くにさくロゴ
1949/03/25 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 運輸委員会 第15号
姉妹サイト
 
1949/03/25 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 運輸委員会 第15号

#1
第007回国会 運輸委員会 第15号
昭和二十五年三月二十五日(土曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長代理理事 前田  郁君
   理事 大澤嘉平治君 理事 大西 禎夫君
   理事 關谷 勝利君 理事 米窪 滿亮君
   理事 林  百郎君 理事 木下  榮君
      岡田 五郎君    尾崎 末吉君
      尾関 義一君    坪内 八郎君
      滿尾 君亮君    渡邊 良夫君
      上村  進君    飯田 義茂君
 出席政府委員
        運輸事務官
        (鉄道監督局
        長)      足羽 則之君
        運輸事務官
        (鉄道監督局国
        有鉄道部長)  石井 昭正君
 委員外の出席者
        運輸事務官
        (大臣官房文書
        課長)     土井 智喜君
        專  門  員 岩村  勝君
        專  門  員 堤  正威君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一一五号)
 運輸省設置法等の一部改正に関する件
    ―――――――――――――
#2
○前田郁委員長代理 委員長が見えませんので、私が委員長の職務を行います。
 これより運輸委員会を開会いたします。本日の議事に入ります前に、運輸省設置法等の一部を改正する法律案が、現在内閣委員会において審議中でありますが、本件について政府より運輸委員会に対して説明を申し上げたいとの申出がありますので、この機会に説明を承ることにいたします。土井説明員。
#3
○土井説明員 運輸省設置法等の一部を改正する法律案提案の趣旨につきましては、運輸省機構の根本的な改正というようなことには触れておりませんので、ただ運輸技術研究所を設けるという点を主眼にいたしまして、あとは條文を若干補つたという程度でございます。ねらいといたします運輸技術研究所を設置することにつきまして御説明いたしますれば、現在のところ運輸技術に関する研究機関といたしまして、船舶試験所がございます。そのほかは国有鉄道に鉄道技術研究所がございます。昨年の六月以来運輸省が設置されまして、日本国有鉄道が分離された後において、研究機関については政府が直接行うべきであるというような意見も出ました。かたがた船舶、自動車、港湾等、運輸交通機関の総合的な研究機関を設ける必要が強く要望されまして、このたび設置法の改正の中に織り込まれた次第でございます。このたびの運輸技術研究所は、船舶試験所を母体にいたしまして、それと鉄道技術研究所といたしましては、現在三鷹にあります中央航空研究所の施設を利用することが考えられますし、また運輸交通機関としての共通する部面の基礎的な研究ということに主眼を置いておきまして、総合的な試験研究機関として設置をいたす次第であります。
 なおこの運輸技術研究所には、予算といたしまして八千五百万円ほど、すでに提案を見ておる次第でございます。なお人員の点でありますが、ただいまの船舶試験所あるいは港湾の技術課から既存の人員はこちらに参るわけでありますが、そのほかに鉄道、自動車関係としまして、二百名ほど主として鉄道技術研究所より充てられるというような体制になつております。
 次に改正理由の内容に、特別地区船員職業安定審議会の廃止がございます。これは現在船員職業安定法によりまして、中央船員職業安定審議会及び地方船員職業安定審議会、合せまして特別地区船員職業安定審議会というのがございます。特別地区船員職業安定審議会は、二以上の海運局の管轄区域にまたがるものを予定しておつた胸わけでございますが、実際のところ今までは運用されておりません。そこへ各種の審議会の整理方針が閣議決定になりまして、その方針に従つて特別地区船員職業安定審議会は廃止するということにいたした次第であります。なお船員職業安定法の改正については、目下取進めておる次第でございます。
 そのほかに改正の規定としては、第二條に国家行政組織法の訂正がございますが、これは国家行政組織法の規定と運輸省設置法の規定とたまたま一致しておりません。その不備を修正する次第でございまして、現状を変更するものではございません。
 以上改正の大体の内容を申し上げましたのでございますが、主たるねらいは運輸技術研究所を設置するということにおかれておるわけでございます。運輸省設置法等の一部改正法律案の趣旨は大体以上の通りでございます。
#4
○前田(郁)委員長代理 ただいまの運輸省設置法等の一部を改正する法律案に対しまして、何か御質疑ございますれば……。
#5
○米窪委員 ただいま土井さんの説明の第二点ですが、特別地区船員職業安定審議会というのは、そういう役所ができたけれども、今まで何ら仕事をしておらないという意味で生れたのですが、この点は全日本海員組合の方との了解はすでにできているのですか。これを廃止する前に、すでに船員の団体と十分な御了解をとられたかどうかということを承ります。
#6
○土井説明員 この点については、中央船員職業安定審議会におきまして、運輸省の方から説明いたしまして、すでに関係方面の御了解を得た次第でございます。
#7
○關谷委員 これは従来の鉄道技術研究所を拡充し、船舶その他の関係もやるということになりますので、その点は賛成なのでありますが、この運輸技術研究所になつたために、人員の点でどれだけの経費がふえて来るのか。
 なお現在運輸関係等はいろいろ燃料等で困つておりますので、代用燃料等の研究も必要で、これもこの運輸技術研究所の中でやられるということを聞いておるのであります。以前にはクロオソートを代燃として、機帆船で使えるかどうかということの研究をしてもらうということになつておつたのでありますが、それ以来一向研究の結果というものの発表がないので、私たちどういうふうになつているのか、一度聞いてみたいというふうに思つておつたのでありますが、いまだにその結果を発表になつておりませんか、そういうふうなこともあわせてここでやることになりますれば、従来やつておつた結果を一応発表してもらつて、なおその上われわれが希望するようなことをやつてもらいたいというふうに考えるのでありますが、ここでやる場合に、従来よりこれが非常に徹底した方法ができるのかどうか。その点を伺いたいと思います。
#8
○土井説明員 今度の総合研究機関でございます運輸技術研究所は、鉄道、船舶、港湾部門、自動車部門を総合するわけでございます。その結果として従来予算で認められていた経費は――これは船舶試験所及び港湾の技術面でありますが、大体三千五百万円程度でございまして、それが新規に約五千万円ほど研究費として増額になつたわけでございます。
 ただいま關谷委員からのお話の代燃の問題につきましては、特に力を注ぐということを目標にいたしまして、ことに従来は自動車関係についてはつきりした研究機関はございせんで、鉄道技術研究所に一部委託しておつた点もございますが、今度の運輸技術研究所においては、自動車の性能関係、あるいは整備関係について、代燃装置に関する試験研究というものが、大きな項目で取上げられている次第でございます。
 なおそういう燃料関係については、自動車のみならず、船舶等にも共通する部面もございますので、そういう部面は、また基礎部面として取上げることになろうかと思います。特に力を入れますのが原動機関係でございまして、原動機関係については基礎部門に特別の部を設ける予定でございます。
 それから研究成果の発表について、ただいまお話がございましたように、今までは研究機関として確立されていなかつたために、その成果がどうなつておるかということについて、遺憾の点もあつたようでございますが、今後はこの研究機関かできることによりまして、そういう点について一般に発表するなり、公表するなり、大方の要望にこたえたいと念願している次第でございます。
#9
○關谷委員 人員はどの程度増加しますか。それともう一つは、もし人員が増加するといたしますと、定員法との関係はどういうふうになりますか、その点を伺つておきたい。
#10
○土井説明員 まず人員の関係でございますが、ただいまは船舶試験所に大体百五十名ほど職員がございまして、港湾技術研究課に約二十名ほどおりまして、合計しまして、今まで認められておつた定員は百七十名でございます。今度は新規に二百名が認められまして、合計して三百七十名程度の人員が研究に当る。こういう建前になつております。二百名新規増になるのでございますが、この点は一部は従来鉄道技術研究所でやつておつた分なのでございまして、そちらの方から移るというかつこうになるわけでございます。
 なお運輸省全体の定員からいたしますと、今度の予算では大体二千四百名程度人員が減るというかつこうになります。ふえておる部分と申しますのは、運輸技術研究所であるとか、あるいは海上保安庁であるとかいうようなものはふえておりますが、その他の監督部面で相当減つておりますから、差引きまして、そういうように二千四百名程度は減るということになりますので、定員の関係は全体としてはむしろ縮小するという状況に相なつております。
#11
○關谷委員 従来の日本のすべての研究所というようなものは、理論の上ではまことにりつぱな理論かできておつたのでありますが、これを工業化というか、実用化することにおいて、非常に遅れておつたのでありますから、この技術研究所ができましても、従来のような単なる研究機関に終らずして、これをほんとうに実用化するという点に重点を置いていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を打切ります。
#12
○米窪委員 ちよつと関連して質問いたします。
 船舶試験所についてですが、これは運輸技術研究所のおもなる部門であると思うのです。これは戦前より日本が世界の優秀なる船舶を建造するのに、非常に貢献をした試験所ですが、この予算は、今度の改正によつてその当時よりも減るのであるか、ふえるのであるか。またどの程度の規模になるのであるか。さらにその後の変遷はどうなつておるのか。一応文書課長にお尋ねいたしたいと思います。
#13
○土井説明員 ただいまお尋ねの船舶試験所の関係でございますが、造船技術あるいは船舶工学の点に、日本の現状が著しく遅れているという点に特に関心を持ちまして、まず溶接の関係であるとか、あるいは原動機の関係であるとかいう点は、これは特別に今度の研究機関で力を入れなければならないので、できれば基礎研究部門としまして、特別の研究室をそれがために設けるように予算を組みました次第でございまして、研究費の増額はそういつた基礎部門が大体のねらいでございます。なお従来やつておりました船舶の構造の関係、あるいは船舶の推進関係、今目白にございますような研究施設は、そのまま今後も力をいれて行くわけでございます。その限りにおきましては、船舶試験所自体はこれによつて、発展的に拡充されるということに相なるわけでございます。なおそれではどういうことを取上げてやるかと申し上げますと、原動機の関係から申しますと、今タービン部門というようなことがやはり問題になつておりますので、そういつたことに特別の研究費を計上してございます。それから溶接、特に船体の溶接に関する基礎研究というものに、特別の費目も掲げてある次第でございます。
#14
○米窪委員 ただいま目白にある船舶試験所のうちのおもな仕事の船型並びに速力の試験というものは、日本海運が再建復興するために、非常に重大なる基礎的な研究であると思うのですが、これについては従来のあの設備を縮小するお考えであるか。さらに拡大するお考えであるか。目白の今まであつたあの施設をさらに拡充されると解釈しておりますが、その通りですか。
#15
○土井説明員 ただいまお尋ねのありました通り、目白の施設は縮小いたししておるのではございませんので、むしろそれを基礎にいたしまして、より充実さして行く方針でございます。
#16
○米窪委員 それでは試験所にあるタンクなどは、むしろ拡充する御方針であるか。そういうぐあいに解釈してよろしゆうございますか。
#17
○土井説明員 あの試験水槽につきましては、さらに船舶の精度を、特に動揺等の関係から見まして、研究費を計上してございます。それから施設の修理費等につきましても、特に遺憾のないように費目を計上してございます。
#18
○上村委員 現在の運輸機関の技術をするということもいいのですが、われわれから見ると、今の自動車に対する根本的な考え方、それらのものも今研究してもらわなければならぬと思うのですが、それから最も日本の大衆的な交通機関としましては自転車、この自転車が一人が一人で乗つて一人で走らすということでなしに、もつと研究する必要があると思う。それから今でも人力車なんというのがあるのですが、これは必要であるからあるわけですが、どの人力車に対するいろいろの大衆的な方面からの研究、こういうようなもの、それから大きく言えば、日本の国は陸においては非常に細長い国でございまして、北海道から九州まで旅をするということになると、どうしても鉄道では非文明的、非文化的になるようなことで、これに対しては飛行機というものがある。むろん占領下においていろいろの制約があるわけですが、そういうふうな軽便な、特に軍事的でない、真に民衆の文化、交通に必要な飛行機、こういうものが研究の対象となるであろうが、一言で言うと、上は飛行機から下は人力車にいたるまでの交通機関というものを、今日根本的に考える必要があると思う。その中間の自動車、汽車、船、そういうものはむろんですが、そういうことについてどういう構想をお持ちになつておるかということを、お聞かせを願いたいと思うのです。
