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1970/02/23 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第7号
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1970/02/23 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第7号
昭和四十六年二月二十三日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十二日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     片山 武夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柴田  栄君
    理 事
                大竹平八郎君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                成瀬 幡治君
                多田 省吾君
    委 員
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                栗原 祐幸君
                小林  章君
                今  春聴君
                丸茂 重貞君
                松井  誠君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                片山 武夫君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       宮内庁次長    瓜生 順良君
       皇室経済主管   並木 四郎君
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省理財局長  相澤 英之君
       大蔵省理財局次
       長        小口 芳彦君
       大蔵省証券局長  志場喜徳郎君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
   説明員
       大蔵省国際金融
       局次長      林  大造君
       国税庁直税部長  江口 健司君
   参考人
       日本証券業協会
       連合会会長    瀬川美能留君
       全国銀行協会連
       合会理事     小山 五郎君
       日本公認会計士
       協会会長     井口 太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○外国証券業者に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国
 会の議決を求めるの件(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について、御報告いたします。
 昨二十二日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として片山武夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柴田栄君) それでは、証券取引法の一部を改正する法律案及び外国証券業者に関する法律案を便宜一括して議題といたします。
 資料提出の件につきまして藤田政務次官から発言を求められておりますので、この際発言を許します。藤田政務次官。
#4
○政府委員(藤田正明君) 先日の大蔵委員会におきまして、証券二法の政令、省令に関する骨子、要綱、参考資料の提出を大蔵委員長から御指示いただきました。その点に関しまして、二十日の日に委員部を通じまして各委員のほうに提出をしてございます。
 以上、御報告申し上げます。
#5
○委員長(柴田栄君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙の中を本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 会議の進め方につきましては、通例は、まず最初にお一人十五分程度御意見をそれぞれお述べをいただきまして、その後委員の方々からの質問にお答えいただくという方法で進めてまいるわけでございますが、本日は、瀬川参考人が所用のため午前十一時までに退席いたしたいとの御要望がございますので、まず最初に瀬川参考人から御意見を十五分程度お述べをいただきました後委員との質問にお答えいただいて退席を願い、その後、小山、井口両参考人から再び十五分程度それぞれ御意見をお述べいただきました後にさらに委員の質問にお答えいただくことで会議を進めてまいりたいと存じまするので、各位の御協力をお願いいたします。
 それでは、瀬川参考人。
#6
○参考人(瀬川美能留君) ただいま御紹介をいただきました日本証券業協会連合会会長の瀬川でございます。
 ただいま委員長からお話がございましたように、私の所用からたいへん勝手なことをお願いを申し上げまして、委員各位並びに公述人各位にたいへん御迷惑をおかけいたしますことを深くおわび申し上げます。
 委員の皆さま方におかれましては、日ごろ何かと証券市場のために御配慮をいただきまして、また、本日は、証券関係二法案につきまして私に陳述の機会をお与えくださいましたことを厚く御礼申し上げる次第でございます。
 さて、今回の証券取引法の一部を改正する法律案並びに外国証券業者に関する法律案は、証券取引審議会の答申の線に沿いまして作成されたものと存じております。私も証券取引審議会の委員の一員といたしまして答申の取りまとめに参加いたしたのでございますが、同審議会におきましては、昭和四十四年以来、専門委員会で、企業内容の開示制度の改善を中心といたしまして、諸外国の法律、諸制度をも十分参酌しつつ、慎重に検討を進めまして、これに基づきまして基本的な方向を組み立てて答申をいたしたものでございます。
 この答申の線に沿って作成されました今回の二法案は、いたずらに理論に走ることなく、証券市場の実情をも十分に考慮した、まことに適切なものと存ずるのでございます。私どもといたしましては、全面的に賛意を表する次第でございます。
 特に、今回の法案は、経済の国際化、資本取引の自由化に対処いたしまして、投資家保護を徹底し、また、証券市場を通ずる資金調達の円滑化をはかるという、これまでの証券取引法の改正には見られなかったような前向きの姿勢、いわば、近い将来にあるであろうという証券市場の姿を想定いたしまして、それに対応し得るよう法制上の整備をはかっているという点で、まことに画期的な改正でございまして、先年行なわれました証券業の免許制移行と相並びまして、証券市場の今後の発展をささえる大きな柱になるものと存ずるのでございます。
 私ども証券界といたしましては、このような見地から、去る一月十六日付をもちまして、日本証券業協会連合会並びに東京証券取引所連名で、今回の証券関係二法案の制定の促進方について要望書を提出いたしたのでございます。本日、この要望書を皆さまのお手元にお配りしてございますので、御参照いただけますならば幸いと存ずる次第で、ございます。
 では、それぞれの法案の内容につきまして、若干の意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、第一に、証券取引法の一部を改正する法律案でございます。
 御承知のように、わが国の経済の発展に伴いまして、貿易、資本両面にわたりまして、近年、自由化の進展は著しいものがございます。資本取引の自由化について見ますと、昨年九月の第三次自由化に引き続きまして、近く自由化の総仕上げともいうべき第四次の自由化が行なわれるものと存ずるのでございます。わが国の企業が自由化に即応いたしまして、健全な発達を遂げていくためには、証券市場を通ずる資金調達が円滑に行なわれることが特に望まれるところでございます。これがためには、証券市場内部の機構、制度の整備充実をはかることももとより必要でございますが、根本的には企業内容の適正な開示がぜひとも必要でございます。このような意味から、有価証券報告書の提出基準の改正、中間報告及び臨時報告の制度化など、流通市場におきます開示制度の整備が行なわれ、また、有価証券届出書、目論見書につきましても所要の改正が行なわれ、さらには、報告書等の虚偽記載につきましての民事責任の明確化がはかられておりますことは、まことに時宜に適したものと存ずるのでございます。
 次に、公開買い付けの制度化についてでございます。一部には、公開買い付けがわが国ではこれまで実際に行なわれたことがないことから、その制度化は時期尚早ではないかという意見もございます。しかしながら、今後の自由化の進展を考慮いたしますと、わが国でも公開買い付けが行なわれる可能性が多分にございまして、これに備えて、証券市場の秩序維持、投資者保護の観点からあらかじめ万全の方策を講じておきますことは、ぜひとも必要と存ずるのでございます。かような趣旨から、公開買い付けに関する法案は、まことに妥当なものと存ずる次第でございます。何ぶんにも、公開買い付けばこれまで行なわれていなかっただけに、法律で基本的な事項を定め、細目を政省令で規定することが実際的な措置であろうと存ずるのでございます。
 第二に、外国証券業者に関する法律案についてで、ございます。
 御承知のように、証券業は五〇%自由化業種に指定されておるのでございますが、外国証券業者といたしましては、支店形態によるところの進出を望んでおりまして、その希望が日増しに強くなっているようでございます。支店による進出に対しましてその道を開かない限りは、証券業が自由化業種になったと申しましても、その実効は乏しく、かえってわが国の自由化に対する海外からの批判を招きまして、ひいてはわが国証券会社の海外進出にも支障を来たすおそれすら考えられるのでございます。そのような観点からいたしまして、今回、外国証券業者の支店の進出につきまして法的措置を講じますことは、まことに時宜を得たものということができるのでございます。これによりまして、はじめて内外の証券業者の円滑な交流が実現することとなりまして、わが国の資本市場が国際的資本市場の一環といたしまして拡大発展することが期待されるのでございます。私ども証券界におきましては、外国証券会社と同等の条件のもとに公正な競争を展開し得るよう、財務内容の充実、経営の合理化に鋭意努力を重ねているところでございます。外国証券業者法の制定に関連いたしまして、わが国証券会社が積極的に海外進出ができますよう、為替、金融、行政の各般にわたりまして十分な御配慮をお願いいたしたいのでございます。
 最後に、この席をお借りいたしまして、日ごろ証券界が要望いたしております公社債市場の正常化について付言させていただきたいと存じます。
 御承知のように、公社債の発行条件は、常に流通市場の利回り水準を下回っておりまして、このために発行量の調整を行なわなければならない状態が続いておるのでございます。これを打開いたしますためには、発行条件の弾力化を一そう推進するとともに、一方で適正な流通価格を形成することが重要であることは、申すまでもございません。その意味で、起債環境の整備につきましてなお一そうの御理解を賜わりますようお願いいたしたいのでございます。昨年末、アジア開銀債が発行されまして、また、近時、公社債に対します外人投資が急増いたしておるなど、わが国の公社債市場は急速に国際化の傾向を強めております。かかる情勢のもとにおきまして、わが国の公社債市場が真に国際的金融市場の一環としてその地位を確立するためには、公社債の発行条件を弾力化いたしますことが不可欠の要件でございまして、また、最近の金融情勢をながめますと、その環境が徐々に成熟しつつあると存ずるのでございます。もとより、これを一挙に実現することには多くの困難が伴いますことと存じますので、その方向に向かって一歩一歩着実に実現への努力を積み重ねていくことが必要かと存ずるのでございます。何とぞ、委員の皆さま方のこの点につきましての御理解と御配慮をお願いいたす次第でございます。
 以上、私の所見を申し述べましたのでございますが、冒頭に申し上げましたように、本日は、十時から十二時まで本委員会に出席せよとの御案内をいただいておるのでございますが、やむを得ない事情がございまして早目に退席させていただきたいと思います。まことに失礼とは存じますが、お許しをいただきますよう重ねてお願いを申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。
 まことにありがとうございました。
#7
○委員長(柴田栄君) 瀬川参考人に質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○松井誠君 ただいまお述べになりましたことについてちょっとお伺いをしたいと思うのでありますが、参考人はちょうど証券取引審議会の委員だそうでありますので、答申とそっくり、したがってこの改正案とそっくりな意見を述べられるのはやむを得ません。ただ、しかし、私は、何がしかの疑問も持っておるものですが、それをお伺いをしたいと思うのでありますが、一つは、これから外国の証券業者が日本に当面支店という形で入ってきて、日本の証券業界に具体的にどういう影響を与えるだろうかという見通しであります。御承知のように、この証券業の免許は業種別になっておるわけですが、証券会社が行なおうとする四つの業種の中で、とりあえず日本の証券会社に一番大きな影響力を及ぼすというか、一番大きな競争相手になり得る仕事というのはどういうもので、どういう――打撃になるのか刺激になるのかわかりませんけれども、そういうものを与えるかどうか、そういうことをちょっとお聞きをしたいと思います。
#9
○参考人(瀬川美能留君) いまの段階では、御承知のように、為替の管理がまだ厳重に行なわれておりますし、日本人の外国株に対する投資というものが、間接投資と申しますか、投資信託に一億ドルを限って許可されているというふうな程度でございまして、個人なんかの外国有価証券への投資は禁止されております。こういう状態のもとでございますからして、外国の証券業者が、この法案が通りまして、この下期から来年ぐらいにかけて進出してまいるといたしましても、従来行なっておりました日本の発行会社が外国で証券を発行する場合の引き受け業務とか、あるいは、どう言いますか、とりあえずはそういう面での仕事に限るのじゃないかと思うのでございます。そこで、とりあえずはこの引き受け業務をねらうとか、あるいは、将来に備えて、証券業周辺の業務、つまり投資コンサルタント的な仕事をねらうとか、情報提供をねらうとか、まあさしあたり支店の形で五〇・五〇の合弁の形でこちらへつくりましても、取引所の会員になることはいまの場合まだできませんし、ことに日本人の外国株の買い付けができませんからして、ブローカーとしての市場というものは大した――将来は別として、さしあたりは大した魅力はありませんが、とりあえずねらうとすれば、引き受け業務をねらうというところだろうと考えております。
#10
○松井誠君 いろいろ、ことばの問題もありましようし、人的なつながりの問題もありましようから、全部の業種について大きな競争相手になるということは確かに考えられないと思いますね。引き受け業務なら当面できるであろうと。この引き受け業務も、おそらくまあ入ってくる証券業者の中でもほんとに巨大な資本を持っておるというものも来るでありましょうから、そういう意味で引き受け業ならば相当大きな競争相手になれる。そういうところから、むしろ日本の証券業が幾つも業種を一緒にやるのではなくて、引き受け業だけを一つ切り離してやれるようないわば専業体制、そういうものでもできないと、アンダーライターの競争というのにむずかしくなるのじゃないかという意見もあるようでありますけれども、そういう点の見通しなり御意見なりあれば伺いたいと思います。
#11
○参考人(瀬川美能留君) 有価証券の引き受けというものは、こんなことを申し上げて失礼かもしれませんが、必ず引き受けに対して分売力を持っているということが問題でございまして、英米の証券会社でも、確かに巨大な有価証券を引き受けますが、それは必ず販売するという前提でやるわけでございます。ですからして、長期間にわたって直接投資のような形で日本の有価証券を引き受けるというケースもあるかもしれませんが、しかし、私どもは、ここでいわば引き受けて直ちにこれをディストリビュートしてそうして資金を調達していくというふうなやり方におきましては、巨大な証券会社が出てまいりましても、われわれが七十年、八十年つちかった日本の市場、まあ国内だけに関する限り、日本の市場という点につきましては、何らそう大きな心配はないんじゃないかと、そういうふうに考えております。
 それから海外での引き受け業務でございますが、日本のものがすでに数十銘柄あちらで発行されておりますが、これは向こうの有力な証券会社と組みまして対等の立場でわれわれはマネージャーとして向こうで活躍している。最近は、私ども日本の証券会社がアメリカの有価証券の引き受けについてマネージャーの地位を確保したというケースもぼつぼつ出てきておりまして、こちらから向こうへ上陸している者がかなり向こうの引き受けをメンバーとして相当広く各社ともやっておりますが、マネージャーとしてやり得たような実績が一つ、二つ、三つと出てきておりますので、おそらくその点はフィフティー・フィフティーで将来引き受けというものは伸展していく。国内に関する限りは、たとえば、外国との合併会社の国内の企業の資金調達をする場合とか、あるいは社債発行、株式公開をする場合には、おそらく日米合併の場合には、日米証券会社がフィフティー・フィフティーでやるようなケースが生まれてくるかもしれませんけれども、事日本の企業の国内発券に関する限りは、私どもはだんだんと分売の能力も最返はできてきておりますし、あえて諸外国の会社がやってきて自由ほうだいにやれるというふうな心配はないと思っております。
#12
○松井誠君 あまり時間がなさそうですので、それじゃあと一点だけお伺いしますが、いま参考人が最後に言われた公社債市場の育成、この点をお伺いしたいのでありますけれども、金利が長期金利と短期金利と逆になっておるということを一つの例に引かれて、起債環境の整備ですか、ということばで言われたのでありますが、これはまあ言われてから久しいわけですね。ですから、それが、証券発行の実務をとっておられる立場から見てどういうところにそのネックがあるのか、制度的にどれをどうすればどうなるという、まあそう妙薬はないかもしれませんし、また、特効薬はないかもしれませんが、そういうことを最後にお聞きをしたいと思います。
