くにさくロゴ
1970/05/14 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 災害対策特別委員会 第6号
姉妹サイト
 
1970/05/14 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 災害対策特別委員会 第6号

#1
第065回国会 災害対策特別委員会 第6号
昭和四十六年五月十四日(金曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     松永 忠二君     松本 賢一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         北村  暢君
    理 事
                上田  稔君
                増田  盛君
                武内 五郎君
                塩出 啓典君
    委 員
                小林 国司君
                佐藤  隆君
                田口長治郎君
                初村瀧一郎君
                森 八三一君
                若林 正武君
                足鹿  覺君
                松本 賢一君
                藤原 房雄君
                高山 恒雄君
                河田 賢治君
   衆議院議員
       災害対策特別委
       員長代理理事   天野 光晴君
   国務大臣
       国 務 大 臣  佐藤 一郎君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        湊  徹郎君
       経済企画政務次
       官        山口シヅエ君
       経済企画庁総合
       開発局長     岡部  保君
       消防庁長官    降矢 敬義君
       消防庁次長    皆川 迪夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       防衛庁防衛局運
       用課長      福田 勝一君
       大蔵省主計局主
       計官       藤井 直樹君
       林野庁指導部長  海法 正昌君
   参考人
       東京大学教授   大澤  胖君
       東京大学名誉教
       授        河角  広君
       東京大学名誉教
       授        萩原 尊礼君
       日本道路公団参
       与        福岡 正巳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律
 案(衆議院提出)
○災害対策樹立に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (広島県呉市における山林火災による被害に関
 する件)
 (地震対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(北村暢君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十八日、松永忠二君が委員を辞任され、その補欠として松本賢一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(北村暢君) 豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院災害対策特別委員長代理理事天野光晴君。
#4
○衆議院議員(天野光晴君) ただいま議題となりました、豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びに内容について御説明申し上げます。
 特別豪雪地帯は、積雪により交通が途絶する等冬期間恒常的に豪雪災害の状況下に置かれ、住民の生活は困窮をきわめており、かつまた市町村財政は他の地域に比べ過重な負担を負わされております。
 本案は、こうした現状に対処して、これら地域に特別措置を講じ、住民の安全と福祉の向上をはかろうとするものであります。
 そのおもな内容は次のとおりであります。
 第一に、特別豪雪地帯の冬期間の交通を確保するため、基幹的な市町村道の整備に対する特例措置を講ずることであります。
 すなわち、特別豪雪地帯における基幹的な市町村道で建設大臣が指定するものの改築について一は、昭和四十七年四月一日から昭和五十七年三月三十一日までの間に限り、道府県がかわって行なうことができることとし、この場合には、道府県営事業にかかる後進地域の国の負担割合の特例の適用を受けることとすることであります。
 第二は、特分豪雪地帯における公立の小学校及び中学校の施設等に対する国の負担割合の特例を設けることであります。
 すなわち、積雪による通学の困難を緩和するための公立の小・中学校の分校の校舎及び屋内運動場等の新・増築またはこれらの施設で構造上危険な状態にあるものの改築並びに特別豪雪地帯における公立の小・中学校の寄宿舎で構造上危険な状態にあるものの改築に要する経費について、昭和四十七年度から昭和五十六年度までの各年度、国の負担割合を三分の二とし、また積雪による通学の困難を緩和するための公立の小・中学校の寄宿舎の新・増築並びに積雪による通勤の困難を緩和するための公立の小・中学校教職員の住宅の建築に要する経費についても、昭和四十七年度から昭和五十六年度までの各年度、国がその三分の二を補助するもの等、その他所要の改正を行なった次第であります。
 また、この法律は、公布の日から施行するものとしておりますが、改正後の規定は、昭和四十七年度分の予算にかかる国の負担金または補助金から適用し、昭和四十六年度分の予算にかかる国の負担金または補助金で翌年度以降に繰り越されたものについては、なお従前の例によることになっております。
 以上が本案の提案の理由並びに内容であります。
 なお、本改正案の提出に際し、衆議院災害対策特別委員会におきましては、「特別豪雪地帯対策に関する件」について決議を行ない、政府に対し、
 基幹的な市町村道の改築を県が代行実施するに当っては、当該県の財政負担が過重とならないよう特別に配慮すること。
 特別豪雪地帯における義務教育諸学校施設及び保育所の建築単価を引き上げること。
 特別豪雪地帯道路事業のための地方債を早急に設けること。
 その他、医療体制の強化、保育所等の整備、消防力の強化及び消防施設の整備、出稼労働対策の推進、郵便配達の確保等について、特段の配慮を行なうよう強く要望した次第であります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上であります。
#5
○委員長(北村暢君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、御発言を願います。
#6
○足鹿覺君 豪雪地帯対策特別措置法の一部改正法律案につきまして何ら異議を差しはさむものではございません。まことに適切であり、すみやかにその成立をこいねがっておる一人でありますが、本法施行にあたって実施について留意すべき事項等については、理事会で御検討の別紙決議案を拝見をいたしておりますが、その十一項にも若干取り上げられておるようでございます。要するに豪雪地帯というものの定義なりその線引きというものの基準、これらは御審議になっておることと存じます、法制定の当時。したがってその問題をここで蒸し返してやる意図はございませんが、一例を申し上げますならば、昨年末並びに本年一月以降山陰地方に突如襲来いたしました豪雪は、あるいは風浪による漁港、漁業に対する被害等は、当委員会においても風浪被害について現地調査団を派遣される等、いろいろと御配慮いただいたことに対し感謝をいたしておる次第でございますが、その後も一月、私の居住地である米子市におきましても市街地で一メートルを越える豪雪があったわけであります。島根県松江市のごときはそれをオーバーしておるのであります。こういうことはそう毎年続けてあるわけではございません。しかし、平地においてそのような場合は、中国山脈の脊梁を中心として日本海側は二メートル以上の積雪に悩んでおる地帯はざらであります。出雲、伯耆、因幡、丹波、但馬、丹後、この方面は北陸に次ぐ一つの豪雪地帯とでも申しますか、ここでは局地的な豪雪ということばが使われておりますが、私は豪雪地帯というものは一定の時期に多量の、雪が堆積し、長きにわたって融雪しない、こういう地域をさしておると思います。局地的な地域というものはこれに準ずるものでなければならぬと思いますが、この法の運営にあたって、豪雪地帯に次ぐ局地的な豪雪地帯に準ずる地域に対しては、本案成立の際にどのような配慮がなされ、また具体的には線引きの際にどのように留意をされて地域住民の要請にこたえられる御所存でございますか、この機会に今後の方針なり具体的な取り扱いについて伺いたいと思います。
#7
○政府委員(岡部保君) ただいまの先生の御質問でございますが、まず現在の豪雪地帯と申しますものの定義、それから特別豪雪地帯をどういうふうに考えておるか、それにつきまして線引きをどういうふうに考えておるかという点について、現在事務的に扱っております者といたしまして、御説明申し上げたいと思います。
 まず豪雪地帯、この法律の一般的に示します豪雪地帯と申しますものは、積雪度が五千センチメートル日以上の地域である。この五千センチメートル日と申しますのは、要するにたとえば、例を申しますれば、五十センチの積雪、一日間五十センチ雪が積もっておる、そういう日が百日続いた、これを五千センチ日ということであらわしておるわけでございます。そこで、結局こういう数量を使いまして一つの基準といたしましたという理由は、積雪の量が多いということと積雪の期間が長いということと両方をちょうどかけ合わせたような数字になりますものですから、量と積雪の期間というものの両方をあらわす数量であろうということで五千センチメートル日という一つの単位の基準をつくりまして、これをもってそれ以上の地域を豪雪地帯に指定するという考え方に立ったわけでございます。
 そこで、そのうちで、さらにこの積雪度が高いというところを特別豪雪地帯ということに指定しなさいということが、前国会の法律改正でおきめいただいたわけでございますが、その基準と申しますのは、現在、豪雪対策審議会におきまして、特に審議会の下部機構として小委員会をつくりまして、その小委員会の場で現在鋭意御審議、御討議いただいておる最中でございます。そこで、一応われわれがこれをどういうふうに考えておるかと申しますと、前国会のこの特別豪雪地帯を設定されました際の衆参両院でこの法律を通すときの附帯決議でございまして、そこで五千センチメートル日のうちで一応基準としては、一万五千センチメートル日というのが一つの基準になるのではなかろうか。さらに幹線道路につながる主要な道路における自動車などの通行が積雪のため長期間にわたって不能となる地域があるということが一つの条件ではなかろうかということで、その二つの条件を対象とするよう配慮することということが御決議されたわけでございます。そこで繰り返しますが、一万五千センチメートル日と申しますと、たとえば一メーター五十の積雪が百日続いた、あるいは一メーターの積雪が百五十日続いたというような地域でございます。そのような地域であって交通途絶というものが相当に長期にわたってあるのだというようなところを特別豪雪地帯とすることに配慮しよう、こういう一つの基準をお示しいただきましたので、私ども事務当局といたしましても、現在そういうことをもとにいたしまして、先ほど申しました審議会の小委員会をもちまして現在御討論いただいておる最中でございます。そこで、この一つの基準をお示しいただきましたので、大体その線に沿って私ども作業を進めていく考え方でございます。
 そこでその積雪度のあらわします一万五千センチメートル日ということを何によって、どういうデータからつかまえておるかというようなことを現在いろいろ検討中でございますが、一つの非常にはっきりした基準といたしまして、例の地方交付税に用います積雪補正級地区分というものがございます。結局、積雪で補正するというための積雪度の高いところから級地区分をいたしておるという一つのデータ、これは自治省が所管されておるものでございますが、そういうものがございます。その自治省のおやりになっております積雪補正級地区分の従来のデータと申しますと、昭和八年から昭和三十七年度までの三十年間、これは各地での雪の観測記録、これに基づきまして五つの級地区分に分けまして、それぞれの、どこの市町村は何級であるというような級地区分があるわけでございます。そこで最近自治省でこれを再検討されまして、昭和二十五年度から昭和四十四年度の二十年間の新しいデータでこれをさらに改定するという現在動きがございます。現在もう作業をされておるところでございます。その場合のやはり同じようなデータというものがございます。そこで私どもといたしましては、そのような一つの積雪度のあらわすデータというものをそちらの作業の結果をいただきまして、これをどういうふうに考えていくかということを考えておる次第でございます。さらにこれ以外に、先ほど先生のおっしゃいましたように、たとえば新しい級地区分のデータでございますれば、昭和二十五年から四十四年の二十年間のデータでございますが、このうちで非常に、毎年ではないけれども、比較的大量の積雪があったという年がたとえば部分的にある。いままでの考え方は二十年間なら二十年間のデータを総平均した、いわゆる算術平均の値でどういうふうになるかということで値を出しておったわけでございますが、これを、部分的に非常に高いところがある、ただ、部分的には非常に雪の量の少ない年もある。そのときに、そういうばらつきをどういうふうに考えるべきかというような問題も、現在いろいろ学者の方々の御意見も伺いまして検討中でございまして、まだ結論を出しておりません。
 それから地域的に申しまして、現在こういう制度でございますので、やはり市町村という単位を使わなければならない。しかもそういうデータというのは市町村単位のデータでございますので、これをさらにほんとうを申しますればほんとうにきめこまかく、部落単位と申しますか、のようなこまかい作業が必要かと思いますが、ちょっとこのようなデータはなかなかつかみにくいということから、一応市町村を前提にして考えておりますが、いま先生おっしゃいましたように、たとえばそのちょうど境界線に近いようなところ、部分的には非常に雪が多いけれども、全体から見たら比較的少ないというような、ボーダーラインのところの地方公共団体をどういうふうに考えるべきか。あるいは最近非常に合併されまして、市町村が区域が広くなっておる。ところが元の旧市町村で考えればそういう区分はできないというような問題でありますとか、まあいろいろそういう点について現在御議論をいただいている最中でございます。そこで現段階といたしまして、これは先国会でおきめいただきました特別豪雪地帯制度でございますので、できるだけすみやかにこの線引きをするつもりでやっておりますが、まあいろいろそういう問題もございますので、もうしばらくこの審議会の場でいろいろ御検討いただきまして、いまの御指摘もありましたような問題点についても腹蔵ない御意見をちょうだいいたして、そこでこの基準をきめ、線引きをきめていきたいという考え方に立っております。
#8
○足鹿覺君 大体御構想を承ったわけでございますが、審議会の審議経過、あるいは小委員会における線引きの具体的作業の基準等が現在進行しておるということでございますが、本日は自治省はおいでになっておらないようでありますが、従来の自治省の特交金積雪補正地区というものをある程度重視すると、こういう方針であるように思えます。しからば、従来の自治省における特交金の豪雪補正地区はどこどこの県であるか、これも承りたい。それから、審議会並びに小委員会には地方自治体の実情に直接責任を持っておる首長ないしは事情に明るい者が参加しておられると思いますが、審議会の構成、小委員会の構成等については私は存じておりません。ただいま局長の説明されたような御意思が反映できるような人材をもって構成をされ、適正な結論が出るように私どもは理解してよろしいのでありましょうか。その点、できれば審議会の構成メンバー、小委員会の構成メンバー、自治体の特交金の豪雪補正地区名、そういったようなものを明らかにしていただけばたいへんけっこうだと思いますが、いかがでありますか。
#9
○政府委員(岡部保君) ただいま御指摘のございました、まず級地区分と申しますか豪雪地帯の問題でございますが、この法律で申します一般と申しますか、広い意味の豪雪地帯、これの指定はすでに昭和三十八年に指定されておるわけでございますが、この先ほど申しました五千センチメートル日以上の積雪地でございますが、これは一つの県でその豪雪地帯に指定される範囲が非常に広い場合には、その県全県を指定するという考え方でございまして、全県指定されておりますのは北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県及び鳥取県でございます。それから、それ以外の県で宮城県、福島県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、滋賀県、京都府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県におきましては、市町村ごとに豪雪地帯に指定をしている次第でございます。これが大体自治省でおきめになっております級地区分を利用させていただいておるところでございますので、五千センチメートル日以上の地域が大体これに含まれておるということになるかと存じます。
 それから次の審議会に関する御質問でございますが、審議会の委員につきましては、衆議院議員のうちから衆議院が指名する方が五名、参議院議員のうちから参議院が指名する方が三名、関係行政機関の職員が十二名以内、道府県知事六名、学識経験のある者九名以内、以上の構成になっております。具体的に申しますと、衆議院議員のうちから衆議院が指名する者として大野市郎先生、笹山茂太郎先生、地崎宇三郎先生、安宅常彦先生、相沢武彦先生。それから参議院議員のうちから参議院が指名する者三名といたしまして、佐藤隆先生、白井勇先生、松井誠先生、以上三名でございます。それから関係行政機関の職員といたしましては、北海道開発庁の事務次官、経済企画事務次官、それから大蔵事務次官、文部事務次官、厚生事務次官、農林事務次官、通商産業事務次官、運輸事務次官、郵政事務次官、労働事務次官、建設事務次官、自治事務次官、以上でございます。それから道府県知事といたしましては、現在の委員さんは北海道知事、秋田県知事、新潟県知事、富山県知事、長野県知事、鳥取県知事、以上の方でございます。それから学識経験ある者といたしまして、九名の方をただいま委員にお願いいたしておりますが、公営企業金融公庫総裁荻田先生、それから日本児童福祉給食会の理事長をされておる葛西先生、それから小松製作所の社長をされております河合良一先生、早稲田大学の教授をされております松井先生、防災センターの所長をされております寺田先生、全国土地改良事業団体連合会事務局長をされております中沢先生、それから三菱地所の顧問をされております高野先生、それから農業拓植協会の理事副会長をされております平川先生、それから北海道大学の低温科学研究所の先生をされております吉田先生、以上の九名の方を学識経験者として御依頼いたしておる次第でございます。それから先ほど申しました特別豪雪地帯のためにこれの指定基準を具体的に御審議いただきますために、この委員の中からごく一部の先生に御依頼をいたしまして小委員会というものをつくっておりますが、この小委員会は七名の方にお願いをいたしておりまして、衆議院の大野先生と安宅先生、それから参議院の佐藤隆先生、それから学識経験のある者のうちで四名、これは荻田先生、それから寺田先生、中沢先生、高野先生、この四名の方にお願いをしている次第でございます。
#10
○足鹿覺君 よくわかりました。問題は学識経験者の選定の方法でありますが、都道府県知事の代表を入れられておることに別に異論を差しはさむものではありませんが、最近の広域行政を政府が推進をなさっておる立場の中に、いわゆる豪雪地帯以外の豪雪地帯が含まれていることは言うまでもありません。したがって、市町村長会という機関もあり、あるいは町村長会という機関もあり、また都道府県会というものもあり、それぞれ民意を代表しておるものだと思います。当然それらのものが入って地域の実情をいわゆる詳しく述べる機会は、参考人その他の意見の聴取あるいは専門部会の設置等において線引きについては遺憾なきを期せられるべきではないか。たとえば、私はいま例をあげたまででありますが、そういう慎重な態度が私は望ましいと思いますが、いかがでありますか。
#11
○政府委員(岡部保君) 私自身といたしましても、先生の御意見に賛成でございます。で、審議会の委員さん方にこれはたとえば雪害に対する非常に科学的な権威者であったり、いろいろな意味での学識経験の方をお願いいたす必要がございまして、いろいろお願いしている関係から、委員としてそういう方が抜けておりますが、現実にこの指定基準が固まり、その線引きが行なわれていくという段階では、確かに地方の実情というものに対していろいろな御意見があると思います。そういう点については十分まあ私ども役所的な立場ではございますが、ひとつ十分にいろいろな各方面の御意見を取り入れていきたいという考え方を持っております。
#12
○足鹿覺君 経済企画庁、これはきわめて重要な問題であろうかと思います。私どもが――私はかつて衆議院に長いこと議席を持っておりました際に、各種の特殊立法を、地域立法を制定いたしました。それに関する評価はいろいろございましたが、雪積寒冷単作地帯振興臨時措置法という、舌をかむような長い法案だといって、ずいぶんけなした者もありましたが、結果としてはきわめて大きな成果をあげたと私は思っております。要は、その実際の運営に効果があるような運営がなされるかどうかということによって、その法に対する評価が定まると思うのであります。したがって私のただいま御指摘を申し上げた専門家の意見の聴取、あるいは委員の追加等について十分検討したいということでありますが、経済企画庁、政府の立場に立ってこれは政治的な配慮を十分加えられ、高度の政治判断を要するものだと考えますが、ただいまの局長の御答弁について、経済企画庁を代表しての御所信を承りたいと思います。
#13
○政府委員(山口シヅエ君) ただいまの足鹿委員の御意見のとおりであろうと存じますが、非常に重要にして緊急の問題でございますので、大いに充実をはかるためにつとめてまいりたいと存じております。今後ともよろしく御意見がございましたらば御協力賜わりたくお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
#14
○足鹿覺君 最後にもう一点だけ伺いますが、小委員会の結論の出る大体の見通し、全体審議会に付議される大体の見当、そして線引きが具体的に実施される予定はどの辺を目途としておられますか。この際、大体大まかな見当が承ることができれば発表いただきたい。
#15
○政府委員(岡部保君) 現在小委員会におきまして非常に御熱心な御議論をいただいている最中でございますので、しかもいろいろ先ほども申しましたような問題点が多々ございまして、現段階でいつごろにできるというようなことは、ちょっと私から申し上げるのもいささかどうかと存じますが、私どもの考え方といたしましては、これは来年度予算の関係もございますので、いわゆる来年度予算の原案をつくり、まとめてまいりますこの七月、おそくも八月までにはでき得ればその線引きを完了しなければならない。したがってその前に基準も確定いたしたい。それからもう一つ申し忘れましたが、この法律によりまして、基本計画というものを考えておりますので、この基本計画の改定というものもそれに引き続いて実施しなければならない、こう考えております。
#16
○足鹿覺君 もう一点大蔵省に伺いますが、私どもは立法府にいるわけであります。ややもすると政府提案のものに対しては予算措置が十分に講じられる。議員立法なるがゆえに――にやにやして聞いているが何ですか一体。何かおかしいですか。何ですか一体その態度。――ややもすれば議員立法について軽視するのではないか、こういう声が私ども同僚議員の中にもしばしば予算折衝の中においてある。われわれ立法府はみずから立法の権限を憲法によって保障されているのであります。政府が立法したものに対しては重視し、議員立法に対してはこれを軽視するというがごとき取り扱いがもし従来あったとするならば、現実あったと私は思う。関係各省がそういうぐちをこぼしたことも、しばしばわれわれは聞いている。本立法を契機として、あるいは本法の改正実施を契機として、そのような議員立法に対する侮辱をする態度をもって臨まれることは許されてよろしいとは思いません。われわれはかかる政府が立法するに至らなかった、いわば政治の盲点に対して、議員立法を行ない、今日まで幾多の成果をあげ、国民の負託にこたえてきたと思う。そういう見地から従来のいろいろな説がなされているというようなことに対して強く反省をせられ、線引きも来年度予算の編成に間に合うようにしたい、かような局長の御答弁でありますが、これに対して十分立法の趣旨を体して、予算的裏づけなき立法は空虚なものであり、地域住民の期待に反すると思いますが、これに対して大蔵当局としてどのような過去を反省し、今後に対処される御所存であるか。本来ならば大蔵大臣の出席を要求して御所信を承るべきでありますが、あなたが直接の責任者であるように承りますので、この際、過去を反省し今後に処する御所信を承りたい。
#17
○説明員(藤井直樹君) お答え申し上げます。
 この今回の豪雪地帯特別措置法の改正案の検討の段階におきまして、政府側としてもいろいろ御意見を申し上げてきたわけでありまして、われわれも財政的な面からのいろいろな問題点その他について申し上げたわけであります。そういう過程でできたものでございますので、この法律の実施にあたりましては、十分豪雪地帯の状況を把握いたしまして、適切な措置を講じてまいりたいと考えている次第でございます。
#18
○足鹿覺君 しかといまの御言明を大蔵大臣に報告をされ――おそらく私のこの意見に対して当委員会の同僚委員の皆さん、委員長はじめ皆さんは御異論はなかろうと思う。十分意のあるところを体して予算の裏づけを十分に確保し、もって地域住民の期待にこたえ、立法の趣旨に沿われるよう重ねて強く要請をいたしておきます。
#19
○委員長(北村暢君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#22
○委員長(北村暢君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案が委員長の手元に提出されておりますのでこれを議題とし、便宜私から案文を朗読いたします。
   豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたつては、特別豪雪地帯における住民の安全と福祉の向上を図るため、次の諸点について特別な配慮を行なうべきである。
 一、基幹的な市町村道の改築を県が代行実施するにあたつては、当該県の財政負担が過重とならないよう努めること。
 二、義務教育諸学校施設の整備については、建築単価を引き上げること。
 三、豪雪に際して地方公共団体が行なう学校その他の公共の施設に係る除雪事業及び民間社会福祉施設に係る除雪事業に要する費用の補助率について、引き上げるよう検討すること。
 四、医療体制の強化を図り、特に医師の確保について特別な措置を検討するとともに、往診用小型雪上車に対する補助率を引き上げること。
 五、国の所有に係るヘリコプターを救急用に使用する場合には、国の関係機関と当該市町村当局との間で事前に充分連繋をとり、臨機応変に出動できるよう措置すること。
 六、保育所の建築単価を引き上げるとともに、小規模保育所の設置を認可の対象とし、児童館の増設等について特別な配慮を行なうほか、豪雪により就業の機会が制限される者の利用に供するため、市町村が設置する共同作業場等に隣接する保育所であつて、市町村の設置に係るものの整備費について補助率を引き上げること。
 七、消防団員を確保するための特別な助成措置を検討するとともに、雪上消火ポンプ等耐雪消防施設の研究開発を促進し、かつ特別豪雪地帯のうち、通常の消防活動ができない家庭の消火器購入に対して、市町村が助成等を講じた場合には、その経費について特別な措置を行なうことを検討すること。
 八、出稼労働者及び出稼留守家族に対する援護対策を強力に推進するとともに、通年雇用設備融資及び通年雇用奨励制度の拡充を図ること。
 九、豪雪に対する郵便配達の改善方法を検討すること。
 十、特別豪雪地帯対策として、道路整備事業のための地方債を早急に設けること。
 十一、特別豪雪地帯以外の豪雪地帯においても、局地的な豪雪に対する除雪事業等の実施について、充分に検討すること。
 右決議する。
 以上でございます。
 それでは本附帯決議案の採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#23
○委員長(北村暢君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し山口政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。山口政務次官。
#24
○政府委員(山口シヅエ君) ただいま賜わりました御決議につきまして、各関係省庁と連絡の上決議の御趣旨につきましては検討をいたし、特別豪雪地帯対策の充実につとめてまいりたいと存じております。
 たいへんありがとうございました。
#25
○委員長(北村暢君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○委員長(北村暢君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#27
○委員長(北村暢君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。
 初めに、広島県呉市における山林火災による被害に関する件について調査を行ないます。
 まず、本件に関しまして先般当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。上田君。
#28
○上田稔君 御報告申し上げます。
 去る五月一日、二日の両日、委員長代理武内五郎理事、塩出啓典理事、松本賢一、高山恒雄、河田賢治の各委員と私の六名、ほかに永野鎮雄議員と藤田進議員の現地参加を得て、広島県呉市における山林火災による被害の実情を調査するとともにお見舞いを申し上げてまいりました。
 私たち一行は、一日、自衛隊機にて広島空港に到着後、直ちにヘリコプターで空から被災現場を視察いたしました。
 十八人の尊い生命を奪った大張矢山の中腹を目標に高度を下げると、真黒に焼けた不気味な山はだが続き、尾根は北から東南と南の方向に何本にも分かれ、複雑な地形をなしており、焼き尽くされました山林は新緑の木々のあとかたもなく、茶褐色にただれ、痛々しいほどでありました。特に殉職者を出した遭難現場の急傾斜地は、火がすべてをなめつくしたためか、黒と灰色のむざんな姿と化し、対面の灰ケ峰の山々の若葉の緑とはまことに対照的でありました。しかし、その若葉の山々にも茶色に焼け焦げた山火事のあとが三、四ヵ所散見され、この附近ではいかに山火事が多いかをあらためて思い知らされたのであります。
 このあと、私たち一行は呉市役所にて、知事をはじめ市長並びに市消防局長等から当時の火災の状況、消火体制及び多数の犠牲者を出した背景などについて説明を聴取いたしました。
 市当局の説明によりますと、今回の林野火災の要因として呉市特有の自然的条件があげられるとのことであります。
 呉市は、南と西が瀬戸内海沿岸に臨み、その間に島、みさき、山地など複雑に入り組み、また、市域は山々によって各地区が細分され、わずかに山ろくの小規模な扇状地に市街地が形成されているのであります。市域面積に対する山林面積の割合は、約五八%で、林相はほとんどが生育不良で貧林としだ類であります。
 気候は年間を通じて温和で、晴天の日が多く、降水量は大体年千四百ミリ程度で、空気が乾燥し火災が発生しやすい気象条件であります。ちなみに、呉市における過去五年間の林野火災の発生状況を見ますと、四月が圧倒的に多く、今年に入ってもすでに二十一件に達しているのであります。出火当日も三日間続いて同地方に異常乾燥注意報、火災警報が発令されており、湿度一九%、風速五八メートル、瞬間最大風速一一・四メートルと火災には最悪の条件となっていたのであります。
 出火の原因は、こうした状況のもとで、市の水路災害復旧工事の一女人夫が、昼食用のお茶をわかすため、たき火をしたところ、強風にあおられてがけの枯れ草に燃え移り、さらに山林に広がり、二十四時間延焼したものであります。その間この消火に当たっていた消防職員十八人が殉職するというわが国山林火災史上最大の犠牲者を出し、また山林の被害は私有林、国有林、市有林あわせて三百四十ヘクタール、焼失額四千二百六十万円という大惨事を招くに至ったのであります。
 この山林火災に対処し、県及び呉市災害対策本部では、陸上自衛隊、海上自衛隊、広島市消防部隊、呉市消防団員及び県警察官等の出動を要請するとともに県が国より先に四十三年度から実験を始めていたヘリコプターによる消火剤の空中散布を行なったのであります。この空中消火活動は、ヘリコプターが小型であったことや当時の異常なほどの火勢の強さと、この地域特有のしだ類にはばまれ、ほとんど効果がなかったとのことであります。
 広島県は、さきに申し述べましたように、全国でも山林火災の多発地帯として知られており、ことに昭和四十四年八月から四十五年三月にかけて、三百三十件の発生を見ており、県当局においても、その対策として実際の消火活動と治山の両面から取り組んできたとのことであります。消火活動の面では、まず火災現場を取り巻く林木を切り倒して防火帯をつくる方法が考えられ、これには人海戦術が必要なので、四十四年、陸上自衛隊にチェーンソーやナタ、カマなど千三百人分の消火資材を備えるという全国初の試みを実施してきたとのことであります。しかし、このような方法も、今回たつとい人命の犠牲を見たのであり、さきに述べましたヘリコプターによる空中散布も実用化にはほど遠いものでありました。地元では国による抜本的な林野火災対策の樹立を強く期待しておりました。
 続いて私たちは、市内広町掲山山腹一帯の遭難現場に向かったのであります。掲出中腹から見おろす現場は、三十度以上の急傾斜で全体がすりばち状になっており、その中央に低い尾根がありました。殉職した消防職員はこの尾根で消火作業を行なおうとしていたのであります。市消防局長の説明によりますと、突然時速九十キロにも達する突風が谷間から頂上に向けて吹き上げ、猛烈な火災の渦となって五百メートルほどの斜面を数分程度の速さではい上がり、一瞬の火勢のすさまじさは想像を絶するものでありました。それに加えて花こう岩の山はだでは、迫る火から逃げようにも足首まで埋まる砂まじりの山土になすべくもなかったのでありましょう。現場には黒焦げになった伐採あとの切り株や灰に近い木の燃えかすが黒々と散在し、その中で炭化しながらも立っている雑木は、手に触れるだけで簡単に折れてしまいます。この木と一緒に遺体はみな真黒にこげてほとんどの方が頂上を向いてかけ出すような姿勢で倒れていたとのことでありまして、まことに悲惨そのものでありました。私たちは花束をささげ、黙祷して殉職者の御冥福を祈りました。
 さて、このような多くの犠牲者を出した県、市当局から次のような要望がありました。
 第一は、林野火災に対処する戦術は、林野火災用としての消防機器開発の立ちおくれと相まって、近代的戦術が確立されていない。この際、消防機器を積極的に研究開発し、装備の近代化と消火戦術の確立をはかられたい。
 第二は、民有林が里山に多く、レジャーの増大による出火危険と社会構造の変化に伴う保護管理の不十分から、民有林の損害額が国有林のそれをはるかに上回っており、民有林の延焼拡大を防止し、被害の軽減をはかるため、稜線に防火線、防火樹帯の造成、民有林内に区画整理した防火帯を兼ねた林道の増設と、その維持管理の方策を立てられたい。
 第三は、農山村地帯の労働力は、今後さらに減少する傾向にあり、従来のような人海戦術は不可能である。したがって、航空機等による科学消火体制の確立と強力な消火剤の研究開発をはかられたい。
 以上であります。
 次に今回の調査を通じて私たちが必要と感じた対策上の問題について申し上げます。
 第一は、出火防止のための各種の予防措置をさらに積極的に推進することであります。林野火災は、今回の例にも見られますように、その発生原因には人為的なものが多く、しかも最近のように道路交通網の発達、レジャー人口の増加による出火の機会が増大する傾向にあるとき、その対策において出火防止の徹底が特に重要であると考えます。従来、関係当局においては通達等により予防措置の指導がなされているようでありますが、はたしてその末端の地方団体に十分その趣旨が徹底されていたかどうか疑問を抱かざるを得ません。各種の予防啓蒙宣伝にしてもマンネリ化し、効果が薄くなっているものもあると思われます。この際、PRの方法、広報媒体等について再検討し、関係機関と十分連絡をとりつつ、きめこまかな施策がとられるよう要望します。
 第二は、林野管理の徹底であります。
 遭難現場での異常と思われるほどの火の速さは、燃えやすいものが大量に放置されていたことであります。すなわち、最近の燃料革命で、まきの需要が激減したこともあって、下枝の切り取りや、かん木類の伐採、下草の刈り取りが十分でなく、また火災危険期における林道の管理が十分でないこと等から防火線としての効果を欠き、また消火活動を困難にしているとのことであります。林野の管理は広域にわたり、しかも過疎という現状から、その万全を期することはなかなか困難な面があろうかと思われますが、この際、国においても単に出火防止という観点からのみでなく、治山治水対策の側面からも日常の林野管理について根本的に考えなおす必要があろうかと存じます。防火を考えた林道の整備を早急に進めるべきであります。また県が四十五年度から進めている防火樹帯の設置は、現在の法体系のもとでは民有林には協力が得にくいのであります。特に制度として森林所有者を説得する方途を考慮すべきであります。
 第三は、消火技術の研究開発の促進並びに機械力、機動力の整備の強化を早急にはかるべきであります。林野火災といえば、これまでなた、かま等による人海的な消火方法がとられてきましたが、科学的省力的な消火方法を確立すべき時期にきております。国においては、空中消火に関する研究を数年来続けているようでありますが、早急に結論を得て実用化に踏みきるべきであり、地方では強く望んでおります。また、小型ヘリコプターは指揮、連絡、偵察等には相当効果を発揮するものでありますから、その整備を今後進める必要があります。ただ、ヘリコプターの常時待機、保守、乗員の養成等は一自治体の能力では不可能でありますので、ブロック別に自衛隊、警察あるいは消防等の機関に配置する方法を今後検討する必要があろうかと思います。
 第四は、救済制度の拡充であります。消防職員及び消防団員は、災害が発生するや、国民の生命財産を守るために献身的に活動を行なっているのであります。しかし危険も多く、公務による死傷者も年々ふえている現状であります。今回殉職した消防職員十八人は二十一才の二人を除き相当のベテランであると同時に、家庭においてはいずれも一家の支柱的存在であり、それだけに家族の生活は十分補償されなければならないと思います。現在、制度としては公務災害補償のほか賞じゅつ金により措置されてはいるものの、今後なおその額の引き上げ並びに対象範囲の拡大等について早急に改善すべきであります。また、警察官等に対する特別褒賞制度のようなものもあわせて検討されるよう要望します。
 第五は、財政措置の強化であります。山林火災対策の立ちおくれは財政面の配慮が乏しかったことにも起因しています。林野火災対策関係の予算を例にとっても、従来消防庁にはなく、林野庁においてわずかに森林保険特別会計に計上されている程度で、四十五年度になってやっと予算措置が講じられた状況であります。今後さらに予防措置の充実をはかり、林野火災対策の万全を期するためには、国の財政面における特別の配慮が必要であります。また、地方交付税における消防費の基準財政需要額の増額についても十分考慮されるよう要望いたします。
 最後に、政府は、今回の災害を契機に、林野火災のおそろしさを再認識され、再度災害の防止と殉職者の霊にこたえるためにも、早急に総合的な林野火災対策を確立すべきことを要望して、報告を終わります。
#29
○委員長(北村暢君) 次に、本件に対し質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#30
○武内五郎君 先般呉市に起きました山林火災の現状を見て、いま上田理事からの報告がありましたように、まことに痛ましい状態でございます。私どもえりを正して今後対策を検討しなきゃならないと強く考えてまいった次第であります。私は、このような痛ましい事件が発生したことについて十分検討しなきゃならぬと思いまするが、今後再びかかる事態にならぬように、いろいろな施策の改進が必要であると思います。ここであらためて、私はまず今回殉職された消防士、消防署員の方々に、どういうふうな賞じゅつ、救じゅつの道を講ずべきであるかということを考えるとき、全く心寒い思いがするわけであります。そこで私は、かりに最大の賞じゅつ方法を、今日現行されております賞じゅつ方法の最大のものを行なっても、私は報いられるものが足らぬと考えるほど痛ましい事件であります。とにかくどういうふうな賞じゅつ、救じゅつの道が講ぜられるのか、まずその点からお伺いしていきたいと思うのであります。消防庁長官。
#31
○政府委員(降矢敬義君) ただいま武内先生からお話ありましたように、われわれもこういう痛ましい事件に対しまして心から哀悼をささげるとともに、これを契機にして一そう林野火災対策、わが消防庁所管の問題について努力をしてまいりたいと思っております。
 御質問のございました点でございますが、一つは消防表彰規程によります殉職者に対する賞じゅつ金でございます。この点は特別功労賞を差し上げますとともに、本年度の予算できめていただきました最高額の三百万円を支出することに決定いたしております。それからなお御案内のとおり県におきましても同様の制度が実施されておりまして、国の額に対応いたしまして県といたしましても同額を賞じゅつ金として支給することを決定いたしております。同じように呉市におきましても聞いておるところによりますと、同額を賞じゅつ金として差し上げるということに決定しているようでございます。また、内閣総理大臣のほうから特別に賞じゅつ金として百万円を先般の十一日の閣議決定においてしていただきまして、昨日私が総務長官から受領してまいりました。そのほか御案内のとおり公務災害補償法によりまして、遺族補償ということが当然行なわれるわけでございます。またそのほか同様に葬祭料その他の点につきましても支出されるということになっているわけでございます。なお、申しおくれましたが、叙位叙勲につきましても、本日の閣議で決定していただきまして、一審階級の上の方と二番目の特進されました方については旭六でございまして、あと全員について旭七ということで閣議決定を見たように本日承知いたしました。
#32
○武内五郎君 いま御説明がありました特別功労金、それから内閣で特別に出すようになりました特別褒賞金というような、あるいは広島県で特別にとりました措置等のほかに、消防署員でありまするから、これ地方公務員ですな。
#33
○政府委員(降矢敬義君) そうでございます。
#34
○武内五郎君 地方公務員が業務上でいろいろな災害を受けたと、あるいは人命を損傷したとかいうようなことがありますると、それらはどういうふうな形の法律で救済されるようになりますか。
#35
○政府委員(降矢敬義君) 地方公務員が公務による災害を受けた場合には、地方公務員災害補償法によりまして、この場合は遺族の方に対する年金、それから葬祭料等が支給されることになるわけでございます。
#36
○武内五郎君 地方公務員の災害補償法に基づく遺族補償年金ですか、それからお葬式が行なわれるでしょうから、葬祭の補償金というようなものだろうと思うんであります。さらに消防署としては消防表彰規程に基づいた賞じゅつが行なわれるんですか。
#37
○政府委員(降矢敬義君) 御指摘のとおりでございまして、消防庁長官告示がございまして、それが消防職員の表彰規程がございまして、それに基づきまして先ほど申し上げましたとおり特別功労章というものを差し上げますとともに、それに伴いまして賞じゅつ金というものを差し上げることになっているわけでございます。
#38
○武内五郎君 私は、それらの交付をされる金額等については、ここでは私は承りませんが、遺族がその生活と受けた心の痛みに十分報いられるように、慎重な手厚い御措置を特にお願いしておきたいと思います。
 そこで、なお私はこれに関連いたしまして、今回は公務員でありました。地方公務員であったので、これらの地方公務員災害補償法等に基づいた、あるいは公務員法に基づいた救じゅつ、救済の道があるのでありまするが、かりにこの殉職者の中にあるいは犠牲者の中に消防団員が入っていた、あるいは消防作業に従事協力した地方人の人人が入っておったとするならば、どういうふうな救済の方法があるんですか、これを伺っておきたい。
#39
○政府委員(降矢敬義君) 第一番目には、先ほど申し上げましたとおり、消防表彰規程によります殉職者賞じゅつ金というものが消防団員の場合にも当然適用されることになっております。それから第二は、公務災害でございますので、その点につきましては消防団員等公務災害補償等共済基金法というのがございまして、これによって消防団員の場合におきましても、やはり公務災害補償として遺族年金が支給されることになっております。それからいわゆる部外の方と申し上げますと、消防職員及び消防団員以外の方のいわゆる協力者につきましても、ただいま申し上げましたような消防団員の場合の公務災害に関する規定がございまして、その中にやはり協力者に対する災害補償金を支給するということになっておりまして、それによって支給をいたすということになるわけでございます。
#40
○武内五郎君 消防職員もそうでありまするが、そういう見舞い救じゃつ金あるいは褒賞金というようなものの算定いたしまする基礎は何によりますか。
#41
○政府委員(降矢敬義君) 公務災害につきましては、月の給料を日額に直しまして、それによって一定の倍率をかけて計算するという方式があるわけでございます。それは国家公務員、地方公務員を通じまして、同じような方式によって公務災害の補償をいたす、こういうことになっております。それから殉職者賞じゅつ金のほうにおきましては、功労の程度によりまして四段階ございまして最高が三百万円であり最低が百万円、ことしの予算でそれぞれこの額を倍にいたしたわけでございますが、こういうことでその長官の功労章といたしましては特別功労章、それから顕功章それから功労章という三段階の章がございまして、それに対応いたしまして先ほど申し上げました百万円から三百万円の間の賞じゅつ金が支給される、こういうことになっておるわけでございます。
#42
○武内五郎君 いまその算定の基礎になりまするのは、賃金のあるいは俸給の日額に割ったものであるとする御説明がありましたが、消防団員の給与というものはどれくらいなんですか。
#43
○政府委員(降矢敬義君) 消防団員につきましては御案内のとおり給料というものはございません、非常勤でございますから。そこで消防団員の
 いわゆる計算の基礎額になる金額につきましては、それぞれ政令でその点をきめてございまして、本年度これを改定いたしまして、従来は最低千八百円でありましたものを、最低二千円に引き上げました。それからもう一つはその勤務年限に
 つきまして五年未満、五年から十年、十年から十五年、十五年から二十年、二十年から二十五年、二十五年以上、こういう六段階の区別がございましたが、本年、これを改定いたしまして、三段階にいたしました。十年未満、十年から二十年未満、二十年以上というふうに、三段階にいたしました。それからもう一つは、消防団につきましては、御案内のとおり、団員あるいは班長、分団長、副団長、団長という階級に分けて仮定の基礎額をきめているわけでございますが、本年の改正におきまして、この一番下の団員及び分団長、班長というところを一緒にいたしまして、これを四段階にいたしました。そういうことによって全体の給付率、給付の割合を年限とそれから階級の区分を短縮いたしまして、引き上げることにいたしたわけでございます。
#44
○武内五郎君 昭和四十六年の地方交付税による単位費用というものは、四十六年では千二百円になっておるじゃないですか。それが千八百円から二千円に引き上げられたというのは、いっそういうことになったわけですか。
#45
○政府委員(降矢敬義君) 四十五年度におきましては、最低が千八百円でございました。それで、四十六年度におきましては、これを二千円にするということで、政令を改正する必要がございます。で、予算の段階ではそういう話をいたしまして、政令を改正をして、こういうふうにするという考え方でございます。
#46
○武内五郎君 どうも納得できません、その点は。昭和四十六年は、四十五年が七百円であったが、五百円アップして千二百円にしたんだ、こういうことがたぶんこの白書の中に出ておるんじゃないかと思うんですが、それが千八百円から二千円になったということはわからぬです。
#47
○政府委員(降矢敬義君) 武内先生御指摘の額はいわゆる出動手当の額でございまして、出動手当につきましては、四十五年は御指摘のとおり、七百円でございました。で、四十六年にはこれを五百円上げまして千二百円にいたすことにいたしました。そして、これは、いわゆる団員の報酬とは関係ございませんので、火災の場合に出動する、あるいは警戒のために出動する、あるいは訓練のために出動するというときに、その出動のたびに消防団員に支給されるものが出動手当でございます。
#48
○武内五郎君 消防団員には給料はないと、こういうんでしょう。だから、手当ですな。これは手当で、手当の額が、じゃどれくらいか、その出動した場合の出動手当は。千八百円が二千円になるというならば、いわゆる通常支給される団員手当というものはどれぐらいですか。
#49
○政府委員(降矢敬義君) 消防団員につきましては、少し御説明させていただきたいと思いますが、非常勤でございますので、報酬というかっこうで、交付税の措置におきまして四十五年度におきましては報酬ということで、団長は二万円、副団長は一万五千円、それから分団長が一万円、団員は五千円ということで、標準の経費として交付税の財政需要の中にそれだけ算入いたしました。これは年額でございます。そのほかにいま先生御指摘ありましたように、四十五年七百円というのは、出動するたびに一回ずつ払うという額が四十五年度が七百円でありましたのを、四十六年には千二百円にするということで、これを交付税の基準財政需要額の中に算入いたしたわけでございます。だからこれは出動ごとに支払われる額でございます。
#50
○武内五郎君 そこで承りたいのは、その賞じゅつの算出の基礎になるべき給与は一体何によるのですか、消防団員の。それから地方民の協力者に対する賞じゅつ、見舞い金というものの算出の基礎というものは一体何によるのですか。ここでもたもた説明するよりも表にして、消防団員の場合は何の法律によってどれぐらい出るのだ、それから団員は何の法律によってどれぐらい出るのだ、一般協力地方民は何によってどういうふうになるのだ、こういう表をつくってください。
#51
○政府委員(降矢敬義君) この基礎額の計算につきましては、公務員に準じて仮定の基礎額を政令で定めるわけでございますが、ただいまお話しありましたように、表にいたしまして差し上げたいと思いますのでそれで御了承願いたいと思います。
#52
○武内五郎君 昭和四十四年の十一月に消防審議会ですか、から答申が出て、消防活動のあり方についてかなり詳しく指示されておるようであります。それに基づいて一体特に林野火災についてその答申の趣旨にどれぐらいの程度にいままでこたえられた施策がとられてきたか、たとえば特にあの答申は消防活動における組織の問題が強く出ております。たとえば消防本部、これは司令部だと思うのですが、その消防本部、その下に消防士、一体、特に林野火災においては、消防庁と林野庁が協力して一体になって活動しなきゃならぬように指示されておる、それらを含めた活動組織というものが確立しなきゃならぬことになっております。それがまず第一が、それにこたえる組織がどういうふうにつくられておるか。第二の問題で、私は、この順序はどうでもいいですが、私の考え方で指摘しますると、消防活動を科学的に近代化的に組織しなきゃならぬ、こういうふうになっているわけです。近代化というのは、ここできよう上田理事からの報告がありましたように、のこぎりやなた、かま等による人海消防活動というものから、機械化されたもの、あるいは科学的な、薬剤等によって消火作業が行なわれるようにならなければならぬというような、そのための施策がとられなければならぬことがあげられている。さらに、これは特に重要な問題でありまするが、いまも私はその一端に触れてお尋ねしているわけですが、事務的な問題、特に消防団員の団員数の確保の問題がかなり強くうたわれております。そういうようなことについて、消防署並びに林野庁はどういう対策をもってこれにこたえているか、御説明願いたい。
#53
○政府委員(降矢敬義君) 四十四年の十一月に消防審議会の御答申をいただきまして、いま御指摘のようなところが答申の中心の課題ということと理解しております。
 第一番に御指摘がありました組織の点でありますが、この点は、県におきましてはわれわれのほうは林野庁との間に研究会を設けまして、そして分担をいたしまして、われわれの消防のほうにおきましては主として消火体制を担当する、林野庁のほうにおきましては主として出火防止のための措置というものを担当するということにいたしまして、私のほうといたしましては、なお自衛隊における空中消火の問題もございまして、これとの取り組み方につきましては、林野庁の研究所あるいは私のほうの消防研究所等とも四十四年からこの空中消火の研究に入ることにいたしました。また、地方段階におきましては、地域防災計画、こういうものの中におきまして、林野火災の広域性というものに対処する体制というものは当然とられなければなりませんし、私たちも県の段階におきまして、自衛隊あるいは地元の消防、県の防災、こういう関係の方々の連絡をとる体制をつくるように指導してまいりましたし、また広島の場合におきましては、御案内のとおり、先ほども御報告ございましたように、県が資器材をある程度備蓄をするというようなやり方も、一つの組織の一環として行なってきたわけでございます。まだ全体としてみますと、なお具体の動き方につきましては、これは図上訓練とかあるいは実施における総合訓練というものを経ませんと、実際の場合になかなか連絡協調を、図上だけではうまくいきませんので、たとえば広島の場合にも年一回そういう総合的な機関の参加を求めて、林野庁も入りました総合訓練を実施いたしているわけでございます。そういうことが組織の点として答申を受けましてやった点でございます。
 それから第二番目の科学的な消火方法でございます。この点は、第一番目には何と申しましても空中からの消火の問題でございます。この点は先ほどもお話申し上げましたとおり、この答申を受けまして四十四年度から実験段階に入りまして、四十五年の三月には九州の久住におきまして約一週間程度の実験もやりまして、このときの成果といたしまして非常にはっきりしておりますのは、延焼防止のためにいわゆる間接消火と申しますか、防火線を設定する印そういうために空中からある程度の幅の、たとえばあのときには幅二十メートル、長さ百メートル程度の薬剤散布を行ないまして、これによって防火線を設定するということはかなり成功しておるようでございます。ただ、問題は空中から散布する機械でありますが、これは私のほうの消防研究所ではある袋をこさえて、袋に最大二トンあるいは一トン程度の薬剤を入れてこれを散布するわけでございますが、この袋の開発にまだ若干研究を要する点があるようでございます。もとより、これは袋でなくて、一部におきましてはドラムかんあるいはこれに似た若干のしかけをしたものを散布機として使っている例もございますが、なお広く実用に供するためには、若干時間を要するようでございます。
 それからもう一つは、四十五年の予算から科学的なものとして考えておりますものに、いわゆる万能トラクター、一般にウニモグと称されておりますが、いろいろな器材を積んで相当の勾配の、あるいは相当の傾斜地も自由に登はんできるという機械を配置することにいたしました。これには消火器からあるいはいろんな資器材をすべて積んで、相当のところまで勾配があっても登れる、というような機械を配置することにいたしたわけでございます。この点についてなお若干未開発でございますのは、この消防審議会の答申にもありますとおり、小型の強力なポンプ、現在、可搬式動力ポンプというのは、御案内のとおり相当性能の高いものが出ておりますが、何といいましても、二人で運ぶにしましても、全体小さいもので、八十キロ程度でありまして、かなり山林火災としては、現場に持っていくのに、機械を使えばさることながら、なお入る場合には相当重いわけでございまして、この点のもっと小型な軽いもので強力なものを開発する必要があるのじゃないかということが一つ考えられております。それからもう一つは、もっと機動力をつけるという意味で、スクランブラーと一般に申されておりますが、簡単に言えばオートバイでありまして、それに小型な消火ポンプ機というものをつけて、ある程度の細い道でも、かなり急な坂でも登はんできるような、そういうものを開発するということが
 一つの問題でありまして、消防研究所のほうではスクランブラーの開発につきましても着手したい、こういう考え方を持っております。
 それから人海戦術の問題でありますが、山林火災がある程度広範な面積になりますと、ことに夜間は防火活動というものを積極的にやるということは非常に危険でございますので、御案内のとおり警戒態勢に入るわけでございまして、どうしてもある程度人の力を借りなければならぬという必要性が、都市の場合の火災に比べましてかなり高いわけでございます。それで一方におきましては機械化による省力あるいは機械力による消防力の強化というものを進めながら、一方ではどうしてもある程度人の力を借りなければならないという問題がございます。こういう意味におきまして、団員の確保につきまして報酬を引き上げるとか、あるいは先ほど申し上げましたように公務災害の給付金を引き上げるとかということのほかに、学校に入れるとかあるいは訓練をするとか、こういうことをただいま具体的に進めてまいっております。にもかかわらず御指摘のような事情でありまして、なおこの点についてば一そう市町村と協力いたしまして進めていかなければならないと思いますが、同時に組織のところで御指摘がありましたように、自衛隊の力を、あるいは警察という大きな人の集団のある力をかりなければならない。これが実際大きな拡大された火災においてはどうしても必要であろう、こういうふうに考えておりまして、冒頭御指摘でありましたような組織における人員の協調、その活動ということについてなお配慮していかなきゃならぬ、こういうふうに考えておりまして、そのような施策を今日まで実施してまいりました。
#54
○足鹿覺君 関連。
 林野庁に関連して一、二点伺いますが、この呉市の大火は呉市消防局という相当の規模の消防職員を持っておったことは不幸中の幸いであったと思う。もしこれがかかる近代的な消防施設を持たない山村地域にあった場合、貧弱な市町村の所管の中にあった場合、事はきわめて重大な状態を惹起すると思いますが、そういう前提に立って二、三お尋ねをしたい。
 この火災の発生したことについての情報をキャッチしたのは何日の何時でありますか。
#55
○説明員(海法正昌君) これは電話で発生と同時に入っております。
#56
○足鹿覺君 そのキャッチした営林署はどこですか。
#57
○説明員(海法正昌君) 西条営林署でございます。
#58
○足鹿覺君 西条営林署が出動したのは、現場へ到着をして消防署と協力の態勢に入ったのはいつであり、どういう態勢で協力いたしましたか。
#59
○説明員(海法正昌君) 出火の連絡を受けまして、西条営林署長が直ちに事業課長を班長とする先発隊の出発の指示をいたしまして、他の職員もその状況によって出動準備を整えさせました。すぐ管理官にこれを指示をいたしました。それから火災状況が国有林であり、大火になる模様というような情報もございましたので、担当区から後続の応援隊の出動の要請がございましたので、直ちにこれに対処したということでございます。
#60
○足鹿覺君 西条営林署の職員は現在何名でありますか。
#61
○説明員(海法正昌君) ちょっとはっきりした数字ここにございませんけれども、出動人員は八十名ほど出動いたしました。
#62
○足鹿覺君 他に周辺には営林署はなかったのでありますか。
#63
○説明員(海法正昌君) この管内が西条営林署でございます。それから措置としましては、営林局のほうからも造林課長が現場に行っております。
#64
○足鹿覺君 この資料による、出動し、消火活動等に従事した人員の中で一番少ないのは営林署の職員ですね。わずかに八十名ですね。他の面は呉市の消防局職員が二十三名というのがありますけれども、広島市からもかけつけておる。西条署と現場との距離はどの程度あるのですか。
#65
○説明員(海法正昌君) 署員はほとんどあげてこれに参りましたので八十名参りましたが、ほかにほとんど余裕がございません。
#66
○足鹿覺君 私が聞いておるのは西条署と発火地点と死傷者の起きた距離はどの程度あったのですか。何キロぐらいあるのですか。
#67
○説明員(海法正昌君) 調べてお答えを申し上げます。
#68
○足鹿覺君 他のすべての機関が総動員しておるのにもかかわらず、広島には西条署のみならず他にもあろうと思いますが、他に営林署はないのでありますか。
#69
○説明員(海法正昌君) 当時、非常に乾燥しておりまして、山火事の非常態勢下に各署入っておりまして、最も近い西条営林署が総力をあげて消火に当ったわけでございます。
#70
○足鹿覺君 そういうことを聞いておるのではないのです。何キロ離れており、広島県には幾つの営林署があるかということを聞いているんです。
#71
○説明員(海法正昌君) 現在三署でございます。
#72
○足鹿覺君 三署に対して出動命令は出されなかったのですか。
#73
○説明員(海法正昌君) この出動の問題でございますが、先ほどお話もございましたとおりに、予消防の面について、国有林側は主として予防を担当しておる――林野としては予防面を担当しておるということでございますけれども、国有林につきましては地域協力というたてまえから、あるいは自衛消防というたてまえから、地域防災会議のメンバーとして参加をしておりまして、特に林野火災については自衛消防態勢というものをとっておりますので、それを動員をいたしまして消火活動に当たるということにしておるわけでございます。それで、今回の場合にも西条営林署からのその組織というものを直ちに動員をいたしまして、現場に向かいまして、消防のほうと連絡をいたしまして消火に当たったわけでございますけれども、なお、先ほどお話しございました夜間の防衛の問題につきましては、国有林においてこれは徹宵して当たって総力をあげて消火につとめたところでございます。
#74
○足鹿覺君 私は、国有林だけの管理にあたるのが営林署の使命ではないと思うのです。林野庁は林野行政全般に対して指導監督し、さらに林野の育成、保護等に当たる官庁だと思いますが、あなたのいまの御答弁を聞いておりますと、国有林国有林というおことばのみありますが、この地点が国有林が幾らあり、民有林がどういう状態であったかということを、私は現場をつまびらかにしておりませんが、国有林であれ民有林であれ――営林署は国有林のみを対象にする役所でありますか。
#75
○説明員(海法正昌君) ことばが足りませんで申しわけございませんが、消防の面につきまして私どものほうでこれに当たると、協力をするかっこうになりますと、国有林の組織を使ってやる国有林のみに、国有林の消防に当たるということではございません。いわゆる自衛消防組織というものを持っておって、それをもって国有林のみならずそのほかの火災消火に当たると、こういう意味でございますので、国有林が国有林のためだけにのみやるのだということは、私もことばが足りなかったところであろうかと思いますので、それは訂正をさしていただきます。
#76
○足鹿覺君 要するに四つの営林署があるのに対して、あなた方は緊急出動命令も出しておられんですね、西条署だけにまかしておられる。そういういわゆる十七、八名からの人々が死なれた、こういう事態に対して県内の営林署に直ちに出動命令を発し、他の官庁と協力して消火態勢、消防員の救出等に対してやられなかった理由はどこにあるんでありますか。私の見たところでは、何かきわめて消極的であり、能動的でなく、総合性に欠けておるという印象を受けますね。
#77
○説明員(海法正昌君) 先ほども申し上げましたように、当時非常に乾燥しておりまして、火災の出火の危険が非常に多いわけでございます。したがいまして、各営林署におきましては、それぞれそういう態勢をとっておかなければいかぬところでございます。それで今回はその地域にありますところの西条営林署が総力あげて消化に御協力をしたと、こういうことでございます。
#78
○足鹿覺君 ただいまの御発言は私は容認することができません。いやしくも知事が自衛隊、しかも海上、陸上の自衛隊に対して出動を要請し、約六百名余の隊員を出動さしておる。このような状態の中にあって、四つの営林署をかかえておるあなた方が、いかに出火の危険が増大している地点といえども、事は人命に関する問題ではありませんか。なぜ他の営林署に対して日ごろからそういう点について出動態勢を完備しておかれなかったのか、少しあなた方のかかる問題に対する即応性といいますか、対応性に欠陥がある、かように言われても一弁明の余地がないではありませんか。
#79
○説明員(海法正昌君) ただいまのおことばでございますが、いつでもこういう消火態勢をとっておることは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、それに対して、今回の火事に対してほかの営林署が出動しなかったということであろうかと思いますが、それはやはりそういう危険期にございますし、最も管内の近い営林署から対処をしたということでございます。
#80
○足鹿覺君 私は非常にそういう態度は遺憾だろうと思うんです。いやしくも海上、陸上自衛隊が出動するということは最大の危機であるからであります。にもかかわらず、山林行政の中核体である指導官庁が他のほうにのみ気をとられ、かかる十七名、十八名の死者を出すような状態に対して、他の三つの営林署に対しても最小限度の要員を配置し、残るものに対しては現場へ急行せしめるのが林野庁の態度ではありませんか。おそらく常識ではないですか。
 消防庁に伺いますが、林野庁は西条営林署の林野庁職員はどういう部署につき、どういう活動を担当してあなた方に協力をしたのでありますか、伺いたい。
#81
○政府委員(降矢敬義君) その点につきましては、いま承知しておりません。
#82
○足鹿覺君 林野庁はどういう現地報告を西条署から受けておりますか。少しおかしいじゃありませんか。非常態勢に即応性がないじゃないですか。こういう重大な事態に対して国有林だけ守っておればいいという、人命を守るのはあたりまえです。
#83
○説明員(海法正昌君) 国有林を守っておるというお話でございますけれども、国有林、民有林ではなくて、そこにまいりました場合にその山火を消すということが主眼でございますから、これは決して国有林だから国有林を守っておるということではございません。ただ先ほど申しましたように、この予消防につきましては、林野としては予防という面に重点を置く、それから消防庁のほうには消防のほうを受け持つということで進んでおります。したがって、火災が起きました場合に最も近いところからそういう態勢はとれますし、各営林署においても始終そういう消防態勢はとっておりますけれども、その自衛消防というものを活用するということでございまして、国有林だけ守っているからどうのということではございません。
#84
○足鹿覺君 だって西条署だけに出動命令を出して、他の営林署は動いてないじゃありませんか。そこに問題があるのじゃありませんか。山火事の予防に当たられるということに対してきわめて忠実におやりになるようなことを私は何ら異議のあるものではありません。かかる超異常事態に対して、死者が二十名近く出るようなときにさえ、その現状認識のキャッチがおそい、これに対応する命令、指導系統が消防署との間に常にとられておらない、そういう点をよく反省をされて、今後能動的にこのような事態に対応されることが好ましいと私は思う。そういう御答弁を私は期待しておりましたが、ただ弁明にのみ終始されることを遺憾に思うのです。
 いま一つ関連でありますから伺いますが、武内委員の質問に対して後日資料が出るそうでありますから伺いますが、山を守り、山を育て、地域住民がこの山によって生計を維持していく、これが林野庁の大きな使命の一つだろうと思う。その地域住民が協力をした、おそらく山村の周囲の住民の人だろうと思う。その人々に対して林野庁としてはどのような感謝の意を表し、協力に対してどのような協力感謝金を出し、あるいは、さらに死者や遺族に対しては国有林であれ民有林であれ、身をもって消火に当たり、その犠牲を受けた人々に対して林野庁自体として何らかの措置があってしかるべきだと思う。私はさように思う。何らの措置も講じなくて、このまま推移してよろしいとお考えになっているのでありますか。これは林野庁の長官に私は御所見を承りたいが、まことに遺憾だと思う。全体を通じてあなた方は日ごろから国有林に専念をしておられる。しかも林野庁は国有林の保全のための使命のみではないことは日ごろから力説している。私は口が悪いから、別に気にとめて聞いていただく必要はありませんが、国有林管理庁と名前を改めたらよかろうというふうにいつもいうのですが、民有林に対するあなた方の対応性というものはきわめてぬるい、対策は手薄い、そういう点から林野行政の地方農政局の移譲の問題に対しても、あなた方は反対をされた。官庁の権利争いかなわ張り争いか知りませんが、反対をされた。もし、これが地方農政局に移譲になった場合は林野庁の意のごとく営林署が動かなくなる、こういう点があったと思う。そういう矛盾がこういうときに暴露してくるのであります。ですから、協力した者に対して後日配付されるであろうものはおそらく微々たるものであると思う。死者に対する慰霊、遺族に対する救じゅうつ、今後の生計の維持等について必ずしも万全とは推定できません。これらの点について林野庁としては、協力した地域住民に対してどういう感謝の意を表し、今後に備えて万全を期せられるか、これが一点。
 死者の遺族に対しても林野庁はどのような処置を講ぜられるか検討しておられますか。もし検討がないということになりますと、私は問題だと思う。事は一消防署の所管のみではありません。山は国民のものであり、その山の管理に当たっているのがあなた方の官庁なんです。その山を守るために人が死んだのである。地方公務員の許された範囲内における遺族及び死者に対する範囲を越えて、山を守らんがために倒れた人々に対するあなた方自体としての当然とるべき責任もあり、措置があってしかるべきだと思う。どのように御検討になっておりますか承りたい。
#85
○説明員(海法正昌君) 先ほどお話ございましたまず消防態勢の問題についてちょっと触れさしていただきますが、先生のお話にもございましたように、消防態勢につきましては常時これをとっておりますので、この点については極力そういうふうにしてまいっております。またそうしてまいりたいと思います。当日は、先ほども申し上げましたように、非常に乾燥しておりまして、小さい火事がほうぼうにあったようでございます。そういうわけで、西条営林署で処置をしたということでございます。
 それから、なくなられた方に対しまして、また地元の協力されてなくなられた方に対しましての措置につきましては、前向きにひとつ検討さしていただきたいと思います。
#86
○足鹿覺君 前向きで検討するということは、協力者に対しても林野庁独自で何らかの対策を具体的に講ずる、死者の遺族に対しても何らかの措置を講ずる、物心ともに、こういうことと解してよろしいですね。
#87
○説明員(海法正昌君) その方向で検討してまいりたいと思います。
#88
○足鹿覺君 これから検討するのか、のんきな話だな。もうよろしい関連だから。林野庁の性格がよくあらわれている。
#89
○武内五郎君 林野庁に対する質問が実はたいへん私の内容と同じ方向を示すものなのでそれはカットします。もう一ぺん消防庁にお願いします。呉が人口二十三万五千、ところが消防職員の定員が二百二十六名なんです。ところが現員が二百二名です。これは施設の中で消防車は十九台が保有されております。やはりあそこはもう非常に年々山林の火災が起きまして、非常に山林火災の多発地域だと思うのですが、特に昭和四十四年の三月に起きた火災で消防職員が五名死傷者が出たわけです。呉市ではおそらくそういうような事件が重なってまいりまして、非常に神経を使って心配しておったと考えるのですけれども、いかんせん地方財政がきわめて貧困で、二十三万の地方の中小都市では全く財政が苦しいだろうと思うのであります。そこで、まことにその消防署員の給与が少ない、安い。ところが非常に勤務が激しい。火事が非常に多いので勤務が激しい。一ヵ月に二十四時間勤務をやる日が十三日も続いている。さらに十三日は出動のための待機をやらなければならぬ。そういうような非常に激しい勤務、激しい労働をさせられているわけであります。だから私は消防署員がだんだん減っていく、そこへ就職しようとして行く若い人たちは行きたがらなくなっちゃう。まして消防団員になってまいりますと、出動手当ぐらいなので出てもたばこ銭にも足らぬくらいのものではこれは何にもならぬ。帰ってきてしょうちゅう一ぱい飲んでからだ休める程度であるならば行く魅力がなくなる。出かせぎに行ったほうがいいのであります。そういうようなことで、職員すらだんだん減っていって職員の保持が困難になってくる。まして団員の保持というものは困難になる。こういうようなことで、私は非常に緊急な重大な事態に対処することが困難になってくるのではないか。私はだからこそ職員の待遇、団員に対する給与というようなものの改善が必要であることを申し上げたい。そのためにこそ努力してもらいたい。私は山林火災もそうだが、一般の市街における火災の活動等においても、そういう火災を減らすことの一つの手がかりである。だから科学的な、近代的な消防施設が必要であります。いまのように山は、山火事になると草なぎ式の消防活動ではどうにもならぬ、なたとかまの草なぎ式の消防活動ではどうにもならぬ。だから、そういうことも必要だが、私は人間を大事にすべきだと思う。そこから私は山林火災の防止、消火というようなものの手がかりがあるのではないか。それをひとつ私は、答弁は要りませんが、もしあったら伺いたいと思います。それをひとつ努力していただくように要請しておきます。
 そこで、これは林野庁に最後に一つだけ……。足鹿委員から重要なポイントの質問がありましたので私はそれに触れません。この白書によりますと森林消防隊を組織、育成する、こういうことになっている。「育成に努めてきた。」となっている。だから、そうなってくると先ほどの足鹿委員の質問がまことに合っている。「きた。」となっているのですよ。これは四十五年度林業白書一一四ページ「育成に努めてきた。」。どういうふうに、どこで、何をやったか、それをひとつ説明してもらいたい。
 それから、これは珍妙なことになるのですが、林野関係で私はいろいろな質問をしたい、ここで。これだから自然にとまったのだと、その自然にとまったいろいろな原因をつかんできております。それらをやると時間がかかる。だからそれはやらぬ、こういうことなんです。まだその制度があるかどうか、私はいまわかりません。山火事の現場で協力した人々に対して、これは珍妙なことばを使っている。かけつけ――応援に行くことをかけつけと言っている。かけつけ謝礼金、それが幾らくらい出るかというと、三時間働いた人には百円未満、三時間から五時間働いた人には百三十円、五時間以上働いた人には百五十円とか、こういうようなものの考え。常識では考えられない制度が林野庁にあるようである。まだあるのだろうか、こんなばかなことがあるから、諸方面からも離れてしまう。こういうばかなことがまだあるのかどうか。こんなことをやめて、相当な謝礼と誠意を尽くすべきだと思うのですが、どうなんです。
#90
○説明員(海法正昌君) 自衛消防の問題につきましては、三重県ほか三県くらいにその組織ができております。なおこの消防態勢につきましては、現在地域防災会議というのがございますので、国有林の出先におきましてはこれに参加をいたしまして必要な措置をとるように協力態勢をとっておるところでございます。また、消防組織といたしましては、三百五十ほど営林署がございますけれども、これは各署長が長となりまして職員を構成員として林野火災発生に備えておるわけでございます。
 それから、かけつけ手当という問題でございますけれども、これは現在もそういう制度がございます。百円とか百五十円とかいうお話がございましたが、これにつきましてもひとつ考えてみたいと思います。
#91
○高山恒雄君 ちょっと関連ですが、答弁ができなければ資料を出してください。一体、年間の林野庁の損失、いわゆる損害ですね、どのくらいあるのか。ここで答弁ができれば、してみてください。できなければ資料を出してください。
#92
○説明員(海法正昌君) いま林野庁の損害を――林野の損害でございますか。
#93
○高山恒雄君 林野庁として掌握しておられるいわゆる国有林だけではなくて、林野の全体の火災における損失ですね、それはどのくらいあるのか。できれば答弁してください。できなければ資料を出してください。
#94
○説明員(海法正昌君) あとから資料を出さしていただきます。
#95
○上田稔君 ただいま武内委員からいろいろと御質問がありまして、その中に、私がお聞きをしようと思っておりましたこともずいぶん入っておりますので、そういう点は省略をさしていただいて、お聞きをいたしたいと思います。
 まず第一点、消防審議会の御答申によりますと、消防庁と林野庁とが組織が一体になってやるということで、それに基づいて消防庁は消火態勢をつくり、それから林野庁は出火防護をやる、こういうふうにきまっておるのだ、こういうふうにお聞きをいたしましたが、現地におきまして実際に消火に当たっておられるそのときの指揮はどちらがおとりになるのでしょうか。
#96
○政府委員(降矢敬義君) 現地の消防署長でございます。
#97
○上田稔君 そうすると林野庁のほうのいまの営林署から出てこられた消防隊、こういう方々はこの指揮下に入られるわけですか。
#98
○政府委員(降矢敬義君) 先ほど申し上げましたとおり、私たち承知しておりませんが、現場の事情によって全体の指揮下に入る場合と、それから独自の行動を起こす場合とがあると思います。
#99
○上田稔君 呉の出火の場合はどういうふうになっているのですか。
#100
○説明員(海法正昌君) 消防庁の指揮下に入っております。
#101
○上田稔君 指揮下に入ってやっていただいて、またいろいろな専門家ですから御意見を出していただいて、おやりになっていただきたいと思います。現地の非常に混乱した中でございますから、実情を現地に行きまして見せていただきますと、なかなかこれはたいへんだろうと思ったのでございますけれども、林野庁のほうの営林署から出ておられる消防隊の方々は非常にうしろのほうに回って、何といいますか、国有林の一番木のよさそうなところをお守りになっておられるというようなことで、ちょっと町のほうの、市の消防隊の方々が何といいますか、第一線に出ておられるというような感じがいたしました。あれはぜひとも私は林野庁のほうがやはり専門家ですから第一線に出ていただきたいと思うわけであります。
#102
○説明員(海法正昌君) 状況を聞いたところによりますと、消防の方法として、うしろに回って迎え火を放ってそれで消すという方法をとったようでございます。
#103
○上田稔君 状況についてはあまり詳しいことは私は申し上げませんが、ぜひとも林野庁の方はそういう指導面についてもっと積極的に出てもらいたいと思うわけでございます。
 それから消防庁の方にお聞きしたいのですが、消火については林野火災についてもやはり消防庁が指揮をおとりになり、そうしてそれに対する訓練もやっておるのだと、こういうお話でございますが、そのとおりでございますか。
#104
○政府委員(降矢敬義君) そのとおりでございます。
#105
○上田稔君 消防の手段、教育というようなものにつきましてでございますが、やはり林野庁のほうもそういう責任をお持ちになっていると私は思うのです。しかも林野に対する消防というものは、私は林野庁のほうが専門家であるように感ずるわけでございます。呉市のこの間の消火の実際を見ておりましても、お聞きをいたしましても、どうもやはり林野庁のほうが専門的におやりになっているように思います。したがいまして、そういう面で、私は消防庁だけがそういう出火のいろいろの訓練をおやりになるのではなくて、林野庁からひとつお入りになって一緒におやりになる必要があるのじゃなかろうか。で、消火戦術というようなものについても消防庁だけでおやりになっていると非常に何といいますか、おくれてくるというようなことがないだろうか、こういう心配を持っているのですが、いかがでございますか。
#106
○政府委員(降矢敬義君) 御指摘のとおり、先ほど申し上げましたように、県は地域防災計画に基づいて訓練をするときには、たとえば市町村の消防だけということでなしに、林野庁あるいは自衛隊等と、あるいは警察というふうなものと連絡をして合同訓練をしておるということが実情でございます。
#107
○上田稔君 その訓練でございますが、年に一回おやりになっておるんですか。それとも毎月おやりになっておるんですか。
#108
○政府委員(降矢敬義君) 大体年一回ぐらいというふうに聞いております。
#109
○上田稔君 それは消防庁自身が主体になってそしておやりになっておるのか、あるいは地方まかせなのか、あるいは地方の方々をある程度東京とかどこかにお呼びになって大々的におやりになっておるのか、その辺はいかがでございますか。
#110
○政府委員(降矢敬義君) 林野火災につきましては、御案内のとおり、広域にわたりますので、その市町村だけでおやりになるということはあまり実際的でございませんので、実際は県のほうが音頭をとりまして、ある広域的な地域における火災設定をやって、関係機関を糾合してやるというのが実際のやり方でございます。これは県の地域防災計画に基づく防災訓練の型がありまして、それぞれ県において関係市町村と連絡をとって計画をつくって実施する、こういうやり方をとっております。
#111
○上田稔君 この林野火災というのは、火災のうちでも私は特別なもの、特殊なものだろうと思うわけでございますが、やっぱりこういうものに対しましては、もう少し中央のほうで指導を的確にしていただかないといけないんじゃなかろうか。いろんな消火隊をつくるというので、久住高原でおやりになったそうでございますけれども、そういうようなことでもどの幅にどういうふうにしろというようなことについて各団員に――団員でないけれども、まあ各市の消防署ですか、消防団といいますか、そこに徹底されておるわけでもまだないだろうと思う。それからまた自衛隊に一部お預けになっておるようだけれども、これも十分に徹底されていないんじゃなかろうか。それから、延焼を防止するために人力でチェーンソーだとかああいうかまだとか持ってお入りになることを、風の状態と合わせておやりになっておるんだろうと思いますけれども、あるいはまた木が切ってあるか切ってないかというような状態によっても違うんだと思いますが、そういうことについても何らちょっとこう、あとでのこれは知恵でございますから、そういうことはあまり言ってもそれは現地ではわからなかったと言われればそれまでだと思うのでございますけれども、そういうような点についてもうちょっと訓練をしておく必要があるんじゃなかろうかという気がいたしました。そういう点で、もっと消防庁が中心になられて、そして林野庁の応援を得てこういう林野火災というものに対して十分の訓練をやはりお積みになる必要があるんじゃなかろうか、消防庁が指導をされるのであればですね、そういう点をお願いしたいと思います。
#112
○政府委員(降矢敬義君) 御指摘のとおりでございます。山林の火災防御につきましては、一つは教育でございまして、これは消防大学校及び各府県等にございます消防学校におきまして、火災防御の警防という科目の中で実施いたしておるわけでございまして、これにつきます関係指導要領といたしましては、消防大学校におきまして山林火災防御という指導要領というものを、各学校等に配布いたしておるわけでございます。しかしながら、訓練全体につきましては府県の計画に基づいて私のほうも積極的に相談に乗るようにいたしまして、今後そういう点に力をいたしたいと思っております。また、御指摘にございました山林火災の資機材の集積の問題でございます。これは広島県におきましては、先ほどの御報告にございましたとおり、率先して資機材の集積を自衛隊にお願いをしてやったわけでございます。この点は、結局ある程度人が出動する際の問題でありますと同時に、実は県の消防における責任というとちょっとおかしいのでございますが、現在の消防法及び消防組織法のたてまえでは、市町村が火災についての責任者であって、国及び府県、府県の場合を申し上げますと、消防学校における教育とか、その他の点でありまして、そういうたとえば空中から消火をするという消火活動に入りますと、なかなかこのいまの規定の上からうまくいくかどうかという点について、若干の疑問がなきにしもあらずでございます。ただ反面、災害対策基本法というものができまして、防災というものを地域単位に県、市町村というものが協力してやるのだというもう一つの法体系がございますので、私たちは本年の予算におきましても、主として火災のコンビナート対策の一環として府県の防災資機材センターというものを設置して、それに何がしかの補助金を出すという案を出したわけでございまして、そういうものをもう少し法律の上でもはっきりいたしまして、やはり地域全体として防災をする。しかもその災害自体が、かなり一市町村に限らず広域的にわたる可能性があるものについては、やはりもう少し府県自体の積極的な責任というものも明確にしたほうがいいのじゃなかろうか、こういう気持ちを率直に持っておるわけでございます。そういうことで広域的に山林その他の火災につきまして、もう少し府県の援助といいますか、側面的な援助の体制というものを進めなければならない、こういう気持ちを率直に持っております。
#113
○上田稔君 私もその点をひとつお願いしたいと思っております。消防法によると、責任は現地の消防隊にあると、こういうことになっておりますが、もう現在のこの森林火災のような大型のものは、どうしても県、国というようなものが直接出て、そうして指揮をとっていかないといけないというようなことが起こってくるのじゃなかろうか、そういうものに対するやっぱり考え方が不十分である、現在の消防法では。だから消防法というものをもっと見直していくということが必要じゃなかろうか。それからいろいろな消化器材の配分にいたしましても、これはやっぱり非常に広範囲にわたるわけですから、責任を町村にまかされたのじゃとてもたまったものじゃない。やっぱりこれは国あるいはまた県にそういう責任を持たさなくちゃいけない、こういうことで十分御検討をいただきたいと思います。
 それから次に火災防止についての点は、林野庁のほうだということでございますから、林野庁のほうにお聞きをいたしたいと思うのです。林野庁の調べでは、森林火災、林野火災といいますか、林野火災の原因を調べてみると、どうもたばこだとか、あるいはたき火、これがいずれも原因の二五%以上を占めているようであります。消防庁のお調べでも、やはり二五%から二九%ぐらいの原因になっている。両方とも合わせるともう五〇%以上というものがどうもその原因になっているようであります。したがいまして、その二つに対するものが、もし完全にいけば、これは山林火災は半減すると、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、したがいまして、そのたばことたき火、こういうものに対してきめこまかくおやりになっていただいていると思うのでございますが、林野庁ではどういうような指導をしておられるか。たとえばもう現在は林道が山の奥のほうまでずっと入っていっている、そうしてしかもレジャーブームだから、そこへたくさんの人たちが自動車で行ったり、あるいは上がって行ったりしている。たばこを吸ったりたき火をしたりする。たき火のほうはこれは注意をしても中のほうまで入ってたき火をされたらちょっとこれはだめだけれども、自動車で通ってたばこをすっと捨てた、その捨てたときに落ちる範囲が大体どの範囲かということは大体きまってくる、そういうものに対して何か現地に対して指導をしておられるかどうか。それからたき火、これはおもにレジャーの人、それからそのほかに工事をやっておる人、この人がやはり工事をやっているとお茶を飲まなきゃいけないというようなことからお茶をわかす、それでたき火をやる、これがよく出火の原因になっておる。今回の場合もそうなんですが、それに対してどんな注意をしておられるかどうか。特に今度の場合は、工事は林野庁か農林省どちらの工事か、災害対策工事はどちらの工事かわかりませんが、どちらの工事なのかそれもお答えいただきたいと思いますが、その点どんな注意をしておられるか、このことについてお聞きをいたしたい。
#114
○説明員(海法正昌君) 火災は呉市の施行しました農地の復旧工事でございます。それで予防について、たばこ、たき火そういうものの件数が多いがこれに対する措置ということでございますが、まあ最近非常にレジャーブームでございまして、山に入る方が多いということで、どうしても火災に対する認識というものを深めていただかなきゃならぬということでございますが、それで、従来も山火事予防週間というものを設けまして、全国的な啓蒙運動を実施をいたしております。この期間には山火事防止ポスターあるいはパンフレット、リーフレットというふうなものを頒布しておるわけでございます。特に最近これに対して力を入れなきゃならないということでございますので、火災発生危険期の行楽シーズンには車内に、本年度山火事防止ポスターを全国の国鉄列車、電車に掲示をいたしまして、主として観光客の注意をしていただくようにいたしましたほかに、また私鉄の駅の構内その他に山火事のポスターを頒布するというふうにまでいたしたわけでございます。また都市の方が山へ行かれまして山火事を起こされては困りますので、この注意喚起のために、緑化ということもあわせまして苗木の頒布会をやりまして、山火事の予防の啓蒙につとめているというような行事も、昨年からいたしておるわけでございます。その他小、中学生を対象といたしまして、山火事防止ポスターの募集とか、それから危険期におきますテレビ、ラジオを通じましての啓蒙というものに力を注いでいるところでございます。最近、先ほど申し上げました特に列車内の掲示それから苗木頒布会におきますところの山火事の危険防止啓蒙というものについては新しくこれを取り入れまして、何とかひとつ山火事の危険というものを十分知っていただくというふうにつとめてきておるところでございます。
#115
○上田稔君 いま言われたのはごく一般的なもので、山火事の注意といっても、ここに林野庁がお出しになっているパンフレットがありますが、こういうふうなものはこれはいままでおやりになっておったものをここにお出しになっておると思うのですが、こういうようなものでなくて、もう少しきめこまかくおやりになっていただいたらどうなんでしょうか。たとえば山火事の起こるところというのはそもそも全国的に頻度の大きいところがある。そういうところについては林道のたとえばたばこを捨てられる範囲というと、そんなに百メートルも二百メートルもたばこを捨てられるわけではないので、ぽいっと捨てるのですから、ほんのわずか二、三メートルのところだ。そうすると、その範囲内においては、あまり燃えやすいようなものは取っておかなくちゃいけないとか、そういうようなことをきめこまかくおきめになる必要があるのじゃなかろうか。それから先ほどの工事から出火をしたということですけれども、その工事をお出しになるときには、その工事の仕様書の中に、そういうたき火というものは、その周辺をこういうふうにしておかなければいけないと、何メートルかを切り取っておかなければいけないとか、そういうふうなことをきめこまかくおきめになって、そうして関係のたとえば工事をやるところといったら、建設省かあるいは農林省か、その二つぐらいしかないのじゃないか。まあ運輸省もあるかもしれませんが、そういうようなところに対して、そういう出火危険期については、ぜひともそういうものをつけてもらいたいというようなことで、注意をされるというようなことが必要なんじゃないかと思うのでございます。あるいはこれは総理府の中央防災会議のほうでそういうことを注意していただいてもいいんでしょうけれども、私は、ぜひともそういう仕様書の中にそういうものをお入れになる必要があるのじゃないか。この間も現地に行きまして歩きますと、道路の横のところに幾らでも燃えやすいような枯れた竹があるし、カヤがある。これはたばこを吸ってほっと捨てたらすぐ燃え出すという危険がある。ああいうのは取ってしまっておく必要があるのじゃないかというようなことを感じたのですが、そういう点はいかがでございましょうか。
#116
○説明員(海法正昌君) 道路の両側の燃えやすいものにつきましては、これはいま先生おっしゃるとおり、清掃につとめなければならぬ、またそういうように指導してまいりたいと思います。
 それから、きめこまかくというお話がございましたが、これにつきましては、特に道ばたに山火事予防の標板、立看板、懸垂幕を人目につくように相当入れております。また、これは動く灰皿とかいうようなことで、たばこの吸いがらを捨てないように自分で持って歩くようにということを一つの宣伝として頒布をしているようにしておりますけれども、今後ともひとつ十分これは検討させていただきたいと思います。
#117
○上田稔君 現地に参りますと、そういうようなことがちっともないように思います。したがいまして、もっと注意をして、そのきめこまかくおやりになっていただきたいと思います。
 それから次にお聞きをしたいのですが、犠牲者の出たところの両側というのは、国有林であるというふうに聞いております。そのとおりでございますか。
#118
○説明員(海法正昌君) 周囲は国有林でございます。
#119
○上田稔君 その国有林であって、しかもその国有林、おなくなりになったのは先ほどの報告書のとおり小さな尾根の上で大体なくなっておられる、その両側というものは国有林になっている、その国有林は全部伐採されておるというふうに見たんですが、そのとおりでいいんでしょうか。
#120
○説明員(海法正昌君) 伐跡地でございます。
#121
○上田稔君 いつお切りになったのでしょうか。
#122
○説明員(海法正昌君) これは官行造林地でございまして、昨年の十二月に伐採しております。
#123
○上田稔君 そうすると、あるいは下枝というものが全部放置されておったのではなかろうかと思いますがいかがでしょうか。
#124
○説明員(海法正昌君) 作業は全幹集材をいたしておりますので、下枝ごと搬出をしておると聞いております。
#125
○上田稔君 そうすると、下枝はなかったわけでございますか。
#126
○説明員(海法正昌君) 全幹集材でございますから、そのままつるして持ってまいりますが、全然ないということはなかったと思います、幾ぶんは残っておったと思います。
#127
○上田稔君 現地へ行きまして歩きますと、やはり下枝もあったように思えるのでございます。そうでないと、あれだけ火勢が強く燃えないのではなかろうか。なるほど竹もちょうど何といいますか非常に時期が悪くて花が咲いたあとで、枯れてしまっておった。小さな竹でございますけれども、それが枯れておったというようなことも原因だろうとは思うのでございますけれども、この国有林を伐採されたあとにおいて、そういうやはり出火というようなことも考えて、そういう下枝をある程度、あるいはまたもう枯れておるような下草をある幅にずっとお取りになって、全部取るわけではなくても、少なくても延焼防止ができるような帯を国有林の伐採あとにおつくりになるというようなことについては指導はしておられないのですか。
#128
○説明員(海法正昌君) あと地の造林をいたします場合に、巻き落としということで整理はいたします。ただその枝葉の問題でございますが、これは林地の地力維持はその枝葉によってやるものでございますから、これを片づけてしまうというのがいいかどうか、これは問題のあるところでございます。いまお話がございましたように、そういう火災予防という面から必要があります場合には、やはり防火帯とかいうようなもので、国有林においては防火線でございますか、防火線によって措置をしておるということでございます。
#129
○上田稔君 口では林野庁のほうは、そういう防火帯をつくるように考えればそれはそれでいいのだと、またあと片づけば植林をやるときにやるのだというようなことを言われるけれども、現実はもう下枝もある程度放置されて、それがある乾燥期がきて乾燥してしまって、それからあとになってお片づけになるというのが通常じゃなかろうかと思うのです。林野火災というものについてはあまりお考えになっていないのではないか、そのように私たち思うのですが、こういう点はひとつ出火原因というものを取り除くということについて林野庁はこれは責任を持っておられるのだから、国有林並びに民有林について、そういうようなものを絶えず考えて指導されるべきではないかと私は思うのですが、いかがですか。
#130
○説明員(海法正昌君) ただいま申し上げましたように、その枝葉というものが林地の地力維持、林地の地力維持というものは結局葉っぱなり何なりそういうものによって保持されるわけでございます。したがって、造林をいたします場合に、植林のためのそういう巻き落としなりはいたしますけれども、火災という目的のためにそういう巻き落としというものは現在いたしておりません。ただ防火という問題につきましては、必要なところに防火線というものを切って、そしてそれによって防ぐというふうなたてまえにしております。
#131
○上田稔君 呉のような場合は、そういう防火線がつくってあれば、あの消防隊の方々があんな危険なところに行く必要はなかったわけです。だから全国的にそういうようなことをお考えになっておられるのかおられないのか、いままでそういう指導をしておられるのかどうかということをお聞きをしておるのであって、全体の下枝を整理しておるかどうかということではなくて、防火の面においてそういうものを指導しておられるかどうかということをお聞きいたしておるわけです。
#132
○説明員(海法正昌君) 防火の面につきましては、制度的には防火保安林というものがございます。それから防火樹帯を残す、それから防火線というものをつくるということでございまして、火災というものを考えまして必要なところには防火樹帯なり防火線なり、あるいは防火保安林なりというものをつくるということで指導をしております。
#133
○上田稔君 そういうことを言われると、呉の場合は、あそこはそういうものをつくってないというところは燃やしてもいいのだ、火事が起こったらそれは燃やすところなんだ、こういうようなことになっておるように聞こえますね。そういうことになると、消防庁の方があそこの燃やすところに消火に入ったということになるじゃないですか。
#134
○説明員(海法正昌君) ただいま先生のお話ございましたように、あの尾根には防火樹帯が切ってあります。この防火線、防火樹帯の問題は、民有林の場合には非常に所有が零細でございまして、二十メートル、四十メートル幅の非経済林を残すということが実情としてはなかなかむずかしい、そういう実情にはございます。しかしこれらの点につきましても、計画を立てます段階において極力そういうものを設置するように行政指導をしてまいりたいというふうに考えます。
#135
○上田稔君 何かちょっとお考え違いじゃないかと思うのですが、私は、お刈りになったあとに下枝が枯れてきた、それから下草といいますか、そういうものがやはり出火時期には枯れてくるのだから、そういうものがないような部分を、そういう消火帯というか、何かそういうふうなものをおつくりになるように御指導になるお考えがあるかどうか、で、いままでもそうなっているのか。今度見にいったところはそういうものは全然ない。だから先ほどいったように、非常な勢いで下からばっと燃え上がったわけです。あれ樹木があったら上のほうが燃えてそれから次に下が燃えてくるのでしょうが、そんなに太陽の光が下へ届かないから、乾燥状態もそんなに乾燥してなかったはずだ。ところが下枝が切ってあり、そうして下草がちょうど枯れておったから、それだからあんな勢いでばっと上がってきたのだ。これは林野庁のほうは、そんなものはそこのところで食いとめるというようなことは考えていないのだ、全部燃えたってたいしたことはないのだから燃えたっていいのだ、そういうことであるならば、消防庁のほうにそういう連絡をして、ここの燃えるところは周辺のところで食いとめるようにして、その中にお入りにならぬようにしなければいけないじゃないか、そんな連絡がないから消防庁の人はその中で食いとめなければならないと思ってお入りになった。だから下から燃えてきて、ばっと燃え上がってきたら、これじゃ死にに行くようなものじゃないですか。だからそういうことのないように、私は切り取ったあとも少々お金をかけても防火帯というものをつくるべきじゃないか。それを出火時期に、そうして出火の一番多いような地域においてそういうことを考えるのが私は林野庁の責任じゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#136
○説明員(海法正昌君) ただいまお話ございました伐採あと地の処置でございますが、特に全面的にこれをやるというのはなかなかむずかしいかもしれませんけれども、ただいまお話ございましたように、非常に火災の危険のときとか地域とかというような問題につきましては、やはり伐跡地のあと始末というような問題についても今後指導してまいりたいと思います。
#137
○上田稔君 十分にひとつ気をつけてやっていただきたいと思います。質問を終わります。
#138
○高山恒雄君 私先ほどから答弁を聞いていますとね、いかにも林野庁は万全を期しておるような答弁があるのだね。あれだけ報告書にも書いてありますから、これ読んでいただければわかりますが、日本では非常に林野の火事が多いということはこれを見て御承知だと思うのですね。そこでそれにもかかわらずいろいろな教育、林野庁としては私は防止する対策をやるべきだと思うのですよ、消防署は書いた字のごとく消すことにどういう研究をするかということも一つの方法でしょうが、これは家屋やその他においても防止をやらなければならぬでしょう。そういう点が林野庁としてはできていないのじゃないかという質問があった。あなたは、汽車の中あるいはパンフレットをつくっていろいろやっておる、そして林道あるいは町道あるいは国有林等における注意書きをちゃんと立ててあると、こうおっしゃる。私は急に行ったんですよ、急に。一枚も見ませんよ、そんなもの。広島の呉はそれだけ最も火災があるということに対して一本の立て札も立っておりませんよ、注意書きは。(「一本あった。」と呼ぶ者あり)一本ありましたか。それは町道にあるのです。林道にはないのです、私が言うのは。町道にはあるのですよ、人家がありますから。町道の入り口にはあります。林道には一つもないんだ。そういう点をやはりやる必要があるのではないかと私は思っているのです。先ほど質問がありましたから私はそれ以上言いませんけれども、そういう点はもっと調べて、綿密なひとつ事前対策、これを大いにやる必要があると思うのだが、そういう点はあなたの答弁はやっているようにおっしゃっておるが、私はやっていないと思う。今後考えてもらわなければならぬと思うが、どう思うかね、ちょっと答弁してください。
#139
○説明員(海法正昌君) 先ほどお話し申し上げましたように、いろいろ予防につきまして措置は講じておりますけれども、これが全部が全部行き渡っているとは――あるいは行き渡っていないかもしれません。
#140
○高山恒雄君 呉のように一番火災の多いところをやっていないのだから、ほかは見なくてもわかるわね。
#141
○説明員(海法正昌君) それに対しましては、よく注意をいたします。
#142
○委員長(北村暢君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#143
○委員長(北村暢君) 速記起こして。
#144
○佐藤隆君 重複は避けます。最初に資料要求をお願いいたしておきます、ここで議論の時間はもうございませんから。
 林野庁におかれては、先ほど来議論が出ているように、いままでやっておる施策、山林火災についての施策、それをやっていないということではない、やっているんだとおっしゃるけれども、それでは足りなかったということは明らかでありますから、この後に、たとえば四十七年度予算要求の骨子はもう固まっていると思います。しかし、このたびの火災の経験に徴して、さらにやらなければならぬことがたくさんあると思います。その中でとりあえずいままで進めてきた予算要求の形をどう組みかえて、どう要求しようとするのか、項目別に――金額は、これは大蔵折衝の関係もいろいろ出てまいりますから、そうこまかくは要りません。この山林火災の経験に徴して、どういう姿勢で四十七年度の予算要求の取り組み方をしようとしているか、こまかいことを言えば、立て札をもっと立てなければいかぬから、そっちに予算を回すとか、そういうことについて資料としてひとつお出しいただきたい。
 それからもう一つ、これは消防庁と林野庁に関係のあることでありますが、いままで山林火災については非常に日本の国においては立ちおくれをしておる。世界的にも山林火災というものはなかなかめんどうな問題になっておる。そういうことは私も承知しておりますが、このたびの山林火災の経験に徴して、消防庁と林野庁と話し合いを進めながら、さらに防火体制、消火体制を詰めていかなければならぬと思います。そういう技術的な両庁にまたがる仕事について、これからどういうプログラムで山林火災に対処しようとしておられるのか、いまここで返事は聞きません。それはまだないはずでありますから、いま呉の山林火災のあと始末に追われていると思いますから、また先ほど来の林野庁の答弁を聞いておりますと、私の要求することの答えが、いますぐここで私が満足する答えが出てきょうとは思いませんので、それをひとつ督励の意味を兼ねて要求をいたしておきます。それからそのことについてどうですか、両庁で簡単に、やります、やりません、それだけでいいです。
#145
○政府委員(降矢敬義君) いま御指摘のような点につきましては、もっとこれを契機にしてプログラムその他について検討いたしたいと思います。
#146
○佐藤隆君 資料として出していただきたい。
#147
○政府委員(降矢敬義君) 資料としても提出いたしたいと思います。
#148
○説明員(海法正昌君) ただいまお話ございました資料につきましては、まだ明年度の予算に取りかかったばかりでございますが、まとめまして後刻資料を提出したいと思います。
#149
○佐藤隆君 それから私は消防署員それから消防職員ですね、それから消防団員、消防団協力者、これらに対する待遇問題、遺族補償問題、そういうことについてこれは一点に限って質問して終わります。
 消防署の職員、消防署員というのは、私が考えるところ、海上保安業務、警察業務、それから消防業務、こういうものに携わる者はからだを張った仕事であることは、これは万人の認めるところです。そういう意味で、特別の給与体系というか、そういうことが必要だろうと思うのです。私の聞いているところでは、初任給において若干の配慮はしてあるんだというようなことを聞いておりますけれども、初任給に配慮されたものが、十年、十五年、二十年と在職年数を重ねるに従って、はたしてどうなるかということになると、いろいろ議論があるようにも聞いております。そういうことについていま消防庁はどう考えておられるのか。これは消防署員、職員について、簡単でいいです。
#150
○政府委員(降矢敬義君) いま初任給のかさ上げをしている給与体系をとっているところはかなり多うございますが、一面またいわゆる皇宮警察官等の給与体系に準じているところもございます。途中でクロスするところに若干比較をしまして下がるようなところもございます。この点につきましては全国消防長会等も一緒になって研究をして是正の方向に向かって努力をしてまいったつもりでございます。
#151
○佐藤隆君 このたびの山火事が貴重な経験となるように、災いを転じて福となすように、消防署員あるいは団員を督励する意味においても、献身的なそういう人たちでありますから――こういう機会でないとなかなかそういう給与体系もいじれないですよ。と申し上げるのは、日々の生活をなにするための給与ということだけではなくて、このたびの遺族補償問題についても全部平均給与というか、そういうものが算出基礎になって、そしていろいろな補償措置が、償いがきめられているわけです。ですから、もう重要なことでありますから、この機会に積極的にひとつ考えていただきたい。強く要望をいたしておきます。
 それから非常勤消防団員についても、こうした機会にやっぱり考えるべきである。消防団に対する――これが消防団員がなくなった場合の措置というのは、これはまことに少ない金額の補償であります。私の調査によりますと、生活保護法による給付額を調べてみましたが、四人家族――男三十五歳、女三十歳、子供九歳、子供四歳のこの四人家族で生活保護法による給付額というのは年間五十八万三百三十二円であります。同じような家族構成の消防団員の障害等級第三級を調べてみますと、障害等級第三級というのはほとんど人間の用をなさないような状態であります。そういうのを比較してみますと四十五万七千四百九十一円です。これがすぐこの間改正した金額です。生活保護のほうより少ないのです。私は生活保護のほうが少なくていいと言っているのじゃないのですよ。たとえば生活保護法による給付を受けているその金額がおそらく最低のものだろうと思います。それよりもまだ低いのですよ。だからこういう実態というものを改善しなくて、そして防火態勢に万全を期しておまえら働けと言ったって、働けるものじゃない。特に妻子ある者はなおさらのことであります。そういうことを考えながらひとつこの機会に、いままでも検討を進めてこられたんだろうとは思いますけれども、何か新しいことを考えておられるのかどうか。考えておられないなら考えようということをしておられるのかどうか、それを承っておきたいと思うのです。そしてその算定基礎になっております仮定の補償基礎額表というものがこれが左右しているんです。時間がございませんので、私のほうから全部申し上げておきますが、その基礎額表をもう少し改善をしていくというか、積極的なそういうやり方、基礎額表という水準、これ自体についても多くの団員が不満を持っているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#152
○政府委員(降矢敬義君) その点につきましては、先ほども御質問がございました本年予算の際に改善をはかったわけでございますが、なおわれわれとしてそれは十分とは思っておりません。今後来年の問題としてもさらに考えてまいりたいという考え方を持っております。その方向につきましては、ことしは階級区分を若干縮める。もう一つは、年限の非常にこまかいのを大まかに切って下のほうを上げるという考え方で全体を考え、予算的にも折衝をいたしましたが、なおそういう考え方を基礎にしながら、来年さらに努力してまいりたいという考え方を持っております。
#153
○佐藤隆君 生活保護法以上のやはり措置を考える必要があるんじゃないですか。大事なところです、たとえばの比較ですけれども。
#154
○政府委員(降矢敬義君) その点につきましては、要するに公務員の災害補償の問題は全般としては人事院で例の勧告を出してやっているわけでございます。この基準につきましても、勤務年限その他は全体として均衡をとる必要はございます。したがいまして、いまこういうような問題点は、人事院のほうにも私のほうから申し入れまして、全体として公務員並びに消防団員においてもそれを前提にしておるようですから、それに対して均衡をとるということで、一つの問題として人事院のほうに申し上げたいと思っております。
#155
○佐藤隆君 それじゃあ人事院のほうと相当深く詰められるということを期待をいたしておきます。
 それから、賞じゅつ金についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。このたびは県あるいは市町村の各段階における条例について三百万、三百万、三百万。それから、総理大臣の特別のということで――特別のといっても前例があることでありますが、百万円、合わせて一千万円が支給されることになっておる。されたのかもしれませんが、一千万円。そういうことで、私は消防団員、消防署員のその賞じゅつ金というのは、これは私は非常にいいことだろうと思うのです。そして、紙きれだけで表彰をするだけではなくて、実のあるものを、そしてそれ自体が遺族補償の柱になってくる、これは非常にいいことだろうと思うのです。ところが、ここに欠けておるものは消防団員協力者、とっさの場合でありますから極端な例を言うと、どの程度燃えるだろうなんということでやじ馬根性で見ている人も、とっさの場合は協力者となって消火活動につとめることもあるでしょう。水害のときなんかも堤防でながめておりますけれども、消防団員が流されていく、ほらあぶないということで、それをとっさの間に救うというような協力者、そういう消防団員協力者、消防署員協力者、そういうものについての措置は、いまのところ末端の地方自治体にまかせられておるように私は承知しております。そこで、私は、せっかくのそうした賞じゅつ金というものが、いま申し上げたように、たとえばこのたびの例を考えれば一千万という金額はあるわけでありますから、こういうことが協力者にやはり及ぶような配慮というものは検討していかなければいかぬじゃないかと私は思うのです。とっさの場合、予期せざる事態でありますから、こういうことがあるのです。協力者が消防署員並みに消防団員並みに実際の働きをする場合があるのです。それに対する償いの措置、そういうことをやはり十分考えておかれるべきではないかと私は思うのです。これを詰めて言いますと、おそらく大蔵省あたりからは、それは個人災害救援対策の中の個人のいわゆる私有財産制に基づく個人に対する救済援助措置とはどういうものかなんということで、いままでのお役所の感覚からすると、それはもう全然棒にもはしにもかからない形になります。これはきょうもあとで行なわれようとしておる個人災害共済制度その他についての調査の中間報告もあとであるわけでありますから、そういう不慮の事態、予測できなかった新しい事態、急場の事態、それによって人命を落された者についての償いの措置というものは、社会全体で考えるべきであるというのが私の従来の主張なんですが、それはいま検討中でありますから別に譲るとして、少なくとも協力者については、そういう形で賞じゅつ金についても協力者にこれが及ぶような形というものは検討されてしかるべきじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
#156
○政府委員(降矢敬義君) 現在の賞じゅつ金は、御案内のとおり、いわゆる職務としてやっておる者についてのいわゆる部内といいますか、部内の表彰、それに伴う賞じゅつ金という考え方であります。したがって、先生のおっしゃるような、とっさの場合の協力者に対して賞じゅつ金ということになれば、いままでの範疇とは別の考え方として考えていかなければならぬと思います。少なくとも警察とか、海上保安庁とかその他のものについても同じような協力者があるわけでございまして、したがって賞じゅつ金といいましてもこれとは別の範疇として検討しなきゃならぬ、こう思っております。
#157
○佐藤隆君 最後にお尋ねしておきますが、時間がございませんからこれもひとつ資料としてあとで出していただきたいと思いますが、全国の消防団、常勤消防団はわずかだそうでありますが、非常勤消防団員、そうしたところからいろいろな注文が出ているはずであります。全国消防大会においても、あるいはそれぞれの地域の都道府県の消防大会においてもいろいろな決議が行なわれたり、いろいろな意見が出ているわけでありますが、そういうことについて、たとえば全国百二十万団員のいろいろな要求、そういうものがどの程度生かされてきたかということを、私はこのごろ疑問に思っておるわけです。何か毎年同じようなことを言っておるような、また毎年同じようなことを聞いておるような気がいたすんです。したがって、実際順序はつけなくてもいいんですが、こうしたこととこうしたことはどうしてもやっぱりやらなきゃいかぬ、消防庁自身がこれは自治省とも話し合い、そうしてまた大蔵省とも話し合って進めていかなきゃならないんだという問題点が一ぱいあるはずです。形式的にただ大会の決議に盛られたことだけではなくて、実際こういう形にしていかなきゃいかぬのだという末端の要望というものと、それに対する当面の消防庁の考え方というものを一覧表にしてひとつ出していただきたいと思います。後日またこの問題をきわめたいと思っております。よろしゅうございますか。
#158
○政府委員(降矢敬義君) 承知いたしました。
#159
○佐藤隆君 終わります。
#160
○松本賢一君 たいへん時間があれしましたので、私が質問をあまりしておりますと、もう次の方はできないということになってしまいますので、質問一つだけさせていただくことにします。私は実は火災の地元の市民でございますので、市民の一人として皆さんにお礼を申し上げたいと思います。さっそく調査団を派遣していただきまして、いろいろと御心配をいただきましてほんとうにありがとうございました。この機会にお礼を言わせていただきたいと思います。
 一つだけ質問をさせていただきたいと思いますが、いまの、しばしばきょう話題になりました賞じゅつ金といいますか、この問題ですが、いかにも金額がみみっちいんですね。聞いておりまして、三百万、三百万、三百万の百万といったような、まるでこま切れみたいな、いまどきのものとしては。私はこれを、少しとっぴな考え方かもしれませんが、何か保険というものに結びつけて、そうして、まあちょっと自動車にひかれたんでも
 一千万ぐらいのものが補償されておるわけなんで、そうするとこういう火災の現場で殉職した方が交通事故で死んだ人よりも率が悪いといったようなことじゃ全くおかしいんで、かといって町村のような貧弱な自治体なんかに何千万という金をどうこうしろというようなことは直ちになかなかできるものじゃないんで、何か自治体なら自治体、何か個人でないものを加入者にして、そうして保険をつくれないか。そうして一人に何千万でも、場合によっては出せるような制度を考えてみたらどうかと、こう思うんですが、これだけ言えば私より皆さん頭がいいんですから、十分こういうことを考えているんだなあということを想像していただけると思うんですが、きょうそういうことについて的確な答弁をしていただける方がお見えになっていらっしゃるかどうか知らないんですけれども、どうですか。
#161
○政府委員(降矢敬義君) ただいまのお話は、おそらく賞じゅつ金とは別に、いわゆる保険というかっこうで何か救済というか、そういうことを考えられぬか。これはおそらく団体生命保険のようなものでございまして、日本消防協会のほうではそういうことでいま現在二万人ぐらいそういうことに加入しておる制度もあるようでございます。国、自治体の制度としてそういうことをやるのか、あるいは現在ある保険制度の中でそういう制度をやるのか、これらについては検討させていただきたいと思いますが、おそらく団体生命保険というかっこうを先生はお考えでなかろうかと思います。私どもは必ずしも専門家でございませんので、その点については検討さしていただきたいと思います。
#162
○松本賢一君 そこで私のあれするのは、いまの賞じゅつ金というものは、これはよくやったと、よくやってくれたということに対する、まあやさしいことばで言えばごほうびの意味があるわけなんで、そのごほうびはごほうびとしてこれはどうしても上げなければならぬ。しかしそうでなしにやっぱり補償ということを考えなきゃならぬ。いま私は自動車にひかれた場合の例をあげましたけれども、われわれが外国へ旅行するときに二、三万円出しますと、飛行機が落ちたりなんかして死んだときに何千万かの金が入ってくる、そういうものがございますね。そんなようなやり方で、これは一年間にこういうことで死ぬ人の数というのは非常に少ないわけなんですから非常に大きな金が出せると思うんです、保険制度さえつくれば。そうしてこういうことで死んだ人の遺族というものが、ほんとうに一生、少なくとも金銭的には困らないで済むというぐらいの程度の金が入るというようなことをぜひ考えていただきたいと思いますが、消防庁長官もですが、そちらにおられる議員バッジをつけておられる総務副長官あたり、政治家として、政府の要人の一人としてひとつそういうことに対するお考えを聞かしていただきたい。
#163
○政府委員(湊徹郎君) ただいまのお話でございますが、私も賞じゅつ制度全般について、それぞれ危険業務ということで消防関係、弊一票関係あるいは防衛庁の関係あるいは海上保安庁の関係、さらに麻薬取り締まりとか法務省の特殊な業務に従事なすっている方々、いろいろな昔からいきさつを持った賞じゅつ制度というのが、率直に言いますと制度としてはばらばらに今日に至っておる。ここらはある程度まとめていく必要があるんではないかというので、おおむねその金額等についてはある程度今日調整をいたしておりますが、ただいまのお話はそれとは別個に、やはりその種の仕事に従事していらっしゃる皆さんをプールして保険制度みたいなものが考えられないか、こういうお話しのようでございます。実はきょう説明申し上げる予定でおった自然災害による個人共済の制度もまさにその種の一つでありまして、職務とは離れて一般の自然の災害にあわれた、どこにもけつの持っていき場のないような被害に対しては、何か特別な措置が国としてもあってしかるべきではないかという観点から、私どもも過去数年皆さんとともに検討してまいっておるのでありますが、いま消防庁長官からお話がございましたように、消防、これは常勤、非常勤を問わず消防業務にタッチしていらっしゃる方、それらについては現在制度として、私も内容は知りませんが、消防協会等が中心になっておやりになっていらっしゃるようでございますし、その種のものは実はほかの分野にもかなり率直に言ってございます。そういうやつ等もいろいろ検討して、これはひとつ防災という観点から、私のほうからも各省のそういう検討を促進するような形で進めていってみたいものだというふうに思っております。
#164
○塩出啓典君 それでは簡単にまず資料要求を消防庁にお願いしたいのですが、諸外国においてはいわゆる森林消火部隊、ヘリコプター等が発達していると聞いているのでございますが、諸外国のそういう実態についての何らかの資料が消防庁にあると思うのでございますが、それを提出していただきたい、その点よろしいでしょうか。
#165
○政府委員(降矢敬義君) 現在手元にあるものを整理しまして提出いたします。
#166
○塩出啓典君 あと三点ほど要望でございますが、森林火災の消火態勢が非常におくれておる。これちょっと調べた資料によりますと、すでに昭和三十一年にアメリカ等におきましては落下傘部隊の出動が千四百九十回だとか、ヘリコプターが一年間に千九百五十時間、それから消火用ホースを人力では三十分かかるのを、ヘリコプターですか、ホースを三分間で延ばす、そういうような資料だとかあるいはフランスでは一機八億円もする飛行艇を最近二十機もまとめて購入したとか、アメリカでは消火弾を鉄砲のたまみたいに打って消火するとか、アメリカの場合は一時間に三千人も輸送できるものをそういう大規模な火災の場合に百機くらいチャーターできる体制になっている、そういうような点を考えて、わが国はまだようやく小型ヘリコプターで、実験段階ですね。非常におくれていると思うのです。防衛庁あたりは、第一次、第二次、第三次、第四次と今度は五兆七千億ですか、そういうような防衛計画をつくっているわけでございますが、この消防力の強化も今度十八名のとうとい犠牲者が出たこの際に抜本的な対策を立てなければ、そういうときはないと思いますね。そういう点で私は、消防庁あるいは林野庁あるいはまた災害対策本部等が中心になって、この際これは一年に一挙にはできない問題ですから、第一次五ヵ年計画なら五ヵ年計画をつくって、将来の五年後にはどこまで持っていくのだ、そういうようなやはり五ヵ年計画をつくり、抜本的な対策を立てるべきではないか、この点が第一点でございます。
 それと第二点は、それができるまではこれは、機動力というのはどうしても自衛隊になってくると思うのですが、自衛隊の出動の問題でございますが、これは災害対策基本法に基づいて、市町村長が都道府県知事に対して要請をして自衛隊法八十三条でその応援にかけつける、そうなっているわけでございますが、今回も地元の人たちの意見は、一般火災というのは初期消火が大事だと思うのですね。ところが、やっぱりある程度大きな火災にならないと自衛隊の出動を要請したらまずいのじゃないか、そういう気持ちがあるわけなんですね。もちろんちょっとしたぼやで自衛隊というとこれは問題があるし、そこらでやはり市町村長としていつ要請するかという、その時期の問題においてかなり気を使って遠慮しながら要請をしている、そういうような状態でございます。消防態勢が強化するまではその自衛隊の出動というものをもう少し容易に、初期消火に役立てるように自衛隊のほうでもふだんからそういう訓練もして、われわれの国民の税金でつくっているわけなんですから、そういう自衛隊の出動とかあるいは自衛隊の訓練のあり方、そういうような問題をやはり再検討すべきではないか、そういう再検討をする用意があるのかどうか。
 それと第三点として、だんだん最近は山に入る人が非常に多いわけでございまして、先般から問題になっておりますそういう防火意識の徹底が大事だと思うのです。これは古い資料ですが、アメリカにおきましては、学校において森林資源の保存に関する教育を拡充することがこれからの仕事である。そういうわけで、小学校、中学校、高等学校等において、やはりそういう森林を保護していかなければいけない、そういう教育をやはり小さいときからたたき込んでいくことが大事ではないか。そういうことはぼくは調べてないのですが、すでにある程度はやられておると思うのでございますが、そういう点も、さらに文部省当局とも話し合っていただいて、これを強化していく必要があるのではないか。そういう三点を要望したいわけでございまして、これは林野庁あるいは消防庁あるいはまた防衛庁、文部省に関係する問題でございますので、災害対策関係の総理府の副長官もいらっしゃっておりますので、副長官の責任のもとにこれを推進し、当然金の問題になってきますから、ひとつ自民党では最近、ヤングパワーががんばっておると聞いております。湊副長官もそういう連中と力を合わせて、抜本的にいまの自民党の姿勢をひとつ改めていただきたい。これがやはり十八人の犠牲者に対するせめてものわれわれのつとめじゃないかと思うのです。それだけなんです。その点どうでしょうか。そのお答えだけ聞いて終わりたいと思います。
#167
○政府委員(湊徹郎君) ただいま中にはかなり具体的な、それぞれの省庁プロパーといっていいような問題もあるようでございますが、全般的な問題について私から申し上げ、各省庁のほうから補完してもらいたいと思っております。私も基本的には塩出先生と同じ考えでございまして、率直な話、私も就任以来一年余、衆参両院の災害委員会に出席をして、痛切に感じておるのでありますが、何か具体的な災害がございますと、それに関連した、たとえば高知の台風災害があった、あるいは新潟の集中豪雨災害があった、あるいは今回の呉市のごとき山林火災があった、あるいは川崎のコンビナート災害があったということで、災害ごとにいろいろ御検討いただいておるのでありますけれども、そういうやつを、実はこれは衆参両院の委員会のほうにもお願いをして、災害全般を見直していく段階にきておるのではないかというふうな感じがいたしております。そういう前提でいままでのいろいろな御意見を総合いたしまして、何かきっかけはないかと私自身思っておったのでありますが、過般のロスアンゼルス地震災害、それに先がけて消防審議会のほうで、関東大震災クラスの震災もし起こりせば一体どうなるであろう、といったようなたいへん大きな問題提起がございました。それを機会にこの際、政府部内でも災害対策全般の問題点を洗い直して、そうして御承知のように防災基本法に防災基本計画というものをきめることになってきめてございます。その中を全部ひとつ総点検してみようと実は考えたわけでございます。
 そこで、大震火災対策を進めるかたがた、防災基本計画の中にいろいろな種類の災害を類型別にある程度分類をして、特に昔は台風とか凍霜害とか、冷害とかあるいは突風であるとかある種の災害、これについての対策は大体もうレール化されて、かなり迅速に対処し得ることになっておりますが、最近の都市災害といわれるようなもの、たとえば危険物、石油とかガスとか、そういうやつに対応する措置、それからただいま議題になっておりまする山林火災対策、こういうものを個別にひとつ対策を考えていくという態勢が、率直の話、いままで手薄でございます。そこで近々防災基本計画そのものを全般的に洗い直す中で、いま申しましたような、特に被害の大きい、大規模になった最近頻度の高い、そういうふうな災害を特記して、そして対策をさらにこまかく具体化していこう、一つは各省庁ごとに連携をもっと深め、そして横で政府としての総合的な対策をつくる、同時にそれを地域に今度はおろす、そういう点で実は防災基本法の中に、各省庁それぞれ指定行政機関は防災業務計画というものをつくることになっております。で、現にできておりますが、その中にもまだいま申しましたような点に対する突っ込みが不足しておりますから、基本計画が閣議で了解されましたならば、それをさらに各省庁の業務計画の中で、予算とからめて実は具体的なものをつくっていただき、それを今度地域の県なり市町村の防災計画までおろして、そしていまのような問題にこたえたい、こういうふうに考えて、ただいまたいへん適切な御意見をいただきましたので、そういう方向で急速にこれは進めていきたいと思っております。
 それから自衛隊の災害派遣の問題でございますが、これは自衛隊自体はかなり実は積極的でございまして、過般の地震対策に関連してもそうでございましたし、それから呉の山林火災の際も閣議の席で防衛庁長官、わざわざ発言を求められて、そういうときに、実は自衛隊としても手持ちのヘリコプターを積極的に実は出していきたい。それにはふだんのやはり訓練というものもこれは必要だろうから、そういう訓練計画を願わくばつくっていただいて、自衛隊も参加するような形で何かやってもらえぬかというふうな発言まであったわけでございまして、消防庁と自衛隊の間でこの問題をきっかけに、現在いろいろ御相談を実はいただいておるところでございます。その辺は消防庁長官からいさい申し上げたいと思います。そういうことで、ただいまお話がございました文部省の防災教育、これも最近は交通安全教育あるいは公害教育、それと合わして災害に関する教育等もやはり教育の課程の中で一つずつお進め願えるように、文部省のほうと、これも相談してまいりたいというふうに考えております。
#168
○政府委員(降矢敬義君) 自衛隊の出動の問題につきましては、早期出動ということで自衛隊とも打ち合わせをいたしまして、地方のほうにもそういう旨を最近流したわけでございますが、いずれにいたしましても、これは運用上なお検討をして、御指摘のような早く出動をするということについてさらに自衛隊ともお話申し上げたいと思います。また航空消防のことにつきましては、四十四年のころから自衛隊とも打ち合わせをしておりまして、今回の火災を契機にいたしまして、なおいろいろ今度の問題を検討をしておるところでございまして、航空消防の確立ということは、少なくとも森林火災を考えただけでも十分必要なことでございますので、その開発にさらに努力をしてまいるつもりでございます。また、これにつきましては科学技術庁のほうでもやはり非常に関心をお示しになっておりまして、四十四年度は特別に科学技術庁のほうの予算で研究に着手したということでございますので、われわれといたしましても、こういう実験段階を早く離れて実用化の方向へ持っていきたい、こういう考えを持っております。
#169
○塩出啓典君 五ヵ年計画、消防庁みたいのつくらぬですか。
#170
○政府委員(降矢敬義君) 航空消防につきまして五ヵ年計画というのは、もう少し様子を見させていただきます。それと申しますのは、この航空機自体の所有の問題からいたしまして考えなけりゃいけませんので、いまの実用段階に、まあさしあたっては、私は自衛隊が相当の数を持っておりますし、それを中心に府県でも御案内のとおり持っておるところもございます。また府県の警察の関係でもいま、現在全国では九機くらいございますので、そういうものを全体を考えまして広域的な航空活動というものを考えていく、こういうふうなことでいま直ちに五カ年計画を航空消防でこうするのだということをここで私がすぐつくりますということは、もう少し検討さしていただきたいと思います。
#171
○説明員(福田勝一君) 先ほど先生からお話がございました自衛隊の派遣要請に関連いたしまして、市町村ではなかなか派遣要請について必ずしも思い切った要請、たとえば時間につきましても、相当早期に、しかも人員についても思い切った要請をなかなか出さないのではないかというお話でございますけれども、こういったお話、まあ先生からお話をちょうだいする以前にも二、三承っておるわけでございます。そういうことで、私どもも昨年の末以来、具体的に地方の自衛隊の駐屯地の司令、隊長等に指示をいたしまして、関係市町村はもちろんのこと、県の防災担当の所管の課、部、そういったところにもよく連絡するようにということで伝えてございまして、最近はそういったことが相当いままでの言われていたようなことがすっかりなくなっているのではないかというように私どもは考えておったわけでございますけれども、具体的には呉の、今回の山林火災の場合におきましても、火災が発生いたしました直後の十一時三十分、それから十二時二十分あるいは十三時五分、三回にわたりまして呉市当局、これは消防署のほうでございますけれども、自衛隊の派遣要請をなさってはいかがですかということを積極的に自衛隊のほうからお伺いをしているわけです。三回目になりまして、初めてそれではお願いしますと、こういうふうになった形でございまして、どうかひとつ自衛隊のほうといたしましては、こういった派遣につきましては、きわめて積極的に考え、そういう姿勢で事に処していっておるのでございまして、私ども自衛隊のほうには、まずまず問題はないのではないかと、かように考えております。どうか市町村のほうで、そういった点積極的になっていただければということで、これは関係の筋にお願いすることはもちろんでございますが、私どもも先ほど申し上げましたように出先に積極的にそういった点をよくPRするように、こういうことを昨年来特に力を入れて努力しているところでございますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。
#172
○委員長(北村暢君) この際、きょうは各委員から資料の提出の要求がたくさんありましたが、政府当局においては要求のありました資料をすみやかに提出するように御協力を願います。
 他に発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
 二時十五分に再開をいたします。それまで休憩いたします。
   午後一時四十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十分開会
#173
○委員長(北村暢君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査を議題とし、地震対策に関する件について調査を行ないます。
 本日は、参考人の方々から御意見を承ることとしております。
 参考人の方々を御紹介申し上げます。ただいま御出席になっておられますのは、東京大学教授大澤胖君、東京大学名誉教授萩原尊礼君のお二方であります。さらに、東京大学名誉教授河角広君、日本道路公団参与福岡正巳君のお二方は、所用のため後刻御出席の予定になっております。
 この際、参考人の方に一言御あいさつ申し上げます。本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席を賜わりましてまことにありがとうございました。本日は、地震対策に関する諸問題につきまして、それぞれ御専門の立場からの忌揮のない御意見をお伺いいたしまして、今後の当委員会の調査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の順序について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上、お一人三十分程度とし、参考人の方々の御意見の開陳が一応済みましたあとで、委員から質問がありましたらお答えを願いたいと存じます。
 それでは、萩原参考人からお願いをいたします。
#174
○参考人(萩原尊礼君) 私は、地震予知に関することをやっております立場から、現在、地震の予知ということがどの程度までの研究が進んでいるかという、そのことと、最近、新聞、テレビ等におきまして地震予知連絡会の発表ということでいろいろのことが報道されておりますので、そういう地震予知連絡会というのはどういう性格を持ったものか、どういういきさつでできたものかというようなことをお話をいたしまして、現在問題になっております南関東の地震の問題、東京の地震の問題等についてお話し申し上げようかと思っております。
 御承知のように、地震予知というのはまだ現在研究の段階でございまして、これが天気予報とか、あるいは台風警報のように業務化されてはまだいないのでございます。しかし、日本のような国におきまして、地震を前もって予測するということは国民の非常に強い願望でございまして、何とかこれを実現できないものかということで、関係者一同会を持ちまして、もしそれが実現するためにはどういう方法をとるべきであるかということを詳しく検討いたしまして、地震予知を進めるためにはどういうことをやらなければいけないかという計画書がつくられたわけであります。この計画書が発表になりましたのが一九六二年でございますので、ちょうどいまから十年ばかり前のことになるわけでございます。幸いにしてこの計画書が関係方面に認められまして、昭和四十年度から地震予知の研究というもののために特別の予算が出るようになりまして今日に至っておるわけでございます。この計画がスタートいたします直前に新潟地震がございました。またこの計画がスタートいたしまして間もなく例の松代の郡発地震がございまして、そういうことによって地震の予知に関する研究は急速に進んでまいったわけでございます。ところが近年の十勝沖地震に際しまして、政府はもっとこの地震予知というものを実用化を目途として急速に進むべきであるという閣議了解がございまして、それを受けましてこういった研究をする、その方向に進めるための態勢というものが新しくつくられました。それが地震予知連絡会でございます。
 この地震予知は、一口に申しますと、どういうことをこれからしていくかと申しますと、たとえば地震の研究者は地球のお医者さまのようなものでございまして、まず私どもが病気になりますとこのごろでは血圧をはかったり、あるいは心電図をとったり、それからレントゲンの撮影をするとか、そういう精密検査をいたしまして、そうして病名を判断するわけでございますが、そういったいろいろな観測、測定によって地震の起きるということを前もって知ろうというのでございます。ではどういう種類の測定、観測をすべきかと申しますと、地震は地球の表面、上側の部分を地殻と称しておりますが、地殻をつくっております岩石に、ある原因で非常に大きな力がかかってくる、そしてそういった無理が蓄積されていきましてついに岩石がそれに耐えられなくなったときに大きな破壊が起こる、そしてそのとき起こった震動が岩石の中を伝わってくる、それが地震だと、こういうふうに考えられております。そういたしますと、そういった無理が非常にかかってきて、もうそろそろ地殻がそれに耐えられなくなってやがて地震が起こる危険が近づいてきている、そういうことを知るためにはどうすればよろしいかといいますと、要するにこれに力を加えますとそれが変形いたします。そしてその変形がある程度進行していきますと破壊が起こります。ですから、この変形の状態を刻々に監視するということがまず第一に必要になります。で、これは地球の場合ではどうやって変形をはかるかといいますと、その一番最も確実な方法は測量でございます。で、この日本のこういった測量事業は建設省国土地理院が担当しておりますが、元来こういった測量は日本の正確な地図をつくるということが目的でございますので、一ぺん測量いたしますと、もうあと長い間何か特別なことが起こって地形が大いに変わったというようなことのない限り、そうひんぱんに測量をやり直す必要がないのでございますが、地震予知の立場からしますと、そういうことをひんぱんに行なって刻々に日本の土地がどういうふうに変形しつつあるかということを絶えず監視していく必要があるわけでございます。また一方、実験室で岩石に力を加えてこれを破壊するという実験を行なってみますと、岩石に力を加えました初期の段階におきましては、力を倍にすれば変形も倍になる、そういった比例関係がございます。そういう比例関係が成り立つときは、まだ岩石は弾性体の性質を持っているというふうに申しておりますが、これがあるところへきますと、同じ力を増加しても変形の量が非常に多くなってくるわけであります。こういうところを弾性の限界をこえたといい、非常にあるところまで変形していきますと、それからあと急に変形が進行するわけでございます。そして大きな破壊が起こる。そういうわけでありますから、絶えず地殻の変形を監視しておれば、ある時点にいってそれが急にその進行が早くなるということがあるはずであります。現に新潟地震の場合、あの付近で他の理由からたまたまひんぱんに水準測量が行なわれておったわけでありますが、震源地である粟島付近の本州側の海岸、この海岸沿いに通っております国道沿いの水準測量がひんぱんに行なわれておりました。ところで、そこへ地震が起こりました。しますと、震源地付近の本州の海岸付近は明治の初期に測量が初めて行なわれまして以後、ずっとゆるやかに上昇しておりまして、この上昇は年間一ミリメートルぐらいでありまして、これは別に異常な上昇速度ではないのです。日本のようなところではこの程度の年間一ミリ、二ミリ程度の上がり下がり、こういうことは至るところで起こっております。これが地震の起こります数年前からこの上昇速度が非常に早くなりまして、数倍から十倍になりました。つまり、年間数ミリから十ミリという上昇速度に変わりました。そうして大地震になったわけでございます。こういうようなことから、たとえば水準測量によりまして、日本の全国の土地の上がり下がりを精密にはかる、そういうことをひんぱんに繰り返していく、こういうことをすれば、地震の前に、数年前にそろそろ地震が起こる危険性が出たということがわかるのではないかと、そういうことが期待できるのでございます。
 もう一つは、やはり実験室で岩石に力をかけてこういう破壊をさせる実験をいたしておりますと、先ほど申しましたように、弾性の限界をこえて破壊が近づいてきますと、非常に小さな割れ目が一ぱいできてくる。そのためにショックが起こるわけです。この岩石にピックアップをつけておきまして、それを拡大して記録させる、あるいは耳で聞くというようなことをいたしますと、非常に小さな音が聞こえるわけであります、ぽんぽんというような。そういたしましてだんだんこういったショックが発生する回数がだんだんふえてまいります。そうして破壊が起こるということが認められます。これは自然の場合に当てはめますと、非常に小さな地震がたくさん起こり出すということで、これは私ども前震と申しております。これはいままでの従来の地震計あるいはからだに感じるような地震だけを対象にいたしますと、必ずしも大地震の前に前震を伴わなかった場合が多いように見えるのでございますが、最近発達しました非常に感度の高い地震計を使いますと、大部分の大地震には前震が伴うのではないかということが期待できるわけであります。そういうわけで、地震の観測、これはマグニチュード、これは地震の大きさをあらわすスケールでございますが、マグニチュード三以上の地震に対しましては、現在すでに気象庁が業務として観測を行なっておりますが、それよりもっと小さい微小地震とか極微小地震、こういったような地震までも対象にして監視をしていけば、大地震の前に前震的な現象がとらえられるのではないかということが期待できるのであります。で、こういったいわゆる地殻の変動の測定、それと地震の観測、これは大きい地震から非常に小さい地震までを含めての観測、そういうことを日本じゅうで行なっていきますと、地震の前兆がつかめるのではないかと、こういうふうに考えられるのであります。この地殻変動の測定、観測、それと地震活動の観測、これが地震の予知の大筋でございまして、そのほかにそういった岩石が非常に大きな力を受けてひずみがたまっていくといったような状態になりましたときに、この中を伝わる地震波の速度が変化するであろうとか、あるいは非常に磁性を持った鉱物をたくさん含んでいる岩石の場合ですと、磁性がそういった力を受けたときに変わる。それが地表の地磁気を変える。したがって、地表で磁気の測量をすると地震の前に変動が出るのではないかと、そういうことも期待される。そういったようなこと、こういうことをずっと日本じゅうで行なっていけば、地震の前兆をつかめるのではないかというのが、地震予知研究計画のあらましでございます。
 ところが、現在こういったような観測は、いろいろなところ、いろいろな省、いろいろな機関が行なっておりまして、たとえば測地的な測量、これは先ほど申し上げましたように、建設省の国土地理院が担当でございます。それから地震活動につきましては、マグニチュード三以上の地震につきましては、運輸省の気象庁が業務として担当しております。微小地震、極微小地震といったような非常に小さな地震につきましては、まだ非常に研究的色彩が多いので、現在のところでは大学が行なっているにすぎないわけでございます。このほか、土地の変動を見るために海の面、海水面、平均海水面でございますが、それを測定することも必要でございますので、検潮儀を日本の海岸に百キロおきに置くというようなことも計画されておりますが、この検潮儀は、現在それぞれの目的から国土地理院、気象庁、水路部などでそれがキープされております。それから、地磁気の測量でございますが、これは国土地理院、気象庁、水路部にわたっておりますし、また大学が研究的立場からも行なっております。こういうふうに、いろんな機関がそれぞれの立場から行なっておりますので、地震予知研究計画におきましては、そういった各機関の本来の業務をくずさないで、お互いの協力ということで当分の間進めていこう、そういう立場をとって進んできております。その間のいろんな調整は、文部省に測地学審議会というのがございまして、これは名前は測地学審議会でございますが、大体地球物理学的な観測業務の調整をするという申し合わせに従来からなっておりますので、ここでいろんな調整を行なうというたてまえをとっております。
 こういうふうなことで進んでまいりましたが、地震予知連絡会というものがつくられまして、事務局は国土地理院に現在あるわけでございますが、いろんないままで申しましたような、これからいろんな観測あるいは測定の資料、地震予知に必要な資料が集まってくるわけでございますが、これを国土地理院に一つのセンターを置き、そこで測量関係の資料をそこに集める、気象庁には一つのセンターを置いて地震関係の資料を集める、それから大学関係の資料は、東京大学地震研究所に一つのセンターをつくって、そこで各大学で行なっておりますいろいろな観測から得られる資料を集める、そういった三つのセンターで集めました資料を、今度は地震予知連絡会に送るということになっております。そうして、この地震予知連絡会は、こういった関係機関の人、それから学識経験者からなる委員で構成されておりまして、そこでいろいろの学問的な判断をするということになっております。そうして地震予知を進める方策としましては、まず基本的な観測というものを考えまして、これはたとえば水準測量とか三角測量とか、そういったようなものは、一定期間に日本全国を繰り返しの測量をやっていくということ、また、気象庁の地震観測の業務、これも日本全国にわたって行なっているわけでございますが、そのほかに、ある特に必要と思われるようなところを特定の区域といたしまして、そこでさらに詳しい観測、あるいはもっとひんぱんな測量の繰り返しをやるということでございます。そうして、そういった基本的な観測やら特定地域の観測などにおきまして、何か異常なことが出た。たとえば水準測量で非常にある地域の土地が異常に隆起しているというようなことがわかりましたときは、そこを観測の強化地域といたしまして、さらに観測を強化するということになっております。そうしてその異常が確かなものであり、しかも地震が起こるということと関係を持っているらしいということが判断されました場合は、さらにあらゆる種類の観測をここに集中する、ここを観測集中地域とする。そういうたてまえになっておりまして、こういう場合に、ここを観測強化すべきであるとか、ここを観測を集中すべきであるとかというようなことを判断するのは、この地震予知連絡会が行なうということになっております。
 それからこの連絡会も、そういったいろいろな機関から、あるいは方々の大学からの委員から成り立っているのでありまして、こういった観測をたとえば強化するというような場合も、みな協力から成り立つわけで、そちらの機関ではこういう観測をひとつ強化していただきたい、ではやりましょうというようなことで、現在はやはり協力の形でこれを行なっているわけでございます。また地震予知連絡会も、いわゆる設置法に基いてできた会ではございませんで、そういう点でははなはだ無力なわけでございますが、幸いにしていろいろな各機関、それから各大学の協力によりまして、現在円滑に進んでいるのでございます。
 こういうような状態で、この地震予知計画に従いまして、たまたま房総半島の水準測量のやり直しを行ないましたところ、非常に最近になって房総半島が異常な速度で隆起している。つまり年間十ミリ程度の速度で隆起しているということがわかりまして、ここを観測の強化地域にして、もっといろいろな観測をやるということにしたわけでございます。それはいろいろ新聞等におきましてかなりセンセーショナルに取り扱われましたが、実は先ほどもお話しいたしましたように、そういった異常が見つかったのでそこの観測を強化するという状態でございまして、まだ地震とそれが結びつくかどうかということは、今後の問題になるわけでございまして、さらに、これが地震と結びつくということがもう少しはっきりしてまいりますと、観測をさらに集中すると、そういうことを行ないます。そうして、できれば地震予知の実用化につとめるということをこの連絡会はうたっておるわけでございますが、もしできれば、地震の警報のようなものも、出せるものなら将来出すことになるというふうに考えております。現在はまだ、観測強化の段階でございます。
 そのほか、いろいろ日本の各地で、歴史時代に何回か大地震に見舞われて最近百年以上大きい地震が起こっていないというようなところも、やがて将来大きな地震がまた再び繰り返して起こるということが考えられますので、そういう地域も特定地域としまして、ほかよりも重点を置いて観測をしていこうとしておりますが、そういう地域も幾つかございます。そのうち、特定地域といたしまして問題になりますのは、大地震のうちでも大型の大地震といわれております、マグニチュードで八クラスの地震、これは日本では大部分が太平洋の中で起こるわけでございますが、それで、最近といいますか、最近百年この方まだ起こっていない、しかし昔は何回か歴史時代には起こっているというところ、そしてまた三角点、その付近で非常に三角点の移動が大きくて、大きな力を現在まだ受けているというような地域、こういう地域をあげますと、大体北海道の東の端のほうと、それから、あとは東海地方と申しますか、遠州灘から伊豆半島にかけての部分があげられるわけでございます。そういうところは、特定地域として、詳しくもう少し観測をしていこう、こういうことがあります。これが東海地方の問題が、非常に新聞等におきましてセンセーショナルに報道されたことがございます。これもまた、特定地域の観測をこれから行なうという状態なのでございます。こういうようなことで、南関東地区は、今度は観測強化の段階に入ったわけでございます。そのために、水準測量のほかにいろいろな測定も行ないつつあります。たとえば光を使った距離の測定、これは光波測量器と申しますか、そういうものを使って、ある三角点から光を出して、二十キロぐらい離れた向こうの三角点の鏡で反射して返ってくる光を受けてやる。そういうことからその二つの三角点の間の距離を求めることができるわけですが、伊豆大島と伊豆半島の間、それから房総半島との間、あるいは小田原付近との間でそういうことをやりまして、距離の変化を見る。そういうことから、土地のひずみが関東の大地震後どれだけまた蓄積されたかというようなことをはかる、そういうことをやっております。こういう測量は、逐次房総半島から始まりまして、相模湾を取り巻いた地域にも拡張していくように計画しております。こういうようなことで、現在、地震予知というものの研究が進められておる状態でございます。
 いろいろ新聞等にセンセーショナルに伝えられることもございますが、こういった測定の結果から見ますと、いますぐ大地震が起こるというような材料は出ていないのであります。大地震と申しますのは、いわゆるマグニチュード八クラス、いわゆる関東大地震のような大地震でございますが、そういうものがいますぐ起こるというような材料は、いまのところ出てはおらないのでございます。
 ただ、問題を今度は東京に限りますと、相模湾とか、そういった数十キロの距離におきまして、そういうマグニチュード八というような地震が起こりますと、東京はこれは相当な被害を受けるわけでございますが、このほかに、それより一階級下がりまして、マグニチュード七というような地震がもう少し東京で近いところで起こったとすると、やはり相当な影響を受けるわけであります。それからまた、それよりさらに一階級下がったマグニチュード六・幾らというような地震、これも東京のすぐそばで起こりますと、やはり相当の影響を受けるわけでございます。で、たとえば安政の二年に起こりました江戸の地震というのは、マグニチュードは関東地震ほど大きくはございませんで、一階級下の中型の大地震でございますが、やはり東京に非常に近いところ、おそらく亀戸付近ではないかといわれておりますが、そういうところで起こったために非常に大きな被害を出した。それからまた、明治二十七年に、東京でかなりの被害の出た、死者二十何名、何軒かの家がつぶれるような地震が起こりました。これは、今日起こるとすればもっと被害は大きいだろうと思うのでありますが、これは東京湾で起こった地震でございます。これはマグニチュードにしてやはり六・幾らという程度の地震でございますが、東京に非常に近いところで起こったために東京が被害を受けたわけでございます。こういうふうに、関東の大地震そのものがすぐ近い将来に起こることはないということを考えましても、なおかつ、東京に非常に近いところで、それより一階級あるいは二階級小さい地震が起こっても、やはり被害が起こるということが考えられます。また、そういう東京のそばでそういうものが起こるという確率のほうが、むしろ遠いところで非常に大きいものが起こるというものより大きいように思われるのでございます。
 ところが、東京付近におきましては、非常に観測がむずかしいのであります。御承知のように、非常にやわらかい土でできておりますので、感度の高い機械を置くことができない。そういうために深い井戸を掘りまして、この中に観測計器を入れるということをしなければなりません。これは現在科学技術庁の防災科学技術センターが埼玉県の岩槻に三千五百メートルの井戸を掘りまして、その中に計器を置くという仕事を進めております。あの辺で三千五百メートルぐらいにいきますと非常にかたい岩盤に到着する。こういうようなことで南関東の問題、東京の問題、観測をいま進めつつあるのが現状でございまして、まだ観測をそういうふうに始めまして何年もたっておりませんので、これからそういう観測からいろいろな地震予知に必要な情報が得られてくるものと思います。あと何年かたちますと、現在よりもっと的確ないろいろな判断が行なえるようになるものと思っております。
 これで一応私のお話を終えさせていただきます。
#175
○委員長(北村暢君) どうもありがとうございました。
 次に、大澤参考人にお願いいたします。
#176
○参考人(大澤胖君) 大澤でございます。
 私は建築物の耐震、地震に対して安全なような家をつくるというほうの専門の者でございます。そのほうの立場からお話を申し上げたいと存じますが、ただいまお手元のほうに参考資料を配らせていただいておりますが、これは去る二月九日のロサンゼルス付近の地震――これは「サン・フェルナンド地震」と書いてございますが、にあたりまして、国のほうと都のほうから調査団が行きまして、私は東京都の調査団、後ほどお話になる河角先生が団長、その都のほうの調査団のナンバーとして参りましたので、その機会にいろいろ東京都としてそういった地震、ロサンゼルスというような近代都市に起こった地震の災害を見た上のことを参考にして、これを東京都に当てはめた場合にどういうことをしなければならないかということをまとめました報告でございますが、これによりましてお話を進めたいと思います。
 ごらんいただきたいところは、途中はずっと省略して、あとでゆっくりごらんいただくとして、最後の九四ページ、九五ページあたりに「むすび」として総括してございますが、このうちでこれは全部十項目にわたっております。後ほどまた河角先生あるいはこういった報告は各専門別にして、国のほうの派遣団の専門家の方といろいろ打ち合わせをしながら、ほとんど同じようなといいますか、いろいろ打ち合わせをした上で報告書をつくっておりまして、土木構造関係につきましては、国のほうの団長の福岡さんのほうからお話があると思いますし、そのほか関係しまして河角先生からお話がありますので、私は建物関係だけで、この十項目のうち一番、三番、五番、六番、九番というような項目だけについて申し上げたいと思います。
 その前に建物の耐震の問題でございますけれども、これは大体いまから二十年くらい前の昭和二十五年くらいかと思いますが、建築基準法というものが制定されまして、この中に建築物が地震に対して安全であるように設計するいろいろな手続が盛り込まれております。さらにさかのぼりますと、大正十三年であったと思いますが、大正十二年の関東震災のあとで、関東震災の経験により、やはり市街地の建築物についての対震方式と申しますか、耐震的につくることのいろいろな規定が盛り込まれまして、最近の建物、主要な建物はすべてこういった規定に従って、つくられております。ただここで二つばかり問題があるかと思います。一つはそういった規定に該当しないような建物もある。これは大部分の建物がそういった規定に従ってつくられることになっておりますけれども、たとえばそういった大正十二年、十三年以前の建物というようなものは、これはすでにできてしまったものですから、そういった規定は当てはまっておりません。それから耐震規定ができてからあとでも、大正、昭和年代の初めのころはおおむね市街地の建築物に適用されておりますし、それから昭和二十五年以降でも軽微な建物といいますか、木造建物などでそれほど大きくないものは、大都市以外、しかもたとえば金融公庫の資金によらないもの、こういったものは例外でございますが、こういった規定に必ずしも当てはまるような設計がされておりません。
 それからもう一つの問題は、地震のときに被害がどういうふうに起こるかということを考えました場合には、一応対震規定というものは大地震があってもこわれないような建物をつくるというたてまえにはなっておりますが、その考えております大地震というのは先ほど申し上げましたように大体大正十二年の関東震災がもとになっております。またそのときの建物といいますと、当時の建物、いわゆるスタイルでございますが、当時のスタイルの建物を念頭に置いたそういう耐震規定がつくられております。したがって、その後いろいろな近代建築――一番極端なのは超高層建築、この付近にも幾つかございますが、そういった超高層建築についてはまだ全然未経験と申しますか、そういった大地震の経験を経ておりません。そういった極端なものではなくて普通の鉄筋コンクリート構造のビルでありましても、つくり方といいますかスタイルによりましては、必ずしも昔のようなものではなくて、かなり検討を要するというようなものがございます。そういったことに対しましてはなかなか耐震規定というのは、何といいますか非常にこまかいところまで法律にしてやることができませんので、かなりの部分は設計者の何といいますか、判断によるといいますか、設計者がそういうことを十分自覚して技術上の問題として考えて耐震設計をしなければなりません。そういうことで、耐震設計であればもちろん大体だいじょうぶなんでございますが、必ずしもそれで十分とは言い切れない。もう一つ申し忘れましたが、いまの関東震災の東京付近における地震の強さというのを大体念頭にしておりますので、はたしてそれがほんとうにまあ日本に起こり得る最強の地震動であったかどうかという問題もございます。
 そんなようなことをいろいろ考えますと、やはり一たびつくられました耐震規定というものでつくられているからといって安心はできない。常にその後のいろいろな地震の経験というようなものを参考にし、それから新しいスタイルのものがどういう耐震性を持っているかというようなことを検討しながら進めなければならないというように考えられるわけでございます。
 そういう意味で、そういう規定をつくった以後の大地震といいますと、まあ建築基準法をつくった直前に福井地震がございましたけれども、ごく最近のものにいたしますと、新潟地震、これが昭和三十九年でございます。それから、松代地震、これはまあ耐震設計された建物に非常に大きな被害を及ぼしたとは思いませんけれども、松代地震。それから三年前の一九六八年十勝沖地震、そうして今度、まあ日本ではございませんけれどもロサンゼルスではやはりロサンゼルス流に耐震設計された建物にかなり被害が出ております。そういったことが、いろいろわれわれの建築物の耐震という面で反省させられるもとになっておりまして、そういったことも含めてお話を申し上げたいと思っておるわけでございます。
 一応話の内容を三つに分けまして、ごく数において多い木造関係、それから非木造といいますか鉄筋コンクリートとかあるいは鉄骨鉄筋とか、そのほかのいわゆるビルでございますが、そういったものの関係、あとはその他でございますけれども、まあブロックべいとかなんとかいろいろでございますけれども、あるいはそのほかの建物の耐震を考える上で一般に大切なこと。一応そういうふうに三つに分けてお話ししたいと思います。
 最初に、木造関係でございますけれども、これはその木造建物がどの程度の耐震性を持っているかということは、なかなかわかりにくいものでございまして、非常にいろいろな木造の建物がありますので、一がいにどういった程度のものだというふうに言い切れません。
 ことに、私まあ最近の木造建物の地震による被害、これはまああまり大きくない地震でもいろいろな被害が出ておりますけれども、見て感じますのは、地域によってかなりその木造の建物の耐震性に違いがある。非常に極端な例を申し上げますと、三年前に南のほうの九州えびので起こりました地震――えびの地震のときには、木造建物で倒壊した、あるいは大破壊したものがずいぶんございました。ところがそのときに、たとえば鉄筋コンクリート造のようなものはあまり被害がなかったわけでございますが、ところが非常に対照的にそのすぐあとに起きました一九六八年地震、十勝沖地震のときには、御記憶かと思いますが、鉄筋コンクリート造で相当の被害が起こった建物がございます。特に学校建築の被害が多かったわけでございますけれども、ところが木造建築は非常に被害が少なかったということがございます。これは、その木造のつくり方を見れば、なるほどと思うわけでございまして、南のほうでは、えびの地震の震害地では屋根がわらを使った重い屋根で、壁が非常に少なくて、筋かいなんかもあまり入っていない弱い骨組みというもので非常にこわれやすい。北のほうの建物は、まあこれはおもに青森県とか北海道ですが、これは屋根が軽くて壁が多く、骨組みといいますか、水平方向の力に弱い建物。したがって被害が非常に少なくて済んだということでございますので、なかなかそう一がいには申せません。
 ロサンゼルスの被害を見ますと、これは非常にはっきりした点がございまして、まあなかなか、全部を見たわけではございませんけれども、目につく範囲では、平屋建てのものは、ちょうど日本の東北地方といいますか、少なくとも青森県あたりのように、屋根が軽くて骨組みがしっかりした強い構造で、これは被害がほとんどございません。震源地の非常に近いところで多少こわれたものもございますけれども、震動の非常に激しかったことに比べて非常に被害が少なかった。ただ二階建てのものは非常に成績が悪くて、これはやはり一階と二階のところの継ぎ目がしっかりしていなかったために、これも非常にはっきりしておりますけれども、それはともかくとして、とにかくロサンゼルスでは地震動の強かったわりに被害は少なかった。
 それからもう一つ、ロサンゼルスの被害と、そこでもしかりに東京であのくらいの地震が起こったらどうだろうか。地震そのもののことはまたあとでお話があるかと思いますが、非常に簡単に申しますと、さっき萩原先生のおっしゃった、最大級ではなくて、それの一段か二段低い、小さなまあ中型あるいは小型の大地震ということで、ただしロサンゼルスの町に非常に近かった。先ほどは亀戸が震源のような安政の地震のお話もありましたけれども、それほどでないにしても、それに近いような、非常に大都市に近い震源を持った地震であったので、その付近では非常に震動が強かったのですが、それをもし東京に引き直しますと、ロサンゼルスのときほどには必ずしもいかないのじゃないかという感じがいたします。
 で、それでは関東震災級のものがもしまたあったらどうなるかということも問題になります。それで、そういうことで、なかなかロサンゼルスの被害の状況を東京に引き移して考えることは、そのまま引き直すのはややむずかしいのでございますが、この調査報告書では、第一番目にそれに関連したことが書いてございます。それは、結局木造がこわれる、つぶれてしまえばこれは下敷きになって死傷者がかなり出ることになると思いますが、何といっても一番こわいのは火事でございます。御承知のように、関東震災のときには直接つぶれた家によって死亡あるいは負傷された方は少ないのですが、ほとんど大部分の犠牲者が火事でやられている、大地震のあとに起こった火事にやられている。そういう見地から考えてみますと、そこにございますように、1のところにございますように、ロサンゼルスの市ではそういった木造の倒壊家屋が少なかったということもありますけれども、いずれにしても火災の発生はある程度ありましたけれども、火があまり燃え移っておりません。発生件数はかなり、ある程度あったにもかかわらず、そこに書いてありますように、延焼火災が一件もなかった。これはロサンゼルスと東京の都市の構造が非常に違うからでありまして、大体面積比較をいたしますと、人口の密度からいって、東京の四分の一くらいあるいは五分の一くらいになるかと思いますが、というような非常に広々としたところであったために、そういう延焼が起こらなかった。東京でもし関東震災くらいのものがあったら、その当時の木造と比べていまの木造はどのくらい強くて、どのくらい被害がといいますか、どのくらい火災が起こるかということは、東京消防庁のほうでいろいろ詳しく調べられまして、その報告が四十三年の東京都の防災会議のほうに報告書として出ておりますけれども、大体木造の建物としてはおそらく当時よりは幾ぶん強いであろう。これはなかなか科学的に数字を出して何割強いというようなことはまだできておりませんけれども、いろいろなファクター、つまり先ほど言いましたような建築基準法というふうなもの、あるいは金融公庫の補助金による建物があるというようなことを考えますとある程度強いであろう。
 それからもう一つは関東震災当時は、木造の建物が裸と申しますか、燃えやすいものがむき出しになっておりましたけれども、現在ではいわゆる木造モルタル造といいますか防火構造の建物がかなり普及しております。したがってそういったような要素を考えれば建物が倒壊して火を出して、そしてどんどん燃え移っていくというようなことだけを考えれば、またしかも建物の密度や何かあまり変わらないとすれば、関東震災のときよりもおそらく条件はよろしいんではないかというふうに考えます。ただし、火災という面で考えますとそのほかの最近いろいろ出ております関東震災のときにはなかった危険物、薬品なんかにしましても当時よりもずっと多いでありましょうし、そのほかガソリンスタンドがあったり、いろいろ危険物が――都市ガスの問題とかいろいろな危険物が満ち満ちておりますので、そういったファクターはまた別に考えなければなりません。これは一応別に木造の建物がこわれて火を出してどうなるということについてだけ申し上げますと、以上のようなことになるわけであります。で、東京都の報告書におきましては一応そういったものも考えまして二次災害、三次災害というようなものを考えまして十分な広場を確保するということを第一に必要だということにいたしたわけでございます。
 以上が木造関係のおもな点ですが、次にもう一つ木造で問題になりますのは、最近いわゆる宅地造成が非常に盛んになっておりまして、最近の大地震ではそういった別の被害、地面がくずれましてそのために建物がこわれるといった種類の被害が非常にたくさん起こっております。これはここにおられる福岡さんがごらんになったもので私はよく見ておらないのですが、三番目に書いてあります「急傾斜地における宅地の点検」というものはその点を特に反省したものでございまして、サンフェルナンド市で宅地造成が行なわれたところがありまして、ここで被害が起こっております。東京ではおそらく関東震災級のものがくればとてもこんな一ヵ所や二ヵ所というようなものではなく非常にたくさんの場所で宅地造成地の被害が起こると考えられますので、この点のチェックがぜひ必要であるというふうに考えたわけでございます。
 それからあと今度は非木造、いわゆる普通のビル関係でございますけれども、これは先ほど申しましたように建築基準法、まず現存する建物のほとんどが建築基準法によって、あるいはその前の市街地建築物法によって建てられております。一方ロサンゼルスの地震におきましても一応耐震規定に従って、これは日本のものとはやや違いますが、建てられたものが相当被害を受けたものとか、あるいは非常に大きな被害を受けたものとかいろいろございます。
 次の九五ページのところのまん中に、五番目として書いてございますが、ここでオリーブビュー病院というのは日本の新 聞にも出ておりましたが、五階建ての本館とそれから二階建ての別館がございまして、五階建てのほうは一階が非常にひどく被害を受けて大きく傾いたんでございますけれども、かろうじてその上部構造をささえておりましてつぶれるということにはならなかった、そのために大きな犠牲者はなかったんでありますが、一方別館というのは二階建てでございまして、これは一階が完全につぶれてしまいました。あたかも一階建てのように見えるような状態――この二つの建物はいずれも水平方向にある程度の力を加えてそれに耐えるようにいわゆる耐震設計がされております。しかし最近の研究によりますとかなり大きな地震では、日本でもそうでございますけれども、いろいろな国で考えている規定の値、水平力を上回るような力がかかるということが計算上はっきりと出ております。
 では従来そういった大地震でそのような大きな力がかかった場合に、ある程度の耐震設計された建物がほとんどあまりこわれていない――十勝沖地震ではこわれておりますが、こわれなかったのはなぜかと申しますと、それがここに書いてありますやや専門的なことになりますが、粘りと申しますか、ある程度ひびが入ったりなんかしたあとでも、建物の変形は大きくなっていきますけれども、ともかくある程度の力をそのままたくわえて、そういった変形に耐えるような性質のもの、そういった粘りの性質を持っておったから、あるいは耐震規定上に持っている、与えている力以上の力を持っていたから、そのいずれかであったというように考えておりますが、最近のように耐震規定をぎりぎりに考えまして、それ以上のいわゆる余力といいますかそういったものを考えない設計では、ここにあります粘りという性質が非常に大切になってまいります。実はこのオリーブビュー病院というものの本館と別館の被害の違い、本館のほうは大破壊してはおりますけれども、かろうじてささえておりますからつぶれないで被害者は出なかった。別館のほうは実はたまたま朝早かったので、一階はつぶされましたけれども犠牲者は出ておりません。もうあと二、三時間もあとで地震が起こりましたならば、中に相当の人がいたはずで、その人たちは犠牲となったということを向こうの人も言っておりましたが、当然考えられることでありまして、そういったことから考えて二階建てのほうはどうも確かに考えている耐震力に対して地震動は非常に強かったという点はありますけれども、本館のほうが耐震設計上合格とするならば、二階建てのほうは不合格ということになります。こういったことが同じ耐震設計をしてありながらなぜ出てくるかというと、いまのお話でこれはまさに粘りの差によって出てきているものでございます。そういったことを十分考えて設計するということが必要になっているわけでございまして、その点いままでほんとうにそういったことが十分であったかどうか。これはまあ行政上いろいろな建築許可の際の問題にもつながるかと思いますけれども、一方ではまた建築設計者の自覚によるといいますか、建築設計者が十分そのことを考えて設計するということにもなります、そういったことがぜひ必要であるという反省を私どもとしてはしているわけであります。
 なお参考までにその下に書いてございますようにロサンゼルスの耐震規定と日本の耐震規定はやや違いがございまして、いろいろな点で違っておりますのでなかなか一がいに比較はできないのでありますけれども、しいて建物の高さ別に比較をいたしましたところ大体日本のほうが、ここでは東京と書いてございますけれども、一・五倍ないし四倍程度大きな強度になっている。これは実際そういったものでやりましても、さっきも言いましたように、もっと強い力にも耐えるようになっているものもありますし、同じ力ですぐにこわれてしまうもの、同じ力で持ってきたときに粘りがあって変形に追随するもの、いろいろあるわけでありまして、ここにある値が最低ということになります。で、そういう意味で比較をして、比較といいますか、大まかな考えをいたしますと、このロサンゼルスの地震、あるいは三年前の十勝沖地震というようなものに比べて考えて、やはり中低層の鉄筋コンクリートについては、やや問題があるんではないかというふうに、耐震対策というような面からは考えられるわけでございます。つまり、そこにある数字のように、低いものほど向こうと、ロサンゼルスと比べて倍率が低いわけで、小さいわけでありまして、高い建物は日本のほうがずっと強くつくられているという面で違いがあるわけでございます。
 それからあと六番目に書いてございますのは、いま病院の話が出たわけでありますけれども、こういった病院とかあるいは消防署、警察署、放送局、こういったものの耐震性能の問題でございまして、たまたまこのロサンゼルスの地震の震源に近いところには、鉄筋コンクリート造の病院がかなりございまして、それがいずれも非常に大きな被害を受けました。学校は実は木造のものが多くて、平屋の木造が多かったのですが、これは非常に成績がよかった。その次は一九三三年のロングビーチ地震で学校が大きな被害を受けた苦い経験にかんがみまして、ロサンゼルス市当局が学校建築に関して特にきびしく設計施工を監理しているという苦心が実ったものと考えられますけれども、そのことから考えましても、こういった病院、消防署、警察署、放送局、そのほか学校も日本の場合は入ってくるわけですが、そういったものが大地震のあとつぶれちゃわないまでも、大きな被害を受けて機能を果たさないということになりますと、いろんな面で非常に支障を来たすわけであります。したがって、こういった重要公共建築物については地区の事情に応じまして、そういったものを指定して耐震性能についていろいろ検討をする、点検をするというようなことがいわゆる震災対策上ぜひ必要ではないかというふうに考えられるわけでございます。
 それからそのあと九六ページのほうに窓ガラスであるとか、あるいはブロックべいなどの問題がございますが、こういったものは、たとえば窓ガラスにしますと、やはりガラスそのものには地震のときに変形に追随するような能力はございませんので、特別にガラスのまわりにすき間をあけてといいますか、やわらかいものをつけて変形し得るようにしておかないといけない。ロサンゼルス市の中心街の高層建築は、大体そういう規定に従っておったようでありまして、被害が非常に少なかったのですが、中層程度のその辺の、しかも古い建物ではかなりの窓ガラス破損がございました。この点、東京その他日本の都市でもこういったことのために死傷者が非常に起こる心配がありますので、特にその点の配慮が必要ではないかというふうに思います。
 それからブロックべいは、日本に比べると、もう一段むぞうさに向こうはつくられておりまして、特に一メートル八十センチ以下のものは全然規制がないというようなもので、非常に被害が多く目立ちました。ただ、そうであっても、向こうは何ぶん土地が広いものですから、そういうものが倒れても直接下敷きになってどうこうというようなことはございませんでした。しかし、東京あるいはそのほかの日本の都市では道路が狭いですから、ブロックべいが倒れてきますと、その下敷きになって犠牲者が出るということが非常に考えられますし、もうすでに数年前から地震のたびにそういった死傷者、犠牲者を出しております。そのほか、広告塔など非常に危険が考えられますので、実際どうであるかというようなことをまず調べることは緊急に必要ではないか、場合によっては、そういった規制を強化する必要があるというふうに考えたわけでございます。
 最後に、九番目といたしまして、地震観測体制の充実という項がございますが、これはロサンゼルスではここに書いてありますように、六階以上の床面積六万平方フィート以上あるいは十階以上の建物は全部、これは強震計という特別の地震計を設置するように義務づけられております。で、このたびの地震では、ここには二百十三台とございますが、まあこの程度の強震計がこの付近にあって、そのうちの百八十七台、大部分が作動して非常にいい記録が得られた。日本ではここにおられます萩原先生が中心になってつくられた強震計がありまして、日本全国ではいますでに六百台をこえるたくさんの数の地震計、強震計が建物、土木関係のいろいろな構造物についております。しかし、日本全体から考えますと、まだまだそういったものが必要でありますし、この際、特にいわゆる超高層といいますか、四十五メートルをこえるような高い建物については、そういった強震計を強制的に設置させることが必要ではないかということを考えております。ただ、その際非常に問題になりますのは、そういった機械を据えつけたあとの保守管理でございます。従来、各部局といいますか、機関といいますか、先ほど地震予知のお話にもありましたのと同じようなことでございますけれども、いろいろなところ、私ども東大地震研究所もそうでございますが、土木研究所、港湾技術研究所、建築研究所、いろいろな機関でそういった機械の保守管理をいたしておりますが、その辺はこの際ぜひ国全体で一本化して保守管理が行なわれるように配慮していただくことが必要ではないか、というふうにわれわれ関係者の間で話し合っているところでございます。
 なお、そのほかこういった問題、特に災害対策の面からのいろいろなことを研究いたします上で、やはり従来のような形でありますと、なかなか研究の方向もやり方もやりにくいところがございまして、そういった災害対策という面での研究を特に促進させるようなことも非常に必要なことであるというふうに考えられます。実際、地震が起こっていろいろな被害が生じたときの被害額というようなものに比べますと、それほど多額の費用でなくてもかなりの災害を防いで費用を節約することができるわけでございますので、そういった点の配慮がぜひ必要ではないかというふうに考えます。
#177
○委員長(北村暢君) どうもありがとうございました。
 次に、福岡参考人にお願いいたします。
#178
○参考人(福岡正巳君) 福岡でございます。地震に対する土木構造物のことにつきましてお話を申し上げたいと思います。先ほど大澤さんのほうからお話がありましたけれども、このパンフレットを借用いたしますならば五八ページに橋梁の設計のしかたのようなものが書いてございますので、それをごらんになりながらお聞き願いたいと思います。
 まず、地震に対する土木構造物の設計の方法でございますが、これは現在のところ、各機関ごとあるいは各学界ごとに基準ができております。で、建築の場合は、構造物が簡単と申し上げては失礼かもしれませんが、まず一種類のものとみなせるわけでございますが、土木構造物の場合には非常に種類が多いものですから、一つの基準でこれをカバーするということがなかなかむずかしいわけでございますので、いろんな基準が生まれているわけでございます。で、このほかに、土木の構造物をつくります場合には、実際工事をやって物ができ上がってまいりますので、これを施工と称しておりますが、その施工を行なう場合におきましては、十分に行き届いた工事がなされていなければならないわけでございます。で、その工事を実施する場合に、十分な品質管理がなされているということが重要でございます。十分な品質管理を行ないまして、設計のとおりに施工いたしますというと、りっぱな構造物ができるわけです。
 で、先ほど、大澤さんの話しにありましたように、ロサンゼルス地震で非常に大きな被害を受けたわけですけれども、特に私、感心いたしましたのは、ロサンゼルスの中心街におきまして、被害を受けた建物と受けない建物がありました。設計の方法につきましては、たいして違いなかったと思いますけれども、工事を実施する途中で予算の関係とか、そのほかのやむを得ざる事情があったかと思いますけれども、工事の施工のしかたが適当じゃなかったというために、ほかの建物よりもよけいに被害を受けたというものがあるという話を聞いております。ですから、私どもは基準をしっかりつくるとともに、工事を実施する際に十分入念に品質を管理しながら、いいものをつくっていくということが必要ではなかろうかと思います。これは耐震という面からだけではなくて、そのほかのいろんな面から考えましても重要なことでありまして、耐震だけが特にどうということはありませんけれども、こういう点がややもするとおろそかになるというふうに考えられます。
 で、地震が襲来いたしますというと、構造物のこわれるのがいつも弱点でございまして、その弱点というのは、設計のときにつくられた弱点と、それから施工のときにつくられた弱点と二種類ございます。で、地震が起こるたびに新たな弱点が発見されまして、それを次第に直して今日に至っているという状況でございます。今回の地震におきましても、弱点というのがいろいろなところにあらわれております。で、私どもは、その弱点を強化する方法をこれから考えていかなければならぬと、こう思っております。
 で、さて話をもとに戻しまして、基準のことでございますが、まず最初に、土木構造物の中で一番よく出てまいりますのは、コンクリートまたはスチールでつくった構造物であります。この構造物の耐震設計のしかたには二種類ありまして、一つは非静的な方法であり、他の一つは動的な方法であります。
 この静的な方法というのは、関東震災の起こりました大正十二年ころに考えられました方法でありまして、昔の土木研究所の所長――当時は、土木試験所と言うておりましたが、そこの所長をなさっておりました物部博士が考えられた方法だと言われております。建築のほうでは内藤多仲先生が考えられた方法だといわれておりますが、土木のほうでは物部先生のお考えになった方法だというふうにいわれております。その方法は、ここに構造物があったといたしますと、重力というのは上から下のほうに向かって、地球のしんのほうに向かって作用しておりまして、これは大きさは一Gであるというふうに考えておるわけです。地震力をこの建物の重さの重心に横方向にかけまして、地震は横から建物あるいは構造物を引っぱって倒そうと、こういうふうな力だと考えているわけです。その横方向から引っぱってこれを倒そうという力の大きさは、地震の際に重力の〇・二倍あるいは〇・一倍というような大きさを特っているというふうに考えておりまして、そういったふうな水平地震力を横にかける方法をこれを震度法と称しております。その水平力の大きさをじゃあ実際どの程度にしておるかということを申し上げますと、アメリカの場合は今度のロサンゼルス地震の際にこわれた構造物で見ますというと、〇・〇三から〇・〇六ないし〇・〇八という程度の大きさに達しております。日本の場合はそれではどの程度の大きさにしているかと申しますと、先ほど申し上げましたように、構造物によって違いますけれども、例を橋梁にとってみますと、〇・一から〇・三まで使っております。ですからアメリカの場合に比較いたしますというと、もしアメリカが〇・〇五で日本が〇・三といたしますというと六倍の強さの地震力を考えておるということになろうかと思います。そういったふうな方法が静的な方法でございます。しかしながら構造物のたわみ性と申しますか、たわみやすさが大きくなってまいりますと、ちょうどこの辺で申しますというと霞が関ビルなんかはそれに相当いたしますけれども、橋梁で申しますと、いまつくっております第二関門というようなものは非常にたわみやすい構造物になっております。そういったふうなものの場合には、ただ単に地震力を横にかけて設計するというようなことでは不十分でありまして、もう少し地震の波の性質を取り入れまして、そうして構造物のたわみやすさを取り入れて設計をしなければなりません。こういったふうな場合には動的設計というのを取り入れます。建物の持っております固有周期が変わりますというと地震力の大きさが変わってまいるわけです。そういったふうな二つの方法を使って実施しておりますが、いずれも問題点を含んでおります。
 第一の静的方法に返ってみますというと、これはその地震係数と申しますか、地震係数の大きさ〇・三なりあるいは〇・二というものをきめる場合に、その中を三つに分析して考えております。第一番目はその位置における地震の強さ、これを考えております。その位置における地震の強さはどういうふうにして決定するかと申しますというと、あとからお話しになります河角先生の御研究の結果を普通は使うのでございます。河角先生が震度期待値のマップをおつくりになっているのは有名でございますが、その震動期待値によりまして非常に地震の起こりやすいところ、地震の多いところ、これはその係数を大きくとります。で、地震の起こりにくいところは係数を小さくとるというような処置を講じております。
 その次に考えますのは、地盤によって地震力の大きさは違うということを取り入れまして、地盤係数というものを考えております。たとえば東京の山の手におきましては地震力が弱いだろう、下町の地盤の柔いところは地震力が強いだろうということを考えまして、その違いを数字の上にあらわしておるわけです。
 第三番目の因子といたしましては、構造物の重要度というものを考えております。この構造物の重要度というのは、たとえば道路で申しますというと、国道というようなものはこれは国の幹線でございますので重要度は高いと見なきゃならぬと思いますが、数軒しか家がないところの山の中というようなところでは重要度が低いと考えて、地震係数を小さくとるというようなことになるわけですが、そういったふうなことを考えて三つの要素を設定して、これをかけ合わして震度の大きさにいたしておるわけでございます。この考え方は、現在の新しい耐震設計の考え方でございますが、先ほど大澤さんのお話になりました建築についてこれを見てみますというと、病院だとかあるいは学校というようなものは重要度が高いというふうに考えられますので、この重要度係数を大きくとるということになろうかと思います。で、われわれのこの考え方は十日から十二日までの日米の耐風耐震構造専門部会におきましても議論されまして、アメリカでもこういったふうな考え方をとっていきたいというふうに申しておりました。
 で、いま申し上げましたように、この地震係数だけでそれじゃ建物の地震に対する強い弱いはきまるかと言われますと、それは確かに一つの尺度でございますけれども、そのほかにまだ二つばかり重要なものがございます。
 一つは材料の持っております許容強度というものでございます。地震の場合には平素の場合と違いまして、力が瞬間的にかかるわけです。したがいまして持続的にかかっている力と同じような考え方で設計したのでは少しオーバーな設計になり過ぎるというので、材料の許容強度を地震時には高く買っております。たとえば信頼性の非常に高い材料につきましてはその許容強度の割り増しを大きくする、それから信頼性の少ないものにつきましては許容強度の割り増しを少なくするというようなふうにいたします。で、ある設計基準におきましてはスチールでは一〇〇%増しにする、コンクリートは五〇%増しにするというようなことをやっております。で、アメリカのカリフォルニアの設計基準におきましては、割り増しを三三%にいたしております。この割り増し率が日本のほうがアメリカよりも大きいわけですから、アメリカのほうが日本よりも設計震度が小さいからといって、直ちにアメリカのほうがこれだけ弱い設計をしておるということはなかなか言えないわけでございます。
 それからもう一つ、第三のファクターといたしましては、許容変位の問題がございます。これはどういうことかといいますと、われわれの場合には橋梁ですが、橋梁が破壊しないというだけでは不満足でございまして、あまり地震のために大きくゆれますというと、大きな橋でございますとハンドルをとられて車が走りにくい、そのために事故を起こすというようなことがありますから、やはり変位の大きさはある程度まで規定をしなければならぬ。で、まあ水門のようなものでございますというと、ゲートが締まらなくなるというようなことが出てまいりますから、やはり変位は考えておかなければならぬ。現在におきましてはこの許容変位によって設計がきまってくるというものも相当ございます。で、こういうことがまだほかにも個々の構造物につきましてはたくさんあるわけですけれども、そういういろいろなことを考えまして設計というものは成り立っておるわけでございまして、簡単に震度というものだけでじょうぶな設計をしているとか、あるいは弱い設計をしているということは言えないわけでございます。
 いま申し上げましたのは紙の上で行う、あるいは計算機の上で行なう基準のことでございますけれども、その設計の数式の中に入れます数字がございます。たとえばコンクリートの強さは三百キログラム・パー・スクエアセンチメーター、あるいはスチールの破壊強度は三千キログラム・パー・スクエアセンチメーター、そういったふうな数字でございますが、これは何によって求めるかと申しますと、試験によって求めます。材料の試験によって求めます。で、その材料の試験のためには、わが国におきましてはJISという制度がありまして標準化されております。そのJISの基準に従って試験を実施いたしまして数字を求めるわけですけれども、まあ地震の設計というようなものは非常に新しいものでございますから、心ずしも全部JISでカバーされておるというわけにはまいりません。まだ研究中のものもありますから、いますぐJISにしようと思いましてもできないわけですけれども、そういうことがございますので、地震に関する試験というのは各実験室の独自な規則に従ってやっているというのが実情でございます。
 それからその次に、土木の施設として重要なのは土質構造物というのがございます。先ほど申し上げましたのはスチールとかあるいはコンクリートでつくったものでしたけれども、土を主体としてつくった構造物、これがございます。それにはどういうものがあるかと申しますと、道路だとかあるいは鉄道の盛り土ですね、それから河川の堤防、海岸の堤防、それからアースダム、そういうものがございます。それからどこにも出てくるものといたしましては擁壁、リテーニングウオールと言っておりますが、そういうものがございます。それから港湾にまいりますというと岸壁ですね、シートパイルを打ち込んでそうしてあとに土を盛った岸壁のようなものがございます。こういったようなものにはいま申し上げましたような設計法を適用いたしましてもなかなかうまくいかない。それでまた一段とむずかしいわけでございますので、これにはいろいろ設計法が規定がされておりますけれども、スチールあるいはコンクリートの構造物以上に未解決の問題がたくさんあるのが現状でございます。
 それから、その次に土木構造物は水に接触している場合があります。たとえばダムでありますが、ダムはコンクリートだとかあるいは土あるいはロックフィルの場合にはロックによってつくられておりますけれども、一方に水がたまっております。海岸堤防、河川堤防、干拓堤防というようなところではやはり一方に水があるわけです。こういう水の作用がどういうものであるかということにつきましては、これも一応の研究はなされておりまして、その水圧の大きさだとか、あるいは波の高さというようなものはわかっておりますけれども、まだ未解決の問題がたくさんあります。橋梁もやはり海だとかあるいは川につくられるわけです。そのピアに対しましても、どういう力がかかっているのかということが問題になるわけですけれども、これもやはり本四連絡架橋の設計にあたりましていろいろ研究いたしましたので、ある程度まではわかっておりますけれども、非常にむずかしい問題をまだ残しております。
 それから今度は試験の関係につきまして申し上げたいと思いますが、新潟地震が起こりました際に、砂が流動化いたしまして大きな災害をもたらしました。この砂の流動化というのは、十勝沖地震においても見られましたし、アメリカにおきましてはアラスカ地震において見られたのでございます。今度のロサンゼルス地震におきましては、はっきりと地盤が流動化したという報告はございませんけれども、向こうの大学の先生が現場を歩いてそういうところがあったということを、私どものほうに話をしてくれました。それから、これもいま調査中でございますから、そういうふうに断定するのは早いかと思いますけれども、先般参りましたアメリカの技術者それからカリフォルニア大学の先生というような方の意見を聞いたり私どもの経験をもって判断をいたしますというと、バンノーマンダムというアースダムが決壊いたしまして、危うく大水害を免れたわけでございますが、そのバンノーマンダムの決壊した原因は、新潟地震と同じく砂の流動化じゃなかったかと考えております。この砂の流動化という現象は、ゆるく堆積した砂に地震がまいりますというと起こる現象ですが、これがこんなにもしばしば起こるということになりますと、われわれもそれを無視して設計を考えるわけにまいりません。はたしてどういう地盤に流動化現象が起こるのかということは、現場の調査とそれから実験室の試験と両方から攻めていかなければなりません。これにつきましては、短期間でありますけれども、精力的な、非常に大きな量の研究がなされておりますけれども、まだまだ十分にわかっていないわけでございます。これは関係国の科学者が、あるいは技術者が一体になりまして、将来研究を早く完成しなければならぬじゃないかと思います。場合によりましては、流動化する砂のある場所では構造物が全然できないということにもなります。またお金にいたしますというと十倍とかあるいは二十倍というような工費がかかるということになりますので、非常に重要な問題であると考えている次第でございます。もちろん、土木研究所、建築研究所、それから港湾の技術研究所というようなところではこの問題と取り組んでいるわけでございます。
 その次に、コンクリートとかあるいは鉄材の地震時の強度というものが、これが問題になっておりまして、繰り返しの力がかかった場合に非常にもろいのじゃないか。ある鉄筋の配置をした場合には非常にもろいのじゃないかというふうにも考えられますので、これは力を入れて研究して、その成果を設計に反映しなければならぬと考えております。
 それから、これは今回は水害が全然なかったわけでございまして、こんな幸いなことはないわけですけれども、地震がありますと必ず起こってまいりますのは、津波でございます。これはロサンゼルスの場合は、地震は海から、水害は海から起こってくるというのじゃなくて、ダムから起こりそうになったわけでございます。カリフォルニア大学の先生方も、もう少し大きな地震がきていたら、もう少し地震の継続時間が長かったら、あのダムは崩壊して、約百万人の人たちは生命財産の危険にさらされていただろう、というようなことを言っておりました。そういったふうな水害というのはいつも考えていなきゃならぬ。で、ダムの場合に非常にこわいこわいというような感じを受けている方が多いのですが、今回の地震におきましては、パコイマダムというのがありまして、このパコイマダムは震央に一番近いところにありましたが、その震央に近いところにありましたせいか、いままで世界じゅうで記録された中の最大の地震加速度が記録されました。それにもかかわらずそのダムは全然被害がなかったのです。ダムをつくりましたのが一九二〇年代でございまして、まだ耐震設計というものをしていなかった時代につくられたものでございます。それにもかかわらず全然被害がなかったということは、非常に注目すべきことでありまして、コンクリートダムはほんとうに強いというふうに信用していいのか、あるいはまたそうじゃなくて、たまたまじょうぶだったのかという、どっちかよくわかりませんので、現在土木研究所におきましては、その解析をいたしております。もちろんアメリカのほうでも解析をすることでございますけれども、事が非常に重要と見まして、データを取り寄せて、日米協力してその現象の解明に当たっております。なお、先ほどのアースダムのほうでございますが、これはハイドローリックフィルという特殊な形式のものでして、日本にはそういう形式のものはございません。
 時間がだんだんとたちましたので、地震対策の問題点ということでございますので、私がいま気がついておりますことにつきまして、項目的に簡単に申し上げておきたいと思います。
 まず一番最初は何と申しましても、耐震工学の振興ということではないかと思います。いままで学術的なことを申し述べましたけれども、それで十分御理解いただいたと思いますけれども、まだ不明な点がたくさんございます。したがいまして耐震工学を振興させますというと、これまであまりにも過剰な設計をしていた部分はなくなりまして経費が節約できます。また逆に、われわれが知らないために非常に危険なものをつくっておりました場合には、安全なものができます。そういう非常に大きな効果がございますので、やはり耐震工学はもっともっと振興させなければならないのではないかと思います。先般アメリカの技術者の話を聞いたのですが、アメリカの道路局だけでも年間二十一億円をかけて研究をしておるそうでございます。私は日本のことはよく知りませんけれども、おそらくもっと少ない金額じゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。で、日本でも学術会議に耐震工学研究連絡委員会というものがありますし、関係学会といたしましては地震学会、土質工学会、土木学会、建築学会というものがありますけれども、いずれもそうたいして研究費なるものを持っておりませんし、このような状態ではいつになったら耐震工学上の問題が解決するのか案ぜられます。
 それからその次に、最初のお話に申し上げましたように、構造物の重要度係数というのは、これは新しい考えでございますけれども、これをいかに配分すべきかという問題は、経済的な問題もからんでまいりまして非常にむずかしい問題だと考えます。できれば技術者の判断を下す場合に何かよるべきものがほしいじゃないかというふうに考える次第でございます。ですから、こういうものにつきましては広く意見を聞きまして、何かよるべき基準がつくられることを切に希望いたします。少なくとも人命は絶対に失わないようにしなければならぬというふうに考えます。
 それから災害のときにはすぐ二次災害というものが発生するわけですけれども、これにつきましての予測と対策を立てる必要がある。災害復旧につきましては、災害には必ず新しい現象が何かあらわれるものでございますので、その新しい現象をすぐ解明して、それを災害復旧の上に役立てるということが必要ではなかろうかと思います。
 それからその次に先ほども配られました東京都のパンフレットにもありましたけれども、橋梁の場合には落橋防止というようなディーテイルの注意を払う必要がある。
 それから大澤さんのお話にありましてダブリますけれども、やはり強震計の設置ということが望まれます。それにはいまの地震計をもう少し簡易化いたしまして、そして現在の十分精度の高い強震計の補助として使うということが必要じゃないかと思います。
 それから地中の地震は地表の地震に比べますというと、ゆれ方が少ないように私ども思われるわけですけれども、その違いを計測いたしまして、それを構造物の設計に取り入れたいと考えます。
 それから地震におきましては、地割れとかあるいは地変が起こりまして、そのために構造物がこわれるということが間々あります。今回の地震におきましては、地盤が比較的よかったのですけれども、やはり地表面にひび割れが起こりまして、そして構造物をこわしているということがございました。それで私は、地割れだとかあるいは地変というものは予測しがたいのだとあきらめないで、もう少し調査して、その結果に基づいてそれが予測できるようになりたいものだと思います。
 それから土木構造物は老朽化いたします。老朽化いたしますというと耐震性が低下いたしますけれども、どの程度耐震性が下がっておるのかということを診断する診断方法ですね、これをもう少し熱心にやるべきじゃないか。
 それから本州・四国連絡橋だとか、あるいは第二関門橋だとか、あるいは東京湾の沈埋トンネルあるいは地下鉄、地下構造物というふうな新しい構造物がどんどんつくられてまいります。それに対応いたしまして、それらのものの耐震の設計施工法というものも研究していかなければならぬのじゃないかと思いますが、現在の技術あるいは科学の陣営では、なかなかすぐにそれを解決するということはむずかしいので、この辺のところを補強する必要があるのじゃないかと考えます。
 それからこれはアメリカで実際にやっておることですが、重要な構造物に対しましては、設計者の資格を規定しております。たとえば学校建築については特別なライセンスが要るということですが、わが国におきましては、少なくとも重要な構造物を設計する人には、ぜひ耐震工学の知識を持ってもらいたいと考えるわけでございます。まあ構造物が大きいというだけじゃなくて、事人命にかかわるような構造物につきましては、やはり耐震工学の知識が必要だと考えます。
 それから設計のことばかりにとらわれないで、やはり施工のことにつきましても十分に注意を払い、またその不明確な点は研究をしていくというふうにしなければならぬと、こういうふうに考える次第でございます。
#179
○委員長(北村暢君) ありがとうございました。
 それでは河角参考人が御出席されるまでの間、三人の参考人の方々に対し質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#180
○小林国司君 私どもしろうとでございますので、高遠なお話を伺ってもすぐ全部理解するということはできませんが、まず全国民がいま一番望んでいることは、地震をあらかじめ知る方法はないものだろうか。萩原先生がおっしゃいました予知の方法、これが一番当面の大きな問題ではないかと思いますけれども、数年前からだいぶ研究していらっしゃるように伺ったのでございますが、しろうと考えでよくわかりませんけれども、水準測量につきましてはどういう頻度で、どういう方法で地理院のほうでやっていらっしゃるのか、まずそれを最初にお聞かせいただきたいと思います。
#181
○参考人(萩原尊礼君) 国土地理院でやっておりますいわゆる一等水準測量と申しますのは、日本全国の主要な国道に二キロおきに標石を埋めまして、それの高さを精密水準測量という方法で次次に測定して高さをミリメートルの程度まで求めるものでございまして、これは全国延べ二万キロの道路に二キロおきに標石が埋まっておりまして、したがって一万点の標石があるわけでございます。これを地震予知計画におきましては五年に一回必ず測量をやり直すということになっておりまして、なおそれでも足りませんのでそのうちの約半分は二年半の周期で繰り返すと、そういうことになっておりまして現在大体この計画に近い線まできております。
#182
○小林国司君 そうしますと、半分ぐらいは二年半の周期で水準測量がなされますから、その間に隆起、沈下が起こればある程度キャッチできますが、場所によっては五年間ははからないというところもあるわけでございますが、もう少しいま科学の進歩した時代でございますから、何か電磁的にたとえ一ミリでも二ミリでも隆起しても沈下しても、あるブロックで直ちに自動的にこれが速報されてくる。人間が一々精密水準測量で検査するんではなくて、少しでも動いたら電磁的にあるブロックのある場所に自動的にわかってくるというような方法は技術的にできないものか、あるいはそれには多額の予算を要するために不可能であるのかどうなのか、という点についての御見解を承らしていただきたいと思います。
#183
○参考人(萩原尊礼君) 測量はただいま御質問にありましたように何年か、あるいは非常にひんぱんにやるといたしましても一月とかそういう間隔をおかなければなりませんで、連続的にまいりませんので、その欠点を補うために何かないかということで、土地の上がり下がり、何ミリ上がったとか何ミリ下がったということを直接記録することは原理的に非常にむずかしいのでありますが、ある土地の一つの点、それが傾いたりあるいはその辺の土地が伸びたり縮んだり、こういう傾斜計あるいは伸縮性――伸び縮み計ですね、そういうものは従来から研究されまして、そういう測定器を置いた場所がところどころにございます。これを地殻変動観測所と申しておりまして、ただいまは大学がこれを研究的に観測を行なっておりまして、現在でも十数ヵ所そういう観測所がございます。これはこういう研究をもう少し進めましてもっと簡単な方法、つまりいまは相当深い横穴を掘りましてその中に機械を据えておりますが、もう少し簡単に百メートルとか二百メートルの井戸を掘ってそこに機械を置く、そういった簡単な方法をさらに開発しまして、もっとたくさんの点でそういうことをやってそういった測量の欠点を補なっていく。で、ある面積にわたった変化はそういう測量で求めて、その中の一点における連続的な動きはそういった機械ではかる、こういう方法で進もうといたしております。
#184
○小林国司君 福岡先生にちょっとお伺いしたいのですが、先ほど流動化のお話がございましたが、いま日本にはダムが、数はわかりませんが、土堰堤が、かんがい用のダムその他いろいろの目的のダムが全部で十万以上あるのじゃないかと思います。たとえば香川県だけでも小さいのを入れて一県で約四万個もため池がある状態でございます。それが地震によっていままで破損を受けたもの、あるいは決壊というケースはあまり少のうございますが、これから流動化ということによって強度の地震が起こってまいりますと、満水したときには非常に危険だということは想像にかたくないわけですが、そこでいま研究なさっていらっしゃるようでございますが、まず概括して透水係数、ロサンゼルスで決壊寸前になったダムがございますが、先ほどのお話もございましたが、それも流動化現象のために内のりのほうが決壊になった模様でございますが、そういう決壊しかけたダムですね、それの透水係数が大体どの程度であったか、今後日本のいろいろなダムが地震で被害を受けないためには、設計のときに透水係数ということは当然考えて設計施工をやっておりますが、それといま御研究なさっております流動化現象と今後結びつけて十分な注意をしなければならぬと思いますので、まずロサンゼルスの何とかいうダム、半ば決壊しかけたダムの透水係数どの程度であったか、もしお知りでございましたら知らしていただきたい。
 それから、これからの流動化の現象につきまして、砂の粒子の多い場合は当然これは流動化現象が起こるわけであります。粒子がこまかくなればなるほどその現象は少なくなっていくと思いますので、今後粒子の含んでおる割合、そういったものと流動化現象との関係と申しましょうか、そういうものをできるだけ早くひとつ研究を仕上げて御発表をいただきたい、これはお願いでございます。まず透水係数がどの程度であったか、お知りでございましたら知らしていただきたい。
#185
○参考人(福岡正巳君) お答え申し上げます。
 バン・ノーマンダムの透水係数は私よく知りません。断面が非常に複雑でございますので、おそらくアメリカも簡単にははかられないだろうというふうに考えます。
#186
○上田稔君 萩原先生にちょっとお聞きをいたしたいのですが、この地殻の動きでございますが、これは大きいところはどの程度に動いておりますでしょうか。何メートルというか、十メートルとか、まあどの程度に動いておるのでしょうか。
#187
○参考人(萩原尊礼君) 一等三角点というのがございます。これが日本全国で三百三十点ございます。この測量は日本の地図をつくりますために明治年間に初めて三角測量が行なわれまして、それの水平の位置が出ました。それが比較的最近に全国の一等三角点の再測量が国土地理院によって行なわれました。その両者を比較いたしますと、その三角点がどれだけ水平に移動したかということが出るわけでございますが、その最初と二回目の測量の間には約六十年という隔たりがございます。これを見ますと、大きいところでは三メートルないし四メートルくらいの移動が起こっております。で、もちろん関東の大地震とかそういう非常に大きな地震の起こりましたあとでは一メートル、二メートルの移動が起こっておりますが、その六十年の間に大地震のなかった地域で、そういった大きな動きが起こっているところが、北海道の東のほうと御前崎付近にございます。しかし、ただ三角点の間の距離は四十キロございますので、ある点が、たとえば四メートル動いたといたしましても、次の点も四メートル動いているとすればその間にはひずみがないのでございまして、まあ地殻が破壊するというのはひずみが問題になるのでございまして、何キロの間で両点の動きの差がどれだけあるかという、むしろ差のほうが問題になってまいるわけでございまして、水平移動が大きいところが非常に地殻に無理がたまっておる、必ずしもそういうことにはならないのであります。
#188
○上田稔君 そうすると、水平移動だけではひずみにならない。水平移動ではなくて、やはり何か上下の動きとか、傾きとか、そういったものがひずみになるわけでございますか。
#189
○参考人(萩原尊礼君) ちょっと私の説明がまずかったと思いますが、つまり、二つの点の間の動きの差と申しますか、二つの点の間が延びたとか縮んだとか、それがどれだけ延びたか、縮んだかというのが問題になりますので、二つの点が一緒に縮んだのではこの間にひずみは起こらないわけでございまして、で、いままでの研究によりまして、大体地殻は一万分の一のひずみが起こると破壊する、そういうふうに考えられております。でありますから、ここで一のものが一万分の一だけ延びるとか、縮むとか、あるいはねじれるとかなりますと破壊が起こる、それに達しない間はだいじょうぶである、そういうふうに考えておりまして、水平のひずみはそういった三角点間の距離の違い、そういうことから求められます。そのほかにひずみとしては、やはり上下方向の変動もございます。これはこういうふうに二つの点がやはり相対的にこうなったことが傾斜としてあらわれてくるわけであります。それも一種のひずみになります。そういった横のひずみ、縦のひずみ、こういうものに注目して、現在地殻に蓄積されているひずみを追究していこう、そういうことをいたしておるわけでございます。
#190
○上田稔君 いまやっておられます地理院の標準三角点の観測、測量でございますけれども、こういうものはいま何十年に一回ということになるのでございますか。一等水準点は五年に一回というようなお話もございましたが、こういうようなのは正確に全部三角測量かなんかおやりになっておやりになるのじゃなかろうかと思いますが、地震の予知のためには、もうちょっとラフにというわけにいかないでしょうか。たとえば空中写真で三角点だけをはっきり書いておって、ぱっととってみて、そしてそれによって前のときに写したやっとこうやってみて、どうも非常に違う。だからこれは正確にやってみようとか、ここのところはあまり変わらないからたいしたことはないというような何かラフな測量、たいへんしろうとでございますので変な質問をいたすかもしれませんが、そういうふうなことで、地震の危険地帯というか、ひずみのある個所というものを探索するというようなことはできないのでございましょうか。
#191
○参考人(萩原尊礼君) お答えいたします。
 先ほど申し上げました一等三角点のほかに、まだ二等三角点、三等三角点といろいろこまかい三角点が分布しておりますが、最近では光を使って距離をはかる方法が非常に発達いたしまして、光波測量機と申しておりますが、それが非常に精度がよくなっております。と申しますのは、従来はその光源といたしまして水銀灯を使っておったのでございますが、レーザー光線を使えるようになりまして、昼間、こういう明るいときでも十キロ、二十キロ先の鏡から反射してくる光をとらえることができると、こういうことで非常に精度が上がってまいりました。で、一万分の一でこわれると先ほど申しましたが、そういうことを前もって見つけるためには、二けたばかり精度上げまして百万分の一くらいのところまでははかりたいわけでございます。そういたしますと、やはり相当離れた距離を一センチまではどうしてもはかれなければならない。そういたしますと、空中写真のようなものではとても精度は得られませんので、三角測量、それから光波測量というものでやっていく、こういうことを計画して現にやりつつあるわけでございます。
#192
○上田稔君 それでは福岡先生にちょっとお願いをいたしたいのですが、最近鉄筋コンクリートの例の細い壁といいますか壁が、たとえば道路公団の隧道の横であるとか、そういうところにつくられておるわけでございます。堤防でも特殊堤というのは相当厚くしてありますけれども、そういう道路公団のところなんか何か薄いような気がするのですけれども、力学上はもちろん構造的にはできておるのだと思うのでございますけれども、地震のときにそういう細いもあのところには、何といいますか、ひびが入るというようなことが起こらないのでしょうか。たとえて言いますと、ロサンゼルスでごらんになったときに、やはり構造の目地がどっかにあるわけでございますね。そういうようなところでそういうものが起こっておらないのですか、例がないかもしれませんが。
#193
○参考人(福岡正巳君) お答えいたします。
 ちょっと上田先生の御質問がはっきりわからないのですけれども、ロサンゼルスのことについて申し上げますと、道路の切り土ですね、カッティングです。それがあっちこっちにあるわけです。断層が縦横無尽に通っておりまして、山が非常にもめているわけなんですが、のり勾配が〇・五割、だから百分の五ですね。それからのりの高さが二十メートルというようなものがたくさんあるのですけれども、あまりくずれていないわけなんです。表面を見ますというと、いかにもすぐにもくずれそうな感じがするのですけれどもくずれていない。それで、私どもが調査に行きましたのが地震発生後約十日間過ぎてからなので、あるいは多少幅落ちしたかもしれませんが、それは全部片づけられておりましたのでよくわかりませんでした。自然のり面というのは案外強いなという感じを受けたわけです。ですから、自然のり面が破壊しないということになりますと、その上のコンクリートも破壊しないのじゃないかと思います。ですから、いま先生の御質問の場合にコンクリートの下にある地山が落ちてこなければ、おそらく表面のコンクリートもだいじょうぶじゃないかというふうに考えるわけです。
#194
○上田稔君 そういうことではなくて、実は海の面より低いようなところの隧道の入口のようなところですね、あるいは隧道でなくてウォールだけでずうっともっていってある、こういうときにウォールそのものが鉄筋がもちろん入って計算はしてあるんですけれども、ずうっと長く連続しておる。この場合に地震が起こると、そのウォールがやっぱり何といいますか、土に面したところは、非常に土に接したような、土と同じような震動をやる。こっちのほうのところになってくるとそうでない震動をやる。だからどこかに震動の食い違いができて亀裂ができやしないか、そういうところができるんじゃなかろうかと思うわけです。特に構造目地みたいなところが亀裂が起こる可能性がある。そういったようなところで亀裂が起こっておるということはなかろうか。まあ東京の場合は特にゼロメートル地帯が非常に多いわけですから、そういう震動の、こういう震動が違うようなところに亀裂が起こる可能性がないかどうか。そういうものの再点検をして、ここのところを何か補強する必要があるんじゃないかという気がするわけですが、そういうことが、私もやっておりませんので、しろうとでございますからひとつお教えをいただきたい。
#195
○参考人(福岡正巳君) お答えいたします。
 先生の御質問がロサンゼルスのことだとしますと、ロサンゼルスにはトンネルが非常に少のうございまして、一ヵ所あって、しかもそのライニングが痛んだという話は聞いておりますけれども、そのほか道路のトンネルはありませんけれども、鉄道のトンネルが、サウザンパシフィックのトンネルですけれどもございます。これは別に異常はなかったようです。それから、ロサンゼルスアクェダクトという水道用水路ですか、これがありますけれども、それも異常はなかったようです。で、先生の御質問はロサンゼルスの経験のことをお聞きになっているのかどうか、ちょっともう一回お聞きしたいんですが。
#196
○上田稔君 いや、ロサンゼルスのときの経験から見て、そういう東京のような、たとえばロサンゼルスで池があると、その池の横を道路が通ってそれがちょうど下になっている、水面よりも。そういうようなところですと、ウォールにもちろんなっているんだろうと思うんです。そういうところがあって、そこがどうなっている、このようなところはなかったかどうか。
#197
○参考人(福岡正巳君) ロサンゼルスの場合につきましては、いま申し上げましたように、あまりたくさんトンネルもありませんし、時間もあまりなかったので、自分の目で確めることはできませんでした。ただ、いま申し上げましたように一ヵ所トンネルのライニングが痛んだところがあるという話でございましたので、ぜひ見たいと思いましたけれども、時間的に余裕がありませんでしたので、見ることができませんでした。
#198
○委員長(北村暢君) それでは質疑の途中でございますが、ただいま河角参考人が御出席になりましたので、一たん質疑を中止し、これより御意見をお述べ願うことにいたします。河角参考人。
#199
○参考人(河角広君) ただいまおくれてまいりまして、いま着いたばかりで、非常に申しわけございませんが、御質問の内容がはっきりいたしませんのでございますが、まあ全般的に耐震関係の問題をここで申し上げたらよろしいのでございましょうか。その御質問の内容を私まだ……。
#200
○委員長(北村暢君) 速記をとめて。
 〔速記中止〕
#201
○委員長(北村暢君) 速記を起こして。
#202
○参考人(河角広君) 私は関東地方にの南部に起こる地震の周期に六十九年という周期が非常にはっきり見えている。その事実にかんがみまして、この関東地方の南部地域において、その周期から期待される次の地震があと二十年でくる確率が非常に高い。そうしてそれが統計的なものでありまして、多少ずれる可能性があります。そのずれる可能性は標準偏差という量であらわされますが、それが十三年ぐらいであるということが過去の事例につきましてはっきり出ております。で、これをもとにいたしまして、関東地方南部につきましては、地震の対策をしておくべきである。そうでないと非常に大きな問題が起こる可能性があるという点に注意いたしまして、そうして、その対策をするように求めてまいりました。これは最初は新潟地震の直後の国会の地震対策委員会で申し述べましたのでございますが、そのすぐ翌月に東京都はこの問題につきまして考慮して、防災会議の中に地震部会という部会を新しくつくりまして、そうして東京都としての地震対策を考えてまいりましたわけでございます。まあ、この東京都の地震対策のいろいろの問題点が順々にはっきりしてまいりますに従いまして、国としても何らかの対策をすべきであるということになったとのことでございまして、いまから三年前に東京都のこの地震の対策だけに限らず、関東地方南部の問題として、国ではこの問題を考えることにいたしまして、国家消防庁にこの問題の検討がまかされまして、そうして国家消防庁は消防審議会にこの問題の諮問をしたわけでございます。それで消防審議会としまして、この問題について約一年半ぐらい検討をいたしまして、昨年の三月にその答申が行なわれました。そうして、その答申に基、つきまして、国の防災会議では八つの部会を防災会議の中につくって、この問題について検討するということになったそうでございます。私はその八つの部会のうちの一つである建設省のほうの部会に呼び出されまして、顧問としてその問題の審議に参加してまいりました。その結論も今年の三月の末に出まして、その答申が行なわれて報告も出ているということでございます。そういうふうな国としての動きにも多少関係いたしましたし、また東京都の問題につきましては、新潟地震直後からいままで主としてその問題についての検討に従事してまいりました。また神奈川県の問題につきましても、東京都とほとんど同じときからいろいろ御相談を受けてまいりましたが、神奈川県では本格的な地震対策を行なうということは二年余り前から始まりまして、そうして東京都と同じようにいま被害想定を行ない、その対策をどういうふうにすべきかというような問題についての調査検討をしている最中でございます。そのほか埼玉県あるいは千葉県警も同じ問題を考えているそうでございますが、まだ直接私にその問題について相談を持ってきたということがございませんので、東京、神奈川という問題について私の関係した面だけを申し上げてみたいと思います。
 東京都では、新潟地震直後からこの問題について検討し、まず第一に、被害想定といたしまして、火事による問題、それから建築関係の被害の想定に対する基本的な調査、土木構造物についての問題、それから危険物関係から起こる被害の状況、そして最後に、それを総括的なことの対策としてどういうふうにしていくべきかというような問題につきまして総合計画作業班というものをつくりましてやっています。その各部会で検討されました問題については詳しくは申し上げませんが、大体におきまして基本的な被害想定という面につきましては、大体のところが済んだところでございます。そうして具体的な地震対策という面について、東京都としましては、昨年度から予算もついて実際の仕事を始める段取りになってまいりましたが、その問題は避難の関係で東京都の中で一番危険地域だと考えられる江東地区に避難拠点をつくるという問題でございます。まあその問題、予算的には五、六千億というような非常に大きな予算を要するものだとわれわれは考えておりますが、昨年度の予算としてつきました東京都の予算は一億二、三千万円だと思いますが、その程度の予算がついて、基礎的な面から順々に調査をして、そうして具体的な対策に入る。まあさしあたり鐘淵紡績のありました地域を、白髪橋のすぐ東のたもとに当たる地域でございますが、その地域の対策を最初に取り上げることとして、具体的ないろいろな問題について調査をしているところでございます。その同じ問題が昨年度国の防災会議の一つの部門といたしまして建設省で取り上げまして、そうして江東地区の地震対策の問題について防災拠点に当たるようなそういうものをどういうふうにするか、また江東地区の災害についてはどういうことを考えるべきかというような問題だけにしぼりまして検討が行なわれ、江東地区に東京都として六つの拠点をつくり、そうしてそこに住民の、避難局を収容して安全に守ることができるようにするというその問題を、全般的に国の立場でもっと具体的な方策についてかなり具体的な対策を立てるということの作業を昨年度いたしましたが、そのほとんどの検討が昨年度中に済みまして、先ほど申し上げましたような答申が本年三月の末に出たわけでございます。まあ東京都ではその問題だけでなく、全般的な問題として建築関係の問題あるいは危険物関係全部を含めて総括的な問題としていままで検討を続けておるわけでございます。その問題につきまして具体的に基本的な基礎調査は大体済んだ状態になりましたので、これから具体的な対策に入り、実際の事業を始める、まあ一部分昨年度から江東地区の防災拠点をつくるという問題だけは始まりましたけれども、もう少し全般的にすべての面を総合的に実施するような計画で作業を始めようといましているところでございます。
 それで、まあ東京都でいままでやってまいりましたことのおもな点だけを申し上げてみたいと思いますが、いま申し上げましたような防災拠点といいます、避難する人たちを収容してそうしてその中で安全に命を守る、そうしてその拠点の周囲に大体十五、六階以上の高い建物をつくりまして、それを二重につくって、そうしてそれも火事から守り、また地震の被害も受けないようにするということはもちろんのこと、それからその中に周囲の住民をできるだけ収容いたしまして、そうして生命の安全を確保するという計画でございますが、それの具体的な安全性につきまして、地震のあったときにはたして安全性があるかどうか、火事が周囲から迫ってきてもだいじょうぶであるかという問題につきましては、これは防災会議の仕事としてではありませんけれども、建設省その他からの応援を得まして、首都整備局が主となって火災実験を十回近く繰り返しまして、いまのような防災拠点をつくったときにはたして安全であるかどうかという問題についての検討と、そして悪い点があれば改良するという調査をしてまいっているわけでございます。大体ことしの三月で一応の実験を終わりまして、どうやら実行しても役に立つような具体的な防災拠点の構造についての成案が出そうだというところになったように聞いております。
 そういう実験を基といたしまして、まず第一に白髪橋の東の点、将来はまたそれを西のほうの部分にも広げまして、あそこを一体となって安全性を確保し、住民の人命が守れるようにしようという計画がまず着手されておりますが、そのほかに江東、墨田の二区には全体で六つの拠点をつくって、そしていまのような安全に住民の生命と財産を守れるようにしたいというふうな計画を、都の防災会議としましては立てたのでありますが、それがいまその計画をできるだけ実行するようになっていくだろうと思います。その総体の計画が五千億くらいの計画でございますけれども、建設省で考えました計画は、拠点だけでなくてもう少し具体的な住民全体の安全も確保できるようにいろいろなそのほかの施策も考えて、一応昨年度末の答申の中にはそういう方針についての具体的な答申が行なわれているわけでございます。その具体的答申はここではもう徐々に実行されていくものと思いますので申し上げませんけれども、そのほかの東京都ですでに考えておりますこの問題について、そしてそれを国の消防審議会として検討されたものと結びつきましてどんなことが行なわれるかということについて、多少お話し申し上げてみたいと思います。
 問題は、まず一番大きな問題としては、次に起こる地震がどの程度の地震であって、いま東京都や国で考えている程度の地震とどんな関係になるか、東京都や国の消防庁で考えたような程度の地震ではたして足りるかどうか、もっとたいへんな事態が起こらないかどうかというふうな問題でございます。東京都で最初に取りかかるときには大正十二年の程度の地震、東京で経験しましたあの程度の地震ということを基準にして考えようということになっておりましたけれども、はたしてそれで済むものかどうか。実際には安政二年の江戸の地震ではもっと強い震度が東京ではあったわけでありまして、それとそういうふうな強いものが起こる可能性が当分はないのかどうかという点が問題になったのでありますが、地震の過去の実績から調べてみますというと、そういうふうな強い最大級の地震というような七のは、そうしょっちゅう起こるわけではない、大体一千年くらいの間隔で繰り返されるということが、日本各地でそういう記録のあるところでは確かめられていると思うわけであります。その説を出しましたのは今村明恒先生でございますが、いまのところそれをくつがえすような事実はまだわかっておりませんので、一応それに従っていくよりほかには道はないと私どもも考えておるわけであります。そういう面から見ますというと、東京で考えております大正十二年の地震を基準としてやるということがどの程度確かであるかと言いますと、確かに安政二年の江戸の地震というのは大正十二年の地震よりも非常に強く被害の程度もひどかったのでありますが、そういう地震が繰り返されるのが千年の間隔があると考えますと、いますぐそういうふうな強い地震を考えて対策をやるという必要はまずまずなかろうということが言えると思います。ところが、東京で調べてみますと、大正十二年程度の地震というのは百年に一回くらいの割合で起こっているということが証明されております。そしてそのことから考えますと、いま安政二年に起こりました江戸の地震というものを基準に対策というものは考える必要は当分はないけれども、百年に一ぺんくらい起こる可能性のある大正十二年程度の地震の対策は考えておくべきではないかというふうにいわれているわけでございます。これには先ほど申し上げましたような六十九年というような周期がこの関東地方南部の地震についてはあることがわかっておりますので、そのことから考えますと、それよりもちょっと強い大正十二年程度の地震を基準に対策を考えておけば、かなりのところまでは間に合うのではないかということが考えられますので、そういう考え方で一応進むことに東京都の防災会議全体としては一致しているわけでございます。この考えは国の消防庁でやりました消防審議会の審議のときにも繰り返し論議されまして一応それでよかろうということになって、それで関東地方全体としてまず第一に大正十二年の地震のときの東京のゆれ方程度を基準にして対策を考えて、そしてそれができた暁でもう少し高度の対策に進むというふうなやり方で進もうというふうに、消防審議会としては考えていたと思うのでございますが、そういう考え方で一応国としても進むということが、先ほど申し上げました建設省の江東地区の防災の問題を取り扱う委員会においても承認されているわけでございます。そんなわけで、神奈川県の地震の対策としては非常に大正十二年の苦い経験がございますので、いま考えておりますような東京、あるいは東京よりももう少し関東地震のときに強かった川崎付近程度の地震の対策というようなものでは、とうてい神奈川県の県民意識としては満足できない点があるわけでございますけれども、国としてはなかなかそういう強い地震が起こる可能性がないとなりますというと、すぐにその対策を、強い地震の対策を全域にわたってやるということは容易でありませんので、一応第一段階として大正十二年のときの東京のゆれ方程度を基準にしてすべての対策を実行し、そしてそれができたときに、また第二段階として高度の対策をやろうということに進もうというような立場で消防審議会としては答申をつくったわけでありますが、一応国の対策としてもそういう考え方がとられるのではないかと私は思っております。それはともかくといたしまして、最初には大正十二年の程度の東京のゆれ方を基準にして対策を立て、そして間に合う、また力があったらそれよりも高度のものに進むというようなやり方で行なわれていくのではないかと私は考えておるわけであります。まあそんなわけで、一応大正十二年のときの地震をもとにして考えますというと、先ほど言いましたような六十九年の周期で地震が繰り返すなら、その対策には多少の余裕が平均的に見ますとあることになるわけでありますけれども、そういう意味で、多少の余裕といいますか、安全度は維持できるのではないかというふうに、私ども地震の対策を要望する立場からはそうせざるを得ない状態になっているわけでございます。
 そういう立場から考えまして、東京でどんなことが起こり得るかということにつきましては、いろいろ検討が進んできている段階で、地震のときに一番問題になるのは、もちろんうちがつぶれることであり、そしてそのつぶれによってどの程度の死者が出るかということが問題になります。大正十二年の程度の地震がもう一度繰り返されたときに、東京でどの程度の死者が出るかといいますと、これは全体の被害想定ということはいろいろまだむずかしい面がございますけれども、倒壊家屋による圧死者というような点については、かなり現在でも正確な判断が下せますので、それだけをさしずめ申しますと、まず東京都二十三区内において約二万戸の倒壊家屋が起こるであろうということは、これは現在のところそれほど狂いがなく言えるのじゃないか、大正十二年のときに東京の旧市内で大体同じ程度の倒壊家屋が起こり、そして死者もその程度であっただろうと思うわけでありますが、まあ現在の被害想定には、大正十二年程度よりも建物の構造が少しよくなっておりますから、倒壊家屋の倒壊率は、大正十二年当時の七五%程度にとどまるものとしての想定の立場から申し上げているようなわけでございます。そうしてそれによって生ずる倒壊家屋の数が約二五旧そうして十軒つぶれて一人死ぬというのは、関東地震のときの統計でわかりますように、直接の倒壊家屋による圧死者というのはその程度である。大体十一戸つぶれて一人死者が出るという程度でありますので、それを十戸つぶれて一人死者が出るというように東京都では考えて、そうして二万戸の建物の倒壊で二千人の死者が出るというように考えているわけでございます。
 しかし実際の被害というのは、倒壊家屋による死者だけではなく、火事が起こりますというと、その死者は、けた違いに大きくなるわけでありまして、その数を推定するということは現在なかなかむずかしい要素が多いのであります。それでどの程度つぶれるかとか、どんな火事が出るかというようなことについて、もう少しはっきりした現在の統計的な事実がわからない限り推定はできないのでございますが、いまから三年ばかり前の十勝沖の地震で、ようやくそういう推定ができるような資料が得られました。それによりますと、大体東京都平均では同じくらいの二%程度の倒壊家屋が出た十和田市におきまして、どの程度の出火が起こったかということを調べてみますというと、約六百くらいの石油ストーブが燃えていて、そのうちで九つだけの出火が起こったというので、これはちょうど関東地震のときの東京に当てはまるくらいの倒壊率でありますので、それをもって東京の全体に当てはめてみますというと、まあその出火の件数は、石油ストーブをどれだけ使っているかということできまるわけでありますが、現在東京都の二十三区内の戸数が三百四十万戸くらいございますけれども、そのうちまあ二百三十万戸くらいが石油ストーブを使っている。冬の夕食時というようなものを考えてみまして、そのときの割合で出火が起こるとすると、どのくらいの出火件数になるかと申しますと、約三万戸の出火が見込まれます。そうしてそれがどういうように消され、どういうようになるかの検討をいろいろ考えているわけでございますけれども、具体的にほかの出火件数と同じように六割だけを都民が消して、あとの四割が燃え広がっていくというようなことになりますと、一万二千戸というようなたくさんの数が燃え広がっていくことになりますから、これは現在の消防力ではとうてい消すことができないことになります。ですからそういう非常の場合を考えて想定しても全く無意味でありますので、どの程度消せるであろうかということを具体的に実験をしてみました。それは関東地震程度のゆれ方、あるいはそれ以上のゆれ方が起こるときにどんな事態が起こるか、こんなことが起こるかということを実験的に確かめてみたわけでございます。石油ストーブを普通の座敷に据えておきまして、そして関東地震の程度、あるいはそれの二倍、三倍、四倍というようないろいろの強さでゆすぶってみまして、はたして石油ストーブから火事が出るかという問題から入りました。全くまわりに何もない座敷の中に石油ストーブを置いてこれだけゆすぶったときには、かなりの種類の石油ストーブを実際に座敷の上に置いて、そうして振動体でそれをゆすぶってみましたけれども、ほとんど、といいますか、全く倒れるものがない。関東地震の四倍くらいの強さ、あるいは五倍近いような強さでゆすぶっても、石油ストーブが倒れて火事を出すというような事態が起こらないことがわかりました。しかし、たんすだとか本だなとかいうようなものがそばにありますと、本だなですと関東地震のときの一倍半くらいの強さで倒れます。それからたんすは四倍半か四倍くらいの強さになって初めて倒れるというような事実がはっきりいたしました。そのことから考えますと、たんすが倒れて火事が出るというようなことはそれほど心配しなくてもいいわけでありますが、本だななどが倒れて、それによって火事が出るという可能性はかなりあるということになります。
 まあ、そんなふうな事実をもとにしまして、関東地震のような程度のゆれ方のときに消火器を持っていって消したらどの程度消せるかというのを、いろいろの間隔を置いて――地震のあとで何分たってから消火にかかるというような、そういういろいろの時間間隔を置いてやってみれば非常に完全な資料が得られるわけでありますけれども、震動体そのものも焼いてしまっては困るという点がございますので、一分後に火を消しにかかるという場合に限りまして実験をしてみましたが、まあ一分後に消火にかかりますというと、たいていのものはわけなく火が消えてしまう。いまの本だなが倒れまして、そうして本が石油ストーブの上におおいかぶさったかっこうのときに一番火が強く燃え出す可能性があるということになりましたが、その場合にも消火器を持っていって、握りを握ってしゅっと一吹きで消火薬を吹きかけますというと、すぐ消えてしまうということになりまして、火を消すことは具体的にはそうむずかしいことではない。一番問題になる本が燃え出すというような場合にも、いまのような一吹きでわけなく消えるということがはっきりいたしました。そういうことから地震のときに石油ストーブから起こる火事というようなものは、各家庭で本格的に火を消すことをふだんから練習しておいて、そして消火器を用意しておいてもらえば、わけなく消せるということがはっきりしたわけでございます。そういう意味で東京都としましては先ほど言いましたような一万二、三千というような石油ストーブからの火元から火事が出る場合も考えて、それの対策をといいましても、なかなか具体的な対策ができないのでありますが、その点を全部都民の手でもって消してもらえるようにしてもらえれば、あとの対策はどうやらできるんじゃないかというふうな、幾らか明るい見通しが立つようになっているわけでありまして、こういう見通しを実現させるためには、具体的によっぽど都民教育といいますか、訓練を積み重ねていかなければ、その実現が必ずしも容易であるとは言えませんけれども、不可能ではない、やればできるということだけははっきりしてまいりましたので、その線に従って、これから東京都としましては消火器を使って火を消すことを具体的に進めるようにしたいと思っております。
 なお消火器の問題でございますが、たくさん一緒にまとめて買いますというと、小型のこれくらいな手持ちでできるような消火器が大体五千円という値段で買えるということがわかっておりますので、そういうものを普通の家庭だったら二つ、三つ用意していただくことはそう不可能ではない。もし不可能な家庭があれば、そういうところには東京都なりそれぞれ国なり何なりでちょっと補助をいただければ、そうたいした金額じゃなく各家庭にそういうものの用意がしてもらえるはずだと思いますので、石油ストーブの火事というのは、それほど心配する必要はないんじゃないかというふうに、まあ一応の安心は持っておるわけでございますけれども、このような訓練を積み重ねるためには、これからかなり年月をかけてそしてやらなきゃいけないし、都民にもそういう点の自覚をしてもらって本格的に協力してもらわなくてはならないと考えておるわけでございます。
 なお、そのほかの原因から起こる火事というのは、いままでのところでは七百余りの火事が出ますが、そのうち六割都民に消してもらえれば、三百くらいを消防が消せばいい、現在の消防力ではその半分くらいしか消せませんけれども、まあそれはいろいろの方策を講じて、できるだけそれに近づくことができるというふうに考えておりますので、結局火事の問題はそれほど心配しなくてもいい。あと問題になりますのは、危険物関係でいろいろな各工場その他で出火の原因をなすいろいろな要因がたくさんございますけれども、そういう問題については、全部が全部だいじょうぶだという見当はまだついておりませんけれども、かなりのものについては、少なくとも大きな事業所で危険物を大量に取り扱うようなところについては、それぞれの事業所で考えておりまして、問題点はほとんどないという結論が出ております。あと、小さな事業所で少量の危険物を取り扱うようなところに問題が残っておりますけれども、そういう点につきましてもできるだけの行政指導をして、そういうものからの出火を早期に食いとめてしまえば大事に至らないで済むんではないかというふうに、いわゆるそういう訓練をこれから積み重ねていきたいというふうに考えております。そのほかの危険物その他は、いまのところそれほどの問題があるとは考えておりませんで、少量の危険物から起こる火事の問題だけが問題になっておりますけれども、これについてもまあ順々に行政指導と訓練を積み重ねていきまして、なるべく被害を少なくするように持っていきたいと考えているわけでございます。そのほかの土木構造物とか、あるいは建築等の被害につきましては、具体的にいろいろ対策も被害想定も大体はできますので、それが完全に心配でないようにつくり上げるという点で予算の問題だけがあるわけでありますが、これは国の援助その他をお願いして、また県でも十分に力を出して、できるだけ地震のくる前に安全な対策がとられるようにしていきたいと考えておりまして、いまこの問題はこれから本格的に予算化を考えなければならない時期になっておりますが、これがほんとうに実行できるかどうかという点は、まあ参議院その他のところでかなり強力なといいますか、監視をしていただかないことには十分にできないかと思いますので、ぜひそういう面から監視をお願いしたいと思うわけであります。また、この問題は都民の側からも非常に大問題でありますので、下からもこういう問題について非常に関心を示して、そうしてそういう対策の実現を、都民の側から監視するように呼びかけていただきたいというふうに私ども防災会議の中でも、地震対策委員会では考えておるところであります。
 ちょうど時間が切れたようでございますから、一応これで私の総括的なお話はやめさせていただきます。
#203
○委員長(北村暢君) どうもありがとうございました。
 以上をもちまして、参考人の方々の御意見の開陳は全部終了いたしました。
 それでは再び質疑を続けます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#204
○足鹿覺君 参考人の皆さん方には、たいへんロサンゼルスの調査の結果に基づく貴重な御報告なりまた学問的な立場から、地震周期説に基づく権威ある立場から、地震の対策その実施に至るまでの各参考人からの御意見を拝聴いたしまして、たいへん私ども啓発されて喜んでおります。私はこの問題に対して深い関心を持っております。四十三年七月消防庁長官から関東大震災程度のものが発生した場合において、その場合どのような対策をとるかという諮問をされた。昨年の三月二十四日にその答申が出た。その答申を読みまして、昨年の本院の予算委員会において政府当局に相当質問をし、注意を喚起し、対策を講ずることの急務なることを説いたわけでありますが、ただ一般的に見まして、私どもはこの方面の専門知識を持っておりませんので、地震周期説というものの解明が私どもの力ではできないのです。したがって、政府当局の本問題に対する考え方は、その代表的なのが総理府総務長官の山中貞則君の考え方でありますが、研究に着手すべき必要は認める、しかしこれを公にすると、一般の人々にたいへんなことになるから、個々の災害に対する心がまえ、防災の準備等は一面効果を期待できるとしても、このようなパニック状態というものは非常な恐怖感が先行する。あの審議会の答申というものは無用の恐怖感というものを呼び起こすおそれを持ったのではないか、こういうことを自分は心配しておるという御答弁であったわけなんです。私どもは、そうではない、いやしくも学者が長きにわたって審議なさって、これを文書によって今後昭和五十三年から二十六年間最も危険期に向かうのである。こういう指摘をされた以上、政府としては関係各省が総合的な立場をとり、防災会議を中心に積極的な施策を講ずべきである。こういう立場に立っていろいろ論争いたしたのでありますが、私は、ただ単なるこれが恐怖感を与えるものではないということは、ただいまの諸先生方からの御陳述によってもよく理解がつくのであります。ただ、周期説そのものを最も平易に、最も簡単にこの一般の都民に、あるいは国民に知らしめる、それが私は一番いま必要なことではないか、こういうふうに思うのであります。私ども自身、どうも人に対して周期説について説くだけの資料を持っておりませんし、五十三年から二十六年間の間にその危険期が刻々迫ってきておると、こういうことを、たとえば山中君の説によれば、昔の軍隊がよく想定演習というものをやった、こういうような考え方もあるように見受けられるのであります。私はそれとは違うということを説くのでありますけれども、東京都の置かれておる立場、政府の置かれておる立場というものは、これは微妙な御承知のとおり政治的な関係にある。こういうことも私は一面あるのではないかと想定いたしますが、事はさようなことで問題はおろそかにしてはならない、都も国も一体となってこれはやっていかなければならない。先生のお話によると六千億程度のものが必要である、こういうことであります。この災害は未然に、起きても最小限度に防止できるという確信に満ちた具体的な御提案を、深く私は感銘をもって聞きました。要は、繰り返すようでありますけれども教えていただきたいのは、いわゆる六十九年周期説というものの根拠、簡単な解説、こういったことを学者の立場からいわゆるこれを世人なり、国民に向かってどのようにわれわれが説明をしたらよろしいか、こういったきわめて簡単な質問であります。ただ私どもはこういう問題については政府がいろいろな学問的なあるいは実験的な方法に何々をやっておる、これをこうやっておるというように、文部省は文部省で大学でやっておる、科学技術庁は科学技術庁でかくかくのことをやっておりますと、いろいろ説明をいたされますと、これを批判し、それがどこに欠陥があるかということを指摘することができないのであります。問題はいま河角先生のお話を聞いて結論が出たと思うのであります。ひとつこの際、いわゆる六十九年周期説というものの解明を、時間も迫っておりますのでこの際お述べをいただいて、また別の機会にさらに詳細に承りたいと思います。私もこれ以上は申し上げません。ひとつよろしくお願いいたします。
#205
○参考人(河角広君) お答えいたします。
 まあ、実際に地震の起こる可能性につきまして、ほんとうのことを言えと言われましても、自然科学者である限りだれもそれだけの力を持っている人はまず人間にはないと思います。結局過去の資料に基づいて、そしてそれを学問的な立場からどの程度の確率を持ってそういうことが言えるかどうかという点を述べるよりほか道はないのでございます。したがって、私の唱えてまいりました統計的な調査に基づく地震の可能性というようなものにつきましても、私はできるだけ現在ありますすべての統計的な調査の方法を駆使して、そしてその可能性がどの程度であるかということを示してものを言っているつもりでございますけれども、こういう点につきまして、現在必ずしもそういうだけの努力をしないで、ただ自分の思いつきその他によっていろいろの批判が出ていることは確かだろうと私は考えております。しかし、私の六十九年という周期があるということにつきまして、現在ある事実に基づいて判断したところによりますと、その六十九年という周期があるということは、私の用いた資料によれば、鎌倉で観測された地震の資料で見ますと、九九・九四%という確率で周期があるということが言えます。東京に起こった地震をもとにして考えますと、九九・九六%という確率で周期があるということが言えるという、そのことは出てくるわけでございます。しかし、私の選んだ地震がそれでいいかどうかという問題につきましては、これはいろいろの考え方の違いやいろいろな点があるかと思いますけれども、実際に起こった地震で現在までに知られている地震だけを根拠にしまして、そうしてそれで考えてみますというと、実績から見ますと、私の六十九年という周期で起こっている地震というのが七四、五%で実際に起こっていることが言えるわけであります。いままで一番古い地震が西暦八一八年に関東地方に起こった地震。そして一番新しい地震が大正十二年の九月一日のあの地震でございまして、そのほかに小さな地震はありますけれども、その中からいまの六十九年という周期に関係するものを選び出してみますというと、いまの期間に十七回あれば完全でございますけれども、その中で十四回は実際に起こっているらしい。この中には疑問な地震がないわけではありません。たとえば慶長十八年でしたかの地震などは、必ずしもすべての正確な正史と言えます日本の学界で十分認められている歴史では、その地震が必ずしもそのときにあったとは言えませんけれども、しかし日は間違えておりますけれども、そういうふうにそのときに地震が起こったということを書いている記録は確かにございます。その私の選んだのは太閤記の一節でございますけれども、そのほかの記録でも、日とかあるいは年数が二、三年違っているとかというような明らかな間違いを直しますというと、そういうことがはっきりといいますか、少なくともあったと考えるほうが、それらの記録を見る点でいいと思われるものがありますので、そういうものから考えますと、先ほど言いましたような七〇何%というような確率でものが言えるわけでありますから、そういう点、あるいはまた統計的に全部の地震を取り入れて考えますというと、九九・六%とかというような確率で周期性があるというようなことが言えるわけでありますので、この点について疑問を差しはさむということは、取り扱った地震について多少の私のおかした間違いはあるかもしれませんけれども、その九九・六%とかというような数は多少違うにしても、実績で示される七〇何%というような確率だけは、まあ多少違っても一〇%とは違わない程度で言えることですから、そういう点から考えますというと、決して対策をやるという点からは無視することはできないと私は信じて、このことをいままであらゆる場所で強調してまいりまして、すべてのところで受け入れられ、また具体的な対策がいま東京都、神奈川県その他のところで行なわれているわけでありますから、私はもう問題はそういう点がどこまで確かかとか何とかいう点は、これは多少の間違いがあったにしても、問題はこの地震の対策が日本の国として行なわれるか行なわれないかということによって、どんな影響を受けるかというその点にかかっている問題であると考えておるので、私の周期説の証明とかそういった問題がたとえ誤りであっても、それはもう私個人が責任を負うべきことであって、実際の対策が行なわれるか行なわれないかという問題になりますというと、これは国全体が、行なわれない場合にはたいへんな損害を受ける、また国民全体が迷惑をこうむるということで非常に被害が大きくなるわけでございますから、そういう面から私の間違いはけっこうであるけれども、対策が行なわれなくて被害が大きくなるということは、これは非常な大問題であるので、私の周期説からの予言というようなものが多少はずれて少しおくれるとか早く起こるとかいうようなことが、全くないとは言えない。当然そういう可能性がないわけでもありませんけれども、そういう場合にも、とにかく役に立つ対策をするということは、これは国の立場としては決して見のがすことができないことではないか、そういう点から国の防災会議でも私の唱えております六十九年という周期をもとにしまして、そうしてその対策をやろうと、こういうことで一応すべてのいろいろな準備をするために八つの部会をつくって防災に取り組むということがはっきりきまっているわけでございますから、この点が間違いで、地震がたいしたことがなく延びていくということになれば、それだけ対策が進む可能性ができてくることを考えますというと喜ぶべきことだ、と私自身は考えているというような次第でございます。ですから、そういう意味で、私自身六十九年周期が、私の言う周期がほんとうに実現するというようなことは、ないほうが非常にありがたいと思っているわけでございまして、私自身、その私の学説がくずれるのだったら、全くくずれて被害なしに済むのなら、少しでもその時期がおくれるならおくれることはけっこうだと思いますけれども、そのおくれるときに何の対策も行なわれないで、ただ先に延びていくということになって、その先でもし地震が起こったときに被害が大きくなるというようなことがあったら、これはまた非常なたいへんなことになるわけだと思いますので、そういうことのないように、できるだけ、できるだけの対策を順々に時間的な予定を組んで、そうしてそれに従ってやっていただくということを、私は要請しないではいられないのでございます。
 最近の私の統計がどの程度当たっているかと申しますと、徳川幕府始まって以来の実例で申しますというと、ただ一回、元禄の十六年の地震が十数年くらい私の予言と差があるのでございますけれども、そのときに、ちょうど私の周期から考えて実際に起こってくれればいいと思うような時期に、実は静岡県のあたりの沖に大きな地震がやはり起こっているのでございます。それを考えに入れれば、もっと近くに起こったということが言えるというような点を考え、とにかく徳川の幕府が始まって以来の統計から見ますというと、ほとんどズレなしにといいますか、いまのプラス・マイナス十三年というその間隔も、かなり縮まるくらいなときに起こっていることは確かでございますので、その点も考えて、対策だけはやっていただくということを考えていただければ、非常に私はしあわせだと思うわけでございます。私自身が予言で言います今後二十年後にほんとに地震が起こるか起こらないかというようなことは、私は個人の名誉なんということは全然問題にしておりませんで、起ころうと起こるまいと、地震の対策だけが行なわれれば、それで満足だと思っているわけでございますけれども、実際に最近の二、三百年、あるいはことに最近の地震の例を見ますというと、ほとんど一年、二年というようなズレで起こっているときが非常に多いのでございます。そういうことを考えますと、少なくとも行政の責任を持って、いろいろ対策をなさるという政府とか、都とか県とかというようなところの責任者としては、この問題を忘れないでやっていただけたら、どんなにしあわせではないかというふうに私は考えて、私個人の説なんかが幾らはずれたり、どうなってもかまいませんが、対策だけができ上がることを、これだけはもうほんとに心からお願いしたいと思うわけでございます。
#206
○委員長(北村暢君) 以上をもちまして、参考人の方々に対する質疑は終わります。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は皆さま御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会の今後の調査に多大の参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして、重ねて厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト