農業の基幹作物である。パインアップル及び甘蔗というものの収穫期に台湾から大量に季節労務者が入っておりますことは御承知のとおりでございます。本土の出入国管理令ではちょっとこういうものは認められないし、労働省といたしましても、万博等の外国人労務者等の議論の経緯もありまして、そう簡単に認められないという立場でございましたが、しかし、台湾人労務者の御加勢を得ない場合に、沖縄の、ことに離島のキビ作並びにパイン作農家は一挙に生産手段を失ってしまうという実態を了解をしてもらいまして、一定期間は外国人労働者の季節的な労務者としての受け入れができるような特例を講ずるわけでございます。法務省のほうも了解をしてもらいます。
 次に「産業・経済」に移りますが、「含みつ糖対策」については、これはいままでずいぶん議論をいたしてまいりました。しかしながら、本土の糖価安定法そのものに入れるということは非常に困難である。しかし、現在沖縄では、原料価格の公示、あるいはそれによって経営者である事業者が受ける損害について最低限の支出を琉球政府がいたして補助をいたしておりますので、さしあたりはこの制度を継続していこうということで、当分の間はこういう措置を講じようとするわけでありますが、ここで「当分の間」という表現が出ておりますが、「一定期間」よりも長いという感じの「当分の間」でございます。
 「農業協同組合および水産業協同組合」、これは本土のものとみなす措置でございますが、農林漁業職員共済に対する問題は、他の国家公務員、地方公務員共済の関係等が、掛け金期間、勤続期間、給付の金額等についてまだ話し合いがついておりませんので、一連のものとしてたいしてこのほうは問題がないと思いますが、第三次に落としてございます。
 次に、「国有林野」については、明治四十二年の勅令で沖縄県に貸し付けた国有林野は、貸し付け期間がまだ残っておりますので、その期間の間は従前と同じ条件で沖縄県にそのまま貸し付けて活用してもらう。沖縄の森林法に基づいて貸し付けられてある国有林野については、原則として一定期間従前と同じ条件で貸し付けを継続しながらも、なお、西表(いりおもて)について特別な付け加えがありますが、これは御承知のように、大戦中に本島のほうから強制的に西表に入植、開拓を余儀なくされた方々が非常なマラリアと戦いながら、国有林の、沖縄の森林法に基づく貸し付けを受けて、今日もなお自分たちの収穫物は自分に帰するとはいえども、その土地というものは愛着も込めて自分のものでない。したがって、担保その他の措置も講ぜられない。したがって、だんだん離村していく人がふえるというような事情もございまして、この際、念のために、「国有林野事業に著しく支障を生じない限り」とは書いてございますが、支障を生ずるようなところはないと思いますので、西表のそういう強制開拓者、入植者等については、時価と申しましても現地の価格は知れたものでありますから、格安ということであります。譲り渡す措置を講ずるということでございまして、非常に現地で歓迎をされておると思います。
 「部分林契約」についても同じく承継をいたします。
 「漁業」について。漁業法を同じく沖縄にもそのまま適用いたしますが、沖縄県というもののあり方が、将来漁場の中に沖縄があるということについて、特別に沖縄に対して許可漁業、指定漁業等の認可隻数、許可隻数、こういうものについて配慮をいたしまして、本土法の及ばない――すなわち本土法ではカツオ、マグロ等において単純なワクの増加は認められませんし、新しい申請も受け付けない。あるいはスクラップ・アンド・ビルドでなければだめであるというきびしい条件で資源保護をはかっているわけでありますが、琉球政府では琉球政府自体の判断で、本土の各県であるならばとても考えられない相当な隻数の公示をしておられるわけでありますから、その公示された隻数については、本土のいろいろな関係県、漁業県、もしくは関係漁業団体から、少し行き過ぎであるという抗議もありましたけれども、沖縄の未来を考えた場合に、やはりここで、琉球政府の公示した隻数については本土のほうでそれを認めてあげることにしたらいいんではないかということで、水産庁に努力をしてもらってのんでもらったということでございます。
 「漁船保険制度」も琉球漁船保険組合を本土の法令に基づく漁船保険組合とみなして引き継ぎますということであります。
 次に、「自由貿易地域」、これについては、いわゆるフリーゾーンでございまして、ずいぶん議論がございまして、賛否両論、あるいは必要がない、そういうような意見等もございましたけれども、やはり先ほどの、沖縄県を新全総の一ブロックとして位置づけるために、そうして一番南の地域にある――最南端の沖縄の立地条件というものを生かすために、どうしても沖縄に自由貿易地域を設定しなければならぬ。現在ある自由貿易地域程度のちゃちなものではだめだということで、一歩前進して、相当な土地を獲得もしくは埋め立て等をいたしまして、外資、本土資本あるいは現場沖縄県内の資本を問わず、そこで、税制上のあらゆる特典を与えて、全体を保税地域的に扱って自由貿易地域をつくっていこう。日本においては初めての試みでありますが、ようやく意見をまとめることができました。
 「伝統工芸産業の振興」、これは小さなことのようでありますが、沖縄における伝統工芸品は長い歴史の上に立って築き上げられたものであり、将来これを育成することによって本土市場の相当な資金獲得と申しますか、シェア拡大ができるという希望のあるものでございまして、現在は細々とやっておる感じがしてなりませんので、ここで伝統工芸品の紅型、織物、陶器、漆器等、これらのものについて近代化、組織化、あるいはデザインの今日で求められているものに対する適応のしかた等、あらゆる問題について科学的にも技術的にも研究をする。琉球工業研究指導所というものを県立の工業指導所的なものにして、これに対して資金を国が大幅に援助をしていく。国立にするのにはちょっと本土各県でもそれぞれ地域の工業試験所を持っておりまして、やはり地域に応じた措置をとるのがよろしゅうございますから、資金面さえめんどうを見れば県立のほうがよりよろしいということは琉球側も認めて承認、合意したところでございます。
 「工業所有権制度」、これはもうほとんど問題はございません。商標等についても一部本土等で似たようなものを使われて困るという話もありましたけれども、沖縄は幸か不幸か離島でございますので、そういう意味で、大体問題なく移しかえられそうでございます。
 「琉球銀行の株式」については、明確に復帰前に地元住民に対し処分されるよう措置するものとして、これは沖縄県民以外の者がこの株式を取得しないということを言っております。アメリカの銀行資本も含め、あるいはまた本土の一般資本、銀行資本も含めて、この五一%分の取得に乗り出してはならないということを申しておるわけでありまして、これを取得する者は琉球の地元住民であるということを明確にいたしました。あとは、その株式の評価の金一額等の問題が残りますが、これは対外折衝の問題でございます。このような措置によって、沖縄に明確な沖縄県民の金による沖縄県民の地方銀行が誕生するものと考えます。もっとも、沖縄銀行もあるわけでございますから、地方銀行二つ、できれば一つにしてほしいですけれども、この五一%の問題についてはそのようなつもりで処置したつもりでございます。
 「証券会社」も、沖縄で証券会社がはたして成り立っていくかどうかということもありますが、まあ経過的に、本土の許可制ということでは無理であろうということで登録制で認めていこうということでございます。
 だいぶ時間がたちましたので急ぎますが、「運輸・通信」の「港湾の管理運営」、ここのところでは、なるべく港の格づけをして、それから沖縄の重要中核港湾である那覇商港、泊港、那覇新港、こういうものをできれば那覇市、できれば沖縄県というもので一体的に管理してもらえないだろうかということでございます。これはしかし、まだ那覇市と沖縄琉球政府との間で意見が一致いたしておりません。しかし、この方向で努力しようということで意見が一致しておるわけでございます。
 「空港の整備」は、那覇空港については、民間航空路に占める重要性というものを考慮して、アメリカが建設予定の金を出さなくなりましたので、本土政府が肩がわりして、そしてそれにふさわしいりっぱな空港整備を本土政府がやりますということを言っているものでございます。離島空港についても、今日の実情からその整備促進をはかっていく。
 「海運業」については、現在の沖縄の運賃同盟というものをそのまま当分の間一定期間認めようということでございます。そして近代化等をやろうということでありますが、これは本土の国内のほうにおいて反対意見がございます。沖縄が本土に返ってきた場合に、本土の船が沖縄県民のサービスに入っていくのがなぜ悪い、同じ国内じゃないかという強い反対意見がございましたけれども、現在の施政権下において置かれておる、一部本土の業者も入った運賃同盟を解除いたしますと、沖縄の離島航路も含めた意味で、次のアもイも含めた意味でありますが、ことにアの場合において、本土の強力な資本、船会社資本が行った場合に沖縄の既存船会社というものが窮地に立つのではないかということで、五年間ぐらいの間に体制の整備をはかる間、本土のほうの乗り入れはがまんしなさいということを意味しております。
 「辺地、離島バス運行の確保」については、これは特別に、沖縄においては、辺地、離島バスが必要なところでありますので、実情に沿うようなそういうバスの運行確保等について本土の制度を十分活用していきたいということであります。
 「車検制度」は、当初、本土に返ると全部国営車検になるので自分たちは廃業しなければならぬ、補償金をよこせという御議論でございました。なおいまでも補償をよこせと言う人はおられますが、本土のほうで昨年の法改正によって民間車検というものが委託で認められるようになりましたので、現在沖縄で営業しておられる方は、その制度を利用して全部指定検査人になってほしい。なってくださればよろしいのではないでしょうか。しかし、国営による検査を必要とするものについては、若干、二行ほど書いてございますが、これは沖縄県の左側通行、右側通行などの違いにより、本土からシャシーを送りまして、向こうで入り口を違えた、おおいをかけると申しますか、そういう、どっちかといえば組み立てを一部やっておりますので、この部分だけは構造、その他の安全性をどうしても国営で検査する必要があるということで、これは沖縄の既存の自動車の検査業務を行なっておる人たちを圧迫するような分野ではなく、わずかな分野でございます。「公共放送の実施」については、可及的すみやかに本土並みにしよう、受信料はしかし、朝、「今晩は」という放送を見せられる地域等もございますから、あるいは時間送電の地域等もございますから、これはやはりサービスの実態に応じて特例措置を考えなければなるまい、こういうふうになっておるわけでございます。
 「司法・法務」。「民法、商法または有限会社法に基づく法人」、これはほとんど「みなす」わけで問題はございません。
 「会社の発行する株式等」、これもドルと五百円との問題がございます。これもそれを問題なく処理しようということでございます。
 「登記」についても、大体、所有者不明土地登記及び市町村非細分土地登記というもの、これはまた別な問題がありますので除きますが、登記は向こうの登記をそのまま認める。
 「戸籍」についても同じであります。
 「供託」、「司法書士会および土地建物調査士会」、「免許資格」の1及び2の「水先人」、それから「公証人および司法書士」、「海事代願人」、「特級ボイラ技士」、「受胎調節実地指導員」、「行政書士」はそれぞれ本土の資格とみなす、もしくは若干の講習その他も含めながらそれがまた仕事ができるようにしたいということであります。なお、「獣医師」、「製菓衛生師」、「消防設備士」等も同じでございます。最後に、「在沖外国人の在留資格」、これについては法務省、外務省等と、いろいろ本土における朝鮮、中華民国等の問題とからみ問題になるのではないかということで、沖縄に住んでおる人たちについて現在認められていると同様の法的地位を維持できるよう好意的に配慮することについては、議論がございましたけれども、沖縄は遠く南の離島で、本土のほうとそら問題は混淆しないであろうというので、こういう特例をつけ加えることにいたしました。