#19
○土井説明員 お尋ねの交通機関に通じます研究計画でございますが、この運輸技術研究所が取上げます交通運輸機関は、一応近代的な交通運輸機関全般に通じて研究の対象にしておりますけれども、お話のありましたような航空というような問題は、現在所管でございませんので、船舶、鉄道、それから自動車、これが主体になるわけでございます。もちろん軽車両につきましても、やはり研究の対象にいたしておるわけでございまして、近代的な交通機関において、そういつた軽車両がどういうような研究対象になるかというようなことで坂上げられるわけでございます。この自動車あるいは軽車両につきまして、主として日本の国情に合いますように、これは日本の道路の問題、それに合つた性能を発揮させるように自動車の使用、あるいは整備というようなことに力を注いで行きたい、こういうように考えているわけでございます。
#20
○前田(郁)委員長代理 それでは本件につきましてはこの程度にいたしまして、これより国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたし、前会に引続き質疑を行います。質疑の通告があります。これを許します。林百郎君。
#21
○林(百)委員 昨日の質疑の続きですが、政府から出された各等別一人キロ当り運賃の原価という資料、これは定員でありますが、実員の一人キロ当りの運送原価がわかつたら説明してもらいたい。
#22
○石井(昭)政府委員 ただいますぐにはちよつと申し上げられないと思いますが、定員に対して乗車効率の平均をお考え願えば大体の見当がつくのではないかと思います。乗車効率は三等九五%、二等が大体八〇%、一等も大体その程度だと思います。なお詳細に計算いたしてお知らせいたしますが、大体の見当はそれで御換算願えばいいのではないかと思います。
#23
○林(百)委員 そうすると、こまかい数字のやりとりは別にしますが、結局三等の原価の方は一等、二等に比べて、定員でなくて実員の場合にはずつと原価が安くなる。一等、二等の倍率がこの定員よりは高くなるというようにわれわれは解釈ずるが、それでいいかどうか。
#24
○石井(昭)政府委員 この数字よりは幾らか三等の方が、実員当りの運送原価は相対的に増すということはおつしやる通りであります。ずつとという表現が当るかどうか、私はそれほどではなかろうと思います。
#25
○林(百)委員 原価は三等の方がこれより少くなるわけですね。
#26
○石井(昭)政府委員 三等は九五%でございますから、やはり実員にいたしますとこの数字よりは多くなる。それから一等も二等も多くなりますが、一等、二等の多くなり方の方が、三等の多くなり方より多い。ですから相対的には三等の原価の方がこの数字よりも少いという結果にはなります。
#27
○林(百)委員 それから旅客輸送の人員と旅客輸送に基く收入の本年度一月と二月の比較ですが、これの当初の見込みと実際とはどうなつているか。大体数字とパーセントで一月、二月の定期外と定期の乗車人員、それから收入、これをひとつ示してもらいたい。
#28
○石井(昭)政府委員 実は予定收入と申しますのは、月別に計算したものはないのでございまして、結局年間を通じまして予定というものを予算上立てておるわけでございます。ただしいて予定收入をつくれというならば、その年間の予定收入を何らか一定の常識的な波動計数でもつて分割いたしまして、計算して行くよりしかたがないと思います。そこで実は今のお尋ねのお答えにマツチするかどうか知りませんが、ただいまのところ乗車人員を三月末までを推定いたしまして、そうして二十四年度の予定と比較いたしました数字はあるのでございます。これによりますと大体乗車人員におきまして、定期外は三月分の推定を入れまして十三億五千四百万人でございまして、これを予定收入に対する人員と申しますか、予定收入をあげるに必要な人員を推定いたしますと十三億七千二百万人で約一千八百万人ほどの不足が、これは年度を通しての通算で認められる。割合にいたしますと大体〇・一三%ということに相なるわけでございます。收入の方は、定期外收入は大体三月分も推定に入れますと五百四十六億円余になりまして、予定收入が五百六十五億、従いましてやはりこれも約十八億ほど不足の見込みであります。割合にいたしまして〇・三三%という大体の見通しになつております。ただいまの御質問に対するお答えには少し違つておるかもしれませんが、大体御了承願います。
#29
○林(百)委員 私の尋ねますところの要点はこういうことなんです。実はこの運賃を平均六割値上げしたのでありますが、旅客運賃六割を値上げしたにもかかわらず、その実際の收入見込みは六割値上げしたときの收入見込みほどない。それは定期外の乗客が見込み数より少い。従つて定期外の粛客の収入が見込みより少い。結局運賃は上げたけれども、かえつて定期外の旅客の数が減り、それから收入が減少したために、当初見込みだけの收入が上ることが困難になつたというようにわれわれは解釈しておるのですが、それでいいかどうか。
#30
○石井(昭)政府委員 ただいまの問題は、前国会におきままして貨物運賃の値上げについて御審議願いました際に、いろいろ御指摘がございまして、各委員の方々からおしかりを受けた点でございますが、実質はまさしくおつしやつたように値上げをいたました。もちろん値上げによりますところの利用の減少というものをある程度見込んで予想を立てたのであります。実際はそれよりもはるかに利用の減少が多い。従つて收入見込みに到達しないということはおつしやる通りでございます。ただそれが運賃の上げ方が大きかつたゆえにのみ帰せられるべきか、あるいは他の一般経済現象、相当金詰まりと申しますか、あるいは官庁予算等が非常に緊縮されまして、役人の出張等もきわめて回数が減つて参る。同じように各種企業における合理化が徹底いたしまして、社用、商用の旅行が比較的嚴重になつて参つたというような関係が、相当影響しておるという点もあるのじやないかこれは一般的に、いわゆる戰後の好況と申しますか、インフレ傾向にございました農林方面等におきましても、多少消費の点においていろいろ減退を見ておるというような、そういう一般経済界の事情によつて、運賃が上らなくても旅客というものが減るべき要素があつたのでございます。そのことは、運賃につきましては国鉄と同時に値上げをいたしませんで、昭和二十四年度中はそのままでおりました私鉄の乗客について見ましても、国鉄の方が私鉄より高くなりましたために、競争区間等におきましても非常に有利な條件になつたにかかわらず、私鉄の乗客数自体も減少を見ておるというような観点からいたしますと、必ずしも運賃を上げ過ぎたために減つたものばかりとは言い切れないのじやないかと思います。その点につきまして、われわれなり国鉄の当局の経営者としての見込違いがあつたということにつきましては、前国会においてもたいへんおしかりを受けたわけであります。そういう意味におきまして、運賃を上げたから減つたとか、端的に因果関係で結論づけられるとは考えておらないのであります。
#31
○林(百)委員 貨物輸送の、小口貨物のこの一月、二月の扱い数と金額を、前年と比較した数字がそこにありますか。
#32
○石井(昭)政府委員 小口貨物の対前年の比較は、小口貨物は発送トン数におきまして、一月が四割七分七厘の減、二月が五割八厘の減、收入で申し上げますと一月が、これは一月から八割値上げの関係がございますので、收入は一月が七・八%の減、二月が一〇・七%の減であります。
#33
○林(百)委員 この貨物の小口扱いの扱い量並びに扱い收入の減少は、いろいろ経済界の実情にもよるでしようが、一つはやはり運賃の値上げが相当大きく響いておるというように、われわれは解釈しておるのであります。そこでこの旅客運賃並びに貨物運賃を総覧して、われわれの持つておる結論としては、やはり大衆的な、たとえば旅客においては三等客、貨物においては小口扱いというようなものは、なるべく料金は下げてやつて、量を多くして收入をはかるということが、賢明な策ではないかというようにわれわれは考えておる。実は昨日も言いましたように、立つておる客がもうけさせてくれるのだというようなことわざが西洋にもあります。だからわれわれは余裕が出たならば、客なら三等旅客、貨物なら小口扱いの荷物、こういう方にできるだけのサービスをしてやつて、大衆的な收入をはかつて、その数が少くとも増加をすれば、相当大きな收入にたるという方向をたどるのが、賢明な策であるというようにわれわれは考えておりますが、その点について当局の考えをお聞きしたのであります。
#34
○石井(昭)政府委員 ただいまの林さんの御意見の、大衆的な性質を持つ、旅客でいえば三等旅客、貨物でいえば小口荷物については、できるだけ負担の軽減を行うべきだという根本的な原則については、まつたく御同感でありまして、国有鉄道も今後大いに経営の合理化をはかつて、それによつて得ました余裕というものは、従事員の給與の改善に充てるとともに、一面最も大衆的なそういつた旅客及び荷物の負担の軽減に充てるべきだ、かように私ども考えております。ただ今小口扱いの扱い数量について、これが半減いたしておりますのを、運賃の理由のようにおつしやつたのでありますが、これはそうではないのでありまして、実は小口扱いにつきましては昨年の六月から、鉄道が従来日本通運に委託しておつた積みおろし業務を、直営といたすことになりました。その結果といたしまして、全部日本通運を経ないで、鉄道といたしましては直接に小口扱い荷物を受託するという体制に切りかえました。しかしながらそれが急激な切りかえをいたしますためには、鉄道の輸送取扱い能力におきまして非常に不安がございましたので、小口混載扱いの制度を拡充強化することにいたしました。従来の小口荷物の約半数をそちらの方に転化し、そしてあと残つた半数でもつて小口扱いの制度をとる。小口混載制度にいたしますれば荷主にとつては運賃が低廉になる。それからまた鉄道にとりましては、使用貨車数等がきわめて少くて済むというような、荷主、鉄道とも双方利点がございます。またこれを取扱う運送店は、これによつて自分の商業的利益を上げることができるというような制度でありますので、これは従来ともあつたのでございますが、さらにその制度を拡充いたしまして、小口扱い荷物をそちらの方に転移いたしたのであります、大体予想通り約半数がそういうように転移して参つたのでありまして、これを通貨値上げの影響とおつしやるのは、これは私どもそうは感じておらないということを申し上げておきます。現に昨年六月以降は、五〇%ないし四〇%各月減つておるのであります。特に一月から減つたわけでございません。この点御了承願いたいと思います。
#35
○林(百)委員 扱いの收入が非常に減少しておるのであつて、しかもこれは一月から特にはなはだしくなつておる。ということは、説明のいかんにかかわらず、やはり運賃の八割値上げが、相当大きな影響を與えておるというようにわれわれは解釈しおるのであります。それは当局はどう言つておるかわからぬが、われわれはそう解釈しておる。これが大きな要素となつておるということは否定できないと思うのであります。
 それからもう一つあるのでありますが、定期乗車券利用状況でありますが、これの一箇月、三箇月、六箇月の、昭和二十三年十一月から三月までの一月平均とありますが、このときは、三箇月、六箇月が一箇月に対してどのくらいの割引率を持つておつたものか。それを知らせていただきたいと思います。
#36
○石井(昭)政府委員 実は定期券の基本運賃に対する割引率は、区間ごとに非常に異なつておりまして、三箇月、六箇月定期もそれに応じて区間ごとに異なつておりますので、正確には申し上げかねるのでありますが、全体を通じた平均を申し上げますと、一箇月を一〇〇としますと、三箇月が七六、六箇月が六〇、こういうかつこうになるかと思います。
#37
○林(百)委員 そうすると昭和二十三年の十一月から二十四年の三月までのときには、大体三箇月定期は一箇月割定期の二割四分引、六箇月定期は一箇月定期の四割引というときの状況における定期の利用数が、ここに出ておるというように解釈していいわけですね。
#38
○石井(昭)政府委員 けつこうであります。
#39
○林(百)委員 そこで現行のままで行くと、一箇月定期を利用する者が大体半分、あと三箇月が三割、六箇月が二割ということになる。そこで私たちの結論としては、大体今の制度で言うと、一箇月を利用する者は半分で、三箇月、六箇月は五割しか利用していない。この人たちに対して一割あるいは一割五分引いたところで、この程度では三箇月、六箇月の定期を利用する者はそう急にはふえないで、やはり依然として一箇月の定期を利用する者が非常に多いと思う。そうなると今度の三箇月、六箇月の長期定期を利用する者に対して、一割あるいは一割五分の引下げをしても、これは大衆的には大した恩惠にならないのではないかというふうにわれわれは解釈するのですが、その点はどうですか。
#40
○石井(昭)政府委員 三箇月、六箇月の定期券の一箇月に対する割引の仕方が、従前よりは少いために大した恩惠ではない。こういう御質問であろうと思うのであります。まことにおつしやる通り、従前に比較いたしますれば、確かに恩惠の程度は少いと思うのであります。しかしながら本日お手元に差上げましたもう一枚の資料をごらん願えばわかりますように、元来定期の割引率というのは、非常に高率なものでございます。たとえば二十三年七月の割引率を見ますと、一箇月定期におきましては一番高いのが六割引、一番安いのが八割三分三厘引になつておるのでございます。三箇月が七割一分四厘から八割七分三厘、六箇月が七割五分から八割八分九厘、ほぼ九割近い割引になつております。今申し上げたのは普通の通勤定期でございますが、学生の通学定期はさらに高率の割引率になつておりまして、最も安いのは九割四分引、つまり普通運賃のわずかに百分の六というような割引をいたしておるのあります。かような高率な割引でございますから、その間に不正使用等の事例も顯著になりまして、いろいろ防止策等もつきましてとかくの意見も出ており、定期券様式の改正についていろいろ物議をかもしたことも、御記憶のことではないかと思うのであります。そういうような関係がございますから、今回の割引率が前回の割引率に及ばないといたしましても、なお三箇月にいたしまして最高は八割五分引になつており、学生定期は三箇月で九割を越すというような割引率となるわけでございます。従つてこれは御利用になる方のいろいろな御都合もありますから、一概に三箇月あるいは六箇月に全部が全部なるとは申し上げかねますけれども、相当大きな御便利になると私ども信じておる次第でございます。なおこれは林さんの言われるように、必ずしも大衆負担の軽減ということは言いかねるかもしれませんが、会社、銀行等におきましてまとめて買う際には、おそらくこの長期定期の方をまとめて買われて、そうしてその差によるところの金利等については適当に計算をして、こちらの方に流れるのではないかという可能性が非常に多いのではないか。こういう考えを持つております。
#41
○林(百)委員 ただ私たちの問題にするのは、定期が今言つたように一割ないし一割五分しか下つていないのに、一等、二等の旅客運賃は大体三割くらい下つておる。しかも三等客の通行税がかかつておつたのが廃止になつたので、そこから一等、二等の客に特に利益が與えられておる。外客の誘致ということもありましようが、国民一般から見れば、今度の運賃の改正が、大衆のためではなくして、外客並びに一、二等客のための運賃の改正だということが言われると思う。現に福岡県八幡市の市会議長から、われわれのところへ請願が参つておるのであります。その請願の要旨を申し上げますと、一、急行料金の値下げ、遠距離逓減率の適用等が考慮されることはありがたい。一、しかし今回の値下げは一、二等の運賃のみで、三等運賃については何ら考慮されていないのは遺憾である。一、三等の利用者は比較的低收入の一般国民である。一、また遠距離逓減率のことであるが、現在の通勤事情から言つて、遠路離に対する逓減率より近距離交通の方が大きな問題であつて、これを考えてもらわなければならない。一、次に貨物運賃が値上げされたが、生活必需品について特に低額運賃の配慮がされていない。このこのは国民生活にはなはだしい影響がある。従つて今回の旅客運賃の改訂に対しては、一、二等運賃の値下げ措置をとりやめて、第一には三等の運賃を値下げすること、第二には近距離運賃を引下げてもらうこと。第三には貨物運賃について、生活必需品については特に値下げの措置を講じてもらいたいということを、八幡市の市会議長から請願が来ておるのであります。これを見ましても、今度の運賃改正は、民自党的性格を持つたものであつて、一部特権階級には有利であるが、大衆には決して有利にならないというように解釈しております。この点をお聞きして私の質問を終ります。
#42
○石井(昭)政府委員 大体林さんの御質問は、御意見の点が多いように思うのでございます。私からまたお答え申し上げましても、結局水かけ論になるものと思うのでありますが、昨日も申し上げたように、三等について何も措置していないというお話は、私どもの方はそうは思わないので、三等の旅客運賃につきましても、ただいま申し上げましたように定期運賃、遠距離逓減の運賃で、十分とまで行かないまでも、相当の措置をいたしております。それから三等の通行税財源をもつて、一、二等の運賃の値下げをするのはけしからぬというお話でございますが、この通行税財源の中には、二〇%一、二等にはかかりますが、前にかかつておりました五%分は、一ぺん取込むことになつておりますから、全部が全部三等運賃の財源でないということが一つ、いま一つは、値下げによりますはね返り増收をある程度見ておりまして、これをもつて高級の方の引下げに充てるという考え方をいたしております。しかしそれで全部まかなつたわけではございません。なるほど一部分は通行税の財源をもつて充てておる点がございますが、必ずしく全部がそういうような考え方ではない。いわゆる増收分をもつてこれに充てる。そして外客誘致というような点につきまして、日本の国際收支の改善に資する目的を果したいと考えておる点が一つ、そういう観点からやつておりますが、ただいま林さんがお読上げになりましたようないろいろの説はまことにごもつともで、私どももできればぜひいたしたいと思うのでありますが、ただいまでは一方において十円の金が余つたので、千円の物を買えというようなお話の趣旨になりますので、今回の三十億程度’の財源をいかに三等客に均霑いたしましても、それはただいま申されたような御趣旨に沿つてやつても、ほとんど目に見えるような効果がない。でございますから、この際は重点的にそのような目に見える効果のある方へ使うことをお許し願いたい。こういうことをお願い申し上げたいのでございます。十分なる財源を今後国鉄の経営の努力によりまして生み出したあかつきに、国民の負担をますます軽減するという場合には、そういう方に重点を指向してやつて参りたいと考えておることは、林さんと同感でございます。
#43
○關谷委員 この運賃値下げは、以前に鉄道運賃の値上げのときに、こういうふうな措置をしろという強い要望があつた、その通りになつておりますので、質疑はこの程度で打切りまして、討論採決をせられんことを望みます。
#44
○前田(郁)委員長代理 ただいま関谷君から質問打切りの動議がありましたが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○前田(郁)委員長代理 それではさよう決定いたします。
 それではこれから討論に入ります。関谷君。
#46
○關谷委員 これは私達以前に、運賃値上げの際にこういうことをぜひやつてもらいたい。そうして通勤者のためにぜひ定期券の割引をしてやつていただきたい。一、二等の倍率があまりにも多過ぎるというようなことを主張しておりましたので、今度の改正案によつて十分とは言えないまでも、われわれの希望に沿うたものでありまするので、私はこの法案を通過することに賛成をいたします。
#47
○前田(郁)委員長代理 米窪君。
#48
○米窪委員 この法案、鉄道の方面に関する限りは、関谷君と同じ意見でありますが、船舶については過日の大蔵委員会との合同審議において、われわれは船舶における二等の通行税の格下げあるいは無税を主張したにかかわらず、それが修正することができなくて、船舶の二等、一等にはやはり鉄道と同じような通行税がかかることになつた。ところが今後出て来る地方税、ことに固定資産税のごときは、相当多額なる負担が船舶の所有者にかかつて来ることになりました。従つて船主はその税金の肩がわりで、運賃を相当高くしなければ、船舶経済の採算がとれない。こういうことになつて来ると、勢いそれは船舶所有者のみでなく、船舶によつて旅行するところの旅客にも相当の負担がかかつて来るという点が、われわれとしても相当問題であると思うのであります。同時に先ほど質問の中にありました一等、二等に対する運賃の軽減が、三等の場合よりも相当軽微――というと語弊があるが、楽である。すなわち三等の方がその逓減が少いという点において、われわれははなはだ遺憾の意を表するものでございまするが、一応この運賃の逓減に対してはそういう遺憾の意を表して、私賛成するものであります。
#49
○前田(郁)委員長代理 上村君。
#50
○上村委員 共産党はこの趣旨が大衆的でない。つまり三等客が主にならなければならないにかかわらず、一、二等を主としてのこういうふうの運賃の改正には反対であるということを言つておきます。
#51
○前田(郁)委員長代理 これをもつて討論は終結いたしました。
 引続きこれより国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#52
○前田(郁)委員長代理 起立多数。よつて本案は原案通り可決することに決しました。
 なおお諮りいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○前田(郁)委員長代理 異議なしと認めます。
 本日はこれをもつて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト