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1970/03/25 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第9号
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1970/03/25 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第9号
昭和四十六年三月二十五日(木曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     森 八三一君     玉置 和郎君
     和田 鶴一君     山本  杉君
     高橋  衛君     横山 フク君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  虎雄君
    理 事
                上原 正吉君
                高田 浩運君
                小柳  勇君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本  杉君
                大橋 和孝君
                佐野 芳雄君
                村尾 重雄君
                喜屋武眞榮君
    発  議  者     渋谷 邦彦君
   国務大臣
    労 働 大 臣     野原 正勝君
   政府委員
       労働省労政局長  石黒 拓爾君
       労働省労働基準
       局長       岡部 實夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○最低賃金法案(小平芳平君外一名発議)
○勤労者財産形成促進法案(内閣送付、予備審
 査)
○労働問題に関する調査
 (春季賃上げ闘争に関する件)
 (聯合紙器株式会社の労働問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 最低賃金法案(参第二号)を議題といたします。
 発議者渋谷邦彦君から趣旨説明を聴取いたします。渋谷君。
#3
○渋谷邦彦君 ただいま議題となりました最低賃金法案につき、提案者を代表いたしまして、提案理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
 申すまでもなく、国家が強制力をもって賃金の最低限を規定する労働者保護の立法、すなわち最低賃金制は、近代国家に不可欠の制度であります。ゆえに、ILO二六号条約、最低賃金決定制度の設立に関する条約は、一九二八年のILO総会で採択されて以来、七十六カ国が批准を終了しております。
 わが国は、先進工業国として大きな躍進を遂げながら、いまだにこれが批准されておりませんが、これは政府の労働政策の重大な欠陥と言わざるを得ません。近代産業国家においては、いかなる労働者に対しても、労働者の最低生活を保障するとともに、企業間の不公正な競争を防止し、経済の健全な発展と産業平和、労働市場の近代化を達成することがきわめて重要であります。
 すなわち、企業にとっても、必要以上の低賃金低生産性は、決してプラスとはなりません。
 むしろ賃金水準を安定し向上していくことにより、良質の労働者を得、企業の機械化、近代化を促進することが必要なのであり、また、国民経済の面から見ても、賃金の上昇によって、労働者の生活は向上し、その結果国民の購買力は増大して、経済活動が活発となっていくのであります。それは、企業と労働者がともに繁栄する道にほかなりません。
 しかるに、わが国の最低賃金法は、昭和三十四年四月に成立しましたが、その内容はいわゆる業者間協定がその主体となっておりました。御承知の通りこれがILO二六号条約の労使平等の原則に反していたことはいうまでもありません。
 政府もようやくその非を認め、去る第五十入国会において改善を行なっておりますが、われわれは、その措置にすら、労使平等の原則を十分に尊重していない非民主的な要素を指摘せざるを得ません。すなわち、本来の労働者保護の精神を十分に確立したものとは認めがたいのであります。
 そこで公明党は、大衆福祉実現のために、すべての労働者に最低賃金を保障することといたしまました。
 次に、法案の内容について御説明いたします。
 まず、第一に、すべての労働者が、健康で文化的な生活を営むために、必要な最低賃金を全国一律最低賃金とし、十八歳の労働者に必要な生計費の全国平均によって算出することにいたしました。
 第二に、右の全国一律最低賃金の決定または改正は、中央最低賃金委員会がこれを行なうこととし、同委員会は、労使おのおの十人及び公益五人の委員をもって構成することといたしました。
 第三に、中央最低賃金委員会は、一定の地域内の十八歳の労働者に必要な生計費が、全国平均に比して著しく高い場合に、当該地域についての最低賃金を決定することができることとしました。
 第四に、以上のほか、労働協約に基づく一定の地域内の産業別最低賃金を認めることができることといたしました。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案につきましては、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(林虎雄君) 次に、勤労者財産形成促進法案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。野原労働大臣。
#6
○国務大臣(野原正勝君) ただいま議題となりました勤労者財産形成促進法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年におけるめざましい経済成長に伴って、わが国勤労者の賃金水準は年々大幅に上昇しつつある反面、貯蓄や住宅等の資産保有の面では、まだかなり貧弱であることは、争えない事実であります。したがいまして、今後においては、勤労者の資産の充実にもっとも各方面の努力と関心が向けられなければならないと考えるのであります。
 現に、勤労者の多くは、将来に備えて、営々として貯蓄につとめ、また、持ち家は取得等に非常な苦労を重ねております。このような勤労者の負担を緩和し、さらには資産の充実を促し、真に豊かな安定した勤労者生活を実現するためには、労働条件の改善、物価の安定等の基本的施策の充実強化をはかることが必要であることは言うまでもありませんが、勤労者がみずから進んで行なう蓄積への努力に対して、直接に政府が援助を行なう道を開くこともきわめて重要と考えます。また勤労者の自主的な努力によって行なわれた貯蓄について、その一部が立ちおくれの著しい住宅の建設に役立つような仕組みを設け、政府がこれを援助することも必要であると考えます。
 さらに、勤労者の住宅保有を進めるためには、現に多くの企業が従業員に対する持ち家援助を行なっている事実にかんがみ、その協力を得ることが、現実に即し、かつ、効果的なやり方であると思います。
 このような観点から、西ドイツ等の先例に学ぶとともに、わが国の実態に即した勤労者財産形成政策について研究を重ね、今回この法案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、勤労者が預貯金、有価証券、持ち家等の資産を保有することを促進することにより、勤労者の生活の安定をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としており、この目的の達成に資するため、国及び地方公共団体は、勤労者について、貯蓄の奨励及び持ち家の取得を促進するための施策を講ずるように配慮するとともに、労働大臣は、関係大臣とともに、勤労者の財産形成に関する施策の基本となるべき方針を定めるものとしております。
 第二に、勤労者が金融機関等と契約を締結し、三年以上の期間にわたって定期的に、賃金から控除する方法により、事業主を通じて、預貯金の預入、金銭の信託または有価証券の購入をし、その預け入れ等の日から少なくとも一年間は、払い出しまたは譲渡を行なわないこととするものを勤労者財産形成貯蓄として、勤労者がこれを行なったときは、租税特別措置法で定めるところにより、所得税の課税について特別の措置、すなわち、元本百万円までにつき、それから生ずる利子等を非課税とする措置を講ずることとしております。なお、この場合、その手続き等について事業主の協力を求めることとしております。
 第三に、勤労者の持ち家建設の推進をはかるため、雇用促進事業団は、事業主及び事業主で組織された法人並びに日本勤労者住宅協会に対し、勤労者分譲住宅の建設資金を貸し付ける業務を新たに行なうこととしております。この場合に、雇用促進事業団はその資金を調達するため、勤労者財産形成貯蓄契約を締結した金融機関等に対し、協力を求めることができることとしております。
 なお、事業主は、勤労者の持ち家の取得を効果的に推進するため、必要に応じ互いに協力するようにつとめるものとし、国及び地方公共団体は、この場合、事業主に対し、必要な助言、指導等の援助を与えることとしております。
 第四に、勤労者財産形成政策基本方針その他の勤労者の財産形成の促進に関する重要事項を調査審議するため、労働省に、勤労者財産形成審議会を置くこととしております。
 なお、この制度は公務員にも適用がありますので、その場合の特例、すなわち、預け入れに伴う控除の手続き、各種共済組合の役割り等についても規定しております。
 その他、この法律案においては、労働大臣が行なう調査等に関する所要の規定を設け、また、船員に関する特例を置くとともに、その附則において、関係法律について所要の整備をしております。
 以上申し述べましたとおり、この法律案は、勤労者がみずから進んで財産形成につとめる場合に、事業主の協力と、国及び地方公共団体の援助とによってこれを促進し、勤労者の生活基盤をより強固なものにしていこうとするものであります。
 以上この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(林虎雄君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 本案につきましては、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(林虎雄君) 次に、労働問題に関する調査を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○小柳勇君 一つは、いわゆる春闘ですが、各労働組合が会社側に賃金の引き上げなり、年度末手当の要求なりをして闘争をやっておりまするが、この例年展開されるいわゆる春闘の状況について概括的に御報告願います。
#10
○政府委員(石黒拓爾君) 春闘につきましては、ことしが第十六回目で、この方式が、日本の労働運動といたしましては、ほぼ定着したように感ぜられるわけでございますが、本年におきましては、過去五年間好況下に春闘が行なわれておりましたのに対しまして、久しぶりに景気調整下に春闘が行なわれるという点におきまして大きな特色があるように存じます。
 景気調整下ではございますが、消費者物価は依然としてかなり高い水準にある。それから労働力不足もさしたる緩和を見せておらない。しかも、一面におきまして、労働者は生活意識の上でかなり変化をしておりますし、要求の多様化ということも顕著である。さらに統一地方選挙、参議院選挙というような事態もちょうど春闘と前後して行なわれるというような点が今回の春闘の特殊な背景になっておるように考えられます。
 この春闘に臨む労使の態度でございますが、総評と中立労連は、例年の例によりまして、春闘共闘委員会をつくりまして、昨年の十月二十二日にこれが発足いたしました。この春闘共闘委員会が十一月二十四日に賃金白書を発表いたしました。それから同盟のほうも十一月二十六日に賃金白書を発表しました。それからIMF・JCが十一月二十五日に賃金白書を発表するというように、組合側の春闘に臨む基本的態度というのは、昨年の十一月末にいずれも表に出たわけでございます。この賃金白書はたいへん大部なものでございますけれども、昨年に比べまして、やはりことしは景気の鎮静化傾向にあるということをある程度意識しておりますが、この景気の傾向というのは、深刻な不況というようなものではなくて、一時的なかげり現象であるというような認識のもとに、春闘共闘委といたしましては一万五千円前後、同盟は二一%、IMF・JCは二〇%以上というような賃金要求の基本的な方向を明らかにいたしております。それに対しまして、経営者側は、本年に入りまして一月十九日に、四十六年春闘に対する基本的態度を決定いたしまして、賃金白書を発表いたしたわけでございますが、この日経連の景気に関する観測は、組合側と著しい対照をなしておりまして、今期春闘下の経済情勢は昨年に比べて一変しつつある。そして今回の景気低滞は構造的なものであって、今後日本経済は約一年にわたる景気後退の後、かなり速度のにぶった低速化した成長軌道に乗る、そこで春闘についても、安易な相場追随の賃金決定を廃し、いわゆる生産性基準原理によって経営者が結束してやるべきだというようなことを言っておりまして、労使の対立はかなりきびしいものがあるわけでございます。
 今後の春闘がどういうふうに進むかというととは、いまだ明確に予測することはできないわけでございますが、春闘共闘委員会は、三月の十四日に春闘勝利総決起大会を全国的に行ないまして、次に三月の二十六日に春闘の第一次統一行動を行なうということになっておりまして、その日は職場集会その他の行動のほかに一部ストライキが行なわれると思います。それから四月の六日から十日に民間単産のストライキの第一波を集中する。次いで四月十五日から二十日の時点において交運、公労協を含めた全産業規模でストライキを集中し、さらに四月二十日以降最大限のストライキを反復して、高原闘争の状態をつくり出すという大まかなスケジュールを定めております。これに基づいて、これを基準といたしまして傘下の各組合が春闘の具体的な行動に移るというのが現在の状況でございます。
#11
○小柳勇君 もう一点は企業倒産、たとえば公害倒産とかあるいは不景気のかげりによる中小企業の企業倒産などによる労働者のストライキ、あるいはその他の要求などが発生しているのは、昨年に比べてどうでしょう、ことしは。
#12
○政府委員(石黒拓爾君) 公害倒産あるいはそのほかの倒産状況につきましては、新聞でしばしば発表されておりますように、昨年に比べて相当ふえております。特に公害を出す企業におきまして倒産あるいは整理というような現象は、これは昨年まではほとんど見られなかったところでございまして、ことしの新しい現象でございます。しかしながら、それによって何人ぐらい整理されたかというような点につきましては、包括的な調査は私どものほうは遺憾ながらいまのところいたしておりません。
#13
○小柳勇君 ことし特徴的な現象としてそういうものを聞きますので、早い機会にひとつ調査をしていただきたいのと、もしそういう資料がありましたらひとつ資料として御提出願いたいと思います。
 次に、最後の問題ですが、この前問題になりました聯合紙器の労使の紛争がまだ妥結しないで、中央労働委員会にいま提訴されているようでありますが、その紛争の状況について経過を御報告願いたいと思います。
#14
○政府委員(石黒拓爾君) 最初に御指摘のございました資料につきましては、全国的な統計資料は非常に困難かと思いますが、できるだけ集めまして御報告いたしたいと思います。
 それから聯合紙器につきましては、去る二月におきましても、当委員会で小柳先生からも御質問がございまして、大体その時点までの経過は、昭和四十二年以来新労旧労二つの組合ができて非常にごたごたしたことは御承知のとおりでございますので、御報告を省略させていただきたいと存じます。
 最近の状況におきましては、昨年の夏ごろはやや小康を保っておりまして聯合紙器の紛争が、昨年の暮れに至りまして小倉工場におきまして新旧両組合の対立というのが尖鋭化いたしまして、その間に紛争が繰り返されて、暴行事件すら起こったという状態に相なりましたので、会社側は、このような状態を鎮静化させるためにという理由で、四十六年、本年の一月二十日から小倉工場を臨時休業いたしました。この臨時休業ということが鎮静化という点でやむを得なかったかもしれませんが、労使関係にまた一つの問題を投げかけたわけでございます。
 で、労働省といたしましても、このような非常に長期にわたる深刻な争議というのは非常に望ましくございませんので、特に関係府県の労政課を通じまして、労使双方に接触いたしまして、事態の改善方の促進の助言、援助等をなしてきたわけでございます。二月の十二日から労使の空気がその後若干変わってまいりまして、二月の十二日から小倉において工場再開のための団交が会社の首脳と新旧両組合の本部及び支部の三役という人たちとの間において行なわれるに至りまして、まあ私どもといたしましては、この工場再開団交というものに非常に強い期待を持っておったのでございますが、幸いにいたしまして、二月の二十七日に至って、この会社、旧労、新労三者間で工場再開の交渉が妥結いたしまして、覚え書きが締結せられました。覚え書きは前文を省略いたしまして、中身を申しますと、
  会社は昭和四十六年三月一日より小倉工場の
 操業を再開することを決定し、会社・レンゴー
 労働組合・聯合紙器労働組合の三者は、ここに
 本覚書を締結する。
      記
 一、会社・レンゴー労働組合・聯合紙器労働組
  合の三者は互に協力して職場の平和と秩序維
  持のため努力する。
 一、両労働組合は互に相手の立場を理解するよ
  う努力する。
 一、会社は両労働組合の要望に応え、職場の平
  和と秩序維持のため適切な措置をとる。
                  以上
   昭和四十六年二月二十七日
         聯合紙器株式会社
         聯合紙器(株)小倉工場
         レンゴー労働組合
         レンゴー労働組合小倉支部
         聯合紙器労働組合
         聯合紙器労働組合小倉支部
 これだけの当事者が連署をした覚え書きができまして、さらにこの覚え書きに基づきまして、聯合紙器労働組合及びレンゴー労働組合、つまり新旧両労組との間に確認書が締結をせられまして、いろいろこまごましたことにつきましての処理を定めておるわけでございます。この覚え書きの締結によりまして、小倉工場の再開が決定いたしまして、三月一日から小倉工場は操業を再開いたし、現在平穏に操業が行なわれておるという報告を受けております。
 小倉問題は一応これで片づいたわけでございますが、基本的に聯合紙器の全国にまたがるこの問題につきましては、御承知のように、非常にたくさんの仮処分あるいは不当労働行為の申し立てが行なわれて、非常に複雑、深刻なる事態になっております。中労委におきましても、この不当労働行為申し立て事件の再審案件がかなりの数上がってきておりまして、中労委といたしましては、この再審を機会といたしまして、基本的にこの問題を片づけたいということで、かねてから労使双方に、和解によってこの問題を話し合いで片づけることが望ましいのではないかという呼びかけを行なっておりまして、三月三日に、中労委において、労使双方から和解に応ずる旨の意思表示がなされました。三月十二日には、旧労から、和解に応ずるための条件といたしまして、処分問題とか配転問題、あるいは組合事務所等の問題というようなものにつきまして詳細なる文書が提出せられました。現在、会社は、三月中にそれに対する回答をするということになっております。
 で、この中労委の和解という手段を利用いたしまして、聯合紙器全般の長期にわたる争議が何とか円満に解決するということを、私どもとしては切望いたしておるというのが現在の状況でございます。
#15
○小柳勇君 わかりました。三十日に中労委の和解の会合があるようでありますが、変化がありましたら、そのつどお知らせを願いたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。
#16
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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