くにさくロゴ
1970/05/07 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第6号
姉妹サイト
 
1970/05/07 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第6号

#1
第065回国会 公害対策特別委員会 第6号
昭和四十六年五月七日(金曜日)
   午後一時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月七日
  辞任           補欠選任
   小野  明君       竹田 四郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
               久次米健太郎君
                長屋  茂君
                竹田 四郎君
                内田 善利君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                古池 信三君
                矢野  登君
                加藤シヅエ君
                小平 芳平君
   衆議院議員
       産業公害対策特
       別委員長     小林 信一君
       発  議  者  細谷 治嘉君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣審議官    城戸 謙次君
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曽根田郁夫君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  森口 八郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○悪臭防止法案(内閣提出、衆議院送付)
○特定工場における公害防止組織の整備に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○環境保全基本法案(衆議院送付、予備審査)
○公害に係る被害の救済に関する特別措置法案
 (衆議院送付、予備審査)
○公害紛争処理法案(衆議院送付、予備審査)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(占部秀男君) 引き続いて理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動に伴いまして本委員会の理事が欠員となりましたので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 選任は、先例によりまして委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に竹田四郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(占部秀男君) 悪臭防止法案、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案、環境保全基本法案、公害に係る被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案、以上五案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。
 まず、悪臭防止法案について、内田厚生大臣よりお願いいたします。
#6
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました悪臭防止法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 近年、公害はますます深刻化、多様化してまいっておりますが、悪臭の発生につきましても、国民の快適な生活環境をそこなう深刻な公害問題となっております。
 悪臭につきましては、これまでその測定方法、防止技術等の開発のおくれなどから、国による一元的な規制立法が見送られてきたのでありますが、ようやく今日に至り悪臭に関する研究、防止技術の開発等も一応の水準に達し、主要な悪臭物質につきまして、逐次規制の対象に取り上げることが期待できる段階に至りました。
 これらの研究開発の成果を基礎とし、公害対策基本法の精神にのっとり、悪臭公害に対する規制法を定めることとし、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。
 以下、その内容につきまして概略を御説明申し上げます。
 第一に、この法律案におきましては、工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出を規制する等の措置を講ずることにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的としております。
 第二に、規制の対象とする悪臭物質は、アンモニア等の不快なにおいの原因となる物質について、これを政令で定めることといたしております。
 第三に、規制地域は、都道府県知事が市町村長の意見を聞いて指定することといたしております。
 第四に、規制基準は、総理府令で定める範囲内において、大気中の濃度の許容限度等として、都道府県知事が市町村長の意見を聞いて定めることといたしております。
 第五に、規制地域内に工場その他の事業場を設置している者は、規制基準を順守しなければならないものとし、これに違反している者に対しては、都道府県知事が改善勧告及び改善命令を発することができることといたしております。
 第六に、市町村長は、住民の生活環境を保全するため必要があるときは、関係都道府県知事に対して規制地域の指定、規制基準の設定、改善命令の発動等を要請できることといたしております。
 第七に、国は、悪臭防止施設の設置または改善につき、資金のあっせん等の援助につとめるとともに、悪臭防止に関する研究の推進につとめることといたしております。
 第八に、都道府県知事の権限に属する事務のうち、政令で定めるものは市町村長に委任することができることといたしております。
 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(占部秀男君) 次に、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案について、宮津通産大臣よりお願いいたします。
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び趣旨を御説明申し上げます。
 近年におけるわが国経済の高度成長は、国民生活の著しい向上をもたらした反面、産業活動の飛躍的拡大、人口の都市集中等に伴って大気汚染、水質汚濁、騒音等各種の公害問題を発生せしめ、国民の健康や生活環境に重大な影響を与えるに至っております。
 このような事態に対処して、政府といたしましては、さきの臨時国会において、公害対策基本法の改正、大気汚染防止法の改正、水質汚濁防止法の制定等公害関係十四法律の成立をはかり、公害対策の強化拡充につとめているところであります。
 しかしながら、産業公害の防止に万全を期するためには、各種の規制措置の強化とともに、これに対応して、事業者による工場内の有効適切な公害防止体制が確立されることが必要であります。
 このため、今回、工場における公害防止組織の整備をはかり、もって公害の防止に資するため所要の措置を講ずることを目的として本法律案を提出した次第であります。
 次にこの法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 第一は、この法律案の適用対象となる特定工場についてであります。
 この法律は、工場ごとに公害防止統括者、公害防止管理者等の選任を義務づけることとしておりますが、その選任が義務づけられる工場は、ばい煙発生施設、汚水等排出施設、騒音発生施設または粉じん発生施設を設置する工場で政令で定める要件に該当する特定工場としております。
