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1970/02/16 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第5号
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1970/02/16 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第5号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第5号
昭和四十六年二月十六日(火曜日)
   午前十時二十七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     鈴木 一弘君     上林繁次郎君
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     青木 一男君     鈴木 省吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柴田  栄君
    理 事         大竹平八郎君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                成瀬 幡治君
    委 員
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                鈴木 省吾君
                丸茂 重貞君
                松井  誠君
                吉田忠三郎君
                上林繁次郎君
   政府委員
       宮内庁次長    瓜生 順良君
       皇室経済主管   並木 四郎君
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省理財局次
       長        小口 芳彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国
 会の議決を求めるの件(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 二月十五日、鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として上林繁次郎君が選任されました。
 また、本日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として鈴木省吾君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柴田栄君) 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては、すでに趣旨説明及び補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○成瀬幡治君 三笠宮の殿邸というのでしょうか、これが新築が行なわれておるようで、四十四年、四十五年で、予算で割り出せばわかるわけですが、大つかみに大体坪どのくらいで建てておみえになるのでしょうか、単価は。
#5
○政府委員(瓜生順良君) 三笠宮の殿邸の経費としますと、全体が一億七千万ばかりで、その殿邸の関係では、御殿のほうの関係が平米で千九十六平方メートルですから、坪に直しますと三百坪ばかりで、そのほか、車庫とか附帯設備などが二百二十平方メートルばかりありますから、御殿のいろいろな附属設備なんかもありますが、大まかに考えて、坪で割ってみますると、坪五、六十万ということになります。
#6
○成瀬幡治君 これは、もちろん、鉄筋で、そしてセントラルヒーティングでやられるわけですか。その中には、そうしたいろんな暖房なり冷房なり給水施設なりあるいは消火施設等も含めての場合ですか、そういう附属施設は入れずに五十万から六十万の建坪平均単価でございますか。
#7
○政府委員(瓜生順良君) この五、六十万と申しましたのは、そういう冷暖房の機械設備から、周辺の庭園の経費から、全部を入れて割ってみるとそれくらいということを申し上げましたのであります。
#8
○成瀬幡治君 いや、私は、もうこれは完了しておるわけですから、坪にそういう庭園まで入れてやるということはちょっと納得をしかねるわけですが、建物に対する単価はおよそどのくらいでしょうと――五、六十万と言われると、まあそれは高いという見方もありますし、まあまあという見方もあると思いますがね。
#9
○政府委員(瓜生順良君) この経費のうちで建物関係というのが一億四千七百万と出ておりますから、これを三百で割りますと、五十万にはなりません、四十四万ぐらいになります。
#10
○成瀬幡治君 その四十四万の中には、いま言うような冷暖房の施設、消火施設を含めての話ですかと、こういうことです。
#11
○政府委員(瓜生順良君) そのとおりでございます。
#12
○成瀬幡治君 なお、当然、そういうことになれば、そこには附属の椅子が入るとかじゅうたんが入るとかというようなそういうものが入ってくれば――入っておらないわけでしょう、そういうものは。
#13
○政府委員(瓜生順良君) 備品のほうは、別に七百五十万となっております。
#14
○成瀬幡治君 今度の高松宮の殿邸につきましては、四十六年度で設計とそれから整地をやると。そして、新築のほうの予算措置は四十七年、四十八年でやるんですよと、こういうことのようですが、予算措置としては四千百二十九万円計上されておって、あとはまだ具体化されておらないのだから、施設費と申しますか建築費は来年度の予算でやるんだよと、こういうことなんですが、入札の点で伺いたいのは、この前、宮殿をつくるときに、間組でしたか、非常に安く入札したようなことがあるわけですが、入札はどういう形式をとってやっておみえになりましょうか。
#15
○政府委員(瓜生順良君) 入札のやり方は、少なくとも業者を五軒くらい以上のところを指名いたしまして、その指名された業者によって競争入札をするわけであります。
#16
○成瀬幡治君 指名入札は、いわゆる建設業法に基づくAランクあるいはBランク、いろいろとありますですね。予算から見ますと、Aランクの人だけでなくてCランクの人までやれるようなかっこうになっておるのですが、五名を選ばれる基準というものは何でおやりになりますか。
#17
○政府委員(瓜生順良君) 予算の総額としますとそう大きな工事ではありませんが、三笠宮の殿邸のときの例を考えてみましても、大体Aランクに属するような優秀なところから五、六軒選びましてそうして入札をしているということですから、高松宮の殿邸についてもそういうふうになるのじゃないかと思っております。
#18
○成瀬幡治君 受け取り方によりましては、非常に公平と思われる人もありましょう。それから利潤があるとかないとかいうことは別といたしまして、あなたのほうがAランクの中で優秀と認定するということは、会社の内容がいいとかということになると思いますけれども、たとえば三笠宮邸で指名に入っておって入札に落っこちたと。今度秩父宮邸で指名に入ってまた落っこちたと。とうとう談合で高松宮邸をとったというようなかっこうになるといかないと思います。ですから、少なくとも三笠宮に指名された人はだれも次の五社なら五社に入っておらない、別の人が入っておる。三笠宮のときに五社だったら、秩父宮のときは別の人を指名した、高松宮ではまた別の人にするのかダブっておるのか、そこら辺のところはどうなりましょうか。
#19
○政府委員(瓜生順良君) 三笠宮殿邸の場合の指名の人と、今度高松宮殿邸の場合の指名の人は、やはり一部はダブると思います。同じかどうか、これはちょっと調査をやってみないとわかりませんけれども、ダブることになるであろうということは予想されます。
#20
○成瀬幡治君 信用ということが非常に大切であろうということは私もわかります。Aランクにされているような人が、信用というものが、片方は百点であって、次の人が九十九点、九十八点というランクがつくんじゃないかと思います。そこで、私は、Aランクの人が五人あったら五人、次の者は別のグループですよというようなふうにおやりになるほうが公平じゃないかと思う。このことであなたのほうとなれ合いがあるなんということば毛頭考えておりません。毛頭考えておりませんけれども、しかし、そういうふうにおやりになるほうが適切な処置じゃなかろうかという私の意見だけ申し上げておきます。
 次にお尋ねしたい点は、この前葉山の御用邸が火災にあわれたのですが、よくわかりませんが、お聞きしますと、火災保険等には入ってもいませんよと、火災保険に入るかわりに、そういうことのないように管理を厳重にしておくのがたてまえだというふうに聞いておりますが、そのとおりでしょうか。
#21
○政府委員(瓜生順良君) 国有財産については火災保険はかけないことになっているというふうに聞いておりますので、これも火災保険には入っておりませんのですが、管理については、国有財産でありますから、できる限り注意をして管理をしていかなければならないということで管理していたつもりでありますが、今度のようなことがありまして、まことに遺憾に存じております。
#22
○成瀬幡治君 聞いておるというのではなくて、私はよくわかりませんからあなたのほうにお聞きしておるのですが、国有財産のこういう建物については火災保険というものに入ってはいけないのだと、そのかわり管理費をとって人がおって管理するからそれでいいのだと、こうなっておるのですか。たてまえが私は知りたいのですが。
#23
○政府委員(小口芳彦君) 国有財産につきましては、これを火災保険に付さないということが取り扱いの原則になっております。
#24
○成瀬幡治君 あれはどのくらいの損害になりますか、今度の葉山の御用邸と申しますと。
#25
○政府委員(瓜生順良君) 一応損害見積もり価額というのを出したものによりますと、建物工作物等で評価が九千五百万ぐらい、なお、中にあります備品類が約一千万の評価をされるものが出てきて、合わせますと一億五百万ぐらいの損害があったということでございます。
#26
○成瀬幡治君 大体、年間に管理費はどれくらい使われておりますか。管理費というのは、補修とかそういうことを抜きにしちゃって、私は人がおってこういうものを管理しておったと思うのですよ。そういう管理費というものはどのくらいですか、年間に。それは、なぜそういうことをお聞きしますかというと、少なくとも焼けてはならない、火災保険だけかけておけばいいわというような私のような財産とは違うと思うのですね。非常に貴重なものもあるだろうと思います。ですから、警備を配置して万々そういう間違いのないようにされておるということは当然だと思いますが、しかし、片方で言えば、それだけやっておくと火災保険料の損になることだから、二重支出になるようなことがあっては税金のむだ使いと言われやしないかというような考えもあって火災保険をかけておられないのか、その辺のところがわかりかねますから、いま言ったような純然たる管理費としてどのくらい使っておられるのか。火災でいえば、いま言われたような一億五百万円という損害の数字が出てきた。しかし、その中には、全く失われてはならない取り返しのつかない備品ですか、そういう財産もあっただろうと思うのですよ。ですから、そういうふうな点について、二重の負担になるからまあというような考え方も私はわからぬわけではございませんけれども、どうなんだと、そこら辺のところが少し明らかにしたい問題ですのでお尋ねをしておるわけです。
#27
○政府委員(瓜生順良君) この管理費の関係は、維持修理とかなんとかという経費を別にして考えてみますと、そこを守る人が人件費として五人でありますから、そういう人件費の関係もあるいはいま先生のおっしゃるようなことになるかと思います。
 なお、国有財産には保険をかけないというのは、管理のほうで注意するから保険をかける必要がないというふうに聞いております。これは大蔵省のほうがお詳しいと思いますので……。
#28
○政府委員(小口芳彦君) 国有財産に保険をかけないというのは、ただいま先生おっしゃいましたように、保険料だけでも相当な支出になる、そういうふうな点も考慮いたしまして、かけないという原則ができておるというふうに考えておりますが、反面、それでは国有財産の管理保守を厳格にやらなければならないと。これはやはり国有財産全般に通ずる一般的な方針として当然そうなくてはならないものというふうに考えております。
#29
○成瀬幡治君 そうすると、たとえば東京にも国有財産の建物がございますね。大蔵省でいえば財務局なりあるいは国税局、ああいう建物にも保険はかかっていないわけなんですね。
#30
○政府委員(小口芳彦君) かかっておりません。
#31
○成瀬幡治君 かけたほうがいいかかけないほうがいいかということになると、私はいろいろ問題点があると思います。しかし、保険思想と申しますか、特に火災保険というものが、全体の保険比率で申しますと、平均すれば三〇%にも及ばない。都市で言っても、四〇%前後くらいです。この前、一度、ずっと前だと思いますが、大蔵委員会で、地方自治体が火災関係の保険をやったらどうだと。秋田の大火等があっていろいろな問題があって、自治体だけでやっておりますと保険金を支払うことが不可能だというようなことがありまして、あまり多額のことをやってはならない。しかし、火災保険に入るように全般にしたほうがいいんじゃないかというような問題が議論されたことを記憶しております。あるいは新潟の地震のときに、これは保険の対象にならないと。しかし、それも少し入れたほうがいいんじゃないかという議論があって、保険思想の普及と申しましょうかなるたけ不時の災害にあうことはやめたほうがいいのじゃないかということがああいう法律案が議論をされたときの大勢だと思うのですね。そういうときに、人件費で見ますと、葉山の御用邸に例をとってみますと、あそこには御用邸があるのだから、人が不必要だとは申しません。保険に入っておっても人は置かれると思います。しかし、保険料のかわりに何人それに充てたか知りませんけれども、年間五人だというと、一人十万円と見まして年間約六百万円の支出になる。保険料はもっと安いと思います。ですから、六百万がイコール保険料ではなくて、五人の中の一人か二人が保険料に相当することになるのか、あるいは全くの上積みになるのか、よくわかりませんが、私は一度この問題について検討をしていただく必要がありはしないかと思っておりますが、いかがなものでしょうか。
#32
○政府委員(小口芳彦君) 国有財産につきましては保険に付していないわけでございますけれども、ただいま先生がおっしゃいましたような意味で、たとえば葉山の御用邸につきまして、火災保険料をかければこのくらいになる、それに対応してそれでは管理費をどのくらい計上するか、そういう個々の対応関係で保守管理の経費を計上している、そういうふうなことはないわけでございます。一般的に国有財産にはピンからキリまでございまして、これに対してそれでは全部保険を付するかといえば、やはり相当な保険料がかかるわけでございまして、そういう利害得失の面からいろいろ検討して、そしていままでのところは保険には付さないということになっておるわけでございますけれども、この点は先生がおっしゃるようないろいろな問題点もあろうかと存じますので、なお検討をいたしたいというふうに考えております。
#33
○成瀬幡治君 私もそろばんをはじいているのじゃなくて、普通でいえば、民間のビル等は、建てたと同時に火災保険に入る。国税局の隣のビルは入っておった。ところが、国税局の建物は、地方の各都市にある、それは国有財産で入っておらぬと。これでは何かアンバランスのような気がしますから、十分ひとつ御検討をしていただきたいと思います。
 次にお尋ねいたしたい点は、国有財産の管理の問題に関してお尋ねしておきたいと思いますが、過般のような農地払い下げで最高裁の判決があって、地主から買い上げられた、そしてそれがその目的に使用されないものであるから、それを旧地主に払い下げる、そのときには買い上げた価格だよと。だから、二円六十銭とか二円五十三銭とかいう問題が出てまいります。この問題については、大蔵でどうこうするのじゃなくて、ただ、大蔵では、そういう場合には所得があったとみなして――きょうは主税局あるいは国税庁関係の人は見えませんから言いませんが、所得があったとみなして、私は実は時価でその人がもらったものとして課税対象になるというたてまえをとりますが、まあそのことは別にして、ああいう価格で農地法の精神に基づいて土地を地方自治体が買い上げた、国が買い上げた、そこで目的どおりに使わなかったのだから払い下げるのだという最高裁の判決があって、それに従おうとするなら、国有財産法に基づいていろいろといままで物件というものが払い下げられております。そのときには、使用目的というものが明記されておるものと、ある時期は使用目的を付せずに払い下げられたときとあると思います。だから、国有財産が払い下げたものがどういうふうになっておるかということをフォローアップして、もし十年たっても――期限を切ったのですからね。目的と年限を切ったのですから、それでなかったら、逆に払い下げた値段で今度は国で買い上げると申しましょうか、返してもらうということをやらなければ、政府は片手落ちになると思うのです。そういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。
#34
○政府委員(小口芳彦君) 国有財産の普通財産を売り払う場合につきましては、国有財産法の規定がございまして、用途指定を付して売り払うということになっているわけでございます。一般競争によります場合とか、あるいは金額が非常に小さなものである場合には、政令で実は除外されておりますわけでございますけれども、一般的には用途指定をつけて売り払うということになっておりまして、そういうふうな措置をとっておるわけでございます。で、売り払う場合におきましては、使用目的を徴しまして、その使用目的に、たとえば学校とか、あるいは公共住宅とか、そういうふうな使用目的をよく聞きまして、それに充てるという用途指定をいたしまして、そして、期限を限って、その間に用途指定に定められた用途に向けられなければならないというふうなことをきめております。それで、もし用途指定に違反がございましたときには、違約金を徴するとか、あるいは国で買い戻すというふうな措置をとっているわけでございます。
#35
○成瀬幡治君 あなた、いま、もう一ぺん買い戻すと言うんですが、やったことがありますか、ほんとうに。用途指定をつけ、そして期限を付したものが、やっておらないことについて、実例があるなら――私は違約金を取ったという話は知っております。このときは用途指定がついていなかった。しかし、払い下げを受けられて二年ぐらいたったら転売したわけだね。だから、けしからぬからというので違約金を取った。現行法は確かに用途指定がついていますよ。あの時期はついていなかった。それだから、違約金を取られたことは承知しておりますが、そうではなくて、ほんとうにあなたがいま御説明になるようなことで、用途指定をつけ、期限を付したもので、そのとおりにやっておらなかったから、返してもらったり、あるいはそれについての違約金というのですか徴罰的な何かをやったことがあるのかないのか、あるならひとつお聞かせ願いたいと思います。
#36
○政府委員(小口芳彦君) ただいまお話にもございましたように以前におきましては用途指定の制度が法律上なかったわけでございます。法律の改正によりまして用途指定の制度ができまして、それで、国のほうで、ただいまお話しの違約金を取る、あるいは違反があった場合には買い戻しをする。この買い戻しの場合も、所有権の移転登記をする場合にあたりましていま買い戻しの付記登記もしているわけでございますけれども、これは比較的最近になってそういうふうな縛り方をしているわけでございますけれども、御質問の買い戻した例はあるかというふうなことでございまするけれども、その点は例はございません。
#37
○成瀬幡治君 いや、今度農地法で最高裁の判例に基づいてこういう措置をするわけですね。ですから、新しい措置なんですよ。農地法が施行されてから二十三、四年たちますね。
#38
○政府委員(小口芳彦君) 二十年……
#39
○成瀬幡治君 それで、完了してからでもあなたおっしゃるように二十年たっているわけです。それをこうやるわけです。だから、私は、農地法でああいうことをやるなら、当然国がフォローアップしてやっていないものについてはやるべきだと思うんですよ。期限が来て用途指定がありまして――私が大蔵省に言うのはおかしいんですが、用途指定が初めはついておったんですよ。ある時期へ来たら、昭和三十何年から五年ぐらいの間は用途指定がついていないんですよ。そして、違約金を取ったのは、用途指定のついておらぬときであって、そういうばかなことがあったからといって国会で問題になったから違約金を取った。そしてまた用途指定をつけた。そして、現行法は、用途指定と期限が付してある。一ぺん払い下げられたものを調べて、今度農地法でああいうことをやられるなら、少なくとも国有財産の管理についても同じことをやらなければ、政府は厳格な処置で臨まないと、全くの片手落ちになります。地主は、御案内のとおり、もうもらっておるわけです、金額を。そして、あのときこうやったのだからというので、追加報償が二度払われている。ですから、計三べんもらっておる。いま言ったように、国のものを払い下げるということは、普通の一般の人じゃできませんですよ。全く特定な人が受けておると言って差しつかえない。それが、用途指定を付され、あるいは期限が付されておる。そういうものについても何らそのままになっておるという個所が、あげよとおっしゃるなら私もあげたいところがあるわけです。ですから、一度そういう点について、いまここでどうこうというわけではなくて、これから農地法の問題に関連して今度の最高裁の判例に従ってそういう措置をとられるとするならば、国有財産の払い下げについてもそういう措置をとられますかどうかということなんです、問題は。これはまあ大臣でなければいかぬわいと、こうなるかもしれませんが、どういうことになりましょうか。
#40
○政府委員(藤田正明君) ただいまの、私有農地から国有農地に切りかえられたこのいきさつと、国有財産を希望者に払い下げられるというふうないきさつは、若干の相違はあると思います。相違はあると思いますが、ただいま成瀬委員が言われたような理屈としてはそのとおりだと思います、理屈としては。私も、成瀬委員が言われたとおりに、その理屈を一ぺんよく検討いたしてみたい。したがって、その行為の原因は違うというふうにも思います。それで、検討はいたしてみたい、かように思います。
#41
○成瀬幡治君 私は、農地法の今度の問題があったからやるということよりも、大蔵省全体が国有財産の払い下げについて責任を持って、しかも相手を信用してやってこられたと思うのです。ところが、払い下げを受けられた方は、いろいろな事情があって、期限内に用途指定がついておるのにやれなかったんだということもあると思うのです。ですから、私は、ピンからキリまで杓子定規でやれとは言いません。しかし、一ぺん払い下げちゃったんだから、もう国有財産は手元を離れちゃった、大蔵省としてはもう責任がないんですよというような姿勢というものは、今度を境にして一度ぴっちりされる必要がありやしないか、こういうことが主なんでございます。そうでないと片手落ちになりますよということを申し上げたわけですから、私はフォローアップされるのが当然であると思っております。そして、そういう物件があるとするならばどうするかということについては、早急にひとつ対策を検討してもらいたい。これは問題が二つあると思う。フォローアップは当然のことだ。そして、その事後の摘発したものに対する対策はどうするかという、二つになると思います。この次の大蔵委員会とは申しませんが、少なくとも税法が上がる三月三十一日くらいまでには結論を大蔵省としてまとめてお出しをいただくようにお願いをしておきます。
#42
○吉田忠三郎君 関連して伺いますが、たとえば旧軍用地、軍隊の土地ですな。ちょうど昭和十六年ごろですよ。当時、大東亜戦争に突入する段階ですから軍の施設を拡張するために、かなりのつまり農地ばかりじゃなくて普通の民有地でも強制収用になりましたね。その後、戦後、それが軍用地ですから国有財産に編入されましたね。そういうものが今日大蔵省所管の国有財産になっていますが、これをいま成瀬委員が言ったように払い下げたような場合ですね、同じ結果じゃないかと私は思うのですが、どうですか。今度やらんとする農地の問題とこういう関係はどうなりますか。これはたくさんあるですからね。
#43
○政府委員(小口芳彦君) 御質問のような、旧軍が民間から戦争中でございますけれども、買収をいたしました財産は、大蔵省が戦後これを引き継いで管理しておるわけでございます。農地法との関係から申しますと、この軍の買収は、農地法のように法律に基づいて強制的に買収したという形態はとっておらないわけでございます。形態はあくまでも契約によってこれを買収したことになっておりまして、その点が実は農地法の場合とは違っておるわけでございます。それで、もとの所有者が所有権を返してもらいたいというふうな場合におきましては、優先的にもとの所有者に売り払うというようなことも考えているわけでございますけれども、その場合の売り払いの対価はそのときの時価ということになっております。
#44
○吉田忠三郎君 あなたがその当時どんなことをしていらっしゃったか私はよくわかりませんが、形の上ではそれは契約となっていますよ。しかし、今日的な状況と違いますからね。全く相手方の意思の発表とか意見の開陳とかそんなことを抜きに当時の軍閥はやったんだ。だから、君が今日的にはそういう答えになりますけれども、そういう状態じゃなかった。ぼくらもやられたんです。そういうものがありますよ、幾つも。おそらく全国にたくさんあると思うのです。その場合、農地の場合は農地法というものがたてになっているからいまの君たちがそういう答えをするが、民有地だって同じ理屈じゃないですか、理屈としたら。そういう場合に、君も答えているように、これを今度払い下げする場合は時価相当額でしょう。農地だけがどうして二円何十銭になるのか、全く国民感情からいったら理屈に合わないわけです。ですから、成瀬委員が片手落ちじゃないかと言われるのはここにあるのじゃないかと思うのですが、どうですか、政務次官。
#45
○政府委員(藤田正明君) おっしゃるように、感情としてはこれはなかなか受け入れがたい点がありますが、しかし、法律的に事務的にいきますと、いま理財局次長が申し上げたようなことにならざるを得ないわけであります。戦争中のあの特殊な背景のもとに行なわれたといたしましても、形態は自由契約ということになっておるわけです。ですから、そのような特殊な背景のもとに行なわれた自由契約をどのように焼き直していくか。これは、やはり、契約の変更といいますか、その内容の変更を新しく起こさない限り、法律的、事務的には理財局次長が申し上げたとおりをやらざるを得ないということでございます。確かに、おっしゃいますように、感情論としてまた理屈として合わないということはよくわかりますけれども、その辺はひとつ今後の国会の問題であろうかと思います。
 それからただいま成瀬委員が、言われましたように、国有財産を払い下げた場合、その使用目的なり期限ということについてフォローアップしてみたらどうか、いろいろ違反の事実がありはしないかとおっしゃいます。当然でありまして、このフォローアップはいまもやっておりますが、今後とも厳重にやるつもりであります。そしてまた、その処置でありますが、このような農地に基づいて二円五十三銭というふうな価格が出てくる。その反面、国有財産を買い戻すときにやはり払い下げたときの価格で取り上げろと、こういう御趣旨かと思います。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、払い下げるということと、国有農地をもとの個人に返すというようなことと、若干の事情の相違もございますので、これは今後検討させていただきたい、かように思います。
#46
○吉田忠三郎君 これは、政務次官、公式的な答弁になればそういうことになりますよ。そんなことはわからぬわけじゃないんです、われわれは。だけれども、たとえばこの間の予算委員会でも問題になったことですが、公害の問題についても、公害の関係の法律というのはこの間の臨時国会で十四法案できたわけですが、それ以前は法律がないわけです。しかし、公害は存在しているんですよ。その存在している中から、たとえばカドミウムならカドミウムの患者が出てきた。法律がないからこれをどうするのだ、こういうことになるわけです。法律がないからこれは適用しないということになるわけでしょう、理屈からいったら、法律論からいけばね。しかし、これは法律論だけじゃないでしょう。政務次官、そうじゃないですか。ですから、あのときには、総理並びに大蔵大臣から、法律論だけではないと、やはり物事は法律がなくったって公害は存在すると。今度の場合は、それぞれの法律でやります、法律は存在していると。しかし、そのときには、どんなことがあろうと、一応自由契約で契約したんだが、あの場合の自由契約というのは、君も経験していると思いますが、自由契約というものじゃないでしょう。当時の軍政は、契約をしなかったら、一方的に憲兵に連れ込まれていくわけですからね。そうでしょう。そういう状態の中で契約されたということなんだから、いかにそのときは法律が存在していたって、やられた実態というのはそういう状態じゃないわけだ。それが、今日、国有財産に編入されている。払い下げの場合は時価相当額ということになっているでしょう、その関係は。だとすれば、農地法があったにせよ、そういうものがあるのじゃないか。しかも、農地法の関係については、成瀬委員もおっしゃったように、全野党が国民感情は許さないということもあったけれども、二回にわたってかなりの額というものを報償したのだ。そして、なおかつ、払い下げのときには二円何十銭というのは、ただ単なる感情論だけじゃなくて、もっとやはり政府が手を打つべきものがあるはずですよ。そういうところを検討したらどうかというのが成瀬委員の発言の要旨じゃないかと思っていま関連して質問しているのだが、どうですか。――もうちょっとつけ加えると、いまあなた方が答えられなければ、予算委員会でこれまた当然この問題は関係してきますから、総理なり関係大臣に質問していきますが、なぜこういうことを聞いているかというと、たとえばここに農地がある。ここに民有地が接近している。いずれもやられている。ここから農地ですと言ったら、今度のあれで二円何十銭で払い下げになる、こっちは時価で払い下げるということになる、具体的にあなた方の答弁ぶりを聞けばね。これで許されるかどうか。接近しているんですよ。こういうものが幾つもあるんですよ。
#47
○政府委員(藤田正明君) おっしゃることはよくわかるのでありますが、ただ、旧軍の場合は、あの混乱した戦時中の中において、しっかりとした契約を結ばれたものもありますし、あるいはほとんど私契約同様に結ばれた、その契約書すら満足に残っていないというふうなものもあるわけです。その辺の整理をどういうぐあいにするかということも一つの大きな問題であろうと思います。しかし、おっしゃいましたように、自由契約であるといっても、あの戦時中の背景ということを考えれば、確かに強制的なものであったということは、大体間違いないと思います。しかし、全部が全部そういう強制的なものであったかというと、またそうでもないというふうなこともあるわけであります。なかなかその辺の割り切り方はむずかしい点があるかと思いますが、しかし、ただいまおっしゃったように、農地の場合には二円五十三銭であって、軍用地の場合は、強制的に取られた場合は、はっきりした契約書もここにある、しからば戻せと、じゃ戻しましょうといった場合は時価であるということは、確かにおかしいと思います。これは、おっしゃいましたように、今後大いに検討さしていただきたい。いまここにかりに大臣がおりましても、それじゃそうしましょうというお返事はちょっと申し上げられないと思います。十分検討さしていただきたい、かように思います。
#48
○成瀬幡治君 お互いにいろいろなことがあります。感情論というそういうことばというのは非常に都合のいいことばですが、感情論じゃないと思うのです。私は、行政というものは、あくまでも公平の原則が一番大事だと思います。ことばを変えれば正義感、正義がないときにはたいへんなことになってしまうと思うのです。ですから、不公平な行政が行なわれないように十分配慮していただくという姿勢で事を処していただければいいと思う。これはなかなか容易な問題じゃないと思うのです。政務次官も、当然いままでもフォローアップしておるとおっしゃったけれども、なかなかそういう仕事もたいへんなことだから、私はフォローアップしておらぬと思う。ですから、今後そういうふうにしていただくのは非常にいいと思いますから、重ねてそういう点について御要望申し上げるとともに、ぜひひとつ、早急には答えは出ないと思います。しかし、それかといって、この国会中ずっといってしまうわけにもいかないですから、期限を切って悪いんですけれども、三月末までくらいには大蔵省の基本線というか、方針と申しますか、姿勢というものをお出しいただきたいとお願いしておきます。
 以上で私の質問を終わります。
#49
○上林繁次郎君 関連して。いま旧軍用地の問題が関連で出てきました。政務次官は、いろいろな内容のものがあるから今後の検討事項であるというようなお話ですけれども、その前の政務次官の話を聞いておりますというと、あれは任意契約である、自由契約である、ちょっと自創とは違うのだと。なるほどそういう面から言うとそうかもしれない。その任意契約がほんとうに正常なものとして結ばれているかどうか。これは、たとえば国のほうには契約書がある、だからそれは国有財産である、こういうふうには断定できない問題が相当あるわけですよ。そういった国有財産である根拠が薄弱であるものに対しては、これはどうすべきだという問題が私はあると思うんです。そういった問題もこの前いろいろ問題にしたわけです。その辺のところは、今後の農地法のいわゆる政令改正にからめてそういった問題はあわせて検討をしていかなければならない問題じゃないか、こう思うのです。なるほど国のものだとはっきりしているのはいいです。ところが、契約は結んだけれども金は払っていないという問題が相当にあるわけですよ、ですから、そういうものを認めて二十二年には例規というものをつくって、国はそういうものに対しては金を払えと言っているのだけれども、現地では金を払っていないわけです。そういう残された問題をどうするのか。そういったいわゆる例規を見ても、旧地主が申し入れるならば優先的にそれに返してやれというふうにもうたっておるわけですよ。そういったところから言うと、自創法で買収したものであっても、また旧軍用地として買収したものであっても、その後のこの問題に対する国の考え方というものは私は同じような方向に向かっている、こういうように考えられる。そういう意味からも、これは十分に検討して、早急にあわせて解決をしていくべき問題じゃないか、こう思うんです。先ほど、政務次官のお話で、十分検討していくんだということですから、それで結論的な話になるわけですけれども、私はそう思うのです。そういう問題が一ぱい残されているんだと。正常でないもの、契約それ自体も正常でないけれども、また内容も正常でないという問題がまだ一ぱい残っているんだということを踏まえた上でやっていただかなければならない、こう思います。
#50
○政府委員(藤田正明君) 上林委員のおっしゃるとおりでありまして、内容が個々にいろいろとケース・バイ・ケースで違ったものがあります。これらをほおかぶりして通すようなことはもうできないことでございます。これらの非常に複雑な多種多様にわたるケースをそれぞれ分析していきながら解決していかなければならぬということで、その書類も、残っているものもあり、残っていないものも相当数ある。それから終戦直後に返還したものも相当ある。それらもまたはっきりしないというふうなことでございまして、相当めんどうな分析が必要かと思いますけれども、これは、ただいま申し上げましたように、今後十分に検討していきたいということをここでお約束させていただきます。
#51
○委員長(柴田栄君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
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#52
○委員長(柴田栄君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 外国証券業者に関する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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