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1970/05/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第15号
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1970/05/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第15号
昭和四十六年五月十九日(水曜日)
   午後一時四十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     吉田忠三郎君     占部 秀男君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     堀本 宜実君     山下 春江君
     金丸 冨夫君     山本  杉君
     村尾 重雄君     高山 恒雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  虎雄君
    理 事
                上原 正吉君
                高田 浩運君
                小柳  勇君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                黒木 利克君
                塩見 俊二君
                平島 敏夫君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                山本敬三郎君
                山本  杉君
                大橋 和孝君
                藤原 道子君
                高山 恒雄君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       厚生大臣官房長  高木  玄君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       社会保険庁医療
       保険部長     穴山 徳夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       相原 三郎君
       自治省財政局財
       政課長      森岡  敞君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○児童手当法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 吉田忠三郎君、堀本宜実君、金丸冨夫君が委員を辞任され、その補欠として占部秀男君、山下春江君、山本杉君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(林虎雄君) 児童手当法案を議題とし、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○大橋和孝君 それでは、できるだけ簡単に質問さしていただきたいと思います。
 まず第一番目には、児童福祉の基本方針について実は伺いたいわけであります。前の質問のときにも環境の問題、児童の福祉の問題についていろいろお尋ねをしたわけでありますが、根本的に児童が守られているのかという観点から、私は、いろいろなことに疑義を感じておるわけでありますが、第一番目に、児童福祉の基本的な方針を大臣にちょっと伺っておきたいと思います。同時にまた、児童憲章とか児童権利宣言の精神に基づいて、一体具体的な施策はどういうふうに行なわれておるか、こういうふうなこと等についてひとつ御見解をお伺いしておきたい。
#5
○国務大臣(内田常雄君) 私どもは、児童というものはやはり将来の社会をになってまいる、そういう年齢階層の諸君でありますので、これらの若い次代層に対しましては、児童憲章あるいは児童福祉法の冒頭に書いてございますように、それらの子供が心身ともにすこやかにまず生まれて、そして育てられる、そういうような状況を整備をしていくことが子供に対する私どもの行政目標であり、政策目標であり、また同時に義務でもある、かように考えておりますことを基本理念といたしております。
 そういたしまして、具体的にはいろいろの面があるわけでございまして、まず乳幼児としてすこやかに生まれ育つという意味からいたしますと、母子保健対策から始め、また乳幼児対策をもこれに引き続き考慮をいたし、また不幸にして心身障害等がこの間に生じた者につきましては、それの療育保護というようなことを考え、また、そのような心身障害児をかかえるような家庭に対しては特別の年金を考慮するというようなことをも具体的にはやってまいってきているわけでありますが、今後、それらの基本的な理念に沿いながら、足らざるところをさらに重点的に取り上げて、片方におきましては老人対策を充実するとともに、他方においては、これらの将来層が厚くなる老齢者をになっていくべき立場を持っておる児童に対する国の施策というものを充実する、こういう両面の努力を続けるべきであると考え、努力をいたしたいと思っております。
#6
○大橋和孝君 今度の児童手当法案を見てみましても、私は、ただ少し手当のお金をつけるというだけではなくて、いま大臣がおっしゃったように、いかに完全に守るかということを考えてみると、まだまだその具体的施策というものに非常に乏しいのではないかと思うわけであります。というのは、結局、公害の問題あるいは交通禍の問題、その遺児あるいはまた出かせぎに行っているあとの子供さん、かぎっ子、あげてみれば一ぱいいろいろなものがあるわけであります。こういう問題に対して、もう少し児童手当で保障してやることもさることながら、私は、もっといろいろな児童を取り巻く環境の整備をもっともっとし、あるいはまたいろいろなそういう条件に対して具体的な施策をもっとしない限り、ほんとうにこの児童福祉のたてまえからいって十分ではないんじゃないかというふうに考えられるわけであります。そして、もう一歩進めまして、児童の健全育成という見地からいって、現状はどんなぐあいにこれが行なわれておるのか、あるいはまた今後の具体的施策としては健全育成のためにどうやっていかれるのか、こういうような問題も少し私は聞かしてもらいたいと思うわけです。
 さらにまた、今度この児童手当法が提案されておりますけれども、この問題に対して、いわゆる四十九年度完全実施というふうなことが言われておりまして、三カ年計画でいろいろ話が具体的に進められておるわけでありますが、この将来の見通しについてもこの状態をひとつお話し願いたい。
 全体の問題として、もう一つは、私は、この前も質問の中でお尋ねしたわけでありますが、児童手当法が非常におくれておる。あれは四十一年ぐらいでしたか、そのころじゃなかったかと思うのですが、そのころからやるということがむしろ国民の前に公約されておったのじゃないかと思うわけですが、非常におくれておるのですが、そういう点について、今度この法律の具体的な問題に入る前にもう少し国民の前に明らかにしておいてもらわないといけないんじゃないかと、こういうような点もまだまだこの間の答弁の中でははっきり感じられなかったので、もう一つここでお伺いしたい。これは全体的な質問でございます。
#7
○国務大臣(内田常雄君) 児童は十八歳までを児童と申すわけでありますが、それらの児童に対する国の施策というものは、もうあらゆる面において講ずべき点が私はあると考えます。いま大橋さんが仰せられましたように、たとえば保育所の充実でありますとか、あるいは児童館とか児童公園とか、さらにまた児童プールとか、そういう施策につきましても、これまで御承知のとおりやってきておるわけでありますが、しかし保育所のごときは、これから社会経済構造を考えてまいります場合に、両親の共かせぎというような場合、また居住の形態というものから考えますと、相当私はこれは積極的に充足をしていくべき事柄であると考えまして、そういう面にも力をぜひ入れてまいりたいと思います。
 また、私が先ほど述べましたような点すべてにわたって施策を進めてまいりたいと思いますが、ただ、あの児童手当の制度というものが、児童福祉対策の中では形の上でもこれだけはわが国においては全く手が触れられておらなかったということでございますので、これを他の児童福祉対策が十分であるから今度はいよいよ児童手当の番だ、こういうわけではございませんけれども、やはり児童福祉の施策を幅広く整備をするためには、もうこれ以上は児童手当の制度も、たとえ厚い施策として直ちに実施することができなくても、とにかく制度としては出発させる時期であると、このように考えまして、国会における多年の御要望、また各党の多年の公約をいたしてまいりましたような状況にもかんがみまして、ぜひ私の厚生大臣在職中に実現をしたいという情熱をもって閣内においても微力を尽してまいりました。先般も申し述べましたように、総理大臣の英断と大蔵大臣の理解のもとにやっと四十六年度から出発をすると、こういうことになったわけでございまして、その点の私どもの努力は御理解をいただきたいと思います。
 ただ、本年度から始めることになりましたけれども、この児童の数は何しろ毎年百八十万人からの出産がございまして、十五歳にいたしましても、十八歳にいたしましても、それらの児童の累積の頭数というものは相当な人数になりますので、最初の年から理想的な姿で発足させるということは、正直に申しまして財政的にもなかなか困難でありますので、今度のような段階的な実施ということで法律制度として出発さしていただきたいと、こう考えるのでございます。
 将来の目標といたしましては、これは単に機械的に第三子を二子に上げるというような考え方、あるいはまた金額三千円を何千円に上げるというような考え方を立てますよりも、この制度の実施の状況にかんがみ、また児童手当制度に対する国民の意識の発展というものに即応いたしまして、私はこれはさらに充実をさせてまいりますと同時に、これだけで済むものじゃありませんから、たびたび申しますように、他の面の児童福祉施策としての、まあ、いわば現物的な施策というものもともに充実をやるべきだと、またそうする覚悟である、このように思います。
#8
○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 村尾重雄君が委員を辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。
#9
○大橋和孝君 この児童手当法が非常におくれたのも、何かいま大臣の御答弁を聞いていると、やはり総理の英断あるいはまた大蔵大臣の非常に前向きの姿勢のためにできたというわけですが、やはりそれはまた裏返しに考えてみると、いままで国民が非常に待望しておったのがこれほどおくれたということは、やはりこの大蔵省あたりからの、厚生省ではかなり前向きであったのがチェックをされておったというふうな面も考えられるわけですが、そういうことはないのですか。もう少し私は大蔵省は、こういうような問題、いまの日本の経済が非常に発展をしておるわけでありますから、こういう時期にこそ少し予算をそのほうに回して、むしろ大蔵省が厚生大臣のしりをたたいて、もっともっとしっかり社会保障のためにつぎ込めというふうな形で前向きに叱咤激励してもらったら社会保障というものはもっと進んでいくのじゃないか。この児童手当法を見ましても、いま話しておられるように、三年計画で、そして年齢も、四十八年ですか、十歳になり、あるいはもっとそれをこれから上げて学童適齢期まで上げていくというふうな形でありますが、やはり十八歳未満になるという点から見ましても、私は非常にまだまだの点があると思うのですね。こういう点については、少しそういう間の事情も明確にしてもらわぬと、やはりずるずると延びてきていることがそのままになってはいけないと思う。また、この三年の計画で進められる中を見ましても、これは十八歳未満ということに言われておるが、たとえば大学へ行っておるような人が二人おって、そして十八歳未満が――これは完全実施されてからの話ですが、一人のような場合だったら、これは三子の中だったら入らないような形になっていますね。そうすると、子供三人おって大学に行くようなころになれば、親にしてみたら非常にお金のかかる、最高にお金のかかる時期、こういう時期で、まだ一番末子がその年齢の中に入っておっても、第三子として入っておっても、この法律の中では児童手当はいただけないという形、これらのところに非常に私は矛盾を感ずるわけです。ですから、そういう子供を養う親の側から考えれば、非常に出費のかさむ時期にこの児童手当が全然もらえないというようなことでは、非常に私は片手落ちのような感じもするわけです。こういう点からいえば、やはりもっと大蔵省のほうでも御理解をいただきたいし、同時にまた厚生省のほうも、そういう点を含めて、いまの日本のこの経済の実情から考えて、いまこそこういうものに対してはもっと、私が先ほどから申しているように、児童の福祉の立場から、児童を完全に守るという立場から、もう少しこれが積極的にならないものか、このようなことを感ずるわけですが、その点いかがですか。
#10
○国務大臣(内田常雄君) 児童福祉施策の充実に対する私どもの考え方に対する御激励につきましては、これは全く大橋さんのお考えと私ども思いを一にするものでございまして、私は大蔵大臣を兼任はいたしておりませんけれども、社会福祉ということについては、私は、厚生蔵従であるべきだ、厚生省がまず主体であり唱道者であって、大蔵省は財政の立場からそれについてきてもらえばいいものであって、私は、大蔵大臣の考え方をもって社会福祉施策を指導しようと、また指導されようとも考えておりません。しかし、児童手当がおくれましたのは、私は私なりに考えますと、これは国会あるいは各党からも強い御要望がありましたけれども、国民的の合意が成熟するまでに、これまでの段階では、必ずしも至っておったとも言えない面がございます。諸外国ではすでに多くの国がこの制度を実施いたしておりますけれども、この制度に対する反省の動きも諸外国にないではございませんし、またわが国における児童福祉施策につきまして、やはり児童福祉施策の姿を整えておくという意味において、今日の段階では児童手当を早くやるべきだと私は考えていたしましたが、しかしまた他の一部の人々は、それもいいが、実質的に他の具体的な今日までの不十分な対策をさらに充実させるべきであるとか、あるいは老人対策を優先させるべきであるとかいうような考え方もなきにしもあらずで、これを実施させるまでの国民のコンセンサスが必ずしも私は成熟していなかったように思います。しかし、私は私なりの考え方で、ぜひこの際国会の御要望や各党の公約を実現させたい。場合によっては、予算は一銭もつかなくてもやむを得ない、法律、制度だけでもひとつ発足させよということを、総理にも官房長官にも私は迫ったわけでありますが、つまり法律を整えて、その実施は政令をもって定めるとか、あるいは予算の定めるところによって実施するとかいうようなことでもいいから、この際、いままでの口約束、口頭の、オーラルの公約を法律、制度の上に移すべきだということを熱心に閣内におっても主張し、ある場合には閣議のあとにも残りまして御相談も願ったようなわけでありますが、大蔵大臣も、どうせやるなら予算も少しでもつけようと、こういうことになりまして、法律、制度だけでなしに、三年間の段階実施ということではありますが、予算がついたわけでありまして、この件に関する限りは、大蔵省が予算をけちって妨害しておったというわけではないと、私は――もっとも私も昨年厚生大臣に就任いたしまして、それまでの大蔵省の態度というものはそんなにはよくわかりませんが、私がこの一年間、この実施のために大蔵省と折衝しました段階におきましては、大蔵大臣もたいへん話がわかってくれたと、その結果がここにようやく法律並びに――わずかではありますが、予算もついて出発ができたと、このように考えております。
 それから、さらにお尋ねの、上の子供が高等学校を卒業して大学生になるようなことになりますと、子供は三人以上ございましても、下の三番目以降の子供につきまして児童手当の対象にならないという今回の法律上の仕組みでございますが、これは今日児童と言われておりますのは、御承知のとおり、十八歳未満あるいは十五歳未満というようなものを児童と言っている状況からいたしますと、やはり児童が三人以上という場合には、もう上の子が大学生になっておるような場合には、その三人の範囲には計算しないのが条理に合うのではないか。ただし、これは児童手当審議会におきましては、すべて十五歳以下と申しますか、義務教育学校修了前の子供が三人以上の場合に三子以下の子供に支給すると、こういう児童手当審議会の御意見でございましたのを、私どもは、児童という場合には、十八歳まで上の子供は引き上げておくほうが支給の対象が、いま大橋さんが言われた線に沿って広げられる考え方であると思いまして、審議会の意を生かして、十八歳以下の子供が三人以上ということに広げたようなこともございまして、やや前向きの点はお認めいただければありがたいと思います。
#11
○大橋和孝君 あとからちょっとそれを質問したいと思うのですが、外国なんかの例を見ますと、そういうことをやっているわけです。日本よりも経済の規模からいえば小さい国でやっているのに、いま大臣の話を聞いていると、えらいりっぱなように聞こえますけれども、私は、いまの日本の規模で、ほんとうに前向きに考えられるならば、今度の児童手当法に――これはむしろ財政当局のほうがある程度ほかの財政と見比べて非常にいけないからということでこうなったかと思ったが、大臣自身がそんなものだということで考えておられるのならば、いまの大臣のお話にもあったように、厚生省が主体となって、そして社会保障の観点から児童の福祉、児童を完全に守ると、こういう点から児童手当というものを考えていこうということからして、私は、もう非常に幼稚だと思うのです。もっと積極的に考えてもらわなかったら、厚生大臣としてほんとうにいままでは信頼しておったけれども、何と情けないことをおっしゃるなという気持ちにならざるを得ない、こういうことを言わなければならぬと思うのです。特にいま財政当局にも来てもらっておりますが、いま大臣のほうではそういうことになっておりましたけれども、いまの経済の中から考えて、ほんとうにもっと少し財政当局としては金が出ぬのか、私は、出さないのではないかと先ほどからちょっと言い過ぎたようなことばで申し上げましたけれども、ほかのバランスを考えて、いまこそ社会保障的なものに金を出す時期ではないかと思うのですが、そういうことに対してはどういうふうに財政当局として考えておられるか。特に厚生関係を担当しておられる主計官としては、もっと厚生省関係のこの社会保障というものにひとつ力を入れてもらわなければならぬ、こういうふうに思うのですが、それに対しての見解、将来どういうふうに考えていかれるか、将来の展望、こういうものを含めて見解をお聞きしたい。
#12
○説明員(相原三郎君) 御答弁いたします前に、いま先生ちょっとおっしゃいました財政規模が日本よりも小さい、あるいは国民経済の規模が日本より小さい国がもっとやっているのではないかというお話がございましたけれども、残念ながらわが国はフローは非常に大きくなっておる、しかしストックは大きくないというのが実態でございます。これは私が社会保障予算に携わらしていただきましてから痛感しておるのでございますけれども、確かにフローは大きい、しかし、いかんせんストックが小さい、蓄積が小さいわけでございます。そのためいろいろ社会福祉施設の運営とか、そういう面におきましても、国が非常に出ていかざるを得ない。ここに問題があるのではないかと思っておりますので、あながち国民経済の規模だけではこの問題は律しきれないのではないかと考えておりますので、まず冒頭にお話ししたわけでございますが、この児童手当の問題につきましては、確かにいろいろ議論もしました。私たちも相当議論したわけでございますが、その一つの理由は、こういう制度をつくる以上は、とことんまで議論すべきであるという基本的な姿勢のほかに、先ほど大臣からちょっとおっしゃいましたが、イギリスとか、ドイツとか、カナダとか、そういう国におきましては非常に反省期に来ている、むしろ多少行き詰まりを感じている、ことにイギリスの場合には、いままでの社会保障の底流についての考え方が若干変わりつつある。すべての人に平等な給付という考え方よりも、ニードのあるところにつけようじゃないかというぐあいに変わりつつあるというぐあいにも聞きましたし、なかなかそういう全額国庫負担になっておる国におきましては、児童手当が硬直的になってきて非常に問題がある、そこで、もし、やるとしても一体どういう形がいいんだろうか、保険方式でやるべきかあるいは国庫負担方式でやるべきか、その辺をもっと議論すべきじゃないかということを考えたわけでございます。ただ、現在までに至りました一番大きな理由は、何もわれわれが反対したということじゃなくて、政府としましては、児童手当審議会の答申を待ってという大方針がございまして、その児童手当審議会の中間答申が昨秋出た、それを受けて実施したということでございますから、決して大蔵省が頑迷固陋に反対したわけじゃ毛頭ございません。
 そこで、今後の展望でございますが、この制度で企業主負担が相当あります。したがって、今後の社会経済の発展あるいは国民経済の上昇、生活水準の上昇、そういうものにからみまして、当然この制度も変貌していくであろうと思います。現に法律の中にもそういうことが書いてございますから、したがいまして、全体のバランスを考えながら、やはり生まれた制度である以上はりっぱなものにしていきたいということを考えております。
#13
○大橋和孝君 ここらの話をもう少し詰めたいんですが、もう時間がきたようですが、特にその一点こだわるのは、その蓄積がないと言われるんですけれども、一体その蓄積がどれくらいになったらそれに踏み切れるのか。そんなところなんか、それはことばでは非常にうまいことばですけれども、私どもには、それはそのままどうも受け取りにくいと思うわけですね。ですから、そういう点からいって、――ほんとうに素朴な国民の感情ですよ、私がいま申し上げているのは。こまかしい財政上のいろいろ問題からやれば、私、まだいろいろありますから、そこではいろいろ問題があるかもしれませんけれども、しかし、いまのような状態であって、いまのときにやらずに、じゃ、いつごろに蓄積が出てきてそれができるのか。そんなことを考えますと、やはり国民全体の素朴な感情から言えば、もうこの辺でやってほしい、できるんじゃないかと、こういうふうに思うのです。
 それからまた次に、英国なんかでは、少し社会保障が行き過ぎて、円熟しかかっているから、むしろそういうものを変えていると、それはもういまの日本の人が言う状態ではないわけですよ。もっと高いレベルのところに行っておって、そこで考えられることであって、それがもしそういうふうなことで傾斜をされるにしても、それはもうずっと上のほうの程度でやられることで、いまの日本の程度からいって、そんなことをいまごろ云云するよりは、もっともっとこちらを上げてからの話なんです。ですから、そういうふうなことからいうと、いま立てられているところの理論というものは、非常にまやかしの理論だと、私はそういうふうに断ぜざるを得ないと思うんですよ。私は、日本の社会保障がもう少し高水準になって、そこで考えるならば多少そういうふうなことも考えられるということはよく理解ができますけれども、いまごろの状態でそれを云々するのにはあまりにも隔たりがあり過ぎる、私は、そういうふうに考えますよ。ですから、そういう点でひとつ十分に財政当局のほうも、厚生省のほうもしっかり考え直してもらって、この社会保障すべての問題に対して、もう少し前向きの姿勢で取り組んでもらわない限り、国民の側からの素朴な感情から言えば、実に社会保障はプーアであるということを感じて嘆くんではなかろうか、こういうふうに考えます。
 それで、今度の児童手当の制度を見てみますと、形式的には、一応これも質問でちょっと私申し上げましたけれども、単一の制度であるということはまあいいと思うんでありますが、その内容は、やっぱり従来の社会保障制度の欠陥をそのまま露呈しておると、こう言わなきゃならぬと思うんでありますが、社会保障制度としての所得の再分配の機能を果たすならば、当然財源のプール制をすべきじゃないかと、こういうふうに思っているわけですが、この問題についてはどう考えておられるか、もう一度きちっとお話を願いたいと思うんであります。
#14
○国務大臣(内田常雄君) 私は、一つ残念なことがございまして、ぜひひとつ述べさせていただきたいのでありますが、財政法という法律がありまして、予算は前年の八月末日までに概算要求を大蔵省に出さなければならないことになっておることは、御承知のとおりでございます。児童手当につきましては、昭和四十六年度の概算要求までに概算要求ができる状態になっておりませんでした。児童手当審議会の答申も出てこない、甲論乙駁があった。しかし、私は、さっきも申しますように、自分が厚生大臣の手柄をあせるわけではございませんが、これだけ毎年政府も、来年から実施する、来年から実施すると国会でも申し述べてまいってきた課題であるようでございますし、私は厚生大臣として、これ以上これを遷延するに忍びないと思いまして、私は閣議で発言をいたしまして、これは八月十五日には間に合わないけれども、厚生大臣はこれについては別途予算の編成期までに何ごとか持ち出すことを留保すると、こういう発言を一方的に実はいたしました。場合によっては、先ほども述べましたように、法律だけでもひとつ通させるようにしたいと思いまして、努力をいたしました結果が、その八月十五日をはるかにおくれまして、十二月に入りましてから出ました。ほうっておきますと、また四十六年度も、来年実施ということで国会に申しわけをしなければならないような状態であったかもしれませんけれども、私は最大限の努力を尽くして制度としても実現し、予算も段階予算ではございますけれども、出発さしたということはぜひ認めていただきたい。これをもって終わるものではございませんで、これの将来は一ことばは悪うございましたが、小さく生んで大きく育てるのだというふうなことを言ってまいりましたのは、その意味もございまして、必ずひとつ私はりっぱな制度として仕上げるつもりでございます。そのことは御理解をいただきたいと思います。
 それから財源のことにつきましては、これもぜひ御理解をいただきたいわけでありますが、財源をどうするかという問題が大きな議論でございます。とどのつまり、でき上がりまして、企業の被用者に属する児童手当につきましては企業が十分の七負担する、こういうことになり、残りは国と地方公共団体が負担をすることになりましたが、自営業者に属する児童手当につきましては、一切自営業者の負担はないことになりました。しかし、これは児童手当審議会におきましては、やはり自営業者に属する児童手当についても、一定以上の所得がある人からは拠出を求めるべきであるという答申でございました。そうなりますと、つまり一種の児童手当特別税みたいなものを企業にも、また個人所得者にも課することになるかっこうになるわけでありますが、これについては企業だけに――また事実、企業もそう言っておりました、会社側も。税金という形で取られるのはやむを得ないけれども、単なる児童手当の負担というものをわれわれ企業に課することについては疑義があると、こういうことでいろいろな論議が児童手当審議会の中でも行なわれたわけでありますが、しからば税金の形にいたしますと、これは目的税のような形になるわけでありますので、しからば税金として取ろう、そのつもりで企業も出してほしい、こういっておきながら、一方におきましては、自営業者は特に大衆でありますので、農業者もあれば中小企業者もありますので、その特別税は免除する、やめる、こういうことにいたしたわけでありますので、残ったのは企業の負担だけが残ったわけでありまして、これも私は前向きの善政のような形で、勘定は二つになったような形でありますけれども、一般の国民には特別の負担はかけないでこういうような財源区分ができ上がった、このように理解をしていただければ幸いでございます。
#15
○高山恒雄君 関連。厚生大臣にお聞きしたいのですが、私突然きょうかわってきたので、自分も勉強していないかもわかりませんが、事業主が七〇%出す、こういうことになっておるのです。きょうは労働省も呼んでいないようですが、大体労使の協定に基づくいわゆる児童手当、家族手当と申しますか、そういうものがかなり協約上まだ残っておるのじゃないかと思います。したがって、政府がこういう児童手当の七〇%を負担させるということになると、それを解消していく危険性があるんじゃないかという気がするのです。そういう点はお調べになったのか、あるいは調べていないのかお聞きしたいのです。
#16
○国務大臣(内田常雄君) 調べましたり、また児童手当審議会の席上でも論議の対象になった事項でございます。しかし、いま仰せられました各企業が現に支払っておりますところの扶養手当、また国家公務員などにつきましても扶養手当があるわけでございますが、これは雇用政策上の賃金の一種でもあり、また労使協約によってでき上がったものでもございまして、今度の児童手当とは全く趣旨を異にするものでございますので、これは無関係と、こういうことに理解をするということで審議会でも理解をされ、また今度の法律案につきましても、そのような理解のもとに今度の法律ができておるわけであります。したがって、今後児童手当というものは、児童手当制度ができたからということではなしに、いろいろの賃金政策上の観点から変更をみることがあるかもしれないし、ないかもしれないが、児童手当ができたからあっちをやめる、吸収するということでは全くない、こういうふうに理解を関係方面ともいたしておる次第でございます。
#17
○高山恒雄君 政府がそうお考えになっておっても、妻が幾らとか、第一子が何ぼ、第二子が何ぼ、あるいは第三子が何ぼと、こういうふうに大体賃金の体系がなっておるわけですね。したがって、こういう問題は労使の協定に基づく賃金体系です。ところが十八歳未満の児童に対して出すということになりますと、結果的にはそちらに振り向けられるんじゃないかという私は懸念をするわけです。政府はそういうかってな御判断でしょうけれども、拠出が事業主七〇%ということになれば、少なくともそこに寄せざるを得ないいまの日本の賃金体系になっておる。こういう点を考慮はしていないということだろうと思いますが、そう考えてもいいですか。
#18
○国務大臣(内田常雄君) いま私が申し述べたとおりでありまして、企業の負担金はいわば税金の変形であります。法人税を納めたりしておりますが、それが今度は児童手当という賃金ではない別の制度のための特別税でございますので、労使協約によるいまの家族扶養手当等とは全く関係がない、こういう了解は企業代表あるいはまた勤労者の代表等を委員とする児童手当審議会でも同じような議論がされ、私が申しましたような理解のもとに企業負担も承認をされております。そういうことでございますので、私がお答えしたとおりに御理解をいただければけっこうと思います。
#19
○大橋和孝君 それから、これも基本的なことに属しますが、所得保障と児童の健全育成という観点を中心にしてみますと、その考え方の目的に両方をあげているわけでありますが、厚生省の事務当局の説明によりますと、新しい社会保障と解しているというふうに説明をされているわけですが、児童手当は多目的であるのにもかかわらず、このような二つの目的だけに限定しているという点は、どうもどちらが主目的であるかという点では不明確になるわけですが、この目的をこのように決定された理由なんかをお聞きしても、まだまだどうも了解に苦しんでいるわけですが、何かその辺はどうなっておりますか。諸外国なんかの様子を見てみますと、やはりこの所得制限の問題なんかにつきましても、われわれの考え方とはちょっと相入れないものがあるのですが、この点はどうですか。
#20
○国務大臣(内田常雄君) 児童手当の目的とするところは、ただいま大橋さんが言われましたように、それぞれの国によりましていろいろと取り上げておるようであります。私どもも、それらを勉強し、整理をいたしました結果、どうも新しいいまの時代の児童手当の目的としては適当と考えられない目的なども諸外国にはございますので、そういうものは考慮に入れないことにいたしました。たとえば人口政策、人口増加政策、あるいは多子出生奨励金的な意味というものは全く持たせないことにいたしまして、きょうの会合の冒頭におきましても、大橋さんから御質疑がございましたように、児童福祉をいろいろな手段をもって充実する、その手段の一つである福祉施策であるという見地からまずとらえまして、それはすなわち児童の資質の向上あるいは健全育成というようなことを一方にとらえつつ、そういうことのためには結局子供は家庭で養育をいたしておりますから、家庭の生活費の負担も生ずる問題でございますので、一の目的を達するための家庭における一つの援護――というと、ことばは悪うございますが、一つの所得保障、ですから所得保障の意味と、それから固有の児童福祉と、この両方を目的にするのがよかろうということで、いろいろ論議を重ねました結果こういうことに相なりました。この二つの目的のうち、いずれが主、いずれが従ということではございませんで、英語で申しますとアズ・ウエル・アズとこういうわけで、ひっくり返すように表現すると思いますが、両方とも重なり合った表現というふうに御理解をいただきたいと思います。
#21
○大橋和孝君 ちょっとことばをうまく話されて、非常にうまく表現されておりますが、この問題は、もう少し私はあとからお伺いしたいと思います。
 それでは、今度は対象のほうについてでありますが、この児童手当は段階的に支給対象を拡大していくと先ほど御説明がありましたが、完全実施しても、十八歳未満児童は約三千万人おるわけですが、この中でわずかに二百五十万人ぐらいで、言うならば十人に一人くらいしか当たらないという割合になるわけでございます。この児童手当制度を実施しているのは世界で六十二カ国あるわけでありますが、第一子以降が五十カ国で大半を占めておるわけです。それで第二子以降が九カ国、第三子以降というのはわずかに南アフリカ連邦、北ベトナムの二カ国である。これは前にも御報告を受けたわけでありますが、わが国の家族構成なんかを見てみますと、やはり平均子供が二人ぐらい、こうなりますとどうも児童手当は一子以降から実施してはじめてその目的を達成されるのであって、英国の場合には妻と第一子は賃金の中で見るというようなこともありますけれども、児童手当のこの支給は第二子となっておるのでありますが、そういうふうにして賃金の中で見られる場合は別として、わが国のほうで第三子以降としたやはりその根拠があまりにも少ないというか、ことに家族の構成からいって、ちょっと納得のいかないような点があるわけでありますが、いま申された小さく生んで大きく育てるという形で、今後第二子あるいはまた第一子のほうにも拡大されるということをそういうことばであらわしておられるだろうと私は考えるのでありますが、そう考えていいのか。もしそうするならば、どういうふうな段階でこれを第一子まで広げていかれるのか、この点もひとつお話を聞いておきたいと思います。
 また、本法案では、十八歳未満を対象としておきながら、実際義務教育修了前の児童というので交付はとめられておるわけでありますが、十八歳未満を手当の支給対象としなかったのも、どうも一方では十八歳と言いながら、していないところに私は一つおかしく感ずる点があるのであります。この点についてひとつお伺いいたします。
#22
○国務大臣(内田常雄君) 外国における対象児童のあり方は、大橋さんお述べになったとおりでございます。ただ、お述べにならないうちに、ソ連のような大国が第四子からやっているという例もないではございません。第三子からやるということは、私は、決していばったことであるとは思いませんが、今度制度を始めるにつきまして、この目的に照らしますと、やはり家庭生活に対する子供養育の圧迫度というものは、やはり一子、二子の場合よりも、三子以上の場合が多いわけでございますので、三子以降としてとらえたわけでございます。これは将来、この制度に対する国民の意識あるいは政治の意識というものが、お互いがいま考えているような形でそのまま上昇をいたします場合には、これは二子に及ぶというようなことにも、そういう場合には法律の改正ということも踏み切っていいかと思います。ただ、社会福祉のあり方などにつきましても、これのみを優先して専念させるのがいいか、いつからやるのがいいかということは、いろいろの考え方もお互いの間にこれから出てまいろうと思います。少なくとも、いつからということになりますと、段階的実施が成熟いたします三年以降の状況を見まして、この問題はその時点においてさらに展望をいたしていく、こういうことに相なろうかと考えます。
#23
○大橋和孝君 できるだけ早くそういうふうな展望を持って、先ほどから申したように、いまの経済の余裕のあるときに早くやってもらいたいと思うわけですが、いまの考え方自身も少し先に延ばし過ぎているというふうに言いたいくらいでございます。
 同時に、児童手当の月額が三千円というのは、非常に低額だと思います。これも前申し上げたとおりですが、児童手当の額が低額であっては、その目的を達せられないことは御存じのとおりだと思いますが、昭和四十二年の厚生省の養育費実態調査の中で、第三子が六千円であるから、その半分をとって今度は児童手当の三千円を設定した、こういうふうな御説明を聞いたことがあると思いますが、こういうことを考えてみますと、実際支給されるのは四十七年からですね。そうすると、四十二年にやったことからいえば五年間のズレがあります。物価の問題とかいろいろなことからいえば、相当の上積みをしなければならぬような状態ではないかと思うのに、いまだに三千円に据え置かれることに非常に不満があるわけですが、この点についての見解もひとつ知らせていただきたい。ことにフランス、イギリス、オーストラリア、西ドイツ、カナダ、こういうところで調査された、何と申しますか、児童手当調査団の報告によりますと、西ドイツとかオーストラリアあたりでは、高等教育の普及をねらって、進学児童については大学に至るまで児童手当の支給対象となっておる。またイギリス、フランスでも進学児童については十八歳まで支給を延長し、またカナダなどでは、児童手当の支給対象ではなくなったところの十六歳以上十八歳未満の児童で就学する者については、これは青年手当か何かというようなものも出していたわけですね。こういうふうなことを考えてみますと、やはりもっともっと金額においても、あるいはまたスライド制なんかも導入して、こういうような問題をもっと積極的に考えなければならぬのじゃないか、こういう点があるわけですが、この点についてもひとつお考えを聞いておきたい。
 それから続けて御質問さしていただきます。現物給付の問題ですが、やはり児童手当の健全育成という目的の点から考えますと、すべての児童に対しまして、公平に給付が還元されるのが児童手当のねらいであると考えますが、この点では現物給付が最もいい方法ではないかと考えられます。たとえていうならば、母子保健法においての妊産婦あるいは乳幼児の栄養摂取や、保育園、幼稚園の入園料の無料化などが考えられるわけであります。またわが国の医療保険では、出産は疾病でないというので保険給付も行なわれていないのでありますが、この出産給付も児童手当の現物給付としては最もふさわしいものではないか、こういうふうなことも考えられるわけであります。この現物給付を採用しなかった理由というものをもう一つ聞いておきたい、こういうふうに思います。
 それから、諸外国では入っておるわけですが、給付の種類に妊婦手当あるいはまた出産手当、いわゆる母子の健康を考える点から申しまして、これが入っていないわけでありますが、その点はどういうふうになっておるのか。特に私はこうしたものまで入れるのがほんとうではないかと思われます。
 それから、五歳未満を対象とするのであれば、児童の健全育成という目的や、母子保健の見地から妊産婦にも適用したり、諸外国の事例にもあるように、やはり妊婦手当、出産手当も考えるべきじゃないかというふうに考えます。
 それからその次の点は、段階的に実施しようとするのであるならば、五歳未満よりも養育費の負担が大きい十五歳以上とか十八歳未満をまず支給対象とすべきじゃないかと私は考えているわけです。この点についての御見解を聞いておきたい。
 また、昨年、イギリス、フランス等の児童手当制度の実施状況などの調査報告、児童審議会における児童手当調査団の報告でありますが、イギリス政府におきましては、児童手当そのものについて所得制限を導入する考えはなくて、そうして労働組合――いまちょっと高山さんも触れられたようでありますが、この所得制限には絶対に反対をしているわけであります、組合のほうも。所得制限に反対の理由といたしまして、高額所得者の児童についても、次の時代のにない手という考え方から、またその育成を社会的に分担するという考え方からやはりイギリスあたりでもこういうふうなことが考えられているわけであります。児童手当を必要とする者が受給を好まなかったり、あるいはまた国民を二つの階層に分けるというのは順当でないというような考え方、あるいはまた事務処理が複雑だ、こういうふうな点もあげられているわけでありますが、こういう問題につきましてもひとつほんとうの見解を伺っておきたい、こういうふうに思うわけです。
#24
○政府委員(坂元貞一郎君) 逐次お答えを申し上げます。
 三千円の金額が非常に低いんじゃないかという御指摘が第一点でございます。児童養育の費用の負担の軽減という目的を持っているわけでありますけれども、この児童の養育費の全部を児童手当制度でカバーするという思想では決してないわけでございまして、親の扶養責任と、それから児童手当制度によるいろいろな児童の養育の負担の軽減ということになるわけでありますが、外国等におきましても、どの程度児童手当制度で養育費の負担を軽減するかという点につきましては、必ずしも明確な基準はないように私ども承知いたしているわけでございます。二分の一がいいのか、三分の一がいいのか、そこらあたりが非常にまだ外国等でも明確なものはないようでございまして、一応のめどというものがさように言われていると私どもは承知しております。そこで児童手当審議会におきましても、さような考え方からいたしまして、一応の明確な基準というものはなかなかっくれないけれども、まあ現在のわが国のもろもろの諸事情というものを考えた場合は三千円というようなところが適当であろう、こういうようなことから三千円というのが審議会の答申に出てまいりましたので、今回の法律案でもそれを引き継いだわけでございます。
 それから第二の点で、大学生等までに外国等が進学奨励というような立場から対象にしているという御指摘でございますが、確かにそういう国が多いことは事実でございます。この点は、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、現在のわが国の諸制度のたてまえからいきまして、大体十八歳というところがやはり児童という観念でとらえられておりますので、第一段階の現段階においては対象にすべきだということに相なったわけでございます。
 それからスライド制ということにつきましては、法律の中にさような考え方が取り入れられております。
 それから、現物給付を入れないのはどういう理由かというお尋ねでございましたが、外国等においても、若干の国がそういう現物給付というのをやっていることも承知いたしております。ただ、わが国の現在のいろいろな諸制度を見ますると、保育所のいわゆる入園料と申しますか、保育所の徴収金等の問題等につきましては、やはりそれぞれの制度がございますので、そういうそれぞれの既存の制度等を十分今後充実強化していく方向のほうが正しいんじゃなかろうかということで、今回の法律案ではそのような現物給付的な考え方は取り入れなかったわけでございます。同様に出産手当なり、妊婦手当につきましても同じような考え方に基づくわけでございます。
 それから段階的に実施する際に、五歳といういわゆる低年齢の児童のほうからスタートするのじゃなくして、むしろ年長児童のほうからスタートしたほうがいいんじゃないか、確かにそういう御議論もありました。私ども、審議会等で審議していただく場合にも、そんな御意見があったことも事実でございますが、私どもが五歳未満というものを第一段階の対象にいたしましたのは、今回の法律案が三人以上ということになっておりますので、そのような三人以上ということになりますと、大体親の年齢もそう高くないと、つまり三人以上の場合の五歳未満ということでございますので、大体扶養する親の年齢も高くないと、つまり親の年齢が若いし、所得は一般的に低いので、そういう方面からまず段階的に実施する場合は最初に手をつけるべきじゃなかろうかということで、低年齢児童のほうから逆にスタートをいたしたわけでございます。
 それから所得制限の点につきまして、イギリス等の例をお引きになったわけでございますが、私どもも、そのようなことを大体大筋を承知いたしております。そこで、児童手当審議会等では、この所得制限の問題につきましても、やはり相当な議論をしていただいたわけでありますが、政府の今回の法律案におきましては、この所得制限を一応入れているわけでございます。この考え方の基礎にありますのは、児童の養育費の負担を軽減するというのが一つのねらいになっておりますので、そういうような養育費の負担を軽減するということになりますと、そのような必要性のない、いわゆる高額の所得者については、この際児童手当というものをやってもほんとうに効用が出てくるかどうかわからないというような、一種のそういう国民的な感情というものも片一方にございますので、そこで、大体前年収入が二百万というような、それ以上の高額所得者につきましては、この対象からはずしたと、こういう事情に相なっておるわけでございます。
#25
○大橋和孝君 その所得制限が、この徴収される面を見ると、被用者と被用者でない場合とに分かれておって、そして今度被用者の場合は事業主の拠出が十分の七であって、そして国庫負担は十分の二、そして、県とか市町村の負担はおのおの十分の〇・五というふうになっておるわけですが、この程度の公費負担は、従来の社会保険においては所得制限は課さないのが通例であったわけですね。ところが今回の児童手当においては、被用者の場合には拠出制において所得制限を課するのは少しおかしいではないかと、いままでの社会保険の問題から見ましても所得制限をむしろ撤廃するほうが筋が通っているのじゃないかと私は思うのです。
 それからまた、ことに私はこの場合にもう一つ疑問に思うのは、被用者の場合は事業主が負担をする、こういう点、ほかの厚生年金なんかほかの問題を見ましても、事業主と国の負担になっておるわけですが、ここでは市町村の負担が入っておる。市町村の負担を入れること自身も、ここのところでは筋が違うのではないかというふうに私は思うわけです。
 これはちょっと自治省のほうにも伺ってみたいのですが、非常に地方自治体が圧迫されておるときに、これから完全にこの児童手当法が実施されて拡大されていったときを考えてみますと、相当の金額がやはり地方自治体の負担になってくるのじゃないか。一方では事業主が負担をして、そして国がわずかにその十分の二である、こういうことであって、しかも市町村にまでこれが拡大されているというのは、ほかの問題からいいましても、少しやり方が違うように思うのでございますけれども、地方自治体のほうからいえば、これは地方自治体の圧迫になるだろう、これらは自治省のほうではどう考えておられるか。
 それからまたこの問題について大蔵省のほうではどういうふうにこの問題をお考えになっておるのか。児童手当だけにこういうことがあってはおかしいのではないかと思うのですが、こういうふうな拠出のあり方について、大蔵省のほうではどんなふうに思われるのか、見解をもう少し伺っておきたいと思います。
#26
○政府委員(坂元貞一郎君) 第一の点でございますが、従来の厳密な意味の社会保険の考え方から申しますと、確かに被用者保険等におきましてあるいは被用者年金等におきましては所得制限というのは実施しておりません。ただ、この今回の児童手当法案におきまするいわゆる拠出制、事業主の拠出制度というのを社会保険と見るか見ないかという点でございますが、私どもは、まあ社会保険的な見方というものも一部にはございますけれども、やはり今回の事業主拠出金というものの性格は、従来の社会保険で考えておりますような、いわゆる拠出と給付というこの関係が完全にリンクをいたしておらないわけでございます。したがいまして、従来の社会保険でいっておりますような、社会保険のいわゆる保険料というようなものと完全に今回の拠出金が同じものであるかどうか、その点は意見の分かれるところではありますけれども、私どもは、従来の社会保険のいわゆる保険料というものとは完全に同じものではない、こういうようないわば新しい型の社会保障の拠出金だと、こういうふうに理解をいたしておりますので、したがいまして、そういうことから申し上げますと、被用者グループにつきまして所得制限をするということにつきましても、必ずしも私どもは妥当な措置ではないとは思っていないわけでございます。
 それから後段のほうの、被用者グループにつきまして、国と事業主のほかに地方公共団体の負担を入れているわけでありまするが、この理由についてのお尋ねでございますけれども、やはりこの点は私どもが法案を立案する際に一つの問題点ではございました。結局、関係各省とも相談いたしました結果、今回のような財源負担のたてまえになったわけでありますが、被用者グループであろうと、そうでない非被用者グループであろうと、やはりこの児童手当制度というものは社会福祉的な、社会保障的な制度がありますので、地方公共団体の住民という立場から見ますと、一種のやはり地域住民の福祉に当然つながる制度でございます。したがいまして、そういうような意味合いから申しますと、当然ある程度地方公共団体というものも国と同様の立場において、その負担能力に応じまして負担をしてもらうというのがより現実的ではなかろうかと、またそのほうが今後の制度の発展等を考えた場合に非常にベターではなかろうか、こういうような考え方に基づきまして地方公共団体の負担というものを被用者グループにも導入をいたした次第でございます。
#27
○説明員(森岡敞君) 児童手当の経費負担につきましては、御指摘のように、地方公共団体の負担は、被用者グループにつきましては一割、自営業者、農民グループにつきましては三分の一の負担でございます。都道府県と市町村がそれぞれ折半して半分ずつと、こういう法案の仕組みになっております。私どもは、この児童手当の経費の負担をどうするかということにつきましては、関係各省とかなり突っ込んだ話し合いをいたしました。社会保障制度に関する経費負担のあり方については、それぞれの立場でいろいろな議論がございます。しかし、最終的に、私どもといたしましては、この制度が新しい社会保障の制度である、従来の生活保護あるいはその他の各種の制度とは異なった新たな社会保障制度であるということと、さっき児童家庭局長からお話がございましたが、地域住民の福祉に密接につながる、こういうことを勘案いたしまして、国の二に対して地方が一の割合で負担する、こういうことでこの法案の仕組みに同意いたしたわけでございます。ただ、この金額は初年度は府県、市町村と合わせまして十五億円の負担であり、平年度になりますと約二百四十億円程度の負担に相なりますので、地方財政といたしましては、これを確保していくのにかなりの苦心が要るというふうに考えております。しかし、こういう制度が発足するわけでありますので、私どもとしては、できるだけ財源確保に努力してまいりたい、かように考えております。
#28
○説明員(相原三郎君) この国庫負担を児童手当にどうするかという点については非常に議論がございましたところで、私どもとしまして調査したところによりますと、フランスとかラテン系の国では非常にうまくいっておる、しかし一方、イギリスとかカナダとか、そういう全額公費負担の国ではやや硬直的きらいが出ておる、したがってそういうラテン方式はいかがであろうかということを考えたわけであります。それらの国におきましては、全額企業負担でやっております。フランスでは一部農民等につきましてはそうでないようでございますが、一般には全額企業負担でやっておるということでございました。しかし、わが国の場合には、やはり国が積極的にやるという姿勢を示す必要があるということ等の理由で国庫負担二割、それから自営業者等につきましては六分の四を負担するということで現在の案はなっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、精一ぱいの努力をしたつもりでございますので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
#29
○大橋和孝君 なかなかじょうずに答弁をされて非常に困るわけですが、実際、私は今度の場合でも、拠出制と無拠出制にしたところも矛盾を感じております。また先ほど十分考慮をしたといわれておるけれども、国庫負担が非常に私は少ないのではないかと思うんです。というのは、完全実施をした場合における拠出金、事業主と県あるいはまた市町村、こういうものが四百七十億になっておりますのに国庫負担は四百二十五億で、やはりこの児童手当制度の発展を期するためには、もっともっと国庫負担を増額すべきだというふうなことを考えるわけですが、将来国庫負担をもっと大幅にするお考えがないのか、これで最高だということではほんとうに心細いと思うんですが、その点どうでありましょうか。
#30
○説明員(相原三郎君) たびたびフランスのことを引き合いに出して恐縮でありますが、いま申し上げましたように、フランスでは企業負担で全額やっておる、そういう場合に、フランス政府は何もやっていないではないか、フランス政府はけしからぬという話は少なくともフランスの中では出ていないとぐあいに私は聞いております。したがいまして、私どもは、国の出し分が少ないということはないと思いまして、現在の状況が精一ぱいのところであると思います。
#31
○渋谷邦彦君 主計官が間もなく衆議院のほうにいらっしゃるそうですから、関連で確認しておきたいと思います。先ほどフローとストックのお話がございましたが、ヨーロッパと比較してみた場合、相当格差がございますが、なかんづくストックが非常にいままで足りなかったというお話がございましたけれども、その辺は、いまこまかい数字はけっこうです、概数でこういうふうに格差があったのだ、こういうお答えをいただければけっこうです。アフリカなんかもひとつ例にして比較をして。
#32
○説明員(相原三郎君) 私が先ほど申し上げました趣旨は、私が一番感じましたことは、社会福祉施設の整備に関連して、これは四十六年度予算の一つの大きな眼目であったわけですが、そのぐらいにわが国の場合には、社会福祉施設の運営費を措置費という形で公費で持っていると、その内容が十分であるかどうかは別として、たてまえとしてはそうなっているわけです。ところが、ヨーロッパの各国におきましては、あるいはアメリカでも同様だと思いますが、相当程度民間でやっておると、これはなぜであるかというと、民間におけるストックが過去の蓄積が相当あって、あるファンドをもととして運営されている。ところがわが国の場合には、施設をつくる場合にも国あるいは公費が相当出ている。しかも運営費に至っては、たてまえとしては公費でみるたてまえになっている。これはまさに社会的なストックの差ではなかろうかと、そこを痛感したわけです。したがって先ほど来申しましたように、フローとしては相当、GNPにしますと相当なところまでいっておりますが、社会的な蓄積としては貧弱であると、これは手元に数字は持っておりませんが、たとえばごく卑近な例で申しますと、住宅一つとりましても、これは皆さんのほうが十分御承知だと思いますが、わが国における住宅事情と外国とは格段の差がございます。そういうところで御了承願いたいと思います。
#33
○大橋和孝君 それからちょっと自治省のほうにお伺いいたしますが、先ほどの答弁にありましたけれども、私は、この国民健康保険を見ましても、いま非常に赤字ができて、地方自治体が困っている。それに今度また児童手当ができて、また地方自治体に対して負担が相当なものがかかる。私は、こういうふうにして地方自治体に負担をかけることは、いま御説明を聞いたところでは何かひとつ筋があるようにも感じられますけれども、こういうような状態で、現実に地方自治体では困ることになるのではないかと思いますが、自治省としては、もう少しこういう法ができる前に、やはりもう少しそういうものを地方自治体に転嫁するのではなくて、国のほうで負担していく、むしろ先ほど主計官も言っておったけれども、そういうようなことが精一ぱいということで押えられていって、弱いほうに仕向けられていくということがいろいろな意味でたいへんなことになると思うのです。それがいかにも地方自治体の運営が悪いとか、何かかんか、国民健康保険の問題でも、それ自体の置いている保険の診療所のぐあいが悪いとか、いろいろなことでもってそれが転嫁されていっているような形があるわけです。もっと社会保障的な観点からいうならば、国民健康保険の問題でもあるいはまた児童手当の問題でも、当初にひとつそういうものを見きわめておく必要があると思いますが、自治省の見解をお聞きしたい。
#34
○説明員(森岡敞君) 社会保障制度を例にあげての御指摘でございますが、社会保障制度もちろんのことでございます。その他の行政全般にわたりまして、国と地方の経費負担の関係、これはもう少し私は国の責任を明確にしてもらいたい点がかなりあると思います。
 児童手当につきましては、先ほど申し上げましたように、この制度の趣旨なりあるいは内容なりから勘案いたしまして、種々協議の結果、本法案に盛られておるような経費負担割合に定めたのであります。今後、社会保障制度を含めまして全般的に国の経費負担の割合ないし責任というものをいま少しく明確化し、地方財政に対するしわ寄せというものは避けてもらいたいと、こう考えております。
#35
○大橋和孝君 それじゃ、ほかの制度等に関連したことで一つ伺っておきたいと思いますが、この児童手当制とほかの制度との給付との調整でありますけれども、公務員等の家族手当、先ほどちょっとお聞きいたしましたが、そういう問題があります。
 それからもう一つは生活保護法によるところの生活扶助、これに対して児童手当をもらっている場合にどうなるか。それから地方公共団体が実施している児童手当、たとえば自治体で第何子にどのくらいあげるということをやっておりますが、こういうものとの関係、こういうものについてちょっとお聞きしておきたいと思います。
#36
○政府委員(坂元貞一郎君) 公務員の扶養手当制度につきましては、先ほど大臣がお答えしたとおりでございます。
 それから生活保護との関係でありますが、これは先生御存じのように、生活保護には伝統的に非常にむずかしい理論を持っている制度でございます。したがいまして、この生活保護制度とどういうふうに調整していくかということは、そういう伝統的な考え方からしますと、なかなか理屈というものがむずかしいわけでありますが、これは私どもとしましては、生活保護制度とは併給するという方針のもとに現在その理屈を審議会等と相談をいたしております。したがいまして、大臣からもそういうようなお答えを衆議院段階でいたしておりますので、おそらく現実問題としましては、いわゆる収入認定をしないという方向でこの問題は結論を出すことになるであろうというふうに考えております。
 それから最後の地方公共団体がすでに実施をいたしておりますいわゆる児童手当制度、あるいはそれに類するような制度との関係でございますが、せっかく国の制度として一つの法律に基づきまして児童手当制度というものができるわけでございますので、もしそこの法律が実施になった暁におきましては、現在までの地方公共団体が実施している制度と国の制度とが完全に内容、趣旨等が重複しているようなものがございますならば、そういう重複しているものにつきましては、児童手当制度の全国的な統一的な運営という立場からしまして、できるだけこの制度の中に乗り移っていただくような指導を自治省とも相談しながらやってまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#37
○藤原道子君 関連。生保とは併給することになるだろうということははっきりしないんですか、まだ煮詰めてないんですか。
 それからもう一つ地方自治体が第二子から出しているところがありますね、そういう場合はどうなんですか。
#38
○政府委員(坂元貞一郎君) 今回の法律案では、いろいろな支給の要件がございます。したがいまして、その支給要件と現実の地方公共団体が実施しております制度とが完全にダブるというようなものにつきましては、この制度が全国的に運営される、統一的に運営される必要がございますので、その部分に関する限りは、少なくとも国の制度として乗り移っていただく、こういう趣旨で申し上げたわけであります。ところがいま藤原先生のお尋ねの、そうでない、国の制度と全然いわゆる合わないと申しますか、別のいろいろな内容等を持った制度がございますが、そういう制度とどう調整するか、これは確かに一つ問題点でございます。したがいまして、そういう問題点につきましては、きょうは自治省お見えでありますが、今後、政府部内において、自治省ともよく相談をしまして、適切なひとつ運営ができるようにやっていきたい、こういう方針でいま関係省と相談をしている段階でございます。
#39
○藤原道子君 生保はどうなんですか。
#40
○政府委員(坂元貞一郎君) 生活保護との関係はこれは併給をするという方針はきまっております。ただ、その理論としまして、収入認定をしないという方式が一つございますし、それから御存じのように、従来からやっております諸種の加算制度という方式が一つ生活保護の中にあるわけでございます。そのどちらをとるかということでございますが、まだ完全な最終結論を得ておりませんが、収入認定をしないというような方向で理論を組み立てていきたい、こういうことでございまして、お尋ねの点の併給をするという方針は確実にきまっている、こういうことでございます。
#41
○渋谷邦彦君 いままで、たいへんこまかくまた法案そのものについても質疑応答がございました。むしろ総ざらいと言ってもいいかもしれません。したがいまして、できるだけ私は重複をもちろん避けたいと思います。二、三の点についてもう一度確かめてみたいという問題がありますので、それについてお尋ねをいたしたいと思います。
 いま、最後に問題になりました地方自治体においてすでに第一子から支給しておりますところがございます。局長の御答弁でありますと、まあ善処するという、こうした一言に尽きたようでございます。しかし、考えてみますと、少なくとも第一子からという恩恵に預かっている人たちがあるいは国の制度に吸収されてしまうということになりますと、非常に不合理がそこに生じてきはしまいかということがまず考えられるわけであります。申すまでもなく、すでに地方自治体においては、国よりも先行いたしましてこの制度の制定を見、そしてすでに、私の記憶に誤りがなければ、百四十の都市においてこれが実施されている。その中で数はごく少ないかもしれませんけれども、大分市をはじめとして第一子から支給されているところがいま申し述べたようにあるわけです。これが全然カットされてまいりまして国の制度に組み込まれるということになりますと、これはやはり大きな問題になりはしまいかということも心配であります。その点について、いま局長から説明がありましたけれども、むしろ責任ある大臣からの答弁を私はお願いを申し上げたい。
#42
○国務大臣(内田常雄君) 私は、こう考えております。地方公共団体の、全体で二百以上の地方公共団体が、いわゆる児童手当あるいは児童手当と言いながら実は出産手当、分べん手当のような形のものもございますが、それらのものは見渡しますと、大体は今度の国の児童手当の制度よりも給付の状態が落ちているようでございます。給付金額にいたしましても五百円とか千円とかいうものがたくさんございますので、したがって、第三子以降に関するものは、国の基準の上の制度の中に統合吸収することが受給者の利益であると思いますので、そういう指導をいたしてまいるつもりでございます。もちろんその際、先ほどから論議がございましたように、地方公共団体の負担が一部残りますけれども、それは地方公共団体の負担となるわけであります。しかしお尋ねのように、かりに第一子とか、第二子について支給のたてまえをとっておりまする市町村がございます場合には、その国の制度からはみ出す分は、それは地方の条例をもってそのまま従来のとおり残すことがよかろうと私は考えておりますので、それまで吸収しないほうがよろしいという指導をすべきではないかと、このように思います。これにつきましては、なお、この法律が御可決になりましたのち実施までの間におきまして、自治省とも十分に打ち合わせてまいりたいと思いますが、おおむね私はそう考えております。
#43
○渋谷邦彦君 まあ、今回やっと児童手当が日の目を見まして、多年の懸案がいまようやくその足がかりができようとしています。むしろおそきに失したかもしれません。ただ、せっかく政府当局も努力をしていただきましたが、先ほど来からいろいろ問題点の指摘がございましたように、現在の家族構成というものを普遍的に見た場合、三人以上の家庭というものははたしてどうだろうかということがまず考えられるわけであります。もちろん、ないことはございませんでしょう。最近、特に都市の過密化に伴いまして、住宅事情が非常に悪いし、加うるに物価の上昇に伴って生活も決して楽ではないというような、いろいろな要素を踏まえて子供は二人ぐらいというような家庭が逐次ふえつつある、むしろそれは急増といってもいいのではないか、こういうふうに私どもは理解をしているわけであります。そうなりますと、せっかく家計への圧迫を排除し、今後の児童の健全な育成というものに寄与しようというせっかくの親心といえば親心かもしれませんが、そうしたことがはたしてこの法律にのっとってかえって逆行しはしまいか、法律の精神よりはるかに遠いものになってしまいはしないかという心配がやはり私も残るわけであります。
 したがって、ごく近い将来というと、非常に抽象的な言い方でありますけれども、それは財源等の問題もございましょう。先ほどもストックの問題で説明がありましたけれども、しかしそれをもう一ぺん洗い直してみた場合には、決して日本の現状としては、ストックが他の先進国家と比較をいたしましても少なしとはしないというふうに思うわけであります。その理由の一つには、GNP自由主義国家群第二位、いくらそういうことを口で言いましても、じゃ第二位に伴うものは何もいままでなかったのか、そうではないはずです。やはりGNP第二位になるからにはそれだけの要素、それだけの力というものが必ず伴っているはずであるということになりますと、決して現状の日本の社会情勢といいますか、経済情勢のもとで、第二子からせめて――第一子からということが無理であるとするならば、第二子からこの法律の適用を考えるべきではないだろうか。しかも、これもごく近い将来において、財源等の問題もちろんございましょうけれども、決して私は困難な課題ではないと、こういうふうに思うわけでございますが、重ねて大臣からそうした今後に対する方向というものと、はたして第二子以降というものは近い将来において可能性があるものかどうなのかというような所信をまじえてお述べをいただきたい。
#44
○国務大臣(内田常雄君) マクロと申しますか、総体的観察からいたしますと、渋谷さんがただいま仰せられましたように、十八歳未満の子供三人以上を持っているというような家族構成ではないと、マクロといいますか、平均から見まするとそういうことになると思いますけれども、現実には子供さん一人のところもありまするし、五人、七人――私などの女房のきょうだいは実は九人もあるのでございますが、そういうものを平均いたしますと、おっしゃるように、三人以下になってしまっても、現実には三人以上の、しかもこの法律に該当する児童数が二百七十四万人あるわけでございまして、法律はつくったけれども適用対象がないではないかということではないわけでございます。それにまたこのとおりの姿で二年後に成熟をいたしましたときに、一人当たり三千円といたしましても、総給付費約九百億円という金額になるわけでございますので、これ、第二子にふやすということになりますと、これはさらに相当の金額になることも考えなければなりません。しかし、私どもは大蔵省じゃありませんので、児童福祉の立場ではどの方法をとることが一番いいのか、先ほども現物給付制度については考えないのかという大橋さんからのお尋ねもございましたが、これが二年後に成熟いたしました段階において金額をふやしたり、あるいは対象児童のランクを第二子までにふやすのがいいか。あるいはそのときの状況におきまして母子福祉とかあるいは小児の育成医療の問題でありますとか、公費医療の問題でありますとか、あるいはいまの保育所などの保育費の負担、あるいは保育所の充実というような児童福祉についていろいろやるべき事柄がたくさんございますので、それらの児童福祉に対する各種の社会福祉制度と並べてみまして、その時点においてお互いの意識の成長に従って、いまの御提案の問題は私は論じたらいかがだろうと思うわけでありまして、私がかりに近くお役ごめんで厚生大臣をやめるようになるかもしれないからといって、いいかげんなことを言って、それは三年後からは二子にしますからというようなことを言うことは私は適当でないと考えますので、かりに私が厚生大臣をやめることがございましても、今度は渋谷先生がおすわりになっている席に私がすわって、二人目からすべきだという発言をすることも私はないではないと思うわけでございますが、そのように私は考えて、皆さま方とともに進むのがよかろうと思います。
#45
○渋谷邦彦君 そこで、確かに大臣のおっしゃることよく理解できるのです、私も。ところで、いまおっしゃられた児童福祉施設と申しますか、こうしたものがはたして現状の状況から判断した場合ですね、これは申すまでもなく、大臣も重々御承知のとおり、非常に立ちおくれております。せめてその立ちおくれをお金にかえるということは、それはとてもできないかもしれません。しかし、先ほど申し上げましたように、せめて家計への圧迫というものを緩和し、そして、それが児童の養育あるいは健全な育成というものに役立つという方向にその重点を置くべきではないだろうか、こういう観点から実は申し上げたわけです。もちろん並行的にいま申されたことを考えないでやるということは、これはやはり不合理が将来において必ず生ずるであろうことは、私も了解いたしております。しかし、現実問題としては、いま述べたように、非常に立ちおくれている。はたしてそれが近い将来において、政府が考えている、あるいは政府が考えているというよりも、国民が待望しているような、そういう水準までレベルアップというものができるのだろうかということを考えますと、それもとてもはたしてできるのだろうかという疑惑が起こります。たとえば、保育所の問題一つを考えましてもあるいは幼稚園の問題を考えましても、これは申すまでもないことだと私は思うのです。ですから、その点については今後とも重々その配慮をしていただきまして、せめて一方ができなければ一方において充足をするという、そして、せめてもの国のいわゆる施策の一環として、政治の光をそういう方々に当てていく、これが政治的なやはり配慮ではないかと、こう思いますので、いま申し上げたわけであります。答弁要りません。
 次に、先ほどもちょっと議論になっておりましたが、満十八歳未満という方々が適用の対象になるわけでありますけれども、満十九歳になったとたんに適用外になるという場合もございましょう。
 もう一つは、これはあまりいい例ではございませんけれども、三人子供がおります。そして当然その適用の対象になる満五歳の子供さんがいる、けれども、その上の子供さんが何らかの事故があって死亡したというようなことも決してないとはいえない。しかも、交通事故の非常に最近ふえている昨今でございますので、そういう不測の事態という場合には、一体どういうふうになるのか、これの適用はやはり除外されるものかどうなのか。これははなはだ愚問かもしれませんけれども、先ほどの問題から引き続いて関連して、それにもひとつ触れてお答えをいただきたい、こう思います。
#46
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど私が、児童と言われているのは、一般的には、また法令的には十八歳未満の少年少女あるいは十五歳未満の一これは労働法規などで、労働に使うことにつきまして制約のある児童というのは十五歳までということになっているはずでございますので、十八歳とか十五歳とかいうことになっておりますので、この制度がそういう範囲内で出発をいたしましたが、渋谷さんも御承知のように、たとえばこれよりも先に出発をいたしておりますところの特別児童扶養手当という身体障害児などにつきましては、十八歳をこえましても二十歳までは支給の対象にいたしておるわけでございます。そして、二十歳をこえますと、その人々は国民年金の障害年金を受け得る、こういうことになるわけでありますから、幾つになりましても、心身障害児あるいはまた者が一貫してそれらの福祉資金の支給の対象になる制度がございます。その制度はこれはそのまま生かしておきまして、それとは別に、その心身障害児が第三子以降の子供であります場合には、この法律の要件を満たす場合には児童手当を併給する、こういうたてまえを私どもはとることにいたしておりますので、これはそういう特異の例の場合だけでございますが、御示唆になりましたような思想が全然ないわけでもない、否定されているわけでもありませんので、これはいまここで発足いたします場合に、私は、将来はそうするともしないとも申し上げられないし、たまたま三子のうち上の二子が何かの事故等によって死亡されたような場合に、直ちに支給要件を現に支給を受けておる第三子が制約をされるというような不測の事態の際にどうするかというような問題、これはあとから児童局長にお答えをしていただいてもいいんですが、おそらく想定は法律制度の中にはしていないことでありますけれども、要は、これはせっかくの福祉制度でございますので、少しでもこの制度の恩恵をそのような場合にもゆるやかに受けられるような取り扱いをぜひしたいと私は考えております。でございますから、先ほどの生活保護の場合の措置とかあるいはいまの特別児童扶養手当等の併給の措置でありますとか、そういうものも私がそれは併給するのだと言い切りまして、あと事務的の解釈はもうひとつ事務当局でうまいことづけてきてくれと、こういうくらいの実は気持ちで、本会議などでも私はあえて申してしまった、こういう次第でございます。でありますから、いま御想定のことにつきましても、いま申し述べましたような精神のもとで、可能なことは受給者の利益をできるだけ続けるようなくふうを
 いろいろすることにいたすような考え方で当局指導したいと思います。
#47
○政府委員(坂元貞一郎君) 三人以上の子供さがいた場合に、お尋ねのように、第一子の長男なら長男が交通事故等で死んだという場合に、その三人目にいままで支給されていた児童手当がどうなるかということでございますが、これは法律論はもうはっきりいたしておりますので、渋谷先生御案内のように、第四条に書いてありますように、三人以上おりまして、その中に義務教育修了前の子供が一人おった場合に児童手当が支給対象になるわけでございまして、いま御質問のような場合は、法律的にはこれはもういたしかたがない、つまり支給はできないということになるわけでございます。まあ、大臣のお答えと若干違いますが、法律のそういう支給要件ははっきり明文をもって書いてございますので、法律のたてまえからいったら、もう御質問のような事例は、せっかくいままで児童手当が出ておったけれども、長男なら長男の第一子日の児童が亡くなったという場合には、法律上の支給要件に合致しない、つまり失格ということに相なるわけでございます。
#48
○渋谷邦彦君 さあ、そこで問題は、大臣ね、せっかくこうしてつくっていただいたこの制度、しかも、いま局長はっきりおっしゃったように、大臣の答弁と食い違いがあったということを率直に認められました。最近の交通事故の実情は、申すまでもなく、老人と子供が非常に多いということが統計の上でも示されているわけです。こうしたやはり不測の事態というものは、ある程度想定して、しかも法の弾力的な運用という面において何とかならないものだろうかと思うのは、国民のひとしく願望するところではないでしょうか、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(内田常雄君) 全く私は政治家として同じ気持ちでおるわけであります。しかし、法律論はいま政府委員が申したとおり。そこで、私の答弁と政府委員の答弁とは食い違っておらぬのでありまして、そういう場合には、支給を受けておった者が少しでも利益になるようなはからいをするような指導をするということを申し上げておる。それはたとえばけちな話になりますが、一体それならば日割りで計算するのかという問題にもなりましょうし、それは私は日割りでないほうがよろしいと、その月はまるまる出したほうがよろしいと思いますけれども、あるいは毎月出すのではなくて、三カ月分か四カ月分がまとめて支給することになるわけでありますから、その辺で、これははっきりここで約束をいたすわけではありませんけれども、そのまとめて出す期間中に当該児童が失格があった場合には、そのまとめられたその期間の部分については、何らか受給者に有利な取り扱いができるかできないかと、初めからできないということでなしに、いろいろの研究を、あたたかい研究をさせてみたい、これが政治家の気持ちである。しかしそれをやりますというわけじゃありません。できるというわけじゃありませんが、そういう皆さま方と同じ気持ちを持って検討に当たりたいという私の気持ちを申し述べていると、こういう次第でございます。
#50
○渋谷邦彦君 まことに残酷な結果になりはしまいかということを重ねて申し上げるわけですけれども、いままでせっかく支給を受けてきた、その支給の年限がこれから一年、二年続く人である、それがいま申し上げたように、交通事故にあって上の子供が死んだと、直ちに第四条ですか、この法律の適用によって失格になるということでは、なるほどその第三子からという明文から見れば、これはやむを得ないといえばやむを得ないかもしれませんけれども、やはりその家庭には家庭なりの事情があったから、あるいはまたその三番目まで子供さんがいた、それまでいろいろな費用がかかった等々のいろいろな客観的な要素というものがあると思うのですよ。それをそういう失格条項ができたので、もうばっさり一刀両断であるというのでは、もうこれはどうにもならないのじゃないかという、おそらく必ずこの問題出てくると思うのですよ。そこでもうどうしてくれるのだというのでは、これは非常にまずいのじゃないかなと思いますが、この法律の細則をきめて、その法の運用をもっとその辺の問題を含んでやるおつもりはありませんか。
#51
○国務大臣(内田常雄君) なかなかむずかしい問題を含むわけでありまして、私どもは政治家でありますし、せっかくこういう福祉の施策をつくるわけでありますから、何べんも申しますように、その恩恵ができ得る限りあたたかく及ぶようなはからいをしたいという気持ちで一ぱいでございます。いまおことばの中に、一刀両断で始末をつけてしまわないで、なるべくなまくら刀で、一刀両断にならないような処置はないかということを研究しつつ、あたたかい指導をしてみたいと、こういう気持ちしかいまの段階では申し上げられません。これは法律を変えたりするような、そういう事態が生じまして、法律を変えたりするような事態が出てまいれば、それはまたその法律に従うわけでございますが、いまの提案しておる法律に関します限りは、子供が三人以上なくなってしまいますと、政府委員のような一刀両断のような解釈が出てきますので、なるべくなまくらの刀をもって処理する、このくらいの気持ちを私は持つことだけを申し述べまして、次の問題に移っていただきとうございます。
#52
○渋谷邦彦君 その程度にしておきましょう。いずれにしても、大臣非常に含みのある、なまくら刀という、わざわざそういう引用までなさって、法律の運用にあたっては何とかその辺は考えていきたい、こう理解いたしますよ。じゃ、次に移りましょう、御要求どおり。
 次は、これもたいへん幼稚な質問かもしれませんけれども、所得制限を二百万円にした理由と、それから満五歳にした理由、これをおっしゃっていただけませんか。
#53
○政府委員(坂元貞一郎君) 二百万という所得制限ラインを引きました理由は、先ほども申しましたように、いわゆる高額所得者というのを私どもは念頭において考えたわけでございます。そこで、いろいろな考え方が出てまいったわけでございますが、少なくとも、私ども国家公務員の場合で申し上げますと、大体本省の課長クラス以上がこの二百万という所得制限ラインにひっかかるわけでございます。そういうような身近な例を私どもは考えた場合に、本省の課長クラス以上の所得のある方にはこの際御遠慮願いたいというので、実は二百万というのをきめたのでございます。逆に申し上げますと、大体いわゆる資格を持っておる方々のうち一割程度くらいの方が所得制限にひっかかって支給対象にならないということに相なるわけでございます。また、一割程度の方がそういうふうに所得制限にかかるというようなラインを引きますと、大体二百万というのが現時点における計算になったわけでございます。
 それから五歳未満にいたしました理由は、先ほども大橋先生の御質問の中にお答えをしておいたわけでございますが、段階実施をやるということにいたした場合、いわゆる年齢の低い子供のほうからやるかあるいは年齢の高いほうからやるか、両方の考え方が実はあったわけであります。そこで、私どもは、大体五歳未満というのが大体学校に就学する、小学校に就学する以前の、就学前の児童、この就学前の児童というものに対して着目をいたしたわけでございます。やはりその就学前の児童というものが一番将来の人間形成に大事な時期だ。したがいまして、まず最初ここからスタートしていこうということで五歳という線を一つ想定しまして第一段階のグループにいたした、こういうことに相なっておるわけでございます。
#54
○渋谷邦彦君 次に、先ほども出ましたスライド制の問題、これはどういう時点でそういう認定、算定というものをやってまいりますか。
#55
○国務大臣(内田常雄君) このことは、実は児童手当審議会の答申になかったことでありますけれども、最近における生活水準、物価の事情等の変動が著しい状況の中でこういう金銭的給付の制度をつくるわけでありますから、入れておくべきだという私どもの前向きの考え方で入れた次第でございます。しかし、いつから動かすかということになりますと、私、断定はいたしませんが、とにかく現在では五歳までから出発をいたしますので、二年間くらいは、つまり法律が対象とする児童に及ぶくらいまでは手はつけられない場合が多かろうと正直のところ思います。そうしておいて早く成熟さしておいて、成熟した時期における出発時期との物価、生活水準等の変動を考慮いたしまして引き上げの方向に向かう、こういう手順になるのではなかろうかという正直に申しますと気持ちがございます。そのことは、単にこの児童手当の金額だけじゃなしに、違った他の一方の極にございます老人福祉年金が今度の法律で引き上げましても二千三百円というところにおりますので、私はそのほうもあわせて、先にこちらの三千円を増額することも関心を持ちつつ、二千三百円を少なくとも三千円よりも上のほうに持っていくことにまず大蔵省に交渉をいたしまして、そしてそれが相当上になるはずで私は努力をいたしますので、その時点にパラレルにこちらの三千円を引き上げるということにするのがいいのではないかというような気持ちを持っております。しかし、これは私の気持ちでございまして、法律上は、これは六条の第二項でございますが、そんなことは書いてございませんので、経済事情に変動がありますれば、義務教育終了前の子供に児童手当が及ぶ二年半の期間内においても手をつけてはならないということではないことも私は心にとめまして対処いたしたいと思います。
#56
○渋谷邦彦君 せっかく答申より先行した、政府としては思い切った措置だろうと私は思います、このスライド制の採用ということは。せっかく採用していただいたのでございますので、いまの御答弁にございましたように、物価の上昇、経済的ないろんな変動ということを十分見合わせて考えていきたい、結論はそうだったと思います。しかし、これもいまさら申し上げる必要はないのですけれども、経済変動といえば、変動とみていい最近の物価上昇です。おそらく毎年毎年六%から七%の上昇ですね、一向にいままで後退したということはございません。そうしてみますと、はたしてこの二年くらいの期間でもって調整するということが妥当かどうか、これはいろいろ議論があるだろうと私は思います。しかし、ほかの制度とも十分にらみ合わせてという、それもごもっともだと思います。その辺はやはり社会保障制度の一環でございますので、いま大臣が申されたその趣旨というものをできるだけ、せっかく採用していただいたのですから、これに適用が円滑に、しかも迅速にできるようにやはり御配慮いただきたい。むしろ、もうその辺は時を移さずと申し上げたほうがいいのではないかということすらも申し上げたいわけであります。その点は、今後ひとつ大臣が政治的な判断に立たれて十分な御配慮をいただきたい、このように御要望申し上げておきます。
 それから拠出金の問題につきましては、もういろいろな複雑な――複雑と言ってしまえばそれまででありますけれども、いろいろな制度がございますね。その制度が今回この児童手当の場合につきましても、この拠出の場合は、そういう既存の徴収機構というものが用いられるわけでございますね。そうした場合に、事業主の負担というものがあまりにもアンバランスにわたるというようなことがあってはならないのではないだろうか。この辺はどう一体調整をされて、そういう不均衡が起きないと――まあ、起きないことが当然望ましいわけでありますけれども、そういうことが考えられないか、不均衡が起きることが考えられないか、そうしてもし考えられるとするならば、どういう調整を必要とされるのか、その辺の今後の政府としての考え方を伺うと同時に、やはり特段のこれについても心を配っていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。
#57
○政府委員(坂元貞一郎君) 仰せのように、今回の事業主拠出金の徴収方法は、既存の各種の年金保険の徴収機構というものに乗っかかっていく、こういうことにいたしてございます。したがいまして、既存の年金保険制度というものが、御案内のように、若干いろいろ制度の種類によりまして相違点がございます。したがいまして、そういう相違点がそのままこの制度に乗り移ってくるかっこうに、たてまえとしてはなるわけでございます。そういう意味からいいますと、お尋ねのように若干のアンバランスというものがたてまえとしてはあり得るわけでございます。そこで、いま御質問のように、私どもとしましては、いわゆる事業主の立場からいたしますならば、できる限りそのような不公平、不合理さはないほうが望ましいわけでございますので、いずれこの徴収方法の具体的な細目等は政令事項に法律上譲られておりますので、関係各省非常に多いわけでございます。そういう政令段階あるいは省令段階の話を詰める際に、いまお尋ねのように、できる限り事業主間におけるアンバランスな取り扱いがなされないように配慮をしていきたい、こういうことでこれから関係各省と政令、省令の話し合いの際にお話し合いをいたしたい、できる限り御趣旨に沿うようにお話をしてまいりたい、こういうように考えております。
#58
○渋谷邦彦君 いままで申し上げたことを締めくくって、要望をかねて申し上げたいと思います。
 この児童手当法制定にあたっては、その間審議会のメンバーがヨーロッパ等へ参りまして、つぶさに調査をしてこられたようであります。私の手元にもその当時の報告書がございます。これによりますと、これも先ほど来から問題がございましたように、まず支給対象が第一子あるいは第二子からというところがほとんどで、またアフリカ地域においては第三子というようなことがこの報告の中にあるようでございます。さらに支給金額を見た場合、今回制定されようとしておりますこの支給金額の三千円をはるかに上回っている、フランスあるいはドイツにおいても一しかりであります。こうした点を十分踏まえて、先ほどストックの話等これあり、現状としてはなかなかむずかしいというようなこともありましたけれども、しかし、決してできない現在の日本の経済情勢ではないということをひとつ御考慮いただきまして、できるだけ近い将来に、スライド制もさることながら、そうした支給率を高めていくということにも特段の心づかいをしていただきたい、このように思うわけであります。
 それから一番やはり心配になりますのは、私も、沖繩特別委員会のメンバーの一人として、しばしば復帰後の沖繩の問題について論議をしてまいりました。この児童手当制度も、おそらく返還後において適用されるだろう、このように想像されるわけでありますけれども、はたしてこの本制度がそのまま現状の沖繩に当てはめて考えてみた場合に、無理が起きはしまいかという点がございます。その点についての政府の考え方、そういう混乱が起きないという保証があるのかどうなのか。そして保証があるとするならば、一体どういうところにそういう背景があるのか、こうした見通しと、返還後における沖繩に対する制度の適用というものをどう考えるか、これをいま先ほど申し上げた、一括して要望を含めて申し上げまして、これで私の質問を終わります。それを逐次答えてください。
#59
○政府委員(坂元貞一郎君) 一番最後におっしゃいました沖繩問題だけを私からお答えさしていただきたいと思います。前段のほうは大臣から……。
 沖繩に対するこの法律の適用は、先生おっしゃいましたように、返還後、自動的に当然適用に相なるわけでございます。ただ先生も御心配されておられるように、いきなりこの制度、法律が適用になりますと、やはり現地の実情というものがなかなか日本の場合と違っているようでございますので、いろいろな点において猶予期間なり特例等を設けなければならぬことだろうと思います。したがいまして、次の秋ごろに予定されております国会等において、沖繩関係の諸立法のそういうような特例なり、猶予期間なり、準備期間等のいろいろな適用除外等の法律改正がなされるはずでございますので、この児童手当法につきましても、適用にはなりますけれども、若干の猶予期間なりあるいは特例、そのような現地の実情に合った特例的な措置を大幅に取り入れていくということが必要であろうと思いますので、そういう点をこれから早急に関係各省とも御相談をいたしたい、こういうふうに考えております。
#60
○国務大臣(内田常雄君) この児童手当制度の成熟と、将来における充実につきましては、私どもといたしましても、この制度実施後におけるこの制度に関する国民意識の動向と、また児童福祉に関する他の諸制度との関連をも考慮いたしつつ、前向きにこれが充実改善に努力したいと考えております。
#61
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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