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1970/05/11 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 運輸委員会 第12号
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1970/05/11 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 運輸委員会 第12号

#1
第065回国会 運輸委員会 第12号
昭和四十六年五月十一日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任
     中村 正雄君     村尾 重雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鬼丸 勝之君
    理 事
                金丸 冨夫君
                木村 睦男君
                山崎 竜男君
                大和 与一君
    委 員
                重政 庸徳君
                谷口 慶吉君
                前田佳都男君
                三木 忠雄君
                村尾 重雄君
                山田  勇君
   国務大臣
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
   政府委員
       運輸大臣官房長  高林 康一君
       運輸省船員局長  佐原  亨君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       運輸省海運局参
       事官       浜田  昇君
       日本国有鉄道貨
       物局長      泉  幸夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○船舶職員法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鬼丸勝之君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十日、中村正雄君が委員を辞任され、その補欠として村尾重雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(鬼丸勝之君) 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○三木忠雄君 船舶職員法の改正問題につきましては、いろいろ衆議院あるいはいままでも論議された部分を私は省きまして、何点か取り上げまして質問したいと思います。
 特に昭和五十年を目標とするこの改定新海運政策によりますと、約二千八百万トンの建造計画がございますけれども、これに見合う船舶通信士ですね、あるいはまた、その他船舶職員の養成あるいは再教育問題、こういう問題についての具体的な需給関係はどのようなぐあいになっておるか、まずこの問題について御説明を願いたいと思います。
#5
○政府委員(佐原亨君) ただいま先生御指摘の新海運政策、船舶建造計画でございますが、五カ年間に二千八百万トンの答申が海造審からなされております。建造のほうは海運局がつかさどってやるわけでございますが、それに見合った船員の需給関係でございます。これは非常にわれわれといたしましても前提条件がいろいろございまして、前提の取り方によりましていろいろな数字がございます。それでたとえば、同じ三十万トンをつくるといいましても、十万トンの船をつくれば三隻になりますし、一万トンの船をつくれば三十ぱいということで、この隻数によって船員の需給はかなり変わってくるという見通しでございます。
 それで、四十四年度につくられました船舶建造トン数の配分率を一応前提といたしましてはじいた数字がございますけれども、大型化の傾向が進んでまいっておりますので、隻数としてはその見通しの数字よりもかなり減ってくるのじゃないか、ということは需要がそれだけ少な目に出てくる、こういういろんな弾力的な問題がございますので、はっきりこうだと、こういうことはなかなか申し上げにくいのでございますけれども、一応四十四年度の建造実績の配分を前提といたしましてはじきますと、甲板、機関におきましては、最近特に海外売船が非常に活発に行なわれました結果、一時的に非常に余剰予備員と申しますか適正予備員率を上回った予備員がございまして、外航船舶につきましては船員がだぶつきぎみでございます。