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1970/05/07 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号
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1970/05/07 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号

#1
第065回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号
昭和四十六年五月七日(金曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月六日
   辞任          補欠選任
    岩間 正男君      春日 正一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長          米田 正文君
   理 事
                源田  実君
                松井  誠君
                渋谷 邦彦君
   委 員
                伊藤 五郎君
                河口 陽一君
                大松 博文君
                塚田十一郎君
                増田  盛君
                山本 利壽君
                山本茂一郎君
                松下 正寿君
                春日 正一君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       沖繩・北方対策
       庁総務部長    岡田 純夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○沖繩地域における産業の振興開発等のための琉
 球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(米田正文君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動につきまして御報告をいたします。
 昨六日岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として春日正一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(米田正文君) 沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案
 を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○喜屋武眞榮君 私、これからこの法案に関連する事項につきまして質疑をいたしたいと思います。
 まず、この法案の内容をできるだけきめこまかにただしていきたいと、こう思っておりますので、そのようにひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
 第一に、琉球政府に対する貸し付け条件につきまして、この貸し付け金額の年利率はどうなるのでありましょうか、この点について第一点としてお尋ねいたします。
#5
○政府委員(岡田純夫君) 貸し付けにつきましては、産業開発資金特会に対しまして本土政府資金運用部から六分五厘、それから償還は十八年ということで貸し付けをいたしました。あと、具体的には、琉球政府の産業資金特会のほうから、本土政府を参考にいたしましてできるだけ配慮された利率で貸し付ける、こういう実情でございます。
#6
○喜屋武眞榮君 年利率は六分五厘とおっしゃるのですね。
#7
○政府委員(岡田純夫君) 本土政府からは六分五厘、それから十八年の償還ということで、私ども通称「受けざら」と言っておりますところの、ただいま申しましたところの産業資金特会に貸し付けをいたしまして、そうしてあとは向こうのほうの、すなわち沖縄における琉球政府、その産業資金特会において、本土政府の利率等を勘案しながら貸し付けをいたしております。具体的に例を申しますと、たとえば産業開発資金からさらに大衆金融公庫に回しまして、大衆金融公庫が具体的な貸し付けを行なっております。先生御承知のように、第一種貸し付け、第二種貸し付けとございますけれども、たとえば第一種貸し付けでございますと七分三厘、五年ということで貸し付けをいたしておるようでございます。これは要するに、産業資金特会から大衆金融公庫に回し、大衆金融公庫がそういうふうなレートで貸し付けをしておる。しかし、本土政府のほうは、あくまでも先ほど申し上げましたところの六分五厘、十八年ということで、「受けざら」であるところの産業開発資金特会を相手といたしましてそういう条件で貸し付けをいたしておるというわけであります。
#8
○喜屋武眞榮君 期間は十八年とおっしゃるのですね。
#9
○政府委員(岡田純夫君) さようでございます。
#10
○喜屋武眞榮君 その十八年という根拠は何でありましょうか。
#11
○政府委員(岡田純夫君) これも本土政府でいろいろ二十年ものとかあるいは十年ものとか、例を申し上げてもけっこうでございますけれども、事業の種別によりいろいろ貸し付けの年期がございます。政府資金でございますれば、レートは六分五厘でございますけれども、貸し付け期間はいろいろでございます。したがって、その中で比較的有利な線でもって十八年ということで、これはこういうふうな融資制度が始まって以来設定をされておるわけであります。
#12
○喜屋武眞榮君 次に、その期間内における償還方法ですね、償還の方法はどういうことになるのでしょうか。
#13
○政府委員(岡田純夫君) ただいままで数ヵ年、産業開発資金特会に対しまして財投をお貸しております。今回おはかりいたしておりますのは、いわゆる地方債、琉球政府及び沖縄市町村にお貸しする四十九億、これは新たに設定された分でございます。そこで、いままで全体につきましては、これは復帰のときにいろいろと債権債務の整理の問題がございます。したがいまして、その中で債務としてそれをどのように扱っていくかという今後の問題でございますが、しかしながら、少なくとも今回お貸しするところの地方団体に対するところの融資四十九億、これにつきましては、琉球政府と申しましても、沖縄県ということを念頭に置いた事業に対して、公共施設についてお貸ししておるわけでありますし、もちろん市町村に対するものは市町村でございますので、それぞれ沖縄県の債務、それから沖縄市町村の債務ということに、少なくとも今回の四十九億については、なってまいろうかというふうに考えております。なお、全体につきましては、債権債務の中の一環として処理されていくものというふうに考えております。
#14
○喜屋武眞榮君 私もっとはっきりさしていただきたいのですが、償還の方法、どういう形でそれが十八年間に償還されるかということをお尋ねしておるのですがね。
#15
○政府委員(岡田純夫君) 先ほど申し上げましたように、産業特会に対して本土政府が貸し付けてまいっておりますから、その産業特会というものをどうするかということがこれからの問題であるということでございます。条件は、いままで申し上げましたように、一年据え置きの十八年の均等償還ということでございまして、まあ据え置き一年たちましてからあと均等分が返ってくるということでございます。残ったところの全体の債務――貸し付け残の処理につきましては、先ほど申し上げましたように、復帰時点での処理ということになってまいろうかと思います。
#16
○喜屋武眞榮君 次に、四十六年度における財政投融資計画の中に予算計上されておると思いますが、その額は幾らでありましょうか。
#17
○政府委員(岡田純夫君) 先生御承知のとおり、今回の全体百四十億の融資の中で、従来からの産業特会を通じまして大衆金融公庫なり琉球電電公社を通じて融資しておりますものが九十一億、それから新たにおはかりいたしておりますところの公共施設整備のためのいわゆる地方債に当たりますものが四十九億でございます。で、四十九億のほうから先に申し上げますというと、四十九億の中で琉球政府債――政府に対して貸しますところのもの、そのうち公共施設整備債――そして公共事業の裏負担あるいは単独分等もございますが――につきましては、円で申し上げますが、十四億二千八百万円、それから同じく琉球政府に貸しますところの退職手当にかかわるところの勧奨退職債が二十三億九千四百万、それから市町村のほうにお貸しするのが十億七千七百万ということになっております。
 それから片一方の九十一億の従来から引き継いでまいりましたところの産業開発資金の対象を申し上げますというと、狭義の産業開発資金特会に貸しますものが二十八億二千万円、それから住宅建設資金特会に貸しますものが三十二億四千万円、それから大衆金融公庫を通じて貸しますものが十一億八千万円、それから琉球電信電話公社に回しますものが十五億、最後に、新たに今回おはかりいたしておりますところの教育テレビの設置、南大東島のテレビ局の設置等を対象にいたしますところの沖縄放送協会に対する貸し付けが三億六千万円、合計九十一億となっております。これに、琉球政府が従来のやり方によりまして琉球政府の資金運用部から融資しますものがそれぞれに加わりまして、そうしていままで申し上げたようなところに貸されておる。日本政府――本土政府からの融資は、ただいま申し上げましたような額でございます。
#18
○喜屋武眞榮君 いまおっしゃった中で、退職手当に該当する額は、いま沖縄では、勧奨退職はやめた当時の給料の年数の三倍と、こうなっておりますね。それに基準を置いた換算でありましょうか。
#19