#13
○参考人(瀬川美能留君) いままでの公社債市場は、極言をいたしますと、公社債が商品として発行されていないということであります。商品として発行されていないということは、非常な統制下で、いまお話がございましたように、長短金利が非常にいびつである。つまり、借り入れ金を有価証券の形に振りかえたような形で発行されておりますからして、したがって、発行量も発行会社も非常に制限をいたしまして、そうして発行条件も金利の動向いかんにかかわらずほとんど一律的にずっと固定化されておる。年限も利率も固定化されている。いわば商品として公社債が市場に提供されていなかったのがいままでの実情であります。
 そこで、本来、有価証券というものは、銀行、保険会社、機関投資家はじめ、広く金融機関、あるいは各種の団体とか、あるいは個人投資とか、個人消化とか、というふうに、商品性を持っておれば、それが広く国民の預貯金の増加、金融資産の増加に応じてディストリビュートされていく市場ができているわけでございます。まあいわば一つの形だけの市場であったということであります。そこで、形だけの市場じゃ、ほんとうの商品として発行されているものはどういうものがあったかといいますと、御承知の取引所に上場されている電電債とか、あるいはいわば金融債とか社債が、市場で実際の発行価格と離れて流通している流通価格、その間にしょっちゅう二円とか三円とかという差があったわけでございます。そこで、そこには金利の自由化というものがなかった。預金利子も、貸し出し利子も、まあ日銀の公定歩合の動きはありますけれども、それに連動して社債の発行条件なり率なりというものは動かなかった。ずっと固定化しておった。つまり、商品としての妙味が非情に薄かったわけでございます。ここへ参りまして、長期金利は長期金利のあり方、あるいは内外――先ほど申し上げましたように、外国あたりからの需要が非常に引き続いて来るというふうに、需要面がはっきり出てまいりましたし、金融もこうしてゆるんでまいりましたわけでございますから、この辺からだんだんと一つ一つ方向を変えまして、そして実勢価格と発行価格とが密着した、発行市場と流通市場が連動していく。つまり、流通市場に基礎を置いて発行価格がきまっていく。そして、発行のつどつど発行額なり発行条件がそれぞれ会社によってクラシファイされていく、評価されていくという、そういうプライス・メカニズムに立脚した市場というものが生まれてこなければほんとうの公社債市場というものは生まれてこない。長年の間にいま申し上げましたようないわば形式発行のような形の市場が、ここへまいりましてやっと市場価格と発行価格とが接近してまいりまして、そして外国あたりからも相当な公社債の需要が出てまいりましたので、いまの発行条件をあるいはさらに変えるべきか、あるいは流通価格のほうが上がってきていまの発行条件にさや寄せするか、そのためにはもう少し短期金利も下がらなくちゃいかん、あるいはコール市場も下がらなくちゃいかんという前提がございますからして、そういうふうにプライス・メカニズムで連動して発行していく、そしてその市場価格によって発行量がおのずから自然に調節されていくというふうな市場がまいらなければほんとうの公社債市場がまいらない。そこへ一歩一歩われわれは近づけたいと思うのでありますが、何ぶんにもほかの金利体系にも大きな影響のある問題でございますから、一つ一つ具体的に条件をほぐしていく必要がある。いままでしょっちゅうそういうこと言われたのでありますが、二十年ぐらいおそらく空念仏のように言われてまいって、何らそこに進歩がなかったといえばなかったのでありますが、しかし、徐々にいろんの面でほぐれつつあります。そこで、そのほぐれ方も一歩一歩勇敢にひとつほぐしていってほしい。
 しかし、そのためには、何よりも公社債市場の中心をなす国債が、自由市場に応じた、つまり、いま申し上げた商品性を持った国債の発行条件をひとつきめていただきたい。国債が政府の証文のようなかっこうで銀行を中心に引き受けられて、それが日銀のオペレーションに入っていくというがやはり自由な一つの基準をつくっていただいて、それに応じて地方債とか政保債とか社債とかというものが体系的に金利水準ができていくというふうなことが望ましいと思いまして、先般国債の発行条件について御考慮を願いたいということを申し上げたわけです。
 まあそういうことでございます。
#14
○岩動道行君 私、あとお二人のお話も承ってからお伺いいたしたいと思ったんですが、瀬川さんが先に御退席になるというので、この機会に伺っておきたいと思うのですが、まず、第一に、先年証券取引法の根本的な改正というものが行なわれて、いわゆる分業制度が行なわれましたが、その結果、証券業界というものがはたしてうまく順調に分業制度というものが伸びていっているのかどうか、この点がまず第一点です。
 それから公開買い付けの問題でございますが、これは投資家の保護ということを中心にして今回立法されているわけですが、先ほどお話がありましたように、外国から入ってくるというような場合に、外資法があるから大体いいんじゃないかというようなお話がありますが、資本の自由化とかあるいは円の切り上げの問題とか、いろいろ国際社会の中へ日本がどんどん溶け込んでいかなければいけない、そういう時代に、はたしてそういう外為法とか外資法というものがいまの形のままで残り得るかどうかという疑問もまた検討しなければならないときも来ます。そうなってまいりますると、単に投資家保護というだけでなくて、産業保護といいますか、民族資本といいますか、民族の事業といいますか、そういったようなものをある程度保護するといいますか、防衛するという立場も一必要ではないだろうか。そういう意味において、いま提案されておる法案が、単に大蔵省へ届け出るという程度であって、それ以上の歯どめがない。諸外国には大蔵大臣がこれを差しとめるというような規定もあるわけですが、そこら辺に何か歯どめがないという案についての不安がないかどうかということが第二点です。
 それから第三点は、公社債市場、これはほんとうにやろうとしてなかなか思うように進んでおりませんが、具体的に一、二点、この点はこうしてくれというような御意見があれば、それを伺いたいし、また、税制上特別に何か措置すべき事項等、税制にも触れて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#15
○参考人(瀬川美能留君) 終戦後、銀行業と証券業との業務の分野が分かれたことがどういうメリットがあったか、あるいはデメリットがあったかということでございますが、戦後の日本の大きな課題は、産業の民主化であったと思います。で、そこに考えます限りは、分かれたために、ことに株式の分野、引き受け分野あるいは流通市場の分野におきましては、日本は世界の第二の市場として確立した。株主の数が、現在延べで千二、三百万、一人二株といたしましてまあ五、六百万ぐらいの個人の株主ができておりますし、あるいは投資信託そのほかの加入者、あるいは月掛けの株主等を入れますと、かなり大きな人口が参加しておる。そして、証券民主化国の世界の第二位の地位を確立しているということは、これは証券業が専業でやった大きなメリットであろうかと思います。昨年ですか、皆さんのお耳に達しましたIOSという世界的な無国籍の投資信託会社が、世界各国でずいぶん投資家に御迷惑をかけたのであります。そのときに、どういう地域で一番御迷惑をかけたかというと、やはりドイツとスイスでありまして、ドイツとスイスは兼営のために大衆に対してのほんとうの証券民主化ということが行き渡っていなかった。大衆がうぶだったということで、ドイツ、スイスの兼業をやっているところの大衆が一番無知で引っかかったというケースが、これは一つのはっきりした例じゃないかと私は思うのであります。そして、そういう国では、あわてて規制措置を講じたということを聞いておりますが、公社債市場のほうはしからばどうであったかと申しますと、先ほどもるる申し上げましたように、アメリカと日本とがちょうど御承知のような同じ立場をとっておる国でありますが、アメリカあたりでは、公社債が、御承知のように、金融機関、機関投資家、個人はじめ、各種のファンドに対して先ほど申し上げたように自由価格で発行されておりますからして、当然証券会社によって引き受けられたものの六割とか七割とかというものが分売されてそういう連中が買っております。日本の場合には、確かに銀行やほかの金融機関がお買いになっているわけでございますけれども、金があって買うのは引き受けだというふうな感覚でときどき摩擦を起こしておりますわけで、これは法律上こちらが引き受けを持っております以上、その市場を、個人は申すまでもなく、金融機関あたりに広がって分売されていくという前提の上に成り立つものでございまして、先ほど申し上げましたような公社債市場におきましては、金融機関の消化に最初は割り当て的に、貸付金の変形でございますからして、七割なり八割なり依存せざるを得なかったわけでございます。しかし、だんだんと年月を重ねまして、今日の状態におきましては、かなり個人の投資家層にまで進入をしてきた。個人の投資家層がおそらく今日では社債発行の四割から五割ぐらいの、平均して引き受けの半分ぐらいを個人層あるいはその他地方の雑金融機関に直接われわれが売りさばいているというふうな実績が出てきております。このことは、私は、分かれたために非常に苦労して証券業がここまで持ってきたという大きな一つの功績ではないかと自画自賛いたしております。アメリカにおきましては、一九六七年までは、ほとんど八割から九割が機関投資家はじめ金融機関に入った。しかし、これは、当然バイヤーとして買ったわけでありまして、それが公社債市場であって、あとの一割、二割が個人消化されたというふうな形であったのでありますが、六七年から六八年にかけましてアメリカで非常に物価騰貴が起こった。そこで、銀行に預けているお客さまは、幾らかでも利回りのいい社債、安全な社債にでも投資してインフレをヘッジしていこうということから、非常に個人投資の社債投資が始まった。そして、年間百五十債ドルから二百億ドルぐらいの個人投資が始まった。アメリカの証券業者は戦後二十何年にして初めて個人という社債の市場があるなあということがわかったというのがアメリカの市場の実情であります。ひるがえって、日本の場合を一考えますと、われわれは個人消化個人消化で念仏を唱えて、今日までやっとその辺まで発行会社とも協力しながらやってきたということは、私は、ある意味において、このいびつな市場におきまして日本の公社債市場がいよいよこれから本格的に開ける大きな礎石がもうすでにできているというふうに考えまして、やはりここで両方分離した一つのメリットではないかというふうに自画自賛いたしております。これは小山参考人も御意見があるかと思いますけれども、自画自賛いたしております。
 それから公開買い付け制度のいまの問題でございますが、これは各国とも公開買い付け制度を起こすまでにいろいろの問題が起こりまして、ある国は、主として外資防遏という線でこの制度を設けている。ある国は、経済秩序の維持という観点からやっている。ある国は、投資家保護という観点からやっている。日本の場合には、アメリカ式の投資家保護に中心を置いた制度でございまして、おっしゃるように、将来の外資におけるテイク・オーバー・ピツドという点から申しますと、不十分であろうかと思われます。しかし、証取法のたてまえからいたしますと、私はこれ以上のきめ方はできないと思うのでございます。むしろ総合的にいろいろの方法を考えて、これも結果的に防遏の一つのメリットがそういう音加味でのメリットがあるだろう。しかし、この土俵だけではこれ以上の規定はむずかしい。この土俵でこの場が規定ができるということは、これだけやっぱり一つの進歩でありメリットであるというふうに私は考えております。
 それから最後に、証券界として何か特にお願いしたいことはないかというありがたいおことばでございますが、先ほど申し上げましたように、やはりわれわれに残された一つの大きな問題といたしまして、公社債市場を正常化、ことに自由化を控えて正常化していくためには、やはり弾力化、さらに自由化というものを一段とひとつ推進していく。それには、私は、国債を柱として政府からひとつ大いに模範を示していただきたいということをお願いしたいということが一つ。
 それから税制につきましては、いろいろのお骨折りで、直接投資と間接投資のアンバランスがだんだんと縮まってまいりましたけれども、なお不十分な点があろうかと思いますので、今後にひとつよろしくお願いしたいと思います。
#16
○岩動道行君 あと一問だけですが、転換社債制度というのは、最近、何か活用されているというか、利用されているというか、これは一体大いに進めていくべきようなものか、公社債市場との関係においてですね、この点についてちょっと……。
#17
○参考人(瀬川美能留君) 転換社債は、新しく資金調達市場としてプロジェクト多様化の一つの方法として登場してまいりましたのが一昨々年でございます。一昨年は、年間が全体としての発行が百四十億円前後のものだと記憶いたしておりますが、昨年は、たしか千二百億程度の年間の発行量になっております。ことしは、おそらく二千億をこえるのじゃないかと思っております。転換社債は、欧米でも一つの資金調達のルートとして確立したルートになっておりまして、すでにわが国の企業が昭和三十五、六年からアメリカの市場を中心にヨーロッパ市場で発行いたしましたのは、ほとんど転換社債と、それから株式のあのADR、EDRでございますが、転換社債が大きな部分を占めております。日本の企業が外国では転換社債の発行ができ、国内では転換社債の発行ができないというような状態は変な話で、一日も早くわれわれはそれを実現したいと考えておったのでございますが、幸いに軌道に乗ってまいりました。転換社債のメリットは、やはりある意味において一つの時価発行の前段の発行方法であって、非常に中和された一つの方法である。株主は、社債としてのメリットを金利の点からメリットを受けると同時に、つまり、株式の値下がりに対しては大きく防御――ディフェンシブな形をとると同時に、値上がりに対して享受できる、キャピタルゲインを得られる。そうして会社もその上に積み立て金が得られるという、これは三方得の制度でございまして、ことに大衆消化が非常に多うございまして、株主優先割り当てというような方法とか、あるいは一般公募、株主に割り当てずに一般公募というふうな、いろいろな方法でやっておりますが、しかし、九〇%以上は津々浦々の個人に消化されていくというふうな状態でございますので、民間資金の活用という点からいたしましてこれも一つの資金調達の制度として今後とも確立していかなくちゃならないというふうに考えております。
#18
○多田省吾君 私は、二、三点まとめて御質問申し上げたいと思います。
 一つは、今後の外人投資の見通しについてお伺いしたいのでございますけれども、最近のアメリカの公定歩合の再三の引き下げ、あるいはわが国の円切り上げが必至ではないかという予想等から、外人投資家の債券への投資が非常に急増しているようでございます。いままでは年間五百万ドル前後であったものが、昨年は一挙に二千五百万ドル、また、ことしの一月だけで大体三千八百万ドルの投資があったのじゃないかと、このようにいわれておりますが、今回の証券二法の改正によって一般と外人買いの投資が拍車がかかると思いますけれども、大体どのようにこれを予想しておられるか、これをまず第一点としてお尋ねしたいと思います。
 それから第二点としまして、これは、ある証券会社の課長代理の方が、この前、一般投資家の方から八人から三千万円を預かって失踪したと、こういう事件が伝えられておりまして、こういうことが重なりますと、証券取引に対する国民の信頼というものが失われるわけでございますけれども、こういった事件に対する対策をどのように考えておられるか。
 それから第三番目としまして、公開買い付け制度――テイクオーバー・ビッドについて、会社乗っ取りというようなケースが多分に予想されますけれども、これによって一般投資家に対して大きな損害を与えるというような懸念があるわけでございますが、こういったことを事前に防止する対策というようなものをお考えになっておられますか。
 この三点をお尋ねいたします。
#19
○参考人(瀬川美能留君) 外国人の株式並びに公社債投資がずっとことしに入りましてふえつつあることは事実でございまして、なかなか先行きのことは予想はむずかしいのでございますが、ことしはおそらく公社債で二、三億ドルぐらいの年間投資があるのじゃないか、あるいは株式投資が五億ドルぐらいの投資があるのじゃないか、その程度の投資があるのじゃないかということを実際家に聞きますと予想をされているようでございますが、しかし、いまの公社債投資の外国からの潜在的な買い物というものはもっと強いものでございまして、ことに円ベースの長期の契約をやって日本から船舶を買ったりなんかしております向こうの金持ちですね、会社ですね、これはどうしても将来あるいは起こるかもしれないという円の切り上げに対するヘッジの意味におきましても、円契約の支払い債務を持っておりますところは、円のそれに応じた債券を買っていこうというような動きが潜在的にございますので、それと、金利のさやが差がだいぶ向こうが低金利で下がってまいりましたので、日本の有利な公社債を投資として買おうという行き方も片やございますので、ただ、それにぴたっと応じたものが日本の市場になかなかありません。こういう年限のものがほしいとか、このくらいのものがほしいとか。それから、それに応じてそれではこっちで債券を発行して渡せるかというと、そういう市場になっておりません。したがいまして、潜在的には強い買い気がありますが、需要供給の関係からしていま申し上げたような数字にとどまるだろうと予想しておるのでございますけれども、大きな潜在的な買い気があることは事実であります。それから株につきましては、これはまあ今後の景気の見通し、あるいは株価の情勢によって非常に変わってくるわけでございます。昨年あたりは、アメリカの株式が底入れして上昇に転じましたときは、むしろ日本の株を売ってアメリカの株式を買う――日本の株式はいずれ買う時期があろうから、日本の株式を売ってアメリカの株式を買うというような動きが先に始まったのでございまして、やがてアメリカの株式もある一つの限度になってまいりまして、日本の株式が比較的低位に置かれておりますと、逆のまた運動も起こってくるというふうに、世界の機関投資家あたりはことにそういう点を緻密に計算いたしておりますので、まあどちらかというと、いま予想されておりますような景気の情勢からまいりますと、ふえることはあっても予想より減ることはないのではないかというふうな判断をいたしております。