 「なお、平和条約の規定により日本の国籍を離脱した者で、昭和二十年九月二日」――ミズーリ号での調印の日――「以前から復帰の日まで引き続き沖縄に在留するもの(復帰の日までに出生したこれらの者の子を含む。)に対しては、特段の事情」――犯罪歴その他の事情――「がない限り、永住を許可できるよう」に希望するならばいたしますということで、好意的な配慮を貫いておるわけでございます。
 以上で概略の御説明を終わります。
#9
○委員長(米田正文君) ただいまの山中総務長官の説明も含め、これより本調査の質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#10
○松井誠君 いま長官から報告がございました「復帰対策要綱」について、二、三お尋ねいたしたいと思います。
 第一点は、「沖縄振興開発公庫」、これはおそらく今度の要綱のいわば目玉だと思うのですが、おそらくは政府としても開発庁構想というものとの裏腹の関係であるいは構想されたんじゃないかと思うのですが、開発庁のほうが足踏みをしておると、そういうことでちょっと跛行的な感じがないではないのですけれども、しかし、これはたとえば本土にある北東開発公庫のような地域開発だけの問題ではなくて、これを見ますと、いろいろな庶民金融の機関も一緒になっておる。これは非常にその意味では画期的な制度だと思いますが、どの程度まで構想を具体化されておるか、大体どの程度の規模のものにする予定か、どの程度の出資にするのか、その辺のことは大体見当はもうおつきになっておりますか。
#11
○国務大臣(山中貞則君) これはその最初出発する年の金額も大切でございますが、年々の資金のあり方について、沖縄に特別の資金を確保していきたいというねらいでございます。これは開発庁構想とは全然関係はありません。ということは、たとえば中央にそういう機関がなくとも、あるいは出先総合機関がなくとも、せめて開発あるいは生活向上のための融資の面だけは、たとえば奄美大島振興開発基金というものがございます。当初は奄美「復興基金」、現在「振興基金」だと思いますが、やはり地域金融機関として特殊な金融をしてあげなければ、沖縄の場合には浮揚力というものがどうしてもつかないだろうということでつくったわけでありますから、これはそれぞれの開発銀行から国民金融公庫に至る各種政策機関というものの資金の量も、あるいは融資の条件も沖縄に対して優先充当していきたい。なお、まだ外交折衝の段階で明確になっておりませんが、沖縄開発金融公庫――開金ですね、民政府所管の開金の現状も、復帰後は大蔵と話もしなければなりませんが、本土政府がどのような引き継ぎ方をしても、これに対して全額復興開発公庫の原資として活用していきたい。沖縄県民のためにのみ使われるものとして生かしていきたいという構想も持っておるわけでございます。
#12
○松井誠君 毎年出資をしていくということですが、その大体の規模の見当はおつきになりますか。
#13
○国務大臣(山中貞則君) これは要綱全体についてもそうですが、一次、二次、そして三次をおそらくつくる。やはり先ほど申しましたが、これらを踏まえて相当な技術的な問題の立法作業に入ります。そういうときに、予算編成も背景に持ちながらその金額その他は想定してまいらなければなりませんので、あるいは年次計画等も必要になるかとも考えます。したがって、いまのところは法案づくりと並行をしてそういう方向を明らかにするように努力をしていきたいという段階でございます。
#14
○松井誠君 問題はその規模にあるわけでして、それが具体化しないというと、どらも一体どの程度の力を沖縄の開発振興に持つのかわかりませんけれども、長官の構想としておよそこれという、そういうビジョンはないんですか。
#15
○国務大臣(山中貞則君) 最近私も発言がだいぶ慎重になりまして、いまのところまだその構想の金額を申し上げるところまでまいっておりません。
#16
○松井誠君 まあ、いまの段階ではいたしかたございませんけれども、これからあといろいろ論議をしていくのに必要な資料として、本土のこういう金融機関の条件、それから現地のここに書いてあるような金融機関の条件、貸し付けの条件ですね、そういうものをひとつ資料として次回までに御提出をいただいて、具体的なその貸し付け条件なんかもちろんきまっておりませんでしょうけれども、そういうことの論議をする必要がありますので、ぜひともそれをひとつお願いをしたいと思います。
#17
○国務大臣(山中貞則君) よろしゅうございます。
#18
○松井誠君 それから「自由貿易地域」の問題でありますが、いまお話を伺いますと、ここに入ってくるのはたとえば本土の資本でも現地の資本でもいいというお話でした。そうしますというと、普通「自由貿易地域」といわれるものとはずいぶん性格が変わったものになる。これは関税の必要のあるそういう場合に「自由貿易」ということばが言われるわけで、そうではなくて、本土の資本なり地元の資本なりがここへも入ってくる、そしていろいろな税制上、金融上の恩典を受けるということになりますと、ちょっと聞きますと、たとえば日本の工場誘致条例のようなものですね、何かそういうように、資本が、たとえば本土の資本、これが沖縄へ行くことは確かに必要ですし賛成ですけれども、いわばそういうものの融資の条件として特別なこういう条件をつけてやる、それだけではどうもぐあいが悪いものだから、「自由貿易地域」という名前で、外資に対するそういう特典とそこでひとつ込みにしようといいますか、外資と同じだというようなことで、何か工場誘致条例的なものとは違うんだという弁明をするために「自由貿易地域」という中へ持ってくる、そんな感じがしたんですけれども、これはどうなんでしょうか。本土の資本が入ってくる場合には、本来自由貿易地域というのは、先ほど長官から話がありましたように、この沖縄という地域を考えてみても、それこそ中継ぎ貿易的な、そういう意味では非常に地の利を得ておるといいますか、そういうところでありますから、自由貿易地域というものがそういう意味で活用されるというならわかる。そうではなくて、本土資本を誘引をするという目的にも使おうとするとちょっと違うのじゃないですかね。
#19
○国務大臣(山中貞則君) 私の言い方が悪かったのかもしれませんが、自由貿易地域――フリーゾーンとは、たとえばアメリカがプエルトリコにとっております措置、これなどは法人税まで免除いたしております。また台湾の高雄の成功した例、近くは韓国において馬山(マサン)地区を検討実施に移しつつあるようでありますが、そういう意味において、沖縄の立地条件に着目し、具体的にいうと、現在の安謝新港の北側の浦添地先水面の埋め立て等を考えておりますけれども、これらの埋め立て等に協力をすることによって、市がやりますか、県がやりますか、そういうことによって、その地域内に、これは外資も本土資本も現地資本もどんどん設立してもらってけっこうである。それに対して関税の免除からあらゆる措置をとろうということでありますから、大体「自由貿易地域」というものは、そこの地域において無関税輸入された原材料を使って、そうして加工賃その他の付加価値、賃金を含めた付加価値という毛のが地元に落ちて、そうしてそれが再輸出をされる際にまた税金も免除されていくというような形態が、大体の普通の概念でございますから、そういうことをやろうかということでございます。
#20
○松井誠君 わかりました。そうしますと、その税制とか、金融上の措置ということで、先ほどの話では、税制上のあらゆる特典ということを言われましたけれども、これは具体的にはどういうことをお考えですか。
#21
○国務大臣(山中貞則君) 「あらゆる特典」といってもいろいろあるのです。税でも、これは法人税というものを免税してもいいという気持ちを持っておりますが、しかし、現在大蔵省の解釈では、法人税の免税はガットにまともにひっかかります、こういうことを言っております。一つには、現在の日本の貿易収支が非常によろしい、そうして諸外国からいろいろと国内経済について文句をつけられているというようなことも心配で念頭にあるのかもしれませんが、アメリカの属領であるプエルトリコならば、法人税は全免をしておいてガットで問題にならないで、沖縄は属領ではありませんから、属領との違いであるとすれば、ガットにはたしてそういう規定までしてあるかどうか疑問に思いますけれども、振興策として必要なものであるならば、勇敢にガットに対して論争をいどむくらいの姿勢を私は持っていいのではないかと思いますが、これはしかし、私どもの所管以外の税制を所管する大蔵省といま少しく話を詰めてまいらなければなりませんし、また、通産は通産で、つくってみたところで、はたしてどのような企業が沖縄に立地して、そうして、私の言うような、そういう地域住民の雇用需要あるいは付加価値の地元に落ちる貢献度、こういうものが想定できるだろうか、沖縄の人件費は必ずしも高雄で成功したごとく低賃金とはいまは思えなくなっているというようなことから、現実の問題として懐疑的な考え方もあります。それも当然今後計画をつくっていく場合においては、現地の意向を尊重しながらも十分私どもが詰めてみませんと、ただ名前だけつくって埋め立てをして、そうしてたいして役に立たなかったということがあってなりませんし、本土における低開発地域工業開発促進法、新産都市とかいうようなものとは全く異質のものとしてやろうとしておるわけでありますから、このフリーゾーン地域以外のものに本土の企業が進出する場合は、これはまた別な意味の援助もしなければなりませんけれども、フリーゾーンの援助とは根本的に違うということでございまして、日本においていまだかつて行なったことのない地域を新たに設定するのでありますから、対外的な税制から、関税から始って内国税に至る一切の問題について最大限の考慮を、特恵措置というものをどこまでいけるか、これから検討してみたいと考えます。
#22
○松井誠君 「あらゆる特典」と言われましたけれども、法人税はいまのような問題がある。そうしますと、それ以外に考えられるのは、たとえば固定資産税、これはよく工場誘致条例なんかでやるわけでございますけれども、そういうものだけではなくて、たとえばその固定資産税ですね、これはどうなんです。それからもう少し具体的に、「あらゆる特典」ということばの意味がよくわかりませんから、どの程度のことを考えておられるのか、もう少し詳しく。
#23
○国務大臣(山中貞則君) たとえば高雄等においては造成そのものもただで提供しているようであります。わが国の場合にはそこまでちょっとできないと思うのですけれども、そういうような提供のしかたの問題もあり、あるいは提供された土地の償還のしかたの問題もありましょうし、固定資産税さらに事業税等の地方税の免除をいたします場合、その地方税について本土のほうでこれを補てんする措置を講ずるというようなことは、たとえば県営でやりまする場合には県、浦添市でやります場合は浦添市に、そういう当然得べかりし収入を地元のであっても地方団体としては収入減となり、取るべかりしものを取れないという場合においては、国の政策によってそれを補てんするということを当然していかなければならないと考えます。
#24
○松井誠君 これもまだ具体化をしてないかもしれませんが、そうすると、相当広大な土地で相当大規模の地域のことを言われましたが、たとえば企業の数にして大体どれくらいとかというようなところまでは別に具体的に考えておられないのですか。
  〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕
#25