 第二に、特定工場におきましては、事業者は、工場の事業の実施を統括管理するいわゆる工場長を公害防止統括者として選任し、公害発生施設の使用方法の監視、公害防止施設の維持等工場における公害防止に必要な業務の統括管理を行なわせなければならないこととしております。
 なお、政令で定める要件に該当する小規模の事業者については、公害防止統括者の選任義務を免除することとしております。
 第三に、特定工場におきましては、事業者は、さらに公害防止管理者を公害発生施設の区分ごとに選任し、公害発生施設において使用する燃料または原材料の検査、ばい煙量等の測定の実施等公害防止に関する技術的事項の管理を行なわせることとしております。このほか、大規模なばい煙発生施設と汚水等排出施設が併置されている大工場については、公害防止管理者を指揮して公害防止統括者を補佐する公害防止主任管理者を選任させることとしております。
 第四に、これらの公害防止管理者や公害防止主任管理者には、国家試験に合格した者その他政令で定める資格を有する者をもって充てなければならないこととしておりますが、このため、国及び地方公共団体は、公害防止管理者及び公害防止主任管理者として必要な知識及び技能を習得させるため必要な指導その他の措置を講ずるようつとめるものとしております。
 第五に、都道府県知事は、公害防止統括者等が公害関係諸法令に違反したときは、事業者に対し、これらの者の解任を命ずることができることとしております。
 このほか、都道府県知事の権限の市町村長への委任、立ち入り検査等につき、所要の規定を設けております。
 以上がこの法律案の提案理由及び趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますよう御願い申し上げます。
#9
○委員長(占部秀男君) 次いで、環境保全基本法案、公害に係る被害の救済に関する特別措置法案及び公害紛争処理法案について、発議者衆議院議員細谷治嘉君から発言がございます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#10
○委員長(占部秀男君) 速記をつけて。
#11
○衆議院議員(細谷治嘉君) ただいま議題となりました環境保全基本法案につき、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。
 今日までわが国は高い経済成長を遂げましたが、反面で広範かつ深刻な公害の発生をもたらしたことは御承知のとおりであります。
 今日、わが国における公害の惨禍は一部の地方、地域にとどまるものではないことは明らかであります。工場周辺には何らかの公害が発生していると言っても過言ではありません。水俣、四日市、神通川、阿賀野川など、企業の私害とも言うべき公害をはじめ、東京、大阪など太平洋ベルト地帯の水や空気が許容限度をこえて年々汚染が深刻化しており、太平洋岸の沿岸はもはや漁場としての価値がなくなるほど汚染と破壊が進んでおります。一方、陸上においても、プラスチック等の膨大な量の産業廃棄物が処理の見通しのつかないまま捨てられ、農薬その他による土壌の汚染が年ごとに悪化している情勢にあります。
 こうした事実は、われわれがやむを得ないこととして放置し、または、生産と企業利益が優先するとして軽視することは決して許されないことは言うまでもありません。
 すでに国民の体内には、異常なほどBHC、鉛、水銀、カドミウム等の有害物質が蓄積されております。都会では珍しくなくなった気管支障害の増大、わが国では比較的少ないとされた肺ガンの著しい増加、さらには、文明の発展とともに増加している異常児の出生など広範な環境の汚染を示す証拠はすでに明白なことであります。こうした事実は、これまで政府が行なってきた公害対策のような経済との調和した公害対策、限られた社会資本のたらい回わしによる公害防止対策によっては決して解決し得るものではないことは明らかであります。
 今日われわれが受け継いだ文明社会の秩序を根本的に再検討し、改めることなくしては、公害を防止し、環境の保全をはかることは不可能であると申して決して過言ではありません。公害の防止は、企業の利益に優先するものであります。同時に、自然環境の許容力には明らかに限界があり、人間は自然環境との調和の中で生存せざるを得ないという事実は、いかに文明が発達しようとも普遍的な原理であります。資源の浪費は企業利益と一致するものであっても、環境の保全とは相いれないものであります。
 ここにおいて、公害防止は、健康にして文化的な生活に必要な環境の保全の施策の一環として、自然環境の保全、社会資本の充実を一体のものとして実施し、汚染を未然に防止することに国の施策が貫かれなければならないことは明らかであります。
 ここに提案いたしました環境保全基本法案は、かかる環境に対する国の施策の基本姿勢を正し、環境保全を今日、人類が直面する最大の課題として取り組むという闘争宣言であり、われわれの子孫に対する責務を明らかにしたものというべきものであります。
 以上が本法案提出の理由であります。
 以下、本法案の内容の概略について御説明申し上げます。
 まず、前文及び目的、基本理念におきまして、健康で文化的な生活を営むことは、国民の基本的な権利であり、そのため良好かつ快適な生活環境が国民何人にも保障されなければならないことを明らかにしております。今日の著しい環境の汚染はもはや人類の生存にかかわり、われわれとわが子孫のために、あらゆるものに優先して、人と自然との調和を基本とする新たな社会の建設に取り組まなければならないことを明らかにしております。
 さらに、この法律は、単に公害対策にあるのみではなく、国民が健康で文化的な生活を営むために必要な自然環境及び資源の確保、すぐれた自然的景観十分な公共的施設の整備、さらには文化財の保全等を含む良好な環境の保全にあり、したがって、人と財産への被害を防止するのみならず、自然環境の汚染、人と自然との調和がそこなわれることも一体のものとして防止しなければならない旨を明らかにしております。
 したがいまして、第四条以降では国及び地方公共団体は、かかる良好な環境の確保に関する施策を総合計画及び年度別計画によって総合的に実施することを義務づけております。
 第二章におきましては、政府は、自然環境基準、施設環境基準、さらに公害防止環境基準を、学識経験者によって構成する環境保全会議の議を経て、類型別に設定し、都道府県は、その地域の状況に応じて類型の中から環境基準を適用することとしております。
 第三章におきましては、国、地方公共団体は、すべての産業政策、企業利益に優先して公害の防止を行なわなければならないこと、事業者は公害防止の責務があると同時に、産業廃棄物の処理、さらには製品の使用に伴って公害の発生が起こらないよう必要な措置を構ずる責務があることを明確にしております。
 また、地方公共団体は、認定した公害防止環境基準を維持するため、排出等の規制を実施し、国は公害防止のために必要な事業活動の禁止、規制、さらには施設等の改善命令、操業の停止等の規制制度の確立を行なわなければならないと同時に、公害予防の観点に立ち、製品の審査制度を確立し、製品の品質等の改善命令、販売等の規制を実施しなければならないことを明示しております。
 さらに、公害防止のため、調査、監視、試験体制等を総合的に整備しなければならないことを義務づけるとともに、公害の総損失の計量、植生図の作成等、公害予防に必要な調査及び必要な科学技術の振興、専門技術職員の確保等を行なうことを義務づけております。
 また、事業者は公害防止に関する統轄責任者を置かなければならないこと、被害にかかわる紛争に関する損害賠償等の裁定制度の確立、生活保障を含めた被害者救済制度の確立、無過失損害賠償制度の確立等をそれぞれ定めております。
 第四章におきましては、良好な環境を確保するための国土の開発整備に関する計画の整備、土地利用の規制、自然環境基準確保に関する施策を明らかにし、日照の保護を明文化するとともに、地方公共団体に対する財政措置及び環境保全に対する教育等の国民の理解の促進、国際協力の推進等を定めております。
 第五章におきましては環境保全省及び環境保全会議、環境問題研究所に関し所要の規定を設けております。
 以上本法案を提出いたしました理由及びその大要について御説明申し上げます。
 次に、公害に係る被害の救済に関する特別措置法案につき、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 今日、公害による被害者は、公害患者として政府が認定したものだけでも七地域、約二千三百人をこえております。また、自治体で受けた公害苦情件数は、昭和四十四年度で四万件以上にものぼっていることを考え合わせますと、七地域以外においても公害による被害者が発生し、それらの数は膨大になると考えられます。
 ことに、熊本、新潟の水俣病、富山のイタイイタイ病、四日市、川崎大阪、尼崎のぜんそく病などの公害患者の悲惨な実態を見るとき、現在の公害被害者救済制度の立ちおくれを指摘せざるを得ません。現行の公害被害者救済法は、その対象を大気の汚染と水質の汚濁による健康の被害に限定しているだけでなく、医療救済、介護手当の内容がきわめて不十分であり、また、被害者及び家族の生活費についての配慮を全く欠いております。
 昨年末の臨時国会におきまして公害対策基本法の一部改正をはじめとした十四件の公害関連法が成立しましたが、公害被害者の救済措置については従来のままであり、公害予防の見地からこれを充実するのは緊急の課題であります。
 以上が本法案の提出の理由でありますが、次に、本法案の内容について概略を御説明申し上げます。
 まず、この法律の目的でありますが、公害にかかわる健康の被害に関して医療費、医療手当、介護手当、生活援護手当または埋葬料を支給し、及び健康診断を行ない、並びに物の被害による収入の減少に関して特別手当を支給する措置を講ずることにより、その被害の救済をはかることとしております。
 次に、この法律における「公害」とは、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染騒音、振動、地盤の沈下または悪臭の影響によって人の生命、身体、財産または生活環境が侵害されることと定義しております。
 第二章におきましては都道府県知事に、公害にかかわる健康についての被害が生じ、または生じるおそれのあると認められる地域の住民について健康診断を行なうこと、健康診断に関する記録の作成と一定期間の保存を義務づけております。
 第三章は、健康にかかわる被害についての救済措置でありますが、都道府県知事は、環境保全大臣の指定する疾病にかかっている者の申請に基づき、公害にかかわる疾病または障害の認定を行なうとともに、公害被害者手帳の交付を行ない、認定被害者に対する救済として医療費、医療手当、介護手当、生活保護手当または埋葬料を支給するものとすることとしております。
 医療費の額は、社会保険法または医療費の公的給付に関する法令の規定に基づく医療に関する給付の自己負担分に相当額とし、保険医療機関で医療を受けた場合は、当該保険医療機関に対する直接支払いの方法をとるものとすること、医療手当は医療を受けている認定被害者に対して月額六千円を限度として支給すること、介護手当は介護を要する認定被害者に対して月額三万円を限度として支給すること、生活援助手当は認定被害者の収入減を補てんするために政令で定める生計基準額から収入を差し引いた額を支給するものとすること、認定被害者が死亡したときはその埋葬を行なう者に対し埋葬料として三万円支給することとしております。
 第四章は、物にかかわる被害についての救済でありますが、都道府県知事は、環境保全大臣が指定する地域において、環境保全大臣の指定する農産物その他の物について公害にかかわる被害が生じた場合の収入の減少による生計費不足分を補てんするために、政令で定める期間、特別手当を支給するものとし、その額は、政令で定める生計基準額から収入を差し引いた額とすることとしております。
 第五章では、都道府県に公害被害者の認定に関して議決する機関として公害医療審査会を置くものとすることとしております。
 その他、この法律に定める公害にかかわる被害者の救済措置に要する費用は、当該都道府県の支弁とし、国は、都道府県に対してその全額を交付するものとするとともに、国は、この法律の規定により支給した金額の限度において、公害にかかわる被害の加害者に対して有する損害賠償の請求権を取得するとしております。
 以上、本法案を提出いたしました理由及びその内容についてであります。
 次に、公害紛争処理法案につき、提案の理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 昨年末の臨時国会におきまして十四件の公害関連法が成立しました。これは、社会、公明、民社の野党三党共同提案による環境保全基本法案の精神に比べますならば、まだまだ不十分であると言わざるを得ませんが、それらの法律が成立していない時点と比べますならば一歩前進と評価すべきでありましょう。しかし、公害対策の万全を期するためには、さらに抜本改正もしくは新規立法措置をとらなければならないと思われる幾つか問題が指摘されます。その一つが、公害紛争の処理に関する措置であります。
 現行の公害紛争処理法では、中央公害審査委員会は独立の行政委員会ではなく総理府の付属機関となっているため弱体であることは否定できず、その上、仲裁制度も、当事者双方の合意による中立が仲裁開始の条件となっており、したがって、これを利用するかいなかは事実上加害者の選択にまかされ、今日の企業者の倫理意識と責任感では、この制度は十分に機能していないと言って言い過ぎではありません。ことに、今日の公害裁判を見ますならば、時間と金のかかる民事訴訟で行なわれており、この間被害者は悲惨な中で放置されている現実を見ますならば、準司法的権限をもつ紛争処理機関を設置し、迅速かつ科学的に処理する裁定を行なうことが緊急の課題であるといえます。
 以上が本法案の提案理由でありますが、次に本法案の内容の概略を申し上げます。
 第一に、公害の紛争については、和解の仲介及び調停の制度並びに裁定制度を設けて、解決をはかることといたしております。特に、加害者の責任を徹底的に究明するため、当事者の一方のみの申し立てでも開始される準司法的な裁定制度を設けたのであります。
 第二は、組織としては、中央に国家行政組織法による三条機関たる公害審査委員会を、都道府県に、公害紛争調停仲介委員会を設けることといたしております。中央は裁定を、地方は和解の仲介及び調停を行なうのであります。
 第三は、中央の公害審査委員会に公害専門調査会を設けたことであります。公害紛争の焦点は、因果関係の究明が困難な点にあるのでありますが、これを究明させるため権威ある自然科学者を専門調査会に動員いたしまして、これに自然科学上の判断を行なわせ、法律的判断たる裁定はその意見に基づいて裁定委員会が行なうこととし、専門調査会の委員及び臨時委員は、審理、証拠調べに立ち会い、独自でも事実調査をすることを認め、これによって裁判上救済の困難な事案を救済するレールを敷いたわけであります。
 第四は、裁定と訴訟との関係について、特に大気の汚染または水質の汚濁によって生じた人の生命または身体にかかわる被害についての損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争については、裁定を経た後でなければ、訴訟を提起することができないこととし、裁定の権威を高めるための機構、運営に万全を期することといたしております。裁定委員会の証拠調べ及び証拠保全、職権探知、立ち入り検査等も、公害専門調査会の活動と相まち、裁定の科学性、合理性、客観性を立証するための必要な措置と申すべきであります。
 第五に、裁定の効力は、裁定について、裁定書の正本の送達を受けた日から三カ月以内に、訴えの提起がなかったとき、裁定の内容について当事者間に合意が成立したものとみなすことといたしております。
 以上が三つの法案についての提案の理由及び内容の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願い申し上げます。
#12
○委員長(占部秀男君) 引き続き悪臭防止法案について、衆議院産業公害対策特別委員長小林信一君から、衆議院における修正点の説明を聴取いたします。小林信一君。
#13
○衆議院議員(小林信一君) 内閣提出の悪臭防止法案に対する衆議院修正の趣旨について御説明申し上げます。
 まず修正の第一点は、本法第八条の都道府県知事が発動する改善勧告及び改善命令の要件についてであります。すなわち第八条第一項中、「事業場の周辺地域における住民の生活環境がそこなわれていると認めるとき」とあるを「住民の生活環境がそこなわれていると認めるとき」に改めることにより、規定実施の際の無用の誤解を取り除こうとしたものであります。
 第二点は、改善命令の規定について、附則第一項ただし書きにより、法施行後も二年間は施行しないこととされているのを政令で定める事業場に限り、法施行の日から二年間の猶予期間を設けることに改め、零細企業、皮革業等特に配慮を必要とする事業場以外のものについては、公害苦情の現状等から本法の早期実施を配慮いたしたものであります。
 以上であります。
#14
○委員長(占部秀男君) これより悪臭防止法案について質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#15
○内田善利君 悪臭につきましては、公害対策基本法が制定されて以来公害として取り扱われておるわけですけれども、また、へい獣処理法とか、あるいは清掃法等でも悪臭の発生源の規制をする法律があります。
  〔委員長退席、理事久次米健太郎君着席〕
しかしながら、公害防止ということについてはほとんど役立っていないと、このように思われるわけです。その証拠には、各地方公共団体で一番苦情が多いのが騒音とともに悪臭であるということから、早急にこの公害防止対策が講ぜられなければならないわけですけれども、実情は、昨年の臨時国会でも見送られ、今日に至ったわけでございますが、この法案が成立することによって法制面では一応整備されることになると思いますけれども、はたしてこの法案が成立した場合に、実効のある悪臭公害防止対策が期待できるのかどうか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
#16
○政府委員(橋本龍太郎君) 先生よく御承知のとおりに、いわゆる公害の中で指摘されております悪臭というものの中には、本来水質の保全が完全に行なわれるならば悪臭は発生し得ないはずのものが、水質の管理の上に問題がありますために、ヘドロが堆積をして悪臭を発するようなケースもございます。それだけにこの悪臭防止法だけで私は臭気に関する問題一切が解決をするとは申せません。しかし、悪臭の原因となる物質を規制していくことによってほかの関連法律と併用し、運用をはかってまいりますならば、私どもは悪臭による被害というものは非常に減少させていくことができると、今日考えております。
#17
○内田善利君 大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法で排出規制ができればということですけれども、諸外国は大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法で悪臭を出す有毒物質も規制しているわけですけれども、いろいろ考えてみますと、洞海湾の場合について考えてみましても、例をあげますと確かに悪臭を放っております。そして、風向きの方向によってはひどい悪臭で、ぜんそく患者とかあるいは心臓病の人などはその悪臭によって発作を誘発するというような面もあるわけですが、そういった場合、この法案が成立しますと、悪臭が出た、規制する、そういう場合にどこで一体規制するのか。各工場から有毒物質が排出されておる、それが原因で悪臭を発するようになる、その悪臭に対して規制をするという法律がいまできるわけですが、水質汚濁防止法によっても規制がされておる。こういった関係で、かえって悪臭防止法ができることによって混乱を起こすおそれはないかということを心配するわけですが、諸外国のように大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法で規制はできないものか、この点はどうでしょうか。
#18
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに先生の御指摘のような考え方も私はできないとは申しません。しかし、まあたまたま先生いま洞海湾を例として取り上げられましたが、いずれの地域であれ、この悪臭防止法の第四条の中に、事業場における事業活動に伴って排出される悪臭物質というものを幾つも条文もありますとおりに、工場等から排出される排煙あるいは排水、そうしたものの中に含まれている原因物質が、大気の保全あるいは水質の保全という観点から見れば許容のうちにあるものでありましても、においという点においては非常に付近の人々に不快感を与えるようなケースも当然私はあると思います。それが必ずしも大気汚染防止法あるいは水質保全法というものの中で処置し得るものばかりとは考えられません。同時に、においのないものでありましても有害なものはたくさんあるわけでありまして、大気保全の見地から、水質保全の見地から、当然取り締まらなければならぬものも多くありましょう。そうした場合に、私はやはりにおいに対する一つの法体系というものは必要だと考えます。そして、それと同時に、この法を施行し実施していくことによって、地方自治体においても、またその悪臭を発生するおそれのある発生源、施設においても、においという比較的今日まで対策がなおざりにされてまいりました公害の中の一つの大きな問題に対して認識を深め、対策を実施していく姿勢を植えつけていく役割りもあるかと思います。最初に申し上げましたように、私は悪臭防止法そのものだけで一切のにおいについての問題を解消し得るとは申し上げることはできません。こうした諸点を考え合わせてまいります場合、やはりこうした一つの法体系をとっていくという考え方がわが国の場合においては至当なものと考えております。
#19
○内田善利君 このことについては、あとでまた詳しくお聞きしたいと思いますが、次に第一条の「国民の健康の保護に資することを目的とする。」と、このようにありますが、この「資する」という意味をお聞かせ願いたいと思います。
#20
○政府委員(橋本龍太郎君) これはどうもちょっとどういうふうに申し上げるのが一番的確か、非常に表現のしづらい部分でありますけれども、においというものの性格からして他の大気汚染あるいは水質の汚染、こうしたものと違って、国民の健康上の問題を発生する以前に実は悪臭公害というものはその周辺の生活環境そのものを実は破壊していくわけであります。確かににおいが非常にきついことによって病気が誘発されるということも当然あるでありましょう。そういうこと以前にもうその被害は非常に不愉快な状況になります。生活し得ない環境をつくってしまう。その場合に、ほかの公害問題と悪臭公害というものの違う点がそこに一つございます。そこでまず生活環境を保全し得る状態をつくり出すことによって人々の生活に何ら支障のないところまでにおいというものを取り除いていくことができれば、当然国民の健康に影響を与えるような問題というものは起こり得ない。他の法体系と異なりまして、むしろ「生活環境を保全し、国民の健康の保護に資する」という語句を使いましたのは、こうした悪臭公害というものの他の公害問題と違った一つの姿というもの、それを考えてこういう体系をとりました。
#21
○内田善利君 政務次官がおっしゃることはよくわかるわけですが、どうもこの法案には、国民の健康を守るというような字句が全然見つからないわけですが、最後のこの理由の欄のところも、「悪臭により国民の生活環境がそこなわれている実情にかんがみ」と、こういうことで、国民の健康を悪臭がそこなっているというような字句は全然見当たらないわけですが、実情は先ほども申しましたような実情にありますし、そういったことから第一項の目的は、「国民の健康の保護に資する」と、こういうふうになっておるということですが、国民の健康を守る、その前の段階で生活環境を保護すると、そういうことだと思います。どうもこの法案はもう少し国民の健康ということを、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法とは違うとおっしゃいますが、やはり両法律には、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全するというふうに明確にうたってあるわけですが、この法律にはそれがないけれども、それはそれでいいわけですね。
#22
○政府委員(橋本龍太郎君) 騒音規制の場合も同じような御指摘がたしか先生からなされたと思いますが、むしろ国民の健康に被害の起るところまで放置をすること、これのほうが実は私はたいへんな問題だと思います。むしろこの悪臭防止法の場合に、国民の健康の保護をまず前提に出していった場合、では健康上に直接何らかの影響が出てこなければ、そこまで悪臭は発せられていいのか、生活環境そのものは破壊されても直接健康に被害が出なければいいのかというような極端な議論もなし得ないわけではございません。私どもは、むしろ健康に被害は一切起こらなくても、健康の上に何らの問題は起こらなくても、悪臭というものを公害の中で考える場合には、生活環境が破壊されることのほうが、まずやはり優先して考えられなければならないことだと思います。健康に影響を及ぼすところまで悪臭公害というものを放置しておくことのほうがむしろ問題ではないだろうか。それよりも早く生活環境を完全に保全することによって、むしろ健康上の問題まで考慮しなくても済む状態をつくる、それが悪臭防止というものについての基本的な考え方でないかと思っております。
#23
○内田善利君 その次の第二条ですが、「生活と環境をそこなうおそれ」というのは、具体的にどういうことですか。
#24
○政府委員(橋本龍太郎君) においにはそれこそ、私はあまりにおいに鋭敏のほうではございませんけれども、非常に個人差がございますが、不特定多数の住宅の存在する地域をかりに想定した場合、その中に何らかの悪臭発生源があるといたします。ごく鋭敏な方だけがときに風の間に間に、においを感じられる程度であれば、これは生活環境を破壊するとは言えないかも知れません。しかし、その中でも過半数の方々がそのにおいのために一日じゅう朝起きた瞬間から寝つくまで不愉快であるというような状況であれば、これはやはり一つの生活環境の破壊ということにつながってくると思います。それが天候その他種々の状況でいろいろのケースが出てまいるでありましょうけれども、そういう物質が排出された場合、周辺の人々に不快を催せしめるというような物質――非常にあいまいな言い方でありますが、実はこれを読みあげましてもけっこうでありますけれども、実はそういう意味で考えられる物質というものは非常にたくさんございまして、その中の代表的なものを私どもは政令で今日ここで定めようとしておるわけでありますけれども、これ以外に問題を起こす可能性のあるものがないとは申せません。その点非常にばく然とした表現をとっておるという御指摘かと思いますが、におい、こういう非常につかみにくい性格のものを対象としたものでありますだけに、この表現はお許しをいただきたいと思います。
#25
○内田善利君 政令で定めるものは十三種類だと聞いておりますが、はたして十三種類でいいのかどうか。この「生活環境をそこなうおそれのある物質」といったら相当数あるのではないか。養豚、養鶏あるいは水産加工物等いろいろあげれば相当「生活環境をそこなうおそれのある物質」があるのじゃないか、そのように思って質問したわけですが、政令で定められる予定は十三種類ですか。
#26
○政府委員(橋本龍太郎君) さしあたり十三種類を考えております。
#27
○内田善利君 それから規制地域ですが、この法案は、規制地域、たとえば悪臭物質があってもなくてもとにかくこの団地はあってはならない、そういうことが中心になって、この悪臭物質を出す工場あるいはその他の事業場が中心になっていないように思いますが、この点はいかがでしょう。
#28
○政府委員(橋本龍太郎君) 悪臭物質の排出を規制する地域を都道府県知事が指定するという考え方をとっておりますのは、悪臭というものによる被害というものはおおむね感覚的なものにとどまる。同時に悪臭の原因となる物質というものについては、カドミウムその他非常に蓄積が問題になる微量重金属によるようなものの被害等の発生等とは異なりますために、むしろにおいというものを考えていく場合には、住民に影響を与えないような地域というものは特に規制を行なう必要がないと考えたからであります。
#29
○内田善利君 悪臭物質についてですけれども、いまおっしゃったように一応考えますけれども、規制物質、悪臭物質が感覚的方法によって認められるわけですけれども、現に日本に起こっておる悪臭というのは、先ほどもちょっと申しましたが、養豚、養鶏あるいは水産加工物関係あるいは畜産の工場集団があって、その工場集団からいろいろの水が排水されて、そしてそれが海で化学変化を起こしたのかどうか、非常に悪臭を放つ、そういう非常に複雑な悪臭の状況にあるわけですが、はたしてこういったことで、第三条のようなことで規制ができるのかどうか、非常に疑問に思うのですが、この点はいかがでしょう。
#30
○政府委員(橋本龍太郎君) 私どもは、少なくとも都道府県知事という地方自治体の首長がその地域地域における住民の声を吸い上げつつ地域をきめてまいりますならば、十分にそうした問題点については対処し得ると考えております。
#31
○内田善利君 次に、第三条の地域の規制ですけれども、たとえば隅田川のようなあの悪臭はこの法案でなくすることができるかどうか。
#32
○政府委員(橋本龍太郎君) 私は、隅田川のようなケースというもの、むしろこれは悪臭防止法以前に水質保全の立場から処理をされるべきものだと考えております。というのは、むしろこれはにおいがすることが隅田川の問題ではございません。汚染し、ある程度のヘドロが堆積し、そのために流水そのものが完全に汚染され、しかもそれに工場の廃液あるいは都市の下水の一部、こうしたものが流れ込んだ結果汚濁し汚染し、その中から悪臭というものが生まれてきております。今日、いわゆる他からの導水によって隅田川の浄化がはかられておるのもそうした考え方をとったわけであります。むしろ私は、水質保全の立場から何とかして隅田川の水質をもとの状態に復せしめようという、水質保全の考え方で隅田川の場合には取り組んでいく問題である。そこの中に流されておる汚染物質の中で、たとえば工場等から排出される水の中の悪臭物質等、個々に取り締まっていかなければならないのは私どもしなければならない一つの仕事と考えておりますけれども、それだけでたとえば隅田川が完全に正常なものになるかというと、これはそうとも申し上げ切れません。最初に申し上げましたように、他の法律の運用と相まってということを申し上げましたのも、そうしたケースを私ども自体が想定しておるからであります。
#33
○内田善利君 論点はそこにあると思いますけれども、確かに水質保全法で、水質汚濁防止法で規制すべきでありますが、そういった規制内で出しておる排水が一緒になって化学変化を起こして、あるいは腐敗して発酵して悪臭を出してきた。そういう場合に、水質保全法でははっきりと基準以内で出しておる。ところがそれらが一緒になって悪臭を放っておる、こういう場合にはやはりその規制は生活環境をそこなうおそれのある悪臭を放ったということで、その辺から環境基準なりをきめてそうして規制すべきじゃないか、このように思うのですけれども、その点どうですか。
#34
○政府委員(橋本龍太郎君) むしろ、内田先生の御指摘のもの、たまたま現在非常に汚染の度合いの進んでおる隅田川を例にとられましたので、いま申し上げたような見解を申し述べたわけであります。今後については、確かにいま御指摘のような方向へ私どもも努力をしなければならぬと思います。しかし、すでに堆積してしまい、よごれ切ってしまったもの、これの中で悪臭だけを取り出して悪臭防止法で処置できるかというお尋ねと解しましたので、これは悪臭防止法の範疇をはずれるというお答えを申し上げました。今後については、いま先生御指摘のとおりだと考えております。
#35
○内田善利君 今後は環境基準をきめて、それから悪臭防止法を適用して取り締まりの規制をしていく、そういうことになりますね。たとえば洞海湾のような場合でも、もうあらゆる排水が長年の間あるいは化学変化を起こして発酵して悪臭を放っているわけですが、それによって工場の規制をする。規制をする場合に各工場は水質汚濁防止法に従ってその基準内で排水している。悪臭を放ったら各工場にどういう規制を一体すればいいのか、この点はどうですか。
#36
○政府委員(橋本龍太郎君) 水質保全の立場から行なわれる規制というものは、当然おのずから、先生御承知のとおりのような形で法も運用されていくわけであります。同じように水質保全法の適用の中からはずれる物質でありましても、いわゆるこの悪臭防止法で、いま私どもが政令によって定めようとしておる物質がその中に存在し、水質保全法の網からははずれるが、現実に悪臭防止法の中で、政令で定めようとしている物質がその中に含まれて流されておる、また今後流されるとするならば、当然これは悪臭防止法としてのそうしたものの除去についての指導がなされるわけでありまして、むしろ今後についての行政の一面であれば、私どもはいま申し上げましたように、それぞれの法律が相まって処置をしていくということを申し上げているわけであります。ただすでに汚染し、堆積が相当量にわたり、しかもその結果、腐敗等により、流されてきた物質以外の悪臭原因物質の生まれてきているようなケース、洞海湾も一つでありましょう、あるいは現在ヘドロの運び出しが行なわれている田子の浦等もそうでありましょう。むしろこれは悪臭防止法で処置をするというよりは、むしろ他の法体系によって処置をされるべきものだと私は考えます。
#37
○内田善利君 その次に、この法案では悪臭を発生する発生施設の事前規制というものがないように思うのですが、そういった悪臭を発生するような施設については届け出制が必要ではないか、このように考えるわけですが、将来は技術の進歩に伴って届け出制をとるべきであると、このように思いますが、その点はいかがでしょう。
#38
○政府委員(曽根田郁夫君) 先生の御指摘ごもっともな御意見かとも存じますが、事前届け出制を設けまして、これによって事前指導を行なうという場合に、そのねらいはもちろんいろいろありますけれども、大きくいいますと、一つは事前届け出制等によって発生源というものを行政的にはっきりと把握しておくということが一つございますし、それからもう一つは、ただいま申しましたように、それによって届け出を受けて悪臭の防止の施設整備等についても事前指導を行なうということでございます。悪臭公害につきましては、先ほど来申し述べておりますように、これは感覚公害でございますので、発生源というものは容易に外部から認知されるという点がございます。それからまた、事前指導につきまして、これははなはだ残念なことでございますけれども、大気汚染や水等の場合と同じように、すべての悪臭の発生源についてすべての地方公共団体なり国なりがいまの段階で完全に効果のある事前指導を完全に行なうということが、実際問題としてはまず困難でございます。そういったことから、この法律では、他の法律の例にならって、たとえば特定施設等の制度を設けてこれを事前に届け出させるというような法律上の規制を行なっておりませんけれども、しかしそのことは、決して事前指導が必要ではないということではございませんので、当然市町村、都道府県等で行政能力等が十分あるところであれば、これは十九条にもございますように、条例をもってそういう事前指導を行なうことも可能でございますので、私どもは、そういった条例の制定におけるいろいろ助言なり指導を通じて万全の措置を講じてまいりたいというふうに思っております。
#39
○小平芳平君 関連。先ほどの政府次官の御答弁だと、隅田川のようなものはこの対象にならない、現状として。そうなりますと、田子の浦も悪臭防止法の対象にはならない。今後の運営の面においては他の法律と相まってこうした悪臭の防止、環境保全にはつとめることになるだろうけれども、現状としては、こうした田子の浦、あるいは洞海湾、あるいは隅田川、あるいは長野県の諏訪湖なんかもそうですが、そういう非常な悪臭を発生している、そして生活環境がはなはだしく破壊されているわけです、現状として。しかし、今回の悪臭防止法案ではいかようともしようがない、こういうことでございますか。
#40
○政府委員(橋本龍太郎君) 悪臭防止法の第十二条に、「下水溝、河川、池沼、港湾その他の汚水が流入する水路又は場所を管理する者は、その管理する水路又は場所から悪臭が発生し、周辺地域における住民の生活環境がそこなわれることのないよう、その水路又は場所を適切に管理しなければならない。」という規定を置いています。ですからその意味でいくならば、確かにそうした、いま先生が幾つか列挙されたようなケース、これはその対象になるということも申せましょう、しかし現実問題として、これが十分に適切に管理が行なわれておればむしろ問題は起こらぬわけであります。そうしていま御指摘になりましたようなそれぞれのケース、隅田川の場合、あるいは洞海湾の場合、あるいは諏訪湖の場合、田子の浦の場合、いずれも特定の、あるいは不特定多数の企業の排水、あるいは家庭排水、こうしたものが積み重なって今日の汚水状況を来たしております。その中からなされなければならないことは、この状況をいかにしてもとに復するかということでありまして、その中でにおいだけを取り出して消すという方法ははっきり申し上げてありません。むしろこれを解決していくためには、その中で堆積しておる従来からの汚水物質を取り除き、水が流れるようにし、同時に新規に流入してくることをとめる。そうした方法をとらざるを得ないわけであります。その場合には、悪臭防止法がそれを命ずるというよりも水質保全法等がそこにかぶさってくる、あるいはかさ上げ法等の適用が行なわれる。そうした結果、正常な水の状態を取り戻し、においがなくなるということでありまして、その中から悪臭だけを取り出してぱっと一ぺんに解決をするというような方途はございません。
#41
○小平芳平君 私がお尋ねしている点は、この法律のねらいについてお尋ねしているんですが、それはこの法律のねらいとして、まあ養豚場、養鶏場、あるいは化学工場、そういうところから発生しているそういう悪臭を防止しよう、これが一つあると思うのです。それとまた、いま指摘された十二条の管理者が、建設大臣の場合も、知事の場合も、あるいは個人の場合も、管理者はいろいろあると思いますが、
  〔理事久次米健太郎君退席、委員長着席〕
そういう管理者が環境保全につとめなければならないというところに大きな一つのねらいがあるのではないかというような気もいたしますが、その辺について……。
#42
○政府委員(橋本龍太郎君) この法律の目的に書きましたとおり、「工場その他の事業場における事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出を規制することにより、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。」しております。同時に、ただいま先生の御指摘になりましたように、第十二条に書かれておりますように、従来の積み重ねによってすでに悪臭が発生している場合もありますし、管理が不十分であった、あるいは今後悪臭の発生し得るような可能性のあるような下水溝、河川、池沼、港湾その他の汚水が流入する水路または場所、これを正常化していきたいという考え方ももちろんございます。しかし、現実にすでに汚染の度合いの進んだ河川、あるいは池沼あるいは港湾、こうしたものについてはそれを回復していくことは、この法体系からだけで処置をするというよりも、他の法体系を駆使して、むしろ、それ以前の問題を解決することによって悪臭問題というものも解決をしていきたい。先ほどから申し上げたとおりでございます。御指摘の点は、先生のいまお話しのとおりであります。
#43
○内田善利君 次に第七条ですが、「規制地域内に事業場を設置している者は、当該規制地域についての規制基準を遵守しなければならない。」と順守義務を設けてあるわけですが、やはり悪臭公害というのは非常に多いわけですが、もう少しきびしくする必要はないかどうか。直罰方式を導入したらどうかと、このように思うわけですが、この点いかがですか。
#44
○政府委員(橋本龍太郎君) 昨年の臨時国会で改正をされました、あるいはまた新たに制定されました大気汚染防止法、水質汚濁防止法等については、規制基準を順守しなかったり、すなわち違反すれば、排出を行なった者に対しては、いわゆる直罰をもって臨むことにしておりますけれども、これは大気汚染防止法やあるいは水質汚濁防止法によって防止しようとしている被害は、直接、人の健康あるいは生活環境についての具体的な、また生命の不安にもつながるような重大な被害を生じるものでありますために、この排出基準の違反については特にきびしい態度で臨む必要があると判断をしてきたからであります。悪臭というものは、先ほどから何回か申し上げておりますように、一般には人に不快感、嫌悪感などを与えるというような性格のものでありますために、悪臭物質が規制基準をこえて排出されたり、またあるいは何らかの欠陥のために漏れておりましても、それが事業場周辺の方々の生活環境を直ちにそこなうという事態を生じていない場合には、むしろ、これを漏出しておる場所を修繕するとか、そういう処置をしていけばそれ以上の規制措置を必ずしも必要としないものでもありますし、地域の方々の生活環境に被害を与えておるという場合でありましても、おおむね、その被害というものが本質は感覚的なものでありますだけに、いわゆる直罰をもって臨むよりも、まずその漏出個所に対する改善勧告でありますとか、その設備そのものの改善命令でありますとかいうことで事態の改善をはかるという取り扱いをしたほうがより妥当ではないかという考え方をとってこうした形式をつくり上げたわけであります。
#45
○内田善利君 非常に一貫してこの法案は次官のおっしゃるとおりにできておると思うのですけれども、次の第八条の二項にしましても都道府県知事の勧告規定にとどまっておるわけですが、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法に違反した場合には、操業の一時停止という規定も設けてあるわけですけれども、実際は、クラフトパルプの製造工場周辺にしても、養豚、養鶏の悪臭にしても風向きによっては眠っておる人の目をさますほどの刺激臭があるわけですが、そういったことに対して生活環境の汚染だからというのではなしに、もう少し積極的な、勧告規制にとどまらず、一時操業の停止をして装置を改めるなどの勧告はできないものかどうか。そのように思うのですが、健康以前の生活環境を汚染するところでストップしたいというところの気持ちはよくわかるのですが、もう一歩国民の健康被害ということあるいは被害者が訴えてくるならば、その被害者の実情をよく聞いて、県知事がその会社、事業場に対して勧告をするとかいうような、もう少し国民の側に立った考え方はできないものかと思いますが、その辺はどうですか。
#46
○政府委員(橋本龍太郎君) 非常に妥当を欠くかもしれませんが、一つの想定し得るケースを考えてみたいと思うのです。たまたま一つの村の中の一定の地域の中で、その地域の農業協同組合の関係者が寄って大規模な養鶏団地を建設した。もちろんその地域にはその養鶏団地に携わらない方々も、ほかの仕事をしておられる方もおられるわけであります。大規模な養鶏団地から、清掃その他の不備のためにはなはだしい悪臭を生じて付近の方々から苦情がくる、そうした場合には、むしろその鶏舎そのものを清掃しあるいは鶏糞等の処理をきちんとしろということを勧告し、それを実施させることができれば十分その地域の人々の生活環境を保護できると私どもは思うのです。そうした場合に、それに対して直罰方式をもって臨み、いきなり罰則を加えていくことが地域の実態に合うかどうかにも私は疑問があると思います。この第八条は、先生御承知のとおりに、改善勧告をまず行なうと同時に、第二項において「勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。」いわゆる改善命令も発し得るわけであります。そういう点を考えてまいりますれば、私どもは大気あるいは水質、こうした直接重大な健康被害、人命そのものに対しても問題の起こるようなものと同じ直罰方式を悪臭において採用することが妥当であるとは思いません。
#47
○内田善利君 その次に同じ第八条ですが、最後の五項目の「都道府県知事は、小規模の事業者に対して第一項又は第二項の規定による措置をとるときは、その者の事業活動に及ぼす影響についても配慮しなければならない。」この「配慮」とは具体的にはどういうことをさしますか。
#48
○政府委員(橋本龍太郎君) これは小規模事業者についてはどういうふうな改善措置を命ずるか、また、それをどの程度の期間内に達成しろということを命ずるか、こうしたことを決定する場合に、その事業者の資力でありますとか、経営内容、また同時に、その程度の小規模な事業者で採用し得る技術水準というもの、そうしたものをも考えて、できるだけその事業活動を著しく困難に追い込むことのない措置をとるようにということを求めているわけでありまして、それと同時に、そうした改善勧告、場合によっては改善命令というものを行なう場合に、その命じた改善措置を実行することができるだけたやすく行なえるように融資を行なうとか、あるいはまた融資のあっせんを行なう、または命令勧告の出しっ放しではなくて、むしろ技術的な援助の助成措置等を講ずる。そうしたものをもあわせて行なうように期待をしておるわけであります。この場合に小規模の事業者と申しましても、資本あるいは技術力、事業規模等から考えて社会通念上小規模と思われる程度のものを考えておりまして、必ずしもこれ以下が小規模でありこれ以上が小規模ではないという線を引いているわけではありませんが、私どもが想定しておりますのは、中小企業基本法でおおむね常時使用する従業員が二十人以下としてとらえられていると大体同等のものを悪臭防止法でいう小規模の事業者というふうに考えております。
#49
○内田善利君 第十一条の濃度の測定ですけれども、これは最初に提案事項でしたか、「防止技術の開発等も一応の水準に達し、」とありますが、この濃度の測定は、現在の科学的な測定は可能なのかどうか。
#50
○政府委員(曽根田郁夫君) 十一条の悪臭の測定についてでございますけれども、ここでは、都道府県知事が規制地域におけるいわば環境濃度について必要な測定を行なわなければならないというふうに規定しているわけでございます。この濃度の測定につきまして、最近いろいろ測定機器等も開発されまして、かなり低濃度の悪臭ガス等についても十分測定できる機器が開発され、すでに普及いたしております。そういったことで、私どもは、たとえばこの知事の権限が市町村長に委任されたような場合におきましても、測定自体としてはそう困難もなく全国的に行なわれるものと考えております。
#51
○内田善利君 都道府県あるいは市町村で、先ほどの十三の物質について濃度の測定はできるわけですね。
#52
○政府委員(曽根田郁夫君) 可能でございます。それからまた、たとえば市町村等に権限を委任した場合に、市町村のすべてが測定を一々するのはというような御意見もあろうかと思いますので、そういった場合、場合によりますと、市町村としてはいわゆるその悪臭物質を含んだ悪臭ガスを採取いたしまして、つまりサンプルは市町村段階で採取いたしまして、それを都道府県のたとえば衛生試験場に持っていって測定してもらうとか、そういったことも考えて、実情に合ったような行政措置を行なってまいりたいと考えております。
#53
○内田善利君 被害を受けた住民の側からこの測定要請があった場合には測定できますか。
#54
○政府委員(曽根田郁夫君) そういったことが実際問題としては非常に多かろうと思いまして、当然そういう場合には測定を行なう考えでございます。
#55
○内田善利君 大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法にはこの測定の公表ということがありましたが、これも当然公表されると思いますが、この点はいかがですか。
#56
○政府委員(曽根田郁夫君) この法律では特段の規定はございませんけれども、そういった問題を含めまして、別にそれを隠すこともございませんので、条例等で所要な措置をとることについては私どもは差しつかえないものと考えております。
#57
○内田善利君 次に十二条ですが、先ほどお話がありましたけれども、話題にのぼりましたが、管理者の適切な管理というのは、具体的にはどういうことをさしますか。
#58
○政府委員(曽根田郁夫君) この十二条で規定いたしておりますのは、御承知のように、こういった河川、港湾等につきましては、それぞれの法律によりまして管理者の規定があり、また管理者の行なうべき措置等が定められておるわけでございますけれども、その中には当然悪臭の問題も含めました広い立場からの規制ということになるものもあろうかと思いますが、特段悪臭だけを取り出して一つに規定はいたしておりませんので、悪臭防止法制定の機会に、やはり全般的な管理者として悪臭の見地についての適切な管理ということでこのような条文を設けたものでございます。したがいまして、この適切な管理といいますのは、何といいますか、それぞれの公共水域の管理者として悪臭の見地からも当然予定される妥当適切な管理という程度の意味に理解して差しつかえないと思いますけれども、ただこの条文で――これは罰則もございません、訓示規定でございますけれども、実際問題として河川、港湾等の管理者は、実は、ときにはみずからがむしろ悪臭について被害者である場合が多いわけでありまして、つまり他の事業場等からの汚水の流入によってみずからの管理する公共水域が汚染され、悪臭を発する、そういう意味で被害者の場合が実は多いわけでございます。したがいまして、これについて非常に強い規定を置いたらどうかという御意見もあろうかと思いますけれども、そのようなこともあわせ考えまして、適切な管理ということでこの条文を定めたような次第でございます。
#59
○内田善利君 どう考えてみましても、この法案が成立することによって、あの田子の浦の硫化水素がなくなるのか、洞海湾のあの悪臭がなくなるのか、隅田川の悪臭がなくなるのか、一体だれが、適切な管理をするとありますけれども、水質保全法はりっぱに守られておる、大気汚染防止法も基準どおり守られておる、ところがその結果、悪臭がひどいところは悪臭の管理をするということですけれども、大気汚染防止法みたいに、この管理者が工場等に対してこういった悪臭を生ずるであろう物質を排出してはならないというようなところをどういうふうに規制するのか、この辺がまだ私にはよく納得いかないのですが、いろいろな物質が出ているが、それは水質汚濁防止法の基準どおりにちゃんとある、ところが出てから悪臭を放ち出した、そういう場合にその悪法を防止する方法はどういう方法があるのかですね。管理者が適切に管理するということですけれども、禁止できるのかどうか、この辺はどうでしょう。
#60
○政府委員(橋本龍太郎君) 先ほど小平先生にお答えをいたしました部分に一部重複をいたしますけれども、お許しをいただきます。この法律だけで隅田川あるいは田子の浦、洞海湾あるいは諏訪湖と例に引かれましたような地域の水質の浄化が行なえるとは申し上げられないということを私は先刻から繰り返して申し上げました。
  〔委員長退席、理事久次米健太郎君着席〕
ただこれらの河川あるいは港湾、池沼に水質基準がかぶせられ、その水質基準の許容する範囲にまでその状況が改善をされました時点に、今度は悪臭防止法そのものの役割りが出るわけであります。もしもいわゆる水質基準に定める以内にまで水が浄化して、なおその中から悪臭が発生し付近の方々の生活環境を破壊する状態が出ました場合には、おのずからその原因があるはずでして、たとえば流水の少ない、水量そのものが少ないという場合でありましたら、現在の隅田川でとられておるような増水も行なわなければならぬ場合もあるかもしれません。また、いわゆる水質基準の上からは問題とされておらない物質でありましても、悪臭防止法のたてまえからいけば規制を受けるべき原因物質がどこから漏出してそこにたまってきておるのかもしれません。これはその排出源においてあるいは漏出源において悪臭防止法そのものの役割りとして押えていかなければならない仕事であります。ですから私は何回も先ほどから申し上げておりますように、将来においてその水質基準の設定されたその限界内にまで状況が回復し、いわゆるもとの正常な水の姿を取り戻した時点においてなお悪臭のために付近の方々の生活環境を破壊するような事態が起こるとすれば、これは悪臭防止法として悪臭防止法そのものがひとり歩きをして解決していかなければならない問題だということであります。その意味では私は、この法律は十分に生きていく法律であると思っております。ただ現に非常に汚染の度合いの進んだところをこれのみで解決をするということは無理だということを繰り返して申し上げておるとおりでありまして、その点は分けてお考えをいただきたいと思うのであります。
#61
○内田善利君 くどいようですが、もう一言お尋ねをいたしますが、将来水質基準の範囲内で排出していく、そういう場合に万一悪臭を放った場合はこの悪臭防止法の立場から水質汚濁防止法の基準を変えるということはあり得るわけですね。
#62
○政府委員(橋本龍太郎君) 水質基準を変えると申しますよりも、悪臭防止法の基準によって政令で指定される原因物質、これがいまはとりあえず十三を考えておりますということを申し上げましたが、とりあえずということばが示しますとおりに、においを出す物質の中で生活環境の破壊につながるようなものは将来ともこれは追加していくわけであります。水質基準というよりもその場合には悪臭防止法に定める原因物質の規制ということから取り締まりが行なわれることになると思います。
#63
○内田善利君 その次に、十三条ですが、「野外で多量に焼却してはならない。」ということですが、大体わかるような気がしますが、多量というのはどういう範囲ですか。
#64
○政府委員(曽根田郁夫君) これも一種の訓示規定でございまして、まあ私どもときどき河川敷等で散見する古タイヤなどを燃して、それがやはり付近の住民に非常に迷惑をかけておる。したがいまして、多量というのはやはりそのつどそのつどケースによって違おうかと思いますけれども、要するに付近の住民の生活環境に影響を及ぼすような悪臭の発生を伴うようなものの焼却というふうに考えてよろしいんではないかと思います。
#65
○内田善利君 屋外で多量の悪臭物質を放置するとかいう場合の規制、それから清掃車が悪臭物質を乗っけて走る場合の規制、こういったことはできますか。
#66
○政府委員(曽根田郁夫君) 清掃車等の車による移動の発生源につきましては、実はこの法律は第一条でも明らかなように、工場、事業場等の固定資産発生源だけを対象にいたしておりますので、直接的には触れるものではございませんけれども、先生御承知のように、昨年の末の国会で御審議いただきました廃棄物の処理に関する法律によりましても、そういった点につきましては廃棄物の収集、運搬の基準として十分所要の処置を定めることになっておりますので、物の収集運搬等に伴うそういった悪臭問題はそちらの基準によって処理いたしたいというふうに考えております。
#67
○内田善利君 最後に悪臭防止技術の、機器の開発ですが、この点はいまどのようになされておりますか。
#68
○政府委員(曽根田郁夫君) 悪臭の防止技術等の開発につきましては、主として昭和四十年度以来科学技術庁の特別研究調整費によって関係各省の付属研究機関等を中心に研究開発が進められております。ある程度原理的には防止の技術はでき上がっておるのでございますが、ただ問題は、それがたとえば零細企業等の場合に十分採算に合うかどうか、そういったことにも問題がございます。それからまた、やはり悪臭の場合にいろいろな防止方法がございますけれども、実際には単一の防止方法といいますか、というものはなかなかむずかしいので、幾つかのたとえば水で洗うとか焼き捨てるとか、いろいろ化学的に中和するとかいろいろな方法がもうすでに原理としては確立されておっても、そういうものをどういうように組み合わせるか、またそれが資金的に引き合うのかどうか、そういったことは今後の問題として残っております。幸いに法律の施行まで多少の時間的余裕がございますので、今後一そうそういった研究について鋭意努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
#69
○内田善利君 もう一つだけ質問しておきますが、水質汚濁防止法では広域規制がうたってありますね、両県にまたがるような場合。この悪臭の場合はそういうことは考えられないかどうか、発生源がよその県にあったような場合、そういったときにはどのようにするか、広域規制についてはどう考えておられるか。
#70
○政府委員(橋本龍太郎君) においの場合、たとえば隣県の方々の生活環境に影響の出るような状態でありましたらば、そこに至るまでの周辺の方方というのはその県内においてむしろ実は大問題であろうと思います。ですから、都道府県をまたがってというようなケース、これは実態上ほとんどあり得ないものと私どもは考えております。ただし、市町村の場合にはこれはあり得るわけであります。むしろたとえば県境のその市町村という関係でとらえて、いわゆる隣接市町村という考え方でとらえた場合には必ずしもそうしたケースがないとは申せません。県対県という形ではなく、たまたまそこの間に県境はあるかもしれませんが、これはむしろ隣接市町村という関係でとらえるほうが悪臭の場合よろしいのではないか、その場合には、これはいわゆる第九条で関係都道府県知事に対し要請することができると書いておりますとおりに、これは隣接の都道府県知事に対しても行なえるわけであります。ただ、むしろその状況から見て都道府県単位の広域汚染というようなものの考えにくい性格からむしろ市町村という考え方、隣接の市町村という考え方で法令は整備しております。
  〔理事久次米健太郎君退席、委員長着席〕
#71
○委員長(占部秀男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
  午後二時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト