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1970/03/12 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第4号
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1970/03/12 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第4号

#1
第065回国会 公害対策特別委員会 第4号
昭和四十六年三月十二日(金曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十八日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     小平 芳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
               久次米健太郎君
                長屋  茂君
                内田 善利君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                矢野  登君
                大矢  正君
                小平 芳平君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   政府委員
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曾根田郁夫君
       農林大臣官房技
       術審議官     加賀山國雄君
       農林省農政局長  中野 和仁君
       食糧庁次長    内村 良英君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        山本 宜正君
       労働省労働基準
       局補償課長    松尾 弘一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害対策樹立に関する調査
 (公害対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十八日、峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(占部秀男君) 公害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○内田善利君 私は、先日の質問にさらに追加いたしまして質問してまいりたいと思いますが、その前に、先日の委員会でお願いしておりました、お尋ねしておりました件について、まずお尋ねしたいと思います。
 厚生省の曾根田部長にお願いしておりました山田喜平次さんが四十五年、昨年、長いことじん臓障害で休んでいて亡くなっておりますが、これは御夫婦――うわさでは骨がくずれて非常に苦しんで死んだということを聞いておるわけですが、この方は、厚生省が、要観察地域になってから健康診断を一次、二次とやってきたその中に入っているかどうか、この間お聞きしたわけですが、この件について、まずお聞かせ願いたいと思います。
#5
○政府委員(曾根田郁夫君) その件につきまして、まだ調べが済んでおりませんので、なるべく急いで調査の上、御返事いたします。
#6
○内田善利君 先日からもう一月立っているわけですね。先月の委員会から一月たっているわけです。このことを中心にして私は質問をしていきたいと、このように思っておったんですけれども……。
 それでは、これは早急にお願いしたいと思います。
#7
○須藤五郎君 委員長、ちょっと関連で……。
#8
○委員長(占部秀男君) ちょっと待ってください。
#9
○内田善利君 このイタイイタイ病並びにカドミウム中毒症の早期鑑別診断、これが非常に今日重要なことではないかと、このように私は思うわけですが、この間の安中における全国の要観察地域六地域の健康診断の結果はカドミウム中毒症患者もいなかったと、こういう報告ですね。そうしますと、どうもふに落ちない点があるんですが、まず安中における全国要観察地域六地区の中にはカドミウム中毒症と言える人がいなかったかどうか、この点お伺いしたいと思います。
#10
○政府委員(橋本龍太郎君) いま正確を期しますために、三月七日に行なわれました鑑別診断班のその報告そのままを読み上げさしていただきたいと思います。前文の部分は省略いたしまして、「一 群馬県碓氷川、柳瀬川流域については、昭和四十五年度検診の第三次検診受診者三十六名の成績を検討し、二十三名については、追加検査を、また二名については、再検査を行なったうえ判定を行なうこととした。四十四年度までの検診で経過観察を要すると判定されていた三十四名のうち二十五名の検査成績を検討し、十名については追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 二 長崎県佐須川、椎根川流域については、四十五年度検診の第二次検診受診者三十八名の成績を検討し、十一名については追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 四十四年度までの検診で経過観察を要すると判定されていた五名のうち四名の検査成績を検討し、三名については追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 三 大分県奥岳川流域については、四十五年度検診の第三次検診受診者十五名の成績を検討し、四名については追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。また四十四年度までの検診で経過観察を要すると判定されていた二十二名の成績を検討した結果、四名については追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 四 福岡県大牟田地域については、四十五年度検診の第二次検診受診者十三名の成績を検討し、十三名のすべてについて追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 五 福島県磐梯地域については、四十五年度の検診で経過観察を要すると判定されていた二名の成績を検討し、いずれについてもさらに追加検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 六 富山県黒部地域については、四十五年度の検診で経過観察を要すると判定されていた三十三名および保留となっていた二名、合計三十五名のうち三十四名の成績を検討し、これらについては、さらに継続して検査を行なったうえ判定を行なうこととした。
 七 次回は以上の追加検査等を実施した結果および四十五年度の残りの検診(群馬県の指曲り検診を含む)の結果が明らかになるのを待って研究班会議を開き検討することとする。」
 以上の報告を受理しております。
#11
○内田善利君 その結論としては何も出ていないわけですね。
#12
○政府委員(橋本龍太郎君) この前文に当たる部分がその結論であると思いますが、「カドミウム環境汚染観察地域における住民検診の成績を検討した結果、イタイイタイ病に見られる骨所見を呈した症例および慢性カドミウム中毒による骨障害を有すると断定しうる症例は発見されなかったが、追加検査として必要なものについては、尿蛋白分画を統一した電気泳動法を用いて判定することとした。」、このようにしるされております。
#13
○内田善利君 この間の曾根田部長の御答弁では、そのカドミウム中毒の初期の診断基準、鑑別診断基準ですね、としては現在までのところは、尿中のカドミウムが三〇マイクログラム以上あるいはたん白質がプラス以上、この二つが一応基準とされておる、こういうことでございますが、対馬のこの結局合計十四名になると思いますが、この十四名は尿中のカドミウムが三〇マイクログラム以上、それから尿たん白がプラス以上でなかったのかどうか。
#14
○政府委員(曾根田郁夫君) その前にお断わりをいたしたいのでありますが、カドミウム中毒の早期鑑別診断基準というのは、尿中のカドミウム濃度あるいは尿中たん白、そういうことであるということを申し上げましたですが、その際に尿のたん白がプラスであるかあるいは尿中カドミウム濃度が三〇マイクログラム以上であるかというのは、中毒そのものの基準ではございませんで、現在鑑別診断班が全国の要観察地域においていろいろ検診の方法を示しておるのでありますけれども、その際に第二次検診つまり精密検診にこういう程度以上のものは精密検診を行なう、その精密検診の基準として、スクリーニングの基準として示しているのが先ほど申し上げましたたん白がプラスであるかあるいは尿中のカドミウム濃度が三〇マイクログラム以上であるかということでございます。
 なお、御指摘の十四名の個々の具体的な数字につきましては後ほど調べまして資料として差しあげたいと思います。
#15
○内田善利君 それでは確認しますが、尿中のカドミウムが三〇マイクログラム以上、たん白がプラスということは、精密検査をするための基準ですね。このことは、これ以上であった者が慢性カドミウム中毒症状であると断定することにはならないのですね。
 それでは九州の農政局が大分、長崎両県にわたって昨年から三カ年計画でこのカドミウム汚染地区の稲のカドミウムの調査をしているわけですが、この結果について農林省のほうでは御存じでしょうか。