○国務大臣(山中貞則君) これはそういう制度をつくろうとして具体化してまいりますと、その条件次第によってはそこに行きたい、条件はどうだというふうないろいろなことが海外からも本土からも問い合わせがやはり来るようになるだろうと私は見ております。しかし、かといって、たとえばガルフ社が本土の石油業法あるいは本土の資本自由化五〇%以内という条件をのまないままで、どうもここ最近二、三日の状況を見ますと、ガルフ、エッソ等が琉球政府に対して、フリーゾーンとして、その地域内の操業を認めていた条件を取り払ってくれ、製品を販売できるように、そして本土市場にも売れるように、本土の石油業法あるいは資本自由化等の条件にこだわらないで事前に認可してくれという制限の取り払い申請をいたしまして、それが少し動き始めておるようでありますので、これも意見の食い違いのないようによく相談をしていかなければならぬと考えます。もし今度の外資法、石油業法等に従わないという条件で復帰の日を迎えた場合には、そのガルフ社の存在は、操業地域を考えてもフリーゾーンということで認めざるを得ない。したがって、その場合における沖縄側の恩典は、その地域から上がってくる――そこらには恩典をやるつもりはありませんから――事業税から船のトン税、あるいは住民税その他というようなものは、やはり引き続き地元の市町村に貢献するでありましょうし、勤労者所得というものはなおまた直接に個人個人に取得されていくであろう、いろいろなケースが考えられます。しかしながら、やはりこのフリーゾーンは新しくそういう地域をつくろうというわけでございますから、つくったあとにその条件いかんによって企業がどういうふうに出てくるか、どんな条件ならば乗ってくるかという、相当慎重な設計を必要とするものと考えるわけであります。
#26
○松井誠君 ガルフのことは私も実はお尋ねしようと思っておったのですが、長官がフリーゾーンと結びついたガルフの話というものは委員会でやっておられたわけですね。そうしますと、自由貿易地域というのも、一カ所にかたまるのでなくて何カ所もできるかもしれない。その自由貿易地域というのも、いま言われたように、いろいろな恩典も、国内的な恩典があるのとないのとという、そういう性格の多少違った自由貿易地域ということもあり得る、そういう構想ですね。
#27
○国務大臣(山中貞則君) 現在すでに沖縄に自由貿易地域のあることは御承知のとおりでございます。あれではいかにも沖縄経済に貢献すると言いがたいちゃちなものでございますから、それを発展させた地域をつくろうというわけです。しかし、現在外資で沖縄に出てまいっております、いまたとえばすぐフェアチャイルド等が問題になると思うのですけれども、こういうようなもの等については、やはり操業をするなとは言えません。琉球政府が認可をして操業を開始いたしますと、やはり地域社会に貢献をいたしますから、直接間接需要等もあるでありましょうし、そういう問題は、その会社を場合によってはこれを保税工場としか認めない。あるいは地域であれば、それは限定されたフリーゾーン地域であるということでありますから、その意味ではいろいろな態様のものがあるという御指摘の意味も、そのとおりだと思います。
#28
○松井誠君 そうしますと、そういう形で本来ならば外資法の規制を受けるべきものが受けないということですと、一種の便法として設けるというような自由貿易地域毛ある。そうなると、それが一つの拠点になって外資法を破っていくといいますか、そういう意味で、本土とのいろいろな政策の一体化というようなものがくずされる、そういう突破口というようなことにも利用されかねない。ガルフとかなんとかチャイルドですか、というものを認めるとすれば、そういうような危険も出てくると思うのですね。規模のこともさることながら、いま言ったようなそういう大企業のかけ込み外資を合法的に処置をする方法として、そういう便法に便乗するというようなことになると、相当問題があると思う。その辺、ひとつほんとうに、そういう意味での本土との一体化、日本の外資法そのものを破っていくようなそういう突破口にならないような配慮、そういうものは必要だと思うのです。
 で、一番最後に簡単に一点だけお伺いしたいのですが、一番最後の「在沖外国人の在留資格」ですけれども、これはあれでしょうか、ア、イのイですけれども、「従前認められていたと同様の法的地位を維持できるよう好意的に配意する」ということですが、「法的地位」というのはどういうことですか。いままでにある在留資格という意味ですか。
#29
○国務大臣(山中貞則君) これは間違うとたいへんですから、専門家にやらせます。
#30
○説明員(棚町祥吉君) イの「法的地位」は在留資格だけの問題でございます。
#31
○松井誠君 そうしますと、出入国管理令にある「在留資格」、それと同じ在留資格を維持できるという、それだけのことですね。
#32
○説明員(棚町祥吉君) さようであります。
#33
○松井誠君 現在沖縄にいる外国人というのは大体どれくらいいるかつかんでいますか。
#34
○説明員(棚町祥吉君) 琉球政府の出入管理庁の統計、これは昨年の七月末現在でございますが、沖縄に居住している外国人、その中には、米軍の軍人・軍属それから司令官から許可を受けた家族を除く人数でございますが、その数は、一万二千九百五十九人とあります。内訳を申し上げますと、最も多いのがアメリカ人七千百九十九人、次いで中国人二千六百五人、フィリピン人二千百六十七人、韓国人二百十人、英国人百七十三人となっております。その他もあるわけでございますが、その他が六百五人であります。
#35
○松井誠君 中国人というのは中華民国の国籍を持っているとは必ずしも限らないのですか。
#36
○説明員(棚町祥吉君) 中華民国の国籍を持っているものと考えられますが、詳細はわかっておりません。
#37
○松井誠君 で、この一番最後のところの「永住許可」ですけれども、この永住許可というのは、日本にいる韓国人の場合、永住申請をやりましたね、あれとの関連で韓国人だけを考えておるのか。いま言われた中華民国――中華民国といっても台湾人ですね、平和条約によって国籍を失った者といえば、韓国人と台湾人しかないわけでしょう。この台湾人が中華民国人という形でおるとすれば、そういう人たちどちらにも永住許可を考えておるのですか。
#38
○説明員(棚町祥吉君) 中華民国人と韓国人の双方でございます。すなわち、以前日本の国籍を有していまして、平和条約によって国籍を失った者でございますから、台湾人、朝鮮人という意味でございます。
#39
○松井誠君 そうしますと、中華民国人の中には、大陸から渡って台湾に来たという意味の中華民国人はもちろんこの中に入るわけですから、この中国人の二千六百何がしというのはやはり台湾人と見ていいのですか。
#40
○説明員(棚町祥吉君) こちらに詳細に伝えられてはおりませんが、この二千六百五人の中国人の相当数は台湾出身の模様でございます。
#41
○松井誠君 最後に、この在留資格の付与の問題で、これには復帰のときにどれだけ沖縄に在留しておったかということはもちろん問題にならないし、ただ考えられるのは、日本へどうしても入れない、そこで復帰直前に沖縄に入る、それがこれで在留資格をもらって、事実上日本に入ったと同じような形になる、そういうようなものもあり得るわけですけれども、この「居住経歴」というようなのはどういうことを――そういう「家族の状況等を勘案して」というのですが、具体的にどういうことを考えてこういう文句になったのですか。
#42
○説明員(棚町祥吉君) 「居住経歴」は、まあ「居住」はいわゆる在留の期間でございます。それから、「経歴」は、沖縄で従事していた職業等のことを考えているわけでございます。それから、「家族の状況」、いわゆる国際結婚をした者等についての配慮などといったものでございます。
#43
○松井誠君 終わります。
#44
○稲嶺一郎君 私は、まず最初に、第一次要綱、第二次要綱、それから第三次要綱について御質問また御要望を申し上げたいと思います。
 第一次要綱が去年の十一月にできてもうすでに数カ月たっておりますので、具体的な案ができていると思っておりますが、そのうちの第五の「たばこ専売制度」ですが、これにつきましてアのほうに、「適切な措置を講ずる」というふうになっておりますが、その後の具体的な方策あるいは案、そういうものはどういうふうになっておりますかお伺いいたします。
#45
○国務大臣(山中貞則君) これは一次の案についてのお尋ねでありますが、専売公社としても大体確定しておるもので、逆にうしろからいいますと、たばこ生産者は耕作継続はだいじょうぶでございます、本土専売公社が買いますということが書いてあります。
 それからイのほうでは、本土にない制度で卸売りという制度も、指定小売人という形で、専売公社の卸売り制度を業務をかわってやっていただきますということで、これはもういいわけですが、小売店もそのままに。したがって、本土の距離とか人口とかいろいろ条件がありますが、こういうものは適用をしないということになります。
 そこで、問題は会社並びに従業員ですが、三社については、復帰後は民間のたばこ製造会社としての存在は認められないということでございますし、特例も認めるすべがない、こういうことでございます。これはもう三社ともよく理解をしていただいておるわけでありますが、問題は、その会社については、得べかりし営業の損失等に対する補償をどうするか、企業をやめるわけでありますから、そういうものについての交渉が残りますし、なお、従業員については七百名、役員を除けば勤労者としては六百五十名くらいだといわれておりますけれども、それらの人々が職場を失うという問題につながります。これはもちろん全軍労の解雇問題でも非常に大きな問題を持っておる沖縄でありますが、やはりこういう長期安定固定した職場を失うという者は、別な感触において無視できない七百名という数でございますので、これらの人々がどのようにやっていけるかについて、大蔵省と専売公社と打ち合わせをいたしておりますが、現在の工場は私企業としては存在しなくとも、これらの人々が引き続き同じ職場で同じように働けるような手段は講ぜられないか――委託方式等ですね――そういうようなことがあり得るかどうか検討しておりますが、会社側といたしましては、かりに委託方式を二、三年なり五年なり認めてもらっても、それはヘビのなま殺しみたいなもので、やはり将来だめなんでしょう。そうすると、私企業としてははなはだ楽しみのない、委託手数料くらいをもらって細々と何とか役員給与を払っているくらいの会社にしかならないということで、やはり企業側としては歓迎しているとはあながち考えられない節があります。大蔵としても、そうすると、従業員の問題ということになりますと、やはり具体的にそれらの経営者側の気持ちも察しなければなりませんし、かといって、その他の職種に、本土の専売公社の工場その他に積極的に引き取るということも言っております。言っておりますが、それだけではとてもさばき切れない数でございますから、これはいま少しく具体的な立法段階までに方策を煮詰めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#46
○稲嶺一郎君 数カ月たっていまなおこの問題が具体化しないということですから、非常に業者も従業員も不安の念にかられておりますから、ぜひできるだけ早い機会にこれを明確にしていただくように要望いたします。
 それから次に企業対策の問題ですが、これは第9項の「企業対策」ですが、これは新規企業の問題になると思っております。それで前にも私質問を申し上げたのですが、電力問題が非常に重要なる問題になってくるわけですが、これについてどういうふうにやっていくか、この基本的な問題が解決しないために、どうも企業側においても、またわれわれ一般経済界においても非常な不安を持っております。その点について長官の御見解を伺いたいと思います。
#47