それで、これからつくられる船が逐次だぶついた船員を吸収してまいりまして、最終年次に至ってやや不足が出る、こういう数字になっております。したがいまして、部員につきましてはある程度の不足数字が出ますけれども、今後の船舶の建造実績、動向を見ながら逐次調整をしてまいりたい。第一次的には船員が現在余っておりますので船主のほうも真剣さを欠いているような感がございますけれども、いよいよ船員が足りないということが現実になってまいりますれば、船主側といたしましても当然求人開拓その他努力いたすと思いますし、国に対してもいろいろな要請が出てまいると思いますので、そういった要請を受けて国としては適切な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
 それから通信士につきましても同じ傾向がございまして、現在の労働協約ベースでまいりますと、かなりの不足数が出てまいります。ただ、先生も御存じのように、現在、労働協約で貨物船の場合は二名ということになっておりますが、法律上は一名ということになっております。したがいまして、労使の間で、この通信士の定員を、二名を一名に減ずるという現実の動きが出ております。船主のほうは一名に減らしたい、それから全日海のほうは二名でやりたい、こういうことで、現在まだ話がまとまっておりませんけれども、労使の間に協議会を設けまして、この問題をいかにするかという話し合いが始まっております。で、かりにこれが一名になりますと、逆に通信士も余ってくる、こういった非常に逆転するような微妙な段階にございますので、そういった労使の話し合いの動向を見きわめながら、もし足りないような場合には、必要が出てきたような場合には、養成施設の拡充その他、国としても適切な措置をはかってまいりたい、このように考えております。
#6
○三木忠雄君 そこで、外航船舶のほうはだいぶ船員も余ってきておるような傾向も一、二伺うんですけれども、外航と内航に分けますと、どうしても内航船舶のほうに船員の不足、あるいは船員になる希望者が非常に少ない、こういう傾向が私は見受けられるんじゃないかと思います。こういう問題について、二千八百万トン建造計画とあわせて、内航海運に対する船員需給の見通し、この問題はどのように考えますか。
#7
○政府委員(佐原亨君) 労働条件その他労働環境、いろんな面からいいまして、外航船のほうが内航船よりもすぐれておる面がございますので、まあ人情といたしますと、外航のほうへの希望者が多うございますけれども、内航のほうはそれだけ需給の面で逼迫を感じておる、こういうような状況でございますが、現時点では一応、定着率が悪いためにその補充で非常に苦労はしておりますけれども、量的には何とかぐるぐる回りながらも、船員の供給はまあまあ需要に見合っておる、このように考えられます。
 で、内航の船腹は、内航海運二法によりまして、適正船腹量と申しますか、最高限度量と申しますか、外航船腹ほどは急激に増加しないように、一応、一隻つくる場合には一隻をつぶす、こういった措置が行なわれますので、隻数が激増するということはあまり考えられませんので、まあまあ何とかいけるんじゃなかろうか。特に、内航の場合の養成施設的なものは別にございません。内航の職員の場合は、部員から、講習会を受講いたしまして、試験を受けて職員になる、こういったケースが多うございます。職員養成施設的なものもございますけれども、そういった機能を生かしながら、もしこれの必要を生じた場合には、不足を生じたような場合には、そういった養成施設を活用いたしまして船員の供給をはかってまいりたい、このように考えております。
#8
○三木忠雄君 それで、今回の法改正の中にも、特に中小船主に対して、この船舶職員の定着性というのが非常にこの法改正の背景にあるんじゃないかと思うのですね。今後の問題としましても、運輸省としてこの中小船主に対してどのように指導、育成していくか、この内航海運、特に中小船主に対する船員の養成といいますか、あるいは待遇の改善といいますか、あるいは将来希望を持ってこの内航海運に従事できる、こういう船員の養成計画ですね、そういうものについてはどうお考えになっておりますか。
#9
○政府委員(佐原亨君) 何と申しましても、海上の労働が魅力あるものになりませんと、なかなか海上労働者が集まりにくいという面がございますので、まあ賃金も一つのファクターでございますけれども、賃金を含めまして労働条件の向上、労働環境の改善、こういったことをいま指導はしつつございますけれども、なお一そうこれに拍車をかけてやりたいと思っております。先生御存じの、昨日、内航のストライキが妥結いたしましたけれども、この場合も、そういった背景を踏まえまして、外航の妥結額よりもむしろ上回った額で妥結しておりますので、こういったことも一つのあらわれであろうと感じております。
#10
