くにさくロゴ
1970/03/16 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 建設委員会 第8号
姉妹サイト
 
1970/03/16 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 建設委員会 第8号

#1
第065回国会 建設委員会 第8号
昭和四十六年三月十六日(火曜日)
   午後一時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     柳田桃太郎君     長屋  茂君
     米田 正文君     堀本 宜実君
     小山邦太郎君     山下 春江君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田中  一君
    理 事
                上田  稔君
                斎藤  昇君
                松本 英一君
    委 員
                佐田 一郎君
                長屋  茂君
                林田悠紀夫君
                堀本 宜実君
                山下 春江君
                松本 賢一君
                二宮 文造君
                高山 恒雄君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
   政府委員
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省計画局長  高橋 弘篤君
       建設省住宅局長  多治見高雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
   説明員
       農林省農林経済
       局消費経済課長  市川 博昭君
       工業技術院材料
       規格課長     原野 律郎君
       労働省労働基準
       局監督課長    吉本  実君
       労働省職業安定
       局業務指導課長  保科 真一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設業法の一部を改正する法律案(第六十三回
 国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田中一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。本日、小山邦太郎君、柳田桃太郎君、米田正文君が委員を辞任され、その補欠として山下春江君、長屋茂君、堀本宜実君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田中一君) 建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○春日正一君 業法の改正の理由についてこれを読んでみますと、「施工能力、資力、信用に問題のある建設業者が輩出して、粗悪工事、各種の労働災害、公衆災害等を発生させるとともに、公正な競争が阻害され、業者の倒産の著しい増加を招いている」ということもあるし、「ほか、建設技能労働者の不足」という理由もあるし、」加えて近く予想される全面的な資本の自由化に対処して国際競争力を強化する」というような理由もあって、非常に何かあれもこれも寄せ集めたようで、相互に矛盾するような理由がたくさんあげられているような感じがするわけです。そこで、ほんとうのところこの業法の改正というものは何をねらっているのか、その点をはっきりさせたいと思うわけです。そこで受注競争、出血受注、倒産など、その過当競争の防止ということを理由にあげているのですけれども、この改正案でどういうふうにして過当競争が防止されるのかという、その点をひとつ説明を願いたいのです。
#5
○国務大臣(根本龍太郎君) 春日さんもよく御存じと思いますけれども、現在の届け出制でありますと、若干の資金と、それから、意欲があるものならばもう幾らでもこれは出てくる。特に地方に行きますとこれが非常に多いんです。そうして今度は一たん認可を得ますと、市町村の工事、県の工事に、議員の人たちの手づるを経て盛んに市町村工事、県工事に指名することを要求する。そうすると、議員の諸君がまたやっぱり選挙になると大きくこれが影響するのでこれをどんどんどんどん指名するような政治的な働きかけをする。ところが実績がないからなかなか取れない。そうすると結局ダンピングをやる。ダンピングをやると、だんだん資力がなくなると不正工事がある、いろいろの弊害が起こるわけでございます。それと同時に、今度は受注者は、少なくとも自分の家やあるいは自分のいわば大きな資産的なものをつくるにあたってそういう人がやった工事など非常に安心ができない。あるいはちょっとした台風や何かがくるとくずれ落ちたりこわれる。これは両方にとってたいへんなことだ。そこで少なくとも技術的にしっかりしたものを、そうして良心的な工事をする。一応の信用のあるものというものにしてやらないとまず第一に消費者保護にならない。これが一つでございます。それから御承知のように、現在では一年に千億もやる請負業者でも一人親方でも同じ条件でやられておる。そういう状況でありまするから、したがって今度は非常な二重、三重の下請に出される、またそれに甘んじなければならない。そこにいわゆる不当な何と申しますか、押しつけられたりピンはねされたりするものも出てくる。こういうものをやはり一応整理をして、それぞれの信用ある業界にしてやる、その上にいままでのような不払いとか、あるいはまた不当なる条件でピンはね等をなくすることのためには、業法をただいま提案しておるような形にしたほうがよろしい。こういうことで、これは十分に長い間かかって審議会の皆さんの御審議も経、業界にも十分に話し合った結果、これならばまあ全体として日本の業界を健全に発展させつつ、しかも建設需要者に対して安心感を与えるということで出したわけでありまして、御指摘のように、これはかなり多目的になります、一本だけじゃございません。そういうようなことで提案理由にも少しくどくなったのでありますが、御指摘になったように多方面にわたる目的をこれで達成しようということでございます。
#6
○春日正一君 確かに粗製乱造みたいな業者が出てきていろいろぐあいの悪いことが起こるとか、特に大臣、しばしば言われる地方で議員なんかと関係持ちながら公共団体の仕事をとっていくというようなことを私も耳にしております。これは好ましいことではないと思うんですけれども、これはむしろ公共事業の発注の条件をどう合理化するかということであって、それ自体まあ業法変える理由ということにはちょっとならぬのじゃないだろうか。変えてみたところでそういうことのできる程度の議員と提携したような業者だったらやはり私の考えるところでは許可の条件くらいはこれは整える。だからむしろこの連中を押えるのは業法の基準ではちょっと無理なんじゃないかという気がするんです。しかし、それはそれとしまして、私、過当競争というふうに言ったのは、ここにもそういうふうに公正な競争が阻害される云々という形で出ておりますけれども、そうするとやはりこれは仕事に対して業者が多過ぎるという、そういうふうにしか受け取れないし、そういうふうにすると、現在三十数万といわれておる業者はどのくらい減らしたら過当競争というのはなくなるのかということが問題になるし、そこらがむしろ小さい業者の一番大きな不安なんじゃないか。過当競争がある、だからそれをなくさなければならぬということになれば、業者の数を減らさなければこれは仕事量との関係でなくならぬわけですから、減らされるのはだれだろうか、どの辺まで減らされるだろうかということが、一番心配の種になっているわけですね。そこらの辺ちょっとはっきりさせていただきたいのです。
#7
○国務大臣(根本龍太郎君) これは、そういうふうには考えていない。将来われわれが考えておる適格者にあらざる者が無制限に届け出さえすれば出てくるというこれは抑制効果はあります。しかしながら、現在のものを整理して需要と供給のアンバランスを直すためにこれをやるのではない、これは現在、たとえば一人親方であろうとも零細企業であろうとも、ちゃんと技術的能力がある、経験を十分に持っておる、信用度もある、一応の資金的な裏づけもあるというものは、その基準に満たされれば数には関係なくこれは許していく、こういうことでございます。それからまた、一定のこれは経過措置を講じておりまして、一定の年限まではその資格が出るまで行政的な指導をし、そうして一定の年限に達するまで見てやって、そうしてその条件が満たされればこれを許可してやる、こういうことでございまして、春日さんが言うような数を減らすんだということではない。ただ乱立することはセーブできる。で、ここで許可されたものはいかなる人から見てもりっぱな、規模の大小はそれはあるかもしれぬけれども、りっぱにこれは建設業として需要者に責任を持って仕事をしてあげることができるという保証をしたというふうに考えてもらえればいいんじゃないか、と思うのでございます。
#8
○春日正一君 くどいようですけれども、いまさしあたっては減らすというようなことはせぬ、しかし、この理由がそうなっているものだから、多くの小さい業者の人たち、あるいはこれから業者になろうとする人たちは、将来は、いまはこの基準であるけれども、将来はもっと基準が強められてだんだんだんだん独立した営業者になりにくくなる。そういうことにされるのじゃないか。そうならぬ保障はどこにあるだろうか、ということを非常に心配しているわけです。その点について、それは絶対心配ないよという点は、どこで保障してもらえますかね。
#9
○国務大臣(根本龍太郎君) これは先ほども申し上げましたように、政令で一応の基準ができるわけですから、これはいわば少なくとも建設業を営む資格としてはこれこれだ、これこれの条件を具備しなさい、それだけの条件を具備すれば当然にこれは許可してあげますよということでございますから、単に許可を役人が自分の恣意でこれは許してやる、これは許さぬということはありませんから、その基準というものは明確に規定されますから、私はそれは心配ないと思うのでございます。
#10
○春日正一君 その問題は心配は消えませんけれども、先に進みますと、「施工能力、資力、信用に問題のある建設業者が輩出して、粗悪工事、各種の労働災害、公衆災害等を発生させ」云々、こうなっておりますが、ところが、こういうことは単に資力が小さいとか経験が少ないということだけでそういうふうに言い切れないのじゃないだろうか、むしろこれを読んでみますと、小さな者、未熟な者がやっているというふうに出ているのですけれども、最近のものをあげてみても、たとえば大阪駅で天井を落としたとか、あるいはクレーン車を電車に当てたとか、例の四ツ木橋のリングビームの事故ですね、あれとか、それから足立のガス爆発の事故、大阪のガス爆発の事故というふうなものを、最近のでもずっと拾ってみますと、これはいずれも、会社の名前は私言わなかったけれども、ベストテンに数えられる日本で最優秀を誇る業者が起こしておる事故ですね、これは。それからきょうの新聞なんかを見ましても、ある大きな会社の出先の課長かなんかがわいろを取ったとかなんとかで引っぱられておるということで、そういう不良不正工事というものは、必ずしも規模が小さいから起こるというふうには言い切れない。だから、これでいきますと、何か小さい未熟な者が出てくるからそうなるんだと、大きくて一定の資格がありさえすれば間違いないというふうにとられるのですけれども、私は、これはむしろ、そういうことからくるものもそれはありますけれども、それが主であって、それさえなくなれば全部がなくなるという問題じゃない。別の問題として扱っていかなきゃならないと思うのですけれども、こういう問題についてどういうふうに、大きなものの事故や過失、こういうものは幾らでもあるという反論に対して、どういうふうにお答えになるか。
#11
○国務大臣(根本龍太郎君) これは、御指摘のように大規模の者であってもいろいろの、たとえば不正をやった者もあれば、それからある意味においては、いまの工事の、これは粗悪工事とは言えないかもしれないけれども、労働災害を起こしたということは言えると思うのです。こういうものについて、今度ははっきりと業法でその責任を追及するという意味でこれは意味があるのです。それからまた、小さいからこれを除外するためにやったということではなくして、これは規模の大小にかかわらず、建設業として一般国民に対して責任を明確にし得る条件をつけておると、こういうふうに解釈していただきたいのであります。それから小さい者についてはあとでいろいろ御審議あると思いまするが、事務当局も十分配慮をして、いまのところは、むしろそうした人がなかなかこれは大事になってきたです。たとえば大都市あたりでちょっと修繕とか、あるいはちょっと建て増しをするなどということがかなり多いのですよ。ところが、これを大手業者にやれと言ったってやりはせぬですよ。そうなりますれば、むしろ、そうした人々の技術能力とそれから資金的な裏づけまで十分にめんどうを見てこれらの存立を助成してやるということすらも考えておるのです。そういう意味で、春日さんが御心配になる点もわかりまするが、それを承知の上でわれわれはさらにそうした人々のいわゆる心配とかあるいはまた不安感をなくするように運用をして助成していきたいと、こう思っておるわけであります。
#12
○春日正一君 不良業者は確かにおるし、しかしそれが小さい者が不良とは限らぬ。だから、不良業者の排除ということは、これは大小にかかわらず必要なことですけれども、それにはそれで必要な処置をとればいいんで、そのことを一つの理由にして善意な零細な業者が排除されるというようなことになったら、これはぐあいが悪いと、そういう点で問題があるわけです。この点あとで触れますからそのぐらいにしておきますけれども……。
 それからもう一つは、業界の利潤が下がって多死多産、労働賃金不払い、労働災害多発というようなことが言われて、そういうことを防ぐということが理由の一つになっているのですけれども、改正案ではそういうものがどういうふうにして防げるようになっているか、この点を一つ。
#13