○国務大臣(山中貞則君) これは第一次の要綱では、企業対策としてアとイ、ことに中小企業はイに分けて別に定めておりますが、要するに、沖縄の将来、電力、水、工業用地、道路、港湾、そういうものを整備すること等によって、沖縄の地元の人たちの新しい職場あるいは新しい収入源、あるいは地域経済の新しい発展というような意味から、本土企業の積極的な進出というものもあってよろしいということで、そういう意味では、かりに復帰前に、一例をあげるならば、アルミ五社が「沖縄アルミ」というものを昨年十二月正式に会社設立をきめました。でありますから、それらの会社が向こうに営業を開始するような建設を開始する、そのために必要な資金があれば、現在は輸銀資金の運用ということになりましょうが、完成までには復帰してしまいますから、完成後は、輸銀資金で低利ということでありますが、低利の長期の融資を認めていった場合に、それは返ってきた場合、開発銀行の中の特定ワクということで、特利特ワクを設けなければならないであろうと考えておるわけであります。その際に、復帰した場合は、沖縄県においても、ぜひこれらの進出企業、これは島内の新しく立地する産業も含めてでありますから、島内の場合には輸銀の問題は起こりませんけれども、現在の沖縄県内の企業が新しく興す場合でも、やはり沖縄の発展のために必要なものとして、本土から進出する企業等も含めて、事業税あるいは固定資産税等の軽減措置を講ずるという場合においては、その減免された金額に対応する県なり市町村の財源について、得べかりし収入が入らないことによる収入減について、本土財政においてそれを補てんしようということを考えておるわけでございます。したがって、これはフリーゾーン地域以外のあらゆる地域について立地する企業について恩恵を与えるということを述べておるわけでございます。
#48
○稲嶺一郎君 この点について、これは非常に沖縄の産業開発については重要な問題でございますので、第三次要綱で何か具体的に明記する必要ありませんか。
#49
○国務大臣(山中貞則君) すでに第二次で沖縄振興開発公庫というものを具体的に閣議決定をいたしましたから、あとはこの公庫の運営ということにも関連をいたしてまいります。したがって、立法の過程においてさらにそういうことのこまかな定めをいたしまする場合において、そして沖縄振興開発公庫の内容の条件等の定め方、原資のワク設定、これらによって、それらの新しい沖縄の経済発展への展望というものの条件がそれぞれ相関連しながら定まっていくというものでございますから、いまの段階で一つだけ取り出してやるということにはまいらない総合的なものであると考えます。
#50
○稲嶺一郎君 次に第二次対策要綱に移りたいと思います。
 第二次対策要綱のこの新全総計画、これは私どもが要望いたしておりましたことでございますので、沖縄を一つのブロックとして取り扱うということについての総務長官の御尽力に対し、私どもとしては深く敬意を表しております。
 それで、お伺いいたしたいことは、「亜熱帯地域の特性を生かし」ということになっておりまして、これは具体的にいいますと、どういうことになりますか、お伺いいたしたいと思います。
#51
○国務大臣(山中貞則君) 日本列島は北海道から沖縄の一番南まで島の連なりによって成り立つことになっておるわけでありますから、いままでは、南西諸島といわれました鹿児島県大島郡与論島までしか日本列島は実質上列島の価値を南方に関しては持っていなかったわけであります。ところが、奄美群島だけでは中途はんぱでございます。で、奄美群島というものに対しての特別な本土の経済に対する付加価値というものが発見できないまま、産業基盤の整備その他の特例措置によって今日までまいりましたけれども、これが沖縄県が返ってまいりますと、百万の人口もさることながら、五島列島から伊平屋(いへや)島、波照間(はてるま)に至る長い弓状の持つ意味というものは、日本経済にとって非常に大きな貢献をする価値のあるものとしてわれわれは見直す必要がある。戦前の沖縄県の考え方と全く違うということをあらためて新全総の書き直しということで浮き彫りにしたいというわけであります。そのときに、ただ地理的に一番南にあるというだけではありません。沖縄は私どもの国における唯一の亜熱帯地域ということもすべての経済社会発展計画の前提としてある。たとえばわが国でパインかん詰めができるのは沖縄だけである。あるいはキビもほとんどが沖縄であるということでありますならば、それらのものは経済発展計画の中に大きなウェートを占めていくべきことであろうというようなこと等も念頭にあるわけでありますが、さらに沖縄の将来の柱には、どうしても現在の業種の分布の比率から見て、三次産業というものに相当重点を置いていかなければならぬと考えます。その際において、観光立県というような一つの柱も、平和であり、しかもそれによって経済的にも貢献したいということでありますならば、観光ということなども大きな柱として沖縄においては特別なデッサンをしなければならない。そういうことでありますから、亜熱帯の特性というものを生かすということをここにいたしておるわけでございます。
#52
○稲嶺一郎君 次いで、「産業の開発、環境条件の整備保全」ということになっておりますが、どういう産業をお考えになっておるか。また「環境条件の整備保全」ということは、この具体的な内容はどういうものでございますか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
#53
○国務大臣(山中貞則君) 産業はいまどのようなものを考えておるかと言われますと、今度は業種の問題になると思うのです。これはいま現在でも、沖縄に対してすでに石油というものが中近東を主にして運ばれてまいりますから、沖縄でCTSあるいは精製までやるということはやはり一番有利な場所にあると思いますし、そのようにして産業は出てまいっております。これは外資たると民族資本たるとを問わず、その立地条件から、いまのような強大な、数年前まで想像できなかった基地づくりが始まっておると思います。一方また、単に石油のみならず、それらに関連をして、三十万トン・タンカー、二十万トン・タンカーというものが、本土との関係で重要港湾あるいは内海等に入ってまいりまする際の問題、多々含んでおりますので、これらのものは、できるならば、沖縄等において補修もしくは改装と申しますか、そういうようなものをやれるようなドック等の場所としても一番ふさわしい場所ではないだろうか。さらに、沖縄の将来を考えますと、どうしても、漁船にしても、あるいは商船にしても、大型化、近代化の要があります。したがって、五千トン・クラスぐらいの中型造船所あたり現地資本の小さいものも若干ございますから、それらの人々と、できれば本土資本のしっかりした系列のものが合併、合弁しながら、現地で造船業等を営むということが具体的にいま進行いたしておりますし、その立地条件に沿った具体的な、そういう沖縄だからこそそういうものができるのだという形態のものが、これから逐次展開されていくだろうと思うわけであります。それらの場合に、もちろん産業開発、企業立地のための環境条件の整備がなければ、ぽつんと離れたところに企業が存在するとしましても、それは製品輸送やあるいは人の確保等について問題があるわけですから、それらの環境条件の整備などが当然含まれておるわけであります。
 それから、「保全」ということは、先ほども申し上げましたように、せっかくの美しい沖縄というものが、本土が一ぺん犯した大きなあやまちである、経済発展の追求のために環境保全が忘れられたのではないかという大きな問題点をわれわれはいましょわされておりますけれども、沖縄においてわれわれはそれを繰り返してはならない。美しい環境は、先ほど観光を大きな柱として立つべきだと申しましたけれども、それの大前提ともなるわけでありますから、それをみずからまた破壊していくというような行為はとらないのだというような意味において、環境の整備と同時に保全ということを考えておるわけでございます。
#54
○稲嶺一郎君 私どもいつも考えておりますことは、本土におけるところの公害問題、これを沖縄では起こさないようにするということが第一の条件じゃないか。この点について総務長官が十分に御配慮願っておるということに対しては敬意を表する次第でございます。
 それから、ただいま土地の造成問題に触れられたのですが、先ほどの質問でも浦添地先における土地造成の問題についてお触れになったわけです。私は、これについて長官は政府の財投によってこれをやるのか、それとも民間の手によってこれをやらせるのか、これをお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(山中貞則君) 浦添地先については軍用地先、すなわち米軍の地先海面の占有権を解除しなければならない条件が横たわっておりますので、ランパート高等弁務官との会談の際においても、私どものほうから申し入れて、ほぼ好意的な配慮が具体的に進行しつつあるようであります。これを受けて県で造成されるか、市で造成されるか、そういうようなこと等を念頭に置きながら、もちろん、初めての試みであるフリーゾーン地域としての造成でございますから、それらのものについては、もちろん国がどのような協力ができるかということも考えなければなりません。しかし、現在の石油企業が見せておりますように、世界的な規模の大企業になりますと、必要だと思ったら必要な土地を自分で造成してしまうということ等もあり得ると思いますけれども、やはりこれはきちんと計画立った敷地の造成というものから始まっていかないと混乱を生ずるおそれがありますので、できるだけ政府のほうで県のめんどうを見ていきながら、そして将来可能な条件で造成してもらっていくということがどうしても前提になろうかと考えます。
#56
○稲嶺一郎君 この土地の造成の問題については、私、私見を持っております。これについては政府がこれをやるべきじゃないかという考え方を持っております。と申しますのは、軍用地にあれだけの土地を取られ、われわれとしてはそういう工業立地の場所というものをみずからつくらなければならない。そういう意味において、軍用地にかわるような形において土地の造成を政府がやってもらうことが一番望ましい形じゃないかというふうに考えております。この点について長官の御意見を。
#57
○国務大臣(山中貞則君) たとえば、復帰いたしますと、おもなる道路は国道にして、本島循環線などは当然国道になるでありましょうが、国が建設、維持等は当然やるでありましょうし、あるいは北部縦貫道という長い距離の鉄道もしくは国の道路という意見については、調査費もつけまして、復帰したならば道路公団で高速道路をつくろうという計画等も、自然破壊をしないということを念頭に置いて考えているわけでありますが、これらのものは本土政府が造成してもけっこうであります。しかしながら、やはりその造成した敷地を進出企業に対して売却して、その際にはやはり利潤があがると思うのですね。そういうことを考えますと、本土政府が沖縄の土地を利用して利潤をあげる必要はもちろんないわけでありますから、できれば沖縄県なり地元市というものがそれらの造成の資金のめんどうを見てあげることによって、それの処分益その他は地元に帰するようにしたいという私の願いが先ほど来の発言になってあらわれておる。地元がやり得ない、しかし、つくることは賛成だというのであれば、国でやってもよろしゅうございます。
#58
○稲嶺一郎君 ただいまの御意見をお伺いいたしまして、いずれでもいいんじゃないかということでございますが、この点については、十分関係当局のほうでまた琉球側のほうとも打ち合わせの上で一番いい方法をとっていただきたいというふうに考えております。
 それから、先ほどの観光事業団の問題でございますが、これは第三次産業を盛んにしなければならない。ところが、沖縄には見るべきものはない。単なる自然だけでは観光にはならない。その意味において、今後観光施設というものの建設等が相当大きな課題になっていくんじゃないか。その意味で、観光事業団の資金量が問題になってきますので、これについての長官の御意見をお伺いいたしたい。
#59
○国務大臣(山中貞則君) 沖縄の観光開発はこれから民間の分野においても相当大きく浮かび上がってくるかと思います。また一方においては、海洋博等を前提とした相当本土においてもびっくりするような巨大な計画というものがそれぞれの会社によって打ち立てられつつあるわけでございます。こういうことを考えますと、沖縄観光開発事業団は事業団として、いまの政府でやっておる仕事として海中展望塔その他はつくっておりますけれども、営利事業でどこまでいけるかということになりますと、やはり県の事業団では限度があろうというふうに考えますので、これを民法法人として援助することによって、主として観光振興に資する団体――まあ本土の各県では観光協会というものがあります。これは何もそういう事業等は営んでおりませんが、むしろ観光の啓蒙宣伝、観光客誘致というようなことをやっておるわけでありますけれども、沖縄の場合においてはやはり観光事業そのものも行ない得るような、現在つくったものも運営できるような法人があったほうがいいということで、やや中間的な存在でありますけれども、これらを育成していきたいという気持ちは持っておるわけでございます。
