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1970/03/24 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第二分科会 第2号
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1970/03/24 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第二分科会 第2号

#1
第065回国会 予算委員会第二分科会 第2号
昭和四十六年三月二十四日(水曜日)
   午後二時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     上田  哲君     永岡 光治君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     杉原 一雄君     西村 関一君
     永岡 光治君     松井  誠君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         金丸 冨夫君
    副主査         竹田 四郎君
    委 員
                古池 信三君
                塩見 俊二君
                杉原 荒太君
                山本 利壽君
                西村 関一君
                松井  誠君
                矢追 秀彦君
                岩間 正男君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛施設庁総務
       部調停官     銅崎 富司君
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務大臣官房会
       計課長      柳谷 謙介君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省アメリカ
       局長       吉野 文六君
       外務省欧亜局長  有田 圭輔君
       外務省条約局長  井川 克一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        首藤 俊彦君
   説明員
       郵政省電波監理
       局審議官     太原 幹夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(金丸冨夫君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。
 まず、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 昨日、上田哲君が分科担当委員を辞任され、その補欠として永岡光治君が、また本日、杉原一雄君が分科担当委員を辞任され、その補欠として西村関一君がそれぞれ選任せられました。
    ―――――――――――――
#3
○主査(金丸冨夫君) 昭和四十六年度総予算中、外務省所管を議題といたします。昨日の会議と同様、政府からの説明を省略して本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○主査(金丸冨夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 それでは質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○西村関一君 きょうは四つばかりの点についてお伺いいたしたいと思います。
 一つは、北方水域の接岸操業の問題、それから返還後の在沖縄米軍基地の問題、日中貿易に関する若干の問題、最後にアジア諸国に対する文化外交の面について、これだけのことをお伺いいたしたいと思います。
 まず、北方水域の接岸操業問題でございますが、歯舞、色丹、国後、択捉の接岸操業を実現するための日ソ間の交渉は、今年一月に第一回の交渉が行なわれた後、中川大使の転出やソ連側の事情のために、いまだに第二回交渉が行なわれておりません。
 第二回交渉はいつごろ行なわれる見通しでございますか。
 第二点は、第一回交渉においてわがほうが歯舞、色丹、国後、択捉四島を対象水域とすることを提案したのに対し、ソ連側は国後、択捉については難色を示したのであります。すなわち歯舞、色丹のみを対象水域にしようというのがソ連側の態度と見られます。このような態度は、昨年の夏、社会党の使節団.が訪ソいたしましたときから明らかにされているところでございます。ソ連の態度はこの点についてかなり堅いと思われるのでございます。この点についての見通しはどうなっておりますか、まずこの二点からお伺いをいたしたいと思います。
#6
○国務大臣(愛知揆一君) 日ソ間の、われわれ安全操業交渉と言っておりますけれども、実はずいぶん長い経過がございましたが、ようやくことしに入りましてから、ただいま御指摘のように、モスクワで交渉のテーブルに着くことができたわけでございます。非常に双方の主張に隔たりがまだ相当大きいわけでございますから、双方の言い分を大いに展開し合って、そして第二回交渉をいま期しているわけでございます。第二回交渉はなるべくすみやかに開始いたしたい。すでに日本側の陣容としても新大使が着任いたしましたし、すでに先方の外務大臣とも会談をしておるようでございますから、第二回会談はなるべくすみやかに続行いたしたいと思います。日時はまだきまっておりません。
 それから双方の主張に第一回会談で見受けられた開きというのは、やはりいま御指摘の水域の問題であって、これは実は交渉が始まったばかり、また先方もいろいろと日本側に希望しているところもございますので、いまその内容について具体的に申し上げることもちょっとできかねる点がございますが、わがほうの受けている印象から申しますると、やはり先方は水域をできるだけ限定的に考えているようであります。これに対して、わがほうとしては国後、択捉の沿岸水域が過去における不幸な拿捕、抑留の事案の数から申しましても、これが非常に多いわけですから、安全操業の本格的な解決ということからいえば、どうしてもまず水域でできるだけ広く当方の希望を満たしてほしいわけでございまして、第二回目としてもその点を中心にして大いに交渉に努力を傾注したい、こういうふうに考えております。
 それからなお一面、この交渉も非常に急いでやりたいんでありますけれども、現在行なわれております毎年のカニの交渉なども必ずしも円滑にいっておりませんので、これは時間的な制約もございますから、できるだけスピードアップして、政府としても全力をあげて妥結を早急にはかりたいと考えております。
 大体ただいまお尋ねの点についてはさような状況でございます。
#7
○西村関一君 対ソ外交につきましては、政府の外交姿勢というものがいままで首尾一貫しないものがあったように感ぜられるのであります。昭和四十年の赤城宗徳氏によって接岸操業といいますか、の問題に対して私案が出されました。いわゆる赤城私案というものが出されました。その対象水域は歯舞、色丹に限られておりました。それを今回は国後、択捉まで広げられた理由はどこにありますか。おそらくその理由は、赤城私案以後、国後、択捉水域におけるところの拿捕事件がふえてきており、この水域での事件が占める比率が高まっているということであろうと思いますが、いかにも国後、択捉はあとからつけ足すというような感じがするんであります。以前からこの水域の拿捕事件が皆無であったとは言えないのでございまして、これらの点につきまして、いままでの状態から見まするというと、首尾一貫していないという感じを受けるのでございまして、この交渉の進め方は日ソ国交回復の交渉の進め方と似通った点があるように思うのでございます。当時、松本全権をしてロンドンにおいてマリク代表と交渉を行なわしてまいりました際にも、歯舞色丹の返還が可能という見通しがついてまいりますと、にかわに国後、択捉の返還要求を上乗りさせる、これが今日に至るまで領土問題の解決をむずかしくしているところの原因になっていると思うのでございまして、国後、択捉水域につきましても接岸操業を実現したいという政府の立場からいたしますならば、このようなわだちを踏まないようにすることが必要でないかと思うのでございます。当初から四項目について要求すべきであったと言えるのではないかと思うのでございます。その点、私といたしましては、いままでの経過から眺めまして、対ソ外交が首尾一貫性を欠いておるというふうに感ずるんでございますが、いかがでございましょう。
#8
○国務大臣(愛知揆一君) まず最初の安全操業の問題でございますが、これは先ほども申しましたように、歯舞、色丹の水域といいますか、沿岸では拿捕抑留事件にしても、最近五年間、あるいはもう少し長い期間をとってみましても、半分とは解決しないのであります。大体四割くらいで、やはりどうしてもこれは国後、択捉の水域ということが、そういった実績からいいましても非常に大事な水域であります。それからソ連側も、よく日本側の零細漁民の生業を助けるという立場に立ってこの問題を解決しようという姿勢を見せておるわけでございますから、そういう姿勢を通せば、こちらの主張ももっとよく理解できるはずでございまして、いわゆる赤城私案当時には、貝殻島のコンブの採取問題とか何とか、いろいろこうございまして、漸進的に、あるいは民間的な取りきめというようなことも考えた時代もありますけれども、やはり安全操業の本筋からいい、あるいはこちら側からいえば人道問題だけではない、もっと日ソ両国間の関係正常化といいますか、親善友好関係を増進する上からいっても、安全操業の問題を片づけたいわけですが、かりに人道的な立場だけに立ってみたって、水域をもっと広げなければ人道的な目的も達し得ない。これが日本政府の見解でございますから、もう少しこれは強力に煮詰めまして、何とか日本側の主張をもう少し貫徹するようにさらに努力を進めたいと考えております。
 それから第二の問題は、日ソ間の大きな問題でありますけれども、これはまあ歴史的な事実になりましたが、国交回復に至りますといいますか、国交回復の宣言というときのあの経過をたどりましても、要するに国後、択捉を含む領土問題というのは継続審議、松本・グロムイコ交換文書から申しましても。その線から全然変わっていないわけでございまして、現在の政府の立場も、この国後、択捉の返還が合意ができさえずれば平和条約を締結をする、この考え方というのは、当時の交渉の経過から見て、全然、政府としての考え方は変わっていないと私は確信いたしております。こういうわけでございますから、まあやり方のうまさ、まずさというようなことを加味しての御批判でございますれば、これは別でございますけれども、基本の姿勢がぐらついて変わっているという御批評については、政府としてはさように考えていないということだけを申し上げておきたいと思います。
#9
○西村関一君 最初から四島を対象にして領土問題を話し合われるということであるならばまたわかりますけれども、あとからつけ加えて国後、択捉の返還要求をしたということを私は指摘したんでございますけれども、しかし、大臣としてはやり方のうまさ、まずさはあっても、政府の考え方、方針としては終始変わらないと、こういう御答弁でありますから、これ以上この問題を論議してもせんないと思いますからやめますけれども、何と申しましても、安全操業の問題と領土問題とは切り離すことができないと思うのでございます。安全操業の問題だけを対象として交渉に移しても、その根底には、これは領土問題というものがくっついておると思うのでありますが、その点いかがでございますか。
#10
○国務大臣(愛知揆一君) これは一昨年の九月に私自身がモスコーで談判をいたしましたときにも、領土問題というのは強く主張しておりますが、それはそれとして、この安全操業の問題は、ともかく具体的な毎日起こっている問題ですから、先ほど来申しておりますように、人道的な立場もございますし、また不幸な事件が毎日のように起こるということは両国のために決してよくないことでありますから、これは目前の問題として早く片づけよう、原則的には片づけよう、あるいは話し合いに乗っていこうということについては、安全操業についてはソ連側の態度も御承知のとおり、現に先ほど申しましたように、第二回の会談を早くやろうとしているわけですが、やること自身にはソ連も賛成なんです。ただ、内容的にどの辺で折り合いがつくかということについて、日本側としてもさらに一そうの努力が必要である、このように考えているわけでございます。したがって、国後、択捉という二つの島、あるいは歯舞、色丹という二つの島の沿岸の水域であるという関係からいって、これは領土問題と切っても切り離せないじゃないか、こうおっしゃられる点はごもっともと思いますけれども、これは両国の交渉のやり方、おぜん立てとしては、私は時間的な要素も入れまして、別々に並行的にやっていくべき問題である、かように存じております。
#11
○西村関一君 いま交渉の過程でありますから、予測はできないと思いますけれども、政府のお考えとしては、四島の水域に対する安全操業でどこまでも進んでいくか。あるいは二段構えで、歯舞、色丹、国後、択捉というぐあいに二段構えでいかれるということも可能なのか。あるいはオール・オア・ナッシング、四島ができなければ全部話し合いがつかないということでいかれるのか。まあ仮定ですから、まだいまの段階でそういうことを大臣からおっしゃるわけにはいかないと思いますけれども、そこが外交折衝のむずかしいところだということはわかりますけれども、漁民の立場から考えますと、何らかの形で一刻も早く解決をしてもらいたいことだと思うのです。その点いかがですか。
#12
○国務大臣(愛知揆一君) そもそもの一昨年来のわがほうの提案いたしておりますのは、水域については国後、択捉を含む距岸三海里ないし十二海里ということでございますけれども、同時に、第二点として、水域を認めればわがほうとしてそれに対応する措置はかなり柔軟に考える余地はありますということはソ連側にも申しているわけでございますから、ただいま仰せになりましたような御意見に対して、ストレートにお答えすることはいまのところできませんですけれども、かねがねこちら側から言っておりますことも、第二のこちらの主張としては、あなたのほうの出方によってはこちらにも考えるところがございますよという態度を出しておりますことは、今後の折衝についていろいろの場面を予想しながらのことであると、かようにお考えいただいてもいいのではないかと思います。ただ、現状におきましては、私は政府の基本姿勢を水域については絶対に変える気持ちはございません。
#13
○西村関一君 次に、返還後の在沖縄米軍基地の問題についてお伺いをいたします。新聞報道によりますと、外務省は返還後も沖縄の米軍基地について、特殊部隊の撤退を求めるという方針をきめられたということが新聞報道でいわれております。その点についてお伺いしたいのでございますが、政府は在沖縄米軍基地について、施政権返還後は日米安保条約が適用され、返還後認められる基地は、現行安保条約のワク内で必要に応じてその存続が認められるのであるということもたびたび言明しておられるところであります。ところが、このたび新聞報道によりますと、在沖縄米軍には本土駐留米軍とは全く性質の違った、いわゆる異質の機能を持っておるところのものがたくさんある。たとえば毒ガス兵器を管理する陸軍第二六七化学中隊、CBR兵器部隊、陸軍第七心理作戦グループ、第三海兵師団の第一緊急派遣部隊、空軍戦略航空団、SR71偵察機などが含まれております。そのほかにもアジア特殊活動軍、機密情報の収集分析をいたします特殊通信基地、そういったものがあるといわれているんでございます。この実態が明らかにされておりませんが、まずこの実態をどのように政府として把握しておられるか、その点が第一点でございますし、その上に立って、その機能は、沖縄米軍基地が持っているところの機能は安保条約のワク内と判断されるでございましょうか。その存続を認めることとなれば、本土の基地とは異質的な基地を認めることになると思いますが、本土並みではなくて、安保条約そのものの拡大解釈になると思うんでございますが、この点、国民感情等も勘案されまして、どういうような御方針に立っておられますか、お伺いをいたしたいと思います。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) この新聞の報道等はともかくといたしまして、政府として、また私として考えておりますことを申し上げますと、こういうことでございます。いろいろの角度から申し上げてみたいと思います。
 まず第一に、核抜き・本土並みでございますから、返還の際は核抜きで、したがって、核を扱うような部隊とか機能というものはこれはあり得ないことであります。
 それから、毒ガスは御承知のように、もう撤去することに決定しているわけでございますから、返還後に毒ガスを扱うようなやはり機能だとか機構であるとかいうものは否定される、これは非常にはっきりおわかりいただけるところであると思います。
 それから本土並みでございますから、いろいろいま何々部隊何々部隊とあげられておりますけれども、これはまず防衛庁等におきまして実態を現実に掌握してもらわないと、何部隊がどう、何部隊がどうということを私から的確に申し上げることはできませんけれども、本土に従来からあったようなものならば、これは本土並みなのでありますから、私は問題ないところではないかと思います。ですから、本土に全然ないような異質のものということになりますと、これは問題になり得るものかと思います。
 それから今度はまた別の角度からいいますと、本土の場合もそうでございますけれども、やはり軍隊というようなものは、その能力ですね、行動力とか、その他からいえば相当の力を持っております。しかし、その力をフルに発揮することについては、日本側が提供した施設・区域というものの活用、使用ということについて非常な制限を置かれているわけでございます。そういう点も考えなければならない。たとえば部隊としては、安保条約の目的からいい、かつ提供する施設・区域におけるところの活用、使用等に受けている制限からいえば五で十分であるかもしれませんけれども、能力としては十を持っている場合も私はあり得ると思います。これは軍隊というものの性格から申しまして、そういうところからもこの判断の基準というものが出てこなければなるまいかと、こういうふうに考えております。したがいまして、いま申し上げましたような諸般のそういうふうな条件、状況あるいは事の本質論から申しまして、十分、米側とも話し合って、そうして政府の考えておりますような核抜き・本土並み、そうして安保条約の適用は何らの変更なしに本土と同じに適用されると、こういう姿にきちっといたしたいと考えております。
