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1970/03/23 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第8号
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1970/03/23 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第8号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第8号
昭和四十六年三月二十三日(火曜日)
   午前十時三十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     山下 春江君     小山邦太郎君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     小山邦太郎君     山下 春江君
     高田 浩運君     植竹 春彦君
     山崎 五郎君     奥村 悦造君
     塩見 俊二君     大森 久司君
                小野  明君
  委員中村英男君は公職選挙法第九十条により
  退職者となった。
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     植竹 春彦君     高田 浩運君
     奥村 悦造君     山崎 五郎君
     大森 久司君     塩見 俊二君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     高田 浩運君     中津井 真君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     中津井 真君     高田 浩運君
     玉置 和郎君     森 八三一君
     山本  杉君     和田 鶴一君
     横山 フク君     高橋  衛君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  虎雄君
    理 事
                上原 正吉君
                高田 浩運君
                小柳  勇君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                黒木 利克君
                高橋  衛君
                森 八三一君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                和田 鶴一君
                大橋 和孝君
                喜屋武眞榮君
       発  議  者  小柳  勇君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     伊東 正義君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       人事院事務総局
       職員局長     島 四男雄君
       厚生大臣官房長  高木  玄君
       厚生省公衆衛生
       局長       滝沢  正君
       厚生省医務局長  松尾 正雄君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       厚生省保険局長  戸澤 政方君
       厚生省年金局長  北川 力夫君
       厚生省援護局長  中村 一成君
       社会保険庁年金
       保険部長     八木 哲夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       寒川 英希君
       文部省大学学術
       局審議官     安養寺重夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する
 法律案(衆議院提出)
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
 (小柳勇君外一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月十七日、中村英男君の退職に伴い、その補欠として小野明君が選任されました。
 また本日、玉置和郎君が辞任され、その補欠として森八三一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(林虎雄君) 去る三月十七日、高田浩運君が委員を一たん辞任されましたため、理事に欠員が生じておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、理事に高田浩運君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(林虎雄君) 理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院社会労働委員長代理理事伊東正義君から趣旨説明を聴取いたします。伊東君。
#6
○衆議院議員(伊東正義君) ただいま議題となりました理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和四十年に理学療法士及び作業療法士法が制定され、理学療法及び作業療法による医学的リハビリテーションを行なう理学療法士及び作業療法士の資格制度が発足いたしましたが、その際、経過的特例として、同法施行の際、現に病院、診療所等において、医師の指示のもとに理学療法または作業療法を行なっていた者については、一定の要件のもとに、昭和四十六年三月三十一日まで国家試験の受験資格を認めることとされました。
 この経過的特例により、理学療法士または作業療法士の免許を取得した者は理学療法士が九百五十二人、作業療法士が二百十五人おり、現に医療に貢献しているわけでありますが、理学療法士及び作業療法士の充足状況をみますと、まだ十分とは言えない現状でございます。
 本法律案におきましては、このような現状にかんがみ、受験資格の特例が認められる期間を三年間延長し、昭和四十九年三月三十一日までこの特例を認めようとするものであります。
 以上が本法律案を提出いたしました理由とその内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○小柳勇君 政府のほうに質問いたします。
 理学療法士及び作業療法士は、リハビリのパラメディカルとして重要な位置を占めております。したがって、その質と量の確保は今後とも必要でございますが、この法律が施行されてからすでに五年を経過いたしました。今日までの業績によると、受験特例による受講者が四千名以上、正規の養成課程を経た者が二百名ぐらい、両者の国家試験合格者数は約千二百名程度の実情にあると聞いておりますが、正規と特別の合格率はどうなっておるか、お伺いいたします。
 また、特例合格者のうち、晴眼者、弱視、盲人の合格率はどうなっておるか、御説明を願います。
#9
○政府委員(松尾正雄君) 第一回から五回までの合格者についてお答え申し上げますと、理学療法士におきましては、学校を卒業いたしました者の合格者は百六十名で、合格率は七六・六%でございます。それから特例者につきましては、晴眼が合格者六百七十八名、合格率一八・〇、弱視が二百四名合格をいたしまして、合格率は一四・七、それから点字の受験が七十名合格いたしまして七・五%、特例者についての小計は一五・七%の合格率でございます。
 それから、作業療法士につきましては、同じように第一回から五回までの分について申し上げますと、学校卒業者が合格数九十三名で八六・九%の合格率、特例者については晴眼が合格率一八・四%、弱視が五〇%、小計いたしまして特例者については一八・五%という合格率でございます。
#10
○小柳勇君 正規の卒業者は、学科の試験は容易にパスするから、あと技術試験だけ受ければいいが、特例者の人は実技を主としておりますために、学科試験のほうが容易にパスできない。したがって、合格率に大きな差があると思います。特例試験を認めておるのでありますから、学科も技術も一緒に試験をして、ある平均点、たとえば六十点なら六十点ときめておきまして、それ以上の方は合格するというような試験のやり方の改善についてはお考えになったことございませんか。
#11
○政府委員(松尾正雄君) 現在の試験につきましては、ただいま御指摘のとおり、一応その業務を遂行するに必要な最低限度の知識があるかどうかということをいわば学科試験として最初に行なう。いわば第一次試験というものが学科試験でございます。それに一応の水準に達した者について実技試験を行なって最終結論を出す、こういうことでございます。これが従来の医療関係者審議会の理学療法士作業療法士部会の検討を経た結論として、そういうふうに行なっておるわけでございます。
 実績を見ますと、ただいま御指摘のように、第二次試験に入りまして、実技試験のほうが学科よりもやや成績がいいような傾向がございますわけでございます。したがいまして、従来どおりのそういう方式を部会としては今後も続けるというような御方針であろうと存じますけれども、いまのような実態を見ますと、試験のやり方等、かなり困難はあろうかと思いますけれども、審議会にも十分御相談をいたした上で検討いたしたいと思います。
#12
○小柳勇君 この法律を延長するかしないかのいろいろわれわれが判断をする段階で、賛否両論の陳情者がございまして、これを延長することに反対の方は、試験に合格しても将来のこの業の水準を下げるのだ、下がるからこの延長に反対だという意見がありました。もっともな意見でございましょう。特にその中には医師、このほうの関係の医師会などは反対でございました。それから国家試験に合格した方の協会でも反対のほうの意見が多数あった。これはやはり世界的な水準から日本のこの業界の水準が下がるという心配ですね。賛成の中のどうしても延長してもらいたいという意見の中に、たとえば四千人もおって千人しか通らなかったのはなぜかといえば、試験がなかなかむずかしい、実技だけでも三関門を通らなければならない、第一関門、第二関門通っても第三関門で落ちる、第二関門までいけばいいのだけれども、そこまでなかなかいけないというようなことがありました。もう一つ心配なのは、たとえば三年間延長しても、試験官がむずかしい試験をやると通らないわけですね。あと三千数百名いらっしゃるが、講習会受けてもなかなか国家試験通らないわけです。だから私心配したわけです。三年間延長し、五年間延長するのはいいけれども、試験官がむずかしい試験をやったり、あるいは成績をきびしく判定したら通りませんぞと言ったら、それは一生懸命勉強しますといった。今度は逆に医師会のほうに聞いた。なぜ延長するのに反対かと言ったら――まずその前に、それじゃ試験を通らないで合格しない人がたくさん仕事をしているからその仕事をやめさせますかと言ったら、それはやめさせちゃ困ります、仕事はやらしていいと、それじゃ試験制度をなくすことになるが、現在仕事をしている人は試験制度があるから一生懸命勉強しますでしょうと言ったら、そこでその医師の人が言ったのは、もう何回も試験を受けておりますと、実際は水準上がりませんでも、試験がうまくなって通りますよ、こういう話でありまして、試験を何回も受けておりますと勘で試験官のくせを覚えて通りますよということを言っておったこともありました。
 いろいろ試験の判定についてはむずかしうございますけれども、この特例試験については、厚生大臣の指定する講習会を修了して三科目が免除されるが、理学療法士の場合、三千三百時間のうち免除科目と基礎科目を除いて、受験の四科目についての時間だけでも約一千時間の差があることになる。これが特例講習会では二百四十時間となっておるので、特例者は学術的に合格することは困難であるのは当然であると思われるがどうか。したがってこれらに対して何か厚生省としてお考えになったことがございますか。
#13
○政府委員(松尾正雄君) 講習会のほうが正規の養成課程よりも時間数が短いといいますことは、当然それに従事しております方々がいろいろな経験その他を通じまして相当の知識を持っているということを前提にしておるわけでございまして、したがいまして、そういう方に最終的に講習会で系統的に整理をした知識を与えて、そうして受験資格を与えよう、こういうことになっておりますので、全くのしろうとを一年生から養成をしております学校とは当然時間が違ってくる。また一方、現に仕事に従事しておられる方の受講の便というものを考慮いたしますと、いたずらに時間数だけ多いということは受講を困難にする面もございますので、いろいろ検討いたしました結果、二百四十時間というものを最低限度の要件として認めておるわけでございます。したがいまして、それが不十分であれば、それは最低限度の問題でございますので、関係団体等の十分御意見を聞きながら、それについてのさらにより勉強できるような方法というものは、単に時間数以外にもいろいろ考え得る道があろうかと存じます。十分に今後も団体の御意見等もお聞きした上で、現実に合った勉強のできやすい方法を検討してまいりたいと思います。
#14
○小柳勇君 今回の三年の延期は、陳情が非常にきびしいからしかたなく延ばしてやるということでなくて、この三年間に少なくとも受講者の三分の一なり二分の一をパスさせるというような方向で特例講習会の時間数を再検討するとか、受講方法を夜間制、通信教育を取り入れて、現に業務に従事しておる者も受けやすくして、充実した講習会にする配慮をしてもらいたい。また看護婦、あんまなどの免許のない高校卒だけの特例者には受験科目の免除がないのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
#15
○政府委員(松尾正雄君) 前段の御質問につきましては、ただいま申し上げましたように、現に仕事に従事しておる方々がそういう状態の中で勉強しやすいようないろいろのくふうをするということは、私どもは賛成でございます。十分にひとつ検討させていただきます。
 なお、看護婦やあんま等の資格を持っておられる方は、すでに養成課程で免除されておる生理学とか解剖学等も一応勉強しておりますし、同時にまた、それぞれの免許試験の際にはその試験を受けておるわけでございます。したがいまして、そういう一度他の制度によってその科目試験がございまして、それにパスした前提があれば、これははずしていいと考えて現在はずしておるわけでございますが、そうでない場合には、やはり現在の体制でこれをはずすということは困難かと思います。
#16
○小柳勇君 大臣に二つ見解を聞いておきたいと思うのですけれども、一つは、この法律を延長することに賛成、反対の両派の意見がきびしくありました、たくさん両派ともに。同じ仕事をしながら意見の対立があるということを私どもは見てとりました、その過程で。同じ仕事に従事する者でありまして、しかも医師を助けあるいは医師と一緒に病人をなおす仕事でありますから、協会内に対立があるということはあまり好ましくないと思います。だから、今後協会内の対立などもしありましたらたいへんでありますから、融和の方向にできれば協会など一本になりまして、国際的な協会などにも加入するような方向に御指導願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#17
○国務大臣(内田常雄君) 先般も当委員会においてお話がございましたように、これから先医療という問題は、リハビリとかアフターケアということが非常に重要視されてまいってきておりますので、これに対応いたしましてOT、PTという方々、パラメディカルの方々の職能が非常に重視されてきておるものと思いますが、御承知のように、それにこたえるべき現在資格を持った方々が十分でございません。また新しくこの職能につかれる方々の養成所というようなものも十分でないと私は考えるわけでありまして、さような見地からいたします際には、新しくやはり養成課程、あるいはまた場合によりましては大学などの課程にも取り入れまして、そういう資格を持ってOT、PTになられる方の養成も必要でございますし、またこれまで実際こうした業務に従事しておられた方々に必要な講習を行なって、特例試験の上、資格を与えるということによるこれらのパラメディカルの方の養成ということも必要であって、私は両々相まってやらないと、アフターケアやリハビリの養成については十分対応することができまいと思いますので、私どもは、その両方の方法による充足に力を入れたいと考えます。したがいまして、もうでき上がりました資格者につきましては、そのコースの違いによりまして違った協会があって相対立しておるというようなことでございますならば、おもしろいことではございませんので、私ども、関係団体の方々と十分お打ち合わせをしたり、また仲立てもいたしまして、その間の融和、できるならば一本化というようなことのためにいろいろ協力あるいはまたあっせん、指導的な措置も講じてまいるのがいいと私は考えておりますので、そのようにいたしたいと思います。
#18
○小柳勇君 もう一つは、いまの大臣のお話の中にもありましたが、質的にはだんだん向上いたしますが、量が足らない、絶対量が足らない。今後、作業療法、理学療法というものの必要性は言を待ちません。したがって、もう少し金をかけて養成施設を完備する、拡充する。そしてこれらの人々の養成もやるし、また広く人材を求めて養成量をふやしてもらいたい、そういうふうに思います。いま医師の不足あるいは看護婦の不足などありますけれども、いま、やっぱり世論がわいておりますから、いまこそやらなければ、厚生大臣、この際うんと金をかけて、医療関係者の人材の養成、拡充にひとつうんと馬力をかけてもらいたいと思います。一番いい時期じゃないかと思いますよ。これこそ大蔵省だって文句は言えませんでしょう。大臣ががんばって予算をうんとくれといえば、やはり世論が支持すると思いますから、この際関係者の人材の養成、拡充と同時に、医療関係者の質の問題についてひとつ格段の努力をしていただきたいと思いますが、その見解をお聞きして私のこの問題に対する質問を終わりたいと思います。
#19
○国務大臣(内田常雄君) 私どもも全く同じような考え方に立つものでございますので、小柳さんの示唆されましたそういう方向の実現のために、引き続き努力をいたしてまいる所存でございます。
#20
○渋谷邦彦君 この件に関する需要と供給の問題でありますけれども、いまも話がありましたように、供給の面ではおそらく絶対量が足りない、これが前提になったのと、それからもう一つ専門的な、ともあれオーソライズされた資格を持った人でないと非常に危険が伴うというような着想に基づいて、今回の三年間の延期というふうな段取りになったのであろうと判断されるわけでありますが、はたして三年間延長して、その後の対策というものも十分に講じられるものかどうか、この点いかがでしょうか。
#21
○政府委員(松尾正雄君) 先ほど来お話もございましたように、ただいま残っております方が三年間にできるだけ多く資格を得るような努力はいたすべきだと存じます。しかしながら、やはり基本的にはただいまお話のございました正規の養成コースというものをきちんとこれは計画的に整えるということが何よりも基本的問題であろうと存じます。したがいまして、私どもも、どの程度リハビリテーションというものが必要なのかということが、従来なかなかはっきりしてなかったようでございますけれども、最近におけるいろいろな調査その他の資料から、大体外来患者なり入院患者なりについてどの程度の数が必要であるかということがほぼ試算できるようになってまいりました。そういうことによりまして、一応ある年次における必要数というものを予定をいたしまして、それに対して年次的な養成計画というものを立てて対応してまいりたいと考えておるわけでございまして、そのために理学療法士、作業療法士の部会におきましても、この四月からさらにそういう問題について、具体的なひとつ検討をしよう、こういうようなスケジュールを立てておるような次第でございます。そういうことによって、早急な養成計画の拡充ということに着手したいと考えておるわけでございます。
#22
○渋谷邦彦君 現状として供給の面を考えた場合に、どのくらい足りないと判断されていらっしゃいますか。
#23
○政府委員(松尾正雄君) 現在のところ、ただいま申しました一つの試算に基づいて必要数と対比いたしますと、理学療法士の充足率はほぼ二〇%というふうに考えられると思います。それから作業療法士のほうは約六、七%じゃないか。必要数に対しては一〇%に満ちていない、いま、かように考えるわけでございます。
#24
○渋谷邦彦君 そこで、いま局長からも御答弁がございましたように、もうすでにヨーロッパにおいて相当古い歴史を持っておるというふうに伺っております。日本においては、昨今ようやくこのリハビリの問題が重視されるようになりましてから、この点に関してやっと昭和四十年に法制定があったというような経過があるわけでございます。確かにいま数字的な面から見ましても、おそらく試験に合格する率がどの程度になるものか、たとえば社団法人全国病院理学療法協会というんですか、ここで調査したというよりも、自主的に行なった模擬試験の結果が図表で示されております。およそ三〇数%ですね。そうしますと、いままで従事していた経験者を含めて約六、七〇%の人がまず適格者ではない、こういう判断になるだろうと私は思います。けれども、試験というのは時の運不運というものがあるかもしれません。非常に単純な言い方かもしれませんけれども、そうした場合に、一体残された人、いわゆる試験に合格しなかった人たちは一体どうなるのか。これも正確な数字であるかどうかはわかりませんけれども、現在受講しなければならないといわれている対象者が四千五百名いるといわれているそうであります。この四千五百名の方々がこれから試験を受けて、また合格するしないということになるだろうと思いますが、かりに三十数%あるいは四〇%、あるいは五〇%にいたしましても、二千数百名の人はまず適用外の判定を受けなければならない。そうすると、その人たちの生活権の問題は一体どうなるんだろうか。それから今度仕事に従事しなくなった場合に、一体どういう仕事を目標にしてやらなければならないんだろうか。おそらくその立場に置かれた人自体を考えてみても、相当の不安があるんじゃないか。その辺をどう整理されながら、さらに先ほど来申し上げておりますように、供給面を充足させるために三年間の猶予期間が置かれているものの、とかくその三年間の猶予期間というものはあっという間に過ぎてしまう。ここで根本的な対策というものが講じられない限り、また焼け石に水になるようなおそれがあるのではないだろうか。こういうことを心配いたしますので、基本的な構想を大臣はどのようにお持ちになって対処するか、解決の方途をお持ちになっているか、それをお聞かせいただけませんでしょうか。
#25
○国務大臣(内田常雄君) 私も、もとよりこの方面の深い造詣はございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、リハビリやアフターケアが非常に重要な課題になってまいってきておりますので、何と申しましても正規な課程を経てOT、PTの資格をとられた方々を供給する、そのための大学あるいは養成所というようなものの充足にまず第一に私どもはできる限りの努力を払いますが、しかし、現在、いまお話がございますように、OT、PT両方を含めまして四千名余りの方々につきましては、特例試験を残します以上は、できるだけこの特例試験にも合格していただけるように講習の時間なり、内容なりにつきましてもくふうをこらしまして、夜間とか通信教育とかいうようなことも取り入れることを考慮いたしながら、これらの方々が――従来のところによりますと、試験の合格率が非常に低いようでございますけれども、合格率が高まって、せっかく今度国会の提案によりまして延ばしていただく期間の間に、こうした実務を中心にやってこられた方々からも正規の資格者がなるべくたくさん出るようなぐあいに私どもは行政的にもつとめてまいるつもりでございます。
 あとに残った方々はどうなるかということになりますと、もともと理学療法士、作業療法士の制度というものが、いわゆる業務独占ではございませんので、かりに特例試験に合格をし得なかった方々も現在の業務を奪われるということにはならないものでございまして、作業療法士なり理学療法士なりという名称を用いてその処遇を受けながらその仕事に従事することはできない、こういうことになるわけでございますので、これは私も全員合格していただくことを期待をいたしながら、合格できなかった場合にもその仕事を捨てることがなく、やはり従来どおりこういう方面の仕事に協力をしていただけるものだと私は考えておるわけでございます。
#26
○渋谷邦彦君 そうしますと、おことばを返すようでありますけれども、かりにその試験に合格しなかった場合でもいままでと同じような取り扱いを受けながらその業務に携わることができる、その処遇の問題で違うとおっしゃるわけでございますか、その点伺いたい。
#27
○国務大臣(内田常雄君) 前半、お説のとおり、私がそういうことを申し上げたわけであります。かりに国立病院、国立療養所等における公務員であるこの種の仕事に携わる人々の格づけなどをいたします場合に、私は、処遇を違えざるを得ないのではないかと思うわけでございますが、国がそういうことになりますと、公立の病院あるいはまた民間の同じような機関におきましても処遇が違ってくるという問題が起きるのではないかと思いますが、これはこれらの人々の身分に関することでございますので、間違うといけませんので、これにつきましてはなお医務局長から説明をさしていただきたいと思います。
#28
○政府委員(松尾正雄君) ただいま大臣からお答え申し上げましたようなことでございまして、国家公務員の場合には、正規のこういう資格を持っておる方というものは、そうでない場合よりも多少格づけが上になっておるというふうになっておりますので、そういうことで間違いはないわけでございます。
#29
○渋谷邦彦君 その基本的な、いわゆる原則的な考え方は私も否定はいたしませんけれども、こうした特殊な、とりわけ身体障害者等を対象とするリハビリテーションの理療業務に携わるという場合には、これは想像にまさる苦労が伴うことは再再この委員会においても申し上げてきたはずだし、当局においてもその点は十分に理解されているはずだと私は思っております。したがいまして、その業務内容、一体どこに差があるのかということは、いま伺った範囲では、もちろんそれは試験に合格したからそれだけの恩恵を国としては当然与えるということはわからないわけではありませんけれども、しかし、そういう特殊な例外的な内容を持つこの種の問題に対しまして、こうしたきびしい条件のもとに従事する職員の人たちの立場というものを考えた場合に、そういう差別待遇というものをすべきかどうかということを非常に心配するわけです。じゃ、今度の試験を受けてどういうところが、明確に恩恵を受ける者と恩恵を受けることができない者とどこが一体違うのかという点をもう一ぺん重ねてお尋ねをします。また給与の面で違うのか、その他もろもろの点で違うのか。
#30
○政府委員(松尾正雄君) 一番違いますのは、公務員の場合には給与の違いが、資格を持っておる者が上になるという点だけであります。業務の実態からいえば、先ほどから大臣がお答え申し上げておりますように、業務の独占ではございません。名称独占でございますから、その点についての本質的な差はない、こういうことになると思います。
#31
○渋谷邦彦君 私は、前にもこういうことを申し上げた記憶があるのですが、やはりこの種の問題については、人の想像も及ばないような苦労というものが絶えずしいられる。せめてそういう人たちに対して何らかの処遇というものを考えなければ、あまりにその差別待遇というものを与えれば、その仕事に対する自尊心も傷つけられましょうし、将来に対する希望というものも失われますのでしょうし、そういうことになれば、人手がないといわれておるこの種の施設に従事するような人々もますます減る一方ではないか。そうして先ほどの基本的な問題に立ち返って、需要供給のバランスというものはいつまでたっても改善されない。本件に限らず、健康保険の例を見るまでもなく、時限立法でもってその間において根本的に対策を講ずるとおっしゃりながら、何ら――そこが根本的にあるいは内容的に違うかもしれませんが、健保と一緒にするわけにいかないかもしれませんが、はたして三年間にいま申し上げたようなことを含めて改善されるのだろうか。とりわけ、いま私申し上げた、御指摘もいたしましたその件についても、やはり根本的に仕事に対して意欲を持たせるという方途を講じていただかなければならない。この試験に、不幸にしてこの三年間にせっかく設けられたその特例措置のその法律の精神が生かし切れない、そういう人が出た場合――まあ私は出るだろうと思います。やはりきわめて政治的な配慮としてはまずいのじゃないか、この点いかがなものだろうかという点をお尋ねしておるわけですが、どうしてもやはりそういう点の差別というものは抜き差しならないものでございましょうか。
#32
○国務大臣(内田常雄君) 渋谷さんのそのあたたかい気持ちなり、またこういう仕事に現実に従事されておる方々に対する重要性の認識ということにつきましては、たいへんよくわかりますし、また私もお説に同調できるものでございます。ただこの理学療法士、作業療法士の法律をつくりまして、これを制度化いたしましたのは、こういう仕事に携わっておる方々の区分をいたしまして、一方には特別のいい処遇を与え、片方にはそれに劣る処遇を与えるということをいたすわけでは決してございませんので、先ほど来御論議のございますように、これからリハビリというものが非常に重視をされ、したがってその仕事に携わる職能人というもののその世界における地位というものもますます重要性を加えてまいりますので、全体として作業療法士あるいは理学療法士の方々の社会的地位、職能的地位を上げてまいるということのためにこういう制度をつくったわけでございます。そうすることによりまして、あとに続く人々に大いに希望を与え、また事の重要性に対する認識を与えまして、そうしてこの方面の職能人が不足がないように、これらの指導者の方々も養成なされるようにということでこういう制度ができたわけでございまして、試験に合格されない方々、現にその職能に携わっておりながら特例試験に合格されなかった方々に卑屈な気持ちを与えたり、これらの人々の処遇を落とすというような、そういう考え方は全くございません。すべてこの職能に従事する人々の世界を広くし、高くする、こういうことでこの法律制度ができたというふうに御理解いただければ幸いでございますし、また、私が申しましたような意味におきまして、この世界の方々の処遇をいたしてまいりたいと思います。
#33
○渋谷邦彦君 もう一つ、この需要供給のバランスをとる一環として、先ほども質疑があったようでございますが、現在の施設をさらに拡充して、その充足率を達成するという新たな計画はお持ちではございませんでしょうか。
#34
○政府委員(松尾正雄君) 先ほど申し上げましたように、一定の年次計画というものを立てる基礎というものをいま確立しつつあるところでございますので、それに基づいて近く具体的ないろいろな対策を立てたいと考えておるわけでございます。なおその一環といたしましては、従来ございまた高等学校を出て三年という養成のしかた以外に、いわゆるサーティフィケートコースと言われますような大学等において、短大等においてある一定の基礎的な科目を修得したというような人については、その基礎の上にさらに二年間の養成というものを考えるということで、十分受験資格を与え得るような方法もすでに検討しておるわけでございます。そのカリキュラム等もほぼ出尽くしてまいっておりますから、そういったことも織りまぜまして、近いうちにきちんとした年次計画を立ててまいりたい、こう思っております。
#35
○渋谷邦彦君 まあ、その点は強力に推し進めていただきたいと思います。一つ心配になりますことのもう一点は、先ほども反対論者、賛成論者の話がありましたが、私のところにもきております。この非常に限られた期間内においての養成、そしてまた試験に臨む、しかもある意味においては専門的な医学的な知識というものを要求されるこの種の立場の方々が、いま申し上げたような期間内において、はたして質的な向上がはかれるだろうかという心配があるようでございますが、その点は、まずないと判断していいものかどうなのか。それから試験に合格したからといっても、その後のやはり訓練教育というものが当然これは要求されていかなければならないだろうと私は思うのです。試験に合格したからそれで一切完了である、資格さえ取っておけばどうでもいいんだというわけにはもちろんいかないと思います。もっともっと高度な技術を要求されていくだろうと私は思うのでありますが、その面についてのこれからの考え方、対策はどうなっているのか、どういうふうにこれから推進されようとされているのか、この点をお伺いして、私はこの問題については終わりにしたいと思います。
#36
○政府委員(松尾正雄君) 質の向上はやはりきわめて基本的な問題でございますし、したがってこういういろいろな受験資格あるいは試験の内容等につきましても、一定の質を保持するというたてまえから、ある意味で厳正に行なわれているというふうになるわけでございます。またそれに耐え得るような御勉強をいただくということで、一面質の要望ということに対しておこたえを願いたいと、こう思っております。
 なお、資格を取ったあとにおける再訓練の問題、これは単にこの職種のみならず、あらゆる世界において、御指摘のように、非常に重要な問題だと思います。その一つは、わが国において比較的欠けていると思われますけれども、それぞれの職場におけるいろいろな訓練、これがまず非常に大事な問題ではなかろうか。この問題に関しましては、医療機関全体としての意識が多少低いような感じもいたしますので、そういう方面にも呼びかけをいたしますと同時に、また一方、各種のいろいろな団体というものが結成されておりますのも、またそういうようなみずからの手によっていろいろな勉強の機会をつくるということに一つの大きな目的がそれぞれあるわけでございます。したがって、こういうものはむしろ自主的なそういう研さんという道を中心にいたしながら、それに対して私どもができるだけの御援助を学会その他ともお打ち合わせの上でするということが最も至当な方法ではないだろうかというふうに考えております。そういう問題につきましては、私どもは、積極的に再訓練につきまして協力をいたすつもりでございます。
    ―――――――――――――
#37
○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 山本杉君、横山フク君が辞任され、その補欠として和田鶴一君、高橋衛君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#38
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もなければ討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#39
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#41
○委員長(林虎雄君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び国民年金法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 まず、両案の趣旨説明を政府から順次聴取いたします。内田厚生大臣。
#42
○国務大臣(内田常雄君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案並びに国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 まず、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 昭和二十年広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者につきましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療を行なうほか、本法により、各種の手当の支給を行ない、その福祉の向上をはかってまいったところであります。
 今回、これら被爆者の福祉の一そうの向上をはかるため、原子爆弾の放射線を多量に浴びたいわゆる特別被爆者で、原子爆弾の影響に関連がある疾病にかかっている老齢者等に支給されている健康管理手当について、その支給の対象となる老齢者の範囲を六十五歳以上の者から六十歳以上の者に拡大し、その療養生活の安定をはかることといたしました。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。次に、国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国民年金制度並びに児童扶養手当及び特別児童扶養手当制度につきましては、逐年、その改善をはかってまいったところでありますが、近時における社会的、経済的諸事情は、老齢者、心身障害者、母子家庭等に対する福祉施策充実の必要性を一段と高めております。
 今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみまして、国民年金における福祉年金、児童扶養手当及び特別児童扶養手当について、いろいろな角度からできるだけの改善充実を行ない、支給範囲の拡大、支給金額の引き上げなどをはかることといたしております。以下、その内容について概略を申し上げますれば、
 第一は、年金額等を引き上げることとするものであります。すなわち、老齢福祉年金を現行の月額二千円から二千三百円に、障害福祉年金を月額三千百円から三千四百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金を月額二千六百円から二千九百円に、それぞれ三百円引き上げをいたすこととしております。また、児童扶養手当及び特別児童扶養手当につきましても、児童一人の場合の手当の月額を現行二千六百円から二千九百円に引き上げることといたしております。
 改正の第二点は、戦争公務による扶助料等との併給を大幅に認めようとするものであります。すなわち、准士官以下の旧軍人の遺族等で公務扶助料等の受給者につきましては、これまで福祉年金額の一部のみが併給されておりましたのを改めまして、今後は福祉年金を全額併給することとするものであります。
 改正の第三点は、からだの不自由な老人については、老齢福祉年金の支給開始年齢を引き下げることとするものであります。すなわち現在、老齢福祉年金はすべて七十歳から支給されておりますが、身体に障害があるため日常生活に著しい制限を受ける老人につきましては、その支給開始年齢を六十五歳に引き下げようとするものであります。
 なお、以上の法律事項のほか、扶養義務者の所得による支給制限につきまして今回大幅の緩和をはかることとしておりますことは、先般も申し上げましたところであります。
 以上がこの法律案を提出する理由であります。何とぞ両法律案につきまして慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#43
○委員長(林虎雄君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。
 それでは、これより原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#44
○小柳勇君 まず、基本的事項について大臣に質問いたします。
 原爆被爆者は、戦争による犠牲者の中で最も悲惨な状況にございます。これが対象は当然国家補償の精神により手厚く援護すべきものと考えますが、いかがでございますか。
#45
○国務大臣(内田常雄君) お答えを申し上げます。
 現行の原爆医療法等は、原爆被爆者がそれに基づきましていろいろの病気を併発するというような状態にあられることなども考慮をいたしまして、同じこの日本の国内におきまして焼夷弾等でけがをされた人々もおりますけれども、そういう方々とは異なる状態にあることに着眼をいたしまして、国が特別の社会保障的な考え方で措置をいたすということでこの法律が先年制定をせられております。しかしこの考え方の基礎は、これまでのところは国が国家補償をするというところまでは、御承知のとおり、踏み切っておらないところにお尋ねの点があろうかと思うわけでございますが、先般の戦争における国内の犠牲者の方々は、原爆ばかりでなしにいろいろの種類の被害を受けられた方々がございまして、それとの関連がいつも問題にされてきておるわけであります。
 軍人、軍属、準軍属等、特別の身分、役割りを持った方々の戦争による犠牲に対しましては、御承知のとおり、援護法がございまして、国家補償あるいは国家援護という措置をとっておるわけでありますが、原爆の被爆者はまことに悲惨で、また人類史上初めての災難を受けた方ではございますけれども、いま申し上げましたような戦争との関連において特別な身分を持っておられないということ、それから他の犠牲者との関連というようなことがございますために、あくまでも国の特別措置、こういうことをたてまえとし、国家補償という体制を今日までのところはとり得なかったわけであります。
 しかし、私は正直に考えますと、こういう問題につきましては、人々の意識や、また国の意識というものも決して固定したものでなしに、時代とともに発展もし得るものでありますので、お尋ねの点につきましては、私どもも、なお今後深刻に考えてまいらなければならない点もあると思う次第でございます。
#46
○小柳勇君 現在、被爆者に対して医療の問題と、それから特別措置の問題と、法律体系が二本立てになっておりますが、これを一本立てにしまして、いま大臣がおっしゃったように、国の犠牲者でありますから、法律体系をちゃんと整えて、被爆者の援護体制を確立すべきではないかと思うわけです。わが党はじめ野党三党共同で、先般から原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案という、この法律を一緒にしようという提案をしたのでありますが、政府はどうお考えでございますか。
#47
○国務大臣(内田常雄君) 先般、野党の共同提案で、ただいま小柳さんからお話のございましたような改正法律案が国会に出されまして、提案理由の御説明をいただきまして私も拝聴をいたしておったところでございます。この法律案の考え方は、いまも小柳さんからお話がございましたように、原爆被爆者に対する対応策を国の特別措置ということから一歩を進めて、国家補償というような考え方を持って処理をされることを基本といたしておるわけでございますが、その点につきまして、現在までのところ、私どもの考えとこえ得ざる一線がございます。したがいまして、先般の法律案の中における障害年金についての考え方というようなことにつきましては、政府といたしましては、いまのところそこまで踏み切り得ない、こういうような段階にある次第でございます。
#48
○小柳勇君 この前の改正のときも、四十四年七月八日に、当委員会で十項目にわたる附帯決議をつけてございます。このような附帯決議があるにもかかわりませず、今度の改正では、単に六十五歳の年齢を六十五歳から六十歳以上の者に年齢を引き下げるだけの改正に終わっているでしょう。大臣は、さっきからるると国家補償すべきであるとおっしゃっているにもかかわりませず、しかも衆参両院とも、十項目にわたる附帯決議をつけて、この前の改正のときにもつと根本的に検討するように政府に申しつけてあるわけです。なぜ政府はそれをやらないのですか。局長から説明を聞きましょう、具体的に。
#49
○政府委員(滝沢正君) 四十六年度の予算で健康管理手当、法律改正事項としては健康管理手当でございますが、その他長崎地区の地域の拡大あるいは長崎の原爆病院の整備等の予算措置をいたしたのでございますが、この点につきましては、確かに御指摘のように、四十四年度の改正のときにも附帯決議等がございまして、逐次これらの改善をいたしてまいっておりますが、特にこの手当等に関する特別措置法が四十三年の制定のものでございまして、四十四年には葬祭料の新設あるいは所得制限の緩和、介護手当の日額を月額に直す等の逐次改善をはかってまいりましたので、これらの点につきまして、四十六年度は種々検討いたしましたが、要望の最も強い、しかも金額的にも大幅な増の期待できる健康管理手当の支給範囲の拡大ということについて懸案になっておりましたので、今回、いま申し上げた地域の拡大あるいは病院の整備等をあわせまして、これが実現をはかったわけでございますが、特に附帯決議等に関連いたしまして、相談事業あるいは二世、三世の問題等、特に二世の問題については研究の成果等を踏まえてこれが対策を講ずる関係上、御要望に沿いがたい面がございます。そのほか諸手当の大幅な引き上げ等につきまして、あるいは所得制限の緩和等につきましても、逐次、ただいま申し上げましたように、改善をはかってまいってはおりますが、若干遺憾な点がまだあり、また他の年金その他の諸手当との均衡上大幅な改善というものが実現いたしておらないことは確かでございます。以上のような状態でございまして、四十六年度が健康管理手当で約一万人、従来約二万人の受給者が三万二千人となり、金額的にも約三億四千万の増加になりますので、四十三年出発した法律としては、従来のペースにほぼ見合い、なお比較的四十六年度は強い改正ができたというふうに考えております。
#50
○小柳勇君 大臣、基本問題もう一つ。これは年々原爆被爆者に対して気の毒だ、国の犠牲である、戦争の犠牲者であるという観念が薄らいでおるのではないかという、それを心配するわけです。事務的には、いろいろ少し金額をふやそうかということになっている。それは国会でやかましく言うからやるけれども、政府全体としてあるいは国民全体としては、原子爆弾のあの悲惨さに対して感覚的にだんだん、だんだんおそれが薄くなっておるのではないかという気がしてならぬのでありますが、失礼な話でありますけれども、大臣は広島や長崎に――原爆の日にみなあの記念碑の前にぬかずいてもう二度と原爆戦争はしないという誓いをするのでありますけれども、御参拝されたことがありますか。失礼ながらちょっと聞いておきたいと思います。
#51
○国務大臣(内田常雄君) 昨年、実は、私ははからずも厚生大臣に就任をいたしましたが、その最初の原爆記念日に遭遇いたしましたので、私みずから参りまして、非常に感慨を深くいたしたわけでございます。
 また、先ほど冒頭に私が御答弁を申し上げましたように、国家補償というところには現在までのところ国は踏み切ってはいないが、特別措置ということで措置をいたしておるわけでございますけれども、現に二つの法律があり、それからこの法律の内容などにつきましても常に検討もし、反省もし、また先ほども申し上げましたように、こういう戦争犠牲者に対する意識の発展ということにも常に心を私はとめているものでございます。昨年も私は広島に参りまして、たいへんいいことをした、このように実は思っております。
#52
○小柳勇君 けさの韓国にいる軍隊が核武装をしたという情報を見まして――また私ども、九州長崎ですぐかけつけたものですから、韓国にいる軍隊が核武装をして一体どこを原子爆弾でやろうとするのかということをほんとうに真剣に考えましたが、原爆の被爆者に対して国家が犠牲者として手厚く援護活動をやることこそが再び原爆の戦争を起こさない原動力になると私は思いますので、そういう思いを込めております。さっき各党で附帯決議をどうしようかということを相談しましたときに、やはり昨年と同じような附帯決議をつけざるを得ないんですよ、まことに残念ながら。あとで提案いたしますけれども、それはやはり政府が少し本気になって、もう来年この次は同じような附帯決議をつけないようにがんばってもらわなきゃならぬ、それを言っておきたいと思うんです。大臣に申し上げておきたいと思うんですね。局長にも申し上げておきたいと思うんです。
 そこで具体的に二、三質問いたしたいと思うんですが、今回特別被爆者の範囲を拡大すると聞きますが、今後、特別被爆者と一般被爆者との区別をなくする考えはございませんか。
#53
○政府委員(滝沢正君) 端的に申しまして、特別被爆者と一般被爆者は、特に原爆の主要なる障害の問題点でございます放射能の被曝状況により、現在のところその取り扱いを異にいたしておりまして、具体的には特別被爆者の医療の問題、一般被爆者には健康診断の結果によって特別被爆者になり得るということで、実態は特別被爆者がただいま二十七万、それから一般被爆者が五万ということでございまして、今回長崎地区の地域が、従来、認定患者という、いわゆる原爆症の患者の比較的多い地区でございましたし、いろいろ検討した結果、四十六年度で約一万五百人の該当者に相当する長崎地区の拡大をいたしました。これで全体の八七%がカバーできるわけでございます。現状におきましては、やはり法のたてまえ上、特別被爆者と一般被爆者と分かれておりますし、取り扱いその他の点もございますが、いま申し上げましたように、健康状態その他によって特別被爆者の取り扱いに入る道が拡大して広げられておるということと、それから今後とも、地域の実情その他によりましては、地域の拡大をしないという方針はとっておりませんので、十分それぞれの地域の実情等を勘案いたしまして、拡大の措置というものも必要があれば講じていくという気持ちでございますので、現状の特別、一般の体制は引き続きこのまま続けてまいりたい、こういう考え方でございます。
#54
○小柳勇君 これには原爆医療法の第八条「(認定)」がありますが、第八条の認定は、疑わしき者は認定するとの態度で行なうべきと思いますが、現在の認定は少しきびしいのではないか、いかがでございましょう。きびし過ぎるということですね。
#55
○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、各方面からいろいろ御指摘もございますが、法に基づきまして原爆医療審議会が設けられておりまして、この認定の問題その他医療等に関する重要事項を審議していただくことになり、そこに専門家の先生がおるわけでございまして、その御判定によりまして認定患者というものを定めておるわけでございます。一般的に原爆症の患者の認定の場合の一つの重要な条件は、当時明らかに近距離で被爆して濃厚な放射能を受けたということがまず重要な条件でございますので、申請がありました場合、事務的に検討いたしましても、四キロ以上とか、あるいは十日以上たって広島に入ったというような条件では、これはその後似たようた病気は人間の健康状態でございますから、起こる可能性はあるわけでございます。したがって、濃厚な条件というのは、大体二キロ以内で被爆しておる、これは放射能の人体の影響等のいろいろの検討の結果定められて、二キロ以内は非常に人体の影響がまず明らかであろう。それから二キロ以内に三日以内に入市していろいろの作業に従事したような場合は、これはその点に該当するであろう、そういうふうなことでございます。
 それから健康の問題につきましても、いろいろの大体原爆が影響する疾病というものが考えられたといいますか、考えられたというよりも、研究の結果、長年の成果として十一ぐらいの疾患が大体つかまれております。それから健康管理手当を支給する対象になるものにはこういう八つの疾病が大体影響があるだろう、こういうことで定められておりまして、それによって健康管理手当支給の対象のものと、それから審議会にかけて、明らかにこれは原爆の影響がある、しかも当時の被爆状況、それからその後今日までの二十何年の医療の経過、健康状態の経過等が審議の対象になりまして定められますので、この点につきましては、御指摘のように、なるべく原爆症にかかり得る条件で距離その他がある場合には、その病状を医師に再び問い合わしてでも内容を十分整えまして、できるだけわれわれは認定申し上げるように努力いたしております。この点につきましては、やはり現状の認定あるいは健康管理というふうに分かれた制度があるたてまえ上、やはり審議会というものを無視するわけにはまいりませんが、できるだけ御指摘のような線に沿うように努力いたしております。
#56
○小柳勇君 それから健康管理手当とか、特別手当、医療手当など各手当は、昭和四十三年の特別法の制定以来、介護手当の改善があっただけで引き上げられておりません。物価はどんどん上がります。もう三年たちましたが、当然物価上昇を考慮すべきであると思いますが、いかがでございますか。
#57
○政府委員(滝沢正君) ただいまの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、特別措置法の制定以来比較的日が浅く、それを逐次改善してまいっておるということで、国民全体のたとえば特別手当と、それから健康管理手当は法律に定めます一万円、三千円。それから医療手当につきましては、中身が入院とか外来によって手当の支給の要件が違いますので、それもここ十年ばかりの間に経過をたどりながら改善されております。そのほか介護料についても、以前は日額でありましたものを月額に直す、こういうふうにいたしまして改善はいたしておりますが、全体的に国民生活の水準あるいは物価等のことを考慮いたしまして、当時四年前、四十六年からいえば四年前になります。その特別手当あるいは管理手当の一万円、三千円というものがこれでいいというふうには思っておりません。しかしながら健康管理手当につきましては、従来は範囲の拡大を主として中心に考えてまいりましたので、この三千円の法律で定められた支給額につきましては、今後の課題として検討いたしたい。その他特別手当等につきましては諸般の諸手当、厚生関係のいろいろの手当等の関連もございますので、これも十分考えたい。介護手当もほとんど他の制度と同額の線でございますが、決して十分とは思っておりませんので、これらの点についても検討いたしたい、こういうようなことでございます。
#58
○小柳勇君 それから、次に各手当の所得制限は明年度改善を考えておらないようであるが、他の制度、たとえば福祉年金の所得制限に比べて著しく低いので引き上げるべきだと思うがどうか。特に原爆の各手当の所得制限がばらばらです。健康管理手当、介護手当は百二十二万四千九百九十九円、四人世帯の場合です。医療手当が百三十八万一千二百四十九円。特別手当のほうで五千円、支給される場合には百四十五万二千八百四十円。福祉年金のほうは、扶養義務者の所得制限が百五十四万七千二百五十三円。これらの所得制限は低いようであるし、またばらばらであるが、これはどうなっているか。是正いたしませんかということです。
#59
○政府委員(滝沢正君) この問題につきましては、確かに所得額で申しますと、御指摘のとおりの数字でございまして、たいへん取り扱いがばらばらな感じを与えておりますが、その前に、原爆のほうにつきましては二万九千二百円という所得税額で取り扱っておりますので、この点を考えますと、毎年税法の改正等によって改善が行なわれますと、そのはね返りが自動的にいくような仕組みになっておりますので、それを頼みにして今回やらなかったというわけではございませんけれども、一応そういう仕組みがもう一つあるということでございます。それからあとは所得額で年金その他と比較いたしますと、確かに福祉年金の場合が百五十四万、原爆の場合が健康管理と介護が百二十二万、特別手当と医療手当百三十八万、この百二十二と百三十八は障害者の控除額等の影響を受けまして若干の差があるわけでございます。
 そのほかに特別手当の場合、三万七千円の所得税額を下回り、二万九千二百円を上回る方には一万円の半額の五千円を出すというのがございまして、これが年所得額に直しますと百四十五万でございます。
 以上申し上げましたように、二万九千二百円の所得税額をたよりにしてまいったことは、率直に申して若干ありますけれども、今回、四十六年度予算で確かに所得税の緩和の問題については、やや原爆対策のほうが立ちおくれた感じは率直にあると思いますので、四十七年度はぜひともこれが改善をはかりたいというふうに考えております。
#60
○小柳勇君 次は、被爆者の中で、原子爆弾で障害になった方には障害年金を支給すべきではないかと思いますが、いかがですか。
#61
○政府委員(滝沢正君) この点につきましては、先ほど国家補償的な考え方との関連で大臣の御答弁の中にもございましたが、われわれがこの原爆の医療並びに特別措置に関する二つの法律の基本を考えますと、やはり他の国内における爆撃あるいは焼夷弾等によるものと違うのは、本質的にやはり放射能の影響を受けるという問題が基本になりまして、これが医療の面と福祉をはかるためにこの二法ができておりますので、ただいまのいろいろの問題につきましては、障害のあるものも健康管理手当の支給の対象にする、あるいは介護、特別手当の支給の対象の根っこに障害者は考慮いたしておりますけれども、障害年金等の支給の問題は、一般社会保障の範囲と、それからこれらの問題を特段取り扱うとなりますと、諸般の他の戦争の際の国内における被爆者との関係等を考慮した上で検討しなければならない問題であろうと考えておりますので、当面は障害者を実質的に取り扱いながら、そういう受給の面で十分考慮するようにいたしたい、こういう考えでございます。
#62
○小柳勇君 いま、あとでおっしゃいました他の戦争の被爆者ですね、たとえば東京空襲によって焼夷弾で腕をやられて片腕が一生動かないとか、いろいろありますね。それが明らかにその戦争の被爆の犠牲者であるということがわかっておる方に対する援護措置なりあるいは年金措置なりについては検討されておりますか。
#63
○国務大臣(内田常雄君) 非常にそれむずかしい実は課題でございまして、先ほども申し上げましたが、それらの被爆者あるいは障害者が一定の戦争関連の身分を持っておられる場合には、しかもその身分は実は毎年広げております。軍人、軍属、準軍属――準軍属の範囲には学徒とか徴用者とかいう範囲、いろいろ毎年国民意識の変遷に伴いまして広げておりますから、決して固定したものではございませんけれども、ともかく一定の身分関係を持たれる方々にはこの障害年金等も出す、こういうたてまえと、そうでない方々には一般的に障害福祉年金というもので社会福祉の措置として論ずると、こういうことにいたしておりますために、焼夷弾等によって障害を受けられた方で身分のない方は障害福祉年金をもって論ぜられておる、こういう状態でございます。
#64
○小柳勇君 戦争のあと始末全体の問題は、また別の点もありますからあとにいたします。
 次は、葬祭料を過去に死亡した方にもさかのぼって支給するようなことはできないものであろうか、二つあるのですね。明らかに原爆でなくなったという方で葬祭料の支給がない方あるわけですが、御検討になったことありますか。
#65
○政府委員(滝沢正君) この問題につきましては、この原爆関係の法案の国会審議のあるいは中身においても、また附帯決議等におきましてもこれらの問題が触れられておりますが、私たちは、やはり基本的にこの問題は、この葬祭料がやはり社会保障の一環として、原爆を受けたために非常に日常健康上に不安のあるお年寄り等の精神的なやわらぎというような、国の一つの考え方を表現するというようなことで、国家補償的な、弔慰金的な意味というものを、この金額もさることながら、性格的にもそういうものを持っていないものとしてただいま進めてまいっておりますので、したがいましてこれを遡及して支給するということになりますというと、これはやはり大臣が先ほどから申し上げておりますような基本的な問題につながるというふうにわれわれとしても理解します。しかしながら、葬祭料がそういう名目の考え方のものであっても、いまの金額で十分であるというような考え方は持ちませんので、逐次改善ははかってまいりたいというふうに考えております。
#66
○小柳勇君 次は、被爆二世、三世に対する対策ですね。被爆した子供及び孫に対する対策についてはどのように考えておられますか。
#67
○政府委員(滝沢正君) まあ二世の問題につきましては、当時母親の胎内にあった子供については、これは被爆者としてただいま認定いたしておりますけれども、二世――その後に生まれましたまあ二世、この問題につきましては、各方面から研究が続けられております。つい最近も広島のABCCの研究者から染色体の異常が発見できた、こういう報道がございまして、いろいろ確認いたしますと、まあ染色体というものは遺伝の基本でございますので、これに異常が強く出ると、特段被爆者から生まれる子供の染色体に異常があるとなりますと、これはたいへん重大な問題でございますが、結論を申しますとその変化の率は、一般日本国民の染色体にもたらされる変異の率とほとんど変わりないために特異性が認められないということが結論でございます。
 もう一点は、白血病を中心とする数万人にわたる国立予防衛生研究所の広島の支所並びにABCC等の共同研究がございますが、結論を申しますと、被爆者の被爆の距離による両親の条件が子供の広島地区における白血病の発生状況に有意の差を認めがたいというようなことでございまして、現状の研究の成果全体を踏まえますと、二世が影響を受けているという調査結果が明らかなものがございませんので、われわれは、そういうものが学問の進歩による問題の解明によって明らかになれば、当然その問題に取り組むという所存ではございますが、すでにこの国会等でも御議論ございますけれども、現状においては、そういう明らかな問題が学問的にないということでございまして、その点については、現状、対策を具体的に講ずるというような段階に至っておりません。
#68
○小柳勇君 最後は、沖繩における被爆者対策の現状と今後の推進についてはどのように考えておられるか。
#69
○政府委員(滝沢正君) 沖繩の被爆者対策につきましては、実は四十二年五月に厚生省の当時の公衆衛生局長と、それから琉球政府の厚生局長、それから高等弁務官並びに総理府の特連局長、この四者のサインがございます一つの了解事項が成り立っております。
 結論的に申しますと、内地の原爆被爆者に対する対策と同様の対策を講ずることに取りきめられております。で、現在二百六十人の沖繩の患者が登録されておりまして、毎年二回本土から医師三名並びに補助者を派遣いたしまして検診いたしておりますし、諸手当等につきましても、これが同様に支給いたしておる次第でございます。今回の復帰後においてはもちろんのこと、本土の法を適用しまして、全く同一になるわけでございますが、現状におきましても、そのような対策が講じられております。
#70
○大橋和孝君 関連でございますので、一、二点だけ私ちょっとお伺いしておきたいと思います。
 原爆の認定手続ですが、これはいままで私も何べんも質疑をいたしましたし、またいろいろ取りざたされておりましたが、まだまだ三種類、四部くらいのこの申請書を作成をしなければならない。同時にまたこれが認定基準は公表されていませんので、全国に二百六十という指定医療機関があるわけでありますが、その申請の判断についてもなかなかうまくいっていないわけです。そういうことが原因となりまして、もう三カ月、おそい場合には二年くらいもかかっている。その間にみんな死んでいるという状況なんです。こういうことはひとつこの時期においても、そういうことが繰り返されるのでなくして、一週間以内にあるいはおそくとも二週間以内にこういうものは手続されるくらいに考えられるべきじゃないかと思いますが、この点一点ちょっと聞かしていただきたい。
 それから第二点は、この認定の基準につきましても、医学的な定説によってこれは認定されているわけでありますけれども、このごろは非常に範囲が広まってまいりました。ですからこれは医学の進歩とともにもっともっと拡大しなければならぬ。先ほどもちょっと小柳先生の質疑の中にもありましたこの二世の問題は、胎内におった者に対しては、健康管理をしているのだ、しかし被爆二世の問題は、そうでないものはこういうデータもある、ああいうデータもあるということで、いまやってないといいますけれども、そのデータをつくる前に、その二世の全体について、いわゆる健康管理をして調べることによって全体と比較ができて、初めてそこに結果が出てくるのではないか。これは広島原爆病院からもそう言われて、厚生省のほうへは申請されていると思うのですね。ですからもっと被爆者を広く、二世あるいは三世についてもっともっと健康管理を進めなければ、それを初めからしないということでは、その決定的なものが出てこないのではないかと思うのです。これ第二にちょっと伺っておきたいと思います。
 それから第三点は、先ほどから議論がありまして、どうもあとの答弁を聞いておりますと、非常にあいまいだと思うのですが、先ほど大臣は、国家補償の観点と社会保障の観点を見て、国家補償的なものも考えるということでございます。そうならば、この所得制度なんということはひとつもっともっと緩和をして、すべての人に所得制限なしに、やっぱり国家の償いという意味から言うならば、全部にしてもいいのじゃないか。そういうことを考えると、その金額なんかもそんなに大したことにならないのじゃないかというふうに感ずるわけでありまして、もっとこの所得制限は撤廃するという方向に積極的に進めるべきではないか。今度行なわれておりますところの所得税額によるところの制限額を見てみますと、一種のこれはスライド的なものでありまして、所得制限を緩和するという観点からいうならば、ごく小さなものではないかと思うのですが、この点は、大臣どうお考えになっていますか。これが第三点。
 第四点は、生活保護との関係でありますが、特別手当を保護地帯が受ける場合には一万円全額を収入として認定されまして、他方加算として五千円があるわけですが、この扱いが加算扱いとなっておりますので、五千円をこえたる場合には一万円から引かれることになっていますね。こういう状態では、私は、非常に考え方においてはまずいと思うのですが、こういうことについてもっと抜本的に考え直す考えはないのかどうか、こういうことも伺っておきたいと思います。
 それから第五点、この健康管理手当ですけれども、先ほどの御答弁を聞いておりましても、まだまだこういう問題に対しては非常におくれ過ぎておる。これに対しましてもっと積極的に――結局、いっこの病気が起こるかもしれぬという不安の被爆者、それからしてまたこの発病は予防が非常に大事なことでありますからして、もっとすべてについてめんどうを見ていくような手当てをしなかったらいけないので、特別被爆者、こういうものに対しては、病気の予防の意味で全員に支給すべきじゃないかと、こういうふうに思っているのですが、これらの点についてひとつお答えを願いたいと思います。
 それから最後に、もう一つ聞いておきたいのは、最近、広島の原爆病院ですか、あそこには何か四車線の道路ができて、非常に車が通って、騒音並びにトラックの振動なんかで非常に困っておると、こういうところの手当てをするために、もう二年前からこの整備を要求されておるようですが、これに対しても、そんなに大きな金額じゃなくて抜本的な改修ができるといって申請をしておるのに何ら認めておらないということですが、こういうことに対してどういうふうに考えておられるか、この点をちょっとお尋ねしておきます。
#71
○政府委員(滝沢正君) 認定手続等の問題につきましては、おっしゃるとおり、被爆者ハンドブックというものをつくりまして、それぞれの手続の要件を書いてございますが、確かにこういう公費の支給にはたくさんの書類が必要である、こういう問題についてはできるだけ緩和するように、たとえば国民年金の福祉関係の書類があればその障害の認定にはもうそれで肩がわりするとか、そういうふうなことも一例でございますが、逐次この点については御指摘のようにPRなりあるいは窓口を十分――相談の窓口がまだ不十分であるので、今回の衆議院におきましても、相談事業の拡充ということが強調されておりまして、この点につきましてもわれわれ十分考えなければならぬ。
 また認定の基準が公表されていないというのでございますが、この点については、局長通知が各都道府県に流されております。これによっておもな病気十一くらいを一つの判断の基準としてはお示ししてございますけれども、実際の認定はもう総合的に、先ほど申し上げましたように、当時の二キロ以内、近距離被爆であると、その後健康状態がどう経過してきたかということを明らかにしていただければ、かなりおくれたいまの段階でも認定患者にするというような方向で考えておりますので、この点につきましては、公表するということ自体は、審議会そのものの御意見としては、やはり審議というものはケース・バイ・ケースでやるので、それを単なる一つのこういう病気なら認定しますというような関係にはまいらぬということで、その辺は先生もうお医者さんでございますのでおわかりいただけると思いますが、そういう点で、基本的な考え方は行政指導で十分徹底するようにいたしたい。
 ただ一点認定がおくれている問題につきましては、事務的にはさかのぼって適用するようにいたしておりますので、たとえば審議会のあんまり直前に来ますというと、審議にかけるための書類整理が間に合わないときには次の審議会にかけるということで三カ月くらいたってしまう、こういう点は、支給はさかのぼりますが、若干こういう点について改善する余地が残っておると考えております。
 それから先ほどの医学の進歩によってやはり拡大していくべきだ、これは全く御指摘のとおりで、われわれ異存はございませんで、医学の新しい見解が出ますれば、特に二世の問題については新しい見解が出ますれば取り組む。ただ追跡的な調査はこれは実は学童を中心にやっておりますので、これは国立の予研、ABCC等が共同で二世の追跡的な健康調査は実施いたしております。
 それから所得制限緩和は、二万九千二百円の所得税で自動的に改善されておるという申し上げ方では全くスライド的なもので、これは先ほども率直に申し上げましたように、国民年金の改善に比して原爆のこの取り扱いは若干おくれましたので、これは私は率直に四十七年度にぜひ改善したいということで申し上げたわけで、この点は御指摘のとおりでございます。
 それから健康管理手当は、私は先生と同様、原爆のこの制度にとりましてはたいへんいい仕組みのものであるというふうに理解いたしておりますが、何分にもまず病気が八つあるという条件、その上に老齢であるという条件、その上に所得制限という三つのかかりがかかっておることについては、われわれとしては、できるだけ緩和をいたしたいという気持ちでございますが、この点につきましては、この及ぶ範囲が比較的広い、金額の多い対策でございますので、健康管理手当の拡大は、むしろ中心的な問題点として今後改善してまいりたいという気持ちでおる次第でございます。
 それから広島の原爆病院の、道路があってうるさい、それと窓をあけられない、冷房装置がない、こういうような問題が実はございまして、この点につきましては、本年のお年玉の配分金を三千五百万円配分いたすことになりまして、原爆病院の冷房装置を一応整えることにいたしました。たいへんおくれましたけれども、こういう措置等を講じまして現地の問題点の解決に資していきたい、こういう判断でございます。
 生保の関係については社会局長から。
#72
○政府委員(加藤威二君) 特別手当につきまして、生活保護でこれをまるまる認めていない、収入認定をしておるという点についての御質問でございますが、原爆被爆者に対するいろいろなほかの手当については、これは全部収入認定はいたしておりませんけれども、この特別手当についてのみは――まあ、この手当の性格論はいろいろあろうと思います。原爆を受けられた方が、たとえば食生活においても特別の栄養のあるものをとらなければいかぬ、そういうようないろいろな配慮からこういうものがなされていると思うのでございますが、一万円という額から見まして、その全部とは申しませんけれども、ある程度それが生活費に充てられるということも考えられるわけでございます。そういうことで、ことにその金額が一万円と申しますと、生活保護の――三級地でございますが、一人の生活扶助の費用が大体一万円ちょっとでございますから、そういうものとの勘案を考えまして、これをまるまる全部収入認定しないということは生活保護の体系からいってなかなか困難であろう、しかし同時にやはり被爆者の方々においては、一般の者よりもはるかに、先ほど申し上げましたように、特殊な生活需要、健康上の需要というものがあるわけでございますから、そういう点を考慮いたしまして、五千円を放射線障害者の加算と、これは生活保護の加算では最大限の金額でございますが、それを加えたと、こういうことでございます。それをまるまるなぜ一万円にしないかという御疑念もあろうと思います。これについては、いろいろ私どもも議論があろうとも思いますけれども、現在の段階では、ただいま申し上げましたような趣旨で一応五千円ということにいたしておりますが、しかしこの問題につきましては、今後さらにわれわれは検討を続けてまいりたいと思っております。
#73
○大橋和孝君 関連ですから、もっと言いたいことはたくさんありますけれどもちょっと控えますが、いま私がお伺いしました所得の認定の問題にいたしましても、あるいはまたその後の所得制限の問題にいたしましても、いまの生活保護の問題にいたしましても、あるいは先ほど小柳先生から質問されました神祭料の問題、こういうような問題を見まして、葬祭料も、なくなった方が二万人くらいですから、この方にすべて弔慰金として、考え方は弔慰金として、そういう立場で全部出したところで二億円そこそこのものじゃないかと思うわけですね。こういう点で、すべてのこういう問題はこの前の附帯決議の中でもかなり強力に要請をして、いま小柳先生のほうからも話が出ておりましたが、大臣、どうぞひとつこういう観点から考え方を根本的に――被爆という問題は、先ほど小柳先生の言われたような観点からすれば、もうこの時期はやらなければならぬ時期じゃないかと思うのでありますから、徹底的にやるということのひとつ決意のほどを表明しておいていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#74
○国務大臣(内田常雄君) 数点のお尋ね、また御要望がございましたが、私も、ここで政府委員の答弁を聞いておりますと、たいへん前向きで、厚生大臣の私としてもそういう気持ちで厚生省の諸君にもやってもらいたいという気持ちを深くいたしました。ただ弔慰金の遡及のことにつきましては、前からの懸案でございまして、厚生省の内部また大蔵省方面とも検討を重ねてきましたが、これまでのところでは、それをやることは国家賠償的な、国家補償的な性格につながるということのために、金額の問題よりも他への波及課題としてこれが処理できなかったようでございますので、まあ私は何でも言いたいことを言って、それで厚生大臣やめてしまえば済むとも考えませんので、ここで私がそれはそのようにひとつ前向きに処理いたしますとは申せませんけれども、こういうことは社会の意識が常に動いており、援護法などの関係でも、先般来申しますように、常に前進をいたしておりますので、そういうこととも関連せしめつつ、とにかく不幸な方、気の毒な方の立場に立つのが厚生大臣でございますので、十分お説を承って考えさせていただきたいと存じます。
#75
○渋谷邦彦君 国家補償の問題について、先ほども御論議がございましたが、もう一度確認のために伺っておきたいと思います。
 先ほど大臣の答弁の中には検討をなさる――その検討が前向きであるのか、うしろ向きであるのか、あるいはその現状というものをあまり変更を加えずにおやりになるのか、その辺が明確にされませんでしたので、もう一度伺いたいわけですが、申すまでもなく、昭和三十八年の例の戦後八年間続いた原爆裁判、この判決によっても明らかなとおり、国のいわゆる権限と責任においてもたらしたこの戦争による、特にこの原爆被爆者に対する救済というものは当然過ぎるほど当然国家が補償の責任に当たらなければならない。なおかつ、高度経済成長を遂げた現在においては、その補償体制というものは十分になし得るものである。それはおそらく裁判所としては、異例中の異例の判決ではなかったろうかと私は思うのであります。そうしたようなことを思い起こしながら、しかも今日までもう判決がおりてすでに八年、正確に言えば七年ですね。しかし、一体どういう手が打たれてきたのであろうか、ほんとうに真剣にこの問題に対して取り組んできたのであろうか。とすれば、もうそろそろ結論が出てよろしいのではないだろうかということが一点と、それから、いずれにしてももう戦後二十五年という、もうあるいは忘れかけたようなこの問題に対しまして、はたして真剣に考えているんだろうかという疑問、その疑問を解消するためには、今後あるいは短期間の間にこの問題に対する結論をお出しになる方途をお持ちになっていらっしゃるのかどうなのかということを重ねて伺っておきたいと思います。
#76
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど小柳さんの御意見に対してもお答えを申し上げておいたわけでありますが、原爆被爆者に対して、国がいかなる立場で特別措置なりあるいは救済なり、あるいは補償なりを講ずべきかということが非常にむずかしい状況にあるわけでございます。これは私どもも戦争犠牲者として国家補償的な援護措置が簡単に割り切って取り得るものならば、私はそういうことにもいたしたいと考えないわけでは決してございませんけれども、他の戦争による被害者との関係がございますので、これまでのところ国が国家補償的な仕組みで措置をいたしておりますのは、何べんも申し述べますように、戦争に関連して一定の身分を持っておられた方々、軍人、軍属、準軍属等、こういう方に対しましては特別の国家補償の措置をとっておるわけでございます。しかし、それもたびたび申し述べますように、私は、決して固定しているものではなしに、現に毎年戦没者戦傷病者の援護法の改正などによりまして、対象者の範囲を広げてまいってきておるのを見ましても、戦争犠牲者に対する政府をも含めたあるいは国会も含めた国民の考え方、また国民の意識というものが常に前進してきている証拠であると私は思うわけでございます。そういうことから考えますと、これまでのところは原爆被爆者に対する国の特別措置ということにつきまして越えがたい、国家賠償とは越えがたい一線があったわけでございますけれども、これらにつきましては、私は、やはり国民意識とともに変わっていく可能性ないわけではないと思うわけでございますが、現在までのところでは、国家補償ではなしに、広い意味の社会保障の一環として、国が原爆による被爆者に対して医療の措置なりあるいは各種手当の支給などの特別の措置という名前で対応策を講じてまいってきておる。ここで、この際、原爆被爆者援護法というようなものに切りかえ得ない状況の中に現在置かれておる、こういうことをお答えいたすほかないと思うわけでございますが、なお、私どもも、これらの問題につきましては、また意識を前進させて、いろいろ今後も研究をしてまいりたい、かように思います。
#77
○渋谷邦彦君 他の戦争被爆者、東京に例をとってみても、あるいは広島、長崎よりも規模が大きかったのじゃないか、今日あらためて見直されている段階も知っております。けれども私は両方見ております。被爆直後、十カ月後広島を通過して、あの惨状をまのあたりに見た一人の経験者です。そういう実感の上から考えた場合に、原爆という、おそらく世界で再びあるまいと思われるこの象徴的な凄惨な被爆者に対して一応分けて考える必要もあるんではないだろうか。いましきりにいろいろな援護手当制度、社会福祉の一環として、いろいろな諸手当制度というものの拡充強化をはかってきたと、少なくともそういう面においては国家的な役割りを漸進的に――私は、その漸進というのは、ほんの少しづつというふうに判断をしたわけです。少しは前進した、進んだろうと私は思います。けれどもここで掲げられております金額というものでは、とうていそのとき負った精神的な苦痛、そしてまた、現在なおかつこの不安におののいているという、希望も全く失われたそういう被爆者に対して、やはり特定のそういう措置を講ずるのが政治的な配慮ではなかろうかと、こう思うわけであります。同時に、しきりに大臣が一応その区分けをされて、先ほど他の東京をはじめとする、あるいは大阪にしてもそうでございましょう、戦争被爆者というものと比較をされたようでありますが、なるほどその人たちも無視するわけにはとうていまいらない。しかしそれは範囲があまりにも広うございます。限度もございましょう。したがって現在なし得る範囲の一つの方途といたしまして、せめて広島と長崎の被爆者に対して、そういう補償立法というものを制定する必要があるんではないだろうか、こういう気持ちでいまお尋ねをしておるわけであります。いまの御答弁を伺っておりまして、検討されることはけっこうだろうと思うのですけれども、いずれにしても二十数年経た今日、何らまだ結論が出ない。そうしてまたほかの手当が充足してきているからという、すりかえ――すりかえというと、たいへん極端な言い方で、あるいは失礼な言い方になるかもしれませんけれども、ちょっとこの点では被爆者自身もかわいそうではないだろうか、こう思います。そこで率直に言って、結論をここでお伺いするということは非常に冒険的なことかもしれませんけれども、要するに検討するということは、補償を考えて検討されるのか、それともやはりいままでのいろいろな事情があって、そのむずかしいということを正当化するために検討されるのか、どちらでございましょう。
#78
○国務大臣(内田常雄君) 戦争犠牲者に対しては、まあ一番右翼には、たびたび申しますように、軍人軍属等に対する戦傷病者戦没者遺族等援護法というようなことで対処をいたす方法があり、もちろん広島、長崎における原爆被爆者の方々でも、そういう身分を持っておられた方々につきましては援護法をもって対処をいたしておることは御承知のとおりでございます。また一般的には国民年金における障害福祉年金というものをもって律するのみでございまして、戦争時における全国大中都市の焼夷弾あるいは爆弾等による生命身体の被害者に対しましても、補償法的な措置は何ら講ぜられておりませんことも御承知のとおりでございます。その中間に立ちますものが原爆による被爆者でございまして、医療法と特別措置法という二つの法律をつくりまして、名前は援護法あるいは国家補償法という名前をとっておらない、特別措置法という名前でございますけれども、それはあの一般の戦争による犠牲者とは違った措置を講じておると、こういうことはお考えをいただけることと思うわけでありますけれども、これを援護法に切りかえるということにつきましては、いま私がここでそういう意図を持って対処をいたすということは、これまで長らく政府がとってまいってきております立場を考えますときに、私が現在の厚生大臣でありましても、いまここでその言明は実はできません。しかし、たびたび申しておりますように、こういうことに対する意識というものは常に生々発展をいたしておりますし、きょうここで当委員会におきましてこういう議論が行なわれておりますことも、私は、そういう意識を代表する厳粛な事実であると考えますので、そういうことも私どもは十分銘記をして、そうしてさらにこの問題に対しては考察研究を続けると、こういうふうにいたすほかはないと思うわけであります。前向きかうしろ向きかと言われますと、決してうしろ向きではないけれども、前向きで次の国会に援護法を出しますというお答えもいたしかねると、このことはひとつ御理解をいただきたいと私は思います。
#79
○渋谷邦彦君 非常に判断に苦しむ、だいぶ大臣自身も苦しんだ答弁だろうと私は思いますけれども、いますぐに結論をと申し上げましてもあるいは無理かもしれませんけれども、せっかく検討されるならば、せめて次の国会あたりまでに政府のやはり方途というものを明確にお示しをいただきたいものだと思います。原爆裁判においても、おそらくわれわれが一般的な常識をもって判断する限りにおいては、異例中の異例と思われるような判決の内容であるだろうと私は思うのです。しかも、それはあげて国の責任である、むしろそれは裁判所の権限を離れた、いわゆる国会あるいは行政府、あるいは内閣においてその責任を果たさなければならない、ここまで論及されているわけであります。こうしたすでに結論が出ているにかかわらず、いままですでに七年余もたった今日、なおかついまのような議論に終始するということはやはり残念なことではないだろうか、こう思いますので、いま申し上げております趣旨というものを十分ひとつ体して、もう一ぺん真剣にこの点についてできるだけ早く、これから検討するといっても、十年かかる場合があるかもしれない、二十年かかる場合があるかもしれない、五十年といったら、もう被爆者がいなくなってしまう、やはりそれは時間的な問題がございましょう。ですからできるだけ早い機会に、私は、せめて次の国会あたりにまであるいは法律案として出せるものならば出してもらいたい、このことを強く要望を込めて申し上げておきたいと思うのであります。
 次に、その問題は一応ここでやめておきますが、各種手当について法律事項と、それから政令事項で金額をいろいろ定めておるようでありますが、これはどういうふうになっておりましょうか。
#80
○政府委員(滝沢正君) 法律事項と政令事項に確かに手当が分かれておりまして、医療手当並びに介護手当につきましては政令でございまして、いわゆる原爆症患者に出ます特別手当と、今回御審議願っている健康管理手当が法律事項でございます。特別あるいは健康管理手当が療養生活の安定をはかるために継続的な給付を行なうというものであり、またその手当というものが本質的なものでございます。ところが、政令のほうになっております医療手当は、歴史的に見ましても、実は八日以上の入院に五千円となっておりますが、スタート当初は十四日以上の入院にというような――金額はちょっと失念いたしましたが、五千円ではなかったのでありまして、そういうふうに逐次改善されてまいっております。それから介護手当につきましても、いわゆる二十日以上介護を受けた実績によって一万円を限度として支給する実費的な支給でございます。そういうような比較的これらの二つは何か事由が、あるいは事故といいますか、事由が生じたときに出費するという補てん的な意味を持っているというようなことが性格的にございまして、そういうたてまえから特別手当の一万円、健康管理手当の三千円は法律で定め、医療手当並びに介護手当につきましては政令に委任する、こういうような形になっておりまして、この医療手当につきましては、特別措置法のできる以前の原爆医療法時代からも政令事項としてありまして、それで四十三年に特別措置法ができましたときに諸手当と一緒にこちらの特別措置法のほうに移りまして、なおかつ、続いて政令で定めている、こういうような関係でございます。
#81
○渋谷邦彦君 しかし、いま伺う限りにおきましては、そう極端な差異というものは感じられない。どうして法律事項でこれを定めるわけにいかないんだろうかという疑問が残るのですが、やはりいま医療手当と介護手当については政令のほうで定めるというふうにおっしゃいましたけれども、本質的と先ほどおっしゃいましたけれども、本質的に考えてみた場合に、両方とも法律で定める内容にいたしましても変わりがないんじゃないだろうか、こういうふうに思うのですがね。それならはむしろ弾力的に――これも極端な言い方かもしれませんけれども、当局のさじかげん一つでどうにでもなるというような、そういうようなことではなくて、やはり法律で明記すべきじゃないだろうかというふうに思うのですが、これは大臣いかがでしょう。
#82
○国務大臣(内田常雄君) さからうようなお答えになると恐縮でございますが、国民に義務を課したり、負担を課するような場合には当然法律でなければならぬと考えますが、どういう種類の手当を出すかということは、政府が途中でやめちゃいけませんから法律できめておくことが私はいいと思いますけれども、しかし、その内容が改善されるような性格のものは、国民に利益を与えることでございますので、金額の引き上げ等は政令にまかすということが、かえってそのほうが受給者の利益になる場合もあるようにも私は考えます。これは先ほどの渋谷さんの御意見に対するお答えにも関連いたしますが、援護法というものに切りかえることは、私は、いま直ちにここでお答えできませんが、この特別措置法の中身を年に充実してまいる、あるいは所得制限を緩和してまいるということは、これはもう前向きでやってまいるつもりでございますので、政令で定められた介護手当にいたしましても、葬祭料にいたしましても、関係者の不利益になるようなことは全く考えられないことでございますので、政令にまかせておいていただいて、できる限り予算措置をもって充実さしていただければという考えも私は持つ次第でございます。
#83
○渋谷邦彦君 その点は善意に解釈したいと思いますし、またそのように理解をしたいと思います。
 次に、この手当というものは、これはしばしばこれも問題になるのでありますけれども、一たん法律でこれだけの金額を上げるときまってしまうと、一年間据え置き。その当時の経済的な変動、なかんずく物価上昇というものには何らかかわりなく、それが据え置きであるというような点を考えまして、あらかじめ経済指標というものを根底に置きながら、スライド制の根本的な導入というものを今後考える必要もあるんじゃないかと思いますけれども、これに関しては、今後考える段階として、考える方向として取り組まれるかどうかですね。
#84
○国務大臣(内田常雄君) この種の手当、また、この種の手当ばかりでなしに、年金などにつきましても、国民年金、厚生年金などにつきましても、同じような考えを持つものでございますが、当然国民の生活水準や、また経済の成長と関連して金額等は引き上げてまいるべきであると思います。一口で申すと、スライドということばも言われるわけでございますが、しかし、私ども政府といたしましては、物価が当然上がるんで、それに比例して自動スライドというような考え方は、この段階におきましてはとり得ないところでございますので、いま私が申し述べましたような経済の成長や、生活水準に対応して金額の引き上げ等は必要な時期にでき得る限り積極的に行なうという、いわば政策スライド、自動スライドではなしに、政策スライドというものはやるべきであると私は考えております。毎年やるか、一年おきにやるか、大幅改正の間に小幅是正をはさむかという問題が年金にもあるわけでありますが、そういう方向で私は処理をいたしてまいりたいと考えるものでございます。
#85
○渋谷邦彦君 次に、昭和四十年でございますが、厚生省が被爆者の実態調査をおやりになりましたが、これについての結果が全然出ないという、もう相当の年数がたっているのですが、それはどういう理由なのか。また今後も引き続き総点検といいましょうか、そういったものを意欲的に行なっていく用意があるかどうか、その点どうですか。
#86
○政府委員(滝沢正君) 御指摘の昭和四十年における被爆者の実態調査につきましては、一部にまだ公表完結していない面がございますことは申しわけございませんが、まずやりました基本調査については、調査面は四十年の十一月でございますが、その公表は、基本調査は四十二年の二月、健康調査及び生活調査につきましては四十二年の十一月にいずれも公表いたしておりますが、残りの入院患者の実態の調査につきまして、すでに刷りものはでき上がっておりますが、手続上、公表の手続をとっておりません。そういう意味で完結しておりませんことはたいへん申しわけないと思いますが、なるべく早い機会に手続を完了して、公表いたしたいと考えております。
#87
○渋谷邦彦君 それは、いつできるんですか。それと、もう一つ伺っておりますよ。今後継続的に実態調査を続けていく用意があるかどうか、その点。
#88
○政府委員(滝沢正君) 今年度中に、三月末までに公表できると思っております。
 それから、実態調査そのものが、二十五年のときに国勢調査に便乗して――と言えばおかしいんですが、要するに国勢調査の際に、原爆患者のことをとっていただいたりした実態がございまして、この国勢調査との関連を考えておりますが、これは調査できるとしても、わずかなことしかできませんので、どうしても、四十年のとき三千五百万程度の予算で実施しておりますが、これを十年先の五十年に実施したいというのがただいまの計画でございます。
#89
○喜屋武眞榮君 時間もだいぶたちましたので、二、三お尋ねいたしたいと思います。
 今回の改正の趣旨からしまして、療養生活の安定をはかるというたてまえになっておりますが、そのたてまえから、これで十分だという考えでしょうか、いかがでしょうか。
#90
○政府委員(滝沢正君) 今回の改正に載っております健康管理手当が療養の安定ということを考え、なおかつその上に老人であるとかあるいは障害者に支給していると限定いたしますのは、このような方々が自分の健康状態というものになかなか十分な配慮をしがたいということを趣旨といたしまして健康管理手当が出ておるわけでございます。したがいまして、法律事項でございますが、今回三千円は改正いたしませんで、支給の年齢の制限を拡大したというにとどまっております。したがって、御指摘の事項は、三千円そのもので療養の安定に役立つだろうかという御指摘だと思いますが、この点につきましては、先ほど申しましたように、四十三年にこの制度ができて以来、三千円という金額よりも、範囲の拡大の要望の声が現在非常に強くございましたので、われわれは、現在のところでは範囲の拡大に努力してまいりました。三千円の金額的な問題につきましては、今後の検討にゆだねておるというのが実態でございます。多々ますます弁ずでございますから、金額の多いほどいいことは十分わかっておりますけれども、一応、そういうような事情のもとに、範囲の拡大にいまのところ重点を指向してまいるというのが実情でございます。
#91
○喜屋武眞榮君 いまの問題も含めて、現時点においてはこれで十分であるという、そういうお考えのもとでの支給であるでしょうかということです。
#92
○国務大臣(内田常雄君) 私からお答え申し上げますが、原爆の特別被爆者になられました場合には、医療につきまして、認定患者につきましては根元から公費で医療費を支弁いたしますし、その他の被爆者につきましても、保険の自己負担分は公費で支弁すると、こういうことであります上に、状況によりまして介護手当も出すことになっておりますし、また認定患者につきましては特別手当なり医療手当を出し、その他の被爆者につきましても健康管理手当というものをできるだけ条件を緩和して出すと、こういうたてまえでございますので、たてまえとしては私は一応整っておると思います。ただ、金額なり、あるいは金額が最近の生活水準や物価に比べますと必ずしも十分とは言えない面もございましょうし、またこういう手当を出し得るたてまえになっておりますものにつきましても、所得制限があって、所得の高い方々には支給しないというような問題も、先ほど来御指摘のとおりでありますので、これでいいとは私ども決して考えません。何しろ原爆の被爆者というものは、世界における唯一の、わが国だけの犠牲者でありますから、そういう人の立場も十分くみまして、また法律上の制度がいろんな制約のために働かないというようなことがないように、また内容の充実などにつきましても、私は、改善をすべきものは今後も改善をすべきであるとは考えております。
#93
○喜屋武眞榮君 念を押すようでございますが、今後大幅に改善していくと、こういうかまえでございますね。
#94
○国務大臣(内田常雄君) 一挙に大幅な改善はむずかしいかもしれませんが、逐次、充実改善につとめてまいる、こういう趣旨でございます。
#95
○喜屋武眞榮君 被爆者を物質的に救援していくという、この額の過小というものは、これは漸次、当然生活の条件変化によって増額されていかなければいけないと思います。
 私は、特に次のことについて厚生大臣の御見解を求めたいと、お聞きしたいと、こう思うものでございます。「去る者は日々にうとし」とかあるいは「のどもと過ぎれば熱さを忘る」と、こういうことばもございますが、この被爆者がだんだん時がたつにつれて国民のあるいは責任者の立場から忘れ去られて、関心が薄くなっていく。このことはそのままこの被爆者がどのように心情的にもあたたかく保護されていくか、またそれに即応してこの支給も増額していくか、このことはさらにその根源をなす、背景をなすものは原爆三たび許すまじあるいは戦争の悲劇を再び繰り返さないという、この平和希求の念に結びつくものだと確信するものでありますが、厚生大臣の見解はいかがでありましょうか。
#96
○国務大臣(内田常雄君) 全く私も同意見でございます。
#97
○喜屋武眞榮君 そういう観点に立ちますならば、ますますこの被爆者の量の拡大あるいは質的にもですね、ますますこう物心両面から守られ、優遇されてこなければいけないのではないか、こう思うわけでございます。そのことについて今後の御決意をひとつ厚生大臣から伺いたい。
#98
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど来申し述べておりますように、わが国におきましては、先般の戦争による犠牲者が軍人、軍属の方々以外にもたくさんあるわけでございますが、これらの方々に対しましては特別の措置をとらないで、御承知のように、一般の国民年金等をもって対処しておるだけでございますけれども、原爆被爆者につきましては、いろいろ御意見はございますけれども、とにもかくにも特別措置法並びに医療法という法律をわざわざつくりまして対処いたしておりまするし、また毎年のようにこの法律の改正、充実なども国会に提案をいたしておりますので、原爆被爆者に対して私どもが年とともに冷たくなっていくというような心配はまずないと考えます。ことにまた国際的にもいろいろの面で原子兵器などに対する意識が非常に鋭敏になってきている問題もございまして、そのたびごとに常にわが国におきましては広島、長崎の被爆者に対する処遇の問題も取り上げられておりますので、そういう事態の中におきまして、政府といたしましても、原爆被爆者に対する処遇につきまして御心配をかけるようなことがないようにすることが、私は時代の進歩であると考えるものであります。
#99
○喜屋武眞榮君 次に、この沖繩の被爆者について、先ほど小柳先生からもちょっと触れられましたが、どうもあの御答弁では、あれに対する御答弁では沖繩の立場から非常に不安であり、不満である。そこで沖繩の被爆者に対してどのような措置を講じてこられたか、またこれから講じようとしておられるのか、お尋ねをします。
#100
○政府委員(滝沢正君) 先ほど小柳先生に御答弁申し上げましたことを数字の上で明らかにいたしますと、沖繩在住の被爆者は二百六十人でございます。一般被爆者が十八人、特別被爆者が二百四十二人、うち認定患者、いわゆる原爆症患者として認定されている患者が十七名でございます。四十六年度の沖繩の援助予算は八百七十五万円四千円でございまして、これは全額国庫、日政援助でやっております。それから健康診断は本土と同様に、検診班を派遣して本土同様にいたしておりますが、四十五年三月が百四十一名受診いたしまして、四十五年九月には百四十二名、二回ともほぼ同数の方が受診しております。
 諸手当の支給状況は、特別手当が十七名、健康管理手当が八名、医療手当は一名、葬祭料、四十五年実績が現在のところ一人ということで、介護手当はゼロでございます。
 認定患者の本土への治療状況でございますが、昭和四十年から四十一年までに十一人が本土に参りまして医療を受けております。これの旅費、入院費等、認定患者でございますから全額公費で見ているわけでございます。それから四十一年から四十二年までには、認定患者の治療状況が八人、計十九名でございまして、うち三人は二回認定を受けております。その以後四十二年の二月七日までの記録以後は認定患者は、ただいまのところございません。
#101
○喜屋武眞榮君 いま沖繩の被爆者は、まあある戦後期間取り残されまして、非常に強い要望の中からだんだん救援が実現したわけでありますが、二百六十名とおっしゃいましたが、それはいつ現在の調査でありますか。
#102
○政府委員(滝沢正君) 四十五年九月現在でございます。
#103
○喜屋武眞榮君 まあ沖繩がこの措置法に浴したのは四十一年ですね。ところが、毎年毎年この調査の結果、被爆者がふえてきているわけです。二百六十というのは、これは去年の段階で、現時点ではもっとふえておると、こう思っておりますが、いかがでしょうか。ごく最近の……。
#104
○政府委員(滝沢正君) 最近の数字はつまびらかでございませんが、今回の地域の拡大が長崎で行なわれましたけれども、これは直接沖繩には関係ございませんので、私は今度の場合でも、こういう制度の改善ごとに、多い年には一万人、少ない年でも四、五千人の特別被爆者、いわゆるいろいろ諸般の対策の対象になる特別被爆者が増加いたしておりますので、沖繩でも減少しておるということはないとは思いますが、しかしながら、沖繩の在住者の中で、当時、広島に三日以内に入市した、市に入り込んだために放射能の影響を受けたというような方々が今後出てまいりますれば、当時三十二本の列者が当日広島に到着したりいろいろしておりますという記録がございますので、そういうことの中から沖繩の在住者にそういう特別被爆の条件のそろった方が出てまいればふえる可能性がありますけれども、そう多くはふえるという傾向にはないものと予想いたしております。
#105
○喜屋武眞榮君 いま毎年ふえてきているのは規定の変更からもくるでありましょうが、調査の不備から、いわゆる遠隔の地で、しかも本土の被爆者と同じ立場、条件にはないわけです。そういった調査の不備から漏れたのがおる。それが毎年こちらから調査にいらっしゃるたびごとに発覚してふえてくる、こういう意味の増加ですね。だから二百六十名ではなくて、これを上回っていると、こう思いますので、その辺をひとつはっきり確かめていただきたい、こう要望します。
 次に、本土に照らして形式的には沖繩も差別はないということになっておると思いますが、実質的にいろいろの面から沖繩の施設、設備、医療上あるいは渡航の制限とか、いろいろな隘路がありまして、そういった点から実質的には平等の恩恵に浴するという立場から非常に不安があるわけであります。差別がある。こういう観点からいま実質的に平等にそれがこの恩恵に浴しているかどうか、その点いかがですか。
#106
○政府委員(滝沢正君) 御指摘の点は、沖繩という地域の事情から言って、できるだけこちらの本土の専門医を派遣する等、沖繩の特に医療の欠ける面を補う努力はいたしておりますけれども、これは本土内においても、やはり原爆関係者の御意見の中で、それぞれ東北地区等にお住まいの方等は、これらの対策について、必ずしも十分でないというようなことの御要望は同様にあるわけでございます。今後、われわれといたしましては、沖繩の復帰と同時にこの法律は適用されますけれども、現行では全く同じような取り扱いになっておりますので、特に医療の面に欠けることのないようにさらに援助の手を回数多く伸ばして御要望にこたえるように、そして地域的な格差をできるだけなくすように努力してまいりたい。内容的にもう全く平等な立場であるということをここで申し上げておきます。
#107
○喜屋武眞榮君 念を押すようでありますが、最後に厚生大臣に一つお願いします。形式的には確かに納得いくわけでありますが、何としても実質的には差別をされ、取り残される心配があるわけです。そこで、名実ともに差別がない、また差別をつけない、こういうことに対してひとつ厚生大臣の意向をお願いいたしたいと思います。
#108
○国務大臣(内田常雄君) それは、沖繩におられる被爆者につきましても、あるいはまた本土におきましても、東北、北海道におられる方々でも、これは全く扱いは同じでございまして、せっかくこういう法律、制度があるわけでございますから、これが北海道の方にも、沖繩の方にも漏れなく適用されるように私どもは行政指導もいたしたいと思います。現に本土では、こういう被爆者ハンドブックというようなものをつくりまして、そしていろいろな方面に配付もいたしておるわけでございますが、この本土用のハンドブックが沖繩まで届いているかどうかわかりませんけれども、今度は、復帰も目前にもう見えているわけでございますので、喜屋武さんがそういう御心配になられないように、何らかこういうようなものも沖繩の方にも十分見ていただけるように、私どもももし足らざるところがあればつとめるように努力をいたします。全く、沖繩だけを置いて忘れているようなことは厚生大臣も考えておりませんので、これはむしろ喜屋武先生にもお手伝いを願いたい。こういう制度があるのだからということで、沖繩の関係方面にもぜひひとつ周知徹底を御協力いただきたいと存じます。
#109
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#111
○小柳勇君 各派の共同によります附帯決議案を提案いたします。まず読みます。
   原子爆弾被爆者に対する特別措   置に関する
   法律の一部を改正する法律案に   対する附帯
   決議案
  政府は、次の各項について、その  実現に努力
 すべきである。
 一、最近における被爆者の疾病状況  、老令化傾
  向等にかんがみ、生活保障を含む  被爆者対策
  について根本的な改善を促進する  ため、すみ
  やかに関係者を含む原子爆弾被爆  者援護審議
  会を設置するなど所要の措置を講  ずること。
 二、認定疾病の認定にあたっては、  最近の被爆
  者の実情に即応するよう充分配慮  すること。
 三、健康管理手当の支給対象を大幅  に拡大する
  こと。
 四、弔慰をこめて、葬祭料の金額を  大幅に増額
  するとともに、過去の死没者にも  遡及して支
  給するよう検討すること。
 五、諸手当の金額を大幅に増額する  こと。
 六、諸手当についての所得制限の大  幅な緩和に
  努めること。
 七、特別被爆者の範囲を合理的に拡  大するこ
  と。
 八、原爆死没者を含む被害者実態調  査につい
  て、地方自治体等が行なう調査に  対する国の
  補助を引き続き行なうこと。
 九、昭和四十年に政府が行なった被  爆者実態調
  査を、関係者の協力のもとにすみ  やかに完結
  し、最終報告を公表すること。
 十、被爆者の相談に十分応じられる  態勢の充実
  など、被爆者に対する相談業務の  強化を図る
  こと。
 十一、被爆者二世、三世に対する原  爆の影響に
  ついて調査研究を行ない、その結果に基づい
  て適切な措置を講ずること。
 十二、沖繩在住の原爆被爆者に対し、本土なみ
  の措置を行なうこと。
 十三、原爆被爆地において旧防空法に基づく防
  空業務に従事中死傷した者に対し、戦争犠牲
  者救済の公平を確保するよう、すみやかに施
  策を講じること。
  右決議する。
 以上であります。
#112
○委員長(林虎雄君) ただいま小柳勇君から提出されました附帯決議案を議題とし、採択を行ないます。
 小柳君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
#114
○国務大臣(内田常雄君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、できる限りその趣旨を尊重いたしまして、これが実現に努力をいたす所存でございます。
#115
○委員長(林虎雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#117
○委員長(林虎雄君) 次に、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 発議者小柳勇君から説明を聴取いたします。小柳勇君。
#118
○小柳勇君 保健婦助産婦看護婦法の一部改正の法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 昭和四十三年ごろから、全国各地の病院で、看護婦増員のための夜勤制限闘争が相次いで起こりました。夜勤回数が多いため過労で倒れたり、やめていく看護婦がふえたため、看護婦が「夜勤を月八日以内に減らし、夜勤人員を二人以上に」というスローガンを掲げて、みずからの生活と権利を守るため、さらに国民の医療を守るために立ち上がったのであります。
 看護婦の労働がいかに過酷なものであるかは、平均月十回、個々には二十回にも及ぶという夜勤は、労働医学調査によって、婦人労働の限界を越えていることが明らかにされました。また、労働省調査によると、九〇%に及ぶ労働基準法違反率があり、そのうち労働時間の違反は五五%をこえており、労働基準法に定められた婦人労働者に対する諸権利は踏みにじられているのであります。
 このような過重労働と、月の半分は夜勤という変則的な生活は、看護婦の健康をむしばむ、看護婦のうち約半数が異常出産と、一般勤労婦人の二倍もあるということは、母体の破壊がひどいことを示すものであります。
 看護婦は、診療の補助と称して診療の代行をしいられ、その一方では人手不足のため雑役まで負わされ、限界を越える労働をしいられており、こうした看護労働により日本の医療はささえられているといっても決して過言ではありません。
 しかし、これではからだが続くはずはなく、家庭と両立させることは困難であります。そのため、年間養成人員の半分に匹敵する看護婦が毎年退職しており、その結果、看護婦有資格者の半数も働いていないという事態を招いているのであります。
 また、看護婦養成について国は無計画であり、それぞれの医療機関や医師会などにまかせて、全く無責任であります。こうした、企業に従属した診療費による私的性格を持つ現在の看護婦養成制度も看護婦不足をもたらした大きな原因であります。
 看護婦不足はここ十年来叫ばれており、私たちはこれまでに国会で何度も看護婦問題を取り上げ、その原因について明らかにし、解決を要求してまいりました。
 また多くの政府関係機関も、問題点を指摘し、意見を出しているのでありますが、政府は常にその場しのぎの対策だけで抜本的改善には手をつけようとしなかったのであります。そして昨年も看護婦不足を解消するためにと称して、高校卒業一年の看護婦養成制度を計画したのでありますが、このようなこそく的手段では問題の解決にはならないのであります。
 今日の看護婦問題を解決する基本は、医療にたずさわる女子労働者の賃金、労働条件の改善をまず行なうことであります。人事院判定を全病院で漏れなく実現し、大幅に労働条件を改善し、専門職にふさわしい賃金を保障すること、そして既婚看護婦が家庭と両立させられる諸条件の改善、とりわけ保育所の完備は急がれなければなりません。これら改善により看護婦の定着率を高め、潜在看護労働力の職場復帰を促進させることが可能となります。
 そして養成は企業の従属物から切り離し、学校教育法に基づき、公費で計画的な養成を行ない、需給のアンバランスを解消すること、准看護婦制度をなくし、准看に看護婦国家試験の受験機会を与え、看護婦資格を一本化することであります。
 看護は命を守るためにどうしても必要なサービスであります。この看護問題が根本的に解決されるかどうかは、日本の医療が今後どういう方向に進むのか、すなわちますます営利化するか、あるいは国民のための真の医療保障となるのか、医療制度のあり方に深くかかわる問題であります。したがっていまこそ根本にメスを入れないとますます解決をむずかしくするばかりであります。
 したがって看護婦の身分を確立し、地位を向上させるため看護制度を一本化するとともに、わが国の看護水準を総体的に向上させつつ、看護婦の充足をはかって行くことが、いまや緊急の課題であります。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。
 次にこの法律案の内容を簡単に御説明申し上げます。
 第一に医療技術の高度化に伴い、看護婦の質を高め、社会的地位を向上させるため、経過期間を置いて准看は廃止して看護婦資格を一本化する。昭和五十年四月からは新規の准看養成を行なわないこととする。現に准看である者が進学コースに進んだ場合を除いて、准看護婦として引き続き業務ができることといたしました。
 第二には養成課程の一本化であります。
 医学の進歩に対応するため養成は短大を含め、高校卒業後三年以上の大学課程のみとすることにいたしました。
 第三は養成施設に対する国庫補助であります。
 養成は国の責任で計画的に行なうものとし、大学課程としての養成施設には、施設費、運営費の二分の一を国庫補助することを義務づけ、経過的に存続を認められる大学以外の養成施設にも二分の一以内の国庫補助ができることにいたしました。
 さらに看護学生に対し修学資金を貸与すること、准看護婦で実務六年の経験を経、厚生大臣の定める養成課程を修めた者は国家試験を受けることができることといたしました。
 以上この法案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あられるようにお願いする次第であります。
#119
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#120
○大橋和孝君 それでは、ただいま議題となりました看護婦の問題に対しまして、一、二質問させていただきたいと思います。だいぶ時間が迫っておりまして、二、三時間ゆっくり質問をさせていただきたいと思っていたところでありますが、もう時間がだいぶ切迫しているようであります。ですから、私、要領よく質問させていただきますから、答弁のほうも明確に、落としのないように御答弁願いたいと思います。
 まず第一に、いまのこの看護婦問題をめぐるいろいろな問題につきましては、すでに本委員会におきましても、私だけでも数回もう質問をいたしました。しかしながら、何らの解決をしないばかりか、矛盾はもうだんだんと深まっていくような状況を見るときに、どうもこの医療の混迷の一つの原因であるこの看護婦対策の早期確立を政府のほうで本腰を入れて取り組んでもらう非常に大事なときだと、こう思いますので、そういう気持ちも含めて質問をひとつさせていただきたいと思います。
 前国会に、政府は保助看婦法の一部改正案を提出いたしまして、審議未了で廃案になったのでありますが、この法案には抜本的な改革の視点もありませんでしたし、この需給対策も安易な需給対策であった、こういうふうに思われるわけでありますが、今国会にもっと十分な内容を持った法案を提出してもらいたかったのでありますが、なぜですか、法案が出なかったのは。この一点をまずお伺いしたいと思います。
 それから第二点は、昭和四十六年度予算の中で、国立以外の看護婦などの養成所の運営費は対象施設六百七十一カ所で二億八千五百万円ついておりましたが、具体的にはどのように配分がされ、措置をされるのでありましょうか。これは、四十五年度予算では六百七十カ所、二億五千九百万円ついておりましたが、保助看法の一部改正が審議未了になりまして廃案になったために、使えなぐなったという見解をとっておられたようでありますけれども、なぜこの四十五年度が使えなくて、この法案を提出していない四十六年度の予算の場合に使えるのか、ちょっと私は疑問に思うわけでありますが、この点についてひとつ御説明を願いたい。
 この四十五年度も、残りは少なくなっておりますけれども、ほんとうに使えるのかどうなのかも心配であります。この二点をまずひとつお伺いをいたします。
#121
○政府委員(松尾正雄君) 第一点に、今国会に法案を提出いたしませんでした理由でございますけれども、御承知のとおり、前回御提案申し上げました際にも、各方面にいろいろな御意見の相違がございました。したがいまして、各団体その他との意見の調整ということをやはり見るまでは出すべきではないではないかということで、いろいろ調整してまいりましたけれども、まだ完全にいろいろな点で意見が一致を見るに至らなかったということが今回提出をしなかった大きな理由でございます。
 第二の点につきましては、運営費の助成の問題でございますけれども、四十五年度の運営費については、少なくとも四十六年度の予算編成に際しまして、予算の編成の最終過程に至りますまでは、まだ保助看法の提出ということを断念するということを決定しておったわけではございません。しかしながら、大蔵省との間の折衝の結果といたしましては、万一法律がなくても、四十六年度においては運営費は実行しようというふうな話し合いをとりつけたわけでございます。
  〔委員長退席、理事小柳勇君着席〕
本年の一月末に最終的にこの保助看法案、ただいま前段で申し上げましたような情勢のもとで提案をいたさないことといたしたのでございますけれども、この予算執行の方法については、具体的にいろいろな検討を要する問題がございまして、検討してまいったのであります。その民間の養成施設に対してできるだけ広くその補助金を施行したいというのが私たちの基本的態度でございまして、そういったようなことについてのいろいろな整備条件を設定いたしまして、この条件にはたしてどの程度合うかという点を詰めてまいったわけでございます。たとえば各種学校の認可を持っているというようなことも重要なる一つの条件になろうかと存じます。そういったようなことをいろいろ詰めてまいったのでございますけれども、しかしこういったような条件というものを現段階において直ちに適用するということは、かなりの施設において無理があるように見られたわけでございます。そういうような状況のもとで、四十五年度につきましては、これを実行するということは見送らざるを得ないというような段階になったのでございます。もちろん御承知のとおり、この四十五年度の運営費につきましては、先般御提案申し上げました法律の中に、その運営費の助成ということについての規定を提案しておったといういきさつも、それにからんでおることは御承知のとおりでございます。
#122
○大橋和孝君 配分はどういうふうにされるのですか、具体的な。
#123
○政府委員(松尾正雄君) 配分につきましては、国ないし都道府県市町村等の公的な、いわゆる国公立以外の機関というものの中で、特に個人立でございますとか会社立であるとかいうところは、これは補助対象として適用しがたいところでございます。したがいましてその他の条件、たとえば各種学校の認可を受けておるところ、こういったような条件に対しまして都道府県を通じて補助を出す、こういうことになるわけでございます。
#124
○大橋和孝君 それから四十五年度分は残りが少ないし、なかなかむずかしいということでありますけれども、四十六年度から支給するならば、それと同じものをいましてやるのは、予算措置がないからできぬというのか、それとも、その手続だけはできぬというのか、その辺のところを明確にしておいていただいて、もしできるというならば、四月一ぱいから五月まであるわけですから、これはできるものならば支給したらいいと思うわけですが、なぜそれができないのですか。
#125
○政府委員(松尾正雄君) ただいま申し上げましたようないろいろな条件を法律によらずして設定するという検討にかなり時間をとったことは事実でございます。またいまの段階におきましては、先ほど申し上げましたように、都道府県を通じてこれを助成すると、こういう形になるわけでございまして、そのためにはやはり都道府県の予算措置というものが間に合わなければ実は出せないというような事態もございまして、ことしは残念ながらのけざるを得ない、こういう情勢でございます。しかしながら来年度については、かねてからの重要な問題でございますので、ぜひこれはきちっとした形で通すというふうにしたいと思います。
#126
○大橋和孝君 この問題も相当前にわかっておった話でありますから、こういうお金を出すような大事な問題はもっと積極的にやって、何とか予算措置もあの年末ぐらいの金額を各都道府県の追加予算のところに入れられるような何か行政指導というものを手ぎわよくやってもらいたいと思うのですが、いままでからいえば、こういうことは非常に手ぬるいというか、てきぱきと進行していないという点を非常に私は不満と思います。まあ過ぎ去ったことは取り返すことはできませんが、そういう予算措置の問題はどうか、ひとつ日にちもきまっているから手ぎわよくやってもらいたいと思います。
 それから看護婦不足の問題でありますが、看護婦不足をもたらしておる最大の原因は何とお考えになっているか、その点をひとつ十分お伺いしておきたい。これは婦人の職業として労働条件が非常に劣悪であったり、家庭生活と両立しない、先ほど提案理由の説明の中にもありましたが、こういう点にあるのではないか。また給与の水準も他の民間の職場に比べても低過ぎるのではないか、こういう問題が影響しておるのではないかというふうに考えるのですが、一体この最大の原因は何ととらえていらっしゃるのか、これを第一点に伺いたいと思います。
 第二点は、看護婦の養成につきましては、年々拡大されておりますが、就業看護婦は増加しておらないので、すなわち大量に養成しても大量離職がある、あるいはまた初めから就職しないような傾向もありますので、この原因の根本を厚生省はどう把握していらっしゃるのか、少々ふやしても事実はふえない、こういう状況があるのですが、厚生省はこれはどういうふうにお考えになっているか。これが第二点。
 第三点は、就業看護婦の数は現在一体どのくらいあるのか。保助看法第三十三条の就業者報告義務の規定によって把握しておると私どもは考えておるのでありますが、毎年どのくらい養成してどのくらいのパーセンテージで就業をして、それから現在はどういうふうになっているか、こういうふうな問題をひとつこの五、六年間の数字を示していただきたい。これが第三点。
 その次に、昨年度のこの政府案の具体的な数字をひとつ明らかにしていただきたいというのが次の問題でございます。それは政府案を作成するにあたって、計画案を進める基礎的な数についても見込みを立てていられると思うのでありますけれども、昭和五十年度において一体病院と診療所はどのくらいの数があるか。入院、外来患者の数はどのくらいあるか、それに必要な医者と看護婦の数はどのくらいか、看護婦の稼働率の内訳はどういうものか、こういういろいろな看護婦の具体的なことを考えられるときには具体的な数字をもお考えになっていると思うのですが、そのお考えがあればひとつ知らしていただきたい。
 次の点は、四十五年から五十年までの年次計画についてもその数をお知らせ願いたい。看護婦の年次別の養成数、看護婦の三年課程あるいは二年課程、それから准看護婦の高校課程、中卒二年、高卒一年、教員及び実習指導員の数、こういうようなものをあのときどういうふうにお考えになっていたか。その計画を知らせていただきたい。
 その次に、年次別の退職者数、看護婦と准看護婦がどういうふうに退職しているか。年次別の潜在看護婦の掘り起こし計画、年次別の稼働看護婦数、看護婦あるいはまた准看護婦、それから労働条件の改善方面の年次計画、こういうようなものをひとつ聞かしていただきたい。
#127
○政府委員(松尾正雄君) たいへんたくさんでございますが、第一点の看護婦不足の最大の原因というのは何と考えるかということでございます。一つは、御承知のとおり、わが国の医療需要、特に病院の病床数の増加というものがきわめて急速であるということが一点重要な点であろうかと思います。それに対応いたしまして相対的に養成力というものが追いつかなかったということがある意味での不足の原因でございます。同時にそれが看護婦という特殊な女性の職業という関係もございまして、かなり結婚その他によってリタイアするということも考えられ、こういった点が相殺されましてそういうふうに出てきている、こういうふうに考えているわけでございます。もちろんそういうような原因を除きますために、いろいろな環境条件その他というものについて必ずしも十分でないという点もその背景にあろうかと考えているわけでございます。しかしながら就業看護婦につきましては逐次増加をしてまいりました。昭和四十四年末においては二十八万三千人というのが就業者の数でございまして、前年度よりもかなり、一万数千人の増加という形になっておるわけでございます。
 で、養成所の卒業生の問題でございますけれども、三年課程あるいは准看等によって多少就業率は違っておりますけれども、たとえば看護婦について、三年課程でございますと、昭和四十五年における卒業生のうちで就業した者が約七八%、それから二年課程の場合は九〇%、准看の場合は九一・四%というような数字でございまして、ほぼこの辺の数字は各年とも動かないというような状況でございます。
 それから、それらが就業に関する状況でございますけれども、リタイアする原因としましては、私どもがいろいろ調べました理由といたしましては、結婚でございますとか育児といったものの理由が一番多いようでございます。
 次に、昨年出しました私どもの需給計画の概要並びにその基礎というような問題でございますが、一応今後昭和五十年までに、一番看護婦の需要の源でございますところの病院のベッド数というものを従来の増加傾向から推計をいたしまして、五十年におきますところの病院のベッド数を百三十一万ベッドと置いているわけでございます。で、百三十一万の病院ベッドというものを予定いたしました。それは五十年における数字である、それまでに逐次増加していく、こういう計画でございます。昭和四十四年におけるすべての病院病床数の合計が約百万程度でございますから、三十万程度増加するということを前提に計画をいたしました。その際に、この必要数の看護婦でございますけれども、これは単純にたとえば四対一というようなやり方をすることは必ずしも妥当ではない、当時の情勢としては必ずしも妥当ではございません。したがいまして、いわゆる夜勤体制といったような勤務条件というものを考慮いたしまして、そういう一つの看護単位を二人夜勤をするとすれば何人要るかということを全部勤務表の上から、あるいは患者の重症、中症、軽症といったような割合といったようなものに要する看護時間といったようなもののいろいろな研究を参考といたしまして、そういういわば看護量というものと、それから勤務条件の上から見て、交代制度をとっておる、で二人夜勤八日というものがとれる、こういう条件で設定をするという計算をやったわけでございます。その際四十人の患者に対して二人夜勤八日制を実現するためには十六名という必要量が出てきたわけでございます。これをもとにいたしまして、先ほど申し上げましたような百三十一万ベッドというものに対して一体幾ら要るのかということを推算をした次第でございまして、それが五十年末に約四十八万人を必要とするというのが計算のもとでございます。これらに対しましては、当時といたしましては年次計画でそれぞれ、たとえば三年課程でございますれば、五十年に達しますまでに、四十七年までには整備が終わっていなければなりません。また二年課程でございますと、四十八年までに整備が終わっていなければ五十年に間に合わない。そういう養成課程の長さを全部計算に入れまして、各年度ごとにそれぞれの計算を組み立てておったわけでございます。たとえば四十六年度における当時の計画といたしましては、看護婦については二千七百五十名の養成増、准看については二千二百二十五名というふうな養成増というふうに各年の計画を全部設定をいたしまして、それの結果として差し引きをいたしまして、五十年に四十八万人、こういうふうに確保したいというのが当時の計画でございました。したがいまして、そういうふうな計算をいたしました基本には、あくまでも勤務の条件というものを十分に考慮した計算をいたしたつもりでございます。
 なお、これに伴いましては、当然養成施設の増というものに伴う特に教官の増というものが必要でございました。たとえば四十五年度においては、新しい指定規則に基づいてすべての教官を配置するとすれば、約三千人が必要である、五十年においては約三千五百人近い専任教官が必要であるということも算定いたしました。それらの養成も同時にあわせてやらなければならない、こういうような目算を立てておったわけでございます。また、当然先ほど御指摘がございましたような、自然退職、リタイアというものがあるわけでございまして、たとえば四十四年における退職率というのは、総数に対して約四・二%、一万一千人程度というふうに見込んでおったわけでございます。これはある程度養成努力も加えながら、多少リタイア率を下げるということで計画を見込んだわけでございます。
 なお、潜在看護婦につきましては、おおむね一年間に四千八百人程度を四十六年度以降に就業させたいという計画にしたわけでございまして、これは必ずしもそのとおりの数字になるかどうかは別でございますけれども、もとの資料から計算をいたしまして、少なくともこの程度の計画を努力目標としたい、こういう計算のもとに先ほどのような五十年度における数というものを推定をして、それに基づくいろいろな計画を打ち出した、こういう次第でございます。
#128
○大橋和孝君 いまもまだ少し落ちているのがありますが、これは詰めて数字ももう少し詳しく聞きたいと思うのですが、時間もありませんから、これはいまの質問に対しての数字を資料として出してください。他に進みたいと思います。
 それから医療法の基準看護について少しお聞きしたいのでありますが、厚生省の言うように、看護婦と准看護婦の比率を四対六とすると、国民医療、看護の低下を来たすことになると思いますが、この点はいかがお思いになりますか。これが第一点。
 第二点は、看護婦の人員構成については、昭和三十三年の六月三十日に、厚生省の告示一七八号でしたか、これで基準看護、これを基準として看護婦五、准看三、それから看護助手が二と定めておりますけれども、この改正案は、この基準を改悪することになると思いますけれども、どのようなふうに思われますか。
 それから第三点は、全国のこの准看護婦通信制度養成期成会といいますか、これがあるようでありますけれども、これについて厚生省のほうはよく御存じであろうと思うのですが、これについてはどうでございましょうか。調査によりますと、正式の免許を持たないで看護業務についているものが十五万六百五十一人ですか、もいるということであります。これは違法ではないだろうか。また労働省の労働基準監督局が昭和四十四年四月から九月まで行ないました病院監督結果表によりますと、国立を含まない公立と私立病院の九三%が何らかの違反をしておる、こういうようなことも言われております。この結果を厚生省はどのように考えておられるのか、簡単に御説明願います。
#129
○政府委員(松尾正雄君) 第一点の御質問は、たしか医療法による四対一の問題であろうと思いますが、これは一応標準として、ただいまのところは四対一ということで看護婦と患者の関係を規定しておるわけでございます。しかしながら、これは御承知のとおり、標準という表現でうたっているわけでございまして、これを上回って悪いというものではございません。しかしながら、実態としてこういうものに非常に規制されるというのが実態でございまして、この点を新しい医療の質並びに看護力の増強という点からいえば、これをさらに変えて、密度の濃い看護配置にすべきだということは、当然起こってくる問題だと思います。ただ、いま直ちにこれを変えますことは、いろいろな需給問題として、それだけのことが実際上各病院ともそれに応じ切れないというような実態であるならば、行政上直ちにこれを変えていくということは十分慎重でなければならないのじゃなかろうか。しかしながらそういう充足状況及び配置の実態というものがかなり見込みがつく段階になれば、私どもは、当然こういうものは改正すべきだと考えておるわけでございます。しかしその場合も単一的なきめ方がいいのか、もっと複雑な形、実態に応じたきめ方がいいのかということは、十分考慮すべき問題だろうと思っております。それに関連いたしまして、基準看護の問題は、主として保険局の問題でございますけれども、時間の関係もございますので、私から便宜お答えいたします。
 実態というのは、特に保険の場合には支払いをするという問題、特に病院に対して何らかのプラスというものをつけてやりたい、こういうことがあって、当時の実態に応じた基準看護量の構成というものが出てきておるわけでございます。この点は率直に言えば、現実の医療法の上からは多少の食い違いがあるということは事実でございますけれども、しかし看護全体が一つのチームとして成り立っておるということも考慮し、かつ現在の非常に困難な病院の経営というものの中でそういうふうに保険サイドにおいてこれを認めるということであるならば、それをいきなりこうだということはどうであろうと考えております。しかしながらいろいろと看護の実態というものが変わり、また需給上の問題が変わってくれば、これは将来とも構成比率を固定しておくべきものではない。やはり進歩に応じて改正し、かつ進歩に応じた診療報酬というものに変えるべきだというふうに私は考えております。
 それから通信制の問題の御質問がございましたけれども、これは多分副看護婦制度といわれておるものをさすのじゃないかと思います。一部の医師会等で、通信教育をやりながら、いわゆる准看の資格を持たないで実際上の訓練をしておるというものがあるように聞いております。その数がはたして十五万であるか、私は、それほどではないのじゃないかと思っております。しかしこの問題は、いずれにいたしましても、何らの資格を持たないことは事実でございます。したがって私どもの解釈といたしましては、いわゆる看護補助者としての仕事をするにとどまっておるというふうに考えるわけでございまして、正規の看護業務というものにはこれを使ってはいけないというふうに考えておるわけでございます。
#130
○大橋和孝君 この問題につきましても、私は、保険局長のほうにちょっとお尋ねしたいと思っておったのですが、保険の仕組みの中でこういうようなことが行なわれておるのも、非常に保険としての制度の中で問題点があるのじゃないかと思うのであります。ですから、こういうようなことは根本的に医務局のほうもあるいは保険局も両方ともひとつよく考えていただいて、レベルダウンにならないように、そうして低医療を進めていくためにそういうことをしんぼうしていくというような、あるいはまたそういう方向に流れていくのを大目に見ていくという行き方でなしに、やはりこれを高めてもらいたい。こういうように思うので、保険局長さんのほうにもその意見を伺っておきたいと思います。
#131
○政府委員(戸澤政方君) 看護部門における診療報酬につきましては、入院料の問題、それから基準看護の加算の問題、いろいろありますが、過去の医療費改定の際にも、そういうものの改善にはかなりつとめてきたわけでありますけれども、先ほどの基準看護の基準が実態に合っているかどうかというような問題もございますし、そういうような問題も含めまして、今後診療報酬の適正化の問題もいわゆる大きな問題点だと思いますので、十分に前向きで検討したいと思っております。
#132
○大橋和孝君 特にこの看護婦のそういうふうなものが診療体系の中にどう位置を占めるかということが明確になってないのですね。だからして、そういう点を考えると、もう少しやはりそういうところを明確に出していって、そうしてその地位を高めていこうというふうな形の診療費体系を明確に打ち出さないと、医者の技術もそうでありましょうし、看護婦さんのそういう技術も、あるいは看護婦さんの待遇、いろいろな問題をどういうふうに位置づけて診療費体系の中に組み込んでいくかということが明確にされずにいくところに私は非常に問題があろう。やはり診療費体系の中でそういう。パラメディカルに動いて、あるいはまた医者の技術も含んでそういうものが相当技術的に高く位置づけされるようになっていかなかったら医療の内容はよくならないという、そういうことがどんぶり勘定になっているところに問題点があろうと思いますから、特に保険局長に対しては、こういう看護婦の問題を含めて、そうして養成から看護婦さんの待遇の問題をどう医療費の中に位置づけていくかということを少し明確にしておいてもらいたいということを希望しておきます。
 それから時間がないので、こういうようなことでいろいろな問題を詰めたいのですけれども、はしょっていきたいと思います。
 今度、看護婦さんの待遇改善の問題についてでありますが、医療法の施行規則によりますと、患者四対看護婦一の基準は改正されるつもりがあるのかないのか、まず第一にお聞きしたい。
 それから夜勤制限につきましては、労働基準法、人事院の規則を改正するかどうか、これをしないと、改善は口で言っておってもできないと思いますが、これは人事院の規則を改正する、あるいはまた労働基準法を改正するかどうかということが第二点。
 第三点は、看護婦の増員や労働条件の改善には医療費の改定が必要になる。先ほどちょっと触れましたが、この五十年における医療費はどのように考えておられるか、この点もう少し含めてお答えを聞いておきたい。
#133
○政府委員(松尾正雄君) 四対一という医療法の問題は、先ほどちょっとお答え申し上げましたけれども、一応の標準として現在定められております。しかしながら、看護婦の需給状態等がかなりの量に達し、かつ医療の実態としても、それ以上の看護婦を要するというような状態になりますことは、ほぼ推察のつくところでございます。そういう実態を見きわめた上でこの点については検討したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 あとの人事院の規則問題については、これは私も人事の専門ではございませんけれども、ただいまのところ、私どもがこういうふうにこれを実施する上においては、厚生省としては、そういう動きが特に支障があるというふうには考えておらないわけでございます。
 それから処遇関係につきましても、すでに私どもも、そういう基本的に処遇改善がきわめて必要であるということで、人事院勧告も、特に国家公務員における看護婦の待遇というようなものが民間をも支配するということを考慮いたしまして、実際といたしましては、国立の看護婦のほうが民間の看護婦よりも給与が上でございますけれども、それにもかかわらずこういう実態にありますので、必要性がございますので、大臣をはじめといたしまして常に大きな努力をしていただいております。昨年におきましても、一般の平均よりも看護婦の改善率というのは高い勧告をしていただいておるというような状況でございます。
#134
○政府委員(戸澤政方君) 先ほどの御質問に対する答弁、若干ずれがあったと思いますが、この医療報酬における看護婦のあり方、占めるべき地位、そういうものが制度の問題ともからみますので、そういうものともあわせて今後の診療報酬、医療費を考える場合には検討すべき問題であろうと思います。昭和五十年の医療費の中に占める看護関係の評価につきましては、これは医療費全体のあり方、またその評価というものとのからみもございますので、今回、中医協等におきまして合理化の問題とあわせて検討すべき問題でございますので、いま数字的にどうということは申し上げませんが、そういった先ほど申し上げたような態度でもって進めてまいりたいと思います。
#135
○大橋和孝君 それから四十五年の二月でしたか、全医労の調査によっても退職する理由は、勤務が夜間が多いからだとか、あるいはまた賃金が安いからだとか、あるいはいまの職場ではからだがもたないからだとかというので退職する人が多いわけでありまして、こういうことの理由が非常に高く出てきたわけでありますが、このような勤務の激しいのと劣悪な労働条件を強力な措置でもって改善しなければ、現在のような高い退職率を低めることはおそらくできないのではないかと、こういうふうに思うわけですが、養成対策と労働条件の改善とはちょうど車の両輪のようなものでありますから、これらを考えて待遇改善というものに対して相当積極的にやらない限り退職率というものを低めることができない、こういうふうに私どもは考えておるわけでありますが、特に既婚の看護婦さんが五〇%をこえるという現在は、その保育所対策なんかも必要なんじゃないかと、こういうふうに思うわけでありますが、こういう問題について、厚生省が相当強力に進めてもらわなかったらいけないんだし、いままでこれだけ看護婦の足らない状況で、こういう問題をもう少し積極的にやらなければならないということは何回も質疑の中で申し上げておるのでありますが、一体このままにしておいて、また今後の対策も本国会において何らなされていない。こういうことを考えると、私は非常に手落ちじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
#136
○政府委員(松尾正雄君) 看護婦の養成計画等を中心といたしまして、すみやかにその需給状況を改善すべきことはたびたび御指摘をいただいてまいっております。したがいまして、四十四年の予算に比べまして四十五年におきましては、ほぼ倍額に近い三十七億という予算を一挙に組んでいただいたわけでございます。さらに四十六年度の予算ではそれを五十四億というふうにふやして組んでお願いしているのでございまして、私どもは、法律の問題は別といたしまして、ずっと厚生省としてはこういった需給上の責任というものはあるわけでございますので、いま申し上げましたように、予算の上からもかなり大きな増額をやりながら、そういう体制の改善をはかりたい、こういう努力を続けているわけでございます。
#137
○大橋和孝君 次には、一昨年の昭和四十四年の六月十日に、本委員会におきまして看護職員の不足対策に関する決議を行なったのでありますが、それから二年たっておりますけれども、その後、この決議に対してどのように努力して、どのように改善されてきたかということについて、ほんとうにここでつぶさに一つ一つ知りたいと思うのですが、こういう問題について、ひとつその後やられてきたことを文書でちょっと知らせていただきたいと思います。
 それから次に第二点は、重症の心身障害児の病棟、あるいはまた脳卒中、老人病棟あるいはハンセン氏病の不自由病棟につとめておる看護婦さんに非常に腰痛症が起こってきておるということがあちらこちらから報告されてきておるわけでございますが、これは数からいえば、二十三支部で三百六十四件というようなぐあいの訴えが出ておるわけでありますが、これは非常に大きな問題であります。ですから、これはひとつ看護婦さんの健康が守れないような状態では、いまのようなことはとてもできないのだし、この問題は、ことしの一月でしたか、NHKの「こんにちは奥さん」でも放送されておりまして、大問題になっていたわけです。こういうことについても根本的に考えてもらわなければならぬと思う。ほんとうに労働条件とか、そういうものを見ますと、次から次へとみな吹きだまりじゃないかと私は思うんです。こういう問題につきましてはひとつ十分に配慮していただきたいと思います。
 次に、文部省を含めましてちょっとお尋ねしたいのですが、看護婦の教育は医療の内容の高度化に伴いまして、現在の各種学校から学校教育法第一条の規定に基づくところの三年以上の教育制度にすべきだ、こういうふうに私は何回も強く要望してまいりましたのでありますが、いまだにそれがずっと放置されております。看護婦の労働条件の劣悪なこともさることでありますけれども、こうしたところに看護婦さんという職業に魅力を感じさせない原因があるんじゃないかと思うが、こういう点ひとつ十分に文部省のほうでも配慮していただきたいと思いますが、その点につきまして文部省から一言お答えを承りたい。
 それから病院付属の養成施設につきましても、診療報酬による運営では、とてもこれはできないと思うのでありまして、これは教育制度として位置づけなければいかぬ。これもいまの問題とあわせて考えていただきたいと思います。
 それから、看護教員も不足をしているわけでありますから、この問題点につきましても、文部省としてはどう考えているのか。待遇はどうしていくのかということを考えていただかなければならんと思う。
 また看護学生につきまして、特別の奨学資金とか、そういう制度もつくらなければ集まってこないのじゃないか、こういう点も考えられる。こういう具体的な事例は厚生省と文部省と両省に、こういうふうな問題をひとつ詳しく聞きたい。前向きに考えてもらわなかったらできないと思うので、その点もひとつ伺っておきたいと思います。
 そのほか最近、慶応の大学病院で問題になっておりますことについても伺っておきたいと思うのでありますが――どうもえらい時間がなくて、もう質疑を終われというような話でございますから、この問題をひとつ含めてお聞きをして終わりたいと思います。慶応の病院で問題になっております事件があるのでありますが、三月八日現在、病院勤務の看護婦の数は三百二十七人、臨時アルバイトが十七人で計三百四十四人、こうなっている。同時に八日二人夜勤を完全実施するためには五百四十二人の看護婦が要る、欠員は二百十五人ということになっておるわけです。つまり六〇%の人間で運営をしているわけです。そのために生理休暇も認められないし、あるいはまた労働協約は、使用者の側から一方的に二月の十七日の時点で破棄されたかっこうになっておる。こうしたいわば不当労働行為に似たようなことが行なわれて、労働強化になっているわけです。そのために医療事故が起こりかけて、三N病棟では、乳児がミルクをラッパ飲みさせられて、あやうく窒息しかけたというような問題が起こっておるのであります。また勤務中の看護婦が気を失って倒れた者が三人もある、こんな話も聞いております。こういう実態を両省は知っておられると思うのでありますけれども、一体この指導はどうされているのか。こういうような実態を見ましても、私は、この労働条件のいろいろな改善とか、あるいはまた指導がよくならなければ、なかなか看護婦の不足というものは根本的にどうにもならぬのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 四十四年度から四十七年度で、この国立大学の付属病院で千七百名の増員をはかると文部省当局は言っておられましたけれども、現段階では九百名ふえたにすぎないといわれているわけであります。これがなかなか計画どおりうまくいっていないともまた聞くわけであります。こういうようなことを考えてみますと、非常に問題点はたくさんあって、根本的にほんとうにメスを入れなければ、どうしてもうまくいかないのだということが明確になっておりますので、どうぞひとつ文部省のほうも十分考えていただきたい。
 それから、人事院に対しましても二、三お尋ねしたいのは、第一は人事院の判定が出てからすでに六年近くの年月がたっておるのであります。月に八日二人夜勤のいわゆる人事院判定につきましても、国立あるいはまた公的な病院について、どれだけ一体徹底しているのかということをひとつ、あるいはまた改善勧告、こういうことは人事院でどういうふうにしているかということを聞いておきたいと思います。
 それから、昨年の秋の全医労や日教組などが人事院に対しまして、ニッパチがどれだけ守られているかについて人事院独自の調査を依頼したことがありますけれども、これを受けて人事院は調査を行なっておると聞いておりますが、どんな結果になっておるのか、その調査結果を明らかにしてもらいたいと思うのですが、その点についてもひとつ人事院当局の一括した答弁を――かいつまんだ質問をしましたから、その一つ一つについて簡単でいいからお答えいただきたいと思います。
#138
○説明員(安養寺重夫君) 御指摘の第一点の養成の問題でございますが、かねがねお話ございますように、学校教育法に基づく大学あるいは短期大学で養成するというのは、医療技術の高度化あるいは看護婦の資質の向上面から見ましても、まことに時宜を得た措置だと思っております。しかし、先生を用意するとか、いろいろ現段階では困難な点もございます。かたわら看護婦の養成というものに対する希望も強うございまして、そのかね合いでだんだんに努力をしてまいりたい。現在、大学で六校、短期大学で十一校、看護婦の養成をやっております。また、ささいな努力でございますが、明年度は九州大学に医療技術短大を国といたしましては増設をしたい。かたわら、公立あるいは私立で各一校ごと短期大学の新設を見ることになっております。かような努力を続けてまいりたいと思っております。
 第二点は、看護学校の教官の充足あるいは看護婦の定員増の問題でございますが、看護学校の先生の増員ということは、やはり第一点にもきわめて関連の深い問題でございます。現状では、文部省所管におきましては不足はないわけでございますけれども、全般的に見まして、御指摘の点は努力をしてまいりたい。
 なお、国立大学付属病院の看護婦の増員計画がおくれてございますけれども、いろいろ財務当局とも相談をいたしまして、約千九百名の増員計画で年々まいっておりまして、ざっといま臨時の定員外職員も含めまして千二百名ほど増員計画、明年度を含めて達成するわけでございますが、残余の分がまだ七百名強ございますので、いずれ財務当局とよく相談いたしまして、この計画自身はできるだけ早く実現をしたいと思っております。
 それから最後の、こういう看護婦になろうとする人たちの奨学の問題でございますが、御承知と思いますが、日本育英会による奨学というようなことになりますと、これは正規の学校教育を受ける者に現在限定いたしておりまして、現在短期大学に在学いたします者あるいは民間の私立高等学校の在学生でございますと、育英会による奨学金の支給を受けることができるわけでございます。しかし、現在多くございます各種学校は、育英会の奨学金の支給の対象になっておりません。これは、なることにつきましてはいろいろネックもございまして、急速にはいかない実態でございます。国立の大学の関係だけ申しますと、授業料は無償、給食あるいは居住費はこれは取らないというようなことでやっておるわけでございますけれども、こういう点につきましては、第一点に関連いたしまして今後検討いたしたいと思っております。
#139
○政府委員(島四男雄君) 看護婦問題につきましては、当委員会でもたびたびお取り上げになりまして、一昨年でしたか、大橋委員からの御質問に対して私がお答えしたことを記憶しておりますが、いわゆるニッパチ問題の判定を下した私どもといたしましては、この看護婦問題については、人一倍関心の強い問題でございます。
 で、看護婦の例の勤務条件改善のための一番大きな押えといたしましては、何といっても看護婦の絶対数をふやすということにあると思います。そのためには、やはり先ほど来いろいろお話がございましたように、看護婦さんの待遇改善ということが一番大きな問題だと思います。そこで、人事院としましても、たとえば昨年の勧告においては、全職種の平均のベースアップ一二・六七%に対して、看護婦さん及び准看護婦さんに対しては一八%強という大幅な初任給の引き上げの勧告をいたして、その実現をみたわけであります。それからさらに夜間看護手当、これは一昨年、それまでの百円を二百円に倍額増額いたしましたが、昨年はさらにそれを二百五十円に増額したということでございまして、このように特殊勤務手当を二年続けて増額したという例は、他にないわけでございます。そういうことからいたしましても、人事院として、この問題については並々ならぬ関心を持っておるということを御理解いただきたいと思います。
 なお、このいわゆるニッパチ問題の経緯ということについて、その後の推移について、厚生省なり、文部省御当局からその都度いろいろ御報告をいただいておりますが、昭和四十五年度から夜間看護体制強化に伴う増員計画が逐次実現しつつあるというふうに伺っております。それから昨年、私どもでは、これは病院のみではありませんが、国立病院、療養所、それから大学付属病院等を対象にいたしまして調査をいたしましたが、全部で十七機関を対象にいたしました。ところが、これは私どもとしては、他の省庁に属する機関の勤務条件もあわせて調査いたしましたので、全部で五十五機関になっております。したがって、その調査項目もまた非常に多岐にわたっておりますので、結果は、まだ実は事務的に集計いたしておりません。当初の予定では、本年度中に調査結果をまとめる予定でございましたが、若干おくれております。こういう調査自体は、まあ指導監査的な意味と、それからその調査の内容を私どもの今後の施策に役立たせるという意味で調査しているわけでございまして、本来は公表すべき性質のものではないと思いますが、この点調査の結果いかんによりましては、組合の方々にもある程度お話できるんではなかろうかというふうに思っております。もう少し時間をかしていただきたいと、こういうふうに思います。
#140
○政府委員(松尾正雄君) 慶応病院で、二年前でございましたか、いろいろなそういう問題を中心にいたしまして、内部で争議が起こっております。これは大学自体がいろいろと判断をしてやるべき問題だと私どもは考えております。しかしながら、大学自体において、そういうことについて必ずしも十分な知識があるわけでもないという面もございましたので、私ども全国のいろんな各機関におけるいろんな姿等も御紹介を申し上げまして、双方が話し合いをする場合、一つのよすがとするようにという指導はいたしたわけでございます。
#141
○理事(小柳勇君) 大学問題、看護婦問題、いま緊急の問題でありますが、きょうは、こんなに看護婦さんもたくさん見えております。大臣からその取り組みの決意をちょっと言ってもらうと同時に、さっき資料要求しましたね、大橋委員が。この問題、きょうで終わりでございませんで、ずいぶん問題ありますから、資料は出していただきます。きょうのところ、大臣、いまの質問に対する見解を御披瀝願います。
#142
○国務大臣(内田常雄君) 私は、こういう認識を持つものであります。看護婦さん方は、まあこれを看護婦だけの単一制度にするかあるいは准看との関係をどうするかという問題は別といたしまして、看護職員は、その数においても、今後ますます必要性があるわけでありまして、医師の確保と同じように重要なものであると思います。そのためには、やはりその養成施設を拡充する必要がある。これも法人等による養成施設あるいはまた大学制度等に関連せしめた養成施設と両方あるわけでありますけれども、これを拡充し、運営するために、国ができ得る限り運営並びに施設等に対して助成をする必要がある、かくして看護職員の確保をいたしたいということがまず第一でございます。
 次に、やはりその看護職員というものは、婦人の非常に貴重な尊い職業であると考えますので、この職業を維持するためには、労働条件、給与等につきましては十分な配慮をいたして、それの充実、また改善のためにつとめるべきであると私は考えておるものでございます。
 それから第三番目は、女性の職業でありますために、当然結婚もされますし、また結婚されれば育児の問題もございますので、せっかく養成された看護職員の方々で結婚、育児とともに引退する方がたくさんあることは、まことに惜しむべきことでございますので、結婚や育児というような、環境変化に対応し得るような施策を私はやるべきであると考えます。そのためには、たとえば保育所の施設でありますとかあるいは宿舎の施設でありますとか、そういうことについて政府は意を用いてまいりたいと思います。
 第四番目は、看護婦の資格を持たれておられる方で、相当の年齢になられまして引退をされている方がたくさんあられるはずでございます。いわゆる潜在看護婦さんと申しますか、こういう方がお子さんが相当大きくなりまして、もう一ぺん第一線に復帰をいたすような、そういうことが容易にできる施策を私は考えたいと思います。つまり潜在看護力の活用と申しますか、そのためには講習会も必要でございますし、もう一ぺんやはり看護界に復帰することについての魅力をつくる、そういうことが必要だと考えますので、以上の幾つかの構想を私は念頭に置きまして、医療法などに基づく基準、標準の問題もございましょうし、またこれらの養成のための経費、診療報酬などの問題に関連するところもございましょうが、まあこの四つの出発点から私は看護問題と取り組んでまいりたいと、必要があればまた法律もたて直したいと考えますし、予算などにつきましても対策を講じたいと、これが厚生大臣の認識でございます。
#143
○大橋和孝君 いままで大臣の決意は何べんも聞いて、そういうふうな前向きの姿勢は聞いておりますが、これはなかなか実際に出てこないですね。いまは非常に喫緊時でありますから、そのお考えで前向きに早くやっていただきたい。少なくとも今国会に何か出てくると思っておったものが出てこなかったこと自身も問題である。どうかそういう意味で取り組んでいただきたいと思います。
 きょうは質問をはしょりまして、聞きたいことたくさんありますが、この次に詰めまして、そうしてまたあらためて見解を伺いたいと思いますけれども、その点で、たいへん前向きな答弁ではありましたけれども、それを早くやるのに具体的にどうするかということをひとつ最後に要望したいと思います。
#144
○理事(小柳勇君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十一分開会
#145
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#146
○小柳勇君 厚生年金法の改正もまた出ておりますから、基本的な問題――関連問題など厚生年金のほうに大部分譲りまして、重要な問題を質問をしていきたいと思います。
 まず第一は、総合対策についての五カ年計画の問題でありますが、昭和四十五年の十一月二十五日に、中央社会福祉審議会から老後の総合対策について答申が出されております。かえりみて老人問題の現状は、年金、就労、医療、住いなど多方面にわたっていずれも著しいおくれが目立っております。この際、政府は、この答申に基づき老後の総合対策についての五カ年計画といった長期的目標を設定し、これを強力に推進すべきだと思うが、いかがでございますか。
#147
○国務大臣(内田常雄君) 私どもも全く同じ考え方でございまして、幸い、いまお話がございましたように、昨年十一月に中央社会福祉審議会からも、老人対策の重要性並びに施策の各方面の事項にわたりまして御答申やら、御意見をいただきましたので、現在厚生省におきましては、老人対策の広範かつ総合的性格にかんがみまして、一局にまかせないで、たとえば年金局あるいは社会局、あるいは医療保険等の関連におきましては保険局等、そういう関連を考慮いたしまして、老人総合対策のプロジェクト・チームというようなものを編成をさせまして、大きくひとつ一歩を踏み出そう、こういう考え方のもとに進んでおるわけでございます。
#148
○小柳勇君 何回も申しましたように、先進諸国に比べて年金の問題が立ちおくれている。幸い昭和三十四年にこの国民年金ができまして、国民皆年金制度が確立いたしましたが、まだどちらの方向にいくか、はっきりした方向もわからないような情勢である。特に保険財政、年金の基金の問題など、しかも生活の最低保障ができるかできないかということが年金の一番大きな問題でありますが、それに対してはほど遠い情勢ですね。したがって、このいまの国民年金というのが将来どういうふうな方向に前進するものであるか。まあ毎年とはいいませんが、二、三年おきには国民年金の一部改正で給付額の、年金額の若干の訂正だけをやっておりますけれども、基本的には、国民が老後安心して年金で生活できる体制をとっていかなければならぬ。それには一体いかにあるべきかという基本的な問題が論議されてしかるべきだと思いますが、この問題についてどのような御見解でございますか。
#149
○国務大臣(内田常雄君) お話ございましたように、昭和三十四年に国民年金法ができまして、直ちに無拠出の福祉年金は同年発足をいたし、拠出金を伴う拠出制の年金は三十六年から発足をいたしましたが、老齢年金につきましては、これまでのところ、拠出制の年金を受けられる方は一人もいないわけでございます。ようやく本年の五月から、経過的な十年年金といわれるものが初めて発足すると、こういう段階でございます。しかりしこうして、国民年金の加入者は現在二千三百万人ぐらいございますので、現在それだけの加入者を対象としながら、老齢福祉年金はようやくその受給者がことしから始まるという状態にあり、わずかに母子年金、障害年金を受けられる方があるにとどまっておるわけでございますので、文字どおりわが国の国民年金というものは、いまだ成熟の域に達しておりません。したがって、現在におきましては、加入者の掛け金による積み立て金の運用というようなことになるわけでございますが、しかし御承知のように、わが国人口の老齢化の現象は急速に進みますので、これから十年先、二十先のことを考えますと、老齢年金の受給者はにわかに増加をいたしますので、今日とまさに趣を異にするものがあると存じます。私たち、いまからそのことを構想に入れまして、かつまた現在の国民年金の受給額というものは夫婦でいわゆる二万円年金ということで、一昨年大改正が行なわれましたが、真にその年金を多数が受けるこれから後の十年、二十年のときの国民の生活水準あるいは物価水準等を考えます場合は、私は、当然それらの金額も変わってくるものであるというようなことも構想に置きまして、この国民皆年金の趣旨を生かし、また六十五歳以上の老齢者の方々の生活の、稼動能力の欠損補てんにこの国民年金の制度が役立つような、そういう制度として完成をさせるべきであると構想いたしつつ今後の施策を進めてまいりたいと考えます。
#150
○小柳勇君 その大臣の、いまのあとのほうの部分が不十分なところなんです。生活の赤字の部分の補てんという考え方自体が大きな問題だと思います。やっぱり年金であれば、この年金で老後は暮せる、この基本が確立しなければならぬ。それは、いまの二万円年金とおっしゃいましたけれども、所得比例部分は任意加入でありますから、完全な二万円年金じゃないのです。二万円でも、大体一人で八千円になりますね。任意加入の所得比例の保険料を納めない人は八千円ですね、八千円じゃ食えない。もちろん二万円でも最低生活は保障できないでしょう。したがって国民年金というものは、あるいは厚生年金もそうでありますが、年金というものは、たとえば六十五歳以上の老人はその年金で生活できると、子供や孫にお世話にならぬでも自分で一家を持って生活できるというのが基本でなきゃならぬと思うんですがね。その考えがあるのかないのか、この国民年金の改正の思想の中に、いかがですか。
#151
○国務大臣(内田常雄君) そういう考え方、たいへんけっこうな考え方であると思いますが、私が先ほど述べましたことばは、人は年を取りまして稼働能力がだんだん衰えてまいります。その稼働能力の欠損を年金によって補うと、こういうことを申し上げましたので、小柳さんの意見と私が申し述べましたことと若干隔りがあるわけでございます。今日でも、まだ受け取る人はありませんけれども、夫婦がともに掛け金をいたし、かつまた所得比例といわれる部分、すなわち三百五十円の月掛けの掛け金を別にいたしましても、夫婦で二万五百円ということでございますので、夫婦だけで二万五百円という金では、今日なかなか健康で文化的なお年寄りの生活はできないと思うわけでございます。先ほども述べましたように、これはさらに、もちろんこれから五年、十年、二十年の間には金額なども相当大幅に改定をさるべきものだとは思いますが、改定をされましてもいかがでございましょうか、国民年金だけで生活ができるような姿の年金、つまり御本人が稼働能力が充実しておる間に貯蓄もしないで、老後はもっぱら年金だけでいくということでいいのかどうか。ことにこの年金が拠出制でございますので、どうしても年金額が高い場合には掛け金、拠出額も多くなるわけでございます。現在でも、御承知のとおり、本人の掛け金の二分一は国庫でかけておるわけでございますが、そのことを続けるにいたしましても、掛け金の問題もございますので、私は、やはり人間は働ける間は十分働いてできる限りの蓄積もするが、老後になると病気も多くなるし、また稼働能力も減りますので、過去の蓄積のことも考慮に入れながら年金で相当の補てんをしてまいるということでないと、理想はともかくといたしまして、なかなか現実的には制度の運営が困難になりはしないかと、かように思いまして控え目な発言をいたした次第でございます。
#152
○小柳勇君 現状としては、大臣の答弁でやむを得ないことと思うんですよ。ただ、将来の年金の――私、聞いているのは将来の構想でしょう。これは予算の総括のところで十分もう少し時間かけて論議したかったのですけれども、この間も時間がありませんでした。それは日本のいまの基本的な政府の考え方として、六十五歳までは労働人口である、したがって、中高年以上の五十五歳、六十、六十五歳までの方は労働省で仕事を世話しましょうと、ただ六十五歳以上になりますともう社会保障の分野ですというのが、これは基本的な考え方ですよ。これがいいか悪いかは別のことですよ。私は、六十五歳で労働人口、いわゆる勤労人口を切ることについて問題持ってますけれども、そういろ方向です。その六十五歳を六十歳に下げる、これが一つまた次の第二の問題になってまいりますね。そこでこの二つの問題横に置いて、六十五歳以上は社会保障の分野ですよというならば、この年金は六十五歳以上、七十歳の福祉年金はこれを下げなきゃならぬですし、また次に問題派生してきますけれども、少なくとも六十五歳以上の男女は過去の労働の蓄積によってもう年金で食えるんだと、あと働くのは自分の楽しみですね、楽しみで働く。とにかく生活はもう年金でやれるんだと、働かなきゃ希望ありませんから働く。それは余分の収入であると、そういう体制をとらなきゃならぬ。先進諸国それやってます。ただし保険料の問題があります。これはだから北欧四カ国でも歩いてみますと、保険料高いですよ。高福祉高負担ですね。それはそのままです。給料が日本のたとえば二倍取りますと、その中で保険料や税金が日本の三倍も取られている。大体実質生活は同じですね、給料は同じだという見方。それでも老後は安心ですね、一応食えるだけのものがあるのです。ただ食えるだけでは楽しくありませんから、ほかにアルバイトをやる、仕事をやる。そこで、三十四年にできまして今日ですから、いますぐ私はこれを抜本的とは言いませんけれども、少なくとも厚生大臣の構想としては、六十五歳になるまでは労働省のほうでその就職あっせんをいたしますから、六十五歳以上の方はこの年金で食えますと、その年金は、いま国民年金、厚生年金その他の共済年金あるいは恩給がございますけれども、だから将来はこの国民年金と厚生年金に、ひとつ二つくらいにいたしましょうと、それに全部をもうまとめて柱を二つにして被用者の年金は厚生年金にいたしましょう、その他の者は国民年金にいたしましょうと、そうするとみんな将来は六十五歳以上の方は全部年金で食えますぞと、それには一切の年金、基金をここに持ってきましてね、それで調整いたしましたらまず何とかいかれるんではないかという気がするわけです。もしそれで足りなければ高福祉高負担――それこそ国民納得するんじゃないかと思うんです。もうだから保険料が安いばかりが能じゃないと私は思う、ほんとうに。保険料よけい出して老後うんと安心するんだ、もういまはそういうのを打ち出して――私がここに言っている五カ年計画というものはそういうものです。この際にもう打ち出して、それこそ高福祉高負担を打ち出して、二兆八千億などの第四次軍事計画などのほうにうんとブレーキかける、ブレーキかけるというか、国民の総意によってその金をこちらに持ってくると、それなら高福祉高負担で納得しはせぬかと私は思うのです。そういう構想をなぜやらないのか。私は、この前予算委員会で社会保障五カ年計画がありませんねと言ったのは、そういう意味も含んでいるわけです。だからこの際もうちょっと大胆に、もうこの国民年金では生活できぬようですと、老後は。厚生年金でも老後生活できぬようですと、だから老後、六十五歳以上の方はもう年金だけで食える年金にします、それには最低――いまの生活保護というのが、あれはもう普通の一般勤労者の六割二、三分になりますね、生活保護の基準というのは。これをもうちょっと上げて、いまの一般勤労者階級の給与水準、生活水準の七割くらいの線の年金がもらえるようにすれば、それで大体一つの方向がきまりますね。そういうものをもう少し一日か二日かけて予算委員会の総括質問くらいでほんとうに真剣に論議しなきゃならぬのではないかと思うのですけれどもね。まあ時間私一人で取るわけにまいりませんから、そういうもの、ここ一、二年もう徹底的にもうどの機会でも発言しながら皆さんと一緒に考えていこうと思うのですけれども、大臣の意見を聞いておきたいと思うんです。
#153
○国務大臣(内田常雄君) もとより私はそのお考えに反対するものではございません。一つのりっぱな社会福祉施策としての考え方であると思います。しかし私ども行政の当局に立ちました際に、高福祉高負担ということが言われましても、また高掛け金高給付ということを言ったといたしましても、現実にはなかなかそのようにまいらないところもありまするし、また日本人のこれまでの考え方などというものも考慮をいたします際に、一定の年齢を過ぎた後の老後は、すべて年金だけでだれもがいけるのだということがいいか、あるいはまた稼働年齢、生産年齢の期間の間にみずからも蓄積しながら、また年金も十分それを助けていくという考え方もあるわけでございますので、私は、まあ小柳先生のお考え、たいへんりっぱであるということは否定いたしませんけれども、それでいきますと、こういうわけにはにわかに行き得ない私のような考え方もあり得るということで、また今後適当な機会に御議論をいただきたいと思います。
 なお、私も不勉強ではございますが、外国のこの年金制度につきまして調べられたところによりましても、やはり外国におきましても、年金の額は稼働年齢の期間における所得の何十%か、三〇%とか五〇%とかいうようなところでとまっているようでございます。ただ、私が違った角度から一つ考えたいと、これはまあ厚生大臣として厚生省を率いてというわけではございませんが、私が政治家の一人として考えたいと思いますことは、いまの日本の年金制度というものは、厚生年金にいたしましても、あるいはまた共済組合の共済年金などにいたしましても、妻についての年金権というものを確立していないように私には思えます。配偶者加算というものがわずかに何千円か加えられるというだけのようでございますが、外国の制度を見ておりますと、夫が勤務をやめる年齢になりまして、年金受給権が発生いたしますときには、妻も一緒に年金受給権というものが発生するような仕組みのところもあちこちにあるようでございまして、そこで夫が一生まじめに働いておれば、やめたあとは夫と妻はともに年金を受けて、そして暮していけるというような仕組みになっておるところもあるようでございます。わが国におきましては、夫と妻との関係、家族制度との関係なども影響があると思いますが、年金を受けております夫が死亡いたしますと、その半分ぐらいが妻に扶助料としてそのかわり残されるというような制度があるようでございますが、その辺のところにつきまして、私は、年金の問題につきまして研究の余地があるようには思うところがございます。
#154
○小柳勇君 まあ、少し立場が違いますから無理も言えませんけれども、いま貯蓄とおっしゃいましたけれども、いまのように物価がどんどん毎年毎年上がりますというと、もう貯蓄いたしました金の命というものはないわけです。それから、その貯蓄した金というものは、まあ二割か三割はいわゆる大衆の生活基盤に入りますけれども、大部分の金はいわゆる大企業、いまならば高度経済成長のための基盤ですよ。それは考え方いろいろありますから、私どもの考え方で言うならば財産形成法など、今度労働省から出ますけれども、貯金奨励などはまだ早いという気はいたします。むしろ、私はそれよりも厚生省がうんとがんばって、高福祉高負担――貯金するような思想を年金のほうにぶち込んでしまう。そういうことのほうが早わかりすると思います。私はそう思いますね。この重要な段階にもうちょっと厚生省が、みんな局長も大臣も腹を据えて、そしてこの際にもう五カ年計画で年金も保険も、それから医療関係もばりばりひとつ五カ年計画を立てると、そして引っぱりますと、内閣を。そのことによって国民はほんとうにもう将来にバラ色の夢を持つと思います。私はそう思います。だから、まあひとつ大臣がんばってください。
 それから、それと関連して一つ年金局長に質問しますけれども、二万円年金とおっしゃいましたけれども、所得比例部分がやっぱり任意加入であってほんとうに二万円年金にならぬ。だからせめて恩給や共済年金などに匹敵させるならば、もっと所得比例部分を強制加入にしまして、そして保険料を高くして――これ、まあおこられますけれども、おこられますが、私の構想でいくならば、もう少し強制加入のほうを大きくして、そして年金額を大きくする、そうすると、だんだん厚生年金に追っつきますよ。厚生年金に追っつきましたらほかの共済年金、そうしたら共済年金にかけ足で追っつきますよ。そういうものを早急にこの五、六年のうちにやらなきゃならぬと思うんですが、いかがですか。
#155
○政府委員(北川力夫君) 所得比例の問題は、先生も御承知のとおり、やはりより高い保険料を負担しても、より高い給付を受けたいという国民の要望にこたえましてできた制度でございます。国民年金では初めて導入をされたものでございまして、導入の際に事務的な面も考慮をいたしまして、非常に現在は簡明な仕組みになっているわけであります。定額制は保険料負担能力の低い者を――その低い保険料率に応じた低い年金のレベルになりがちでございまして、より高い給付を希望する多くの者の満足を得ることができませんので、こういった方々を対象に所得に応じた拠出あるいは給付の仕組みを設けますことは、今後の年金制度を成熟をさせてまいります場合に、一つの大きな方向であると思います。御承知のように、ほかの公的年金制度はいずれも所得に応じた拠出あるいはまた給付といったようなしかけをとっておりまして、国民年金におきましても、いま申し上げましたように、所得比例制というようなものを制度の発足の当初から一つの懸案として持っておったのでございますが、ごく最近の一昨年の制定で導入したばかりでございまして、今後、いま先生がおっしゃいましたような意味合いで、制度の成熟のために今後の加入の状況の推移というふうなものも十分に見た上で、いまのような強制適用いたしますか、あるいはまた段階的ないわゆる標準報酬的なそういう仕組みをとるようなことを考えますか、今後の問題として十分に検討してまいりたいと考えております。
#156
○小柳勇君 一番基本的な問題ですから少し論議しとうございますけれども、時間がございません。いまのところ、一番大事だと思うのです。この数年のうちにその問題を解決しなければ、毎年これはびぼう的な改正をしなければなりません。それよりも根本的に、ほんとうにはっきり言っていいと思うのです。高福祉、高負担ですよと。だから六十五歳以上になったら年金で食えるのだと、こうしましょうと、貯金の多い人も少ない人も貯金をこっちのほうへやりましょうというふに、そういう方向にいくだきだと思いますので、私は言いました。
 次は、福祉年金の問題にいきましょう。福祉年金とは一体どういうことだと、その金額だってまあほんとうにお情け、まさにこれはお恵みのような気がしてならぬのです。福祉年金とは一体どういうものであるか、まず大臣の見解を聞いておきたい。
#157
○国務大臣(内田常雄君) 福祉年金も国民年金の中の一こまでございますが、昭和三十四年国民年金制度が発足いたしましたときにですね、御本人の年金加入の資格がすでにでき上がっておったり、あるいはまたその資格からはずれておるような方々で、拠出制の年金が受けられない方に補完的に国庫負担で無拠出の年金を出すと、こういう仕組みでございました。したがいまして昭和三十四年当時に、すでに夫になくなられて未亡人になっておられておる方はですね、もう保険金を納めるまでもなく母子家庭でございますので母子福祉年金、またそのときすでに障害の状況が生じておられる方には、今後の事故というものの想定がないわけで、すでにその事故が達成されておりますので、もうそのときから障害福祉年金を、またそのときにすでに老齢に達してしまって、今後老齢福祉年金の掛け金拠出の期間の期間のない方に対しましては、七十歳以上の方につきまして老齢福祉年金をと、こういう仕組みでできました。他の面から申しますと、何らかの形において公的年金を受けることのない方に対しましてのみこの福祉年金を給付する。こういう仕組みでございまして、恩給扶助料その他の公的年金を受けられておられる方には原則として福祉年金は出ないと、こういう性格をもってつくり上げられたものだと理解をいたしております。
#158
○小柳勇君 あの福祉のことばに両方ございまして、金額がわずかで、生活のほんとうの赤字の部分を補完するのだという意味ですね、それから社会福祉の恩恵的なという意味と両方ございます。だから老齢年金といっても、たとえば老齢年金拠出一号というならばこの福祉年金を老齢年金二号とかなんとか言っていいと思うのです。なぜ無理に福祉ということばをつけなければならぬか。このことによって恩恵的な、国がちゃんと何かめんどう見るのだというような印象を受ける。それと実際の金額がどうかといいますと、二千二百円でしょう。二千三百円じゃ食えないでしょう。ただおまえたち掛け金かけてないんだからこれでがまんせいという思想があるわけでしょう。それは年金の思想じゃないんじゃないかと思う。どうでしょう。
#159
○国務大臣(内田常雄君) おっしゃること、私もたいへんよく理解できます。いま私どもは簡単に年金年金と申しておりますが、これがいいか悪いかは別といたしまして、いまの年金というものは、正しく法律上の用語を用います場合には年金保険と、こういうことばをとっております。したがいまして厚生年金の掛け金も保険料と、こういうようなことばになるわけでございまして、したがって自分で掛け金をして、事故が発生したり老齢の条件が満たされた場合に反対給付として年金を受け取る、こういう仕組みがたてまえでございます。でありますから社会保険制度の一環と、こういうことになるわけでございます。社会保険でありますから、まあ私が簡単に理解をいたしますのには、保険の性格が半分とそれから社会政策の面が半分あるがゆえに社会保険、したがって国もしかるべき割合の国庫負担を国民年金にも厚生年金にもいたしておるわけでございます。しかし、福祉年金の場合には、そういう年金保険ではなしに、全額福祉政策として行なうものでございますので、国からの恩恵だ、お恵みだというような、本人にとってはあまりうれしくない意味のことばという意味ではなした、保険制度にあらざる純粋の福祉政策だと、こういう意味で名前がつけられたものと私は理解いたします。
#160
○小柳勇君 わかりました。いまおっしゃったとおりでしょう。したがって、こだわりませんけれども、近い将来にこれもなくならなきゃならぬ問題だと思います。
 それから、今度障害のある老人に限りまして七十歳を六十五歳に下げましたね、これはどういう意味でしょう。
#161
○国務大臣(内田常雄君) これは、私は非常にてまえみそになって恐縮でございますが、私はこう考えました。ことしの五月から拠出制の老齢年金が発足をいたします。金額は五千円でございますが、六十五歳の老人が年金を受けるわけであります。しかし、一方、福祉年金のほうは六十七歳、八歳あるいは六十九歳の方が同じ老人でありながら年金を受けられないということを考えますと、私もだんだん老人に近くなるわけでございまして――お金がほしいとは思いませんけれども、老人相互間においてまことに割り切れない気持ちを持つであろう、そこで私は力はございませんでしたが、正直に申しますと、老齢福祉年金というものを何とかひとつ七十歳ではなしに六十五歳にして、金額が違ってもいいから六十五歳の老人がひとしくその年金を受けられるようにしたいと思いまして、ずいぶん苦労をいたしましたが、それは大部分がようやく達成されまして、からだに故障のある方だけを六十五歳に引き下げる、これはそのこと一本で攻めればできたかもしれませんが、先ほどお話がございましたように、福祉年金額の引き上げでございますとか、あるいはあとから問題としてお尋ねがございますかとも思いますが、所得制限の緩和の問題でございますとか、あるいは私が先ほどちょっと別の意味で触れましたけれども、公務扶助料を受けられる方につきましても、その方の身分が准尉以下等の方々等については福祉年金を全額併給するような制度もぜひとりたいというような要望もございまして、一つの目標を幾つかの目標に分けなければならないような点もございまして、私が力が及ばなかったわけでございます。しかし私は、とにかく福祉年金につきましても六十五歳というところに、老齢者の一部ではございますが、手が届きましたことに少し満足をいたしておる次第でございます。
#162
○小柳勇君 わかりました。六十五歳以上に努力したけれども全部できないから病人だという意味はわかりました。なるべくそれは六十五歳全部やれるように今後も努力していただきたいと思います。
 同時に、一番問題――それも大事ですけれども、やはり併給の問題などですね、他の公的年金との併給。だから七十歳を六十五歳に下げるより一そう他の公的年金と老齢福祉年金とが併給できるということがもっとうれしいのじゃないかと思いますが、これがなかなか前進しないですね。この問題について見解を聞いておきたいと思います。
#163
○国務大臣(内田常雄君) そのことにつきましても、先ほどちょっと私から申し述べましたが、福祉年金は他の公的年金を全く受けない方のみが受けられる年金であると、こういうことで発足をいたしたはずでございます。したがいまして、これはまあ戦死をなさった方の御両親あるいは未亡人等で公務扶助料を受けられる方につきましても、従来は福祉年金の完全併給というものは認められておりませんでした。しかしこれもいろいろの方面から要望もございましたし、また私自身が、公務扶助料は、戦死者の御遺族の受ける扶助料というものは年金とは性質が違うべきだということを強く財政当局にも主張をいたしまして、准尉以下の方々の受けられる公務扶助料につきましては福祉年金を完全併給するということだけがようやく達成をせられたと、こういうわけでございます。
#164
○小柳勇君 これも何回も問題にしているのでありますが、併給限度額について一度も改善されていないという点、それから受給者本人の所得制限の限度額が改正案が三十五万円まで、この線に合わせて考えて併給を認めるか認めぬか、どちらかのとにかく公的年金との併給を考えてもらう。
 その次はスライド制の問題でございますが、これもいままである年金について、スライド制は、大体もう思想だけは統一しております。しかし具体的になかなか数字がむずかしい。物価が五%上昇――口では言いまするけれども、どこで一体どういう統計を使ったかということはむずかしいのでスライド制の適用がなかなかできないのですが、国民年金の場合はどのように考えているか。厚生年金の場合は一〇%の物価上昇の緊急是正をやります。国民年金でやらない場合に差があるではないかという気がいたしますが、このスライド制の導入についての見解を聞いておきたい。
#165
○国務大臣(内田常雄君) 国民年金も厚生年金もきわめて幸いなことに五年ごとの財政再計算期というのがこの中に同じように規定をされております。しかもその法律の表現は、少なくとも五年を下らざる期間にその保険の仕組みの財政再計算を行なわなければならない、つまりアクチュアリーをやらなければならないことになっておりますので、私どもの現在の考えでは、少なくとも五年を下らざる期間というのをできるだけ縮めて、そしてこれを何年ということはいまここで申し上げませんけれども、五年でなしに四年、四年でなしに三年というふうに縮めて財政再計算期に相当大幅の年金額の引き上げ、またそれに見合う保険料率にも影響を来たすわけでございますし、あるいはまた国庫負担にも影響を来たすこともあり得るわけでありますが、そういう機会に単に物価、生活水準のみならず、これは冒頭に小柳さんがおっしゃったような思想をも入れまして、年金額の思想改定というものまでやるつもりでございます。その中間におきまして、ちょうど今回また後ほど厚生年金について御審議をいただきますような意味におきまして、中間の財政再計算ではございませんで、金額等の中間幅、小幅の改定をはさんでまいる、両々相まってスライド制が行なわれるというふうに運ぼうと、こういうことで厚生省の中では考え方を統一をいたしておるわけでございます。厚生年金につきましては、一昨年財政再計算期でございまして、大幅な改正が行なわれました。俗に言う二万円厚生年金というものをやりましたので、一年置きまして本年一〇%の単純引き上げをいたしました。国民年金につきましては、その財政再計算の基礎が厚生年金よりも一年ずれまして、昨年から実施をせられましたので、厚生年金に合わせます場合には、明年に中間的な小幅の改正を私どもはいたしたいと計画をいたすわけでございます。これらを通じまして実質上のスライド制を、これ自動スライドではございません、あくまでも政策スライドということになりますが、さような方式をもって実質的にはスライド、あるいはそれ以上の考え方を入れてまいる、こういうことでございます。
#166
○小柳勇君 国民年金保険料の徴収方法なりあるいは賦課方式なり、いろいろ問題がありますけれども、次の機会に譲りまして、国民年金の基金について、まだ政令が出されていないようであるが、どういう理由であるかという点、それから国民年金基金の対象となるものは、どのようなものを考えておられるのか。また国民年金基金の認可基準はどう考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
#167
○政府委員(北川力夫君) 国民年金基金の制度につきましては、昨年の十月から施行されたわけでございますが、現在のところ、具体的に設立をするというふうなものはまだあらわれておりません。で、この基金の設立につきましては、対象者の年金に対する要請が強く、制度の運営に熱意を示しており、また連帯意識も非常に強いというふうなもの、また統制力、指導力も相当に具備されておるといったふうな組織の母体が必要でございまして、また事業とか業務は今後のいろいろな諸事情の変動に対応して十分に安定性を持っているというような、まあそういう条件が年金の基金である限りにおいては必要であると思うわけであります。で、ただいま政令の問題が出たわけでございますが、そういう一般的な前提のもとに具体的な基金の設立ということを私どもは今後検討してまいるわけでございますけれども、冒頭に申し上げましたようなことで、現在のところ、具体的なまだ設立の動きが十分に熟しておりませんので、そういった具体的なもののあらわれますのを待ちまして必要な関係政令の整備をいたしたい、そして基金の設立に支障がないようにやってまいりたいと、このように考えております。
 それから、そういう次第でございますので、大体どういう基準で、どういう組織でやるかということは、今後いま申し上げました基金設立の具体化というふうなことに応じて整備をする、そういうのが現状でございます。
#168
○小柳勇君 保険料の徴収方法とか、あるいは現在の率、定額プラス所得比例の方式など、いわゆる保険料の徴収法について、特に農村などが多いのですけれども、地域的にもいろいろありますが、そのようなことについて改正の必要を考えたことはありませんか。
#169
○政府委員(八木哲夫君) 国民年金の保険料の徴収方法につきましては、現在先生御承知のとおり、国民年金印紙を張りまして、それを検印するというスタンプ方式をとっておるわけでありますが、現実問題といたしまして、各地方によりまして、いろいろこれは民間の地区組織等の協力関係がございますので、その民間の機関にかなり御協力を願っているというような状況でございますし、さらに大都市等につきましては、なかなか徴収の面でむずかしい問題があるというような点もございますので、すでに拠出年金ができまして十年、年金がことし出る時期でございますし、制度発足当時と国民年金に対します関心等も変わっておりますので、従来の国民年金、印紙による徴収方法でいいのか、あるいは現金徴収という方法を考えたほうがいいのかということで現在部内で検討しておるような次第でございます。特に保険料の場合、保険料の徴収につきましては、合理的な市町村の事務負担等できるだけ少なくするという面と、一方では将来の年金の受給権なり資格という記録面にも正確さという面が要請されて、両方の要請を満たすという意味での最も正しい徴収方法を考えるのが適当かということで、現在、至急検討をしているような状況でございます。
#170
○小柳勇君 市町村などから特に厚生省に来て進言されたような具体例はございませんか。
#171
○政府委員(八木哲夫君) ただいまも御説明申し上げましたように、現実には民間地区組織等が協力いたしまして、国民年金印紙につきまして手帳に貼付するというような問題がかなり事務的にもこういう組織なり、あるいは市町村の事務の面で負担になっておるというようなことから、現金徴収という方向を考えたらどうかというような市町村からの意見もございますので、先ほど御説明いたしましたように、いろいろな問題もございますけれども、基本的にこの問題を検討いたしたいということで取り組んでいる次第でございます。
#172
○小柳勇君 次は障害年金に入りますよ。障害年金の場合、障害福祉年金、障害年金ともに障害の等級範囲を厚生年金に合わせるべきであると思うが、どうですか。
#173
○政府委員(北川力夫君) 現在の国民年金の障害につきましての等級の範囲につきましては、障害福祉年金の支給範囲は一級でございまして、それから拠出制の場合は一級及び二級になっておりますが、いろいろな御議論がございましょうけれども、やはり被保険者の拠出によって財源をまかなう制度と、それから全額を国で負担する制度というようなものとの間の性格の相違というようなものを考えますると、こういった問題は、先ほども大臣からお答え申し上げましたけれども、福祉年金全体の改善の中でどういう程度の優先度合いと申しますか、どのものから先に取り上げて、どういうようにやっていくかというような、そういう全体のかね合いの問題もございますので、福祉年金全体の改善問題ということの中でそういう問題を十分検討させていただきたい、このように考えております。
#174
○小柳勇君 福祉年金というのは、さっき大臣がおっしゃったように、やはり福祉的なものでありましょう、ことばのとおり。したがって他の福祉年金との、障害等級などは他の年金とのバランスを考えることは一番大事ではないかと思います。それから障害福祉年金と障害年金に配偶者と子の加算制度を考えたことがございますか。
#175
○政府委員(北川力夫君) ただいま小柳先生からお話のありましたような、そういう立場からでは、現在までまだ十分考えておりませんけれども、国民年金は何と申しますか、厚生年金と違いまして、夫婦ともに被保険者というふうな状態でございますので、そういう意味合いで、現在までの段階では、そういう問題はまだ十分に検討いたしておりません。
#176
○小柳勇君 通算年金制度の問題でありますが、厚生年金のときにもう少し基本的に論議いたしましょう。
 最後は、障害児童の在宅教育の問題を取り上げますが、心身障害児で、家庭にあって義務教育を受けない者は全国で約二万人であると推定されておりますが、政府は、この対策として在宅心身障害児の訪問制度を実施する考えはないかどうかお聞きいたします。
#177
○説明員(寒川英希君) 現在、義務教育の段階にある子供のうちに、病弱でありますとかあるいは発育不完全、その他やむを得ない事情によりまして、就学義務の猶予または免除になっております子供たちは、いま先生から御指摘をいただいたとおり、約二万人でございます。これらの子供につきましては、児童福祉施設あるいは療養所、病院等に収容されている子供につきましては、従来から養護学校の分教室をつくるとか、特殊学級を設けるとかあるいは教員を派遣するというふうな形で教育の機会の拡大につとめてまいったわけでございます。
 ところで、問題は家庭にいる猶予ないしは免除の子供に対する訪問の教育の問題でございますが、これにつきましては、最近、神奈川県でありますとか、愛知県、大阪府等におきまして開拓的な試みがなされております。このやり方は、退職されました教員の中から適任者を選びまして、非常勤の講師でございますが、こういった方が毎週二回、一回二時間程度でございますが、家庭訪問されまして、家庭にいる子供に教育指導の手を差し伸べているというふうなことが行なわれてまいっております。あるいはまた神戸市の場合ですが、市立の学校に猶予ないし免除になりました子供を在籍させるというふうな形で学級を編成しまして、そして教員の定数を措置いたしまして教育を開始するというふうな動きがだんだんに行なわれつつございます。そこで、私ども文部省といたしましては、こういった関係者の努力による、派遣教員による教育というものを今後どう進めてまいるかというふうなことで検討し、これを普及してまいらなければならぬというふうな立場をとっているわけでございます。ただ、現在までは、伝統的な考え方でございますが、一定数の子供で学級を編成しまして、特殊学級の場合には十三人を標準といたしております。特殊教育の学校の場合には八人を標準として学級を編成して、学校という教育の場で教員を配当し、そういった集団の中で教育するというふうなことを考えてまいったわけでございますが、いま、先生御指摘のような、家庭に入り込んでマンツーマン、一対一で教育をするというふうなことまでは、実は、まだそこまでは、正直申しまして、財政上の措置等がなされていない段階でございます。しかし、すべての子供に能力に合った教育をするというようなことを考えますときに、やはりいろいろ困難な問題はございますが、今後そういった実験的な開拓の成果、そういったものも十分調査し、資料を得て、効果的な教育の内容なり方法なりというものを研究いたしまして、前向きでひとつそういった家庭に入る指導というふうなこともくふうしてまいらなければいけないというふうに考えている次第でございます。
#178
○小柳勇君 母子福祉の問題もありますが、これはあと、児童手当法案が出ている場合ですから、その場合に根本的に論議したいと思います。それから、通算年金の問題は、厚生年金の改正の問題と一緒に実は論議いたしますから、部分的な質問はこれで終わります。
 最後に、大臣にもう一回質問をしておきたいんですが、中国や近隣の諸国から日本の軍国主義復活を盛んに言われ、それは今度の国会を見ましても、第四次防衛計画などが一番大きくクローズアップされているわけですね。予算委員会の質問だって、防衛問題をやれば必ず取り上げるような状態です、いまの日本の国情そのものが。したがって、私は何回も言っているように、たとえば老人問題なり、年金問題等を中心にした日本の社会保障制度五カ年計画というようなものをバーンと、びっくりするようなものを打ち出して、そうして、わが日本はこういう社会福祉国家として前進するんだというイメージをアジア及び世界にばらまく、ばらまくだけじゃ困りますね、実際そういう方向に行くことが一番私は日本のいまの生きる道じゃないかと思いますが、そうしますと、もう軍国主義復活なんということは自然に消えるんじゃないかと思います。そうして友好関係がもっとできやせぬかと思います。したがって、五カ年計画――あまり年限を切る必要もないが、この年金問題につきましても、私さっき申し上げましたように、年金で老後の生活はまあまあやっていけるという体制を――共済年金などは大体あるんですからね、その体制は。だから、国民年金のほうと厚生年金ですから、厚生年金もだんだん前進するという夢が持てた。だから、国民年金に大馬力をかけるべきだと思うんですよ。それに対して、厚生省のお歴々の皆さんがここに並んでおられるんですから、年金局長なり、交代でやりましょうから、この際ひとつ全力を傾けて、老人問題の解決とその社会保障制度の前進のために、年金の五カ年計画などをおつくりになってはどうかと思うんですが、どうですか。
#179
○国務大臣(内田常雄君) 非常に御激励をいただきまして、私もたいへんありがたく存じます。てまえみそのようなことを述べて恐縮でございますが、私はいまの日本のあり方というものは、戦争前の軍事大国から戦後の日本人が食えなかった時代、経済の復興を目標にいたしました経済大国の時代を経まして、今日では私は福祉大国であるべきだということを、私自身自由に放たれた場合には演説をいたすものでございますので、お説と全く同じでございます。ただ、年金のあり方のみに、私はそれにとらわれませんけれども、もちろん年金についての小柳さんの構想、けっこうでございますが、いろいろ含めまして、日本は福祉大国であるべきだとほんとうに、ことに厚生大臣としては考えるものであります。私は、まあ昔でいうと、陸海軍大臣を一緒にしたようなもので、私がやめたら内閣は瓦解するぐらいの力を厚生大臣というのは持ちたいというぐらいのことを平気で私は実は言っております。英語を申し上げてはなはだ恐縮でございますが、小柳さん、セキュリティということばがございまして、セキュリティというのは安全保障ということばだと思いますが、今日は、セキュリティということは軍事的安全保障ではなしに、社会的安全保障、ソーシャル・セキュリティ、つまり社会福祉、社会福祉のことのように方々で使われてまいっておりますので、そういう意味からも、私ども、ここにおります諸君とともにセキュリティを担当し、国の防衛と、つまり国民全体の生活を安全にし幸福にすることが国の防衛である、こういうふうに考えまして、そのようなことばを私は流しておると、こういうわけでございますので、いろいろひとつ御激励にもこたえて進んでまいりたいと思います。
#180
○渋谷邦彦君 法律案の内容に関連した問題を若干お尋ねしたいと思います。
 最初に、各手当がそれぞれ三百円ずつ今回上がるわけであります。その中に特別児童手当というものがありますね。この特別児童手当という中身は、私から何も申し上げる必要はないと思いますが、重度心身障害児と重度身体障害児、この重度身体障害児については別表にそれぞれその種類が明記されているわけであります。ところが、非常にふしぎだと思いますことは、これらはすべて日常の介護を受けなければならない、日常生活に耐えられないということが一つの要素になっております。しかし、別表の中には内部疾患は除くと、こうある。しかし、この内部疾患についても、実際には介護を必要とする子供たちがいることを見のがすわけにはいかない。なぜこれをはずしたのか、まずこれからお尋ねしましょう。
#181
○政府委員(坂元貞一郎君) 特別児童扶養手当の障害範囲の問題でございます。これは法律制定のときから、御案内のように、重度の精神薄弱児というものをもって最初スタートしたわけでございます。その後、それに加うるに、重度の身体障害児というものを法律の対象にいたして今日まできたわけです。したがいまして、そういうような重度の精神薄弱児なりあるいは重度の身体障害児というものがこの特別児童扶養手当の障害範囲の、いわば対象になって今日まできているわけであります。いま御指摘のように、そういう外部的な障害以外の内部障害等をことさらはずしてきたわけじゃありませんが、法律の制定の経緯等からいたしまして、外部的な、外形的な障害だけをこの法律の対象にして今日まできている、こういう過去の実情になっているわけでございます。
#182
○渋谷邦彦君 しかし、いま申し上げましたように、日常生活に耐えられない、介護を必要とする者と、こうあるんですね。ということになれば、たとえば心臓疾患でも寝たきりの子供がおるはずであります。あるいは結核にかかっている子供、これも事実上日常の生活には困難、あるいはだれかの手を要さなければならない。これは何人といえども否定はできない事実であります。非常に矛盾があるのですね。確かにこの法律の制定過程においてはいろんな事情があったにせよ、しかしやはりその経過の中に、現在の時点に至るまでの間、やはりその辺は手直ししてしかるべきではないだろうかと思いますけれども、いかがですか。
#183
○国務大臣(内田常雄君) 率直に言いまして、私は論議の課題にいたしたいと存じます。ここで私が、それは次の改正のときには必ず入れさしていただきますということまでは申し切れませんけれども、論議の課題にさしていただきたいと思います。
#184
○渋谷邦彦君 それは確約していただけるとたいへんいいと思います。というのはね、これは厚生省のほうから私お伺いしたんですよ。それは現在、全国でいま私が指摘申し上げた、要するに内部疾患の対象と思われる推定の人数が六千三百人だというんです。この子供たちを対象にしたときに要する金額は二億円だというんですよ。どうしてこれができないのか。そしていま大臣は、取り組むという意味のことをおっしゃった。できることならば次の国会なりあるいは臨時国会でもけっこうでございます。法律改正をなさる必要があるのではないかと、重ねて私はお伺いします。
#185
○国務大臣(内田常雄君) いまお答え申し上げましたとおりで、そんなことはだめだと、こういうことではございませんで、私はこれのひとつ論議を関係方面ともいたしてみるつもりでおりますので、必ずやるとは言えませんけれども、渋谷先生のおっしゃることは理解できますので、これはひとつ論議の課題にさしていただきたいと思います、党の内部におきまして。そういうことだけを述べさしていただきます。
#186
○渋谷邦彦君 非常にデリケートな発言だと私は思いますね。必ずやるとは言えないけれども、絶対やらないとは言わない、こういうふうに理解ができるんですね、率直に申し上げて。大蔵省がまずとりあえずの何といいますか、折衝相手になるだろうと思うんですけれども、じゃ、いま申し上げたように、人数が限定されている。せめて限定されているならば、そのわずかな子供たちの救済の手段としてやるのが、これはやはり午前中の私の質疑でも申し上げましたけれども、当然の政治的配慮ではないだろうか。私は重ねてそれを――問い詰めるようでたいへん恐縮なんでございますけれども、このぐらいのことはここで大臣、お約束されてよろしいんじゃないでしょうか。
#187
○国務大臣(内田常雄君) 私は、実は勇敢にお答えしたことなどの課題もございました。たとえば小児ガンの問題でございますとか、その他二、三、ずばり述べてしまったことがございまして、曲がりなりにも実現いたした課題もございますが、正直に申しますと、いま局長とも打ち合わせしたんですが、これまで、毎年局長段階で大蔵省とも折衝してきている課題なんですが、ずっと予算が取り得ない、こういうことだそうでございまして、私が、おれがやればだいじょうぶだと、こういうことをいまここでは申せませんが、渋谷さんの御発言は速記録にも載っておるわけでございますので、また私がそれをたんねんに読み返しまして、大いに重要課題にさしていただきたいと思います。
#188
○渋谷邦彦君 くどくどしくは申し上げたくありません。ただ、念を押して申し上げたいことは、予算の見通しさえつけば、これはもうきわめて早い時期にいま申し上げたこの改正ですね、内部疾患の子供たちにまでその対象を広げる、こういうふうに理解したいと思います。答弁は要りません。
 次に、老人福祉年金の受給の開始時期が引き下げられた。むしろおそきに失したんではないかと思うんでありますけれども、昨今、先ほどの御答弁にもございましたように、年々老人人口が増加している、これはもういなめない事実であります。ところが、いつもこの老人問題で象徴的に取り扱われるものの中に、要するに寝たきり老人というものがございます。それで、現在一人きり、そして寝たきりという老人は、日本全国には一人もいないでしょうか。
#189
○政府委員(加藤威二君) 一人暮らしの寝たきり老人の数を御質問になっていると思いますが、これは一応の推計でございますけれども、私どもは、大体一人暮らしの寝たきり老人というのは三万人前後じゃないかという推計をいたしております。
#190
○渋谷邦彦君 そうすると、いまおっしゃったように二万数千人、まあ非常にこれは概数的な御回答だろうと思いますが、三万人、このように理解してよろしゅうございますか。――いるんですね、事実。
#191
○政府委員(加藤威二君) 一人暮らしの寝たきり老人というのは、相当数おられるということでございます。
#192
○渋谷邦彦君 現在、その人たちに対する救済措置はどうなっているんでしょうか。
#193
○政府委員(加藤威二君) まず一つは、一番重要なことはやはりこういう一人暮らしの寝たきりの方というものは、できるだけ施設に収容するということが第一の方策であろうと思います。そのために、まあ老人ホームの中にもいろいろ種類がございますが、こういった寝たきりの老人という方々を収容いたしますために特別養護老人ホーム、これはまあお医者さんとか看護婦さんがその施設におりまして、要するにある程度治療もしながら老人ホームでお世話する、こういう特別養護老人ホームというのが四十六年三月末――一番最近のこの三月末で、施設数といたしまして百九十、収容人員といたしまして一万三千七百、約一万四千近く、これはいま盛んにつくって、できつつあるという施設の定員も含めてでございますが、そういう施設をできるだけたくさんつくって、そこに収容するということがその第一であろうと思います。私どもといたしましては、今後もこの特別養護老人ホームをできるだけ多くつくりまして、そしてそういう一人暮らしの寝たきりの老人の方を収容していくというのが一番重要な施策でございます。
 そのほかに――しかし全部そう直ちに収容もできないという実態でございますので、その場合には家庭奉仕員の派遣、いわゆるホームヘルパーでございますが、これの派遣を行なう。その人員も来年度予算、まあわずかではございますけれども、増加いたしております。約六千三百名でございます。そのほか、たとえばそのホームヘルパーのほかに、特に病気になったときの介護人制度というものを、これも来年度から実施する。それからテレフォンセンター、これもモデルケースでございますけれども、テレフォンセンターをつくって、そして一人暮らしの老人のところに電話を置いていろんな相談に応ずるという予算も来年度組んでおる。そういうようなことを総合的に行ないながら、この一人暮らしの寝たきり老人のできるだけのお世話をしていこうということでございます。
#194
○渋谷邦彦君 いまの御説明でございますと、百九十の施設で約一万三千。そうすると、まだそのほかに二万六千から三万あるんですね、これはもう大問題だと思うんですね。それで、もう最近もしばしば報道等を通しまして伝えられておりますように、まあ様子がおかしいと思って戸をこじあけて入ったら、もう死んでいたなんて例がひんぱんとして最近伝えられておる、こういうことではやはり国の施策は云々と。年金受給年齢、受給開始時期を引き下げることけっこう、まあ年金を引き上げることもけっこうでありましょうけれども、まだまだその手当等を考えてみた場合、それで十分でないことは先ほど来論議されてきたとおりであります。ならば、せめてもそういう施設にいま応急措置を講じなければ、いまこうしてしゃべってる間に死んでいってるかもしれない。とすれば、何とかこの救急措置を、病院に収容するとか、そういう方法が講じられないものだろうか。もうすでに厚生省当局としては、現在一人きりの寝たきり老人が三万前後いるということをすでに掌握なさっていらっしゃる。それを今度具体的にどうするかという問題がいまおくれておるんではないか、大臣どうしますか。
#195
○国務大臣(内田常雄君) 局長から御答弁申し上げたとおりでありまして、一方におきましては、在宅の寝たきり老人に対しまして今回新しい措置としてとることにいたしたわけでありますが、医者と看護婦さんを派遣して、そして診察をすること、それからホームヘルパーのほかに介護人というのを――お洗濯とか、食事の世話とかいうような、そういう制度を設けまして、そういう人を回すこと、それからホームヘルパーを回すとか、あるいは従来からやっておりますいろんな生活用具とか、特殊のベッドとかいうようなものを給付するというようなことをやることはもちろんでございますが、一番いいのは特別養護老人ホームに引き取ってあげることが一番よろしいと思いますので、幸い四十六年度におきましては、これらの社会福祉施設の整備費が、昨年に比べますと六、七割の増額を確保し得ましたので、私どもも、老人の福祉施設の緊急整備ということに最重点を置いておりますので、そのほうも急がせまして対策を講ずるようにいたすほかはないと思います。もっとも試験的に、いまもお話がありましたように、電話を架設して、常時電話連絡をとるというテレフォンサービスというようなこともやりますけれども、これらもいま直ちに普遍的にやれるものではございませんので、あの手この手を尽くしてやるというふうなところに施策を集中してまいりたいと思います。
#196
○渋谷邦彦君 ですから、いまおっしゃったことは、私は、都市部においてはそれは可能だと思うのですね。ところが、山間僻地ということを考えた場合に、おそらく電話の問題、それからホームヘルパーの派遣等の問題、これは事実でき得べくしてできないという、そういう悪条件があると思うのです。実はごらんになったかどうかわかりませんけれども、つい先ごろ、NHKの「現代の映像」ですか、タイトルは忘れましたが、要するに一人きりの寝たきりの老人あるいは一人きりの老人の生活の実態をなまなましく写したフィルムを私は見ました。それは聞きしにまさるものですね。それも住んでおる家は家なんていうものじゃないのです。豚小屋よりひどいです。とにかく畳がない、その畳の上にそれこそぼろぼろになったふとん、それもふとんと言えるかどうか、名状しがたいような、そういうぼろの中にうずくまって寝ていなければならない。そしてまた同時に、いま冬ですから、暖をとるにしても、ストーブもなければ炭もない。結局、自分の家の――家だってこういうふうに傾いたような家ですよ。それの板をはずして、その板でもって火をおこして暖をとると、火災の危険もございます。そういう非常に象徴的な、代表的なものを映し出したんではないかと私は思うんですけれども、しかし全国的に見た場合――それは中国方面の一つの話題だったと思うのですが、北海道とか東北であるとか、もっとやはりそれに共通した、似通った条件のもとで生活をしておる老人というものは、まだかなりの数に私は達するのではないだろうか。しかも七十、八十になったのでは、もう動くことすら実際に不可能である。それで、いま申し上げたように、もう人里離れているようなところでありますから、事実上いまおっしゃったようなことは不可能だと思う。したがって、むしろそういう緊急を要する人だけでもいま救済の手を差し伸べて、何とか老人ホームなりあるいは病院に収容する方法はないかと、重ねて私はそのことをお尋ねしたい。
#197
○国務大臣(内田常雄君) 私はあると思います。あると思いますということは、私どもは厚生省でございますので、そういう老人対策などの元締めといたしまして、地方公共団体や、また地域の方々が老人のめんどうを見やすいような、そういう基盤をつくってやることが私どもの任務でありますので、私どもは、ますます老人対策の重要性を、いまお話を承るにつきましても感ずるものでございますが、第一線の市町村の福祉事務所等とも十分連絡をとりまして、そういう見るに見かねるような方につきましては、おっしゃるとおり、全く緊急の措置を講ずるように、地方の第一線の当局と打ち合わせたり、協力したり、指導をいたしたい、そのようにいたしたいと思います。
#198
○渋谷邦彦君 いま大臣は、何もかもと言っても、それはオールマイティじゃないわけですから、知らない面もございましょう。けれども、いま私が申し上げたようなことについては、どうでしょうか、社会局長、実際に事務的に掌握なさっておられるでしょうか、そういう実態等について。
#199
○政府委員(加藤威二君) そういう老人の実態調査につきましては、四十四年からある程度始めておりますけれども、これはあくまでも全数、全部シラミつぶしに調査するという調査では遺憾ながらございません。そういうことで、全部の老人の実態の調査ということがなかなかできないわけでございますが、しかし私どもといたしましては、やはり老人対策をやります以上は、正確に老人の実態を把握するということが何よりも重要でございますんで、四十五年の五月でございましたか、社会局長の通達を出しまして、全国の市町村において老人の実態をできるだけ調べて、そして台帳をつくれという指示をいたしておるわけでございます。いまのところまだその作業が必ずしも円滑に進んでいないと申しますか、まだ私どもの手元にそういうものが全部集まっておりませんから、そういうやはり全部の老人の実態調査というものをやはり市町村とか、福祉事務所あるいは地区の社協というようなものを使いまして、できるだけシラミつぶしに実態を把握する。そして、特に先生から御指摘のあったような、そういった老人についてできるだけすみやかに実態を把握していく。把握いたしますれば、これはいま大臣が申しましたように、必要な措置はとれると思うんです。そういうことで実態の把握に今後つとめてまいりたいというぐあいに考えております。
#200
○渋谷邦彦君 そう、確かにいま局長のおっしゃったとおりですね。実態の掌握が完ぺきに行なわれておりまするならば、適切なしかもきわめて手ぎわよく応急の措置が講じられることは論を待たないところだと思うんです。やはりたまたまそういうフィルムを通してそういう実態が浮き彫りにされたということは、やはりその調査自体が不完全であるという現実を物語っているんではないかということを深刻にわれわれとしても反省しなければならないと、こう思ったわけなんです。したがって、いま言われたとおり、今後どれくらいの期間をめどとして、とにかく福祉事務所等があるのですから、機能を十分に発揮されて、そうして積極的にこの問題に対する完全な調査というものが行なわれれば、もっともっと手ぎわよく早い時期に、いま私がずっと申し上げてきたような問題の救済というものに対する手が伸べられていくのではないだろうか、こう思います。その点大臣いかがでございましょうか。
#201
○国務大臣(内田常雄君) もちろん調査もまた実態把握もいたしたいと思いますが、いま御指摘になったような場合につきましては、これは福祉事務所もございますれば、あるいはまた民生委員もあることでもございましょうので、一種の緊急避難的に特別の措置を講じさせることは決して不可能ではないと思いますので、そのようなことに対応させるようなことも現実に私どもは指導したり、協力をさっそくするような手配をいたしてみたいと思います。
#202
○渋谷邦彦君 そうすると、いまさっそく御手配いただけるということでございますが、それは大臣通達なりあるいは次官通達というような形でももって、直ちにそういう緊急措置をとっていただく、このように理解してよろしゅうございましょうか。
#203
○国務大臣(内田常雄君) そのように通達を出したいと思います。
#204
○渋谷邦彦君 じゃ、けっこうです。
#205
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 国民年金法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#206
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#207
○小柳勇君 各派の御了承を得て附帯決議案を提案いたします。
   国民年金法等の一部を改正する   法律案に対
   する附帯決議案
  政府は、国民年金制度の重要性にかんがみ、
 次の各項について、その実現に努力 すべきであ
 る。
 一、各福祉年金の支給額を大幅に引  き上げると
  ともに、所得による支給制限をさ  らに緩和す
  ること。
 二、老令福祉年金の支給開始年令を  すべての老
  人について引き下げるとともに、  障害福祉年
  金の支給対象となる障害の範囲を  拡大するこ
  と。
 三、拠出制年金について、年金額の  引き上げ、
  スライド制の確立、支給要件の緩  和に関し、
  社会保障の精神に即した改善を行  なうこと。
 四、拠出制年金の積立金の運用につ  いては、被
  保険者の意向が十分反映できるよ  う配慮する
  とともに、被保険者の福祉のため  運用される
  部分を大巾に拡充すること。
 五、特別児童扶養手当については、  公的年金と
  併給するとともに、支給対象とな  る障害の範
  囲を拡大すること。
  右決議する。以上です。
#208
○委員長(林虎雄君) ただいま小柳勇君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 小柳君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#209
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
#210
○国務大臣(内田常雄君) ただいま御決議のございました事項につきましては、御趣旨を尊重いたしまして、十分努力をいたす所存でございます。
#211
○委員長(林虎雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#212
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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