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1970/04/14 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号
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1970/04/14 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号

#1
第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号
昭和四十六年四月十四日(水曜日)
   午後一時二十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     岩間 正男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         米田 正文君
    理 事
                長谷川 仁君
                松井  誠君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                塚田十一郎君
                増田  盛君
                山本 利壽君
                山本茂一郎君
                松下 正寿君
                岩間 正男君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
       外務省条約局長  井川 克一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩地域における産業の振興開発等のための琉
 球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(米田正文君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動につきまして御報告いたします。
 昨日渡辺武君が委員を辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(米田正文君) 沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する政府側の説明はすでに聴取をいたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○松井誠君 ただいま議題になりました法律案、及び、それに関連をしまして、沖縄返還をめぐる諸問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に、外務大臣が見えておられますので、沖縄返還協定のことから先にお尋ねをいたしたいと思います。だいぶ返還交渉も煮詰まってきたと思うんでありますが、この間外務大臣は、いろんなたくさんの問題全部ワン・パッケージだといったようなことを言われたんですけれども、形式的にはあるいはそうかもしれませんが、しかし、すでに実質的に合意ができた問題とまだ合意ができない問題というように分け得るのではないかと思うんでありますが、もしそうだとすれば、現在合意ができていないのはたとえばどういう問題か、一応実質的に合意が終わったのはどういう問題かということからお聞かせいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(愛知揆一君) 返還協定の話し合いについては、その後引き続き鋭意努力を続けておりますが、いまのお尋ねの点ですが、やはり全体が一つのパッケージになっております関係で、これは大体片づいた、これが残っているというふうな順序ではなくて、全体を総合的に一括して進めておりますので、まだ一つ一つについてこれは片づいたといえる段階のものができていないのが実情でございます。なかなかこの各問題について、それぞれいよいよ最終的の段階となってまいりますと、やはり交渉ごとでございますから、なかなか思うように進まない点もございまして、ただいまの見込みといたしましては、できるだけ煮詰め作業を進めてまいりまして、この国会の会期中――相当おそくなるかと思いますけれども、全体について中間的に報告をするところまで煮詰めてまいりたいと、こういうふうにいまそれを目標にいたしまして作業を進めておるような状況でございます。
#6
○松井誠君 それでは具体的にお尋ねをいたしますが、私が主としてお伺いをしたいのは、新聞紙上伝えられておるように、いま非常に大きな問題になっておる、沖縄におけるいろんないわゆる特殊部隊の問題、あるいはVOAの問題、これは沖縄の基地のあり方、基地の機能の問題として非常に重要な問題でありますので、そのことをお尋ねをいたしたいと思います。
 その前に、一つの前提をはっきりさしておきたいと思うんでありますが、まあ、伝えられるところによりますと、アメリカ側のほうでは、基地の機能を維持する、基地の機能をそこなわないようにするということが理由になって難航しておるやに伝えられるわけでありますけれども、これは基地の機能の維持というのは当然のことでしょうが、日本側としては、安保条約のワク内における基地の機能、こういう前提で交渉をされておられるんだと思いますけれども、それはそうでしょうね。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) 一番大事なことは、安保条約・関連取りきめが何らの変更なしに沖縄に適用される。それと同時に、沖縄返還に関連して安保条約が変質するというようなことはない。これが一番重大な問題であると思います。そのワクの中で返還を実現する。こういうふうにすべての基本をそこに置いて考えておるわけでございます。
#8
○松井誠君 ただ、私が気になりますのは、アメリカ側で、特に軍関係者でありますけれども、返還後の基地機能の問題についていろんなことを言っているわけですね。たとえはチャップマンという海兵隊の最高司令官が、返還後も基地の使用は自由なんだというような意味のことを言っている。これはアメリカ政府としても、あの共同声明に書いてあるように、この安保条約及びその関連諸取りきめは変更なく適用されると共同声明にうたわれているわけですから、もちろんアメリカもこの基地機能の維持というものは安保条約のワクの中でという前提で話はされておる。これは当然そう理解していいわけですか。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) その点はまさにそのとおりでございまして、たとえば最近国務省が出しましたいわゆる外交白書というか青書といいますか、これについての日本との関係のくだりにおいてその点明確にされております。それから、その直前に出ました大統領の教書の中でこれに触れておる点においても同様の表現がなされておる。その点は間違いないと考えます。
#10
○松井誠君 そうしますと、このいわゆる特殊部隊といわれるいろんな部隊、こういうものの返還時における撤退という問題については現在まだ合意はできていないんですか。できていないとすれば、どういうことが問題でできていないということなんですか。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) その基本的の考え方についてはあらためて合意ということでなくて、実質的な合意はできていると考えておるわけでございますから、具体的な一つは協定の文言の問題、それからもう一つは、具体的な施設・区域の提供とか、部隊の移動とか、そういうところにその基本的な考え方が返還に伴ってあらわれてくる。こういうふうに考えて、折衝、交渉をやっておるわけでございます。前に、当委員会でも申し上げたと思いますけれども、そういう基本的なワク組みの中で機能する軍というものが存在し、かつ、その行動が制約されるわけでありますが、その場合に、抽象的な基準というようなものから考えれば、「本土並み」でなければならぬわけでございますから、本土におるような部隊の性格のもの、こういうものが沖縄基地返還後においてもおるということになることは、これは返還の基本的な構想、ワク組みがそうでございますから、そういう範疇で律し得られると思いますが、そうでないようなものについては、これは好ましくないことは当然でございます。そこで現在のところは、この前の委員会で申し上げましたように、これは外務省だけではよくなし得ざるところでございますが、防衛庁等の協力を得まして、現在どういう部隊がどういう姿で機能しておるか、どういう使命、性格を持っておるかということの実態の掌握につとめておるわけでございます。それらの点についても、だんだんと時間がたつとともにその内容がはっきりいたしてくるわけで、その上に立って処理についての双方の話し合いに結着をつけたい、こういうふうな考え方でおるわけでありますが、その現在の実態等についていろいろ調査をし、協議を始めておりますけれども、具体的に何々部隊、何々部隊についてはこうこうこういう所見である。こういうふうな合意ができているというところまでまだちょっと行っておりませんような次第でございます。
#12
○松井誠君 だんだんお尋ねしていきますけれども、実態掌握というのは、現在の段階で大体できておりますか。あるいはまだできない部分のほうがまだ多いという段階ですか。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、昨日参議院外務委員会でちょうど岩間さんからも非常に詳細な御質疑がございまして、いつその内容がわかるか、いまだってわかっているはずではないかという趣旨のお尋ねがございましたんですけれども、いましばらく時間がかかりますのと、先ほど申し上げましたように、やはり処理についての相当話が煮詰まりまして、その状況等について中間的に御報告することが適当であろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。その内容等について自信を持って御説明するような段階には、いま少しの時間の余裕を与えていただきたいと思います。
#14
○松井誠君 大詰めの段階に来てまだそういう段階だということが私にはちょっと理解ができないんでありますけれども、ここで少ない時間を押し問答しておってもしかたがありませんから、その部隊の性格の問題より前に、かりにこの部隊がどういう性格、どういう機能を持っておるとしても、これらの部隊が返還後も引き続き存在するかどうか、駐留をすることができるかどうかということは、それは事前協議のいわゆる対象にはならないのですか。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) 事前協議は、返還が行なわれてから後において、御承知のような安保条約・関連取りきめの適用、本土と何らの変更のない適用によって、配置の重要な変更、それから戦闘作戦行動、装備の重要な変更というようなことが、一定の了解事項に基づいて事前協議の対象になるわけでございますから、要するに、本土並みの状態になる、そして核抜きできれいな姿で返してもらうということになって、その上に立って事前協議というものが適用されると、こういうふうな筋合いになるものでございますから、返還までの間のところにおいて、事前協議というもの、あるいはその予約といったふうなものが行なわれないことは当然のことと考えております。
#16
○松井誠君 私のお尋ねしますのは、核の問題については、政府が言っておるように、返還時、核がなくなるということになれば、そういう装備の変更という意味での事前協議ではなくて、配置の重要な変更ということにならないかということなんです。それは、新しく日本に施政権が返ってくる、そういう意味では、いわば日本の領土に新しくそういう、まあ、沖縄駐留のアメリカ軍が存在をするといいますか、日本全体から見れば、新しく日本に配置をされたというように理解ができないかということです。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) そうではございませんで、本土と同様な姿にして返してもらって、そうしてそれに対して事前協議を適用するわけでありますから、現在おりますというよりは、まず、条約的にいうと、基地と一口にいわれておりますけれども、現在はアメリカが施政権を行使しておりますので、いわばアメリカの本土と同様なかっこうになっている。それを主権を日本に返してもらって、その効力が発生した瞬間に、安保条約に基づいて日本が日米合意の上で適当と認める施設・区域を提供するということになって、そうして自今はその施設・区域を提供した条件としての事前協議の対象にかかることになるわけで、そこに現存しておるところの軍隊の機能等が、その提供された基地内において、あるいは基地外に対する行動において重大な制約を受けるという、この骨組みというかワク組みになる。こういう関係でございまして、現存している部隊の全部ではございませんが、そのものが駐留をするということになっても、そのこと自体が、安保条約・関連取りきめの事前協議の対象になる装備あるいは配置の重大な変更ということで、事前協議の対象になるというようには考えられないわけであります。
#18
○松井誠君 日本の施政権が新しく拡大をされる。そうして、そこに膨大な兵力がいる。これは、かりに本土における部隊と同じ部隊であっても、それはまさに日本の施政権の範囲内にアメリカ軍の数が非常に急激にふえてくるということになるわけですね。そういう意味では、まさに実質的な「配置の変更」と私は言えるのじゃないか。きわめて形式的に議論すれば、返還までは事前協議の対象にならないということはあり得るかもしれません。しかし私は、議論として可能であるとすれば、やはり事前協議というその道具を使ってチェックをするということ、そういうことを積極的に考えてしかるべきである。理屈の上で不可能でないと思いますが。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) お尋ねの点は、「配置の変更」ということになるのではないかと、具体的にいえばそういうお尋ねだと思いますけれども、政府の見解としては、「配置の変更」というのは、返還が行なわれてからあとだからこそ安保条約の適用の対象になるのでありまして、返還に伴って、駐留軍の状態に対して、配置の変更が、安保条約適用下におけると同様に事前協議の対象になると、かようには考えておらないわけでございます。
#20
○松井誠君 これは私は十分議論になると思いますけれども、時間がありませんから先に進みますが、そうしますと、いまはその特殊部隊といわれるものの実態を掌握をしようとして調査をされておるということは、やはり本土の部隊とは違うんじゃないかという疑問があるからにほかならないと思うんですね。本土の部隊と何か機能が違うんだということは、世上伝えられておるように、これがいわゆる安保条約の目的、範囲を逸脱するものではないかという、そういう疑惑があって調査をされておる。当然そういう意味だと思いますけれども、そうでしょうか。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) とにかく安保条約の使命、性格から見て好ましくないものが引き続き駐留するということは政府としては好ましからざることであるという見解に立って、それについては現在ある部隊の性格、機能等を掌握しなければならない、そういう見地に立って実態の掌握ということに現在つとめているわけでございます。端的にいえば、いまイエスかノーかというお尋ねであれば、御趣旨のようなイエスという立場に立っての実態の掌握、こういうことでやっておるわけでございます。
#22
○松井誠君 いまの御答弁よくわからないんですけれども、私が聞きましたのは、安保条約上その範囲を逸脱するかどうかという私は聞き方をしたわけですが、大臣は、そういう条約論ではなしに、むしろ好ましくないというようなものであるかどうかということの調査だと言われたんですね。どっちでも私はたいしたことないと思うんですが、そうしますと、具体的に、いま最後に言われた、イエスという方向での調査というのはどういうんですか。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 私のことばが不明確だというお話でございましたが、要するに、好ましくないというものは駐留せざるようにするためにという意味でおっしゃることと同じことですから、イエスという角度に立って実態の調査をいたしておりますと、こう申し上げたつもりでございます。
#24
○松井誠君 好ましくないか好ましいかという判断の基準ですけれども、これはどういうところに基準を置かれるんですか。ひとつお伺いをしたいのは、いままでときどき大臣は言われておったんですけれども、部隊の能力なり部隊の機能といいますか、一般的なそういう能力を問題にすべきじゃなくて、具体的な行動のときにチェックをすればいいじゃないかというような議論をされておったと思うんですけれども、私はそうでなくって、部隊の性格そのものをやはり問題にすべきであると思うんですが、そういう観点から処理をされるつもりなのかどうかということと、好ましいとか好ましくないとかいうことは、具体的にはどういうことを言うのか。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう条約論は要らないという前提でのお尋ねだと思いますけれども、条約論について念のために一言つけ加えて申し上げますと、条約論としては、提供する施設・区域の活用ということで事前協議の問題、そこで歯どめができているわけでございます。そのことを前提として申し上げるわけでございますが、その次に、それならば、好ましいか好ましくないかの基準はどうかということの中で、私が前に申しましたのはその一部なんでありまして、たとえば非常に常識的なたとえでございますけれども、ある一つの飛行機の航続距離が、安保条約の解釈上政府の統一解釈で明確にしております「極東」というところ以外に飛び得るものであっても、飛べるかどうかということについては「戦闘作戦行動」として厳重な制約があるわけでございますから、航続距離が可能性として長い場合であっても、それだけの理由でそういうものが好ましくないとは一がいに言えない場合があるであろうということを一つの例として申し上げたわけでございます。しかし、同時に、お尋ねのように、またこれからもお尋ねがあろうかと思いますが、第七心理作戦グループというようなものについて、どういうことをどういうふうにやっているのかということをいま少しつまびらかに政府としても掌握をしたい、それによって好ましいか好ましくないか十分考え、かつ、折衝の対象にしたい、こういうふうに存じておる次第であります。
#26
○松井誠君 時間がないので繰り返しは避けたいと思うんですけれども、好ましいか好ましくないかというのは、結局安保条約の目的なり性格なりに照らして逸脱をしておる――という表現がもしおきらいであるとすれば、それに照らして好ましくない。具体的な例として、一応、安保条約というのは地域的には「極東」ということだが、その「極東」の範囲外にまで戦闘作戦行動をやり得るような能力のある部隊であっても、それは部隊の性格がそうであっても、具体的にそれだけでは好ましくないとは言えないので、具体的な行動のときにチェックをするという、そういう意味ですか、いまの御答弁は。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) そうでございますと申し上げて大体間違いないと思いますけれども、それだけですとまた誤解を生ずるといけませんから、先ほど例として申し上げたことを繰り返すようになりますけれども、単にたとえば飛行機の足が長いからといって、それだけのことで駐留が好ましくないとは一がいに言えないことがあり得るのじゃないだろうかというのが私の見解でございます。というのは、そういう飛行機がかりに本土の施設・区域の中におったといたしましても、それが安保条約の目的、すなわち、安保条約というのは、やっぱり守るということが一番の中心の性格でございますし、安保条約で明らかなように、国連憲章五十一条を引いて集団自衛ということ、あるいは侵略の未然の防止、抑止理論に立った考え方でございますから、そうして、その上に施設・区域を活用して戦闘作戦行動に発進せんとするときは必ず事前協議の対象になります。また、日本の自主的な立場からいっても、イエスというようなことはなるべくこれは否定的に考えるというのが――イエスもあれはノーもあるとは申しながら、否定的に考えることが筋道だろうと思いますから、そういう制約がかっちりかかっておるわけでございますから、現実に航続距離がかりに長いものがあろうとも、その行動というものは厳重に制約される。そこで歯どめがかっちりかかっておればよろしいではないかと、こういうふうに一例として考え方を申し上げたわけであります。
#28
○松井誠君 私、予算委員会の分科会で毒ガスの問題をお尋ねをしたときに、毒ガス撤去の問題とは別に、いまアメリカが沖縄で持っておるであろう枯葉剤ですね、それは返還のときには撤去をしてもらうつもりだ、こういうお話でしたね。それは、おそらく枯葉剤というものが安保条約の目的から逸脱をしておる、そういう意味だと思うんですよ。私は、たとえば日本の政府がナパーム弾についてこれを日本が使用するつもりはないけれども、しかし、外国からナパーム弾で攻められたときにどうして守るかという、いわば防御の作戦を研究をするためにそういうものが必要なんだというような議論がありましたね。私は、あんな議論をやりだすと、全部沖縄の部隊というのは合法的に日本に入ってこられる。これは基本的に部隊の性格そのものがどうかということが根本問題なんです。したがって、枯葉剤というものも、とにかく原則として現にベトナムで使っておるというそこだけに着目をすればいいので、それが日本で枯葉剤の防御のための研究材料になり得るのだからいいじゃないかというような議論になったら、何も歯どめはないと思うんです。しかし、そういう意味では、部隊の性格そのものがやはり問題なので、たとえば航続距離の長いSR何とかいう偵察機がありますね、これもやはり原則として、たとえば中国なら中国を偵察をする、共産圏を偵察するというのが大部分の仕事であるとすれば、かりにそれが平和的な目的のために偵察にも使えるからといって、もし中国を偵察するときに、そのときにチェックすればいいんじゃないか、それまではどうするかわからないから認めてもいいじゃないかという議論になったら、歯どめがなくなっちゃうと思うのです。ですから、やはり具体的にその部隊というのが本来どういう性格を原則として持っておるのか――例外的なことはいろいろあるでしょうけれども――ということを基本にして好ましいか好ましくないかということをきめるべきだと、当然そうだと思うのですね。ですから、私は、基準をお聞きしたのは一つはそういう意味ですが、やはりそういう観点で処理をされてしかるべきだと思うのですが、そうでしょうか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 考え方としては、私も基本的に松井さんのお考えと変わらないように思います。いまお話しになりましたようなことを十分頭に入れて今後実態の掌握につとめ、同時に、その上に立って好ましいものだけがおるように、好ましくないものはなるべくこれはいないようにというようにやってまいりたいと、かように存じます。
#30