○政府委員(高橋弘篤君) いま御質問ございましたいろいろ建設関係の紛争その他の関係で、道路関係のことについて賃金の不払いその他そういう事故がありました。そういう関係で会社が倒産した、その他の事故があるわけであります。こういうものにつきましては、もちろん労働省といろいろ連絡をとりながら私どもも従来からいろいろその対策を講じてきてまいっておるわけでございます。今度の改正の中におきましても、労働関係の法令の違反につきましては、いろいろの規定を設けておるわけでございます。まず行政処分の中におきましても、監督処分の中におきましても、労働関係の法令に違反いたしました者につきましてははっきり明記いたしまして、そういうものについての指示、業務停止その他の処分ができるということにいたしております。また、免許の際の欠格条件におきましても、そういう労働関係の法令に違反して罰金刑以上の刑に処せられた者、これははっきり欠格条件ということにいたしておるわけでございます。さらにまた賃金の不払い等が下請でございますと、そういうことについては特定建設業者というものに責任を持たして、特定建設業者がそういう賃金の不払いに対して立てかえ払いをすることを知事なり大臣が勧告をする、そしてその勧告に従わない場合にもこれに対する行政処分、監督処分というものも考えているわけでございます。さらにまた、特定建設業者というものは、全般の下請をたくさん使いましていろいろな仕事をやっていく立場にございますので、下請業者がそういう労働関係の法規その他をいろいろ守らないということがないように十分そういう点を指導して、こういう法令を守るように指導する義務というものも負わしているというようなことも書いたりいたしまして、全般的にこの法令の中で労働関係法令の違反についても、いろいろな諸規定を設けておるわけでございます。もちろんその改正のこういう規定のみで私どもも十全とは言えないわけでございまして、実態を十分に把握しながら、関係の行政機関と連絡をとりながら、そういうことのないようにいたすことも指導いたしておるわけでございます。
#14
○春日正一君 労働関係法規を守らせるようにするとか、あるいは特定業者の義務規定を強めて下請の保護とかあるいは契約の片務性をなくすというようなことは、私はこれはないよりましだと思っています。ただ、それでいま言ったような問題が解決されるかということになれば、どうもそうじゃないんじゃないかと、たとえば多死多産というふうにいうけれども、倒産のメカニズムといいますか、これは一体どうなっておるのか、どの階層がどういうふうに倒産しておるのか、その点聞かしてほしいのですけれども。
#15
○政府委員(高橋弘篤君) 倒産業者のいろいろな実態につきまして、なかなかその実態がつかみにくい点があるわけでございますけれども、昭和四十五年度におきますところのその実態を東京商工興信所が調べておるわけでございます。これによりまして、この資料によって御説明をちょっと申し上げますと、四十五年度におきましては負債金額が一千万以上の建設業者の倒産件数が二千二百五十一件ということになりまして、その負債総額は千三百五十九億となっておるわけでございまして、全産業の倒産に対する割合につきましては、件数、負債金額ともに約二割に達しておることは御承知のとおりでございます。この業者の中身を規模別に見てみますと、一番多いのが資本金百万から二百万の業者でございまして、これが二九・六%、約三〇%というものは百万から二百万でございます。それから個人の業者が一七・六%、それから百万未満が一一・八%でございまして、いわゆる二百万円未満の業者につきましては大体全体の六〇%ということになっておるわけでございます。
 いま内容だけを御説明申し上げましたけれども、先生の御質問の御趣旨を体しましてもう少し御説明申し上げますと、倒産の原因といたしましてこの調べの中にございますので、これも御説明申し上げますと、一番多いのがいわゆる放漫経営という名の原因のもとにしているものでございまして、これは二六・五%、それから業績不振というのが二四・九%、それから寡少資本というのが一一%、慢性的な経営不振というのが八・七%、それから工事代金の回収難というのが八・七%、その他いろいろございますが、そういうような原因別の資料になっておる次第でございます。
#16
○春日正一君 興信所の数字で、これ、私のほうの調べたのとは違う。私のほうの材料は日本建設業団体連合会「建設業の展望」という、これで調べたのです。建設省のほうは何ですか、興信所の調べですか。
#17
○政府委員(高橋弘篤君) これは大きな興信所でございまして、東京商工興信所と、もう一つ帝国商工興信所というのがございまして、この二つが調べたのが大体代表的なもので、この資料を私ども用いておるわけでございます。
#18
○春日正一君 まあ傾向としては似ていると思うのですがね。これによると、倒産の営業規模でいうと、個人が一三・四%、二百万円未満四五・六%、二百万から五百万までが二四・三%で、個人から五百万未満までで八三%強ですね。それからあとは五千万円以上までありますけれども、大体そういうところが多く倒産しておって、しかも倒産の原因としていわれるのは、傾向としては大体似ていると思うのですけれども、工事の受注難が三九・五%、経験不足、放漫経営、これも問題になるところだと思いますが、二一・六%、工事代金の回収難一五・五%、それから他社の倒産の影響が六・九%、寡少資本というのが六・三%ですね。だからこの寡少資本というのは非常にパーセントが少なくて、しかもこの場合には特に中小企業は金融引き締めなんかの影響をまともに受ける弱い立場にあるということを考えると、資本規模が少ないからつぶれるのだという率というものは非常に少ない。だから、そういう意味から言えば、ここで言われた多死多産でつぶれるから業法でといっても、ここできめられている基準で許可を受けるということになればこういう傾向がなくなるのか、あるいは少なくなるのかということになれば、おそらくつぶれるということには影響ないだろうというように思うのですけれども、その辺どうですか。
#19
○政府委員(高橋弘篤君) いろいろ御質問ございましたのでございますけれども、どうしてそういう原因があるかということ、ただいま先生のおっしゃいましたものと私どもの資料によりましても大体傾向は似ているわけでございますけれども、建設投資というのが相当継続的に増加いたしておるにかかわらずそういう倒産が非常に多いということは、やはり受注競争というものが相当激化しておる、そういうような要因もあろうかと思います。同時にこの原因の中にございますように、経営的な面の経営能力の不足と申しますか、そういうような建設業の内部の問題というのも相当あろうかと思います。御承知のように今回の許可基準の中におきましても、五年以上の建設業に関する経営経験というものをその基準にあげておるわけでございます。建設業というものは、私から申し上げるまでもなく、非常に独特のものでございまして、いわゆる一品ごとの受注生産でございまして、受注いたしますと今度はその資金をどうするか、資材の手当てをどうするか、労務者及び技術者をどう配置するかということをいろいろ考え、また下請契約をどういうかっこうで始末をつけるか、また実際に仕事をやるときにおきましては、施工管理というものも徹底しなければいけませんし、そういうことについての全般の経営能力ということがやはり相当大事だろうと思います。したがいまして、そういうような許可基準をつくったわけでございます。もちろんそういう経営能力だけで倒産するわけじゃございませんで、その他のいろいろな問題もあろうかと思いますけれども、資本の問題、確かに率は少のうございますけれども、もちろん資本力だけで倒産が起こるということでは必ずしもございません。もちろん資本が少なくても経営をうまくやればこれはうまくいくわけであります。大資本でございましても、もちろん経営その他のいろいろな諸事情がございますと、倒産ということもあるわけでございます。もちろん資本力だけによらないわけでございますけれども、今回の建設業法の改正によりまして、登録制を許可制にいたしまして、最低限度の基準といたしまして、先ほど申し上げた経験と技術というもの、それから資力、信用力、そういう四つの要素というものを基準にいたしまして、建設業全般として資質の向上、施工能力というものを向上する、そういうかっこうのものにいたしておるわけでございまして、全般的に建設業の経営の健全化ということには相当役立つだろうと思うわけでございます。もちろんこの改正の許可基準に合っているから、直ちにすべてそれができるというものじゃございません。その他のいろいろな助成策等も考えながら、今後建設業の進め方というものを指導いたしまして、そういうようなものももちろん倒産その他の予防の対策にはこれはなろうかというふうに考えている次第でございます。
#20
○春日正一君 寡少資本が倒産の主たる原因ではないということはお認めになったのですけれども、倒産のきっかけになったのが民間工事がきっかけになったのか官庁工事がきっかけになったのか、その割合、どうなっていますか。
#21
○政府委員(高橋弘篤君) その資料、残念ながら私ども手元に持っておりません。
#22
○春日正一君 やはりこういう実態はちゃんとつかんで、だからこういう法律を施行するというのならいいけれども、実態はわからぬということではちょっとまずいのですよ。それで今度、経験年数のある者ということを言われたのですけれども、倒産した業者の経営年数がどうなっているかという問題ですね。
#23
○政府委員(高橋弘篤君) これにつきましても手持ちの資料ございません。
#24
○春日正一君 私の先ほどのこの資料、日本建設業団体連合会の「建設業の展望」、これで言いますと、この倒産業者の創業年代ということで、明治から大正それから昭和の四十年まで、それまでに創業しておったという人の倒産の率は、明治大正が〇・二%、昭和二十年まで〇・八%、二十一年から三十年までが一四・五%、それから三十一年から四十年までと、これが五一・五%ということで、まあ三分の二ぐらいはいわゆる三年以上の経験のある者、それが倒産しておる。だからこれも経営の経験年数がよけいであるから安全だとか何とかいうふうに一がいには言い切れない。そのことだけでこう切っていこうとすれば無理がくるんじゃないかと思うけれども、その辺はどうなんですか。
#25
○政府委員(高橋弘篤君) この点につきましても、先ほどの話の資本力と同じようでございますが、結局まあ最低の基準というものを私ども考えたわけでございまして、もちろん長い経験年数があるから、三十年あるから、三十年の経験者がやれば絶対倒産しない、そういうことはもちろんないと思います。その他のいろんな内部的な事情、また経済変動その他もございますから、そういうことはないと思いますけれども、先ほど申し上げました建設業というのは非常に複雑な、また受け身の受注生産の業でございますので、そういう建設業を十分にやっていけるという経験年数というのは、やはり最低は五年なければいけないんじゃないか、そういうことからその経験年数というものを五年というふうに考えたわけでございます。もちろん、そういうことと資本力その他いろんな要件というものが一緒になりまして、先ほど申し上げましたような経営の健全化というものをはかっていくために役立つであろう、ということを申し上げておる次第でございます。
#26
○春日正一君 まあ結局業者の生き死ににかかわるような倒産というような問題ですね。こういう問題についてやはり建設省としていまの答弁聞いてみても、手元に資料ありませんというようなことで十分な把握も検討もされてないままで、とにかく未熟な者に許可してはいかぬので許可制にすると言われても、それでは説得力ないんじゃないか。これを許可制にしないほうが――未熟な者が一人でもなくなるにこしたことはないということですけれども、しかし、そのことによって非常にたくさんの人が許可を取れなくなって非常に不利益な状態に置かれるということを考えると、単に防げないけれども、しかし許可制にしてあれすれば幾らかでも不良な者が排除されるだろうというようなことでは、この許可制というものがいいというふうには言い切れないんじゃないか、そう思うんですよ。つまりそれは排除すれば三年以上の経験のない者はだめだ、資本金これ以上ない者はだめだというような形で排除すれば、その中には確かに迷惑を与えるであろう者も含まれるだろうけれども、しかし、その排除された者の中には善良な資力の弱い者、そういう者がもっとたくさん含まれるという可能性もないとは言い切れないわけですね。そこらの辺をどう説明なさるか。
#27
○政府委員(高橋弘篤君) 建設業は公共性がございますし、また公共の福祉に非常に影響するところが大きいわけでございます。したがいまして、そういう営業というのは一般的には禁止しておいて、そうしてそれを従来は登録、今回からは許可ということにかからしめて、これを初めて認めるということにいたしておるわけでございます。しかしながら、その公共性と公共の福祉というその程度の問題につきましては、どの程度でこれを基準にするかということ、そういう適用除外の者をどの程度にするかということにつきまして、いろいろくふうが要るわけでございますけれども、そういう点につきましても、今回の許可要件の四つの要件を最低のものとして考えているわけでございまして、もちろんその許可を受けたからその許可を受けた業者、四項目に当てはまっておるからその業者が絶対に倒産しない、また事故を起こさないということはもちろんございませんが、先ほど先生もおっしゃっているように、最低限度の基準というものを定めておるわけでございます。したがって最低限度のそういう事故その他のものはこういうことによって防ぐ、そういうことによって消費者の保護をはかっていく、零細業者の保護をはかる、また建設業自体も過当競争その他から免れて健全な経営ができるような、全般的に資質の向上がはかれるというふうに考えておるわけでございます。
#28
○春日正一君 倒産の問題にしても、必ずしもその企業の経営者がつぶれるから未熟だといえば未熟であるけれども、世間的なものさしからいって未熟というのではなく、いまの請負制度のもとでやむを得ない形でつぶれるというものもたくさんあるんです。たとえば私いろいろ関係方面に聞いてみたところでも、どうしてつぶれるのだ、野丁場の小さな業者でつぶれて夜逃げするということを聞いてみますと、下請の工期というものは非常にきちんときめられておる。ところが、仕事全体の進行状況がうまくいかないものだからおくれてきて、それを埋めるためには、三千円という手間で請け負っているけれども四千円出すということで職人をよけい集めてやらなければ間に合わない。間に合わせて納めるけれども、しかし、自分の金を持ち出さなければならない。だから元請から金を受け取ったら夜逃げしてしまうというようなことで職人が被害を受けるというようなこともしばしばあると、こういうようなふうに聞いておりますし、それからこれは最近やられている一つの大きな六十億くらいの工事ですけれども、それの実態を調べてみたのですけれども、大きな業者がジョイントベンチャーでやっておって、その第一次の下請がある、ここに賃金台帳があって、大体賃金コストは三千円というふうに書かれておるが、第二次下請なり第三次の下請というところにくると、そこでの労働者の実際の雇用契約の賃金は二千円から二千四百円というような形に食われていっているし、同時に、この間も高山委員が問題にしましたけれども、その元請がたとえば一般管理費というような形で八%ぽんと天引きしてしまって下請するというような形、それから第二次の下請になると一〇%から一五%頭をはねて下に出すというような形、そういうことで実際仕事を受ける人には非常にきつい条件のものがいってしまうために無理がきてつぶれるというような事態も起こるんではないか。だからそこら辺をほんとうに合理化していくということで、大建設業者を預点にするという重層的な下請で、一番大きなところではもう元を取ってしまうからちっとも危険がない、そうしていろいろ条件が変わってくればその不利な条件は下にどんどん転嫁されて、一番下のほうがその重圧のもとに破綻していくということがたくさんあるということになれば、むしろそういうところに手を入れて、そこを改善していく。いまの建設業の実態では下請業で全部直営でいくということは不可能、そういう形というものはあるにしても、そこらの辺を合理化していくというようなことが、倒産の防止なり過当競争の防止なりということに役立つのではないか。そこでいまのような状態のもとでやられておる場合、元請の台帳には三千円とついておる、ところが一番末端のところで働いておるところの人は二千円とか二千四百円ということになっておる。ところが、元がどうなっておるか下は知らないわけです。そういう点ではこの前の参考人の意見聴取のときに月橋参考人ですか、あの人が要望しておったのですけれども、公共の工事に対する建設省、農林省、運輸省、この三省の協定に基づくその工事の協定賃金というものを契約のつど公表するというようにすれば、賃金がどれだけ見込まれておるかということはもう天下に周知なんだから、あまりあこぎなピンはねということはできなくなるだろうし、そういう点があれば監督もできるだろうというふうに思うのですけれども、それはやれないのですか。
