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1970/05/14 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第7号
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1970/05/14 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第7号

#1
第065回国会 公害対策特別委員会 第7号
昭和四十六年五月十四日(金曜日)
   午後一時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     山本敬三郎君     長田 裕二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
               久次米健太郎君
                長屋  茂君
                竹田 四郎君
                内田 善利君
    委 員
                長田 裕二君
                古池 信三君
                渡辺一太郎君
                大矢  正君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  森口 八郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       科学技術庁原子
       力局核燃料課長  小山 武雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○特定工場における公害防止組織の整備に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事竹田四郎君委員長席に着く〕
#2
○理事(竹田四郎君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山本敬三郎君が委員を辞任され、その補欠として長田裕二君が選任されました。
    ―――――――――――――
  〔理事竹田四郎君退席、理事久次米健太郎君着席〕
#3
○理事(久次米健太郎君) 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○竹田四郎君 今度の、この特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案でありますが、これの中に公害防止統括者、公害防止管理者、主任管理者、代理者、こういう者を設けなくちゃならないということなんですが、統括者になる人というのは一体どういう人が当たるふうに考えておられますか。この点をひとつお伺いしたいと思います。
#5
○政府委員(莊清君) 公害防止統括者は、当該工場におきます業務を統括管理するというふうに法文でもいたしておりまして、これはいわゆる工場の最高責任者、工場長をもってこれに充てるというふうに考えております。
#6
○竹田四郎君 こういう統括者的な職務というのは、ほかの鉱山保安法あるいは消防法にもそういう規定がございますし、その他いろいろ規定があるんですが、工場長とはいっても、工場長がその企業の役員である場合もありますし、あるいは役員でない場合もあるんですが、私は公害防止というこの立場というのは、ほかの高圧ガスなり、あるいは電気事業なり、その他原子力の問題でもありますけれども、そういう問題とちょっと性質が違うんじゃないかという感じがするわけです。その他の労働基準法でも安全管理者、衛生管理者というようなものも置いてありますが、そういうようなものはどちらかというと、主たる対象が企業の内部の問題点が多いだろうと思う。しかし、公害防止という問題はどちらかというと企業の外部との関係というものが実際にはかなり問題になってくるわけです。企業の内部的には公害防止とはいっても、具体的には安全衛生の管理の面からかなり設備関係についてはタッチできるわけです。公害防止という関係は、その公害が発生したから直ちにそこの従業員に問題が出るというようなものももちろんありますけれども、あとの三つの大気汚染、水質汚濁あるいは騒音防止という形になってきますと、必ずしもあるガスが発生したからそれが生命身体への直ちの危害という形にはならないわけです。しかもそうしたものが企業の外部の人を損傷していくということの性質のほうがむしろ大きいと思います。そう考えてみますと、やはりその企業の中で外部に対して代表権を持つ者、こういう者が私は企業の公害防止統括者になるのが当然ではないだろうか。ただ工場の責任者というだけであってはどうもそうした外部との関係、そうした関係が必ずしも私は十分にいくものではなかろうと思うのですが、そうした意味で私はむしろ企業の役員に当たるべき人が当然統括者になるべきであると思いますし、まあ企業の役員の中には当然そうした方面の技術を持っている人もあるわけですから、そういう意味でむしろ役員の中から統括者を私は選出すべきであると思うのですが、どうなんでしょう。これは大臣にお聞きしたい。
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 企業におきまして、いわゆる本社の所在地と工場の所在地が全く一緒であるという場合もございますけれども、しばしば工場は本社を離れましてある地方に存在する、いわばその地方においての一つのあたかも人格を持ったような存在になる場合が多いわけでございます。そういたしますと、やはりその場合には、その人格を持ったごとき工場の一応の最高責任者は工場長だと考えるべきではないのか。本社からは距離的にもかなり遠いというようなことがしばしばございますしいたしますから、常時の運営を見てそれに対して責任を持つものとすればやはり工場長が適当ではなかろうかと考えたわけでございますけれども、しかし、そのことは企業の最高責任者あるいは本社における重役等の責任を即解除をするということには必ずしも私はならないと存じます。すなわち工場を設けあるいは運営するにあたりまして、公害防止のために明らかに必要な施設について明らかにこれを設置しなかったあるいは不十分な設置をしたという場合には、工場長を越えましてその政策決定に当たったものの責任がやはり追及されなければならないとこう考えますので、工場長を統括者にいたしましたことによって本社の責任を解除するということにはならないというふうに考えております。
#8
○竹田四郎君 まあ形の上では確かにそういういまのお話は成り立ち得ると思います。しかし、いままでの公害防止のための設備というものを実際どのくらいやったかということを見ますと、最近はだいぶ世論がうるさくなりましたから少しはやっているようだと思うのですけれども、これは通産省でお調べになりました昭和四十四年度の公害防止に対する投資というのは何かずいぶん多くの会社の中で千四十九億という数字が前に出されていたと思うのです。最近は少し多くなっているだろうと思いますが、問題は、その辺の公害防止の施設なり設備なりに一体どのくらいの金をかけていくのかというようなことがやはり一番大きい問題になるだろうと思う。そういう意味で私は単なる一つの工場を預かっているという工場長が統括者になるのじゃなくて、やはり公害防止の施設を徹底的に充実をさせていく、それに金をかけていくということになりますと、私はやはりそれは役員でなければならぬ。単なる工場長ではそこまでは私は手がついていかない。いままでのいろいろな管理者等を見ましても、たとえば安全衛生管理者などにいたしましても、実際には工場の中で負った傷等もそれは公傷ではなしに私傷にしておけというようなことは工場の中では枚挙にいとまがないわけですね。どうしても資本の論理に従って管理者としてやるべき仕事というのはある程度サボっている。こういう面が労働基準法のもうかなり古くから行なわれた中でも、よく労働組合等からそういう指摘が出てきているわけです。公害関係というのは、私はさらにそういう問題は、いまの工場の中で労働者のほうが、川崎でもありましたが、労働組合のほうが会社を公害発生ということで告発をするというかけ声だけはかけたけれども実際には行なわれなかったというような形で、工場内部では公害という問題については声が小さくなっている。外部との関係のほうがむしろ大きくなっている。こういう事態であるだけに、私はいまの大臣の答弁だけではどうも納得できない。もちろんその役員がそうした公害防止のための外部に対する責任というものを負わなくちゃならぬのは当然でありますが、公害防止を先取りするという立場はおいては私はやはり役員がやるべきだと思うのです。その点はどうお考えですか。
#9
○政府委員(莊清君) 公害の問題が地域社会と非常に広いかかわりがあるという意味で、企業内部に主として重点の置かれる安全の問題とか従業員の衛生の問題よりも非常に広範な問題であるという点、それから公害を防止するためには相当巨額の設備投資あるいは研究開発が要る、これは全社的な非常に重要な決定事項でもある、そこが不十分であれば勢い公害というものは十分な措置が講ぜられるはずがないという、こういう御指摘はまさに先生御指摘のとおりであろうと思うわけでございますが、この点は、現在の公害対策基本法でも、特に事業者の責務ということで第三条に公害防止に必要な措置を事業者は包括的にとる責務が当然あるのだということも明らかにされているわけでございますけれども、その場合に先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、重要な事項というのはなるほど御指摘のとおり本社できめるのが常態でございますけれども、結局公害の問題といいますのは、企業にとっては非常に重要な設備投資なりあるいは研究開発投資になっていく、今後ますますそうなっていくという点を考えますと、これは明らかに最終最高責任者としての企業の責任者であるところの社長のいわば責任のもとに本社の業務執行役員が、これは技術担当の役員もおりましょうし、あるいは生産担当あるいは資金の担当とそれぞれ分担が明らかに定められて外部にも示されておるわけでございますが、結局企業の基本方針の決定でございますから、それぞれの担当者が重要なことは公害をなくさなくちゃいけないという、やはりそういう姿勢をはっきりさせて、協議をして、社としての最高方針を決定していくと、こういう点にあろうかと思います。それを社長が、わが社の経営の基本姿勢として、やはり公害はまず出さないと、あらかじめ出さないようにするんだというリーダーシップを発揮して指導していくと、こういうことがあってはじめて日本の公害の規制法も生きてくるし公害の防止もできると、こういうことじゃないかと思います。したがいまして、この法律では、先ほど大臣も申し上げましたとおり、それぞれ実際に公害の発生する現場で施設なりあるいは排水、排煙等のチェックをさせて遺憾なきを期するという意味で工場長を一応法律上は責任者として新しくきめたわけでございます。いま申し上げましたとおり、本社での最高方針の決定というのは、あくまで社長の統轄のもとに、関係重役の共同連帯責任と申しますか、そういうことできめられていって初めて前向きの決定がされると、こういうふうに考えるわけでございまして、今回の法律では、特に本社の重役の中である特定の人に義務を課するが、権限も全部集めるというような形をとるよりも、むしろ本社におけるそういう関係取締役の姿勢を正すといいますか、そういう姿勢に基づいて十分協議が行なわれるような連絡の場を整備すると、あるいは専門の補佐機関のようなものを本社にも整備すると、こういうことを今後大いに進める必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えて、法律上の新しい制度としては御提案申し上げておるようなものを考えたと、こういう次第でございます。両々相まって企業の内部における公害防止体制の整備を全体として前向きにやると、これが必要なことは御指摘のとおりだろうと思います。
#10
○竹田四郎君 何か最後のほうがあんまりよくわかんないんです。本社の中にもそういう公害対策課というか、対策部というか、公害部というか、いまのお話ですとそういうのが非常に必要だというのですが、そういうものを具体的につくらせるという、公的なものを何か整備しようというお考えがあるのか。幾ら言ってもそういうものというのは企業の利潤を獲得をするという方向とは一応逆方向にある仕事だと思うんです。そうなりますと、そういうものを何かつくらせるその根拠なりあるいはそれに対する強いその行政的措置、そういうものがなければおそらくそんな余分なものはつくらぬと思うんですね、なるべく合理化しようというのですから。そういうもので何か担保しようというならば、その統轄者というものは工場長というものでもいいと思うんですが、そういうもので何か担保されているものがあるわけですか。
#11
○政府委員(莊清君) 本社で公害部なり、課なり、委員会なり、どういう組織をつくるのが一番それぞれの課の公害防止体制のあり方として適当かというのは必ずしも一律にはきまりませんで、それぞれの社の実情にもよるところが大きいかと存じますが、実は通産省でも、公害防止設備の設置だけが公害防止上必要なことではなくて、そういう人的な面の機構整備、責任体制整備ということが大切だということでかねてから関係業界のほうにも強くその点を指導もし、強く要請もしてまいったわけでございますが、昨年来そのあたりの実態の調査も行なっておりますけれども、本年の二月に調査いたしたところによりますと、資本金五千万円以上の企業でございますけれども、公害に非常になじみの深いといいますか、公害型産業である電力、石油精製、石油化学、紙パルプ等の業種でございますが、相当に本社段階でもまた工場段階でも、先生御指摘になりましたような企業内部の自主的な機構組織というものがそれぞれの形で整備されておりまして、大体本社段階では七〇%強の企業で整備がなされております。それから工場段階では八〇数%の工場がそれぞれ整備がなされております。資本金百億円以上のいわゆる大企業というものにしぼってみますと、ここ一年ほどの間に本社段階でも工場段階でもまず一〇〇%になっております。資本金の低い五千万円から一億円あたりの、中小企業ではございませんけれども、非常に中小企業に近いあたりのところではこの率が三〇数%というふうな段階にまだある、こういう状況にございますが、一応それぞれ最近ではようやく公害防止組織の整備の必要性をよく自覚いたしまして鋭意努力をしているということだと思います。
 で、法的にどうかというお尋ねでございましたけれども、御提案申し上げております法案でもそういう点についての直接的な罰則で担保するという形での規制ということは実は考えておりませんが、先ほどちょっと触れましたように、公害対策基本法の第三条で、事業者というものは公害防止についてまず公害防止の措置を講ずべき第一次的責務を有するというきわめて総合的な内容でございますけれども明らかな規定を設けているわけでございまして、そういう意味で事業者としては法の規制に合うように万全の設備投資をするとか、基準を単に守るだけでなくて、さらにそれを引き下げるための積極的な研究開発に努力するというふうなことが当然公害対策基本法の事業者の責務という中に明らかにうたわれていると思うのでございますが、こういう物的な面と同時に、企業内部の人的な面におきましても同様、事業者としては当然に課せられておるところの公の義務である公害の規制というものを十分に果たすよう万全の組織なり機構というものを、それぞれの社の実情に合わして整備しなければならぬ当然の責務を負っているというふうに私どもは実は考えておりまして、それを前提にいたしまして従来から指導につとめてまいったわけでございますが、今後ともこの面での政府としての指導、業界としての努力というものはまだこれから大いにしなければならぬこれから大いに努力すべき事項であろうと、かように考えております。
#12
○竹田四郎君 なるほど、ことばの上ではよくわかるんですけれども、実際それだけ各企業で、まあ中どころのところで本社で七〇%、工場で八〇%というようなことをやっているならば私は公害はこんなにならないと思う。だから、そういうものを置かないとどうも対外的に言いわけにならない。だから実際にはそういうものを名前をつけて置いているだけだというようなのも私はかなりあると思うんです。ほんとうに本格的になって公害を防止しなければならないというほんとうの企業の責務というものを感じているからそういうものを置いてあるというふうにのみ解釈をするというのは、私は甘過ぎると思うんです。そういう意味で、どうもこの点は、今後大きな公害防止に対する設備投資をしていかなくちゃならぬという面は当然あるわけです。それと企業の本来の利潤を得るということとの矛盾というものはあるわけでありますから、それを何かあれは工場長の責任なんだと、いまのうちの会社の状態ではそんなところにそんな金をつぎ込むわけにはいかぬというような問題は常にあると思うんですよ。そうなって考えますと、やはりそこでは企業の利潤を得るという本来的な企業の目的、そちらに重点が置かれるのは私は当然だろうと思うんです。そうなってみると、どうも責任が下へ転嫁をされていってしまう。ほんとうに企業の責任者が公害防止をするという考え方というものは、当然私は薄れていくだろうと思うんです。ぼくはそういう意味で、総括者というものは、少なくとも役員の中から選んで、もっと広い範囲で企業全体の公害防止の設備投資なり防止のいろんな施設になり積極的に投資をしていくという姿勢がなければならないと思うんです。これは一般的には確かに会社の社長にそういうことがあるのは当然でありますけれども、やはりそれは役員の中にそうした考え方を強く代表する者を入れておかなければ、私はそれは進んでいかない。いつの間にか忘れられてしまう。なるほどいま公害はこれだけ全国民的に告発をされているから、幾らかそういう姿勢を示すだろうと思うんです。これは公害問題が若干火の手がおさまれば、そういうことはいいや、それよりもこっちのほうが優先するんだということに私はなってしまうんじゃないか。しかもこの総括者の義務を果たさなかった場合の問題点というものは、罰則というようなものも決してきついものではない、ほとんどなきにひとしいと言ってもよかろうと思うんです。こういうことでは結局工場が責任を負うということが特に対外部に問題があるわけであります。内部的には私はそれなりにいろいろ問題はあると思うんです。外部的に問題があるとなれば、それはやはりただ単なる工場長では私はならない。やっぱり会社を代表する役員でなくてはならない。そういう意味では私はどうも不適当ではないかと思いますけれども、これは大臣、私の言うことが無理かどうか、大臣から答弁いただきたいと思うんですが……。
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来、会社の内部組織に公害担当重役を置くというようなところも間々ぼつぼつございますけれども、おそらくいままででございますと、だんだん公害問題もやかましくなってきたので、その担当の重役を置くかというようなことから始まってきたと思いますけれども、いまになりますと、昨年ああして法律の整備もお願いを申し上げましたし、排出の規制基準も非常にはっきりしてまいりました。そういたしますと、一定の施設を持って一定の操業をする場合には、汚染あるいは汚濁を規制基準にとどめるためにはどれだけの設備が必要かということは、これは客観的にはっきりしてまいるはずであります。そのような設備を工場を設置しますときに怠ったということになれば、これはその工場を設ける決断をしたところの重役会あるいはその最高責任者であります社長、この責任になるということは、これはもう疑いをいれないところと思います。したがいまして、公害防止がいわば任意的な道徳の段階であった場合には、御指摘のようなことが起こり得たかと思いますが、規制というものが基準としてはっきりしてまいりました段階では、そのための設備施設を怠ったか怠らなかったかは、これは客観的にはっきりいたしますから、そこでそういう場合に、会社の最高経営者である社長あるいは重役会の責任というものは、これは客観的に明らかになる。それをまた追及することも可能になりますから、工場長がその工場における公害防止の統括者になりましても、それによってただいまのような場合、会社の最高責任者の責めが解除されるということにはならない、むしろ客観的にそのことははっきり追及ができるようになってきたと、こう考えるわけでございます。
#14
○竹田四郎君 まあこの問題あまりやっていてもしようがないと思うんですが、私はその点は不十分、不満だと、こういうふうに申し上げておきたいと思いますが、さらにこの統括者あるいは管理者、こうした――あるいは主任管理者等においてもそうでございますが、どうもこの法律でいいますと、職務あるいは権限というものが非常にこれだけで読んではちょっとわからないわけですけれども、先ほどから私申し上げているように公害というものが対内――企業の内部よりも企業の外部に対して非常な問題点があるわけであります。そういう点ではこういう法律においても、一体どういう職務を持ち、どういう権限を具体的に持っているのか、こういう点をもう少し明らかにしていただかなければいけないと思いますが、おそらくそうしたものは省令なり政令で設けられるとは思いますけれども、私は法律案の中にもう少しこういう点は明確にしなくちゃいけないと思いますけれども、どうでしょうか。
#15
○政府委員(莊清君) 御指摘の公害防止統括者の職務につきましては、法案の第三条のところに各号で明らかにしておるわけでございますけれども、要は他の労働基準法とか、あるいは毒物劇物取締法とかいうふうな公害にある程度関連のある他の取り締まり法令と異なりまして、工場の最高責任者である工場長を統括者として選任させるということにいたしました理由でございますけれども、これは結局公害防止というのが全社的な仕事であり、したがって、工場においても言ってみれば全工場的な重要な仕事でございまして、やはり生産ラインを統括する仕事と、それからそれに見合う公害の防止を行なうための公害防止設備の運転等を、あるいは排煙とかあるいは排水の状況の測定を行なうというふうな公害防止に関する一連の仕事という、こう二つの系統があるわけでございますけれども、これを両方指揮監督できる現場の長である工場長に当該工場における公害防止の責任をとらせる。末端の技術職員に負わせるだけではきわめて不十分であろう、こういう判断から工場長を最高責任者にさせるという考えをとったわけでございまして、したがいまして、第三条にもございますように、公害防止施設の状況とかあるいは運転とか、こういうものを管理監督するだけじゃなくて、公害を発生する施設であるところの生産施設そのものについても、公害防止という見地からこの統括者たる工場長は生産ラインを指揮監督する。ばい煙とか汚水の状況を測定して、そうして公害が出ておれば必要な判断をして、本社のほうにも所要の措置について意見を出すということはもちろんでございますけれども、生産ラインのほうについても公害防止という見地から、その運転の状況なりあるいは生産技術の面というふうなものを総合的に見させる、その最高責任者としての仕事を統括者にまかしておる、こういうことでございまして、このもとでの個別具体的な技術的な仕事については、補佐役としての管理者という特別の専門の技術者を責任者に別途当てて補佐をさせる、こういうことにしておるわけでございます。
#16
○竹田四郎君 私はそういうことを聞いているんじゃなくて、具体的にどういうことをするのか。たとえば、管理者は具体的にどういうことをこの中でするのかというような点が、私、非常に不明確だと思うんです。だから、そういう点を少し明確にしていかないと、私は、いけないんじゃないか。あるいは資格なんかも省令で定められるだろうと思うんですけれども、そうしたものも、ただ内部的な問題だけじゃないと思うんですよ、外部的な問題です。そうした点では、私は、もう少しこれを法律の中で――政令や省令でなくて、法律の中でもう少し明らかにしなけりゃいかぬだろう、こういうふうに思うんです。そのことをお聞きしているんです。で、もし、そういう点が省令や政令で明らかにされるということでありまするならば、ひとつ、その点もこの際明確にしておいていただきたいと思うんです。
#17
○政府委員(莊清君) 省令とか政令で規定をする業務として考えておりますのは、第三条の第一項第一号のハのところに「主務省令で定めるもの」という一規定を設けて省令に譲っておりますが、ここでは、常時の公害防止の仕事以外に、いわゆるSO2などについて、スモッグ警報が出たような場合の緊急時の措置というのがございます。それからもう一つ、いわゆる事故が発生いたしまして、大量の有毒ガスが――普通は全然出ないわけでございますけれども、設備の故障というふうなことで出てくるというふうな場合の、事故発生時に緊急の措置を講じなければいけない、こういう二つの場合がございますが、この場合に、工場内部のそれぞれの担当方面に対して所要の指示をし、命令を出す対策を講じさせるということを、工場長の統括者としての業務に加える予定にいたしておりますが、法律で常時の業務として書いてございますのは、一例を申しますれば、ここに公害を処理するための「施設の維持及び使用に関すること。」ということがございまして、具体的に物理的にどういう行為があるかということは、これは公害発生、公害防止施設、それぞれによりまして種類もいろいろございますし、具体的には非常に広範にわたると思いますが、法律の立て方といたしましては、他の法令等でもこういうふうにある程度は包括的にうたっておるかと思いますが、この条文で私どもがここに含めて考えております措置というのは、工場長の場合にはかなり広範なものでございまして、設備そのものが十分公害規制に満足するような性能なり構造のものであるかどうか、その運転の状況が正常であるかどうか、所期の効果をあげておるかどうか、こういう点について常時部下を指示しまして、指揮監督いたしまして、その状況を把握し、さらに改善の余地があればそれについても検討するということを「維持及び使用に関すること。」ということで、そこまで工場長としては統括責任を持つのだ。もちろん、それが相当巨額の設備投資を新たに要するというふうな場合には、多くの場合、工場長だけではその最終決定はできませんけれども、そういう問題について、現場の第一線の責任者として、実際に生産の場におる責任者として、実際の生産の状況と、これに見合う公害防止施設の状況というものを常時総合的によく調査、把握して、責任を持ってそのあり方について検討する。そして企業内部において所要の措置が必要な場合には直ちに講ぜられるようにする。第一次的な、総合的な責任というものはどうしても工場長がはっきり法律上の義務として行なわない限りできませんので、それを工場長の職務として非常に重要視しておる。立法の考え方としては以上のとおりでございます。
#18
○竹田四郎君 管理者はどうですか、管理者は。
#19
○政府委員(莊清君) 管理者は、ただいま申し上げました工場長たる統括者のもとにおきましてそういう業務を統括者が行なう場合に、事の性質上、当然に、非常に高度の技術的な知識なり、判断というものが必要になるわけでございますので、かつまた、工場におきます関連の施設といいますものは、排気関係、水の関係、騒音の関係、その他非常に複雑多岐にもわたっておりまするので、工場長に非常に技術的な面からこれを補佐するという役割りを持たせるわけでございます。専門の技術に関しての知識経験のある者を選びまして管理者とするというふうに考えておるわけでございます。
#20
○竹田四郎君 どうもその辺が非常に不明確な感じがするわけなんですけれども、ほかのいろいろな管理者とか主任者とかいうような場合には、非常に、たとえば防火管理者の場合には防火についての教育、訓練というようなものを担当することが義務づけられております。ここにはそういう公害防止に関する教育、こういうようなものが実は含まれていないわけです。この点私は非常におかしい点だろうと思うのです。これはただ統括者や管理者だけで公害が防止されるものではなしに、従業員おのおのがやはり公害防止ということについて常に関心と注意を払わなくてはならないものだと思いますけれども、そういうような問題は実はこの中に入っていないわけなんですが、それは一体どういう理由なんですか。私はこのことはかなり重要だろうと思うのですけれども……。従業員自体も、実際自分がその生産者の中で、はたして公害を出しているのか出していないのかということは、実際問題なかなかむずかしいことだろうと思う。特定な人は知っているけれども、全体の従業員がそれを知っているいないというようなことがあると思う。そうなれば当然、公害防止の管理者なり、統括者というのは従業員に対する教育なり、そうした面での技術の習得をさせるなり、そうしたようなことも同時に私は、公害防止の管理者なり統括者がやるべき仕事だと思うのですが、そういう点にはほとんど触れていないわけでありますが、これはどういうわけですか。
#21
○政府委員(莊清君) 御指摘の、従業員に対す公害防止教育の徹底という点は、私どもとしても、御指摘のとおり非常に大切な点であると思っておりまして、本法案を検討いたします際にも、省内で一つの問題点として大いに検討した事実がございます。これは工場段階だけではなくして、本社も含めまして、上は社長から下は従業員の末端に至るまで、公害防止の重要性というものを十分自覚して、それぞれの業務を通じて、会社全体としての公害防止の成果があがるように全体で努力するということにつながるわけでございますから、最も基本的な事項だと存ずるわけでございますけれども、特に法律上これを、たとえば工場段階での工場従業員に対する教育というものを法律上の義務として統括者に強制することは必ずしも適正ではないんじゃないか。当然に今回のように統括者以下管理者の組織ができ、少なくとも管理者が指揮監督するところのいわゆる公害担当職員というものも工場段階で置かれるわけでございますから、そういう担当職員に対しての教育はもちろんのこと、それ以外の直接関係のない職員に対しても公害防止についてのいわゆる一般的な教育、啓蒙ということを行なう必要があるという実態については、私ども全く御指摘どおりだと思っておるわけでございますが、法律上のいわゆる業務、職務という形で強制をする、これを怠った場合には工場長が法律上の職務違反というところまで強制することには直ちになじみがたいんじゃないかというふうに判断したわけでございますけれども、何回も繰り返しますとおり、立案の段階でも私ども全従業員の協力と申しますか、こういうことも大切であろうけれども、そのためには正しい教育指導ということが当然前提にならなければならないというふうに考えておりましたので、法律上の強制という形はちょっと今回は考えておりませんですが、指導の問題といたしましては、御趣旨を十分体しまして、よく企業に対してもその点の指導を行なうその必要が非常にあるだろうと実は考えております。
#22
○竹田四郎君 答弁あまり長くなくて、ひとつ簡潔にわかりやすくしてもらいたいと思うんですが、私は、公害発生の事業者として、それを発生させないようにする当然の義務があると思うんですよ。だから、そういうことを、ほかのほうではそういう教育訓練の計画とかなんとかというものは必ず、たとえば防火管理者がそれをつくるとかなんかという形で必ずやっているわけです。公害についてもそれぐらい当然やるべきだ、それをやってないからこそ、今日のような事態になったんだし、これからだってほんとうに公害というものがなくなるかどうか私は大きな期待は持てない。やはりそういう点は、国が強くそういうことを義務づけていくということが私は必要ではなかろうかと思うんです。
 これもあまり議論やっても時間がありませんので、その次に移りたいと思うんですが、第十一条の、都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、特定事業者に対して公害防止統括者、代理者から職務の実施状況の報告を求めるというのですが、これは具体的にはどういうようなことをやるのか、こういう点も非常に抽象的で私どもわかりませんけれども、たとえば年に一回求めるというような具体的なものがその中には書いてないわけです。ただ「必要な限度」、「必要な限度」というのは非常にあいまいだと思うんです。必要と認めなければ出さなくてもいいということになるだろうと思うんです。そういう点でこのところは具体的にどういうことなんですか、ひとつ御説明いただきたい。
#23
○政府委員(莊清君) 「この法律の施行に必要な限度」というのは、いわば例文でございますけれども、年に一回とか二回とか回数を決して制限しておる趣旨ではございませんで、必要ならばいつでも必要に応じてそのつどという意味でございます。どういう調査をしたり報告を求めるかと申しますのは、この法律で事業者に対して義務を課しておるわけでございますから、その実施状況が対象になるわけでございますし、たとえば卑近な例を引きますれば、煙とか水の検査というふうなものを実際にどうやっておるか、ほんとうにやっておるかどうかというふうなことは、報告もとれるし、立ち入って実際の状況も検査できる、こういう趣旨でございます。
#24
○竹田四郎君 どうもそういうようなことを定期的にやっぱりやらしていくというような私は措置をとらなければいかぬと思う。そのほか随時にやるのはあたりまえのことです。だから定期的にそれをびしっとやらしていく、こういうことをしていかないと、公害防止に対する考え方が私は薄れていくと思う。だからそういう報告や何なりを求めるということは、一方から言いますと、その責務をより自覚をさせるということにもなりますし、そういうようなことが公害防止の考え方を広く事業の従業員にもわからせていくということにもなると思うんですが、ただこういうような形だけでは私は実効は伴わない、こういうような点でも私は相当はっきりとした定期的な義務づけというものを行なうべきじゃないかと思うんですが、そういう考え方がもしないというならお答えは要りませんが、何かあるということならばひとつお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#25
○政府委員(莊清君) 公害の発生状況等についても、政府としては、最近いわゆる総点検というふうなことを取り上げて鋭意努力をやっておるわけでございますが、御趣旨を体しまして本法の十分目的を達するように、都道府県知事に仕事を一切やっていただくわけでございますから、重要な事項については、その実施状況を全国的にも定期的にやはり調べるように、都道府県のほうと十分連絡をしてやるというふうにいたしたいと思います。また、必要のあるつど都道府県知事に十分指導監督のための報告、立ち入り検査というふうなことも十分にやるように、本法成立後は県のほうを十分指導いたしたいと考えます。
  〔理事久次米健太郎君退席、理事竹田四郎君
  着席〕
#26
○内田善利君 大臣がおられないので省略してまいりますが、この法案はいま質疑が行なわれましたように、工場長以下の工場に属する人たちの責任は盛ってありますけれども、事業者に対する責任は全然盛ってないわけですが、この点については、先ほどから論議がありましたので、後ほどもう一度大臣にお聞きしたいと思っております。
 少しこまかいことになるかと思いますが、十四法案のときもそうでしたけれども、政令あるいは省令によって定めるというような項目が非常に多いわけですね。この法案も十八条から成る法案ですけれども、そのうち政令事項が十九、それから省令委任事項が十二と、このように三十一も委任事項があるわけですが、その中で特に第七条ですね、第七条の公害防止管理者等の資格の条件、これなどは非常に重要であると思いますので、こういった省令あるいは政令委任事項の内容について一々お聞きするわけにもまいりませんので、ひとつこれを出していただきたいと、このように思いますけれども、どうでしょうか。
#27
○政府委員(莊清君) 政省令で、必ずしもまだ詳細に案を考えてないものもございますけれども、御趣旨に沿って提出いたしたいと思います。
#28
○内田善利君 この法案を読みまして、基本的な私の理解でございますが、一つは先ほどから話がありますように、工場長がいままでは生産ラインと言っておられましたが、生産管理者としての工場長が、今度は公害防止の統轄者としての任務も得ることになるわけですけれども、そういったことで、公害防止についても工場長に責任が課せられたということで、工場全体の生産ラインと同時に、公害防止についても万全を期するようになったと、このように解釈していいわけですね。
 もう一つは、今度は主任管理者あるいは管理者等、公害防止体制ができ上がるわけですが、いろんな事態が、先ほど亜硫酸ガスの例とか、あるいは事故の起こった場合等、お話がありましたが、そういったことについて公害防止体制ががっちり各工場ででき上がることになるというふうに解釈していいわけですね。
#29
○政府委員(莊清君) さようでございます。
#30
○内田善利君 もう一つは、企業の最高責任者が、いままで責任を持ってきた対外的な責任、これと公害防止統轄者、主任管理者、管理者等が、先ほどの答弁から、その責任を負う者ではないと、対外的な責任は負わないんだと、こういうふうに解釈していいわけですね。
#31
○政府委員(莊清君) 統轄者がこの法律上の義務に違反すれば当然に法律上の責任は負いますけれども、先ほどの大臣の答弁いたしましたとおり、重要な設備等を企業としてないというふうな場合の重要事項の責任というのは、これはもう従来どおり、何ら本法によって変わるものではない、本社の責任者が責任を負うということでございます。
#32
○内田善利君 大気汚染防止法、あるいは水質汚濁防止法、あるいは騒音規制法などでは、公害防止の義務は事業者にかかっていたわけですね。したがいまして、公害についての違反が生じた場合の法的責任といいますか、あるいは賠償責任、これは当然、企業のトップ・マネージメントといいますか、トップ企業者が責任を負うものであると、このようにとってもいいわけですね。
#33
○政府委員(莊清君) 一言で申しますれば、公害の発生した原因が、たとえば設備をすべきところを全然していないとか、きわめて不十分なまま放置しておくというふうな重大なことによるものであれば、それは当然に本社の管理者の、上層の責任者の責任に実質的になりますので、法律上の責任もこの責任者たる最高幹部が負うと、この点は従来と全く変わらないということをはっきり申し上げたいと思います。
#34
○内田善利君 それでは工場統轄者、公害防止統轄者、主任管理者、管理者も、事故が起こった場合は、事業主も責任を当然負っていくと、こういうふうに解釈していいわけですね。
#35
○政府委員(莊清君) かりに公害防止施設が故障をしてきているのを知らずに、基準に合わない排水を相当期間流しておった。しかもそれは工場段階で義務になっておりますところの記録とか測定というふうな仕事を、統括者が十分監督してやらしておらなかったために見のがしておったというふうな、たとえばそういう事態がございました場合には、工場長としても、この法律に基づいて責任を追及されることになろうと思います。ただし、企業として本来なすべき公害防止施設をしてない、きわめて不十分な状態のまま放置してあるというふうなことは、実質から申しましても、工場段階だけの問題ではなく、実質的にはむしろ本社段階の決定にかかわる事項であろうと思いますので、大気汚染防止法等の罰則の適用の場合にも当然その点が追及されて、責任を明らかにするということになると思っております。この点は、この法律ができたからといって全然変更されるものではございません。
#36
○内田善利君 たとえば薬品工場で公害関係の事故が起こった、これは農林省ですが、あるいは科学技術関係で事故が起こった、こういうような場合には、科学技術庁の指導あるいは農林省の指導、そういった面の欠陥によって事故が発生したというような場合には、責任はどうなりますか。
#37
○政府委員(莊清君) 公害の場合には、御案内のように法令も整備されまして、対象物質も広がり、基準もそれぞれ整備されるということで、法律上、国が明確に事業者に義務を課して公害を防止するというようなたてまえになっておりまして、それを行なうように企業を指導するということが実態であろうと思います。したがいまして、その基準を守らずに公害を発生さしておる、こういう場合には、国の指導もこれは不行き届きということは、当然、社会的な責任はもちろんでございますけれども、法律上の問題としては、事業者がもちろん第一義的に明確な責任を負わなければならない、かように考えております。
#38
○内田善利君 ある石油精製工場に行ってみたんですが、ここでアクリロニトリルというものをつくっているわけですね。その製造用の触媒が劣化ウランなんですね。このウランというのは、御承知のとおりの放射性物質であるわけですが、このアクリロニトリルをつくるのに、触媒としてこの劣化ウランを使っている。しかもこの劣化ウランはアメリカで廃物として、悪く言えば、言い方をすれば、処置に困っているものを安く日本に送ってきている、これを触媒として使っている、こういうことなんですが、この劣化ウランを触媒として使用許可したのはだれなのか、この点をまずお聞きしたいと思うんですが、科学技術庁に。
#39
○説明員(小山武雄君) 科学技術庁のウラン関係の規制をする法律に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律という法律がございます。この法律に基づきまして劣化ウランの使用を許可いたしております。
#40
○内田善利君 この劣化ウランを触媒としてアクリロニトリルを製造している工場は幾つありますか。
#41
○説明員(小山武雄君) ただいま七社ございます。名前は神奈川県の川崎市にあります旭化成の工場、それから山口県の岩国市にある三井石油化学の工場、それから大阪府の高石市にあります三井東圧の工場、それから神奈川県の川崎市にある昭和電工の工場、それから愛媛県の新居浜市にあります住友化学の工場、それから千葉県の市原市にあります住友千葉化学の工場、それから同じく千葉県の市原市にあります窒素石油化学の工場、合わせて七社でございます。
#42
○内田善利君 このウランを使っておるわけですが、この劣化ウランは放射性元素として危険はないのかどうか、この点をお聞きしたい。
#43
○説明員(小山武雄君) ウランそのもの自体は海水の中にも、それから土の自然の土壌の中にも含まれているわけであります。したがいまして、劣化ウランそれ自体ですと、放射能ということに関しましては大きな影響はない、言うなれば土壌中あるいは海水中に含まれているウランと全く同様の放射能であるということでございます。
#44
○内田善利君 それを使ったあとの廃触媒のほうのウランはどうなんですか。
#45
○説明員(小山武雄君) 廃触媒になりますと、言うなればウランを原子力として使っているわけではなくして、一つの化学反応を早くさせようという触媒、いわゆる金属ウランとしての触媒の作用としてウランを使っているものでございますから、放射能につきましては使った前と使ったあとではほとんど変わりはないということでございます。
#46
○内田善利君 そのウランの放射能はどうなっておりますか。
#47
○説明員(小山武雄君) これは多少専門的な数字になりますが、実際にある工場で測定いたしましたところ、大体〇・〇五マイクロキュリー・パーグラム、一グラム当たりというような数字でございます。これはその触媒の成分につきましていろいろ千差万別でございますが、たとえば触媒もやはりコマーシャル・シークレットでございましていろいろと触媒の性能が触媒をつくる会社によりまして違うわけであります。その中に含まれております劣化ウランの成分の量も各会社によって違うわけであります、製造会社によりまして。したがいまして、一がいには何とも申し上げられませんが、触媒を使う前でございます新しい触媒、これが大体〇・〇五マイクロキュリー・パーグラムというような程度でございます。
#48
○内田善利君 〇・〇五マイクロキュリー・パーグラムというのは危険ないわけですね。
#49
○説明員(小山武雄君) 人体にとってはほとんど危険はございません。たとえばこれはほかの何かものにたとえて申しますと、大体私たちが日常に多少の放射性物質を使用しておるわけでございます。たとえば時計に夜光塗料を塗ってあるとか、あるいは夜間に何か識別するためにちょっと標識に夜光塗料を塗ってあるとか、夜電灯が消えてわからなくなったときに、懐中電灯をさがすのにわかりやすいように懐中電灯に夜光塗料を塗ってある、こういう夜光塗料も、放射性物質を塗ってあるわけでございますが、そういうものとほとんど大差ない放射性を持っているということでございます。
#50
○内田善利君 私が行った工場では何といいますか、野ざらしにしてあるわけですね。そうしてあるかと思えば、ラジオアクティブと書いて立ち入り厳禁、そうしてずっと立ち入らないようにしてあるわけですね。そうしてこれは何カウントくらいありますとかいって実際計器を持っていってはかったわけです。そうしたら千カウントあるわけですね。これではたしていまおっしゃるようなことでいいのかどうか、現場の人にこんなに野積みにしておったら危険じゃないですか、雨が降りでもしたら上の方があいておりますから水が入ってドラムかんから流れ出していくんじゃないですか。一体どっかこれは貯蔵施設をはっきりつくって、そこに置くようになっておるはずなんですね。ところが野放しにしてある、どういうわけで置いてあるんですか、だんだんドラムかんがふえていくわけです。そうしたら科学技術庁の指示を待っておるところですと、こういう御答弁が返ってきたわけですけれども、私は放射性元素であり、放射能を出す物質であり、それが懐中電灯の螢光物質と同じ程度ならああいうことはしないで、どんどんどっかに捨てていったほうがいいと思うのです。大きな広場にずっとドラムかんが置いてある、そうして危険だから立ち入ってはいけないと、そうういうふうにしてあるのですけれども、この点は現場と科学技術庁との見解は違うように思いますが、どうなんでしょうか。
#51
○説明員(小山武雄君) 私たちの、先ほど申しました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律という長たらしい名前でございますが、この法律に基づきまして一応この劣化ウランも放射性物質ということではそういう放射性が強くない、というのは夜光塗料と同じ程度、あるいはそこら辺の土壌あるいは海水中とそう大差はないということではありますけれども、一応ウランと劣化ウランということはこの法律の対象にいたしておるわけでございます。したがいまして、また法律の範囲内でやはり規制をきびしくして、放射性は低いけれども、さらに安全性をとりまして、これをきびしく保管管理さしておるということでございます。現在各工場ではドラムかんに全部この触媒を使いまして廃触媒、いわゆるもう使いかすになりますとドラムかんに入れまして、一応ドラムかんを密封いたしまして、念のために放射線がどのくらい出るかということを測定いたしまして、それで安全を確認した上でヤードに――ヤードといいますか、広場に積んで保管さしてあるということでございまして、この保管につきましては、保管後の処置につきましては、いまのところ科学技術庁のほうで、この程度以上の放射性物質を持ったものはどうやって処理し、処分したらいいかということを現在各界の専門家を集めまして検討中でございます。その結論が大体来月の、六月の中旬あたりころまでに出ることになっておりますので、こういう各界の専門家の御意見なども十分に検討いたしまして将来の廃触媒の、いま積んである廃触媒の処理、処分、こういうものを専門家の意向を聞いた上で十分に検討してきめていきたい、こういうふうに思っております。
#52
○内田善利君 私はああいう状況では非常に危険ではないかと思う。千カウントといったらたいしたことないんですか。
#53
○説明員(小山武雄君) ちなみに申し上げますと、先ほどちょっと例にあげましたたとえば夜光塗料、いわゆる時計とか懐中電灯とか、それから標識――そこら辺の壁に張ってある標識、こういうものにつけます夜光塗料で勘定いたしますと、大体やはり五百とか六百とか、そういう前後のカウント数が出るわけでございます。そのちょうど倍くらいのものと――新しい触媒でございます。その程度でございまして、人体にはあまり影響がないというふうに考えます。
#54
○内田善利君 野ざらしにしてドラムかんの上はあいているわけですが、雨が降ってきたら吹き込む。屋根にもカバーも何もしてないわけですね。ああいうところに、原料のほうの輸入したウランのほうはちゃんと上のほうに屋根がありますが、ところが使ったあとのには全然ないわけです。そして立ち入り禁止になっている。計器ありますかと言ったら、すぐ持ってきてはかってもらったわけですが、ああいう状況ではやはりいけないと思うのです。できるだけ早く貯蔵方法あるいは廃棄方法、そういうものをしてあげないと、工場のほうが科学技術庁の指示待ちということで、私の質問に対して困っておられるような状況でしたので、ひとつ早くこれを、劣化ウランをどうするか、その処置あるいは貯蔵方法――ああいう状況では私はよくないのじゃないかと思うのです。まあいま千カウントではたいしたことではないということですけれども、量も多いし、だんだん日にちがたつに従って量も多くなっていくわけですし、処置に困るのではないか、そのように思いますので、この点ひとつ早急に措置をしていただきたいと思います。
 いま各工場に野積みしてある、あるいは保管してあるドラムかんはどのくらいあるわけですか。
#55
