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1970/03/18 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第2号
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1970/03/18 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第2号

#1
第065回国会 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第2号
昭和四十六年三月十八日(木曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十八日
    辞任          井川 伊平君
 三月六日
    辞任          剱木 亨弘君
 三月十八日
    補欠選任        井川 伊平君
    補欠選任        矢野  登君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大矢  正君
    委 員
                川上 為治君
                矢野  登君
                山本敬三郎君
                阿具根 登君
                上林繁次郎君
                須藤 五郎君
   政府委員
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部長  阿部  茂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部炭
       政課長      左近友三郎君
       通商産業省鉱山
       石炭局石炭部産
       炭地域振興課長  中井 富男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大矢正君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開会いたします。
 小委員の異動について報告いたします。
 本日、欠員中の小委員の補欠として井川伊平君、矢野登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大矢正君) 産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、補足説明を聴取いたします。石炭部長。
#4
○政府委員(阿部茂君) 産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法律案の提案理由及び要旨につきまして、補足御説明申し上げます。
 本法律案は三つの部分に分かれております。
 その第一は、産炭地域振興臨時措置法の一部改正でありますが、同法は、石炭鉱業の不況による炭鉱の閉山が、ひとり当該炭鉱の従業員及びその家族にとどまらず、炭鉱を中心として形成されてきた地域の経済、社会に急激かつ深刻な影響を及ぼすことにかんがみ、炭鉱の閉山により疲弊した産炭地域において、石炭鉱業にかわる鉱工業等の急速かつ計画的な導入により、当該地域を新たな経済、社会活動の場として再生発展させることを目的として、わが国の石炭鉱業がいわゆるエネルギー革命の中で次第に長期不況の性格を強めてきた昭和三十六年十一月に制定ざれたものであります。同法は、当初五年間の臨時措置法として成立し、その後、昭和四十年に五年間延長されて、本年十一月十二日をもって、その効力を失うこととなっております。
 産炭地域につきましては、法の制定以来、同法を基礎として、国及び地方公共団体において、産炭地域振興計画の策定、道路、港湾等、産業基盤の整備、産炭地域振興事業団による企業の誘致、公共事業の補助率引き上げ等による地方財政の援助、住宅、学校の建設等、生活環境の改善、その他各般にわたる産炭地域振興のための諸施策を展開しているところであります。
 このような施策の推進により、産炭地域においては、昭和三十七年以来、約八百にのぼる企業の進出を見る等、石炭鉱業にかわる鉱工業等の振興が着実に進んでおり、一部の比較的立地条件にめぐまれた地域においては、炭鉱の閉山による疲弊に対処して当該地域の経済的、社会的回復をはかるという法の目的が、次第に達成されつつあります。
 しかしながら、産炭地域は、これを全体として見れば、これまでの施策の推進にもかかわらず、過去における閉山の累積、特に、ここ一両年の間における著しい閉山の進行により、依然として著しい疲弊状態から脱却するに至っておりません。地方財政の窮迫、多数の生活保護者の滞留、老朽化した炭鉱住宅街の存在等、産炭地域の経済社会の回復のため解決すべき諸問題は、なお山積している状態にあります。
 このような産炭地域の現状にかんがみ、また今日石炭鉱業が置かれているきびしい状況を考慮して、政府といたしましては、産炭地域振興臨時措置法の有効期間を、この際、さらに十年延長するとともに、石炭対策の重要な一環として、同法を基礎とする産炭地域振興の諸施策を、今後とも推進していく必要があると考えている次第であります。第二は、電力用炭販売株式会社法の一部改正であります。
 電力用炭販売株式会社法は、昭和三十八年七月に制定された電力用炭代金精算株式会社法をその前身とし、その後、同法について昭和四十年に全面的改正が行なわれて今日の形となっているものであります。
 電力用炭販売株式会社の主たる業務の第一は、電力用炭の購入及び販売の業務であります。御高承のとおり電力用炭は一般炭の大宗をなすものでありますが、電力用炭販売株式会社は、電力用炭について、同社が一手にその購入及び販売を行ない、かつ、その価格を通商産業大臣が定めることとすることによって、電力用炭の価格の安定と需要の確保、供給の円滑化に資することにおいて、重要な役割りを果たしております。
 電力用炭販売株式会社の主要業務の第二は、近代化石炭専用船の運航、その他石炭運送船の配船調整の業務であります。石炭鉱業合理化事業団の近代化資金及び船舶整備公団資金の協調融資によって、昭和三十七年度から四十年度までに建造された近代化石炭専用船については、電力用炭販売株式会社がその運航業務を行なっており、また、その他の石炭運送船につきましても、同社が委託を受けて、その配船の調整を行なっており、流通の合理化に果たす役割も、また大なるものがあります。
 電力用炭販売株式会社は、このような電力用炭の価格の安定及び需要の確保、石炭の流通の合理化等に果たす役割りを通じて、政府の石炭対策の遂行に重要な寄与を行なってきましたが、同法の成立当時においては、電力用炭の長期引き取り体制の確保について、昭和四十五年度がその一応の目途となっていたことから、本年三月三十一日が法の廃止期限となっております。しかしながら、石炭鉱業の現状にかんがみれば、電力用炭の価格の維持と需要の確保、その他石炭の流通の合理化のため対策を講ずることの重要性は、近年ますます増大してきており、このため電力用炭販売株式会社の機能を活用する必要は、今後いよいよ高まるものと考えられます。これが、今回同法の廃止期限を現行第四次石炭対策の計画期限たる昭和四十八年度末まで延長することとしている理由であります。
 本法律案の最後の部分は、通商産業省設置法の一部改正であります。その内容の一つは、産炭地域振興審議会の存置期限の延長であります。同審議会は、産炭地域の振興に関する重要事項を調査審議するため、昭和三十六年度に通商産業省本省の付属機関として置かれたものでありますが、これについて、最初に申し上げた産炭地域振興臨時措置法の有効期間の延長に合わせて、その存置期限を十年延長することとするものであります。他の一つは、臨時石炭対策本部の存置期限の延長であります。臨時石炭対策本部は、九州地方の産炭地域において生ずる石炭問題に関する対策の迅速かつ適確な実施を推進する機関として、昭和三十八年度に福岡市に設置されたものであります。同本部は、福岡通商産業局長を本部長とし、関係各省の地方出先機関及び関係地方公共団体の職員を本部員として、閉山対策、離職者対策、鉱害対策等の石炭対策の、現地における迅速かつ適確な処理につとめてまいりました。政府といたしましては、石炭鉱業の現状にかんがみ、今後とも同本部の存置が石炭対策の円滑な処理のため必要と考えており、現行の第四次石炭対策の計画期限たる昭和四十八年度末まで、その存置期限を延長することとしている次第であります。
 以上簡単ではありますが、法案の提案理由及びその要旨につきまして、補足御説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりたく、お願い申し上げます。
#5
○委員長(大矢正君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○阿具根登君 産炭地域振興臨時措置法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明を聞いたのですが、実はこの質問に入る前に、石炭の現状及び将来の見通し、あるいは今次石油の価格引き上げによる日本のエネルギー対策の姿勢、そういうものを質問しなければこれに入っていけなかったわけです。しかし大臣がお見えでありませんので、これは次に質問することにいたしますので、委員長のほうでお取り計らいを願います。
 それでは最初に、石炭部長もおいでですから、つい最近話題になっております日炭高松の問題、さらには常磐炭礦の問題さらには住友石炭株式会社の問題等の現状の報告を願い、それから質問に入っていきたいと思います。
#7
○政府委員(阿部茂君) ただいま阿具根先生より御質問のございました日炭高松及び常磐炭礦の最近におきます閉山問題、及び伝えられます住友石炭鉱業の最近の苦しい状況等につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。
 日炭高松炭礦につきまして、去る二月十八日に会社が労働組合に対しまして閉山の提案を行なって以来、主といたしまして退職金の支給額をめぐって労使間の折衝が続けられてまいったのでございますが、昨日午後おそくなりましてようやく解決することに相なったのでございます。すなわち当初会社側の提示額と労組側の要求額との間にかなりの差がございまして、労組側は二月二十七日以降無期限長期ストを行なっていたところ、三月十三日になりまして会社側が行ないました上積み回答を中心に労組側が種々代議員大会等でこれを審議いたしました結果、昨十七日の組合員の全員投票を行なったことを最後といたしまして、円満に事態の収拾、解決を見るに至った次第でございます。一方、石炭鉱業合理化事業団が交付することとなりますところの閉山交付金につきましては、その額が先般五十億八千万円ということで会社側にすでに内示いたしたのでございますが、その中で、先生も御存じのように優先的に留保いたされます六六%の労働債務、賃金債務でございますが、これによりましておおむね三十三億強の退職金を主とする労務債に対する資金源に充てることができたのでございまして、その他、鉱害賠償債務、一般債務等の処理計画をただいま会社側が中心となってこれを検討いたしておるところでございます。ただいま会社側から聞いている段階では、いずれこれらを円満にすべて終わって四月三日に会社が解散する、かように聞いておる次第でございます。
 次に常磐炭礦でございますが、去る一月二十四日に会社が労働組合に対して閉山提案を行なった次第でございます。これはすでに御承知かと思いますが、日炭の場合と違いまして全山閉山ではございません。磐城礦業所と茨城礦業所と両方がございますが、磐城礦業所のほうの東部坑の全部及び西部坑の一部を閉山しょうという計画でございますが、出炭量及び従業員の数等から見ますと、きわめてその占めるウェートは高くなる次第でございまして、従業員の数でおよそ四千九百人の方が今回この閉山の対象となるわけでございます。自来退職金の支給額をめぐりまして労使間の折衝が続けられてまいったのでございまして、いろいろとその間四十八時間ストが三月十二日及び十三日の二日間にわたって行なわれ、さらに労使の間で鋭意折衝が重ねられてまいったのでございますが、実は本日の早朝四時半に至りまして労使の間でようやくその退職金の全額について仮調印妥結を見るに至りまして、今朝の一番方から、計画されておりました無期限ストというものへの突入が一歩寸前のところで円満に解決された、こういう状態でございます。今後なお、この総額約八十七億強の退職金等の支給方法等につきまして、労使の間で第二段階の折衝が続けられることとなるように、けさほど私どものところに報告がございました。
 最後に住友石炭の最近の状況につきまして簡単に申し上げたいと思います。住友石炭は、ただいま申し上げました日炭及び常磐炭礦とは事情が異なりまして、前二者が主として一般炭でありかつサルファが非常に高いために、最近の公害規制を強く受けて閉山を早めるのやむなきに至ったという事情とはだいぶ趣を異にいたしておりまして、住友石炭の場合は、その六割近くを原料炭で占めておる、言うなれば原料炭山でございます。原料炭につきましては、すでに御存じのとおり昨年十一月に出されました石炭鉱業審議会体制委員会からの中間答申におきましても、今後わが国の原料炭の占める位置及びその評価について、かなり高い評価を与えているのでございまして、わが国内石炭鉱業が今後進むべき道は、やはりこの原料炭を中心として進むことになると申し上げても大局的には間違いはないのではないかと思うわけであります。その意味で、この住友石炭がただいま経営的に、かつ資金的に非常に苦しい状況にあることは事実でございますが、何とかこの問題を早急に解決いたしまして再建の道につかせたいと、かように政府は考えておる次第でございます。この問題は、一に住友石炭の問題にとどまらず石炭産業全般に通ずる問題を含んでいると、こう申し上げても過言ではないかと思うのでございます。したがって政府といたしましては、当面住友問題の解決に全力をあげるつもりでございますが、その解決を通じまして、これにつきましては単に政府が力を入れるというだけでは問題の本質的解決にはなりませんので、何と申しても、まず会社が、労使を含めて、この際みずから最大の努力をする、こういうことを会社側にもただいま要請いたしており、また、その会社に関連するいろいろな金融機関等々にもその協力を要請いたしておりまして、今後いろいろな角度から早急にこの対策を立て、早く解決の道を発見したいと、鋭意ただいま検討を続けておる次第でございます。
 簡単でございますが、三点につきまして概況を報告申し上げました。
#8
○阿具根登君 日炭高松にしましても、常磐にしましても、これは地方炭鉱の大手筋です。名門炭鉱です。何十年来と続いてきた歴史のある炭鉱です。これが今日閉山しなければならなかったということにつきましては、非常にいろいろと意見もございますが、まあ労使間で話し合いがついたということになれば、これ以上ここで追及することでなくて、ただ、まだ地方的な問題が残ってくると思います。特に常磐等におきましては、私はもっと多くの疑問を持っております。御承知のように、ガスの問題は一体どうするのか。あるいは湯の問題はどうするのか。炭礦が数十年前に買い取った鉱区の中から湯が出てきた。その湯の権利まで炭鉱が今日も持ち続けており、今後も持ち続けておっていいものかどうか。湯は一体だれのものなのか。そういう点、ひとつ解明をしておいていただきたい、かように思います。
#9
○政府委員(阿部茂君) ただいま阿具根先生から御指摘のとおり、常磐炭礦問題につきましては、坑内から湧出いたします温泉の問題がございまして、片やメタンガスが発生して地域の都市ガス及び周辺の工場のガス源として供給されてまいったのでございます。特に温泉の問題につきましては、すでに長い歴史を持ってあの地域がかなりの温泉観光都市として栄えており、この地域の経済を支えている等からかんがみましても、これはきわめて地域問題として重要であるという認識を私どもも持っております。したがいまして、実はこのたびの閉山の決意につきましても、当初、会社の経営者は磐城礦業所の全山閉山を決意したのでございますが、この温泉の問題を主として意識いたしまして、一部閉山に途中から方針を切りかえたのでございます。私どももこの問題につきましては、やはりそういう段階的閉山のほうが地域経済に与えるショックが少なくて済む、こういうふうに考えましたので、その方針を強く支持してまいった次第でございます。したがいまして、当面は東部坑の閉山を四月末でいたしましても、五月以降なお西部坑が別会社の形で稼動を続けることに相なっておりますので、温泉の供給につきましては直ちに問題が生ずるということはなかろうと推定しておる次第でございますが、何ぶんにもこの問題は、先生御指摘の趣旨を体しまして、会社が地域の関係機関とよく心からこの問題について納得のいくように話し合って、問題の円満な解決を長期的にはかるように指導してまいりたいと思う次第でございます。なお、ガスにつきましては、いささか湯の場合と違いまして、供給面で支障を生ずることに相なろうかと思いますけれども、この問題は当省の公益事業局のほうで所管しておりますいわゆる都市ガス行政と非常に密着しておりますので、公益事業局のほうとよく連絡をとりまして、そちらの行政指導、方針を尊重して、いろいろと私のほうもできる限りの側面援助をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#10
○阿具根登君 その温泉の問題で私が基本的にお尋ねしたいのは、温泉というものは炭鉱のものなのか国のものなのか住民のものなのかという問題なんです。これが五十年も六十年も前に、膨大な資本をもって常磐炭礦が坑内を採掘した。そのために湯がそのほうに流れてしまった。しかし、その賠償はおそらくその当時行なわれておって、それで今日まできたものかと思うのですけれども、逆にこれが炭鉱がなかったならば、現在の常磐はもっと大規模な私は温泉として栄えておったはずだと思うのです。そうすると、その責任は一体だれがとるべきか。炭鉱がなくなったから、だから一ぺんに炭鉱が引き揚げてしまえば困るだろうということで、これを少し残して市に湯を供給するというような考え方そのものが、私はおかしいんではないかと思う。そうすれば、この炭礦というものは、遠からず残った炭礦も閉山必至です、これは。おそらく五年も十年もの計画はだれも持っておられないと思うのです。法の趣旨からも反すると思うのです。そうすると、湯のためにこれの一部を残して、そうして、閉山を食いとめたと言いながら、これは近々二、三年のうちには必ず閉山される、そうした場合に、だれが湯の責任を持っていくのか。もう一つ極端に言えば、常磐炭礦が第二会社としてつくった観光施設、その施設が湯の大半を使っておるからこれをつぶすわけにいかないという会社自体の考え方もそれにあると思う。ということは、会社、企業のことだけ考えて、市民のことは考えておらないんだ。もう一つ極端に言えば、湯は坑内でわれわれが掘って出したのだから、その使い余りの捨て湯をお前らはかってに使ってよろしいというような考え方で市へ湯を供給されておる、こう私は聞いておるのです。その考え方は正しいのかどうか。根本的な問題。天然に噴出してきたであろう湯を、坑内を掘っているためにそれが坑外に上がってこなかった。これを今度は炭鉱水として揚水したその揚水の恩恵にあずかっておるのが市民だというように、非常なさか立ちもはなはだしい考え方が会社にあるのではないか。こういうような考え方になってしかたがない。そうしますと、現在十数軒の旅館その他で栄えてはおるけれども、そうでなかったならば、東京の近距離にある常磐が、もっともっとこれは観光地として、あるいは温泉地として発展しておったに相違ない。私はこう思うのですが、いかがですか。
#11
○政府委員(阿部茂君) 阿具根先生の御指摘の地域経済とのいろいろなこの温泉をめぐる関係につきましては、おそらく私どもの知らないいろいろな経緯もあったんではなかろうかと思うのでございます。しかし、何ぶんにも温泉につきましては温泉法という法律がございまして、厚生省が所管しておられることは先生も御承知のとおりでございます。したがいまして、温泉の採掘、温泉の利用、あるいはその給湯等につきましては、温泉法及びその他一般の民法上の私契約のいろいろな問題が、その間に、過去の経緯をさかのぼっていきますと、出てくるかと思うのでございますが、はなはだ遺憾ながら私どもの石炭行政の中におきまして、この問題を従来十分沿革的にも勉強不十分の点がございまして、承知していないのが実情でございます。したがいまして、今後御指摘のような点につきましては厚生省とも早急によく連絡をとり、私どものほうとの関係部分につきましては十分いろいろ誠意ある解明なり指導もしてお手伝いしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#12
○阿具根登君 基本的な問題の解明ができないようですから、これも後日に譲りますが、かりにこういうような場合、産炭地域振興事業団がここに土地を造成し、企業を誘致するというようになるならば、どういう経過になりますか。
#13
○政府委員(阿部茂君) 産炭地域振興事業団は現在もこのいわき市を周辺とする地区を、その大部分は六条地域にも指定しておりますし、またその他地域は二条地域になっておりまして、従来とも土地の造成あるいは誘致企業に対する設備の融資等を行なってまいっております。特に、今回のような約五千名に近い離職者を発生させる最近にないまれに見る大規模閉山でございますので、当然のことながら産炭地域振興事業団をして、その立地条件等から見て妥当な計画である限りは、土地の造成につきましても、企業の誘致、それからくる離職者の再雇用促進等の効果を十分勘案して、できる限りの事業の推進ということをやってまいるように、すでにいろいろ検討をしておる次第でございまして、現に地域の団体、市、関連市町村等からいろいろなすでに要望等が持ち出されてきております。また私どもは、こういったことにつきましては、一通産省だけでない多角的な問題が多うございますので、関係各省会議というものを定期的に持つことに従来なっておりますけれども、このたびにおきましても、すでにいち早く一月ほど前、常磐炭礦閉山予定に対する産炭地域振興対策についてという特別の議題で、関係各省約十省ほどに集まっていただきまして、いろいろな具体的問題をすでに想定して御協力を願う段階に入っておる次第でございます。なお、産炭地域振興課長をすでに半月ほど前現地に派遣いたしまして、いろいろ地域の実情等も調査さしておる次第でございます。
#14
○阿具根登君 まだこの結論は早計かもしれませんけれども、まあ東京に近いところでもあるし、特に常磐というところは山の奥でもないし、非常に便利のいいところでもあるし、相当な企業が誘致されると思うんです。そこで、概して炭鉱というものは非常に山に近いところが多くて、そして便利の悪いところが多い。鉱山になればもっと奥のほうですけれども。そうすると、いわゆる誘致される企業というものがほとんど中小企業の小か零細と、こういうもので、それでそこに使われる従業員という者は娘の子か未亡人、こういう人たちに非常に零細な賃金で仕事をさしておる。こういうのが問題を非常に起こしておるところがあるんです。最近は相当よくなりましたが。そういうことにかんがみまして、常磐等は一番地域的にも炭鉱の中ではいいところである。相当有望な企業が誘致されると思うんですが、何かそれに対する考え方があるかどうか。どういう企業を考えられておるか。
#15
○説明員(中井富男君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の常磐地域、お示しのとおり東京に近うございまして、まあ首都圏の近辺と申しますか、そういった関係でございまして、したがいまして、従来とも企業につきましては比較的中核企業的なもの、あるいはすそ野の広いかなり資本力のしっかりした企業が、従来からあの周辺には張りついているわけでございます。ただ、今回の常磐炭礦の大規模な閉山に伴いまして、あれだけの従業員をいかにして吸収してまいるか、これは非常に重大な問題でございまして、私どもといたしましては、先ほど先生から御質問のございました土地の造成の問題ともからめながら、できるだけ中核的な企業、従来のように女子労働力を中心といたしました中小企業でないような、そういった企業の誘致をはかってまいるということで、現在通産省の中におきましても、いろいろな原局がございますが、そういった局とも連絡をとりながら、いろいろと方策をいま検討している次第でございます。
#16
○阿具根登君 そこで、住友の問題ですが、部長が言われましたように、私も住友の問題がこのまま閉山に通じるということになったならば、石炭政策は全部これは私はばらばらになると思うのです。しかし伝え聞くところによりますと、六十五億からの赤字がある。その中には貯炭の十五億等もありますから、実質的な赤字は四十億から五十億のものだと思うのです。思うのですが、しかしこれをどうして政府は見ていかれる考え方なのか、また、それだけの赤字を肩がわりなら肩がわりすれば、あるいは融資あっせんなら融資あっせんをやれば、その後はいけるのかいけないのか。いけないとするならば、一体何がいけないのか、たとえば能率が悪いとか、そういうことになってくればまた別です。しかし私どもの調査では、能率がこれ以上ということは非常に不可能だ、とすれば、一体何なのか、今日住友がいけないようになった元凶は何なのかという問題を伺いたい。
#17
○政府委員(阿部茂君) 住友石炭問題についての阿具根先生の御質問につきましてお答え申し上げます。
 ただいまお話の中に六十五億の赤字云々という点がございましたが、正確に申しますと、いま会社の社長が各方面に資料をつくっていろいろその応援方について、陳情等に回っておられます資料に出ておる数字かと思うのでございますが、実はこの六十五億というのは、その資料によりますと、四十六年度一年間におきます損益の赤字ではございませんのでございまして、資金の不足額と、かように書いてある次第でございます。もちろんその資金不足を生ずる大きな原因の一つに、損益の面の大きな損というものの見通しが含まれているのは事実でございます。
 そこで、御質問の点でございますが、何がかような悪い経営状態に追い込んだのか、その原因は何であるか、こういう御質問でございますが、確かに御指摘のとおり能率はかなりいい点にまでいっております。もっとも住友石炭の中に、赤平、歌志内、奔別と三山ございまして、一がいにすべてがいいというわけではございません。それぞれの違いはございます。しかしかなりいいところにまできていることも事実でございます。そこで、しからば何が悪いのか、こういうことになってまいるわけでございますが、そのまず第一に考えられるのは、奔別炭鉱の深部移行、しかも従来浅部におきます一般炭開発から、日本でも最も深いマイナス千百メートルレベルでの深部の原料炭開発へと、昨年の四月以降これを切りかえているわけでございますが、これの切りかえがやはり数カ月計画よりおくれておる。したがってそれが出炭量等にはね返っておるということが一つの大きな原因かと思うのでございます。その他にも赤平鉱等におきましても、これは石炭山の一般的傾向でございますが、なかなか自然条件が当初予想したとおりにはまいらないので、あるいは断層が出たり、あるいは機械化を思うとおりに促進させるのを自然が妨げたりというような原因で、これまた生産面で赤字の原因になっていることが第一点かと思います。それから第二点の原因でございますが、住友石炭は他の石炭会社に比べまして、かなり大きな過去の累積赤字債務を負っておるのでございます。特にいろいろな各種未払い。その中には退職金等の未払いが大きゅうございますが、そのほかにもあるいは資材関係の未払い、あるいは関係のリーダーつまり石炭を売る同業の商社等に対する石炭代金の前受けというようなかっこうでの異常未払い等が累績して相当な額に相なっておるのでございます。
 したがいまして、今後の解決方策といたしましては、何といたしましても第一は早く奔別鉱、特に奔別鉱が当面の問題でございますが、その他赤平、歌志内各鉱につきましても当初の計画に出炭を追いつかせるということが何よりの第一点の重要なことかと思います。それからまた第二といたしましては、この異常未払い等につきまして、いろいろひとつ抜本的な対策をこの際考えませんと、かりにこの昭和四十六年度は何とか対策を講じて乗り切ったといたしましても、将来四十七年度以降にそれに近いような現象を引き起こす可能性が、いまのままではたいへん強いのでございます。したがいまして、この際は政府も当然そうでございますが、まず会社自体、それには経営サイドも労働サイドも含めまして、すべてこれに抜本的な将来のビジョンというものをひとつ考え直して見る必要がなかろうか。さらにはこの住友石炭に対する関係の深い金融機関等々のいわゆる住友グループのこれに対する理解ある協力をより一そう強めていただく、こういうようなことをあわせ考えることによってこの異常な経営の困難を打開するよりほかに方法はないと思う次第でございます。
 大体さように当面考えて毎日、連日検討を続けておる次第でございます。
#18
○阿具根登君 部長が言われるように、まあ御承知のように石炭というものは一般の化学工場とか機械工場のようにぴちっと一定の計画に沿って、そして製品が出てくるというのじゃないんです。坑内においては水があり、ガスがあり断層があり、当然こういう障害はどこの炭鉱でも出てくるものなんです。それがこのままのことでいけないようになったということは、政策そのものに私は矛盾があるのじゃなかろうか、かように思うんです。たとえば今度も一月から二百五十円、四月一日から五百円にまあ原料炭は上げてもらう。この炭鉱は原料炭山ですが、しかし五百円上げても原料炭が六割で一般炭四割出ておるとすれば、掘る従業員というものは原料炭であろうが一般炭であろうが同じ危険の中で同じ労働力で働いておって、おまえは原料炭を掘っているから賃金が高い、おまえは一般炭だから賃金は安いということはできないのです。そうすると、出てくる問題というものは、おのずから五百円上げてもらっても三百円、たかだか三百五十円なんです。そうすると現在いま賃金の闘争もやられておるが、これがかりに一三%上がったとしても三百五十円ではどうにもならない。おまえたちはそういう悪いところで賃金なんかしんぼうせいと言ったら、坑内で働く人間はおりません。机にすわってても十万からの金を取っておるのが現実です。いま坑内で十万円取っている人はない。そういう人たちに賃金上げないと言ったら倒産してつぶれてしまう。だから当然のものとして賃金を上げていかなければならぬ。ところが五百円上げてもらって、五百円上がった、こういっても、ただいま申し上げますように、一般炭と込みにすればこれは賃金の上昇率に及ばないくらいの値段なんです。そうすると宿命的にこういう赤字でやっていかなければならないということになっておる。それなら日本に石炭は要らないのかというふうになってまいりますと、皆さんのエネルギー対策を見てみても、昭和六十年度まで三千七百万トンの石炭は要るということを計算されておるし、外国からすでに昭和五十年になったならば二億トンからの石炭を輸入しなければならない、こういうふうな状態の中において、いまほんとうに石炭の問題を考えなければ、私は石炭そのものが政府が言っているようにならなくて、石炭そのものが全部私は倒れてしまう、こういうふうに思うわけなんです。いま油がちょっと値上げしたから、日本は四十五日分しかないから六十日分をと、わいわい言って騒いでおる。しょせんは外国から輸入する、外国の力によってどうなるかわからない。それならば幾ぶんでも日本の国産の資源をほんとうに大切にし、ほんとうに生きるようにしてやらなければ、いつまでたっても、日本は一つ大きな風が吹けばびくびくしなければならないような、他国本位の経済、資本はアメリカに依存し、原料はアラビアその他に依存しておいて、そしてちょっと原価が上がったということになれば全部国民の負担にするか、あるいはそうでなかったならばストップになる。こういうような、まるでびくびくしたような経済の中に立って、そうして日本古来の石炭は、このままのことでは原料炭山がつぶれなければならぬ、こういうようなところに私は非常に矛盾があるのじゃなかろうか。そもそも第一次石炭政策の出たときに、物価はどんどん上がっていっているときに、物価を押えるために千二百円のダウンをした。石炭を千二百円引きした。そのかわり政府が赤字を見てやる、そうして日本の経済を立て直さなければならぬ、いろいろ食いとめなければならぬ、こう言ってやってきたのが石炭政策なんだ。そのころから競争でいっておったならば、曲り角はあったかもしれないけれども、いまくらいの山は残っておったと思う。そうすると石炭は相当な価格であったと思う。あるいは競争でもの足りないかもしれませんけれども、しかし、いまのままでいくならば、結局はそういう道をたどるのじゃないだろうか、そうして今日の状態から見てみても、石炭というのは何かやっかいものを背負っておるように、石炭部長はそうじゃないけれども、これは石油関係から見たり、あるいは輸入業者から見たり、あるいは今度石油を実際やっている業者の方々から見たりするならば、何か石炭はやっかいものみたいな考え方があるのじゃないか、こう思うのです。そうすると、ここでもう一度考え直してみなければならない、私らがいつも石炭対策委員会、あるいは皆さんとお話しする場合でも言っておりますのは、石炭のなだれだ、なだれ現象がくるのじゃないか、必ずこうなるということで植村構想なんかにも賛意を表しました。日本の石炭は三分割しなければならないとか、一つの石炭会社にしてやっていかなければならないというような植村構想さえ出たことがあります。それも政府は全部否定してきて今日の状態をつくったわけなんです。いまでもこのままでいけば、もうこの住友一つ倒れれば、連鎖的にこれはおそらく企業をやる人が意欲を失うだろうし、働いておる労働者が、将来に対する魅力を失ってしまう、私はそう思うのです。だからここで何かもっと原料炭山あるいは一般炭山でも、もうこれ以上はつぶせないのだ、そのためにはどうするのだというやつをひとつ考えておらなければおかしいのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
#19
○政府委員(阿部茂君) ただいまの阿具根先生のお話の中で、原料炭につきまして、すでに御承知のとおり、昨年鉄鋼、ガス等の需要家さんから五百円上げていただきまして、片や一般炭は、電力用炭が昨年、期の途中から二百五十円上げていただいておる次第でございます。本年に入りまして、最近また一段ときびしい情勢にかんがみまして、石炭業界と鉄鋼業界との間に本年もまた御指摘のとおり原料炭については五百円トン当たり炭価を上げる、こういう大体の了承の線ができているように聞いております。この問題を、いま問題になっております住友石炭にかりに適用いたしますと、いま、少しかたく踏んで五割が原料炭であるといたしますと、御指摘のとおり原料炭五百円の炭価アップは、全般にならせばトン二百五十円程度の炭価アップになろうかと思います。片や労賃は最近、昨年もその前も、この春の賃上げでおおむね一三%の賃上げが実施されておりまして、私どもは通常一%賃上げになりますとトンに二十円はね返ると考えておりますので、一三%アップでは平均値から申しますと、先生ただいま三百五十円程度と仰せになったかと思いますが、おおむね二百五、六十円程度ではなかろうかと、こんなふうにはね返りを思うわけでございまして、その意味におきましては、幸い原料炭を主とする山はおおむねとんとんと申しますか、それを大体今回の原料炭の炭価アップでその面については吸収できるのではなかろうかと、こんなふうに思うのでございます。なお詳細につきましては、これは微細にわたった種々の計数に基づく検討を行なってからでなくては正確なことは申し上げられないことは申し上げるまでもございません。
 他方、一般炭が問題でございますが、なるほど石油が今度のOPEC等を通ずる原油の価格上昇の結果、重油にどのくらいはね返るか、特に当面石炭の対抗関係になります電力向けの重油というものにどのくらいはね返るかという問題が当面の問題でございますが、これは御承知のとおりまだ当事者間においては何ら決定を見ていないようでございますが、かりに重油が電力向けにキロリットル当たり五百円ほど上がったと仮定いたしました場合を想定いたしますと、これは石炭に換算すればおおむね半分の二百五十円程度の価格上昇になるわけでございます。ところが石炭と重油の電力向けの昨年上期におきます実績比較をいたしますと、おおむね八百円強の、八百五十円程度の値開きがいまだにございます。したがいまして、ただいまの仮定による重油キロリットル五百円アップということを仮定いたしましても、それは二百五十円程度の格差の縮小に相なるわけでございまして、依然として六百円近い開きというものが一般炭と重油との間に存在することに相なるわでございまして、ましてや石炭コストが上がればもっとその差は開くようなことに相なるわけでございまして、依然として一般炭の対抗エネルギーである重油に対する格差というものは、なおなおきびしいものがある、こういう見通しでございます。さらにそれに拍車をかけたものが最近の公害規制の格段の強化でございまして、そのためにいまやサルファの高い一般炭は日炭、常磐を最後として、ほとんど姿を消すようなかっこうに相なったわけでございまして、今後残る一般炭というものは、むしろたとえば太平洋炭礦等に見られるがごとく非常にサルファの低い、資源としても非常に電力用炭として貴重な資源と相なりまして、その評価というものは今後急速に見直されてくるのではなかろうか、かように考えております。したがいまして、御指摘のとおり原料炭問題だけで石炭問題が解決するわけではございません。必ず随伴する一般炭が相当あるわけでございますので、一般炭につきまして、今後政府も極力これを応援いたしまして、需要業界の大宗を占める電力業界等にも何ぶんのひとつ御理解をいただくように、まずは業界がみずから業界同士でこの問題を訴えて話し合うことが先決ではございますけれども、政府におきましても、側面から大いにこの点を応援してまいりたいと、かように考えているわけでございますけれども、しからばといって、いま直ちにそれでは一般炭の炭価アップの見通しがあるかと、こういうことに相なりますと、ただいまのところ、一般炭についてはまだその炭価アップの見通しを得ていない、こういうのが実情でございます。
#20
○阿具根登君 原料炭の五百円アップは半々に見ても二百五十円だ、そうすると労賃の値上げを一三%に見ても二百五十円でとんとんだ、こうおっしゃったけれども、私らの計算では三百円以上になります。かりにとんとんだとあなたの意見を聞いても、それならば資材や物資そのものはそのままか、これもより以上上がってくるわけなのです。だから五百円上がったからとんとんでいくのだというような考え方が、私は今日の問題を惹起しておると思うのです。しかしこれは相手があること、だからそれは製鉄会社等が買わないと言えば、これはやむを得ぬのですけれども、これはあの人たちも業者として日本の原料炭がすべてストップになった場合に、輸入炭がいまのままでおるかどうかということを考えてもらいたいと思うのです。いまだって原料炭はどんどん上がる傾向にあります。すると、外国が安かったら外国から買う、日本が安かったら日本のやつを使う、そういう、あまりにも見え透いたやり方は私は通らないと思うのです。やはり安定性のあるもの、手近なもの、それが一番私は将来性のあるものだ、多少高くっても、それは国の援助もあることですし、当然それはやるべきだ。それを外炭が安いからといって、二億トンから要る炭を外国炭にばかり依存してきたならば、また船でこれだけ持ってくる間に、どういうことが起こるかという問題も考えなければならぬ。そういう点は二億トンのうちのたかだか三千万トン、二千万トンですよ、そのくらい多少高くっても、私は全コストについてどれだけ影響するかと思う。そういう点も業者間と話し合ってもらいたいと思うし、一般炭においてはなおさらのことです。サルファが多過ぎるからたかないと、こう言われれば、今日の公害の状況でやむを得ません。それで、このサルファの多いところがつぶれていくことについて私たちは原料炭のようにここで文句を言っておりません。しかしサルファの少ないようなやつをたくなら、それだけのやはり考えを持って私はやってもらいたいと思うのです。そうでなければ、電力会社なんというものは昔から雨が降らなければ困るからということで、渇水準備金まで積み立てたことがあります。そうしてそういう場合でも今度は雨が降ってそして需要がよくなった場合には、電力料金は下げますというようなこともあったのです。終戦後このかた、一ぺんだって下げたことがありますか。一ぺんも下げたことがないのです。そういう利益だけ――いま一番利益の上がっておるのは電力会社だと私は思うのですよ。またこれは基幹産業ですから上げてもらっちゃ困るので、上げることもなかなかこれは困難でしょう。しかし下げることもなかった。そのためには相当政府も融資しておる。また、この石炭輸入について、重油輸入について、理解も持っておるはずなんです。だからこれは、石炭販売株式会社の問題が出ておりますけれども、石炭販売株式会社が中におって石炭を集めて、そして渡してはおるけれども、それじゃ石炭の値段はだれが交渉するか、一般炭の値段はだれが交渉するか、だれがきめるかというと、これは通産大臣なんです。だから通産大臣がきめて、そして値をまとめて、迷惑かけないように期限までに渡す。渡したらその代金をもらって皆さんに渡す、こういうくらいの役割りしかしていないのです。ほんとうの権限は通産大臣が握っておるわけだ。そうすると、いまの理論からいって、一般炭はどのくらいするのが正しいのか、通産大臣、通産省はどのくらいにしなければならぬと思っているのか、それをお聞きしたい。
#21
○政府委員(阿部茂君) 冒頭に御指摘のございました住友石炭の例を引きまして、原料炭の五百円の炭価アップが労賃の予想される賃上げとどんな関係になるかという問題につきましての私のお答えが、若干現状認識において甘いのではないかという御指摘でございまして、その点はなお詳細に勉強を続けなくてはならぬと思う次第でございますが、御指摘のとおり、資材費その他炭鉱の問題は、一般地上産業と違いまして予測せざるいろいろな現象が常に起こっている。こういうことを考えますと、むしろ先生のおっしゃるとおりの面がその他の分野でたくさん出てまいる、かようなことは私も十分承知しており、御同感申し上げる次第でございます。その次の電力用炭会社というものが、現在法律の延長をこのたび御審議をお願いしておるわけでございまして、この炭価につきましては、通産大臣が基準炭価をつくりまして、そして言うなれば価格のカルテル的な援護措置をこの法律によってやっておるわけでございます。そういうような意味では確かに御指摘のとおり、通商産業大臣というものは電力用炭の炭価についてはかなりの権限を持っておることは事実でございますけれども、何ぶんにも片や電力事業というものも御承知のとおりわが国で最も有力な公益事業で、法律の規制を受ておるわけでございます。これの料金問題のあり方いかんによっては国の物価政策の土台にもいろいろ影響するところは大きい、こういうようなことを考えますと、簡単になかなかその炭価を採用するということが現実の問題としてむずかしいわけでございまして、やはりそういった一方的な権限の行使という以前の問題といたしまして、公益事業である電力業界がその使命を逸脱しない範囲において、できるだけ石炭鉱業というものの実情をよく認識していただきまして、また石炭業界からも、もっともっと電力業界に現在の実態をよく認識してもらうようにみずから働きかける必要があるのではなかろうかと、私ども毎日行政しておって痛感しておる次第でございますが、さようなわけでございまして、いま直ちにこの席で、どの程度の電力用炭の炭価が適切であるかというところは、遺憾ながら私からは申し上げる準備がないわけでございますが、趣旨といたしましては先ほど申し上げたとおり、できるだけひとつ電力業界からも御理解と御協力をいただくよう今後とも努力してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#22
○阿具根登君 それは部長の言われるとおりです。公益事業の電力料金を上げろというつもりでさっき申したわけではないのです。それは当然ですが、それではこの石炭販売株式会社なるものが、いわゆる流通機構の一環をなしておると思うのですが、これに対する費用は一体トン当たり幾らになっていますか。
#23
○説明員(左近友三郎君) お答え申し上げます。
 いま電力用炭販売株式会社の手数料は、取り扱いの石炭トン当たり六円でございます。
#24
○阿具根登君 そうすると、今日のように次から次に一般炭はつぶれていく、サルファが多いので電力は引き取りがにぶい。そうしますと、相当数量は減ってきておると思うのです。私も資料を持っております。そうすると、現在のままでやっていけるかどうか、だから一番多いときはどのくらいだったか、いまどのくらい――一番多いときは二千百三十万トンくらいだったと思います。いま千三百万トンくらいですか、数字をひとつ知らしてください。
#25
○説明員(左近友三郎君) 電力用炭販売株式会社の取り扱い量についてお答え申し上げます。
 昭和四十年度が大体千九百万トンでございましたが、その後逐年上昇いたしまして、昭和四十三年度に至りまして、これは最高でございますが二千三百四十万トンでございます。それから四十四年度は二千百二十一万トンというふうに減少いたしまして、四十五年度は、まだ最終年度末に達しておりませんので判明いたしておりませんが、大体契約量としては千六百五十五万トンというように計上しております。御指摘のとおり四十三年を境にいたしまして減少をしておるというのが現状です。
#26
○阿具根登君 そうすると、最高が二千三百四十万トン、四十五年度が千六百万トンですね。なお今後減るでしょう。そうした場合に、依然として六円で、いまのままの機構でやっていけるかどうか。
#27
○説明員(左近友三郎君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございまして、現状の手数料では従来の電力用炭株式会社の機構、人員その他を維持していくということは非常にむずかしくなるという先行きの見通しがあるわけでございます。ただ手数料を引き上げるということは、これまた石炭業界に対する負担の増加にもなるわけでございますので、現在われわれが電力用炭株式会社と検討しております方向は、極力負担は増加しないで、会社の経費節約ないしは、何といいますか、機構の縮小というもので処理してまいりたいというふうに考えておりまして、すでに昨年も一部の地方の事務所を縮小するというふうなこともやってございます。今後も、この業務の運行に支障を生ずるということではいけませんが、業務の運行が十分やれる範囲内において極力節減をはかって切り抜けてまいりたいというのが、現在われわれの考えておる考え方でございます。
#28
○阿具根登君 大臣がお見えでありませんのでこれで終わりますが、ただいまの石炭販売株式会社の問題にいたしましても、そういう状況の中で三年間の延長なんですね、石炭全般の政策が四十八年までですね、今後の第五次石炭政策というものは一体どういうふうに考えられておるのか。この法律案だけで見ますと、産炭地は十年です。これは十年でも十五年でもなるでしょう、山はつぶれてもそのあともやっていくのですから。石炭に直接関係しているのは、いまの石炭販売株式会社にしたところで、本部にしたところで三年間。そうすると四十八年で石炭政策は終わるのだというような見通しが成り立たぬでもない。その点一点お聞きして、これは当然大臣にも聞きますけれども、部長からお聞きして私の質問を終わります。
#29
○政府委員(阿部茂君) 阿具根先生のおっしゃるとおり、この問題は何ぶんにも石炭政策の最も基本的な問題でございまして、大臣から次回の機会に御答弁いただくようお願いするつもりでございますが、私どもの事務当局といたしましては、たとえばいま御指摘の電力用炭販売株式会社について、四十八年度末までの三年間、期間延長の法律案をこのたび御審議かたをお願いしておるということは、一応先ほどの提案理由の補足説明でも申し上げましたとおり、第四次政策の終期というものが、一応四十四年度から始まって五年間たった四十八年度末をもって終わることにいたしておるので、それに一応あわせたと、こういうことでございまして、石炭政策が、したがって四十九年度以降もう無計画の状態になるというようなことを実は考えているのでは毛頭ないわけでございます。第四次政策は、四十四年度及びいま四十五年度が、まさに終わろうとしておるわけでございますので、発足以来まだ二年間足らず、こういう現時点でございまして、すでに御指摘のとおり、いろいろな面で計画のそご、破綻等も出ていることは現実でございますが、われわれといたしましては、当面は昨年十一月に出されました石炭鉱業審議会の体制委員会の中間答申の基本線に沿って毎日の行政を前向きに真剣に取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。当面われわれにとって与えられた何よりも大事な義務と申しますか、これは、やはり第四次政策が忠実に実施されておるかどうか、また、その第四次政策の意図したところが現実の面でどういういろいろなひずみを生じているかというようなことを克明にひとつ把握いたしまして、そうして次の機会への準備をいまのうちからいろいろとしておく。こういうことでこのところ毎日の行政をやっておる次第でございます。
#30
○委員長(大矢正君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#31
○委員長(大矢正君) 速記をつけて。
 他に御発言がなければ、本日はこの程度にとどめまして、次回は来たる三月二十三日午前十時から開会することにし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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