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1947/09/29 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第20号
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1947/09/29 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第20号

#1
第001回国会 厚生委員会 第20号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價格撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小林い子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○災害救助法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○兒童福祉法案(内閣送付)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第五十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十一号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○恩給法の改正に関する陳情(第百五
 十三号)
○國民健康保險組合の振作促進に関す
 る陳情(第百五十五号)
○國民健康保險制度の更生に関する請
 願(第八十二号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○恩給増額に関する陳情(第百九十三
 号)
○最低生活の保証に関する陳情(第二
 百十八号)
○國際電氣通信株式会社等の社員で公
 務員となつた者の在職年の計算に関
 する恩給法の特例等に関する法律案
 (内閣送付)
○医師会、歯科医師会及び日本医療團
 の解散等に関する法律案(内閣提
 出)
○恩給増額に関する請願(第百十一
 号)
○戰死者遺族の更生対策に関する請願
 (第百十六号)
○生活協同組合法の制定に関する請願
 (第百四十三号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百四十六号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百五十一号)
○住宅営團経営の住宅を國営とするこ
 とに関する請願(第百六十九号)
○東京帝國大学演習林拂下げに関する
 請願(第百七十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第百七
 十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第百七十九号)
○生活協同組合法の制定に関する陳情
 (第二百七十五号)
○教員恩給増額に関する請願(第二百
 九十八号)
○傷痍者更生援護に関する請願(第百
 九十九号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第二百一号)
○拂下げミシンに関する請願(第二百
 十号)
○結婚問題に関する請願(第二百二十
 号)
○恩給増額に関する請願(第二百二十
 三号)
○社会保險制度の一元化に関する陳情
 (第三百三号)
○教員恩給増額に関する陳情(第三百
 十二号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百二十一号)
○教員恩給増額に関する陳情(第三百
 四十六号)
○生活保護法による生活保護費を全額
 國庫負担とすることに関する陳情
 (第三百五十五号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月二十九日(月曜日)
   午後一時二十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○災害救助法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) それではこれより開会いたします。災害救助法案につきまして審議を進めますが、前囘質疑の打切りを委員長から宣告いたしておりますので、討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
#3
○委員長(塚本重藏君) それでは直く討論に移ります。発言の通告がありますので、この際これを許します。草葉委員。
#4
○草葉隆圓君 誠に時節柄重大な災害扶助法案でございますから、愼重に取扱つて行かねばならないと存じまするが、それと同時に最も急を要する情勢にあると存じまするので、以下私の意見を申上げ、中には或いはいろいろ又御都合によつては、政府の御所見等をこの意見に対してお加え願いますことは誠に結構だと思います。從來の罹災救助基金法等の関係から考えますと、災害の範囲というものが余りに技術的と申しますか、事務的に亘つておりましたが、今度の政令、命令等で定められます場合におきましては、非常災害の範囲を、從來の弊を一掃した意味においてのことをお取扱い願いたいという点であります。なにかそういう点について、すでに範囲が内定いたしておりましたら、併せて伺いたいと思います。
 それから日本赤十字社その他の團体、又日本赤十字社がこの仕事の民間における一つの中心になつて参りまするが、これはいろいろな意味におきまして、相当日本の赤十字の現状から考えますと、無理であり、困難であることが沢山ありはしないか。病院の経営にいたしましても、一方医療制度の方からは更に檢討して行かんならんという情勢だと思いますし、從來から災害の場合に日本赤十字が取つておりました処置は、主として救療、医療の問題だけであつたのでありますが、これをだんだんと日本赤十字社に民間團体の救護を統轄してやろうとする場合におきましては、余程日本赤十字社の機構、或いは設備、或いは人員等について、根本的に政府が指導をされないと、なかなか困難だろうと存じます。その外の團体にいたしましても、例えば同胞援護会のような團体は、從來とも赤十字以上の活動を災害の場合にいたし、且つ又全市町村に組織網を持つておるようでございますから、そういう力の強いものを相共に加えながらやつて行かれる方法を十分お採り願いたいと存ずるのであります。
 次には義捐金の取扱い、この條文の中には出ておりませんが、併し資金という点について出ておりまするので、それに加えて意見を申上げて置きたいと存じますが、この資金というものは、政府資金のことばかりであるか、或いは義捐金等も含める場合もあるかとも思いますけれども、災害の場合に多く取扱われる一つの最も大きな問題として、義捐金募集、或いは出しましたその金によつての救助というものが相当大きいものになつて來ると思います。大きい災害の場合には、國内だけではなく、國外等からもさような義捐金等も多数参つておつた例もあります。從つてこの政府資金、或いは府縣のこれに要します直接の費用の場合は別でありますが、その資金の中に義捐金等を加えて救助をやつて行きまする場合におきましては、余程この取扱い方を十分にして行く必要がありはしないか。結局一方におきまして、災害救助法案による費用は、この法律にありまするように、府縣においてやり、その府縣費に対しては國庫が或る程度の基準によつて負担をする。その外に義捐金というものを、從來は府縣知事が中心になつて集めており、場合によるというと、政府自身によつてやつておるという場合もありましようが、多くの場合府縣知事が中心になつて義捐金を集めながら、その二つのものを以て災害救助をいたしておつたわけでありますが、今度義捐金はすつかり赤十字の方に任せてしまうという場合におきましては、大変不便な場合が起りはしないか。そうして知事は全然それに関聯をしないということになると、実際の救助に……まあ委員会ができましていろいろやつて行くが、從來の経驗等から考えますと、この罹災救助基金法による……今度の災害救助法によつてやりにくいようなものは、むしろ義捐金による温か味と徹底したやり方が今までなされておりましたので、この点を、実際の取扱いとしてはどういう取扱いをされますか存じませんが、むしろ私共の考えといたしましては、相当府縣知事が、一般の救助法によつてやるやり方と睨み合せまして、義捐金による処置ができるような方法をお考え願つて置く方が、実際の運行としてはよいのじやないかと思います。
 それから十二條、十三條は、前からちよつと問題がありましたが、これはすでに質問も済んだことでございますけれども、二十六條、二十七條、二十八條、つまり都道府縣知事が、必要がありまする場合におきましては、十二條、十三條のような意味においての、或いは場合によるというと、病院、診療所、旅館までも管理したり、或いは保管を命じたり、收用をしたりすることができる。この場合におきましては、相当主務大臣に御監督を願わないと都合が惡いような場合が起り得るのではないか。ところがこの救助法案によりますと、たとい、それが行過ぎであつたような場合においても、主務大臣がその知事に対してこの問題に対しての指示をする権限はちつとも謳つてないようでございますが、或いはそれを取消したり、或いはそれを訂正したりするような場合は、この法律には示してないのでありまするが、場合によると、主務大臣は府縣知事に対して、殊にこの制度の変りました府縣知事に対しましては、そういう一つの権限を御施行になることが妥当なる場合がありはしないか。或いは政令等でそれをお謳いになる御予定かも知れませんが、むしろこの法律の中にそれを謳つて置く方が妥当ではないかと考えるのであります。併しこれに対しては、私の意見以外にすでに政府の方でそれぞれお考えがありまするなら結構だと存ずるのでありまして、そのお考え等をお洩らし願うと結構だと存じますが、私はさように考えるのでございます。
 もう一つ二十四條で府縣知事が第三十一條の規定によつて、或いは輸送関係者、それから医療、土木、そういう関係者を業務に從事させる命令を出す。それの命令に從わぬ者は、後の方の條文によつてそれぞれの罰則を受ける。これも只今申上げますものに関聯して参りまするが、むしろこれは或る意味において憲法違反になるような惧れのある場合もあろうと存じまするが、いわゆる主務大臣が相当の監督、場合によりますると、それに対する指示と取消し、或いはやり方の改正というようなものを当該府縣知事にお出しになるくらいの行き方を一つ採つて頂きたいと思つておるのでございます。
 要しまするに、この災害救助は、今度の法案からいたしますと、平素から相当の機関を拵えて準備をして置く。そうしていつ何時大小の災害があつた場合においても、それに処置をするということになりまして、誠に從來とは数歩前進いたしまして、結構だと存じまするが、併し災害は、どうも準備しておるときには殆ど來ずに、準備をしておらないときに來るというのが大体從來の災害で、関東大震災の後で、数年間、いつも九月一日前後に準備をしておつた間には殆ど災害はなしに、漸くだれ氣味になつた昭和二年に奧丹後の大震災があつたというようなことでありますので、そうして又災害の大小が予測し得ませんので、いつも相当準備をしておりましても、いざ災害となりますと、殆どその準備が役に立たないという場合が多かろうと存じます。この点につきましては、備蓄という問題が、從來は軍隊のものによつて政府で備蓄を特別にせんでも済んでおりましたのが、それがそういうことができなくなりましたので、この備蓄をなされまする場合に、殊に食糧等の備蓄、被服等の備蓄は最も必要であると同時に、最も困難であり、又これを寢せて置くことによつての國民の負担も或る意味においても大きくなりますので、こういう点につきましては、相当戰時災害保護法等によつてなされた備蓄等の経驗から、一つ十分の方策をお立てになつてお進み願いたいのであります。実はもつと色々な点について意見もありますし、希望もありますし、或いは合せて御質問も申上げたいと存じておりましたが、大体におきまして災害扶助の全体といたしましては、私ども賛成をいたしております。殊に急速にこういう制度が実施されますることを冀つておりますので、大きい問題についてだけ私の意見を申上げたのであります。
#5
○中平常太郎君 私は三点ばかり質問と同時に意見を申述べたいと存じます。第十二條の項目でございますが、先般、備蓄に関しまして大臣の御意見を伺つたのでありますが、現在の物資不足の場合に、備蓄はなすというたところで、そう沢山はできる見込は私はないと思うのでありますが、現在の今度の関東地方の大水害におきましては、軍当時のものもありましたりして、又一つには進駐軍の方の援助もありましたりして、割合纒つたようなものが出ておりましたことは、誠にこれは不幸中の幸でありますが、將來の物資不足の日本が、備蓄のためにどういう程度の方針を持つて大臣はおられるか。國においてはどの程度備蓄せんとするお考か。それから府縣におきましてはどの程度ぐらいは府縣でやらして置くというお考でございましようか。今の物資不足の場合にこの点は極めて不安定のものであるし、その不安定のままに任すなれば、これを揃えるために不必要な強権が発動されるような恐れがないとは限らない。いわゆる憲法違反の恐れありと言われる程度のことがこの場合において現われはしないか。それで備蓄の方針につきまして、國はどの程度備蓄せんとするか。或いは府縣にはどの程度備蓄せしめるかということをお伺いしたい。次に日本赤十字社に救助を委託することができるということが第三十二條にございます。これは日本赤十字社は、草葉委員からも話されたのでありますが、日本赤十字社はそこまでこの一本建に信頼してよいか惡いか。日本赤十字社は今日までよく働いては呉れましたが、或る意味から申しますというと、これは軍事方面に積極性を持つておつたのでありまして、今度は全く平和方面に向つて方針を切換えてなさることでありまするから、相当なことにはできようと思いますけれどもが、日本赤十字社の手の廻つていない地区が沢山ある。赤十字社が普遍的にあれば別でありますが、縣廳の所在地であればもとよりでありますが、その他につきましては、極めて日本赤十字社の施設というものは或る意味からいいますと普遍していない。このただ三十二條一本建に日本赤十字社に委託することができる。こう決められては、私は大事な災害救助の突発した事件の場合に、これは困ることができやしないかと思うのであります。現在関東の大水害にいたしましても日本赤十字社のみが働いてはいない。むしろその他の各種の施設が働いておる。各地にあるところの病院、或いはその他警防團とか、或いは普通の開業の医師とか、看護婦会とか、産婆会とか、樣々な会がそれぞれ獨自の立場に立つて、今度の大水害には非常に働いておられるのであります。その赤十字社に委託することができるということだけにお決めになるのでは、これは私は事柄を余りに狹くするものであると思うのであります。修正をするなれば、「必要な事項を日本赤十字社その他の施設に委託することができる」という、「その尊の施設」という字を入れて貰いたいのであります。「日本赤十字社又はその他の施設に委託することができる。」こういうことで、廣汎なる意味を含んで、あらゆる手段を採られるようになさることが必要と思うのであります。災害の救助は突発せる時の事件でありまして、恒久のことではないのであります。だからして猫の手も欲しい筈であります。日本赤十字社という一つのお役所的なものにのみ限つたことになすべきものでないと思う。あらゆる施設をも能動的に効率的に動かす必要があると思いますので、ここに一つの修正の意見を持つておるのであります。これに対する大臣の御意見を伺いたい。
 それから第三十八條の災害救助基金の最少限は、府縣におきましては五百万円となつておりますが、これは私は少きに失するという考えを初めから持つておるのであります。理由といたしましては今度の水害を見ましても一町村に五百万円程度の村が幾つあるやら分らん。何千万、何億という程、復旧に要る場合がございますが、それは恒久の対策のみならず、突発せる事件のために用いましたものでも、今日各縣に用いた金というものは何千万円を使つておるのであります。價格の倍率から申しましても昭和十年、十一年と比較いたしまして六十倍、六十五倍という、言い換えますと前に五十万円であれば、三千万円が至当である。私は三千万円ぐらいと思つておりますが、縣の財政を考慮致しまして、今日非常に窮迫しておる縣の財政の上におきまして、そういう金が直ちに蓄積されるとは思えない。もとより一ケ年の間に蓄積するのではありませんが、蓄積の方針を定めてやらねばならんところの最少限度……ここに最少限度と書いてありますが、最少限度は一千万円ぐらいを以て適当といたしておるのであります。一千万円としたところで、少し大きな災害に遭いましたならば、直ちに出拂つてしまつて足りないのでありまして、直ちに國にものを要求せなければならんようなことになつて來る。一つの自治体が、縣という一つの法人格が、自分の力でなし得る限度が五百万円ということは如何にも小さい。この点も私は一千万円に修正した見たいと思つておりますが、これに対しまして大臣のお答えをお願いしたいのであります。この三点であります。
#6
○姫井伊介君 第十二條、これは字句の問題でありますが、最後のところに「又は救助その他何々物資を収用することができる。」これはその前の「配給、保管若しくは輸送を業とする者に対して」、この字句を受けて來なければならない。そうなると、この者に対しては保管を命ずるとありますが、これは分る。今度は收用するという、対象がはつきりしない。言い換えますると、「販賣、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対して」物資を收用することができるということは、文字の上から言つてどうか。私ははつきりさせるために、その他緊急措置に必要な物資をそれらの業者から收用する。こうしなければ文体上そこに欠陥があるのじやないかと、かように考えます。
 それから二十五條でございますが、二十五條には「近隣の者を救助に関する業務に協力させることができる。」、この関係といたしまして、第二十九條には、協力する者が怪我をしたり、病氣に罹つたりしたときには、扶助金を支給するということがありますが、協力させる者が、賃金を出して雇入れた一般の労務者よりも遥かに眞劍に働く場合が多いのであります。
 私は曾つて堤防決壌の災害に際しまして、その復旧工事に当つたことがありますが、一般の人夫の人に対しまして給料を拂いますが、協力した人に対して何らの報酬がなされないということは申譯ないような氣がいたします。或る特別な方法を講じて報酬手当を出して貰つた事実があります。近隣の者が協力するのは当然であります。当然でありますが、それはその人の立場から言うことであつて、その協力を受けた復旧工事の方面から申しますと默つては見ておられない。この人々に対しまして何らかの報酬の途を構ずるということを私は当然なことだと思う。そこでこれは法律に規定ができなければ、政令においてこういうことを加えて頂きたいということを希望いたします。それから三十一條でありますが、これは質問のときに確か中平委員からと思いますが、通信、交通の杜絶した場合はどうだというお話がありました。私はこのことからいたしまして、但書を入れる必要があるのじやないか。これは今後の災害のときにもそういうことが考えられるのであります。