#16
○政府委員(加賀山國雄君) お答えいたしますが、ただいまの調査の内容がどういうお答えをしたらいいかどうかちょっと判断しかねるわけでございますが、県農政局を中心に調査をいたしております資料は二つございます。一つは、鉱山あるいは製錬所を中心といたします排水に起因いたしますカドミウム汚染、それに対する調査。それからもう一つは、全国的に地力保全という立場から、地力保全の中で障害性物質というのをわれわれは考えておりまして、その中で今日の重金属関係の汚染がどうなっておるかという二種類の調査をいたしておりますが、当面われわれが調査を早く取りまとめて公にいたしたいと思っておるほうはその水質関係のほうの調査でございまして、これは全国で四十三、鉱山、製錬所をやっておりますけれども、大体その中の二十三というものにつきまして重点的に調査いたしておりまして、それが三月一ぱいごろにはその結果が出ると、かように考えております。
#17
○内田善利君 私の知ったところでは、厳原産米からカドミウムもですけれども、鉛が工場近くで最高一〇PPMが検出されておる。それから亜鉛は当然これも多いわけですが、最高一〇〇PPMというような亜鉛がこの厳原産米から検出されておるということですが、亜鉛もですが、鉛が一〇PPMになりますと非常に危険ではないかと、このように思うのですけれども、亜鉛もこれは一〇〇PPMですか、一〇PPM以上はもう要注意ではないかとこのように聞いておりますが、厳原産米から鉛がこのように多数検出されておるということについてどのように検討されているのか、また厚生省はどう考えられるかお聞きしたいと思います。
#18
○政府委員(加賀山國雄君) ただいまお尋ねの件でございますが、大体重金属と申しますのはまざって出てまいりますので、カドミウム等は特に亜鉛と複合して出てくる場合が多いのでございますが、また場合によっては鉛と複合して出てくるという場合もございます。しかし、現在の調査の結果が十分集計されておりませんので、私どものほうには厳原において鉛があったという、そういう報告はまだ受けておりません。
#19
○政府委員(橋本龍太郎君) 農林省のほうからただいまの御指摘になりました地域の農産物における鉛の数字等、私は全然報告を実は受けておりませんので、いま初めて聞くわけでありまして、その点たいへん恐縮でありますが、私どもとしてまだ検討を加えておりません。
#20
○内田善利君 一般論として鉛があるいは亜鉛がこのように多いわけですけれども、土壌汚染防止法では、政令ではカドミウムだけということなんですが、これは早急にカドミウムに鉛、亜鉛を、あるいは砒素まで加えるべきじゃないか。事実、現実にこのようにして鉛が出ておる、非常に要注意のデータじゃないかと思うのですが、早急に政府としてもカドミウムだけでなくて鉛、亜鉛、砒素あたりまでは、あるいは農薬から出る水銀等も入れるべきじゃないかと、このように思うわけですが、この点検討していただいて、政令が出るまでに出すことを大臣がいらっしゃいませんけれども、この点どのように次官は考えられますか。
#21
○政府委員(橋本龍太郎君) 土壌汚染防止法そのものは私どもの所管でございませんから、これは完全な私見でありますけれども、従来微量重金属の中でカドミウムだけが非常にクローズアップされましたために、他の微量重金属についてあまり、ただいま御指摘のような意味での検討を加えておりません点は確かに今後における一つの問題点だと思います。ただ、その場合に、私ども、自分の省の所管外の法律でありますから、その政令策定の時点で取り入れる取り入れないということを申し上げる立場にございませんけれども、当然農林省としても各種微量重金属について検討を加えていかれるでありましょうし、科学的に一定の結論を見出したものは追加指定をしていかれることも当然行なわれるだろうと考えております。ただいかんせん、私どもの所管外のものでありますから、確たる御答弁を申し上げられない点はお許し願いたいと思います。
#22
○政府委員(中野和仁君) ただいまのカドミウム以外の特定有害物質の取り扱いでございますが、この前の国会のときにもいろいろ御論議がございまして、当面われわれといたしましては、緊急に問題になっておりますカドミウムは、法律施行と同時にもう指定をしたいということを申し上げました。それ以外の銅、亜鉛あるいは鉛、砒素というのもございます。その中で銅、亜鉛につきましては、これは人の健康をそこなうと申しますよりも、むしろ作物の生育障害になる面が非常に強うございます。そういう面でいませっかく検討を進めております。それから鉛、砒素につきましても、人の健康に関係があるということを伺っておりますので、こういう点につきまして、厚生省ともいろいろ御相談申し上げた上で、データを集積されたところで指定したい、こういうことでございまして、われわれは五月に法律の施行をいたしまして、まず土壌汚染防止の審議会を開きまして、それへ御諮問申し上げ、それによって政令によります地域指定をやりますのは六月の中旬ころになると考えております。そのときにはまずカドミウムをやりたい、それからあとのものにつきましては、できるだけ早くいろんなデータを集めた上で追加指定をやりたいと考えております。
#23
○内田善利君 鉛は食品衛生法では大体ナツミカンの皮とか、ナシとか、こういったものでは十四種類ぐらい、大体一PPMないし五PPM以上のものは売ったり加工したりしてはいけないと、こうなっておるわけですね。米の場合も最高一OPPMも検出されておるわけですが、これは対馬に限らず、大分の奥嶽川流域の場合も非常に多いし、こういった重金属に対しては早急に手を打つべきではないかと、このように思うわけですが、大臣もおられないようですし、きょうは結論が得られないと思いますが、食品衛生法でもこの鉛というのは規制があるわけですから、ひとつこの点よろしくお願いしたいと思います。
 それから、この間私たちの党で対馬のカドミウムの汚染米がたくさん出たようなところの便槽中のカドミウムを分析したわけですけれども、この便槽中のカドミウムが非常に多いわけですね。たとえば〇・四三マイクログラム・パーリッター、一リットル中に〇・四三ミリグラムのカドミウムが含まれておる。普通一般家庭の便槽中のカドミウムは一リッター中に〇・〇二ないし〇・〇三ミリグラムが普通の一般家庭の便槽中のカドミウムだそうですが、〇・四三マイクログラム・パーリッターというのは二十倍ぐらい多いわけですね。もちろん、したがいまして、亜鉛もほかの場合に比べまして多いし、鉛も多いし、またそこで使っている井戸水、これは例の会社が二十センチぐらいのコンクリートでふたをしている井戸です。樫根部落に行ってみますと、昔使っていた井戸が全部コンクリートでふたしてあるわけです、使わないように。そういう事実御存じと思いますけれども、そういった井戸をもう一回やってみたわけです。そうしたらやはり〇・一五PPM、変わらない値が出ているわけですね。PHが五・三五と非常に酸性も強い。ところが、地下水ですから、このように高い値になっているのかもしれませんが、酸性になっているから、したがってカドミウムもいま〇・一五PPM、こういうデータが出ているわけですが、便槽中のカドミウムがこのように多いということはどのように判断していいのか私たちにはわかりませんが、厚生省ではどうお考えになりますか。
#24
○説明員(山本宜正君) お答えいたします。カドミウムの毒性の問題を考える場合には、人体に吸収されることが一番問題点だといわれております。しかし、その吸収率につきましては、いま学説的に二、三の説がございますが、便槽中に多いということは、おそらく、その地域の人が食べているものに汚染が高いということは考えられる。それが消化管を素通りいたしまして便槽中に入るということだと思います。屎尿の中に入るのだと思います。それによってどの程度の吸収をするかということは、これはまた次の問題でありまして、吸収をしないで屎尿の中に出るということは、それが即中毒への影響ということではなしに考えていいのではないか、そのように存じます。
#25
○内田善利君 あまりむずかしいことはよくわかりませんが、便槽中に多いということは全部出てしまってよかったのだ、そういうふうにも思われるわけですね。体内に残らないで全部糞尿になって出てきたということであれば一番いいわけですが、体内に残った量も多いし排出された分も多いということになればたいへんじゃないかと思うわけです。
 それから、この家はやはり保有米が非常にカドミウムの含有量が多い、こういうことで、食生活と非常に関係があるのじゃないか、このように思うわけですけれども、こういったことから考えまして、食生活の改善といいますか、そういったことも、こういった家には指導すべきではないか、このように思うわけですが、この点はどうですか。
#26
○説明員(山本宜正君) 私の説明が若干足りなかったかと思いますが、確かに屎尿の中に出るということ自身、食生活の食物の中、あるいは飲料水の中にカドミウムがあったということでございます。おっしゃるとおり、食生活についての改善を指導していかなければならぬと思います。その主眼となりますところがいままでの要観察地域についての指導の要点でございまして、その自家保有米を食べるという場合には、その自家保有米の中のカドミウムをはかり、また飲料水の中のカドミウム量をはかりまして、そういった汚染のないものにかえてやる、こういう形が従来もとられておる、こういうわけでございます。
#27
○内田善利君 この対馬はいつも申し上げますように、また御承知のとおり、非常に土壌が汚染されているわけですけれども、昔から鉱石の銀を主体にして取っていて、その残りは山のように積んである。それが流れてたんぼになったり、あるいは家の土台になっているわけですが、したがって、非常にカドミウムが多い、亜鉛も多い。それともう一つは、鉱石のボタといいますか、石炭でいえばボタですね、鉱石にならない貧鉱といいますか、そういったものがどんどん道路敷きに使われて、ずっと道路に敷かれておるわけですけれども、こういったものは分析はなされていないと思いますけれども、こういったものはどうなんでしょうか。あすこは非常に土壌が汚染されているわけですけれども、非常に危険じゃないかと思うのですけれども。
#28
○説明員(山本宜正君) 私のほうの、厚生省のほうのサイドとしてものを考えた場合には、その土壌の含有量の高いものから流れ出て、それによって飲料水、あるいは河川あるいはかんがい用水がよごれるというところが問題点でございます。それにつきましては、それぞれの利水の状況に従った調査をしてその汚染の度合いをはかる、こういうことになるわけでございます。
#29
○内田善利君 それでは元へ返りますが、その尿中のカドミウムが三〇マイクログラム以上で、尿たん白がプラス以上の場合に精密検診をするということですが、この対馬のあと追加調査をするという十四名ですね、十一名と三名、これはそのカドミウムが尿中に三〇マイクログラム以上あって、尿たん白がプラス以上であったから精密検査を、あるいは追加調査をされるわけですか。
#30
○説明員(山本宜正君) 精密検診に回します考え方といたしまして、尿たん白が陽性と、それから尿中のカドミウム量が三〇マイクロ・パーリッター以上という考え方でありますが、どちらかの、要件を備えていればそれを精密検診に回す、こういう形になっております。
#31
○内田善利君 この尿精密検診をされるわけですけれども、四十四年からずっと調査されているわけですが、いつごろこれはっきりした診断結果が出るもんでしょうか。
#32
○説明員(山本宜正君) 先般の鑑別診断の会議で、その後追加検査というのが、人数があるわけでございます。これは最終的にはカドミウム中毒症と申しますのは、たん白尿、たん白分子量の低い尿、たん白が尿中に出てくるというのが最終的な目安でございまして、たん白尿の診断のために新しい電気泳動法という検査方法を導入して正確を期していこう、こういう考え方でございまして、この結果を待ちまして最終判断をしたい、したがいまして、およそ前回の会議のときには、四月の末ごろまでにそれらの検査結果が各地ともわかってくるであろうからその時点で最終判定をしよう、こういうぐあいになっていると聞いております。
#33
○内田善利君 それでは今回の安中で追加といいますか、調査をしていかれるそれぞれの最終結論は四月になったら出る、こういうわけですね。
#34
○説明員(山本宜正君) 四月の末ということを私、申しました。
#35
○内田善利君 話が飛びますけれども、便槽中で初めてやったわけですけれども、体内に入ったカドミウムが何%体内に蓄積されて、何%くらい屎尿の中に出ているのか、その辺はわかっておりますか。
#36
○説明員(山本宜正君) 消化管からの吸収につきましては動物実験のデータがございますけれども、いろいろな学説、学者によっていろいろな説がございまして、数%程度でございます。しかし、それでは人体の場合のことがわかりませんので、その問題につきましては、現在二、三の研究者が吸収問題を研究している段階でございます。したがいまして、その数%、動物の腸管における数%の吸収、それがどのような割合で蓄積するかということにつきましては現在不明でございます。
#37
○内田善利君 汚染米の〇・四pPMという判定基準ですね、それが〇・〇九PPMに決定されたわけですが、その〇・〇九PPM決定の基準になるのが、この一日の尿の排泄量、これが基準になったように聞いておりますが、そういったことはありますか。
#38
○説明員(山本宜正君) 食品の安全性の問題で検討いたしましたときには、私、たしか吸収率を二%というぐあいに計算して、あの答えが出たように記憶しております。
#39
○内田善利君 大体吸収率、あるいは排泄量がわかれば、便槽中の屎尿の濃度がわかりますですね。その人の食生活、当然のことながら健康状態もわかるのじゃないか、そのように思うわけですけれども、便槽中のカドミウムは、私の聞くところによりますと、一リッター中に二〇マイクログラム、〇・〇二ミリグラム、これが普通だということですが、この点はどうでしょう。
#40
○説明員(山本宜正君) 便槽の中のカドミウム量の割合を調べるということにつきましては、二つほどの問題点があろうかと思います。一つは、便槽の中に何人の人の屎尿が入っているか、その中で個別に屎尿を取ればある程度の意味があろうかと思います。共同に使っている家庭の屎尿ですと、なかなかわからないし、これから水洗便所というような衛生的な方向に向かうので、むしろむずかしい方法ではないかと思いますし、いま一点非常に重要なことでございますが、素通りして出ていくものをはかるということは、その人の吸収の度合いに比べますと非常に重要性は低いわけでございますが、あくまでも吸収された結果、尿中に出てくるということでございますので、尿の中の濃度をはかっていくというのは、やはり人体内の蓄積を推定する上での重要な要素かと思います。したがいまして、これは専門家に聞いてみなければわかりませんですけれども、私のいままでの医学的な常識からいたしますと、屎尿中のものをはかるということは、あまりにも間接的過ぎるのじゃないか、こういう感じがいたします。
#41
○内田善利君 一応の基準として、やはりどれくらいという基準をきめるべきじゃないかと思うのですが、きまりませんか。
#42
○説明員(山本宜正君) いま一つの判断の要件になろうかと思いますのは、たとえば土壌汚染あるいは水質中のカドミウムをはかるように、その地域の汚染があるという材料にはなろうと思いますが、その屎尿の中に含まれておりますカドミウムの濃度をはかることによって、それが直接その屎尿をする人たちへの影響を見る資料としては不十分なものではないだろうか、かように考えます。
#43
○内田善利君 非常にくさい話で申しわけありませんが、対馬の場合は最近非常に一・〇PPM以上の汚染米がたくさん出てきたわけですけれども、これを会社に買い上げさしているということですけれども、この一つ一つのチェックのしかたですね、どういうふうになさるのか、この点お聞きいたします。
#44
○政府委員(加賀山國雄君) 玄米の中に入っておりますカドミウムの含量を調べるというのは、私ども農林省のほうは担当いたしておりませんので、県の衛生試験場あるいは農業試験場のほうに依頼をいたしまして調査をしていただける、そういうわけでございますので、県のほうとそれから企業のほうあるいは現場厳原のほうとの連絡をおとりいただきまして、その三者でもってチェックをしていただく、そういうふうに考えております。
#45
○内田善利君 サンプリングして農家の保有米の俵の中からとってやって一・〇以上あったと、そこまではいいわけですけれども、そのあとその農家全体が一・〇以上にするのか、その辺が非常に農家にとってはたいへんなことだと思うんですね。その点の具体的な指導、この辺はどのようにしておられるか。
#46
○政府委員(加賀山國雄君) 御承知のように、末端には食糧事務所の出先といたしまして食糧検査員がおるわけでございますが、具体的にはそのサンプリングいたしますには食糧事務所のほうがいろいろと技術的な指導をいたしますし、それで、ただサンプリングをするサンプリングのしかたというものは、いろいろ問題があろうと思います。まあ一枚のたんぼの中でも、非常に汚染されているところとそうでないところとあるわけでございますが、大体われわれの考え方といたしましては、圃場別にまとめてやるという方法がいいかと思っておりますが、食糧全体、米全体を扱うという場合になりますと、毎個検査というわけにもいかないものでございますから、あるいはかなりの程度まとめまして、その中からサンプリングいたしまして、それが一PPM以上だということであればさらに詳しく調べる、そういうような方法をとらざるを得ない。一俵一俵毎個検査をいたすということは、なかなか技術的にも不可能なことでございますので、かなりその点は指導としてもむずかしいわけでございますが、ただいま申し上げましたような方法でやっておるわけでございます。
#47
○内田善利君 大牟田では、少ないので一俵一俵やったと聞いておりますが、対馬はそういうことはできませんか。
#48
○政府委員(加賀山國雄君) 私ども現地におきまして食糧検査員が毎個検査をやっておるかどうかということについては、はっきりした材料を持っておりませんけれども、理想的には毎個検査だと思いますけれども、その俵数が多いという場合になりますと、なかなか人手の問題等ありまして毎個検査ができない。そういうことになりますと、ある程度まとめてやるというふうにならざるを得ないわけでございます。長崎がどのようにやっておりますか、私どもはっきりしておりませんが、調べまして御報告いたしたいと思います。
#49
○内田善利君 これで質問終わりますが、やはり農家の不安ということを考えれば、まあ一・〇以上の米は国で買い上げてもらえないということで、非常に不安なわけですけれども、できる限り一個一個調査をして、納得させた上で買い上げるなりしていただきたいと、このように要望しまして、私の質問を終わります。
#50
