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1970/05/06 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第12号
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1970/05/06 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第065回国会 農林水産委員会 第12号
昭和四十六年五月六日(木曜日)
   午前十一時三十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月四日
    辞任         補欠選任
     山下 春江君     櫻井 志郎君
     青田源太郎君     西田 信一君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     西田 信一君     山下 春江君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河口 陽一君
    理 事
                亀井 善彰君
                園田 清充君
                杉原 一雄君
                村田 秀三君
                沢田  実君
    委 員
               久次米健太郎君
                小枝 一雄君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                高橋  衛君
                堀本 宜実君
                森 八三一君
                山下 春江君
                北村  暢君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       食糧庁長官    亀長 友義君
       林野庁長官    松本 守雄君
       水産庁長官    大和田啓気君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員
       林野庁指導部計
       画課長      猪野  曠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十六年産生産者米価引き上げ等に関する
 件
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○海洋水産資源開発促進法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○国有林野の活用に関する法律案(第六十三回国
 会内閣提出、第六十五回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 昭和四十六年産生産者米価引き上げ等に関する決議をすることの動議を議題といたします。
 本動議に関連して、倉石農林大臣から発言を求められておりますのでこれを許します。倉石農林大臣。
#3
○国務大臣(倉石忠雄君) 昭和四十六年産の生産者米価につきましては、過般米価審議会を開催いたしまして諮問を行なったのでありますが、中途で生産者団体の委員が退場され、最終的には答申をいただくに至らなかったことはまことに残念なことでありました。しかしながら審議の過程におきまして各委員から各種の意見がそれぞれ述べられましたので、それらを配慮いたしつつ、最近における米をめぐる諸事情を考慮いたしまして、鋭意検討を進め、五月一日の閣議において決定いたしました。
 まず、昭和四十六年産の生産者米価は、ウルチ一−四等平均包装込みで百五十キログラムあたり二万一千三百五円で、前年の額に良質米奨励金及び米品質改良奨励金として交付いたしました二百三十八億円相当額を政府買い入れ価格に組み入れて定めることといたしました。また自主流通米にもそれに相当する奨励金を交付することといたしました。次に、等級間格差は据え置くとともに、暫定加算は既定方針に従い廃止することといたしました。その結果政府買い入れ価格は、前年の価格に対し、一−四等平均で六百二十四円割合で三%上がることになり、その増加金額は二百三十八億円、これに自主流通米に交付する良質米奨励金及び米品質改良奨励金の見込み額七十四億円を加えて三百十二億円となります。さらに昭和四十六年産米の生産調整を実施した農家に対し、生産調整協力費として百億円を交付することといたしました。
 米の大幅な供給過剰は恒常的となり、食糧管理制度の運営に深刻な影響を与えていることは否定できない事実でありまして、米の需給の均衡の回復をはかることを農政の緊急の課題と考え、本年度から五ヵ年間にわたって総合的かつ計画的に生産調整対策を推進することとしております。さらにこのような事情に対処して、農政の新たな展開をはかるべく総合農政の推進を期しているところでありまして、構造政策の展開を進めますとともに、生産、価格、流通等各般の施策を総合的に推進してまいる考えであります。
#4
○委員長(河口陽一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(河口陽一君) 速記を始めて。
#6
○村田秀三君 大臣にお伺いいたしますが、ただいま、去る四月の二十八日、本委員会におきましてなされました米をめぐる諸問題の緊急動議に対して、いま大臣からその一部報告がなされたわけでありますが、あの緊急動議には、米の問題、基本米価を引き上げるという問題が一つ。ところが、これはただいま報告を受けましたわれわれとしましては、不十分ではありますけれどもこの報告をいまお伺いした、こういうことにいたしたいと思いますけれども、動議の二項、三項、この二項は、本年は生産者米の買い入れ制限問題があるわけでございまして、この買い入れ制限は、政府が買い入れ予定数量を定めましたけれども、それにかかわりなく生産の状況を見ては考慮しなさい、こういう趣旨のようであります。
 三点目は、物統令から消費者米価を除外するということがすでに定められておったようでありますけれども、過般の米審の中では、消費者代表委員のほうから発言がありまして、食糧庁長官の答弁として、九月ごろに米価審議会を開催して、そうして十分な歯どめの対策について相談をしたいという意味の新聞報道を私どもは拝見をいたしておるのであります。しかし、この新聞報道と食糧庁長官の発言とは別に、いま消費者団体からは、消費者米価が物統令を除外された場合には必然的に値上がりするであろうということで、物統令廃止反対という声がだいぶ起きておるわけでございまして、動議の第三点目としては、物統令から除外することについてこれは反対である、こういう趣旨の動議がなされておるわけであります。でありますから、この際動議に関連しての御発言でもございますその二項、三項をどのようにお考えになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(倉石忠雄君) しばしば他の委員会でも申し上げておったわけでありますが、本年の産米につきましては、政府の買い入れ数量それから自主流通米、それから二百二十万トンの生産調整が行なわれますならば、それで需給はちょうどバランスされる、こういう考えに立って生産調整をお願いいたしておるわけであります。したがって、生産調整が計画どおり完遂されますならば米は余ることにはならない、こういう考え方に立っておるわけであります。しかしながら、自然を相手にすることでもございますし、人間のする仕事でもございますので、どういう事情で余らないとも限らない。そういうときにはどうするかということでございますが、私どもといたしましては、生産調整というものを御存じのようにこれはぜひやっていただかなければならないのでありますから、そういうことを念頭に置きつつ、もしそういう余った場合には生産者団体とも協議をいたしまして措置をいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
 当初生産調整等について御相談を申しますときにも生産者団体とはそういう点で十分にお話し合いをいたしておった次第であります。
 それから物統令のことでございますが、物統令につきましてはいろいろな御意見があることはよく承知いたしております。しかし御存じのように、きわめて多量な保有米を政府は持っておるわけでありますので、物統令というものを適用除外いたしましても消費者米価について上がらないという考え方に立っておるわけでありますが、ただいま御指摘のように、米価審議会等においてもいろいろな角度からの御意見がございまして、私どもといたしましては、そういう方々の御意見も十分に参考にいたして考えて対処していくべきであると存じますので、そういう方面のことを、消費者米価のことなどについても、必要があればそれぞれの方々と御相談をする機会を持つことがいいのではないか、こういうことを考えておる次第であります。
#8
○村田秀三君 この買い入れ制限の問題でありますが、ただいまの大臣の考え方のポイントといいますか、まあ技術的なもの、あるいは自然的な要件、そういうことで計画数量よりも上回るということもこれは想像されることは当然ですが、その面では生産者団体と協議して措置をする、こういうことでありますが、この生産者団体と協議して措置するというその措置の中には、とにかくいまの制度的な中におきましては、農家の人がかってに処分をするということはできないわけでありますから、少なくとも政府が責任を持って措置する、当然五百八十万トンよりもオーバーすることがあります。政府管理米の買い入れ予定数量五百八十万トンを上回るということも含めて責任を持って措置するという内容の措置であろうかどうか、その点が一つ。
 それから物統令の消費者米価問題でありますけれども、これは米審とも相談をしてきめるということを言われました。しかし、いままでの政府の態度といたしましては、あなたが確定的な言い方をしておったわけでありますから、それから見ますならば米審の意向によっては、従来の考え方あるいはきめられましたその措置を変更することもあり得る、こういうふうに理解してもよろしいでしょうか。むしろあまり詰めて答えが固くなっても困ると思うわけでありますが、私としてはいま大臣が答弁をされましたそのことを柔軟をもって理解をしたい、こう思っておるわけでありますが、いかがですか。
#9
○国務大臣(倉石忠雄君) 柔軟な態度で私どもももちろんおるわけでありまして、いまの予約限度数量というのは予約限度数量でありますから、先ほど来申し上げておりますように、どうせでき秋のことでありますので、全くコンクリートのように固まったことを申し上げることは不可能、これは当然のことであります。しかも農林省と生産者及びその団体のことでありますので、いろんなことをふだん御相談しておることでありますし、私どもといたしましても絶対に上がらないと言ってみたところで、神様でなければそんなことはできないのでありますから、そういうときには十分に団体とひとつ御相談をいたしましょう、そういうことになっておるわけであります。
 それから、この物統令のことでございますが、これはまあ適用除外をいたす方針は変えておりませんけれども、そのことにつきまして、いろいろ御意見もございますので、そういう方々の御意見を十分に承って、そして御心配のないような措置をしていくことが政府としては必要なことではないか、こういうことを考えておるわけであります。
#10
○委員長(河口陽一君) なお、この動議の取り扱いにつきましては、理事会に御一任願います。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(河口陽一君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、漁港法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法案を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○沢田実君 水産三法について質問するわけでありますが、先日の委員会に、所用があって席をはずしておった時間がございますので、あるいは前回の質問と重複する点があるかもしれませんが、その点を御了承いただきたいと思います。
 まず最初に、海洋水産資源開発促進法案についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その第一条の目的には、「沿岸海域における水産動植物の増殖及び養殖を計画的に推進する」ということが掲げられておりますが、それに関してまずお尋ねをいたしたいことは、私ども小さいころは、日本の沿岸ではイワシとかあるいはニシンとかサケ等が大量にとれまして、海のさちに恵まれた国であったように思うわけでありますが、特にまた春ニシンなどは大群をなして、また大量に漁獲されておりまして、相当多量の肥料なんかもそのニシン等でつくっておったように私ども記憶をいたしております。西暦一四〇〇年代の中ごろから五百年有余にわたってとり続けられてまいりました北海道のニシンも、昭和三十五年の春を境にいたしまして姿を消したように聞いております。ニシン、イワシ、サケ等は、いまでは大衆の口に入らないような非常に高いものになってしまっております。特にカズノコに至っては、われわれ庶民の口には入らない高いものになってしまっておりますが、このように日本の沿岸で大量にとれましたこういう魚が、最近全然とれなくなった原因は一体どこにあるのか、またどのような調査研究をなさっていらっしゃるのか、その点についてまず承りたいと思います。
#13
○政府委員(大和田啓気君) いま御指摘のように、確かに八百六十万トン程度ここ二、三年水産物がとれておりまして、それは戦前の最高水準が昭和十四年の四百三十三万トンでございますから、その倍とれておるわけですが、ニシン、イワシ、サンマ、サケ等は日本の沿岸、あるいは沖合いで非常に少なくなったわけでございます。これは全体の水産の生産額ばかりではございません。沿岸、沖合い漁業の漁獲量といたしましても大体五、六百万トンということで、その漁獲水準を維持しておるわけでございますけれども、魚の種類別を見ますと、非常な変化がございまして、サバでありますとかイカでありますとかが非常にたくさんとれるようになったわけでございます。
 そこで、それは一体なぜそういうふうになったのかということは、海洋学者、あるいは資源学者にとっても非常に大きな問題でございまして、私ども水産研究所を中心といたしまして、絶えず研究者にその研究を願っておるところでございますが、大体の考え方といたしましては、やはり海洋の環境、特に水温の長期的変動が一番大きいのではないかということでございます。水温の長期的変動がございますと、ふ化後の稚魚の生き残りの条件が変わるわけでございます。それで、たとえばサンマがとれませんとサバが非常にたくさんとれる。サンマとサバというのは大体同じ種類のプランクトンを食べるわけでございまして、このニシン、イワシ、サンマ、サケ等の漁獲が減少いたしました一番大きな理由は環境の変化、特に水温の長期的変動、これによる資源の自然変動によるというのが大体の研究者たちの意見でございます。ただ、サケの問題につきましては、これは川にさかのぼって産卵するという特性がございまして、河川環境の変化ということが海洋の環境の変化に加えて非常に大きな理由になっておるというふうに思っております。
#14
○沢田実君 春ニシンの消滅原因が、いまのお話ですと、海洋の変化にあるようなお話でございますが、それは何か海流の変化なのか、特に北半球がどうこうしたのか、そういうような調査をなさったもう少し詳細な資料等の上でのお話でございましょうか。
#15
○政府委員(大和田啓気君) 海流の変化もございますけれども、一番大きいのは水温の長期的変動でございまして、北半球の日本の沿岸の水域におきます海洋の水温が長期的にだんだん上がってきたということが一番大きな理由でございます。
#16
○沢田実君 北大西洋の東部に当たるノルウェー海あるいは北海などに住む大西洋のニシンというのは一千年以上の歴史を持っていながらいまなお健在だと、まして北半球でしたらそちらのほうの水温の変化もあってよさそうなものですが、長官、その辺はどういうものなんですか。
#17
○政府委員(大和田啓気君) 実は、大西洋の北東部におけるニシンの資源がここ二、三年急激に悪くなっておるわけでございます。それで、その理由につきましては、ソ連それからスウェーデン、オランダ等々、あるいは西独の学者等で非常に論争がございまして、やはりとり過ぎるのが原因だという説と、いや、自然的な条件によって漁獲量が非常に減ったという意見と、なかなかまだ結論が出ておらないわけでございますが、大西洋におきましてもニシンの漁獲量はここ二、三年非常に激減をいたしておるわけでございます。そしてそれはまた海洋の環境の変化が大きな理由ではないかというふうにも推察されるわけでございます。
#18
○沢田実君 春ニシンが日本の近海に大量に押し寄せてまいりましたのは産卵のために来たのじゃないかと思うのですが、いわゆる北海道の河川の流水の変化等々が大きな原因になっておるのじゃないかという説もあるのですが、そういう点についてはどんなふうにお考えですか。
#19
○政府委員(大和田啓気君) 北海道の河川も水が多少きたなくなっておることも事実でございますけれども、それよりも、むしろ水温の変化が決定的な条件であるようでございます。
#20
○沢田実君 そうすると、北海道の近海の水温というのはどの程度変化しておるのですか。
#21
○政府委員(大和田啓気君) 詳細な水温の資料はただいま持っておりませんので、あとで差し上げたいと思います。
#22
○沢田実君 この前、ノルウェーに参りましたときにいろいろお聞きをしたのですが、ノルウェーではカズノコをつくることを知らぬで卵が入ったまま輸出をしてしまうというようなことで、水産庁でも、たぶんその会議に参加しておるのじゃないかと思いますが、あの辺のニシンを日本が輸入するというようなことは運賃等の関係で合わないのか、あるいはそういうことを検討していらっしゃるのか、その点についてはいかがでしょうか。
#23
○政府委員(大和田啓気君) 私どもニシン、特に産卵ニシンの漁獲量が減少いたしまして、カズノコがなかなか国民的な食品にはなりがたいというように価格が高くなってまいりましたので、物価対策という面からもできるだけ各国から多く輸入しようと思って努力をいたしておるわけでございます。で、昨年、一昨年もソ連及びアラスカ、カナダから八千トン前後の産卵ニシンの輸入と五百トン前後のカズノコの輸入をいたしておるわけでございますが、オランダあるいはスウェーデン等の大西洋系のニシンの卵は、どうもその成熟度の度合いが、たとえばオホーツク海のニシンなりあるいはアラスカのニシンと違ってかわかしてカズノコになりにくいというのが通説であるようでございます。これは私どもばかりでなしに、実は商社の専門家たちも非常に努力をいたしまして、何とかそういうところから産卵ニシンを輸入して日本のカズノコの需給関係の改善に資したいということで相当努力もいたしておりますし、私どもも今年度の産卵ニシンの漁獲が全面的に行なわれにくくなったこと、それからソ連からも産卵ニシンの輸入がほとんど望まれないこと等によりまして、実は専門家、インポーターの人たちを集めて大西洋の産卵ニシンの輸入ということの相談をいたしたわけでございますが、どうも成熟度が未熟であって普通のカズノコになりがたいということで、これはなかなか手がつけられない状態でございます。
#24
○沢田実君 サケが産卵のためにのぼってきました。先ほど長官からお話がありましたように、河川が非常に汚濁をしたために産卵にのぼれなくなったのですか、それに対する対策等はどんなふうにお考えでしょうか。
#25
○政府委員(大和田啓気君) まあ私ども、河川の改修ということも当然でございますが、北海道それから東北等で国の直営あるいは補助金でサケ・マスの人工ふ化の事業を進めておりまして、現在その数量が、年によって多少の変動がございますが、四、五億尾の程度の人工ふ化放流をいたしておるわけでございます。この事業は今後におきましてもますます大きくして進めたいというふうに考えております。
#26
○沢田実君 サケの稚魚を放流しまして、海へ放流するのだと思いますが、産卵のために川をさかのぼってこないとどっか行ってしまうのじゃないかと思うのですが、その点のことはよろしいのですか。
#27
○政府委員(大和田啓気君) 一体その数億尾の人工ふ化を放流をいたします場合に、歩どまりがどのくらいかということが、これが大問題でございまして、日本の専門家あるいはソ連の専門家等も時に集まって議論をいたしておるわけでございますが、日本の場合は大体歩どまり一・五%前後ということで、各国、といいましてもアメリカ、ソ連、日本等々が人工ふ化の放流をやっておりますけれども、各国のデータに比べて決して劣っていないという区域であるわけでございます。
#28
○沢田実君 そうしますと、目的に掲げました増養殖についてはどういう種類の魚を増養殖しようというふうにお考えですか。
#29
○政府委員(大和田啓気君) 増殖と養殖とで多少の相違がございますけれども、現在、こまかいことを申し上げて恐縮でございますが、増殖を推進いたしたいと考えておりますものといたしまして、貝類ではアワビ、ホタテガイ、ホッキガイ、アカガイ、それから魚類といたしましてマダイ、カサゴ、メバル、アイナメ、ヒラメ、その他クルマエビ、ガザミ、ウニ等がございます。それから養殖を推進するものといたしまして、貝類としてはカキ、ホタテガイ等、それから魚類といたしましては、エビ類、カニ類、それからブリ、タイ、ヒラメ、カレイ、フグ、タコ、イセエビ、ガザミなど、昨年度から水産研究所を中心にいたしまして相当大がかりにマグロ、サケ、マス、タラバガニ等の養殖の企業化の実験をいたしておりますので、そういうものがだんだんにつけ加わってくるわけでございます。海藻といたしましては、ワカメとかコンブとかノリとかがあるのは言うまでもないことでございます。
#30
○沢田実君 このいただきました資料によりますと、先ほど長官もおっしゃいましたが、過去十年間の生産の動向を見てみますと、生産の総量は上がっておりますが、ほとんどが遠洋漁業によるものが上がっている。この中に百七十万トンと出ておりますが、二百万トン余十年間でふえているほとんどは遠洋もの。しかもここでお尋ねしたいのは、遠洋漁業でふえているのは一体何かということです。それから実際に国民が消費したい多獲性魚というようなものはあまりとれないから、六ページにあるような価格が非常に上がっているのではないかと、こう思うわけですが、増養殖をするのはこういうのをやらないと、実際問題われわれの日常生活のいわゆる魚が安くなるということにならないのじゃないかと、こう思うのですが、その辺の関係はどうなんでしょうか。この六ページの表で見ますと、全体としては四年間で約五〇%値上がりをしておりますけれども、多獲性魚だけは一八七・九という非常に大きな値上がりを示しております。その辺の魚が不足しているということが問題になるのではないかと思うのですが、いわゆる遠洋漁業で百七十万トンふえた、そのふえたのはどういう種類の魚がふえているのか、このわれわれの食ぜんに最も必要とするようなものの値段が上がっている、それに対してはどのように増養殖の計画をなさるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
#31
○政府委員(大和田啓気君) 御指摘のように八百六十万トン、四十三年、四十四年と水揚げ高があったわけでございますが、その中で大体スケトウダラが二百万トン、サバが百万トンでございまして、スケトウダラとサバとを除きますと、五百万トンを少しこす程度のものはここ数年間ほとんど変化がございません。むしろ多少減りぎみであるわけでございます。したがいまして、八百六十万トンも魚がとれながら魚の値段が高いのは一体なぜかという理由は、御指摘のように確かに一般に国民が望むところの魚、たとえばマグロ類はむしろ、資源の関係もございますし、各国が非常に一生懸命とり出したということもございまして、日本のとれる量というのが少しずつ減りかげんでございますので、そういう国民が必要としながら実際としては漁獲高が横ばいあるいは減少ぎみのものに中心を置いて増養殖をすべきだというふうに私どもも考えておるわけでございます。
#32
○沢田実君 そうしますと、スケトウダラというのはあるいは練りものとかあるいは飼料とかそういう方向に使われるのが非常に多いのじゃないかと思うわけですが、そうしますと海の状況の変化によって魚のとれる種類も変わってきたのだと、だから国民は自分の好みよりもとれるものに合わして食べるよりしようがないのだということなのか、あるいは国民の希望するものをこの法律によって増養殖できるというお考えなのか、その辺のお考えはどうですか。
#33
○政府委員(大和田啓気君) 遠洋で新しい漁場を発見して漁獲高をふやすよりも、沿岸で増養殖をするということがはるかにむずかしいことでございますし、また漁獲高の増加という面もそう著しいものがないということは御承知のとおりでございますが、私ども魚がとれないから、とれる魚でがまんしてくれというふうには申し上げないので、むしろ国民の必要とする魚類を遠洋でもとるようにし、沿岸でも増養殖を進めることによってできるだけの供給の確保をはかりたい、それが私どもの念願でございます。ただ、いま御指摘の中にございましたが、スケトウダラも当然一部魚かすになっておりますが、カマボコ、ハンペン、チクワ等の練り製品の原料として非常に活用されておりまして、現在それらの練り製品の供給高というのは百万トンはすでにこえる非常に大きな商品になっておるわけで、私はスケトウダラもそれなりの役割りを十分果たしておるというふうに考えておるわけであります。
#34
○沢田実君 大臣が開発基本方針というものをおつくりになるわけですが、その基本方針の内容はどのようなものをおつくりになる方針ですか。
#35
○政府委員(大和田啓気君) 法案の第三条に、「基本方針を定めなければならない。」というふうにあるわけでございますが、この基本方針は第三条の3項にもございますように、「水産物の需要及び生産の動向に即する」、それから「漁業に関する技術の進歩等の状況を考慮して定める」ということで、私ども四十四年の十月に初めて水産物についてのいわば長期的な単純見通しを生産及び需要について出したわけでございますが、農産物とも違いまして、水産物の需要及び生産の動向を五年先あるいは十年先を見届けて描くということは、これなかなかむずかしいことでございますが、しかし最近における漁業でも相当資本の投資もいたしておりますし、また国としても漁場改良について相当な社会投資もいたしておりますので、やはり長期的な流れにしたがって水産物の生産をはかるということが基本でございますので、そういう五年先あるいは十年先の水産物の需要及び生産の動向をまず策定をいたしまして、それに基づいてどういう魚について増養殖をするかということをきめ、そうしてそれらの増養殖をする場合の必要な自然的条件に関する基準をきめ、また増養殖を進めるといいましても、増養殖の施設ばかりではございません、大型漁礁あるいは浅海漁場開発等々の国の投資も必要でございますので、それらのものを沿岸について策定をする、また海洋におきます新漁場の開発ということで、どういう漁場についてどういうやり方で漁業生産の企業化をはかるか、これによってどの程度の生産増の目標が掲げられるかということについても、この開発基本方針の中で策定をいたすつもりでございます。
#36
○沢田実君 需給の問題でございますが、いま需給状況については米みたいなわけにはいかないようなお話がございましたが、三ページに出ております需給表はこれだけ要するに魚がとれたという、そのとれたものを食用なりあるいは飼料なりにこういうふうに消費したということは出ているわけですが、もう少し増養殖がふえあるいは大量にとれれば需要がもっとふえるのだろうということは、容易にわれわれしろうとでも考えられるわけですが、いわゆる需要量というものをどの辺に設定してそして基本方針をおきめになるのか、現在の何割増しくらいとお考えなのか、あるいは年次計画についてはどんなふうにお考えなのか、あるいはこの法律ができてからそういうことはお考えになるのか、その辺いかがですか。
#37
○政府委員(大和田啓気君) 基本方針のもとになります水産物の生産及び需要の見通しにつきましては当然法案の成立を見ましてから鋭意検討を始めるわけでございますが、実は先ほど申し上げましたが、四十四年の十月にいまの政策をあまり変えないで自然に生産及び需要が伸びていくとすればどういう姿になるだろうかということを水産物について検討いたしたことがございます。それのおおよそのことを申し上げますと、四十四年の実績で申し上げますと、水産物の水揚げ高が合計八百六十一万三千トンでございまして、輸入量が八十二万五千トン、これは魚かすはもとの原魚に戻しておりましての計算でございますが、両者合わせますと供給量といたしまして九百四十三万八千トンということでございます。そうして、これらの中で食用といたしまして六百六十万トン、それから非食用といたしまして二百三十一万六千トンでございます。魚介類を分けましてそういう形になるわけでございますが、これを五十二年の試算の結果を申し上げますと、これは生産及び需要を現在の時点をもとにしていままでの傾向を伸ばすということでございますが、国内生産量は魚介類で八百八十六万五千トン、海藻類で五十八万トンで、合計九百四十四万五千トンということでございます。そういたしまして需要量は千二百三十三万九千トンでございますので、輸入が非常にふえない限りは先ほど申し上げました生産量と需要量とを差っ引きますと二百九十万トン程度の穴があくということでございます。ただこれは価格の問題もございましょうし、それからたとえば石油たん白をえさとして使うという問題もございますし、非常に動く要素がたくさんあるわけでございますから、二百九十万トン、ほんとうにそのときになって不足するということでは、ございませんけれども、現在の時点に立って将来を単純に見通すと以上のようになるということでございます。したがいまして、私どもこれは現在までの政策を変化しないものとしての試算でございますから、海洋水産資源開発促進法の成立を見ました暁におきましては増養殖なりあるいは海外の新漁場の開発ということをさらに進めるわけでございますから、その点についての増産分もかなり見込まれるというふうに私ども考えております。ただ詳細は今後の検討課題でございます。
#38
○沢田実君 三十五年から四十四年までの間にふえましたのが約二百万トンでございますので、二百九十万トンの不足を増産するということはこれはたいへんなことだと思うわけですけれども、それを今度この法律によって、たとえば開発区域等をきめて大いに開発をしていこうということになると思うんですが、その開発区域をきめる場合にどういう点を基本にして開発区域というものを設定していくのか、その辺の基本的な判断の基準になるものはどういうふうなものですか。
#39
○政府委員(大和田啓気君) 開発区域を指定いたします基準につきましては法律の第五条にあるわけでございますが、まず農林大臣の策定いたします開発基本方針によりまして増養殖に関する自然的条件に関する基準というものがあるわけでございますが、その基準に適合する区域で、そうしてそこで漁業を営む者の経営の状況、その区域内の海域の利用状況等々から見まして増殖または養殖にとりまして非常に必要な区域ということを知事が定めるわけでございます。ただ、これは私どもといたしまして現在第二次の構造改善事業を進めておりまして、県におきましても相当調査が進んでおるわけでございますので、増養殖につきましては、ここはぜひ必要な海面であるということが県において相当程度わかっておるというふうに考えております。
#40
○沢田実君 たとえば全体を通じて二百九十万トン不足するだろうと思うんですが、それについての細部についてはこういう種類だろうということは、国全体としては掌握ができると思いますが、それを今度各県の知事が自分の県の海岸でできるようなものを増養殖していくということでございますけれども、水産の場合にはそういう心配がないかどうかということをお尋ねしたいわけですが、いままでの農業のやり方で考えてみますと、国全体ではこれこれのものがあるので需要が増大するだろうという方針のもとに各県等がいろいろな計画を立ててつくります。それが余りますと豊作貧乏になるということが非常に問題にいままでなってきたわけですが、水産の場合には知事が判断して自分の沿岸でできるものをどんどん増養殖して、そうして国全体として考えるものをオーバーしたりあるいは価格の暴落をみたりするような心配はないかどうか、その辺はいかがでしょうか。
#41
○政府委員(大和田啓気君) 私ども構造改善事業その他で県とはしばしば連絡、協議をいたしておりますし、今回の法律に基づきます沿岸水産資源開発区域を指定いたしますときにも知事から農林大臣に協議がございますから、よく打ち合わせをしていま御心配になるようなことのないようにいたしたいと思います。私は基調といたしましては水産物は供給不足でございますから供給過剰という問題はそれほど神経質に考える必要はないと思いますが、しかし漁種によりまして、あるいはワカメばかりあまりたくさんつくられても需給上問題が当然ございますし、ノリにつきましても昨年、ことしと五十五億枚という非常に大きな数量になっておりますので、物別にもきめ細かく県と十分打ち合わせをして供給過剰、暴落ということのないように私どももつとめていくつもりでございます。
#42
○沢田実君 その辺については十分御注意いただきたいわけですが、過法においての真珠等もものすごい増殖をしたために暴落して非常に被害を受けたことがあるわけでございますが、普通の魚の場合いますぐそういう心配はないと思いますが、その点が一番心配になる問題ではなかろうかと思います。
 それから開発区域という線引きをいたしますと、そういう線引きをしない区域と比べてどういうプラスの面があるんですか、この法律ができますと。
#43
○政府委員(大和田啓気君) プラスといいますか、この法律の問題といたしましては、開発区域を知事が指定いたしますと、そこでたとえば砂利を掘るという場合には知事に対して届け出が必要である。砂利の掘り方につきまして知事がいろいろ指導し、そうしてこの開発区域における開発計画の遂行に支障のあるような掘り方についてはそれについて勧告するということがこの法律上の開発区域と開発区域以外の違いであるわけでございます。増養殖を進める上に非常に大事な地域でございますから、そういう手続をもってそれを守るということでございます。
#44
○沢田実君 増養殖のために補助金を出すとかいろいろそういう財政的な助成ということはどの程度考えていらっしゃいますか。
#45
○政府委員(大和田啓気君) 私どもいま増養殖の問題といたしましては、構造改善事業で増養殖の施設の補助をやっておりますし、構造改善以外に十分御承知と思いますが、瀬戸内海の栽培センターあるいは今年度から日本海における栽培漁業の進め方について基本的な調査をすることになっておりますので、そういういろいろな手段を用いまして開発区域に関する増養殖につきましては、助成、補助あるいは金融措置等を講じて、遺憾のないようにいたしたいと思います。
#46
○沢田実君 開発区域の広さ、また開発区域の数等はどの程度予定されていらっしゃるか、四十六年にはどのくらい指定をするお考えであるか、あるいは年次計画等があればお尋ねしたいと思います。
#47
○政府委員(大和田啓気君) いま御指摘のような具体的な問題は、やはり法律が通りましてから県庁と十分打ち合わせをするつもりでございますが、私どものいままでの資料の検討、あるいは県当局との多少の相談等によりまして、大体全国におきまして二百ヵ所程度の開発区域がだんだんに設定されるのではないかと、そういうふうに考えております。詳細はこれからでございます。
#48
○沢田実君 そうしますと、四十六年度には何ヵ所というようなことの計画はまだないわけですね。そうすると、四十六年度予算にはそれは組まれていないと。
#49
○政府委員(大和田啓気君) 構造改善事業で二十四ヵ所の調査のうち、四十六年度から十二ヵ所について事業を実施いたしまして、その中には相当増養殖を熱心に進める計画もあるわけでございますから、この開発計画あるいは開発区域についての特別の柱を立てての予算はございませんけれども、実際の運用といたしましては、開発区域の指定あるいは開発計画の実施ということを私どもは四十六年度からやりたいというふうに考えております。
#50
○沢田実君 線引きをしたところが工場等の排水等で汚染される、汚濁されるということが一番問題だと思うのですが、そういう問題については、要するにこの前にきまった公害に関係する法律以外には、この法律ができたからといって別にそれ以上強力なものはできない、こういうふうに思うわけですが、それではせっかく線引きをして増養殖をしようといっても、どんどん海岸が汚染されていく現状というものが救済されないのじゃないかと思うのですが、その点についてはどういうような方法をお考えですか。
#51
○政府委員(大和田啓気君) 昨年の暮れに成立いたしました水質汚濁防止法その他の公害関係法律を私ども厳正に実施をいたすつもりでございますが、この法律の中におきましても、先ほど申し上げましたような砂利取りの行為に対して届け出をする。必要な勧告をする。また、法律の第十条におきましては、「都道府県知事は、開発計画の達成を図るため、開発区域及びその周辺の水域における水質その他の水の状態及び水底の底質の悪化の状況を監視するように努めるものとする。」というのが第十条にございます。水質汚濁防止法には水底の底質の悪化まで監視の対象になっておらないわけで、その部分だけこの法律の上でいわば上乗せをしておるわけでございます。私ども、いままで水産業と他産業との調整につきましては、先日も申し上げましたけれども、水産資源保護法以来ほぼ二十年、水産業と他産業との調整についての法律がなかったわけで、これが初めての法律でございますので、私ども、この届け出、勧告、それから水質の汚濁の監視という、この法律の規定の厳正な適用によって、開発区域の水の汚染を十分防ぎたいというふうに考えておるわけでございます。
#52
○沢田実君 具体的に申しますと、たとえば伊勢湾なら伊勢湾を考えてみても、四日市港の汚染が三重県の沿岸の汚濁になり、そしてそこにまた新しい製鉄工場ができ、漁場はだんだん圧縮され、あるいは現在相当とれているところの漁獲高がどんどん減るというような現状なわけです。それを昨年きまったあの法律だけで直ちにそういう汚染がストップするようには私は考えられません。同じように汚染が続いていく。線引きした区域はどんどん汚染されていく。こういう現況なわけですが、これ以上もう少し強力な、せっかく線引きをするわけですから、その点工場によって汚染されないような方法を考えるわけにいかないのか、その点はいかがですか。
#53
○政府委員(大和田啓気君) この法律の勧告あるいは届け出という点についてもう少し強力な手段がないかという御質問であろうと思いますが、先ほども申し上げましたように、海洋といいますか、海の利用につきましては、いろんな多面的な計画がございまして、一定の区画した海は水産だけが使って他の産業は一切口出しさせないという形で法律をつくることもなかなか問題があろうと思います。私どもいままでの水産の立場を申し上げますと、水産業と他産業との調整の規定がないわけでございますので、農民といいますか、漁民が反対をするとか、たとえば工場が出てくる場合に反対をする、しかし補償金をもらって海はよごれっぱなしになるというケースが非常に多かったわけでございますので、それよりもむしろ他産業との調整をはかりつつ、ある程度他産業に利用させることもあるわけでございますけれども、できるだけ海がよごれないように、そういう次善の策を講じて、そして水産業と他産業との調整をはかると、漁民もいきなり補償金をもらって、それでこと足れりということではなくて、できるだけ海をよごさないような、漁場を確保するということをやはり第一義の道と考えてもらいたいというふうに私ども常々最近申しておるわけでございますが、そういう立場からいたしまして、私は公害関係法律を厳正に実施するということと、それからいままでの全然水産業と他産業との調整ということが、いわば法律のワクの中に考えられなかったものを、こういう形で、いわば土俵に乗せて、この規定を適正に運用することによって、水産業界の立場は相当主張することができるというふうに考えておるわけでございます。
#54
○沢田実君 海面の埋め立てとか、干拓とかいう場合は、ここに必要な勧告等が出ておりますが、いま申し上げましたように、工場によっていわゆる海の水底の底質が悪化していくということについて監視するように都道府県がつとめるということがありますけれども、つとめておりましても、工場廃液によってどんどん海底が悪化していくわけです。そして漁獲高は減っていくわけです。しかもそこに線引きするわけですから、おそらくそういうふうになると思いますが、そうしますと、この法律ができても、そういうふうに幾らつとめても、そういう線引きした区域内がどんどん悪化していくということは現段階では防ぎようのない現状じゃないかと思うのですが、そういう場合について、補償金を求めるだけではなしに、漁業ができるようにというお話、まことにごもっともなことなんですけれども、それが確保できないのではないかということが心配されるのですが、それはどの辺で歯どめができますか。
#55
○政府委員(大和田啓気君) 工場の排出の規制は、水質汚濁防止法で相当厳重にやれるようになっておりますので、排水基準に従わない場合には、改善命令なりあるいは罰則の問題も当然出てくるわけでございますから、排水基準をこえて汚水を流すような工場に対しましては、私は厳重に水質汚濁防止法の運用をして押えるつもりでございます。
#56
○沢田実君 いままでもそういうようなものがございまして、あるいは港則法で告発をされたり、あるいは法律ができてからいろんな問題が起きても、裁判で無罪になってしまったり、実際海は汚染されている現状です。いまおっしゃっていることも、この間通った法律で、水質汚濁防止法で完全に防止ができるといいのですが、私はできないのではないか、魚が住むという条件が確保できないのではないかということなんですが、その点についてはもっと突っ込んだことをしなくてもよろしいのでしょうか。
#57
○政府委員(大和田啓気君) 水質汚濁防止法の以前の法律ではなかなかこれは全国一律に適用するということでもございませんし、水産の立場からいって相当不満が多かったわけでございますけれども、昨年の十二月に通りました水質汚濁防止法ではこれは私どものほうからもずいぶんいろいろな注文をして法文を書きかえてもらった経緯もございまして、これを厳重に施行することができれば、私はいままでのように汚水が海を汚して魚がだんだん住みづらくなるということはよほど救うことができる。私はやはり去年の十二月に通りました公害関係法規というのはこれを実施すれば相当の威力を発揮できるというふうに考えております。
#58
○沢田実君 次に開発センターのことですが、こういうものは人によって生きもし死にもするわけですけれども、またこういうものが天下だりの機関であってはならないと思うわけですけれども、理事長なり役員についての構想はお持ちなんでしょうか。
#59
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお尋ねの件につきましてはこれなかなかやはり見識のあるりっぱな人でないと成果があがらないわけでありますから、十分に人物を選びまして効果のあがるようなことにいたすために人選をいたしてまいりたいと、このように思っております。
 それから先ほどのお話の水質の汚濁のことでありますが、私は沢田さん御指摘の点、これは十分注意しておらなければならない点だと思いますが、農林大臣からそれぞれ関係の長に向かって法令に基づいていろいろ申し出ることができるようになっておりますけれども、いま日本の漁業全体から見ますと、ばく大な輸入金額にもなっておりますし、漁業全体から見てわれわれは非常に重要な地位に立っておるわけでありますので、そういうことを考慮いたしますと十分にひとつ御指摘のような点については農林省といたしましても対処する決意をしなければなりませんし、情勢の変化に応じてはいまのような趣旨をもってひとつ対処いたしてまいりたいと思っておるわけであります。
#60
○沢田実君 開発センターの収支の問題ですが、いろいろおやりになる仕事の内容を見ますと、金のかかる仕事ばかりのように思うわけですが、開発センターの収入というものはどんなものが予想されますか。
#61
○政府委員(大和田啓気君) 国の助成のやり方をまず申し上げますが、調査の事業費は三分の二補助でございます。したがいまして調査をしながらある程度まで漁獲もいたすわけでございますから、そう漁獲に熱心にならなくても事業費の三分の一程度の漁獲があれば、そこでぺイをするという、そういうシステムになっておるわけでございます。それから人件費につきましては大体定額補助といいますか、全額補助というふうに考えておりますし、事務費につきましても三分の二補助でございますが、この分につきましてもセンターの出資金は政府一億、民間一億、二億でございますからそう大きな額ではございませんが、運用の利子も若干見込まれますので、私は決してもうかる事業にするつもりは毛頭ございませんが、まずまずやっていけるのではないかというふうに考えます。
#62
○沢田実君 五十三条に適用除外をおつくりになった趣旨についてお尋ねをしたいと思います。
#63
○政府委員(大和田啓気君) これは原子力といいますか、放射性物質による水質汚濁等につきましては水質汚濁防止法その他あらゆる法律におきまして原子力基本法に基づく独自の法体系でやるというのがたてまえでございます。これはあまりにも専門的なことであるということで、各省もそういう方針でやっておるわけでございます。
#64
○沢田実君 そうすると原子力発電所等の公害については農林大臣としては勧告も何もできないということですか。
#65
○政府委員(大和田啓気君) この法律についてはそうでございますけれども、私ども絶えず原子力関係、たとえば東海村のものでございますとか、あるいは原子力の発電所等につきましては関係省庁と協議し、またいろいろ注文をつけておるわけでございます。
#66
○沢田実君 水産資源のほうはこのくらいにいたしまして、漁港法のほうを時間も過ぎましたがちょっとお尋ねしたいのですが、北海道について十分の十ということで決定されたについてはそれなりの理由もあり経過もあったと思うわけでございますが、それが現在、今日十分の九になさった理由ですね、その点についてお尋ねをしたいと思います。
#67
○政府委員(大和田啓気君) 北海道におきます公共事業費の国の負担または補助につきましては、従来北海道開発の重要性から他の都府県の取り扱いとは別の取り扱いをいたしておったわけでございます。しかし、これまでの開発の成果あるいは道財政の状況、それから都府県に対する補助率との均衡等々もございますし、それから事業運営の効率的促進をはかる趣旨もございますので、それらのことをあわせ考慮いたしました結果、漁港修築事業につきましても、北海道における公共事業全般にかかる国庫負担等の特例に関する調整措置の一環として、昭和四十六年度から国が全額を負担し、または補助する部分につきましてその割合を引き下げることといたして今回のような調整措置を講じたわけでございます。
#68
○沢田実君 そうしますと、十分の十ということを決定した当時の必要性というようなものは全然現在はなくなったんだということですか。
#69
○政府委員(大和田啓気君) まあ、私ども北海道における特殊事情、開発の量も所要資金量も相当大きい、あるいは北海道の経済事情等々を考えまして、北海道における特殊な措置ということは私は今日においても必要であろうと思います。ただその特例措置ということが十分の十、これは漁港関係で申し上げますれば都府県におきましては特定第三種漁港につきましては一部十分の六でございますが、他は十分の五でございますから、北海道十分の十、都府県十分の五ということの権衡からいきまして、私は今回十分の九ということはまずまずやむを得ない措置であろうという感じを持っておるわけでございます。
#70
○沢田実君 それは当然前から十分の六に対して十分の十というものをおきめになったので、その当時のそういう状況というものが解消されたから十分の九にするんだという意味じゃないんですか。
#71
○政府委員(大和田啓気君) その点に関する詳細な御説明はあるいは北海道開発庁なり自治省なりからあってしかるべきだと思いますけれども、私どもの立場から申し上げますと、十分の十を十分の九にいたしました結果、北海道に対する国の資金の配分額も非常にふえましたし、したがいまして当然事業費も相当ふえましてまず十分の九という相当高額の補助金でこの程度の事業の実施ができればまずまずいいのではないか、そういう感じを持っておるわけでございます。
#72
○沢田実君 他の公共事業とのバランスの問題ですが、港湾は一〇〇%で漁港だけが九〇%ということになるわけですけれども、その辺の理由はどういうわけでしょうか。
#73
○政府委員(大和田啓気君) 私どもの立場から申し上げますと、港湾と漁港というのは同じように扱ってもよかろうという感じもいたしますけれども、しかし港湾につきましては市町村が相当かぶらざるを得ない体制でございますが、漁港につきましては道が全部かぶるということで、市町村に迷惑をかけないという話になっておりますので、私どもは港湾は来年回し、漁港は四十六年度からということに同意をいたしたわけでございます。
#74
○沢田実君 北海道の特殊性として、何か普通の港湾にも漁船が入ったり、漁港にも普通の船が入っているようなことを聞いておりますが、その辺の状況は長官は御承知の上でのことですか。
#75
○政府委員(大和田啓気君) 確かに釧路のように相当漁港として使われておるところが港湾でございまして、漁港とはなっておりませんので、北海道におきましては一般の港湾が漁港としてかなり使われておるということは事実であろうと思います。
#76
○沢田実君 そうしますと、その分だけ結局北海道の道庁の財政負担がふえることになると思うんですが、そういう問題については、これは水産庁の範囲じゃないかもしれませんけれども、その対策等はどうなっておりますか。
#77
○政府委員(大和田啓気君) 今回の調整措置によりまして道の負担がふえますのは五億とちょっとこえる程度の額でございますが、交付税その他で自治省等におきまして手当てをするというふうに私ども承知いたしております。
#78
○沢田実君 これはまた話が別でございますが、農林大臣が新しく漁港というものを指定するについて、いろいろな手続があると思うんですが、その手続の概要をちょっと御説明願いたいと思うんです。
#79
○政府委員(大和田啓気君) 漁港を指定いたします場合に、漁港法にございます漁港審議会の議を経るわけでございますし、また新たに漁港を指定し、または区画を変更する場合に運輸省等と協議をするということになっております。
#80
○沢田実君 具体的に申し上げますと、千葉県の富津の港ですが、御承知のとおり埋め立てになりまして、それでノリの漁業者に対して漁業補償が行なわれました。それで、一部の人たちがやっぱり自分たちは漁業以外にないということで、自分たちが金を出し合って反対側に新しい漁港をつくろう、そしてまたノリの漁場をつくろうということで、現在港をつくっております。それに対して、いまのお話の漁港審議会では近々漁港に指定する予定になっているように承っておりますけれども、そこでは、運輸省のほうで話を聞きますと、何か近くにシーバースをつくる予定になっている。おそらく水産庁としては運輸省ともその辺については打ち合わせをおやりになったと思うんですが、あの近くにシーバースができますと、おそらくまたせっかくつくったノリの漁場がだめになってしまうんじゃないかということが心配されるんですが、ちょうどいま漁港の法案が問題になっておりますので、その点についてお尋ねをしたいと思いますが、どのような経過になっているでしょうか。
#81
○政府委員(大和田啓気君) 富津町の漁港区域は新たに指定いたします下洲地区地先でございますが、すでに漁港審議会に諮問をいたしまして、その賛同を得ているわけでございますが、漁港審議会で議論をいたしますときには、実はシーバースの話はまだ私ども聞いておらなかったわけでございます。それで、現在この漁港の指定につきまして運輸省と協議をいたしておるわけでございますが、運輸省におきましても、東京湾外でシーバースをつくるということで、四十六年度に相当額の調査費を計上いたしておりますけれども、富津の地先でシーバースをつくるかどうかということはまだ決定をしておらないということが正式の答弁でございます。港湾局等々から千葉県にそういう富津地先へシーバースをつくることについてどう考えるかというような相談はあったようでございますけれども、まだいろいろ模索の段階でございまして、まだ決定的には話は詰まっておらないようでございます。それが、シーバースがかりにできますと、これは新しく造成されるノリ漁場にとりましても相当大きな影響があるわけでございますから、私どもも、漁民の立場あるいは県からの話等々を頭に置いて、運輸省と十分話し合いを進めるつもりでございます。
#82
○沢田実君 長官、そうおっしゃいますけれども、運輸省では要するに東京湾の外に相当大規模なシーバースをつくりたい、それについては四十六年度に調査をしたいと言っておりますけれども、内々あの辺にやりたいという気持ちがありまして、千葉県知事にあそこはどうだということで意見を求めているわけです。千葉県としては反対だ、こういうふうに言っているわけですが、しかし三十万、五十万トンのタンカーを東京湾内に入れるということはいろいろな面で危険も伴いますので、これは国の全体的な立場に立てば、やっぱり東京湾の外にそういうものをつくるということはどうしても必要な段階だと思うわけです。そうなりますと、千葉県知事がいやだといっても、いままでの運輸省のやり方を考えてみますと、どうしてもそういうものをつくることになる。そうしますと、結局港をつくり、ノリの漁場をつくっても、また再び漁業補償をもらってやめるというほかないというおそれがあるわけです。そういうのが成田の事件になっていると思うのです。せっかく漁港審議会で港のことを審議するのですから、ノリの漁場をつくるということについては、水産庁でも御存じだと思うのですが、そういう場合に運輸省の計画等をはっきりさして、漁港というものをきめるのだがどうだということをお考え願わないと、その被害を受けるのは漁民だけじゃないか。あとでまた補償すればいいじゃないかということはこれは当たらないのじゃないか。なぜならば、補償で相当のお金をもらった人たちがそのお金を出し合ってまたノリの漁場をつくろうというのですからね。ノリの漁民にとってはそれ以外に生きる道がないのだといって金を出し合って再び漁港をつくり、漁場をつくっていく漁民に対して、もう少し水産庁が何とか味方になってあげる方法がないのか。こう思っているのですが、いまおっしゃったことだけでは私はちょっと実情と合わないのじゃないかと思いますが、その辺はいかがですか。
#83
○政府委員(大和田啓気君) 漁民の実情等々、あるいは運輸省と千葉県との話し合い等も、御指摘のとおり、私どもも十分承知をいたしております。それで、なかなかむずかしい問題でございますけれども、関係者の話も十分聞いて運輸省と話し合いをいたすつもりでございます。
#84
○河田賢治君 だいぶ他の委員からの質問があったので、こまかい点には触れずに、若干水産業協同組合法の問題についてただ一点だけ聞いておきたいと思います。
 御承知のとおり、漁業の雇用関係というものについてはある意味ではおくれている部面があるわけですね。たとえば農林省から出されておる賃金の構成割合を見ますると、昭和四十二年から四十四年までここに出ておりますが、固定給というのが一六・九%から一四・二%で、しかも下がっている。歩合給のほうが七九・二から八一・九と上がってきている。この前の卸売市場法の問題でもきわめて近代化ということが要請されておるけれども、労使の関係においてはきわめて非近代的な雇用関係がある。この漁業におきましても、もちろん漁業というのは、御承知のとおり、漁獲高がたくさん取れるときとそうでないときがありますが、しかしいずれにしましても、賃金の構成というものを見ると、固定給というものがわずか一割四分で、しかもこれがずっと下がってきているのですね。やはり会社自体にしましても、組合自体にしましても、御承知のように、剰余金の配分は年々八%以下に押える。だから、そういうことを予想して、豊漁あるいは豊漁でない年、そうしてまた配当も考慮してこの程度に押えるということで、ある程度の年次計画はあると思うのですね。また水産業の漁業協同組合ですか、あれなどは、御承知のように、剰余金の配当でも、水産業協同組合法、この八十五条の第二項に一〇%というふうに規定されております。こういうのになりますと、やはり経営については一応の規定というものがある。しかし労働者との関係では固定給というものが、つまり安定したものが非常に少なくて、非常に歩合というものによって上下がはなはだしくなっている。これはあべこべではないかと思うのですね。タクシーなんかも最近こういうのがあります。だからこういうタクシーは非常に乱暴な運転をしているわけですね。だから、こういう労使の関係でも、できるだけ非近代的な、しかも労働基準法やあるいは労働三法による問題が、こういうところにもやはり貫かなければならぬと思うのです。それがこれで見ますと、給与はある程度出ておりますけれども、しかし板子一枚下は地獄なんですから、こういう賃金の体系というものをやはりそれぞれの協同組合の内部でこれを問題にし、そして近代的な雇用関係にしていく指導が必要じゃないかと思うわけです。協同組合の事業内容の中にも団体契約なんということがありますけれども、しかし内部がこういうような状態ではあまり正しくないんじゃないか。この辺について水産庁の御意見を伺いたいと思います。
#85
○政府委員(大和田啓気君) 私ども運輸省とも相談いたしまして、歩合給というのは全然なくすことはなかなかむずかしいですけれども、できるだけ固定給をふやすような指導は現実にやっておるわけでございます。
 ただ、いま御指摘の四十二年から四十四年にかけて歩合給がだんだんふえているということは、これは実は魚価が年々高くなっておるのでございますから、乗り組み員のほうから、むしろ歩合給を希望をするというのがどうも現実のようであります。したがいましておととし、去年、ことし等等、一割以上毎年魚価がふえて上がっていきます場合に、私どもの指導の態度あるいは漁業主、あるいは漁業協同組合の態度としても、できるだけ固定給をふやすことにそれほど反対ではございませんけれども、実際問題として乗り組み員の立場から魚が上がっているときには歩合給にしたほうが得だということで、なかなかうまくいかないというのが実情でございます。私は、しかし長期的な方向としては当然歩合給を少なくして固定給をふやすべきである、そういう指導はやはり今後も続けて行なうべきだというふうに考えます。
#86
○河田賢治君 それから、次は海洋水産資源開発促進法案の問題に入りますが、今度沿海の開発等等については新しくされていると思うのですが、第一次構造改善なんかについてもずいぶん非難があるのですね、漁協の組合長あたりで。コンクリートの建物が建っただけで別に漁場のほうはちっとも変わらなかったとかいうふうな批判があります。私も島根に行ったときにそういう建築物を見ましたけれども、構造改善を見ると、漁場をよくしたり、あるいは漁船を現在より近代的なやり方で漁獲を多くするとかというようなことではなくて、やはり事務所をコンクリートで建てているというのがある。そういう話もあったわけです。
 で、またこの開発問題につきましても、他の各府県の知事の態度と申しますか、これなんかが相当私は影響しているのじゃないかと思う。いわゆる政府のほうではできるだけ府県で開発計画を立てさすというようなことをおっしゃっていますけれども、現に私は直接京都の漁協に行きましたが、去年でしたか、若い青年たちが研修集会があって、そこで京都の漁師の一人の若い青年が発表したわけです。非常に京都府は御承知のとおり水産についてはかなりの努力をしておる。漁業者一人あたりについても一年間――四十五年ですが、十二万一千円水産業費を使っているわけです、府として。しかし、福井などは六万三千円ぐらい、兵庫でも七万二千円、こういう非常にアンバランスがあるわけですね。だから、そういうことが結局漁業の収穫にもあらわれて、青年が発表しましたあと、北海道から南は九州あたりからも若い青年諸君が漁協に尋ねてくる。一体、どのようにしてここでは漁獲がそう大きくなっているのかというようなことで盛んに魚礁とか、あるいはそのほかのいろいろな施設について研究して帰ったと言われています。
 そうしますと、政府自身が今度のこの法案を見ましても一応開発区域とかいうようなことを都道府県の知事に委託し、彼らの自主性にまかしても、ほんとうに漁業をいろいろ構造改善やその他の施策においてやる場合に、こういうアンバランスがあってはとても本気になってやっているとはいえないところがあると思う。御承知のように、福井県あたりは原子力発電力をずっと若狭湾に四つも五つも置いてきたわけですね。だから、非常に京都府の漁協の諸君は組合長以下、連合会で県の漁連に対しては文句を言っているわけです。海は一つなんですから県の境で魚が来たりこなかったりするわけじゃない。そうしますと、まだ安定性がない原子力発電所があのようにたくさんできたということは科学者自身も非常に不安を持っております。そういうことが魚価のほうにも反映して抗議を申し込むということもありました。しかも、実際にその県でやっている漁業者に対する補助、あるいは施設というものが非常に少ないわけですね。ですから、近海沿岸漁業におけるやはり指導というものが、相当各府県のそれぞれの事情はありましょうけれども、これはよほど強力な指導をしないと、こういうサボったり、あるいはほかの工業開発などに重点を置いて、沿岸漁業あるいは零細な農業とかいうものに目をくれぬような府県も相当あるわけですから、この辺の指導については今後この法律のあるなしにかかわらずこれはやらなければならぬ問題ですけれども、一体どういうふうにお考えか、その辺をひとつ聞いておきたいと思います。
#87
○政府委員(大和田啓気君) 県知事は地方自治ということに基づいて行政を自主的にされておるわけでございますが、私ども中央から見て、県間のアンバランスができるだけないように、非常に行政のおくれているところにつきましては十分指導を申し上げて水産の振興のために努力をいたしておるところであります。
#88
○河田賢治君 海洋水産資源開発センターの問題について少し聞きたいと思うのです。
 現在、水産業の大会社、これなんかは相当収益もあり、また経常利益も相当多額に今日上げているところもある。したがって、また配当もそれに準じて行なわれているのですが、こういう大会社が相当財政的にも余力があると思うのですが、これらが独自に研究、あるいは調査等々どの程度やっておられるか。これは水産庁でもおわかりなんですか。
#89
○政府委員(大和田啓気君) 大手関係で、水産庁が四十三年から四十五年まで補助、または委託をして漁場調査をやっておりますほかに、大手の会社が自分の力で相当な調査をしておるわけでございます。多少さかのぼりまして申し上げますと、三十年以降アフリカ沿岸の底びき漁業の開発はこれは大手でございます。それから三十年代後半には北洋の底魚漁業の開発も進められておるわけでございます。それで現在でも大手で試験の操業許可を水産庁から得てやっておるわけでございますが、四十三年、四十四年、四十五年とそれぞれ二件ないし五件ぐらいの操業の許可がございまして、各地で大手が調査をやっておるわけでございます。
#90
○河田賢治君 これは製造会社でもやはり自分のところでいろんな新しい製品をつくるときは、相当みな研究部門を置いてやっておるわけですね。水産というのは場所がもちろん広うございますから、そういう意味はあると思いますが、やはりこういう大会社、あるいは財政的にも余裕のできるような大手ばかりでなく、やや大きな経営などもある程度は利益も半ばさいてみずからやっていくということが私は必要だと思うのです。何でもかんでも国が代行して、結局、水産資源の開発等はいわば国が引き受けて、そしてこれで企業化できるかどうかということまで国がめんどうをみろというようなことになりますと、これは現在の新しいナショナリズムのずっと最近勃興している時代に、特に御承知のとおり、漁業におきましても、まだ開発途上国が漸次財政的に、生産についてやや向上してくるとみずから船も持ち、またみずから船もつくると、だんだん海域も広げて沿岸からやや遠洋方面にまでいく国がふえておるわけですね。そういうところで今日のトラブルがありますけれども、こういう点でやはり国が率先してこういう日の丸を掲げて、そうして海洋資源を開いていく、これは学術的にそういうものを研究する、あるいは海洋のいろんなものを研究するということは私は必要だと思うんです。
 けれどもこれは一つの企業として、どんどん開発途上国あるいはずっとまたおくれた国、もちろん漁業が全部やれぬところもありましょうけれども、やはり一つの民族が国を形成し、そして自分の主義で漁業をやるという場合、これをやはりわれわれが技術的にも援助することは必要だと思うのですが、御承知のとおり、東南アジアでもどこでも今日エコノミックアニマルと言われる日本なんですから、こういう形で、つまり外国であるいは領海の近くでどんどん漁業をやっていく、そこで企業をやるというその手伝いを国が先んじてやるということは私は政策として正しくないと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
#91
○政府委員(大和田啓気君) 私ども四十三年から四十五年まで、先ほど申し上げましたように国が委託あるいは補助の形で新漁場の開発をやってきたわけで、その効果もかなりあらわれてきておりますけれども、だんだんその有望な漁場が少なくなりまして、一つの企業にまかせては非常にリスクが大きいということがはっきりしてきたわけでございます。
 それからもう一つは日本の漁業の次にソ連あるいはアメリカが海洋漁業国でございますけれども、ソ連は国柄から言って当然でございますけれども、アメリカも国の調査船によって新漁場の開発というのはこの二、三年間猛烈な勢いで行なわれているわけでございまして、いままでのように国が委託または補助という形で、国が背景に退いて、企業がイニシアチブをとって新漁場の開発をするということではとてもアメリカの新漁場の開発のエネルギーに負けてしまう。片方で、先ほども申し上げましたように、水産物の需給は非常に逼迫して、物価問題としての魚価問題というのはこれは私どもゆるがせにできない問題でございますから、そういうソ連なりアメリカなりが国の力でとにかく新漁場の開発をエネルギッシュに進めておるということに負けないで日本もやると、もちろん大手の会社は自分の力でやれるものは当然やるわけでございますけれども、大手の力でやれと言ってもきわめてリスクの大きいところでは限界があるわけでございますから、そういうところにつきましては、とにかく国が一つの法人をつくってそれに高率の補助をして、片方では新漁場の開発をやって、そして水産物の供給をふやすと、いわば国民的課題にこたえるということを考えて法案の提出をいたしたわけでございます。
 私ども特に感じますことは、水産業に対する各国の態度がこの数年間非常に変わりまして、畜産物百万トンをとるよりも魚百万トンをとったほうが簡単だということを言う向きもございますし、それから、ソ連なりアメリカの栄養学者が盛んに、子供にはけもののたん白質がいいけれども、中年以降には魚のたん白質がいいということを非常に多くの論文を出して発表しておるということもございまして、各国の水産業に対する熱意の入れ方は私どもの想像以上のものがあるわけで、やはり海洋水産国としての日本の地位を確保し、国民に必要な水産資源を十分に供給するためにこの法案をどうしても御提案をして御審議をわずらわしているわけでございます。
#92
○河田賢治君 そこが問題なんですね、私たちは。やはり一つの国ができて、だんだん工業化が進めば軽工業も非常にやはり自給体制をつくり上げる。現在、台湾とか韓国あたりもかなり日本からの投資というそういう段階は過ぎましたし、それからまたそれがあらゆる国々に及んできておるわけです。この漁業問題にしましても、中南米あたり、ぼつぼつ自分の領海宣言なども相当広い範囲にわたってやると、だんだんそういう方向に行くということは明らかなんですね。そこへ日本の船が行って、確かに一つの企業として何らか生きる道を考えなければならぬでしょうけれども、しかし、御承知のように、後進国がだんだん上がってくれば、その企業というものは成り立たなくなると思うわけですね。繊維だって非常にだめなら、軽工業ではだめなんだから重工業へ移るというふうに、一国の経済水準というもの、また経済の内容というものは変わってくるわけです。だから、漁業にしましても、やはり近海でそれぞれの国がやりだす場合に、これはその国からやはりそこからまたたくさんとれればものを買えばいいですから、そうすればまたこちらからいろいろなものを持っていくと、そういう貿易関係ができるわけです。
 私たちはそういう点でとにかく日本の船が行って何でもかんでもとらなければならぬというこういう考えは、かつての日本の領海問題を考えてもわかると思うのですね。日本は三海里説をとって、そのときほかの国々はみな漁業は劣っておるわけですし、できるだけよその国の近くへ行って、この三海里までは行ってとる、そうすると相手の国は日本の領海説で引き下がるでしょうから。しかし、自分の国がだんだん伸びてくれば三海里じゃだめで十二海里だということで、今度は日本の立場というものが入れかわって苦しくなってくるわけですね、公海だから。だからそういうふうにこれからの国際的ないろいろな諸関係もありますし、またそれぞれの国の経済というものも発展してくるわけですから、これはいちずにいつまでも停滞しておるものだと考えて、そして海洋水産資源を何でも日本がやらなければならぬというわけではない。
 もちろん公海で、陸地の全然ないようなところは別に問題はないと思いますけれども、そうでなくて、かなり沿岸等へ最近みないろいろな船が行っております。これらもできるだけその国の産業を発展させるという立場で援助していくというなら話はわかるわけですが、これをわれわれが行ってとらなければならぬというようなこういう態度は、いわば帝国主義的な膨張政策のあらわれになるわけですね。現に日本のこれまでの軍国主義とそれからまたそういう彼らに対する膨張政策というものが、かつて日本が禍根を生んだわけです。どうしても私たちはこういうあり方というものをもっとやはり謙虚に考えて、そしてそれぞれの民族が生きていけるような方向で海洋の水産資源を一応見るでしょうし、また資源のあるところはそれぞれの国が近ければそこでとらしていく、そういう援助、指導をするという立場が私は必要だと思うんですが、もう一度この点を聞きまして質問を終わりたいと思います。
#93
○政府委員(大和田啓気君) 水産資源開発センターの新漁場の開発は、沿岸の底魚のものもございますけれども、相当多くの部分はいわば海洋、文字どおりの海洋、たとえば大西洋、太平洋における南半球で新漁場を開発するということでございます。それから、まあ魚は外へ行ってそんなにとる必要はないではないかという御議論でございますが、私どもは、やはりこれだけ魚好きの、しかもエネルギッシュの、消費水準もどんどん向上している日本で、水産物というのは大体もう自由化されて、自由化されておりませんのは沿岸関係のごくわずかのもので、エビのごときは四十ヵ国ぐらいから買えるだけ買っておるわけでございますが、日本がとらないで外国から買えばいいということでは、どうも私は日本の食糧問題は解決されない。むしろ各国もだんだん魚を食べ出すわけでございますから、日本の国民が、これだけ魚好きの伝統を持つ日本の国民が十分満足できるほどの輸入量というものは、私は望むべくして実現できない。むしろそれは当然国際的な規制を私どもは国際協力の立場から忍びますけれども、各国と協調しながらやはり日本においてとれるだけの魚をとるということが、これが日本の食糧政策として当然行なってよいことであって、海外漁場から日本が後退することがいいではないかという御趣旨には、私はどうも残念でございますけれども賛成申し上げるわけにはいかぬわけでございます。
#94
○堀本宜実君 ちょっと長官一分間ですが、先ほど沢田君がニシンのことで質問をいたしておりました。大西洋における北欧関係のニシンの子は成熟していないからだめなんだと、こういうことでございますが、私はいまから五、六年前、ちょっと年を忘れたのですが、オランダの海岸、オランダを経由して帰ってくる定期船、これはソ連の油を積んで日本に帰ってくる出光系のタンカーでございます。そこからの依頼を受けて調査をしたことがあるのですが、御承知のように、ニシンは腹に子を持ったまま、オランダあたりでは鶏のえさにカッターで切ってそれを一応乾燥して、そうしてそれをえさにしておるわけでございます。したがってその中には未熟のものが大半であるが、非常にぷちぷちした熟したカズノコも相当含まれておるということで、それの輸入をさしてくれないかという申請がございました。そのときにいろいろ調査をいたしましたが、外貨の割り当てがなかなかできにくいということであったかのような記憶があるのでございますが、いまのように外貨が豊富になってまいりますし、ことに自由化されておるということでありますと、もしそういう申請があればそれを許可しますか。あるいは何か輸入組合というような組合があって、その組合以外のものにはそういう許可をすることができないというような規定があるのか。そこのところはどういうことになりましょうか。
#95
○政府委員(大和田啓気君) ニシンの輸入につきましては、実績主義で割り当てをやっておりましょうから、簡単にいかないかもわかりませんけれども、私はもしおっしゃるとおり相当なニシンの輸入がございますれば、従来のやり方を変えましても輸入をいたすことに努力をいたすつもりでございます。輸入制度がニシンの輸入のじゃまをするというようなことがないように私ども十分通産省とも相談をいたすつもりでございます。ただどうも商売人を相当多数呼んで話を聞きましても、あればもう輸入いたしますけれども残念ですがという話でございますので、またいまおっしゃいましたことは、私ももう一度十分研究をいたさせていただきたいと思います。
#96
○堀本宜実君 私はこの席で、いいりっぱな御答弁でございますので、重ねてどうしようという意思がないのでございますが、大きなタンカーが回って油を積んでまいります。これは定期的に一月に一回ないしあるいは一そう、二そうと来るわけでございますが、相当上等の冷蔵庫を持っておる。もし許可になれば、非常に安いカズノコが日本に入るということで交渉をいたしましたが、なかなかその当時は外貨の割り当てというものがないというようなことであったかと思いますが、そういうことでそれが実現しなかったのではないかと思います。私はこういうカズノコです、というカズノコを二百グラムぐらいいただきました。そうしてそれを食べてみましたが、一つも遜色のない、それはりっぱなものをよったのかもしれませんが、少し固いような未熟なふうな感じはいたしましたが、どうかいまのお考えのように、もし希望者があれば相当調査をされると思いますが、調査の上許可について、そうして日本に安いカズノコを入れるように検討をしていただきますよう要望を申し上げておきます。
#97
○委員長(河口陽一君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。
 これにて午後三時まで休憩いたします。
   午後一時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十七分開会
#99
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 国有林野の活用に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましてはすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#100
○杉原一雄君 この法案の趣旨なり目的と言いますか、先ほど提案理由説明の中でお伺いしたわけですが、動機づけはわかるような気がいたします。それはこの間の大臣の提案理由の中で、近年の急速な労働力の減少と農林業のきびしい条件の変動に対処するため云々というふうにまあおっしゃっているわけですが、ただ、評論家的な言い方をしてまことに申しわけないわけですが、法律の名称が国有林野の活用に関する法律案と、こうなっておりますから、動機としていま申し上げたようなことが大きな動機の一つになっていると思いますが、ただ今日までの行政運用、経営等の中を通じて、この活用――今度は活用するわけですから、これまでの運用なり経営なり運用行政の中で、活用の面で不十分であったということに、これは評論家的な言い方で申しわけないのですが、ひっくり返って見るとそういうことになるのじゃないですか。そういう点であるいは空間的な地理的な条件のとらえ方としての国有林、あるいは資源としての国有林、そういう国有林の面で行政を直接担当しておいでになりました長官等の判断の中で、この点とこの点では非常に活用の面で不十分であったといったようなことなど、具体的に指摘していただければ、これからの私の質問のよりどころも明らかになるわけですから、そういった点についてお伺いしたいと思います。ことばをかえれば、今次の立法の原点にあるものは何だということを私は把握したいのでこの種のお尋ねをするわけです。
#101
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお話でございますが、他の法律に欠陥があるといったようなそういうことを私どもは考えておるわけではございません。また御指摘もそうじゃないと思いますが、従来からこの農林業の構造改善等のためにその積極的な実施をはかってはまいっておりますが、最近は、わが国経済の目ざましい発展の中で、わが国の農林業はいろいろな面で十分にこういう発展に対応ができない点はわれわれも率直に認めざるを得ないと思うのであります。そこで、農林業の構造改善、それから農山村地域の振興などをはかりますための施策を一そう強力に推進することが要請されておるわけでありますが、このような要請にこたえますために、林業基本法の四条の規定の趣旨に即しまして積極的に行なうべき国有林野の活用の内容をひとつ具体的に示すとともに、活用を行なうにあたりましての国の基本的態度を明らかにするなどによりまして国有林野の活用の適正、それから円滑な実施をはかることといたした次第でありますが、お話のございました、たとえば林業基本法は国の林業に関する政策の目標を明らかにいたしておりますし、その目標の達成に資するための具体的な方針を示しておるわけであります。いわゆる宣言立法でございますが、その具体化のための制度等につきましては、当初よりそれぞれ林業基本法の関連法によって定められることを予定いたしておるものであります。そこで今次国有林野活用法案は、この関連法案の一つとして、国有林野活用の具体的内容と、それから活用を行なうにあたりましての国の基本的態度を明らかにいたすことによりまして基本法四条の趣旨の一そうの徹底をはかろう、こういう趣旨でございます。
#102
○政府委員(松本守雄君) いま大臣から基本の問題につきまして御答弁がございましたが、私からはもう少し具体的に御説明、御答弁申し上げたいと思います。
 いままでの制度では、まあいろんな構造改善……国有林活用を進める上に支障があったのかどうかという御指摘もございました。現行制度で十分でなかったと思われる点は次の点でございます。
 第一点が、活用の適格者――活用し得る場合等が政府内部の通達などできまっておりましたので、活用制度の周知徹底が必ずしも十分でなかったということが一点。
 それから第二点は、活用の実施に関する国の方針などを法律で明確化して、活用希望者に明らかにして適正かつ円滑な活用に資する必要が強く要請をされておったということが第二点。
 第三点は、土地の売り払いまたは活用に伴う立木竹の売り払いにつきまして、原則として一時払いとなっておりましたために活用の円滑な実施に支障を来たすような場合があったという、以上三点が現行制度では十分でなかったということで、本法案で各条項で幾つかこれのさらに積極的な活用ができるような規定づけをいたしております。
#103
○杉原一雄君 そうしますと、新全国総合開発計画――新全総、新経済社会発展計画などという国策全体の一つの大きな方向がきまっているわけですから、そうした新全総なり経済社会発展計画等の中の位置づけと、つまり林業のあり方、そういうものと今度の活用法のねらいというものとの関連ですね。でありますから新全総のことにつきましてはいろいろ前々から承知しているわけですけれども、その関連をですね。だから新全総計画を進めるためにはこの法がどうしても前提として必要なのだ、それはどういうことなのだというようなことなど関連づけながら御説明をいただければいいと思います。いかがですか。
#104
○政府委員(松本守雄君) 新全国総合開発計画、これは昭和六十年を目標にして計画をいたしております。その中で農用地はこれは昭和四十年ベースにいたしておりますが、四十年をベースにしてそれが六百万ヘクタール、六十年には六百五十万から七百万ヘクタールになるであろうという構想を打ち出しております。この半面、森林につきましては二千五百万ヘクタールが二千四百万から二千四百五十万、昭和六十年の姿をそこに構想をいたしております。いずれにいたしましても国土資源の有効な高度な活用をはかるということがこの新全国総合開発計画のねらいでございまして、その計画の目標と開発方式といたしましてうたわれておりますものが、四つの課題を調和させて「高福祉社会を目ざして、人間のための豊かな環境を創造する」ということをいっております。
 そのうちで一番最初にあります項目が「国民の自然への渇望に応ずるために、自然を恒久的に保護・保存する」、それから第二点目に「開発の基礎条件を整備して、開発可能性を全国土に拡大し、均衡化する」ということをいっております。あと二点ばかりいっておりますが、その一つは、「国民生活が不快と危険にさらされぬよう、都市、農村を通じて、安全、快適で文化的な環境条件を整備、保全する」、これが三点目でございます。このような構想でつくられたものが新全総計画でございます。それに対して林業の計画的な培養、森林資源の計画的な培養というものを昭和六十年目標の姿がそこに描かれております。
 まあこれは省略をさしていただきまして、それと国有林活用がどのような関係になるかという点でございますが、こういった土地の高度利用という点に着目をいたしますと国有林にその適地があるという際には、それを国有林経営の使命を果たす上の調和をはかりながら、それをやってまいるということでございまして、そういった将来の目標に従って国有林の位置づけなり、また土地の高度利用計画に協力を申し上げていくということが今後の国有林に課せられた課題の一つであろうかと、このように存ずる次第でございます。
#105
○杉原一雄君 森林資源その他につきましても時代がぐんぐん移り変わっておりますから、基本法ができたころ、基本法の第一条にうたわれております「森林資源の確保及び国土の保全」といううたい方をしておるわけですが、特に私がこれからお伺いしたいことは、国土の保全の面であります。非常に国有林に課せられた使命が時代の要求と申しますか、経済の大きな変革という中から多様化しつつあるということはいなめない事実だと思いますが、その中で、特に国土の保全の問題につきまして、率直にいって最近公害問題が、従来あった公害問題であることは間違いないんだけれども、まあ量的にも非常に公害問題が大きく広がってきたわけでありますが、こういう状態の中で、国有林の果たす任務というのは非常に重かつ大になってきたのではないか。山へ入りますと、きざな話ですが、空気が非常にうまいということを、私らも思わされ、口々に漏らすわけでありますが、そうした機能というものがやはり森林資源の中に存在いたしておるわけであります。そうした点等につきましても、今日まで配慮はされてきたものだと思いますが、今後も第一条にうたわれるような大きな国土保全の行政の中に、そうした問題、自然破壊、環境破壊、そういうものから守っていくという使命は国民からおのずからあがってきておる重要なことであろうと思います。そうしたことと、今度の活用法を具体的に実現していく場合に、それがより自然破壊、環境破壊から国有林がそれを守る、防衛する、保全する任務をより的確に行なわれるんだという保証があるのかどうか。そのことは具体的に、もしこの法案を活用していく場合に、間違いございませんということで、当局のほうで断言できるかどうか。もし、そういうことで私がいささか疑問を持つ、不安を感ずることに対してそうではないんだと、安心しなさいという保証がはたしていただけるものだろうかどうかということをお伺いしたいわけであります。
 回りくどい言い方でありますから、なかなかおわかりにくいと思いますが、これはいろいろ大気汚染をどうするかということは、もちろん目に見えない問題でありますけれども、自然破壊の問題につきましては、あるいは大洪水の問題とか、いろいろな問題が最近起こっておるわけですから、そうしたことは後ほど指摘するといたしましても、いま申し上げたように、そういう自然破壊なり、環境破壊からいわゆる基本法第一条にうたっている国土保全という中身が、私は国民の期待が変わってきておると思うのです。立法当時よりはるかに質的に違った期待が国民から課せられていると私は判断しますが、そうしたことについて、いま活用法が今国会を通過してもし世の中に出ていった場合に、そうしたことについて、より的確に保全されるんだという判断と、いや、そのことによって、かえって危険なるものがあるのじゃないだろうか、払い下げ、その他の問題がありますから、管理運営の問題につきましても、国家の権力ということは当たりませんかもしれませんけれども、手の届かないところに問題が行ってしまうのじゃないかという危惧等もございますので、その返のところも相関連させながら、そうした国民の疑問に答えるような御答弁をいただければいいのじゃないか、このように思います。
#106
○国務大臣(倉石忠雄君) たいへん大事なことを御指摘いただいたと思います。私どもも先年町村合併を推進いたしました当時の政府が、その合併町村の財源のために国有林を払い下げたことがございます。私どもその後の経過を見ておりまして、ただいまお話のような大事な森林の国益に関する立場から考えまして、たいへんこれは所期の目的からいって残念なことではないだろうかと思われるようなものも皆無ではありませんことを非常に遺憾に思った次第であります。
 ことに、いまお話のございましたように、われわれ日本人が生存してまいりますための最も必要な緑地帯、しかもわが国は先祖代々長きにわたって受け継いでおります大事な国土保全のために有する森林というものを、これを破壊するのはいつときでありまして、再び建設するというのはなかなか困難であります。そういうことをもちろん私どもも念頭に置きながら、やはり国土の高度利用という立場に立って一定の限界を置きつつ、しかも国土保全、緑地保全という大事な国の目的を阻害せざる範囲内において、これを高度に活用するということは最も必要なことでありますので、したがって、本法にもいろいろな規制を行なっておることは御承知のとおりであります。そういう基本的な考え方は全く先ほど御指摘のとおりでありますが、なお具体的なことが必要があれば当局からお答えいたさせます。
#107
○政府委員(松本守雄君) ただいま大臣から御答弁申し上げました基本姿勢に従いまして、林野庁といたしまして第二次の保安林の整備計画を一応終了いたしまして、全国で六百六十六万ヘクタールの保安林の指定を完了いたしました。これは計画どおりの数字でございますが、その中でその主体をなしますものが水源涵養保安林と土砂流出防備保安林と土砂崩壊防備保安林、この三つでございますが、そのほかに最近の強い要請であるところの保健保安林、風致保安林、そういうのがございますが、それにつきましては、一応保安林の整備計画は終了いたしましたが、さらに四十六年度以降配備の計画を点検し直すということでいま取りかかっております。一応四十六年度の修正計画では保健保安林を七千ヘクタール余り追加指定をしようということをいたしておりますが、またその計画に従いまして、この活用の本法案におきましては、国有林を活用する際に、活用してはならない、また原則として活用を行なわないというものを考えております。それは一つは保安林とか国立公園の特別地域とか法令により国土の保全その他の理由で林業経営上制限を受けているもの、これは原則として活用の対象に考えない。それから同じように指定はされていないが、局部的に保安林や砂防指定地のような機能を持っているような土地、これも原則としてはずすということによって、いま先生のおっしゃいました新しい最近の森林の持つ公益機能がそこなわれないような十分活用のあり方がある、このように考えております。
#108
○杉原一雄君 率直に大臣のほうからも従来の払い下げの結果が、追跡調査した結果、国益に逆行した面があったということをお認め願ったのでありますが、そうしたことなどがいろいろぼくらの知る限りにおいてはあるような気がいたします。また林野庁そのものも必ずしもそうした点では計画的に木を切る、木をいろいろな目的に供するという点で計画性なりそうした点がややなかった点もあったのではないかと思われる節が幾つかあるわけですが、たとえば私の周辺にパルプ工場がございますが、パルプ工場のところにたくさん山から出てきた木が積んである状態を目撃する場合が非常に多いわけですが、木の大きさをどう表現するのが正しいのかわかりませんが、われわれしろうととすれば、直径十センチよりもはるかに細い木がたくさん並んでいる場合を見るわけですね。ぼくたちは木の質にもよりますし、種類にもよりまして、どの程度の木がその木としての一人前か一人前でないかは木によって違うと思いますが、どんなしろうとが見てもこの木は若木だなと思われるような木がやはりパルプ工場の周辺の野積みにしてあるところによく見受ける場合があるわけです。そうするとその現実から類推していきますと、どんどん山で何かの必要によって木を切られる場合、つまりその木そのものの必要から切っている場合、そうではなくてほかの目的で木が切られてくる場合、いろいろあると思いますが、いずれにせよ木材がやはり何といいますか、その木の持っている能力といいますか、能力というのは当たりませんけれども、経済的効果といいますか、そうしたものを度外視したような場合、もっとはっきり言えば要求に応じて木が乱伐される、あるいはまあどんどん計画外にたくさん木が切られてくる。山の姿としては丸坊主というような現状が出てきているのじゃないだろうか。なかんずく、昭和三十三年の経営規程の改正等の時点からこうしたことがかなり顕著になったという指摘もいろいろ同僚の皆さんから受ける場合があるわけですが、そうしたことについて過去――過去の話でございますから率直にお漏らししていただいて、これから活用法とも関係しながらそうした森林資源を大事にし、かつ経済的効果を十二分に生かしていくという態度をこの委員会を通じて言明していただくことがこの法案の審議の中にあっても非常に大事なことのように思われますので、いま申し上げたことなどかなりわかりにくかったかもしれませんが、端的に言って乱伐なりそうしたことの不当が過去においてなかったか。あったとすればそれは要因はどこにあったので、今後そうしたことは、こういう活用法そのものにはそうした任務はないと思いますが、基本法等に基づいて経営規程などの改正にあたって十二分に配慮していくということなど明確にしていただければと思いますが、いかがでしょう。
#109
○政府委員(松本守雄君) いま先生の御指摘の北陸地帯の例がお話の中に出ておりましたが、北陸一帯は豪雪地帯でございまして、いわゆる新潟のぼい山ということで雪のために林木は成長しにくいということで、そういった特徴からしてパルプ工場に細い木が積まれておるということでございます。まあおそらくあそこのパルプ工場に積まれておりますものは、広葉樹、いいかえれば雑木ですが、雑木の枝もありましょうし、幹そのものもありましょうが、北陸地帯一帯には、そういった細い二十年、三十年のものが非常に広大な面積にわたってあるということであります。そこでそういった雑木林は今後おいておきましても、山の資源的な価値はあまり高まらない。これは国土保全上もそういうものよりももっと木を大きくしたほうがいいということでありますから、そこにそういうものを改良いたしまして、そのあとを人工造林するということの結果、そういった細いものが出てくるということであろうと思います。
 また経営規程の改正が行なわれたということがございましたが、確かに戦後、特に昭和三十年代に入りまして、戦後の日本経済の復興に応ずるために、国有林も、民有林も相当な伐採がそこに行なわれた、ただ国有林は計画的に将来の伐採の保続を考えまして、その限界ぎりぎりまで伐採量をきめて伐採してまいりましたが、そこに若干の大面積的な伐採もございまして、十分でなかった点も確かにございます。そういう反省を加えまして、その山の取り扱い方につきまして、もう少しきめのこまかい国土保全、自然保護という面も兼ね合わした伐採方法を再点検をしようということで、いまやっております。経営規程におきましても、経営の基本計画ではそういう姿勢を打ち出しまして、その姿勢に従いまして、各営林局で地域地域、これは地域施業計画ですかというものを地域ごとにつくりまして、そういう方針を取り入れて、新しい時代の要請にこたえるべく、国有林としても体制を整えようといたしております。
#110
○杉原一雄君 いまの長官の答弁で、次に質問しようと思ったことについてもお答えが出たわけですが、大面積皆伐方式、細くて木が伸びないから一斉に刈り倒してしまったのだということなどから起こるいろいろな問題ということで、今後とも気をつけていきます、こういう話でございますから、それだけまでに端的におっしゃっていただければ、はっきりするわけですが、具体的な指摘として、昭和四十四年に福島と新潟と富山が大洪水というほどでないが、局部的な洪水があってたいへんな被害が出たというのがあります。第二羽越洪水という名称でこれは統一されたと思いますが、ちょうど私もそのころ農林水産にまだおりましたので、ちょうど大学問題であるいは国会のあとでございますから、いま北村さんが担当しておられるような災害対策のこういう特別委員会がなくなっておりましたので、当時農水委員会と建設委員会で合同で現地調査をしたことがございました。特に私が見たのは新潟地域であります、富山でありましたが、たいへんなことになっておりますが、その辺のところの原因を追求していくならば、これはあくまで局部的問題だけに原因はぼくは明らかであったと思います。
 その当時、おそらく林野庁長官も別な方であったと思いますが、林野庁としては、そのときの原因について、いまおっしゃったようなことと、大面積皆伐方式なり単純に一斉人工造林することなどから起こるちょうど境目といいますか、そうした行政と何かズレのあったときに、雨がどかっと降って、川があまり大きい川ではなかったのですが、小さい川がたいへんな状況の土砂を流して、人家が土砂に埋まるという事実等、特に新潟でいいますと、北越地帯といいますか、直江津周辺にあったわけですね。そういうようなときなど、四十二年にもそれに類するような豪雨が実はあったわけですが、そのときの原因は、そのときの調査段階でははっきり答えは出なかったわけですが、その後、農林省、林野庁では相関連させながら、十分検討されたと思いますし、同時にまたその検討から出た結論というものだけその後の林業行政の中に出てきていると思います。現場のあと片づけば、いまでは汽車で通りますとすぐわかりますが、あと片づけばできておりますが、やはり根本の問題を、発生源というものを押えなければいけませんので、その辺のところは、長官の時代ではございませんけれども、もし林野庁として総括しておいでになれば、こういう原因であった、いや林野庁に責任はなかったんだということを明確にしていただけばいいわけでありますが、その辺のところを御承知ならばお伺いし、結局、結論として、そうしたことの起こらないようなことなど、特に活用法の適用などから起こってくる、民間その他で、いま申し上げたようなことと政府の意図とは反した結果が今後行なわれることがあり得るわけでありますから、この教訓を生かしていかなければならないと思いますが、その辺のところを長官からお伺いしておこうと思いますが、いかがですか。
#111
○政府委員(松本守雄君) 森林と国土保全、この関係でございますが、ある一定の短期間の豪雨に対しましては、森林がそれを保水をするという能力の限界を越す場合がございます。徐々に、ゆるく、長く降る場合におきましても、それが一定以上飽和をいたしてしまいますと、森林なり森林土壌というものはその限界に達しまして洪水を起こすということが言われておりますが、まあ言いかえれば森林が洪水を防ぐ万能の力は持っていないと言えるわけであります。ただ、少なくとも言えますことは、雨の降る最初の段階ではそれを保水する力があります。また、土壌が流失をする――これは崩壊でなく流失でございます――土壌の流失に対しましては偉大な防ぐ能力を持っておるということが言われておりまして、羽越災害の事例につきましては、まだ私よくその当時の状況を承知しておりませんですが、ある一定の自然の力に森林の状態が抗し切れなくなったという点と、その森林の取り扱い方に十分でなかったのではないかという不安と、そういうものを明確にいたしておりません。が、いずれにしましても、今後、そういった問題にもかんがみまして、ことに国有林の取り扱い方は、慎重に、きめこまかく、一つの流域で大きな面積を短期間に伐採をしないという方向で、いま全国的な再点検をいたしておりますし、今後、そういった面で施業の大方針を変えることによりまして、自然保護その他にも御協力ができるんではないかということを考えておりますが、そういう点を考えまして、保安林というものを国土保全に重大なる関係が起こりそうな土地につきましては、活用の対象から除外をさしていただくという方針を原則としてとりたいと思います。
#112
○杉原一雄君 ついででございますから、次のことをお尋ねする以前に、公害山に登るということなど、今後観光資源の問題として起こり得るのではないかと思いますが、それに対する林野庁のチェックのしかたのことなんですけれども、ちょうど私は富山ですが、立山があるわけですね。県がものすごい馬力をかけて公社をつくり、公社の力で自家用車が約三千メーターまで――はないですが、二千五、六百メーターのところまで上がれるような道路をつくったわけです。
 で、そろそろ開通をいたしますが、そこで問題になってくるのは、この間の連休等でも立証されるように、たいへんなマイカー族があるいは能登半島をたずね、そういったようなところをどんどん車で走るという事態が起こるわけですから、この間の連休の統計等もテレビで見ますと、富山あたりでは、ほかのところへは車は行かなかったけれども、山に登るのが非常に多かったというようなことを言っておりますから、これは今後立山に車が下から上まで上がれるような状態になるとすればたいへんな結果を生むだろう。想定されることは、すばらしい天然自然林があるので、立山杉等が巨大な姿をあらわしているわけですが、そこへいま車がどんどん上がっていくということになると、おのずから排気ガスの問題が起こる、私たちはいまいかに行政努力をしてもおそらくそういう大自然の造林をつくることは不可能だと思われるような貴重な自然条件、自然林が破壊されるおそれも多いわけですね。
 これは推定でございますけれども、すでに国という広い領域の中ではそうした問題を幾つか起こしているだろうと思いますが、そうしたこと等についての今後の一般的な方針といいますか――ある富山の政治家がこういうことを言うわけですね、うんとこせ、有料道路ですからお金を取ろうという言い方をしているわけですね、お金を――せっかく山へ車を上げることを目的につくった道路を、有料道路だからうんと銭を取ってやればあまり上がらぬだろう。これでは上がることを目的につくった道がかえってコントロールされるという変な逆効果を生み出しておるわけですから、私その辺のところちょっとつじつま合わないと思うのですが、ただこれは行政としてそうしたものに対して県がやるかどこがやるかは私はわかりませんが、これは逆に厚生省の仕事になるかもしれませんね。
 いずれにしてもやはり森林資源を愛護し森林資源の持っている公用価値、公共性といいますか、そういう点から、守るという観点から申して、何かその辺のところを林野庁では、これはたいへんなことが起こるぞと、だからこうするのだというようなことなど検討中のものでもあればお伺いしたいと思います、ころばぬ先の杖ですから。
#113
○政府委員(松本守雄君) 原生林の地帯に開発の手が入ってまいりますと、なおその開発の方法といたしまして道路をつくる、その道路が、道路法でいう道路の場合、あるいは有料道路の場合、林道の場合、幾つかございますが、そこでその工事のやり方に配慮を加えるべき点が一点ございます。それからもう一つは路線の位置、そういうところへ道路がつきますと排気ガスその他による被害のほかに、人間による自然の破壊といいますか、高山植物にいたしましてももそういうところへ入ってまいります一般の観光客の手によってそういう自然が破壊をされるという二つの面があろうかと思います。
 で、最初のほうの、道路工事を進める場合にどういう配慮をしたらいいか。そういうところに道路をつけないのが一番いいかもしれませんが、道路をつけるという要請に対しましては、その道路の施工にあたりまして、そういう自然を破壊しないような切り取りをいたしました土砂の捨て方、またそれののり面の保護のいたし方、そういった施工の面で十分な配慮をするような手続を現在林道といたしましてもとっております。それともう一つは、そういうところへ行く場合に、第二の被害を、先ほど申し上げましたが、それは路線の位置をくふうをいたしますことによって貴重な資源が破壊をされないように路線位置を変更をするというようなことにも配慮をいたしまして処理をいたしております。
 いずれにいたしましても、そういう自然原生状態、二百年、三百年の状態にある、原生林がある状態の所へ人力が道路をつける等の伐開、切り開きを行ないますと、どうしても風その他によりましてその周辺が木が枯損をしてまいります。枯損をしたり倒れたりいたしておりますが、そういうこともなるべく十分な配慮をしながらやっていかなければならないと思います。道路をつけますとある程度そういうものは、枯損をするというのを防ぐ方法は、いまの技術でははっきりした明確なものはございません。
#114
○杉原一雄君 じゃ次に、予算委員会の分科会で若干質問したのですが、林業用の除草剤の問題でありますが、現在問題になっている除草剤、農薬といいますかね、それが幾つか――四つほどあるのですが、これだけはどうしても当分使わなければ困るというのは何ですか。BHCなんですかね、その辺のところを。しかもそれは近い将来こういう形で解決をするということがもし庁の態度としてきまっておればお伺いしたいと思います。
 久しぶりでまたこちらへ帰ってきて新聞を整理しておりましたが、BHCによるつまり牛乳の汚染の問題がまたほかの県でも起こってきたことが報道されておりましたので、たいへんなことが次から次へ起こるなと実は思っているわけですが、それとは若干違いますけれども、林業関係における除草剤、その散布のしかた、それから散布に使用する、農薬の問題等について従来次から次へと努力をいただいておりますけれども、現在ただいまこれだけはかんにんしてもらいたい――しばらくの間ということなども答弁としていただいておるわけですが、いまどういうところまで努力がこぎつけられておって、将来そうした危険なものは全部使わない。二四五Tその他、その辺のところを長官のほうでぎりぎりのところを庁の態度としてひとつはっきり示していただきたいと思うんです。
#115
○政府委員(松本守雄君) まず除草剤の点につきまして申し上げますが、除草剤でいま林業で使っておりますのは、二四五Tの系統とそれから塩素酸塩系の系統、もう一つはスルファミン酸系統、この三種類ございます。で、問題としていま言われておりますのが二四五Tの系統の除草剤でございます。これにつきましては、先般国会におきまして農林大臣から御答弁がありましたように、催奇性について疑いが持たれて、その解明がまだ行なわれておらないので使用を中止するということでございまして、民有林につきましてもその方向で指導するというたてまえになっております。それから塩素酸塩系につきましては、これは主としてササを枯らす、禾本科の草を枯らすという種類の除草剤でありまして、これは労働力が十分でない地域、また奥地で行くだけでも二時間も三時間もかかるというような所、奥地でありますと根曲ガリ竹が人間の背たけ以上に伸びて、それを刈り払うのがたいへんな作業になっております。これを塩素酸塩系の薬で排除をするということが、労働力の節約と将来のそういった林業作業のコストダウンというものに大きくつながりますので、これは使わしていただく。ただ、その使う場合に、公害を起こさないように、人家とか農地とか牧野とか、また河川、水源池、そういう所には使わない、厳重な規制を加えながら使わしていただく。それから害虫、虫を退治をする薬に、いままで非常な効果を持っておりましたBHCがございます。これは特にタマバエ類、マツクイムシの類に威力を発揮をしておった薬でございますが、これも問題がございますので国有林では使わないという方針をとっておりますが、ただこれにかわる薬がない、ずばりのかわる薬がないということで、民有林につきましてはしばらくの間は使わしていただくが、近いうちに、これは年内くらいにはこれにかわるべき薬が開発をされ実用化をされるという見通しもございますので、その後はそれにかえていくということでございます。
 以上でございます。
#116
○杉原一雄君 ちょっともう一度念を押しますけれども、BHCの場合は国有林のほうは使わないことにきまった、それでいいですか。
#117
○政府委員(松本守雄君) 原則として使わない。ただ、民有林と接しておりまして甚大なマツクイムシの被害あるいはタマバエ類の被害があって民有林と一緒に駆除をしたい、民有林の森林所有者が十年、十五年、二十年丹精込めて育てた山がそういう害虫の被害を受けるということでBHCを使うわけでありますが、その場合に国有林も例外的には使わしていただきますが、原則としては使わない。近い将来、それのかわりの薬にかえていくというのが方針でございます。
#118
○杉原一雄君 民有林のほうはいまおっしゃったようなことで当面はやむを得ないだろう、年内くらいをめどにして代替の薬が開発されれば切りかえるということなんですか。
#119
○政府委員(松本守雄君) そうでございます。
#120
○杉原一雄君 それから先ほどの説明の中で塩素酸ソーダの問題ですが、これは人家なり牧野、河川その他そういった所にこれが流れたり浸透したりすることのないように、なかんずく水源ということをおっしゃったのですが、水源の心配というのはなくなりますか。やはりどうしても起こるのじゃないでしょうかね、これは浸透をしてきますからね。その辺のところはだいじょうぶですか、おっしゃったのではだいじょうぶだということになるわけですね、ササ等にやった場合。
#121
○政府委員(松本守雄君) 確かにその水源の定義、意味が問題でございますが、普通、山で散布をいたしました直後、その下流地帯に流れてくる水をとりまして分析をしております。その結果では、人体に影響のあるような濃度の検出が出ておりません。そういうことで普通なら心配がないのでございますが、安全をとる意味で人家のそばとか、水道をとっておる上流地帯とか、そういう所には散布をやらないという方針をとっております。
#122
○杉原一雄君 これは話は別なんですけれども、つまり労働力が足りなくなってくる、だから合理化する、大型機械を利用する、この薬の散布の場合でもかなりヘリコプターを使ったような散布方式なり、つまりそうした意味で機械が大型化してくる方向にいま行政が、作業が進んでいるというふうに伺っているわけですが、そうなんですか、事実上。
#123
○政府委員(松本守雄君) 除草剤を散布する方法に手まきの方法とそれからヘリコプターでやる方法の二つございますが、奥地の一定規模以上になりますと、これはヘリコプターによってやることでなければ実際にもできませんし、またコストダウンをはかる上でも意味がないということで、奥地の一定規模以上の面積を散布いたします場合にはヘリコプターを使うことにいたしております。
#124
○杉原一雄君 このことと関連して起こることは、労働力が不足だから補うという意味じゃなくて、それがどんどん進んでいけば、いま林業労働者ですね、基本法第一条にもそういううたい方をしておりますが、そうした人たちの手が要らなくなるという事態も起こるわけですね、端的に言ったら。合理化による首切りという連鎖反応が起こってくるわけですから。そうした点も意図的、計画的に行なわれていると見るのはひが目なのかどうか。また、もしそういうことが、私の仮説が成り立つならば、結果的にはそうしたことに対する対策はどうなっているのかということについて、聞くところによると、分科会でもその数字が出たんじゃないかと思いますが、二万七千ぐらい首を切るんだということを聞いておりますが、その辺のところは現状話し合いはどこまで進んでおりますか。
#125
○政府委員(松本守雄君) 除草剤を使用いたします意義でございますが、いま確かに過疎現象が相当な速度で進んでおります。その中にありまして、林業に必要な労働力というものを確保するという点が一つの課題になっておる。一方、外材が入ってまいります。相当な外材が入ってまいっておりまして、今後日本林業は外国林業と競争をしてやっていかなければいけない。入ってまいっております外材は相当格安に入ってまいっておる。それに対抗するためには、やはり林業というものにかかるコスト、これを引き下げる努力をしなければならぬ。そういたしませんと、林業というものが産業として成立しにくくなるわけであります。産業として成立をさせるためにはどうしてもコストダウンをはかってまいらなければいけない。コストダウンをはかるための一つの新しい技術として薬剤というものが登場してまいっております。ただ、いまおります労働力というものも確かに関係をいたします。除草剤が大幅に進展をいたしますと、労働力がどうなるかという問題もないではございませんが、除草剤が全部それをやり尽くすというのではございません。いま言いましたような厳重な規制を加えながらやるわけでありますから、どこでもかでも空中散布をやるわけにはまいりませんし、また一定規模以下のものでありますと、どうしても人力によってやらなければいけないということでもありますので、今後不足するであろう労働力をこういった新しい技術によってカバーをしていく、また上昇するところのコストのそれを上昇しないように防いでいくというような効果がこれにあるわけでございますが、国有林で現在使用しておりますところの作業員、これは十分その関係を考慮いたしまして、現在やっておりますところは、そういった労働力の少ないところ、不足しておるところ、また奥地、やりにくいところというところからいまやり始めておる状況でございます。
#126
○杉原一雄君 機械化の問題ですが、これも分科会でもお尋ねしておいたわけですけれども、チェーンソー等の使用から起こる職業病の問題ですね。同時に農薬散布等から起こる、やはり職業病と申しますか、これはぴったり当てはまるかどうかわかりませんが、そのことによってやはり働く林業労働者なりはかなり身体的な被害を受けるということがあり得るわけですから、分けて言うならば機械化の場合、チェーンソーの問題が、昭和四十四年の国会で山の労働者にきていただいて委員会でいろいろ審議を、参考意見をお聞きしたこともございますし、ときの片山長官にも立ち会っていただいて、省の考え方をそのとき述べてもらったわけですが、ただ、そのときからも懸案になっていることは、あののこ切りですね。あののこ切りが白ろう病の原因であるということは、みな労働者も政府の側も認めている。認めているけれども、結果的には片山長官の言をもってするならば、まだ耐用年数があるのだ、減価償却が終わらないので引き続き使用させてもらいたい、そういうふうな言い方でぼくらもがっかりしたのでありますが、しかしそれはそれなりにして、その後のこの問題に対する対策ですね。対策としてはいろいろあると思いますね。結局、使わないというのも対策だし、また重量を減らして機械を小型化していくということもあり得るだろうし、また、その他労働時間の問題等もありますから、その後年次的にこの問題に対処してこられた林野庁の考え方、対処する方法、今後のそれに対する取り組みなど、ひとつお聞きをする中で、御心配いただかなくてもよろしい、白ろう病の患者は年々このような形で減少してきたのだという、そういう一つの報告、レポートがあれば、これは非常に私は期待をしたいわけですが、もしあるならばお示しいただきたいということですね。意味はわかりますか。これを繰り返すことはないと思いますが、ひとつ御答弁願いましよう。
#127
○政府委員(松本守雄君) 白ろう病のその後の発生状況とか、機械につきましてどんなふうな入れかえなりくふうをやっているかということでございますが、この問題につきまして昭和四十四年の十二月に労働組合と話し合いが成立をいたしまして、まずとるべき措置といたしまして、振動機械の操作時間を規制いたしまして一日二時間以内とかその他こまごまの規制がございます。また振動機械の研究開発をやるということで、その後組合と話し合いをいたしまして新しく導入をいたしました機械もございます。また基本動作の普及と指導、こういうものをやっていくについての基本的な動作を作業員に身につけてもらう。それから作業の仕組みを改善していく。チェーンソーばかりを連続して持たないで、鎌とかその他の作業も組み合わせてやってもらうというようなこと、それから健康診断を充実する。また防音、防寒、これの用具も備えつけをいたしますというようなことでやっております。そこで四十四年度には認定者が五百五十八名発生いたしましたが、四十五年度には百七名に減少いたしているわけであります。そういうことで逐次効果はあがってまいっておりますが、なお今後まあこの方向で実施をいたしてみまして、さらに不十分な点があれば手直しもいたさなければいけない。また、そのレイノー現象の発生の原因とか、また治療対策というものも確立しておりませんが、医療の関係機関にお願いして研究調査をいたしております。そういうのが逐次結果が出てまいると思いますので、今後白ろう病の発生を皆無にしていく、そういう方向で努力をさしていただきたいと思います。また機械を入れかえておりますが、チェーンソーなり刈り払い機を四十五年、四十六年、四十七年と相当台数入れかえております。数字を申し上げましょうか。
#128
○杉原一雄君 それよりも入れかえる方向ですね、結局どういう、重量を減らすのか、全然別な形の機械になるのかですね。
#129
○政府委員(松本守雄君) ですから振動機械でない、組合と話し合いのついたもの、また振動数をいろいろ検査をいたしまして、振動数の少ない、あるいは振動のないもの、こういう機械と入れかえをいたしております。相当入れかえをいたしております。
#130
○杉原一雄君 それでは、林野の皆さんと別に話をしたわけではありませんから……。
 私この前、四十四年に片山長官を中心としていろいろ委員会で論議をしたときに、非常にさみしい思いをしたので、それはその後解消されているかどうか、北村さんからも聞いておりませんが、それでそのチェーンソーを使っている労働者が、時間帯は二時間でしたか、そうするとほかの仕事をするわけですね。その辺の時間賃金というか、賃金の関係は同じなんですか。こっちは技術が高いが、こっちは低いと、あの当時では、しかたがない、ほかの作業をすれば賃金を落したってやむを得ないというような長官の発言であったのを忘れておりませんが、その点はいまどうなっているのですか。時間帯を変えますからね、作業の内容が変わりますから、こちらのほうは雑務めいた仕事になりますから、賃金の関係のところどうなっていますか。
#131
○政府委員(松本守雄君) 時間規制をいたします結果、作業員が一日に仕上げる標準作業量、それに影響が出てまいります場合には、その影響が出てくる範囲内で標準作業量そのものを変更いたしております。したがって、作業員の実収にはあまり変わりがないはずでございます。
#132
○杉原一雄君 先ほど外材に対する依存の問題がありましたが、外材依存の現状はどれくらいのパーセントになっているかということをお聞きしたいわけですが、私少年のころ、政治のことが好きでございましたから、尾崎咢堂が富山市においでになったときに、演説会を聞きに行って、尾崎骨堂の言われたことをいまだに忘れておりませんが、その中にこういうことばが一つあるわけですね。ちょうど私のおった伏木の港にはたくさんメリケン材が入っておりまして、いま伏木港になったが、その当時湖でございましたが、たくさんその当時メリケン材が湖の中にあったわけです。その事実を尾崎さんがどう表現したかというと、伏木港にあるメリケン材がなくならない限りは日本の真の独立はないということをおっしゃったことをもうこびりついて忘れません。いまその時代よりもかえってはるかに、メリケン材ではなくて、ソ連材その他外材が日本に入っていると思います。このことについて現状のただいまはどうであるかということと、そうならざるを得ない理由はどこにあって、それが今後の林業行政の中でこれを排除する方向で努力をしようとしておいでになるのか、そういうものを併存させながら、国内の森林資源を確保し、また要求にこたえていくという需給関係と申しますか、そういう方向で今後の新全総の中で、読めばわかると思いますが、私は十分そこまで目を通しておりませんが、そういう配慮で新全総の中における計画、そういうものが立っているのかどうか、その辺のところを実はお聞きしたいと思います。
#133
○政府委員(松本守雄君) 外材につきまして御質問でございますが、四十四年の実績では、外材の依存率が五一%になっております。それから四十五年の、これは正確な数字ではございませんが、五五%くらいになるはずでございます。そういうように外材が急激に増加をしておりますが、四十二年ごろにはまだ四割以下でございました。ですから相当外材の依存率が急速に高まっている。言いかえれば需要がふえる、需要がふえるわりに国内供給がそれに続いていかない、逆に国産が減っておりますから、そういうことで外材がふえております。数年前までは外材は単なる木材需要の補完材、補完的な役割というようなことを外材に期待しておりましたが、いまや外材そのものは、日本の木材需要につきまして主役を演じつつあるということでございます。いまこれを急激に減らす、外材を調整するというようなことになりますと、まあ相当な混乱が起こるであろうと思います。日本経済の発展につれまして、必要とする木材というものを適正な価格で確保していくということを考えますと、当分の間、外材に期待せざるを得ないということでございます。しかし長期的には、やはり国産材の生産力をあげる。国産でできるだけの供給をふやしていくというようなことで、各種の国内林業施策をいま講じておるところでございます。
#134
○杉原一雄君 長官、いまの最後のところのことばが濁っておるわけですが、外材は四〇%から五五%、どんどんパーセントが伸びていくわけでありますから、そこで林野庁は最大の行政努力をやって、それをゼロに持っていこうという目標で努力をするのか、当分何とかという、その辺のことがあいまいであったわけですが、その努力目標を明確にしてください。
#135
○政府委員(松本守雄君) 昭和四十一年に策定されました資源に関する基本計画、これは閣議決定をされておりますが、そこで考えました将来の需給率、言いかえれば国産材の生産見通しというもの、必要とするであろうところの木材量の九割を国内産でまかなっていくという見通しを立てておりますが、その後の情勢変化を見ますと、なかなかそこまで持っていくのはむずかしいということであります。そこでいま長期見通し、長期計画というものを改定すべく作業に着手をいたしておりまして、いずれ年内には、夏ごろまでにはその改定計画につきましての概数が出てまいると思います。以上でございます。
#136
○杉原一雄君 それでは最後になりますが、三月十七日、予算委員会の一般質問のところで、農林大臣なり山中総務長官からお伺いしたわけですが、沖縄の農業の問題で、ほぼ輪郭が明らかにされたわけですが、きょうは森や林の問題を議論しておりますから、林業の問題として、沖縄林業と本土のこれから進めようとするこの目標、計画等のかみ合わせの問題を最後にお答えをいただきたいわけですが、それについて、沖縄の林業の現状、ただいまは、たとえば林野面積がどれくらいあるとか、アメリカさんが基地でどれくらいけ散らしているか、すなわち軍用地その他で、たいへんめちゃめちゃになっている事実等もあるんではないだろうか、そういうことなど、あるいは数字の面で明らかにしていただきたいことと、特に沖縄林業がいま直面している大きな問題ですね、大きな問題点、そういったようなことなどひとつお伺いしたいと思います。特に私は冒頭申したように、こちらの本土の林業、いわゆる行政計画との触れ合いの問題ですね、かみ合わせの問題を頭に置いて現状並びに今後の計画、そういうことで御答弁をいただければ幸いだと思うのです。
#137
○政府委員(松本守雄君) 沖縄の林業ということでございますが、いまここに民有林の資料につきまして手持ちがございません。たいへん失礼でございますが、国有林だけについて申し上げさせていただきたいと思います。
 国有林は三万八千ヘクタール、概数でございます。そのうち軍用地に八千ヘクタールばかり使用いたしております。それからあとは大きなもので部分林、ある会社と部分林契約をいたしておりますが、それが一万三千ヘクタール強、それから貸し付け地が二千ヘクタール、それからあとは県に貸しておるものが四千五百ヘクタールございますから、相当一つの権利関係が設定をされておる。それから森林資源の状況でございますが、見るべきものはほとんどないというのが実情でございます。
 それからただ一つの問題は、西表島に自然保護の要請が強く出ておるのです。西表島だけにはあの地帯特有の原生状態がいまだに残されておる。自然保護をどのような方向で将来持っていくか、また西表島の唯一の住民の生活の基礎でありますところの森林を伐採して開発をして仕事につくというその両方との調整をはかるのが一つの課題になっておる。
 いずれにしましても、戦前営林署がございまして、国有林として経営してまいっておりましたので、今後沖縄が復帰をするというのにあたりまして、その国有林をどうするかという問題は今後の政府のほうの方針その他からして、細部の受け入れのしかたは今後の検討すべき問題がございますが、一応国有林としては全面的に林野庁がお受けすることが一番よろしいのじゃないかということでいま目下関係方面と打ち合わせ中でございます。
#138
○杉原一雄君 もう一つは、先ほど質問した中で、当面しているこちらのほうで問題が幾つかありますね。あれは機械導入の問題とマングローブの問題とか農薬の散布の問題とかということを申し上げたわけですけれども、沖縄等におきましてはあるいは切り過ぎるとかあるいは乱伐し過ぎるとかその他の問題が現在あるかないかということですね、それを先ほどちょっと言ったのですが、明らかにしていないようですが、直ちにこちらが接収していく場合に、やはり行政努力をすぐそういう形で切りかえていかなければなりませんから、その辺のところはどうでしょうか。
#139
○政府委員(松本守雄君) ちょっと簡単に触れさせていただきましたが、沖縄の林業というものは全体的には戦争中戦後過伐、乱伐、また被害を受けまして、森林資源そのものにはほとんど見るべきものがないというふうに伺っております。ただ、残されておるのが西表島だけだった。したがいまして、今後の沖縄林業は育成林業、造林から始まる、このように考えてよろしいのではないかと思います。
#140
○杉原一雄君 長官、そうしますと、切りとったあと地が裸のところがあるわけですね。それについて育成をするという努力をとりあえず林野庁では努力目標になるというふうに伺っていいわけですね、もちろんまだ計画化してないでしょうけれども。その辺のところはそういうことなんですか。
#141
○政府委員(松本守雄君) 受け入れ後の森林経営の方向としてはそのようになるかと存じます。
#142
○杉原一雄君 自然、風土、気象等の関係から見ても有望な森林資源等の育成をおやりになるわけですから、その辺のところは本土と違った意味で期待できる。たとえばこちらではバナナがとれないが、向こうはバナナがとれるということであるように、森林資源の場合でも何か新しい期待というものはありますか。
#143
○政府委員(松本守雄君) 一言に申し上げて、期待はずれというか、あまり見るべき有望なものがないようでございます。といいますのは、いま先ほどちょっと触れましたように、西表島で開発が進められております。それはマングローブですか、その林をいま伐採をいたしまして、そのあとへ琉球松を植栽をする、これが二十年くらいの伐期を考えておるようですが、それ以上おきますと台風でやられてしまうというために、あまりいつまでもおけないということで、資源の量的には大を期待できないのではないか、このように聞いております。
 なお、必要とあれば計画課長が来ておりますから、計画課長、先般沖縄へ行って調査をしておりますので、説明をさせたいと思います。
#144
○説明員(猪野曠君) 沖縄の森林資源の将来性につきましては、私いま詳細な資料が手元にございませんので、私の頭の中に入れておりますことをもとにしまして御説明申し上げたいと思います。長官からも説明があったとおりでございますが、沖縄の現在置かれております森林資源の状態というものは決して見るべきものがございません。と申しますのは、沖縄本島におきましては、戦争によりましてほとんど南部のほうは根こそぎ砲弾のために荒らされたといったようなことがございます。また北部のほうにおきましても台風その他の関係あるいは地質、土壌等の関係からいたしまして、現在のところ戦中、戦後の乱伐というものがたたりまして、見るべきような資源内容にはなっておりません。ただその中で、西表島におきましては若干原生林といったような形で残されている資源がございます。こういったものが今後の開発対象になろうかと思いますが、ただ資源の実態からいいますと、やはり小径木を主体にしたようなものがほとんどでございます。大径木もございますけれども、大径木はほとんど菌が入っておりまして、中がうつろの状態になっておって、材質的には見るべきものがございません。しかし沖縄の立地条件からいたしまして、非常に高温多雨で、植物の成育には適しておる条件にございます。したがいまして、今後これに手を入れてまいりますと、資源的には潜在量といいますか、潜在生産力を顕在化する可能性はあろうかというふうに考えております。ただ、台風がしょっちゅう押し寄せてまいりますので、長い間おいておきまして樹高を高くいたしておきますと、これは倒されることになります。したがいまして琉球松が大体植栽樹種になろうかと思いますが、大体二十年くらいおいておくということで、伐期の総収穫量百六十立米くらいが期待できるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。いずれにいたしましても二十年で百六十立米でございますから、まあまあ内地のいいところと匹敵できるのではなかろうかというふうに考えております。
#145
○杉原一雄君 それでは最後に希望を申し述べ、大臣のほうからも所信を表明していただきたいと思いますが、私、食糧問題を論ずる場合でも何を論ずる場合でもそれには根本法が実はあるわけですから、農業基本法あり、食糧管理法あり、また林業の問題は幸い先輩の皆さんが林業基本法というのを昭和三十一年におつくりいただいておるわけですから、その第一条にもう一度立ち返りながら――いま私たちが審議しておるのは活用法案であります。でありますから、名前はすばらしく活用ということはで――活用ということばに文句はない、ことばには文句はないわけですが、活用から起こるいろいろな事態等については後ほど北村委員から詳細に御質問があると思いますが、きょうお伺いした限りにおいても、若干のやはり危惧はあるわけです。でありますから、第一条の原点に返りながら、もう一度考えを述べながら政府の腹がまえをはっきりお聞きしておきたい。
 第一条は言うまでもなく林業並びに林業従事者が国民の経済に対する貢献度、そのことが高くうたわれておるわけです。しかもそのことが結果的には森林資源の確保だとか国土の保全ということで第一条はうたわれているわけですが、林業と林業従事者と対置されているわけですから、林業従事者についてはこれが先ほど職業病という形で人権問題として一応指摘はしましたけれども、待遇改善その他の問題、こうしたこと等について活用法の中でそれこそ林業労働者の労働力をいかんなく活用するという方向でいわゆる行政努力を期待したいし、また資源問題等につきましては、先ほど長官の説明にもありましたとおり、外材の依存度をどんどん減らしていって、できれば九〇%国内自給というのが目標でございますから、これは単なる保護主義じゃなくて、次の国土保全の関連においてもぜひともそういう方向に年次的な的確な施策を進めていかれることを期待するわけです。そのことは直ちに払い下げすることによって効率があがるというようなことではおそらく私はないのじゃないかと思います。その点はやはり国有林という形態の中で、林野庁等が行政努力をすることの中に前進する可能性なり、ものが十分存在しているんじゃないか。
 その次に、国土保全の問題等につきましては、私はこの立法の過程の当時は、先ほども指摘したとおり大気汚染の問題とか水質汚濁の問題とか、こうした問題等が今日ほど政治の課題としては大きく取り上げられていなかったものだと思います。急に降ってわいた問題ではありませんけれども、いま去年の臨時国会以来国民としても非常に大きな関心を払って政府の努力に期待をしているわけですから、こうした任務をやはり森林の中に求めることはきわめて必然であり、効率的であり、望ましい形でありますから、国土保全という観点で自然環境破壊から守るということ、特にいま申し上げた俗に言う公害の問題、こういう問題に対処する一つの保健的な任務、いろいろな任務が森林に多様化し多くの多目的な期待がかけられているという事実、こういう事実等と、活用法が活用されていった過程においてそれと逆行するような事態がやはり私たち考えられないわけではないわけですから、そうしたこと等については、衆議院の決議もございますし、本委員会の審議の過程の中でも他の同僚委員の中からいろいろ貴重な意見が出てくると思いますから、私きょう初めてでございますから、一応予測をしながらそういう話をすることはきわめて失礼でありますけれども、そうしたこと等を含めて大臣等から今後のこの活用法運用にあたっての決意表明という形で、先ほどは所信をお伺いしているわけですけれども、いま一度念には念を入れてひとつ確固たるいま申し上げた森林資源の確保、国土保全、なかんずく自然環境破壊から守る、国民の命を、健康を守るということ等をも頭に置いて見解を表明していただければ幸いだと思います。これで私の質問を終わりたいと思います。
#146
○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘の点はきわめて大事な問題でありまして、私どもこの活用法案を御賛同を得て成立さしていただきましても、やはり国全体の国有林はもちろん、民有林も含めて国土の六八%、やや七割近くを占めております森林の待つ任務というものは御指摘のように非常に多いし、それからまた重大なものでありまして、われわれは先祖よりこれを受けてこれをどこまでも守っていくという義務が現在の日本人にはみんなの肩にかかっている問題であろうと思います。したがって、いまお願いいたしております活用法案にいたしましても、やはり国土のできるだけの効率的活用ということでありまして、最終目標はやはりいま御指摘のように国土の保全、それから国民健康のため、または全体としての緑を保護するというとうとい任務を全うしていかなければならぬということには変わりはないわけでありますから、そういう精神で林政を営んでまいる、こういうことの決意は政府としてもしっかり持っていかなければならないものであると、このように考えておる次第であります。
#147
○委員長(河口陽一君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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