條文の意味だけを申しますが、「但し通信交通杜絶の場合は、他の都道府縣知事は緊急應援の措置を取ることができる。この場合にあつては、直後において主任大臣にその措置の詳細を報告しなければならん。」こういうふうなことを入れることが適当ではないか。いつでも主任大臣の命令がなければできないといたしまするならば、適当な應急措置は構ぜられない。その辺は都道府縣知事の眞劍なる或る獨断的の行爲を認めてやらなければならないのではないかと考えるのであります。次は第三十六條であります。この補助率のことでありますが、「地租、家屋税及び営業税の合計額」、これは將來、この課税方法がどう変つて行かないでもないと考えられるのであります。永久に地方税といたしまして、この地租、家屋税、営業税が存続されて行ける場合はともかくでありますが、これは税制改革によりまして、どんな変更を來すかも知れないということが一つ。今一つは、そういう変更の場合がないといたしましても、この課税の合計額の百分の五を超過する。こういうふうになりますと、家屋税、営業税、地租にいたしましても、貧しい府縣であつて常に制限の最高度までを課税しておるとき、それは財政関係が弱い府縣なんであります。そういう府縣は一番多くの率で課税しております。それの超過となりますと、弱い府縣は少しの補助の恩惠しか受けられないということになる。それからもう一つは、若し災害の場合に、こういうふうな補助の規定があるとするならば、或府縣の方では、今度は最高度まで要らなくても、それだけ歳入は求めないでも、最高度までこれは掛けて置かなければいけない。そういうふうな考え方が起きやしないか。そこで私はそういう考を排除するために、細かい規定は除きまして、その府縣の財政状態並びに災害関係を考えて、そこには委員会を設けても宜しいのでありますが、幅を持つた補助規定を置く。即ち支拂に要した費用の合計額の百分の五十乃至百分の百、これは地方において往々見られる。百分の百をどうしても出して貰わなければならないというような貧弱な府縣もあるのであります。こういうように幅を持つたものを作つて、実際上において適当な補助額を決めて行くということが、これは政治の運営ではないか。かように考えて、この辺の修正を希望いたすのであります。
 第四十一條でありますが、この第二号におきまして、國債証券、地方債証券何々債券の應募又は買入、これは当然政令におきまして、基金額の何分の一といつたような制限が設けらるべきだと私は考えるのでありまするが、それはそうされないと、折角積んだ基金が、第二号のようなものによつて多く積立てられますると、実際災害の場合に当りまして、活用させ、現金化するものが非常に少くなつて來る。これは多分そういうふうに限定されるのであろうと思いますが、念のため申上げておきます。以上であります。
#7
○委員長(塚本重藏君) 討論の通告は終つたのでありますが、今の討論者の討論の中には、かなり沢山な希望意見並に質問等の箇所があつたように見受けられます。この機会に各討論に対しまして、政府の方の意見を求めたいと思います。
#8
○國務大臣(一松定吉君) 各委員諸君より熱心なる御意見の御発表がありまして、一々大いに劍討考慮しなければならん事柄であると思います。この点に関しましては、政府当局から詳細に御答弁さして頂きます。
#9
○政府委員(葛西嘉資君) 第一に草葉委員からの御意見乃至御質問に対しまして、申上げさして頂きたいと思います。從來の罹災救助機構の下における災害の範囲が非常に窮屈であり、なかなか実情に即さないような憾みがあるが、今後そういうふうな範囲を廣くして、妙味を発揮する用意があるかというふうな意味のお話でございます。これは從來そういうふうなことを、いろいろ制限を設けたりなどいたしますことが、却つてこの災害の範囲を実情に即せないようなことにすること、御承知の通りでございますので、政令等におきましても、実はなんにもその範囲については規定をいたさないつもりでございます。この法律の第二條にありますような、一條二條の趣旨から適用して参る、却つてその方が運用の妙味を発揮できまして、必要の都度この法律を適用して行くということができるのじやないか。ただ取扱い方針といたしましては、草葉委員が仰せられましたように、廣く考えまして、実情に即した適切な援助が行われるようにして参りたい、かように考えております。
 第二に、御指摘になりました日本赤十字社の現状につきまして、機構なり或いは設備というようなものが、非常に現在では不備だという点、誠に私共もその通りに存じております。法が期待をいたしておりまする日本赤十字がその使命を達しまするには、もつともつとこれから努力をして、機構的にも、或いは財的にも、設備の上でも拡充して行かなければならないことだと考えております。政府もそうでございますし、又先般皇后陛下を名誉総裁に仰ぎまして、御承知のように今秋は相当に基金の募集も、会員の募集もやろうというふうな計画がありまして、それらもその一歩かと思います。進駐軍当局におきましても、現に御承知のようにアドヴアイサーなどがあそこにおりまして指導いたしておりまするし、政府の方におきましても、十分指導監督いたしまして、できるだけこの活動ができますようにして参りたい。そうして本当の國際赤十字に繋がる一つの日本赤十字が、戰爭のない日本の本当の模範的な赤十字にして参りたいという、固い覚悟を持つておるということを申上げさして頂きます。
 第三点にお尋ねになりました義捐金の取扱いでございますが、勿論この法にあります委員会等で協議いたしまする資金の中には、義捐金も含むものというふうに存じております。草葉委員の御指摘のように、この義捐金で集まりましたものが、相当な救助に役立ちまして、仰せになりましたように、いろいろこの妙味を発揮するような点もこれはございます。從いまして國から出すもの、それから都道府縣から出ますものの外に、この義捐金というものを加えまして、本当に官民一体と申しますか、この援護に、財的の裏付けをして参るというふうにして参りたいと思つております。先般委員会で私が申上げました今囘の措置は、大臣からも先般本会議で仰せられましたように、今度の法律がまだできておらんけれども、法に準じて今囘の措置をとるのだという御方針に則りまして、日本赤十字社には民間に義捐金募集の呼びかけをいたしましたのでありますが、勿論そうして集めましたものは縣なり都なりのものに繰入れまして、二つを一緒にして救助の万全を期するというつもりであります。日本赤十字で集まつたから、そこだけで使つてしまうというようなことはないのであります。
 第四に、この二十四條、二十六條、二十七條、二十八條等におきまして、都道府縣知事がやりましたこの強権の処分につきまして、主務大臣がこれらの措置を或いは是正をする。極端に言えば、取消すというようなことはどうなるかという意味のお尋ねであつたかと思いますが、これは御承知のように地方自治法には、國の機関としての知事の処分に対する主務大臣の取消規定がございます。或いは又内閣法の中にもあつたかと思いますが、そういうふうな規定を以ちまして、知事の処分が法の精神に当てはまらない、或いは不適当であると存じます場合には、直ちに是正を命ずるという措置を取り得ます。又取る方針でございます。
 それから第五にお述べになりました点、備蓄についての非常に警告的な御注意、誠にその通りだと思います。これは忘れてしまつた頃に起きて参りますことは、草葉委員御指摘の通りであります。備蓄等につきましては、中央、地方にそれぞれ委員会を常置いたしまして、これらは万遺漏のないようにいたすつもりであります。有難く拜聽いたしました。
 次に中平委員の御意見につきまして、殊に御修正の御意見もあつたかと思いますから、政府の方の考えもお聞きを頂きたいと思います。第十二條の備蓄に関しての御注意でございますが仰せのように、元の軍の物もなくなり、或いは又進駐軍のいない場合における御注意、誠に御尤もに拜聽いたしました。國なり縣なりで、どのくらいの備蓄をする用意があるか。殊に物資不足の際、そこらの点に無理があれば、又無理がかかつて來るということの御注意、誠に御尤もであります。これは民間の有識者等が加わりました中央並びに地方の災害救助対策協議会におきまして、そこらの点を十分練りまして、無理の行かないように、殊にいざという時に準備ができますように、大変むづかしいことでありますが、そこらをよく相談して、日本の現在における物資の状況、需給の状況等を見まして、無理の行かない程度で、できる限り備蓄をして参るという計画をしております。從つて國でどれだけ備蓄する。地方においてどれだけ備蓄せしめるというようなことについては、具体的なものを持つておりません。これは委員会ができました曉において取り上げるべき最も重要な問題でなかろうかというふうに考えております。
 それから第二の御質問、これは修正の御意見でございましたが、三十二條で、この日本赤十字社のみに委託するというふうなことは、余りに日赤を信頼し過ぎはせんかというふうなことから、こういうものにつきましては、日本赤十字社その他の施設に委託するというふうに修正する方が適当だというふうな意味のお話と拜聽いたしたのでございますが、これは先般來この委員会においてお答えを申上げましたように、今次の災害におきましても、日赤のみが働いておらない、他の團体も非常に御活躍を願つておるのは、各委員諸公御覧の通りでございます。法の第一條にもそのことが明らかに書いてございまして、國が責任を持つてやるという点は、これは法の狙いでございますが、國だけじやございませんので、ここにもありまするように、「日本赤十字社その他の團体、及び國民の協力」というように廣く協力をして、第一條でやることになつておるわけでございます。ただここに三十二條に特に日本赤十字社を挙げましたのは、日本赤十字社の本來の使命、特に國際赤十字における日本赤十字社の地位というふうなもの、軍のなくなりました後の日本赤十字の本当の使命というふうなものを考えまして、法律の基礎に基いて、都道府縣知事が行ないまする救助、或いは應援の実施に関して、必要なものを日本赤十字社に委託するということにしただけでございまして、そこに他の施設というものがないからそのことがないんだ。赤十字だけにやらして置いて、他にはやらせないのだというふうな趣旨ではもう万々ないのでございます。第一條に法の精神を明らかにいたしましたように、こういうふうな非常の災害におきましては、各方面の各機関の援助を得て、國がその先頭に立つて救助して参るという趣旨でございますので、この点も一つ中平委員におかれましては御了解を頂きたいと思う次第でございます。
 それから第三点、これも御修正の御意見でありましたが、三十八條の最少の積立額が五百万円というのは非常に低いではないか。從いまして一千万円或いはそれ以上にやる方がよいじやないかというふうな御質問……一千万円が適当であるというふうな御意見であつたのでございますが、これは先般御質問にもありましてお答えいたしましたように、現在の府縣にありまする罹災救助基金の額、それから法第三十六條に基づきまする國庫補助の率と、府縣で持つべき額というふうなものを勘案いたしまして、先ずここらのところで地方にも無理がかからず、又このくらいであれば相当小さいような災害についても、この金だけで救済がやつて行ける、これより以上を要する場合においては、國庫の補助なり、或いは一般の府縣の歳入を以ちまして処置させる方が適当ではなかろうか。今囘の災害救助基金として積立てて置きます金額を余りに多くいたしますると、この金額は、この法律にもありまするように非常にこの使途を制限して積立てて置くわけでございます。却つて例えばどなたか仰せられましたように、四十一條というような制限などがございまして、今、地方の財政等が非常に困窮しておる場合に、余り大きいものを積立てさして、嚴重な制限の下に置くことはどうだろうかというようなことで、先ず五百万円というふうなところが、必要の限度から言いましても、或いはそちらの面から見ましてもよいのじやないか。大きい縣になりますると例えば東京都のようなものになりますると、五百万円くらいな程度までの支出につきましては國庫の補助はございません。第三十六條の規定によりまして……。併しながら最も小さい……例えて申しますると、鳥取縣というふうなところになりますと、極く小さいところでもこの補助金が出ることになります。從いまして五百万円くらいございますれば、約三千万円乃至四千万円くらいのところの災害が起きましても、府縣の持分としては、大体五百万円くらいでやれる。それより大きい場合においては、縣の一般の歳入を以ちまして賄つて行く、これくらいで縣としてはよくはないか。三十六條の補助等と睨み合せ、或いは又現在備蓄をいたしております罹災救助基金の額……ちよつと申上げますと、五百万円以上を今備蓄をいたしております縣は、全國で愛知縣のみでございます。青森縣の如きは五十万六千余円というものしか備蓄をいたしておりません。大抵の縣は百万円或いは二百万円というふうになつております。これからこれを五百万円にいたしまするには、相当府縣として努力が要るわけでございます。從いまして、目標といたしましては、嚴重なる制限をつけて備蓄をいたさせて置きますが、法に規定いたしまする災害救助基金は、ここらのところが無理もなく、而も小さい災害におきましては、これくらいのとろにおいて、先づ現在の状態においてはやつて行けるんじやないか。こういうふうな見込で、一應五百万円という金額を定めた次第でございます。
#10
○姫井伊介君 ちよつとお答えいたして頂きます前に、申し誤まつた点がありますから、訂正さして頂ます。それは三十六條でありますが、一つは地租、家屋税、営業税の浮動性ということを申しました。第二番目に、貧しい財政の府縣が却つて損をするんじやないか。第三に私は殊更最高率の課税をするんじやないかと申したと思いますが、これは間違いでありまして、かつかつ財政の運営のために、府縣は何か差し繰り無理をしておる。むしろ税に対する課税率を低めて置いて、まさかの時の補助を多きを望むような……そんなこともありますけれども、そういう憂えもないではなかろうと言つたのでありまして、ちよつと三点が間違つておりますから、補足さして頂きます。
#11
○政府委員(葛西嘉資君) それでは姫井委員のお尋ね乃至は御意見につきまして、政府の意見を申上げさして頂きます。
 第一は第十二條につきまして、この十二條の後の方でございますが、「又は救助その他緊急措置に必要な物資を收用することができる。」というのは、この上のいろいろなことを「業とする者に対して、」というふうに姫井委員はお読みになつて、おかしいじやないかという意味の御意見でございましたが、これは大変恐れ入りますが、そういうふうに読むのではないのでございます。「保管」の命ずるのがそれらでありまして、「救助その他緊急措置に必要な物資の收用」というのは、これはそれらの業者に限らない積りでございます。即ち十二條の二行目にあります「認めるときは、」から「又は」の方へ引つかけて読むのでございまして、これは平素の時には備蓄というふうなものについては無理が行きまするから、この業種を制限しまして、不当に保管命令というふうなものはやらせないのでございますが、一朝災害が起きまして救助が必要である。或いは緊急措置がどうしても必要だという場合においては話合いでどうしても行けないという場合におきましては、これらの制限なく、限定しませんで收用して参る。一番極端な例を申しますれば、例えば隠匿物資というような物があつたというような場合には、これらのものを特に必要があると認めたときは收用をして参る。こういうふうに読む積りでございます。それから第二の、第二十五條で協力命令を出しました者に関連しまして、二十九條における各種の扶助金を出す場合についてでございます。一般にこの協力命令というのは、実は普通の場合におきましては命令を出すことなく行われるものだと存じます。命令を出さなくても、普通の措置としてやつて頂いたものについてこういうふうな扶助金を拂つたり、或いはそれに職礼を出すというふうなことにいたしますことは、一向事実問題として差支えはございません。かようにいたしまして、法規にはありませんが、府縣がそれらに手当、或いは扶助金等を給與いたしました場合につきましては、その費用が救助に要する費用として請求がありました場合には、これは補助の対象となるわけでございます。ただこの法律といたしましては、第二十五條に、近隣の者が或いは炊出し、その他のことに協力をしないというふうな場合は、命令を出し、それらの命令に基いて怪我をした者だけについて、法律としてここに扶助金を支給するということを明らかにしたわけでございます。事実問題として協力をなさる場合はそれは非常に多いのでございまして、その点は趣旨といたしましては姫井委員の仰せになりました通りだというふうに存じます。
 第三十一條の点でございますが、これは先日もお尋ねがあつたのでありますが、都道府縣知事につきまして、他の或る都道府縣の中に災害が起きて、それを他の都道府縣に應援をして貰うという場合について、厚生大臣がその應援を命ずるという場合でございます。これは姫井委員の御修正のような、一應都道府縣知事がやつで、あとで報告をしたらと言われましたが、これは事実上は主務大臣の命令がなくても、実際は應援をする場合が多いと思います。特に中央から全体的に見て工合の惡いというふうな場合に、最後に大臣の命令が出るわけでございまして、実際上は都道府縣の中で應援をして頂くということが実際あり得るわけでございます。現に今度の関東、東北の水害におきましても、御覧になつた方もございますのですが、埼玉縣における、あの栗橋附近からずつと川が流れておりますると、埼玉縣の東側の住民であの土手に上つておりました者を茨城縣が應援する。或いは東京の場合でありますれば、江戸川土手におつた者を千葉縣が実際應援をしておるというふうな実例がございます。これは大臣からの命令を持たずして、すでに実際両縣の間で話合いまして、埼玉縣或いは東京都の人間を茨城或いは千葉縣において救助いたしておる実例がございます。勿論大臣といたしましても、援助をするようにということは電報いたしておりましたが、これは法規に基く命令というよりも、むしろ行政上の指示というふうにお考え頂いて、それでもできるということだろうと思います。実際上の問題として、この命令の出るという場合には、やはり大臣として法文を以てやる場合には、應援の命令が出なくちやならない。これは実際の場合としては交通杜絶の場合においては、両縣の話合でやつておる場合も非常に多いということを御了解を願えますれば、姫井委員も御了解願えるのではないかと思うのでございます。それから第三十六條についてでございますが、これは重めてのお尋ねがあつたのでございますが、実は從來國庫補助をどれだけにするかという点については、非常に私共政府部内でこの案を立案いたしますときに苦慮をいたしたのでございます。と申しますのは、災害が起きましたときに、南海震災の場合等の実例を見ましても、各都道府県知事は訊速に、中央等の連絡を待たずして、そこに困つておる罹災民に級助の手を伸べますることは当然でございます。併し或いは炊出しをやる。或いは緊急の物資を罹災民に配付する。或いはその物資が中央から來るのが間に合いませんので、近くにありまするいろいろな物資を調達いたしまして、これは配給いたします。その場合に一体、自分の縣でどれだけの金を調達し、國の方からどれだけの補助金が貰えるだろうかということを非常に知りたがるのであります。これは都道府縣知事の立場に立つて見ますれば、災害が起きた場合に非常に大事な問題であります。救助計画を立てる場合にすぐ必要な、是非知つて置かなければならんことでございます。
 南海震災の場合には、厚生大臣は当時逓信大臣として大阪へおいでになりまして、私も大臣のお供をして当時行つておつたのでありますが、主たる問題の、最後に落著きましたのは、一体補助金はどれだけくれるのか、自分の縣ではどれだけ調達した。取敢えずのところは銀行から二千万円か三千万円借りてやつたが、例えば高知縣のごとき、和歌山縣のごとき、縣がこれだけの金を持てるものでない。一体どけだけくれるかというふうに、自分の方で計画を立てまして、その内どれだけ資金が國から來で、どれだけが自分が調達すべき金であるかということを決めて置く必要が非常にあります、それで補助金というものを災害の場合に確定して置く。こういう計画でやるが、これだけの金が貰えるというふうに確定をして置くことが、これは是非必要でございます。それで委員会等を設け、或いは何分の一乃至何分の一という補助では非常に不安になめわけであります。最低でやられるかも知れませんし、或いは最高に行くかも知れないというふうなことがございまして、これは是非確定率の補助金にするということが、実際應急の場合であればあるだけ、非常に必要なことに感じたのでございます。それから確定ということは、又そういう面から見ればいいのでございますが、姫井委員から御指摘になりましたように、縣の貧富の差がありましたり、或いは貨幣價値等が変つたり、それから縣の貧富といつても、去年富んでおつた縣が今年貧乏になつてしまうというふうな場合もございます。そこでインフレ乃至は貧富の時によるいろいろなことを、やはり確定率にする以上は、或る程度そこらも押えて、何か制度を立てなければならんというような……確定率にするという問題と、それからもう一つは、動きつつある貨幣價値、乃至は府縣の貧富と負担力というふうな問題を睨み合せまして、どうして決めるかという点で非常に苦慮いたしたのであります。その結論が先ずここに出しましたようなことでございます。大体前年度の三税の合計額ということになりますと、大掴みにいつて、先ず大体算盤が出てくるのは前年しか出ませんから、最近における府縣の貧富の状態乃至はこのインフレというふうなもの、自然インフレが上ればこれらの三税も上りますので、そこらを睨み合せてやるというふうにいたしたのでございます。各府縣別にいたして、これらを見ました表が実はございますので、御必要でございますれば、これを御覧頂きますとよく分るのでございますが、大きい縣におきましては相当の額までは殆んど自力で補助をして頂くことになります。先程も一例で申し上げましたように鳥取縣というふうな縣になりますれば、ごく小さい災害でも國が補助をして行くそうしてそれがだんだん上つて参れば、又翌年は違つてくるというふうなことで、今の確定率という問題と、府縣の貧富、或は変りつつある府縣の貧富状態、或いは貨幣價値の変動というふうなものを織込みまして、一應前年度におけるこれらの三税の合計額というものを基礎にいたしまして、それを超過する部分について、ここにありますような三段階に分けまして補助することになつて参りますると、今のような点、確定にしておいて、府縣知事が災害が起きたときに、すぐに向うの部下を呼んで、自分のところの算定の合計額、補助額はこのくらいということになりますると、例えば表にありまするように、今囘の例で申しますれば、東京都が仮に一億円かかつたということにいたしますれば、國庫の補助が六千百五十万三千円、それから東京都の負担が三千八百四十九万七千円というようなことに、すぐ算盤が出て來るわけであります。それで自分としてはこれだけの金を調達すれば後は國から貰えるというので、安んじて銀行等から借りて應急の措置を訊速に行えるというようになつたわけであります。御心配のような点も多少あろうかとも思いまするが、そこらを睨み合せまして、而も確定しておくというところに、非常に私ども必要を認めました点も御了解頂きたいと思うわけでございます。
 それから次に第四十一條でございまするが、第四十一條の災害救助基金の運用に伴いまして、この災害がいざ起きたときに、條件とか何とかに從つていては使えないのじやないかというような意味の御見地から、基金額のどれくらいはどういうふうにしなくちやならんというような点を御心配になつて、そういうようなことをする意思があるかというような意味のお尋ねでございました。これは行政上の方針といたしましては、厚生大臣から、大体どれくらいのものをすぐ使えるようにしておき、どれくらいのものはどういうふうに第二号のようなものに廻して行くかというようなことは示してあるのでありますが、大体現在のところは相当の災害に対しても直ちに発動できますように、現金或いは銀行の預金というようなことにして、府縣では備蓄をいたしておる実情でございます。從いまして、ここらは余り堅く何分の一はどうしなくちやならんというふうに締めておきますことも、地方財政或いはその外の関係上、いろいろ面倒なことにもなりはせんかということで、只今のところでは大体府縣が、自分自体の救助のことでございまするので余り嚴重に政令或いは省令等を以つまして縛つておくということはしないで、各府縣府縣に、行政上の措置といたしまして一應の程度のお示しを、從來の程度でお示しをしておけば、それで大体間違いなくやつて行けるのではないかと思つておりますから、只今のところでは政令、省令等でそういうようなこと等を決める意思は持つておらないのであります。
#12
○中平常太郎君 ちよつと今の私の質問に対する御囘答に対して少し見当外れ点がありますから……
#13
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて……
   午後二時四十五分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時九分速記開始
#14
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。只今討論なさいましたことについてそれぞれ政府の意見も聽いたのでありますが、この機会に改めて先刻の討論者の発言をお願いいたします。
#15
○中平常太郎君 先程の討論の続きでありますが、この救助法案救助に対しまして、非常に重いところの役目を持つているのは日本赤十字社となつております。もとより世界全体において、日本赤十字社の機能並びにその素質といたしましては、日本もぜひとも萬國の赤十字社と連絡をとり、又その機能をも十分にそれに應じたところの機能の充実をしなければならないことは申す迄もありません。併し災害救助法案に出ておるところの日本赤十字社に救助の方面に対して重い役目を持たしておりますことについては、これは現在の日本赤十字社に対しましては、私は荷が重いと思うのであります。それでございますが、日本赤十字社が本当に救済の責任を持ち得るように、今後これを育成助長せしめるということなれば、この法案に盛られたところの日本赤十字社の機能も果して行けるのじやないかと思うのでございます。第一條には、日本赤十字社以外のものも全部協力して災害の救助に当るとなつております。それから第二十一條におきましては、「公共團体以外の團体又は個人がなす協力」は、政府の監督の下に日本赤十字社にその連絡、協調を行わせると書いてあります。だからして日本赤十字社という主体がいなかつたなれば、政府なり、府縣は日本赤十字を追つかけ廻して、それに螺子をかけて行く、馬力をかける、或いはこれを督励をするという以外には、直接個人や何かに対する救済の指令が出し得ないのであります。これは余りに日本赤十字社を信頼し過ぎておる点であると思うのであります。でありまするが、先程申上げたように、日本赤十字社なるものは、世界的に最も認められた團体でありまして、これが不完全であるなれば、これを完全ならしめるという責任が國民にあると思うのであります。で、この法案を通過いたしますにつきましては、外に異議はございませんが、この赤十字社を強化せしめる、これを本当に立派なものならしめるということにつきましての希望意見を附して、これを可決いたしたいと思うのでございます。つきましては、私はここに希望意見の原案を作つておりますが、どうかこれにつきまして御賛成をお願いしたいと思うのであります。ここで朗読いたして見ます。
  希望意見
 日本赤十字社の民主的組織及びその内容の改善充実を徹底せしめ、他の民間團体と十分協調し、独善的弊害に陥らざることを要する。
 これが希望意見でございまして、この希望意見を附して、この災害救助法案を可決いたしたいと思うのでございます。御賛成を願います。
#16
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて。
#17
○委員長(塚本重藏君) それでは速記をとつて下さい。
#18
○中平常太郎君 只今希望條件を附けるようにその文案を出したのでありますが、少しこれを改めることにいたします。その文案を只今朗読いたしますから、どうか御賛成をお願い申上げます。
  附帶決議
 政府は日本赤十字社の組織を民主的に刷新し、その内容の充実徹底をはかり、他の團体との充分な協調を保ち、独善的弊害に陥らざるよう適切な措置を講ずること。
 こういうふうに附帶決議を修正いたしまして提案いたしました次第であります。どうか御賛成をお願い申上げます。
#19
○草葉隆圓君 只今中平委員から御提案になりました附帶決議につきましては全面的に賛成でございます。どうぞこの法案を議決し、更にこれが執行に当りましては、政府におかれましては只今の附帶決議の趣旨に則つて、殊に現在の日本赤十字の現状から鑑みまして、本法案第一條、第二十一條並びに第三十二條の執行につきましては、到底現在の赤十字ではやり切れないと存じまするから、附帶決議の趣旨を十分お酌みになつて、いわゆる民間團体が挙つてこの災害の場合にはいろいろと手を盡し、力をいたしてくれまするから、十分協調を図りながら、独善的に陥らないように進めて頂きたいと思います。この御提案に対しまして全面的に賛成であります。
#20
○姫井伊介君 適切な法案でありまして、私も中平委員から出されました附帶決議の意を体しまして、この法案の運営に当りましては、最も適切に行われんことを希望いたしまして、全面的に附帶決議に賛成いたします。
#21
○委員長(塚本重藏君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終結したと認めて差支えありませんか。
#22
○委員長(塚本重藏君) 異議ないものと認めます。これより採決に入ります。先ず原案の採決を行い、次に附帶條件について採決を行います。災害救助法案を、原案通り可決することに賛成の方は御起立を願います。
#23
○委員長(塚本重藏君) 全会一致であります。よつて本案は、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に中平委員より御提出の附帶決議を附することに賛成の方の御起立を願います。
#24
○委員長(塚本重藏君) 全員一致であります。全会一致を以て附帶決議を附することに決定いたしました。
 尚本院規則第百四條により、本会議における委員長の口頭報告の内容については、予め多数意見者の承認を得なければならぬことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容及び本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告いたすこととして御承認を願うことに御異議ございませんか。
#25
○委員長(塚本重藏君) 異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には、多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
#26
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて。
#27
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて、先の署名漏れはございませんね、署名漏れはないものと認めます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時四十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           河崎 ナツ君
           中平常太郎君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           安達 良助君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           千田  正君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
  政府委員
   厚生事務官
   (社会局長)  葛西 嘉資君
   厚 生 技 官
   (医務局長)  東 龍太郎君
ソース: 国立国会図書館
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