#29
○政府委員(高橋弘篤君) お尋ねの件でございますけれども、ただいまお話ございましたように、建設省、農林省、運輸省三省で協定しまして、四十六年度から労務単価を実態に合うようにいたしました。昨年行ないました実態調査をもとにして、そしてそういうものをきめたわけでございます。これを公共事業の積算単価といたしまして、各県におきましてそれぞれ運用幅というものを、いろいろな状況に応じまして二〇%これをつけておるわけでございます。そういう運用幅の範囲内におきまして、それぞれの事業主体が独自に、自主的にこの発注予定単価というものを積算するということになるわけでございます。その基準とこれがなるわけでございます、そういういわゆる発注の予定価格というものの基準でございます。したがいまして、国とか公共団体の発注予定価格のそういう積算の基準というものは、元来これは公表しないものが妥当であるというふうに考えておるわけでございまして、またこの基準額というものをかりに参考にするといたしましても、これは企業間の格差だとか、労働者の熟練度というものがそれぞれ違うわけでございますけれども、そういうものをみな平均化した基準でございます。そういうものとして算出されているわけでございます。したがいまして、これを今度下請だとかまた孫請というところに利用するということを考えるときに、まあ下請にまた発注する際に、これを基準に使用するというときには、また具体的なその企業の賃金の実態だとか、それから作業の難易だとか、その他いろいろ考えながらこれをきめないと、現実と非常にかけ離れたものになるというおそれもあろうかと思います。したがいまして、そういうことでこの三省協定の賃金額を公表して、直ちにこれを元請と下請の契約の際の基準とするということについては、これは妥当ではないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。先ほど先生のいろいろおっしゃいました下請その他がピンはねするその他におきまして、これは御承知の元請が一括下請をさせるということは禁止もされておりますし、またピンはねにつきましては、今回のこの改正案の中におきましても、不当に低い下請代金を禁止するという規定もございます。そういうことによりまして防止できるものではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
#30
○春日正一君 そのいまの論は、それは仕事の熟練度もあるし、一つの大きな工事となればいろいろな仕事もあるから、工事の難易その他いろいろあるでしょう。あるだろうけれども、しかし、とにかくそういう全体としての中で工賃をどれくらい見ているかということは、これは計算が立たなければ見積もりがつかぬわけですから、当然それは見てあるはずなんです。そうしますと、やはり労賃なんというものは大体そうぽっぽと変わるものでもないし、これは高いからといって買い占めできるというものでもないし、そして、そのことがピンはねの一番大きな隠れみのみたいになっているわけです、幾らで出されているかわからぬということが。だから、むしろそういう小さなものが倒産するということがある。そういうものを防ごうということで法でいじろうとするならば、むしろそこらの辺をいじって、そして工事の請負の単価、特に労賃なんというものは、どれくらい組んであるかというようなことをはっきりさせて、これは下でも上でもわかるし、それでは契約するときにいろいろ折衝になるけれども、その目安があれば具体的に折衝というものはもっと進むでしょう。だからむしろそこらをやってくれというあの参考人の意見というものは、私は下請専門にやっているあの団体の意見としてはもっともだと思うのですよ。そこらの辺をもっと考えられないものかと思うのですが。
#31
○政府委員(高橋弘篤君) 重ねての御質問でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、この三省協定の基準額というものをもとにいたしまして、各事業主体が自主的にそういう単価をきめておるものであります。これはいわゆる発注の予定価格でございます。これは公表しないほうが妥当ではないかというように考えますし、またおっしゃいました御質問の御趣旨わかりましたけれども、そういう労働者の賃金の確保、労働者の保護という意味でございますならば、労働省が毎年職種別、地域別に賃金の調査というものをいたしております。御承知のとおり屋外の労働者の職種別賃金調査というものを行なっております。これは公表いたしておるわけでございます。したがって、そういうものも参考にはなろうかと思うのでございます。
#32
○春日正一君 これもどうも説得力ないですね。労働省に逃げてしまうけれども、やはり建設省で、下請の保護ということも含めて法律を改正なさろうとするならば、そういう一番下請にとって痛いところを痛くさわらぬようにしてあげるということが一番大事なんだろうし、それを労働省でやっているから、これは発表しないのが妥当であろうと言われても、私は、賃金なんというものは、ピンはねをしてはならぬということは、労働基準法でもきまっているのだし、だから公表してその賃金で働けということがあっても当然だと思うし、そういう意味で下請契約をする場合あるいは下請労働者を集める場合の目安になるという意味でも、その工事工事の賃金、単価というものは公表されるほうが目的にかなうのではないかというふうに思います。
 しかし、それはそれとして、このまあ特定業者への下請の保護について義務づけが行なわれておりますけれども、下請代金支払遅延等防止法による公取の措置というものが、私、公取のほうに聞いてみましたら、下から申し出てくるものは一年間に数件しかないのです。そしてそれはもう親会社との関係が切れてけんか別れになっちゃって、もう何としてもかたきを討たなければならぬということで公取に持ち込んでくるというような状態になった人たちがやることで、公取に持ち込んでくるのは数件しかない。むしろ公取のほうで別な方法で調べて、もう少し多くの件数について支払遅延防止法の運用もやっておるようですけれども、こういう状態では実効がほとんどあがらない。そういうことなんですけれども、この業法の今度の改正の場合でも、仕事ができたら二〇日間に受け取れと、受け取ってから五十日間に支払えと、そしてそれは手形でもいいというようなことになりますと、いままでよりも二十日間に受け取れということで検収の遅延を一応二十日というふうに区切ってしまって、それ以上延ばせないことにしたとか、五十日以内にとにかく手形でも渡せというようなことにしたということは、それもないよりいいには違いないけれども、実際にそういうふうにして支払われて、しかも、長い手形で渡されたとか、あるいは二十日過ぎても受け取ってくれないとかどうとかいう場合は、被害を受けた人が実際に監督官庁に申し出るということが可能かどうかという問題です。つまり縁を切られるといいますか、下請関係を切られるという危険をおかすことなしに監督官庁に申し出ることができるかどうか、その点どうですか。
#33
○政府委員(高橋弘篤君) 御質問ございましたように、今度の建設業法の改正によりまして、下請け業者の保護ということに相当力を入れていろんな規定を設けているわけでございます。この関係はいわゆる独占禁止法との行政の関係でもございますので、そういう民間企業につきましては、知事なり大臣からしかるべき措置をとることを公正取引委員会に要求する、請求するという形で、そういう公正取引委員会に連絡をして、請求をして、そうして公正取引委員会がこれに対する勧告なり、また差しとめ命令なりを行なうというかっこうになることは、御承知のとおりでございます。この場合実際にそういうことをしたら下請けが元請けからおまえのところはこんな役所に行ったから、もう下請けに使わないぞというようなことを言われるために、実際には申し入れをしないんじゃないかという御心配であろうかと存じますが、確かにそういう心配ないわけではないと思いますけれども、建設業の場合におきましては、ほかの製造業その他と違いまして、元請けと下請けとの系列化といいますか、密着度といいますか、そういうものが強くない、ほかの産業よりも強くないということもございます。元請と下請が、また元請となる者がほかの建設業者に対して下請けになるというようなことで、必ずしも系列化していない。また密着度も薄いというようなことから、必ずしも製造業におけるようなそういう心配はないのではないかというふうに考えるわけでございます。もちろんそういうことについて役所に申し入れたためにあとでそれに対して、さっき申し上げたようなもう下請けに使わないというような報復的な措置が行なわれました場合には、それそのものがいわゆる独占禁止法の十九条の公正な取引ということに違反するわけでございます。したがいまして、そういうことにつきましても私ども十分公正取引委員会と連携をとりまして、適切な措置をとるということにいたしたい。そういうことで法律制度上におきますところのいろんなむずかしさというものを実際の実態におきまして十分私どもも実情を見ながらいろいろ指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 しかしながらもう一つ根本的な問題といたしましてはやはり建設業界、元請と下請との関係、非常にむずかしゅうございます。また建設業界におきましては下請がなくては仕事ができないということも現実の問題でございます。したがいまして、今後の問題といたしましては下請というものはやはり元請から仕事を請け負ったところについては責任を持ってこれをなし遂げる、しかしながら同時に元請けに対して主張することは十分主張する、そういう努力というものも必要であろうかと思います。そういうことも一般的な経営の合理化、近代化というものにも結びつきますし、そういう点につきましてもそういう風潮が業界に醸成されるように、今後も十分心がけたいというふうに思うわけでございます。
#34
○春日正一君 だから私はそういう問題がどういうことだろうかということで、公取を呼んで、この業法の問題ではないけれども、同じような性質の下請代金支払い遅延防止法について年間どれくらい公取にそういう訴えがあるのかと聞いたら、年間数件しかないというんですね。だからほとんどこれは死文ですよ、生きない。だから今度のこの業法の規定でも私はさっきないよりいいと言ったのは、それが規定されておれば、とにかくそれだけのことは権利として主張する根拠になるからないよりいいと思ったけれども、実際的にそれが生かされるかということになれば、やはり元請、下請そういう関係のもとでは十分な権利が主張できずに不当なことをやられている、泣き寝入りしなければならぬようなそういうことになるんじゃないか。だからむしろ積極的に保護するというんならそれは下請代金の支払い遅延防止法についても言えることですけれども、たとえば七十日の間に払えと、こういうことでしょう、しかも手形で払っていいという、その手形が相当長いもので、六カ月とかもっと長いものを渡されるというと、弱い者が大きな金利負担をしなきゃならぬ。そういうところに、むしろ一番先のほうで私も言ったけれども、倒産とかなんとかというようなことの一つの原因があるわけなんだから、そういうことを取り除いてやるためには、たとえば本人が申し出なくても役所でちゃんとチェックできる、そういうことをした場合に自動的にそれはぐあい悪いじゃないかということで、本人が申し出たからという形でなくてチェックできるような道を考えたらどうか。私はそう思うんだけれども、たとえばそういう親会社から渡されたそういう手形の割引というものを、まあ取引銀行その他であればそれはどうにもならぬけれども、政府機関、中小の金融機関というものがある、あるいはそういうものをつくってもいいだろうし、そういうところで持ってきて割り引いてやる。そうなれば十カ月とかなんとかというような手形を持ってくればそこでチェックできるんだ。本人が訴えたんじゃなくて役所で自動的にチェックできるんだから、こんな長いものはけしからぬじゃないかということを役所のほうから警告もできるし、処置もできるだろう。そういうふうな方法を考えるというようなことは考えてみたことありませんか。
#35
○政府委員(高橋弘篤君) いろいろ御疑問の点があるわけでございますが、これは業者が公取その他に直接申し入れることは、これは実際たいへんでございましょうし、私どもといたしましては十分そういう事柄があれば積極的に公正取引委員会にしかるべき措置をとることを請求する。しかも時期をのがさずすみやかにそういう請求を行なうというふうに考えて、実際に下請保護の実を講じたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただいま具体的なことについてお話ございましたけれども、手形の交付につきましても、今回の法律におきましても、割引を一般の金融機関で受けることが困難であるという手形と、相当長期なものにつきましては交付してはならないという禁止規定があるわけでございます。まあいろいろの具体的な点につきましては、私ども今後とも実際の立法にあたりまして十分研究いたしてみたい、というふうに考えておる次第でございます。
#36
○春日正一君 中小企業の過当競争という問題で、受注の機会を確保するということについてどういうふうに考えておりますか。特に役所の仕事ですね。
#37
○政府委員(高橋弘篤君) 中小企業の振興対策、おもに育成対策の一つといたしまして受注機会の確保ということは一つの大きな問題で、従来から建設省はそういうことについていろいろ配慮をいたしておるものでございます。そのために公共工事につきましては、いわゆる工事の発注区分というものをつくりまして、そうしてそういう発注分野というものを業者の規模に応じましてつくりまして、そうして受注分野の調整をはかっております。その中におきまして、中小建設業におきましては、その受注確保が一そうできるようにいろいろな通達その他で配慮をし、また資料を交換いたしておるわけでございます。
#38
○春日正一君 A、B、C、D、Eそういうランクを設けてそれで発注するということも言われたし、別な機会に建設大臣が、小さい者でも優秀な者は二階級特進でも受注させるというようなことを言われたんですがね。それはいいと思うのですけれども、この間の公聴会ですか、参考人の意見聴取のときの参考人の意見の中で、A、B、Cと分かれている。それで上限はきまっておるけれども下限がきめられていないから、だから仕事が少しかすれてくるとAの業者がBのほうあるいはCのほうへ食い込んできて仕事をとっていくというようなことで、小さなものが圧迫されるから、だから過当競争防止のためには、やはり等級の上の級の者が下の級の仕事を取らぬように、むしろ下のほうを線を引いてほしいというような希望意見を出しておったんですけど、私もそれも一つもっともな意見だと思うんですよ。その辺どうですか。そういうことはできませんか。
#39
○政府委員(高橋弘篤君) 請負業者を選定する際におきまして、ただいま申し上げましたように、発注基準というものを設けまして、それを厳守するということにいたしておるわけでございます。それぞれの発注予定額に対応いたしますところの等級に属する業者というものが、それぞれやはりそれに対応したところの等級のところで発注するというのが原則でございます。しかしながら、そういう業者が非常に少ないという場合におきましては、ほかの等級の業者をもこれに該当させる。つまり直近の上位、下位というものについてもこれは該当させるということになっているわけでございます。しかしながら、この場合におきましては、先生のおっしゃいましたとおり、中小企業の受注機会というものを、これを十分配慮するというたてまえからいたしまして、中小工事、たとえばB級の工事というものを考えますときに、そのうち比較的規模の小さいもの、中小工事につきましては大手業者というものをみだりに指名しないということにするとか、また地元業者を十分にこれを活用するということをはかるとか、また中小建設業者の施工能力というものの向上の機会を十分に考慮するということ等、きめこまかくいろいろ配慮をいたしているわけでございますが、先生のおっしゃいましたように、優良な者について、成績をあげた者については二階級のこれは指名できるわけでございますけれども、上位の等級業者を下位に指名することについて何か限度を設けろということでございますけれども、これは一律にそういう上位の等級業者を下位に指名しないというふうに上位の業者についてするということは、そういう公正な競争ということを確保して、建設業界の均衡ある発展をはかるという趣旨から言いますと、これは必ずしも好ましいものではないというふうに考えておる次第でございます。その他の点につきましては、先生のおっしゃいましたような趣旨に従っていろいろ配慮をいたしているわけでございます。
#40
○春日正一君 そこらの辺が一番大事なところだしね。私、調べてみたんだけれども、あれでしょう、上位の大きな業者が、業者の数で言えば〇・何%という数字でもって、実際には全工事量の五〇何%受注しているわけでしょう。だからそういう者が、その仕事が少し手がすいたからといって優秀な資本力なり技術力なりもって、下のほうの仕事までぐっと食い込んでこられたら、それはちょっと小さいもの太刀打ちできません。そういう意味で、これは一〇〇%まで絶対動かすなというわけにはいかぬ。あるいは先ほどの話のように、二階級特進というような考えもあるということを見れば、百が百全部いかぬとは言えないまでも、原則としては上の者は下に食い込ませないというぐらいなことはやっていいんじゃないか。くどいようですけど、そこらのけじめをはっきりしておきませんと、参考人の意見の中にあったように、政府は過当競争というけれども、ここんところを防いでくれないじゃないかというような不信が出てくる。そこをはっきりしておいてほしいと思うんですよ。
#41
○政府委員(高橋弘篤君) 先生の御質問どおりに直近の上位、下位からその等級のものに指名いたす際におきましても、下から上に上がると同じ程度のものは上から下にいくという原則でございますけれども、その場合におきましても、上から下のときにおきましても、先ほど申しましたように、中小工事においてはみだりに大手業者を指名しないということにいたしますので、原則としては先生のおっしゃるとおりではないか、ということでございます。
#42
○春日正一君 それから労働力の不足ですね。三〇%の労働力不足があるというふうに言われます。そうして、この労働力不足の問題も改正の理由の中に入れられておるんですけれども、この法改正で労働力の確保というものがどういうふうに役立つのか、そこらを説明していただきたい。
  〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
#43
○政府委員(高橋弘篤君) 建設労働者につきましては、相当今後も必要性が高まってまいります。五十年度におきましては四百二十万人にふえるだろうというふうに考えられます。また技能労働者におきましては相当不足数が多いわけでございます。またこれに対しましては、今後建設労働対策というものをいろいろ考える必要があるわけでございますが、そのためいろいろな確保対策というのが考えられております。これについてはあらためて申し上げませんが、先生の御質問の点についてだけ申し上げますと、労働者の使用に関するいろいろな法令、そういう法令に違反した場合におきまして、「罰金以上の刑に処せられ、」云々の場合の欠格条件などもあります。そういうことが労働者の使用とこの建設業法との関係についてでございます。
#44
○春日正一君 そういう程度の改正で労働力不足をどうするかという問題の根本的な解決には私はならぬと思うのですよ。だからむしろ、労働力の不足があるから法改正が必要だと言われると、だから零細なものを切り捨てて大企業の下請労働者にしてしまうのではないだろうか、そういう不安が出てくるわけですね。そこら辺はどうなんですか、そこが一番いま問題なんですよ。労働力が不足なんだ、だから業法を変えて許可制にするのだ。そうなると、われわれのような零細の者を切り捨てて大資本の下請にしてしまうのじゃないですか、そういうことですね。
#45
○政府委員(高橋弘篤君) 先ほど省略いたしましたけれども、建設労働力を確保するというためには、まず建設業というものを魅力ある産業にするということが大事だと思います。したがいまして、今後雇用の安定だとか、また宿舎だとか等のそういう福祉施設というものも十分整備する。それから雇用関係の明確化をはかる。退職金、共済制度の拡充をはかる。また賃金不払いの防止をはかる、そういうようなことが大事でございます。つまり労働環境というものを十分よくしていく。そういうことによって建設産業というものを魅力あるものにしていくということも大事でございます。同時にまた、必要な労働力というものが不足でございますので、どうしても建設工事の省力化ということをはかる必要がございます。そのためには工事設計の合理化だとか、施工の機械化だとか、建築物の工場生産化というものを推進していく必要があるわけでございます。そういうようないろいろな対策を講じます際に必要になりますものは、どうしても健全な建設業の経営ということが必要になってくるわけでございます。そういう経営なり、経験なり、また資力なり、信用力、そういうようなものがすべて最低限度備わって建設業というものができ上がって、全体的に資力が向上し、また信用力が向上し、そうしてまた経営が合理化され、近代化されることによって、先ほど申し上げましたような建設労働力の確保という対策が十分講じられるという意味におきまして、全般的にそういう建設業法の改正というものをはかってまいりまして、そういうことによってさっき申し上げました対策をいろいろ講ずることができるだろう、というふうに考える次第でございます。
#46
○春日正一君 春風が吹けばおけ屋がもうかるという話が私の頭にふっと浮んできたわけですが、そういう回りくどい形で改正理由ということの説明がされるとすれば、これはあまり緊急にどうしても、という印象を受けないのですね。
 そこで話を進めまして、一般建設業の許可の基準、第七条の必要な要件の中に「請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかでないこと。」ということがあるのですけれども、「財産的基礎又は金銭的信用」というものはどういう内容が含まれておるのか、ちょっと説明していただきたいのですが。
#47
○政府委員(高橋弘篤君) 「財産的基礎又は金銭的信用」ということについての具体的な要件についてでございます。これはまず第一に、自己資本の額というものが、許可を受けることが必要でございます最小限度の工事の価格の相当額、これをいわば必要最小調達資金と申しますと、そういう最小限度の調達資金というものが自己資本がそれ以上ある。つまり今回の適用除外の業種の基準が、建築一式工事におきましては三百万円でございますが、三百万円以上自己資本があるということ、ことが第一でございます。または、いま申し上げました必要な最小調達資金を調達する能力があると認められる、これが金銭的信用でございます。そういう調達能力があるかどうかということにつきましては、まず第一には、過去三年間登録または許可を受けて継続して営業した実績を有するということ、または担保とすべき不動産等を有していること等によりまして、必要最小調達資金につきまして金融機関等から融資を受けられる見込みがあるということ、そういうどちらかの要件がございましたならば、そういう最小の調達資金を調達する能力があるというふうに考えられる、と考えているわけでございます。
  〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
#48
○春日正一君 そういうことになりますと、金融機関から融資の受けられる担保があるかどうかということがやはり一つの問題点になってくるのじゃないかと思うのですよ。ところが、これは福岡県の例ですと、一人親方の三五%、親方の一八%は借家住まいをしておる。都市部ほどその率が高くなっておるということなんですね。そうしますと、借家住まいをしておるというようなことになると、担保物件もないというような場合にかかるものが相当出てくるのじゃないかというふうに思うのですよ。機械なんかの場合でも、たとえば電動具なんかの生産手段、これを調べたのを見ますと、大工が六四%、左官が六%、大工の場合電動カンナとか電動ノコというような、職人、親方の収入の範囲で購入できるものの、左官の場合には電気ミキサーとかコンプレッサーというような、収入の範囲では容易に買えない、だから、持っている人が少ないわけですけれども、こういうようなものを持っておったとしても、そういうものはとてもじゃないけれども担保にはならぬということになると、やはり許可を受ける最後の決定的なきめ手というものは、先ほどの説明の中にあった、過去三年間の実績の有無ということですね、これがそういう人たちにとっては決定的な資格になってくるのじゃないかというふうに考えるのですよ。
 そこで、現在登録業者ではないけれども、この法律が改正されて許可業者になり得る要件、つまり三年間の登録業者としての実績を持ちたいというように希望する親方なり一人親方は、いつまでに登録すればよいことになるのかということですね。
#49
○政府委員(高橋弘篤君) ただいま申し上げました、過去三年間登録または許可を受けて継続して営業した実績ということでございます。したがって三年間を見るためには経過措置のあとで三年間の実績を必要とすれば、この建設業法は公布された日からすれば大体三年間というふうに考えております。
#50
○春日正一君 そういうことなんですけれども、この公布された日までに、そうすると登録業者になっておけばよいというと、そういうふうにいかぬ場合もあるわけですね。だから法律というものを極端な例で言いますと、私の場合だとして、私は建設業法反対だ、これはつぶさなければならぬと思っている。だから当然登録しませんよ。そうして法律が通ったと。それから公布されるということになると、法律が通ってからでは間に合わなくなるというようなことになるのじゃないか。つまり法律が通ってから一年後に公布するわけであります。それから公布されてから二年間、いわゆる経過措置があるわけでしょう。それで三年になるわけでしょう。法律が通った――二十幾日に通るか知らぬが、とにかくこの法律が通った、そうすると通る前に登録しなければならぬというのはおかしいのじゃないか。これは建設業者の中には、反対だし、つぶれることを期待している人もいると思うのです。そうすると、法律が通った、法律が通ってしまったので、だから法律に順応しなければならぬという期間ですね。それを設けてやらないということになれば、これは法律は政府は初めから通るものとして、当然通るのだから国会を通るまでに登録しておけよ。登録しておかなければえらい損をするぞというような形で、民主的な国民の反対する権利まで実際上は奪ってしまうというようなことになるのじゃないか。だからそういう意味で言えば、公布されてから実際に効力が発生する、それまでの経過措置の期間の二年間に要件を短縮するとか、あるいはこの公布そのものをもっと時間的な余裕をとって延ばすとかいう方向をやはり考えてもらう必要があるのじゃないか。そこのところをわずかな日数を争って、そうして通る前におまえがんばっておったのだからしょうがないというような報復的な言い方ではなくて、それは反対してきた者は反対だけれども、法律が国会で成立したのだと、成立したのだから当然法に従って登録もしなさい、それで手続をとりなさいと言うだけのゆとりを持つために公布の日にちをもっと延ばすとか、そういう措置をとる必要があるのじゃないですか。
#51
○政府委員(高橋弘篤君) 御質問の過去の三年間というのは、これは許可の有効期間が新法によりますと三年であります。したがって三年間ということにいたしたわけでありますが、おっしゃるとおり、登録制から許可制に変わるという場合におきましては、そういういろいろな特殊事情とかございます。したがってそういう年限につきましては、実はこれは田中委員長からもいろいろ御意見があったのでございますが、ひとつ前向きにやはり十分検討させていただきたいと思います。
#52
○春日正一君 それでこの間のほかの議員からの質問でも出ましたけれども、町場のいわゆる零細な業者、それから一般の大きないわゆる近代的なといいますか、そういう建設業者とは営業の実態なんかも非常に違うわけです。そこで町場の零細業者の保護育成ということについて担当省である建設省が基本的にどういう考えを持っておいでになるか、そのことをお聞きしたいと思います。
#53
○政府委員(高橋弘篤君) 建設業の中の九九%は大体中小建設業者でございます。その中の特にまた零細な建設業者についてのお尋ねだろうと思います。最近におきましては、建設技術というものは進歩いたしまた施工の機械化、また中小企業におきましても経営の近代化というものが相当進んできております。そういう情勢に対応いたしまして、やはり零細な建設業者におきましても、建設技術の習得だとか、建設機械の最小限の整備だとかあるいは経営の合理化、さらにまたそのための金融の確保というものを十分はかって施工能力を向上させることが最も必要であろうかというふうに考えておるわけでございます。そのための対策でございますけれども、建設省といたしましても、協同組合、企業組合、そういうふうな組合組織、組織化というものを従前より推進してまいっておるわけでございます。そういう点今後も十分そういう点をはかってまいる。そして先ほど申し上げましたような建設技術の向上、経営の合理化、その他施工能力の向上というものをはかってまいりたい、というふうに考えておるわけでございます。そのため具体的には、地方公共団体とか関係の業界におきまして、経営とか技術とか、そういうことについての講習会、研究会というものも開催いたしております。そういうことにも積極的に参加してもらうし、そういうことにより経営の合理化と、また技術の向上というものも十分はかってまいりたい、というふうに考えております。またこれは建設業だけではございませんけれども、そういう協同組合、また中小企業者についての合理化機械についての税の減税措置とか、またその他いろんな金融の措置というふうなこと、そういう税制、金融上の措置も十分活用するように指導してまいりたい。そういうことを通じまして、先ほど申し上げましたようなこういう零細建設業者におきましても、十分最近の情勢に対応して施工能力が向上できるようにはかりたいというように考えておる次第でございます。
#54
○春日正一君 これは大臣に一言お聞きしておいたほうがいいと思いますけれども、私が言ったのは基本姿勢ということで、つまり大きな建設業といっても、まあ国際的な大会社もあるし中小もありますけれども、普通まあ大会社・中小といわれているんです。建設省に聞いてみますと大中小という区別しか持ってないと言うのですね。ところが私は町場のいわゆる在来の大工さんとか、ああいう職人とか一人親方とかそういうクラスは、これはまあ中小企業という範疇でも一緒にはできないものではないか。むしろ零細業者という形で区別してこれをどう扱うかということを真剣に考えていかなきゃならぬ、そういう時期にきているんじゃないかと、そう思うんです。そういう意味で、私、建設省の姿勢としてこの零細な業者をどうしようとしておるのか、そこをお聞きしたいと思ったんですけれども、政治的に大臣から一言でいいから聞かしておいてもらいたいと思います。
#55
○国務大臣(根本龍太郎君) 先ほどもお答え申し上げたように、これは特に大都市等においても、中小都市でも問題になるのは、修繕とかそれから小さな工事、これをやる場合に大手はやりません。それから中小でもこれはなるべく避けていくんですよ。ところが現実には小さな工事がかなり、これは金額は少ないけれども量としては多いというところになると思います。ところがこれはなかなか、いま御指摘のように後継者もない、なかなかなり手がないというようなことで、いろいろ問題がありまするので、これはむしろ能力は少ないけれども必要性があるからして、こういうものの組合をつくって、たとえば信用の担保力を多くするとか、あるいはまたその人たちの先ほどあったように住宅の問題とか、こういうような問題を世話してやる必要があると思います。これは政府でやるほかに、現実には実は大手のほうの連中もこれと連携しなければできないということで、かなり系列化してきていることも事実のようです。ところがそれを春日さんに言わせると、これは大手のほうにいわば下請にされたのではないかと、こういうふうな一つの反発があると思いますけれども、これは私は必ずしもそれが不幸であるとは思わない。というのは、これが現実の中小企業いわゆる生産工場でもむしろそれと組んだほうが安定し、かつ社会的地位も向上していける道があるということでありまするので、私はこの資格を与えてさえおれば、そしてまた資格を持っておる人ならば、十分にこれは建設業として成り立っていくし、これはわれわれのほうでもあらゆる面で助成してまいりたい。ただし、そのためには素質というもの、技術能力ということ、それから善良なる建設業者であるということ、これが一番の要件で、その他の点は組合をつくるなりあるいはまたいろいろの再訓練をするなりで、これは養成していく。これなくしては他の業と違いまして、これは非常に大事な要素であると思いまして、その点につきましては、あなたの考えと全く私は一致しております。
#56
○春日正一君 私はそういう意味で、零細な業者をどう保護、育成していくかという意味で幾つか質問するのですけれども、最初に、軽微な工事を行なうもので登録制度をはずれていたものですね。これがこの業法全体の適用からは除かれていたんですけれども、今度の改正では業法の対象に新たに加えられるということになっているようでございますけれども、それはどういうわけですか。どういう意味を持っているんですか。
#57
○政府委員(高橋弘篤君) 現行法におきましてもやはり登録業者でない、いわゆる適用除外の業者につきましての規定がございます。たとえば一括下請行為の禁止とか、また報告の規定とか、そういうことについてはあったわけでございますが、おっしゃるとおり、大体実体的な規定については大部分なかったわけでございます。今回そういう点につきまして、軽微な建設工事というものを許可の適用除外というふうにいたしましたけれども、まずそういう適用除外の建設工事を行なう建設業者、建設業を営む者でございましても、いわゆる建設業法におきますところのいろいろな下請制度というものについての下請保護、そういう保護を受ける、下請保護の規定の適用を受けるということは、これは十分必要なことでございます。したがいまして、下請保護の規正につきましては、改正法におきましてすべて建設業を営む業者、いわゆる適格な業者以外につきましても、これはすべて行なうことによりまして、零細な建設業を営む者に対しましても保護の手を差し伸べたいというのが、まず一点でございます。
 それから零細な発注者それから零細な下請企業の保護というものをはかるため、つまりそういう許可を受けないで建設業を営む者の保護をはかるという観点からいたしましても、許可をされた者とそれからそれ以外の者とのいろんな請負契約についての紛争というものも起こる可能性はあるわけです。そういうときには、やはり法律に基づきますところの建設工事の紛争審査会というものでこれを処理して、円満にそういう紛争を片づけていくということが、これは零細発注者とそれから零細な建設業を営む者、許可を受けないで営む者の保護にもなるということから、やはりこの規定を適用することにいたしたのでございます。
 また第三点といたしまして新たに規定を設けましたのは、そういうような許可の適用除外の業者の行なう建設工事でございましても、やはり工事の最中にいろいろな公衆の安全を害するような事故がある。また、第三者のいろんなそういう事故というものがございます。零細発注者の保護をはかるという必要もございます。したがって、今回の改正におきましても、そういう適用除外の業者につきましても、建設工事というものを適切に施工しなかった、適用除外の業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆災害を発生さした、また発生させるおそれが大きいという場合におきましては、監督処分を行なえる。さらにまた、請負契約に関しまして著しく不誠実な行為をして、そして零細な発注者に対していろいろ迷惑をかけたという場合におきましては、監督処分を行なうということにいたしておるわけでございます。そういう点につきまして、今回の法律改正で、軽微な工事のみを請け負う建設業を営む者についても適用することにしたわけでございます。
#58
○春日正一君 監督の強化ということを非常に言われるのですけれども、まあ町場の零細な業者という者は、御承知のように、人間同士の信用関係で仕事を続けておったという面が非常に強くて、自分の全生活で接触してやってきておるから、不義理なことをすればそこに住めなくなる。そういう意味では大きな会社からずっとこうやって重層下請みたような関係とは、これは非常に違った条件のもとにあると思うんですよ。そうしてまた仕事のやり方でも、まあ施主から頼まれて親方が請け負ってやるという仕事のやり方もありますし、同時に直接、直営方式といいますか、技術、能力を提供して仕事の完成は約束するけれども、しかし材料とかそういうようなものは施主が持ってやる、だから、実際には手間取りにすぎないというような場合がある。事実、いなかに行けば、自分の家の山があるから木は山から切ってきてというようなことで、材料は自分持ちでとにかく大工に頼んで建てさせるというようなものも相当あるわけですね。だから、そういう仕事の形態というものがいわゆる近代的なという形でいったら区別はつくと思うんですけれども、近代的ないわゆる会社組織みたいな形のもの相互の間での請負というようなものとは非常に違っているわけですから、だからこういうものをなぜ対象に加える必要があるのか。いま言われたように、小さな者でも悪い工事をして迷惑をかけたらそれは取り締まらにゃならぬということですけれども、同時にそういう者に対して別途に保護法を設けるというようなことが、実態からしても妥当じゃないのか。私の感じで言えば、とにかく鹿島とか大成とかいうような、海外にまで出て行って大きな仕事をしようというような近代的な大建設会社と、町の大工さん、あるときは自分が仕事を請け負うし、それが終われば今度は職人としてよそで働くという形態の人と、一つの法律で律するというのは、これは妥当じゃないのじゃないか。むしろこういうおくれた形態での零細な業者というものは、それをいまの世の中で保護しながら成長さしていくような特別の法律をつくるなり、あるいは業法の中にそういうものとして特別な条項をつくっていくというようなことをしなければ、取り締まりだけは強くなり、いま言われたように小さな者でもまずいことをすれば取り締まるぞという、取り締まりだけは強くなるけれども、じゃどうしてその弱いものが保護されるかということになれば、これはちっとも保障がないようで、結局この業法の改正というものが、小さい者を痛めつけるという印象を与えてもこれはやむを得ないのじゃないか、そう思うのですけれども、その点どうですか。
#59
○政府委員(高橋弘篤君) 先ほども御説明申し上げましたように、建設工事を行なうものにおきましても、許可を受けなくて建設工事を行なう、建設業務を営むものについても、下請保護という見地からいうと大事なことでございますから、まず一番最初に申し上げましたように、下請保護の規定というのは、全部そのまま今回の適用除外の業者につきましても、これは及ぶということにいたしておりまして、その点は十分ひとつ私どもも今後もそういうことについても、法律の趣旨が行き届くように指導いたしたいというふうに考えております。
 第二点におきましても、そういう適用除外の業種におきましても、やはり請負契約に関するいろいろな紛争というのがあるわけでございます。したがって、それで非常にお互いに迷惑があるわけでございますから、そういうものは円満にやっぱり解決していこうというために、そういう紛争の処理規定というものを適用するようにいたしたわけでございます。したがいまして、最後に申し上げましたいわゆる公衆災害を起こすようなとき、そういうような監督処分のことだけを私ども考えているわけじゃ決してないわけでございます。したがいまして、現在のところこの法律を十分に趣旨を徹底して運用していけば、先生のおっしゃるような目的は達せられるというふうに考えるわけでございます。もちろん、建設業の中でも大きなものから零細ないわゆる適用除外の業者までいろいろございます。それぞれ建設業の特色からしまして複雑な受注産業というものを、いろいろな分野において行なっているわけでございます。したがってそれに対するいろいろな対策というものも助成策、育成策、いろいろ異なろうかと存じます。私どもも今後ともそういう実態を十分に把握いたしまして、意のあるような対策を考えてまいりたいと思うわけでございます。
#60
○春日正一君 こういう零細業者の受注の確保ということについて、建設省として特別な配慮なり、何かしておいでになりますか。
#61
○政府委員(高橋弘篤君) 先ほどから申し上げました中小企業の受注の機会の確保につきましては、いろいろ通達その他出しまして、その受注確保をはかってまいっておるわけでございます。特に零細な企業につきまして、そういうことは特段現在のところ、そういう通達その他はございませんけれども、いわゆるそういう中小建設業の受注の機会を与える場合におきましても、専門業種につきましては、それぞれ専門業種の能力、施工能力を十分尊重しながら発注さしていくというようなことその他については、いろいろ配慮を加えておるわけでございます。
#62
○春日正一君 新都市計画法の線引きによる影響を見てみますと、京都の場合、四十一年から四十四年の四年間に市街化調整区域になると想定されるところに建築された住宅なんかの数が二千九百五十戸年平均七百五十戸ですね。施工高として約十七億円、これだけの仕事があって、それを零細な建築業者の人たちがやってきておったのですけれども、これが線引きによってその辺建てられぬということになるから、当然仕事が少なくなってくるし、また町の中でも再開発というような形で大きいものが建てられていくという中で仕事が少なくなっていく。そういう状態のもとで、ここにある「住宅金融公庫監修」「公庫住宅の設計から竣工まで」というパンフレットを見ますと、こうなっているのですね。公庫住宅の金融公庫の個人住宅については、請負人の選定にあたって登録業者を選べということが書いてあるのですね、この八ページの第一項に。「なるべく、建設業法により建設大臣または都道府県知事の登録をうけている業者から選びましょう。」はっきりこう書いてある。そういうことになりますと、当然今度は法が改正になれば、請負人の選定にあたって許可業者を選べということになるのじゃないか。そうすると許可のとれない人たちというのは、たとえ三百万以下ですか、あるいは百平米ですか、というようなものにしても、こういう形で公の文書でもって登録業者を選べ、許可業者を選べということになれば、これはどうしたってそういうことになるし、あるいは場合によれば私どもの心配するのは、登録業者あるいは許可業者でなければ公庫は融資しませんよ。会社なんか現にそういうものはありますね。そういうようなことになると、許可にはずれたら死活問題になるということになるんですけれども、その点どうですか。
#63
○政府委員(高橋弘篤君) 住宅金融公庫の先生のお読みになった点、実は私の手元にございませんのでよくわからないのですが、私どもの聞いておるところによりますと、現在の五十万以上の建設工事は当然いわゆる登録業者でなければできないことになっております。したがってそういう五十万以上の建設工事を行なうものについては登録業者にやらせよう、そういうことを書いておるということを聞いたことはございます。
#64
