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1970/02/03 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 議院運営委員会 第5号
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1970/02/03 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 議院運営委員会 第5号

#1
第065回国会 議院運営委員会 第5号
昭和四十六年二月三日(水曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十八日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     木村 睦男君
 二月三日
    辞任         補欠選任
     岡  三郎君     大矢  正君
     川村 清一君     杉原 一雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鍋島 直紹君
    理 事
                栗原 祐幸君
                佐藤  隆君
                船田  譲君
                瀬谷 英行君
                矢山 有作君
                上林繁次郎君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                大松 博文君
                高田 浩運君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                星野 重次君
                増田  盛君
                丸茂 重貞君
                大矢  正君
                杉原 一雄君
                永岡 光治君
                阿部 憲一君
        ―――――
       議     長  重宗 雄三君
       副  議  長  安井  謙君
        ―――――
   政府委員
       内閣官房副長官  木村 俊夫君
       警察庁長官官房
       長        富田 朝彦君
       警察庁刑事局長  高松 敬治君
       法務大臣官房長  安原 美穂君
       法務省民事局長  川島 一郎君
   事務局側
       事 務 総 長  宮坂 完孝君
       事 務 次 長  岸田  実君
       議 事 部 長  海保 勇三君
       委 員 部 長  若江 幾造君
       記 録 部 長  西村 健一君
       警 務 部 長  植木 正張君
       庶 務 部 長  上野山正輝君
       管 理 部 長  前川  清君
   法制局側
       法 制 局 長  今枝 常男君
   説明員
       法務省民事局第
       五課長      時岡  泰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○議員会館内の秩序保持に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鍋島直紹君) 議院運営委員会を開会いたします。
 議員会館内の秩序保持に関する件を議題といたします。
 本件につきまして御質疑のある方は順次御発言を願います。なお、政府側の出席者といたしまして、内閣官房副長官木村君、警察庁長官官房長富田君、警察庁刑事局長高松君、法務大臣官房長安原君、法務省民事局長川島君の出席を求めております。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○矢山有作君 まず本論に入る前に、西郷吉之助参議院議員の手形乱発事件をめぐりまして、一月の九日、十日、両日にわたって、参議院議員会館で暴力金融グループによる暴行事件があったというふうに伝えられておりますが、当日の状況というものを事務総長のほうから御説明を願いたいと思います。
#4
○事務総長(宮坂完孝君) 一月九日及び十日に、議員会館第六一〇号室でありますが、西郷議員の室で暴力事件が発生したという新聞記事が報道されました。両日の議員会館における西郷議員に対する面会者の状況を調査いたしましたので、その結果を御報告申し上げます。
 まず、一月九日の西郷議員に対する面会者は、午前九時三十六分、鹿児島市の柴田敬造、以下敬称を省略いたします。午前十時、港区の中山紘一外一名、午後零時五十五分、練馬区の前田優がそれぞれ会館受付を通じまして許可を得て入室しております。さらに、午後八時過ぎ下内田秘書が三名を同伴して入室、また、午後八時五十五分ごろ新町秘書が四、五名を同伴して入室しております。
 なお、これに先立ちまして、議員会館の閉館時刻が迫ったので、会館課宿直者が同議員室に電話で連絡したところ、用事があるので十時ごろまでかかる、こういうお申し出がありましたので、お待ちしておりました。午後九時、閉館時刻が来たので、警務部の勤務者と会館の宿直者が点検いたします規定になっておりますので、それに従いまして各階を点検いたしましたが、別に異状は認められませんでした。午後十時、西郷議員はかぎを警務部分室に返納して、同議員外十五名が退館されたのでございます。
 一月十日は日曜日でございますが、午前九時過ぎ、新町秘書が同伴者二名とともに入室しております。これらの者は約一時間前後で退館しております。午後一時すぎに鹿児島市の柴田敬造が同伴者五、六名と来館して面会を求めました。そのとき西郷議員の議員室にはだれもおりませんのでお断わりをいたしました。ところが柴田の要請によりまして、会館職員が西郷議員のお宅に電話連絡いたしましたところ、同議員の夫人から入室の許可を得ましたので、同伴者とともに入室を許可いたしました。午後五時ごろ西郷議員が来館されましたが、それから午後九時二十分まで、西郷議員その他入室者がおられまして、退館が九時二十分になっております。
 なお、同議員室に常時入室できる者は、御承知のように、第一秘書、第二秘書、それから私設秘書の下内田、その他、西郷議員の要請により議員会館への通行証を発行しておりますが、これは一人の議員について五名が限度でございまして、松本文勝、勝又重雄、鈴木方雄及び金田峰知の計七名でございます。
 次に、議員会館の勤務者の配置について申し上げます。平常、受付関係の業務に十二名を充てておりますが、退庁後は翌朝までと、休日は常時二名でございます。また、警備関係におきましては、平常は衛視長一名、副長三名、班長二名、衛視八名、計十四名が配置されております。休日及び夜間は班長一名、衛視三名、計四名が配置されております。なお、これらの職員は本館の警備のほうと緊密な連絡をとって随時処置いたしております。
 警備の態様といたしましては、玄関その他所要の個所に立番させておりますが、昼間におきましては一時間ごと、夜間におきましては二時間ごとに会館内を巡視させております。なお、議員の警護に関しましては、議員室から非常用ブザーの連絡がある場合には、直ちに現場に急行する用意をいたしております。また、要注意者等が来館した場合においては、適宜しかるべき警戒措置を講ずることと相なっております。
 はなはだ簡単でございますが、御報告を申し上げます。
#5
○矢山有作君 いま、当日の議員会館の模様はわかりましたが、まず最初に捜査当局のほうに私は質問申し上げたいと思うのですが、御承知のように、組織暴力犯罪の根絶のために取締本部を設置して鋭意努力されておりますときに、前法務大臣である西郷吉之助参議院議員振り出しの不渡り手形をめぐって、先ほど説明のありましたように、この九日から十日にわたって議員会館内で暴力金融ブローカーによる暴力事件の発生をみたということは、私ども参議院の立場として、きわめて遺憾のことと思います。したがって、この問題について真相をできるだけ明らかにしていきたいと思いますが、まず最初にこの問題については、取締本部のほうで手をつけられた模様でありますから、その当時の模様、さらにその後の事件の発展等、詳細に御説明いただきたいと思います。
#6
○政府委員(高松敬治君) ただいまお尋ねのございました件につきまして申し上げます。
 いままで判明いたしておりますところでは本年一月九日の夜、参議院議員会館第六一〇号室において西郷議員のところに詐取に類する金融業者が数人集まりまして、そうして、そこで西郷議員への債権を代理弁済してもよいという話がございました。この人をかりにAと申し上げますが、そのAという人に対して七千万円の手形を書け、おまえは西郷議員への債権を弁済すると言っているのだから、それをぜひこの際書けというふうなことで部屋に閉じ込めまして、これに対して暴行脅迫を加えて、そうしてその結果Aという人を畏怖させ、Aという人から手形を書くという念書を書かせております。次いで翌十日に弁護士を通じまして、同人から同じく議員会館内で手形を交付させて、そうしてこれを詐取したというのが事案でございます。この事件の関係者のうち、暴行脅迫の明白の者四名につきまして一月二十六日に警視庁におきまして令状を得て逮捕し、すでに検察庁に送致をいたしまして、ただいま勾留をして鋭意その後調査を続行しているという状態でございます。
 なお、西郷議員からの届け出は十三日の夕方に、警視庁に秘書を通じて被害の届け出の申告がございました。
#7
○矢山有作君 いまの御説明ではまだ私ども満足できません。取り締まり当局としては西郷議員を参考人としてお呼びになって事情も聴取されておられるようですし、その辺の経緯をもう少し突っ込んで聞きたいと思うのです。といいますのは、すでに新聞紙上、どの新聞もこれはみな取り上げられておる問題なんですが、西郷議員の手形の振り出しというのは法務大臣就任前から非常に増加してきた、こういうことが指摘されておるのでありまして、その負債合計は四億数千万円になるといわれておるわけです。しかも、この手形のほとんどが暴力団を通じて金融ブローカー等に流れている、こういうふうにいわれているわけです。こうした報道というものは根も葉もなしに取り上げられてはおらぬと思います。少なくとも日本の大新聞がこぞって取り上げているものでありますから、したがって、そうしたニュースというものはやはり取り締まり当局等のほうとの接触の中で私は当然出たものだと思います。であるとするならば、もう少し内容というものをつまびらかにしていただけませんと、私ども今後さらに審議を重ねる上において非常に不便を感じますので、もう少し詳細にわたって、その後、当局において追及されておる内容について明らかになった部分をお示し願いたいと思います。
#8
○政府委員(高松敬治君) ただいま御説明申し上げましたように、現在、刑事局において取り扱っております事案はAという人を被害者とする恐喝事件でございます。当日、西郷議員の部屋で西郷議員が事態を目撃しておられますので、西郷議員から事情も伺い、調書も参考に作成しております。ただ、そういうことでございまして、事件は暴力事案あるいは恐喝事案であるというのが現在の事件の状況でございます。
 手形の発行の問題につきましては、私どもとしては、まだ十分、直接この事態に関係のないことでございまして、刑事事件に関係あると申されましても、私どもとしてもまだその辺のことは十分承知をいたしておらないというのが実態でございます。
#9
○矢山有作君 なるほどAなる者をめぐる恐喝事件ということに限定をされておっしゃるならそのとおりだと思います。しかしながら、少なくともこのAなる者をめぐる恐喝事件の背景には、いわゆる西郷議員によって乱発された手形が背景になっているわけであります。そうして、しかもこの事件というのはただ単に今度起こっただけではありません。捜査当局においてすでに御承知でありますように、四十五年の九月ですか、の終わりごろに、すでに神戸の暴力団をめぐって西郷手形が問題になっておるというようなこともあるわけでありますから、おそらく、私はこうした問題の捜査の場合、恐喝事件としての裏づけをやられるために、そうした背後の動きというのは当然私は追及をされておると思うのです。しておらなきゃ、これは全く大きな、何というか、しておらないほうがどうかしておるのであって、これを追及しなければ今度の恐喝事件の真相というのは明らかにならないし、真相が明らかにならなければ刑事事件としてこれは処罰の対象にすることもきわめて困難じゃないですか。だから、私は当然追及されておると思います。特に西郷議員のほうからいろいろと捜査本部で述べられた点も、すでに記事になって流れておるところでありますから、もう少し私は言えると思うのですがね。
#10
○政府委員(高松敬治君) 逮捕された四人、いわゆる彼らの――西郷議員に対する債権者ということになるわけでございますが、それらの持っている債権の中身、その他についてはいまも警視庁で調べているはずであります。ただ全般的にどうなっておるかというようなことは、ちょっと私どものほうでは、まだそういう点は承知いたしておらないということでございます。先ほどちょっと御指摘のありました兵庫でありました事件につきましても、これは流れた手形が暴力団関係者の間で詐取されたというふうな事案で、その関係者が逮捕された事例は確かにございます。
#11
○矢山有作君 まあどうしてもおっしゃらぬというのを、ここでやりとりをしておると時間を食いますから。ただし、私どもとしてはそうした事件の背景は相当根深いものがあるというふうに考えております。したがって、もっと真相を究明をするように、あとでまたそれぞれの方からお尋ねがあるだろうし、私も機会があればさらにお尋ねしたいと思いますが、私ども一つ問題になると思いますのは、これは関係があると思われるところがら御答弁いただいたらいいんですが、取締本部で事情聴取された西郷議員がしゃべっておることがあります。これは記者会見でも同じようなことを言っているわけですが、一つは、大臣就任前に出費がかさんだために六千万円の借金ができた。それがもとで雪だるま式にふえて四億数千万円になったということを言っているわけです。それからさらにこういうことも言っているわけです。大臣在任中、警察ではできない学生運動の情報収集のために情報料として払った、したがって、こういう借銭ができたんだと、こう言っておる。これは非常に問題だと思うんですが、一つは大臣就任前に急にこういう金が要るようになったということは、これは一つは大臣就任をめぐって何か不明朗なものがあるんじゃないかという疑惑をこれは国民に抱かせます。こういうことを西郷議員が記者会見で言っておる、取締本部で述べておるとすれば、これは重大な問題だと思うのです。それからもう一つは、警察でできない学生騒動の情報収集のための情報料だというのですが、一体、日本の警察は私はそれほど無能だと思っておりません。その警察ができない、とれない情報をとるために大臣がポケットマネーを使うというようなことが実際にあるのかないのか、まさにこれも私はおかしな話だと思う。これらの問題は、私は本来なら、そういう仕組みになっているのかどうか総理にでも伺いたいところなんですが、総理は予算委員会の関係で出ておいでにならぬ。木村副長官が見えておるようでありますから、まあ内閣の番頭でもありますし、警察が情報がとれないから、大臣個人がポケットマネーで情報料を出して情報収集をやるということが一般慣行として行なわれておるのか、私はちょっと聞いておきたいと思います。
#12
○政府委員(木村俊夫君) そういうことは一切ございません。
#13
○矢山有作君 そうすると四億数千万円にのぼる借銭というのは、手形の乱発というのは、これはまさか警察以上の情報を受けるために大臣がポケットマネーを必要として、その調達のためにやったということはないと、こういうふうに副長官は――そういう大臣がポケットマネーで情報収集をやるということはないということを副長官はおっしゃる。そうするとこれは西郷さんはどうしてこういうことをおっしゃったかわかりませんが、苦しまぎれの言いわけとして言ったんだろうと思う。私もそういうようなでたらめなことがあってはならぬと思うので、これについては、私はせっかく副長官も見えておるのですから、これはやはり西郷さんに、かつての法務大臣でもあったわけですし、十分注意をされたほうがいいじゃないかと思います。副長官から注意をするというのが筋違いであるならば、これはそれぞれ処置をとる筋、線がありますから、そういう筋で処置をとるべきだと私は思います。
 次は、事件関係者の氏名は明らかになっておるのかどうか。いま事務総長から承ったところによりますと、九日の日には十数名の人が議員会館に集まっておったようですし、また、十日の日もかなりの人間が集まっておるようであります。そうすれば四人が逮捕されて、その調べの結果としてどういう人が議員会館に九日、十日におったのかというようなこともわかっておるはずだと思いますので、その点御説明を願いたい。
#14
○政府委員(高松敬治君) 逮捕いたしました四名につきましては、現在、先ほど申し上げましたように、勾留をして取り調べを続けております。その当時、この四人のほかに若干名の人が部屋にいたことは事実でございますが、その中で氏名のわからないものもございますし、いまその点を調べをさらに進めておるところでございます。ただ、それらの人の氏名につきましては、何ぶん事件が捜査中でございますし、また関係者の名誉、信用というような問題もございますので、氏名は差しひかえさしていただきたいと、かように思います。
#15
○矢山有作君 逮捕された四人の者の経歴は言えませんか。またそれとあわせて、この逮捕された者が国籍取得をやっておるかどうかということを伺いたいと思います。
#16
○政府委員(高松敬治君) 国籍取得の点は私は明確にいたしておりませんが、四人は、一人は中村健太郎−金秋一、それからもう一人は神野武弘−姜永彰、それから朴勝正、郭三郎という四名でございます。いずれも金融ブローカーあるいは金融業としての商事会社の常務というふうな人々でございます。
 それから前歴につきましては、金秋一が前科が十ございます。姜永彰、朴勝正は前科が一つございます。それからもう一人の郭三郎は前科はございません。
#17
○矢山有作君 では、これは法務省のほうに伺いますが、この逮捕者の四名は国籍はどうなっておるか、つまり帰化しておるのかおらぬのか、その点はどうですか。
#18
○政府委員(川島一郎君) 国籍はわかりませんが、帰化は関係がないようでございます。
#19
○矢山有作君 では帰化はしておらぬということですね。
 それでは次に質問を移します。武藤真吾に関する帰化事件の経緯を御説明いただきたいのです。
#20
○政府委員(川島一郎君) 帰化事件の経緯でございますが、申請が二回ございまして、第一回の申請は昭和四十三年の四月十九日にいたしまして、その件は四十四年八月四日に不許可になっております。それから次に第二回目の申請が昭和四十四年十二月五日に行なわれまして、四十五年の一月に許可になっております。
#21
○矢山有作君 大体一般的にいって帰化事務の処理にはどのくらいの日数を要しますか。
#22
○政府委員(川島一郎君) まあ事件によりまして多少の差がございますが、当初の申請の場合には大体平均いたしまして一年前後というところでございます。それから再申請の場合におきましては、再申請が行なわれました時期にもよりますが、原則といたしまして前回不許可になりました事情を調査いたしますことに主眼が置かれておりますので、その前回の不許可の理由がどういうことであったかということによって期間の長短がございます。
#23
○矢山有作君 私どもは常識的に考えて非常な疑念を持っておるんです。というのは、帰化手続をやる場合は私は当然国籍法等に基づいて十分な調査を当局としてはやっておられるはずなんで、今度の武藤真吾の場合、いまおっしゃったように、四十三年の四月の十九日に帰化申請があって、四十四年八月四日に不許可になっております。この間十六ヵ月、一年四ヵ月あるわけですが、一年四ヵ月かけて、私は帰化を許すに適当かどうか、こういう点については徹底的に調査をされたものと思うんです。特に帰化を許す条件の中の素行が善良であることというような条項については、私は相当精密な調査を法務省ではやっておいでになると理解しております.それだけの調査をやっておいて、そして不許可になり、それから四ヵ月ばかりたって再び再申請をやった。で、一ヵ月ぐらいの非常な短期間に許可がおりて、しかも皮肉なことに、許可のおりたのが四十五年の一月十三日、西郷法務大臣が辞任をしたのが翌日の一月の十四日、こうなりますと、私は普通の常識を持った人間、少なくとも帰化手続のあり方等を承知しておる人間は、これはおかしいと思うのが当然だと思う。この間に私は何かいろいろな問題があったのではないかと思うんです。私はあなたのほうからいただいた書類を見ますというと、第一回の申請のときには、暴力団に関係しているのではないかとの疑念が持たれたからという理由で帰化を許しておいでになりません。第二回の申請のときには、前回不許可の理由がなお認められるかどうかについて慎重に調査した結果、暴力団に関係しておるという積極的な資料は全く存在せず、他に問題がなかったため許可されたものと、こう言う。ところが、第一回の不許可の理由は、暴力団に関係しておるのではないかという疑問がある。確証はなかった。そこで不許可になった。第二回目の理由も、暴力団に関係していないという積極的な理由はない。したがって、暴力団に関係しておるという疑いはある。しかるに、この場合にはわずか一ヵ月半で許可になった。ちょっとこれは理屈が合わぬと思うんですね。どうなんですか。
#24
○政府委員(川島一郎君) その辺の詳しい事情はよくわかりませんが、第一回の申請の場合には、ただいまお話しになりました暴力団との関係のみならず、従来の経歴でありますとか、あるいは交友関係、身分関係、それから勤務の状況、収入、一切の事情を調査するわけでございます。したがって、場合によりましては、税務署に照会をしたり、警察に照会をしたり、いろいろなことをいたします。そういう関係で相当の日時が必要となってくるわけでございます。第二回の申請の場合には、第一回の暴力団の問題もございましたので、この点を徹底的に調査すると、そこに主眼を置いたために比較的早く済んだのではないかというふうに思われます。ことに第二回の申請が行なわれましたのは十二月五日でございまして、大体役所の事務というのは、帰化事件の場合特にそうでございますが、年内に処理してほしいというものが非常にたくさんございます。そういう関係で、年末、十二月の末になりますと、非常にたくさんの事件を一気に処理してしまうというような事情もございまして、おそらくそういう関係でこの事件も早く処理をいたしたというのではないかというふうに考えております。
#25
○矢山有作君 ことばじりをとるのじゃないが、おそらくそうだろうというのじゃ困るのです。というのは、不許可の理由が暴力団に関係しているのではないかという疑念があったのでしょう、疑念があったから不許可にしたわけです。第二回の申請のときに調査をしたときでも、暴力団に関係しているという積極的な資料がなかったというのは、暴力団に関係しておるのではないかという疑念は依然として存在しておった。どうしてこれを急に許可になったのですか。第一回の不許可の理由と、第二回の許可の理由というのには、本質的な相違はない。これはだれが聞いておってもわかる。不許可にした理由と、許可にされた理由と、そこの間に本質的な相違が何もないのに、なぜ許可をしたのかというのが私の聞きたいところなんです。
#26
○政府委員(川島一郎君) 第一回の不許可理由でございますが、これはある調査をいたしました関係者の口から、暴力団に関係があるらしいということが言われましたので、その関係で不許可だということになったと聞いております。第二回目の場合には、再申請でございますので、さらにその事実をよく広い範囲にわたって調査するということをいたしたわけでございますが、その場合に、どうも先の関係者のことばを裏づけるような資料が発見できないというので、その点で不許可ということは問題であろうということで許可になった、こういう経緯でございます。
#27
○矢山有作君 そういう答弁で行政の運営をやってもらったんじゃ困るのです。それこそ、まさに法務大臣の独断専行じゃないですか。暴力団に関係をしておるという疑問があったから不許可にした。であるならば、暴力団に絶対関係をしていないという確証が得られた後に許可したというならわかる。暴力団に絶対関係していないという確証がないということは、暴力団に関係のあるという疑問のあるままで許可しておるのです。だから、不許可にしたときの状況と許可したときの状況との間には何ら相違がない。それなのに再申請のときに簡単に許可をしておる、こういうようなでたらめな法務行政をやってもらったんじゃ困るということなんです。これで疑問を持たぬほうがおかしいのです。だから、どの新聞も見てごらんなさい。全部疑問を持っておりますよ、この問題には。何かあったのじゃないか。そこで私は何かあったのじゃないかというような疑念を解消させるためには、一体帰化手続というのは、どういう具体的な基準に基づいて行なわれておるのかということを、この際明らかにすべきだと思う。こういう基準に基づいて帰化の許可をやり、あるいは不許可をやっておるのですという、具体的な基準が示されるなら、私はあなた方の立場は弁明できると思います。そうして、長い間、帰化業務をやっておるうちには私は必ず一つの慣行として、具体的な基準というものが確立されておるはずだと思うのです。したがって、この際、帰化を許す場合、許さない場合、その具体的な基準というものを示していただきたい。
#28
○政府委員(川島一郎君) 仰せのように帰化の許可の基準というのは一応法律できまっておるわけでございますが、それは抽象的なものでございまして、具体的に適用する場合には帰化には必ず統一ある処理というものができませんで、実務におきましては、一応基準というものを設けて、それに従った処理を行なうことにいたしております。しかしながら、その基準というものも、完全にそれではっきりするかと申しますと、必ずしもそうとはいえないわけでございまして、たとえば前科があるという場合におきましても、前科があった後相当な期間を経過した場合には帰化してもよいということになっておりますけれども、しかし、その前科と申しましても、いろいろな事情があるわけでございます。その後の本人の状況、特に被害者との間でいろいろ示談をしたとか、誠意をもって救済に当たったというような場合とそれから全然前非を悔いた様子がないという場合とは非常に違うわけでございます。そういうわけで、一応の基準というものはございますけれども、それだけで事を処理するわけにはまいりません。
 いまの暴力の関係につきましては、その要件に、素行が善良だということもございまして、その判断の要件といたしまして、基準のほうでは具体的に幾つかの事柄をあげて、そういう事項を参考として処理せよということを申しております。その中に、暴力団に入っているような者はもちろん許可してはいけないということがあるわけでございますが、本件の場合につきましては、その暴力団にどういう関係があったかということが一応問題になって、第一回の場合には不許可となったわけでございますが、再申請の場合、さらに入念に調査をいたしました。その結果、どうも暴力団と関係があるとは認められない、そういう資料が得られないということで、それは許可してもよかろうということで許可になった、こういう経過でございます。
#29
○矢山有作君 経過については、いま私とあなたと議論したところなんで、私は第一回の不許可にした場合、第二回の許可した場合の理由については本質的な相違が何もないのに、あなたのほうは、第二回の申請に対しては許可しているというのはまことにおかしい。したがって、そのおかしいという印象を私だけでなくみんなが持っておると思うのです、国民すべてが。ですから、そういう疑惑を解くためにも、あなたがおっしゃったような、具体的な許可の基準というものはありますとおっしゃるのだから、具体的な許可の基準を示してもらいたい、具体的に。そうせぬと判断の材料にならぬ。
#30
○政府委員(川島一郎君) 許可の基準というものは、いろいろな事柄について、相当従来の例に基づいて個別的に書いてございますので、それをいまここで一々申し上げるわけにもいかないと思いますし、それからまた、許可の基準に一応合致しているような場合でありましても、総合的に判断いたしまして、やはりこれは問題があるということで不許可にするというような場合もございますので、そのはっきりした基準というものをここでお示しするということは、かえって今後の運用のためにまずいんではないか、かように考えております。ただ、ただいまのこの問題に関連する事項について申し上げれば、暴力団に加入していた者はこれは許可を許してはいけない、かようになっております。
#31
○矢山有作君 一々申し上げるわけにいかぬという、その申し上げるわけにいかぬというのが私には理解しがたい。少なくともそれは一応の具体的な基準はある。ところがその具体的な基準に基づいてさらにいろいろと酌量される場合はあるでしょう。しかしながら、野方図に酌量というものが行政権に対して許されたら、人権はこれを守ることができなくなっちゃう。行政の全く独断専行になっちゃう。だから、あなたのほうでも、少なくともそういうことにならぬようにということで、具体的な一応の基準を持っているとおっしゃるのだから、それを発表しなさい。その具体的な基準に基づいて、いろいろとその場合、その場合で酌量されることはあるでしょう。それはあなたがそれを説明されるときに、こういう特別の場合に酌量することがありますということを補足してつけて出してもらえばいいんです。具体的なある基準を示していただきたい。ここで申せぬなら、それを資料として出していただきたい。そうしなければこの武藤真吾の問題についても、われわれが考えておる疑惑を解くことができぬし、また武藤真吾の帰化の問題をめぐって真相を明らかにすることができぬ、それを出していただかぬと。だからここで言うのに時間がかかるとおっしゃるなら、この委員会の時間もそう野方図にあるわけではないですから、資料としてお出し願えるか願えないか、その辺はっきりしていただきたい。
#32
○政府委員(川島一郎君) 資料としてお出しすることも、先ほど申し上げましたような理由で差し控えさせていただきたいと思っております。
#33
○矢山有作君 どういう理由で出せないのですか、その出せない理由というのが納得のいく理由でなければどうにもならぬです。そんなあんた……。
#34
○政府委員(川島一郎君) その基準と申しましても、その基準を示した場合に、やはり総合的にいろいろ判断いたしまして、一応基準に合致しているようであっても、なおかつ不許可にしなければならぬというような場合も間々出てまいります。それからまた事案によりましては、その基準にはないようないろいろな特殊な事柄が発生してくる場合もございます。そういうために、基準を発表したからといって、それによって処理してない、あるいはそれによって当然帰化できるというふうに考えられますと、また問題が出てくるのではなかろうか。帰化というのは、御承知のように、帰化の要件は法律に指定してございますけれども、それに基づいてさらに帰化することが妥当であるかどうかという法務大臣の判断がその上に加わるわけでございますので、そういったいろいろな関連をしてくるわけでございます。
#35
○矢山有作君 冗談じゃない、委員会をなめるんじゃありませんよ。そんな、少なくともここは立法府ですよ。そこでつくった法の運用をあなた方がやっているわけなら、この運用の大切な基準ぐらいは発表するのがあたりまえじゃないですか。そうして、その具体的な事案について、その基準どおりにいかないということは、われわれが幾ら何だってそれは理解できますよ。それは総合的な判断が要る場合があるのだということは、あなたがおっしゃられるまでもなく、われわれでもわかる。それほど心配なら、具体的な基準はこれこれですと示して、その次に念のためにということで、こういう具体的な基準に従ってさらに総合的な判断をいたしますと書いておきなさい、それなら心配ない。出せないというそんな不都合なことがあるか。その基準すら示さぬというのは、何か帰化業務というのは全く法務大臣の恣意においてやられているということになりますよ。法務大臣の恣意によって行なわれる帰化であるならば、大臣の利権につながって帰化業務が私されないという保障はないという疑惑を国民に与えますよ、それでいいんですか。
#36
○政府委員(川島一郎君) 帰化の基準というのは、行政の内部の取り扱い基準でございまして、実際に申請がありました場合には、不許可の場合にはこういう点が問題あるから許可できないのであるということを在来示すことにいたしております。
#37
○矢山有作君 出すのか出せぬのかということだ。
#38
○政府委員(川島一郎君) 帰化の基準というのは、いろいろ具体的な事案がまた出てまいりますと、それにつけ加えてまた考ええなければならないというふうな……。
#39
○矢山有作君 それはわかったのだ。わかったから出しなさいと言っているのだ。これはどうしても出してもらわなければいかぬ。さらにあとでこの問題はやります。
 それじゃ、その問題は特にちょっと保留しておいて聞きますが、武藤真吾が日本に来たのはいつですか。
#40
○政府委員(川島一郎君) 日本に参りましたのは昭和三年でございます。
#41
○矢山有作君 ところで私は一つ聞きたいのですが、武藤真吾の経歴について、法務省へ帰化の許可を求めるために提出した申請書に対する付属書類というのがありますね。これに書かれておる事項と、それから私はこれは新聞報道で知ったのですが、大阪入管の記録が相違しておるという指摘がなされておるわけです。法務省への許可申請の内容にあげられた事項と大阪入管と武藤真吾の届けとのその内容に食い違いがあるということをいわれておる。それで私は実は大阪入管に照会いたしました。そうしたところが、大阪入管は、最初、武藤真吾に対するそうした記録があるのかないのかわからない、あいまいな返答をしておりましたが、その翌日になりまして、というのは二月の二日です。そういう武藤真吾に対する記録はありませんといって拒否してきた。ここがね、ここが私はおかしいと思う。このいきさつをちょっと説明していただけませんか。
#42
○政府委員(川島一郎君) ただいまお話しになりました事項は私聞いておりませんので、ただいまお答えできないのでございますが。
#43
○矢山有作君 いいです。じゃ、武藤真吾が昭和三年から日本に在住しておるということになれば、私は、外国人登録令なり外国人登録法によって登録をされていると思うのですね。したがって、その登録事項の内容とそれから法務省に許可申請の際に出されたその武藤についての経歴その他の内容をここで御説明願いたいのです、両方。
#44
○政府委員(川島一郎君) 現在詳しい書類を照査いたしておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるのでございますが。
#45
○矢山有作君 冗談じゃありませんよ、あなた。私は、少なくともきょう、西郷議員の手形の恐喝事件をめぐって質疑があるということは、あなたのほうは承知のはずだし、私は事前にそれに関連する武藤真吾の問題については、あなたのところの課長に来ていただいていろいろ聞いておるのですから、したがって、武藤真吾の問題が問題になりそうだというくらいのことはおわかりになっておるはずなんです。そうでなくても、あなた方、頭がいいんだから。そうすれば、武藤真吾の経歴について説明の用意だけはしてくるのが当然じゃありませんか。
#46
○政府委員(川島一郎君) 入管関係の記録の事情はよくわかりませんが、経歴は一応概要を調べてまいりましたので……。
#47
○矢山有作君 だから概要では困るのです。要するに、許可申請のときに出したその記載事項と入管記録と食い違いがあると私は言っておるわけですから、したがって、あなたのほうで入管の記録はありませんと言うのなら、これはしかたがない。だから、私はそれはいいです。その許可申請書が出たときの概要でなしに、武藤真吾に関する一切の経歴を発表してもらいたい。それと、当然外国人登録令なり外国人登録法による登録はしておるはずです、在留外国人として。それと両方発表してもらいたい、こう言っているわけです。概要だけならここにもらっているけれども、そんなものじゃわからない。
#48
○政府委員(川島一郎君) 本人が、許可申請の際に、許可の申請書につけてまいりました本人の経歴書によりますと大正十一年の三月三十日に朝鮮で出生しました。そして昭和三年に内地に渡来し、昭和十六年三月に東京音楽専門学校を卒業いたしまして、その後商事会社等に就職しておる。それから三十六年の十一月に日本建物株式会社等の相談役になりまして、昭和四十三年の七月、ゼネラルストア株式会社の嘱託となっておる、こういうことでございます。
#49
○矢山有作君 それでわかりましたがね。そのいまの説明の資料は、これは許可申請書につけた資料そのままをわれわれの参考資料として御提出を願うということをひとつお願いします。
 それからもう一つは、先ほど来言っている外国人登録令なり外国人登録法によってどういう登録が行なわれておるか。これはいま説明できませんか。
#50
○政府委員(川島一郎君) ちょっと申し上げられません。
#51
○矢山有作君 法務省としては、許可の申請が出たときに、当然外国人の問題は徹底的に調査をなさっておるはずなんです。その調査をするときの参考資料としてそういうものを全部そろえた上で許可することをきめたわけでしょう。外国人登録令による、外国人登録法による登録はしていないのですか、この武藤真吾は。
#52
○政府委員(川島一郎君) 武藤真吾は、例の一二六といっておりますが、法律による協定永住の資格を持っておる者でございまして、したがって、一般の外人登録を受けておる者とは異なるというふうに……。
#53
○矢山有作君 これは委員長、ちょっと注意しなければいかぬですよ。こんな子供だましみたいなことを言って、人をごまかそうなんていうのは大間違いですよ。協定永住者であろうが何であろうが、昭和三年に日本に来ているわけです。外国人登録令はいつつくったのですか。外国人登録法はいつつくったのですか。当然昭和三年に来た武藤真吾であるならば、外国人登録令及び外国人登録法による登録をやっておるはずだと思う。登録をやっておらぬとするとこれはまさに徹底的な不良外人だ。
#54
○説明員(時岡泰君) ただいまの点につきまして御説明いたしますと、武藤真吾は、「国籍韓国」として外人登録をしてあるはずでございます。そして戦前からこちらにおりますから、在留資格はいわゆる法律一二六、二の六該当者でございます。そしてただいま局長から説明いたしましたように、四十二年、協定永住をとっております。そういうことで私のほうは把握いたしております。
#55
○矢山有作君 それから、「国籍韓国」として登録しておるというのだから、その登録事項の内容を全部示してくれと言っておるわけです。というのは、私は、武藤真吾が昭和三年に日本へ来たといっているけれども、ここに事実上のそごがあるということを私は指摘したいから言っているんですよ。これは日本に来たのが昭和二十一年でしょう。昭和二十一年に大阪に来ておるんでしょう、たしか。だから、この間のご事情がわからぬから、私のほうは、あなたのほうから出した資料でないと、あなたのほうはたいていうんと言わぬから、だからあなたのほうから資料を出しなさいと言ったのです、外国人登録法による。
#56
○政府委員(川島一郎君) その関係は調査いたします。
#57
○委員長(鍋島直紹君) ちょっと川島局長、調査して報告されますか。
#58
○政府委員(川島一郎君) 調査して報告いたします。
#59
○矢山有作君 それでは、これはきわめて事態の解明には重要なものでありますので、一つは、帰化の許可を申請する際に出された武藤真吾の詳細な経歴、その他の関係を明確にする書面、これは先ほども言ったとおりです。それからもう一つは、武藤真吾の外国人登録令なり外国人登録法による登録内容の詳細、それを資料として御提出願います。いいですね。
#60
○政府委員(川島一郎君) 承知いたしました。
#61
○矢山有作君 それからなおつけ加えておきますけれども、武藤真吾の経歴については、いま帰化の許可申請でこういうことが書かれておるとおっしゃったよりも、もっともっといろいろな経歴があるようです。したがって私は、許可申請につけられた一切のものを落ちのないようにして出していただきたいということを重ねて注文をしておきます。
 それからなお、許可の基準の問題についてはなおあとに問題が残りましたから、これはさらにお伺いをしたいと思うわけですが、ここで私は、一つの帰化業務というのがどういうふうに一体行なわれておるかというのを、帰化の許可基準を具体的に示していただくのと並んで、いままで帰化をした者の実態についても知りたいと思うのです。そこで、四十五年の帰化の申請者数と許可者数というのは、資料として民事局から出していただきました。明確な資料ではありませんが、申請者数は約六千人、帰化の許可者数が五千三百七十九人となっております。そこで、この中で一体、前科がついてなおかつ帰化になった者が大体どのくらいおるのですか。
#62
○政府委員(川島一郎君) いまそのはっきりした統計的なものはございませんので、記憶で申し上げるわけでございますが、相当数ございます。
#63
○矢山有作君 相当数……。
#64
○政府委員(川島一郎君) 成人男子の場合でございますと、約六、七割程度に達しておるということでございます。
#65
○矢山有作君 いまお話しのように、帰化を許した者のご成人男子のうちで七割からの者が前科がついておる。これは私は、帰化を許す条件として国籍法の第四条の第三号に「素行が善良であること。」とこうなっておる。素行が善良だというのは、これはけし飛んでしまったんじゃないかと思うんですね、そういうことでは。そう言うとあなた方のほうではいろいろと総合判断をして、素行が善良と認めたから許したんだと必ずおっしゃる。しかし、一般の感覚から言うと、成人男子のうち七割が前科がついておる。これは奇異な感を持ちますよ。したがって私は、その帰化業務がどういうふうに行なわれておるかということについての実態を知るためにも、四十五年でけっこうでございますから、その帰化を許された者の内訳を示していただきたい。実刑を受けた者、その者の数、その罪名による区分をいただきたい。それから刑期満了後の経過年数、どのくらいたっておるのか。それから執行猶予の者もある。したがって、執行猶予者については罪名、それから執行猶予の期間、それからその後の経過年数、これを区分して資料として出せますか。これを出していただけば、私は帰化業務の実態というのがお示しいただけたと思う。帰化の許可基準というものに照らし合わせて考えるなら、大体われわれしろうとにもその実態がつかめるのではないかと思うのです。どうですか。
#66
○政府委員(川島一郎君) できるだけ御要望に沿いたいと思いますが、若干時間を要すると思いますので、この点御猶予いただきたいと思います。
#67
○矢山有作君 できるだけ御要望に沿う――できるだけは取っていただきたい。これはあいまいにしていただくと困りますので、ぜひとも帰化を許した者の、いま言ったような区分に従う者はこれは膨大になるのはわかっております。膨大になっても、これはぜひとも提出していただく、よろしいですか。
#68
○政府委員(川島一郎君) よろしゅうございます。
#69
○矢山有作君 そこでひとつ方向を変えて、捜査当局に聞きたいのですが、捜査当局としては、武藤真吾をすでに逮捕されておるわけでありますから、この武藤真吾の前歴等については警察当局なりで詳細な私は調査をしておられると思う。その結果を、これはすでに逮捕されている者の問題でありますから、おっしゃっていただくわけにはまいらぬものでしょうか。
#70
○政府委員(高松敬治君) 犯罪経歴といたしましては、昭和三十四年二月、詐欺で一回検挙されております。それから昭和四十三年七月に暴力行為等処罰二関スル法律によって検挙されております。
#71
○矢山有作君 犯罪の点はわかりました。ところが、武藤真吾というのが、犯罪歴だけでなしに、私は、お取り調べになるときに、必ず武藤真吾の犯罪経歴以外の日本における滞在の状態等もお調べになっておると思う。たとえば、日本にいつ来たのか、あるいはどういうふうなことをやっておったのか、調べられたと思います。それを警察当局の調べに基づいて御説明願いたい。
#72
○政府委員(高松敬治君) 私のほうの調べによりますと大正十一年三月に韓国で生まれ、一歳のときに日本にやってまいりました。その後、戦後は東京都内においてラジオ器具の販売、輸入自動車の販売、そういうふうなことをやってまいりまして、昭和三十七年から高層分譲住宅に関係する事業をやっております。こういうふうになっております。
#73
○矢山有作君 警察当局が捜査に入られたときに、私の承知しておるのでは、法務省の記録と捜査当局で調べられた記録との間に食い違いがあると聞いておりますが、これはなかったですか。
#74
○政府委員(高松敬治君) どういう点でございましょうか。
#75
○矢山有作君 日本における滞在の時期とか、どこにいつごろおって、何をしておったか、いろいろあなたのほうで捜査したんだから、それを調べた結果、法務省から聞かれたのと突き合わしてみて違いはなかったですか。
#76
○政府委員(高松敬治君) 武藤真吾を逮捕したのは、本年一月二十五日でございます。それでもう二十七日に送致をいたしまして、引き続き現在勾留、捜査をいたしておるという段階で、私のほうの調べが詳しくたいへん徹底しているかどうか、私もそういう点では問題があると思いますが、いまお話がございましたような、何か食い違いがあるというような話は、私は全然記憶をいたしておりません。
#77
○矢山有作君 警察当局としては、ここではそうおっしゃっていますが、もし許されるならば、捜査上の問題だから私もあまり無理は言いませんが、あなたのほうでつかんでおられる武藤真吾に対するそうした日本における挙動ですね、どう言っていいのか、日本にいつ来て、いつどこに住んでおったかというようなことが、もし資料としてお出し願えれば、出していただければ好都合だと思います。しかし、これはあえて強く要求しようとは思いませんが、その点どうですか。出さぬほうがよろしいでしょうか。
#78
○政府委員(高松敬治君) 犯罪行為に直接関係のある問題につきましては、私ども十分それを取り調べてまいることになるわけですが、昔の彼の行動についてという問題になりますと、どの程度までそれを調べることができるか、あるいはそれの一つの確信を持った資料ということでお出しできるか、ちょっと私問題があろうと存じますが、なお検討さしていただきたいと思います。
#79
○矢山有作君 これは御検討願い、さらに事態の進展によって、また警察当局のほうにはお願いすることがあるかもしれません。
 次に、私はこの際、木村副長官も見えておりますから、ちょっとお伺いしておきたいんですが、今度の西郷議員の事件というのはいまお聞き及びのように、法務大臣の在職中に手形を乱発した事件です。しかも、手形乱発のほかに、たとえば最近の報道で明らかにされましたように、二月の一日の読売新聞等であったと思いますが、全く詐欺まがいの行為もあるわけです。山林を買ってくれといって買う。そうして中へ立った人間に山林の代金を払い渡さす。そうして、その代金を払ってくれた人間に対して自分が手形小切手を書く。ところが、自分に登記名義を変更したり、そのあくる日にすでに担保にほうり込む。それも、再ならずに、担保にほうり込んで、一ヵ月もたたずにそれを転売してしまう。そうしてしかも手形小切手は不渡りになる。こういうような、これはまさに詐欺じゃないかと思われるような、こういうようなたちの悪いこともやっておいでになるようです。こういうことを考えると、私はこんな人を内閣に入れて法務大臣、いわゆる暴力取り締まりの最高責任者である法務大臣――その法務大臣がいま言ったような行為をやって、しかもあげくの果ては暴力団におどされたり、暴力団の事件に、所も場所もあろうに議員会館で巻き込まれたりというようなことになってきたんですがね。私は政府としてはこうしたものについては重大な責任を感ぜられるだろうと思うし、きょうの審議の経過を聞いておられた木村官房副長官として、どういうふうにお思いになりますか。私は、こんな重大な問題であるならば、総理がみずから、言われるまでもなしにここに出ておいでになって、そうしてわれわれの話を聞き、事態の真相をできるだけ明らかにするべくおつとめになって、そうしてその結果に基づいて自分の所信を明確にされるのが当然じゃないかと私は思う。副長官、どうお思いになりますか。そんなことには総理は出てこぬでもいいとお思いになりますか。
#80
○政府委員(木村俊夫君) まあ、西郷議員のいろいろな事件は報道されております限りにおいて、まことに憂慮すべきことと思います。ただ、一身上の債権債務から出た問題のようでもございますし、また、現在は大臣の職におりません。そういうことから、総理もたいへんこの問題について憂慮されております。二十九日の予算委員会の総括質問答弁でも、もしそういう報道されているようなことが事実なれば、そういう人物を大臣に任命したことについては自分が不明に思う、こういうことを言っておられます。私はきょうの御審議の模様をつぶさに総理にお伝えします。
#81
○矢山有作君 木村さんね、お伝えいただくのはいいです。私がお伺いしたいのはいまあなたのお聞き及びのようであり、また御承知のような事態、そういう事態で、なるほど衆議院では一応総理としては遺憾の意を表明されたかもわかりませんが、事は参議院の中で起こった暴力事件であり、事は参議院議員の身分を持った人が起こした問題であり、さらにその人がかつて法務大臣に佐藤総理が指名をされた人物である。そういうところから考えて、あなたとして、佐藤総理がここに来て自分の所信を述べる必要があると私は思うのですが、木村さんはどうお考えになりますか、こう言っているのです。
#82
○政府委員(木村俊夫君) 実は本日衆議院の予算委員会総括質問で要求されておりますから、本日は出席不可能であります。ただ、いま法務当局からいろいろ御説明をいたしましたように、事件の全貌、内容がまだ明らかにされておりません。その段階でございますから、おそらく参議院の御審議のある時期においては総理みずから明らかにされると、こう思います。
#83
○矢山有作君 最後に議長さんにお伺いしておきたいのですが、重政庸徳参議院議員が副議長当時、その秘書の藤野淳介の副議長室における暴力団のピストル売買事件があった。さらに今回の議員会館における西郷議員の不渡り手形をめぐる金融ブローカーの暴力事件が起きた。こういうふうに相次いで参議院の場でとんでもない事件が続出をしておるのでありますが、私はこのことによって参議院に対する国民の不信はきわめて深くなったと思うのですね。この不信を解消し、立法府に対する国民の信頼を回復するというためには、今後私はこのような事件の発生を防止するということも非常に重要な問題だと考えるのです。議長として、院を代表しておられるわけでありますから、どういうふうにお考えになりますか、御所信をこの際承っておきたい。
#84
○議長(重宗雄三君) おっしゃることは、まことにごもっともかと存じております。まず、議員会館は、議長の警察権はございませんが、議員会館も議院の付属建物でありますから、議長の営造物管理権が及びことは当然でありまして、今般、議員会館においてかかるような事件が発生いたしましたことには責任を感じておりまして、まことに遺憾に存じておるものでございます。
 なお、ただいま将来の問題もございましたようでございまするが、西郷君としても責任がないということは考えられません。議長といたしましては、いまは西郷君及びその所属する会派において責任を明らかにするよう適切に措置せられることが望ましいと存じております。
#85
○矢山有作君 最後に、残しておきました一つの問題だけ明らかにしておきたいのですが、帰化の許可基準を――これはもう具体的な基準というものが一つあるということでありますから、これを当委員会に御提出をお願いするように再度要求したいのですが、民事局長、あらためてさらに御答弁いただきたいと思います。
#86
○政府委員(川島一郎君) お答えいたします。
 まず、先ほど申し上げましたように、帰化の許可基準というものは、内部的なものとしてつくったものでございまして、これを外部に発表することは、私ども考えておらなかったものでございますが、当委員会における御審議の結果、あるいは提出をいたしたほうが適当ではないかというふうにも考えられますので、なお上司とも相談いたしまして、許可が得られますれば、提出するようにいたしたい、かように考えております。
 それから、一言付言さしていただきたいのでありますが、先ほど前科のある者がかなり多数許可をされているということを申し上げたわけでございますが、この中には軽微な、たとえば道交法違反といったような行政犯の事件が相当ございます。それ以外のものもございますけれども、そういうことを一言申し上げて、御了解を得ておきたいと思います。
#87
○矢山有作君 それでは委員長、当局のほうでも許可基準については具体的な資料を出すということでありますから、委員会のほうとしてもそういうふうにお取り運びをいただきたいと思います。
#88
○委員長(鍋島直紹君) 委員長からちょっと申し上げます。
 この点は理事会でさらにおはかりをいたしまして、できるだけ御要望に沿うように取り計らいたいと思います。
#89
○瀬谷英行君 理事会でいろいろ論議したことは、まず事実関係を明らかにしなければならぬだろうということだったわけです。で、その点は与野党一致して事実関係を明らかにしようということになっているわけです。いままでの矢山君の質問に対する答弁を聞いておりますと、まことにどうもあいまいで、ちっとも事実関係が明らかにならない。で、これはどういうわけであいまいにしなきゃならぬのか、ちょっと理解に苦しむものであります。
 一番最初に、まず、今回の事件の全貌をはっきりさせたいとわれわれ思っておった。ところが、答弁の中では、説明は差し控えたいといったような答弁があった。説明を差し控える必要なんかちっともないと思うのです。問題はやはり内閣の威信に関する問題だし、国民の政治に対する不信ということも、あいまいにすればますます大きくするおそれがある、こう思うわけです。
 そこで、一番先にちょっと戻りますけれども、逮捕をされた被疑者と西郷議員との関係なんです。これは刑法上の問題で逮捕されている被疑者であるということははっきりしている。ところが、西郷議員とまるきり無関係にこの連中がかってに議員会館の中に侵入をして、こういったようなことを引き起こしたのでないことははっきりしている。そうすると、西郷議員も何らかのまあひっかかりを持つということは明確になるわけです。その点、被疑者の実行行為、あるいは被疑者と西郷議員との関係、これはまた刑法上どういうことになるのか、こういう点も明らかにしてほしいということをまず申し上げます。
#90
○政府委員(高松敬治君) 逮捕いたしました四名につきましては、暴行なり恐喝的な言辞があり、あるいは暴行もあったということは、これはもう外形的事実でございます。それから、どういう形で手形が行ったのか、まだ明確になっていない点が多いようでございますけれども、そういう手形を持った債権者であるということも事実でございます。私どもが、捜査中で答弁を差し控えさしていただきたいと申し上げておりますのは、そういう関係が捜査を十分尽くしまして、明確な形になるということが、たとえば債権行使に伴う、債権の取り立てに伴う正常なる、あるいは民事的な権利行使なのか、あるいは恐喝なのか、そういう問題に非常に微妙につながってまいります。そういう点を現在取り調べを進めている、そういう事情を取り調べを進めている状況にありますので、そういう意味で、こういう席での答弁はひとつ差し控えさしていただきたい、かように申しておるのであります。
#91
○瀬谷英行君 それからこの逮捕者についても、国籍不明というようなことを言われましたね。国籍不明なんということがあるんですか。
#92
○政府委員(高松敬治君) 帰化しているかどうか不明だということであります。
#93
○瀬谷英行君 帰化しているかどうかわからない――じゃ、日本人になっているかどうかわからないということであって、それだからといって国籍不明ということはないと……。
#94
○政府委員(高松敬治君) いや、国籍不明ということは、私申し上げなかったと思います。
#95
○瀬谷英行君 国籍不明ということをおっしゃったんです。
#96
○委員長(鍋島直紹君) ちょっと、委員長から発言いたします。了解を得ておきたいと思いますか……。
#97
○政府委員(高松敬治君) いずれも韓国籍であります。
#98
○瀬谷英行君 韓国籍であると、逮捕者はね。そうして暴行あるいは恐喝といったような事実はある。それは西郷議員からの連絡によって明らかになり、しかる後に逮捕した、こういう順序を経ておりますか。
#99
○政府委員(高松敬治君) 口頭で申告がございましたのが、先ほど御説明申し上げましたように十三日でございます。それから関係被疑者を逮捕いたしましたのが二十六日でございます。その間に関係者、その場に居合わした者、その他の関係者から事情をいろいろ聴取いたしまして、そうして、そういう犯罪容疑事実があるというふうに判断されましたので、逮捕状を得て四名の者を逮捕した。こういうことで、かなり時間をかけて逮捕しているわけであります。
#100
○瀬谷英行君 いままでわれわれが聞いた印象では、奥歯に物のはさまったような答弁ばっかりだったわけです。しかし、この問題はあいまいにしておいてはならないと思いますし、それから官房副長官にもこの際一つ申し上げたいし、御答弁も願いたいと思うのですが、何か、それこそ新聞の報ずるところによれば、西郷議員の借金の問題は、大臣になるについて多額の金が要るかのような印象を与えてしまった。これはうまくないわけですな。大学の入学にも金が要る、あるいは裏口入学の場合は幾らだとか、こういう話があるけれども、大臣になるのに入学金みたいな金が要るんだというようなことを印象づけたのじゃうまくないと思うんです。だからそういうことは、それこそ内閣の権威のためにもはっきりさせなければならぬ。はっきりさせるためにもこの問題はあいまいにしないで、事実を明確にして、それからもしそのような、何千万という借金が何億になったというようなことがあれば、これは大臣在職中といえども、内閣において何とかしなければならぬことだと思う。また、注意もしなければならぬことではないかと思うわけです。その点は、在職中にこのような事実がわからなかったものかどうか、あるいはまた、大臣に任命をするにあたってこういう金が動くというような風潮が国民に誤解を与えるということはまことにまずいと思う。現在の大臣にすら妙な印象を与えたんではうまくないですからね。この点は今後の問題としてもはっきりさせなければならぬことだろうと思うのですが、その点はどうでしょうか。
#101
○政府委員(木村俊夫君) 西郷議員の御発言を私はよく承っておりませんが、大臣に就任前という、「前」という意味はどういう意味か、あるいは一年前のことかもしれませんし、そういう意味において、私はそういうふうな誤解を生ずるような御発言があったことはまことに遺憾に思います。もちろんそういう事実は世の中に常識上考えられないのです。ただ、いま申し上げたとおり、在職中そういう債権債務関係があることが察知できなかったかというお尋ねでございますが、私も寡聞にしてそういう事実を察知できませんでした。ただ、しかしながら、在職中そういう債権債務を生じた人物を大臣に任命したことについては、先ほど申し上げましたとおり、総理としては非常に不明であったという考えでございます。
#102
○瀬谷英行君 西郷議員の在職中の問題、それから、はしなくも明らかになった帰化手続の問題、それから今回の被疑者との関係、これらの問題はいずれも明確にしたいと思うし、先ほど、あいまいで指摘された点については、あらためて資料の提出をするということでありますし、総理も機会を得て出席をするという話でありましたので、それはそれでおくといたしましても、帰化手続の問題について、先ほどのお話だと、前科のある者が六、七割だと、これは正直言って私はびっくりしたんですけれども、こんなことは何も知らなかったわけです。そこで問題になるのは、不許可になる理由はわかります、これは。しかし不許可になった者をさらに許可をしたといったような具体的な理由というものはあいまいなんですね。また前科といっても、道交法違反のようなものもあるんだと言うけれども、そうすると道交法違反ばかりが前科じゃないですね。多少その前科という印象をやわらげるために道交法を持ち出されたんだと思う。しかし、現実の問題として、前科の大部分を占めるものは主としてどういうものであるか。一例としてあげられたのは、この被疑者は詐欺と暴力行為だ。そのほかの多数の帰化を許された者の前科の内容というものはこれは大ざっぱに言ってどういうものが多いのか。そのくらいはわかるのじゃないかと思うが、その点はひとつわかったら、大ざっぱでいいですからここで説明していただきたい。
#103
○政府委員(川島一郎君) 帰化を許された者の前科の中で一番多いのは道路交通法違反であります。それから外国人登録法違反でございます。そのほかのものは比較的数は少ないと思いますけれども、そのほかの、たとえば刑法犯等につきましても、その犯罪を犯しましてから相当な期間、たとえば刑の消滅という規定が刑法にございますけれども、まあそういうものとの関連におきまして相当な期間を経過したものにつきましては、これを帰化の許可の対象としていると、こういうことでございます。
#104
○瀬谷英行君 今度の場合、詐欺、暴力行為等の、これはもう道交法違反なんかとは全然性格が違うわけです。こういうれっきとした前科のある者がたやすく帰化をするということ、それが許可をされるといったようなことは、一般の国民にとっては大きなショックになるわけです。で、それが西郷議員が法務大臣当時に行なわれたんだとすると、あらぬ疑いをまた持たれることになる。それは法務大臣の判断、専決事項としてこういうことが行なわれるということであれば相当問題だと思うんですが、そういうことではなくて、事務的に法務省の中で処理されてきているものなのか、また、そういうことについてはかなり明確に大臣がチェックをするような仕組みになっておったのか、それは現在の慣例も大事でありますけれども、当時はどうだったのか、現在はどうなっておるのか、これらの点についてお聞かせ願いたいと思います。
#105
○政府委員(川島一郎君) 内部の取り扱いといたしましては、重要な案件、これはほとんどまれな場合でございますが、そういうものにつきましては大臣の決裁を得るということにいたしておりますが、一般の事件は先ほどお話にも出ましたように、年間六千人もの申請があるということでございますので、内部的には民事局長の専決事項として処理いたしております。これはただいまお尋ねの事件がございました当時におきましても同様でございまして、この事件も民事局長の専決処分として許可をいたしております。
#106
○瀬谷英行君 民事局長の専決事項であって一々大臣がこの問題についてはタッチしていなかったというように聞き取れるわけですけれども、大臣のほうから、だれそれ、この者について特別な取り計らいをしろといったようなことがあったんじゃないんだと、こういう意味ですか。これは当時のことだからあなたが民事局長をやっておったかどうかわかりませんけれども、当時の記録としてはどうなっておりますか。
#107
○政府委員(川島一郎君) 記録の上でもございませんし、また当時のことですから、まあ私の前任者の時代でございますけれども、そういうことはなかったように聞いております。
#108
○瀬谷英行君 この辺の問題は、先ほどもわれわれが聞いていてどうもはっきりしなかったわけです。垣根の上から人の家をのぞくような答弁が多かった。しかし、これは法務省の内部の問題ですからね、しかも、はっきりしないというと、きわめて大きな疑念を持たれるわけですから、この点の経緯、それから当時の帰化を許可するに至った理由というものを具体的にわれわれがわかるようにこれは調べてほしいと思うんです。どなたが民事局長であったか、担当者というものはあまりかわっていないと思うんですけれども、それは先ほど矢山委員からもいろいろ質問がありましたけれども、その資料に追加をしてわれわれにわかるようにしていただきたいと思います。これはできますか。
#109
○政府委員(川島一郎君) 許可した理由を書面か何かで御説明するようにいたしたいと思います。
#110
○瀬谷英行君 それから今度は院内の問題ですけれども、先ほどの報告によると、午後八時過ぎだとか、あるいは八時五十五分とか、こういう時間に一月九日、会館の中に人が入っておるということなんですが、九時までだったと思ったんですがね、時間は。そんな時間に大ぜいの人が入ってくるといったようなことは、常識的にちょっとわれわれはわからないんですけれども、そんな場合に受付の人も少ないだろうし、大ぜいで入ってこられるという場合には、今回のようなことがあるとまずいと思うんですよ。十日には議員の夫人の許可を受けて面会に入ったということになっておりますが、九日の夜おそく入ってきた人たち、あるいは十日に入ってきた人たちは、いずれも所定の手続を踏んでいるのかどうかですね。全然無関係の人は説明してもらわなくてもいい。いわゆる事件に関係ありと思われる人たちが入ってくる場合の手続とか、あるいは西郷議員との連絡とか、その点もっと詳しくわかるようでしたらもう一度説明していただきたいと思います。
#111
○事務総長(宮坂完孝君) ただいま瀬谷先生の御心配の点につきましては、私もそのとおりに考えておりますが、何ぶん会館は議員の事務を執行するところでございますので、慎重に扱わなければならないものでございますが、たてまえといたしましては、議員の御指示を抑いでおるわけでございまして、当日も議員西郷先生並びにその秘書でございます新町、東、両秘書の帯同のもとに入っておるわけでございまして、所定の手続は――むろん、だれかれと別なく、通行証並びに小型通行証等も呈示して入館さしておるわけでございます。――新町秘書が個人で西郷議員から御連絡いただいて入れたような場合も、所定の手続は十分とっております。しかし、私といたしましても、それで万全だとは申しませんで、こういう問題につきましては、自治委員長におはかりいたしまして、今後十分御指示をいただいて研究いたしたいと思っております。
#112
○瀬谷英行君 あいまいな答弁に基づいてやりとりをしておりましても水かけ論になってしまいますし、この問題について憶測でいろいろものを言うことをしたくありません。ですから、これは官房副長官にお願いしたいのですが、政府のほうでも事実を隠さずに明らかにする、このように法務省なりあるいは警察庁、関係方面に指示をして、そして一刻も早く事態をすっきりさせるようにしてほしいと思うのです。いたずらに週刊誌だとか新聞だけが先行して、この院内における肝心の場面では、奥歯に物のはさまったような議論だけが行なわれるというのではまずいと思うのです。ですからその点、本日はちょっと関係者のお答えのほうがわれわれとしてはふに落ちない点が多過ぎましたが、あえて私はこれ以上こまごまと追及いたしませんけれども、あらためて明確に、なるべく事実を明確にしてこの委員会に発表していただくということを希望いたしまして、その点について官房副長官のほうにお答えを求めまして、私の質問はきょうのところは終わっておきたいと思います。
#113
○政府委員(木村俊夫君) こういう問題はなるべく早く正確に事実を明らかにすべきが先決だと思いますが、ただ、御高承のとおり、捜査に関することは内閣は指示ができません。ただ、そのほかの帰化業務その他はこれはもう行政事務でございますから、私から法務大臣にもよく伝えておきます。捜査に関することは先ほど申し上げましたとおりでございますが、なお国家公安委員長にはきょうの御審議の状況をよく伝えておきます。
#114
○上林繁次郎君 いままでこの事件についても重要なポイント、これについてはもうるる明らかにされたわけです。そこで、私はこれからの問題をどうするかということが大事だと思います。いままでの答弁を聞いていても雲をつかむような答弁しか聞けない。実際に委員会を開いて、こういうふうに審議をしても、どういう効果があったのか、何にもなかったのじゃないか、こういう感じがする。そこで、先般も理事会でいろいろと話し合った。その内容は私どもとしてはこの問題が議員会館内で起きた問題、そして、まあ金の貸し借りという問題は個人的な問題かもしれぬけれども、立場上どうであるか。このままほうっておいていいかどうかという問題。あるいはまた会館の運営管理、こういう問題にも疑問が残る。こういったことで話を持ち出したわけですけれども、その際に、自民党は党としてこの問題については調査を開始をしているということで、その場は終わったわけですけれども、その後、この本人に対する調査、あるいはまた会館の運営管理、今後こういう問題を二度と起こさないというためにどういう対策を講じていかなければならないか。こういった問題でどこまで党として調査が進んでいるか。この点をこの委員会の席上で明らかにしておいていただきたい。こう思います。
#115
○栗原祐幸君 この前の理事会でそういうとお話がございまして、自民党といたしましても、これはたいへん憂慮しておりまするし、また、西郷議員そのものに対しましても早く弁明する機会を求める必要があるのじゃないかというふうなことで、幹事長を中心といたしまして西郷議員に接触をするように努力をしております。全力をあげているわけです。ただし、御案内のとおり、まあ事件が事件であって、いろいろの関係者が西郷議員を追っているようでございます。そこで、正直申し上げまして、幹事長を中心といたしまして西郷議員に接触をするように努力をしておりますけれども、いまのところなかなかその接触が得られない。早く西郷議員に接触をして、西郷議員の言い分をよく聞いて、良識ある処置を党としても本人としてもおとりをいただきたいというのが実際でございまして、たいへん遺憾でございますけれども、いまそういうことで会長、幹事長が西郷議員との接触を鋭意努力中でございます。
 議員会館内の秩序保持の問題につきましてはまあ理事会でもいろいろ御議論があり、きょうの委員会でも皆さんから意見が出ました。これはわが党自民党というだけでなしに、参議院の議運といたしまして適切な処置を講ずるように御結論をいただきたい、こう考えております。
#116
○上林繁次郎君 そうしますと、いまのお話ですと、全然西郷議員とは接触はできなかった、こういうことになりますか。
#117
○栗原祐幸君 はなはだ残念でございますけれども、いろいろ手を尽くしておりますけれども、いまのところ接触ができない。これが現実でございます。
#118
○上林繁次郎君 問題が問題です。ここまで大きく取り上げられてきている問題です。なるほど接触ができないということは、接触ができなければ調査もできないということはこれは当然です。だけれども、それではいつまで、この接触ができないままで、努力はするというけれども、それは努力していくことは当然のことである、それじゃ、いつごろまでにそういった目鼻をつけていくかという姿勢が大事だとこう思います。それがなければ、いつまでたっても、このような会議を開いてもこのような状態で終わってしまう。一番いいのは、何と言っても本人がいわゆるこういう席上に来て釈明をするという行き方が私は一番はっきりするのじゃないか。こう思います。またそれが本人のためでもある。この問題を早く終結していくためにもそういった姿勢を明らかにしたほうが私は問題解決は早いのじゃないか。本人のためでもある。こういうふうに思うわけです。ですから、いつごろまでに本人と接触していく努力をしていくのか。この点をやはりそのめどをつけてかからなければ、それでなければ、この間、理事会でもって話し合ったこととまた同じことになって、その後十日たってもなかなか結論が出ない。これからいつまで待ったらいいのか、こういうことになる。その辺をひとつ、めどをはっきりしておいたほうがいいんじゃないか。
#119
○栗原祐幸君 言われることはまことにごもっともでございますが、これまた相手のあることでございまして、なかなかめどを、あしたとか、あさってとかいうわけにはまいりません。ただ、幹事長、会長からは西郷議員の関係者にはいろいろ御連絡をとっております。それには、これはほうっておいてはいかぬ、とにかく積極的に自分の気持ちというものを伝えてもらわぬと、これは参議院の問題、あるいは自民党の問題、あるいは本人の問題、すべて考えてよろしくないので、そういう意味合いで、できるだけあなた方も西郷議員に接触できる努力をしてもらうと同時に、その際にも伝えていただきたいということでやっているわけです。
#120
○上林繁次郎君 それじゃ、いつまでかかるかわからぬ、こういうことですけれども、その具体的な例を言いますと、きのう議員会館でお見受けした。そういう事実がある。そういうことを私ども事実関係を知っておる。そうなると、いまお話になっていることは、これはまゆつばものである。自民党もやはり同じ議員であるもので、この問題を何とか隠せるだけ隠してしまえば、それで時期がたてば何とか解決するのじゃないかというような腹があるのじゃないかということを疑われてもしかたがないのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。きのう実際に会館におった、これは確言できるわけです。そういう事実があるわけですね。
#121
○栗原祐幸君 私、寡聞にしてそれは存じておりませんが、少なくとも言えますことは、自民党はこの問題について非常に心配をしているわけです。西郷議員とぐるになって世の中をごまかすというつもりは毛頭ございません。この点だけはよく御認識いただきたいと思います。
#122
○佐藤隆君 上林先生から西郷先生のためにもという発想からいろいろいま提案があって、党内にわたる事情等もいろいろお話がございました。また、いままでの理事会の経緯等についても、振り返ってのお話でありますから、この問題については個人にわたる問題でもありますし、理事会において再度協議をするということをひとつ提案いたしたい。
#123
○上林繁次郎君 佐藤議員から結論的な話がいまあったわけですが、そうなると、私もう何も言うことはないということなんです。(発言する者あり)いま他人のそら似というやじが飛んだのですが、上野の銅像でも持ってこない限り、あんなに似た人はいないのじゃないかと思うのです。そういうふうなことで、これは官房副長官に、いま参議院の自民党といいますか、こういう立場で調査をしていこうというのですが、これは自民党全体の問題として、そういう調査については官房副長官としてじゃなく、自民党全体の立場からどうお考えになっているのか。いつまでたっても接触できない、できないでは、これはきりがつかぬと思うのです。どういう姿勢でこの問題に自民党として取り組んでおるのか。その点ひとつお伺いしたい。
#124
○政府委員(木村俊夫君) どうもこれは私からお答えする筋ではないようでありますが、一党員として佐藤総理によく伝えておきます。
#125
○上林繁次郎君 それじゃ一つだけ。佐藤議員のほうからお話がありましたので、議運の理事会ということですけれども、要望としまして、また次の機会にいわゆる委員会を開かれる、こういうことも考えられます。考えられるというよりも、そうあるべきだと思う。そこで、そのときに西郷議員の釈明できる機会を与える、そういう努力をしてもらいたい。そういう努力をしていくということについてはやぶさかではないし、またそうさせる決意が自民党側にあるのかないのかということをひとつ明らかにしていただいて私は終わりたいと思います。
#126
○栗原祐幸君 きのうの理事会でも、この問題は、西郷議員個人にとってもあらぬ疑惑を招いておるとするならば、これは西郷議員に、この委員会の席上でそういう弁明をする機会を与えるべきじゃないかという皆さんから大へん友情あふるる御提案がありましたので、これは幹事長に伝えまして、幹事長から西郷議員に伝える、こういう手配済みになっております。
#127
○矢山有作君 それに関連して承っておきたいのですが、先ほど御説明をいただいているときに聞き漏らしましたが、第一秘書、第二秘書、私設秘書、それから通行証所持者、この名前をもう一度明らかにしておいていただきたいと思います。
#128
○事務総長(宮坂完孝君) 第一秘書は東利夫、それから第二秘書は新町忠男、それから議院バッジ・通行証を所持いたしますのは下内田清……。
#129
○矢山有作君 私設秘書が下内田清でございますね。
#130
○事務総長(宮坂完孝君) さようでございます。それから議員会館通行証所持者は松本文勝、それから勝又重雄、それから鈴木方雄、それから金田峰知の以上四名であります。したがって、私設秘書は五名でございます。ただいまこのように存じております。
#131
○矢山有作君 警察当局にちょっと承りたいのですが、先ほどちょっと聞き漏らしたような感じがするのですが、武藤真吾の生年月日は大正十三年三月三十日、そして日本に来たのは一歳とこうおっしゃいましたね。
#132
○政府委員(高松敬治君) はい。
#133
○矢山有作君 そうすると、先ほどこの点が不確かだったものですから、私のほうからあえて申し上げなかったのですが、いまの警察の話で、たとえば、一つは法務省から御説明いただいたのとのそごは、どこに出たかといいますと、法務省の御説明では、昭和三年に日本に来た、こうおっしゃった。ところが警察の調べでは大正十三年三月三十日生まれで、一歳のときに日本に来たのでありますから、昭和三年に来たというのとは食い違いができるわけであります。
#134
○政府委員(高松敬治君) 先ほどちょっとお答え申し上げましたが、私のほうで本人を逮捕いたしましてから、本人の申し立てていることはそういう事実でございます。これが客観的に正しいかどうかというのは、この席では確認できない、こういう状況で、その点をお含み置き願いたいと思います。
#135
○矢山有作君 警察当局のほうはいまおっしゃったとおりで、私もわかります。しかし、これは法務省として外国人登録を扱う立場、あるいは帰化業務を扱う立場からは、こういう食い違いは放置できない問題ですから、これは私が先ほど要求した資料とともに明確にしていただけますね。要求した資料といいますのは、帰化の問題については、先ほど言いました帰化申請書に付属する武藤真吾の詳細な意見書ですね、それから外国人登録令あるいは登録法による武藤真吾の登録の内容の詳細、こういうことになるわけですが、たとえばこういう食い違いがあるから要求しておったわけですから。わかりましたね。
#136
○政府委員(川島一郎君) 御趣旨はよくわかっております。
#137
○矢山有作君 それでは、先ほど来要求した文書が出てまいりませんと、さらに真相を追求する上にはどうにもならぬ状態であります。したがって、これらの書類が出された後に、あらためてこの問題についてはいろいろとお聞かせ願いたいと思いますので、私の質問はきょうはこれで終わっておきます。
#138
○委員長(鍋島直紹君) ほかに御質問ございませんか。――御質問もないようでございますから、これで終わりたいと思いますが、なお、本件の処理につきましては、今後、議院運営委員会の理事会でそれぞれ御協議の上に処理したいと思いますが、よろしゅうございますか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#139
○委員長(鍋島直紹君) それではそのようにいたします。本日はこれにて散会いたします。
  午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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