くにさくロゴ
1970/03/23 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 建設委員会 第11号
姉妹サイト
 
1970/03/23 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 建設委員会 第11号

#1
第065回国会 建設委員会 第11号
昭和四十六年三月二十三日(火曜日)
   午前十一時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     高山 恒雄君     向井 長年君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     高田 浩運君     中津井 真君
     山崎 竜男君     柳田桃太郎君
     矢野  登君     山内 一郎君
     小山邦太郎君     小林 国司君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田中  一君
    理 事
                上田  稔君
                大森 久司君
                斎藤  昇君
                松本 英一君
    委 員
                小林 国司君
                小山邦太郎君
                佐田 一郎君
                林田悠紀夫君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                松本 賢一君
                二宮 文造君
                向井 長年君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  根本龍太郎君
   政府委員
       労働省職業訓練
       局長       渡邊 健二君
       建設大臣官房長  大津留 温君
       建設省計画局長  高橋 弘篤君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中島  博君
       法務省刑事局刑
       事課長      前田  宏君
       大蔵省主計局司
       計課長      乗富 光義君
       厚生大臣官房審
       議官       江間 時彦君
       労働大臣官房労
       働統計調査部賃
       金統計課長    荒木  睿君
       労働省労政局福
       祉共済課長    金丸  明君
       労働省労働基準
       局賃金部企画課
       長        橋爪  達君
       会計検査院事務
       総長       佐藤 三郎君
   参考人
       東日本建設業保
       証株式会社取締
       役社長      中田 政美君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設業法の一部を改正する法律案(第六十三回
 国会内閣提出、衆議院送付)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田中一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(田中一君) 建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
 〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
#4
○田中一君 最初に伺いたいのは、提案理由の説明の中に盛り込んであることばであります。この業法の今回の改正を企図したものには、「施工能力、資力、信用に問題のある建設業者が輩出して、粗悪工事、各種の労働災害、公衆災害等を発生させるとともに、公正な競争が阻害され、」これがうたい文句で、次に「業者の倒産の著しい増加を招いている」、そして「技能労働者の不足は年を追って深刻化する」、こうなっている。一体どういう見地から倒産というものが起きたかという分析をしていただきたいと思うのです。むろん粗悪工事、各種の労働災害、公衆災害等をいっておりますが、私は民間工事は別にいたしまして、公共工事に対して一応限定して質問するわけでありますが、今日政府は会計法の予決令等を見ても、指名競争入札という制度を活用しております。指名競争入札という制度は、これは日本特殊なものであって、欧米等では公共工事はことごとく公開入札でやっておるのでありますが、指名競争入札をするその指名業者というものは、少なくともかかる粗悪工事等を行なわないものという前提でやっておるわけです。したがって、随意契約の工事業者、それから指名競争に参加する業者、公共事業に参加する業者、こう三つに大別しますと、指名競争という、指名という一つの選択をした後の業者にどうしてそういう問題が起きるのか。その指名というものが、指名業者というものが悪い業者なのか、あるいは倒産されやすい業者なのか、あるいはここに示しているような原因をつくっている業者なのか、その点は指名という、指名競争させる、指名という業者の条件というものをひとつ、先だって松本委員が質問したときのように、それにはA、B、C、Dというクラスをつけて、こうしているのだ、ああしているのだというのは、形式の問題です。指名というのは、あくまでもその仕事が担当し得るという前提に立って指名するのだと思います。その点の態度をひとつ説明してほしいです。
#5
○国務大臣(根本龍太郎君) まず総括的に私から答弁いたしまして、事務的なことは事務当局からお答えいたします。
 御承知のように、現在の日本の土建業は、一定の金額を付して届け出すればだれ人もこれは届け出で業を営むことができます。一たんその業界に入りますというと、いかなる事業についてもこれは仕事をなし得る権能を与えられる。
 ところで、一方において現実にはたいへんな資金、それから技術と労働を動員する力等に非常な差があります。これを一般公開入札ということになりますと、事務的に非常にたいへんであるのみならず、この大事な仕事が、ほんとうにその力があるかどうかということがわからないので、しかもこれは金だけで、応札した最低値段というものがいままでの一つの慣習でございますから、それでやるとすると、非常にこれは能力なき者も応札し、かつそれが落札できるということになると、非常に弊害が大きい。そこでおのずからその工事の性質――これは規模、技術の難易、それからその信用度等を見てランクづけをして、しかもその一定の数を指名して、その間において競争させるということが、公平の原理にも合うし実情にも合っておる。これは日本のやはり公共事業に対する発注の歴史的な経過に基づいて、それが一番メリットがあるということでやっておる、こういうふうに解釈していただきたいと思います。
 それから、一たん指名した者の中で不良とか倒産するということは原則としてあり得ないはずじゃないか、しかるにそれがあるのは何事かというような御質問ととりましたが、これは私は一応のその能力と資格と信用とある者のと思っても、やはりこれはひとつの経済現象でありまするから、その中には不測の事態が起きて倒産する者もありましょうし、他の工事との関連において、公共事業においてはミスやあるいは倒産になり得る条件がなくても、やはり業者というものはいろいろの仕事をたくさんやっているから、他の方面の失敗の結果が及んで、破産、倒産になったというものもあるであろうとは思います。ただ一般的にいいまして、大手業者の倒産、破産というのは、他の製造業と違って建設業ではわれわれは少ないと思っております。むしろ公共事業でも、地方の小さな公共事業を請け負ったものの中で、経営能力の不足あるいは信用度がなくなった、あるいは過当競争の結果、無理な落札をしたというようなこと等もあると思うのでございます。そういう意味でやはり第一原則としては届け出制度であれば何でもどんどんどんどんふえていく。しかも、それが実際上能力のない者がどんどん出てくるということが一番私は中小企業等における、中小企業的な建設業における非常なウィークポイントだろう。そういう意味で、今度の業法においては、やはり公共事業あるいはまた公共事業じゃなくても、国民の大事な生命財産に直結する建設土木事業をやる者については、技術的にも資金的にも、それから人間性における信頼度等も整備された者を許可制度として認可してやることが、これは国民のためにもそれから国家行政上も適当である、こういうふうに考えて、提案理由の中にそうした文言を入れた次第でございます。
#6
○田中一君 一つの仕事を重層の企業者が行なう場合には、一体どのくらいの価値がある生産物ができるか、これ一ぺん計算したことがあるかどうか伺っておきます。というのは、たとえば十億で受けた仕事、この仕事は大体第一の下請に渡す場合には、むろん税金その他諸経費もかかります。したがってそれに対しては一割なり一割五分なりというものを元請は見て投げるわけですね。第一の下請が今度第二の元請となって、その下請にやった場合、こういう形のものが三層、四層になった場合ですね、現在行なわれているところの日本の建設工事というものの実態から見て、一体十億のものができ上った場合には何億の価値…。むろんそれには途中で各元請――第一、第二、第三の元請が受ける利益、間接的なものも含めながらどのくらいの価値あるものになるか。その点は計算したことがあるかどうか伺っておきます。そうしてもしもそういう点を、重層の施工ということになりますと、会計検査院等はそういう段階を経て家ができたんだということだけで足りるのか。あるいはまたもっとよりよい方法のいき方があるのではないかというような疑問をお持ちになったことがあるのかどうか、その点ひとつ伺いたいと思います。
#7
○政府委員(高橋弘篤君) ただいま御質問の重層下請をいたしましたときに、最後のときにどれくらいの価値があるか、そういう計算の実は資料はございません。元請の場合におきましてはいろいろ損益構成を見ますと一般管理費が八・三%でございます。そのあとのことは資料ございません。
#8
○説明員(佐藤三郎君) 土木等の請負の下請の問題でございますが、私どもの立場といたしましては、適正な予定価格の範囲内で発注され、それからものが、まあ工事ができていくという過程におきまして厳重なる監督をしてそうして設計仕様どおりのものができているかどうかということを検査しておりまして、そういうものができておれば、請負の先が下請であろうと直営であろうと、国にとっては契約どおりのものができておれば私どもとしては一応問題ないと、こう考えておるわけです。
#9
○田中一君 アメリカ、欧米はですね、こういう仕組みをとっていますね。下請というよりも建設業者が一つの仕事を引き受ける。そうしますと労働者も全部ユニオン、いわゆる職能別労働組合に労働者は供出される。これは賃金、賃金でくるわけです。そうして材料は材料屋から材料を買ってそれを組み立てるという仕組みをやっているわけなんです。そうするとそういう仕組みでやっている建設工事の価値といいますか――こういうことをいったらいいのかどうか、でき上がった値打ちというものが同じ金額であった場合には、同じ額であった場合にはどちらが安くできるか、あるいは高くできるかということに対するお考えございませんか。これ建設省に聞いたらいいのか――会計検査院にひとつ聞いたらいいか。
#10
○説明員(佐藤三郎君) これはまあ私どもそこの中まで検査する権限はございませんので、中まで検査しておりませんので何とも申し上げかねますが、まあ私個人の意見を申し上げますれば、要するに下請は下請のまた非常に妙味があろうかと思うのです。それから直営には直営のまた妙味があるし、そこら辺ミックスしたやつがどちらに要するに諸経費その他しわ寄せされているかという問題になろうかと思うので、ちょっと答弁しかねる次第なんです。
#11
○田中一君 よろしいです。建設大臣ひとつ。
#12
○国務大臣(根本龍太郎君) これはむしろ専門家のあなたのほうから私教えてもらいたいぐらいでありまして、これ政策的な問題ではなくして、私はそれぞれの国における企業の態様というものによってこれはきまってくると思うのです。日本のように、いわゆるレーバーユニオンが企業と密着している企業別組合、職務別組合ではない日本では、これはむずかしいと思うのです。それからまた何と申しますか、日本における建設、いわゆるゼネコンと専門業というのは非常にこれは相関関係でこれは結ばれているのでありまして、そういう意味にわいて、専門業は向こうのほうにいけばある黄味におけるレーバーユニオンの一つの部門であるかもしれない。そういうような関係でありますから、重層の請負にしたから高い。これは重層でない場合には安く、能率的にいけるとは必ずしも断定できない。なぜならば一つのゼネコンが板金工から、それから塗装工から全部持っておって、それをフルに動かしていくということになると、これはたいへんな工事を持たなければいけない。それだけの仕事はなかなか受注産業であるからできない。そうなると今度は結局それらの人々を日本では特に雇用関係が終身制的な傾向が今日あるために非常に高いものにつく。
 それよりもむしろ元請のほうが専門業をたくさん独立でやっているものを、そのつどそのつど集合してそしてやらせるほうがより経済的であるということもある。むしろそのほうが日本では多いから重層請負制度というものが出てきているというふうに私は感ずるのでございまして、 これをどっちがいいかということはなかなかこれは言い切れないのじゃないか。観念論的に二重の請負がはなはだけしからぬということは、論理的にはこれは言い得るかもしれませんが、現実の社会機能、現実の日本の建設事業の実態からすれば、必ずしもそうではないというふうに考えられるのでありまして、やはり現実というものは一番比較的には私は合理性を持っているのじゃないかと考える次第でございます。
#13
○田中一君 戦後占領軍が日本に来まして、労働課長が私に会いたいというので会ったことがあるのです。そのときこういうことを言われたのです。日本の職人ですね、これは建設労働者を何とか一つの組合組織をつくって育成したいと思う。したがって各建設業者の下請というもの、下請はよろしいけれども労働者をもし使うならば、職人を使うなら直用にしろということを要求したんです。全部直用にしろということを要求したんです。そういう発言があったんですが、実態としてはなかなかできない。まあ諸外国では工具を持って現場に、仕事場に行くという労働者はいないわけです。工具は全部向こう持ちなわけです。ところが日本の大工さんは、全部大工道具をみんな持って出かけて行く。それだけでもいけないということを言われたもんです。そして一部の材料を持っていくのだということになって、ようやく日本の実態というものを知らされてそしていまの下請制度というものが確立したわけなんです。
 それで、従来は木造建築が多いのでありますから、歴史的に見ましてもですね、これはもう何も大工さんがやればいい、棟梁がやればいい、大工というより棟梁が仕事をすれはいいわけですが、今日のように非常に多岐多様な応用とか新建材とかあるいは新工法とかが開発されてまいりますと、重層化はますます深くなってくる。そういう形で各企業が伸びていっておるのですけれども、むろん税金は十億の仕事をするために各職、各下請ともに税金を取られている。事業税はなるほど総合したものから取られるのであろうけれども、十億の中から五つの段階がある下請ならば五つの段階の事業税を取られる。私は、一体日本の建設事業というものがどういう形で合理的なよい、安くてよい建設か可能であるかということを考えますと、非常に悩むものなんです。何がいいんだろう。これはもとになるものはどういう材料があろうとどういう工法があろうと人間がやるんです。したがって、その職人がほんとうに一人前の労働者として他の企業に迎え得るというような形になるにはどうしたらいいのだろうという点を非常に苦慮しているんです。そういう意味で二重三重の企業がそれにぶつかる、担当する。そうしてくる場合の価値というものがどのくらいに評価されるのか。むろんそういう段階を経るから一つの価値になっているのだという言い方もあります。それが異なった形、単層の形でいった場合には、その建設業者と労働者という二つのものでいいわけです。あとは材料なり工具なり持ち込んでそれぞれの専門の労働者が来てそれを組み立てなりなんなりすればいいわけです。この点については建設大臣は私が申し上げていることに対する共感かあるいは反発あるいは何かあるんじゃなかろうかというような気持ちを持つかどうかひとつ率直に伺いたいと思うんです。
#14
○国務大臣(根本龍太郎君) なかなかこれは非常に重要な問題である。と同時に非常に検討しなきゃならぬ問題だと思います。私は、現在この重層的になっているのは、日本の現在の建設事業の持っている歴史的な段階のためにこうなっていると思いますけれども、やがてはこのままではいかなくなってくるというような気さえする。いわゆる現在のように労働力不足、特に建設労務者の不足しておる今日には、いままでの様式でいくと非常に高いものについて、一般の住宅等についても一般庶民には手がつけられない、とてもできないということになってくるということもあります。そのために最近ではいわゆる建設事業の機械化、省力化ということができて、そこにプレハブ的な構想が出てきて相当部分が工場生産されて、これをむしろ組み立てする。そういうふうに変わりつつある現状から見て、私は一つの未来に対する建設業の方向づけがある程度までされておる、こう思う向きもあります。ところで、一方において今度ビジネスセンター等になりますというと、かなりにただ建物をつくりさえすりゃいいということではなくて、これにはいろいろの管理機能、通信データをどういうふうに評価するか、それとの関係における事務室のあり方というようなものも出てくる。そうすると、これは非常に専門化するものが上ものと中に入れるものとの関係において、なかなかこれは専門化してくるということで大きいものについてはかなり専門的なものを使わなければこれはできなくなるんじゃないか。たとえば配線工事とかそれから暖房工事それからベンチレーションの問題、それからいまの避難の問題、消防施設というような問題が、これがやはりしかも高度のこれは私は専門化していくんじゃないかというような気がします。そういう意味で、かなり私は一面においては単純化したプレハブ的なものと、一面においてはかなり専門化した、 重層といっても二重、三重ということではなくて、専門業と、いわゆるゼネコンとの組み合わせとあるいは発注する場合には分離発注する。
 いずれそういうものが出てくるというような気がするのです。しかし、これは、私はほんとうのしろうとでありますからよくわかりませんが、こういうものこそほんとうの専門家の方々にどういうような方向づけを建設事業において今後指導をする場合においてどういう方向づけでやるかということも、これは検討しなきゃならぬと思います。その意味における、いま田中さんが非常に高度のいわゆる建設業の未来を踏まえての業界のあり方をどうすべきかという問題を提起されたということは、私もその意味においては非常に共感を覚えるんでありますが、いまこれをどう具体的に位置づけするかについては私もわかりません。この点はひとつ事務当局にも検討させまするが、また業界の意見も聞き、また国会の皆さんからもいろいろと教えていただいて考えてまいりたいと思っておる次第であります。
#15
○田中一君 そうすると、これは別にして、建設業者って何ですか。建設業者という職能は何をする業者なんですか。非常に疑問を持つんです、建設業者とは何か。建設業者とは資金を持つこと、それから建てる助言者といいますか、これはまあ技術屋でしょうね。そうして、うちを建てているのが建築ならば、建築をやるのが建設業者ですか。いろんな力を、いろんな職能の技能者を結集させ、いろんな材料をくふうし、それらの問題で凝結したところの設備等を集めてきて組み立てるのが建設業者らしいですね。組み立て屋さんですか。一体建設業とは何だろうか。かつてはわれわれが歴史的に知っている範囲では、棟梁が自分の弟子を使ってこつこつと日光の東照宮をつくった。これは全くの棟梁が大勢集まって、その部分部分を担当したのでしょうね。これは下請でも何でもない。自分がやっている。また、棟梁が自分でさいはいを振るって、これはこうせよああせよと言った。これは、なるほどいわゆる建設屋さん、大工さん、棟梁、どういう形でもいいのですが、近代化された建設業という業の実体というものは何であるか。こういう疑問をお持ちになりませんか。何であるか、設計をする、積算をする、色を選択する、材料を選択する、これは建設業者じゃないんです。これはいわゆる建築家と称しますか、あるいは設計管理、建築士といいますか、そういう人がやる。それを、自分が命じられたとおり、それを材料を集め、労働者を集めてつくり上げるというもの、けれども、自分は決してその行為はしないわけです。これが建設業というものですね。一番大きなファクターは資本力でしょう。それから、それを補助する機械工具――道具でしょう。しかし、建設機械でも、いまはもう本人が持つよりもリース、いわゆる貸し機械を借りたほうがいい。それが一体何になるだろうか、将来建設業とは何だろうか。こういう疑問を持ってくると、いまの制度だけで、ほんとうに日本のわれわれ民族のしあわせというものはかち得るかどうか、こう考えられてくるわけであります。どういう方向に建設産業というものを持っていくのか。建設産業というはくたるものをいうのじゃなくして、それじゃ建設業者とは何か。いろいろこまかく建設業法は、これをきめております。それを乗り越えたよい方向に向かう方法がないだろうか。まあ政治というもの、法律というものは現実からくるところの規制なり助成なりを行なうものになっておりますけれども、そのほかに何か求めるものがあるのではないかという気がするわけなんです。たとえば発注する側、仕事を与えようとする側、これには、まず公共事業でいたしますと、三者の協定賃金というのがもとになっている。その賃金の、賃金をきめたものは、大体前年度標準賃金、これに、まあ主計局のほうで出したり削ったりして妥当であろうというものの単価を塗りつけて、予算なりまた予定額になって、業者の前に出てくるわけですね。そういう経緯を経てきますけれども、正しさは何だろうか、こう考える、正しさ。そうすると、建設業者というのは、何をしなきゃならん職能なのか、最近ますます疑問になってくるわけです、わからなくなってくる。建設大臣もそういうことをお感じになりませんか。
#16
○国務大臣(根本龍太郎君) どうも非常に哲学的な問題になりまして、それはそういうふうに論理的に分析していくと、世の中のものというのはだんだんわからなくなってくる。人間の抽象能力が発展すれば、論理としては非常に鋭くなるけれども、結局、実態がわからなくなってくる。形而上学の非常な……。わからなくなって、結局ドグマになってしまう傾向も、どうもそこから出てくるような気がするんですけども、しかしとにかく、そういうふうに分析をすればほかのものになってきますけれども、現実のわれわれが、とにかく政治行政をする場合における建設業というものは、究極において、いわゆる営造物を、その営造物はたとえ個人的であろうとも、公共のためであろうとも、人間生活、公共の生活に必要なる営造物をつくるにあたって、そのものを最も経済的にかつ安全に、総合してつくり上げるもの、あるいはその部分を但当して、その目的に合致するものをつくるものを業とするものと。業とすると、営業としてそれをやるというところに、観念的に言えば帰結するのではないか。
 しからば、そうした観点から見た場合に、どういうものが一つ大きな要素になっているかと申しますと、いま御指摘になったように、現在ではかなり大きな営造物をつくるということになりますと、資金が必要であることは当然である。それから、いろいろの技術を理解し、これをアレンジし、これをコントロールする力、これが必要になってくるでありましょう。で、そのためには技術というものは、結局人間と結びついておるから、技術者というものを、これを集め、かつこれをコントロールして、その建築物、営造物をつくるために適当なように配置し、管理していく。その結果、これはほとんどみな受注産業でございますから、発注したものに対して責任をとって、その代価として報酬を受けるというようなことになるのではないかと思うんです。たとえ時世とともに、先ほど田中さん言われたように、態様はどんどん、どんどん変わってくるべきかと思うんです。その場合に、どういうふうに変わるかということを先取りして、それに合うような指導、そういう形態に持っていかなきゃならぬという意味におけるあなたの先ほどの提言は、非常に私は大きな価値ある研究課題だと、こう思って先ほど申し上げた次第でございます。
#17
○田中一君 まあ禅問答はこれくらいにしまして、公共工事の予算を組む場合に、予算を決定する前の積算はこっちで、要求官庁から出てくるでしょうけれども、チェックする場合に、こういう方法でこうしてこうしてこうして、この鏡に照らして、それでチェックしてこれをきめるんだという、その経緯をひとつ国民の前に明らかにしてください。
#18
○説明員(乗富光義君) お答えいたします。
 公共事業につきましての単価の積算の御質問だと思いますが、当初全体的に公共事業費を組みますときには、個別的に一々の単価まで積算をして事業費を組んではおりませんです。ただ実際の事業の実施に当たります場合に、その労務単価、資材単価、そういったものが現実に必要になるわけでございますが、労務単価につきましては、御承知のように従来五省協定による単価がございましたけれども、四十六年度からこの五省協定を改めまして、実際の公共事業を所管しておられる建設省、農林省、運輸省、この三省が所管の公共事業に直接従事しております建設労働者の賃金の実態を全国的に調査をいたしまして、この調査をもとにしていわゆる協議単価といいますか、基準額をきめておられます。これにつきまして、大蔵省としましては、閣議了解あるいは財政法特例等に基づきましてこの協議に応じているわけでございますが、四十六年度の方務単価につきましては、この実際に調査をされました実態調査の結果を尊重いたしまして、いわゆる設計単価といいますか、協議単価、これはいわば予算単価と称してもいいかと思います。で、同じく資材につきましても、主要資材につきましては、公共事業各省から協議がございますが、その物価版等の資料をもとにして予算上の単価をきめる、こういうことで単価をきめております。
#19
○田中一君 かりにこの分館を考えてみましょう。なぜかダンピングをやって、非常に予定価格よりも、八割なら八割、予定価格の八割で取ったとする、落札したとする。そうすると翌年度は――予定価格がかりに十億であったものを八億で取った。これは国がやっておらぬでしょうけれども、大体それに近い線に決定いたしますね。これならば建設省の内規がどうなっているか知らぬけれども、大体そんなところでしょう。大蔵省は、翌年も同じようなケースでもって予算の要求が出た場合ですね、それは十億の予定価格であったけれども、それを八割で取ったんだ、八割でできるんだということで、八億なら八億をもとにしたところの、それに物価の値上がり等を入れたものを予定単価、予算に計上するという言い方をしてるんですか。それともこれはもうダンピング、こういうものは適用がない。だからやはり去年は十億の予算であっても、上がったから十二億にするというようなことを考えられておるんですか、ぼくの質問わかりますね。
#20
○説明員(乗富光義君) 全般的な公共事業費を、ワク組みいたしますときには、個別的な実施単価というものは、その予算の年度の単価がどうなるかわかりませんので、一応前年度の実績に若干のスライドといいますか、そういったものをもとにしまして、各省から積み上げた要求が出てくるわけでございます。実際に公共事業を実施するにあたりましては、先ほど申しましたように、労務単価等につきましては、全国的に、各県別に、しかも職種別に関係省の実態調査をされました結果を、一応各県ごとに一本の単価という予算単価をきめましてやりますので、御質問のたとえば十億のものが八億でできているというようなものも、実態的にはその調査の中に入っているかと思います。ただ、実際に工事を実施します場合には、御承知のように、さらにその実施時期なりあるいは実施地域に応じまして、その実態に即するように一定の運用幅をもちまして実施単価をきめるということになっておりますので、実行上はそういった支障はないかと存じております。
#21
○田中一君 どうも計画局長じゃ仕事をしたことがないからあんたに質問しませんから、大臣に質問します。
 十億の予定価格のものが八億で落ちた場合非常にうれしいと思いますか、大臣これはしあわせだった。よかったと、こう思いますか。
#22
○国務大臣(根本龍太郎君) どうも私もそういう質問はちょっと理解しかねますが、要するに田中さんの御質問は、政府は国民の税金でやっているから安くさえすればそれで満足するのかどうかということだと思います。これは一般論とすれば安いことを欲しますけれども、それが公正なる値段じゃなくて、ある意図のもとにダンピングした結果そうなったことでは、これは決して喜ぶべきことでない。むしろそのために、もしこれがあたりまえだということになって、今度いわゆるそれがその後の建築の予算単価になるような傾向にあるならば、これは結局そういうことで応札するということが、経済的にも非常に無理だということになってくる。無理であることは必ずどこかにその反動としての弱点が出てくるわけでございまして、私から言わせるならば、予算単価でそうしてりっぱなものができて技術的にも非常にすぐれたものができ、これによって公共事業の目的が達成されることが、われわれの任務でございまして、いわゆる値切りをしてそれで節約するということは、これは主たる目的ではない。われわれは予算が適正に組まれ、適正にこれが実施されて、そうして公共事業そのものの目的が十分に達成されることが、われわれの行政目的である、かように考えます。
#23
○田中一君 いい答弁です。そのとおりであります。そこで落札価格を決定するのはどういう方法でやっているんですか、建設省は。東京都は大体建築工事は十分の八というリミットを持っている。道路は四分の三という線を引いてやっているようです。各地方の公共団体もそれぞれのリミットを持ってきめておりますが、建設省はどういう方法できめておりますか。ケースバイケースいろんなものがあるでしょう。冷暖房の場合はこうだ、どこの場合はこうだ、橋の場合はこうだとあるでしょう、それを詳しく教えてください。こういう場合にはこうだと、そうするとあなた方がどういう考え方でやっているかすぐわかって、値段もわかってくるような気がしますから。
#24
○政府委員(大津留温君) 建設省におきましては、東京都でおやりになっているというふうに伺いましたような、十分の八とか四分の三というようなローア・リミット制は採用しておりません。したがいまして原則として価格が最も低いものが落札者と決定されるわけでございますが、その最低の札を入れた者と契約をすることが、公正な取引の秩序を乱すことになるおそれがあって著しく不適当であるというふうに認められる場合におきましては、各省庁の長、つまり建設大臣の承認を得ましてこれを排除するということができることになっております。ただ、現実にそういうことで最低落札者を契約の相手から排除したという実例はございません。
#25
○田中一君 大体私の耳に入っているのは、最近の公共事業は大体いい線にいっているんじゃないかということを聞いておりますが、これは一昨年、三年ほど前でしたか、例の大津事件といってずいぶん騒いだ談合事件がございました。これは非常に安い値段を出した、ところがだれも応札する者がない、いまのところこんな安いものではできないからやめちまえと言ったところが、これは談合事件だといって起訴されて、結局負けました、業者が勝った。そのときにはっきり判決文に言っているのも、安い単価を積算するということに間違いがあるということを指摘しているでしょう。ちょうど法務省で来ておりますから刑事課長に伺っておきますが、このようなケースはいままでどこかにありましたか。そうしてこの判決は、これはそのまま一審で終わってしまったのですか。それから会計検査院は、ダンピングをして取った工事の場合に、検査は抜き取り検査ですからいろいろあると思いますが、これは予定価格よりも二割安い仕事なのだということを前提として検査をするのか、これは十億の仕事なんだがそれを八億で取った。だから八億の仕事をしているという前提なのか、やはり図面を見て十億の仕事ができていなければならないという検査をするのか、お二人からその点の御説明を願います。
#26
○説明員(前田宏君) ただいまお尋ねの大津の事件がございましたことは承知しておりますが、またこれが大津の地方裁判所において一応無罪の判決になっているということは承知いたしておりますが、それと類似のケースがあるかどうかということは、承知いたしておりません。
#27
○説明員(佐藤三郎君) お尋ねのようなケースの場合には、まず十億の予定価格を八億で落とすという場合に、予定価格がまず甘かったかどうかということを検討いたしまして、それからその次はそれが、大体予定価格がいい線にいっているということになれば、普通ならば十億の仕事を八億で引き受けるのだから相当無理がいくだろう。したがって、会計検査院としては監督検収の面で、発注者が監督を厳重に行なったかどうか、それから検収はどういう検収をしたかということを詳細に検査した上で、なお今度は自分が現物に当たってみて手抜き、粗漏工事になっていないかどうかということを、警戒の目をもって見る、検査する。もしそういう面が見つかれば、これは手直しさせるということになろうかと思います。大体そんな検査方法です。
#28
○田中一君 これはダンピング工事だということを目当てにして、中止じゃなくて、特定のものを調べた例がありますか。
#29
○説明員(佐藤三郎君) いま急な御質問で、私ちょっとそういう材料を持ち合わせておりませんので、なお帰って担当官に聞いてみたいと思います。
#30
○田中一君 建設大臣、談合というものをどう考えますか。談合というのは、かつてあった、予算をつくり上げるために業者が話し合って高い札でもっと取ろうじゃないか。で、だれか取った、そうするとその利益分を分けっこしたというのが談合だと思うんです。いまいろいろ業界でも話し合いをやって、お互いに手元の仕事が少ないからほしいとか、あるいは自分のところじゃ一ぱいだからどうもこれはお譲りしますよなんといっていることを間々耳に聞くんですが、この行為はどういう話をしようとも、それはあっても一向に差しつかえないじゃないか、何も予定価格をつくり上げるというのじゃないかというお考えか。これはけしからぬ、そんなことをするやつはもう指名からはずすぞ、というような考えを持ちますか、率直にいま建設大臣から伺いたい。
#31
○国務大臣(根本龍太郎君) これもなかなかむずかしい問題でございますけれども、原則として、私は現実に土建屋をやったことがないから、うわさは聞きますけれども、一がいに全然これは排除すべきだということもはたして適当か、これはいいことだということがはたして適当か、実は私はこういう場でそれを明確にすることは困難だと思いますが、一般的にいいまして、従来は談合というのは、いま田中さんが御指摘のように、本来公正に自分たちがその工事について積算してやる、それがいわゆる指名入札ですから、それを排除して、そうしてある特定の者に利益を与え、その結果が国家に対して損失をもたらすということであるならば、これははなはだけしからぬと思います。ただ、そうではなくして、お互いの業界である意味における公正な競争はするけれども、不当な競争によっていわゆるダンピングを起こすことを防いだり、あるいはまた、そのために業界の著しい過当競争の結果、不当なるいまの手抜きとか、そういうものを防ぐというような意図のもとにお互いに情報交換し合うとかいうようなことは、必ずしもこれは断じてやっちゃいけない、会ってもいけない、入札するまでは指名された人間はお互いに会合してはならないというほど厳密に規定すべきものでもない。要は指名された人たちが公正なる競争をして、業界自身も損害を受けず、国家に対しても損害を与えないものであるならば、あえて目くじらをたててお互いに話し合っていかぬということほどでもないじゃなかろうかと思っております。
#32
○田中一君 前田刑事課長、そういう行為はあなたのほうから見た場合には、どういう見解を持ちますか。
#33
○説明員(前田宏君) 刑法の面で不正談合罪というのは、先生御存じのように、刑法の九十六条ノ三の二項に規定されておるわけでございまして、念のために申しますと「公正ナル価格ヲ害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタル者」、これは処罪することになっておるわけでございます。で、この「公正ナル価格ヲ害シ」という点につきましては、これも先生御承知だと思いますけれども、学説の通説なり、あるいは大審院以来の判例などによりまして、競売あるいは入札というものを離れて客観的にきめられるような価格ではなくて、その当該の競売あるいは入札におきまして公正な自由競争が行なわれたならば成立したであろうというところの、そういうふうに見られるところの競売価格あるいは落札価格というものをいうんだというふうになっておるわけでございます。
 それから大津の地方裁判所の判決のお話がございましたが、その裁判所判決では、いま申しましたような従来の通説なり、あるいは最高裁、大審院の判例と若干異なるような解釈を持っておるようでございますが、私どもといたしましては、いま申しましたような要件に当たる、つまり、また、いま申しましたような解釈に当たる場合には、やはり不正談合罪は成立するというふうに考えているわけでございます。
#34
○田中一君 最近はわりあいに単価が上ったようですけれども、一時はずいぶんひどいことありました。どうにもならぬということもありました。そこで国からじかに出るものはいいんですが、政府関係から出る仕事というものは、もうたいへんシビアーなものだということを聞いております。たとえば住宅公団とか、ああいう役所というか、公共団体から出る仕事というものは、非常に相場を離れたものを強要しておるように聞いておるんですが、一体大蔵省のほうではそれは区別して考えておるのですか。そうじゃないと思いますけれども、この査定などはどういうことをしているか、一ぺん聞いておきます。大蔵省の司計課長のほうから………。
#35
○説明員(乗富光義君) ずっと前のことはよく存じませんけれども、最近政府関係機関の実態を見ますと、たとえば五省協定の単価を一応の参考にして実施単価をきめておる、そういうぐあいに聞いております。したがいまして、今後は、ですから三省協定の単価が各政府関係機関等で予算単価をきめます場合の参考になるかと思っております。
#36
○田中一君 住宅局長いませんね。それでは官房長説明してください。妥当なる予算だと思っておりますか、住宅公団等の要求する予算は。非常に違いがあるんです。
#37
○政府委員(大津留温君) ただいま大蔵省のほうから御説明ありましたように、予算の要求の段階におきましては、その時点におきまして知り得た最新のデータ、つまり賃金あるいは材料の価格等を基礎にいたしまして計算いたしまして要求いたします。予算が決定されるまでの段階までにおきましては、その間、また変動もございますし、また予算が決定せられまして具体的に発注をする時期までに、またいろいろ価格の変動等もございます。住宅公団等におきましては、発注する際における価格を基礎にして予定価格を積算いたしております。したがって、極力むだのない積算、歩掛かりで計算いたしますから、余裕がない価格になっておると思いますけれども、それで工事ができない、赤字に必ずなるというな価格ではないというふうに考えております。
#38
○理事(松本英一君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
  〔理事松本英一君委員長席に着く〕
#39
○理事(松本英一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。本日、高田浩運君、山崎竜男君、矢野登君及び小山邦太郎君が委員を辞任され、その補欠として中津井真君、柳田桃太郎君、山内一郎君及び小林国司君が選任されました。
    ―――――――――――――
#40
○理事(松本英一君) 休憩前に引き続き、建設業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#41
○田中一君 中田さんわざわざどうもお忙しいところおそれ入ります。
 今回の法律改正の中にもまあ精神規定にすぎませんけれども、前払い保証制度を採用というか利用したものはそれを下請にまで及ぼせということを言っております。従来ともわれわれはもう三つの保証会社はそれを実行しているように承知しておったんです。あらためて今度の法律でそういうことを言うことは、いままでしておらないということになると思うのですが、その実態は、これは皆さん三会社とも共通した問題として常に話し合って運営をはかっていると思いますが、現在までの資金の流れ方というものに対する説明をお願いしたいと思います。
#42
○参考人(中田政美君) 三会社共通の問題でございますが、私がお答えする内容については三会社協議するいとまございませんので、その間にあるいは私の会社だけの意見があるかもしれませんが、その点は御容赦をあらかじめお願いしたいと存じます。
 資金の流れはもう田中先生よく御存じのことでございますが、前払い金を発注者からいただいた場合に、一応これを本人に渡さずに預託銀行に預託させる、そこで預託銀行にはあらかじめ使途の明細予定というものを出させておきまして、その使途の明細に合っておるかどうかを銀行のほうで一応確認してもらいまして、その使途に合ったものについて現実的に銀行が払い出す。したがいまして事前としては使途の明細書は保証会社の各現地機関で目を通しますが、現実に金を出すという点になりますと、いわばその使途監査は預託銀行とわがほうとの契約によりまして、預託銀行が監査を代行といいますか、営業所にかわってやっていただくということになっておりまして、御承知のとおりその使途というのは、材料費とかあるいは段取りに要するその他の経費とかあるいは労銀とか、そういう工事に直接関係のある使途に限定されておりますが、いずれにしてもそういうことによって金が本人、いわゆる受注者の業者に渡るというような仕組みになっておるわけでございます。
#43
○田中一君 そうすると、大体三割ないし四割の金が預託銀行に入るわけでありますが、その金は経過した工事のみに使われるのか、事前の準備あるいは下請に出した場合、下請の準備、これにも均等に渡るものなのか、その点はどうなっておりますか。そして下請に対する下請の準備、いわゆる前払いの性格どおりの使途というものは、どういうぐあいにきめておりますか。
#44
○参考人(中田政美君) 下請の関係になりますとちょっと複雑になりますけれども、まあ日本の建設業の実際のやり方というのは、もう田中先生御承知のとおり下請、はなはだしいのは重層下請になるということになりまして、まあわれわれ保証会社が保証契約に基づいてやる相手方はもちろん元請になるわけでございますが、元請が使途を限定された明細書にかなっておる費目について出すその金が、下請業者のいわゆる下請人に渡るという場合も大いにあり得ると思います。しかしその場合においても、やはり一括下請人がただ下請金額の一部としてもらうというのではなくして、使途が材料その他明細書に書かれた使途に合う、そういう意味の表示があればおそらく下請人にも払っておるのではないかと思います。
#45
○田中一君 最近の例として今度の法律にもあるとおり、下請に対する保護、下請に対する支払いの期間、条件等が明記してあるのは、やはり下請に対する前払い制度の利用者が下請に対する手当てを怠っておるからこういうことが言われるのであって、これは前払い保証の法律ちょっと見ないでおりますけれども、元請だけにこの前払い金というものは利用されるということに限定しておらぬと思う。その発注者が与えた工事全体に対する手当て、たとえば足りない材料は相当長期にわたるものでありますから、長期のものでもこの契約しなければならぬことがあります。また将来値上げが予想される材料等も、これもまた早くから、たとえば手付金なら手付金を払って手当てをしなければならぬものもございます。したがって、内規というのは私知りませんけれども、ひとつ資料としてお出し願いたいと思うのです。
 それから預託した銀行の場合はどういう形で監査をするのか。これも少なくとも法律で定めているものが、一方的にあなた方の見解で、これはむろん建設大臣が許可するかどうか知りませんけれども、そういう形で法律の精神というものがどっかへ飛んでしまって、重層下請の日本の慣行というものを無視された形でもって、元請だけの権限で何でもできるのだというものであっちゃならないと思うのです。したがって、まずその資料を建設省のほうにお願いしますから、運営に対する取りきめがあるならば、それを資料としてひとつ全委員にお出し願いたい。
 それから一体下請がどういう形で前払い保証金に対する受け取り、またそれを使えるかという問題を、保証会社のほうの見解ではどういう形で回っておる、かわからぬということでは困るのです。いまあなたが言っているように、重層下請の形でもって建設工事が行なわれているというのなら、それまできめこまかく、どういうふうな流れをしているかということを調べなきゃならぬと思うのですね。いま中田さんのお話に対して政府はどういうぐあいにその見解を持っているか、伺っておきます。
#46
○政府委員(高橋弘篤君) 元請が発注者から仕事を受けて実際に仕事をやる場合に、下請を使うことは現在ではやむを得ないものが多いわけでございます。その場合に資材の購入とか労働者の募集だとか、その他建設工事の着工のための準備行為というものがあろうかと思います。これは下請が前払い金を使ってやるという例もいま先生のおっしゃるとおりだろうかと思います。したがって、そういう場合には元請、下請にその必要な準備金というものを前渡しするということがきわめて適切であろうと思います。先生も御承知のとおり、法律ではそういうことを適切に行なうという規定を設けておるわけでございます。したがいまして、そういうことが十分に行なわれるように保証会社のほうも、さっき説明がありましたように、いろいろ監査その他もいたしておりますけれども、私どももそういうふうに指導してまいりたいというふうに考えておる次第であります。
#47
○田中一君 極端な例が最近の例でありますが、相当大手の業者であります。仕事は完成した、完成したあとで二〇%の現金と八〇%の十カ月の手形を支払っております。これはおそらく当該工事が赤字であるからといってそういうことをしたこともあるでしょうが、まだこういう支払い方法が下請に対して行なわれているのでは、これはもう下請は倒産するわけです。おそらく大きな業者といえども、自分の取引銀行に対しては割引のワクを持っております。ワクをこえるものはこれは割引をいたしません。したがって、そういう場合には十カ月の手形をもらった下請は換金に困るわけです。だから、そういうものが市中のあらゆる銀行以外の金貸し業にその手形が回っていくというような現状になるわけです。そうしてその金利は高利でありましょうけれども、今日は高利であろうと低利であろうと、それは下請が負担しなきゃならぬということになっているのが、いままでの慣行であります。一体前払い保証制度ができたのは昭和二十何年でありましたか、少なくとも当時の国の財政は貧困、仕事はどんどんしなきゃならぬ。あの当時は仕越し工事が相当多かった。建設会社がこれも力が足りない、銀行も融資が少ない、こうなって、どうにもならぬから、建設業者のむろんその事業を遂行するための制度として発祥したものでありますが、今日ではもはや日本の建設産業の大手をはじめ相当数、百社くらいのところは相当なる力を持っております。また信用もできております。銀行融資も銀行と特別な関係を結びながら伸びております。しかしその業者がいまだに前払い保証制度というものを利用していながらも、なお下請に対するところの手当てをしないということになると、もうこの前払い保証会社を廃止する以外にないのであります。廃止すべきであります。もはや多くの業者が力がついておることと、これは過渡的に生まれたものであります。しかし、四半世紀たって、今日まで残っているということは、やはりこれは相当大きな事業全体に対するプラスになる面があったからであると思うんです。それがいま言うとおり、あえて今度の法律に下請を擁護するという条文が生まれたことは、前払い保証会社の精神というものはもはやなくなってしまった、この三つの保証会社をつぶしてもいいんじゃないかと思う。これは中田さんどうお考えになりますか。
#48
○参考人(中田政美君) 田中先生の御意見一つの見方としてごもっともの点もあるかもしれませんが、現在日本の建設業界全体をながめてみますならば、必ずしも大手ばかりではないのでありまして、非常に多数の中小業者が現になりわいを立てて、政府の仕事に貢献しているわけでございます。したがいまして、保証会社の窓口から見ましても、実績からいえば大体五千万円以上の資本金の日本でいえば大会社、そういうものの保証の金額と、それから中小とおぼしきそれ以下の業者の保証金額とほぼ半々くらいでございます。したがいまして、これは日本の中小業者、わけても中小業者の過小資本ということは先生よく御存じのとおりでございまして、この育成、また金融の操作上からいえば、前渡金制度というものは、現段階においても、またこれから先の近い将来においても、私は相当貢献しまた有意義のものであろうかと存じます。したがって、やめたらどうかという御議論には、ただそうですとお答えするわけにはいかないのでありますけれども、そういう弊害が生まれておるというならば、そういう弊害をできるだけ除去し得るようにして、法律の真の目的、すなわち、工事が適正にできる、建設産業が発展するように、個々の建設産業業者の育成というものの観点からも寄与する、そういうふうにわれわれはつめていきたいものと考えるものでございます。
#49
○田中一君 午前中にも一体建設業者とは何であろうかというやりとりを大臣としたわけです。材料の生産者でもない、自分の職員の労力をそのまま使っているものでもない、労力は日雇い、材料は他人のつくったものを買っているという現状でしょう。それが実際に働いている者をもととして行なっておる労力供給の下請並びに材料等買っているところの商社、商店、メーカー、これらにまで、前払いをもらっていながら相当長い手形等で支払っておるのでは、単に受注したという権利に対する潤滑油であって、ほんとうのその事業というものを伸ばすゆえんじゃなかろうと思う。建設省のほうから、現在建設省が発注として行なっている仕事の金の支払いは前払い金として幾らを払い、そうしてあとは出来高でどういう順序で支払いを完了するか伺います。
#50
○政府委員(大津留温君) 契約の締結時に前払い金として契約額の四割を支給いたします。その後、工事の途中におきまして数回、出来高中間払いをいたします。そして最後の竣工検査完了後引き渡し時において残りを支払う。こういう割合でございます。
#51
○田中一君 どんな商行為でも、おそらく特別な相互契約がない限りは、いまのような形で支払われてるのは当然であって、また、おそらく受注者も、竣工後一カ月過ぎでけっこうでございます、あるいは一年過ぎでけっこうでございます――鉄鋼などは大体そうです。できてから一年たったら支払っていただきたいという契約を結んで、新日鉄の仕事でも住金の仕事でもやっております。これは特殊なケースであります。なぜかと申しますと、そういう会社の手形ならいつでも仕事をしてるとなれば銀行が貸してくれるからであります。ところが、いまのようにスムーズに資金が流れておこるというこの公共事業の建設の仕事を一つ例にとっても、あり方、それが下請に金が回る場合には、四割の前払い金を取っておりながらも、それが材料あるいは下請等には金が流れないという制度が今日現実において、前払い保証会社のどこかのセクションで、何のどういう一つの制約で、あるいは規則なりなんなりで流れていかないというならば、この制度はおやめなさいと言ってるんです。あえて今度の法律でそういうことが明記されるということになると、流れておらぬという証左だと思うんです。もう会社は運営してから二十年に近い。その間一体何をしておったのか。ただ単に元請――受注者だけが運転資金として有利な立場に立っておるということにならざるを得ない。したがって建設大臣、こういう運営をしてる前払い保証会社がこれであっていいのかどうか。おそらく、前払い保証会社ですらそこまでのきめこまかい配慮がないために、今回の法律の改正になったんだろうと思いますが、見解をひとつお示し願いたい。
  〔理事松本英一君退席、理事上田稔君着席〕
#52
○国務大臣(根本龍太郎君) 前払い制度の問題は、まず第一に、現状においていろいろの批判される点があるかもしれませんけれども、現実に必要であり、かつ将来もまた必要であろうと私は感じております。ということは、この点は私よりはあなたのほうが非常に詳しいように、いわゆる中小企業――五千万以下、三百人以下の土建業界が九九%を占めてる。そうして、公共事業でいわゆるいま申し上げた中小企業に発注されておるシェアが六〇%をちょっとこえてる程度です。したがいまして、この前払い金制度というものは、いわゆる下請下請と言われまするけれども、大部分の中小企業が、公共事業をやる場合には、自分みずからがその恩典を受けておると、こう見て差しつかえないと思います。ただ、田中さん御指摘のように、大きな建設業が前払い金を相当優遇されて受けて、保証会社から保証されておるにもかかわらず、民法上の契約をたてとして、結局下請のほうにはあまり十分な配慮がないということが、従来国会でもいろいろ指摘された。そこで、今度の建設業法を改正するにあたりましては、この元請に対して下請業に対して相当きびしい条件をつけて、いまの不払いの問題、労働者に対する不払いとか、いろいろのそうした好ましからざることをやってはならない。もし、それをやっておれば、行政上の監督措置に付する、それでもできなければ行政処分もするんだというよらな形にしたのでございまして、御指摘のように、田中さんから言われたように、元請業者がその有利なる地位を利用して不当にやっていることもありますけれども、それが常態ではないと思います。そういう意味におきまして、御指摘になりました点は、十分に保証会社に運用上の万全を期して、そういう疑惑並びに不信感のないようにさせていくことによって、業法の改正された趣旨と前払い保証制度というものを十二分に利用していきますれば、今後ますます大きくなる建設事業、現在でもすでに国民総生産の二〇%でございますから、たいへんなものであります。四十六年度で十七兆四千億という、とにかく公共民間合わせると、それだけの事業量を持っておるわけでございまして、特にこれが、民間のほうで経済的に金融引き締めになる場合に、この前払い金制度というものは、非常に大きな私は建設事業の安定経営のささえになる、こう思いますので、次点だけをとらえて廃止するというよりも、むしろその欠点を是正して、この制度のプラスの面をもっと伸ばしていったほうがいいではないかと考えておる次第であります。
#53
○田中一君 むろん、仕事全体に対する前払いを払うのでありますから、仕事全体に対する配慮が行なわれれば、これはあまりランクの高い建設産業じゃないからこういう道が開かれたんでありますから、いいと思うのです。しかし、いままでそういうことを怠っておったということは、これは中田さんもお認めになるのですか、その点はどうです。たとえば下請に対する配慮、それからどういう支払い状態をしておるかという検査といいますか、監査といいますか、資金の流れぐあいを見て、それに対する末端までの行くえというものを追跡して監査しておったのですか、おらなかったのですか。
#54
○参考人(中田政美君) 前払い金を預託銀行から引き出す場合の監査、これはなかなかむずかしい点もございます。それは材料業者もありましょうし、あるいは下請の労銀もありましょう、いろいろありますが、たとえば可能な範囲で、下請材料業者の受け取りの場合には、その払い出す金額を下請の材料業者に振りかえて送ってしまう、つまり元請業者の手に渡さずに、直接その材料を納入した業者に出すというような方法によって、その金がほんとうに生きたところに渡るようにするという配慮はございますけれども、労銀などになりますと、なかなかちょっとこれは問題になりましょう、数も多いでしょうし。まあいずれにしても、これが重層下請になりますと、なかなか最終末端まで保証会社の窓口で監査しあるいは銀行さんにお願いするということもなかなか容易でない。要は元請業者の私は本来の精神、元請業者たるものの義務観念、そういうものが一番大事ではないか。そのゆえに今度本法のいろいろな改正をいまお願いをして、御審議になっているそうでございますが、建設業法の改正の中にもいろいろの点において下請をいかにしたらいいか、保護ができるかという観点でいろいろな条項が盛り込まれておるようでございます。したがいまして、この下請保護の問題、これをどうして実際の仕事に役立たせ、また下請業者が泣かないようにするかということについては、ひとり保証会社の払い出しのときの監査ばかりではいけない問題でございますが、われわれのほうにおいてできるだけのそういう点について注意すべきことは今後十分気をつけて、本来の趣旨にもとらぬように、あるいは本来の趣旨が実現できるようにわれわれも心してやっていきたいと思うわけでございます。
#55
○理事(上田稔君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#56
○理事(上田稔君) 速記をつけて。
#57
○田中一君 どのくらい準備金できました、あなたのほうは。
#58
○参考人(中田政美君) 三社全体ですか。
#59
○田中一君 あなたのほう並びに二社。
#60
○参考人(中田政美君) 東日本は四十四年度の決算におきましては八十二億くらいございます。それから西日本では四十三億、北海道では十二億、こういうようないわゆる保証資本の信用の基礎になる積み立て金を持っておるわけでございます。
#61
○田中一君 この数年来、事故はどんなぐあいですか。
#62
○参考人(中田政美君) 事故はほとんど、やや損保と似ておるところがございますが、思わざる事故が発生した年はちょっと事故が多くなりますが、平均して万分の六と、こう申しますのは、保証金額に対して事故で払った金、それが大体万分の五、六と、ただし年によってはそれをちょっとオーバーすることもありますか、また一面、昨年のように事故率が下がるときにはずっとまた下がる。しかしおしなべてみて、万分の六くらいの事故率が発生しておるといったようなのが、大ざっぱに見た現象です。
#63
○田中一君 完成保証人は必ずつけるんでしたね。その場合につけるんでしたか、あれは。
#64
○参考人(中田政美君) これはまあ発注者によって一がいに全部完成保証人をつけるわけではございません。田中先生御存じのとおり、会計法では完成保証人という観念はございませんです、会計法では。ただし現行の建設業法は改正前ですから、現在の建設業法ではあれは民間工事も入っておりますので完成保証人という文字を使っておりますけれども、しかし長い間の慣行で、おひざ元の建設省あたりでもほとんど全部完成保証人を要求していらっしゃるようでございます。しかしながらある県、たとえば愛知県のごときは完成保証人という制度はないでしょう。というように一がいには言えませんが、まあおおむね完成保証人のついておるほうが多いことは事実でございます。
#65
○田中一君 そうすると、保証会社が保証をするゆえをもって完成保証人をつけるということはないのですか。
#66
○参考人(中田政美君) 完成保証人を立てるかどうかは、これはまあ発注者のほうが完成保証人をつけてこいと言われれば、受注者の立場からすればやむを得ないからだれかに頼んで、同業者に頼んでつけておるわけでございますが、前渡金の問題とはこれは直接の関係はございません。田中先生御存じのとおり、先年、保証事業に関する法律を変えまして、完成保証人にも事故が出たときには前渡金の範囲において支払う保証金というのをバックペイするという保証会社法を改正しましたから、完成保証人の人も前渡金の限度においての赤字であれば保証会社がぬぐいますから、完成保証人はそれによって助かりますけれども、しかしながらそれは前渡金が二割、三割、四割  一番多いのは四割くらいですけれども、平均しますと、三割くらいです。その限度内においての赤字であればいいですけれども、それをオーバーしても完成保証人ですから、全責任において工事を施工しなければなりませんから、そういう算権ははんをついた完成保証人の責任においてやらなければならない。これは直接保証会社とは関係ないわけです。
#67
○田中一君 どうかひとつ、いままでが、あなたのほうでそこまでのきめこまかい配慮がないから、こういう法律になるわけであります。特に保証会社を明記してあります。そういう点は、ただ単に元請だけのものでない、元請によって、仕事をとるのは下請である、また材料屋さんであるというところに、きめこまかい配慮をもってしませんと、もう建設労働者はだんだんふえてこないわけですよ。もしもそれができないようならおやめなさいと言っているのです。それに対する十分御解明くだすって、今後とも御精進を願います。どうもきょう、ありがとうございました。
#68
○参考人(中田政美君) 田中先生の御指摘の点については重々検討し、またきめこまかい配慮をして、今後生まれんとする建設業法の改正の趣旨にも合うように努めさせていただきたいと存じます。
#69
○理事(上田稔君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#70
○理事(上田稔君) 速記をつけて。
#71
○田中一君 労働省の職業訓練局長、あなたから大臣にもお伝え願いたいのでございます。先年、二年ほど前でしたか、職業訓練法の一部改正のときに、ちょうど原君が労働大臣であります。私はいま建設業法の改正の質疑をやっていますから、これに触れるのでありますが、このままで推移するならば、建設労働者というものは定着しませんよと、過去十カ年間に公共職業訓練所でおおむね総学生の半数が建設労働者として巣立ってきております。それはその行くえはどうなっておるか、こういう質問をしたことがあります。それは私がその前に、一昨々年であったかと思いますが、企業内訓練、また地域労働組合は事業内訓練と同じ扱いを受けて訓練所を経営し、多くの建設労働者を育てていると思います。
  〔理事上田稔君退席、理事松本英一君着席〕
これが一体どうなっているか、これを調べぬことには今後の見通しがつかないというので、これを調べようと手がけたわけです。これはあなたのほうの範囲ではないわけだ。ところがそれを聞いた職訓局は、公共職業訓練所の実態調査、追跡調査をするということを私に大臣も約束しているんです。その年には必ず予算を計上して完全にその卒業生がどこにどうなっているのかという点を確認する、こういう約束をしておるのであります。その後、伺ってみるとまだその調査が完了してない。むろん予算も、特別な予算もついておらぬ。これはあなたが要求したにもかかわらず、大蔵省がくれなかったのかもしれませんけれども、そういうことでは職業訓練所を持っている労働省はやめたほうがいいんです。保証会社と、次にあなたはやめたほうがいいと言うのですが、一体建設労働者は、少年たちはどこへ行っているか、国費を使って、そうして足りない労働力を補うために教育しているこの機関が、卒業生がどこへ行っているか、パチンコ屋の店員しているか電機会社へ入っているか、この動態を知らなければ翌年の職業訓練所の計画は立たぬわけなんです。できてないということを聞いておりますが、できておればひとつここでもってその報告をしていただきたいのです。原健三郎君がはっきりと、議事録を調べてごらんなさい、必ずいたしますと、どうなんですか、
#72
○政府委員(渡邊健二君) 訓練法改正の際に、先生から建設関係で職業訓練を受けた人たちがその後どうなっているかという調査をするようにという御指摘があったことは私も聞いておりまして、その後、訓練局でその点につきましてどのようにしているかということを申し上げますと、公共職業訓練の訓練生については、いまだその後調査をいたしておりませんけれども、事業内訓練の訓練を受けました者につきましては、その後四十四年の十一月に事業主が共同で職業訓練を実施している者につきまして、それらの団体のうち八十八団体を抽出いたしまして、それを出た者がどのような状況にあるかの調査をいたしておるわけでございます。で、その結果によりますと、昭和四十二年の三月に、これは職種別にいたしておりますので、建築関係では非常に職種をとっておりますが、そのうち、建築大工の例について申し上げますと、四十二年三月に建築大工の事業内訓練を修了いたしました者は、その後二年半後の四十四年の十一月の調査日現在までに離職した者が三二%となっております。また、その前年の四十一年にも、共同職業訓練を修了いたしました建築大工につきましては、三年半後の調査日現在までの離職率は四二%になっておると、かような結果が出ておるわけでございます。この離職率というものは、御指摘のように非常に大きな数ではございますが、最近一般に若年は非常に転離職が多いわけでございまして、これを一般の中学校を卒業して建設業に就職いたしました者全体と比較いたしてみますと、四十一年三月に中学校を卒業いたしまして建設業に就職した者が安定機関で調査したところによりますと、就職後三年を経ました四十四年六月までには六七%が離職しておるという状況になっておりますので、それから見ますると、職業訓練を卒業した者の離職率は比較的には低位にあるということができるのではないかと存じておるわけでございます。
#73
○田中一君 その事業内訓練所のデータをひとつこちらへお出し願いたいと思います。なぜ事業内訓練所を目安にしてやったのか、これはおそらく事業内訓練所は専門の技能者を自分のところで使おうという意図のもとに持っているものじゃないかと思うのです。地域労働組合が持っておりますところの職業訓練所も、これも事業内訓練になっておりますが、これを対象にしたものじゃないのですね。どこを対象にしたものですか、これは。
#74
○政府委員(渡邊健二君) これは中小企業の事業主が事業内訓練をやっておりますが、そのうち、そういう事業主等が共同で事業内訓練をやっておる。これに対しては国の補助金が出ておるのでございますが、これを対象にいたしたのでございます。
#75
○田中一君 それは年間四千円の補助金を出しておるところですか。
#76
○政府委員(渡邊健二君) そうでございます。ただ、四千円と申しますのは、これは業種によりまして二つになっておりまして、高いものと低いものとございますが、大体そのぐらいの数字の補助金が出ておるものでございます。
#77
○田中一君 公共事業訓練所はどうして行なわないのです。これは大蔵省が予算出さぬというのですか。
#78
○政府委員(渡邊健二君) 事業内訓練につきましては、事業主が補助金をもらっておりますが、みずからも費用をかけて訓練しておる。それが自分のところをやめてよそに行く者が非常に多いというようなことが事業内訓練の推進上、非常に問題になっております。これは建設関係もそうでございますが、ほかの業種についてもございますので、その点の問題点が非常に大きかったために、まずこれを取り上げたのであろうと考えております。で、公共訓練につきましても、先生おっしゃるとおり、その卒業した者がどのようになっておるかということを把握する必要が非常に大きいと思うのでございまして、私ども本年四十六年度中におきまして、できましたらそういうような調査もしてみたいと現在考えておりますが、公共訓練の場合には、入った事業所をやめたかどうかということも一つの問題点であると同時に、事業所を変わりましても訓練を受けた職種にその後従事しておるのかどうか、あるいは全く訓練を受けたと違った職種におるのかどうか、そういう点もきわめて大きな一つの問題点だろうと存じまして、そういう点もできたら調べたいということで、いろいろいま研究をいたしておりますけれども、事業所をやめたかどうかということは比較的調査がしやすいのに対し、現在、その職種に従事しているかどうかということは、非常に調査がしにくい点がございます。その事業所をやめてほかの事業所に行きましても、同じ仕事をしておる者もございますし、あるいは全く変わった仕事をする者もございます。それが事業所を転々としたような場合には、なかなか追跡し切れない問題がございまして、どのようにしたらそういう点までつかめるかというようなことを、いろいろ現在検討をいたしておるところでございます。
#79
○田中一君 そういううそを言っちゃいけませんよ。何年でしたか、三、四年ほど前でしたか、三年前でしたかね、はっきりと大臣も予算を取って追跡調査をいたします。こういう約束をしておるんです。そのときに渡辺さん、どこにいました、君は。この前の職訓法の改正のときにはどこにいました。労働省にいましたか。
#80
○政府委員(渡邊健二君) 労働省におりましたけれども、外局に出ておりました。
#81
○田中一君 しかし、その問題は、国会で論議された問題は知っておるんでしょう、あなた。前任者からそういう引き継ぎを受けませんか。
#82
○政府委員(渡邊健二君) 昨年かわりまして、訓練局長にまいりましたときに、そういう話を聞いております。
#83
○田中一君 どうしてそれが実行できないんですか。私は、大臣並びに政府委員がここで言明したことは、必ず実行するものと信じておるのです。幾らうそをつく政府でも、行政庁でも私はいままで信じておった。責任がありますよ、責任があるんですよ、そういうことはあり得ないですよ。私が約束をしたこの仕事は、調査はむだであるから、意味ないからという理由でこれを取り上げないのか、どういう理由で今日までうっちゃっておいたか。ここでいまのめのめとどういう方法でやろうか検討しておりますなんということが言えるのですか。ここまでわれわれをばかにすることは許されません。たとえ少数の野党であろうとも、国民の前に明らかに約束したことがなぜ実行できないか。私は二十一年こうして議席を持っておりますが初めてです。理由なくして、答弁なくして無視されたということはないと思います。大臣はどこにいますか、きょう分科会ですか、どこへ行っております。
#84
○政府委員(渡邊健二君) 衆議院の社労に出ておると思うのでございますが、いままで先生がおっしゃるとおりの調査が実施されないことにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、事業内訓練につきましては、その後四十四年十一月に調査を実施しておるわけでございますが、これにつきましては先ほど申し上げましたように、当時の予算等の関係もあって事業内訓練だけを当時調査の対象にしたものだと考えております。その後につきましては、公共訓練もさらにやりたいということで考えておるわけでございますが、現在までのところ予算もなく、また調査方法等につきましても、何とか効果的な調査をするにはどうしたらいいかということをさらに検討しておる段階でございます。
#85
○田中一君 大蔵省の乗富司計課長に伺います。いま職訓局長とやりとりしていることをお聞きでしょうね。
#86
○説明員(乗富光義君) 聞いております。
#87
○田中一君 何か予算の要求のころにそういういま申し上げたような問題が、労働省から要求されておりましたか。
#88
○説明員(乗富光義君) お答えいたします。担当が違いますので現在わかりませんけれども、調査をいたしましてお答えしたいと思います。
#89
○田中一君 公共職業訓練所のほうが、あなた方のほうでは一番手っ取り早く調べられると思います。金がないから国が補助金を出している事業内訓練所の経営者を使って調べたのでしょうけれども、そういう程度の段階じゃないのです。このこうしたかっこうのよくない職業というものは、世界的にそれに行こうという者が減っておるのです。私はヨーロッパへ行って各国を調べ、一昨年はアメリカへ行ってこの労働者の実態を調べてまいっております。どこでも減っておるのです。アメリカなどは世襲的に建設労働者は親から子、子から孫へ続いてきております。フロンティア精神というものでしょう、誇りを持ってやっております。ところが三年ほど前から子供たちがなり手がなくなった。とうとうやむを得ず新しくアメリカではユニオンの賃金の中に一時間二セントという少額でありますが、職業再訓練費という賃金を特別賃金として計上し、これを使用者側のほうと交渉してこれが決定しております。ちょうど四年前の話です。一昨年からこれに対して州の補助を受けてユニオン自身が地域において建設技能者、建築技能者の再教育を始めております。フランスにおいてはことしの元日から公共事業労働者並びに建設産業に従事する労働者、これらの労働者が、なり手がないためにちょうど日本と同じように、ユニオンではございません、日本と同じように組合が五つに分かれておりまして、この組合と使用者側のほうの団体三つとが労働協約によってこの二つの種類の労働者の月給制というのを実施しております。一昨年の五月ポンピドー大統領が選挙で勝った。その選挙の公約として公共事業労働者、建設労働者に対しては月給制をしく、そうしてあらゆる社会保障制度のワク内に入れるのだ、こういう公約をもって選挙に立ちまして勝ちました。昨年の二月から七月までこれに対する検討をやりながら、とうとう法律をつくらないで労働協約によって七月三十一日にこれが締結され、ちょうど私四日の日にフランスへ参りまして、パリへ参りましてこの問題を知りました。ことしの元日からこれを実施しております。何のためにこれをしなければならぬか。平和というものは美しい楽しいものであります。当然公共事業を強力に進める、都市づくり、町づくり、あらゆる生活環境の整備をする、ここに平和の必要性があるわけです。不公平な扱いを受けているところの日雇い的労働者に対して、外国の政治家はこうした施策を持っておるのです。日本の労働行政どこを向いているのですか。官公労の労働者は日雇いではございません。その他多くの企業内労働者は全部日雇いではございません。ちまたに追いやられているところの日本の建設労働者あるいは公共事業の失対労働者、たいてい向こうは失対労働者を中心に公共事業の労働者といっておりますけれども、こうした諸君を一人前の社会人として育てようという、条件の中に入れようとしてこの制度は持っている。日本は一体何ですか。あなた方自身が前任者からの受けたものがあるならば、直ちに予算化してそれに強い情熱をもって立つのがあたりまえじゃありませんか。いまここに建設大臣がおらぬから建設大臣の耳に入らぬと思うけれども、その公共事業並びに建設事業というものを担当しているところの建設省は何を考えているかと言いたいんです。口を開けば建設労働者の不足、これを訴えております。この建設労働者に今日まで何をしているのか。これを追い詰め、いじめ尽くしているのが現状です。厚生省の江間審議官来ていますね。きょうは保険局長どうしたの。
#90
○説明員(江間時彦君) 本日予算分科会に出ておりまして、私がかわってまいりました。
#91
○田中一君 これは、建設労働者に対する手当というものは、あらゆる面において実態を調査し、就労状態、賃金の問題、労働条件等、いま労働者が立ち上がって情熱を傾けてその解決に当たらなければならないのです。私からこれだけ言われて職訓局長何を考えているか、これを大臣に正しく伝えていただきたいんです。口を開けば他の守備範囲、たとえば厚生省にしても労働省にしても、住宅問題などに口を入れてくる。自分の守備範囲の仕事というものはどう考えているんだ。まるで官僚が巨大なる安定政権と抱き合って国民不在の政治をやっている今日ぐらい悪い時代はございません。よく大臣に話していただきたいんです。そうして今後ことしの予算の中におきましても、これに関連する問題として一体何をしようとするのか、ひとつ説明していただきたいんです。口先のごまかしじゃいけませんよ。
#92
○政府委員(渡邊健二君) 建設業におきます技能労働力の不足につきましては、先生が御指摘のように非常に重大な問題だと考えておるわけでございまして、われわれ訓練行政といたしましても、かねてより建設業関係の関係職種の職業訓練の拡充に努力をいたしておるところでございまして、ただいま公共職業訓練施設で訓練いたしております訓練生につきましては四五%、それから認定職業訓練の訓練生につきましては四七%までが訓練業関係の職種に相なっておるわけでございます。そういう中におきましても四十四年度と五年度を比較いたしてみますると、四十四年度は全体といたしまして平均いたしましてこれが四四・七%で、こういうものが四十五年度には四五・二%と、少しずつでも全体の訓練のワクにおける建設業関係のむしろ割合は高まっておるわけでございまして、私どもといたしましては、建設業の著しい労働力不足を緩和いたしますために、今後とも建設関係の職種、職業訓練につきましては十分にさらに一そうの努力をいたしてまいりたいと考えております。
 なお、先生御指摘のその他労働条件等々の問題におきましても、省内の各局と十分連絡をいたしまして、労働者の定着をはかるための労務管理であるとか、適正な労働条件の確保等につきましても、それぞれの局が努力をいたしておるわけでございまして、今後とも一そうそういう面でも努力をいたしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 なお、先ほど先生からおしかりをいただきました公共職業訓練の訓練生の就労後におきます動向につきましては、今後できる限りすみやかに追跡調査をいたすよう努力をいたしてまいりたいと考えております。
#93
○田中一君 事業内訓練のうち、これは衆議院で修正されました例の地域労働組合の職業訓練、十二条訓練ですか、この受け取り側の業者団体が訓練している者には年額一人当たり四千円程度の補助をする。同じようなケースで地域の労働組合の行なっているところの職業訓練、これはたくさんございます。何十とございます。これに対してなぜ補助を、同等な補助をしようとしないのか、その点を伺っておきます。またしない根拠、労働組合なるがゆえにしないのか、それを明らかにしておいていただきたいと思います。
#94
○政府委員(渡邊健二君) 現在事業主その他が行ないますいわゆる事業内等の職業訓練のうち、国から補助金が出ておりますものは、中小企業等の事業主が共同して訓練を行なう場合についてのみ国から補助金が出ておるわけでございます。で、私どもは、共同して行なうといなとにかかわらす、中小企業のために職業訓練を行なうものについては補助金を交付できるようにいたしたいと、かように考えまして、毎年共同して職業訓練を行なうもの以外のものにつきましても補助金が交付できるよう、その補助金の対象の範囲を広げるよう予算要求をいたしておるわけでございますが、ただいままでのところそれが実現を見るに至っておりませんので、現在のところは共同して事業主等が行なうものについてのみしか補助金が出ていないわけでございます。なお、今後とも私どもといたしましては、共同訓練以外のものにつきましても、できるだけすみやかに補助金が交付できるように、さらに努力を続けてまいりたいと考えております。
#95
○田中一君 零細企業が集まってつくるものには補助をしない、中小企業が集まるものには補助をする、政治は公平でなくちゃならないんです。労働組合というのは、御承知のように主として一人親方が自分たちの身銭を切ってやっている職業訓練なんです。協同組合を組織し、中小企業なるがゆえに補助をするなんということだけでいいんですか。また、いま伺ってみると、その他のと言うけれども、その他というのはどこなんです。零細な一人親方が集まって職業訓練を営々としているものは、これはその他の中に入るんですか、入らないんですか。本法の修正をわれわれにはやらないという感情論なんですか。十三年前のことでありますよ、十三年来それを放置してあるんですよ。対象を明らかにしてもらいたい。
#96
○政府委員(渡邊健二君) 先ほど申し上げましたのは、訓練の補助金が出ておりますのは、零細企業も含めまして中小企業が共同で職業訓練を行なうものについて補助金が出ているということを申し上げたわけでございまして、その他と申し上げますのは、中小企業、零細企業でありましても、単独で自分の従業員だけの職業訓練を行なっているものに対しましては、現在のところ補助金は出ておりません。また、先生御指摘の労働組合等が行なっているものにつきましても、労働組合がやっているということでは補助金が出ておらない。それをその他と申し上げたわけでございます。なお、一人親方等が少数の人数を雇っておる。それらの人が共同で職業訓練をやっておる場合に、中小企業の共同職業訓練だということで、その補助金の対象になっておるものも一部にはあるわけでございます。
#97
○田中一君 これは、建設大臣留守中に、建設労働者の教育訓練、これらの問題について労働省とやりとりやっておったんですが、ちょっとお聞きになっているように、公共職業訓練所は、これは各都道府県に散在しております。それから事業内訓練、経営者であるところの者が共同でつくったものに対しては、年に四千円程度の補助をしている。その他、地域において労働組合がつくったり、あるいは零細な一人親方が集まって訓練所をつくっておるところは百近くある。これには補助しない、金が出ないわけです。こういう行政の姿勢が十三年間貫いて今日にきているんです。そうして公共職業訓練所の卒業生は、ちょうど十一年目に法律を改正した際に、私は原労働大臣並びに職業訓練局長に向かって、十年間の卒業生はどこにいるのか、いま転職をしているか、教育された職についているのか、これを追跡調査せよと、こういう要求をいたしました。これは、私が個人でもしてみたいと思ったんです。個人でもしてみたい、そうしなければ、大手の業者は労働力のプール制度とか何とかいって、自分の都合のいいことばかり言っております。労働者自身が、若い少年たちがこの職業ならば生涯を託してもいいんだ、年とったならば安心して子供たちの教育もできるんだ、こういうものでなくては少年たち行かないんであります。それを職業訓練法ができて以来調べなさいと、調べますと言って、大臣、職業訓練局長も言明しておるんです。三年たっても調べておらない。こういうあなたのほうで所管する労働者です。あなたのほうは使う側です、求めている側です。いまアメリカにおけるユニオンの実態とか、フランスにおける建設労働者、公共事業に従事する労働者の月給制を大統領はいま元日からしております。なぜか、これはあらゆる他のホワイトカラーでもあるいはどこかにつとめている、定住している工場の労働者でも、同じように社会保障制度のワク内にこれを入れようという努力が、そうした方向にいっているんです。残念ながら、フランスでも建設労働者、公共事業に従事する労働者は日雇いであります。日雇いでありますけれども、これを月給制にして、そうして公平に社会保障の中に、ワク内に入れて、希望を持たせよう、これがねらいであります。これも日本ならすぐ法律法律で、法律をつくって役人のがん首ばかりふやすようになりますが、向こうは五つの労働組合と三つの使用者側の団体とが国をまん中にして労働契約を結んで、それを実行しているんです。こういうできる範囲の手厚い政策を持っておりますが、やはり日本と同じように、よごれた、かっこうの悪い職業に従事する者は減ってきておるんです。アメリカもしかりであります。もうこの建設労働者対策については、労働省頼むに足らずです。私にうそを言っているんです。国民にうそを言っているんです。この建設大臣はこの問題に真剣に取っ組むことです。あなたの守備範囲の住宅なんかもやっております。厚生省もやっております。あなたのほうは、経営上あなたの主管する事業は、民間の事業、建設事業、これらを守るためにも、建設大臣自身があらゆる方途を考えながら、これに対して発言をすることであります。衆議院の本会議からお帰りになったばかりで、あいつ何を言っているのかというけげんなお顔をなさらないで、大体おわかりだろうと思いますから、この点は真剣に考えていただきたい。そうして公共職業訓練所は国がやっている、助成をしている。事業内訓練には、一人の学生に対して年間四千円の補助をしている。必要に迫られてどうしても一人でといって、自分の内弟子的に使っている少年たちを七十人、八十人とまとめて、共同で教育しているところには一銭の金もいっていないんです。地域労働組合がやっているんです、それには一銭の補助も出そうとしていない。十三年間放置しているんです。こういうことでは日本の国土計画、あらゆる事業もあなたの守備範囲の労働者はいなくなります。あなたはどういう今後の対策を立てようとするのか。ひとつ、閣議で十分に発言をなすって、建設省は建設省独自の方向を求めようとすることにならなくちゃいけないんです。三年前に、建設省も、計画局に資材労務室というのをつくりました。ここにやはりそうした問題の検討をするセクションができたものとして期待をしておりましたけれども、何をしておるのか。あの役所はこうするから、すぐ防衛体制でもって自分もつくるんだ、あの役所はこうだからこうだということでなくて、いまの私の質問に対して、どういう態度で臨もうとするのか。いままでどおり、ただ労働行政は労働大臣の守備範囲だから、まかしておけばいいという考え方に立つのか、この点は見解を伺っておきます。
#98
○国務大臣(根本龍太郎君) 御指摘のように、先ほども申し上げたことと関連しますが、現在、いわゆる建設業なるもののシェアが全産業に占めるウエートが非常に大きくなりました。国民総生産の二〇%、本年の発注高が、公共、民間合わせると、十七兆四千億ですから、これは他の産業に比べても、非常にウエートが重いのです。しかもこの事業が、ほとんどが屋外で、かなり環境の悪いところで従事するということで、現在、想定約三百八、九十萬でしょう、これらの方々がいわゆる建設労務省といわれておる。従来は日本において労働資源がかなり余裕があった。このごろは足らない足らないと言っておっても、いわゆる農業の変革期に際会しまして、季節労務者としての農民の方々がかなりの程度この建設業に従事しておる。ところがこれがだんだん産業構造の分化に従いまして、このいわゆる出かせぎ労働資源なるものがそう望めなくなると思われます。それと同時に、最近における若い人々はやはりかっこいい職業でなければならぬという一つの考えが定着しつつある。こういう諸問題を勘案して将来の建設事業の問題点としては、どうしても建設労務者の問題が大きな研究課題になっておることは御指摘のとおりと思います。
 そこでこれらの人々の訓練と申しますか、養成ということが非常に重大な問題でございます。これはもとより国の行政体系としては労働省が所管しておるのでありますけれども、建設省としても最も重要なる建設事業の基本要素でありまするので、今後の訓練並びに養成については重大な関心を持たざるを得ません。そこでできるだけ公共の機関による訓練、養成のほか、企業内訓練、企業別訓練と申しますか、これにも重点を入れなければならぬと思います。で、そういう問題については、今日まで以上の密接なる連携を労働省とも持ち、また農林省とも、これはいまの出かせぎ対策等でありますので関係をもたざるを得ません。そうして、これについては、ひとつ具体的な問題解決の一つのそれこそプロジェクトチームをつくって、どういうふうにしていくべきか。そのためには、現在の立法上の改正すべき点はどういう点であるか、あるいは行政措置としてやっている点についてさらに補強すべき点があるかどうか、ここを補強すべきだと思いますというような点を、今後早急に取り上げなければならないと思います。
 実は省内に、いま御指摘のように、担当のあれをつくったのではありまするけれども、ただ単にそういう機構をつくったからそれにまかしていいというもののものではないと思います。これは建設省の幹部の職員のひとつ研究課題として取り上げて、われわれの意見が一応具体的にまとまった場合に、関係省庁と十分に連携の上、改善につとめたいと思う次第であります。
#99
○田中一君 十三年前に、職業訓練法を制定したときに、これはたしか石田博英大臣のときだったと記憶しておりますが、この建設省の事務次官と労働省の事務次官とは共同の声明を発表しているのです。それは何かと申しますると、受け取り側のほうの産業は、あなたのほうの主として事業なんです。教育するほうの側は労働省が職訓局で始めた。この場合にかってな教育をしたばかりではいけない、やはり常に関連を持って一緒になっておやりなさいという強い要求を私はいたしました。それで両者の了解事項としてその問題を取りきめてあるのです。これは全然無視されておるのが現状なんです。一体同じ閣内にある大臣同士が一つの同じ目的を持ってやっているにかかわらず、それがそういう形の協調がなされておらぬということは一体何だと思いますか、こういうことがあってはならないのです。私も古い協定書をさがしてみたところが  これは違いますけれども、私の手元にあります。建設省にそれがないから貸してくれと言いましたけれども、ちょっと違ったものを貸したのですが、意地悪くしたわけではない、ちゃんとあるのです、見せたくなかったからです。職業訓練局長のほうにもありましょうね。そういうのは。建設事務次官とあなたのほうの次官とが取りきめたものを持っていますね。
#100
○政府委員(渡邊健二君) 先生がただいまおっしゃいましたのは、昭和三十四年に前の職業訓練法ができますときの労働事務次官と建設事務次官の間でかわされました文書で、技能検定の実施要綱につきましてのやりとりの文書がございます。そのことであろうと存じますが、それでございましたら、私ども手元に持っております。
#101
○田中一君 建設大臣、あなたのほうではそれないのです。それはそうでしょう、どっちみちあなたのほうで何も言うことはないという気持ちなんでしょう。しかしそこにやはり盲点がある、それではいけないのです。私が言ったことを高橋君なんかに文句言う必要ないですよ。歴代の大臣がだらしがないからです。そのように建設省が熱意を持っておらないということなんです。たとえ大業者、中業者に職練の技能養成をどういう形でそれを要請しても、これはむだであります、できないのであります。こういう日雇い労働者は高い賃金、よい労働条件のほうに流れていくのです。自然なんです、これは労働者の自分の自衛です、自衛手段なんです。町場のひとり親方、これは手元に少年をわが子のようにして迎え入れて、わが子と同じようにして仕事を教えている。これは御承知のように、労働法ができたこの段階で何といいますか、徒弟制度をとにかく労働法ができたら廃止しました。これが唯一の訓練機関です、血の通った訓練機関です。私は日本の建設労働者に対する労働行政というものは皆無である。したがってあぐらかいている自民党内閣にはないのだということを指摘したいのです。ここまでぼくにいやなことを言われれば、ひとつ根本さんおこりなさい。(笑声)そうしてこれは笑い事じゃないのです。口を開けば十何兆の事業があるのだ、何でもしなければならぬのだと言いながらやっておらぬじゃありませんか。徒弟制度の復活の一つの道であります。この段階にまいりましては親方衆少なくとも百萬人はおります。各地域は定着して地域の仕事をまかなっている建設労働者は百萬人おります。これはせんだってだれかの質問であなたはそのことをるる説明しております。大きな役割りを果たしてますこの人間は、公共事業の入札とか市町村の仕事まで自分でになっているんではないんですか。地域社会の平和を守るために、じいさんの代から信頼され愛されてその仕事をしているとび、大工というもの、棟梁というものが必ずいるのです、これが日本の社会です。これらに血の通った教育と希望を持たすことが望ましいのであります。――賃金の問題を扱っているのは基準局ですか、賃金の方は来ていますね、建設労働者の賃金、これはむろん労使の間できめるのはあたりまえでありまするが、大体どの程度の賃金が妥当かということを基準局じゃ見通しをつけておりますか。
#102
○説明員(橋爪達君) われわれのほうでやっております行政の基本的な考え方としましては、先生がいまおっしゃいましたように、賃金の額というものは労使の自主的な決定によるべきものである、こういうような考えでやっておりまして、したがいまして、どの程度の額が妥当なものであるというようなことはやっておりません。
#103
○田中一君 アメリカでは四年に一ぺんづつ賃金きめるのです。ことしの春でしたか、ニクソン大統領が建設労働者の賃金は高過ぎるから、これはひとつこの辺でとめろということを声明して、また新聞で見たんでありますが、ちょうど一昨々年の七月に最近のがきまった。これは三年間の賃金のスライド制です。上がるであろうという方向、下がるだろうという方向もおそらくあるかと思うのです。三年間毎年毎年ストライキやったんでは、とてもこれは地域社会の平和は保てないから、四年に一ぺんづつやるわけです。これには実にきめこまかいきめ方をしておるんです。たとえば特別賃金には年金の額も入れてあります。一つの例を申し上げると、週四十時間制の大工の見習いさんで、これは六九年七月十八日に実施されたものでありますが、一年目は一時間三ドル六十六セント、これ見習いですよ、これは。したがって円に直しますと千三百十七円六十銭、これが八時間としますと二十九ドル二十八セント、これを円に直しますと一萬五百四十円八十銭、一週間五萬二千七百四円です。これは二年、三年、四年、これだけ続くわけです。したがって一週間二年目には六萬二千二百八円になりまして、三年目には七萬一千八百五十六円、四年目には九萬一千八円、技術が向上するからこういうことになるわけでありますね。したがって賃金は高い、高いが社会保障は何もございません。そのために付加給与賃金というのをとっております。厚生年金には一時間四十五セント、年金には四十セント、団体年金には四十セント、有給休暇の手当には二十四セント、訓練手当が二セント、都合一日一人の労働者が働けば一ドル五十一セント、これだけのものを取って、これで社会保障制度に見合う自家保険を組合でやっているわけです。したがってこれを計算しますと見習いの大工さんでも三十萬円程度のものは入るわけです。これは労使の協定でやっているわけです、四年に一ぺんずつ。いまちょうど三年目でありますから、この見習い工は一週間七萬一千円、四週間で二十八萬円、三十萬程度のものを月にもらっているわけです。そのほかに社会保障に見合い、かつまた職業訓練をするために労働者が自分の力でもって仲間をふやしているのです。アメリカの場合はそうなんであります。フランスの場合には、イタリアの場合には国がその施策をやっております。これは組合を通じて組合によって訓練をさせているのです。こうした現実というものと、日本のこの労働行政なりあるいは対建設労働者に対する施策というものは皆無である。ことに昨年の夏、建設労働者に対する日雇い健康保険を謀略によってこれを一方的に破り、適用を除外し、今日国民の、負担の重い国保に切りかえさせております。これもこの労働者は自衛上やったのです。建設労働者が労働組合をつくる。これによって労働法による政府管掌の保険をなぜ進めようとしなかったか。これは、厚生省の江間審議官ひとつ。いまさら君に言ってもしょうがないんだ、過去の問題だから。しょうがないと思う。思うけれども、姿勢として聞いておくんだ。しかし、君じゃ政府の責任ある……、君、政府委員か。
#104
○説明員(江間時彦君) 政府委員ではございません。まあ、いま御指摘になりました点、まことにごもっともな点があるわけでございますし、またいわゆる日雇い健康保険の擬制適用問題につきましていろんないきさつがあったことも私は承知いたしております。まああの措置の結果、建設業国民健康保険組合を設立されまして、その方面に移行されたのが大体四十萬人くらいあるというふうに承知いたしております。まあおっしゃるとおり、確かにそのような形態にある労働者に関する社会保障制度というものは、いろんな問題があることはおっしゃったとおりでございます。ただ、社会保障制度といいますのは、基本的には、やはり雇用形態なり、あるいは賃金形態なり、そういうふうなものの実態を受けましてやる制度でございまして、先生がフランスの労働者の月給化の問題など、いろいろ教えていただきまして、やはり基本は雇用形態あるいは賃金形態というものを、いま少し確定いたしませんと、なかなかおっしゃるような十分な社会保障もやりにくいという問題があろうかと思うわけでございます。
#105
○田中一君 フランスは、これも元日からしいておるのですが、有給休暇金庫というのをつくっております。これは四週間、年に四週間あります。これ休むときに行くと、ちゃんと金くれるわけです。日給をもらって、月給をもらって休めると、不特定多数の使用者に使われるわけですから、その金庫へ全部業界も、これは国も入ってます。国も入る、それから本人も若干入れて金庫をつくる。これはそれをやったらいいじゃないか、三日行ってやめる、一日行ってやめる、一日働かないという人に、これは月給制できないからそういうふうにしておく。しかし今度は月給制を完全にしています。元日から月給制やっている。これは翻訳して新聞に出した、寄稿したわけなんです。これは建設大臣、差し上げますから、ひとつ真剣に研究してください。そして、建設労働者が労働保険を自前でつくる場合には、いわゆる援助をするという約束を、きょう労働大臣来れば取りつけようと思ったんでありますが、他の産業の人間にできて、こっちができないことはないんであります、やろうと思えばできるんであります。考えようとしないところに問題がある、政治の姿勢に問題がある。イタリアとかフランスとかイギリスとか、もうヨーロッパの国々は相当後進性を発揮してだんだん古くなる国かと思うと、やっぱりこういう民主的な、公平な分配を行なっております。これについてはひとつどうか各閣僚とも閣議ではこの現実というものを見定めて、この業法の改正によって労働者は下請が労働者はゆるくなる方向にくるならば、根本の労働対策に対して力づける発言を建設大臣に期待しますが、これに対するあなたの考え方もう一ぺん伺っておきます。
#106
○国務大臣(根本龍太郎君) いろいろと将来の日本の建設労働の改善について貴重な御提案ありがとうございます。十分その資料をも拝見して検討させたと思います。そこで私はもう閣議で言ったって、それだけで私は効果があるとは思わない。私はむしろそうした問題を取り上げて、現実の行政事務を担当する担当者同士がやはり日常業務にこれを消化して活用しなければいかぬと思う。方針だけ立てても、現実の日常行政にいかなければいけないと思いますので、まず最初に申しましたように、関係省の担当者の協議をさせて、前向きのプロジェクトチームの発足をさせたいと思います。私のほうでまずさっそくやります。そうして労働省なり関係省と話し合いをして、その上に今度は制度上の改善あるいは必要とあれば立法上の改善をするというところまで持っていかなければならないと思います。それと同時に、今度はやはり建設業界自身も、これは自分の問題としてこれは取り上げなければならないと思いますので、十分お示しの点は、前向きで検討してまいりたいと思います。
#107
○田中一君 おことばですが、あなたがきのう、東南アジアの後進国の、かって占領していじめた国々の国民に対する技術協力をなさいと言ったときに、外務省とか商社はだめですという発言があった。非常にぼくはわが意を得たりと思った。ここに並んでいる官僚などはできるものではないのです、政治の姿勢なんです。お互いに守備範囲は設置法できまっております。自分の与えられた仕事が大過なく済めば順々に階段を上がっていくのが、今日の日本の官僚の仕組みなんです。政治家のあなたが、あなたがこの方向というものを求めなければだめなんです。ましてやこの建設労働問題というものは、業者に依存してはだめなのであります。私は二十何年この問題に取っ組んできております。業者は与えられた労働者、これが自分の手元へきて完全に仕事をしてくれればいいんであります。労働者自身がこの問題については労働者自身がしなければならないのであります。それをどう援助するかが当然国の義務であります。政治家が行なう以外にないのであります。この点は官僚にまかしたら絶対できないのであります。これはいずれ、ここで食い違っている根本さんとぼくが議論してもなかなかうまくいかないから、あとに譲りますが、厚生省は労働保険を労働者が自分でつくろうとした場合には、これを認め、援助するつもりですが、これをまた阻止しようとするつもりですか。昨年までの日雇い健康保険と今回の国保とは非常な違いがございます。したがって別の考えを持って、この建設労働者が定着をする、そして希望ある職業として誇りを持って安心して老後を迎えるというような善政をしこうとするのか。あなたが答弁できなければ、これを労働大臣にはっきりと伝えておいていただきたいのです。
#108
○説明員(江間時彦君) いろいろ教えていただきまして、教えられることが多かったわけであります。社会保険の一般原則は、あらゆる国民をできるだけ同様に処遇するということでございます。その意味におきましては、できるだけ群小の制度をつくらないで統合するというのが一つの方向でございますが、ただ、いま御指摘になりましたように、必ずしも事業主が一定しないような就労形態があるということも事実でございます。したがいまして、こういう事態に対しましてどのように考えるか。現在年金制度につきましてあるいは医療制度につきましていろいろ考えている最中でございますが、御指摘の点をよく参考にさせていただきまして、検討させていただきたいと思うわけでございます。
#109
○田中一君 雇用者の云々なんというのは簡単じゃありませんか。アメリカ方式をとればいいのです。この一日の賃金は、雇用者が払うべき賃金だといって日額幾らときめればいいのです。そうしてその額だけは必ず毎日毎日が日給ですから賃金に入ってきます。それを組合に納入する形式をとれば不特定多数の雇用者であろうともこれは三者構成からなっているところの保険のうち雇用者が払うべきものを特別賃金として別途支払うか、または加算して支えばいいのです。賃金の中にそれだけのものを織り込んでこれを保険金であるということを認めれば、おのずから掛け金は集まってくるわけです。その程度のことがまだ検討しなければならぬとかなんとかいうのでは、あなた方がその意思なくてしてないということなんです。おわかりになりましたか。
#110
○説明員(江間時彦君) 私自身先生のお書きになったものも拝読いたしておりますし、またアメリカの制度も若干私調べておるつもりでございます。いろいろわれわれのほうといたしましても、これから十分検討させていただくつもりでございます。
#111
○田中一君 これは基準局のあれだな、橋爪君来ておりますか。いないようだな、じゃ荒木君に答弁してもらいます。
 建設労働者の所得というのは賃金のうちから割り出して幾らが所得に該当するか。こんなことは試算したものがなくちゃならぬと思う。建設労働者の所得−純所得ですね。いわゆる何といいましたかな、諸掛りじゃなくて、法律語で……。
#112
○説明員(荒木睿君) 私の所管をいたしておりますのは賃金統計でございまするので、いま先生のお尋ねのございますのは手取り賃金と、こういうことであろうかと存じます。そこで私、税法上のいろいろの控除あるいは社会保険上のいろいろの控除、こういうものを引いた残りのことをお尋ねかと存じますが、このことにつきましては、実は残念ながらそれにお答えするだけの資料を持ち合わせておりません。そこで、昨年の四十五年に実施いたしました屋外職賃金調査によりまして屋外関係の労働者の平均賃金、これは一日当たりの賃金でございますが、それが昨年の八月時点で二千三百五円となっております。大体就労日数が二十二日でございますので、平均二十二日の就労日数でございます。それをかけ合わせますと、約月の収入が全体で五萬一千円ばかりと、このようになろうかと思います。それから先ほど申し上げました税金あるいはもろもろの社会保険等を別に控除されまして、手取りとなるわけでございます。
#113
○田中一君 日本の職人は道具を持っているのですから、したがって−日本の職人は大体道具を持っています。そうするとそれは所得税対象となる純粋のものと、それから必要経費というのですか、あるいは工具というのですか、そうしたものを計算するとどのくらいになるのでしょうね。ひとつもしわからなければ、労働省のほうでその建設労働者、各職人の純粋な所得というものはどのくらいか。私は、最近建設関係の労働組合が毎年あるいは隔年賃金を要求をする掲示というか、公表をしております。この賃金に、何だ三千五百円高いな、こういうちまたの声がある。これは自分のからだにつく金じゃないのです。建設関係の職人は、それぞれ自分の持っている道具なり何なりというものがあるのです。純粋に自分のものになるというのは、ごく少ないのです。だからそういう点のいわゆる消費者と申しますか、市民の受け取り方が正しくないということを指摘したいのですよ。大体四千五百円程度のものにしますと、年間二十五なら二十五の人たちの手取り収入から見ると半分なんです。一生というものを、生涯三十年働く、二十年働くときまりますれば、ちょうど五〇%が、大工さんが一日四千五百円だってそんな程度です。これがだんだん格差は広がるかもしれません。ストライキをやってて賃金がふえるわけじゃないのです。ストライキをやれば、自分の首を締めて子供も弁当を持っていかれないことになるわけですから、こういう点はひとつ労働省のほうでそうした形の統計をお示し願いたいと思います。
 大体、まだ切りがありませんが、建退共、だれか来ていますか。−建退共の現在までの加入者、それから集まった金、それから労働者が負担するものがかってのままであっていいのか、あるいは清水建設のように二億円や幾らのものを、全部これは労働者の負担すべきものじゃない、自分のほうで全額負担しましょうというところもあったように聞くのですが、それらは実態はどうなっているか伺います。
#114
○説明員(金丸明君) ただいまのお尋ねの件でございますが、今年の一月末現在で加入いたしております事業主の数が約六万ございます。この六万の事業主によりまして掛け金をかけてもらっておりますところの、いわゆる被共済者――労働省でございますが、これの数が約九十五万人でございます。集まっております金でございますが、これが同じく本年の一月末現在におきまして約八十五億ございます。それから最後に掛け金の負担でございますが、この制度におきましては、掛け金は現在一日当たり六十円ということになっており、すけれども、この額はすべて事業主負担という仕組みになっておりまして、したがいまして、労働者負担はゼロでございます。
#115
○田中一君 元請が直営しておる人は少ないのです。そうすると、下請が元請になって直営している人が多いのですね、大体はそうでしょう。そうすると、それは下請である元請が加入者なのか、元請が加入者なのか、そうして下請である元請の雇用主にその一番目の元請が金で支払うのか印紙で支払うのか、どういう形式をとっているか伺います。
#116
○説明員(金丸明君) お答えいたします。この制度におきまして、加入事業主と申しますのは、直接にその労働者を雇用いたしております事業主をもって加入事業者といたしておるわけでございます。したがいまして、下請の事業主が実際に労働者を使っている場合には、そのときの加入事業主は元請じゃなくて下請事業主となるわけでございます。で、元請から下請に対しては、下請代金としてある一定の金が業者間の契約で出てまいりますので、それでもって加入事業主でありますところの下請事業主は、共済組合に対しましては印紙でもって掛け金を納めております。そういう状況でございます。
#117
○田中一君 それはたとえば相当たくさんの人を使っている下請である雇用主に元請が現金で払うと、それが途中で流れてしまって、印紙に化けないでどこかにいってしまうことのそういう弊害もあるように聞いているのです。その点はどうです。
#118
○説明員(金丸明君) ただいま先生から御指摘のありましたような事例もかってないわけではないというふうに、いろいろな事例もございましたので、最近におきましては、いわゆる現物交付と申しますか、元請のほうで印紙を買いましてそれを下請に交付して、それを下請事業主が共済組合に納めるというようなことをやるように指導もいたしております。
#119
○田中一君 この監督官庁はどこになっていますか。
#120
○説明員(金丸明君) 私どもでございまして、労働省労政局福祉共済課で監督いたしております。
#121
○田中一君 建設大臣、こういう問題、こういう機関があることを御存じですね。これも一つの手法なわけです。こういうものにも必ず建設大臣が、あなたがあなたの事業で働いてもらう青年たちが、職人たちが入っておるのですから、一口のってこれに対する発言をあなたがするような制度に持っていくことを、ひとつ検討していただきたいと思うのです。実情というものは労働省じゃわからないのです、そういう点はどういうふうにお考えですか。
#122
○国務大臣(根本龍太郎君) いま官房長に聞きますと、この組合に加入しない業者には公共事業を発注しないという指導をさしております。御指摘のようにこういう問題が非常に建設労務者の安定に役立つと思います。その意味で十分労働省とも提携して、これらの改善、さらに拡大に協力してまいりたいと思います。
#123
○田中一君 官房長にちょっと聞いておくけれども、これは公共事業の予算の中にこの分は積算してあるんですね。
#124
○政府委員(大津留温君) この掛け金を積算しております。
#125
○田中一君 この程度にします。
 ひとつどうか建設大臣も、いろいろなことを申しましたけれども、しょせん日本の平和のために必要な公共事業である、建設産業である以上は、これに対する特別な配慮をもって協力していただくことをお願いいたします。私もなお一そう勉強してお力になれると思いますから、よろしくお願いします。
#126
○理事(松本英一君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
#127
○委員長(田中一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正案は委員長の手元に提出されております。修正案についても討論中にお述べを願います。
#128
○上田稔君 私は自由民主党を代表して、次の修正案を提出いたし、残り原案に賛成をいたします。
