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1970/02/23 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 建設委員会 第5号
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1970/02/23 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 建設委員会 第5号

#1
第065回国会 建設委員会 第5号
昭和四十六年二月二十三日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田中  一君
    理 事
                上田  稔君
                斎藤  昇君
                松本 英一君
    委 員
                大森 久司君
                小山邦太郎君
                佐田 一郎君
                米田 正文君
                松本 賢一君
                二宮 文造君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   政府委員
       建設政務次官   田村 良平君
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省計画局長  高橋 弘篤君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   参考人
       全国建設専門工
       事業団体連合会
       会長       月橋 清一君
       全国建設業協会
       副会長      小川 耕一君
       全国中小建設業
       協会会長     鈴木 光男君
       全国建設労働組
       合総連合技術対
       策部長      今   洋君
       日本建設業団体
       連合会副会長   前田又兵衛君
       法政大学教授   内山 尚三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設業法の一部を改正する法律案(第六十三回
 国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田中一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本法律案審査のため皆さま方のお手元に名簿を配付してございます六名の方々を参考人として御出席いただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。本日は御多忙中、当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 申すまでもなく、わが国の重要産業の一つでございます建設業の健全な発展につきましては、広く各方面から要請されておりますが、当委員会におきましても、この機会に本法律案に深い関係をお持ちになっておられる参考人の方々から、それぞれの立場における忌憚のない御意見をお伺いし、審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 これより御意見をお伺いいたしたいと存じますが、議事の都合上、御意見をお述べ願う時間は、お一人十五分程度にお願いいたします。
 なお、参考人の方々の御意見のあとで委員から質問がございますので、お答えをいただきたいと存じます。
 御意見をお述べいただきます順序は、月橋参考人、小川参考人、鈴木参考人、今参考人、前田参考人、内山参考人の順にお願いいたしますか、月橋参考人から、所用のため早目に退席したい旨の申し出がございますので、同参考人の御意見開陳後一まず委員の質疑をお願いし、その質疑を終わってから小川参考人以下の御意見開陳に移っていただきます。
 それでは、月橋参考人にお願いいたします。月橋参考人。
#3
○参考人(月橋清一君) 建設専門工事業者が当面最も一困難を感じております問題の一つは、建設業に従事する労働者が不足していることであります。労働力の不足が一般化しておるわが国の現状から、施工の省力化に努力すべきことは当然であるが、他産業に比して建設業の労働力不足は特に著しいものがある。その理由はいろいろあるが、建設業者の工事の注文者に迷惑をかける、使用労働者の取り扱いが不適当であるなどの行為があり、社会的信用が必ずしも高くないことはその大きな原因の一つである。したがって、建設業法を改正し、現行登録制を許可制に切りかえ、施工能力、資力、信用に欠ける業者の輩出を防止しようとするねらいを持つ本改正案の趣旨には賛成である。しかしながら、信用等に欠ける業者の輩出を防止するために設けられた許可の基準などについての法律の運用が粗雑であれば、改正法の趣旨が全く生かされないことになる。このことは、現行法に登録の基準があり、これを厳正に運用すればある程度不良業者の乱立は防げるはずであるが、その基準による業者登録が担当公務員の机上の審査に終始しておるために効果があがっていないことからも推察されるところである。したがって、改正案の趣旨が十分生かされるよう、法の適用については従来と違った慎重なる取り扱いをするよう措置するとともに、担当公務員の恣意によって運用がゆがめられないように措置することが必要である。このため一案として各都道府県に置かれた建設業審議会に対し許可制度の運用について適宜報告し、その同意を得るといった許可制度運用の誤りを制御する方式を検討すべきである。
 二、現行法の登録制度では、登録を受けるために提出しなければならない書類が複雑膨大であるため、施工能力には自信があっても、役所の書類作成にふなれな小規模業者には、きわめて迷惑な場合が少なくなかった。また前言したように、窓口担当者の書類審査であるため、りっぱに見える書類を代書人などに頼んで作成して提出すれば合格し、使用人の数、機械器具の保有状況など、申請書類の記載内容は適当に書いたものが少なくなく、信頼が置けないものが少なくないから、書類作成の手数に比べて実益が少ない。極言すれば、悪質な業者ほど企業内容をりっぱに見せるように書類をつくるようになる。したがって、新しい許可制度では実質審査をするのに必要な最小限の書類で済ませるように考慮すべきである。
 三、建設業界は、今後ますます増大する建設工事の需要を円滑に消化していくため、施工能力の一そうの向上につとめる社会的使命を帯びておると考えるが、労働力を直接掌握し、施工の第一線を受け持つ建設専門工事業者は、必ずしも一企業の充実に力を注ぎ、施工能力の一そうの向上につとめているとは言えない。それは主として元請に対する従属関係がいまだに解消せず、一方的な契約条件で仕事をいただいておる状態から抜けられないため、経営がきわめて不安定で自己の企業の将来に自信が持てないから、計画的に経営を拡大し、技能労働者を養成していくことができないのである。この意味で、今回の改正案の請負契約の片務性の除去、下請業者の保護に関する規定の創設は必ずしも十分と言えないが、専門工事業者の経営の安定、施工能力の充実のために役立つことになることは期待される。それだけにこれらの規定が役立つためには、やはりその運用をきめこまかく行なわなければ実効があがらないと思う。元請に対する専門工事業者の折衝の相手方は、普通、工事ごとにその現場をあずかっている現場の長であるから、法案で注文者に対して「…なければならない」といった義務を課している規定を実際に守るか守らないかは、その現場の長の意思一つによることが多い。しかも多くのゼネコン元請業者は、各現場の長に利益をあげさせるためのさいはいをゆだねているのが通例であるから、採算のよくない現場をあずかる者は本社に対して利益をあげようとすれば、下請にしわ寄せをすることになる。したがって、下請を保護するための義務規定を元請に守らせるためには、現場の長にこれらの規定を守らせるようにしむけなくてはならないと思う。そのため、この法案の各所に出てくる政令で定める使用人の範囲は、必ず工事の現場の長も含まれるように定めてもらいたい。そうしなければ、幾ら元請に義務を課しても実効があがらないと思う。特に不当に低い請負代金を禁止する規定、不当な使用資材等の購入強制を禁止する規定、特定建設業者が下請代金の支払い期日を長びかせることを防止する規定、割引困難な不良手形による支払いを禁止する規定など、大切な規定が、役人のなわ張り争いのために、建設省、公正取引委員会、中小企業庁などで重複して取り扱われることとなったが、このような元請建設業の特殊な事情にかんがみ、手抜かりのないようにしてもらいたい。たとえば不当に低い請負代金を定めるのは、前言したように大手ゼネコンではたいてい現場の長であるが、その場合その現場の長は本社からほめられるだけ、というようなことになりかねない。現に役人に贈賄した社員は、建設業では栄転させる例がしばしばあるのである。
 四、建設専門工事業者は施工の第一線を担当し、技能労働者の養成につとめているのであるから、労働賃金が毎年著しい値上がりを続けている今日の経済情勢の影響をまともにかぶっている。元請の積算で賃金が上がらなくても、下請たる専門工事業者の使用している労働者の賃金は上がるのであり、賃金を一般の趨勢にあわせて上げなければ、労働力は確保できないのである。国の発注にかかる公共事業の価格の積算に含まれている賃金は、建設、農林、運輸の三者協定賃金にのっとって決定されるようであるが、それが最近実情に合うように改められたと聞いている。この措置はたいへんありがたいことだと思っているが、その恩恵を受けるのは元請だけで、下請はその恩恵を受ける保証がない。三者協定賃金は基準賃金であって、実際の積算では、その基準により一定の上下幅の範囲内で賃金が定められると聞いているが、そのような性質のものであれば、ぜひこれを公表してもらって、元請と下請との間の請負契約の工事価格の算定にも使用されるように指導していただきたい。このような措置は民間工事の設計積算にも好影響を与えるはずである。改正案では、下請の賃金の支払いの延滞があった場合、元請に責任を持たせるようにする規定が考えられているが、支払いの延滞が生じる原因の大部分は元請のたたきによるものか、あるいは重層下請のため一番下の下請がたたかれるということによるものである。支払いの延滞が生じてから手当てをするのではおそ過ぎる。そもそも遅滞が生じないようにするのが、政治のあり方ではないかと思う。
 第五、建設専門工事が工事現場で一番困ることは、請負契約を締結するときに予想した施工条件と著しく違った施工条件で工事をしなければならなくなることが少左くないことである。施工条件が好転したのならばよいが悪化したとき、たとえば急に元請さんの都合で夜間も工事をしなければならなくなった場合、急激に人手を増して工事を仕上げなくてはならなくなった場合など、それだけ夜間手当、急左人集めのための高賃金などを必要とするに至るのであるが、初めに定められた請負価格を変更してもらえないことが少左くない。改正案ではその第二十四条の二で元請が下請の意見をあらかじめ聞かなければならないことになっているが、この条文の趣旨はたいへんけっこうだが、下請が意見を聞かれていろいろ意見を述べても、根本は元請さんの工事完成に協力しなければならないのであるから、損をしてでも御協力をすることになってしまう。したがって、こういう場合損をしないよう臨機応変に、あるいはスライド式に請負価格が変えられるような措置をしてもらいたいと思う。それがむずかしければ、せめてそのよう左内容を盛った下請負契約の標準約款を作成して、元請及び下請を強力に指導していただきたいと思う。
 以上でございます。
#4
○委員長(田中一君) どうもありがとうございました。
 では質疑のある方は、順次御発言願います。
#5
○佐田一郎君 お忙しいようでありますから、ごく端的にお尋ねいたします。
 ただいまのお話しの中に出ておりました法三条の一項のただし書き、すなわち除外工事ですね。いままでは五十万という基準額があったわけですが、専門業者としては大体幾らぐらいが妥当だと思うか、これを一つお尋ねしておきます。
 お忙しいようですから三つまとめて御質問申し上げます。
 第二は、法第七条の二項のイロハの専任技術者について、専門業者の方左かなかたいへんだと思う、資格要件が。そこでそういう必要があるかどうか、また実際のそういう専門の技術者を得られるかどうか。たとえば大工さん、左官屋さん、石工屋根、タイル、れんが等、こういったようなそういう専門業者の諸君に、こういう専門技術者が得られるかどうかこれが第二点。
 それから第三点としては、先ほどいろいろお述べになっておられた法律の十九条の三項に、「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。」こういう条文があるわけです。これは先ほどお話になった事柄ですが、そこで実際問題として、総合業者点ですね。どこで一体これをチェックするか、皆さんがお互いに総合業者と専門業者が話し合ってきめた金額に対してこれが妥当であるかないかということ、本人も承知しておる、総合業者も承知しておる、こういうことで両者が承知をして決定した額に対して、あとになってどうもあれは不当な額だった――こういうことを申し上げることは失礼でありまするけれども、皆さんのほうからそういう意見が出たと仮定してこれを一体どこできめ手にするか、この点について皆さんのほうでは何かいいお考えがあるかどうか。この三つの点をお尋ねいたします。
#6
○委員長(田中一君) 参考人の方々に申し上げますが、御発言の際は「委員長」とお呼びください。そうすると発言を許可いたします。
#7
○参考人(月橋清一君) いま御質問の第一点は、五十万をどの辺に上げるか、何かこういう御質問でございましたね。これについては、私は、法改正の場合、あれは三十一年か五年かどっちかど忘れしましたが、その当時の物価の指数から見て、その五十万ということは非常に低いのではないか、こういうことから、これは政令できめていただくのには三百万ぐらい懐でが正しいのではないか、こういう見方を一応持っております。それは、指数が上がっておるがために大きな混乱が出る場合があるので、住宅の場合、大小にかかわらず人間の住む家を一等としてそれは許可業者でなければならない、こういうように考えておりますが、いまのところ五十万を、私の意見としていきますれば、非常に物価指数が高くなっておるので二百万円から三百万円の線のところにきめていただきたい。
 それから第二の御質問でございますが、小さな業者がその現場員または技術者というものを置くということは、それだけものが高くなってくるのではないか。大工さん自身で現在やっておってそれで十分間に合う。ですから、ある一定の金額以下は、大工は全部技能士なり建築士の資格をとっておりますから、私はそれで十分ではないか、こういうぐあいに考えております。
 それから第三の御質問に対しては、契約時に元請、下請の場合に意見を聞かなければならない、これで私も心配をしておるのは、意見を聞きっぱなしの場合一体どうするだろうか。それを協議しなければならないという趣旨のものに改めていただけないか。その場合には、価格を元請と下請双方が積算の対象者であるならば、これが協議をしていけば私は妥当の線がそこに出ると思う。ある場合には安いときもある、高いときもある、こういうぐあいに元請さんがいい仕事ばかりをおとりでない、安い仕事もあるだろう。そういう場合にはそこで協議ができないか、意見を聞くというだけでなく、協議をしなければならないとお願いができないか、こういうことでございます。以上でございます。
#8
○佐田一郎君 第一の三百万という限度については、これは二十八全職種にこれを適用したいというお考えですか。それとも、特殊な業種についてはもっと下げてもいいというお考えがありますか。この点いかがですか。
#9
○参考人(月橋清一君) いま私が二百万円以上三百万と申し費したのは、この前の業法改正のときの物価指数と今日の建築指数の値上がり、労働賃金の仕上がりの試案をしたものを出してみまして、そうしてどうしても軽微の工事の場合は二百万から三百万の線までは軽微な工事にしていただけないか、こういうのが私の考えでございまして、別に根拠というものは、ただ値上がりの指数を一応勘案したものでございます。
#10
○委員長(田中一君) ほかに……。
 それじゃ私一、二伺ってみますが、従来ともに月橋さんのような業種の方々、特に親方が大体元請と、まあことばが荒いけれども、親分、子分というか、家主と何といいますか、おやじと子供のような関係で常に密着して、比較的安定した受注量というものがくるように、これは日本の伝統でありますが、なっておりましたけれども、最近の傾向としてはどうなんですか。したがって、職方は絶対に苦しませない。いつも育成してそうして自分の要求にこたえてくれるんだというような通念が、少なくとも今日の近代社会じゃどうなんです。
#11
○参考人(月橋清一君) 明治から大正、昭和の初期までは下請は非常に元請さんのごやっかいになっております。また現在もなっております。ただ下請のいいなりでは元請企業そのものもこれからは成り一立たない。元請さんも競争するためにどうしても下請を選別をしていくのが、私は正しいと思うのですけれども、いま現在やはり昔からの出入りしておる下請をどうしても使うためにそれを使用なさっているのが現況である。だが、元請さんは、いまのところわれわれが片務性を強く言いますのは、おまえができなければ、おまえの世話役はすぐ使うぞというのは、現在盛んに下請から不満が出ておる状況でございます。下請はばかなやつが多いために、いままでめんどう見ていただいたためにどうしても本社の命に服するよう左ことをしております。私が片務性を強くお願いしたい、契約のときに協議していただきたいというのは、結局下請がたたかれますというとそのしわ寄せが労働者に全部いってしまう。これでは建設労働者になり手がなくなる。こういうことから元請、下請の立場を十分協議をしていただいて、そして下請が労働者を十分訓練、育成、宿舎その他の社会福祉をやれるように、下請にもう少し出していただけないか、こういうことから私は協議制ということを申し上げるんですが、先生のいまおっしゃる下請、元請というものはこれは一つのものではあるが、いまは現実に一つではなくなっている。元請さんも採算がとれ左ければこの中に出ております現場責任者に牽いてこれを決定するために、ともすると、下請の古いやつは使いづらくなってしまう。また単価もたたけない。こういうことから古い下請は非常に現在苦しい立場に入っておる、こういうのが現況でございます。
#12
○委員長(田中一君) 他の材料とか、普通工事左どの支払いも職方の支払いに対しては、非常に、現金払いで支払い状態が非常にいいんだというようにわれわれは理解しておるんですが、その点はどうですか。
#13
○参考人(月橋清一君) これは数年前の話ですが、ある大手の下請が倒産してしまった。そういう場合に倒産してしまって材料を納入した業者が元請の現場へそれを取りにいったところが、一度納入したものは出すわけにはいかぬ、こういうことでその材料納入業者が倒れたことがあるんです。こういうことで、われわれとしてはそういう下請を使った元請さん自体がいけないんであるが、これも何とかこの業法を改正のときに考えてやらなければならないんではないかということを思っております。材料を納入しても一度現場に入れた材料は下請が買って入れたんであります。下請が代金を材料業者に支払わなかった場合にその材料を元請さんの、工事場から引き揚げることができない、こういう例はありました。
#14
○委員長(田中一君) 私が伺ったのは、ほかの材料業者等よりも下請に対しては支払いが非常にいいんだというふうに聞いておるんですが、その点はやはり同じような五カ月、十カ月の手形を払われるんですか。月橋さんの専門業者の下請が元請さんから支払ってもらうものは現金でもらうんですか。あるいは長期の手形でもらうんですか、代金は。
#15
○参考人(月橋清一君) 手形が大体半分くらい、現金が半分くらい、こういうぐあいになっております。この支払いについて下請の意見を総合いたしますというと、今度の改正案では完成の通知を受けた場合には二十日以内に検査をしなければならない。そして五十日以内に払わなければいけない、こうなっておりますと、いまよりかえって悪くなるというようなこともあるが――そういうことは私はないと言っておりますが、みんなの意見はいまよりも悪くなるのじゃないか、こういうぐあいに、これをもう少し短縮をすることはお願いできないのかというのが、全部の意見でございます。
#16
○委員長(田中一君) ほかに質問は――なければどうもありがとうございました。月橋参考人に一言お礼申し上げますが、本日は御多用のところ本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞ御退席ください。
 次に、小川参考人にお願いいたします。
#17
○参考人(小川耕一君) わが国経済の高度成長に伴いまして、わが建設業界の工事量も逐年上昇し、四十六年度は約十七兆に及ぶ膨大な建設投資が推定され、いまや建設業はわが国の重大基幹産業の地歩を占めるに至りました。しかしながら、一方業者数も毎年増加の一途をたどり、現行業法成立直後の昭和二十五年一月現在、約三万にすぎなかった登録業者は、最近では約十七万の多きに達しております。その中で全国建設業協会傘下都道府県協会会員たる業者は大手中小を含めまして約二万四千、しかもその九八%は地元中小業者によって占められているのであります。しからば、十七万にも達する建設業者の増大は、一体何に基づくかと申しますと、まず第一に、建設業は企業そのものが成り立ちやすいほかに、現行建設業法の軽易かつ画一的な登録要件に大きな原因があると考えられます。すなわち資格要件その他の不備はいたずらに建設業者の輩出を招き、過当競争を激化させ、ひいては粗悪工事により零細発注者をも含めて注文者の期待にそむく事態を生ずる等、対社会的にも好ましからぬ結果となるのみならず、労働災害の頻発、倒産業者の続出等多くの好ましからぬ事態をかもす要因となっております。かかる業界の現状に加えて、開放体制に向かうわが国経済に即応して、建設業の全面的資本自由化の時期も差し迫っており、新たな環境変化に対応することこそ緊要と考えられます。したがいましてわれわれはいまこそ建設業者の体質強化と業界の体制整備に邁進すべきであり、その意味におきましても、今回の建設業法改正案はむしろおそきに失するくらいであり、すみやかな御審議とともに、ぜひとも今国会における成立を熱望する次第であります。
 改正内容の注目すべき点の第一は、許可制度の採用であります。すでに現行登録制度に基因する問題点について申し述べましたが、加うるに、建設業は、河川、道路、港湾等の公共工事から民間の工場、個人の住宅建設工事に及ぶにない手として国民生活に重大な影響を持っております。したがいまして、その資質の向上をはかり、かつ業者の施工能力をそれぞれに高めることは、発注者保護の観点からも、また社会公共に寄与する点からも大いに必要なことであります。
 その第二は、請負契約関係の適正化であります。建設工事の請負契約は近来合理化されたとはいえ、なお力関係による発注者の有利性は強く、したがって片務性がいまだに残っております。
 このたびの改正案で、第十九条――建設工事の請負契約の内容、第十九条の三――不当に低い請負代金の禁止及び第十九条の四の不当な使用資材等の購入強制の禁止等の改正条項はまことに当を得たものと考えております。
 第三は、下請業者の保護等に関することであります。今回の改正案は、下請業者の保護について大きく取り上げておりますが、もともと各下請業者を指導管理しながら請負工事を完成している元請業者としては、その指導育成をはかることが、社会的にもはたまた企業自体にとっても当然の責務であろうと考えます。下請代金の支払い期日あるいは労働者の使用者であるところの下請業者が賃金の支払いを遅延した場合における特定建設業者に対する賃金相当額のたてかえ払い等の勧告措置等、下請保護に関する一連の改正条項案は時代の趨勢に従ったものであり、またこれによりまして下請または地方中小建設業者の健全な育成に資するものと認められます。
 さらに、本改正案では、経過措置により法律公布後三カ年の間は現行の登録を受けておれば引き続き営業を営むことができることになっておりますので、その間におきまして、企業体質の強化をはかるべきであると考えております。
 なお、業法改正に関連いたしまして、今後は許可業者としての中小建設業者の信用を高めることが緊急の要務であり、これが指導育成については、特に格段の御配慮を賜りたいのであります。そのためには、まず中小建設業者に対する受注機会の確保を十分にはかっていただきたい。すなわち建設工事入札制度合理化対策に基づいて、中小建設業者の受注分野の確保を励行されるよう強く望むものであります。
 次に、中小業者が経営基盤を強化し、将来の発展を期するため、合併または協業化あるいはジョイントベンチャー等を組む場合においては、これらに対しても受注機会の確保に関し特段の配慮を払われたいこと。さらに中小建設業者の育成並びに省力化対策として、建設機械貸与事業の助成を積極的にお願いしたいのであります。
 次に、建設労働力が極度に逼迫を告げておりますので、その確保対策並びに技能労務者の養成施策の積極的推進をはかられるとともに、労災補償給付額の引き上げについても、人命尊重を基本とする労働者の福祉施策の確立という観点から格段の御配意をお願いする次第であります。
 またさきに述べました標準請負契約約款の改正に伴いまして、今後はこれが完全履行と、その裏づけをなす適正な積算単価への反映につき、一そうの御尽力を賜わるともとに、最近とみに社会問題化してまいりました公害対策、特に建設業に関する問題点としては、一、公害対策工法、機械の開発に対する補助及び融資。二、公害対策用機械及び設備に対する租税特別措置、三、公害対策工法の指定、作業時間の制約に伴う能率低下及び残土等廃棄物処理に伴う費用その他設計積算への反映等が考えられるところでありますが、これら諸問題に対する適切な助成措置をも十分講じていただきまして、今後ともわが国の建設業が健全な発展を遂げられまするよう、特段の御配慮を賜わりたいと存ずる次第であります。
 以上をもちまして私の陳述を終わります。
#18
○委員長(田中一君) どうもありがとうございました。
 次に、鈴木参考人にお願いいたします。
#19
○参考人(鈴木光男君) 現在の建設業法は、終戦後の米軍の占領下においてつくられたものでございまして、当時は、業者といたしましてもきわめて関心が薄かった時代でございます。自来経過いたしまして、昭和三十年ごろから非常にこの問題に対して業界も考えるようになってきたわけでございます。現在のごとく建設業が急速に進歩いたし、時代が大幅に変化をしてまいりました今日には、必ずしも適当な法律ではないような点が多々あったわけでございます。したがって、昭和四十一年に改正に取りかかりまして、検討に検討を重ねまして、今回登録制度を改め許可制度を採用して国会に提出されたわけでございますが、現行の登録ではあまりにも軽易かつ画一的なものにすぎないのでございまして、ここ数年間に登録業者の二割を増加するかと思えば、またその半数ぐらいが脱落をするというような現状でございます。国としてきわめて重要な産業でございます建設産業、特に国民一人一人に対しましても、一生をかけての住宅建設等もございます。したがいまして、責任の重い、重要な産業でございます。また、半面、この産業は人命にもすべての影響がございます。しかし左がら、建設業者のごく一部の者には粗悪工事だとかあるいは建設中途におきます倒産があり、それからまた建設労働災害問題だとか公衆災害、あるいは第三者の災害等がございます。これらの観点からして、建設業法には施工能力、資力、信用等の一定のワクを設けて許可制にすることはきわめて望ましいということが言えると思います。
 なお、本改正案に一般建設業と特定建設業とがありますが、一業種に階級制度ということは必ずしも適当ではないと考えます。しかしながら、本改正案は、大きな者にはさらに高度の義務を負わすという一つの法令になっております。したがいまして、一般建設業者よりもきわめて重い責務を負わせます段階をつくるということに対しまして賛成であるわけでございます。
 次に、請負契約の適正化の問題でございますが、現在も双務契約というたてまえはあります。これは御存じのように契約約款等で問題にしておりましたが、自来、この契約の双務的立場、いわゆる片務的な立場におきまして何か法律にこうしたことをはっきりあげていくべきであるというようなことが、いわゆる昭和三十年ごろから私どもが考え、この建設業法にこうしたことを織り込んでいただかなければならぬということを考えてきたわけでございます。発注者の一方的な問題が多いわけでございますが、本条項には各所にこの片務性を取り除く条項を取り入れていただいたということは非常に進歩的であるというように考えるわけでございます。
 次に、下請人の保護でございますが、従来はこうした具体的な保護対策というようなものが規定されておりません。しかしながら、今回には非常に事こまかに私はいろんな面であげられておる、これは非常に時代に沿ったものであると考えるわけでございます。下請が意見を述べる機会があるとか、あるいは前渡金をもらったときには即前渡金を下請に渡すとか、あるいは部分払いを受けたときにはそれをまた下請に渡すとかいうようにきめこまかい配慮が行なわれておりますので、非常に下請擁護としては、私は本法案は適切なものであるというように考えておるわけでございます。次に、中小業者特に零細業者の指導といいますか、育成といいますか、そうした面から私考えますときに、本法案の中に何かこうしたものを取り入れまして対象になる方法を考えていったらどうかということを考えております。ということは、一昨々年から行なわれました一級、二級の施工管理士の試験の問題等も、これらからはずれておりますのはいわゆる零細業者に所属する方々でございまして、こうしたものが建設省当局においても実際に把握ができない、いわゆる建設人口を調査するには他の調査の方法を取り入れなければならないというような面がございます。こうした面からこうした人のただ届け出だけでもして、建設当局がそれを握って指導ができる、育成ができるというような方法を織り込んだらどうか、こう考えておるわけでございます。特に私は中小零細業者の体質改善だとか近代化を叫ばれております今日でございますので、国をあげてこの零細業者の指導育成というようなことを法律に織り込んでいただいたらどうか、こう考えております。
 なお、この機会に特に中小業者の代表といたしましてお願いいたしたいことは、いわゆる大業者が中心になってまいりました現在の受注の問題を何とかして中小業者に受注機会を確保するような法律、そしてまた中小業者の伸びれるような方法をさらに織り込んでいただく必要があるんではないか。それから特にいま当面する困っております建設労務者の確保の問題、技能労働者の養成問題等の対策をも織り込んでいただきたい、というように考えておるわけでございます。
 以上で終わります。
#20
○委員長(田中一君) どうもありがとうございました。
 次に、今参考人にお願いいたします。
#21
○参考人(今洋君) 本日は私どもにこのような機会を与えていただきましてたいへんありがとうございます。
 私たちは、この建設業法の一部改正案につきましては非常に強い関心を持っております。それは私たち大工、左官等建設業に従事しております職人、労働者に大きな影響を及ぼすと考えられるからでございます。
 第一は、登録制から許可制となり、しかも業種別許可制となっていることであります。第二は、労働者保護や、あるいは労働者養成などの面が不十分であることであります。特に、技能に対する評価がほとんど建設業法の中では行なわれていないということでございます。それから第三は、下請に対する支払い条件が思ったほどよくなっていないというようなことであります。したがって私たちの立場はこの改正案に対しては反対の立場をとるものであります。以下、順を追って問題点について意見を述べてみたいと思います。
 まず、許可制についての意見を述べたいと思いますが、いただきました資料の中に提案理由が書いてございます。それによりますと、許可制の実施は建設工事の請負契約を規制することだと解されるわけであります。許可制の実施によって大企業が規制を受けることはまずないでしょう。規制の対象となるのは当然大工、左官等職人層だと考えられるからでございます。元来、大工、左官等は請負い行為を行なうことは少なく、俗に言う直営工事というものがほとんどでありました。建設業法第二条によれば、「建設工事の完成を請け負う営業をいう。」ということになっておるわけであります。かりに直営方式でありましても、工事の完成を約束すればそれは建設業だということになると思います。直営方式と申しますのは、材料等は建築主つまり発注者が購入して、職人は技能を提供して、発注者から賃金を受け取る、こういう方法でございます。この方法は今日でも地方ではかなり残っております。都会地では一般的に請負化が進んでおりますが、また、大工事においても数次にわたる下請が行なわれておりますが、かなり末端まで大工事の場合でも請負化が進んでおります。直営方式においても技能を提供する職人のほとんどが仕事の完成を約束しております。したがって、現行法でも当然職人は建設業を営んでおるということになってしまうわけであります。ところが、元来技能提供を主にしておりました私たちですから、資本力も財産もございませんし、裸一貫、腕一本、これが唯一の私たちの元手でございます。それに許可制が実施されますと、許可条件を満たすことが非常に困難になるわけであります。これらの事情を反映して衆議院では附帯決議で、政令事項に属します軽微なる工事の範囲を定めていただいたわけでございます。また、今回の改正案では業種別許可制がとられております。大工の場合は木工事のほかに小さな工事におきましては建築一式を受けることが多いわけであります。つまり一軒をまとめていくということが多いわけでありますが、今日のように新建材それから新工法がどんどん開発されていきますと、また手不足も加わりまして、左官屋が塗装の分野にまで進出したり、ガラス工が建具工事まで手を出したりしておるわけであります。改正案では附帯して許可以外の工事を請け負ってもよいということになっておりますけれども、左官の許可を受けた者が塗装のみを許可なしで受けることはできないことになっております。このような規制はきわめて現状に合わないと思います。今後、現在の手不足が早急に解決する明るい見通しがないようでございます。現在の建設業の生産性が問題になっておる折、むしろこまかく細分化していくよりも、多能工的方向が望まれているわけであります。また、この分類でいけば、プレハブ組立業等は一体建築一式に入るのかどうか、このことも不明確であります。
 以上のように業種別許可制は非常に不合理だと思います。また、私たちは前にも述べましたような理由によりまして、もともと企業的形態を持った業者ではないのでありますから、それに許可制を実施されるということは、職場を失うに等しい打撃を受けるわけであります。しかし、一方では請負化が進むという状況の中で、職人は死活問題というところまで思いつめておるわけであります。したがって許可制については、強く反対をいたすものであります。
 従来の直営方式では、建設工事原価はきわめて明朗に発注者につかめるわけであります。材料費はすべて発注者が支払いますし、付帯設備工事も直接支払います。職人は、すべて何人の職人が何日働いたというように発注者に届け出て賃金を支払ってもらうわけですから、一銭のごまかしもないわけであります。しかし反面、発注者にとっては、こうした方法は、一体着工から完成までどれだけの工事費がかかるのかという、予算面でつかめぬという不便さがございます。また、天候に左右され、あるいは台風、火災等の不測の危険に対して、すべて発注者がその損害を負担するというような問題も直営方式の中にはあるわけであります。ですから、これらをじょうずに改善することによって、大工、左官等の従来の職場が守られるようむしろ建設業法の中で考えていくのが、最も現実的なものだと思います。
 次に、第二の労働者保護の問題であります。
 改正案第二十四条の六及び第四十一条の第二項に労働者に関する規定がございます。建設工事は元請の責任において進められるという原則を建設業では確立する必要があります。しかも、数次にわたる重層下請が現状であります。よく私どもには、賃金不払いや労災事故について労働者から訴えがございます。会社に行っていろいろ交渉しますが、なかなか重層下請の中ではうまく解決できないのであります。私契約の中に建設業法が介入できない、こういう事情はわかるのでありますが、それではあまりにも労働者がみじめであります。元請が発注者から一定の工期と金額で引き受けてきた工事に対して、一体どれほど下請側が意見を述べることができるでしょうか。しかも、毎日毎日元請側は工事監督者が指図をして仕事を進めているのですから、当然これらの問題にも責任があるわけであります。ここが他の製造業の下請と建設業の下請と異なる点であります。特に賃金不払いについては、元請が最終的に補償するよう明記してほしいと思います。勧告ができるという表現ではきわめて不満であります。また、事業主負担となる軽微な業務上の傷病についても元請が最終的左責任を持つこと。たとえ下請が雇用する労働者であろうと、元請が健康保険、失業保険あるいは建設業退職金の加入状況をチェックすることは、義務として実施するようにしてほしいと思います。
 労働者養成については、これは職業訓練法の分野に属するわけでありますが、少なくとも企業内に、あるいは小さい業者がそれぞれ共同して実施していく職業訓練については、建設業法の中でも特段の義務づけを行なう必要があると思います。しかも、そこで養成された技能労働者を、もっともっと優遇する措置を当然考えなければならないと思います。そういう点では建設業法はあまりにも請負契約あるいは工事の施工体制、こういうものに走り過ぎて、むしろ建設業のピラミッドの底辺にある三百万をこえる人間の問題をないがしろにしているのではないかという感じが非常に強くするわけであります。
 第三の問題は、改正案第二十四条の二から五に至るまでの各条のうちで、特に二十四条の四による検査及び引き渡しの規定であります。下請として仕事の完成から支払いを受ける日まで、改正案によりますと最長七十日かかることになっているわけであります。しかも、元請が前払いを受けても、下請には前払いをするという義務はございません。配慮せよということであって義務はないわけでありますから、元請、下請との関係でいけば、かなり改善されたとはいっても、片務性はまだまだ残っております。しかも、これらの規定に違反しても、あるいは先ほど申しましたように労働災害を多発しても、あるいはそれを一向に改善する努力をしなくても、賃金不払いを幾ら起こしても、許可を取り消されたり、あるいは更新時に不許可になるという、こういう規定は全く建設業法の中にはないわけでありますから、したがって、零細な職人には非常に過酷な許可条件を課しておいて、難なく許可を取れるものに対してはきわめて甘いという印象を受けるわけです。
 こうして見てきますと、今回の改正案は、小零細業者に対してはきわめて過酷できびしく、その他の業者に対しては非常に甘い改正案だと考えざるを得ないわけであります。したがいまして、私どもは基本的にこの建設業法の一部改正案については反対をいたしたいと思います。どうか私たちの意見を参考とされ、今後十分左御審議をお願いする次第でございます。
#22
○委員長(田中一君) どうもありがとうございました。
 では、前田参考人にお願いします。
#23
○参考人(前田又兵衛君) 前田でございます。当委員会の諸先生には建設業界といたしましてたいへん御厄介になっております。また業法改正ということにつきましていろいろ御審議をいただきましてまことにありがとうございます。この機会に一、二御意見を述べさしていただきます。
 まず、その第一点は、登録制から許可制に切りかえられる点についてであります。建設業者数は近年急速に増加しましてすでに十七万に達しておりますが、これが過当競争を誘発して、出血受注を余儀なくされ、ひいては企業倒産に追い込まれて、発注者に多大の御迷惑をかけることなども懸念されますので、まことに憂慮にたえないところであります。本来技術、信用等において一定の条件を備えることは、受注産業に携わるわれわれ業界人として平素心がけるべき最も重要左ことであると考えますので、業界全体の社会的信用を維持するためにも、この際許可制による取り扱いに切りかえていただきますことは、まことに時宜を得たものと考えます。なお、今後適用除外基準、許可基準等の政令事項の決定につきましては、その適正を期するため慎重な御配慮をお願いいたしたいと存じます。
 第二の点は、建設業の体質強化の必要性と本法案の関係についてであります。建設需要は逐年量的に増加する一方、質的にも技術の高度化、施工の効率化等への要請が高まっております。したがいまして、企業経営の近代化、労働力の逼迫に対応する省力化工法の開発等の課題を解決せねばならず、対外的にも資本の自由化に備えて国際競争力の強化、海外市場への進出体制の整備等の対策を早急に進めねばならぬと思います。このような建設業の体質の近代化は、単に業界自体の企業努力だけでは解決できないのであって、それには建設業の位置づけに必要な法体系が不可欠の要件であると考えます。今回の法案の内容として業種別の許可制をとられたこと、さらに特定建設業の資格要件をきびしく規定されましたことは、前述の観点からしましても、また業界の今後の動向にかんがみましても、当を得たものと考えます。
 第三点は、請負関係の片務性の是正と元請対下請関係の適正化についてであります。受注産業である建設業は発注者との関係においてたとえば物価、労賃の上昇に伴って工事費の是正を必要とする場合が起こりますが、往々にして注文者の意向に従わざるを得ないのが現状であり、このことがひいては元請、下請間の工事費にも好ましくない影響を及ぼす結果となります。今回の改正案は、片務性を是正する立場から請負契約の重要事項についてその内容を明確化することを規定し、さらに不当な請負代金の強制等を禁止することを明らかにし、下請関係も含めて請負関係を適正化することが明分化されておりますので、改正により今後の契約上の改善について大いに期待すべきものがあると信じます。
 第四点は、下請業者の保護に関する本法案の内容についてでございます。御承知のとおり建設業界においては、元請業者の下請あるいは専門業者に依存する度合いが、他の産業界よりもはるかに大きいのであります。したがいまして、下請業者層の体質が脆弱であっては、元請自体の企業活動にも影響するところが少なくないのであります。今回の立法が下請代金の支払い関係の適正化、あるいは労働法規の順守に関する指導等を元請業者の義務として規定されましたことは、建設業界全体の資質を向上させる意味において注目すべきことと考えます。しかし左がら、本改正により特定建設業者の社会的責任が加重されることに対しては、今後これに積極的に対処する決意が必要であると痛感しております。
 以上今回の立法に対する所見を申し述べましたが、前段に申しましたとおり、建設投資額が国民総生産の上に占める重要性からして建設業界の使命は容易ならぬものがあることを自覚するとともに、業界全体の立場に立って本法案の趣旨を十分理解し、今後とも懸命の努力を重ねる所存でございます。
