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1970/05/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第8号
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1970/05/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 公害対策特別委員会 第8号

#1
第065回国会 公害対策特別委員会 第8号
昭和四十六年五月十九日(水曜日)
   午後一時五十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     長田 裕二君     山本敬三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
               久次米健太郎君
                長屋  茂君
                竹田 四郎君
                内田 善利君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                川上 為治君
                木島 義夫君
                古池 信三君
                山本敬三郎君
                渡辺一太郎君
                加藤シヅエ君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣審議官    城戸 謙次君
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曾根田郁夫君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  森口 八郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○特定工場における公害防止組織の整備に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○悪臭防止法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月十五日、長田裕二君が委員を辞任され、その補欠として山本敬三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(占部秀男君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりをいたします。
 環境庁設置法案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(占部秀男君) 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○内田善利君 この法案につきましては、先日若干質問をしたわけですけれども、まだ納得のいかないことがございますので、もう二、三質問させていただきたいと思います。
 この間も少し申し上げましたけれども、産業構造審議会の中間報告では、事業者間の協力ということが必要であると、このように指摘されておるわけですけれども、本法案では、その点について何も触れておりません。そうですね、その理由。
 それから地域ごと、あるいはまた業界ごとでの事業者間の公害防止についての協力ということについては、どのように考えられておるのか。中間報告に基づいての法案がありませんし、どのように考えられておるのか、その対策もあわせてお聞きしたいと思います。
#8
○政府委員(莊清君) まず、業界ぐるみの公害防止体制の整備でございますけれども、中間答申にもございますように、今後は特に技術の共同開発とか、あるいは技術情勢の交換等につきまして、業界ぐるみで協力体制を整備すべきであるということが述べられておりますが、事の性質上、必ずしも今回の法律で考えておりますような管理者制度を整備させるというふうなことではなく、むしろ指導、助成の面で、現在、通産省が進めておりますような大型プロジェクト制度とか、あるいは補助金制度というふうなものを今後ますます拡充強化いたしまして、たとえば電力業界とか鉄鋼業界が最近着手しております排煙脱硫装置の業界一本になっての共同研究というふうなものを推進すべきである、かように考えております。したがいまして、特別の法律上の立法措置というものは当面考えておらないわけでございます。
 それから地域間の事業者の協中も、御指摘のとおり、きわめて重要な公害防止対策の一環でございますが、本件につきましては、主として一定の地域にあります中小企業等が共同で公害防止施設を整備するとか、あるいは現在ある場所を思い切って引き払って、新しい工業団地に集まりまして、企業の合理化と公害の防止等前向きに、同時にあっせんしていくというようなことが当面最も要請されておる点でございますが、これにつきましては、法制上の措置、あるいは予算上の措置、あるいは税制上の措置等が、公害防止事業団法でございますとか、その他税制上の措置等が現に制度としてもございますが、きわめて重要な事項でございますので、今後は本法の施行とあわせまして、共同化のほうに向かいまして、政府としても施策の内容の充実、強化と、それに基づく指導の充実ということにぜひつとめたいと、こういうことで考えておりまして、したがいまして、今回特別の法律上の措置はとらなかったということでございます。
#9
○内田善利君 中小企業について、公害防止管理者を共同で設置するというようなことを、便法を考えておられると聞いておりますが、これはどういう規定に基づいて、どのように、またどういう条件でつくられる予定かお聞きしたいと思います。
#10
○政府委員(莊清君) この法律案では、第四条で、事業者は、主務省令で定めるところにより、特定工場において管理者を選任しなければならないというところの主務省令で、実はそういう御指摘のような中小企業の場合の共同設置の条件等を規定する考えでおります。中小企業の場合には、やはり重金属を排出する業種につきましては、最初からこの法律の対象にしたいと考えておりますが、なかなか単独企業で十分な技術者を得にくいという場合もございますので、協同組合を結成しておるとか、あるいは工場団地、あるいは工場アパートというふうな共同化の実があがっておる場合には、そういう共同化を進めつつ、事業者が優秀な技術者を共同で設置するという形で、最も高い水準の管理者を共同で確保する。いわば巡回監督、あるいは巡回指導をそういう管理者にさせるという道を開くことが最も効果的ではないか、こういう趣旨でございます。手続その他の詳細につきましては、すべて省令の中で具体的に書いていきたいと考えております。
#11
○内田善利君 次に、先日の委員会の質問で、事業者の責任ということについて、だいぶお聞きしたわけですが、この第一条の目的に、大気汚染防止法、あるいは水質汚濁防止法、騒音規制法、これとの関係で、事業者責任ということがよくわからなかったんですが、第一条のこの目的の中に、公害対策基本法第三条に基づいて、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法に定める公害防止義務の履行を確保するというようなことばがあると、事業者が本来負っている責任との関係が明瞭になると、そのように思うんですが、そういう心づかいはされなかったのか、お聞きしたいと思います。
#12
○政府委員(莊清君) 第一条の精神といたしましては、御指摘のとおり、公害対策基本法第三条に基づきまして、事業者は公害防止のため必要な措置を講ずる責務を有するという、最も基本的な責務を定めた規定が明らかにあるわけであります。そのもとで、大気汚染防止法等の取り締まり法令がございまして、事こまかに事業者の守るべき責務というものを、排出基準でございますとか、設備でございますとか、きめておるわけでございまして、実はこの法律は、基本法及び各種取り締まり法令を当然に前提にいたしまして、そのもとで事業者がいろんな公害防止の義務を具体的に負っておりますので、その義務を効果的に果たさせるためには、やはり工場段階でこういう責任制度をつくる必要がある、こういう考えでつくっておるわけでございます。したがいまして、考え方といたしましては、御指摘のとおり基本法を受け、そして各種取り締まり法を受けた制度でございます。各種公害立法の中で、工場段階における組織面を受け持って、それを定めた法律でございます。したがいまして、実質的には御指摘のとおりでございますが、立法といたしましては、大気汚染防止法その他の法令との関連も、均衡等もございまして、特に第一条で、関連しておるところの法令を一々は列挙はしなかった。趣旨及び法律の性格においてはまさに御指摘のとおりのことを考えて立法がなされておる、こういう次第でございます。
#13
○内田善利君 条を追って質問していきたいと思いますが、次に、先日も質問しましたけれども、第三条の三ですけれども、騒音についてですが、特定工場で騒音の防止対策ということは具体的にどういうふうに措置するのかですね、お聞きしたいと思います。
#14
○政府委員(森口八郎君) 騒音に関しましては、なかなか防止方法がむずかしいわけでございます。いろいろ、たとえばつり基礎にするとか、あるいはサイレンサーをつけるとか、いろいろな方法が言われておりますが、やはり基本的にはこの条文に書いてございますように、発生施設の配置をどういうふうにするかという点がやはり騒音防止について重要な方法であるというように考えるわけでございます。また、法文に書いてございますように、いろいろな機械類をどういうふうに動かすかという点が非常に重要な点であると考えております。そういうような趣旨から、三条の一項の三号に「騒音発生施設の使用の方法及び配置」ということを騒音の防止の措置の代表的なものとして例示をいたしたわけでございます。
#15
○内田善利君 大体騒音防止施設というのはどういうのがありますか、施設について。防止じゃなく発生施設ですね。
#16
○政府委員(森口八郎君) 騒音の発生施設は、具体的にはたとえば鍛造機あるいは鋳造機械、それからいろんな機械類が、やはり運転いたしますときに当然騒音を発生いたしますし、非常に、集合いたしますと織機類、そういうものも当然発生をする源になる。機械類が全部大体騒音を発生する源になるというようなことでございます。
 騒音規制法では、別表第一にその機械類をあげておりまして、代表的な機械類といたしまして金一属加工機械、それから空気圧縮機及び送風機、それから破砕機、それから織機、それから建設用資材製造機械、木材加工機械、抄紙機、印刷機械、合成樹脂用射出成形機、鋳型造型機というような機械類を騒音発生施設としてあげております。
#17
○内田善利君 そういう発生施設から出る騒音をどういうふうにして防止することができるのか。
#18
○政府委員(森口八郎君) 先ほど申し上げましたように、機械類が生産のために動きますと何らかの意味の音は発生するわけでございまして、なかなか騒音を防止する的確な方法が現実のところないというのが現実でございます。ただ、騒音を発生する具体的な方法として従来から例示されておりますのは、騒音を防ぎますために遮音べいを工場の外側に張りめぐらせるというような方法が一番代表的な方法として取り上げられておりますし、それから機械類自体の騒音ないし振動的なものを除去する方法としては、機械に先ほど申し上げましたサイレンサー――消音器をつけたり、あるいは機械自体をつり基礎の上に置くというような措置を講ずるというような方法が騒音防止の代表的な方法としてあげられておりますが、いずれにいたしましてもなかなか騒音を防止するということはむずかしい方法でございまして、こういうような遮音べいとかいうような方法に加えて、本法に書いておりますような、たとえば機械類の配置を考える――騒音が高いような機械はできるだけ人家と離したところに置く、あるいは機械類はできるだけ夜間は動かさないというような使用の方法、そういう方法についても考慮をめぐらさなければいけないというように考えております。
#19
○内田善利君 次に、公害防止統括者の件ですけれども、この公害防止統括者に解任命令が出た場合ですね、公害防止統括者としての解任は出ますが、工場長としての生産管理の面での役職もこれは二年間は自然に解任ということになると解釈していいわけですね。
#20
○政府委員(莊清君) さようでございます。
#21
○内田善利君 この公害防止施設を管理する責任者というのはだれですか。
#22
○政府委員(莊清君) 工場長が解任された場合の御質問かと思いますが、その場合といたしましては代理者をあらかじめ事業者は選任しておかなければならないということになっておりますので、正式の工場長が任命される間は代理者が統括管理者つまり工場長としての職務を行なう、こういうことに相なるわけでございます。なお、実際に設備を管理する者といいますのは工場長以外に現におるわけでございまして、それぞれ第一工場長とか、あるいは工場長のもとでの何課長というのが職制としてあるわけでございますが、工場長はいわゆる統括管理者としての立場から、公害防止という見地から全体的な指揮監督を生産設備の稼働についても行なう義務を特にこの法律で別途義務づけをしたと、かようにお考えいただきたいと思います。
#23
○内田善利君 公害防止施設を管理するのは工場長と思うのですが、その工場長が公害防止施設についてあるいはその維持について完備したいということで、事業者に、取締役のほうに進言した、その進言がたまたま取り入れられなかった そして公害が発生した場合の責任の所在はどこにございますか。
#24
○政府委員(莊清君) 結果として大気汚染防止法等の違反がその結果生ずることになろうかと思いますが、その場合にはこの法律ではなくて、大気汚染防止法なり水質汚濁防止法に基づきまして罰則の適用がございます。法人そのものに対しましても当然罰金刑があるわけでございますが、別途その違反事件に関しまして、実質的な責任者というものに対してそれぞれ罰則の適用が同時にあるわけでございまして、具体的には司法当局が案件ごとにそれぞれ調査をして決定することになるわけでございますが、ただいまお尋ねのような場合でございますと、一般的にはこれは明らかに工場長段階ではなくて、実質的な決定権を持っておって、しかも設置しなくてよいということをきめた本社のそれぞれの権限を持った責任者、これがそれぞれ大気汚染防止法なり、水質汚濁防止法のほうでの実質的な責任者ということで訴追をされていく、こういうことになるわけでございます。
#25
○内田善利君 次に、公害防止主任管理者の選任ですが、この選任の場合ですね、主任管理者を置かなければならないという義務がどういう工場に適用されるのか、それから工場長が主任管理者を兼任する場合もあり得るかどうか、この点はどうでしょうか。
#26
○政府委員(森口八郎君) 本法で公害防止主任管理者の設置を要求しております工場は、一つの公害原因ではなしに、たとえば、大気についての公害原因もあると、それから水についての公害原因もあると、そういうような工場のうち、しかもわりあいに亜硫酸ガスの放出量が多いとかあるいは汚水の排水量が多いというような大規模工場に主任管理者を置くことを義務づける予定をいたしております。
 それから工場長と主任管理者が兼務ができるかどうかという御質問でございますが、工場長自体が主任管理者の資格を持っております場合は兼務はできるというように考えております。
#27
○内田善利君 それは考えられることだと思いますが、主任管理者はそれでは――各管理者がおるわけですね、各工場ごとにおるわけですが、主任管理者の役割りはどういうことをやるのか。
#28
○政府委員(森口八郎君) 先ほど申し上げましたように、主任管理者を置く工場は、公害の原因が大気ばかりではなしに、水にも関係があるという工場を考えております。たとえば、大気から出ますいろいろな物質の防除施設をつくるというようなことになりますと、それは当然酸で洗ったり、アルカリで洗ったりして粉じんを取るわけでございます。その取りました結果、今度は水のほうで公害原因を生ずるというようなことになりかねないわけでございます。したがいまして、そういうふうな二つの原因を持っておる工場は、それら両方のことをわかった主任管理者を置いて統括をせしめたいという趣旨と、それから当然そういう大規模工場には相当数の管理者が置かれますので、そういう管理者を指揮監督する立場というような二つの立場から、そういうような工場には主任管理者の設置を義務づけることといたしたわけでございます。
#29
○内田善利君 主任管理者は工場長と兼任する場合もありますし、大体、生産管理の面も統括できると思うのですが、各工場ごとの、大工場における管理者ですけれどもね、その管理者は、自分が生産する、あるいは携わっている部下にはいろいろ指示、命令を与えることはできると思うんです、公害防止に関する。しかし、それ以外の従業員に対してそういうことはできるか、そういう義務はどこで負わせるようになっているのか、その統制といいますか、公害防止のための生産管理、物質面の生産管理面と公害防止の面とが両方の責任者ができますとごたごたするのではないか、特に公害防止についての責任という点から混乱が起こるおそれはないか、このように思うわけですが、この辺はどうでしょう。
#30
○政府委員(莊清君) 通常の場合でございますと、いわゆる公害防止管理者がたとえば公害防止施設が不十分であるということを発見したような場合とか、あるいは生産工程を改善する必要があると発見したような場合には、管理者から直接それぞれの担当責任者のほうに指示をするのではなくて、生産面も見ておりますところの工場長である管理者に、統轄者に上げまして、そこから指示をおろしてもらうという形になることを前提に考えておりまするが、緊急の場合等がございますので、そういう場合につきましては、一般職員でありますところの管理者自身が生産部門のほうに対しても、緊急の場合等には指示をすることができるようにいたしておりまして、第九条の第二項ではこういう非常に幅の広い一般的な規定を置きまして、緊急の場合等にはこういうことも可能であるという趣旨でこういう制度を設けてあります。通常の場合には、工場長たる統轄者に上げまして、そこから工場長命令あるいは統轄者命令として法律的に指示をするということが運用上望ましい、かように考えております。
#31
○内田善利君 それではあとわずかで終わりますが、この法案の選任義務規定などの適用が一年三カ月先に延ばしてありますが、その根拠は何でしょう。
#32
○政府委員(莊清君) 他の立法例でも一年ないし二年程度の期間を設けておるようでございますが、この法律を施行いたします場合に、結局一定の資格を有する管理者等を選任することになりますので、それまでの間に実は中小企業等については十分な研修とか指導という期間がぜひとも必要であるというようなのが一つの理由でございます。また、資格を与えます場合に、認定制で資格を与えてまいります場合と、それから認定条件に合わないけれども、国家試験に別途合格すれば、それをもって有資格とする、こういう必要もございまして、そういう条項も設けておるわけでございますので、この一年三カ月の間に研修、指導なり試験なりというものを極力進めまして、大体準備の終わったところで設置を義務づける条項を施行していく、こういう考えでございます。
#33
