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1970/03/26 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 商工委員会 第10号
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1970/03/26 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 商工委員会 第10号

#1
第065回国会 商工委員会 第10号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
   午後一時二十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     二木 謙吾君     村上 春藏君
     亀井 善彰君     近藤英一郎君
     星野 重次君     赤間 文三君
     鈴木 省吾君     稲嶺 一郎君
     木村 睦男君     井川 伊平君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     村上 春藏君     永野 鎮雄君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     赤間 文三君     剱木 亨弘君
     井川 伊平君     山崎 竜男君
     八木 一郎君     高田 浩運君
     近藤英一郎君     安田 隆明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         川上 為治君
    理 事
                矢野  登君
                山本敬三郎君
    委 員
                稲嶺 一郎君
                剱木 亨弘君
                高田 浩運君
                永野 鎮雄君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                阿具根 登君
                大矢  正君
                上林繁次郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   宮澤 喜一君
   政府委員
       通商産業大臣官
       房長       高橋 淑郎君
       通商産業省通商
       局長       原田  明君
       通商産業省貿易
       振興局長     後藤 正記君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     楠岡  豪君
       中小企業庁長官  吉光  久君
       中小企業庁次長  外山  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議会       平井 廸郎君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  岩田 照良君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業特恵対策臨時措置法案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(川上為治君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 去る二十四日、二木謙吾君、亀井善彰君、星野重次君、鈴木省吾君、木村睦男君が委員を辞任され、その補欠として村上春藏君、近藤英一郎君、赤間文三君、稲嶺一郎君、井川伊平君が選任されました。
 また、昨二十五日、村上春藏君が委員を辞任され、その補欠として永野鎮雄君が選任されました。
 また本日、井川伊平君、赤間文三君が委員を辞任され、その補欠として山崎竜雄君、剱木亨弘君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(川上為治君) 中小企業特恵対策臨時措置法案を議題といたします。
 まず、通商産業大臣から趣旨説明を聴取いたします。宮澤通商産業大臣。
#4
○国務大臣(宮澤喜一君) 中小企業特恵対策臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 先進国が開発途上国の原産品に対して特恵関税を適用する制度は、本年中に実施される予定となっております。これは、国際連合貿易開発会議における合意に基づき、いわゆる南北問題の解決に資するため、開発途上国の輸出所得の拡大、工業化の促進、経済成長の加速化を目的として行なわれるものであります。
 しかしながら、この制度が実施に移されますと、輸入面においては、競争力の弱い中小企業製品にその影響が出るおそれがあります。また輸出面におきましても、他の先進国の特恵供与により、これらの国に対する輸出依存度が特に高い中小企業製品について、悪影響が出てくることが懸念されます。
 このような特恵供与による影響に対して、中小企業者みずからの適応への努力を助成し、中小企業の成長発展をはかっていくことは、わが国経済の均衡ある発展を確保する上からもきわめて重要かつ緊急の課題となっております。
 本法案は、このよう左観点から、特恵供与による需給構造の変化に即応して中小企業者が行なう事業の転換を円滑化するとともに、中小企業の近代化の一そうの推進等をはかるために必要な措置を講じようとするものでありまして、その概要は次のとおりであります。
 本法案におきましては、第一に、わが国が供与する特恵のほか、他の先進国が供与する特恵もひとしく特恵としてとらえ、これによる影響に対処することといたしております。
 第二に、特恵供与によって悪影響を受けるおそれのある事業を特定事業として政令で指定いたします。この特定事業を行なう中小企業者が事業の転換をしようとする場合には、その事業の転換に関する計画を都道府県知事に提出し、その計画が適当である旨の都道府県知事の認定を受けることができることといたしております。政府は、この認定を受けた企業が、その転換計画に従って事業の転換を円滑に行なうことができるよう、中小企業信用保険の特例その他金融、税制上の助成措置を講ずることといたしております。
 第三に、事業の転換を行なうのではなくて、従来の事業の一そうの近代化をはかろうとする中小企業者に対しては、品質の向上、商品の高級化、生産性の向上等を促進するために必要左措置を適切に講ずることといたしております。
 第四に、事業の転換等に伴う中小企業の従事者の職業及び生活の安定に資するため、職業訓練の実施、就職のあっせん等を講ずるようつとめることといたしております。
 これがこの法案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(川上為治君) 次に、補足説明を聴取いたします。中小企業庁長官。
#6
○政府委員(吉光久君) 中小企業特恵対策臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明いたします。
 特恵関税制度につきましては、一九六八年の第二回国際連合貿易開発会議においてその早期実施が決議されて以来、各国間で具体的な検討が重ねられてきたわけでありますが、昨年十月の国際連合第二十五回総会において、先進各国は、本年中のできるだけ早い時期に実施に移すということで基本的な合意に達しました。わが国としても、南北問題の解決に寄与しようとする特恵制度の目的にかんがみ、これに参加することといたしたのであります。しかしながら、特恵供与の対象となる品目は、わが国及び他の先進国の場合も、鉱工業製品についてはほとんど全品目にわたっておりますので、これが実施に移されますと、この便益を受ける開発途上国の産品とわが国の産品、特に雑貨、繊維製品等を中心とする、主として中小企業が生産している製品の分野においては、競争の激化が予想され、その結果、発展途上国産品のわが国への輸入の増加、あるいはわが国中小企業製品の輸出の減少等の形で中小企業への影響が懸念されるところであります。
 このような特恵供与による影響に対処し、中小企業の適応への努力を助成し、その成長発展をはかっていくことは、わが国中小企業の存続発展のための急務であるばかりでなく、国民経済上もきわめて重要な課題となっていると考えます。
 政府は、中小企業の国際競争力の強化につきましては、従来から中小企業近代化促進法の運用その他の施策を通じて努力してまいったところであり、今後とも、これらの中小企業近代化施策を一そう強化拡充してまいることはもちろんでありますが、他方、特恵関税が実施されますと、これによる需給構造の変化に即応して中小企業者が事業の転換を行なう場合も予想されるところであります。
 本法案は、以上御説明申し上げたような特恵実施に伴い予想されます影響に対処して、中小企業の近代化の一そうの推進等をはかるとともに、中小企業者が行なう事業の転換を円滑にするための措置を講じ、もって中小企業の成長発展をはかろうとするものであります。
 本法案におきましては、第一に、特恵とは、わが国が関税暫定措置法に定めるところによって供与するもののほか、他の先進国が供与するものも含んでおります。
 第二に、政府は、中小企業近代化審議会の意見を聞いて、特恵供与によって悪影響を受けるおそれのある業種を特定事業として政令で指定いたします。この指定を受けた特定事業を営む中小企業者が事業の転換をしようとする場合には、新しく開始しようとする事業の内容等事業の転換に関して必要な事項を記載した計画を都道府県知事に提出し、その計画が適当である旨の認定を受けることができることといたしております。
 第三に、政府は、この認定を受けた中小企業者が、その事業転換計画に従って事業の転換を行なう場合に、その転換を円滑に行なうことができるよう、金融、税制面等において所要の助成措置を講ずることといたしております。すなわち金融面においては、共同転換事業に対しては、中小企業振興事業団からの高度化資金の長期融資、個別転換事業に対しては、中小企業金融公庫からの特恵転換特別貸し付け制度を設けました。次に信用保証の面においては、中小企業信用保険制度に特恵関連保証の特例制度を新設し、また税制面では、転換前に使用していた減価償却資産についての早期償却を認めることといたしております。
 第四に、事業の転換は行なわず、従来の事業の一そうの合理化、近代化によって対処していこうとする中小企業者に対しては、品質の向上、商品の高級化、生産性の向上等を促進するため必要な助成措置を適切に講ずることといたします。
 第五に、特恵供与によって、中小企業の従事者の職業及び生活の安定に支障が生ずることのないよう、重点的に職業訓練の実施、就職のあっせん等を講ずるようつとめることといたしております。
 第六に、国及び都道府県は、中小企業者の依頼に応じて、特恵供与に伴う中小企業の転換等について相談に応じ、必要な指導助言を行なうことといたしております。
 以上この法案につきまして補足説明をいたしました。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#7
○委員長(川上為治君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○大矢正君 開発途上国に対して特恵関税を供与しなければならないという国際的な機関においての決定、それに基づいての先進国と呼ばれるわが国を含めてのそれぞれの国の特恵の供与、これにつきましては、私が承知する限り、国際会議におきましてもいろいろな議論があり、それからまたわが国のこの会議に臨む態度等におきましても、さまざまな経緯があったように承知をいたしておるところでありますが、大臣にまず第一に質問をいたしたいことは、国際会議の中における特恵を最終的に供与することになった経緯、それからわが国はその間にあってどういう態度をもってこの国際会議に臨んでこられたか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 概略私から申し上げまして、なお大蔵省の政府委員も来ておられますので、補足をしていただきたいと思います。
 国連貿易開発会議が最初に開かれましてからもうかれこれ七、八年になるわけでございますが、当初いわゆる開発途上国が主張しておりましたのは、何かの形での補償、まあ彼らの当時の事務局長がプレビッシュでございましたが、主張いたしますところは、自分たちは先進国の搾取を受けて今日の状態にあるのであるから、それについて先進国は償いをすべきであるというような、かなり急進的な主張でございました。これは主としてかつて植民地であった国の立場から申したものと思うのであります。そういうことをめぐりまして長いこと議論がございまして、そのうちにまあ補償といってもそれは穏やかなことでないので、エイド、トレードと御承知のようにございますから、エイド、援助のほうは援助といたしまして、トレードのほうの条件を有利にするということが一つの案ではないかというふうになってまいりました。ただ、そういたしますと、すぐに特恵ということがだれの頭にも思い浮かぶわけでございますけれども、特恵という制度そのものはガットのルールから申しますと、自由平等という原則とは合わないわけでございますので、その辺をどう考えるかという議論がまたしばらくの間ございまして、結局これはガットの考え方に対して、いわば特別のガットの承認を受けることがよかろうということになってまいりまして、先進国側でも数年間いろいろに、あるときは多少引き延ばしをしたようなこともございましたし、また発展途上国側でもお互いの利益には、必ずしも一発展段階によって同一でないということもございまして、時間がかかりましたが、結局特恵をやろうということになりました。そのスキームをどのようにするかということで、これはまた先進国側で長いこと、なるべく歩調をそろえてというような見地から、議論があったわけでございます。最終的に今日のような形になりましたのは、六八年の貿易開発会議でやるということがきまり、その後スキームが今日のようにきまってまいった。大体そういう経緯でございます。
#10
○説明員(平井廸郎君) 通商産業大臣から概略御説明申し上げましたことを補足さしていただきますが、特恵関税問題が最初に国際会議の場で取り上げられましたのは、一九六三年の五月のガットの大臣会議においてでございまして、これを受けまして、先ほど御説明ございましたように、第一回の国連貿易開発会議が一九六四年三月に開催されまして、ここでプレピッシュ提案というものが行なわれたわけでございます。その後、一方ではケネディラウンドの進捗の問題がございまして、供与国側でもこの問題の検討が進まず、また、いわば受益国に当たる国々においてもいろいろ急進的な案等が出てまいりまして、まとまらないままに数年間を経過いたしましたが、ケネディラウンドの問題の見通しがつきました一九六七年四月に、それまで態度を明らかにいたしておりませんでしたアメリカが特恵供与に踏み切りましたことを受けまして、同年の十月には後進国側がアルジェに会合いたしまして、開発途上国の案を集大成いたしましたいわゆるアルジェ憲章をまとめたわけでございます。わが国もこのような情勢下におきまして、同年の十一月に閣議決定をいたしまして、このような南北問題解決のための後進国貿易の促進策として、一般的特恵関税制度に参加することを決定いたしました。その後一九六八年の二月に第二回の国連貿易開発会議がニューデリーで開かれまして、この段階においてもずいぶん論議があったわけでありますが、特恵関税の早期確立を決議し、一九七〇年の早い時期に実施するということを決定して散会したわけであります。
 それを受けまして、六八年の六月にOECDの貿易委員会におきまして、特恵のためのアドホッククループを設置いたしまして、ここで先進国の案をまとめる作業に入ったわけであります。この作業につきましては、約二年間の経緯を経ておりますが、その間、先進国はだんだんと案をまとめてまいりまして、一九七〇年のOECDの閣僚協議会におきまして大体各国の考え方が基本的にまとまったわけでございます。これを受けまして、それぞれある程度具体案をまとめましてUNCTADで論議をいたしまして、昨年の十月国連二十五周年記念の仕事の一環として、国連開発の十年の第二期分二つの柱の一つとしてこの問題が正式に決定されたわけであります。
 以上が大体全般的な考え方の流れでございまして、わが国は、先ほど申し上げましたような閣議決定を受けまして、アドホックグループのメンバーとして具体的作業を進めてまいったわけでございましたが、御承知のように、わが国におきましては最初はエスケープ・クローズ方式という形で鉱工業品に対して特恵を供与するという形を考えておりましたけれども、その後における国際的な情勢等を勘案いたしまして、一昨年現在とっておりますようなシーリング方式という形に切りかえたのでありまして、その後におきまして、さらにOECDの場においていろいろ議論を詰めました結果、昨年の秋に最終的なスキームを設定いたしたわけであります。これを受けましてUNCTADの場における議論を終結いたしました後に、昨年の秋に関税率審議会に付議いたしまして具体的に案を決定いたした、こういうことでございます。
#11
○大矢正君 世界貿易の拡大のためには、貿易の姿というものは自由でなければならない、自由であることが世界貿易の拡大の上においては一番必要なんだという立場から、わが国がガットに加盟をし、世界の多くの国がガットに加盟をして、それぞれ自由な貿易を求めて努力を今日まで続けてきたと思うのであります。ただ、一方において、南北問題といわれ、また先進国と開発途上国の間、この間において経済力にますます格差がついてくる、経済的な力においてもその差が広がっていくばかりである。そういたしますと、なるほどガットの精神は本来貿易は自由であるべきだということが基調とはなっておりますけれども、世界の国の中で非常に多くの数を占める開発途上国、世界の人口の上におきましても非常に大きな比率を占めるこれら開発途上国が、経済的にも力をつけて他国との間に貿易が行なわれることが、これまたある意味においては世界貿易の拡大につながっていく道でもあるわけですね。したがって、私は通産大臣は特恵供与という問題をどういう形でとらえられておるのかということを実は聞きたいわけであります。
 と申しますことは、私はこう思うのであります。特恵の制度というものを関税上設けることは、なるほど自由な貿易を原則とするガットの精神にははずれるかもしれない。しかしながら、大目的である世界貿易を拡大するということにはこれは決して相反するものではないのでは危いか。開発途上国が経済的にも力をつけて他国との間に貿易関係が拡大をするということは好ましいことではないか。ただ単に援助を与えることによって、技術を含めた援助を与えることによってその国の経済的な力をつけるだけではなくて、みずからが世界各国との間に貿易を拡大することによって、その国自身が力がつく。そしてそれが世界貿易の拡大につながっていくというのも、私は根本的な考え方としては正しいんではないかと、こう思うのであります。
 そこで、私の手元に先ほど来、大臣また大蔵省の審議官から報告された内容をずっと歴史的につづったのがあるわけでありますが、これをながめてみますると、もちろんこれはわが国だけだとは申しませんが、この特恵供与については非常に渋いというか、きびしい態度をわが国が貫いてきている。国内的に見れば、なるほどわが国の産業、企業というものが影響を受けることは間違いのない事実でありますけれども、しかし先進国と呼ばれる国々だけが力がついて、その国だけで世界貿易の拡大をしようといってもそれはできないことであって、より人口が多い開発途上国に、世界貿易の中に入っていける力をつけてやると、そういうことがどうも根本的に日本の通商政策としてはいままでなかったのではないかという感じがするのでありますが、あくまでもこの特恵関税制度というものを消極的に、被害のわが国に及ばないようにということだけを前提としてものを考えるとすれば、今日の国際化した中においてはどうも正しい通商政策では私はないんじゃないかと、こういう感じがいたしますが、大臣の見解をまず承りたいと思います。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭にお述べになりました御理解は、私はそのとおりまことに正確な御理解であるというふうに考えます。私ども考えまするのに、わが国は平和憲法を持ち、世界平和を志向しておるわけでございますけれども、もし第三次大戦といったようなものでも考え得るとすれば、それは南北間の御指摘のような格差、そうしてそこから生ずるところの南側の不満というものに対して、先進国が何かの形でそれを利用するというような形で世界の不和が起こる可能性がございます。で、そういうことは非常に好ましくないことでございますから、そのような危険を除くという意味でも、南の国に対して先進国側ができるだけの力をかすということが、平和憲法の趣旨に沿うものであるというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、過去、この問題についてのわが国の態度が渋かったではないかとおっしゃいますことは、そういう面が確かにございました。最初に会議が開かれましたのは一九六三年の五月でございますが、実はそのときに私自身がわが政府の代表として会議に出席をいたしました。で、あの当時の感じを非常に率直に申しますと、わが国がまさか特恵を受ける側だとは感じませんでしたけれども、特恵を今日ほど与えることがもう日本としては当然だというほどの感じでも実はございませんでした。やはり八年間でございますので、かなり国内の、ことに中小企業を中心といたしました経済情勢は、ただいまと当時とで変わっております。雇用の状況もさようでございますので、この八年の間、ことに初期におきましてわが国が重い足を引きずっておりましたときは、そういう面が確かにございました。しかし、いまとなりましては、まずまず国内の多数の人は、わが国の責任上やむを得ないのではないかという御理解になっておると思いますが、それにいたしましても、いわゆる二重構造といわれますわが国の経済の過去のいろいろな残っておる部分がやはりございますので、構造改善などはしきりに進めてはおりますものの、もう一つ手を放してもだいじょうぶだと言い切れない部分がございますので、私どもといたしましては極力努力をいたして最小限にしたつもりではございますけれども、例外品目あるいは関税を軽減いたします幅を少し緩和するような、いわゆる五〇%カット、あるいは数量的に制限をいたしますシーリングといったようなものを含めましたスキームを決定いたしたわけでございます。これはアメリカあるいはEEC等おのおのスキームに特色がございますが、多少やはり日本は幾らか渋いのではないかという印象は、議論の過程でそれらの国から出たこともございますが、あれこれしかし考えて見ますと、敗戦後わずかに二十五、六年でございますので、これだけのことをいたしましたら世界に対するわが国の義務、責任というものは果たし得るのではないか、そう申しても差しつかえないのではないかと考えております。
#13
○大矢正君 議論の出発点として、私はいろいろな国内的には問題はあるのであろうけれども、この種特恵を供与することが開発途上国にとって非常に必要なことである。そしてまた、それが将来の世界の貿易の拡大につながっていくんだとすれば、やはり先進国の一員の中に入っているわが国としては、やはりこれから積極的に、むしろ門戸を広げて、先取りをするということばが適切であるかどうかわかりませんが、ともあれ前向きの姿勢でこれを供与していくというほうが私は筋なんではないか、こういうような実は感じ方を持っているわけであります。そこで、私は、そういうもし考え方が政府にもありといたしますれば、特恵を供与するという前向きの姿勢で行った場合に、やらなければならぬことは、単に中小企業に特別の金融とか税制とかというものにとどまらずに、まだまだ私は多くの必要な部面があるのではないかという感じがするのでありますが、関税定率法が衆議院を通り、本院に回って来、しかも近々これも成立する運びとなるわけでありますが、この段階になって考えてみまして、単に中小企業に対する臨時応急の措置だけをして、それで問題を解決しようといたしますれば、最後まで特恵というものはきびしくこれを押える方向でいこうとすることにつながっていくのではないか。むしろ私は、このことを起点として、単に中小企業をどう救済するかというだけでなくて、わが国の産業、経済体制というものをもう一回ここで見直して、国際分業というものが今日の社会の中で必要なのかどうか。必要であるとするならば、わが国はそれに対してどう取り組んでいくか。そうしてわが国は、不必要なものとは申しませんが、たとえばこれは開発途上国に与えたほうがよろしいというようなものは、極力それを与えることによって私はその所期の目的を達する方向に政府が努力をこの際すべきではないかという感じがするのでありますが、大臣はどのようにお考えになっておられるか、お答えをいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来からわが国の経済の比較的弱い部門に対しましては、いわゆる構造改善、あるいは近代化等の政策を政府が財政、税制、金融上の支援をしながら進めてまいりました。このことは特恵を頭に入れていたした問題ではございませんでしたけれども、事実上そういうことが進みましたために、この程度の特恵は与えることができる情勢になってまいったと、こう申し上げても差しつかえなかろうと思います。したがいまして、こういう情勢に対処する基本の道は、やはり今後ともそのような構造改善、あるいは高度化、近代化を進めていくことでございます。これがやはり第一の柱であろうと私は存じます。しかしながら、そういたしましても、先刻も御指摘のように、わが国として転換をしたほうがいい部門というものはこれは考え得るのでございまして、そのような転換が特恵供与によって早まるというようなことも想像し得るわけでございます。そういう場合には、やはり国として特別の転換にあたっての支援をすべきであると考えましたのが、この法律案の主たる骨子でございますが、このような法律の措置を設けることによりまして、特恵のスキームというのを幾らかでも寛大なものにしよう、発展途上国に対して親切なものにしようというふうに考えたわけでございまして、いわば、御審議願っておりますこの法律は、あるいはそのような心配に対して国としてもできるだけの支援をいたしますという、そういう意味での保障措置と申しますか、受け皿と申しますか、そういうような考え方でできておるのでございまして、この法律そのものは、これによって特恵の条件をできるだけ発展途上国に寛大なものにしよう、そういう意図から出たものでございます。
#15
○大矢正君 私は思いますが、特恵供与を十年間するということは、単にその十年間に開発途上国の原産品がわが国の国内に多く出るということでありますが、入ってくるとか、あるいは外国の市場をいままで日本が持っておったものを、これを発展途上国に取られるとか、単にそういうような問題ではなくして、世界の貿易の上から見て、そしてそのためにもわが国のこれからの通商政策と合わせて考えてみた場合に、世界貿易のあり方、わが国の通商政策のあり方というものを根本的に転換をし、それと同時に国内における産業政策も私はやはり変わるのだ、こういう画期的な意味がこの特恵制度の中にあるのではないかという感じがしてならないわけであります。ところが政府から出てくるものは、特恵を供与するという関税定率法の中身と、あとは中小企業が被害をこうむるであろうからといって、そのものに対して税制上、金融上措置をする。そして廃業をするものには就職あっせんをするという、まことに次元の低いことだけが出てきて、この大事なときに間が抜けてしまっているのではないかという感じがするのですが、これだけで通産大臣、十分だと思いますか。私はもう歴史的にも世界の貿易、世界の通商というものが大きな転換点に来ているこの際、やはり国際分業なら国際分業という立場を明確に割り切って、わが国自身がそれに対応する通商政策というものを通産省自身がつくり上げでいかねばならぬ時期にきているのではないか。そういう判断の上に立ってこの特恵問題をとらえないと、やはりわが国の産業政策というものは行き詰まりが来るのではないか。特に通商政策もそうでありますが、そのような感じがいたしますので、くどいようですが基本的な考え方の問題で、もう一回ひとつお答えをいただきたい。特に、もし私の申し上げるようなことが多少なりとも大臣がそうだというような気持ちがありといたしますれば、政府はこれ以外にどういう措置をされようとしているか、お答えをいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘になっておられる意味はよくわかるのでございますけれども、中小企業にとりまして業種の転換というなことは、きわめて最近まで一種の禁句でありましたことは御承知のとおりであります。最近にはそのような大胆な提言がなされることもときたまはございますけれども、自然に情勢が熟してきて、そうしてその人たちが自分たちの意思でやっていかれるということであれば問題がないのでございますけれども、いかにも政府が見捨てる、あるいは切り捨てるというようなふうにとられた時代がかなり長うございます。現在でも間違った申しようをしますと、そのように誤解をされるおそれもまだ残っておるように存じますので、私どもとしても御指摘のような先進国、発展途上国間の産業調整と申しますか、そういうことは決してわからないわけではございませんし、頭の中ではそういうことを考えておるつもりでございますけれども、もう一つこれを不用意に申すということになりますと、やはりよくない影響があるという感じがいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、この御審議願っております法律案は、その前提として、従来から進めております構造改善あるいは近代化というものが今後とも強力に行なわれる、そういう前提の上に立っているもの、したがってこれだけでいわゆる特恵に対する体制が十全だという性質のものではないというふうに御理解を賜わりたいと存じます。
#17
○大矢正君 大臣、非常に単純な議論ですが、こういうものの考え方も出てくるのじゃないかという感じがするので申し上げてみたいと思うのでありますが、特恵を供与する、そのことによってわが国が影響を受けるのは雑貨であるとか繊維であるとかいうような、主として中小企業が生産をする品物ですね、それが結局わが国自身から言うと、輸入面でわが国によけい入ってくる。輸出面でいけば先進諸国への売り込みがそれだけ減少する。したがって中小企業は転廃業を余儀なくされる。あるいは売り上げが少なくなる。犠牲は全部中小企業にかかりますね。しかし反面では、そのことによって開発途上国は品物がよけい売れるわけでありますから、それだけの力をたくわえます。たくわえた場合に、日本なら日本からその金で品物を買うとすれば、これは決して繊維や雑貨というようなものではなくて、大企業が生産する品物である。そうすると、よくよくこれは考えてみると、わが国の中小企業というものが犠牲になってわが国の大企業の品物が売れるという、結論的に言えば――まことに単純な議論をするようで恐縮ですが――そういうことになりませんか。いかがでしょう。
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) むしろ私に言わしていただけば、このように申し上げたいと思うのでありますが、つまりわが国の賃金が上昇し、発展途上国と賃金格差がだんだん大きくなってまいりましたので、それらの国との関連におきましては大中小ということでなくて、いわゆる生産性の高い、付加価値の大きい種類の産業というものが残っていって、そうしてどちらかといえば、労働集約的な産業というものを労働の余っている賃金の安い国で育てていく、このようなふうに私は理解をいたしたいと思うのでございます。
#19
○大矢正君 次にお尋ねをいたしますが、特恵を供与するかしないかというのは、開発途上国の個々の国からわが国に対して申し出があって、わが国がそれはけっこうであると一応認める、もちろんそれは法律の中に書いてありますとおりに、世界貿易開発会議の中に参加をしておる国に原則的には限定をされることと思うのでありますが、大体今日予想できるこの特恵受益国と申しますか、特恵を供与する国というのはどのくらいの数になると思われますか。事務当局でけっこうですからお答えをいただきたいと思います。
#20
○説明員(平井廸郎君) 特恵関税の受益国につきましては、先生ただいま申し述べられましたように、国連貿易開発会議の加入国を中心として決定するわけでございますが、御承知のようにそれらの国の中には、たとえばわが国に対してガット三十五条を援用している国などもございますし、そのほかいろいろ問題の点もないわけではございませんので、世界的に見ましてもまだどの国も最終的に受益国を決定いたしておりません。したがいまして、私どもも世界的な傾向を踏まえながら、法律が通りました後に、具体的な検討、作業に入りたいと考えておるわけでございまして、その意味におきまして現在の段階で何カ国程度ということもなかなか申し上げにくい状況でございます。
#21
○大矢正君 今日の段階ではその計算ができないと、こういうことですね。わかりました。
 これは新聞等でもよくいままで出てきたことでありますが、中国に対して、特恵をもし供与してほしいという申し出があった場合に、どう取り扱うかというようなことが一つの議論の対象になっておりますが、これはものの考え方でありますが、中国側が特恵を供与してくれと、こういう申し出をわが国にかりにするということは、自分の国は開発途上国である、先進国の一員ではないんだということになる、考え方の上において。別にこれは中国は貿易開発会議に入っているわけではないから、原則的には特恵を供与しなきゃならぬという国ではもちろんないことは、私も法律上そういうふうに書いてある点も読んでおりますからわかっておりますが、これをどう取り扱うかという問題は、単に与える与えないというだけの問題ではなくて、政治的にも非常に影響のある問題だと思います。まずこれをどうされるのか。
 それからもう一つは、衆議院の段階においてもどうも明らかになっておらぬようでありますが、いまの中国の問題とあわせて考えられるのは香港の取り扱い、これも国ではないから、一つの地域として特恵を供与しようとすればできる。しかし、またわが国と香港との関係というのは、いろんな意味で困難な問題が横たわっておるわけでありますが、この取り扱いをどうするかというのも、衆議院の段階でも、私自身聞いてみまして、不明確になっているようでありますが、重ねてひとつ大臣に、この二カ国といいますか、二つの地域といいましょうか、法律の中からいけば地域になるんでしょうが、どのように取り扱おうとしておられるのか、お答えをいただきたいと、こう思います。
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) 発展途上国ということばが客観的に定義ができるものでございましたら、ただいまのような問題を起こさずに済むわけでございましたが、国連の貿易開発会議でもずいぶん議論をいたしましたけれども、結局明確な定義をなし得なかったわけでございます。したがいまして、事の性質上一応希望をする国、自己選択ということにいたしたわけでございますが、御指摘のように中国大陸につきましてもあるいは香港につきましても、法律上この法律の適用を受けることは可能だというたてまえになっておるわけでございますが、私考えますのに、一人当たりの国民所得が低い高いといったようなことは、その国の品格にちっとも関係がないことである、それは個人の場合と国家の場合と私は同じことだというふうに考えますので、したがって、自分の国に特恵を与えてくれろと言うことは少しも恥ずかしいことではないというふうに私としては考えております。それで、仮定の問題といたしまして中華人民共和国が特恵の供与を希望するという場合に――私一存でこれは申し上げますので、外務当局とは御相談をしておりませんが――そのよう意思表示が確かな方法で確かな意思として伝えられればそれで足りるのではないかと私は考えます。その際にいかにすべきかということは、その段階になりまして政府として意思決定をいたさなければならないわけでございますが、これは関税暫定措置法の八条の二の二項に照らして考えるということになろうと思います。香港につきましては、香港側及び宗主国であります英国が特恵を供与されることを希望しておるというふうに考えられます。考えられますが、何ぶんにも宗主国があることでございますしいたしますから、かりに適用するといたしましても、その適用の対象、スキーム等につきましても、ことにわが国の産業とかなり競合するものがある点もございますので、十分考えまして、一般のスキームでない、与えるほうも中小企業等への影響を考えながら、与えるとすればそういうスキームで考えたいと思っておりますけれども、まだそういうことを本格的にいずれにするか決定をいたしておらないようなわけでございます。
#23
○大矢正君 一時間程度で、あと上林さんに質問を譲ることにいたしておりますので、こまかい問題について二、三お尋ねをしておきまして、あとは質問を留保しておきます。
 特恵を与えることによってわが国の中小企業が、法律の用語でまいりますると、需給構造の変化によって影響があらわれて近代化をする、あるいは転廃業をするという際には、政府は税制上、金融上あるいはまた完全廃業の場合には、就職のあっせん、指導等々その万般の措置を講ずるということでありますが、政策論としては特恵を与えることによってその企業が転廃業を余儀なくされた、あるいは近代化を特別にやらなきゃならぬということは言えても、法律論的に、現実論的に一体どういう基準を設けてこれは特恵による影響だということをきめられるのか、ちょっと私も自今自身で考えてみたんだが、おそらく都道府県なりその他に特定をせよと言いましても、あるいは認定をせよと言いましても、事実上の問題として政府からものさしを示さなければ、これが特恵によるものであるという認定をしたくてもできないと思うのであります。政府はどういうものさしを、これは特恵によるものだといって示されるおつもりなのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
#24
○政府委員(吉光久君) 確かに御指摘のようなむずかしい問題があるわけでございます。したがいまして、この法律におきましては、個別企業につきまして、その企業が特恵にどう影響されたかというふうなことを個別企業の段階でやるのは非常に至難であるというふうに考えまして、むしろ、先に第三条で特定事業の指定ということをきめたわけでございます。これは、実は一般的な指標等によりまして、輸出輸入の増減あるいはその見通し、過去の発展途上国の追い上げ、そういうふうな業界全体の姿で事業をまず指定いたします。したがいまして、そういういろいろな客観的な入手し得るデータによりまして、これは見通しを含めまして、事業の指定をやるわけでございます。したがいまして、この事業の指定を受けましたその事業に属する限りは、個別的な企業について、一つ一つ特恵による影響がどの程度であるかというふうなところまでの認定はいたさない。むしろ、その事業に属しておれば一般的に特恵供与による影響を受けているものという推定を受けるというふうなことで考えてまいりたいと思っておるところでございます。したがいまして、都道府県知事のほうでやります事業計画の認定につきましては、その事業者がいままで政令で指定されました事業をやっておったという実績の証明があれば、その点につきましてはそれをもって足りるというふうな程度で心得てまいりたいと思っております。
#25
○大矢正君 そういたしますと、これは、単に特恵の制度として設けられた、供与をされたがゆえにという前提に立っての議論にはならなくなりはしませんか。いまのあなたの議論からいくと、業種の指定をされたら、その業種に入っている限りは、それが特恵の影響がたとえば皆無であっても網をかけてもらえるということですから、法律に基づいてやるとうことにはならないんじゃないですか。たとえば、この法律に基づいてそういうことをされるならば、特恵の影響のためにということがわからなくてもやるということになったら、法律の趣旨とは反することになりませんか。
#26
○政府委員(吉光久君) この事業の指定にあたりましては、やはり特恵の供与によりまして輸出あるいは輸入面につきましていろいろの数字的な変化がある、そういう業種を一応つかまえるつもりでおるわけでございます。しかし、これを個別企業の段階で認定いたすということになりますと、そう特恵分が何%影響しておるというふうなことは、なかなかつかみにくい問題であろうかと思うわけでございます。その他のいろいろな要素がからみ合いまして企業の経営実績の中に出てまいるというふうなことにもなるわけでございますので、したがいまして、先ほど私、大きなものの考え方についてお答え申し上げたわけでございますけれども、それはもう明らかに、だれが見ても特恵の影響は全然受けておりませんというふうな、そちらのほうが明白であるという部類は、やはりこれは当然除かれるというふうなことになるわけでございますけれども、一般的には、その業種に属する企業は特恵供与による影響を受けておる企業であるというふうな、一般的にはそういうふうに推定をいたしてまいりたい、こういうことでございます。
#27
○大矢正君 それじゃ具体的にお尋ねをしますが、たとえば繊維の業種に限定してみますと、こういう論議になると思うんですね、繊維はもちろんわが国がアメリカ等に対して、問題になっておるとおりに輸出をしておりますね。ところがその繊維を、縫製その他一切を含めてでございますけれども、やっている者、必ずしも全部アメリカに輸出をしているわけじゃないわけですね。今日、いま困っているのは、みんなが平均して生産される一割なり二割をアメリカに輸出をしているというならば全体として網をかけることができるんだが、日米間の繊維交渉のいかん、あるいは繊維の規制のいかんによっては、その企業がすぽっと消えてなくならなきゃならぬという状態にいまあるから、日米の繊維問題というのは今日まで騒がれているわけでしょう。そうすると、それを個々の企業だと言わないで、大きく繊維なら繊維、縫製業なら縫製業として網をかけてしまえば、何の特恵の影響もないでかりにつぶれたところも、それじゃこの法律による恩恵に全部浴するのかと、こういうことになるんじゃありませんか。
#28
○政府委員(吉光久君) 繊維というふうな非常に大きな形でこの事業の指定をするというふうな考えは、いまのところないわけでございますけれども、もう少し、できるだけ細分された事業というふうなことで指定をいたしたいと思っております。ただ、いま繊維でおあげになりましたように、原因が自主規制にあるのか、特恵の供与にあるのか、あるいは日本が特恵を供与することによって輸入あるいは輸入価格、そういうふうな面から国内の価格その他の面に影響してまいるというふうな問題もあろうかと思いますが、ともあれ、それが、原因がどの面からどうきておるかという複合的な要因でその産業全体の将来の見通しが暗いというふうなものも――繊維をいまおあげになりましたけれども、繊維のほかにも、対米的な自主規制その他をやっておるような、あるいはまた、アメリカで関税割り当て制度をやっているような、そういう特恵そのものと別の要素で輸出不振になってまいるというふうな、複合的に原因が出てまいる場合というものがあろうかと思うわけでございます。ただ、法律のねらっておりますのは、その中に、いささかでも特恵による影響があるというふうに認定される事業でございますれば、できるだけ幅広に救っていくほうが、むしろここらの法の趣旨に沿うのではないであろうかというふうに考えておるわけでありまして、したがいまして、そういう複合的な要因の場合におきましては、できるだけ幅広に事業の指定をやってまいりたい。それが中小企業の事業転換等を円滑にする措置といたしまして、そのほうがより適当ではないであろうか、こう考えておるわけでございます。
#29
○大矢正君 誤解されちゃ困りますが、私は決して中小企業に対して、特恵によって影響をこうむっても、資金の面あるいは税制の面で特別の措置をしないほうがいいのだという意味で申し上げているのじゃなくて、当然、まだまだ手厚いことはやるべきだと思うけれども、あなたが理屈を言うからぼくも理屈を言うわけだ、そうでしょう。たとえばそれじゃもっと細分化して――あなたは大きく繊維業なら繊維業として業種を特定しないのだと、もっと細分化するのだとこうおっしゃる。それならたとえばメリヤスならメリヤスというものを考えてみて、そのメリヤスをさらに細分化して、横編み、縦編み、そういうふうにして一つ一つ分類していっても同じことじゃないですか。それは全然アメリカにもどこにも輸出してないという企業もあり、それからもう九〇%も輸出をしている企業もありますね。どこまで細分化していったって、結局同じことになるのです。あなたが理屈を言われれば、ぼくはいつまでも理屈を幾らでも言っていきますよ。あなたが、それは法律ではこう書いてあるけれども、事実上全くむずかしいことなんだというようにあっさり言えば、ぼくは下がるんだ。あなたが理屈を言われれば、ぼくは幾らでも理屈言っていきますよ。
#30
○政府委員(吉光久君) 確かに非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、要するに原因別に探究してまいるということは非常にむずかしい問題でございますので、したがって、大きな網でまず事業の指定をさしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。で、先ほどお答え申し上げましたように、その事業に属しておる限りには、一般的には特恵供与による影響を受けておる企業であるという推定を働かします。ただしかし、だれが見ても明らかにこの企業は特恵供与による影響は受けていないというふうに、これが、そちらのほうが明らかである、これはだれが見てもという意味で明らかであるというふうな場合だけを消極的に除いていくというふうな、非常にむずかしゅうございますので、したがいまして、そこらの運用にあたりましては、そういうふうな気持ちでやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#31
○大矢正君 国は適当な法律をつくり、適当な政令を出して、あとは都道府県の段階で、おまえらひとつうまく判断しろよというようなことは、私はあるべき姿ではないのじゃないかと思うから申し上げているわけです。
 労働省からお見えになっておりますね。それじゃあなたに一つだけお尋ねをしておきたい。せっかく来ていただいているので、長く待たしても恐縮ですからお尋ねいたしますが、廃業する際に、この法律の中においては、たとえば職業訓練であるとか、あるいはまた優先的な就職のあっせんであるとかということをしてやるんだと、こう書いてありますね。あなたのほうも、おそらくこの法律がつくられる過程の中では相談にあずかったと思うんですがね、あなた自身考えて、そういうことが実際にできますか、労働行政として。まずそこからお尋ねします。
#32
○説明員(岩田照良君) お答えいたします。
 業種の指定その他、今後の推移にもよると思いますけれども、中小企業、まあ一般的に考えまして零細企業等が多くて経済的な面での競争力が弱いものも多くございますので、こういう特恵供与につきましての進め方につきましても、いろいろ問題もあろうかと思いますが、関係各省とも協議いたし、連絡いたしまして、その進め方につきましても、できるだけ離職者等の発生しないような方法で今後協議してまいりたいと思っております。もしかりに出た場合には、従来の措置といたしましてやっております各種の措置を拡充強化いたしまして対処してまいりたいと考えております。
#33
○大矢正君 あなたにお尋ねをいたしますが、あなたが実際問題として労務対策をなされようとする際に、これはもちろん廃業した場合ですよ、まず企業主がおりますね。それから、それが何人かは別として、そこに働いている従業員がおりますね、そういう人たちを指定する際に、これは特恵によるものだ、しかしこれは特恵によるものではないというふうな判断を、あなた労働省の立場でできますか。もしできるとすれば、どういう形でされるのか。
#34
○説明員(岩田照良君) 非常にむずかしい問題だと思います。まあ、この法案の第八条にも書いてございますように、「中小企業者が特恵供与による需給構造の変化に即応して事業の転換等を行なう場合」には、職業、生活の安定のためにいろいろやるということになっておりますが、いま先生のおっしゃるように、はたして特恵供与によるものかいなか、具体的に判断するということは、たいへんむずかしい問題ではないかと考えております。
#35
○上林繁次郎君 いままでいろいろと論じられたわけですけれども、大きな点からいろいろとお尋ねしてみたいと思います。しかし、いずれにしても結論としては、この特恵関税によって影響を受ける中小企業、これをどうしていくかという具体的な問題に入っていくだろう、こう思います。そこで、大きな問題は別として、主として具体的な問題を何点かお尋ねをしてみたいと、こう思います。
 まず第一点は、この特恵関税の供与ということは、いわゆる発展途上国の国際経済力をつけてあげよう、こういうねらい。そこで私は問題が出てくると思うんですね。その問題というのは、たとえば特恵関税供与を受ける国、いわゆる発展途上国の中にも種類がある。言うならば先発発展途上国とそれから後発発展途上国、こういう問題があると思う。そこで、これは私が言うまでもなく御承知と思うけれども、何といっても先発発展途上国ですね、この輸出額の面から言っても力が違う、後発と比べた場合。この場合、特恵関税の精神といいますか、目的というか、そういう立場から、後発発展途上国のこの問題をこのままにしておけば、いままでのような状態でおけば、特恵関税の供与を受けたとしても、おのずから先発と後発との間には格差が生まれてくるということが考えられるわけであります。じゃその後発発展途上国の問題についてはどう対処していくかということが一つの問題じゃないか、こう思います。この点についてどういうふうにお考えになりますか。
#36
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう問題がございます。先ほど大矢委員にお答え申し上げましたように、特恵の話が数年間、この七、八年の間議論されておりますときに、発展途上国の間でもいろいろ立場の違いがありと申し上げましたのは、ただいま御指摘のようなことが確かにございますので申し上げたわけでございます。
 それで、この特恵の品目を選びますときにも、したがってなるべく広く、可能な限り広くということで、先発発展途上国の関心品目もあり、後発発展途上国の関心品目もありと、なるべく広く選んでおるつもりでございますけれども、なおその上で、先ほども申し上げましたトレードとエイドというものがあるということでございますから、トレードをする能力のない、いわば後発の発展途上国ということになりますと、やはりエイドというものに多少の重味がかかっていく、そういうこともまたあわせてやっていかなければならないと存じます。
#37
○上林繁次郎君 まあ私は特恵関税の目的からいって、その辺にしっかり手を打たないと、せっかくこういうものができても、やはり相変わらず後発のほうにはいつでも格差が出てくる、こういうことになれば、これは簡単な表面づらの問題でなくて、ほんとうにこういう発展途上国、特に後発というそういう立場にある国々に力をつけさしていこうという考え方をやはり前向きにしなくてはなら互い、こう思います。そういった点で、それだけお答えいただいたわけですけれども、次に移りたいと思います。
 今度のこの法案は、何と言っても転換策ですね、影響を受ける業種に対する転換策、その転換策というものが主体になっているわけですけれども、言うならば実際に輸出している業者と、それから国内向けの業者もおります、そこで、国内向けだけならば、これは片道ビンタだけで済むわけであります。ところが輸出をしている場合には往復ビンタになる可能性がありますね。と同時に、輸出をする、そして国内の場合にはある程度いろいろと手当てができますわね。ところが外国の場合には、これは手当てのしようがないです。そういう場合に、当然輸出業者については影響が大きい。そういう面についての金融、税制上の調整援助政策、こういうものがなけりゃならぬと思いますね。これはいわゆる転換のための対策、それが重点になっている。そういった点の配慮というものはどの程度今後行なわれていくのかという問題があると思います。この点どうですか。
#38
○政府委員(吉光久君) 確かに輸出面でこうむります影響のほうが、国内面でこうむります影響よりか多いのではないだろうかと思うわけでございます。国内面につきましては、いまの御指摘の中にもございましたように、波打ちぎわでいろいろの関税その他によります調整措置がとれるわけでございますので、したがいまして、そういう調整措置を通じ左がら影響を最小限にしぼるということも可能であるわけでございます。ところが、他の先進諸国と輸出市場での競合というふうな問題になりますと、その国の制度というふうなものが大きく響いてまいるわけでございますし、直接日本の国内でやっているような措置をとるわけにもまいらない、こういう関係でございますので、確かに輸出面におきます影響というものは相当大きいであろうと思うわけでございます。したがいましてこの臨時措置法におきましては、輸入の増加等によります国内面への影響と、それから他の先進諸国が特恵を供与することによりまして日本の輸出が減少してまいるというふうな、そういうところから出てまいります影響につきましても、あわせて同じようにこの臨時措置法を適用してまいりたいということで、両面を含めたものとして措置をとってまいりたいというのがこの考え方でございます。
#39
○上林繁次郎君 ですから私の申し上げているのは、この法案自体が転換のためのこれが主体になっているわけですね。そこで言いたいことは、この転換対策という問題だけが主体になるという考え方、これはおかしい。もっと企業というもの、中小企業これ自体を近代化、合理化をするという方向、そういう方向に進めていかなければならぬと、こう思うわけです。そういった点が、私はむしろこの特恵関税によって影響を受ける対策としては、そこに第一のポイントを置くべきじゃないか、そのポイントが私はずれているのじゃないか、こう思うわけです。そこで、その問題ずばりでいきますけれども、いわゆる近代化とか合理化という問題については、どの程度の施策あるいはまた金融措置、予算の面、こういう面ではどういう程度まで考えておられるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
#40
○政府委員(吉光久君) 確かにいまお話ございましたように、基本的にはやはり近代化、合理化等を進め、構造を改善してまいるということが中心になる施策であろうと思うわけでございます。したがいまして、これは来年度予算におきましてもその点につきまして、これは現在まだ御審議をいただいている予算案でございますけれども、配慮をいたしたつもりでおるわけでございまして、たとえば高度化資金の関係でございますが、これは総助成規模におきまして本年度六百五十八億のものを八百三十三億にというふうなもので助成をいたしたいというふうに考えているわけでございますし、あるいはまた中小企業近代化促進法に基づきます金融上の措置でございますけれども、これは本年度近代化促進貸し付けが三百十五億でございましたけれども、これを四百二十億までふやしたい。特にその中で構造改善関係の貸し付けにつきましては現在八十億でございますけれども、来年度はこれを二倍強の百八十五億というところまで高めたいというふうに考えておるところでございます。それからさらに御承知の設備近代化資金というふうなもの、これは限度が半分でございますけれども、無利子融資でございますが、この設備近代化資金の貸し付けにつきまして、貸し付け規模といたしまして来年度二百五十三億円というふうなことを考えております。それから設備貸与事業というふうな事業、これは主として小規模層に対する事業でございますけれども、これが本年度の四十二億に対しまして来年度六十億円というふうなことで、これらの施策をこういう関連の事業に集中的に注いでまいりたいというふうな考え方でございまして、これらの制度自身は、御承知のようにだいぶ前にできたものでございますが、しかし、やはり特恵対策その他競争力強化の依然として骨格をなしておる施策であるというふうに私どもも考えておるわけでございます。
#41
○上林繁次郎君 いまのお話を伺っていますと、中小企業の近代化ということは、もちろん特恵関税によります影響を受ける業種、そういうものに対する近代化ということについては、現行の制度を優先的に活用していこう、こういうお話でありますが、その場合に、特に資金の供給が十分にほんとうにできるのかどうか。新しいケースですね、こういう問題は。いままでできた制度というものはある。それはわかります。だけれども、それで十分ないわゆる手が打てるかどうかという問題が私はあると思うのですね。そこで、いわゆる転換対策については別途の条件をつけてあるのですね、これは。そのように近代化資金という問題についてもやはり別ワクというものをつくって、そうして対処すべきではないか、こういうふうに思います。そうして有利な方法で。そういう方法が私は大事じゃないか、こう思うわけです。これは相当大きな余波を受けるという考え方に立って見ていかなければならない。そうだとするならば、いま申し上げておるような考え方が必要になってくるのじゃないか。私はこう思うのですが、その点どうですか。
#42
○政府委員(吉光久君) 先ほども大臣からお答えがございましたように、現在やっております近代化施策も、やはり発展途上国の追い上げその他を前提にいたしまして、それに対抗できる力、国際競争力を強化してまいりたいというところから出発いたしておるわけでございますし、それから特に一昨年近代化促進法の改正をいただきまして、特定業種、要するに構造改善業種というものを新たにお認めいただいたわけでございますけれども、そのねらいも、やはり個別企業の近代化ではなかなかうまくいかないような業種につきまして、業種ぐるみで構造改善をやってまいるというふうな措置をとることにさしていただいたわけでございますけれども、これらも実は発展途上国の追い上げその他を前提に置いてとらえた施策であったわけでございます。したがいまして、国家の間の特恵の供与というふうなことに伴いましても、こういう前向きの近代化施設につきましては、従来の柱を拡充してまいる。先ほどお答え申し上げましたように、量的に相当拡充いたしておるつもりでおるわけでございますけれども、そういう方向で対処するということのほうが、特恵だけの近代化というふうに範囲を狭めて考えるよりか、より実情に合っておるのではないであろうかというふうに判断いたしたわけでございます。ただ転換関係につきましては、従来の制度では不十分でございますので、したがいまして新たに制度を創設いたしたわけでございます。で、共同して転換いたします場合に、振興事業団の中のいわゆる一般ワクと申しておりますけれども、一般案件の中に特恵転換分というものを組み込んでおります。これは特に特恵転換でございますので、償還期限を十六年という長いものにいたしたわけでございます。で、さしあたりのめどとして十億ぐらいのものを考えてございますけれども、実はこれは十億円に拘泥するつもりはございません。一般案件分は非常に大きなふところを持っておりますので、したがいまして需要があれば、申し出があれば、さらにその数字は一般案件の中で伸ばしていくという気持ちでおるわけでございます。それから個別企業の転換につきましては、中小企業金融公庫の中に新たに特恵転換分という特に特ワクのものをお認めいただこうということで、現在、予算、財投の御審議の中にこれも入れておるわけでございますが、ここらも実はこのワクについて拘泥するつもりはないわけでございまして、一応のめどとして組んでおりますけれども、これもやはり需要があればその需要に即しまして、年度途中であれ、弾力的に対処してまいるというつもりでおるところでございます。
#43
○上林繁次郎君 私は、なぜこの転換対策にとられたような特別な方法、こういう方法、システムを、いわゆる近代化という問題についてもとらないかということ、言うならば別ワクという問題。その一つは、これはいまも申し上げたように相当大きな影響を受けるであろうという一つの想定から申し上げてる。もう一つは、いままでのたとえば中小企業近代化資金の貸し付けにしても合理化にしても、この資金を受ける対象というのは特定の業者に限られておったという傾向があるんです。ですから、具体的な例を申し上げると、繊維なら繊維の業種、繊維業者、これが一地域にある、そうするとそこに中小企業がたくさんある、そうすると近代化促進ということについてここに資金が流れておる、それを受けられるのはほんとうにごくわずかで、四つか五つの業者しかない、こういうような状態である。そういったことを考えると、いままでの体制の中ですでにそういう問題が起きているということなんです。そうしたことを現実に私知っております。ですから、そういう具体的な例を踏まえた上で、今度おそらくこの特恵関税供与という制度がしかれたならば、相当大きな影響があるだろう、各業界に。そうすると今度はそれらの、一応あなたがおっしゃるように影響を受ける中小企業の近代化ということについて、当然これについてはもう金の問題になってくる、国の援助の問題。その体制がいままででもはっきりしてなかった、非常にまばらであった、その恩恵をこうむるのはほんのわずかしがなかったということでは、幾らあなたがそういったいまおっしゃったようなことを言っても、結局は形だけはあるけれども、実質的には効果があがらないじゃないか、こういう心配があるわけです。ですから当然、先ほどから大矢先生からもいろいろ話があったけれども、この特恵関税の影響を受ける業種については、その救済というか、援助というか、それがきめこまかく届いていかなきゃならぬ、こう私は思うんです。ですから、そういったことについて十分きめこまかく、特定な業者だけでなくて、もっと下まできめこまかくそういったものが届いていくんだという、そこまでの確信があるのかどうかということですね、また、そこまで考えているのかどうか、いままでの体制では私は納得できない。
#44
○政府委員(吉光久君) 確かにお話にございましたように、特恵の影響を受ける業種の中には、産地産業を形成しているものが多いかと思います。ある特定の町の周辺にその特定の産業が集中しているというふうな場合が非常に多いかと思います。したがいまして、中小企業振興事業団の中に、共同してやります場合の融資の道を開いたわけでございますけれども、そういう場合、やはり関係都道府県等と緊密な連携のもとにやらないと、施策がともすれば一部のみに働いて全体に浸透しないというふうなことの出てくる場合も想像されるわけでございますので、したがいまして、この転換指導につきましても、都道府県及び六大市にございます総合指導所を中心にいたしまして、地元と密着した形での転換指導をやってまいりたいというふうに考えるわけでございます。したがいまして、そういうふうな指導助言から出てまいりますいろいろな御意見も入れながら、先ほどお答え申し上げました近代化資金その他の資金の活用につきましても、やはりきめこまかな配慮をしながらやっていくべきものだという点、御指摘のとおりだと考えます。
#45
○上林繁次郎君 大矢先生とこれはダブらぬと思うのですけれども、いわゆるこの特恵関税の供与を受けるという、まあそれは発展途上国であるという、それが対象になるということはわかります。そうすると、発展途上国であるというその見きわめてす。基準をどこに置くかという問題があると思うのですね。その基準、特恵関税を受けられる対象、その基準をどこに置くのだという問題があるのです。たとえば国民所得によって、これはこうであるから発展途上国である、こういうようないわゆる問題があると思うのです。この点はどういうふうにお考えになりますか。
#46
○説明員(平井廸郎君) 確かに先生おっしゃいますように、発展途上国の基準として、たとえば一人当たりの国民所得をとるというような考え方もあるわけでございます。あるいは一人当たりの国民総生産をとるとか、いろいろなことが論議されたわけでございますが、具体的にUNOTADの場において論議を重ねました場合、必ずしも一つの基準でこれを律することが非常に困難であるということが判明してまいりました。結局先進国、後進国の間で共同の合意に達するためには、発展途上国としてみずから手をあげたものを途上国として扱うという以外に方法はないという結論に達した次第でございまして、そういう意味では、先生もおっしゃるように客観的な基準に欠けているということは事実でございます。
#47
○上林繁次郎君 それでは、この問題いろいろと衆議院でも論議されてきて、また、いま大矢委員からも話があったわけですけれども、中国の場合ですね、おそらくこれは手をあげないだろうと、こういうわけですね。おそらく手をあげないだろう。じゃ手をあげた場合にはどうなるかという論議がいまあったわけですが、そこで、たとえば中国が手をあげなかった場合、台湾だとか韓国だとかいうのは、これはたとえば特恵関税供与を受ける国になるということになりますと、これは大きな差が出てくると思います、中国と。そうなった場合、中国との国交回復、また経済、いわゆる貿易の拡大一こういったことが叫ばれている、こういう問題をそれじゃどうとらえるのかという問題があると思うのです。台湾、これは供与を受ける。そうすると、当然中国の製品との間にこれは格差が必ず出てきます。こういう問題をどうするか、これは言うなれば大きな立場になると思いますけれども、その点はどういうふうにとらえていらっしゃるか。
#48
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、まあ私どももおっしゃっていることはよくわかっておりますのですが、ケネディラウンドのようなものでございますと、一般的な関税の譲許でございますから、中国に対しましても均てんする方法を逐次とってまいりましたわけで、現在二十三品目くらいがそうでないものが残っている程度で、ほとんど均てんをしてきたのでございますけれども、このような基本的に差別的な制度というものは、均てんをさせるということができない性格のものでございます。それでございますから、もし御指摘のような前提に立ちますと、確かに受けておるところと受けていないところとは、何ぶんの格差ができてしまうわけでございます。ただ申し上げられますことは、たとえば今度のスキームでは、生糸とか絹織物とかいうようなものは特恵の例外にいたしておりますので、特恵あるがゆえに、さらに中国あるいは韓国、台湾等とそれらのものについて差別を生ずるということはないわけでございます。
#49
○上林繁次郎君 そうしますと、いま特定な品目を大臣あげられたわけですが、その点はそうだとしても、それでは、たとえば台湾あるいは韓国、これに特恵関税の供与が与えられると、その場合、そのほかの面で競合するような問題はないか。いま大臣が指摘された、絹糸とかもう一つ何かあげられましたね。そのほかのいわゆる製品について、台湾あるいは韓国と中国との間で競合するような製品はないのか。あるとするならば、そこに私は問題が生ずると思う。生ずれば、特恵関税供与を受ける国のほうが有利になってくることはもう当然です。その場合、中国とのいわゆる貿易の拡大という、そういういわゆるいま時期にきているわけです。また、そういうことが叫ばれているわけですが、そういった問題についてますます格差ができると同時に、そこに、中国とわが国とのいわゆる貿易関係というものは、国民が望むところと逆行して、ますますいわゆる日本との貿易関係というものが遠ざかってしまう。こういう感じを受けるわけです。ですから、いまの経済外交というか何といいますか、そういった問題が私は一つこれからの大きな問題じゃないかと、こう考えるわけですけれども、その点、そういったことが、もし競合するような場合があったときには、必ず格差ができる。そうすると、わが国との貿易はだんだん、だんだんと遠ざかっていく。そういった姿になった場合、それでいいかどうか。もしそういう場合には、どうこれを打開していくか。対中国関係の大きな問題です。そういった何か施策というようなものをお持ちなのかどうか。その点ひとつお伺いしておきたいと思います。
#50
○国務大臣(宮澤喜一君) 理論的にはおっしゃいますとおりなんでございますけれども、私どもがこの法律で――この法律と申しますのは、関税定率法の一部改正でございますけれども――八条の二の二項というものを設けました気持ちの中には、そういう場合の自己選択を考慮するという意味がございますので、先ほども大矢委員に申し上げましたが、別に発展途上国であるから国の品格が下がるとかいうようなことは本来ない種類のことでございますから、もし先方でそう自己選択をされれば、私どもとしてこの二項に基づいてそれなりに考えてみようと、こういうふうな法律の用意になっておるわけでございますので、それをしも選択をしないということであれば、これはどうも何ともいたし方がない。ケネディラウンドでございますと均てんができるわけでございますけれども、もともとこういう性格のものでございますので、何ともそうなればやりようがない。理論的には、したがいましておっしゃるようなことになるわけでございますけれども、実際には、かなりのものについて、例外なり五〇%カットなりしてございますから、この法律のゆえにそういうことが相当たくさん起こってくるということはないのではなかろうか。理論としてはおっしゃいますとおりでございます。
#51
○上林繁次郎君 私も、大臣のおっしゃることはわからないわけではないのです。わからないわけではないのだけれども、たとえば、基本的には私が申し上げていることはおわかりいただいていると思うのです。対中国との貿易という問題ですね。そういう大きな立場からいった場合、特恵関税に対して中国が意思表示をする。うちも受けたいということであれば、いま大臣のお話では、それは考えられることだというようなお話があったわけですけれども、もしその意思を表明しなかった場合には、必ずそういう台湾や韓国との格差が出てくる。そうなれば、いわゆる日本と中国との貿易というものは遠ざかってしまうという、こういうことを言っているわけです。じゃそのままにしていていいのかという今度は問題になるわけですよ。そのままにしていていいのかと、こういう問題になる。そこで、言うなれば、手をあげなければやむを得ないというその姿勢で貫いていいものであるかどうか。大きな立場からいって。もし手をあげなければあげないように、日本としては、中国との貿易の拡大というそういう立場から、当然何らかの手を打つべきではないか。こういうふうに私は考えるわけですけれども、その点についてのお考えはどうなんですか。
#52
○国務大臣(宮澤喜一君) かと申しまして、私どものほうから、あなたのところは発展途上国でございましょうと申すのは、これはますます悪いことでございますから――私どもはそれを悪いと思いませんけれども、しかしそういうことがあろうというお話でございますので、それはどうもできないとなれば、理論的にはどうもおっしゃるような結果になってしまいますので、私どもは、御承知のようにいわゆる覚え書き貿易につきましても国庫補助をいたしておりますし、見本市につきましてもさようでございますので、そういうことでできるだけ日中間の貿易をふやしてまいる、そういう気持ちに変わりはございません。が、どうもこの問題につきましては、何とも理論的にはいま言われるような問題が残る、残念でございますけれども。ケネディラウンドでございましたら均てんをさしていきますが、中国は入れたがアメリカは入れないということになれば、やはりそこに価値判断のようなものがどうも入ってくるではないかということになってしまいますので、何とも、理論的に、おっしゃることはどうもこれ、やりようがないという感じがしておるわけでございます。
#53
○上林繁次郎君 私は、一応大きな立場から言った場合にはそういうふうになるのじゃないかということで、お話を申し上げておるわけです。やはり一国の大臣の立場からすれば、もし手をあげないという場合、その場合には、こちらから呼びかけたらかえっておかしなものになるのじゃないかという、そういう、何というか、浅い考え方じゃなくて、もっと大きな立場から、それは何らかの手を打たなければならぬ、何らかの方法によって、というそういう必要があるのじゃないかと、私はこう思うわけですよ。その点について議論をしても、どうもこれ以上進みそうもありませんのでこの辺で終わりたいと思います。
 中小企業庁のほうにお尋ねしてみたいと思いますが、長官にお尋ねしてみたいと思いますが、特恵関税、この制度がしかれればいろいろな業種が影響を受けるということは、これはもうだれが考えてもわかることなんですが、それじゃその影響の度合い、先ほど大矢委員のほうから話のありましたその影響の度合いというものを、現在の時点で調査をしておるのかどうかという問題、この点は先ほどお答えになりましたのですが、もう一度ひとつ。
#54
○政府委員(吉光久君) いろいろの前提を置きまして、いろいろな角度からの調査は実施いたしております。ただ、御承知のように関税率が幾ら下がったからだからどうという、価格面だけで捨象して考えるのもいかがかという要素もあるわけでございます。相手国の好みの問題、その他品質の問題、いろいろと変わってまいりますので、したがいまして、ただ、関税がこれだけ下がるからだからこれだけという、価格競争力という点ではすぐに把握できるわけでございますけれども、品物の出入りがそれだけできめられるというふうなわけでもございませんので、したがいまして、これを計数的に把握するというのは非常に困難な状況ではないかと思っております。したがいまして、現在やっておりますのも過去におきます追い上げによりまして、たとえば絶対額もシェアも低下しておる業種、こういうふうなものがどういうふうになってまいるであろうかとか、あるいはまた絶対額は横ばいだけれどもシニアは低下しておりまする、要するに発展途上国の追い上げとその追い上げの品目になっておりますものにつきまして、特にアメリカでどういう特恵が供与されるのかというふうなことのにらみ合いでいろいろな検討を行なっておるわけでございますが、同時にもう一つ、これらの発展途上国の供給力がどういう形で変化してまいるか、これもまた要素の中に加えて考えてみる必要があろうかと思うわけでございます。その点につきましては、すでにジェトロのほうで問題になりそうな要素につきまして二年前から逐次調査を進めてもらっております。そういうふうな要素、それからアメリカ市場における動き、それから国内産業の動き、そこらの三つの面からの調査を実施いたしておりますし、また同時に、特恵供与になりますれば、それを前提にいたしまして、いろいろとまたさらにいままでやっていなかったような調査も実施していかなければならないというように考えておるところでございまして、そういう意味から、実はこれも御審議いただいております来年度予算の中に、国内におきます影響調査、これを書面調査、現地調査等含めまして、現在予算の配慮をいただこうとしておるところでございますが、これは単に国内面のみならず、将来さらに先進国における市場の動向、発展途上国における生産供給力の状況、そこらを総合的にさらに調査を進めてまいる必要があろうかと思っております。
#55
○上林繁次郎君 そこで、この特恵関税制度、これがしかれれば、当然この法案自体の転業対策、こういうことなんですけれども、転業をしなければならないという業種が相当出てくると思います。しかし、この法案だけを見ていれば、その転業に対する対策を講じていくんだと、これはよくわかります。いかにも政府が手厚い施策をしておるんだと、こういうふうにうかがえる。しかし、現実はそういう甘いものでは私はないと思うんですね。ということは、たとえば一つの地域がある、そこに弱電関係の企業がある、ところが弱電関係が最近非常に不調である。そのために関連の中小企業が頭打ちになってしまうというその問題が現実にあるわけです。あるいはまた、自動車工業にしても同じようなことが言える。そういうふうに、地域的には一つの基幹工業というものを中心にしていろいろと中小企業がある程度の発展を見てきているのが、その大もとがたとえば影響を受ける、そのことによって――いまでもそうなんですよ。ですから、そういう場合に、その一地域においては、じゃ転業と、この余波を受けて転業といっても、なかなか簡単に転業する仕事がない、こういった例も出てくるということが言えると思うんです。これは全国的にあちらこちらにそういうものが生まれてくると思う。そこまでそれじゃ政府のほうは配慮をした上での転業対策なのか、いまお話では、いろいろの面で配慮をしていきたいと、こういうことなんですが、その辺のところもいままでの段階としては、いわゆる配慮された上で、いろいろと検討されているかどうか、その点どうですか。
#56
○政府委員(吉光久君) 確かに転業というのが、口で言うほどやさしいものではないと思うわけであります。御指摘のとおりだと思うわけでありまして、したがいまして今回の事業の転換についての考え方でございますけれども、従来、普通の場合には製造業の中で事業を転換してまいるというような部分が通常であったわけでございますけれども、今回は思い切りまして製造業から商業へ、あるいは製造業からサービス業へというような事業の転換も、この事業転換の中で含んで考えるということに、非常に幅広く考えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。したがいまして、この事業転換をいたします場合の転換先につきまして、いま申し上げましたような、そういう基準をつくりたいと思っておるところでございます。で、特にいま風俗営業法で取り締まりを受けておりますような業種のものだとか、あるいは公序良俗に反するような、そういう部類の営業というようなものにつきましては、これは何も転換施策としていろいろの助成を与えることは、これはまずいと思いますけれども、普通に考えられるような、そういう仕事でございますれば、これもすべて事業の転換という中に幅広く運用してまいりたいと考えるわけでございます。同時に、いまもお話がございましたように、産地産業を形成しているものが多い関係上、やはり指導体制は、何と申しましょうか、いわばかゆいところに手の届くようなと申しますか、きめこまかな指導ができるような、そういう体制の整備も並行して進めてまいる必要があろうかと思います。
#57
○上林繁次郎君 転業の場合にはわかる。廃業、それから倒産、こういう問題が生じてくると思います、転業できずに。こういったものの対策というものは、特にどういったところにねらいを定めておるのですか。
#58
○政府委員(吉光久君) 実は今回の措置の中には、積極的な意味での廃業対策というものを含んでいないのでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、転業の幅を広く見るというようなことで相当部分救済されるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。廃業対策につきまして、現在近代化資金等助成法の体系におきます構造改善準備金制度がありますことは御承知のとおりでございまして、これは同業者が寄り合いまして、組合といたしまして転廃業対策を講ずるという場合に、準備金の積立金、普通の場合ですと売り上げ高の千分の十五でございますが、そういう転廃業資金を準備金として積み立てるという場合には、売り上げ高の千分の二十五まで準備金のうちに積み立てができる制度があるわけでございます。現在そういうような準備金制度を活用しておられる組合も相当数あるわけでございますが、さらにその業種の特別な実態に応じまして、たとえば、繊維のように特別立法でさらにたとえば織機の買い上げ、その他の措置をとっているもの、あるいはまた単純に予算措置だけで、いまの準備金関係を応援しておりますもの、これはたとえば北海道の木材製品関係につきましては、いまの構造改善準備金をさらに予算措置で応援しているというような措置をとっておるもの、これは業種業態によって違ってまいるわけでございます。そういうようなことから、ここでは一般的に廃業対策というようなところまでは取り上げておらないわけでございますけれども、しかし、業種業態によりましたら、特別な立法をもって、あるいはまた特別な予算措置をもって、そういう施策を講じていかなければならない、そういう業種もあるいは出てくるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、それはそういう業種別対策として別途必要に応じまして準備をさしていただくというような考え方でいるわけでございます。
#59
○上林繁次郎君 私の申し上げているのは、いわゆる特恵関税制度がとられることによりまして影響を受ける、そうしてそのために廃業する、倒産するという問題を申し上げておるわけです。とするならば、いわゆる政府の意思によってこういうものが行なわれる、そのしわ寄せがくるわけですから、当然政府としてそういうものに対する強力な対策が必要ではないかということを申し上げておるわけです。そこで、先ほどのお話から、まだ正確に各業種がどの程度の余波を受けるか、そういったことがつかめない、こういうことなんです。今後こういう問題が出てくると思います。業界のほうでは、どの程度自分たちに特恵関税の影響が出てくるんだという見通しがつかぬ。それは影響があるということはわかるけれども、その見通しがつかぬ。その場合に、やはりそれらの業種の生産は、どこまで生産するか、多くやればそれだけ損が重なるのですからね。ですからその辺のいわゆるこの影響を受ける業種についての生産調整という問題、こういう問題があると思うんです。こういった点についての何かお考えありますか。
#60
○政府委員(吉光久君) 確かに業種によりましては生産調整というふうな問題も起こる場合もあろうかと思うわけでございます。これはもちろん影響のぐあいによると思いますけれども、急激に輸出が減る、そのために生産がだぶつくとかいうふうな問題もあろうかと思います。で、これはこの法案には入っておりませんけれども、現在ございます御存じの中小企業団体法に基づきますそういう一般的な施策がございますので、したがってその一般的施策を併用していかなければうまくいかない場合というふうなものも出てこようかと思うわけでございまして、したがいましてそういう点につきましては、先ほど御指摘ございましたようないろんな意味での事前調査、これを十分にやってまいりまするが、その事前調査の内容をよく業界のほうに情報として提供するということが必要になってまいろうかと思います。できるだけそういう設備拡充に伴う生産調整ということがないように、事前にやってまいるということが必要かと思うわけでございますけれども、現にあるもの自身が過剰になってまいる、こういう事態も起こり得ないとは言い切れないと考えます。
#61
○上林繁次郎君 それではこの法律は、いわゆる国内業者の中には、国内向けの業者と輸出向けの業者、また両方兼ねている業者、いろいろあると思います。そこで、この法律はいわゆる輸出業者にも適用される、もちろんそうです。また輸出には関係ない国内向けの業者、それにもこの法律は適用されるということなんですか。それはどういうことなんでしょうか。
#62
○政府委員(吉光久君) 特恵を供与いたしますことによります需給構造の変化の態様の問題だと思うわけでございますけれども、確かにこの需給構造の変化する要因、直接輸出が減ることによって要するに需要が減少する、供給力が過剰になるという問題と同時に、また、ある部面におきまして輸出が減少することによりまして、あるいは輸入価格が下がることによりまして、それがまた国内価格に影響を与えてまいるとかいうふうなはね返りの問題もあり得ると思うわけでございます。したがいまして、端的に輸出だけの影響、あるいは輸入だけの影響というものと、それにさらに加えてその間接的な影響、そういうふうなところからまいります需給構造の変化ということがあり得るわけでございます。したがいまして、そういう点につきまして、やはりできるだけ幅広に需給構造の変化を配慮してまいるというふうな基本的態度が必要になってまいろうかと思っております。
#63
○上林繁次郎君 その辺のところをもう少しはっきり、この際ですからしておく必要があると思うんです。私の言っているのは、もちろんこの特恵関税の影響を受けて、いわゆる輸出はしてない国内向けのいわゆる繊維業者なら繊維業者、これは特恵関税の影響を受けて、そして安いものが入ってくるのだと、もう競合できなくなる、影響を受けるわけです。その場合に、たとえば転業しなきゃならぬということですね。その場合に、いわゆる輸出には関係ないけれども、国内向けだけだけれどもという業者がいるわけです。そういう業者もいわゆる特恵関税の影響を受けたという立場は同じです。ですからそういう国内向けの業者にもこの転業対策の法律というものは適用されるのかどうかということですね。
#64
○政府委員(吉光久君) 私、先ほどお答えいたしましたところで、間接的な影響というふうにお答え申し上げましたのは、実はいま御指摘になりましたような例を頭に描きましてお答え申し上げたところでございます。そういうふうな問題につきましても、やはり同じ犠牲者でございますので、したがいまして、需給構造の変化という波を受けている点につきまして同じでございますので、同じ扱いをしてまいりたいと考えております。
#65
○上林繁次郎君 最後でございますけれども、まあ特恵関税によっての問題として、いまいろいろと国会の中で論議をされてきているわけです。で、特恵関税だから輸出入について業者が影響をこうむっても、これは世界的な趨勢としてやむを得ない。こういうあきらめ的な考え方で臨むか、あるいはまた、そういういわゆる国際経済の情報といいますか、こういうものをやはり私はしっかりととらえていかなければならないのじゃないか、こう思うわけです。そうすると、その体制というもの、情報網です、それに対する体制というものが私は大事になってくると思う。この辺のいわゆる体制についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在、各国にわが国の公館がございますわけですが、その中には、もうたいてい経済の専門家が出ておりまして、絶えずその国の経済情勢については報告をしてまいりますし、また、OECDあるいはガット等々にもわがほうの代表が出ております。また、そういう場所でしばしば会議などもございまして本国からも参ります。それから他方でジェトロが御承知のようにございまして、これもかなりもう伸びてまいりまして、情報収集は相当よくやってくれております。で、特にそれを今度中小企業向けにということになりますと、現にジェトロにも東京でそういう中小企業向けのサービスをいたしておりますが、そのほかに、商工会議所にもそういう情報を差し上げまして、そこからさらに中小企業向けのいろいろのお問い合わせに答えると、こういうことをやっておるようなわけでございます。
#67
○上林繁次郎君 そうしますと、私は、いま申し上げたように、そういういわゆる国際経済の情報網というものがこれからますます重要なポイントになるんじゃないかということを申し上げているわけですけれども、その体制は、いま大臣のお話では、まあ相当のところまでその機能を発揮しているんだと、こういうお話です。ということは、それでよしと、もう現在の時点でよしという考えなのか、あるいはこの情報網を、具体的に言うならば、たとえばジェトロの体制それ自体をもっと拡充していく必要がある、こういうふうにお考えですか。どうですか、その点は。
#68
○国務大臣(宮澤喜一君) たとえば資源といったような問題になりますと、ことに石油などでございますが、非常に私どもの情報網は実は弱うございます。何とかいたしませんといけませんので、それをただいまいろいろと夏までにどうするかということを検討いたしておるところでございます。何がしかはあるのでございますけれども、非常に少のうございます。それからジェトロそのものは、一般情報については非常によく動いていてくれますが、どうもわが国のいわゆる経済大国といわれる、あるいはそうやって見られる目というものが昔と違ってまいりましたので、ジェトロも個々の商品の売り込みをやっているというような印象を、もはやあまり与えないほうがいいので、わが国全体のもっと文化、伝統といったようなものの紹介に、もう少し重みをかけたほうがいいんではなかろうか、最近、そういう反省をいたしておりまして、ジェトロはむろん経済の情報について手を抜くというわけじゃございませんが、少しそういうほうにウェートをかけた運用をすべきではないかと思っております。
    ―――――――――――――
#69
○委員長(川上為治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、八木一郎君が委員を辞任され、その補欠として高田浩運君が選任されました。
 暫時休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時四十四分開会
#70
○委員長(川上為治君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、近藤英一郎君が委員を辞任され、その補欠として安田隆明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#71
○委員長(川上為治君) 休憩前に引き続き、中小企業特恵対策臨時措置法案を議題といたします。
 質疑を続けます。質疑のある方は御発言を願います。
#72
○大矢正君 大臣からお答えをいただきたいと思うのでありますが、一九六八年の春の第二回国連貿易開発会議において特恵を早期に実施をすべきである、こういう合意がなされて、来年の最も早い時期に、それぞれの国は開発途上国に対して特恵を供与すべきである、こういうことになったと思うのであります。政府は、それに先立って一九六七年の十一月に閣議決定で、特恵にわが国も参加する、供与するという立場において参加をする、こういう経過が私はあると思います。そこで、先ほども申し上げたのでありますが、特恵が及ぼすわが国への影響というものは、なるほど中小企業が大部分であって、大きな目で見ると、わが国の輸出ないしはわが国への輸入、この中に占める比率というのは少のうございますから問題はないように見えますけれども、実際上考えてみますると、これは非常に地域によっては重大な内容を持っておると思うわけであります。それは、御存じのとおりに、たとえば特恵が供与されることによって影響を受けるわが国のそれぞれの品目を産地別に拾ってまいりますと、全国に平準化しておれば問題は比較的少ないのでありますが、御承知のとおり繊維にしても雑価にしても主産地というものがあって、地域にそれらの品目が集中をしている、かるがゆえに単に地域の中で一つの企業、二つの企業というのじゃなくて、その地域全体の企業に対して重大な影響を及ぼすという内容を持っているものでありますから、マクロ的といいましようか、大きな目で見ればなるほどさほど大きな問題ではないように思われるけれども、その実はこれはたいへんな私は結果を及ぼすことになる、また影響を及ぼすことになる、こう思うのであります。そこで前に戻りますが、政府が一九六七年にすでに閣議で特恵の参加に踏み切った、踏み切った限りにおいては当然のこととして特恵の影響がわが国の中小企業、産地に出てくるだろうことはもう予測をされることであります。ところがやっとこのいま審議をしている中小企業特恵対策臨時措置法というものが今日出ただけでありまして、とりたてて特恵対策のために政府がこういう事態が来ても中小企業ないしは産地というものが重大な脅威にさらされないようにするための措置というものは、政策的に、あるいは助成措置としてとられたようにも思われないのでありますが、言うてみれば政府の政策の怠慢ではないか、行政の怠慢ではないかという感じすら私は抱くのでありますが、私のこういう考え方に対して反論がおありになるならば、具体的にそれじゃいままで何をやってきたのか、特恵が重大な影響を与えるということについて通産省自身がどういう措置をやってきたのか、お答えをいただきたいと思います。
#73
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども中小企業庁長官が申し上げましたように、やはり産地にある程度片寄るということは御指摘のとおりだと思いますので、そこで特定事業もそういうことを考えて指定をしていきたいと考えておるわけでございます。それで今回特恵をいたしますときに、スキームをつくりますときに、特恵本来の目的を追求しながら、しかしわが国の中で特に産地産業といわれるもの、そういうところに重大な影響を与えそうなものにつきましては、あるいは例外とし、あるいは五〇%カット、また数量で押えるといったような幾つかの配慮をしておるわけでございまして、そのゆえに実は先進国からも後進国の一部からも日本の案は渋いと言われたようなこともあるわけでございます。しかしこれはわが国の置かれている立場からいたしまして、ひとのことばかりを考えるわけにはまいりませんので、こういうことに落ちついたわけでございます。そして、先ほどお話の昭和四十二年の閣議決定にもございますが、中小企業を中心として企業の近代化、合理化、構造改善を促進する云々となっておりますが、従来私どもがやってまいりました、また今日推進しております構造改善政策、これは御承知のように産地の組合、まあ産地をあげてというような形でやっているものが多うございますので、先ほども申し上げましたように構造改善政策あるいは一般の近代化政策、これが結果としては、この程度の特恵を可能ならしめるに至ったというふうに私ども考えております。何もそれは特恵を目ざしてやったことではなかろうとおっしゃいますれば、確かに四十二年より前からずっとやっておるのでございますから、そうは申し上げかねるのでありますけれども、結果として、そのような施策の結果、この程度の特恵は可能になったのではなかろうか、こう申し上げてもよろしいのではないかと思います。引き続きましてそのような構造改善を推し進めてまいりますし、また四十六年度の予算につきましても相当大幅に増額しておりますことは、先ほど中小企業庁長官も上林委員に申し上げたとおりでございます。
#74
○大矢正君 自由経済でありますから、政府の行政というものはあくまでも従たる立場に置かれているということは、私否定するわけではありませんけれども、この法律の効果というものが、具体的にどの程度のものがあるのかということになると、どうも心もとないわけであります。なぜかというならば、この法律に書かれておることは、影響を今度受けて転換をしなきゃならぬという場合には、その転換をする、あるいはしたいと思う企業というものは、あるいは業種というものは、自分でどういうものに転換をするかということをまず考え、そして自分で全部計画を立案して、資金のくめんをし、そして、それに基づく措置も行なって、足らない部分だけを政府に依存するんだ、させるんだ、こういう立場に立たれているわけですね。そこで私は、なるほどそれも一つの理屈かもしらぬけれども、特恵を供与するということは、国の大きな目的に沿ってやることでありますから、個々の企業の経営者なりその他のこの自主的な判断や努力だけではなしに、政府みずからが、こういうように転換をしたらどうだろうとか、あるいはこういうように方向を変えていったらどうだろうかというような形においての指導というものが前向きになされなければならぬ。法律にこういうものが書いてあるから、自分が何か考え、そして計画を練ったら、それを持っていって金を貸すかどうか相談してみなさいというやり方だけでは、私は特恵の被害を受ける中小企業に対しての施策としては、冷たすぎるのじゃないかと思われますが、これは長官からお答えをいただきたいと思う。
#75
○政府委員(吉光久君) 御指摘のとおりでございまして、そういう意味でこの指導体制を強化いたすことにいたておるわけでございますけれども、たとえば現在都道府県及び六大市に中小企業総合指導所というものがあるわけでございます。予算の関係で現在補助人員といたしまして八百六十六名配置されておりますけれども、さらに来年度におきましては、この拡充をはかりたいと考えておるところでございまして、これを九百十一名にまでいま上げることを考えておるところでございます。もちろん総合指導所の指導員だけで指導が全面的にできるというものでもないかと思うわけでございますけれども、この総合指導所を一つの指導機関の核といたしまして、現在いろいろございますところの商工会あるいは中央会、商工会議所その他の指導員等も動員いたしまして、特にきめのこまかい懇切丁寧な指導が必要であろうかと思うわけであります。こういうふうな意味から実は中小企業振興事業団のほうで、過去の転換事例というものにつきまして追跡調査を行なっております。どういうふうに、どういう業種からどういう業種にどう動いて、どういう条件が整った場合には成功している、こういう場合には失敗しておるというような、いろんな事例を現在集めておるところでございます。これらもやはり指導員が身につけて、現場で指導する場合に必要な手引きにいたしたいと思っておるところでございます。それからさらに、こういう指導の問題にいたしましても、先ほどもお尋ねございましたけれども、要するに国内の実態のほかに、やはり海外諸国の動向、特に先進国における輸入の動き及び消費の動き、あるいはまた発展途上国における生産拡充がどういう形で進んでいくか、そういうふうな情勢につきましても、やはりそれらを収集いたしまして、これを指導員に配りますほか、それぞれの産地産業を形成しておられますところ、主として組合を形成しておられるところが多いわけでございますけれども、そこらの事業協同組合等にもよく流しまして、そういう点につきましての、きめこまかな指導をやってまいる必要があろうかと思うわけでございまして、そういう意味での体制につきまして、現在の制度をさらに拡充してまいりたいと思っておるわけでございます。
#76
○大矢正君 政府はまあ特恵の与える影響というものを考慮して、税制面においてあるいは金融面において、その影響を受ける企業なり業種に対して、特別の措置をするんだということでありますが、税制面で見た場合に、減価償却の期間を短縮するというようなことが具体的に出ておりますけれども、減価償却をするものを持っておる企業はいいけれども、減価償却をもうすでに完了するあるいは完了に近いような形の企業というものは、何も影響を受けないわけですね、税法上の恩典に浴さないわけですね。それはまだ減価償却が全然済んでおらぬような企業ならば、なるほど恩恵を受けるかもしらぬけれども、実際に古い機械なり設備なりを使用しておる企業というものは、減価償却は済んでおるはずですから、そういたしますならば、税法上の助成なんていうものは一つも受けないわけですね。それからたとえば信用保証協会を通じて、特恵に対しては特別保証をするような制度を新たにつくるんだ、まことにけっこうなことだと思うのです。ところがですよ、制度をつくるのはけっこうだけれども、それじゃその制度ができたら、たとえば保証がなくてもあるいは担保がなくても設定すべき抵当権らしきものがなくても、金を貸すのかといったら貸さないでしょう、結果はそうじゃないですか。それならば、何もわざわざここで特恵のために云々なんていうワクを別に設けたからといったって、何の効果もない。それならば資金のワクも同じであって、たまたまそいつを細分化するだけの話でありまして、こういうことのために影響を受ける中小企業に対しては、たとえば担保力が弱くてもこうしてやるんだというようなものがあって初めてそこにこの金融措置の有効性というものが出てくるわけですよ。それがないならば、こんな制度を幾らつくってみたところで、これはいままでの信用保証制度と一体どこに変わりがあるのですか。中小企業金融公庫から金を貸すということにしても同じこと。全部がそう言えるじゃないですか。ですから、抽象的に信用保証制度の中に一項目特恵関連保証という項目を設ける、そのことは悪いことではないけれども、そのことと平常の保証というものとの違いは、一体どこにあるのか、特別に政府として、特恵による影響によって転業しなければならぬような業種については、たとえば保証料率については従来のものはこうだけれどもこうするとか、保険料率も安くするとか、あるいは担保は従来はここら辺まで見たけれども、その七掛けでいいんだとか、いろいろ具体的なものが出てこなければ、何ぼも効果ないじゃないですか、その点についての何か考え方がありますか。
#77
○政府委員(吉光久君) 確かにこれで万全であるかというようなことになりましたならば、さらに努力を重ねなければならない点もあろうかと思うわけでございます。いまの保険の問題でございますけれども、すでに御承知のとおり、通常の保険、したがいまして普通保険のほか無担保保険あるいは特別小口制度等につきまして、それぞれ別ワクで同額のものを保険にかけることができるというふうな制度を創設いたしたわけでございます。御承知のように産炭地の関係でございますとか、あるいは倒産関連関係の保証制度でございますとか、あるいは災害等の関連の保証でございますとかいうふうな、過去にあるものと同じ制度にいたしたわけでございます。したがいまして特別小口で、要するに無担保無保証で従来借りられましたものにつきまして、それに別ワクで同じ限度額まではこの保証がかかるというふうなことでございますし、あるいはまた無担保保険にいたしましても、従来の三百万円限度、それが別ワクでさらに三百万円というふうなものが無担保で借りられるというふうな制度になっておりますので、利用者のほうからいたしますれば相当利用も便利なものになっておるのではないかと思うわけでございます。それから、これは成功するかどうかということについての危険率が非常に多うございますので、保証協会に対しますてん補率も百分の八十というものを採用いたしたわけでございます。それから保証料率につきましては、いまの特別小口、無担保保険、普通保険のそれぞれの保険料率の三分の二というところで低料率を設定いたしたわけでございます。もちろんこの保証が実際に使われるということが必要になるわけでございますので、したがいまして、特にこの特恵関係の関連にいたしましても、担保の見方その他について特別の措置は講じておりませんけれども、いまの御趣旨の線に沿ってやはり配慮すべきものは配慮するというふうな基本的な心がまえが必要であろうかと思っておるところでございます。
#78
○大矢正君 まあ国の根本的なというか、大きな目的のためにこういう制度が設けられる。特恵制度が設けられる。その特恵制度がまた今日の国際社会の中にありましてはやむを得ないことであり、こういうことを通して世界の貿易が拡大するという意味においては私も賛成をいたしておりますから、別にどうのこうの申し上げるわけではありませんけれども、しかしながら、先ほど来私が申し上げておるように、網の目からこぼれてしまって、結局のところ政府の助成その他というものが何の効果も及ぼさないといいますか、その網にかからないというようなものも出てくることも、これは必定でありますから、やはりそれぞれの金融機関なり、あるいは保証協会等に対しては積極的なひとつ指導をして、そういう網の目からこぼれるようなことがないように、ひとつ十分な配慮を願いたいと思います。
 で、本日中にこの法案を議了するということに合意を見たようでありますから、そう長時間にわたって質問をすることを避けたいと思いますので、最後に、全部を通して大臣に希望を申し上げておきますが、一つには、この種の問題というのは単に中小企業の特恵対策というような立場ではなくて、国際的な動向ともからみ合わせて、やはりわが国自身が、国際分業が今日ある意味においては必要であり、そういうことが世界貿易の拡大の上においても必要なんだというような前提があるといたしますれば、やはり思い切った産業政策の転換等を行ない――もちろん切り捨てをやるという意味ではなくて――それに沿うた必要な産業政策というものを確立していくことが必要なのではなかろうか、同時に、この法律はむだであるとは申しませんけれども、まだまだ内容的には不備なものでありますし、もっと大きな立場で本来的にはこの特恵制度というものを、特恵の供与というものをとらえるべきではないかと私思うのでありますが、そういう基本的な面や具体的な資金面、税制面における配慮等において、ひとつ遺漏のないように、これを強く希望いたしまして私は質問を終わりたいと思います。
#79
○上林繁次郎君 いま大矢委員のほうからいろいろお話がありましたが、私もやはりきめこまかい配慮というのは大事である、こういうふうに思います。そういう見地からいままで論議を進めてきたわけですけれども、特に一々ほんとうはお聞きしたいわけですけれども、具体的に一応こういうことがあるではないかということを申し上げて、そういった点について十分配慮をしていくべきであるということを結論として、一つ一つお聞きいたしません。たとえば減価償却資産についても、恩典として機械だとかあるいは装置、これらについては計画期間内に償却できるような措置がとられている。いわゆる耐用年数を短縮するという。ところが建物についてはどうなのかという、こういう問題がある。建物についてはどうなのか、ほんとうは一つ一つお答えを願えればいいのですけれども、この法案に対する結論というものが一応大矢委員が言われたように出たようなかっこうになっておりますので、十分その点も検討する余地があるのではないか、こう思います。
 なお、特恵対策準備金制度の新設ですね、これを今後どうするかという問題があると思います。あるいはまた特恵対策として法人税あるいはまた所得税の繰り戻しという、これは計画されていたものだけれども、これはどうなるのかという問題、あるいは事業の転換をする中小企業、これらの固定資産税の課税標準を下げるべきだ、こういう問題もあると思う。まあその場合に、いわゆる県の財政収入減、これらについての国としての措置はどういうふうにとっていくかという問題なんかもあると思う。数え上げればまだまだこまかい問題、こまかいというか実際に配慮していかなければならない具体的な問題が数限りなくまだ残されている、こういう点に十分配慮をしていただきたい、こういうふうに思う。またそういう姿勢についてまとめてお答えをいただきたい、こう思います。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま大矢、上林両委員から幾多の点について御指摘があったわけでございますが、何ぶんにも特恵供与について十分気をつけてスキームをつくっているつもりではございますものの、いざ実施をいたしますと、あるいは予測しなかったような問題も起こってこないとも限りません。したがいまして、ただいま幾多の点を御指摘になりましたので、それにつきましては十分配慮をし、ないし検討をいたしたい、かように考えます。
#81
○委員長(川上為治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(川上為治君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(川上為治君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 中小企業特恵対策臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(川上為治君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(川上為治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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