○政府委員(岡田純夫君) 先ほど申し上げました退職手当債二十三億九千万円の融資の考え方を申し上げますというと、これはいわゆる「五条適用」、いわゆる本土では、整理退職あるいは定数が減りましたために自動的に退職に及ぶところの場合、あるいはそういう整理退職あるいは定年退職といったような場合に特に手厚くいたしておりますものを「五条適用」と申しております。要するに、本土の五条適用によってやめた者というふうにみなしまして、ほほ普通退職金の場合の倍程度になりますが、ということで計算いたしまして、各人いろいろございますが、平均で、退職手当の額といたしまして、二十年勤続されたという前提に立っていまの五条退職――最も手厚いレベルによって計算いたしました額、本土並みということで計算いたした額が二十三億でございます。
#20
○喜屋武眞榮君 もう一ぺん念を押したいと思いますが、いま本土と沖縄との退職手当に対する基準は違うわけでございますが、それは基本的には沖縄に基準を置いておられるということであるのか。いわゆる「本土並み」という立場から本土に基準を置いての換算であるのか。それをもう一ぺん確認しておきたいと思います。
#21
○政府委員(岡田純夫君) 実際退職手当を支払うのはもちろん琉球政府でございます。支払う方法を、この方法でなければならないというふうに規定したものではございません。しかし、その財源は、融資額といたしましては本土並み――先生のおっしゃいます本土に基準を置いたと申しますか、要するに、本土と全く公平な、先ほど申し上げましたような五条適用という手厚いレベルによってという考え方で、本土の基準によって措置したものであるということでございます。
#22
○喜屋武眞榮君 もう一ぺん念を押しますが、実際の適用の場合には、沖縄で従来どおりやってきておるその慣例を生かしていく、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#23
○政府委員(岡田純夫君) これは退職手当も給与問題でございますので、全般的な琉球政府としての財政運営の力の問題もこれは無視できないということを前提に置いて琉球政府が判断すべきものというふうに考えております。しかしながら、財政的な面から申しますというと、本土の基準ということで十分ではないかというふうに私どもは考えております。その最終の判断は琉球政府が全体の財政上の見地から判断すべきものであろうと思います。
#24
○喜屋武眞榮君 ただいま詳細の項目にわたって一応額を述べられましたが、大まかに右の内訳を琉球政府一般会計それから市町村と、この二つに大別いたしますというとどういう額になりますか、お尋ねいたします。
#25
○政府委員(岡田純夫君) 今回あれしておりますものは、とりあえず琉球政府のほうで、琉球の学校の先生なり、高校の先生なり、あるいは一般行政職員につきまして、高齢の者が本土と比較いたしまして多いわけでございますが、六十歳以上の方々に着目いたしまして、琉球政府が、この際後進に道を譲ってもらおうかという計画はございます。その計画に基づきまして本土政府に退職手当の依頼がございましたので、大蔵省と協議いたしまして、特に今回このような措置をとったわけでございますので、したがいまして、琉球政府の職員、いわゆる琉球政府の国家公務員だけが対象になっておるわけでございます。
#26
○喜屋武眞榮君 いや、私がいまお聞きしておりますのは、退職金の分類でなく総額で、琉球政府の一般会計額、それと市町村の額、これを大別しますとどうなっておりますかということをお聞きしておるわけです。総額です。
#27
○政府委員(岡田純夫君) 二十三億九千万円の内訳ということでございますならば、学校の先生、教員につきましては、四百十二人の六億八千三百万円。これは全体では十三億六千七百万円でございますが、そのうち半額は国庫負担金ということで措置いたしますので、したがいまして、その裏負担の六億八千三百万円ということでございます。したがって、実体はその倍ということになっておるわけでございます。それから、行政職につきましては、五百三十三人の十三億九千万円、それから高校の教員が七十名で二億二千八百万円、それから警察官が三十名の九千三百万円、合計しまして千四十五人の二十三億九千四百万円ということでございます。
#28
○喜屋武眞榮君 次に、沖縄復帰対策要綱第二次分の中の沖縄振興開発公庫に関連してお尋ねをいたします。
 この要綱の第二次分によりますと、同公庫は、日本開発銀行、中小企業金融公庫、国民金融公庫、環境衛生金融公庫、医療金融公庫、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫の業務に相当する業務等を総合的に行なうと、こうございますね。そこでお尋ねしたい第一点は、公庫の組織、機構を具体的に明らかにしてもらいたい。これが第一点です。
#29
○国務大臣(山中貞則君) まだ組織、機構というところまではまいっておりませんで、当然これからつくるわけでございますから組織、機構が樹立されてまいるわけでございますが、現在のところは、このような考え方でばらばらの政策金融機関を沖縄に適用することは、沖縄県当初の歩みから考えて非常に複雑で、また沖縄に対しては開発金融公庫から始まって一連の政策金融機関について、償還期限、金利等については特例を開かなければならないと思いますので、これが各省の所管によってばらばらの特例の与え方によっても違うということではたいへん困ると思いまして、そこでまとめてこういう構想を閣議決定したということであります。もちろんその前提には、本土の各特例法等に置かれた離島振興もしくは奄美群島復興、北海道開発、その他もろもろの低開発地区工業誘致とか、新産都市とかありますが、こういうようなものよりもはるかに高い、優遇された意味の高いレベルのものを沖縄に設けなければならぬ、こう考えておりますので、それらのものをやはり一本にまとめて沖縄の政策金融というものを展開していくほうがよろしいのではないかというふうに考えたわけでございます。したがって、これからどのような組織、機構にするかは具体的な問題として検討したいと思っております。
#30
○喜屋武眞榮君 復帰は秒刻みで進みつつあるわけですが、そういった基本構想がきめこまかに作業化していかなければならないのではないか、こう思っておるわけであります。そういう意味で、どの程度それが進められておるかということをお尋ねしているわけですが、まだそこまで煮詰まっておらぬと、こうおっしゃるわけですが、ぜひこれはひとつ一刻も早く、手おくれのないように、もちろん現地の意向も反映してもらわなければいかぬと思うわけですが、そのことを要望いたすわけであります。
 そこで、基本構想の中についてお尋ねするのですが、その構想の中では、主管大臣と申しますか、主務大臣と申しますか、その管掌下に置かれるのであるか、あるいは知事の管掌下に置かれるのであるか。そのことにつきまして基本的にどう考えておられるかお聞きしたい。
#31
○国務大臣(山中貞則君) これはもう開発銀行一つを例にとりましても、それを知事が主管するということは、国の政策金融機関でございますので、ちょっと考えられません。したがって、これは当然主管大臣というものが置かれることになりますかどうかは、これから現地側との調整で残っております沖縄開発庁の構想とも関連いたしますので、いまの時点において一方的なものの言い方はできないと思いますけれども、当然責任大臣のもとに置かれるということになろうかと思います。
#32
○喜屋武眞榮君 このことについて現地でも非常に慎重を期しておりますのは、このことを了としながらも、これがいわゆる中央集権化していく、そして相対的に知事の権限というものが縮小されていくのではないか。もっとことばをかえて言えば、自治権への介入、こういうことで狭められてくるのではないかという不安が非常に強くある、根強いものがあるわけです。そういった不安感――一体これがどのように進められていくか、その限界というものがどうなっていくのであるか、こういうことに非常に不安を持っておるのです。こういういま実情だと思うわけであります。その点もひとつぜひ御配慮願って、幾たびか政府の仰せの中にも、県民の意思、沖縄側の意思を最大に尊重すると、こういうことが述べられておるわけであります。それがただことばのあやにならないように、最大にひとつ沖縄県民の意思を反映さしていくように、こういうことで、いままでいろいろの欠点も実際運営上から出てきていると思いますので、そういった反省の上に立って、ぜひひとつ、これでよろしいのだと沖縄県民側が十分納得のいくように、満足する形で進めていただくように要望いたします。そのことについてひとつ御見解を承りたいと思います。
#33
○国務大臣(山中貞則君) これはごもっともな御心配でございますが、単に地方自治を中央政府権力というもので制圧するとか押えるという表現ばかりではなくて、過去の過程を振り返ってみますと、沖縄は施政権下に置かれた、しかしそのかわり、住民の側から見れば、一応機構としては、主権のあり方があやふやであったにしても、一つの政府というものを持ったわけです。したがって、あらゆる問題について、本来ならば知事である行政主席というものが、単に金融のみならず、本来の国の業務その他まで含めたような仕事をやっていたわけであります。その中間の段階で米側が、施政権者としての義務的な経費を含めて財政援助等を逐次撤収を始めましたし、本土側においては事前協議はもう空文化いたしまして、本土のほうがどれだけ予算に組んだかをあとで通告する程度の話し合いはいたしますが、琉球政府財政を主として本土政府が一義的に責任を持ってバックアップするという過程が現在の段階であろうと思います。この段階においても施政権の壁がございますから、本土政府の政策金融というものがまともにそのまま琉政のほうに本土の意思でもって入ってまいりませんで、一ぺんそれを受けて、琉政のほうがやはり独立した政府機関としての形をもって、すなわち、本来ならば知事であるべき行政主席が主席の意思をもってそういう政策金融をはじめとするいろんな運用がなし得る余地がそこにある、これがいまの段階であろうと思います。
 そこで、復帰いたしますと、当然本土の各府県の知事というものが、開発銀行その他のこういう国の政策金融機関というものについては、これを左右するということは実際上存在していないわけでありますから、その意味において、このような過程を振り返ってみますと、過去の行政というものになれておられます沖縄の県民から見れば、当然の行政主席の仕事であった分野が国の直接の仕事になってしまう。この点で、知事となった場合に主席の権限が後退するのではないかということは、客観的に見ても、このような具体的な歩みから判断をして、これは当然の御心配だろうと思いますが、しかし、このことは決して地方自治の自主性侵害ということではなくて、本来国がなすべきことを、いままで施政権の中で、本来知事であるべき主席に、やむを得ず代行してもらっていたということでありますので、事柄によると思います。琉球政府が自分の意思でなし得る範囲のことについて本土の政府が、復帰後は中央の政府が干渉してそれを曲げさせるというようなことはあってはなりませんが、いま議論になっておりますこのような政府金融機関というものは、やはり政府金融機関としての責任を持って、そして知事の意向を反映した沖縄県のための特例というものを開く。そのためには、やはりまとめて振興開発公庫という形がいいだろうというつもりでございますので、喜屋武先生のおっしゃることも私はよくわかりますが、一面においては、やはり沖縄に関する限りは政府金融機関というものを知事が自分の意思で行使するという機構はなかなかつくりにくいような気がいたしますし、そういうことが前提でありますと、大蔵はじめ各主管省がこの原案でさえ反発したわけでありますから、とてもこのような振興開発公庫というものはできないということになるのではなかろうかと思います。
#34
○喜屋武眞榮君 あえてこういうことを申しますのも、いま沖縄にはいろいろの形での、いろんな分野での復帰不安が一ぱいあるわけなんです。その復帰不安を集約しましても、またいわゆる「沖縄処分」という形で天下り式に押しつけられるのではないか、そして沖縄県民の民意というものが反映しないままに押しつけになるのではないか、こういう懸念、不安が一ぱいあるわけであります。それはどの分野をとらえてもそういう不安があるわけでありますが、そういう点をひとつ十分に御配慮願って、ほんとうにこれで復帰してよかったんだ、こういう結果をもたらしますように御配慮を願いたい、こう重ねて要望申し上げます。
 それから、「本土並み」ということは表面上は一応は非常にいいようにも受け取れますけれども、これは沖縄側からしますというと、無条件に手放しで「本土並み」というものはいただきかねる。と申しますのは、二十数年の断ち切られた断層がある。そういった沖縄において、沖縄なりのいろいろの形での復興が今日まできておるわけでありますから、その格差を埋めてそこから「本土並み」ということならわかりますけれども、この格差を残したまま「本土並み、本土並み」と言われますというと、この差というものはこれは永遠の格差になっていく心配があるわけでありますから、だから、どうしてもこの格差を埋める間は特別の配慮というものが、しかも、沖縄県民の主体性を尊重した形ですべてが運営され、運用されないというと、「本土並み」というものは非常に危険である、こういうこともあるわけであります。そういうことも含めてひとつもう一度長官の御決意をお聞きしたいと、こう思います。
#35
○国務大臣(山中貞則君) ただいまの御議論では二つの問題点を提示されていると思うのですが、いわゆる沖縄振興開発公庫なるものをつくるゆえんは、本土の各地並みでは、各地域に特例法がございますが、そういうものを拾ってみても、沖縄についてはただいまおっしゃいましたような長年の行政格差というものは確かに住民一人一人の上にもかぶさっておりますので、これを急速に本土並みにするための特例というものが各分野に盛られなければならない。そのために開発銀行から住宅金融公庫に至る各種政策金融機関も特例を沖縄のために設けるために、これをしかも足並みそろえてやるために、しかも、強力にその特例を内容を充実させるために振興開発公庫をつくるのであるというのが一つであります。その意味では、喜屋武先生のおっしゃるとおりの考え方がここにあらわれているわけであります。
 いま一つの問題は、先ほど申し上げました国の政策金融機関であるから、「本土並み」と言えば、知事はその機構の中には入れないのではないか。その意味では、私も、機構の中に、開発銀行のたとえば「本土並み」と言えば、地方ワクを沖縄に幾ら持つかという程度の配慮では足らないと思ってこういう措置をするわけでありますが、さらに一歩前進をして、開発銀行の沖縄に対する融資についても、開銀の顧問とかあるいは出先の責任者と申しますか、そういう者に知事が兼任するという形では、そういう機構の上からは知事というものの立場が入り込むのに政府金融機関ではたいへんむずかしいということを申し上げておるわけでございます。中身は、おっしゃるとおり、沖縄に対してどのように手厚くして本土との格差を埋めるかということを重点にいたしておるわけでありますから、内容、実質については変わらないということであります。
#36
○喜屋武眞榮君 次に、公庫ができます場合に、公庫の本店はどこに置かれるのでしょうか。
#37
○国務大臣(山中貞則君) これはまだきめておりませんが、最初は奄美復興開発基金でございましたが、まあ、これなどは名瀬市に置きまして、そして現地の人が理事長になりました。そういうこともやっておりますが、この際はそういう小さなものでございませんし、開銀から始まる国の政策金融機関が全部一本になるわけでありますから、那覇に本店を置いて、そしてそれぞれのまた親金融機関があるわけでございますから、それらとの連絡がはたしてうまくいくかどうか。あるいは、開発庁ができれば、それによっても調整できるのではなかろうかとも思っておりますが、これは機構の問題は一連のからみがございまして、い、ずれともまだお答えいたしかねる段階でございます。
#38
○喜屋武眞榮君 これはいろいろの見地から検討されると思いますが、ひとつ本店の所在地は、まあ奄美の場合には名瀬にあるとおっしゃいますが、沖縄の場合にもぜひ那覇に置いてもらいたいということを要望いたしたいと思います。
 次に、貸し付け条件につきましては、「沖縄の経済・社会の振興・開発を促進するとともに、住民生活の安定向上を図る」という趣旨からしましても、沖縄の産業経済実態を考慮に入れなければならない、こういうふうに了解するわけなんであります。その場合に、一つは、貸し付け期間はどうなるのであるか、それから年利率はどうなるのであるか、償還方法がどうなるのであるか、このことについてもしいま具体案がありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
#39
○国務大臣(山中貞則君) これはもう先ほども私のほうで先走って申し上げているわけでありますが、ばらばらで措置するにしても、それは本土あるいは離島等においてとられている特例というものを上回るものでなければならない。逆に言うと、それを下回ることはあり得ないということでございますから、したがって、金利も沖縄は特例をもって低くし、償還の期限も特例をもってなるべく長い償還期間を与えるということでないと消化し切れないであろうということを考えております。また、そういう措置をとらなければ、何のために開発金融公庫をつくったか、何のために沖縄に本土に追いつくための新しいエネルギーをつけようというような政策をとったかという疑問に答えられないことになりますので、いわゆる本土に置かれております各種制度の特例よりも上回るものであって、下回ることはないということでございます。
#40
○喜屋武眞榮君 ぜひいまのお考えに基づいて、沖縄側のそれぞれの該当者が喜んでそれを利用、活用できる、こういう仕組みに持っていっていただくよう特に要望いたしたいと思います。
 次に、公庫の業務内容、これを明確に具体的に示してもらいたい。こういう一つの内容は、沖縄にある大衆金融、あるいは開発金融、琉球政府の産発資金、農林漁業資金、あるいは住宅建設資金等、特別会計が行なっておりますこの業務を引き継ぐと、こうなっておりますね。こうなっておりますが、これは沖縄現地関係者の要求あるいは意見をどのような形で反映させられたのであるか、またさせられるのであるか。このことについて承りたいと思います。
#41
○国務大臣(山中貞則君) こういうものを引き継
 いで振興開発公庫をつくるということについてはもちろん意見の一致を見ておるわけでありますが、そのあと、現在琉球政府あるいは民政府等で行なっている融資業務も、これで引き継ぐ場合に、現在は琉球政府自身の意思でもって決定づけられるような問題が少し遠ざかってしまうという御心配だろうと思うんです。もちろん、これは振興開発公庫になりますと国の金融機関になりますので、先ほど来繰り返しておりますような、知事がその中に入った形においては運営がしにくくなりますが、しかし、少なくとも沖縄復興開発審議会というようなものでもできまする場合、それに知事さんは当然入ってもらいますし、立法院の代表も入ってもらうことに、復帰後は県会でありますが、入ってまいることになるでありましょうし、要するに、現地側の人たちになるべく各分野から入っていただきまして審議会を構成して、これらの運用等についてもそれぞれ御意見を述べていただいて、その方針に従って運用していくという手段をとりたいと、いまのところ考えておるわけでございます。
#42
○喜屋武眞榮君 さらに念を押すようでありますが、その場合に主席の権限ですね、知事の権限が運用面においてどの程度認められるのであるか、その点、ひとつ承りたいと思います。
#43
○国務大臣(山中貞則君) これはもう十分に尊重されると思いますが、しかし、執行にあたって具体的な機構の中に入ってそれをやるという形はとりにくいということを申し上げておるわけであります。でありますから、主席のみならず、沖縄側のいろんな各界各層の要望というものがこの運用にあたって反映されるような審議会の構成というようなものを十分に考えたいということでございます。
#44
○喜屋武眞榮君 それじゃ最後に、時間が参りましたので、ぜひお聞きしたいことがございます。それは前の委員会でも私お尋ねしたわけですが、日本学術会議への沖縄の大学教授の参加の問題につきまして、何か九分九厘までできるような期待もあったわけですが、いつの間にかそれがもやもやしてきているわけであります。いま現状は一体どうなっておるのであるか、それを承りたい。
#45
