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1970/03/26 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第四分科会 第4号
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1970/03/26 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第四分科会 第4号

#1
第065回国会 予算委員会第四分科会 第4号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     和田 静夫君     西村 関一君
     西村 関一君     杉原 一雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         吉田忠三郎君
    副主査         玉置 猛夫君
    委 員
                岩動 道行君
                江藤  智君
                平泉  渉君
                二木 謙吾君
                星野 重次君
                小柳  勇君
                塩出 啓典君
                萩原幽香子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  野原 正勝君
   政府委員
       行政管理庁行政
       管理局長     河合 三良君
       北海道開発庁総
       務監理官     新保 實生君
       運輸省鉄道監督
       局長       山口 真弘君
       労働大臣官房長  道正 邦彦君
       労働大臣官房会
       計課長      増田 一郎君
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       岡部 實夫君
       労働省労働基準
       局賃金部長    藤繩 正勝君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 展子君
       労働省職業安定
       局長       住  榮作君
       労働省職業訓練
       局長       渡邊 健二君
   説明員
       中小企業庁指導
       部長       西田  彰君
       建設省計画局建
       設業課長     檜垣 五郎君
       日本国有鉄道常
       務理事      真鍋  洋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(吉田忠三郎君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。
 昭和四十六年度総予算中、労働省所管を議題といたします。
 政府側からの説明はこれを省略をし、説明資料を本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○主査(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
  〔主査退席、副主査着席〕
#4
○副主査(玉置猛夫君) 速記を起こして。
#5
○吉田忠三郎君 時間がありませんから、簡潔に行管に三点ほど伺っておきたいと思います。それは、公共事業における、昭和三十六年二月二十八日閣議決定、これは定員の不補充の方針をきめました閣議決定の通達でありますが、これはもう十年も経過していますから、この十年間のわが国の経済の発展、産業の伸び、社会構造の変化等々を考えてみますと、十年前のこの閣議の決定が一体すべてにわたって合致しているかというと、しないと思うんですね。ですから、一般的なものは別として、特殊なものについての運用あるいは適用というものはもう再検討する時期にきているんじゃないかと、こう思いますが、この点はいかがでしょうか。
#6
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。
 ただいまの閣議決定につきましては、確かに十年間の日がたっている客観情勢についていろいろな進歩、発展、変革があるということは御指摘のとおりかと思います。まあそんな点を押えまして、閣議決定の実施の状況につきましても、実態調査をいたしまして、その点につきましていろいろと様子も見てまいりました。現在の段階においてこれが特に不適当だという結論は出てはおりませんが、しかしながら、ただいま御指摘のとおり、確かに十年という年数も長うございますし、今後のあり方等も含めましてただいまの点につきまして、十分慎重に検討はすべきだというふうに思います。
#7
○吉田忠三郎君 大体河合局長の答えでよいと思いますが、行管の皆さん御承知のとおり、この問題は、総定員法のときに、本院におきましても、ずいぶん議論したのですが、で私も本会議でこの問題を取り上げたことがあるのです炉、それからたしか社会労働委員会でも当時私が委員長のときに議論したことがある。かなり長期にわたりましてね。結果、政府側の答弁としては、総理大臣、行管の長官、あるいは河合局長それぞれの答弁、人事院の答弁でございましたが、いまお答えになったように、すみやかにその部面については再検討の必要があるということが、その答弁にうかがわれる。答弁を通して流れていますね。ですから行管はこの点は積極的に取り上げていただきたいことを要望して、次の問題に入ります。
 そうなってまいりますと、これまた政府の国家公務員の定員の削減の問題、いろいろございますが、そろそろ第二次の定員削減の方策がとられていくと思うのです。私はこの政策がいいとか悪いとかいう議論は別問題で、その場合に、第一問で質問したことがございまするから、十分この第二次定員削減については慎重に配慮してもらわなければならぬ点があると思うのですが、どうですか。
#8
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。
 第二次定員削減につきましては、昭和四十七年度からこれを始めるわけでございますが、現在どういう方法でどう実施すべきかにつきまして検討中でございまして、まだ結論に達しておりません。職務の内容その他につきまして、第一回の際もそういう点についても考慮いたしておりますが、第二回目に際しましても、そういう点、職務内容その他につきまして、十分慎重検討の上、この計画を策定すベきものというふうに思います。
#9
○吉田忠三郎君 第三点は、現在定員が窮屈ですね、総定員法ができまして。仕事量の多いところには仕事量の少ない人々を配置転換という意味でしょうね、つまり転換をしながら運用をしておる、こういうのが総定員法の趣旨ですよね。ところが実際総定員法ができましても、これは行管の河合局長もにがい経験をしていると思いますが、これは役人のなわ張り根性がありまして、自分の部下が一人でも減るというのは何となくいやな感じがして、その運用がうまくいかないですね。これは実態は、総定員法のほんとうのねらいというものは効を奏していない、これが私の見方ですね。したがいまして、現在なお定員外の職員を雇用しなければならないという実態がございます。その後総定員法ができまして、行管がかなりきびしい指導をしましたから多少減っているのではないかと思います。でも、まだ全国に二十万ぐらい定員外職員がいると思います。雇用の形態はいろいろございますが、特例非常勤などはいい例ですね。この制度のやり方についても私は再検討をしなければならぬ時期にきているのではないか。これは具体的に申し上げますと、こういうことです、私も定員外職員を無制限に常勤化するということについては賛成できません。これは定員というものは仕事に対しての要員ですね。そういう関係で、これは理論的にも無制限にこれを常勤化をしていくということについては必ずしもは賛成でない。賛成でないのですが、これは一つの私の提案になりますけれども、公共事業というのは特殊なものですね。つまり全国の地域開発等に行なわれる公共事業というものは特殊なものです。特殊というよりも、わが国の開発要素が含まれているわけですからね。こういう事業についていまのままの政府の方針を貫いてまいりますと、公共事業がほんとうにその機能もあるいは事業も工事も進展しないという面が出てまいります。特に労働省で出しております労働白書でも明らかなように、若年労働者が非常に不足をしてきていますね。将来もさらにそれに拍車をかけるような状況が明らかですからね。ですから、そういうことを考えてみると、こうした新しい特殊な事業、公共事業あるいはそれに伴う工事、こういうものについてはあらかじめ計画ができておりますから、たとえば一年間ででき上がる工事もある、三年間ででき上がる工事もありますね。ですから最初からその工事に対して要員を配置をする、人を雇う。ですからその場合は、工事が一年なら一年で完了したならばあなたはおやめになるのですよ、あるいは三年計画だったら三年たったらおやめになるのですよと、当初からこういう労働契約といいますか協約といいますか、こういうものを結んでやらないと、もう労働力は公共事業について確保できない、こういう現状があろうと思う。いまの場合は明らかにこれは法律違反です。まあ法律解釈上違反でないと言っておりますから、ここは並行線になっておりますけれども、通年雇用なんです、あんなものは。たった年に一日だけおまえ休めということにして、特例非常勤十二カ月雇用というふうにしておりますね。ですからこれは明らかにそういう法に違反するようなまぎらわしいことをやっているわけですから、こういうものをやめて、新しい公共事業が起きた場合に、それに伴う期限がお互いにきまっていますけれども、これは一年でできるものと二年でできるもの、あるいは三年ででき上がるものがありますね。あるいは五カ年計画でやっているものもありますね。ですからその期限に間に合わした定員を配置をする、その場合につまり河合さんと私が議論したような、定員の定義とは何ぞやというむずかしい議論ははずして、その期間だけ雇用ができるというような制度を考えなければ、これからの公共事業は、政府側が考えているような、何というか推進というものはできない、こう思うのですが、これは私の一つの提案みたいなものですが、どうでしょうか。
#10
○政府委員(河合三良君) お答え申し上げます。ただいまの御意見でございますが、御指摘のとおり、若年雇用がだんだんむずかしくなってきているとか、一般的な労働力不足、そういう点から申しまして、確かにきわめて御示唆に富んだ御意見かと思っております。ただ政府の基本的な考え方といたしまして、定員内職員についてはもちろんこれは先ほどお話しの閣議決定にそれについての扱いの基本的な考え方が出ているわけでございますが、定員内は私どもの所管でありますけれども、定員外につきましても、これはいわゆる多少精鋭主義的であり、できるだけ国民の負担の少ない状態で行政の能率をあげるという大原則、これは言うまでもないところでございまして、そういうワクの中でただいまの御指摘の点につきましても、十分に検討いたしていくのが必要かと存じております。何せ定員管理あるいは公務員一般の管理、任用、処遇その他につきまして非常に御承知のとおりいろいろな規制がございまして、現在のそういう規制の中で、ただいまの御指摘の点につきましてのような処置が適当であるかどうか、またどういうふうにそれを組み合わせていけるか、あるいはいくべきかという点につきまして十分に、一つのきわめて示唆に富んだ御意見として検討の対象にしていきたいというふうに思っております。
#11
○吉田忠三郎君 労働大臣ね、各省庁は公共事業を持っておられる、たいへん苦労しているのですが、非常に河合局長はうんちくのある答弁をしていますね。これは二面性を持っていますね。一面性はいま言ったように、公共事業という部門、これは政府が考えるように円滑に推進するとすればこの手よりない。一面においては労働省の所管でありますけれども、雇用安定政策にもなる。いまのような取り扱いをしていますと、これは身分は明らかじゃないですね。最近問題になっているような日雇いさんというのですか、失対事業にちょっと毛がはえた程度の不安定な雇用条件に置かれているのですね。それが全部政府の公共事業に従事している労働者です。ですから、いまの問題を政府がほんとうに真剣に考えてやるとすれば、一面においては公共事業は円滑に進むし、一面においては雇用の安定政策にもなるのですが、大臣、どうですか。
