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1970/04/28 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第5号
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1970/04/28 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第5号

#1
第065回国会 公害対策特別委員会 第5号
昭和四十六年四月二十八日(水曜日)
   午前十一時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
               久次米健太郎君
                長屋  茂君
                小野  明君
                内田 善利君
    委 員
                古池 信三君
                山本敬三郎君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                小平 芳平君
   政府委員
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       通商産業省化学
       工業局長     山下 英明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       内閣審議官    遠藤 寛二君
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        山本 宜正君
       農林省農政局参
       事官       安尾  俊君
       通商産業省公害
       保安局公害部公
       害第二課長    根岸 正男君
       労働省労働基準
       局補償課長    松尾 弘一君
       労働省労働基準
       局安全衛生部労
       働衛生課長    山本 秀夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害対策樹立に関する調査
 (公害対策樹立に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 公害対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○小平芳平君 前回の委員会、また社労委員会でも私が問題にしました長野市松代のカドミウム工場についての問題を引き続き、その後のいろいろな調査の結果で新しい数値も出ましたので、それに比べて当局の対策が進んでおりませんので、この際、ひとつ関係各省の大きく前進した御答弁を期待して質問したいと思います。
 まず第一に、土壌汚染についてお尋ねしますが、土壌汚染については従来も安中あるいは黒部等で植えつけしたたんぼをひっくり返したりしておるわけですが、そのようなたんぼあるいは畑の土壌汚染はどの程度のカドミウム汚染であったか。資料を参考までにお配りしてあるんですが、私たちがおもにこれは岡山大の小林研究室あるいは日本分析化学研究所でカドミウム汚染、土壌汚染の分析をした結果では、高いところで五〇、これが最高だと思ったのが、福島県磐梯町の六五・二というのがあるんです。大体黒部、安中は四〇台、五〇台のPPMであった、このようにとってよろしいんですか。
#4
○説明員(遠藤寛二君) ただいま手元に数字を持っておりませんが、ほぼ先生の御指摘のとおりであろうかと思います。
#5
○小平芳平君 私もほぼ四〇数PPMあるいは五〇数PPMということを指摘しておるのであって、それに比べてこうした製錬所周辺は、要するに亜鉛の製錬をする、亜鉛鉱中に含まれているカドミウムが亜鉛の粉じんと一緒に飛び散った、あるいは排水の中へ流れていったということが原因なんですが、長野県松代の日本電解という工場の場合は、カドミウムそのものをやっているわけですね。要するに純度一〇〇%に近いカドミウムを溶解して、それでレンズの原料をつくっていたわけです。したがって、土壌汚染がけたはずれに大きくて、そうして水田の水の入り口、水田の水口で九六〇PPM、それから畑でもって、これは工場に一番近い、粉じんの一番飛び散ったと思われるところで八二〇PPMというものが検出されている。これは県の調査でも畑からは四五三PPMというものが検出されている。そうしてさらに問題なのは、この畑が表面の土で八二〇PPMのところが十センチ掘り下げても三一〇PPM、二十センチ掘り下げても一二〇PPM、三十センチ掘り下げて五〇PPM。したがって、三十センチ掘り下げてようやく安中、黒部並みということになっているわけです。したがって、こういうようなたんぼや畑では作物はつくれませんでしょう。こういうたんぼや畑は農林省としてどう指導されますか。
#6
○説明員(安尾俊君) 土壌汚染防止対策につきましては、当面カドミウムが一PPM以上ある玄米が認められる地区及び近くそのような状態に達することが明らかな区域を対象として行なう予定にいたしておりますが、御指摘の畑作物につきましては、今後食品衛生法に基づきます食品等の規格基準が設定されましたら、それに応じまして所要の対策を講じてまいりたい、こう考えております。
#7
○小平芳平君 それはわかっているけれども、それじゃ、このたんぼの場合、いま私の指摘した水口で九六〇PPM、水尻で三二PPMという、このたんぼへもことしまず米をつくって、その玄米を分析しながら、客土なりそういう土壌汚染防止の対象にならないのですか。それともこういう場合は、九六〇PPMもある場合は、「おそれある」ということで客土の対象にしますか、それはいかがですか。
#8
○説明員(安尾俊君) 県が今後さらに詳細な調査をなされることになっておりますので、その結果を待って善処いたしたい、こう考えております。
#9
○小平芳平君 ですから、それはそうですよ。ただ、さしあたってもう四月も終わり、五月ですからね、田植えの時期が来るわけです。そういうときに、県は第一なぜいまだに水田の調査しませんか。私が初め指摘したのは二月二十日ですがね、二月二十日に指摘して、それ以来何回も私たちはここにカドミウムの問題があるということを指摘しているのに、いまだに水田の土壌の分析すらしてない。米の分析もしてないでしょう。じゃ、ことしは一体田植えできるのですか、できないのですか。また田植えするのですか、しないのですか。九六〇PPMもあれば、常識的に第一稲なんか育つかどうかわかりませんよ。それにもかかわらず、そこに田植えしなければ、玄米一PPMかどうかわからないわけですよ。どうですか。
#10
○説明員(安尾俊君) 先ほども申し上げましたように、県が今後至急に調査いたしますので、それの結果を待ちまして、国も一緒に対策を講じてまいりたいと考えております。
#11
○小平芳平君 答弁できないですか、私の聞いていることに。田植えをしてとれた米が一PPMこえたから客土の対象になるということが言えるわけでしょう、一つは。それからもう一つは、先ほどの御説明で「おそれある」場合も客土の対象にするというわけでしょう。ですから、それは安中、黒部等で土壌が四〇ないし五〇PPMのところがら玄米が一PPMこしたものがとれたために、これは土壌汚染の対象にするわけでしょう。ところが、一方では九六〇PPMなんというものが検出されて、県はたんぼはやっていませんけれども、県は畑はやっているのですが、県の発表でも、畑は四五三PPM、安中の十倍も出ているわけです。こんなところへは田植えするまでもなく、当然これは客土の対象となり、補償の対象となるのが当然でしょう、違いますか。
#12
○説明員(安尾俊君) 県のほうといたしましては、調査の結果を待ちまして、それによりまして休耕するか、あるいは非食用作物に転換するか、そういうふうな対策をお考えのようでございますので、国といたしましても、土壌汚染防止法の政令の施行を待ちまして対策を県と一緒にやってまいりたい、こう考えております。
#13
○小平芳平君 そういう抽象的な答弁しかしてくれないから困るんですよね、実際。自分のたんぼがこうなっちゃった人の身になってひとつ農林省も事を進めてもらいたいですね。そうして九六〇PPMというものがおもに水から来たか、おもに粉じんから来たかということが問題ですが、この水は、工場がいま現在あるわけですが、もう閉鎖しておりますが、その工場内はあと始末がつかないまま現在あるわけです。そこから流れ出てくる水が、マンホールがあって工場から畑のほうに流れてくる。川の湧水の、これが廃水に当たるんじゃないかと思うのですが、工場内は一切見せませんからわかりませんが、そこのマンホールのヘドロからは四一、七〇〇PPMです。それから工場の土が雨に押し流されてきたと思われる、あるいは粉じんが過去に落ちたものかもわかりませんが、そこに乾いた土が残っていたものを分析したら三二、八〇〇PPMです。こういう――工場内は一切わかりません、不明ですが、工場からわずか出てきたそこのマンホールで四一、七〇〇PPMのカドミウムが検出されている。それから工場に隣接したそこの乾いた土からは三二、八〇〇PPMというものが検出されている。これらが流れていけばさらにたんぼがどこまで汚染されているかわからないです、流れていきますから。それで、その水をそのまままたたんぼでかんがい用水に使っているわけです。そういう点でこの地域ではカドミウム汚染について非常に困り切っているわけです。ですから、県の対策を待っているというだけではなくして、もっと農林省も進めてもらいたいわけです。非常に問題だと思うのでございますが、どうですか。
#14
○説明員(安尾俊君) 県と早急に連絡をとりまして、できるだけ早く善処いたしたいと思います。
#15
○小平芳平君 そうして今度は客土する場合ですね、これは費用負担法になるわけですが、費用負担法で二分の一から四分の三は公費負担ということですね。そうすると、もうこの会社は閉鎖してしまっているわけです。そういう場合はどこが負担しますか。
#16
○説明員(遠藤寛二君) 休業ないしは閉鎖されておりましても、会社のやりましたことにつきましては、会社は一応責任を持たなければならないと存じます。ただ事実問題としてとれないという場合があり得ると思います。それはもう資力がないとか、いろいろなことがあってとれない場合がございますので、一応とり方の問題も検討いたしまして、とりやすい方法を講ずることが第一でございます。それで、なおかつ絶対にとれないということがもしあったとしますれば、それは公共事業として県なり市町村なり、地方公共団体が事業を取り扱う、それに対して国がかさ上げ法等によりまして、その費用を負担をしていくというようなことを考えたいと思います。
#17
○小平芳平君 要するに、客土する場合ですね、その費用は企業が負担すべきであると、とれない場合は公共事業でやると、大至急それを進めていただきたいわけですがね。
 それからもう一つは、畑の汚染のほうですが、このような畑が、先ほど指摘しましたように、八二〇PPM、こういう畑から大体野菜がとれると思いますか、とれないのです、とれない。実際に八二〇PPMなんていう畑の、この地域にはネギをまいても、ホウレンソウをまいてもほとんどとれません、ほとんど。わずかに二、三本ですね、生き残ったネギがありましたので、わずかに生き残ったネギをカドミウムの分析をしましたところが、何と最高一七〇PPM。こんなネギ食べてだいじょうぶですか。ホウレンソウは一六PPM、ゴボウが二二PPM、フキの葉四六PPM。こういう野菜が、ネギの一七〇、ホウレンソウの一六、ゴボウの一三、これが食べられると思いますか、どうですか。
#18
○政府委員(橋本龍太郎君) 直接、小平先生の御質問、私どものほうにということではなさそうでありますが、農林省のほうから厚生省のほうで答えろということでありますので、私のほうからお答えいたします。
 いままで先生のお話しになりました各数値、ただいま手元にちょうだいをして拝見しておりますが、食べられるか食べられないかという、これは非常にことばの上であいまいであると思います。その一回限りにおいて、あるいはきわめて短期間において、それを食べたからといって人体に影響がある数値であるかどうか、これは私は必ずしも害があるとは申し切れないかもしれないと思います。ただ、もしこういうものを年じゅう継続して常時食べるとなれば、これはやはり当然問題になるものであろうと思います。ただ、先生よく御承知のとおりに、蔬菜類というものの性格からいって、一定期間のシーズンもある。常時継続して、しかも多量にとるものと違いますだけに、この点は、むしろなお必要あれば専門家に十分検討させた上でお答え申し上げたいと思いますが、一般的に見て、たまたまその日のおかずとして一回食べた、二回食べたということで事故が起こるようなものだとは必ずしも思いません。
#19
○小平芳平君 農林省には畑の客土が必要だということを言っているわけです。とれないです。そんなにネギならネギ――ネギはわりあい常時食べるほうじゃないですか、野菜として。春、夏、秋、冬通して。このネギがほとんど全滅してしまうわけです。わずかに生き残ったものを分析したら、こういうのが出たというのであって、ですから、客土するなり、あるいは全く農林省のほうで、こういうものをつくればだいじょうぶなんだというものがあったら、早く教えてくれないと、もう種まきもとっくにしているものもあるわけですから、困っているわけですね。
 それから、橋本政務次官に、いまお述べの点はそのとおり承知いたしておりますが、大体、野菜は、継続して食べる米や水に比べたら、それほど継続して食べないということは言えますが、かといって、野菜に全く基準がないというのもちょっと意味のない話なんですね。ですから、東京都の場合は、野菜がカドミウム一PPM以内なら安全と、都がまずホウレンソウに基準、こういうふうに新聞報道されておりますが、この点については、厚生省はどうお考えですか。
#20
○政府委員(橋本龍太郎君) 御承知のとおりに、現在、食品中のカドミウムの許容量というものを私どもは米のみに設定しております。で、東京都がホウレンソウについて基準を設けたという報道を私ども新聞で拝見をいたしましたが、それと同時に、東京都の衛生局予防部のほうから連絡を受けましたところでは、特定汚染地域の農家十世帯に対してのみ適用される基準というものをホウレンソウにおいて設定した、それを全都的に適用するものではないという連絡を、私どもは実は東京都の衛生局予防部ですか、のほうから受けております。その意味で、きわめて限定されたケースにおいて限定された対象を目的とした基準設定というように伺っておりますので、現在必ずしもこの東京都のものも全都的なものとは承知をいたしておりません。一般的に申しまして、むしろ私どもがこの米の許容量を設定いたします際に、玄米一・〇〇PPM以下であれば、常時継続して摂取して安全であるという基準をつくります際、先生よく御承知のとおり、専門家の方々のお力を拝借し、というよりは専門家の方々の計算によっておきめを願ったわけでございます。その当時、米以外の食品あるいは飲料水等から摂取されるカドミウムの量というものも十分計算値の中に加えていただきました。そのとき、結局、野菜の摂取については、季節などによりまして種類も異なります。また、その食生活の態様においては量も異なります。一般的にはなかなか言えませんけれども、食習慣等から見ていく場合、玄米一・〇〇PPMという基準線以下の場合であれば、その地域においても、蔬菜類等の摂取量から考えて、食品衛生上安全であるということを一応考え、今日にまいりました。蔬菜類について、そういう意味では基準を設定する考え方というものは今日持っておりません。
 ただ、この機会にひとつふえんして申し上げますが、むしろ蔬菜よりも、私ども考えなければならないのは、主食そのものとして米にかわって使用される可能性の強い麦の類――小麦でありますとか、大麦でありますとか、麦類、これは主食として完全に摂取される機会が非常に多いのであります。ただ、今日、海外からの輸入量がその大半を占めるというような状況もありますけれども、むしろ麦については許容量というものを設定する必要があるのではないかという考え方を基本的に持ち、検討を進めたいと考えておる次第であります。
#21
○小平芳平君 麦については特に必要だということを公明党としても十分主張しておりましたが、ですから、その政務次官のいまの麦について進めようということはたいへんけっこうだと思います。が、野菜につきましても、一PPM以下なら安全であるということで、そうすると、一PPMをこえている野菜は必ずしも安全とは言い切れないということと、今度あとどうするかの問題があるわけですよね、その畑を。ですからこれは農林省のほうへ尋ねれば、それは厚生省の食品衛生上の問題で、厚生省のほうで食品衛生上無害だと、だいじょうぶだと言うならば農林省のほうは特に危険信号は上げないぞと、客土の対象なんかにはしないぞと、こう言うわけです。ところが、実際上先ほど来何回も指摘しますように、できないのです。もう野菜をつくっても、ネギといい、ホウレンソウといい、ゴボウといいほとんど生長しないわけです。ですからそういう点もかね合わせてなお厚生省としては、先ほど最初の政務次官の御答弁では、野菜についても専門家に検討をお願いしたいというような趣旨だったんじゃないですか。そういうふうにしてもらいたいんですがね。
#22
○政府委員(橋本龍太郎君) これはいま私手元に持ちますのは、先生からちょうだいいたしました先ほどの資料でありますが、この備考欄を拝見いたしましても、大体ほぼ同じような地域からその試料は採取しておられるようであります。その中でもたとえばゴボウあるいはホウレンソウ、ネギ、ネギでも場所によって相当な数値の開きもあるようですし、またフキ等においても数値の開きがあるようであります。これを拝見いたしましても、やはりそれぞれの農産物の性格によって、同じように汚染した土壌の中で、いまたまたま生育したものがあった、大半のものは枯れてしまったというお話でありますが、たまたま生長したものをサンプルとして拝見したこの分析データの上から言いましても、相当のやはりそれぞれ品種によって数値の踊りもあるようであります。先ほど確かに私は、要するに常時摂取ということを前提に申し上げたつもりであります。これが米あるいは麦のように、主食として常時摂取される性格のものであれば、当然私どもは、これは大きな問題として考えなければならぬと思います。しかし、むしろこれは食品として生育する以前の問題ではないかと、いま先生のお話しのように、大半がむしろ枯れてしまうんだと、このサンプルにおいても杉の木の葉っぱあるいは実あるいは根等を採取されたものには、わざわざ備考として、枯れてしまっておるということを付記しておられますとおりに、むしろ植物の生育を許さないような状態になってしまっておるということであれば、これは食品が安全であるか、そこでつくられたものが安全であるかないかという以前に、農業が実際にそこで行なえる、
  〔委員長退席、理事小野明君着席〕
そして農作物がそこの土壌において育ち得る状況であるかないかの問題ではないかという感じがむしろ私はいたします。ここにちようだいした資料、この鈴木すみさんという方のお宅の畑の場合は、なるほどカドミウムが八二〇PPM、しかし亜鉛は一、三〇〇PPM、カドミウムだけの汚染の問題でとどまっておるわけではないようであります。また、先ほど先生が読み上げられました松代町一〇八九の水田土壌の場合でも、カドミウム濃度は九六〇PPMでありますが、亜鉛は三、五〇〇PPM、これはカドミウムだけの問題ではなく、その他の微量重金属というものが大量に含まれておる。なるほどこれは農用地として農作物が十分に生育し得る状況であるかどうか、私どもとしても頭の中で考えても見当のつくものであります。そうすると、むしろそこでつくられた農作物が安全であるかないかの以前の問題として、その土壌の上に農業というものが成り立つものかどうかということのほうがむしろ前提問題として考えられなければならないものではないだろうか、私はそのように考えます。
#23
○小平芳平君 いまの政務次官の御答弁を農林省はしっかり聞いて、それで畑の土壌の汚染についての対策を至急きめていただきたいと思う。政務次官のお話ですが、野菜についての許容基準というものも必要になると思うんですよ。これは食品農業ができるかできないかというその問題がありますからね。それはひとつ農林省のほうでそういう地域の農家を、客土するなら客土するで早く計画をつくらなければいけないし、何かほかの作物をつくればいいというならほかの作物を早くつくるように指導しなければならないし、大至急その畑の汚染についての対策を発表してもらいたいということと、それから政務次官しきりに野菜は常時食用にしてないと言いますけれども、野菜はたくさん食べるようになっているんですね、国民の食生活は御承知のように。いなかではもうみそ汁とつけものとめしというのが普通だったけれども、いまはずいぶん野菜も食べるようになっているんですから、ただ、いろいろあって、きめようがないという趣旨もそれはわかりますが、いつまでも野菜は野放しでいいということは言えないと思うんです。
 それから政務次官が指摘されたカドミウムと亜鉛の比率ですけれども、ついでに申しますと、これは製練所の周辺なんかもっと亜鉛なり鉛が多いんですが、それに比べて、最初私がお断わりしたように、カドミウムそのものの溶解をしていたものですから、他の汚染地域に比べて非常に亜鉛や鉛に比べてカドミウムの汚染がはなはだしいということは最初に申し上げたわけです。
 そこで次の問題としまして、通産省はこの工場についてどういう報告を受けるなりあるいは規制をするなり、通産省として何かとった処置がありますかどうか。
#24
○政府委員(山下英明君) 炭酸カドミウムの工場としましては、従来から三社ございまして、この松代の工場は年産約六十トンに及んでおったようでございまして、比較的大きな工場でございました。しかしながら御承知のように、中小企業でございまして、今回事件が発生しまして直ちに県に連絡して、県側の調査をお願いした次第でございます。現在までの情報では、工場自身の装置は金属カドミウムを電気炉で酸化いたしまして、それにアンモニア水と炭酸ガスを加えてこれを乾燥粉砕して製品化する工程であったようでございまして、カドミウムが粉じんとして出たかあるいは排水で出たかという点では、まずその乾燥粉砕工程で飛散した可能性があったのではないか、こう考えております。しかしながら、工場側はバックフィルターをすでに設置しておりまして、いつから設置したかというのは現在わかりませんが、したがいまして、その粉じん飛散について努力しておったことは事実だろうと存じます。
 その他事故発生の状況についてはできるだけ情報をいまいれておるところであります。
#25
○小平芳平君 私がお尋ねした点は、これだけの公害を発生していた、また健康被害についても後に触れますけれども、これだけの土壌汚染、周辺の公害が発生しておるにもかかわらず、先ほども申しましたように、二月二十日現在で私たちが行った時点では公害はないと言っているのですから、県当局は、労働環境にも後ほど触れますが、労働基準監督署も許容基準の十分の一以内の優良工場だった、こう言っているのですから、ですからそういうところにこれだけの土壌汚染、それからあとで指摘する健康被害がありながら、それに対するいままでの県なり国の行政としては野放しだったということですか。情報をとっている程度で何らこれに対する法律的な規制なり、あるいは指導勧告なり、そういうことは皆無だったということですか。
#26
○政府委員(山下英明君) 炭酸カドミウムの排出基準、その他につきましては、従来まだやっておりませんでした。
 それからもう一つは、この会社が御承知のように、資本金が百六十万円という程度の、工員にしまして一時は二十名こえておりましたが、最後は十九名程度の工場でございまして、私どもの行政としては、直接公害防止にタッチしておりませんでした。したがいまして、この問題出ましてから直ちに、この工場自身はすでに御承知のように閉鎖しましたので、他の二社について再発防止の万全の連絡をいまとっておるところでございます。
#27
○小平芳平君 そうしますと、通産省として、高級レンズにはカドミウムが入っているのですね。これは実際問題、保谷硝子の下請工場の富岡光学、こういうところで炭酸カドミウムを大量に使っている、そのレンズを岡山大学小林教授が分析したら三〇%のカドミウムが検出された、こう言っているのですが、松代のこの工場が閉鎖になったあと日本のどこかで二社がカドミウムのいまなお同じことをやっているわけですね、そういうことですか。そうしたらきわめて危険な作業ですよ、これは。
#28
○政府委員(山下英明君) 私どもが現在つかんでおります全体図によりますと、おっしゃるとおり二社ほかにございますが、一社は年間十四、五トンの生産でございまして、これは埼玉県にございますが、このカドミウム事件以来生産を停止しております。第三の工場はこれまた規模が年間十トンプラスアルファー程度の規模でございますが、これは東京都の墨田区にございまして、小規模ではございますが、現在完全密閉式で従業員に就業規則を非常にやかましく言って操業を続けておるところでございます。私どもが連絡しましたところでは、その責任者ももちろん事件があったことも知っておるが、そもそもがキロ二千円もする貴重なものだから、その取り扱いについてはもとから万全を期しておった、こういう陳述を受けておる次第でございまして、しかしながら、やはり中小企業でございますので、その排水、粉じんにつきましては今後政府側も一緒になって防止していきたいと、こう思っております。
#29
○内田善利君 関連で質問したいと思いますが、いままでカドミウムの汚染源といったら亜鉛の製錬工場が主であったわけですね。ところがいまお聞きしますと、カドミウムそのものを粉砕して炭酸カドミウムをつくっておるということでありますと、もうその工場全体がカドミウムそのものであると、このように判断し、その結果このような大きなデータが出ているんじゃないかと、このように思うのですが、この松代工場は大体いつから操業をしておったのか、その他の二つの工場もいつから操業をしておったのか、また閉鎖の原因は何なのか、それと閉鎖後その工場に対する公害防止といったようなものはどのように考えられてこられたのか、お聞きしたいと思います。
#30
○政府委員(山下英明君) この松代の会社は先ほどもお話ししましたように、中小企業でございますが、その工場主自身が昭和三十二年ごろから炭酸カドミウムの試験的な製造に着手したようでございまして、昭和三十八年には年産二十トン程度で営業を開始いたしております。その後先ほどお話にありましたカメラその他のレンズ関係の需要増大に伴いまして、四十四年には四十トン程度の年産能力に増加させ、そして操業停止いたしました去年は六十トン程度の生産をしておったという経過でございます。
 最後の御質問は、また公害保安局のほうから……。
#31
○内田善利君 閉鎖の理由は……。
#32
○説明員(根岸正男君) 最後の御質問でございますけれども、ただいま山下局長からお話がありましたように、加工しております工場につきましては十分な対策を講じさしておるわけでございます。
 それでもう一つ、規制の内容としまして、水につきましては従来から規制が行なわれておりまして、粉じんにつきましてははっきりしたまだ規制が行なわれておりません。それで粉じんの場合につきましては、一応厚生省のほうで暫定指標という形できめられておりますので、その指標を受けまして県のほうで指導しておったというふうに伺っております。そこで今後につきましては、大気汚染防止法の改正等もございまして、粉じんにつきましてもはっきりした基準をきめて規制してまいるということになっております。
#33
○内田善利君 私は、この工場が昭和三十二年から計画され、三十八年には二十トンも出ている。その工場が普通の製錬工場ならば問題はないというわけにはいきませんけれども、カドミウムそのものを取り扱って炭酸カドミウムをつくっておると、こういう工場ですから、当然カドミウム公害が問題になった当時から通産省としてはやはり対策を講ずべきではなかったかと、このように思うわけです。それと同時に県側がやっと調査を始めた、実にこのことばを聞いて、いかに公害行政が後手対策ばかりとってきて積極的でなかったかということを強く感ずるわけですが、ここにデータが出て初めて問題になったように思うわけですけれども、こういう炭酸カドミウムをつくっておる工場はいま三工場ということですが、今度はそのつくられた製品がどこの需要に応じてつくられたのか、どこへ行っているのか、この点をお聞きしておきたいと思います。
#34
○政府委員(山下英明君) 個々の売り先、詳細にはただいま手元に資料がございませんが、大部分はカメラ、高級の望遠鏡、その他のレンズ関係でございます。
#35
○内田善利君 そのレンズ関係の工場の公害対策は十分ですか。
#36
○政府委員(山下英明君) レンズあるいはテレビのブラウン管等にはカドミウム、鉛その他の重金属が従来から入っておりまして、私どもとしてはかねがねその弊害について検討しておりますが、製品になりました重金属は害がないと、こう判断しております。製造過程における害をまず防いで、製品のほうはだいじょうぶであろう、こう判断しております。
#37
○内田善利君 関連で申しわけありませんが、この工場そのものがカドミウムを取り扱っておる工場であるし、バックフィルターを設置されたということですけれども、バックフィルターぐらいではこの工場から出るカドミウム粉末、粉じんというものは私は防止できないんじゃないかと思うんですが、東京都の墨田区の工場では完全密閉式ということですけれども、これも内部の労働者の方々には十分注意しなければならないと、このように思うわけです。先ほどからこのデータを見せていただいて、特に杉の葉が枯れ死しているわけですけれども、一六一〇PPM、枯れ葉にこのように大きなデータがあるということは粉じんによるのだということもはっきりするわけですけれども、工場が閉鎖されておりながらこのように杉が枯れ死しているわけですけれども、この工場閉鎖した後の工場管理ということは非常に大事な問題ではないかと、このように思います。この点はいかがでしょうか。
#38
○政府委員(山下英明君) 私どもも乾式粉砕のところが一番公害発生の個所だと存じております。また、バックフィルターだけでは不十分でございまして、やはりこの部分は密閉式で製造工程を完全に無公害化すべきだと存じます。現在、閉鎖しております松代の工場は、現状ではカドミをもうすでに出しておらない、こう考えております。
#39
○小平芳平君 局長、そうじゃないんです。現在あるこの閉鎖された工場から、先ほど指摘しましたように、そこから流れ出してくる水のマンホールのヘドロで四一、七〇〇PPM、それから粉じんが落ちてきたのか、それとも廃水が雨によって土が流れてきたのか、そこははっきりしませんが、その工場と畑の境の土から三二、八〇〇PPMというものが検出されているんです。その工場の地下からずっと水を集めてきて湧水していると思われるその水を使ったたんぼが先ほどのようなことになっているわけです。ですから、その水が一体どこまで、下流まで行って使われているかということも農林省が調査すべきであると先ほど指摘しているわけです。したがって、いま私がここで提案したいことは、これは国の行政としてやるか、県の行政としてやるか。もし県がやるとすれば、国のほうから強く指示をしていただきたいことは、この工場内に立ち入り検査というか、立ち入り調査というか、閉鎮された工場ですけれども、中を総点検しなければならないでしょう。おそらく外部に流れてきた粉じんなりヘドロでもってそれだけの汚染があるわけですから、四一、七一〇〇とか三二、八〇〇という、そういうものが外部まで流れてきておるわけですから、その工場の中は一体どんなことになっておるかということです。おそらく局長がいま指摘されたような、溶かしていたところも問題ですし、それから周辺の地域の方のお話によりますと、焼却場をつくって、そうして従業員の作業衣とか手袋とか、そういうものを焼却していたという、その炉も現在残っておるし、それから見るからにうずたかく積み重なったものもあるのですが、何が積まれておるか全然見当つかないわけです、外部からでは。そういう点を工場内の総点検、公害総点検をやって、そうしてしかるべき対策をやらないことには地域住民が非常に困るわけです。操業はとまった。操業はとまったけれども、過去に落ちてきたらしいこの粉じんは、先ほど申しましたように、といの粉じんで二、四六〇、あるいは一、一七〇というといの粉じん、それからコイを飼っている池のヘドロから五八〇PPMというものが検出されておる。こういうものはコイとか、あるいはコイを飼っている池のヘドロなんかはこれ以上汚染が進まないかもしれません、新しくふき出してきませんから。けれども、なおかつ工場の中がどんなことになっておるか、これは通産省としても作業環境、今後の行政指導の上からいっても、この松代工場がどういうやり方をしていて、どういう公害が発生したということは明らかにすべきだと思うのですね。これは通産省がやるべきですか、それとも総務長官に――公害担当大臣に強く出席をお願いしたのですが、出席されませんのです。これはいかがですか。
#40
○政府委員(山下英明君) ただいま小平先生の御指摘の点はよく了解いたしました。先ほども橋本政務次官から松代のデータを拝見しておりますので、御指摘のポイントはわかりましたので、その工場の現状、そうして因果関係につきまして、さっそく通産省としましても、また将来のためにも必要なことでありますので、さらに一段と実態調査を進めたいと存じます。
#41
○小平芳平君 それでは次の問題に移りまして、労働省ですが、労働基準監督署は、職場の環境基準は、定められておる基準の十分の一以下だ、それはバックフィルターがついておるからだという発表をしておるのですが、それにしては、そういうバックフィルターがついている優良工場にしては汚染がひど過ぎる。常識では考えられない汚染がひど過ぎる。したがって、私はいま工場内部の総点検は通産省がおやりになるということでありますので、作業環境を再現して、一体どういう作業をやっていたのか、これがいまの会社のなくなった社長のむすこの言う話と、それから実際作業をやっていた人の話と全然違うのです。まるきり違う。会社側の話だと、くさいなんていうことは全くなかったと言う。ところが周辺の住民は、くさくてくさくてこんなところにはとても住めなくて困っていた、こういうふうに付近の人は言うのです。それから病人は絶対いないと会社は言うけれども、実際にはからだが痛がっている人がいるし、こういう食い違いがあって話が進まないのです。したがって、作業環境を再現して、そして元従業員の方々に来てもらって、確かにこういう作業をしていたんだと、その上でいまからだの痛いのがカドミウムに関係あるかないかを判断する材料にしていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
#42
○説明員(松尾弘一君) 作業環境の再現につきましては、その職業性疾患として因果関係があるかどうかという点で調査をすることは非常に重要なことだと思います。御指摘のとおりやらなければならないと思いますが、相手のあることでございますので、十分その辺は相手のほうとも相談をしながら実現方について努力をいたしたいと思います。
 なお衛生課長も来ておりますので、さらに補足して答弁いたさせます。
#43
○説明員(山本秀夫君) 許容濃度以下ということは、確かにはかられた時点、昨年の九月の総点検の時期ということになりますが、事実であったようでございます。しかしながら、それは気中のまあ舞っている粉じんをはかったわけでありまして、おそらくそれ以外に原料からあるいは舞い上がる、バックフィルターから漏れたという、そういうことはあったと思います。しかし、その時点ではそういう許容量以下であったというふうに見ているわけであります。
 追加して補足いたしました。
#44
○小平芳平君 それはまあ相手のあることですけれどもね。相手のあることですけれども、一方ではからだが痛いということを元従業員が……会社は絶対そんな病人はいないと言う。お互いに言い張っているわけです。ですからそこを行政が、要するに労災補償を適用するしないはこれは行政上の問題ですから、ひとつ行政の判断で早くケリがつくように進めてもらいたいということを申し上げたいわけです。
 それからバックフィルターがついたのは、これはいつかわからないと言われますけれども、これも会社なり従業員に確かめればわかることですから、早くそれも確かめてもらって、それでとにかく初めはバックフィルターがなかったことは間違いないんですから、そのときにはどの程度のカドミウムの影響を受けたかということも早く正確に把握していただきたい。そしてこの労災適用は、職業に関係ありという、職場に関係ありとなれば適用するということは労働大臣がもうことしの予算委員会で答弁しているんですが、この松代の三人、それから安中に二人、私がいままで例としてあげた中にいるわけですけれども、これらの方々の労災の進みぐあいはいかがですか。
#45
○説明員(松尾弘一君) 日本電解の和田春代さん外二名の方の補償の問題につきましては、いろいろ補償請求上の御指導も申し上げておりますが、目下補償請求の提出はございません。
 それから安中のほうの二名につきましては、最初の検診の際にお呼び出しを申し上げましたが御出席いただけなかった。その後わがほうの検診で、検診団の検診の際に把握いたしましたが、目下検討いたしておりますので、それらを待って必要であればまた補償の御指導もしたい、こういうふうな事情に相なっております。したがいまして、補償請求をされた暁には、至急従来の資料の検討とあわせ含めて専門家の御意見を聞いて万全を期していきたい、こういうふうに思います。
#46
○小平芳平君 それが松代の場合は、書類は出したけれども会社でとまっているという話ですが、それはどうしてか。そういうような場合は、要するに会社にいつからいつまで働いてどこで働いていたということがはっきりさせればいいんじゃないですか。そういうような趣旨の答弁をなさったですね、この前。
#47
○説明員(松尾弘一君) 先般も御答弁申し上げましたように、使用者側のほう、事業主側のほうの証明がなくても補償の請求はできるということを申し上げました。そのとおりでございます。
#48
○小平芳平君 労働省からもそういう会社が判こを押す押さないは、そんな問題じゃないのだから早く出すようにして、ひとつ指導してもらいたいのですがね。
 それから厚生省の、これで終わりますが、厚生省から、元従業員の方々の健康調査をやられましたですね、県が。その結果について概略を御説明願いたい。
#49
○政府委員(橋本龍太郎君) 三月の本委員会においてちょうど第一次検診を実施中でありましたので、後日御報告を申し上げると申し上げておりましたが、第一次検診の結果、尿たん白陽性者及び尿中カドミウムの濃度がリッター当たり三〇マイクログラム以上の者が十三名でございました。この十三名を対象として三月二十五日に第二次の検診を実施いたしましたが、お一人見えなかった方がありまして、元従業員の方が九名、それから付近の住民の方三名、計十二名が受診をされました。その結果直ちにカドミウム中毒として判定される者はございませんでしたけれども、尿たん白の分画解析をいたしました中で、尿細管障害型を示しております者、ただしこれは尿細管障害型とアルブミン尿型といわれるものの混合型でございまして、どちらとも判定をしかねるケースでありますが、こういうケースが一名、尿中カドミウム濃度が三〇マイクログラムをこえている者が五名、しかも中に最高一三九マイクログラムの高濃度を示した者があります。こういう状況でありますので、第二次検診受診者の十二名についてはさらに継続して検診を行なってまいるということを今日考え、厚生省として県と十分連絡をとりながら保健管理につとめてまいりたいと考えております。
 なお、先般の委員会の際に御質問いただきましたが、私そのとき資料を持ちませんでしたので、この機会にあわせて御報告をいたしておきますのは、今回の調査班、班長は長野県医師会長寺島清七さん、班員として信州大学医学部教授、整形の藤本憲司さん、薬理の赤羽次郎さん、公衆衛生の釘本完さん、それから衛生の小松富男さん、そのほかに長野県医師会から五名、それから長野労働基準局長、長野市の公害課長、長野県の衛生部長、長野県の衛生研究所の所長、こういう構成で調査を行なっております。
#50
○小平芳平君 そこで厚生省にお尋ねしたいのですが、県が発表したときは尿中カドミウムが三〇マイクログラム以上の人は、県の発表は、一般国民が三〇マイクログラム・リッターだ、それから日本の労働衛生所の基準が五〇マイクログラムだ。それから欧米における労働関係基準は一〇〇だと、こういうふうなことを県の発表のあとへつけ加えてあるわけです。ところが厚生省が、イタイイタイ病研究班ですね。との厚生省のイタイイタイ病研究班の報告によりますと、尿中カドミウムは対象地域は五・〇マイクログラム・リッター以下だ、低い数値だ。それから要観察地帯で一番高いところが平均して一三・五マイクログラム、それからその次が平均して九・一マイクログラムだと、こういうふうに報告が出ているわけですね。したがいまして、どうも県のつかみ方がおかしいじゃないかと思うのです。やはり厚生省のイタイイタイ病研究班の報告のほうが正確じゃないですか、どうですか。
#51
○説明員(山本宜正君) お答えいたします。鑑別診断研究班の考え方の中で、従来とも三〇マイクログラムをこえるものについては、さらに所要の精密検診をするべきだと、こういう考え方がございます。そのほか労働衛生の数値等はいま先生のおっしゃるとおりのものでございますが、カドミウム研究班の中で一〇マイクログラムという数字を一つの基準にしておりますのは、それは研究的態度で、少し検査態力のあるところにおきましては多数の精密検診をしたほうがよろしいということで、一部の地域につきましては一〇マイクログラムを一つの線にして、それをこえるものについて精密検査をしたというようなケースもございます。
#52
○小平芳平君 したがいまして、国民の平均が三〇マイクログラムなんということは全くないわけですね。それははっきり一般国民の衛生上の基準としてある、三〇としてある、そうじゃなくて、三〇をこすものは精密検査を継続して必要とする。その基準になるのが三〇なんです。そこで、やはり要観察地帯に厚生省が指定しますね、何カ所か指定しました。ですから、この松代の場合もこういう工場自体が閉鎖したからといいましても、問題がたくさんあるわけです。まだ私は時間の都合であまりこまかいことには触れませんですけれども、要観察地帯に指定すべきじゃないですか、こういうところはどうですか。
#53
○説明員(山本宜正君) 私ども要観察地域に指定するしないにかかわらず、県の態度といたしましてこの問題を考えた場合には、要するに、いまの政務次官からお答え申し上げましたように、職場の中で汚染を受けた人の排せつ量が非常に多いわけでございますし、それの外の人におきまして非常に低いというようなことでございますので、これはむしろ労働衛生の問題かと思いますけれども、県の態度といたしましては、その地域の人でもありますので、今後その人たちの健康診査を続けていこうということでございますから、その方向を私どもも了承いたしまして、県に対してのいろいろな必要な援助はしてまいりたい、かように考えているわけでございます。特にこのケースにつきまして、要観察地域に指定するというほどのいわゆる地域の広がりはない。むしろ排せつ量の多い人たちは、過去において労働条件の中から受けたものだという考え方で、いま言ったような考え方にさしていただいたわけでございます。
#54
○小平芳平君 そのほかにも、たとえばこれはコイのレントゲンですが、コイの首が曲がっちゃっているとか、あるいは首が曲がってもまだ生きているのはいいほうで、ここの池もコイは全滅した、あそこの池もコイは全滅したというような話もありますし、それから豚の子がおかしくなったとか、そういうように、第一に起きる植物被害、第二に起きる動物被害、第三番目には人間の健康被害、全くそのとおりに発生しているわけです。
 それで、政務次官、あと最後に一つ、いまの公害課長の答弁のように、広がりが少ないからいいんだということは言えないのですよ。それは人数が少ないからいいんだということは言えないのですよ。たとえそこに何人でも――一人でも二人でも、あるいはこの場合第二次検診が十三人となっておりますが、いまなお、こういうコイがこうだとかあるいは野菜をどうするとか、いろんな問題が起きるわけです。非常に不安に思うわけです。ですからもう一つ前進した対策が必要だと思うんです。それは安中とかああいうところに比べたら広がりは少ないでしょう。おそらく工場自体は小さいわけですから。工場自体が小さいからといって、被害者の苦しみは同じなんです。
#55
○政府委員(橋本龍太郎君) きょう先ほどからもずっと関係各省の答弁を聞いておりましても、土壌の汚染について農林省としても検討されるということでありますし、また、現在閉鎖中の工場の中における堆積物その他についても、通産省として点検を加えられるということであります。また、その当時の労働状況がいかなる状態であったか、これについてその状況を再現しての検討も加えたいということを、労働省のほうからもお話がありました。私どもとしても、いま申し上げましたとおりに、第二次検診の結果、さらに一三九マイクログラムという元従業員の方でありますが、非常に高い濃度を示された方もあるわけでありまして、継続して検診を行なっていくということを申し上げた、私どもは決してこの問題を放てきするということを申し上げた覚えもありません。また軽視をしているつもりもございません。ただ、いま公害課長が申し上げましたのも、気持ちの上においてこれを軽視するというような考えは決してなかったことは先生も御理解をいただけたと思うのです。要観察地域に指定するしないという、それを指定するから要観察地域に指定したところについては、重大な関心を抱いているんだ、要観察地域に指定しなかったから、その地域の問題を放置しておくんだということは決してないわけでありまして、継続しての検査等も行なっていく。ただ限定される、むしろ発生源の工場そのものを軽視しておる今日において、むしろそこにおける残留物等が処分をされていけば、それ以上の広域の汚染というものは考えられない。むしろ今日起こっているものは、いかにして原状を回復していくか、同時に特に私どもから言うならば、住民の方々の健康管理の面に、どのように注意を払っていくかという点に問題は限定をされてくることでありまして、要観察地域に指定する必要は私どもはないと考えております。しかし、それは決してその地域の問題について、私どもが、今後の努力を放てきするという意味ではないことは明瞭に申し上げておきたいと思います。
#56
○内田善利君 関連して。もう一つ質問したいと思いますが、このデータを見ますと、いままでの要観察地域におきましては、たとえば土壌汚染について申しますと、福島県の磐梯で四二・三八とか五三・九四とか、あるいは安中で二六・三あるいは一五・八、多くて五二・二あるいは富山県の黒部で五三・二というふうなデータでありますが、この松代のデータは非常に高いわけですね、大体二十倍から三十倍、この三二、八〇〇PPMというのは重量に直しますと、〇・〇三二グラムですから、ミリグラムで言いますと、三〇ミリグラム、非常に大きいデータが出ておるわけであります。こういった、その他ずらっと縦の線に並んで十以上のデータが出ておりまして、非常に汚染度がひどいということを、強くこのデータを見て感ずるわけです。したがいまして、要観察地域とするしないの問題ではないかもしれませんが、早急に現状調査なりあるいは工場対策あるいはさっそく困るのは農民ではないかと思います。さっそく田植えはどうするか、夏野菜はどうするかというようなことについては、非常に不安を持っていらっしゃる、このように聞いておりますが、こういった点の解決をはからなきゃならないと思うわけですが、これは一般論として土壌汚染ということについては、非常に対策がおくれているのじゃないか。公害国会でもカドミウムだけがその対象になったわけですが、その他の重金属についても考えなければならないし、また土壌の基準あるいは野菜の基準は必要ないという政務次官の御答弁でございましたが、私は、その野菜だけについて言えば、これは常食しないという観点から米、麦に比べて基準の対象にならないかもしれませんけれども、結局汚染された野菜というのは、やっぱり米、麦が汚染された地域でできる野菜、これが問題になるわけです。そうしますと、その国民一人一人の食生活ということが問題になってきまして、米を食べ、麦を食べあるいは水を飲みあるいはこういった汚染された野菜類を食べることによってやはりプラスアルファして健康に被害が生ずることになりますので、こういった汚染地区については、要観察地域については野菜等もやはり基準を設けるべきではないか。東京都がやっているように、やはり国民の食生活という面から見て、野菜類等もあるいは魚類等もやはり基準を早急にきめて健康管理をしていくべきじゃないかと、このように思うわけですが、この点は政務次官いかがでございましょうか。
#57
○政府委員(橋本龍太郎君) 先ほど小平先生にお答えいたしましたとおり、東京都の衛生局予防部公害保健課から私どもは連絡を受けました結果、特定汚染地域の特定農家十世帯、きわめて限定された地域の限定された農家についてのみ適用する基準をつくったということであります。ですから、私どもも将来においてそういうケースがないとは決して申しません。先ほども申し上げましたとおりに、全国的な一つの基準を、いわば日本民族というものの主食の大半を占めておる、われわれが毎日主食として摂取を続けておる米のようなものと同一の考え方で基準を設定していく必要はないと申し上げたのでありまして、将来において、こういうふうな特定な地域に限定されて特定な対象のみを問題とする基準というようなものは、私は必要な場合もあるかもしれないと思います。東京都においても、そういう考え方において今回の特定地域における特定農家十戸を対象とする基準というものを設定されたのでありましょう。ですからそういうケースがないとは私も申しません。しかし、全国的に一つの基準を設定する必要はむしろ私は蔬菜にはないのではないか。それよりも先ほど申し上げましたように、米にかわる主食として、年々そのウエートを高めておる麦については、私ども自体も検討しなければならないと考え、現に関係者の間で検討も順次進めておると申し上げたとおりであります。
#58
○内田善利君 もう一つ通産省にお聞きしますけれども、カドミウムによる公害がこういった面で出てきたわけですけれども、全国でカドミウムをこのようにして取り扱っておる工場はほかにないかどうか、念のためにお聞きしておきます。
#59
○政府委員(山下英明君) 先ほど来議論しましたのは、炭酸カドミウムでございますが、無機化学関係でカドミウムを使っておる場合がございますので、そういう面につきましても、現在、先ほど申し上げましたような公害防止の観点からの実態調査を進めておる現状でございます。
#60
○内田善利君 炭酸カドミウムも無機化学なんですがね……。
#61
○政府委員(山下英明君) 微量ではございますが、硫化カドミウムあるいは酸化カドミウム等の無機化学品がございますので、そういう炭酸カドミウム以外の無機化学品についても調査を進めておる、こういうわけでございます。
#62
○理事(小野明君) 本日の調査は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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