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1970/05/20 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第16号
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1970/05/20 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第16号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第16号
昭和四十六年五月二十日(木曜日)
   午前十時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     玉置 和郎君     平島 敏夫君
     山本  杉君     金丸 冨夫君
     村上 春藏君     長田 裕二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  虎雄君
    理 事
                上原 正吉君
                高田 浩運君
                小柳  勇君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                長田 裕二君
                金丸 冨夫君
                黒木 利克君
                平島 敏夫君
                山崎 五郎君
                山下 春江君
                小野  明君
                藤原 道子君
                高山 恒雄君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
   政府委員
       厚生大臣官房長  高木  玄君
       厚生省社会局長  加藤 威二君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
       厚生省年金局長  北川 力夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     穴山 徳夫君
       社会保険庁年金
       保険部長     八木 哲夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       文部省体育局学
       校給食課長    柳川 覚治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○児童手当法案(内閣提出、衆議院送付)
○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 平島敏夫君、山本敬三郎君が委員を辞任され、その補欠として玉置猛夫君、横山フク君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(林虎雄君) 児童手当法案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○喜屋武眞榮君 大臣にお伺いいたします。
 私は、結論を先に申し上げますと、この法案ができますことは大賛成であります。むしろおそきに失する。しかし内容の点はまだ不満なところがございますが、結論的には賛成をいたします。そのことを前提にしまして、おそきに失すると申しましたが、私は、五月十八日の社労委におきましても、このわが国の社会保障制度が全般的にこの憲法の精神から、特にこの法案については、児童憲章の精神に基づきましても、むしろおそきに失する、こういうわけでございますが、そこでお尋ねしたい第一点は、この案はかねてからの懸案となっておったが、今日まで実現できなかったと、こうありますが、その理由は何でありましょうか、大臣にお聞きしたいと思います。
#5
○国務大臣(内田常雄君) 児童手当制度は、各種の児童福祉施策のうちで、諸外国にはその制度がございますが、わが国ではそれだけが欠けておったおもな制度でございまして、そこで各方面から、お話がございましたように、欠けている児童手当制度というものをわが国でも早く打ち立てるべきであると、こういう意見が出ておりましたが、せんじ詰めますと、私は正直に思いますのに、わが国の各種の社会福祉制度というものが全体として必ずしも十分でない際に、ただ各種の制度だけを並べて整備してみても、決してそれは制度の充実を期するゆえんではない、これまであるいろいろな制度を底上げをして、そして完璧をはかることも大切ではないかというまた意向も一方にはございまして、一口で申しますと、この児童手当制度というものを創設することにつきまして、各方面の国民的合意といいますか、コンセンサス、それができ上がるまでに至っていなかったとも言えましょうし、それからまた私どもが接触いたしました範囲でも、この制度の財源対策などにつきましていろいろな論議もございまして、帰一するのになかなか容易でなかったというような点もございまして、今日までこの制度が取り上げられませんでした。しかし私は、広い見地から考えて見ましたときに、やはりこの際、この制度を形として取り入れておくことが、これはまあ十分その成熟した姿では、今日取り上げる制度はそこまでは至っておりませんけれども、そのことはきわめて必要だ、こういう考え方のもとに今回努力をいたしました結果、こういう制度になって皆さま方におはかりをしておる、こういうことに至ったわけでございます。
#6
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねいたしたいことは、文化先進国を含めて世界各国のこの実施の状況はどうなっておるでありましょうか。また先進国でありながら実施されていない国があるかどうか、その実情をあらまし承りたいと思います。
#7
○政府委員(坂元貞一郎君) 世界各国の状況でございますが、特に先進国と言われているような国等におきましては、今世紀の初めくらいから、ぼつぼつこの児童手当と称せられる――外国等では家族手当法というような形でスタートしてきておるようであります。そこで、現在、御案内のように、世界各国のうち、この児童手当制度を実施いたしておりますのは六十二カ国でございます。先進国のうち、アメリカだけは別の包括的な制度で実施いたしておりますが、それ以外の先進国もほとんど六十二カ国の中に入っております。それから第一子から実施いたしている国が相当ございます。五十カ国ぐらいは第一子から実施をいたしております。二子から実施いたしておりますのが九カ国ぐらいでございます。三子が二カ国、四子以降が一カ国、こういう状況になっております。手当の額も、それぞれの国情に応じた手当だと思いますが、それぞれの額を支給をいたしております。この財源は、特に型がいろいろございまして、全額いわゆる国費でやっている国もございますし、それから逆に全部事業主負担でやっている国もございますし、それからその両方を復合した、混合したような形態の財源負担をとっている国もいろいろございまして、それぞれの国情に応じた財源負担の割合等を考えているようでございます。
#8
○喜屋武眞榮君 いまのお答えの中で、アメリカは実施していないと、こうおっしゃいましたね、アメリカが実施していない理由は何でありましょうか。
#9
○政府委員(坂元貞一郎君) アメリカという国は、御案内のように、それぞれの州ごとに行政なりなんなりがほとんど独自になされている分野が多いわけでございます。アメリカの連邦としましては、包括的な社会保障的な立法をやっておりますので、いまここで当面問題になっておりますように、独立の形の法律体系としまして児童手当という形でやっていると、こういうことにはなっていないわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。
#10
○喜屋武眞榮君 それでは、そういった情勢の中で、特に今回はわが国の国情に即応した児童手当制度、こううたわれておりますが、わが国の国情に即したということに触れて具体的な内容をひとつ聞かしていただきたい。
#11
○政府委員(坂元貞一郎君) 現在のわが国の国情という意味でございまして、諸外国と違ったいろいろ財政的あるいは社会経済的な状況、それからまた国民一般の認識、意識とか申しますか、そういうようなものを考慮しました制度にしてあると、こういうことでございますが、具体的に申し上げますと、つまり先ほども申しましたように、外国等では第一子からやっている国が相当圧倒的に多いわけでございますが、今回の法律案では第三子以降ということになっているわけでありますが、こういう点も一つの例でございます。
 それから財源負担の点で、国と地方公共団体と、事業主の負担という三者の負担によって財源を構成いたしているわけでありますが、こういう点も、現在のわが国の国情からいって、そういうような財源の負担制度というものが最も適当だということでそういうふうなことを考えたわけでございます。
 それから、所得制限という考え方を入れているわけでございますが、これも外国のほうでは、所得制限をやっている国もございますが、また、やらない国がやや数が多いわけでございます。そういう点も、わが国の現在の国情からいって所得制限制度というものを現時点においてはやはり入れたほうがいいと、こういうような考え方のもとに所得制限を入れているわけでありますが、そういったところがおもな具体的な内容でございます。
#12
○喜屋武眞榮君 いまお聞きしますと、財源面が大きな理由になっておるようですが、わが国が三人、三子以降にした理由と受けとめてよろしゅうございますね、どうですか。
#13
○政府委員(坂元貞一郎君) 現在の国なり、地方公共団体の財政力と申しますか、財政事情、そういうものも一つの大きな制度立案の際の考慮すべきファクターであるわけでありますが、それ以外に、先ほど申しましたように、現在の国民の認識、意識、そういうようなものもやはり一つの有力な勘案すべきファクターだ、こういうことを申し上げたわけでございます。
#14
○喜屋武眞榮君 それじゃ、いまのお答えに関連してお聞きしますが、もし第一子からやるとなると財源がどうなるのであるか、第二子から実施した場合に幾ら要るのであるか、そのことをお伺いしたい。
#15
○政府委員(坂元貞一郎君) 十八歳未満の児童のうち、義務教育終了前というしぼりをかけてあるわけでございますが、そういったしぼりのうちで、いまお尋ねのように、第一子からということになりますと、総額が八千五百億円ぐらい見込まれているわけでございます。それから同様に第二子からということになりますと、約四千億円でございます。今回のような第三子以降ということになりますと、約九百億、こういうようなことに相なっておるわけでございます。
#16
○喜屋武眞榮君 この法では、年収二百万円以上の該当者には支給されないと、こうなっておりますですね、このことはきのうもちょっと出ておったかと思いますが、その二百万円以上、二百万に基準を置かれた根拠はどこにありますか。
#17
○政府委員(坂元貞一郎君) 昨日もお答え申し上げたわけでありますが、現在、所得制限制度というものがいろいろな社会保障制度の中に取り入れられていることは、御案内のとおりでございますいわゆる福祉年金等においては一体百八十万円、扶養親族五人の場合百八十万円というようなものがまあ一つの制限のラインになっておりますが、そういった他の制度とのバランスというもの、それからもう一つは、やはりこの制度というものがいろいろ制度の立て方等によって事業主の拠出金というようなものを一つの財源の中に入れておるわけでありますが、そういった事情等を勘案しまして、前年度収入が二百万円程度ということにいたしますと、まあ一割程度の方が所得制限に引っかかる、こういうことに相なります。昨日も申しましたように、私ども国家公務員の本省で考えた場合に、大体課長クラス以上の方がその線に引っかかりますので、そういういわゆる高額の所得を得ておられる人たちには御遠慮願いたいということで、大体そこらで考えますと、二百万というようなところが現在のわが国の制度上からいっても妥当な線じゃなかろうか、こういうような意味合いから二百万円という一つの線を引いたわけでございます。
#18
○喜屋武眞榮君 ちょっと途中でございますが、参議院議長からいま呼ばれておりますので、すみませんが、ちょっと途中で打ち切らして――あと全部打ち切りじゃなくして、次の先生にかわっていただきたい、お許しをお願いいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 玉置和郎君、山本杉君が委員を辞任され、その補欠として平島敏夫君、金丸冨夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#20
○藤原道子君 私は、質問に先立って御了承を得たいと思います。長く健康を害して休んでおりましたので勉強不足でございます。と同時に、きのうの質問者の問題も十分に伺っておりませんので、あるいは重複するかもわかりませんが、そ点は御了承願いたいと思います。
 まず、児童手当が問題になりましたのは十年以上も前だと思う。それがようやく今回提案になりまして、提案になったことはたいへん私としてもうれしいんでございますが、どうも内容について理解ができない点がございますので、若干お伺をしたいと思います。
 まず第一に、児童手当そのものは、社会福祉の観点に立つのか、社会保険でおやりになるのか、これをこの際はっきりお伺いしておきたい。
#21
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほども大臣ちょっとお答え申し上げたとおり、この制度の根本的へ考え方としまして、第一条の目的に書いてございますように、家庭の生活安定と児童の健全育成なり、資質向上、こういうふうな目的を持っておる制度でございます。したがいまして、そういうような目的から考えてまいりますと、この制度の性格というものはいわゆる社会保障制度でございます。ただ若干中に、制度の内容としまして事業主の拠出金等をとるとかいうような、若干そういうような技術的な点がございますので、社会保険的な性格があるのじゃないかという意見もあるわけでございますが、厳密な意味の社会保険という制度ではございませんので、やはりあくまでも社会福祉的な社会保障制度であると、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
#22
○藤原道子君 その点でございますが、第一条の目的に「この法律は、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的とする。」、こうなっているのですね。ところが、これを待ちに待った本法で第三子以降というようにおきめになったその理由をお聞かせ願いたい。
#23
○政府委員(坂元貞一郎君) 法律の第一条の目的からいたしますと、確かに第一子というようなところを考えることが一番趣旨にかなうと申しますか、徹底した内容になるということは言えると思います。そこで、今回の法律案が第三子ということからスタートするということになったわけでありますが、これは現在のわが国の児童の養育費というものが、やはり子供をたくさんかかえている世帯に非常に圧迫を与えているという一つのデータがございますし、子供を二人、三人と、特に三人の子供をかかえているような場合の子供の栄養量の摂取あるいは母親の栄養量、そういうようなものも非常に圧迫された形で栄養摂取量等が低下してきておりますので、したがいまして、そういうもろもろの現在の実態に勘案いたしますと、第三子というところが児童養育費の負担軽減という観点からいきましても一番切実な、しかも最も必要度を感じている世帯であろうと、こういうようなことからいたしまして第三子というところに目標を置いたわけでございます。
#24
○藤原道子君 いま、日本の平均した子供は大体二・何人かですか、四十二年の調査によっても二・三人ですね。それが三子からというと、しかも当初五歳まででしょう、そうすると幾人ぐらいになりますか。
#25
○政府委員(坂元貞一郎君) 大体今回の法律案の対象とされる児童数は約九十四万人くらいでございますので、全体の総数から申しますと、大体一割程度が対象児童になる、こういうような大体の計算になるわけでございます。
#26
○藤原道子君 そこで、私にはどうしても納得いかないのは、第三子からですね、ところが、十八歳以上に一子がなった場合、第三子がありながら支給の対象からはずされる、どこから出たことなのか。
#27
○政府委員(坂元貞一郎君) 上限は十八歳でございます。いわゆる直接児童手当の計算の基礎になる者は義務教育終了前ということに支給要件がきめられておるわけでございます。その理由は、昨日も大臣からお答えいたしたとおりでございまして、義務教育終了までの期間というものが最も児童の人間形成と申しますか、人格形成と申しますか、そういう観点から見まして一番大事な時期であるというようなことから、労働基準法等においても就労を禁止されておる。つまりこの義務教育期間というのは、最も児童を健全に大事に育てていく時期である。したがいまして、そういうような時期であるからこそ、やはり児童手当制度を考える場合には、ここらからまずスタートするということが一番重要なことじゃなかろうかということで義務教育終了前ということを対象にいたした次第でございます。
#28
○藤原道子君 私は、きのうも御質問があったようでしたけれども、六十二カ国が加盟しているのですが、第一子が五十カ国ですね。第三子からというのは、南アフリカ共和国ですか、それと北ベトナムですね。ところが、経済大国を誇っている、経済力は世界二位だと言っているその日本が、六十二カ国も実施していて、おくればせながらやっと発足するにあたって、第三子からというのはどういうわけか。きのう大臣が、小さく生んで大きく育てるということを言われましたね、どういうことなんですか。どれだけ大きく育てる目標を持っていらっしゃるのか、この際明らかにしていただきたい。
#29
○国務大臣(内田常雄君) 第何子から児童手当支給の対象にするかということにつきましては、先ほど来、藤原さんと政府委員との間に問答がありましたとおり、世界における実施各国の状況は、一子から始めておる国が多いわけでございます。もっともソ連のような大国が四子から始めているというのもないことはございません。私は、児童手当というものは、児童の健全育成、資質の向上ということを考えます以上は、これは一子も三子もみな同じ考え方でいかなければならないことはよくわかるわけでありますが、同時に、この法律の一条にも書いてありますように、子供をかかえる家庭の生活の安定という面から考えますときには、多子家庭ほどその生活は圧迫を受けるわけであります。子供が一人、二人の場合より三人、四人と持っていられる方のほうが圧迫を受けるわけでありますし、また、多子家庭の中におきましても、下の子ほど親がめんどうを見るのにいろいろの物心両面の困難がある、そういう状況もあるわけでありますので、したがって、この制度を出発するにあたりましては、御批判はございましょうけれども、多子家庭につきまして三子以降の子供ということを対象にしておるわけであります。しかし、これはいつまでもこれで固定をしていいかというと、昨日来申しておりますように、これはわが国におけるこの制度につきましての今後の意識の成長発展に応じてこの制度を充実拡大をしていく方向をとりたいと、こういうことを申し上げておるわけでございますので、そういう考え方のもとに、出発は、御不満があるように、三子制度をとり、またその三子制度につきましても二年半がかりで五歳から始めて義務教育終了前の子供に及ぶというような段階方式もとっておるようなわけでございますので、まあ制度出発に当たりましては、あまり大きい姿ではないが、しかし将来はこれを大きく育てていきたい、こういう私の情熱を示したわけでございます。もっともこれは私が小さく生んで大きく育てるというのは、私どもが子供のころ世間で言われたことばでございまして、このごろはあまりはやらないようでございます。やはり生むときも大きく生んでより大きく育てるというのが母子対策の目標であって、昔、われわれの母親が言った小さく生んでということは、もう時代おくれのことばかもしれません。やはり大きく生んでより一そう充実させたいわけでありますけれども、こういう姿で出発をさせることになりましたので、私は昔のことばをそのままお借りしてわかりやすく述べたと、こういうわけでございます。
#30
○藤原道子君 だから大きく育てると言ったんだから、どの程度の構想を持っておいでになるのかを聞かしてくれと言ったのです。
#31
○国務大臣(内田常雄君) それは、いま述べたとおりでありまして、この制度は、こういう姿で出発しなければ、おそらくことしもまた出発できなかったかもしれません。先ほど藤原さんがおっしゃるように、もう十年も前からこの問題が取り上げられておりながら、やるやると言っておりながらなかなかやれ得なかったものでありまして、昭和四十六年度の予算の概算要求をいたします八月三十一日現在におきましても、審議会の答申もなければ、また政府におけるこの制度の発足準備も整っておらなかったわけでありますが、私が微力ではありますけれども、厚生大臣在職の間に何とかしてこれ発足さしたいということで、実は非常に努力もいたしまして、概算要求の時期を過ぎましたけれども、十二月ごろになりましてこういう姿を整えることになったわけであります。しかし今後どこまで大きく育てるかということについては、これはもうみんなできめていくことで、国民のこの制度に対する意識の発展に応じてこれは今後成長をさしていくべきものだとこういうふうに私は考えます。ここで二人目、三人目に何年からやるとか、三千円の金額を何年から幾らに上げるということは、その意識の成長に応じてお互いにともどもの努力で育てていきたい、このようにお答えをさせていただく以外に私が責任ある答弁はいたし得ない、これも実情でございます。
#32
○藤原道子君 それなら大臣に申し上げますが、小さく生んで大きく育てるなんていうことは言わないようにしてもらいたい、構想もないのだ。これをひとつ要望しておきます。
 それから先ほどソ連のお話が出ましたが、大臣はソ連へいらしたことあるのですか。
#33
○国務大臣(内田常雄君) ございます。
 小さく生んで小さく生みつばなしよりも、私は小さく生んでも大きく育てるということを申し上げておくほうが私の平素の考え方に合うものでございますから、これは言うなと言っても言うつもりでおります。
#34
○藤原道子君 厚生省は法律ができるときにはいろいろ言うのよ。できちゃえば一向に努力のあとが見られないのよ。審議会の答申にもまああれだし、健康保険なんかでも、審議会の答申が出なくても、ある方面からせき立てられればそれをやるというような、そういうことはするけれども、真に国民の福祉という点をほんとうに考えてくれているのかどうかということになると、私は、大きな問題があると思うのです。まあ大臣の時代に長年の懸案が緒についたということの成果は認めますけれども、しかしこのできたのが北ベトナムと同じような状態であるということが恥ずかしくないのですか、それが一つ。飛行機一機買うのに百億からの金を出したりする国で、大事な次代のにない手である子供のこの児童手当、長年国民の要望があり、しかも世界六十二カ国がすでにやっているものをいまごろ出して大きな顔をされては迷惑です。
 それからソ連の話ですが、私は、一昨年の秋ですか、母子福祉と児童問題の調査に行ってまいりました。なるほどソ連は第四子かもわからない。けれどもソビエトは、御案内のように、治療よりも予防ということに重点が置かれて、妊産婦からずっと保護しております。どこの幼稚園に行っても、どこの保育所に行ってもちゃんと医者と看護婦がおります。やってきた子供の顔色が悪いと、すぐ医務室に連れていって診察する。医者の診継書が出れば母親は有給休暇が出るのです。それくらい子供が大事にされている。日本では一体どうですか。保育所へ行けない子供、幼稚園に行けない子供がどれだけたくさんいるというふうに把握しておいでになりますか。児童の福祉ということを口にはされるけれども、いつでも大蔵省に押えられちゃって、あるいは今度のこの児童手当にしても、私は、三段階になっているけれども、総合的にやるべきだという主張ですけれども、これに対しても資本家側の反対圧力で、こういう何だかわけのわからないことになったわけですけれども、ソビエト、ソビエトとおっしゃるならば、ソビエトの生活の実態から妊産婦あるいは子供の保護育成、こういうところに日本がソビエトに負けないだけの努力をしておいでになりますか、ここに問題がある。いま国民が一番困っているのは家賃でございます。住宅でございます。ソビエトでは所得の四%ですよ、家賃が。しかもそれには水道代も電気代も入っております。こういうふうな政治上あるいは国民対策上の相違も考えないで、ソビエトが四子からやっているから日本が三子からやるのはソビエトにまさっているというような、きのうから得々として大臣御説明がございましたが、私は納得できない。一体、この児童の福祉とか国民の福祉に対してはどう考えているのか。
#35
○国務大臣(内田常雄君) 私は、まあ考え過ぎかもしれませんが、社会福祉にはいろいろな面がございますけれども、しかし今日一番やりたいことは、やはり老人福祉対策の充実ということと、これはもう藤原先生よく御承知のように、いまのこの時点におきましては、日本の人口構造に占める老齢者の人口の比率というものは、世界の各国に比べますと、むしろ低いわけでありますけれども、これが十年、二十年の間に老齢者の占める割合というものが急速に高まってまいりますことが世界に例を見ないような状況でありますことは、厚生省の人口問題研究所等の研究によりましても間違いありませんので、これらに対する生活保障、医療保障、その他の対策を充実すべきことと、それからそういう厚くなる老人層をかついでいくのはだれかというと、とどのつまりは、これは私なんかではなしに今日の児童諸君でありますし、さらにまた民族の将来、国家の発展というものは若いころに乳幼児から児童がいかにこれが心身ともにすこやかに保育されるかということにかかるものだと、こういうことから児童福祉対策を老人対策の他の反対の局面としてぜひ進めたいという実は考え方を持つものでございます。したがいまして、児童福祉対策につきましては、児童手当を厚くするということも、もちろん一つの有力な方法でございます。そのためにこの制度に着手をいたしましたが、その他に、いま藤原さんがお触れになりましたように、保育所の充実もございましょうし、あるいは児童館とか児童園とかいうものの整備もございましょうし、あるいはまた、不幸にして心身障害の状況にある児童等に対しましては、今日の育成医療といいますか、公費医療などの制度などにつきましても、さらにこれを拡充の方向で再検討を加えていくべきである。さらに、その児童のもう一つ先の母子保健対策、乳幼児対策というようなことにつきましても、できる限りの充実を尽くすべきだと考えるものでございます。昨日もこの委員会で御議論がございましたが、児童手当をお金で家庭に給付することがいいのか、あるいは児童を対象として現物施策といいますか、いまの保育所とか、私が述べましたような、そういう施策を充実するほうがより大切ではないかという議論もあり得るというような、示唆に富んだおことばも委員の方からも触れられた点もございますが、私は、そういう現物的な施設と、それから児童手当を大きく育てていくというような面も含めまして、これから大いに力を入れてまいりたいと思います。
 そもそも、社会福祉の充実は大蔵省の仕事じゃありません。厚生省の仕事でありますから、私は、このことは厚主蔵従である、厚生省の厚が主で、大蔵省の蔵が従で、ついてこい、こういうつもりでやってまいるつもりでありまして、私は、着任の後まだ一年数カ月しかたっておりませんし、十分の働きもできませんでしたけれども、かすに私に十年ぐらい厚生大臣をさしておいていただければ、これは藤原先生にほめられるようなことをさしていただけると思います。
#36
○藤原道子君 そこで、触れたついででございますけれども、このごろ身障児がだんだんふえていますよ。それは妊娠中にあれになるのが多い。したがって、私たちは、妊産婦の対策というものを十分に考えてほしいのです。生まれてからではおそいのです。ところが、その生まれてからも手が届いていない。最近、二、三、身障児の施設へ行きましたけれども、涙なくしては見られない状態ですよね。こういうことで、厚生行政が非常におくれているから、まあ、あなたが大臣になってからはしかられるようなことばかりが多いけれども、私たちは、厚生省にしっかりしてくれということで質問しているんですから、児童手当も、まあ小さく生んで大きく育てるということを信じておりますから、一つ大きく育ててくれるように――大臣をやめたって議員でしょう、しっかりやってください。このことをひとつ要求します。ソビエトの問題もいろいろ申し上げたいと思うけれども時間の制限がございますから。
 それから一つ委員長にもお願いしたいんですが、各国の児童手当の資料ですね、これを出してほしい。北ベトナムあたりが第三子からやっているといっても、その第三子をどの程度までやっているのか。あるいはフランスの状態――私も、ここに手元にありますけれども、第一子からやっているとか、第三子からやっているからといっても、そのやりようにはいろいろあると思う。いま大臣は、ソビエトが四子からだと言うけれども、ソビエトぐらいの福祉行政ができておれば、これはほんとうに文句ない。家賃だってたった四%でしょう、燃料費も水道料も入って。日本は幾ら払っているか。まあ皆さんは、大臣は別ですけれども、官舎にいるから、家賃であまり苦労せぬかもしらぬ。約三分の一くらい持っていかれちゃうんですよ、家賃と水道料と電気料でね。この中でやるんですよ。そういう点から老人福祉、児童福祉、妊産婦対策は非常に重大なことですから、真剣にやってほしい。特に児童家庭局長は任務は重大ですから、大蔵省なんかに負けないでがんばってくださいよ。
 それからお伺いしたいのは、身障児の場合は、これは十八歳までとなっているけれども、そこに延長がありますわね、二十歳までは認めることになっております。第三子からとしても、いろいろな事情があると思うんですよ。そういう場合には、それによって若干の段階を考えておいでになりますか、機械的にぴしっとそれでお切りになるおつもりですか。
#37
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほどの資料でございますが、外国政府の。私どものほうで六十二カ国全部は実はわかっておりませんのです、内容等は。北ベトナムにつきましては、ほとんどわかっておりません。ソビエト等につきましてはわかっておりますので、わかっている範囲内において、できる限り精細な資料を提出さしていただきたいと思います。
 それから心身障害等の児童の場合の年齢の延長の問題でありますが、これは外国等におきましては、若干そういう国もあるようでございます。普通の基準以上に特例的に年齢を延長さしている国があるわけでありますが、今回の法律案におきましては、そういうような特例を実は考えておりません。したがいまして、最高年齢はやはり十八歳ということで、一般の児童と同じ扱いにしているわけでありますが、この心身障害の児童の扱いの問題につきましては、確かに御指摘のような意見も非常に強いわけでございますので、ひとつ今後の研究課題にさしていただきたい、かように思うわけでございます。
#38
○藤原道子君 私は、その点もひとつ考えてもらわなきゃ困ると思うのですよ。
 この際お伺いいたしますが、心身障害児福祉対策の今後の対策は、何か新しく考えておいでになりますか。
 それから心身障害者基本法の施行状況はどのようになっておるか。
 それから心身障害者対策協議会の進捗状況はどうであるのか。
 それから精薄者福祉対策における精神薄弱者福祉法と児童福祉法との一元化は、どのように進んでおるか。
 この点をこの際お伺いしておきます。
#39
○政府委員(坂元貞一郎君) 社会局のほうと両方でございますので、便宜お答えさしていただきたいと思います。
 心身障害対策の今後の方策ということでございますが、これは非常に広範にわたっております。厚生省だけじゃなくて、文部省、労働省、各省にまたがる大きな問題でございますので、そういった各省間の総合調整はもちろん大事なことでございます。それはそれとしまして、厚生省に関して申し上げますと、先ほどお話しも出ておりましたように、まず心身障害の発生予防対策というものをもっと大がかりにやる必要がある、これはやはり私どもは基本だろうと思います。したがいまして、そういった研究費等の充実、それから研究体制の整備、こういうものがまず今後やるべき一つの大きな課題だと、こういうふうに思っております。
 と同時に、第二の点は、やはり心身障害の施設がまだ非常に数が不十分な状況にございますので、施設の飛躍的な、計画的な増設というのが第二の課題でございます。またその施設の職員なりあるいは施設に入っている子供さんたちの処遇の改善、これがやはりまだまだ十分なところまでいっておりませんので、そういう点を大きな柱として、今後私どもも積極的に意欲を燃やしながらやっていく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから心身障害者の対策基本法の施行状況でございますが、これは昨年、国会のほうで議員立法で制定をしていただきまして、これに基づきまして今年度、つまり四十六年度予算も、そのような対策基本法のおかげで心身障害者対策の新しい施策も入った予算が計上されております。この機会に感謝申し上げたいわけでございます。そこで、この施行状況でありますが、これはいま申しましたように、関係する省が非常に多いわけでありますので、そういった関係各省とのまず意見の交換、それから行政の総合調整、こういうものを私どもはやらなきゃならぬわけでありまして、総理府のほうに、幸いにしてそのような協議会というものが設けられておりますので、そういった協議会の場を活用いたしまして各省間の連絡調整をやりながら、各省それぞれ独自の立場において、今後心身障害者対策基本法の精神なり、趣旨に沿った新しい行政の展開をやっていく必要がある、こういうふうに思っているわけでございます。
 それから心身障害者対策協議会でございますが、これは法律に基づきまして総理府に付属機関としてつくられているわけでありまして、現在まで、実はことしになってから第一回の会合をやったわけであります。近く第二回の会合をやりまして、いよいよ本格的な、実質的な討議をやっていくことに実は段取りをつけております。
 それから、精薄者福祉法と児童福祉法との一元化の問題でございます。これは実は長年の懸案であったわけであります。およそ精薄児者ということを考えますと、これはおとなも子供もやはり総合して一元的に処遇をしていくことが命題でございます。基本的な命題でございますので、そういう観点からいたしまして、従来から所管の局も社会局から児童局に一元化するとか、審議会も一元化するとかというようなこと、それから年齢につきましても、おとなの施設に子供を入れることも考えます。子供の施設におとなの精薄者を入れることも考えておりますが、問題はやはりそういった形式的なことだけではなくて、要は精薄児者のそれぞれの年齢なりあるいは障害の程度等につきまして、それぞれ適切にやはりその児童なり何なりに合った適切な処遇をしていく、これが一番大事なことでございます。要は、そういった処遇の内容等についての今後くふう、改善をいたす必要があるわけでございまして、予算的に見ますと、このおとなの精薄者とそれから子供の精薄児との措置費等の内容も、逐年、内容が格差が縮まりつつあるわけでございますので、まだまだ完全なところまでいっておりませんが、今後鋭意努力する必要がある、かように考えている次第であります。
#40
○藤原道子君 心身障害者対策協議会のメンバー、これを一度資料として出してください。これは真剣に考えてほしい。
 それからもう一つ、私、提案があるんですが、またソビエトになりますが、生まれたときから、お産のときからの手帳ですね、これがずっと終身持っているわけです。そうすると、種痘なんかにいったときに、既往症を聞かれても母親は一つ一つ覚えていませんから、こういうときに手帳を出せば医者がすぐわかるわけで、こういうふうなこともひとつ考えて実行してほしいと思うが、どうですか。これはどこになるんですか。
#41
○政府委員(坂元貞一郎君) 現在のわが国の制度上では、妊産婦手帳なりあるいは身体障害者の手帳というような、そういう年齢別といいますか、行政の縦割り横割りみたいな考え方で手帳制度というものを実は実施いたしておりますが、いま先生申されましたように、やはり生まれたときからずっと成長するまでの一つの一貫した手帳制度、確かにこれは一つの大きな示唆を私どもに与えていただいたわけでございますので、そういう点につきましては、今後、これは厚生省の内部におきましてひとつ検討をいたしてみたいと、かように考えております。
#42
○藤原道子君 大臣、ぜひこれはやってもらえば大きな効果があると思うのです。あらゆる面にわたって手帳を持っている。一貫して、生まれて死ぬまでの健康手帳というんですか、こういうものをぜひつくってほしいと私思うのですが、大臣、どう思いますか。
#43
○国務大臣(内田常雄君) ごもっとものお話だと思います。ただし、これはまあ国民背番号みたいな、国民背番号制度のようなことにも関連する制度になることについては検討が要るように思います。というのは、いろいろな厚生省の内外にわたるいろいろな施策を縦割りごとに、手帳制度ですか、登録制度などがありますが、それをまず一本にして、そして人間手帳式になってきますと背番号手帳のようなことにもなってまいるので、それがはたしていけるかどうかという多少の私は問題があるように思いますけれども、しかし藤原さんのおっしゃるのは、全部でなくても健康に関する限りと、こういうことのようでもございますので、みんなで研究してみたいと思います。
#44
○藤原道子君 私は、背番号には反対ですからね。そういう意味でなくて、健康管理の上から、いろいろな体質を持っていますから、種痘したために死ぬとかあるいはかたわになるとか、いろいろあるんですよ。だからそれを考えてくださいと言っているので、私は、背番号なんて、そんなものは反対です。
 そこで文部省に、たいへんお待たせをいたしましたが、最後に二、三お伺いしたいと思いますが、今度児童手当が出るわけでございますが、憲法二十六条には、義務教育は無償とするという原則が打ち立てられておりますが、これがどのように扱われ、どういうふうに解釈しておいでになるのか、これをお伺いしたい。
#45
○説明員(柳川覚治君) 担当課長が、所管の法案が委員会で審議されておりますので、そちらのほうへ出ております。給食課長でございますが、恐縮でございますが答弁させていただきます。
 御質問の憲法二十六条に言う義務教育無償につきましては、昭和三十九年の最高裁の判決がございまして、これにも見られるとおり、具体的には授業料を徴収しないことであるという見解が出されておりますが、文部省といたしましては、従来からこの義務教育無償の趣旨のより広い実現をはかるという立場から、教科書の無償給与措置あるいは父兄負担の軽減のための就学援助措置等を講じてまいった次第でございます。
#46
○藤原道子君 義務教育無償というのは、教科書を無償にするということですか。これは教育基本法かなんかでそういうふうになっているのですね。だけれども、憲法で規定しておる義務教育は無償とするという原則はどう解釈しておいでになるのか、それを聞きたい。
#47
○説明員(柳川覚治君) いまお答えを申し上げましたとおり、ぎりぎりの接点のところでございますと、具体的には、学校で教育を受けるために授業料を徴収しないというところが、まあ最高裁の判決でも解釈されておるわけでございます。しかし文部省といたしまして、学校教育も、特に義務教育を少なくとも経済的事由等によって受けられない子供たちが一人でもおってばならぬということ、その観点からも、この憲法の義務教育の無償の趣旨をより広く実現していく方向での努力をしているということでございます。
#48
○藤原道子君 文部省では、父兄が支出した教育費の調査というものを毎年やっていらっしゃるようですけれども、それはどうなっていますか。
#49
○説明員(柳川覚治君) 一番新しい資料でございますが、四十三年度の実績でございますが、学校教育を受けさせるために父兄が支出いたしました経費の実績は、小学校で二万四百五十五円、中学校で二万七千五百二十円という実績になってございます。これは年々やはり絶対額はふえておりますが、一般に国民一人当たりの消費支出の増加率と比較いたしますと、それよりは低い割合での伸びになっているという実績がございます。
#50
○藤原道子君 私は、文部省では授業料を取らないとか、教科書を無償にするということで事足れりとお考えになっているとすれば、これは大きな問題だろうと思うんでございます。私、ここに四十二年のあなた方の調査の資料は持っておりますが、四十三年度はあいにく持っていない。ところが一あなた給食課長ですか。
#51
○説明員(柳川覚治君) はい。
#52
○藤原道子君 給食一つとっても、私も孫が学校に行っていますけれども、月に千三百円なんです、今度値上がりして、これは給食費だけですよね、それが千三百円。それでも何だかんだで毎日のように費用が要るんですよね。私は、義務教育は無償とするという原則を考えると、こういう点もう少し文部省で考えてもらいたい、どうですか。このごろ入学するだけでも、その支度金はたいへんですよね。
#53
○説明員(柳川覚治君) 御指摘の父兄負担の問題につきましては、年々鋭意努力しているところでございまして、全体の公費の負担関係あるいは父兄の負担関係、その辺の伸びを見てまいりますと、公費支出の伸びのほうが父兄支出の教育費の伸びよりも上回っております。あるいはいま申しました国民全体の支出指数の伸びに比較して、必ずしも教育のための父兄の支出がふえているということではない実績を持ってきておるのでございますが、御指摘のように、この父兄の負担は、低所得層の家庭におきましてはいろいろ負担過重の問題がやはりある問題でございますので、したがいまして、これらの低所得層に対しましては、従来、国から、学用品あるいは通学用品、通学費、修学旅行費、学校給食費あるいは医療費等々につきまして、完全に実質無償が実現するような措置を講じてまいっておる次第でございまして、そのような措置を今後さらに強化していくことによりまして、少なくとも経済的な理由で学校に就学できない子供はないようにしてまいりたいという考え方を持っておる次第であります。
#54
○藤原道子君 低所得層と言われるけれども、この扱いがどれだけ子供の童心を傷つけているかということを御存じですか。泣いて帰る子だくさんいる。だから親がどんな無理をしてもその申請はしたくないと、とても気の毒な家庭たくさんありますよ。子供ですから、どこからかわかるものだから、同じ義務教育を受ける権利のある子供たちがこうした費用の面で友だちからいろいろとやられるということは、あまりかわいそうだと思う。したがって、何といいますか、いま、あなたは上回るあれが出ているというけれども、上回る、上回るというのは、きのうもちょっと関連で言ったけれども、直接生活に響かないものも全部ひっくるめての物価上昇ですから、ほんとうに食わなければいられないその食費はどれだけ上がっているか、家賃はどれだけ上がっているかというようなことを考えると、生活に困らない人ばかりが役人をしているものだから、ほんとうに困る人の気持ちがわからないのだろうと思う。もっと実態の調査をしていただきたいと私は思います。だから、かりにここで児童手当で五歳まで三千円もらったって、学校に行きだせばこれはだめになってしまうんだから、私は、この点が納得がいかないのですが、どう思いますか。
#55
○説明員(柳川覚治君) このたび創設されます児童手当の制度につきましては、先ほど来、厚生省から御説明がございましたように、家庭の生活を安定させ、児童の健全な育成と資質の向上をはかるという趣旨のものと私どもも理解をいたしておりますし、ただいま先生から御指摘の義務教育無償の趣旨の実現とは、おのずからまた目的を異にしたものであろうというように考えている次第でございます。したがいまして、文部省といたしましては、今後とも就学援助措置の強化等々のことにつとめて、義務教育無償の趣旨の実現に努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
#56
○藤原道子君 時間もありませんので、その点もう少し聞きたいと思っていたところですが、とにかく現実をもう少し調査していただきたい。私は、今度の児童手当で所得制限するのも反対なんですが、子供にはみな将来があるし、子供はみな平等ですから。私なんかも小学校にろくろく行けないで中退をした人間ですが、だからよけいに子供たちの気持ちがわかるんですね。だから差別なしに児童手当は出してほしい。これは幾ら言ってもしようがないけれども、これは大臣も心にとめてやってもらいたい。
 それからもう一つ最後にお伺いしたいのは、支給対象の児童が児童福祉施設などに収容されている場合には、児童手当の支給はどういうふうになるのですか。児童手当の支払いは市町村が支払うことになっているが、その支払い機関として、公的年金の場合と同様に、郵便局または銀行などを利用できるのかどうか、この点についてお伺いしたい。
#57
○政府委員(坂元貞一郎君) 児童福祉施設に入所している児童が児童手当の支給対象になるかどうかというのが第一の御質問でございます。児童福祉施設に入所している児童の実態というものを私どもがどういうふうに考えるかということだろうと思いますが、これは御案内のように、いわゆる全額公費でやっているグループもございます。いわゆる低所得者という、それからまた若干保護者負担金というような形で徴収されている面もございます。したがいまして、そういった生活なり、収容の実態を私どもはケース、ケースによって判断をしていきたい。収容期間が非常に長いものもございますし、そうでない短い収容期間のものもございますので、そういった施設の種別、それから実態、それから収容されている児童の生活の実態、こういうふうなものをやはり個別に判断をいたす必要があろうと思います。したがいまして、片一方の児童扶養手当制度等におきましては、大体児童収容施設に入っている児童の場合はやはり該当しない、支給しないという、一応そういうような考え方があるわけでありますが、今回の児童手当制度につきましては、この本来の趣旨なり目的からいきまして、一律に児童収容施設に入っているから支給の対象にならないというようなことにはいたさないように、個々の生活の実態、収容の実態等をケース、ケースによって判断をして扱い方をきめていきたい、かように思っておるわけでございます。
 それから市町村で児童手当の給付を、まあ支払いをするわけでありますが、その支払いの方法でありますけれども、これは福祉年金等がやっておりますように、郵便局は実は使わないつもりでございます。郵便局は使わないかわりに、市町村の窓口払いができるところは窓口払いでもいいし、それからいわゆる受給者本人が一般の市中銀行の中に口座を設けてもらうような場合は、そういう口座に市町村のほうから振り込むことも考えておりますし、やはり市町村の実情に応じ、またもらうほうの、受給者の便宜のことを考えながら弾力的にこの支払いの方法は考えていきたい。受給者自身に不便をかけないような方法で、支払い場所は地方の実情に応ずるように、その地域地域の特性を生かした支払いの方法を考えてまいりたい。こういうふうに考えておりますので、郵便局は使わないつもりでございます。
#58
○藤原道子君 最後といったけれども、もう一つ最後に。
 拠出金の徴収方法ですけれども、徴収方法は、拠出制では現在のある制度をそのまま利用する、これはあまりにも便宜的ではなかろうかと思うのです。
 それで、厚生年金の適用事業所においては、事業主が厚生年金の保険料額と児童手当のこの一定率と合算して社会保険事務所に支払うことになっておるけれども、五人未満の事業所の場合は一般の無拠出に入ることになり、不合理のように考えるのです。
 また、社会保険を五人未満事業所に適用拡大を行なうべきではないかと思うんですが、労働省所管の労災保険やあるいは失業保険法はすでに適用されております。
 それから社会保険事務所の職員は地方自治法附則第八条の職員で、目下医療保険の抜本対策の中で検討されておるけれども、今後どのように考えていかれるのか。それから社会保険事務所の機能定員の状況はどうなっているか。
 以上をお伺いいたします。
#59
○政府委員(坂元貞一郎君) 前段のほうだけ私からお答え申し上げます。
 この法律によります事業主の拠出金というのは、いまお述べになりましたように、既存の年金保険の徴収機構というものをそのまま活用いたしたい、こういうふうに考えまして、そういう構成になっているわけでございます。
 その理由は、簡単に申しますと、新しい徴収機構というものを考えることが現段階においては非常にむずかしい。いわゆる行政機構の簡素化なり、定員の増はできないというような事情が片一方においてあることは、御案内のとおりでございます。そこで、私どもとしましては、既存の制度の中で活用できるものは活用するほうがむしろ逆に事業主側の便宜にもなりますし、それからまた事務量も非常に軽減されるというような事情もございましたので、いま申しましたように、既存の厚生年金等の徴収機構というものを活用することに相なったわけでございます。
 そこでそういうようなことになりますなれば、いま第二の御質問でございましたように、五人未満の事業所の事業主等の間に、各制度によって若干扱い方が違っているわけでございます。したがいまして、当然そこから理論的には五人未満事業所の場合に各制度ごとのアンバラが、現在の制度のアンバラがそのまま児童手当の制度の場合にも出てくるということが当然予想されるということは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもとしましては、五人未満事業所の児童手当法上の扱いにつきましては、これはこれから政令段階で関係各省と相談することになるわけでありますが、一応、現在の制度で年金保険等の適用を受けていない五人未満事業所からは、いわゆる拠出をしていただかなくてもいい、つまり拠出金もその面におきまして免除されるわけでありますが、それ以外の制度等でいわゆる保険の適用になっている場合は、一応、たてまえとしましては拠出の義務があるわけでありますが、ただ実務的に非常に零細な事業でございますので、徴収する金額以上に徴収コストがかかるというような場合もあり得るわけでございますので、そのような場合をどうするかは、これから政令の段階で関係各省と相談しまして、結論的にはできる限り各制度間のアンバラがないようなふうに運用してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#60
○藤原道子君 最後に大臣から御答弁を願いたい。
 それは心身障害児について、特別児童扶養手当法や、児童福祉施設の収容については二十歳までと年齢のあれがあるわけです。したがってこの児童手当法においても、ぜひこの特例の配慮を行なってほしい、行なうべきと私は思います。
 それから憲法二十六条の義務教育無償の原則は、教育基本法によって授業料負担ということで狭義の解釈を行なっているようでありますが、教育費負担の実情に照らして今後さらに改正するよう考えていただきたい。
 それから、きのう政府委員の答弁によると、児童手当における被用者グループの拠出制は社会保険とは解していないようであるが云々と言われているのですが、ほんとうにそのとおりと解釈してよろしいのかどうか。もしそうだとすれば、異質といわれる児童手当を社会保険である厚生保険特別会計に児童手当勘定を設けていることは私には納得ができません。それをどのようにお考えであるのか、この点お伺いしたい。
 それから大臣、私は、第三子からということには徹底的に反対でございます。結局、諸外国からうんとおくれて、経済大国といわれる日本で、北ベトナム並みなんということは恥ずかしいですよ。この点についての大臣の御答弁を伺って私の質問を終わります。
#61
○国務大臣(内田常雄君) 第一点の、児童が心身障害等の欠陥を持っております場合に、義務教育終了年限以上の年齢に達しても、その子供については特別の計らい、年齢延長等の計らいをすべきではないかという、こういうお説と私は承りますが、これは御承知の現在の特別児童扶養手当はそのとおりにいたしておることも御承知のとおりでございます。十八歳を過ぎましても、二十歳までの心身障害児につきましては特別児童扶養手当を出しておるわけでございますので、それとの関連上どうなるか検討すべき問題もあるように思いますが、私は、すべて社会福祉というものは、きのうも申し上げたのでありますが、できるだけそれを受ける人々の幸福のために運用さるべきだという考えの持ち主のつもりでおりますので、この問題につきましても、でき得る限りあたたかい方向で検討をいたしたいと思います。
 それから児童手当は、一体児童福祉の施策なのか、社会福祉の施策なのかあるいはまた社会保険の施策なのかと、こういう論議に次のお尋ねはなるわけでありますが、これは先ほども政府委員から述べましたように、主としてこれは社会福祉施策である、拠出金とそれから児童手当とが直接的につながりまする、給付と拠出の直接つながる社会保険の制度とは違う。ただ御承知のように、企業の拠出金制度というものがございますために、全くの社会福祉の施策ばかりだとは言い切れない面があるとも思います。しかし、それはそれといたしまして、これの勘定を社会保険庁で扱っておりまするいままでの社会保険等に関する特別会計の中に別口座を設けることにいたしましたのは、制度の本質からきているということよりも、全く便宜の処置である。特別会計を幾つも設けますよりも、手数を省いたり、人員を節約したりという便宜の処置であるというふうにお考えをいただきたいと思うわけでございまして、将来とも、児童手当というものは、健康保険やらあるいはまた厚生年金やらのように、社会保険の制度としてこれは拠出に直接結びつけるような方向で変えないほうがよろしいという私は考えを持つ者でございますので申し上げておきます。
#62
○喜屋武眞榮君 どうも途中で失礼いたしました。あと二、三残っておりますので続けたいと思います。文部省、ちょっと待っててくださいませんか、ちょっと関連がございますので。
 この社会保障諸制度の問題に触れる場合に、いつでも私考えますことは、本土でもまだまだ立ちおくれておるという全般の情勢だと、こう言われておりますが、特に沖繩と比較した場合に、もう全くこれはことばの表現はどうかと思いますが、天国と地獄、こういう差があると、こういうことをよく私言うのでありますが、それほど本土の犠牲におかれた沖繩の戦後の状態というのは、そのような状態である。その例の一つに扶養家族手当さえもまだ実施されておらない状態であるわけです。そこでひとつ扶養家族手当には、給料に対するいわゆる制限があるかどうか、支給制限があるかどうか、これが一つ。ところが児童手当には二百万円以上は支給しないという、こういうことになっておるわけなんですね。その一体実情は、私よく、沖繩にありませんので、十分調査しておりませんが、そういうこと、そうして扶養家族手当とこの児童手当との実際支給の場合のかみ合いの上でどういうことが大事な点であるか、問題点になるのであるか、そういう点ひとつお尋ねいたしたいと思います。
#63
○政府委員(坂元貞一郎君) お尋ねの趣旨がはっきりいたしませんでしたが、民間の事業所等でやっております家族手当等のことだろうと思いますが、そういう趣旨でお答えを申し上げますと、本土の場合は、民間の家族手当がやはりまだ相当残っておるわけでございますので、これは昨日、大臣からもお答え申し上げましたように、この児童手当制度とは一応別のものであるということでその間の調整はしない、こういうことになっているわけでございますが、いまお尋ねのように、民間の家族給付につきましても、本土の場合は、いわゆる管理職等にある方には民間の場合も家族給付というものが支給されないのが多いようでございます。私ども公務員の場合も一定の指定職と申しますか、そういうポストにある者には家族扶養手当というものは実は支給されておりません。そういうような実情になっておりますので、そういう一定の職にある、いわば高額の所得者にはこのような家族給付なり、扶養手当というのは本土の場合は支給されていない、こういうことで御了解をいただけますかどうか……。
#64
○喜屋武眞榮君 時間もありませんので、最後に厚生大臣、それと文部省に質問いたしたいと思います。
 きのう渋谷委員から、この法が沖繩との関連においてどうなるかというお尋ねがありましたが、私は、その御答弁に対して、非常に情けないといいますか、残念な思いをして実は聞いておった次第でございます。
 なぜかと申しますと、すでに立法の段階で、復帰も秒きざみで近づいておるわけでありますが、すでに諸法規の立法の段階で、この法が立法されれば復帰までの間は沖繩に一体どうすべきであるか、どうなるのか、復帰後はどうなるだろうか。すでに実態調査の上に立ってそれはこうするのだ、あれはこうするのだという、こういう明確な答弁があるべきはずなのに、きのうの御答弁の中で、日本の実情と違っているようでありますのでと、いかにもよそよそしいこのようなとらえ方で、沖繩の実情はよく知らないけれども何か本土と違っておるような状態にあるようでありますのでと、こういった情けない御答弁を聞きまして、実はまことに残念に思った次第でありますが、私が言いたいことは、実態はこうなのだ、沖繩についてもすでにこういうように調査しているのだ、そして復帰の時点まではこうするのだと、こういう考え方を持っているのだ、復帰後は当然このように右へならえするのだといった姿勢で、沖繩問題に絶えず関連づけて明確に答弁していただくことを私は期待しておったわけなんです。それをよそよそしく、いかにもこれから調査しなければわからぬといったような、そのときになればまた何とかなるだろうと、このようなたよりない、情けない御答弁があったことに対して私は非常に残念に思った次第であります。
 そのことについて、一体沖繩の実態についての調査をやっておるのであるか、これが一つ。それに対する大臣のはっきりしたひとつ御見解を承りたいと思います。
#65
○国務大臣(内田常雄君) おことばは肝に銘じてよく理解をいたします。こういう国民の、児童の福祉をはかります法律は、これはもちろん沖繩復帰と同時に、そのままもう全面的に沖繩に適用されるというたてまえであることは間違いございません。ただ、その際、拠出なり、市町村等を通じて支払う方法なりあるいはまた銀行、農協、そういうような支払いの窓口等の関係におきまして、むしろ沖繩の実態に即して便宜な方法をとる必要が出てくるものもあろうかと思いますが、あくまでもこれはもうそのまま沖繩県民の福祉のために本土と一体的に利用されるが、しかし手続、処理等につきまして、沖繩におけるその支払い機関、受給者の利便のために特別の経過的なあるいは例外的な規定を必要とするものがあれば、沖繩復帰前に、御承知のように、法令の適用関係をすべて総合して処理することにいたしておりますので、そういう際に、沖繩県の便宜のための処置を講ずる、こういう趣旨でございますので、御信頼をいただきたいと思います。
#66
○喜屋武眞榮君 もう一点、大臣にお尋ねしておきます、簡単に。先ほどの私の質問に関連がありますので。
 いま、世界各国で第一子から実施されておる国が五十カ国あると、こういうことでありますが、先ほどの話にもありますとおり、GNPも世界第二位だと言われておるわが国が、その五十カ国が第一子から実施しておるのに、わが国では第三子から始まる。こういうことに対して、将来に対する展望――第二子からはいつ、第一子からはいつと、こういった見通しを持っておられるか、大臣からお聞きしたがったんですが、急用があられるということですので、ひとつお答えを願いたいと思います。
#67
○政府委員(坂元貞一郎君) その前に、ただいま大臣もお答えいたしましたように、昨日の私の答弁は、あるいはことばが的確でなかったために、逆にとられたかもしれませんが、むしろ沖繩のために特例措置を設けていきたい、いろいろ便利な特例措置を設けていきたいという趣旨でお答えを申し上げたわけでありますので、あるいは逆におとりになったかもしれませんが、そういうふうに御了解願いたいと思います。
#68
○国務大臣(内田常雄君) そのことは、私がたびたび申し述べておりますように、現在としては第三子三千円、しかも一挙に義務教育修了前の児童まで及ばさないで、二年半の段階的なスケジュールで進みますけれども、これは私は大きく育てていきたいと、こういうことを申し述べておりますとおりでございますので、金額、対象等につきましても、その時点における、国民といいますか、政治意識の動向を考慮いたしながら前向きで処置していきたいと、こういう考え方を持っておるものでございます。
#69
○喜屋武眞榮君 それじゃ、文部省に最後にお尋ねいたします。
 学校給食に関連しまして、いま沖繩では、社会保障制度全体で、本土との格差がある中で、福祉面はさらに格差がある。その格差をさらに、強い者は弱い者に、おとなは子供へ、健康な者は病人にと、そういう形でしわ寄せがあるわけです。そういうことで、児童生徒の福祉面が本土に比して非常に立ちおくれておる。これは厚生大臣の立場からもいえるわけでありますが、その中でひとつ先ほどお尋ねの学校給食−実はこの沖繩における学校給食は、私が保健体育課長時代に始めたものであるわけでありますから、よけい私そういう意味で責任も関心も持っておるわけなんです。ところが復帰に向けてのいろいろの不安が一ばい沖繩にはありますが、児童生徒の教育面からの不安の一つは、学校給食が復帰した時点で――いま、沖繩ではパンの原料のリパック物資をもらい受けてパンとミルク、それから副食物については給食センターで協力してやっておりますが、復帰した時点で一体そういう学校給食はどうなるか、こういう不安を非常に強く持っているわけなんです。そこで、復帰しても、その学校給食が前進はあっても後退がないように、少なくとも現状維持をこれを国の責任においてやってもらうべきであると、こういう強い要望、これはもう教育関係、それから父兄、関係市町村の自治体の会合でも、あらゆる機会でこの問題が出て決議されるわけでありますが、それに対して文部省としてどういう見解を持っておられるか、伺いたい。
#70
○説明員(柳川覚治君) 御指摘の点につきましては、私どもも当初より検討を加えておりまして、沖繩復帰対策の第一次要綱の中におきまして、すでに沖繩における、従来パンとミルクが無償で供給されておる、そのことを国の責任で継承するということを第一次対策できめております。したがいまして、その面での心配はないようにしていきたいということを考えておる次第でございます。
 それから、おかず等も含めまして沖繩の給食につきましての現状、それからそれの実態認識の上に立ちました特別な施策につきましては、現在種々検討中でございまして、実は私も現地に参りまして、現地の皆さまと十分打ち合わせをしてまいった次第でございますが、沖繩の給食がある面では本土に比して進んでいる点もありますし、その点は進めていきたい。たとえば準要の児童生徒に対する施策等が行なわれております。その点はさらに進めていくというような実態に即した措置を鋭意進めてまいりたいという考え方を持っている次第でございます。沖繩の復帰後の児童生徒を強く育てる意味で、給食の実現に努力してまいりたいという考え方であります。
#71
○高山恒雄君 大臣に御質問申し上げたいのです。
 先ほどからいろいろ御質問が出ておりましたように、長年の懸案でありました児童手当の法案をこの国会で提出を願って、大臣の今日までの努力に対しては敬意を表したいと私は思います。ただし、その内容の問題ですが、あまりにも国民が期待した内容とかけ離れておるのではないか。と申しますのは、この実施にあたって、来年の一月から五歳未満をやる、八年度から十歳未満をやる、さらに十八歳未満は四十九年度だと、こういうことになるわけなんですが、私は、毎年また臨時国会も開かれるのでありますから、こういうぬか喜びのような法律を国民にやってはいけないと思うんです。それは先ほど申しますように、期待をしておっただけに、これではあまりにも不公平だ。老齢年金ともう一つ違うところがあると思うんです。お互いに年をとって、これをもらいたいのは当然でございましょうけれども、年をとれば、できるだけ年をとりたくないと思うのが人間の心理です。ところが子を持つ親としては、少なくとも、この子供が五歳まではもらうけれども、あと二年間で年限も切れた、したがって要件を欠いて該当者にならなかったのだと、こういうことになるわけです。こういう点を考えてみますと、立法機関であるわれわれ議員として、あまりにもぬか喜びの法律をやるのも国民を軽視したことではないか、むしろ、毎年開かれるのでありますから、あるいは臨時国会でもできるのでありますから、むしろ基本をつくるならば、それから是正をして、そうして該当者をきめていくというほうが正しいではないか、私は基本的にそういう考え方を持つわけです。道を開いていただいたということは、私も賛成をいたしますけれども、あまりにも期待にはずれた法案ではないかと、そうして国民のこの期待が何ら喜びに至らないまま済んでしまう人もある。こういう点を考えますときに、この内容の点について私は不満を持つものであります。
 特にこの点を指摘したいのでありますが、家庭生活の安定をさせ、児童の健全な育成と資質の向上をはかるためだと、こういうふうに言っておられる。しからばです、家庭生活の安定ということを基礎にするならば、なぜせめて五歳を六歳にしなかったか。初めて子供が幼稚園を出て、そうして学校に入学をしようというときには多くの負担が要る。せめて六歳にすべきではなかったか。もう一つ、十歳は十二歳にすべきではなかったか。こういう基本的な理念に基づいて法案をつくるとおっしゃるならば、私は、せめてそういうことを考えてもらいたかったと思うんです。いまここで修正をするというわけにはいかないでしょうけれども、この点はあまりにもその考え方が、何と申しますか、国民の該当者に対する考え方が十分でないということを私は指摘をしておきたいと思います。
 なお、もう一つ、これは大臣に御質問申し上げたいんですが、昨日の報告を聞きますと、事業家が四百七十億、国が四百二十億、こういう数字を言っておられますが、この内容でお聞きしたいんですが、企業家の負担というのは、労働者全体の一人当たり何ぼという徴収方法をお考えになっておられるのか、あるいはまた現段階においては三子以下でありますから、三子を持っておる人だけの負担ということで徴収をされるのか、徴収方法がいかにあろうとも、企業家が負担する金というものはどういう方法で負担をさせられるのか。この点をお聞きしたいと思うのです。
#72
○国務大臣(内田常雄君) これは、まあ俗のことばになっていつも恐縮いたしますが、この出発にあたりましては小さい姿で出発いたしますけれども、二年半ののちには、三人以上の子供がある限りは、義務教育終了前の児童まで対象として児童手当を受けられるということに成長させたいと、さらにそればかりではなしに、金額三千円というものも経済事情の発展に応じて増額することあるべしという意味の規定までも法律の中に載せてございます。ただし法律の中に、藤原先生からきびしく御批判がございましたように、将来、第二子にする、第一子にするということあるべしとは書いてございませんが、これはそのときのこの制度に対する国民の意識の成長に応じて、これを一子まで持っていくのがいいのかあるいは他のなすべき児童福祉の具体的施策を先にすべきがいいかというような御論議も国会で行なわれると思いますので、そういう国民的な考え方の動向に応じて私は充実させてまいりたい、こういうことで御理解をいただきとうございます。
 それから二番目のお尋ねの拠出金は、会社の拠出額全額といたします場合に、国よりもはるかに小さいことになります。この二年半後の満額に達します際には、国庫負担が四百二十三億で企業の拠出額は百九十四億、地方公共団体の拠出額が二百五十億ぐらいになるわけでありまして、企業の負担というのは、いま申すような金額でございますから、高山さんの申された数字とは少し違うようでございます。
 ただし、この拠出のしかたでございますが、これは各企業における従業員のうち、三子――子供三人以上を持つ、その数に応じて企業から負担をしていただくのではなしに、従業員が子供を持っておりましてもおりませんでも、企業の負担というものは、企業における人件費の総額等を考慮いたしましてきめてまいる仕組みでございます。おおむね各企業の給料総額の平均をいたしますと、初めは千分の〇・五ぐらいでございます、五歳以下の児童を対象といたします今年度、明年度におきましては。これが満額に達する場合におきましても、千分のたしか一・二という程度の比較的軽微なものでございます。ただし、これはここまで申しますと、お尋ね以外のことにわたるかもしれませんが、金融機関とか、百貨店とかいうところは、子供を持たない女子従業員などが非常に多いわけでございますので、拠出金のほうは、いま私が申しましたような程度の拠出をするが、その受けるのは、必ずしも自分の企業の従業員には返ってこない。もっと子供をたくさん持っておるような高年齢の従業員をたくさん雇用しておる企業のほうの従業員のほうにいくかもしれない。こういうようなこともありますが、全体の平均としては、いま申すようなことになるわけであります。そういうことも含めましていろいろの論議をいたしました結果、こういうことでおさまったというふうに御理解をいただきとうございます。
#73
○委員長(林虎雄君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#74
○委員長(林虎雄君) 速記を起こして。
#75
○高山恒雄君 この十八歳未満ということになりまして、長男はまだ高等学校に進学しておる、長女は十五歳でもう働きに出た、中学校を卒業して。その場合は、その三子に対しては該当者として当然支給されるものと私は思いますが、そう考えて間違いないかどうか、この点。
#76
○政府委員(坂元貞一郎君) 一番上の長男が十八歳未満、それから長女とおっしゃいましたが、次男が十五歳、義務教育を終了した、働きに出ている、それから一番下の、何と申しますか、三男が初年度でございましたら五歳未満でございますので、五歳未満だ、こういうようなケースの場合に、その二番目の次男なりあるいは長女が働きに出ているかどうか、そのこととは私ども今回の児童手当とは直接結びつけておりません。したがいまして、一般的には、かりに中学校を出て、高等学校に行かないでそのまま就職している場合も若干あるわけでございますので、そういう場合でも、やはりその父なり母が、この法律に書いてありますような要件に合致している子供を監護し、生計を同一にしているという、こういう実体である限りは、就職等とは直接結びつけないで運用してまいりたい、このように考えております。
#77
○高山恒雄君 したがって、十八歳未満であれば、三人働こうと四人働こうと――いま標準家族は大体子供一・九、二ぐらいしかおりませんね。けれども、多くつくる人は五人も六人もつくっている人があるんですよ、まれでしょうが。したがって、十八歳未満で、十五歳で大体就職する人が二人なり三人ありますね、かなりの収入があると思うんですが、そういうものは度外視して、とにかく十八歳未満の場合は、いわゆる戸籍上いう三子、四子であろうとみな出すのだ、こういうふうに解釈してもよろしゅうございますね。
#78
○政府委員(坂元貞一郎君) この法律の四条に要件を書いてございますが、監護なり生計を同一にしているという要件の解釈の問題になりますけれども、私どもは、結論から申しますと、一般的には、いまおっしゃったような場合には支給の対象になると、要件に合致いたします限りは、子供の就職等とは直接結びつけないで考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
#79
○高山恒雄君 したがって二百万円以下というのはそこの父母の収入をいうと、こういう解釈でよろしゅうございますか。
#80
○政府委員(坂元貞一郎君) 養育者、普通の場合は父母、例外的にいろいろおじいさんなり何なりがお孫さんを三人以上養っているという場合もありますが、そういう養育者の本人の所得でございます、二百万という制限は。それを本人の所得を見まして、二百万かどうかによって所得制限をするかせぬかをきめる、こういうことでございます。
#81
○高山恒雄君 先ほどの企業負担の問題について大臣にさらに質問しようと思いましたが、大臣も見えませんからお答え願いたいと思いますが、三子以下全部支払いをするという場合の企業家の負担というのは、千分の一何ぼですか。
#82
○政府委員(坂元貞一郎君) 四十六年度、つまり明年の一月から実施するわけでありますが、明年の場合は、第一段階として千分の〇・五ぐらいの拠出金率になります。これが四十九年度のいわゆる段階実施が一応終わるという時点での料率になりますと、先ほど大臣申しましたように、千分の一・二ぐらいの料率になると思います。
#83
○高山恒雄君 いまの日本の――企業によって変わりますけれども、労働者一人あたりの年間付加価値というのを調べられたことがありますか。非常にいい産業と悪い産業を例にとって調べられたら、ひとつ報告してみてください。労働者一人当たりの付加価値。
#84
○政府委員(坂元貞一郎君) いま手元にそういう適切な資料ございませんのでお答えできませんが、もし関係各省等に照会しまして、適当な資料ございましたら提出をさせていただきたいと思います。
#85
○高山恒雄君 私は、企業によって違いますが、この一・二の負担というのは、よう了承されたなと思うんですが、先ほどの大臣の答弁で、全従業員を対象とする拠出金だと、こういうふうにお聞きしましたから、ある程度私としては、そうならなければならぬと、こう考えたわけですが、しかし国の負担よりも企業の負担が多くなるというようなことになりますと、これは私はたいへんだと思うんです。いま、大体、新しい高卒の子供を雇用して、一年間の付加価値は十五万です。二年目から二十三万ぐらいになります。それをこの児童手当でそれだけ負担をするということになりますと、いい企業の場合は、私は、さほど影響はないかと思いますけれども、非常に付加価値が少ない企業がいま日本にもあります。それまで負担をさせるというようなことは、この児童手当の趣旨から考えてみても、私は妥当でない、こういうふうに考える。これをもし、しからば該当する人を雇用した場合に、事業家が負担するということになれば、今度はそういう世帯持ちは雇用しないということになります。両方から考えてみざるを得ないと思うんです。いま法律ではそうお考えになっておるでしょうけれども、実際問題として、これをやられる場合、今日の産業の付加価値の面から見て、ほんとうに経営者が納得した数字で一・二を支払うことができるのかどうか。膨大な金になるんじゃないかと思いますが、この点ひとつ大臣の自信のほどを、われわれが納得ができるような御答弁を願いたいと思うんです。
#86
○国務大臣(内田常雄君) 先ほど私が申し上げたのもその点でございまして、総額といたしましても、これは国庫負担が一番多いわけであります。約九百億円の給付総額のうちで、国が負担する分が四百二十三億円。パーセンテージにいたしますと、四七%余り。それから企業が拠出いたしますのは百九十四億円で、二一・七%、こういうことでございますので、高山さんがおっしゃったように、企業負担のほうが国より多いということではございません。
 第二点につきましても、私が申し上げましたとおり、子供を三人以上持たれる従業員を雇い入れると、それに相応する児童手当の負担金がその企業にかかるのではなしに、その児童手当対象の子供のあるなしにかかわらず、各企業からの拠出金と、こういうことにいたしておりますことを申し上げまして、御理解をいただきたいと思います。
#87
○高山恒雄君 いや、私は大臣の先ほどの答弁で一応わかってはおるんです。わかってはおりますが、こうした政府の負担とおっしゃるのは、国家公務員も含めると、政府が雇用主です。それを含めての話でしょう。私は区別をしていただきたいことは、国が雇用関係を持っておる国家公務員の立場からの政府の負担というものと、純然たる民間産業の負担というものは違うはずです。これは一方は営利会社です。国は日本の税金でまかなっておる。そういう点を明らかにしてもらわないと、この問題は、ああ、そうだなというような感じを私は受けないんです。
#88
○国務大臣(内田常雄君) たまたま私はここに数字を持っておりますが、先ほどの国庫負担四百二十三億円のうちで、国が事業主の立場に立ちます国家公務員に属する児童手当の分は二十一億円でございます。でありますから、国が事業主の立場の二十一億円を差し引きましても、国の純粋の負担というものは四百億余りになるわけでございまして、やはり四十何%は国が持つ、こういう数字が出ております。このことは将来におきましても、いまも高山さんのお説は私もよくわかっておりまして、企業のふんどしで相撲をとればいいということではない、私は、これは社会福祉の制度でありますから、国がやはりあくまでもその姿勢を示すと、こういうことでいきたいと考えておりますことは、先ほどもちょっと申し上げたとおりであります。
#89
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 児童手当法案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#90
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#91
○山崎五郎君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、各派を代表いたしまして附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。

 以上であります。
#92
○委員長(林虎雄君) ただいま山崎五郎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 山崎君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#93
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
#94
○国務大臣(内田常雄君) 多年の懸案でございました児童手当制度の創設に関するこの法律案につきまして、ただいま全会一致をもって御賛成いただきまして、まことにありがとうございました。
 ただいま御決議がございました附帯事項につきましては、私どももその趣旨を尊重いたしまして、極力誠意をもって対処をいたしてまいりたいと考える次第でございます。
#95
○委員長(林虎雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後二時まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十二分開会
#97
○委員長(林虎雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#98
○小野明君 先般の五月十四日に、厚生省が老齢者対策プロジェクトチームというものをおつくりになりまして、中間報告といったものをまとめられて発表をされておるわけですね。これは予算委員会等でも大臣が答弁をされております老人対策の総合的な施策というものと受け取られるわけですが、老人福祉の総合対策というものについてどのようにお考えになっておるのか、総合的にひとつ最初にお述べをいただきたいと思います。
#99
○国務大臣(内田常雄君) 老人福祉対策というものは、いまや国民的な課題あるいは政治の重要な課題でありますことは、たびたび私どもお互いの間で、当委員会であるいは本会議等におきましても問答をいたしてまいりましたので、それは私はもう既定の課題であると心得まして、それの取り組み方というものをどう取り組んでいくか、こういうところから厚生省の中に老人対策のプロジェクトチームというものをつくらせまして、そして総合的な検討をさせておるわけでございます。
 それは私どもの役所の内輪のことになりますが、たとえば年金は年金局でありますとか、あるいはまた老人医療はこれは保険局になりますとかというようなぐあいに、所管がそれぞれ分かれております。年金は年金局、しかも老人のいろいろな施設は社会局というようなことでございまして分かれておりますので、この際それを関係の仕組みを総合的に一本にして、そして全体としてどういう角度でこの問題を取り上げるかということでプロジェクトチームをつくったわけでございますが、五月十四日のその書類というものは、発表をいたしたわけではございませんで、私が大臣といたしましても、一体どの程度進んでおるのか、どういう取り組み方をしているのかというふうなことをそのプロジェクトチームの当局に一覧表の提出を求めた、その資料でございます。でございますから、一つの案にはなっておりませんで、取り組み方がA方式、B方式、C方式というようなぐあいに、たとえば老人医療対策だけを取り上げましても、いろんな方式をきめかねておるその幾つかの方式をそこには並べておるわけでありまして、それを皆さま方の御意見も聞いたり、また、いま自民党政府でもございますので、そういう意味から申しますと、自民党方面の意見も聞いたり、あるいはまた大蔵省を牽制をしたりしながら、おおむね概算要求の時点までには発表ということになりますか、ひとつ大蔵省牽制の大きな旗ぐらいにはしたい、また世に訴えるというようなことに間に合わせようと、このように考えております。
 その際、やはり幾つかの柱がこの老人対策の中にはあるわけでありまして、年金の問題あるいは就労の問題、それから健康や医療の問題、住宅と老人ホームの問題、さらに定年制とか、老人の生きがいや仕事の問題というように、物心の両面にわたる対策が老人対策の中にはなければならないと考えまして、それぞれの面から取り組ませておるわけでありますが、しかし、その中で何が重要かというと、私は、やはり老人医療対策と、それから老齢福祉年金の充実の問題と、もう一つは、家族の親に対するといいますか、老人に対する扶養意識の維持というようなことのために、税制につきましては、たとえば老齢者の扶養控除制度というようなものを、いまの家族扶養控除のかわりに老齢者扶養控除の制度というようなものを設けてまいることと、それからさらに老人ホーム、特別養護老人ホームにいたしましても、一般の養護老人ホームにいたしましても、あるいは若干の費費を出していただく経費老人ホームにいたしましても、いまの状態で過ごせないと考えますので、そういう老人ホームの整備促進ということが特に大事なことだと考えますので、そういう方向でこの老人対策のプロジェクトチームをまとめてもらうように、先般も私の意見を述べた、それが一部の報道機関に伝わったことかと思いますが、以上のような考え方でございます。
#100
○小野明君 これが発表されまして各新聞も――毎日も、読売も、東京もあるいは日経もずっとこの構想をピックアップしております。それで一つは、柱になります問題は、当然医療の問題ということになりますが、この構想でいきますと、何も年齢というのは書いていないんですね。そこで、大体、老人医療については何歳からを無料にするおつもりであるのか、それはどういう具体的な計画であるのか、その点をひとつお尋ねをしたいと思います。
#101
○国務大臣(内田常雄君) おっしゃるとおり、私どもの現段階におきましては、老人医療対策につきまして、やり方といたしますと、保険給付で老人については特に厚くしていくということも考えられないわけではないが、私は、世間の理解を深めたり、それから諸般の関係から、できるならばやはり公費医療としていまの保険医療の上に積み上げていく、つまり無償で積み上げていくという考え方をとりたいわけでありますが、その際、医療保険における保険給付とのつなぎ合わせの問題などを考えますと、少なくとも七十歳以上の老人に対しましては保険プラスの公費医療という制度をもって老人医療の無料化ということを実現したいと、こう考えております。何か私も新聞で見て少し気にさわった点がないでもございませんが、私どもの考え方をさらにいろいろくだいて、先ほどの児童手当の構想をそのまま移したようなことで、小さく生んでだんだん年次計画で育てるというような意向をさっそく応用されたようなところもございまして、何かもっと高い年齢から始めるというような案もあっておりますが、それはよその人の言うことでありまして、私ども厚生省、また特に私は厚生大臣といたしましては、少なくとも七十歳からということでこの考え方の旗を立ててみたいと思っております。
#102
○小野明君 上積みと言われますのは、結局、国民年金にしても、それから一般の社会保険にしましても、自己負担分がある。それを公費で負担をする、国で負担をする、そういう意味ですね。
 それで、七十歳以上といいますと、これは、実現の、実施のめどというのはいつごろになるわけですか。
#103
○国務大臣(内田常雄君) これは、私どもが紙の上に要綱を書いただけでは実現されるわけではありませんで、どうしても予算の裏づけが必要であります。そこで、私は厚生大臣でございまして、幸い大蔵大臣をかねておりませんから、けちなことや、小さいことは言わないつもりでおりまして、私としては、やるなら初めから七十歳でやってくれと、こういうことで持ち込みたい。しかし、先ほど児童手当その他の社会福祉、社会保障などの面についてもいろいろ御要求もありますものですから、大蔵省がどんな顔をするか、問題はもちろんあるのでございますが、大蔵省の顔色を見ないことにいたしております。
#104
○小野明君 それは当然そういうことであってもらわないと困りますが、そうしますと、前の御答弁から推定をいたしますと、大体予算編成期までにまとめると、こういうことでございますから、来年度からの実施と、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
#105
○国務大臣(内田常雄君) 私は、そういうことで概算要求を持ち込むつもりでおります。なおまた、小野さんもたいへんよく御理解をいただきましたように、保険給付の自己負担分を公費医療をもって置きかえると、負担をすると、こういう考え方がよかろうと私は思うわけでありますが、その際、あなたが御指摘になりました国民健康保険の老人をも含む家族の医療給付割合は七割でございます。ところが社会保険、今度のあの健康保険法の改正案などの対象になっております家族は、老若を問わず家族給付は五〇%でございますので、そこで、できますことならば、社会保険においても七十歳以上の老齢者については、これを保険で七割までは見るという制度に改善をさしていただきまして、そして国民健康保険も健康保険も、老人については保険で七割給付があって残りの三割の自己負担分を、それを公費医療ということで処理したいと、こういう実は考え方も持ちまして、健康保険法の改正案に触れましておそれ入りますけれども、そういう実は私の下心もあるわけでございます。でございますのでその辺が今度の健康保険法とのつながりをどうするかということ、きょうの時点では小野先生の属する皆さま方のお考えも、それはよろしいと、こういうことになってきていないようでございまして、心配している面も実はございます。
#106
○小野明君 それは国民健保の七割というような、健保と一緒にからんでこれもやれということでは困る。それはもうどうなろうと、きちっと上積みという制度でやっぱりやってもらいませんと、これは困るわけです。私は、そういうふうに受け取っております。
 それからもう一つは、この二番目の柱にあげられております所得保障の問題ですね。これはまた、いまおっしゃいました老齢者扶養控除制度等いろいろな考え方が盛られておるようですが、これをさらに御説明をいただきたいと思います。所得保障全般について、老人のですね。
#107
○国務大臣(内田常雄君) 老人の所得保障には、もう御承知のように、拠出制の年金制度、これがことしの五月、もう今月から始まるわけでございまして、それはいわゆる経過年金で、十年年金でございますので、一カ月五千円ということで始まります。掛け金は月四百五十円のはずでございますが、それは、これが二十年年金になります場合には、御承知のとおり、昨年の改正で夫婦で二万円年金というようなことになることも御承知のとおりでございます。ところが、もう一つのほうは、その拠出制の年金が発足しました際に、すでに年をとっておってその年金に加入することができなかった方々もおるわけでございまして、若干、年限を五年などに縮めるようなことも拠出制の年金の改正案にあとから入れまして、できる限りその拠出制のほうに入っていただくような便宜を講じましたが、それでもやはりそれに加入し得ないような方々に対しましては、いわゆる老齢福祉年金が出されておるわけでございますが、このほうは今度国会に提案いたしまして、先般御可決をいただきました法律の改正によりまして月二千、三百円と、こういうことになります。でありますから、ことしじゅうに掛け金をされた方は五千円の方と、それから掛け金をされない二千三百円の方があるわけでございまして、同じ老人でありながら、まあ拠出の有無はありますけれども、五千円の老人と二千三百円の老人とあるということは、私は、老齢者の気持ちから考えますときに、その環境から考えますときに、必ずしもいい姿ではないような気持ちも、正直に申しますと、いたします。でありますから、できる限りこの二千三百円というものを拠出制の金額に近づけることをやるべきだと私は考えるものでございますので、具体的的にずばり申しますと、五千円に近い数字を目標としてこの掛け金なり、福祉年金もそこまでひとつ到達さしたい、こういうことを念願いたしております。
#108
○小野明君 それから老年者の扶養控除の問題ですね、これにも触れられておりますが、これについては税制上の問題としてまだ具体化はしておらぬわけですか、どういうふうにやるかということは。その点はまだですか。
#109
○国務大臣(内田常雄君) これは実は私どもは今度初めて取り上げますことではございませんで、もうすでに前のときから老齢者扶養控除、つまり所得がある老人ではなしに、家族として老人をかかえる場合に、一般の扶養控除とは違った控除制度を設けてほしいという希望を税制調査会あるいは大蔵省等に持ち出しております。いま御承知のとおりに、所得税法におきましては家族控除の制度がございまして、老若を問わず所得のない人、まあ厳密に申しますと、その所得がきわめて少ない家族につきましては、たしかことしの改正で十三万円になったと思いますが、十三万円の家族扶養控除というものがあります。でありますから、親を扶養しております一般の所得者は、そういう意味におきましては、もう老人扶養控除もあるわけでありまして、現行の控除制度というものは、必ずしも児童とか未成年とかいうものを対象にするだけにとどまっておりません。ところが私どもの希望は、子供を親がめんどうを見ることはもちろん当然でありますから、いまのままの税法上の扶養控除にしても、最近は、子供たちが親をうとんずると言ってはいけませんけれども、親たちとは違った世帯を持ち、本人と子供の世帯と、それから年老いた親だけの世帯が別のような、いわゆる核家族というような状況が多く出てきておりますので、それもよろしいかもしれませんけれども、私は、できるならばやはり世帯主が親も一緒にめんどうを見ていくという制度もくずさないほうがいいと思いますので、所得者は自分の子供を扶養している場合よりも一そう濃厚な姿で親などの老人を扶養する場合には税法上の控除を認めてやるべきではないか、こういう角度から大蔵省にも要求してまいりました。実現を今日までそのままの形ではいたしておりませんで、昨年から、たいがい老人はどこかからだに故障が生ずる場合も多いわけでございますので、大蔵省は老人扶養控除の制度としては設けないけれども、現在あるところの障害者控除という制度がありますので、年とった者でからだの不自由な者はその障害者控除をもって論じようと、こういうことで、ある程度からだが不自由になっておる老人につきましては、障害者控除ということで控除をされることになっております。しかし、これはまあ老齢者必ずしも障害や、からだが不自由ということでもございませんで、ますます老齢者は元気で生きがいを持って社会的活動もしてもらうという私どもの考え方からいきますと、いまの障害者控除をもって論ずるだけでは十分でないと考えますので、私は、やはり一般の扶養控除や、障害者控除とは別建ての、一定年齢以上の親に限らず親族を扶養される場合には、特別の扶養控除をすべきであるという制度を今度の老人対策の一つの柱として、あらためてひとつ税制調査会なり大蔵省に持ち込もうと、こういうことでございます。
#110
○小野明君 ぜひひとつこれは推進をしてもらって、大幅な控除というものを実現していただきたいと思うんです。
 それから、この問題については、さらに定年制の問題にも言及されているわけですね。これは直接のものといえば労働省になるかもしれません。しかし定年制というのは、やっぱり政府全体としてどうするかという点をとらえなければならぬ問題ではないだろうかと思うし、この年金の受給開始年齢というものと、いまの世上多く行なわれております五十五歳定年との間に五年のブランクがあるわけです、大きな。これにも触れておられますが、この定年制についてどのようにお考えであるのか、そこに大きなポケットがあるとするならば、年金受給開始年齢というものをその実年齢まで引き下げていく、そうして所得の陥没といいますか、所得能力がなくなったというものを埋めていく、こういう制度が必要ではなかろうかと思いますが、この点をひとつお聞かせいただきたい。
#111
○国務大臣(内田常雄君) 結論だけ率直に申しますと、これは年金制度とのつながりにおきましても、またいわゆる老齢者の社会活動能力からいいましても、私などの考えでは、五十五歳というような慣例がもしあるといたしますならば、もう少し、これは最近における社会人の活動能力の健康などの状況あるいはまた人々の平均寿命などが伸びていることなどから考えましても高くあってしかるべきではないか。ことに経済の発展により労働力需給が逼迫してきておる事態もございますので、これから先は経済が安定成長だそうでございますけれども、それにいたしましても、五十五歳の定年制というのはいかがかと思います。しかし、最近一般の企業などでも、五十五歳の慣例ですか、そういうものはだんだん伸びつつあるようにも私は考えておりますので、これは人によって違いはあるとは思いますけれども、社会的な活動を続けられる年齢の考え方として、今日よりもより高いものをとり、他のことばでいうと稼動能力を喪失する年齢というものは五十五歳よりももっと上であると考えて、そうして老人対策、年金対策なども進めていいのではないか、そのように考えます。これはしかし他の面がいろいろございますので、私などが断定的に申し上げていいのかどうかわかりません。地方公共団体等におきます職員の膠着状態等の問題も別にございまして、御承知のように。地方等で改正が企図されたことなどもありますが、それはそれといたしまして、一般には以上のように思います。
#112
○小野明君 それで、今度は年金の問題ですが、財政再計算が厚年で四十九年、国年で五十年ですか、いまの経済状態、物価の上昇から見ますと、この法案にも書いてありますように、非常に長過ぎると思いますね。これをやっぱり物価の上昇にも合わせましてさらに早めていく、こういうことがぜひ必要ではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
#113
○国務大臣(内田常雄君) 私は、いまの厚生年金、国民年金における財政再計算の節につきましては、これはまあ少なくとも五年を下らざる期間という表現だったと思いますので、それは五年でも四年でも、そのことはそれでいいと思います。というのは、御承知のとおり、アクチュアリー計算によりまして、単に年金給付の額がそのときの物価なり、生活水準と比べて適当であるかどうかということを見るだけではなしに、掛け金との関係あるいは積み立て金全体の予定利回り等々の関係を精算をして、そして掛け金や、積み立て金の問題をも含めて再計算をするのが少なくとも五年に一ぺんということでありますから、これを毎年でなくても一年置きとか二年置きとかいうことに縮めなくても、問題は、いまのいわゆる二万円年金、厚生年金でも国民年金でも二万円年金と言われておりましても、それをもらう時点における物価の状況、生活水準の状況等から見て、それが適当でない場合には、財政再計算期でなくても、その面だけ、給付額の面だけ、他のことばで言うとスライド制というようなこともよく言われますが、自動的なスライド制でなくても政策的スライド、政策判断スライドというようなことをやればいいんじゃないか、またそれはもうやってしかるべきだ、こういうふうに考えます。今度の法律案がまさにそれでございまして、一昨年、財政再計算等の根拠に立ちまして、いわゆる二万円年金ということに厚生年金もいたしたわけでありますが、しかし、次の四十九年を待つことなしに、ここでひとつ中間的な財政再計算ではない給付の改善というものに手をつけてみよう、それはいいことだという皆さん方から御判断をいただきますならば、これは来年、国民年金についても同じような方途をやったらどうだろうか、また今後も今回やるような制度を――今回は定額部分につきまして一五%の引き上げということ、全体所得比例も合わせますと一〇%程度の引き上げでありまして、それがいいか悪いかという問題はありますけれども、考え方としてこういう考え方をお認めいただきたい、それがこの事態に合うんじゃないかということで今度の法律を思い切って出さしていただくことにいたしたわけでございますので、その考え方をもってお答えにさしていただきたいと思います。
#114
○小野明君 それでは、年金の多少具体的な問題に入りたいと思いますが、最初に五人未満の事業所の従業員に対する適用の問題でございます。これは午前中も、藤原委員のほうから出ておった問題なんですが、労働省の失業保険とか、それから労災では四十三年から順次適用しておる。ところが厚生省所管の健保、厚生年金については、いまだその適用を見ていない。これは四十四年に、厚生年金の改正の際に適用事業所の範囲拡大という問題について調査研究をするということになっておるようです。これは一体どうなっておるのか。なぜ適用しないのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
#115
○政府委員(北川力夫君) お尋ねの五人未満の事業所の適用につきましては、実は厚生年金にいたしましてもあるいは健康保険の場合にいたしましても、被用者保険として多年の懸案であることは、御指摘のとおりでございます。五人未満の場合におきましては、やはりその事業の形態が、御承知のとおり、非常に零細なものが多うございまして、実際上の雇用関係の判断でございますとか、あるいは保険適用の一番基礎になります雇用実態の把握といったことが相当困難なものが多い実情でございますので、現在までのところ強制適用というところまで踏み切ってないような次第でございます。
 しかし、いまお話に出ました失業保険あるいは労災保険と異なります点は、五人未満の事業所の従業員でございましても、年金のサイドにおきましては、やはり国民年金が適用になっておりまして、そういう意味におきましては、一応皆年金体制の中に入っておると言うことはできょうかと思います。ただ厚生年金と国民年金とでは、これまたお説のとおり、給付の面でも相当な格差もございますから、また五人未満の従業員でございましても、被用者であるということには変わりはございませんので、そういった意味におきましては、被用者サイドで問題を処理していく、こういうことがより好ましいことは当然かと思います。そういうような経緯もございまして、また国民年金ができ上がっているというふうな現状もございまして、現在のところ、五人未満の事業所につきましては、できるだけ任意包括適用という制度がございますので、そういった制度を円滑に適用するように、その制度を活用するように処理しているような次第でございます。
 また第二の、前回改正の際に入りました五人以上の従業員を使用しております適用事業所についての適用事業所の範囲の拡大でございますが、これは大体現在におきましていろいろ検討、調査をやっているわけでございますけれども、これもやはり先ほど申し上げましたように、現在適用しておりません業種と申しますものは相当に零細なものがあり、また労働力も家族に依存をしておるとかあるいは出入りが多いとか、そういったものもございますので、非常にむずかしい問題をかかえております点は、五人未満の事業所と同様な点があるわけでございます。したがいまして、現在、もとよりそういった法律の規定がございますので、できるだけこの方向に沿って努力はいたしておりますけれども、さしあたり現在におきましては、先ほど申し上げました任意包括適用という方法でもって、かなりの数のものをこの関係の適用として実際上運営いたしております。今後も、いまお話になりました法律規定の措置につきましては十分に検討いたしますとともに、いま申し上げました現行の任意包括適用制度の活用ということをこれまた十分に考えていきたいと、かように考えております。
#116
○小野明君 五人未満の事業所については、実態把握というものができていないんではないですか。
#117
○政府委員(北川力夫君) 大体、私ども現在の段階で、大ざっぱな計算でございますけれども、五人未満の事業所統計調査報告から推計しました五人未満の数は、事業所の数にいたしまして百三十五万、被保険者数にいたしまして二百八十万程度というふうに考えております。
 それからこの中にもいま先生からお話がありましたように、業種として適用される、五人以上であったならば適用されるであろう業種と、それから適用業種からはずれております非適用業種がございますので、この二つに分けて申し上げますと、適用の対象になり得るものといたしましては九十四万事業所二百万人、非適用が大体四十一万事業所七十七万人程度、こういう数字でございまして、非常に大ざっぱな話でございますが、合計いたしますと、大体一事業所当たり被保険者数は二・一人というような、そういう推計をやっております。
#118
○小野明君 いまの社会保険事務所の事務能力というものに、もう限界がきておるんではないかという感じもいたすわけですが、その点はどうですか。
#119
○政府委員(八木哲夫君) 現在、社会保険事務所二百二十ほどございますが、先生御指摘のとおり、被保険者数の増、業務量の増というような事情もございますし、あるいは一方では定員削減というようななかなかきびしい情勢でございますけれども、できるだけ業務量の増等に対応いたしまして、人員の確保なりあるいは事務の合理化、簡素化、能率化、こういう方向で対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#120
○小野明君 先ほど大臣に定年制の問題についてお尋ねをいたしました。大臣の御答弁というのは、もうちょっと引き上げてくれるようなことを希望するようなお話でございましたが、五十五歳というのは民間はほとんどなんですね、いま。民間はもうほとんどなんです、定年というのは。それで、在職老齢年金で六十歳ということになりまして、再雇用の道もありますけれども、これは総評が調査をいたしておりますように、もう再雇用になった場合には収入が半分以下というのが実態です。それでもきびしい労働条件の中で働かざるを得ない、働いているというのが実態でございます。それで五十五歳というものがいま民間のおおむね慣行として行なわれているということになれば、この六十歳受給開始年齢というものを引き下げて、その間を調整をするということはいけないのかどうか。できないものかどうか。これは大きな問題でしょうが、それを一つお尋ねをいたしたいと思うのです。
#121
○政府委員(北川力夫君) 定年制の問題につきましては、先ほど大臣も申し上げましたが、非常に広がりの広い問題でございまして、年金サイドだけからこの問題を議論することは、あるいは適当でないと思います。
 ただ、ただいまお話にございました五十五歳の問題でございますけれども、先ほども大臣からお話ししましたように、最近の一般的な傾向といたしましては、五十五歳定年というものをむしろ延長をする傾向にあるというふうにわれわれは考えておりまするし、またそういった数字も出ておるわけでございます。これは申し上げるまでもないことでございますが、また先ほどの話に出ました老人対策全体の問題にも関連する問題でございますけれども、定年制と年金とをダイレクトにドッキングさせるということの当否は、相当これは慎重に考えるべき問題だと思います。つまり老人の対策というものを住いから、生きがいから、就労から、非常に多角的に考えた場合に、そういうものの中の一環として、それじゃ定年制というものはどこまでが一番適切であって、それからまた年金の支給の開始年齢というものは何歳ぐらいが一番適当であるかというようなことをやはり総合的に判断をしていかなければならぬというふうな私どもは気持ちでおるわけでございます。
 いま先生のお話にございましたように、最近の実態から申しましても、確かに定年退職後の再就職という問題はございますけれども、私どもの現実のデータとして出ております年金の支給開始年齢は、大体六十歳を上回っておりまして、現実にはいろいろ問題はあるにいたしましても、年金の支給の開始ということと、それから定年制との間には現実には大きなギャップはあまりない。ただこのことをどう評価するかは別問題でございますが、年金サイドからはそのように考えております。ただ、そうは申しましても、定年退職をいたしましたあとの就職の機会が得られないというような方々もあるわけでございますから、そういった方々は、多くは病気でございますとか、あるいは負傷のために身体に不自由を生ずるというふうなものがあるわけでございまして、そういうことを考えまして、御承知のように、先般の改正におきましては、特に障害ということに重点を置きまして、老齢年金の若年支給の範囲を三級障害にまで拡大をいたしたようなところでございます。
 で、ざっと申し上げましてそのような状態でございますが、年金支給の開始年齢という側面からながめますと、先進諸国の年金の支給開始年齢は大体六十五歳がむしろ最低でございまして、たとえばイギリスの六十五歳、スエーデンの六十七歳、西ドイツ、アメリカの六十五歳というふうに、開始年齢そのものについては、私どもは、必ずしもこれを早めることが適切かどうか、先ほども申し上げました老人対策全体の中の問題として、なお今後検討いたしますけれども、年金サイドからは一応そのような考えでいるわけでございます。
#122
○小野明君 このプロジェクトチームの案を見ますと、所得能力といいますか、稼働能力が落ちた時点から老人対策というものは考えなければいけない、こういうことが書かれているように思います。そうしますと、五十五歳定年が大半であるとすれば、それより再雇用で延びているとしても、その所得というのは半分あるいはそれ以下である。これに対する――六十から始まっておりますが、年金の受給は。五年間というのは、非常に大きな私はブランクだと思うのです。それでイギリスでは六十、六十五歳とこう言われるけれども、それは定年の年齢がそこまで伸びておるわけです。六十、六十五まで定年があるから、そこから年金が始まっている。民間は現実にほとんど五十五歳でありながら、この五年間のブランクというのは、やっぱり在職の年金というものを少しでもやっぱり引き下げてくるという努力があって初めて老人の所得保障の対策と、こういうことが言えるんじゃないかと思うのですよ。これはいかがですか。
#123
○政府委員(北川力夫君) 先ほど申し上げましたように、五十五歳ということを前提にいたしまして年金のサイドから、何と申しますか、迎えにいくと申しますか、そういうことをしたほうがいいのか、あるいはまた定年制というものは雇用政策全体の中の非常に大きな問題でございますから、国全体の雇用政策、就労政策といったものの中で定年の問題をどういうふうに処理し、また検討するかという問題、両方から問題を見ていかなければならぬと思います。現実は、先生のおっしゃったとおりかもしれませんけれども、先ほど大臣からも申し上げましたように、現実の傾向といたしましては、五十五歳というものは若干延びる傾向にもございますし、また、いわゆる稼得能力と申しますか、稼働能力と申しますか、そういったものも最近のいろいろな条件の好転によりまして相当に延びつつあるというようなことを彼此勘案いたしますと、私どもは、年金制度のサイドだけからではなくて、より大きな立場から定年制の問題というものを考え、その上で年金との関係を調整をしていくというような、そんなような考えでおるわけでございます。
#124
○高山恒雄君 関連。その場合、五十五歳は日本の定年が総体的にそうですから、いま御質問が出ておるのだと思いますが、五十五歳定年で再就職した場合は賃金は半分だ、こういうことになった場合、いわゆる厚生年金の掛け金は継続して掛けなくちゃならぬ。したがって、最終掛け金の支給額になると思うんだが、その点はどうなんですか。結局、定年までの賃金は相当高かったんですけれども、今度は再就職した場合の賃金は安くなる。したがって、その支給額は定年のときの支給額を出すのか、あと継続して五カ年かけたやつの支給をするのか、その点はどうなっておるか、ひとつ聞きたいんです。
 それからもう一つ、その六十歳でかりに資格を得た人が、もらわないうちに死んでおる、たとえば五十五歳で再就職をして手続をしなかったり、あるいは六十歳になっても手続をしなかったり、そういう人が多数あると思う。一体そういう検討はされたのかされないのか。されたらどのくらいそういう人がおるのか。該当しておるにもかかわらず、手続をしていないという人、これがどのくらいおるのか。わかっておればひとつ知らしてください。
#125
○政府委員(北川力夫君) 前段のお話でございますが、大体五十五歳で退職をされまして再就職をして給与が半分という場合でございましても、年金の仕組みは、御承知のように、定額部分と、それから報酬比例部分とからなっておりまして、報酬比例部分につきましては、過去の相当賃金の低かった時代のものも中に入っておりまするから、そういう意味では、おそらくあと五年間、五十五歳から五年間というものを勤務されましても、それが年金額のダウンに影響するということはまずないのではないか。逆に申しますと、被保険者期間が延びますので、いま申し上げました年金額の中の定額の部分がふえてまいりますから、そういう意味では、私は、おっしゃったようなことはあまりないのではないかと思っております。
 また、いま申し上げました中でこの報酬比例部分の取り扱いを今後どうするかというのは、実は今回お願いしております改正案の中には出ておりませんけれども、今後の問題としては大きな問題として処理してまいりたい、このような考えでございます。
#126
○政府委員(八木哲夫君) 後段の御質問にお答えいたします。
 年金受給開始年齢に至らずに死亡した場合にどういうふうになるかという点でございますが、この点につきましては、遺族に対しまして遺族年金の給付がございますので、その意味での保障という面は考えられておるわけでございます。
 それから、現実に年金受給開始年齢に到達して、現実には受給の申請をしなかった者がどのぐらいあるかという御質問でございますが、私どもといたしましては、せっかく年金権に結びついた、それが年金がもらえないというようなことがあっては困るというふうなことから、できるだけ広報面につきましてPR活動の活発化ということで徹底しておるわけでございますけれども、現実に請求しなかった者がどのぐらいあるかというのは、ちょっと残念ながら把握できないのでございます。
#127
○高山恒雄君 いまの後者のほうは、定年でやめて最高報酬をかけて、その個人としては最高の報酬の掛け金をかけて、そして五年間空間がある。その五年間の中で死亡した人はそのままだと思うんですよ。それを調査されたことがあるかと私は言っている。それはやるべきですよ、政府としては。それをしないで、五年間の間に死んでしまって、一つも恩恵を受けなかった人があるはずです。それが一つですね。
 それから、第一の私の質問に対してお答えになったが、いわゆる保険の基金というものは、その人の全体の二十年かけてかりに定年でやめた、あとの五年間もプールした報酬に基づいて年金を払っておる、こうおっしゃるんですか。そうですね。したがって、その五年間の賃金が半分であれば、最高の報酬をかけてきたそれが安くなるということなんであって、それでは保険制度にならないじゃないかということを私は追及しておる。
#128
○政府委員(八木哲夫君) 二十年間以上保険料をかけて結局、年金受給開始年齢に至らずに死亡したという場合に、非常にお気の毒ではないかという御質問だと思いますけれども、この場合には、先ほど御答弁申し上げましたように、遺族に対しまして、遺族年金という方向で遺族の生活保障の確保をはかっている次第でございます。
#129
○高山恒雄君 いや、私は、どのくらいそういう人があるかということを調べたのですかと言っている。
#130
○政府委員(八木哲夫君) これは残念ながら把握しておらないのでございます。現実に大部分の方は遺族年金のほうで請求なされておると思いますので、PRの面でいろいろやっておりますので、遺族年金を請求しておらないという方は、全くないとは申し上げられませんが、ほとんどないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#131
○高山恒雄君 それは調べるべきだ。
#132
○政府委員(八木哲夫君) それから定年後再雇用された結果、賃金が低くなった。そのために標準報酬が下がる、したがいまして、年金額についてむしろ不利になるのではないかという後段の御質問だと思いますけれども、現在の年金制度のたてまえといたしまして、定額部分につきまして、これは再雇用後の期間というのがそれだけでございますので、それだけ年金給付の額は上がるわけでございます。それから報酬比例部分につきましても、前被保険者期間の平均標準報酬でとりますので、その後また再雇用の期間が長くなるということでございますので、これを掛け合わせますと、報酬比例部分につきましても、まず下がることはないというふうに考えられますので、再雇用の結果、年金額に一つきましては、定年退職後の年金額より下がるということはあり得ないというふうに考えられます。
#133
○高山恒雄君 あなた誤解しておるわけだ。六十歳定年もあるでしょう。六十歳定年の方は最高の基準をもらうわけなんだ、掛け金の。そうでしょう。ところが五十五歳ということになると、その五年間というものは、あなた付加されると言いますけれども、六十までつとめた人との保険が大きく違うではありませんか。そういう調査をされて、欠陥が出ておるのじゃないかと私は思うから、当然政府はそのことはやるべきですよ。それをやったことがありますかと、どのくらいあるのかと、そういうのです。六十歳定年もありますよ。だいぶ違うのだ、この額がね、それが問題なんだ。だから五十五歳にせいという意見も出るわけだ。
#134
○政府委員(八木哲夫君) その面の調査はいたしておりません。
#135
○小野明君 いま遺族年金という問題が出ましたから、遺族年金が半分でしょう。二万円年金といっていばられるけれども、半分といえば、わずかなものですよ。まあ生活保護並みですよ。ですから、それをなぜ引き上げないか。十分の八程度に私は引き上げるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
#136
○政府委員(北川力夫君) 現在の遺族年金は、単に厚生年金の場合だけに限らず、各種の公的年金を通じまして、仰せのとおり、二分の一に相当するわけでございます。遺族年金の仕組みにつきましては、年金制度の上において、配偶者の問題をどういうふうに処理するかとか、あるいはまた加給年金額の問題をどうするかというふうな問題とも密接に関連をいたしておりまするし、いま申し上げました他の公的年金制度との関連もございますので、私ども、決して二分の一で十分と思っておりませんけれども、そういったいろいろな関連を考慮しながら、今後の問題として十分に検討さしてもらいたいと、かように考えます。
#137
○小野明君 年金に魅力がないのは、結局、そういったほかとの関連等もありますが、全体的にやっぱり低いのを上げていくという努力をしていないと私はいけないと思います。同時にまた自動スライド制というのがこの年金にはっきりしておらぬ。これは年金額をいま引き上げていくという時期の問題もありましょうし、あるいは賃金、物価による場合、いろいろスライドの考え方がありますけれども、基本的には、一体どうこれは考えるべきであるのか、これをお聞かせをいただきたい。
#138
○国務大臣(内田常雄君) さっき私がお答えの中で触れた点もございますが、年金支給というのは貨幣支給でありますから、貨幣価値がどんどん下がっていくと、購買力が下がっていくままこれを放置いたしますならば、これは全く年金の魅力がなくなりますし、年金そのものの意味がなくなりますので、やはり物価とか、生活水準とかあるいは経済の成長、その他の変動に応じましてこれは増額をしていく措置をとるべきだと基本的には考えます。その際、何か特定の経済指標等あらかじめ用意をいたしておきまして、特定の経済指標の動きに応じて自動的に増額する方法をおそらく自動スライド制というと思いますけれども、そういう方法は、言うまでもなく年金制度にもございませんし、また他の意味の恩給、生活扶助その他の公的給付金につきましても、そういう自動スライドの制度はないように思いますが、しかし弾力条項が最近ではおおむね設けられておりますので、私どもは、自動ではないけれども、さっきも申しましたように、一種の政策判断スライドのようなことをそういう条項を生かしてやっていくべきだと、こういうことを考えておりまするし、また従来は、必ずしもそれさえも勇敢に行なわれておったとは思いませんけれども、先ほど来申し述べますように、それはそういう政策スライド、弾力条項というようなものを随時活用して、そして恩給の価値維持ということをはかるべきだ、こういうことを私は常に思っております。
#139
○小野明君 その点は、この年金額の調整に関する規定の比較というのを見てみますと、いろいろ問題があるんですね。まず国民年金法四条の一項によりますと、「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」、こういう規定。それから厚生年金保険法の二条の二、船員保険法の二条の二も同じように「生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、」、こういうことなんです。ところが恩給法とか各種の共済組合法、国家公務員共済組合法あるいは地方公務員等共済組合法によりますと、「国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情」、こういうふうにきわめて明確に書いてある。給与、物価というものに変動があった場合にはと。ところが国民年金、厚生年金の規定というのは非常に明確を欠いておる。ここに私は問題があると思いますが、この点はいかなる理由によるものかお尋ねをしておきます。
#140
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話のとおり、厚生年金保険法あるいは国民年金法の規定と、各種共済組合法あるいは恩給法の規定とでは若干その表現が違っております。しかし基本的には、共済組合法の規定にいたしましてもあるいは恩給法の規定にいたしましても、スライドの指標といたしまして、給与、物価というようなものを掲げてプラスいたしております点が違っておりますけれども、基本的には裁量的な調整規定ではなかろうか、こういった規定のしかたが違うがゆえにスライド方式が決定的に違うということはないのではないか、このように考えております。そのことは、厚生年金保険におきましては、ただいま大臣も申し上げましたが、今回の改正におきましても、言うならば非常にスケールの小さいものでありますけれども、物価スライド的なものでございまするし、そういう意味では、この規定は根本的に違ってて、厚生年金保険法の規定のしかたが不十分であるからして共済組合とは違っていると、こういうものではないのではないかと思っております。現実に、先生御承知のとおり、共済年金の場合に、何と申しますか、毎年のこの改定方式といたしまして、恩給共済の既裁定年金の引き上げの場合に、消費者物価の上昇率と、それから公務員の給与の上昇率を援用いたしまして、いわゆる半自動式な改定と言われるものをやっておりますけれども、厚生年金の場合には政策スライド的なやり方をやって上げます場合、また財政再計算期に全体を洗い直して大きな改正をいたします場合にも、そういった既裁定について半自動というふうなことになって、むしろ既裁定について全面的な改定をするわけでございますので、そういう意味合いでは、私どもは、この規定の違いが実際上の、この年金額の改善のしかたの運用と申しますか、改善のしかたに非常に厚生年金の場合にマイナスに影響しているということは全然考えておりませんで、むしろ実際面は、既裁定年金を十分に引き上げるという意味では、厚生年金のほうがまさっておるのではないか、これくらいな気持ちでおる次第でございます。
#141
○小野明君 しかし、これは国公の共済の場合、給与、物価、こう言えば明確に数字が出てくるわけですね。ところが厚生年金、国民年金のいう国民の生活水準その他の諸事情にと、こう言いますと、あいまいとして、どうも依拠する根拠に乏しい感じがするのはあなたも同じじゃないかと思うのです。こういう点をさらにやっぱり自動スライドに近づけるという意味からは、この根拠を入れたほうが、それこそ低いのを引き上げていく大きな理由になっていくのではないか、こういうふうに私は思います。見解が違うといえばそれまででしょうが、私はそういうふうに考えます。それからさらに失業保険法とか、労災保険には自動スライドの規定がある、しかし厚生省所管の社会保険等には一向にこの自動スライドの規定がない。これは一体どういう理由ですか。
#142
○政府委員(北川力夫君) ただいまお話しのとおり、労働省所管の失業保険法とかあるいは労災法につきましては自動スライドの規定があるわけでございます。私どもは、たとえば失業保険と申しますものは、厚生年金保険のように、長期の保険ではございませんで、非常に短期の保険であるということ、また一方、労災保険の場合には、費用負担の問題につきましても全額事業主負担であるというふうなこと、そういうことを考えますと、失業保険あるいは労災保険がある種のスライド規定を持っておりますがゆえに、純然たる長期保険である厚生年金保険あるいは国民年金について同様な規定が直ちにできるかどうか、その点は相当問題があろうかと思います。と申しますのは、スライドと申しましてもいろいろございまして、また、特に自動スライドということになりますと、スライドの指標というものを、いろいろこれは物価あるいは賃金、あるいは生活水準、いろいろあろうかと思いますけれども、どういったものにその指標を求めるかという問題が一つと、それから厚生年金の場合には、先ほどからも御指摘のとおり、現行の年金額そのものが決して高いレベルにはないわけでございますから、スライドの原点といたしましては、まず底上げというものを相当しなければならない。それから、これも先ほど御指摘がございましたが、現在、いわゆる年金権に結びついてない人たち、こういう方々もかなりあるわけでございまして、そういう意味合いでは、できるだけ年金額そのものの底上げをいたしますと同時に、いわゆる年金権に結びついてない人たちについてこれをどのように結びつけるかというような、いわゆる年金そのものの成熟化対策というものが別途あるわけでございます。そういった意味合いから、私どもは、スライドというふうなことを考えます場合には、まずそのようなベースの問題として年金額の充実をする、また現実に年金権に結びついてない人たちについて、これを何とか結びつけるというような問題をまず処理をいたしまして、それからスライドをやるといたしますれば、どういうものにその指標を求めてスライドをするかというわけでございますけれども、この場合におきましてもやはり一番大きな問題は費用負担の問題であろうかと思います。したがって、この底上げをして成熟をさして相当自動的なスライドをやりますれば、当然大きな財源が必要でございまするので、そういうところを先生方知っておられますところのいわゆるスライドという問題と並行いたしまして、年金制度全体の成熟ということを考え、両方考えながら年金制度の充実をやっていくと、こういうことになろうかと思います。したがって、要するにそういうことをあれこれ考えますと、失業保険とかあるいは労災保険のいわゆるスライド規定というものとは相当厚生年金の場合には性格が違うのじゃないか、したがって多角的な多面的な検討を要する、こういうふうに考えておるような次第でございます。
#143
○小野明君 性格が違うといいましても、いまあなたが言われるように、全体的に底上げをする、低いから魅力がない、だからそれじゃ思い切った底上げになっているかというと、それにもなっていない。スライドもそれぞれ考え方があるからということで、一向にスライドで大蔵省を責める理由も持たない、財政事情をこちらから考えてやっているというような答弁では、私ども納得できないですよ。これは大臣の言う老人の所得保障、これは第二の柱で重要である、税制の面からもあるいは所得の面からも新しく考え直していこうという気力が、気迫というのが、いまの答弁聞いているとだんだん力が抜けてくるような感じがいたします。
 それで、今回の年金の引き上げで、まあこれも底上げかもしれませんがね、定額部分の引き上げのみに終わっておる、これはどういう理由ですか。
#144
○政府委員(北川力夫君) 今回の改正につきましては、仰せのとおり、定額部分だけでございまして、報酬比例部分については触れておりません。これは報酬比例部分は、御承知のように、長い期間の報酬によって算定されております場合と、それから比較的最近の短期間の報酬で算定されております場合とが混在をしておりますために、物価の上昇率によって一律に補正をするということはいろいろ問題がございますので、そういう意味で、今回は物価上昇というものに見合った暫定的な措置と応急的な手直しということでございましたので、そういう意味合いで定額部分だけの引き上げにとどめたような次第でございます。
 なお、報酬比例部分も当然これは問題として今後処理をしていかなければならぬ問題でございますが、これは先ほどのお話に出ました財政再計算期における給付改善の際に、報酬比例部分についてどういうふうな取り扱いをするかを十分考えたいと思っております。
 なお、一言付言しておきますが、先ほど私が申し上げましたのは、決して消極的な話ではございませんで、スライドをやるなりあるいは成熟をやるなりということにつきましては、労災、失保とは違った考慮が必要であると、そういう意味で申し上げましたのでございまして、決してやらないとか、あるいはやるについて消極的であると、そういう意味で申し上げたのではございませんので、その点は御了承を願います。
#145
○小野明君 まあ、暫定的、応急的な措置として、物価等による定額部分の引き上げと、こういうことだそうですが、この物価の上昇については、四十四年の時点をとらえて、この支給時点における四十七年二月の時点をこれは推測しようと思えば、政府目標もあることですから、推測できないことはない。過去二年前のものを取って、どうして四十七年二月の分を取らないのですか。
#146
○政府委員(北川力夫君) 今回の応急的な措置につきましての基礎は、結局、確定をいたしました過去二年間の指標というものを、この案をまとめます際に取ったわけでございます。したがって、仰せのとおり、今回引き上げになります年金額が実際に支給になりますのは来年二月でございますから、むしろそういったところを予測をすることがより好ましかったかもしれませんけれども、何ぶんにも基礎の取り方として確定したインデックスを取るというようなことがありましたこと、そういう点で若干のズレを生じましたことについてはやむを得ない点があったのじゃなかろうかと思っております。ただ、私どもは基本的にそういうことでございますけれども、従前になかった財政再計算期に合わせて厚生年金保険を改正するというのではなくて、不十分ながら一応中間的な応急緊急措置を行なって年金額の引き上げをしたという、その基本的なひとつかまえについて何がしかの御評価をいただければ幸いと存じます。
#147
○小野明君 そこで、これは大臣に、二万円年金、二万円年金と言われますけれども、大体私どもは三万円にせよと――定額部分は四百六十円でなくて八百円くらいにすれば三万円になるだろうと思いますが、三万円年金の実現ということについては、大臣はどういうふうにお考えですか。
#148
○国務大臣(内田常雄君) 老後の生活保障対策でありますから、やはり老人の時代に老人並みにあるいは人間としての生活ができるものをできるだけ保障をするということが年金制度の本旨であると考えざるを得ません。したがって、私は、二万円よりも三万円のほうがよろしいと思います。ただ、これが純粋な社会福祉制度ではなしに、いわゆる社会保険の制度に立っておりますために、給付をよけいにするということは、それだけ掛け金にも負担がかからざるを得ない。もちろんその際、政府の財政負担ということも考慮されることではございましょうけれども、両面を考えながら進まなければならないというところに若干の問題はあろうと思いますが、私は、小野さんが言われた方向に財政再計算期等の機会をとらえて持っていくような、そういう努力を続けるべきであると考えております。
#149
○小野明君 それから加給金については、妻の場合は千円加えて二万円年金――一万九千円くらいになると思いますね。今回は加給金については一向に触れておらぬですが、これもふやすべき当然の理由があると思いますが、いかがですか。
#150
○政府委員(北川力夫君) 同じようなお答えで恐縮でございますけれども、今回の改正が何ぶんにも応急的な改正でございまして、できるだけ年金額の実質価値を維持するというようなことでやった緊急措置でございますので、実は率直に申し上げまして、加給年金額の引き上げにまで手が及ばなかったという実情でございます。この辺は次の財政再計算期に全面的な改正をいたします際に十分に考えてまいりたい、このように考えております。
#151
○小野明君 それから、次は積み立て金の管理運用の問題です。これは年金の問題のときはいつも論議をされる問題なので十分おわかりのことだと思います。この積み立て金は年々増大をしておる。四十五年度末には約五兆円にも達するのではないか、こう言われておるようです。これは零細な保険料の集積であり、将来の給付財源ともなるものですから、おのずから郵便貯金などとは性質の異なる資金である。こういった運用の観点から見ると、この年金積み立て金の運用の実態には非常に多くの問題が認められるようです。その第一として、年金積み立て金の規模というものが将来どういうふうに推移をしていくと見込まれておるのか、その点をお尋ねいたします。
#152
○政府委員(北川力夫君) 私どもが一応今後の保険料収入あるいは利子収入等を予測をいたしまして、いわゆる静態的な計算をいたしますと、大体次のようなことになろうかと思います。
 それは、まず保険料の面におきましては、すでに法律できまっておりますように、ことしの十一月以降二%アップがございまして、それから五十年の四月以降大体五年ごとに五%、それから七十年の四月以降は五年ごとに一〇%というような、一応そういうような予測を立てまして計算をいたしますると、年金制度がほぼ成熟をすると思われます昭和九十年の段階で、大体厚生年金の積み立て金が四十四兆円程度、それから国民年金の場合で約六兆円程度というふうに見込まれております。これは一応の予測でありまして、当初にもお断わりいたしましたように、静態的な観察でございますから、この間における給付の改善でございますとか、あるいは賃金の上昇でございますとか、こういったことについては、この要素に盛り込んでおりませんから、このように推移するかどうかは非常に問題はあると思います。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、相当急速な年金額の底上げをはかるとか、あるいは成熟化対策を進めなければならないとかいったような差し迫った要請がございますから、このような推測がはたしてこのとおりいくかどうかは問題でございますけれども、全くフラットに予測をいたしますと、いま申し上げましたような予測になるわけでございます。
#153
○小野明君 この積み立て金は、どういった基本方針のもとに運用されておるのか、その運用について年金積み立て金の特性というものは考慮されておるのかどうか、お尋ねをいたします。
#154
○政府委員(北川力夫君) 年金の積み立て金は、申し上げるまでもなく、将来の給付のための重要な原資でございまして、いわゆる責任準備金の性格を有するものでございます。したがって、これの運用にあたりましては、安全確実かつ、できるだけ有利な運用をするということが必要でございますが、同時に、有利運用とともに、保険料を出した方々に対する福祉の還元措置を講ずることもきわめて重要な点だと考えております。そういう意味合いで、年金の積み立て金はすべて資金運用部に預託をされておりまして、国家資金として統一的に一元的に運用されておりますけれども、その運用にあたりましては、年金資金の性格を考えまして、国民の生活の安定あるいは福祉の向上に役立つように、そういった分野に重点的に運用するような基本原則に立ってその運用が行なわれておるような実情でございます。
 これは四十六年度の資金運用部資金の運用計画について申し上げますと、年金資金等につきましては、その大部分であります五一%を住宅とかあるいは生活環境の整備とか、あるいは社会福祉施設、病院などの厚生福祉施設に運用いたしまして、また文教施設とか、あるいは農山漁村という分野にも二八%を運用していく、その残りを国民生活の基盤育成という意味で、道路とか、地域開発の面に運用していくと、こういう状態でございまして、いわゆる基幹産業でございますとかあるいは輸出振興のための産業についてこういった資金を運用している面は全然ございません。そういうことで運用いたしておりますとともに、特に御承知の毎年度の年金積み立て金の預託増加額の二五%につきましては、還元融資として年金制度の被保険者の直接の福祉に役立つように融資の運用をされておるような次第でございます。
#155
○小野明君 この運用については、いろいろな意見が関係の審議会、国会の附帯決議で示されておるわけですが、それらがつけられて、どういったふうに対処されてきておるのか、いまの答弁でも一半がうかがわれますが、なお補足すべきものがあったら補足していただきたいと思います。
#156
○政府委員(北川力夫君) ただいま仰せになりました現在までの国会の附帯決議でございますとか、あるいは関係審議会の意見等を申し上げますと、できるだけ還元融資のワクを拡大する、あるいは有利な運用をする、また保険料拠出者の意向の反映につとめる、あるいはまた特別勘定を設けまして特別な運用をするというような、こういう点が従来から言われていたいろいろな意見でございます。これは特に国民年金ができました三十六年以降皆年金の状態になっておりますので、そういう意味合いも込めまして、長年こういう問題につきましては、私ども努力をいたしてまいっておりますけれども、先ほど申し上げました一般的な運用の方針としては、いま申し上げました基本的な線に沿って運用されておると思いますが、この中にはやはり国の財政運営の根幹に触れる問題もございまして、全部が全部関係者の要望どおり全部が実現しておるとはまだ言えない面もございます。したがって、こういった問題について十分こういった御意見を踏まえながら、今後もできるだけ関係方面と折衝いたしまして、被保険者の福祉に対する還元、そういう方面についてできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。
#157
○小野明君 この年金積み立て金について、特別勘定を設けて区分運用をすべきだということが指摘をされておるようですが、これについてはどのようにお考えになっておるのか。これは年金積み立て金の持っておる性格からすれば、すみやかに必要な措置を講ずべきだと思いますが、いかがですか。
#158
○政府委員(北川力夫君) 特別勘定の設置の問題につきましては、いまおっしゃいましたように、非常にむずかしい問題でございます。どういう特別勘定を設けまして、結局、どういうようなやり方でその勘定を運用するかという問題が一つございまして、私どもは、基本的にはそういうような考えを持っておりますけれども、この問題をさらに具体化するためには、いま申し上げました特別勘定の設置と、それに伴う、勘定をつくったならつくったにふさわしいような運用ができるというだけのいろいろな担保と申しますか、保障と申しますか、そういうものも必要でございますんで、今後この問題は引き続いて十分に検討していく所存でございます。
#159
○小野明君 次の問題は、還元融資ワクなんですが、現行の二割五分を引き上げるべきである、こういう意見があります。最近のように、積み立て金が増大をする状況のもとでは、この財政的な融資計画にも、この融資ワクの増大というのはさほどの影響を与える問題ではないと思います。まず少なくとも三分の一程度までは引き上げるべきだと思いますが、いかがですか。
#160
○政府委員(北川力夫君) 還元融資ワクの増大につきましては毎年努力をいたしておりまして、今年度も、先ほども申し上げましたように、預託金増加額の二五%に五十億円を上乗せをしてそのワクを拡大いたしましたような次第でございまして、絶対額から申しますと、前年度に比べて五百四十七億円、大体二三%以上の増加になって二千九百四億円ということになっております。今後もできるだけ、いまおっしゃいましたように、三分の一がいいか、あるいはもっとほかの率がいいかという問題もありますが、できるだけこのワクの拡大については努力をいたしてまいりたいと、全くそういう意見でございます。
#161
○小野明君 この還元融資の中に、医療金融公庫あるいは公害防止事業団、これらに対する融資が相当多額に含まれておるように聞いております。こういったものから見ますと、これは本来還元融資のワクとは別個にこれは措置さるべきものではないかと思いますが、この点はいかがですか。
#162
○政府委員(北川力夫君) 医療金融公庫、私的な医療機関に対する金融面の措置、あるいはまた公害防止の事業についての融資措置、こういったものを融資という面じゃなくて、一般財源でやったらどうかというふうな、そういう御意見ではなかろうかと思います。ただ、私どもは、ほかの例にもあると思いますけれども、やはりこういった事業について一般財源と並行をいたしまして、こういう被保険者の資金を還元するということも必要ではないかと、このように考えております。と申しますのは、たとえばいま例に出ました医療金融公庫の場合で申しましても、私的な医療機関でございましても、特に最近は救急医療施設でございますとかあるいはガン対策の施設でございますとか、あるいはリハビリテーションの施設でございますとか、さらにまた病床不足地区における病床の整備でございますとか、そういったいわば私的な医療機関が行なう公的な役割りというふうなものも相当にふえてまいっておりまするから、そういう面で、こういう医療金融公庫に還元融資として融資を行なうことは、現在の実情としてはかなり評価すべき筋ではないかと思っております。
 また公害防止事業団につきましても、やはりこの公害問題が非常に住民の健康と福祉の上で大きな問題でありますから、そういう意味で、公害防止のために必要な緑地とか、公園とかあるいはグリーンベルトというふうな共同福祉施設とか、あるいはばい煙の処理、汚水処理等の共同公害防止施設の整備等は非常に緊急でかつまた公共性の高いものである。こういう意味合いでいずれも被保険者の福祉にとって必要な事業であると考えまして、これらの事業には一般財源と並行して還元融資の資金を充当するというようなことが現在においては非常に適当なことではないか、このように考えております。
#163
○小野明君 この点は、あなたの考えと全く私は違います。医療金融公庫あるいは公害防止事業団というものは、それなりの使命、性格というものがありまして、この年金積み立て金というのは、直接被保険者にどう有効に還元をされていくかということに重点を置いて運営をすべきだと思うのです。これは全く私はあなたの見解と違いますが、大臣としてはいかがですか。
#164
○国務大臣(内田常雄君) それはお答えがなかなかむずかしいところであると思いますのは、私は小野さんの御説もわかりますし、政府委員の答弁も私はわかるわけでありますが、大体、年金の積み立て金は、言うまでもなく、資金運用部資金として一体となってそれが運営をされるわけでありますが、私は、二五%の厚生省が還元分をとりましても、しかし残りの七五%というものは、決して国民年金あるいは厚生年金被保険者の関係外のところに融資されておるものとは実は思っておらないわけであります。たとえばこの積み立て金の還元融資として、四十六年度は、二五%に当たるものは二千三百億円というぐらいの金額でありますが、しかしその二千三百億円のなかに、住宅でありますとか、あるいはまた中小企業でありますとかというようなものに、二千三百億円の還元融資のほかで融資を受けておる。住宅のうちには、もちろん年金福祉事業団が還元融資を受けて、年金福祉事業団から、企業の福利施設でありますところの企業職員住宅の建設資金としていくものもありますけれども、そうでない住宅金融公庫あるいは住宅公団の住宅、あるいはまた地方公営住宅などの建設に充てられますところの地方債というようなもの、そういうものを考えます場合に、二五%とか三〇%とかいっても観念的なものであって、もし三〇%がよろしい、五〇%がよろしいというようなことであれば、五〇%としておいて、そうしてその五〇%を厚生省がみんなもらってきて、その中から、ここで小野さんといろいろ議論をしなければならぬことになりますが、その中には住宅金融公庫なり住宅公団なり、あるいは地方債を通じて住宅にいくものもある、こういうことで、年金福祉事業団の住宅ばかりではないということになるだけで、観念のしかただけではなかろうか。こういうような気持ちもいたしますので、大蔵省も、いままでの二五%、それに毎年われわれが攻め込むものですから、五、六十億円の上乗せをしてくれるということでなしに、三〇%でも四〇%でも還元融資を厚生省によこして、そのかわり厚生省の還元融資というものは、まあ、いま小野さんの説によりますと、医療金融公庫や公害防止事業団はだめだと、こう言われるわけでありますが、それがだめであるかどうか多少の議論の余地を残すといたしましても、住宅などは、いずれにいたしましても、日本の国民が入るわけで、厚生年金加入者か、国民皆年金でありますから、あるいは国民年金加入者かというようなことになると思いますので、たくさんとってきて、いままで資金運用部の他の資金でカバーされておったものをこちらの還元融資のワク内でやるというようなことをやれば同じではないかというようなどうも私は気がしてならないわけであります。要は、とどのつまりは、いまの資金運用部の運営機構、法律機構というものの中にどれだけ厚生省関係あるいは年金関係の仕組みの組織を乗り込ませるかという問題でありまして、たとえて申すと、資金運用部資金の管理運営というものは大蔵省と厚生省の共管であるとか、あるいはまたその審議会の委員の中には厚生省関係の――これはまあ労使いずれかということは別にいたしまして、そういう方面の社会福祉等についての関心、造詣の深い人を審議会の委員に入れるとかいうことにつながる問題であって、パーセンテージの問題は、いま私のような考え方からすれば、二五%に押え込まれているわけではなしに、さっき政府委員から御説明いたしましたように、こういう資金は五〇%ぐらいが国民生活に直接関係のあるものに向かい、それに文教施設とか、中小企業とかあるいは農林漁業とかというようなものを入れると、八〇%ぐらいはそういうものに行っているということでありますから、考えようによっては八〇%ぐらい還元融資を受けているんだと、こうも言えないことはないというような、心の広いつもりで観念をいたしております。しかし、まあそうばかりも言えませんから、なるべくこっちの言うことを聞かせるように、御激励にこたえてひとつやってみたいと思っております。
#165
○小野明君 最後に、まあ労使の代表の問題もいろいろそれは問題があります。先ほど言いませんでしたが、ありますが、やっぱりその直接被保険者に還元をしていくという精神で運用をしてもらいたいんで、医療金融公庫もあるいは公害防止事業団も、関係づければ関係のないことではないでしょうね。それは局長が言われますけれども、どうも聞いておりましても、やっぱり牽強付会という感じを持つわけですね。道路にしても関係ないことはないわけですからね、それは。しかし、やっぱり直接被保険者に還元をするという精神を貫いてもらいたい。これを最後に私は要望をいたしまして質問を終わります。
#166
○渋谷邦彦君 厚生年金等の改正をめぐるたびごとに、議論の焦点というものはおのずからしぼられて、常に繰り返されてきたような感を深めます。また、昨年閉会中におきましても、おりに触れ論議されてまいりました。結局、繰り返されるということをいま静かに振り返ってみますと、諸般のやはりこの条件というものが一向に改善されない。これはまあ極端な言い方かもしれません。そういうところに背景があるように感じてならないわけであります。したがって、いまも政府の答弁をずっと聞いておりますと、はたしてこれで前進したのだろうかと、またこれからも前進するだけの用意があるのだろうかという疑問を抱くわけであります。いま細部にわたっていろいろな質疑が行なわれましたので、そういったところを整理しながら、あるいはときには確認ということでお尋ねを申し上げたい、こう思います。願わくば、こうした議論が同じように繰り返されないと、なるほど政府のその政策というものが前進したというような前向きの絶えず議論に立って今後とも配慮をしていくべきが至当ではなかろうかと、まず最初にそうした感想を述べてこれから質問をしたいと、こう思います。
 これも、もう何回か繰り返されてきたことでありますけれども、昨年、策定された新社会経済発展計画、この中にも明記されておりますように、この計画期間中に特に年金制度をはじめとする重点政策を強力に推進すべきである、こういうことがうたわれております。ここに私持っていますから、間違いないですよ。さて、この計画期間中というわずかな年限の間に、はたして政府はもうすでに具体的に何にどういうふうに取り組んで、なかんずくいま問題になっておりますこの年金制度をはじめとする諸般の制度をどういうふうに改善しようとしておるのか。いままで伺った答弁をそれぞれまとめてしまえばそれが政府の考え方であると、これでは答えになりませんので、まず大臣からそうした面についてのどこまで進んで、これからこの計画期間中に何をやろうとしておるかということを伺いたい。
#167
○国務大臣(内田常雄君) この新経済社会発展計画の中において、社会保障の課題を大きく打ち出せるように、私どもは、昨年、この計画が各省協議のもとにつくられますときに、できる限り関係方面と打ち合わせまして、いま渋谷さんが仰せられましたようなことも内容とする計画としてもらいました。これは私どもが黙っておる間に社会経済発展計画というものができたわけではございませんで、私どもがずいぶん声を大にして、とにかくその中に大きく柱を立てさせようと、こういう努力の一つのあらわれでもございました。数字的には、いまの日本の国民総生産の中における社会保障費の支出額、あるいは国民総所得の中における振替所得の割合というものは、御承知のように、北欧諸国あるいはECの諸国に比べますと、はなはだ低い割合でございまして、五%台の程度でございますのを、これをこの期間中には、国民総生産あるいは所得も伸びますけれども、伸びたものに対してこれを二%ぐらいあるいはそれ以上の引き上げをするということにいたしております。しかも、現在の振替所得が五%台の中を見ますると、これまでのわが国の社会保障は医療保障の分野が非常に大きくて、医療保障以外の生活保障でありますとか、その他の社会福祉の面は、数字的には、シェアの面では医療保障に押えつけられて非常に小さい分野になっておりますのを、私どもはその分野を伸ばそうと、すなわちそれは年金でありあるいはまた社会福祉施設でございますので、そういう面から、この期間の間におきましては社会保障支出の伸びを計画いたしてまいる所存でございます。
 総じてこれまで日本の社会福祉というものは、日本の家族制度等の中に埋もれておりましたり、また政治や、国民の意識というものは必ずしも社会福祉意識、社会福祉大国を所期していなかったところに問題もあったように思いますけれども、幸い近年におきましてはこれらの意識が非常に向上してまいっておりますので、私どもは、全く当然のあるべき時期が到来したことと考えまして、いま申しますような施策の拡充につきまして努力をいたしてまいる、こういう考え方でございます。
#168
○渋谷邦彦君 いま御答弁を伺っておりますと、長年の経験と、それから知識を総合してそして発展計画の中に盛り込んだ、まことにけっこうだと思います。またそれにふさわしい努力をこれから重ねられるということが大前提になっていることは論を待たないところであろうと思います。ただ、いま伺っておりますと、非常にアウトラインでも、またそのアウトラインのような、どこに一体焦点があるのだろうかと感をぬぐい切れないわけであります。もちろん何もかも一緒くたにすべてを改善しろということは、おそらく六年間という短期間においてはきわめて不可能であることは、われわれも十分了知しております。しかし、いま特に要望されている問題というものがございます。いまこうして審議されております厚生年金の給付の改善というような事柄もこの分野に入るだろうと想像されるわけであります。そこで、特に現状のこうした段階を踏まえて、当面の課題として、この六年間に重大政策の一環として、これを必ず実現するという方向に持っていかれるために現在考え、そしてまたスケジュールを組まれ、そして予算の措置というものも十分考慮に入れながら取り組まれていらっしゃるのは何か。具体的な問題をすでに何か進められているのか、この点いかがでしょう。
#169
○国務大臣(内田常雄君) これは分野的に申しますと、先ほどもかなり詳しく述べさしていただきました老人福祉対策、またそれを双肩にになわなければならないところの児童福祉対策、またその双方に及びますところのいろいろな社会福祉施設の充実、その職員の養成ということに私は力を注ぎたい。その中で、あるものにつきましては長期計画を形成をいたしつつあるものもございまして、しかしこれが閣議決定なり、あるいは長期計画としての緊急整備法として誕生いたしますことについては、必ずしもそれになじまないものもございまするし、また抵抗もございますので、たとえば上水道の緊急整備計画とか、下水道の緊急整備計画というような具体的な形には必ずしもなっておりませんけれども、私どもは、いま申しましたような面につきまして、計画的にそれの拡充をいたしたいと考えます。
#170
○渋谷邦彦君 せめてその二点だけでもこれから逐次改善していっていただきたい。先ほども老人問題について出ましたけれども、大臣がお考えになっておりますように、決して十分であるとは思えません。施設、または年金の額等にいたしましても論を待たないところであります。
 次に、先ほどもちょっと話題になりました、五人未満の事業所の実態を局長からるる述べていただいたわけでありますが、職種の上から、あるいは六人以上になった場合に適用されるであろうという人員が九十四万人もいるということでございます。ところが考えてみますと、そういう一番零細的な――あるいは零細ということばは失礼かもしれませんが、いわゆる中小的な企業を営んでしる、またそれに従事している人たちの立場というものをより重大視しなければならない。むしろそういうところに救済の道というものを開いていかなければならない。これが本来の年金の姿ではなかろうか。これはもちろん掛け金の問題等もあるでしょう。しかし、その面についてはきわめて限定された数であるとするならば、何とかこの解決の方法はないのか、これからの見通しは暗いのか、あくまでもその五人未満というものは適用外としてこれからも扱われていくのか、これを再度私は確認しておきたいのです。そして局長から事務的なことをまず述べていただいて、そうして政治的な判断の上に立って大臣からまとめてお答えをいただきたい。
#171
○政府委員(北川力夫君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、五人未満の適用事業所の関係について申し上げますと、全体では事業所の数で百三十五万、被保険者数で二百八十万、一事業所当たりの被保険者数は二・一人であります。ただ、五人未満でございましても、これが五人になった場合における適用業種と、それから非適用業種がございますので、この適用業種と非適用業種に分けて申し上げますと、適用業種は九十四万事業所で二百万人、非適用が四十万事業所の七十七万人でありまして、適用事業関係は一事業所当たり平均が二・二人、非適用関係は一・九人、こういった実態関係でございます。これにつきましては、先ほどもお話がございまして、またお答えを申し上げましたが、なかなかその雇用関係の実態とか、出入りその他も激しいものでございまするから、全部が全部これを強制適用としてかかえ込んでいくかどうか、事務的な隘路が相当にあるわけでございます。結局、いろいろ事務を機械化いたしましたり、能率化いたしましたりいたしましても、対象がいま申し上げました平均二・一人とか一・九人といったふうなきわめて小さなものでありまするし、また被用者保険の適用で一番中心になります雇用関係の確認ということがむずかしい業態も相当あるわけでございますから、私どもは、そういった問題について、できるだけはっきりしたものから現行の任意包括適用というふうな方法で救済をいたしまして、このほうをできるだけ進めてまいりまして、かたがた、いま先生おっしゃったような、これを強制適用にするとすればどういう方法が可能であるかということについて並行して検討を進めたい。さしあたりは任包適用ということについてさらに十分努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#172
○国務大臣(内田常雄君) 四人以下の事業所の従業員につきましても年金制度が適用されていないわけではありませんで、厚生年金保険が適用されない場合におきましても、国民年金の対象になっていることは言うまでもないところでございます。しかし、これは厚生年金制度と国民年金制度と両制度がありまして、被用者については国民年金ではない厚生年金制度が適用されることをたてまえといたしておるわけでありますので、厚生年金を適用されるような仕組みを案出するのが私は本来のあるべき姿であるとすなおに考えるものでございますけれども、いま政府委員が述べましたような事務上の隘路、困難な点がありまして、なかなか今日まで実現に至っていないことと思います。私がかけ声をかければたちどころにできるという性質のものではないように思いますけれども、しかし、私は、本来の姿を実現させるように、さらに年金局長あるいは社会保険庁等関係の機構に十分前向きの研究をしてもらいたいと思います。ことに、保険の性質が違うやや短期的なものでありますけれども、失業保険とかあるいはまた労災保険などにつきまして、これらのものにつきましても強制適用の方途が講ぜられておるわけでありますから、何かそういうやり方を応用する面も必ずあるのではなかろうか――五人未満の事業所を個々には把握できなくても、一つの目的的な組合組織をつくらせる等のことができないだろうかというような技術的な問題に入りますけれども、考えもいたしますので、これは実現の方向に向かってさらに勉強させたいと思います。
 また、先ほどお話が出ておりましたが、社会保険事務所などの機構の問題も伴いますので、その面の行政関係の職員定員等の増加の問題にからむところもきっとあろうかと思いますので、そういう面も含めまして検討を続けさせるというお答えを申し上げたいと思います。
#173
○渋谷邦彦君 次に、これはまことに幼稚な質問かもしれませんが、年金のそもそも意味するところから考えて、当然象徴的な問題は老人年金あたりが代表的なものであろうと思うのです。やはりある程度の生活保障が成り立つと、しかしそのためには掛け金等の問題もあると、先ほども御答弁が若干あったようであります。そうした点をからめて考えてみた場合に、常に指摘されることは、やはりその給付額が足りないと、これではとうてい、先ほど大臣が述べられましたように、老後の安定した生活というものの保障は成り立たない。言うまでもなく、昨今のように、急速に核家族時代という新たな段階を迎えた状況を考えてみた場合になおのことであると思います。そうした場合に、この年金の算定というものは、一体どういうところから――まあスライド制という問題も先ほどから繰り返し出ているのでありますけれども、算定をされてきたのか。もちろん、欧米各国等の比較も十分考慮に入れながらなされたのだろうと、こう思います。こまかい数字はけっこうでありますから、そのアウトラインだけを述べていただくと同時に、さらに生活の保障という前提に立って考えてみた場合に、当然、先ほど来から繰り返されておりますように、給付額をできるだけ早い機会に上げてもらいたいというふうに思うわけであります。
#174
○国務大臣(内田常雄君) 年金は、申すまでもなく老後の生活保障でございますが、しかし同じ生活保障といいましても、生活保護とは私は違うものであると考えます。生活の最低限度のものを給付するという考え方になりますと、生活保護と同じような計算方式をとりまして、紙の上での――と申すと語弊がありますが、理論的な数字をはじくことになりますが、私は、年金というものは社会保険でありまして、本人も掛け、また政府もその一部を国庫で負担をするという仕組みのものでございますので、生活保護とは違った見地の算定目標というものがあるべきであると思います。それは何かと言いますと、結局は、従来の嫁働年齢にあった時代の所得に比べて何割ぐらいを年金の額とするのが妥当であるかというような考え方に落ちつくと思いますけれども、またその考え方の側面には、やはり家族の扶養でありますとか、あるいはまた本人の貯蓄でありますとか、そういう要素も取り上げながら金額を算定すると、こういうこともあろうと思います。私がおぼろげに記憶をいたしておるところによりましても、諸外国の年金額というものは、嫁働年齢時代の給与のやはり五〇%以下であったように思います。ただし、私はよくわかりませんけれども、諸外国の年金額は、独身単身の者につきましては、いま申しますように、五〇%以下、三、四〇%、あるいは三〇%を欠くようなものもあるようでございますが、夫婦でそろっておる場合には夫婦で幾らというような計算でかなり高い金額になっておるように思います。しかしわが国におきましては、先ほどもお話が出ておりましたが、配偶者手当といったような月わずか千円というようなものを今日では出しておるにすぎませんけれども、その辺のあり方については、外国の夫婦給与と単身給与とのあり方などにつきましても考えてみなければならないことと思います。国民年金につきましては、もちろん夫婦が単独に加入いたしますたてまえでございますから、夫婦そろって二万円年金というような計算で成り立っておりますけれども、厚生年金につきましては夫婦でつとめておるというような考え方ではなしに、御主人がつとめて、そして配偶者は家庭において夫を助けておるという場合における夫の退職後の夫婦年金というような制度に外国はなっておるのではないかと思いますので、そういう点も考慮しながら、先ほど来申しますような生活保障額というものを確保するようにすべきであると思います。
#175
○渋谷邦彦君 いずれにしても、厚生年金制度が制定されてからすでにもう三十年、途中戦争という断絶した期間があったにいたしましても、相当急速に先進国に追いつくような勢いで進んでおるはずでありますので、再度、私は、やはり先進国並みのレベルに上げるべきではないだろうかということを強調しておきたいと思います。
 次に年金福祉事業団のことについては、昨年閉会中の委員会でお尋ねをしておりますが、その後、どう改善されたのか。というのは、年金福祉事業団法の第十七条の項目に明記されておりますように、第一号の事業内容については全然行なわれていない。もっぱら第二号の仕事に集中しているということで御指摘を申し上げ、その後、十分その点を考慮して改善をしていくという御答弁をいただいております。その後どういうふうに改善されたのか、まずその点から伺ってみましょう。
#176
○国務大臣(内田常雄君) 年金福祉事業団の事業内容につきましては、現在もっぱら融資業務を内容として、みずから福祉施設の建設、運営というようなことをやっておりませんことは、昨年来、渋谷さんの御指摘のとおりでございます。
 このことにつきましては、その際、私からもいろいろお答えを申し上げておきまして、御指摘のとおり、事業団とあるけれども金融公庫のような形になっていることの矛盾は、これは私はそのまますなおに認めておりました、当時も。しかしこれをにわかに第一号の業務を取り入れるということが事業団や公団、公庫などのその拡大、定員制というようなものから今日は押え込まれておるので困難でありますことも申し述べておきました。直接設備の運営等の業務は、これも御指摘がございましたが、厚生団というような財団法人の仕組みをもってやっておりますことも、御指摘は受けましたけれども、そのままの形でいたしておりますので、これはまあ正直に申しまして、やはり機が熟して、いまの事業団のほんとうの二つの業務を持たせるような充実が可能なような事態が到来をするか、そうでなければその看板のほうの法律を直して年金福祉金融公庫ということに直すかということでございますが、現状におきましては、正直に私が告白をいたしますと、いまの段階ではいずれも困難でございますので、私は、御指摘の点をすなおに認めながら、その状況の至るを待って処理をいたすほかない、このように思います。
 その他運営や監督などの面におきましての問題につきましては、これは遺憾なきを期するようにつとめたいと思います。
#177
○渋谷邦彦君 この第一号の中に、全部を読みませんが、「老人福祉施設、療養施設その他の施設で政令で定めるものの設置及び運営を行なう」、こうありますね。これは政令でどういうふうに定めましたか。
#178
○政府委員(北川力夫君) 現在のところ、政令はまだ出ておりません。
#179
○渋谷邦彦君 どうするんですか、これは。
#180
○政府委員(北川力夫君) ただいま大臣から申し上げましたように、この政令の中身と申しますものは、結局は、長年厚生団の行なっております事業と同様なものになるということが多分に予測をされると思います。まあいろいろ事情も変更してまいっておりまするから、これ以外のものもあるかしれませんけれども、やはりそこに厚生団の事業とのオーバーラップというものもございますので、この政令を出すということになりますると、やはり先生御指摘のとおり、第十七条第一号の業務について事業団がこれをやるだけのいろいろな条件の整備というふうなもの、あるいは機運の熟するような段階ということになりませんと、どうもこれは出すことはできないというような状態が率直な現状でございまして、そういう意味で、現在ではもっぱら事業団は融資業務を行ない、また福祉施設のほうは厚生団のほうでやっておる、このような状態でございます。
#181
○渋谷邦彦君 そこで、いま大臣の御答弁にありましたように、もし第一号の規定に従って事業を行なおうとするならば、職員も足りない等々の理由によって事実上不可能である、昨年も伺いました、その点は。一方においては厚生団というのがあり、一方においては年金福祉事業団というものがある。たいていその目的とするところは共通であるはずだ、こういうふうに理解しているんですけれども、それであるにかかわらず、いままでも衆議院でも問題にされた。そしてまた今日こうして申し上げなければならない。一体、それをどういうふうに理解したらいいのか。なぜ私その点を申し上げたいかといいますと、機構があまり複雑になりますと、利用するほうの人たちが非常に迷惑をする、こういう立場があるのであります。やはり国民に周知徹底をせしめるためには、国にはこういう事業体があるんですよ、大いに利用しなさい、こういうことにも通ずるんではないだろうかと私は思うんです。そうした点を考えてみた場合、機構というものは、なくてはならないものはこれは存置するといたしましても、やはり整理統合しなければならないものはこの際に統合整理すべきではないか。そういうことができないところに、いままで予算委員会等においても指摘されてきたように、言いたくはありませんけれども、いつでも官僚が天下っていくような施設をあえてつくる、そのための機関ではないか。私はそう思いたくない。それぞれの役割りがあってそういうものがつくられたはずであろうことは、それは厚生団の歴史を見てもわかります。しかし、その歴史の経過とともに整理すべきものは整理して、そうして国民に利用していただく、この配慮が望ましいんじゃないか。こうした場合に、事業団法に明記されておりますこの第一項目につきましても、私は、この運用の面においてりっぱになし遂げることができるんじゃないか、なぜできないのか。政令の未公布、こんなみっともないことはないと思うんです。その点はどういうふうに理解したらよろしゅうございましょうか。
#182
○国務大臣(内田常雄君) 年金福祉事業団が第一号で定める事業運営面は着手をしていない、もっぱら第二号の貸し付け業務だけやっておるということをたびたび御指摘のようでありますが、でありますからといって、いままで厚生団として経験と運営を積んできておりますものをつぶしてしまって、無理に年金福祉事業団のほうに合体をさせる、そうして公団職員をふやすということは、姿を整えるという意味はございましょうけれども、必ずしも現実に即しないということが私どもの判断でございます。しからば年金福祉事業団法をつくるときに事業団法ということにしないで、先ほども触れましたように、年金福祉金融公庫としておけばよかったかと思いますが、当時の事情は私は知りませんけれども、おそらく野心的に将来は金融業務を、あるいはまた直接事業の運営もできるように姿を整えておいて、客観情勢や人員規制等が行なわれ、現在のようにきびしく行なわれない客観情勢ができたならば今度は第一号業務を始める準備をしたいということで第一号業務を運営されないまま保留されてきておる、こういうふうに私は解釈いたしたいと思います。要らないものはどんどん削ってもよろしいのでございましょうけれども、いま国民から見ますと、年金福祉事業団というものは、年金の積み立て金を財源として還元融資する機関であると考えられておるようでございますので、その辺の混乱はないように私は思います。
#183
○渋谷邦彦君 この問題は、やっていきますと、きりがございませんが、いずれにしても政府としてはいま答弁を伺う限りにおいては、将来ともこの二つの団体は存置する、このように受け取らざるを得ないわけでありますが、法律で明記された以上は、たとえどういう事情があろうとも、たとえば歴史の古い厚生団のほうに吸収して特殊法人にするとか、むしろそういう前進的な役割りを果たさせるようなやり方が望めないものか、重ねて私はその点を確認しておきたいと思います。
#184
○国務大臣(内田常雄君) 御承知のように、新しい公団公庫をつくるということは、今日、行政簡素化の立場からこれは全く認めない、こういう姿勢がとられておりますために、現在の厚生団を特別の公団として法律によって生まれかえさせるということは困難である、こういう情勢でございます。それよりも、要は仕事がうまくいけばよろしいし、またその間間違いのないようにいたすことも肝要でございますから、厚生団などに対する管理監督は、特殊法人でありますところの事業団などに対する管理監督と同様に、これを厳格にしていく措置をもって臨んでまいりたいと思います。
#185
○渋谷邦彦君 いずれにしても、いまおっしゃったように、すでに会計検査院等からの指摘も過去においてございました。受託契約等のそうした関係においてとかく監督指導というものがおろそかになるというような点もございました。どうかそうした面が十分に反映して、今後絶対問題の起こさないというように配慮していただきたいと思いますし、今後、厚生年金を中核として各種年金がともあれ国民の要望にこたえた、そういう前向きの体制というものが一刻も早く実現されることを特に大臣に要望しておきたいと思います。
#186
○喜屋武眞榮君 私、いままでいろいろの質疑がかわされましたので、重複を避けまして、特に提案理由の説明の中から二、三質問をいたしたいと思います。
 まず第一点は、給付の改善についてはこれまで五カ年おきに改正されてきたようでございますが、最近における経済事情の推移の中で、特に物価上昇にかんがみて、この五カ年まで待てないで臨時的な応急措置をとられたと、こううたわれておるのでありますが、そこでお尋ねしたいのは、この物価上昇に伴う経済変動に伴って、これが五カ年も待てないでやったと、こういうことで応急的年金額を、いわゆる応急措置をとられたと、こういうことでありますが、これはいわゆる受けとめ方によっていろいろあると思いますが、間に合わせの、五カ年まで待てないから一刻も早くこれを現時点においてやらなければいけないという、こういう追い詰められた立場での応急措置と、こういうふうにも解せられますが、そうすると、これはあくまでも臨時措置で、根本的にはまた近い将来にやるんだと、こういった御意図のもとでなされた応急措置でありましょうかどうか。
#187
○国務大臣(内田常雄君) おっしゃるとおりでございます。私どもの逃げを打つ意味のうしろ向きの応急措置ではなしに、先刻来の質疑応答でお聞き取りいただけたと思いますが、厚生年金にいたしましても国民年金にいたしましても、少なくとも五年を下らざる期間に一回、掛け金、給付額あるいは積み立て金の計算等の財政再計算というものをやることになっておりまして、その際にそのときの経済事態に即応するように給付額なども改定をいたす仕組みが根本的にはございます。そういう仕組みに応じまして、一昨年、昭和四十四年に厚生年金の制度を大幅に改正をいたしまして、いわゆるこれは紙の上でございますが、二万円年金という制度を実現をいたしたわけであります。紙の上というのは、それは二十何年間か在勤をされて退職をされた人については二万円ということでございまして、過去に早くやめられた方々は、これは二万円にならないわけでございますが、これから二十四年間でございますが、その標準のタイプに従って会社につとめられて退職された方を二万円年金にいたした、その一年おいてのことしでございますが、しかし、非常に激しい物価の上昇なり経済の変動がございますので、私どもは前向きに、次の財政再計算期を待たないで中間的にこの給付金の引き上げをやるくせをつけようということで、実はこの厚生年金制度ができまして、開聞以来と申しますと話は大きいのでございますけれども、初めてこの制度に踏み切ったわけでございます。また国民年金のほうは、昨年、財政再計算期の計算によりまして、これまた二万五百円というような年金額をきめておりますので、次の財政再計算期はまた五年先というようなことになりますけれども、それを待たないで、今回厚生年金について行ないましたことと同趣旨のことを来年から国民年金についてもやりたい。さらにまた厚生年金についても、激しい経済事情がありますれば、その次の年にも考えることがあるかもしれないということで、実質上のスライド制といいますか、政策上の給付額の増加措置というものを随時とり得る端緒を開いておきたい、開こうと、こういうわけで実はやったのでございます。
#188
○喜屋武眞榮君 そうしますと、一貫して考えられますことは、経済変動あるいは物価上昇、これに左右されてだんだんくるわけです。そうしますと、その物価上昇の原因はどこにあるのでしょうか、そうしてそれの安定策はどうあるべきであるか。もしお答えできましたらひとつお願いします。
#189
○国務大臣(内田常雄君) これは私の守備範囲ではございませんし、物価上昇の原因につきましては、いろいろの考え方が取り上げられておるようでございますが、しかし共通いたしますものは、経済の高度成長が行なわれる場合には、これは日本ばかりではなしに、外国等の例を見ましても、どうしても物価の上昇というものはそれに当然伴ってくるもののようでございます。しかし、これもまた厳密に分解をいたしてみますると、物価とは何ぞやということになると、卸売り物価と消費者物価があることは御承知のとおりでございまして、わが国の場合は、卸売り物価はほとんど上がっておりません。これが円が国際的に強いと言われておるゆえんでございまして、円の平価切り上げというような声が国際的にあらわれているということはその辺からであろうと思います。もう一方の消費者物価のほうは、呼び声は消費者物価と書いてありますけれども、実際はCPI、これを構成するものは家計の支出でございまして、その中には、家計支出でございますから授業料も入っておれば、あるいは植木屋さんや床屋の利用料金というようなサービス料金も含まれておりまして、最近までの動きでは、私などの頭に残りますものは、物の価格よりもサービス料金的なものの上昇もかなり消費者物価の引き上げの要因であったようでございます。さらに物にもいろいろございまして、繊維とか鋼材とかいうようなものもございましょうが、おもに最近の物価上昇は生鮮食料品などの上昇や、これまた流通機構の運営が必ずしもうまくいっていないというところに、それらの生鮮食料品等の値上がりも生じておるということで、政府は、これらにつきましても、きめのこまかい対策をとろうとして努力をいたしておりますことも御承知のとおりでございます。私は以上のように考えます。
#190
○喜屋武眞榮君 この問題は、直接大臣の管轄ではないと思いますので、いまの物価上昇の原因とか政策ということになりますと、もっと掘り下げるべき問題があると思いますので、きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。
 そこで、次にお尋ねしたいことは、一万円から十三万四千円までの三十三等級――二十八等級から三十三等級に改められたと、こういうことがございますが、その理由と申しますか、原因と申しますか、それはどういうことになりますか、どういうわけでありますか。
#191
○国務大臣(内田常雄君) これは政府委員のほうからお答え申し上げたほうが御信用がいただけるかもしれませんが、標準報酬というのは、実質報酬を当てはめる区分でございます。現在までは、最近の賃金上昇の傾向がございまして、十三万円、十五万円の給料を毎月受けられる人々でございましても、それらを適用いたします標準報酬の区分は、最高十万円ということに押えられておりますために、標準報酬十万円のところに、七%かそれ以上くらいの所得階層の分布のうち、非常に多くの割合がそこで足踏みをしてたまってしまっておるわけでございますので、そのままにいたしておきますと、給与の実態に合わない結果になります。これはまた他の面から言いますと、厚生年金を受けられるときに所得比例分の計算上、受給者にとりましても少ない金額にもなりますので、この際、ついでと申しては語弊がございますけれども、今度は報酬比例分は、給付は引き上げませんけれども、将来いつでも年金を受給されるときにおいて受けられる報酬比例分の給付が少しでもよけい受けられ、またそれに対する積み立て金の計算なども実態に合うようにということで、ついでと申すと語弊がありますけれども、今度の給付改善には関係なしに実態に合う措置をとった、こういうことでございます。
#192
○喜屋武眞榮君 いま二十八等級から三十三に切りかえられた、この根拠は何でありましょうかと伺ったのであります。
#193
○国務大臣(内田常雄君) ついでに申し上げますが、それは、月十万円までの標準報酬の箱の上に十三万四千円までの五つの箱を積み上げた、こういうわけでございます。下のほうは、たしか一万円――一番下は一万円になっているはずでございますが、いま月一万円という給料はそんなにたくさんの方々が受けていない、もっとみんな給料が上がっておりますから、下を五階級取ってしまうということをやりますと、そうすると、標準報酬というものの段階の数はふえませんけれども、やはり中には安い給料の方もおられると思いまして、一万何千円しか実際の給料を受けない方をかりに二万円として納付金の計算等をいたしますと、これまた本人に酷の点もございますので、下をそのままにいたしておきましたから、積み上げた分だけのその箱の数がふえたというわけでございます。料率を引き上げたというようなことには全く関係ございませんし、引き上げてもおりません、料率などは。
#194
○喜屋武眞榮君 もう二、三ありますけれども、時間の関係もありますので、最後にこのことをお尋ねいたして明らかにしてみたいと思います。
 御承知のとおり、沖繩はアメリカのいま施政権下にありまして、そして布告布令による支配がある。それから沖繩の立法院でつくった民立法による法があるわけです。その二つに漏れたものは旧日本国法が適用されている、こういった法の雑居といいますか、こういった異常な中で今日まできておるわけであります。そういった複雑な様相の中で、往々に落ちこぼれる面がたくさんあります。たとえばいま国会で問題になっております返還協定の中身の問題に対しても、特にその一つに、たとえば安保第十九条によるところの請求権の放棄と、こういうことが問題になって沖繩の財産の復元補償の問題だとかあるいは人身傷害の問題とか、いろいろ問題にいまなっておるわけでありますが、そのように法の雑居からくるところの県民の生命、財産、人権に対するいろいろの問題がかもし出されているわけなんです。
 そういう中で、きょうの問題と関連をしてお尋ねしたいことは、船員保険法に関連いたしまして、沖繩の労働者が外国船に雇用された場合、あるいは日本船に雇用された場合、あるいは沖繩自体のまた船に雇用された場合、乗り組んだ場合、こう三つ考えられますね。その場合に、船員保険法がどうなるのであるのか。もちろん沖繩の船に乗る場合には、本土法に準じたそれなりの法律があるわけです。本土船に乗り込んだ場合に、完全にそれが適用されるのであるかどうか、外国船に乗り込んだ場合にどうであるのか、その辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#195
○政府委員(八木哲夫君) 沖繩におきます船員保険の適用につきましては、先生御案内のように、沖繩につきましては、本土並みの総合保険がございませんので、医療につきましてもあるいは年金につきましても、災害保障につきましてもそれぞれの法律の適用を受けているということでございますので、沖繩の船に沖繩の船員が乗られたという場合には、沖繩の現在では各法の適用を受けるということになっております。
 それから沖繩の船員が内地の日本国籍の船に乗船中に事故があったという場合には、これは日本の内地の本土法の船員保険法の適用を受けますので、本土法におきます船員保険の適用を受けるということでございます。
 それから日本船舶以外の外国籍の船に乗船しておったという場合の適用関係につきましては、日本船主、日本の船舶所有者が借り受けているというような場合あるいは日本政府が配乗を行なっているというような場合におきましては、船員保険法の適用は受けるわけでございますけれども、それ以外の場合におきましては船員保険法の適用は受けられないということで、現在保障はないということでございます。
#196
○喜屋武眞榮君 もう一つ明らかにしておきたいことは、その外国船にたとえば本土の日本人が乗り込んだ場合、沖繩の日本人が乗り込んだ場合、これは差があるのですか、どうですか。
#197
○政府委員(八木哲夫君) 本土の日本国の船員が外国籍の船舶に乗り込んだという場合においては船員保険法の適用はないわけでございます。したがいまして、沖繩船員が乗った場合と本土の船員が乗った場合の差は、どちらも外国籍の場合はだめだということで、特にございません。
#198
○喜屋武眞榮君 なぜ私がこれをお尋ねするかと言いますと、一昨年でしたか、外国船に雇用された沖繩の船員に地中海で事件がございまして、それが大問題になったことがあるわけなんです。爆発事件がありまして――御存じかと思いますけれどもね。それがやっさもっさいろいろ法的手続も何か違法な手続もあったようでございますが、そういうことで、結局うやむやにされた事件がありますので、そういうことと関連いたしましてお尋ねしたわけであります。はっきりいたしました。終わります。
#199
○小柳勇君 時間が予定の時間にまいりましたが、五問だけ簡単に質問いたしますから、結論だけでけっこうでございます。事務当局でかまいません。
 一つは、国際的な公的年金の通算制度でありますが、在外日本人で外国の公的年金に加入しておる者がどれくらいあるか。一方、在日外国人で日本の公的年金に加入しておる者はどれくらいあるか。その通算制度はどうか。これが第一問です。
#200
○政府委員(北川力夫君) お尋ねの外国の公的年金に加入しております在外日本人の数と、それからわが国の公的年金に加入しております在日外国人の数につきましては、残念ながら現在のところ十分な数を把握いたしておりません。
 なお、参考までに申し上げますと、在外日本人及び在日外国人の数は、在外日本人の場合には三カ月以上滞在をいたしております者が、四十四年十月現在で、アメリカの場合に約二万四千人、西ドイツに四千五百人、その他フランス、イギリス三千四、五百人、オーストラリア、カナダが千数百人というふうな状態でございます。
 また在日の外国人数は、朝鮮、韓国人が昨年の九月末現在で六十一万人、中国人が五万一千人、アメリカ人が一万八千人、イギリス人が約三千人、ドイツ人が二千六百人程度、このような状態でございます。
 それから二国間におきます国際通算の措置につきましては、現在のところ具体的な問題といたしましては、西ドイツとの間で事務的な段階の交渉を進めているところでございます。で、一昨年の十月に西ドイツの担当官が来日をいたしまして、その後いろんな接触をいたしておりますが、技術的な問題もございますので、なお意見を調整いたしました上で、できるだけ近い将来担当者が現地に参りまして具体的な交渉の進展をはかりたいと、かように考えております。
#201
○小柳勇君 第二問は、ILO条約の批准の問題ですが、ILO第一〇二号条約は社会保障の最低基準の必要条件を十分満たしておるのにまだ批准しておらないのはなぜか。
 それからILOの一二八号条約は批准する用意があるのかどうか。また、批准できる状態でないとすれば、どこが水準を満たしておらぬのか、なぜその部分を改正しないのか。
 この二問についてお答えいただきたいと思います。――結論だけでいいですよ。
#202
○政府委員(北川力夫君) 一〇二号条約の場合には、先生御承知のとおり、これは医療、疾病、失業、老齢、業務災害、家族、母性、廃疾、遺族の九つの部門についてその適用範囲と給付の基準を規定したものであります。これは批准の条件といたしまして、この九部門の中で失業、老齢、業務災害、廃疾及び遺族のうちの少なくとも一部門を含めて三部門の基準に適合していることが必要でございますが、わが国の場合におきましては、疾病、それから失業、業務災害、老齢の諸部門につきましては、おおむねこの条約の基準の示すところの最低条件に合致しているものと考えております。この条約の批准につきましては、内容が、いま申し上げましたように、社会保障全体にわたっております問題でもございまして、十分な検討が必要でございますが、これが社会保障の各部門についての最低基準を定めた基本的な条約であることにもかんがみまして、今後、関係各省とも十分連絡をいたしまして、その取り扱いを検討してまいりたいと思っております。
 で、また一二八号のほうは、障害と老齢と遺族について六七年のILO総会で採択されたものでございますが、これはその内容が一段と一〇二号を上回っております。この条約の場合には、この三部門の中でいずれか一部門の基準に適合していることが必要でございまして、わが国の年金制度につきましては、条約の解釈上なお検討すべき点があるわけでございますけれども、大体前回の改正あるいは今回の改正によりまして、老齢部門につきましてはこの新しい基準におおむね適合しているというふうに考えております。ただ年金制度の将来につきまして、いろいろ先ほどからも御議論がありましたとおり、今後の年金制度をどのように持っていくかというふうな問題とも密接に関連をいたしておりまするし、一部門がやっと適合しているというふうな状態でもございまするので、将来のこのわが国の年金制度の改善の見通しというふうなものを十分考えました上で、この問題をどういうふうに処理するかということについて慎重に検討してまいりたい。現在の段階では、大体以上のような考え方でございます。
#203
○小柳勇君 第三問は、船員保険の福祉施設の問題ですが、海外における施設がどういうふうに運用されておるか。今後どういたしますかということ。
 それから最後は、沖繩における船員保険法の適用状況はどうなっておるか。沖繩が来年復帰することになっておるが、沖繩に福祉施設が一カ所もないが、今後における施設整備計画はどうか。
#204
○政府委員(八木哲夫君) 船員保険におきます海外の福祉施設の関係でございますけれども、現在スペイン領のカナリア群島のラスパルマスに日本船員保険福祉会館を設けまして、ここでラスパルマスを基地としました大西洋海域に操業します日本漁船員の福祉向上ということで、昭和四十二年の四月に開設されております。現在は、船員保険の福祉施設といたしましては、海外にあるのはこれ一カ所でございます。
 なお、この施設は現地人から二千平方メートルほどの敷地を借り受けまして、四階建ての建物ということで、プール、テニスコート、日本式浴室、和室等を備えておりまして、利用状況は、四十五年度一日平均二十人をこえるような利用者があるわけでございまして、ラスパルマスを基地とします漁船関係の船員に対しまして非常な好評を博しているような次第でございます。
 なお、これ以外に海外にさらに福祉施設を設けるべきではないかというような御要望が船主団体あるいは船員団体等からも出ておりますので、この問題につきましては、今後十分検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから沖繩におきます船員保険法の適用状況でございますが、先ほども喜屋武先生にもお答えいたしましたのですが、現在は船員保険関係につきましては、本土法にございますような総合保険というような法律はございませんで、医療保険なりあるいは年金なり、災害補償なり、失業保険なり、それぞれの各法の適用を受けておるわけでございますけれども、本土復帰に伴いまして船員保険法の適用を受けるという方向で検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから沖繩におきます船員関係の福祉施設につきましては、現在何もございませんが、現地におきます船主団体あるいは船員団体から保養所等の休養施設を設置してほしいというような要望も出ておりますので、これらの問題につきまして十分検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#205
○小柳勇君 第四問は、年金給付が増大するにつれて年金保険部業務課の仕事が増大すると思いますが、きょう児童手当創設を決定いたしましたが、現在の定員で仕事ができるかどうか。仕事を十分するためには定員の大幅増員が必要ではないかと思いますが、いかがですか。
#206
○政府委員(八木哲夫君) 被保険者数の増なりあるいは年金受給者の増ということに伴いまして、今後、業務課におきます業務量の増というのは十分考えられるわけでございます。特に記録の整備とか、あるいは年金の裁定、支払い、これらが大量にふえてくるということが十分予想されるわけでございますので、私ども、人員の面を含めまして、あるいは機械の処理体制の問題等、新たな受給著増に備えます体制を十分に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#207
○小柳勇君 最後の問題は、この前、予算委員会でも問題にしたのでありますが、公的年金制度の調整は現在総理府が主管でありますが、国民年金と厚生年金を持っている厚生省が大体九割の仕事を持っているわけでありますから、厚生省が主導権をもって、実は総理府から厚生省のほうに仕事を移すぐらいの決意でやらなければ、公的年金の調整はなかなか困難ではないかと思います。したがって、これは厚生大臣から今後の決意を聞いておきたい。それはこの前の国民年金のときにも言いましたけれども、いまの社会保障制度を充実すると言いますけれども、年金制度が一番おくれている。しかも年金制度を充実することによって国民生活の安定と老後の保障が得られる。したがって一日も早く、現在八つの種類がございますが、この八つの種類の年金を早急に、通算制度も拡充しなければなりませんが、調整をしなければならぬ、掛け金なり給付なり。その作業を早急にしておかなければならぬが、厚生大臣の決意を聞いておきたいと思います。
#208
○国務大臣(内田常雄君) 各種年金の調整のことにつきましては、私も、その必要性を十分認識をいたしておるものでございます。ただ関係機関の協議会を総理府から厚生省に移しますことにつきましては、お説のとおり、この年金の積み立て金の額と申しますか、あるいは加入者の人数等につきましては、厚生省所管の厚生年金、国民年金が大部分を制しておりますけれども、しかしその八つの種類のうち、これまた大部分は国家公務員、地方公務員関係等の共済組合の関係になりまして、したがってそのような関係から総理府がこれを世話をするというような形になっているものと考えられます。その辺の調整をも十分考えまして、いずれにいたしましても、年金の共通部分の発見、また違う部分の調整というようなことは未解決の部分を進めてまいりたいと思います。
#209
○小柳勇君 終わります。
#210
○高山恒雄君 最後に私、希望とちょっと……。
 いまさら言うまでもないと思いますけれども、附帯決議もつくようですが、私は、この問題で一つだけ申し上げておきたいのです。
 実は、この国会で労働省から出ております法案の中に積み立て方式の持ち家制度の法案が出たと思うのです。これは大体七分四厘四毛の金利ですか、これで預けるということです。したがってローンを適用した場合は、政府がある程度これを利子補給しよう、こういう法案であったと思うのです。先ほど大臣は、間接的な被保険者に対する福祉になっておると、こうおっしゃいますけれども、私は、政府の統一のないことは、そういう点にあると思うのです。何にも利子補給しなくても、年金事業団のほうから六分五厘で貸せば、補給しなくてもいけるのではないか。したがって七分四厘四毛は五年の積み立てをすれば、これも当然の金利でございまして、労働者にあまり福祉ではない。こういう問題をもっと有効に使っていただくと、こういうことがこの積み立ての運用については拠出者に対する出資としてやるという点も、もっと総合的なものをやっていただきたいことを希望意見として申し上げておきます。
    ―――――――――――――
#211
○委員長(林虎雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 村上春藏君が委員を辞任され、その補欠として長田裕二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#212
○委員長(林虎雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#213
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#214
○小野明君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、各派を代表して附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
 以上でございます。
#215
○委員長(林虎雄君) ただいま小野明君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 小野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#216
○委員長(林虎雄君) 全会一致と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内田厚生大臣。
#217
○国務大臣(内田常雄君) ただいま御決議のございました事項につきましては、できる限り御趣旨を尊重して、今後一そう努力をいたす所存でございます。
#218
○委員長(林虎雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○委員長(林虎雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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