○国務大臣(山中貞則君) これは私の政治力の限界を責められることになるかもしれませんが、実は沖縄の学者を学術会議の選挙に参加せしめるということについては、私どものほうは法律も準備をいたしまして、今国会でやはり衆参両院でなるべく短時間で、内容もごく簡単な手続法だけでございますから、やっていただければまだ余地はあると考えております。ただ、三月末の締め切り期を過ぎておりますから、それを私どもの学術会議の事務局において、沖縄についてだけその受付の仕事をもう一回やればよろしいわけでありますから、その点は事務当局にも念を押しております。しかしながら、一方において、まことにタイミング悪く学術会議の総会が開催されまして、私どもの自民党のほうが学術会議のあり方について批判をしておるじゃないか、これは学問・思想の自由に対する挑戦であるというような意向等が表明をされたりいたしまして、どうも両者感情的になっておるようなところがございます。したがって、前の委員会でも私申し上げたと思いますが、そのこと、すなわち学術会議のあり方に対する議論というものは、政府も当然これは受けて立たなければならない議論だと思いますが、その議論の本質と沖縄の人たちを参加させるという議論は別である。私は、江戸のかたきを長崎でということは聞いておりますが、そのはるか南の沖縄でとるということはおかしいじゃないかということを言って、いま党と折衝、説得いたしておるわけであります。大体党のほうも、事柄が本質的に全く別な次元の問題じゃないかということをわかってくれております。ただ、これが毎年選挙でもありますれば、では復帰までごしんぼうくださいということを、場合によっては皆さまに頭を下げて言わなければならぬと思いますけれども、何しろ三年に一ぺんの選挙でありますから、この際どうしても参加をしてほしいと思っております。でありませんと、復帰後一年以上というもの、正式な形でなくその構成の中に入ってくるということになりますので、私としてはなるべく最後まで努力を続けてまいりたいと思います。党のほうにおいてもいろいろいま議論をいたしておりますが、事柄が本質的に違う問題であるということについての了解は大体できつつあると思いますので、いま少し私に努力をさしていただきたいと考えておる次第でございます。
#46
○喜屋武眞榮君 そうすると、まだ脈はあると、こう認めてよろしゅうございますね。
#47
○国務大臣(山中貞則君) まだ救急車を呼ぶところまではまいっておりません。
#48
○喜屋武眞榮君 もしこれが実現できないということになると、事はまことに重大であると思っております。ぜひひとつこれが実現するように最善の努力を払ってくださるよう要望いたします。また、もしこれがどうしても実現しないというならば、そのできない理由をもっと明確にしなければ、沖縄側としても、これはただでは済まされない重大な問題であると、こう思っておりますので、そのことに対してひとつ長官の御決意を。
#49
○国務大臣(山中貞則君) 先ほども申しましたとおり、これがもし今国会で実現をいたしません場合は私自身の責任であるというふうに考えております。
#50
○渋谷邦彦君 きょうは法律案の中身について若干と、それから調査事項について若干お尋ねをし、たいと思います。
 先般も、ただいま審議されております中身については御質問申し上げましたけれども、もう一ぺんここで整理をしながら、そして問題点によっては繰り返しお尋ねをする点もあろうかと思いますけれども、その点お含みおきいただきましてお答えをいただきたい、このように思います。
 沖縄における財政事情が非常に困難であることは、もういまさら申すまでもないことでありますけれども、それに伴って、昭和四十三年以来、財投をはじめとして援助が続けられてきております。ただ、われわれの実感として、確かに窮乏していると――これは極端な表現かもしれませんけれども、そういう実情であることは現地へ行ってみても実感として受けとめてきております。なお、対策庁あるいは大蔵省、自治省におきましても、そうした事実というものを明確に把握するために、しかも返還を目前にいたしましてその辺を掌握するという関係から、去年の暮れごろでございますか財政事情の調査を行なったというふうに聞いております。その実態はどなっているのか、この機会に、その概要でけっこうでございますから、これは対策庁の長官のほうから御説明をいただきたいと思います。
#51
○政府委員(岡部秀一君) 琉球政府の財政収支の状況でございますけれども、経済成長に伴いまして琉球政府の諸事業等も活発に行なわれてきておりましたし、収入等も年々増加をいたしておる状況でございまして、一九六六年度までは黒字の収支の状況で健全に収支をいたしておるような状況でございました。
 翌年の一九六七年になりますると、収支じりを見てみますると、公共事業の財源借入を十三億ほどいたしておりますし、それから債務負担行為による自己財源の負担分の翌年度繰り越しを二億ほどやっておるという状況に至っております。
 翌年度の一九六八年度にまいりますると、翌年度分の税収の売り上げという特別なことを七億ほどやっております。それから給与改定措置の翌年度への繰り延べということもやっておりますし、債務負担行為等、そういうふうなことをやりながら収支のつじつまを合わせております。
 一九六九年度になりますと、公共事業の財源借入を十八億円ほどやっております。それから、赤字債をいたしておりまして、赤字借入を三十六億円いたしておりますほかになお十三億いたしておりますので、そのときの総体が六十七億という状況になっております。
 一九七〇年度には、公共事業の財源借入を三十六億円、赤字借り入れを十七億円いたしておりまして、借入合計五十三億。そのほかに給与改定の支払いを翌年度へ繰り越すというふうなこともやっておりますし、債務負担行為をいたしておるということで、それが二十六億ほどになっております。
 それから、大体そういう状況で収支をいたしておりまして、非常に財政状況につきまして、本土との格差是正のために、財政力をあるいは憂慮するような大きな仕事を――何もやらなければ赤字もできないかもしれませんけれども、いろいろとやらなくてはならないことがありますので、非常に事業を活発にやらざるを得ないという状況でございましたし、給与費の負担等が相当急増をいたしておるという状況がございます。
 その他、また米国政府の援助金の収入減の問題もありますし、経済の停とんによりまして税収の落ち込み、特に所得減税等を中心といたして税制改正によるところの税収の減というふうなものが出てきておるというふうな状況で現在に至っておるという状況でございます。
#52
○渋谷邦彦君 そうした観点から特に政府としてもいろいろな角度からてこ入れをしなければならないという方途が講ぜられてきておるわけですけれども、そうした実態調査を通じまして、まだまだ、何と申しますか、抜本的な方途を講じなければならないという結論が必ず出たはずではないだろうか。特に急がなければならない問題についてはどうするのか。実態調査があれば必ずそれに対する方途というものがこれは関連して起こってくるわけでございまして、それについてはどのように現在検討を進められ、また、さらに現在審議されている法案以外にこうしなければならないというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#53
○政府委員(岡部秀一君) その点につきまして、四十六年度の復帰対策費を計上いたしますときにおきましても、極力琉球政府の一般財源を強化するということに特に力を注いだのでございまして、たとえば、行政運営費でございますが、この行政運営費を、前年度は二十億八千万円でございましたが、それに対しまして三十四億二千万円ふやしまして五十五億円という行政運営費を増しておるという措置をとっておりますし、それから、今回お願いをいたしております公共施設整備等のための琉球政府債及び市町村債の引き受けのための資金の貸し付け措置――先ほど総務部長から申し上げましたところの二十五億円という措置をいたしております。
 なお、市町村財政の強化費――これは市町村交付税に当たるものでありますが、前年の二十八億円から四十四億円に増加をしておる。こういう状況で、本年度の対策費を組むときに、その点は大臣のほうから特に留意をいたしまして、いままでに例のない、あるいはほかに例のないほどの一般財源その他の措置をやっておると、こういう状況でございます。
#54
○渋谷邦彦君 そこで、返還になれば当然沖縄県ということに行政組織一切が変わるわけでありますけれども、現在生じておりますいろいろな問題と申しますか、権利義務というような関係については復帰後はどのような形態を経てそれが承継されるものか。この点はいかがでございますか。
#55
○政府委員(岡部秀一君) 琉球政府の負債その他の問題承継の問題、資産の引き継ぎ等の問題につきましては、目下関係の各省と連絡をとりましていろいろと具体的に検討を始めておる次第でございますけれども、琉球政府の仕事が県の仕事、市町村の仕事も入っておったりいたしておりますので、これをそれぞれ仕事によりまして振り分けて、政府への仕事、県あるいは市町村にいく仕事、そういう振り分けをいたしまして、それに伴っての諸事業を見ながら負債、債権、資産等の引き継ぎを今後やっていくということになっておりまして、目下その仕事を進めておるような状況でございます。
#56
○渋谷邦彦君 そういたしますと、その辺の整理というものは完ぺきな段階においてもう進められていらっしゃると理解してよろしゅうございますか。
#57
○政府委員(岡部秀一君) むしろいまからの仕事でございます。これは事業も進行中でございますし、まだ時期もございますので、むしろいまから具体的に前もって一応あるいは現実の現状はどうなっているか、あるいは将来どうなるのかというふうな予想もしながら、現在において復帰の時点までに準備を整えていくという仕事ぶりでございます。
#58
○渋谷邦彦君 次に財投資金の問題でございますけれども、これも前にちょっとお尋ねいたしましたが、これは申すまでもなく当然利子のつくお金でございますが、現在、琉球政府を通じてその資金というものがどのようなルートを通じて活用されておりますか。
#59