○説明員(小山武雄君) 先ほど御指摘もありましたように、確かに各工場によりましては多少完全な密封がなされてないというようなところがあるかもわかりませんですが、これはドラムかんが長年月の間に腐って穴があいて、そして中にある廃触媒、これはウランが四、五%含まれておるわけですが、そういうものが川とか下水に流れ込むというようなことになりますと、放射能という面においてはさしたる心配がないといたしましても、やはりそういうものが流れ込むということに対しては、工場としましても責任をもって良識をもって管理をしなければいかぬということになるものですから、こういうドラムかんが腐ったり何かしたような場合には直ちに新しいものに取りかえる、絶対に外には漏れ出ないようにするということは、私たちのほうから各工場に徹底しております。
 それからもう一つ、現在工場にどのくらいの廃触媒があるかという御質問なのでございますが、各工場別に一年半ぐらい前に、昭和四十四年の十二月末現在で調べましたところ、大体ドラムかんの本数にいたしまして七工場、そのときにはまだ生産を開始してない工場が三工場ございましたけれども、七工場で千三百本ばかりございました。これはいまから一年半近く前の数字でございまして、現在新しく工場ができまして七社になったわけでございますが、これを全部含めますとドラムかんにいたしまして約二千本近くあるものと推定されます。
#56
○内田善利君 いま人体に影響がないということですけれども、もしこれが万一事故でも発生したような場合には工場長だけの責任でいいのかどうか、その点をお聞きしたかったわけです。この放射能による事故が起こった場合には科学技術庁の指示待ちということなんですが、この場合に工場長だけの責任で終わるのか。
#57
○政府委員(莊清君) 御質問になっておりますこの放射性物質による問題につきましては、実は本法律案では大気汚染防止法とか水質汚濁防止法の関係の規制との関係で管理者を置くという法律の立て方に実はなっております関係で、放射能関係のものについては直接本法の対象に実はいたしておりません。
#58
○内田善利君 そうしますと、いまの場合考えられる責任はどこにありますか。大体この法案は悪臭のことについてもないし、それから騒音のことについてもないし、いま申しましたようにそういった原子力関係の問題についてもないわけですが、どうなんですか。
#59
○政府委員(莊清君) この法案では公害対策基本法でいっております公害の中で、大気汚染、水質汚濁、それから粉じん、騒音も対象に実はいたしております。悪臭につきましては、申し上げましたような大気汚染、排水、騒音、粉じん等と違いまして、公害発生施設というものを法律上明らかに特定いたしまして、それの防止について事業者に義務づけを行なうという実は法体系になっておりませんで、そこまで本式の規制をまだできるだけの準備体制等整っていないということで、一応問題が発生して環境破壊が起こったと考えられる場合に、事業者に勧告をし、さらに改善を命令するというふうな法体系で政府として御提案申し上げておるような関係もございまして、とりあえずは本法から悪臭はやむを得ず適用を見送っておるというのが実は実情でございます。原子力につきましては、公害対策基本法第八条でも、いわゆる公害の問題から一応はずしまして別途の法規制の体系のほうがなじむという判断で従来から行なわれておりまして、したがいまして、この法律ではいわゆる公害対策基本法でいうような意味での公害というものに対応いたしまして制度を設けたということになっております。したがいまして、原子力は本法には含めておらないというのが実情であります。
#60
○内田善利君 それではいまの問題は科学技術庁で責任を持つわけですね。
#61
○説明員(小山武雄君) 私たちのほうでこの廃触媒を使うときに許可をおろします。その許可は先ほど申し上げました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、この法律に基づきまして許可をおろすわけであります。その許可を申請する者は各社の社長でございます。したがいまして、たとえばいま放射能公害というような問題が起きますれば、当然その各社社長並びにそれ以下の責任権限に応じて責任がとられるわけでございますが、放射能公害以外のたとえば廃触媒の中に多少劣化ウランが含まれていて、それが流れ出して水質を汚濁したというような場合には、これはまた産業公害の通産省のほうの所管の法律で取り締まられるということになるかと思います。
#62
○内田善利君 放射能が非常に人体に危険があったという場合の責任なんですが、それがドラムかんがあのようにして穴があいていますからどんどん流れ出て放射能公害が起こった場合は、これは水質汚濁法によって規制されると思いますけれども、放射能が非常に強いものが来ていたと、そういう場合の責任です。
#63
○説明員(小山武雄君) これは科学技術庁の先ほど申しました法律に基づいて規制されることになります。
#64
○内田善利君 その責任は科学技術庁にはないということですか。
#65
○説明員(小山武雄君) 科学技術庁の所管の法律でございますので、科学技術庁のほうになります。
#66
○内田善利君 それではまた問題をもとに返しますが、この法案で「特定工場」とあるわけですが、そしてこの法案は工場のみに限定してあるわけですけれども、工場と事業場はどう違うのかですね。いままでの大気汚染防止法にしても、水質汚濁防止法にしても、あるいはいま問題になっている悪臭法案にしても、たとえば悪臭の場合でも「工場その他の事業場」と、こういうふうに全部なっているわけですが、この法案だけ工場というふうになっておりますが、この理由ですね。それと、工場と事業場との違い、この点お伺いしたいと思います。
#67
○政府委員(森口八郎君) 本法案の対象は、お説のとおり工場を主として対象といたしております。他の規制法では工場または事業場を規制の対象といたしておりますが、本法案において特に工場を対象といたしましたのは、公害の発生の過程におきまして生産と公害の発生ということがきわめて密接な関係があります。したがいまして、公害を防止するためにいろいろな組織を設けなければいけないというようなことになりますと、やはり生産を主とする――生産を行なう工場にこういう公害防止組織を設けさせるということが必要ではなかろうかということで、工場に限ったわけでございますが、なお、従来通常の観念では工場に含まれておりません電気事業、ガス事業等は、当然本法案の対象とする予定でございます。
#68
○内田善利君 第二条の、「この法律において「特定工場」とは、製造業その他の政令で定める業種に属する事業の用に供する工場」と、こういうわけですね。そうすると、事業場は生産場ではないわけですか。生産に関する工場ということですが、事業場は生産はやらないわけですか。
#69
○政府委員(莊清君) 事業場で一番まあ公害に関連の深いと申しますのは、おそらく天然資源の採掘をしておる鉱山が一番中心かと思いますが、これは実は御案内のとおり鉱山保安法という法律が別にございまして、そこで、この法律で今回考えておりますような公害防止組織というものを、従来から保安法で別途整備をさせておるようなこともございますので、鉱山については鉱山保安法で従来やっておるところによるというふうに考えたわけでございます。したがいまして、本法ではいま御答弁申し上げましたような考え方で生産の中心である工場を取り上げようと。ただその工場という場合に、第二条本文にありますように、「政令で定める業種」云々ということで、普通の意味では工場とは考えておりません発電所というふうなものも、政令で電気事業あるいはガス事業というふうな形で業種指定を行なって、そこまで広げて工場と含めて本法を運用したい、かように考えております。
#70
○内田善利君 そういうことでこの工場その他の事業場という、その他の事業場ははずしたわけですね、そういう目的から工場その他の事業場という、その他の事業場をはずしたわけですね、わかりました。
 大臣がお見えになっておりますので、大臣に途中でありますがお伺いしたいと思います。二月の産業構造審議会産業公害部会の中間報告ですが、「事業者の産業公害防止体制の整備に関する中間報告」、この中で「問題の所在と経営理念転換の緊要性」として、「トップ・マネージメントが公害防止に熱意をもっているか、どうかによって差があらわれている」という結論で、その前に、「産業公害の発生源である事業者に法の精神を企業経営の血肉とする自覚と心構えが生まれ、さらに事業者による有効適切な公害防止体制が確立されることがまず何よりも必要である。」あるいは「事業者は、内部からの自発的な意志によって公害の防止に取り組む積極的な姿勢を確立することが最も肝要である。」あるいは「その経営理念において、公害防止を企業経営の不可欠の要素と考えるようにならなければならない。」事業者がですね。「また、事業者は科学的合理的な公害防止対策を樹立し得るよう企業の体質を改善し、また公害防止対策を効果的に実施し得るよう企業組織を整備しなければならない。」このように事業者の責任が非常にこまかく云云されておるわけですけれども、この事業者の責任ということが全然この法案には出てこないわけですが、先ほどの竹田委員の質問のときにも、大臣は、客観的に事業者には当然責任が起こってくると、そういう御答弁でございましたが、これはやはり事業者の責任ということをはっきり明確に載せるべきではなかったかと、このように思うわけですが、もう一度大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
#71
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、この中間報告に述べられておりますことに私どもも全く同感でございまして、同様の趣旨が公害基本法の第三条に述べられております。この御提案申し上げております法律案は、公害基本法第三条の趣旨を具体的にどのような体制で受けとめるか、そのような組織をどのように整備するかという意味での法律案でございますので、理念的には母法にあり、その母法を具体化したという意味合いの法律案であります。
#72
○大矢正君 関連質問を若干いたしたいと思いますけれども、いまこの法律の中にはもちろん出てこないわけでございますが、かりに故意または過失によってその工場が排出する水もしくは煙等が第三者に被害を与えたという場合を想定いたしますと、私がどうも不可解に感ずることは、この法律というものは、いまあります大気汚染防止法、水質汚濁防止法あるいは騒音防止法、こういうものといささかも関連がない形で設けられることについて、どうしてそうならざるを得ないのかということがわからないのです。もっと具体的に申し上げますと、――よろしゅうございますか、この法律で組織しようとしている三つの公害は先ほど来申し上げておりますとおり これはすでに根本において公害対策基本法があり、それをさらに実施するために三つの法律があり、その三つの法律をさらにそれぞれの工場すなわち末端の生産機構の中で公害防止のためにこの法律があるのだというのがこれはたてまえとして当然なんじゃないでしょうか。ところが、この法律は、どこを見ても大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音防止法と関連があるところがないわけですね。しいてさがせば定義の中で、定義の中でですね、ばい煙等は何かという場合に、そのばい煙とは大気汚染防止法にいうばい煙であるということであって、はたして大気汚染防止法、水質汚濁防止法とこの法律自身が目的を同じくしているものであるかどうか、それ自身も明確でないですね。私さっきから話を聞いておって、しかもこの内容を読んでその辺がどうも不可解なんで、三つの法律を実施するためにこういうことも必要なんだから、その法律の一つのさらに具体的な形としてこれが出てきたのだというならば、どこかでその三つの法律の結びつきがなければならないはずだが全然それがない。その点についての私の疑問点にお答えをいただきたい。
#73
○政府委員(莊清君) 大気汚染防止法を例に引きましてお答えさせていただきます。公害防止統括者の業務でばい煙発生施設あるいはそれに対応するばい煙処理施設というものに関してその施設の維持使用に関する監督を行なうのだというふうにいたしておりますが、この施設といたしましては、大気汚染防止法で指摘している施設というものを、ばい煙発生施設を私どもはこの法律で指定をする考えでおります。少なくとも重要なものは全部重ねて指定をするつもりにしております。で、処理施設につきましては、大気汚染防止法に基づいて事業者がそれを設置する前に監督官庁に届け出をして改善命令の対象になる、そういう施設でございます。そういう施設の設置は大気汚染防止法によって事業者が義務づけをすでにされておるわけでございますから、当然によい設備が設置され維持されるべきものであるわけでございます。事業者はそういう義務を負っております。ただ事業者というのはいわゆる法人経営の場合には法人というものがございますから、具体的にこの法律で当該法人の中で現地に即して実際に日々運転状況なりそれがうまく効果をあげておるかどうかというものを監視して所要の措置を講ずる。そういう責任を負う人が明確であるほうが公害防止にはさらにプラスするであろう。こういうことでこの法律で特別なことをきめたという意味で関連が私どもは明確にあると、こう考えております。
#74
○大矢正君 あなたが関連あるとおっしゃるのは、これからあなた方がつくろうとしている政省令その中でたとえば大気汚染防止法に基づきこういうものを実行をしてこういうものの限度においてこうだというものが出てくるのであって、そのもとになるこの法律の中に大気汚染防止法や水質汚濁防止法と、こういう関係がありますというのがどっかに出ていますかと聞いている。ないでしょう。
#75
○政府委員(莊清君) 御趣旨に十分沿い得る答弁でないかとちょっと思いますけれども、実はこういう管理組織、責任組織と申しますものは、公害関係の諸立法には全然従来なかったわけでございます。大気汚染防止法その他。ところが、先ほど鉱山保安法も申し上げましたけれども、鉱山における保安とか鉱害防止の保安法ではきちんとその法律自体の中に責任組織が制度としてうたわれております。それから労働基準法の、これはちょっと公害ずばりではございませんが、労働者の衛生安全問題を定めた労働基準法ではその中で、いわゆる安全管理者とか衛生管理者という組織をつくり、試験制度その他詳細に規定しているわけでございます。本来取締法というものは必要な限度において公害取り締まりを事業者に義務づけると同時に、それの実施が有効適切に確保されるために必要な場合にはさらに一歩踏み込んで、責任者の選任というふうなところまで規定しているのが普通でございます。本来この法律にある規定も、このまま大気汚染防止法の中に従来からあっても、もちろん立法例としてあるいは法の考え方としてはむしろそれが望ましいといいますか、普通のことではないのかというふうに私ども考えております。しかし、何ぶんにも大気にも水にも騒音にも粉じんにも非常に範囲は広うございます。現にそれぞれの法律を受けたつもりで法律のつくり方として形だけが別の法律にした、私どもはそういうふうに考えて実は制定したわけでございます。
#76
○大矢正君 どうしてもあなたの言うことわからないのですが、私はこう思うのですよ。たとえば大気汚染防止法、水質汚濁防止法でもそうですがね、事業体をとらえているわけですね、あれは法律で。しかし事業体だけ、事業体を全体としてとらえただけでは、やはり実際の公害防止の実施面というか、そういう面においては機能的に人間が行なう一つの能力その他を判断してみても、機能的に欠けるものがあるから、組織としてこういうものをつくるのだということなんでしょう。だとすると、この法律それ自身はやはり目的の上において、それからこの行なう業務の内容について、それからたとえば都道府県知事との関係の問題において、そういう面で明確に大気汚染防止法なり水質汚濁防止法というものと一環のものであるということが明らかにならなければならないのじゃないかという感じがいたしますよ。それでそれは悪く解釈すれば、結局大気汚染防止法というものは何か公害の訴訟が起こされた場合に、この法律を使われては困ると思うから、それだけを抜き出して別のものを考えようとしているところが根底にあるのではないかという感じがするから私さっきから申し上げているのです。なぜかというと、これと大気汚染防止法と結びつけられたら、結局のところこの公害の訴訟なんかの場合に焦点が明らかになってくる。したがって、それを断ち切る意味でこういうものをむしろ出してきて、責任の所在がどこにあるかわからぬようにしてしまうという、そういう魂胆からこれが出ているのじゃないかという感じがする。そんな、そういう考え方がないのならなぜその三つなら三つの法律に基づく目的とそれから業務の内容、こういうものがつくられるのだということを明記しないのかというのが私の言い分なんです。
#77
○政府委員(森口八郎君) 確かにおっしゃいますとおりでございます。法文の表面上から読んでみますと大気汚染防止法、水質汚濁防止法等々との関係は明確でないような感を受けるわけでございます。
#78
○大矢正君 感ではない、事実そうです。どこにあるか。
#79
○政府委員(森口八郎君) この内容を読んでみますと、たとえば第三条の公害防止統括者の任務の中には、「ばい煙発生施設の使用の方法の監視並びにばい煙発生施設において発生するばい煙を処理するための施設及びこれに附属する施設の維持及び使用に関すること。」こういうような条項がございます。ここでばい煙とは何をいうかということになりますと、二条に返りまして、大気汚染防止法のばい煙をいうわけでございます。したがいまして、そういうような意味でただいま一例を申し上げましたけれども、確かに法律の表面上は明確ではございませんけれども、しさいに読んでいわゆるその裏側の連絡をたどっていきますと、本法案がやはり大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法等々の連系関係を保っている法案であるというように申せるのではないかというふうに思うわけでございます。のみならず、この法案の十条の公害防止統括者等の解任命令等におきましては、この法律に基づく命令の違反だけではなしに、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法、騒音規制法の規定に違反したときは解任命令の対象になるということで、申し上げました規制法との関連はここにも明確にされておるわけでございます。ただ先生がおっしゃいますように、法律の表面上、直ちには引いておりませんので、確かにおっしゃるような考え方が出てくる点もあるかと存じますが、私どもの趣旨はそういう気持ちで本法案を提案しておるわけでございます。
#80
○内田善利君 第二条で悪臭が入ってない、悪臭を発生する工場が入っていない、施設が入っていない、これはどういうわけなのかですね。ほかの大気汚染あるいは水質汚濁とその性格が違うからとらえがたいから入ってないのか、あるいは悪臭を発生する工場の責任を問うことができないので入ってないのか、この辺はどうなんです。
#81
○政府委員(莊清君) 本法では大気、水、それから騒音、粉じんと四つを対象にいたしましたが、悪臭につきましてはこれらとちょっと違いまして、現在政府が御提案申し上げております悪臭防止法案では、いわゆる特定施設というものをはっきり法律で定めて、それを設置して生産をしようとする場合には届け出を必要とする、同時に、どうしてそれから生ずる公害を防止するかの計画も出させて改善命令の対象にするという明確な規制を行なってはおりませんで、別のゆるい――一言で言いますと、ゆるい法規制が当面遺憾ながらやむを得ないというふうな考え方で、ややゆるい法規制を実はやっております。そういう関係でございますので、大気、水等と同時に特定の管理者組織をつくることを罰則のついた形で直ちに義務づけることが適当ではないんじゃないかと、こういう判断でとりあえず本法の対象からは割愛したというのが実情でございます。将来、悪臭に関しまして測定器具がさらに開発され、防止技術が開発され、政府、地方公共団体を通じました指導体制等も十分に整ってまいりました場合には、これは厚生、通産両省とも完全に意見一致しておるわけでございますけれども、悪臭についても大気や水並みのきちんとした規制にぜひ移行したい、その努力を今後続けようということになっておりますので、悪臭の法規制が整備されて本法になじむという段階には、本法も当然に同時に改正をいたしまして、管理者組織を正式に義務づけたいと考えておりますが、実は実態から申しますと、農林省関係の一部の悪臭関係産業以外の、少なくとも通産省の所管しておりますクラフトパルプ工場とか石油化学工場は悪臭と非常に関係ございますが、そういうところにはこの法律で大気とか水について責任者が置かれることになりますので、実際上の指導の問題といたしまして法律の対象にはなってないけれども、悪臭面についても実際上工場内で十分こちらのほうの設備等についても同様の業務を事実上行なうように指導を十分徹底させたい、かように考えておるわけでございます。過渡期でございまして、法の形として御指摘のとおり、不徹底な点があることは事実だと存じますが、私ども実態のほうを十分整備しまして、将来さらに完全なものにぜひいたしたいと考えております。
#82
○内田善利君 私は、十四法案が成立して、あとこの企業内のこういう組織整備について、ちょっとあまりにも早急にやり過ぎたように思うわけです。やはり先ほども質問しましたように、工場その他の事業場も入れるべきだと思うし、また、ここも悪臭、汚濁施設も当然入るべきであると、このように思います。クラフトパルプ工場がほかの面で規制ができてもやはりここでもやっぱり悪臭を出す施設としてそういう公害防止の組織を、管理組織をつくるべきである、そのように思います。前向きの姿勢でひとつこれは将来入れていただきたいと、このように思います。それともう一つは、この騒音ですけれども、騒音発生施設に建設騒音、これは入っておりますか。
#83
○政府委員(莊清君) 建設騒音につきましては、政府内部で検討の結果、実は本法案には含めなかったわけでございます。それは理由は、建設業法に基づきまして別途管理者制度というものがすでに設けられておるということがございますので、そちらのほうにゆだねようという判断をいたしたわけでございます。
#84
○内田善利君 一番この騒音の中で住民が困っているのは建設騒音だと思うんです。移動していく建設騒音、非常に騒音で苦情が多いのもこれでありますが、どこに一体この苦情をもっていっていいのか、その責任者がはっきりしない、そういうことでこの法案からはずされたのではないかと、このように思うわけですけれども、建設業法では主任技術者を置くようになっているわけですから、騒音公害についても現場の責任者としていくようにすべきであると、このように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#85
○政府委員(莊清君) 建設騒音につきましては、先ほど申し上げたような事情で、建設業法のほうで建設大臣及び都道府県知事が別途監督を加えながら建設の主任技術者に所要の騒音防止の仕事を行なわせるということにしたわけでございますが、実は騒音の場合に移動性の建設騒音もございますけれども、その苦情の件数その他でやはり住宅近くの工場騒音というものが非常に問題になっておることは事実でございますので、本法では工場を対象にして、工場の騒音については本法、建設については別途あります単独立法の建設業法というふうな考え方をしたわけでございます。
#86
○内田善利君 他の制度との関係をちょっとお聞きしたいと思いますけれども、公害防止管理者と薬事法によって設置が義務づけられておる医薬品製造の管理者との問題ですね、こういった関係、それから廃棄物処理施設の清掃施設の技術管理者、こういったものとの関係はどういうふうになっておりますか。
#87
○政府委員(森口八郎君) 本法で公害管理者等を置くこととされておりますのは工場等に限定されておりまして、しかもおっしゃいました産業廃棄物等につきましては管理者等を置くこととされておりません。いま御質問の廃棄物等につきましては、別途管理者を置きあるいは技術者を置くというような法体系が廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中にございますので、その体系に公害防止の責めはゆだねたいというように考えております。それから薬事法等におきまして薬品製造管理者等を置くこととされておりますが、それは医薬品の製造管理者でございますので、本法の公害防止管理者は別途置く必要があるということで本法の対象といたしております。しかし、実際問題といたしまして、医薬品の製造管理者等は相当な技術的知識を有しておりますので、公害管理者等を任命いたします際の資格としては十分考慮してまいりたいというように考えております。
#88
○内田善利君 この十二条ですけれども、「国の指導等」となっておりますが、この公害防止管理者の養成ですけれども、現在公衆衛生院、日本環境衛生センターで行なっております公害行政官の養成状況ですね、それと環境庁ができれば公害研究所で一括して養成することになるのか、この辺はどうなっておりますか。
#89
○政府委員(森口八郎君) 現在公害関係で当省関係のいろいろな研修をいたしております。その対象は、大別いたしますと、主として公害関係の取り締まりを担任いたします地方公共団体の職員に対する研修と、それから民間でいろいろ公害防止関係に携わる人々の研修というように二つに分かれるのではないかというように思います。前者につきましては、御質問の中にございましたように、今後は環境庁のほうが中心になられまして、そういう実際取り締まりに当たられる方の地方公共団体の職員の研修はおやりになるだろうというように思うわけでございますが、われわれのほうで従来から実施しておりましたもう一つの側面の民間の企業の公害防止に携わる人々の研修というものを今後さらに活用いたしまして、十二条にございますように、公害防止管理者等の養成に力を尽くしてまいりたいというように考えておるわけでございます。ただ、現実の民間のそういう方々を対象にいたしました研修の内容は、予算の額も小さく、とても十分なものとは申せません。来年度以降さらにその内容を充実して、十二条の趣旨に沿いまして、公害防止管理者の養成に力を尽くしてまいりたいというように考えております。
#90
○内田善利君 最後に、もう一つかけ足でお聞きしますが、十条の解任命令ですね、都道府県知事が解任命令を出すわけですが、公害防止統括者あるいは管理者等が都道府県知事から解任命令が出されるわけですが、これと大気汚染防止法、水質汚濁防止法、あるいはその他の法律の規制、あるいは公害罪法による処罰等ですね、この解任命令とダブるようなことがあるのか。ああいった大気汚染防止法とか、そういった規制法、あるいは公害罪法とは関係なしに管理者が操作をあやまったとか、そういった原因で、あるいは管理の面であやまったとか、そういったことだけで解任命令が下るのか。大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法、あるいは公害罪法等で規制されているその関係とどういう関係にあるか、この辺をお教えいただきたいと思います。
#91
○政府委員(莊清君) 一口で申しますと、大気汚染防止法等の罰則の適用と、それからこの法律の十条の解任とダブるわけでございます。大気汚染防止法では、事業者に義務を課しておりますので、たとえば規制基準違反が事業者についてあった場合には、大気汚染防止法違反ということで、司法当局の調査が行なわれるわけでございますけれども、その場合には実質的な案件の責任者はだれかということで、本社の社長から下は工場の職員まで、実質的な案件の責任者はだれかということで、調査が行なわれるわけでございますが、先ほど来大臣も御答弁申しましたように、何も工場の職員だけが訴追されるわけではもちろんないわけでございます。本社の幹部ももちろん責めを問われるわけでございますが、たまたまある事件の場合に、工場長も、あるいはその下の管理者たる技術職員も大気汚染防止法違反の実質責任者ということで訴追されるというふうなことになりました場合に、この十条がさらに働いてくる、かような立法趣旨でございます。
#92
○内田善利君 もう一つお聞きしておきますが、この公害防止統括者の選任、第三条ですけれども「小規模の事業者」というのは、どういう事業者か、中小企業は入るのかどうか、その点をお聞きしておきます。
#93
○政府委員(森口八郎君) 三条で「政令で定める要件に該当する小規模の事業者」と書いてございますが、ここで申し上げます小規模の事業者というのは、中小企業基本法の定義で申します小規模の事業者を現在考えております。具体的に申しますと、従業員二十人以下の事業者を小規模の事業者と考えております。
#94
○内田善利君 中小企業はどうなるのかですね。やはり同じように統括者、それから管理者、主任管理者等を置くのか。
#95
○政府委員(森口八郎君) 中小企業自体は、この法律で特定工場を指定いたします場合に、あまり小さな中小企業は指定をしないというような配慮をいたすつもりにいたしております。たとえば水につきましては、排水量が一日千立米未満であるような小規模の事業者、ただしこれはメッキ業のように健康物質を排出している事業場は除きますけれども、そういう事業場を除きまして、千立米未満の水を排出しているような事業場は対象としないということを考えておりますので、その限りにおいて統括者、管理者等を設置する義務はないというように考えておりますが、この特定工場等で落とされない限り、三条の小規模の事業者に該当しない場合には、やはり統括者を選任しなければならないということになるのではないかと思います。
#96
○内田善利君 大体およそつかめてきましたけれども、なかなか責任の所在がよくわからないのですが、特に、先ほど質問がありましたように、十四法律とこの法案との関連性、この接点あたりがよくわからないのですけれども、私も勉強していきたいと思いますが、きょうはこれで質問を終わります。
#97
○理事(竹田四郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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