○三木忠雄君 それで、今後、外航船舶あるいは中小船舶においても、おそらく技術革新が行なわれてくると思うんですね。どんどん船質もよくなってくると思うんです。そういった場合の船舶職員制度、これを一部いろいろ検討を加えなければならない問題が出てくるのではないかと思うんです。こういう長期のビジョンに立って――外航船舶の建造あるいは内航船舶といえども、どんどん船が改革されてきておる。こういう視点に立って、今後の船舶職員制度の長期ビジョンといいますか、あるいはまた、こういう船員という職業に希望を持つ、これを持って働けるような体制をもう少ししっかり固めていかなければならぬじゃないか。こういう職員に対する今後の見通しといいますか、あるいはビジョンといいますか、こういうものに対して運輸省としてはどうお考えになっておりますか。
#11
○政府委員(佐原亨君) まことに先生御指摘のとおりの段階へまいってきておりまして、船舶に対する自動化、機械化の導入は非常に目まぐるしいものがございます。この傾向は今後も一そう進められていくものと思います。現に諸外国におきましても、その問題がすでに取り上げられておるわけでございまして、いろいろな面で研究が行なわれておる。ある国ではすでに一部実施に踏み切っておる、こういった国もございます。で、意味するところは、いろいろな機械化、自動化が入ってまいりまして、船内の労働の質、量というものがかなり変わってまいります。就労体制が変化してまいりますので、いままでは甲板部、機関部、無線部、それからさらに職員、部員、こういった区別があって、それぞれのパートで仕事をしておりましたけれども、将来こういった縦横の壁がなくなりまして一本化されてくる、こういう大きな傾向があるかと思います。
 で、運輸省といたしましても、現在、運輸大臣の名において、海上安全船員教育審議会に諮問をいたしまして――今回の改正は、その中間答申でございますが、引き続き、いま先生のおっしゃったような問題を諮問いたしまして審議が続けられております。それから、先ほど申しましたように、労使の間でも労使協議会を設けまして、将来の船員像のあり方、ビジョンというものについて労使が真剣に話し合いを始めております。そういった動向をにらみ合わせながら、特に職員法のあり方というものは、こういった近代化を契機といたしまして非常に変わってくるものと思っておりますが、いましばらく時間は必要ではなかろうかと、このように考えております。
#12
○三木忠雄君 これは大体具体的に、将来の職員像といいますか、技術革新に基づく船員のあり方という問題についての具体的な方向を示すのは、大体いつごろをめどにして考えていらっしゃいますか。
#13
○政府委員(佐原亨君) 先ほど私が申しました航海、機関、無線の壁をなくすというような意味では、すでに昭和四十年に、いわゆる俗に船舶士と称しておりますもので、いままでのパートの区別をなくしました、一人の人が甲板の仕事もするし機関の仕事もする、こういった船舶士構想というものが、すでに答申が出ておるわけでございます。ですから、一応の方向は出ておるものというふうに考えておりますが、まだまだ機器の信頼性に対する不安、それから非常に高度な技術を要することになりますので、教育のあり方も変える必要がございます。それから既存船員が、そういった新しい高度な仕事に対する一種の不安と申しますか、取り残されるというようなあせり、心配、こういったものもございますし、そういったいろいろな意識の転換をはかりながら、再訓練を行ないながらやりませんとなかなかできませんので、はっきりした線が出ますのはまだちょっと、私、はっきりとここで何年先と申し上げることはできませんが、ちょっと時間がかかるように見受けられます。
#14
○三木忠雄君 これは運輸大臣に。やはり外航船舶もそうですけれども、内航船舶についても相当、近代船等もできておるわけです。そういう面で船主の側にしましても船員の側にしましても、新しいやはり希望を持って船員たちが働けるようなビジョンなり――特におかで働く人たちと比べてみて相当なハンディがあるわけです。家庭的にもいろいろな問題を含んでおりますし、こういうことに対して、運輸省としてこの職員に対するあたたかい気持ちといいますか、 こういう方向に持っていくんだというやはりしっかりしたビジョンを早く確立すべきじゃないか、近代化、機械化とともにこの点を考えなければならぬじゃないかと思うんですけれども、この点について。
#15
○国務大臣(橋本登美三郎君) お話のとおりでありまして、従来、海国日本とか、われら海の子というようなことばが、われわれ一般の国民にもよく使われたものでありますが、最近はあまりわれら海の子ということばは使われなくなってしまって、海国日本のほうはまあ一応使われておりますけれども、その点、いわゆる国民総運動としての海に親しむ運動あるいは海を愛する、こういう空気が昔と違ってだいぶ下火になっておるのではないか。ことし実は夏季を利用しまして海をきれいにしましょうと、これは海洋汚染防止法というものを徹底せしめるという意味でもありますけれども、一つには海との親しみ、あるいは海を愛する、こういう思想を高揚したいということからして、目下計画を進めて、六月中の適当な日にこれを実施をしようということになっております。私は、まあことしは間に合いませんけれども、来年あたりやっぱり夏季週間ですね、一週間ぐらいを海を愛する週間といいますか、海に親しむ週間として、そうして船主あるいは海運関係その他、文部省とも協力を願って、しかしながらこれは特殊の問題でありますから、運輸省が中心になって、相当大規模の、いわゆる海に親しむ運動海を愛する運動というものを起こす必要はありゃしないか。こういうバックグラウンドができませんと、やっぱり人間というものは陸上動物でありますからして、海上で暮らすということについてはいろいろの抵抗があるわけであります。今度の内航関係の争議にあたりましても、私の個人的見解でありますけれども、賃金としては必ずしも陸上労務者に比較して悪いわけではないのでありますが、いま三木さんのおっしゃるように、全体の環境といいますか、生活環境からいうと、いわゆる陸上動物である人間が海の中で暮らすということについてはいろいろ抵抗があります。そういう意味において、やはり休暇をふやすといいますか、これはやっぱり重要な問題じゃないか。人間はパンのみにて生きるにあらず、こういう意味からいっても、その方面のことを十分に考慮するようにという非公式な私の見解も述べておいたわけでありますが、まあ幾らかそれがいれられたようでありますけれども、今後ともに、陸上動物でありますからして、やはりある程度陸上で暮らすということの機会を与えてやるということが人間としての環境の上から見ても必要であろうと考えますので、その点は特に考えていかなければならぬと思います。
 同時に、先ほどから御質問のありました長期ビジョンに立って、そこで船だけつくっても船員がなくっちゃ困るじゃないかというお話、ごもっともでありまして、長期ビジョンの上から当然これは計画的に進めていかなければならぬ問題でありますが、同時にまた、技術革新によりまして、たとえばいわゆる内航海運にいたしましても相当コンテナ化等が進むであろうし、あるいはカーフェリー等によっていろんな意味での省力化が進められておりますから、それらを十分に勘案しながら、そこで外航船舶及び内航船舶等の建造をにらみ合わせて、そうしていわゆる計画的に進めていく。まあ船員局長は、需給関係からしてそう心配はないじゃないかという御意見ではありますけれども、いざ足らなくなってからあわててしてもこれは始まらないものでありますからして、したがって、長期ビジョンの上でやはり技術革新等を考慮に入れながらこれを調整していく、こういう必要は当然あると思います。その方針に従って、今後ともに、ただむやみに船員が多くなればかえって労使関係の問題を引き起こしますから、この点も考えなくちやなりませんけれども、長期計画の上において支障なきよう、さような計画のもとに船員養成等についても万全を期してまいりたい、このように考えております。
#16
○三木忠雄君 次に、内航海運の問題について二、三ちょっと伺いたいんですが、外航船舶については、利子補給とかいろいろ優遇策といいますか、とられているわけでありますけれども、特に日本近海あるいは日本国内における内航船舶については、非常に船員の人たちもたいへんなところで実際働いている。それから優遇策といいますか、外航船舶に比べてみると、物価に対する影響力というものは相当、内航海運も持っていると思うんですね。この中にあって、内航船主といいますか、あるいは内航船舶で働いている職員の人たちの現状というものは非常にまずいような状況でないかと思うんですね。この点を今後、運輸省として内航海運育成方針ですね、どういう方向に持っていこうとされているのか。私は、総合交通体系の中に占める内航海運の位置づけというものはまた大きな問題じゃないかと思うんです。また、物価に及ぼす影響というものは、目に見えないいろいろな問題が、内航海運の輸送によって、私は物価抑制策が行なわれているんじゃないかと思うんです。この犠牲を背負っているのは内航海運ではないかというように私も一部考えられるところがあるんじゃないかと思うんですね。この点について、将来、内航船舶に対して運輸省としてどういうふうな処置をとっていくのか、どういう優遇策をとっていくのか、この点についてお伺いいたします。
#17
○説明員(浜田昇君) ただいまの問題でございますが、内航海運は、御承知のとおり四十五年前半ぐらいまでは比較的、毎年一〇%ずつ貨物の輸送量が伸びておったのでございますが、後半から鉄鋼関係の生産調整というようなことから伸び悩みを来たしまして、ことしの一、二月になりますと、前年比で下回るような市況になってまいりました。先生方の御努力で、それらに対します船舶の整備につきましては船舶整備公団で船をつくることにいたしまして、今年は前年比二三%という伸びの予算をとっていただきましたので、それで内航船の船主に対する拡充策を試みておるわけでございます。一方、内航につきましては外航と違いまして、少し出おくれまして、公団にいたしましても五年前から自動化、近代化というようなことを推奨してまいりました。それに対する特別な改造費等も出しまして、目下、内航船の近代化をやっているところでございます。
 いずれにいたしましても、内航につきましては、最近のようなコンテナ化とか、あるいはカーフェリーというような問題もありますし、道路の拡充等もございますので、内航の輸送をいたしております海運界にとりましては非常に問題が累積しております。これにつきましては、何とか船のほうは近代化し、それから船腹の量も調整しというようなことを試みたいと、 こう思っております。
#18
○三木忠雄君 まあ船舶整備公団の融資の比率が少し上がったことは私も承知しておりますけれども、先般も内航海運の船主あるいは船員の何人かと私も話をしたわけですけれども、具体的に専用船の問題が出てくるとか、あるいは元請業者、あるいは何段階かを経て船主に荷物が来るというような問題がありまして、内航船主といいますか、またそこに働いている船員というのは非常に冷遇されているといいますか、それに加えて、物価抑制策の一環として経企庁では、内航海運の料金値上げは当然これは押えられております。そうなった場合に――十三年間ですか、全然これがずっと一定の料金でやられておる。こういう実態を考えた場合に、これは運輸大臣にも伺いたいんですけれども、そういう政府の抑制策といいますか、内航海運に圧力を加えられている、それに対する処置というか、保護といいますか、あるいは何といいますか、援助というか、そういうものが全然、内航海運には見当たらなくて、ただ押えられるだけ押えて、船員もそういうように押えられている、こういう点で内航海運というのはいま非常に行き詰まっている段階ではないか。現在の実情として、この内航船主が立ち上がっていく道は、もう船を近代化し、船員をできるだけ少なくして乗り越えていく以外にないという、こういう結論に達しているわけです。ところが、その融資を受けようとしても、船舶整備公団の融資ワクは限られている、こういう点でどう切り抜けていくかということが私は内航海運としての大きな問題点ではないかと思うんです。そのために、外航船舶に利子補給をしているように、利子の面で、船舶整備公団の融資の利子に対する一定額を削減するとか、いろいろな方法を――内航船舶への融資方法と企業の近代化等に対して運輸省として相当てこ入れをしなければ、いまの船主というものはもたないのではないか、こう考えるんですけれども、この点はいかがですか。
#19
○説明員(浜田昇君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、内航海運として非常に貨物の伸びが過去五年間で約一・五倍ぐらい伸びているにかかわらず、船の伸びもほとんど同じぐらいの伸びを示しております。当然、その程度だとバランスするように見えるんでございますが、先ほど申し上げましたように、石油以外は非常に少なくなりましたので、石油の伸びが二倍ということになりますので、どうしても一般の貨物の伸びが悪くなってまいりました。そのために非常に運賃等につきましても、荷主に強く圧迫されていることについては先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれといたしましては、標準運賃の改定ということで、いま最後の段階にきているところでございます。
 ただ、標準運賃と申しますのは実行運賃と違いますので、本来ですと、船主が当然、荷主と対等でやり合うべきではあるんでございますが、いま先生の申されたように、非常に零細企業でございまして、力も荷主にかないませんので、この点は、私のほうで荷主団体との橋渡しを強力にやって、標準運賃の改定の段階に持ってきております。
 以上でございます。
#20
○三木忠雄君 そこで運輸大臣ですね、この内航海運を総合交通体系の中にどういうふうに組み入れるか、これはどういうようにお考えでしょうか。
#21
○国務大臣(橋本登美三郎君) 総合交通体系については、秋までには大体のところをきめなくちゃならないと思いますが、いま内航海運が苦境におちいっております最大の原因は、この十年間におけるやっぱり陸上交通網の発達、特に道路交通網の発達、トラックの発達によって、かなり荷物が陸上によって輸送がまかなわれてきたわけであります。これが大きな最大の原因である。しかし、昭和六十年といいますか、の時点で考えますというと、国内における物の輸送総量というものは大体四倍ぐらいになるであろう、こう見込まれておるようでありますからして、そういう昭和六十年の時点で考えますというと、道路の整備が進みましても、それだけのものを道路でもってまかなうということは、非常にこれはむずかしくなってまいると思います。そういう意味においては、総合交通体系ということがいわれてまいり、かつまた、政府としてもこれが成案を得ようとしているわけでありますが、そのうち大体四倍程度に出入貨物の総量がふえるとすれば、この何十%が海上輸送に待たなければならぬか、陸上輸送は何十%が適当であるか、これは道路等のキャパシティ等から一応の計算が出てまいるわけであります。いまわれわれこまかい数字持っておりませんが、大体の、従来の経過から見て、相当数量を内航海運に待たなければならぬのではないだろうか。もちろん内航海運といいましても、従来の形とは変わってくると思います。たとえばカーフェリーあるいはコンテナ輸送船、こういうものが新たに加わってまいりましたから、従来の貨物船だけの形式ではない、こういうことが言えると思います。しかし、いずれにせよ、こういうふうな意味でのいわゆる内航海運の整備は積極的に考えていかなければならぬ。
 そこで、従来、現在の状況からいいますというと、内航海運は中小企業が多いために、実際上の陸上交通のスピードアップといいますか、改良に比して、どうしてもおくれがちである。これはまあお話のように資金力が弱いということ、それに対する政府の助成策も十分でない、こういうことも言えると思います。したがって、総合交通体系の上から考えても、内航海運の引き受けるべきパーセンテージ、これをはじき出すことができますれば、それに見合うような近代的な企業への体質の改善、当然にその運用手段である船舶の代替こういうことを積極的に考えていからければならぬ。それに必要な金がどれくらいになるか、かつまた、それが物価等の問題から考えて、単に船主に負担させるだけではなく、それを総合的な意味で国も考えながら負担をしていくといいますか、できるだけ安い資金で船をつくることを考えていくとか、こういう問題をあわせて考えると同時に、中小企業の、一面においては合同、協力化というものを進めてまいらなければいかぬ、こういうようなおおよその観点に立って総合交通体系を進めてまいりたい、こう考えております。
#22
○三木忠雄君 私は、内航海運に対する積極的な政府の助成策ですね、あるいは構造改善ですか、そういう努力をしたところに対する応援といいますか、これは相当考えなければ問題ではないかと思います。これは物価に対する影響というものは非常に大きな問題になってくるんじゃないかと思います。この点は総合交通体系ができてから、いろいろ私たちも検討さしてもらいたいと思っておりますが、特に、内航海運の育成という問題が今後の海運界にとっても大きな問題点になってくると思うんです。
 これと並行して、現在、国鉄が赤字の問題で、いろいろ検討を加えられているわけでありますけれども、一例が、内航海運と国鉄の貨物輸送の問題を私は何点かいろいろ検討してみたいと思ったんです。ところが、内航海運の船主側から言わせてみれば、国鉄は相当、政策割引といいますか、あるいは特定の企業に相当の割引をやっている、こういう関係で、せっかくいい荷主をとっても、一つ一つ食われていく、こういうような傾向が見られるわけです。国鉄の貨物局長――それで、現在の船から国鉄のほうに、まあ数量的なことは急でありますから私はきょうはお聞きしませんけれども、国鉄のほうに荷物が回っていると思うんですね。こういう関係で、貨物運賃の政策割引といいますか、これは農林物資とかいろいろありますけれども、そのほかに貨物局長の権限で割引率を算定できるという、こういうようになっているわけですね。この問題についてはどういう見解になっておりますか。
#23
○説明員(泉幸夫君) 北海道の、国鉄の貨物運賃の割引の問題でございますけれども、北海道から出てまいります大半の物資はいわゆる農産品でございまして、いわゆる政策割引のついた低等級貨物でございます。それに対しまして、私ども、上り貨物といたしましては、特に繁忙期でございます九月から十二月にかけましては輸送力がないということで割引をいたしておりませんけれども、それ以外の比較的閑散期、特に、最近、北海道の消費水準が上がりまして、東京方面から雑貨の下り貨物が多うございまして、それを主としまして、それを最近フレートライナーを中心にいたしましたコンテナによって輸送しております。ところが、上り貨物が雑貨においてはあまりないわけでございますので、そこら辺で安い農産品を何とかコンテナの上りを有効に利用していただきたいということから、政策割引とある程度均衡をとった形で有効に上りのからのコンテナを利用していただくというようなことで、割引をある時期においてはやっておることは事実でございます。
 また、特定の企業というお話でございましたが、私ども国鉄の貨物輸送の機能といたしまして、大量の定型貨物というものは非常にコストの安い輸送ができるわけでございますので、大きな一個列車単位になりますようなものにつきましては、列車単位、列車扱いということで、若干コストに見合う分の割引をいたしておるわけでございます。そういったものは大量の一個列車になるという限られた物資ということでございまして、それも私どもに与えられております権限の中でやるわけでございます。国鉄といたしまして、鉄道運賃法にも、軽微なる運賃の割引については総裁の権限にまかされておりますので、軽微な範囲において私どもも特に地方の実情に即しながら割引しておるのが現状でございます。
#24
○三木忠雄君 具体的に私、事例を申し上げたいんですが、たとえば旭川と釧路からダンボール原紙が送られているわけですね。その会社名は取り上げませんけれども、釧路から運んでいるダンボール原紙の割引率が二八%。ところが、旭川から運んでいる、契約トン数もほとんど同じ数量ですよ、このダンボール原紙が一九%、こういう差があるというのですね、割引が。これは何か特別な理由か、手心を加えなければならない何か点があるのですか。
#25
○説明員(泉幸夫君) 割引の具体的な適用につきましては、地方の鉄道管理局長にまかしておりますので、若干の差異はあろうかと思いますが、私もこの問題について的確に、具体的に承知をいたしておりませんけれども、たぶん旭川の場合と釧路の場合との立地条件の差あるいは輸送事情との関係といったようなことも勘案して、その程度の差ができているんではないかと、かように考えております。
#26
○三木忠雄君 そういうところは私たちはどうも不明確でなかなかわからないんです。これは旭川のほうはおかばかりですけれども、こういう関係で、内航船主が運ばなければならない荷物を特別に国鉄がとるというのですか、そういうために相当なダンピングをし、割引率を上げて、そしてその荷物をとっているんじゃないかという、こういう声も聞こえるわけですね。だから、こういう問題をもう一歩明確に、私企業を圧迫しないように考えなければならない問題ではないかと思うんですね。この点はいかがですか。
#27
○説明員(泉幸夫君) 国鉄全体といたしまして割引対象になっております量というものは微々たるものでございまして、金額で申しますと一%強の程度でございます。それぞれの地区の実情に応じまして、先ほど申し上げましたように、上りの空車が非常に多い、下り貨物はあるけれども、上りの空車を何とかしなければいかぬ、あるいは季節的に非常に閑散期であるといったような、あるいは列車単位では非常にコストが安くできると、そういった場合に、それぞれの実情に応じて、その程度の幅の中での運賃割引というものを管理局長にまかしておるというのが実情でございます。
#28
○三木忠雄君 こまかな問題、今後ずっと著詰めてみたいと思っているんですけれども、たとえば同じ地域の乳業メーカーから出している品物についても割引率がずいぶん違うんですよ。たとえば釧路から出ている乳製品は、貨物の輸送量が違うとか、いろいろな理由をすぐ言われるのですけれども、あまりにも、こんなに違い過ぎるという、あるいはまた、大手企業と中小企業との割引率が、荷物量も違うんでしょうけれども、そういう点であまりにも格差があり過ぎるということですね。こういう点はもう少し改正すべきじゃないかと思うんですね。あるいはリストを国民がもっと納得のできるような方向でわかるようにしたらどうかと思うんですけれども、この点はいかがですか。
#29
○説明員(泉幸夫君) 運送料金につきましては、鉄道営業法でも公示するように指示されておりますので、私どもそれぞれの駅に国鉄内部の規定によりまして一応公示するというたてまえにいたしております。ただ、特定の荷物でございますので、旅客運送とは違いますので、そう大々的にどなたの目にも見えるという形ではございませんけれども、いつでも供覧できるような形において整備をして、どなたにもおわかりいただけるという体制をとっておるわけでございます。
#30
○三木忠雄君 まあ国鉄専門じゃありませんので長くやりませんけれども、具体的に内航海運が国鉄等の輸送によって相当圧迫が加えられるという声を各所に聞くわけです。これは何かというと、やはり特定企業に対する割引とかあるいは専用船の問題とかいろいろ出てくると思いますけれども、やはりもう少し貨物運賃の割引等については検討を加えなければならないんじゃないか。この点は国鉄当局としても、赤字財政の中でもって、言いのがれではなしに、もっと国民が納得のできる線でこの貨物運賃の割引というものを検討を加えなければならぬじゃないかということを私は申し上げておるのです。このことによって中小船主等が圧迫されないようにこの点は考えなければならないと思うんです。こういう点を国鉄当局として、私はもう一ぺん考え直していただきたいと思うんですね。これは一つ要望です。今後またこの国鉄の赤字問題についていろいろ検討を加えるときに私は具体的に進めていきたいと思っております。
 最後に運輸大臣、国鉄あるいはトラック等に相当内航船舶等が荷物を持っていかれる、運輸大臣の六十年までのいろいろなビジョンは聞きましたけれども、もう少し、何年ごろまでに、どういう体制で、船員の養成等も含めてこの内航海運を充実さしていくという、その根本的な方針を私はお聞かせ願いたいと思います。
#31
○国務大臣(橋本登美三郎君) 基本的にはやはり貨物総量とにらみ合わして、どれぐらいの船を確保すべきかという点の具体的調査検討が必要と思います。その上に立って、現在のいわゆる古い船というものはどこまで整理されるべきかということによって必要トン数が出てまいりましょうから、その必要トン数をどういう形でもってこれを確保するか、もちろんこれは開銀の資金なり等を十分に考えていかなければならぬと思います。はたして外航海運にやっているような利子補給の制度が必要かどうかの問題もありましょうけれども、それは運賃等の関係から十分に検討を加えなければなりませんが、少なくとも国の金を使う道を考えるという点では、積極的にこれの対策を講じてまいりたい。
 第二の、船員の確保ですが、船員の確保につきましても、いま申しました前提に立って、どの程度のものが必要か、それによって船員学校等の整備拡充あるいは再教育の問題、職業教育の問題等を考慮に入れながら、いわゆる長期ビジョンの上に立って積極的な施策を講じてまいりたい、かように考えております。
#32
○委員長(鬼丸勝之君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○委員長(鬼丸勝之君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(鬼丸勝之君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 船舶職員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#35
○委員長(鬼丸勝之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 村尾君。
#36
○村尾重雄君 私は、ただいま可決されました船舶職員法の一部を改正する法律案について、船舶航行の安全確保の見地から、この際、皆さまのお許しを得て、本法律案に対して、自民、社会、公明、民社の各党及び第二院クラブの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
   船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、船舶航行の安全確保に資するため、左記事項について措置すること。
       記
 一、本法施行により、船舶通信士の雇用の安定が阻害されることのないよう配慮すること。
 二、近海区域のうち第一区以外の区域に就航する船舶の通信長の配乗については、安全に支障のないよう適切な指導を行なうこと。
 三、船舶通信士の需給の円滑化を図るため、その計画的な養成を推進するとともに、再教育の体制についても十分な配慮をすること。
 四、一定の乗船履歴を有する第二級無線通信士が上級資格の試験を受ける場合は、試験の免除範囲の拡大について配慮すること。
   右決議する。
 以上でございますが、賛成いただきますようお願いいたします。
#37
○委員長(鬼丸勝之君) ただいま述べられました村尾君提出の附帯決議案を議題といたします。
 村尾君提出の附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#38
○委員長(鬼丸勝之君) 全会一致と認めます。よって、村尾君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対して橋本運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本運輸大臣。
#39
○国務大臣(橋本登美三郎君) ただいま法案の御審議、御採決をいただきまして、心からお礼を申し上げます。
 なお、ただいま満場一致をもってつけられました附帯決議につきましては、本法施行にあたりまして、当委員会の審議の経過等にかんがみまして、また、当委員会において附帯決議がなされました経緯等に照らし合わせまして、この趣旨を十分に体し、一部、運輸省所管外のこともありますので、関係の向きとも緊密なる連絡をとって、万全を期してまいる所存であります。ありがとうございました。
#40
○委員長(鬼丸勝之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(鬼丸勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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