#60
○稲嶺一郎君 先ほどお伺いいたしました「結核および精神病に係る公費負担」の件でございますが、そのときに長官は、将来沖縄に療法のための国立病院を建設したいということを言われたのですが、これは私どもが常日ごろ念願しておるところでございますので、ぜひ復帰と同時にこれを国立に移管するようにお取り計らいを願いたいと存じます。これは要望でございます。
 それから「海運業」の問題でございますが、その中に「近代化貨物船の建造を促進するため必要な措置を講ずる」というようにございますが、これは本土でとっておるスクラップ・アンド・ビルドの政策をとるのか、それとも、沖縄の場合におきましては新船を建造することに対して援助をしてもらうのか。資金の問題等をひとつお伺いできれば幸いだと思います。
#61
○国務大臣(山中貞則君) この条項は、沖縄の現在の「貨物船」と書いてありますが、「貨客船」とお考えになってもいいし、あるいはカーフェリーとお考えになってもけっこうでございます。要するに、そういうような輸送力の大幅増進ということが沖縄のために絶対に必要でありますので、それらについて資金その他のめんどうを見るということで、沖縄の場合においては本土のスクラップ・アンド・ビルドというような条件を強制しない。しかしながら、公団の共有船舶方式を希望する人があれば、そういうものもつけたい。そういうことでありまして、沖縄に一番有利な方法ですみやかに沖縄と本土との間の貨物あるいは旅客あるいはカーフェリー等の海上輸送手段というものは沖縄の資本によって基盤を打ち立ててもらいたいということを念願しておるわけであります。
#62
○稲嶺一郎君 この問題につきましては、沖縄が戦後造船問題についてはほとんど政府の援助を受けていない。その意味において、今度は初めてそういうような御援助を受けるということになりますので、この点については特別の政治的な配慮をお願いいたしたいと思います。
 どうも時間が足りませんので、簡単に一つ二つお伺いいたしますが、第三次要綱にうたわれることになっている税制の問題、この問題は沖縄の経済・産業の今後の発展、それから、消極的にいえば、従来の企業をどういうふうに維持するかという問題、積極的にいうと、将来の産業を盛んにするためにはどうすればいいかということになりますが、この点について消極的な意味においてのいわゆる保護策については、一般論ではなしに、日本の本土の法律をそのまま適用することなしに特例を設けてやるということが、沖縄の経済、それから民心の安定に対して必要じゃないかと思っておりますが、これに対する長官の御意見をお伺いします。
#63
○国務大臣(山中貞則君) これは琉球政府の立法院もそれから沖縄県民も非常に解決策に悩み、私どもまた、本土政府の間でも、税制面あるいは産業振興面、あるいは沖縄県民の生活の維持向上、生活関連物価指数等の高騰を招かないようにという問題が錯綜して非常に苦労しておるところであります。現在、沖縄が復帰後消費者物価ははたしてどうなるのかというのが一人一人の問題でしょう。たとえば、輸入する場合は関税がかかっていないものが本土に返ったら関税がかかる。これについては、原材料等の関税についてなるべく現在の制度を認めるようにしたい。あるいは製品等についても、インスタント・コーヒーあたりまでそうしなければならないか、生活必需品になるかどうか疑問でありますが、要求はされておりますが、しかしながら、ランチョン・ミートと呼ばれておるようなかん詰め製品は、離島、僻村の簡易な主食にもなっておりますし、あるいは学校給食等にも取り入れられている、アメリカ施政権下の生活状態の中で普遍的に変わってきておるものの一つでありますから、これらのものは製品であっても、現状というものを税制上、関税上認めなければならないのではないだろうかというような気持ちをもっていま整理をいたしておるわけであります。一方、一番やっかいなのは、物品税という立場において、本土との間において八〇%を占める貿易の比重の中で、沖縄の既存企業の製品と競合する本上製品というものに税が課せられておる。それによって、逆にいうと沖縄の企業というものは、狭い県域の中であっても、装置産業的なビールやセメントや製粉等も存在しているかと思えば、一方においては魚やあるいはみそ、しょうゆ等にも物品税のかかったものを一応本土から来たものは消費させられておる。
  〔理事長谷川仁君退席、委員長着席〕
まあ、その価格によって初めて沖縄市場におけるそれらの工場が成り立っておるという反面の問題が指摘されます。その場合において、本土並み税制をそのまま適用いたしますと、当然沖縄の人たちがつらい環境の中で築き上げられましたそれらの、本土から見れば、あえて失礼ですが、ほとんど中小企業の分野に属する人たちが一挙に倒産もしくは不本意な吸収合併を余儀なくされるであろう。それは忍びないところである。ところが反面、日用食料品その他を含めて、本土では税などはかける意思が毛頭ないものが、結果、沖縄においては本土から運んだものについて税がかかるということによって、沖縄の製品もやはりその価格で売られるわけでありますから、本土と異なるこうした負担というものをしいられることになるのではないか。これは非常にほことたての議論でございまして、私もまだ最終的なアイディアを持ち合わしておりませんけれども、これらの点についてはいろいろな手段を税制上とるか、あるいは過去三年なり一年なりの実績をもとに、一定期間、それ以上のものを独禁法の適用除外等の手段によって沖縄県には持っていかないようにというようなことで措置いたしますか、いずれにしても何らかの措置を必要とする。しかし、それがあまりにも零細企業保護であるといっても、沖縄県民の生活に大きな負担をもたらす結果になる。内地並みの生活を当然要求してしかるべき沖縄の人たちが、企業保護という立場からこうした負担をしいられるということはなるべく避けなければならないという、相いれざる水と油をどうまぜるかという非常にむずかしい問題をいまやっておるわけでございまして、これはいまのところ、私も確実にこうであるという案を沖縄側と合意の上で発表できる段階に立ち至っていないわけでございます。この点は検討を急ぎますが、しばらくお許しをいただきたいと思います。なお、直接税については、国税、県税、地方税、問題ないとは言いませんが、おおむね意見は一致いたしておりますけれども、物品税、関税等を含まないで直接税だけをきめるわけにもまいりませんので、今度の要綱については税制を全部落としました。しかしながら、直接税といっても、沖縄では一部ガスもありますが、電気に税がかかる。いわゆる電気ガス税が本土並みだと新しく課税されるわけです。これはやはり沖縄県の人たちにとって、電気に税がかかるのかと、これが復帰のプレゼントかと、そういう気持ちも、負担はごくわずかなものであるとしても新しい税負担ということは問題がありますが、税の項目を立てないわけにはいかぬ。しかし、立てた場合に、一挙に本土の税率七%を適用するかどうかについていま検討をしておるところであります。県民税等については、これはそうたいして議論なく、琉球政府の税制調査会も政府も、復帰前にそういう制度を創設してやむを得ないだろうということ等で、直接税はあまり問題はないわけでありますが、問題は先ほど申し上げた点に尽きる。その点をこれから精力を傾けて、沖縄県民全体のために、そして沖縄県民の血とあぶらによって築き上げた自分たちの企業というもののために、それをどうミックスして最大公約数を発見するかという非常に困難なわざに取り組んでいくつもりでございます。なるべく早く結論を出したいと思います。
#64
○稲嶺一郎君 最後に一つだけ要望して御答弁願いたいと思いますが、去る五日の予算委員会におきまして、私、中部振興についてお尋ねいたしましたが、運輸大臣が、中部のほうにひとつ港を政府の力によってつくろうというようなことを御答弁になりましたので、これが具体化について、長官におかれましても、ぜひできるだけ急いでやっていただきたいというようにひとつ要望いたします。なおまた、若干これに対する御答弁願えれば幸いだと思います。
#65
○国務大臣(山中貞則君) どうもあのときの答弁は、私も聞いておりましたが、ちょっと運輸大臣、思い切ったことを早々と言ってくれたという気が少し私としてはするわけです。というのは、私の手元でまだそう具体的に検討をいたしておりませんで、これから運輸省と相談をする段階であったわけでありますが、まあしかし、いいことは口がすべった場合には、それをつかまえてどんどん進めていったほうがよろしいと私は思っておりますから、あえて運輸大臣に文句をつけておりませんのは、中部の町村が大幅に軍用地に占拠されながらなおその中でたくましい生活力を発揮しておられるその中で、沖縄の台風その他に向けての条件ではありましょうが、港というものが、ほとんどが――ほとんどと言っていいくらい西海岸のほうにある。その場合において、金武湾、中城湾を含めて東部海岸にりっぱな施設の港が一つもないということは、やはり沖縄の形状から考えて正常ではないと思うのです。そこで、中部の市町村の方々の熱烈な要望を、私もコザ市に泊まりました際に、具体的なものとして受け取っております。それらの問題は、どこにどの程度のものをどんな計画でやるかについてはこれから検討いたしたいと思いますが、運輸大臣のそういう御決意を私のほうで足を引っぱったりしないように十分な検討をやらしていく用意がございます。
#66
○渋谷邦彦君 まず最初にお尋ねしておきたいことは、第一次、第二次復帰要綱ができたわけでありますが、要綱である以上は、当然これに肉づけされた具体案というものがあるのだろうと思うのでありますが、その後の作業、そうしたものができたときに資料としていただけるかどうか。
#67
○国務大臣(山中貞則君) 私のほうはもう作業が詰まり次第どんどん発表もしていきますし、もちろん資料も差し上げますし、具体的に煮詰まり次第、沖縄県民になるべく早く知らして安心させてあげなければなりません。もちろん、最終的には国会審議で決定を願うわけでありますけれども、大体、要綱の方針というものに対して法律はこのように措置するということは、一日も早く明らかにしていく必要があります。そこで私どもとしましては、八月末までにというめどをつけてやっておりましたが、何としても沖縄・北方対策庁の人員のみでもってしては、膨大な法律案件を、法制局の最終審査まで含めてつくり上げるには、あまりにも特例、特例というのが多うございますので、それらについて私もやはり自信を喪失いたしまして、先般の閣議で、たいへん残念なことでありますが、各閣僚に頭を下げまして、ぜひ半年ほど関係各省から――まあ全省ということで一応お願いをしましたが、行管とか北海道開発庁から人を取るのも気の毒でありますので、各省から一人必ず課長補佐クラス、そうしてそれぞれの、たとえば経企庁からいただく場合においては、新全総の沖縄の位置づけに一番役立つ人といえば、新全総の作成の中核になった実務家、そういう人を六カ月ほど貸してくれということで、各省の予算持ち、弁当持ちで、私のほうでこき使うことだけはやらしていただきたいというお願いをいたしまして、まあ各閣僚微苦笑をいたしておりましたが、その後進行状況は、各省大体みんな協力をいたしてくれまして、おおむね人材等もこちらの要望どおりの人たちが弁当持ちで私どもの作業に参加してくれる見通しがつきましたので、これからは一次要綱、二次要綱、さらに三次要綱が法律化される作業が急ピッチで進められるものと考えます。
#68
○渋谷邦彦君 そこで、先ほども議論されておりましたが、今回の第二次要綱に当然盛られるべきはずであった国の出先機関の問題、税制の問題、言うなれば、これが一番大きな焦点であったろうと思うのですね。今回、いろいろな折衝、合意の段階でそれが得られなかったということで見送りになったわけでありますが、先ほどの御答弁を伺っておりましても、非常に複雑多岐にわたるいろいろな困難な要素がからんでおりますだげに、はたしていま、八月までの段階に一切完了すると言われたその作業が非常にきびしいではないかという不安が残るのでございますけれども、この第三次要綱についてはできるだけ早くという表現でおっしゃっておりましたけれども、大体のめどはいつごろなのか。それから、第三次要綱で一切を整理して復帰要綱は完結するのかどうなのか、その点、いかがでしょう。
