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1970/02/18 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第6号
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1970/02/18 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第6号
昭和四十六年二月十八日(木曜日)
   午前十時十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     青木 一男君
     上林繁次郎君     鈴木 一弘君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柴田  栄君
    理 事
                大竹平八郎君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                成瀬 幡治君
                多田 省吾君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                栗原 祐幸君
                津島 文治君
                丸茂 重貞君
                松井  誠君
                鈴木 一弘君
                向井 長年君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省証券局長  志場喜徳郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       茂串  俊君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    山内  宏君
       大蔵省証券局企
       業財務第一課長  松本 健幹君
       大蔵省証券局証
       券業務課長    戸田 嘉徳君
       大蔵省国際金融
       局次長      林  大造君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○外国証券業者に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨十七日、上林繁次郎君及び鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として鈴木一弘君及び青木一男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柴田栄君) 証券取引法の一部を改正する法律案及び外国証券業者に関する法律案を便宜一括して議題といたします。
 両案につきましては、すでに趣旨説明及び補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○松井誠君 ただいま議題になりました二つの法律案についてお伺いをいたしたいと思います。なにしろ証券などというものには全然縁がございませんので、その実情はさっぱりわかりません。そういうことで、もっぱら法律的な問題だけを取り出してお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に、証券取引法の関係でありますけれども、今度の改正の一つの柱が、いわゆる虚偽記載をしたことに対する損害賠償責任の問題で、届出者だけではなくて、役員その他にも損害賠償の責任を負わせるというのが一つの大きな柱であると思うのでありますが、そのことを最初にお尋ねをいたしたいと思います。
 そこで、改正案の二十一条の新しい損害賠償の性格というものをよりはっきりさせるために、いままでもありました十八条の届出者の責任と具体的にどこが違うのかという観点からお尋ねをいたしたいと思います。十八条の届出者の責任というのは、二十条まで書いてあるわけでありますけれども、これが無過失賠償責任という点に一番大きな特徴がある。もう一つは、損害賠償の額の範囲をいわば法定をしておる。そういうところがだいぶ特色のある責任だと思うのでありますけれども、無過失賠償責任だということは、これは間違いございませんか。
#5
○政府委員(志場喜徳郎君) そのとおりでございまして、間違いございません。
#6
○松井誠君 もう一つ、十九条の二項によりますと、この損害を受けたこととそれから虚偽記載ということとが因果関係がなかったんだという立証をすることによって免責をされる。逆に言えば、損害賠償の請求をする人は、虚偽の記載によって損害を生じたのだという因果関係を立証する、主張する必要はない。逆に損害をかけたほうで因果関係がないという立証をしなければならぬ。そういう意味で、因果関係の挙証責任が転換をされておる。これも一つの特徴だと思うのですけれども、これはそのとおりですか。
#7
○政府委員(志場喜徳郎君) そのとおりでございます。
#8
○松井誠君 そういう問題が二十一条の新しい損害賠償の責任にどういうように変わってきておるのかきておらないのかということをお尋ねいたしたいのでありますが、十八条の責任が無過失損害賠償責任だというのが無過失責任ではなくなっている。ただ、その加害者のほうで善意無過失だということを立証をすれば免責をされる。それから損害賠償の額ももちろん法定をされていない。もう一つ大きい問題は、この因果関係の立証責任がいわゆる原則に戻って転換をされていない、そういうことにあろうかと思うのです。そういう理解でよろしゅうございますか。
#9
○政府委員(志場喜徳郎君) そのとおりでございます。
#10
○松井誠君 この十八条が無過失賠償責任だということは、無過失賠償責任そのものがいわば異例のものでありますから、二十一条においてそれが原則に戻ったということは私は多少わからぬではない。しかし、因果関係の挙証責任がまた原則に戻ったということについて、そうする必要があったんだろうかという疑問を私は持つのです。これは、おそらく、十八条の届出者の責任というのは、損害と虚偽記載との因果関係を立証することがなかなかめんどうだ、その虚偽記載があったためにわれわれはこういう損害を受けたということの立証がめんどうだということで、因果関係の立証責任の転換をして、事実上それを立証しなくてもいいようにしたんじゃないかと思う。そういう立証の困難だという問題は、二十一条の責任においても実際は同じじゃないか、よりこの立証が簡単だということにはならないのじゃないか。だとすると、なぜここでこの立証責任をまたもとへ戻したのかという疑問が起きる。この点はどうなんですか。
#11
○政府委員(志場喜徳郎君) 十八条の有価証券届出書に重大な虚偽記載がありました場合の届出会社の無過失賠償責任のことにつきまして、ただいま、松井先生からも、一般的な考え方からしますれば異例な措置であるというお話がございましたのですが、まさしく十八条及び十九条の賠償額の法定という点につきましては異例な規定であると思っております。と申しますことは、十八条関係は、増資の際に、粉飾決算のような重要な虚偽の記載がある、そういう財務諸表といったようなものでもって株主から募集いたしまして、ある払い込み金額を取りました。で、株主からそれに応じた払い込み金額が会社に入ったわけでございます。それが実は虚偽が含まれておった。そのためにその後株価が下がるというようなことを想定しておるわけでございますが、この十八条は、形は損害賠償という形式をとっておりまするが、実はそのような重要な虚偽の記載に基づく増資届出ということは無効たるべきものである。したがって、その増資がなかりし状態に戻す、つまり原状回復とでも申しますか、そういうことを基本に踏まえておる制度だと思っております。と申しますことは、もともと、証券取引法は、アメリカの同種の立法に範をとりまして、有価証券届出制度あるいは有価証券報告書、つまりディスクロージャー制度を導入しておりますが、アメリカにおきましては、この十八条に規定されております損害賠償につきましても、実は原状回復ということを原則に書いておるわけでございます。日本の場合にそれがなぜ原状回復でできないかということになりますると、御案内のとおり、商法におきまして会社は自社株の保有取得を禁止されておるわけでございます。それで、実は、今回の改正案の基礎になりました証券取引審議会における議論におきましても、この点について事柄の性質を明らかにするためには、十八条の損害賠償というのは、損害賠償法理といたしましては異例に属することなので、性質論からいたしますと、アメリカ流の原状回復、当該届出増資を無効にするというほうに立つことが正しいのじゃないかということで、いろいろ十八条のそういう方向への改正という問題も論議されましたのでございます。ですけれども、この点から商法の自社株取得保有の特例を設けるということについてはこれまた大問題でございまして、法定はなかなかむずかしいということから、この点は改正意見が出ませんで、十八条、十九条は現行のまま損害賠償という体裁にして残しておく。原状回復と申しましても、株主にとりましては、その株券を失いますけれども、同時に、払い込んだ金額が返ってくるわけでありますので、経済的に見ますると、十八条、十九条で書かれております下がった分だけの差額を払い込み金額の中から株主に取り戻しますと、それは経済的には原状回復という形になりまするので、それでいいではないかという議論もございまして、十八条、十九条は現行のままの損害賠償という形態のまま残そう、こういう議論になりましたのでございます。
 そこで、今回の改正提案をいたしておりますところの第二十一条でございますが、そういったふうな届出会社――増資で払い込みを株主から取りました会社については、その中から取り過ぎていた分、俗なことばで申しますれば、いわばうそをついて取り過ぎたといったようなそういう分を戻すということで済むわけでございまするが、その際、もちろん、そういうような会社でございまするから、あるいは会社はこのお金をもう他に費消しているという場合もあるかも存じません。また、株主から申しますと、この新株の増資に伴いまして旧株についてこうむった損害というようなものもあるかも存じません。さようなことになりました場合に、投資者としましては、この会社だけでなく、あるいは会社のほかに役員、あるいはそれに関与しました虚偽の証明をした公認会計士、あるいは元引受の証券会社というようなところに対しまして損害賠償をさしたいということは、これは特に規定がございませんでも、一般法の共同不法行為という法理に従いまして賠償請求ができる、こういうふうに解されます。ただ、その場合に、役員の中でだれが故意過失があったかというような点につきましては、一般投資家に、その会社の中身の仕組みまで知ってそうしてそれを立証するということははなはだ実行上不可能に近いようなことを要求することになるのではないだろうかということから、今回は、それにつきましては、挙証責任を転換するという形において、この規定をいわば一般法に対するその面の特例ということを考えるべきではないか、こういうことで御提案を申し上げておる次第でございます。
#12
○松井誠君 いまの御説明を聞きまして、なるほど損害賠償額が法定をされておる、実質的には原状回復だという、そういうことが了解できました。しかし、それならば、この二十一条の場合に、損害を受けたということと虚偽記載ということとの間の因果関係というものは、一体、投資者というものに簡単に立証できることだろうか。しょっちゅう株価というものは動いております。その点になりますと、私も実情を全く知りませんから弱いのでありますけれども、しょっちゅう動いていると思います。どれが虚偽記載による損害なのかという因果関係の立証が普通の不法行為のように簡単にできるとは思えない。その点はどうですか。
#13
○政府委員(志場喜徳郎君) 先ほど引用されました第十九条の第二項の、損害の発生の因果関係について、届出会社が、虚偽記載つまり粉飾決算以外の理由によって株価の値下がりがあったことを立証したときには、その原状回復的な損害賠償は免れる、この規定があることに言及されました。しかし、実際問題といたしまして、私どもが従来の届出書に粉飾がありました場合に株価の動向を見ました場合に、届出会社は、はたして第十九条第二項によりまして、粉飾決算以外の理由による値下がりであるということを立証できるであろうか、こういうことを考えてみますと、まず規定の上からは第十九条第二項は置くべき論理はあろうと思いますけれども、実際問題といたしまして私は届出会社はとうていその立証はできないと思うのでございます。と申しますことは、卑近な例をとりましても、具体的な会社の名前をあげて恐縮でございますけれども、一昨年、例の日本テレビの粉飾決算問題がありました。これは、資本金十二億の会社が粉飾額が十億前後あったというかなりの粉飾額もございましたわけですけれども、届出書の段階におきまして粉飾の事実が明らかにされました。そういたしますと、増資の発表による権利落ち前の株価は二千四、五百円しておったわけでございます。と申しますのは、五百円の額面額でございますのでかなり高いのですが、二千四、五百しておりましたが、権利落ちでこれが千五百円ぐらいになりました。これは倍額の増資に一億円の公募をつけると、こういう増資でございましたものですから、千四、五百円に権利落ちをする、これは妥当な落ち方だったと思うのでございます。ところが、そのあとの段階で粉飾の事実が新聞報道等によりまして明らかになったわけでありまして、たちまち株価は八百円に下がりましたわけでございます。もちろん、その間、非常に異例な天災地変とでも申しましょうか、さような事態が市場全体に対してございますれば、それはその分の影響を何がしか受けておったということは、あるいは届出会社側も立証できる道もあるのかもしれませんが、それにいたしましても、千四百円が八百円に落ちるというようなこと、それまで二千五百円ぐらいしておりました旧株が権利落ちして千四百円というものが八百円に落ちるということは、これは粉飾が明らかになったということ以外の理由は見当たらないというのが通常の常識的な考え方だろうと思うのでございます。
 一つの例でございますけれども、その後あるいはその前におきましても、粉飾の事実が実は届出の段階で明らかになるということはいままでレアケースでございまして、どっちかと申しますと、毎期の有価証券報告書の段階で虚偽記載、粉飾決算が明らかになったという例が多いのでございますけれども、その場合は、必ず、その事実が明らかになりますと、株価はむしろ行き過ぎと思われるぐらい一ぺんぐんと下がるわけでございます。それから若干訂正がございまして、かなり下がりたところで比較的安定的な動きを示す、こういうことになるのが通例でございます。したがいまして、先ほど申しましたように、十九条で損害賠償額を法定しておるということは、原状回復的なことから、また、払い込み金額がありましたということからの差額でございまして、法定は例外的な措置としてやるということでございますけれども、一般的な損害賠償につきましては、ある原因と損害の発生との間の因果関係の立証につきましては、ほかに、一般法はもとより、その点について、挙証責任を転換するとか、あるいは因果関係の証明を要しないとか、さような立法例は、私どもも法務省と協議をしていろいろと検討をしましたけれども、これは見当たりませんと思います。そのようなわけで、この因果関係の立証につきましてはやはりその投資者がなすべきであるという法理はここでも一般の原則どおり貫かざるを得ない、かように判断したわけでございますが、しかし、実際問題といたしまして、当該立証につきましては、従来粉飾と株価の推移という実例を見ますると、現実の問題といたしましてはそんなにむずかしい問題ではない、かように考えます。しかも、第二十一条の場合におきましては、この第十九条で払い込み金額というものとそれから請求するときの時価と差額ということが法定されております。第二十一条において投資家が役員そのほかに対して請求できる額は、私どもの解釈では、少なくとも第十九条において法定されている損害額プラス・アルファーと考えます。と申しますのは、第二十一条におきましては旧株券について生じた損害というものもカバーできると思います。さようなことでございまするので、少なくとも第十九条において法定されておりますところの額というものについては挙証はきわめて容易であり、そのものずばりではないか。それに、旧株券についてどういう損害が生じたかということは、その旧株を取得した時期の関係等によりましてこれはやや複雑なる計算になる。ということは投資家各個がいろいろと旧株券を取得した時期も違いますものですから、したがいまして、発表のあとでありましても実際に行なわれました年度との関係等によりましていろいろと投資家によりまして違ってくる場合が出るのでございます。したがって、これを一律に規定することはできませんが、それにいたしましても、十九条プラス・アルファーということの因果関係の立証につきましては、実際問題としてはさほど困難ではないはずである、かように考えております。
#14
○松井誠君 いま旧株の値下がりの問題が出ましたけれども、これは、あれですか、二十二条によって責任を負うということになるわけですか。
#15
○政府委員(志場喜徳郎君) 旧株につきましては、第二十四条の四で第二十二条の規定を有価証券報告書におけるあれに準用しております。これでもっていけるわけでございまして、それは二十一条とあわせて行なわれるということをはしょって申したわけでございます。と申しますのは、第二十一条はなるほど有価証券届出書と書いてございます。届出書は増資の際の財務諸表でございますが、粉飾決算と申しますのはその以前の事業年度の財務諸表を出すわけでございまして、つまりそれに至るまでの有価証券報告書の段階ですでに虚偽記載があるわけでございます。それで、それが用いられて有価証券届出書になってきている。そこに虚偽がある、こういうことに財務諸表について申しますとなりまするので、第二十四条の四で準用いたしますところの第二十二条の規定、つまり有価証券届出書を出しました直前までの事業年度ごとの有価証券報告書において虚偽記載がございますわけで、その上にこれを受けまするから、届出書の中に虚偽記載つまり粉飾決算があるということになりまするわけで、つまりそれを合計いたしましたのが投資家といたしまして第二十一条に書かれておりますところの役員あるいは公認会計士等に対する損害賠償を請求できる金額になるわけでございます。
#16
○松井誠君 二十二条でも、二十四条の四でも、損害賠償の範囲という問題は同じわけですが、これですと、これは不法行為の原則に返るわけですね。いまのお話ですと、旧株について損をしたという点についてはいろいろデリケートでというお話は、やはり因果関係の立証がむずかしいということだと思うのです。ですから、ずっと株価が横ばいでほとんど安定しておるのが、何か虚偽記載ということをきっかけにして大幅に動いたということになれば、一〇〇%それが因果関係があるのだということが言えるでしょうけれども、しかし、しょっちゅう動いているのですから、こういう虚偽記載を契機にして大幅に落ちた、そのときに一〇〇%全部そうだということは、なかなか立証できない。逆に、そのうちの何十%かは虚偽記載によるものだという立証はしなければならぬとすれば、これは非常にむずかしいわけですね。これを因果関係の原則論で処理が実際できるかどうか。それで投資者保護に役に立つだろうか。どうでしょう。
#17
○政府委員(志場喜徳郎君) 先ほど二点を申し上げましたけれども、第十九条のような原状回復のような非常に特異な場合と考えることができる場合の特例はございますけれども、それはたまたま証取法に書かれてございまして、それとの対比でこの二十一条ないしは二十二条といったようなあたりが論ぜられるということだと思いますけれども、申し上げておりますとおり、十八条、十九条は非常に特異な例外規定でございまして、私ども検討いたしましたけれども、損害賠償、普通の場合のつまり純然たる損害賠償、先ほどの原状回復にかわるべき経済的効果を生むという意味での、これを損害賠償という形をかえてと言っては行き過ぎかもしれませんけれども、そういう場合もなぞらえて通常の損害賠償の場合のことはできないという限界がございまして、その通常の意味での損害賠償につきましては、その損害額の発生の因果関係の立証につきましては、これを挙証責任を転換する、あるいは要しないことにするという立法例は、ない次第でございます。そこで、これは今回の改正につきましても法務省ともよく協議いたしましたけれども、これを破ることは適当でない、かように考えました。ですけれども、先ほど申しましたように、株価について申し上げますと、また、粉飾があった場合の株価の動きというその面で考えまするというと、実際問題としては、確かに何十何円何十銭ぴたり下がったと、こういうことは実はむずかしいとは思います。ですけれども、少なくとも何円以上の損害を受けたというそういう言い方における損害額の立証というものを主張をいたしました場合に、これをそれまでの値下がりはない、それ以外の理由による値下がり分がこれだけあるということを今度は発行会社側が反証をもって挙証するということは、これは非常に至難だと思います、実際問題としまして。したがいまして、多少株価は毎日の波動もございまするし、値下がりのときにはショックもございますし、行き過ぎになってある程度戻るということもございますけれども、少なくともこの金額以上の損害を受けたということを主張しました場合に、これを、先ほどの第十九条の第二項でもございませんが申し上げましたけれども、会社側のほうで、いやそのうちの幾らかはこれはそれ以外の理由だということの反証は非常に至難である。つまり、言いますならば、この損害額の損害発生の因果関係というものについては、有価証券の虚偽の場合につきましては、比較的やろうと思えばできることである、かように実際問題としては考えておる次第でございます。
#18
○松井誠君 たとえば公害の場合なんかに、これは大企業相手に被害者というものはなかなか立証がむずかしい。そういうことで無過失責任にしようという議論があると思いますが、しかし、それができない場合は、裁判所は実際上立証責任をいろいろ転換をするという形でむずかしい立証というものを事実上救っておる。ですから、そういう場合、証券の場合は似たようなもので、大きな会社の中の仕組みなんかわかりっこありませんから、投資者としては、なかなかやっぱりそういう具体的な立証がむずかしい。そういう意味では、ここで挙証責任を転換するようなことを考えてしかるべきではないかと思うのです。まあこれは今度の改正の中心じゃありませんからやめますけれども、これをやってみてほんとうの投資者保護に欠けるところがあるということであったら、やはりそういうふうな挙証責任の転換というものを考えるべきだと思います。
 そこで、この二十一条についてちょっとお尋ねをしたいのですけれども、非常に芸がこまか過ぎて、私ども読んでもすっと頭に入らない、こればかりじゃありませんけれども。私は、法律家の端くれのつもりなんですけれども、なかなかわかりにくい。それで、わざわざ一覧表をつくってもらったのです。ここの二十一条の二項にいわゆる免責条項といいますか、こういうときには免責をされるということが書いてありますね。これが一号と二号とは書き方が違うのですね。一号のほうでは、「虚偽であり又は欠けていることを知らず、かつ、相当な注意を用いたことにもかかわらず知ることができなかったこと。」と、二号のほうでは、「同号の証明をしたことについて故意又は過失がなかったこと。」と、こういう書き方をしてあるわけですけれども、これは、あれですか、善意無過失ということを立証すれば免責をされるというそういう表現で言えば、一号も二号も同じですか。
#19
○政府委員(志場喜徳郎君) さようでございます。
 なお、前段においてお触れになりました点について、ちょっと補足させていただきます。私どもは、今回の改正問題につきまして、証券取引審議会で、その中には商法の専門的な学者諸公も多いわけでございまするが、一年半ばかり検討しました場合に、たまたまと申しましょうか、先ほど引用されました第十八条、第十九条の届出会社の無過失賠償責任並びに損害額の法定という点がございますことから、二十一条以下のその点につきましても、先生のような御懸念から、これは何か少なくとも損害額の法定と申しますか、そういうことをできないかということをいろいろと検討してみたわけでございます。ですけれども、それはやはりなかなかむずかしいし、また、因果関係の立証ということについて例外を設けることはなかなか重要な問題であり、とても無理だということになりまして、また、同時に、この母法とでも言うべきアメリカの法律をまたあらためてよく吟味したのでございまするが、さすがに、アメリカにおきましても、第十八条、第十九条は原状回復または損害賠償ということでやっておりまするけれども――と申しますのは、原状回復といいますと、株券を持っていない、もう売っちまったという人には原状回復ができませんので、やはり損害賠償という形をアメリカでもとっておりますけれども、日本と同じような形になっておりますけれども、それ以外の、わが方で二十一条以下で対処しようとしている点につきましては、損害額の法定はいたしておりません。やはり、アメリカでも、同様な問題意識を持ちながら、法律上の一応の限界とでも申しましょうか、そういうようなことになっているのだということもございまするので、私どもといたしましては、今回の御提案のような形にそこは原則どおりに残しておるわけでございます。ですけれども、ただいま御指摘のとおり、今後まあ公害問題、あるいはこういう粉飾決算というものも、不特定多数の人にある行為によりまして損害を発生させるという意味におきましては公害というようなものとも言えるかも存じませんが、なお、これは人為的なだれかの故意によりまして起こったことでございますから、その意味ではいろいろ自然現象とのミックスによって起こるかもしれないいわゆる公害の場合と比較してなおよくないということも言えるかもしれませんが、さような点についての損害賠償論ということが今後だんだんと強調され、そういった意味での立法例というようなものが開かれた段階におきましては、またあらためて検討するということにつきまして私どもは決してやぶさかではございません。けれども、この際といたしましては、今回の御提案ということでもって、検討の末このような現実であった、かような点について補足して御説明いたしたいと思います。
#20
○松井誠君 私がいまお尋ねしたのは、二十一条の二項の一号と二号の書き方ですね。一号のほうでは、善意無過失であったということが立証できればという書き方ですね。ところが、二号のほうでは、それを裏返しにして、故意過失がなかったということが立証できれば、こういう表現なんです。三号は、また一号と同じように、善意無過失が立証できればと。善意無過失が立証できればという言い方と故意過失がないということを立証できればということとは、一体、実質的に違うのですか。
#21
○説明員(茂串俊君) その点は非常に技術的な問題になるわけでございますが、一号の場合には、これは一項をごらんになるとわかりますように、役員と売出人の関係でございます。それから二号は公認会計士の場合でございます。一号の場合には記載が問題になっておりまして、記載が虚偽である、あるいは欠けていることを知らなかったということでございまするが、二号のほうは、監査証明をしたこと自体、そういった行為自体について故意過失がなかったかという点が問題になるわけでございまして、したがって、一号の場合には、役員の中には、その記載をしない役員でありながらそういった事実を知っておるというような役員もございますし、あるいは知らなかったという立場の役員もございます。ところが、二号のほうについては、具体的な監査証明をすることについて故意過失がなかったかどうかということが問題になるわけでございまして、そこにおのずから実体が違うわけでございますので、先生御指摘のとおり、結論は、結局、善意無過失という問題になると思いますけれども、表現的にはそういった差をつけておるわけでございます。
#22
○松井誠君 人を惑わすような表現で、何か同じ表現ができなかったものかと思うのですよ。ですから、何か内容が違うのかと思っていろいろ考えてみたけれども、日本語の表現としては同じですからね。まあそういう意味であれば、それはそれでわかりました。
 その三号の、財務計算に関する書類にかかる部分以外のものについては善意無過失の立証と。「財務計算に関する書類」云々というこれは具体的にはどういうことなんですか。
#23
○政府委員(志場喜徳郎君) 三号は、当該増資につきまして元引受証券会社となりました証券会社の責任に関する免責規定でございますが、この元引受証券会社は一体届出書のどの分についてどういう責任を負うであろうか、こういう点でございます。お尋ねの「財務計算に関する書類に係る部分」というのは、実は、その部分は、第二号に掲げてあります公認会計士の監査証明を要する部分でございます。したがいまして、つまり、申しますならば、損益計算書及び財産目録、貸借対照表といったようなことでございまして、これにつきましては公認会計士がこの証取法の規定によりまして監査証明をつけなければならないわけでございます。で、公認会計士がその証明について法律上責任を持っておるわけでございます。これについてまで過失がなかったかどうかということを元引受証券会社に求めるということは、これは行き過ぎである。その部分についての責任は公認会計士が責任を持って監査証明すべきものでありまして、したがいまして、第二号によりまして故意過失があった公認会計士はその責任を負うわけでございますけれども、元引受証券会社につきましては、その分はやはり公認会計士の監査証明を信頼する、この立場にあるべきである。もちろん、その場合、共同行為的に故意でありましたならば、これは責任は元引受証券会社も免れませんが、過失までも責任があるということにしますことは、監査証明のたてまえからいいまして適当でないということで書き分けてあるわけでございまして、「財務計算に関する書類に係る部分」と申しますのは、いわゆる公認会計士の監査証明の対象になる書類の部分、かように読んでいただいてよろしいかと思います。
#24
○松井誠君 十八条と二十一条と両方にかかる問題でもう一つお伺いしたいのですが、そうすると、十八条は、これは実質的には現行法と同じだけれども、ただ、「当該募集又は売出しに応じて」というそういう文句を新しく入れたわけですね。二十一条にも、やはりそれと同じような形で「募集又は売出しに応じて」ということばを入れてある。「募集又は売出しに応じて」ということばは、現行法の十八条にはなかった。それをわざわざ入れたこれがちょっと気になるのですけれども、これは売り出しに応じて取得をしたというそういう因果関係が必要だという意味ではないのですか。
#25
○政府委員(志場喜徳郎君) そういう意味でございます。
#26
○松井誠君 これはこのあとのどこかに売り出しに応じてという部分を除くというのがありますわね。二十二条ですね。二十二条に「(募集又は売出しに応じて取得した者を除く。)」ということをいわば書く必要があったので、こちらのほうでは「募集又は売出しに応じて取得した者」というように、つまり、二十二条と十八条とがそういう意味で範囲が違うといいますか、そういう意味で書いただけで、売り出しに応じて私は取得したのだというそういう立証責任まで負わせておるのではないのじゃないですか。
#27
○説明員(茂串俊君) 御指摘の点でございますが、現行法の十八条につきましては、増資があった場に、その増資に応じて取得した者と、それからその後にそういった取得した者からさらに第二次的あるいは第三次的に取得した者まで含めて十八条でまかなうというたてまえになっておるわけでありますが、これをいろいろ経験を積んでみますると、一次取得者ははっきりしているわけでございますが、二次取得以降になりますと、それが新株であるのか旧株であるのかいわばはっきりしない。ことばをかえて申しますと、いわば流通過程に入ってしまった過程での損害賠償の問題になるわけでございますので、そこで、その点を今度改めまして、新しく二十二条を置いて、第二次取得者あるいは第三次取得者の損害賠償につきましては第二十二条でまかなう、したがって十八条は適用しないというふうに改正したわけでございます。したがいまして、結論的に申しますと、十八条は、募集に応じて第一次的に取得した者について適用するという仕組みに変えたわけでございます。