○松井誠君 そういう観点からいきますと、たとえば、第三海兵隊というのがあるわけですね。これはベトナムに上陸するというそれだけの意味ではなくて、この海兵隊というのは第七艦隊にしょっちゅう乗って、その第七艦隊そのものがずっと太平洋を遊よくをして、一たん緩急というときには上陸する、そういう性格をもし持っておるのだとすれば、これはいつ何どき安保条約をはみ出すような行動に出ないとも限らない。むしろ、そういうものを通常の任務としておるような海兵隊ということにならざるを得ない。実態を掌握されていないというのですから、議論にならないかもしれませんけれども、もしそういう実態があるとすれば、私はやはり海兵隊そのものを問題にすべきだと思うのです。これは一例ですけれども、そうじゃないでしょうか。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) ただ、また安保条約の基本的な論議になるかと思いますけれども、先ほど申しましたように、国連憲章五十一条の考え方のもとに立っている一つの集団安全保障のタイプであるということは申すまでもないことですが、そうして、そのワク組みの中で平素訓練をしていることによって、脅威が現実に起こらないように未然に防止するということで安全保障というものの成果があがるわけであろうと考えるわけですから、軍事的な角度からどういう部隊がどういうふうに訓練されていることがベストであるかということについて、先ほどもちょっと触れましたように、これは外務省の立場からだけでは十分に御説明ができない。現在防衛庁等と十分御相談をして、そして実態を掌握し、かつ、安保条約の目的からいってこういうかっこうが一番いいというふうに考え方を固めてまいりたい。そして不適当、好ましくないものは切っていくという姿にいたすべきものであると、かように考えるわけでございます。
#32
○松井誠君 たとえば、心理作戦部隊といわれる部隊にしても、これがいろいろな宣伝文書をつくってアジア全域に流しておるということは、これは何も、具体的にその実態を掌握などという大げさなことを言わなくても、その程度のことならば、これは事前にわかっておると思う。そのこと一つ考えてみても、たとえば、そういうものは中国なり北朝鮮なりがいい気持ちがするはずがない。いい気持ちがするはずがないことをあえてやるというのは、安保条約と私は無縁だとは思わない。ですから、実態を掌握しなければできないなどというようなことを言っておるから問題がなかなかけりがつかないのではないかと思うのです。しかし、これは実態がわからぬということですとしかたがありませんから、いずれそれはわかった段階でお尋ねするとしまして、VOAのほうはどうなんですか。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) これもしばしば申し上げておりますように、現在の日本の放送法、電波法等から考えまして、外国の機構に対して電波を与えるということはできないわけです。それが筋道であると考えて、その基本的な考え方の上に立って交渉をいたしております。それが現状でございます。
#34
○松井誠君 一体、この問題について、私は政府の態度というのは二転、三転したような印象を受けるわけです。最初どうも外務省のほうは、これは民間の機関だから民間の施設だからというようなことで、何かそれだけの理由で容認するかのような気配があるという。その後逓信省のほうでは、いや、そういうわけにいかないのだということで、そこで外務省はそれじゃまた基本的にいま言われたような姿勢に戻るというような印象を受けるものですから、非常に残念ですが、これは民間の施設であればなおさら安保条約と何も関係がないわけでありますから、したがって、民間の施設であればなおさら、条約上の義務としてという議論は全然出てこないんです。ですから、私は、譲るべき何ものもない、そういう原則で、いま言われたような態度で一貫をしてぜひ処理していただきたい。
 これに関連をしてですけれども、ある資料によりますと、さきの心理作戦部隊が「国連の声」放送をやっているんじゃないかということが書かれておるんですけれども、「国連の声」という放送を心理作戦部隊がもしやっているとすれば、これはどうされますか。
#35
○国務大臣(愛知揆一君) 「国連の声」云々は実は私もまだ承知しておりませんので、さようなことがあるかないか、いまやはりVOAにつきましても、具体的、実際的にやっている仕事についても、念のために実態を十分調べておりますし、それから第七部隊については「国連の声」というようなものがそこで利用されているかどうか、それらの点についてももう少しよく実態を調べてみたいと思っております。
#36
○松井誠君 これを私が問題にするのは、地位協定のたぶん六条か何かに通信のことについて書いてあるわけですよ。もしVOUNを心理作戦部隊がやっているのだとすると、そちらの関係がどうなるのかという関係が起きてきやしないか。だとするとこれは大問題でありますから、実態掌握というのんびりしたことを言っておられないで、ぜひ早急にその辺の調査をしてもらいたい。いまの地位協定の問題はどうでしょうか。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) VOAについて政府としては先ほど申し上げました態度でおるわけでございますが、ただ、先ほど松井さんからも何か政府の態度が変わったのではないかというようなお尋ねがありましたが、政府としては一貫しておるつもりなんですが、ただ、いまも御指摘の地位協定の問題等との関連で、VOAはUSIAに所属しておるのであって、これは軍の施設じゃございませんから、安保条約等との関係はない。つまり、USIAの施設を認めることができるかどうかという問題であると、こういう性格でございます。そして、それについてアメリカ側の非常な強い言い分は、他の委員会でも申し上げたのでありますけれども、USIAの附属する施設であって、たとえばイギリス、それから西独、それからセイロンでしたか、その他の国々ともそれぞれ話し合いでVOAを認めてもらっておる。アメリカ側の説明としては、それらの友好国あるいは中立国でもこの施設を認めてくれているんだから、そういう種類の問題として、ぜひひとつ日本に協力を求めたい。ぜひわかってもらいたいという態度を、アメリカがとっているということを申し上げた経緯があるので、そういう種類の問題であるということを御理解をいただきたいと思うわけです。これはアメリカがそう言っているということを申し上げておる。これはただいまのところ、したがって、VOAは即位協定の問題ではない、こういうふうに考えております。
#38
○松井誠君 よその国でどうやっているかということは別としまして、VOAというのが中国向け放送というものをもし主体にやっているとすれば、これは日本の国民はよその国がやっているからというわけにはとうていいかない重要な問題だと思うんですね。そういう形で処理していただきたい。私が地位協定の六条を申し上げたのは、VOAのことではなくて、さっきもちょっと言いましたように、VOUNという「国連の声」、これが心理作戦部隊がやっておるとすれば、地位協定の六条の問題になるのじゃないかということです、
#39
○政府委員(吉野文六君) ただいまアメリカの軍の放送が第七心理作戦部隊の中で行なわれておるかどうかという御質問でありましたが、われわれの知る限りでは、朝霞の第七心理作戦部隊の分遣隊の場合、同じ場所で、いわゆるファーイースト・ネットワーク――FENと称するアメリカの軍人目当ての放送局があることは承知しております。しかし、それ以上のことは承知しておりません。
#40
○松井誠君 朝日新聞社というれっきとした新聞社が編集をした沖縄の基地の実態を書いたものの中にあるわけです。ですから、ひとつそれを十分調査していただきたい。
 最後になりましたが、先ほどちょっと大臣が言われましたけれども、この協定の文言をいまいろいろ考えておるというようなお話がありました。新聞でも、とにかく前文をどうするかという問題が問題になっておるやに書かれておるわけです。私はやはりこれは抽象的な書き方ですから、どっちでも運用によって曲げられるとはいうものの、やはり重要な意味を持っておると思うのですね。で、その共同声明というのは、例の一昨年の秋の共同声明というのがこの前文とのつながりがどうなるかというのは、相当やはり大きな問題になってくると思うのです。そればかりじゃないと思いますけれども、それだと思うのですね。私は共同声明が非常に気になるのは、「変質」ということばが正確かどうかは別としまして、たとえば安保条約論、日本の安全と極東の安全というものに一応分けて、「日本の安全」が主で「極東の安全」はいわば従的な立場にあったような規定のしかたになっておるわけです。ところが、共同声明はむしろ、日本を含む極東の安全という、そういう表現になっておるわけです。単なる表現の違いではなくて、むしろ日本の安全よりも極東の安全が第一の目的であるかのような書き方になってきたわけです。そういう表現を継承されるということになると、これはやはり相当問題になるのではないか、この辺のことはどういう議論になっておりますか。
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 冒頭にお答えいたしましたように、実は全体をワン・パッケージとして折衝いたしておりますので、たとえば前文の文章はもう固まったかというふうにお考えになるのもごもっともかと思いますが、全体を一括しておりますものですから、まだ文言的に前文はどういう表現、第一条はどういう表現と、そこまで参りますのにもうちょっと時間がかかると思います。
 そこで前文に対する姿勢でございますけれども、ただいま御指摘のとおりでございまして、私は、安保条約というものが沖縄の返還によって変質されたものではないのですから、その安保条約の持っている性格というものが何らの変更なしに沖縄に適用されるという趣旨が私は必要だと思います。どういうふうな文言ということは、いま申しましたように、まだそこまで話は詰まっておりませんけれども、そういう考え方で整理をいたしたい、かように考えるわけでございます。
  〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕
 それからなお、つけ加えて申し上げますならば、あの共同声明のたとえば第四項は、一般的な国際情勢の分析というふうなことが、御承知のように、書かれているわけでございますから、これは条約文的にはなじまないものではないだろうか、こうも考えております。
#42
○松井誠君 時間になりましたから、これで最後にしますが、私の言ったのは四項ではなくて、五項に「日米安保条約が日本を含む極東の平和と安全の維持のため果たしている役割をともに高く評価し」とか、そういう書き方がもう一ヵ所どこかに出ておる。それと同じような書き方ですけれども、これは七項に、「総理大臣は、日本の安全は極東における国際の平和と安全なくしては十分に維持することができないものであり、したがって極東の諸国の安全は日本の重大な関心事であるとの日本政府の認識を明らかにした」、で、私は極東の安全と日本の安全とが無関係とは思いませんけれども、しかし、共同声明に具体的に台湾、韓国に触れているように、台湾、韓国の安全が即日本の安全と一心同体であるという考え方はおかしい。極東の安全と無縁ではないにしても、極東の安全が脅かされるという問題と日本の安全が直接に脅かされるという問題とは非常に違うわけでしょう。ですから、それを一緒にして、何か極東の安全即日本の安全であるかのような考え方がこの共同声明の中にやはりあると思うのです。それが台湾や韓国のああいう表現となって出てきた。ですから、やはりそうではなくて、私はもちろん安保条約が変質しなければ賛成だということではないのですけれども、少なくともこれ以上悪化を防ごうとする、安保条約のもとの条文に戻るべきだ、そういう態度でひとつ考えていただきたいという要望だけを申し上げまして、時間になりましたので終わります。
#43
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま、御要望ということでございましたけれども、やはり基本的な考え方は、私は松井さんが安保条約に御賛成でないということもよく知っておりますけれども、いまの御要望の点は私も同感を覚えるところでございまして、そういう点については十分ひとつ私としても努力をしていきたいと思っております。
#44
○渋谷邦彦君 返還協定の問題に関連しまして、一部蒸し返す質問になる面もあるかもしれませんけれども、その点は御了解をいただきたいと思います。
 初めに、いまずっと質疑を伺っておりますと、協定の内容そのものについては実質的にもうでき上がっている。ただ、文言の修正を待てば一切終了という、そういう印象を受けたわけであります。しかし、最近の折衝状況というものを新聞報道等によってうかがいますと、やはり一まつの不安がぬぐい切れないという、何か、極論すれば、暗礁に乗り上げているのではないかというふうに感ずるわけであります。そのことによって調印の時期も大幅におくれるのではないだろうかというようなことが伝えられておりますけれども、まず調印の時期が、当初政府が予定しておりました時期よりも相当におくれるのか、若干おくれるのか、その点はいかがでしょうか。
#45
○国務大臣(愛知揆一君) 調印の時期については、今国会の開会のときから申し上げておりますように、政府としては一貫して、おそくも夏ごろまでには調印いたしたい、そう申し上げておりましたが、その一貫して申し上げておりますとおり、おそくも夏までには調印いたしたい。ただいまのところ、おそくも夏までには間に合わすことができると考えて、日米両方とも努力を一生懸命しておる次第でございます。
  〔理事長谷川仁君退席、委員長着席〕
#46
○渋谷邦彦君 確かに夏までとおっしゃったことを記憶しております。しかし、あるときは、五月中くらいにはという希望的な観測を述べられたこともあったはずであります。夏ごろと申しましても非常に弾力的でございまして、あるいは九月初めごろと、秋口に入りますけれどもまだ暑い時期でございます。その辺もそういうふうに理解した上に立ってのことなのか。秋におくれ過ぎますと、申すまでもなく、今後のいろいろな返還事務というもののあり方が大幅におくれて、かねて政府が初めて公式に発表いたしましたとおり、四月一日を目途とする返還の時期がまた若干くずれるんではないかという危惧も抱くわけでありますが、その心配はございませんでしょうか。
#47
○国務大臣(愛知揆一君) 第一に、御承知のように、アメリカ側も、大体こちらの、いわゆるおそくも夏までにという趣旨の公式の発言もいたしておるようなわけでございまして、交渉の両当事者がそういう点で大体意見が一致しておりますから、おそくも夏までということは、盛夏の候を待たずしてというぐらいに御理解をいただいてけっこうではないだろうかと思います。
 それから、返還の効力発生の時期でございますが、これはしばしば申し上げておりますように、琉球政府、琉球立法院等にあらわれております沖縄県民の方々の非常な要望というのは、琉政の記念日でもありますし、そして、また会計年度から申しましても、七月一日を最も希望するところであるということについては、私も全く同感でございますから、そういうことが実現すれば、たいへんけっこうであると考えて、現に努力をいたしております。これについて米側が同意しているわけではございません。今後の折衝にこれまたゆだねなければならぬ点でございますけれども、そういう考え方でおりますので、前々から言っておりますスケジュールに現在のところは狂いはないと、こういうふうに考えております。
#48
○渋谷邦彦君 そこで、返還協定をまとめるまでの段階といたしまして、いま問題になっておりますようなことがはたしてすみやかに処理できるんだろうかと、いま大臣の御答弁にもございましたように、あるいはアメリカ政府の回答待ちというようなものも含まれているんだろうと判断されるわけであります。とりわけ、先ほども問題になりました米軍基地の機能あるいは性格、規模というものについて、防衛庁を通じて実態的な調査をするというお話等もあったわけであります。はたして、そうしたものが、政府の確信を得るような、そういう集約的な資料がまとまるのかどうなのか、そしてまた、その段階で新たに対米折衝に持ち込まれるようなことはないのかどうなのかということも心配の一つの種でありますけれども、重ねてその問題を私は確認しておきたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
#49
○国務大臣(愛知揆一君) 確かにごもっともな御質問で、実際、これは俗なことばを使って恐縮なんでありますが、私どもとして、気持ちの上で、ほんとうにねじりはち巻きで昼夜兼行でというような状態でございます。期待が大きいだけに、私どもとしてももう全くかかり切りで、現在、この種の問題について、資料もますます整備しなければなりませんし、また、それに基づいた国民的な期待の上に立って、できるだけ成果をあげたい。一方、時間的には、先ほど申し上げましたような、もうゆるがない一つのスケジュールを想定して、そしてアメリカ側もなるべくすみやかに話を決着したいという熱意を非常に持っておりますことは幸いでございますが、しかし、期待が大きいだけに、政府といたしましても、その限られた日にちの中で最大の効果をあげようとするところに、率直にいいまして、非常な悩みがあるわけでございます。その悩みを克服すべく現在最大の努力をしておるのが現状でございます。
#50
○渋谷邦彦君 そこで、防衛庁の実態掌握ということについては、外務省としても決して無関心でおられるはずはないと思います、当然絶えず連携をとって行動されているわけでありますから。そこで、米軍が、もしかりに、これは軍事機密に関することであってたとえ防衛庁であってもそれは絶対にあかすわけにいかないと。先ほど来問題もございました第七心理作戦グループですか、等をはじめ、あるいはマッハ三・三のSR71の偵察機とか、情報活動等いろいろな問題がございます。そして、それが前面に持ち出されて、沖縄県民をはじめとして、われわれとしてもあらためてそうしたものの存在というものを知り、そうしてまた同時に、これもしばしば論議が繰り返されてきた問題の一つとして、安保条約の精神からはるかに逸脱した、むしろ共同声明に主力、主体性というものが置かれた、そういう方向にエスカレートしていくのではないかというような心配もあります。そうした点をひっくるめまして、はたしてそうした軍事機密等々に関してのことが防衛庁の手によって実態が明らかにされるものであろうかどうかという問題、そしてまた同時に、われわれが危惧しております安保の変質というものが絶対に起こり得ないとするいままでの政府の一貫した考え方というものは、今後も、さらに、どう事態が変わろうとも、変化がないものかどうなのか、これを重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
#51
○国務大臣(愛知揆一君) まず、お尋ねの第二ですが、それが一番基本的な問題です。
 政府としては、安保条約が、沖縄返還に伴って、性質が変わるんだという一部に説がございます。また、それが一部の方々の心配の種になっておりますが、これは非常に大事なことで、政府としては、安保条約の変質は絶対にない。そうして、その姿が本土並みの姿として沖縄に何らの変更なしに返還される。これが政府としての基本姿勢でございますから、協定づくりにつきましても、その点は十分留意する。先ほど松井さんにお答えしたとおりでございます。
 それから、その秘密の問題なんでありますけれども、前にも申し上げましたように、核の問題についてもマクマホン法というようなものがしばしば論議の対象になりますけれども、それがあるからといって、たとえば日米間の問題としてそういうアメリカの国内法が支障にならないということは、政府の見解として申し上げているとおりでございます。たとえば、共同声明の第七項、第八項というようなものも、もし大統領といえどもそういう約束が軍事的なものについてはできないということであれば、ああいう声明はできないはずなんでございますが、ああいう声明ができているというところから見ても、そういう支障はない。したがって、毒ガスについてはすでに撤去が公約されて仕事が進んでいるわけであります。核はなくなります。そのほかの問題について、特にこちらが知りたいと思うような点について、特に軍事上の秘密であるからということで、これを教えないというようなことは、現在の日米の間においては、私はないと思いますが、なお、それらの点についても十分防衛庁等ともますます連絡を密にいたしまして、御心配のないようにいたしたいと思います。
#52
○渋谷邦彦君 いずれその問題については、返還協定調印あるいは沖縄臨時国会の際にまた再び明らかにされていく問題点であろうと思いますので、次の問題に移りたいと思います。
 やはり、幾つかのネックになっている問題がございます。先般も私、ここでお尋ねをしたわけでありますが、那覇空港の問題あるいは那覇港の問題こうしたものがやはり米側としては非常に強い抵坑があるということもいわれているようであります。それはいろいろな軍事的な利用度ということを通じて考えればもっともな主張であろう、このように受けとめることができるわけであります。これを、現在の段階で、政府の主張どおり、全面返還の方向へ持っていく折衝が可能であるのかどうなのか。多少部分的になりますが、若干これからもそうした点についての政府の見解をひとつお尋ねをしてまいりたいと思いますので、最初に、その点を伺っておきたい。
#53
○国務大臣(愛知揆一君) 提供することが適当であろうと考えられる施設・区域、逆にいえば、現在は先方の自由になっておる基地を返還させるという問題、これについては具体的に相当詳細にわたって折衝をいまいたしております。ただ、その中身について、那覇の空港については全面返還ができそうかどうか、あるいは軍港についてはどうかという点については、その具体的な各施設・区域ごとの状況は、合意がまだできておりません段階でございますから、いましばらくお待ちいただきたいと思います。こちらとすれば、これはもう全面的返還が望ましいことは当然のことでございまして、そういう立場に立って折衝をやっておりますが、ただいま御質疑の中にもございましたように、まあ、先方としても無理からぬというところもないではないようにも思われますから、そういう点は今後の折衝におきまして十分努力をいたしたいところでございます。
#54
○渋谷邦彦君 ことばじりをつかまえて申し上げるわけじゃございませんが、もうしばらく時間をかしていただきたいとするのは、現在の折衝段階がきびしい、このようにやはり受けとめるべきが妥当だろうと私は判断したいわけであります。やはり相当にきびしいと。で、特にいま空港と港の問題について申し上げたわけでありますけれども、やはりいままで大臣自身がおっしゃっておられますように、沖縄の福祉と経済発展の上で欠くべからざるところのものについては除外するように折衝したいと、相当強い決意を持たれて対米折衝を進めているというふうに理解をしております。けれども、そうした大臣の言明にもかかわらず、そうしたような、いまの空港、軍港の問題に象徴されるがごとく、はたして沖縄の今後の経済発展の上に障害となるような基地の提供というようなことがどうなっていくんだろう。こちらの主張どうりアメリカが譲ってもらわなければ非常に困る問題でありますので、その辺の見通しということを立てること自体があるいはむずかしいかもしれません、現段階で。しかし、何としてもという、そこらあたりの決意、あるいは、現在の時間を待ってくれとおっしゃるわけですから、こうなるであろうという推測、それは非常にむずかしいだろうと思うものの、もう一度、その辺の決意を私は確かめておきたいと思うんです。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) 私といたしましては、決意を固めて折衝に当たっております。できるだけの努力をこの上とも続けてまいりたいと思っております。
#56
○渋谷邦彦君 まあ、その可能性の問題になりますと、決意だけでははたしてどうかという問題も残るでしょうけれども、どうしてもそれをやはり貫いていただきたい。それで、先ほど問題になりましたVOAの問題につきましても、やはりアメリカ側から同様に強い抵抗があるやにわれわれ受けとめているわけであります。しかも、これも何回となく議論された問題ではありますものの、あそこの地域の住民の声を聞くまでもなく、あれが継続されますと、非常にテレビの受像も悪いし、あるいはラジオの聴取もきわめて聞き取れないという苦情を、私自身現地へ参りましたときに、聞いております。しかも、出力が、NHKの百キロワットに対し、千キロワットという、非常に膨大な出力を使っているわけです。はたしてそれだけのものを必要とするのかどうなのかということを考えてみた場合に、どうしてもやはり諜報活動に使っていることが予測されないでもない。そうしますと、これは好ましい現象ではもちろんありませんし、先ほども御答弁にありましたように、電波法第四条、これに該当することは当然であります。しかし、もしもアメリカ側の強い要請によって、経過措置としてしばらく置くとした場合に、当然電波法の改正というようなものまで出てくるわけでありますが、これは電波法の改正などをしないで、あくまでも基本方針にのっとってやらねばならない。これもやはり大きな障害の一つになっているんではないかということを非常に心配するわけであります。それやこれやを含めて考えますと、はたして現在の折衝段階というものが、どのくらいの時間を待てば一体結論が出るものやら、先ほどの議論の蒸し返しになるようでありますけれども、どうもその点が不安であるということを感ずるわけであります。これは私どもが感ずる以上に、沖縄の現地住民の方々はより一そう深くその点については、今後の行くえというものに重大な関心を払っていることは当然だろうと私は感じます。したがって、この点については、かねがね問題になっておりますだけに、何としても政府当局は、強い姿勢でこれに対処していただきたいというふうに希望を申し上げておきます。
 それから、その他の権益擁護の問題につきましても、これもしばしば議論されてきたところでありますけれども、特に対米請求権という問題ですね、これも非常に、何といいますか、国民感情として割り切れないしこりが残るんですね。特に平和条約調印後における米軍人・軍属による沖縄県民に対するいろんな傷害事件あるいは死亡に至らしめたような問題について、一体、その救済措置補償問題というものはどう協定の中に織り込まれていくんだろうかということも、そういう点の一つじゃなかろうかと、こういうふうに思うわけでありますけれども、その点、いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(愛知揆一君) 対米請求の問題は、実態的な話がつけば、その点は協定の中に織り込まなければならないと思います。実態の話がまだついておりませんから、日本側としての理屈のつく点については十分な主張を続けてまいりたいと思いますし、それから法律的その他実態調査の上から申しましてもなかなか困難であるものについては、本土政府としてそれに対してどうするかという問題もあるいは起こり得るかと思いますが、そういう点につきましても、十分政府部内で対米折衝と並行して検討いたしたいと思うのであります。
#58
○渋谷邦彦君 そうしますと、重ねて伺っておきたいことは、実態的な調査を通しまして、判明次第、返還協定に盛り込まれるものについては盛り込むと、このように理解してよろしゅうございましょうか。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) 対米請求が話し合いの上に成り立ち得るものについては、これは当然、両国間の約定事項ですから、協定に盛り込まねばならないと思っております。
#60
○渋谷邦彦君 次に、沖縄の那覇空港を中継基地としてアメリカの航空会社が出入りをしているわけでありますが、返還になれば、当然国内線ということになるわけであります。これは国際航空条約でございますか、この規定によっても、今後は乗り入れというものがむずかしくなるというような問題もここに出てきているわけであります。しかし、これもやはりアメリカ側の立場からいえば、せっかく取得した既得権というものを放棄するということは忍びない。あるいは日本航空では、シカゴ乗り入れというものと取引にしようじゃないかといういろんなことが取りざたされておりますけれども、アメリカが非常に強い姿勢で、シカゴ乗り入れとは別個の問題である、あくまでも沖縄は沖縄ということで単独で考えるべきだという考え方を持っているようであります。こうした問題も、今後、アメリカはアメリカ側としての権益擁護という立場に立って日本に対しての折衝を強く望んでくるでありましょうし、その辺の調整というものははたしてつくものかどうなのかという問題はいかがでしょう。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのお尋ねは、具体的に申しますと、いわゆるカボタージュの問題を御指摘かと思いますが、カボタージュというようなものは、返還になって本土並みに復帰すれば認めるべきものではない、これが政府の態度でございます。
#62
○渋谷邦彦君 それから、米国資産の買い取りについて、当初の予定よりもだんだんだんだん規模がふくれ上がってきまして、初め二億ドルと予定しておったものが、あるいは数億ドルをこえるのではないだろうか。かてて加えて、もしもあの那覇空港が全面返還になった場合には、いわゆる三公社買い上げにひっくるめてそれを織り込もうというような意図があるやに聞いております。一つ一つこうして取り上げてまいりますと問題点が非常に多過ぎまして、一体だいじょうぶなのかと、まあ、端的に申し上げれば、そういう感じをぬぐい切れないのでありますけれども、そうしたような方向というものはどのようにやはり解釈をし、そしてまた、返還協定の中にも当然そういった事項というものが明記されていく筋合いのものであろう、こんなふうにも受け取っておるわけでありますが、この点、いかがでありましょうか。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、いま二億ドルというような数字をおあげになりましたが、全然これは政府の関知せざるところでございます。すなわち、資産引き継ぎの問題については、かねがね日本政府といたしましてもある程度の支払いですね、資金による給付ということが必要であろうということは申し上げております。ある程度はこれ必要であろうといまも考えております。そういう角度で、評価の問題や対象の問題、いろいろございますから、それを専門家同士で検討をし、そしてそれを政治的に取り上げて両国間の合意が実質的にできますれは、これは協定の上に取り上げていかなければならないものであると。二億ドルというような具体的な金額はまだ全然両方の話に出ておりません。未定でございます。そういうわけでございますから、ただいま、またあらためて渋谷さんからお尋ねのように、こうやっていれば何もみんな片づかないじゃないか、一体いつできるのかというお尋ねが出るのは当然だと思います。そこで私は、さっき申しましたように、文字どおりねじりはち巻きで、そしてワン・パッケージで話し合いを詰めていきまして、できれば今国会の会期に間に合うように、最後のところでせめて中間的な御報告をいたしたい、これを当面のターゲットとして努力を重ねている次第でございます。
#64
○渋谷邦彦君 最後になりますが、確かにワン・パッケージということを前提にして折衝されることはわかります。けれども、その中身についてやはり問題があれば、これはもう当然進まないわけでありまして、先ほど実質的にはもうでき上がっておると、ただ文言の問題だけだと、こうおっしゃる。しかし、いま御答弁がございましたように、実質的な問題それ自体がまだやはり煮詰まってないというものもあるように思えますし、そしてまた、あるいはアメリカ側の回答待ちというものもあるようでありますし、そうなった場合、一体「実質的」というのはどこまで私どもが受けとめていいのか。「文言」というのは一体どの部分についての文言のその調整が待つばかりであると受け取っていいのか、この点いかがでございましょうか。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもおことばがございました。私は聞き違いかと思ってお答えしなかったのですけれども、ただいま重ねてお尋ねがございましたから明らかにしておきたいと思いますが、実体がきまっておって文言だけがきまらないと申したことは私覚えがございませんで、これはもしそういうふうにお聞き取りになったとすれば、速記録を調べまして、私がもしそういうふうに受け取られるようなことばを用いておりましたら、その点は取り消したいと思いますし、もしお聞き違いであるとすれば、ただいまの点はお聞き違いと御了解いただきたいと思います。実体がきまらないから文言がきまらないのでございまして、この点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
#66
○渋谷邦彦君 まあ、いずれにいたしましても、そうなりますと、結論的には、非常にねじりはち巻きというふうにたいへん努力をされている姿はわかるにいたしましても、たいへんきびしい情勢下に置かれて折衝が続けられているというふうに受け取らざるを得ないと、こう思うのですね。したがいまして、今後の見通しということをここでことばにすること自体もあるいは不穏当かもしれませんが、最後に、大臣の現在ねじりはち巻きでやっていらっしゃるその折衝の過程を通じまして、冒頭の質疑に戻りますと、予定どおりいろんないまの懸案の事項というものがともあれ国民の合意を得る、そのことを前提として成立をするということだけは間違いないと、このように受け取ってよろしゅうございましょうか。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) これは両国政府首脳が約束して内外に公表していることでございますから、七二年の返還ということは間違いない。これは先ほど申しましたように、私どもが間違いないと言っているだけではなくて、相手国のアメリカが、大統領の教書、あるいは国務長官が責任者として出版いたしました外交白書にも明らかにされているところでございます。ただ、これは共同声明にもございますように、両国ともに立法府の支持を得なければならない。日本でいえば国会の承認、アメリカでいえば上院の三分の二の議決が必要である。したがいまして、私ども日本政府として日本の国会に十分の御説明ができなければならない立場にあると同様に、アメリカの政府としても上院の三分の二の同意を得るだけの確信のある内容でなければならない。同じような立場であろうかと思います。それだけに、いわゆるネゴシエーターの立場にある者としては双方とも非常にタフでなければならないというのが、先ほど来申しておりますようなねじりはち巻きということにならざるを得ないわけであります。この辺のところは御了解を得たいと思います。
#68
○岩間正男君 まずお聞きしますが、先ほど松井委員の質問がありまして、第七心理作戦部隊、これがUSIAの援助を得て国連軍放送をやっていることはこれは明らかだと思うのです。これはサイミントンの委員会の報告書でもはっきりしていますよ。ですから、これは各国にいるUSIAと沖縄のUSIAというのは非常に違うわけですね。ここのところはっきり認めるべきではないかと思います。いかがでしょうか。
#69
○政府委員(吉野文六君) お答えいたします。
 先ほど大臣が御答弁になったように、われわれは沖縄におけるいわゆる特殊部隊というものについて目下実態把握になおつとめているわけでございますが、御質問の、国連放送とUSIAないしはその間における第七心理作戦部隊の関係はつまびらかにしておりませんが、われわれの推察では、USIAがこのような問題にタッチしておることは、少なくとも直接タッチしていることはあり得ないのじゃないか。おそらくUSIAはその国の専門家をもちろんたくさんスタッフに持っているわけでありますから、その国の事情についてあるいはときどき新聞その他に答えることがあり得ても、直接国連軍放送にUSIAがタッチしたことはないので……。
#70
○岩間正男君 サイミントン委員会でちゃんと言っていることを私は言っているので、そのことを確めないでそういう形で言うというのはこれはまずいですね。どうぞ確かめてください。
 第二は、きのう、朝霞の第七心理作戦部隊の分遣隊についてあなたは米軍から得た情報としてある種のことを発表をされましたね。そうすると、特殊部隊についてそのほかにも入手している、そういうものがあるのでしょう。どうなんです。
#71
○政府委員(吉野文六君) まだわれわれの資料は完全なものではございません。なおいろいろ調査すべき問題が多々ありますものですから、まだ差し上げるわけにはまいりません。
#72
○岩間正男君 これは米軍に要求して早く完成する。きのうも約束したのですから、出すべきだと思うのです。そういうものの中でも、けさの朝日新聞の朝刊によりますというと、グリーンベレーの冬季訓練は本土でやっているというのがあるのです。これぐらいの情報はあなた知っているでしょう。知らなければ外務省の怠慢です。どうですか。
#73
○政府委員(吉野文六君) 沖縄にいる部隊が本土にやってきましてときどき訓練していることはわれわれも承知しておりますし、その中にはあるいは雪中訓練とかそういうようなものもあり得るだろうというふうに思っております。
#74
○岩間正男君 「あるいは」というのはたいへんなことですよ、あなた。その軍隊の性格が明らかでないのにただ無責任に入れているのですか。こんなことでは話にならない。どこでやっているのですか、場所は。はっきり簡単に言ってくださいよ、時間がないから。
#75
○政府委員(吉野文六君) グリーンベレーであれ何であれ、日本の本土に入ってまいりますと、それは在日米軍の資格になりますから、本土内の基地のどこにおいても訓練その他が行なわれることになっております。
#76
○岩間正男君 まことにたよりないのだな。このグリーンベレーがけさの朝日新聞にちゃんと訓練しているとスクープしたでしょう。それによると、「極東」の範囲をこえているのです。ラオスなりタイにも入っている。だから、これは全体広げてもそういう部隊ですよ。それが日本本土に入ってそしてそういう冬季訓練をやっている場所さえもつかめないというのがいまの実情ですか。そんなことではあきませんぞ。一体、これはっきり報告してください。大臣、いいですね。この次までにちゃんと調べて報告してください。ちょっと速記に残してください。
#77
○国務大臣(愛知揆一君) できるだけよく調べまして御報告いたします。
#78
○岩間正男君 そこでお聞きしますが、まあ、沖縄における基地一般の処理についてお聞きしたいのです。われわれが考えている点を言えば、サンフランシスコ条約第三条あるいは第六条を廃棄する立場、したがって、沖縄の全面返還こそ最も道理にかなった処理方法だと思うわけです。しかし、限られた時間では問題をそうした原点まで持っていって論議するのは不可能なので、きょうは政府のいわゆる「本土並み」返還についてお聞きしたいと思うのです。
 まず、あらためてお聞きするまでもないことと思いますが、「安保条約とその関連取りきめがそのまま変更なく適用されるならば」それは「本土並み」だということですね。これはいままでそういうふうに政府は言っているのですが、そういうふうに確認してよろしいですか。
#79
○国務大臣(愛知揆一君) そうでございます。
#80
○岩間正男君 しかし、いまかりに安保条約の目的、範囲を越えないものだけを残すとしても、それが果たしている役割り、比重からいって、沖縄の基地というものは、質的にも量的にも本土の比ではない――こういう認識は沖縄県民をはじめ日本国民の大多数が持っている。これは外相も認められますか。
#81
○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、沖縄県というところの地域の中で、いまアメリカ軍が基地として使っているところの比重というふうなものは非常に大きなものであると、そういう意味において違いがあるということは、そのとおりでございます。したがって、返還に際しましてできるだけひとつ施設・区域として提供するものはできるだけ選んだものにしたい。こういうふうにいま努力をしているわけであります。
#82
○岩間正男君 大多数の国民は、「本土並み」という問題を、単に法律や条約上の問題、つまり形式だけの問題とは考えていないのですよね。実体がどうかという立場からこれを考えているのです。たとえ全面返還は無理だと考えているような人々でも、沖縄の現状がこのまま維持され、もしくはほとんど変わることなく返還されることには大きな抵抗を感ぜざるを得ない。これがほとんどすべての日本国民のいまの気持ちですよ。こう考えていいのですが、この点、外相、認められますか。その認識の程度をお伺いしたい。
#83
○国務大臣(愛知揆一君) 結論からいえば、私はその点は遺憾ながら全く反対の見解を持ちます。つまり、沖縄に憲法はもとより日本の法令が全部本土並みで適用される、それから、安保条約及び関連取りきめが何らの変更なく適用されるということは、いままではたとえば嘉手納の基地からB52が核弾頭をつけて世界じゅうどこへ飛んで行ったってこれを阻止することはできないわけですね。これが「本土並み」に完全に歯どめの対象になるわけですね。核抜きになるわけですね。それから戦闘作戦行動の発進が押えられますね。そうすることによって戦争に巻き込まれるとかなんとかいうことが全然なくなります。これはその形式どころではない、実態的にたいへんな沖縄のためになることであります。そういう意味で、安保条約は本土並みに適用するのは形式だけのことで実体には何らの変化もないと、こうおっしゃることについては、私は遺憾ながら全く見解を異にいたします。
#84
○岩間正男君 だから、私は比重としてどうかということや、量的、質的にもこれはいまの現状が維持されるような形、そういうことではまずい。これは少なくとも大幅にやはり変わらなければならないのじゃないか。そういうことを当然国民が疑問としているのですが、その上に立ってそれを変える努力をされなければならぬ。ところが、先ほどから沖縄の特殊部隊についていろいろ話があるのでありますが、これなんかでも、ほとんどこれはそのままじゃないですか。全く論議はもとへどんどん戻っているのですよ。ことに、もう自然休会になってから戻ったですね。そういうことははなはだまずいのですね、ちゃんとわれわれ見ているから。
 もう一つお伺いしたいのですが、政府の立場としては、返還後の復興計画、こういう立場から考えても、当然、地位協定による使用を認め得ない基地、これを予定されているはずだと思います。また、予定していなければこれは達成できないでしょう、復興計画は。それはどうです。予定されておりますか。あるとすればどういうところを予定されているか。
#85
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとお尋ねの意味が正確にとりかねたところもあると思いますけれども、前々から言っておりますように、沖縄県の復興再建のため、民生の安定のために、絶対にここは必要だというようなところは提供しないほうに入れたい。つまり、基地の返還を求めるほうに入れたい、しかし、具体的にその地域、施設がどういうところにあるかということは申し上げるのはいま少し時間をかしていただきたい、こういうことは先ほど来申し上げておるとおりでございます。
#86
○岩間正男君 少なくとも政府の交渉の過程でどうですか。まあ、那覇空港は沖縄の玄関だ。県民の感情論からいっても、これだけは返還時のいわばまあ目玉商品といいますか、として全面返還をこれは望んでいる、これはやらなければ政府の立場は立たない、こういうふうにいままで言ってこられたと思うのですよね。そういうことが主張されてきたと思う。そうすると、那覇に対しての返還は一体どうなるか。具体的には那覇空港についてお聞きしましょう。これは全面返還させますか。
#87
○国務大臣(愛知揆一君) 沖縄の玄関であるということについては、私も全然同感でございます。
#88
○岩間正男君 全面返還はどうです。
#89
○国務大臣(愛知揆一君) これは交渉中でございまして、まだ何とも申し上げる段階ではございません。
#90
○岩間正男君 P3オライオンという海軍哨戒機を置きたいというアメリカの要求があるといいますが、地位協定上どういう形でこれを置かせるということになりますか。
#91
○国務大臣(愛知揆一君) 報道にP3云々が出ておることは私も承知いたしております。しかし、ただいま申し上げましたように、いま折衝中で、その内容がどういうふうになるかということについてはいま少し時間の経過をお待ちいただきたいと思います。そういう状態でございますから、地位協定も二条(a)項とか(b)項とかいうことが、それからそれへ、もしそういう事実があるとすればどうなるであろうかということが論議を呼んでいるようでございますが、内容、実体についてまだ話がついておりませんので、いわば、いまのところは仮定の段階になりますので、何とも申し上げかねるわけでございます。
#92
○岩間正男君 一番焦点になっているのはそれでしょう。P3ですね。この問題が、先ほどもありましたが、こちらでは全面返還さしたいが、しかし非常にこれは先方としても無理からぬところもあって要求しているのだというような御答弁が先ほど渋谷委員に対してありましたが、こういうことでは、やっぱりこれは国民の要望を満足することはできないと思いますね。
 那覇軍港はどうです、那覇軍港。
#93
○国務大臣(愛知揆一君) これも、先ほどお尋ねにお答えしたように、考え方あるいは希望というようなことについては、私としても、ただいままで御意見のございました方々と同じような気持ちでおるわけでございますが、ただ具体的な折衝中でございますから、まだ早計に見込みを申し上げるまでのところに行っておりませんので、いましばらく事態の推移をお待ちいただきたいと思います。
#94
○岩間正男君 那覇市の与儀に膨大な貯油タンクがありますね、あの施設の返還はどうなります。
#95
○国務大臣(愛知揆一君) 与儀の石油タンクについても、私も大きな関心を持っております。
#96
○岩間正男君 これは全面返還を考えておられますか。
#97
○国務大臣(愛知揆一君) せっかくのお尋ねですが、具体的にいま、イエスとかノーとか、お答えする段階でないことを御了承願いたいと思います。
#98
○岩間正男君 どうものれんに腕押しみたいだね。
 それでは那覇市の米軍住宅区域はどうです。
#99
○国務大臣(愛知揆一君) これも私も非常に大きな関心を持っております。
#100
○岩間正男君 だから、国会論議がこういう形の上に成り立って、そうしてもうどんどん舞台裏では進んでいる。そして協定は出てくる。そして、しかも目玉商品と言われる那覇の全面的返還というものがいまのようなたよりない御答弁では、私は非常に不満足です。これはとてもできなくなったということなんですか。どうなんです。努力はしているのだけれども、非常に困難だ、こういうことですか。それとも、この困難を突破してでもあくまでもやり抜く決意、こういうことなんですか。どうなんですか。
#101
○国務大臣(愛知揆一君) まあ、決意のほど、また努力をしておりますその焦点や考え方は、賢明なる岩間さんも御理解していただけると思いますが、ただ、相手のある、ことに折衝中の段階でございますから、もうしばらくお待ちいただきたい。先ほども申し上げましたように、政府としても誠意を尽くしまして、この国会中には何とか中間御報告までこぎつけるようにいたしたい。もうしばらくの間でございますから、時間をかしていただきたいということを、こちらから懇請申し上げる次第でございます。
#102
○岩間正男君 この論議を通じて国民はどう思うでしょうか。結局、サンフランシスコ条約三条を認める立場、共同声明の「極東の安全をそこなうことなく日本に「返還」の立場、「基地の機能をそこなわぬ」立場からは、量からいっても、質からいっても、本土と全く異なる米軍基地を認めなければならなくなる。こういうようなことを意味するのですが、ほんとうに、しばらく時間をかしてとかなんとか言って、出てきた文言を見たら、あっと驚く、これじゃまずいのです。こんなことは絶対国民は要望していないのです。あなた方は、先ほどの決意を貫くほんとうの決意があるのか、そのことを最後にお聞きをしたい。
#103
○国務大臣(愛知揆一君) 私といたしましては、決意を貫きたい、最大の努力をいたしたいと思っております。
 そうして、特に最後に申し上げたいと思いますのは、何と申しましても四分の一世紀にわたって異民族の支配下にあった沖縄百万の方々に、本土に話し合いで復帰していただけるということは、私は何としてもこれは大仕事ではないかと思います。いよいよ、これが最後の両国間の条約ということでその結果が出てくるわけでございますから、岩間さんから御激励をいただくまでもなく、私といたしましても最大の必死の努力をいたしたいと思っております。
#104
○岩間正男君 グリーンベレーは出してくれますね、すぐにでも。どこで訓練したか、日本の本土で。これはサイミントン委員会の報告にもあるし、それから外相も先ほど確約された。これは新たな問題を加えているわけです。まあ、時間がありませんからこれで……。
#105
○委員長(米田正文君) 外務大臣への質疑は、本日はこの程度にいたします。
 次いで山中総務長官に対する質疑を行ないます。
#106
○松井誠君 いま議題になっております法律案についてお尋ねをいたしたいのでありますが、最初に琉球政府の財政事情、大まかな数字でけっこうなんですけれども、それを先にお教えいただきたい。
#107
○政府委員(岡田純夫君) 一九七〇年度でございますので、昭和四十四年七月から四十五年六月までの状況、これにつきまして、この間、旧臘、自治省、大蔵省とそれから沖縄・北方対策庁、合同で財政調査に現地におじゃまいたしました。そのときの報告によりますというと、一九七〇会計年度は一応三億の黒字である、琉球政府の。しかしながら、それではその財政状況が非常によくいっているのかというと、これはそうは言えないのでございまして、最近から借り入れが始まっておりますところの借り入れ債、これが百十九億借り入れをいたしております。なお、その中には、財政運営上、特別措置によって借り入れた、いわば一般財源のための借り入れ金、こういうものが五十二億入っている。こういうふうな実情がございます。なお、これは本土政府との会計年度のズレもございます。ほかにも原因がございます。沖縄は離島が多いとか、いろいろ事業執行上不便な面もございまして、そういうような原因が重なってではございますけれども、事業繰り越しが非常に多いようであります。一九七〇年度から一九七一年度に繰り越されましたものが、九十二億円の事業繰り越しがございます。執行しないままに七一会計年度に譲ったというものが九十二億でございます。こういうようなことは、やはりできるだけ同一会計年度の中において処理すべき性質のものでございますので、財政運営上も十分注意してほしい、こう考えておるのであります。
 なお、一九七一年度の状況、これはまだ現在進行中でございますので何とも言えないのでありますけれども、先ほどの前会計年度から繰り越されたところの九十二億の事業を処理しなければならないというような問題がございますし、また、借り入れ金も六十三億円予定をいたしております。しかし、これはまだ年度の途中でございますので、私どももいろいろ気のついた点を申し上げて、極力そこまで借り入れしなくてもいいようにお願いしているし、また、そういうことで進むのではないか、こういうふうに考えております。しかし、決してラフな運営ではないということでありますので、十分今後とも相談に乗っていかなければならない、こういうふうな事情でございます。
 簡単でございますけれども、お答えいたします。
#108
○松井誠君 予定をされているその六十三億の借り入れというのは、この本土政府からの借り入れとは全然違う借り入れですか。
#109
○政府委員(岡田純夫君) 本土政府からの借り入れではございませんで、たとえば琉球政府自身が資金運用部資金等を持っておりますので、こういう方面からの借り入れ、あるいは一部、市中銀行からの借り入れ等でございます。今回のものとは関係ございません。
#110
○松井誠君 いままでの借り入れ金の総額が百十九億と言いましたね。この百十九億というものの借り入れ先は大体どういうことですか。
#111
○政府委員(岡田純夫君) 一九七〇年当時は、資金運用部資金、みずからといいますか、琉政の資金運用部資金から借り入れをいたしました。七一年度――現会計年度において市中銀行から借り入れ等もあえてせざるを得なくなった事情があるということでございます。したがいまして、従来は、政府資金、琉球の政府資金を借りておるということでございます。
#112
○松井誠君 資金運用部資金、いわば底をついたということで外部資金を借り入れるということなんでしょうけれども、その割合というか、数字はどうですか。わかりませんか。
#113
○政府委員(岡田純夫君) 一九七〇年度までは全額琉球政府の資金運用部資金でございます。一〇〇%でございます。
#114
○松井誠君 そうすると、百十九億というのは全部資金運用部からの借り入れということなんでしょうか。
#115
○政府委員(岡田純夫君) そのとおりでございます。
#116
○松井誠君 聞けば、相当これはたいへんな財政事情で、事業繰り越し九十二億というのもこれは相当たいへんなことだと思うのですけれども、今度のこの法律で貸し付けの予定の額というのは幾らですか。
#117
○政府委員(岡田純夫君) 今度の法律は、何といいますか、本土からの沖縄県及び市町村への貸し付け部分と、それから従来からの産投会計と申しますか、従来からの産投のと両方合わせまして百四十億でございますが、その中で法律でお願いしておるものは、いわゆる地方債は四十九億でございます。
#118
○松井誠君 四十九億の地方債という形。あとはどういう形式になるのですか。
#119
○政府委員(岡田純夫君) 琉球政府の特別会計に産業投資特別会計というものがございまして、そこを相手と申しますか、本土政府からは相手にいたしまして、六分五厘の政府資金、最も良質のものをお貸しする。さらに産投会計から、たとえば産業開発資金でございますとか、あるいは住宅建設でございますとか、そういう方面に、琉球政府といいますか、琉球政府の産業投資特別会計がさらに貸し付ける。こういうふうなシステムになっております。
#120
○松井誠君 そうしますと、沖縄復帰の暁にこれがどう処理されるかということをお尋ねしたいのでありますが、一つは、いま言った地方債の形のものは一体どうなるのか。それから、産投会計を通して貸し付けるという形になるものは、具体的にこれからどう処理をしていくのか。それから、いままでの借り入れ金ですね、これの処理はどうされるのか。その辺まとめてひとつ、方針がきまっておったら、お答えいただきたいと思います。
#121
○国務大臣(山中貞則君) まず、本土であるならばいわゆる起債というもの、今度新しく出ました分については、復帰後は起債ということになりまして、それぞれ県と市町村の起債の正常な状態につないでいきたいと思います。
 さらに、この中の、産投、沖縄琉球政府の中の産投資金として出されるようなものは、まだ最終的には詰めておりませんが、今後検討して、国会の御了承を得るまでの段階で設立がきまりましたならば、沖縄振興開発公庫の中に取り入れていく部分が大部分になるのではないかと思います。
 さらに、一般会計の運用のための累積赤字、ことに自分たちの政府の金であります財投から一般会計へ借り入れるというのはちょっと考えられないことですし、民間の借り入れ、沖縄銀行あたり等からの借り入れ等を含めまして、累積赤字の部分につきましては、沖縄政府が現在国政事務をやはり担当してもらっておるわけでありますから、それらの点を十分に念頭に置いて、復帰後国政事務と県政事務の振りかえ措置等の場合において大いに配慮しなければならない点があるだろうと思います。
 要するに、復帰いたしました新生沖縄県の第一歩において財政的にはきれいさっぱりとした形で出発できるように措置をしたいと考えておりますが、いまここでそれ以上具体的にちょっとお示しする段階でないような気がいたしておりますけれども、そういう考え方でございます。
#122
○松井誠君 そうすると、普通の地方債に積むという分ですね、これは、現在の本土の地方債と、今度の地方債の形で貸し付ける分と、条件はどうなんですか、償還期間とか利息とか。
#123
○国務大臣(山中貞則君) いまの四十九億分については、大体本土と同じ条件でいけると思っております。
#124
○松井誠君 それから、累積赤字ですね、これは、割合はわからないにしても、国の事務をやってもらっておるのだからということばの中には、何がしかは国が負担しようという趣旨であろうと思うのですが、それはそういう趣旨ですね。
#125
○国務大臣(山中貞則君) もう少し前進した気持ちです。というのは、累積赤字をかかえて、しかも沖縄県が歩き出しても、なおかつ、通常の財政措置で処理できないだろうと私は思っておりますので、できれば身ぎれいに、いわゆるそういうような風鈴のぶら下がった形でないような形にしたいと思っております。その形式をどのようにするかということについては、いま検討中であるという意味でございます。
#126
○松井誠君 私もそういうようにぜひしてもらいたいと実は思うわけです。これはよく、何か沖縄が甘え過ぎるとかなんとかというような考え方がときにあるようですけれども、私はやっぱり、そんなものじゃなくて、ほんとうに沖縄の人たちがいわゆる「琉球処分」というようなそういうように感ぜられる措置というものを長い間にわたってやってきたわけですからね。特にあの戦争末期の状況一つを考えてみたって、そんなことの言える立場にわれわれは絶対にないと思うのですよ。そういう意味で、ほんとうに日本の本土政府が、財政的に許せる範囲でやっぱりできるだけのことはやる。ほんとうに身ぎれいにさして出発してもらう。おそらく大蔵省あたりでいろいろ問題があろうと思いますけれども、これこそやっぱり私は蛮勇をふるってやっていただきたいと思うのですね。御答弁は要らないようなものですけれども、もう一度あらためて御答弁願います。
#127
○国務大臣(山中貞則君) 大体前の答弁あたりで締めくくっておいたほうがよかったと思うのですが、これを、復帰の時点ではどんな理由で発生した赤字でも全部最終的に国が処理しますというようなことを言い切りますと、あと復帰までわずかといっても、たいへん苦しい財政事情ですから、本土政府の容認せざるような借り入れ金、赤字等もどんどんためておいて復帰の時点でパーにしてもらうというようなことになりませんように、そこまでのところは若干の含みが残っておる。しかし、気持ちはあなたのおっしゃったとおりの気持ちでおります。
#128
○松井誠君 私は、できれは、起債、地方債にしても、普通の地方債として引き継ぐというより以上の措置ができないものだろうかとさえ実は思うわけです。これは、言ってみれば一種の支度金みたいなものですね。ほんとうに、いままでのそういう地方自治体に対する国の財政的な援助という意味とは全く違った形で、違った次元で考えなければならぬ問題だと思いますのでそう思うのでありますけれども、これは起債については特設なお考えはございませんか、地方債の分の。
#129
○国務大臣(山中貞則君) 私、原則論を一応申し上げましたが、しかし、現実的には、沖縄の市町村あたりを見ますと、いつかお話しましたように、町村の役場庁舎まで市中銀行の五年償還の金を借りてそして担保にして運営されておるような状態等の見るに忍びない資金事情が公共団体にございますので、これらの点は十分配慮してまいりたいと思いますが、一応原則論は、起債はやはりことしの四十九億円から始まったわけでございますので、そう極端に地方財政をこのために圧迫するとは考えません。しかし、原則論でございますから、今後十分に、実態と原則とがどのようにマッチしていくかは検討していきます。
#130
○松井誠君 最後になりますが、この借り入れ金が市中銀行からの分も相当あるというお話ですが、これはいままでは資金運用部資金だけで、市中銀行からのやつは百十九億には入ってないと、こういうことですか。そうしますと市中銀行からの借り入れというものは全然ないのですか、いまちょっと長官言われたように。
#131
○政府委員(岡田純夫君) いまお話しのございました分には市中銀行分は含まれておりません。現在の一九七一会計年度では六百万ドル――約二十一億になりましょうか――を予定いたしております。お答えがあるいは間違っておりましたら……。市町村は市中銀行から借り入れざるを得ない。主として沖縄銀行、琉球銀行でございますけれども、これは借り入れをいたしております。そういう問題は将来の復帰後の問題としてはございます。
#132
○松井誠君 その琉球銀行とか沖縄銀行という性格が私はちょっとよくわからないのですが、これは資本は、何かこの間のあれでは、琉球銀行か何かは現地の沖縄の人たちにその出資が肩がわりされるような話だったと思うんですが、そういう銀行の性格ですね、これは聞けば、アメリカ人の経営の銀行なんですか。
#133
○国務大臣(山中貞則君) 琉球銀行は五一%米資というものが入っておりますが、これはアメリカ側とも相互に了解点に達しまして、その五一%の株はアメリカ側においては放出をする。そして米国の資本も、もちろん金融資本は当然のことでありますが、そして本土の金融資本も一般資本もそれの取得のために沖縄に出ない。ですから、最終的には沖縄県民のためにのみその株式は開放されるというわけでございますので、今後外交折衝を通じまして、その株がどれだけの評価ということで折れ合いますか、それによって一株平均の金額がきまるわけであります。それは沖縄県民によってのみ取得されますから、文字どおり沖縄県民のみの手による一〇〇%の地方銀行として新しく出発し直すということになると思います。
#134
○松井誠君 その借り入れ金を、さっき長官の構想を言われましたように、開発公庫ですか、肩がわりするということですか。沖縄振興開発何とか公庫といいましたね、借り入れ金の処理、復帰後の処理。
#135
○国務大臣(山中貞則君) それはちょっと違いまして、この法律でいう四十九億の起債以外の、現在沖縄琉球政府の中にあります産業振興開発その他の各金融機関の原資として流れていくもの、こういうものは、新しく国会の了解を得られて設けられたら、その金融公庫のほうに原資になっていくもの、あるいは償還先に行くものが大部分であろう、こう申し上げたのですが、琉球銀行の株式の問題は全く別の問題でございますから、これは沖縄の人たちが自分たちの金でもってその株を取得して、完全に一〇〇%の沖縄県民のみの出資による銀行が誕生するということを申し上げたわけでございます。
#136
○松井誠君 私の聞いたのは株式のことではなかったのですが、先ほど沖縄の産投会計から出て行ったという金、それは何とか開発公庫のところに行く。そういう意味で、いまの市中からの借り入れ金の問題とそれとは関係がないのですね。銀行の借り入れ金というのはそういうものではないのですね。いいです。
#137
○渋谷邦彦君 きょうはたいへん限定された時間でありますので、二、三お尋ねして、次回にまたお尋ねをしたいと思います。
 これはもう申し上げる必要はありませんが、現在は琉球政府の財政というものは非常に逼迫をしておる。したがって、今後本土政府の援助というものも、より積極的にもちろん行なわれなければならないでありましょう。その一環として、大体財投のワクが年々ふえてきていることも事実のようでありますが、それから財投の場合には当然利子もかかってくるわけでありまして、その償還なんかを考えた場合、非常に窮地におちいる、そういう可能性というものが十分考えられる。今後の沖縄県の産業を中心とした振興というものを考えてみた場合に、はたして現状の行き方でもってだいじょうぶだろうか。一方においては、償還というものも制約されてくるでありましょうし、また他面においては、そのつど援助を続けていかなければならない。いずれにしても、現在の沖縄県におきましては、これという財源が生み出せないという実情にありますだけに、今後どういうふうにその点の処理というものを考えていったらいいのか。今後復帰を中心にして税制の問題も当然明確になっていくでありましょうけれども、とりあえずの経過措置として、貸したものは全部取るんだというようなことでは、先ほども質疑応答の中にございましたように、これではあまりにも深刻なまた財政上の問題をかかえ込む。そういうことで、いつまでたっても、ねらいは確かによかったのでありますが、出発するときのねらいはよかったにしても、今後時間の経過とともに、財政難のために、当初予定された産業復興というものが、はたして現在政府が意図しているような方向に行くだろうか。こういう危惧も抱かざるを得ないわけですが、その辺を総括して、この際、今後の考え方というものを聞かせてほしいと思います。
#138
○国務大臣(山中貞則君) 大体琉球政府の財政事情の苦しい実態というものを財政的な規模だけで見てみますと、大体人口関係の類似県ということばをよく使っております。私はあまり言っていないのですが、比較上、こういう場合には使いますので、見てみますと、一九七〇年の歳入構成では、沖縄における租税等の収入が五五%であるのに比べて、本土の類似団体では六〇・六%くらいに平均なっております。沖縄のほうにはいままで援助金という形で三五・八%行っておりますが、これはほぼ本土のほうの類似県は交付税、特交等を含めまして、補助その他で、三六・三%くらいでありますから、これはほぼ同じようなところに来ていると思うのです。したがって、その差は、沖縄のほうでは借り入れ金が九・二%ある。それに比べて本土類似団体ではわずかに二・六%、ここらに大きな問題があると思うのです。したがって、一九六九年から五百万ドル、一千三百四十七万千五百十六ドル、それから一千七百五十万ドルというふうに大体当初予算で借り入れ金を見込んで予算を編成しております事情から考えまして、先ほど松井君とも質疑応答いたしましたように、このように累積してまいりました赤字というものが、そう琉球政府を責めるだけのもので累積したものではございません。そこらのところは、国政事務をかわってやってもらったということその他を十分念頭に置いて、琉球政府の新しい沖縄県への切りかえの際にそれが重荷にならないように配慮していくことによって、ただいまのお尋ねの沖縄県の財政というものが復帰後の復興その他をやっていく上において妨げにならないかということについては十分配慮していく必要があろうかと思われます。
#139
○渋谷邦彦君 その御配慮をぜひともお願いしたいと思うわけでありますが、特に財投関係についての利子の問題について、当然元利とも償還ということになるだろうということも予測されます。あるいはその期限を一定期限を設けるか、あるいは利子の問題については利子補給というようなことをされるかどうか等々、いろいろ特別措置も考えられないでもないように私は思うのですが、そういった場合にどういうふうに取り扱いますか。特にいま財投に限ってお尋ねしているのであります。
#140
○国務大臣(山中貞則君) これは沖縄県が借り入れております借り入れ金の利息というものと、また財投において当然償還並びにそれに対する利息というものと、二通りあるわけですが、いまは財投についてのみということでありますので、さしあたりは、原則論として、財投は復帰後本土並みの財投で、県、市町村という形でそのまま引き継いでいかれてもたいして地方財政の負担にはならないだろうと思っておりますが、その他の要因で、地方財政そのものが財政的にがたがたでございますから、それらのものを十分考えていく必要があるだろうと思っております。
#141
○渋谷邦彦君 次に、昨年十月、第六回でございましたかの日米復帰協議会において決定されました返還事項の一つとして、財政的な助言あるいは援助等を行なってよろしいと、こういう権限委譲があったわけでありますが、その効果はその後どういうふうにあらわれてきているのでしょうか。
#142
○国務大臣(山中貞則君) その効果は、いままでは予算を本土において編成いたしまする前にアメリカ側と日米協議会を持って、そして向こう側の事前の了解をとらなければ予算が組めなかったという形態から、昨年は事実上事後了解という形になり、現在ではもうすでに本土政府において完全にそれを一方的に行使し得る。そのことについては日米協議会において報告程度、連絡程度になっておるということでございます。
#143
○渋谷邦彦君 同時に、こちらから援助したいろいろな資金のその使途について政府としてもまあ監督といいましょうか、そういう立場にあるのは当然でありますけれども、その収支の点についても当然明確になっているであろうと思いますけれども、そういった今後の財政運営において、まだまだやはりアドバイスをしなければならない問題、また同時に、琉球政府からの要望にこたえてさらに援助額をふやしていかなければならない問題、両方あるはずでございますが、その辺の調整を今後どうとって、しかも、いまおっしゃったように、特に離島の市町村については、もう貧弱なんというものではもちろんありませんので、直ちにてこ入れをしなければもうどうにもならないというような問題等もあると思うのです。
 ただ、せっかくこちらが――「援助」ということばをあまり私、使いたくないんでありますが、流用していただくその資金について、やはり効果あらしめるように、たとえば公共投資に使いたいということが今度の法律改正の中にうたわれているわけです。公共投資に一部運用するために、その一部改正ということが目的としてうたわれているわけでありますが、そういう面でも確かに公共投資はこれからも増大するであろうし、それによってまたいろいろな企業というものが発展もするでありましょうし、また促進もされるであろう。そういういろいろなことを背景として考えてみた場合、やはり今後、従来のワクをさらに越えた――しばしば長官自身がおっしゃっているように、その目的達成のためには最善を尽くしてそのワクを広げていきたい。ことにやはりこの返還前のいろいろな処置というものが非常に重要ではないか。これもしばしばいままで指摘されてきたとおりでございまして、返還後において円滑に一切の仕事というものが公共企業においても運営されるためには、いま申し上げたことが緊急の条件である、こう思います。したがって、それらを踏まえて、今後の監督指導においては十分細心の注意を払って本土並みに水準を上げる意味においても手を尽くしていただかなければならぬ、心配りをしていただかなければならぬ、こういうふうに思うわけでありますが、そこで、今後のいろいろな本土から琉球政府に対して貸し付けられるその資金の監督あるいはその行政指導というものについてのいろいろな方途というものがおありになるだろうと思いますが、それを最後に伺って、きょうの質問を終わりにしたいと思います。
#144
○国務大臣(山中貞則君) 琉球政府の行政運営費に対する五十五億は自主財源として組んだものでありますので、この五十五億は琉球政府の予算編成においてどのようにお使いになってもかまわないものであります。その他は、それぞれ事業ごとにできる限り最高率の補助待遇をもって組んでございますので、それらのものの中で、先ほど来答弁をいたしておりますような、事業が執行できないために繰り越されたものとか、まあ、いろいろな理由で、その資金の使途について、はかばかしくいかない点もございます。これらの点は、やはり現地の私どもの出先の沖縄事務局等も今後は一体となってやれということを言ってありますので、琉球政府の行政能力によってそれが執行できなかったというようなことのないように配慮もさせておりますが、さらに今後の運用等を見まして、ことに軍事基地の状態がこれからニクソン・ドクトリン等によって変化してまいりますと、軍労の諸君はこれは当然のことでありますが、一般の基地依存の形態をとっておられる、主として三次産業従事者の方々の離転職資金の問題等が新しく考えていかなければならない問題として出てくるのではないかと思っております。ここらのところはまだ具体的に要望あるいは金額その他等も詰まってきてはおりませんので、私の観測の域を出ていないのでありますけれども、それらの場合に、資金需要等においてその要望に応じられないということのないような何らかの措置が必要になるのではなかろうかという点は考えておるところでございます。
#145
○委員長(米田正文君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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