○小平芳平君 何か厚生省の答弁を聞いていると、きわめてカドミウムというものに対する、あるいはイタイイタイ病というものに対する見解というか、姿勢というものに対して、私は大きな不安あるいは疑問を持つわけです。でいま具体的な一つの例をテーマとして、問題に対する質問を行ないたいと思いますが、その一つとして、長野の松代の日本電解工業という会社に関する公害を、厚生省と通産省はどのように把握しておられるか、最初に御答弁願いたい。
#51
○政府委員(橋本龍太郎君) 長野市松代のカドミウムの汚染につきましては、信州大学の医学部及び長野県医師会等による調査班を編成しまして、三月の九日、十日の二日間にわたって工場の元従業員及び周辺の住民約七十名の第一次検診を行なった直後であります。また工場周辺の土壌、杉の葉っぱのカドミウム含有量の調査をいま実施中であります。県もこれらの調査結果によってさらに必要な調査対策を進めるということにしております。私どもとしては、これらの調査及び対策が十分実施されるように県を指導してまいりたいと考えております。
#52
○政府委員(莊清君) 日本電解工業は、最近社長がおなくなりになって、その後会社としては解散をしたようでございますが、ここは炭酸カドミウムという特殊な金属化合物をつくっております。原料はカドミウムでございますが、炭炭カドミウムというのは光学ガラスの光の屈折率を高くするための助剤でございまして、カメラのレンズだとか、あるいはめがねのレンズ等に使用されておる物質でございます。他にもメーカーございますけれども、ここが相当大きなメーカーであったということでございますが、現在は解散し、従業員も全部解雇になっておる、かように承知しております。
#53
○小平芳平君 橋本次官お聞き願いたいのですが、いま公害調査をやっていること、住民検診をやっていることは私も承知しておりますが、問題の第一点は、県の衛生部、それから労働基準監督署は、ともに工場環境は合格点だと発表しているのです、わざわざ。そうして直接には私が二月二十日に県庁へ行って、それから動き出しているのです。それまでというものは、県の公害課が調査に行ったけれども、公害はないと報告をしている。あるいはまた、労働基準監督署も工場環境は合格で、基準の十分の一だと、こういうふうに発表をしているのです。また、会社側も断じて公害はないと、こういうふうに言っているのです。けれども実際問題、周囲のたんぼからは米がほとんどとれない、あるいは畑からは大根も菜っぱも全然この数年とれない。あるいは木がたくさん枯れている。あるいはすでに健康被害者が出ているという、実際に指が曲がって痛がっている人がいるわけです。ですからそういう公害に取り組む姿勢が、非常に問題がある、このように思いますが、いかがですか。
#54
○政府委員(橋本龍太郎君) 長野県衛生部また労働基準局いずれも私どもの所管の場所ではございませんので、これに対しての態度云々が適正であったかどうかについての評価は私は差し控えたいと思います。ただ新聞等で、小平先生が現地においでになりましたこと、また現在指曲がりの症状を訴えておる方を伴って長野県庁へおいでになったこと、それは存じております。そうして私どもとしてこの九、十の調査の実施を行なっているわけでありまして、この調査結果を見て私どもとしての仕事をいたしたいと考えておる次第でございます。
#55
○小平芳平君 それは基準監督署が厚生次官の権限内とは私も思っておりませんが、ただ私は政府の姿勢を言っているわけです。そうして住民の検診にあたっても、病気で退職した元従業員がリストから漏れておるというような事実も長野市議会で公明党が指摘しているような現状なんですね。ですからそういう点、またすでにもう指曲がりはカドミウムに関係ない、関係は薄いという見方というようなことも発表されている。そういうようなことでは、住民の不安は依然として大きくなるばかりではないかということを申し上げたいのです。で、第一、いま尿中カドミウムということを再三答弁されておられますが、尿中カドミウムがなくても、われわれしろうとが見ても明らかにわかる。骨がもう脱灰している。あるいはこちらのほうは背骨の一本がぺしゃんこになっている。しかもこの方は飯島勝義さんという、なくなった方ですけれども、この方はこのカルテにはカドミウムもたん白も出ていない。けれども、こういうような骨の異常を訴えてなくなっていった。そういう点も、ただ心配ない心配ないじゃ、こっちは心配でならないわけです。そうしてこのレントゲン写真とそれからこのカルテを持っていきまして、どうせ次官も部長も医者じゃないから、しろうとだからというふうに答弁されるにきまっているので、それで私たちは、あらかじめ富山県萩野病院の萩野博士とそれから東京九段坂病院の吉川博士、このお二人からこれに対する見解をお尋ねしてきたわけです。そうすると、このお二人とも同じようにおっしゃる趣旨は、このレントゲンだけでイタイイタイ病、カドミウムが原因ということはそれは断言できないというのが一点、それから尿たん白も糖も出ていないという状態でこういうような症状になっているということ、それから、しかしイタイイタイ病でないとは断定できない、急に心臓一が弱くなっているのもカドミウムの症状と似ている、このカルテとレントゲンからはそういうような見解を述べておられる。そういう点も政務次官はどういうふうに受け取りますか、これについて。
#56
○政府委員(橋本龍太郎君) まあ、萩野博士は私どものイタイイタイ病及びカドミウム中毒症の鑑別診断研究班の重要なメンバーの一人でありますが、私はそのレントゲンフィルムをごらんになり、またカルテをごらんになって述べられた見解というものについて、それは専門家の御見解として承りたいと存じます。ただ、指曲がり病そのものについて何か非常に冷たいような感じを私どもがしておるように先生の御意見ちょっと感じられたのでありますけれども、先ほど内田先生への答弁の際、鑑別診断研究班の発表そのものを読み上げましたとおり、「次回は以上の追加検査等を実施した結果および四十五年度の残りの検診(群馬県の指曲り検診を含む)」ということを申し上げたとおりで、鑑別診断研究班の先生方自体も現在その研究を進めておられるさなかのことでございますから、これは私どもとして指曲がり病が別にカドミウムを原因とするものではないということを申し上げておるつもりでは決してございません。その辺は誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。また、いま九、十日の両日に行ないました検診の際に、元従業員の方で漏れておる方があるという御指摘がございました。そうした方はお教えを願いましたらば、私どもは追加の検診を行なっていくつもりは十分にございますから、私どもとして把握のできる限りの方法で検診をしてまいったつもりでありますが、あるいはそれは手落ちがあるかもしれません。そうした場合に、そうした方々を追加して検査をしていくことに私どもは決して何もその努力を怠るつもりはございません。氏名等をお教え願えましたらば、その手続はしてまいりたいと考えております。
#57
○小平芳平君 このいま申し上げる長野県松代市に住んでいらっしゃった飯島勝義さん、この方は日本電解工業の工場のすぐ隣に住んでおられたわけです。もうすでになくなっているわけです。したがって、その検診の対象には入らない。ただ、私がいまここで指摘している点は、この写真で明らかに第八の脊髄が解け出している、あるいは腰骨が解け出している、そういうような症状を残して、レントゲン写真を残してこの方はなくなった。そこで、この写真とカルテから判断すると、萩野博士及びこの吉川博士ともにそういう骨の問題の権威者でいらっしゃるので、こうした骨の問題の権威者の意見を尋ねたところ、一つにはこの写真だけで断定はできないと、しかし、尿たん白も糖も出てないという点、それでもこういうような骨が解けているというこれはなぜか。それはカドミウムに関係なく骨が解けるかもしれませんですよ。ですけれども、問題の起きているその工場の粉じんをそのまま受けていた隣の方がこういうふうに骨が解けてなくなったという事実、これに対して、ただ承るだけじゃなくて、健康を守る厚生省としてどんな手を打つか。
#58
○政府委員(橋本龍太郎君) 先ほど先生、そのなくなった方のお話の前に、何か生存しておられる方で漏れておる方があるようなお話でありましたので、私はそういう方ももちろん健康診断の対象につけ加えてまいりたいということを申し上げたわけです。ただ、なくなりました方について、いまさらどうしようもありません。先生のほうでも萩野博士並びに吉川博士にその残されたフィルム及びカルテ等の判断を仰がれたということであります。むしろ私どもとしてもそういう貴重なフィルムあるいはカルテ等今後の、それこそもしカドミウムが原因でありました場合、そうした事故者をなくしていくためにも、萩野先生一人ではなくて、鑑別診断研究班の方々にも資料として見せていただきたいと思いますし、研究の材料にもさせていただきたいと思います。ただ、先ほど先生おっしゃいました中に、生きておられる方でいま検査の中から漏れておる方があるようなお話がありましたので、先ほど私はその方をお名前をお教え願えればということを申し上げました。
#59
○小平芳平君 鑑別診断班の研究の対象として研究なさるという点は、それはひとつけっこうだと思います。
 それから、再三私が申し上げている先ほどの公害部長の答弁では、尿たん白とそれからカドミウムのことを言っていたんですが、しかし、そうしたカドミウムはもうはかりようがない。それこそもうすでになくなったのが四十四年六月ですから、まずまずカドミウムのはかりようはないと思うんです。ただ、こうした尿たん白が出てなくても、こういう骨が解けているという、これに対する考えを進めていただかないことには――要するに、尿たん白が出たり、出なかったりするが、しかし、一方で骨がこういうふうになった人もいるという、そういう点を私は重要視すべきだと、このように申し上げているんですが、いかがですか。
#60
○政府委員(橋本龍太郎君) 重要視をいたしますからこそ、そのカルテ等を拝借して鑑別診断班の先生方にも見ていただきたい。私どもは、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、専門家でございませんから、専門家に研究の資料として拝借を願いたいということを申し上げたわけであります。私どもは決して重要視をしないということを申し上げているわけではございません。
#61
○小平芳平君 鑑別診断班にと、すぐそういうふうに言われますけれども、この鑑別診断班の見解も、こうした新聞をごらんになっても非常に疑問を残すわけです。ただ、じん臓あるいは肝臓中のカドミウムが一九、五〇〇PPMの人がアメリカで発表されているんだからということの見解を述べておられますけれども、この一九、五〇〇PPMの分析ですね、どういう状態のだれを分析して、それで発表されているんですか、これは。
#62
○説明員(山本宜正君) ティプトンの発表しておりますデータにつきまして、私どものほうからその資料についての問い合わせをさっそくしていただきまして、その回答が近く来る予定になっております。そういたしますればはっきりすると思います。どういった死因であった人であるか、それによって判断できると思います。
#63
○小平芳平君 したがって、厚生省はまだ判断の対象にならない数字なんですか。
#64
○説明員(山本宜正君) 私どものほうで、七日の日に中村登子氏の遺体中のカドミウム検出問題について診断班が検討いたしましたが、その発表の内容をここで読ませていただきます。
 「本日、厚生省・群馬県・東邦亜鉛(株)安中製錬所嘱託医等から提出された資料に基づいて検討した結果は、次のとおりである。
 一、故人は、生前の二年間に数か所の医療機関で少なくとも七回の尿検査を受けているが、いずれも尿蛋白は証明されていない。慢性カドミウム中毒の初期症状の一つとされている腎障害は存在しなかったものと推測される。
 二、カドミウム吸入に基づく急性呼吸器症状を示す所見も得られていない。
 三、上記以外の所見については、資料不十分のため判断することは困難である。
 四、遺体諸臓器のカドミウム量については、死後長期間経過後の測定成績であり、現時点においては、評価の対象とすることはむずかしい。今後もひきつづき各種の資料を収集し、さらに検討を行なうこととする。」かように発表いたしまして、この班員の全体の見解といたしまして、死後経過した臓器からの測定でありますので比較することができない、こういう結論になっておるわけでございます。
#65
○小平芳平君 そういうことを尋ねているのじゃないのですよ。私が尋ねていることは、その見解は尿たん白のことを言っておりますけれども、カドミウム中毒というものが尿たん白に絶えずあらわれるものではないということを重視してほしいと言ったら、次官はそれはもう当然重視するからと、こうおっしゃっているわけでしょう。
 それからもう一つは、土屋班員という方の、鑑別診断班の中のこの方の談話の中において、その一九、五〇〇PPMというものを引き合いに出して談話を出していらっしゃる。ところが、厚生省の一九、五〇〇というその人はその引き合いの対象になり得ない人じゃないですか。厚生省がまだつかんでいないと言うのだから、引き合いの対象になり得ない人を引き合いの対象に出すこと自体おかしいじゃないですか。前回の社会労働委員会で私が尋ねたときも、アメリカの分析結果発表としまして、東洋人六十六検体の中で、じん臓からのカドミウム量は、最高が二〇、〇〇〇PPM、最低が八二〇PPM、平均が四、〇〇〇PPMということを答弁しているわけでしょう。そういうことを厚生省が答弁しているのですから、そういう一九、五〇〇PPMの人がいるのだからたいしたことでないみたいなそういう発表のしかたはおかしいじゃないですか。
#66
○説明員(山本宜正君) 私どもその発表の機会に立ち会ったわけでございますが、研究班としては、いま私が読み上げた範囲での発表をしておりました。土屋委員のそのような発言につきましては、その発表の時点ではなかったように記憶しております。
 それから先ほど申し上げました二〇、二〇〇PPMの人の死因につきましては、脳溢血で死んだということが報告されてきております。
#67
○小平芳平君 ですから、政務次官にお尋ねしていることは――もう一度申しますよ。前回の社会労働委員会で厚生省の公害課長さんはこう答弁したわけですよ。それは東洋人のじん臓からカドミウムを検出した。それは世界各国のをたくさんやっているわけですが、六十六検体の最高が二〇、〇〇〇PPM、最低が八二〇PPM、平均が四、〇〇〇PPM。こういうものがあるわけですよ、一つ。そうしてまた、土屋班員の談話として出されている一九、五〇〇PPMの人がアメリカで明らかに発表されているというのです。要するに、この一九、〇〇〇とか二〇、〇〇〇というものは最高のものであって、それが一九、〇〇〇の人もいるし二〇、〇〇〇の人もいるんだから、たいした数値じゃないような見解をもしとるとしたらそれは間違いでしょう。いかがですか。
#68
○説明員(山本宜正君) お答えいたします。おそらく土屋班員もその辺は十分間違いのないような御説明をされたと思いますが、私どもこの研究班の最終結論に到達した段階を傍聴しておりまして、シュレーダーあるいはティプトンなどのいろいろなデータがございますけれども、それらはいずれも死亡して間もない時期のじん臓の臓器を取り出しまして、その臓器内の重金属をはかっているわけでございます。しかし、この中村登子さんにつきましては、死後非常に長い時間を経過しております。死体を掘り起こしましたときに立ち会いました医師の記載の中にも、じん臓が萎縮しておるという記載がございます。したがいまして、御承知のように、PPMという数字は、生体なり臓器の全体の目方を分母といたしまして、その中に含まれている物質の量の比として出されたいわゆるパーセントと同じように、百万分の幾らという数字で出すわけでございます。したがいまして、従来の出されております死後間もないときのデータとの比較については比較しようがない。したがって、評価の対象とすることはむずかしいと、こういう御見解であるわけであります。また灰にいたしました場合、灰に対してのPPMというのがございまして、その、いまの二〇、〇〇〇PPMと二四、〇〇〇PPMというのは、その臓器を灰にいたしましたときの濃度でございますが、これにいたしましても、死後間もない時期、死後長期間たちました場合には臓器がいろいろな形で変化すればその中の成分にも変化がくることが想定されるので比較対象はできない、こういうぐあいな御見解であったように記憶しております。したがって、比較評価はむずかしいというお話でございました。おそらく土屋班員もそういったことは十分比較がむずかしいんだということを前提にされてお話をされておるんだろうと想像いたします。
#69
○小平芳平君 そういう尋ねてないことを言ったってだめじゃないですか。私は中村登子氏の分析結果をいい悪いと言っているんではないんです。それは学者と学者で論争していただかなければならないことであって、ただ灰にすれば、それが灰にして分析した数値ならば、どうしてそんなに変わるかというようなことは、それは菜っぱや野菜で考えてみても、生体のままのPPMと灰にしたときのPPMとはそれは違うのは当然ですよ、説明するまでもなく。ですから灰にして分析したものは私は正確だと思うのです。それに、そうでなければ野菜の場合なんか特にとりたてのものか、二、三日たって少し枯れてきたものかによってすでにPPMが変わってくるわけですからね。私がいま指摘していることは、そうして灰にして分析したカドミウムが、厚生省は最高が二〇、〇〇〇というものをアメリカの雑誌からとっていると言うし、新聞報道の中には一九、五〇〇という数字が出ていると言うし、いずれにしてもこれはわれわれしろうと考えですが、政務次官としては厚生省の発表だって最低が八二〇で平均が四、〇〇〇なんですから、これはアメリカの雑誌そのまま読み上げられただけですから、ですから一九、〇〇〇とか二〇、〇〇〇という数値は最高のものだと、それより高いものは現在世界では分析されたものはないと、そういうわけでしょう。
#70
○政府委員(橋本龍太郎君) 小平先生の御質問、私十分に把握できないかもしれませんが、ティプトンの報告によれば、確かに日本人の検体中二〇、〇〇〇PPMというものがあったということでありますし、シュレーダー報告によれば一九、五〇〇という数字が出されたと、いずれもこれは事実であります。同時に、定性分析及び定量分析の有数の専門家である小林教授が、中村さんを死後一年半を経過した時点において分析せられた結果が二二、四〇〇PPMという数字であったことも、当然これも事実でありましょう。しかし私は、それを土屋班員がどのような発表をしましたのか、実際その場におったわけではございませんし、いまその場におりました公害課長の話からいきますと、その場においてはそのような話は出ておらなかったようであります。むしろ死亡直後の数字と、死後一定期間を経過した遺体から検出された数字とをそのまま比較すること自体に私は無理があると思います。そうしてそれが、いずれの数字も、その数字としては正しいものでありましょうとも、置かれた条件そのものが違うわけでありますから、それを比較してそれが多い少ないという議論をすること自体が私は無理な話ではないかという気がいたします。そうして中村さんの場合に、私どもは、それこそ日本においてイタイイタイ病を一番最初に取り上げられ、今日まで研究を続けてきておられる萩野博士をはじめとして、権威といわれる方々を網羅した鑑別診断班において出された鑑別診断研究班の報告というものをそのままに受け取っております。それ以上今日の時点においてつけ加えて申し上げるべきことを別に持ちません。
#71
○小平芳平君 そういう比較研究をしろと言っているんじゃないんですよ。一九、五〇〇PPMというものと、それから二〇、〇〇〇PPMというものが、現在はわかっておる最高の数値だと、そうなんでしょう。それだけのことを私は尋ねているだけです。
#72
○政府委員(橋本龍太郎君) 先ほど先生は、それを土屋班員の話したこととして、それを比較すること自体――それが多いから、少ないからということを中村さんと比較することが云々というお話でありましたので、私は比較検討すること自体が問題じゃないかということを申し上げました。事実私どもの手にしております数値としては、ティプトン報告にあります二〇、〇〇〇PPMというものが最高値でありますし、シュレーダー報告の一九、五〇〇というのがその次であります。中村さんの小林教授の分析による今回の数値というものはその中では最高のものであります。
#73
○小平芳平君 松代の問題はこれで終わりますが、要するに松代の問題も、県の要するに内部では、上層部はともかく、上層部以外の人では、やはりわれわれの見たとおりだと、かねがねそういうおそれがあると言っていたのに県は動こうとしなかった。今回これをきっかけにこういうふうに県が動き出したことは、われわれのかねて言ったとおりだというふうに言っておる人もあるわけです。したがって、そういう点が、非常に県と企業の関係、それが問題なんです。
 もう一つ、これも新聞の報道ですが、イタイイタイ病裁判に対する三井金属の証拠研究に厚生省は百万円を出しているということを患者側が指摘しているという報道がありますが、これはいかがですか。
#74
○政府委員(曾根田郁夫君) 先日のある新聞に報ぜられましたただいまの記事につきまして、私どもは、明らかに事実と相違した個所がございますので、その旨社のほうに申し入れてございます。明らかに事実と相違した個所がございまして……。
#75
○小平芳平君 どこが……。
#76
○政府委員(曾根田郁夫君) 一つは研究費が昨年の九月の閣議決定による緊急公害対策費で云々とございますけれども、これにつきましては、この研究総点検の予算とは関係なしに、もともと四十五年度の公害の委託調査費の中から日本公衆衛生協会に支出されておるものでございます。それからその主任研究者である喜多村教授の研究中間報告が厚生省へ出されたとございますけれども、実は喜多村教授は水銀マグロ等で外遊しておりましたために、まだこの研究に着手しておりません。もともとこの研究は、先生も御承知のように、このカドミウムの人体の腸管吸収、従来動物実験のデータはございますけれども、一体人間のからだに腸等でどの程度吸収されるかという初めての試みを考えているものでございまして、相当長期の期間を要する見込みでございます。この裁判が近く結審されるということから考えても、もともとそういうものとは全く関係なしに、おそらく本年末か来年に入る研究結果が予想されますけれども、そういった点から考えましても、少なくとも厚生省がそのような企業側の立場に立った研究をしたものではないということはおわかりいただけると思います。
#77
○小平芳平君 そうすると、イタイイタイ病研究班とは全然別にやっておるわけですか、イタイイタイ病研究班ということを、盛んに何かというとすぐその研究班を出されますけれども、その研究班以外にもこういうような委託研究はどのぐらいやっておるんですか、イタイイタイ病あるいはカドミウムに関して。
#78
○政府委員(橋本龍太郎君) 微量重金属による環境汚染とその影響に関する調査研究という研究課題に基づいて財団法人日本公衆衛生協会石橋理事長、小林教授を主任研究者といたしまして委託研究を八月十二日に依頼して、総額二千万円の支出をいたしております。
#79
○小平芳平君 その中の一つですね。
#80
○政府委員(橋本龍太郎君) 喜多村教授に本年一月二十二日、八十五万円の研究費が交付されましたものもこの微量重金属による環境汚染とその影響に関する調査研究、主任研究者小林純氏、これはその総額二千万円の研究費の一部でございます。
#81
○小平芳平君 その問題については、私はまだちょっと不審がありますが、次にこの指曲がりは、先ほど次官は私に誤解のないようにと言ったわけですけれども、別に私は誤解しているつもりはないのですが、カドミウムにどの程度関係あるかですね。そして現実に、いま研究中研究中と言われるのですが、現実に痛がっているわけです、安中でも長野県松代でも。しかも長野県松代の場合なんか、絶対ない絶対ないと口をそろえて言っているのに、さがしていけば、もう三人出ているんです。ですから、その点もただ研究班におまかせしてあるという程度ですが、現実に、きょうもあしたも痛がって病院へ行って注射を打っている人がいるんですよ。いかがですか。
#82
○政府委員(曾根田郁夫君) 先ほどお答えいたしましたように、先回の鑑別診断班の会議には、安中地区の指曲がり病に関するデータが全部出そろっていませんでしたので、次回、つまり四月末日に予想される鑑別診断班の会議において安中地区の指曲がり病に関する検診結果についても検討いたすことになっております。私どもとしましては、その鑑別診断班の検討の結論に基づいて善処いたしたいと考えております。
#83
○内田善利君 関連で質問したいと思いますが、先ほどの安中の鑑別研究班の所見ですけれども、むずかしいことは学者におまかせすることになると思いますけれども、素朴な質問として、この結論が出る前に小林教授には相談があったかどうか。それからこの登子さんのいろいろな生前のカルテが基本になっているようですけれども、第一点は、じん障害がなかった、慢性カドミウム中毒の初期症状とされるじん障害がなかったということと、もう一つは、カドミウム吸入に基づく急性呼吸器症状を示す所見がなかったということがこの結論の二本の柱になっているようですけれども、これはカドミウムによる障害だということが前提になった健康診断ではないと思うんですね。だからそのカルテは、十二指腸かいようが目的の診断だと思うわけです。だから、カドミウムを吸入していたかどうかということは当時全然考えられなかった。そういう中で健康診断があったんじゃないかと、そういう目的なしの診断に基づいたカルテが基準になっているということがどうしても私たちしろうとには納得ができない。それからじん障害がなかったということですけれども、これもカドミウム中毒の初期症状があったかなかったかということは頭の中にないわけですから、そういうことでなされた健康診断、また、会社で年二回やっている健康診断は、私たちがいつも集団で健康診断を受けるときにはごく形式的な健康診断が行なわれるのが通常でございますが、これもカドミウム中毒症状があるかないかということを目的とした会社の健康診断ではなかったんじゃないかと、こういうことが基本になってこういう大事な結論がなされたということについてはどのようにお考えになっているのか。また、そういうことについて、どうして母親なりに、――登子さんの日記にもありますように、自分はカドミウム中毒ではないかというような歌もあるわけですけれども、その辺の病状を、症状を聞いた上でなぜなされなかったか、こういうことを素朴に考えるわけですが、この点いかがでしょう。
#84
○説明員(山本宜正君) 小林教授をお呼びして意見を聞かなかったか、こういうお尋ねでございますが、私ども、小林教授にお願いいたしまして、検出されましたカドミウムのことに関連いたしました質問を書状で出しているわけであります。その内容といたしましては、二月の六日付、私、公害課長名で、小林純教授にあててお手紙を差し上げてございます。ちょっと時間をちょうだいいたしまして読ませていただきます。
 「カドミウム公害問題につきましては、常々ご示唆をたまわり深く感謝いたしております。さて、先般、先生の手で分析されたと報道されました安中市中宿、故中村登子氏の遺体臓器中のカドミウム等重金属のデータについて、今後のカドミウム公害対策の資料として活用いたしたいので別紙様式にてご回答いただきたく、また、分析試料の残部がありましたら、研究用資料として、ご提供たまわりたく、ご多忙中恐縮に存じますが、折返しご返事いただきますようお願い致します。」ということで、次に、腎臓、肝臓、肺臓、胃、小腸、大腸、大腿骨、肋骨、胸骨というような各臓器ごとに、分析試料に用いた部分はどこの部分か。それから左右のかつまたどの部分であるか。臓器の損壊または腐敗の状況がどうであるか。さらに、生重量、乾燥重量、さらに灰の重量、カドミウム、亜鉛その他の重金属の定量値、灰分中の定量値等をお尋ねする表を差し上げたわけでございます。
 それに対しまして二月十三日付、小林純教授から私どものほうに御回答がございました。
 「二月六日付をもって御照会をいただきました分析データは別紙の通りですから御回答申し上げます。」ということで、私どもがお願いしました表よりも非常に簡略にされましたパーセンテージあるいはPPMというような比例数で出した数字での御回答をちょうだいしておりまして、実際に私どもの生の重量あるいは乾燥重量、灰の重量等がどのくらいであったかということがわかりますならば、ある程度いろいろな類推がつきますわけでございますが、そういったような御回答をちょうだいいたしましたので、さらに折り返し、それにつきまして念を入れておきますために、二月十六日付、公害課長名で再度小林純教授につきましてお願いをして照会をしたわけでございます。
 ちょっと読ませていただきますと、
 「標記の件については、当方よりの照会に対し、早速、ご回答いただき、厚くお礼申し上げます。
 ところで、ご回答に関して下記の点につき、確認させていただきたく、ご多忙中誠に恐縮に存じますが、折返しご返事たまわりますよう再度お願い致します。
 1、「試料は全部灰化して分析に使用した」とご回答にありますが、灰試料も残っていないのでしょうか。
 2、腎臓は右、肺臓は左の部分を分析試料とされたとご回答にありますが、左の腎臓、右の肺臓は残っていないのでしょうか。
 3、1及び2で、灰試料または臓器が残っている場合には、厚生省に研究試料として提供いただけるでしょうか。
 4、前回の照会の際、各臓器の生重量をお尋ねしたのについてご回答がありませんでしたが、生重量分の灰重量が計算されておりますので、当然各臓器の生産量が分っていることと存じます。よろしく、ご回答の程お願いいたします。」というようなお尋ねをしてあるわけでございますが、現在までのところ御回答がないわけでございまして、私ども、そういったようなことから、今後場合によりましては、小林教授にもさらにお尋ねをしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
 それから先ほどの中村登子さんの遺体の件でございますが、鑑別診断班といたしましては、じん臓障害は存在しなかったものと推定されるということの根拠につきましては、これはカドミウム鑑別診断の一方法として、尿中のたん白をはかる方法にスルフォサリチル酸法というのがございますが、これと同じ検査をしておりますのは七回でございましたので、それについての判定から得られた結果としてじん障害はなかったと推定される。それからレントゲン検査等をもとにいたしまして、カドミウム吸入に基づく急性の呼吸器症状を示す所見も得られなかったということでありますが、さらに先ほども読み上げましたように、上記以外の所見については資料不足のため判断することは困難であるということで、じん障害とカドミウム吸入急性呼吸器障害の否定を発表をしている、こういう内容でございます。
#85
○内田善利君 母親になぜ会わなかったか。だから、私が聞いているのはそんなむずかしい学者間のやりとりじゃなくて、そういう生前のカドミウム中毒患者であるかないかを目標にしていないカルテが、どういうわけで資料になるのか、こういうことなんです。ただ、スルフォ何とか法でやったら、そういうことであったということですけれども、やはりそういう目的をもって分析する場合と、ただそういう目的なしに分析する場合とでは私は違うんじゃないか、そのように思うわけです。そういった目的がカドミウム中毒を目標とした分析じゃなくて、十二指腸かいようであるということからやったカルテを基本にしてそういう判定を下すことはどうか。非常に素朴な質問で申しわけないんですけれども、この点はどうか、その点だけ私は聞いたわけです。
 それと母親に生前の症状を聞かなかったのか、大事な二つの質問に答えないで、長々と必要もない答弁であったと私は思うんですけれども、大事なその二点についてお聞かせ願いたい。
#86
○説明員(山本宜正君) この鑑別診断班が出しました結論の一つとしてのじん障害はなかったということでございますが、御指摘のとおり、カドミウム症状をねらっての諸検査がしていないということでありますけれども、その中で尿たん白についての検査方法は、カドミウム症を診断する場合と同じ方法をしております。その尿たん白についての結果からのみの判断としてじん障害が否定できるということであります。カドミウム症であろうが、そのほかであろうが、スルフォサリチル酸法でやっている検査につきましては同じ検査方法で、そういう意味での判断ができたということでありますし、呼吸器系統の症状についても、たとえそれが結核をねらおうが、何をねらおうが、レントゲンの診断としては、その中から結核並びに急性呼吸器症状というのは診断できるわけでございます。その二つについての結論としては否定できるということでありますが、そのほかのカドミウムをねらった診断方法はしておりませんので、そういう意味で資料不十分で判断ができない部分がある、こういう形になっておるわけでございます。
 それから母親をなぜ呼ばなかったかというおことばでございますが、あくまでも医学的診断は、母親を呼ぶということよりも、生前幾つかの医療機関で治療を受け、死ぬ直前までその医療機関に診断を受けておるわけでございまして、その医師からの資料をもとにして判断すれば医学的判断ができる、こういう見解で特にお尋ねをしなかったということだと存じます。
#87
○内田善利君 じゃ、カドミウム吸入による急性呼吸器症状を示す所見というのは、レントゲンによる所見ですね。それと母親を呼ぶということでなしに、やはり生前のカルテを中心にしてこれはなされておりますから、そういった症状についてやはり家族の所見を聞くことが必要じゃないか。これもまた素朴な私の質問なわけですが、この点はどうなんです。
#88
○説明員(山本宜正君) 呼吸器症状につきましては、もしこの方が死亡前の生前に医療機関にかかっていないということがございますれば、いろいろ家族等に様子を聞くということもなされただろうと思いますが、かなり高度な診断手順を経ている医療機関にかかっておりますので、それらをもとにして判断をした。また、レントゲン診断そのほか医者にかかっている場合、呼吸器系統の診察もしておりますので、それから判断をした、こういうことでございます。
#89
○内田善利君 もう一つ、さきの質問に返りますけれども、土屋先生は対馬について四十四年度の健康調査の結果なんですけれども、厚生省の見解としてイタイイタイ病特有の骨変化は認められなかったが、じん臓障害の疑いのある所見が数多く見られた、あとずっとこの間申し上げたとおりですが、じん臓障害が非常に数多く見られたと、私は対馬は非常にじん臓障害が多いということを聞いておりますし、こういったじん障害が多いということは初期慢性中毒症状と、こういうことなんですけれども、先ほど尿たん白が陽性、また尿中カドミウムが三〇マイクログラム以上、こういう人が十四人もおる、じん障害は非常に多いと、こういうことから、私たちしろうととして非常に危険じゃないかと、このように思うのですけれども、この点はどうなんでしょうか。
#90
○説明員(山本宜正君) たいへんくどいお話をするようになるかと思いましてたいへん恐縮でございますが、御承知のように、じん臓障害というのはいろいろな原因によって起こるわけでございます。そこで、カドミウムによって起こるじん臓障害はどういうものかというのは、過去における医学的な経験に基づきまして、じん臓の尿細管が障害を受けるということでございます。それによってたん白尿が出てくる。尿中に、本来ならばあまり出ないたん白が出てくるという一つの症状があるわけでございます。したがいまして、その尿中にたん白が出ているか出ていないかというのを、多数の住民健康診断の中で調べてみます。その結果、出ているという人につきましては、さらにその尿中のたん白がどんなような種類のたん白が出ているかということをねらってみるわけでありまして、アルブミンというような種類のたん白が多く出ているときには、いわゆるカドミウム症によるようなじん臓障害でない、ほかの原因のじん障害である。しかし、たん白分子量の低いたん白が尿中に出ているというのがカドミウム中毒症による特徴である、こういう筋道になっておるわけでございまして、そういったような筋道から、ただたん白が出ているということによってじん障害が多いということは言えますが、そのじん障害がカドミウムによるものかどうかということを追加検査をしている、こういう仕組みになっておるわけでございます。
#91
○内田善利君 もう一つ。先ほどのズルフォサリチル酸法ですね、これは群馬大の野見山先生によりますと、これでは検出はむずかしいと、こういうことですけれども、これは専門的なことで申しわけないですが、どうなんですか。
#92
○説明員(山本宜正君) 尿中のたん白の検査につきましてはいろいろの方法がございます。まず、熱を加えて、たん白というのは凝固いたしますので、調べる方法が一つございます。それからこのごろは、小さい濾紙に薬剤がついておりまして、それに小便をかけますと、その色の変化によりましてたん白あるいは糖を知る方法もございます。それから先ほど申しましたようなズルフォサリチル酸というある種の薬剤を加えまして凝固するたん白を見ていくという方法もありますし、あとは、トリクロール酢酸というようなやはり一種の酸を加えることによって見る方法があるわけでございます。そのトリクロール酢酸によって見る方法がよろしいか、ズルフォサリチル酸によって見る方法がよろしいかにつきましては、トリクロール酢酸のほうがよろしいという見解が野見山助教授の見解にあるわけでございますけれども、これにつきましては、非常に、薬剤の安定性等、検査技術上の問題がむずかしいので、ズルフォサリチル酸法でも回数を重ねてやればそのデータがトリクロール酢酸法とよく合ってくるということが、現段階の学問的な常識になっております。そういう意味で御理解いただきたいと思います。
#93
○小平芳平君 いま、公害課長の答弁を聞いていますと、ずいぶん――公害課長、お医者さんにがかったことがないですか。医学的判断は、それはカルテによって医学的判断をするのは一番大事なことでしょうけれども、お医者さんというのは、まず、どこが痛いか、どんなふうに痛むか、それを本人に聞くわけでしょう、診断する場合。それはまるっきり問題ないような答弁をしているけれども、そんなことは、ぼくはそんなお医者さんがいるとは考えられない。どこが痛いか、どんなふうに痛いか、そこから始めるのじゃないですか。――まあそれはそれでいいです。
 次に、労働省おられますか。この前の社会労働委員会で厚生大臣が労災適用すべきだと。どうも現地のほうの監督署が――書類を労働省へ送るわけですよね、結局は。ところが、いまなお、基準監督署のほうから労働省のほうへ書類を送ってこないと思うんですが、それはどうですか、見通しとしては。
#94
○説明員(松尾弘一君) いま、これは長野でございますか。長野の和田春代さんでございますが、いまいろいろとお話がありましたように、鑑別診断、健康診断を和田春代さんを含めてやっておりますことと、それから関係するところの方面の調査をいたしまして、それからやはり手続といたしましては、補償の請求をしていただかなければなりません。それにつきまして、和田春代さんは三月三日――いろんな方面の御指摘もあったようでございますが、参りました際に、補償請求の指導をいたしております。したがいまして、かりに補償請求がなされまして、われわれの機関でそれを判断しまして、業務上外の判断が困難であるという場合には中央に上がってくる。見通しといたしまして、もし、かりに今月中に請求があれば、今月中に判断が困難と見通しがつけば、来月あたりは私どもの手元へくると、こういう段取りであろうと思います。
#95
○小平芳平君 それはひとつ至急進めていただきたい。
 それから次に通産省にお尋ねしますが、日産化学の富山工場、これは肥料をつくっているわけですが、この日産化学の富山工場という肥料工場から、私たちの調べたところではカドミウム、弗素、砒素というようなものが相当出ております。こういう点、通産省はどのように把握していらっしゃるか、お尋ねしたい。
#96
○政府委員(莊清君) ここの工場では、燐鉱石を原料にいたしまして、燐酸肥料、それから副産物の石こう等をつくっております。燐鉱石の中に弗素が入っておるわけでございます。ただし、製造工程の関係で、製品である燐酸液と石こうの中にほとんど弗素は含まれて、製品の中に入ってしまうということになっておりまして、若干は外へ出ております。一つは大気中に排ガスとして出ておりますが、一・五PPM程度現在出ておると承知いたしております。県のほうでは――現在この弗素は、現行法のもとでは法規制の対象になっておりません。改正法でいずれ基準が政府によってつくられるわけでございますが、現在ありませんので、県当局で指導基準というものをつくっておられますが、五PPMでございますので、それよりはかなり下回っておる。それから工場排水の中にも微量でございますが入っておるようでございます。現在、排水について弗素の指導基準というものは、県のほうでもまだおつくりになってないようですが、現在は工場の水から一・二PPM程度出ておる。これは飲料水の利水地点での基準が〇・八PPMと聞いておりますが、工場の出口で一・二程度でございますから、利水地点では相当大幅に下がるとすれば、飲料水の現在の基準〇・八の範囲は合格しておるだろうということで、弗素については、いろいろ工場もいままで努力をいたしまして、洗浄設備とか、あるいは弗素の回収装置というふうなものに相当、一、二億金をかけてやってまいっておりまして、その効果が出てきておるものというふうに判断をしておるわけでございます。
 カドミのお話がございましたけれども、カドミはいわゆる検出されないというふうな形にいまなっております。鉱石の中に全然入っていないかといいますと、燐鉱石の組成といたしましてカドミがないわけではないようでございますけれども、これも製品の燐酸とか石こうの中に入っていて、現状においては検出されない状況になっておるように考えております。
#97
○小平芳平君 カドミウムで申しますと、この日産化学富山工場周辺では米が〇・七PPM、米がですよ。それから粉じんが一一・四PPM。それから砒素について申しますと、米に〇・三PPM、粉じんで五九二PPM。それから弗素、弗素は、これがまたよく食物を枯らして困るんですが、それで工場から相当離れたところで枯れたものを分析したわけですが、そうしますと、ツツジで乾燥重量にして四一・六PPM、菊で、乾燥重量ですが、四五・三三PPM、こういうように、弗素もカドミウムも砒素も、それぞれ米とか粉じんとか、こういうツツジや菊から検出されているんです、現にですね。それにもかかわらず、ただ、だいじょうぶだ、だいじょうぶだじゃ困るわけですがね。
#98
○政府委員(莊清君) カドミウムが米からある程度発見されたということは、私どもも聞き及んでおりますが、工場の現状は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、何ぶんこの地帯は神通川の水を米作に利水しておるという地帯でありますだけに、その原因等については私ここではっきり、ちょっと申し上げかねる面もあろうかと思いますが、現状においては、この日産化学の富山工場からどんどんカドミが出ておるものとは私どもは考えておらないわけでございます。
 砒素のお話しございましたが、砒素は結局燐鉱石と違いまして、硫酸を、ここでは、肥料工場でございますから別途硫酸もつくっておりますので、その原料になる硫化鉱という鉱石がございます。その中に、これはもう硫化鉱でございますから、砒素が入っております。この硫化鉱を焼いて硫酸をとるわけですが、パイライトシンダーと言っておりますけれども、焼いた硫化鉄鉱の焼きかすのかたまりの中にも砒素が移行しておるということでございます。これを出荷いたします際に、これは製鉄原料として利用されるものでございます、硫化鉄鉱の焼きかすというのは。これを結局、粉じん発生の原因にしないように、最近よく指導いたしまして、パイライトシンダーの積み方、積んでおくときにもシートをかけるとか、それから貨車に積み込む際にスプリンクラーを設置させまして、水を霧状にしてかけながら、粉が飛んでその中の砒素が飛散するというようなことがないようにやらせております。結局、現行法では、大気汚染防止法で、こういう工場から立ちのぼる鉱石等の粉じんというのは法規制の対象になっておりませんが、公害臨時国会で御改正いただきました新法には、こういうものについても所定の防止施設をさせる、そして基準をかけるというふうになっておりますので、これをやりまして、日産化学の場合にも法規制にしっかりとかけるという方向で考えてまいりたいと思います。
#99
○小平芳平君 実情は、周辺に被害の出ないようにしてくれさえすればいいわけです。実際上は、いま申し上げるような周辺に農産物被害が起きているわけです。あるいは庭木が枯れた、そして立ち木が枯れたということがざらに起きているわけです。ただ、だいじょうぶだ、だいじょうぶだだけじゃなくて、そういう被害の起きないように、少なくとも去年よりことしは被害が減るように、強力な指導を願いたいと思います。
 これで最後で終わりますが、農林省に、土壌汚染についてですが、私が先ほど指摘した長野県松代の工場のすぐ隣のたんぼも、実際上、米はまるっきりだめじゃないかというふうに私は、稲の切り株しかいまありませんから、見たわけですが、それから安中あるいは黒部等で、実際、作付が去年できなかった地域が相当あったし、ことしもそれが出るんじゃないかと思うんですが、こうした汚染された土壌に対する対策ですね、土壌汚染防止法も成立したんですが、その対策はいまどんなふうに進められておりますか。
#100
○政府委員(中野和仁君) 先ほど、内田先生の御質問にお答え若干いたしたわけでございますが、われわれといたしましては、ただいま五月の中ごろを目標に法律を施行いたしまして、土壌汚染の審議会をつくりまして、その審議会に特定有害物質の御指定と、それからその物質をどういう範囲で指定地域にするかということのいま基準をせっかく検討をしておるわけでございます。それができますと、都道府県知事が、具体的に調査費等もことしから来年にかけまして相当な調査費を予算で要求をしております。それによりまして、具体的な調査、それからすでにある調査ももちろん活用しますけれども、これを使いまして、具体的に地域指定をいたしまして、そういたしました上で、すぐに都道府県知事に、あの法律に基づきまして対策の計画を樹立していただくことになっておるわけでございます。それにつきましては、かなり土地改良的な対策を必要としますので、別途農地局におきましては、それの設計費等も組んでおるわけです。というような次第でございまして、ただいまそういうことに向いまして、われわれ準備をしておるところでございます。
#101
○小平芳平君 じゃ、ことしは間に合わないわけですね。ことしは要するに来年と同じように作付できないところはできないわけですね。
#102
○政府委員(中野和仁君) ただいま申し上げましたような次第でございますので、地域によりましてでございますが、おそらく法律に基づきます対策地域の指定には作付までには間に合わないんじゃないかと思います。しかし、そのまま放置するということではございません。すでに前から要観察地域の指定もございますし、あるいはその中で一PPMのカドミウムを含んでいる米の出るようなところについては、また都道府県のほうで線引き等も行なっておりますので、その点につきましては従来の方針に従ってことしはやっていくことになるというふうに考えております。
#103
○委員長(占部秀男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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