#69
○国務大臣(山中貞則君) 第三次要綱でおしまいにしたいと思います。ということは、ウサギのくそみたいに――たいへん非常識な表現でありますが――ぽろりぽろりと詰まったものを押し出していくのでは、これは沖縄県民の方はたまらないと思うのです。そとで、今回も四カ月をかけて相当膨大な第二次要綱をきめました。しかしながら、それとても、国の窓口あるいは現地に置かれる総合出先機関、こういうものがおっこっちゃったじゃないか、これじゃ両目を失った復帰対策要綱であるという手きびしい批判も受けたとおり、拙速をたっとんではならないとういまた半面がございます。そこで、出先機関については、これは国の出先機関がみんな各省ばらばらに出ていきたいでありましょう。またそれが伝染をして、琉球政府の各局も、自分たちのそれぞれの親元の役所がそれぞれ別に出先を持ってほしいという感触がないとは言えません。しかし、沖縄県民のために、国の出先機関は主としてサービス行政が中心でございますし、許認可等を含めて、沖縄県民の利便のために出先があるわけでございます。まあ、特殊な任務の第十一管区の設置とか、こういうものはこれは別でございますが、高裁支部等もそうでありましょうが、要するに、できるだけ、たとえば同じビルの中に行って、同じ役所の中で、行けばたいがいの仕事は全部済んでしまうというようにできるだけしてあげたいものだと私は思っておるわけですけれども、しかし、それもやはり開発庁構想と同じで、沖縄には沖縄県というものが出発をする、そのときになお本土の出先機関というものがあって、国政事務とはいえ何か横からくちばしを入れたりチェックしたりするのではなかろうかという、当然の疑問と申しますか、懸念がございます。これらが払拭されませんと、これを一方的に押しつけるというわけにはまいりません。したがって、合意を得た場合には、沖縄県民のためにそうすべきであると私は考えておりますが、合意を得ない場合は、いたしかたがないと考えておるわけでございます。
 さらに、第三次はいつごろかということでございますが、残された問題は、電力等を引き取ったあとどのような形で運営をいたしていくのか、この問題について、一応、いまの配電五社の七月一日に「沖縄電力」として出発する予定の人たちの要望というものもあります。一方、沖縄琉球政府のそれらを前提としたと思われる節のある要望等もございます。しかし、それはいずれも問題点がやはりありますので、これらの問題をもう少し煮詰めて、離島電力も含め、あるいは、これから先の新しい沖縄発展のための新規電力の開発という問題等も含めて、十分その仕組みについて相談をしていかなければならぬことがございます。したがって、むずかしい問題が残っておりますから、時日を申し上げるのはたいへん無理かと思いますが、まあ、一カ月半ぐらいで大体何とか片づけたいものだとは念願しておりますが、そのために詰めを急いで悔いを千載に残すということだけは沖縄のためにしてはならないと、こう考えておるわけでございます。
#70
○渋谷邦彦君 きょうは非常に時間も限定されておりますし、こまかい問題は次の機会に譲るといたしまして、この要綱の内容について若干お尋ねをしておきたいと思いますが、復帰後いろいろな機関が本土並みになるわけでありますが、この中身を見ますと、それぞれ受け入れる、こういうふうになっているところもあれば、職員も含めて受け入れるというところもございます。まあ、おそらくその精神は、全部職員を含めて受け入れるのじゃないかと思うのですけれども、特にこの琉球土地住宅公社、これにはその点がうたわれてないわけですね。その職員はどうするかという問題、その辺はいかがでございましょうか。
#71
○国務大臣(山中貞則君) これは本土のほうが引き継ぎもしくは受け入れるという場合のことを言っておるわけでありまして、いまの住宅供給公社の場合は、これはそのままそっくり名称が変更されて性格が変わる、中身は変わらないということでございますから、これは県内のことでございますので、そういうことをしいて書いておりませんが、それによっていささかも整備されることはないわけであります。ですから、沖縄の国家公務員、地方公務員を、すべてを本人の意思に反して首切ったりなんかすることはない、全員引き継ぐと言っておりますから、このことは関係のないことであります。
 それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、「引き継ぎ」と「受け入れる」との違いは、たとえば電信電話公社という国の公営企業体というものが引き取る場合は、これは義務で引き取るわけであります。しかし、電信電話、国際電電株式会社ということになりますと、義務で引き取るということはちょっと言えませんので、そこで「受け入れる」という表現に変えてあるわけでございまして、これは中身は、それらの職員の方々は何ら御心配は要りません、ただ、受け入れる、あるいは引き継ぐ主体の違いによって申し上げるので表現を変えているだけだというふうにおとりいただきたいと思います。
#72
○渋谷邦彦君 次に、そのあとに出てまいります沖縄観光開発事業団、これなんか当時現地の要望としては国の機関として特殊法人にしてもらいたいというようなことを聞いておったのですが、これを、あるいは財団法人の形態になるんだろうと思うのでありますけれども、その辺の判断でございますか、民事法による法人組織に改組すると、このほうがおそらくいいと判断された理由ですね、またどういう利点があるのか、その点いかがですか。
#73
○国務大臣(山中貞則君) 観光事業というものは、大きく分けて、将来の観光事業による収入というものを計算しながら投資をしていく実務――実務と申しますか、そういう分野と、それから観光に関するすべての問題をそういう実務の者にいろいろと指導をしたりあるいは受け入れ体制を策定したり、啓蒙宣伝等の手段を行なう分野と二通りあると思います。その場合において、沖縄における観念事業団は、復帰いたしますと事業の分野ともう一つの分野と両面を備えております。そこで、国立の観光事業団を沖縄にということでありますが、それはちょっと国のほうでやって国の収入としていくのには少しおかしいのではないかということで、これは琉球政府も全然固執しておられませんし、むしろ観光事業団の性格からいって、今後は法人としての格を持ちながら沖縄の観光の宣伝その他の受け入れ条件の整備のための計画の策定とか、そういうものをやることによって、事業そのものは海洋博等と関連をいたしながら、相当の民間の資本の進出がすでに予定もされ、申請も琉球政府にいろいろと出ておりますから、琉政側としても何らの意見の相違がなく、この線で運営していこうということで落ちついたわけでございます。
#74
○渋谷邦彦君 次に、空港の問題でございますけれども、「那覇国際空港」と明記してもらいたかった、先般も私お尋ねしたわけです。まあ、共同使用という問題につきまして、危険も伴うと、いろいろなそういう悪条件があるわけです。この機会にむしろ国際空港として今後使用するというふうに明記したほうがむしろ沖縄県民にとってはすっきりしたんではなかろうか、こう思うんでございますが、これはやはりアメリカ側の関係等もあるんでしょうからできなかったんだろうと推測するんですけれども、やはりそれだけの事情によるものでしょうか。
#75
○国務大臣(山中貞則君) これはまさにいま対米折衝中の事柄であります。そして、これが純粋な民間だけの使用する運輸省所管の空港になりますれば、あらためて国際空港の位置づけをするかどうかという議論は当然立地条件からなされなければならないと思います。しかし、それに対する路線の問題等も、最近フライング・タイガー社等の営業所設立申請等も出ておりますが、南西航空の問題もありますし、一方、根本的な問題としては、対米折衝の過程ではたして全面的にアメリカ軍の飛行機の全然使わない飛行場にできるのかどうか。かりにそうなっても、自衛隊が全くこれに対して運輸省だけの空港として自衛隊と共用をさしてほしいという希望を捨てるかどうか。ここらについては運輸大臣、防衛庁長官と、できれば運輸省所管の純然たる民間飛行場にしたいものであるということで大体防衛庁長官もそのほうが望ましいという気持ちを持っておりますので、こういう方向の意向を外務省に伝えて外務大臣の対米折衝の前提としてもらっていまやっておるわけでございます。
#76
○渋谷邦彦君 次に、外国人季節労働者、これはおそらく台湾だろうと私は思います。いま日中関係が非常に云々されておりますときにこうしたことを全面的にまあ容認――という言い方もおかしいと思うんですけれども、県民の要望にこたえるということが前提になっておりますだけに、そうした国際間のいろんな影響というものを考慮に入れる必要はないのかどうなのかという問題がちょっと疑問として残るのでありますが、その点はどう判断されているか。
#77
○国務大臣(山中貞則君) 私の一番の基本は、沖縄県を過疎県にしたくない。本日の閣議でも過疎地域対策緊急措置法について地域の追加指定等をいたしたわけでありますけれども、北海道、東北が異常にふえ、また南九州のほうが、異常に人口流出の条件で過疎対策の指定を受けた市町村の数が多い。そういう状況を考えますと、沖縄も放任すればそういうふうになるおそれがありますから、これを自分はどうしても阻止しなければならない計画をつくろうと思ってわけであります。ところが、沖縄の中でも、実は那覇周辺、中部等における人口増に反比例をいたしまして、挙村離島、全家族離島してしまい無人島になっていく島もございますし、あるいは西表島においては全部が自分たちの部落とさようならするところもございます。また、大東島においては典型的な理想どおりの規模でキビ作がなされておるわけでありますが、これとてもやはり人口の流出には悩んでいるわけであります。したがって、そのような労働力の沖縄県内における移動というものから見ますと、もしここで、キビ作というものに季節労働者を台湾から受け入れないといたしますと、おそらく離島のキビ作農家はいかに近代化、大型化のための機械を導入しようとしてもそれはとても無理なことでございますから、一挙にキビ作に対する未来を失うということであります。すでに、「一定期間」はおおむね五年ぐらいだろう。五年ぐらいは台湾からなお手伝いに来てもらうんだということで喜んでおられます反面、五年後にはどうなるんだろう、呼び戻したって子供たちは帰ってこないし、あるいは家族ごと出て行ってしまった人が帰ってくることもないだろうし、一体五年後にはわれわれのキビ作はどうなるんだろうというのは、大型機械を導入しつつあります大東島においてすら非常な心配の種になっておるようであります。そこで、この問題は国際関係云々とは全く関係はないものとして、沖縄県の、ことに離島のキビ作、パイン作のために、いまここで打ち切ったら、場合によっては五年後に打ち切ってすら問題が残り、やっていけなくなるんじゃないかという基礎条件の一つでございますので、これは沖縄県民のために台湾の人たちの御加勢を引き続き願いたいという意味の特例でございますので、国際的な論議を呼ぶことには全くならないものと考えておるわけでございます。事実、いろんな申し出がどこからもございません。
#78
○渋谷邦彦君 非常に断片的で脈絡のない質問をきょうやっておるわけです。
 もう一つは、しばしばこれも問題になります医療機関の問題でありますが、これはおそらく本土ではちょうど規模、人口の割合等含めたものから推察すると島根県に相当する。島根県の現状と比較をしても、その施設あるいは医者等の数が四分の一以下であります。こうしたことは、第一次要綱と第二次要綱とひっくり返して見たんですけれども、明確に示されていない。この点の対策は一体どうされるのか。いかがですか。
#79