#15
○西村関一君 いま申し上げました伝えられる沖縄にある米軍基地の中には第三国の軍人を訓練する部隊がある、こういうものにつきましてはどうお考えになりますか。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) これはいろいろ先ほど申しましたように、実態を専門的に十分掌握してもらって、そうして話し合いをつけて結論づけ、あるいは具体的な措置をしなければならない性格の問題でございますけれども、観念的に考えて、日本の本土に従来もなかったような、あるいはまた安保条約の目的とするような点からいって、いま申しました軍隊としての能力の問題等からもなかなか律し得られないような異質なものというようなことでありますならば、これは好ましくない存在だと言えるのではないかと思います。
#17
○西村関一君 もちろん防衛庁と連絡をとられて、どういうものがあるかという実態を把握した上でなければ何とも言えないということを前提にしてお答えになったんでございますが、ただ新聞報道は――新聞報道、新聞報道ということを言われますけれどもね、「外務省筋は」という言い方で、こういうことが国会で明らかにされていないうちに国民に知らされているということに対しまして、たとえば、この中には朝鮮民主主義人民共和国の領空及び中華人民共和国の領空に絶えず偵察飛行を行なっているところの部隊もあるというふうに書いてあるんでございますね。これは調べてみないとはっきり言うことができないと言われればそれまででしょうけれども、問題を起こした飛行機が、つまり空軍が偵察でありましても沖縄から飛び立っているということは周知の事実でございまして、そういうものも含めてこれは国民が非常に関心を持っているところだと思うのでございます。さらに沖縄県民だけでなくて、日本国民が沖縄の返還後の基地の状態はどうなるかということに対して心配を持っておるんでございますが、こういうことはこれはどこから出たんですか。「外務省筋によれば」と書いてあるんですが、これはこういう取材のソースは、これは報道陣としてもどこから出たということは言えないと思いますけれども、こういうことが議会で国民に明らかにされる前に発表されておるということにつきまして、大臣はどうお考えになりますか。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 議会で発表される前にというお話ですが、おことばを返すようですが、私もずいぶんいろいろの委員会で微に入り細にわたっての御質問にお答えを誠意を尽くしていたしておりますから、きのう、おとといあたり「外務省筋」云々と出ておりますことは、国会のいろいろの場合の私の御説明申し上げておりますことと違わないことではないかと思います。新しいことではないわけです、私の考え方を申しておるわけでありまして。ただこれから先、交渉が煮詰まって、実態についてもよくわかり、そしてその結果の処理がこうこうだというところまではまだいっておりませんから、その点はどこに対しても私言えませんけれども、ものの考え方としては、私が申しておりますことは、ここで申しておりますことも同じでありますが、議会で言っていることが一番早く申し上げているつもりでございます。
#19
○西村関一君 その点は私もしばしば大臣の御答弁に接してよく了解はしておるつもりでございますが、このように詳しく在沖縄米軍の性質について述べられておりますと、これはまだ国会においてここまでのことが言われていないし、それは内容的には実態を把握した上でなければはっきりしたことは言えないということはわかりますけれども、「外務省筋によれば」ということでこれだけのことが書かれているということに対して、いささか私もお伺いをしてみなければならないという気持ちになって、この問題を提起したわけなんでございますから、決して大臣が国会を軽視しておるとか何とかいうようなことを申しておるわけでございませんけれども、こういう事柄につきまして、これは防衛庁とよく打ち合わせをした上で実態を把握すると言っておられますが、いつごろこれは把握されますか。もう間もなく交渉が始まってくるわけなんですが、この点はいかがでございますか。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 実はこの点も私はしばしば率直に申し上げておるんですけれども、実はなかなか国会中は、ほんとうに長い時間と取り組んで徹底して資料や何かを、いままでタスクフォースがいろいろやっておるけれども、掌握して冷静に判断したり、また時間をかけて先方と折衝をする余裕がございませんので、私としましては、四月になりましたらもうほんとうに専心努力を傾注いたしたいと思っております。そして防衛庁でもずいぶんいろいろいま真剣にやってもらっておりますが、これを防衛庁長官との間で私も真剣に話し合いをし、また、それから政府部内のハイレベルにおいていろいろとっくりと相談をしなければならないと思っておりますので、そういう点が実はいま少し時間が足りませんで、まだそこまでいっておりませんものですから、ある程度以上のことになりますと、お答えがあいまいになるわけでたいへん申しわけないと思っております。そういうことでございます。
#21
○西村関一君 いまの大臣の御答弁によりますと、四月中は精力的に取り組んでいこうということでございますが、方針としては、私が申しましたように、本土にある米軍基地でないもの、異質的な、全く違った異質的なものが沖縄に残るということに対しては、極力これを避けるという方針で臨まれるというふうに理解してよろしゅうございますか。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほどいろいろな角度から申し上げたわけでございまして、一つの考え方としては、本土にすでにあったようなものと同じ種類のものというようなことであれば、これは一応本土並みというカテゴリーからはずれるかと思います。それから今度は能力的に見て、本土にあるものと能力を比べてみて、これがどうかということになれば、その能力はあるが、これをかっちりと押え得るということになれば、これもまたその角度から問題を検討することもできるかと思いますけれども、本土にもない、それからまた能力的に言っても能力の問題じゃなくて、性格というか、質の問題というか、そういう点、あるいは先ほど具体的な例としてお示しになりましたが、第三国のためだけの訓練に充てている施設というようなものとかというようなことになってまいりますと、おのずから考え方がはっきりできるのじゃないかと思います。そういう姿勢で扱ってまいりたいと思います。
#23
○西村関一君 次に、日中貿易に関する二、三の点についてお伺いをいたします。時間がありませんから一括して御質疑をいたしますからお答えをいただきたいと思います。
 まず、輸銀の資金の使用の問題でございますが、政府は、しばしばケース・バイ・ケースで臨んでいくということを言っておられるのでございますが、しかし、実際にはなかなかケース・バイ・ケースと言っても、輸銀が使われるということでなかなかできていないというのが実情ではないかと思うのでございます。去る三月十六日の参議院予算委員会におきまして、同僚の小柳勇委員の質疑に対しまして、宮澤通産相は、政府がケースを押えているわけではない、具体的に業界から話が出ればケース・バイ・ケースで考えると答えている。ベアリング、合成ゴム、普通鋼などについては、プラント輸出なら差しつかえなかろうということを示されたのでありますが、これは従来のこだわっているという答弁からみるならば一歩前進のようにも思えますが、通産大臣は、政府が押えているわけではない、実際にケースが出てこないのだということを答弁しながら、何でこのケースが出てこないかということを考えることをしないのか。通産相は、商社やメーカーとして中国と貿易をすると、それ以外の国との貿易に障害が起きるということで、総合的な判断をして対中国輸出をためらっているのだろうとの趣旨を述べておられるのでありまするが、問題は、必ずしもそのような点にあるのではなくて、政府がケース・バイ・ケースと言いながら、実際には拒否することがわかっているから申請しないのだ、そういうふうに受け取れる節もあるのでございますが、政府が差しつかえないと思われるような品目について拒否するつもりはない、そういうこれこれの品目については拒否するつもりはないというくらいのことは言っていいのじゃないかと思うのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
#24
○国務大臣(愛知揆一君) この予算委員会の本委員会で、小柳委員の御質問に宮澤通産大臣がお答えしておりますときに、私もそばでよく聞いておりますけれども、政府の考え方は宮澤君の答弁のとおりでございまして、あれ以上つけ加える何ものもないように私は考えております。
#25
○西村関一君 ところが、そのような答弁をせられたあとで宮澤通産大臣が言われたということでございますが、あれはあのときにはたとえばの話でああいうことを言ったけれども、必ずしもそうするということではないんだということを言っておられます。また、昨日の大蔵委員会におきまして、大蔵大臣は、吉田書簡については意に介していないし、ケース・バイ・ケースで輸銀の使用については考えていくんだということを重ねて言っておられますが、この点、外務省としてはこの日中貿易を取り進めていく上において、この輸銀の使用については従来の方針と少しも変わっておりませんか。少しは前向きになっているという印象を受けるのでございますが、いかがでございますか。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) この吉田書簡の問題は、もう別にお答えする必要はないと思いますが、要するに、これはああいう形の書簡でもございますから、政府としてこれを廃棄にするんだとか、存続するんだとかというべき対象の文書ではない、これで私は事態が非常によく御理解いただけると思います。
 輸銀融資の問題については、まあ、私は前向きといえば前から前向きの態度ではなかったかと思うのでありまして、ケース・バイ・ケースということは拒否するということを意味してないように私は思うわけでございます。私は、いつも繰り返して申し上げておりますが、すでに一昨年の予算委員会などでも輸銀の幹部を参考人にお呼びになって、そうしてケース・バイ・ケースならば、おまえのところは、申請があったら、業務方法書による審査をするんだなと、そうしてそれで輸銀としていいというんならオーケーでファイナンスするんだなと、こういう御質問が野党のほうからあったときに、輸銀の当局は、そのとおりでございますと答えたことを私も覚えておりますが、それがいわゆるケース・バイ・ケースじゃないかと思います。私は、ですから、政府の現在の輸銀融資に対する態度は、そういう意味において前々から変わっておりません。ケース・バイ・ケースでございます。宮澤通産大臣が数日前の予算委員会で申し上げた以外に私がつけ加えて申し上げることはございませんというのもそういう趣旨でございます。
#27
○西村関一君 さっきもちょっとお尋ねしましたが、品目については、これこれの品目についてはまずよかろうというようなことをあらかじめ示しておくということはできませんか。
#28
○国務大臣(愛知揆一君) これは小柳さんの御質問と宮澤大臣の答弁の全体のコンテクストの中から想像いたしますと、答弁の中にも若干ココム的な気持ちもあったのじゃないかと思います。たとえば戦略物資と思われるようなものは、これはちょっと問題になりますまいというような頭があったのではなかろうかと、あの応答の中から私はそういうふうに取りましたが、いわゆる民生安定物資というようなことならば、ケース・バイ・ケースで扱いますと、こういうふうな答弁と了承いたしております。それが政府の態度であると御理解いただいてけっこうだと思います。
#29
○西村関一君 次に、食肉輸入の問題でございますが、今国会の施政方針演説に対する秋山長造議員の代表質問に対しまして、佐藤総理は、畜産衛生等についても業務当局者間の取りきめをする用意があると答弁しておられます。これは従来なかった項目として注目されたものでございますが、政府が食肉輸入に関し口蹄疫を心配し、慎重にも慎重な態度をとっていることはそれなりにわかりますが、しかし、中国側がその心配は一切要らないという態度をとっておりまして、日本側の考え方と食い違っておるところに、その輸入が実現しない原因があると思われますから、単に畜産衛生の協定を結ぼうといってみたところで、むしろ条件をますますきびしくする効果しかないのではないかと思われますが、政府はこの協定を結ぶことにどのような熱意を示しておられるか、どのようなことをしようと考えておられますか、伺っておきたいと思います。
#30
○国務大臣(愛知揆一君) 一般論として、その民間貿易のやり方、あるいはいわゆる実務者間で話し合いをし、覚書協定というようなもので物の交流を活発にするということはけっこうなことであるというのが政府の態度であると申し上げて間違いないと思います。食肉の問題は、御承知のとおりに、やはり口蹄疫の問題でございます。そうして日本側の当局者は、口蹄疫が非常にやはり心配なのであるという非常に強い懸念を持っておる。中国側は、そんな心配はないはずだ、ばかにするなという態度を非常に強く持っておる。ここに意見の対立があるわけでございますから、これは外務省の所管ではございませんけれども、外務省といたしましては、口蹄疫について、非常に大切なこれは国民衛生上の問題でございますから、当該の当局が心配なしと判定をいたしますれば、私は食肉輸入を中国からやることに何ら異存はございません。
#31
○西村関一君 通産省の人も見えておりますが、愛知大臣が御答弁くださったですから、この問題については通産省の当局からは重ねてお伺いをいたしません。
 最後の問題でございますが、アジア諸国に対する文化外交の問題でございます。
 私は、日ごろから文化外交、特にアジアの諸国に対する文化外交が必要であるということを考えておるものでございまして、政府は外交の基本方針は、国連外交と民主陣営を中心とした外交と、それからアジアに属するところの一国としてのアジアに対する全体的な外交を行なっていくと、こういうことを言っておられるのでございますが、私は、一番最後の三番目のアジア外交という、過去において特にアジアに対する文化外交の重要性ということを考えておるものでございますが、その点、いま政府の外交姿勢の中に少し欠けているものがあるんじゃないかという感じを持っておるのでございます。従来はアジアの諸国から、フィリピンにしましても、インドにいたしましても、その他の国々、中国にいたしましても、当時の若い指導層は日本にやってきて何を求めたかというと、それは経済、技術の援助を求めたのではなくて、やはり日本の中にあるところの精神的なものを求めてきたと思うのでございまして、いま日本は経済大国となって企業の進出がアジアの諸国に及んでいっておる。そのことを通して利潤の奪取、それから米国のアジア地域からの米軍の撤退に伴ってこれに肩がわりするというような印象を与えておる。日本に対するイメージが非常に変わってきているというふうに思うんでございまして、日本のアジア外交ということを言うならば、ただ経済技術援助だけでなしに、これはやはり精神的な文化的な面、お互いきょうだいであるという立場に立って外交を進めていかなければならぬと思うのでございますが、おおむねアジアの諸国をながめてみまするときに、精神文化、宗教というものに育てられてきたと思うんでございまして、そういう面に対して日本がどういうふうに触れ合っていっているか、どういうふうに協力しておるかということが問われると思うんでございます。そのことに対して触れていかなければ、私はアジアの外交ということが言えないんじゃないかと思うんでございます。この点に対しまして、私はアジアの諸国にある在外公館の中に、非常に有能な、相当それぞれの相手側の国々の人たちに認められるような文化アタッシェというようなものを常駐させてはどうかと、日本の文化の真髄を交わりの中においてアジアの諸国の人々に、ほんとうに日本の伝統の中にある日本の美しいもの、たっといもの、そういうものを与えていく、また向こうの中の文化的な遺産を吸収していく、お互いに交流し合っていく、そういう役割りをしていくことが大事じゃないかと思うんでございます。
 その点につきましても、特にインドにおきましては、インドはヒンズー教でございますけれども、仏教のわが国と非常に縁故の深い仏教の遺跡が随所にございますし、ネパールにおきましてもございます。そういうことだけじゃなしに、インドの文化と日本の文化の交流を考える上からいっても、文化外交という面が非常に大事じゃないかと思うんです。さらにまたカンボジアにおけるところのアンコールワット、あるいはインドネシアにおけるところのボロブドウル、世界最大の仏教遺跡といわれておりますものがございます。こういうものに対して、日本はこれらの遺跡を保存し、顕彰し、お互いにこれらを通して精神的に文化的に触れ合っていくということのために何をやっているかということが問われるんじゃないかと思うんでございます。インドネシアのボロブドウルにつきましては、ユネスコあたりから各国に呼びかけて、これが保存についての運動が政府ベースでなされておる。日本におきましては、まだ政府ベースでこれらの文化を保存するというようなことに協力していることは聞いてないんでございます。民間ベースで協力会ができておりまして、民間の援助が行なわれておりますけれども、まだできていないと思うんです。ユネスコに対して日本としては非常に大事な役割りを果たしている国といたしまして、こういう要請にこたえていくことが大事じゃないかと思うんでございます。
 ユネスコ国内委員会の事務局次長も見えておられるようでありますが、これは外務大臣に一括してお伺いしたいんでございます。こういうアジアにおける文化外交という点に対して、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) 全くその一々ごもっともでございまして、私は率直に申しますと、そういう面の日本としての一大転機に来ているように思います。と申しますのは、たとえば経済協力の問題にしましても、戦後初めは賠償の関係などからやむを得ずスタートしておりますから、どうしてもそういう点で、ことばは悪いですけれども、偏向があったと思います。それから、とても文化その他の方面まで顧みる余裕はなかったように思います。ようやくこういった情勢が客観的にも変わってまいりましたし、したがって経済や技術の協力の面でも、新しい情勢の展開に応じた新しいいき方が望まれておりますし、そういう方向へ政府の施策を漸次転回をさせつつある気持ちでございますが、文化方面においては、ただいまいろいろ具体的にお話がございましたから申し上げますが、たとえばインドネシアのボロブドウル、これは私個人的にも非常に興味と関心を持っておりますが、確かに従来はユネスコが取り上げ、そして日本では民間の有志の方々が組織をつくられて、浄財を集めて、そしてこれの再建に奔走されておりますが、何ぶん民間のことでございますから、そう思ったほど多くのお金が集まらないうらみがある。何とかこれに対して協力を政府としても考えなければなるまいと思っておりますが、これは政府が直接に出るのがいいのか、あるいはユネスコが幸いにテークアップしておりますから、ユネスコを通じてのいろいろの協力の方法ということも考えられやしないか。
 それから、たまたま、実は昨日、一昨日のことなんですが、ネパールの使節が参りまして、これは国連のウ・タント総長も個人的に熱心なんですけれども、ルンビニーの仏跡に対して特に日本に対して協力を求めたい、これはいまUNDPが十万ドル、ウ・タント事務総長の配慮で出資をすることにきめたわけですが、日本のたとえば丹下教授などの診察を仰ぎましたところが、最低六百万ドルどうしてもかかる。ネパールの関係者のほうからいえば、六百万ドル、ストレートに直接日本政府から出してもらいたい、こういう非常な期待を持っておられるようですが、これはなかなか外務省として、あるいは日本政府だけで、とてもこれだけのところに六百万ドルということは、なかなかいままでの常識では背負いきれませんので、どういうふうにしてUNDPを中心にして日本として協力の限度があるか、方法論がどうあるかということを私としても誠意を持って研究することをお約束はいたしましたけれども、六百万ドル出せ、はい、オーケーとは幾ら何でもまいりませんものですから、しかし、ここまで日本に対してまじめな要請があるような状況になったということは、ある意味で非常に責任も重いし、また、ある意味で日本として立ち上がらなければならないことを、お互いわれわれに自覚させる問題ではないかと思います。政府といたしましても、それこそ前向きに建設的にこうした問題はテークアップしてまいりたい、こういうふうに思っておりますが、それにしてもこれは日本のあらゆる階層ことに政界においてはこういう面に対しては超党派的な御援助が私は非常に望ましいところだと思っております。
 それから、たとえば文化センターなどのお話もございましたけれども、ヨーロッパには御案内の、ローマにしましても、最近はボンにいたしましても、そのほかのところにもだいぶよい施設ができて、たいへん高い評価を受けておりますが、アジア方面には、先ほど申しましたように、いまだおくれております。こういう国は、ユネスコのアジア文化センターというものが、文部省と外務省の共管でようやく始まることに、たまたま本日発足することになりました。こういう点であらためて大いに努力をいたしたいと思っております。まあ、いろいろほかにもございますけれども、あまりこまかくなるものですから、この程度で……。
#33
○矢追秀彦君 私は、沖縄返還協定問題について最初にお伺いしたいと思います。
 一応、沖縄返還協定といわれておりますので、協定になるとは思いますが、条約ということは考えなくてよろしいわけですか。
#34
○国務大臣(愛知揆一君) この沖縄返還につきましては、まあ通俗的なことばですが、返還協定ということで、米側とまず中身についていろいろいま折衝を煮詰めておりますわけですが、さてこの名称をどういう名称にするかということについては、まだきめておりませんと申しますか、双方の相談の場面までまだいっておりません。実質的にはアメリカのほうは、名前がアグリーメントでありましてもトリーティでありましても、アメリカ政府としてはアメリカ上院の正式の議題として取り扱うということには決定いたしておりますから、実質的にいえばいわゆる条約ということでございましょうか、私どもから見れば、アメリカ側は条約とか協定とか、そう名前にはこだわっていないようで、中身とその扱い方が問題のように見受けられます。いずれにしてもわが国は、またわが国といたしまして、国会の御審議をいただいて、御承認をいただくことは当然のこととして用意をいたしております。これは名前がやはり何であろうとも……。
#35
○矢追秀彦君 法律的には条約と協定の力は同じと見ていいわけですか。
#36
○政府委員(井川克一君) 結局、国内手続との関係になりますけれども、ただいま外務大臣のお話のとおりで、こちらも国会の承認、向こうの上院の承認ということになりますので、その点におきまして、条約ということばを用いましても、協定ということばを用いましても、何らの差異がございません。
#37
○矢追秀彦君 外務大臣は二月十三日の衆議院の予算委員会で沖縄返還協定においては、佐藤・ニクソン共同声明の六項、七項、八項が十分に貫徹できるような趣旨にしたい、こういう答弁をされましたが、これについて具体的にお伺いをしたいんですが、まず最初に共同声明の第六項には「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」、こういうことばが入っておりますが、小笠原返還協定では「この地域の安全をそこなうことなく」ということばが前文に出てまいりますが、「この地域の安全」という方向にされるのか、あるいは「日本を含む極東の安全をそこなうことなく」という共同声明の第六項をもってこられるのか、これはかなり違いが出てくると思うのですが、その点はいかがですか。
#38
○国務大臣(愛知揆一君) 私の考え方は、一番大事なことは、沖縄返還に伴って世にいわゆる安保条約が変質したということが言われておりますが、さようなことは政府の意図するころでございませんで、安保条約、その関連取りきめが何らの変更なく沖縄に適用される。これが本土並みであるし、また同時にそれが、安保条約の性格というものが変更なしに続いて今後も行なわれるものであるということが明確になればいいと考えております。したがって、文言などまだ協定の上でどういうふうに文言が使われるかということは、まだそこまで両方の話が煮詰まっておりませんけれども、そういう意味がしっかりすることが六項、七項、八項の意味するところであり、これが中核の考え方であるという趣旨を二月の十三日に衆議院の予算委員会で申し上げたのであります。
#39
○矢追秀彦君 同じく共同声明の第六項では、「米国が、沖縄において両国共通の安全保障上必要な軍事上の施設及び区域を日米安保条約に基づいて保持する」、こういわれておりますが、この返還協定でもこの点は十分貫徹をされるわけですか。
#40
○国務大臣(愛知揆一君) 安保条約の目的、性格は、日本の安全、そうして日本を含む極東の安全に寄与するということが目的で、その目的のために日本は日米合意の上で日本にある施設・区域を米軍の用に供する。しかし、その施設・区域を使うのには一定の制約をアメリカが受ける。このとおりのことが沖縄についても行なわれるということが明確に押えられれば、それが共同声明の一番中核とするところがはっきりすることであるし、ぜひそうしたいと考えております。
#41
○矢追秀彦君 いまも大臣のほうから先にお話がありましたが、この安保条約及び関連する諸取りきめが変更なしに沖縄に適用される。基地の問題については米国の要求どおりの基地の保持を沖縄返還協定に盛り込んだ場合、結局安保条約によってそれを認めていく、こういうことになると思うのですが、その点いかがですか。
#42
○国務大臣(愛知揆一君) 米国の要求どおりということでありますならば、安保条約と反するのではないかと考えます、日米の合意するところによって日本がアメリカに施設・区域を提供するわけでございますから。
#43
○矢追秀彦君 前に沖縄の米軍基地の総点検の問題が議論されたことがございますが、実際これははたして可能であるか不可能であるか、いろいろ言われておりますが、この点についてどのようにお考えになっておりますか。
#44
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、沖縄の方々が日本の本土と違いますことは、核が沖縄にあった、日本の本土にはそれをだれしも考えていない、こういう点に感覚的、感情的な違いがございますから、そういう点に政治的に着目して、これは共同声明や、これからできる返還協定で非常にはっきりするところでありますが、いやが上に、何らかの方法があれば、核は持ちませんよということを沖縄の方々に申し上げ得るような方法は常に考えてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#45
○矢追秀彦君 その何らかの方法の一つが総点検という考え方であったと思うのですが、これについてはいま御答弁がございませんでしたが、やはりできないと考えてよろしいですか。
#46
○国務大臣(愛知揆一君) これはやはり共同声明におきまして、あるいはさらに安保条約それ自体において、核抜き、それから本土に対する持ち込みも、日本がいやだといっておることに対してアメリカはそういうふうにする、これが両国の最高首脳と合意をされてあれば、それを権利権原に基づいて点検をしてやるぞというふうなかまえ方は私はすべきものではないし、それでもう十分目的は達せられておると信じます。しかし、いま申しましたように、いやが上にも沖縄の方に御安心を願えるような方法があるならば、それについては十分考えてまいりましょうと、こういう態度でございます。
#47
○矢追秀彦君 いま共同声明のことを言われましたが、やはり第八項の趣旨も沖縄返還協定には入れられるわけでありますから、先日佐藤総理が防衛大学校でもはっきり非核専守国家とも言われましたし、中曽根防衛庁長官も、国防の基本方針を改定して非核三原則を明記すると、こういう発表もありました。したがいまして、沖縄返還協定にも非核三原則というものを明記すべきであると思うのですが、その点はいかがですか。
#48
○国務大臣(愛知揆一君) それは、先ほど来申し上げておりますが、条約的にいえば日米安保条約が何らの変更なしに適用される。そして、その関連取りきめがきちんと適用されるということにおいて、条約的には必要にして十分である。私はそう解すべきだと思います。しかし、まだその条約の文章、どういうふうに協定文案をやることが一番いいかということについては、なお今後十分検討し、またアメリカ側とも十分相談してまいりたいと思います。
#49
○矢追秀彦君 いま核基地の問題を出したわけですが、やはり核基地の問題だけではなくて、先ほども西村委員のほうからもお話が出ておりましたが、それ以外で、やはり安保条約から考えると事前協議の対象になるようなそういうものもかなり現在はあるわけだと私は思うわけですが、それについて、沖縄返還が実現した場合は、そういうものはなくなるという保障はあるのかどうか。また、そういう点までこまかい詰めはされているのかどうか。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) これはもう共同声明をきちんと実行していくことに相なりますから、返還のその時点の瞬間において、日本側が提供した施設・区域の活用あるいは重大なる装備、配置の変更、それから戦闘作戦行動の出撃ということは、もう直ちに厳重な事前協議の対象になることは当然でございます。なお、保障どころではなくて、これは条約上きわめて明確にされるわけでございます。
    ―――――――――――――
#51
○主査(金丸冨夫君) 質問の途中でございますが、この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、永岡光治君が分科担当委員を辞任され、その補欠として松井誠君が選任せられました。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#52
○主査(金丸冨夫君) 質問を続けます。矢追君。
#53
○矢追秀彦君 こまかい問題になりますけれども、まず毒ガス兵器を管理する陸軍第二百六十七化学中隊などのCBR兵器部隊、これは返還後の沖縄に存続を認められるのかどうか。この点はいかがですか。
#54
○国務大臣(愛知揆一君) これは、先ほど西村さんの御質問にもお答えいたしましたように、実態を十分に掌握し、かつこれは専門の防衛庁で判定をしてもらわなければならない問題であると思いますが、観念的に考えれば、毒ガスだけを管理し、これを使用運用するだけのファンクションでいる組織であるとするならば、これは毒ガスは完全撤去なんですから、そもそも根底からその必要性がなくなる部隊じゃないかと考えます。
#55
○矢追秀彦君 陸軍第七心理作戦グループ、こういうものはいかがでしょうか。
#56
○国務大臣(愛知揆一君) たいへん恐縮なんですが、何々部隊、それに対してイエスかノーかと、そういうふうな設問に対して私的確にお答えできません。なぜかというと、そのファンクションというものが私には正確に掌握できないからです。
 同時に、念のためにつけておきますと、先ほども分類的に申し上げましたけれども、一つの分類として、本土にいままであった種類のものとどう違いがあるか。それから、一つの分類のしかたからいえば、キャパシティーというかケイパビリティーというのですかな、要するに持てる能力というものと、それから施設・区域内におけるその能力というものは大きな制約を受けるのでありますから、たとえば、百の能力を持っておっても、そこにいる場合には五十の能力にしか使えないような制約を受けている、そういう場合にこれをどう判定をするか。軍隊というものの性格からいって、五十の役目しか果たしてはいけないものが、能力として六十の能力や百の能力を潜在的に持っていることまでも否定されるとは、私は必ずしもならないのじゃないかと思います。そういう問題がございますから、観念的にA部隊はイエスかノーか、イエスである、ノーであると、こういうふうにだけはお答えできない、こういう性格の問題であると私は思っておるからでございます。
#57
○矢追秀彦君 それでは、個々の問題はやめまして、核も含めまして、本土と異質の基地機能というものがもし返還前までにわかれば一番いいわけですが、さっき言われたように、もう共同声明で合意済みであると、こういうことですから、総点検のような形のものは私はもうできないのではないかと思いますが、もしそれが、返還以後に異質の基地機能というものがはっきりした場合は、安保条約違反ということでアメリカに主張されるのか。あるいは事前協議ということにされるのか。その点はいかがですか。
#58
○国務大臣(愛知揆一君) それは観念的な問題で、そういうことはあり得ないと思いますけれども、観念的の問題としてあり得るとすれば、いろいろな場合があると思いますですね。つまり、適用される条約に違反しているという場合もありましょうし、あるいは、それ以外には、今度は期待にこたえなかったというような意味の期待はずれというようなところに至るまで、ずいぶん観念的に考えればいろいろのことがあると思いますけれども、そういうことは現実的にはあり得ない。かように私は存じます。
#59
○矢追秀彦君 観念的にはあり得ないと言われますが、結局その辺が非常にわれわれとしても心配するところでありまして、先日来も偵察機の問題も出てきておりますし、いろいろアメリカには主張しておられるようでありますけれども、共同声明については昨年も相当議論がされましたので、この蒸し返しはいたしませんけれども、要するに、沖縄返還というものが結局安保条約の変質にはならないと言われますけれども、現在の沖縄の米軍基地の機能がいまのままでいる限りは、どうしても私は変質になってしまう。したがいまして、返還までには、やはりアメリカ側に対して、現在のいろいろいわれております米軍基地の本土と異質な点については、本土並みにすべきであるという主張と、それの確認をできるような主張はもっと強くやるべきである。このように思うわけでありますけれども、その点についていかがですか。
#60
○国務大臣(愛知揆一君) それはもう絶対に本土並みでなければならないし、本土並みにするということについてはもう合意ができているわけでございますから、その点について私は疑念を持ちませんけれども、しかし、先ほど来申しましたように、どんな心配でも観念的にはあり得るわけでございますから、われわれとしても、なし得る限り誠意を尽くして、御安心をいただけるように十分今後とも努力をしていきたいと思っております。
#61
○矢追秀彦君 事前協議の問題でありますが、二月三日の衆議院の予算委員会で総理は、韓国に事変が起きて出かける状態があるとか、心配な問題が起きて極東情勢がたいへんな緊張をかもし出している場合、事前協議の対象となる、こういう発言をされましたが、韓国で暴動が起きて、その暴動を鎮圧するための目的で在日米軍が韓国へ出動する場合、これは仮定でありますが、これは事前協議の対象になるかならないのか、どちらですか。
#62
○国務大臣(愛知揆一君) 戦闘作戦行動を展開するために日本の施設、区域を飛び出す場合には、明らかに事前協議の対象になります。
#63
○矢追秀彦君 ということは、暴動鎮圧程度の出撃であれば、それは直接戦闘行動にならない、したがって対象にならないと考えてよろしいですか。
#64
○国務大臣(愛知揆一君) これは非常にこまかく議論をしなければならないことでございまして、たとえば、私はただ単に朝鮮半島に暴徒が出てきた、それを鎮圧するというようなくらいのことは、私は日本の安全、それに関連する極東の安全ということからは、私は観念的な問題ですけれども、ほど遠いんじゃないかと思います。私は昨年の国会でも申し上げましたように、たとえば国連軍が朝鮮半島に駐留しておる。これに対してどういう原因か理由か、関係はわかりませんけれども、ある日突然組織的で大規模な進攻が起こってきて、そしてそれを、いろいろの段階があろうと思いますが、国連憲章的に見ても許され得るような事前措置をとったけれども、それがどんどん、どんどん、いわゆる大動乱になって、そしてついには対岸の火災視ができないというようなことでもあれば格別でございますけれども、できるだけこういう問題は厳重に、しかも日本としては、この事前協議に対する対処策というものはほんとうに真剣にしなければならない問題でございますから、そういう気持ちで対処すべきものであると考えます。
#65
○矢追秀彦君 私はなぜこういう問題を想定したかといいますと、ずっと以前に問題になりました三矢作戦、これは仮定のことになるかもしれませんが、三矢作戦などは韓国の暴動鎮圧のための在日米軍の出動が直ちに共産側との戦争に発展する、そうしてこれがやられておりますし、また、ベトナム戦争で解放戦線を弾圧する米軍の行動が結局北爆に結びつく、こういうふうなことを考ますと、やはり直接戦闘行動でなくとも、こういうことからやはり戦争へ巻き込まれるおそれがある。そういう点で、事前協議に対してはいま慎重にやると言われましたけれども、慎重にやっていただきたい。したがって、やはり移駐であれば事前協議をしなくともよいというアメリカの解釈がありますが、こういうアメリカの解釈がだんだんずっと押されてきた場合、いままで事前協議は行なわれたこともないわけです。原潜にしても全然行なわれておりませんけれども、アメリカの解釈次第で通ってしまいはしないか。そういう点を心配するわけで、あえて仮定の問題として出してきておるわけですが、その点はいかがですか。もちろん日本の国益ということはやかましく言われておりますけれども。
#66
○国務大臣(愛知揆一君) これはいまさらまた申し上げるまでもございませんと思いますけれども、日米安保条約のそもそもの考え方、また現に考えられておりますところは、万一の場合の防衛ということ、そして国際連合憲章の目的、原則に即応した、いわばこういうところにも使っていいことばかと思いますが、専守防衛でございますね。そしてそういう危険にさらされないような抑止政策ということなんでありますから、こちらから他に行動を起こしていく、守る必要がないのにそれ以上オーバーにこちらが攻撃的に出ていくということが、全然私は考えられていないのが安保条約の特色だと思いますが、観念的とは申しながら、そういうことは起こり得ない。また、観念的な問題ではあるけれども、そういう事態が起こった場合の日本のとるべき態度というものは、これはもう否定的に考えてしかるべきだと、私はこういうふうに思っております。
#67
○矢追秀彦君 いま安保条約の基本的な問題に触れられましたが、米軍は徐々に基地を撤去してきております。それと同時に、自衛隊も拡充強化をされてきておりますが、この米軍基地が、ほとんど陸上はそう要らないといわれておりますし、残るのは海軍基地、補給基地程度であると、こういう見通しもされておりますが、日本の国におきまして米軍基地がほぼ完全に近いまでに撤去された場合、現在の安保条約の性格もかなり変わってくると思う。特に安保条約は古典的な考え方ということも言われておりますし、そういう場合、五年先あるいは十年先、いま現在のところは自動延長になったままになっておりますが、やはり米軍基地がかなり変化をしても、安保条約はそのまま置いておかれるのか。もうこの次の段階に改定ということはあり得なくて、もう廃棄になるのか、この辺の見通しはいかがですか。
#68
○国務大臣(愛知揆一君) 私どもとしては、安保条約はもう相当長くこれからも続けていかなければならないという立場をとっておりますから、そういう点ではあるいは御意見が違うかもしれません。
 それから、それを前提にしてお答えいたしますけれども、一部にたとえば有事駐留というような考えがあって、そのために安保条約は改定したほうがいいというお考えもあるようですけれども、有事駐留というものは、有事のときにはまたアメリカが入ってきて、そうして施設・区域を使ったりなんかする必要があることを前提にしておられるのだとすれば、安保条約の改定ということと私はは矛盾するのじゃないだろうか。有事駐留というお考えもわからぬではないけれども、私流に言えば、だんだんと基地が、施設・区域が少なくなり、在日米軍が少なくなっていくことは、いろいろな意味で望ましいことでありますけれども、しかし、少なくはなるけれども、日米合意の上で安保条約の目的に沿うような提供された施設・区域が残っているということが、すなわち、安保条約の抑止効果を発揮するゆえんである。したがって、私どもの見解は、安保条約というものは改定ということは考えられない。安保条約は必要である限りにおきましてはこのままの姿で残すべきものである、私はかように考えております。
#69
○矢追秀彦君 ということは、完全に基地が撤去された場合は、廃棄あるいはなくなると考えていいのですか。
#70
○国務大臣(愛知揆一君) 完全に基地がなくなる、施設区域がなくなるということは、この安保条約の規定にございますように、国連その他のかまえによって絶対的に平和が保障されるという時期であると、かように考えれば、そのときはなくなってしかるべきである、かように思います。
#71
○矢追秀彦君 私の伺っているのは、いわゆる米軍基地としていま本土にある、あるいは沖縄が返ってきた後も含めまして、海軍、空軍、陸軍、そういうものはなくなる。しかし、いわゆる核のかさといわれているものは残る。しかし実際、港とか、あるいは飛行場とかそういうものがなくなった場合でも、結局核のかさという点から、安保条約は具体的な基地がなくなってもやはり存続という線でいかれるのですか。
#72
○国務大臣(愛知揆一君) そこのところは議論になりますのであえて多くを申しませんけれども、施設・区域ということは全然ない、しかも抑止力がある、そして核のからかさが保障されているという姿は、私はないんじゃないかと思いますけれども、その辺のところはいろいろの御議論があり得るでしょう。私はしかし、ともかく結論として言うなら、頭から安保条約はこのままの姿でもうずっと相当長く続けていくことが日本のために必要であると、こういう見解をとっておりますことは前々から申し上げておるとおりでございます。
#73
○矢追秀彦君 次の問題に移りますが、尖閣列島の石油の問題、これも何度も議論されておりますが、二月二十四日に国府は板垣大使に公式見解として、尖閣諸島は台湾領土と、このように主張いたしました。しかし、中華人民共和国も尖閣列島の領有権を主張しておりまして、しかも、米日反動がわが国の海底資源を略奪することは決して許さない、こういうふうなきびしいことも言っております。政府としてはあくまで大陸だな問題に限定して国府と話し合うと、こういう方針で交渉されておりますが、中華人民共和国との交渉、これはどのようにされるおつもりですか。
#74
○政府委員(須之部量三君) この問題につきましては、私どもとしては基本的にどの国も一方的に大陸だなの上に権益を設定することはできない、話し合いできめるべきだという態度をとっておるわけでございます。実際の問題といたしまして、北京のほうのいままでの発表、というより、最近の覚書貿易のときのコミュニケを見ましても、「浅海資源」ということで、必ずしもその意味がはっきりわかっておりません。それから、具体的に北京のほうで、どの地域は自分のほうの鉱区として設定するのだというような動きを見せておるわけでもございませんし、さらにその辺のところを考えてみますと、私どもとしてもおのずからそういう時期が来ればまた考えなくちゃならぬかもしれませんが、いまのところは一応これが自分のほうの大陸だな資源であるというふうに北京側で主張しているわけでもございませんので、いま直ちに北京と本件について話し合うということは何も考えていないわけでございます。
 なお、北京のほうもいろいろな言い分がございますけれども、三カ国の日韓華共同大陸委員会でございますか、等々がいろいろ資源の開発について話し合っているということでございますが、たしか一部の民間の方がそういう話をしておるということは聞いておりますけれども、これも実は資源を共同して開発するという非常に具体的なる構想、というよりは、このような大陸だなの問題で、せっかくいままで友好関係にあった国がいがみ合っていくのはまずいじゃないか。何かそういう、私はいがみ合わないでやる方法もないものかというような一種の構想について話し合ったという現状でございますし、この具体的な話はそもそも政府が関与していない民間だけの話でございます。また、その話し合いの内容というものも、きわめて基本的な一つの構想にすぎないというふうに考えておりますので、私どもとしては、その点についていささか北京のほうが少し神経質になり過ぎているようにも感じますし、われわれとしては基本的には事態を静観したいという考え方でおります。
#75
○矢追秀彦君 昨年の予算委員会で、防衛庁長官のほうの答弁で、沖縄が返還された場合、海上自衛隊の範囲の中に尖閣列島が入っておったわけです。もしそういうような場合は、ちょっとこれ問題が起こるのじゃないかと思いますが、この点については外務省としてはどのように意識されておりますか。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) 防衛問題はともかくといたしまして、いま、御承知のように、沖縄に対するアメリカの施政権は、完全に尖閣諸島をインボルブしているわけですね。これは布令布告の上からきわめてはっきりしておるわけでございまして、それをそのままサンフランシスコ平和条約第三条を根拠にして日本側に返還をするということで現在話が進んでいるわけでございますから、尖閣列島はその意味合いからいっても何らの意味でも日本の所有以外のどこにも属するものではない、こういうことで、ただいまアジア局長申しましたとおりの態度で今後ともいくべきものである、かように存じます。
#77
○矢追秀彦君 私が言うのは、要するに、個々の問題であまり争いが起こった場合、やはり非常に問題になりますので、そういう先ほどの防衛庁長官の答弁もありましたし、そういう点で戦争など起こってもらっては困るわけですけれども、そこまでいく可能性も全然、場合によっては、ないとは言えない。したがって、この尖閣列島の問題については、あくまでも平和的に台湾とも話をし、あるいはまた中国とも話を――静観されてもよろしいですが――今後やはりつけるという方向でやっていってもらいたいという希望があるから申し上げるわけでありますが、その点についてはいかがでしょうか。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) これはいつか参議院の外務委員会でも私ざっくばらんに申し上げたわけですけれども、ものは考えよう、言いようで、問題にされるとたいへんですけれども、たとえば鹿児島県をある国の人がある日突然に、あれはおれのほうのものだと、かりに主張したといたしますね。そのときに日本政府はどういう態度をとったらよろしいのでしょうかというふうに考えてしかるべきじゃないだろうかと思うのでございます。これはもうどんな点から申しましても、日本の主権の下にある、そして施政権を持っておったアメリカが現にそれを施政権の対象下にしている。そうしてそれを来年の某月某日にわれわれに返してくれるわけでございますね。これを、私のものでございますよということを――どこか遠くの人が、あれはおれのものだと言っているからといって、あれはこちらのものでございますからお話し合いをしてお下がりくださいと言うのがいいのか、あるいはまた、き然として、鹿児島県はだれが何と言ってもおれのものだと言って、き然とした態度でおるのがいいのか。私はその辺のところに立って国民的な御判断をいただきたい問題である。政府といたしましては、おそらく国民的な御判断がこうであろうと思うところに立ちまして、き然たる態度で終始いたすべきものではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
#79
○松井誠君 私は主として沖縄に関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に、沖縄にある毒ガスの問題でありますが、御承知のように、第二次の撤去のコースをめぐっていま沖縄ではもめておる。無責任な、第三者から見れば、早く持っていけという、その毒ガスのコースにおれのところはいやだということで、何か妙なエゴイズムのように聞こえるかもしれませんが、しかし、そうではなくて、これはやはり、毒ガスというものが持っておる言いようのないおそろしさ、不安、そういうもののあらわれでしかないと思うのです。ことにアメリカ軍が第二次の撤去で言っておるように、八週間ないし十週間かかる。この長い期間を沖縄の人たちが一体どういう気持ちで臨むだろうか、考えただけでもほんとうに息の詰まる思いがするわけです。ですから、この問題についてはほんとうに現地の住民の不安ができるだけ早く解消するようなそういう方法、そういうものを琉球政府は琉球政府なりにアメリカに要求されるでありましょう。もちろん、全体の責任を負わなきゃならぬのは当然アメリカであります。しかし、ほんとうに対等な交渉権を持っているはずの日本政府が、やはりできろだけ力をあげて沖縄、琉球政府の交渉にバックアップを当然すべきじゃないか。そういういわば姿勢でお尋ねをするわけです。
 そこで、お尋ねをしたいのでありますが、われわれはやはりアメリカにほんとうに現地の人たちが安心できるような安全対策を要求する権利が為る。しかし、具体的にどういう安全対策が必要なのかというようなことは、やはり具体的な事態というものがはっきりしなければ具体的な要求そのものもできないと思いますね。そこで、いま一番われわれが知りたいと思っておる、具体的にわれわれが安全対策を要求する上でどうしても欠くべからざるそういうわれわれの知識の前提条件というものは、たとえばいま沖縄にどういうガスがどれだけあるのか、そしてそれに対してアメリカはアメリカ自身の安全基準に基づいて具体的にどうするつもりなのか、そういうことをまず知らなければ、われわれはわれわれの具体的な対策が立たないと思う。そういうものをできるだけ公開をする、そういう要求をすることから私は安全対策というものの第一歩が始まらなければならぬのじゃないかと思う。その点から最初にお伺いをしたいと思います。
#80
○国務大臣(愛知揆一君) 松井委員から、まず基本的な姿勢からお話がございましたが、私も全くその点は同感でございます。何と申しましても、沖縄にこういうおそるべきものが知らないうちに大量に貯蔵されておった。ほんとうにこれは残念と言うか、遺憾と申しますか、まことに嘆かわしい問題であると思います。したがって、これがわかりました以上は、できるだけすみやかに、かつ徹底した安全の保証のもとにこれを送り出して引き取ってもらうということにあらゆる努力を傾けなければならないというのがわれわれの基本的姿勢でもあったわけでございます。率直にいいまして、ずいぶん長い時間かかりまして、私も恐縮に思っておりますけれども、現在の時点で申しますと、御承知のように、ジョンストン島に収容するということがようやくきまり、そしてずいぶん反対もあったようですけれども、格納庫の建設ということも当初われわれが危惧していたよりもはるかに繰り上げになりまして、もうこの夏には一万三千トン全部を収容できるということになった。それから配船などについても、その後の状況からいたしますと、かなり敏速になるということで、まず収容所と、それから配船と大きな二つの要素はどうやら目安がついた。そこで、あとは沖縄の方々がほんとうに御安心といいますか、心配をできるだけされないように船まで持ってくることをどういうふうにしてやるかということに集中しているわけでございます。その他の点については、第一回のときは、御案内のように、とにかく無事に済んだわけでありますが、そのときには日本政府としてのアメリカ政府に対する折衝、交渉についてはいろいろの御批評はありましょうけれども、私としては、率直にいいまして、まずまずアメリカとしても相当の努力はしてくれたように思います。今後、したがって、まず輸送の経路をきめなきゃならぬ。しかし、これは日本政府といたしましても、アメリカに対する折衝の必要なことについてはもちろん全力をあげてやります。同時に、かりにも本土政府が押えつけて天下りに、この経路がいいというようなことに、かりにもなりますのはいかがかと思いますので、これは第一義的に琉球政府にお願いをして、関係の方々の御意見を十分公正に冷静にまとめて、そうして、それを新たに建設する必要があるならば、これにもできるだけの御協力をいたしますという姿勢でただいまおるわけでございますから、だんだんそういう話が建設的に急速に燃え上がりつつあるように見受けております。この上とも十分の努力をしてまいりたいと思います。
#81
○松井誠君 時間が非常に限られておりますので、ひとつ大臣、私のお尋ねしたところに焦点を合わしてお答えいただきたいのです。私は、具体的に沖縄にどういうガスがあるのか、そうしてアメリカ軍はそれに対して具体的にどういう安全基準を持っておってどういう安全対策をとるのかということを、まずわれわれはそれに対して知る必要があるのではないかという点をお尋ねをしたわけです。沖縄の委員会でも私は申し上げたんですけれども、琉球政府がわざわざあの第一次の撤去のときに琉球政府自身の調査団を派遣をした。本土の政府の調査団とは別に琉球政府も調査団を派遣した。そうして、その調査団は調査結果について相当詳しいことを発表しておるわけです。本土政府の調査団というものは何も発表していない。ただ安心だという結論だけを言っただけなんです。しかし、安心できるかどうかということは実は住民のほうの問題であって、調査団が安心するとか琉球政府の首脳部が安心するとか、そういうことではなくて、まさに住民が安心しなけりゃならぬということで、調査団は当然その調査結果そのものを公表しなければ意味がないじゃないかということを私は言ったのです。そういう意味では、琉球政府調査団の公開というものは、やはり最小限度のそういうわれわれの要求にこたえておったと思うのです。その中でも問題になるのですけれども、一体どれだけの数量があるのか。それは一体全部兵器に詰められているのか、ガスのままのものがあるのか。これは言うまでもなく輸送の方法そのものにも大きな影響がある。そういういろいろなことをまず具体的な知識として知る必要があるのじゃないかということをお尋ねをしたのであります。
#82
○国務大臣(愛知揆一君) それでは具体的にお答えをいたします。
#83
○政府委員(吉野文六君) 沖縄にただいま存在しておるガスの量は、先ほど大臣が触れられましたように、容器を含めて一万三千トン、そのうち百五十トンはすでにジョンストン島へ移送されております。
 ガスの種類は、びらん性化学性マスタード、それから神経性化学剤すなわちGBと称しております。それから第三が神経性化学剤VXというものでございます。
 なお、ガスの取り扱いの安全基準につきましては、いずれもこれらは兵器でありまして、軍の内部にはそれぞれの安全基準というものはございますが、そういう安全基準にのっとって第一回の移送が行なわれた次第でございます。で、第二回以後の移送につきましても同様な基準にのっとって行なわれるものとわれわれは期待しております。
#84
○松井誠君 まあ二つの問題がありますが、いま総量については一万三千トンというお話でありました。この一万三千トンというのは全部兵器の重さを含めての一万三千トンですか。
#85
○政府委員(吉野文六君) そのとおりでございます。
#86
○松井誠君 では、全部兵器に詰められているのですか、爆弾か砲弾か知りませんが。
#87
○政府委員(吉野文六君) 全部兵器の形になっておるものもございますし、また一部は違う容器に包含されているものもある由でございます。
#88
○松井誠君 まあ、ある由でありますというのは、具体的に何に基づいての御答弁かわかりませんが、おそらく外務省の持っている資料によれば明らかにガスだけのものもあるわけですね。兵器に詰められてないガスの容器に入ったものもある。これはもう外務省御存じでしょう。
#89
○政府委員(吉野文六君) これにつきましては、現地へ派遣しました調査団の非公式の報告がございます。
#90
○松井誠君 まあ、非公式の報告がどういう内容になっているか知りませんけれども、それには兵器に詰められてないガスがあるということを書いてあるわけですね。
#91
○政府委員(吉野文六君) その報告を読んだのも相当前のことですからはっきり覚えておりませんが、確かにそのような記述があったと思います。
#92
○松井誠君 これは外務省からもらった資料ですからお読みになっておると思いますけれどもね。去年の五月六日に国防総省が最初沖縄からオレゴン州へ運ぶという予定のときにつくった。パンフレット、これには明らかに、数量は書いてありませんけれども、ガスを近代的な容器に移したというそういう記述がある。したがってガスのままのものがあるということはもう歴然たる事実。それをわざわざ兵器に詰めかえれば別です。だから、あなたが言われたように、兵器のものとそうでないガスのままのものとがある。これはもうそのことを前提として議論してもいいと思う。そうしますと、一体その数量はわかりませんか、内訳は。さっきの一万三千トンと言った数字とのつながりはどうなるのですか。
#93
○政府委員(吉野文六君) 各ガスの種類及び容器別の数量は承知しておりません。
#94
○松井誠君 第一次の撤去のときに、一体何両のトラックに載せるかということが――最初はあれは五両ずつ二回ということだった。ところが二回目には四両しかなかった。最初の十両というのが九両になったということで、みんな顔色を変えて調べた。結局、百五十トンというのが、ガスの量にしては十五トンぐらいなんですけれども、とにかくそれが出たということだけは確認ができた。そこで愁眉を開いたわけですね。そのくらいいわば数量というものを確認することは大事なことです。一体どれだけの数量かわからなくて、全部出したかどうかがわかりますか。ですから、たとえばガスがガスの容器に入っているままのそのものの安全基準というものと、それから兵器に詰められておるガスの輸送の安全基準というものとはおそらくは違うに違いない。そのものの数というものがつかめなくて具体的な安全対策が立つわけがない。具体的な安全対策が立たないのにわれわれが具体的に要求するわけにいかない。そういう具体的な数量を押えるという努力をする必要があるということを私は冒頭申し上げております。そういう意味で大臣どうですか。
#95
○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。したがいまして、先ほど私よけいなことお話しして恐縮でしたが、最初におあげになったつまり公開の原則ですね。それから日本側に納得のできるような現場の現認でございますね。そういうような点について、第一回のときに原則的にわがほうの要求をアメリカとしても承認したわけでございますから、当然第二回以後におきましても同様の措置をして、そして、現場において日本政府は専門家を派遣して調査団に打ち合わせて、そして公開してこれを運ぶ、その前にこうこういうわけであるからこれで安全であるということの十分の説明を聴取した上で、日本政府として安全だと判定したときに実行に移る、こういうつもりでおるわけでございます。
#96
○松井誠君 それから安全基準の問題でありますけれども、私どもの御答弁では、アメリカ軍の中に安全基準があってそれにのっとってやったと、今度もそうするでありましょうという答弁でありましたけれども、その安全基準にのっとってやったということを言うためには、何が安全基準かということを知らなければできないわけでしょう。その安全基準の内容というものはつかんでおるのですか。
#97
○政府委員(吉野文六君) ガスを取り扱うのはアメリカ側でございますが、米側としてはわれわれに対してその取り扱いに関する安全基準を説明しました。
#98
○松井誠君 あなたが安心するかどうかということじゃなくて、住民が安心するかどうかということなんです。ですから、あなたが安全基準を知ればそれでいいということではない。本土から行った調査団が知ればそれでいいというものじゃない。皆さん方が幾ら、もう安全だから安全だからと百万べん言ったところで、具体的な事実に基づいていなきゃ住民が納得するわけないじゃないですか。そのことを言うためには具体的にアメリカの安全基準はこうなんだ、それに対してアメリカはこのようにやる、足りないと思えばこのようなことを要求する。そういう具体的な姿勢がなければ安全対策を要求すると言ったって口頭禅になってしまいやしませんか。
#99
○国務大臣(愛知揆一君) それは私もこまかい点まで自分自身が全くそういう点には暗いものですから十分御納得のいただける説明ができないかもしれませんけれども、第一回のときにもその点については私としてもずいぶん配慮したつもりでございます。したがいまして、調査団が参りまして、そして調査団は調査団として調べることを調べたその結果を現地の町村長さんに初めによく連絡をする、また必要に応じて会見その他をやる、それから。パンフレットをつくる、いろいろな手段で現地の住民の方々に御安心願えるような措置は相当に講じたつもりでございますし、それから公開の原則でやったわけですから、私の承知している限りでは、安全基準についても、こうこういうことについては安全基準はないというようなものもございました、その必要はないというものも。それから、こうこういう点についてはこれが安全基準であるというものは全部公にしたように私は信用いたしております。こういう点を今後におきましても十分配慮したい。ただ、こういう点はお互いに、ほんとうに専門的な、またあぶないものでありますだけに微妙なところがございまして、どうしても安全性が信用できないと思い込んでしまいますと、またそこに一つのむずかしさがある問題だということも私率直に感じましたことをつけ加えておきます。
#100
○松井誠君 また話が原則論になりそうですけれども、しかし大臣、私も専門的な知識は何も持っておりません。しかし、専門的な知識というものはやはり共通の知識にしようという努力、住民の知識にしようという努力、そういうものが必要だと思うのですよ。そうしなければ、もうアメリカはこう言っておりますから安心ですよでは、どだい納得するはずがない。不必要に何か神経過敏になっているのじゃないかと言わんばかりのお話がありましたけれども、私は、そこのところに一番安全性というものは何なのかという問題があると思うのですよ。これは田村さんといって琉球政府の調査団で行かれた方が言っておりましたけれども、これはとにかく爆発物であり危険物である。アメリカの法律上でもそういう取り扱いになっている、したがって、これに対して絶対安全ということは元来あり得ない。だから一〇〇%安全だと思っても、その中は何がしか不安というものが必ず残る。残るからその不安が一%であろうと何であろうと、なくしようという努力が必要だ。これだけやればもう安全だという考え方は、どだいうそなんだという話があった。私はやはりそのとおりだと思う。九九%安全であっても一%の不安というものが自分のところにかぶさってくればすぐ死んでしまうのですから、だれだって、全体の確率は九九%であってもその一%がおれのところに来ないという保証は何もないわけです。だから、どんな措置をとっても不安だという気持ちそのものを否定するわけにいかぬと思う。そういう意味で、できるだけ安全対策というものを要求をする。そのためには具体的な知識を求める。私も実はいろいろ調べてみました。だけれども、アメリカには爆発物輸送の規則だとか、それから危険物のそういう規則だとか、そういう普通のものはあるが、しかし、それはガスそのものに直接かかわる問題ではない。どうもそういうものはアメリカ軍の内部の規則にしかなさそうです。あるいは軍機に関することがあるかもしれませんけれども、しかし、こういう際ですから、私は将来やはりこの毒ガスという兵器がどうなるかということはあとでまたちょっとお尋ねしますけれども、この際やっぱりできるだけ白日のもとにさらすという、そういう努力を要求をするべきだし、そういう努力の中で私は住民が政府の誠意を見るというか、そういうところから問題が開けてくるので、初めから、もうわかりませんというのでは話にならぬと思う。ですから、そういう、どこにその安全基準が具体的にあるのかないのかさえも、率直にいえばわかりません。しかし、私は、あれだけのガスを持っておってアメリカ軍の内部に少なくとも安全基準がないはずはない。どの範囲が公表できるのか。どの範囲が公表できないのか。私は率直に具体的に詰めるべきだと思う。それはどうですか。
#101
○国務大臣(愛知揆一君) それはもう私も原則的におっしゃること全然同感なんです。ですから、その住民の方々に安心を願うためにどうやっていけばいいかと。そうすると結局、安全基準の問題やそれから搬出の途上において起こり得る危険性が、たとえばもう、万が一でもどういうことがあり得るかと、それに対してはこういう措置をするからだいじょうぶだというところまで詰めていかなければいけないと思います。これらの点については、最初試みにと言っていいくらいのことしかできていないので、これからは本格的でございますから、先ほど申し上げましたように、まず一方で搬出の道の検討を詰めていただくことと、それから、それに合わせていよいよ搬出ができそうだということになれば、いよいよもって安全の問題を確保することにこれからも十分の努力をいたしたいと思います。
#102
○松井誠君 一つの例として申し上げますと、これは先ほどの田村教授の受け売りですけれども、マスタードガスのときは、とにかくカラシのにおいがするということで、どっか漏れればにおいであるいはわかるということもあるかもしれぬ。しかし、今度のGBガスなりVXガスのどっちか知りませんが、無色無臭だというのです。そうしますと、ガスが漏れたかどうか検知する方法は一体どうするのか。漏れたということを一体どうして見つけるのかということになりますと、その第一次の撤去のときの検知の器具というのは、何かスポイトようのものがあって、そこに薬剤が入っておって、もし漏れておれば、スポイトで吸い上げてわかる。あるいはちょっとリトマス試験紙みたいなものがあって、それに浸してみて、色がこう変わればこういうガスがある、そういうものしかなかった。これは具体的に、漏れた、危険性があるということがわかってくる。それが初めて役に立つわけです。漏れたか漏れぬか全然わからないときに、検知する装置がほかにないということなんです。そういうことが非常に危険だということは、まさに専門的な知識がなくても常識でもわかる。そういうことを私は一つ一つ詰めてもらいたいと思う。
#103
○国務大臣(愛知揆一君) これは私ども外務省だけでは、幾らわれわれ安全だと思っても、それは説得力はございませんから、やはり政府としては、この前もそうでございますが、信頼できる公正な学者、専門家の方々に十分お願いをして、それらの点について私どもとしては考えなければならないことを十分に考え、そしてそれを実際役に立たせ得るような人にその場に立ってもらって、御安心願うように十分やっていきたいと思っております。
#104
○松井誠君 その公正な学者というのが実はくせ者でして、御承知のように、この間のあの本土政府の沖縄の調査団というのは、われわれから言えば、全く何のために行ったのかよくわからない。そういうことをひとつ頭に置いてお願いをしたいと思うのですが、そこで、この撤去をするガスというのは、いま言われた三種類のガス、まだマスタードガスが残っておるかどうかわかりませんけれども、とにかく、それがあるとすれば三種類のガスです。あと催涙ガスだとか、いわゆる枯れ葉剤ですか、そういうものはどうなるんですか。
#105
○政府委員(吉野文六君) 催涙ガスは暴動用のために主として使われるものと思いますから、これは御存じのとおり本土にもございます。しかし、枯れ葉剤、それからもう一つ何でしたか。
#106
○松井誠君 いや、私の言ったのは二つです。
#107
○政府委員(吉野文六君) 枯れ葉剤でございますね、これは本土には、本土というか、内地にはございません。沖縄も本土並みに返ってくることでございますから、おそらく枯れ葉剤もないことになるだろうと思います。
#108
○松井誠君 私も当然そうならなきゃならぬと思うのですね。枯れ葉剤というのはベトナムで使っているやつですから、それが沖縄が本土並みになるとすれば、当然必要ないわけです。そういう意味で、ジュネーブ議定書による毒ガスであろうとなかろうと、そういう観点とは別にして、枯れ葉剤というものは安保条約から考えれば、いわば変なものですから、そういう意味でそれは持っていってもらう。あれば、持っていってもらう。そういう基本的な態度は正しいと思うのです。それじゃ先ほど三つの毒ガスと言いましたけれども、枯れ葉剤を含めてやっぱり撤去を要求する、その数量を公開させる、こういうことに当然なるわけですね。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) いま問題になっておりますものは、先ほど来あげております種類のガスですから、これの撤去はまず何よりも大切なことだと思います。
 それから枯れ葉剤の問題は、これはアメリカ国内でもいまおあげになった議定書の関係などで問題になっている。入るんだか入らないんだかというところが問題になっておるわけですけれども、しかし、本土並みで、本土にはないようなものは、政策の問題としてわれわれとしては好ましくない問題ですから、これはいまの三種類の毒ガスの撤去の問題とも合わせて、さようなものはもう復帰のときには、あるとすれば、きれいに持って帰ってもらう、こういう態度でまいりたいと思います。
#110
○松井誠君 その点よくわかりました。
 それじゃ一体催涙ガスはどうなるかということですね。いまの局長のお話では、本土にあると言う。確かにあるでしょう。しかし、催涙ガスというものは一体何に使うのか。いまのお話では暴徒鎮圧用と言う。しかし、安保条約というものの改定前には、いわゆる内乱条項というものがありました。そういう意味で、アメリカは暴徒鎮圧の役目を持っておったのかもしれない。しかし、いまはそういう役目はないわけです。何に使うのですか。平和なときに反乱でも起きたときに使うんですか。
#111
○国務大臣(愛知揆一君) 私の申し上げるのがちょっと間違っていましたら訂正を要するんですが、実は一九二五年の毒ガスの使用禁止の議定書の際に御審議をいただきましたときに、催涙ガスはあれの中に入っていないという国際的な通論に従って政府としては御説明をいたしたわけでございます。これについては一九二五年の議定書の論議、あるいは従来の国際会議等のいろいろな経過がございますが、現在御承知のように、議定書の解釈としては催涙剤は入っていない。それから、日本側の国内でどうしているかは、これは警察関係等から責任のある説明を聞いていただきたいと思います。
#112
○松井誠君 私の言ったのは、ジュネーブ議定書の解釈とは関係なしに、いま局長が暴徒鎮圧用ということを言ったものですから、アメリカはそのとおりいっているわけですから、暴徒鎮圧用ということで、アメリカがそういう意味の催涙ガスを持っておるということが、安保条約のアメリカ軍の役割りからいけばおかしいじゃないかということを私が言ったわけです。内乱条項というものがなくなったとすれば、一体暴徒というのはどこの暴徒をさすのかという意味です。
#113
○国務大臣(愛知揆一君) 暴徒鎮圧というのはちょっと適当でなかったかと思いますが、私の見解といたしましては、日本の国内において、安保条約との関係なくとも、催涙ガスは国内官庁も使用しておると私は思います。もし間違っていましたら、それはいま申しましたように、警察当局からも詳しくお聞き取り願いたいと思いますが、そういう意味におきまして、催涙ガスは日本の国内におきましても、議定書の承認後におきましても持っておるはずであり、場合によって使い得る状態にあるものと私は考えておりますから、そういう点は安保条約との関連で論ぜられるよりも、むしろ催涙ガスがそういう用途に使われることのよし悪しということを立法論的あるいは政策論的に御論議願うことがしかるべきだと思います。
#114
○松井誠君 どうも大臣、私が言っておるのは違うんです。大臣、もう日本の警察が催涙ガスを使うことを問題にしているんじゃないですか。そうじゃなくて、アメリカが催涙ガスを持っていて、何に使うのかということを聞いておるわけです。アメリカ軍は暴徒鎮圧用だと称しているから、その暴徒というのは、内乱という場合でないとすれば、一体どういう場合を予想しておるのかということを聞いておるわけです。
#115
○政府委員(吉野文六君) これは基地内の秩序維持のために使用するわけでございます。
#116
○松井誠君 そういうことばが早く出れば、私もくどいことは聞かなかったのですが、そこで、この催涙ガス、枯れ葉剤ですね、それから大臣言われたジュネーブ議定書との関係で、これが入るかどうかは問題がある。そこで、アメリカは御承知のようにいま批准を求めておりますけれども、その問題でもめて、結局これは批准をしないかもしらぬというような新聞報道があるわけです。議会としては、枯れ葉剤、催涙ガスを当然入れるべきだという考え方のようですね。そういう考え方に基づいてウ・タント事務総長が国連に対する報告書を書いて催涙ガスを含めてあらゆるそういうガスというものを禁止すべきだという勧告をしておる。それに基づいてスウェーデンがそういう趣旨の、いわゆるジュネーブ議定書の中にはこの二つが入るんだというそういう趣旨の決議案を出して、これは可決をされておるんですね。そのときに日本はどうしたんですか。
#117
○国務大臣(愛知揆一君) 私の記憶が正しければ、日本は棄権したと思います。
#118
○松井誠君 アメリカは猛烈に反対をして、日本は賛成をするわけにもいかないし、反対をするわけにもいかないし、棄権をしたと。どうして棄権したんですか。
#119
○国務大臣(愛知揆一君) これも私の記憶が間違いでなければ、こういうことであったと思います。つまり、多数国間の条約の解釈権というのは多数国間相互間にあるんですね。つまり締約国のコンセンサスによってのみしか解釈を公定することはできない。ほかの方式で、ある一国の提案したものに対してそういった公定解釈権を論議するというフォーミュラは適当でないという理由で、日本としては、審議に応ぜられないといいますか、審議の対象にするのはおかしいということで、棄権したはずでございます。
#120
○松井誠君 そのフォーミュラということで形式論に逃げてしまわれましたけれども、実際私はそうじゃないんじゃないかと思う。それでは、このウ・タント事務総長が言っておるそういう解釈ですね、それに日本は基本的には賛成なんですか。
#121
○国務大臣(愛知揆一君) これはいま申し上げましたのは、やはり今後多数国間の条約についての解釈や疑義が起こりました場合の筋目の問題として日本としては棄権をしたわけで、この案の内容について賛成も反対もしたわけではございません。
 それから、政府としては催涙ガスをどういうふうに扱うのかというお尋ねでございますが、これに対しては、政府としてのまだ統一見解はございません。立法論、今後の政策論として十分検討に値する問題であるとは考えておりますけれども、政府としての統一見解というものをまだ申し上げる段階ではないわけでございます。
#122
○松井誠君 先ほどと違って急に歯切れが悪くなりましたけれども、しかしそのジュネーブ議定書の解釈をどうすべきかという問題は、これはまさに外務省の所管の問題です。ですから、その中でその議定書に書いてある解釈をどうするかということについては、まずやはり外務省なりの意見があってしかるべきだし、ここで表明をされても私はしかるべきじゃないかと思うんです。
#123
○国務大臣(愛知揆一君) しかしこれは、やはり催涙ガスというものは、先ほど来申し上げておりますように、むしろ国内的な秩序の維持ということに保有各国も使っておるような現状でございますので、日本といたしましても、国内的な関係の各省庁の意見というものが非常に大切であると考えますので、外務省だけが、何といいますか理想論だけで突っ走るわけにもまいらない。それで、政府全体の統一した見解を外務省としても代弁する時期にまだ来ていないわけでございます。
#124
○松井誠君 毒ガスの問題はこれ一つでやめますけれども、それでは、先ほど大臣は形式論で逃げましたけれども、実質的には一体賛成なのか反対なのか、あるいはジュネーブ議定書の解釈としてではなしに、枯れ葉剤や催涙ガスを禁止をさるべきものに入れるということに一体賛成なのか反対なのか。御承知のようにそういうことに賛成だというのが、あのときの決議の資料を見ますというと八十、反対だというのが三十、棄権がアメリカを先頭に三つという資料のようですが、どっちみち圧倒的な多数が、そういうものを議定書の解釈の問題を離れてやはり国際的に禁止をすべきだと、そう言っておるということを頭に置いて、一体どういう見解をお持ちですか。
#125
○国務大臣(愛知揆一君) いま申しましたような環境でございますから、私が意見を申し上げても個人的な意見になってしまいますので、私としては、国内的なそれぞれのつかさつかさのほうの意見を十分聞いた上で、政府としてこうすべきであるということになりましたら、まとめて見解を表明いたしたい。この点どうか御了承いただきたいと思います。
#126
○松井誠君 それでは毒ガスの問題をやめまして、沖縄の返還協定をめぐる問題について実はたくさんのことをお尋ねをしたいのですが、もう残りの時間が少なくなりましたので、あれもこれもというわけにはまいりませんけれども、ここ数日来いろんな新聞で報道されておるところによりますと、たとえば外資の企業の取り扱いについても、何か伝えられるとおりであるとすれば、外務大臣がアメリカの大使か何かに対する書簡を送るという形で、協定の付属のそういう書簡のような形で、これは形式でありますけれども、やろうとする、その内容は、どうも日本の外資法に何がしか触れるようなものを容認をするかのようなものを入れるのではないかという、そういう見通しの記事がありました。あるいは先ほども話が出ましたけれども、心理作戦部隊だとかあるいはVOAだとかいう取り扱いについて、安保条約はこれはしかたがないんだけれども、しかし国民感情が許さぬからひとつ持っていってくれと、そういう交渉を外務省はやろうとしているいろいろなニュースがある。大臣が、それはもう敏腕な新聞記者が適当な推理でもって書いたんだと言われるならばこれは議論になりませんけれども、これはどうです。これから議論をしていくに値しますか。
#127
○国務大臣(愛知揆一君) どうぞ大いに御質疑いただきたいと思いますが、いまお尋ねの、米国人の企業に対して書簡で始末をするということが伝えられておりますが、これは事実私、さようにいけたらば適当だと考えておるところでございまして、これは他の委員会などでもそれに触れたことがございます。と申しますのは、これはもう本土並みなのでございますから、日本の法令が返還と同時にぴしゃりと適用されるわけでございます。同時に、他のいろいろの企業体その他に対しましても特別の立法というものが沖縄のためにもつくられる状況になっておりますが、アメリカに対して米人の取り扱いを特別に条約上どうこうするというわけではございませんで、あるいは将来特別な取り扱いを暫時許すというような行政上の措置などが予想される場合、これは書簡などで片づけ得る問題ではないかと考えております。大きな点は、返還と同時にぴしゃりと本土並みに本土の法令が適用される、いままでの民政府令その他全部効力を一瞬にして失うわけでございますから、そういう点は全然御心配ないと思います。いま申しましたような点で、若干取り扱いを考えてやることが妥当だと思われるようなものがあれば、そういう形式で措置してしかるべきではないかと実は考えておる次第でございます。
#128
○松井誠君 私が形式のことを先ほどお伺いをしたのは、問題はやっぱりもちろん内容なわけです。内容について、最初のうちはかけ込み外資は大いに規制をするのだ、しかしそれ以前にある、これはもっぱら中小企業ですけれども、それについては、外資法の適用はもちろん受けるけれども、何がしかの考慮をするというような報道があったんですが、だんだんあぶなくなって、かけ込み外資のでかいやつについても何がしかの抜け道を用意をするかのようなニュースと並べてみると、私は、それこそ本土の沖縄化という一つの例にもなりかねないと思って聞いたんですが、そうではなくて、やはりかけ込み外資というのは、復帰の時点で厳格に外資法を適用してふるいにかける、そういう原則には変わりはないんですね。
#129
○国務大臣(愛知揆一君) これは、すでに御承知のとおり、事実上政府の見解というものを出しておるつもりでございますけれども、一昨年の十一月の共同声明発出によって、返還ということがもう時間の問題になったわけでございますから、やはりその時点が非常に大事だと思います。それ以後はいわばかけ込みというふうに原則的に考えてしかるべきだと思っております。その上に踏まえて処理を考えるべきである、これを大原則にいたしております。
#130
○松井誠君 それなら、多くをお尋ねすることはございません。
 それではもう一つ、軍用地の取り扱い全般を聞きたいんでありますが、その中で、いわゆる復元補償といわれるものの問題、これはいろんな請求権があるわけでありますけれども、この復元補償というのは、私はいろいろ法律的に議論になり得る問題があるんじゃないか。これについては、返還協定における内容としては大体固まったんですか。
#131
○政府委員(井川克一君) 復元補償と申しましても、いろいろその時期があるわけでございまして、御質問の点がどの点かはっきりいたしませんけれども、たとえば講和前及び講和後というふうにも分かれましょうか、あるいは返還後というふうにも分かれ、三つに分けることができるかと思います。そのうちのどの点でございますか。
#132
○松井誠君 そのいずれも聞きたいんでありますけれども、まず講和前ですね、講和前にそういう、土地の形態が、変えられるという場合の復元の請求権です。
#133
○政府委員(井川克一君) 御存じのとおり、講和前のものは平和条約で放棄しているわけでございまするけれども、しかし、この点につきましては、すでに御承知のとおりに、アメリカから見舞金といたしまして二千万ドル弱、わが国が十億円、これは復元補償だけではございませんで、十九条で放棄したものに支払われているわけでございます。
#134
○松井誠君 その平和条約の十九条でそういうのが放棄されておるかどうかはもとより議論があって、問題です。私は政府の言う考え方には疑問を持ちますけれども、しかしその点は別といたしまして、アメリカ軍は確かに講和前のそういう形態の変化に対する復元補償というのは十九条で終わっておるんだと。しかし、その理屈、十九条の(a)項というのが沖縄にかりに適用されるにしても、そのアメリカ軍の理屈というのは、復元の要求を、形態を変化をしたときに復元の要求あるいは復元の補償、そういうものが請求できるというたてまえでなければ意味がない。だいぶ形態は変えられたけれども、それを現実にもとに戻すという権限はない、あるいはもとに戻すための補償を要求するという権限は全然講和前になかったとすれば、それが請求権として現実に発生するわけがないんであります。発生しない請求権が放棄をされてなくなるというわけはない。復元補償という請求権は、講和発効前にこの形態が変えられた場合には、どだい請求権としては、それこそ将来返還のときには補償請求という請求権となり得るけれども、しかしその時点では現実としてはまだ請求権になっていない。だからこれは放棄のしようがない。そういう理屈も私は正論だと思うんです。
#135
○政府委員(井川克一君) 御存じのとおりに、平和条約の特質と申しますものは、戦争状態の終了に伴いまして、もろもろの請求権、具現化しているか具現化していないかを問わず、あらゆる請求権をともかくこれにて一応片づけてしまうというのが平和条約の特質でございまして、この原状変更、いわゆる復元補償の請求権というものは、原状変更という時点にその請求権の根源が発しているわけでございますし、いずれにいたしましても平和条約によってまさしく処理の対象になるべき性質のものでございまして、そのようなものをサンフランシスコ条約十九条におきまして、多数国及び日本国の合意に基づきましてお受けいたしましたということは、サンフランシスコ条約以来の日本国及びサンフランシスコ条約当事国の解釈でございます。
#136
○松井誠君 法律的にやっかいになりますとそういうどんぶり勘定みたいな理論がすぐ出るわけでございますけれども、私は現実に発生をしておったかしていないかということを問題にしている。具体的な金額が確定しておったかどうかという問題ではなくて、請求権が発生しておったと見るんですか。まだ返還を受けてないときに、土地を貸す、その土地を違法にも形態を変えた、しかしそれは当然返してもらうときに、それをもとに返してもらえればいいわけで、もとにして返してくれるかどうかは返してもらうときでなければわからぬ。したがって復元の要求というものも、返還のときにでなければできないし、したがって復元に対する補償というのも、具体的に返還するときでなければ請求権として発生をしない。発生をしない請求権を放棄する理由があるかというのです。
#137
○政府委員(井川克一君) 具体的に返ってきたあとに請求するそのような請求を妨げるというのが、十九条の趣旨でございます。
#138
○松井誠君 将来の非常に不確定な請求権をも放棄をした、こういう解釈をとるわけですね。
#139
○政府委員(井川克一君) 原状回復という、原状の変更というところできまってくるわけでございまして、またこれが平和条約の特質でございまして、いわゆる法律上の請求権化しているか、あるいは単なるいわゆるクレームにすぎないものであっても、全部これを平和克復とともにすべて清算するというのが、いままでほとんどあらゆる国のすべての平和条約の原則でございます。
#140
○松井誠君 それじゃ、たとえばかりにアメリカ軍が返還をするときに、非常に苦労してもとに返す、原状に回復して返したとしますね。そうすると、請求権はもうないわけですね。一たん発生をした請求権が放棄によってなくなって、放棄によってなくなったと思ったら、今度は初めから請求権が発生しないということになってしまう、そういう理屈というものはあり得るんですか。
#141
○政府委員(井川克一君) ちょっと私理解できなかったわけでございますけれども、アメリカ軍が、向こうが一方的に原状回復してくれるということは、これは何も妨げる――権利として要求する問題ではございません。また現に見舞い金として約二千万ドル足らずのものを支払っているわけでございます。
#142
○松井誠君 私は見舞い金のことを聞いておるんではない。そうではなくて、将来復元請求をし得るそういう請求権がある、あなたの考えですとね。そういう請求権は十九条の(a)項によって放棄をし、放棄をしたと思ったけれども、現実に返還をするときにアメリカ軍が原状に回復をした上で返還をしたとする。そうすると、補償の請求権というものは当然のことながらないと言う。それは放棄によってなくなったのじゃなくて、初めから発生をしなかった。発生をしなくても、請求権がないのであって、放棄をした結果なくなるわけではないでしょう、原状変更して返した場合は。その理論の矛盾がわかりませんか。
#143
○政府委員(井川克一君) 私、まだよくわからないんでございまするけれども、原状を回復してアメリカが返したと、これは何も、向こうの一種の恩恵的行為でございまして、そこまでを禁じておるものでは絶対にございません。恩恵的行為を禁じておるものでは絶対ございません。
#144
○松井誠君 それはもちろんそのとおりです。ただそのときに、請求権というものは、一たん発生した請求権が放棄によってなくなったという理屈をとる限り、そのときに請求権がないというのはおかしくなりはしないか。つまり原状回復をして返せば、初めから請求権は発生していないわけでしょう。ところが、あなたは将来発生するであろう請求権を放棄をしたと言う、その理屈とつながらなくなるのじゃないですか。
#145
○政府委員(井川克一君) これはアメリカ側が義務としてそのような請求権を認める必要がないという規定でございまするから、恩恵によりましてこれを認めるということはもちろん法律的に可能なわけでございます。したがいまして、そのような原状回復して返しましても、これは単に請求権を充足した、権利として認めて充足したということにはならない。権利として認めて充足してくれてもそれは先方のかってでございまするけれども、こちら側が権利として請求することはできないというのが条約の規定だと思います。
#146
○松井誠君 まあ話が食い違ってだめですけれども、私の言うのは、もし原状回復をして返した場合には、請求権は放棄によってなくなったということにはならないじゃないかというふうに聞いている。請求権は放棄によってなくなったというのは全くのフィクションにしかすぎなかったということに結果的にならないかということです。
#147
○政府委員(井川克一君) その地主さんの実態関係につきましては、請求権を十九条によって放棄はされているけれども、現実的には自分の望みが充足されたというだけのことだろうと思います。
#148
○松井誠君 私は法律論を言っているので、そんなこと聞いているのじゃないのです。まあしかし、これはあなたと議論をしてもしようがありません。いずれまた日をあらためてやることにしまして、これで終わります。
#149
○岩間正男君 沖縄の米軍基地と関連する幾つかの施設は、安保のワクをはみ出すということで返還後の扱いがいま大きな問題になっています。陸海空三軍以外のもの、すなわち安保と別体系のもので、返還後沖縄に置いてはまずいというもの、また検討を要するものにどんな機関や施設があるか、お伺いしたいと思います。
#150
○政府委員(吉野文六君) 沖縄の軍以外の米国機関や施設としましては、VOAがあることは承知しておりますが、それ以外にいかなるものがあるか目下調査中でございます。
#151
○岩間正男君 その調査の結果はいつわかるのですか。
#152
○政府委員(吉野文六君) 目下鋭意調査中でございますが、これはおそらく近いうちにはっきりするだろうと思っております。
#153
○岩間正男君 もうたいへんなことですね。あなた、もういま詰めの段階でしょう。詰めの段階のときにまだそういうものを調査中などという答弁が国会で繰り返されるのは、これは国会の権威にも関することですね。
 それじゃ私のほうからお聞きします。ジョイント・ソベ・プロセシング・センター、まあJSPCという機関が、こういう略称で呼ばれておりますが、それで、嘉手納の北西の楚辺というところにこれはあるわけです。これは統合情報処理センターと訳したらいいと思うのですが、この機関の所属系統は、これは軍ですか、軍でないのですか。
#154
○政府委員(吉野文六君) このような米軍の機関については現在実態を調査中で、総合的に検討中でございますが、御指摘のものはいずれも沖縄の陸軍に所属すると承知しております。
  〔主査退席、副主査着席〕
#155
○岩間正男君 これは同じ調べたところでは、軍には所属してないはずですよ。ワシントン国家安全保障局管轄下、こういうことになっていますが、違いますか。いまあなた、軍に所属していると言うのですが、軍の系統ですか。
#156
○政府委員(吉野文六君) 陸軍に所属していると承知しております。
#157
○岩間正男君 国家安全保障局というのは、これは軍なんですか。
#158
○政府委員(吉野文六君) 国家安全保障局自体はホワイトハウスに属すると思っておりますが、先生御指摘の機関は米陸軍に属していると承知しております。
#159
○岩間正男君 これは調べてないのでしょう――全然調べてないわけじゃないのですね。あなたのほうでそういうことを言うなら、これなんかも非常に違うじゃないですか。それじゃお聞きしますが、機関の任務は何ですか。その機関は何をやるのですか。
#160
○政府委員(吉野文六君) これらの機能については目下調査中でありますが、通信連絡の任務をやっていると承知しております。
#161
○岩間正男君 通信連絡というのは、一般的なものじゃないでしょう。これは極東各地からの機密情報を集めてこれを処理している機関です。これはまぎれもない事実だと思うのです。どうですか。
#162
○政府委員(吉野文六君) 目下実態をさらに検討中でございます。
#163
○岩間正男君 こういう答弁、これは外務大臣にお伺いしますが、いいですか、まさにもうせとぎわですよ。協定がつくられようとしているせとぎわですよ。この問題がいま大きな問題になっているときに、これを総合的にいま調査してはっきりして、この態度を明らかにして処理を具体的にするというのは少なくとも政府の任務でしょう。そういうときに、あなたの幕僚の、しかも最も重要なアメリカ局長がいまのような答弁をされているのですが、外相はそれでかまわないのですか。どうなんですか。
#164
○国務大臣(愛知揆一君) 何ぶんにも沖縄の返還問題につきましては、しばしば申し上げておりますようにだんだん胸つき八丁にかかってきたことは事実なんでありますけれども、私どもとしてもいまよく例に申しておりますが、いわばタスクフォースがすっかり配置についているわけで、非常に広範な問題でございますから、各省庁にお願いをし、あるいはその中でまたいろいろのチームが編成されてやっておられます。総合されてこれを一々御説明できるまでのまだ段階になっていないわけなんです。そこで、いま申し上げ得るところは、岩間さんもずいぶんよくお調べになっているようでございますけれども、われわれがいまの段階で言えることは、このジョイント・ソベ・プロセシング・センターというのは沖縄の楚辺に所在していることは事実です。そしてこれが陸軍に所属している組織である、そしてその主たる任務は通信連絡業務であるということまでは確かでございますが、それから先をこまかくまだ申し上げることは、ただいままだその段階に至っておりませんので、いま吉野局長の申しましたように、目下鋭意それらについて研究中でございます。これが今日の段階でうそ偽りのないところ、最も有能に働いておりますものとして、いまの段階でこれだけしか申し上げられない、これが現状でございます。
#165
○岩間正男君 二十七日に総括質問がある。それまでに少なくともこれは明月かにしなければ、当然これは予算のその後の審議ができないじゃないですか。あと機会がありますか。返還協定についてわれわれの意見を述べる機会がありますか。われわれはこの予算審議の中でやらなければならぬ。私は二十七日にこれは締めくくりの総括質疑をやることになっているのですが、少なくともそれまでに明らかにできますか、どうですか。
#166
○国務大臣(愛知揆一君) 率直に申し上げますが、遺憾ながら二十七日にそのお答えはできません。
#167
○岩間正男君 これは委員長から要求してもらいたいと思うのですよ。これが明らかにされないで、これをしないであなた何ですよ。この予算審議とも非常に大きな関連を持ってくるのは当然である。返還協定の問題でしょう。次に何が一体大きな政治的な課題になっておるか。日本の今後の運命を決定するような重大な問題だと思う。現段階において、この予算委員会の最後の総括質問においてそういうものをはっきり答弁することができないと言う。これでいいんですか。予算委員会の意思としていいですか。
#168
○国務大臣(愛知揆一君) 政府としても誠意を尽くしてやっておるわけでございますが、この沖縄返還については、かねがね申し上げておりますように、夏ごろまでには何とかして協定調印にこぎつけたい。そうしてその後におきまして、十分国会の御審議を願いたい、こういうわけなんでございますから、国会の御審議をお願いするまでに、いまもお尋ねのありましたようなことを含めて何百のたくさんの事項について、全部整理をし、そして政府の見解をまとめてお願いをするわけでございますから、いましばらくおおようなお気持ちで御審議に向かっていただくようにお願いを申したい。
#169
○岩間正男君 おおような気持ちもいいですが、いつごろできますか。はっきり言ってください。
#170
○国務大臣(愛知揆一君) これは私どもとしてもなるべくすみやかなことを欲しておるところでございます。ひとつ、われわれも一生懸命努力し、がんばりますから、どうぞよろしくお願いをいたします。
#171
○岩間正男君 承服はできませんな。要求しておきます。
 JSPCですね、これは仮訳・楚辺統合情報処理センター、国家安全保障局というのは国防省ですが、それから場所はトリイ・ステーション、嘉手納の北西にある。任務は極東各地から入手した機密情報の処理。なお、同じ場所に陸軍安全保障活動機関前線連絡所、海軍安全保障活動グループ、こういうものがある。こういうことは私たちの情報の中でもわかっております。これくらいのことはおわかりですか。
#172
○政府委員(吉野文六君) 目下実態を調査中でございまして、先ほど愛知大臣が御答弁になった以上のことはわかっておりません。
#173
○岩間正男君 もうそろそろ春になるのだから、ハマグリも口を開いていいころでしょう。あなたたちは何でも調査中、わかりません、それでまかり通って、国会論議を愚弄するものでしょう。結局これじゃまずい。これについてあなたたちは、そうすると結局はこの機関は、これは私は安保条約の別体系に属するものだとはっきり考えます。これはどう考えますか。
#174
○国務大臣(愛知揆一君) この一つ一つをまだ的確に、私もクリアカットにお答えできるところにいかないのですが、たとえば、先般外務委員会で岩間さんからもお尋ねがあったと思いますが、VOAというようなものは、これは体系外でございます。確かにこれはUSIAの系統に属しておるものですから、いま指摘されたのが安保条約の何といいますか、傘下にあるものではない、こういうことは言えると思いますが、そのほかにどういう種類のどういうものが沖縄にあって、これはかくかくしかじかの性格のものであると定義づけるのには、ちょっと私まだ御説明できる余裕を持っておりません。
#175
○岩間正男君 これはいま大きな問題になっているのですがね。この一つの大きな焦点になっている問題について、外務省が、あなたたち鋭意鋭意と言っているが、それを短時日の間でも、国民にやはり回答を与える必要があると思うんですよ。安保の別体系だと思うがどうかと聞いているのに対して、これはお答えができない、それからこの機関は、私はこれは沖縄返還後に一体こういう機関を認めるのかどうか、残るのかどうか、こういうことについても見解が出されなくちゃならない。ところが全く御返事がない。何があるかもわからない、何が残されるかもわからない、こういう形でいま国会論議が行なわれておるのでありますが、これは非常に私はまずいことだと思うのです。したがって、これはできるだけの報告は要求しておきます。中間報告でもいいです。
#176
○国務大臣(愛知揆一君) それは国会を通して、政府としても、先ほど来申しておりますように、誠意を尽くしていろいろの点について十分の御審議を願いたいと考えております。それから、ただいまもちょっとお触れになりましたけれども、私は具体的にこの地域はどうであるとか、この組織はどうであるとかというところまではまだ申し上げられないのですけれども、施設・区域については、先ほどもずいぶん私としても詳しく御説明をしたつもりですけれども、安保条約の性格は、沖縄返還によっていささかたりとも変質するものではございませんから、その変質せざる安保条約の目的に沿うようなものが本体でなければならない。したがって、提供される施設・区域はその原則から割り出されなければならない。さらに、沖縄の百万島民の方々の積極的な再建のために有用であろうと思われるものについては、これを提供しないほうに入れたい。こういう二大原則のもとに、施設・区域の問題については鋭意折衝を重ねておる次第であります。それから、そういう基本的な考え方というものはおのずからおわかりいただけるだろうと思うのでありまして、本土にあるようなものならばこれは残すべきでありましょうけれども、全く本土と異質のようなものは好ましくない存在である、こういう基本的な考え方で折衝、処理に当たりたい、こういうような基本的姿勢は、私非常に明白であると思います。ただ、先ほど来申しておりますように、個々の施設、あるいは組織等について、これはこのカテゴリーに入る、これは提供すべきである、これはすべからざるものである。そこまでまだいっていないんだということは御了承いただきたいと思います。
#177
○岩間正男君 いまの御答弁で、まあ安保の目的に沿わないもの、あるいはまあ本土にないようなそういう施設は、政府としては望ましくないのだ、そうして、これを撤去させるような方向に努力するのだ、そういうふうにその点は確認しておいてようございますか。
#178
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほども、ですから非常にはっきりしているもの、あるいはこれからきめるものとございますが、たとえば一番はっきりしているのは、核抜き、毒ガス抜きですね。これはいずれも本土にもないことですし、核抜き本土並みで、返還のときにはきれいな姿にする、これは一番はっきりしているところだと思います。それからもう一つ、今度逆の制約を言いますと、軍隊というようなものの性格から言って、その能力が相当潜在的に強いからと言って、そこだけに着目して、これはいかぬとか、いけるとかという、そういう基準はまた別の点から相当慎重に考慮しなければならない、こういうような基準もあり得ると思います。これらの点については、先ほど岩間さんおいでにならなかったかもしれませんが、私がしてはかなりこまかく御説明につとめたつもりでございます。
#179
○岩間正男君 私は、先ほど言った、あなたがまとめられたのをさらに私がまとめて聞いたのですから、しかし、またそうなると別の解釈が加わって、論議が進みません。時間が制限されておるのですからね。だから、そこのところはそうだとか、そうでないとかという御返事をいただいて、進みたいと思いますが、とにかく安保の目的に沿わないもの、それから本土にないもの、こういうようなものはこれは望ましくない、これは撤去することは当然のことだ、この点は確認しておきます。
 私、お聞きしたいのですが、この中で軍の問題、陸海空の三軍に関する問題でないものについてお聞きしたいのですが、そういう場合に、外交、通商、文化交流のために外国機関を日本に置くというのは、通常これはどこでも国際慣行としてやっておると思うのですね。しかし、外国国家の機関の諜報活動を日本の国土で行なわせる、こういうことは国際的な慣行の中で例がないのだ、この原則はどうでございましょう。
#180
○国務大臣(愛知揆一君) いま岩間さんのおっしゃったのは、その第三国人の教育であるとか、第三国人に諜報教育訓練をするというようなことは、これはちょっと好ましくないことだと私は先ほど申し上げたんでございますが、その点でございますか。
#181
○岩間正男君 そういうものも含めまして、たとえば情報学校の問題などが出ております。そのほかに、まあとにかく安保の目的にも沿わないような形で中国大陸をスパイ活動をやっておるというような問題もありますし、あるいはまあここで言っているのは、私はしかしそういうような軍の目的でないものですね。そうしてしかも諜報活動をやっている。だから国家機関にあるもの、外国の国家機関に属するもの、たとえばアメリカだったら国務省、そういう系統に属しながら、しかもこの日本の国内でそういう諜報活動をやっている。これは沖縄が返還されれば国内になるわけですから、そういうものを継続させる、これは国際的にあまり例がないだろう。これは主権の問題とも深く関係するわけですが、これは原則としてお認めになるわけですね。
#182
○国務大臣(愛知揆一君) 私が先ほど申しましたように、いまのお尋ねは、たとえば具体的に言えばVOA等についてのお尋ねではないかと思います。これは先ほど申しましたように、アメリカとしてはUSIAの下部機構といいますか、それの出先機関の一つであると、こう考えます。これにつきましては、先般来お答えいたしておりますように、これはどうも施設・区域以外の問題だけれども、そしてアメリカはたいへん希望しているようだけれども、これは日本政府としては、いま岩間さんのおっしゃろうとしている立場に立っても、慎重に、真剣に対処しなければならない日本としては問題であろうと、かように考えます。同時にいま他国ではどうであるかというお尋ねでしたが、どうも調べてみますと、VOAというものは、イギリスそれから西ドイツそれからセイロンというようなところに同じような施設を持っているようでございます。まあ、しかしそれだからといってどうこうというのではございませんが、そういう事実があるようでございます。
  〔副主査退席、主査着席〕
#183
○岩間正男君 とにかく私は、まあ先ほど中間報告を要求したわけですが、沖縄にある米軍部隊、基地、軍以外の、そういうもの以外ですね。軍関係以外の国家機構、機関、その施設及びそれらの所属系統、任務等の一覧をできるだけ、調べた範囲内でいいですから、これを資料として提出してください。これは当然まあ返還後の沖縄への国民の不安というのは非常に大きくなっておりますし、進んでこれを明らかにするのが、まあ当然これはアメリカの私は義務だと思うし、これを要求するのは日本政府の当然の任務だと思うんで、この資料提出を重ねて確認をしておきたいと思います。
 それじゃ、まあVOAの話でもうだいぶ答弁が先に進まれましたから、これはお聞きしたい。
 まず最初に、郵政省にお聞きしたいんですが、電波法第五条で、これは無線局設置について第五条が欠格条項をきびしく定めているのですが、なぜこのようにきびしいのか。この第五条について説明を願いたいんです。
#184
○説明員(太原幹夫君) 電波法の第五条に、「欠格事由」というのがございまして、これは「日本の国籍を有しない人」、それから「外国政府又はその代表者」、それから「外国の法人又は団体」、それから「法人または団体であって、いま申しましたような三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの。」というふうに非常に厳格にしてございますが、これは、いま申しましたのは一般無線局に対してでございまして、放送に関しましてはこれ以上に厳格な規定になっております。このようになりましたのは電波というものの使用というものを強く外国性を排除して、日本国民といいますか、そういうものが使うのだというふうなものであろうと考えております。
#185
○岩間正男君 いまの説明がありましたこの第五条ですね、電波法第五条の精神というものは日本の主権にかかわる問題、しかもこれは国民が当然、この主権を構成する要素として当然これを使っていく。しかしですね、米国務省は強硬にこのVOAの存続を希望し要求しておる。しかもそして公然とこのことを要求しておると思う。そうすると先ほども外相の決意がございましたけれども、あらためてですね、こういうものは断固として拒否されますか、いかがですか。
#186
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたようにですね、そしていま郵政省からの御説明もお聞き取りになりましたわけですから、そういうような状況を踏まえて、外務省といたしましてもしっかりやってまいりたいと思っております。
#187
○岩間正男君 これは折衝で、何ですかどのような折衝があろうとも、今後こういう事理明白なものの、国内法違反のもので、日本の主権と非常に連関を持つもの、主権を侵犯するようなもの、こういうものは貫かれるのは当然だと思いますが、そう考えてよろしいですか。
#188
○国務大臣(愛知揆一君) 私も基本的には同様の考え方でございます。同時に先方さんとしては非常な熱心な願望を持っているようでございますから、十分こちらの立場も見解もよく話して説得をするようにいたしたいと思います。
#189
○岩間正男君 ただまあわれわれの伝え聞くところによるとですね、政府はVOAを暫定期間を置いて移転させる場合、移転費などの支出も考えておると伝えられておるわけですが、まさかこういうことはあり得ないことだと思いますが、これはないということをはっきり確認されますか。
#190
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申し上げましたような基本的な態度でもって、今後善処いたしたいと思います。
#191
○岩間正男君 移転費負担などというそういうあいまいな態度はとりませんね。
#192
○国務大臣(愛知揆一君) まあひとつ政府におまかせをいただきたいと思います。
#193
○岩間正男君 じゃあ次にお聞きしたいんですが、沖縄のコーストガード――沿岸警備隊は、これは何省が管轄していますか。
#194
○政府委員(吉野文六君) 管轄は運輸省でございます。ただしそれは戦時ないしは緊急時は別でございます。
#195
○岩間正男君 そこはどうなんですか。簡単に説明してください。緊急時にはどうなるのか。
#196
○政府委員(吉野文六君) 沿岸警備隊は、戦時または大統領が指令する場合、大統領が指令する場合とは、宣戦布告に至らない非常事態を予想していると説明されておりますが、その場合は海軍に属しますが、それ以外の場合は運輸省に属する、そういうことになっております。
#197
○岩間正男君 そうするとこれは軍の施設ではないですね。だから緊急事態では三矢作戦のあれを見てもわかると思いますが、日本などのあれを見ましても、全部これは政府機関なんか入るんですが、そういう事態をここでは問題にしていない。そうするとこれは返還後の沖縄にこういうことがもう残ることを認めるのですか、認めないのですか。
#198
○政府委員(吉野文六君) しかしながら、以上は所属ですが、しかし沿岸警備隊の設置法によりますと、沿岸警備隊は常時ミリタリサービスであり、合衆国軍隊の一部門であると、そう規定されております。そしてその機能から見ましても、また設置法自身から見ましても、これは合衆国の軍隊であります。
#199
○岩間正男君 運輸省に属している軍隊というのはどういう意味ですか。二義的存在なんですか。こういう形でおかしなものが、ここでこのまま、ある場合には軍の関係だから残す、安保にも関係がある。ある場合はそうじゃないというような解釈で、こういうことができないと。これは厳重にやる必要があると思うのです。私は、こういう点で、やはり安保の条項というものは明確にする必要がある。安保第六条には、「合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と、こうあるのでありますが、これはコーストガードは、陸、海、空軍、いずれも属さない。これは性格は変貌する――非常時には変貌するかもしれない。しかし、陸軍は同時に運輸省に属するというのは、そういう、性格があいまいなものであるということは考えられないですよ。一国の行政組織の中でそんなことありますか。したがって、当然これは、私は、こういうものの存在は許されないのだと思いますが、どうですか。
#200
○政府委員(吉野文六君) 合衆国軍隊の組織と機能に関する法律第百一条によりますと、軍隊とは陸軍、海軍、空軍、海兵隊及び沿岸警備隊を意味する、という規定があります。沿岸警備隊は、戦時においては海軍に属していることは先ほど申し上げたとおりですが、その他の場合においても運輸省に属しておりますが、米軍法制上は常に軍隊の一部であるとされております。
 先ほど申しましたように、軍隊とは、必ずしも陸軍省、海軍省に属するということにはならないと考えております。
#201
○岩間正男君 アメリカというのはそういうことをやっているところですか。驚いたですね。軍に属さないでほかの運輸省に属しているのが軍隊であると、こういう解釈なんですね。それはアメリカもそういうあいまいなものであればこそ、なお非常に私は危険だと思う。したがって、これは何もアメリカの国内法がどうであろうと、日本の政府がどう判断するかということを聞いている。こういうものに対して、やはり明確に態度をはっきりさせて、それに対してはっきりした処理をするというのが当然の任務だと思いますが、いかがですか。
#202
○政府委員(吉野文六君) 安保条約第六条にいういわゆる「陸軍、空軍及び海軍」というのは、陸軍省、空軍省及び海軍省に属する軍隊に限定されるものではなくて、陸上兵力、航空兵力、海上兵力から成っておる合衆国軍隊を総称するものであるというのが解釈でございます。
#203
○岩間正男君 その解釈はどこの解釈ですか。
#204
○政府委員(吉野文六君) 日本政府の解釈でございます。
#205
○岩間正男君 ちゃんと明記しているものを解釈の余地がないじゃないですか。「合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」とある。これ以外のものを許すということになりますか。
#206
○政府委員(吉野文六君) 先ほど御説明をいたしましたように、そこに書いてある陸軍、空軍、海軍というのは、陸軍省、空軍省、ないしは海軍省に属している軍隊に限定されるものではなくて、陸上兵力、航空兵力、海上兵力を総称するものでございます。
#207
○岩間正男君 そういう解釈を拡大していけば、そういう解釈はわれわれは了承するわけにはいきません。
 時間の関係で先に進みます。次に、軍関係のことでお聞きしたいのですが、沖縄の米軍及び基地の問題について、いままで何回も両院の論議が繰り返されてまいりました。私たちは、いままでの政府の答弁の趣旨をまとめてみたわけですね。愛知外務大臣にお聞きしますが、返還後の沖縄は、事前協議の対象になるものを除いては、どんな部隊であれ、安保条約の目的でチェックできるから、置いても差しつかえない。これが政府の総括された見解だと、こういうふうに思われるわけですが、それでようございますか。
#208
○国務大臣(愛知揆一君) 何と申しますか、法律用語としておまとめになったわけではございませんから、そういう意味では非常に不明確な点もあろうかと思いますけれども、大体の考え方はそういうことではないかと思っております。
#209
○岩間正男君 それはこの前の外務委員会でも繰り返した問題ですから、ここでやりますと――時間の関係からやりません。われわれは安保以前の問題で――安保の目的に沿わないものを対象に入れるか入れないかということは安保以前の問題です。事前協議でチェックするからだいじょうぶだというようなことを言っているけれども、そうじゃなくて、事前協議というものはすでにできたその基地に対する米軍の使用をどうするかということです。それ以前において安保の目的に合致するかどうか、そういうものを入れるか入れないかということは、これは安保以前の構成に関する問題なんです。原則的な問題なんです。ここのところはあなた区別されているということは明確だと思うのです。この前議論をだいぶ重ねましたが、結論が出ない。ここでやったらまたどろ沼におちいる。そういう危険があるから、だからここは次に移りますけれども、いまのような解釈をされているわけですが、その上に立つとコンポジット・サービス・グループという部隊、混成サービス・グループといわれる部隊が沖縄の玉城村にいますね。これはどんな部隊ですか。
#210
○政府委員(吉野文六君) 目下、詳細検討中でございます。
#211
○岩間正男君 あるのですね。
#212
○政府委員(吉野文六君) あることは聞いております。
#213
○岩間正男君 詳細検討中はいいけれども、サイミントン委員会の聴聞会のどうですか、報告書、この中にも、ランパートがサイミントン委員会に提出した基地一覧表の中に出ていますね。それから六九年当時、これは五百数十人の基地労働者がいた。軍人はすべて背広姿、それからミスターと、そういうことで呼ばれている。この軍隊は何をやっているのですか。どういう性格を持った軍隊ですか。
#214
○政府委員(吉野文六君) 先ほども申し上げましたとおり、目下鋭意検討中でございます。
#215
○岩間正男君 鋭意検討中という日本語は便利だな。何でもすべてそこにぶち込められることばだ。そんなことばで協定前における国会論議を封鎖するのですか。これはけしからぬと思うのですよ。これはパラシュートによる落下傘装置を持っている。それから小型カメラ、無印の無線機、消音銃、超小型ピストル、神経性ガス、社会主義国製の各種武器類を貯蔵して謀略、破壊活動に従事しているということは、この情報で明らかだと思うのですが、こういうことも御存じないですか。
#216
○政府委員(吉野文六君) 先ほど申し上げましたとおり、目下その実態把握につとめております。
#217
○岩間正男君 石の地蔵さんと問答しているようなものだな。それでいいのですか。もう少し開いてもいいのですよ。国民に何も知らせなさい。あなた方の任務でしょう、当然。朝日新聞の二月二十三日付、もと那覇支局の井川特派員の通信というのがあります。これはあなたたちもお読みになったと思う。プノンペンのバーで酒を飲んでいたら、そばで酔っぱらった私服の米人が安里屋ユンヤという八重山民謡を歌っている。声をかけて、私は沖縄に三年間もいた記者だと言うと、顔をこわばらせて退散した、CIAとの関係をうわさされるCSGのメンバーだとしてもおかしくない、こういうことを書いてある。こういうことも御存じないですか。こういうものは、情報を集めるのはあなたたちの任務でしょうから、ちゃんとお知りになっているでしょう。知っていても知らぬというのは少し罪ですよ。どうですか。――何ですか、答えないのですか。お答えなければ、これは知っていても答えられないということですか。何て情けないことですか。落下傘降下による謀略活動など返還後に行なわれるとして、こういうものが安保の目的に沿うものと言えますか。どうですか。お聞きします。
#218
○国務大臣(愛知揆一君) まことに恐縮なんですけれども、先ほど来私も申しておりますように、一つ一つのこの組織、この部隊はいかなるものであるか、これがどういう性格で、また安保とどういう関係かというところまで突き詰めて政府として責任を持ってお答えするだけの、まだ状態にございませんことを重ねておわび申し上げる次第でございます。
 それから、どういうものが、これが落下傘部隊ですか、何かそういうものが安保条約とどんな関係であるか、やっぱりこれ、実態を見きわめて、責任を持ってお答えすることにいたしたい。いましばらくの時間的な余裕をお与えをいただきたいと思います。
#219
○岩間正男君 実態を見きわめてという重大な発言をされたんですが、これから沖縄に行って実態を見きわめられるんですか、実態と言うんですから。どうなんです。
#220
○国務大臣(愛知揆一君) いや、別に、私がしろうとで、自分で行って目で見たってわかるわけでもございませんで、ですから、防衛庁その他が十分米側とも接触をし、協議をし、そしてこれはこうだということになりますれば、これは政府としての統一の見解として申し上げることができるようになると思うんです。
#221
○岩間正男君 沖縄の第七心理作戦部隊ですね、この部隊は沖縄を本拠として現在韓国台湾、南ベトナム、タイ、ラオス、アジア全域に分遣隊を派遣して、朝鮮の社会主義政権の転覆・国府による中国本土進攻をそそのかす謀略放送を行なっているということは明らかですね。これは御存じでしょう。
#222
○国務大臣(愛知揆一君) これもそういう部隊のあることは承知いたしておりますが、同時に本土にもこういう組織の分遣隊ですか、これがいるようでもございますが、したがって、いまお読み上げになりましたような任務がこの部隊の何といいますか、一〇〇%の任務であるのか、付随的な任務であるのか、その辺のところも先ほど来申しておりますような防衛庁の中にも専門的な、あるいはそれ以外の専門的な知識もいるかもしれませんが、どういう性格の部隊で、どういうことをやっておるかということももう少し事実を掌握してからお答えしたほうがよろしいんじゃないかと思います。
#223
○岩間正男君 本土にもいると言うけれども、本土とまるで違うでしょう。非常に違った性格を持っているでしょう。これは私は、何もわれわれが推定や何かでそんなものを言っているんじゃない。サイミントン委員会の報告書の中に出ているんじゃないんですか。あなた方ずいぶんこれを読まれたでしょう、ちゃんと。こういう問題について、事実、上院の外交委員会の聴聞会の議事録に出てくるわけですからね、そうでしょう。国府進攻をそそのかしているという、ちゃんと情報が出ていますね。それから朝鮮民主主義人民共和国に対する政府転覆の問題、こういうものが一三五四ページ、サイミントン報告、お読みになりますか。それから国府進攻をそそのかす、一三五八ページ、第七心理作戦部隊、この任務、お読みになったでしょう。そしていまのようなことをおっしゃっているんですか。われわれがとにかく手にしたほんとうにとぼしい情報の中から、それでさえも知り得る事実を政府が今日知らぬ存ぜぬという形でいるのはまずいと思うんです。本土にいる部隊というのは、これは基地労働者対策に限っているようですよ。朝霞ですか、いるのは。そうですね。これをもとにして沖縄のこのような謀略の基地、謀略の最大の中心基地、この沖縄における第七心理作戦部隊のこの姿を推定するなどということは、これは全く木に縁って魚を求めることだと思うんです。
#224
○国務大臣(愛知揆一君) サイミントン委員会については私どもは商売がら眼光紙背に徹して読んでおります。その点は御心配ございません。ただ、そこの中にあらわれていることについても、いろいろの角度からやはり日本政府といたしましては念には念を入れ、また今後のことを十分考えて読まなければならぬ点もございますし、かたがた先ほど来申しておりますように、いまもう少しアメリカ側の実情というものをさらに多く掌握して、というのは、その委員会はずいぶん前に行なわれた委員会で、事実はだいぶまた流動的であるというような点も考え合わせなければならないと思います。
#225
○岩間正男君 第七心理作戦部隊の動きについても、だいぶん流動的だなんと言われるけれども、どうなんでしょう。
#226
○国務大臣(愛知揆一君) そういう点が先ほどVOAについては先方が大いに願望を表明していることを率直に申し上げましたけれども、その中味といいますか、こういう部隊組織等についてどういうような点について、まだ米側とは話し合いの結論がなかなか出ない状況にある。一つ一つについてかれがこう言い、こちらがこういう意見だということを申し上げる段階ではございません。したがって、第七心理作戦部隊について米側はどういう見解を持っているかということは、これは憶測の域を出ないと御承知おきいただきたいと思います。
#227
○岩間正男君 話し合っていられることは事実ですね。いまちょっとそうおっしゃった。それからきのうの当委員会における鈴木委員に対する回答でも検討すると言いましたが、むろんその検討を急いでいただきたい。それから検討する検討すると言って、これを提起したのはわが党は昨年の九月十二日の沖縄特別委員会でこれをやっているのですよ。あれから何カ月になりますか。半年ですよ。そこらはどうなるのですか。さっぱり検討検討で日が暮れるというやつですか。何か何かとか外務省、検討検討で日が暮れる。あきませんよ、そんなことじゃ。それじゃ次に進みましょう。
 第七心理作戦部隊と表裏一体となって活動しているUSIAという情報機関があることは御存じですか。これは何をしているか。
#228
○政府委員(吉野文六君) USIAはアメリカの政府の宣伝広報機関でございます。
#229
○岩間正男君 それだけですか。宣伝の内容は何です。
#230
○政府委員(吉野文六君) これについても実態をさらに把握中でございますが、通常これは政府の通常の広報活動をやっているわけでございまして、アメリカの国内のニュースの海外への伝達、アメリカ文化映画その他の配布、そういうようなことも含めてやっております。
#231
○岩間正男君 どうもそういう御検討では全くわれわれ頼りがないです。われわれ自身が知っている問題を提起しているのに、少くとも噛み合うようなことはあなた答弁すべきですよ。これもサイミントン委員会の証言によると、さきほどの朝鮮の社会主義諸国の転覆、こういう呼びかけの放送は国連軍放送の名で行なわれていますが、第七心理作戦部隊は国連軍放送の内容について、USIA相談の上きめている。USIAとはこうした機関じゃないですか。つまりこういうものを指導している。第七心理作戦部隊をこれは指導している。ここと相談しているというのは、ここのところは指導している。
 ところが、沖縄タイムス三月十九日号によりますと、USIAは返還後の沖縄に支所を置く。返還で解雇予定の米民政府職員の中から日本人四十名、米人十名、計五十名採用決定したと、こういうふうになっているのですが、これはどうなんですか。
#232
○政府委員(吉野文六君) 先ほど申し上げましたように、USIAは米国の海外広報機関でありまして、わが国にもその支所があります。で、もっぱら海外広報サービスを行なうのがその任務でございます。先生御指摘のような活動がかりにあったとしても、それはおそらく相手国の国情とか民情とか、そういうものについてのおそらく専門的知識を提供したものだろうと理解しております。
#233
○岩間正男君 沖縄のUSIAが本拠になって、その活動範囲は台湾、南ベトナム、タイ等に及んでいることはこれは事実でしょう。まさにこれは沖縄、アジアの謀略拠点だということと、沖縄の本島に、いろいろ沖縄の性格があります。そういう中で全く謀略のもう中心、センターになっている。まああそこに行ってごらんなさい。外相もおいでになったでしょうが、あの謀略の網が張りめぐらされている本島をごらんになったでしょう。私も歩きました。謀略のほんとうにもう基地の空間を縫って歩くような感じがするんですよ、そうでしょうが。これを一体返還後の沖縄に許すかどうか、帰ってもらうか、これが私は沖縄返還後における非常に重大な一つの課題だと思うのです。これは沖縄の安全と平和のために、民主主義のために重要である。県民がこれを心から期待しているだけじゃない、日本の国民がこれを期待している。これがまず第一点。
 第二点は、きのうの内閣委員会でも私は問題を指摘したのでありますけれども、沖縄、本土の一体化と言われる、こういう中でわが国のこの情報のあり方が今後どうかということと非常に深い関係がある。あなたはいまUSIAの支所がわが国にもあると言った。はしなくもそういうことを言われた。これは非常に重大な課題をやはり提供しております。そういう一つの謀略の網が張られてきている。それからこのような機関そのものを残すか撤去させるかということが、やはり何といいましても安保条約そのものの性格が一体どういうものかというものと非常に深い関係がある。だから安保の沖縄化ということが問題にされて、安保の沖縄化というよりもアジア安保、太平洋安保、こういう問題との関連が深い。私は特にそのような情報謀略の宣伝活動、そういうものの一連の問題をこの返還協定の中のこのアメリカ基地の問題、返還の中でのこれを撤去させる、そういうことを要求してこの質問を打ち切りたいと思いますが、これには深い関係と背景があるということを指摘したいと思うのです。これに対して外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#234
○国務大臣(愛知揆一君) 岩間さんからいろいろ御意見を承りまして、私もいろいろ考えるところがあるわけですけれども、まず、いま最後のお尋ねに集約されている一つは、返還後USIAのようなものの支所というか、出先というようなものを絶対認めるべきでないと、これは謀略機関であるからと、こういうお尋ねでしたが、これは実は私どもそういうものを認めるか認めないかというのはこれからのことで慎重に検討すべき問題であると思います。同時に本土にもUSIAの支所、ブランチというものがあるわけですが、たとえば御承知のように、今度は多少縮小されることになっているようですが、アメリカ文化センターというのは、御承知ですね、各所にもございますが、これはUSIAのブランチといいますか、その下部機構です。それからアメリカンライブラリーというのもそういうものである。したがってUSIAと申しましても、これは日本流でいえば、国務省のまあ外郭といいますか、何といいますか、日本でいえば何々庁というのにも当たるのかもしれません。要するに情報文化局の大きな役目を持ったものだという理解もできるわけで、あながちUSIAだから、こんなものは相手にするなというのも少し行き過ぎではないかと思います。したがってアメリカとしては友好国、ヨーロッパもあるいはアジアにおいても文化センター、ライブラリーをずいぶんたくさん随所に置いていることは御承知のとおりでございます。そういう角度からも検討して一向差しつかえないことではないかと思います。それから第二段の、したがって、それだけお答えすればよろしいのかと思いますけれども、これはだから安保条約の何ですか、沖縄化ですか、本土化ですか、要するに安保の変質論と結びつけて、アジアの安保である、USIAの謀略機関を使ってけしからぬ、こういう御意見に発展をしていくわけなんですけれども、これはもう何年来申し上げておりますように、沖縄返還と安保条約の性格とは何らの変更はない。安保条約の変質などということは毛頭考えておらないというのが本土並みの返還でございますから、これは幾ら言いましても意見が対立するわけですから、これ以上申し上げませんけれども、政府といたしましては、安保条約を本土並みに沖縄に適用してまいります。安保条約は変質するものではございません。そういう角度で沖縄の返還というものをりっぱな形でやり遂げてまいりますように、この上とも努力をしてまいりまして、きょうは具体的なお尋ねに対して、まだお答えができないで、たいへん私は心残りですが、岩間さんもたいへん御不満であろうと思いますけれども、他日を期していただきたい。御協力をお願いしたいと思います。
#235
○岩間正男君 一つだけ。あなたがですね、USIAの支部が日本にもあって、そうしてそれが全国的にいろいろ文化センターだとか、その他のいろいろな文化情報活動をやっている、こういうのだから心配はない。これが私どもは心配なんです。そういうかっこうで網を張りめぐらされて、いざというときにこういう機構を使って、そうしてこれは実際は非常事態体制になると、この役割りがちゃんと明確になってくるのです。その点が心配なんです。そこらも逆なんですよ。そこのところあなたのほうは安心くださいと言うのですが、そこが私の心配のもとになっている。そういうことをやっていて、いざという非常事態のときに、これは米軍の指導によって行なわれるし、ある意味ではすっかりわかっている。すべて全部の情報が実際に入る、非常事態体制の中で。そうして、ことに国家の非常事態のそういう体制をつくる中では全部それらのものが入れられるのでしょう。それは何をやるかわかったものではない。これはわれわれは苦い経験を持っているのです。それをもっと近代的な非常に巧妙なやり方で、これを日常的にわれわれの身辺まで押えていくというのが現在の姿だ。この点は、まあただいまの御答弁に対して、私、この点を指摘して私の質問は終わります。
#236
○主査(金丸冨夫君) 以上をもちまして外務省所管に関する質疑を終了いたしました。明日は午前十時開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
  午後五時三十人分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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