#12
○国務大臣(野原正勝君) 公共事業等においては、やはり雇用の安定とかまた勤労者の身分処遇についても公正でなければならぬという点で、いままでの制度の中に幾多改善を必要とするものはあると存じます。そういう点は関係方面と十分連絡をとりまして、できるだけ公共事業が勤労者のためにも役立つ、あるいはまた国の行政としてより一そう効果のあがるようにつとめてまいりたいと考えております。
#13
○吉田忠三郎君 行管のほうはもうけっこうです。
 労働大臣のほうに質問が必然的に移っていきますから、ひとつ伺っておきますが、労災問題でございますけれども、労働災害の問題については、私は時間ありませんからごく簡単に申し上げますと、三つの問題があると思う。
 一つは、中高年齢層の労働者の労働災害、安全についての心がまえの問題があると思います。大臣御承知のように、労働災害はもう二倍くらいふえておりますね。これは労働白書にも明らかになっていますよ。こんなことではたいへんですね。産業がいかに伸びたり、あるいは経済が世界で第何位なんていってみたって、貴重な労働力不足のおりから、労働災害が多発するということは好ましくない現象ですから、私はあえて言うのですがね。その場合に、そこの労働者も、それから使用者側においても、労働災害についての心がまえの問題が一つあると思う。極端な言い方を申し上げますけれども、流れている思想というのは人命軽視ですよ。こういう問題があります。これが一つ。
 それから二つ目には災害補償ですね、これについて問題が一つあるような気がします。いまの法律では、どうしても使用者側、それから労働大臣の所管いたしております基準局だね、ここが認定をしなければ、どうしても災害補償の対象にならないような規則になっておることは御承知のとおりであります。ですから、これなどはやはり明らかに業務上であるということを明確に法律化をする必要が私はあるのではないか。ここに一つ問題が起きて、労災の問題でずいぶん裁判にまでかかるような問題がたくさんございますね。こういう問題はやはり国家的に見てむだですよ。不経済ですね、今日的な労働事情の視点から見ると。ですから、ここに問題が一つある。
 三つ目には、そういう欠陥がありますから、それと同時に最近は非常に公害の問題が、御承知のように、臨時国会でも十数本の公害立法ができ上がりまして、政府としても四十六年度は大体これがかなり中心的な目玉とでも申しましょうか、そういう政策がとられています。ところが、これに対して法律的に、労働省は基準法の関係を見ますと非常に欠陥だらけですよ。ですから、私はそうした政策、施策に合わして、労働省といたしますれば、労働衛生規則というものを単独立法にぼくはやっぱり立法化すべきだと、この段階では。しかも、その中には屋外労働者に対する安全衛生規則というものはいま一つもありませんよ、労働大臣。これなどもやっぱり明確に整理をして、それに対応できるような立法化を急ぐ必要があると思うのです。この三つ聞いておきます。
#14
○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のように、労働災害あるいは職業病等のいろいろな問題につきまして、私ども労働基準法に基づきます安全衛生規則に基づいていろいろな行政をやってまいっておりまするが、先生御指摘のように、安全衛生規則が必ずしも整備されていない、いろんな点も残しております。ために、最近の災害あるいは職業病の発生等の情勢に十分対応できないということもございます。そこで安全衛生規則についてどこが一体不備だ、またそれにどういうことを早急に取り入れたほうがよいかというようなことを専門家の意見も徴しながら、かつ、中央労働基準審議会の意見も聞きながら、目下新しい角度から安全衛生規則の整備を真剣に取り上げるということで準備をいたしております。その際、御指摘のように、安全衛生関係の部門を基準法から切り離して別法体系でやるということも一つの御意見かとも思いますが、目下基準法の全体の体制の問題につきましては、しばらく時間をかけて検討をいたしたい。とりあえずは、安全衛生規則につきまして早急に整備をするということで、おおむね四月一ぱいくらいまでに中央労働基準審議会の意見を出していただいて、規則の改正あるいは補足ということをやってまいりたい、こう思っております。
#15
○吉田忠三郎君 基準局長ね、いまの答えでおおむねいいですが、いまの規則の中で、あなた方実際担当してみまして、安全衛生規則の中に罰則規定というものがございますね。あれ軽過ぎませんか、いまの社会事情から見て即応していません。こういう点だって改正しなければならぬでしょう。それから出かせぎ労働が非常に問題になりますが、そうした未熟労働者が多い、屋外でずいぶん働いておりますね。そういう関係についてのやはり問題もございますし、この点はどう考えているのですか。
 それから、時間がありませんから、もう一つは、職安局長に伺いたいと思うのですが、非常に私は、ねらいということばは行き過ぎかどうかは別として、中高年齢層の雇用安定ですが、職業転換とでもいいますか、こういう問題を取り上げて、今度法律も出ていますが、これは非常にけっこうなやり方だと思うのです。ただその場合に、新聞論調等でもちょっと出ております。それからまた、その法律が適用される人々の中では、非常に労働審議会の答申無視ではないかというようなことが書かれております、新聞に。これがほんとうであるかどうか、これはやはりせっかくいいものを取り上げたんだから、まっとまっと全体のそういう適用される人々が理解できるような、あるいは国民全体が理解できるような親切丁寧な、やはり労働省が説明してないからそういうことになるのではないかと思うのですが、これはどうでしょうか、二つ。
#16
○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のように、最近労働力不足の状態等も反映いたしまして、中高年の労働者が現実に就労すると、ために、必ずしもその仕事に習熟していない人があると、災害の発生状況を見ましても、年齢別には高年齢者、また、経験別には未経験の労働者の間に災害が多いということも事実でございます。そこで、この二つの面からこの問題は解決すべきだ。一つは、いろいろ新しい機械、設備その他の事態についての安全性の確保、これらにつきましては、たとえばクレーンとか、あるいはボイラー、そういう特別のいろいろな設備、機械装置等につきましては、特別の安全規則をいま設けておりますが一そういったものを設備、機械等にさらに規則として整備をしていく必要があるかどうかということが一つ。もう一つは、働く労働者につきまして、あるいはそれを使用する企業側の体制として、これをどうするかと、この二点について検討をいたしてまいる。
 最初の第一点は、先生御指摘のように、規則との関係で、どこまでそういうものを取り組んでやっていくかということになろうかと思いますが、いずれにせよ、そういう問題が今後の安全の確保のために大きな一つの課題であることは間違いございませんで、そういう点もあわせて検討してまいるということでございます。
#17
○政府委員(住榮作君) 先生御指摘のように、中高年齢者の雇用をどのようにして促進していくか、これは今後の雇用政策の重点になると私ども考えておるわけでございますが、そういう考え方から、中高年齢者の民間雇用への促進というものをどのようにしてやっていくか。このためには、雇う事業主に対するいろんな配慮、それから中高年齢者それ自体に対する各種の援護措置、こういうものを一そう充実していく必要があるわけでございまして、そういう観点から、ただいま国会に提案しております中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案を御審議をお願いしておるわけでございますが、その内容でいろいろ雇用審議会の答申等と違ってきている点、たとえば、現在の失業対策事業の就労者に対して「当分の間」実施していく、こういう点は非常に答申とは違うじゃないかと、こういうことが一点ございます。私ども「当分の間」という表現を使っておりますのは、たとえば雇用審議会の答申にもございますように、現在の就労者に対して、たとえば社会保障制度の充実とか、あるいは高齢者に対する仕事に関する対策が十分整備される、こういうときまで失対事業というものを実施していくべきだ、こういうのが答申の趣旨でございますが、私どもそういう「当分の間」という表現の意味は、雇用審議会の答申の趣旨として御説明を申し上げておるわけでございまして、「当分の間」の意味はそういう意味である、こういうことであります。
 第二点は、臨時の賃金を支払わないこととする、こういうようになっておるのでありますが、この点につきましても、制度として臨時の賃金は廃止することにいたしておりますが、この臨時の賃金の制度は長年の実績の積み重ね等の経緯もございます。それから、それによって廃止するということになれば、現在の就労者の生活に激変を与える。そういうようなことから、答申でもその趣旨を言っていただいておるわけでございますが、私どもも、制度は廃止するけれども、そういうような答申の趣旨を尊重しまして、就労者の生活に激変を与えないような合理的な措置を講じていく。そのための財源措置につきましても、来年度は従来どおり年間三一・五日分の財源を計上しておるわけでございます。そういうような点が必ずしも、私どもの説明不足で、就労者なり、あるいは関係者に徹底してないということは非常に遺憾に存じておりますが、先生御指摘のように、そういう私どもの趣旨が正しく徹底されるように、そうして無用の混乱が起こらないように、これについては今後十分配慮をいたしてまいりたいと考えております。
#18
○吉田忠三郎君 時間ありませんから、この問題については、あと法律が出てきますから、法律審査のとき質問いたしますけれども、当面はやはり、いま答えられたように、無用な心配ごとなり、混乱が起きないように十分労働省側として配慮していただきたいと思うんであります。
 次に、国鉄のほうに二つ三つ伺っておきます。国鉄はいま、生産性運動とかあるいはマル生運動と言っておりますが、生産性についての教育をしているようなんですね。これは先般衆議院の社会労働委員会におきましてもこの問題が取り上げられているわけで、いま速記録を見ているのですが、非常に問題をかもし出しておりますね。この間、衆議院のほうでは、秋田、仙台等々の問題が提起されている。その問題が提起されたというのは、その運動がどういうふうになされているのであるかわかりませんけれども、不当労働行為が伴っていて非常にたいへんだというのですね。そこで、真鍋常務理事から、そういう運動をどういう形でやっているのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
#19
○説明員(真鍋洋君) 生産性教育でございますが、国鉄が生産性教育を始めましたのは四十四年の末からでございまして、これは主としまして生産性本部の指導で始めております。四十五年度は約千名、四十六年度約千五百名、四十七年度も千五百名程度の研修計画を持っております。これは生産性本部の生産性教育でございます。生産性本部での研修を受けまして、指導員の資格を持った者が国鉄の学園の中でまた生産性教育をやっております。これは四十五年度約二千名でございます。四十六年度は二千七、八百名ぐらいの教育をしたいというのが教育の概要でございます。
 で、生産性教育の中身でございますけれども、これは国鉄労使一体となって国鉄の生産性をあげていこうではないか、企業の繁栄がひいては企業側あるいは労働者側に還元されるというような考え方の中で各職場でどういう問題があるか、生産性を上げるのにどういう阻害があるかということを研修者はそれぞれ討議をいたしまして、そういった中で生産性を阻害しているものを除去していこうということで、これは自主的に各現場で行なうというような形で生産性運動が起こっております。で、生産性運動はそういう形で現場で起こっておりますが、これにつきましては適当な指導をしておるというのが実態でございますけれども、いま先生の御指摘にありましたように、これがたとえば合理化反対というようなことに対する運動とかち合う点がございます。これにつきまして、管理者側からの不当な中傷あるいは組織介入というようなことで不当労働行為になるということにつきましては十分に注意をいたしておりますし、指導いたしておりまして、そういったことの実態はないと私どもは信じておるわけでございますが、現在御指摘のように、現場で不当労働行為ではないかということで、組合から私どものほうに申し出がある点はございます。それにつきましては、私どものほうも調査をいたしておりますけれども、実態は先ほど申し上げましたようなことでございます。