 それから最近出ました不祥事件について証券界としてはどういう対策を講じておるか、こういうことのないようにどういうことをやっているかという御質問であったように思うのでございますが、実は、証券界はお恥ずかしいことながら、こういう事件に対する洗礼というものは十二、三年前に受けております。あの昭和三十四年、五年、六年の高度成長時代に株式市場が非常に騰貴いたしまして、市場が拡大してまいりましたときに実はこういうことを経験いたしておりまして、そこで昭和三十四年から四十五年ぐらいまで、十何年間かかりまして、事故対策特別委員会というものを昭和三十四年に協会、取引所その他関係団体を一丸とした大委員会をつくりまして、そうしていろいろこれの防止策、あるいはこれに対する対処のしかたを検討をいたしまして、そうしてそのつどでき上がったものは制度の上に織り込んでいくということで、そうして罰則も設け、いろいろの制度を設けまして、わりあいに早くから洗礼を受けた手前、早くから取り組んでいるということで、最近残念ながら一つ出てまいりましたけれども、ケースは昔よりも非常に減りまして、そうして秩序が保ててきた。早くえらい目にあったから早く対策ができたというふうな結果になっておるのでございます。もちろん、証券会社自体といたしましても、各社におきましてそれぞれ内部の検査制度とか、あるいは監査制度とか、あるいは内部のチェック・システムというふうなそういうことも一非常に強化してやっておりますし、それから証券業協会といたしましては、従業員の資質の向上という点につきまして、従業員規則というものを設けまして、会員である証券会社の従業員の服務基準とか、あるいは外務員の資格とか、従業員に対する証券会社の監督責務というふうなことについても厳重に規定をいたしております。また、各地の協会では、それぞれ中堅管理職、中堅外務員、これを対象に研修を実施しておるとか、あるいは外務員の試験は連合会単位で全国統一的な試験をしている。最近では、幾ら中堅管理職とか外務員を研修したところで、これを経営する社長の頭を変えなくちゃいかぬ、社長を研修せにゃいかぬというふうなことを考えまして、もう五、六回東大で社長研修会というものを年に二回やっておりまして、そうして懸命に事故の防止にかかっております。それから顧客との関係におきましては、一番問題のよく起こりますのは保護預かりでございますが、これにつきましては、顧客の届出印鑑ときちっと照合する。それから保護預かりのときにきちっとした契約を整える。それから顧客に対しましては報告をする義務があって、六カ月に一回、直接顧客に対して預かり有価証券の残高の照合を行なうとか、あるいは協会から年二回事故防止のためのPRリーフレットをつくって顧客に配付いたしまして、顧客側からも事故防止の理解を求めるというふうに、徹底的にやっておりますが、何ぶん広く大きく金を扱う仕事でございまして、たまにああいう問題が発生いたしますことは非常に遺憾だと思っておりますが、今後とも事故防止については努力いたしたいと思っております。
 それから公開買い付け制度は、公開買い付け制度のないところでこういうことが行なわれますと、そのために投資家に対して不測の損害を与える。また、証券市場の秩序を破壊するというようなことを各国とも経験をしてまいりまして、そうしてこうしたすっきりした公開制度をつくったわけでございまして、これができますことによって投資家保護が一段と深まる。ほんとうの投資家保護のたてまえからこれが行なわれているということでございまして、公開買い付け制度は、そういう意味で日本におきましてもこれからの問題でございますけれども、各国ともそういう経験を通っておりますので、あらかじめ御制定願っておくことが非常に秩序維持並びに投資家保護になるというふうに考えておるわけでございます。
#20
○大竹平八郎君 瀬川さんに、これはお答え願わなくてもよろしいんですが、要望を一口申し上げたいんです。
 というのは、いまの不祥事件に関連してなんですが、最近は株が非常に上昇になって、大衆がだいぶ買っている。ところが、これはいつまで続くものか、われわれしろうとにはわかりませんが、要するに、各証券会社の店頭責任者といいますか、係の人が、高いときには、みんな毎日毎日電話でもってお得意さんと交渉をやられて、いろいろサゼッションをしてくれる。しかし、これが下落したり何かする場合になると、今度は、その係の人というものは、たいがいとは言いませんけれども、責任を回避して、いまいないとか、係がかわったとかというケースが非常に多いんですよ。これはまああなた方えらい人にはわかりませんけれども、実際問題としてはそうして大衆が非常に迷惑をしていることが多いんです。これは私は回答は求めませんけれども、そういう点がちまたにたくさんあるということを頭に置いてひとつ御指導願いたいと、これだけでございます。
#21
○参考人(瀬川美能留君) 委員長、いまの御要望に対してちょっとお答えしてよろしゅうございますか。まことにごもっともな御指摘で、私も若いときからセールスマンをやってまいりましたが、よく言って聞かすのですが、「医者というものは、病気のときにこそ患者の家へしばしば出かけて行って、そうして診察をして患者を安心させてなおすのが仕事やないか。証券業の店頭にしても、セールスマンというのは、やはり有価証券についてのコンサルテーションをやっている仕事なんだからして、むしろ株式の上がっているとき、患者の健康の状態のときは黙って見ておればいいのであって、悪くなったときにやはりしばしばお客のところへ出ていかなくちゃいかぬ。君らのやっていることは逆になるじゃないか」というふうなことを申しまして、ずいぶんいろいろとやかましくやっておりますが、だんだんとそういうふうなことは改まってくると期待いたしております。ありがとうございました。
#22
○委員長(柴田栄君) 瀬川参考人に申し上げます。
 本日は、貴重な参考御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。お述べをいただきました御意見は、両案の審査を通しまして十分役立ててまいりたいと存じます。
 それでは、退席をしていただいてけっこうでございます。ありがとうございました。
 次に、小山参考人及び井口参考人から御意見を聴取いたします。
 まず、小山参考人。
#23
○参考人(小山五郎君) 私、三井銀行の小山でございます。
 日ごろから、金融の問題につきましては、大蔵委員の皆さま方の御尽力と御指導をいただいて、深く感謝いたしております。
 本日は、御指名がございましたので、証券取引法の一部を改正する法律案並びに外国証券業者に関する法律案、この二つにつきまして、いささか私の考えを申し述べさしていただきます。
 まず、企業内容開示制度の改正でございます。現制度ができましたのは、昭和二十八年と聞いております。その後、わが国経済の発展とともに、証券市場は流通、発行の両市場ともその規模は非常に拡大しておりまして、時価発行増資あるいは時価転換社債の発行も最近増加している状況でございます。また、一方、粉飾経理によるところの弊害も二部に出ておりますことも事実でございます。このような情勢のもとにおきまして、流通市場につきましては、有価証券報告書提出基準を改め、その提出範囲を拡大するとともに、年一回決算会社について半期報告書制度を創設すること、さらに、期中重要なる事態が発生した場合は臨時報告書を提出する制度を創設すること、発行市場につきましては、有価証券届出書提出基準を改めるとともだ、届出書提出と同時に募集、売り出し行為ができること、また、粉飾経理の問題につきましては、損害賠償責任者の範囲の拡大、その他罰則を強化することなど、企業内容開示制度を改正いたしますことは、単に投資者保護の観点のみならず、企業を取り巻く利害関係者に対しましても必要であると存ずる次第でございます。したがいまして、有価証券報告書に関係会社の財務諸表を添付させることとされておりますことは、時宜にかなった処置と考えられます。他面、届出書等の記載内容につきましては、投資者保護をそこなわない程度に簡素化をはかっていただきたいと存じます。また、半期報告書の提出を求める考え方も、近く一年決算へ移行していく時代が来ると思われますので、その趣旨はけっこうであると存じます。
 次に、有価証券の公開買い付けの規制に関する制度の創設についてでございますが、わが国の現状におきましては、買い占めあるいは乗っ取りが続発しているというようなわけではございません。したがって、どのような形でこのいわゆるテイク・オーバー・ビッドなるものが具体化してまいりますか、はなはだ予想がむずかしいのでございます。欧米各国の例を見ましても、アメリカは、投資者保護、同時届出制、イギリスは、投資者保護、シティによる自主規制、フランスは、業界による自主規制と事前届出制、さらに大蔵大臣に拒否権がございまして、かように、各国の経済事情や証券市場構造の相違とか、実際に起きた事例を見て、何回かの変遷を経まして現在の形になったようでございます。したがいまして、わが国といたしましては、これら諸外国の例を参考にいたしまして、投資者保護の観点から一応のルールづくりをきめておけば、現在のところ十分かと思われるのであります。このような観点から見ますと、本法案はおおむねこれを充足していると考えられますが、今後状況の変化に応じまして弾力的に対処するよう希望いたします。また、法案におきましては、公開買い付け者の対象会社に対する通知義務を届出の効力発生までにとなっておりますが、これは妥当の措置と申せましょう。なお、公開買い付けを制度化することによりまして弊害がもしあらわれました場合は、秩序維持の観点から規制を強化するなど、今後臨機の処置を望む次第でございます。
 次は、株価安定操作についてでございます。証券取引法の改正と同時に、株価安定操作に関する政省令の改正も行なわれるようでございますが、現行株価安定操作規制は、制度としては存在しているにもかかわらず、ほとんど援用された実例がないようであります。しかし、今後時価発行による増資などが盛行してまいりますと、安定操作を必要とすることが生じると思いますから、投資者保護の観点からある程度の改正は必要であろうと存じます。なお、増資の量を自主的に調整させるとか、自社株保有を許す制度を併行的に考案することも一必要であると考える次第でございます。
 最後に、外国証券業者に関する法律案についてでございますが、現在、外国証券業者の国内支店設置につきまして何らの規定がないのでありますので、証券業の資本自由化等、最近における証券市場の国際化の趨勢に即応いたしまして、外国証券業者がわが国において証券業を営むことができる道を開くことは、証券市場の秩序維持及び投資者保護の見地からしまして時宜を得た法制と存じます。今後とも、わが国金融機関、証券会社の海外進出に際しまして障害になることのないよう希望する次第でございます。
 以上、まことに簡単でございますが、私の考えを述べさしていただきました。御清聴ありがとうございました。
#24
○委員長(柴田栄君) 次に、井口参考人。
#25
○参考人(井口太郎君) ただいま御紹介いただきました日本公認会計士協会会長の井口でございます。
 委員の先生方におかれましては、日ごろ公認会計士制度に深い御理解をいただきまして、また、本日は、証券取引法改正法案につきまして私に陳述の機会を与えていただきまして、厚く感謝する次第でございます。
 さて、今回の証券取引法の一部を改正する法律案は、投資者保護の見地から各界の意見を十分尊重されて立案されたものと存じ、まずもって賛意を表するものでございます。
 では、法案の内容につきまして若干の所見を述べさせていただきます。
 第一は、有価証券届出書及び有価証券報告書の提出基準の改正の問題でございます。
 今回の改正案では、増資の場合の有価証券届出書の提出基準を、従来の券面額五千万円超から発行価額一億円以上に改めることにしておりますが、これは時価発行増資の普及に照らしまして妥当であると考えるものであります。しかしながら、届出制度の完ぺきを期するため、その通算期間を、従来の一年通算から米国におけるように二年間通算一億円に改められますよう、これは政省令の問題であると思われますが、御考慮をわずらわしたいと存ずるのであります。
 次に、有価証券報告書の提出基準でございますが、従来の有価証券届出会社のほかに、新たに上場会社及び店頭売買登録会社をも対象といたしましたことは、株式の流通という面から見まして適切であると存じます。なお、これら以外の実質上流通性のある有価証券の発行会社については、投資者保護の見地から何らかの措置を講ずる必要があると思われ、将来の問題として検討すべき事項と考えられるのであります。
 第二は、開示書類の虚偽記載に対する公認会計士または監査法人の監査証明につきまして、証券取引法上損害賠償責任制度が創設されたことに対してでございます。
 公認会計士の基本的態度といたしましては、投資者の保護をはかろうとする証券取引法の本旨から見まして、制度の重要な一翼をになう者として、その使命と負託に反する行為がありましたとき損害賠償責任を問われることは、避けがたいところであると考えております。このことは、商法改正法律案要綱の公認会計士の監査につきましても同様でございまして、さきに民事局試案が公表されたとき以来、わが日本公認会計士協会は終始一貫変わらない態度を持してまいりました。
 今回の証券取引法改正は、故意過失がなかったことの挙証責任を公認会計士側に転換しておりますけれども、専門的知識を必要とする業務の性質上、相当であると存じます。虚偽証明と損害との間の相当因果関係及び損害賠償額につきましては、民法、商法の一般原則によることとされておりますので、証券取引法改正案も、商法改正法律案要綱も、責任のあり方といたしましては同列に置かれたものと考えておるわけであります。しかしながら、公認会計士が自己の意見に対してあくまでも責任を負うためには、監査の実施に必要な時間と費用とが保証されておらなければならないことは当然でございまして、監査を受ける側においても協力を惜しまないという態度を強く要請いたしますとともに、これが世論となることを期待するものでございます。また、このような公認会計士の置かれております社会的条件と環境にも関連する問題ではございますが、具体的事例についての善管注意義務違反であるかどうかの判断は、高度の専門的知識と豊富な実務経験が必要とされることにつきまして、十分な御理解を賜わりますよう、お願い申し上げます。
 さらに、公認会計士の損害賠償責任に関連しまして、これを真に投資者保護の制度として実効あらしめるためには、英米におけるように、賠償責任保険制度の創設が必要と考えられます。こうした受け入れ体制の整備につきましては、できるだけ自主的に解決をはかるべく準備を進めておりますけれども、なお関係各方面の御支援をお願い申し上げます。もとより、公認会計士が監査を行なうにあたっての心がまえといたしましては、このような保険制度に依存するということではございません。
 第三に、半期報告書に関してでございます。
 半期報告書に監査証明を要しないとしておられますことは、現状において妥当であると存じます。その理由は、私の理解するところでは、財務諸表監査は、公正妥当な会計処理基準と報告基準とによって作成されました財務諸表すなわち決算書類に対して、その信頼性を付与することでありますが、仮決算の場合は会計処理基準がいまだ確立していないからでございます。将来仮決算のルールが確立された暁には、監査に応ずる用意がございます。
 第四に、連結財務諸表制度の促進方についてでございます。
 今回の改正案では、有価証券報告書に重要な子会社の財務諸表を添付することになるようでございますが、このことは連結財務諸表への一歩前進として高く評価されてよいと思います。しかしながら、一歩前進とはいいながら、これらの個別財務諸表では、一つの企業集団としての実態を示すものとは言いがたく、親子会社を一体とした連結財務諸表制度がすみやかに取り入れられ、この国際化の流れに対処して、この面においても早期に欧米並みになりますことを希望いたします。
 第五に、商法改正をぜひとも今国会において成立させていただきたいことでございます。
 もとより、商法と証券取引法はその法域を異にし、それぞれの目的を持っておりますことは、私がここでるる申し上げるまでもございません。しかしながら、商法改正案の一つの柱といたしまして、大会社の計算書類についての公認会計士監査を株主総会開催前に行なわせ、その結果を株主総会に反映させることによりまして、会社経理の適正化を意図しておるわけでございますが、このことが証券取引法における開示制度をより一そう実効あらしめるものと考えられますので、商法改正の実現を強く要請する次第でございます。
 以上、私の所見を申し述べ、何らかの御参考となれば幸いでございます。ありがとうございました。
#26
○委員長(柴田栄君) 両参考人に質疑のある方は、順次御発言を願います。
#27
○松井誠君 いま井口参考人からお話がありましたことについて、それに関連して二、三お伺いをしたいと思います。
 一つは、いまお話しになりました連結財務諸表ですか、これは衆議院の大蔵委員会の附帯決議の中でも連結財務諸表制度の採用ということを希望としてうたっておるわけですが、いまお話によりますと、これはまあ大蔵省に聞いてみないとわかりませんけれども、重要な子会社の分だけは一体としてやると。それだけでは不十分だということなんでありましょうけれども、制度的にこれがきちっとしていないというと、いろいろな意味でいろいろな集団の経理内容を知っておっても、それを何かの形で特定の会社の決算の中に、まあ数字としてはあらわせないけれども、何かあらわすというような方法が全然ないわけですか。連結財務諸表というものを制度的に採用をされなければ、この会社単独ではこうだけれども、企業集団全体として見るとこうであぶないならあぶないぞというような、そういうようなことは言えないわけなんですか。
#28
○参考人(井口太郎君) お答え申し上げます。
 親会社の財務諸表に重要な子会社の財務諸表を添付して、全体が見られないかというお話でございますが、これはなまのままの財務諸表を並列して出すだけでございまして、親子会社並びに子会社間の取引というものがそのまま出てまいります。ところが、資本取引、貸借取引、それから営業上の取引というものは、これは一つの企業集団として見ますと相殺されて表示されなければならないわけでございます。でありますから、ただ単に並列いたしましても、企業全体としての売り上げ高、損益、あるいは資産、資本というものが表示されませんので、その意味で連結財務諸表制度が採用されることが望ましいと、こういうことでございます。
#29
○松井誠君 ちょっと大蔵省にお尋ねをしたいんですが、いまの重要な子会社の財務諸表を一緒につけるということ、そういうことになるそうだという話は、政令か何かで取り扱うという趣旨だろうと思いますけれども、昭和四十二年かなんかに、企業会計審議会ですか、そこでもやはり連結財務諸表の採用というようなことを希望しておったというのですけれども、それの内容。それからいまお話しのように、重要な子会社云々というのは、単に子会社の財務諸表を並べてつけるだけで、見る人が見ればあるいはわかるかもしれませんけれども一、しろうとにはその二つの関係がどうなって、相殺関係がどうなって、結局実額がこうだというようなことはわからない。ということになると、それは一体どういう意味でつけさせるのか。また、そういうものをつけさせるつもりなのかどうかですね。それをまとめて御返事をいただきたい。
#30
○政府委員(志場喜徳郎君) 連結財務諸表制度の導入につきましては、ただいまお述べになりましたように、企業会計審議会のほうでつとに要請されております。また、証券取引審議会のほうでも、それを受けましてそれの提言もございます。また、事実、諸外国におきましてはこの制度は実施されておりまして、わが国の企業が外国でADRとかEDRとか発行いたします場合に、その国の制度によりまして連結財務諸表の提出ということを要請されるわけでございまして、国際化する今後に備えましてはぜひとも必要だと思うのでございます。
 連結制度は、ただいま井口会長からお話しございましたように、親子、従属支配関係にありますところの企業集団を一あたかも一つの単一の企業体と考えまして、その企業体から第三者にたとえば商品が販売されたときに、はじめて実質的な意味でのその売り上げがあるのであると、こういう認識に立つわけでございます。で、その点は、確かに連結いたしまして、親子、従属間の貸借その他の営業上の取引は相殺いたしましてそこで一体としての、一本としての財務諸表をつくりませんと、その関係は明らかになりません。しかし、そのためには、どうしても税法上、親会社から子会社への売り上げは、まだ売り上げではないのであると。その取引から生じた親会社の所得というものは、親子会社を通じて見る限り、まだ所得は実現していないのであると、こういう税法上の法人格が形式上違うことによりまして、その取引をすでに発生した時期とみなし、実現した利益とみなして課税するという制度をば改正いたしまして、その企業集団から第三者に売り上げがあったときに、はじめて所得は実現するのであると、こういうふうにしませんと、実はなかなか連結財務諸表ということを実質的に企業が採用するという慣行にはならぬと思うのでございます。さようなわけで、この問題はペンディングになっているわけでありますが、いずれにいたしましても、そういう連結財務諸表の慣行というもの、その方向への動きというものが実際動いてまいりませんと、税法のほうでもいわば先ばしりましてそういう制度をつくことには非常に消極的である、こういうのが実は税制上の考え方でございます。
 そこで、今回は、今後、国際的にもまた投資家の面からも必要と思われるような連結財務諸表導入ということへの慣行をつくっていこう、そういうものの見方に投資家なりその他の企業分析家というものをなれさせていこうということで、おもな子会社の財務諸表を親会社の財務諸表に添付してもらう。添付でございますので、売り掛け、習い掛けのようなものは相殺されておりません。親会社の売り上げは、相変わらず親会社の売り上げとして載っておりますし、子会社の親会社からの買い掛けは、依然として買い掛けとして別々に載っております。ですけれども、それを両者あわせ読むことによりまして、そこで自己において計算をしてみることもできまするし、なるほど親会社の場合は売り上げているけれども、その製品は大半子会社の段階でまだ第三者へ売り上げていない、こういうことになりまするというと、その製品の真実面の売り上げがどうだかということは、やはり両方あわせて見ますると判断もつくと思います。そんなことで、漸次連結をするというデータがそこにそろうわけでございまするし、企業分析家によりましては当然みずからそれを勉強するということにもなってまいりましょうし、そういうこともむしろ会社側が進んでそれが資料を参考資料としてつくるということにもなると思います。さようなわけで、今回はいわば連結財務諸表ということを導入するための実際上の慣行を促進する、醸成するというがために導入しようというものでございます。
#31
○松井誠君 税制の関係が、連結財務諸表制度を採用するのを、いわば一種の、言ってみれば妨げているみたいなお話がありましたが、税制のほうが先なのか、そういう慣行ができていないということが先なのか、鶏と卵みたいなものだと思うのですが、そうだとすると、もしほんとうに連結財務諸表というのを採用すべきだとすれば、これは企業で実質的な実態というものを明らかにする、そういうことで投資者保護というものにもつながるわけですから、採用すべきだと思うのですが、もしそうであるとすれば、もっと積極的にそういう慣行をつくるための誘導政策というものが必要だと思う。これは、二つの会社の財務諸表を並べて見ただけでは、さっきも私ちょっと言いましたけれども、しかるべき知識を持っている人ならあるいはわかるかもしれませんが、しろうとにはとうていわからないわけですから、それが何か有力な誘導政策になるようには私にはちょっと思えない。そのことでもっともっと積極的な方法があればとっていただきたいということを希望いたします。
 もう一つちょっと大蔵省に聞きたいのは、いま井口参考人から、仮決算の場合に、会計準則というのですか、そういうものができれば、ずっとわれわれもそれに対する監査に協力するにやぶさかでないというような話がありましたけれども、仮決算にそういうふうな証明書をつけるというような制度にするためには、確かにそういう準則が必要なわけです。そういうことについてはお考えになっているかどうか。
#32
○政府委員(志場喜徳郎君) 前者の連結財務諸表と税法の関係でございまするが、従来の議論の過程から申しまして、確かに鶏と卵ということで、慣行がないじゃないか、しかし税法がだめだから慣行もつくりようもないじゃないかという議論で実は終わってきたのでございます。そういうことでは今後の望ましい姿への展望ははかられませんので、この際、とにかく、そういった意味では時の経過がたってみますと過渡的なものということになるかもしれませんが、また、それはそうなることが望ましいとも思うのですが、関連会社の財務諸表を添付するということによりまして、この段階でだんだんと分析をはかる点によりまして連結財務諸表はつくれると、そういう親子関連会社を合わして見るという投資家の投資判断上の態度並びにそれの材料のいろいろの使い方ということに習熟していくということに道をつけまして、そこで、その上に立ちまして何年か先に税法の改正に持っていくと、これが私どもは一番現実的であり、しかも結果の実現を待つのに一番手っとり早い。いたずらに制度論的なものだけを掲げまして一挙に税法改正その他の環境整備といいましても、事実上無理である、かようなことで、いわば急がば回れ式のことになるかもしれませんが、今回の制度をしようと思っているわけでございます。
  〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕
 その次に、半期の報告書でございますが、先ほど井口会長からもお話しでございましたように、行く行くは、この半期の報告につきましても、監査基準の確立ということとともに、公認会計士の監査証明も要することといたしまして、いわゆる粉飾決算に対する――粉飾決算でございませんが、粉飾的な報告に対しまする監視といいますか、責任のあり方というものを強めたいと、かように考えておるわけでございまするが、今日の段階ではまだそこまで要請することは無理かと思いまして、今回は監査証明を要しないことにいたしております。ただ、そこに書かれますところの売り上げその他の事実関係につきましては、もちろん会社側は虚偽を記載することでもよろしいということには毛頭ならないわけでありまして、それは罰則の段階におきまして虚偽の記載がありますればこれは処罰されるということにはいたしております。ですけれども、公認会計士の監査証明と申しますことになりますと、先ほど井口参考人からもお話がございましたように、一定の監査ルールというものがございまして、そうしてそのルールに従った決算が行なわれているかどうか。これは、単に虚偽か真実かということだけではなくて、一定の利益計算、財産計算のルールに従って所定の計算なりがなされておるかということになりまするので、それにはやはりそのルールというものが確立いたしませんと監査証明に適しないわけでございます。さようなわけで、これも、この制度が発足いたしましてから、衆議院の附帯決議にもございますように、早急にその監査基準につきまして検討いたしまして、一日も早くその基準をつくることを望むわけでございまするが、そういうふうな順序をもちましてこの趣旨の定着をはかっていきたいと、かように考えております。
#33
○松井誠君 私は最後に井口参考人にもう一つお尋ねをしたいのですが、先ほどのお話では、公認会計士の仕事の公共性ということから、今度の公認会計士の責任は、民事責任を含めてでしょうけれども、妥当だというお話でございました。商法の改正案における考え方と同列にあるからというお話であったと思いますけれども、私は商法改正案はよく知りませんが、私は商法の改正案とこの証券会社の責任という問題とでは同じに論じていいかどうかという疑問がちょっとあるわけです。それはこの前の委員会でも私は言ったんですけれども、何せ投資家というのは非常に零細で多数、証券会社は必ずしも大企業じゃないにしても大企業、大企業相手に零細な投資家がかりに民事責任を追及するというような形で立ち向かうということになると、まあ公害の立証責任のような問題ほどまでにはいかないにしても、相当やはり立証責任の転換をしないというと、投資家保護というのが実際には達せられないようなことになるのではないか。そういう意味で多少立証責任の転換をしておりますけれども、私はまだ少し足りないという気が実はするわけです。あなたにそういうことをお尋ねしてもあるいはお答えは無理かもしれませんけれども、商法の改正案と同列に扱ってそれでいいというものであるのかどうかということに疑問を持つものですから、あえて意見を申し上げたわけですが、あるいはそれに対して御意見でもあれば、承りたいと思います。
  〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕
#34
○参考人(井口太郎君) 商法改正案要綱につきましては、同様に、故意過失のなかったことが証明されない場合には損害賠償責任があるという規定があるはずでございまして、それが基本法でございます。そこで、証券取引法はこれと軌を一にしておるわけでございますから、われわれの職責から考えまして避けがたいところであると存じておるわけでございます。
 それから挙証責任の転換の問題につきましては、故意過失がなかったことの挙証責任は公認会計士側にあるわけでございますが、その他は民・商法の一般原則であるということに承知をしておりまして、その辺が妥当であるかと考えております。
#35
○岩動道行君 最初に、小山参考人にちょっと伺いたいのですが、瀬川さんにも先ほど伺ったわけですが、例のテイク・オーバー・ビッドの問題として、外国証券会社が日本に入ってくるといったような問題、それに関連して、私は歯どめがどうもないような感じがする。アメリカの場合には、投資者保護という立場からやったと。これは、アメリカの経済の体質が非常に強くて、どこから入ってきてもだいじょうぶなんだとか、あるいは自由主義というような基本的な経済のムードといいますか、基盤があって、はじめて投資者保護という面だけからあるいは行なわれたのかもしれません。日本の場合には、投資者保護もちろん必要であるし、その面からこの規定は今後重要な一つの拠点になるというふうに考えられるのですが、そういう背景と日本は多少違うのじゃないだろうか。自己資本というものが非常に少ない。GNPは自由主義世界で第二位といいながら、自己資本率は非常に少ない。そういう現状において、日本の企業が、はたしてこういったようなことで、ある程度前進はしまするが、やはりそこに不安が残りはしないかと、こういう意味から、もしも外為法とか外資法とかそういったようなものも総合的に活用するにいたしましても、まず金融の面からも相当のテコ入れをしてやって防衛をしなければならないというようなケース・バイ・ケースの問題も起こってくるかと思うのですが、この辺に関して、金融界の態度といいますか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
#36
○参考人(小山五郎君) ただいまのお話、先ほどの御質問に連関しての問題でございますが、つまり、いわゆるテイク・オーバー・ビッドというものに対して何らかの民族インタレストと申しますか、さような見解からの歯どめがなくてよろしいかどうかというふうに解釈してよろしゅうございましょうか。――さような意味で、私も一究極的には同感なんでございます。最近におきますところの大きな背景というような問題で申しますというと、まず、あらゆる国際間の自由化、国際化ということが叫ばれておりますが、その国際化、自由化の前提となるものには、必ず、一つの制約と申しますか、お互いの協約と申しますか、そういうものがあらねばならぬと思うのでございますが、なかなかそのとおりにいっていない事実が国際間には非常にあると思うのでございます。たとえて言えば、巨大なる国際資本というもののあり方、これにつきましては、いかなる規制というものも行なわれていないわけでございまして、ただ、わずかにICCその他の提案によりまして、ビヘービアをつくろうというところの、国際資本のビヘービア・コードというような形の提案が出ているという程度でございます。かような次第でございますので、これが国際資本というものの横行を前提といたしますというと、各所で、最近、なかんずく低開発国との間における民族利益、国家利益というようなものとの抵触が行なわれているわけでございますが、かような意味合いにおいて、ただいまの御質問は、究極において私も何らかの歯どめが必要ではあろうかと存ずるのでございます。ただし、現状においてどうかと申しますと、先ほど意見として申し上げましたとおり、テイク・オーバー・ビッドなるものがわが国におきましてはまだ欧米各国と同様程度に頻発続行しておらない状態でございますので、国内の問題、並びに今度は海外の問題につきましても、ただいまお話しの外資法、管理法というようなものとあわせもちまして、まだまだ現状のところではさような大きな危機感というものは感じずによろしいのじゃなかろうかと、かように思うわけでございます。
 しからば、そういった防壁となってくれるところの外資法それから管理法というようなものがどうなるであろうかと思うのでございますが、これは逐次やはり自由化していく段階にそういう傾向にあると私は考えます。その場合までのただいまの国内における自己資本の充実、その他企業の健全性、そういったものをわれわれはみずからつくらねばならぬ時期でございまして、その前に一応強い歯どめというものを現状ではつくるほどのことはないのじゃなかろうか。また、その歯どめをあらかじめいまつくるということによりますと、それによるところの弊害ということも逆に考えられないわけではないと、かように思うわけでございまして、究極の趣旨におきましては、ただいまの御質問の要旨に私は並行線として賛成でございますが、現状におきましてはまだまだそういった歯どめ的な制約をここに用いなくてもよろしいし、用いないほうが誤解を招かないでよろしいんじゃなかろうかと、かように思う次第でございます。
#37
○岩動道行君 たいへん抽象的で、それはそれなりでけっこうだと思うんですが、そういういろんなことがまだ究極的には必要だけれども、いまは必要ないと。しかし、その前に、やはりそういう事態が起こらぬようにもっと自己資本の充実といったような体質改善をやるためには、金融界はどのような決意なり態度をお持ちになっているか、今後どう対処されるか、これを伺ったわけなんです。
#38
○参考人(小山五郎君) ただいま金融界としての心がまえと、かような問題につきましては、これは当然のことながら企業の自己資本の過小というものをいかにして正常化するかという問題に、われわれ十分の力を注がねば相なりませんので、これは従来ともきびしく言われていた線でございますが、なかなかにしてこれは、税法上の関係もございましょうし、それと同時に、従来の慣行と申しますか、まあ惰性と申しますか、自己資本を充実するよりは他人資本借り入れのほうがよりイージーであると。つまり、イージーであるという面は、経理的にもそのほうが得であるし、そしてまた、時間的にもそのほうが早く調達し得るというような慣行が従来のところ惰性的になっておりまして、これが日本の高度成長をささえていたゆえんであろうかと思うのでございますが、いまにしてようやくこの安定成長の過程になる場合、ほんとうにおっしゃるとおりの自己資本というものの充実を企業がみずからもって行なわなければならない。それは、やはり公社債市場というものの正常化という先ほど来の問題にも大きくつながることではなかろうか。金融界としましても、それに対してあらゆる努力をこれは金融界自身のためにもいたさねばならぬと、かように思っております。
#39
○岩動道行君 それじゃ、井口さんにちょっとお伺いいたしますが、最初に、有価証券の届出をしなくてもいい額と、それから期間についての御要望があって、一億円未満とか、あるいは二年というお話がありましたが、これについては、実は、私ども政府与党の立場から大蔵当局ともいろいろ話をいたしまして、大体御要望の線で政令はつくるということで、当委員会の要求した資料にもそのような案が一応出ておりまするので、これはぜひそのように実現を見るようにさらに努力をしたいと、かように考えておるわけであります。
 それから二番目に、半期の報告書の提出ですが、これは一年決算をやる会社についてははなはだ迷惑ではないかという議論も出ておったわけでございまするが、この点については、できるだけ簡略にやっていかなければ、やはり商法の規定で当然一年なら一年でそれでいいんだから、証券取引法のほうでその間にちょっかいが入ってはというようなかっこうになるわけですから、これについては一体どのようにお考えになっているのか。
 それから商法の改正を促進してもらいたいという御要望があったわけですが、これは中身についてはどういうことかわかりませんが、一方において何か商法改正反対というような運動も私どものところに来ておるのですが、それと関連をした事項で改正促進を要望しておられるのか。もしそれがかみ合っているとすれば、改正反対の理由とか、あるいはそれに対する公認会計士協会のほうのまとまった御意見というものをこの機会に伺わしていただきたいと思います。
#40
○参考人(井口太郎君) お答え申し上げます。
 有価証券届出書の提出基準を一億円二年通算にするように御努力いただいたということでございまして、まことにありがとうございます。