 最後に、本改正はかねてから陳情を重ねてまいりましたので、建設業界多年の宿望でもありますので、一日もすみやかにその成立を見ますよう心からお願いをいたします。私の公述をこれで終わります。
#24
○委員長(田中一君) どうもありがとうございました。
 最後に、内山参考人にお願いいたします。
#25
○参考人(内山尚三君) 内山でございます。
  わが国のように建設投資が盛ん在国では悪い、信用のできない業者が建設業界に入ってくる可能性が多分にありますので、よい業者を育成し悪い業者を排除するという意味で、すなわち憲法に規定しております営業の自由の原則がそこなわれない限り、すなわち業者数を単に減らすために許可制をしくということでない限り、やはり当然の成り行きであると思います。しかし、ここで考えなければいけないことは、まじめに営業を、仕事をしておる業者、すなわち一人親方あるいは小さい工務店などが許可制によって排除されていくということになりますと、昨年住宅宅地審議会で発表されましたように、今後十五年間の住宅建設のうち、三百万戸のうちの二百万戸は一人親方あるいは町の小さい工務店に手を借りなければならないというようなことから考えましても、そういう方向にいかないようにしていかなければならないと思います。その点で、今回の改正で一般建設業と特定建設業に分けて許可基準に難易をつけましたことは、賢明な処置であると思いますが、しかし、一般建設業者の許可基準などは政令にゆだねられておりますので、この点がどういうふうになるかということは、私としては大いに関心を持たざるを得ないわけであります。次に、建設業の許可制は公明正大によって行なわなければならないのであります。不当な圧力によって本来許可すべきでない業者が許可される、あるいは当然許可になるべき業者が許可にならないというようなことがあってはならないわけであります。その点から考えまして、今度の建設業法の改正におきまして、アメリカなどで行なわれておりますライセンスの委員会というものが設けられて、そこで公明正大に許可を与えられるということがないということは、非常に遺憾であります。このことはたぶん地方自治体などに多大な財政的な負担をかけるということを配慮して設けられなかったのではないかと思いますが、しかし許可制をしくならば徹底的な許可制をしいて、よい業者は育成し悪い業者は排除していくということでなければ、建設業の許可制は大きな意味を持たないのではないかと思うわけであります。
 第三に、今回の改正案を見ますと、下請業者の経済的地位を強化するということが、目的の一つに掲げられております。これは当然の成り行きでありまして、現在深刻に社会問題にもなっております労働力の不足というものは、元請と下請との間が対等な権利義務関係ではなかった。そのために下請が、いろいろ矛盾が労働者、末端の建設労務者にしわ寄せされるということになっているわけであります。建設労働力の不足はしばしば問題になっておりますが、これは労働災害や賃金の不払いということで、建設業は危険左産業である、近代的な経営をしてないということで若年労働者が入ってこないという悪循環が起こっておりますので、この点は十分考えなければならないと思います。そういう意味で元請と下請との関係を近代化しようと考えた今回の建設業法の改正には賛成したいと思います。
 ただ、問題にいたしたいと思いますのは、四十一条二項で、下請の賃金の不払いがあったときには、元請がそれの立てかえ払いを勧告することができるという規定であります。これは建設労働力の不足を解決するためには、賃金の不払いなどの問題が起こった場合にそれを解決するためには、一番強い元請に負担をさせるというふうに考えたわけであると思いますが、私はこの点はやはり下請対策についての考え方の混乱があると思います。私といたしましては、下請はやはり労務供給業者としてではなく、職別工事業者として独自な経営をする、強化していく、元請と下請との関係は発注者と受注者という、そういう関係であるべきでありまして、したがって、第一の下請が責任を負うというふうにすべきであると思います。そのためには、下請を独立した企業として育成していくという方向がとられない限り重層的下請が行なわれまして、一番末端の関係ではどうなっているかわからないということが起こるわけであります。その意味で重層的下請を排除していく、なくしていくという方向を建設業界、監督官庁は考えていくべきではないかと思います。
 次に、今回の建設業法の改正が考えられましたのは、建設業界の長い懸案でありますが、このことしの秋から始まります資本の自由化ということから考えますと、外国から入ってくる建設業者に、その国で許可制がしかれているというならば、わが国でも許可制をしきまして、対等な関係になっていかなければいけないということはあり得ることだと思います。建設業界は現在いわば転換期に入っております。と申しますのは、建設投資が盛んになり、景気が後退するということになりますと、ほかの産業から建設業に侵入してくるということが行なわれていくんです。このことは、毎年建設省が発表いたしております年間完成工事高のランクなどを見ますと、商事会社などが上位を占めてくるという点からも考えられるわけであります。さらに、資本の自由化という問題が起こりますと、現在建設業界のならわしになっております入札協定、これは指名入札と関連があるわけでありますけれども、そういうものがやはりだんだんくずれていくのではないかということを考えておかなければならないと思います。その場合に、建設業界に混乱が起こらないように、やはりほかの侵入する産業、あるいは外国から入ってくる建設業者とまともに競争できるように体質を改善していく必要があると思います。
 次に申し上げたいことは、しばしば問題になっておりますし、今度の建設業法の改正におきましても目的の中に入っております発注者と受注者の契約の問題であります。この契約は、戦後建設業法が改正され、中央建設業審議会などが設けられまして、標準約款ができましたので、戦前と比べましては非常に進歩しておりますけれども、私どもから見ますと、まだまだ対等な双務的な関係になっていない点があります。これはひいて元請と下請の関係を対等左関係にしないことになり、下請を圧迫することになり、さらにそれが労働力の不足の問題につながっていくわけであります。
 それと同時に問題にいたさなければならないのは、適正な単価で発注するということであります。現在のように労賃が上がり――これは当然なことでありますけれども、労賃が上がり、あるいは資材が上がっている場合に長期的左契約を行なう請負契約におきましては、やはりこの問題を十分考えて発注しなければいけないと思うわけであります。そうでありませんと、景気後退のために発注を急ぎましても、実際において労働力の不足のためにその工事を消化できないということが起こり得るわけであります。社会資本の充実ということが叫ばれておりながら、実際に労務者の不足ということで工事を消化できないということが起こってくることは、十分あり得るわけであります。その点で私が特に指摘しておきたいことは、建設省の発表しております建設白書によりますと、昨年の白書では、「建設労働力の動向」というところで、「一般的な労働力不足が深刻化するなかで、建設業での労働力の確保がいっそう困難となっているものと思われる。」というふうに、建設労働力の不足の問題を指摘しております。これとは逆に、昨年の暮れに発表になりましたように、総理の諮問機関、である雇用審議会におきましては、「低生産部門から高生産部門への誘導を円滑に進めるために、労働力の傾斜配置構造の実現をはかることが必要である」ということが強調されております。その中で、建設業は、「卸売り、小売り業や繊維製品などと並んで誘導の必要性が最も少ない部類に入れられておる。」、すなわち建設業における労働力需給がすでに逼迫から緩和の段階に入っているとする見解が述べられているわけでありますけれども、こういう見方が一部にあるということでありまして、こういう点におきましては労働力の不足というものに対する政府の見解の相違がある。この点十分検討していただきたいと思います。
 先ほども申しましたように、よい業者を育成し、悪い業者を排除していくという意味での許可制であるとすれば、これは当然でありますけれども、しかし、単に業者数が多くなるからそれを排除制限していく、既得権を守るという意味では、建設業の許可制をしいた意味がなくなるわけであります。その点で私が最も心配することは建設業の許可制をしくについて十分左予算の裏づけがああるかどうか。そういたしませんと、許可制というものが非常に不完全左ものになりまして、せっかく許可制をしきましても、悪い業者に許可が与えられ、一般の公共の福祉に反するような現象が起こるということになるわけてあります。
 社会資本の充実ということは佐藤首相はじめ各方面で叫ばれておりますし、私どもといたしましても住宅問題あるいは道路の災害、交通事故などを考えましたときに、社会資本の充実ということをこれから進めていかなければいけないわけでありますけれども、これを実際にやるのは建設業者でありまして、そういう意味でやはり建設業者、これは建設業の労働者を含めまして建設業に対する理解が、非常に世間では少ないのではないか。このままほうっておきますと、労働力の不足というような問題から、ますます矛盾が大きくなっていくのではないかと思うわけであります。
 これをもって終わります。
#26
○委員長(田中一君) どうもありがとうございました。
 以上をもちまして参考人の方々の御意見を拝聴いたしました。それでは質疑のある方は、御発言願います。
#27
○二宮文造君 参考人の方々にはたいへんお忙しいところ、ありがとうございました。ただいま貴重な御意見を伺いまして若干私お伺いしたいと思うのでございますが、まず最初に内山先生にお伺いしたいと思いますが、御承知のように、今度の業法の改正の提案理由として、「近く予想される全面的な資本の自由化に対処して国際競争力を強化するため」、こういう重要な一項目がうたわれております。ただいまも御意見の中で、たとえば指名入札制度に混乱が起こるのじゃないかという若干の御意見はいただきましたけれども、その外国資本の進出に対しましてわが国の建設業がはたして太刀打ちできるかどうか、いろいろな影響が考えられるわけでありますが、大手あるいは中小と、こう分けて考えた場合にどういう影響が予想されますか、若干の補足をいただきたいこと。それから、この改正案がはたしてそれに対応できる有効左手段となり得るかどうか。これに対する御意見もあわせてまず最初にお伺いしておきたいと思います。
#28
○参考人(内山尚三君) 私は十分まだこの問題について考えておりませんので、御返答できるかどうかわかりませんけれども、一例をあげますと、大林組がハワイでホテルを建設するときに、御承知のようにハワイ州は許可制をしかれておりますので許可をとらなければならなかったわけであります。アメリカの建設事業の許可制は日本の許可制とだいぶ違っておりまして、許可を受けるためにはもういわゆる試験を受けなければいけない。試験を受けるためには、一つは筆記試験で経営者としてのなるべく十分な知識を持っているかどうかという点であります。この点、私は今度の建設業の許可制で経験年数というようなことがうたわれましたのは、何も経験のない者がいきなり建設業を始めるということがないようにという考慮のもとでこういうふうになったと思いますけれども、日本の場合よりははるかにきびしくて、いわゆるペーパーの試験を受けなければいけ雇い。それからもう一つは、その試験に合格いたしましても、いわゆる信頼できる人間である、過去において悪いことをしていない人間であるかというようなことで許可を受けることになっております。聞くところによりますと、やはりなかなか、試験は通ったけれども、これは先ほど言いましたようにライセンスの委員会がありましてそこできめるわけですから、大林組がハワイに入ってきたならばほかの業者も入ってくるのではないかというようなことでだいぶ渋ったそうでありますけれども、この工事だけということで許可を受けた。あとの工事はあらためてまた許可するということで許可を受けたということであります。ハワイは御承知のように非常に建設投資の少ないところでありますので、外国の業者ももちろんそうでありますけれども、むしろメインランド、すなわちカリフォルニア州あたりから業者が多数入ってくると困るというようなことで、委員会を設けてなるべく許可をしないという方針をとっておるようでありますけれども、聞くところによりますと、ある職別工事業者、電気工事業者だったそうですが、それがカリフォルニア州からハワイに入ってきて許可を受けようとして許可を受けられなかったので訴訟を起こしたというようなこともあったと聞いております。そういう意味で、両方を許可制にする、対等な関係にするという点におきましては意味があると思いますが、しかし、先ほども言いましたように、わが国の場合では委員会制度でありませんから、いろいろな圧力で許可せざるを得ないということが起こり得るのではないかと思います。その場合どういう形で入ってくるか。これは自動車産業などとの関連で考えまして、やはりあくまで自分の資本を守っていくという立場で、外国の資本、現在は五〇%でありますけれども、そういうことで現在の苦難を切り抜けていくという業者が出てくると私は思っております。特に日本でホテルを建てようとかマンションを建てようというような、そういう業者が、不動産業者などの計画がありますと、その息のかかった建設業者にやらせたいというようなことで、日本の建設業者に資本を投資して、そしてやっていくということは考えられていいのではないかと思います。その場合に私は、現在の状態ではどうも負けてしまうのではないかというような心配を非常にしているわけであります。まあこの点におきましては、私といたしましては、建設業界の全体が資本の自由化についての取っ組み方がおそかったのじゃないかというふうに考えております。
  〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
#29
○二宮文造君 ありがとうございました。それで、ただいまもアメリカにおける許可制というものに例を引きながら御意見を伺ったわけでありますけれども、御承知のようにアメリカは許可制を採用しているただ一つの国だ、こう聞いております。しかもアメリカでは大体、許可にあたって試験をする。しかしそれは必要なことは、いわゆる業界のモラルといいますか、それともう一つは法律的な、あるいは技術的な知識、これを重視して、むしろ資本だとかあるいは機械設備だとか、そういうことはあまり重点にしない。といいますのは、ライセンス委員会も、おっしゃるとおりありましょうし、それからボンド制度ですか、これが確立しておりますので、むしろそういう技術的表面あるいはモラルの面、法律的な知識の面、これを重視してライセンス委員会で検討する、こういうかっこうになっておりますが、今度の改正案における許可制の主眼点となりますと、政府の提案によりますと経営経験だとか、あるいは技術者の有無だとか誠実性だとか財産的基礎とか、こういうものを要件にあげている。しかも、おっしゃるとおりライセンス委員会がございませんし、一方、業界の現在の登録の数を調べてみますと、四十五年十月三十一日現在で、大臣登録業者が五千九、それから知事登録が十六万九千六百三十二、こういう数字があげられております。しかし、現在建設省の建設業課の登録に携わる職員はわずか十一名なんですね。地方のことも考えてみますと、これらの程度の人数で登録から許可制への切りかえということが、審査にあたりまして十分に行なえるかどうか。先ほど、予算的左裏づけということもおっしゃっておりましたけれども、まず審査の陣容が整っていないのじゃないか。考えられますのは、商品取引の仲買人の許可制のときと同じように、何かあれは、非常に評判の悪かった二十五社の方が条件をそろえているからというので、自動的に許可になってしまったというようなことが再び繰り返されるのではないか。だから、せっかく許可制をとるとすれば、もう少しそれに整った要件というものを、改正にあたって用意すべきではなかったろうか、こう思うのですけれども、との点いかがでしょうか。
#30
○参考人(内山尚三君) その点私も同感でありまして、許可を何のためにやるかということですね。そのためにはやはり本格的左許可制をしなければ、単に登録を許可に切りかえるというようなことになってはいけないと思います。そういう点においてやはり建設業というものに対する重要性の認識というものが非常に浅いということから、そういう安易な考え方で建設業の許可制というふうに考えていったのじゃないかと思いますが、その点は全く同感でありますけれども、ただ先ほども御指摘がございましたように、ボンドの制度がありますと、そこで工事を取ってもポンドをつけてもらえなければ工事をやることができないということで解決するわけですが、そうでないとすれば、やはり一定の財産的なあれがないと、これは頼むほうもあぶなくて頼めない、途中で投げ出されてしまうというような懸念がありますので、そのかわりに財産というものが掲げられたと思います。ただ、私は先ほども言いましたように、建設労働者、たとえば大工の技術を習得して、そうして働いてお金をためて、今度は親方になってそうして許可をもらっていくという、そういう道がやはり開けてなければ、これは営業の自由の原則にも反しますし、建設業に入ってくる労務者も大いに将来伸びようという有能な若年労働者が入ってこないのではないかと思いますので、そういう点はやはり政令なども考慮に入れてやるべきではないか。特に一般建設業においてはその点を考えなければいけないと思っております。
#31
○二宮文造君 それからちょっと御指名が適切でないかもしれませんけれども、今参考人に御意見をお伺いしたいと思うのですが、衆議院の附帯決議に、許可の適用が除外される業者の範囲というものを「工事一件の請負代金の額が、建築一式工事にあっては三百万円に満たない工事若しくは延面積が百平方米未満の木造住宅工事、その他の建設工事にあっては百万円に満たない工事とすること。」こういう適用除外の範囲を附帯決議で要請しております。これによりますと、普通の規模の住宅工事というのは大体これに入るのじゃないか。で、消費者保護という立場からお伺いするわけでありますけれども、こういう適用除外を設けて、そうして業者をそのまま野放しにしておいていいかどうか。これはもしできるならば、小工事業法ですか、そういうものをつくられて都道府県知事に登録させるというふうな考え方でいったらどうかなと思うのですが、この点についての御意見はいかがですか。
#32
○参考人(今洋君) その三百万という金額では、かなり、現在の建設工事費から見ますと小規模なものにならざるを得ません。現在住宅金融公庫の場合には、大体百二十平方メートルまで融資対象になって、それ以上のものについては融資対象にならない。たとえば百五十平方メートルの住宅を建てるとすれば、百二十平方メートルまでの工事については対象になるけれども、あとの三十平方メートルについては全額除外される、こういうことになっているのでございますが、近年農村地帯はこれは戦前からの農家住宅を改築在り新しく建て直す、こういうことが行なわれているわけですが、御承知のように、農村では非常に住宅が不必要に大きいわけですね。大きいのは私は必ずしもいいとは限りませんけれども、不必要に大きい。しかし現実には大きい住宅が発注になる。それらの平均が大体四十五坪ですから百五十平方メートルぐらいになっておるわけです。しかも農村では先ほど申しましたように比較的直営方式が多いわけでございますね。近所の大工さんに頼む、しかも材料費については施主が直接払い、労賃でこちらは技術を提供する、こういう形が多いわけですので、それらをすべてカバーするということになれば、私どもの立場から考えれば、できれば百五十平方メートルぐらいまで上げていったほうがいいというふうに考えます。それから二番目の、それでは全く野放しになってしまって消費者保護がはかれない、こういうことなると思うんですけれども、この問題がここのところ二つございまして、確かに不良業者がいることは事実でございますし、私どもも否定はいたしません。ただ私どもが非常に非難される場合に、最近新聞紙上でも問題になっております木材の規格のあいまいさ、つまり施主は当然一等材として頭の中に描いているイメージが、実際に消費された一等材というものが寸足らず、あるいは品質不良、こういうことがあります。それから新しい建築材料でも的確左検査なり、的確なチェック機関がないためにかなり不良品が出回っている。それらをつかまされて施工した場合に、すべてそのしわ寄せは私どもが引き受けてしまうわけですね。なぜ大工さんこんなものを使うのだ、非常に悪い材料じゃないか、半年もたったらこんなになるというような形で、そういうことから片方で業者ばかりいじめるんじゃなくて、やはりそういう建築材料に対するいろいろな規制なり規格の統一なり、こういうものがはかられてきませんと、大工、左官が悪い悪いで一方的に私たちが泣かされてしまうわけです。そういう問題があるということだけ一つ頭に置いていただきたいと思うのですが、その上に立ちまして小工事建設業法等について私どもが全く考えないというわけではございませんでしたし、私どもは建設省の住宅局のほうには、ひとつそういう一般消費者のためにはやはり全国各地を適当な単位に分けて、あるいは一つの県の中でも三つ、四つに分けて、そしてそういう小さい単位での住宅センター的なものをおつくりになったらいかがでしょう、そこへ大工、左官等を登録さしておいて、そして消費者がどういう大工さんに頼んだらいいかなあといって、わからない人についてはそこが一つのアドバイスをする。そして自分の知り合いに大工、左官等がいるからその人に頼もうという人は、別にそこでお世話しなくてもいいわけでございますから、したがってそういう方法も一つの方法だ。あるいは大工、左官等の立場を考えて小工事建設業法なるものをおつくりになるのもけっこうだ。たとえば造船の場合には、木造船をつくる場合何か法律があるように聞いております。私不勉強で内容はよくわかりませんが、そういうことを聞いておりますので、そういう形で考えられるのもけっこうだと思うのです。いずれにしても、やはりいまの許可基準で財産等を要求されると非常に私どもはつらい、過酷である、こういうふうに考えます。
#33
○二宮文造君 ありがとうございました。
 それからもう一点お伺いをしたいわけですが、先ほども各参考人の御意見として、建設業が当面しております技能労働者の不足、こういうことについてお話がございましたけれども、これはどういうわけですか、欧米各国ではどういうふうな施策を講じているか、これはまあ御意見としてありましたらお伺いしたい、また当面業界としてこういうふうなことはぜひ対処してもらいたい、こういう御意見がございましたらお伺いをしたいので、この点につきましては、日建連の前田参考人と、中小の業界の団体と伺っておりますが全中建の鈴木参考人にお述べ願います。
 それからもう一点、たいへん恐縮なんですが、全国建設業協会の小川さんにお伺いしたいのですが、先ほど内山先生の御意見で、資本の自由化になって外国資本が入ってくると、いろいろなことが考えられるけれども、非常に負けてしまうのではないかというふうな心配もある。したがって特に全国建設業協会に加盟の会員の方で経営の合理化とか生産性の合理化あるいは省力化という問題についてどういうふうに御検討されているか、この点をお伺いしておきたいと思うのですが、たいへん恐縮ですがお願いしたい。それで終わりにしたいと思います。
#34
○参考人(前田又兵衛君) 御指摘の技能労務者が非常に足らない、特に最近そういう状態でございますが、いま大手が大体考えておりますのは、直用で自分の会社で従業員がたとえば一万人あるいは五千人と、いろいろあると思いますけれども、大体一割、一万人の場合には千人、あるいは四千人の場合には四百人というくらいのところは、直用で自分たちが意欲的にそういうものを確保しております。それからみずから研修会でございますかを持ちまして、それを意欲的にふやして直用でふやしていくということをまずやっております。それから建設省凍り労働省で建設大学なり、あるいは労働省で技能養成所がありますから、そういうところとの連絡もとってその問題の解決に当たっております。なお、さらにそういう解決する方法があれば、業界全体としてもしできることがあるなら御協力をさしていただく、という考え方でございます。
#35
○参考人(鈴木光男君) この問題につきましては、日建連が中心になりまして、いまちょっとした対策を考えて準備会を開いておるわけでございますが、私は従前からこの建設技能者につきましては、国としての施策があまりにも軽微といいますか貧弱といいますか、そうした点にあるのじゃないかというふうに考えております。ということは、いまの国民性、特に若い者はもう中学を出ますとすぐ高校に行きたがります。したがって、上級学校に進学するということを念頭に置いておりますので、私はこの技能の養成所だとか訓練所だとかいうような労働省関係のものがあり、あるいは地方の府県にもございますけれども、それを一変していただきまして、技能高等学校というような課程を設けて、さらに技能学校に入学する者に対しては、いわゆる衣服だとか食料だとかいうようなものは一切国費でまかなうというような方法をとっていただく、そうした徹底した方法をとっていただきますならば一必ず私は不足はしないのじゃないか。それから特にいまの青少年のいわゆる進学目標といっております、われわれの考え方を推して考えますときに、高等学校というひとつの学校方式で教育をしていく、これは一部の県にはあると聞いておりますが、まだ私実地には行って見ておりませんけれども、それに切りかえたために非常に成績をあげておると聞いております。そういう点から特に不足をしております大工、左官というようなものを中心にいたしまして、国営のそうしたりっぱなものを創設していただいたならば不足はしないというように考えておるわけであります。
#36
○参考人(小川耕一君) 第一点の外国企業の進出の問題でございますが、これは私はそれほど大きな問題にはならぬだろうと、まあ結論から申し上げますとそういうことになるんです。と申しますことは、先進国、これはまだ日本よりも労働賃金が相当高いんです。特にアメリカなどは建設産業の従業員の賃金がもう高過ぎて弱っているというようなことも伺っております。そういうような状態で、先進国の侵略というようなことはそれほど心配することはないだろう。そこで、問題になりますのはむしろ低開発国、これは安い労働力を持っているわけです。韓国であるとかあるいは台湾であるとか、どういうところは安い労働力を持っている。これの進出ということが懸念されるんですが、まあ最近この建設産業も相当機械化されてきております。技術も高度化してくるというような点で、これもそれほど心配はする必要がないんじゃないかと、まあ私は非常に楽観論かもしれませんが、そんなふうに考えております。
 それから、第二点の業界の合理化の問題ですが、これは私は建設産業は農業に次いで日本では合理化のおくれている産業ではなかろうかと、こんなふうに考えております。したがいまして、業界全体としての合理化、まずこれを考えなければいかぬだろう。アメリカなどは非常に進歩していまして、そして機械は機械の貸与会社がある、それから労務者はやはり職別が非常に発達しておって、職別に注文一つ発するとそこから提供を受ける、こういうようなことになっておるわけです。したがいまして、建設産業というような波のある産業、しかも受注産業の場合には、理想としてはそういう形にいくことが理想じゃなかろうかと、こう考えておるわけです。それから各個々の業者の合理化、これも非常におくれておると思っております。そこで、先ほど来問題になっております協業組合あるいは協同組合、ジョイント、こういう問題がぜひ必要なんでございますが、いまのところ、かりに五社なり十社なりが協同組合をつくった一まあ地方の中小業者はほとんどが官庁の仕事を対象に商売しているわけなんですが、こういう連中が五社集まったから、じゃあいままでだけの指名があるかということになると、これが減ってし使う。そこで非常に協業あるいは協同というような方式が立ちおくれているということは考えられると思うんです。ですから、まずこれはやらなければならぬことだと思うんですが、発注官庁においてそういう面の対策を、まず考えていただく、そして合理化を進めていく、こういう方法で進めていきたいと、こんなふうに考えております。
#37
○高山恒雄君 内山先生に御質問申し上げたいと思いますが、先ほど先生も御心配されておるように、信用のできない業者をこの許可制である程度制約をする、これには賛成だとおっしゃっておるんですが、この点についてはだれも反対する者はないと思うんです。ただ問題は、業者のつまり制限をするための危険性が多分にあるんじゃないかと、先ほど二宮先生も御質問なさったように、中央のいまの機関あるいは地方の状態では、そういうものを整備するような状態にはならないのではないか。したがって許可制にしたために、むしろ業界が少なくなって、そうして逆に値上がりをするとか、そういう問題まで影響が出てくるのじゃないか、こういう心配をわれわれはするのですが、その点ではどうお考えになっておりますか。
 なお、前田さんにお願いしたいのですが、先ほどおっしゃったように、三百万というこの建設業者の労働者の方がおられるわけですが、これには臨時工が延べ時間でやっぱり含まれていると私は思うのです。一体建設業界の常用工というのは、どのくらいおるのか、その働く者の労働条件と、臨時的な労働者の条件というものが非常に格差があるのじゃないか。ここらの是正がない限り、今後の建設業に対する労働力の不足というものの解決にならない、こういうわれわれ心配をしておるわけですが、この点でひとつぜひお聞かせ願いたい。
 なお、今さんにお尋ねしたいのですが、先ほどおっしゃったように、二つ以上の技術を持つことには非常に心配しておるということですが、現実にたとえばタイル工業ですか、あるいは塗装工業、三つぐらいの仕事を一つの業者でできるようになっておるのかどうか。もしそれを引き受けても、その人がまた下請の下請に出して、そうしてやるようなことになっておるのか、技術面の点ですから、この点ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
#38
○参考人(内山尚三君) いまの御質問でございますけれども、私も建設業の許可制がそういうふうになってくる心配はしているわけでございますけれども、ただ重要な産業でありながら、建設業に対する関心といいますか、そういうものが非常にないために、建設業はむしろ自己防衛的に、たとえば不当左単価で受注しないように協定を結んだりして、そうしてそれが順番でやるとかいうようなそういうようなことで、ほんとうならば競争に負けてしまうという業者がやはりあると、そういうことは、そういう意味でやはり競争に耐えられない業者は、これはつぶれていくことはいたし方ないと思います。ただ大手と中小と比較いたしますと、資本力からいきましても、いろいろな点において大手のほうがすぐれております。したがって、そういうほんとうの意味の建設業者、建設業をまじめに経営している業者がつぶれていくということは、これはいけないことでありますので、私はジョイントベンチャーとかあるいは協同組合というようなことを、地方の中小建設業者は、やはりもっと考えなければいけないのじゃないか、特に資本の自由化とか、ほかの大きな資本を持った業者が建設業に入ってきた場合に、これに対抗していくためには、もっと自分たちの一人の力でなくて、何人か力を合わせて、そうして仕事を受注していくという方向に持っていかなければいけないのじゃないかと思います。私は建築費がどんどん上がっていくということは、いろいろな原因がありますので、建設業者の近代化がおくれているというだけで説明すべきではないと思いますけれども、やはり建築費が上がっていくということに対する世間の批判も、今後起こってくるのじゃないか、そのときにちゃんとこたえられるだけの準備をやっぱりしておかなければおかしいのじゃないか、公正取引委員会などでも問題にされる可能性が起こってくるんじゃないかという懸念はしております。
#39
○高山恒雄君 私が心配しますのはそのとおりですが、たとえば建材でも東京では坪当たりで十五万、九州では十万弱。ところが日本全体から見てみて新しい新建材というのをいまどこの県でもみな使っている。むしろ建材は近畿、関東方面が建材のやっぱり主産地ですよね、九州は輸送費がそれだけかかる。ところが九州は安くできる。むろん労働費も安いと思います、何ぼか安いと思います。そういう状態の中でさらに特定の許可制ということが実施されるということに煮ると、そういうものに拍車をかける一つの大声きな要因になるのではないか、こういう心配をするわけです。むろん労務費の違いもありましょう。しかし、建材は逆に産地のほうが安い、輸送費から考えてもですね。そういう問題からこの許可制というものに対する制限の一つのやっぱり危険性が起こってくるんではないか、こういう点を心配するものですからお聞きしているのです。
  〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
#40
○参考人(内山尚三君) 東京や大阪と地方と比べて建築費が非常に差異があるということは、私もよくわからないんですが、ただ考えられますことは、都会における住宅難、これは非常に深刻なものですから、やはり現在は東京に住んでいる大工さんだけでなくて出かせぎ労働者、これによって都会の建設工事を行なうといった場合、やはり募集費とか住宅が非常に御承知のように高いものですから、こういう何かがやはり関係してそして高くなるんじゃないか。ですから、ほんとうにやはり建築費を下げていくというようなことになりますと、建設労務者の特に出かせぎ労務者が宿泊などもこれらの業界で考えていかなければ行き詰まるんじゃないかというふうに考えております。これは業界だけの力だけではできないので、やはり政府が低利資金で宿舎をつくるとか、政府と業界が考えてやる必要があると思います。
 それから先ほどの許可制の問題で、どんどん建築費が上がっていくんじゃないかという御質問ですけれども、これは今度実際に許可制の政令にまかされているところが多いので、そう考え合わせてみないとわかりませんけれども、私はそれだけ現在のいろんな政治情勢から考えまして、非常に少なく許可制を制限してしまって、そして需要供給のバランスがくずれてしまうというふうなところにはいかないんじゃないか、またそういうふうに許可制を持っていくべきじゃないと思っております。
#41
○参考人(前田又兵衛君) 御質問をいただきました臨時工の数でございますけれども、実はそれだけの勉強をしておりませんので、確たる数字はちょっといま申し上げることが不可能でございます。しかも、直用工と臨時工も元請の場合と下請の場合もやっぱり直用工もございますので、そうしますとちょっと数字のことにつきましてお答えできない。待遇の問題でございますけれども、大体がやっぱり出かせぎの方と直用工との比較だと思いますけれども、最近のこういう情勢でございますからそんなに悪い、差があるというようなことは考えておりませんので、時間外なりあるいは場合によっては徹夜をしなきゃならぬ、そういった場合にはきちんと規定されたことは実行もしております。
 次は、ここでこういうことを申し上げるのは本意ではありませんけれども、先ほど一番最初に月橋さんのおっしゃった汚職をやった職員が栄転をするであろうというようなことにつきましては、断固としてありませんから、これはそういうことはこういう席でむしろ私は言うべきじゃないというふうにこれは考えておりまして、これは最近私のほうの会社の実例で申し上げますと、去年実は鉄道工事で私のほうの会社は確かに汚職が起きました。そこで金額はたいしたことはありませんでしたし、事情もありました、ありましたけれども、新聞紙上にも伝えられまして、指名停止も約二カ月ばかり食いました。そこで、私のほうの会社の副社長以下専務、それから関係者に対しましては三カ月の減俸をやった。それから現場の所長、それからその当事者は約一カ年間の会社から出勤停止、しかし、それでは本人が困りますからいるいろ考えまして、傍系の傍系会社に私みずから頭を下げて使ってやってくれという何をとったのですけれども、本人はそれまでの御心配はしていただく必要はありません、それで退職金もいただきません、そうして必ず三年後には私の前に出られるように更生をしてきますからやめさせてくれということでやめてまいりました。そのくらいにやっておりますから、決してこういうことはこの時代においてそんなことはこれは絶対ありませんですから、その点は余談でございますけれども申し上げます。
#42
○参考人(今洋君) まず、先ほどちょっとお話し申し上げましたように、この建設業法の分類があるわけでございますが、たとえば左官工事業の場合には、単に壁を塗るだけでは最近ございませんで、左官はスプレーという吹きつけを使います。その吹きつけの技術というのは従来が塗装の分野になっておったのですけれども、使用する機械、コノプレッサーとかそういう使用する機械も、吹きつける機械もほぼ塗装と同じようなものだということになりますと、当然左官工事業をやっている人は同じ技術と技能で塗装もできるということになるわけでございます。それでわれわれのような零細のところではなぜ所得がなかなか上がらないのかということを考えてみますと、たとえば一式を請け負っておる方は、現場で着工から竣工まで仕事があるから毎日現場に行くのですけれども、ガラス屋になりますと、わずか一時間、二時間現場に行って次の現場に行く、ところがサッシや建具が届いてないと半日そこでもって待っていなければならない。そこでは一銭の金にもならないから、そういうことでは私たちがより生活をよくしょうと思うと、関連する多くの技能をなるべく身につけて、すき間のないように働きたいという気持ちが出てくるわけです。そうしますと、一つでも勉強して次の仕事を、新しいものを身につけておこう、こういうふうになってくるわけです。だから私たちのところはせいぜい三人ないし五人程度の職人が一緒になって、まあ親方を中心に仕事を進めていく、こういう形態ですので、それが関連するものを引き受けたからといって、それを全部下へ投げるということはないわけでございますね。もう少し上になれば、それはまた別かもしれませんけれども、私たちの立場でいえばそうなるわけでございます。したがいまして、もう一つは、非常にまあ新しい材料だとか、工法だとか変わってまいります。たとえばこれはちょっと古い例ですけれども、木舞工というのがございました。竹を組んで壁の下地をつくるやつですね。あれがだんだんラスボードという新しい材料が出てくることによってなくなっていくわけですね。そうしますと、出てきた新しいラスボードは一体だれがやるかということになると、当然失業してしまうであろう木舞工が、それを身につけてやればいいんですけれども、結局、板ですのでそれを打ちうけたりなんかすると、それは大工の分野だということになって、大工さんのほうに取られてしまう。それも、関連したものが出てきまして、今度はまた新しい全く予想ができないものが出てきた場合に、この分類でいけば一体だれがやることになるのか。そのたびに一々許可願いを出して、経験が十年以上ということになると、新しいものに対しては経験がゼロなわけですから、どこか力があって早いところのほうが勝ちだと、こういうことになっても非常にぐあいが悪い。中建審の御審議の過程で出てまいりましたことも、ある職分を一つの許可対象にしたりあるいは登録の対象にしたりということで考えていったほうがいいし、そういうように非常に変動性のある建設業の場合には、こういうように細分化することも必要かもしれませんけれども、むしろ、これは法律に入れるよりも政令事項にしておいて、そのときの情勢に合わせて分類を変えるなり、何かそういうもう少し臨機応変と申しますか、そういう措置のほうが望ましいのではないかというように私は考えます。
#43
○高山恒雄君 ありがとうございました。
#44
○春日正一君 そちらの小川さんと鈴木さんにお聞きしたいのですけれども、この許可制にする理由として、業者が非常にふえて、過当競争を防止するというようなことを言われたのですけれども、そこのところをもう少し詳しく聞かしていただきたいのです。つまり、私はそういうことに表ると、どの程度までじゃ減らせば現状でいいとお考えになっておるのか、あるいは過当競争といっても、こうして並んでおいでになるのを見ると、非常に大きい仕事から、それぞれの仕事の対象が違うわけですね。と、その過当競争というのは、たとえば小川さんの協会の中のワクの中での過当競争、鈴木さんの協会のワクの中での過当競争ということを言っておいでになるのか、あるいは建設業に参加する全体の中で許可制によって過当競争防止のために整理、淘汰が必要だと言っておいでになるのか、そこら辺のお考えですね、そこをひとつ聞かしていただきたい。これが第一点ですね。
 それから第二点は、お二人とも受注分野を確保するということが大事だというようなことをおっしやって、私もこれ非常にこれから大事な問題になっていくことだと思いますけれども、その確保をどういうふうにして確保していきたいか、どうしたらいいかというようなお考えがあるのかどうか、そこらをお聞かせ願いたいと思うのです。
 それからもう一つ、内山先生にお聞きしたいのですけれども、下請保護のいろいろ今度条文が出ています。しかし、これは実際問題として効果があるか、どうしてその効果を担保できるか。たとえば下請の支払い遅延防止法というものができたけれども、あんなものは何の役にも立たない。手形の長いものを出しましたことで訴え出れば下請を切られてしまう。だから、どんなひどいことをされたって口が聞けぬというのが、下請の状態ですよ。そういう状態のもとでまあ建設関係はどういうふうになっておるか、私はそう詳しくは知りませんけれども、やはりいろいろな条項が出ても、ぎりぎり、つまり裁判にでも表れば使えるかもしれないけれども、日常ふだんにおいてそれが履行されるという担保をどこで取っていくのかと、どこで保証をつけたらできるだろうかという私疑問を持っているのですが、その辺についての先生のお考えを聞かしていただきたいのです。
#45
○参考人(小川耕一君) 第一に過当競争の防止の問題でございますが、これはわが国の建設業界のあり方、これに根本的な原因があると思うのです。と申しますことは、受注産業であるわけですな。それでわれわれの業界は、いま機械にしてもあるいは人的資源にしても、すべて最高度のところで持っておるわけです。ここに問題があるわけです。機械も人もたくさん持っておるのだから、どうしても仕事を取って消化していかなければならぬ。そうしなければ機械の償却もできない、金利も払えない、人間を遊ばせておいても給料を払わなければならぬ、ここに問題がある。ですから、先ほども私、この問題ちょっと触れましたけれども、アメリカのように、機械は貸与会社がある、人手は職別から供給を受けるということになりますれば、最小限のもので間に合っていく。要するに経常経費というものは非常に少なくなってくるわけです。したがいまして、そんな無理をして仕事をやらなくてもいいのです。要するに適正な利潤のある仕事だけ拾っていけばいいのだ、こういうことになるわけですな。いま申し上げましたように、無理な設備、無理な人をかかえておるために、過当競争にこれはつながる、こういうことになるわけです。それからいま一つは、やはり何と申しますかな、業界が、労務者は少ないが業者は多過ぎる。これはやはり大きな一つの原因じゃなかろうかと、こんなふうに考えております。
 それからその次の受注分野の確保。これは先般来建設省でA、B、C、D、Eというようなランク制度というものを設けましておるのですが、これが上限についてははっきりとしておるわけですな。Aは幾ら以上、Bは幾ら以下と、Cは幾ら以下と、上限についてははっきりしておるのですけれども、上のほうから下のほうにくるのに、これはランクは守っていくのだ、上下一段階ずつ守っていくのだということになっておるのですけれども、実際にはなかなかそれが実施されていない。したがいまして、私はやはり特別な事情がない限りはそのランクで縛っていく。AはAのランクの者だけにやらせる、BはBのランクだけでやる、こういうふうな特定な何か継続工事とかあるいは付帯工事とかそんなものは別ですけれども、そういうもの以外はそのランクに当てはめて指名をしていくということになりますれば、この受注分野の確保というものはおのずからきまってくると思うのです。
 それから一般民間工事ですが、これはやはり信用というものが問題ですから、いまのような状態ではやはりどうしても大手業者、安心して委託のできるところへ片寄るという形になると思います。これを解決つけますのは、やはりアメリカあたりがやっておるボンド制度、これを日本も取り入れていくと、安心して発注者が頼める、また、危険も起こらぬというような形を整えるのが、中小業者の受注分野の確保で一番大事なことじゃないか、こんなふうに考えております。
#46
○参考人(鈴木光男君) ただいま小川参考人がお話ししたことと大体私の意見は一致しておりますが、過当競争、私はこの建設業法の改正にも影響があると存じますが、それ以上に業者のおのおののワクというものをはっきりしていけば、それほどこの業法改正に影響は少ないのじゃないかというような考えであります。特にいま小川参考人が申し上げたように、ランクの厳守といいますか、そうしたことを発注官庁あたりからよく適切に指示をしていただく。したがって、中小は中小の範囲内の仕事をやっていけるように指導していただくというようなことが私は大事じゃないか。特に第二点の受注分野の確保の問題でございますが、これはいまお話しのあったように、上のほうから下へ下がるのは容易であり、下から上へ上がるのはなかなかむずかしい。特に最近は建設省のほうの次官通達で、中小の受注分野の確保というような通達をいただいております。これにも成績優良のものは取り上げようというふうに、特に成績優良と書いてありますが、そうした非常に上へ上がるのはむずかしい、下のほうへは来やすい、それからまた一般の大衆から考えましても、大きなものにやらしておいたほうが安易であるというような考え方もあり、またこれは官庁にもそうした考え方があるようでございます。そうしたことから、受注分野の問題につきましては、中小業者を何か一つの線を引いていただく必要があるのじゃないか。特に私は、百貨店には百貨店法がございますように、この建設業にもやはり一つのワクをつくっていただく、いわゆる中小の分野、大手の分野をはっきりする。それから特にまた日本では支店、出張所あたりは自由に自分で設置ができる、これらも百貨店法のようにある程度の法律で規制はできぬかということでございますが、そうしたことをしていただくなれば、中小業者も浮かばれるということもあるわけでございますが、現在のところでは、やはり力の強い大手さんのほうが強いということでございまして、中小業者がどうしても前段の過当競争に陥りやすいというふうに言えるのではないか、こう考えております。
#47
○参考人(内山尚三君) 先ほどの建設業法の改正案に下請保護の規定が入っているけれども実際においてはあまり効果がないんじゃないかという御質問でございますけれども、私は効果はあると思います。これはやはり訓示規定で罰則がないですから、それを守らなくても何らの不利益も受けないのですけれども、やはりこういうふうに進まなければいけないということがある乙とによって、やはり一歩前進するんじゃないかというふうに考えております。さらに加えて申しますと、このように労働力の不足ということになりますと、結局労働者を握っている下請がだんだん強くなってくる。それから、やはり下請が最近では機械を持ったり、いろいろやはり独立した職別工事業者へ労務供給業者というものから脱皮していかなければいけないし、元請自体もやはりいろいろな危険を分散するという意味で下請が強くなってほしいという要求がありますから、それがだんだん進み、さらに経営者が若い経営者にかわってきますと、元請と下請との関係が、もうやはり対等な関係にしなければいけないのじゃないかというような、そういう要因から、私はいままである名義人制度といいますか、そういうものが次第に薄れていくのではないか。ですから、一つの会社だけしかやらないというのでなくて、ほかの万一のことを考えて、ある業者だけの仕事をやって、その業者の仕事がなくなったときには、大きくなればなるほどこれでつぶれてしまう。ですからほかの仕事も取っておかなければいけないというようなことになってきますと、そう元請が下請に不当な要求を突きつけても、これ最近どの程度変わっているか私はわかりませんけれども、戦前のように生かさぬように殺さぬようにというように元請が下請をやるのが最も元請の経営のコツだというような考え方では、元請自体が競争に負けてしまうのではないかというふうに考えておりますので、そういうほうに持っていかなければいけないという意味でここに掲げたので、全然効果がないとは私は言えないと思います。
#48
○春日正一君 そこのところ、私も効果がないとか意味がないということを言っているわけじゃないのです。ああいうふうに保護規定をきちっとつくることは大事なことなんだけれども、それがほんとうに守られるかどうかということでは、いままでの大きいのと小さいのの力関係では、大体大きいほうが無理言ったら泣き寝入り、支払遅延防止法なんというものは、中小企業界で聞いてみますと、ひどい手形もらっているけれども、それをなぜ訴えないか、訴えると切られてしまう、だから縁を切るつもりなら訴えられるけれども、切れない。それには私は私なりの考え方があるけれども、それは別として、これはたとえば今度のそういういろいろな規定ができたとしても、それがいまのいろいろな力関係の中でほんとうに守られていくのか。将来近代化というか経営を近代化して対等関係がずっと発展していって、将来そうなっていくという一つの展望があるにしても、現状で法律がある以上守らせなければいかぬ。守らせるにはどういうことが必要左のかということで、そこらの辺を学者の立場からどうお考えになっているか、そういうことなんです。
#49
○参考人(内山尚三君) まあ私はやはり現在は工事を消化し切れないほど、むしろ大業者は選別して工事を取るというような現状でありますので、ですからこれがどうしても下請が工事がなくてどこかについていかなければやっていけないというようなことになりますと、これはまた非常に変わってくると思いますけれども、現在の情勢から考えまして、下請がだんだんやはり強化されていくのじゃないか。ですからもう先に、これ法律ができる前に、元請と下請の関係が私は一歩進んでいるというふうに考えてもいいのじゃないかと思います。それでむしろ私は元請があくまで古い考えで下請に対処していく、あるいは大業者が中小業者に対処していった場合は、これはやはり元請あるいは大業者自体の立場がくずれていくのじゃないかというふうに考えておりますので、実際にこれは罰則規定も何もありませんから、これ設けたからといってどうということはないわけですけれども、むしろそういう方面から変わっていく。それから、そういう意味でこういうふうにしていかないと、元請あるいは大業者がだめになっていきますよという訓示的左意味であってもいいのじゃないか、というふうに考えております。
#50
○佐田一郎君 参考人の皆さん御苦労さんです。内山先生と前田社長さん、それから鈴木さんお三人にお尋ねをします。
 最初に内山先生、学者としての立場からお願いいたします。今度の法律の第二十四条五号に、先ほど先生がお話になったような特定建設業者の支払いの免除規定がございますね。これは金額については政令で定めるということになっておりますけれどもこの第一次下請業者それから二次、三次ある場合もあるわけですが、その場合に先ほど先生のお話では、一次下請業者が責任を負うことが正しいのだというようなお話があったわけですが、そう法案の運用はしたほうがよろしいかどうか、これが一つと、第二は、一体下請というものは、これはたとえば材木だとかセメントというようなものの納入業者までその対象として元請業者は責任を負うべきかどうか、こういう点を第一にお尋ねをいたします。
 それから次に第二点は許可の欠格条項の中にございますが、第八条に条文がございますが、これはいろいろ法に触れた者に対しては許可をしない、そういう条項ですが、そういう中にいろいろ法律と申しましても、建設業関係の法律もたくさんございますが、火薬の取り扱いだとか、あるいは道路交通法とかいったものも最近非常に多いわけですが、そういうものも加えるべきかどうかという点です。これは非常に大事な問題ですが、との点第二点として。
 それから第三点として、今度の業法の改正は非常にけっこうなんですが、ただ許可制に在るために、建設行政というものが官僚支配が非常に強くなるんじゃないか、そういう心配があるわけなんですが、この点はどんなものですか、先生のお考えを第三点としてお尋ねをいたします。
 それから第四点として、大臣がたびたび、ことしは中小業者や小業者の育成を優先するんだと言っておっても、なかなか末端まで実際にいままでも行なわれておらない。すでに入札合理化の、先ほど小川先生からお話があったけれども、上限下限というようなことで、Aクラスが一億五千万円以上とか、あるいはBが五千万円から一億五千万円といったようなランクがあるわけですが、つまりこのランクに対する金額というものは四十年に私は最近では規定がきめられて実施されていると思うんでありますが、これについてもうぼつぼつ六年たちまするから、さらに私は拡大をして中小企業者の参加を向上さしていくことが必要ではなかろうか、こういうことをお尋ねいたします。
 それから前田社長には、先ほど資本の自由化については小川さんはまあ影響はない、こういうお話があったわけです。しかし、内山先生からはこれは非常に重大左問題だと、こうおっしゃっておったんです。日建連の大きな業者の立場から見て、私はこれは重大な今度の建設業法の改正も私は関連があると、こういうふうに考えております。それはもちろんいまの賃金、確かにアメリカは高い、日本は安い、こういうことが私が労務者に関する限りにおいては、まあわが国のほうが自信があると思うんですけれども、問題は資本の自由化ということですから、資本が相当に脅威を受けるんじゃないか、こういうことです。特に先ほどお話しの中にもあったとおり、将来は大きな他の資本が入ってくる、あるいはまた他の業種からも転業してくると、今度の法案では、いわゆる経験者が責任者になればいいんだ、資本があればいいんだ、こういう条項以外に何もないんですから、これはもう許可する以外にないんですが、したがって外資が入ってきた場合に、いわゆるそれ自体が許可の対象に在るのか、小さな業者を買収するということばはちょっとおかしいですけれども、いわゆる資本を手にしてそれに対して資本を投入するということもできるわけです。したがって、大手業者としては、そういう外資が入ってきた場合の、いわゆる実際の形の上では資本だけ持ってきて、そしてあとは内地のものを使うんだと、こういうことになったならば、相当影響があるんじゃないかというふうに私は考えておるんですが、前田社長のお考えはどうか、これが一つ。
 それから第二に、特定建設業者の財産的基礎というのは、一体どの程度に置くことが妥当であるか、政令で定めることになっておりますけれどもこの点を一つ御参考にお聞きしたい。
 それから鈴木先生には一つ。一般建設業者の財産的基礎は、資本あるいはその他の関係においてその基礎というのはどこに置いたらよろしいのか、これを一つ御参考にお聞かせ願いたいと思います。以上であります。
#51
○参考人(内山尚三君) 第一の御質問でございますけれども、これは四十一条の二の問題でございましょうか。
#52
○佐田一郎君 それに関連はありますが、法二十四条に……。
#53
○参考人(内山尚三君) 二十四条の二でございますか、二十四条の二の「下請負人の意見をきかなければならない。」実は私もこの条文を見まして、これはどういうことを言っておるのか、実はよくわからないのでございますけれども、これは前もって普通下請に対して特命の場合は相談してやるということが考えられるのですけれども、いわゆる見積もり合わせといいますか、競争入札の場合に、この場合は落札した者があとでいろいろ打ち合わせするという意味だとしますと、私はやはり下請は下請のいわゆる企業の方針で元請に左右され危い、元請がこういうものをつくってくれということに対してそれをつくればいいので、あまり元請が下請に干渉をしなくともいいんじゃないかという意味で、意見の聴取というものはよくわからないのでございますが、ただ四十一条の二で立てかえ払いをするという場合にどの範囲の下請かといいますと、これでははっきりしないと思います。ただ非常に管工事、電気工事などで大きい設備工事業者などで大きい下請があるわけですから、それが又請、孫請させて支払いをしなかった場合にも元請が負担しなければいけないのか、立てかえ払いするということになりますと、これは非常におかしいことでありまして、たぶん私が考えるのには、いわゆる労務だけ提供して、労務供給業者が孫請などさせて支払わなかった場合に、元請のほうで立てかえ払いするという意味に私は解しております。そうで、ないと非常におかしいことになる。先ほども言いましたようにむしろ労務供給業的な下請はこれはなくして、そうして一つの企業として職別工事業者として独立したものに下請はなっていくべきであって、そういうことになれば第一次の下請が責任を負うべきである、こういうように考えます。労務供給業者は組合員ですね。アメリカやヨーロッパの国のように、将来はやはり職別の労働組合のほうに進んでいくのじゃないかと思いますし、そうでない下請はやはり独立した工事業者となっていくと思いますので、だんだん労務供給的左ものは分化していくというふうに私は考えております。
#54
○佐田一郎君 ちょっと関連で恐縮ですが、四十二条にも関係がありますが、いまのあれは、第二十四条の五に特定の建設業者の支払い義務免除として、「資本金額が政令で定める」ということが書いてあるわけです。これも私は次の委員会で当局にも質問しますけれども、つまりこれは一定の資本金額がある下請業者を使った場合に、二次、三次の下請の、つまり四十二条で起こるような事例に対するいろいろの責任を免除されると、こういうふうに解していいのかどうか、その点を実は私はお尋ねしておるわけですが、先生いろいろ研究されておると思うのですが……。
#55
○委員長(田中一君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#56
○委員長(田中一君) 速記を起こして。
#57
○参考人(内山尚三君) それから第二の、欠格条件、許可すべきかどうか、これを掲げてございますけれども、これもどういうふうに政府当局は考えておられるかわかりませんが、私は先ほども言いましたように、アメリカの建設業の許可制になりますと、その人間がいわゆる不正なことをして、そして一般の聴聞会を開いて、聞くところによりますと、公告を二回出して、許可していいかどうか出しまして、あれは困る、自分はひどい目にあったということがありますと、ライセンス委員会で問題になりまして、許可すべきかすべきでないかということがきまるわけでありますけれども、現在の建設省の許可制に取り組む体制から考えますと、私はとてもそこまで調べてできないのじゃないかというふうに考えます。そういう点は私は、許可制にするならやはりもっと本格的な許可制にやって、そしてそういうものが絶えず許可する人間がどういう違反をしたかというようなことがファイルされていて、そして次に許可を与えるときに問題にするというふうになるべきだと思いますけれども、現状の段階ではとてもそれは考えられないと思います。
 それから、第三点でございますけれども、いわゆる官僚統制になるのじゃないかという、極端な表現をいたしますとそういうことになると思いますけれども、まあ私もそういうふうになる可能性が全然ないとは言えないと思うのです。ですから、そういう点は許可を与える当事者、先ほども言いましたように、全く公明正大な立場で、これは自分のことをよく言わなかったから、聞かなかったから、指名にしたのに指名に応じなかったからというようなことで、許可をするとかしないとかというようなことが起こりますれば、これは許可制が根本的にくずれてしまうということになると思います。
 それから第四のランクの問題でございますけれども、これはやはり私は、できればボンド制度ができまして、ランクなどは考えないでポンドをつけると工事ができる。しかし、力がないと思えばボンドをつけませんから工事はできないというふうに将来なっていくべきだと、そういう体制をやはり考えていくべきではないかと思いますが、い捜すぐそれに切りかえるということはできませんから、その意味でやはり四十年度にきめたランクですね、これをやはり再検討して現実に合うように当然すべきではないかと思います。
#58
○参考人(前田又兵衛君) お尋ねのございました資本の自由化でございますが、日本の国の建設業は資本金が小さいものでございますから、やはりそういう面では乗っ取られる、あるいは株を占有されるという心配があると思います。そこで、やはり自己の資本を大きくする、あるいは安定工作もすると、みずからとしてはそういうことも必要だし、同時に今後のこれは問題でございますから、この許可制を御決定願うときに一外国からの資本供給の問題については、十分やはり御配慮していただきたいというふうに考えております。
 それから特定建設業者の財産的基礎でございますけれども、自己資本が一千万円ということがうたわれておるのでございますけれども、大体これがやはり常識の線だと思いますけれども、貸幣価値がだんだん変わってくるというようなことになりますと、むしろ先生の御判断におまかせいたします。
#59
○参考人(鈴木光男君) 一般建設業の資本の問題につきましてお答えを申し上げます。中建審で審議をしております過程で非常にむずかしいいろいろの問題が出まして、小さな府県の業者では四〇%くらいしか入れぬじゃないかというような心配が出まして、建設省当局あるいは先生方にもそれぞれ陳情をさしていただきましたが、何回かいろん左案が出て改定をいたしまして、最後に一般建設業の問題につきましては、法の第七条第四号にありますけれども、次のいずれかの要件を満たすものであること、ということで、その一つが、「自己資本の額が、土木工事業又は建築工事業にあっては一〇〇万以上、その他の工事業にあっては五〇万円以上であること。」それから第二点としまして、「土木工事業又は建築工事業にあっては一〇〇万円以上、その他の工事業にあっては五〇万円以上の資金(以下「必要最小調達資金」という。)を調達する能力があると認められること。」それからさらに備考に次のようなことを出されております。「2については、次のいずれかに該当する場合(倒産することが明白と認められる場合を除く。)能力ありと認める。」それから「過去三年間」……これは関係ありませんが、その次のiiに「担保とすべき不動産等を有していること等により、必要最小調達資金について金融機関等から融資を受けられる見込みがあること。」というようなふうに変わりまして、現在私ども中小の隷下のものを考えてみますときに、百万という金があればいい、資産があればよろしい、さらにその百万円の金がない場合にはそれを何かを担保として借りられればよろしい、あるいは金融機関からそれだけの融資が受けられればよろしいというようなふうに変わってきておりますので、現行の既設業者はほとんどこのワクの中に入るんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、私どもは小零細まで考えまして日本の建設業としてはこの百万程度は適当な線ではないかというように考えております。
#60
○上田稔君 今さんにお伺いをいたしたいんですが、先ほどお話によりますと何百万という工事を実際にやっておる、そういうものまでやれるんだ、やっておるんだ、こういうことでございますので、そうしますと相当実際上資金が要るんじゃないか。親方があってその下に何人かの大工さんがおられる、あるいはその他の職人の方がおる、こういうことになると、実際上資金がおありに左るんじゃなかろうかと思うのですが、実態は相当資金がおありになるのかどうか、その点を第一点にお伺いをいたしたいと思います。もしおありになるということになると、今度の法律の第七条のあるいは第八条の要件、そういうものは当然満たされておられるんじゃなかろうかと思うのでございますが、そういうことになると、こういうよう左許可をお受けになっておやりになるということはお考えにならないのかどうか、それが第二点でございます。
 それから三百万円以下というのが衆議院のほうの附帯決議についておるわけでございますが、そういう材料発注者であるということになり、労力のみを提供するんだ、こういうことになると、四十五坪の家であってもそう労力費は上がってこないのじゃなかろうか。それからい左かのほうの農家がそれに該当するんだというお話があったけれども、いなかのほうの業者の方はほとんど一人親方でも建設業の、建築の登録をしておられるんじゃないかと思うんです。そういう三つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
#61
○参考人(今洋君) まず第一点でございますが、現在三百万、四百万という工事をやっている者がそれだけの工事資金を全部自分で持っているということは、私どものクラスではほとんどないと思います。先生もよく御存じだと思うんですけれども、私どもは主として木造建築が主でございますので、大体農家ですと工期が半年程度ですね、それから都会地の住宅ですと大体二ヵ月ないし三カ月、これが季節によりましてたとえば五月とか九月とかいうように長期に雨が降る時期にかかりますと多少工期が変わると思いますが、平均しまして大体農村住宅においては六カ月前後、それから都会地住宅では大体三カ月前後、こういうことになるわけであります。その間に四百万、五百万という資金を発注者からもらうわけでありますから、当然大工事のように月払い制、出来高によって毎月毎月締め切りによってものをもらうというよりも契約形態が大体こういうふうになっているのが、町ばの場合には多いんです。最初契約をしましたときに三分の一、それから棟上げが終わった段階で約三分の一、あと完成後に残額を精算していただく、こういう方法を町ばの請負形式の場合にはとっております。それから直営方式の場合には、これはもうそのつど材料はもらいますので、支払いのほうは材料屋さんのほうに施主から直接に払っていただくわけで、私どものほうは労賃だけいただく、こういうことになるわけでありまして、したがいましてむしろ私どものほうは棟上げまでに約三分の二の工事代金をもらう、それであと事後精算払い方式だ、こういう形ですのでそう多くの資金を現在調達することはまずない。しかも建てられるほうは最近は公庫を利用されたり、いろんな銀行ローンを利用されたり、いろんな形での資金調達方法を持っておられますので、それほど私どもでは大きなお金を常に用意しなければ工事が進められないという状態にはないと思うのであります。直営方式の場合に三百万、四百万という工事が、労賃だけですと約三分の一以下に、大体三分の一よりちょっと少ないくらいの労賃だけになるわけですが、この場合に、法律の解釈でいろいろとごたごたが起きるわけなんです。たとえば、仕事の完成を約束するとこれは請負なんだというように解されるわけですね。そうすると私どもは、仕事を約束しないものに一体工事を発注するかどうか。かりに直営方式でも大工さんお願いしますよと言われたときに、大体そこでは契約書を取りかわさないにしても、大体いつごろまでにつくってほしいと言われると、まあそのくらいには何とかなるでしょうというような形になるわけですね。そうなりますと仕事の完成を約束することになる。そうしますと現行建設業法の施行令の第一条によりますと、そうした場合にはその材料費それからその材料を調達するための運賃を合算したものを労賃の上に積み重ねて全体の金額とみなして工事金額をはじき出すという、こういう規定がございます。そうしますと、直営方式をとりながらも、場合によれば仕事の完成を約束していればそれは現実には請負なんだ、こういうふうに解されるわけです。そうしていなかのほうでは、現在は五十万以上は登録をとらなければいけないことになっているわけでありますが、たまたま労賃だけで四十数万で、全部そういう材料費を合わせますと八十万から九十万になるというような左官屋さんとかそういう人がいた、そういう人が県庁に呼び出されてだいぶおきゅうをすえられるというような事例がたまたまございます。それは直営方式なんだからと言って説明をしましても、いま申し上げましたような理由で実際には請負しているじゃないか、こういうふうにみなされることが非常に多いわけであります。したがいまして、少なくとも私どもは工事代金についてはそういう形で前払いをもとにし左がらあと三分の一程度事後精算方式にしていただく、こういうことでやっておりますし、直営工事についても、なかなか最近は直営工事といってもそうは通らないような事情がございます。したがって自己資本というのは非常に寡少でございますが、かりに、私どもが問題にしますのは、三百万円未満については無許可でよろしいということになりますと、自動的に自己資本といいますか調達すべき金額というものも百万円から三百万円に上がるの・じゃないか、こういうふうに考えられるわけですね。現在百万円と五十万円で小規模な、つまり軽微左工事の範囲が政令になるだろうと、こういわれているわけですが、それが衆議院の附帯決議のように三百万あるいは百万というように引き上げられますと、当然それに見合った額に上げられてきます。そうしますと、とても三百万円という調達資金ではむずかしいのではないか。ただし、私どもの組合員の中にでも、年間相当量をやり、なおかつ現在私どもの組合員の中でも登録業者がございます。こういう人が自己の意思によって許可業者になっていきたいということについて、私どもは反対をするわけではないわけでありますが、許可制そのものが何かそういう零細なものに対して切り捨てるという印象が非常に強いわけでありますので、私どもは反対をしているわけであります。
#62
○上田稔君 そうしますと、いまの三百万円にたとえば上がったと仮定をいたしまして、その場合に資本の状態というもの、あるいは経済的な基礎というものが前と同じような状態、百万ないし五十万、そういうようなことであると、そのことについてはあまり反対は雇い、こういうふうに解釈をいたしましてよろしゅうございますか。
#63
○参考人(今洋君) 金額から見ますと、そういうことになると思います。ただ、内山先生もおっしゃいましたように、許可制そのものが業者の数を規制していくんだ、こういう目的で実施をされますと、これが特に政令事項でありますので、将来にわたって永久に、それではそういう状態であるかどうかということは、これは物価の変動等もあるわけでしょうし、私どもは完全な保証した希望をいだけないわけでございますから、したがいまして、やはり将来に対して大きな不安を持つ。もう一つは、私どもがなぜそれにこだわるかと申しますと、一般のサラリーマンですと会社につとめます。そしてだんだんと係長になり課長になる。はては部長、重役になることを夢みて一生懸命働くわけでありますが、私どもはそういうコースが全くないわけでございます。私どものところで働いている職人は、自分の将来というものは、自分も一人前の親方になって仕事をしていきたいのだという非常に強い願望があるわけでございますね。したがって、将来に対してそういう若い人たちの道を閉ざすような形での許可制であるならば、私どもはやはり、若い人たちがこの業界に入ってきて一生懸命営々と努力されて将来を夢みていこう、そういうことはなくなるのじゃないか。しかも現在では非常に職人というものは少なくなっておりますし、おそば屋さんにしても何にしても、出前をしながらいつかのれんを分けてもらえるということを楽しみにして現在出前していると思いますが、そば屋さんも最近のれん分けもしてくれないようでありますし、そういうおくれた労務の状況の中に置かれている私どもとすれば、やはり将来のことを考えるとむしろ許可ということではなくて、別にそういう人たちを対象にした何かをつくっていただいて、先ほどちょっとお話がありましたように、小工事建設業法か何か、そういうもので救えるものならば、そちらのほうをお考えになっていただいたほうがいいのじゃないか、と考えているわけであります。
#64
○委員長(田中一君) 以上で、参考人の方々に対する質疑は終わります。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。本日は御多忙のところ、長時間貴重な御意見をお述べいただきまして、ほんとうにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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