○内田善利君 これで質問を終わりますが、公害防止組織がどのように工場につくられていくかということについていろいろ質問したわけですけれども、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法あるいは騒音防止法等の法案とこの組織とがどのようにかみ合っていくか、この組織が組織化されても空文になってしまって実体がなくなるというようなことがないようにひとつ指導監督をしっかりやっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
#34
○須藤五郎君 私たちの党もこの法案に対しましては賛成の意思を表明しておるわけですが、なおその賛成の意思を持ちながら二、三不審な点について私は質問をしたいと思うんです。
 ここに出ております第三条の公害防止統括者というのは、これまでの公明党の委員の質問に対しまして、工場長ということばが使われておるわけなんですが、工場長はときに重役が工場長をつとめているときもあるわけなんですね。その場合も、重役の場合であっても統括者としていわゆる罪を犯した、間違いをおかした場合は処罰の対象になるのかどうかという点をちょっと伺いたいのです。
#35
○政府委員(莊清君) 処罰されるかどうかという点でございますと、大気汚染防止法とか水質汚濁防止法で事業者が義務を負っておりますので、それの違反がありました場合には、事業者たる法人に罰金刑が課せられるほか、その違反を生ずるに至った実質的な責任者は一体だれかということが司法当局で調査されまして懲役、罰金刑に処せられていくということで、両罰制度になっております。したがいまして、その実質違反者が調べてみたら工場長であったという場合には、その工場長が会社の役員である場合にも役員でない場合にもひとしくそれぞれの法律で処罰されるということが現在すでにあるわけでございまして、この法律ではその処罰ということではなくて、別途統括者、管理者とか責任を与えておりますので、その地位からはずすと申しますか、解任ということを制度としてこの法律ではつくっておるわけでございます。
#36
○須藤五郎君 わかりました。そうしますと、重役が――重役というものは何ていうか総会でね、会社の総会で選出されるのが重役なんですね、その重役がこの管理者になっておると、それが任務を果たさない場合はこれらの者の解任を命ずることができると、こういうことになっておるわけですね。そうすると会社の総会で選ばれた者を――この特定事業者というものは一体だれなのか、まずそこから私はちょっと質問しておかなきゃならぬと思います。特定事業者というのは社長なんですか、何なんですか。
#37
○政府委員(莊清君) 特定事業者はこの第二条のところにございますように、事業を行なう会社、法人そのものでございます。業種とか規模を政令で指定いたしますので、それに該当する企業ということになります。
#38
○須藤五郎君 そうすると、実際にこの管理者はあるいは社長の場合も起こってくるんですね。社長の場合も起こり得ますよ。そうするとその場合に、一体それじゃそういう解任を、社長を解任するというのは一体だれがやるのか。法人がやると言うのでしょう、あなたは。会社が事業者なんだから。しかし、法人である会社は社長を解任するということがそう簡単にできるのかどうか。これはやはり株主総会の手続とかいろいろなものが必要になってくるんですよ。官庁の指示によって解任せいと言われたことですぐ社長なり重役が解任されるということはぼくはあり得ないと思うんです、実際に。そこにどういうふうにあなたたち考えている。どういうふうな手続で、そうして社長や重役が工場長であった場合ですよ、どういうふうな手続でその解任をするのか。こうなってくると商法上もいろいろの問題が起こってくると思うんですね。そこをどういうふうに考えているか。
#39
○政府委員(莊清君) 一番最初の御質問にありました重役が工場長である場合、この法律で解任されたらどうなのかという点でございますけれども、工場長としてはとどまれませんが、その会社の重役たる地位そのものは御指摘のとおり総会できめられております。その重役たる地位そのものをこの法律で否認するというふうなものでは全然ございません。それから社長が工場長をもう一つ兼ねておる、重役の中でも社長たる重役という、重役であり社長であり工場長であるという一人三役のような場合が、実際に法人成りをした中小企業や零細企業の場合にはあり得るわけでございますが、そういう場合の考慮も含めまして、この法律では政令で定める要件に該当する小規模の事業者であるときは統括者は特に置かなくてよいと、統括者は必要がないということにいたしております。実質的には、社長が実質的に事業者そのものとして全責任を負って工場のほうの指揮監督をしておる。経営全体ももちろん指揮監督もしておるという実態が先ほど申し上げましたような法人成りをした零細企業等の場合は実態がそうでございますから、しいて形をつけるために社長を統括者にダブらせるという必要を認めませんので、政令でそういう道を設けたいというふうに考えておるわけでございます。
#40
○須藤五郎君 それはぼくの質問にまともに答えないで、ほかの方法でぼくは答えている非常にずるい答弁だと思うんですがね。要するに社長が統括管理者であり、重役が管理者である場合に処分を受ける場合ですね。要するに解任をすることはできるというんでしょう。そうすると、社長が統括管理者である場合にそれを解任することができるといって、社長を解任する手続は一体どういうふうな手続を踏んで解任するのか。重役を解任する場合にどういう手続を踏んで解任するのかと、こういう点なんですね。そう簡単に一つの社長を解任するということはなかなかむずかしい問題だと思うんです、実際は。やっぱり株主総会で選ばれた者をある官庁が解任だということでそう簡単に解任していけるものかどうか。ぼくはそこに疑問を持つのですよ。どうですか大臣、そういうこと簡単にできるでしょうか、これは。
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は、実はいろいろ議論になったところでございますので、むしろ須藤委員からそういう御指摘があったことは多少意外でございますけれども、私企業に政府が実際にこのように関与するのかという問題として議論になったのでございます。ただいま申し上げましたように、重役が工場長である場合には、工場長としてとどまることはできません。統括責任者でございますとできないことになりますが、重役たる身分を失うものではございません。それから先ほどその次に政府委員が申し上げましたことは、社長であり工場長であるというようなケースというのは、おそらく個人企業から法人になったまあ同族会社であるとか、規模の小さいものの場合のことであろう。その場合には、もうその社長自身が企業の全部について当然各面で責任を負うような体制であるに違いありませんから、わざわざその者を統括者に選任をする必要はない。わざわざそういうことをいたしませんでも、当然そういう責任を持っておる。こういうふうに考えられるケースでございますから、選任をする必要はないし、したがって解任という事態も起こらない、こういうふうにお答えを申し上げたのでございます。
#42
○須藤五郎君 私はこういう質問をしているのは、社長や重役の身分を守れという立場でぼくは質問しているのじゃないのですね。逆なんですよ。責任の所在はどこなんだ。たとえば社長が工場長であり、重役が工場長であった場合は、その社長、重役もやはり解任をされる立場でなくちゃ私はほんとうの責任者じゃないと思うのですよ。単なる工場長じゃないのです、重役が工場長でしょう。重役というものはその会社の経営全部責任を負っておるものですよ。ところが、その工場長である兼任のちょっぴりしたところだけ解任して、ほんとうの重役という立場をあくまで残しておこうというあなたたちの案なんだ、これは。だからぼくはくどくそこをついておるのです。むしろその場合は、重役として責任をとらせろ、こういうことなんです、ぼくらの要求は。それでないとおかしいですよ。そこからこの法案をずっと見てみると、まず特定事業者というものがあるのですね。これが特定事業者は処分を受けない。これでいくと、どんなことがあっても特定事業者は処分を受けないでしょう……、受けないでしょう……、受けるのですか。どういうふうな処分を受けるのですか。
#43
○政府委員(莊清君) 二つの種類の処分があろうかと思いますが、会社が公害を出して、大気汚染防止法違反というふうなことがはっきりいたしますと、大気汚染防止法等の罰則がございまして、行為者も罰せられるし、法人そのものも罰せられる。法人でございますから、懲役刑がなくて、罰金だけという意味のいわゆる違反に伴う処罰が一つございます。それからこの法律では、処罰というほど大げさなものじゃないと思いますが、刑はやはり処罰でございますが、この法律できめられておるような統括者を選び、管理者を選び届け出る、仕事をさせるということを怠りましたときには、選任届け出義務違反ということで罰金がついておるということでございまして、両方ともそれぞれ罰則が法人そのものにかかるということになっております。
#44
○須藤五郎君 そうすると、これはまあ法人の場合は処分で、刑法の罰金刑ぐらいでそれは済ます、こういうことですね。それからその次に、今度は特定事業者が統括者を任命するわけですね。その場合、重役であって工場長である、その場合でも処分を受けるのは工場長として解任されるのであって、重役としての身分には及ばない、こういうことですね。いまあなたの答弁では、間違いありませんね。それじゃそういうふうに理解しますよ。ところがまた、その下に管理者というやつをつくるのですね。で、管理者の下に主任管理者というものをつくるのですね。そのまた下に代理者というものをつくるのですね。おそらくこの代理者というのは統括者の代理者もあり、管理者の代理者もあり、主任管理者の代理者もあり、代理者の代理者というとこれまたおかしいけれども、 そういうように、あらゆる部門の代理者というのが置けるわけでしょう。そうすると、こういう統括者、管理者、主任管理者、代理者というのは、一体複数なのか、単数なのか、ここはどうなんですか。
#45
○政府委員(莊清君) まず代理者のほうからお答えいたしますが、代理者は、公害防止統括者というのが、一工場についてはその業務を統括管理する最高の人でございますからいわゆる工場長でございますが、これはあくまで一人である。その代理者はしたがいまして一人ということに考えております。これは一人置けばよろしい。それから主任管理者とか、それから管理者というのがございます。これは先ほど内田先生の御質問に対しまして御答弁申し上げましたように、主任管理者というのは、大工場、大気のほう、水のほう、それぞれ置いておるところに補佐として置かせるのだということでございますから、それぞれ単数もしくは複数のものが置かれてくると思います。管理者というのは、大体設備のグループごとに、大気、水、騒音、粉じんと、それぞれございますから、まず一番数が多うございます。相当大規模の工場でございますと、少なくともやはり数人は置くということになります。主任管理者というのは、その工場長と第一線との中間でございますから、一名ということもあると思いますけれども、必要ならば区分けをいたしまして、二名、つまり複数置くということもあろうと思います。したがいまして、それぞれに対して、やはり代理者というものが用意される。法律の制度としてはそういう前提で考えております。それからちょっと前に戻るわけでございますが、重役たる工場長の解任ということで先ほど来御質問でございますが、大臣からもお答え申し上げましたとおり、統括管理者としての解任でございまして、重役たる地位そのものを剥奪するわけではございません。これはやはり商法の規定によりまして、当然に総会で株主の総意として選任あるいは解任されていくという筋合いのものでございますから、この法律ではあくまで特別の義務づけをしております統括者たる地位を剥奪されますと、間接的にその結果として工場長としてはとどまることができなくなってくると、こういうことでございます。
#46
○須藤五郎君 ちょっとその辺おかしいものが、割り切れぬものが私は残っているように思うんですね。だって統括者になるのは重役だからなるんでしょうが。その統括者が処罰、解任されるときに重役だという身分でなっている統括者を、その一部分だけやって重役というものはそのまま残しておくということ、おかしいですよ。やっぱり責任は重役という、そのことの立場に追及の手が及び、やはり処罰がされるということでないと、こんなものはへのかっぱで、重役は何ら責任を持たないですよ、こんなものは。この法案はそういうふうにできていると思うんだ、ぼくは。まず何でしょう、特定事業者は法人だと、法人は罰則でも罰金刑しかないんだと、こういうことでしょう。それから統括者は重役がなる場合もあると、しかし、処分を受ける場合は重役というものには処分は及ばない。重役はそのままで、重役が兼任しているところの工場長という、そのものに罰則が、処分が及んで、工場長はやめても、重役という立場はちゃんと残っているんだと、こういうことでしょう。それから管理者、主任管理者、みんなこれ代理者がずっとあるわけですね。そういうふうにほんとうの一つの重大な責任をこういうふうにずっと薄めてしまっているわけですね。大ぜいの人に分担させるという形で責任を薄めているわけですよ。そして最後はだれが責任をとるか、この法律でいうと、どうも最も末端の人らが解任されるといろ結果が私は起こってくると思うんです、これでは。そういうふうにこの法案が組み立てられているように思うんです。しかも代理者というように複数になっているんですね。だからそこでもう一回聞いておかなくちゃならない。その処分を受ける場合、解任を受ける場合、代理者は処分を受けないのかどうか。代理者は、管理者が処分を受ける場合、統括者が処分を受ける場合、主任管理者が処分を受ける場合は、それぞれの代理者は処分の対象にならないのかどうだということを、これひとつはっきり聞いておかなければならない。おかしいですよ、それは。みんな責任のがれしているんだ、これは。
#47
○政府委員(森口八郎君) 法案の第六条に、「特定事業者は、主務省令で定めるところにより、公害防止統括者、公害防止管理者又は公害防止主任管理者が旅行、疾病その他の事故によってその職務を行なうことができない場合にその職務を行なう者を選任しなければならない。」というように規定してございます。したがって、代理者たる地位は、本来の主任管理者、あるいは管理者等が何らかの理由によって、その本来の職務を尽くせないというときに、代理者が初めてその職務につくということでございますので、問題が起こった場合に問題にされるのは、管理者ないしは主任管理者の本人であるということでありまして、たまたまその管理者あるいは主任管理者等が旅行とか、病気とかで、その留守中に代理者が職務を行なっておったということであれば、その限度において代理者が初めて対象となり得るというように解釈すべきではないかと思います。
#48
○須藤五郎君 いまあなたが言った具体的な例ですが、そうするとそれ以外の場合、代理者には処分は及ばないと、そのもとの責任者が処分を受けるんだと、こういうことですね。しかし、それは非常な善意な解釈で、まあこういう人たちはなかなかずるい考えを常に持って、責任はできるだけぼやかしていこうという気持ちでおるから、病気でなくても代理者というものをつくってあって、問題が起こったときはおれは病気で寝ておったんだと、おれがかぜ引いてちょっと休んでおる間にそういうことが起こったんだとか、旅行先で旅行しておるときにそういう問題が起こったんだというような理由で、結果は代理者というような末端の人たちが処分の対象にされるという、そういうことが起こり得るんじゃないですか、絶対そういうことありませんか。
#49
○政府委員(森口八郎君) 先生がおっしゃいますような言い抜けをする可能性というものは、実際問題として起こり得るかもしれません。それは事実認定の問題でございまして、事実、そのときに本人が旅行とか、あるいは疾病とか、そういうことであったかどうかという事実の問題だろうと思います。事実、旅行とか、あるいは疾病とかによってその職務をとることができないという場合は、代理者が本人の職務を行なうという本来の規定に立ち返って、その間じゅうに問題が起これば、それは代理者が責任を負うということになるのではないかというように思います。
#50
○須藤五郎君 代理者はもう一定にきめられたら、常に代理者はその人にきまっているんですか。代理者という以上、工場長がどこかへ出張する場合、都合が悪いといってAという代理者、Bという代理者がずっとあってどの人が代理者になるかわからぬというような、そういうことはないんですか。代理者というのはちゃんとはっきりともう名を登録して、法的にちゃんとされるんですかどうですか。
#51
○政府委員(森口八郎君) 第六条の二項によって準用いたしておりますように、代理者は当然届け出をするということとなっております。
#52
○須藤五郎君 あまり時間もないことですから、追及しないでおきますが、どうもこの法案、ぼくもずっと一条から最後まで検討しましたよ。そうすると、ずいぶん下のほうへだんだん、だんだんとこういういろいろな役柄をつくって、そうしてしかもそれぞれに代理者をつくっていって、そして処分の対象になる場合は、最も末端、実際の職場におった人が処分の対象、解任の対象になっているという、それがもうはっきりわかるわけですね。だから、私はそういう法案じゃないかぬ。やはり責任は最高責任者が責任をとるべきなんだと、そういうたてまえにしておかぬと、この法案をつくっても十分に成果をあげることができないんじゃないかと、こういうようにぼくは思いますよ。その疑念は、皆さんの説明を受けても、 まだぼくにはちょっとそういう疑念が残るんですね。
 それからもう一つ、第十二条のところの「指導等」というところでありますが、地方公共団体がこれを監督していくわけですね。その地方公共団体の監督する立場にある人が監督しなかったということで監督不十分といいますか、監督しても管理者がそれを十分に実行しなかったというような問題が起こった場合は、これはどこに責任があるのですか。
#53
○政府委員(森口八郎君) 県の職員がこの法律の効果をあげるために企業に対して当然なすべき指導監督を怠ったというふうな場合でございますと、国の職員でございますからこの法律で何らかの処分を受けるということじゃございませんで、やはり公務の執行に関しての責任でございますから、国家公務員法なり地方公務員法の規定に基づいてその職務を誠実に行なう責務とかすべてあるわけでございますから、それに基づいてそれぞれの法律で定められておりますところの身分上の制裁なんというものは極端な場合には起こり得るかと思います。これはやはりそれぞれの勤務につきまして定められております公務員法等によってさばかれるのである。この法律で直接処罰を受けるということには当然ならないわけでございます。これはすべての取り締まりの法律の場合も同様であろうと思います。
#54
○須藤五郎君 一つの例としてこの間問題になった石原産業の問題なんかでもそうですがね、あの石原産業の問題でも通産省のあるだれか係長か課長クラスですね、そして石原産業のほうもこれまた係長か、そうですね。そこで責任がとまっちゃっておるわけですね。ぼくはやっぱり石原産業のような場合は、工場長なり要するにその上の重役が責任を負うべきだと思うのですよ。だって承知してやっておるから、そんなこと重役が知らぬなんというばかな話ないですよ。だからそういうほんとうの責任ある人は処罰の対象にならないところへちゃんと据えておいて、そして末端の人たちが処罰の対象になるような役柄をつけて、そして事を済ましていこうというのがこの法案の精神のように思うんですよ。
 一つ例をあげますから答えてください。きのうの夕刊――朝日新聞ですね、を見ますと、シアンたれ流しのかどで兵庫県警が尼崎コークスを手入れをしたという記事が出ておりますね。尼崎コークスという会社は資本金三十億円、従業員約一千人、コークスメーカーとしては大手の会社なんですね。その容疑の内容はどうかといいますと、基準の二PPMを大幅にこえるところの二〇PPMのシアンを排出しておった、こういうことです。しかもシアン分解の施設はありますが、シアン分解の次亜塩素酸ソーダというのですかね、次亜塩素酸ソーダが年間一億五千万円から六千万円かかるということで平素は未処理のまま排出していたという、こういうひどい事件なんですね、これ。そうすると、この事件をこの法律との関係で考えてみますと、公害防止組織が整備されることはこの種事件の発生を押える上で役立つだろう期待は持てるわけなんですが、しかし、この神戸の場合に見られるように、公害防止施設はつくっても平素は使わないということを決定するのは企業の最高の責任者あるいは経営陣のトップの意思でなければならないと、こういうように考えられるわけですね。このような企業利益を振りかざしたトップの決定、意思が示された場合、公害防止統括者、主任管理者、管理者はどうしたらいいのかですね。そのトップのいうことを聞かぬでもいいのかどうか。その立場からしますならば、公害防止のために経営陣のあやまった決定を正す努力をしなければならないと、こう私は思います。このことは実際にはなかなかしかしむずかしいことでもあるわけなんですね、さあこういうふうな立場に立った場合に。この点をどうあなたは考えますか。上の社長や重役陣で決定してくるのです、普段使わぬでもいいと。使わなければシアンが出てしまうわけです。現に出ているわけです。その場合に下っぱの管理者や主任管理者、代行者ですか代理者、それが社長や重役の意思に反して実際にやれますかどうですか、どういうふうに考えますか。
#55
○政府委員(森口八郎君) 尼崎コークスの一件につきましては、私ども先日その事実を知りまして非常に遺憾に存じておるわけでございます。
 当社につきましては、従来からシアンについていろいろ問題がございますので、兵庫県のほうでシアンの処理装置をつくるというような指導をしてまいったところでございます。現在、当社では、処理施設等の建設に若干日時を要しますので、応急措置と恒久的な措置に分けまして、応急措置として現在流れ出ますシアンを次亜塩素酸ソーダで簡易に処理をして問題のないようにしよう。恒久的には、やはり機械的な装置で次亜塩素酸ソーダを注入してシアンが流れ出ないように処理をしようということで、兵庫県のほうにも計画書を提出してその対策を実施してきたというように聞いております。私どもが現在聞いておりますところではそういうふうな状況でございますので、新聞紙にございますような十倍もの濃度を持ちますシアンが流れ出たということはちょっと信じがたいわけでございますが、現在厚生省とも連絡をして事実関係を調査をいたしておる段階でございます。したがいまして、事実関係の究明を待ちまして、さらに徹底をした行政指導をやってまいりたいというように考えております。
 御指摘のこの場合に、管理者の制度がかりにあれば管理者に責任があるのか、あるいは統括者に責任があるのかどうかというような点は、実は事実の究明がまだ十分なされておりませんので、現在の段階ではあるともないともお答えできないというのが現状でございます。
#56
○須藤五郎君 もう一問。そうすると何ですか、その下のほうの主任管理者あるいは管理者、そこに責任があるのか、統括者に責任があるのかはこれからよく調べてみる、そうして統括者に責任があれば統括者を処分するというふうに理解していいのですか。
#57
○政府委員(森口八郎君) 本件は、法律関係について申しますと水質保全法の対象地域にはなっておりません。したがいまして、水質保全法による処罰と申しますよりは、毒劇法の取り締まりを受けるべき領域でございます。したがいまして、いまのような事実関係が司直の手で調べられまして違反があるということでありますれば、その違反の内容に従って実際責任のある者が毒劇法の各条項に従って罰せられるということになるかと存じます。
 なお、統括者が罰せられるか管理者が罰せられるかというような点につきましては、いま御審議願っております法案が現在まだ施行になっておりませんので、施行後でありますればそういうような問題も解任命令というようなことを受けまして問題が起こってくるということは当然予想されるところでございます。
#58
○須藤五郎君 もう一つ尋ねておきますが、公害防止施設はつくっても平素は使わないということは、企業のトップの意思でなければ単に公害防止統括者や管理者がきめられるものではないということはこれは明らかだと私は思うのですね。しかし、事柄の性質上、そのことを企業のトップがきめたということの立証はむずかしいのですね。はっきりした文書による指図書でもあればわかりますが、それがなければトップがそういうことをきめたんだという、そこを実証することが非常に私は困難だと思うんですね。さあそうなるとこの種の事件が将来起こったときに、いまのときじゃない、将来のことも含めてですが、将来起こったときに、実際に責任を追及され、処分されるのは公害防止統括者なり主任管理者なんということになる懸念がありはしないかと、こういうことですね。一番責任を追及され、処罰されなければならない企業責任者が見のがされることになりゃしないか、こういうように私は思うんですが、その点あなた方はどういうふうに理解しておるんですか。
#59
○政府委員(莊清君) たいへんむずかしい御質問かと思いますが、公害防止施設としてはあるのにわざわざそれを使わずに別のパイプから汚水を流しておった、こういうふうな極端な場合かと存じますけれども、なるほど御指摘のように、汚水処理装置を担当しております一般職員が、自分だけの判断でそういう思い切ったことをするということはまず実際問題としても非常に少ないかと思います。その点は先生の御指摘のとおりでございますから、そういうことが行なわれました結果、公害が起こってきた、工場排水規制法違反という事実が浮かんできたという場合には私ども検察の立場にある人間ではございませんから、責任のあることは実は申し上げられないわけでございますけれども、少なくとも私の見まするところ、そういう最末端の機械のオペレートをしているような職員の人が積極的に自分の意思でわざわざ汚水処理装置のほうへ行くバルブを締めて、別のパイプのほうへわざわざ流し込む、あるいは汚水処理装置に薬品を投入する設備があるのに運転のスイッチをとめてしまったというふうなことをその職員が積極的にみずからの意思でやったということがはっきりと立証されれば、その職員がそれは処罰されると思います。しかし、そういう立証がないのに、上のほうの責任が何となく証拠書類も残ってないからよくわからぬというだけの理由でしかたなしに末端の人を起訴するということは、これはもう現在の裁判のもとでは全く証拠もございませんし、そういうことはまず絶対あり得ないのじゃないかというふうに思います。うやむやだから下の人を処罰していくというふうなことは、少なくともいまの裁判としては、もう起訴そのものがあり得ないんじゃないかと、かように考えるわけでございます。
#60
○須藤五郎君 ここでもう一つ、これは新聞の記事を読めばはっきりするんですがね。この工場は去年の十月以来、再三、県の薬務課の指導を受けておるんですね。去る三月には次亜塩素酸ソーダを使ってシアンを分解するというふうに約束をしておるんですよ。ところが、その後生活課員がひそかに警備艇に乗って調べたというんですね。そうすると、依然として一九・九から二三PPMも出ておるというんですね。さらに今月十日、午前八時から二時間ごとに五回はかったときには、平均一九・七PPM、最大二五・七PPMあったというんですね。これではほっておけないということになったわけですが、そうすると、その結果わかったのが、あるときには平生はそういうふうな、この薬が高くつくということで使わないで、そしてシアンをたれ流していたということがわかったわけですね。そうすると、兵庫県からこういう指導を受けておれば、当然重役は知っておるはずですよ。その重役がどういう指示をしたかということは、これは文書がないから、はっきりはつかめないわけだけれども、重役も知っているわけですよ。それじゃ重役も知り、県からそういう指導を受けたのを下のほうの管理者、一従業員がそれに反してシアンを流していることがはたしてできるかどうかという問題、おそらくこれは私は会社の上役が、上のほうがそれを承知して、いや高くつくからかまわんよ、流しておけ、流しておけ、こういうことで私は流したものだと思う。そんなら責任は会社の上役にあるのじゃないか。何も下の人に責任はないでしょう。これからもこういうことは起こる。そのときのことも考えて、このような責任の所在を明らかにしないような、責任が起こった場合は末端の人が責任をとり、解任というような形で責任をそれで終わらしてしまうというようなこと、こういうことではないかと思うのですよ。だから、これはもちろんもっと上層部を追及すべき性質のものなんです。そうでしょう。この兵庫県のこれなんかはたびたび注意を受けながら、こういうことをやっているのは、一従業員だけじゃできません。それは会社が承知しているわけです。だから会社の責任を大いに追及しなければならぬ。あなたたちの立場はそうじゃないかと思うのですが、どうですか、その点。
#61
○政府委員(森口八郎君) おっしゃいますように、先ほども説明いたしましたように、本会社につきましては、過去からシアンが流れて出ているというような疑いがありまして、兵庫県で再々指導をしてまたということは、先生の全くおっしゃるとおりでございます。ただ新聞紙にありましたような事実が現実の事実でありますかどうか、それは当方としてはまだ確認いたしておりません。先ほどそういう意味で事実の確認を待ち次第何らかの措置をするというように申し上げたわけでございます。
#62
○須藤五郎君 事実があったらちゃんと処置しますね。
#63
○政府委員(森口八郎君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、本件は毒劇法違反に関する事実でございます。毒劇法は厚生省のほうで所管をされておりますので、先ほども申し上げましたとおり、厚生省と連絡をして事実を究明をして、適切な措置をとりたいというふうに返答申し上げた次第でございます。
#64
○竹田四郎君 非常にいい機会ですから、大臣にちょっとお伺いをしたいのです。特定な工場が、具体的に言いますと、この例は富山県の婦中町のことでございますが、神岡鉱業所のカドミウムによってイタイイタイ病の原因であるということがはっきり厚生省のほうでもそうした見解を出し、したがいまして、通産省のほうでもそうしたイタイイタイ病の実態にかんがみて被害者の救済のためにはあらゆる行政上の措置を適用することが必要だというような通知も出しているわけです。そこで、まあ、そういう重金属による被害を受けた当人に対して会社が損害賠償を払うことは、これは当然だろうと思う。しかし、そういうことが原因であるというふうに調査をし、あるいは住民の検診をし、あるいはそういうことのために、まあ、この婦中町の場合で見ますと、いままで井戸を大部分使っていた。神通川の伏流水によって生活水を得ていた。ところが、その神通川の水にカドミウムが含まれているということで、ここでは簡易水道を別につくらざるを得ないというような事例というのはあちらこちらに出てくると思うのです。そうした場合には、小さな町村なんかの場合には非常に大きな財政的な負担というか、その公害によって当然生まれてくるわけです。ですから、婦中町の場合には実に一億五千万円の賠償をしてくれということで、三井金属株式会社に実は損害賠償の請求をしているわけです。こういう点は特定工場の起こす公害によってそうした地方公共団体が大きな被害を受けたという場合には、その事業所は一体、そういう損害に対して賠償をするべきだと私は思うのですが、その辺はひとつ大臣、どういうふうにそういう公共団体の場合にはお考えになりますか。それは私・法人の場合には当然そういうものは賠償を受ける対象になろうと思うのです。そういうことによって、これはほかにもあると思うのですがね、たとえば安中の場合あたりにおきましても、安中市のそういう公害の調査から、あるいは住民の検診から、その他いろいろなことでたいへんな町自体被害を受けている。そういうものに対して、そのままであるということになると、これはその町村の財政的な観点から見ても、これは非常にたいへんなことだと思いますが、そういう場合の事業所、特定の工場というのは一体どうしたらいいのか、当然私どもは賠償に応ずるべきだと思うのですが、大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#65
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な事例を詳しく存じませんから、それにつきましてお答えをするわけにはまいりません。しかし、そういう場合、会社と当該公共団体でありますが、話し合いによってそういうふうな結論が出る場合もございましょうし、話し合いがつかずに訴訟になって判決を待って決せられるという場合もございましょうし、態様はいろいろであると思います。原則として、そういうことについて会社側が全く責任を負わなくてよろしいというような理屈は私は別段ないと存じます。具体的に決すべき問題だと思います。
#66
○竹田四郎君 それじゃ原則論を聞いておりますから、個々の問題はまた個々の問題で論議をお願いしたいと思うのですが、原則論としては、そういう地方公共団体に対しても、会社としては損害に対しては相応の弁償をすべきだというふうに一般的に考えてよろしい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#67
○国務大臣(宮澤喜一君) むしろ反対にお答えをいたしましたので、そういう場合、企業が本来そういう賠償を払わなくてもよろしいというようなことを定めた法規なり、あるいはそういう一般に受け入れられた観念というものはない、こう申し上げたのであります。
#68
○委員長(占部秀男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#69
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#70
○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党三党共同の提案の附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
   特定工場における公害防止組織の整備に関
   する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にともない、次の事項に留
 意すべきである。
 一、公害防止組織の運営にあたっては、公害対
  策基本法第三条の趣旨に照らして、公害防止
  についてのトップマネジメントの責任と自覚
  を促し、公害発生責任が、いやしくも公害防
  止管理者等の実務担当者のみに転嫁されるこ
  とのないよう監督、指導すること。
 一、知識、技能ともに優れた公害防止管理者等
  の人員を確保するため、その養成、訓練につ
  とめること。
  なお、これを行なう地方公共団体等に対する
  助成を推進すること。
 一、小規模事業者に対して公害防止のために経
  営面、技術面の両面にわたり必要な指導、助
  言につとめること。
 一、企業内における公害防止体制の整備のほ
  か、地域ぐるみあるいは業界ぐるみの事業者
  間の協力の推進を容易ならしめるため、制度
  の整備、指導及び助成措置の充実等を図るこ
  と。
 一、悪臭などの公害についても本法を適用する
  方向で早急に制度改善の検討をすすめるとと
  もに、本法適用外の事業場等についても、公
  害防止管理の充実を図ること。
  右決議する。
 以上であります。各位の御賛同をお願いいたします。
#71
○委員長(占部秀男君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#72
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、宮澤通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤通商産業大臣。
#73
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、十分善処いたします。
#74
○委員長(占部秀男君) なお、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#76
○委員長(占部秀男君) 次に、悪臭防止法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#77
○竹田四郎君 まず悪臭防止法の第二条に書かれております悪臭物質というのは、具体的に、ここには「アンモニア、メチルメルカプタンその他」というようにいわれておりますけれども、具体的には何種類くらいあって、どういうものをいうのか、あまりにもここの例示が少ないわけですが、お示しいただきます。
#78
○政府委員(橋本龍太郎君) 大臣、少々おくれておりますので、その間、私から答弁をさせていただきます。
 この悪臭防止法で申しております悪臭物質、これはおおむね十三種類の物質をとりあえず対象として考えております。多少長くなりまして恐縮でありますが、中身を申し上げてまいりますと、まず硫黄化合物の中で、たとえばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ジメチルサルファイド、ジエチルサルファイド、硫化水素。また窒素化合物の中ではメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、あるいはアンモニヤ。それから酪酸、ブチレン、アセトン、アクロレイン、これらのものを当初一応私どもは対象として指定するつもりであります。しかし、いわゆる悪臭物質として考えられるものは、そのほかにも相当広範に存在するのじゃないかということが先般も御議論になりました。この場合に私どもの申しております悪臭と申しますのは、いわゆる悪臭物質の定義からいきまして生活環境をそこなうおそれのある不愉快なにおい、不快なにおいを意味するものと考えております。この場合に悪臭とは学問的には幾つかの説のあるにおいの分類の中で、わが国の基本的な学説である八つの基本分類の中の一つのものでありますが、この法案に関する限り、たとえ普通の場合にはよいにおいと解釈されるような果実臭であるとか花のにおい、花香、こうしたものでありましても不快感を与える場合には、この法律の上では悪臭であるという考え方をとっております。多くの場合、これらが単独の物質として不快感を催させるような状態になる場合には、非常に多くの種類の物質から構成される場合が多いわけでありますけれども、それらの多くのものの中で悪臭の原因となる物質で、その場合の悪臭全体の強さを評価するのに適当なもの、これを悪臭物質として政令で指定をいたしたい。その場合にとりあえずこの十三のものを指定をしてまいり、おいおい将来においてなお問題が発生するものがありましたらそれらも取り上げてまいりたいと、かように考えております。
#79
○竹田四郎君 まあおそらくどのくらいあるのか現在のところもはっきりしない、はっきりしているのが十三種類と、こういうふうだと思うのですけれども、たとえばいままでこういう防止計画等であげられているところの悪臭等につきましても、たとえば千葉県の場合に悪臭等の陳情、苦情、こういうものがあった場合に、いままでのところは六〇%はその原因は不明だと、こういうふうに防止計画の中にも出ているわけでありますが、悪臭防止法という形で法案が制定されるといたしますと、その十三種類がいまのところわかっているわけでありますが、実際考えられる悪臭物質というのは一体どのくらいあるのか。あと政令でこれはおきめになるのでしょうけれども、いまお話のありましたとりあえず十三種類ということですが、悪臭を発するものとしてあるものは一体どのくらいあるというふうにお考えになっておりますか。
#80
○政府委員(橋本龍太郎君) 多少長くなりまして恐縮でありますが、実はにおいほどやっかいなものはないと申しましては非常に恐縮でありますが、実は世界の学者の学説の上においてもあいまいもことしておるものが実はほかにございません。学説的に見ましてもにおいとは一体何なのか、どういう形で伝播されるのかということについても、実は粒子説あるいは輻射説あるいは波動伝播説といったような学説がございます。光の波のような形でにおいは伝播するんじゃないか、あるいはこまかい粒子が飛散してそれがにおいとして感ぜられるんじゃないか、私どもはこの悪臭防止法においてはこの粒子説をとっている。また、わが国の学界の中の定説としてとられている粒子説をとって悪臭防止法を考えたわけでありますが、この中でいわゆる八段階、八つの分類に基本臭というものをとりまして、果実臭  くだもののようなにおい、樹脂臭、花のかおり、焦げくさいにおい、悪臭、薬味臭、すっぱいにおい、生ぐさいにおい、これがいわゆる八つの分類。たとえば香水の原料に使われるような龍涎香のようなもの、これを実はかたまりとしてかいだ場合には実に異様な悪臭を発しております。それをごく薄くしていくとたいへんいいにおいとして人間が感ずる香水の原料となる。果実臭とか花香という普通はいいにおいといわれるものでありましても、それが量が一定の限界を越した場合には人間には不快な感じを与えていくことがあります。そうした中での典型的なものを十三取り上げて今回立法化しようとしたわけであります。そのほかにも悪臭物質として知られておりますものは相当たくさんございます。たとえば先ほど申し上げましたメルカプタン類だけとりましてもメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、この二つを指定する以外に、たとえばn・プロピルメルカプタン、クロチルメルカプタン、アリルメルカプタン、イソアリルメルカプタン、こういったものがあげられております。それこそクロチルメルカプタンというのはスカンクのようなにおい、あるいはアリルメルカプタンというのはニンニクのにおいを感ずる。こうした物質はほかにもございます。ただいわゆる悪臭を発生するような主要な事業場というものはおおむね化学工業系統、あるいはへい獣処理場その他の畜産系統、あるいは都市公共施設、大別してこうしたものになるかと思います。こうした主要な悪臭発生源となる事業場から主として発散される悪臭物質はおおむねこの十三であるということでこの十三物質を選んだわけであります。なお、他のものも将来対象として考える必要がないとは私どもも思っておりません。いまの私どもがわかる範囲内で申し上げればまだ二十あまりのものが名称としてはあげられると思いますが、一応いまの先生に対する御答弁として私のわかる範囲内としてこの程度申し上げたいと思います。
#81
○竹田四郎君 悪臭防止法という法律ができるわけでありますけれども、その中でいまおっしゃられたように、いま工場等から発生するものは大体十三種類ぐらいでカバーできるのではないか、こういうわけでありますが、人間のにおいをかぐ能力というのはこれはかなり鋭敏なものだそうでありますから、その他にもどういう場所からどういうにおいが出てくるかということは先ほど述べましたように陳情、苦情のある六〇%はその原因は不明だ、こういうことになりますと、一体悪臭防止対策というものが全うできるかどうか。法律はできたけれども、どうも法律で解決できないというものがかなりあるのではないかという気がするわけでありますが、そうしますと、この十三種類から抜けたものというのは、悪臭防止法にひっかからないわけですね。どうなんですか、それは。そういうものもこれにかかっていくのですか。
#82
○政府委員(橋本龍太郎君) とりあえずは国として定めるものはこの十三でありますけれども、先ほどから申し上げますように、なお範囲を拡張していかなければならない点もあると私ども思っております。とりあえずは確かにひっかからないケースが出るかもしれません。ただ先ほど先生のお話しになりました私たまたま千葉県の例自体は存じませんけれども、ここ数年間の地方公共団体の窓口に寄せられました公害に関する苦情、陳情の中で悪臭にかかるもの、件数、同時にその中での大体の処理の件数を見てまいりますと、自治省が毎年やっております調査報告からとりますと、四十四年度に地方公共団体に寄せられた悪臭にかかる苦情、陳情というものは七千九百八十三件あったようであります。騒音、振動にかかるものに次いで苦情の中の第二位を占めておったわけであります。大体それの中の七割程度までが年々何らかの形で処理をされてきたという報告を受けております。ちなみに四十四年度の場合には七千九百八十三件の受理件数に対して五千六百七十件までは何らかの形で処理をされたということが自治省の報告統計の上から出されております。たとえば四十一年度には三千四百九十四件の受理件数に対して二千六百十七件のものは処理をされてまいりました。大体年間七割程度までは何らか処理をしてきた。従来のそういう実績の上に今後の仕事がなされていくわけでありまして、私どもはとりあえずこの十三種類を規制していくことによってある程度の成績はあげられると考えております。なお、追加すべきものがありました場合には、むしろ積極的に取り入れていく努力をしてまいりたいと考えております。
#83
○竹田四郎君 書面あるいは電話でも同じだろうと思うんですけれども、そういうことで具体的に地方自治体の窓口へ苦情なり陳情をする件数というのは、実際発生件数から見ますと、おそらく全部カバーしていると私は思われないんですよ。特にいつも常時くさいというようなのがおそらくおもな内容であって、たとえば三十分ぐらいくさくてしょうがなかったと、しかしそのあとはそのにおいはしなかったと、こういうようなものは非常に私少ないだろうと思うんですよ、陳情、苦情として申し出されるものは。で、もう一つの悪臭に定常的な悪臭といいますか、これはいつも、まあ毎日におってくる、あるいは養鶏場のあれだとか屎尿処理場のあれだとか、こういうのは毎日毎日におってきますから、これは定常的な悪臭とこういうふうに言えると思うんですが、それ以外に先ほど申しましたように、夕方夕飯どきに三十分ぐらいにおったけれども、あとはもう消えてしまったと、こういうようなのは事業場なんかにおけるところの操作を誤ったり、あるいは修理、修繕でそういうものが発生するというのは非定常的な悪臭と、こういうふうに言われるんじゃないかと思うんですが、そういう形で定常的、非定常的な形に分けてみて、さっき言った陳情、苦情という中に入るのはどっちのほうが多いんですか、大体わかりますか。これは対策が違ってくるんじゃないですか。
#84
○政府委員(橋本龍太郎君) 自治省の統計調査の上にはそうした状態はあらわれておりません。その点は私ども把握が不十分であります。申しわけありません。
#85
○竹田四郎君 そういう意味でも必ずしも自治かが出している処理済み件数というのは、まあ書類の上では七割は善処されたということになるわけですが、実際上私はもっと多いんじゃないか。だからこの数字が必ずしも七割処理されているから、だからもう悪臭については防止ができているんだということには私は必ずしもならないと思う。それだけにせっかく悪臭防止法という法律ができても、その防止対策というのはかなり抜け穴があるんではないか、こういうふうに私は思わざるを得ないんですけれども、せっかく法案をおつくりになって、けちつけるわけですから申しわけないと思いますけれども、そういう事態に対して一体どういうふうにしていくべきなのか。それはさっき申しましたような十三種類を今後わかり次第どんどんふやしていくということが一つの方法ではあると思うんですけれども、先ほど次官のほうからおっしゃられましたように、比較的たとえば亜硫酸ガスなどとかいうようなものはかなりその影響は大きくても自覚されないわけですね。人に自覚されないわけです。悪臭の場合には量は少なくても被害は実質言って呼吸困難になるなんというようなことはこれはございませんので、被害はほとんどない。実質的な被害はあまりない。感情的な不快感を催すとかなんということはありますけれども、実質的にそれによってどうこうなんということは非常に少ない。そういう点で、わりあい悪臭の苦情というのはさっき言ったように、まあ全国平均でも二〇%ぐらい、陳情、苦情の中に二割ぐらいの程度は含まれているわけですね。そうしますと、かなり世論というのは私はやかましくなると思うんです。いままでは幸か不幸か悪臭防止法がなかったですから、まあ公害課か何かの窓口で適当に処理していくということになりますが、こういう法律ができてしまいますと、そういう点では世論もかなりきびしくなるだろうと思うんです。そういう点では原因不明な悪臭というものに対する対策をもっと進めてもらわにゃいかぬと思うんですけれども、これはそういうものの対策というのは具体的にどうなっておるのか。これは測定器具あたりにいたしましても、かなりむずかしい問題もあろうかと思うんですけれども、それを進めていかないと、やはり世論をこの法律によって納得さしていくということはなかなかできなかろうと思うんです。そういう対策というのはどんなふうにお考えでしょうか。
#86
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに竹田先生の御指摘のような点が現在問題でないとは私も申し上げません。これは率直に申し上げまして、悪臭の主要発生源として、たとえばクラフトパルプ製造業であるとか石油精製業、化学肥料製造業など化学工業系統、またへい獣処理場、へい獣取り扱い場、人骨処理場、魚腸骨の処理場などを含めて、あるいは養豚・養鶏場、配合飼料工場その他の畜産系統、同時にごみ処理場とか屎尿処理場とか下水処理場等都市の公共施設というものに分けられると思います。そうしておもに化学工業系統の発生源から出されるものは含硫黄加合物、へい獣処理場等及び畜産系統の発生源からは含窒素加合物及び含硫黄加合物、都市公共施設からは含硫黄加合物、含窒素加合物等がその悪臭として出されるわけであります。ですから、そうしたものに対しては近年確かに悪臭というものに対する調査研究というものも進んでまいりましたし、厚生省のそのものの中にもチームを組み、また科学技術庁のほうにも御協力をお願いし、研究等も進めていただいておりますし、逐年その進歩は見てきておりますけれども、必ずしもそれが万全とは申し切れません。逐年公害としての悪臭問題を引き起こしている主要事業場から排出されるもの、または漏出される物質、この悪臭物質、いまあげましたような事業場から排出あるいは漏出される原因物質についてはおおむね明らかにされてまいりましたし、また、悪臭物質の濃度をもって悪臭全体の強さというものを評価することが可能となってまいりました。この法律案の中でも悪臭の代表的な構成物質を先ほどから申し上げたような形で政令で指定していくわけでありますが、この濃度をガスクロマトグラフィーを用いて定量分析していくことによってこれを押えていこうという方法をとっているわけであります。ただ一つの問題点として、屋外でありますと、悪臭物質そのものがある程度薄められて濃度が落ちてしまう。その場合にガスクロマトグラフィーでは検知できない場合があります。そういう場合に対しては一応いま液体酸素などを使用する低温凝集法を応用した悪臭物質の大量濃縮採取装置というものを用いてこれを押えていこうという方法で努力をし、ようやくこういう形での技術的なチェックというものが可能になり、そこまでの技術的な裏づけをもとにしてこの法律を提出するところにまいったわけでございますけれども、なおそうした点でいま先生が御指摘のような部分についての研究開発の努力を続ける責任はございますし、また、その必要もあると考えております。
#87
○竹田四郎君 これは確かにそういう意味では非常に世論を刺激していくわけでございますので、その点ではひとつ十三種類ということに限らず、やはり早く本源を明確にしていく努力を払っていただかないと、結局、ざる法になってしまう可能性もあるわけです。ひとつその点は特段に御努力をいただきたいと思います。
 それからもう一つ、悪臭と有害ガスというのは、私は、かなり有害であって、しかも悪臭がある。たとえば塩素ガスというのは刺激的なにおいがあってしかも有害だ。こういうのですけれども、そういう意味では、有害ガスと悪臭というのは、非常に似ている点があるだろうと思います。あるいは硫化水素などを出す例の田子の浦等などでも、排出の水と悪臭というものとは、またやはり親戚同士みたいなものだといえるわけでありますが、私はそういう形でかなりダブっているという形があるわけでありますけれども、悪臭防止法というのを特別に大気汚染防止法とか水質汚濁防止法から独立させて、これだけを独立の法律としたというところに若干の疑点があるわけです。
  〔委員長退席、理事久次米健太郎君着席〕
むしろ大気汚染防止法とか、水質汚濁防止法の中にこういうものを含めたほうがよかったんではないかという疑問が私にはあるわけです。特に悪臭防止法というのをこの二法から独立させた根拠ですね、それは一体どういうところにありますか。
#88
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに先生の御指摘のとおりに、悪臭問題というものは、環境汚染というものの形態から分類すれば、大気汚染あるいは水質汚濁の一形態であることは間違いがありません。ただ、同時に、たとえば大気汚染の場合に例をとりますと、人体に非常に大きな危険度をもたらす一酸化炭素のように一切無臭である、しかし危険だというようなものもございますし、そのさかさのものもまたございます。しかも悪臭問題というものが非常に感覚的な要素を強く持った、その意味では直接健康、生命にも危害を及ぼすような影響のある、あるいは動植物の生態に全然違った問題点を持ち込むおそれのある大気汚染あるいは水質汚濁とは違った側面を持っております。そういう意味では、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法等によって、悪臭物質の排出についての規制を加える、そうした法体系がとれないわけではございません。しかし、悪臭による固有の被害というものは、非常に感覚的なものでとどまるケースが多いということを考えれば、まあ悪臭物質の排出について全域的な規制を行なうことをたてまえとしている大気汚染防止法とか水質汚濁防止法と同じ形の中でこれを規制していこう、また、あるいは、動植物に対して多大の影響を及ぼす、ことに人体に対して生命の危険すら及ぼすおそれのある大気汚染、水質汚濁と同様な規制基準違反について、
  〔理事久次米健太郎君退席、委員長着席〕
直ちにきびしい罰則をもって臨むというような取り扱いが、非常に感覚的な問題としてとどまる場合の多い悪臭問題の解決には必ずしも適当ではないのではないかということがひとつ考えられるわけであります。このために、大気汚染防止法や何かとは異なり、悪臭物質の排出については、全然別な法体系を準備して、それなりの特性を生かした規制をしてまいりたいということを考えて今日に至りました。したがって、悪臭物質が同時に大気汚染防止法とか水質汚濁防止法の規制対象物質に該当する場合であります。その物質の排出についてもっぱら悪臭防止ということだけから規制を加えるということであれば、むしろ大気汚染防止法とか水質汚濁防止法ではなくて、悪臭防止法の法体系の中でチェックを行なうものというふうに考えます。同時に、悪臭も出す、しかし、人体に影響を及ぼすあるいは動植物に対して影響を及ぼすというような場合は、むしろ悪臭防止法ではなく、大気汚染防止法か水質汚濁防止法で取り締まっていかなければならない。これは観念上は競合する部分はありましても、健康被害というものに注目をすれば、当然そうした形をとらなければなりません。私どもはむしろ悪臭問題というのは、一般的にいえば、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法の適用以前に、非常に人間の感覚として鋭敏に受けとめるにおいというものの段階で有害物質そのものをチェックする、そうした役割りも果たし得るものと考えております。非常に低濃度汚染の段階で押えていく役割りもこの法律は果たしてくれるのではないだろうか、そのように考えておる次第であります。
#89
○竹田四郎君 そうしますと、要するに、悪臭の場合には、人体に、人間の健康、特に健康ですね、これに対する被害というのは非常に軽いんだと、その特性というものは非常に感覚的だけれども、そこに何か重点があるのか、と申しますか、人間の健康には一段軽いんだと、だから、取り締まりの件も、罰則等にいたしましても、比較的軽いと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#90
○政府委員(橋本龍太郎君) ちょっと私の申し上げ方がまずかったのかもしれませんが、むしろ人体に影響の出てくる以前に受けとめ得る種類の公害だというふうに御理解をいただきたいと思うんであります。
#91
○竹田四郎君 ちょっと解釈を聞きたいと思うんですが、第三条に「都道府県知事は、住民の生活環境を保全するため悪臭を防止する必要があると認める住居」云々と、こういうふうに書いてあるわけですが、「生活環境を保全するため悪臭を防止する必要があると認める」というのは、一体、どの程度のことをいうのか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
#92
○政府委員(橋本龍太郎君) 第三条で申しております規制地域、これは都道府県知事が規制地域として指定すべき地域というのは、たとえば住宅が集合しておる地域あるいは病院の周辺地域など、悪臭を防止することによって住民の生活環境を保全する必要があると判断をされる地域、すなわち悪臭問題を公害として公法上の規制を行なうことによって解決をする必要があると認められる地域ということであります。
#93
○竹田四郎君 いや、私、地域のことはまたついでにお聞きするわけですがね。「悪臭を防止する必要がある」というのは、一体、どの辺のことをいっているのか。非常に感覚的だというお話もさっきあったわけですから、悪臭の特性が非常に感覚的だというようなことが言われておるだけに、一体、「悪臭を防止する必要があると認める」というのは、客観性がどの程度あるのか、その辺に問題があろうと思うのです。測定器具もかなり発達してきていると思うから、そういうふうなところから見ていくのか。何かある程度客観性がないと、悪臭を受ける人の個人差も悪臭の場合にはかなりあるわけです。鼻の強い人と弱い人、強い人がなってくれればかなりきつくなるだろうし、弱い人がなればかなり甘くなると、こういうこともあるわけでありますから、おそらく「防止する必要があると認める」というのは、一定の限度があるのではなかろうか。機械のことは私わかりませんから、たとえば十人いて一人だけ感ずるけれどもあとの者は感じないと、こういうときには必要はないと思うのか、あるいは半々ぐらいあればそういうことを必要だと認めるのか、この辺もにおいの問題でありますから、非常に感覚的なわけです。
 それから、先ほどお話がありましたように、ある人はこれはいいにおいだと、ところがある人はそのにおいをかげばもうほんとうに不快になる、こういうこともあり得るわけです。やっぱり都道府県知事がかなり大きい仕事をしていくわけでありますから、その辺にある程度の客観性というものを持たなければいけない。また同時に、ある人はおれの出した陳情はこれで解決したんだと思う人もあるだろうし、いや何にもやってないじゃないかという人も出てくるわけであります。そういう意味ではこの辺の客観性を一体何によって求めていくのかということです。
#94
○政府委員(橋本龍太郎君) 御質問の趣旨をとり違えて申しわけありません。これは第八条の規定とある程度重複してお読みをいただければ幸いであります。結局その工場あるいはその他の事業場から排出されるまたは漏出された悪臭物質によって住民が不快感、嫌悪感を感じておる状態、それが過半数の方がそういう状態を感じられるようであれば、これは当然都道府県知事として何らかの処置をしなければならない部分であろうと私どもは思います。ただ、いま先生が御指摘になりましたように、ものがにおいというものでありますから、確かに受けとめ方には個人差がございます。最終的にはこの基準をいまつくろうとしておるさなかでありますし、近い将来にまた御検討願えると思いますが、においの強さそのものを五段階に分類する方法、六段階に分類する方法がございます。私どもがこの六段階分類を採用して、いま考えておりますゼロというものは、これは完全無臭の状態、一はようやく感知できる状態、二になりますと、非常に弱いにおいではあるけれども、何のにおいであるかがわかる状態、三になりますと、非常に楽に感知できる状態、四になりますと、もう強い状態、五になると、これは強烈なにおいであると、非常に妙な分類のしかたでありますけれども、においというものの特性からいってこういう状態になっておるわけであります。最終的にはこれは総理府令で定めていただくわけでありますけれども、ガス状になった物質でないとにおいとしては人体は感じませんので、悪臭の規制はガス状になりました悪臭物質の大気中での含有量をもって、すなわち濃度をもって判定を行なうつもりであります。ただ、悪臭物質の種類によっても異なりますし、さらににおいの感じ方というものは非常に個人差のあるものでありますけれども、いまとりあえずはこうした六段階の分類に従って、そのにおいの強度、まあ一度と二度の中間から四度に対応する悪臭物質の大気中における濃度を範囲できめてまいりたい。たとえば外国の例でありますけれども、エチルメルカプタンでは〇・〇〇五PPMから七〇PPMというかなり広い幅で示している例がございます。総理府令においても、定めるその定め方というものは、大体こういう形式でこれを表示してまいりたい、最終的にはその基準によって御判断を願うということになろうかと思います。
#95
○竹田四郎君 そうしますと、いまの六段階の分類ということは、これはかなり感覚的な形で大別されている、感覚的なものさしで六段階に分けているという感じがするんですが、何か先ほどガス状になったものの中での含有量というのですか、濃度というのですか、そういうものできめるというのは、政令か何かでそういうものをはっきりきめる、これだけの濃度があるからこれは第五段階のものだとか第四段階のものだとかいう形で政令の中でそういうものをはっきり客観的にきめていくというわけですか。この六段階の分類というのは非常に感覚的なものさしで、その同じ人だって、気分のいいときと悪いときと感じ方が違うわけですから、その人が感じたときのその人のからだの状態、そういうものに私は非常に影響されやすいと思う。もう少しそういう点では、ある一定の空気の量の中にこういう悪臭物質が何PPMあるからこれは防止を必要と認めるというのにひっかかってくるのか、こういう形にしていかなければいけないと思うんですが、次官の先ほどのは、何か二つに答えられたようですが、その濃度の問題と六段階の感覚的なものさしではかったもの、二つのような気がしますが、何か客観的な濃度できめていくという方法でないと、どうも私、いけないんじゃないかという気がしますが。
#96
○政府委員(橋本龍太郎君) いま大臣参りましたけれども、この問題だけ便宜私からお答えさしていただきます。
 いまその濃度と分類と二つに分離して先生御理解いただきましたようでありますが、多少その点食い違いましたようなので、あらためて申し上げたいと思います。問題が問題だけに、その分類そのものはやはり人間の感覚で分類をせざるを得ないと思います。これは、確かにいま先生のお話のとおりに、きょうはいいにおいと感じても、たまたま気分の悪い日には不愉快と感じるかもしれません。そういう意味で、ある程度の数の方々にそのにおいを受けとめていただいた場合に、ある程度のやはり標準の分類というものは出てくると思います。これを分析結果の数値と合わせて濃度で換算をし、それを基準として設定をしていく、そしてその基準は総理府令で定めるということであります。
#97
○竹田四郎君 大体その二つの関係がわかりまして、それは物質ごとにその濃度というものを当てはめていくというような形になるであろう、こういうふうに思うわけでありますが、その点はある程度理解いたしましたが、具体的には、総理府令が出てこないとこれははっきりわからないと思いますので、そうしたこともやはりはっきり総理府令できめてもらわなければいけないと思いますが、そういうのがきまるのは大体いつごろになりますか。
#98
○政府委員(橋本龍太郎君) いまデータの集積等を急いでおりますけれども、やはりあと一年近い日数はかかるんではないかといま考えております。できるだけ早い時間にやりたいと思います。先ほどから繰り返して恐縮でありますが、何ぶんにもものがものだけに、雲をつかむような状態でありまして、データの集積が一応そろいませんと、いまの時点で明確にいつということを申し上げるわけにまいりません。ほぼ一年近い日時がかかりそうだといま判断をしております。
#99
○竹田四郎君 もう一つこの定義でよくわからないわけでありますけれども、「住居が集合している地域」というのですけれども、これもあまりはっきりしていないわけでありますが、この「住居が集合している」というのは、まあ一平方キロに何軒あればどうのとか、人口密度がどのくらいならば集合している、ただある程度五、六軒が集落をなしていればそれが「住居が集合している地域」というのか、その辺があまりよくわからないのですけれども、これもある程度明確にしなければならない問題の一つだと思うのですが、これは一体どう考えているのですか。
#100
○政府委員(橋本龍太郎君) むしろ先生、明確にしろという御指摘でありますけれども、私は事においの問題、その中でのこうした定義をあまり明確に、たとえば住居が何平方キロ以内に何軒なければというような形で押えないほうが、むしろ実際に運用をされる都道府県知事の立場としては実施しやすいのではないかという気がいたします。それは地域によって住宅の密集状態その他、違いがございます。しかし、たとえ五軒しかかたまっておらない小さな集落でありましても、その五軒の方々にとっては日常生活がはなはだ困難になるほど強い悪臭物質が周囲から流れてくれば、これは非常に大きな生活環境上の問題であろうと思います。むしろ何百軒かかたまっておりましても、ばく然とそのうちの一部の方だけが、非常に鼻の鋭敏な方だけが問題としてそれを把握され、大半の方はお気づきにならないという状態もないとは申せません。そうしますと、むしろ大気汚染とか水質汚濁とかいったような性格のものと違い、ある程度この法律は私は弾力的な運用が都道府県知事によってなされなければならず、また市町村長等の意見も出されなければならないと思います。おおむね常識の範囲で運用されることでありますから、あまり厳密にこの辺は私は明定しないほうが、実際には有効にこの法体系は生きるのではないかと考えております。
#101
○竹田四郎君 私がなぜそういうことを言うかといいますと、あまりこういう問題で知事の裁量権というようなものがあり過ぎますと、私はそこに不公平な問題が起きてくると思う。ここはかなりの人の生活環境がそこなわれるからこれだけの措置をしなければならない、ここはあまりないからまあがまんしろというような、知事の裁量権というものがかなり出過ぎてくるという心配があると思います。そういう点では、この法律の中に具体的に示すかどうかは別として、やはりこの「住居が集合している地域」というのは、ある程度の概念ですか、これは私はきめておいたほうがいいんではないかと思うのです。ただこうばく然としてありますと、いやおまえのところはあまり住居が集合していると認められないというふうに言われてしまうと、もうそれは規制地域に入らないということになってしまいますから、ある程度やはり人間の問題にもかかわるわけでありますから、そういう意味ではある程度の概念はここでお示し願っておいたほうが私はいいのではないかと思うのですが。
#102
○政府委員(橋本龍太郎君) ただ、先生御承知のとおり、この法文上においても、実質的には都道府県知事の権限といいながら市町村長の意見を無視してこれは運用はできません。そうしますと、市町村長がその地域の住民の状態というものを把握している限りにおいては、私はあまりむちゃな裁量権というものを都道府県知事が発動することは通常ないと思います。ただ、いまむしろ先生の御指摘になりましたような点、この法律作成の過程において私どもも全然懸念をしなかったわけではございませんので、何らかの形において、通牒その他において一定の形は示してまいりたいと考えてはおりますが、その場合にもあまりこまかな点まで規制を加える形は今日とりたくないと、率直に申し上げて考えております。
#103
○竹田四郎君 まあそれは具体的にそういうことである程度通達等において示されるということでありますから、まあそれでいいのではなかろうかと私は思いますけれども、そういう意味でひとつその点ではこれ大臣、ある程度のめどは私は示すべきであると思いますが……。
 それからその次にある「その他の地域」というのはこれはどういう意味なんですか。これは部長でも大臣でもどちらでもけっこうですから、第三条の「その他の地域」というのは一体どういうものを示すのか。
#104
○国務大臣(内田常雄君) 私が説明を受けてまいりましたところによりますと、たとえば病院でありますとか学校でありますとか、そういうような公共施設等が所在する地域を考慮しての規定でございます。
#105
○竹田四郎君 それは公共施設というのはあれですか、たとえばそとに特殊的な学校があるとか、あるいは老人ホームがあるとか、そういうような地域を考えていいということですか。
  〔委員長退席、理事久次米健太郎君着席〕
#106
○国務大臣(内田常雄君) おおむね御意見のとおりであります。あるいは役所、官公庁などが存在する地域ということも考えていいのではないかと思います。
#107
○竹田四郎君 これも非常にこの法律の文章では抽象的でありますから、こうした面をやはりある程度明らかにしておいていただきたいと思うのですが、もう一つことばで私よくわからないのですが、この第二条には「不快なにおい」という形で「不快」という形が示されておる。それから第八条では「住民の生活環境がそこなわれている」というこういう文字が使われている。この「不快」というのと「生活環境がそこなわれている」ということは、どうもそのつながりというのは私よくわからないのですが、不快というなら不快でそれよくわかるけれども、生活環境がそこなわれているというのは、具体的に「不快」と「生活環境がそこなわれている」というこの関係ですね、これはどういうふうに理解したらよろしいのですか。
#108
○政府委員(曾根田郁夫君) この点は、生活環境をそこなう程度の不快さというような考えでございます。つまり不快というのはそれ自体感覚的な表現になっていますけれども、それは客観的にながめると生活環境をそこなう。つまり当該地域住民の相当当数の者に生活上のいわば妨害といいますか、生活上の支障になる程度のものである。だから不快というものと生活環境をそこなうおそれというのはおおむねパラレルのものであるというふうに考えております。
#109
○竹田四郎君 やはり生活環境がそこなわれるということばは、これは非常に便利なことばで何にでも使えることばだと思うのですが、そういう形で言われますと、さっきのにおいの段階というものが何か六段階に分かれてあったと思いますが、やはりこれも住民の生活環境がそこなわれているということと不快というようなこと、この点もやはり客観的な何かがなければ私はならないのではないか。少しばかりにおうと、しかしにおうけれども、それはまあ御飯を食べるときにちょっといやな感じがする程度というものであれば、それは一体生活環境がそこなわれているというのか、この辺もあまり、非常に抽象的なことばだと思うのですが、もう少し明確にしていただきたいと思うのです。たとえばさっきの六段階の分け方、そういうものとの関連でこれはこうこうなるというふうに言っていただければ、これはかなり具体的にわかるわけですね。ただにおえば生活環境……、確かににおえば生活環境がそこなわれるということもあろうと思います。これについては具体的に当該事業者、事業場を設置している者に対して、いろいろな施設の運用改善、そうしたものをもやっていくわけであります、非常に不確かなものでは、やはり訴訟になってもこれはなかなかはっきりしないと思うんです。そうした点もう少し明確にしていただきたいと思います。
#110
○政府委員(曾根田郁夫君) その点は先ほども政務次官からお答えいたしましたように、最終的には総理府令で具体的ないわば濃度の形で範囲を示すわけでございまして、先ほど臭気度の六段階表ということを申しましたけれども、いま私どもが考えておりますのは、この臭気度表で申しますとおおむね臭気度の二から臭気度の四、あるいは場合によりますと臭気度の一と二の間に一・五程度のものを場合によれば検討する必要があるんではないかと考えておりますけれども、その、まず都道府県知事が具体的な基準をつくる範囲を、総理府令でその範囲をきめるわけでございますけれども、範囲といたしましては臭気度の二あるいは一・五から四という範囲をきめまして、それをその臭気度に見合ったそれぞれの物質ごとの濃度で、具体的には濃度という形で何PPMから何PPMまでというふうな総理府令をつくるわけでございますので、それが最終的には客観的な基準の目安になるということでございます。なお、これは法律にも書いてございますように、その総理府令の範囲内で最終的に具体的数値をどのようにとるかは、それぞれの地方の実情に見合ってそれぞれの都道府県知事がきめるということでございます。
#111
○竹田四郎君 そうしますと、その不快感ということと生活環境がそこなわれているということは、最終的にはさっきの臭気度によってきめられていくと、このようにまあ御答弁いただいたから、その点かなりはっきりしたわけでありますけれども、まあひとつその総理府令というのを早く出してもらわないと、ただこの臭気が……。先ほどの十三種類はすぐ一年ぐらいでできるかもしれませんが、これはおそらく測定器具がよくなっていけばいくほど悪臭物質はふえていくんですね。そうすればやはり総理府令に揚げるそういう表というものもこれは多くなっていくわけですけれども、ひとつその辺は早くそれをきめて、なるべく完ぺきを期していただかないと、原因不明が六〇%もあるというようなさっきの千葉県の例であります。そういう状態では防臭法ができてもこれはあまり意味ないわけです。ひとつそれは早くやって、早く国民にもひとつ明示をしていただくということが必要であろうかと思います。
 大気汚染防止法や水質汚濁防止法には、大気汚染防止法では十四条、汚濁防止法では十三条ですか、ここに、改善命令を出して、一時その事業を停止することを都道府県知事が命ずることができるというふうになっておりますけれども、この悪臭防止法案では原則的に改善の勧告ということになっているわけですが、まあその辺が非常に弱いわけですけれども、先ほども申し上げましたように非常にこれは苦情の多い事犯であります。それに対して片っ方はかなりきつい、片っ方はかなりやわらかいといいますか、一時停止はできない、非常に差があるわけでありますが、これは悪臭を出しているそばの人にしてみれば、いつまでもそういうのを出されていたのではこれはまた困るわけでありますから、どうして一時停止の命令が出せないのか、ちょっとふしぎに感ずるわけですが。
#112
○政府委員(曾根田郁夫君) 改善命令につきましても、一応原則として法施行後一年経過した後においてはこれが遂行されるわけでございますが、一般的に勧告のほうに重点を置いておるという点につきましては、悪臭が他の大気汚染あるいは水質汚濁等と違いまして、健康被害以前にもうすでに生活上の妨害としてとらえられる感覚的な公害であるということ、それからまた、悪臭の発生源のすべてについて現段階においては一〇〇%効果のある防臭施設と申しますか、そういう技術が必ずしも開発されてないという点を考慮いたしまして、第一段としてはやはり改善勧告を出す、そしてどうしてもそれに従わない場合に改善命令という二段がまえの措置をとっておるわけでございまして、これは実は騒音規制法におきましても、やはり騒音も一種の感覚的公害でございますので、騒音規制法におきましてもこのような法の体系になっておるわけでございます。
#113
○竹田四郎君 これは騒音においても悪臭においても、私はそのただ単に健康上に被害がないとは私は言えないと思うのですね。やはり悪臭によってたとえば食欲が落ちる、不快感が続くとかあるいはめまいがするとか、こういうようなことが起きるわけでございます。それがいつまでも続けられているとなれば、そこの住民の人はそれはもう、確かにそのものずばりでは被害はないかもしれないが、影響する被害というのは私はむしろ大きいと思うのです。それは非常にのんびりかまえたやり方じゃないかと私は思うのですね。もう少しやはり早く措置をしなければ住民としても納得しないと思うのですよ。いつまでも相当の期間を定めて初めて改善命令が出せるというようなことであってはそれは住民は私は納得しないと思うのですがね。どうして事業場の一時停止等を命令することができないのか、ふしぎに感ずるわけです。
#114
○政府委員(曾根田郁夫君) 御指摘のように、騒音におきましてもあるいはまた悪臭につきましても、健康被害が全くないということではございませんで、少なくとも先生ただいまお話しになりましたような、いわば二次的な被害、つまり不快感あるいは嘔吐等で食物もとれないとか、あるいは心理的に非常に不安定な状態で精神的に安定しないとかいうことは指摘されておるわけでございます。しかし、何ぶんこの方面の医学的な究明等はおくれておりまして、私ども実は騒音につきましては、昨年から三カ年計画で主として伊丹方面の航空機騒音の健康被害、健康に与える影響の調査を進めておりますけれども、悪臭につきましても、実は四十五年度からやはり私どものほうに研究班を設けまして、健康被害を含めた悪臭問題の検討を進めております。できるだけ早く結論を得まして、そういったことが明らかになれば、改善勧告あるいは改善命令、こういうものは将来の方向としては強化すべきだと考えておりますので、御趣旨に沿って検討を進めていきたいというふうに考えております。
#115
○竹田四郎君 それは早くやってもらわなければならぬことは確かにそのとおりでありますけれども、これはまあ先ほどの八条においても「生活環境がそこなわれていると認めるときは、当該事業場を設置している者に対し、相当の期限を定め」と書いてある、こういうことでもすぐにそれをなくしていくということについては非常に法律がゆるくできていると私は思うのです。先ほど申し上げましたように、音とか、においというのは非常に感覚的である、そうしたものがずっと続くということはこれは住民にとっては耐えられないと思うのですよ。大臣、こういうことでいけば、悪臭防止法をつくったって、ざる法じゃないか。何ら処置できないのじゃないか。形骸化されているんじゃないかというふうな、私、国民の非難というものが出てくると思うのです。もう少してきぱき処理できるようなことにはどうしてならないのですか。これは大臣にひとつお聞きしたい。
#116
○国務大臣(内田常雄君) これまで、悪臭防止という対策がなかなかとり得なかった。典型公害の中でこれに対する対策をとりましたものの、これが最後までおくれていたものでございます。でありますから、先ほど来政府委員からも御説明を申し上げたと思いますが、これの防止技術とかあるいは測定技術とかいうようなものについても、十分開発されたところの段階までいっておるとも言えない事情に今日まであったわけでありまして、そのような事態のもとにおいてもこれを放置しておくことは適当ではないという考え方に私どもは立ちまして、今回、御批判をいただきましたようなわりあいにゆるやかな規制のしかたでありましても、やはりこの体制の法律をつくったほうがいいと、こういう考え方をいたしてこの法律を出したわけであります。また、他の面からいいますと、悪臭というものが、大気汚染とか水質汚濁とかあるいはまた農薬等の汚染等と違いまして、人の生命、身体に直接的な影響がゆるやかである場合には、相対的である、レラティブであるというようなこともございますし、また、今日まで、公害の中で、騒音、悪臭というものは、地域的には比較的小範囲ではございましょうけれども、非常に苦情が一番多い事項でございます。しかし、それを一刀両断に処置できるかというと、地域的にそれがなくては困るような施設が悪臭の原因になっているというようなものが非常に多い状況もございまして、先ほど来御意見にございましたように、直ちにその停止を命ずるというようなことができないで悩んできたのが最近までの地方における実情でありますこともまた考慮に入れますると、御批判がございますけれども、この程度のものでもこの段階で出発させまして、さらに今後、技術的な検討も進めてまいるのに応じて必要な改善も加えることも考慮いたしてまいりたいし、また、実施の状況に応じて私はこれのまた改正ということも考えられることだと思います。これを厳密な形でやろうと思いますと、なおかつこの機会にこの法律の制定がむずかしいような客観的な諸条件もあることも考慮に入れまして、このような姿の法律にいたしたと、こういうふうに私は考えてまいりました。
#117
○竹田四郎君 いまの大臣の答弁の中で、悪臭は、そういう測定器具にいたしましても、あるいは対策にしても、確かにむずかしい面は私はあると思うのです。しかし、騒音の場合にはないわけですね。音は、どこから出てくるかぐらいは、これは大体わかるわけです。しろうとでもわかる。騒音対策とこの悪臭防止対策ではその点が同じなんですね。悪臭というものは非常に感覚的なものでつかみにくいものであるから、これはある程度、なるほどそういうことはできないのだというだけは、それはわかるわけです。騒音も同じですね、先ほどおっしゃられたように。そうなってみますと、悪臭がつかみにくいからこういうことをしたんだというだけでは私はなさそうに思う。どうなんですか、その点。
#118
○国務大臣(内田常雄君) 騒音防止法の体系を、前例としてあるから、そのまままねたということでもないと思います。私がいま申し述べましたような状況判断、諸条件のもとにおいては、いま法律をつくるとすればこういう形にならざるを得ないということでやったことでございます。騒音の問題につきましては、他に残された規制の対象になるような騒音が私はあるように思います。たとえば航空機騒音でありますとかあるいは新幹線騒音でありますとか、そういう課題があるわけでありますが、いまの騒音規制法というものは、たしか、そういうものを直接の対象にしていないで、たとえば工場騒音とかあるいは特定の建設騒音とか、またさらに、ある場合には、もうごく地域的な商業騒音とか深夜騒音とかいうようなものを対象にしての騒音規制法でございまして、それらに関する限りは、航空機やまた新幹線騒音、そういうまた周辺における生活環境とは違って、何といいますか、一過性といいますか、そういう性格の騒音原因を対象にしていまの騒音規制法というものができておることを考えますと、あの法律も、それなりの状況のもとにおける法律の体制である。
  〔理事久次米健太郎君退席、委員長着席〕
しかし、これも私どもは、一番大きな問題を残しておるわけでありますから、一番大きな、いまの航空機や新幹線騒音や、さらにまた自動車交通騒音というようなことにつきましても、環境基準をつくったり、またその環境基準を達成するための規制措置を講じなければならないことに応じて、いまの騒音規制法の体系というものも、政令等を新しいものをつくったり、あるいはまた厳密に改正をしたり、さらにはまた、将来は私は、騒音規制法そのものの法体系というものをさらにこれをより厳重に改正をしていくという段階がきているのではないかと、こういうふうに私は認識をいたします。
#119
○竹田四郎君 大臣、たいへん長く御答弁いただいているのですが、どうも私よくこの辺わからない。まさに、こういうことになれば、ざる法にひとしいものになってしまっておりますし、この第八条で、「相当の期限を定めて、」と、こう書いてある。改善のために「相当の期限を定め」、この「相当の期限」というものも、これは私はかなり長い間になってしまうと思う。この「相当の期限」というのは大体どのくらいのことを想定しているのですか。
#120
○政府委員(曾根田郁夫君) この「相当の期限」の程度でございますが、これは結局、当該悪臭の防止に必要なたとえば防止施設を整備しますとか、そういう施設整備等の場合に、それのいわば工事の期間がどれくらいかかるか、あるいはまた、その裏打ちになるような――当然零細企業が多いわけでございますので、そういった裏打ちになるような資金のめどがどの程度でつくのかとか、そういったことを考えて「相当の期限」を定めておりますので、結局は、それぞれのケースに応じて、社会通念上おおむねどの程度の期間が当該措置に必要であるか、ということになろうかと思います。
#121
○竹田四郎君 ですからね、そういう点で、もうますます私は、この法律は、やる気があるのかと思わざるを得ないわけですね。悪臭を出し騒音を出しても、これは知事の権限でそれをとめるわけにはいかない。しかも、それを直させるのに「相当の期限」ですね。これは相当の期限といったって、私のところは金ありませんからと言われればそれまでですね。これは担保にする財産とか何かあるような工場はいいでしょうけれども、ないような工場だったら、ほんとうに相当期間、悪臭、騒音で悩まされる、何ら取り締まりはできない、それによって周辺の人は非常に迷惑を受ける。そうなれば、先ほど言った直接的な被害ではなくて、二次的な被害といいますか、健康をそこなうとか、そういうようなものになってくるのですが、それだって取り締まれないわけですね。これじゃせっかく法律つくっても私はあまり意味がないんじゃないですか。せいぜい世論を啓発する程度のものでしかないじゃないかというように思うんです。どうも弱い。それはいま大臣だんだん強くしていくというのですが、そうだんだん強くなるものじゃないと私は思うんです。初めからかなり強いものを出していかなければ直っていかないんじゃないかと思うんですが、これは非常にこの法案の弱さというものが感ぜられてならないわけです。それから罰金にいたしましても、大気汚染、水質汚濁にすれば半分、どっからどこまでも甘くできているというふうに言わざるを得ないと思うのですがね。大臣、これを直すという意思はあるようですけれども、私は法律というものは、そう簡単に次から次へ直していけるものじゃないと思う。もう少しこの辺はきびしくすべきじゃないかと私は思うのです。どうですか、大臣。
#122
○国務大臣(内田常雄君) 私は、きつくすると直接的に申し上げましたのは、騒音規制法のお話がございましたので、騒音規制法は私は、そういう段階に来つつあるのではないか。これは今度初めて、これで制定をさせていただきまして、客観情勢の成熟に応じて改定をすると、こういう意味でございます。
 相当の期間というのは、一定の期間ということではございませんで、悪臭を発生するいろいろな施設、これは私なんかが始終陳情を受けて困りますのは、たとえば魚のはらわたとか、骨とかいうような、そういう漁業地域における魚腸骨処理の施設、あるいはまたへい獣処理場というようなことで、屠殺場に関連をしたり、また肉屋さんなんかのあとで残るいろんなカスの処理などをやる、そういう施設などは事実、定義を待つまでもなく、非常な悪臭を発するんですが、さてそれを直ちに操業停止にするということになると、それをどこへ持っていくんだ、隣村へ持っていくというと、隣村ではもちろん反対で、むしろ旗が立つというようなことでございまして、また施設、規模はおおむね中小企業がやっておりますことも御承知のとおりでございます。でありますから、場合によりましては、それは公共団体等が企業にかわってそういうものの処理施設をつくるような方向に来る場合もございますし、それの改善なり、あるいは何と申しますか、移転なり、そういうものの可能性の期間に応じて、私はこの第八条を都道府県知事が運営をされるより実際としては方法がないようであります。大企業等、化学工業等におきまして、直ちに施設の改善がきくような、それから発生する悪臭などにつきましては、そういうものがありといたしますならば、それは相当の期間でありますから、すべての工場はこれこれの期間の間に改善改良ができるはずだというようなことで、短くも定められるというようなことで、事態に応じて必要な最短期間と、こういうのが相当の期間と、こういうふうに処理をされたいと、こういう意味のことを、私どもはこれを実施いたしました場合には、おそらく関係都道府県にも指導をすることになろうと思います。決して法律をつくって、よく私どもが批判を受けることもありますように、企業べったりの姿勢から、わざとたくさん穴をあけておくとか、ざるの目を大きくしておくとかいうことではございませんで、生活環境を守る厚生省の私どもといたしましても、非常な善意をもっていまのところはこういう方法でいく、いまおっしゃいましたが、啓蒙指導をいたしつつ、また規制もするということ以外に、この段階においてはやむを得ない、かように私は考えます。もちろんその発生施設は、厚生省関係の発生施設もございましょうけれども、それは農林省関係などがたくさんございますし、また通産省関係等もあるわけでございまして、私は厚生省でございますので、決してざるをつくることがいいとは思っていませんが、われわれの勉強の最大公約数でこういう法律をこのたび御提案を申し上げた一応ぎりぎりだと、こういうふうに考えております。
#123
○竹田四郎君 何か厚生大臣の御答弁を聞いていると、これは中小企業用のものなんだという印象すら私は受けるわけなんです。しかし、実際は悪臭を出して、しかもその悪臭が非常に大きな範囲に及んでいくのは、むしろ私は石油化学工場なり、あるいは大きな化学工場、そういうもののほうが被害地域にいたしましても、被害人員にいたしましても、私はそれは多いように思います。たとえば千葉県の公害防止計画につくられた地域にいたしましても、たとえば養老川の左岸地域ですな、何とかでかなり広範囲にわたっているわけですね、悪臭が出ている地域を見ますと。必ずしもいま言ったような屠殺場だとか、あるいはへい獣処理場とかというところは、なるほどそれは悪臭は悪臭ですけれども、それは比較的範囲的に見れば狭いのです。範囲的には、むしろ石油コンビナート周辺、そういうところが悪臭の被害人員なり、被害面積というのは非常に多いわけです。ですから、そういう大きな工場がそういうことをやっていても営業停止などはできない、こういうことであっては、どうも私は、厚生省ですからね、そういう企業べったりだとは私は思っておりません、一番国民に近いほうの役所だと思っているわけでありますけれども、しかし、それでもどうも企業のほうに肩を入れている、こういうふうにしか私ちょっと考えられないんですよ。どうもそういう点で私、悪臭防止法というものはあっていいのか、なくていいのか、わけのわからぬような法案だというようにしか思えないのですが、この論議をいつまでやっていても時間がたってしまいますから、ひとつその次にいきたいと思いますが、この悪臭防止法案の私は非常にいい点は、知事が規制区域を指定し、規制基準を決定するにあたって、特に市町村長の意見を聞かなければならないということは、私は非常にいいと思っております。これだけどうして市町村長の意見を聞かなければならないのか。ほかのほうではあまり市町村長の意見を聞かなければならないというような、そうしたのは非常に少ないように私は思うのです。これだけが市町村長の意見を聞かなければならないということをかなり明確に打ち出している。率直に言ってこれだけだと思うのですが、言っておられる。その理由というのは、私は悪いと言っているわけではない、いいと思うんですよ。なぜこれだけこういうふうに市町村長の意見を聞かなければならない、こういうことをつけたのか。一般に公害というのは、非常に地域的なものが多いわけです。悪臭についてだけこういうふうな規定を入れたのは、一体理由はどういうことなのか。
#124
○国務大臣(内田常雄君) そういうお話ですと、私もありていに白状いたしますと、もともとは、都道府県と書いてあったところは、みんな市町村と書いてあったわけです。悪臭というのは、地域的な弊害ですから、むしろ市町村が実情に即して対応策を講ずるべきだという考え方も濃厚にございました。ところが、市町村ですと、これまた測定とか、あるいは防除や規制に関する技術開発などに関しましても、府県の衛生研究所のようなものを必ずしも一般の市町村が持っているわけでもございませんし、また、行政水準も都道府県に比べると低い、また、自分のところだけに――こういうことを申して、これは悪ければ私すぐに取り消しますが、なかなか自分のところだけに、いろいろなそこに勢力もあったりいたしまして、市町村長ではやり切れないだろうという議論がまた出てまいりまして、国会に提案をいたします直前に、その都道府県知事というものを、その有権者、有権者といいますか、これらの規制権や行政運営権を持つ団体の責任者にいたしました。しかし、その場合には、初めの精神を生かしまして、可能な都道府県の知事の権限はできる限り市町村長に委譲し得ることにすると同時に、都道府県知事がみずから持つ権限につきましても、ただいまのおことばがありましたとおり市町村長と協議をすると、こういうことにした経緯がございますので、御感想がありましたような形になったわけでございます。もっとも私は何も記憶があるわけではございませんが、騒音規制法などにつきましても、これはもう数年前にできた法律ではありますけれども、やはり地域的なものであるというような考え方から、市町村長の意見を聞いたり、また、さっきも私が述べました喫茶店でありますとか、キャバレー等の深夜騒音あるいは商業騒音などの規制は、市町村長そのものに規制の権限をはじめから法律上まかせてあったと私は記憶いたしますが、そういうような形もないわけではございません。また方面は違いますが、公害による健康被害の地域指定などをやります場合、あるいはまたその認定などをやります場合にも、当該市町村長との協議関係あるいは認定委員会の設定等の条項もございまして、公害関係におきましても、こういう思想が従来全然ないというものではなかったように思います。
#125
○竹田四郎君 まあいろいろ法案つくる裏話までお聞きしましたから、その点はよくわかったのですが、私は、むしろこれは市町村長に権限を与えるべきである。知事でなくして、むしろ市町村長に与えるべきだと思います。先ほど場合によっては取り消すというふうに言われたことばも、知事ならそういう関係は少ない、これは必ずしも私はそうじゃない、知事のほうが、あるいはもっと広範囲な悪臭発生の事業場については、市町村長よりもっと強くあるかもしれない。これは必ずしもそういうことは言えないのですけれども、意見は聴取するということにはなってるんですが、市町村長に知事のそうした権限をもっと与えるということは、これはどこかできめるわけですか。政令ですか。
#126
○国務大臣(内田常雄君) それは政令のワク内で、都道府県の条例できめることになっているはずでございます。第十八条だそうでございます。
#127
○竹田四郎君 わかりました。時間がありませんから、もう一つここでちょっとお聞きしておきたいことは、悪臭防止の施設というのは、かなりこの公害防止事業団の事業としてやられているわけですね。たとえば塩釜だとか、あるいは東京の化製場でしたか、こういうようなものも公害防止事業団できまっているということでありますが、しかし、こういう法律ができていくということになりますと、悪臭対策として公害防止事業団がやっていく仕事の量というのは、まあかなりふえてくるんだろうと思うのですね。だから公害防止事業団に頼んでもなかなかワクがない。まあたいへんふやしてはいるようであります。こういうものができてくれば、ますます公害防止のための施設をつくれ、悪臭防止のための施設をつくれということに、私はなってくるだろうと思うのです。そういう場合に、まあ事業団が次から次へと引き受けてくれるだけの融資があれば、これはけっこうですけれども、それはもう待ち切れない。そういうことで、地方自治体がそうした施設をつくるときに、これは公害防止についての特例のかさ上げというものはないわけですね。緩衝緑地とか、あるいは住宅移転だとか、学校の移転というようなことについてはあるわけですが、悪臭防止についてはそういう特例がないというのは一体どういうわけなんですか。これはおわかりにならなければ、それでもけっこうですが。
#128
○国務大臣(内田常雄君) 前段のほうの公害防止事業団等は、こういう法律ができますと、その機能をさらにこれと結びつけてまいりたいと思います。しかし、いま竹田さんがおっしゃるように、公害防止事業団に金がないから待ってくれという場合もあるのですが、金がありましていざ施設をしようと思いましたらば、それは改造お断わりだ、どっか持っていって、公害防止事業団のほうでやってくれということで、今度はその金のおろし場所あるいはおおむね金を貸すのじゃなしに、公害防止事業団が施設をつくりまして、それを地域の団体等に、何といいますか、年賦で譲渡するようなかっこうが多いようでございますが、あっちでもこっちでも断わられて、公害防止事業団が手を下す、金を払うのはなかなかできないで困るのだというような事象もございます。さらにまた、公害防止事業団に限らず、この法律の付則のほうにございます中小企業などにつきましては、中小企業近代化促進法ですか、中小企業近代化資金等助成法ですか、そういうような法律の改正をいたしまして、そちらのほうの金もこの悪臭防止の施設のために使えるようなことまでもいたしましたので、そういう面は、私どもこの法律に対応さしてまいりたいと思います。それからいまかさ上げの件は、総理府の担当の方から。
#129
○政府委員(城戸謙次君) 私、途中から参りまして、御趣旨を間違えているかもしれませんが、このかさ上げ法律でございますが、これにつきましては、地方公共団体が公害防止計画に基づいて実施するとか、あるいはそうでなくても、少なくとも公共的な事業として、みずから実施する事業につきましての国の負担割合のかさ上げ等を規定しているわけでございまして、悪臭に関しまして、そういうような事業があるかどうかという点がポイントだと思いますが、現在考えられる範囲では、おそらくそういうものはないということだと思うのでありまして、もし将来考えられれば当然追加いたしますが、現段階の法律の整理としては入っていないと、こう御了解いただきたいと思うわけでございます。
#130
○竹田四郎君 これはこの間、実はそういう公害防止計画に盛っているところの公共下水道の終末処理場ですか、あるいは緩衝緑地とか、そういうものについては、三分の一を二分の一にかさ上げすることになった。どうして悪臭防止についてはそういうものを抜いたのか、私は、地方公共団体がやる場合があると思うのです。そういうときは、当然国の地方公共団体に対する補助をかさ上げしていくという必要は私は当然あると思います。ですから私は、さっきから厚生省は国民のほうを向いているか、企業に肩を入れているのではないかと言いたくなってくる。こういうものをぴちっと直すなら、地方団体がやるときは国のほうで援助してやるぞと、企業への援助とか、公害防止事業団の話は私わかりました。企業がやる場合には、何にもないわけですね、公共団体がやる場合、何にもないわけです。こういう点でもやはり悪臭防止をいくら進めようとしても、結局そういうふうにはならないと思うのですが、ここら辺も私ちょっと抜けているだろうと思うのですが、どうですか。
#131
○国務大臣(内田常雄君) いまここで、主任審議官と私どもが相談を実はいたしましたが、いま竹田さんがおっしゃるような悪臭防止、悪臭発生源について改造を要するようなそういう場合が、いままでのところは、公共団体がやることは想定をされていないから、直接の規定はないが、将来そういうものがある場合には、いまの事業費助成、公共団体の事業費助成の積み上げ規定を改正するにやぶさかでないと、こういうふうに私どもの間で話をいたしました。ということは、この法律は、厚生省、厚生大臣名をもって国会に出しまして、御審議をいただいておりますが、やがて環境庁の設置法が通りますと、これすべて総理府のほうの事業費助成のかさ上げに関する法律と一体運用となりますので、その間の運営は一そうつきやすくなることもございます。しかし、環境庁に行く主力は、私はおそらく厚生省の人々が行くだろうと思いますから、いまのうちから十分勉強さしておきまして、必要があったら向こうに行って、自分のほうの政令ですか、総理府令ですかをどんどん直すようにさせたいと思います。
#132
○竹田四郎君 そういうかさ上げ措置が今国会できまっているわけですね、先ほど言った特例措置が。こっちで、片方には悪臭防止法が出ているわけですから、私はやるなら今国会でやったほうがよかった、こう思うんですが、大臣、今後やるというからそれを信じてやる以外にないと思います。
 時間がありませんから、その次へ進みたいと思いますが、石油精製工場、あるいは石油化学工場、製紙工場、化学工場などの、いわゆる悪臭発生工場数の、そういう施設というのは一体どのくらいあるのか。それに対して悪臭防止施設の改善が済んでいるのと済んでいないのはどのくらいの割合になっているのか、お聞きしたいと思います。
#133
○政府委員(森口八郎君) 石油精製、石油化学で悪臭を発生しておる施設はどれだけあるかという御質問でございますが、ただいま御審議をいただいております法案でも、悪臭発生施設は特に特定をされておらない。要するに悪臭の出る源が非常に複雑でございますので、どういう施設から悪臭が出るかというようなことがきめられないというようなことで、本法案でも悪臭発生施設というものは騒音等と異なりまして、特定をしておらないという現状でございます。したがいまして、悪臭発生施設がどのくらいあるかということについて直接お答えをするわけにはまいらないわけでございますが、石油精製工場について申し上げますと、現在日本全国で約四十一事業所ございます。それから石油化学のコンビナートは全国で約十四ございまして、これに関連いたしまして工場数は約百四十というように考えております。それじゃどういうところから一体悪臭が出てくるかということでございますが、まず石油精製工場でございますが、御存じのとおり、石油精製は原油を、要するに熱を加えて蒸発をさせまして、いろいろな硫分を取るわけでございます。その硫分の中に、原油の中に含まれております硫化水素、あるいはメルカプタン類、あるいはアンモニア、あるいはブチレン等がまじっておるわけでございます。この硫分が、こういう有害悪臭物質がガソリン等の比較的軽い物質にまじっておる場合と、それから重油等の重い物質にまじっておる場合と態様を異にするわけでございますが、軽い物質にまじっております場合は、軽い物質のガソリン等を精製いたします過程で、軽い物質の中からそういう悪臭が発生をするわけでございます。従来、これは主としてそういうガソリン、硫分になるような物質を硫酸洗浄、あるいはアルカリ洗浄をいたしまして除いておったわけでございますが、実はこういう洗浄をいたしますと、その洗浄した水自体を外部に排出いたします場合に、そこから悪臭が発生するわけでございます。したがいまして、最近ではこういう洗浄方式というものをやめまして、水素添加をいたしまして、メルカプタン類等は硫化水素にいたし、硫化水素から硫黄を回収をするというような方法で、硫黄分を除去をして悪臭を除くというような方法をやっておるわけでございます。また、重油等に含まれておりますいろいろな悪臭物質があるわけでございますが、この悪臭物質を除きますためには、現在では悪臭物質が比較的揮発しやすい性質を持っておりますので、減圧蒸発装置または水蒸気脱気装置で軽いものを飛ばしまして、その飛ばしたものを燃焼をさせる、あるいは活性炭等に吸着をさしてにおいを取るというような方法で悪臭の防止対策を実行しておるわけでございます。なお、こうして取りましても、いろいろ出てきますものにつきましては、最終的にはボイラー等に入れて燃焼をして無臭化をして外部に放出をしておるというのが現状でございます。ただ、御存じのとおり、石油精製工場は、後ほど申し上げますような石油化学工業と同一でございまして、ごらんになったらわかりますとおり、いろいろなパイプで気体類を送っておるわけでございますので、そのジョイント部からどうしても悪臭物質ないしは気体が漏れるというようなことが起こるわけでございます。こういうような方法につきましては、結局はジョイント部の接続を完全にするというような方法しかございませんので、最近ではメタルジョイントを使って、できるだけそういう物質が外に漏出をしないというような措置をいたしておりますけれども、残念ながら、御指摘のように、やはり若干の悪臭物質が外に流れておるということは、いなめない事実であると思います。この点は、さらに技術開発なり、いろいろ悪臭を防ぐような対策を講じて問題のないようにいたしたいというように考えております。
 それから石油化学につきましても石油精製とほぼ同断でございますが、悪臭物質の代表的なものといたしましては、やはりメルカプタン類と硫化水素というようなものがございまして、いずれもナフサ分解の過程で発生をいたすわけでございます。メルカプタン類は、先ほどの石油精製業と同じように、水素添加をいたしまして硫化水素として、そこから硫黄として回収をして悪臭を取るというようなこと、ないしは硫化水素そのものをアルカリ洗浄によって処理をするというようなことを考えております。なお、石油化学では、このほか対象となっております悪臭物質といたしましてブチレン、アセトアルデヒド等がございますが、これは洗浄または焼結、燃焼処理をいたしておるというのが現状でございます。
 ただ、いずれにいたしましても、いろいろな処置を石油精製工場ないしは石油化学工場でいたしておるわけでございますけれども、残念ながら現在の状況では悪臭が全くなくなったと申すわけにはいかないのが現状でございまして、なお、この点はさらに精製会社、あるいは化学会社等を指導して悪臭の除去につとめてまいりたいというように考えております。
#134
○竹田四郎君 悪臭の除去につとめることは私は当然だと思うのですね。しかし、この法律じゃどうも悪臭の除去には、私はそういう点じゃならない感じがするわけですよ。で、いまおっしゃったように、具体的にその製造過程でどういうものが出るかということはわかりましたよ、いまのお話で。しかし、具体的にそれに対する措置というものは実際何らしてないわけです。なお、これから夏になれば京浜地帯もまた千葉の京葉地帯も、おそらく相当範囲私は悪臭に襲われるだろうと、こういうことであってはやっぱり私はならないし、厚生大臣の話や何か、小さな企業だからというようなことで非常にそういう点もゆるやかである。一番大もとは、私はむしろいま一番大きい被害を出しているのは、こういう石油精製工場なり石油化学工場なり、あるいはパルプ工場のあるところはパルプ工場と、そういうむしろ大きいところが広範に出している。私はその辺がむしろ問題だろうと思う。そういう点についての問題点というのは、これはきわめて弱いのじゃないか、こう思うのですね。これは、通産省のほうもそういう工場については、私は悪臭についてももう少し徹底した行政指導なり施設なり、あるいはそうした設備なりを改善させることを早急にやらなければいけないと思うのです。そっちのほうはできると思うのです。石油精製工場とか石油化学工場というのはけっこうもうかっているのですから、相当な期間なんて置く必要がないのです。それは、やらないようだったら停止してもいいと思う。だから、その点私はおかしいと思う。厚生省が考えているのは、魚のはらわたとかなめし皮だとか、どうもそういうところに重点的に問題を考えている。石油精製関係から出ているものについては、どうも私はこの法律では甘いと思わざるを得ない。しかも、そのほうが広範囲で多くの人たちが悩んでいるわけです。どうですか。その辺どうもゆるい。
#135
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど私は、相当の期間を定めてというのは、中小零細企業についてはそれなりの設備の移転なり改善なりの可能な期間を見定めることになりましょうが、大企業については、それはあなたの企業はこれくらいのことはすぐやりなさいということで、短い期間を定めてというようなことを申し上げましたが、実は、この悪臭防止法が今回制定されます以前に、大企業も悪臭を出す、ことにいまおっしゃる化学工場、石油精製等につきましてもそういう問題がございましたが、それは大気汚染防止法の直接的、あるいは場合によりましてはそれに基づく行政指導等によりまして、かなり悪臭の原因となる悪臭物質、これはSOでございましょうか、あるいは硫化水素とか炭化水素とかいうようなものは、そっちの大気汚染防止法の、あのかなり先般の国会で改正をいたしました厳重な措置をやらせることは可能であると考えております。これは、いま私がここで思いついたことではございませんで、また、竹田さんから問い詰められてそっちへ逃げたということではございませんで、前からそういうことになっておりますので、その点は通産省の方もおられますが、悪臭防止法だけをもって化学工場を律しないで、大気汚染防止法等による政令物質等を今度は大幅にきめてまいりますから、あの中にひとつ悪臭の原因となる物質も、要すれば可能な限り取り入れたり、また、すでに取り入れられているさっき申しますような物質の規制というようなことを通じてやってもらいたいと私は考えます。それでまたある程度はできると思います。
#136
○竹田四郎君 それは、有害のガスについては私そうだと思うのですが、においのものについてはできないでしょう。できるのですか、大気汚染防止法で。
#137
○国務大臣(内田常雄君) 私は専門家でないから間違っちゃいけないのでございますが、今度の悪臭防止法のとらえ方というものが、においそのものでとらえているものではなしに、においを構成すると申しますか、においの原因となる数千数百の物質の中から十か二十の原因物質をとらえて、それの濃度を規制すると、こういうたてまえになっておることも御研究いただいたとおりでございます。それと同じように大気汚染防止法につきましても、特定物質を先般の改正によりまして、いつでも広く政令で取り入れられる仕組みになっておるはずでございますので、単にそれは人の健康を害するおそれのある、たとえばぜんそくとか肺浸潤とかそういうような原因を起こしたりするような物質ばかりでなしに、悪臭を含む公害につながる物質を取り上げるというような行き方も私は行政の運用としては考えられますし、また、そういう工場に対しましては物質を特定しなくても、こっちをやらなければあっちできつく攻めるぞという手もあるわけでございますので、その辺を通産省にもしっかりやっていただきたい。また、これはもう豚とか鶏なんかでも非常に困っている。牛もそうでございますが、そういうことにつきましても、農林省でも同じような意味でいろいろな見地から他の法律をもってしても補っていくということを考えていただかなければ、この法律だけではおっしゃるとおりむずかしい面もありますので、そのように協力体制というものを積み上げていきたいと思っております。
#138
○竹田四郎君 それは、大気汚染防止法でそんなにきつくいま大臣が言うほどやっていけますか。やっていければ何も私は、先ほどもちょっと議論したのですが、悪臭防止法を独立させないで、大気汚染防止法と水質汚濁防止法に含めてやるべきだ。なぜやるのかということはやりましたから、これはお答えは要りませんけれども、私はそういう意味では、どうもそういう問題になれば逃げてしまっている感じしか受けないのです。できますか。
#139
○国務大臣(内田常雄君) できる物質とできない物質があると思います。それで、つまりその物質のにおいでも、非常に濃度が低くてにおいの原因になるような、今度の法律でいう悪臭物質といわれるものと同じようなものがあるわけでありますが、これは非常に濃度が低い。何か一度から六度までの間できめるということでありますけれども、その辺まで大気汚染防止法で規制がかかるかどうかという問題があろうと思いますので、全部はとてもできないと思いますが、ある種のものについてはできるし、また、私がいま発言いたしましたように、行政指導という問題がありまして、現に化学工業等から非常な生活環境をそこなうような悪臭が出ておりますときに、それの原因であるある種の物質というものを化学的に私どもが把握をすることができましたならば、それのとらえ方を、大気汚染防止法の網にかからないでもそれは行政指導でやらせる。これをやらなければ他の面でこれはもういろいろ措置する面が大気汚染であろうが、あるいは水質保全であろうが、私は、工場規規をするいろいろな手段を持っておりますので、行政手段ができるのではないか。行政というのはそういう場面も、特に悪臭なんかにつきましてはあり得る性質のもののように考えるわけでありますので、それをお答えいたしておるわけであります。
#140
○竹田四郎君 これは総理府の方、そういう形できますか。だから、悪臭物質と有害物質が重なっているものがありますね、そういうものは私はできると思うのですよ、大気汚染防止法で。しかし、においだけのものは大気汚染防止法では私はできないと思うのですが、これはできますか。私は、どうも抵抗されたら言いわけできないだろうと思うのです。どうですか。
#141
○政府委員(城戸謙次君) これは、大気汚染防止法自身はあくまで大気の汚染防止ということを欲するわけでございますから、それは悪臭のみに限った見地からやるというわけではございません。ただ大気汚染防止法によっていろいろ規規する結果、悪臭がその結果防がれるということは当然のことでございます。そういう意味では、大気汚染防止法も悪臭防止に相当寄与する面があると思います。しかし、ものによりましては当然、大気汚染防止法でできなくて、悪臭防止法でやらなければできないものが実は一ぱいある。これは水に関しても同じような問題があると思います。
#142
○竹田四郎君 それですから私は先ほど、一番最初言ったように、どうも悪臭防止法だけ引き抜くのはおかしいのじゃないかという議論をさっき私はしたわけですよ。おそらく大臣が言っていることは私は、石油精製工場なり石油化学工場に抗議したって、反発する面が強いと思う。また一つのことについて、他の行政でそれの報復措置をとるというのはどうもあまりいい方法じゃないと思う。そういうのは私はあまり感心しない。やはりそういう点では悪臭防止法というのをもっと強めていく、このことのほうが必要だと思うのですが、私に割り当てられた時間がなくなりましたから、機会があればまた質問しますが、きょうのところはこれでやめます。
#143
○内田善利君 いまの質問に関連して私もまず最初に質問したいと思いますが、この間も質問したのですけれども、いま総理府のほうからは水の害もそうだということですが、ずばり言って、大臣にお聞きしたいと思いますが、この法案が施行されることによって、田子の浦、隅田川、洞海湾の悪臭がなくなるのかどうか、この点からまずお聞きしたいと思います。
#144
○国務大臣(内田常雄君) それは私ははっきり科学者でないから、こういう過程を経て悪臭がいまの御指定の地域についてどの辺までとれるかということは、私には申し上げられませんが、あるいは差し上げておるかとも思いますが、いまのたとえばクラフトパルプの製造業など、これは紙でございますが、これらについては悪臭物質の関連物質が、今度私ども政令できめることを想定いたしておりますメチルメルカプタンとか、エチルメルカプタンとか、あるいはジメチルサルファイド、ジエチルサルファイド、硫化水素というふうな幾つかの悪臭原因物質を排出することに関連のある工業でございます。こういう私がいま読み上げましたようなむずかしい名前の物質を数段階に分けて規制をいたすことになりますので、したがって、この法律が一年後に施行をされて、そしてその間にこういう物質を排出する施設の改良改善というものが行なわれますならば、私は相当効果があるのではないかと判断せざるを得ないと思います。
#145
○内田善利君 パルプ工場でも大体悪臭は地域性があるのですけれども、もうその町全体が悪臭がしている。どこの町に行っても、パルプ工場があるところは非常に私たち行った者はすぐ感ずるわけですが、非常に不快なにおいがする。あれがなくなるかどうかです、二年三ケ月で。
#146
○国務大臣(内田常雄君) いま申し上げましたとおり、私はある程度なくなる。ただし、それがいま内田さんのほうからおっしゃいましたが、この法律が施行されるのに一年の余裕があり、改善勧告を出すのに相当の期間をおき、それが聞かれない場合に、さらに相当の期間をおいて、たしか改善命令を出すというような、先ほども御批判がありましたような、かなりゆったりしたプロセスを経ますので、この法律施行と同時になくなることは期待できませんけれども、この法律が所期する手続期間の過程におきまして相当改善されると思いますし、またそういうふうに指導をいたさなければならないと思います。
#147
○内田善利君 私は、この悪臭規制法も賛成するわけですけれども、先ほどから竹田委員からも非常に甘いということがありましたが、私も甘いと、そのように思うわけです。この法案全体が悪臭物質をどこかで規制するわけですが、規制基準をきめることによって悪臭を防止していこう、こういう一連の流れがあると思いますね。この悪臭防止法案は、規制基準をしかも県知事がきめて、それを守ることによって悪臭を防止していこう、こういうことですが、先ほどから悪臭発生施設についても質問がありましたけれども、この悪臭発生施設を規制するということが全然うたってないわけですけれども、この点はどういうふうにお考えになりますか。
#148
○国務大臣(内田常雄君) それはたしか第八条の第一項でございますが、「施設の運用の改善、悪臭物質の排出防止設備の改良その他悪臭物質の排出を減少させるための措置をとるべきことを勧告」し、また次の第二項によりまして、相当の期間を定めて勧告実行を命令する、こういうことでございまして、いずれも施設の改良改善等に触れております。場合によりましては、私は、「その他」「減少させるための措置」というようなことに関連しては、移転の勧告というようなこと、直ちに八条でできますかどうか若干の問題ございますけれども、話し合い的勧告によりまして移転の勧告をしたり、また、そのための資金のお世話をしたりするというようなことも考えなければならない場合も施設に関連してあるのではないかと思います。
#149
○内田善利君 これは改善のための勧告条項で、こういう基準の悪臭物質を出してはならないという規制基準と同時に、そういう悪臭を発生する施設ですね、この悪臭を発生する施設について、いまあとのほうにおっしゃったような規制ですね、これができないものか。というのは、二年たったあと、どうしてもあの悪臭がなくならない、パルプ工場から悪臭がなくならないという場合には、やはり移転とかあるいは一時停止とか、そういうことがなされなければならない、そういう悪臭防止法案でなければならないと、このように思うのですけれども、その点はどうでしょう。
#150
○国務大臣(内田常雄君) ただいま申し上げましたとおり、施設のまず運用の改善、運用ばかりでなしに、今度は排出防止設備の取りつけというようなこと、当然のことをやらせますほか、その他所要の措置の勧告もできるということでございますので、実際はこれ、先ほど来たびたび論議の対象にもなっておりますように、地方的な関係の事業、また事の性質上、事案も多いわけでありますので、話し合いでいろいろ施設の移転等の措置も私は講じなければならない場合も出てまいる。ことにこれは、大企業の場合は私もよくわかりませんが、先ほど来例にも出しましたような、たとえばへい獣処理場でありますとか、魚腸骨処理場でありますとか、あるいはそれに関連するような施設、さらにはまた家畜の飼育などの施設等につきましては、そういう内容の勧告、話し合い、またお世話というようなこともあることと私は想定をいたすものでございます。
#151
○内田善利君 もう一つ関連して質問しますが、先ほど大気汚染防止法と水質汚濁防止法との関係によって、この本法案と関連して悪臭をなくしていくと、こういうことだったと思うのですが、先日も質問したのですけれども、たとえば田子の浦ですけれども、水質基準の基準内で排水が出ている。ところが、その基準内で出た排水があの湾内で化学変化を起こすのかどうか知りませんが、硫化水素が発生している。悪臭を出しだしたという場合に、この法案によってその悪臭がなくなるのか。水質基準の基準どおりに各工場は排出しておる、ところが、悪臭が発生しているという場合です。
#152
○国務大臣(内田常雄君) いまの新しく改正されました水質汚濁防止法による規制基準でやるのほか、この悪臭防止法の規制基準の第四条の第三項を発動することもできますので、両々相まってその原因をできるだけ除去していく、こういうことになると思います。ことに私の記憶に誤りなければ、そもそも田子の浦の工場排水が出されておりました岳南排水路というのは、あれはあんなにヘドロが港にたまるまでの間、ああいう施設の排水路は同時に水質規制法あるいは工場排水防止法の対象外の施設にもなっておったはずでございまして、そのためにあんな深刻な状態にもなったのでございます。しかし、それがその後の水質汚濁防止法と工場排水規制法を一緒にしました新しい制度によりますと、岳南排水路であろうが何であろうが、それは無規制で許されることではなくなっておりますが、あの面からの改善も相当ございますし、いま申し上げました第四条第三項による措置というものもかけてまいる、こういうことに私は考えております。
#153
○内田善利君 この第四条ですけれども、都道府県知事が規制基準をきめるようになっておりますが、どういうふうにしてこの規制基準を都道府県知事がきめるのか。具体的にこの法案が、法律が施行になるまでですか。あるいは総理府令できめるとなっておりましたが、具体的にどういうふうにして悪臭の規制基準をきめるのか、そこらをお伺いしておきたいと思います。
#154
○政府委員(曾根田郁夫君) 総理府令の中身といたしましては、たとえば硫酸なら硫酸の悪臭物質のそれぞれにつきまして、臭気度の範囲に対応しました具体的な濃度、たとえばアンモニアであれば何PPM以上、何PPM以下というふうに規制基準の範囲を総理府令で定めることにしております。そしてその範囲内で具体的に何PPMという数字をとるかにつきましては、先ほども御議論がございましたように、悪臭というのはかなり地域によって住民に差がございまして、たとえば漁港地帯の住民であれば、それ以外の地帯の住民に比べて一般的に魚のにおいが強いとか、そういう地域的な差がございますので、それぞれの地域に応じまして、たとえば私の市町村では臭気度三、したがって、これを総理府令のPPMとしてあらわすと何PPMというものにしたい、そういうことで総理府令の範囲内で具体的な数字をきめる、市町村長の意見を聞いて都道府県知事がきめるという考えでございます。
#155
○内田善利君 それでは、まず最初に総理府に質問したいと思いますが、昨年の十一月からこの紛争処理法が施行されたわけですが、それに伴いまして、中央公害審査委員会、なお都道府県には公害審査会が処置できることになったわけですが、いままでその受け付けた件数、それでその中で特に悪臭に対する件数が何件あったか、そのことについてまずお聞かせを願いたい。
#156
○政府委員(城戸謙次君) 紛争処理法それからこの公害審査委員会の関係、これは実は私どもの直接の所管ではございませんので、今後環境庁ができましても総理府本府にこの関係が残るようになりますので、ちょっと私からいま具体的な数字を持っておりませんのでお答えできないのでございますが、必要でございますれば、関係庁を呼びましてお答えしたいと思います。
#157
○内田善利君 それでは先ほど自治省の報告ということで、竹田委員の質問にあったわけですが、悪臭が四十四年度は七千九百八十三件、そのうち七割が処理されたということですが、この処理されたということは、悪臭がなくなったということなのか、補償等で片づけたのか、事実悪臭がなくなったのかどうか、それからあとの三割ですね、この三割はどういうことで解決できなかったのか、この法案が成立すればあとの三割は解決できるのかどうか、この点は御答弁いただけますか。
#158
○政府委員(曾根田郁夫君) 先ほど竹田委員の御質問に政務次官からお答えいたしましたように、私ども実は、この自治省の集計の具体的中身について自治省のほうでもこの詳細についてはわかっていないということで、どのような解決の具体的な方法をしたかについては承知しておらないのでございますけれども、ただ悪臭問題の性格からいいまして、処理済みというのが完全解決ということではおそらくないのであって、たとえば悪臭発生源と当該地域住民との間で了解がついたという意味での、話し合いがついたというような意味での解決も相当あるのではないかというふうに考えております。また、この悪臭の問題については、具体的な数値に基づいた規制基準違反というような状態での悪臭ではございません。けれども、今後は法律ができますとはっきりと悪臭として客観的にとらえることができますし、また、いろいろな行政指導も行なわれますので、たとえば残り三割についてこれも一〇〇%とはいえないまでも、相当程度のものが解決といいますか、実質的な話し合いといいますか、そういったことが期待されるものと考えております。
#159
○内田善利君 いま先ほど申しましたこの委員会、審査会受付件数ですね、これをひとつ具体的にあとで資料として出していただきたいと思うのですが、このこまかな資料をですね。
 次に、この法案が、公害が発生して住民から被害の訴えがあって初めて規制が始まるという事後処理行政になっておるわけですが、この間も若干この点について質問したわけですけれども、この事後処理行政にしたということはやっぱり甘いと思うのですね。やはり理論的にも事前に事前規制をする、あるいは直罰方式をとるということが私はこの悪臭をなくする当然の方法ではないか。事前にやるほうが効果的でもあるし、また経費も少なくて済む、そのように思うわけですが、この点についてどのようにお考えか。また、将来はこういった事後処理行政をやめて、事前にこれの対策を講じていくという方向へ行くべきであると思いますが、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。
#160
○政府委員(曾根田郁夫君) 御指摘のように、たとえば騒音規制法に見られるような特定の施設の届出、そういうものを法律としては書いておらないのでございますけれども、先般もお答えいたしましたように、悪臭発生源とされる施設のある種のものは、たとえばへい獣処理場に関する法律であるとか、他の法律によって所要の届出等の規定も定められておりますし、それからまた、都道府県がこの行政指導としまして事前指導を行なうような場合に必要なたとえば届出等を設けたいということであれば、これはこの法律で一応規定されていない事項について条例で定めることができるという規定もございますので、そういった点につきましては、私どものほうといたしましても、行政能力があって十分な事前指導を行ないたいというような地方公共団体につきましては、いろいろと指導なり助言なり、そういった点についてつとめてまいりたいというふうに考えております。
#161
○内田善利君 先ほども話があったんですが、硫化水素ですね、硫化水素は大気汚染防止法では指定有害物質として取り扱われる。ところが、この法案では悪臭物質ということで取り扱われるわけですが、大気汚染防止法では届け出制があるし、また、この排出基準に違反したときには直罰方式もある。こういう法律があるわけですから、やはり悪臭という硫化水素についても同じように規制すべきではなかったかというふうに思うんですが、前の質問と重複するかもしれませんが、この辺がどうも甘いということになるんですけれども、どうなんでしょうか。
#162
○政府委員(曾根田郁夫君) 事前届け出制をとっておりますのは、当然にそれに基づきまして必要な指導、事前指導を前提としてのものでございますし、また一方には、発生源を事前に行政的に把握しておくというねらいがあるわけでございますが、悪臭につきましては、発生源の把握はこれは感覚的にすぐ容易に把握できるわけでございますし、また、行政指導の点につきましては、他の公害規制法、他の類型の公害と違いまして、悪臭につきましていますべての発生源について防止設備を伴う完全な事前指導ということが一〇〇%期待できる段階ではございませんので、一応そのような規定を置かなかったのでございますけれども、気持ちの上では、できるだけ地方公共団体を指導いたしまして、事前に指導できるものは指導する、そういう体制に持ってまいりたいというふうに考えております。
#163
○内田善利君 規制地域についてですけれども、この指定は、最初は市町村長にしていたという大臣の御答弁がありましたが、この指定のイニシアチブはやはり知事がとるわけですね。その場合に市町村長が必要ないと、こういうことを言った場合にはどうなんですか、指定について。
#164
○政府委員(曾根田郁夫君) 法律の条文の上では、指定権者は都道府県知事であって、ただし市町村長の意見を必ず聞かなければならないというふうに規定されておるのでございますけれども、実態といたしましては、そのように市町村長の意見を必ず聞くということは、当該地域を規制地域にすることの実際の判断はやはり第一線における市町村長であるというのがその背景でございますので、実質的なイニシアチブといいますか、そういう点はむしろ市町村長のほうが都道府県知事のほうに、自分の管内におけるこういう地域を指定地域にしたいということになるのが普通ではなかろうかというふうに考えております。
#165
○内田善利君 第四条の規制基準をきめる場合に、「都道府県知事は、規制地域について、その自然的、社会的条件を考慮して、必要に応じ当該地域を区分し、」、このように細分していくようになっていますけれども、同じ悪臭を排出する施設についても、それが所在する地区に応じて排出基準が変わっていくのか、この点はどうでしょうか。
#166
○政府委員(曾根田郁夫君) この規制地域の地域的広がりでございますけれども、これは、私ども原則的には第一線の判断によってかなり弾力的な取り扱いにしてよろしいかと思いますけれども、当該地域の地形あるいは周辺の生活環境等によりまして、たとえば病院でありますとか、学校でありますとか、そういった地域周辺については一般の地域よりもやや高い基準を設けたいというようなことも当然考えられるわけでございまして、ここでは、当然一つの指定地域内において、さらにそれぞれのその地域内の区分によっては基準値も変える、異なった基準値を用いるということを考えておるわけでございます。
#167
○内田善利君 第八条ですけれども、これは先ほども問題になったと思いますが、「住民の生活環境がそこなわれていると認めるとき」と、そういうときに改善勧告がなされるようになっておりますが、この認め方ですね、どういう段取りでこれを認定するのか、認めるのか。
#168
○政府委員(曾根田郁夫君) 実際問題として、この地方公共団体のほうで常時、たとえば当該地域の測定を行なうということも実際問題としてはむずかしいと思いますので、結局悪臭問題はやはり感覚的に直ちに把握といいますか、認識されるわけでございますので、やはり当該地域住民が非常に不快感を訴えるというような動きがあって、都道府県知事のほうで改善勧告あるいは改善命令を出すというケースが実際には多いのではなかろうかというふうに考えております。
#169
○内田善利君 第八条ですけれども、都道府県知事は小規模の事業者に対しては配慮するということになっておりますが、これはどういうことを意味しますか。
#170
○政府委員(曾根田郁夫君) この小規模、特に畜産関係のものについては非常に零細な事業者が多いわけでございますけれども、そういったものに対して改善勧告あるいは改善命令を出す場合には、たとえば幾つかの改善勧告等の内容があった場合に、当該事業者についてはAという例が本来的に望ましいんだけれども、現実の事態で中小企業の場合にAという措置がむずかしいとすればBの措置にするとか、あるいはまたそういう具体的な勧告命令の中身についてもそういう考慮を払うということのほかに、もう一つは命令を出すについて、場合によれば当然必要な改善設備等整備する場合に当然資金の裏打ちが必要なわけでございますけれども、そういった場合には融資その他の点で十分考慮するとか、そういったことを八条の五項については考えておるわけでございます。
#171
○内田善利君 やはり小規模事業者に対しては、こういうことに対してはずばり助成をすべきであると、このように思うんですけれども、いかがですか。
#172
○政府委員(曾根田郁夫君) それは当然のことでございまして、この法案の十六条で、資金のあっせん、その他の援助につとめるというような規定もございますけれども、こういったことは当然に中小企業等の問題も念頭に置いての規定というふうに考えておるわけでございます。
#173
○内田善利君 最後に第二十条ですけれども、改善命令違反に対して、「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」ということになっておりますが、もし悪臭除去技術がその間にまだ開発されていない場合、こういう場合には一体どうされるのか。それから除去技術が開発されておっても経済的な理由で取り入れられない、改善するとすればもう廃業以外にない、こういった場合にどうするかですね。どうにもならないということでは非常に迷惑するわけですが、この点どのように考えられますか。
#174
○政府委員(曾根田郁夫君) これは一般的には、やはりそういうような事態の場合、行政命令というものを直ちに発動するかどうかという問題もあろうかと思いますし、もちろんその場合に、その悪臭による被害も相当重要であるという場合には、あるいは発動もあろうかと思いますけれども、一方またそういう事情があれば行政命令違反の事案に対する量刑等においてもある程度はしんしゃくされるのではないかと考えられますけれども、私どもとしては、やはり第八条の運用そのものを適切に行なうという考えでございます。
#175
○内田善利君 これで質問終わりますが、この法案は非常に省令、政令多いわけですが、また非常にまだ甘いという点が多いと思います。それで、具体的にその法案を施行する場合の具体的な指導なり助言なりしていって、この二年ですか、余裕を置いておるようですけれども、この悪臭防止技術の開発ということが緊急の課題ではないかと、このように思うわけですが、この辺の促進、指導といった面に十分力を入れていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
#176
○委員長(占部秀男君) 他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これから直ちに採決に入ります。
 悪臭防止法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#177
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#178
○内田善利君 私は、ただいま可決されました悪臭防止法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党三党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 以上でございます。各位の御賛同をお願いいたします。
#179
○委員長(占部秀男君) ただいま内田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#180
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、内田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、内田厚生大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。内田厚生大臣。
#181
○国務大臣(内田常雄君) ただいま御決議がございました事項は、私どもといたしましても、まことにごもっともなものであると考えられますので、御決議の趣旨に沿いまして、今後におきまして極力これが実現について努力をいたす所存でございます。
#182
○委員長(占部秀男君) なお、悪臭防止法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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