 修正案提出の趣旨は、本法律案が昨年三月提出され、今国会まで継続審査となったため、附則第十五項中「昭和四十五年法律第  号」を「昭和四十六年法律第  号」と改めるもので、当然修正を必要とするものであります。
 さて、わが国の建設投資は急激な伸展を示し、昭和四十六年度の見通しとしては実に十七兆円をこすものと推定されているのであります。建設業はこれがにない手としてその重要性はますます増大してきております。建設業界の体質改善が叫ばれて以来久しいものがありますが、業界のかかえる諸問題の解決のためには、自主的な努力が必要なことはもちろんでありますが、法制面の刷新もまた不可欠な根本的要素であります。この改正案は、さきに行なわれた中央建設審議会の答申に基づき建設業者の資質の向上等をはかり、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発展を促進するために提案されたものでありまして時宜を得たものと考えるのであります。
 第一点として、現行登録制度の欠陥を是正するため業種別許可制度の採用に踏み切ったことは、施工能力や信用のある業者を許可し、職別業者の専門化を一そう促進することになり、よい影響を与えるものであり、地位の安定にも役立つものであります。許可基準の懸念される点については万全な配慮を払うことが委員会においても言明されているところでありますが、中小業者特に零細業者の一人親方の指導育成に十分留意されることを要望いたします。
 第二点として、建設工事の請負契約の規定を整備し、注文者と請負人との間に見られる片務性を除くため、きめのこまかい条項が加えられたことは、今後契約関係の改善に大きな役割りを果たすことと存じます。
 第三点として、現行法に欠けている下請保護の規定を整備し、下請負人からの意見の聴取の義務づけ、下請代金支払いの遅延防止等の措置を講じており、特定建設業者に対しては特に重い義務を負わせていることはきわめて妥当なものであります。建設業の下請制度は多くの問題を包蔵しておりますが、一歩ずつ解決されなければなりません。
 終わりに、本改正案の実施にあたっては、その運用に万全の配慮を払われんことを重ねて要望し、賛成討論といたします。
#129
○松本賢一君 私は日本社会党を代表して、建設業法の一部を改正する法律案に対し、反対の態度を表明いたします。
 この改正法案の提案理由の中に「施工能力、資力、信用に問題のある建設業者が輩出して、粗悪工事、各種の労働災害、公衆災害等を発生させるとともに、公正な競争が阻害され、業者の倒産の著しい増加を招いている」と述べ、その原因の一つが画一的な現在の登録制度にあるのだと質疑の過程でもしばしば述べられており、建設業の近代化をはかるためには許可制度でなければならないと説明されております。しかし、この許可制によっても、弱小規模の建設業者の淘汰はある程度できましょうが、建設業者の資質の向上をはかることは容易でないでありましょう。なぜなら、建設業は受注生産であり、過当な受注競争が行なわれており、二年に一度の登録更新制があり、資力、信用のない不良業者の生まれる条件はもっとほかにあるのであって、登録制を許可制に改めたからといってなくなるとは考えられないのであります。これが反対の第一の理由であります。
 第二の理由は、わが国の最近の建設業者の実態を見るとき、大手業者と中小業者との格差はますます拡大されてきております。業者の九九%までが中小業者によって占められており、なかんずくひとり親方のような弱小業者まで同じ法律の中で律することに非常に無理があるように考えるのであります。また、発注者と請負人及び元請負人と下請負人との間の片務性はぬぐい切れず、経営基盤の弱い中小業者は、現在以上の過当な受注競争が強制されることになり、倒産に至る業者も少なくないと思います。かかる意味から、当面する緊急課題として、中小業者、地元業者の受注の機会を与えるとともに、安全衛生管理体制の確立、建設技能労働者の技能養成並びに労働力の確保、労働条件の改善と福祉厚生面の充実等々、まだまだ改善を要する問題が残されておるのであります。
 また、建設コンサルタント業の育成強化に対する法的措置、建設工事の国際化に対しての建設業者の育成、情報活動等も今後早急に解決しなければならぬ課題でもあります。
 したがって、私は本改正法案の骨子である登録制を許可制に変えることは、単に弱小業者の切り捨てとなるばかりか、建設業者の近代化に名をかりて大手業者の系列化をはかろうとする意図があるのではないかと考えるのであります。また、本改正案では、請負契約の適正化、下請負人の保護など、ある程度前向きな規定が設けられ、一歩前進であると考えますが、これが実行の保証については、必ずしも十分とは言えないのであります。
 かかる意味において、私は残念ながら、本改正案に対し反対を表明するものであります。
#130
○二宮文造君 私は、ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案につきまして、公明党を代表し、反対の討論を行なうものであります。今回の改正は、申すまでもなく、業種別許可制度の採用、契約関係の適正化、下請保護規定の強化をおもな内容とするものでありますが、これらの改正内容を検討してまいりますと、審議の過程においても明らかになったように、業者の乱立による過当競争にもとづくダンピングの防止、技能労働者の恒常的な不足の解消、業界特有の複雑な重層下請制度の改善等、今日、建設業が直面している諸問題の解決に有効適切な方策であるかどうか、きわめて疑問であります。
 建設業法の改正よりも、建設業界の体質改善や、その近代化、合理化のために建設行政としてなすべき他の施策が数多くあるのではないでしょうか。
 すなわち、公の入札制度の改善、中小建設業に対する積極的な助成策、ひとり親方といわれる零細業者の指導、育成の強化、建設労働者に対する社会保障の拡充、雇用関係の近代化、福祉施設の整備、職業教育、職業訓練の強化等であります。これら政府がその責任においてなすべき施策を怠りながら業法を改正し、しかもその運用のいかんによっては、官僚統制の強化につながるおそれが強い許可制を採用して、大手業者を中心に業界の安定をはかろうとすることは、了承できないところであります。
 現在、登録業者は十七万余にのぼり、大は年間二、三千億円にのぼる工事量を消化する大会社から、小は町場の大工として自己の持つ技能のみで地域社会に貢献している者までを一つの法律で縛り、一律に許可制を実施し、規制すること自体無理があり、業界の実態に即さない措置であります。
 特に今回の許可制の適用から除外されるひとり親方といわれる零細業者についても、その助成、指導を内容とする小工事建設業法を別途制定し、これらの人々に職業の機会を与え、安心して職業に従事できる道を開くべきであり、あわせてこれら零細業者に住宅等の建設を依頼する消費者の保護をはかるべきであります。
 登録制度から許可制度への移行のみで業界の体質改善をはかり得ないこと、法を改正し、幾ら詳細な規定を設けても、それだけでは十分な監督ができず、その利用者の保護を全うできないことは、過去における宅建業法の改正の経過に照らし合わせても明白であります。
 下請保護の強化、契約関係の適正化は、規定の上で幾ら規制されても、それが業界の内部で十分に守られないものであれば、その実効は期待できないのであります。その意味で、公の入札制度の改善、工事履行保証制度の充実、標準建設請負契約款の改善、建設関係金融の確立、労働関係の近代化等の諸施策が伴わなければならないと思うのであります。
 以上述べてまいりましたごとく、今回の改正が建設業の体質改善や近代化を促進し、建設業の発展につながるものであるかどうか、はなはだ疑問であり、むしろ建設業界に対する官僚統制を強化し、建設業の従属性をますます強めていくものではないかとの疑念を抱かせるものであることを指摘し、反対の討論といたします。
#131
○春日正一君 私は日本共産党を代表して、建設業法の改正案に対する反対討論を行ないます。
 この改正案は第一に、建設業者の認定を登録制から許可制に変えることをおもな内容としています。政府はその理由を、経験や財産的基礎の乏しい不良業者を業界から排除し、これによって発注者を保護するとともに、過当競争を防止するためであるとしています。しかし、この許可制への切りかえは大工、左官など町場の親方や職人に大きな不安を与えています。それはこれらの人たちが技術と信用をもとでに、裸一貫、腕一本で仕事に携わってきたため、この改正案で認定する財産的基礎など許可業者としての必要条件を満たすことが困難であるからにほかなりません。このことは、一部の不良業者の排除を口実に多くの善意な零細業者を業者としての認定から締め出す可能性があることを示しています。またそれは同時に、憲法で保障された国民の営業の自由の侵害にもつながることを意味しています。もともと大きな資本だから良心的であり、零細企業だから何でも良心的ではないというものではありません。大会社の工事でも多くの問題を起こしていることは、この委員会でも指摘したところであります。むしろ不良工事、粗雑工事を排除するためには、その原因を正しく把握し、重層下請など大企業の支配に規制を加え、同時に業界の自主的な運動によって排除されるよう指導すべきものであります。
 第二に、この改正案は、下請代金の支払いの遅延防止や賃金の未払い防止などを規定しています。この規定自体は決して悪いものではありません。その実効が保障されるなら、下請業者の保護育成に一定の役割りを果たすものです。しかし、下請代金支払遅延等防止法が実効を発揮していないことでも明らかなように、大体においてこの下請代金支払遅延等防止法と似通った規定にとどまっているこの改正案では、元請に対する従属度の高い建設業においては、その実効を保障することは全く困難であると言わなければなりません。むしろこの改正案は、こうした不徹底な保護措置をてこにして許可制をしき、中小零細業者を整理淘汰して労働者への転化を促進するものとなりかねません。
 したがってわが党は、このような危険性を持つ改正案を認めるわけにはいきません。また修正案にも反対であります。今日中小零細業者にとって必要なことは、当面、国と地方公共団体が、受注の機会の確保や有利な融資制度を確立して、運転資金を保証することであります。また、共同作業場や機械の貸与制度、社会保障と福祉施説の拡充、技能の開発や経営の指導など、適切な指導と援助を強化することであります。
 また町場の親方、職人は、今日まで長きにわたって国民の住居の保障に大きく貢献してきました。しかし、現在政府の高度成長政策と都市の巨大化、建築の高層化、大規模化などの中で、徐々に仕事を奪われつつあります。こうした零細業者の将来の不安に展望を与え、進むべき道を示すことが、政治の責務でなければなりません。わが党は、このような零細業者の要求に政府はこたえるべきであることを強く要望して、反対の討論を終わります。
#132
○委員長(田中一君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○委員長(田中一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより建設業法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、上田君提出の修正案を問題に供します。上田君提出の修正案に賛成の方挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#134
○委員長(田中一君) 多数を認めます。よって、上田君提出の修正案は可決されました。
 次に、修正部分を除く原案を問題にいたします。修正部分を除く原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#135
○委員長(田中一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
#136
○松本英一君 私は、ただいま修正議決になりました建設業法の一部を修正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案を便宜私から提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   建設業法の一部を改正する法律案に対する
   附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたっては、次の諸点
 に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきであ
 る。
 一、許可の適用が除外される政令で定める軽微
  な建設工事は、工事一件の請負代金の額が建
  築一式工事にあっては、三百万円に満たない
  工事、または、延面積が百五十平方メートル
  未満の木造住宅工事、その他の建設工事に
  あっては、百万円に満たない工事とすること。
 二、公布の日から施行の日までの間に旧法によ
  る登録を受けた者については、第七条の許可
  の審査にあたり登録を受けて過去二年間継続
  して営業した実績を有する場合、同条第四号
  に掲げる基準に適合するものとして取扱うこ
  と。
 三、元請負人は、前払金保証制度を利用した場
  合に、下請負人に対し、前払金を支払うよう
  指導すること。
 四、電気、換気、給排水、冷暖房、昇降機等の
  建築設備工事は、当該専門工事業者に分離発
  注するよう努めること。
 五、建設業者が材料業者に建設工事に使用する
  製品を現場等において生産させる場合には、
  本法による下請保護の規定に準じて保護が図
  られるよう指導すること。
 六、優良な地元建設業者を活用するため、中小
  工事に対する大手業者の参加を極力抑制する
  等、中小建設業者の受注の確保を図ること。
 七、許可の適用を除外される零細建設業者に対
  し、指導、助成等の措置を講ずること。
 八、別表に掲げる工事区分の内容を公示するこ
  と。
 九、建設工事現場に従事する者については、昼
  夜にわたる長時間の労働を廃止するととも
  に、原則として日曜休日制を採用するよう指
  導すること。
 十、建設事業に係る各種の申請等の処理に当っ
  ては、事務能率を高め、円滑かつ迅速に行な
  うよう指導すること。
  右決議する。
 以上でございます。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
#137
○委員長(田中一君) ただいま述べられました松本英一君提出の附帯決議案を議題といたします。
 別に質疑もないようでありますので、これより本附帯決議案の採決をいたします。
 松本英一君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#138
○委員長(田中一君) 全会一致を認めます。よって、松本英一君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、根本建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣。
#139
○国務大臣(根本龍太郎君) 委員各位の連日御熱誠なる御審議に対しまして、まず心から感謝申し上げます。
 ただいま御決議がございました建設業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきましては、政府といたしましても、御趣旨を尊重し、その運営に遺憾のないよう措置してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
#140
○委員長(田中一君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト