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1970/03/26 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第一分科会 第4号
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1970/03/26 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第一分科会 第4号

#1
第065回国会 予算委員会第一分科会 第4号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
   午前十時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     斎藤  昇君     白井  勇君
     杉原 一雄君     西村 関一君
     松下 正寿君     向井 長年君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         平島 敏夫君
    副主査         松本 賢一君
    委 員
                白井  勇君
                林田悠紀夫君
                森 八三一君
                三木與吉郎君
                西村 関一君
   国務大臣
       法 務 大 臣  植木庚子郎君
   政府委員
       法務大臣官房会
       計課長      伊藤 榮樹君
       法務省矯正局長  羽山 忠弘君
       法務省保護局長  笛吹 亨三君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長   瀬戸 正二君
   説明員
       内閣審議官    植松 守雄君
       法務省民事局参
       事官       宮脇 幸彦君
       厚生省環境衛生
       局食品衛生課長  鴛淵  茂君
       厚生省環境衛生
       局公害部庶務課
       長        竹内 嘉巳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○主査(平島敏夫君) ただいまから予算委員会第
 分科会を開会いたします。
 分科担当委員の異動について御報告いたします。
 本日予算委員の異動に伴う欠員の補欠として西村関一君が本分科担当委員に選任されました。
 また、斎藤昇君が委員を辞任され、その補欠として白井勇君が選任されました。
#3
○主査(平島敏夫君) 昭和四十六年度総予算中、法務省所管を議題といたします。
 政府側の説明はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○主査(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○西村関一君 まず最初に公害訴訟の問題についてお伺いをいたします。
 この問題に対してお尋ねをいたしますに先立って、公害の現状はどういうことになっておりますか。申すまでもなく、公害は深刻かつ多発的な傾向をたどっておりますが、第一は、公害健康被害救済法によって認定された患者の実情はどういうことになっておりますか。また、二番目には、裁判に持ち込まれておりますところの公害はどういう状態になっておりますか。この点からお聞きをしていきたいと思います。
#6
○説明員(竹内嘉巳君) お答えいたします。
 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づきます認定患者数につきましては、本年の二月末現在で総数で三千二百三十二名。内訳といたしますと、水質関係では、富山のイタイイタイ病関係で九十四名、それから熊本、鹿児島の水俣病関係で七十四名、新潟の水俣病関係で四十三名、計二百十一名であります。それから大気汚染関係につきましては、川崎市で三百五十四名、四日市市で六百二十四名、大阪市で、これは西淀川区でございますが、千四百六十九名、尼崎市で五百七十四名、計三千二十一名、合わせまして三千二百三十二名が二月末現在の患者数でございます。
 これに対しまして、法律上医療費を支給するとともに、一定の要件に基づきまして医療手当及び介護手当を支給しておるわけでございます。
 なお、御質問の第二点にかかります健康被害に関連した現在訴訟になっている例でございますけれども、御承知のように、イタイイタイ病関係の訴訟が富山の地裁に三井金属株式会社を被告といたしまして、原告四百九十二名で提起されております。第二番目に、態本の水俣病訴訟、これが熊本の地裁にチッソ株式会社を被告といたしまして、原告百十二名の訴訟、それから三つ目といたしまして、新潟水俣病訴訟につきましては、新潟地裁で昭和電工株式会社を被告といたしまして、原告四十九名、それから四日市ぜんそくに関する訴訟は、昭和四日市石油等の六社を被告といたしまして、原告九名、それから大阪国際空港の騒音訴訟は、国を相手にいたしまして、原告二十八名の訴訟がそれぞれ提起されておりますが、いづれもまだ結審には至っておりません。
 以上でございます。
#7
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 公害訴訟の係属件数についてお答えいたします。
 昭和四十五年六月三十日現在におきまして、公害対策基本法にいう公害に当たる訴訟事件が二百六十六件係属しております。
 この内訳を詳しく申し上げますと、騒音、振動、地盤沈下に関する事件が百十八件、大気の汚染に関する事件が二十二件、水の汚染に関する事件が二十四件、日照・通風の妨害に関する事件が七十七件、その他二十五件と相なっております。
#8
○西村関一君 いまお答えになりましたように、訴訟の数も二百六十何件にまで及んでいるということであります。そのうち、一つもまだ結審に及んでないという状態であります。裁判が長引くということになりますと、判決を待たずに死亡してしまうところの被害者も出てくるかと思うのでございます。また、なかなか訴訟になっても有利な結果を期待することができないというようなことから、安易に和解に持ち込まれるというようなことになりまして、被害者の主張が十分に貫かれないというようなことも考えられるのでございます。
 そこで私がお伺いいたしたいのは、裁判の長期化をどのようにして防ぐことができるか、なるべく早く裁判が終わるようにするのにはどうすればよいかということを伺いたいのでございますが、そのことについて法務当局の御見解をお伺いします前に、裁判所の側といたしましては、いまのお話になりましたうちで特に重要と考えられます水俣病の訴訟、それからカネミ油症の訴訟、富山のイタイイタイ病の訴訟等につきましては、現在どういう過程にございますか。裁判の過程はどのような状態にございますか。その点を最高裁のほうから伺っておきたいと思います。
#9
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) お答えする前に、先ほど申し上げました二百六十六件という件数は、調停を含んだ件数でございまして、そのうち訴訟事件は二百十二件でございまして、調停の五十四件を含んだ数であるということを訂正しておきたいと存じます。
 訴訟の促進につきましては、われわれ裁判所が常に努力しているところでございまして、公害訴訟の審理を促進するために、各係属裁判所では、将来にわたって期日をあらかじめ指定するとともに、その期日と期日との間隔をできるだけ短くしまして、集中的に訴訟を審理するという方法をとってきたわけでございます。で、この方法によりまして、富山地裁に係属中のいわゆるイタイイタイ病事件は、去る三月十二日、第一次訴訟につきまして弁論終結と相なって、本年六月三十日には判決が予定されておるのであります。また、新潟地裁に係属しております阿賀野川の有機水銀中毒事件につきましても、これは新聞報道でございますが、新聞報道によれば、すでに弁論終結段階に入っているといわれております。イタイイタイ病訴訟は、昭和四十三年三月九日に訴えが提起されたものでありまして、今日、本日までの間三年でございます。また、阿賀野川事件は、昭和四十二年六月十二日に訴えが提起されたものでありまして、本日まで三年九カ月を経過しているわけでございます。で、この種公害訴訟は当事者が多数でございます。前者、すなわちイタイイタイ病事件で言いますと、総計四百九十三名。阿賀野川事件で言いますと、七十六名に達しておりまして、事案は複雑でありますし、請求金額も膨大な額にのぼっているのであります。すなわち、イタイイタイ病事件においては七億円を請求しておるのでありまして、阿賀野川事件においては四億三千万円を請求しているわけでございます。で、このように当事者が多数である、事案の内容が複雑である、請求金額が膨大であるという点を考慮いたしますと、この進行速度はむしろ異例に速いということが言えるだろうと思うのであります。
 なお、最高裁判所では、昭和四十五会計年度におきまして、公害及び医事事件研究会を開催し、必要図書を配付する等、大いに公害事件の訴訟促進に努力してきたわけでございますが、昭和四十六会計年度におきましても、約四千万円の予算要求をして、なお一そう審理の促進につとめたいと存じている次第でございます。
#10
○西村関一君 ただいまおあげになりました訴訟につきましては、鉱業法に基づく訴訟であると理解しておりますがそのとおりでございますか。
#11
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) ただいま、イタイイタイ病事件と阿賀野川事件、二つを例にあげましたが、前者が鉱業法百九条の事件でございまして、後者は民法七百九条による事件でございます。
#12
○西村関一君 裁判の迅速化をはかるためには、いま、いろいろ裁判所側として、最高裁判所側としての対策をお述べになりましたが、私の考えますところは、公害裁判が長引いておるということの最大の原因は、原告側におきまして、相手側の過失及び因果関係の挙証責任というところにあると思うのでございます。現行民法の七百九条では過失責任主義について、民法ではこの規定がございませんで、七百九条の過失責任主義というものについて、これを除外する必要があるんじゃないか。民法のこの規定を除外する必要があるんじゃないかと思うんでございます。そうでないと、なかなか相手方の過失及び因果関係というものを挙証することがむずかしいと思われるんでございます。それはどうしても大企業の実態から申しまして、公権といえども、企業の中へ立ち入っていろいろ検査をするということがむずかしいと思われますが、まして個人の力では、その過失を立証することはほとんど不能に近いと思われるんでございます。よって民法七百九条の過失責任の原則は、公害訴訟にありましては除外をしていかなければならないと考えるんでございます。鉱業法の例で申しますと、無過失責任の規定がございます。そういうような特別立法をしなければ、裁判の迅速化をはかることはむずかしいというふうに考えるんでございます。また、因果関係の推定制度の規定を設けるということが必要ではなかろうかと思います。すでに刑事責任の分野におきましては、いわゆる公害罪処罰法と俗に言われております人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律第五条には因果関係の規定がありまして、責任立法におけるところのこれは前進であると言われておりますが、民事責任におきましてもこういうことが必要ではないかと思うんでございます。
 要しますに、民法の責任原則の例外規定として、無過失責任の因果関係推定を規定いたしましたところの特別立法をつくらなければならないと考えますが、法務省としては、この点につきましてどういうお考えを持っておいでになりますか。
#13
○説明員(宮脇幸彦君) 仰せの点、まことにごもっともだと存じますが、公害に関する関係企業の無過失賠償責任につきましては、公害の実態、さらには企業活動の実態等に即しまして、必要かつ合理的な範囲においてこれを認めるべきではないかというふうに私どもは考えております。
 そこで、現在これらの実態を把握しておられます関係省庁、特に公害対策本部においてその検討を進めておるやに伺っておりまして、私ども法務省といたしましても、法律的な面からこれに十分協力しておるつもりでございますし、今後も協力いたす所存でございます。
 なお、先生の仰せの中にもございましたが、公害裁判が長期化するのは必ずしも過失の有無の点だけではございませんで、特に因果関係の証明が困難であることにもよるものでございますから、公害裁判の審理を早くするためには、公害が発生いたしました場合に、関係機関が協力して、迅速にその原因の究明に当たるという方策も今後考えていくべきではないかというふうに考えております。
#14
○西村関一君 関係省庁と連絡をとって原因究明に当たっていくということでございますが、その主体は公害対策本部にあるんでございますか。
#15
○説明員(植松守雄君) いま法務省からお答えがあったような段取りで、政府部内の手続は進めておるわけでございます。つまり、これは何と申しましても、一つは政策判断の問題があろうかと思いますし、それと同時に、現行法秩序との調和というような問題がございますから、その意味におきまして、法務省はやはり重要な。パートナーになっていただかなければならないわけでございます。
 しかし、いま御答弁ありましたように、公害と申しましてもその態様は千差万別でございます。御承知のように、公害対策基本法に典型七公害というのがあがっているわけでございますけれども、その中にも種々さまざまな態様がございますから、やはり無過失責任主義といったような観点から、無過失賠償責任を認めるものといたしますれば、やはりそこにおのずから線を引かなければならない。そういたしますと、どういうことがいま一番緊急であるのかというような問題につきましては、法務省の法律サイドの検討だけではぐあいが悪いわけでございますから、全体の公害の実態について十分検討しなければならない。そういうものと、一方において実態調査を進めながら、無過失責任を現行の法律制度のもとにどう位置づけていくかという問題でございますから、関係各省の協力が要るわけでございます。現状におきましては、公害対策本部が中心になりまして、関係省、具体的に申しますと、厚生省、経済企画庁、それから農林省、通産省、これらが中心になって、何回も打ち合わせをやっておるわけでございます。それで、一応政府内でも素案をつくりまして、それを法律的にいろいろ検討していただくべく、いまわれわれと法務省と話し合いに入っておる段階でございます。
 ただ、いま申し上げましたように無過失賠償の問題が中心になっておりまして、因果関係のほうは、これはちょっと、何といいますか、立法的な解決というのはよほど入念にやらないとむずかしいように思います。いま、御指摘の公害罪法における推定程度の規定であれば、民事の場合は、刑事のような厳格な立法ということよりも、やはり事実上の推定というものがなされますから、あの程度の規定は民事ではいいのじゃないかというふうに考えております。
#16
○西村関一君 民法の推定ということについては一応考えられるということでございます。したがいまして、公害に対する特別立法ということに至るまでには、それは必要であるかないかということにつきましては、総合的な調査に基づいた判断によって法務省が中心に考えるというふうに理解してよろしいですか。
#17
○説明員(植松守雄君) もちろん法律的に、現在の法律体系の中でどう位置づけるかという問題につきましては、法務省が十分検討されることでございますけれども、その前に、各種さまざまの公害現象の中で、どういうものについて無過失賠償というものを考えればいいのか。しかも、その場合のいろんな限定のしかたでございますね。たとえば人の健康なり生命に重要な被害を及ぼしたようなものに限っていくのか、あるいは財産被害をどういう形で取り上げていくのかといったような問題もございますし、そういう、いわば政策判断が入るような問題につきましては、公害対策本部が現在中心に検討いたしております。
#18
○西村関一君 いま植松審議官からお答えをいただいたのですが、法務省側としては、この点についてはどういうふうにお考えですか。
#19
○説明員(宮脇幸彦君) この問題は、民法のいままでとってまいりました過失責任の原則をゆるがす大問題でございますので、公害対策本部と密接な連絡をとって、目下立法作業の準備を始めた段階でございまして、まだ前途どのような方向になるか、ここでちょっと即答いたしかねる段階でございます。しかし、御期待に沿うべく、なるべく早い機会に結論を出す努力をいたします。
#20
○西村関一君 立法作業を始められるということでございますが、調査にも慎重を期さなければならないし、調査の結果に基づいて、総合的判断によって立法化を急がなければならないと思いますが、私がお尋ねいたしておりますのは、公害のために非常な犠牲を払わされているところの被害者の人たち、そういう人たちが、さっきも申しましたように、裁判が長引くために、どうにもならないような状態に追い込まれていくということを、できるだけ救済をしていくために、政府としても考えていただかなければならないのじゃないかという見地から、法治国家として法制的にどのような措置がとれるか、どういうようなことで公害被害者を救済することができるかということを、真剣に取り組んでいただきたい。いま、御答弁によりますというと、各関係省庁が公害対策本部を中心としてこういう観点から準備を進めておられる、法務省としても法制化に取り組みかけているということでございますから、一日も早く適切な法制化ができますように期待するものでございます。
 これは、私の思い過ぎかもわかりませんが、企業の側に立って、被害者の立場、つまり人間の生命を守るという立場に立って法体系が、十分な生命を守るための法体系をつくり上げていくということができませんと、企業も大事だ、企業優先であってはいけない。人間の生命を優先するという立場から、この公害問題に取り組んでいただきたいということでございます。公害がこんなにひどくなってまいりますと、日本の産業経済が非常な発達をいたしますとともに、その反面、こういう暗い面が深刻化してくる。そういうことで、被害者の唯一の救いの道は、やはり法に基づくところの裁判によって、その公正な裁判の結果によって救済されたいということでございます。そういう点に対して、いまの御答弁で大体政府も一生懸命やっておられるということでございますから、了解いたしますけれども、一日も早くこの立法化のために御努力を願いたいということでございます。そういうふうにお願いをするとともに、私としてはそういうふうに理解してよろしいですか。一日も早くそのために作業を急いでいる、そういうことのないようにやっていくというふうに理解してよろしいですか。
#21
○説明員(宮脇幸彦君) 御趣旨を体しまして、十分な努力をいたします。さよう御理解いただきたいと思います。
#22
○西村関一君 厚生省の側にお伺いをいたしますが、いま公害訴訟にかけられておりますところの被害者の実情でございます。被害者の実情はどうなっておりますか。それぞれの種類により、おもな裁判の種類によりましてお答え願いたいと思います。たとえばイタイイタイ病でありますとか、カネミ油症の患者でございますとか、水俣病の患者でございますとか、どういうふうな状態になっているか。その点、厚生省の側からお答え願いたいと思います。
#23
○説明員(竹内嘉巳君) 被害者の実情につきまして、私どものほうでは、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づいて、公害病として認定した患者について、医療費の支給と、それから医療手当及び介護手当の支給を一定の要件のもとに行なっておるわけでございます。
 現在、いま御指摘になりました富山のイタイイタイ病については九十四名の患者について、それから熊本、鹿児島の水俣病については七十四名、新潟の阿賀野川については四十三名というような形、計二百十一名について、現在、健康被害者の特別措置法に基づき給付を行なっておる状態でございます。
#24
○説明員(鴛淵茂君) カネミの油症事件につきましては、私どもは公害とは考えてないわけでございますが、一応食中毒事件として、カネミ会社が製造いたしました製品によりまして中毒症状を起こしました事件でございまして、まあ原因、因果関係が、私どもとしては会社の製品によって起こった事件であるということが明らかでございますので、会社のほうで一応患者さんの治療費あるいは病院に行くための通院の交通費でございますとか、それから一家をささえる方が入院されたような場合には、その家族に対する援助費等を会社のほうから支出してもらうよう指導をいたしまして、会社のほうでは大体そういうような治療費等必要経費を含めまして、月間約五百万円程度の支出をいたしているようでございます。それから生活に非常に困られました世帯の方々に対しましては、特に福岡県及び北九州市が患者数が多うございます。それぞれの福岡県並びに北九州市、それから福岡県内の大牟田市、福岡市というようなところで貸し付け金の予算を組みまして、最高一世帯当たり十五万円という貸し付けを行なった事実もございます。また、厚生省のほうといたしましては、昨年の七月から世帯更生資金の中で、いままではそういう貸し付けができませんでしたものを、特に厚生大臣が認めたものについては貸し付けできるような制度にいたしまして、世帯更生資金から必要な貸し付けを行なうように措置を一応やっているわけでございます。
 以上でございます。
#25
○西村関一君 それじゃ、この公害訴訟問題、公害問題につきましてはまだお尋ねしたいことがございますけれども、ほかの問題についてお尋ねするのに時間が足りませんから、一応公害の質問は終わります。
 大臣、いま退席をしておられます間に、公害訴訟の問題についてお尋ねをいたしまして、これは公害の被害者の生命を、人命を尊重するという立場から、法体制の中で十分でない点があるから、これを改めてもらいたいということで、一日も早く被害者の救済ができるような法体系を整えてもらいたいということをお伺いしまして、法務省もそのために各関係省庁と協力しながら、そのために努力している、その準備にかかっているということを言われましたから、一応質問を終わったわけであります。
 そこで、次に私のお伺いしたい点は、主として矯正局、保護局についての問題でございます。先般の予算委員会の一般質問におきまして幾らかその点に私は触れたのでありますが、まず第一点は、施設内で活動しておりますところの教戒師活動、矯正施設の中で活動しております民間のボランティアの教戒師、この教戒師活動について、政府はどのように評価しておられますか、そういうことからお伺いしたいと思います。
#26
○国務大臣(植木庚子郎君) 教戒師の活動の状況の詳しいことについては、なお事務当局から補足していただきますが、私のところで一般的なお答えを申し上げますと、矯正施設で教戒に従事しているいわゆる宗教教戒師と申しますか、こうした方々の人数は相当のものにのぼっておりますが、その宗教教戒の実施状況等も非常に熱心に、非常に一年を通じてたくさんの回数にわたって、あるいは個別に、あるいは集合的にそういう機会を持っておるのであります。活動状況はいろいろ宗教宗派別に見ますと、仏教関係もありますし、あるいはキリスト教あるいは神道とございますが、中でも一番多いのはやはり仏教関係の方が一番多い、五割五分を占めておるような状況でございます。もちろん教戒の際におきましても、収容者の信教の自由については、これはもちろん、でき得る限りの保障をしてまいることは言うまでもございませんが、他方、収容者に対しましては、その希望等を考慮いたしまして、適当に宗教教戒を受けることを可能ならしめるように努力をし、また民間の篤志家の宗教活動に対しましても、できる限り便宜をはかってまいっておるような次第でございます。
 教戒師につきましては、われわれは収容者の改過遷善のいい反省の材料になるお話を聞いたり、また率先、直接にその人たちの人格に接して、そうしてだんだんと、何と申しますか、新しい道に進んで、正しい道に進んでまいる非常によい機会を与えられるのでありますから、これにつきましては、なお一そう将来とも力を尽くしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#27
○西村関一君 これらの宗教教戒師の方々は、各宗各派から選ばれて、進んで施設の中にある収容者のために、奉仕的に活動しておられる方でございまして、私の見るところ、全国的にかなりの成果をあげていると思うのでございますが、大臣におかれましてもそのことをお認めになって、今後ますますこれが活動に期待していきたいという趣旨のお答えがございましたが、予算的に見ますると、もともとこの制度はボランティア、篤志家の人たちの奉仕による働きでございますから、十分でないことはわかっておりますけれども、宗教教戒師のたとえば謝金の問題にいたしましても、いろいろ御努力を願っておりまして、四十六年度の予算額の中でも、幾らかではございますが増加を見ておるという現状でございますが、謝金など教戒師の人たちはあまり問題にしていないと思いますけれども、いろいろ宗教教戒師活動をいたしてまいります上において、研修会を催しますとか、いろいろそういうことの会合の費用等も要ると思うのでございまして、各管区ごとに教戒師会の連合会もできているようでございますが、こういう自主的な教戒師の研修活動等につきましても、可能な範囲の配慮を法務省としてはしていただいてしかるべきではないかと思うのでございますが、これが予算的な措置につきまして、教戒事業の予算の面につきまして、ただ謝金の中でそういう研修会等をやっておるようでございますが、ますますこの働きを充実してまいりますために、具体的に法務省としてはどういうふうにお考えをいただいているか、この点も伺っておきたいと思います。
#28
○政府委員(羽山忠弘君) 先生御承知のように、昔は、終戦当時は教戒師というものが行刑施設の常勤の職員として約二百人くらい全国におりまして、それが宗教教戒をやられたわけでございます。私はその当時の実情をつまびらかに存じませんが、先輩その他の人々から話を聞いたところによりますると、たとえば非常に矯正困難のような人間につきまして、教戒師の方が朝から晩まで一対一で取り組んで、しかも数日間にわたってその教戒をされるというような御努力によりまして、手もつけられなかったような性格の曲がった人間が、生まれ変わったようにまっすぐになると申しますか、立ち直ったというような例は枚挙にいとまがないということを承っておるわけでございます。したがいまして、事務当局といたしましても、宗教教戒というものが過去において果たしました大きな実績というものは非常に高く評価いたしておりまして、矯正施設から宗教教戒というものをやめてしまうとかいうようなことは夢にも考えられないというふうに考えておるのでございます。
 そこで、ただ遺憾なことには、憲法の改正によりまして、国または国の機関が直接宗教活動を行なうことができなくなったというようなことがございまして、常勤職員でありました教戒師さんは、すべて民間のボランティアの教戒活動にお願いせざるを得なくなったというわけでございます。当初、そのようないきさつがございまして、予算を組みます場合にもなかなかいろいろいきさつがございまして、思うようにまいらなかったのでございます。ただいま仰せの謝金につきましても、ブロック別の研修の費用にいたしましても、十分に予算的な措置が講ぜられておりません。
 それから、おそらく教戒師さんの御不満は、かりにありといたしますれば、せっかく矯正施設に行ってやっても、ろくに自分たちのすわる場所もないとか、あるいは教戒を行なう場所が不備であるとか、あるいはそこに必要な教典とか書籍その他の資料が十分備わっていないとかいうようなことで、うまく思うように教戒ができないのだということにおありではなかろうかと思うわけでございます。それらの点につきましては、関係の方方の御意見もまた十分に承りまして、できるだけの努力をさせていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#29
○西村関一君 おそらく宗教教戒師の方々は、喜んで施設の中に入って奉仕しておられる方ばかりだと思う。謝金とかあるいは待遇とかというようなことについて不満を持っている人はおそらく一人もないと私は思うのです。いまちょっと局長がお触れになりました憲法上の問題等のいきさつがあった。いまはそういうことは解消しておりますけれども、特定の宗教が入ってやっているのじゃなくて、あらゆる宗教の方々が入って、協力し合いながら施設の収容者の宗教的情念に訴えて矯正に協力するという形になっておりまして、そういうことについては何らどの施設におきましても問題は起こっていないと思うのでございますが、ただ施設の側といたしましても、これは私は、よく理解をしてあたたかくその仕事の性質を理解していつもあらゆる配慮を配りながらやっていただきたいというふうに考えておりますから、何もそういった問題はないと思うのでございますが、ただ矯正当局といたしましては、法務当局といたしましては、いま大臣がお答えになりましたように、また局長がお答えになりましたように、この事業の重要性にますます御留意をいただいて、緊密な連絡をとりながらやっていただきたいということをお願いする次第でございます。つきましては、この矯正施設の整備改善の問題でございますが、この前の予算の一般質問のときにも私は触れたのでございますけれども、現在、施設の改築整備計画、そういったようなものはどういう段階になっておりますか。
#30
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘のように、矯正関係の施設、特に刑務所につきましては、相当老朽をしておるもの、あるいは移転要請を受けておるもの等があるわけでございます。現に一度でも移転の要請の声が私どもに参りましたものだけを、かぞえましても三十庁をこえておりまして、これらにつきましては、刑務所を移転するということになりますと、まずもって受け入れていただきます受け入れ先の、いわゆる移転先の問題がございます。地元の方がとにかく喜んで受け入れていただくということが絶対条件でございます。その条件のもとに、相当巨額の経費を要することになりますので、鋭意そういった点を勘案しながら、予算措置とにらみ合わせながら実施に移している状態でございます。幸い昭和四十四年度から特定国有財産整備特別会計というものができまして、一般会計のワクの外でできるようになりましたので、地元の御要望等も反映しながら移転計画を進めておるわけでございます。ただ移転をいたしますと、従来の施設につとめておりました職員がわりあいへんぴなところへ移動しなければならぬ、職員の子弟の学校の問題とかいろいろな問題があるということで、矯正職員にはいろいろ迷惑をかけることになるわけでございまして、その辺が私どもとして心の痛むところでございますけれども、そういう点も勘案いたしまして、前向きで善処したいと思っているわけでございます。
#31
○西村関一君 現在幾つぐらい移転の計画が具体化しておりますか。
#32
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま移転計画を現在実施をしておりますものが、小さいものを入れまして約二十ヵ所ぐらいやっていると思います。四十六年度予算におきまして、特別会計で宮崎刑務所でございますとか、盛岡少年刑務所の移転を新たに実施をいたすという計画をいたしております。なお、小さいものといたしましては、離島でございますが、厳原の拘置支所、こういうものも地元の御要請に応じまして移転をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
#33
○西村関一君 私は全部の刑務所を見たわけではございませんけれども、かなり古いものが多いようでございます。それから、その後の地域環境の変化によりまして、住宅地のまん中にどっかり腰を据えているというような刑務所もあるようでございます。地域の要望といたしましても、移転をしてもらいたい、また施設側といたしましても、矯正施設としては必ずしも適当でないと思われるようなところに従来から置かれておる、こういうところは、やはりいまお話しになりましたように適当な土地を得るということ、またその地域の人たちの協力を得るということがむずかしいということがございますけれども、鋭意この施設の移転について努力をしていただきたいと思うのでございます。この中に収容されているところの人たちにしましても、かなり古い昔の監獄というイメージがあるようなところに置かれておるということは一日も早く解消してもらいたいというふうに私は思うのでございます。へんぴなところに移転をするということのために職員の不満がある、あるいは実際上子供の教育等に不便があるということもわかりますけれども、それはそれなりに、スクールバスを購入して送り迎えをするとか、何らかの方法がとれると思います。そういうことも努力を払いながら、新しいモダンな近代的な刑務所、何も受刑者を優遇するというわけじゃございませんが、やはりいまお話のあったような方針で、地域の人たちの協力を求めながらそういう努力をしていただくことが大事じゃないかと思うのです。その点矯正局長さん、いかがですか。
#34
○政府委員(羽山忠弘君) お尋ねの点はごもっともでございますが、鋭意努力をいたしてみたいと思います。ただ、先ほども会計課長がお答えいたしましたように、私ども移転につきまして、さしあたり一番困っております問題は、職員の生活と申しますか、たとえばお医者さんが、これは何も矯正施設だけの問題ではございませんで、全国的な問題で、全体的な問題でございますが、非常に不便なところに参りますと、まず最初に困りますのがお医者さんでございます。その次が教育というようなことに相なるわけでございまして、その辺のところに非常に問題がございますが、いろいろくふういたしまして、解決に努力し、それを解決いたしましたならばなるべく早く移転する。そのほうが古い施設に入っておりますよりも、職員の日常の勤務にとりましても、また受刑者の毎日の処遇にとりましても非常に好都合である。これは何も疑う余地はないと思うわけでございます。
#35
○西村関一君 医師の問題が出ましたが、これは施設内の医務室、医務局、そういうものは、いま現在全部不足はございませんですか。
#36
○政府委員(羽山忠弘君) さしあたりはございませんが、へんぴなところに移転をいたしますときに、現在つとめていらっしゃいますその職員であるお医者さんがおやめになるということを言われる向きがございまして、その点が非常にむずかしいのでございます。最近の例に徴しましても、そういう事例が生じた刑務所がございまして、結局六十三歳という非常にお年寄りの方を、ある地方に勤務しておる職員でございましたが、その方にお願いして行っていただく、こういうような処置をいたしたというような例もあるわけでございまして、地元では、たとえば刑務所が新たに移転してまいります地元のほうにおきましては、刑務所が来れば診療所くらいはできるのじゃないかという御期待をお持ちのようでございますが、それがかえって逆のような事実がある。しかし、これもできるだけ創意くふうによって改善し、解決をしてまいりたい、こういうように考えておるのでございます。
#37
○西村関一君 職員の処遇の問題ですが、新しいところに移転した場合に、医療の面をやることがむずかしいということがございまして、これはやはりへんぴなところに医者の行き手がないというのは全国的な問題でありますけれども、医者の処遇に特別な考慮を払うとか、何らかの方法で優秀な医者を迎える手だてを尽くしていただく。先ほど出ました子女の教育の問題ということもございますが、これも私が申し上げたのはほんの思いつきかもしれませんけれども、これはやはり何らかの方途が講ぜられるはずだと思います。新しいところによい施設をつくる、それに伴って職員の状態が悪くなるというようなことがない配慮をしていただかなければならぬと思うわけですが、私は、いわば刑務所のような閉鎖社会の中で働いておられる職員の処遇につきましては、ほかのところで働いている人たち以上に、刑務所で働いている職員の処遇は特別な配慮をしなければならぬということをいつも考えておるのでございます。そういうことができないものだろうかというように考えておるのでございます。たとえば職員の給与の問題、これは一つの規定がございまして、そう簡単にはなし得ないと思いますけれども、給与だけではございません。やはり職員のレクリエーションの場、そういうものも、特にこういう閉鎖社会の中で働いている人たちにとっては、そういうものが特に私は必要だと思うのです。さらに娯楽あるいは読書、教育、職員のそういうレクリエーション及び教育の問題、こういう点についてはどういう配慮をしておいでになりますか。
#38
○政府委員(羽山忠弘君) まず給与の面でございます。御指摘のように、矯正職員の職務と責任が非常に特殊なものであるということにかんがみまして、法務省におきましては、大臣の御指示もございますので、特段に努力をしてまいってきておるつもりでございます。本年におきましては、ただいま御審議をいただいておりまする予算案におきまして、人事院並びに大蔵省等関係当局の非常な御理解をいただきまして、前年度に比べましてかなり改善をいたしております。もし御必要であればあとで御説明いたしますが、かなり改善されたように思うのでございます。
 それから、ただいまの娯楽等につきましても、これは各施設施設に創意とくふうをこらしますれば十分に娯楽を実施いたすことができるような予算が参っておりますので、その辺を十分に指導して、職員が日常の業務における緊張を緩和するとか、そしてまた新しく心機一転して毎日毎日の仕事をやっていくというようなことができるように、特別の指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#39
○西村関一君 いま局長の言われました点について、会計課長、どうですか。この点具体的にどういうふうな改善が、予算的な措置ができておりますか。
#40
○政府委員(羽山忠弘君) 私のほうで準備をいたしてまいりましたので、私のほうでお答えさせていただきます。これは刑務所、少年院、少年鑑別所と三つあるわけでございますが、とりあえず大体の考え方は同じでございますので、先ほど申し上げましたように、人事院、大蔵省当局の御理解のもとに編成されてただいま御審議をいただいておりまする待遇改善関係の刑務所の職員の、すなわち看守がおもでございますが、内容を少し具体的に申し上げることにいたします。
 第一点は、本年初めて夜間特殊業務手当というものが設定されたことでございます。従来は、夜勤者が約四百円の超過勤務手当をもらっておつにのでございます。この夜勤者と申しますのは、夜の十時から朝の五時までの間に勤務する者をいうのでございますが、それが本年そこにプラスいたしまして、深夜勤務手当といりものが設定されまして、四百円が五百七十円になったということでございます。
 それから、刑務作業監督手当というものにつきましても、これは前年は単価が四十円でございましたものが、本年は六十円に引き上げられたということでございます。
 それから、看守というものは出張いたしますときに、まことに妙なことでございますが、従来はグリーン車というものに乗れなかったのでございます。と申しますのは、行きはなるほど身柄を持っておりますので、グリーン車に乗れないのは当然でございますが、帰りは、単身で帰りますときにもそのグリーン車の旅費が支給にならなかったのでございますが、それが今年は法務省の要求どおりが認められまして、単身で帰る場合にはグリーン車が認められる、それが一人当たり平均にいたしますと約三千三百五十二円でございます。
 それからあとは環境整備の関係でございまして、従来看守上申しますのは、立っているのがおもな仕事である、看守はあまりすわって事務をとることがない、これはまさに事実そのとおりでございますが、そういうような考え方に立つものであったと思いますが、保安看守につきましては机というものがなかったわけでございます。これもまことに、全然看守が役所でものを書くということはないわけではないのでございまして、これは八年計画で、全部の保安看守に机、いすを整備するということで、一人当たり机が三千九百六十八円、いすが三千七百三十二円というので、八年度計画の第一年度が認められたわけでございます。それから夜勤者の寝具、これも五カ年計画で、一人当たり七千九百二十四円を更新していく、その他仮眠室その他につきましての営繕的な改善をはかる、こういうようなことでございまして、その給与並びにその職場の環境というようなものが改善された。
 それから、看守が御承知のようにときどき妙な間違いを起こしましてまことに恐縮でございますが、これにつきましては、私どもは看守の再教育ということがきわめて重要であるということを痛感いたしております。これについては、従来は研修人員五百五十人という積算で予算が組まれておりましたのが、それをさらに百人ふやしていただく、四十六年度は六百五十人にしていただくというようなふうに相なっておるのでございます。
 大体これが、少年院、少年鑑別所につきましてもおもな点は同様になっておるというふうに御承知おきいただきたいのであります。
#41
○西村関一君 いまお話しになりましたのは、五カ年計画なんですか。
#42
○政府委員(羽山忠弘君) いすと机は八年計画でございまして、寝具が五カ年計画でございまして、あとは全部この四十六年度から直ちに実施すると、こういうことでございます。
#43
○西村関一君 努力をしておられる点は認めますけれども、何とかもっと早く、五年も八年もたてばいまの看守の人がそのまま続いてやるかどうかわからないと思いますが、したがってやめていく人も、それだけの理由ではございませんけれども、看守をやめていく人たちも相当多くなっていくと思うのでございますが、何とかそういう環境の改善については、五年とか八年とか言わずに、もっと早くできないものなんですか。
#44
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま矯正局長から御説明申し上げましたのが、いわゆる予算を組む場合の積算でございまして、実際の執行を私どもでいたします際には、職員の実質的な待遇をどういうふうにしたら一番的確に改善できるかという点に重点を置いて執行してまいります。また、明後年度以降の予算にあたりましても、本年八年計画とされましたものが、四十七年度以降七年間でやらなきゃならぬときまったわけじゃございませんで、鋭意速度を早めるなり、他の費用から振り向けるなりして、先生御指摘のような職員の待遇改善の実を一刻も早くあげていきたいと思います。
#45
○西村関一君 いま局長のお話しになりましたように、看守の勤務は立っているというのがほとんどだと思うのです。勤務が終わって交代して控え室に入っていく。いすも机もない大部屋でごろんとしているというのでは、私は仕事に対する意欲がわいてこないと思うのです。この点は、いまお話しいただきましたように予算を組む一応のめどはつけておるけれども、できるところからやっていこうということなんですが、全国の各施設について、できるところから早くやっていこうという考えですか、その点どうですか。
#46
○政府委員(伊藤榮樹君) 矯正当局の矯正処分の必要性等もよく私ども承って予算の執行計画を組んでいるわけでございますが、やはり何と申しましても、先ほど来先生の御指摘になりました、いわば相対的に老朽しております刑務所に勤務しております職員につきましては、やはり優先的によくしてあげるというようなことが必要ではないかというふうに思っておりますし、また新営をいたしました刑務所につきましては、新営と同時に別途それ相当の処置を施しておりますので、施設の古いところ、それから勤務条件の相対的に過酷ななところ、こういうところから重点的に整備してまいりたいと思っております。
#47
○西村関一君 レクリエーションにつきましては、それぞれの施設が創意くふうをこらしていけばできるということでございますが、その点についてはどういう指導あるいは指示をなすっていらっしゃいますか。
#48
○政府委員(羽山忠弘君) これはいろいろ施設の状況が違いますので、予算を配賦いたしまして、そして主としてはクラブ活動と申しますか、現地の職員の自主的な相談と申しますか、計画によってやらすというような方針に相なっておりまして、本省といたしまして特に、たとえば野球をやるとかいうようなことは指示をいたしておりません。しかしながら、御承知のように、特殊な収容者を収容いたしております関係で、柔道、剣道、護身術というようなものにつきましては、矯正局におきましても相当に力を入れて指導をいたしております。その他のたとえば俳句とか短歌とかいろいろあるわけでございますが、それらにつきましては、現地の活動にまかして、それをこちらで適当に調整し、あるいは意見を述べるというような程度でございます。
#49
○西村関一君 職員の再教育につきましては、研修会等計画しておられますか。これは管区ごとにそういうものをおやりになるのでございますか。またその内容はどういうことでございますか。
#50
○政府委員(羽山忠弘君) 御承知のように、法務省に矯正研修所というものがございまして、各管区に研修所の支部があるわけでございます。で、やはりどういたしましてもまとまった研修をいたしますためには、宿泊をさせましてそして訓練をする。それで看守、相当の経験者でございましても、基本的なことがおろそかになりやすいものでございますので、基本的な点につきまして再教育をするということでございます。私が最近痛切に感じております点を申し上げますと、いま刑務所関係の職員の研修で一番の問題はこの看守の研修だと思うのでございます。と申しますのは、先生御承知のように、看守の中で非常に成績のいい者は、自分で勉強いたしまして試験に通り、そして特別の課程の研修に乗ってまいりまして、それがやがて看守部長、副看守長、看守長というふうに上がってまいるのでございますが、その試験に通りません人たち、すなわち十年でも二十年でも看守ということで残る人々がありまして、これが従来非常に研修とか訓練とか再訓練とかいう機会に恵まれていないわけでございます。しかるに、非常に皮肉なことでございますが、この研修の機会に恵まれないその看守が朝から晩まで一番密接に収容者に関係をすると、こういうことでございますので、これはこの状態で置いてはいかぬというふうに考えまして、そういう者を極力再訓練したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#51
○西村関一君 たいへんこまかく聞いて済みませんが、大体何日ぐらい宿泊して再教育なさるのですか。
#52
○政府委員(羽山忠弘君) ただいま御審議をいただいておりまする案によりますれば、これは初等科と申すのでございますが、初等科と申しましても、ただいま申し上げましたように、なったばかりの者ではございませんで、再訓練を考えておりますが、これは九十日宿泊しまして、その間にあらゆる必要な基礎的訓練あるいは最近の新しい矯正科学と申しますか、科学的な知識を訓練をするというようなことを考えておるわけでございます。
#53
○西村関一君 九十日間、それは各管区ごとで、あるいは全国一カ所でございますか。
#54
○政府委員(羽山忠弘君) 先ほど申しましたように、管区ごとでございます。
#55
○西村関一君 これは、予算の中のどういうところに組まれているのですか。刑務所矯正のほうの充実というところ、どこにありますか。
#56
○政府委員(羽山忠弘君) 予算の中に矯正官署という組織がございますが、その中に矯正研修経費といたしまして約六千二百四十万円が計上されております。
#57
○西村関一君 待遇改善経費の中で、先ほど御説明のございました夜間特殊業務手当というのはことしから初めて出たのですか。
#58
○政府委員(羽山忠弘君) さようでございます。
#59
○西村関一君 それから、増員の経費につきましては、増員計画に従って予算が組まれたと思いますが、現状、矯正施設の各施設の定員数は満たされておりますですか。あるいは増員計画というのは定員数を満たすための計画なんですか。
#60
○政府委員(羽山忠弘君) 本日現在で若干の欠員はあると思いますが、努力いたして採用いたしておりますので、おおむね充員はされておると思います。ただ、この充員の方法に問題があるわけでございまして、過去三年の平均で申し上げますと、毎年約六百人くらいずつの人が一身上の都合とかあるいは勧奨退職ということでやめてまいるわけでございまして、それに応ずる充員を計画し実施いたすわけでございますが、国家公務員の試験を通りました者が試験を通って職員になるという率が年々下がりまして、勢い選考採用にたよらざるを得ない、今日では半分ぐらいが選考採用によって充員されておる、この辺が私どものいささか頭を痛めておるところでございます。
#61
○西村関一君 そういうことの原因はどこにありますか。
#62
○政府委員(羽山忠弘君) 結局、これはいろいろまあ苦慮いたしまして考えておるのでございますが、結局、刑務官と申しますものの仕事が何か牢屋の番人と申しますか、そういうにおいを、特に若い人たちに対しましてそういうにおいを与える。同じような制服を着るにいたしましても、警察官になるか、刑務官になるかということになりますると、どうも警察官のほうにいく人が多いのではないかというようなふうに考えるわけでございます。これは給与の問題もございますけれども、給与の問題と申しますより、やはりわれわれの仕事のやり方、いかにも近代的と申しますか、科学的と申しますか、刑務行政なり矯正行政を動かしまして犯罪者の改善、更生をはかっていくというそういう各施設、施設に実績があがりまして、それをまた部外の若い人たちが見まして、確かにこれは人間が一生かけてもやるだけの価値のある仕事なんだというような認識が徹底いたしますれば、これはかなり志望者があるのではないか。と申しますのは、現在私どもが見ますと、少年院、少年鑑別所というようなところにはかなり優秀な試験を通った方が志願されてまいりまして職員になっておるわけでございます。これに対してやや見劣りのいたしますのが刑務所でございまして、刑務所のほうはどうもそういう方があまりお出にならぬ。この辺は、われわれの矯正行政のやり方そのもの、毎日、毎日何をやっておるかという、仕事のやり方そのものについてやはり根本的な反省を加え、改善を加えて、そして若い人に魅力のあるような職場にするということが一番大事な問題ではないかというふうに考える次第でございます。
#63
○西村関一君 いま局長が申されましたように年間六百人からやめていく。これを充員するためにはやはり認定採用しなければならぬという現状につきまして、いま根本的な問題に触れて局長は御答弁になった。私も同感です。矯正施設の職員、たとえそれは下級の看守の人であっても、一つの自覚に基づいて法治国家の法の執行を行なうところの人たちで、その収容中、何の失敗もなく執行期間が終わるように協力していく。また、社会人としてりっぱに社会に復帰していくように矯正していく、これは非常に崇高な任務だと思うんでございます。そういうことに対して若い看守の人たちがそういう自覚を持っていただく、そして誇りを持っていただくというように矯正行政のあり方について格段の御配慮をいただかなければならぬと思うんです。いま、たまたま局長からそういうことについての御答弁がありましたが、いまの再教育の場におきましても、いろいろ仕事の上のことであるとか、あるいは矯正科学の問題であるとか、いろいろ重要な学科目の研修をなさると思いますが、そういう各人の自覚に基づくところの使命感というような点についてもそういう機会に十分に啓発されるような内容を盛っていただく。
 私はいまたまたまお出になりました牢屋の番人というような、そういう考え方が若い看守の人たちの中に残っておるというならば、これは私は矯正行政というものは失敗だろうと思うのでございます。これは率直に局長が言われたんで、私はことばじりをつかまえる気持ちはございませんが、現実はやっぱりそうだと思う。そういうことのために心を痛めているということを局長はおっしゃいましたが、そういうことをなくするために法務行政、特に矯正行政のあり方について私はやはり職員の問題、特に下のほうで、末端で受刑者に触れているところの看守の人たちの心がまえの問題、これはいろいろ技術面とか、あるいは行政官としての仕事の面とかいうことも大事ですが、心がまえの問題が私はあると思うのであります。こういうことができませんと、いろいろな施設を改善いたしまして、あるいは看守の処遇を改善いたしましてもまだ十分だとは言えないと思うのです。そういうことのためにも一面においては待遇を改善して、一面において職場の環境をよくしていくということとともに、そういうりっぱな職員になってもらう。だから、若い人たちがすすんで誇りをもって看守に志願する、教育のある、国家試験を受けた人が、自分はひとつ世の中の吹きだまりのようなところにおる受刑者の人たちの中に入ってひとつ勉強しよう、何らかの仕事をしよう、お手伝いをしようというような気持ちになって施設の中に入ってくることができるようなそういう雰囲気をやっぱりつくり出してもらいたい。そうでないと矯正行政というものは十分な効果をあげることはできないと思うのでございます。その点につきまして法務大臣いかがでございますか。この点について法務大臣の御見解を承ります。
#64
○国務大臣(植木庚子郎君) 先刻来たいへん西村先生の矯正関係の職員に対しての御理解のある御所見を拝聴いたしまして非常に私も心強く感ずるのであります。実は私も前回法務省に職を奉じておりましたときにたくさん刑務所を見せてもらいました。そしてその職務の非常に骨の折れるだろうと思うところが至るところにありました。これじゃあいかぬなと思って、いろいろとできるだけのことを試みてみましたけれども、まだその時分には十分な財政当局の理解を得ることができなくて、きわめてわずかな改善はできましたけれども、その後なかなか遅々として進んでおりません。そこで先年のあの静岡刑務所でございますか、金嬉老の事件のときにも私は、自由民主党の政調の審議委員の一人としてこの問題についてはかねて自分は主張しているがどうもその効果があらわれてこない、この際こそ看守というものの非常な苦労な仕事、また世間からはどちらかというと何となく変わった目でもって見られる立場におる気の毒な仕事であります、これに対して報いるにあまりにも薄いんじゃないかというので、私はぜひこの際こそ看守の実情を、また刑務所で活動する職員諸君の実情をよくひとつ、国会のあるいはわが自由民主党あたりの関係者にも現場を見てもらって、そしてこの改善をやっていきたいと非常に強く思っておるのであります。今回はからずもまたこうした地位を受けることになりましたので、ぜひとも来たるべき次の年度予算等の際にはこうしたことについてできるだけの努力をやってみてひとつ財政当局の理解を求めてみたい。そうして、それの実現を期してみたいと思っておる次第でございます。私はああした人たちの、先ほど来局長の言われるような、すわって机に向かって本を読むことさえもできないような、字を書く場所も与えられてないような、これでは一体お役人と言えるのかどうかと、あまりにも処遇が行き届いてないじゃないかということをますます痛感するのであります。
 給与の問題というとややもすればきたない話のように聞こえますけれども、私はこういう場合に、せめて給与の問題でも特別な制度をぜひこしらえるべきじゃないかということを思っておるのでありまして、われわれの部内で言えば、こうした矯正関係の人たち、あるいはよその役所の類似のもので言いますと、第一線を警備に当たっておりますところのおまわりさん、いわゆる警官、あるいは麻薬関係の取り締まりをしております麻薬官、こうした人たちに対する理解がどうもまだまだ私は財政当局に足りないと思っております。幸い先生のような、こうしたことにもよく気をつけていただいておられることを思いまして非常に心強く感じますので、もし引き続いてこの地位におりますならば、次の機会にはなるべくひとつ大蔵省にうんと説得をしてみたいと、かように痛感しておるんであります。先ほど教戒師のお話も出ましたが、この問題につきましても、先年私の法務省にいましたときに、きわめてわずかな金額にすぎなかったのですが、やはり少しの改善をし、活動の費用も若干ふやしたことがあります。これを非常に喜んでくだすったと、こんなに光のある私は予算の使い方はあるものかなと思うぐらいに感じたのであります。これに類するものはたくさんございます。よその役所にもございますからそう思うようにはまいりませんでしょうが、こういうことに気をつけて、そうしてでき得る限りの真心を尽くしてあげるということが、おのずからこうした第一線の人たちに気持ちが移って、そうしてこれがお国のため、また小にしては当面の自分の職務のために一生懸命に働いてくれるようになるんだと、こういうふうに思っておりますので、非常に私は先生の御所見を承って、また御理解のあるおことばをいただいて非常に心強く思っております。まことにありがとうございます。
#65
○西村関一君 次に、私は、もう一つ保護局の関係でございますが、保護観察制度につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。現在保護司の活動につきまして実情はどのようになっておりますか。保護司の活動状況、保護観察制度が成立して実施されましてからもうだいぶ年月がたつんですが、どのような活動状況、また成果があがっておりますか。
#66
○政府委員(笛吹亨三君) 御承知のように、新しい更生保護の制度ができまして二十年ちょっとたったわけでございますが、わが国の現在における更生保護のたてまえは、保護観察官と保護司とによりまして保護観察を行なうということになっております。両者が相協同して行なうということになっておるのでございまするが、犯罪者予防更正法の二十条によりまして、保護司は、保護観察官で十分でないところを補って、保護観察所の所掌に属する事務に従事すると、こういうたてまえになっております。したがいましていろいろな種類の、御承知のように家庭裁判所で保護処分になる少年もございますれば、少年院から仮退院いたしましてその仮退院中保護処分になる者、あるいはまた、少年刑務所から仮出獄になりましてその仮出獄期間中保護観察になる者、あるいは刑事裁判所の保護観察つき執行猶予の裁判があってその期間保護観察になる者、いろいろ保護観察の種類はございますが、そのいずれの保護観察にいたしましても、まず保護観察官が主任官になりまして、その主任官のもとにそれぞれ担当の保護司がきめられまして、対象者がその保護司のもとでいろいろと指導監督を受け補導援護を受ける、こういうたてまえになっておる。これは御承知だと思いますが、一応順序として申し上げた次第でございます。
 そこで最近それではどのくらいの保護観察事件があるんであろうかということになるわけでございまするが、ちょっと四十五年の何は統計がまだ整理できておりませんので四十四年だけでひとつ申し上げてみたいと思いますが、受理件数全部で十七万件になっております。こまかく言えば十七万百九十八件ということでございますが、こういうことになっております。これはいまの、いろいろ各種類の保護観察、それにさらに婦人補導院を仮退院した者まで入れてのことでございます。それで、それではどういうようにそれが終了したときに成績がどうなっておるのだろうかということでございまするが、四十四年に保護観察を全部終わりました者、その年度で保護観察を終わりました者のトータルが四万六千七百七十六人ということになっております。その年に保護観察の期間が終わった者でございます。その中で成績がいい者というのが、終わるときに良好な成績ということで終わった者、こういった者は終了までに期間完了しなくとも解除ということがございますから、そういった方法で、良好という成績で終わった者がその全体の四七・四%ということになっております。それから普通の成績で出ました者が三六・八%。それから所在不明とかいろいろありますが、不良ということで施設に戻ったとか取り消されたとかいうことで不良という措置になった者が三・三%。それからいまの所在不明というのが八・六%。これはどこへ行ったかわからない者でありまして、保護観察停止とかいうような処分をしておりますので、そういう所在不明になったのが八・六%。あと死んだりどこか海外へ行ってしまったらしいというような者がございますが、そういうような状況でございまして、この不良と所在不明とその他と含めまして一五・八%ということになっております。そして、そこでそれではこの成績がどうなのかということに相なりますと、全般的に申し上げますと、この良好の成績の者は全般的には少しずつふえてきておるというように見ております、これは具体的にこまかく申し上げますとちょっと長くなりますから――この五年間の成績を見てまいりまして良好という分類に入れられる者はふえてきておるというように考えております。
#67
○西村関一君 二十年の年月を経まして、更生保護観察の仕事も成果をあげてきたと、いまの数字から見まするとそういう判断ができると思いますけれども、しかしまたその半面に、十分に効果をあげない点もあるんじゃないかと思う。たとえば保護観察が終了した者で、また二度そういう処分を受けるといったような者がございますか。この点はどういうふうになっておりますか。再度処分を受ける……。
#68
○政府委員(笛吹亨三君) 保護観察中にそういったことを犯したりなんかしまして、再び刑事責任を問われるといったようなことになる者が、大体先ほど申しました不良の者がそれでございます。それ全部じゃございませんけれども、大体それでございます。不良の中には順守事項を守らないという、犯罪にはならないけれども、順守事項を守らなかったということで不良ということにもなっておりまするけれども、そのほかにそういった再び犯罪を犯したという者も入っておるわけでございますが、先ほど申しました不良の中の一部分ということは、ちょっと御了解願いたいんですが、その中のどれだけかということは、いまちょっと数字を持ち合わせておりません。
 それから、その保護観察が終わってからどうなったかということになりますると、これはちょっとわれわれの保護観察の力の外のことになりまして、それを全部統計的に調べるということが非常にむずかしいものでございますので、ちょっと申し上げかねるんでございます。
#69
○西村関一君 保護司は保護観察官の補助的な機関であるということも、いまお話があったとおりでございますが、さらにその保護司の補助機関といいますか、民間のボランティアによってやっておりますBBS運動、これは現状どうなっておりますか。
#70
○政府委員(笛吹亨三君) BBSと申し上げまするのは、もう御承知のことと思いますが、ビッグブラザーズ・アンド・シスターズ・ムーブメントということで、いわゆる友だち活動と申しまして、若い少年の非行あるいは犯罪を犯した者、そういった者たちの改善、更生をはかるために友だちとしてつき合う。そして、その友だちとしていろいろな、まあレクリエーションもあれば、勉強もあれば、そういった活動の中でその犯罪者あるいは非行少年といったものをよくしていこうと、こういう運動でございます。これはもう御承知のとおり。このBBSの会員が、ちょっとこれも最近の数字じゃございませんが、四十五年九月一日現在で九千六百七十九名、ちょっと一万人に少し足りないわけでございます。九千六百七十九名ございます。そしてこれは全国的な、いわゆる連盟といいますか、日本BBS連盟というのが一つございます。それから各――うちのほうで言えば、地方更生保護委員会の八つのブロック体に、地方BBS連盟というのがございます。それからさらに府県単位でBBS連盟というのがあり、さらに小さくその府県の中で地区単位のBBS連盟がございます。
 そこで、その地区の一番小さいグループと言ったらおかしいんですが、一番狭い範囲の組織を申し上げますと、地区単位のものが全国で五百六十三連盟がございます。それから、いま申し上げました府県単位は、これは北海道は四つありますので四十九。それから地方連盟が八、全国連盟が一つ、こういうことに相なっておりまして、それぞれこれは、その活動は必ずしも保護司の補助という形ではないんでございますが、実情はそういうことになっております。形式的には補助という形じゃなくて、これはほんとうのボランティアということでございますから、民間の若い青年が自分たちの年代あるいはそれよりも少し年の若い少年たちをいかにして正しき方向に導いていこうかというほんとうのボランティアでございますので、その保護司の補助という形ではございませんが、事実上保護司についている対象者の中から、まあ保護司が地域のBBSの会員にまあ紹介いたしまして、その会員のもとでその対象者と友だち活動をさせる、こういうような組織になって、まあ相当成果をあげている報告も聞いております。
#71
○西村関一君 まあもちろんBBSの対象は、保護司の補助的機関でないことは承知しておりますが、実際的に緊密な連絡をとらないと双方成果があがらないと思うのでございます。それにつきまして保護司の人たち、まあ社会的な地位のある人、学識経験のある人が選ばれておりますけれども、若い世代の諸君との間に年齢的な断層があるんじゃないか。保護司の年齢を引き下げていこうと、若い人たちで有能な人を保護司にしていこうという動きもあると思いますが、まあ逐次そういうこともなされておると思いますけれども、また一面その地域社会の信用のある人を選ぶということも必要だと思います。年齢が非常に高くなってですね、保護司として若い世代の非行少年あるいは問題の青少年に対してする保護司としての役割を果たしていきますのにりっぱな人でありましても、十分な活動ができない。BBSとのつながりも思うようにできないというような実態があるんじゃないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
#72
○政府委員(笛吹亨三君) 保護司の年齢が高齢化しておるという現象の御指摘でございますが、確かにそうでございます。まあ最近なかなかこれも平均年齢となるとなかなか出せませんので何でございますが、その保護司の年齢の中間値といいますか平均値といいますか、そういったものを出してみますと五十九歳幾らということになって、まあ六十歳ちょっと切れるような状況でございますが、そういった状況でございます。そういたしますと、年をとった保護司はもう七十歳以上の方もだいぶおられる。大体一四%くらいが七十歳以上の保護司がおられるというようなことを考えておりますが、そういったことで私は保護司が年をとったから若い対象者の保護観察ができないと一概にこれは言えないと思うのです。非常にりっぱなお方がいらっしゃいまして、まあ人生経験まことに豊かなそういった先生方が、若い孫のような子供を指導するということで、これは非常にりっぱに成績をあげておられる方もございます。
 しかしまあただいま御指摘のように若い人と年をとった人との意識の断絶といいますか、隔絶といいますか、隔たりがあるということは、これは普通まあ一般社会的にもそういうように考えられますので、まあこれはなるべく若い人にはある程度若い保護司に担当してもらったほうがいいんじゃないかという考え方もしておるのでございますが、しかしまあいま申し上げましたように、一がいに年とったからということでこれは不適当だということにはしないで、その活動の状況を拝見しまして、もう老齢でちょっと活動していただくには適当ではないんじゃないかというようなお方には、まあ大体その任期二年でございますから、その任期終了のときには、その次は再任しないようにしていただくというような方法をとって、そうして新しく委嘱する場合に、できるだけ若い、若いと申しましても、あまり青年なんかちょっと向きませんので、やはり三十代ということになってまいりまするが、そういった人たちにお願いするように努力をしておるわけでございます。しかし、年とった保護司さんだから保護観察うまくいかなかったというのは、ちょっと具体的にはいま私聞いておりません。
#73
○西村関一君 私も年とった保護司さんはいかぬとは言ってないので、いまおっしゃるように、りっぱな方がたくさんおられますし、人生経験の豊かな人がおりますし、またそういう人であればこそ保護司の役目ができるというのでございますけれども、さらに中年の人たちに保護司になってもらうという努力を、適当な人を探し求める、やはり人物というのは探し求めなければ、忙しい人、中年の人というのは自分の本来の仕事を持っておりますから、なかなかむずかしいと思いますけれども、そういう努力はやはりしていただくということが大事だということを申し上げただけであります。
#74
○政府委員(笛吹亨三君) 保護司に、いまおっしゃいましたように適材を得るということにつきましては、私たちかねがね努力をし、配慮もいたしまして、これはなかなかたいへんなことでございます。御承知でございましょうが、全国に定員でいえば五万二千五百人の保護司さんがおられることになるのでありますが、これは少し欠員があったりいたしますが、この補充ということにつきまして、いつも全国的にたいへんな努力をしております。これは府県の人たち、あるいはまた各市町村の皆さん方にもいろいろ御尽力願いまして、その中からりっぱな適任者を御推薦願うというような方法をとってやってきておるのでございまして、今後もこの努力は一そう続けなければいけないと、このように考えております。
#75
○西村関一君 最後に保護観察の充実、保護観察活動の強化の予算でございますが、予算の面から眺めまして、保護観察官の増員の問題、補導援護経費の問題、補導援護の経費の問題の中には更生保護委託費があります。さらに保護司の実費弁償金の問題がございますが、これも大蔵当局の理解もあったことだと思うのですが、幾らかでも増額になっている。この点に対して局長さん、この予算の面から考えてどういうふうに受け取っておられますか、これで十分だと思っておられますか。さらにもっと要求しなければならぬとお考えになっておられますか。
#76
○政府委員(笛吹亨三君) 保護司の活動に対する経費としましてはいろいろございますが、その中で最も大きいのがいわゆる保護司実費弁償金でございます。これはもう資料その他で十分御存じでございますが、四十五年度が実費弁償金総額九億六千七百九十万三千円でございましたのが、今度御審議いただいております四十六年度予算では十一億一千六十二万二千円ということになりまして、一億四千二百七十一万九千円の増額という非常に大幅な増額を認めていただいておるのでございます。これは大蔵当局におきましても、保護司の活動というものを十分認識されて、その意義が非常に深いということがおわかりになった上で、しかも現在の保護司の実費弁償金では足りないであろうということから、これだけの大幅の増額をしていただいたものだと理解して、私は喜んでおる次第でございます。
 そのほかにも、いろいろ、保護司の研修的な要素を持っております「更生保護」という雑誌がございます。これは保護司の皆さんにこれをお配りしておるわけでございますけれども、いままでは予算の関係で年間十二冊のうちの四冊だけを官費で交付するということでございましたのを、今年は一度にというわけにまいりませんので、四十六年度は八カ月分だけお認め願ったというようなことかございます。
 そのほか、表彰とか研修の経費といったようなものもそれぞれございますが、表彰の経費も六十六万ばかり増額を認めていただいております。
 こういったことで、保護司の活動に対してこれは先ほど申しましたボランティアでございますので、保護司には給料を差し上げないということになっております。そういうことに対する実費弁償金というのは実際にかかった費用だということで支弁するわけでございまするけれども、これもいままでは少なかったといろいろ言われておりましたのですが、大体本年この程度のものになればいまの段階では保護司さんに一応の御満足をいただけるのじゃないかと思っておりますが、今後まだいろいろ保護司にも御活躍願うことが多いだろうと思いますので、予算の面におきましてもさらにその活動に報うべく努力してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 そのほか、更生保護会の関係におきましても、本年度もやはり若干の増額を認めていただいておりますが、こういった面におきましても、いろいろ今後更生保護全般を考えてみました際に、予算的にはいろいろな関係もございまするけれども、さらに一そうよいような待遇を認めてもらえるように私たちも努力してまいりたいと、こういうように考えております。
#77
○西村関一君 保護司の実費弁償金につきましては、いまお話のとおり一五%増になっているということで、これは法務省関係の予算の中では相当ボランティア方式に対する活動家の実費弁償という費用が大幅に増額されたということはいま局長がおっしゃったとおりで、私もけっこうだと思うのですが、保護司の活動の面につきましては、一生懸命やっている人と、それほどでもない人と、言っちゃ悪いですけれども、いろいろあると思いますが、一生懸命やればやるだけこれはたいへんな仕事だと私は思うのです。場合によれば一緒に泊まってやる、よそへ連れていってやる、めしも食わせてやる、いろいろなことをしながら成果をあげていかなければならぬのでございますから、ただ単に実費弁償金をふやすということだけでは私はいけないと思うのでございまして、そういう保護司の労苦に対しまして、当局としてはさらにより高く評価をしていただきたいと思うし、また激励していただきたいと思うし、そういうことに対してこの制度が活用されるために、物質面だけじゃなくて精神面からも十分に力添えをしていただかなければ成果はあがらないと思う。またBBS運動にいたしましても、私は青年の情熱がこういう方面に向けられていくということは大いに奨励しなければならぬと思うのです。青年の情熱が、他の方面にいく情熱をこういう保護を必要とするところの青少年に対して友だちになっていこう、そしてりっぱ社会人としてあやまちを起こさないように友だちになって話し相手になっていこうという運動に対しても、これは予算面には何も出てきておりませんが、全くのボランティア運動でございますけれども、こういうBBS運動の育成についてもできる限りの配慮はやっぱりしていただきたいと思うのですが、その点はどうなっておりますですか。
#78
○政府委員(笛吹亨三君) まず保護司に対しまして、そういった実費弁償金以外の、物質的なもの以外の待遇ということの御指摘でございまするので、その点申し上げますと、これは私たち御指摘を受けるまでもなく、+分その点は在来配慮してまいっておるのでございまして、何ぶんボランティアのほんとうの社会奉仕の精神でやっていただいておる仕事でございまするので、むしろ精神面のほうの待遇というほうにこそ保護司さんに報いる道であろうと、こういうふうに考えておるわけで、そういったことから現在やっておりまするのが保護司さんの表彰の制度でございますが、大体よくやっていただく保護司さんにつきましては、まあ二期といいますか、四年以上在職されて退職された保護司には大臣の感謝状を差し上げる。それからまた大体保護司その他の活動について、保護司の従事年数が十年以上という方には大臣の表彰をいたします。それからまたさらに年齢が五十五蔵以上になられて、更生保護に二十年以上いろいろ御努力を願って前には大臣表彰も受けておられるといったような更生保護に対する功績の顕著な方には、これは藍綬褒章を差し上げる。それからまたさらには七十歳以上で更生保護に二十五年以上も従事されて、非常に功績の顕著な方には叙勲の手続をしていただくというようなことを考えて、いろいろそういう表彰の道を考えておるわけでございます。この点はいまの大臣の感謝状の問題でも、BBSにつきましても同じでございまして、BBSの人たちでも大体そういう仕事に従事していただいて、七年以上になった方で非常に功績が顕著な方には、これは大臣の感謝状も差し上げるということを現在までやっている次第でございます。
 それから次にBBSについても何らかの措置を講じてやるべきではなかろうかということでございまするが、これは実はいままでなかなかむずかしい問題もあったので、BBSの人たちは何の措置もいままではなかったわけでございます。しかしながら昨年といいますか、まあ四十五年度の予算におきまして、初めて、BBSがいろいろ研修会をいたします。そういったときに保護観察官の方が指導にいくように措置しまして、そうしてBBSの研修の向上をはかる助けにするというようなことを考えまして、このための旅費を四十五年度で初めて入れてもらったわけでございまするが、ことし四十六年度予算におきましては、それだけではなく、さらにBBSがそういった研修会をやるということについてのいろいろな研修に必要な資料でございますね。研修材料、研修資料、そういったものについて予算をつけて、BBSのそういう運動を助けていくということでございます。それで四十六年度予算といたしましては、その育成の指導旅費が十八万六千円、それからただいま申し上げました資料費といたしまして八十一万六千円、合計で百万二千円という金額を予算案として計上させていただいております。
#79
○主査(平島敏夫君) 他に御発言もなければ、法務省所管に関する質疑は終了したものと認めます
#80
○主査(平島敏夫君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 本日予算委員の異動に伴う欠員の補欠として向井長年君が本分科担当委員に選任されました。
#81
○主査(平島敏夫君) 以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁を除く部分、及び法務省の各所管並びに他分科会の所管外事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本分科会の審査を終了いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○主査(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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