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1970/03/10 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第6号
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1970/03/10 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第6号
昭和四十六年三月十日(水曜日)
   午後一時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     高田 浩運君     吉武 恵市君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     吉武 恵市君     高田 浩運君
 三月二日
    辞任         補欠選任
     高田 浩運君     赤間 文三君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     赤間 文三君     高田 浩運君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  虎雄君
    理 事
                上原 正吉君
                高田 浩運君
                小柳  勇君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                占部 秀男君
                大橋 和孝君
                佐野 芳雄君
                喜武屋眞榮君
       発  議  者  渋谷 邦彦君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       文部省大学学術
       局長       村山 松雄君
       厚生大臣官房長  高木  玄君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       文部省大学学術
       局大学病院課長  甲斐 安夫君
       厚生省保険局医
       療課長      松浦十四郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○母子保健法の一部を改正する法律案(柏原ヤス
 君外一名発議)
○視能訓練士法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、去る二月二十五日、高田浩運君が委員を一たん辞任されましたため、理事に欠員が生じておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、理事に高田浩運君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(林虎雄君) 母子保健法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者から趣旨説明を聴取いたします。渋谷邦彦君。
#5
○渋谷邦彦君 ただいま議題となりました母子保健法の一部改正案についてその提案理由と概要について御説明申し上げます。
 わが国の母子保健活動は、昭和二十三年の児童福祉法によって実施されてまいりました。
 しかしながら、母子保健対策は、母子一体の体系のもとに進めることが、母子保健水準の向上のため、最も必要であるという観点に立って、昭和四十年第四十九国会において母子保健法が制定されたことは、御承知のとおりであります。
 このような母子保健対策の推進により、わが国の母子保健の現状は、一歩前進を示しておりますが、いまだ改善しなければならない点が少なくないのであります。
 すなわち、先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また戦後、著しい改善向上をみた乳幼児の死亡率、体位、栄養状態についても、その地域格差が依然として縮小されない等、なお努力を要する課題が多く残されております。
 このことは当然、本法を諮問した社会保障制度審議会の答申において「本案は、母子の健康確保の方向に、わずかに一歩を踏み出したにすぎないものであって、各部面に未熟、不備、不徹底な点が多く、特に優生保護法との関係、その他、医学的に検討すべきものがあるが、今後ひきつづき改善を図ることを条件として了承する」と述べられておりますことは、いまなお御記憶のあるところであります。
 さらに本法が、終始救貧対策にとどまっていたため実績が十分あがらなかったことは当初から憂慮されていたものであります。
 このような状況にかんがみまして、今後母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための指導を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実強化をはかる必要があると考えて、この改正案を提出する次第であります。
 次に改正案の概要について申し上げます。
 第一には、出産費の支給を新たに設けました。市町村長には、五万円を限度とし社会保険と調整してすべて出産費を公費で負担することといたしました。
 第二には、健康診査であります。健康診査は、三歳児以外の幼児、乳児及び妊産婦に対しても行なわなければならないようにしたことであります。
 第三には、栄養の摂取に関する援助を強化することであります。妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関する援助は、市町村長が栄養費の支給等を行なわなければならないことといたしました。
 第四には、妊産婦の受診に関する援助の強化であります。妊産婦の受診に関する援助は、都道府県知事が医療費の支給等を行なわなければならないように、義務づけることといたしました。
 第五には、母子健康センターの充実であります。母子健康センターは、市町村が必要に応じて設置することといたしました。
 最後に、以上述べました五項目について国、都道府県及び市町村の負担割合を明記しました。
 なお、わが党の医療政策としては、将来、出産費については疾病と同様すべて医療保険の現物給付で行なうこととする所存であります。
 また、さきに提案理由の中で述べたとおり、優生保護法第十四条一項四号の規定を削除する改正を考慮いたしております。
 以上がこの改正案の骨子でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#6
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案につきましては、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(林虎雄君) 視能訓練士法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。内田厚生大臣。
#8
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました視能訓練士法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
 最近における眼科医療の著しい進歩によりまして、斜視、弱視などにより両眼視機能に障害のある者を幼少時の段階で矯正治療することが可能となってまいりました。
 全国の児童のうち、この矯正が可能な者は約四十万人と推定されておりますが、これらの児童が現状のまま放置されるならば、正しい遠近感を欠き、対象を立体的に見ることができず、日常生活上または教育上種々の悪影響を受けることになります。
 したがって、これらの児童に、医学の進歩の成果を享受させ、早急にその障害を矯正治療することが急務であります。
 この矯正治療にあたっては眼科医がその全部をみずから行なう必要はなく、長期間にわたる矯正訓練や、これに必要な検査は、眼科医の指示のもとに、一定の知識技能を修得した専門技術者に行なわせるのが効率的であり、また現にこのような技術者を養成する要望がきわめて高いのであります。
 このような現状にかんがみ、新たに視能訓練士の資格制度を定めることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、その内容について概略を御説明申し上げます。
 第一に、この法律案におきましては、視能訓練士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することを目的としております。
 第二に、この法律案において視能訓練士とは、厚生大臣の免許を受けて、視能訓練士という名称を用いて、医師の指示のもとに、両眼視機能に障害のある者に対する機能回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行なうことを業とする者をいうこととしております。
 第三に、視能訓練士になるためには、視能訓練士国家試験に合格し、厚生大臣の免許を受けなければならないこととし、国家試験の受験資格を、文部大臣が指定した学校または厚生大臣が指定した養成所において、高等学校卒業者については三年以上、短期大学の卒業者等については一年以上、視能訓練士として必要な知識技能を修得した者に与えることとしております。
 なお、この法律が施行された際現に病院または診療所において、医師の指示のもとに、両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査業務に従事している者で、その業務に従事した期間が五年以上あること等の要件を満たしたものは、昭和五十一年三月三十一日までは、受験資格の特例を認めることとしております。
 第四に、視能訓練士にその名称を独占させ、視能訓練士でない者は視能訓練士という名称またはこれにまぎらわしい名称を用いてはならないこととしております。
 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#9
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○大橋和孝君 視能訓練士法案につきまして一、二お伺いしたいと思います。
 これは日本の眼科学会などの強い希望があって、この視能訓練士法が本国会に政府提案として出されたことに対しましては、私も一応評価するものであります。いままでおりを見てこの法案が出ることをいろいろとこの場においても要望したことがあったわけでありますが、ちょうどわが国のリハビリテーションに対する強化と充実を促進する意味におきまして非常に大切なことであり、それにつきまして少しばかり質問してみたいと思うわけであります。
 まず、今日、わが国におきましてリハビリテーションを国民がいかに必要としているか。私の手元に、昭和三十九年三月、厚生省の大臣官房企画室において行なわれましたリハビリテーション需要調査報告がありますが、この七年前の調査でも、身体の支障のため日常生活に差しさわりがある者のいる世帯数は、全国で約二百三十一万世帯もあると報告されております。このような調査はその後続けて行なわれておるのかどうか、まず伺っておきたいと思います。
#11
○政府委員(松尾正雄君) ただいま御指摘の三十九年に、国民生活実態調査に付帯いたしまして御指摘のような調査が行なわれたのでございますが、その後四十年に医療機関につきまして、そこへ来ておる患者について医学的なリハビリテーションがどの程度必要であるかということについての調査がございます。その概要を申し上げますと、大体外来患者の八・二%というものが当時医学的リハビリテーションの対象ということになっております。また入院患者の延べ数に対しましては二二・二%というものが必要であるという結論が出ているわけでございます。
#12
○大橋和孝君 この調査は十分に行なわれて、これに対応するような措置が講じられなければならないと思いますので、その点につきましては、特に厚生省では配慮をしてもらいたい、こういうふうに思っているところであります。
 今国会になって、OT、PTの国家試験の受験特例措置がこの三月三十一日をもって切れることになっておりますので、いろいろなところからいまこの問題について陳情があるわけでありますが、ここではこの問題につきましては触れないでおきますけれども、先ほどの報告書の最後の部分に三つの指摘がなされておるわけであります。
 第一には、リハビリテーションを必要としているのは低所得階層に多いこと、この人々にリハビリテーションを行なうことによって就業の機会を高められること。第二には、体の不自由なことを理由として働こうと思っても働けないこと、リハビリテーションを積極的に行なうことが必要なこと。第三の点は、早期に十分なリハビリテーションを受けられなかったために症状が固定した者がいると考えられ、今後、早期にリハビリテーションを行なえば機能の改善率をさらに高めることができること。
 こういうようなことが指摘されておるわけでありますが、それから七年たった現在、一つ交通事故を例にとりましても、毎年飛躍的に死傷者の数がふえておるわけでありますから、このリハビリテーションの必要度も高まっているわけでありまして、この間厚生省はリハビリテーションに対して具体的にどのように施策を進め、拡充をはかってこられたか。このことにつきまして具体的な状態を明示していただきたいと思います。
#13
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のようなリハビリテーションの問題はかなり範囲の広い問題でございますので、厚生省におきましてもそれぞれの局にわたっていろいろな改善対策を進めているわけでございますけれども、便宜一括いたしまして御説明申し上げます。
 まず第一番目には、いま御指摘のように、四十年に理学療法士、作業療法士という専門職を生んだということであります。これと並行いたしまして、たとえば国立病院につきましては特に温泉病院というものを設け、現在国立病院だけで温泉病院として専門にやっておりますのが十五病院に到達しております。その後、最近におきましては、脳卒中の後遺症というものに対する対策が非常に必要でございますし、この点については主として慢性的なものでございますので、国立療養所等が中心になりましてその一部を受け持っておる。また脊髄損傷等の疾患につきましてもさらに拡大をしているわけでございます。それからまた一般病院等につきましても、これらの対策が具体的に進むことが必要でございまして、その充実をはかる必要があるわけでございまして、たとえば特別地方債等におきましても、一般の病床の場合よりもリハビリ関係の面積を広くいたしますとか、あるいは医療公庫等につきましても、特に公的医療機関等で、制限があるにいたしましても、リハビリ関係であれば、新しく面積を加算して融資するというようなこともはかりまして、一般的な医療機関についても、かような整備について援助いたしておるところでございます。
 なお、一般に社会的リハビリテーションといわれている身体障害者等につきましても、御承知のとおり、補装具の交付でございますとかあるいは社会福祉施設の整備ということによりまして、あわせてこの方面についての更生援護ということをはかっておるわけでございまして、これらの社会福祉施設について申し上げれば、昭和三十九年に比較しまして約一・八倍等の定員増というような状況に到達いたしております。
#14
○大橋和孝君 現在のOTが三百八人、PTが千百十二人、こういうように、有資格者はこれくらいしかいないというわけでありますが、この数は必要度から考えてあまりにも私は低いのではないかと思いますが、いろいろいまお話しのように、その後、国立療養所あるいはまた病院などでそうしたことを進めておられますけれども、実際の数から言いましたら、私は少ないのじゃないかと思う。特に欧米先進諸国の数字も私の手元にも持ってきておりますが、それなんかと比べますと、これはもうほんとうに六分の一ぐらいしかないのじゃないかと思うのであります。その他、セラピストの数と質的向上をどういうふうにしてこれから考えられるのか。実際の数の不足からすれば相当抜本的な考え方をもって進まなければ、いま、こうしました、ああしましたという御報告を受けておりますけれども、実際問題として、それが実行できていないということになるのではないかと思うのでありますが、この質的向上をどういうふうにして考えられるのか。数とともにお考えを聞いておきたいと思います。
#15
○政府委員(松尾正雄君) ご指摘のとおりの実態だと存じます。特に制度が発足いたしましてまだ五年という短い期間でございますために、御指摘のような行政が十分に間に合っておりません。したがって必要とする数に対しましてもはるかにこれは下であるということは御指摘のとおりだと私どもも考えております。
 ただ、こういうものが発足いたしました際には、先生も御承知のように、いわばこういう人を教える人、教えるほうにいろいろな問題がございまして、それを十分にこなして教え切れるような人が育つというのは、ある程度待たざるを得ないというような事情もあったわけでございます。ようやく最近、発足いたしまして五年、こういう方面に携わって後輩を教え得るような人も育ってまいりました。そういう基盤に立って今後さらにふやしたいと考えておるわけでございますが、具体的には、従来はなかなかこういうものについて積極的にこれを引き受けてやろうという地方公共団体等も比較的少ないという感じがいたします。したがって私どもは、来年度以降におきまして、来年度の予算編成等の過程を通じまして、たとえばいろいろな年金等の融資の対象というようなものの中にもこういう学校、養成所等の施設整備ということについて対象にしたい、こういうふうなことで、そういう財源的な面からもひとつ強化をいたしまして、早急にこういうものが発足できるように努力をしたい。ただいまはそういうふうに考えておる段階でございます。
#16
○大橋和孝君 なかなかこの教育も非常に困難ではあろうと思いますけれども、相当積極的に進めないと、いまではむしろそうした人たちが希少的価値というか、得ようと思えば非常にいろいろな努力をしないと実らないという状態でありますので、私は、この教育そのものには相当力を入れてもらわなければならぬと思うのでありますが、特にその点も抜本的に考えを直してやっていただきたいと思います。
 それから、現在わが国ではこの理学療法士――PTですね、あるいは作業療法士――OTの二つしかなくて、セラピストが法的根拠を持っておるものはその二つぐらいでございまして、今度の視能訓練士が加わりましてこれで三つであろうと思いますが、先進諸国では十ないし十五というセラピストの職種かあると聞いておるわけであります。たとえば言語障害の訓練士――STとか、あるいはまた聴能訓練士――ATというようなもの、あるいはまた義肢装具士というような、いろいろなそうしたセラピストの養成を十分に行なっていると聞いておるわけであります。わが国でも、障害者の側からあるいはまたその家族からは切実なこれらに対する養成の必要を私どもは聞いておるわけであります。厚生省の見解として、こういうものに対してはもっと幅を広げていろいろなものをやっていくのか、あるいはまたそれを年次計画としてどう考えておられるのか。先ほどからのお話は聞いておりますけれども、もっと具体的に将来の展望をここで明らかにしておいていただきたいと思います。
#17
○政府委員(松尾正雄君) ようやく視能訓練の段階まで到達をいたしたわけでございますけれども、この視能訓練関係を練るに当たりまして、同時に言語療法士あるいは聴能訓練士というような、いわゆる耳の能力に対する訓練士というものについても、専門家に同時に集まっていただきましていろいろと検討を続けてまいりました。大体その言語治療あるいは聴能訓練というようなものにつきましても、そういう専門家の段階のある程度の意見というものはまとまってまいりました。したがいまして、私どもは、次の段階におきましてそういうAT、STと言われておるものについての制度化に入り得るのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、大体それのための下地的な準備がほぼ終わっているというようなつもりでございます。
#18
○大橋和孝君 このセラピストの養成についてでありますけれども、OT、PTあるいはこのORT、あるいは今後出てくるであろうところのSTとかAT、こういうような教育、養成、研究課程において共通のものが私は少なくないと思うのです。そこで、これを教育する場合において、これらのセラピストの教育から研究までをせめて全国の各ブロックごとに、あるいはまた将来は各県ごとに総合的な教育の場を持つことが私は必要だと思うのです。厚生省としましても、こういう計画なりあるいは方針を持ってリハビリテーションに対してもっと積極的に取り組んでもらいたいと思うのですが、その辺のところなんかのお考えを聞いておきたい。
 それから、第二点は、リハビリテーションの必要性は今後もますますこれはふえてくるわけでありますからして、国立大学の中に、特に医学部を持っているような大学には、あるいはまた医学部を持ってなくても衛生部門、たとえば体育なり保健なりを取り扱うような大学においては、私は、このセラピストの養成課程を併設されたらいいと思うのでありますが、文部省のほうのお考えをここであわせて聞いておきたいと思います。
#19
○政府委員(松尾正雄君) 各種のパラメディカルな養成というものについて、いろいろ科目の上では共通したカリキュラムというものがあり得る。したがって、それを総合した形の養成計画というものの御示唆があったわけであります。御承知のとおり、現在までの段階では、一つの設置主体の中に二つ以上のこういうパラメディカルなものを同時に教育している機関があるわけでございますけれども、その実態は、決して先生の御指摘のようなところまでまだ進んでおりませんで、そういうところでもやはり別々にそれぞれの学科で教育をしている、こういうことでございます。それなりの理由もあろうかと思いますけれども、しかし、ただいまのように、きわめて能率的にやるというような意味からは、共通科目を一貫して総合的にやるということは十分これは今後検討すべき問題ではないかと考えておりますので、私どもも、ぜひ今後そういう方向でできるかどうかということについて検討さしていただきたいと思います。
#20
○政府委員(村山松雄君) 大学が職業教育の機能も持っておることは当然でございますが、やはり大学として成り立つためには、当該科目が一つは学問として大学レベルのものが立てられ、それに従事する教育研究者のやはり大学を立てるに必要な数が出てくるということと並行して進みませんと、現実にはなかなかむずかしゅうございます。現在、御指摘のように、医療関係の専門職としては、医師を除きますとまだ大学の正規の課程というのはきわめて普及しておらない段階でございます。看護婦についてわずかございます。それから、最近衛生検査技師とか、エックス線技師などにつきまして、これは試験的にと申しますか、やっと二カ所ほど医療技術短期大学というような形で取り入れてまいりました。OT、PT等につきましては、これはやはりその必要性の御指摘は十分わかるわけでありますけれども、これが大学教育に入ってくるまでには、そういった諸般の状況の検討、何よりも関係者の御熱意といったようなものの基礎の上に漸次考慮していくべき課題だと存じます。
#21
○大橋和孝君 先ほどの議論の中にもございましたように、なかなかこういうOT、PTその他教育をしようと思いますと、なかなかそれを指導する指導者といいますか、先生が足らない。これはいままでも、こういう質疑をしたときにいつもはね返ってきた御答弁であったわけでありますが、そういう観点から、やはり国立大学あたりで真剣にそういうものを早く取り入れてもらわぬ限り、そういう指導者ができてこない、こういうふうに思うわけですね。ですから、やはり必要性というか、リハビリテーションというものを考えてみて、あるいは医療の今後の動向を考えてみて、このリハビリテーションが非常に大きなウエートを今後持ってくるのではないか。こういうことをすることによって労働力も確保されるでしょうし、あるいは社会的ないろいろな面で国民の健康あるいは社会生活の上に大きな影響を及ぼすことは自明の理であります。先ほどからの御答弁を聞いておりますと、そういうことについてはひとつよく検討しますということばで終わってしまいまして、結局いつまでも日にちがたってしまう。どこに障壁があるのかということで議論を進めてまいりませんと、教育者が足らぬ、設備がなかなかむずかしいということになるのであります。私は、やはり国でもっと前向きに考えて、こういう点の問題は相当煮詰めていかないといつまでたっても指導者もたくさんできないし、そういう教育の面も拡充されていかない、こういうふうに思うわけであります。大臣、こういう点はひとつ文部大臣とも話を詰めてもらって、こういう教育に対しては少し積極的にやってもらって、ほんとうにこういう指導をする人にりっぱな人がいなければいかぬわけですから、こういう点は国立大学あたりで教育して、そういうりっぱな資格を得られる人をつくってもらうことに対して相当前向きにやってもらわなければいかぬと思いますので、こういうことは厚生省と文部省の間でもっと調整して、具体的に進めるということを前向きに答弁してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#22
○国務大臣(内田常雄君) 私は、最近こういうことを考えるようになりました。医療というのは、診断とか治療ということが従来は中心になっておったようでありますが、実際はその前の予防とか、もう一つ前の健康管理、さらにまた治療のあとのリハビリテーションというものが一貫して行なわれなければならないというようなこと、ことにリハビリテーションの問題はどこでも大きく取り上げるようになりました。しかしそれを担当するのは、いわゆるパラメディカルのセラピストになるわけでありますが、それらはまだ日本では始まって数年にしかならないという状態の中で、セラピストの数も少ないし、それらを養成するリーダーも非常に少ない。これをそのまま待っておったのでは、いま私が述べましたような医療というものについての意識の発展に対応できませんので、どうしてもいま申しますようなセラピストの充実、養成ということが大きな課題になってこざるを得ない。そういう場合には、仕事を覚えた人々がみずから指導者というようなものになることはもちろん必要なのでありますが、また、別に必要があれば、かつてそうであったように外国からそれらの指導者の養成に手助けを借りるとか、あるいは医療の学問、技術の分野を、お説のように、広く取り入れて、そういう指導者の養成というようなことを医療専門家の養課成程の中で取り上げるというようなことに必然的にならざるを得ないのじゃないかと思うわけでございまして、大橋さんの言われますこと、私はよく理解できますので、そういうような線に沿いながら今後対処いたしてまいるようにしたいと思います。
#23
○大橋和孝君 看護婦の問題についてはこの次の機会に譲って、きょうはしませんが、ひとつ文部省の側に聞いておいていただきたいと思うのですが、この看護婦さんの養成に対しましても、私は、やはり国立大学系で、あるいはまた大学ばかりではなくて国立系の高校、そういうところで専門的に、大学法によりあるいはまた学校法の設置基準に従って、看護婦さんなんかも正規な大量の養成をする教育ができるような場を国でやってほしい、私はこういうようなことも思っておりますので、ひとつお耳に十分入れていただいて、今後、教育の中でこうしたすべてのパラメディカルないろいろな技術者の養成というものも的確に考えていただかないと、今後の医療の問題は大きな飛躍が得られない、こういうふうに思う次第であります。
 続きまして、医療法の中に病院の構造設備の基準が規定されておるわけでありますけれども、リハビリテーションについては何らそこに規定がないように私ども思うわけであります。医療の一環といたしましてリハビリテーションも重要なものとするのであれば、当然規定すべきものと思うのでありますが、この点についてひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
 第二点は一あまり時間がかかりますから質問を続けてやっていきますから、その一つ一つ御答弁をいただきたいと思います。リハビリテーション関係の診療報酬点数は、現在著しく低いように思うわけであります。あるいは全然ゼロのようなところもございます。リハビリテーションの必要性、あるいは積極的にこれを進めようとするのであれば、当然十分評価されなければならないし、この点をどのような点数にしていくかということも少しは考えてもらわなければならぬと思っているわけでありますが、こういう点についてのお考えを聞いておきたい。
 それから第三点は、労災におけるところのリハビリテーションの診療報酬と健康保険におけるリハビリテーションの点数には著しい差があるわけであります。私、ここに表を持っておりますけれども、非常にでこぼこであります。こういうようなことも一体なぜ起こるのか。もっとリハビリテーションに対しては評価されていく方向では同じものでなければならぬのじゃないか。こういうようなことも考えるわけですが、この点、だれかおいでになっていなければおわかりにならないかもしれませんが、お気づきがあったら御答弁願います。
#24
○政府委員(松尾正雄君) 第一点の点でございますが、医療法においていろいろ病院の設備構造等がきめられておるということでございます。主として衛生上なり、防火上なりあるいは保安上ということにつきまして規制をしておる、最小限度の規制をいたしておるわけであります。御承知のとおり、一つの診療科とか、診療内容ということの基準というものは、ただいまの医療法では規定をしておらないわけであります。したがいまして、そういうような段階においてはリハビリテーションだけの構造設備というものをこの法律の中で規定することがいいかどうか、なお少し検討を要する問題であろうかと存じます。ただ、御承知のとおり、このリハビリ関係というものについては、主として国あるいは公的病院というものについての期待というものが非常に強いものがございます。また、そういうところで率先してやるべき問題だと考えておりますので、そういうような器械設備なり運営等の何らかの基準というものについては、むしろ行政上の一つの指導としてこれを名らかにしておくということのほうが妥当ではなかろうかと、ただいま考えておるところであります。
 なお、第二、第三点の社会保険の点数に関しましては、保険局の医療課長が参っておりますので、医療課長から答えさせていただきます。
#25
○説明員(松浦十四郎君) ただいま先生御指摘のリハビリテーション関係の点数でございますが、現在、点数表では整形外科機能訓練ということでございまして、その中が三つに分かれまして、器械器具を用いた訓練、水中機能訓練、温熱療法、それぞれが十点ずつということで算定されることになっております。これをもっと評価すべきではないか、こういう御意見でございますが、これは昭和三十三年当時は、乙表で申しますと八・一点、三十六年の改正のときに九・一点、それから四十二年の十二月の改正のときにこれを三段階に分けまして九・一が三倍になり得るという形で改正をいたしました。それから四十五年二月にはこれを十点に上げまして十点の三倍までできるということで、いままでもある程度これが引き上げが行なわれておるようでありますが、これにつきましては、さらにこの中央社会保険医療協議会でしかるべき診療報酬の適正化ということで御検討いただけることになるのじゃないかと、こういうふうに考えております。
 それから労災保険関係の診療報酬とズレがあるのじゃないか、こういう御指摘でありますが、現在、労災の診療報酬は健康保険の点数表に準ずる扱いということになっております。ただリハビリに関しましては、施設基準を労災のほうで設けまして、その施設基準に合致している医療機関につきましては、特別にこれより加算を加えるというようなやり方を現実にやっておるわけでございます。こういった承認施設が現在全国で十四カ所ほど労災のほうでは特別に承認しているという実情でございます。これはやはりこの施設基準というものを特にお持ちになってやっているわけでございまして、基本的には社会保険の診療報酬点数表を準用してやっておるわけでございます。特に現在社会保険診療報酬のほうでは、いわゆる作業療法関係に関しまして特別の点数の設定というのはございません。これを含めて中医協で社会保険診療報酬の今後の点数の適正化というところで御議論いただけることになるというふうに考えております。
#26
○大橋和孝君 それではちょっと二、三法案についてお伺いいたしたいと思いますが、視能訓練の対象者は現在四十万と聞いておりますが、実際は患者数はどれくらいあるか。また、今後毎年二、三万人が対象になると言われておりますけれども、これに対しまするところの訓練士の数は、どのくらいあれば対応ができるのですか。その対応数、訓練士の数もひとつ聞かしていただきたい。その養成数は、国立小児病院内に三十人と非常に少ないように聞いておりますが、どのようにしてその数をふやして質の向上に努力されるのか、これについてもお話を承りたい。
 それから訓練に必要な設備を擁する病院の数、私はまだ寡聞であってよく知らないのであります、か、非常に少ないように思うのでありますが、これはどのようになっておるか。
 それから訓練士の現在数と必要数、先ほどちょっと申し上げましたようなこと、そういうようなことをひとつまとめてお話しいただきたいと思います。
#27
○政府委員(松尾正雄君) 大体四十万と申しますのは、従来の眼科学会その他の研究の結果を引用いたしまして、それの人口にかけて推定をしたものでございまして、この点は学会自体も大体こういうものだというふうに了解をしておるものでございます。毎年二・五万程度が新しくなるというような表現になっておりますけれども、これは四十万の中にむしろ含まれて考えていただいてけっこうだと私どもは考えておるわけでございまして、こういう実態に対して、具体的にそれぞれどの程度の治療時間を要するかというようなことを中心にいたしまして推定をしてみますると、私ども、視能訓練士というものは約二千名現在要るというふうに予定をいたしております。現在はお手元の資料にもございますように、現実に各医療機関等で従事しております者は、いま九百七十名というような状態でございます。したがいまして、少なくとも私どもは昭和五十年ごろまでにこの二千名程度の確保ということがはかれるような計画をしたいと、こう思っておるわけでございます。このためには大体養成施設といたしまして三年課程、あるいは短大というものがあるわけでございますけれども、全体として約四カ年計画で十二校程度のものをつくれば、ほぼこの辺の目標に到達できるのではないかというふうな大体の見当をつけております。
 先ほど来、国立大学等について云々というような御指摘がございましたけれども、ただいま私どものほうにも国立の医学部等からこういうものについて設置をしたいという非公式な打診等もございますので、そういったようなことも十分考慮いたしまして、ぜひ早急に設置ができますように努力をいたしたいと、こういうように考えているわけでございます。
#28
○大橋和孝君 それからこの受験資格に特例がついているわけでございますが、OT、PTにも問題になっておるわけでありますけれども、この特例を延長しないで済むための措置が必要だと、こう思いますが、どのように考えて進めていかれようとしておりますか。
#29
○政府委員(松尾正雄君) ただいま九百七十名程度の現にこういうことに従事している者がおるということを申し上げたわけでございますが、この方々の大体学歴等もお手元の資料にもつけてございます。かなりレベルの高い方、大学あるいは短大卒、あるいは高校卒という者がほとんど全部でございまして、そういう意味におきましては、この従来の特例というようなものと比べますと、基本的な素養が非常に高い人たちだと一応考えられると思います。したがって、おそらくその特例試験というものについての合格率も私は高いんだろうという期待をかけておるわけでございますけれども、しかしそれでもやはり特例を設けるものでございますから、それによってできるだけ多くの人がこういうふうな資格を持って専門家として働いていただくことが望ましいものでございます。たとえば指定講習会というふうなものによりましても十分充実をいたしまして、その内容によって十分な実力を持って受験できるような方向で内容を考えたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#30
○大橋和孝君 その附則の第三項によって、現在働いている人々に、いまおっしゃったように、受験資格の特例が五年間認められておる。ちょっと表を見せてもらったのですが、この要件の一つに、業務の経歴が五年に達すること、こういう条項になっておるわけですね、第三項で。資料によると、特例の対象になる人々は、いまおっしゃったように、九百七十名でございますが、その勤務経験を見てみますと、すでに五年に達しておる者は二百七十六、それからそれ以下四年が百二十、三年が二百八、二年が二百三十八、一年未満の人たちが百二十八名となっております。そうすると、これを逆に受験資格を取得する観点から見ますと、五年に達した人が法律施行後最初にすぐ施行される試験を受ける資格ができるわけでありますが、一年未満の人たちは五年後でないと受験資格ができないわけです。そうなりますと、試験が年一回行なわれると仮定いたしますと、同じく特例措置の適用を受ける人たちの間で、ある人々は五回試験を受ける機会が得られるが、一年未満の人になりますと、わずか一回しか受験する資格がないというわけですね。そうなりますと、受験機会の不平等ということが起こってくるわけでありますし、OT、PTの場合は、特例期間の再延長を五年間してくれという要望が出ているわけです。そういうようなことから考えますと、やはりそういう措置でいくと、五年たったらまた同じようなことが起こってくる。一回受けて落ちた人は前から五回受けてやっと通った人と比べると格差があり過ぎて不平等であると、また同じような問題が私は起こってくるんじゃないかと思うのでありますが、こういうことを繰り返さないために一体どういうふうにされるのか、この辺についてお伺いしておきたいと思います。
#31
○政府委員(松尾正雄君) ごもっともな御指摘だと存じますけれども、一応特例というものについての他の制度もほぼ同じようなやり方になるわけでございます。ただ、五年たっている方は経験を積んでおりますけれども、今度の試験というのがいわば最初の試験ということになるわけでございまして、一年未満の方は先までまだだいぶん時間があります。そこで、いろいろの要件といたしまして、講習会等を受けることは最小限度の要件にしておるわけであります。しかし、受講資格というものは一回受けたら二度受けさせないというものではございませんので、私どもは、一年未満の方が最後の段階を迎えるまでの間にそういう講習会等を何回も受けられるというような配慮をして、一回だけ受けて資格は持っておりますけれども、さらに内容を十分勉強するチャンスを与えていいじゃないか、そういうことで、具体的にこういう方々の実力を十分につけ得るような時間的な余裕がございますので、そういう配慮をして報いたいと考えておるわけでございます。
#32
○大橋和孝君 それからもう一つの観点から見ると、この第二号の要件とされている講習会についてでございますけれども、どれくらいの時間を予定しておられるのか。特に正規の養成課程を見ますと、その専門科目について、三年制では千七百時間、一年制では千三百時間が要求されておるようでございます。それとの均衡がどういうように考慮されておるのか。特にOT、PTあたりでは、この養成課程で二千二百四十時間、こんなふうな時間が行なわれているようでありますが、格差がだいぶあるように私は思うのであります。どのようにこういう点を考慮されていかれますのか。
 それから、受験者の便宜に偏してあまりに短時間で講習会をするということになると、あまり合格率が得られない、こういうような向きもあるいは出てくるのではないかというふうなことも考えるわけですが、まあ、それはいままで相当の経験を持っておるわけですから、そういう講習期間を短くされるその意のあるところは私どももよく了解はできますけれども、そういう点の差があまりあると変ではないかと、あるいはまたそういうふうな合格率が低い率になっていくのではないかというような点も一応考えられるわけであります。配慮されていることはよくわかるのですけれども、わかるけれども、そういうことも考えられるから、こういう点については一ぺんお考えも聞いておきたい。ここにもいろいろ表を持っておりますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
#33
○政府委員(松尾正雄君) 特に講習会の場合には、まあOT、PT等との時間のバランスの問題があろうと思いますけれども、御承知のとおり、それぞれの幅がかなり違っております。特にORT、視能訓練士の場合には、非常に特殊な狭い領域というふうに限定されるものでございます。したがいまして、この制度をつくりますにあたって、四十年以来、専門家の方々に集まっていただいて非常に御検討をいただいたわけでございまして、その中でそういう講習会というものも御検討いただいた結果、大体おおむね百二十時間程度の講習というものをそれぞれ組み立てればいいのではないかというのが一致した意見としてあがってまいりましたので、とりあえずは、私どもは、やはりそういう専門家の御意見に従って組み立てたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん、その内容等につきましては、さらに学会等の御協力をいただいて、適切なものにしていく必要があるかと思います。ただ、まあこの問題は非常に長期にわたる時間をやれば十分であるというふうにも見られますけれども、同時に、現に働いている方々がその時間をさいて受ける、こういう便宜も考えてあげませんと、受講自体に非常に障害がくるという問題もございますので、一応専門家の意見に従って、ほぼこの程度のものを一応の目安として私どもはやってみたい。ただ、その受講の便宜ということにつきましては、これはいろいろなくふうのしかたがあるわけでございますので、その点は十分にひとつ受講の便宜がはかられますようなこまかい配慮はしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#34
○大橋和孝君 それから、これの養成課程に夜間のコースやあるいはまた通信教育のコースなんかを考えておられるのか。特に広く人材を集めるためには、やっぱりこうした措置も必要ではないか。いまおっしゃっているように、働いている人もおるわけですから、そういうこともあるいは必要ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。特にまた、先ほどからの講習時間もやはり専門家の御意向を聞かれておやりになっておるのでございましょうけれども、何かもし時間を短くされるならば、その中の、何といいますか、教育あるいはまた実習、こういうようなものを相当短時間にうまく結合さしていきませんと、先ほどのような感じがするわけであります。同時にまた、逆には、この夜間とか通信コースを考えて、そういうテキストをいろいろな人が働きながら勉強してもらえるという機会を与えることも、人材を集める一つの方法ではないかと思うわけであります。ひとつお考えを聞いておきたいと思います。
#35
○政府委員(松尾正雄君) 衛生検査技師でございますとか診療エックス線技師等の養成の場合には、ただいま御指摘のように、夜間の養成課程というものが認められておるわけでございます。したがって、今後この視能訓練士の養成につきましても、必要な基準というものが確保できているようなものがあれば、私どもは、やはり夜間の養成課程を認めて差しつかえない、こういうふうにいまは考えております。ただし、この通信教育の問題でございますけれども、これもいろいろとまだ検討を要する点があると存じますが、従来、やはりこういう技術的な教育というものには通例通信教育は向かないのだということが専門家の間でも通説になっておりまして、そういうふうな方針をいままでもとってまいっておりますが、ただいま御指摘のように、ある部分については、そういうことを活用することがかえって効果的であるというふうに考えられる面があると思います。それからまた、その他の視聴覚教育等の有効な使い方というものを織り込みますれば、従来言われておりましたように、技術教育だから、通信教育なり、そういったものは向かないのだということだけで律するということは、私は、新しい時代には即さないような気がいたしますので、そういうようなことを含みながら、今後の問題として、また通信教育をも全般的な問題の一つとして考えさしていただきたいと思っております。
#36
○大橋和孝君 それから医師及び看護婦あるいはそのほかのパラメディカルなもの全部を含めてでありますが、一度資格をとると、教育的訓練はなかなか受けられないというのが現状であります。たとえば正看護婦になればそれでもう終わりと、医者も国家試験を通って医者になれば――いろいろ研究はしておりましょうけれども、比較的そのままでいく人もたくさんあるというようなことを考えてみますと、教育訓練を受ける機会がないのですから、もっと何か日常の業務そのものが研究であったりあるいはまた実習の場であったり、あるいはまたより高度な医学、進歩するところの医療内容に対応することのできるような再教育の場あるいは研究機関、こういうものが私は必要であろうと考えるのでございます。これはパラメディカル全般にわたって、あるいはまた今度のこのORTについてでも、こういういろいろな職種を考える場合に、一度ここらでこれを考え直してもらう必要があるのではないか。ことにポストグラデュエイドの教育というものを何かある程度体系づけてもらいたい。こういうことがまた看護婦さんもあるいは医者でもみな向上する、他のパラメディカルな人でもそういうことが言えるわけであります。何かそういうことの研究機関なり、再教育機関、こういうものを考えてもらわなければいかぬと思うのですが、こういう点について、厚生省並びに文部省の側の見解をお伺いしたい。
 特に大臣のほうに、こういうふうな問題は、私は、非常にこれから大事じゃないかと思うので、たとえば医者が足らない、看護婦が足らないという場合に、やはりそういうふうな制度をもっていけばあるいは将来は大学教育を受ける、正規なそういう大学教育を受けて初めて、それくらいの高度のものであることが看護婦さんでもすべて望ましい、こう思うけれども、しかしあとからずっとポストグラデュエイトに研究したり、教育を受けたりする場があるとするならば、環境的に大学までいけない方でも、あとの訓練を受けることによって相当高度な資格を持つパラメディカルな人はつくり得ると思うわけですね。そういうことを考えていくと、ここらでひとつ再教育の研究機関あるいはまた教育機関というものをもう一ぺん考慮してみる必要があるのじゃないかと思うのですが、そういう観点をひとつ文部省側からも、また大臣からもひとつ。
#37
○国務大臣(内田常雄君) 私は、まことにごもっともなお説だと思います。技術者なり、一般の企業の職員等につきましても、今日はそういう時代になってまいりまして、再教育、再訓練というようなことをやっておる場合が非常に多くなってまいりましたが、特に医学、医術あるいはパラメディカルな人々等につきましても、日進月歩の世の中であろうと思いますので、できれば先生のお説に沿うようなことが望ましいと思います。ただ、これにはそれぞれ学会とか団体とかいうものもございましょうし、私どもがそうきめたからといって、そうなし得るものでもないような要素もございましょうから、そういう方面とも協議をいたしまして、やる場合には実効ある措置をとるようにしてまいりたいと思いますが、たいへんけっこうなお説であると考えます。
#38
○説明員(甲斐安夫君) 医学、医療の進展に対応いたしまして、看護婦その他医療技術者の再教育を行なう必要があるのではないかというお説、まことにごもっともでございまして、私のほうは、実は二、三年来、主として国公私立の大学の付属病院の関係者でございますけれども、これにつきまして、再教育のための研修会を、看護婦は看護婦、その他のパラメディカル職員はそれぞれ専門、専門に応じましての研修会を継続してやってきておりまして、この点につきましては、さらにこの趣旨を体しまして、継続充実してまいりたい、そして職員の資質の向上をはかってまいりたい、そういうふうに思っております。
#39
○大橋和孝君 医師会でもやったり、いろいろそれはやられておりますけれども、私がいま申しますところのあとの研究機関あるいは教育機関というものは、一定の何と申しますか、カリキュラムを持って、そしていまこれだけの対応した研究なり教育なりを受けた、そしてまたいろいろ実習もやった、こういうふうに――それはまたいろいろこれからだんだんと課程があると思いますけれども、そういうものをしたらば、これはこれだけの認められる地位を与えるとか、こういうことにしていきますと、たとえば准看護婦である者がこれだけの教育を受ければ今度は高看になっていくのだ、こういうふうなことがいまでもとられておりますけれども、これをもう少し普遍してやっていけば、永久に准看護婦と看護婦とが非常に差がついたままで、移行できないというのじゃなしに、やはりもっともっとこれを普遍して、教育カリキュラムをつくっていく、私はそれが必要じゃないかと思う。また医者につきましても、卒業しただけでなくて、どういうふうなカリキュラムでどれだけの研究をやって、どういう実績をあげた者はどういうものになれるとか、そういう形で、屋上屋をつくるという意味では悪い面もあるかもしれませんけれども、やはりそうした段階を踏んでお互いにやっていけるというふうな道を開く。ことにパラメディカルでは非常に要求されておる。たとえば看護婦さんなんかでも非常に要求されておるのに、正看じゃなくちゃいかぬ、准看じゃいかぬ、そして定員もふやさなければならぬということでは非常に問題があると思いますので、カリキュラムがきちっと組まれてやっていくならば、それでより以上の資格もあるし、腕もできるし、高度の医療にも対応できる、こういうふうになるだろうと思いますから、そういう点はひとつもっと、ただ研修をするという意味だけじゃなしに、もっと資格的にも明確なカリキュラムを組んで、いわゆる一つの学校としてやっていけるくらいの内容を持ったものにしていかないと、ただ、いま普通医者でもやっております研修程度では――それはそれで大きな成果を得られているとは思いますけれども、なお一そうそういうものがあれば、ことにパラメディカルは、医者も少ないのですが、そういうときにはそういうことが必要じゃないかというふうに感ずるわけです。特にそういう点を配慮していただきたい。
 もう一つ、医療社会事業士というようなものが考えられておるわけでありますが、これはパラメディカルの分野でも非常に大きな役割りをしておるのじゃないか。寝たきり病人とか、いろいろな不幸な人に対してそうした社会事業的に動く職種というものも大事だと、こういうふうに思うのでありますが、この点はどういうふうに考えておられますか。将来やる中に入りますか、考えていないですか。
#40
○政府委員(松尾正雄君) 確かに御指摘のように、メディカルケースワーカーといったような方方の役割りは、非常に重要な医療上の使命を持っております。この関係はいろいろな多方面の知識を持った方々が、それぞれのコースから入ってきてそういうことに従事していただいておりますので、いま直ちに、ある資格というもので狭くくくることがいいのかどうかという問題が根っこに一つあるのじゃないかと考えます。ただ、医療制度調査会等におきましても、いまの視能訓練士や、そういった者とは対等とはとれませんけれども、次のパラグラフ等においてもそういうことを考慮すべきだということは言われております。必要性は十分私どもも考えておりますけれども、はたして一つの身分等にまとめるのは妥当かどうか、これはもう少し検討さしていただきたい。主として需給上の問題としてそういうことを考えておるわけでございます。
#41
○大橋和孝君 私は、このパラメディカルの分野というのは、資格制度をつくって、そういう職種をつくっておいたほうが、ある一定の基準が保たれる意味で、いまのような野放しの状態よりやはりそうした資格を持った人をこしらえるほうがよりベターのように感じますので、この点ひとつ十分考慮していただきたいと思います。
 それから、いまの矯正可能率が斜視で三分の一、弱視で三分の二として、それぞれ三十七万とか三万というようなことで示されているようでありますが、この視能の訓練の対象になり得ないような斜視だとか弱視の人々に対する社会適応訓練はどんなふうに考えておられるか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
 それからもう一つは、斜視の手術は育成医療に取り入れられていいと思うんですが、これはどんなふうになりますか。
#42
○政府委員(松尾正雄君) 確かに、対象の中で完全にめくらでありますとか、あるいは機能的に絶対回復できないようなものを持っておる方、いわばこれは私どもの分類といたしましては、社会福祉的なあるいは特殊教育的なそういう分野に属するべきものだと考えておるわけでございまして、主として子供の場合でございますと、特殊学校という形の中でこの方々の日常生活、訓練等が行なわれておるわけでございます。
 もう一つ、何かちょっと……。
#43
○大橋和孝君 斜視の問題。
#44
○政府委員(松尾正雄君) この訓練自体がきわめて効果があがってまいりまして、りっぱな例を持っておりますので、私は、少なくともこの斜視等の手術等は、いわゆる育成医療の対象になるものと考えております。これは十分ひとつ将来におきまして検討していきたいと思っております。
#45
○大橋和孝君 それから、医師の指示を受けないで視能訓練士が業務を行なってはいけないことになっておるようでございますね、この点もひとつ明確にしておいていただきたい。
 それから、視能訓練士が共同で独立の訓練所を設けることができるかどうか。それにはもちろん嘱託医を頼んでその指示を受ける、こういうような場合だったら。それはできるかどうか、ちょっと伺っておきたい。
 それから、第十七条によるところの視能訓練士の資格を得れば、診療の補助業務を行なってよいということになっておるようでありますが、経過措置が認められている人々、すなわち法施行の際に業務を行なっておった人々は、この十七条との関連で、やはり業務範囲は同じように考えていいんですかどうですか。こういう点もひとつ聞かしていただきたい。
 それから、診療の補助にかかわらない業務とは一体どんなことを意味するのか。これもちょっと聞いておきたい。
#46
○政府委員(松尾正雄君) 一般的に視能訓練士が行なう仕事は、提案理由にございますように、医者の指示によっていろいろ行なうわけでございます。その意味では総括的な指示といものがかして働く。ところが特別の場合には、医者の具体的な指示がなければきわめて危険な場合がございます。たとえば、目のいろいろ検査のために瞳孔をあけよう、そのために検眼をしなければならない。万一この場合かってにやりますと、先生御承知のとおり、たとえば緑内障等をそのために誘発する、増発するというような問題がございます。したがいまして、この視能訓練士の方々がいろいろな測定等に従事いたしましても、一般的な指示だけでは足りない、非常に厳密に医者が診断をした上でこうでなければいかぬということを指示しなければならない、こういうものが幾つかあるわけでございます。したがって、そういうものについては省令できめて縛りをきちっとかけておくということが妥当だということで、そういう規定を設けましたわけでございます。
 それから第二点の、共同して独立の営業ができるかということでございますが、これは私どもは、病院、診療所内でそれが行なわれるということを期待しておりますので、したがって、それが外に独立して営業を行なうということはできないと考えております。
#47
○大橋和孝君 そういうことをやらせない……。
#48
○政府委員(松尾正雄君) やらせないということでございます。
 それから、診療の補助業務というものとの関連で、従来やっている方々はどうなるんだということでございますが、これは具体的には看護婦の資格を持っておるわけではございませんから、厳密に言えば、その方々のやっていることは、いわゆる看護婦等と同じ補助業務だというふうには言えないものでございまして、したがって、これはやはり医者のいわゆる手足的な補助者という形でやるというふうに理解するわけでございます。そのほか補助業務にならないものは何かあるかということでございますが、たとえば視能訓練の場合のように、いわゆる単純な医療行為といえないような、たとえばピンポンで遊ばしてやらなきゃならないという問題、訓練のためにビーズ玉を通してみるといったようなことを――これは非常に必要だとされておりますが、厳密な意味で医療行為かといえば、そうではない部分があるということがあるわけでございます。
#49
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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