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1970/03/10 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 決算委員会 第8号
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1970/03/10 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 決算委員会 第8号

#1
第065回国会 決算委員会 第8号
昭和四十六年三月十日(水曜日)
   午後二時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月六日
    辞任         補欠選任
     初村瀧一郎君     金丸 冨夫君
     矢追 秀彦君     黒柳  明君
     田渕 哲也君     向井 長年君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     小山邦太郎君     初村瀧一郎君
     金丸 冨夫君     塩見 俊二君
     鈴木  強君     加瀬  完君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     塩見 俊二君     稲嶺 一郎君
     亀井 善彰君     中山 太郎君
     矢野  登君     大松 博文君
     向井 長年君     田渕 哲也君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     中山 太郎君     亀井 善彰君
     大松 博文君     矢野  登君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         森 元治郎君
    理 事
                初村瀧一郎君
                和田 鶴一君
                渡辺一太郎君
                和田 静夫君
                二宮 文造君
    委 員
                長田 裕二君
                熊谷太三郎君
                田口長治郎君
                高橋雄之助君
                長屋  茂君
                前田佳都男君
                矢野  登君
                山本敬三郎君
                若林 正武君
                沢田  実君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省経済協力
       局長       沢木 正男君
       文化庁次長    安達 健二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    遠藤 又男君
       会計検査院事務
       総局第一局長   中村 祐三君
   参考人
       海外技術協力事
       業団日本青年海
       外協力隊事務局
       長        篠浦 公夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十三年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十三年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十三
 年度政府関係機関決算書(第六十三回国会提出)
○昭和四十三年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第六十三回国会提出)
○昭和四十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第六十三回国会提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(森元治郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月六日、初村瀧一郎君が委員を辞任され、その補欠として金丸冨夫君が、三月八日、小山邦太郎君及び金丸冨夫君が辞任され、その補欠として初村瀧一郎君及び塩見俊二君が、また三月九日、塩見俊二君が辞任され、その補欠として稲嶺一郎君がそれぞれ委員に選任されました。
#3
○委員長(森元治郎君) 委員の異動に伴い理事が一名欠けておりますので、この際理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(森元治郎君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に初村瀧一郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(森元治郎君) 昭和四十三年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、前回に引き続き、外務省の決算につきまして審査を行ないます。
 それでは、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○和田静夫君 日中覚え書き貿易をめぐる政治会談、そしてああした内容のコミュニケが二年連続して出されたのでありますが、この結果の上に立って、佐藤政府としては、対中国政策でいままで定まらないでいた要素とでも申しましょうか、そういう要素がはっきりしたとか、あるいは何か新しい結論めいたものをお持ちになったとかいうことがございますか。
#7
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまのところ、政府としては中国問題につきましていろいろと新しい情勢下において検討をいたしておりますが、今回の覚え書き貿易の関連で取りきめられましたコミュニケによって特に急速に変化をするというようなことはございません。
#8
○和田静夫君 今度のコミュニケを読んでみまして、やはり問題は台湾問題だという感じが非常にするわけです。そう感じたのはおそらく私一人ではなくて、多くの国民がそう感じておるのではないかと思うんです。たとえば大使級会談とかなんとか言ってみたところで、問題は台湾問題に対する日本の態度にある。中国からすれば、台湾はカイロ宣言の履行をうたったポツダム宣言によって中国に返還されたものであって、蒋政権が何十年台湾を支配しようと、それは亡命政権にほかならないという見解でありましょう。中国の立場からすれば、内戦に破れた蒋政権が台湾に亡命をしたときに、アメリカを初め、どの国も、台湾は中国のものではないと異議を唱えなかったではないか。そう言いたいところであろうと思うのです。一つの中国の立場をとる限り、北京を選ぶか、台湾を選ぶか、二つに一つしかないわけで、中国との国交回復を目ざす以上、それがどんなに困難であろうと、結局台湾との関係を断つほかはないと、コミュニケを読みながら思います。今度のコミュニケというのは、単にそうわれわれに考えさせるだけではなくて、われわれにそのことをたいへん痛烈に示したとさえ思われるのであります。としますと、依然として台湾政府を中国の正統政権として認め、いわゆる日華条約の締結をもって中国との戦争状態は終わったという見方を堅持し続ける佐藤政府としては、もう日中関係の改善は望めないということなのか、私にはどうもそういうふうに考えられますが、外務大臣いかがですか。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) お話をするとたいへん長くなって恐縮でございます。政府の態度というものは、しばしば明らかにしておりますように、やはり何といってもむずかしいのが一つの中国問題ということになると思うわけでありまして、本来この種の問題は、両当事者の平和的な話し合いできめてしかるべきことであり、また、そういう筋合いの問題である。日本としてこれはこういう形であるべきだとか、どうとかいうべき問題ではない。両当事者の間で話がつけば、その結果を尊重するというのが、政府としての一つの中国問題に対する基本的姿勢でございます。その両当事者間の話し合いで結着がつけられるべき筋合いのものが、武力行使というようなことにならざることをひたすらにこいねがっていることは当然でございます。ところで同時に、一九四五年の九月に、日本が降伏文書に署名したときの連合国の構成国は中華民国政府、まあ略称で国民政府と呼ばしていただきますが、国民政府であった。その背景や経緯から言って、国民政府との間に平和条約を結んだことはまた事実、これは明らかな事実であるわけです。その後、一たん結びましたこの条約に基づいて両国が親善友好関係を維持している。それからその次には、今度は条約というものの性格から言って、日華平和条約は国と国との間の条約であることはもちろんでありますが、この国を代表する機関としての政府は当時国民政府でありますが、国民政府との間に国を代表する機関としての政府としての立場で、日華平和条約を結んだわけであります。そういう関係からいって、たとえば第一条の戦争状態の終結であるとか、あるいは第四条の条約の有効、無効問題とかということは、国と国との間の約定でありますから、その効力は国を代表する機関として結んだ政府との間にとりかわされたものは、国それ自身を拘束するというのが条約論としては正しい見解である、この見解をとっているわけであります。同時に、平和条約を結んだときの状況は、国民政府が大陸を支配していないということも事実であります。また一方から言って、台湾というところは、日本がサンフランシスコ条約で放棄をした、そうしてこれを平和条約で確認をいたしているわけでありますが、そういう関係もございますから、その双方の点から言いまして、たとえば通商航海とか、平和条約でいえば第七条、第八条というよう主点については、実際の適用区域が問題となるので、交換公文でその点を明らかにした。こういうことになっているわけであります。ですから、いま政府の態度はどうかということになれば、国と国との間の関係で、戦争状態というものは終結した、これが政府の見解でございます。ただ、同時に中国大陸に中華人民共和国政府がある。そうして、これが有効に八億の国民を支配している。この事実もまた客観的に明らかな事実であります。そうして、その中華人民共和国政府が日華平和条約を認めない。したがって、まだ戦争状態の終結――法的にはそういう状態になっていないという見解をとっている。これも政府としてはよく承知しております。こういう態度をとっているわけでございます。そして将来、仮定の問題としては、そういった種類の問題はいろいろと日中関係が改善されるにつれて、その中で自然に解決せらるべき問題でありましょうということを常に言っておるわけでございまして、その辺のところから政府の態度というものについての御理解というものを仰ぎたいと思っているわけでございます。
#10
○和田静夫君 何か国際情勢が片づけば日中間の固有の問題も解決するというような考え方、そういう考え方というのは、事、日中問題に関する限りは私はどうも成り立たないように思うのであります。最近、中国の対外姿勢というのは幾分柔軟化のきざしが伝えられます。ところが対日姿勢だけは依然として硬化したまま。これは一体どんな理由によるのか。外務大臣は一体どういうふうに判断をされているのか、承りたいと思います。
#11
○国務大臣(愛知揆一君) 私、率直に申しまして、中国の問題は、何千年来の非常に隣国として関係の深いところであります日本が、中国に対してどういう、より正常な形をとれるかということの問題と、それから世界じゅうの大多数の国々が加盟しておる、たとえば国際連合におきまして、中国代表権がどういうふうにこれから扱われるであろうか。まあ、この両面から問題をとらえていくことが大切なところではなかろうかと考えておる次第でございます。したがって中国の代表権問題が、国連という国際社会で、大多数の国の間でどういうふうな合意ができるかということも非常にこれは大切な、また重大な関心事でございますが、同時にそれはそれとして、日中関係というバイラテラルな関係をどうするかということも常に細心の英知を働かしていかなければならない問題であろう。いずれにいたしましても、きわめて複雑でございまして、隣国であり、長い関係を持つ間柄でありますだけに、ヨーロッパの諸国などとの、とらえ方とは別な、きわめて深刻さを持っている問題であると、まあかように考えるわけでございまして、同時に先ほど申しました一つの中国という問題については、一方と国交があると一方は断交すると、こういうような非常にきつい環境にありますだけに、その間に処していかに対処するかということが、同時に複雑性をさらに深めている、こういうふうに私どもは考えて、同時にそれだけにそう、何と言いますか、あせった結論ということは禁物ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#12
○和田静夫君 一昨年の日米共同声明が、台湾は日本の安全にとってきわめて重要な要素であると、まあそういうふうに強調した点ですね。そういう点が中国をいたく刺激したと少なくとも私は考えますが、大臣はそのようにはお考えにはなっていませんか。
#13
○国務大臣(愛知揆一君) これは、日本政府の立場としてはさようには考えられないわけでございまして――と申しますのは、そもそも日米安保条約が目途としておりますことは、日本の安全、それから日本を含む極東の安全に寄与するというのが日米安保条約の問題であると、そして日本自身の安全は日本を含む極東の安全とは切り離して考えられないということは、そもそも安保条約の目的であり、使命であり、沖繩返還という新しい問題がここにあらわれてきましたけれども、それによって安保条約の性格や使命が違うものではないわけでございますから、一部には日本国内でも安保条約が沖繩返還によって変質されたのだという議論がありますけれども、政府はさように考えておりません。沖繩返還と安保の変質ということとは何も関係ない。安保条約はそのままの姿で、そのままの性格で変更なしに沖繩に適用されるということが、本土並み沖繩返還ということでございますから、その点からも明らかである。で、こういったことが私は、将来政府間の対話が持てるようになれば、政府の責任者が、あるいは政府の責任者としてですね、そういったよう主点についても十分ひとつ腹蔵なく話し合いをいたすべきテーマではないだろうか。よく外交交渉にプレコンディションということばがございますが、先方がこう考えているであろう、あるいは先方がこう主張している、それだけに従って話し合い交渉をするということは、それこそ何といいましょうか、従属的な外交であり、話し合いであるのではなかろうかとすら思うくらいでございまして、当方といたしましても他の国のいろいろ日本に対して持っております批判あるいは誤解というようなものには、ずいぶん行き過ぎたものもあるのじゃないかと考えられますが、そういう点も、もしこの中華人民共和国政府の場合におきましても、双方の立場を尊重する、双方の内政に干渉しないという大原則さえ守り合えるならば、その大原則のもとでフランクに政府間の対話を持っていくことによって、いろいろと双方の主張というものもざっくばらんに開陳され、おのずからそこから実りが出てくるのじゃなかろうか。まあかように考えまするので、私はいろいろの御批判のあることも十分に知っておりますけれども、謙虚に政府間の対話を持ちたい。大使級会談でも、いつどこでも、いかなる場所でも接触を持ちたい。ただその場合は内政不干渉、相互の立場尊重という、この大きな原則のもとでこれを開始したい。こういうふうに姿勢を明らかにし、またそういう考え方を提唱し、またいろいろの方法でこういう提唱を忍耐強く行なっておる次第でございます。
#14
○和田静夫君 藤山愛一郎さんが帰国をせられまして、少なくとも政府はこれ以上台湾に深入りすることをやめてほしい、これがまず第一。周四条件にしても台湾と貿易するなというようなことを言っていない。これ以上資本提携をしたり援助をしてはならないということ。こういうふうにまあ明確に述べられております。この点について大臣、いまの答弁との関係でどのようにお考えになりますか。
#15
○国務大臣(愛知揆一君) これは、日本としてはイデオロギーを異にする国との間も経済交流を盛んにしたい。それから未承認国との間もできるだけ活発な経済交流をやりたいということを基本にしておりますから、いわんや正常な国交関係がある台湾との間に、相互の立場に立って、たとえば純経済的に考えても相互補完の立場になれるような、たとえば具体的なプロジェクト等について協力し合っていくというのが、私は当然なことではないかと思います。ただ、いまのような御意見に従うという意味ではございませんけれども、一般論としても私は、たとえば政府間借款の問題なんかにいたしましても、国民の税金から成り立つ資金を、政治的につかみで借款に与えるというようなことはやるべきでないと、かように考えておりますから、台湾との間でも、あるいはほかの親善友好関係にある国々との間でも、今後はつかみで何億ドルの政治借款ということはやるべきでない。相互補完的にやれるような、協力し合えるようなプロジェクトベースでお手伝いすべきものはお手伝いをする、かような立場に立つべきである、かように考えるわけでございます。
 なお、日本は、申すまでもございませんが、現在のところは成長率もすばらしく進んでおりますけれども、エネルギー一つ、原料一つ、固有のものを持っているわけではございませんから、いかなるところとも経済交流は活発にし、お互いに助け合っていかなければならない、こう思いますから、台湾との間の関係もその一つとして考えていくべきだと、かように存じております。
#16
○和田静夫君 端的に言って、もうそろそろ吉田書簡の破棄ぐらいのことは愛知外務大臣として言ってもよいのではないかと思うのですが、いかがですか。
#17
○国務大臣(愛知揆一君) 吉田書簡については御承知のように二つございますが、ダレスにあてた吉田書簡というものはその使命を終わったものでございますから、これはもう現在はないものと考えてよろしいと思います。
 それから、輸銀使用に関する張群氏あての吉田書簡というものは、これは本来私文書でございますから、外務省として、あるいは政府として廃棄するとかしないとかという対象にならない私文書であります。それから輸銀使用についてはケース・バイ・ケース、よいプロジェクトで先方からも望まれ、こちらも経済的に合意できるようなものならば、ケース・バイ・ケースで処理していけばよろしいのではないかと、かように考えております。
#18
○和田静夫君 吉田書簡は対中国プラントの輸出をチェックするものでありますから、たとえばイギリスやフランスや西ドイツやイタリアをはじめとする西ヨーロッパ各国の中国との友好的な国家関係をバックにする状態というものを考えてみた場合、日本の関係というのは非常におくれている。そうこうしているうちに佐藤総理が四十三年ごろから吉田書簡を超越する、そしていま述べられたように信用をつくりながら輸銀の融資は現在ケース・バイ・ケースでいく。そういうことを再三繰り返されているわけですが、吉田書簡を破棄するということは言われないのですね。これはもう絶対に言わない。なぜ言われないのですか。
#19
○国務大臣(愛知揆一君) これは破棄とか存続とかいうべき対象のものでない。何といいますか、範疇の違う問題でございますから、これは廃棄すると言えばかえっておかしなことであり、存続すると言ってもおかしなことであり、これはやはり私文書でございますから、廃棄するというようなことの対象にならないものでございますから――これが私は妥当な態度であろうかと、考えておる次第であります。
#20
○和田静夫君 少なくともカナダのように台湾が中国不可分の領土である、そういうテークノートする意思というのはございませんか。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) カナダの場合も、中華人民共和国政府が台湾に対する領土権に触れた場合に、それに対してテークノートいたしましょうと言うただけで、これにはいろいろの意味があろうかと思います。たとえば先ほど申しましたように、台湾については放棄しているが、どこに帰属するということはまだきまっていないということもあるいはその中に入っているかもしれません。また、カナダと中華人民共和国政府との間の合意文書に出ているわけではないようでありますけれども、そのことは、テークノートの意味は、カナダとしてチャレンジしたわけでもなければ、エンドースしたわけでもない、そういう種類の問題だということをカナダ政府が言うておりますことなども、きわめて含蓄の深いことであろう。そうしてまたカナダは日本と違って、かなり離れたところでもあり、また若干の経済交流はあるようでございますが、何と申しましても、俗にいうことばで言えば、遠い関係にあるだけに、そういう点は日本の場合よりもずっと、俗なことばで言えば、気楽な立場でやれるなという感じを私は持つわけでございます。
#22
○和田静夫君 愛知外務大臣は、二日の参議院予算委員会で、中国の日本に対する理解が足りない、と述べられたようであります。具体的にどのような点で理解が足りないと思っていらっしゃるのですか。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) たとえばよく話に出ますけれども、北京放送などをお聞きになったことがあろうかと思いますけれども、少し別の世界のことのように日本を見ておるかのような印象を受けるわけでございまして、あえてこういうこと、こういうことと申すのもいかがかと思いますけれども、だいぶ見方が違う。やはり真相を一般的に御存じないところからくることじゃないだろうか。そういう点から言えば私は、人的の交流というようなことが今後できることは望ましいと思います。
#24
○和田静夫君 抽象的に別の世界のことのように見ていると判断をされる。そうすると、隣国との関係でありますから、そういう見方を解消するために外務大臣としては何か具体的に努力をするおつもりはないわけですか。
#25
○国務大臣(愛知揆一君) そういう意味も込めまして、やはり日本の政府としての責任ある立場にある大使その他の地位の者が、まず対話の根回しを始めるということが、一番私は、実際的なことであろうと思うのです。したがって、これについてはわれわれとしてもできる限り努力を続けてまいりたいと思いますし、また先方がこれに喜んで乗ってきてくれるようになる、話し合いが始まる、こういうことになれば、私はたいへん両国のためにしあわせなことではないかと思います。
#26
○和田静夫君 軍国主義というような言い方にしても、コミュニケはアメリカの極東戦略とのコミットの度合いを問題にして述べているように思われます。そういう意味では日本政府は、アメリカ国内でも、またいわゆる自由陣営でもその支持を必ずしも定着させていない。アメリカのインドシナ政策に対する支持をあまりに早く表明し過ぎたきらい、そういうものがあると思うのですが、外務大臣としてはそういう判断をされませんか。
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 日本はベトナム戦争に参戦しているわけでも何でもございませんし、それから私自身にいたしましても、インドシナ問題がカンボジア、ラオス等に波及し、もしくは波及せんとする状況下にあって、どうしてもこれは、この地域の各国がジュネーブ協定の規定するところに従って、たとえば中立維持、領土保全、外国軍隊の撤退というようなことに関係国が一斉に立ち上がって、そして一斉に少なくとも一九六二年のジュネーブコードの線に戻ろうではないかということを広く呼びかけておりますことは御承知のとおりでございまして、日本は武力も持ちませんし、なかなかこれだけ込み入った紛争になっておりますと、即効薬のような効果を果たすわけにはまいりませんけれども、しかし最近の状況を見ましても、日本の意図しているところが対決や非難をするものではない、一方に偏するものではない。たとえばラオスに例をとって言えば、これはもう北も南も全部がいまのブーマ政権というのを支持し、承認しておるわけです。この立場というものにもう一ぺん目ざめて、そしてジュネーブ協定の精神に戻って、そこでいろいろの取りきめもあるんだから、これをそれぞれが役割りに応じて各国が展開していけば、戦乱の平定に非常に大きな効果があるという考え方で、この考え方は私は相当に関係国に対して影響を与えたように考えております。
#28
○和田静夫君 中国の佐藤内閣に対する不信というのは、何か政策以前のものがあるのではないかというようなことを、うすうす私たちも感じさせられていました。そうすると、いみじくも二月十三日の衆議院の予算委員会で、しかも与党質問の中で、過去に佐藤さんの中国に対する背信行為というふうな問題がありました。一九六四年の五月十四日、当時の佐藤国務大臣が中国国際貿易促進委員会の主席南漢宸氏と会った際、自分は政経一体の線でいくと言って中国側にずいぶん期待を持たせた。ところが、みずから総理になってしまうと全く違っていた。したがって、中国側は佐藤信用できずという気持ちになっている、まあこういうふうに言われるわけですね。これは外務大臣、つぶさに考えてごらんになって、ほんとうですか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) これはたいへんお気の毒なことですが、南漢宸氏はその後なくなりましたから、こういうお二人の間の話に私はコメントをすることはできません。私も同席しているわけでもございませんし、どういうふうな理解をされたか、これはいまや聞く由もないわけでございます。ただ、私は別に、その同様の来日の機会ではなかったかと思いますが、私も南漢宸氏は知っておりますし、また東京で大いに胸襟を開いて、時には激論をしたこともございますけれども、私はそういう機会は非常によいことだと実は思っているわけでございます。したがって、中華人民共和国の政府のやはり責任ある立場にある人が、日本政府の責任を持っている立場の人と、やはりどこででも、いつでもよろしゅうございますから、話し合いが始まるということが非常に私はけっこうなことだ、そして、それが継続的に行なわれることによって、ある程度の時間はかかるでありましょうけれども、難問をだんだんと踏みこえていくことができるだろうと、私はまあさような希望を非常に強く持っている次第でございます。
#30
○和田静夫君 まあいずれにしても、全野党はもちろん、自由民主党の中でも相当部分、今日の政府の中国政策には御存じのとおり批判的であります。つまり、少なくとも中国政策に関する限りは、政府は国民世論の少数派であると言ってもよいのではないかと思うのであります。そのことを十分認識された上で、中国政策の決断を持った転換というものをこの機会に期待をしたいと思います。
 最後に意見を述べて質問を終わります。
#31
○国務大臣(愛知揆一君) いろいろの角度から意見を交えて御質疑をいただいて、私どもといたしましても大いにそういう点については参考にいたしまして、これからもとつくり真剣に中国問題に取り組んでまいりたいと思います。
#32
○二宮文造君 私は、外務省の四十三年度の決算に関連をしまして、青年海外協力隊の問題について若干お伺いをしたいと思うわけであります。
 まあ、この青年海外協力隊は日本版平和部隊と、このようにもその別名をあげられているほど、いろいろの面で成果を上げてきたと私は聞いております。しかしまた、その運営につきましては若干政府の考え方ないし事業団の考え方というものをお伺いしたい、こういう点がありますので、あえて問題にするわけでありますが、この海外協力隊の目的といいますか、事業内容といいますか、そういうものについてまずお伺いをいたします。
#33
○国務大臣(愛知揆一君) 具体的なことになりますと、ちょっと私もお答えし切れぬところがございますから、ただいま担当局長を至急呼んでおりますので、あとで補足をさせたいと思いますが、ただいまもお話がございましたように、青年協力隊はまあ概して申しますと、まだ中道であるかと思います。そうして、地域によりまして実はその評価が相当違います。よいところにおきましては先方の若い人たちやあるいは僻地まで溶け込みまして、主として農業その他の関係で技術指導などをやりながら、青年同士の友好親善関係をつくり上げていくということで、かなりの成果を上げているように思いますが、しかしまだ、そこに及ばざること遠しの地域もずいぶんございまして、私自身も各地の状況をできるだけ詳細に情報を取るようにいたしておりますが、その場合に考えられますことは、やっぱり一つはお金の問題でございまして、もう少し、挺身して非常にまじめによくやってくれております青少年諸君に、もう少し経済的にも安定した立場でやらしたい。それから先方との間の協力関係、研修関係などにおきましても、もう少しこのお金のふんだんに出るような方法を講じてあげれば、効果がずいぶん高まるのではなかろうかと、かように考えております。まあこれはきわめて原則的な感じを交えてでございますが、そうしてこれからはこの点が技術協力という従来日本の海外経済協力に非常に足りなかった点と組み合わせまして、力を最も注ぐべき分野ではなかろうかと考えております。
#34
○委員長(森元治郎君) 速記をちょっととめてください。
  〔速記中止〕
#35
○委員長(森元治郎君) 速記を始めてください。
#36
○二宮文造君 先ほど大臣から、この海外協力隊は、いわば中道にかかったところである。で、相手国によっては非常に実績をあげているところ、あるいはまだしもの感があるところ、まちまちである。そのいろいろの問題について概括的に大臣から答弁をいただいたわけでありますが、いままでの派遣の実績といいますか、派遣人員ないしはその派遣地、そういうものについてちょっとお伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(沢木正男君) ただいままでの派遣実績といたしましては、合計いたしまして延べで八百八十二名、現在派遣中が四百七十五名でございます。で、国の数は約十二にわたっております。
#38
○二宮文造君 そこで、その四十三年度の決算額が六億二千七十一万四千円、こういう金額をいただいているわけでありますが、この財源のほうはどういうことになっておりましょうか。
#39
○政府委員(沢木正男君) 外務省の技術協力事業委託費の中で、それだけの額を支出いたしてあります。
#40
○二宮文造君 全額ですか、全額委託費で出ていますか。
#41
○政府委員(沢木正男君) 全額委託費でございます。
#42
○二宮文造君 そうしますと、これらの海外に派遣される協力隊員の自費負担というのは全然ないわけでございますか。
#43
○政府委員(沢木正男君) 全部予算のほうで負担いたしておりまして、自費負担はないはずでございます。
#44
○二宮文造君 わかりました。そこで相手国の選定でございますが、たとえばいただいた資料によりますと、四十二年七月三十一日現在で、まあこれは非公式要請を含むと、こういう見出しがついておりますが、その中にビルマとか、あるいはセイロンとか、あるいはパキスタンとか、それからまたシンガポール、タイ、あるいはアフリカではエチオピアとか、それからガーナとか、こういう各種の国があげられておりますが、そこに必ずしも派遣されてない。そうしますと、相手国の選定というのはどういう趣旨で、どういうやり方で選定をされるんでしょうか。
#45
○政府委員(沢木正男君) 日本の青年海外協力隊事業は、ほかの国のいわゆる平和部隊と異なりまして、一応相手国から各事業の技術分野の通報を受けまして、その技術を持ったものを選定しまして相手国に送りつける方式をとっております。したがいまして、相手国からそういう意味の青年協力隊を受け入れたいという要請がまず参りまして、その上でこちらのほうの予算及びその他の外交関係あるいは専門家、研修員の受け入れ等々の関係と比較いたしまして、それで国をきめて協定交渉いたしましてから、協定が締結できました国に派遣するということをいたしております。
#46
○二宮文造君 そうしますと、いま申し上げましたこれらの国々においては、おっしゃるところの協定交渉が成立しなかった、あるいはこちらのほうから派遣をすべき人材がまとまらなかった、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#47
○政府委員(沢木正男君) そのうちの、ただいま先生がお述べになりましたうちの一部の国につきましては、日本の青年協力隊というものに対する認識が必ずしも正確ではなくて、労働力の補充に使われるのではないかというような意味合いから、たとえばインドネシアのごときは、青年協力隊を受け入れるとインドネシアの青年の労働力を侵害するというような危惧から、まだ受け入れることを了承いたしておりませんし、パキスタンの場合には、アメリカの平和部隊に対する追い出し運動というようなものがございまして、それと同一視されることは困るというような考慮から派遣交渉を積極的に進めなかったというような経緯がございます。国によりまして全部いろいろ違います。
#48
○二宮文造君 巷間伝えられるところによりますと、こちらとしては派遣をしたい。ところが、向こう側から派遣要請がないので、こちらがたのんで受け入れてくれるように話し合いをする。したがって、そういうところへ派遣した場合には、どうも現地の受け入れ態勢がまずくてトラブルが起きがちだ、こういうふうに言われる向きもあるのですが、そういう点はどうでしょうか。
#49
○政府委員(沢木正男君) そういう事実はございません。
#50
○二宮文造君 それはまたあとでお伺いすることとして、隊員の待遇はどうなっておりましょうか。
#51
○政府委員(沢木正男君) 派遣いたしまして、毎月百七十ドルの手当を一律に支給いたしております。そのほか本邦におきまして帰ってくるまでの間二万円の月給の積み立てをいたしておりまして、隊員が帰ってまいりましたら、その金額を渡しております。
#52
○二宮文造君 一律というのは、たとえば満二十歳から三十歳、あるいはまた、ときによると四十歳くらいの方も派遣された実績があるようでございます。したがって、職種の経験年数も違うというようなことも考えられるのですが、一律に百七十ドルに押えたというのはどういうことでしょうか。
#53
○政府委員(沢木正男君) これは、青年協力隊の派遣の趣旨がある程度日本の青年が若い時代におきまして自己の訓練と申しますか、世界的な視野を広めるというような意味もございまして、相手国の生活に溶け込んで向こうに奉仕するという精神をある程度加味した思想で現在なされております。したがいまして、これは都市に居住いたします場合と、いなかに居住いたします場合と、実際の生活費用として一律の百七十ドル支給が適当であるかどうかという問題は多少あるわけでございますが、いままでのところは、一律百七十ドル支給ということにいたしております。
 それから、先ほど先生の御質問の中にございました、こちら側が押しつけたために待遇が――向こうで受け入れが十分できないのじゃないかという点の御疑問がございましたけれども、これはむしろこちら側が協定交渉いたします段階は中央政府と協定いたしまして、実際の隊員が配属される場合は地方である場合が多いのでございます。で、後進国でございますから、中央政府と地方との間の連絡がきわめてまずかったというようなところから、隊員が現地に行ってみますと、その地方に中央政府からの指令が十分届いておらなかった。したがって、受け入れ態勢が不十分な例は過去においてございます。
#54
○二宮文造君 このいただいた資料によりますと、公務員の方あるいは政府機関の職員の方も相当にいるわけでありますが、この人たちの身分は一体どうなるのでありましょうか。
#55
○政府委員(沢木正男君) 公務員のほうは休職で出ておられます。
#56
○二宮文造君 休職になりますと、給料などはどうなりますか。
#57
○政府委員(沢木正男君) そのもと所属しておりました官公庁からは一文も支給されないというかっこうになるはずでございます。
#58
○二宮文造君 それから、民間の会社に席を持っておった方も、いわばこの目的観に立って相当数応募されておりますが、この方々はやはり休職というようなかっこうになって、会社からの報酬はないわけでございましょう。
#59
○政府委員(沢木正男君) これは、われわれはその募集するほうの側から見ておりまして、予算上、その会社に対する補てんその他を行なっておりません。会社によりまして、休職で出したり、あるいはまた将来帰ってきてほしいという意味で給料的につながっておるところもあるかと思いますが、その辺は必ずしも全部調査いたしておりませんので、十分にはお答えいたしかねます。
#60
○二宮文造君 そこで、これを選考いたします隊員の選考機関というのは、どういう機関で選考されるのでしょうか。
#61
○政府委員(沢木正男君) 青年協力隊の篠浦事務局長が参っておりますので、それから答弁さしていただきたいと思います。
#62
○参考人(篠浦公夫君) 選考といたしましては、事務局に常任選考委員というものを設けております。これは人物等を選考するわけでございます。そのほかに技術の選考試験をいたします。技術につきましては、官側一名、それから民間が一名、二名によって行なわれております。
#63
○二宮文造君 競争率はどうなんでしょうか。相当にPRができたといいますか、関心が高まってきたと思うのですが、競争率はどの程度になったのでしょうか。
#64
○参考人(篠浦公夫君) 業種によって違いますし、年度によって違いますが、大体二倍から、業種によりましては五倍という競争率のものもございます。
#65
○二宮文造君 なお、派遣の期間は一応二年間と伺っておりますが、それは現地に踏みとどまったまま、さらにその期間を延長するようなシステムになっておりましょうか。一たん帰ってまた行くようになっておりましょうか。
#66
○参考人(篠浦公夫君) 一年以下である場合には向こうにおりますけれども一、二年たちましたら一応帰します。
#67
○二宮文造君 そこで、先ほど私、相手国の関係をお伺いして、結局向こうの受け入れ準備がない、あるいはせっかく派遣をしても趣旨が違えられて労働力に吸収されてしまう、そういうふうな心配があるので、せっかくの要請があったけれども、そちらのほうに送ってなかったというふうな話でありますけれども、一説によりますと、これは新聞雑誌等でも指摘をされたのですが、たとえばラオスに派遣をされた、これは防共屯田兵だと、こういうふうな、派遣した側あるいは派遣された人にとっては意表外な評価を受けている。このように思うんですが、なぜこういうふうな防共屯田兵だというふうな風説、そういうものが生まれたか、事務局長としてはどういうふうに理解されますか、これを。
#68
○参考人(篠浦公夫君) ただいまの御質問でございますが、どうもわれわれといたしましては理解に苦しむわけでございます。と申しますのは、ラオスの場合でございますが、確かに向こうのほうの関係から申し上げますと、財政的に国自体が非常に窮乏いたしております。したがいまして、十分な受け入れ準備態勢はできておりません。そこで協力隊員が自分で向こうの連中の手をとって一緒にやるという形のものでございまして、防共云々というような形のものはごうもございませんし、また特にそういう意識のものを隊員自体も感じておりません。
#69
○二宮文造君 それから、これまた世間の話でございまして、事務局の側としては不本意な風評だろうと思うのですが、しかし私も派遣された方の一人一人の名前を、あるいは略歴を見ておりますうちに、何かそういうようなことも感ずるわけですが、たとえばラオスの場合ですね、電電公社の職員の方が昨年でしたか、ことしでしたか、集中的に四人ぐらい、いわゆる電話工事のために送られております。まあいわばラオスというのは、いま戦乱のまっただ中にありますし、そういう関係の中に電話工事というものを集中的にお送りになる、これはやはりそういう面での何といいますか、協力ではないか、軍事方面の協力ではないか。あるいは逮捕術を教える、こういうふうなことで、警察官を集めてそれを指導する、こういうこともいわゆる平和部隊協力隊の本来の目的、これはやっぱり治山治水といいますか、あるいは産業の復興といいますか、そういう純平和的なものと比べてみて、何かそこにこれはちょっと控えたほうがよかったんじゃないかなと、われわれも思うのですが、事務局としてはそういう意図――意図というか、心配あるいはそういう配慮というものは今後もしませんか。
#70
○参考人(篠浦公夫君) いまの御質問、二つあったと思いますが、第一点の電話の工事の問題でございますが、これは昨年始まったものではございません。もうすでに二回目の者が帰ってくるという状況でございます。と申しますのは、御案内のことと思いますが、ラオスのビエンチャン市内におきましても電話不通が六〇%もございます。したがいまして、ほとんど官庁街にも通用しないというような状況なので、ぜひ日本側において補修工事をやってくれないかという要請にこたえて出しておるわけでございます。と申しますのは、フランスが架設いたしましたのは約三十年前でございます。詳細には二十九年前と思いますけれども、そういう非常に古いものでございますので、そういう形になりました。しかし現在フランスが新たに地下工事をやっておりまして、埋設しておりますから、今後はおそらく日本側は不必要になってくるのじゃないかというような予想をいたしております。
 それから、次の逮捕術の問題でございますが、これは警察におきまして柔道を主体にやっておるわけでございます。それについて補足的に逮捕術という形でやっております。かつまた、協力隊員が行っておりますのは単に警察だけではございません。マレーシアの場合には民間といいますか、一般の柔道普及会のほうも教えております。そういうわけで格別取り上げられる問題ではないのではなかろうかというように考えております。
#71
○二宮文造君 まあ、世間にそういうふうな心配をする向きもあるということは、これはやはり本来の平和部隊というふうな趣旨からいきまして、派遣する側でも慎重にこれは考慮していただきませんと、誤解される向きがある。特にずっと見たところ共産圏には全然送っておりませんですね。それから、先ほどいろいろな理由があって送られなかったと言うのですが、何か意識的にそういうことがされているのじゃないか。そこで、私お伺いしますが、将来も共産圏、こういうところに要請があれば――あるいはそれと目されるような国、アフリカあるいは東南アジア、それらの国で非常に関係性が深いと思われるような国でも、やはり向こうから要請があれば派遣する準備はありますか。
#72
○政府委員(沢木正男君) 現に社会主義体制をとっておりますシリアには協力隊員を出しております。したがいまして、協力隊員を派遣する趣旨も、ただいま最初に申し上げましたような趣旨でございますので、相手国が後進国である限り、できるだけ要請にこたえてまいりたいというふうに考えております。
#73
○二宮文造君 それで、その訓練でございますけれども一その前にお伺いしたいのは、いままで協力隊員を派遣して現地で若干でもトラブルがあったとしますと、どういうトラブル、どういう形式のトラブルが起こったのか、これは具体的でもけっこうですし、あるいは抽象的でもけっこうですが、大体こういう問題で現地とのトラブルが起こりましたということで、ちょっとお知らせ願いたいのです。
#74
○政府委員(沢木正男君) ただいま一番最初にお話がございましたように、タンザニアに初めて送りました場合に、中央政府と現地との間の連絡が不十分でございましたがために、最初着任した隊員がとまどったケースがございます。それから、それ以外のトラブルはあまりないわけでございますが、公務執行中の自動車事故あるいは負傷というようなことは多少起こっております。それ以外に特に相手側から文句を言われましたり、あるいは非行があったというようなケースはまだ一件も発生いたしておりません。
#75
○二宮文造君 今日までの状態で二年間駐在すると、こういうことでございましたけれども、途中でからだが悪くなったり、いろいろ事情がありましょうが、途中で帰ってこられた人は何人ぐらいありますか。
#76
○参考人(篠浦公夫君) 私の記憶では全員で九名でございます。
#77
○二宮文造君 非常に遠隔の地に、しかも一人、二人というふうに派遣される。一つの国に二人派遣されても、必ずしも同じ場所で働くということでもない。そうしますと、この激励、それから状況の収集、こういうことに非常に苦慮されると思うのですが、伺ったところによりますと、海外駐在員というのは、マレーシア、フィリピン、ラオス、タンザニア、モロッコ、ケニア、インド、こういうところに駐在員がいる。そうすると、この方々は一体巡回相談といいますか、そういう激励をかねての巡回相談はどういう形式でやるのでしょうか。
#78
○政府委員(沢木正男君) 常時、その隊員のおりますところへときどき、予算はもちろん限定されておりますけれども回りまして、実際に不満がないかどうか、状況がうまくいっているかどうか――巡回いたしますと同時に、現地の出先の大使に対しましても、できるだけ協力隊員の地方におるもののめんどうをみるようにという基本的な訓令が出されております。それから事務局長その他も東京から、ときどき、年に一、二回は海外出張いたしまして、現地の隊員の状況を視察するというようなことをいたしております。
#79
○二宮文造君 事務局長がおられるのですが、昨年のいわゆる巡回の日程、それから回った国々、日数というのは一体どんなものでございましょうか。
#80
○参考人(篠浦公夫君) 昨年九月の下旬から十月にかけまして参りましたが、日程は二十五日ぐらいだったと記憶しております。回りましたのはインド、ラオスでございます。
 それでインドの場合には、首都には最後に向こうの中央政府との交渉で二日しかおりませんで、全行程を現地へ参りました。したがいまして、当時六十三名隊員がおりましたが、ネパールに参っておりました二名を除きまして、六十一名全員に会うことができました、現地において。
 それからラオスにおきましては、主体を第一線と申しますか、危険な一番前のところを中心に動きましたために、パクセ、サバンナケト、 ルアンブラバンでございますが、ここを重点に置きまして、大体隊員のおるところに一応寝泊まりして帰ってまいりました。
#81
○二宮文造君 他の海外駐在員の方は、大体派遣された方に年に一回ないし二回ぐらい面接できるのでしょうか。それだけのゆとりがありますか。
#82
○参考人(篠浦公夫君) 私が承知し、かつまた報告を受けておる範囲におきましては、年に最小限二回以上だというように確信いたしております。と申しますのは、年に一度は必ず健康診断ということで全員集めます。それと同時に遠隔地を中心にいたしまして、駐在員あるいは調整員というのが補佐役でおります。それらが交代で回るということになっておりますので、それ以上の数が行なわれておると、このように思っております。
#83
○二宮文造君 そこで私は、これらの海外に青年を派遣する、たとえば農業関係でアメリカに派遣する実習生というのがありますね。それもやはり農業関係で研修生として派遣される。そのために、何ですか、社団法人農業研修生派米協会というものを事業団が肝入りになっておつくりになっている。たしか、何か派遣に参画されると思うのですが、それから同じく社団法人国際農友会、こういうものの機構があるように伺っているのですが、私が考えますと、そういう遠隔の地に、外国に派遣をする部門があちこちにあるということよりも、むしろこれらは総括してそれを管理していくというほうがよろしいんではないか。まあ、それぞれ四Hクラブだとか、いろいろな関係はあるのでしょうけれども。たとえば、こういうように部門がいろいろ分かれておりますと、それだけ国内における管理体制もばらばらになります。それで国の補助金なんかも、交付金の関係も、委託費の関係もばらばらにこう出ていきます。それよりももっと総括して、そしていわば国内の費用というか、そういうものは切り詰めて、主として外へ出ていく人に重点的に配賦していくというように考えれば、もっとこの点がスムーズにいくんじゃないか、これはしろうとの考え方です、いろいろ理由はあるでしょうけれども。
 そこでいま現に、こういう機関で海外に実習生などを派遣する機構は一体どれぐらいありますか、外務省関係ではどうですか。
#84
○政府委員(沢木正男君) 必ずしも全部私が所管いたしておりませんので、十分な御答弁はいたしかねるかと思いますが、先生の申されました派米農業の関係のもの、これは必ずしも外務省じゃなくて、私、農林省じゃないかと思うのです。それからわれわれのほうとしましては、事業団で専門家を派遣しておりますし、それから青年協力隊も事業団の中の一環として派遣いたしております。確かに先生のおっしゃいますように、青年がいろいろ出ていくのに、派遣元が一つであったほうが予算の整理上も都合がいいと、効果的じゃないかというのはお説のとおりでございますが、派米青年のケースというのは、むしろ行きます日本人自身が向こうで米国式農業法を習い覚えてくるということで、その利益は日本の青年に集中しておる。ところが青年協力隊のほうは、確かに青年運動の一環として海外の知識も得るわけでございますけれども、そのもう一つ大きな目的は、相手国のために奉仕するという点にあるわけでございまして、多少目的が派米青年の場合と異なっておるかと存じます。
 ただいま派米協会を農林省の所管のように申しましたが、外務、農林共同の所管になっております。訂正させていただきます。
#85
○二宮文造君 国際農友会のほうはどうなんですか。
#86
○政府委員(沢木正男君) 農林省の所管でございます。
#87
○二宮文造君 わかりました。
 そこであらましをお伺いして、まだ具体的な問題が若干残ったんですが、いろいろいわゆる隊員が三ヵ月間訓練を受ける、主として現地語の訓練を受けるけれども、はたしてその三カ月の現地語の訓練で用をたすだろうかという問題、それからまた、たとえば農業にしましても、人間が行っただけでは、やっぱり相手国への貢献度が非常に少ない。そこにやはり機械を携行して、器具を携行して、そうしてより実績をあげるほうがよろしいのではないかというふうな問題、それからまた先ほど外務省の政府委員のほうから言われましたいわゆるコロンボプランですか、それによって派遣される人たちは高給である、同じような仕事に接触しながら、派遣した母体が同じであるにもかかわらず、名目が違うがゆえにどうも待遇が違うというので、派遣された者同士の間にトラブルが起きる、こういう問題も私話に聞きました。これらの問題でこの協力隊の今後の行き方というものについては、やっぱり相当に手直ししなければならないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、この点はどうでしょう。
#88
○政府委員(沢木正男君) 青年協力隊にも器材携行費を許しております。向こうに行きまして指導いたすために、必要な職業的な器材というものは本人に携行させております。
 それからただいま、同じようなとおっしゃいますけれども、専門家の持っております技術水準と、それから青年協力隊の隊員が持っております技術水準との間には格差がございます。事実、青年協力隊で海外へ行って帰りました結果、将来自分も海外の後進国援助に尽くしたいということで、あらためて国内において技術を修練いたしまして、技術専門家としてさらにまた海外に出ておるというものもございます。
 それから現地で、青年協力隊とそれから専門家を組み合わして、仕事の分野をきめまして協力しておる例もございまして、われわれの耳に入っておりますところでは、専門家と協力隊員の間であまりトラブルがあるというような話は聞いておらない次第でございます。
#89
○二宮文造君 総括的にきょうはお伺いをして、これでとどめておきますが、確かに冒頭に大臣が言われたように、こまかい問題を掘り下げていきますと、非常に崇高な目的のもとに海外で働いていただいていらっしゃる、それが国際親善に非常に役立つ、そういう目的で行かれておるんですが、まだまだその実績は所期ほどでないというふうな事実がございますので、今後この待遇の改善とか、あるいは確かに機械、器具の携行も認めておるとはおっしゃいますけれども、割ってみますと一人当たり三十万程度となりますと、一体どういう機械器具が持っていけるんだろうか。さらにまた巡回指導の旅費なんかを見ましても、非常に予算が額としては小さい。やはりこういう場合には激励が何より大切でございまして、それがトラブルをなくする根本ではないかと思うんですが、そういう面も配慮していただいて、この目的をより以上に果たしていただく。こういうふうに気をつけていただきたい、これは要望でございます。これできょうはとどめておきます。
#90
○沢田実君 ただいまの海外協力隊の問題で、関連して一、二お尋ねしたいわけですが、低開発国のほうへ女の人の派遣がございますけれども、現在何カ国に何名ぐらい女の方が派遣されておりますか。それで問題が起こったことを聞いておりますが、今後、どうなさるおつもりか、この点お伺いしたいと思います。
#91
○政府委員(沢木正男君) 青年協力隊としまして、現在までに延べで百名の女性隊員を派遣いたしております。これは四十六年二月八日現在です。それで中にトラブルが起こりましたようなケースとおっしゃいますが、われわれとしましてはできるだけ、そういうことのないように、女性の勤務場所につきましては、特にそういう問題に注意して監督したいということで、できるだけそういう問題が起こらないような環境のところへ赴任させるという点を主眼に置いた対策を立てております。
#92
○沢田実君 私、タンザニアにまいりましたときに、いろいろお聞きしたわけですが、あの広い国に、一カ所に男の人が一人ずつです。大使が各所を回って行くときに激励をしていらっしゃるようです。自動車で一日走って一人にやっとお会いできるというような、非常にたいへんなところにいらっしゃるようです。ですから、現地語も十分でなく、そしてたった一人で遠いところへ派遣されて、ほんとうに目的を達成できるのかどうか、非常にいろいろな心配を感じてまいりました。ですから私は、ああいう未開発国に女性を派遣することがどうかという検討をしていただきたいと思いますし、男の場合もできれば二人ぐらいおやりにならないと、行った人が非常にさびしい思いをして、帰るに帰れませんし、大使が行くと非常に喜ぶというお話をお聞きしても、問題があるのじゃないかということを感じてきました。
 それから、ケニアあるいはエチオピアのほうには派遣しておりませんが、協力隊が行っているところは海外援助と同じように対日感情を非常によくしております。そういう意味で、大いに国のためにプラスになると思うわけですけれども、そういう点で海外援助と同じように、特にアフリカ等に対して、もっと多くの国に派遣する計画があるかどうか。四十六年度はどんなお考えであるか。御答弁を聞いて終わりたいと思います。
#93
○参考人(篠浦公夫君) ただいま先生のお話の点は二つございますが、一つは女子隊員の問題でございます。当初、若干のトラブルがございました。これは、やはり派遣する場合、一番大切な問題は業種ではないかというふうに私どもは経験上思っております。と申しますのは、一度に要請が三十名ありまして、そのときに二十六名出したわけです。かなり真剣に検討いたし、また選考したわけでございますが、業種によりましては、やはり国内の状況とあまり変わらないというような問題があるわけでございます。しかし、農業隊員あるいはその他の隊員で行っているものがございます。これは看護婦、栄養士でございます。これは全く男子と同じような成果を得ておりますし、実際に活躍しております。したがいまして業種を選考すれば、さほど心配はないのじゃないかというように思っております。問題は派遣する業種をどうするかということではないかと思っております。
 第二点は、男子隊員にしても、へんぴなところだから、一名ではかわいそうではないかということでございますが、当初、私たちもそのように感じました。と申しますのは、フィリピンには島が非常にたくさんございまして、そこに一人で派遣することになったわけです。たいへん心配しましたけれども、行く隊員に聞いてみますと、一人のほうがいい、第一、勉強できるという方もございましたので、現在派遣しておりますが、結果的には二人、三人を一緒に出すよりもうまくいっておるのではないか、むしろそういうところに行く隊員こそ使命感をもってやっておるのではないか、このように私どもは評価しておるわけでございます。特に二人、三人が一緒に行きますと、日本語でしゃべる関係もありまして、なかなか現地語に上達しないという問題も生じてくるわけでございます。先ほどことばの点で三ヵ月の問題が出ましたが、確かに英語を三カ月で補習するということになりますと、たいして成果があがりません。やはり現地でやらないと、どうにもなりませんが、現地語を初めてマスターするときにはかなりな進歩はございます。これはわれわれも実施後発見したわけでございます。なお、外務省、大使館の御協力によりまして、もちろん相手国政府の協力もあるわけですが、派遣後、三週間ないし一カ月ぐらい現地において現地語を現地の人から学ぶという方式をいまとりつつございます。以上でございます。
#94
○沢田実君 四十六年度の計画はどうですか。
#95
○参考人(篠浦公夫君) これは外交チャンネルを通じて要請があがってくるわけでございますから、その要請をわれわれは外務省の御指示によって実施するわけでございます。で、アフリカの場合はウガンダなどという線が出ております。なおエチオピアも出ております。したがって、アフリカには前向きにやるという外務省の御方針もあるし、また、われわれ実施の面から見ましても、アフリカは東南アジアよりも日本の青年の活躍する場が広うございますし、安心して出せるのではないかと、このように思っております。
#96
○沢田実君 日本経済の発展に伴い、外交官として、また商社や合弁会社の幹部として海外に在留する邦人の数というのは非常に増加をいたして為ります。その子女の教育が非常に重要視されている現在ではないかと思います。
 で、私は、フランスの上院の招待で、参議院の訪仏議員団の一員として欧州へ参りましたときに、アフリカまで足を伸ばしまして、南アフリカ共和国のヨハネスブルグ及びケニアのナイロビで日本人学校を視察してまいりました。現地で日本人の子女の教育に真剣に努力なさっておられる先生方の意見、希望等もいろいろ聞いてまいりました。そのような事情もございますので、この際、日本人学校の問題について若干お尋ねをしたいと思います。
 まず、最初に、外務省にお尋ねをしたいわけですが、日本人学校の現況について御説明をいただきたいと思います。
#97
○国務大臣(愛知揆一君) 一般的にお答えをいたしますと、私自身といたしましても、この問題については非常に関心を深くいたしておるわけです。と申しますのは、四十五年現在で海外に在勤する邦人が、概数でございますが、約七万名と考えております。その方々が同伴して海外におられる子弟で、小学校・中学校の学齢期にある子供さんたちがおよそ八千名と推定されております。これらについての教育につきましては、概説的に申しますと、アジア、中近東、アフリカ、中南米等においては各地に日本人学校が設立されておりまして、大体内地に準じた教育が行なわれております。そこで、いわゆる在外日本人学校の問題でございますが、これは昭和四十五年度現在で二十三校が開設されております。四十六年度には高雄とリオデジャネイロとデュッセルドルフに新設を予定されておりますが、合計二十六校に相なります。そうして教員の派遣、校舎借料の負担、教科書、教材の配付等、政府予算による援助を行なうことにしておりますが、教材について六百四十一万円、それから教科書については約五百万円とうような状況でございます。
 これら日本人学校の問題につきましては、文部省の文化庁で非常に協力していただいております。そして私自身も海外に参りましたときに、できるだけ時間をさいてその実情も詳細に視察することにつとめておりますが、おかげさまでだいぶ全体の状況がよくなってきたように思います。ことに先生方の問題が非常に大切なわけでございまするけれども、これも概説的に申しますと、たとえばある地域の学校については内地のたとえば学芸大学等が一つ一つ分担をして、先生方が次々にうまく派遣されるようにだんだんと組織化されてきておりますことを、私としても喜んでいる次第でございますが、なお足らざるところについては今後年を追うごとにできるだけの措置をいたしたいと思います。
 そこで、四十六年度にこうした日本人学校はどのくらいの在籍者になるかと申しますと、児童生徒で約二千二百名に相なります。それから教員の数が約百八十名に相なります。そして百八十名のうちに政府からの派遣教員が百二十三名で、残りは現地採用の講師ということに相なるわけでございますが、従来は、御案内のように、現地で採用される教員の方々、それにはあるいは内地で学校を卒業して教員の経験のない方が直接在外で就職される方も相当ありましたけれども、先ほど申しましたように、母校とでも申しましょうか、母体が中心になり、またそれぞれの県教育委員会等にも相当の配慮をしていただきまして、かなりこれらの点についてもうまくなってくるように思われる次第でございます。
#98
○沢田実君 部長さん、予算のことは補足なさらなくてよろしいですか、いまの金額がちょっと違うようですが。
#99
○説明員(遠藤又男君) 予算について申し上げますと、四十六年度につきましては、海外における邦人子女教育関係全部合わせますと四億九千二百万円になります。これは前年比五二・三%増でございまして、政府としての熱意があらわれているように思うわけでございます。それにプラス、さっき大臣から申し上げました教材、教科書関係があるわけでございまして、これは文部省関係として約五百万円別についているというわけでございます。新規のことにつきましては、大臣からもお話のありましたように、正規の学校としては三校でございます。それにあと。プラス、すでにできておる学校の校舎の借料の増額とか、それから先生を増すとかいうようなことで、だいぶふえておるわけでございます。
#100
○沢田実君 ただいま御説明がございましたように、非常に多くの子女がございまして、年々学校の増設も行なわれており、四十三年度一億七千五百万の予算であったのが四十六年度には約五億と、こうなっております。これは外務省だけで、文部省が一億五千万、それから、あとからまたお聞きをいたしますが、振興財団も約一億五千万の予算を使っておりますので、合わせますと八億ほどの予算を使ってこれだけのことをおやりになっていらっしゃるわけですが、その法的根拠はどうかということを考えてみますと、外務省設置法には海外のいわゆる在留者の子女の教育というようなことは一行も載っていないわけですが、どの条文に照らしてこういうことをおやりになっていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
#101
○国務大臣(愛知揆一君) これは、御指摘のように、多少法文上不明確のようでございますけれども、第三条の九項に、御承知のように「海外における邦人の保護」という規定がございますものですから、それを根拠法にいたしておる次第でございます。
#102
○沢田実君 邦人の保護ということで子女の教育も含むのだという御解釈のようですが、このままでは若干無理なような気がしますけれども、設置法を改正なさるお気持ちはございますか。
#103
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来御説明いたしておりますように、だんだんとその規模もふえてまいりますから、今後前向きに検討いたしたいと考えます。
#104
○沢田実君 文部省の方にお尋ねをいたしますが、憲法では教育の機会均等が第二十六条で保障されております。教育基本法第三条でもこの憲法の二十六条と同趣旨のことが規定され、それに基づいて学校教育法その他の法律がきまっているわけですけれども、この教育の機会均等、義務教育を受ける権利というようなものは海外までには及ばないのかどうか、その点まず承りたいと思います。
#105
○政府委員(安達健二君) 憲法には、ただいま御指摘になりましたように、第二十六条で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と、第二項で、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と、こういうことになっておるわけでございます。これは、純粋に法律的に申しますと「法律の定めるところにより」という場合の法律といたしましては、現在学校教育法というものがございまして、市町村がその区域内にある義務教育年齢段階の子供を収容するに必要な学校を設置する義務を負う、それから、その保護者が保護する子女にこの小学校なり中学校に通学させる義務を負うと、こういう形になっておるわけでございます。ところが、この学校教育法は、純粋に法的に見ますると、これはやはり日本の国内、日本の国権の及ぶ範囲内だけにしか有効でないということになるわけでございます。したがいまして純粋に申しますると、海外にございますところの子女はいわゆる厳密な意味においての義務教育を受けている、あるいは受けさせているということには言いかねるのでございます。しかしながら、この憲法で明示してございまする、第一項にございまする、国民が「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」、教育の機会均等の精神は、やはり国内のみならず海外にも及ばなければならないという観点から、やはりその義務教育、純粋な法律的な意味の義務教育でないにしても、それにひとしいものを与えるように努力しなければならない、まあこういう観点で外務省が居留民の保護と在留邦人の保護という観点でやっていらっしゃることに対しまして、私のほうでは教育の機会均等を広く、世界どの地にも及ぼすように努力をするということで御協力を申し上げておる、こういうことでございます。
#106
○沢田実君 そうおっしゃいますけれども、おやりになっていらっしゃるのはもう外務省が主体で、文部省のほうは教科書の無料配付、あと、それ以外のことはもうたいした金額ではございませんので、ほんとうは文部省が主体になってやらなくちゃならない問題じゃないでしょうか。
#107
○政府委員(安達健二君) 先ほど外務大臣からお答えがございましたように、この問題は両方の意味があるわけでございまして、やはり文部省はすべて海外のことについてまでなかなか力が及びかねますので、私のほうとしてできる限りの努力をしておるわけでございますが、御指摘になりましたところは教科書だけだとおっしゃいましたけれども、実は、教員の給与の負担でございますね、いわゆる出張扱いになっている場合、こちらで現職でいる場合の給与というようなものは、国立学校の場合は全額を出しておりまするし、公立学校の場合は半額を負担しておるというような関係から申しますと、必ずしも、予算的に見ましても、こちらの文部省のほうなり文化庁が全然手をこまぬいておるわけではないし、それからもう一つは、教材費につきまして、今年度は千八百万円の教材費の関係その他を合わせまして、そういう費用を計上いたしておるわけでございまするし、また海外子女教育振興財団で通信教育をするということについての研究の委託費を計上しておるというようなことで、まだ今後努力しなければならないことは多々ございますけれども、われわれとしてのできる限りの努力をいたしておる次第でございます。
#108
○沢田実君 そうおっしゃいますけれど、国内の給与はあたりまえのことでして、文部省で負担するのは一億二千万、ところが外務省ではそれにプラス滞在費等のいろいろな負担が三億五千六百万。ですから、海外において先生としての役目を果たすためには、給料を払うだけではどうにもならないわけですよ。文部省で払っている三倍近い金額が滞在費として要るわけです。そういうようなことで、ほんとうに文部省が主体になってやるべきものか、いまのようにどんどんどんどん大きくなっていく日本人学校を外務省にまかしておくのか、文部省はいま手伝っている程度ですから。これは、私は大きな問題として方針をきめなければならぬと思うのですが、外務大臣のお考えはどうでしょう。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) 率直に申しまして、この問題は相当むずかしい問題でございます。で、法律的に申しますと、日本の学校教育法というようなものは、日本の主権の及ばない外国にまでその効力が及ばないというのが法律論でございます。今度一方、実は外国のほうから見て、日本人学校法による学校の設立ができるかと、かりに仮定してみますと、なかなかこれはそれぞれの国の法律制度がございまして、たいへんやっかいな問題になるわけでございます。それで先ほど私も、日本の学校に準ずるというふうに御説明申し上げたのはそこでございまして、たとえば現在の実際を申し上げますと、一般的には在外公館、たとえばバンコクの例を申しますと、バンコクの日本大使館の付属の施設ということで、日本の学校に準ずるような扱いをいたしております。で、先方の国においても、正規に認められた外国人学校というふうなことにはなっておりませんで、いまは香港とシンガポールとマレーシア、セイロン、サンパウロ、シドニー、この六ヵ国の六つの学校だけが相手国の法令に基づいた、相手国としての正規の学校に認められているわけです。こういうことでございますので、先ほどお尋ねのございました、実は外務省設置法の問題でございますが、どうしてもこれは前向きに検討したいと思いますけれども、こういった関係があるもんでございますから、また正規に政府として、どういうふうな法体系にして御審議をお願いしたほうがいいかどうかということについて、具体的なまだ考えなどは練れておりませんので、事実、その間を縫いまして、外務省が表向きといいますか――お世話をし、それに、先ほども申しましたように文部省、特に文化庁には非常な御協力をいただいているわけです。それから、事実上越えにくいいろいろの障害を事実上の問題として克服しているのが現状でございまして、その辺の苦心の存するところも御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#110
○沢田実君 大臣は御都合があるそうですので、もう一問だけ大臣にお尋ねをいたしてお帰りをいただきたいと思いますが、このような政局がはっきりしていない関係もありまして、大体総領事なり大使が学校の校長をやっている。でそこを、たとえば小学校の二年なり三年在りで日本へ引き揚げてくる、あるいは中学校を終わって引き揚げてきて、日本の高校へ入るというような場合に、卒業証書をもらっていないわけですから、義務教育を終わっていないので、あとで具体的な問題は文部省のほうとよくお話をしますけれども、実際の取り扱いにおいては、いまのところ支障なくやっているようですが、私は数がどんどんふえていきますと、いろんな問題があろうと思います。そういうわけで、義務教育のような、それに準じたようなことをしながら、こちらに帰った場合に問題がありまして、それから向こうが充実しておりませんので、学力の面で非常に心配があります。たとえば向こうで中学校を卒業して、内地の高校に受験できるかというと非常に問題があります。それから学校の先生、教員の派遣についても、これは各県なり何なりの定員の中から行っておりますので、文部省の現在の派遣のあり方にも私は問題があると思います。それから、休職にしているところ、あるいは給料を払っているところ、いろいろございます。これはあとで文部省の方とお話をしたいと思っておりますが、それからまた先ほどお話がございましたが、振興財団ができて、今度もっと経済的にも応援をしようというようなことで、今度ドイツには約二億の予算で学校ができる。そういうりっぱな学校ができながら、日本の義務教育には該当しない、卒業証書ももらえない。そしてまた、向こうの国の学校としてなるかどうか、これはまた別問題でございますが、そういうようないろんな問題を含んでおりますので、外国のことですから事情があろうと思いますけれども、相当予算も使い、文部省としても先生まで派遣していることですから、卒業証書と同じような資格を与えるとか、何かの方法を講じていただきませんと、私は向こうに学んでいる子弟が非常にかわいそうじゃないか。ということは、アフリカに参りましたときに、ここを卒業しても卒業証書がないんですと、こう言って悩んでいる先生のことばも聞いてきております。というようなことで、いろいろ今後のことを考えますと問題がたくさんございますので、後ほどずっと具体的には質問いたしますけれども、そういう事情をひとつ大臣はお考えになって、いまお話しのように、前向きにこの日本人学校の問題に対しては手を打っていただきたい、こう思います。大臣の御意見がございましたらお聞きをして、大臣、お帰りをいただきたいと思います。
#111
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお話しの点はまことにごもっともで、私も沢田委員の御見解や御心配と同じような考え方を持っておる次第でございます。で、たとえば資格の問題などにいたしましても、事実上解決しているというだけであって、たとえば高校の入学等の場合でも、父兄の人たちはもう非常な苦労をしておられるし、こういう点をつぶさに現状を見ますと、ほんとはこれは非常に大きな問題だと思いますので、ただ、先ほど来申しておりますような、なかなか外国でのことでありますだけに、国によりましては非常に好意的に扱ってくれるところもございますが、国によりましては在外公館の付属の施設であるというにもかかわらず、なかなかこれをさらっと受けてくれないようなところも実はございます。これはやはり外交上の問題としていろいろ折衝を積んで、そして何とか事実上支障のないようにやっていくということで、それぞれ各地で在外公館もかなりな苦労をしておるような状況でございます。また自然父兄の方々にも非常なこれは御尽力と御協力を願って、財政的な負担も相当なものでございます。こういう点も何とか、ほんとに気持ちとしては前向きに建設的にぜひ是正したいと、かように存じておるわけでございます。
 ことに、これはもうよけいなことかもしれませんけれども、これから日本人がますます外へ出る数が多くなると思いますけれども、要するにひとり者で、家族連れでない壮年の方々がどんどんふえるということはいろいろの意味でも問題だと思うのであります。家族連れ、子供連れで、落ちついて海外で活躍されることが非常に望ましい、その基礎的な条件を完備する、そういう観点からも私は非常に必要なことだと思いますので、ぜひ今後とも文部省とも協力願いまして、ぜひ前進いたしたいと思っております。
#112
○沢田実君 それでは文化庁の方にお尋ねいたしますが、教員の派遣についてまずお尋ねをしたいわけですが、人選は一体どんなにしてやっているのか、どこでやっているのか、これら派遣中の先生の身分をどうしているのかというような点についてお尋ねしたいと思います。
#113
○政府委員(安達健二君) まず府県の手続、選考の手続でございますけれども、先ほど外務大臣からもお話がございましたように、この中には、国立大学の教育大学の付属の教官のグループと、それから公立学校の教官のグループとがございます。
  〔委員長退席、理事初村瀧一郎君着席〕
これを四十六年の予定では、国立のほうが十六名、公立のほうが九十一名というようなふうになることでございますが、この国立につきましても公立につきましても、それぞれ大学あるいは県の教育委員会から適任者の推薦を求めるわけでございます。推薦がございましたならば、私のほうで書類の選考をすることと、同時にそれぞれブロック別ぐらいに、外務省の課長さん、私どもの課長等をグループといたしまして出張いたしまして、お目にかかりましていろいろお話を伺うというようなことで、そういうことを総合的に勘案いたしまして実際に行っていただく方をきめる。こういうようなふうにやっておるわけでございます。
 それから、この身分の扱いでございますが、国立の教育大学の付属の教官につきましては、これはそれぞれそのための定員を別に追加的に各学校に配賦いたしまして、その定員の中で行くということ。ということは出張扱い、現職の身分のままの出張扱い、こういうことでございます。で、公立の先生のほうにつきましては、これはまだ全体的には統一いたしておりませんが、私のほうで最近お願いしておりまする方法は、国立学校と同じように現職のままでお願いしたい。定員的には義務教育学校国庫負担法によるところの定員配賦の際に、いわゆる研修等の別ワクの増加定員等もございますので、そういうのを府県に差し向けまして、その定員でもって研修の出張をしていただくという方法にお願いをしておるわけでございます。しかしながら、現在は従来の制度もございまして、そのほか職務専念義務の免除、まあ条例に基づきますところの職務専念義務の免除をしたり、あるいは特別休暇あるいは休職――休職の場合でも大部分は有給でございますが、若干まあ無給の方もある、あるいは退職して行かれる方もあるというようなことで、先ほど先生もちょっとおっしゃったように、なお公立学校の先生の場合におきまするところの身分は、必ずしも現在のところはすべて出張扱い、現職のままの出張扱いになっておりませんけれども、これからはそういう方向でひとつやっていただくように、機会があるごとに県にお願いをしておるわけでございます。
 まあ、もう一つつけ加えさしていただきますと、先ほど大臣がおっしゃいましたが、まだ教職につかないままで新任――新しく学芸大学、教育大学等を卒業した方で大いに海外に行って働きたいという方々をお願いして、これは学校からの推薦によりまして現地に行かれる方がございます。この方々は先生の身分を持っていない。したがって帰った後においていろいろ身分上の問題もあるということで、あるいは給与、待遇についても十分でないということで、この制度はなるべく切りかえていくということで、今年度からはそういう新任教員の派遣は取りやめるということにいたして、現職扱いのほうに切りかえておるわけでございます。ただし、その先生方も、たとえば新任で行かれた人も、帰られたときになるべくその出身の県で就職をあっせんしていただくように、私のほうから教育長に特にお願いをする文書を出して、就職が大体進んでおると、まあこういうような状況でございます。
#114
○沢田実君 お尋ねをしようと思ったことを全部答えてくださいましたが、そのお答えいただいたことが私はみんな問題だと思うのです。
  〔理事初村瀧一郎君退席、委員長着席〕
いわゆる文部省の教官で国立大学の付属小学校の先生が派遣される、これは問題ないわけです。ところが各県においてみんなその扱いが違う。その違うのを文部省で県にお願いしておりますと言っておりますが、文部省でちゃんと予算をつけて定員をつければ県で扱うのは当然じゃないですか。県の予算の中から何とかしてひねり出して一人出せと言うから県で問題になるのじゃないですか、その点はどうですか。
#115
○政府委員(安達健二君) 現在の公立学校の先生の給与は、御案内のとおり半額が国庫負担、半額が都道府県ということになっているわけでございます。で、現在のシステムでいきますると、その半額負担の中の定員を都道府県に配賦いたしましてそれでやっていただくように指導しておるわけでございます。ただ先生のおっしゃるようなシステムを立てようとすれば、これは全額国が出すということでないと、県のほうじゃなかなか出しにくいというようなところもないわけではないと思いますけれども、まあ少なくとも定員を配賦すれば、それでそういう方向でやっていただくという方向に進んでおるわけでございます。
#116
○沢田実君 だから申し上げているのですが、文部省のもう少し積極的な姿勢が私は大事じゃないか。これだけ大きな仕事を文部省自身がおやりになっているようなお考えじゃないから、だから県のほうが出せ、県のほうでも負担できるという考えになると、私は思うのですよ。ですから海外に住む日本人の子女については、いわゆる憲法の機会均等の精神というものを、教育の機会均等というものを何とかしようという御努力があるならば、その海外派遣の数だけは国で全部負担したっていいじゃないですか。それをやらないところから実際に向こうへ行っていらっしゃる人が苦労しております。見てきてしみじみそう思います。その方々が安心して海外へ行けないような状態なんです。まだまだ向こうは先生がほしいわけです。それが各県にまかせておくというような予算措置であったり、各県によって取り扱いが違うということでは、これは私は日本人学校の将来については大問題だと思うのですよ。いまの現状はよくお聞きしましたけれども、四十六年度でさっそく予算措置をして、せめて各県から行っている先生はみな同じにしてやろうというお気持ちはございませんか。
#117
○政府委員(安達健二君) 私のほうは極力いまのような、私申し上げましたような、あるいは先生の御指摘になったような、現職のままで出張扱いにしてもらいたいということを言っておるわけでございます。県によりましては、条例上それを出張扱いというのもどうかというので、職務専念義務にするとか、いろいろな技術的なやり方はございます。問題なのは、休職で無給というシステムがございまして、これだけはぜひひとつやめてもらいたいということで、その定員についてはそういう措置をしてもらえるなら、定員についても措置をするということを申して指導しております。
#118
○沢田実君 もう一度お尋ねしますが、日本人学校に先生を派遣するということは文部省の仕事なんですか、県の仕事なんですか。
#119
○政府委員(安達健二君) まあそこが非常に、先ほど外務大臣からもおっしゃいましたように、非常に理論的には明快にこうだということが申し上げにくい状態になっておるということは、一つは先ほど外務大臣もおっしゃったように、各国における日本人学校の法的地位というものは、国内法ではもとより、諸外国との関係でははなはだ不明確のままにならざるを得ないという状況になっておるわけでございます。そこで私どもは、これは国家としてぜひこれについての義務教育にふさわしい内容のものを与えなければならないということで、教員の充実その他に努力をしておるわけでございまして、そこで県のほうについても、これは国家全体のことだから県のほうでも協力してもらいたいということで、県もそういう方向で努力をされておるわけでございまして、お尋ねいただきました教員の派遣の仕事はどこの仕事かということは、そういう意味で法律的に明快にどこの仕事だとは言いにくいわけでございます。現在のところで言えば、海外に行っておる在留邦人の保護というところで、つまり外務省がその出張旅費を出され、在勤俸に準ずるものを出され、それに対して私どもはいい先生を供給する。その場合には給与の面で現職を確保するというような方向に努力をするというわけでございます。
#120
○沢田実君 それは、お話のことはわかりますけれども、大学なり県教委で希望者をとって、あなた方が行って選考して派遣するのでしょう。それなら文部省でやっておる仕事じゃないですか。その文部省でやっている仕事に、派遣する県によって手当がみんな違うと、あるいは休職になったのは、ただにしていないとおっしゃるけれども、本給の七割しかもらっていない人もあるわけです。そういうふうに各県によってばらばらなことを、なぜ統合してやっている文部省がやっているのですかと私は聞いている。ですから、責任は文部省になくて県にあるようなお考えだから、そういうふうになっているのではないですか。これは法律的な問題はいろいろあるかもしれませんけれども、あなた方は外務省が必要だと言えば、文部省として各県の希望を募って、あなた方が行って面接試験までして、そうして人数をきめて派遣するのでしょう。ですから人を出すということには各県は協力するでしょうけれども、月給ぐらい払ってやったらどうでしょうか。
#121
○政府委員(安達健二君) 私のほうで外務省のほうから定員としていただく分については全部派遣をいたすようにいたしております。これはまあ予算のワクもございましょうけれども、私どものほうとして外務省のほうで派遣旅費を出される分については全部供給をいたしておるということでございます。この点につきましては、先ほど外務大臣もおっしゃいましたけれども、私は、やはりこの仕事は文部省と外務省が共同の責任を負ってやるべき仕事であるということで、これについて一番問題点は、それでは全額国で出した場合にはどうなるかというと、やはり公共学校の教員としての身分を持ち、帰ったときにすぐ帰れるようなふうにしてやらなければならないということもございますので、私のほうでやはり身分としては公立学校の先生の身分のままいらっしゃるほうが帰ってからもよろしい。そしてまた全部現実にそういうことで協力をいただいておるのであるから、それに応じてわれわれのほうとしても最善を尽くしていくべきである、かように考えております。
#122
○沢田実君 四十六年度の文部省の公立百六十七人、国立十六人分の国内給与の一億二千百七万九千円、これはたとえばいまおっしゃったように、県によってはまだまだ払っていない、そのままの予算でしょう、これは。
#123
○政府委員(安達健二君) これは、個々の教員ごとに給与は違いますので、一応定員的なものとして、標準的に出したものでございます。
#124
○沢田実君 そうすると、四十六年度は現在県によって違うままでやむを得ないというお考えですか。私は四十六年度から文部省が前向きに、先ほど外務大臣からもお話があったように、大事なことなのだから、現在では文部省が中心になってやるわけにもいかぬ、外務省だけでもできない問題だから、両省力を合わしてやろうということであれば、そういう点、各県によって派遣教員の取り扱いが違うようなことがないようにするということが私は大事だと思ったので、きょう申し上げているのですよ。四十三年の決算が終われば終わりだったらこんなことを言う必要はない。実際に現地の海外に派遣されている先生の声を聞いて、私はこれは黙っておれぬ、そう思って帰ってきたから申し上げているのだから、その辺ひとつ腹をきめて答弁してください。
#125
○政府委員(安達健二君) この四十六年度に派遣する教員については出張扱いになるように、われわれとしては最善の努力をいたすつもりでございますが、いままでの人の身分のものを直ちにこれを切りかえるということについては、いろいろ技術上の問題もございますものですから、私のほうでも努力はいたしますけれども、それまでも含めてとは申しかねますけれども、新しく派遣する教員についてはそういうように扱うように最善の努力をいたします。
#126
○沢田実君 定員の問題ですが、現在文部省が外務省の要請で派遣していると、外務省が要請している人数だけは派遣していると、こうおっしゃっておりますが、現地の教育で先生が足りているとお考えですか。
#127
○政府委員(安達健二君) 私どもは十分であるとは考えておりません。
#128
○沢田実君 ほとんど一つの学校に先生が一人ないし二人、あるいは多くて三人、後進国のほうなんか非常に先生が少ないわけですね。派遣になった先生は二人ぐらいしかいないというようなことで、派遣になった先生が校長格の仕事をしているわけですが、その先生が事務から雑用から全部やっていらっしゃるわけです。そうして場合によっては一年、二年、三年ぐらいまで持っているとか、いわゆる複式教育をやらざるを得ないような状況なんです。そういう状況は御存じですか。
#129
○政府委員(安達健二君) その各地域ごとの生徒数といいますか、児童生徒数は一応ございます、わかっております。
#130
○沢田実君 先ほども申し上げましたように、日本の高校へ進学できるかどうかということ、そうしてこんな教育でよいのか、海外にとり残されてしまうという悩みを持ちながら先生は教育に当たっております。ですから、海外に住む日本人の子供たちに少しでも本国の水準に近い教育をするということが私は大事だと思うのです。そういう点で一そうひとつ文部省のほうでも御努力願いたいと思います。
 次に、外務省のほうの部長さんにお尋ねをしたいのですが、現在ないところでも日本人学校をつくってほしいという希望のところはたくさんあるわけですが、その辺についてどんな計画をお持ちですか。
#131
○説明員(遠藤又男君) 四十六年度までは二十六校ということで済むことになっておりますけれども、そのほかに現在公式、非公式にいろいろと言ってきておりますが、現在希望のありますところは、韓国のソウル、それから東パキスタンのダッカ、これはいまちょっと紛争が起こりまして問題だと思いますが、ダッカ、それからアラブ連合のカイロ、それからコンゴのルブンバシ、いま大体何らかの形で必要を言ってきておりますものはこの四カ所でございますが、また新年度になり次第、それと思われるところへ公館に問い合わせるつもりでございます。それでこれにつきましては現地のいろいろな事情がございます。日本人会、それから商工会議所、日本人のいろいろな団体が中心になりまして、学校を設ける必要があるかどうかをきめて、もちろん在外公館とも相談をして、そうしてまた正式に要請してくるわけでございます。これを数ある中から次年度で要求するのには、どことどこが適当かという判定をいたしまして予算要求をするという段取りになるわけでございます。
#132
○沢田実君 大体、後進国に多いわけですけれども、そして現地の学校に父兄としては出したくないというところ、そういうところに日本人学校が多いわけですね。先進国でも相当数がふえておりまして、日本人学校の設置を希望しているところがあるわけです。そういう先進国についてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
#133
○説明員(遠藤又男君) 先進国につきましては、現在できておりますのが豪洲のシドニー、それからさっき申し上げました四十六年度ではドイツのデュッセルドルフに内定しておるということでございまして、大体においてみんな開発途上国に対する施設でございます。先進国につきましては、そのほかに、補習学校、全日制ではない補習学校がございまして、大体先進国の学校で主たる勉強をして、その足りないところを日本語とか、それから算数その他を習う補習教育を受ける学校――学校と言えないまでも施設、そういうものが設けられておりまして、大体それで進むのがおもな行き方だと思います。その中でまたどうしても正式の全日制の日本人学校が必要だというところがまた出てまいりましたら、そのときに検討したいと思っておりますが、主眼は開発途上国でございます。
#134
○沢田実君 それから行って見ますと、いわゆる民家を借りてそこを校舎にしております。そうしますと、近所の人が、住宅地ですから、子供が集まってやかましいと、こう言われるわけですね。それでその校舎を移転したいといっても適当な土地がない、あるいは借料が非常に高いというようなことで苦労していらっしゃるようです。また一カ所だけの学校で、遠いところから通わすので、スクールバス等も父兄が負担をしているわけです。ですから、そういう問題について心配がないように、校舎の借料は全部国で持っているようですけれども、スクールバス等についても二分の一国庫補助というような、そんな考え方はございませんか。
#135
○説明員(遠藤又男君) これにつきましては、必要を十分認めるわけでございますけれども、現在までのところは、校舎の借料、先生の派遣滞在費、それからあと教材等という面で政府が応援するということで、スクールバスまでは現在のところ手が及んでおらないわけでございます。しかし、必要は十分認めますので、今後状況に応じて、需要度に応じて検討していきたいと思っております。
#136
○沢田実君 それから行ってみますと、運動場なんかないわけです。ナイロビに参りましたときも、いわゆる一般民家と同じようなかっこうです。芝生が若干ございまして、その芝生の上で運動をしているわけですが、ところによっては市の運動場を借りたり、大学の運動場を借りたりしているわけです。現況は、私はたいへんな中でやっていらっしゃるのを見てきました。
 またもう一つは、先ほどもちょっと通信教育の委託費の話が出ましたけれども、これは南アフリカ共和国へ参りますと、あそこは人種差別が非常に激しいところで、いわゆる白人の学校には――ホテルの場合は日本人も白人のホテルに泊まれますけれども、学校の場合には一緒に行けないというようなことで、ケープタウンの場合は日本人学校もありませんし、非常に悩んでおりました。そういうような具体例もございますので、通信教育につきましては早く制度を確立しなければならないと思います。文部省のほうでも財団のほうへ委託費を出されたようですけれども、そういう現況を考えますと、外務省にしても、文部省にしても、もっともっと積極的にやってもらいたい。
 もう一点は、先生が夫婦で行っていらっしゃるところに、私はお会いをしてきましたが、その校舎になっている、民家を借りたところに住んでいらっしゃいます。そこ〜また独身の先生が一緒におります。そんなところで家庭生活というものは、非常に何といいますか、夫婦楽しむ生活をするような場面がないわけです。そういうのも大きな悩みでした。そのことについては住宅手当等もお出しになるようでございますので、その点はいいと思いますけれども、そういう住宅問題の解決についても、私は大きな問題があろうと思いますので、その点の御努力もひとつお願いしたいわけです。
 それから財団の発足がありますが、時間もだいぶ過ぎましたので、これでやめますけれども、財界が金を出して財団をつくって、子女の教育の振興のために尽くすということは、これは私は大いにけっこうなことだと思いますけれども、校舎をまるまる財団に建ててもらって、外務省が借りてやっていくような教育で、はたしていいのかどうか。文部省は人を派遣するだけで、あと、それでいいのか。そういう点を考えますと、アメリカが日本に学校をつくっている例等もあろうと思いますので、十分ひとつお考え願って、いまと同じように外務省と文部省と一緒にやるしかないというならば、両方、もう少し積極的に私はいろんな問題を解決するように努力をいただきたいと思います。
 最後に皆さまの答弁をお願いして、私は終わりにいたします。
#137
○説明員(遠藤又男君) おっしゃるとおりでございまして、問題の重要性からいいまして、しかも今後ますますこの重要性が大きくなるということからいいまして、実際の状況に適応するように施策を講じていく必要があるわけでございまして、年々、予算でもってできるだけのことをしていきたいというふうに思っております。やり方につきましても、文部省、それからいまできました海外子女教育振興財団、これとも密接に協力をする必要がございます。関係のところが力を合わせて、この問題に対して対処していく必要があると思っておりますし、外務省といたしましても、大臣以下、これに非常に大きな熱意を持っているわけでございまして、今後とも懸命に努力するつもりでございます。
#138
○政府委員(安達健二君) 教育につきまして責任を持つ文部省といたしまして、当然なこととしてこの海外子女教育に最善の努力をしなければならない。その点におきましては、現在の状況で満足することなく、たとえば先生の指導、現地では――日本でございますと、指導主事が回っていろいろと教育上の相談に応ずるといったようなことがございますが、そちらに出ていると、ないとか、いろいろ現在のところでは改善を要するところもございましょうし、さらにまた、制度的に見ても現状のままでいいかどうかについては検討いたしまして、すみやかにひとつ、恒久的に安心して海外に出られて子女の教育を託し得るような、そういう制度をつくるということについても、さらに一そう積極的に検討すべきものと心得ているわけでございまして、御指摘の点はしかと心得まして、最善の努力をいたす所存でございます。
#139
○沢田実君 大臣にも言ってください。
#140
○委員長(森元治郎君) 他に御発言もないようですから、外務省の決算につきましてはこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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