○政府委員(岡部秀一君) これは先ほども総務部長から申し上げましたような状況で、四十一年度を見ますると、百四十億円の財投で、九十一億が産業開発等の財投資金に一つ大きく流れております。これが大きな柱でございまして、これが産業開発資金特会、大衆金融公庫、琉球電信電話公社、住宅建設資金特会、沖縄放送協会、これに九十一億という大きな流れ方をいたしまして、沖縄の諸産業の開発振興に役立っておりますというような状況でございます。
 それからもう一つは四十九億で、公共施設の整備等のために役立たして、今回この法律を通していただきますと、そちらのほうで退職手当――主として退職手当の二十四億と琉球政府及び市町村の企業、公共施設の建設という面に大きく役立っていくと思います。それが二十五億でございます。
#60
○渋谷邦彦君 いまの御説明ですと、産業開発資金をはじめとして種々の用途に使われていることはけっこうだと思います。つい数日前でございましたか、新聞紙上でも報道されましたように、不正融資の事件にからみましていま沖縄本島でたいへん問題になっている琉球銀行の事件がございます。昨年米国側から日本に対する権限委譲がございました。いわゆる各省の事項に該当する問題については助言あるいは援助、監督、こういうことがございました。その中に「監督」ということがあるのですが、実際そういう日本からのせっかくの援助資金というものが不正に使用されるということは非常に好ましくないというふうに、これはだれしもが共通した考え方を持つであろうと思うわけであります。したがいまして、事件の発端は一九六九年、つまり、もう援助が開始されたその時点にちょうど合致するわけでありますけれども、したがって、あるいはそのときにはこれは日本政府の権限外であると言われてしまえばそれまででございますが、二度とこういう問題を起こさないためにも、今後の指導、監督あるいは助言というものがどんな形で行なわれるのか、そしてまた同時に、その監督というものはどういう権限の範囲において琉球政府に対して行なわれていくのか、この点はいかがでございますか。
#61
○国務大臣(山中貞則君) これは基本的な問題でございますが、監督、指導、助言等の内容については、たとえば米(こめ)資金等の積み立てを活用、いたします場合に、その方針を中央政府がきめるわけであります。それに対して琉球政府側からこういう対象にこういう金利とこういう償還条件でもって貸し付けたいという大体の相談がございますが、その際に、たとえば具体的な例を申しますと、琉球政府の原案にはいわゆるくり舟と言われるものの大型化、近代化というものが貸し付け対象になっておりませんでした。そういうものはぜひ沖縄の漁業というものの将来性を考えた場合に、あるいは現在のくり舟が七〇%を占めておる現状からどうしても米(こめ)資金の融資の対象にしてもらいたいものであるという要請をいたします。琉球側においてもそれならばというので、ではくり舟の近代化、大型化を融資の対象にいたしましょう。その際に、また金利が非常に高い金利のものに上がってまいります。上がってまいりますというよりか、連絡がございます。それならば沖縄の沿岸の零細漁業者の人たちはとてもこの金利ではたえられないだろうというような場合に、金利はやはりもう少し安くできませんか。――実際これは無利子で本土政府のほうは渡しておるわけでございますから、そういう場合において、実際のむしろ実費ぐらいのところで何とかできませんかという相談はいたしました。琉球政府といたしましては、他とのバランスもあるからということで二分五厘、まあ手数料程度ということで意見が一致してやっております。
 ところで、一般のこれは米(こめ)資金の問題についてそのような経過を具体的に説明申し上げて参考にしたわけですが、琉球政府側がそういう金利とか条件とかいうものについて御相談くださるのは、私たちとしてもいわゆる指導、助言、場合によっては監督ということを今後できるわけでありますが、しかし、どういう対象に幾ら貸すという問題については、全くこれは相談もありませんし、私どものほうも、これはもっぱら琉球政府の権限ということで、そこまで立ち入って干渉がましいことはいたしておりませんので、なるべくこういう事件が起こらないように――たしかホテル融資の問題を念頭に置いて言われておると思うのですが、遺憾なことでございますし、沖縄の現地の人々もせっかくの融資を使う場合において有効かつ適切に使ってほしいという希望は、これは変わりない希望でございましょうから、不祥事件があったからどうということではなくて、そういうことの起こらないように運用してもらいたいということにやはりとどまるのではなかろうかと思います。したがって、復帰までは本土政府のほうが、この先こういうところには貸してはいかぬとか、あるいはこういうところに貸しなさいというそういう意見は、あまりにも具体的なものでありますから、琉球政府自体の行為ということにやはりなっていくだろうと思います。
#62
○渋谷邦彦君 確かに主体性が琉球政府にございますので、本土政府が現在の段階においては、あるいは指導がましいという点については、いたずらに県民感情を刺激する場合もございましょうし、差しひかえるということはわかりますけれども、やはりもとをたどってみれば、これは言うまでもなく税金でございますから、それが公平にしかも有益に使われなければならないということは論をまたないわけであります。したがって、今後二度とそういう事態の発生を招かないためにも、その辺、監督――監督と言うとちょっと響きが悪いかもしれませんけれども、やはり行政指導のほうでやっていただきたいものだということをつけ加えさせていただきたいと思います。
 それから次に、琉球政府に対する貸し付け金が回収不能になった、あるいはそういうような要素が現状においても十分考えられるだろうと思うんです。先ほど来から、財政事情というものが非常に思わしくないということが大前提になっておりますがゆえに、こうした場合に、この法律の内容を見ますと、一般会計から補てんすると、こういうふうになっておるようでございます。したがいまして、この琉球政府に対する貸し付けの条件、あるいはその運用の条件、あるいはその一般会計からの損失補てんというものについては、十分留意をしていただかなければならないというふうになるわけでありますけれども、こうした関係についてはどのように今後進められていくおつもりなのか明らかにしていただきたいと、こう思います。
#63
○国務大臣(山中貞則君) ちょっとよくわからないんですが、一般会計からの損失補てんというところ、もう少し説明していただけませんでしょうか。
#64
○渋谷邦彦君 財政資金が確実な運用を必要とする資金である性格からして、その運用について損失を生じた場合一般会計から補てんすることになっていると、これは特別措置法第三条ですかの中にこれが盛られているようでございますが、その点をいまお尋ねしているわけであります。
#65
○国務大臣(山中貞則君) わかりました。
 そういうのは、まあ対外貸し付けの前提として一応置いてあるわけでありますが、そういう実例はいままではございません。沖縄の場合はもうそれと違うわけでありますから、やはり復帰の時点における債権債務のどのような継承のしかた、処理のしかたをするか。それに、一方においてはやはり累積赤字というものがありますから、これをどのようにして琉球政府を新しい沖縄県として財政的にも身軽な形で出発させ得るか。これは今後最大限の考慮と申しますか、配慮をして、財政当局と交渉をしたいと思っております。
#66
○渋谷邦彦君 次に、今回の法律改正の一つの柱に、退職金に充当するということが盛られてございます。特に義務教育に携わっている教職員の方あるいは公務員の方ですかの退職者に対する退職金というふうに理解しておりますが、現在どういう状況なのか。その退職の状況は、勧奨退職というものもおそらくあるんだろうと私は思うのでありますけれども、したがって、今回の二十四億円というものはどういう積算に基づいて計算されたものか、その辺、いかがでございましょうか。
#67
○政府委員(岡田純夫君) 御承知のように、琉球政府の職員は全体で約一万七千人ございますが、その中で学校の教員が約一万人ということになっております。で、もちろん先生一人当たりの生徒担任の数は少ないほうがいいのでありますけれども、比較的に多い状況でございます。その内容を見ますというと、わりあいに高齢の先生が多く、それから小学校では女性の先生の比率が本土よりも多い。まあ女性の先生の多い少ないは別問題といたしまして、高齢の人の多いというのは、やはり教育上からいっても、若い先生に新しい感覚でやっていただくことが至当ではあるまいかというふうに考えられますが、そのようなことから、琉球政府で、六十歳以上の学校の先生につきまして、勧奨といいますか、退職をすすめまして、それで四百十二人ということでございますから約四%ぐらいでございますか、の先生が対象になっておる。それで、先ほど申し上げましたように、琉球政府の退職金の計算は、比較的発足してから短いということもございますから、年数からいきますと短いが倍率はわりに高いというふうなことになっておるようですが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、二十年ぐらい勤続されたものとみなして五条適用でもって十三億ということで計算した。十三億の中で半額は国庫負担金が出ますので、あとの半額につきまして今回退職手当債を起こした。このように、比較的高齢の方について四%程度本土並みの措置によってやりたいという琉球政府の要望にこたえたものだということでございます。
#68
○渋谷邦彦君 これはあくまでも勧奨ということが前提になっているようでありますけれども、おそらくいまの御説明ですと、高齢者の教職員、それから女性の教職員の方が本土と比較して非常に多いと、その傾向は逐年またふえるのではないだろうか、こう思いますけれども、今後に対応して今回初めてのこういう試みだろうと思うのでありますけれども、やはり継続的にこれを考えていくかどうか、返還後にはどういうふうなまた措置がとられていくか、その辺の違いはどういうふうになりましょうか。
#69
○政府委員(岡田純夫君) 復帰後は四十七番目といいますか、沖縄県として他の四十六県と並んで、公平と申しますか、全般的な見地からもう一ぺんながめ直すと、こういうことになろうかと思います。したがって、職員の構成の合理化というものも、やはり漸を追うて、他の県と均衡をとりながら現実的に判断して無理のないように考えていくべきじゃないだろうか。退職手当につきましても、これは沖縄の場合相当実は大蔵側としては難色があったのをいわば押し切ったという問題でございますが、ということは、結局、本土の場合にはこういうふうな措置がなされていないわけでございます。財政再建団体の場合でありますというと、非常にいろいろと注文がついた上で三年ぐらいの退職金ということも例がございましたが、一般的にはそういうふうなものは道が非常に狭いわけでございます、沖縄の場合特に。したがって、今後の問題としては、むしろ本土も含めて、やはり退職手当が無理なく、しかも必要な額だけお渡しできるような措置について、国全体の問題からむしろ充実する方向で、これは合理化という意味ではございませんで、やはりやめた場合には十分退職金を差し上げることができるような措置というものを本土全体を通じて考えるべきじゃないかということでございます。
#70
○国務大臣(山中貞則君) いまの部長の答弁で誤解を招くといけませんので、私のほうからあらためて申し上げておきます。
 四十六年度の予算で勧奨退職債を沖縄に対して起こしましたことについては、これは政府部内のことでありますけれども、本土において財政再建団体、これはもうすでに現在はないわけでありますから、そういう起債はない。しかしながら、公営企業等において再建のための計画を持っておるところについて、特別にきつい条件で若干あるという程度のものでございますが、沖縄についてはいままでにそういう措置をしておりませんでしたために、私が現地に参りました感触でも、実はそのやめさせるほうの意見ではなくて、第一線の先生方で、大臣、私は実はやめたいのです。早く後進の教頭以下を校長にしてやりたい。一般の諸君を教頭にしてやりたい。本土ならばもう当然私のところの教頭は校長でございますが、そのやめたい私がなぜ現職で校長をしておるかといえば、それはいわゆる財源がないために、退職金というものが勧奨退職並みの倍率をもって払えないのだ。そこでやはり背に腹はかえられないので、老骨でこうやって働いております。ぜひ大臣、勧奨退職債を考えてくれ。こういうのが、ことに離島に多うございました。私もその点考えるところがありましたので、大蔵との折衝において、沖縄については特例をもって――ちょっといまの部長の申しましたよりか感触は違ってきますが、当分の間は沖縄の教職員の方を中心として、本土並みの卒業年次の方がやはり沖縄においても教頭、校長になれるような、自分がやめろと言われたから、不承不承じゃなくてやめたいのだが、金がないと言っているので、本土政府で見てくれという要望でありますから、私は胸を打たれたのであります。もういいのです、私は退きたいのでありますという御意向でございますから、それはなぜかといえば金がないということでありますから、今回こういう国の負担分にさらに勧奨退職債ということを加えて沖縄にだけ起こしたわけでございますので、これは単年度だけで解決できる問題ではございません。したがって、当分の間、沖縄が本土並みの年齢構成になりますまでの間これを続けてまいりたいと私は考えておる次第でございます。
#71
○渋谷邦彦君 次に、産業開発が緊急の課題であることはしばしば論議されたとおりでありますけれども、いままでの政府の一貫した答弁を伺っておりますと、本土の企業の進出というものにやはり相当期待をかけておる。そしてまた、それに伴う産業の振興――もちろん地場産業を無視するということではございませんけれども、ただ、ここで非常に心配になりますことは、いま市町村の財源難とかいろいろの問題がからみ合っている。その中でもしもほんとうに一切のそういういま課題になっておる問題の解決が集約されてまいりますと、そうでなくてもいま過疎化現象というものが離島間においては著しい勢いで進んでおる。むしろ離島によっては本土以上に激しい人口減少を呈しておるのではないだろうかということが心配されるわけでございます。先ほどもありましたように、一切が本土並み、現在の本土というのは過密、過疎の現象が著しい断層をつくっているわけでございますので、沖縄がいま豊かな県ということでその目標に向かって進もうとしている際に、この過疎化現象の問題を一体どういうふうにしたら防止できるのか。これはやはり最大のネックではないだろうかというふうにまたここで申し上げたいわけでありますが、やはり市町村の財源というものを潤沢にする意味におきましても、一方においては積極的な公共投資というものも行なわれていかなければならないということは当然だろうと私は思います。それは言うまでもなく過疎化現象というものを防止する一環の役割りも兼ねてのことであります。こういうことを踏まえて、その辺をもう一ぺん整理いたしまして、いま離島における今後の公共投資、あるいはその他の産業振興ということについて政府部内においてもいろいろあらゆる角度から検討が加えられてきていることは十分承知してはおりますけれども、はたして復帰後においてそうした人口減少というものが未然に防がれ、そして豊かな県づくりという方向に向かっての歩みというものがなされていくであろうか。この辺をもう一ぺん整理して総括的に御答弁いただきたい、こういうふうに思います。
#72
○国務大臣(山中貞則君) これは私もたいへん頭の痛い点であります。ということは、政策以前の問題として、昨年国会で制定されました過疎地域対策緊急措置法のときにもそれを痛感いたしたのでありますが、どのような施策をとってみても食いとめられない現象があります。それはやはりテレビ等の普及発達が非常に大きな心理的な影響を与えていると私は思いました。ということは、沖縄にもだんだんテレビが普及してまいりますが、そのテレビの画面にあらわれる東京とか大阪のイメージというものは、若者にはたいへんパラダイスみたいな感じの享楽的な面がドラマその他においても多うございますし、それに、やはりテレビのスイッチを切った、と、あたりは虫の声だけがあって、波の音。そしてテレビの画面からいえば、自分も恋をささやきたいと思っても、適齢の女性はほとんどいないというような環境等であって、じゃ自分もやはり東京に出てみようとか大阪まで行ってみようかという背景が、本土でも過疎地域にはあるように思いました。この現象は、沖縄においてもやはり大東島あたりの人口の減少の傾向等をつぶさに見ますと、わりと大規模農業を沖縄でやっているのは大東だけでありますけれども、しかし、また反面、若い青年諸君が比較的踏みとどまってもおりますが、どうしても花嫁難であるということ等もいわれておりますし、今後テレビがカラーも完成をいたし、そして大東あたりにも今度はテレビが入るわけでありますが、そうなりますと、やはりそういう心理的な面からのあこがれとか、自分の周囲を振り返ってみて自分も一ぺんはというような気持ちで離れていく人たちを食いとめる手段はないのではないか。こういう点を非常に私は心配しております。しかも、この層が産業人口構想の上からは一番働き手の諸君であろう、こう考えますと、その意味では非常にさびしいと申しますか、心配をしておるわけであります。
 他方において、政策的にそれらの地域について考えてあげた場合に、配慮をした場合に、食いとめられ得る要素というものはこれまた幾つかあるわけであります。沖縄の場合にはほとんどが本島も含めて全部離島と言ってもいいわけでありますから、問題は島と島との間の航路というものをどのように便利にしてあげるか、そうして通信というものをどのように一体感を持って居住できるような環境に置いてあげられるか、そして住んでおる島そのものの中において、西表島等においては、東部と西部とは、同じ島に住んでおっても、東部の人はまっすぐ西部の部落に行けない。西部の人は一ぺん石垣島に行って別の航路に乗らなければ東部には行けないという状態にありますから、こういうことはだれが考えても、縦貫道路、もしくはいま計画しております一周道路というものが完成いたしますと、これは島の中が二つに分かれたような状況が解消されるということは自明の理でございます。したがって、そのような島の中の居住環境の改善という問題に資する道は数多くあると思うわけであります。これらの政策は道路、航路あるいは通信その他万般にわたって逐次設備をしてまいるつもりでありますし、もちろん、公看制度まで含めた、不測の場合の病気やけがの場合に対処するというようなこと等も含めて、安心して住める環境づくりということはできるだけやっていかなければなりませんし、それによって食いとめたいと思っております。ただ、沖縄群島の中においても那覇を中心としては人口増加地域であります。これらのことを考えますと、全群島が過疎地域に化しつつあるということではございませんので、やはり沖縄に対する新しい経済の年次計画、未来の青写真を描くことが地域に即した具体的なものができますならば、私は、やむを得ない面として一部離島においての人口の流出は食いとめられないとしても、少なくとも沖縄県内においてそれらの人々がやはり産業貢献人口として生活の向上、所得の向上にそれぞれ貢献できるような経済計画というものは描けるんだということを反面は考えておりますので、流出をする島等もございましょうが、なるべくそれも食いとめる施策をつくる反面、沖縄県内から本土等に流出することを最大限食いとめる政策の立案というものがぜひ必要だということで、現在沖縄経済開発特別立法というものについて検討しておるわけでございます。
#73
○渋谷邦彦君 いまの御答弁を伺っておりますと、食いとめるというか、防止する手段というものは非常にきびしいと。これはわからないでもないと思うのです。ただ、沖縄県の場合は特殊な傾向がありまして、やはり一つは基本的には食えないということもあるでしょうけれども、海外移住等が非常に多いんですね。おそらく日本国じゅうでもその占める比率というものは一番大きいんじゃないか。海外移住する人たちが多いというところへ持ってきて、あるいは本土への移入ということが重なってまいりますと、極論しますと、返還後は無人島がずいぶんできていくんじゃないかということも考えられないことではない。いま、せめて沖縄県内においてということもございましたように、この沖縄県内を考えて見た場合でも、那覇へ集中するという傾向が今後もやまないと私は思うんですね。したがいまして、この離島における過疎化というものがこれからまた局部で進められるということになりますと、豊かな県づくりどころではない。何か非常に片寄った県づくりの歩みというものが考えられていきはしまいかということを心配いたしますので、どうかこの点も十分含めて、今後の公共投資も、いま答弁されたような角度に立って、沖縄県全体が離島を含めて発展するような方途を講じていただきたい、このように思うわけであります。
 それから、時間もありませんので、一つだけ気になることを聞いておきたいと思いますが、これも先回お尋ねしておきましたけれども、いよいよ返還になってまいりますと、日本円が沖縄へ運ばれていくわけであります。これは先回長官は、マル秘のうちのマル秘であると。それはごもっともです。へたに発表いたしますと、どこでねらわれるかわからない。ただ、考えられますことは、やっぱりシージャックというのはどこから出てくるかわからないです。最近、為替相場を考えてみると、日本円が非常に強いということになりますと、変な話でありますけれども、あるいはほかの地域からねらうものが出ないとも限らない。そういうことを考えまして、輸送関係については万全の態勢をとられて、しかも、安全に事故なく運ばれていくものであるかどうか。その辺の態勢は十分できているのかどうか。その辺をお尋ねしてきょうは私の質問を終わらせていただきます。
#74
○国務大臣(山中貞則君) これはお話し申し上げるには限度のあることでありますけれども、少なくとも、国際的に円が非常に強くなっていることから考えても海上において起こり得るということは、第三国も含めてそういう脅威があるのではないかということでありますが、武装した軍艦でも襲撃してこない限りはそういうことは絶対にだいじょうぶであるというだけの護衛の措置はとっていくつもりでありますから、したがって、その心配はないと思っております。ただ、各有人離島に全部一定期間内に交換を終わらなければなりませんので、それらの小さい離島に行きます場合には、現地の金融機関等、あるいは警察にも協力を仰がなければなりませんし、一定期間でございますので、海上保安庁もまた総動員してやらなければならぬと思いますが、それらの点について細部の細心なる注意を払っていかなければならぬだろう。その根拠地である那覇の日本銀行の支店の大金庫はほぼ大体予定どおり完成しつつございますので、不測の事態が起こるとすれば輸送途上であるということでございますが、問題は、沖縄本島にたどり着いたあとにおいて、そのことをちょっといま少しく細心に計画を立てなければならぬと思っておるわけでございます。
 そこらのところでごかんべん願います。
#75
○渋谷邦彦君 いま、武装した護衛はつけない、こうおっしゃいました点から、海上自衛隊、航空自衛隊の協力を仰がない、こう理解してよろしゅうございますか。
#76
○国務大臣(山中貞則君) 私が申し上げましたのは、それを略奪するために武装した軍艦でも来ない限りは奪われないための防衛措置を講ずるつもりであると申し上げましたので、いわゆる専守防衛の立場からの自衛隊を使わないということを申し上げておるわけではないんですが、しかし、逆に、自衛隊の軍艦を、船を使うんだというふうにも、まだちょっと断言できない段階でございます。
#77
○春日正一君 この法案は、本土復帰を控えて沖縄県及びその市町村の財政需要の増大に対処する、そういうことを目的として出されておるわけですから、そういうものと関連して沖縄の財政問題について幾つか聞きたいんですが、最初に四十六年度予算、これはおそらく復帰前の最後の予算になるだろうというふうに予想されますけれども、その財政計画の中で、沖縄県に対して百五億、そのうち四十九億円の二分の一、二十四億五千万円をこの法改正とからんで計上されているんですね。あとの半分はそのあとということで留保されてこういう金額になっているんですけれども、まあこれだけで十分間に合うのかどうかということと、それからまた、この数字は、沖縄復帰対策の全部の計画ですね、つまり四半世紀をこえる他民族の支配から生じている経済的、財政的なみぞを埋めていく、そういう計画の中でどういうふうに位置づけられてこの金額が出てきているのか、将来どういうふうに見通しを持っているのか、その辺ひとつ聞かしていただきたいのですが。
#78
○国務大臣(山中貞則君) この四十六年度予算は、一般会計、財投含めまして、現在置かれた琉球政府の環境の中において本土政府が復帰対策費として計上する額としては一ぱいの額だろうと思います。しかしながらこれが、たとえば琉球政府の経済十ヵ年計画の初年度に琉球政府としては計画しているわけですね、それにふさわしい予算であるかどうかと言われますと、これはちょっといまのところ、その計画を前提にしてなるべく近づけたいとは思うのですけれども、現在では全面的にそれにこたえたものではなかろうと思っております。したがって、先ほどもお答えをしておきましたけれども、過去の累積赤字というようなもので、本土の県では考えられないような非常に質の悪い赤字と申しますか、考えられないやりくりをしておりますので、こういうような問題等も含めて、来年度予算というものが復帰の時点において沖縄県の初年度予算になるということでありますので、これは十分の検討をしていかなければならぬと考えます。しかし、今年度予算は、その意味においては、琉球政府に自主財源を大幅にふやし、あるいは起債を設け、市町村起債も新たにふやしたといいましても、これで、琉球政府自体が考えている財政規模にふさわしい本土の援助であったか、復帰対策費であったかと言われますと、その点は計画年次等の差もありますので、琉球政府としては満足すべき金額ではなかったのかもしれない。その中には、一部最終的には一応合意をいたしましたけれども、琉球政府として約九十億円くらい自分たちとしてはもっとほしいのだという意向の表明がございました。その中には、年休買い上げ等の措置等もやっぱり自分たちは主張したい。しかし、本土にはそういう制度がないので、復帰の時点においてやめられる方は既得権として認めなければならないだろうけれども、復帰後の休暇買い上げ制度についての予算措置は考えられないというようなことで、若干の意見の相違がございました。それらの点も含めて琉球政府の御要望どおりということになっておりませんから、中には財政的に見てちょっと応じかねる筋合いのものも、先ほど申し上げましたとおり、ございましたので、私も完全に琉球政府側から見て満足すべき復帰前の予算であるというふうに自負しておるわけではございません。
#79
○春日正一君 そこらの辺が一番問題になるところだと思うのですけれども、そこで、現在の沖縄県の財政事情ですね、これは政府はいろいろ努力されてきているんですけれども、非常にむずかしいことになっておるということはもう周知のとおりですけれども、しかし、去年も四月一ぱいに予算を組んで出せというので、財政法の規定どおりに予算が組めないで、五月になってからも屋良主席その他本土に出てきていろいろ陳情するというようなことがやられたのですけれども、ことしも四月中に予算を一本で出すことができないというようなことが続いておるわけですね。そして屋良主席のほうからも先月の二十六日は陳情があって、それについての報告もいろいろされておるわけですけれども、そういう問題について長官としてそういう陳情を受けてそれをどういうふうに考えておられるのか、それから、それにどういうふうに対処されたのか、そこらを聞かしていただきたいのですが。
#80
○国務大臣(山中貞則君) 屋良主席のほうから琉球政府として邦貨換算十五億円ぐらいほしいんだ、それをもらえると、大体琉球政府の意図しているような予算が全部組めますと、こういう御要請でございました。しかしながら、昨年の予算編成の当時においては、先ほど申しました琉球政府との間において金額において若干の違いがあったという点の問題とはまた次元を異にする理由による不足分でございまして、その後情勢の変化があったというお話でございました。しさいにこれを三時間余りにわたって検討いたしまして、どうも私も知事になったような気がしますというような冗談も言ってこまかなことまで議論をしたわけでありますが、琉球政府の予算の組み方、歳入歳出の構成のしかた等にも、やはり財政法の運用上こういう検討をされたらいかがでしょうかという点も幾ぶんございました。たとえば一例をあげますと、復帰の年であるので、最後の年だから過誤納の返還金等はこれをなるべく始末をしたいということで五十万ドルよけいに歳出予算に組んでございますが、かといって、それが全部処理されるかというと、なお百六十万ドルは残るんだということでございました。したがって、過誤納の還付金というものを全面的に片づけたいというならばあと百六十万ドルを組まなければそのことばと実際の歳出とは合わない。わずかに五十万ドルがふえただけである、例年に比べて。そうすると、過誤納を完全に処理したいとなりますと、歳出に比べて歳入要因では税の滞納金の徴収というものも、完全にはできませんでしょうが、その努力もされなければならないと思うわけです。琉球政府の徴税率は低うございまして、本土に比べて低うございますから、入るべき税収でも入っていない。すなわち、一般の人は納めているが特定の人が滞納をしておるというのが四百万ドルございました。それは歳入の、いわゆる取らなければならないほうの金、公平の理念からいっても、取るべき金として歳入に組んでないと、そこらのところが少しやっぱり歳出と歳入のつじつまを合わさねばいけないのではないのではないでしょうかというようなこと等もこまかに立ち入って議論をいたしたところであります。しかしながら、一番の大所は、人事院勧告の完全実施、十二月実施にするのか、あるいは、現在琉政がそのとき考えておられました五月実施にするのかという問題も、財源の違いもありますが、五月実施をおくらせることを前提として、一方においては本土の期末手当よりも高い率の期末手当並びに一人当たり十五ドルという、言い方は悪いのですが、つかみ金的な、団交の結果による歳出というものもございました。これは私どものほうでどうしろと言うことはできません。しかしながら、その理由によって――非常に金額も大きうございますし、運営できないからということで、十五億をさらに補正か何か組め、あるいはいますぐ支出せよと言われても、本土の予算も四月でございますから始まったばかりでございますし、すぐに組むことができないということで、双方対立した話し合いではなくして、お互いが三時間有半にわたって詰めたわけでございますから、よく問題点の所在を理解し合えました。今後財政の最終的な処理については、先ほど来申し上げておりまする復帰時点の累積赤字等をどうするか等の問題に関連して再度御相談もいたしましょう、しかし、ことしの予算はなるべく早くきょうの話し合いを基礎にして立法院提出の手続をとってほしい。その際に、私たちのほうとしてどういう予算をどうしてはいけないとかいうようなことは申し上げませんので、琉政のみずからの判断でおやりいただいてけっこうですということに一応終わっておるわけでありまして、具体的に金額の面においてそこで何か出てきたかといいますと、むしろ両者がともに得るところがあったということで、その意味では、何と申しますか、これで予算が何とか組めそうだということで一応結論として別れたという経緯でございます。
#81
○春日正一君 いろいろそういう話し合いを詰められて、これは去年もいろいろ詰められてそういうお話は聞いたのですけれども、やっぱりことしももっと新しい形で今度は出てきた。私は出てくるには出てくるなりの事情があると思うのですよ。先ほどもちょっと話があったけれども、ともかくあるだけでやっていけというなら、それは何としてもやっていけるし、私ども貧乏世帯でやりくったこと覚えておりますから、あれだけでやっていけと言って何もしないということならばやっていけるだろうと思うけれども、やはり長い間抑圧されてきて、耐えに耐え抜いてきて復帰するという時点で、今度本土並みにということがいわれているときに県民の中からいろいろな要求が出てくるだろうし、それにもこたえてやらなければならない。また、こたえてやることがまさに本土政府の復帰対策としての責任だろうと思うのです。そういう意味からいえば、やはり琉球政府の財政困難の問題というのはほっとくわけにはいかない問題だと思うのです。先ほど長官は、本土の予算もできたばかりなんだし、だから、そっちでとにかく組んで、あと問題が出てきたらというような三段がまえの回答のようだったのですけれども、やはり組んだばかりだといったって、予備費もあることだし、ちゃんとそういうような措置をとっておやりになる必要があるのじゃないか。というのは、この琉球新報なんか見てみましても、現地の特に野党――といっても、本土に来れば与党に当たる自民党の諸君が、この琉球政府の財政困難を理由にして退陣せよというようなことで攻め道具にしておる。私は、長官がおそらくそれと呼応していじめておるとは考えない。私は考えないですよ。だから、そうだとすれば、当然むしろそれは違うんだよと言って長官が出ていってこのピンチを乗り切ってやらなければならぬ筋合いのものだと思うのです。だから、そういう意味からいっても、やはり先ほど言われた長官の答弁で、とにかく組んでみいというようなことで組まれたというこの新聞のあれを見ますと、ほんとうに骨格的なものですか、人件費、運営費、事業費というような形で組んで、あとは債務負担行為として支出さるべき約三百万ドル、生活保護の超過百万ドル、教員給与補助の超過金というようなものは計上されないというような形だと、つまり骨格だけしか組んでないというふうな形になっているのですね。だから、そういうふうな形で組ませてやれるだけ詰めてやってみろじゃなくて、やはりここは政府のほうとして予備費なり何なり出すなりして補ってやるということが筋なんじゃないか。つまり、何といいますか、中身のある対策といいますかね、そういうものをやる必要があるんじゃないか。その点で政府として何とかならぬのか、そう私は思うのです。この前のときも私そう思ったのです。私現地へ行っていろいろ説明を聞いてきて、いろいろ問題がある、言い分もある。国政事務をやっているとか、アメリカの援助が減らされてくるとか、いろいろな言い分もある。そういう意味で、本土の政府として最大限にやはりめんどう見なければならぬし、見るのが歴史的な経過からいっても当然なんじゃないかというふうに思っておったのだけれども、今度また同じような問題が出てきて、同じような結末で処理されていこうというようなことになると、これは非常に冷たい仕打ちじゃないかと思うのですけれども、その辺、何とか長官の考え方、前進できませんかね。
#82
○国務大臣(山中貞則君) これは予算の中身の問題で、非常にこまかい詰めをしてみませんと、ただ概念的に冷たいという、あるいは要請はあたたかいというような考え方でもなかなかいかない問題があると思うのです。たとえば人事院勧告の実施を五月にずらしている。私どもは人事院勧告の実施はむしろ十二月にやはり勧告どおりおやりになるべきじゃないかと思うのです。しかし、それは琉球政府の判断でございますが、一方においては財源としてそれに匹敵する、むしろ多いぐらいの、団交の結果、本土よりも上回る期末手当というものを歳出のぜひとも必要な金額として立てておるわけです。これはしかし琉政の官公労との団交の結果約束されたことでありましょうから、琉球政府が判断しておやりになると言えばしかたのないことでありますけれども、しかし、その金額を本土政府に見ろと言われても、本土の公務員以上のものを琉球政府に実行してもらうためにいま予備費を出せと言われても、その点は、冷たいのじゃなくて、筋の問題でちょっとのみにくい、ひっかかるという感じがするものでございます。したがって、私どもがそれを断わったとかなんとかということではございませんので、お互いに考え方というものを披瀝し合って歳入歳出の各項目についてこまかに分析していった。したがって、別れるときには、琉球政府側も相当曇り後晴れという感じで、何とか組めるのじゃなかろうかという、そういう感じでお帰りになったように私は思います。
 なお、いま新聞のお話がありましたが、私の知り得ている範囲では、まだ立法院に琉球政府が予算を提出したということは聞いておりませんので、あるいはその「準備中」が記事になったのかもしれませんが、そう窮屈な予算を組むはずはないと私は思っております。ということは、要請された不足分が十五億でありますから、その十五億分というものが減ったことによって歳入で穴があいた――琉球政府の思惑からすればですね――それによって組まれた予算はさんざんな予算であるという実は金額でないわけです。そういう意味において、最終的にどういう予算案を提出されますかそれは見なければわかりませんが、そうひどい――山中、おまえは冷酷じゃとおっしゃいますが、そういうことはないと私は思っております。
#83
○春日正一君 その問題では本土からの出す金はふやしたと言っていますけれどもね、やはり現地の新聞なりそういうものを見ても、言い分を聞いてみても、やはりこっちから援助するものに対する対応費とかそれに類するものというふうなものがずっとふえていっておるというために、予算を組んでいくのが困難になる。いわゆる独自的な財源がない。いま言ったように、公務員給与が本土より幾らか高い。そんなものは自主財源で出せばいいじゃないかと言うけれども、それが出せないところにむしろ問題がある、そのくらいのこともできぬところに。だから、そういう意味でいえば、たとえばこの借り入れ金の元利支払いの増というものが四百万ドル――十四億幾らかあるのだけれども、これもやはり復帰対策費の裏負担の消化が大きな原因というふうにいわれているのですね。だから、金出してやったから、出してやったからと言って、金出してやったから予算を組むのが楽になるのではなくて、やはりそういうもので固定化されていってしまうものだから、自由に使える分が少なくなって予算が組めなくなるという事情があるのじゃないか。そうすると、そこのところを緩和してやるといった考え方が伴っていかないと、幾らあったかく考えてもやはりつじつまが合わなくなるんじゃないか。そこらの辺、どうなんですか。
#84
○国務大臣(山中貞則君) 対応費の増加というのは三百十三万一千ドルというふうに一応実はなっておりますが、この中には下地の起債の邦貨換算六億円というものが入っておりますし、実際はそれに起債や今回新しく自主財源を見ました五十五億ドル等によってカバーもされておりますし、いわゆる借り入れ金の償還四百二十六万九千ドル、これもやはりその金額の中には完全に入るわけでございますから、その点は琉政との間に話をいたしましたときも、対応費の圧迫というものによって予算が組めないという言い方はしていないということで、これは両者の意見が一致をして、別段、そこに対応費がふえたためにそれで予算が組めなくなったのだということを言っているわけじゃないということで、そう意見の対立は初めからございません。いまの借り入れ金の増加についても、財源的には消化できる金額でありますが、これは先ほど来申し上げております累積赤字というものの処理を復帰時点でどうするかという問題と実は関連してまいりますので、ここらのところは、じゃあそういう償還の元利というものを一応予算で見ておいてくださいというような話はしております。
#85
○春日正一君 この点は、私も時間ありませんから、きょうは打ち切っておいて、またあとの機会にもう少し時間を取って議論さしてもらいたいと思います。
#86
○委員長(米田正文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(米田正文君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#88
○委員長(米田正文君) 速記を始めて。
 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 沖縄地域における産業の振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付に関する特別措置法の一部を改正する法律案
 を問題に共します。本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#89
○委員長(米田正文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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