#20
○吉田忠三郎君 何の目的でそういう教育をしているかということは、時間がありませんから、その議論はここではしません。ただ、常務、いま不当労働行為でないと信じておる、こう言っておりますが、ここに一つの例をあげますと、これは長野にあった例なんです。長野に塩尻というところがありますね。そこの助役がいろいろな家庭訪問をしましたが、本人並びに本人の御家族ですね。この場合は奥さんに対して、いろいろ話し合っていますよ。実際のこれは速記ですから一ここと同じように速記をとっているわけじゃないが、速記があるんです。「生産性運動とか、いろいろ動いてきているわな。」――これは当局の言い方を言っているんですよ。そこで、極論を言うけれども、おまえは――おまえというのは矢島という人なんですが――鉄労の中へ入りなさい、そうすると駅長は悪いことをしない。おまえに言うことは死ねというようなものかもしらぬけれども、悪く取り扱わないからと、こういうことを言っていますね。それから、何のことかわかりませんが、「辰野警察署はなぜ手をつけんか。」と。これは生産性運動というものを通してわれわれが手心を加えている。おまえのほうは下平さん――これは下平正一さんのことを言っているんだと思うんですが、下平さんを使うというような話を聞いているがどうだ、こういうことを言っていますね。これは生産性運動とか生産性教育というものとあまり関係がないのじゃないかと思うしね。まことにこの助役さんというのは、私も国鉄に長くつとめたことがありますが、この生産性教育、生産性運動の行き過ぎから頭がちょっとおかしくなっているのじやないかというような気がするんですよ。あなたは、確信しております、信じています、そういうことはない、そう言っていますが、この長野に起きている問題――これは記録をずっと抜粋をしてきたものです。あまりおしゃべりしていますと、短い時間をオーバーすることになりますから、私やめますが、これをおあげしますから。こういうことは断じて許されませんよ。あなた、ないと言うなら、私はここにテープを持っています。これは速記録の種ですよ。これだけのものがある。これを私がテープをかけまして聞いたら、これだけになった。この中で問題になる点を抜粋をした長野の件ですよ。どうですか。こういうものに対してあなた方、間違っておるなら一こういうことはちょっとあなた方の運動、あるいは教育の行き過ぎだと思うのです。この人の助役さんらしくないようなやりとりを見ておりますと、ちょっと頭がおかしくなっているのじゃないか。本来の国鉄の業務を遂行するような正常な状態になっていない、この人の頭は。これはあるのです。ありますよ。常務、どうですか。
 それから大阪にもあるのです。これは一つの例ですが、大阪のところを読んでもありますが、大阪には、これは大阪の運転支所、新幹線の電車運転士後藤卓也君、三十三歳、この人に対しても、あなたのほうの管理者の松山栄次郎という科長です、科長が、二、三ここで読み上げてみますと、これもこういうものに、記録に載っておりますが、国労はつぶれる、もうつぶれているのだ、おれはそういう断言をするけれどもな。――これは対話のやりとりそのものです。いいですか。そうして、国労本部は本社と団体交渉を行なっているが、なれ合いである。交渉が終わったらそのあと酒を飲みに行っているのだ。国労の大筋はそんなものだ、しかも君たちが脱退することを国労の幹部は喜んでいる。それはなぜか、それは国労には資産と財産、それからたくさんの金がある。組合員が減ると一人の分け前が多くなるから……。これはどうですか、これは一体生産性運動、生産性教育というものと関係がありますか。私も、小柳先輩もおりますが、国労の本部の委員長を数年間つとめたものです。そんなことありますか。――ありますか。国労はつぶれる、もうつぶれているのだと、一体これがあなた方の生産性運動という、高い金を使って学園に職員を入れて教育している実態なんです。どうですか。これはテープがあるのです。このテープを差し上げるわけにいきませんから、あなたに抜粋したものを、全部ここにありますが、テープだけお見せします。これを見てください。これでいいと思いますか。これが職場を今日暗くしているのじゃないか。運動なり教育というものは明朗でなければいかぬですよ。明るくなければいかぬですよ。答えてください。
#21
○説明員(真鍋洋君) ただいま御指摘の辰野駅の件でございますけれども、これは詳細には調査はいたしておりませんけれども、私どもの報告を受けております範囲内では、辰野駅の首席助役の小沢というのが、塩尻駅の構内作業掛の矢島という者の家庭に行きまして、そこでの対話の中身だということを聞いております。ただこの場合、両者には直接の上司関係はございませんです。関係としましては、姻戚関係にあるというようなことで、個人的な関係でされたような対話だというふうに思うわけでありますけれども、その中身は矢島という構内作業掛が飲酒の上、暴行事件を起こしたというような警察関係の事件が起きまして、これに対しまして、親戚関係に当たる小沢首席助役というのが、こういうことではあるいはちょっと処分の対象になるのじゃないか。したがって、現在は謹慎してはどうかということの趣旨で個人的な対話を、親戚であります矢島の家に行って話したというのが、このテープの中身であるというようなことであろうと思います。ただ、その中身につきまして、たとえ親戚関係で個人的な対話でありましても、管理者という身分で職員にそういう脱退慫慂をするというような意見を言うこと自体がおもしろくないというふうに考えるわけであります。
 また、大阪運転所のお話がございましたが、これにつきましては、具体的に報告は受けておりませんけれども、いずれにしましても、先生御指摘になりましたような生産性教育と、こういうことで起こっておりますような、御指摘のようなトラブルということとは直接関係はないというふうに考えております。
 不当労働行為そのものにつきましてはことに禁止されておりますし、私どもは管理者について、不当労働行為は厳に慎まなければならぬということを何回となく指導いたしておりますので、御指摘のような点につきましては十分注意をいたしまして指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
#22
○吉田忠三郎君 これで終わりますが、労働大臣どうですか。あなた労働全体にわたって所管をしておる大臣ですが、その辺の零細企業の労使間の問題――これは問題があっていいということでなくて言うのですが、いわゆる国の産業経済の動脈たる大国鉄に今日、こういう前時代的な労務管理があるのですがね。労働大臣、どう指導をするのですか。こういう問題についてはいいのですかね、こういうことがあって。
#23
○国務大臣(野原正勝君) こういういまのお話しのような事実、まことに聞いておりまして遺憾に思います。労使は常に話し合いをして生産性を高めていかなければならぬ。いわば公共機関として当然これは健全な経営をして、多数の従業員の方々もその公共的な機関としての使命感を持ってやっていかなければならぬと思っておりまして、その点から言いますと、ただいまのような問題が起きたことはまさしく不当労働行為に当たると思っておりますが、そういうことが起きますことはどうもお互いに残念である。そういうことがないことを望みます。一日も早く労使がほんとうに話し合いをして、りっぱな国鉄を経営していくように考えます。どうもその点は労使の話し合い、理解が十分にいっていない証拠ではないかとまことに遺憾に考えます。私どもはこういう点では今後も一そう努力をしまして、労使が常に十分な話し合い、理解のもとに健全な姿で運営ができますように希望するものでございます。また、そういう努力も進めてまいりたいと考えております。
#24
○吉田忠三郎君 運輸省の鉄監局長どうですか。直接の監督ですから、これは。
#25
○政府委員(山口真弘君) 国鉄は先生御存じのとおり、公共企業体として全額政府出資の法人でございまして、いわば国の分身であるわけでございまして、その仕事自体も、非常に公共的性格を帯びているわけでございますので、また仕事のやり方につきましても、公正妥当なものでなければならないわけでございます。特にただいま国鉄財政は非常に窮迫をいたしておりまして、この国鉄財政においてその公共的な使命を遂行していく。そのためにはどうしても労使間の円満正常な運営慣行の確立ということが必要であるわけでございまして、全職員一体となって、その危機を乗り越えていくということでなければいかぬと思うわけであります。ましてや法律に違反する不当労働行為に類するようなことということは非常にこれは避くべきでありまして、今後多くの具体的な問題の処理にあたりまして、国鉄当局が職員の側と十分なる話し合いを行なって、そしてこれを実施していく、このように指導してまいりたいと思います。
#26
○吉田忠三郎君 これで終わりますが、真鍋さん、私どもは、労使双方の正常な慣行ができ上がることを心からこいねがっております。しかし、これは一部の例ですが、全国至るところにこういうことがある。こういうことでは正常な労使の慣行はできませんね。これは認めますね。
 それからもう一つは、それを差し上げますから、よく分析をして検討をしていただきたいと思いますが、事実無根のことをそこで言っていますね。国労がつぶれる、つぶれるのだ。脱退者ができることによって金の分け前が多くなる。とんでもない話です。それから一番問題になるのは国鉄労働組合が団体交渉をやる。その交渉はなれ合いだとか、終わったあと酒を飲む。あなた方と酒を飲むということです。そんな例がありますか。もう私は卒業してからこれはかなり年数がたっております。小柳さんはぼくの前ですが、どうですか、小柳さん、こういうことはないですね。あなた方、いまの人はそんなことありますか。そんなような労使慣行になっていないでしょう。明らかに対応機関を誹謗しているんです。批判じゃなくて誹謗です。そういうことを現場の課長なり駅長なり助役がやっているわけですから、その事実を――これは事実です、テープがあるんですから。あなたは不適格者ですよ、管理者として。あなた方そういうふうに指導していないということになったら、そういう教育をしていないということならば不適格者である。職員をどんどん解雇したり処分したり配置転換をやりますね、強制的に。こういう人々はそれに値する人でしょう。そういう措置をとらなければ私は了承できません。これを最後に答えてください。
#27
○説明員(真鍋洋君) いずれにしましても、労使はともに法律のワク内で行為を行なっているわけでございますけれども、お話しございましたような点で、法律に違反をしておるような行為がございました場合には、今後十分調査いたしまして措置をとりたいと思っております。
#28
○小柳勇君 時間が少ないので、抽象論をやめて具体的に質問いたしますが、中小企業の労働力不足の問題でみっちりやりたかったのですが、いま吉田委員もその一部は触れたようです。大臣、いまの中小企業の労働力の不足に対して、具体的にはどのような措置をなさいますか。
#29
○政府委員(住榮作君) 非常に端的な質問でございますが、御指摘のように、中小企業の労働力確保をどのようにやっているか、こういうことでございますが、私ども、やはり求職者に対しては正しい求人情報を提供して、適正なる能力に応じた職業紹介をする、こういうことを基本原則として職業紹介業務をやっておるわけでございます。
  〔副主査退席、主査着席〕
そういう観点からいたしますと、たとえば中小企業の労働条件の問題あるいは職場環境の問題こういう点におきましていろいろ大企業との格差が出てくるわけでございますが、そういう観点からいたしまして、まず中小企業それ自体が体質を強化して近代的な企業として存在する、こういうことが大前提になるわけでございまして、そういう意味におきまして、私ども通産省とも連絡いたしまして中小企業の体質の強化をはかる。そうして、労働条件なり職場環境が大企業と比べて遜色のない、あるいはまた、中小企業の職場を魅力のある職場にする、こういうことが必要になってこようかと思うわけでございます。
 そこで労働省といたしまして、そういう援助の方法といたしまして、たとえば雇用促進融資あるいは福祉施設の建設、さらには中小企業の労働力確保に役立つように雇用促進住宅を建設する、こういうような対策を講じております。と同時に、非常に中小企業技能労働力等も不足しておるわけでございまして、事業内職業訓練の助成とか、あるいは中小企業の退職金共済制度の普及とか、あるいは最低賃金の指導、こういうような点で総合的な対策をとっておるところでございます。
#30
○小柳勇君 いまおっしゃったようなことで全然解決されていないんですね。だから、いま中小企業庁に質問しますからこの雇用対策法をちょっと読んでおいてください。
 中小企業庁に質問いたしますが、いま中小企業の労働力不足で、会社の社長がみずからいなかを飛び回って職安の力を借りながら求人をやっているような実態です。中小企業のおやじさんはほとんど半分は求人のために精力を費やしている。そこで中小企業庁としては、新しい四十六年度の政策もありますけれども、具体的には一体どういうことをしようとされておるかお聞きしたいと思います。
#31
○説明員(西田彰君) 先生御指摘のとおり、中小企業は非常な労働力不足に悩んでおります。で、これに対しましては、求人対策につきましては労働省にお願いをいたしておる次第でございますけれども、中小企業庁といたしましては、これまで中小企業の合理化という観点でやってまいりました対策をさらに内容的に推し進めまして、省力化投資の推進、すなわち人手を要しない合理化をやる。そのためには中小企業の協業化、共同化、あるいは私どもも最近高度化と申しておりますが、いろいろな資金手当ての措置を講じてこれに対処してまいりたいというのが基本方針でございます。
#32
○小柳勇君 そんな方針では人手は手に入らぬですよ、全然。いろいろ書いてありますけれども、文章で書いてあるだけでちっとも実際的でないし、人手が足らないと思いますね。だから、これは労働省だけでは何ともなりませんし、中小企業庁だけでも何ともならぬ、もう国家的な緊急の課題ですね。これがないものですから、韓国に進出したりあるいは東南アジアのほうに企業進出するわけです。企業進出いたしまして、そこから逆輸入で日本の中小企業を圧迫しているわけですね。ほんとうにいま差し迫った問題でありますが、ひとっことしの、特に中小企業は若年労働者を求めておるわけです。その若年労働者のことしの求人求職の実態を見てみますと、これは労働省から、私もここに資料ありますけれども、ことし卒業する高等学校の生徒、中学校の生徒の就職と求人との関係について概略御説明を願います。
#33
○政府委員(住榮作君) ことし、たとえば四十五年度に学校を卒業して就職しましたものの状況は、中学につきましては求職者一人に対して約五・七倍の求人、それから高卒につきましては七倍、求職者一人に対して七人の求人、これがことしの状況でございますが、すでに来年のことをいろいろ対策を講じておるのでございますが、中学なり高校を卒業して就職しようという希望者の数も減ってまいっておりますので、四十六年三月卒業者についてはさらにこの倍率が高まってまいるとこういうように考えております。
#34
○小柳勇君 労働省が出している資料ですけれども、ことしの見込みは、中学校の卒業者の求人倍率が七・七一倍、高等学校が六・五七倍です。だから、中小企業などにはほんとうにりょうりょうたるものですね。
 そこで中小企業庁にもう一回お尋ねいたしますが、省力化あるいは協業化、機械化などの方針はわかりましたけれども、具体的に人を集めて、しかもその青年が就職してやめないというために具体的に検討されたことありますか。
#35
○説明員(西田彰君) 人が中小企業に来ていただくためには、何をおきましても中小企業が魅力ある職場であるということが必要でございまして、それにつきましては、従来より中小企業の構造改善その他の施策を全般的に進めている対策がこれに当たるわけでございますが、特に、中小企業労働者の資質の向上、あるいは未来の職場をよくするための職員研修というようなものを中小企業振興事業団等で行なう等、安定した職場、魅力ある職場にする施策の一環としてそういうようなことを行なっております。
#36
○小柳勇君 労働省に、雇用対策法で第一条のところに「労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進して」とありますが、質と量との均衡――大企業にほとんどもう逐年労働力が集中してしまっておるのですけれども、法的にこの雇用対策法で質量両面にわたる大企業と中小企業との就職のバランスができるものであるかできないものであるか。
#37
○政府委員(住榮作君) 中小企業と大企業との労働力の確保にバランスがとれておるかどうかと、こういう問題でございますが、先ほども申し上げましたように、非常に若年労働力が全体として減少をしてきております。求人倍率も非常に高くなっておるのでございますが、たとえばそれでは若年労働力が全部大企業に就職するか、こういうような観点から資料を見てみますと、やはり大企業のほうの充足率が高いのでございますが、その格差というものは必ずしもそう大きくないというような数字もあるわけでございますが、たとえば四十五年三月卒の中卒について見ますと、全体として充足率が一七・二%でございます。五百人以上の大企業では二三・九%の充足率でございますが、たとえば二十人以下のところをとってみますと一七%というような状況でございます。高卒につきましても大体平均が一九・五%、二十九人以下のところでやはり一八・九%、こういうことで、必ずしも大企業との間で充足に格差があるというようなことにはなっていないと思うのでございますが、それにしても格差があるわけでございます。私どもこの格差というものができるだけ少なくなるように努力をしなければならないということは当然でございまして、そういう意味で雇用対策法にあります質量両面にわたる均衡と、こういう目標に向かって努力をいたしたいと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、いろいろ労働条件の問題あるいは作業環境の問題そういうものの格差がこういう充足率に影響するということもまたある程度いなめない事実でございます。したがいまして、基本的にはそういう差というもの、求人求職の結合の前提になる諸条件、こういうものを中小企業の場合に改善をしていく、こういう努力もきわめて必要になってくるのではないかというように考えておるわけでございます。
#38
○小柳勇君 あなた方の努力はよく認めておりますが、いまの格差の問題は、それはもうお話になりませんです。これは中小企業と大企業との数からいきましたら大体九八%ぐらいは中小企業ですしね。それから労働者の数だって、大企業と中小企業の数をいいましたら、約八割ぐらいが中小企業ですから、したがって、数の案分からいいますならばいまのパーセンテージが逆、逆よりもその二倍ぐらいの逆にならないとバランスはとれません。だから数字はそれでいい。私が聞いているのは、この雇用対策法で強制ができるかということです。たとえば職安のほうで、一つの県があります。この県では新卒はことしは大企業に三割なら三割、中小企業七割と初めから職安のほうで強制ができるかできないかを聞いているわけです。
#39
○政府委員(住榮作君) 端的にお答え申し上げますが、強制はできないことになります。
#40
○小柳勇君 問題はそこですよ、労働大臣、いまの求職の問題で、中小企業労働力不足は、法律は、この雇用対策法はできましたけれども、これで強制的な配置ができないですね。
 それから中高年に例をとりましょう。中高年にしましてもことし法律はできますけれども、この職種にこれこれの者を採用せよなんということできないですね。したがって、いま私が端的に質問しますというのは、もう中小企業庁だっていい案ありませんです、おそらくいま各省集まりましても――経企庁集まりましても現在の法律をどんなにひっくり返しましても強制的に適正職種の適正配置なんというのはできないと思うんですね、ずっとこう見てみますけれども。そこで問題は、いまの中小企業の労働力不足、特に若年労働力の配置などについての緊急の課題として、近い国会に労働力の適正配置に関する法律というような臨時的な措置ができないものであるかどうか、大臣にお聞きしたいと思います。
#41
○政府委員(住榮作君) たとえば雇い入れの自由というものが一方でございます。それから求職者については職業選択の自由がございます。そういう体制のもとで、ある程度強制力を持った手段がとり得るかどうか、これにつきましては非常に問題があろうかと思うのでございますが、たとえば現在の制度といたしまして、先生御承知のように、身体障害者雇用促進法におきましては雇用率を設定いたし、そうしてその率以上の身体障害者が雇い入れられるようにしなければならない、これは努力義務ではございますが、そういう制度がございます。さらに今回中高年齢者等の雇用促進に関する特別措置法案におきましても、今度は中高年齢者の雇用率を設定するということにいたしております。これは全事業に対して一律ではございません。中高年齢者に向く職種、中高年齢者の能力に適合する職業を選びまして、そういう職業に中高年齢者を一定数以上雇わなければならない、こういうような規定も置いております。したがいまして、そのことは逆に言いますと、そういう職種につきましては若年労働者を使うのは遠慮せいと、こういうようなことになるかと思うのでございますが、制度的に申し上げますと、その中高年齢者の雇用率とか身体障害者の雇用率、努力義務としての問題でございますが、私どもそれが現在の憲法等の関係から見まして最大限の措置でなかろうかと思うのでございますが、先生の御指摘のような点も十分考えまして、さらに一歩進んだ手段がとり得るかどうか、こういうことについてはもう少し研究をしてみなければ、にわかに結論は出せないと考えております。
#42
○小柳勇君 身障者の雇用促進法は、いま罰則がないものですからだめなんですよ。だからいまあなたが言ったように、身障者のほうをもう少し充足させるというところまで罰則をつけなきゃだめだ。それからもう何回も言っているように、たとえば道路公団の集金人に青年がおるではないか、あるいはデパートのエスカレーターのところに婦人労働者が立っているではないかとか、あるいはエレベーターのほうも老人でいいではないかと、いろいろ問題は提起しましたよ。そのときは考えましょうと言うけれども、ちっとも考えてないですよ。だから今日の労働力不足の事態が起きたんでしょう。そこでこの第三条の第一項の一号に「各人がその有する能力に適合する職業につくことをあっせんするため、及び」、ここから大事ですけれども、「産業の必要とする労働力を充足するため、」と書いてある。ところが産業の必要とすると、中小企業が労働力をいまほど必要としている時期はないでしょう。にもかかわりませず、全然拘束力を持たない雇用対策法、そのようなものが幾らできましても労働力不足は解消しないんですね。いま日本の産業で何が一番緊急かといえばだれでも労働力不足だと言います。であるならば、いま私が言いましたように、時限立法でいいんですよ、経済成長の伸び方がおそいようだと、景気のかげりもありますから、時限立法でいいけれども、労働力の適正配置に関する緊急措置法を、おそらく私はこのほうが中高年の雇用対策法よりも、もっと早く出さなければならない法律ではないかとう思んですがね。もう私はいろいろと、くどくどと言いませんけれども、この雇用対策法の第四条の四項を見ましても、ちゃんと「国は、必要がある場合には、雇用対策基本計画において、特定の職種、中小規模の事業等に関して特別の配慮を加え、」と書いて、できることになっているんです、使えば。それをただ法律はできましたけれども、あとは職安にまかせておる。職安はいまの仕事で精一ぱいです、今日までの失業者に職を与えることで精一ぱいです。あとの作業は力が足らないから、労働力がないから、ここに充足させましょうということはだれもできないんです、いまでは。量的にも質的にもできない。せっかくこれだけのりっぱなことを法律に書いてありましても、これに対して少なくとも法律で十分に間に合わなければ政令ででも緊急措置をしないと、幾ら中小企業が金をつくりましても、予算をつけましても、あるいは協業化とかいいましても簡単にはできないんですよ、みんな一国一城の主だから。一番手っとり早いのは労働省が法律をつくって労働力の適正配置の強制的な措置――強制といいますと社会主義のわれわれが天下を取らなければできませんけれども、少なくともいまの自民党の佐藤内閣でもそのくらいのことをやらなければ中小企業は救えないと思うんですが、大臣どうですか。
#43
○国務大臣(野原正勝君) まことにむずかしい問題だと思います。中小企業の重要な点もよくわかりますし、困っておることもよくわかりますが、しかし、その充足についての適正配置を法律でどうきめるかということになると、はたしてこれが現在において各方面の御理解をいただけるものかどうかきわめて疑問だと思います。いまやっておるのは、中小企業の必要なことをよく考えて、それに対するやはり合理化を行なうための、近代化を促進する場合のいろいろの対策あるいは間接的に雇用の面についてもさまざまな政策を行なっておるはずでございますが、いうならば、雇用の強制的な適正配置を考える以前に、まだ中小企業に対してなすべき問題があるのではなかろうか。つまり、中小企業の体質を改善し、魅力ある職場として中小企業が発展するためのさまざまの前提になるべき諸対策について、はたして十分なりやいなや、どうも私はよくわかりませんけれども、必ずしも十分でないんではないかという感じがいたします。したがって、中小企業の方々が労働力不足に悩んでおる、特に若年労働者の雇用について非常に困っておることもわかります。できるだけその方面に雇用の促進について、いま行政はできるだけそれに対してお手伝いをすべきものと思いますけれども、問題はその以前に、いかにして中小企業をもっと近代化をして魅力ある職場にできるか、それに対する対策をどうしたらいいかというような問題、どうも労働政策以前の問題もあわせていかないとなかなか労働政策だけではうまくないんじゃないかというような感じがいたします。これはどうも御質問に十分に答えてないかもしれませんが、どうもわが国につきましては、一つの強制的な労働力の配分を考えるということはきわめて困難ではなかろうかというふうに考えます。御指摘になりました問題は、非常に関心の持てる問題であり、十分これは研究してみたいと思いますけれども、労働省の現在の立場においてはなかなか適正配置のための立法ということはいまにわかにこれをやるということはどうも容易でなかろうと考えます。
#44
○小柳勇君 本年卒業見込みの高卒、中卒の就職の実態を見てみますと、職安を通っている者が約七割あるわけです。だから具体的にずっと質問してまいりますけれども、七割の少年、青年たちに対しての職安を通る際に政令――法律案といったってたいへんでしょうから、政令を出してあるいは次官通達でも出して大企業、中小企業に対するバランスをとるというようにという指導ぐらいできそうなものだが、どうでしょう。
#45
○国務大臣(野原正勝君) これはすでにやっておると思うのでありますが、それがまだ十分でなければ、ひとつ中小企業に対してもできるだけ御要望にこたえていきたいというふうに考えております。その点は、中小企業に対して、特に多数の就職を希望する新卒の方々に対して、よく周知徹底いたしまして、中小企業も魅力ある職場であるという点を職業紹介の面で明らかにしてまいりたい、できるだけのひとつ就職希望者が集まるように対策を講じたいと考えております。
#46
○小柳勇君 第二の具体的な問題は、労働省が中心になりまして各省の関係者に集まってもらって、労働力の適正配置的な話し合いによりまして、早急に地方自治体とも連絡をとって、労働力の適正配置に関して対策を立てる何か会議体でもいいし、そのことをお約束できますか。
#47
○政府委員(住榮作君) 実は明年三月の学卒者に対する職業紹介の問題でございますが、現在本年度、ことしの三月の高校卒業者につきましては昨年の八月以降選考を開始する、明年度につきましては十月一日以降、こういうように選考開始期日をおくらしていくというようなことになっておりまして、従来よりこれからどのように就職希望者に対する職業指導、職業相談等を行なっていくかということにつきまして、現在文部省等とも連絡をいたしております。どういう方針でやるかということを協議をしておる最中でございますから、ただいま先生御指摘の趣旨を踏まえて対処してまいりたいというように考えます。
#48
○小柳勇君 わかりました。
 第三の問題は、パートタイマーの雇用の安定、潜在的な労働力を掘り起こす、及び中高年者の雇用の安定であります。中高年の問題は一応残しておきますが、パートタイマーの雇用の安定及び潜在労働力を掘り起こすための、少しその方面の保護をしませんと、組織的に就職できないんです。そういう問題について特にいま医療関係では看護婦が足りないから、看護婦のOBの皆さんを戦線へ帰ってもらうということを厚生省はしきりに考えているようでありますが、それは看護婦さんに限らぬと思うんです。事務の方もあるだろうし、交通運輸労働者もありましょうし、機械旋盤工もありましょう。その潜在労働力を、いわゆるOBを掘り起こして戦列に復帰せしめるような何か指導なり話し合いなり、そういう態勢を取り上げられないものかどうか、お考えになったことありますか。
#49
○政府委員(住榮作君) 現在の非常労働力をどのように組織化していくかという問題でございますが、まあ職業紹介の面におきましては、たとえばパートタイマー専門の窓口を職業安定所に設ける。特に大都会を中心にしてそういう制度をとって希望者の利便をはかる。それからまた、さらにターミナル職業相談室、こういうものをやはり大都会を中心にして設けております。そこで、そういった就職者の希望職種なり条件というものを簡単に聞いて、それで求人者に対して紹介を行ない、非常に安心して、安易に、簡易に利用できるような職業紹介のシステムをとっております。
#50
○小柳勇君 それから第四には、さっき申し上げましたように、だれが考えてもほんとうに若い労働者が必要なときに、道路公団の集金が楽な仕事だとは言いませんけれども、常識的に見ましてもっとほかに適職があろうと思う職種に若年労働力を使っているところもたくさんあるわけです。そういうものは、労働省が音頭をとりませんと、各省ともやっぱり将来を考えて対応いたしますから、この際二、三年の間あるいは四、五年の間は何とかひとつこれを考慮しないかぐらいのことは話し合いをしなければならぬと思いますが、過去におやりになったかどうか。あるいはこれからおやりになるかどうかお聞きしたいと思います。
#51
○政府委員(住榮作君) 全く御指摘のとおりでございまして、たとえば、要するに中高年齢者の雇用の問題に関連いたしますけれども、労働省はそういうようなことがきわめて重要であるというような考え方から、官庁においてすでに中高年者の雇用率を職種ごとにきめております。これは閣議了解で政府機関あるいは政府関係機関、こういうところに実施をいたしております。それから一般民間につきましては、先ほど申し上げましたように、今度新たに中高年の雇用率というものをおつくりになっておりますので、そういう制度を軸にいたしまして御意見のような対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
#52
○小柳勇君 それから身体障害者雇用促進につきましては、この次の機会に私問題にいたしますから、早急に各省に御連絡いただいて、いわゆる雇用率を少し調査してもらいたいと思います。
 それから最後の問題は、さっき中小企業庁のおっしゃったように、労働条件が同じであれば地元の産業に入りますね、大企業に入りませんでも地元の中小企業なり商店に入りますけれども、あまりに労働条件なり賃金に格差があるから大企業を求めていくわけですから、そこで最低賃金の問題を質問しておきたいと思う。きょう外務委員会で、最低賃金決定制度の創設に関する条約――これは第二十六号の条約でありますが、――の締結について承認を求めるの件が可決されるようでありますから、質問をしておきたいと思うのですけれども、四十四年三月三十一日までに最低賃金制度のあり方について、中央最低賃金審議会の結論が得られるようにつとめるとともに、その答申に基づきすみやかに法律の改正を含む所要の措置を講ずるという要請がしてある、社会労働委員会で附帯決議してありますが、その後の経過について聞いておきたいと思うのです。
#53
○政府委員(岡部實夫君) その後私ども、中央最低賃金審議会にできるだけ早く答申を出していただくということでお願いをしてきたわけでございますが、いろいろ問題がございまして、若干おくれましたが、昨年の九月八日付で中央最低賃金審議会から、今後における最低賃金制度のあり方について、という答申を得まして、その答申は基本的な考え方と具体的な進め方、二つに分けて答申をされた。その答申の線に沿って目下さらに具体的考え方で示されている年次別最低賃金制度の推進計画をつくれということがございます。それを中央最賃審議会の意見を聞けということでございますので、いまその意見を聞いている最中でございます。
#54
○小柳勇君 これはもう世界的に一これを批准いたしますと、世界的に日本の最低賃金というものが批判されますから、早急に結論を得てもらいたいと思う。
 それから全国全産業一律に適正な最低賃金を決定し得るためには産業の発達にあまりでこぼこがあってもいかぬし、地域に大きな格差があっても困るのでありますが、その点をどのように把握しておられるか、聞いておきたいと思います。
#55
○政府委員(岡部實夫君) 全国一律の最低賃金制につきましては、先ほど触れました答申の中で、全国全産業一律制についてはいま御指摘のように、現段階においてなお地域間、産業間等の賃金格差がかなり大きく存在しているという事実を確認せざるを得ず、現状では実効性を期待し得ない。そこで現実にはどうしたらいいか。で、労働市場の実態に応じて、職業別、産業別、あるいは地域別に最低賃金制度をつくっていく、こういうことになっております。で、もとよりいまの賃金格差の解消ということは全体の賃金水準を上げていくということとの関連でございますので、できるだけそういう方向が実現されることが望ましいわけであります。したがいまして、現在のところは、いまの答申で示された産業別、職種別または地域別を年次的に推進していくということで、この賃金制度の普及をはかって、できますれば全産業の全労働者に何らかの形の最賃制が適用される段階を実現していく、こういうことでございます。
#56
○小柳勇君 これで最後でございます。
 ILOで採択された条約が百三十四あります。うち批准の対象となるものが百条約でございますが、日本が批准した条約は、きょうのこの三つを加えて二十九しかない。で、批准しないということは、日本の労働条件がまだ国際レベルに達しておらぬというようにお考えであるかどうか。GNPがいま自由諸国で第二位であるといっているのにかかわりませず、ILO条約がこれだけ批准されておらない。特に批准可能な条約もあるわけです。第一条約の公共的企業における労働時間を一日八時間かつ一週四十八時間に制限する条約などは批准されてもよさそうなものなのに批准していない。この問題に対する見解を局長からお答え願いたい。
#57
○政府委員(岡部實夫君) 条約の批准状況については御指摘のとおりでございまして、一般的にはやはりILOで採択されました条約については加盟国は批准の義務はございませんが、批准をしていくということがやはりILOの憲章の基本的精神にも沿うことでございますし、国際的にもそれだけの評価を受けるということはおっしゃるとおりでございます。そこで、私どもも実はいろいろ条約につきましてはこれをできるだけ批准をするという方向で検討しているわけです。そして、御指摘の第一号条約でありますが、これは労働時間の基本に関することである。で、御承知のように、この条約の基本は一日八時間、週四十八時間である。別にこれは労働基準法の基本原則であります。ただ条約に非常に詳細にいろいろ規定が、原則のほかに例外規定がいろいろある。この場合にもございますが、そういう場合に、日本の基準法の例外規定と細部にわたったところで必ずしも合致しないということのために、厳密に条約を解釈して、法制との調整をはかるということになりますると、その辺の支障が出てくるというために、そういう面からできないものも非常に多いわけでございます。したがいまして、そういうことで日本の実情に応じて変えられるものはできるだけ変えていって、それで国際的基準に近づけるような努力は引き続きやってまいりたいと、こう思っております。
#58
○主査(吉田忠三郎君) 次は塩出君。
#59
○塩出啓典君 労働災害の問題についてひとつお尋ねいたします。
 先般出ました労災白書によりまして、昭和四十四年度死亡者が六千二百八名。四十二年、四十三年と死亡者は増加しております。死傷者は三十八万二千六百四十二名で、少しずつ減少している。けれども、死亡者が非常にふえている。また、業務上のいわゆる疾病が、これは急速に毎年ふえておるわけですね。
 それから、また、労災保険の新規受給者が百七十一万五千人である。交通事故の死傷者の九十八万三千人に比べて非常にこれは大きな問題じゃないかと思うのです。
 そこで、労働省といたしましても、そういう労働災害をなくすためにいろいろな施策をやって努力はされてきたと思うのですけれども、このデータを見る限りは一向にその効果があらわれてこない。そこで、私は、ここでほんとうに安全という問題について抜本的に考える必要があるんじゃないかと、私はそう思うのですけれども、そういう気持ちがあるかどうか。それをひとつ大臣に、あるかないかだけでいいです。
#60
○国務大臣(野原正勝君) 全く同感でありまして、労働災害の絶滅を期したい。一生懸命やっておりますが、なかなか絶滅になりませんので年次計画を立てまして現在の災害を何とかひとつ半減したいというふうにいまがんばっております。
#61
○塩出啓典君 そこでお尋ねしたいのですけれども、いままでいろいろやってこられたと思うのですけれども、そういう、これから特に――いままでやってきたことはいいですよ、これは時間もないし、ここにもちゃんと書いてあるから。特に今後いままでとは違ってこういう点が大事なんだと、特にこういう点に重点を置いていきたいという、そういう考えがあれば、そういう抜本的な対策が必要だといま大臣おっしゃったわけですけれども、その線に沿って、特にどういう点に力を入れていく考えか。これを簡単でいいと思うのですけれども、
#62
○政府委員(岡部實夫君) 御指摘の点は、最近の災害の状況がどういうところに原因しているかということから、それに対応して考えていくということになろうかと思います。
 一つは、機械設備等がいろいろ近代化され、大型化され、あるいはスピード化されるということのために、その機械の何というか、操作自体にいろいろ問題があるのがあります。それから、たとえば新しい工法ができるという場合に、その工法の安全性が必ずしも十分事前に保証されないままに実施されていくと、こういうような要するに機械、設備、作業、その他のいろいろな変革に応じて、それにどう対応するか。そこで、そういう問題については、機械等につきましては本質的な安全化ということを考えていきたい。それは、その安全防護措置が機械の製造の過程等において十分考えられている。それから工事等については、工事が実施される以前にしかるべく委員会等におきましてその安全性の検討をするというようなことを考えていく、これらのために必要なものは、先ほどもちょっと触れましたが、安全性規則等の中にどう入れていくかということを、法制的には同時に検討してまいりたい。
 それからもう一つは、これは人の側の原因でございまして、これはやはり高年齢者、あるいは未経験者という労働者の中に災害が非常に多発しているという事実がございます。したがいまして、この人たちについては、やはりこれはじみちではございますけれども、安全教育、作業における安全の指示というものを徹底さしていく、そのための企業内部の体制及び労働者に対する教育、これを徹底的にしていく必要がある。そのために具体的に安全の作業の確保のためのはっきりした具体的な手引きと申しますか、ハンドブック的なものでそれをどう実施していくかということを具体的に示していくというようなことを考えております。
 それからもう一つは、最近の傾向といたしまして、企業内の下請事業というのが相当ふえてまいっております。そこでそういう部門にやはり災害の多発が見られますので、この辺は親企業と下請との間の総合管理体制というものを確立する必要があるというようなことで進めていく、以上簡単にということでございますので、そういうことで進めてまいりたい、こう考えております。
#63
○塩出啓典君 四十六年度の死亡者の目標は幾らですか。
#64
○政府委員(岡部實夫君) 災害減少の目標といたしましては、災害発生全体におきまして前年度より七%減少させるということでございまして、死亡につきましては、これは一応半減というか、五割減を目標にして進めていこうという目標を掲げております。
#65
○塩出啓典君 四十六年度は災害を半減する。私これを見て五カ年計画で半減、来年度は六千人を切るというふうに聞いているんですけれども、どうなんですか。はっきりしてくださいよ。
#66
○政府委員(岡部實夫君) 失礼いたしました。いまおっしゃるとおりでございます。全体の五年計画で半減するということで、来年度はともかく六千台を割るという、こういうことでございます。
#67
○塩出啓典君 ひとつそういう人命に関する問題ですから、やっぱり労働災害の根本じゃないかと思うのですね。そういうものの責任者であるあなたが間違えるというようなことは、そういう姿勢がそもそもよくないんじゃないかと私は言いたいんですよ、労働大臣。そこでぼくは、大体大臣は、抜本的対策が必要だとおっしゃるけれども、目標は、四十四年度は六千二百八人死んでいるんですよ。それを六千以下にする。そういう姿勢がそもそもよくないんじゃないか。少なくとも半減するぐらいのそれぐらいの、やっぱりこれはもちろん現実はむずかしいかもしれないけれども、そういうやはり意気込みというものは私は必要じゃないかと思うのですね。そういう点でひとつ大臣、もう少し目標について再検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
#68
○国務大臣(野原正勝君) まさにお話しのとおりでありまして、これは上は大臣より下は労働省全部がその気になってやらなきゃならぬ。この間実は、労働災害の問題についてたいへん熱心なある企業の社長さんが来ておらまして、いろいろ話しましたが、そこでは一万名ほどの従業員を使っておるということですが、この十年間に災害の発生率を一割にしたというふうなこともございました。これはもう社をあげて、昔のことばで言えばまさに陣頭指揮でありますが、たいへん熱心にやっておるわけでありまして、そういう意気込みがあって災害をなくすることは、大事な従業員のためにこれは一番大事なんだということで、その災害対策にもうあらゆる情熱を傾けてやっておられる、その真摯な態度に私は敬服いたしましたが、そういう努力があって初めて災害の発生率というものは激減をするということでありまして、これはどうも労働省をあげて取り組まなきゃならぬ問題であるというふうに感じました。今後は少なくとも死亡災害についてはできるだけ、まず半分程度までできるだけ早く実現したいというふうに考えております。
#69
○塩出啓典君 もう一つ。そういう点はいま十年間で一割にできた企業もありますから、やはりそれは決して、もっと一割にすることは不可能じゃないと思うのですね。そういう点でどうしても生産第一、工期の問題等がありまして、安全面が忘れられておる、そういう姿勢をやはり正していかなければならないと思います。
 そこで具体的な問題をお聞きいたします。もう時間がございませんので、だいぶん飛ばしますが、まず下請の問題でございますけれども、先ほど局長言われたように、非常に下請の災害が多いわけです。とにかく最近新聞を見ておりましても、たとえば昨年の新日鉄の名古屋の事故も下請ばかりだ。私の住んでおるところも、日本鋼管福山工場あたりでも、これは二十一人、昨年の暮れごろ、ほとんど下請ばかり死んでおると、そういうような、しかも新日鉄は合併してからどうですか、非常に災害がふえた、特に下請の災害が非常に多いということを新聞等で見まして、私は心配しておるわけでございますけれども、それで実際に、たとえば川鉄の水島製鉄所とか、日本鋼管の福山とか、あるいは新日鉄八幡製鉄所とか、そういうところの親企業と下請企業は度数率あるいは強度率がどれくらい違うのか。強度率と度数率だけでいいのですから、それをちょっと教えてください。
#70
○政府委員(岡部實夫君) いま御指摘のございました川鉄の水島製鉄所の場合には、度数率親企業が三・一四、下請が八・九三、強度率親企業一・六二、下請三・四〇。日本鋼管の福山の場合には、親企業度数率〇・八八に対しまして下請が四・七四、強度率は〇・七二に対しまして一・六〇。新日本製鉄八幡につきましては、親企業度数率一・二十三に対して下請四・七二、強度率〇・八七に対して一・九二というような状況になっております。
#71
○塩出啓典君 いまお話のありましたように、日本鋼管の福山製鉄所の度数率等は何と下請企業が五倍になっているわけですね。それでこれも労働白書に出ておる資料でございますが、大体平均的に下請企業のほうが三倍の高率になっておる。しかも最近の傾向として非常に作業工程の一部も下請に出すような、そういう傾向がふえておるわけですね。たとえば鉄鋼関係でありますと、三十九年は社外工の割合が本工の数に対して三一・五%であったのが、四十四年は七一・二%になっておる。造船の場合は、三十九年は三七・九%であったのが四十四年には一〇〇%をこして、実際は下請のほうが非常にふえておるわけですね。いろいろ現実を調べてみますと、大体作業工程の中でも端のほうの、たとえばステンレスのストリップを切る、そうすると両端を切って切りくずができますね。その切りくずを集めるようなそういうあぶない仕事を下請にやらしている。そういう傾向もあるわけなんですけれども、私はそういう点、下請にどんどん移っておる実態を労働省は調べたことがあるのか。そしてまた、そういう危険な仕事を下請にやらせるというようなことはいけない。親企業の熟練した人たちがやっぱりやっていかなければならない。下請企業になると、非常に危険な仕事であるのに、もう一つ連絡が悪くなって、そういうようなことが災害の大きな原因じゃないかと思いますが、そういう点については労働省としてはどういう対策を持っているのか。その点をお聞きしたいと思います。
#72
○政府委員(岡部實夫君) 御指摘のように、各産業におきましていろいろな形の下請がだんだん多くなってきておりますのは御指摘のとおりでありまして、やはりおっしゃるように、災害の発生率を見ましても、下請関係の企業に高い、先ほど具体的な例でもお示ししましたように。そこで私どもも、先ほど冒頭に申しましたように、今後の安全対策指導の一つの重点として、こういう問題については、下請だから親会社は知らないのだという体制で、しかも同一管内で行なわれるような場合には、必ずしも安全指導について一貫した指導体制ができていないというようなところに非常に欠点がございますので、総合管理指導と申しますか、安全の面については、親会社、下請が総合的に管理をしていくという体制を、親会社、下請をくるめまして、総合的な監督をやっていくということを強力に進めてまいりたいと思っております。
#73
○塩出啓典君 いま言った下請の場合、どういう仕事を下請に移していくか。たとえばこういう部分を機械を修理するとか、そういう臨時的なものを移すのはいいと思いますが、非常に定常的な作業の流れの一部分を、あぶないのを移しているわけです。そういう実態を調べたことがございますか。調べる必要があるのじゃないか。もちろんそういうことを法律で規制するということは問題があるかもしれませんが、事人命に関する限りは、やっぱり行政指導をして、ただいま言ったように総合的な安全体制をしいても、どうしても同じ会社の人であれば同じめしも食う、けれども、やっぱり下請になるとめしを食うところは別になっちゃうので、なかなか安全体制はうまくいかないと思います。だからこれはすぐさまこうしろということはむずかしいかもしれませんが、やはり災害の内容を分析する点においても、親企業と下請企業の関係性といいますか、どういう仕事を下請に出しておるのか、そういう傾向を私は調査する必要があるのではないか、その点どうですか。
#74
○政府委員(岡部實夫君) 御指摘の点、ごもっともでございまして、先ほどこれも御指摘になりましたように、いわゆる従来下請が修理とか輸送とか建設とかといった、いわば付随的なものに限られておったのが、だんだんと本体的な作業の一環をになうということもあるようでございます。その点については、先ほど申しましたように、総合管理ということで監督指導をいたしますと同時に、その実態についてはさらに詳細に十分把握するようにつとめてまいりたいと思います。
#75
○塩出啓典君 その点ひとつ前向きの答弁をいただきましたので、よろしくお願いします。それと、いまの親企業と下請の一環の管理体制の問題ですけれども、現在、労働災害防止団体等に関する法律、その五十七条で、建設業と造船業だけは法律的にそういう総合管理体制をしく、統括管理者を置け、そういうことがあるわけですけれども、先ほど申しました鉄鋼業等については何らそういう法的な規制はないわけですね。私は、最近非常に製鉄事業におきましても災害が多い点から考えて、もっとやはりワクを広げて、これは施行規則できめることになっているわけですから、もっとワクを広げてそういう点を強化していくべきであると思うんですが、どうでしょうか。
#76
○政府委員(岡部實夫君) おっしゃるように、最近の下請の状況を見ますと、化学工業とかあるいは自動車産業等におきましてもいろいろ問題があるようでございますので、その点は今後実情に即してその対象の産業なり業種をふやしていくという方向で検討をしてまいりたいと思います。
#77
○塩出啓典君 実情に即してといっても、いま言われたように、鉄鋼業はこうなっているんですから、実情に即してすぐやるべきじゃないかと思うんですね。その点よろしくお願いします。
 それから、一つの問題点は、工期が非常に短い。たとえば福山の日本鋼管等は、一千億円の工事ですが、一年五カ月でこれを完成しようとしている。霞が関ビルはその一割の百十五億円ですけれども三年かけているんですね。確かに生産第一からいけば、工期を早く上げるということは非常に大事だし、建設省から出ている建設契約の見本を見ましても、工期がおくれた場合には一日につき千分の一の違約金を払う、そういうことが建設省の資料に載っているわけですね。数日前の新聞にも、江東地区のハイウエー高速七号線の工事の労災事故について、あまり工期を急がされたために転落して死亡したというような問題があるんですよ。これは非常にむずかしい問題ですけれども、こういう問題については建設省はどういうふうに考えておるのか。これはなかなかむずかしい問題ではあると思うんですけれども、やはりそういう工期を促進させる、そういうような問題が人命を尊重するよりも生産第一という姿勢になっているんじゃないか。その点どう考えておりますか。
#78
○説明員(檜垣五郎君) 労働災害の防止ということにつきましては、主管省でございます労働省と協力いたしましてその防止に専心いたしておるわけでございます。
 いまお尋ねの工期でございますけれども、私のほうといたしましては、公衆災害というふうなものをできるだけ防止するという見地に立ちまして、各種の基準を示すと同時に、そういう基準が十分守られるような工期を定める、こういう指導方針を定めまして、各発注機関並びに各建設業者に対して指導いたしておるところでございます。
#79
○塩出啓典君 この問題は、労働省におきましても一つの問題点として検討してもらいたいと思います。これはここでなかなかいい考えは私もありませんし。
 それで、やはり労働基準監督官が少ない。これは自民党の党からも、先般新聞で見ますと、昭和二十二年には二千四百八十一人の労働基準監督官が現在は二千七百五十三名だと。二割ぐらいしかふえていない。その間企業の事業所の数は五倍になっているけれども、基準監督官が非常に少ないという問題ですね。それで、二百六十万の事業所の二割ぐらいしか実際には一年間に監督ができない。ところが、実際に労働基準法違反発見率というのは大体四五・七%。行けば大体半分近い企業が労働基準に違反していることをやっているわけですね。当然労働基準監督官も強化していかなければいけないし、今年も七十何名ふえておりますが、そういう点にひとつ労働大臣も格別の配慮を願いたいと思います。これはしかし急速にはふえないと思いますけれども、そのためには私はやはり安全管理者というものをもっと強化していかなければいけないんじゃないか。現在の労働安全衛生規則等を見ますと、安全管理者というのは三十人以上の企業に一人である。それから、五百人以上で前年に延べ百二十人以上のけがを出した場合には専任の安全管理者を置くとか、そういうようなことも書いているわけですが、もっとやはり安全管理者の数等においても、三十人以上一万人でも五千人でも一人で、別にその規定もない。また、安全管理者というのが結局国家試験でないわけですね。職場の中から適当な人を選んでいる。結局安全管理者というものがその中から出ているわけですから、やはりなれ合いみたいになってしまうのではないかと思うのですね。そこで私は、こういう安全管理者に権限を与えて、しかも安全管理者というものを国家試験なり教育を一だんだん時代が変わってきているわけですから、やはり安全管理者というものも時代に即応して教育をやっていかなければいけない。そういうふうな点を私はもっと抜本的に安全管理者の形を考えるべきじゃないか。私の考えからいえば、企業の中から選ぶのでなしに、たとえば公認会計士が外部から来ているように、やはり国家試験に基づいた安全管理者というものをこれは各企業、何人以上の企業に置かなければならない、それはやはり安全管理協会みたいな外部の団体から派遣をして、そうしてその企業から給料をもらっているのではあまり思い切ったことも言えないわけですから、そういう安全管理者の教育、その体制、権限というものを抜本的に検討すべきである、私はそう思うのですね。そういうふうに検討する気持ちがあるかどうか伺いたい。
#80
○政府委員(岡部實夫君) 安全の問題についてはまさに御指摘のとおりでございますが、先ほど大臣の御答弁にございましたように、たとえばある企業において、やはり何としてもその企業の最高責任者というか、責任者が安全について本腰を入れてもらうということが非常に効果をあがらせるゆえんだと。したがいまして、その安全管理者はその企業責任者の安全の面の専門の担当官、こういうことにしてまいるというのがいまのシステムでございます。したがいまして、外部からの問題につきましては、たとえば基準局の管内で安全推進員というような制度を設けまして、各産業界で安全の専門家等に推進員ということになっていただいて、その外部の専門家の立場からいろいろアドバイスをしてもらう、こういう制度も一方に設けております。そこで、安全管理者の機能ないし現実の役割りをもっと重からしめるということは非常に大事だと思います。そういう意味で、この管理者については特にその人を対象とした特別の安全教育をさらに徹底してやっていくとかという制度で進めておりますが、いまの資格その他について、また国家試験というようなことにすることがいいのかどうか、その辺の踏み切りがちょっとまだついておりません。いずれにせよ。その安全管理者の機能を何らかの形で強化していく、これは非常に大切なことだと思いますので、御指摘の点も含めまして、いろいろそういう方向で機能を強化していくという方向で検討してまいりたいと思います。
#81
○塩出啓典君 では最後に、やはりこの災害というものは精神主義だけでは災害は減らないと思うのですね。やはりそれに対する安全施設を強化していかなければいけない。そういう点で、年間の損失は、これにも書いてありますが五千億円だというのですね、そういう労働災害による損失は。そういう点に比べれば、安全施設に対する融資なりを厚生省のほうから出すようになっておりますが、五十品目ほどそういう助成をする安全施設がきまっているようですけれども、私はそういう安全施設への助成ももっとやはり金融的な処置を強化してもらいたい。人間というのはいつも緊張しているわけにはいかぬものですから、少々ぼけておってもけがのないように、そういう安全施設というものに対しても、もっと抜本的に検討すべきじゃないか。それともう一つは、いわゆるこれは新工法については、これは検討委員会もできたわけですね。そうして新しい工法をやってまいるには必ず事前にやる。リングビーム工法で、先般の事件については、裁判所のほうから工事のほうが悪いというあれがあったわけですが、これからどんどん新しい工法が出る。それに対するやはり事前検討委員会というものをもっとやはり強化して、人命尊重のひとつ姿勢を貫いて、労働大臣みずから労働災害に対する姿勢を、あらためてがんばってください。そのことを要望して質問を終わります。大臣からひとついま私の要望したことについてのお答えをいただいて、これで終わりたいと思います。
#82
○国務大臣(野原正勝君) 御要望の点等、十分参考にして、これからの労働災害対策を講じたいと考えております。
#83
○萩原幽香子君 本年は婦人参政権を得ました二十五周年記念の非常に記念すべき年でありますが、三月二十日の予算委員会で私が質問いたしましたように、妻の座は民法上からも税法上からも確立しているとは申せないわけであります。働く婦人の場合もまたしかりでございます。そこで、ことしの婦人週間を契機に、働く婦人の地位の向上をはかっていただきたいわけでございますが、それに対しまして大臣の基本的なお考えを承りたいと存じます。
  〔主査退席、副主査着席〕
#84
○国務大臣(野原正勝君) 婦人の地位の向上、これはもうたいへん大事でございます。特に最近におきましては労働力不足の時代を迎えまして、御婦人の方々にも社会参加をお願いしなければならぬ段階でございます。ところで、婦人にはいろいろな男性と違って生理上の問題もございますので、子供を生んだり育児をしたりというような仕事あるいは家庭の中で家事に携わるというようないろいろな制約を考えますときに、婦人に対しましては、特にきめこまかな対策を講じまして、家庭の生活と職場との両立とか、あるいは子供を育てることと社会生活がいかに調和できるかというふうな問題、そういう観点から見ますると、ただいまのところまだ必ずしも十分でない面がたくさんございます。これからそういう面で、できるだけ婦人に働いていただくための条件を整備をいたしまして、進んで社会参加をお願いし、豊かな日本の生活あるいは家庭生活というものを建設してまいりたい。この意味から、特に婦人の方々に対しましての対策を重視いたしまして、また婦人の地位の向上につきましても、できるだけの対策を講じていかなければならぬということを痛感しておるわけであります。これからも極力そういう方向で進めてまいる考えでございます。
  〔副主査退席、主査着席〕
#85
○萩原幽香子君 たいへんあたたかいお考えをお聞かせいただきましてありがとうございます。
 先ほど小柳委員からILO批准の問題についての質問があったわけでございますけれども、、私は特に、この婦人に関するものがまだ未批准のおもなものについてお伺いをいたしたいわけでございます。で、あわせましてその未批准の理由も承っておきたいと存じます。
#86
○政府委員(高橋展子君) ILO条約のうち、婦人関係で未批准のものについてのお尋ねでございますが、おもなものといたしましては、八十九号条約、これは工業に使用される婦人の夜業に関するものでございます。それから百三号条約、これは母性保護に関するものでございます。それと百十一号条約、これは職業及び雇用における差別待遇というものでございます。これらの条約につきましては、国内法との関係におきまして若干の相違点があるということでまだ批准ができない、このような状態でございます。
#87
○萩原幽香子君 その未批准の理由というのは、やはり国内法との関連のようでございますけれども、それではこれに関連しました労基法にどのようなものがございますか、承りたいと存じます。
#88
○政府委員(高橋展子君) ただいまの三つの条約と労基法との関係というお尋ねであるかと思いますが、八十九号条約の深夜業に関する就労禁止につきましては、御存じのとおり、基準法におきましては、これは工業に限りませず非工業部門も含めまして、女子は原則として午後十時から午前五時までの就業を禁止いたしておるところでございますが、ILOの八十九号条約におきましては、この就業を禁止する時間帯がやや現行の基準法よりも広いものとして規定されております。そこに相違がございます。
 それから百三号条約は、これは母性保護で、特に出産に伴うところのいわゆる産前産後の休暇、またその間の休業の補償、あるいは育児時間、あるいは妊娠中の女子の解雇制限等を内容としているわけでございますが、同様趣旨の規定は御存じのとおり、基準法にもあるわけではございますが、しかし、特にこれは基準法に限りませず、わが国の場合、健康保険法で出産による休業中の手当の給付を行なうことになっているわけでございますが、その給付の金額等がILOの百三号条約と若干の相違があるわけでございます。
 また、百十一号条約との関係でございますが、百十一号条約は、これは必ずしも女子だけに特有な事項を内容とするものではございませんで、職業の訓練を受けること、あるいは雇用されることに関係しまして、人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身また社会的出身に基づく差別待遇を除去すると、このような内容になっておりますが、この関連では、わが国の国内法では、基準法に限りませずその他のものも含めましておおむねその趣旨は規定されているところでございますが、しかし、さらに細部について解釈上の問題もあるようでございまして、検討を必要とされておるわけでございます。
#89
○萩原幽香子君 その労基法の第三条では、均等待遇をきめておるわけでございますね。その中に性別についての差別が規定されていないというのはどういうことでございましょうか。これは憲法十四条との関連、並びに一九六七年の第二十二回の国連総会において満場一致で採決されましたところの婦人に対する差別撤廃宣言、それとの関連はどのようになっておりますでしょうか。
#90
○政府委員(岡部實夫君) 基準法三条では、仰せのように、賃金、労働時間その他労働条件について使用者が差別をしてはいけない、その理由の根拠に性別は加えておりませんが、第四条では、御存知のように、賃金につきまして男女同一賃金の原則をうたっております。この三条の労働条件の中には、雇用しているもろもろの労働条件が入ってまいるわけです。そこで、現実に労働基準法の中では、逆に婦人の労働者に対しまする特別の、たとえば先ほど御指摘のあった母性保護の見地とか、あるいは危険、有害業務についての女子就業制限の問題とか、特別の保護規定を設けております。そういう意味でむしろ逆に同一ではないというようなこともございますので、この条項からは一応性別は除いてございます。ただ御指摘のように、憲法では一般的に男女の不当な差別をしないということをいっております。そこで私どもは、この条文の中では、いま申しましたように、現実にそういう具体的な規定がほかにあるものでございますから、ここではいっておりませんが、この中には当然憲法の基本的な精神は含まれているということが前提となっていることでございます。したがいまして、そういう趣旨でここに書いてございませんでも、ゆえない、理由ない差別というものを当然認めていいという趣旨ではございません。
#91
○萩原幽香子君 ただいまの御説明では、他の条約との、他の三条、四条といったような関連、そういったものの中で、まあ言えば善意に抜いてあると、そういうふうに解釈してよろしいわけでございますね。特にそういうものを入れると、他のものに抵触すると、かえって婦人労働のためにはいけないのではないか、そういったようなお考えのもとにあえてここは抜いたと、そういうふうに解釈してよろしいわけでございますね。
#92
○政府委員(岡部實夫君) 法律構成といたしましてまさにそのように解釈しております。
#93
○萩原幽香子君 では次に、働く婦人の実態についてお伺いをいたします。
 労働者の不足を非常に嘆きながら、いまだに結婚退職制や出産退職制をしいている企業があるということを聞いております。そうしておきながら、一方ではパートタイマーを使っているわけでございますけれども、それはどういうところに企業としてねらいがあるわけでございましょうか、承りたいと存じます。悪くかんぐりますと、非常に婦人労働者というものを安く使いたいために、そういったやり方としておるのではないか、こういうこともかんぐられるわけでございますけれども、その点はいかがでございますか。
#94
○政府委員(高橋展子君) いわゆる結婚退職制あるいは出産した場合に退職するといった制度、これを内規として、あるいは就業規則等の中で定めております事業場というのは、私ども調べたところでは二・六%でございます。で、それ以外にもちろん慣行として、女子は結婚したらやめることを期待されるような雰囲気があるとか、いろいろございましょうが、制度的にそのようなことを設けている事業場は二・六%程度のようでございます。もちろん私どもといたしましては、女子なるがゆえに結婚をしたから退職を強制する、あるいは出産したからといって、本人が仕事を遂行する能力があるにもかかわらず、それを退職させるというようなことは、これは男女の機会均等という考え方から申しましても、あるいは女子の能力の活用という見地からも非常に遺憾なことでございますので、かねてから啓発指導につとめているところでございます。その関係で、片や結婚退職をさせながら。パートタイマーを採用してというお尋ねでございましたが、私どもの調査する範囲では、両者の間に必ずしも因果関係があるかどうかわからないのでございますが、パートタイマーというものが増加していることは事実でございます。このパートタイマーが企業の中で一人前の労働者としてその能力を発揮し、また労働者として正当な保護を受けると、そのような状態に持っていくことが望ましいと思われますので、そちらの方向へ向かって雇用の近代化のための啓発につとめていきたい、このように考えております。
#95
○萩原幽香子君 パートタイマーについてのいろいろ詳しい質問をいたしたいわけでございますけれども、時間がございませんので、ただ一つこのパートタイマーにおける労災保険の適用状況をちょっとお伺いいたしたいと存じます。
#96
○政府委員(岡部實夫君) 労災保険法上はパートタイマーでも適用になることになっておりますので、原則としてパートタイマーについて法律の規定どおり適用されるというふうにされるべきものと考えております。
#97
○萩原幽香子君 されるべきものでございますね。しかし、それはフルタイマーと同じようにその適用を受けておりますでしょうか。私が心配いたしますのは、されるべきではあるけれども、現実はそうなっているかどうか、そこに心配があるわけでございますね。その点いかがでございましょうか。
#98
○政府委員(岡部實夫君) いま、べきだと、ちょっとあいまいなことを申し上げましたが、これは法律上はパートタイマーも強制というか、当然適用になっておるわけでございます。ただ、いま統計数字といたしまして、パートタイマーの適用人員がどのくらいいるかという数字を手元に持っておりませんので、現実にどういう数字になっているかがちょっと申し上げられないんで、抽象的にいま申し上げましたんですが、具体的に当然、したがいまして、請求があれば、私どものほうは保険を支払うというたてまえに、強制適用になっておりますので、そういうようにしておりますので、事業主のほうも当然労働者の請求もあろうかと思いますので、適用されておるかと思っております。
#99
○萩原幽香子君 それじゃ、後ほどでけっこうでございますけれども、その状況をひとつ資料提出をお願いいたしたいと存じます。
 続いてお尋ねをいたしますけれども、働く婦人が年々増加していることは、もう皆さん周知のとおりでございますが、まあ過去三年にどのような傾向をたどっておりますか。あるいはまた、その婦人のどういう年齢層がどういう職業にといったようなこと。あわせて、家庭婦人の場合、子供をどういうふうに持っておりますか。あるいはその子供の年齢、そういったようなものを簡単に御答弁をいただきたいと存じます。
#100
○政府委員(高橋展子君) 働く婦人の職場進出の最近の傾向の中には、大きな動きが三つほど特徴的にございます。
 その一つは、その数の増加でございます。で、現在約一千一百万を数えておりますが、これは昭和四十二年の約一千万と比べましても非常に大きな増加が見られるということでございます。
 それから第二の特徴点は、それら職場に出て働く婦人の年齢が高くなってきているということでございます。最近では、三十歳以上の婦人の占める割合が全体の約二分の一となっております。で、これはたとえば十年前と比べますと、十年前にはその数は三分の一程度でございましたから、非常に大きな増加が見られると言えると思います。
 で、第三の特徴は、それら婦人の中にいわゆる既婚婦人がふえてきているということでございます。家庭を持つ婦人がふえたということでございます。特に有配偶者がふえております。夫のおありになる方がふえておりまして、最近では職場の婦人の四割以上が現在夫を持っておられますし、それに死離別の方を加えますと、いわゆる既婚婦人が半数を越えまして、未婚者よりも上回るという状態になっております。これらが大きな動きとしてとらえられるかと思います。
 また、その働く婦人がどのような職業分野で就労しているかと言いますと、ここにもかなり顕著な特徴があるようでございまして、最近伸びが非常に大きいものは、事務職がまず非常に伸びております。事務的職業につかれる方が非常にふえまして、これが全体の約四割近くを占めるようになっております。それからまた、技能工、生産工、いわゆる現場の方、これも同時にふえております。それに次いで多いのはサービス関係、販売関係の職場でございますが、近年の経済成長を反映いたしまして、事務部門と技能生産工といったところがふえておるのが特徴でございます。
 それからそれらの婦人の子供さんのことについてのお尋ねでございますが、この子供さんの状態については調査もなかなか困難でございまして、正確には申し上げられないのでございますが、比較的新しく私どもが把握しておりますところでは、職場に出て働く既婚婦人のうち中学生以下の子供さんを持っておられる方が約半数のようでございます。そのうちいわゆる学齢前の子供を持つ方が全体の二割、このような数字でございます。その他が小学校の子供を持つ方、あるいは中学生の子供を持つ方、このようになっているわけでございます。
#101
○主査(吉田忠三郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#102
○主査(吉田忠三郎君) 速記をつけて。
#103
○萩原幽香子君 三十分ということでございましたが、私だけは何か二十分しかないそうでございまして、しわ寄せがやはり婦人のほうにくるようでございます。しかし、私は協力いたします。
 あとの問題につきましては、また後ほどにお伺いをさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。もうあと五分ということになりますと何にも聞けなくなってしまったということになるわけでございまして、まことに残念でございます。せっかく婦人局長においでいただいておりますので、私はいろいろお聞きをいたしたいと考えたわけでございますが、そういうことでございますればいたしかたございません。協力することにいたしましょう。
 そこで、最後でございますが、ILOの百三号条約の出産休暇中の賃金保障の問題、あるいは医療給付の問題、それから百十号の問題、こういったようなものは、婦選二十五周年を契機にしてぜひこれだけは批准をしていただきたい、こういう念願でございます。そこで、そういったような批准にどうも抵触をするといったような国内法につきましては、ぜひぜひ何とか労働大臣のお力でもって改正の方向に持っていっていただきたい、こういうことを切望する次第でございますけれども、これにつきましての労働大臣のお考えと御決意を伺って質問を終わりたいと存じます。
#104
○国務大臣(野原正勝君) 萩原さんの御質問まことにごもっともでございます。私どももできるだけILO条約の批准は積極的に行なうべきだと主張をしておったところでございますが、本年は遺憾ながら、若干の条約等の問題があと回しになりまして、御期待に沿えなかったことは遺憾に存じます。ただいま労働基準法研究会におきまして検討を願っておりますので、近く結論が出るのではないかと思いますが、基準法研究会の結論を待ちまして幾つかのILO条約の問題につきましては批准に踏み切りたい。政府内部におきましてもできるだけそれは批准を多くしなければならぬ。現在ようやく二十九でありますが、せめてこれは四十くらいまではしたいというのが念願でございます。そういう方向で努力いたすつもりでございます。
#105
○政府委員(岡部實夫君) 基準研究会は私のほうの所管でございますので……。これは一年以上前に実は、いろいろ基準法自体が現実にどういう適用状況になっているか――基準法が制定されましてから相当長い年月がたっておりますので、それが実態とどう遊離しているのか、あるいは合っているのかというような事実をはっきりつかむ必要があるということで、研究会を開いていただいております。これはもっぱら学者の先生、それから実務家でいろいろその方面をずっと現実に担当してこられたいわば専門家の方々にお願いをして、そこでそういう問題を一切含めて研究されている途上でございますので、そういうような御意見も当然研究の中の研究の素材として上がってくると思います。ただ、いつまでにその結論が出るか、それを得てどうするかということをちょっといま明確に申し上げられませんが、研究会の作業をできるだけ急いで、いろいろやっていきたい、こういうことで進めてまいりたいと思います。
#106
○萩原幽香子君 終わります。
#107
○主査(吉田忠三郎君) 他に御発言もなければ、労働省所管に関する質疑は終了したものと認めます。
    ―――――――――――――
#108
○主査(吉田忠三郎君) 以上をもちまして本分科会の担当事項であります昭和四十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、科学技術庁、文部省、厚生省、労働省及び自治省所管に関する質疑は終了いたしました。
 これをもって本分科会の審査を終了いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○主査(吉田忠三郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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