 半期報告書の問題でございますが、商法が改正になりまして中間配当が認められるようになりますと、一年決算に移行する会社も出てまいろうと存じます。それは、一つには、先ほど志場局長が言われましたが、連結財務諸表導入の一つの、何といいますか、要件――要件というほどではございませんが、一年決算になれば連結財務諸表の作成期間が満たされる。多くの会社の連結をいたしますので、相当な日数を要しますので、これが一年決算になりますれば、連結財務諸表の導入がしやすくなるだろうというようなことで一年決算に移行する会社があると思いまするが、会社は、通常、月次、決算、四半期決算、半期決算というようなものをやっておりまして、半期報告書を要求されたから特にそこで仮決算をやるというのではないのでございまして、半期報告書をとるからといって、さほどの手数をかけるものではないと存じます。もちろん、先ほど申しましたように、半期決算と申しましても、全く決算処理をしない、いわばなまのままの試算表のようなものから、ほんとうの確定決算のような処理を行なうものまで、まちまちでございますが、少くとも何らかの内部管理制度としてそういうものを持っておりますから、必ずしもよけいな手間をかけるということにはならないと存じます。
 それから三番目は、商法改正促進をお願い申し上げたのでございますが、私の先ほど申しましたのは、商法を、現在の決算事務、要するに決算期から総会開催時期までの二カ月というのを三カ月に延長いたしまして、その前に公認会計士の監査を終了して、その結果が株主総会に反映する、そのことによって企業経理の適正化がはかれると、こういうことが商法改正案要綱の中に盛られておるわけでございまして、その関連から申し上げたわけでございます。そのことによって証券取引法の企業内容開示制度というものがさらに一そう充実したものになると、こういう意味で申し上げたのであります。他の業界において反対があると、それと関連した事項と申されましたけれども、まだ私どもは法案の内容を入手しているわけではございませんが、伝え聞くところによりますというと、中小企業について何らかの手当てをする、それから公認会計士の監査も段階的に行なうということで進んでいるようでございまして、その内容が明らかになりました際には、また御意見を申さしていただきます。
#41
○多田省吾君 私は、最初に、井口参考人にお尋ねしたいと思いますが、今度の法案の改正につきまして、いわゆる会員の方の中から、今度挙証責任を伴うということで、億単位の多額の賠償を果たすことは破産を意味するようなこともあるし、早急に保険制度を確立してもらいたいというような要望があるわけであります。そういったことはどのように考えていらっしゃるのか。
 あるいは、提訴を受けた場合に、いわゆる監査報告書というものがいままでのような書き方で済むかどうかということで一まつの不安を覚えているような方がいますけれども、協会はこの点についてどのような対策をなさろうとしているのか。
 それから、いままで過重な仕事をしておられたような方は、当然ここで責任上相当縮小せざるを得ないのじゃないかと、こう思いますけれども、仕事の量ですね、そういったことに関してどのように考えておられるのか、具体的におっしゃっていただきたいと思います。
#42
○参考人(井口太郎君) 公認会計士がその監査証明について故意または過失があった場合の損害賠償について保険制度はどうなっておるかということの御質問かと存じますが、賠償責任保険につきましては、欧米ではすでに長い間の歴史を持っておりますので、それを目下研究中でございます。これは当局の認可も必要になるわけでございますけれども、その準備を進めております。その内容と申しますか、もちろん故意の場合の損害賠償なんというものは免責事項になるわけでございまして、そういうものは入りませんと存じます。
 それから二番目は、提訴を受けた場合の監査報告書がいままでのとおりでよろしいかというようにお聞きをしたのでありますが、それでよろしゅうございますか。――監査報告書と申しますのは、財務諸表全体に対しまして、その財務諸表が一般に公正妥当と認められる会計の基準に従ってその会社の財政状態と経営成績を適正に表示しているかどうかという、それに対する専門家としての意見を言うわけでございますから、こういうことになりましても、監査報告書、これをささえております監査報告基準というものは変わらないと存じます。おっしゃっている意味は、おそらく監査調書の問題かと存ぜられます。監査報告書をささえております、その基礎になりますものが監査調書と申しまして、これが裁判所における重要な立証書類となることは間違いないと思います。その作成方法について、これは従来から協会でも研修会を施しておりまして、補助者に至るまでそういう重要な書類であるという認識のもとに立って教育訓練を行なっております。
 それから第三番目は、過重な仕事になるから仕事の量を減らすのではないかと、その辺のことをどう考えているかということでございますが、従来ともそのような――もちろん損害賠償責任というのは今回初めて証券取引法改正法案に盛られているわけでございますけれども、責任のあり方としては従来とも変わっておりません。私どもはそういうことで来ておりますので、これが変わったから特にどうこうという問題ではございませんで、なお充実した監査をしなければならないことは確かでございますが、それにつきましても、協会といたしましては、この四月からも行ないますが、たびたび研修会を開きまして、学者先生から、協会の会員、本部、そういうものがこの研修に携わっておりまして、たくさんの聴講者もございまして、監査の内容の充実につきましては万全の策を考えておるところでございます。
#43
○多田省吾君 小山参考人に一問だけお願いしたいと思います。
 先ほどもいろいろお話をお聞きしまして、大体お話の要旨はわかったのでありますけれども、最初のお話で、公開買い付け制度につきまして、各国の厳重な例等を引かれたあとで、日本においてはルールづくりをきめておけば十分であろう、問題が起こったときに規制強化をすればいいのだと、こういうお話がございましたけれども、問題が起こる前の事前防止のためにルールづくりをするわけでございますが、具体的にどういうルールづくりをして適正な運用をなされていこうとしておられるのか、具体的にございましたら、ひとつお願いしたいと思います。
#44
○参考人(小山五郎君) 具体的のルールづくりと申しますのが、結局、今回のテイク・オーバー・ビッドに関するところの法案提案、それであろうかと思うのでございますが、要するに、隠密のうちに、何だかわけがわからぬうちに、乗っ取り、そうしてまた買い取り、大きな多額の株の移動というようなものが国の内外を問わずして行なわれるということは、まず投資者の不安を醸成すると同時に、社会秩序も経済秩序も信用秩序も乱されると、かような意味合いで、今回のものをすべてこれを公開制にするんだ、そうしてまた届出制にする、そうしてまた、相手方にも、しかじかかくかくの理由でかようなあり方でもってかような値段でもってこの株をわれわれ取得したいと思うということがここにある、それが具体的の例でございまして、さように思うのでございます。そうしてまた、これはいま私は乗っ取りと言って悪い面ばかり申しましたが、との公開買い取りによって必ずしも悪い面ばかりじゃなく、かりに企業の経営者のあり方が非常にまずかったというような場合に、ある株主の一方が、ひとつ自分でもっていい意味でこれを経営したいというようなことで、堂々と現経営者に対抗した一つの趣旨を宣明して会社の内容の堅実性をはかるということにも使えるのじゃなかろうかと、かようにも思うわけでございます。
#45
○渡辺武君 私は、大蔵省のほうにいろいろ御質問したいと思います。
 いま議題となっておりまする法律案の内容を見てみますと、全部に共通しているものは、これは自由化に伴って日本に入ってくる外資のためにいろいろな条件を整えると。そのために、いわばアメリカ的な方式に国内のいろんな制度を切りかえるというところに大きな眼目の一つがあるのじゃないかというふうに思われるんです。たとえば企業内容の開示制度の改正につきましても、あるいは株価の安定操作についての規定にしましても、これはアメリカなどでもうすでにやられている時価発行制度ですね、これを日本でも大規模にやらせようというような趣旨がうかがわれますし、それから先ほど来いろいろ問題になっております株式公開買い付け制度、いわゆる乗っ取りですね、これについても、アメリカがヨーロッパ各国でかなり荒っぽいことをいろいろ繰り返してやってきているということを日本でもいわば公認しようということを趣旨としているのじゃないかというふうに思うんです。そこで、証取法の改正案の第二章の二にこの公開買い付け制度についての規定が盛り込まれているわけですけれども、いろいろ論議を伺っていますと、なぜこういう規定を事新しく入れたのか、その辺がどうもはっきり理解できない。日本では、従来、乗っ取りというのは、いわば罪悪視されておったと思うんですね。これが証取法の中に公開ならばやってもいいというふうに、いわば公認された。私は、これは、外資に乗っ取りを法的に公認したというふうに考えざるを得ないと思いますが、その辺はどんなふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
#46
○政府委員(志場喜徳郎君) 今回の証取法改正、外国証券業者に関する立法も一含めまして、確かに、証券取引の国際化、その基礎になっています経済の国際化、あるいは証券業務の自由化ということの配慮をいたしていることは、事実でございます。しかしながら、決していたずらにアメリカを中心としました諸外国の制度をサルまね的に導入しようというつもりではございません。次第に証券取引が発達するにつれまして、また国際化するにつれまして、世界の中で最も証券市場と申しますか証券取引が進んでおりますところのアメリカ、ないしはそれに対する取り締まりも最も厳重と認められますところのアメリカの制度というものが一つの有力な参考の資料になるということは、事実避けられないと思います。が、わが国はわが国といたしまして、投資家保護、あるいは企業の今後における健全な長期資本調達の場を提供するという観点、そういうわが国自体の現実的具体的な必要に基づきまして、あるべき方向を見出しながら改正をいたしたいというのが今回の制度の眼目だと考えております。
 いま御指摘の株式の公開買い付けに関する規制の問題でございますが、お考え願いたいことは、現在の証券取引法におきまして、こういった規制に関するルール、条文が全然ないわけでございます。まず何ものも規定はございません。その際に考えられますことは、それでは、全然ないままでおく方法、全然禁止してしまう方法、あるいは何らかの規制を設ける方法、の三つしかないわけでございます。
 全然規定を設けないでおきまするというと、これは先ほど小山参考人からも御意見の陳述がございましたけれども、投資家保護の観点、あるいは市場秩序、産業秩序の点から申しまして、これは最も望ましくない事態に放置することじゃないかと思います。
 第二の、全然禁止してしまう方法はどうかということでございまするが、わが国の場合に、御案内のとおり、あらゆる証券、株式の取引が市場に集中されるということにはなっておりません。業者間のいわゆる相対取引、証券市場を通じない株式の譲渡というものは自由に放任されているわけでございます。その場があるわけでございます。それで、今回の対象にしておりますような、一時に相当まとまった数量の買い付けをしてはならないという禁止をする、こういう規定を置いたといたします場合に、それではどういうことになるかと申しますると、あらゆる相対取引を禁止することはできませんので、必ずやその方法によって行ないたいとどうしても思う人はそういう方法によって行なうという道までも禁止することはできないと思うのでございます。そうしました場合に、いわばもぐってと申しますか、隠れてと申しますか、みんなの目のオープンにならないところでもってそういう買い占め、あるいは経営権支配というような現象が行なわれていく、こういうことになろうと思うのです。それも全く自由放任として、でたらめを言うかもしれないような公開買い付けを認めるというふうな野放しにするという場合と同じように、やはり投資家保護の点、あるいは市場秩序、産業秩序の点から望ましくないと考えたわけであります。
 どうしても、それになりますると、第三でありますところの、やはりルールをつくっておくということが、全然何も規定がない場合、あるいは全面的にその方式だけを禁止してしまった場合に比較いたしまして、やはりこれはつくっておくということのほうがベターである、かような判断をしたわけでございます。もちろん、その場合の中身につきましては、どういう観点からどこまでの規制を行なうかという点も問題でございます。この点につきましては、先ほど小山参考人からの御意見もございましたように、すべてのいわゆる経営権の支配、経営権の移動ということを株主の立場から見ました場合に、あるいは当該企業の能率的経営から考えました場合に、あるいは国民の経済といたしまして体質を強化するという観点から考えました場合に、いい面と悪い面とがございますと思います。でありますることと、それからやはり直接的なまた隠れての買い占めということの道が残されております限り、このオープンな方法にはできるだけその方向に誘導したい。誘導された中で、株主の面前で公にいたしまして判断を求めながら、いわば堂々たる経営権の支配というものが行なわれるならば行なわれるようにしたい、こういうことからいたしまするというと、どうしてもそこに一応ニュートラルな立場と申しますか、つまり、ニュートラルと申しますのは、両方の言い分を率直に公開いたしまして、そうして、株主に、ほんとうに両者の言い分を聞いた上で自主的な当該売り付けに応じるか応じないかということを判断してもらう、そういう見地からやはり株主に対してできるだけニュートラルな立場を持つということが両面の要請を一番満たすのじゃないかと、かように考えた次第でございます。
 もっとも、そうは申しましても、当面、外国からのそういったビッドというものがさしあたり彼らがなれておるという点から行なわれるであろうということを考えますというと、諸外国のように届出と同時に買い付けが始まっておるということでは、やはりわが国の特殊な事情を考えました場合に適当でないと思いますので、十日間の事前審査の期間を設けまして、その間に大蔵大臣が十分にその買い付けをしようとする者の状態なりを、あるいはその言われていることが真実であるかどうかを調べるというための規定を設け、また、公益または投資家保護の観点から、必要なるルール、条件、方法に従ったものでなければ認めないという、各国にはちょっとないような例も一設けることにいたしまして、政府が事前にチェックをするということにいたしますけれども、つまり、さようなことは特殊な例でありまするけれども、大筋は投資家に対してできるだけこういう公開の方法に誘導しながら、そこてフェアに十分両方の言い分を聞いて買い占めというものが提示されるということが望ましいのではないかと、かようなことを考えたのでございます。
#47
○委員長(柴田栄君) 小山参考人及び井口参考人に申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。お述べをいただきました御意見は、両案の審査に十分役立たせてまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
 これより政府に対し質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#48
○渡辺武君 私は持ち時間が少ないので、質問に対してひとつ簡潔に答えていただきたいと思います。
 いまおっしゃったことを伺っておりますと、結局、やみ乗っ取りですね、相対での、これも規制措置はないと。ただ、今度の公開買い付けの方向に誘導するんだと。しかも、乗っ取りそのものはおそらく規制できないだろうから、こういう方向でやったほうが投資家保護という見地で望ましいんだという御答弁の趣旨だと思うのですね。私は、それは、投資家保護、特に一般大衆の投資家ですね、これも非常に大事だと思うが、しかし、同時に、日本経済の自主的平和的発展という見地からしても、この問題は非常に大事だと思う。日本は、日米安保条約で軍事的政治的にアメリカに押えられている。それだけじゃなくして、今後アメリカ資本がやってきて国内で公然と乗っ取りをやるというようなことになれば、金融上資本上のアメリカの支配が一そう強まるという点から伺っているんです。
 そこで、伺いますけれども、フランスやベルギーのようなところでは、これは乗っ取りについては事前許可制にしている。特にフランスでは大臣の拒否権があるというようなことを伺っておりますけれども、今度の改正案では、ただ届出ということになっておりますね。なぜ事前許可制にしなかったのか、その点を伺いたい。また、そのほかに規制措置を考えておられるかどうか、その点も伺いたいと思います。
#49
○政府委員(志場喜徳郎君) フランスは、すべての取引を公務員たる仲買い人に集中しておりますので、公開買い付けを拒否いたしましても、裏にもぐっていく道はふさがれております。さようなわけで、大蔵大臣の拒否権も有効に働き得る素地がございますが、わが国の場合にその素地がございませんので、これを拒否いたしますると、かえって、望ましくない、隠れたるものにもぐるというおそれがありますことが一つと、それから経済政策上の観点と申しましても、この基準というようなものがとうていつくることができないし、証取法の分野といたしましてはそれに限界があると考えました。さようなわけで、フランスのごとく産業政策上の点からする拒否権の規定は、設けることにいたしておりません。今後、もしもそういうことが必要があるとなりますれば、むしろ証取法の分野ではなくて、他の産業立法の面で所要の立法を講ずることが適当である、かように私どもといたしましては考えておるわけでございます。
#50
○渡辺武君 フランスのようないわば特殊な集中制がないからこそ、やみ乗っ取りを規制しなきゃならぬし、したがって、また、大蔵大臣の規制権というのが非常に必要になってくるのじゃないかというふうに思うのです。しかし、ほかの産業立法で規制するとおっしゃいますけれども、どういうことを考えておられるか。政府は外資法で規制するというようなことも一言っておられるようですけれども、外資法で実際規制できるのかどうか、その点を重ねて伺いたい。
#51
○政府委員(志場喜徳郎君) 私どもは、今回提案しておりますのは、証取法でできる範囲の、あるいは適当と思われることを御提案いたしておるのでございまして、今後いかなる必要が産業政策上出てくるかもわかりませんが、そのときにはそれに応じまして別個の立法が考えられる段階になるのではないかと、かようなことを申し上げているにすぎないのでありまして、外資法の立場からどういうことを考えているかとなりますると、現在のところ、御案内のとおり、一人当たり七%、全体といたしまして原則的には二五%までの株式取得ということまでが自動認可でございまして、あとは個別認可を要するのでございます。今後の政策といたしましては、漸次それも自由化に向かうと思いますけれども、それは業種、業態によりましてそれを例外的なものをリザーブすることも可能であろうと思いまするし、これは今後の外資政策の自由化の進め方の段階におきまして総合的に勘案されることになるのではあるまいかと、かように私といたしましては考える次第でございます。
#52
○渡辺武君 時間が来たので、あと一問だけで終わらざるを得ないのですけれども、そういうことでは、今後のアメリカが、ヨーロッパでやったようなあの手荒い乗っ取りを日本でやるということについて何の規制措置も当面はお考えになっていらっしゃらないということになるのじゃないでしょうか。いまおっしゃった外資法で、外人一人の持ち株率七%、合計が二五%未満ということになっておりますね、一般の産業については。そういう規定のもとでさえも、まあまだ日本では大事件が起こっておりませんけれども、日魯ハインツや豊年リーバの例でもわかりますように、外資がいろんな手管を弄して、そうして、合弁会社を赤字に追い込んで、結局のところ、当初の持ち株率をはるかに広げてしまって、いまでは事実上乗っ取っているという例がすでに出ているじゃないですか。いまの外資法だってこれを防げないですよ。どのようにお考えなのか、重ねて伺いたいと思う。
#53
○説明員(林大造君) お答え申し上げます。
 ただいま証券局長からお話がありましたとおり、外資法の系統では、一面におきまして、海外との間の取引は自由にしていくという要請があり、これは日本から海外へ出ていくことも相互勘案いたしましてある程度の自由化ということはやらざるを得ない。それで、これがまた、世界で日本の地位が次第に向上していく、また、OECDに加盟いたしまして日本がそのOECDの一員としての責務を全うしていく上において必要な要請となっているわけでございます。他面におきまして、ただいま御指摘のありましたような海外の企業による日本企業の乗っ取りということが望ましくないような姿で行なわれることに対しましては、何らかの歯どめの措置を考えていかなければいけないというわけでございます。
 それで、そのような両面の要請をいかにして調和していったらよろしいかということにつきまして政府としても苦慮しているところでございまして、外資審議会の御意見その他を伺いながら次第にその施策を進めているという状況でございます。
 それで、個々の案件につきましては、私ども、自動認可の範囲におきましては、これは当然ある程度はやむを得ないことでございますけれども、その自動認可の範囲が現在のところはかなりしぼられておりますから、したがいまして、その具体的な案件につきましてできるだけ注意深い措置をとっていくという態度で臨んでいる次第でございます。
#54
○渡辺武君 最後に一言だけ言って終わります。
 私は、そういうことではだめだと思うんですよ。外資法も今後緩和していくという趨勢だといわれるわけでしょう。その中で考えると言ったって、緩和していきながら考えようがないじゃないですか。特に、外資法の中には、あなたのおっしゃったように、当初の規制はいま言ったように五〇%・五〇%、既存の企業については七%、二五%の制限があけるれども、最近の新聞によれば、この七%、二五%条項も、七%は一〇%程度に、二五%は三〇%程度にするかもわからぬというようなことも出ております。だんだん緩和する方向ですね。ですから、この乗っ取りについては、日本経済の自主性を守るという見地から相当きびしい措置をとらなきゃならぬというふうに私どもは思います。その点をはっきり申し上げて、私の質問は終わっておきます。
#55
○伊藤五郎君 本改正案は、損害賠償の責任については、挙証責任の転換という重大な問題を規定されておるのであります。
 そこで、この際、念のためにお尋ねしておきたいことは、粉飾に関係のない非常勤役員はどのようなことを立証すれば免責されるとお考えになっておりますか、また、公認会計士はどのようなことを立証すれば免責されるとお考えになっておりますか、なるべく詳細にお答えをお願いします。
#56
○政府委員(志場喜徳郎君) お答え申し上げます。
 今回の証券取引法改正案におきまして、粉飾決算のございました会社の役員並びに虚偽の監査証明を行ないました公認会計士につきましては、挙証責任を転換いたしまして、つまり故意または過失がなかったことを証明しなければ損害賠償の責任を負うと、こういうふうにいたしたのでございます。
 ただいまの御質問に対しまして、以下お答え申し上げますが、挙証責任の転換でございまして、決して無過失賠償責任を課したわけではございません。ですから、役員が、あるいは公認会計士が、どのようにして知らなかったかということを立証するわけでございまするが、これにつきましては、裁判所のことになるわけでございまして、裁判官の心証にかかわってくるというわけでありまするから、私ども行政官といたしまして確信をもって見解を述べるということにはございませんけれども、次のように考えております。
 民事裁判は、御承知のとおり、弁論主義でございまするので、原告側つまり投資者、損害を受けたとして賠償を請求する投資者も、もちろん当該役員が虚偽の記載に関係ある旨を主張しなければならぬということは当然でございます。これに対しまして、役員は、虚偽であることを、つまり虚偽記載であることを知らなかったことを示すに足りる特段の事由を明らかにする必要があろうと、こういうことに思うのであります。
 たとえば、ただいまお尋ねがございました非常勤の役員について申しますと、会社の実態が、業種、業態、規模の大小等によりまして千差万別でございまするので、一様には申せませんと思いますけれども、大体次のような事情を立証することになるのではないかと、かように考えます。まず、非常勤の役員にいたしますると、自分の業務の内容につきまして具体的に説明をする。その具体的に自分が関与しております業務の関係から、通常の注意を払っておりましてもとうてい虚偽記載を知ることができるような地位になかったというようなことが第一点。第二点は、決算案は取締役会において確定されるわけでございまするが、それに至るまでのいろいろの段階、手順がございます。それを具体的に説明いたしまして、当該役員はその決算方針あるいは決算処理が事実上決定されるまでの過程に現実に参画していない、また、決算案に虚偽記載のあることを発見できるようなそういう地位にはない、実情にはないということを立証することになろうと思うのであります。と申しますのは、これまで私どもは重点審査等によりまして粉飾決算を摘発しているわけでございまするが、その実例から見まするというと、粉飾決算が行なわれる会社のほとんど全部は、粉飾の事実が漏れることをおそれまして、社長、専務、経理担当の重役などの少数の役員だけがあらかじめ常務会等によりまして会議を持ちまして、こういう程度のこういう方針による粉飾を行なおうという合議を行なっておるのであります。それに基づきまして少数のところによってこの粉飾の決算案ができまして、あとは通常形式的に決算案の確定のための取締役会を招集する、こういうことでございまするので、その事実は今後とも私ども粉飾決算を摘発するにつきまして具体的に明らかになってまいります。さようなところからもおわかりのように、普通の場合におきましては、非常勤の役員というものは、単に決算を決定する取締役会に参加しておった、その決算案に賛成したというだけをもって、とうていその虚偽の記載について故意または過失があったということにはならないと考える次第でございます。
 それから公認会計士の問題でございまするが、これは、先ほど井口参考人からお話がありましたが、実は、監査の概要につきましては、監査基準にのっとりまして、しかも、監査実施準則によって一定のルールに従って監査を行なう。監査実施準則は、監査の項目別に手順と方法をきめられておりまして、それを公認会計士は諸監査の調書といたしまして、何月何日どの項目についてはどの方法と手順によってこれだけの監査をいたしましたということをメモ的に調書が備えられておるわけでございます。これを持ち出すことによりまして、故意にその項目についての手順なり方法というものを省略しているとか、つぶしていないとか、つぶしているかどうかは、この調書によって明らかになるわけでございます。それによって立証しまする限り、公認会計士は十分にその免責を得ることができると、こういうことに考えておるのでございます。
#57
○松井誠君 大臣がお見えになりましたので、大臣に一、二点いま議題になっております証券二法についてお聞きをいたしたいと思います。
 最初にお伺いをしたいのは、証券市場というものの役割りといいますか、具体的に言えば、資金調達の方法の中で証券市場というものはどの程度の比重を占めるのが正常と考えておられるか。あるいは、同じような問いになるかもしれませんけれども、日本の企業は自己資金というものが非常に少ないといわれておりますけれども、そういう意味では不健全だといわれておるわけですが、そういう企業の資金調達の中において証券市場の持っておる比重、そういうものを大体どういうように描いておられるのか、それをお聞きをしたいと思います。
#58
○国務大臣(福田赳夫君) わが国におきましては、企業の自己資金率ですね、これが非常に低いんです。異常に低いと言っていいと思います。これがだんだんと悪化していくような傾向にありますので、これは私も非常に心配をいたしておるわけです。なぜ心配するかというと、自己資金率が低いということは、企業の体質から見て非常に脆弱であると、こういうふうに考えるわけです。たとえば、経済は何といっても波を打つ。その経済の変動に対する抵抗、こういうものが少ない。これは非常にそういう影響はあるだろうと思うわけでありますが、私は何とかしてこれを是正したいということをかねがね考えておるんですが、実際は逆に逆にというふうに動いておる。なぜそういうふうな動きをするかということを考えてみますと、私は、一番大きな理由は、経済の発展の速度。成長の高さというものに問題がある、こういうふうに考えております。企業がとにかく一四、五%で成長する。そうすると、五年間で倍になる。倍の設備投資を平均的には行なわなければならぬということになるわけです。設備投資を行なって倍の生産をあげなければならぬ、こういうことになる。そうすると、ばく大な金が要るわけですが、そういう状態におきましては、なかなか今日の資本市場でその資金を調達するということはできない。そこで、どうしても安易に調達し得る外部資本にこれを求める、こういうことになる傾向だろうと、こういうふうに思うんです。ですから、金融機関からの借り入ればどんどんどんどんふえてくる。しかし、逆に、資本市場から求める資金、これはそう増加しない一こういうことであります。その結果が、資本比率に端的にあらわれてくると、こういうふうに思うんです。その超高度成長という問題は、これはほかのいろいろな見方、立場から、これを安定成長路線に移さなければならぬというふうに考えておりますが、企業の資本比率、つまり企業の著積、企業の安定、そういう面から考えましても、やはり何よりも先立つものは、経済の発展の速度、これが適正安定的なものでなければならぬと、そんなふうな感触を持っておるのであります。
#59
○松井誠君 確かに、いま言われたように、高度成長か超高度成長かは別として、そういうものがあるために、オーバーローン、オーバーボローイングというところへ走る。結局、直接金融よりも間接金融というところへ走る。それが、いわば自己資金の比率が低いということになってくるわけです。そうしますと、逆に、高度成長というものを安定成長にしさえすれば、おのずとそれで解決はされると、こういうような、つまり、原因が高度成長であるとすれば、安定成長に戻せば自己資金の率というのはひとりでに上がってくるというように考えるのですか。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) ひとりでにというわけにはなかなかいかぬだろうと思うのですね。しかし、自己資金比率を高める基盤が整う、こういうことでありまして、特に気をつけなければならぬ問題は、資本市場の育成、資本市場において順便に資金を調達し得るという体制の整備ですね、これが大事なことになってくるであろう、そういうふうに思うわけであります。
#61
○松井誠君 よく言われることでありますけれども、さっきも証券業協会の瀬川さんという人が言っておりましたけれども、日本の公社債市場が非常におくれておる。そういうことで、株式市場と公社債市場との関係、資金の円滑な循環、そういうものができない。公社債市場というものが非常に狭いということもあって、証券市場の未発達というものもあるという趣旨のお話がありました。公社債市場がおくれておるということは、いま始まった指摘ではありませんけれども、それがやはり証券市場の未発達、ひいては自己資金率の低さというものにも関係があるのではないか。単に高度成長ということだけではなくて、高度成長が続いてきた中にそういう仕組みがいわばでき上がってしまった。そういう仕組みそのものに手をつけなければ、この証券市場の地位というものが上がるというわけにはいかない。そういう意味で、公社債市場というものの育成といいますか、正常化といいますか、そういうことを取り上げてみるというと、これもよく言われておることでありますし、瀬川参考人も言いましたけれども、金利の問題というものがある。金利がほんとうにプライス・メカニズムで動かないというところに一つの原因がある。これも言いふらされておるわけですね。それじゃ、一体、それをどうして破るのかということも考えないと、自己資金率がどうこうというようなことを言っておっても、いわばいつまでたっても解決はしないと思う。そういう問題について基本的にどういうようにお考えになっておるかということをお伺いしたい。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) ですから、基礎工作というか、前提条件、これは経済の安定成長だと、こういうふうに申し上げたんですが、その上に立って証券市場の整備、これを具体的に進めていかなければならぬ。これはもうあらゆる角度から検討を必要としますが、いま御指摘のプライス・メカニズムと、こういう問題もあるわけです。また、それに関連して、公社債について言いますれば、その条件の問題というものもあるわけです。それから、さらに、これらのものを扱うところの証券会社の体質の問題というものもあるわけであります。あるいは投資家を不測の損失から救うためのもろもろの施策、こういうこともある。そういうあらゆる問題につきまして着実に手を打っておるわけなんです。たとえば、証券会社に対して免許制を施行するというようなことも、証券市場を強化しよう、公社債市場というものに対しましていい影響を与えようと、こういう施策であります。それから今回御提案をいたしておりまする法律案、これも大衆投資家を保護しようというような趣旨に基づくものであります。着々手を打っていくわけですが、なかなかいま成長経済のもとで一挙に資金調達の重点を証券市場、資本市場に求めるということは困難だと、そういうふうに思いますが、ねばり強く市場の育成というものには取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに考えております。
#63
○松井誠君 これも言いふらされておることですけれども、公社債市場の中で非常に大きなウェートを占めるのが国債。つまり、国債を発行するときに、引き受け条件、発行条件についていろいろと交渉がありますね。公社債が意識的に金利が低く押えられておるのは、要するに、国債発行市場を圧迫をしちゃ困る。で、国債の発行が円滑に動くためには、いまの公社債の金利というものを低く押えなきゃならぬ、そういうこともあって、公社債市場全体が落ち込んでくるという仕組みといいますかね、そういうものがやはり一番問題じゃないですか。
#64
○国務大臣(福田赳夫君) 国債は国の信用を基盤として発行するものでありまするから、その応募者利回りからいいますると、他の民間企業が発行する社債あるいは株式、そういうものとは比較して論ぜられないものを持つと、こういうふうに考えております。それから大蔵省が国債を発行するにいたしましても、事実問題といたしまして、その割り当てというような傾向の措置はいたしません。これは、金融機関、証券界等において進んでこれを引き受けてくれる、こういうことであり、なお、一般市場におきましてもこれが買い求められるというような、一般公募というか、これもある程度可能であるというような状態でございます。ですから、国債の条件を低位に置くということが、これが市場の正常化を妨げているというふうには考えません。しかし、国債というものが戦後初めて導入されたのは昭和四十一年でありまするが、当時の状況からいって、七年期限というような窮屈な条件をつけておりまするが、逐次、条件につきましてもこれは改善をしていかなければならぬ。その改善した場合におきまして、これが他の公社債に対しましていい影響を与えるだろう、こういうことはまあこれはあるだろうと、こういうふうに考えます。お説のような気持ちでやっていきたいと、かように考えております。
#65
○松井誠君 その問題はまた機会があればあらためてゆっくりとお伺いしたいと思うのでありますが、去年の九月の第三次ですか、資本の自由化で、証券業、銀行業、そういうものの一部の自由化が行なわれた。これは第四次というのはいつごろになるのか知りませんし、一応日本のそういう自由化というものが、これからあとのスケジュールですね、大体時期的にどの辺で、そのとき不自由化のままで残るのはたとえばどういうものでというような見通しがもし大体のことがありましたら、ひとつお聞かせいただきたい。
#66
○国務大臣(福田赳夫君) 資本の自由化は、今日の内外の情勢から見まして、取り急ぐ必要があるというので、従来考えておりましたスケジュールを約半年方繰り上げておるのです。繰り上げる結果、問題の自動車につきましては、四月これを自由化するというのがいま大体常識化しておるのであります。おそらく三月ごろには、まあ来月になりますが、外資審議会が開かれまして、そういう結論を下すのじゃないか、そんな展望であります。それからその他の残存品目につきましては、従来は、来年の三月に自由化の最後の措置をきめるというふうになっておりましたが、それを半年繰り上げまして、ことしの秋、ころという見当になってきております。それで、外資審議会がそういうような気持ちでいま答申案の整理を始めようといたしておるわけですが、私の気持ちといたしますると、まあ今度この十月をもって大体最後の段階としたいという気持ちであります。したがって、残存する不自由化品種ですね、これはなるべく少ないものにいたしたいと、そうすべきだと、こういうふうに考えておるわけであります。また、そういう考え方でありまする結果、いわゆるネガーリストですね、いままでは、これこれを自由化するという品目を発表しましたが、今度は、包括的に、自由化しない品目はこうなんだと、それ以外は自由化だと、こういうようなことにすべきかとも考えておりますが、いずれにいたしましても、これから外資審議会のほうで御検討くださいまして御答申をくださるわけであります。この御答申を尊重いたしましてこれを実施いたしたい、かような考えであります。
    ―――――――――――――
#67
○委員長(柴田栄君) ただいまの証券二法に加えて、この際、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を含めて議題といたします。
 三案について質疑のある方は、質疑を続行願います。
#68
○松井誠君 いままでの自由化の答申、それはまあ諮問がその範囲をいわば限定をしておるわけですそれですと、対内投資の自由化というものが中心であって、対外投資ですね、日本の資本の積極的な輸出、そういうものについての答申というものはないわけですね。それも今度の場合には十月までには含めて一応終わるという趣旨ですか。
#69
○国務大臣(福田赳夫君) 対外投資につきましては、昨年の答申におきまして自由化を拡大せよということになっておりまして、その方向で拡大措置を講じたわけです。でありまするから、また追っかけてということになるわけでございますが、いままだそのほうの話題は起きておりません。しかし、私は、いま日本の外貨事情が非常によくなってきておる。一方において、資源の問題ですね、これが非常にむずかしい事態になってきておる。たとえば、最近、OPEC諸国との石油の問題がある。ああいうようなことを考えましても、わが国が進んで海外に投資をいたしましてわが国の必要とする資源を確保しておくということの必要ということ、これは非常に大事な問題になってきておると、こういうふうに見ております。したがいまして、昨今のそういう海外資源の開発というものに着目して、対外投資政策につきましては新たな構想を持たなければいかぬかなと考えまして、内々大蔵省部内においてはそういう方面の問題の検討に着手をいたしておる、そういう段階でございます。
#70
○松井誠君 対外直接投資ということになりますと、いま大臣が言われたように資源という問題が出る。これは、やり方を誤れば、昔の帝国主義なり新植民地主義なりという非難を受けかねない方式になってしまう。そういう意味でわれわれは警戒をしなければならぬと思うのですけれども、私がちょっといまお聞きをしたいのは、対内投資の自由化で、これは自由化全部いかぬというほど私はナショナリストでもありませんし、自由化すべてよろしいというほどインターナショナリストでもないわけですけれども、この間、新聞に、公開買い付けの問題について、つまり乗っ取り防止という問題について、これに賛成をした産業界では、ここで公開買い付けについて政府が何かチェックをしてくれるだろう、そのチェックをしてくれるだろうということをいわば期待をしてその制度の新設に踏み切った。ところが、あにはからんや、でき上がった制度というのは、そういうチェックの方法がない。これじゃかえっていわば乗っ取りのルールをつくってやっただけにしかすぎないのじゃないかという産業界の不満があるという趣旨のニュースがあったわけです。そのことについて証券局長にお尋ねをしましたら、これは全くの誤報であるということだった。私は、自分の結論を先に言えば、やはりそういうものは産業政策の中でやるべきであって、先ほども御答弁がありましたが、むしろ産業政策に忠実だという立場で大衆保護に徹するなら徹するという方法のほうが証取法の役割りだと私は実は思う。そういう点からお聞きをしたいのですけれども、そういう証取法を通して、あるいはこの新設の制度を通してチェックをするという、そういう要求、注文がこの制度を具体的に取り上げようとする発想のときにあったのかどうかということです。――いや、あなたにはもう聞きましたよ。大臣に……。
#71
○国務大臣(福田赳夫君) 私の段階では聞いておりませんです。
#72
○成瀬幡治君 その問題に関連をして。公開買い付け制度ですが、これは日本では乗っ取りといって罪悪視しておったんです。けしからぬことだと、こういうことになっておったと思いますが、これをやるんだと。そのやる理由は何だといったら、投資家保護だと、こういう。あるいは諸外国がやっておるからやると、こういうことだと思うんですが、ちょっとそれだけの理由では納得しかねます。たとえば、消費者がどれだけ保護されるか、産業界がどれだけ保護されるか、もっと言えば、民族資本というものがどれだけ保護されてくるか、どういうメリットがあるかということがちょっと根本的にわかりませんから、まず第一点はその問題についてお答えが願いたいと思います。
 二つ目は、国際的にはなるほど現在は外資法なり外為法がありまして制限をされております。ですから、それでいいといえばそれまでかもしれませんけれども、あるいは個々の電気事業法なりあるいは銀行法で制限をしておりますよと言うけれども、そういうものも全部はずしたときには、電気ガス事業であるとかあるいは銀行事業など公共性のあるものは制限をしますよということが今後出てくるものか出てこないものか。先ほどちょっとお聞きしておりますと、どうも全く外資法なりあるいは外為法というものがなくなって資本取引が自由になったときには何か制限をするやにも受け取れるようなニュアンスもあったわけですが、その辺のところがちょっとわかりかねますから、どうなるのか。そういうことを国際的に考えられるとするなら、国内的にも、なるほどそれは独禁法があるでいいと言うかもしれませんけれども、これが公然と乗っ取りということが認められるなら、今後系列化なりあるいは寡占化というものがどんどん進められて、結局弱い者いじめということになってくる。しかも、その結果は、管理価格というような問題を生み出してきて、消費者には保護にならないんじゃないか、物価高になってくるんじゃないか。
 もう一つは、産業界でいえば、絶えず自分の会社はやられはしないかと思って経営者がびくびくしちゃって、不安がってしまうんじゃないか。それなのに、投資家を大事にするというだけではどうも納得しかねるわけですが、そういう場合には、消費者を保護するのか、産業を一生懸命でやろうとする人を保護されようとするのか、その辺のところをお尋ねしておきたいと思います。
#73
○国務大臣(福田赳夫君) いろいろの御質問ですが、まず、公共性というか、そういう性格を持った企業はどうするんだというお話でございますが、もとより、国内法による企業の規制、これはたとえば銀行には銀行法があります。また、保険会社につきましては保険事業法があるわけです。そういうものの制約を排除する意味ではございませんから、そういう辺につきましてはさしたる不安というようなことは起こってこないんではないかと、かように考えております。
 また、外国の投資家が国内にやってきて企業経営が行なわれるということになったら、寡占体制というようなものが出てきて、したがって、それは、管理価格というようなものを形成するおそれがあるんじゃないか、そういうお尋ねだったと思います……。
#74
○成瀬幡治君 いや、それは外国資本ばかりじゃなくて、私は国内の資本が乗っ取るということもあると思うんです。
#75
○国務大臣(福田赳夫君) そうですが。それは、国内につきましても国外についても同じだと思いますが、投資家を保護する、投資家が自由な投資を行なう、そういうものと、それから、また別の産業政策あるいは物価政策、そういうものとの調整をどうするかという問題だと思うんです。たとえば、いま、内外の企業が、ある特定の会社を目当てにして株式を買い取る、こういうような事態がかりに行なわれて、それが寡占体制をつくり、管理物価というような状態を出現するというようなことになれば、これは独占禁止法というような方面の働きというものが出てくるわけだと思います。ですから、投資家保護という政策面と、また別の政策面とが、相競合する、対立をするという際には、その調整をいろんな仕組みにおいて行なわなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから、経営者に及ぼす心理ということでありますが、今回の制度改正の結果、経営者にそう心配を及ぼすかどうか、これはまだ私も実感めいておりません。おりませんが、もしそういう傾向だというようなことがありましても、私は、この法制というものをよく理解してくださる、よくそしゃくしてくださるということになりますると、そういう不安は解消するのではあるまいか、そういうふうに思うわけであります。いずれにいたしましても、これがそういう立法の企図しないようなひずみというか、そういうものが出てくるということは好ましいことではありませんので、十分これが運用につきましては配慮しなけりゃならぬ、かように考えております。
#76
○多田省吾君 私は、最初に、この証券二法案のいわゆる外人買いによる投資に拍車がかかるんじゃないかと、このようにいわれておりますけれども、このことと、結局、いま政府のとっている外貨急増対策というものがいわゆる逆行し、また矛盾するんじゃないかと、この点を大蔵大臣はどのようにお考えになっておられるか、これが一点。
 それから第二点目は、この前御質問いたしましたときに、大蔵大臣は、現在の日本の外貨準備高一月末の四十五億ドルというのは、決して日本の経済の状況から考えて多くはないんだということで、それで円切り上げの理由にはならないということを強硬に貫いていくと、こういう方針を述べられました。私はそのとおりだとは思いますけれども、ただ、しかし、いま現在二月末でもう四十七億ドル、三月末には五十億ドルを突破するんじゃないかと、このようにいわれておりますし、また、午前中に、日本証券業協会連合会会長で野村証券社長の瀬川美能留参考人に今後の予想を聞いたところが、ことしは公社債で二億ドルから三億ドル、また、株式で五億ドルぐらいの外人の投資があるのじゃないかということを予想しているわけです。私はこれも内輪に見積もった額ではないかと思いますけれども、結局ことしじゅうに六十億ドルを突破するような姿になりますと、前にも、大蔵大臣は、六十億というのは円切り上げの目安だと。また、日本の輸入の量の三五、六%ということになりますと、六十億ドルということで、これは円切り上げの一つの目安というように国際経済からも考えられるんじゃないかと、このように考えます。また、最近の外人の投資というものは非常に異常事態でございまして、毎年五百万ドル前後の投資であったのが、昨年の債券投資は一挙に二千五百万ドル、また、ことしは一月だけで三千八百万ドルに上がっているという見通しでございます。それも、公社債とか、あるいは含み資産の多い保険会社株、あるいは無配の株なんかもずいぶん買われている。こういう状況から見て、どうもこういう証券界は円切り上げをねらっているんじゃないか、ますます拍車がかかるんじゃないかと、このようにいわれているわけでございます。それに加えて、二月十五日から在外の国際金融専門家を至急呼び寄せて会談を開いた。これは何でもないんだと大蔵省当局はおっしゃっているそうでございますけれども、海外の経済担当官がこのように大ぜい呼び出されたのは、昭和三十八年のアメリカのいわゆる利子平衡税の創設のとき以来であると、このようにいわれております。そういう観点から、大臣のおっしゃるように、現在の四十七億ドル程度では円切り上げの圧力というものはあまりかからないと思いますけれども、六十億ドルをことし突破するような姿になったら、これは相当アメリカ等からの圧力もかかるのじゃないかと、このように思われますが、大臣はその点をどうお考えでございますか、初めにこの二点をお尋ねいたします。
#77
○国務大臣(福田赳夫君) この間、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、この四カ国に出ておる大蔵省の出身者、いわゆる出向者、それぞれの在外公館に出向しておる者を集めて、国際金融の現状についての話を聞きました。これは、そのとおりです。そして、それは、いま私がこの席でもしばしば申し上げておるのですが、ことしは、何といっても、一つの問題は、一九七〇年代は内政の年である、内政の年代である、そういう観点に立って、超高度成長を安定成長路線に切りかえる、そういう施策を強く進めなければならぬが、同時に、国際社会における日本の姿勢というものが問われる年であると、そういうことを申し上げてきたわけでありますが、そういうことになってくると、国際社会の動き、経済情勢 景気の動き、そういうもの、それから国際社会ではわが日本をどういうふうに見ておるのだろうか、日本の経済についてどういう観察をしておるかということをとらえておくことは特に必要な段階であると、こういうふうに考えたので、はるばる四外交官を招集したわけです。
 その話を聞きますと、いまお触れになった円切り上げの問題、これにつきましては、専門家の間では、これは日本政府が円の切り上げをするはずがないと、これをかたく信じておる、こういうことでありまして、円の切り上げの話なんかを持ちかける人はありませんと、こういう話でございます。ことに、ドイツのマルクの切り上げ、あれが失敗と言ったら、他国のことであるので語弊があるかもしれませんけれども、所期の効果をあげていない。そういうことを日本の政府もよく承知しておるはずであると、こういうことでございまして、何ら外国では円の切り上げ問題というものを問題にしておらぬという話であります。
 ただ、海外におる者として見ると、日本の国内で何で円の切り上げ切り上げといって騒いでくれるんだろうと、こういうようなことに対してたいへん不満を述べておりました。まあそういう情勢でありますので、世界各国では話は出ないが、日本の国内においてこの問題がばかににぎやかに取り上げられておる、こういうのが実相ではあるまいか、そういうふうに判断をいたしております。
 それで、外貨が伸びております。これは今月末にはおそらく四十七億ドルというところへ行くんじゃないかというふうに見ております。それが多少その後も伸びる傾向を持つだろうというふうに思います。思いますが、諸外国に比べると、これはまだ日本の外貨保有高というのは非常に少ないんです。GNPでは自由主義世界第二位だと言うけれども、外貨の保有高におきましてはわが国は世界第五位であります。そういうところから見ても、また、海外に派遣しておる専門家の見解でも、外貨の伸びというものにはそう御心配なさる必要はないんじゃないかと、こういうふうに言っております。
 ただ、非常に強調されましたのは、輸出です。秩序ある輸出ということ、これができないと、いろんな面で日本は批判をされると、こういうことを言っておるわけであります。その点につきましては、私どももかねがねそのような傾向があろうかと、こういうふうに思っておったのでありますが、今後とも気をつけていかなければならぬと、かように存じておる次第であります。
#78
○多田省吾君 大蔵大臣のたびたびのそういう御説明にもかかわらず、円切り上げはないんだというそういう御説明がありますけれども、国内においても、国外においても、いろいろ強く叫ばれているということは、やはり大蔵大臣のお話しの説得力が足りないのじゃないか、このように思うわけであります。いま質問申し上げた中でも、二月末で四十七億ドルとおっしゃっていますけれども、三月末ではもう五十億ドルを突破するのじゃないか、あるいはことしじゅうに六十億ドルを突破するのじゃないかと、こういう見通しもあるわけです。前に、大蔵大臣は、六十億ドルというものが円切り上げの一つの目安だと、このようにおっしゃった。二、三年前までは、一九七二年ごろ六十億ドルを突破するのではないかという見通しでありましたけれども、これがいろいろな事情で早まっております。加えるに、大臣はいま輸出のことをおっしゃいましたけれども、ずいぶん最近は輸出も先急ぎしているように見受けられますし、また、輸入の繰り延べも見受けられるわけでございます。さらに、最近、新しい条件としまして、原油の値上げという問題にからんで、国内産業でも、電力業界あたりから円切り上げの催促があるのではないかと、このような見通しもありまして、ますます国内、国際情勢というものが日本の円切り上げの方向にみんな条件が重なっているように思いますので、ここで大蔵大臣から、はっきりした円切り上げはないんだというもっと説得力のあるお話を承りませんとどうも安心できない、こう思いますので、もう一ぺんその点をお答え願います。
#79
○国務大臣(福田赳夫君) 結論から申し上げますが、円の切り上げは、考えてもおりませんし、これを実行するというようなことは断じてありません。円の切り上げ論の根拠は、いま多田さん御指摘のように、外貨が急増する、そこにあるのだというふうにいわれております。先ほども申し上げましたように、円の急増というよりは、日本の輸出に問題があるというふうな国際社会の認識であります。この点は、私は、今後といえどもほんとうに反省し、気をつけていかなければならぬと、こういうふうに思います。そういう正すべきところは正す。しかしながら、もう非常に国益に重大な影響のある円の切り上げ、これは断じてやるべきものではないし、また、一切これをいたす考えはないということをはっきり申し上げさせていただきます。
#80
○多田省吾君 次に、この証券二法が今度通ることになりますと、大蔵省でさらに投資顧問業につきましても登録制にして、業務内容とか顧客との契約内容を監督できるような投資顧問業法の制定を考えていると、このようにいわれておりますけれども、現在、証券会社、あるいは信託銀行等におきましてサービスの形で顧問というものを置いているようでございますが、今後、そういうことになりますと、証券会社と投資顧問業というものを切り離して考えていかれるおつもりなのか、また、一般投資家の保護という立場からどのようにこれを考えておられるか、お答え願います。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) まあちらほらそういう話があるんですが、これはまだ審議会のほうの話なんです。具体的な考え方が審議会から打ち出されておるわけじゃございませんけれども、審議会のほうでどういう意向をお示しになりますか、その示された意向、そういう段階になりますれば、また私どもとしてはこれをもっとよく検討しなければならぬことになろうかと思いますが、まだ何の見解というものも固めておる段階ではございません。
#82
○多田省吾君 次に、今回の改正案で、粉飾決算による報告がなされた場合は、大蔵大臣が増資をストップさせるというようにありますけれども、一般投資家の保護という観点から考えますと、もっと強力な行政措置をとってこそ粉飾決算報告に対する防止策になるのじゃないかと、このように思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の法律案においてかなりきびしい罰則をつけたんじゃないか、これだけの罰則をつければ、まずまずいまお話しのような事態に対しましては十分備え得るのではあるまいか、そういうふうに考えております。
#84
○多田省吾君 次に、虚偽の監査証明を行なった公認会計士の場合は、それ以後に提出する監査証明にかかわるものは、現行法では「受理しない」とあるけれども、改正案によりますと、「全部又は一部を受理しない」と、こうなりまして、粉飾決算防止、あるいは一般投資家保護の徹底ということから見ますと、これは改善整備されたことにはこの点に関してはならないのじゃないと、こう思いますが、証券局長が衆議院におきましてこのような質問に対して、現行法はきつすぎるから、かえって適用ができにくい、今回の改正案だとかえって適用しやすいのだと、こういう意味の答弁をなさっているようでございますけれども、法をゆるめてかえって犯罪をつくるようなことになるんじゃないか。防止ということにはならないのではないか。もちろん、今度は、公認会計士の人たちの賠償責任ということもきめられたわけでありますが、それとは別に、「全部又は一部を受理しない」と、その点はちょっと納得できないのですが、この点はいかがですか。
#85
○政府委員(志場喜徳郎君) ただいま引用されました衆議院における答弁のとおりでございまして、現行法では、公認会計士の提出する監査証明一切を受け付けないと、かようなるものですから、あたかも営業停止あるいは登録を抹消したのと同じ場合にだけしか適用できないのでございます。今回、全部または一部をできると、かようになりますので、この点は実情に即した改正でありまして、かえってこの法を適用することができる、かような見地からでございます。
#86
○多田省吾君 最後に、一点、これは法案に直接関係ありませんけれども、実は、きのう、安中市のカドミウム汚染米につきまして補償金課税がきまったということが報道されております。それで、ここで心配なのは、このカドミウム汚染米の補償金課税は安中市だけに適用されるのか、それとも、今後あらゆる地域における汚染米の補償金に対する課税なのか。
 もう一つは、この点に関しまして、結局、こういうものが出た以上、その金額の大小は別としましても、慰謝料が定着されると。これが出たために、各地におきまして、五万円以上は補償しないんだと、このようないわゆる理由にされますと困るんじゃないかと、こう思いますので、ここで、はっきり、簡単でけっこうですから、なぜこういう補償金課税になったのか、また、今後どういう態度で臨まれるのか、それを明確に述べていただきたいと思います。
#87
○説明員(江口健司君) 安中のカドミウム汚染米につきましては、庁のほうにかねて関東信越国税局のほうから連絡がございまして意見を求められておったわけでございますが、ただ、同地区につきましても、第一次汚染地区、第二次汚染地区というふうな形で、汚染の状態、時期等によりましていろいろの取り扱いなどがございます。したがって、一がいに同じ方程式でもって計算するというのはなかなか困難でございますし、それから安中地区以外にも、東京周辺、あるいは先般成瀬先生から御質問がございました冨山県のほうの汚染地区の問題、それぞれいろいろの形において、補償金、あるいは見舞い金、いろいろな形のものが出ておりますので、それぞれその地区ごとにどうした考え方で補償金、あるいは見舞い金、あるいは収穫を補てんするもの、あるいは現物で交換をするものと、いろいろの形のものがございますので、そのつど庁のほうに事前に連絡を受けまして、その実態ごとに計算の方式をきめてまいりたいということでやっておるわけでございます。
 それからなお、非常にむずかしい問題は、収穫が済みましてからあと焼却処理をするような場合、それから青田の段階でもってすでに処理を済ませておる場合と、これもいろいろな形がございます。いずれにしましても、個々の点につきましては、収穫の実態調査をやってございませんので、先生御承知のとおり、農業につきましてはそれぞれの地域ごとに農業標準でもって課税をしております。したがって、一応農業標準を基礎にいたしまして、それを上回る部分については心身ないしは財産に加えられた損害に対する補償とみなしまして、これは全部非課税にするという扱いにしてございます。
 それからこれは魚津税務署管内の事例でございますが、青田の段階で刈り入れてしまったものがございますけれども、これらにつきましても、青田の経費とそれから完全に収穫した場合の経費は明らかに違うわけでございますが、青田の場合に起こした公害のときには、いろいろ農業経費以外の経費がかかると思われますので、収穫が全部済んだ段階の経費と同じように引きまして、したがって、昨年度と同じような耕作反別、その他家族構成等に変更がなければ、昨年課税にならなかった種目については、今年度補償金が出た分について課税にならないという具体的な措置を講じたわけであります。
#88
○多田省吾君 いまお聞きしましたのは、カドミウムの汚染米の補償の問題であります。大蔵大臣におきましても、やはり地元には相当の不安がありますので、課税はゆるやかにしていただくように特にお願いしたいと思います、相当な被害を受けているわけでありますから。
 それからこれは最後にお尋ねでございますが、一番最初にお聞きをしました円切り上げの問題でございますが、先ほどはっきりお答えがなかったんですが、たとえば六十億ドル以上に外貨準備高がなりましても、もう絶対円切り上げはしない自信があるんだと、また、外貨準備高がどんなに多くなってもこれは関係ないんだと。輸出の先急ぎなんかないように気をつけるということはおっしゃっていますけれども、それに含めて、もしなった場合はどうなんだということでお尋ねしたいわけであります。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) カドミウム課税の問題につきましては、十分気をつけてまいりたいと、かように存じます。
 また、円の切り上げの問題について再度のお尋ねでございますが、外貨の事情にいかなる変化が生じましても、円の切り上げは絶対にいたしません。
#90
○渡辺武君 先ほど、大臣は、御答弁の中で、自由化の計画が半年ほど繰り上がったと、特に十月ごろに大体最終的な自由化を考えられておるというような御趣旨の答弁がありました。それとの関連で伺いたいと思うのですが、最近の新聞などには、今後の資本取引の自由化について、従来外人の持ち株制限がございましたね。一般の産業の場合、一人について七%とか、それから合計で二五%未満というのがいままでの制限であったと思います。制限業種については一五%ということだったと思うのですが、これを緩和することを検討していると。七%を一〇%に、それから二五%を三〇%に、それから制限業種の場合にも二〇%にまで上げるんだというような趣旨の新聞報道などが出ております。今後、外人の持ち株制限を緩和するお考えがあるかどうか、その点をお伺いしたい。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのところでは、そういうふうな考え方は固めておりません。ただ、先ほども申し上げましたが、どうも日本の国際社会における立場、これは世界の注目の的になっております。そういうようなことで、また状況の推移を見ながらこれを上げなければならぬかなというようなことがあるかないか、これは慎重に検討中と、こういう考えでございます。
#92
○渡辺武君 先ほども、大臣がお見えにならない前に伺った点なんですけれども、もしかりに、大臣がおっしゃるように、検討中とおっしゃいましたが、持ち株制限の緩和がないとかりにしても、現行の外資法で考えてみましても、今度の証取法で一応いわば事実上公認した外資の乗っ取りですね、これを規制する道はほとんどなかろうというふうに考えますけれども、現在の外資法で乗っ取りを規制するという点はお考えになっていないかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#93
○説明員(林大造君) お答え申し上げます。
 外資法の系統で乗っ取りを防止するかどうかという御質問でございますが、テイク・オーバー・ビッドに関します証取法の見地からの御改正は今回行なわれると。外資法の関係からはどうかということにつきましては、外資法では特にテイク・オーバー・ビッドという形での外人の投資を規制するという態度はとっておりません。ただ、先ほど御指摘がございましたとおり、累積で一般業種二五%、それから特別の業種は一五%、それから一人一人では七%という限度でもって、そのような危惧を十分にカバーしていけるという観点で、現在そのような法制になっている――法制といいますか、規制を加えているわけでございます。今後このような現在のような姿で十分目的を達し得るかどうかという点につきましては、現在までのところの経験から申しますれば、格別に現在の姿ではいけないというような結論は出せないと思います。今後とも運用には慎重に留意してまいりますけれども、そのようなケースは大体個別認可案件になりますから、したがいまして、個別認可案件の際に十分に関係各省とも協議しながら慎重に対処していきたい、こういうふうに考えております。
#94
○渡辺武君 その点については少し論議したいんですけれども、時間がないので、次に移らざるを得ないのですけれども、私はこの点を指摘しておく必要があると思うんですね。先ほど申しましたように、日魯ハインツにせよ、豊年リーバにせよ、ケースは非常に小さなケースですけれども、しかし、もうすでに事実上乗っ取りが行なわれて、そして現行外資法ではこれを何ら規制することができなかったという事実もあるんですね。あるいは、いま言った個別審査で既設の日本企業に対して外資が半分近い株式保有を許されているという例もたくさんある。ですから、私は、現行外資法では外国企業の乗っ取りはほとんど規制はできないだろうというふうに考えざるを得ません。
 そこで、次に質問をしたい点は、先ほどの御答弁の中で、乗っ取り防止には証取法では無理なんで、いろいろ産業立法で考えるというような御答弁もあったかと思うんです。その点で伺いたいんですが、今度の証取法第二章の二でいわば公認された乗っ取りですね、これは外国企業も乗っ取りをやることができるけれども、同時に、国内の大企業ですね、これが国内のいろいろな会社を乗っ取る道も開いたというところにもう一つの意味があるんじゃないかというふうに思います。先ほど、成瀬委員の質問に対して、大臣は、事実上そういうこともおそらくあるだろうと思われるような趣旨の御答弁をなさいましたけれども、おそらく今後日本の国内の大企業がこういう公開買い付け制度などに基づいてどしどし乗っ取りをやるということになりますと、事実上大企業の支配というのは非常に強まらざるを得ないですね。それだけじゃないと思うんです、私は。こうやって大企業が公然と乗っ取りをする道が開かれるとともに、独占禁止法ですね、これに対する改正をすべきだという大企業の要求は従来以上に強まらざるを得ない。特に独占禁止法の第九条、持ち株会社の禁止の問題ですけれども、これについては、従来、財界が、持ち株会社を認めるべきだと、これは外国企業の乗っ取りに対抗する上にも必要だというようなことを盛んに強調してこられました。そういう経緯もあるし、第九条、十条、十一条などですね、これについて独占禁止法を改正すべきだという要求が非常に強くなってくることは明らかだと思うですね。今度の国会で、いわゆる管理価格、独占価格規制の問題に関連して、独禁法の改正も考えているという趣旨の答弁が佐藤総理などからありました。大蔵大臣は、直接独禁法の関係の担当大臣じゃありませんけれども、政府の閣僚の一人として、そういう見地での独禁法の改正ですね、これを考えておられるかどうか、特に第九条についてどんなふうにお考えになるか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#95
○国務大臣(福田赳夫君) この間予算委員室で開かれた衆議院の物価委員会で管理価格が問題になりまして、その席上で、総理から、必要があればという前提でありますが、独禁法の改正ということも検討課題だというような答弁があったわけです。私は、寡占下における価格形成、これが現状でいいかということについては、ちょっと疑問を持っております。何とかして寡占体制下の価格形成をもう少し管理価格化しないような方向に誘導することはできないか、その方式いかんということは考うべきだということを提唱しているわけです。でありますが、独禁法の第九条まで改正する必要があるのかどうか、そこまで行かぬで管理価格にメスを入れることができないかと、いまの段階ではそういうふうに考えているので、改正まで思いはまだ及んでおりません。
#96
○渡辺武君 いや、私の申し上げるのは、今度証取法がこうやって改正されて、外資の乗っ取りがいわば公認されているわけですよ。外資法でもこれは十分規制できないということは明らかなんで、日本の財界の中には、特に九条ですね、これについて持ち株会社を公認すべきだと、外資との対抗上ですよ、そういうことが盛んに言われているわけですね。その点でどうなのかと、物価問題じゃなくて、その点でどうなんだということを伺っているんです。
#97
○国務大臣(福田赳夫君) 悪質大規模の乗っ取りが今回の法律改正の結果起こるかどうかということにつきましては、私はまあそこまでいかないのじゃないかと。つまり、今回の御審議願う法律におきましても、事前の届出、これを義務づけておるわけなんです。この届出という事態によってかなり乗っ取りというものにブレーキをかけるんではあるまいか、そういうふうな観察をしておるのであります。これをやってみて、事情の推移でどうもぐあいが悪いというなら、またそのときは何か考えなきゃならぬ、かように考えます。
#98
○渡辺武君 最後に、一問だけいたします。いま、大臣は、届出でかなり規制できるようなことをおっしゃいましたけれども、しかし、相当の大企業が乗り込んでくるわけですから、あの届出で若干の期間をおいて企業としての対抗措置云々というようなことがありますけれども、とうていそういうことじゃ大企業の乗っ取りは防ぐことができないのじゃないか。いわんや、フランスで行なわれているような事前許可制ですね、これさえもとっていないというような事態のもとでは、私は乗っ取りが相当進むというふうに見ざるを得ないと思う。しかし、これから伺いたいことは、時価発行の問題です。今度の提出された法案の中で、企業内容の開示制の問題もありますし、それから株価の安定操作についての規定もありますが、これらすべては今後株式の時価発行を促進するという意味を持ったものじゃないかというふうに思うんですけれども、さて、株式の時価発行、あるいは転換社債の時価発行ですね、これについて、昨年の十二月二十五日だったと思いますが、生命保険会社二十社が、こういう株式の時価発行、あるいは転換社債の時価発行ですね、さらには大量の株式公募、こういうものは反対だという趣旨の決議をしました。これは大臣御存じだと思う。その理由は、株式の時価発行というのは、これは投資家にとって非常に不利だと。会社にとっては非常に有利です。これは私が申し上げるまでもない、発行するほうは。ところが、投資家にとっては非常に不利だ。株価が下るし、利回りも非常に低い。特に株式を発行する側が時価発行によって手に入れた非常にたくさんな資本、剰余金、あるいはプレミアム、これがちっとも株主に回ってこないというような趣旨が一番大きな理由だったと思うのですね。生命保険会社というのは、大企業だけではなくして、一般大衆投資家もこの時価発行については非常に不満を持っていると思うですね。この点についてどんなふうな改善措置を大臣は考えておられるか。生命保険会社のほうでは、プレミアムの還元ですね、これを制度化せよというようなことを言っておりますけれども、その点を含めて御答弁いただきたい。
#99
○国務大臣(福田赳夫君) 時価発行につきましては、渡辺さんの御指摘のような議論があることは、よく承知しております。これは、要するに、渡辺さんも一お話しのように、会社本位じゃないか、投資家に利益するところはないとか、そういうような議論なんでありますが、しかし、この時価発行というのは、いまの株式市場の実情に応じまして資金を調達するというためにはきわめて有力な手段でありますので、時価発行が有力な手段であるというその背景にあるメリットですね、これをなくすということはなかなかむずかしいと思うんです。まあ、要は、私は、企業というか会社の節度、これが問題じゃないかというふうに考えます。批判を受けるような事態に対しまして発行者自体が十分反省して、そういう批判を受けないようなマナーですね、これに待つと、当面そういうことで行政指導をしていきたいと、かように考えております。
#100
○委員長(柴田栄君) 他に御発言もなければ、三案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案一括して討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次採決に入ります。
 まず、証券取引法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#103
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#104
○中山太郎君 私は、ただいま可決されました証券取引法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社四派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#105
○委員長(柴田栄君) ただいまの中山君提出の附帯決議案を議題といたします。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#106
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって、中山君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田大蔵大臣。
#107
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、政府といたしましても御趣旨を体して十分努力してまいりたいと存じます。
#108
○委員長(柴田栄君) 次に、外国証券業者に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#109
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本件は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、ただいまの三案件につきまして本院規則第七十三条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#112
○委員長(柴田栄君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案の両案審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。午後一時三十九分散会
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ソース: 国立国会図書館
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