○国務大臣(山中貞則君) 全く示していないわけではありません。それは沖縄における医介輔、歯科医介輔等については医師の資格はないわけですけれども、それらの人々に僻地、離島の診療のために引き続いて行なっていただくための措置を講ずるということが書いてございます。それはいまおっしゃったように、那覇近郊はまあまあ何とかなるとしても、大病院というのはやはり那覇にもない、近代的な総合病院もないということもありますし、一番大事なことは、人間の住んでいる島が四十六にも及ぶということで、その地域をカバーするためにヘリコプターとか巡回診療艇等を考えましても、やはり先立つものはお医者さんであります。その意味で、琉球大学の医学部の設置ということを急がなければなりませんが、しかし、国立病院――先ほど稲嶺委員との間で議論いたしましたけれども――これとても厚生省とやはり相談しなければならないと申しましたのは、はたして医師の確保ができるかどうか。病院の建物をつくっても医師がいなければこれほどナンセンスな話はございませんので、その辺は十分相談した上で最後の構想を決定したいと思っておりますので、沖縄の医師の確保並びに准看あるいは派遣駐在看護婦等の問題についても、十分沖縄の要望に沿い得るような努力をしていかなければならないと考えますが、具体的にいまここで沖縄の医師の需要に応ずる計画を大綱で書くということは、たとえば本土政府が国費派遣の医師制度を予算上つくりましても、定数一ぱいに行ってくれたことは一ぺんもないわけです。行ってもらえたことはないわけです。それほどやはり今度は医者という特殊な職業上から来る、住んでおる環境に対する問題として行っていただきにくい問題もございますことを十分考えて、沖縄県民の方々が皆保険の中で特別に不当な待遇を受けることのないように努力をしてまいりたいと思います。
#80
○渋谷邦彦君 最後に、沖縄の方々の切なる要望は、豊かな県づくりということであります。これは制約がございまして、時間的にも相当かかると私思います。そこで、いま政府が考えておる青写真と申しますか、まず当面の課題として本土並びにするということが前提になっておりますので、それでは「本土並み」というのは、たとえば本土においてはどの県あたりを基準にしてまず当面の課題としてそれを築き上げていくかというやはり考え方もあるのではないだろうか。先ごろ屋良主席は、「本土の中級県」という表現だと私記憶しておりますが、そういう表現でおっしゃっておられました。政府としても当然どこかの県を一つ基準にして行き方というものを頭の中に描きながら、そうしてさらに将来の沖縄の発展、繁栄というものを築いていこうというふうに意図させておるのではなかろうかと、こう思いますが、その点、いかがでしょうか。
#81
○国務大臣(山中貞則君) 私が就任いたしまして昨年前半くらいは私どもの役所のほうも「本土類似県」ということをよく使っていたと思います。しかし、最近では「本土類似県」ということばを私ども使わなくなったことをお気づきかもしれませんが、私は、「本土類似県」に比べて、たとえば医師が最低どのくらいいなければならないのか、そういう問題等は、類似県ということも念頭にありますが、沖縄は人口とかなんとかというような問題だけで類似県というものを想定してかかってはならない。交付税等の算定基準等はあるいはそういうことがありましょうが、しかし、それも特交等において類似県のようなことでやってはならない。私どもはやはり相当大幅な英断が必要である。したがって、沖縄は、私は、いままでの本土の各県の考えられていたような、それぞれ県が経済の振興計画とかいろんな目標を持っておりますけれども、そういうものと全く違った、そして南の沖縄県がほかの県のまねできないようなすばらしい条件の上に立って新しい羽ばたきを始めるということを頭に描いておりますが、その意味において、沖縄の人々の一般の所得の向上その他から考えても、類似県というようなことは念頭に実はないわけです。それで、私どもの役所においても、類似県と比較してどうという議論は最近ほとんどいたしておりません。そういう意味で、沖縄県が持つ特色というものを発揮できる沖縄県づくりということで、「中級県」ということもよろしいし、あるいは沖縄県としてほかの県のまねできないすばらしい条件下の繁栄を遂げていく県ということでもよろしいし、いずれにしても、機械的に並べてどこの県ぐらいにいったらばもうそれで沖縄はいいんだという気持ちは私は持っていない。この考え方はずっと沖縄の未来に引き続いて置かれなければならない大前提ではなかろうかと思っておるわけであります。
#82
○喜屋武眞榮君 時間も限られていますので急ぎたいと思います。
 まず初めに、沖縄返還の調印が五月ごろ、それから批准が十月ごろ、そして来年の四月一日を期してと、こういうふうに報道されておりますが、それは大体めどとして間違いがないと確認してよろしゅうございますか。
#83
○国務大臣(山中貞則君) 返還交渉については私は確定的な答弁ができかねますが、私の希望としては、本土政府の会計年度の区切りである四月一日の午前零時というものを復帰の時点にしたい、そういう念願を持って、外務大臣もほぼ同じ気持ちでおられると思いますが、これは折衝当事者でありますから、米側の、相手側のあることでありますし、意向等が一致したとは聞いておりません。しかし、私どもはそのような念願を持っておりますというようなことであります。
 それから、返還協定の調印は米側が急いでおるように新聞報道その他がございます。アメリカの上院の審議等の関係であるいは急いでいるのが真実かもしれませんが、急ぐについてこれまた詰め残しあるいは不用意な妥協ということもしてはならないという分野がございます。たとえば大蔵省と財務省との間に行なわれる資産の引き継じ問題等について、そういう問題はやはり米側との間にまだ相当大きな隔たりがありますから、これらの点について十分の議論が尽くされない限り調印ということにはならないのではないかと思います。でありますから、いまの段階で、私の立場からは、いつごろ調印になるだろうかということは断定的に申し上げにくいわけでありますけれども、まあ、いままでの進行状況を見ておりますと、あと二カ月以内ぐらいには詰まるのではなかろうか。外務大臣はたしか夏ごろとおっしゃっておりましたが、まあ、上原君のことばじゃありませんが、沖縄の夏は長いということもありまして、早く始まっておそく終わるわけですから、そういう意味じゃなくて、五、六月の感じではなかろうかと思っておりますが、しかし、それは順調にいった場合のことだと私は見ております。
#84
○喜屋武眞榮君 そこで差し迫って秒刻みで進みつつあるわけですが、返還協定の場合でありましても、県民側としましては県の要望を吸い上げてもらうようにという強い要望があるわけです。それがいつどこでどのようにということに対していろいろの不満があるわけでございます。ところが、それがどこの姿勢に立ってどういう内容でということに不満があるわけであります。きょうはまあ返還協定の問題には触れませんが、この要綱を一貫して見まして、大体県民側の意思というものが吸い上げられておると、こう私は見てよろしいかと、こう思います。そういう前提に立ちまして、問題は、項目それ自体は一応県民の側の意思が吸い上げられたかっこうになっておりますが、問題は内容の問題――中身が具体的にどのように盛られてくるか、また作業が進められてくるか、こういうことが大事になってくると思います。そういうことから、第二次さらに第三次でまあ終わりにしたいとおっしゃっておられますが、その過程において県民側の意思をどのように吸い上げていらっしゃる努力をなさり、調整をしていかれるか、このことについてお伺いいたします。
#85
○国務大臣(山中貞則君) 直接的には沖縄県民の各界各層の方々からいろんな自分たちの立場の陳情、要請等がございますから、そういうものを承って参考にいたしますし、形式の立場からいえば、ルートは琉球政府、立法院というもので、私どものほうに合意を得るような努力をするということであります。今回意見のまだ一致していない部門については、ぜひ盛り込みたいと思っていた重要な問題でありましても、これをあえて批判はあっても落としました。そういう点については合意を得るために全力を尽しておりますから、私どもの作業に秘密の部門は絶対にありませんので、それらの点については、琉球政府のほうなり立法院等において公然と議論をしていただいておるわけでありまして、県民会議というようなものもおつくりになっておるようでありますから、それらの問題等について議論をしていただく素材はいつでも提供いたしますし、われわれも忌憚のない意見等も述べ合っております。そうでありますので、私どもの復帰の国内措置についてはその懸念はないと思いますが、返還協定の交渉の過程を明らかにしていくということについては、これは外務省のことでありますし、外交の常識と申しますか原則がありまして、外務大臣も非常にお苦しいだろうと思いますが、答弁も、あるいは沖縄側の方々には明確にどういう状態になっておるかが反映しておらないということをお考えになっておられるかもしれないと思います。しかし、外交交渉の過程において、全部手のうちを明らかにして交渉するということはどの国でも考えられないことでございますので、これはこれは県民の御理解を得ようとしてもむずかしいかもしれませんけれども、私自身は、沖縄県民の返還交渉に対する御希望等を私自身が沖縄県民になりかわる意味の担当大臣でございますから、私が交渉の当事者じゃなくとも、外務大臣に、あるいはときには防衛庁長官等についても、私の感触なり沖縄県側の考え方というものをおりに触れてお願いをする形で反映させたいと願っておるわけでございます。
#86
○喜屋武眞榮君 と申しますのも、結局、沖縄県民がいろんな不安や不満やあせりがありますのも、結論としては復帰してよかった、こういう沖縄を取り戻したい、そういう結果を期待しておる、こういう気持ち、願いからでありますので、どうかひとつそういう県民の強い要望をできるだけ最大限に吸い上げていってくださることを私要望申し上げまして、そこでひとつ第二次で落ちたもので、しかも、非常に強い要望があったものの中で、しかも、山中長官がはっきりおっしゃった中の一つに国立病院の問題、一般病院あるいは精神病院、結核病院ですね、国立病院にするんだ、はっきりこういうことをおっしゃったわけでありますが、それが今回これに取り落とされたのはどういういきさつがあったのでありましょうか。
#87
○国務大臣(山中貞則君) 沖縄に国立病院をという希望がありましたことは承知いたしております。しかしながら、先ほど渋谷君にお答えしましたとおり、医師の確保とかいろいろの問題がございまして、なかなかむずかしい問題であるということでペンディングのまま来たわけでありますが、今回結核、精神病についての公費負担という問題の議論をいたしまして、このような措置をとっても、収容ベッド数という毛の等から考えて、キャパシティの問題で、これはやはり国立病院がどうしても必要だなあということを、これも四カ月の議論の過程でしみじみ考えたわけであります。かといって、二次ですぐに国立病院をつくると発表するについては、どのような規模の、場所はどこで、そして、結核、精神一緒なのか、あるいは別々なのか、現在の琉球政府立の病院とどういう関係になるのか、あるいは南援の精和園とはどういう関係になるのか、こういう問題を詰めるのにちょっと具体的な時間が足りなかったということでございまして、これから精力的に厚生省と相談していきたいと考えます。
#88
○喜屋武眞榮君 ここで、特に国立病院の問題で非常に熱烈な要望をいたしておるもの、特に精神病院の要望が強い。これはもう私にも非常に強い要望が参っておるのでございます。その精神病院につきましては、医師の確保の問題もおっしゃったけれども、その当事者の立場からしますと、医師の確保は見通しがあると、こういうことも言っておるわけでありますが、その点、ひとつ再考慮してくださって、ぜひ要望をいれてもらう御配慮がありますでしょうかということと、それから、いま厚生省の折衝のお話がございましたが、聞くところによりますと、厚生省とされましては国立をなるべく整理統合する方針にあるのだということもちょっとお聞きしておるわけでありますが、そうなりますと、もう非常にこれはその尺度で沖縄をはかられますというと、ますます困難ということになるわけでありまするが、そういった点、厚生省との関連はいかがでありますか。
#89
○国務大臣(山中貞則君) まず第一点の、医師を確保して精神病院を開くことは可能であるという現地側の判断を持っておる方がおられるとすれば、それはそれで、国立病院でなく、私立の精神病院をおつくりになりますれば、それに対しては国は相当手厚い建設の資金、還元融資、もしくは医療金融公庫の融資、あるいはそれらの措置入院等に対する措置等について全部予算が出るわけであります。したがって、精神病院の経営というものは、こう申しては失礼でありますが、患者がやっかいな患者である反面、わりと病院経営としては何だかやりやすい病院のように私どもは常識的に思っております。そういうことでは、民間のそういう病院ができることも歓迎をいたしますが、やはり、ことに精神病患者等の、本土ならば当然措置入院を必要とするような人たちが、家族の迷惑、周辺の心配、こういうものの中で野放しにされておる状態というものは、これは絶対にほうっておけない問題でございますので、そこで国立病院構想というものをいま考えておるわけでございますが、厚生省がいま国立病院の整理統合をしたいと言っておりますのは、これは国立病院の近代化というもの、あるいはまた建物その他の鉄筋化とかいうもの等が前提になっておりまして、本土の旧陸海軍病院がそのまま国立病院になったいきさつ上、一つの県に、近いところに三つも古びた木造建てのお化け屋敷みたいなものがあったりしまして、そういう意味では、結果においては数を減らすことになりますが、それは数は減りますけれども、それぞれの県においてりっぱな総合病院の国立病院に転身をしていくというような意味の問題でございまして、したがって、沖縄に新しくつくることは絶対反対だという厚生省の意向はございませんので、これから相談をしていくと申しましても、沖縄に国立病院をつくるそのことについて、専門省としての厚生省が、医師の確保その他についてどの程度の規模ならば協力ができるか、専門的なことについて意見を伺いたいということでございますので、その方面に向かって前進をする姿勢に変わりはないということでございます。
#90
○喜屋武眞榮君 次いで、いまの医療問題に関連して、表面にまだあらわれてこないもので、特に沖縄が、戦後沖縄なりに実現したもので、本土ではないすぐれたものの一つに公看という制度があるわけです。正しく言うと、駐在公衆衛生看護婦。本土ではそれは保健婦ということで保健所勤務でありますが、この公看制度は、その地域に住まい込んで、直接患者に接触をして看護しておる。このことについては、私の知る限りにおいては、本土では高知県の沖ノ島ですか、そこに一例あったということをお聞きしておりますが、この公看の制度の問題についてはどうお考えでしょうか。
#91
○国務大臣(山中貞則君) これは具体的に対策要綱で書く必要があるとすれば書いてもよろしゅうございますが、現在の沖縄における公看制度というものは、医師不足の離島、僻地において、全く背に腹はかえられない必要から生じた制度でございます。当然これは尊重していきたいと思いますし、その考え方は、本土の保健所においては医療診療業務はいたしておりませんが、沖縄においてはそれが結核等において非常に大きなささえになっておりますので、そういうものも将来引き続きやっていただく。本土の保健所と違う機構で、あるいは性格でやっていただこう。さらに、先ほど申しました医介補、歯科医介輔等についてもなお引き続きやっていただくという一連の思想と同じ範疇のものでございますから、それは当然復帰後も公看制度というものが、名称がかりに変わっても同じ役目を果たすことができるように措置するつもりでございます。
#92
○喜屋武眞榮君 その点、ぜひひとつ、本土にないからということでこれを切り捨ててもらわぬように、沖縄にあるいい面は、これは吸い上げていただいて、生かしていただきたい強い要望を申し上げておきます。
 次に、海運業に関連しまして、これは流通機構とも関連いたしますが、特に、沖縄の場合、本土でありますと、本州、北海道、四国、九州と、こう離れておりましても、すでに海底トンネルによって結ばれておる一つの面になっております。ところが、沖縄はそういうわけにもいきませんので、特に、海運業の面に力を入れ具体的に強化されてまいらぬというと、沖縄の開発は絵にかいたもちにしかならない、こう思うわけであります。そこで、沖縄と本土のつながり、また、先ほどおっしゃった、沖縄は四十幾つかの離島を控えておる。その離島と沖縄本島との関係ですね、この一連の結びつきが抜本的に解決されぬ限り、沖縄のすべての開発は絵にかいたもちにしかすぎない、こう思うわけでありますが、そういう観点から、項目的にはそういった配慮があるやにも思っておりますが、それがどのように具体化されていくかということが問題でありますので、その点についてもう少し突っ込んだ御回答がお願いできたらと思っております。
#93
○国務大臣(山中貞則君) まず本土と沖縄との間の問題でございますが、これは先ほど申しましたが、現在の海運の秩序である運賃同盟をそのまま残しておくということによって、まず本土の大資本のなぐり込みを防いで、そして沖縄の業界を保護していこうということであります。ところが、保護だけでは沖縄の海運業界は資本的にも装備的にも――と申しますか、船そのものの大きさ、スピード、そういうような施設面で不足でございますので、これらについては十分国のほうで資金援助その他で優先、助けていく、援助していくということであります。たとえば、沖縄復帰を目ざして、いまの新しい流通革命のにない手としてはなばなしく長距離カーフェリー等が登場しておりますが、これは直ちに沖縄に対してカーフェリーの申請が本土の業者から出ようとしておるわけでありますが、しかし、こういう場合において、沖縄の海運業者の中でそういうことを希望し、その能力があって政府が助けていけば自分たちで自主運航できるという場合は、沖縄とのカーフェリー運航に関する限り、沖縄県の既存の業者に融資をし許可をするようにということで運輸省との間に話し合いをいたして、運輸省も大体そういう方向でおるようでありますが、しかしながら、これに対する巻き返しは相当強いようでありますが、その基本線は貫いていくということでございます。
 さらに離島航路については、本土の離島航路補助が八割という手厚い補助を赤字についていたします反面、やはり一航路一社であって、しかも、それが放漫な経営等や住民サービスを忘れたような経営のために赤字でない場合という、いろいろな条件がございます。そういうような条件に現在の沖縄の離島航路はほとんど合致いたしておりません。ということは、一航路一社ではないということでございますし、そういうことから考えますと、この復帰要綱で表現してございますように、まず復帰前に、琉球政府もそういう姿勢でございますので、海運業の方々ともよく相談をされた過程を踏まえて、なるべく復帰の時点において本土の離島航路補助がそのまま受けられるように離島航路の数を整理統合してほしい。
 しかし、小さな航路等においては、経営者のメンツの問題などもありましてむずかしいところもあるようでございますから、そういうところで復帰後もなお一航路二社とかというようなことが残った場合、これは本土の補助金の条件に乗りませんので、琉球政府が行なっております現在の状態のもとにおける航路補助というものをそのまま国のほうも加勢をしていこうということでございますので、なるべく、離島住民の足でございます離島航路というものが本土並みの条件に整備されるように加勢をすると同時に、本土の離島航路補助の手厚い補助の対象になるという方面に協力をしてまいりたいと思います。
#94
○喜屋武眞榮君 そこで、沖縄本島内における交通、あるいは流通機構の面からも大事な問題の一つに、戦前は沖縄に鉄道があったわけです。ところが、戦後はもうバス、トラックしかない。ところが、戦後汽車の復活を計画されたことがあるわけですが、これはアメリカの反対で実現しなかったわけです。国の責任において沖縄本島に鉄道を開設するということについて何かお考えになったことはありませんか。また、それに対するひとつ御見解を伺っておきたいと思います。
#95
○国務大臣(山中貞則君) これはもちろん要請も受けましたし、考えもいたしました結果、採用しないという結論を得たわけです。それは、現在国鉄がどのような状態にあるかということをお考えいただきました場合に、すでにレールが敷かれて人や貨物を運んでおります路線も逐次廃止計画を立てております国鉄の状態でございます。それに、沖縄のたとえば本島しかその条件はないと思いますが、本島の条件を考えますときに、いま前提としております全島循環線等が完成をいたし、さらに縦断の高速自動車道等が完成をいたしますと、島内だけの人や貨物の輸送のために国鉄を新しく建設をしてはたしてそれがほんとうに役に立つかどうか。国鉄の採算は、国営企業でありますから、沖縄のために全く採算を無視してでもつくれということは当然の要請として受け取らなければならぬわけでありますが、しかしながら、時代は大きく変わっておるということを考えますと、本土の国鉄も採算のとれるのはほとんど新幹線ぐらいなものであるということから考えて、沖縄においても本島のほうに国鉄をかりに敷設してみても、実際上の利用状況は、道路その他の整備が急速に進んでまいりますから、私はあまり効率をあげることにはならないのではないか。いわゆる沖縄交通の便に飛躍的な貢献をすることにはなり得ないのではないかということをむしろおそれておりますので、できるだけ北部循環道路等の完成を急ぎながら、全島一周道路等は国道に、直接国が全責任を持ちまして、その他の幹線道も国道に編入することにより、あるいは道路公団の高速自動車道を縦貫させることによって、北部等においても過疎化の波に洗われております地域に光を当てていくという方法をとれば、それ以上鉄道ということはやらなくてもいいのではないか。むしろ無用の長物になるおそれがあるのではないかという気がするものでありますから、いまの段階では、国有鉄道の路線を沖縄本島に敷設する計画というものをいまのところ持っていないということであります。
#96
○喜屋武眞榮君 時間が参りましたので、この全文を通じまして、表現上のニュアンスといいますか、これをたどってみますというと、「復帰とともに」という、こういう表現がある。それから「復帰と同時に」という表現がある。「復帰後一定期間」、こういう表現がある。それから「復帰後も一定期間」それから「当分の間」「一定の期日まで」、こういう表現のあやがありますが、これには何か配慮があるでしょうか。どういう配慮でございましょうか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#97
○国務大臣(山中貞則君) 復帰については、これは表現はいろいろその事柄について変えておるだげでして、中身は同じことであります。「復帰の時点」という意味です。「復帰の時点以降」とかいろいろな表現になり得るわけであります。その他の期間の問題については、「当分の間」というのは、「一定期間」というのをほぼ五年と考えておりますということを申し上げましたが、これは五年を特別措置としては一応めどといたしておるのが常識でありますので五年といたしておりますが、これは五年たってなおその特例措置の必要なものは延長し得ることもあるわけであります。しかし、「当分の間」というのは、黒糖等の場合は、これはやはり法律で何かカバーし得るような新しい法律ができればこれは早く廃止をしていいわけですれども、法律ではやはり無理である、あるいは糖価安定法の仕組みの中で事業団が製品を買い入れていくことは無理であるということであるならば、「当分の間」は、「五年をこえてなお相当の期間」というふうに解釈されてけっこうであります。
 あと、その他の表現については、事柄によって大体「一定の期日」というのは在沖外国人ということでしょうから、ここのところは、大体専門家は半年ぐらいを想定しておる。長くて半年ということであります。
 それから二十八ページの「海事代願人」、これも六ヵ月ぐらいで切りかえられるそうでございます。そういうことでございます。
#98
○委員長(米田正文君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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