#28
○松井誠君 ですから、十八条はそういう一次取得者を対象にしている、第二十二条は第二次以降の取得者を対象にしている、そういう意味で対象が違うということをこういう形で書き分けただけであって、売り出しに応じて取得したというようなことが何か因果関係の立証なり挙証なりが要るという意味ではないのではないか。何かそういう因果関係の立証責任を負わされているような感じがちょっと読むとするんだけれども、実はそうではないのではないか。ただ、一次取得者が売り出しに応じないで買うなんということは理論的にも考えられませんけれども、これはやっぱりあくまでも一次取得者、二次以降の取得者というように区分けするための表現にすぎないというふうに理解すればいいのでしょう。
#29
○政府委員(志場喜徳郎君) そのとおりでございます。
#30
○松井誠君 さっきもちょっと言いましたけれども、十六条から二十四条の四まで、損害賠償のいろいろなタイプがあるわけですね。そこで、これを私は注文をして一覧表にしてもらったんですけれども、しかし、一覧表では議事録に載りませんからね。ですから、これをちょっとまとめてみますと、大体四つのタイプに分かれるように思うんですが、そういう理解でいいかどうかをお尋ねをしたいと思います。第一の一つのグループというのは、十八条から二十条までの非常に特殊な損害賠償規定、これは、その中にもありますけれども、被害者は、善意であった、虚偽記載ということを知らなかったということを主張しなくてよろしい。加害者のほうで、おまえは知っておったんじゃないかという立証責任がある。そういう意味では、被害者の善意というものが推定をされる。あと、無過失であり、賠償額が法定をされておるという先ほどの問題はありますけれども、そういうものではないか。二つ目は、新しくできた二十一条で、これは加害者の善意無過失を立証することによって免責をされるというそういう点が違うわけですね。それからもう一つ、二十二条と二十四条の四、それからもう一つ十七条も同じだと思うんですけれども、これはやはり加害者の善意無過失を立証をすることによって免責をされるという問題と、もう一つ、今度は逆に、被害者が、私は知りませんでしたよということを主張し、立証しなきゃならぬ。そういう意味で、十七条と二十二条は、損害賠償のタイプとしては同じようなもの。まあ一番損害賠償の原型どおりに書いてあるのが、これは虚偽記載じゃありませんけれども十六条。したがって、この十六条も、やはり被害者の善意というものは被害者自身が主張し、立証しなきゃならぬ。そういうようにおよそ言ってみれば四つのタイプがあるというように理解をしても間違いじゃございませんか。
#31
○説明員(茂串俊君) そのような解釈でよろしいと思います。
#32
○松井誠君 そこで、ちょっとお伺いをしたいんですが、先ほども十八条の届出者の責任というのは実質的な原状回復だという話もありましたけれども、この問題も含めて、民法上の不法行為の規定、あるいは商法の二百六十六条の三に取締役の責任の規定がありますね。それにこの虚偽記載の場合も入っておる。その商法上の取締役の責任の規定と、民法上の不法行為の規定と、この証券法による損害賠償の規定とは、おのおのどういう関係になるんですか。
#33
○説明員(茂串俊君) 商法の二百六十六条の三の規定につきましては、これは目論見書は入っておりますけれども、有価証券届出書あるいは報告書というものは入っておりませんので、したがいまして、前者につきましては二百六十六条の三の適用がございますが、後者のいま問題になっております有価証券届出書なり報告書につきましては、これは商法上の問題でなくて、純粋に証券取引法、あるいはその裏づけになる一般民法の規定が適用になる、かように考えております。
#34
○松井誠君 そうすると、商法の規定との関係でいえば、一般法と特別法という関係ではなしに、いわばジャンルが違うといいますか、範囲が違うというように理解をしていいですね。
#35
○説明員(茂串俊君) さようでございます。
#36
○松井誠君 そうすると、民法上の不法行為との関係はどうなるでしょう。十八条ないし二十条という問題は別として、それ以外にたとえば二十一条あるいは二十二条、二十四条の四、こういうものと民法上の不法行為の責任との関係はどうなるでしょうか。
#37
○説明員(茂串俊君) 先ほど局長からも御説明申し上げましたが、二十一条以下の規定は、あくまでも民法と一般法の特則としましていわゆる挙証責任の転換をしておる。これは、もちろん、趣旨としましては、投資家が損害賠償を請求しやすいようなことにするためにそういう特別な規定を今度設けたわけでございます。したがいまして、証券取引法に規定がない部分、たとえば二十一条の一項の各号列記の中の各損害賠償の責任を負う立場の者の関係でございます。たとえば、これは連帯かどうかという点でありますが、連帯責任の問題、それから民法で一般的にございますところの時効の問題、あるいはまた賠償の支払い方法の問題、こういったような証取法に規定のない事柄につきましては、一般民法の規定がそのまま適用になるというふうにわれわれは考えております。
#38
○松井誠君 それで、十八条ないし二十条の実質的な原状回復だというこれと不法行為との関係はどうなるでしょうか。
#39
○説明員(茂串俊君) 実質的には、十八条の届出会社の負うべき責任も不法行為の一環ではあると思いますが、先ほど申し上げましたような趣旨から、十八条あるいは二十条というこの規定は民法の特別な例外規定という形で設けられておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、無過失責任でございますし、また、額も法定されておるということで、投資家保護の見地から、そういったいわば詐欺的に払い込み金の一部を取得したようなそういった会社につきましては、原状回復といったような裏づけの理論を持った上で投資家が請求しやすいような制度を設けたわけでありまして、非常に特別な例外規定である、こういう関係に立つと思います。
#40
○松井誠君 そうしますと、十八条の責任は、二十条で短期時効一年と時効が書いてありますね。普通の不法行為の責任なら三年のわけですね。この法定をされておる損害賠償の額以上の実は損害を受けておる、そういう場合には、民法上の不法行為というものを適用して、時効は三年ですから、まだありますよ、実際受けた損害はもっと多いですよということで損害賠償の請求ができるのかどうか。
#41
○説明員(茂串俊君) その点につきましては、確かに、十八条なり二十条までの仕組みに乗った場合の損害賠償につきましては、一年の短い時効は設けられておりますが、それをかりに過ぎましても、いろいろ立証の問題はむずかしくなりますけれども、民法の一般規定によって損害賠償を請求する余地は残っておる、こういうふうに考えております。
#42
○松井誠君 そうしますと、一般法、特別法というのは、普通、特別法が優先的に適用されて、それに規定のないところが一般法によるという形式ですけれども、それじゃ、最初から、一年の時効になる前から、私は不法行為のほうでやりますよ、法定額より多いのだからといって、両方を自由に選択できるのかどうか。
#43
○説明員(茂串俊君) それは解釈としてはできると思います。ただ、非常に立証問題でむずかしい問題が出ますので、通常の場合には十八条以下の仕組みに乗ってくるのではないかと思います。
#44
○松井誠君 一般法と特別法の関係だとすると、そのどちらを選択しても自由だというのはちょっと理屈としてはおかしいと思うのですが、これはまた私も勉強してみます。
 それで、損害賠償の問題だけでもずいぶんたちましたけれども、この問題の最後に、粉飾決算ということは盛んにいままで使ってきたことばなんですが、粉飾決算というと、普通は、利益がないのに利益があるようにふくらまして見せかけるというのが多いわけですけれども、しかし、必ずしもそうではなくて、実際にたくさんの利益をあげているけれども、いろいろな関係で、税金の関係その他で、利益が少ないように見せかけるという粉飾決算もあるようですね。こういうのは実際に起きてくる現象としてはどうなんですか。
#45
○政府委員(志場喜徳郎君) いま俗語でいわゆる逆粉飾というようなことばで新聞あたりで取り上げられる点もございますが、確かに、法律上の文言といたしましては、たとえば十八条に書いてございますように、「重要な事項について虚偽の記載」と書いておりますので、その虚偽が、ふくらませるほうの虚偽もございましょうし、減らすほうの虚偽もひとしく解釈としては含まれると思います。ですけれども、たとえば損害額がどうであるか、第十九条を引用いたしますと、払い込んだ金額よりも請求時の株価が下がっておると、その差額を法定しておりますわけで、実現した損害というようなものを対象にいろいろ規定はできております。考え方としますれば、逆粉飾が見つかったといいますか、もっと利益なり資産が隠されていたんだということが明らかになりますと、それを契機に株価は上がるということになりますわけで、そうしますと、自分はそのときに持っている分については上がったんですからいいのでございますが、前の決算で逆粉飾した、今日までその株を売っておる、それが決算を正しくしておればもっと高い値段で売れたはずだと、こういう議論はすでに株を手放した人からあり得る。つまり得べかりし利益という問題が生ずるかと思いますけれども、それは、今回の損害賠償の規定からは、実現した損害ということになっておりまして、得べかりし利益に基づく損害賠償は、先ほど引用されました民法による不法行為に基づく損害賠償、これには解釈としましては得べかりし利益の分も含まれるという解釈だと思いますけれども、それによる損害賠償を妨げるものではないと解します。
#46
○松井誠君 ちょっといまの御説明はよくわからなかったのですけれども、逆粉飾ということで不当に利益を隠しておったと。そのときに、もし正当に記載をすれば、利益がもうちょっとあがっておったはずだし、したがって配当も当然多くなったであろう。そういう意味では、配当がなかったという意味でやっぱり得べかりし利益を失ったということになる。ですから、得べかりし利益を失ったという問題で――この十八条の責任は別ですよ。十八条の責任は別ですけれども、それ以上の虚偽記載という問題はそのまま逆粉飾の場合にも適用されるんじゃないですか。
#47
○説明員(茂串俊君) いわゆる逆粉飾の場合におきましては、株価の面ではむしろこれは値下がりということが――かりに発覚した場合に、値下がりということがないわけでございますから、そこではまず損害というものは出てこないと思うのでございます。それから配当につきましても、これは利益処分案で株主総会できめた結果として配当するかしないかということがきまるわけでございますから、これも当然に請求すべき損害の額というものには当たらないのじゃないかというふうに考えられます。
#48
○松井誠君 そうしますと、この虚偽記載の中には逆粉飾も入るけれども、現実の問題として損害の発生ということは考えられない、そういう意味ですね。
#49
○説明員(茂串俊君) さようでございます。
#50
○松井誠君 それからどこかに臨時報告書というのがありますですね。この臨時報告書に虚偽記載をやった場合には、賠償責任という問題はこの法律には書いてないようですけれども、一般の不法行為の問題でいければ別ですが、証券取引法には規定はないわけですね。
#51
○政府委員(志場喜徳郎君) 規定はございません。
#52
○松井誠君 その臨時報告書の要件として災害その他というようなことになっておりますけれども、たとえば外国で増資なりあるいは社債を発行した、そういう場合も臨時報告をすべき理由というものに入るのですか。
#53
○政府委員(志場喜徳郎君) さように考えております。
#54
○松井誠君 たとえばアメリカでADRを発行する、それが今度のこの規定のように一億をこすというような場合は、この証券取引法の届出は関係ないのですか。
#55
○政府委員(志場喜徳郎君) 申すまでもございませんけれども、一億円以上の募集による増資を行なうという場合に届出書を要することになっておるわけなんでございますが、法律自体が適用の地域的限界がございますわけで、その発行行為そのものが外国において行なわれますと、有価証券届出の提出を義務づけるわけにはまいりません。それで、その場合、お説のようにADRあるいはEDRを発行する際には、今回創設しようとしておりますところの臨時報告書の提出を求めるということとなるわけでございます。
#56
○松井誠君 ADRを発行するにしても、国内で一応その会社内部としての所定の手続は要るわけで、増資なら増資の手続が要るわけでしょう。そういう意味では同じだと思うのですけれども、それがこの証券局でのチェックの対象にならない。外資の関係でそれはおそらく国際金融局を通すのだろうと思いますけれども、全然これは証券局はつんぼさじきですか。
#57
○政府委員(志場喜徳郎君) 国内で増資を行なわれますときは、もちろんその面での有価証券届出書は必要なわけでございます。ですけれども、それ以外の、たとえば時価転換社債の発行でございますとか、そういうふうに国内で同時に増資行為を伴わない場合におきましては、従来は証券取引法の面におきましてはノータッチであったわけでございまして、それを今回はその旨を臨時報告書によって届け出る、報告してもらう、かようになるわけでございます。
#58
○松井誠君 これは、ADRの発行なんというのは、外資法のいわば制限があって、そういう意味でのチェックはあるわけでしょう。
#59
○説明員(林大造君) 居住者が外国で証券を発行または募集することにつきましては、外国為替及び外国貿易管理法の規定によりまして許可を要することになっております。
#60
○松井誠君 それは外資か外為か知りませんけれども、とにかくそういうことでいわゆる個別審査の許可をするということですね。しかし、この許可の基準というのは、国際金融局の基準というのは、証券局が持っておる増資なんかに対する、あるいは社債の発行なんかに対する基準といいますか、そのものとは全く違うわけでしょう。性格がもともと違うわけでしょう。そういう意味では、国内のこういう形でいろいろ証券局を通していわば指導監督をやっておっても、外国でやる場合にはしり抜けだということになると、少なくとも事後の報告はあるにしても、事前にはなんにもない、そういうことでいいんでしょうかね。
#61
○政府委員(志場喜徳郎君) 必ずしも事後的とは考えておりません。このディスクローズという制度は、投資家に投資判断を求める、増資の場合は当該増資払い込みをすべきかどうかという投資家の投資判断を求めるために事実関係を開示するということでございますが、外国で募集されるという場合におきましては外国人が払い込むわけでございまして、日本の株主につきましては、まあ通常はその取得、払い込みというものはその段階ではないわけでございまするが、しかし、どういう目論見でどういう規模のどういう種類の証券を発行するかというようなことを日本の株主が知らないでおるということは、その株の価格あるいは流通面を考えました場合に適切ではないということで、今回それをディスクローズして国内の投資判断の一助にしよう、かようなわけでございます。したがいまして、この場合は、あらかじめその発行者は為替上の認可につきまして大蔵大臣に申請をし、その認可を取りつけた上で行なうと思いまするが、また、各国によりまして、わが国の制度と同じように、事前の届出を要し、そしてある一定の期間を置いてその効力なり募集が始まる、かような制度になっている国もございます。ほとんどがそうだと思いますが、その際におきましては、たとえばアメリカにおきましたならば、SECというところにその目論見を出しまして届出をするわけでございます。私ども今回臨時報告で考えております提出の時期は、事前のプロセスがありますと、そのプロセスの、たとえばSECへの届出という段階をもちまして臨時報告を求める、かように考えております。
#62
○松井誠君 そうしますと、事後報告ではなくて、そういう事前の報告ということもあり得るということですね。私は心配をするのは、いまなるほど国外でADRなりEDRを発行する場合に外国の投資者を保護する必要はないわけですけれども、臨時報告書という形で報告をさせるということは、外国で発行するにしても、やはり日本の投資者に直接影響があるからだと思うんです。それだけに、事後報告という形で証券局が終わるまでつんぼさじきでおるのはおかしいと思う。特にお役所というのはセクショナリズムが強いそうですから、それを心配する。そうなりますと、事後報告にならないで報告を出させて、適宜やはり日本の投資者の保護というものの手だてが講じられるような、そういう配慮は実際上やられておりますか。
#63
○政府委員(志場喜徳郎君) そのように考えております。
#64
○松井誠君 公開買い付けのことでちょっとお尋ねをしたいのですが、この間、新聞に、公開買い付けについて、財界のほうでは、大蔵省が許可制をしいてくれる、そういう期待で公開買い付けという制度に賛成をした。ところが、大蔵省では、そういう許可制にするわけにはいかない、投資者保護が目的なんだから、産業保護が目的じゃないのだから、許可制にするわけにはいかないということで、結局許可制にならなかったために、財界としては肩すかしを食わされたと、そういう感じを持っているというニュースがあります。経過の過程の中で、いわゆる許可制にしようという動きはあったわけですか。
#65
○政府委員(志場喜徳郎君) その新聞記事は私も見ましたけれども、誤報と考えます。その点については誤報と考えます。と申しますのは、証券取引審議会におきまして、産業界の代表の方々も入れながら、また、もちろん審議会の委員そのものにも産業界の方々は入っておられるわけでありますが、公開買い付け制度を議論しました際に、届出制度ということの前提でずっと話は通っておった次第でございます。ただ、届出の期間を、効力発生までの期間を何日間にするかというような点はいろいろ議論もございました。また、対象会社への通知の期限をどうするかという点についての議論はございましたけれども、許可制といったようなことの議論は、これは当初から適当でないといいますか、無理であるということで、そういう意味では議論されておりません。
 ただ、問題になっておりましたのは、産業政策の観点から、大蔵大臣あるいは政府なら政府が、拒否権といいますか、この業種、この会社に対する公開買い付けば認めるわけにはいかない、そのような公開買い付けの申し込みに対してそれを拒否してしまう、行なわせないというその権限でございますね。その権限を留保しておくべきではないか、あるいは、そのような条文を設けるべきではないかというような議論は行なわれましたけれども、全体の仕組みを許可制にしたらどうかという議論はなかった次第でございます。最初から届出制度ということの前提で議論されてきて審議会の答申がまとまった、かような問題でございます。
#66
○松井誠君 経過のことは別としまして、やはり、この制度というのは第一義的には投資者保護というたてまえで行くべきであって、産業政策というような問題は私はやっぱりお門違いだと思います。そういう意味ではこの結論に賛成でありますから、それでいいと思います。ただ、この公開買い付けについて、たとえば外資審議会の四十四年の答申でも、何か乗っ取り防止の確実な方法はないかということで幾つかあげておりますが、その中で、たいへん歯切れが悪いのですけれども、外国人の役員の選出を制限をするというそういう案も一つの案として出ております。これは外資審議会に聞かなければわからぬかもしれませんけれども、この意味がよくわからないのですけれどもね。こういう外国人は役員になれないという定款を原始定款に定める場合はもちろんのこと、定款の変更による場合でも、全株主の同意があれば問題はない。しかし、多数決による定款変更の場合に、すでに株主の一部に外国の投資家がいるとすれば、このような定款変更が可能かどうかについては問題があるのではないか。しかし、まあ二五%未満の株しか外国投資家が持っていないとすればこれはできるであろうというような趣旨なんですけれども、これはどういうことですか。
#67
○政府委員(志場喜徳郎君) 私の立場といたしましては、不敏にしてその問題については存知しておりませんでございます。
#68
○松井誠君 一応考えられるのは、二五%というのは、累積投票の請求権がある株主が二五%以上持っていれば少数派でも役員になれるという道が開かれている。しかし、二五%に達しない株しか持っていなければ、その少数派は役員になれない。そういう少数の二五%以下であったならば、定款を変更してやってもかまわぬと、そういう意味に一応はとれるのですけれども、「可能かどうかについては問題がないではない。」というのは、法律的に可能かどうか問題がないわけではないという意味なのかどうなのかですね、どなたかおわかりの方がおったらお答え願いたい。
#69
○政府委員(志場喜徳郎君) お尋ねの商法の問題につきましては、ちょっとただいま政府側といたしまして責任をもってお答えできる者がおりませんので、やがてまた機会を得たいと思いますが、その二五%の点については、確かに、おっしゃるとおり、累積投票権という少数株主権の問題に関連があると思いますが、これも私どもの所管ではございません、商法の問題でございまするが、法制審議会の商法部会におきましては、御案内のとおり、昨年に、累積投票権については定款でもってそれを制限できると、こういうような商法改正をすべきが適当であるという意味の意見はまとめられておるわけでございますが、お尋ねの法律上の問題につきましては、ちょっとただいま答弁する者がおりませんので、後ほど機会を得たいと思います。
#70
○松井誠君 その公開買い付けの対象会社は、具体的にそれを防戦をするためには何をしたらいいのか、何ができるのか。ここで先ほどちょっと話が出ました自己株式の取得というのが現在の商法ではできない。こういう場合に、そのことを許すという必要はないのか。日本の証券業界というのは体質が古いそうございますから、いいかどうかは別として、それももしできるとすれば一つの有効ないわば対応策だと思いますけれども。
#71
○政府委員(志場喜徳郎君) この対象会社が自己株を取得する、このことが買い占めに対しまして対抗手段になると。確かに、その意味においてはそうだと思いますが、この公開買い付けはあくまでも証取法の分野におきましては投資家保護ということでございまして、会社イコール株主のものということでたてまえはございますが、ほんとうに株主が現在の経営者を擁護して、そして現在の会社経営のままその会社の株主として存続するということを多数が思っておりますならば、この公開買い付けに対しましては、そういう株主の意思によりまして応じない、これで足りるわけでございます。株主としましてはどう判断するかわかりませんが、現在の経営者がいえば自分達の地位を奪われたくない、引き続き経営を担当したいということから、会社の金によって株を買い付けていくということは、これは一体どういうふうに考えるべきかという問題はございます。もちろん、現在は、会社の金を使っていわゆる自社株ということで取得することは商法上できません。その点については、別途商法の改正問題といたしまして、先ほど述べました法制審議会の商法部会で、産業界のほうから、いえば、これは、株主の立場と申しますよりも、私がいま申しました意味で経営者という立場の意見が多いと思うのでございますけれども、その是非は別といたしまして、現にそういう要望事項として法制審議会のほうに出されております。商法部会でも何回かこの議論は行なわれましたが、そうなりますと、その場合のみならず、自社株について価格操作的なあるいは弊害、デメリットというようなものが非常に出るのじゃないかというような点で、昨年中にはその結論が出ておりませんで、引き続きその点は慎重に検討する、かような段階でございます。
#72
○松井誠君 この公開買い付けについて、政令で定める条件及び方法によって買い付けをしろという規定があって、その政令の内容の中に契約の解除というのがありますね。これはどういうことなんですか。
#73
○政府委員(志場喜徳郎君) 公開買い付けば、買い付けようとする者が買い付けの申し込みをするわけでございまして、株主がそれに応ずるという意思表示をいたしますと、そこで契約は成立する。引き渡しといいますか、決済といいますか、それは終わったあとの段階でありましょうが、個々の株主がその申し込みに応ずればそこで契約は当該株主との間において成立するということになるわけでございます。ここで契約の解除といいますのは、公開買い付けの公告がなされます。公告をしてからあと買い付けの申し込みが現実に行なわれるわけでございますが、その日から一週間までの間に、たとえば売ろうという申し込みをしました株主は、その契約を解除できるということをしよう。で、この趣旨でございますが、アメリカでもほぼ同様な規定がございますけれども、実は、対象会社が、この公開買い付けに関しまして、株主に対し、いろいろな意見表明あるいは勧誘といったようなことをすることが予想されます。それがもちろん買い付けが申し込まれまして始まりますとすみやかに行なわれると思いますけれども、あわて者というわけじゃございませんが、株価が高い、そういう価格でオファーされておるというところから、これはいいということで早々とその申し込みに応ずるという株主もおることが考えられます。その際、相手方から、いわゆる対象会社から、これこれの見込みであり、こうこうやっていくわけだから、ひとつ今回の申し込みに対しては株主の各位は応じないでもらいたい、こういうような強い意見表明、株主への呼びかけということが行なわれてきた場合に、それを見た上で考え直すということもあり得るかと思います。さようなことを考えまして、最初の一週間の間に応募の契約をいたしました株主はそれを解除できるという規定を置くことにしておるわけでございます。
#74
○松井誠君 それは、民法の「契約ノ解除」という規定とはどういう関係になりますか。民法の「契約ノ解除」のところでは、五百四十条ですね、「契約又ハ法律ノ規定二依リ当事者ノ一方カ解除権ヲ有スルトキハ」ということで、解除権を認めてあるのがあるのですが、これは買い付けに応じた人が法律によって解除権を得た、第五百四十条のこの条文に該当する契約の解除ということですか。
#75
○説明員(茂串俊君) そのとおりでございますが、なお、補足して申しますと、これは法律上当然こういった解除権の規定を置くわけではないのでございまして、公開買い付けを行なう者がオファーをする場合に、その条件としてこのような規定を置くべし、このような特則を置くべしということを書かせるわけでございまして、それに基づく解除権でございます。なお、局長が先ほど説明申し上げました点にちょっと補足を申し上げます。この公開買い付けの場合には、買い付けの申し込みと売り付けの申し込みの勧誘と二つございまして、したがいまして、買い付けの申し込みの場合には、売り付けの申し込みがあればすぐに契約は成立するわけでございますけれども、売り付けの申し込みの勧誘の場合でございますと、すぐには契約は成立するわけではございませんで、公開買い付けで意思を表明したところではじめて契約が成立するという場合もございます。したがって、契約の解除と大ざっぱに要綱では書いてございますけれども、これは契約自体を解除する場合と、売り付けの申し込みを撤回する場合と、両方入っている場合がございます。
#76
○松井誠君 それは、しかし、いま説明を聞いてはじめてわかることであって、政令がないからわかりませんけれども、法律や政令からはわかるようにはできていないのじゃないですか。私がもらったこの政令の内容に書いてあるのは、契約の解除というのは、公開買い付けに応じた者は解除することができると規定してあって、その買い付けという契約ができたそのことが前提である、そうして、できた契約は買い付けに応じた上で解除権と、そのようにしか取れないのですが。
#77
○説明員(茂串俊君) その点につきましては、二十七条の二をごらんいただきますと、「不特定かつ多数の者に対する株券その他の有価証券で政令で定めるものの有価証券市場外における買付けの申込み又はその有価証券市場外における売付けの申込みの勧誘」というふうに書いてございまして、二つのケースを想定しているわけでございます。したがいまして、先ほど先生おっしゃいました点につきましても、これに応じて政令ではより仔細に規定をしなくちゃいかぬというふうに考えております。
#78
○松井誠君 そうですか。二十七条の二に公開買付けという定義が載っておって、それには両方含まれると、こういうことですね。そうしますと、この契約解除ということで損害賠償の問題は残るのか残らないのか。民法上の契約解除ですと、五百四十条による契約解除権を行使をした場合に、損害賠償の問題がやっぱり残る。五百四十五条の三項にそうなっているのですが、損害賠償を請求されるという前提で解除権の行使というものはやるのか、とにかくもうやめますと言えば損害賠償はないと考えていいのか。損害賠償の請求権はどうなんですか。
#79
○政府委員(志場喜徳郎君) 確かに、五百四十五条第三項は、「解除権ノ行使ハ損害賠償ノ請求ヲ妨ケス」となってございますが、今回の場合は、株券を金融機関その他確実なところに売ろうとする者は持っていってそこで保管してもらっている、こういうことになるわけでございます。解除しました場合にまだ金銭の支払い関係は済んでおりませんし、その預からせてありますところの金融機関等に行きまして株券をいわば取り戻してくるというわけでございますので、特に相手方にとりましても損害が発生するということはちょっと考えられないのじゃないかと思います。もちろん損害がちょっと想定がつきませんが、発生したことがあるという論理だけを追ってまいりますと、別段民法五百四十五条の第三項を排除するというつもりはございませんけれども、私ども考えますと、損害の発生ということが想定されない、できない、かように考えます。
#80
○松井誠君 それは実際に損害が起きるか起きないか、私もよくわかりませんけれども、とにかくそれを法律の上で排除するものでないということだけわかればけっこうです。
 次に、外国証券業者に関する法律案について簡単にお尋ねしたいのですが、私がどうもよくわからぬのは、営業保証金なり資産の国内保有というその資産の国内保有の問題からお聞きをしたいのですが、これも何か政令にまかせられている面があったのですが、具体的にどういう資産というものを考えているか。
#81
○説明員(戸田嘉徳君) この規定につきましては、たとえばここにございますようないろいろな法定の準備金がございます。それと、その支店につきましての区分経理上負債項目に立つというようなそういう負債の形で政令で定めるものというものにつきまして、それらの額を合計した金額、そういうものに見合う資産を国内に保有しているということになるわけでございます。そうして、その場合も、じゃいかような資産でありますかといいますと、これはいろいろな形があると思いますが、この規定の趣旨が、要するに、貸借対照表等で資産にあがっておりましても、それが国外に置いておかれまして、何か事があったときにすぐに差し押えというようなことが非常にしにくいというのでは困るという趣旨でございますので、要するに国内にそういう資産が何らかの形で置かれればよろしいわけでございます。したがいまして、預金とか不動産というようなものももちろんよろしいことになると思いますか、それ以外で、たとえば国内の投資家に適正な方法で貸し付けられている、信用取引等で貸し付けられる、そういう貸し付けの債務、そういうようなものもよろしい、そういうふうに考えております。
#82
○松井誠君 たとえば不動産でもいいわけでしょう。――私がわからないというのは、あれですか、資産というのは、国内で保有をしさえすれば、この営業保証金みたいに支店の資産という考え方はないのですね。どっちみち所有権は本社に属するわけですから、国内にあればいいということで、支店の所有という概念はないということですね。
#83
○説明員(戸田嘉徳君) 実際問題としましては、純法律的にはおっしゃるようになると思いますが、私どもとしては、なるべくその支店というものが一つの独立した、あたかも独立した営業単位のようにとらえまして、営業保証金につきましても、その支店ごとにこれをとる免許が当然なんでございますが、そういう観点から言いますと、実際問題としてその支店についていろいろとそういう形で保有がなされることになると思います。その場合に、純法律的にそれを突き詰めますと、先生のおっしゃるようにこれは本店の所有ということになると思いますが、一応形の上ではそういう区分経理をされた形でその支店に属するといいますか、そういう形の資産、こういうことに相なろうかと思います。
#84
○松井誠君 この営業保証金のことですけれども、営業保証金にかえて八条に契約金額をもっていわば代用することができると。これだけ読んだのでは、何を意味しているのかよくわかりませんけれども、これはどういうことですか。
#85
○説明員(戸田嘉徳君) ここで営業保証金といいますのは、ここに法律にございますように、法定されますところの所要の資本金の一割以下で政令で定める、その一割が一千万円に達しませんときは一千万円以下でと、こういうふうになるわけでございます。したがって、一番たくさん取ろうと思えば、たとえば法定資本金十億要るというものにつきましては、一億円積めということが規定できるわけでございます。その場合に、かりに一億円という数字で申し上げますと、一億円を供託させるということは、これは投資者保護の立場からいいますと、まことに十分取ったほうがよろしいと思います。ただ、この反面、企業の立場から見ますと、供託といいますのは全くいわば死に金といいますか、営業に全然利用できない金でございます。もちろんそれは社債とか一応利回りは考えられるにしても、非常に企業の資金繰りを圧迫するというような面もあろうかと思います。したがいまして、いまの例で申しますと、たとえば一億円のうちに二千万円は現金で積みなさい、こういうように規定しまして、残りの八千万円につきましては、たとえば銀行であるとか保険会社であるという非常にしっかりしたそういう金融機関などでこれと契約を結びまして、その当該外国証券会社がそういう一種の保証契約というようなものを結びまして、必要があって大蔵大臣がいま積みなさい、こういうことを命じました場合には、いつでも外国証券会社にかわって八千万円以内で大蔵大臣の命じた額をいつでも供託で積みますと、こういう契約を結んだ場合には、これは認めていいんじゃないか。そうした場合には、現実的には、二千万円だけを当該証券会社は供託いたしておる、残りの分についてはそういうような契約で、それでもって手数料等は取られると思いますが、そういう形で企業における資金負担と投資者保護とをそういうところで調和させようと、こういうことから考えた制度でございます。
#86
○松井誠君 その営業保証金ですけれども、これは優先弁済を受ける資格がその取引により生じた債権についてはあるわけですね。取引により生じた債権というのは、これは何か損害賠償ばかり問題にするようですけれども、取引に基づく損害賠償の債権みたいなものも入るんですか。そうじゃなくて、ノルマルな取引から派生をする債権だけなんですか。
#87
○説明員(戸田嘉徳君) 通常は投資家がその支店との間で行ないました証券取引に関しての生じた債権でございますので、そういう関係で生じた損害賠償債権であればこれは入ると解しております。
#88
○松井誠君 具体的に優先弁済を受ける仕組みですけれども、これは全く全部政令にゆだねられているので、われわれにはてんで見当がつかない。これはどういう仕組みで優先弁済が確保されるんですか。
#89
○説明員(戸田嘉徳君) その点につきましては、実は非常に詳密には詰めてございませんので申しわけございませんが、たとえば一応考えられますのは、ある一定期間につきましてそういう損害を受けた方を、催告といいますか、申し出させまして、それによって債権を確認いたします。そういうことによって確認したものについて供託所のほうからそれを請求すると、かようなことを考えております。詳細につきましてはいましばらく検討いたしたい、こういうふうに考えております。
#90
○松井誠君 たとえば破産の場合の破産管財人みたいに、その支店の取引に関係する全債権者をいわば集めて何か提案でもするというような、そういうことをやるんだとすれば、これはどこがやるのかということになりますし、それから支店なら支店のほうで私はそういう債務は負っておりませんと争いになれば、当然その分はたな上げになるわけでありましょうし、その辺の仕組みのことが何かわからないものですから、だから、営業保証金というのは具体的にどういう役割りをするのか、イメージがちっとも出てこない。いまお聞きをすれば、まだ細目については詰めていないというのですけれども、私はあまり時間がないから長く言いませんけれども、この間から、たとえばこの法律についても、政令は条文化されてできなくてもいいから、せめて要綱だけでもないかと何度か言った。いまのお話のように、まだ要綱さえもできないという段階であると、われわれはこの法律の審議をするときに、法律と政令というものはいわばセットになっている。この法律が具体的に執行される段階ではどういう形になっていくのかということが全くまっ暗では、法律の審議そのものもできないということになる。しょっちゅう言うのですけれども、せめて要綱だけはできるぐらいな準備はできないのか。これは次官に御意見を聞きたいのですけれども、そういうことで、これから法律を出すときには、それに関連する政令というのはやはり一体のものとして出す。それが条文化されていなければせめて要綱でも出す。要綱もないという段階で法律の審議は私はできないと思う。その辺をひとつ御配慮いただけませんか。
#91
○政府委員(藤田正明君) 松井委員の言われること、そのとおりだと思います。政令にしろ、省令にしろ、ある程度の時期的にいろいろと問題のあることもございましょうし、一応要綱ぐらいはつくって出さなきゃ法律の審議ができない、おっしゃるとおりであります。ただいまの証券取引法案にいたしましても、また、外国証券業者に関する法律案にいたしましても、ほとんどのものはできておるわけで、いま申し上げました供託の際の、いよいよ問題が起きてそれをどう配分をするかというふうなことに関しまして、ただいまこまかくはできていない、検討中であるということで申し上げたわけでして、今後そのような政令なり省令というふうなものまでこまかく検討した上で、できますれば全部つくって法律の審議の際に一緒に御説明するなり審議に応じたい、かように思います。
#92
○松井誠君 ついでと言っちゃ悪いのだけれども、もう一言言いますけれども、政令委任事項というのが非常に多過ぎるのですね。政令を見なければ法律の性格がわからぬような、そういうものがたくさんある。政令のほうにむしろ実際の重点があるような、そういう形になっている。それが一つと、それからもう一つ、政令は確かに国会の審議は要らぬかもしれません。しかし、政令の改正をしたら、少なくともやっぱり事後報告をすべきだと思う。そういう習慣をつけておけば二円五十銭なんという問題は起きない。だから、そういうものがなくして、野放図に政令はいつでも改正ができる、それが国会はつんぼさじきに置かれるということになるものですからああいう問題が起こる。最近は食管法の施行令の改正がありまして、私に言わせれば食管法違反だと思う、施行令の改正は。しかし、そういう重大な買い入れ制限を野放図に施行令でやっちゃって、そういうものが国会の審議に正式にかからないという仕組みがおかしい。これはしかし時間がありませんから意見を言うだけにとどめまして、もう一、二点お聞きをします。
 一つは、新聞に出ていましたけれども、外国証券会社が日本の取引所の会員になれるかどうかという問題で、政令で何かうたうというような記事がありました。これはどういうことですか。
#93
○政府委員(志場喜徳郎君) 今回の外国証券業者に関する法律の附則におきまして、証券取引法の一部を改正するというくだりを入れてあるわけでございます。それは、附則の「(関係法律の一部改正)」の第三項で「証券取引法の一部を次のように改正する。」とございまして、「第九十条中「証券会社」の下に「及び政令で定める外国証券会社」を加える。」というくだりがそうでございますが、現在の証券取引法では、証券取引所の会員となれる者は証券会社に限られております。証券会社と申しますのは、証券取引法の規定によりまして日本で設立されました日本法人たる証券会社となりますので、現行規定では外国証券会社は日本の取引所の会員に法律上なれない、こういう仕組みになっておるわけでございます。これは、国際的な相互主義といったようなことを考えますると、法律上外国の会社に対して道を閉ざすということはいかがなものであろうかということを考えまして、日本の会社と平等に扱うというために今回の改正をしようとするものでございます。しかしながら、これは、各国とも、取引所につきましては、法令上または取引所の定款におきまして、外国の会社ないしは外国人に対して国内会社あるいは国内人と異なった取り扱いをするという例が多いわけでございます。もっとも、外国の場合は、おおむね会員は個人でなっておりまして、日本のように会社そのものを会員にするというのは非常に特異な例でございますけれども、個人につきましては、当該国の国籍あるいは市民権を有する者とか、投票権を有する者、そういうことでいわば自国民たる個人に限定しておるという定款が多いわけでございます。したがいまして、そういう定款上のことにつきましては法令の段階でどうするということは関係ございませんわけですが、少なくとも法令上外国の法令そのものが内外の差別待遇をしていないそういう国との間におきましては、わが国の場合も法令上のそういう差別待遇は適当でないだろう、こういうことで改正をしようとしているわけでございます。したがいまして、ここの「政令で」と申しますのは、そういう各国の法令におきましてわが国の会社に対して制限を差別的にしていないということをきめようとしているわけでございます。ただ、法令と申しましても、国によりましていろいろな法形態というのが考えられますので、そこは具体的に書くという意味で「政令で」というふうに譲っていただきたいと、かように思っているわけでございます。もっとも、そうだからと申しまして、現在わが国の取引所におきましても外国系の会社に対しまして会員にしないという定款がございますが、それはまた外国の定款との対比におきまして日本の取引所が定款できめるということでございまして、それをこの法律で規制してしまう、あるいはルーズにしてしまうということではございませんが、法令上は少なくとも相互主義的にする必要があろうということにしたわけでございます。
#94
○松井誠君 そういう趣旨のことは出ていましたけれども、たとえばアメリカとの通商航海条約で内国民待遇ということを与えるとずっと書いてある。それとの関係は差しつかえないのですか。
#95
○政府委員(志場喜徳郎君) 条約のことを詳しくは存じませんが、それは法律制度、法令上の国の制度として差別待遇をすることを禁ずるという趣旨に了解しておりまして、したがいまして、今回の改正によりましてむしろそういう通商航海条約の趣旨に沿うような改正が行なわれたと、かように思います。
#96
○松井誠君 最後ですけれども、沖繩のことで一つだけお伺いしたいと思いますが、沖繩返還に伴って、沖繩にも証券会社があるわけですが、それはどういう取り扱いになるのか。日本の証券会社の免許の基準に照らしてそのまま認められるようなふうになるのかどうか。
#97
○政府委員(志場喜徳郎君) 沖繩におきましてはいわゆる証券会社が三社あるようでございまして、ほかに国際的な投資信託の受益証券を販売しておる会社が一社あるようでございますが、かような証券業につきましては、沖繩の現行制度は登録制度でございます。かつての昭和四十年の改正前のわが国の証券取引所のたてまえでございます。今回沖繩が復帰いたしますと、証券取引法の施行ということになりますので、免許制度に移行する、かようになります。ただ、わが国において登録制度から免許制度に移行になりましたときに、一定期間の経過期間を置きました。同様な経過措置は当面必要だと思いますけれども、制度的には登録制度から免許制度に移行になる、かように考えております。
#98
○鈴木一弘君 初めに、総括的なことに関連していますからちょっとお伺いしたいと思います、主税局のほうからも来ていただいておりますので。
 問題は、昨年も大蔵委員会で議論になったことだと思いますが、株式のいわゆる公開をした、その場合の公開利益に課税するということで、それが非課税になっている、これは不合理ではないかということでかなりの議論が行なわれたわけでありますが、その後検討をされて、今回譲渡所得として課税対象にするというような話を若干耳にしているのでありますけれども、検討の結果と経緯をまず聞きたいと思います。
#99
○説明員(山内宏君) ただいま御質問にありましたように、前回の通常国会におきましていろいろ御議論いただいたことは承知いたしております。その議論に従いまして、その後事務当局におきましていろいろ検討いたした次第でございます。その際最も問題になりましたのは、御指摘にもありますように、有価証券の譲渡所得非課税措置を設けております中で現在その例外措置といたしまして課税対象にいたしております有価証券の譲渡が三種類ございますが、その中での一種類でございますところの事業譲渡類似の証券譲渡所得、これについては一般的に課税ということになっておりますが、その中で、まあ証券市場の育成と申しますか、そういった政策的な目的からいたしまして、公開市場におきます譲渡についてはそれから全面的にはずしておるという現行法の体制になっております。その点につきまして、御指摘にもありました異常に多量の証券を市場において売却するというふうな事実が行なわれて、それが負担の公平の点から見てもいかにも異常であるという御指摘がございましたわけでございまして、そういった問題について主として中心的に議論をいたしまして、その結果、これは現在そういう法律規制が所得税法の政令の段階で行なわれておりますので、その政令の改正という形で何らかの措置をとりたいということに現在いたしております。具体的な内容につきましてはまだここで詳細申し上げる段階ではないかと存じますが、大体方向といたしましてはいま申しましたように異常に多量な公開をいたしたものにつきましては事業譲渡類似の譲渡所得課税から除外しておりますところを除外をはずしまして、その結果、譲渡所得として課税をされるといったような形の改正を講じていきたいというふうに考えている次第でございます。
#100
○鈴木一弘君 聞くところでは、政令の改正は、いわゆる会社の株を二五%以上を他人に売って公開利益を得た場合に限って課税をしたい、こういうような案になりつつあるという話なんですが、そういうふうにきまったという話も聞いているのですけれども、その点はどうなんですか。
#101
○説明員(山内宏君) おおむね、検討の方向は、ただいま御指摘のとおりでございます。
#102
○鈴木一弘君 これは、二五%以上というのは、個人で二五なのか、それとも、そのときのいわゆる株主が少数であって、それでいわゆる公開利益というものが、一人当たりでは二五%以下だけれども、五、六人集まる、あるいは二、三人ならばもう四〇%になるという場合も出てくるだろうと思うんですね。そういう場合はどうなんですか。
#103
○説明員(山内宏君) 原則として一個人に対して判定をいたすわけでございますが、その一個人と特殊な株主関係にある者につきましては、それを合算をして判定をいたすわけでございます。
#104
○鈴木一弘君 一つは、これは証券界のほうからでは、いわゆる公開利益というものに所得税を譲渡所得とみなすということでやると、どうしても公開がおくれる、株式市場の育成云々という、そういう話があったわけですよ。それがいままでは非課税となっていたわけですけれども、その点はこの二五%というものはさして影響がないというふうに考えられておるのか、これは局長のほうからひとつ……。
#105
○政府委員(志場喜徳郎君) 昨年、ある会社について、多くの株式を公開の機会に放出するといいますか売り出しまして相当多額のいわゆるキャピタルゲインを得たということから問題が起こってきましたことは、もう御承知のとおりでございます。その際、私どもといたしまして、売り出し価格そのものの公正さをいかに保つかという問題と、課税の問題をどうするかという問題が提起されたわけでございます。価格の点につきましては、すでに公正な価格で売り出し価格がきめられるようにという改正をいたして実施いたしております。
 で、ただいまお尋ねの点でございますが、その価格決定に関連いたしまして、公開する会社はいわば人気のある会社ということになるわけでございます。成長力、収益力にも富むであろうそういう人気のあるところになりますので、価格決定が、あるいは株が上場されておる類似会社と方程式みたいのもので計算いたしましても、そこに放出される株数が少ないと、どうしても希少価値的なもの、需給関係から値段がものすごく上がってくる。したがって、価格を公正にするためには、放出されるべき数量としてかなりのある妥当な数量まで出してもらわなければならない、これが実は関連してくるわけでございます。その点についていろいろ考えました結果、上場されている株式のいわゆる浮動株主といいますか、大株主で安定的にはまり込んでいるというのではなくて、市場取引が比較的小額単位のつまり浮動株数というものの割合を見てみますると、資本金によって違うのでございますけれども、まあ公開されるようないわば中堅といいますか、中小といいますか、そういう企業にとりましては、やはり二〇%前後というものが浮動株主としてあるいは浮動株数としてあるということが平均値でございますので、放出して公開する際も、少なくともといいますか、適正にはそれぐらいの放出をすることが価格形成からも望ましい、また、放出して公開する意味もそこにあり、上場する意味もそこにある、かように考えておるのでございます。そういうことから、その放出の基準につきまして、資本金別にこの程度の割合の放出をすべきであるという要請をいたすことにいたしたわけでございます。その点から申しますと、いま申しましたようにいわゆる冷やし玉的なものも含めまして二〇%前後の株数がありまして、これは一応上場している株式とバランスがその面でとれるということでいたしました。
 お尋ねの二五%というものにつきましては、若干のアローアンスがございますので、この望ましい公開のあり方という点から申しまして、二五%までの公開は引き続き非課税ということになりますれば、望ましい公開を妨げるということにはならないであろう、かように判断しております。
#106
○鈴木一弘君 そこで、ぼくは二つの問題があると思うんですね。いま局長の言われたように、二五%なら望ましい形、公開ということについては問題がないであろう。一方は、いわゆるキャピタルゲインで利益が多いからといって非課税はおかしいということから論議がされてきた。そうすると、二〇%前後が妥当だということですか。あるいは、二五%ならある程度のアローアンスがあるからいいという話ですけれども、それならば、本来、税の考え方からいけば、一八とか一五というパーセンテージに下げるべきではなかったかと思うし、また、逆に証券のほうでいえば、若干かぶるのはやむを得ないという考え方をしなければいけないのじゃないかということも今後の健全な運営ということから考えれば考えられるのじゃないかと思うんです。その辺のところは主税局ではどういうふうな判断なんですか。実際問題、二五%ではまず影響ゼロということになるのではないかという感じもするわけですけれどもね。
#107
○説明員(山内宏君) 相反する二つの要請をどこで調整をするかという問題だと思います。
 一つは、先ほどからお話に出ております市場の育成と申しますか、そういった面の要請、それから一つは、課税の公平と申しますか適正化という意味の要請、それぞれいろいろ利害得失があるわけでございますが、いろいろ検討の結果、いま証券局長からお話がありましたようなところがとりあえず妥当な線ではあるまいかという判定をいたしたわけでございます。
 なお、前通常国会におきまして御議論いただきました対象の具体的な事案といたしましては、いま現在われわれが試案として持っております二五%よりはるかに多い株数を譲渡した事案をいろいろ御議論いただいたわけでございますが、今後そういった規模のいかんを問いませず、確かに改正いたしました場合にはそういうものが働いてまいるというふうに考えておる次第でございます。
#108
○鈴木一弘君 これは政令改正はいつごろになりますか、それだけを伺って主税局のほうは終わりたいと思います。
#109
○説明員(山内宏君) 他の四十六年度の税法改正の一環といたしまして、三月三十一日に改正をいたしたいと考えております。
#110
○鈴木一弘君 次は、証券取引法の一部改正法案のほうで聞きたいのですが、一つは、先ほども若干論議がありましたのでほとんどもう尽きておると思いますので私は補足的にやりたいと思いますが、虚偽記載の賠償責任というのが広がってまいりまして、役員、公認会計士、監査法人、元引受証券会社というふうになってきたわけでありますが、そうなった場合、実際問題、この分担はそういう事態、事犯が起きたときにどうするのかということです。先ほどから、粉飾による損害の評価、これが非常にむずかしいということがわかったのですけれども、今度はそれをどうその関係者間で分担するのかということになると、さらにむずかしい。全部が引っかかるわけではない。先ほどの十八条、二十一条ですか、あれを見るとそういうような感じがいたしますけれども、もし全部が全部という場合、分担損害賠償しなければならぬというときには、どういうふうに一体これをやるのだろうかということになってまいりますし、そうなったらば、損害賠償についての分担がこまかくなってくればくるほど負担も減るわけですし、それは社会的責任というものが非常に少なくなるという感覚ですね、そういう点ではどういうふうにお考えですか。結局、こういうふうにしたということは、一方では、賠償責任があり、一方では、それに対して、文書を読んでみてもわかりますように、幾らでも逃げられるような方法というものがあるわけです。そうなると、法としては、投資者保護といいながら、実際は投資者保護になっていないような感じがするんですけれども、こういうふうに法案の性格がいっておるということは、一つは、やはり経営者の倫理とか、あるいは経営観念というか、そういうものの向上ということだけをねらったというふうに、そこに一番ウエートを置いてやったんだというふうな気もするわけです。
 そういう三つの点ですね。どう判断するのか、この問題と、それから一般的に社会に対しての、いわゆる犯罪というわけではないが、刑事罰もついていることでありますから、犯罪的行為ということになると思いますが、そういう代償としての責任が軽いのではないかという問題、そういうふうに持っていったということは、経営倫理だとか、社会に対するところの倫理観念、こういうものを向上させる点に一番のウエートがあったのか、そういう法の性格そのものについて伺いたい。
#111
○政府委員(志場喜徳郎君) 今回の改正は、損害賠償の点の改正と、刑事罰の強化を中心にしました整備と、もう一つ、一定期間増資を認めないという行政処分を行なうことができるという権限を大蔵大臣に与えるということ、その三点を柱にしておるわけでございます。
 まず、第一の分担の点でございまするが、今回の改正は、先ほど松井委員との質疑応答で申し上げましたとおり、民法の原則による不法行為による損害賠償におきましては、会社の内部、したがって故意過失のある行為者というものが一般投資家からはなかなか立証しにくいという点がこの投資者保護に欠ける点があるという認識に結びつきまして、まず民法上も当然役員あるいは公認会計士あるいは元引受証券会社も共同の不法行為者として責任にあがってくるべきものが、ただ挙証がむずかしいからということで訴訟があるいは請求がしにくいということ、それを挙証責任を転換するということに重きを置いた次第であります。でありまするので、今後は、投資者といたしましては、投資者からだけ申し上げますと、そのうちのいずれにいたしましても請求することは任意でございまして、もっとも無過失賠償責任をきめたものではございませんから、先ほど来問題がございました善意無過失ということが証明されれば、その人には請求できないことになりますので、そのことの安全率を見ますというと、投資者としては、まず会社の社長とか、まずまず善意無過失の挙証はされないであろうというところをねらって、と言いますと語弊がございますけれども、中心にして訴訟をする、あるいは連名で訴訟していく、これは任意かと思います。でありまするので、その限りにおきましては、特定の人を相手にいたしまして、自分のこうむった損害の全額を請求できることは当然でございます。また、請求者側にいたしますると、それらの複数の人が行為者としておりました場合、幾らずつそれらの者から弁済してもらうかということはかかわりないことでございまして、要するに、一人からでも、あるいは数人からでも、全額の賠償を受ければそれで事足りるわけでございます。この場合に行為者が複数おりました場合、ある者が請求を受けてこの賠償に応じたということになりますと、あとはその行為者の複数間におきましてどういうふうにそれじゃその負担額を分担するか、こういう点につきましては、現在の民法の考え方と同様でございまして、それは連帯ということでもって、原則的には平等というような感じで解釈されておると思いまするが、その点につきましては、今回の証取法は何ら特則的ものを設けておる趣旨ではございません。したがいまして、分担の点につきましては一般原則どおりでございまして、改正は、投資家の面からだれに対しましても挙証がしやすいようにということで、その面の改善をはかったという点にあることを御理解願いたいと思う次第でございます。さような点でございまするので、複数になったからといって、いままでは一人で全額負担すべきものを今回は複数に危険を分散するというようにしたわけではないのでございまして、現在でもその考え方でありまするわけです。それを訴訟しやすいようにしたというだけでございまして、これをもって、いままでは役員だけが、あるいは社長だけが責任を負っておったのを、今度はほかの役員も、あるいは公認会計士も、あるいは場合によっては元引受証券会社も入ってくるから、自分のいままで全額負担しておった責任額が二分の一、三分の一に減る、こういうふうなことには毛頭ならない。この点は全く従来と同様であると、かように考えております。のみならず、訴訟が提起しやすい、請求しやすいということになりますると、いままでは空文のようなぐあいにして損害賠償が行なわれておりませんでしたが、具体的に損害賠償の請求を受けるようになる、かようなぐあいで負担が重くなる、かように実際問題は働いてくると思います。さようなことから、倫理観念といたしましても、粉飾の問題は、先ほど申しましたとおり、これはあくまでも人災、ある人の故意に基づくものでございまして、それをなくしようと思いさえすればいつでもなくせる、かような問題でございます。それでありまするので、不幸にして起こった場合の損害賠償もさることでございまするが、やはりこれを予防いたしますためには、現在のような軽い刑事罰ではとうてい不十分である、予防効果等をねらうものといたしましては不十分であるということから、刑罰を三年以下の懲役というふうなぐあいに非常に強化いたしておりますので、これが主として経営者の姿勢を正させるという予防効果に働くと思います。が、私どもは、あくまでも粉飾が行なわれてそして損害賠償が行なわれる、かようなことにならないようにするのが目的でございまするが、その両者を考えまして、今回の民事責任の強化、あるいは刑事罰則の強化ということをはかったわけでございます。
#112
○鈴木一弘君 これはこんなことはないケースだと思うのですけれども、法文上から見ていくとどうしても出てくるケースになっちゃうので聞くのですけれども、先ほども一つは松井委員からの指摘でわかりましたように、粉飾決算による暴落なのか、それとも、相場の変動によるものなのか、わからないという算定の問題もあるわけですね。それが何割になるかという、そういうふうになるのじゃないかという話があったのですけれども、そういうような算定も非常に困難な場合、はたしてそれが粉飾による損害なのか何なのかわからないというような額の算定も困難である。一方で、この法案そのものからいきますと、たとえば第二十一条の最初の「会社のその提出の時における役員」云々と、こう出ていますが、これがその第二項の一号に該当していた。結局、残ったのが一項の三号のほうだけであって、それがやはり二項の二号には該当しないという場合、そういう場合が出たときに、一体能力があるかどうかという問題が出てくるわけですね、あり得ないケースかもしれないけれども。公認会計士自体に能力があるかどうかというふうなことも絶対これはないわけじゃないだろうという感じもするわけです。片方は善意であってわからぬ。しかし、一方は、それははっきりしたけれども知らぬ顔しておったという場合もあり得るだろう。そういうことが立証されたときには、それが損害賠償の能力があるのかないのかという点も出てくると思うのですけれども、その点はどうですか。
#113
○政府委員(志場喜徳郎君) 粉飾決算は、まず会社がさような粉飾決算を決意をして実行するわけでございまして、たまたまございます投資家といたしましては、ちょっと抜かっておるということになると思いますが、役員を相手にしないで公認会計士だけ相手にして訴訟をあるいは請求をした、こういう場合には、その公認会計士がなるほど責任はあったけれども、過失はあったけれども、賠償能力が個人の財産としてはないということも観念的にはあるかもしれませんが、しかし、まずまず、粉飾というものは、会社自体が行ないまして、それを公認会計士が故意過失でもって虚偽の証明をしたという場合でございます。この会社役員の中には、その実行行為者あるいは決定者というものが必ずおるわけでございます。会社にだれもいなくてその粉飾が自然発生のごとく出てしまったということはあり得ない次第でございますので、まず投資家も当然役員というものを相手にしていくと思います。もっとも、その場合にも、御心配のとおり、役員そのものにも個人的な財産がないんじゃなかろうかという場合もございましょう。そのときには、関与しました公認会計士というものに請求をしていく。そこにもお金がないというときにどうするんだという問題でございますが、これはあらゆる損害賠償等の場合も同様といえば同様でございまして、責任はその者が負うけれどもお金がないというときに、それでは責任はないのかというわけにもまいりません。それはあくまでも果たしてもらうというその前提で日々の作業をしてもらわなければ困るわけですが、それは別といたしまして、公認会計士のほうにおきましては、これは法律上の要請でも当然ございませんけれども、アメリカも同様な責任を公認会計士が法律上負っておりますので、これは備えるという意味から、損害賠償の支払いのための保険制度といいますか、そういうものをつくっているように承知しております。私どもも公認会計士協会から聞いておりますところでは、一、二の保険会社とそういうような保険の制度の創設につきましていろいろと相談をしておるというようなことも聞いております。さようなわけで、投資家に対しましては少なくとも損害賠償というものに欠けるところがないように、会計士全体としてもひとついろいろと考えてみたい、かようなことでございます。ただ、法律上の制度といたしまして、資力がないからといって責任を免除するわけにはまいりません。あとは当事者がどういうふうな対処をするか、また、投資家がだれを相手に訴訟するか、請求するか、そこの選択の点にかかってくるのではないか、さように考えております。
#114
○鈴木一弘君 わかりました。
 もう一つは、増資する際に、有価証券届出書ですか、それの中に重要な虚偽記載があった場合に、大臣が、一年以内ですね、期間をきめて受理しないということを決定できるということなんですが、この「重要な」という問題でありますが、これは「重要な」ということが、粉飾決算なんかの場合、一年間のストップで間に合うのかどうか、もう一つ、「重要な」というのはどういうようなことをさしておりますか、この二つを伺いたいと思います。
#115
○政府委員(志場喜徳郎君) 重要な虚偽記載といいますのは、重要な事項についての虚偽の記載ということでございまして、それは私どもいわゆる粉飾決算と言っているのがおおむねこれに当たろうかと思うわけでございます。ただ、粉飾決算と申しましても、その定義のしかたによりましてはいろいろ程度の差があるわけでございまして、たとえば非常に厳密なことを申しますれば、ある資産の評価等について一万円の評価違いがあったということでありましても、これは真実でないということになりますけれども、そこはやはり会社の資本金あるいは資産の程度ないしはその粉飾額の絶対額というようなところを勘案いたしましてその「重要な」ということを判断すべきであろう、かように思います。したがいまして、資産の幾割以上とかあるいは何円以上というものをもって重要にするというわけには一がいにはいかないわけでございますが、従来、粉飾がございましたときに、この粉飾事項を訂正する、過去にさかのぼりまして有価証券報告書なりあるいは届出書なりを訂正して正しいものに置きかえるということをさしているわけでございますが、その際に自発的に訂正するということもございますし、大蔵大臣が法律に基づきまして訂正命令を出す、こういうことでまずやる場合もございます。その場合の、自発的訂正は許さないで大蔵省としまして訂正命令を打つ基準といたしましては、これまた確定的なことは申し上げるまでもございませんけれども、金額ベースで申しますと、おおむね粉飾額が一億円程度になりますると大蔵大臣が制裁的な意味も込めまして訂正命令を打つ、こういう慣例でやっております。訂正命令そのものは処罰そのものではございませんけれども、これは粉飾の中でもこれ以上になると重要であるぞよというような感じを出すような意味で命令ということでやっておりまするが、その場合には粉飾額が一億円程度以上ということで一応の線を引いております。これが法律上の読み方として一億円以上が重要であると読むのかということになりますると、これは必ずしも言えませんが、実際問題としてはそういうことからして問題になるのじゃないか、あるいは株価に及ぼす影響等考えてみましても、おおむねその程度あたりからが影響が出る出ないのやはり分かれどころじゃないかという感じもいたしますので、実際問題のことを考えますると、さようなことも一応念頭に置いて理解していただいてもおおむね間違っていないのじゃないかというふうに考えます。
 それからいまのいわゆる増資ストップの一年間の問題でございまするが、これは、ここに書いてございますように、その後一年以内にまた再びこの届出書を出して増資をやりたいと言ってきたときに、それから公益または投資者保護の点から必要な相当期間その効力をあらわせないということでございまして、その停止する期間は一年とはきまっていないのでございます。ただ、二年の場合もございましょう、一年半の場合もございましょうと思います、認めないというその停止期間は。しかし、おっしゃるとおり、その虚偽の記載がありまして後の一年以上たってから出てきました届出につきましては、もはやこのいわゆる増資ストップの対象にはならないという意味におきまして、一年後までの届出書だけでいいのかという御質問かとも思いまするけれども、従来、考えますると、そういう重要な虚偽記載がございました場合におきましては、まず会社役員がどういうふうに責任をとるか、どういうふうにかわるか、それから債権者、あるいは銀行等によってどういうふうなテコ入れをするかというようなことが行なわれます。また、その間におきまして、その内容が明らかに訂正等によってされていく。しかし、同時に、企業としては、引き続き増資をしたいのだ、陣容を立て直し、その中身をすっきりし、あるいは資産の処分もしてその欠缺を埋めながら新規事業のために増資をしたいのだという要望を持っております。さような点を一応環境整備するのには、従来の経験から見ますと、大体半年前後くらいで大体のめどがついてくる、一応おさまってくるというふうに思われます。したがいまして、一年以内に出しましたこのものにつきましては、届出書を変えることができるということでいままでの経験から申しますとまかなえるのではないか、かように考えたわけでございます。その際に、非常に十分でないまま重ねて届出書を出してきたときにおきましては、それはあと二年間はだめじゃないか、予定がつかないじゃないか、二年間ストップすることはあり得るということだけは、法律上だけのことでございますけれども申し上げておきたいと思います。
#116
○鈴木一弘君 結局、「重要な」という内容いかんによっては長くもなるし、それからそのあとの訂正報告書でしっかりしてくれば、一年という大体の期限の中でおさまるようになるであろう、こういうことですね。
#117
○政府委員(志場喜徳郎君) さようでございます。ただ、ここに公益または投資者保護の点から相当な期間と申しておりますのは、単に届出書が訂正されるだけでなくて、やはりその企業の先行きはどうなるのであろうか、収益見通しはどうなるのであろうか、粉飾によって穴のあいております欠缺した資産の分はどういうふうにして補てんされるのであろうか、そういうようなことに、いろいろと関係者間の、あるいは新役員による環境整備と申しますか、さようなことが必要でございますので、それを見た上でなければ効力を発せられないわけでございます。したがいまして、そういった環境を整備するには、やはり半年から一年ぐらいかかるのではないか。だから、それ前に出てきた届出書につきましては、さような環境の整備の見通しにつきまして判断をしながら、もちろんそのときは届出書は正確なものに直ってはおるのでございますが、それだからといってすぐに新しい増資は適当とは思われませんので、環境整備の見通しを見ながら適当な期間にわたってこの効力の発生をとめていこう、こういうことになるわけでございます。
#118
○鈴木一弘君 時間があれですから、公開買い付けの問題で伺っておきたいのですが、一つは、この規制ができるということの場合でございますが、その目的そのものですけれども、大蔵省では、いままで、乗っ取り対策ではない、投資者保護のためであると、こういうふうに言っておられたのですけれども、やはり一番効力の発生してくるのは外資の乗っ取り対策そのものにあると思われるのですけれども、その点の見解はどうですか。
#119
○政府委員(志場喜徳郎君) 証取法という法律の趣旨から申しますと、やはり、投資家保護をはかることを通じて国民経済の健全な発展を期せられる、かような法律の分野だろうと思うのであります。さような点から、投資者保護という観点を中心にしておりますことは申すまでもございませんが、今回の制度では、諸外国と違います点は、事前の届出制度ということにいたしまして、その中身を原則的には十日間という期間でもって大蔵大臣が目的その他いろいろと審査をいたしまして、その上で効力を出させますというふうに仕組んでございます。また、考えますると、外国からのこういう買い付け申し込みというものが当面予想される。わが国におきましてもこれは行なおうと思えば行なえるわけでございますけれども、外国において慣熟していると申しますか、慣行として打ち立てられていると申しますか、そういう点から申しまして、今後資本自由化が進むにつれましてまず外国からこういうオファーが来るであろうということが考えられます。そういうことを考えました場合に、外国人といたしましてわが国の制度を見ました場合に、英米等に行なわれておりますところの届出制度よりも、わが国の今回の制度は公開買い付けをしようという者についてかなり厳格な中身となっております。さようなところから、外資にとりましては、日本に対してこういう買い付け申し込みをするのに、ほかの外国に対してこういう申し込みをするのよりもかなりの条件といいますか、審査といいますか、入り口の門のところはきびしいなという感じの比較になろうかと思います。その点から申しまして、私どもも、今度の仕組みをつくるにつきまして当面外資がやってくるであろうという想定をいたしましたという点におきましては、いまおっしゃるような外資対策という配慮が皆無であったと申すことはできません、率直な気持ちといたしまして。ですけれども、この制度の全体の仕組みを考えますと、投資家保護というたてまえから説明のつく範囲のという限定はやはり守らざるを得なかったのでございまして、さような両面がありまして、しかし、趣旨は投資家保護という観点からの限界において当面の外資ということも念頭に置いた、かようなことに御了解いただきたいと思うわけでございます。
#120
○鈴木一弘君 その点が、自由化といいながら、一面では非常にきびしい感じがするのですけれども、この法案の中でも、一定期間前に、買い付けの期間であるとか、買い付け価格、契約の解除云云と、こういうように、あるいは数量というようなところまで大蔵大臣に届け出ろというふうになってまいりますと、これは、逆にいえば、乗っ取りの対象になるというか、そういう企業のほうで防戦ということを行なうわけですけれども、その防戦の期間というものを国で確保してあげようというふうな感じになってくるわけです。あまりこういうふうにきびしくすると、今度は、外資がこういう方法をきらって、ひそかに株を取得するというそういうことが行なわれるという心配はないかどうかということです。その点はどうなんですか。
#121
○政府委員(志場喜徳郎君) 実は、この制度をつくるにつきまして最も苦心をいたしました点はおっしゃる点でございまして、私ども、証券市場という点から考えますると、ひそかに、わけがわからないうちにもぐって、あるいは陰湿裏に買い占め的な行為が行なわれるということは望ましくないと思っておるわけでございまするが、それは、市場集中をとっておりませんために、相対取引が自由でございますために、これをなくすることはできません。しかし、今回、公開買い付けの点につきましては、できるならばその方策を避けてもらって、今回の公開買い付けというオープンの場に誘導していきたい、誘導した段階におきまして、投資家保護の点から、公開買付者と対象会社とのフェアコンペティションと申しますか、株主の面前でオープンでフェアにいろいろと言い分、資料を開陳し合っていただいて、それで投資家が両者の言い分を聞いて自分の判断で考えてもらう、かようなことでございます。そこで、あまりこれをきびしくいたしますと、おっしゃるとおり、望ましくないと考えているところにもぐり込んでいかせる。しかし、これがあまりにも買い取り者に有利ということになりますと、また投資家といたしましてはその正確なる公平なる判断をするという点において欠けるところがありましょうし、あるいはまた、資金源その他買い付け目的の審査等にいたしましても投資家が判断に迷うという点もございます。たとえば、アメリカの場合におきましては、SECに届出と同時に買い付けが始まっておる、かようなことでございまするけれども、わが国の場合におきましては、大蔵省が、事前に、買い付け目的であるとか、方法とか、そういうような資金源等を審査するということによりまして、別段買い付けをオーソライズしたわけではありませんけれども、そういうチェックがあることも投資家保護になるという意味で、十日間のこの審査期間を設けるという説明にも通ると思いますし、そういった両面を考えた末が、買い付け者からいいますと、自由よりも若干窮屈、しかし、これがあまり窮屈になり過ぎてもぐらないという限界が、今回の届出制度であり、また、十日間の審査期間という程度ではあるまいかということを考えまして制度を考えたと、かように御理解いただきたいと思うわけでございます。
#122
○鈴木一弘君 問題は、これは先ほども産業政策的な見地からいろいろなふうなことが言われていることもあるわけでありますけれども、実際、一たん外資が入ってきてしまった場合には、規制をしようにもできないということになるのではないか。この公開買い付けのいわゆる規制ということだけでその行動を押えるということは非常に困難じゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。その点、そうなれば、むしろ、よほどはみ出たものを規制するという以外にはやらないという方向にだんだんせざるを得ないと思うのですけれども、そういう長期的な考え方はどうなんでしょうか。
#123
○政府委員(志場喜徳郎君) 証取法でこの制度を設けませんと、全く任意ということになりますので、これはもぐって買うことも自由であれば、どういうオファーを突然やっても、また条件をどんなことをやっても、またそういう資金源等を明かさないで誇大広告的にやっても、全くフリーである、こういうことになりまして、この事態は証取法という分野から考えた場合に一番望ましくないという配慮がまず働いたわけであります。で、投資家保護という観点で説明がつく範囲内におきまして今度の制度を仕組んでみたということでございます。しかし、ある産業の防衛といいますか、あるいは外資対策というその面からの光を当ててみまするというと、もちろん今回の制度でそれぞれのその分野分野の要請をすべて満たしてやるということは、とうてい法律の領域からいたしましてもできないわけでございます。ただ、今回の場合は、国民経済的に法律上禁止されておりますところの独占禁止法の違法にわたるようなそういう中身を盛り込んだオファーであるというような場合、これは政府といたしまして認可をさして違法状態をその結果によっては現出させるということはできませんので、そういう法律上の独占禁止法上違法をもたらすという意味での事前チェックは私は可能と思いますが、それ以外の産業政策上あるいは外資対策上の考慮を払うことはできない。それは、先ほども議論が出ましたように、あるいは商法の分野での改正、あるいは、非常に突き詰めますると、特別の業種についての特別の立法というものをつくっていくということにならないとこれはとうてい無理ではないか、かように考えておるわけであります。
 しかし、証取法におきましては、繰り返しますけれども、何も規制しないということは、少なくとも投資家保護の観点から、ひいては国民経済の観点からまず望ましくないという問題意識から、できる可能の範囲におきましての制度はやはり合理的につくっておく必要がある、かような提案でありますことを御了承いただきたいと思うのであります。
#124
○鈴木一弘君 独禁法の話が出て、いま一〇%未満云々の場合は届出を要しないということで一つの線を押えておるということは、まあはっきり言えば買い占め防止という独禁法上の問題だと思いますけれども、逆に競争ということから考えて、公正競争というような問題から見ると、公開買い付けということがいろいろな形で、同じ企業ではなくて、同じところではなくて、同じ人間でなくて、いろいろな方がやるということについては、これは規制はできないだろうと思うのですけれども、そういう点の検討はなされたのですか。公正競争をこの面でも行なわせるという……。
#125
○政府委員(志場喜徳郎君) この買い付けの方法、条件の点につきましては、公益または投資家保護の点から適当と認められる必要なるという条件をしぼりまして、それに適合するという範囲内でのことと思うわけであります。これは公正なるオファーあるいは条件、こういうことを念頭に置いてございますわけですが、ただ、価格なら価格について、いかなる価格を提示することが公正なる競争なり公正なる価格であるかという点につきましては、これはなかなかむずかしい問題であろうかと思うのであります。独占禁止法上におきましては不公正な取引方法によるものということで、価格の提示のしかたについても独占禁止法の制約は法律上あり得るとは思いまするが、これを具体的に価格の範囲におきましてどういうふうにチェックできますか、これは今後具体的事例にも際し、また、その前にも公取委員会のほうと十分に協議いたしましてそこら辺の審査の心がまえを持ちたいとは思いまするけれども、その他の点につきましては、やはり言っているところを公益の立場からの条件にしぼりまして、また、相手方の言い分を大蔵大臣に届け出ることによりまして、そのスクリーニングの上で公示することによりまして、あとは両者の言い分を投資者に判断してもらうということにかけてある、かようになるわけでございます。
#126
○鈴木一弘君 きょうは、証券取引法一部改正法案については、この程度にしておきます。
 次に、外国証券業者に関する法律案のことについて伺いたいのですが、問題は、支店を設ける場合、免許申請をするわけでありますが、それについて、一つにはいわゆる拒否要件のことについて伺いたいのです。免許の拒否要件について、一つは三年以上継続して営んでいるということが問題になっているわけですけれども、その三年以上経営しているということについてのチェックの方法はどういうふうなことをとられるのですか。ただ書類だけの審査なのか、あるいは向こうの取引所の会員であるというのを見るのか、あるいは証券会社をやっていたということだけなのか、それとも、看板だけ出ているが、中身はやっていなくても三年以上やっていたというのを見るのか、いろいろな方法があると思うのですが、チェックの方法について……。
#127
○説明員(戸田嘉徳君) 私どもとしましては、まず出てきた書類というのが中心になることは当然かと思いますが、要すれば、いま先生のおっしゃいましたように、あちらのほうの証券業協会とか取引所を通じて問い合わせるということもあり得ると思います。ただ、ここで、おおむねはこういう場合につきまして三年以上継続してそういう事業をやっていたということについて当初から所属の証券業協会とかあるいは取引所というものの証明をむしろつけた書類をとったらいかがか、かように考えておりますので、実際問題としましてはそういう書類をもって大部分の場合は判定がつくのではないか、かように考えております。
#128
○鈴木一弘君 もう一つは、その拒否要件の中で、法令上証券業務をあわせ営むことができない者が営むのと同種類の業務を営んでいる者またはその者と密接な関係を有する者という、「その者と密接な関係を有する者であるとき」というのは、どういうふうな形になりますか。
#129
○説明員(戸田嘉徳君) これは、いわば、その当該者に対して、実質的に当該者に支配されているもの、または当該者を支配しているもの、こういうふうに申し上ぐべきものかと思います。いかなる場合にそういうような状態と判定できるかという問題でございますが、この辺は少しこまかく詰めまして、あるいはその資本的な関係において実質的にそれが支配しあるいは支配されるとみなされる場合、あるいは人的な役員の派遣等の状況から判断しましてそういう支配被支配の関係が確認される、そういうようなことに相なろうかと思います。
#130
○鈴木一弘君 この法律ですと、はっきり支店ごとにということになっているわけですね。支店でなくて子会社をつくった場合にはどうなりますか。
#131
○政府委員(志場喜徳郎君) 子会社をつくりますと、それは日本の株式会社になりますわけで、ここに言うところの外国証券会社にはならないわけでございますので、ずばり証券取引法本法の問題になるわけでございます。ただ、これは法律上そうなるというわけでございまして、現在外国の会社が日本に全額出資なりあるいは大半出資をして子会社をつくるという点につきましては、御案内のとおり為替取引上の制限がございまして、これは個別の認可を要するということになっております。これは、個別の認可は、現在のところは一般方針といたしましてはむずかしいということで運用しておりますので、当面はそういった制限から不可能に近いという現状ではございまするが、法律上は、この法律ではなくて、証券取引法の証券会社という問題での本法の問題になるわけでございます。
#132
○鈴木一弘君 そこで、日本の場合の証券会社は、すでに一〇〇%持ち株の子会社を外国に出しているのじゃないですか。
#133
○政府委員(志場喜徳郎君) アメリカないしは東南アジアのうちで香港等におきまして、全部または大半を出資した子会社を持っておるのが数社でございます。
#134
○鈴木一弘君 そういう点ですと、一方ではそれを許しておいて、片方では許さないというと、これはフェアな感じでないわけですが、先ほど事実上困難であるということばがありました。すると、前と違った感じになるんですが……。
#135
○政府委員(志場喜徳郎君) それは実際問題としてはさような向きになっておりまするが、これは証券取引法上の不平等扱いとは考えておりません。ただ、為替制限の点からの問題がございますわけで、これの今後の自由化をどういうテンポで進めるか、かような問題でございます。
#136
○鈴木一弘君 それについて、証券局としての意見はどうなんですか。
#137
○政府委員(志場喜徳郎君) 私の立場から責任をもってお答え申す立場にないわけでございまするが、次第に証券取引自体が国際化されておるという事実、また、そのもとになっておりますところの経済取引というものがその国際交流がますます盛んになっておるという事実、並びにいわゆる資本自由化が本年中にも最終的な段階を迎えようとしているような事実を考えますると、今後さほど時を長くしないでこの門戸を開いていくということが自然の勢いではなかろうか。また、証券市場あるいは証券業務というものの健全な発展ということから見ました場合に、そういうふうに進むことが決してマイナスではない、プラスであろう、さように考えます。
#138
○鈴木一弘君 むしろ、私は、いまのは非常に慎重な発言で、これから先のことを考えると、そういう点で自由化がおくれているということで、逆に言えば日本の証券業界にとってもすごいマイナスではないか。不自由化ということを早く避けなければいけないのじゃないか。はっきり申し上げて、ギブ・アンド・テークという時代になってきておりますから、日本も非常に大きくなってきていることでもありますし、そういう点から見ると、こちらは一〇〇%株式保有の子会社を持っていながら、相手側にはそれは許可しないという方向は、いつまでも続けられるものでない。これは早急に改善をしなければならないであろうということは火を見るよりも明らかな感じがするのですが、局長は答弁の衝ではないという話でありますから、次官からひとつお伺いしておきます。
#139
○政府委員(藤田正明君) 互恵平等といいますか、あるいは同じ条件の相互乗り入れといいますか、そういうものが原則であろうかと思います。今後の国際化のすべての面において、また、証券の面においても、国際化は必然でありますので、早い時期にそういうことになろうかと思いますし、また、そのようになることが望ましい、そのように考えております。ただ、いろいろと国内の事情なり業界の事情がございますので、その辺は原則は原則といたしましても、現実面においてはやはり考慮せざるを得ないということはございます。それらを勘案しながらできるだけ早い機会に平等な国際条件のもとに相互乗り入れをやるということが望ましい、さように考えます。
#140
○鈴木一弘君 時間がだいぶんたちましたので、簡単に関連してちょっと伺っておきたいと思うのですが、公社債の流通市場の件でありますが、現在の上場されておる銘柄数はどういうもので何種類くらいあるかという点、及びその育成の方法はどういうふうに現在やっておられるかということ。
 それからいま一つは、私は、公開市場操作も完全なものに早くするべきである、そこまで証券市場あるいは公社債市場というものが育たなくちゃならないという強い意見を持っておるのですけれども、現在の国債が一年以内ではオペの対象にもなっていない、こういう点について、一体、これは証券市場育成という点から、あるいは金融市場の整備、正常化というか、そういう点から考えた場合に、どういうふうな考え方をいま持っていらっしゃるのか。そういう点についてちょっと伺っておきたいと思います。
#141
○政府委員(志場喜徳郎君) 数字の点につきましては、後ほど担当課長から申し上げさしていただきますが、公社債市場の正常化あるいは育成という問題、これは広義の資本市場の一環といたしまして非常に重要な問題であり、また、これがわが国の場合は遺憾ながらいままで問題意識はございましたものの最もおくれておるという分野であろうかと思うのでありまして、今後、私どもは、あらゆる機会をとらまえ、また、措置を通じまして、その正常化、育成につとめなければならぬということでございます。
 その点の第一の要諦は、やはり、この発行条件のあり方、また、その消化の層のあり方でございます。つまり、互いに相関連する面がございますわけですが、発行条件につきましては、どうもわが国の場合にいわば社債の発行が限界的な資金の調達ということがよく言われるのでありまして、つまり、金融がゆるんでまいりますると、そこで銀行からの借り入れということに走る、金利も若干安くなりまするから、そういうことになる。ということで行き、今度は金融がタイトになってまいりますると、銀行の資金ポジションが窮屈になる、また金利も上がってくるということで、そこでやむを得ないというような形でもって社債を発行していく。ところが、その場合の社債と申しますのは、昭和三十年来からのどちらかと申しますと人為的なものと思われますような低金利政策といったような点がございまして、別に法令できめておるわけではございませんが、発行条件が固定化し、硬直化しておる。その意味におきましては、その金融情勢においては低利のものでしかも長期ということになるものですから、銀行からの借り入れが窮屈になりますると、やむを得ない手段としていわば債券発行にやってくる。それが、したがいまして、銀行も取引先との関連で預金が受け入れられるということの関係から七、八割を金融機関が消化してしまう。いわば貸し金の見返り金といったような意味でこの社債を持ってしまう。決して投資対象物件という意味に理解されないで、そういう一つの金融機関での融資の一形態、変形という意味で持たれる。したがいまして、それがさらに金融が窮屈になりますと、融資を優先的に金融機関が考えますために、その債券を売却いたしまして、そうしてほかの面への融資に振り返えていく。そういたしますと、投げ売りいたしますから、流通価格が下がる、つまり利回りが上がるということになります。そこに、そういう上がった利回りのもとでは発行条件はとてもついていけないということで、新規の発行がむずかしくなる、こういうふうなことでの悪循環を繰り返しておるということが問題だと思うのでございます。したがいまして、今後、当面、金融が比較的正常化あるいは緩慢という事態も見通されるわけでありますが、われわれといたしましては、極力発行会社のまず認識、または証券会社の販売努力、営業努力というものを期待いたしながら、この発行条件を発行量との関係等を見合いながら、漸次弾力化していきまして、そうしていわゆる実勢というものと発行条件との乖離というものが金融緩慢時におきましては比較的に縮まっていくということもございまするので、できるだけそれをマッチしたものでもって、緩慢時期においてこそ健全な条件によるところの発行を習慣づけ、そして、その消化先といたしましては、投資物件として長期に保有されるようなあるいは機関投資家、あるいは個人の長期貯蓄をすることができるような資産家といったような人を中心に、それを安定的に長期貯蓄の一形態として保有してもらう。したがいまして、いわゆる短期金融面が窮屈になりまして投げ売り的なもので資金化をはかろうとしてそれが一斉に市場に出てきて値くずしが起こるというようなことがないようにという消化層を見つけながら、それにはまるような条件を合理的にきめながら発行していく。しかも、その発行の場合におきましては、画一的でなくて、多くの量を発行しようとするものは当然それだけのやはりコストというものを払うべきである。そうでなければ、自分のところに優先して大量の資金が集められない理屈でありますので、その辺の条件の弾力化ということにつきまして発行会社は十分に認識をし、そしてそういう発行を習慣づけていく、かような方向におきまして何とか正常化をはかりたい、かように思っておるわけでございます。
 なお、数字の点につきましては、担当課長から御説明いたします。
#142
○説明員(松本健幹君) まず、公募事業債の発行会社の数でございますが、去年の十一月三十日現在で、少し古うございますが、二百十三社でございます。この二百十三社の発行会社が、本年度でございますが、本年度二月までの間に合計で約五千五百億の起債を行なっております。間もなく三月分もきまるかと思いますが、このペースでまいりますと、おそらく本年度一ぱいで六千億をこえる、こういうような状況であります。
#143
○鈴木一弘君 これは、その中に入っているいわゆる公債、政保債は何銘柄ぐらいありますか。
#144
○説明員(松本健幹君) 先ほどの御質問は、上場銘柄についてだったわけでございますか。
#145
○鈴木一弘君 そうです。
#146
○説明員(松本健幹君) 失礼いたしました。上場銘柄でございますが、昨年十二月末現在でございますけれども、東京取引所につきましては、国債が十七、地方債が一、政保債が二、その他特殊債が二、利付金融債が三、社債が二十四、転換社債が十六、加入者引受電信電話債が三十九、全部合計いたしますと百四銘柄ということになるわけでございます。
 大阪につきましては、国債が十七銘柄、地方債が一銘柄、政保債が二銘柄、その他特殊債が一銘柄、利付金融債が三銘柄、社債が二十銘柄、転換社債十六銘柄、加入者引受電電債が三十九銘柄、合計九十九銘柄でございます。
 なお、名古屋でございますが、電電債の三十九銘柄だけでございます。
 以上でございます。
#147
○鈴木一弘君 時間がありませんから、これで私は終わりますけれども、先ほど質問の公開市場操作についてのこれからの考え方というものはどうなっているでしょうか、それを伺っておきたい。
#148
○政府委員(志場喜徳郎君) 公開市場操作は、日本銀行の金融政策と申しますか、その分野でございますので、私が申し上げるべきではないのでありますが、私どもの証券市場という面から考えますると、いわゆる理論価格的なものでの買い取り、買い上げということじゃなくて、やはりそのときの時価で市場から買って市場に売る、この意味での公開市場操作、これは価格の面、取引の形態の面から言うとそうであるべきでございましょうが、そうなることが望ましいと考えておるわけでございます。しかし、そのためには、流通市場というものがやはり正常化しておるという点が前提ということで、日本銀行が現在のところ一種の理論価格というところでの価格でもってこの売買操作をやっておると思うのでございます。したがいまして、市場の正常化ということとうらはらであると思いますけれども、そういう公開市場操作ができるような市場というものに正常化するということが私どもとしての仕事の役目になるわけでございます。
#149
○鈴木一弘君 さっきので答弁がなかったものですから、もう一つだけですけれども、それに関連して、日銀のほうでやることですが、現在の日銀のやっておる買いオペというのは、はっきり言って金利政策の一環です。決して金融政策であるというふうには思えないわけです。そういうことからも本格的に考えなければいけないということと、当然債券に関係してくるんですが、国債の一年ものの云々という先ほど申し上げたことについて、それも対象にさせるというふうにそれを広げていくということを考えなければいけないのではないか。その点はいかがですか。
#150
○政府委員(志場喜徳郎君) これは、金融政策との関連で申しますよりも、主として日銀引き受けによる国債の発行というような通貨供給に結びついてはよくないということで、やはり発行後一年間というものはオペレーションの対象にしない、こういうことでございまして、それはそれなりに私は理屈があるのではないか、かように考えます。
#151
○委員長(柴田栄君) この際、委員長から申し上げます。
 先ほど松井委員から要望のありました政令及び省令の件につきまして、ただいま理事の方々と相談の結果、二法案審査のためには政令及び省令が必要と認められますので、次回の委員会すなわち二十三日以前のなるべく早い時期に各委員に配付されますよう大蔵省において措置されたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 なお、政令及び省令ができ上がっておりますればそれを、まだでき上がっておらなければ要綱でけっこうでございます。
 政務次官の御答弁を願います。
#152
○政府委員(藤田正明君) そのような趣旨に努力をいたします。
#153
○委長(柴田栄君) 両案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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