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1970/03/18 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第5号
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1970/03/18 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第065回国会 農林水産委員会 第5号
昭和四十六年三月十八日(木曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     堀本 宜実君     米田 正文君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     米田 正文君     堀本 宜実君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     森 八三一君     初村滝一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河口 陽一君
    理 事
                亀井 善彰君
                園田 清充君
                杉原 一雄君
                村田 秀三君
                沢田  実君
    委 員
               久次米健太郎君
                小枝 一雄君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                鈴木 省吾君
                高橋  衛君
                初村滝一郎君
                堀本 宜実君
                北村  暢君
                前川  旦君
                片山 武夫君
                河田 賢治君
   衆議院議員
       農林水産委員長  草野一郎平君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       農林大臣官房長  太田 康二君
       農林省農林経済
       局長       小暮 光美君
       農林省畜産局長  増田  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       農林省畜産局衛
       生課長      信藤 謙蔵君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○卸売市場法案(第六十三回国会内閣提出、第六
 十五回国会衆議院送付)
○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 卸売市場法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
#3
○国務大臣(倉石忠雄君) 卸売市場法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 生鮮食料品等を取り扱う卸売市場は、多数の農林漁業者に対し安定的な販路を提供するとともに、都市の消費者にとっての日常食料品の配給機構の中核となるという重要な役割を果たしておりますが、近年、卸売市場をめぐる諸事情は、都市化の進展、消費の高度化、産地の大型化、小売り業の近代化等急激に変化しつつあります。このような動向に対応して生鮮食料品等の生産及び流通の円滑化をはかるため、中央卸売市場に関する制度を改善するとともに、中央卸売市場以外の卸売市場についても統一的な法制を整備すべきであるとの要請が、生産者、消費者その他各方面から高まってきているのであります。
 こうした情勢にかんがみ、卸売市場制度改正の方向につき、中央卸売市場審議会において調査、審議するなど広く各界の意見を求めつつ慎重な検討を重ねた結果、この際、中央卸売市場法を廃止し、新たに、中央卸売市場のみならず、その他の卸売市場をも含めて、その整備を計画的に促進するための措置、その適正かつ健全な運営を確保するための措置等を定めることが必要であると考え、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一は、卸売市場の整備改善を長期の見通しに立って計画的に推進するための指貫であります。
 すなわち、農林大臣は、卸売市場整備基本方針及び中央卸売市場整備計画を定めるものとし、また、都道府県知事は、これらに即して、都道府県卸売市場整備計画を定めるものとしております。
 第二は、中央卸売市場に関する規定であります。
 中央卸売市場につきましては、基本的には現行の中央卸売市場法に基づく制度を引き継ぐこととしておりますが、その開設及び運営のあり方等につき所要の改正を行なうこととしております。
 まず、広域的な市場行政を展開する等の見地から、市場の開設資格、市場の開設認可の基準、中央卸売市場開設運営協議会の設置等に関する諸規定を整備することとしております。
 次に、卸売業者について他の法人に対する支配関係の届け出その他業務運営の適正健全化をはかるための措置を定めるとともに、仲卸業者及び売買参加者に関する規定を整備することとしております。
 また、中央卸売市場における売買取引について、適正な価格形成と取引能率の向上をはかり、かつ、流通秩序を保持する等の見地から、せり売りまたは入札の原則及び委託販売の原則とその例外措置について所要の規定を設けるほか、卸売りの相手方の制限、せり人の登録、仲卸業者の業務の規制等について定めることとしております。
 第三は、地方卸売市場に関する規定であります。
 まず、中央卸売市場以外の卸売市場でその施設が一定規模以上のものを地方卸売市場として、その開設及び卸売の業務は、条例で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないものとしております。
 また、地方卸売市場における売買取引について、買い受け人等に対する不当な差別的取り扱いの禁止、せり売りまたは入札の原則等を定めるとともに、開設者及び卸売業者に対する都道府県知事の監督処分等に関する規定を設けることとしております。
 以上のほか、中央卸売市場の施設整備についての国の補助等について定めることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決いただきますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(河口陽一君) 本案に対し、衆議院において修正がなされておりますので、この際、修正一点について、衆議院農林水産委員長草野一郎平君から説明を聴取いたします。草野一郎平君。
#5
○衆議院議員(草野一郎平君) 卸売市場法案に対する衆議院における修正の趣旨を御説明申し上げます。
 修正の第一点は、卸売業者の業務の適正かつ健全な運営を確保するため、卸売業者の卸売業務についての業務または会計に関する改善措置命令に加えて、卸売業者が支配関係を持っている法人の業務または会計についても必要な改善勧告をとれるものとすることであります。
 第二点は、卸売業者に事故等のある場合において、開設者等が卸売業者にかわって臨時に卸売業務を行なうことができることとすることであります。
 第三点は、地方卸売市場の開設許可基準として、都道府県卸売市場整備計画との関係に適合するように規定することであります。
 第四点は、都道府県卸売市場審議会の審議事項として、都道府県卸売市場整備計画を明定することであります。
 衆議院農林水産委員会において三月九日自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により賛成多数をもって修正すべきものと議決し、三月十一日の本会議において修正されました。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(河口陽一君) 次に、補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。小暮農林経済局長。
#7
○政府委員(小暮光美君) 卸売市場法案提案理由の補足説明を申し上げます。お手元に別刷りで補足説明をお届けしてございます。
 卸売市場法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき補足させていただきます。
 第一章は、この法律の目的、定義等について定めた総則的な規定であります。
 定義につきましては、「生鮮食料品等」とは、野菜、魚類、肉類等のいわゆる生鮮食料品のほか、一般消費者の日常生活に必要な加工食品及び政令で定める農畜水産物をいうものとし、「卸売市場」とは、生鮮食料品等の卸売のための市場で、卸売り場その他の取引及び荷さばきに必要な施設を設けて継続して開場されるものとしております。また、「中央卸売市場」とは、生鮮食料品等の流通及び消費の面から見て特に重要な都市及びその周辺の地域における卸売の中核的拠点として、農林大臣の認可を受けて開設される公設の卸売市場とし、「地方卸売市場」とは、中央卸売市場以外の卸売市場で、その施設が政令で定める規模以上のものとすることとしております。
 第二章は、卸売市場整備基本方針等に関する規定であります。
 まず、農林大臣は、卸売市場の適正な配置の目標、近代的な卸売市場の立地及び施設に関する基本的指標、卸売市場における取引及び物品の荷さばき、保管等の合理化に関する基本的な事項、卸売業者の経営の近代化の目標等を内容とする卸売市場整備基本方針を定めなければならないものとしております。
 さらに、農林大臣は、卸売市場整備基本方針に即し、生鮮食料品等の流通及び消費の面から見て特に重要な都市で中央卸売市場を開設することが必要と認められるものの名称、取り扱い品目の適正化または施設の改善をはかることが必要と認められる中央卸売市場の名称、その取り扱い品目の設定、施設の改善等を内容とする中央卸売市場整備計画を定めなければならないものとしております。
 また、都道府県知事は、卸売市場整備基本方針及び中央卸売市場整備計画に即し、当該都道府県における卸売市場の適正な配置の方針、近代的な卸売市場の立地及び施設に関する指標等を内容とする都道府県卸売市場整備計画を定めることができるものとしております。
 第三章は、中央卸売市場に関する規定であります。
 中央卸売市場の開設につきましては、第三章第一節に規定しております。
 農林大臣は、中央卸売市場整備計画において定められた中央卸売市場を開設することが必要と認められる都市及びその周辺の地域であって、その区域を一体として生鮮食料品等の流通の円滑化をはかる必要があると認められるものを、中央卸売市場開設区域として指定することができるものとしております。
 この開設区域において、都道府県もしくは政令で定める数以上の人口を有する市は、農林大臣の認可を受けて、中央卸売市場を開設することができるものとしております。この場合、これらの都道府県、市等が共同して設立する一部事務組合も、中央卸売市場を開設することができるものとしております。
 認可の基準については、当該市場の開設が中央卸売市場整備計画に適合するものであること、当該市場が適切な場所に開設され、かつ、相当の規模を有するものであること、業務規程の内容が法令に違反しないこと等を定めております。
 また、農林大臣は、中央卸売市場整備計画の適正かつ円滑な実施をはかるため、関係地方公共団体に対し、開設の促進等について勧告をすることができるものとするとともに、中央卸売市場の開設者等は、中央卸売市場の開設運営に関し必要な事項を調査審議させるため、他の地方公共団体の代表等の参加を得て、中央卸売市場開設運営協議会を設置することができるものとしております。
 中央卸売市場の卸売り業者等につきましては、第三章第二節に規定しております。
 卸売り業者の業務については農林大臣の許可を受けなければならないものとすること、一定の要件を備える卸売り業者の合併等を私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外とすること等の諸点につきましては、おおむね現行の中央卸売市場法に基づく制度を引き継ぐこととしておりますが、卸売り業者の業務運営の適正化と財務の健全化を一そう推進する観点から、卸売り業者が営業の譲り渡し、合併等をする場合において譲り受け人等が卸売り業者の地位を承継するには、農林大臣の許可を受けなければならないものとすること、卸売り業者が他の法人の株式の二分の一以上を所有する等他の法人に対する支配関係を持つに至ったときは農林大臣に届け出なければならないものとすること、卸売り業者の事業年度を統一すること等に関する規定を設けることとしております。
 また、中央卸売市場内の店舗において当該中央卸売市場の卸売り業者から卸売りを受けた生鮮食料品等を仕分けしまたは調製して販売する仲卸の業務は、開設者の許可を受けた者でなければ行なってはならないものとするとともに、開設者は、市場の業務の規模、取り扱い品目の性質、取引の状況等に照らし、仲卸業者を置く必要がないと認めるときは、業務規程でその旨を定めることができるものとしております。
 中央卸売市場における売買取引につきましては、第三章第二節に規定しております。
 中央卸売市場において卸売り業者が行なら卸売りにつきましては、せり売りまたは入札の方法によらなければならないものとし、また、自己の計算による卸売りをしてはならないものとしておりますが、一定の規格もしくは貯蔵性を有し、かつ、供給事情が比較的安定している物品または品質等が特殊であるため需要が一般的でない物品のらち業務規程で定めるものの卸売りをするとき等においては、この限りでないものとして、価格の平準化と取引の能率化に資することとしております。
 次に、売買参加者について、中央卸売市場において卸売り業者から卸売りを受けることにつき開設者の承認を受けた者をいうものと規定するとともに、卸売り業者は原則として仲卸業者及び売買参加者以外の者に対して卸売りをしてはならないものとしております。
 また、中央卸売市場のせり人は、開設者の行なら登録を受けているものでなければならないものとし、せり人の資質の向上等をはかることとしております。
 仲卸業者の業務につきましては、その中央卸売市場の開設区域内においては、販売の委託の引き受けをすること及び当該中央卸売市場の卸売り業者以外の者から物品を買い入れて販売することを原則として禁止することとしております。
 また、開設者は、毎日の入荷数量等を各市場の見やすい場所に掲示するとともに、毎日の卸売りの数量及び価格についても、すみやかに公表しなければならないものとしております。
 中央卸売市場における監督につきましては、第三章第四節に規定しております。
 農林大臣は開設者及び卸売り業者に対し、開設者は卸売り業者及び仲卸業者に対し、それぞれ、必要な報告を求めまたは立ち入り検査を行なうことができるものとしております。
 このほか、農林大臣及び開設者による監督処分、監督命令等に関し所要の規定を設けております。
 第四章は、地方卸売市場に関する規定であります。
 地方卸売市場の開設等についての許可につきましては、第四章第一節に規定しております。
 まず、地方卸売市場を開設しようとする者は、都道府県の条例で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないものとしております。その許可の基準について、都道府県知事は、申請者が資力信用を有しない者であるとき、業務規程の内容が法令に違反するとき、事業計画が適切でないとき、市場の位置が都道府県卸売市場整備計画に照らし著しく配置の適正を欠くと認めるとき等においては、許可をしてはならないもの等としております。次に、地方卸売市場において卸売りの業務を行なおうとする者は、都道府県の条例で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならないものとしております。その許可の基準について、都道府県知事は、申請者がその卸売りの業務を公正かつ適確に遂行するのに必要な知識経験または資力信用を有しないと認めるとき等においては、許可をしてはならないものとしております。
 地方卸売市場の業務についての規制及び監督等につきましては、第四章第二節及び第三節に規定しております。
 まず、地方卸売市場における売買取引につきましては、開設者及び卸売り業者は、出荷者、買い受け人その他地方卸売市場の利用者に対して、不当に差別的な取り扱いをしてはならないものとすること、卸売り業者はその卸売りについて、原則として、せり売りまたは入札の方法によらなければならないものとすること、開設者は毎日の入荷数量並びに卸売りの数量及び価格を公表しなければならないものとすること等を定めております。
 次に、都道府県知事は、開設者または卸売り業者に対し、必要な報告を求め、または立ち入り検査を行なうことができるものとするとともに、法令違反等の場合における許可の取り消し等の監督処分について定めております。
 また、中央卸売市場開設区域内の地方卸売市場につきましては、都道府県知事は、その開設の許可の申請があった場合には、農林大臣に報告し、その意見を求めなければならないものとしております。
 なお、第四章に規定するもののほか、地方卸売市場の開設及び地方卸売り市場における業務に関し必要な事項は、都道府県の条例で定めるものとし、各都道府県の流通実態に応じたきめこまかい規制監督が行なわれ得るように配慮しております。
 第五章は、卸売市場審議会及び都道府県卸売市場審議会に関する規定であります。
 卸売り市場に関する重要事項を調査審議するため、農林省に卸売市場審議会を置くものとするほか、都道府県は、条例で、都道府県卸売市場審議会を置くことができるものとしております。
 第六章は、助成その他に関する規定であります。
 国は、地方公共団体が中央卸売市場整備計画に基づき中央卸売市場の施設の改良、造成または取得をする場合においては、予算の範囲内において、当該施設のうち重要な施設の改良、造成または取得に要する費用の十分の四以内を補助することができるものとしております。
 また、税制上の特別措置として、地方卸売市場の開設者等が農林大臣の認定を受けたところに従って合併した等の場合には、租税特別措置法で定めるところにより、法人税及び登録免許税を軽減するものとしております。
 附則におきましては、所要の経過措置等に関する規定を設けております。
 なお、引き続き資料の説明をさせていただきます。
 お手元に卸売市場法案参考資料、横長の印刷物がお配りしてございます。
 まず第一ページでございますが、中央卸売市場の概況について図を用いて御説明いたしております。現在すでに開設いたしました都市が二十八都市、五十八市場でございます。
 それから第二ページ、第三ページには中央卸売市場における生鮮食料品等の取り扱い高の推移、その市場取り扱い高が全流通量に占めるシェアの推移といったものについて二ページ、三ページで示してございます。
 それから四ページから六ページまでは中央卸売市場の卸売り業者、仲買い業者及び売買参加者の概要でございます。
 それから七ページは中央卸売市場における委託品あるいは買い付け品――受託でありますか、買い付けでありますか――その割合を物別に示してございます。これが上段です。青果につきましては委託が圧倒的に多いわけでございますが、冷凍品等を含む水産物におきまして買い付けの率が非常に高まっております。近年は、買い付けのほらが五割以上というような数字が水産の場合は出ております。なお、下段には、中央の卸売市場における卸売り手数料が表示いたしてございます。
 それから八ぺージ、九ぺージは中央卸売市場の施設整備事業の実施状況でございます。
 それから十ぺージにまいりまして、中央卸売市場以外の卸売市場の都道府県別の数字が示してございます。全体で三千五百七十八くらい、総合が百七十九、青果千六百十二、水産千七百七十三、食肉十四というような形に相なっております。
 それから十一ページ、十二ページは、これらの市場がどのような組織で開設されているかという経営形態についてでございます。公共団体、事業協同組合等、農協、漁協、株式会社といったようなことでございます。株式会社が四二・四%、一番多くなっております。
 十三、十四、十五ページは、これらの市場の用地面積、それから卸売り場の面積、あるいは取り扱い高といったような地方市場の規模についての説明をいたしてございます。非常に零細なものが多いという形を読み取れると思います。
 それから十六ページ。これらの地方の卸売市場につきまして条例の制定がございます府県の状況を示してございます。
 それから十七ページからあとは補足資料でございまして、たとえば十七ページが人口集積の動向。次第に人口が国の一部に片寄りつつあるということが数字をもって示されております。
 それから大型産地からの入荷状況の推移あるいは小売り業の概況、消費者の購買動向等について各種の資料がございますが、これは、補足資料でございますので、説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
#8
○委員長(河口陽一君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
#9
○委員長(河口陽一君) 次に、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○堀本宜実君 簡単な事務的なことについてお伺いをいたしたいと思います。この家畜伝染病予防法の改正案が付議されるわけでありますが、この法律はいろいろな変遷を経て昭和二十六年家畜伝染病予防法として制定をされたものでございまして、約二十年間の歳月が流れておる。むしろ、この改正はおそきに失したのではないかといううらみがございます。しかし、いま幸い当局者が踏み切って改正をされたことには敬意を表するのであります。
 そこで、これは一部改正となっておりますが、全面改正に近いものであろうというふうに思います。主たるところは全面的に改正をしておるというふうに思うんですが、どうでしょうか。
#11
○政府委員(増田久君) 確かに二十六年から現在まで約二十年間、その間にいろいろな家畜事情の変遷あるいは獣医学の発達、その他から考えますと、現行の法律というものが実態に合わない面が多々出てきた、そういう点は今回の改正におきまして漏れなく盛ったつもりでおるわけでございます。それを全面というか、一部というかにつきましては、まあいろいろ御議論のあるところでございますが、われわれとしてはできるだけ漏れなく盛ったつもりでおります。
#12
○堀本宜実君 この改正の主たる点は、もはや伝染病として、法定伝染病として扱う必要がないということで落としたもの、新しくその疾病が猛威をふるって法定伝染病としなければならないものが加えられ、伝染病としてなくなったもの、伝染病として新しく指定されたものについて、概要についてお話しを願いたいと思います。
#13
○政府委員(増田久君) 今回の法改正におきまして、家畜伝染病として最もきつい規制を加えるものから除外いたしましたのはトリパノゾーマ病、トリコモナス病、仮性皮疽、馬パラチフス、羊痘、かいせんの六種類でございます。この病気につきましては現段階におきましてはほとんど発生を見ず、また今後流行のおそれもない、またそれに対する対策も十分立ち得ると、こういう病気でございます。しかしこれは流行性の伝染性疾病であることについては依然として変わりはないわけでございます。新しく家畜伝染病として加えましたものはヨーネ病とアフリカ豚コレラでございます。このらちアフリカ豚コレラにつきましてはまだ現在日本には入ってはいませんけれども、現在アフリカ、ヨーロッパの一部、特にスペイン等では発生を見ている死率一〇〇%というような猛威をふるっているビールス性の病気でございますが、これをわが国に侵入せしめないと、そういう意味におきまして、このヨーネ病と並んでアフリカ豚コレラを指定したわけでございます。
#14
○堀本宜実君 まだ日本に入ってきていない伝染病を予防的な処置のために法定伝染病として指定をされたということは私はけっこうだと思います。勇気ある処置だと思います。当然そうでなければならぬと思うのでございますが、それらの病性について、およそこれに関係のあります獣医師等に周知せしめなければ、日本に入っておらない病気であるというような形で、それを発見したものは直ちに届け出なければならぬと法律に書いてありますが、届け出ようにも日本に入ったことのない病気等についてはきわめてその診断、治療等に対する概要はことに地域的に低いと思うが、それに対するたとえば文書なり、あるいは病性の徴候なり、いろいろな方法があると思いますが、講習なり何なりを通じて習得せしめる考え方を持っておられますか。
#15
○政府委員(増田久君) 先生の御指摘のとおりでございますので、すでに一部、これは全国まだ全部というわけにはいっておりませんけれども、一部でこの病性等について講演会を開催しておりまして、これを全体に及ぼすつもりでおります。またわれわれの関係の雑誌等を通じまして、その周知方については現在すでに努力をしているところでございます。
#16
○堀本宜実君 今度改正されたものに家畜伝染病が発生したときは、獣医師は「当該家畜を診断し、又はその死体を検案した獣医師は、省令で定める手続に従い、遅滞なく、当該家畜又はその死体の所在地を管轄する市町村長にその旨を届け出なければならない。」ということが規定されたわけでございますが、これはきわめて重要な私は、この法律改正の中の柱とも言うべきものであろうというふうに思います。
 そこで、まず、お聞きをいたしますが、その第四条の中に、家畜が家畜伝染病以外の伝染病、省令でこれを定める、というふうに書いてございます。きわめてわれわれが見まするとよくわかるのでありますが、一般の人が見ると、家畜伝染病以外の伝染病というようなもののように書き分けることは、法定伝染病とそうでない、指定されない伝染病、省令で指定される伝染病、二つの伝染病があるというふうに理解をしなければなりません。そこで省令で定める伝染病とは一体何を意味されておるのでございますか、どういう病気を届け出なければならぬというのでしょうか。
#17
○政府委員(増田久君) 四条で新しく定めようとしております家畜伝染性疾病とは、現在われわれ考えておりますのは、次の十三のものを考えております。トリパノゾーマ病――先ほど落としました六つのものでございますが、トリパノゾーマ病、トリコモナス病、仮性皮疽、馬パラチフス、羊痘、かいせん、それに破傷風、水胞性口炎、牛バエ幼虫症、それから伝染性胃腸炎、これは豚の病気でございます豚赤痢。それから伝染性気管支炎、これは鶏とかアヒル等がかかる病気でございます。伝染性喉頭気管炎、これも鶏やアヒルがかかる。この以上の十三のものをこの四条の対象の法定の伝染性疾病と指定する考えでおります。
#18
○堀本宜実君 これは愚問のようでございますが、家畜が疾病にかかったときに届け出なければならぬ義務を獣医師に負わせますが、その行為に対しまする処置、手当等についてはあとから伺うことといたします。
 まず家畜が病気になったときには獣医師に診療をしてもらわなければならぬというのが通例ですが、――ここのところよう聞いておいてもらわぬといけませんがね――家畜は腹が痛いから医者を呼んでくれなんて言わないのですよね。熱がして気分が悪いから早く注射してくれなんて言わないのだ。(笑声)そこで、伝染病以外の病気というても、獣医師が診断をしない限り発見できない。診断をしない限りしろうとではこれは伝染病でございます。法定伝染病以外のものでございます。何でもない病気でございますというような区別のできる人はたいへん少ないと私は思う。そういう非常に危険なものですが、一般伝染病か伝染病でないかわからない。家畜が病気で死んだのかあるいは斃死したのか、何かにびっくりして死んだのか、そいつはまあわからないとして、そういう斃死をした、死亡をした家畜はどういう経路をとりますか。昔は土地に埋めたり、伝染病ならば焼いたりしたわけですが、いまごろは違ってきておると思いますが、どういうことになりますか。そこの経路をひとつ話してもらえませんか。
#19
○政府委員(増田久君) 現在におきましても、斃死いたしました家畜につきましては、へい獣処理法という法律、その法律に基づく厚生省令が現在もあるわけでございますので、従来どおり化製場あるいは埋却揚に持って行って処理するということになっているわけでございます。
#20
○堀本宜実君 それでは、へい獣処理法によってへい獣処理場でそれを肥料にしたりあるいはいわゆる骨を焼いて化成肥料をとったりするであろうと思いますが、その場合、検案書、これは診療をしてもらうのともらわない場合があると思いますが、それは獣医師の診断書を必ず添付しなければならぬということでなければならぬと思いますが、そういうふうになっておりますか。
#21
○政府委員(増田久君) まあここのところは率直にお話ししなきゃいかぬ点があるわけでございますが……。
#22
○堀本宜実君 率直でもえんきょくでもかまわぬ、そのとおりを言うてください。
#23
○政府委員(増田久君) 現在の法律のたてまえによりますと、死んだときには所有者が市町村に届け出る、そのときに届け出た証明書がなければ化製にしたり、埋めたりしてはいけないというたてまえになっているわけでございます。現在の法の十条でそういうふうになっているわけでございますが、率直に申し上げますと、この届け出はほとんどない。したがって証明書もない。で、そういう化製なり埋却する場合にもほとんど独断でやってしまっているというのが残念ながら実態でないかと思っております。
#24
○堀本宜実君 私はね、ここらにどうも合わぬものがあるのではないかと思う。これもあとで申し上げようかと思いますが、今度改正される家畜共済の場合に、今までは診療が初診療というものを国の補助をもらって初診療は無料であるということで、家畜が疾病になったときには獣医師にみてもらうことに金は要らなかった、共済の場合。それを今度はそれ、料金を取るようになった。そらして一方では斃獣、牛が死んでも豚が死んでも馬が死んでも、ほとんど獣医師にかからないでそのまま――町村長に届けるとおっしゃったが、私は届けない人も多いんじゃないかと思う。もう町村長、その役場に寄らないで直ちに化製場といいますか、そこに直行するという姿が現実の姿であると私は思います。これはその伝染病を直す前にそれから直してこなければ、ここで発見をした獣医師は届けなきゃならない、それでなきゃ処罰を行ないますぞという。それが伝染病であるか伝染病でないか、獣医師にかからないで死んだものがやみからやみにいっているのに、どうして伝染病であるかないかを発見することができますか。どういう方法でやりますか。何か試験紙みたいなものでも持っていって、死体へくっつけたら青にあるいは赤に変化をするような、さっそく伝染病であるかないかを識別するものがあればいざ知らず、そうでないときに、死んだものが直ちに化製場へやみからやみに直行するようなシステム――システムじゃないでしょうが、一つの悪い習慣といいますか、そういうことになっておるのに、伝染病だけ、あるいは法定伝染病以外の伝染病の十三種類の伝染病とおっしゃいましたが、それを獣医師は届けなければならない、届けなければ罪に問われるというのでは、少しおかしいことはありませんか、どうでしょう。
#25
○政府委員(増田久君) この法律で直ちに処罰するというたてまえにはなっておらないわけでございます。
#26
○堀本宜実君 はあ、そうですか。しかし奨励金なり表彰状をくれぬだろうが、これはたとえどらあろうと、名誉の上で――伝染病自体を届けなかった獣医師なんていうものは、もうその土地では雇われるものではないのですよ。これが名誉の上から、信頼の上からいっても処罰を受けることになるわけなんです。そういう習慣の中で、ひとり獣医師が責任を負わなければならぬというのは、私はいかにも残念である、こういうふうに思わざるを得ない。それはこれ以上問うても、悪いものは悪い。これは、とてもじゃないが、これがよろしゅうございます。りっぱでございますというわけにはまいらぬと私は思う。そこで、これをこのように規定をされると同時に、毎度いわゆる化製場に普通に死んだか、伝染病で死んだか、何で死んだかわからないですよ。わかっておって死んだと違いますよ。わからぬで死んだ。とにかく呼吸をせぬのだ、心臓がもう動かない、これは死んだ、そう考えて屠場なり化製場なりへ持っていくということになるわけです。これをもう少し厳密に取り扱いをするようにしてはどうだろうか。それを将来改正をし、厳重に取り締まるようにしなければならぬとお思いになりますか。そうでないと、これ、ちょっとぐあいが悪いですよ。
#27
○政府委員(増田久君) 現行といいますか、現行の第四条では所有者がとにかく死んだら全部届け出ていくというたてまえになっておりますが、それが率直に言って、先ほど申し上げましたとおり、また先先御指摘のとおり、ほとんど励行されないままに処理場のほうに直行していってしまっている。これは実態として認めざるを得ないわけでございますが、これは厚生省のほうにもお願いをしているわけでございますけれども、処理場に十分な管理者が常置されていないということにも一つの原因があるわけでございます。率直に言いますと、自分が持っていって自分で穴を掘って埋めてしまうと、こういうような、何といいますか、墓場だけがあるというようなところでもあるわけでございますので、そういう実態であるわけでございます。同時に先生のおっしゃいますとおりに、これが何の病気かということは、これは農民にはとてもわかるものではないわけでございます。ですから、やはり今度の改正は獣医師さんを全面的に信頼をいたしまして、その診断を受けた場合に、受けたその結果として伝染性疾病であるというものを届けていただくと、こういうことが防疫面において、制度としては現行の四条のほうがたてまえとしてはりっぱなといいますか、完全ではあるわけでございますけれども、現実のことを考えれば、今度の改正のほうにしたほうが実態には合うのではないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、同時にわれわれは先生も御承知のとおり、共済制度で大家畜につきましては非常に加入率が高まってきております。それからまた、自衛防疫体制というものが、中小家畜に非常に普及してまいってきておりますし、それから家畜保健所が非常に整備されてきたというようなことを考えれば、その一環の中でそういう伝染性疾病を見つけ出す機会というものは、そういうたてまえの中からこそ、かえっていまよりは多く出てくるのではないだろうか、このように考えておるわけでございます。同時に先ほど、話が前後いたしますが、来年度の予算の中におきまして、われわれはやはり化製場そのものをやはり近代化してまいらなければならぬ、こういうことで大型の化製場を、特に畜産の稠密な地帯につくるというようなことで、一面には公害対策もあるわけでございますけれども、そういう対策も考えているわけでございます。
#28
○堀本宜実君 これはどういうふうに局長さんお話になっても答弁にならぬのですよ。現実がやみからやみに死んだものがいっておるわけだから、これを改正して、そして化製場というものを便利なところへつくるといいますか、そういうような指導をするとか、それでむしろ一般に疾病にかかったら獣医師にみてもらいなさいということでなければ、金が要るから――従来は共済は金要らなかったんです。この次あたりに改正法案が出てきますが、金が要るようになる。これはこういう法律をこしらえて、厳密に伝染病を取り締まろうとするような時期に、なぜ初診料というようなものを畜主負担にするんだろうかと私は思います。けれども、私も一ときこれは反対したけれども、どこを向いてもいかぬようだから、賛成まではせぬが、反対はやめますということになっておるんだけれども、このことを追及しようとは私は思いませんが、それとこれとを比較して考えてみますと、どうも平灰が合わないと思うんですよ。ですから、これはすなおに将来あやまって伝染病が蔓延しないように、大家畜が死亡したときには、遅滞なく検案書をもって当該管区の市町村長に届け出をするというふうにお変えになったらどうですか。
#29
○政府委員(増田久君) 先生の御指摘の点につきましては、いろいろ検討を加えまして、将来の課題として検討いたしたいと思っております。
#30
○堀本宜実君 それで一応けっこうだろうと思います。
 そこで、獣医師が経済動物がおります地帯で滅っているわけです。これは役所、研究所あるいは保健衛生所等の獣医師の数は、少しふえたり減ったりしておりますが、著しい減少はしておりません。けれども、必要なだけの人員が確保ができないというのが実情でございます。ことにこの地帯におりました開業獣医師、いわゆる疾病を治療しよう、あるいは診療しよう、検案書を書こうというような獣医師が減ってきておる。そして家畜自体が、あなたたち御承知ないと思いますが、平たん部の家畜が非常に少なくなってきておるんですよ。傾斜のある山へ、家畜が山へ入るといいますが、そういう傾向で、平たん部の経済動物は減少をしておるというのが現実の姿でございます。そういうようなときに、伝染病であるかどうかというのは、数頭が同じような疾病で死んだ、これは伝染病であろう、こう気がつくわけです。ところが、最初からみて、あるいはこういうようなものはこれは伝染病であると、最初になるべく早く発見して早く予防にかからなければ、伝染病というものはきわめて蔓延をいたしまして、農家経済というものに重大な影響を与えるわけでございますから、なるべく早く診療をしなければならぬ、そういう場合に何か、獣医を農村に設置をする、奨励金なり指導をしないと、獣医師のおらぬところで伝染病が発生したら、また獣医師がいないから化製揚へやみからやみに連れていく、そういうことになっちまうわけです。だから、それは衛生の見地から獣医師の設置費とか助成費とかなんとかいうものを設けてやらなければこの法律に目玉が入らないというふうに私は思うのですが、きょうは大臣が来ておりません――大臣が来ておったって、いずれそう考えますだのと言うことでしょう、おそらく。慎重にやりますなどと言うことでありましょうから当てになったことはあまりない。これは与党としては言いにくいが、とにかくそういうふうに私は思う。だから来ておらぬでもいいが、あなたのほろでもそれを進めるという用意があるのかどうかをここであらためて聞いておきたいと思います。
#31
○政府委員(増田久君) 先生御指摘のとおりであります。これは人間のお医者さんでもそういう傾向がある。いわんや平たん部では家畜はどんどん減っていく、そういうところで獣医師さんがだんだん都会のほらに集まっていくという傾向のあることもこれは否定できない事実であるわけでございます。結局それをどうとめるかということにつきましては、獣医という仕事に一つの張りを持たせると申しますか、また経済的に成り立たしめるというようなやはり配慮というものがどうしてもなければならないわけでございますが、まだ日本の農家、畜産農家の現実というものがそういう実態にもいっていないし、獣医師の移動もあるということを考えてまいりますと、やはり私は基本的には家畜共済というものの強化というものを一つには考えておく必要があるのではないかという点が私としては考えているわけでございます。現在は大家畜については御存じのとおりあるわけでございますが、将来の問題としてこれを中小家畜の問題をどうするかというのも大きな課題の問題になってくる、その問題とやはり並行して考えなければならない問題であろうかと思っておるわけでございます。
 しかし、それはそれといたしまして、われわれといたしましても、たとえば自衛防疫の中には、獣医さんを中心に必ず置くということにいたしまして、いわゆるサーベイ事業とわれわれ言っておるわけでございますが、一種のコンサルテーションをしていただくことによりまして、年額五万円の手当を差し上げるとか、あるいはいわゆる家畜伝染病が発生した場合の雇い入れの際の単価と申しますか、単価を値上げするとかいうようなことをわれわれとしては現在の中でできるだけの問題として力は尽くしてきているわけでございます。どちらにいたしましても、家畜伝染病の予防というものは獣医さんがあって初めて成り立つものでございます問題でございますので、農村への定着法につきましては関係方面と力を合わせてできるだけ前向きの検討をいたしたいと、かように考えております。
#32
○堀本宜実君 これはだんだんと家畜の飼育地帯は過疎になってくる、そういうところでありますから、農業協同組合あるいは町村に獣医師を設置する。しかも一村一獣医師なんていわないで、連合で設置さすような――このごろはだいぶよくなりました。そらしてオートバイだとかあるいは四つ車等の使用のできる時期でございますので、そういうようなものを駆使して、そうして遺憾なく家畜衛生というものを完ぺきにするという立場から、連合で設けられることが経費が少なくてよろしい、こういうことになる。これはだんだんと畜産というもので、農家が少なくなって頭数はふえております。幾らか、統計を見ますと。しかしとても――米を食わななくなるというのは、米がいやになったのではなくて、食生活が変わったのであります。つまり胃袋が小さくなったのではないと私は見ておるのだ。米を食わなくなって、胃袋はもとの胃袋だけれども、何かかわりに入ってくるものが問題だ。そうすると、乳であるとか、あるいは肉であるあるいは新鮮な野菜、くだもの等が米のかわりに入ってきておるのであろう、こういうふうに思うのであります。そうなればなおさらのこと、今後畜産の需要というものは増してくるわけでありますから、町村が貧しいために、そういう特殊な技能者を養成することができないということなら特別な方法を講ずるがよろしいと思います。ことに人間あたりの医師の不足あたり、きょうの毎日新聞をお帰りになりましたらごらんをいただきたいと思いますが、数百万円で医師を雇用しておるところがあるようでございます。そんなには要らないのでありますから、獣医師が不足をしておるわけはないと思います。カナダでは一獣医師当たり七万強ぐらいの家畜がおるのでありますが、わが国は獣医師に対しまして家畜頭数は一人の獣医師に算術的に割りますと二百頭ぐらいでございます。二百十頭ぐらいになりますか……。とにかく一人の獣医師にけた違いに外国とは畜産の状況が違っております。私は先般オーストラリア、ニュージーランドに参りましたが、その土地でもそういうことがいわれておるのであります。そうして獣医師には相当の報酬を払っておる。そういうようなことから、少し人並みな生活をせしめるという意味において、私は連合町村あるいは農業協同組合等で獣医師の設置を進めるなり、あるいは何がしかの経費を出していただくということができますれば、今後この伝染病予防にもあずかって力がある、こういうふうに考えるのであります。そういう私の考え方、構想等につきましてはどのようにお考えになりますか。
#33
○政府委員(増田久君) 確かに先生の貴重なといいますか、非常に現実性を持った一つの問題であろうかと思っております。特に現在の獣医師、末端の診療の一線の中で大体五千三百名ばかりの診療しておる獣医師がおるわけでございますが、そのらち約二千名以上は団体の方の獣医さんでございます。これに町村の関係者を加えますと二千三、四百名、約半分がそういう方で診療が行なわれておる実態があるわけでございます。確かにそういう方法でひとつ今後ともこの問題に取り組むことを検討いたしたいと考えております。
#34
○堀本宜実君 それから、先ほど雇い上げ獣医――家畜伝染病が発生した場合には獣医師を雇い上げてというお話がございました。これは雇い上げ獣医というものがございまして、国が半分と県が半分出すのでございます。順次、平素熱心に俸給のアップをしていただきまして、いまではたしか二千八百円であろうかと思うのでございます。この点が毎年上がってまいっておりますることは、畜産局の力でこのようになってきたことを考えまして、厚くお礼を申し上げますが、二千八百円というものは、これからは、ようひとつ算術ですが、三十日まるまる出たとして、二千八百、はしたをのけて三千円とまるめても、三、三が九万円でございます。九万円ではおつりがきます。そういうことを考えるとあまり高くないんですね、これ。これはね、高いか安いかなんという質問はいたしません、常識的に安いとお思いになっておられると思いますから。どうぞひとつ人並みに取り扱ってもらうように、これしてやったら私はもう少しいいのではないか。臨時ですからね。先ほど言うたのは恒久的にそういうものをおつくりになっちゃどうですかという話をしたので、今度伝染病が起こったときに雇い上げて、治療をしたり、人畜共通の伝染病等にかかったら自分が伝染病にかかるかもしれないような危険な仕事をするのに、家業をほっておいてここで雇われてくるのに、九万円が切れるようなことで、終息したら、はいさようならでお払い箱になるんでしょうが、少し私は常識がなさ過ぎるように思うんですよ。いままでの御努力は多としますが、なお今後もこの問題については特に御努力をこの機会にお願いを申し上げておきたいと思います。
 次にお伺いいたしますのは、輸入をすることについての規定が出ておりますが、従来は国を指定して、この国からは何々の動物を入れてはならないというようになっておったかと思いますが、変わりありましたか。以前と同じですか、よう勉強しておりませんので。
#35
○政府委員(増田久君) 現在のところ同じでございます。
#36
○堀本宜実君 そうですか。
 それでは、防疫については従来と同じで、種類、国、時期等を届け出て許可を受けるということでございますか。
#37
○政府委員(増田久君) 今度の実は法律の三十何条でございましたか、七条だったと思いますが、改正して、輸入しようとするときに、あらかじめ種類、数量、時期、場所等について動物検疫所に届け出なさいと、こういうことで届け出た場合に、必要があれば、所長さんが場所、時期等を変更する場合があるという規定を設けたわけでございます。御承知のように、たてまえとしてはできるだけそういう輸入する場合に、こういう病気の問題がございますから、港とか、空港というものを指定するのは、これはやむを得ないことだと思いますけれども、それ以外に時期、数量、場所等については、できるだけ向こうのほうの希望をかなえてやるということがたてまえであろうかと思っておりますが、現実の問題にいたしますと、一つは、検疫所の施設の問題、あるいは人の問題があるわけでございます。国といたしましても、その施設の整備については格段の努力をいたしておるわけでございますが場合によっては一つの港に牛なり馬が集中して、これをさばき切れないというような場合がある。あるいは十分牛の担当者がいないようなところに牛が入ってくるというようなことになりますと、かえって輸入するほらにご迷惑をおかけすることになるわけでございますので、これは事前に届け出ていただきまして、できるだけ検疫の仕事が円滑にやれるということを期待してやったわけでございます。そういう点で実質的にはいままでの輸入業務の仕事と申しますか、いままでは御承知のとおり、輸入割り当て制というものがありました。そういうところで、そのときに時期、場所等の条件をつけておったわけでございますけれども、それを輸入割り当て制度が漸次なくなっていくということ等も考えまして、今度の規制を設けたわけでございます。ちなみに申し上げますれば、先進国の輸入防疫で、こういう規定を設けていない国は実はどこにもない、各国ではもっときびしい規制をしておるのが実態でございます。
#38
○堀本宜実君 まああまり変わらないとおっしゃったが、今度は少し私は変わっておると思うので、その変わったことについてはお話になりましたので、了解をいたします。それでけっこうだと思います。これは患畜、及び疑似患畜となったことを届け出なければならぬことになって、これもたいへんめんどうなことになると思うのですが、それよりも一度家畜が伝染病にかかったら、畜主は知らないで、伝染病にかかる場合が多いわけですが、購入してきたものが伝染病であったりいろいろします。そこで、家畜の移動禁止をやります。それから集合開催の制限を受けます。それから、放牧が制限をされます。それから消毒の指示がございます。どういう消毒をしなさいという消毒の指示がございます。それから、畜舎の消毒の義務がございます。それから検査が無論ありまするし、薬液、薬浴等が起こってくるわけでございます。それから注射、投薬最後が殺処分というものになる。それで手当金を、たとえば十万円する牛ならば最高が五分四です――であろうと思うのであります。満足にはもらえないということになるわけですが、一たび伝染病が発生したらたいへんなことになるわけですよ。いま言っただけのことを皆やらなければならぬ。ですから、これは蓄主にとってほんとうにかわいそうなことであると思いますが、何かこういうことができないように、このころは多数羽飼育という時代になってまいりました。農家戸数は、畜産戸数というのはらんと減少して、そうして頭数があまり減らないようになってきた。こういう場合に、たとえば酪農、大家畜、乳牛、あるいは豚、その他養鶏、多数羽養鶏等をやっておるところが、今後は共同で獣医を求めるというか、そういうことをして、みずからその疾病の予防を自衛的にするということでないと、法律つくったから伝染病はないようになるとお思いになりましたらたいへんな間違いだと私は思う。そういうものでなくして、それがためにはこれまた補助なり手当なり指導なりをしてやらなければなりませんが、そういうことをする御意思はございませんか。
#39
○政府委員(増田久君) 先生御存じだと思いますけれども、中小家畜につきましては、いわゆる自衛防疫方式ということで、獣医師さんを中心といたしまして、地域の農民が一体となって、みずから伝染病の発生予防をするということを四十三年から強力に進めてまいってきておるわけでございまして、それに伴いまして、たとえばワクチンだとかあるいは消毒の器具というようなことについて現在助成を行なっているわけでございます。将来また事態の変遷に応じましていろいうの助成を考えていくということはこれまた当然のことであろうと思っております。
#40
○堀本宜実君 六十二条の自主的措置、助言、指導を行ならということになっております。これは局長さんのおっしゃった自衛手段のことが意味してあるのであろうと思うのでありますが、この自衛手段というのは私はよほど考えて再検討をする必要があると思うのであります。これはたいへん長くなりますので簡単に申し上げますが、伝染病予防といいますと、自分の家畜の伝染病を予防するのである、自分が予防するのであるということで、そこに自衛手段ということがことばの上で入ってきますので、自分でワクチンを買い、自分で注射をし、自分で抗生薬品を飲ますというようなことが行なわれておるわけですが、それがたいへんな悪いことをしております。どういう悪いことをしておるかということを例をあげよとおっしゃれば申し上げるのでありますが、病性診断等でも最近たいへん混乱をしてまいっておるのであります。これは等しく科学者の認めるところであります。なおかついろいろな抗生物質を家畜に与え、それがうまく治療ができないということになりますと屠場へ参ります。それが肉となって屠場にはんらんすることによって、いわゆる消費者の側からいろいろな問題が提起をされておるのでございます。そういうふうに自分の家畜を自分でやればいいのだということで、これはどの程度でよろしいというか、どの程度ならかまわないというか、御意見を伺いたいと思います。
#41
○政府委員(増田久君) そこのどこまでがみずから認められ、どこからいけないかということにつきましての解釈でございますけれども、たとえば他人か頼まれて反復継続いたしまして診療行為をやるということはこれはもう明らかに違反であります。しかしながら自分の家畜にある薬を与えるということは自分の財産の管理の一形態だというようなことで、それをしも必ずしもとめるわけにはなかなかいかないところがある。ただ問題は、伝染性疾病の場合でございます。それを自分の財産だからというわけで自分で勝手に処理をするということは、とりもなおさず他人に非常な迷惑をかける可能性のある問題でございます。そういう問題につきましては私はあくまでもこれは獣医師さんの領域に属すべきものというふうに考えているわけでございして、はたしてその病気が伝染性疾病なりやいなやという判断がまたそこに問題があるわけでございますので、そこのところに非常に限界を引きにくい問題があるわけでございます。で、解釈は解釈といたしまして、現実に自衛防疫というよりも、このごろ農民の方々が非常に衛生思想、衛生知識というものが旺盛になってきております。ということと同時に、率直に申し上げて日本くらい薬が安直に買えるところも実はないというようなこととが相まちまして、いわゆる自分で獣医師の類似行為ということがしばしば行なわれているわけでございます。そういうことでそれがいろいろの公害を起こしているということも事実で、先生の御指摘のとおりでございますが、同時に、一億万羽、二億万羽といるような鶏のようなものを考えた場合に、それを全部獣医師さんでやりこなし得るのかというような問題になりますと、またそこにも現実的な、理論は理論といたしまして現実的な問題があるわけでございます。そういう意味でわれわれとしましては、自衛防疫をやる場合にも必ず獣医師さんというものを中核としてやること、そしてその指導に従って衛生活動と申しますか、防疫活動に従事することというようなことを強く指導をしているわけでございます。できるだけ、しろうとの生兵法と申しますか、そういうことはさせないで、専門家の獣医師さんの指示、指導のもとに防疫活動をやるというのがわれわれの基本的な考え方でございます。
#42
○堀本宜実君 局長のお話よくわかります。まあそういう御答弁しかできないのであろうと思いますが、やむを得ないのであろうと思いまするけれども、これは私の考えですが、共同で嘱託なり、委嘱なりをして、その人の指導に待ってその畜主というものがやるということにしなければ、規則はたいへんめんどうい規則をつくっておいても、実態に沿わないようなことではぼくはいけぬと思うのです。そうして抗生物質というものは、アクロマイシンでもペニシリンでも何でも買えて、それを今度は動物に飲ますのですよね。ですから、豚の丹毒でもその他の伝染病でも、あるいは豚コレラでも、従来定型的な、昔の本に書いてあるような病性なんというものはないのだ。何か病気があるとそれを買うてきて飲ますからだんだん変になって見たこともないような病気で――私らの仲間が、近ごろ新しい病気ができましたなと言うから、そうか、何という病気だというと、病名はわかりませんよと、豚コレラに似ているし、あるいは丹毒に似ているし、いろいろな病気に似ていると、こう言う。似ているのじゃなくて、そういう抗生物質を使ってそしてやるところに問題があるのだから、かえって高い薬を買うて自分が自衛的にやるということ自体が、消費者の側から残留農薬が出てきた、公害だといって騒いでいるでしょうが、そういうことになるのですよ。また肥育をさせるために、御承知でしょうが、抗生物質を使っているというのは、知っているのですか――知っておればいいが、そういうふうに肉の中に出てくるものだからね。そういうものについての指導をするように、共同で雇えなんで言わないで、国も少し指導して、金でも出して雇いやすいようにしてやったらどうかね。これはもう言ったところで、そうしましょうと言わぬだろうが、言いにくいだろうが、気持ちは私はそうでなければいかぬよ、これは。そうでないと私はこの公害の問題についても、それから抗生物質の乱用等を取り締まる方法はないと思うのでございます。
 そこで、特にこのことを申し上げておいて、もう一つ、自衛防疫という名前を変える意思はありませんか。自衛防疫なんというから、自分で防疫は何でも買うてきていろいろ強い薬を飲ませればそれでいいというように誤解を受けているのではないかと思うのだが……。
#43
○政府委員(増田久君) 自衛防疫ということばがいろいろそういう誤解もあるのかもしれませんけれども、そういうものが一般に非常に通って、それで農民の理解を得ているわけでございますので、いま直ちに変える気持ちは持っておりません。
#44
○堀本宜実君 それではそういうことについて誤解のないよう指導をそう強めていくことはいいですね。
 それから最後ですが、いままでお話しいたしましたように、これは今度の改正だと開業獣医師に強い負担をかげておるのですよ。そういうふうにお思いになりませんか。これは開業獣医師に頼めばいいじゃないかというのだが、診療する義務が起っってまいりますから、頼まれれば行かなければなりません。行かなければ、診療しなければならぬということになっているのです。そこで行ったら、今度は届けを出さなければならぬ、届けを出すには単なる肉眼的な検査や触診だけでは困るでしょう。そうなれば顕微鏡も使わなければならず、あるいはその他いろいろな近代的な検査器具を使わなければならぬようになってくる。これは開業獣医師としてはなかなか今後この改正によって重い義務といいますか、負担がかかると私は思う。この義務を履行する対価として何か開業獣医師というものを指導してやるよい方法というか、あるいは何かありませんか。
#45
○政府委員(増田久君) 医療関係につきましていま特別の融資があることは御存じのとおりでございます。
#46
○堀本宜実君 何に対してですか。
#47
○政府委員(増田久君) 一般の医者に対しましてそのために特別の融資制度があるのであります。それには獣医師さんが必ずしも入っていないという、そういう事実があるわけでございます。そういうことにつきまして、これは厚生省所管でございますので、厚生省と協議いたしまして、できるだけ獣医さんのほうにもその特別の融資ワクが設けられるように今後努力してみたいと思っております。
#48
○堀本宜実君 これは特に厚生省に言うのはいいが、これはほんとうにやってくださいよ。これはもう一つ申し上げますが、国民金融公庫が獣医師に金を貸さないのですよ。国民金融公庫でも金を貸して――あれは五十万か、最大百万円ぐらいだと私は思うのだが、これも獣医師がいろいろと顕微鏡や、このごろ心電図だとかいろいろなものを買わなければならないようになってきているのに、借りに行ったら貸してくれない。中小企業の最低の三公庫、三つの金融機関があるが、その中で一番低い国民金融公庫等にも融資の道がない。私は毎回このことは国民金融公庫の人たちにお話をいたしたのです。去年からはいたしませんが、去年までは毎年いたしてまいりました。どうぞ農林省あたりもこういうことをこの際指導するといいますか、役所内のことでございますから、話し合いをされて、相当の便宜をはかっていただけるようにされるがよいと思います。以上をもちまして答弁は要りません。
#49
○小枝一雄君 関連。私は全国肉用牛協会の会長をいたしておりまして、農林省をはじめといたしまして農林委員各位の懸命なる御支持によりまして、漸次減少をいたしておりました肉用牛が増加の道をたどっているという状況になってまいっております。われわれも全力をあげて努力いたしておるところでございます。今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
 畜産局長にお尋ねを一ついたしておきたいと思います。肉用牛関係者が一番おそれておりますのは口蹄疫であります。口蹄疫の発生は、日本では数年前には数カ所ありましたけれども、現在のところではないようでありますが、どうも世界各国なかなかしょうけつをきわめて、もうもうと煙を立てて焼き払っているというような写真なんかもわれわれ見ているのであります。これははなはだおそろしいことでありまして、たん口蹄疫にかかると、つめは割れる、口は割れる、そういうことで、ちょうど人間の子供が奇形児になるというのと同じことでありまして、役牛を離れて肉をつくるというためにのみ飼う日本の畜産といたしましては非常に大事な問題であります。
 先年、中共肉輸入の問題がありまして、そのときにも政府並びに各位の真剣な御努力によりまして事なきを得たのであります。そのとき私は、どらも生かしてはおかぬように言われてだいぶ反対を受けたものでありますけれども、非常に喜んでいるのでありまして、今後こういう外国の畜産物輸入に際しては、個体にかかわらず肉にかかわらず、輸入のときに十分注意をされる必要があると思うのです。これはただ単に口蹄疫のみならず、他の伝染病に対してもそうでありますが、現在は私はないと思いますが、今後はひとつ慎重にやっていただきたい。農林省といたしましてもいろいろな対策、いろいろな考慮をめぐらしておるように思いますが、もし御意見がありましたら、局長から一口伺っておきたいと思うのです。簡単に一問だけお願いしておきます。
#50
○政府委員(増田久君) 確かに外国でありまして、日本に入ってくればたいへんな損害を与えるであろうという病気が多々ございます。その防疫につきましては、農林省としては万全を期しているわけでございまして、これはたび入りますと、まさに大公害問題でございますので、これは慎重の上にも慎重を期すべきもの、こういうようにわれわれは考えているわけでございます。ただ、先生のおっしゃいましたことばの中に、ちょっとおことばを返すようでございますが、日本ではまだ口蹄疫は発生しておりません。牛疫、牛肺疫、口蹄疫、鼻疽、羊療というこわい病気は日本には全然まだ侵入を許しておりませんので、この点は御安心を願いたいと思うわけでございます。
#51
○小枝一雄君 もう一点。そこで外国の牛を国内に輸入するというような場合、あるいは肉を輸入するというような場合にはそういう危険もあるということでありまして、ただ簡単に農林省の畜産局で出やえられるのみならず、各方面の意見を聞いて慎重に対処されるようにお願いしたいと思います。これを希望いたしておきまして、私の質問を終わります。
#52
○委員長(河口陽一君) 午前の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開会
#53
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を再会いたします。
 休憩前に引き続き、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次発言を願います。
#54
○北村暢君 今度の家畜伝染病予防法の直接の審議に入る前に、若干畜産の施策問題についてお伺いいたしますが、配布いただきました参考資料によると、「家畜の飼養戸数及び飼養頭羽数の推移」によりますというと、近年逐次畜産全体の点はそれなりに進んでおると思うのでありますけれども、ここで若干停滞をしておるのは、肉用牛が四十五年度において停滞をしているようであります。それからもう一つ、豚ですが、これもまた、ことしはビッグサイクルの時期にありまして若干頭数がふえておりますけれども、ここ数年の傾向を見ますというと必ずしもふえていないのであります。したがって、前に農林省が発表しました「生産の長期見通し」、これを若干この間話のありました「農業生産地域指標の試案」というので訂正されておりますけれども、この五十二年度を目標にいたしました生産計画というものは、私は、いまの進展でいくならばとうていこれは目標を達成することができないのではないか、このように思います。したがって、この現状において停滞している理由は一体那辺にあるのか、また、この五十二年度を見通しました生産目標というものを達成する見通しが立っているということが簡単に言い得るのかどうかという点の見通しについて、まずお伺いいたします。
#55
○政府委員(増田久君) 長期見通しにつきましては、先生の御指摘のありましたとおり、乳用牛につきましては平均二・二倍、肉用牛一・六倍、豚二・九倍、採卵鶏一・五四倍、ブロイラー四・五倍というような、四十一年でございますが、そういうようなものを立てているわけでございます。
 それで、御指摘のとおり、全体として見ますれば順調な伸びとしておりますけれども、確かに肉用牛と豚、特に肉用牛に問題があるわけでございます。先生御承知のとおり現在のわが国の肉の生産内訳を見てまいりますと、牛肉のうちの四五彩は実は乳牛関係でございます。しかも、全体の一五%は乳用牡牛の肥育したものでございます。こういうことで、肉用牛の中に占めます乳用関係のウエートというものは日増しに大きくなっていきますし、これは酪農の発展と軌を一にいたしまして順調に伸びていくものと期待をいたしているわけでございます。われわれが肉用牛の見通しを立てた中におきましても、いわゆる和牛ということだけではなし、そういう肉用牛の肥育の問題も頭に置いてこの計画を実はつくっておるわけでございます。ただし、和牛につきましては、先生御指摘のとおり、非常に停滞的な面がございますが、幸い南九州等におきましては近代的な生産形態というものも、萌芽的ではございますが、これは漸次近代化の方向に向かっていくものと期待をいたしているわけでございます。
 豚につきましては、確かに、ほかのものがおおむね一〇〇%に近い、あるいはそれをこすような達成率で進んできている中におきまして、必ずしもその点だけ達していないという点は御指摘のとおりでございますけれども、御存じのとおり、豚の構造改善と申しますかは、非常な勢いでいま現在進んでおります。現在、平均で十四・五頭とこういうようなことでございますが、現在二十頭規模以上の農家が全体の一四・五%、そこに占めますシェアがもう七割をこすというような状態に相なってきております。この傾向というものが今後も急速に進むものと私は考えておるわけでございますが、その間におきまして、当然零細な経営の脱落というものがそこにあるわけで、ちょうど豚の経営につきましては、そういう過渡期にここ数年はあったというふうに私は考えております。そういう意味で、豚につきましては、今後はそういう一つの合理化の軌道の線上に、合理化と生産の規模拡大というものが順調に進みますので、おおむね豚につきましては、五十年までの計画というものは達成可能ではなかろうかと、かように考えているわけでございます。
#56
○北村暢君 畜産局長のそういう説明は、まあ農林省の見通しは、先ほど堀本さんから言われたように、見通しが当たったことはあまりないわけなんで、あまり畜産局長の説明は私は信用はいたしません。いま、そんななまやさしい問題じゃないのです。あなた、簡単にそういういまの五十二年度の目標が達成できるなんというなまやさしい環境ではない。だから、この問題は時間がございませんから、後ほどまたやりまして、大臣がおられるのはあと十五分でございますから、その論争はまたやるとしましてその一つの大きな問題として、養豚一つ見圧しても、多頭飼育の方向に対して、いま大きな、問題がやはり出てきている。それは飼料の値上がりであります。それからまた、いままでの多頭飼育というのはいわゆる肥育に重点が行き過ぎて、素畜の対策がおくれている。あるいはこの多頭飼育の問題と関連して大きな問題になってきたのは、ふん尿処理の畜産公害の問題、これらの問題を解決していかなければ、この豚のこれからの生産の成長率というものは、そう簡単に伸びていくというふうには私は考えられない。したがって、ここに大きな、えさの値上がりの問題と関連して、畜産物の価格の問題が非常に大きな問題です。それですでに畜安法によって、今月中に加工原料乳の価格、それから豚の肉の価格の問題がさしあたり問題になる。
 それで私は大臣のおられる間にまずお伺いしておきたいのですが、畜安法による安定価格は「畜産振興審議会の意見を聞かなければならない。」ということになっておりますから、加工原料乳の保証価格というものは、私はもう当然これは引き上げられなければならないと思うのです。それからまた、基準取引価格等についても、その水準は引き上げられなければならない。これはもろ養豚農家にとって、もうさしあたっての問題ですわね。したがってこれは、この準備ができているのかどうなのか。この乳牛、乳価の問題、それから豚肉の問題、これについてもう畜産振興審議会に意見を聞かなければならない段階に来ているのですから、私は引き上げられなければならないと思うのですが、一体大臣はどら対処されようとしているのですか。この点をひとつ具体的にお答えを願いたい。
#57
○国務大臣(倉石忠雄君) いまこの乳価と豚肉のお話、両方のように拝聴いたしたのでありますが、御指摘のように、両方ともそういう時期に来ております。そこで私どもといたしましては、それの審議会等にお願いをいたします資料について、ただいま鋭意検討をいたさしておる最中であります。お話のございましたように、私どもといたしましては、一方において消費者及びそれに関する物価の問題もありますが、一方においてはまた、お話のございましたように、輸入飼料はああいう状態であります。で、そういうようなことを考えてみますと、私どもといたしましては、これから大いに伸ばすべき産業であるこのほらに難問が出ておりますことは、もう御指摘のとおりであります。そこで、そういうようなもろもろの案件を中心にいたしまして、これから審議会におはかりをいたして、それを参考にして決定いたしてまいりたいと、こういうことでいま鋭意資料を調整中でございます。
#58
○北村暢君 大体そう答弁せられるのではないかと思っておったのですがね。私はこの豚肉の安定基準価格と、それから乳価の問題についてはいま引き上げられなければならないだろうということで私は質問しているわけです。だから、引き上げる程度はどのくらいかということで検討しているというならわかるけれども、それまで大臣はなかなか答弁ぼかして、鋭意検討中と、こういうことのよuですがね。これは来週はもう、そuしますと、この引き上げの額だの何だのが言えないなんということはないでしょうな。きょうはまだまだちょっと時間があるようですけれども、来週となるとこれはもう絶体絶命のところに来ますよ、これは。だからこれは、きょう大臣がそういう答弁をするのではないかと思って、きょうはこの程度としておきます。あと十分しかありませんから、論争できませんからね。きょうはあまりやりませんが、来週はこれはひとつはっきりこの委員会で説明ができるようにしていただきたい。これは法案の成立するかしないかにも大きな関係を持ってまいりますから、そういう意味で私はこれははっきりしていただきたいと思います。それから論争はいたしますからね。そういうことで、この価格問題については当面のもう検討しなければならない問題ですから、そういうことで、私はこのいまのような答弁では簡単にすらっと通すわけにはいかない。この法案を審議する限りにおいて、これはその覚悟をしていていただきたいと思うのですがね。
 そこで、特にこの価格の問題と関連をいたしまして畜産物の輸入の自由化が進みますね。まあ四月までに馬が自由化になるのですか。九月ごろまでにまあ豚肉等が自由化されるという予定になっていますね。これに関連して、先ほど私の言った豚の生産というものに対して、非常に難関が出てきている。それに加えて、貿易の自由化による畜産農家の不安というものは、これは簡単に処理できない問題として残っていると思うのですげれども、すでに農林省にも豚肉の輸入自由化については、自由化を養豚農家の経営が安定するまで思いとどまってもらいたいという要請が行っているはずです。しかし、政府はすでに自由化を決定しておりますね。それに対してどのようにこの対策を練られておるのか。輸入自由化、かりにもう方針が曲げられないとするならばどういう対策があるのか。いま決定しているその自由化の方針をしばらく待つことができるのか。待てないとするならばその対策はどうなのか。この点をひとつお答え願いたい。
#59
○国務大臣(倉石忠雄君) 豚につきましてはいまお話のとおりでありますが、総じて私どもは、稲作転換のために必要な作物を選んでそれにできるだけ力を入れてまいりたい。しかも豚につきましてはちょうどバランスのとれている、これをやはり確保していかなければなりません。それには先ほど来お話のございましたようないわゆる公害問題等につきましてもそれぞれ対策を講じ、融資等もやって近代化を促進してまいるつもりでありますが、しかし、そこでいまお話の自由化の問題も出てまいっておりますが、自由化の方針につきましては、北村さんも御存じのように、全般的に私ども政府としてはできるだけのことはして自由化を促進してまいるつもりでありますが、豚につきましては、私ども、農作物の中のきわめて大事な部分を占めておるものでありますので、それぞれその状況に応じて措置を講じていかなければなりません。そういうことを考えてまいりますというと、緊急の場合には緊急の関税措置も講じなければなりません。これは御承知のように、自由化をいたしましてもそういう点はこちらの自由でございますので、そういうときに適宜な措置が、弾力的に閣税制度等を採用してわが国の養豚に支障のないようにしながら対処してまいるということを考えているわけであります。
#60
○北村暢君 抽象的に御答弁ですけれども、その豚肉を自由化するということになるというと、畜安法による価格安定制度というものが現状でいいのかどらなのかということが大きな問題になります。自由化することによって国内の豚肉の価格というものについて非常に大きな影響が出てくる。いままでの畜安法による政府の価格政策というものに私は変化が起こらざるを得ないのじゃないかと思うのですよ。そういう点について検討されているのか。
 それからまた、関税制度ということのようですけれども、関税制度も考えなけりゃならないだろうという程度のことで自由化ということが私は十分とは言えないと思うんです。非常に不安を持っているわけですからね。ですから、その関税というものが一体どの程度に考えられるかということも、内容的にやはりはっきりして、その貿易自由化の及ぼす影響というものが、直ちに国内の畜産農家に影響が出てくる。自由化しても万全の体制がとられて、農家は心配ないという体制、こういうものがなけりゃならないと思うんです。いまのような程度のことでは、私は農家は納得しないのではないかと思うんですよ。畜安法による豚の価格の上位安定価格なんというのは有効に働かないことになるのではないか、そういう心配を持っておりますよ。したがって、もう価格制度に非常に大きな影響が出てくるだろう、こう思うんですがね。そういうことは配慮されたことがあるんですか。どういうふうに検討されようとするんですか。
#61
○国務大臣(倉石忠雄君) 私のところへ全国のいろいろな養豚家たちから直接に手紙などがまいります。そういうのを拝見しておりますというと、それぞれたいへん違っておりまして、いまお話のございましたように、自由化はしばらく待ってもらいたいというのが一つの種類、もう一つは上位安定価格を基準にして関税政策を考えろという、けさほどなぞまいっております。地方の団体からそういうようなのも来ております。政府といたしましては、養豚というものが農産物の中に占める重いウエートをよく心得ておりますし、したがって、そういう立場から、先ほど来お話のような事柄について自由化を実施いたしますまでの間に十分掘り下げて検討いたし、また学識経験者等の御意見等も十分に拝聴いたしたり、生産者団体の意向もよく聞いてみたりして、不安なからしめる措置を講じてまいりたい、こういうことでいまいろいろ検討しておるわけでございます。
#62
○北村暢君 よく大臣は検討、検討と言うのですが、その検討は結果がいつごろ出るのでしょうか。
#63
○国務大臣(倉石忠雄君) 検討はつまり長くかかる長距離の検討もありますし、先ほど御指摘のように乳価だとか、そういう豚肉とかということについての、これはもう何といっても時間が非常に狭いわけであります。したがって、検討には短かい検討もあり、長い検討もありますが、先ほど申し上げましたように、自由化を政府がやるという方針を立てましたので、自由化までにはそういう検討を掘り下げてまいりたい、こういうことであります。
#64
○北村暢君 すでに今度の国会へ輸入自由化に伴います関税定率法の改正が出ているわけです。そういうものについて、法案でもらすでに出ているのに自由化について検討をしますといってみたところで納得いかないのじゃないか、これはいまあなた、与野党の中でこれを修正しようという動きが出ているでしょう、そういう段階にきて、検討しておりますなんて言って、ごまかして通ろうと言ったって、そういうわけにはいかない。
#65
○国務大臣(倉石忠雄君) あなたのような大家をごまかすなんていうことはできっこないことでありますし、われわれはそういう意思は持っておりませんが、御承知のように法律できめられております関税定率をどのようにこれを物に対して適応していくかということの弾力的なことを考える、こういうことでございますので、したがって、どのようにそれを活用するかということについて検討すると、こういうふうに申しておるわけであります。
#66
○北村暢君 これは私は、自由化の問題についてもっと深くものごとを考えていけば、いま養豚にしても、養鶏にしても、圧倒的なものは輸入飼料に仰いでおるわけでしょう。その輸入飼料がいまどういう状況にあるかといえば、値上がり傾向ですわ。そうして、またアメリカにそれは依存しているということになれば、国家からいけば飼料を輸入をして、国内の養豚、養鶏生産をやっているものが、何もえさを輸入しないで、今度肉で輸入すればいいじゃないかという、こういうことに発展しかねないと思うんですよ。ですから、根本的に貿易の自由化と関連をして、将来における日本の畜産というものが、根本的に輸入飼料に仰いでいるというところに大きな不安があるわけです。何もえさで輸入しないで、肉で輸入したほうがいいじゃないかというようなところにこれは発展しかねない要素を含んでいるんですよ。
 そういう意味において私は貿易の自由化というものは、いまのところ馬でも牛でも生きているものに限っての関税定率のようですね。ですから、これは肉そのものではないようですけれども、ですから、これが肉にまでなってくるというと大きな問題になってくる。それから、関税定率の法案がいま出ておるものについて、これですら問題になっているわけですから、将来のことを考え合わせますというと、この貿易自由化に対する政府の態度というものは国内畜産業に与える影響というものをもう少し慎重に考えていただきたい。こういうふうに思っているんです。これは畜産全体の問題になってくるのですね。
 ですから、そういう意味において、私は農林省の政府のとる態度、それから――肉もこれはありますね、定率が。ですから、そういう意味において、将来の貿易自由化というものが、日本の畜産のあり方の問題と関連して大きな問題が出てくる。そういう意味で、これは慎重に考えていただきたい。しかも、もう定率法が出ている段階において、検討を加えるのではおそ過ぎるので、私はそういう意味においてこの問題について思いとどまるということになると、この法案を修正しなければならないことになりますからね、これは修正の動きが出ていることは御存じだと思うのです。そういうような点からして、検討するのだの何だの言わないで、もうちゃんと大蔵委員会にかかっている問題なんです。これを前提にして、一体今後どういうふうに対策を講ずるのかということをもう少し親切に説明していただきたい。
#67
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもは、いわゆる「総合農政の推進について」というところでも発表いたしておりますように、稲作転換に引き続いてどのようなものに、転換作物に力を入れるべきであるかというふうな考え方をお示ししておるわけでありますが、その中の重要なものは畜産であり、酪農である、そういうことであります。したがって先ほど来お話のございますような点については、農林省としても非常に真剣に考慮いたしておるわけであります。
 そこで、ただいまのお話のような畜産につきましては、万遺憾なきを期するためにあらゆる施策を講じてまいるほかに、やはり濃厚飼料の原料等になるものについては、お話のような輸入品をなるべく国産でまかなえるようにもしてまいりたい。そのためにはそれぞれの助成もいたして、圃場整備等もいたしてまいりたいと、こういうことは他の方面で公表いたしておるとおりでありますが、御趣旨は全く北村さんのおっしゃることと、われわれの考えていることと、そういう点では一致しているわけでありますが、ただ、豚肉の自由化をいたしますまでにどのような措置を講じていくかというところで、私が関税制度等を弾力的に活用すると、こら申し上げたことについてはっきりしておりません。これをはっきりいたすことは、いま鋭意検討中でありますので――どうも、検討ということばがお気に召さないようでありますが、日本語としては一番ぐあいがいいものですから……。そこで、実際に移しますまでの間に調べまして、そして農林省の態度をひとつきめて実行いたしたいと、そういうことですから逃げも隠れもいたしません。もう、あと何日かたてばはっきりすることで、その間のことをいま勉強している、こういうわけであります。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(河口陽一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、森八三一君が委員を辞任せられ、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#69
○北村暢君 もう価格、米の自由化の問題は大臣いないと、これは話になりませんからあと回しにしまして、法案の具体的内容についてお伺いいたしますが、まずお伺いしたのは、家畜の輸入の状況でございますが、家畜のまず輸入の状況については相当これは増加の傾向にあるというふうに思われます。そのうち牛については、これは種畜、肉用牛に分かれているようでございますが、したがってまあこれが他の家畜に比較して多いということは沖繩からの輸入によるようです。それにしても乳用牛の種畜約五百頭、肉用牛の種畜五百頭、約千頭からの牛を輸入している。他の馬それから豚等もこれは種畜のようであります。そこでお伺いしたいのはですね、この家畜改良についてだいぶ努力をされ、国としても種畜牧場を持って非常に長い歴史を持っておるわけです。にもかかわらずこのように種畜が相当輸入しなければならないということは、この日本の家畜改良の技術というものがそれほどおくれているというふうには私ども思っていないのですが、にもかかわらずこの種畜を相当輸入しなければならないという点についての理由がどういうところにあるのか。
 それからもう一つ、初生びなの輸入が非常に多いわけであります。これについても、しかもこれはアメリカとの取引上の約束で次から次に輸入しなければならないような仕組みになっておるんですね。こういう点の問題についてどのように克服しようとするのかということ。
 それからもう一つは、種畜牧場のあり方が私は若干問題があるのではないかというふうに思われるのです。というのは、乳牛にしてもこの世界一程度の能力のある乳牛が相当おるわけです。また鶏においてもいわゆる三百六十五卵という性能のいい鶏を育成している。そういう非常に高度な技術的なものができるようになっているんですが、実際に経済性の面においてそれではどうか。特にこの初生びな等においてはですね――の輸入が多いということについては、これに関連する技術というものが日本にはない。一体この国の種畜牧場というものが、どうも今後の家畜の畜産業の振興ということの経済性の面におけるマッチした研究なり何なりというものがなおざりにされているんじゃないかというふうに思われるのですが、そういう心配がないのかどうなのかですね、この点について御説明を願いたい。
#70
○政府委員(増田久君) 先生御指摘のとおり、牛につきまして毎年千頭近い種畜がこれは乳用牛、肉用牛、両方でございますけれども、多いことは事実でございます。これに対しまして国からも、たとえば乳牛につきましては牧場から乳用牛につきまして七百頭程度、それから肉用牛につきましても同程度の家畜を配置してやっておるわけでございますが、先生が御承知のとおり、その種畜というものについてはどうしても新しい血というものが、質の問題もありますけれども、新しい血をどうしても外国から入れてこなければならないという問題が一つあるわけでございます。そういう点が一つありまして、これはどうしても将来にわたって種牛というものは輸入していかなければならないと思っております。ただ、確かに乳用牛につきましては四十三年等なんか見ますとあまりちょっと多過ぎる。乳用牛は多い。これは馬も共通でございますが、横文字のついた種畜をとうとぶという、どうもそういう癖と申しますか、私は一般にそういう、日本の家畜人の中にどうも外国種のものをといいますか、舶来崇拝というような感がどうもある。その点についてわれわれの努力の足りない点もあるかと思っているのでありますけれども、そういう点については牧場を中心にしてひとつこれ考え直していかなければならないと思っております。
 それでは、答えが前後いたしますけれども、今後のたとえば牛の改良ということになりますと、全部これは凍結精液という形で行なわれるということになっていくわけだと思うのですが、そうするとどうしても牛というものの能力というものをしっかり見きわめた形で初めて精液を供与するということが必要になってまいります。そういう意味で私たちは本年度から牧場を体系的に組みかえまして、いわゆる牛の後代検定制度、要するに娘牛の子供をとってみて、その結果がいいか悪いかというものを判断して、その結果初めてそれを種畜として供与する。その間精液は採取しまして凍結をしておく、保存しておく。よければそれを使うし悪ければ使わない制度になるわけですけれども、そういうので、それは一頭についての検査期間が約四年から五年かかることに相なると思いますが、そういう制度を国内でやりますればここら辺の輸入の増加あるいは外国種に対する必要以上の崇拝といいますか、そういうものは漸次なくなっていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから初生びなの問題でございますが、先生も十分御承知のとおりでございますが、従来わが国の種畜牧場のあり方というものは、日本の養鶏界がそれまでどちらかといえば副業的な飼い方であった、飼い方も五十羽、百羽、二百羽というような零細な規模で飼われていたという事実も反映いたしまして個体の改良、個体能力の改善ということに最大の力点を置いておったわけでございまして、そういう意味ではもう世界的水準に達しておったわけでございます。しかしながら、御存じのとおり、多頭羽飼育というようなことになりますと、その一羽、一羽の能力ではなくって大群飼育に必要な強健性とかあるいは斉一性、こういうようなものがどうしても要求される。そういうものについての改良という体制については残念ながら日本は非常におくれておった、もう全然その体制というものは牧場においてできてなかったというのが事実でございます。
 そういうことのために昭和の四十年代になりまして急速に初生びなの輸入というものが行なわれまして、当時昭和四十年ごろは、三十九年はわずか外国種のものは日本の全体のひな数のシェアは一四%でございましたけれども、四十四年は実に七五%まで外国びなが入るというような形になっているわけでございます。こういうことではいけないということで白河の牧場、岡崎の牧場、それから兵庫の――これはブロイラーでございますが、それぞれを急速に整備いたしまして、岡崎におきましてはいわゆる系統造成ということを精力的にやる、その系統造成したものを白河に持っていっていわゆる四元交配という形で実用種をつくるというようなことをやりました結果、従来の改良についての相当の高い技術水準というものもありましたので、現在ではその成績は急速にあがってまいりまして、現在の段階では外国種に負けないというものが全部出てまいってきております。したがって、いまやもう普及段階に入ってまいりまして、現在はいわゆる国産種種鶏増殖センターというふうなものを県の牧場あるいは農協等に委嘱してつくってその普及体制に入った、そういう結果だと思いますけれども、現在のシェアは四十四年の七五・九%をピークとしまして四十五年には少しずつ下がっている。それで国内種のシェアがこれから非常に回復していくのではないかと思っております。
 なお、ちなみに申し上げますけれども、日本の初生びなの輸出は現在輸入量よりもはるかに多い四百万羽以上のものを海外に輸出しているという状況でございます。
#71
○沢田実君 それではいませっかく統計表の質問が出ましたので、続いて統計表の質問をいたしたいと思いますが、八ページの「その他の動物」で、三十五年八万六百八十四というのが、四十年からもうがたんと少なくなってしまっておりますが、どんなものが入っておってどうしてなくなったのか。
#72
○政府委員(増田久君) 三十五年に「その他の動物」というところで八万というふうな数が出ておりますが、その当時はペット用の家禽でございます。ペット用といいますか、賞玩用の鳥、そういったものは検疫の対象にしておったわけでございますが、それを四十年から対象といたしておりません。その結果、四十年に急速に減りまして、現在入ってきておりますのはたとえば動物園に行く動物その他がこの中に入ってくるわけでございます。
#73
○沢田実君 初生びなが四十年から急激にふえておりますが、これはどういう理由でこんなにふえたのか。
#74
○政府委員(増田久君) 先ほど北村議員にもお答え申し上げましたが、この段階におきます日本で生産される初生びなというものは多数羽飼育というものについては必ずしも適性を持っていなかった。そういうことで、日本種に変わりまして外国の初生びなが急速に増加したというのが実態でございます。
#75
○沢田実君 私どもしろうとでよくわかりませんが、実は農水の委員会である研究所を視察いたしましたときに、日本の鶏を改良していったほうが優秀なのにアメリカから何でも買う癖があるのでいかぬ、そのためにいろいうの病菌なんかまで入ってきたのだというようなお話がございましたが、これは専門的な話になりますけれども、課長さんのお考えはいかがですか。
#76
○説明員(信藤謙蔵君) 一つは、外国鶏は非常に大量供給システムが完備いたしております。最近の専業経営におきましては、御承知のようにオールインオールアウトという制度をとっておりまして、一時に三千羽から五千羽の鶏を入れかえるという必要がございますが、残念ながら国産鶏におきましては、そういった大量にひなを一時に供給するというような場所が必ずしも多くなかったということが、一つの国産鶏が衰退した原因ではないかと考えております。
#77
○沢田実君 そうしますと、鳥の質ではなしにふ化する施設の問題であると、こういうことですか。
#78
○説明員(信藤謙蔵君) 鳥の個体、個体の能力は必ずしも劣ってないわけでございますが、集団で飼うときに非常に集団で飼いやすいとか、あるいは病気が少ない、強健性があるとか、卵の大きさがそろっておるとか、ブロイラーにいたしますと、ブロイラーの肉の質がそろっておりますとか、そういう意味におきまして外国鶏のほろが一歩進んでおるということは認めざるを得ないと思います。
#79
○沢田実君 局長さん、そういう事情ですと、いわゆる日本系の鶏を改良していくということも大事なことだと思いますが、いまおっしゃったような改良の研究及び、いまの御説明だと施設を拡充して何千羽でも何万羽でもふ化できるようなことが大切なわけですが、そういうことに対しての農林省の方針はどうですか。
#80
○政府委員(増田久君) 現在、国の種鶏場、鶏の牧場が四場ございますが、これにつきましては四十年度から四十三年度にわたりまして急速に近代化をいたしました。ちょっと冗談話になりますけれども、その改良前までは牧場で一羽当たりの坪数が三十坪に一羽というような非常に少数な羽数しか飼われていなかったわけでございますけれども、現在、国で飼われております鶏の数は十六万羽というような字数で飼われておりまして、そういうことをバックにいたしまして急速に現在の品種改良というものが進められておりまして、もはや現段階では外国びなには一歩もひけをとらない段階に入っておると私は断言していい段階だと思っております。
#81
○沢田実君 そうしますと、四十四年、四十五年はこの輸入はずっと減っておりますか。
#82
○政府委員(増田久君) 四十四年、四十五年は横ばいの状態に入っています。
#83
○沢田実君 次に、馬のことですけれども、これは北海道へ参りましたときに、競馬用の馬のことなんかでいろんな陳情を受けたりなんかしたわけですが、一頭数千万の馬も入っておるようですけれども、二百二頭という馬は最高どのぐらいのが入っておりまして、金額にしまして総額でどのぐらいの輸入が行なわれておるのか、わかりましたらお答え願いたいと思います。
#84
○政府委員(増田久君) 金額のほうにつきましては後ほど資料でお出しいたしたいと思いますけれども、馬につきましては種畜として四十四年に二百二頭、四十五年百三十四頭、これは種畜としてというよりも、おもに競馬用種馬でございます。一番高い馬は約一億七千万程度の種馬が輸入されている次第でございます。
#85
○沢田実君 右の端のほらの農産物というところで、三十年、三十五年で切れてしまっているのがありますが、この内容は何でしょうか。
#86
○政府委員(増田久君) 一般に農産物というものは検疫の対象にはなっていないわけでございますけれども、たとえば香港とかで口蹄疫が発生した、そういった場合におきましては、その当該の地域から入ってくる農産物につきまして検疫の対象とするわけで、現行法律の第四十条の第二項の規定によりまして、そういう時期を限って検疫をするわけでございます。その結果この時代に行なわれました飼料関係、えさでございます。
#87
○沢田実君 それでは私、牛と豚と鶏と三点だけお尋ねしたいわけですが、何せしろうとでございますので初歩的な質問のみいたしますが、その点よろしくお願いします。先ほどもいろいろお話がありましたが、畜産物の需要が激増いたしまして、諸外国との物資の交流が頻繁化いたしております。畜産物の輸入も増加をいたしておりますが、最近の牛の輸入の実績等ちょっとお尋ねをしたいと思います。
#88
○政府委員(増田久君) 牛の実績は、これは乳用の種牛と肉用の種牛と、それから肉用の三つに分かれるわけでございますが、この肉用というのは、これは沖繩から入れているものでございますので、これは一応国内扱いとして数字からはずして申し上げたいと思いますが、種牛といたしまして四十二年に六百十八頭、それから四十三年に千五百十五頭、それから四十四年に九百六十六頭、四十五年に一千五十八頭の種畜が輸入されております。
#89
○沢田実君 輸入検疫の検疫体制についてお尋ねしたいんですが、どういう現状になっているか、御説明をお願いしたいと思います。
#90
○政府委員(増田久君) 現在動物検疫所は横浜に本部を置きまして四つの支所と十の出張所を持って八十三名の防度官で防疫事業をやっているわけでございます。ただしこの八十三名につきましては、本年度さらに増員をいたしまして、四十六年度中には防疫官を百名にする予定でございます。なお検疫の関係の施設といたしましては、棟数が四十棟、坪数で七千七百五十坪、房数というか、家畜をつなぐ房数は六百二十九、これによりまして現在瞬間時に馬四十四頭、牛六百頭、豚千三百頭、緬羊千五百六十頭、その他犬猫をつなげるだけの施設を持っているわけでございますが、四十六年にはさらに自由化の方向も考えまして、福岡あるいは成田、神戸、横浜につきまして、それぞれ施設を拡充する方針でおります。
#91
○沢田実君 輸入されました種牛は何日ぐらいそこへ置いて検査をなさるわけですか。
#92
○政府委員(増田久君) これは省令の五十条に、動物によりましてそれぞれきまっております。それで偶蹄――牛は偶蹄類でございますから十五日でございます。ただし輸出の場合は七日でございます。
#93
○沢田実君 その期間で法定伝染病はもちろん、それ以外の伝染性疾患等についても完全に防疫ができるのかどうか、その点はどうでしょうか。
#94
○政府委員(増田久君) 非常に技術的な点もございますので、これは信藤課長からお答えさせます。
#95
○説明員(信藤謙蔵君) この外国から参ります家畜につきましては、まず輸入前におきまして健康であるということの証明を輸出国の政府に要求をいたしておりまして、国によりましては輸出国におきまして三十日ないし六十日の検疫をすましたものを輸入をいたしておるわけでございまして、本来日本に到着いたしましてからの十五日間には、もちろん可能な限りあらゆる伝染性疾病につきまして検査をするわけでございます。したがいまして非常に悪性の伝染病等は輸出国の検疫において除去されるわけでございます。もしも日本に入りましてもその十五日間で検疫をいたします。さらに省令にもありますような疑問がある場合には、いつまでも係留を延長いたしまして綿密な検査をいたしておるわけでございます。
#96
○沢田実君 四十五年の春に、北海道で何か発生したらしいんですが、輸入牛で牛バエ幼虫症というのが発生した、牛バエの幼虫が牛の体内に寄生するらしいんですが、皮膚から組織内に侵入するというような病気のように聞いておりますけれども、この状況はどうでしょうか。
#97
○説明員(信藤謙蔵君) 牛バエの幼虫症は、確かに牛バエが牛の足に秋ごろ卵を生みまして、その小虫が皮膚をせん孔いたしまして、そうしてその小虫がずっと体内を移行いたしまして、春ごろに背中の皮の下に出てまいりましてそこでサナギになるわけでございます。そのサナギになりましてさらに五月、六月ごろに穴をあけて出てまいりまして、地面に落ちる。そのときに皮に穴があきます。そのために皮に損害が起こり、あるいはその周囲の肉が少し色がつくといったような害をいたします病気でございまして、従来この病気につきましては検疫所で見つけ次第皮を切皮いたしまして虫を摘出するという方法をとりまして、完全に防疫をいたしておったわけでございますが、最近非常にカ所に肉牛等におきましては集団で牛が入る場合がございます。そういった場合にたまたま背中の皮の下に残っておった牛バエがあったものと思われまして、多少北海道それから青森の一部に発生を見ております。
#98
○沢田実君 そういうことで十五日間ぐらいでは、こういう問題もありますので不十分ではないかとわれわれしろうとは思うわけでありますけれども、それはやむを得ないことですか。
#99
○説明員(信藤謙蔵君) 検疫いたします場合には、二十八種類の伝染病を主体といたしまして、それを絶対に国内に入れないという体制をかためておるわけでございますが、また生きた家畜が入る以上、いろんな病気にまだわからない病気もございますと思いますが、一匹のそういった牛バエでも入れないということは非常にむずかしいわけでございまして、牛を入れるからには多少そういった心配もございますので、着時検疫して解放いたしましてから地元に行きまして、都道府県の家畜防疫員によりまして厳重に監視をさせております。牛バエ等はその後絶滅も可能でございますので、今後そうそういったものについては入らないように努力をいたしたいと思っております。
#100
○沢田実君 局長さん、そういうような問題もございますので、係留、いわゆる検疫の検査の強化も必要だと思いますけれども、いまのようなことで法定伝染病だけを主体にいたしますと、なかなかそれもむずかしいと思いますので、やはり一定期間隔離飼育するというような方法があると思うわけですが、そういう問題に対する農林省の方針ですが、そういうものを承りたいと思います。
#101
○政府委員(増田久君) 私のほうでは、今度の法律改正におきまして法定伝染病と申しますか、家畜伝染病に準ずる伝染性疾病といたしまして十三種類の病気を指定することにいたしております。その中にいま御質問にありました牛バエ幼虫症というようなものも対象にして届け出をさせるということにいたしまして、早期発見につとめるわけでございますが、そういうものがありますれば、法律の定めるところによりまして、これを絶滅するための必要な体制を強化していくということで、特にいまおっしゃったような問題は、この省令で定める指定伝染病としてその対策を進めていきたい、かように考えております。
#102
○沢田実君 いまおっしゃったのは資料のどこでしょうか。
#103
○政府委員(増田久君) 法律の第四条で、省令で定める伝染性疾病についてはその発見した獣医師は届け出ろという規定が新しく入ったわけでございます。
#104
○沢田実君 その省令の内容……。
#105
○政府委員(増田久君) 省令の内容につきましては、その省令で十三の病気の指定をする。それにはトリパノゾーマ病、破傷風、トリコモナス、水胞性口炎、牛バエ幼虫症、仮性皮疽、馬パラチフス、羊症、かいせん、伝染性胃腸炎、豚赤痢、伝染性気管支炎、伝染性喉頭気管炎、この十二のものを省令で指定することを考えているわけでございます。
#106
○沢田実君 この資料には載っていませんね。
#107
○政府委員(増田久君) いまの省令なり政令の内容につきましては、御要求があればいまお配りしてもけっこうです。用意はいたしてございます。
#108
○沢田実君 配ってもらってください。
 そういう流行性疾病を、との場合には、獣医師が発見した場合には届け出ると、こうなっておりますね。ところがお医者さんにみてもらわない場合にはわからないわけですが、その辺はどうなんですか。
#109
○政府委員(増田久君) それは確かにこの法律改正の問題点でございます。獣医師さんにかかるということ、また発見されるということを前提にしているわけでございまして、そういう点に獣医師さんの協力がなければ、なかなか法律の実効はあがらないという問題は確かにございます。しかしながら、現在家畜共済で大家畜のものは非常に加入率が高くなってきております。それから中小家畜につきましては、いわゆる自衛防疫の体制というものが非常に進んでまいりまして、大部分のものが何らかの形の自衛組織に入り、そこの中心になられる獣医さんの指導を受けておるわけでございます。それに加えまして家畜保健衛生所というものがありますが、そこの整備が非常に進んでおりまして、そこの巡回指導というものも漸次強力に進めておりますので、その組織の中において全部とはいかないまでも、非常に多くのものがその網の中において多く見つかってくる、網にかかってくるということを期待しているわけでございます。
#110
○沢田実君 そうしますと、ここで規定をした十三の伝染性疾病にかかったことが発見されまして市町村長にその旨が届け出られますと、これに対する処置はどうなさるんですか。
#111
○政府委員(増田久君) そういう届け出がございますと、現在の法律の第六条によりまして、都道府県知事は、予防する必要があると認めますときには、その家畜の所有者に対して家畜防疫員の検査なり注射なり薬浴なり、あるいは投薬を受けるべき旨を命ずることができるという規定があるわけでございまして、この規定に基づきまして直ちに必要があればそういう命令を下して撲滅をはかる、こういうたてまえになっておるわけでございます。
#112
○沢田実君 そうしますと、この北海道の牛バエ幼虫症の例は、今度の法律改正によってその十三の種類に指定されて、今後においては発見次第撲滅できると、こういうわけですね。
#113
○政府委員(増田久君) そのとおりでございます。
#114
○沢田実君 わかりました。
 次は豚の問題ですけれども、法定伝染病ではないけれども、その被害の大きい流行性の疾病でございますけれども、何か四十三年度の調べによりますと、調査した豚の三二%、四十四年度は調査した豚の五八%が流行性肺炎にかかっているというようなことをお聞きしているわけですが、現況はどうでしょうか。
#115
○説明員(信藤謙蔵君) 最近豚が多頭飼育をされるようになりまして、いま先生から御指摘の豚の流行性肺炎、SEPと言っておりますが、これは原因がマイコプラズマによるものとされておりますが、非常に国内で流行いたしております。またこれは畜舎定着性の病気と言いまして、ある畜舎には非常に長く残存いたしましてそこの流行が非常に盛んである、非常にきれいなところとよごれておるところがあるわけでございます。したがいましてこの病気は、まあせきはいたしますけれども、外観上はなかなか診断がむずかしいわけでございます。そこで、昨年度から家畜疾病サーベイ事業という予算を組みまして、豚は全部屠場に行って屠殺されまして、その際解体検査をざれまして、その成績はいままで食肉衛生検査のために利用されておりますけれども、その成績を見せていただきまして、それによりまして肺臓のよごれておるものは、その成績を農家に通知をするということをやりますと早期にこの病気の発見ができるわけでございますので、最近その方法を実行いたしましてかなりの成果をあげております。
#116
○沢田実君 有効な何か予防の薬がないように聞いておりますが、だいじょうぶですか。
#117
○説明員(信藤謙蔵君) 幸い家畜衛生試験場の研究等が実りまして、この病気はマクロライド系の抗生物質がかなり有効であるということがわかってまいりましたし、また一方におきましては東大の尾形博士あたりの診断法に関する研究あるいは家畜衛生試験場の研究が実りまして血清反応もできる、あるいは鼻から菌を分離することもできるというようなことになりまして、流行性肺炎、それからよく似た萎縮性鼻炎、両方ともかなり診断と治療が進んでまいりましたので、これも昭和四十五年度、六年度の予算で予算をいただきまして、現在、新技術実用化調査事業というのを全国で八カ所実施をいたしておりまして、その成果がまとまり次第、全国にこの方法を実施いたしたいと思っております。
#118
○沢田実君 わかりました。
 で、最後に鶏の問題ですが、統計を見ましてもニューカッスルでもって被害を受けているのが非常に多いわけですが、特にまたこれは四十四年の表までしか出ておりませんが、四十五年の数字をお聞きしますと、四十五年は四十四年の倍ぐらいの被害を受けているように思いますが、これに対する適当な防御策というものはないものですか。
#119
○説明員(信藤謙蔵君) ニューカッスル病は昭和四十二年に大流行いたしまして、そのニューカッスル病はアジア型と称しまして非常に急性な致死的経過をとる病気でございます。これが流行いたしましてから、せっかくいままで築かれてきました養鶏産業が一時危機に瀕したわけでございますが、辛い生ワクチンの応用でございますとかあるいはこれの診断法、血球凝集抑制反応というのがございます。こういった早期診断方法も開発をされまして、幸いにいたしまして四十三年の暮れごろから冬季流行の阻止ということに成功いたしました。四十四年、四十五年も大体同じような経過でございまして、四十四年から比べますというと、確かに四十五年は羽数の面では若干多いようでございますけれども、発生戸数は減少いたしておるわけでございます。これは非常に羽数で見ますというと、十四万羽とか二十万羽とか多いわけございますけれども、鶏の全国のえずけ羽数は約四億羽でございます。そういった面から見ますというと、発生しておる農家は三百戸ぐらいでございまして、これも約一万戸に一戸とか二戸とかといったような状況でございますので、それほど手のつけられない状態になっておるというわけではないわけでございまして、われわれはこの病気は清浄化が可能であるということを農家に言いながら大いに励ましながらいま鋭意努力をいたしておるわけでございまして、幸いこの病気は非常にワクチンがきくわけでございまして、ワクチンをプログラムどおりやっていただいて、そして消毒等の措置をとりますというと、この病気は発生させなくとも済む病気でございます。幸いこの病気は非常にその点予防法が発達をいたしておりまして、なるほど感染性は非常に高い病気でございまして、病鶏一羽の血液CCで約一億羽の鶏を殺せるといろ鶏にとりましては原爆以上のおそろしい病気でございます。しかしこれは幸いに予防法が発達いたしておりますので、養鶏家がニューカッスル病の本質を十分にわきまえて、そして予防注射をやれば発生はさせないで済むということで、やはりこれは普及啓蒙が大事でございますので、鋭意そのほらに努力いたしておるわけでございます。
#120
○沢田実君 ニューカッスルで死んだ鶏の数は、農林省に集計されるのはどういう組織で報告されて、どんなふうにして集計されているんですか。
#121
○説明員(信藤謙蔵君) この伝染病予防法によりまして患畜と診断されました鶏は、全部家畜保健衛生所を通じまして県のほらに報告されます。それが農林省に報告がありまして、発生の場合には、毎日電話で発生報告がございます。それを農林省で集計をいたしまして、その日の三時三十分の農林省のテレックスで全国に、発生県、発生農家戸数、発生羽数を通知いたしております。そういったことで、発生に関する報告がまずあれば、その成績は非常に系統的に流れて集計されております。
#122
○沢田実君 家畜保健所からはよろしいのですけれども、家畜保健所まで農家から報告しないわけですよ。だから私はこの死んだ数が実際にはもうこんな数じゃないと思うんですが、その辺の実情の調査についてはどうなんでしょうか。
#123
○説明員(信藤謙蔵君) 確かにただいま先生御指摘のように、このニューカッスル柄が発生いたしますというと、その地区には移動制限の措置あるいは消毒等の措置等がとられます。そのために農家の中には、自分の経済を守る目先の欲望にとらわれまして、発生の報告をしない、あるいはさらに大きな産業的な団体あるいは自治体等が故意に隠すという事態も以前にはございましたけれども、やはりそういったことはかえって蔓延を助長いたしまして、いつまでも養鶏家の苦しみが取れないということになりますので、最近そういったことをなるべくやめるように指導いたしまして、逐次効果は出ておりまして、最近は発生報告が、三十羽でありますとか二十羽でありますとかいった非常にこまかいものまで来るようになったのは非常にありがたいことだと思っております。さらに今回法律の改正によりまして、疑似患畜についても殺処分ができるような規定を設けていただきましたので、今後はさらに報告が正確に集まるものと期待いたしております。
#124
○沢田実君 私はその点の指導をもっとこの法律改正に伴って大いにやっていただきたいと思うわけです。私の知っている村で、Aさんの家では八千羽、Bさんの家では五千羽というふうに、私が知っているだけで数万羽四十四年の十二月に死にました。そのときの記録をと思いまして、県庁にも電話しましたけれども、県庁には何の記録もありませんでした。家畜保健所に聞いてみましたら、そんなことは聞いておりません、こういうことです。ニューカッスル病かどうかも判定してないわけです。しかし農家の皆さんは確かにニューカッスルだ。で、死んだのをどうしたと言ったら、穴を掘って埋めちゃった。そういうことを報告するとあとでたいへんになるので、その後も死んでおるけれども、県になんか全然報告していないということなんです。えさの系統もありまして、そちらのほうから来ていろいろやるらしいです。ワクチンの接種についてはどうだと言いましたら、これはもうそちらから来て一生懸命やってくれていますのでと。生ワクチンを飲ませるのじゃなしに、生のじゃないほらですね、死んだほらのワクチン、そのワクチンの注射をしたと言う。しかも二回やっておりますので、出荷しても、ブロイラーですから、二回やっておればそう心配はないように思うのですけれども、それでも大量に死んでいるわけです。それでその県のほうへ聞きますと、それはニューカッスルじゃなかろう、それに似たような病気があるのでそれじゃないかというわけですけれども、ニューカッスルに似たような病気で数千羽あるいは数万羽が一緒に死ぬような、そういういわゆる法定伝染病に指定しなければならないような病気がほかにございますか。
#125
○説明員(信藤謙蔵君) 鶏の病気というのはわりあい症状がよく似ているわけでございますが、比較的よく似ておりますのが伝染性気管支炎、それから伝染性喉頭気管炎という病気でございまして、ニューカッスル病は御承知のように神経症状を出す場合と呼吸器症状を出す場合、あるいは下痢をする場合、こういったことがございます。そういうことがございますと、気管支災、喉頭気管災が非常に似ておりますので、まま間違う場合がございますけれども、死ぬ率からいきますと、このニューカッスルは非常によく死にますけれども、致死率は気管支災、喉頭気管災ではあまり死ぬことはないわけでございます。経済的被害はございますけれども死ぬということはございません。しかし、この三つは非常に診断が区別しにくいのと、三つが混合感染しやすいという性質がございまして、特にニューカッスルと間違われたりいたすことがございます。それでやはりいま先生がおっしゃましたように、伝染性気管支炎、喉頭気管炎はいままで何の届け出伝染病にも指定しなかったというところにわれわれ手落ちがあったということを感じまして、今回の届け出伝染病の中にさしあたり伝染性気管支炎と喉頭気管炎を入れていただました。これによりましてこれの早期発見ニューカッスルとの鑑別診断ということを早くやることによりまして、農家の犠牲を少なくすることができるというふうに考えております。
#126
○沢田実君 先ほど牛のところでは局長さん、届け出されるからだいじょうぶだというお話でしたけれども、牛ならばあるいは獣医師にかかって報告になることもありましょうけれども、鶏の場合にはほとんど私はこういうふうに規定しても報告にならないと思うのです。何万羽死んでも家畜保健所で知らないでいるのですから。この十三の中に入れるだけでそんなこと期待できますか。
#127
○説明員(信藤謙蔵君) まあ従来家畜保健衛生所がわりあい小さい保健所でございまして、技術的にもあまり進歩していない時代がございまして、そのときには養鶏家からあまり信頼されなかった点もあるわけでございますが、最近整備ができましてからは非に診断能力が高まってまいりました。これからの養鶏家が自分で養鶏産業をやる上におきましては、やはり病気というもの非常に大事でございますし、ちょっと調子がおかしいときにはすぐ保健所に行ったほうが実際得でございまして、実は病気が何であろうと、えさ食いが悪いとか、せきをしたとか、下痢をしたというときにはすみやかに保健所に届け出ていただきますと保健所で診断いたしまして、適切な措置指導をするということでだんだんと大型養鶏ほど家畜保健所をたよっていただくという機会がふえてまいりましたのはたいへんけっこうだと思っておりますので、今後ともそういうサービスを徹底いたしまして、養鶏家が大損害を蒙らない前に保健所がそれを察知して適切な措置を加えるということにいたしたいと思っております。
#128
○沢田実君 課長さんがおっしゃるようですと、日本じゅうからニューカッスルがなくなってしまらのですけれども、たとえば生ワクチンについても、消毒に使ったバケツ等を不注意に使うとワクチンが死んでしまうというようなことで、実際は接種したと思いながら全然その効果がないということが実際農家では行なわれているわけです。私は新しい法律をつくっても、これの運用及び行政指導が大事ではないか、こういうふうに思うわけです。そういう例がたくさんございますので、私もそういう方面に実際に行って視察をしてまいりますけれども、そういう実例もございますので、どうかひとつその運用にあたってはそういう点を御配慮を願いたいと思います。
 それからもう一つ、鶏の白血病という病気はどういうものですか。
#129
○説明員(信藤謙蔵君) 鶏の白血病が従来から肝ばれと言われておりまして、肝臓がリンパ腫張ができまして非常にはれる病気でございましたが、最近はこの白血病の中にいわゆる若齢型白血病と養鶏家が申しておりますけれども、従来の白血病は生後二百日以下産卵中に発生いたしましたけれども、最近は百二十日ごろの若齢型の白血病が出てまいりました。これが最近の学問の進歩によりまして、このウイルスはヘルペスという別のウイルスであるということで、これを最近はマレック病と呼んでおります。したがいまして、鶏には肝臓等にきますところのリンパ性白血病と、このマレック病と、二つあるということでございまして、これはニューカッスル病が若干下火になりましたときにおきまして最も養鶏産業の上で重要な病気になりつつございますので、日本におきましてもこのマレック病のワクチンの野外試験を開始いたしまして、早くワクチンの実用化をはかりたいというふうに考えております。
#130
○沢田実君 大体深追いいたしますと、育成率というのは八五%ぐらいらしいのですが、その八五%ぐらいの育成したひなの八〇%ぐらいがいまおっしゃったマレック病にかかっているというのですが、そんなものですか。
#131
○説明員(信藤謙蔵君) このマレック病のウイルスは非常に若いひなに感染をいたしますので、もしも感染予防の措置が十分にできていない、あるいは消毒が不完全である場合におきましては、いまおっしゃいましたように、八〇%というのは少し多いかと思いますけれども七〇%、あるいは六〇%ぐらいの死亡が出ることがたまにございます。事実でございます。
#132
○沢田実君 これは十三の種類の中に入っておりませんけれどもだいじょうぶなんですか。
#133
○説明員(信藤謙蔵君) いまのマレック病とか白血病は非常に一般的にウイルスがたくさん分散しておりまして、いかにこれを消毒をしましてそのウイルスから守って鶏を飼うかというのが鶏を飼うほうの技術でございまして、もしも報告伝染病にいたしますと、至るところで毎日のように報告をしなければならぬというものでございまして、報告の価値はあまりないというふうに感じている状況でございます。
#134
○沢田実君 いま課長さんが最後におっしゃいましたように、この法律さえ通ればもう牛にしても豚にしても鶏にしても病気は心配ないというようなものではないといういまのお話でよくわかります。そういうわけで、今後一そう畜産に対する疾病の行政というものは非常に私は重要じゃないかとしみじみ感じますので、この法案が審議される機会を契機にいたしまして、ざらにその万全を期するように御努力を願いたいと思います。最後に政務次官の所信を伺って私の質問を終わります。
#135
○政府委員(宮崎正雄君) ただいまの沢田委員のお説、まことにごもっともでございますので、この法律の成立を契機といたしまして御趣旨に沿って全力を尽くしたい、こう考えております。
#136
○北村暢君 先ほどに引き続きまして若干質問いたしますが、前に質問者のいたしました点についてはなるべく五複を避けるようにして質問を続けたいと思います。
 先ほど家畜の輸入状況についてお伺いいたしたわけでありますが、家畜の貿易自由化に伴いまして今後種畜ばかりでなしに家畜の輸入ということが拡大していくことも予想されるわけでありますが、今回のこの伝染病の範囲の合理化によりまして六つの伝染病を伝染性疾病のほらに移したわけでありますが、輸入相手国の伝染病の発生状況、検疫体制、こういうものに心配はないのかどらなのか。それからまた、今度の改正で六つの伝染病を削除したんですが、これを伝染病に置いておいてどれだけの防疫体制に影響があるのかないのかということです。したがって、国際的な防疫体制の状況なり、また絶滅されたという確証もない中でこれらを合理化という名のもとに積極的に削除した理由というのはどこにあるのか。置いてもあまり支障がないのではないかというふうに考えられるんですけれども、この点はいかがでしょうか、お答え願いたいと思います。
#137
○政府委員(増田久君) パリにOIEという国際獣疫事務局というものがございまして、ここに八十五カ国の国が加盟をいたしております。ここにおきまして、それぞれの国際的な検疫体制制度というものについての国際的な会議が毎年持たれて、検疫体制というものをできるだけ統一した形で行ならというようなことでやっているわけでございます。それでわがほらからも毎月月報で、必要があればそのつど電報等でここにそれぞれの発生状況等を報告するわけでございますが、その事務局から月報、年報という形で世界のあらゆる加盟国の発生状況が全部わが国に報告をされてくる。しかも、どっかの国で非常に悪性の病気が出たというような場合には速報をもってわが国に通知してくるというようなことで、その報告というものは最も世界的に権威あるものとして尊重されているわけでございます。このほかに私のほらといたしましては、わが国といたしましては国との間で協定を結びまして、できるだけ家畜衛生情報の交換等につとめているわけでございまして、私のほうからも百カ国に報告を送っておりますし、五十国から情報を得ているということでございます。そういう意味で、世界の発生状況というものは大体漏れなくこの報告によって確実に報告されているものと考えているわけでございます。
 なお、今度六つの病気が削除ざれたわけでございますが、この六つの病気というものはもう現在におきましては全く蔓延するおそれはまず全然ない、それから法によって強力な蔓延防止の措置を講ずる必要もない段階に入ったわけでございます。しかも、これは先進国においてわが国と取引があるような国におきましても、ほとんど絶滅に近い状態に相なっている病気でございます。そういうことで、もはやこの法律に基づいて、たとえば患畜等の届け出とかあるいは隔離とか、発生した場合に通行を遮断する、必要があれば殺処分をする、そういうようなことについてまで制限しなければならない病気ではもはやないというように考えたわけでございます。しかしながら、それはやはり依然として発生すればこわい病気といいますか、発生する可能性が全然ないわけでもございませんので、四条の省令で定める伝染性疾病ということの指定をいたしまして、必要があれば現在の法体系の中で家畜防疫員の指示に従っていろいろの必要な措置をさせるということは法律的に残しているわけでございます。
#138
○北村暢君 それから家畜伝染病は飼料から感染するものもあるようでございます。口蹄疫とか牛の流感、豚のコレラ等がそれであるようですが、輸入飼料に相当量依存をしておる状況で、飼料からの感染というものについて予防措置はどのようになされているのか、それとまた、この飼料による過去の感染の事例というのはあるのかないのか、この点について説明願いたいと思います。
#139
○政府委員(増田久君) 牛疫とかあるいは口蹄疫といったようなおそろしい病気がえさから伝わってくるという可能性が全然ないということはあり得ない、否定できない、非常に考えなければならないわけでございます。そういう意味で、われわれとしても輸入飼料につきましては非常な関心を寄せているわけでございますけれども、通常の場合を考えますと、非常にえさとして輸入される場合には乾燥度が高いわけでございますので、一四・五%に乾燥されて持ってくる。こういうことで、そこに病原体がつきましても一定期間たてばそこ弧死滅してしまうということが考えられるわけでございまして、従来もえさからそういうおそろしい病気がうつったという報告例は実は一例もないわけでございます。しかしながら、そういう可能性が全然ないわけではございませんので、現在の法律の四十条の第二項という規定でございまして、たとえば香港だとかどこかで口蹄疫が非常に発生した、そういうときには当該香港なら香港を経由して入ってくるえさ、そういうものにつきましては検疫の対象にして検疫するということを過去においてもやったことがございます。だから将来もそういう特定の地域でそういうものが、悪性の病気が発生する、そういった国からえさが入ってくるということになれば、当然四十条の第二項の規定で検疫をするという態勢になるわけでございます。
#140
○北村暢君 次に、この家畜伝染病の伝染性疾病の届け出の義務の問題ですが、これは先ほど堀本さんからも質問があったわけですが、先ほどの質疑を聞いておりますというと、現行法では病気で死亡したと思われるものはすべて所有者が市町村長に届ける、こういうことになっておるのが、今度の場合はこの診断をした獣医師が届け出る、こういうことになっておるのでありまして、いわゆるこの届け出制を義務づけておいてもこれが守られない、守られないので法律で規定するということがその意味がない、そういうことからまあ獣医師が診断したものを届けるという獣医師に届け出の義務を負わせた、こういうことなんですが、この場合、先ほど来質疑されておるいわゆるこの診断を受けないものは届け出がなされないという結果になる、いま沢田さんの質問に対しても、ニューカッスル病で死んだものが市町村に届けられていない。現実にそういう問題が――診断を受けないで、所有者が各人で処理をしてしまっておる、こういう問題がある。法律の上では、これは穴になっておってどうにも方法がないんです。こういうことになっていますわね、法律上。
 したがって私は、これはいま食品衛生がこれだけうるさく言われている時期に、農林省としては、伝染病の蔓延することが防げればいいのだと、こういう感覚ではやっぱり困るんじゃないか。畜産というのは病気を防ぐためにやるんじゃなくて、国民の食料を供給するという大きな大前提があるわけなんですから。そういう意味でどうも不完全ではないのかと、またこういう改正前の規定があっても、先般昨年かありましたように、豚コレラの肉が市場に流通をして非常に問題になりましたわね。これは家畜伝染病予防法の違反でもあるし、さらに環境衛生法ですか、食品衛生法の違反でもあるし、まあいろいろな違反をしているんですが、違反していながらそういう好ましくない肉が現実に流通するという問題があるわけなんです。そういう問題については、非常にこれは厚生省のほうの所管であって、食品に関しては畜産局は、これは権限はないんだと、こう言ってみても私はその責任が回避できないんじゃないかと思うんです。したがって、これはそういう病畜が食品に回らないように畜産行政の面から当然これは考えられなきゃならない問題だと思うんですがね。厚生省の所管ではありますけれども、これは厚生省としては検査するととろで、来ないものについては、これはなかなか取り締まりにくい問題である。両省にまたがる問題なんですが、非常にこれは、この法律では処理できない問題として残っておるわけです。したがって先ほど堀本さんの質問に対して、今後何か検討するというようなことを言われただろうと思うんですが、それはどういう意味なのか。結局、この獣医師の診断によらなかったものは、これはもう無意味になるんで、所有者の届け出制があったのに届け出がなされていないので、そういうことも勘案して今度の改正案が出たんでしょう。それなのにまた検討したら、またもとの法案にこれは戻さなきゃならないことになるような感じがするんですがね。どうもそこら辺のところが徹底していないと思うんですよ、先ほどの答弁ではね。何か堀本さんの言われたようなことで、そういう抜けているところを何とかしなければならないんじゃないかということを言われたわけだ。いろいろ検討した結果、との改正案が出てきたわけでしょう。それなのにまた検討してということになるというと、そういうものをなくするためには、やっぱり届け出制などを考えなきゃならないということになって、もとに戻ってしまうんじゃないかという感じがするんですがね。どのようにお考えですか。
#141
○政府委員(増田久君) 先ほど確かに四条の現行規定のほうが制度的にはよくてというか、完備しているけれども、実効性というものは全然あがっていないというわけでございます。しからば、それをいま直ちに実効あらしめるためにどうしたらいいかということになりますと、たとえば農民の方々の啓蒙の問題に始まりまして、それから化製場あるいは斃獣処理場というものを整備する、あるいはその管理体制というものを完全にする。そういったあの法律を実効あらしめるためには物的にも制度的にもなお前提として完備しなければならない問題が私は多々あるんだろうと思います。そういう外的環境が十分まだきまってないままにして、二十六年度にああいう規定を設けたといろところに、考え方と現実との間に大きなギャップがあったんではなかろうか。しかし現実の現在においても、その問題はどうかといいますと、必ずしも十分整備されている問題ではない。いま急に斃獣処理場を完備しろ、あるいはそこに適切な管理人を置けというようなことを現実に要求いたしましても、これはなかなかできない問題、それをやはり整備合理化していくということがやはりなければならないと私は考えておる。しからばそれを待つまでどうするかという問題がそこに起きてくる。そうするとまあ次善の策ということに率直にならざるを得ないと思いますけれども、現在は家畜共済制度だとかあるいは自衛防疫制度だとか、あるいは家畜保健衛生所の巡回指導、こういうような形で一〇〇%とはいかないまでも、非常に大きいものはこの網の中にかかってくる可能性がある。したがって次善の策ではあるけれども、そういう方策をとったほらが現実的には適切な手段ではなかろうか、かように実は考えているわけでございます。そういう意味で堀本先生に検討すると申し上げましたのは、そういうことの外的環境の整備促進ということについてどう進めるかということについて検討し、それとの関連においてこの制度のあり方もどうするかということもあわせて考えていく。こういう意味で申し上げたつもりでございます。
#142
○北村暢君 その点はそのくらいにしましょう。
 それで改正前は届け出の義務制については罰則があったわけですね。ところが今度の改正では獣医師の届け出義務違反に対する罰則規定というものはないわけですが、その理由はどういうことですか。
#143
○政府委員(増田久君) 獣医師さんが業務違反を行ないますと、当然獣医師法に基づきまして免許の取り消しだとかあるいは業務の停止という罰則規定が獣医師法のほらに規定があるわけでございます。したがいましてそちらのほうで担保されておるということで、こちらの罰則は落としたわけでございます。
#144
○北村暢君 次にですね、この先ほどのところとも関連するんですが、斃獣処理場についての制限を削除しているという点と、もう一つはいわゆる密殺といいますか、そういうもので病畜の食用に供されるというものについての対策、これはですね、先ほどもちょっと触れましたけれども、斃獣処理場についての制限削除と関連をして、密殺によって食用に供される危険性のあるものについて、これは法律的にはもう方法ないと思うんですけれども、どんな措置というものが考えられるのか、ひとつこれらの点について現実にどういうふうな指導がなされているのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
#145
○政府委員(増田久君) 十条を削除いたしましたのは、四条との関係で届け出制度を廃したわけでございます。従来四条を担保するためにこの十条の規定があったわけでございます。ところが四条があのように獣医師さんのほらに変わりましたので、との規定を落とした、こういう条文整理でございます。
 それから密殺につきましては、現在法律的にはと畜場法という法律がありまして、家畜はそこ以外では殺してはならないという規定があって罰則まで設けられている。しかしそれにもかかわらず密殺が行なわれ、それで病気のものがひそかに流れているという事実はこれは否定できない、事実ある問題だと思います。そういうことで、これは従来とも、県、保健所を通じまして一番問題になりましたのは、たとえば炭疽の病気なんか一番いい例だったと思うのでありますが、岩手県で炭疽が出て、それが肉屋まで出て、それから人間に移ったというような事実が実はあったことがあるわけでございますけれども、そういうことで、そういう問題を契機といたしまして、そういうことのないようにということで保健所を通じ、あるいは獣医師さんの協力を得て、あるいは市町村を通じて各農家に指導をしてきているところでございます。まあ基本的には農家の協力体制という問題になろうかと思いますけれども、この点につきましては非常に大きい問題でございますので、指導をそう強めていきたいと考えております。
#146
○北村暢君 これは畜産局所管じゃないのかもしれませんがね、この病畜の出回ったときにおける取り扱った業者とかなんとかについて営業上の責任を追及するような措置というのは現実に行なわれているのかどらなのか。これ、食品関係非常にやかましい時期ですから、こういうものは絶無を期したいわけですが、これはいかなるものも犯罪というものはあるわけですから、絶無ということはあり得ないのでしょうけれども、そういう面の指導がどのようになされているかということがおわかりになっておったらひとつお答え願いたいと思います。
#147
○政府委員(増田久君) たしか密殺の豚を、病菌豚を売った業者は食品衛生法に基づきまして処罰を受けて、体刑を受けているわけでございます。そういう意味で法律の網にひっかかってくるのはこれは取り締まりが非常にしいい問題でございますけれども、あの病菌豚の問題の出たときにも、それは当該業界の信用問題なんだから、それは結局はあなたたちにその結果はどろは返ってくる、極端にいえば業界全体の信用の問題なんだということで、県の指導、監督という問題以外に、業界でそういう一つの啓蒙運動と申しますか、自覚運動をひとつ起こしてくれということをやったわけでございまして、この点は非常に業界としても、そういう点の遺憾の意を表し、その徹底方について格段の努力を払っている実態でございます。
#148
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、殺処分命令の対象となっている疑似患畜が現行法では牛肺疫が疑似患畜に指定になっておったわけであります。これが牛肺疫以外に今度新たに追加されているわけです。その追加されているものの中に豚コレラとかニューカッスル病とかいうものが出ているわけなんですが、これらのものは相当以前から多数に発生した実績があるわけなんですが、しろうと考えではその猛威をふるって蔓延している発生したというときにこそこの疑似患畜にまで殺処分をして蔓延を阻止するということが当然考えられてしかるべきことだと、このように思うのですが、聞くところによりますというと、これらのものも非常にに終息的な方向にきて絶滅の寸前にきている、そういうことからその徹底を期するために疑似患畜に対しての命令殺というものを取り入れたのだと、こういうふうに聞いておるのでありますけれども、どうもしろうと考えでは、蔓延したときに疑似患畜まで殺処分したいというふうに思われるのですが、これはどういう理由、財政的な理由なのかそれとも他に理由があるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#149
○政府委員(増田久君) おっしゃいますとおり、豚コレラなりニューカッスルにつきましては急速に絶滅の方向にきているわけで、これは御承知のとおり、農民の衛生観念と申しますか、それが非常に進んだことと、生ワクの普及ということであるわけでございます。しかし、われわれの家畜伝染病に対する防疫の基本姿勢といたしましては、これは絶滅せしめるということがやはり最後の願いであるわけでございます。そういたしまして、普通そういう防疫といいますか、防疫の体制といたしましては、まずワクチンをやりまして病気をコントロールする、それでそのコントロールがきいたところでエラディケーションというのですか絶滅をはかる、こういう二段がまえをやるわけでございます。そういう意味で、ある程度ワクチンで押えられたところは今度発生したものは一せいに殺してそこでわが国を正常の地帯に持っていく、そうすれば全体として生ワクなり何かをしなくても結果的に済む、そういうことを一つ考えているわけでございます。特にニューカッスルなり豚コレラを加えました意味は、いま申しましたとおり、日本からこの病気を絶滅させたいということが第一の願い。それからもう一つは、これを殺処分でやりますと手当が出るわけでございます。いままではそういうものがございませんので、どうしても密殺といいますか、こっそり片づけるという傾向があったわけでございますけれども、これを殺処分することによって手当を出すということになれば、それの分だけでも農家の協力が得られるのではなかろうか。この二つの考え方から、この疑似患畜についても殺処分の対象に含めるということを考えたわけでございます。
#150
○北村暢君 次に、動物の輸入に関する届け出の義務等について改正が行なわれておりますが、この届け出の義務を負わしたのは、一つには検疫能力からくるのではないか、このように思うのですが、現在の動物検疫所の能力、配置の状況等についてお伺いいたしたいと思いますが、特に最近の輸入動物が非常にふえておりますね。しかしながら定員なり何なりというものは一向変わっていない。逆にこれは農林省は定員削減の方向にあるわけですから、この動物検疫所の整備状況がどうなっているのか、定員がどうなっているのか、そしてこの輸入動物の非常にふえているのに対してどのように対応できるのか、十分な体制であるのかどうなのかという点についてお伺いいたしたいと思います。
#151
○政府委員(増田久君) 先生御指摘のとおりでございまして、現在横浜に本所がございまして四カ所に支所、十カ所に出張所を置いて防疫体制をやっているわけでございます。職員の問題といたしましては、現在は百三十八名、そのうち直接の家畜防疫官には八十三名ということでございますが、御承知のとおり、このごろ動物とか、あるいは畜産物の輸入が幾何級数的にともいえるくらい急速に伸びてまいってきておりまして、施設の問題あるいは人員の問題というものが各地で起こってきているわけでございます。そういう意味で人員につきましては昭和四十五年には十五名ふやし、来年度は十九名増加いたしまして、防疫官だけでも百名ということに相なるわけであります。
 それから施設関係につきましては、現在の整備計画をつくりまして毎年整備をはかってきておるわけでございます。現在昭和四十五年でこういう家畜を入れてくる施設のあるところは横浜の木所と、それから四つの支所と、それから出張所には大阪、長崎、福岡、鹿児島、名瀬、この十カ所でございますが、棟数は四十棟、面積は七千七百四十九平方メートル、それから家畜を入れる房数は六百二十九、それから瞬間的に収容できる、一時に入れることのできる能力は現在のところ馬は四十四頭、牛は五百九十九頭、それから豚は千三百二頭、綿羊は千五百六十一頭、犬二十七、ウサギ三十というような状態でございます。しかしとうていこれだけでは足りないということで、来年度予算をもちまして福岡の雁ノ巣に千九百六十四平方メートルの面積で施設を整備いたしまして、ここで牛馬合わせまして年間約五千頭程度の検疫ができる施設を本年度中に整備するという方針でございます。これは成田のほらが若干問題があるわけでございますが、成田につきましても特に馬関係についての施設を整備することを考えておりますし、四十七年にはさらに横浜と神戸につきましてそれぞれ牛馬千六百頭ないし千頭を扱える施設をつくるということを考えているわけでございます。
 しかし現在の段階で施設が絶対的に足りないという問題も一つありますので、同時に一時期に多数のものがカ所に集中的に入ってきて混乱する、こういう二つの問題があるわけでございます。先ほど言いましたとおり、この整備ができれば私は率直に申し上げまして絶対的な施設能力というものは足りないことはない、十分間に合ってくるというふうに考えておりますけれども、問題は、たとえば牛なら牛、馬なら馬というもののいろいうの病気を検定するためには相当の今度施設というもの、そのための専用の施設というものが要る。それからもう一つどうしても専門のものを一つどこかに置かなければならない。機能分化さしていくという問題があると思うのです。そうなりますと牛はどこの港、馬はどこ、こういうふうに機能分化というものをどうしてもさせていかなければならないだろう。そう考えますと、どうしても今後入ってくるものは、たとえば一時期に集中したり、たとえば馬のことは十分施設のないところに馬が入ってくる、こういうようなことがありますとかえって輸入する方に御迷惑をかけることになる。したがいまして今後輸入する場合にはあらかじめ――あらかじめと申しましても大体われわれは輸入の九十日前くらいのことを考えておるわけでございます。三カ月くらい前を考えておるわけでございますが、そういう者に届け出てもらいまして、いつどこの場所に幾らのものが入ってくるということを届け出てもらって、それでこちらの計画と合わせまして、見て必要があればそれとの調整をしていただく、あるいは港がこの港では困るからこっちの港にしてくれというようなこともお願いするということで動物検疫の円滑な運営をはかっていきたい、こういうことであの輸入の届出制度の規定を設けたわけでございます。
#152
○北村暢君 牛の四十四年度で五千八百頭ばかり輸入されているうち四千八百何がしというものは沖繩からの肉用の牛を輸入しておるということなんですが、そのために鹿児島の検疫所が非常に忙しい状況にある。で、これは沖繩が返還になった場合に、一体これは、検疫がどういう形に変わるのか、それから動物の検疫所の配置でありますが、四つの支所、五つの出張所はいずれも東京から以西で東京から北のほらには一カ所もないようでございますが、これは一体動物の輸入に対して東北北海道等畜産の重点地域の方向に検疫所が一つもないわけですね。これは一体どういう理由でこういうふうな配置になっているのですか。今後配置等について何か考えていることがあればお伺いをしておきたいと思います。
#153
○政府委員(増田久君) 沖繩が返ってまいりますれば当然これはもう国内でございますから検疫はなくなるというふうに、一元化されてしまうというので考えております。
 それから現在確かに出張所、支所等が全部西のほらに傾いているということは事実でございますが、これは一つは工場と申しますか、食品加工業がこちらの側に多いということが一つと、それから検疫所はなるだけ産地には近づけないという原則があるわけでございまして、北海道、東北のようなところに検疫所をできるだけ持っていかないという考え方が一つ根っこにあるわけでございます。したがいまして今後いろいろそういう防疫事情なんかも変わってまいりますから、そういう事情も十分検討しなければならないわけでございますが、現在のところ特に自由化だからといってこの体制をいま直ちに変えるという考えは持ってはおりません。しかしこれは事態というものは刻々変わっていくわけでございますので、そういう事態の推移にあわせて検討することについてはやぶさかではございません。
#154
○北村暢君 次に、家畜防疫員の応援派遣の問題ですが、この点改正が行なわれておるわけですが、この家畜保健衛生所の設置の状況等についてお伺いいたします。これを統合整備が進められておるようでございますが、現在だいぶ統合が進んでいるようでございます。四十年当時五百五十八ありましたものが四十四年度で三百四十七、この統合計画はいつごろを目標にどのくらいの数にしようとするのか、まずこの点お伺いしたい。
#155
○政府委員(増田久君) 四十六年度末までに百九十九カ所に持っていきたい。現在四十七カ所を十九カ所に統合するという段階になっているわけでございます。
#156
○北村暢君 統合するのが、先ほどの堀本先生のお話にもありましたように、統合してそして施設を完備させるという意味において意義があるのかもしれませんけれども、そのために県内に二カ所か三カ所ぐらい、まあ四、五カ所でしょうか、そういうことになることによって、農民の利用の面からいくというと、一々化製場へ行くということがかえってわずらわしくなって、保健所で診断を受けようと思うものが省略してしまうというような結果になるおそれがないのかどらなのか。整備はできたが利用度が減ったというようなことにはならないのかどらなのか、この点はどのように措置をされているかお伺いしたいと思います。
#157
○政府委員(増田久君) このごろ畜産が進んでまいりまして、特に農民の衛生知識というものが非常に向上してきたことは御存じのとおりでございます。従来、統合前における家畜保健所というものは、それぞれ農民に密着をしていたことは事実でございますけれども、そのおもな内容というのはいろいろの資料を収集することとかあるいは病気が出てきたときに注射をするというような業務に忙殺されていたというようなことであったわけでございます。ところが、現実にそうなりますと、農家の欲しておりますことは、上からの的確な情報なりあるいはこの病気がどういう病気なんだという病性鑑定、いろいろ農家の要求ずるものが非常に高度になってきたわけでございます。そういたしますと、そういう小さいところの保健所では施設の面から言っても人の面から言っても農家の要望にこたえられない。こういう実態があったわけでございまして、整備計画で一カ所十人ということで、そういう病性鑑定からいろいろな病気の予察事業まで、それから自衛防疫の指導に至るまでの幅広い行政を集中的にやるというようなことに持っていったわけでございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、それだけに全県で四カ所ないし五カ所ということで農民との距離というものはやはり遠くなった面があるということは、これはいなめない事実だと思うのです。やはり農民のサイドから言えば、そういう設備の整ったものができるだけ多く近くにあることが一番望ましいわけでございますので、そこの問題の、やはり何と申しますか、調整は非常にむずかしい問題だと思いますけれども、いまの段階ではその間の穴を埋めますために、一つは機動力を十分整備するということで、従来ほとんどなかった四輪車も現在では各所に一台ないし二台は必ず整備されております。自動車が。そういうようなことで四輪車を買ってできるだけ農民の巡回指導に当たらせるとかというようなことをしております。また家畜防疫員というものに一般の獣医さんをお願いして、その間のコミュニケションのつなぎに使うというような家畜疾病サーベイ制度も現在行なっているわけでございます。
 なお蛇足とは申しませんけれども申し上げますならば、保健所に若い獣医さんをやはり確保するということがどうしても必要なことでございます。そのためにも施設を近代的なものにさせて、働きがいのある職場にしてやるということがどうしても必要な条件でもあるわけでございまして、そういう面もあわせてこういう整備を行なっているわけでございます。
#158
○北村暢君 この点はわかりましたが、家畜防疫員がこれを見ましても四十二年を境にして減少傾向にありますね。しかしまあいまおっしゃられたように家畜保健衛生所の防疫員はふえてきている。こういうことですから、保健所の数は少なくなるが、家畜衛生保健所における防疫員はふえてきている。しかし相対的にはこの防疫員が減ってきているわけです。これはどういう理由なのか。今後の畜産を振興するという面から言えば少なくとも減るということは考えられないことなんだろうと思うのですが、この減ってきている理由はいかなる理由に基づくものか。それから家畜防疫員に対する任命をしているわけですが、その防疫員の給与、待遇等は一体どのように処遇されているのか。こういう点についてお尋ねをいたします。
#159
○政府委員(増田久君) 先生の御指摘のとおり、現在の獣医師の方々がだんだん農村を去るという傾向がやはり基本的に一つあるわけでございます。そういうことでこの表を見ておわかりのとおり、特に減ってまいっておりますのは団体関係が減ってきておるわけでございます。そういうことでやはりどうしても一つの末端の職場というものが生活の場として働きがいのあるというようなこと、それからもう一つは待遇がそれに十分――十分といかなくても適切に行なわれるということが一つの私は条件ではないかと思っているわけでございます。それで待遇でございますけれども、これは一般公務員について申し上げますれば、これは公務員でございますから、その公務員の給与でございますけれども、特別の手当といたしまして、県の関係の職員につきましては三千円以上の特別の額を調査研究費ということで支給をいたしております。これは県によって非常にばらつきがありまして、自治省の平衡交付金の算定の基礎としましては三千円ということになっておりますけれども、県によっては二千円から七千円までの幅がございます。
 それからもう一つ、これは昨年度から実施をいたしたわけでございますが、家畜保健所の所長さんを本庁の課長並みの課長待遇と、課長と同一の待遇にいたしたわけでございます。ということは、現在家畜保健所にいる職員が二千人でございますが、約二百人の方がそういう管理職になるということは十人の一人の割りで管理職になれるということが可能になったわけでございます。そういう意味で待遇の面では、徐々にではございますけれども、待遇改善というものが行なわれているわけでございます。
 その他防疫員に任命されました獣医さんには、手当は堀本先生から安過ぎるというおしかりを受けたわけでございますが、毎年少しずつでも上げていっておりますし、また必要な旅費というものも支給してやっているわけでございます。今後ともこの点についてはなお格段の努力が必要かと考えておるわけでございます。
#160
○北村暢君 いまの手当の三千円というのは月に三千円でしょう。
#161
○政府委員(増田久君) 月に三千円でございます。
#162
○北村暢君 月に三千円ですから、これはたいしたことはもちろんないんですがね、そういうことでいまの答弁でもあるように、減っているというのは、どうも特に民間団体の共済組合、農協その他の団体、ここのところが一番減る率が多いようですね。したがって、処遇が悪いからだんだん離れていくということなんでしょうが、この状況から見れば、どうも畜産の振興と防疫員の減少傾向とは逆比例しているような状況ですから、これをやはり確保する。これでも多過ぎるんでもっと少なくてもやっていけるというならこれは別ですが、どうも処遇が悪いためにだんだん逃げていくというのじゃ、これはどうにも畜産の将来にとっておもしろくない結果だと思うんですよ。ですから畜産のほらは振興せい、振興せいといって、獣医はどうでもいいと、これでは私は堀本さんが憤慨するのも無理ないと思うんですがね。これは明らかに統計上そういうふうに出ていますね。統計上そういうふうに出ているんですから、これはやはり何か対策を講じなければいけないのじゃないですか。これはやはり一番問題なのは処遇なんでしょう、おそらく。生きがいのある職場というふうになっていないというところにあるんでしょうけれども、そういう面の改善というのがやはりだいぶこれはおくれているのじゃないかということをこの表自体が物語っていると、私はまあそういうふうに判断するわけなんです。だから、先ほど答弁されておるんですけれども、私の質問にぴったり答えられておらないように私は思うんです。だから、この減少傾向にあるものについて畜産の振興とどら対処していくのか、こんなにたくさん要らないのでもっと減らしていいんだという、そうして減らして能率をあげてもらうんだという、こういうことなのかどらなのか、そこら辺のところをもう少し明らかにしていただきたい。
#163
○政府委員(増田久君) 実はまあこれは言いわけになるわけでございますけれども、現在産業動物の診療に直接従事しております獣医さんは――獣医さんの数は全体で二万人こえているわけですが、直接に従事している方は現在五千二百九十八人でございます。これは半分以上が市町村とか団体の方で、半分が開業医の方でございます。で、これは一人当たりの家畜単位ということで申し上げれば、一人当たり千三百単位ということで、世界で一番一人当たりの家畜単位が低いということは、逆に言えば家畜当たりの獣医さんの数は多いという結果が出てくるわけでございます。スペインで千六百ですか、アメリカ、ソビエトなんかもらわれわれほとんどその比でないという実態にあることは事実。これはただし数の上から出てくる問題でございまして、先生の御指摘のとおり、だんだんその従事する者が村を去るというようなことがあることはもう否定できない。これはどうやったら村に定着させていけるかということについては、もうこれからわれわれとしては真剣に考えなければならない。それは一つは生きがいの問題と待遇の問題、待遇をよくするために、朝ほど堀本先生から御指摘のありましたとおり、連合会組織でやるようなやり方あるいは共済制度をもっと充実するやり方とか、あるいは県の保健所をもっと整備拡充していくやり方とか、いろいろあろうかと思います。それから雇い上げの手当を増加するということも一つの方法だろうと思いますが、そういう点につきましては今後とも格段の努力を払っていきたいと、かように考えているわけでございます。
#164
○北村暢君 説明をよく聞きますというと、獣医は多過ぎる、だから少なくなっていってもそれはやむを得ない節があるんだというふうにしか、いろいろ弁解するけれども、そういうふうにしか受け取れないようですね。この問題は、それかといって、積極的に待遇を改善するという指導もあまりはっきり出てきておらない、こういうことですから、まあ口でどんなに言ってみても、これはどうも獣医さんが逃げていくほうが多いような感じを受けますね。これはいつまでやっていてもあれですから、畜産の振興という問題と関連する防疫員の質の向上なり、待遇の改善なりというものについてもっとやはり積極的な姿勢をとってもらいたい、これは要望しておきます。
 それから最後に、患畜の殺処分の手当金の問題でございますが、現行法では、義務殺と命令殺については、それの患畜について限度額を設けているわけでありますが、この限度額が今度は家畜の価格に適応するように政令事項に譲ったわけであります。この政令案をいただきましたが、現行法の義務殺、命令殺の患畜についての限度額が、牛が十万四千円、馬が六万四千円、山羊が一万二千円ですか、これが今度の場合――これは失礼いたしました、前のは結核病、ブルセラ病、馬伝染性貧血の場合ですね。それ以外のものはもっと安くて、牛が四万三千三百円ですか、それから馬が二万六千六百円というのが、今度は飛躍的にこれは政令案では改正されておりまして、この結核、ブルセラあるいは馬の伝染性貧血等と区別ないようになったようであります。それが牛にあっては政令案では二十六万、馬にあっては五十九万、これはまあ馬と牛の価格が飛躍的にこれは上がっているわけですね。馬の場合で二万六千というのが五十九万に今度ははね上がるわけです。一体これはいままでの法律というのは、限度額というのは全くこれは実態に合ってなかったものを法律で規定しておったということを物語っていると思うんですよ。結核、ブルセラ、伝貧の患畜以外のものは、牛が四万三千円が二十六万になり、それから馬が二万六千円が五十九万になるわけですね、一体これはどういうことなんですか。あまりにもこれ実態に合ってなさ過ぎたと、こういうふうに思うんですが、おくれているにしてもあなた特急と鈍行よりまだひどい。
#165
○政府委員(増田久君) 現行五十八条に書いてあります額は、「患畜となる前における当該家畜の評価額の三分の一(その額が牛にあっては四万三千三百円、馬にあっては二万六千六百円、」と、こうありますから、これは評価額の三分のということで、その三倍ということになると思うんです。それですから、従来は牛が十三万円、馬が八万円ということで、ですから、牛が十二万円が二倍になり、馬が七倍強になったということでございます。率直に申し上げまして、従来の限度額で、実際のカバー率と申しますか、どこまで実際の額までカバーしていたかと申しますと、四十一年と四十三年の平均で申し上げますと、牛は二三・六先、四十四年度では一六・九%、馬は四十二、四十三年の平均で二三%、四十四年度二三・八%ということになっていたわけで、まあ二割前後というカバー率にすぎなかったというわけでございます。今度これで改正をいたしますと、四十四年の形で見るよりしようがないわけですけれども、牛では一〇〇%のカバー率になります。それから馬については、これで八四%のカバー率ということになるわけでございます。で、この馬がなぜこら高いかと申しますと、馬の伝貧には競走馬とそれから農耕馬がありまして、農耕馬になりますと、これは最高が十六万円ぐらいでございますので、これはもうこの価格で全部カバーしてしまう。問題は、伝貧の半分が競走馬がかかるわけでございますので、その価格の平均的なものが、この五十九万円ということで持ってきた、そのためにこの馬が特に七倍に上がった、こういうことになっているわけでございます。
#166
○北村暢君 まあ説明はそれなりにわかりましたがね、しかし四十四年と、今度は四十六年からこれは実施になるんでしょうから、四十六年とでは、これは馬は三倍にしたところで約七万円ぐらいでしょう、七万円ぐらいのものが五十九万。だから四十四年度まではそれじゃ競走馬のものが入ってなかったという結果になっているのかね。でしょうけれども、だいぶこれは差がある。今度そういうものを合理化して実態に合うように政令でもってやるというのですから、その分はけっこうなんですがね。いままでが何かあまりにもかけ離れているので、いままでが実態に合わな過ぎたと、こういうふうに思われるんです。
 それで次にお伺いしたいのは、義務殺、命令殺は今後も残るわけですが、今後疑似患畜の場合、あるいは行政鑑定殺というようなもの、その他、限度額を設けたのと限度額を設けない限度額のないものとあるわけですね。これはいまのようにいわゆる時価的な価格に非常に近寄ってくるというと、この限度額を定めることと定めないのとは、あまり意味がないんじゃないかというふうに考えられるんですが、この限度額を積極的に定めた理由、限度額がないものがあるわけですが、それは一体どういう理由によるか。
 それから五分の四、三分の一の手当の交付率についてやはり差があるわけなんですが、これは該当するものがそうあるとは考えられないわけなんですが、その手当の交付率に差を設けておる、一緒にしてもいいんじゃないかという感じがするんですけれども、この点について、どういう理由でこう差をつけなければならないか、この点をお伺いいたします。
#167
○政府委員(増田久君) 家畜についてどういう手当金をやるべきであるか、こういうことにつきましてはいろいうの議論があることでございますけれども、基本的には、当該家畜の残存価値ということで、一般的に患畜となる前の価値と比例するものだ、したがってそれは無制限ではあり得ないのだという考え方に基づいているわけでございます。患畜につきましては、その人の管理の責任がどうしてもあるわけでございます。ところが疑似患畜は、たまたまその付近にいた、そこを目の前を通った、こういうことであるわけですから、そうなりますと、その人を患畜と同じ扱いをすることは、公平の観念から見てどうも適当ではない、そういうことから考えまして、患畜につきましてはこの限度額を設けないということにしたわけでございます。
 同時に三分の一、五分の四の交付率の差を設けました理由につきましてですが、この手当金というのはいろいうの考え方もございますけれども、一つの側面として、できるだけ届け出てもらってそれを殺すことを奨励するという奨励的な意味があるわけでございます。患畜――急性の病気でありますれば、それが飼っている人にもすぐわかってすぐその手当てをする、対策を考えるということになるわけでございますけれども、慢性の病気、たとえば伝貧――馬の伝貧のような病気になりますと、外見からは全然わからない。能力についても急激に下がってくるわけではないわけであります。たまたま県の家畜医が行って、防疫員が行って調べた結果としてわかるというような形であるわけでございます。したがいまして、できるだけ病気の蔓延を防ぐのだと、こういうことを考えれば、そういう慢性の病気のものについてもできるだけ協力してもらうと、こういう意味で急性の病気については三分の一、慢性のものについては五分の四と、こういう差を設けたわけでございます。
#168
○北村暢君 殺処分の手当の交付の状況ですね。最近どのくらい交付されているのか。そして四十六年度の予算ではどのくらいみているのか。
#169
○政府委員(増田久君) 先ほどもお話がございましたけれども、最近の特にニューカッスルとか豚コレラとかいろいろな病気の発生が少なくなっておりますので、四十二年度は二億七千六百万円でありましたものが、四十三年に一億五千百万円、四十四年度には五千五百七十万円まで下がってきております。四十六年の予算でございますけれども、一億八千八百万円を予算として一応計上しているわけでございます。
#170
○北村暢君 大体私の質問はこれぐらいにして終わりますが、総体的に言って伝染病予防が相当徹底してきたと、成果をあげてきていると、こういうことは言えると思うのですが、しかしこれは、総体的には畜産振興を今後やっていくという面から言って、との法律改正で完全とは言えませんし、防疫体制においても、どうも防疫員の減少傾向を見ましても、あるいはこの家畜保健衛生所の設置の状況――合理化という名前はいいのですけれども、どうも整備したことによってかえって、これはそこに勤務する人には非常に条件がよくなって、働きがいができたかもしれぬけれども、農民自体からすれば、どうも防疫面から言って疎遠になる可能性が出てきていると思うのです。そういう面で防疫面において、伝染病予防の面において、これで完全だということはあり得ない。しかも、いま説明のありましたように、この義務殺、命令殺がやはり相当の額にのぼっておるということは現実にこれはあるわけです。そういう面から言って私は、まあ予防の面について相当今後も力を入れていく必要がある、このように考えます。そういう意味で今後の予防の万全をさらに強化するように要望をいたしまして私の質問を終わります。きょうのところはですよ。
#171
○河田賢治君 他の同僚委員がほとんど質問されましたので、ごく二、三の点で質問したいと思うのです。いま鶏のひなはずいぶんやはり入っておりますね。二百六、七十万羽入っていますね。これはおもにどこから来ておりますか。
#172
○政府委員(増田久君) ほとんどアメリカでございます。
#173
○河田賢治君 私は、さっき話が出た問題ですが、おととしでしたか、岐阜県のほらへ参議院の農林水産委員会で調査に参ったのですね。これは岐阜の養鶏所の初生びなをつくっているところが非常にどこも輸出なんかに力を入れて、もう四十三年ごろには六十五万七千羽を輸出をしている。まあ輸出は全体として日本でも輸入よりも率はずっといま伸びております。これだけ成果を得てきたと思うのですが、しかし、私が非難するのではなくして、ここのやはり会社の社長さん、この方が非常に養鶏だけでも――当時おととしでしたから、その前の年のまたたくさんニューカッスル病の流行したときだと思うのですが、約七百億の損失があるというのですね。たくさんえさを食わして、そして薬もやったりして、そうしてそれがまた死んだら埋めなければならぬとか、いろいろな手数をかけて約七百億の損失を来たしておるということを言われたことを記憶しております。この養鶏会社の社長が書かれた中にも、やはり非常に防疫について、輸入の問題について非難されているわけです。ちょっと読みますと、「日本は島国で、今日のように恐ろしい鶏病はありませんでした。したがって、防疫に対する知識もさほど必要でなく、行政面にも、研究面にも、きわめて手うすであるところへ、自由貿易という好まざる押し入りムコ的外国ビナによって、文字どおり強カンされほうだい、悪病をまん延させられて、その被害はすべて養鶏家の犠牲にしわよせされているのであります。断じて黙してはおれません。」と、こういう遺憾のことばを――この方はだいぶナショナリストでしたが、こういうことを言って非常に非難されております。アメリカあたりから鶏のひなあるいは鶏をもって来て、それがかなり病気を持っている。したがって、今後病気で倒れると、あとまたアメリカから薬が来て、その薬をどんどん飲ませる。こういうことを非常にこの方は憤慨しておりました。まあそういう点から、ただいま防疫の問題で先ほど来お話がありまして、国際防疫の問題でかなり政府等も輸出国は気を配って配慮しておるということですけれども、しかし、必ずしも出荷するものはいいもの、安全なものを出すとは限りませんし、もちろんまあ検疫港で潜伏期間があるいは三日とか四日とかであれば病気があらわましょうからそのときはわかるのだと思いますけれども、しかし、必ずしもそれですべてが満足いくほど検疫ができるわけじゃないと思うのです。特に二百六、七十万羽も入ってくれば、わずか六十一名ですか、動動検疫所のこういう方々がやっておりましても、とても一つずつ全部きちんと見るというようなことはできないのじゃないか。やはりそこでは抜き取りか何か、あるいは多少病気の傾向を持ったひなが倒れかかったりするというようなものははねのけるでしょうけれども、そういう点では必ずしも一つずつをきちんと検査ができるという状態ではないのじゃないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#174
○説明員(信藤謙蔵君) ただいま御指摘のように、たくさん鶏が輸入されましたと時を同じくいたしまして日本にかなり各種の伝染病が蔓延いたしましたことから、輸入されましたひよこによるこれが持ち込みだというような議論も昨年来たくさんございまして、私どももいろいろ鋭意検討したわけでございますが、一応輸入いたしますひなは、その母鶏が健康であるものからふ化されたひなしか輸入をいたしておりませんし、それにつきましては相手国の健康証明書を要求いたしております。また輸入いたしましたものは全部国内で動物検疫所あるいは大臣の指定場所に収容いたしまして、二週間検疫をやりまして出しておりますが、この検疫は、伝染性の疾病は一応一群の中に伝染疾病がありますというと、たとえ抽出検査をいたしましてもみな伝染をいたしておりますので、大体の悪性な病気はすべてそこでチェックができるということでございまして、必ずしも日本に流行いたしましたこの病気が輸入鶏に原因したというふうには私どもは考えておらないわけでございますけれども、確かにそういった可能性も否定はできませんので、昨年、畜滝局長通達を出しまして、種鶏場清浄化対策というものを全国一斉に実施をいたすことにいたしました。これはいままで種鶏場につきましては家畜保健衛生所の監督、指導が十分に行き届いていなかったわけでございますけれども、鶏の病気は種鶏場から出るひなが健康でなければ幾ら対策をやりましても何にもなりませんので、まず種鶏場につきまして完全にこれを清浄化するということを始めたわけでございますが、その中で特に輸入いたしましたひなにつきましては検疫終了後も六カ月間他の鶏類と隔離して、そしてそれにつきましては毎月一回家畜防疫員が必ず立ち入り検査をすると、こういう制度を設けたわけでございます。これによりまして、先ほど岐阜県のお話がございましたあの農場の先生にも御相談を申し上げまして、一応これで御満足をいただいているわけでございます。また輸入いたします先の、原産地の衛生検査がたいへん大事でございますので、昨年は私どもから職員を派遣いたしまして、アメリカから輸入いたしておりますのでアメリカの種鶏場の約半数ぐらいを徹底的に立ち入りまして、内地の種鶏場と同じように立ち入り検査をさせたわけでございます。そういったことを通じまして原産地の衛生管理、保健所に、動物検疫所におきますところの係留検査、さらに内地に入りましてからの隔離飼育と一カ月一回の立ち入り検査、こり二つを励行いたすことによりまして、御心配のないようにいたしたいと思っております。
#175
○河田賢治君 私らごときしろうとが言うことじゃなくて専門家が言っていることですからね、やはりこういう人の――専門家自身が間違えているかもしれませんけれども、しかし、十分その辺のところが理解できるような農林省はこういう業者に対しても説得なりあるいは足らぬところは改めるということが必要じゃないかと思うんです。
 そこでさらに進みますが、ことしも二月の十八日ですか広島その他の七県で約八万羽ニューカッスルにかかっている。そして、これは前年の同期よりも若干――前年の二月末までは五万七千ぐらいですか、ことしはそれよりもちょっとふえているというような状態。やはり防疫の、予防等々がまだかなり研究したりあるいはまた予防のやり方等々に問題があるんじゃないかと思いますが、そこで予防薬品あるいは防疫薬品なんかは一応これで、現在の状態で完備しておるとお考えですか。それからまた、いまのこういう予防薬等々ですね、新しく開発するために研究がなされておれば、そういうものに対して何らかの補助でもやってこの研究の成果を早く実らせる、そういう措置はやっておられますか、この点をお聞きしたいと思います。
#176
○説明員(信藤謙蔵君) ニューカッスル病がことしに入りまして広島で流行をいたしておりまして、さっそく私ども近くの保健衛生所を指導いたしまして十分な調査と指導をやらしたわけでござますが、あの地区は新しいブロイラーの地区でございまして、やはりニューカッスル病に対する知識がまだ十分でないという点で、まあワクチンの接種を十分にやっていないというようなことがございましたので、さっそく県に指令を発しまして蔓延防止の策をとらしたわけでございます。現在の日本で使っておりますワクチンは、まず生ワクチンといたしましてはヒッチナーのB1というストレインでございまして、これは非常に弱毒と安全性の高いワクチンでございまして、飲水投与もできます。水に溶かしてもやれます。またスプレーで噴霧もできます。そういったことから非常にまあ省力的でございまして、一般に普及する場合に非常に便利であるということから、この安全であるヒッチナーのB1だけを一応日本では生ワクチンとして使っておりますけれども、これは鶏の卵で培養してつくるワクチンでございまして、もしも卵の中のこのウイルスによって伝播が起こるといけませんので、現在はTCNDといたしまして豚のじん臓細胞で培養するワクチンを生ワクチンとして利用しておるわけでございます。さらにこれにつきましてこのほかにいわゆる不活化ワクチン――死毒でつくりましたワクチンを使っておりまして、大体生ワクチンが五億ドース、それから不活化が三億五千万ドースくらい年間いま使っておるわけでございます。採種率は大体鶏の羽数で割りますというと七〇%くらいになっておるかと思います。これを私どもは八五%くらいまでもっていきたいわけでございますけれども、やはり十分にまだお使いにならない方がございます。このワクチンにつきましては全部製造のごとにそのワクチンにつきまして農林省動物医薬品検査所におきまして国家検定をロットずつ毎ロットやりまして、合格したものについてはびんに証紙を張ります。それしか現在流動さしておりません。このワクチンは、一応鶏に接種をして、それでそれをウイルスで攻撃をいたしまして、十分にきくものしか認めておりませんので、ワクチンの効力といたしましては私は十分であろうというふうに考えておりますけれども、残念ながらまだ養鶏家の中にワクチンに対する関心の十分でない方、あるいはやり方がまだ未熟な方がおられます。そういったことから事故が発生しておりますので、さらにワクチンのやり方につきましての普及を徹底いたしましてこういった感染の起こらないように、早く絶滅に持っていけるようにいたしたいと考えておるわけでございます。なおワクチンの開発につきましては農林省家畜衛生試験場が国立の機関といたしまして開発に努力をいたしておりますが、民間の機関に補助金を出しておるということはございません。
#177
○河田賢治君 この主として豚コレラとかあるいはニューカッスルにしましても、いま発生するところは比較的どういう規模の農家から発生しておりますか。大体の傾向ですね。
#178
○説明員(信藤謙蔵君) 午前中からもお話がございましたように、幸いにいたしまして豚コレラは現在ほとんど発生がなくなっております。で、これはやはりいままで発生いたしました傾向は、市場を通じまして導入いたしました豚が市場等を通過の際に感染をしておるというようなものが入りまして、比較的何軒かのうちに一度に感染が起こるという例がございました。これは規模にはあまり関係ないのでございますが、最近のニューカッスルの発生はほとんどブロイラーを一戸で三千羽くらい飼っておられるようなブロイラーの経営者の中に発生が多いようでございます。ブロイラーは比較的ひなが入りましてから出荷までの日が短いものでございます。ついその付近に発生がございませんというとワクチンをやることを省略されておるわけでございますけれども、いろいろブロイラーの社会にはブロイラーを運んだりする輸送車あるいはえさ等によりますところの汚染等がございますので、必ずワクチンをやりませんというと発生が起こるということになっております。
#179
○河田賢治君 最近大商社なんかの非常に大きな企業で十万羽とかあるいは三十万羽とか、あるいはまた牛などもあるいは豚等でも相当多数飼っておりますが、こういうところは、一定水準以上のところは大体獣医師あるいは防疫員とか、そういう一応の専門家をちゃんと備えておるわけですか。
#180
○説明員(信藤謙蔵君) 最近の大規模のところではやはり経営を維持する上に衛生が一番大事であるということを確信を持っておられますので、ほとんど専任の獣医師を持っておられますし、またえさ屋等のインテグレーション等におきましては、そのえさ屋あるいは薬屋等の獣医師がサービスに回っておりまして、そういった大規模ではほとんど発生がございません。先ほど岐阜の御紹介がございましたけれども、あの種鶏場等は周囲にほとんど発生がございましたけれども、全く発生なしに終わったところでございます。
#181
○河田賢治君 第四十八条の二ですね。つまり、異常な場合には他の都道府県から「家畜防疫員の派遣を要請することができる。」、これはまあ確かに必要なんですが、しかし問題は、その要請するような都道府県が自分のところで十分設備や防疫体制、あるいは人員等をあまり熱心に確保せぬ、そういうところで起こって、よそからひとつ応援に来てくれと。ちょうど火事があって、あまり消防のほらの火もとのことは注意せんで、火事が起こったらよそからポンプ来てくれというような、まあこういうようなことになるわけですね、現実には。
 ところが、私も詳しく分析したわけじゃないですけれども、四十一年から四十三年までの統計年報ですね、発生した各府県別の鶏のニューカッスルや、それからひな白痢、そういうのや、あるいは豚の丹毒等々摘出しまして、各府県の医師等、防疫員も一緒に含めておりますが、こういうものの人数を見ますと、やはりちょっと相関関係もあるような――必ずしもきちんとした相関関係にありませんけれども、たとえば神奈川県あたりは百三十六人の防疫員がいるわけですね。ところが、茨城とか千葉あたりはもっと多い。これの倍くらいですね。二百八、九十人も置いているというようなところがあるわけですね。そういうところは、まあものによっては多少発生件数も多い、また伝染病にかかった頭数なりあるいは鶏の数なんか若干多い、少ないもありますけれども、しかしこういう多発している県ですね、そういうところは非常に人数も少ない。九州の大分と、それからお隣の熊本とを比較しましても、大分あたりは比較的発生源が多いわけですね。そうしますと、こういう県が、あまり自分のところでの十分な行政指導も、まあ見ればやってなくて発生件数が多いと。そういうときに今度はほかから、蔓延したからひとつ援助してほしいということであってはならない。第一義的にはやはりそれぞれの県が十分防疫体制まあ設備もありましょう、それから人員もありましょうし、また農林省がそういういろいろな発生の自然条件や社会的な諸条件なんかでやはり補助の率が少なかったりあるいは統合がおくれたり、いろいろな設備ができない、こういうものもあるでしょうが、こういうものはある程度それぞれの地方自治体が主体になっておりますから、こういう点はよほど農林省で分析していただく必要があるのじゃないかと、こういうように思うわけです。
#182
○政府委員(増田久君) 先生御指摘のとおり、県によって防疫員の数に相当でこぼこのあるのは事実でございます。しかし、これらはどういうことからそうなっているかと申しますと、大体その県における畜産の発展の度合いに応じてそのようになってきているわけでございます。たとえば大分県とかいう、いろいろありますけれども、千葉県などは最も酪農、畜産の昔から発達した地帯であったわけで、そういうことであるわけであります。しかしながら、それももう先生御存じのとおりでございますが、おれのところは整備しないで、人のふんどしで相撲をとろうなんという感覚の県は、私は率直に言ってないと思います。どの県も自分のところで一つの防衛体制だけはつくろうという努力というものは私はたいへんなものだと思います。そういう点については、各県の努力というものは十分認めていいのではないかと思っております。しかし、実際の定員の増とか施設とかというものは、予算その他の問題の現実の問題とのかかわりがございますので、これが必ずしも十分にいっているとは思いませんけれども、そういう点につきましては、農林省も強く指導いたしまして、その体制の整備については今後とも格段の指導を強めたいと、かように考えております。
#183
○河田賢治君 自衛の防疫組織というのは、これは一定の数があるところでやっているわけですか。二十万とか、以上とかいうことをちょっと聞いているのですが。
#184
○政府委員(増田久君) われわれの指導基準といたしまして、その一定の規模というものをわれわれとして期待しているわけでございます。と申しますのは、それぞれの、あまり少数でやるということにつきましては、獣医師の問題だとかあるいは防疫体制という問題につきましては、必ずしも十分なことは考えられませんので、豚につきましては八千頭、それから鶏につきましては二十万羽ということを一応の基準にいたしましてその設置を要請しているわけでございます。
#185
○河田賢治君 これでもう質問はやめますが、なるほど数から言いますとなんですけれども、農家自身にとればやはりそういう同業者が集まって、小さな一つの村にしましても、畜産をやっているもの、しかも鶏なら鶏あるいは牛なら牛というようなものが集まって、連合会やいろいろなものをつくっておりましてね、そういうところではやはりこれは自分の生産に関係することだし、経営にも大きな影響を与えますので、できるだけ何らかのそういう方向に、いろいろな、小さくてもやっていきたいという希望があると思うのですね。あまり数で……それはいろいろな役所のほらといたしましては、ちっぽけなものを一々全部網羅するということはできぬでしょうけれども、しかしこれは地方自治体がそれぞれのやはり一定の町なり村、自治体を中心にしながらある程度のそういういわば防疫を特に中心にして、そうして家畜の健康それからまた家畜が成育することをやっぱり援助するということは必要じゃないかと思うのですね。ここで二十万とかやれ八千頭とかいうふうなあまりこまかいところで切るようなことになるのはちょっとなにじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#186
○説明員(信藤謙蔵君) 確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、この自衛防疫組織というものは、やはり最終的には生産組織に密着をしたもので、いつまでも存続をして、その生産組織とともに栄えていくものでなければならぬと考えております。ただその中心人物としては必ず優秀な獣医師を持ってほしいというのが農林省の考え方でございまして、先ほどから、農村から獣医師がだんだん出ていくという状態でございますので、獣医師がその組織の中に定着をして十分な報酬を得てやっていくという点にかんがみましても、やはりある程度の規模がありませんというと、そういったことがむずかしいということで、小さい組織はなるべく連合体をつくって、その中にまた獣医師を雇うということを指導いたしておるわけでございます。
#187
○河田賢治君 これで終わります。さっき獣医師の問題、本庁の課長並みに取り扱うと、これは名誉なことでもあるし、若干給料も上がるでしょうが、しかしやはり人のいやがるような、まあどっちかというと農家自身でもこのごろ家畜を飼うことをいやがって、なかなかお嫁さんの来手がないというようなところも出てきている。毎日毎日えさをやらなくちゃならぬ、手入れもしなくちゃならぬ。ちょっとレジャーでちょいちょい一家そろって遊びに行くこともできない。しかしそういう困難があればあるほどそういう人の待遇をよくしなければ――般的な待遇にしてしまうということになるとこれは人も集まらぬ。そこで二千円ということがさつきお話になりましたのですけれども、やっぱりこういう人のあまり好まぬような、しかも日本の国民の生活やあるいはまた国の食料供給の面からも最も必要な事業でもありますから、こういう問題に対しては遠慮なく農林省はこういう問題を予算折衝なんかのときはやっぱりじゃんじゃんと言わないと、これは大蔵省あたりというものは非常に机の上でばかり仕事している人ですから、そういう苦労がわかりません。だからそういう点は遠慮なしにやはり予算を確保し、そうしてやっていただきたいと、こう思います。これは政治的な問題ですからなんですけれども、一応このことだけを要望して私の質問を終わります。
#188
○委員長(河口陽一君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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