○春日正一君 だから私の言っているのは、そういうことが書いてあるし、今度は法が変わったら許可業者ということが書かれるようになる。そうなればそのこと自体、たとえば除外例として、三百万円以下とか、あるいは百平米ですかになるんですか、それ以下の木造建物は許可業者でなくてもやれるということになっておっても、実際は仕事ができないような方向に事態が進んでいくのじゃないのか。そうするとせっかくゆとりをつくってくれてもそれはうそになっちゃう。その点はっきりしてもらってあれしないと困るんです。
#65
○国務大臣(根本龍太郎君) それは春日さん、これはあなたは零細業者をあらゆる機会にいい条件をつくってやるという思いやりからそういう発想が出てきますけれども、政府の立場からすれば、われわれのほうは業者も健全に発展すると同時に、とにかく住宅需要者を保護するということが非常に大きな国家的な使命であります。したがいまして国の施策でやるものについては、そういうふうな許可業者がやるのが当然でありまして、これは直接間接税金を使ってやることでございますから、国の資金を使ってやるから、それだけの責任を持ってやるほうがいいだろう。そのかわりそういう人たちは、一般の民間の、先ほど私が申し上げましたように、小さな修理とか、小さな建て増しとか、そういうものがうんとありますから、そういうところに十分道を開いていく、こういうことでございまして、先ほど来議論しておるのを聞いておりまして、あなたの発想はわかりますが、たとえば国際的な事業をやるところの業者と零細なものを同じ法律でやるのはおかしいじゃないかと言っても、刑法はどろぼうであろうと何であろうと皆同じです。商法だって同じです。したがって、一つの業法で建設業の規模の違うのをやるのはおかしいということは、私は法の体系としては決して矛盾ではない。ただ、中小企業なり零細企業を保護するという立場で特別なる何か措置をするというときには、これは立法は別に考えていいんですけれども、私はそこはこの建設業法で、中小企業安定法とか中小企業保護法的な意味までここに含めるということは、法体系としては適当でない。それと同じで、私は中小企業、特に零細企業で政府の官庁工事に機会を与えるといったって、これはできるものじゃありません。だからそこがおのずからその人たちの持つ力の限度、それからその人たちのやはりほどほどの仕事というところに十分の道を開いていきますれば、これらの人々もまさか官庁工事に一人親方がおれに指名しろというほどのことは言わないだろうと思うのであります。
#66
○春日正一君 そこら辺のところが議論の分かれるところですが、私は保護法をつくれということを言った。だけれどもそれは必要だと言っていますよ。弱い者ですから、大きなものからずっと重圧を受けているんです。一番下ですからこれを保護してやるということはやる必要があるし、この業法の中でその規定を設けるか、あるいは別に保護法というか育成法というようなものをつくるかということは問題あると思うけれども、当然保護するということを考えなければ非常に大きな犠牲を受ける。それから、不良な工事云々という問題から言えば、一番最初に言ったように、資本が大きいから正直だとか、小さいからというものでもないと思うし、むしろ傾向を見れば、町場の職人で大体町内であそこの大工と知っている人はあまり不義理なことはしないものですよ。だからむしろそういう人たちが対象からはずされるとかなんかの境目にあるわけですから、そのことを私は言っている。
 しかしその議論は先にしまして、許可業者を選べということになると、軽微な工事の線を三百万というようなところに引くかどうかに関係なく、そういう許可を受けられない人たちというものは受注の機会を非常に少なくされる。そのことだけは間違いないと思うんですよ。だからこれは何とかする必要があるだろうし、もう一つの問題は、建築基準法によって、建築申請の確認にあたって許可業者であることを確認の要件にするというような考えがあるかどうか、その点お聞きしたいんです。
#67
○政府委員(多治見高雄君) 建築基準法の確認申請について、申請者についてこの建設業法の登録を受けるか受けないか、許可を受けるか受けないかということについての区別をする準備は、現在何もいたしておりません。
#68
○春日正一君 そういうあれを要件としないということだとすると、福岡県では、確認申請書に現在登録業者であるかどうかという記載をしているというように聞いているんですが、こういう問題はどういうふうに指導するんですか。
#69
○政府委員(多治見高雄君) 御承知のように、建築基準法の確認でございますけれども、これはことばでわざわざ確認ということばを使いましたように、技術的な基準に合っているかどうかということを建築主事が確認をするというのが目的でございまして、その範囲内で確認を行なえば建築主事の任務は果たせるわけでございますが、御承知のように一つの家を建てるという問題でございますので、いろんな法制的な社会的な問題、あるいは影響も起きる場合がいろいろございます。したがいまして、建築主事としてはそういった点についてどうなっているだろうかという予備知識も一応得ておきたいということで、われわれといたしましては、法律できめられております確認の限度内の確認さえできればいいというふうに指導しておりますが、土地の実際の所有権の関係、それから実際の建物にどういう影響を及ぼすかというような点についても一応知っておきたいというような、参考資料的な意味でいろいろな書類を申請者にお願いしているという例もあるようでございます。それの一つだろうかと思います。
#70
○春日正一君 しかし、こういう点が確認申請書に登録があるかどうかというようなことまで書かせるということになれば、登録を受けない者にとってはやはり不利になってくる、そういうようなおそれはないですか。
#71
○政府委員(多治見高雄君) それは全く関係ないというふうにわれわれは考えております。登録云云につきまして建設業法のほうで取り締まる必要があります限度額、あるいは工事実施上の問題がありました場合には建設業法のほうでそれをやっていただく。建築基準法は全く関係ございません。
#72
○春日正一君 それからあと受注機会を確保するために住宅金融公庫の個人住宅融資ですね。これに請負人の町場の零細業者に限定してそういう者にやらせる場合にはということで、長期低利というような有利な資金ワクを設けてそういう仕事をやらせるような方法をとるということは考えられないものなのかどうかという点が一つ。それからもう一つは、零細業者の自主的な協業化を促進してそれが官公庁の小規模な工事というようなものを優先的に共同受注できるようなそういう制度を設ける、こういうことも可能なんじゃないかと思うんですけれども、それらの点についてはどういうふうな考え持っておりますか。
#73
○政府委員(多治見高雄君) 御質問二つございましたけれども、第一点が私どもの所管でございますので、第一点についてお答えいたします。住宅金融公庫で住宅融資をいたします場合に、特にその工事をやります業者についてどういう業者がやるのがいいのかという点に着目いたしまして、そのための特別な制度をつくるということは、現在全然考えておりません。先ほど来大臣が御説明しましたように、先生の言われる零細業者という範囲に属する建設業者といいますか、建築業者は、それが住宅建設につきましては非常に有用といいますか、その働く範囲が広いというふうにわれわれも感じております。したがいまして、現在住宅金融公庫でやっております改良の貸し付けにつきましては、そういった業者の方がお働きになる場面が非常に多いであろうということは承知いたしておりますが、そういった場合に特にそういった零細な業者の方を使う、そのために特別の融資をするというような制度まで考えておりません。
#74
○政府委員(高橋弘篤君) 零細な業者が集まって協業組合をつくる場合におきましては、工事指名の際の資格審査にあたって、これらの業者の合計点に一五%の点数を加えることになっております。そういう能力ございましたらできるわけでございます。
#75
○春日正一君 その場合ですね。やはり協業して一定規模の仕事を受けるということになれば、機械なり道具なりも相当金のかかるものが必要になってくるだろう。だからいまの自主的な協業化を一番はばんでいる原因、なぜできないかと聞いてみますと、一つはそういうところにもあるわけですね。協業やっていくのには新しい機械買わなきゃならない、何もしなきゃならない。そうするとこれだけの金要るからどう出資するかということになってくる。そこら辺が引っかかってくる。そういう意味では協業化を促進し、助けていくというために国なり地方自治体で、京都あたりではやっているようですけれども、必要な建設機械そういうものを買って、そうしてそういう組合ができて工事を受けたときにはそれを貸せるというような方法とれば、この協業化というものがいままでよりももっとスムーズに促進できるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そこらどうですか。
#76
○政府委員(高橋弘篤君) 建設機械を単独のそういう中小企業に持たずこれをそういう建設機械の貸与などというものは別にありまして、それを貸与を受けて行なうということは、もちろんこれは方向としてそういう方向に進むべきだと思いますが、さらに私どもは、さっきから申し上げておりますように、そういう協業化、組織化というものをはかっていきまして、組合が共有でそういう建設機械を保有するということもまた一つの方策であろうかというふうに考えておるわけでございます。
#77
○春日正一君 私は、だから自治体や国でそういう援助という意味を含めて、そういうことをやったらどうかということを言っているわけです。
 それから技能の開発についてですが、いまの職業訓練法では、建材とか工法の進歩などに伴って親方の技能の再訓練そこで昼間働いている労働者の技能訓練というのはなかなか困難なんですね、働きながらやっぱりやらなければならぬ。そういう意味で、労働者について、もし昼間訓練するというならやはりその間の生活費、そういうものは国が補償してやる必要があるだろうし、親方については夜間にでも再訓練が受けられるような制度、設備というようなものを保障することがいま必要なんじゃないか。
 それからもう一つ、これはついでに聞いてしまいますけれども、共同作業場といったようなものをやはりつくって、そしてそこで道具なり設備を備えておいて、そこで仕事をするというような共同作業場をつくる必要があるのじゃないか。これは共同化を促進することにもなるし、それから市街地の騒音防止の上からも必要だというふうに聞いております。いま大工さんがたいがい材木屋さんのところで加工したりなんかやるんで、非常にうるさかったり狭かったり、そういうところがある。共同作業場ということで、防音の設備もつくって、そこで作業をするということになれば、共同化ということも促進するし、騒音の防止の役にも立つ。だからこういうものを国が補助を与えて、あるいは有利な融資制度というようなものを設けてつくってやる考えがあるかどうか。また、地方自治体に一定の補助金を出して町場の業者を対象とすれば、先ほど言ったような建設機械のリース制度、こういうものを設ける考えがあるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#78
○政府委員(高橋弘篤君) 第一点の職業訓練、技能訓練でございます。これは技能者の不足のおりから、こういうことを大いに促進して、そしてそういう技能を身につけさせて、そして施工能力を高めることは大事だろうと思います。その際に、先ほど例にいろいろ述べられましたような、実質的に実態に即応したような、そういう事業場の技能訓練を行なうということはもちろん大事でございますので、私ども十分ひとつ検討いたし、関係のほうとも連絡をとりながら前向きの姿勢で進んでまいりたいというふうに考えます。
 それから第二点の共同作業についてでございます。そういう共同作業とかという作業場が必要でございます。また、そういう建設機械も共同で保有するとか、また職業訓練も、ただいまお話しの職業訓練も共同で行なうということも必要であろうかと思います。そういう施設とか宿舎、そういうような共同施設の整備というのは非常に必要になってきます。そういうものにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、中小の零細業者におきましても、ぜひひとつ共同組合、協業組合、そういう組織化をはかってもらいまして、そういうことを促進することによりまして、そういう共同施設の設備を進めてまいりたいと考えております。そういう共同施設の整備というものをやるものがこの協同組合の目的であるわけでございます。そういう組合をつくりました際の税制または金融上の優遇措置というものは、先生御承知のとおりいろいろあるわけでございますので、私どももそういうことを積極的にひとつ推進してまいりたいというように考えておるわけでございます。そういう大小の零細業者というものが自助努力をいたしましたものについては、いろいろ制度的な優遇措置を考える必要があろうかと思います。補助金につきましては、現在そういう制度ございません。しかし十分ひとつ検討させていただきたいと思います。さらにまた機械につきまして、機械の保有のためにいろいろな補助でございますが、現在都道府県が国から補助を受けて、さらに設備近代化資金の貸し付け制度というのがございまして、圧縮機その他につきましての設備について一企業当たり十万円から五百万円まで無利子で融資していく制度がございます。そういう制度が十数億現在でもございまして、こういうものをもっと関係の省庁に話しまして、拡充の措置を私どもともどもにはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#79
○春日正一君 私の言っているのは、大臣、いまも近代化促進とか、いろいろそういういまある制度があるのでございますけれども、それがどうして十分使われないかという問題ですね。やはり京都なんかで実験的にやっているのですけれども、そういう共同作業所をつくるとか、あるいは機械を共同で、仕事を受けるときには、まあ零細なジョイントベンチャーですね、それに対しては機械を貸与するとか、そういうワクを自治体なり国なりがつくってやって、このワクの中に入ってこい、そうすれば共同でできるじゃないかということにしませんと、おまえら共同にすれば金を安く貸してやるとかなんとか言っても、それだけじゃなかなかまとまらぬ。そこのところを私は言っているので、そこのところをひとつのみ込んでほしいと思います。
 それから最後に、やはり零細業者というのは、一面では業者であるわけですけれども、同時にときには労働者になるというような実情にあるわけです。だから、そういう実態にある零細な業者の生活を保障していく、そして仕事を安心してやれるようにしていくというためには、やはり労災とか健保、失業保険、厚生年金といったようなものでそういう実情に合わせて、いわゆる事業主負担とかなんとかいうものは特別少ないかあるいはゼロになるような形でこういうものに参加できるような、あるいはそういうものが適用できるような方法を考える必要があるんじゃないか。そういう意味では、あの日雇い健保を打ち切ったというのは、非常に残酷な処置だと思います。いま国民健康保険組合でやっていますけれども、非常にぐあいが悪い。だから、その点は、私は何でああいう報復的な処置をとったのかと思ってどうも解せないのですけれども、普通の日雇い健保の改正ができなかったからといってこの零細な建築業者をそれから排除するというような形になぜされたのか。非常にその点ではまずい影響を出しておる。だから、そういう意味で、社会保障の問題をこういう実態に即してもっと充実していくことが必要なんじゃないのかという問題と、それから国や自治体が十分に援助をして、共同で労働者の宿舎というようなものを積極的につくって、そしてこういう建設業務に若い人たちが魅力を持って集まってきて仕事を習うという気持ちにしていくと、そういう意味での施設ですね。そういうものにもっと積極的に援助をする必要があるのじゃないかと、そんなふうに思うのですけれども、その点に関する御意見をお聞きして、私の質問はこれで終わります。
#80
○政府委員(高橋弘篤君) 先生のいろいろなお尋ねの点、第一点につきましては、厚生省の所管の日雇い健保その他についてでございますけれども、日雇い健康保健組合の問題は、さっき先生おっしゃいましたように、最近では国民健康保健組合にかわりまして三十八組合、二十六万人というものが加入しておりますが、漸次ふえていくと思います。漸次この運用の適切をはかったり、また失業保険制度とか労災保険制度だとか、また税上のいろいろな取り扱いの問題につきましては、関係省も私どもも十分建設業を担当する役所として、ひとつ今後も関心を持って処置をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 第二点の宿舎の点につきましては、もちろん先ほどから申し上げておりますように、今後の建設産業の労働者の確保のために最も大事な点でございます。宿舎の整備状況必ずしも十分とは言えない状況と私どもも考えております。もちろん十年前に比べますと相当これは改善されておるわけでございますが、なおまだ十分ではない点があろうかと思います。私どもといたしましては、発注者のサイドからいたしまして、建設省などが積算の基礎の中にもちゃんとこれは織り込んでおります。同時に建設業者の指名にあたりましても、そういう労働福祉の状況というものを十分考慮した点数の中に織り込んで、そうして業者の選定にかかっておるわけでございます。今後とも中央、地方一緒になりまして、そういう点がもっとよくなりますように努力いたすつもりでございます。
#81
○高山恒雄君 まず第一番に、公正な競争が阻害されるということを大きく取り上げられておられるのですね。公正な競争ということになりますと、建設業法を改正をすればそれがある程度修正できるとお考えになっておるのか、修正できるというところはどういうところにあるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。大臣でけっこうです。
#82
○国務大臣(根本龍太郎君) 総括的に私がお答えいたしまして、実務に関することは事務当局から申し上げます。で、御承知のように、現在の単なる届出制度でありますと、よく景気が悪くなったり、それから何か経済上の異変があると、地方では何が一番ふえるかというと建設業です。また、農村ではすぐ作付転換とか何とか出てくると、ちょっと金を持った人は百姓じゃつまらない、じゃあ請負でもやろうかといってずっと出てくるのですね。ところが、今度は一たん営業を始めると、どうしても仕事をやらなければならない。ところが、なかなか地方でも初めて業者になったとしてもすぐに右から左と思う存分の、これは受注産業ですからね、仕事やれない。そうすると、つい無理をしてダンピングをやっちゃう。そうすると、その人間だけのみならず、その周辺の業者全部がそれのあおりを食ってしまう、採算割れになる。そうすると今度は手抜きをしたり、不良工事をやったり、あるいは倒産したりする、こういうような状況で、現在の日本の中小零細企業の倒産の実態を見ると、建設業が一番多いんですよ。ところが、これがその中小企業のみならず今度は、中小のうちの零細企業のみならず上のほうにもこれが行っちゃう、波及してしまいまして。そのために今度は業者自身の破産だけならいいけれども、これが受注産業ですから、仕事を請負ったほうに今度は影響してきて、そのためにせっかく金をためて家をつくろうとした人がそばづえを食って、これまたたいへんな迷惑をこうむるというふうなことでは、これは私、世界の他の国で先進国で見られない現象、この建設業は。これがいま非常に大きな社会的な問題になってきましたので、これはやはりしっかりした企業能力もあり、技術能力もある業界にしなければ一般国民が迷惑する、業界自身もまずいということで、この業法を制定して国が相当の責任を持って、一般国民にこれならいまの建設業の許可を受けた人たちはだいじょうぶですよという、これは保証してやる必要があるというのです。そのかわり今度は御承知のように、これらの人々は、大きな仕事から小さな仕事までありまするから、やはり建設業界のいわゆる下請制度というものがありますから、この下請をする人々の立場を今度は保護してやらなければいけない。ところが、いままで何らその規定がないものだから、一般民法上の契約でいってしまうものだから、上のほうでピンをはねて、あとは下にまかせれば、どんな事件が起ころうがどうしようがみんなおまえの責任だ、不払いやっても、これは下請がやったことだと逃げられてしまう、これもなくさなければならない。こういうようなことで、公正なる競争というものはそういう意味を含んでおるのでございまして、これはかなりの従来からすれば大きな変革でありまするが、それだけわれわれは周到な考慮を払いまして十分に法体系も整備すると同時に、業界にも十分に話し合いをして、これならお互いに不利なことなくやれるということでこの案を出したわけでございまして、そういう意味のかなり広範な意味における考慮の上で公正なる競争ができるというふうに判定した次第でございます。
#83
○高山恒雄君 いま大臣御説明されましたね、後者のほうは私も理解ができるのですが、ところが、いかなる産業でも競争のあるところに近代化が進むわけです。競争がなければ産業の発展はございませんわね。これは言うまでもなく、技術にしてもみなそうです。あらゆる産業がそうだ、製品でも、やはり優秀な製品をつくって、そうしてどこよりも安く売れる、こういう近代化合理化をしなければいかぬという、これは商法の原則だと思うのです。その原則の上に立って考えてみますと、これは私は政府にお願いかたがた意見を申し上げるのですが、この問題についてちょっと不安があるのですよ。先般も申し上げましたが、東京でいま大体坪当たり十五万円か十六万円でしょう。九州の鹿児島や宮崎へ行きますと九万円か十万円です。建材は二割高いです。ところが、東京の十五、六万円の坪当たりの建築と九州でやっておる坪当たりの建築と、私は対比したことはございません、どういう建材を使ってどういう家をつくっておるという対比をしたところまで研究はいたしておりませんが、こういう開きがあるということは、一にして労務賃金だと思う。しからば坪当たりの労務賃金というものは、先ほども言われましたが、元請が三千円で請けて下請になれば二千四百円になる、これが一つの例ですわね。私は九州は安いと思うのです。ところが、御承知のようにいま木造の材料を、日本国内のヒノキ、杉に比較してみて、輸入材木のほうがよほど安いです。仕事は能率が約二割速いです。それにもかかわらずこれの差が出てきておる。この現状から考えてみると、少なくとも公正なる競争をやらせようと政府がされるならば、私は東京の坪当たりの十六万円あるいは十五万円、九州の九万とか十万とかというこの格差は、どういうところにこういう状態があるのかということの研究と検討がなされて、そういう実績の上に立って過当競争を防止するというのならば、これは私は納得いくのです。何の基準もない、政府には。そういう状態で公正なる競争をやらせるために一つの業界の整備をやっていこうということになるのですから、あまりにもこれは大資本のみに依存されて、むしろその過当競争が大資本に非常に迷惑をかける、それを防止するためにつくる法律じゃないかということを、もう敏感に考えるのですがね。こういう点ひとつ大臣ね、私はこれはお願いですが、先ほど申し上げましたように、国民は一番これを期待しておると思うのです。どうして東京ではそんなに高いのか、九州はどうしてそんなに安いのか。材料から申しましても分析してみて、これはひとつ政府としてそう時間がかかるわけじゃないのですから、参考のためにどういうものを使ってどういう建築で基準のものをつくっておるのか、それが相場なのか、あるいは東京ではなぜ高いのか、ひとつそういうモデル的なものもお示しになったほうが、私は賢明な処置だと思う。そして過当競争のダンピングをやるというのならば、これはまた将来の企業の発展ということを考えてみれば、これは不当な過当競争は防止しなくちゃならぬでしょう。しかしそれは法律できめるのではなくして、業界が自粛すべきだと私は思っておるのです。この点、どうお考えになりますか。
#84
○国務大臣(根本龍太郎君) 東京で非常に建築費が高くつくということは、やはり何としても需要が非常に多いのにかかわらず、零細企業者が実際上手が回らないというのが実情のように私は見ております。地方に行きますと家を造作するというのはそうざらにあるものではないのです。ところが、こっちは人口の集中の密度があれだし、それで公団住宅に入れない、供給公社のあれに入られない、それで少しでもということでやっていく、こういうところに非常に大きな原因があるような気がするのです。ところで、これがある意味においては中小企業の、中小といっても年間十億くらいやる建設業者が、しからば個人住宅をどんどんやるかといえばやらないのですね、それは何としても仕事が小さいから。そこでそういうところにずっと集中してきている。きのう私がある会合に行って聞きましたら、東京の一区にいわゆる零細企業が五、六百軒あるそうですね。五、六百軒あるそうです。それだけ数がある。それでも手が回らないというのです、仕事が次から次へあって。だからこのごろは大工の手間は四千なんぼじゃないか、たしか四千近くになっているはずです。地方はどんなに高いといったって、いま三千円するかしないかでしょう。それほど実はこっちのほうには仕事があるのです。やはり需給関係が大きな役割りを演じていると思うのです。ところがこういう状況が続きますと必ず反動がくると私は見ている。なぜならば、これから、その一日五千円以上の手間を払って、しかもスピードのおそい仕事をしておったり、発注者が今度発注しなくなってしまう。結局プレハブになってしまう。あまりにも高くなってしまうから、だから私はむしろ今後御心配になっておる零細企業の大工さんとか左官という方々は、いまのままでいったならばひとりでにだめになってくると思う。むしろこれからはプレハブの組み立て工にこれは訓練していく、これと系列化していかなければ、やはり人間というものはあまり高いものじゃこれは間に合わないということになれば、別のほうに転換すると思う。だから私は零細のひとり親方を保護するのはけっこうだけれども、ただ、いまのままで温存するということは、必ずしもこれは本人のためにも、それから需要者のためにもならぬじゃないか、時勢の動きというものを見てやはり新たなる指導のしかたをしていくべきではないか、こういうふうに感じているわけです。いまのままでいくと、結局地方のほうでは大工さんは仕事がない、ところがこっちに来るとある、こっちにだんだん集中してくる現象になると思うんです。私の郷里でも、もとは大工さんの出かせぎというものは冬の全然仕事のないときに来たけれども、このごろはもうこっちに来たっきりです、地方に帰ろうとしない、こういう現象があるわけですよ。それで私はむしろ都市においては、何といいますか、零細企業の保護政策というものを、受注の機会をふやすというよりもむしろ将来に向かっての私は安定産業として育てることにあると思うんです。受注関係はむしろ地方においてはこれはなるべく機会を与えてやるということだけれども、それだけやっぱり現実に即していかなきゃならぬのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
#85
○高山恒雄君 それから、その問題でまだ申し上げたいことはありますけれども、これは事務当局でもいいですが、この業界の倒産が多いと大臣も言っておられるんですよ。ところが、三十人以下の企業で中小企業近代化資金というのがあるはずです。で、大体四分の一、これを補給をやって、長期融資ですね、地方自治体が四分の一、あと自分がやるという法律があるはずですが、これが四十五年の予算で二百五十四億か何ぼかだったと思いますが、一体建設業の倒産が多いと言われるが、近代化のためにこういうものを何件ぐらい利用しておるのか、そういう調査をしたことがあるのか。倒産が多い、倒産が多いと言われますが、どういうふうになっておりますか、一ぺんお知らせ願いたいと思います。
#86
○政府委員(高橋弘篤君) 設備近代化資金の貸しつけ制度というのがございます。これについていま手持ちの資料では四十三年度がございますけれども、四十三年度で大体四百十二企業がこれについて十億五千万借りておるということでございます。
#87
○高山恒雄君 数字じゃなくて一体四十三年の予算の何%利用しているのか。
#88
○政府委員(高橋弘篤君) 全産業に対しまして四・九%でございます。
#89
○高山恒雄君 全産業の中で一番利用が少ない状態でしょう。大体一割は適用していますよ。それでは倒産が多いはずですよ。やっぱりそういう指導が私は建設省として足らないんじゃないかと思うんですね。長い歴史を持つ建設事業がそれは近代化がどんどんどんどん近年のうちに進んで、そうしてそういう助成、補助をして、そうして長期融資でしょう、そうして近代化してやっていくということにならなければ、それは倒産が多いのはあたりまえですよ。そういう指導が建設省抜けておるのじゃないか。これはひとつ指摘をしておきたいと思います。
 次に、労働者の不足で年々全く窮迫しておるのは建設業だけではございませんが、特に建設業が多いという話を私も聞いております。きょうは労働省のほうからも来ていただいておりますが、労働省の関係者にお聞きしたいんですが、四十三年でしたかね、この雇用促進事業団を中心として、そうして出かせぎ労働者の援護のための相談所を設置いたしております。さらにまた農協には農村人材銀行というものでいろいろ紹介もいたしております。そういうものを労働省としていろいろお考えになって、できるだけ出かせぎ労働者の擁護をしていこうということで、そういう施策を労働省はやっておるわけです。ところが、これは全員その手を経て雇用されるとは私も考えておりません。特に賃金遅払いとかあるいはまた行くえ不明でわからないというのは、ほとんどが建設業からそういう人が出ているのではないか、いわゆる犠牲者が出ているのではないかということをいろいろなニュースその他で掌握することができるんです。したがって、労働省としては最近そういうものを設置されて一体出かせぎ労働者の賃金未払い等は減っておるのかどうか。これは大体四十一年ころが一番そういう未払いが多かったわけですが、最近はどういう実況になっておるか、一応ここで件数だけ指摘していただきたい。
#90
○説明員(吉本実君) ただいまの賃金未払いの関係でございますが、四十一年のこれは大体三月末とそれから九月末で調査をしておるわけでございますが、先住御承知のとおり四十一年あたりが一番ピークでございまして、四十一年の九月末で建設業の対象労働者といたしましては一万四百十一人でございます。それが四十二年の九月末では九千八百十九人、四十三年は八千二百六十人、四十四年の九月末で六千六百四十九人、四十五年九月末で六千七百六十二人ということでございます。建設業関係ではこういったことで大体下がっておりますが、昨年の九月末でございますが、最近はまたこの三月末になりますと、多少上がるのではないかと心配しておる次第であります。
#91
○高山恒雄君 大臣、いま報告されましたとおり、私は労働不足という問題に対してここにひとつの深刻な状態をどうするかという問題のために、業法の改正をやって強化をして何とかよい環境をつくりたいということだと思うんですけれども、私はこの建設業法ができたからといって労働不足をカバーすることは不可能だと思う。むしろこれは労働省としてやっぱり検討をする必要がある。そこで私はお聞きしたいんですが、三百七十万人を数えるほどの従業者がいるといわれておりますが、この三百七十万の人員の中には臨時工も延べ人員として入っておるのか、それとも常用雇用者としてだけの人員なのか、その点を一つまずお聞かせ願います。
#92
○政府委員(高橋弘篤君) 臨時も常用も両方これは入っておるわけでございます。
#93
○高山恒雄君 臨時も常用も入っているわけですか、延べ人員ですね、そういうことですね。
#94
○政府委員(高橋弘篤君) 年間の平均人員でございます。
#95
○高山恒雄君 そこで今度は労働省にお聞きしたいんですが、一体日本全体の出かせぎ労働者というものを掌握しておるのかどうか、この点ひとつ。
#96
○説明員(保科真一君) 出かせぎ労働者の数は、種々の統計から推定するしかございませんけれども、関係のある統計といたしましては、失業保険の統計から見ますと、失業保険を季節的に受給しておる者、これが五十七万人でございます。それから、農林省のほうで農家就業動向調査というものがございます。これは農業を本業とされて農閑期に出かせぎをされる、この農家就業動向調査による農閑期利用の出かせぎ労働者が約二十八万人でございます。推定いたしまして約六十万人くらいの出かせぎ労働者がいるのではないかというような推定をいたしております。
#97
○高山恒雄君 大臣、いま六十万人ほどの推定ですがね、これは掌握してないのですよ。そこで、私がおそれますのは、こうした一つの許可制度になりますと、先ほど春日さんもお触れになりましたけれども、いままで登録してないでやみでやっておるといいますか、そういう建設業者の掌握をしたことがあるのかないのか、これが問題になると思うのです。それで、いま春日さんも、一年、二年の経験で、まあ三年たたなければ実際問題としては許可にならないので、いまのうちにやっておかなければならぬという人がどんどんおるというが、法的に認められた以外の人で、やみの、登録をしないでいる人がどのくらいあるのか。これは私は相当あるとみなすのですが、そういうことをお調べになったことがあるかどうかですね。
#98
○政府委員(高橋弘篤君) 現在の登録業者以外にどのくらい建設業を営んでおる者がいるかということでございます。これは非常にむずかしい問題でございますけれども、昭和四十一年に総理府の統計局で事業場統計というものをやっております産業統計に従いまして、これによりますと、建設業を営む者が大体二十九万人ということになっておりますが、そのときの登録業者が十万八千人ばかり、四十一年でございますが。したがって、登録業者の大体三倍ぐらいあるというぐあいに私ども考えております。
#99
○高山恒雄君 そこで大臣、いまお聞きのとおりです。労働省は出かせぎ労働者を、全然掌握じゃない、推定ですよ。建設省は無登録が約三倍おると言っておる。一体それでほんとうにこれから逼迫するであろう労働者を獲得することができますか、こういうような現状では。それは私は根本的な改善をしなければいかぬと思うのです。それはまず第一私が提案申し上げたいことは――これは私の考えを申し上げておるのですから、大臣そのつもりでお聞き願いたいと思うのです。生活環境をよくするということですね。なぜこれを言うかというと、いままでは六〇%ぐらいが大体建設業の仕事をしておった、いま年々減っておるんです。十万人から減っておるんですよ。それは何かというと、出っぱなしだと、帰ってはこない、もう家庭が承知しない。それよりも日産だとか、あるいはトヨタだとか、あるいは繊維産業だとか、そういう大企業の季節工として働いたほうが条件があまり変わらない、こういう事態があるわけです。そういう点を考えてみますと、やっぱり建設業としては、もっと労働省と相談をしていただいて、根本的な問題を検討していただく必要がある。私はほんとういえば、建設業は、職安またはさっき申し上げましたような援護相談所、あるいは市町村にそういうものを設けてそこを通す。そういうふうにして、ほんとうに出かせぎがしたいという者は、そういうところを通して届け出をして出る。いわゆる縁故紹介とか仲介人紹介とかいうものをやっぱり排除していく。そして一方建設業界としては、それをほんとうに擁護してやるという形で環境整備等の、飯場等の改善をやる。こういう行き方にならなければ、私は、ここに書いた労働者の不足の、年を追って減ってくるという事態は解決つく問題じゃないと思うのです。これはひとつ建設大臣、大いに検討していただきたい。ただし、先ほど申し上げましたが、いま市町村に予算がございません。したがって、市町村に出かせぎがどのくらいおるのかと言ったって、これはわからないのが現状なんです、実際問題。だから、縁故紹介でもいい、仲介人を通ってもいいが、市町村にその窓口ができて、ここを通してひとつどこの会社に行くということだけを明記してくれ、職業選択の自由は奪うわけではありません。届け出をしなさい。家庭が残っておる限りにおいては問題がある。こういうひとつ市町村に対して建設省から労働省に強くひとつ要望されて、建設省は骨折っていただいて、私は、市町村にそれだけの手続をとれる窓口を開く助成をすべきだ。これはたいした金じゃないと思うのです。これはどうしてもやってもらう必要がある。そうすると、おのずとそこを経なければ来ないということになると、今度建設業が、大体あそこの飯場はなっていないという風評が立てば、村や町が問題にしてきますよ。そうすると大臣は、君のようなところで町がきらっておるではないかと言えるでしょう。いまは出かせぎ労働者の掌握はできない。しかも登録人員の中にも推定であると同時に、未登録者が、やみが三分の二もおるという現状で、この法案ができて一応縛りはできましょう、できるけれども、労働者の将来へのほんとうに確保するということにはならないと思う。この点ひとつ大臣にくれぐれもお願いしておきます。御答弁願います。
#100
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のことは、非常に重要なことだと思います。まず第一に、建設業に出かせぎの人がなかなか行きたがらないというのは、若い人はかっこいい仕事でなければならない。それから安全である、それから支払いが確実である、それから居住するところがやはり安眠がとれるというようなことだと思います。ところが、いままではその条件が、少し値段がいい、賃金がいいというだけで魅力があったけれども、それがいまではたいした魅力でなくなった。その意味において、御指摘のとおりこれは労働省と綿密な協議連絡の上、建設労働者の確保についてはあらゆる努力をしてまいりたいと思います。そして労働管理あるいは業態が悪ければ、そこに建設労務者が集まらないということで、ある意味においては素質の改善と、それこそ別の意味の公正な競争がそこで行なわれて、労務の改善を行なわせるということが、一つの今後の大きな課題だと思います。十分その点は、御指摘の点は尊重してこれから対策を講じたいと思います。
#101
○高山恒雄君 時間もきょうはおそいですから簡単に申し上げますが、次に建設業法に対して私は大臣に、これは次官でもいいですが、実際問題としてこれだけの数の許可制をやろうとする場合、いまこそ、十七万とおっしゃっておりますけれども、二十万、二十五万、三十万人にふえるのではないかと私は予想するのです。一体いまの都道府県の自治体において、そういう許可制をするだけの能力と何があるのかと言ったら、この前のだれかの御質問に、それは何とかしたいのだと、こうおっしゃっているのです。何とかしたいのだとおっしゃるけれども、なかなか法はつくったが動かないというのが現状じゃないか。そういう意味で私は一つの例を申し上げますと、実は建築基準法の問題です。これに対して建築基準法の第三十七条は、建築材料の品質について防火上安全重要等の部分の建設には大臣の指示する日本工業規格のJIS、または農林省の規格のJAS、こういう製品を使用すべきことになっておりますが、まず、この法律によってJIS、JASの指定の実情ですね、これをひとつお聞かせ願って、あとで質問したいと思うのです。
#102
○説明員(原野律郎君) 御指摘の建築基準法三十七条に関連いたします建築物の内装材料関係につきましては、私ども日本工業規格、いわゆるJIS規格におきまして指定品としてJISマークをつけるようにいたしております。それで、特に防火関係の材料につきましては、今回の建築基準法の改正に対応いたしまして、私どものほうの例の一三二一という規格がございますが、これは建築物の内装材料及び工法の難燃性試験方法という規格でございますが、この規格を改正いたしまして新たに煙に関します発煙の試験項目を規定いたしました。この改正に伴いましてさらに木毛セメント板でありますとか、あるいは強化ポリエステル波板でございますとかいうような各種の内装材料につきましても、この防火の規定に適応するようにそれぞれ改正を行ない、その難燃性につきましての表示を行なうというように規定しております。
#103
○高山恒雄君 農林省のJASについてひとつ御説明いただきたい、どういうやり方をしているか。
#104
○説明員(市川博昭君) 農林省におきましては、合板につきまして五つほど――普通合板、それからコンクリート型ワク用合板とか特殊合板、特に住宅関係につきましては難燃合板、それぞれJASの規格をつくっております。で、たとえば、難燃性能につきましては、これは建築基準法で難燃材料の基準がございますが、その認定を一応前提にいたしまして、その上でその品質のたとえば接着性の問題とか含水率の問題とか、そういうものをやはり試験をやりまして、そうしてJASマークをつけて市販されるというふうなことになっております。
#105
○高山恒雄君 このJASマークですがね、全くこれは建築技師と官庁の関係者、その人しかわからぬ番号なんですよ、実際問題としてね。ところが、基準法の使用法については、これはもう大臣の権限というものが大きく付与されておるし、また守らなくちゃならぬ。建設業の将来を考えたときに必要な問題ですね。ところが最近の、もうすでに建設省から通達をしておられるのでしょうが、旅館その他の公衆施設はほとんどその規格に合うものでなければやってはいけないという方針をとっておられると思うのです。ところが、旅館のおやじさんは規格は知らないわけです。旅館のおやじさんにそれを言っても、なかなかその規格はわからないわけです。そうすると、請負師はどれにしますかと、こうなりますね、規格に合うものは高いのですよ、何としてもこれは。したがって、消費者は安いものでやってもらおうとしますね。もっとこの表示を明らかに、いわゆる大臣が見られても、あるいは一般庶民が見てもわかるような製品に対する表示をつけるべきじゃないかという私は考えを持っているのですよ。そうでなければ、一人の大臣が多くの技師を指導されるわけじゃございません。だれが見てもわかりやすく、これはJASとしての試験に合格した品物で、これはもう大火に耐えることができるのだというようなふうに一般庶民にわかるようなJASマークをつける時代が今日きておるのではないか。それで初めて基準法の大臣の監督下内にある建築が理想的にできるのじゃないか。そういうこともきめたいけれども、そういうことをきめてはみたが何にもやらないでやっておったんでは、この建設業法も同じことになるのじゃないかという私は感じを持つのですよ。大臣、こいつだけは一ぺん検討してもらいたいと思うのです。
#106
○政府委員(多治見高雄君) 全くお話しのとおりでございまして、建築基準法に基づきましてただいまお話ございましたようにJISまたはJASに適合するものでなければならぬという規定がございます。そのほかに、法律上建設大臣が指定する難燃材料というものがございます。そこで、建設大臣が指定いたします難燃材料につきましては、全くお話しのように現在表示制度を一応とっておりまして、できるだけその表示をやれということでまあ大体表示が行なわれておるというふうに考えておりますが、JISまたはJASにつきましては、指定規格がまだわれわれの希望するほどたくさんないということも一つございますが、できるだけ通産省、農林省にお願いいたしまして、御趣旨のような方向で今後やっていただくということで、われわれも努力をするつもりでございます。
#107
○高山恒雄君 JASについていろいろ私も調べてみると、一つの規格に入っておるかどうかという検査をして、そうして検査員がちゃんとその製品に対して何ぼのラベルを君のところに渡すから張りなさいと、こういうやり方をしているという非常に厳格なんですよ。しかし、それは建設省のそういう企画調査室と企業との間に行なわれるだけで、私は一般庶民が見てわかるようなマークをつけなくちゃいかぬのではないか。たとえば最近のかん詰めにしてもあらゆる製品に対して消費者が文句を言っておるでしょう。もう建設業も先手を打って、ここらで今日の新建材に対するそういうもののマークをつける時代がきておると思う。これは大臣のほうでひとつ積極的にやってもらう時代ではないかということを私は申し上げたいのですが、大臣これをどうお考えになりますか。これをもって私の質問を終わります。
#108
○国務大臣(根本龍太郎君) そのとおりと思います。農林省、通産省とよく連絡をとりまして、この制度が一般大衆にすぐにわかるような表示方法を申し入れます。それからなお、いま高山さんから御指摘になりましたたくさんの許可手続をやるようにちゃんとめんどうを見ろ、そのとおりだと思います。ただこれは三年間でやることですから、そしてまた場合においては集中的にこれをやるように建設省としても行政指導いたしまして、遺漏なきを期してまいりたいと思います。
#109
○委員長(田中一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト