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1970/05/13 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第15号
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1970/05/13 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第15号

#1
第065回国会 農林水産委員会 第15号
昭和四十六年五月十三日(木曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     津島 文治君     高橋雄之助君
     山下 春江君     西田 信一君
     矢山 有作君     中村 波男君
     向井 長年君     片山 武夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         河口 陽一君
    理 事
                亀井 善彰君
                杉原 一雄君
                沢田  実君
    委 員
               久次米健太郎君
                小枝 一雄君
                小林 国司君
                櫻井 志郎君
                高橋  衛君
                堀本 宜実君
                森 八三一君
                北村  暢君
                片山 武夫君
                河田 賢治君
   国務大臣
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
   政府委員
       農林政務次官   宮崎 正雄君
       農林省農政局長  中野 和仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十四年度及び昭和四十五年度における農
 林漁業団体職員共済組合法の規定による年金の
 額の改定に関する法律等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(河口陽一君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 昭和四十四年度及び昭和四十五年度における農林漁業団体職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣。
#3
○国務大臣(倉石忠雄君) 昭和四十四年度及び昭和四十五年度における農林漁業団体職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林漁業団体職員共済組合による給付の内容につきましては、既裁定年金の増額改定等逐年改善措置を講じているところでありますが、昭和四十六年度におきましても、国家公務員共済組合等他の共済組合制度に準じて、その給付の内容をさらに改善することといたした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
 第一は、昭和四十年九月以前の組合員期間を含む既裁定年金の年金額を、国家公務員給与の引き上げ及び物価の上昇を勘案して、引き上げることとしております。
 第二は、掛け金及び給付額の算定の基礎となる標準給与の月額の上限を、国家公務員共済組合の例に準じて引き上げることとしております。
 第三は、退職年金、障害年金及び遺族年金の最低保障額につきまして、国家公務員共済組合における年金の額の最低保障額の引き上げに準じて引き上げるとともに、通算退職年金の額のうちの定額部分につきましても、引き上げを行なうこととしております。
 このほか、遺族給付を受けることができる遺族の範囲の緩和及び明治四十四年四月一日以前に生まれた者の通算退職年金の受給要件の緩和を行なうこととしております。
 以上がこの法律案の提案の理由と主要な内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同をいただきますようにお願い申し上げます。
#4
○委員長(河口陽一君) 次に、補足説明及び関係資料の説明を聴取いたします。中野農政局長。
#5
○政府委員(中野和仁君) 昭和四十四年度及び昭和四十五年度における農林漁業団体職員共済組合法の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容について御説明申し上げます。
 まず、第一条は、既裁定年金のうち昭和四十年九月以前の組合員期間を含むものにつきまして、昭和四十五年度における改定の例に準じてその年金の額を改定しようとするものでありまして、組合員期間の各月における標準給与の月額に、昭和四十六年一月分から九月分までの年金につきましては別表第三にありますように一・九九二から一・〇三七までの率を、昭和四十六年十月分以後の年金につきましては別表第四にありますように二・一五九から一・一四までの率を乗じて、その年金の額を引き上げることとしております。
 次に、第二条は、農林漁業団体職員共済組合法の改正でありまして、まず第二十条の改正規定は、標準給与の月額について設けられている上限を現行の十五万円から十八万五千円に引き上げようとするものでありまして、これに伴い、現行の第三十四級までの標準給与表を第三十七級までに拡大することとしております。
 次に、第二十四条の改正規定は、遺族給付を受けることができる遺族の範囲を緩和しようとするものでありまして、組合員の配偶者は、組合員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していたかいなかを問わず、遺族年金等の受給権が発生するものとするものであります。
 第三に、第三十六条以降の改正規定は、年金の最低保障額等の引き上げでありまして、退職年金は十三万五千六百円から十五万円に、障害年金の一級は十六万五千八百円かち十八万三千六百円に、二級は十三万五千六百円から十五万円に、三級は九万六千円から十万五千六百円に、また遺族年金は十万五千六百円から十一万五千二百円にそれぞれ引き上げるとともに、通算退職年金につきましても、その算定の基礎となる定額部分を九万六千円から十一万四百円に引き上げることとしております。
 これらの引き上げの措置は、付則第七項におきまして、昭和三十九年十月以後に給付事由が発生したいわゆる新法の既裁定年金につきましても、昭和四十六年十一月分以後適用することとしております。
 第三条は、以上述べてまいりました年金の最低保障額の引き上げ等の措置を昭和三十九年九月以前の組合員期間等を有するいわゆる更新組合員についても適用するための規定の整備であります。
 第四条は、通算退職年金の受給要件の緩和を行なうものでありまして、明治四十四年四月一日以前に生まれた老齢者につきまして、通算対象期間を合算して十年以上である場合には、新たに、昭和四十六年十一月分から通算退職年金を支給することとしております。
 なお、この法律の施行期日につきましては、最低保障額等の引き上げ及び通算退職年金の受給要件の緩和措置は昭和四十六年十一月一日、その他は昭和四十六年十月一日としております。
 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明といたします。
 引き続きまして、この法律に関係いたしまして参考資料の御説明を簡単にさしていただきます。
 お手元に差し上げている資料によりまして申しげますが、まず一ページは農林年金の組合員数と標準給与の平均の月額を表示してございます。最近の昭和四十四年では農林年金の加入組合員は三十九万九千七百人、それの標準給与の平均月額は三万八千八十九円ということになっております。
 二ページは年度別の年金種別の裁定状況でございます。これはごらんいただけばおわかりいただけるかと思います。
 それから三ページは、同じく年度別の一時金の種別の裁定状況でございます。
 四ページは、年度別の掛け金収入及び給付費の支払い状況でございまして、順次掛け金収入、給付費がふえてまいっておりますので、昭和四十四年では掛け金収入は百六十四億七千四百万円、それに対しまして給付費が五十一億八百万円、ちょうど三〇・四%に当たっております。ちなみに四十五年度の大体概算を申し上げますと、もっとふえておりまして、掛け金収入が百九十二億、給付費が六十億ということになっておりまして、その比率は三一・五%と若干上がっておるわけでございます。それから年度別の積み立て金の累積状況でございますが、この表にもございますように、四十四年度で合計いたしまして九百七十一億七千五百万円ということになっておりますが、最近決算が出てまいりましたのによりますと、四十五年度末ではこの累計が千百九十一億一千四百万ということになって、百数十億ふえておるわけでございます。
 それから五ページにまいりまして標準給与表の変遷でございます。初めは下限が三千円、上限が五万二千円であったわけでございますが、それが現在では下限が一万二千円、上限が十五万円、今回お願いしております改正案によりましてこの上限を十八万五千円に上げたいということでございます。
 六ページにまいりまして、現在の掛け金の負担割合と掛け金率でございますが、負担割合は組合員と事業主が五〇対五〇、掛け金率は千分の九十六でございまして、組合員が四八、事業主が四八ということになっております。
 それから七ページにまいりまして、七ページは制度改正関係でございます。既裁定年金の額の改定におきます改定率の算出根拠が書いてございます。先ほど趣旨説明でも申し上げましたけれども、基準になっておりますのが昭和三十四年でございまして、これがことしの一月から九月までは一・九二九、それから下の欄にございます十月以降は二・〇九一という掛け金率でございます。それの算出根拠はここに示されておるわけでございます。
 八ページにまいりまして、今回改正をお願いしております最低保障額、本件につきましては表の調整がまずかったものですから別に差しかえをいたしまして資料を差し上げてございます。それをごらんいただければと思います。今回最低保障額を引き上げまして、先ほど申し上げましたとおりでございますが、特に今度は従来と違いまして昭和三十九年十月一日以降の新法期間までは最低保障額を一斉に引き上げまして、ただ旧法期間の分は上げられなかったということでございます。
 それから九ページにまいりまして、現在の農林年金の財源率が表示してございます。これによりますと、この表の九ページにございますように、数理的保険料が八五・四三%、整理資源率が二八・八二、国庫補助がございますのでそれを差し引きますと九五・九七ということでございます。それで先ほど申し上げましたように千分の九十六という掛け金率になっておるわけでございますが、この下のほうの欄にございますように、昭和四十四年、四十五年、また今回お願いしております改正案によりまして整理資源率がふえております、四十四年が四・九一、四十五年が〇・一二、今回の改正案によりましてこれが〇・七二ということでございまして、合計いたしまして五・七五という整理資源率がふえておるわけでございます。したがいまして、合計いたしまして一〇一・七二ということになるわけでございます。
 それから十ページ以降はこの農林年金が昭和三十四年にできまして以後何度か改正をしておる改正の経過を書いてございます。御参考に見ていただければ……以上でございます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(河口陽一君) この際委員の異動について報告いたします。
 昨日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠して片山武夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(河口陽一君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○北村暢君 今回の農林年金の改正はいま説明がありましたように、大体国家公務員共済組合に準じて改正がなされておりますが、大臣がおられる際に簡単に二、三だけお伺いいたしておきたいと思いますが、それは社会保障制度審議会の答申にありますように、今度の年金額の改定に当たりまして依然として恩給の改定に追従する方法を踏襲している、こういうことで社会保障制度審議会では昭和四十二年以降公的年金制度調整連絡会議というものが設けられて、そこで年金のあり方について何らかの結論を出すようにということで社会保障制度審議会では答申しているわけですが、これらの結論が出ていないのは怠慢であると、こういうふうに言っているわけです。一体、公的年金制度調整連絡会議で年金問題についての検討がどの程度なされ、また答申の趣旨に沿うた結論がいつごろ出るような見通しになっているのか、この点を第一点としてお伺いしておきたい。
#9
○国務大臣(倉石忠雄君) 社会保障制度審議会では、ただいまお話のような旨の御意見がありましたが、実は年金額の改定の方式につきましてはほかの共済組合制度との関係もございますので、政府では各省の関係局長を構成員といたします公的年金制度調整連絡会議というものを設けまして鋭意検討いたさしておるところでございますが、関係の制度を幾つかのグループに分けましてさらに検討を深めていくことにいたしてやらせておるわけであります。
#10
○北村暢君 検討されているようでありますが、これはまあ本年で三年連続、既裁定年金の改定を三年間やっておるわけです。そこでここ二、三年の法案に対する附帯決議の中にも常に出てくる問題なんで物価や社会情勢の変動に応じたスライド制をとるようにしろ、スライド制というものを取り入れたところの改定方法を具体化しろという意見がありますし、附帯決議にもそれがつけられている。で、いま御説明のありました公的年金制度調整連絡会議というところでこのスライド制による改定の方法というものが具体的にどういうふうに検討されているのか。そしてまたその結論を出すのに難点になっているのは、問題点になっているのはどういう点なのか。いかなる理由で結論がなかなか出ないのか。そこら辺のところの事情をひとつ説明をしていただきたい。
#11
○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘がありました調整連絡会議における検討の模様でございますが、これは議長が総理府でございます。委員に大蔵省、文部省、厚生省、農林省はじめ、年金に関係のある各省の局長がなっておるわけですが、最近の実情を申し上げますと、本年の一月二十日に一応中間的にこういう方法でやろうではないかという結論めいたものを出しておるわけでございます。それによりますと、本来国民の生活水準あるいは物価、給与等が変動してきました場合に年金額を改定するということは望ましい。したがって、いわばスライド的にものを考えることが望ましいことはそのとおりでございますが、さて中身を検討してみますと、各制度に共通します改定の基準なり方式ということを全部おしなべて一つの方式でやろうということでいろいろかかったわけでございますが、御承知のように各制度の年金の目的なり沿革なり、結局おい立ちがいろいろ固有の体系を持っているものですからなかなか一本の単純なスライドの方式というのは見つけかねるということになっておるわけでございます。
 そこで、先ほど大臣もお答えがございましたように、そういう基本的なことを頭に入れながら、各公的年金をグループ分けをいたしまして、たとえば国家公務員と地方公務員と、公企業体の共済制度を一つのグループにする。それから、農林年金と私学を一つのグループにする。厚生年金と国民年金を一つのグループにして、それぞれ共通なものをひとつめつけていこうではないかということにしておるわけでございますが、これにつきましてはやはりたとえば厚生年金におきましては毎年スライドをしていくということにもなっているのを一体どういうふうにするか、あるいは恩給等の関係についてどういうふうに再検討したらいいか、それから、どんどんスライドをしますと、これは将来の組合員に負担をかけるというようないろいろの問題にも留意しながら、ただいま申し上げましたように、年金額改定の基準と方式につきまして、各グループで共通性を見つけていこうということにもなっておるわけでございまして、これから具体的にこれを詰めていこうということにしております。ただ、残念ながら非常にいろんな制度がございますので、まだいつまでにそれができるかというめどが立っていないというのが現状でございます。
#12
○北村暢君 そこで、すぐ、いまの御説明でもありましたように、農林年金は私学共済と一つのグループにしてやろうと、まあそういうことのようですが、成立の要件なり何なりで、その共通した年金をグループにするというのですが、どうも私学共済と常に比較せられておるのですが、年金額をみましても、私学共済にしても、農林共済にしても非常に低いわけですね。退職年金は、これが低いのは――まあ一番低いのが厚生年金のようでありますけれども、その次に次いで低いのがこの農林年金、私学等も低いわけです。それから遺族年金に至っては、これは農林年金が最低である。で、年金額がこういうふうに農林年金の場合低いわけですけれども、この低い原因ですね、これはもちろん基準になる報酬月額が低いからなんでしょうけれども、他に何か特別な原因等があるのですか、私学と農林年金とを一つのグループにするというのは。何かこう見ると、低いところが一緒になったというふうにしか受け取れないわけですけれども、グループにしたいきさつ、内容的なものがおわかりになっていれば御説明いただきたい。
#13
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、現在の平均的にもらっております年金額につきましては、国家公務員あるいは地方公務員に比べまして、私学あるいは農林年金は低いわけでございます。その最大の原因は、ただいま御指摘のように、これは平均の給与が低いというところにあろうかと思います。制度的には、数次の改正をやりまして、大体ほかのこまかい点につきましては、また違いがあるわけでございますが、ほかの制度とのバランスをとってきておりますので、それほどの差はないわけでございますが、やはり給与が低いのが大きな原因ではないかと思います。
 それから、私学と農林年金とをくっつけて考えましたのは、国家公務員共済につきましては、恩給からのつながりということが非常にあるという特色を持っております。われわれのほうは、厚生年金から独立したというふうなかっこうをとっております。若干、その間における違いがあるので、そういう区分けを一応各省の間で、めどとしてしたというわけでございます。
#14
○北村暢君 そこで、農林漁業団体の給与の実態なんですが、給与水準の改善をするということについて、昨年の衆議院の農林水産委員会の附帯決議で、農林当局は給与水準の改善について適切な指導をせいと、こういう決議がついているわけです。で、これは農業団体が自主的に給与をきめているんですから、どういうふうな直接的な指導が行なわれるのかどうかわかりませんが、この附帯決議との関係からいって、農林当局はどういう指導をされたのか、また指導をするということが可能なのかどうなのか、そこら辺のところの事情を若干説明をしていただきたい。
#15
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のように、農林漁業団体の給与が現状、市町村段階で比べましても、役場の職員よりは低いということになっておるわけでございますが、これは行政といたしまして、そういう団体に対しまして、給与を引き上げろというような指示はできかねるということは御指摘のとおりであります。やはり基本的には、農業団体の経営基盤を強化する必要があるわけでございまして、現在農協の合併を進めておりますが、ただいまのところ、かつて一万数千ありました総合農協が、いま六千ということになっております。まだ地域によりましては小さいまま残っておる。全国平均的に見ましても、組合員一千というのが大体平均になっておりますが、やはりこれはもう少し大きくしなければならぬだろうということで、われわれといたしましては、合併を進めることによりまして経営基盤の充実強化をはかるということが一つ。それから、少しこまかい話になりますけれども、やはり組合によりましては、給与の関係での規定の整備というのが欠けておるという面がございます。そういう給与規定等の整備をするということ、それからそういう面との関連がございまして、これはあるいは後ほどお話が出るかと思いますけれども、労働基準法との関係がございます。やはりそういう面からも、組合がこれを守っていく方法をやるほうがいいんではないかということ等を指導してまいりたいと考えておるわけであります。
#16
○北村暢君 そういう点で指導してまいりたいというので、実際に何らかの指示とか何とかやったんですが、まいりたいということは、これは将来やるということなんですか、どうですか。
#17
○政府委員(中野和仁君) 合併の問題にしましても、給与体系の問題にしましても、かねがねそういう指示をしているわけです。で、農林年金との関連で特別に指示をしたということはただいまのところございません。一般論としての指導でございます。
#18
○北村暢君 どうも、見まして、最大の組合員数を持っている単協が非常に低い。それから県連、全国連、これに分けて見ますと、大体農協職員は、市町村職員あるいは県の職員、国家公務員等の比較でどのようになっているか、おわかりになってたら、その点をひとつお知らせを願いたい。
#19
○政府委員(中野和仁君) 四十四年度末の数字で申し上げたいと思いますが、町村段階では、農林年金の組合員の平均の給与水準は三万五千五百六十一円であります。これに対しまして町村の公務員の平均は、四万六千百四十四円ということになります。それから県の段階におきましては、農林年金の組合員が四万七千七百三十七円、県段階の地方公務員は五万七千三百七十五円、全国段階におきましては、農林年金の組合員が六万百八十六円、これに対しまして国家公務員の平均が五万二千三百九十五円ということになっています。ただ、この数字は平均をいたしました関係でございますが、やはりそれぞれの団体の特色がございまして、勤続年数等も公務員があるいは長い場合が多いかと思いますのですが、概略申し上げますと以上のとおりでございます。
#20
○北村暢君 全国連の給与の平均は幾らですか。
#21
○政府委員(中野和仁君) 六万百八十六円でございます。
#22
○北村暢君 そういたしますと、全国連は、大体国家公務員のいまの申された数字では二千百円かそこらの線ですね。ところが県連の場合、約九千円開いている。ところが県連段階の、県の段階の地方公務員というのは、いま五万七千三百七十五円と言いましたけれども、実際にはこれはそういう比較でいいのかどうなのか。これは市町村によりましても、地方公務員の共済の一人当たりの平均報酬額は――国家公務員が平均が五万二千三百九十五円、これも昭和四十四年度ですね。それで地方公務員が五万六千七百六十六円で地方公務員のほうが国家公務員より実際は高いんですよね。それが全国段階における六万二千五百円という国家公務員の平均というんですけれども、どうもこれ数字が一致しておらないように思われるんです。そういう比較でいいのかどうなのかという問題。それから単協というのは――これ市町村職員の給与の、平均だと思うんですが、そういう市町村職員と比較して単協の職員は約一万円以上低いという結果になっていますね。したがって、私のいま聞きたいことは、いま申された数字が、これもいま四十四年度という説明でございましたから、四十四年度の社会保険被保険者一人当たり平均報酬月額というのが、これは社会保障の統計年報から出ている資料が出ておりますが、それによると地方公務員のほうが国家公務員より高い。ところがいまの説明ですというと、県段階等の職員では公務員よりずっと低くなっていますね。その点が一つと、それからいま報告された数字に基づいても単協段階が一万円以上低い、こういう点について、低い原因等についておわかりになっていれば説明をいただきたい。
#23
○政府委員(中野和仁君) 低い原因につきましては、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、やはりそれぞれの企業体あるいは県、それから市町村の役場というものの給与体系の差、それから出てくるかと思いますが、これは総平均をしておりますので、ちょっといま手元に資料ございませんけれども、それぞれの勤続年数が非常に役場のほうが長ければ高く出てくるということもあろうかと思いますが、結果としては御指摘のようにそういう数字になっておるわけでございます。
#24
○北村暢君 県連段階の数字はこれちょっと、私先ほど言いましたように、国家公務員よりも地方公務員のほうが給与高いんじゃないかと思うんですがね。その点は比較されたものの数字がちょっと私には理解できないからお伺いしたんですが、これで、県段階の地方公務員が五万七千三百七十五円ということなんですか。
#25
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたのは、県段階の数字が五万七千三百七十五円でございます。先ほど先生がおとりになりました社会保障統計年報によります地方公務員の場合は、これは町村と県と両方入っての数字にも思えるわけです。そうしますと、やっぱり県段階が高くて町村段階がそれより低くて、平均しますと五万六千円くらいというふうに思えるわけでございます。それから国家公務員の場合は五万二千三百九十五円ということを申し上げたわけでございますが、これは扶養手当、調整手当を除いた数字でございまして、それを入れますとやはり六万くらいにはなるわけでございます。
#26
○北村暢君 失礼しました。そうすると、五万二千幾らというのは国家公務員の数字を言われているわけですね、五万二千三百九十五円ですか。そうすると全国連段階は国家公務員より高いと、こういうことに比較としてはなるのですね。そういうことですね。
#27
○政府委員(中野和仁君) そのとおりでございます。
#28
○北村暢君 そうしますと、ここでやっぱり問題になるのは、全国連は国家公務員の平均よりも高い、県連段階は九千円ばかりの差がある、単協はさらに一万円以上の差がある、こういう結果に比較としてはなっておりますね。そこで農協の場合の給与の低いのは女子職員が、まあ三〇%以上女子職員。しかも最近女子職員が非常に多くなる傾向にある。その女子職員の給与が非常に低いですね、これ。もう問題にならない、低いわけです。したがってこれは国家公務員の場合も地方公務員の場合も男女のこの給与の差というものは認めていないわけですね。ところが農協の職員においてはこれは男子と女子との給与の差というものが非常にあるように思われます。まず半分でないかと思われます。半分近いようでありますが、もちろんこれは勤続年数との関係があるようでございますけれども、勤続年数にいたしましても、大体女子職員の勤続年数の平均がどのくらいになっておりますか、四年かそこらじゃなかったかと思うんですけれども、平均組合員としての期間が女子が四年八ヵ月、男子が九年八ヵ月というような状態で、定着率が非常に低いようですね。結局するところこれはいま申したようにこの男子と女子の給与の差が非常にあるということと、組合員としての期間が女子のほうがやや半分ですね、これまた。そういう点もあるのでしょう。しかし相対的にいって男子も女子も組合員としての期間が他の公的年金の対象組合と比較してこれまた非常に劣っているんじゃないかと。したがってこれはまあ給与も低いからやめる人が非常に多くなるということもあらわれているのじゃないかと思いますがね。そういう点からいってこの労働基準法を守るとかなんとかいう問題もありましょうけれども、単協段階の職員の給与というものはいわば農家兼業的な考え方で、まあ、少々安くてもいいというようなことが根本にあるのではないか。もちろんこれは農業協同組合ですから、組合全体の財政の問題からいって、給与を上げたくても上げられないという組合もおそらく、もちろんあるだろうと思います。あるだろうと思いますが、観念的に安い賃金でもよろしいのだという感じがあるのではないかというふうに思われるのですが、そこら辺の事情はどのように判断されているか、ひとつ給与の改善についての指導する上において重要なことですから、考え方を聞いておきたい。
#29
○政府委員(中野和仁君) 戦前ではあるいは村の共同体だから安くてもいいというようなことがあったかと思います。それがただいままで尾を引いてる面もあるいはないことはないと私も思いますけれども、やはり私のほうにも先般農協労連の方々が見えまして、いろいろ話し合いをしたこともあるわけでございますが、その方々の話を聞いておりましてもだんだんそういう点では目ざめてきておって、当局側にいろいろな要求もしておられるということでございますので、そういう労使関係というものは大きな企業体等と比べますればまだそういう近代化はしてない面が多いかと思いますけれども、やはりそういう近代的な労使関係になっていくことが望ましいというふうに私は考えるわけでございます。で、ただ先ほども御指摘がありましたように、男子は平均しまして三十七歳ぐらいが農協の平均になっているようでございますが、女子は二十七歳ぐらいということで、御指摘のように給与差も非常にあるということもただいま御指摘がありましたとおりだと私は思います。
#30
○北村暢君 ですから農林省の指導としては、これは年金の関係から言えば、公的年金がだんだん統合されていくという、将来ですがね、そういう性格を持っているわけですね。先ほどの説明では私学のグループであるということで一応やるということですが、今度の改正も国家公務員の共済の会計に準じてやるということですから、同じことをやっていくわけですね、法律の制度的な問題について。それが一つにできないというのは発生の過程が違うとかなんとかということでありますけれども、最大の問題は、一緒にできないのは年金額が低いとかなんとかという問題がやはり問題になるだろうと思うんです。で、やはりそういう面における改善ということが積み重ねられていかないというと、この年金の統合なんというものは言うべくしてなかなかできないんじゃないかと思われる。そういう点からいって標準給与額を引き上げていくことが当然だと思うんです。ということは、これは社会保障制度の一環としての問題ですから、結局農協の職員の年金額と他の職員の年金額が非常に差がある、非常に差があるということは、これはどうも社会保障制度全体との関係からいえばどうも矛盾しているように思われる。で、年金でありますから、五十五歳から年金が支給されるという場合に、農協職員と国家公務員との差で非常に大きな差が出てくる。年金額について片一方の地方公務員共済の退職年金では約三十五万であるのに、農林年金は十八万四千円幾らということで、もう十両万の差があるわけですね。したがって、これは年金を受ける者からすれば、こういう差があるということはそもそもおかしいわけですね。ですから、これを改善していくためには、どうしても基本になる給与というものを改善していかなけりゃならないという点からいっても、この給与を引き上げていくということについては私はやはり少々の努力ではこれは追いつかないのじゃないかというふうに思われるんです。
 そこで給与の引き上げ率等も見ますというと、大体一般公務員並み、いま努力のあとも見えますけれども、対前年度の上昇率をずっと見ますというと、常に低いものを引き上げていくというような形にはなってない。逆に一般の他の公的年金の受給者の、構成されている職員の上昇率よりも逆に低い状態にある。これは常に低いのじゃないかと思われるのですが、それではもう差がどんどんついていく一方であるということなんですが、そういうことでは年金としての差を縮めていくというようなことには全然ならないのじゃないか、このように思うのです。ですから、そういう面からいくというと、農林省の指導が、毎年毎年格差が開いていくような状況にあるのに、指導をするということになっているが、指導は先ほど言ったような抽象的な指導だけで、実際的に引き上げるということにはなっていかない、差が縮まるということにはならないのじゃないか、このように思われるんです。したがって、四十年度以降でも他の団体との比較で給与の上昇率、格差が縮まるような形に私はなっていないと思いますが、その実態はどのようであるかをいかように把握されているか、お伺いしたい。
#31
○政府委員(中野和仁君) 最近の各制度別の給与の月額の平均を見てみますと、農林年金の場合は昭和四十二年が三万ちょっとでございました。それが四十四年は三万八千円になっております。それに対しまして地方公務員は当時四万五千円、それが五万七千円となっておりまして、率的にはそれほどの差はないのじゃないかという気もいたしますけれども、絶対額につきましては、かなりの差が出ております。なお、ちなみに私学は四十二年では三万六千六百円程度のものが四万五千になっておるというふうな状況でございまして、先ほどもちょっと触れましたように、農協の経営基盤の強化が、特に生産調整その他の影響もございましてなかなかむずかしいもんですから、職員の給与をどんどん上げるということは非常にむずかしいとは思いますけれども、やはり有能な人を集めませんと、なかなか、これからむずかしい農業情勢に対応していくためにはますますこの有能な人材を必要としますので、われわれとしましては何とかその辺がうまくいくようにということを念願しているわけでございます。ただ、役所のほうから公務員のべースアップが、たとえば一〇%だったから農協もみな一〇%上げる、そういう具体的な数字を示しての指導はなかなかいたしかねる。非常に間接的ではございますけれども、先ほど申しました経営基盤の強化というようなことで、結果としまして相当な給与が職員に払えるという方向に持っていくべきだというふうに考えております。なかなかそういう資料も集めにくいわけでございますが、最近の合併の状況等の事例を見ますと、やはり合併後何年かたってまいりますと、昔の小さな組合のときよりは給与はよくなっているという事例もあるわけでございまして、やはり基本的にはそういう基盤の強化ということが必要だというふうに私は考えておるわけでございます。
#32
○北村暢君 農協職員の給与もだんだん改善されていることは事実、ここに出ているとおりですから。ですけれども、しかし相当差があることはこれ事実ですし、いま申したように、改善の方向というものはやはり指導するといっても、いま言われたような抽象的な指導しか、もちろん、直接給与をきめているわけではないですからできないことはもちろんでしょう。しかし、ものの考え方として、農協職員といえども兼業収入があるから給与は安くていいんだという、こういう観念、これは従来あるようですからね、こういう観念はやはり改めて近代的な雇用関係というものをやっていく、そのために労働条件等を前提にしたところの考え方で行かなければいけないのじゃないかというふうに思います。それは農業協同組合、農民の立場からすれば、農民の団体なんですから、そこで使う職員であるということで、これは農民との均衡という問題ももちろん出てくるのかもしれませんけれども、しかし団体として、この事業を運営する上においては、それ相当の待遇をするということを前提にやはり考えていかなければならない。そこに根本の問題があるような気がするのです。そういうような点で、特にこの単協段階というのは非常にむずかしいのだろうと思います、組合財政の上から言って。と思うのですが、やはり世間並みの待遇をするという努力目標を置いてやっていくのと、まあ農協だから、あるいは兼業があるのだから安くていい、こういう観念というものはやはり改めさせていくということを当然指導しなければならないのじゃないか、このように思いますので、そういう点について、指導の方向として、私のいま申したようなことが織り込まれていくのかどうなのか、私の偏見なのか、この点について当局の意見をお伺いしておきたいと思います。
#33
○政府委員(中野和仁君) 御指摘のことを基本的には私も間違っているとは思いません。兼業収入があるから給与は低くてよろしいということでは、なかなか有能な人材は集まってまいりません。やはり世間並みといいましょうか、そういう給与が支払われるということが必要ではないかというように思います。農林年金との関係から、直接にそういうことにしろということはなかなか農林省としても言いにくい面もございますが、先ほど申しましたように、経営基盤の強化をはかるということは、やはりこれは労使関係の近代化も含んででのことであろうかと私も考えますから、基本的にはそういう方向が正しいのじゃないかと思います。
#34
○北村暢君 そこで全国段階の給与と関連をいたしまして、農林年金の職員、年金のあそこの職員ですね、職員の給与は、全国段階の職員の給与と比較してどのようになっているか、平均どのようになっているか、お伺いしたい。年金の職員です。
#35
○政府委員(中野和仁君) 申しわけございませんが、ただいま資料をここに持ってきておりませんので、すぐ問い合わせましてお答え申し上げたいと思います。
#36
○北村暢君 そうすると男女別の人員構成とか給与の平均、こういうものはちょっとわからないわけですね。
#37
○政府委員(中野和仁君) ただいまそれを含めまして、後刻申し上げたいと思います。
#38
○北村暢君 これもひとつお伺いしておきますが、先ほど申したように女子職員がふえる傾向にある。で、昭和三十四年が二九・七%の女子職員の占有率であったのが、四十匹年では三七・二%が女子職員、年々歳々女子職員の占有率が多くなっている。これは農家の婦女子化傾向と同じような傾向をたどっているような感じがするのです。先ほど来優秀な農協職員を確保するというためにも給与改善をやると言っているのですが、この三〇%以下であったものが三七%以上、四〇%近く女子職員になったという傾向、これは農協職員の質の低下というのですか、女子職員が必ずしも能率が悪いというふうには言えないのでしょうけれども、どちらかといえば有能な男子職員が比率からいえば減っていっている、こういうふうに見られるのですけれども、この傾向に対してどのような原因でこういうふうなことになっているのか、どういうふうに把握されているか、そうして何らかの対策というものが考えられているのかどうか、この点をお伺いしておきたい。
#39
○政府委員(中野和仁君) 数字的にはあるいは先ほどもおっしゃいましたとおりだと思います。ただ農協が、私、的確な数字を持っておるわけじゃございませんが、やはり戦後の高等学校の拡大というようなことから女子の教育が進んでまいりまして、非常につとめに出るというようなことは、これは農協だけではありませんで、全般的な日本の労働力需給の中でそういうことになってきたんではないかと思います。特別に農協だけが単に人数的にふえているのではないのではないかというふうに思います。したがいまして、特に農協の女子職員がこういうふうにふえている原因を的確に究明するための調査は、申しわけありませんけれども、やっておりません。したがって、一般論でしか申し上げられないわけでございます。ただ、対策はどうかということになりますと、これも具体的にいままでそういう女子職員が多いとか少ないとかというために対策を役所の指導としていたしたことはございませんが、先ほどもお話がありましたように、女子職員は結婚してやめるというのが多いわけでございます。平均的な組合員期間が四年、男子は九年ということになっておるようなことからしまして、やはり女子職員の定着化ということも必要かと思います。しかしながら、今度の国家公務員共済組合の一部改正でも行なわれておりますが、女子職員はやはり何といいましてもつとめてすぐやめてしまうということで一時金をもらってやめるというのが非常に多いわけでございます。そのために社会保障制度審議会ではあまり積極的といいますか、消極的な御意見であったようでございますが、今回もまた五年間退職金から控除する、保留を五年間延長しまして女子だけは選択制を認めたというようなことになっておるわけでございます。なかなか急に農協だけの定着化というのもむずかしいのではないかという現状だというふうに判断をしておるわけでございます。
#40
○北村暢君 次に、既裁定年金額の改定についてお伺いいたしますが、今回の既裁定年金額の改定が消費者物価の上昇、生活水準の向上に見合うものであるかどうかということについて、これは若干意見のあるところだと思います。そこで物価との関係、生活水準との関係についてどのように配慮されて今度の改定額がきめられたのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
#41
○政府委員(中野和仁君) ただいまの、今回改正をお願いしております計算の基礎でございますが、これは消費者物価指数をとりますと、前年に比べまして一・〇六四ということになるわけでございます。それから一方、公務員給与の上昇は一・〇九七でございます。そこで実質的な公務員給与の上昇と申しますのは、その差額でございますが、〇・〇三三ということになります。そこで、これは国家公務員共済その他に準じているわけでございますが、実質的な国家公務員給与の上昇の六割をとりますと、それが大体〇・〇二ということになるわけでございます。そこで先ほど申し上げました一・〇六四と〇・〇二を足しますと一・〇八四ということになります。これを昨年まで上げてまいりました率に乗じまして二・〇九一ということになっているわけでございますが、今回は、昨年も御議論がありましたように、特に国家公務員給与の実質上昇率を全部盛り込みませんで、半分積み残したわけでございますが、御提案しておりますように、一月から九月まではその〇・〇二二五という数字を上のせをまずやりまして、それからあと先ほど申し上げました二・〇九一という引き上げ額にいたしたわけでございまして、消費者物価指数と国家公務員給与の実質的な上昇分の六割分を盛り込んで引き上げ率ということにいたしております。
#42
○北村暢君 その六割というのは、今度はどういう理由なんですか。
#43
○政府委員(中野和仁君) その六割は農林省で発明した六割ではありませんが、われわれの聞くところによりますと、給与の上昇の中で生活費、生活面での上昇というか、これは六割に当たる、あとの四割というのは職務給といいますか、そういうものでの上昇、だからそれは除くのだということで過去、作業が進められてきているようでございます。
#44
○北村暢君 そこで、この改定にあたりまして、今回の場合、既裁定年金者の改定と新規裁定との間の格差、これは給付額の算定の基礎となる標準給与の改定の頭打ちがあるので、新規裁定との間の格差が出てくるのでありますが、この点は格差が出てくることははっきりしているのですが、この格差があるということがどうも納得がいかないわけです。で、頭打ちを今度の改定で四十四年十月以前の発生年金に対しては十一万円、それから四十六年九月以前発生のものは十五万円と頭打ちしているのですが、新規発生のものは十八万円ということで、この新規発生の十八万円との間に明らかに差がついてくる。で、社会保障という面からいけばこれは各年金共通していることでありましょうけれども、どうも格差をつけるという理由が私どもわからない。それでこの附帯決議でもこの格差を解消をしろということが毎回うたわれているのですがね。そしてまた、これは新法による適用者で、旧法の人はこの恩典に浴さないわけであります。これはあとからもまたお伺いしますが、まずこの格差をつけるという妥当性、理論的根拠は一体どういうところに、どういう理由でこういう格差をつけるのか、この点が疑問に思いまするので、御説明をいただきたい。
#45
○政府委員(中野和仁君) ただいまの既裁定年金につきましての格差の問題でございますが、御承知のように、これは四十四年十月以前では十一万円になっているわけでございます。これは年金額の改定にあたりましても原則として年金の裁定された時点における標準給与の上限ということにしておることからきておるわけでございます。ただ、昭和四十四年度の改定の際には、昭和三十九年九月以前の標準給与の上限は当時五万二千円だったわけでございますが、ここ数年物価あるいは公務員給与によりまして既裁定年金の年金額を改定をしておりますが、そういう改定をしましてベースアップをするということになりますと、五万二千円ではすぐに頭打ちになりましてベースアップの意味がなくなる。その後の物価上昇が激しいということから、五万二千円の当時のものも十一万円まで上げるということにしたわけでございます。上げましたあと、実態を見てみますと、若干十一万円に引っかかるという者もあるわけでございますが、これは全体から見れば非常に少ないということになりまして、今回まだ特別の措置がとれなかったわけでございます。ただ、今後の経済情勢の推移にもよりますけれども、何年かたちまして、十一万円というものを置いておきますと、実質的にベースアップしてもすぐ頭打ちになって意味がないということになりますれば、かつて五万二千円を十一万に引き上げましたのと同じように、これは引き上げるべきだというふうに私たちは考えているわけでございますが、本年の改正におきましては、ただいま申し上げましたように、十一万円ということはまだ引き上げの段階ではないということが結論になりまして上げられなかったわけでございます。
#46
○北村暢君 いまの引き上げられない理由はそういうことのようですが、しかしこのことは、その年金の給付額そのものが国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合にはすみやかに改定の処置が講ぜられなければならないという法律の趣旨がありますね。そうしますと、最近の物価のこの値上がりというものはこれはもう全く異常である。ですから、この年金の裁定額も三年連続してこれは改定されているわけですね。そういう意味から言えば、これは私はいまの申された理由というものは、まだその頭打ちが近くくるだろうけれども、まだ来ないからということで改定されなかったということは、ちょっとこれは納得しかねるのであって、これはやはり新規の裁定のものと相当の差があるわけですから、年金生活者からすれば当然これは不満が出てまいりますし、要求も出てくるだろうと思うのです。で、これは大きな原因はやはり財源にあるのかという感じがするのですけれども、財源とは関係があまりないのかどうか。法律の精神から言えば、私はやはり頭打ちは解消して新規の者との均衡をとるというのが精神ではないかと、こう思うのですけれどもね。そこら辺の事情をもう一度ひとつ。
#47
○政府委員(中野和仁君) 事情は先ほども申し上げたわけでございますが、現在の段階におきます物価上昇あるいは生活水準の上昇から見まして、十一万円の頭打ちで非常に困るというのは若干しかございません。そこでまだこれを十一万円を十五万円に上げるとか十八万五千円にするという迫力がなかったわけでございますが、物価の上昇はこれからも続くし、生活水準も上がるというようなことになってまいりましたときには、これはぜひとも上げなければならぬのではないかというふうに考えているわけでございます。いま御指摘のように、この数字は財源で非常に大きな額になるかということになりますと、現段階におきましてはまだそんなに大きな財源を要するということでもございません。ただ、農林年金につきましてはそういうことでございますが、これは実は国家公務員共済その他全部横並びでございまして、それを全部合計しますとなかなか相当な額になるのではないかと推測されます。そこで大蔵省との予算段階での折衝、われわれは当初要求としましてはこれははずそうという要求をしたわけでございます。なかなかそうはいかなかったのが実情でございます。そこで来年すぐそういうことがやれるかどうか、これはまだなかなか全体との関連がございますので、言えませんけれども、われわれとしましては、御指摘のように、最低の生活が営めるという趣旨からしますと、その頭打ちが絶対にこれは必要だという制度的な理屈もまあないかとも思いますので、その辺の実態を見ながら今後努力をいたしたいと思うわけでございます。
 ただ、一つ問題になりますのは、既裁定年金についてベースアップをするということは、理論的には後年組合員になりました方々の一部負担に帰するということもございますので、ただ社会福祉だからといって過去に十一万円、当時は十一万円までに応ずる掛け金しか払っておりませんので、物価が上がるだけどんどん上げるということとの関連ということになりますと、そちらのほうの財源関係あるいは後年組合員との負担率もいずれ再計算というときには考えるということにも発展してまいりますので、その辺の事情をいろいろ考えました上で今後努力をいたしたいと思います。
#48
○北村暢君 掛け金をかけていなかったのだからということになるのですが、しかし、この物価上昇というのは、年金受給者のせいではないのですよね。物価の上昇ということは、これは政府の政策がよかったり悪かったりで上昇したり――物価の上昇ということが起こるわけです。一番やはり年金受給者にとって生活の脅威を感ずるのは物価の上昇でしょう。掛け金を少ししかかけていないのだから物価の上昇分はがまんしなさいということは、これはちょっとやはり年金受給者にとっては非常に苛酷だと私は思うのです。苛酷だと思う。結局これは最低生活ができるようにまあ最低保障の保障額の問題はあとで触れますけれども、とにかく年金というものの性格からいってスライド制というのを主張しているのはそこら辺にあるのであって、先ほどもまあこのスライド制をとっていくというと、物価の関係からいって、既裁定年金額の改定をやる際に、必ずこの財政負担というものが出てくる。それがいまの年金制度では掛け金というものであるから、将来の年金受給者が既受給者の年金を負担する結果になる。これも若干はそうでありましょうけれども、そういう面について私どもは政府の負担額をふやせと、こういうふうな主張をしているわけでね。したがってそういう点からいえば、これは十分とはいえないけれども、いまおっしゃる掛け金が少ないのだから少なくていいという、まあ端的にそうはおっしゃられませんでしたが、そういう観念というものは私はやはり年金受給者にとっては非常に酷ではないかと思うのです。そういう点で後ほどこの財政負担の問題についても質問しますけれども、そういう点で考え方としてはいまの説明に若干納得がいかない点があるわけです。でありますから、この点はやはり運用上からいって頭打ちをしているものについては解消するという方向に努力をされることを期待いたしたいと思うのです。
 そこで最低保障額の引き上げでありますが、引き上げの問題ですが、今度の最低保障額は新法の適用者についてだけ恩典はありますけれども、旧法による既裁定年金者はその恩典に浴してないという点について、これは衆参の前回の附帯決議においても問題にされて、新法並みに旧法適用者のものも引き上げるべきである。こういうことになっているのですが、今回もまたこの改正の恩典を浴してないわけです。これはいかなる理由でこういうことになったのかという点について説明をいただきたい。
#49
○政府委員(中野和仁君) 最低保障額の問題につきましては、昨年の当委員会の附帯決議におきましても、新法の水準まで引き上げるように改善しろという御決議があったわけでございます。われわれ本年の改正案をつくるまでに努力をしたわけであります。従来でありますと、新規裁定から最低保障額を引き上げるということでございましたが、今回は新法以後の既裁定者、したがいまして昭和三十九年十月以降の既裁定者についても最低保障額を引き上げたわけでございます。ところが三十九年十月以前の旧法時代の既裁定者につきましては最低保障額が引き上げられなかったわけでございます。その点につきましては、一歩前進ではあったわけでございますが、旧法に及ばなかったということになったわけでございます。その理由あるいは弁解がましい理由になることかと思いますが、実は農林年金制度が発足しました旧法というのは旧国家公務員共済組合法に準じてつくられておりまして、それがまた恩給法に準じてつくられているということがございました。ところが今回恩給制度につきましてのいろいろな改定の議論があったようでございますが、恩給におきまして、長期在職者の特例としまして、最低保障額にこれも当たるものでございますが、それがいろいろ論議の末、今回は改定をしないということになったわけでございます。そういうことになりますと、国家公務員につきましても、旧法の年金受給者の最低保障額の引き上げができない、それの横並びというような関係で、旧法まで及ばなかったという結果に残念ながらなったのが経緯でござ
 います。
#50
○北村暢君 そうしますと、予算要求の段階でも、農林省当局としてはこの附帯決議の趣旨に従って努力をしたが、結果的には実現しなかった。しない理由についてはいまお伺いしましたが、その中でもこの二十年未満の遺族年金が一万九千円である、これは福祉年金よりも低い状態にある、実情に全然沿わない、こういう状態でこの点についても、特にこの二十年未満のものについては遺族年金については特に引き出して、これは附帯決議でもうたってあるけれども、一体、そういう努力をしたのですか。今回の衆議院の附帯決議を見ましてもこの点がうたわれておりますし、旧法時代の既裁定年金も新法並みに引き上げるということも附帯決議でいっていないという点からいって、こういう附帯決議を前回もつけ、今回もつけているのですが、将来この旧法に及ぶ可能性というものはあるのかないのか。
 どうも聞くところによると、大蔵省はそれを拒否するに相当な理由があるし、なかなか納得しない。しかしながら、農林当局としてはこれを要求する上においては、要求するだけのやはり理由があって要求していると思うのですね。したがって、これはその理由が大蔵省を納得させ得られない結果が今日の状態だろうと思うのです。一体これは理論的にいって、私もあまりわかりませんが、将来大蔵省と論争をやって実現する可能性というものがあるのかないのかということなんですよ。毎回これ、附帯決議つけて、つけっぱなしで、実施ができないというのじゃ、さっぱり権威がないことになるのでありまして、農林当局も要求はするけれども、まず通らないことを見越して、附帯決議にあるから要求するという程度のものでは、私は意味がないと思うのです。そういう意味において、あなた方が大蔵当局にこの附帯決議の精神に沿って要求する上においては、それなりの理由があると思うのですけれども、そこら辺のところのいきさつは一体どういうことなのか、見通し等について、少し御説明をいただきたい。
#51
○政府委員(中野和仁君) ただいまの一万九千円の問題でございますが、いかにも最低保障額としては、これは衆議院でもこの前もずいぶんおしかりをこうむったわけでございます。一万九千円、月に直すと幾らかというと千六百円、こんなもので最低保障したのか、こういうことになりますので、この数字自体については、当然農林省としましても低過ぎることはわかっております、大蔵省自身もこの数字でこれでいいんだというふうには思っていないのです。いないのですが、先ほど申し上げましたように、今回の改正が旧法まで及ばなくて、新法に限ったということになったわけでございますが、新法の場合でも二万一千三百六十円というのはあったわけですが、最低保障額というのは今回は十一万五千二百円まで引き上げられたのです。したがって、旧法だから未来永劫、私はだめだという判断はしておりません。しかし農林年金だけから言いますと、一万九千円をいただいておる程度の、こういう低い額しかいただいておられない方は数百名しかおりません。このこと自体で非常に財源がかかるということではないわけでございます。しかし、これを動かしていきますと、たとえば二十年以上の遺族年金は四万八千円でございます。それから退職年金も九万六千円、これを上げろと、こういうようないろいろな問題にも波及していくので非常にむずかしい面があるわけでございますが、私の考えといたしましては一万九千円というのはいかにも低いわけでございます。何とか来年に向かってこれは旧法にまで及んだ改定をいたしたいと考えておるわけでございます。未来永劫私はだめだというふうには思いません。しかし、いろいろなほかの制度とのつながり、それからほかへの波及ということがありましてことしはできなかったわけでございます。
#52
○北村暢君 大体事情はわかりましたが、この旧法による最低年金者は大体どのくらい該当者が農林年金の場合あるのかですね。そしてあなた方が大蔵省に要求する際の要求額と現実改定されなかったものとの差、いわゆるどのくらいの原資があれば実施可能なのか、この点おわかりになったら御説明願いたい。
#53
○政府委員(中野和仁君) ただいまの一万九千円を、二十年以上の遺族年金は四万八千円ということに現在なっております。それを上げろという問題もあるいはあるかと思いますが、一応一万九千円を四万八千円まで引き上げるという勘定をいたしますと、人数で五百五十一人です。そして給付額にいたしまして四百四十九万六千円ということになるわけでございます。そうしますとこれは財源率に直しまして千分の〇・〇一ということで、まあこれは微々たるもんでございます。先ほど申し上げましたように、これを一つやりますと、ほかの制度がどうなるか。特に恩給に非常に多いようでございまして、恩給は最低保障額があるわけではございません。もっと低い方もおるわけでございます。それにどう響くか等いろいろ問題が出てくるわけでございます。ただそういうことでございますが、遺族年金で二十年未満に最低保障額がありますのは農林年金だけでございます。そういう特殊事情を見まして来年に向かって私は努力をいたしたいと考えております。
#54
○北村暢君 大体事情はわかりましたが、予算的にも財源的にもあまりそれほど決定的な負担になるものではないわけでありますから、これは衆議院の附帯決議にもありますが、まあいまの局長のおっしゃられる農林年金だけにある二十年未満の問題についてひとつ二十年以上並みの方向へ持っていくような努力をされるということですから、それはひとつ大いに期待をいたしたいと思います。ぜひひとつやっていただきたいと思うわけです。
 それからもう一つは、既裁定年金者のうちの新法に該当するものはこれは今度最低額が引き上げられたわけですが、旧法については先ほど言ったように適用にならなかったわけですね。その見通し等についても先ほどお伺いしましたが、いま説明では遺族年金の二十年未満の一万九千円、これについてはくわしい説明もありましたですが、全体的な旧法時代の適用者の問題はこれは他の年金関係との比較等もあるんでしょうけれども、遺族年金の二十年未満とは違った意味における全体的な問題として早晩解決する見込みというのはないのですか。その見通しをちょっとお伺いしたい。
#55
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、ただいまの改定のいろいろな考え方が、いろいろの年金制度があるもんですから、結局公的年金につきましては、非常に膨大な恩給制度に引っぱられるわけです。それで、恩給制度もかつて最低保障額の引き上げということで特例を出したこともございます。したがって先ほども申し上げましたように、未来永劫私もだめだと思いませんが、ほかの制度が膨大なもんですからそれの財源ということで絶えず問題になりまして、先ほど申し上げましたように、この二十年未満の遺族年金一万九千円と同じような段階にありますものは退職年金の九万六千円、それから障害年金についても一級が九万六千円、二十年以上の遺族年金が四万八千円ということになっております。ただこの中で七十歳以上の者につきましては、去年九万六千円を十二万円に上げたこともございます。そういうことがございます。それから遺族年金も二十年以上について四万八千円を七十歳以上を六万円に上げたということもございます。やはりいろいろな制度との並びもございますけれども、各制度ともそれぞれ予算の段階での努力次第で打開の道はあるのではないか、しかし、なかなか容易ではないというのが現状でございます。
#56
○北村暢君 次に、財源問題についてお伺いをしますが、給付費の国庫の補助、これは率で一六%、これを厚生年金並みの二〇%にせよということが去年の附帯決議でもついておる。ことしの附帯決議にもついておる。それであなた方が大蔵省には二〇%で要求をしているということを聞いているんですが、この二〇%という理論的根拠ですね。理論的という――あまり理論的でもないかもしれませんが、どういう根拠で二〇%にしろということを主張しているんですか。大蔵省の説明では、厚年の二〇%は成立過程からいって二〇%にする理由がある。それは、農林年金の場合の一六%というのが厚生年金の二〇%に匹敵しているのだと、成立過程が違うのだから差があるので、それでよろしいのだというふうにいわれているというふうに聞いているんですがね。それじゃ、その一六%に均衡しているものを厚生年金並みの二〇%の補助率にしろといって主張してみてもこれは通らないことを主張しているという結果になるので、どちらの主張が正しいのか。二〇%にするには二〇%にする理由としてあなた方は大蔵省に負けないだけの理由をもって要求しているのかどうなのかという点に疑問を持ちまするので、この点の説明をしていただきたい。
#57
○政府委員(中野和仁君) お話のように、われわれ二〇%の要求をしておりますが、理論的根拠というほどのものはございません。これは厚生年金が二〇だからひとつ二〇にしろというので突っぱっているわけでございます。しかし大蔵省側の説明はいま北村先生お話のように、農林年金が一六で向こうが二〇でちょうどバランスがとれているということでございます。私ごとし初めてこれをやってみまして、全くいま御指摘のような感じを受けたわけでございます。このまま何年やっていきましてもなかなか一六が二〇になるというふうなことは困難ではないかと思います。そこでもう少し具体的な根拠を探さなければならないのではないかというふうに思うのです。そういうことがすぐできるかどうか、これは私の判断だけではできないわけでございますが、昭和四十年に千分の九六という掛け金率をきめまして、ただいまちょうど再計算の時期に入っております。その後のベースアップなり制度改正の問題等がありまして財源率は上がってまいります。上がってまいりますと当然そのままでありますと事業主と組合の負担ということになるわけでございます。一方では当委員会でも前回あるいは前々回等でも御議論ありましたように、農林年金の組合員の掛け金率というのが各掛け金の中で一番高い、これはなかなか上げられないのではないかという問題も出てまいります。そういうものとの関連におきまして、再計算との関連で何とか知恵をしぼらなければならないのではないか。ただ単に厚生年金が二〇だからそれと同じというのではなかなかむずかしいのではないかということを考えるわけでございまして、来年以降再計算に基づきましてどういうふうに農林年金の財政基盤の強化、それから組合員の掛け金負担の上昇を避けるかというものとの関連でもって国庫補助をふやしていく、こういう行き方でなければならぬではないかというふうに私現在考えているわけでございます。
#58
○北村暢君 事情わかりましたが、もう一つこれも衆議院の附帯決議についておるのですが、財源調整費は年々歳々これは補助額が増額されております。が、これをいまは定額制でやっているわけでありますが、六%の定率にすべきであるという要求が出ているわけです。附帯決議でも六%とは書いてありませんが、財源調整費補助を定率化せよという附帯決議が出ているわけですが、これは六%要求の根拠として、要求するからには要求する根拠というものがあるだろうと思うのです。年々歳々の財源調整費というものが六%程度のものになっているという実績、そういうものからきているのではないかというような感じがいたしますけれども、この点が私はあまりはっきり確認をしておりません。そういう意味で定額のものを定率化するということの可能性の問題についてひとつ御説明願いたいのですが、この点については附帯決議等もこれを尊重するということが大臣から言われているわけなんですから、尊重するためにはやはり先ほど申したように定率化する理由というものをはっきりしなけりゃならない、この点も先ほどの説明でややわかるわけなんですが、ひとつ具体的に御説明願いたい。
#59
○政府委員(中野和仁君) 財源調整費の定率化の問題でございますが、これはことしの予算要求の際に給付費の六%、これは財源率に直しますと千分の八になるわけでございまして、千分の八といいますのは、われわれ考えましたのは国家公務員共済の掛け金率と農林年金の組合員の掛け金率との差でございます。これを根拠にして要求したわけでございますが、この財源調整というのはかつて国会での御修正がありまして、国は普通の一六%のほかに財源調整のため必要があるときは毎年予算の範囲内で一部の費用を補助することができるということになっておるわけでございまして、農林年金の特殊性、これは農林年金にこの財源調整費がつきますと、また私学のほうにもつくという事情もございます。なかなか定率化するということがむずかしいわけでございます。おそらくこれはまた来年要求いたしましても大蔵省はなかなか定率化に応じないと思います。完全に定率化してしまいますと、これは補助率を一六を二〇にするとすると上げたことと同じことになるわけであります。なかなかそういう点の難点がございまして、やはりそのときどきの年金の財政、それから国の財政の余裕というものを見ながら出していこうと、こういうことになるわけであります。その次の段階でわれわれが努力いたしましたのは、ここ五年間に最初は四千万、六千万、一億、一億五千万、今度は二億五千万、これをだんだん上げてきておるわけでありますが、また来年どういう知恵をしぼってやっていきますか、まだ考えておりませんけれども、実際問題といたしましてこの定率化をぴしゃっと来年やってしまうということはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
#60
○北村暢君 あと一問で終わりますが、先ほども御説明ありましたが、計算上の不足分というのが財源率で一〇一・七二%ですか、ところが組合員と団体の負担の分で九六%ということで一応財源率を上回っているわけです。それで計算上は不足するわけですが、いまのところどうなりこうなり財源調整費や積み立て金の運用でやるということのようでありますけれども、しかしこれはそういうことでやりきれる間はいいのですが、この赤字傾向が重なってくるというと、五年に一ぺんぐらいずつ掛け金率の引き上げをやらなきゃならないということで、どの組合も上げるということが問題になってくるわけですね。先ほど申されたように農林年金は他の共済と比較して率では最高である。したがってなかなか引き上げるといっても無理な面が出てくる。こうおっしゃるのですが、しかしさっき説明がありましたように、再計算の時期にきていることは、まあ時期にきているだろうと思うのですね。そういう面で掛け金率を引き上げるという点についてはこれはやはり相当抵抗があるのだろうと思いますね。そういうような点からして国庫負担というものを増額せよというのが当然出てくるわけなんです。そういう点からして計算上の不足分というものをどのように処理するかということは先ほどの御答弁の中にも含まれておりましたけれども、掛け金率を引き上げることがないような方向で解決できるのかどうなのかですね。そこら辺の見通しは非常にむずかしいだろうと思うのですが、事情をお伺いしておきたい。
#61
○政府委員(中野和仁君) 先ほど申し上げましたように、五・七五%が率の計算上の整理資源率として不足しているわけでございます。この程度のままでありますれば掛け金の引き上げは必要でないというふうに判断しているわけでございます。たまたまいま御指摘がありました再計算をやっております。これは制度改正に伴う不足財源のほかに毎年組合員の給与が上っております。そういうための財源ということも要るわけでございます。そこで、そういうものを織り込みまして再計算をやっております。その結果を見まして、こうなりますと、組合員の掛け金と、それから国庫補助と、それから積み立て金の運用の差益というものが総合されまして、一体掛け金というものはどうなるかということになるわけでございます。その場合に、われわれ、気持ちといたしましては、掛け金は、先ほどからもるる御指摘がありましたように、農協その他の団体職員の給与が低いという問題がございまして、これ以上上げたくないという気持ちが非常に強いわけでございます。しかし抽象的にそう申し上げましても、なかなかその域を出ませんので、やはり具体的に数字が出ました際に、われわれとしましては、そういう気持ちを織り込みまして、年金財政の健全化ということを考えながらやっていくべきだということで、来年になりますか、再来年になりますか、その計算が出ました際に、ひとつ基本的にその問題に取り組む必要があるということを考えておるわけでございます。
 それからなお、先ほど、農林年金そのものの、農林年金基金の人員あるいは標準給与等のお尋ねがございました。ただいま申し上げたいと思いますが、農林年金の人員は二百四人でございまして、うち女子が七十人。で、本俸の平均は五万九千八百四十六円でございます。ただ、これは四十五年十月でございます。で、手当等を入れました標準給与、これは年金にかけております場合の標準給与でございますが、四十六年三月、一番新しい数字で申し上げますと六万九千六百二十九円ということになっております。これは役員を含んでおりますので、職員のみで出しますと六万八千四百八十七円ということになります。なお、ちなみに勤続年数は、男が十一・四年、女が五・四年、平均いたしまして九・二年ということになっておりまして、先ほど、いろいろ平均的な、全国段階あるいは県の段階とお比べになりました数字と、比較いたしますと、農林年金の職員そのものの給与はそれより若干高くなっているわけでございます。
#62
○沢田実君 お尋ねしようと思いましたようなことは、ほとんどいま北村先生から質問がございましたので、私から一、二点、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 先ほどもちょっと出ましたが、この説明の資料のほうで、第一ページですが、標準給与の平均月額というのがございますけれども、その中の、先ほどちょっと聞き落としましたので、国家公務員との比較、それから農協の職員の標準がわかりましたら、それもお尋ねをしたいと思います。
#63
○政府委員(中野和仁君) 農林年金の組合員と、公務員の比較でございますが、町村段階は、役場の職員との比較になるかと思います。それでやりますと、農林年金の場合が、三万……。
#64
○沢田実君 いや、これに該当する公務員。三万八千八十九円になっていますね。国家公務員の場合は何ぼになりますか。
#65
○政府委員(中野和仁君) 国家公務員の場合には五万二千三百九十五円。それから農協職員だけの給与の平均は、農協−総合農協、開拓農協、その他いろいろあるわけでございますが、総合農協で申し上げますと、四十四年度末の平均は、三万七千八百十二円でございます。その中で、男子が四万五千三百五十八円、女子が二万六千百二十二円でございます。
#66
○沢田実君 いろいろな統計があって、よくわかりませんけれども、昭和四十五年の春闘のときの、賃上げ要求のときの資料を見てみますと、賃上げ前の平均が、農協は三万三千六百七十五円というようなことが出ているのです。いまお教えいただいた数字はそれよりも――こちらは四十五年ですが、四十四年で、高いようになっておりますので、その辺はわかりませんけれども、要するに、私の言いたいことは、農協が非常にいろんな企業あるいは国家公務員に比較して低いわけですが、これの平均だけでいっても、年齢構成等もありますので、これは一がいに平均だけでやるわけにはまいりませんが、いわゆる高卒の初任給とか、あるいは高校卒業後五年後、十年後というようなことを考えた場合、経験年数五年、十年と見た場合、年齢別、経験別、給与規定に照らしてやった場合に、農協あるいは国家公務員、あるいはその他と比較して、どの程度の差があるのか、その辺のところをお教えいただけませんか。
#67
○政府委員(中野和仁君) 男女別は先ほど申し上げたわけでございますけれども、年齢別の資料はございません。ただいまわれわれのところではとっておりませんのでございませんが、ただ、先ほどもちょっと北村先生に申し上げましたように、男子が大体九年、それから女子が大体平均四年の組合員期間しかございません。非常にそういう面も反映しまして、かなり低くなっているという面もあるかと思います。
#68
○沢田実君 私申し上げたいのは、平均の表が出ていなければけっこうなんですが、要するに、高卒なら高卒で初めて就職する場合、高等学校を卒業して初めて就職する場合、初任給ですね、それが国家公務員といわゆる農協と比べて、賃金制度の上でどういう違いがあるのか、あるいは標準的に五年の経験なら五年の経験のところで、国家公務員は高校卒業して五年の経験の場合は大体このぐらい、農協はこのぐらいという比較があればお教えいただきたいということです。なければけっこうです。
#69
○政府委員(中野和仁君) ただいま手元に農協の場合、それから公務員の場合、あるいは会社の場合、それぞれ初任給につきまして資料を持ち合わせておりません。さっそく調べてみまして、後ほどお手元に差し上げたいと思います。
#70
○沢田実君 そういうふうに比較をしてみますと、確かに低くなっていると思うのです。ですから、そういう低い条件については、先ほどの、農協自体の体質の強い、弱いということも問題になるであろうとは思いますけれども、そういうような状態ではたしていいのかどうかということですね。農協を行政指導する農林省の立場としては、その点のところの根本的な解決をしませんと、いま農協がかかえております人不足の問題、あるいはいろんな問題が解決しないのじゃないかとこう思うわけです。それで賃金のことはそういうことで、私は他に比較して非常に安いと思っております。他産業に比較して相当安いように本なんかにも書いてあるようです。
 それからもう一つは、労働基準法違反というのが非常に多いということが載っておるんですが、労働基準法違反の農林省で調査した何か統計ござ
 いますか。
#71
○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘の労働基準法違反の問題につきまして、たしか昨年も当委員会で御指摘があったわけでございます。われわれとしましては昭和四十五年度に、昭和四十二年から四十四年までの三年間にわたる調査を最近やりました。その結果を見ますと、労働基準法違反の指摘を受けました事業所の数は、四十二年が三百七十、それから四十三年が四百六十六、四十四年が七百四十と、ふえてきております。これは事業所の数でございまして、指摘を受けました件数にいたしますと、四十二年が千六百五十六、四十三年が二千百八十、四十四年が三千三百二十、これはやはり件数もふえてきております。で、その中身を見ますと、一番多いのは労働時間の問題です。労働時間が延長されておる、こういうことでございます。次いで多いのは休日出勤、それからあるいは割り増し賃金を払わなかったような問題、それからまた別の面から、安全衛生基準を守っていなかった、あるいは就業規則に触れておるというような問題が多いようでございます。で、われわれ調べてみまして、非常に最近ふえておりますので、はなはだ残念に思いまして、これはまあ集計をしております途中の数字でございます。それが明確になりました際には、これが是正について何らかの対策をとるべきだと考えております。
#72
○沢田実君 そうしますと、前からこういうことが言われているわけですが、行政指導としてはいままではやってない、この統計の結果においてやろうと、こういうわけですね。
#73
○政府委員(中野和仁君) 四十一年ごろやはり調査をいたしまして、その結果に基づきまして都道府県知事あてに注意を喚起するとともに、検査を通じましてそういうことのないように指導しろという通達をしたわけでございます。残念ながら先ほど申し上げました数字のようなことでございますので、この数字がまとまり次第、都道府県を通じまして各単協あるいは県連についての注意を喚起するということと同時に、検査をやっておりますので、その検査を通じまして厳重に指導をいたしたいと考えております。
#74
○沢田実君 これは通達だけではとても解決しそうな問題でもなさそうに思うわけですが、これの根本的な原因ですね、それから抜本的な対策等考えなくちゃならぬと思いますが、その用意はござ
 いますか。
#75
○政府委員(中野和仁君) やはり基本的には農協の経営が健全な意味で強化されなければならぬ、そういうことが前提だ思います。現在総合農協だけとってみましても六千幾つある中で、非常に小さいところ大きいところあり、それからまた農業の実態も非常に変わってきておりまして、それに対応するためにあるいは個々の単協その他県連等をつかまえてみましても、仕事が忙しくて居残りをする、まあいろいろな問題等があるわけでございますが、そういうものにつきましてはできるだけそういう就業規則その他労働基準法を守るようにということをやはり行政指導を通じまして注意を喚起する、また労働省のほうにお願いをしましていろいろ御指導いただくということ以外にはないかと思いますけれども、そういうことを先ほども申し上げましたように厳重に指導をいたしたいということでございます。
#76
○沢田実君 農協の職員が健康を破壊している者が非常に多くなっているというようなことが出ておりますが、そのような実態を把握したようなものがございますか。
#77
○政府委員(中野和仁君) 健康の面からの調査はいままでやったことはございません。たださっきちょっと申し上げましたように、労働安全基準に若干触れておる組合もあるようでございますが、たとえば、さっき申し上げました数字の中で、健康診断をやることになっておるのにやらなかったのが、三年間合計いたしまして二百六十七件ございます。そういうようなこともございますので、その点も含めまして、先ほど申し上げました近く出そうと考えております通達によりましてそういうことのないように指導をいたしたいと考えております。
#78
○沢田実君 これは石川県ですけれどもね、単協の労働組合で調査をしたらしいのですが、農協に働いている男子三百七十人、女子三百十五人を抽出して健康の実態調査をやった。ところが、疲労を感じている人は男では五七・二%、女では五八・五%。頭痛が三四・二の六一・二、女子の場合に非常に多いのです。胃腸障害は男が四七・五、女が四五・六。目が痛いというのが男が三〇・三の女が五〇・一等、肩がこるとかいろいろなことが出ているわけですが、非常に健康を破壊している人が多いというような統計が実は石川県の一つの県でございますけれども出ております。そのような実情にあろうと思いますので、そういう問題についても私は大事な問題じゃないかと思いますので申し上げておきたいと思います。
 それから農協につとめている職員のいわゆる転職が非常に多いということなんですが、そういうような調査はございますか。なけりゃけっこうです。
#79
○政府委員(中野和仁君) 調査があると思いますが、いまちょっと探しております。後ほど申し上げたいと思います。
#80
○沢田実君 けっこうですが、これも私のほうで見ましたものによりますと、他に比べて非常に就職した若い人たちが退転職しているのが多い、転職先がまた他の官公庁に行く人が多いのですね。他の官公庁と農協と比べて農協の給与状態が非常に悪い、あるいは労働条件が非常に過酷だということからそういうことになっているのだろうと思いますので、そういうような実態等もよくまた御調査願って、御指導いただくことが大事じゃなかろうかと思います。その点を申し上げたいと思います。
 それから表の四ページですが、掛け金収入、それから給付金、それを除いて、プラスマイナスして累計が出ておりますが、先ほどお話のように一千百九十億円、一千億を突破する膨大な金額になっているわけですが、この金額をどういうふうに運用しているか、資金運用の現況がわかりますればお教えをいただきたいと思います。
#81
○政府委員(中野和仁君) 最近の数字で申し上げますと、四十四年度末でございますが、これは九百七十一億に対応するものでございます。これによりますと、預貯金が三億三千四百万円、有価証券の購入が七百九億六千二百万円、それから信託に出しておりますものが九十九億五千二百万円、投資不動産十四億七千六百万円、それから団体の貸し付け金が三十八億八千一百万円、他経理への貸し付け金が百五億六千九百万円ということになっております。それで千百九十一億に対応するこまかい点、いま持っておりませんが、大体いずれもそれがそういう比率で伸びておるんではないかというふうに考えております。
#82
○沢田実君 その大きな金額が、最初の計算では大体五分五厘くらいの利回りで計算しておったようでございますけれども、実際には七分一厘五毛に回っているというようなことですので、相当高い利回りになっております。ですから収入も予定より何十億というふうに一年ふえるわけでございますけれども、そういうことを考えますときに、掛け金を少なくするとか、あるいは給付をもっとふやすとかというふうな再計算の必要はないのかどうか。そういう検討はしてらっしゃるかどうか。
#83
○政府委員(中野和仁君) 掛け金の計算をいたします場合には五・五%というのは各共済制度みんな、全体として五・五%で計算を一応しますけれども、なお利差益は、利差益自身ただいまの、もし千百億程度で計算をいたしますと、十七億の利差益があるわけでございます。これは当然一部事務費に使われるわけでございまして、ただいまのところ事務費が六億ということになっております。これ差っ引きましても十一億という財源が出てまいります。これは当然再計算をいたします場合にそういう点も考えた上で、それからまた国庫補助を考えた上で組合員の掛け金がきまっていくということになるわけでございます。
#84
○河田賢治君 今度の改正案を含めて三年連続の改正で、制度的には他の共済制度とおおむね均衡している制度に改善されたのは私たちも評価するわけです。で、この年金の問題については、すでに北村委員からも詳しく質問がありましたので、他の問題二つばかり限って質問したいと思うのです。
 先ほど来給与問題で農協の職員がかなり中堅幹部も途中退職をする問題あるいは女子が非常に多くなっているから男子にかなり大きな負担がかけられている問題、こういういろいろと労働の強化される問題がありますが、御承知のように、やはり農協というものは営農について相当熱意を持ってこれはやりませんと、単なる購買とかあるいは販売というような流通機構だけで、農協がその存立を維持するというのは、これは農協の本来の目的に反したものであると思うわけです。ところが、だんだん農協に対して、いま御承知のように減反問題もあり、いろいろ農業は危機にきておりますが、低賃金のためになかなか人員が集まらぬという状態があると思うのです。これは京都府の農協の中央会が組合員に対してアンケートをやったことがあるんですが、これでは一種、二種一々別々にしませんけれども、指導員をふやしてほしいというのが一一・三%あるのですね。それから指導員は専門的指導のできるよう質的向上をしてほしいというのが二三・八%ある。それからまた経営指導をもっとしてほしい、経営というのは、同様に営農の中心ともなる問題ですが、これが二二・三%、それから庭先指導これはまさしく営農指導だと思うのですが、これが二〇・八%というふうに、こういう、まあ営農指導に対するアンケートが出ているわけです。御承知のように農協全体としましても、これは四十三年ですけれども、一万四千八百二十八人の営農指導員を持っておられるわけですが、このうちに、高卒、短大卒、大学卒その他としまして、だんだんと高卒の部分が減ってきております。大学卒が若干最近はふえておりますが、有資格の営農指導員の中には農業改良普及員とか、専門技術員、獣医、その他とありますが、この中には無資格者ですね、これが四十二年には五千百十九、四十三年には五千二百七十八と、こういうふうにちょっと増大しております。いま資格のない、もちろん学問だけで指導はできないわけですけれども、しかしそういう無資格者が若干ふえ、しかも三分の一もふえておるという状態ですね。こうなりますとやはりいまさっき私が申し上げた京都の農協中央会のアンケートを見ましてもわかりますように、やはり相当農民自身は営農に対する、しかも今日生産についてはいろいろ新しい技術や水耕法その他がどんどん取り入れられているこういう時代ですから、どうしても新しい技術やあるいは学問を身につけて実地に親切に指導するような営農指導員が今後ますます必要になってくると思うわけです。こういう点について農林省は農協の指導の問題について一体どういうふうな指導並びに監督等をなさっているのか、その点を聞きたいと思うのです。
#85
○政府委員(中野和仁君) いまの営農指導を中心にしました農協職員の資質の向上でございますが、これにつきましては農林省といたしましても補助金等をもちまして各県の講習所という名前がついているところとそうでないところがありますが、そこでの講習をやっております。また最近は協同組合中央学園、これは農協中央会のほうで中核になるような職員を養成しておられるようであります。営農指導員につきましても、先ほど御指摘のように、四十三年は一万四千八百二十八人、四十四年度末になりますと一万五千四百七十一人と少しふえております。技術指導でございますが、やはり農業改良普及制度とのタイアップが一番必要ではないかと思います。具体的にはそれぞれのその地区の普及制度と営農指導とを結びつけまして、具体的なそれぞれの地区の指導をすることが一番必要だと思います。同時に先ほども御指摘がありましたように資質の向上をはかると同時に、やはり末端の農家に対する経営の指導、それも農家のほうに出向いていきましてやるということになるわけでございますが、合併をいたしますと、一組合平均しまして三人足らずということになる。なかなかいまの段階では及ばない面もあろうかと思いますけれども、できるだけそういうものの指導が農家に徹底するようにわれわれとしても指導していくべきだと考えております。
#86
○河田賢治君 そこでまた労働条件の問題に戻るわけですが、御承知のようにいまも労基法の違反がだいぶあるということをおっしゃられました。私も六十一国会、四十四年の七月十七日のこの農林委員会でもこの問題を取り上げまして、そのときには局長のほうは、政府委員は、「従来知事さんあてに通達等も出しまして、そういう指導をやっておる次第でございます。」とまあ労働基準法違反の問題について、こういう御答弁があったわけです。それ以後これは四十四年ですかちまだ二年しかたっておりませんけれども、実際に知事さんあてにこういう御通達を出して、それの実際の結果というものを検討されておるのかということを一つと。それから農協の中央団体で、やはり下部に対する一定の監督なり指導の強化ということが責任の一つになっておると思うのです。こういうところは一体実際に農協の中央、また県連、こういうところが単協に対していろいろな労働基準法違反のないような指導をやっておるかどうかということをまずお聞きしたい。
#87
○政府委員(中野和仁君) 昨年の国会でも御指摘がございました。われわれのほうといたしましては先ほど沢田先生にもお答えいたしましたように、四十五年度に調査したわけです。その結果が先ほどるる数字的に申し上げたわけでございますが、確かに四十二年、三年、四年と比べてみますと、いろいろな労働基準法違反の件数がふえてきております。そこでこれはこのまま放置すべきではないと考えまして、その結果が正式にまとまり次第少し詳細にわたりまして労働省とも打ち合わせをしながらこまかく県知事あてあるいは関係団体に対しまして実態を明らかにするとともに、こういうことのないように指導をきめこまかくやりたいと考えておるわけでございます。
#88
○河田賢治君 最近ちょっと手に入れました資料ですけれども、ことしの二月四日から数日間にわたって三重県の労働基準局が県下の農協の事業所三十八ヵ所を対象に労働基準法違反の立ち入り検査を実施した。その結果は実に三十八ヵ所の立ち入り検査に対して三十七事業所――もうほとんど大部分ですね、こうなりますと、九七%ですから。もうほとんどすべての農協の事業所が労基法違反で摘発されたという問題があるのです。この内容はおもに三六協定つまり女子の時間外労働休日労働、あるいは割り増し賃金の算定の不正、賃金台帳の記載の義務の不履行、まあこういうような問題があるわけですね。ですから最も労働基準法を守っていく――これは最低の線なんですね、これが守られてない。ですから実際に――主として嬉野とか明和、多気、鈴鹿市、この辺を中心に行なったらしいんですけれども、労働時間について三六協定なしに時間を延長さしていたものが二十四件、女子を一日二時間、一週六時間以上やっているのが十五件。休日について三六協定なしに休日労働をさせたものが九件、女子の休日労働が八件、許可なく日直をさせていたものが六件。賃金台帳について必要な記載事項――時間外労働、休日労働をさせた時間や諸手当など、この記載がされていないもの、これが十三件、おそらくこれはあらわれてないものもあると思うんですが、こういう基準法で定められた一番最低の賃金台帳すらもつくっていない。それから就業規則について、賃金規定の変更を届け出てないものが十五件、割り増し賃金について、諸手当、――特別手当や危険手当、主任手当、資格手当などをこういう割り増し手当の算定基礎にしていないものが七件、衛生管理者を選任していないものが六件、まあこういう基準局の報告があるわけなんです。こう見ますと、立ち入り検査されたところはもう大体大部分の――一つの事業所を除いて大部分が労働基準法違反だという。これを推しはかりますと――全国でどこもこんなようなことではないと思いますけれども、かなりなところはやはり労働基準法の違反をしておる。したがって農民団体で特に生産者としての農協というものが、自分たちが人を使う場合に一定の日本の憲法やそれに基づくいろんな法律、また労働者に対しては労働三法、こういうものを、最低を守るという姿勢がなければ、農民諸君もずいぶんいろいろな問題を国会に対しても要求し、また政府に対しても要求し、都道府県にもいろいろな要求をしておられますけれども、まず自分自身がそういうたくさんな人を使う場合に、特にまたさっき申しましたように生産に密着した営農指導なんかをやってもらうようなほんとうの技術者やまた有能な人材を集めるためには、こういう労働基準法に違反しないような方向で経営、運営をしなければ私はならぬと思うわけです。ですから農林省でいまいろいろ材料を集めてそれをまとめてというだけでなくして、こういう問題があったらやはり直ちにそれぞれの府県知事に対し、あるいは農協の中央連合会、こういうものに対してそのつどどんどん指導をしていく。そうしませんと、おそらく農協が今日米の問題その他を控えて非常に今後また苦しい事態がくるわけです。そうなればなるほど従業員に対するいろいろな圧制的な使い方あるいはまた給与なんかの非常な水準を低下させる問題、こういうものがある。そうしますとまたどんどんと離職をしていくとかして、結局この悪循環が私は直らぬだろうと思うのです。そういう点から今日農林省は耳に入ったらもうすぐにそれでどんどんやっていくくらい、多少はめんどうでありましてもそういうようにしてこの農協の基準法違反やその他職員の待遇の改善問題に対して注意を促しませんとますます農協自体の内部にそういう混乱、それがひいては日本の農業の生産にも大きく私は影響を与えると思うわけです。こういう点についてひとつ局長の意見を伺っておきたいと思います。
#89
○政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘のありました三重県の単協の調査でございますが、実はこれ、私のところへも農協労連の方が見えまして、三重県の方も見えまして、書類をいただきました。そのときも御説明を受けましたが、かなりの違反があるようでございます。こういうこともありますけれども、私が先ほど申し上げましたように、当委員会で昨年の御指摘のあと緊急に調査をいたしましたその結果も出てまいりましたので、近く先ほども申し上げましたように単なる一片の、こういう内容だからしっかりやれという程度じゃありませんで、もう少しきめこまかく通達の内容を書きまして労働省とも打ち合わせの上強力な指導をいたしたいと考えております。
 やはり何といいましても、農協が農村にあるために農家を相手にしているために、都市の工場と違った面でのいろいろな問題が私もあろうかと思いますけれども、基本的にはやはりそういう労働基準法が守られなければならぬということはそのとおりでございます。先ほど沢田先生のときにも御答弁申し上げましたように、近く注意を喚起しながら、もう少しきめこまかく指導が行き届くような通達を出したいと考えております。
#90
○河田賢治君 終わります。
#91
○委員長(河口陽一君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(河口陽一君) 御異議ないと認めます。自後の審査は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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