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1970/02/25 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第8号
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1970/02/25 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第8号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第8号
昭和四十六年二月二十五日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     片山 武夫君     向井 長年君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     伊藤 五郎君     矢野  登君
     津島 文治君     鈴木 省吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柴田  栄君
    理 事
                大竹平八郎君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                多田 省吾君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                岩動 道行君
                栗原 祐幸君
                鈴木 省吾君
                矢野  登君
                松井  誠君
                吉田忠三郎君
                鈴木 一弘君
                向井 長年君
                渡辺  武君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○預金保険法案(内閣提出、衆議院送付)
○貸付信託法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨二十四日、片山武夫君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柴田栄君) それでは、預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
#4
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました預金保険法案外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、預金保険法案につきまして御説明申し上げます。
 金融制度調査会は、新しい経済環境下における一般民間金融機関の問題を中心とし、広く金融の各分野にわたる基本的な問題を取り上げ、二年九カ月に及ぶ検討の後、昨年七月、一般民間金融機関のあり方等に関する答申を行なったのであります。
 この答申におきまして、特に預金保険制度について預金者保護の観点からその創設の必要性を認め、その具体的方式についての基本的方向を示しております。
 もちろん、政府といたしましては、預金者保護のために金融機関の経営の健全化を一段と推進するよう、今後とも監督、検査権の適正な行使をはかってまいる所存であります。
 しかしながら、最近における銀行預金等の大衆化の進展、支払い手段としての地位の増大等にかんがみ、金融制度調査会の答申に基づいて、この際預金保険制度を創設することにより、万一の場合に備えて預金者保護に遺憾なきを期することが必要であると考え、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、預金保険制度を運営する主体として、預金保険機構という名称の法人を設立する道を開くことといたします。
 この機構の資本金は、政府、日本銀行及び民間金融機関の三者がそれぞれ同額の出資をすることを予定しておりますが、このうち、政府出資につきましては、四十六年度予算におきまして一億五千万円を計上いたしております。
 機構の組織につきましては、できるだけ簡素なものにするとともに、自主性を尊重するため、常勤の役職員はごく少数とするよう配慮いたしております。
 第二に、預金保険の保険関係の内容について定めております。
 この関係では、まず、対象となる金融機関を、普通銀行、信託銀行、長期信用銀行、外国為替銀行、相互銀行、信用金庫及び信用組合といたしております。
 次に、保険金の額につきましては、預金、定期積み金、掛け金並びに元本補てん契約のある金銭信託及び貸付信託について、各預金者ごとに合算した額としておりますが、この場合、一般大衆預金者の保護という制度の目的から、一定額を限度とすることといたしております。また、金融機関の納付する保険料については、金融機関の期末の預金残高を基礎とし、機構が大蔵大臣の認可を受けて定める料率により計算することといたしております。
 なお、保険金の支払いの原因となる保険事故については、金融機関の預金等の払い戻しの停止並びに破産宣告、免許の取り消し及び解散の決議としておりますが、このうち預金の払い戻しの停止については、機構の支払いを行なう旨の決定があることを要件といたしております。
    ―――――――――――――
 次に、貸付信託法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 さきに預金保険法案につきましてその趣旨を説明いたしました際申し述べました、昨年七月の金融制度調査会の一般民間金融機関のあり方等に関する答申を中心として検討した結果、貸付信託法につき所要の改正を行なうこととし、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一は、貸付信託の資金を供給する分野についての改正であります。
 最近における産業構造の変化、資金需要の多様化に伴う国民経済的要請に即応するため、個人の住宅建設などのためにも融資を行なうことができるよう、資金の供給先に関し所要の改正を行なうこととしております。
 第二は、貸付信託の信託財産の運用方法についての改正であります。
 現行法では、信託財産の運用方法は、運用上生じた余裕金等を除き、貸し付け及び手形の割引に限られているのでありますが、支払い準備の充実等に資するため、これに有価証券の取得を加えることといたしております。
 以上、預金保険法案外一法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
#5
○委員長(柴田栄君) 次に、補足説明を聴取いたします。近藤銀行局長。
#6
○政府委員(近藤道生君) ただいま議題となりました預金保険法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 第一に、預金保険機構についてでありますが、この関係では、まず、機構の資本金を政府及び政府以外の者が出資することといたしており、政府出資につきましては、四十六年度予算におきまして一億五千万円を計上しております。政府が出資いたしますのは、預金保険制度の目的である預金者保護及び信用秩序の維持はいずれも公共的な目的であり、このような事業を運営する主体である預金保険機構に出資することは、政府の姿勢として望ましいと考えられるからであります。また、政府以外の者といたしましては、日本銀行及び民間金融機関から、それぞれ政府と同額の一億五千万円ずつを出資することを予定いたしております。
 次に、機構の設立につきましては、金融について専門的な知識、経験を有する者七人以上が発起人となり、定款を作成して、大蔵大臣に設立の認可申請をし、大蔵大臣がこれを認可することにより成立することといたしております。
 次に、この機構の組織につきましては、できるだけ簡素にするとともに、自主性を尊重するため、執行機関である役員はごく少数とし、これに金融界の代表者を加えた運営委員会という名称の意思決定機関を設けて、これに機構に関する重要事項を決定する権限を与えております。なお、理事長には、その職務上の中立的性格、日本銀行と機構との密接な関係等を勘案して、日本銀行副総裁をもって充てることといたしております。
 また、機構は、保険金の支払いについて必要があるときは、大蔵大臣の認可を受けて、政令で定める額の範囲内で日本銀行から借り入れをすることができることとしておりますが、これは、預金保険制度におきましては従来の経験的な事故率も存しないため、予想外の資金不足が生ずるおそれもあるからであります。
 このほか、機構の余裕金の運用方法等につき所要の規定を設けております。
 第二に、預金保険の保険関係についてであります。
 まず、預金保険制度の対象となる金融機関は、普通銀行、信託銀行、長期信用銀行、外国為替銀行、相互銀行、信用金庫及び信用組合としております。
 次に、保険事故が生じた場合に支払われる保険金の額につきましては、預金、定期積み金、掛け金並びに元本補てん契約のある金銭信託及び貸付信託について預金者ごとに合算した額としておりますが、この場合に、一般大衆預金者の保護という制度の目的から、一定額を限度とすることといたしております。なお、この限度額としては、国民の預貯金の保有状況等にかんがみ、政令で百万円と定めることを予定しております。
 次に、保険料につきましては、金融機関は、この法律に基づき保険料を納付する義務を負うこととなりますが、その額は直前の営業年度の末日の預金残高を基礎とすることとし、保険料率は、機構が、運営委員会の議決を経た上で、大蔵大臣の認可を受けて定めることといたしております。
 また、保険金支払いの原因となる保険事故につきましては、金融機関の預金等の払い戻しの停止並びに破産宣告、免許の取り消しまたは解散の決議としておりますが、このうち、払い戻しの停止があった場合には、機構が、運営委員会の議決を経て、支払いを行なうかどうかを一月以内に決定することとし、破産宣告等の場合には、このような決定を要せず、当然に支払いの対象とすることとしております。これは、払い戻しの停止があっても、その金融機関が他の金融機関等による援助や合併等によつて立ち直ることが望ましいので、一月以内にその可能性がないと判断される場合にのみ預金保険制度を発動すればよいからであります。
 このほか、保険金の支払いは、公告した支払い期間中に、預金者等の請求に基づいて直接預金者等に支払われることとし、支払いを行なった後は、機構は、その支払つた額に応じて金融機関に対する預金等の債権を取得し、以後回収に当たることといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、貸付信託法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 第一は、貸付信託の資金を供給する分野についての改正であります。
 貸付信託法は、昭和二十七年に制定されたものでありまして、貸付信託の受益権を受益証券に化体するとともに、受益者の保護をはかることにより、一般投資者による産業投資を容易にし、もつて資源の開発その他緊要な産業に対する長期資金の円滑な供給に資することを目的としております。
 このように、貸付信託の資金は資源の開発その他緊要な産業に対し供給するものと規定されましたのは、戦後の復興期において、基幹となる産業に対し円滑な資金の供給が特に必要であると考えられたことによるものであります。
 しかしながら、最近の国民経済の推移にかんがみ、貸付信託の資金を個人の住宅建設、流通機構の近代化などのためにも供給し得るようにする必要があるので、資金の供給先を、国民経済の健全な発展に必要な分野と改めることとしております。
 第二は、貸付信託の信託財産の運用方法についての改正であります。現行法では、信託財産の運用方法は、運用上生じた余裕金等を除き、貸し付け及び手形の割引に限られているのでありますが、いまや、一般大衆の貯蓄手段として定着を見るに至つた貸付信託について、支払準備充実の道を開くとともに、あわせて景気調整上の観点をも考慮して、有価証券の取得をも行ない得るよう約めることとしております。
 以上をもちまして補足説明といたします。
#7
○委員長(柴田栄君) この際、委員の異動について報告いたします。
    ―――――――――――――
 ただいま、伊藤五郎君及び津島文治君が委員々辞任され、その補欠として矢野登君及び鈴木省五一君が選任されました。
#8
○委員長(柴田栄君) これより両案について一括質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○松井誠君 いま議題になりました二つの法律案について質問をいたしたいと思います。
 最初に、預金保険法の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、、この預金保険法というもののねらいといいますか、そのことについて、提案理由では「預金者保護」ということをうたっておりますし、補足説明ではそれにもう一つくっついて「信用秩序の維持」ということが付随的にうたわれておる。まあこの限りでは私は問題はないと思うのでありますけれども、しかし、この法律案が出るきっかけになった金融制度調査会の審議の経過を追っていきますというと、どうも、表看板である預金者保護というのが偽りのない看板であるのかどうかということについて、いささか疑念がなしとしない。最初のうちは、預金者保護の必要の理由というのを、主として金融機関の効率化、そういうものに求めていることは、これは記録の上で明らかです。最終段階の答申のときには、いままでも多少は出ておりましたけれども、公共性という観点がだいぶちらほら出ているようです。で、効率化、公共性、そして預金者保護、この三つがすっきり整理をされていなくて、どうも、読んでも、どこに重点があるのか、読んでいって混乱をするような状況になっている。そういうことで、預金者保護というのが正面に出ている提案理由というものが政府としての最終的な公式の態度であろうと思いますけれども、それに至る経過で、そういう変遷というか、あるいは混乱というか、そういうものがあったことは事実なんで、その経過をまずお聞きしたいと思います。
#10
○政府委員(近藤道生君) ただいま御指摘のとおり、金融制度調査会の論議の経過におきまして、競争原理の導入ということとこの預金保険制度とを関連づける議論がございましたことは、事実でございます。ただ、それが次第に影を薄めたと申しますか、いわば一部の個人的な議論にとどまりまして、最終的な結論といたしましては、そういう競争原理の導入ということとは全く無関係に預金保険制度というものをつくらなければならないということにきまりました経緯についてのお尋ねでございますが、これは、金融機関というものの特殊性、免許を受けて成立したという特殊性から申しまして、非常に高い公共性を要求される。したがいまして、その相互の競争につきましても、通常の産業における競争等とは異なりまして、やはりあまり不適正な競争が行なわれることは望ましくない。ことに、金融機関の背後に非常に多くの取引先、貸し出し先というようなものが存在いたしておりまして、これらが、いまの日本の現状におきましては、特に金融機関の力が強いというような関係もございまして、ある意味で死命を制せられるような形で非常に多くの取引先が金融機関の周囲に存在をしておるというようなことが事実でございますので、金融機関同士の間で不適正な競争が行なわれますと、これらの取引先にたいへんな迷惑を及ぼすということにもなりかねないわけでございます。そこで、適正な競争原理ということが言われ、また、競争は公共性のらち内で行なわれるべきであるということが特に強調をされたわけでございます。競争を全然行なわないということになりますと、金融機関としてはいわゆる温室の中に入って、過保護状態のままで推移するというような非難をもこうむりかねませんので、やはり競争は競争として行なって体質の強化はしてまいらなければならないのでございますが、さりとてその競争があまり不適正なものになっては困る。そういうようなところから公共性ということが非常に強調をされたわけでございまして、そういう経緯をたどりまして、最終的には少なくともこの預金保険制度というものは、いまの競争原理の導入というものとは全く別の観点から、先ほど御指摘になりましたような観点から、一般的な信用秩序の保持、あるいは預金者の保護、そういうことのほうをもっぱらの目的とするということで結論を得られたわけでございます。
#11
○松井誠君 いまのお話の中にもありましたけれども、公共性というものと効率化というものとは、時とすれば、一致をする場合が、効率化というものの解釈のいかんによってはあるかもしれませんが、矛盾するという場合もある。効率化というのをたとえばそういう競争原理の導入ということばに置きかえてみれば、せっせと預金を集めようという預金競争があっていろいろな不祥事件の根源になっている。それは銀行の公共性というものをそこなうという結果になる。そういうこともあって、いまあなたが言われたように、適正な競争、公共性をそこなわない範囲の競争というようなことで効率化というものを制限して、公共性を維持するという形になるわけです。たとえば店舗というものを考えてみても、効率化ということであれば、あまり需要のないところに店を置くのはもったいない、もっぱら都会に集めればいいじゃないか。しかし、それを、もし公共性というものを大いに考えるとするならば、多少銀行にとっては不便なところでも、資金需要があまりないところでも、置いたほうが公共性ということになるのじゃないかというようなことを考えますと、この二つの原則というのはむしろ矛盾をする場合のほうが多い。ところが、それじゃ効率化というものを捨てて、公共性一本になって、そこから預金者保護というものをストレートに引き出しておるかというと、この審議会の答申の段階でも、決してそうじゃないのですね。先ほど言われましたけれども、預金者保護というものが最初は効率化に関連づけられて考えられたと言われましたけれども、実際発想の直接の形というのはそうじゃなくて、まず効率化、それをやるための預金者保護という発想でやったんだろうと思います。そういう発想が、答申をされる最終の段階ではまだやっぱり残っておる。残っておるというよりも、私から言わせれば、それがやはり預金者保護というものの本音ではないかという気がするわけです。これはまあ政府とは一応別でありますけれども、しかし、政府の意見の間接的ないわば代弁者のような役割りを審議会が現実に果たしておるわけですから、審議会の出している資料を見ると、たとえば、預金者保護は大事だ。しかし、それがいまどうしても必要だという緊要性がないわけじゃないか、あるいはどうしてもそれがなければならぬという積極的な理由がないじゃないかという疑問があるかもしれぬけれども、それは、効率化というものが必要なんだから、その効率化というものを進めるための環境づくりというものが必要なんだから、そういう意味でこの預金者保護の必要性というものがあるんだという、やっぱりそういう説明に戻る。あるいは、預金者保護という考え方でいくならば、預金者自身がその保険料の負担をするというのも一つの考え方であるという疑問については、しかし、この預金保険というのはやはりそういう環境づくりのためなんだから、そういう意味で政府が金を出すのもそういう意味で理由づけられるじゃないかというようなことで、預金者保護という理屈を徹底していこうとするとぶつかる問題のときは、いつも効率化という問題が出てきて合理化をする理由になってくる。そうすると、やはりこの効率化というのは預金者保護という名分のうしろに隠れた、ほんとうの理由ではないかという気持ちがしてしかたがない。その点をもう一度お願いしたいと思います。
#12
○政府委員(近藤道生君) 確かに、ここ二年八カ月、さらにもう少しさかのぼりましての金融制度調査会におきましての一番大きな旗じるしは、効率化ということでございました。そして、その方向に沿っていろいろな施策が推進されたことは、ただいまお示しのとおりでございます。
 ただ、この預金保険制度につきましては、実は、銀行局、銀行行政といたしましては、昭和三十年、三十一年ごろからその必要性を非常に痛感しておった制度でございます。そのころは、もちろん効率化という概念はまだあまり出てきていなかった時期でございますが、その時期におきましてなぜ預金保険制度をぜひとも設けなければならないかということを感じましたかと申しますと、やはり弱小な金融機関に万一の破綻――まあ実際にそれはあったわけでございます。過去昭和三十年ごろからの実例をとりましても、信用金庫におきましては五年に一度くらい、信用組合におきまして二年に三度ぐらいというような実例が出ておりますが、そういう状況で破綻が起こりました際に、その預金者をどうにかして救わなければならない。それを救う方法といたしましては、いままでは二つしか方法がなかったわけでございます。一つは近隣の金融機関に救済に乗り出してもらうか、あるいは、同業でつくっております相互保障協定、相互保障機構、そういうものに出動してもらいますか、そのいずれかであったわけでございます。ところが、前者のほうでやろうといたしますと、救済に出る金融機関の立場といたしますと、その金融機関といえども、免許企業ではございますが、株主もあるわけでございますから、みすみす破綻に瀕した金融機関をそのままで吸収するというようなことは株主に対する申し開きもいかがかというような点がございまして、何らか店舗行政上のメリットとかそういうものがかわりにございませんと、なかなか乗り出しにくいというような実情であったわけでございます。それからもう一つの業界内の相互保障協定、これがまた、それぞれの業界によりまして、いろいろ充実をしてきておりますところと、それほどでもないところと、ある意味での限界があったわけでございます。
 そういう状況のもとに、正確には昭和二十年代の終わり、ことに三十一年ぐらいから、預金者保険制度を何とかして成立させていただきたいという気持ちがあったわけでございますが、たまたま金融制度調査会においてもこれをお取り上げになって、そして昨年の答申で最も重要な施策の一つとして答申が出されたということ。それからまた、客観情勢といたしましては、預金の大衆化がここ数年間たいへんに進みまして、御高唱のとおりに、支払い手段としての地位なども非常に上がってきております。そういったような客観情勢、それからまた、外資によっていわゆる国際化時代にも入ってまいりました。いろいろと激変の時代にもなってきております。それらのことをあわせ考えまして、かねがね念願でございました預金保険制度というものをぜひこの際成立する運びに持っていきたいということが私どもの念願でございます。たまたまここ数年間の金融制度調査会の御論議の中には効率化という非常に大きな旗じるしがございましたために、先ほど来先生御指摘のような議論も個人的にはいろいろ出ておったわけでございます。預金保険制度についての私どもの一貫した考え方は、ただいま申し上げましたようなことでございます。
#13
○松井誠君 そうしますと、効率化という審議会の当初の発想というのは、いま全くその背景にはない。で、預金者保護、それと公共性というのは、たとえばいまの補足説明の中に信用秩序の維持ということもありましたけれども、これも公共性の具体的な中身の一つだと思う。そういう意味では、この公共性というのが預金者保護の理由の
 一つであることは、これは間違いないですか。
#14
○政府委員(近藤道生君) 信用秩序の保持育成ということが非常に公共的なことであるという立場から、公共性というものが今回の制度の一つの大きな趣旨になっておるわけでございます。
#15
○松井誠君 信用秩序の維持というのがどういう意味なのか、必ずしもわかりませんけれども、この資料によりますと、こういう形の預金者保護ということでは、本格的な金融恐慌のときにはこれはもう使いものにならない。金融恐慌を回避をするというのが信用秩序の維持の最大のものであるとすれば、一番必要なときには役に立たないということになると、その公共性というものが信用秩序の維持というものが預金者保護の一番大きな理由だということにも私はちょっと解しかねる。たとえば、預金者保険というこういう制度にしないで、支払い準備の充実をもってやったらどうかというような議論も確かにある。その支払い準備の充実というものを要求する理屈の一つには、やはり金融機関の公共性というものをあげる場合がある。金融機関は公共性を持っているのだから、金融機関は自主的にそういう支払い準備をもっと充実をして預金者保護をはかるのがいわば公共性を持っている銀行の任務である、そういう議論もあり得るわけですから、公共性だけで預金者保護というようにストレートに出てくるというようにも私は考えられない。そういうようなもののもっている比重ですね、預金者保険というものの使命、それのこれからの運用、性格、そういうものに関連をすると思いますからお聞きをするのですけれども、その点はどうですか。
#16
○政府委員(近藤道生君) ただいま御指摘のとおりでございまして、本格的な恐慌状態という場合には、預金保険制度というものは働かない。しかし、本格的な恐慌というものになります端緒は、やはり局地的な取りつけ騒ぎ、そういったものが端緒になる場合がほとんどであろうかと思います。したがいまして、局地的な取りつけ騒ぎ、そういうものを防ぐことによりまして本格的な恐慌を未然に防ぐという意味での預金保険制度の公共性というものが十分に認め得るものであろうかということが一つと、もう一つは、預金という形態の金融資産は、国民の最も一般的な貯蓄形態でございます。したがって、この預金者を保護するということが非常に高い公共的な目的に合致するというふうに私どもは考えております。その両面から、この預金保険制度というのは、非常に公共的な、いわば中立的と申しますか、これは金融機関を救うという形ではなしに、預金者を直接保護するというような形で中立的な意味をも持つ公共的中立的な制度であるというふうに考えております。
#17
○松井誠君 私は、預金保険制度は預金者保護という立場から考えなければならぬという点では、まさにそのとおりだと思います。それだけに、それに徹するということが必要なんで、たとえば金融の効率化のいわば露払いのような責任を負わせるということはお門違いじゃないか、そういうことを考えましてお尋ねするわけです。
 そこで、多少具体的な問題になりますけれども、法律では保険される預金の額は書いてはございませんけれども、これはどうする予定なのか。
 それから保険料の問題はこれは機構できめられることでありましょうけれども、それの一応の試算程度のものはやっておられると思いますが、大体どういうことになる見通しなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#18
○政府委員(近藤道生君) 保険の対象といたして考えております金額は政令段階で定められることになると思いますが、名寄せをいたしまして一件百万円を予定いたしております。
 それからもう一つ、保険料率のほうでございますが、保険料率につきましては、金融制度調査会では一万分の一というような試算もなされておったわけでございますが、その後私どものひそかに計算をいたしましたところでは、大体十万分の六程度で間に合うのではなかろうか。かなり大胆な試算でございますが、一応その辺でまかない得るのではないかという試算をいたしております。
#19
○松井誠君 百万円ときめる予定だそうでありますけれども、それの根拠、ついでに保険料率十万分のかりに六とする場合のいわば試算の根拠、そういうものを明らかにしていただきたいと思います。
#20
○政府委員(近藤道生君) まず、百万円のほうの根拠でございますが、これは、百万円にいたしますと、大体、預金者の口数で申しまして、九七%がカバーされるわけでございます。それから個人でございますが、個人の預金者の金額におきましては全体の八三%ぐらいがカバーされるわけでございます。それからまた、諸外国の制度で見ましても、アメリカの百万円に相当する金額は二万ドル、七百二十万円でございますが、日米の金融資産残高の比率が、 いまの数字で一人当たり一対六・六、アメリカが日本の六・六倍という数字も出ておりますので、大体においてバランスのとれるところではなかろうかということが一つと、西ドイツにおいてもこの制度の運営が行なわれておりますが、これが日本円に直しまして大体九十八万円ということで運営をされておるといったような諸外国の例、それらを勘案いたしまして百万円ということを考えておる次第でございます。
 それから十万分の六という保険料率のほうにつきましては、先ほども申し上げましたように、信用金庫につきましては五年に一回、それから信用組合については二年に三回というような破綻の事例が過去十数年間の経験で出ておるわけでございますが、今後、この預金保険制度の運用は、できるだけ伝家の宝刀というような形で、なるべく発動しないように済ませれば済ますということにいたしたいとは思いますが、かりにいままでどおりこれだけの破綻の実例を生じた場合におきましては、大体五年間に二百五十億円くらいが必要になるというふうに考えられるわけでございます。それから計算をいたしまして、期末預金残高の年率で十万分の六というあたりで十分にまかなえるのではなかろうかという計算をいたしたわけでございます。
#21
○松井誠君 いまの百万円の頭打ちの問題で、数字ですけれども、八三%というのは、個人預金、法人預金、全預金額の八三%ですが、個人の預金の八三%ですか。
#22
○政府委員(近藤道生君) 個人の預金の八三%でございます。
#23
○松井誠君 保険料率の問題でありますけれども、預金保険という制度ができれば、あるいは安心していままでより預金の量がふえるということがあろうかと思いますが、当面これがコスト高につながることも一面あるわけですね。それで、具体的に預金保険を採用するために銀行の預金コストというものがどんなふうになるか、資料を実はいただいておりますけれども、大ざっぱな計算でけっこうですが、お知らせをいただきたいと思います。
#24
○政府委員(近藤道生君) 預金コストの減少率を過去の例で申しますと、三十四年の下期から四十四年の下期までの間に、たとえば都市銀行におきましては〇・〇四%、それから地方銀行が〇・〇八三%、信託銀行、長期信用銀行が〇・〇二二%、相互銀行が〇・一一二%、信用金庫が〇・一一七%、信用組合が〇・二二七%、毎年平均これだけの率で預金コストが減少しているわけでございます。それに対しまして、ただいまの十万分の六と申しますのは〇・〇〇六%でございますので、いまの年平均の預金コストのいままでの減少率、それと比べてみまして、その中に十分に含まれてしまう。一番減少率の少ないたとえば長期信用銀行の〇・〇二二あたりに比べましても、〇・〇〇六という数字は、それから都市銀行の〇・〇四というような数字に比べましても、〇・〇〇六という数字は、はるかに小さい。言いかえれば、従来の預金コストの減少率――自然の趨勢と申しますか、努力が入りますが、その減少率の中に十分おさまる程度の料率であるということでございます。
#25
○松井誠君 コストがずっとこれからもそういう形で減少していけば、預金保険のコストというのはその辺になる、これは数字でわかります。しかし、少なくとも預金保険のコストが預金コストにプラスされることは間違いがないわけであります。時間の節約のために簡単に申し上げますけれども、現在の減少率はわかりましたけれども、現在の預金コストというものを見てみますと、長期信用銀行、信用組合というのがわりあい多いわけですね。ほかの、たとえば税引き前の利益金に対する保険料率の割合ですね、それを見ますと、これはいま信用組合というのが圧倒的に大きい。常識でもわかるわけですけれども、信用組合というものがやはりこういうコストの圧力というものを一番大きく受ける、それは間違いないと思うんです。ところが、この法律案によりますと、保険料率については差別をしてはならないということがありますから、全金融機関は一律の保険料率になるわけです。差別をしてはいけないというのは、具体的にはどういう根拠から出ているのですか。
#26
○政府委員(近藤道生君) ただいまの御質問は、なぜ一律に保険料率をするのかという御趣旨かと存じますが、信用秩序の保持育成という先ほど申し上げました大目的は、先ほど先生から御指摘がございましたように、まず、第一義的には、金融機関が連帯してその責めを負うべき性質のものでございます。そこで、連帯してその責めに任ずるというためには、都市銀行から信用組合に至りますまで、いわゆる一般金融機関性を持った金融機関が全部連帯で同じような負担をし、それによって万一破綻を生じた場合の処理に当たるというたてまえでなければなりませんので、その意味におきまして、各種金融機関は全部一律に預金に対する保険料率を定めるということが必要であると考える次第でございます。
#27
○松井誠君 いま信用秩序の維持というのがまた出ましたけれども、預金者保護ということを徹底していくということになると、預金保険の制度のためにコストが上がって何がしか経営が圧迫をされるというような、たとえば信用組合というようなものがそれでいいのか。それだけ信用組合に集まる零細は預金者を信護しようということになれば、こういう強さに応じて保険料率を変えるというような議論は出なかったのか。形式的に連帯というだけではなくて、具体的に預金者保護ということを考える場合に、そういう議論もあり得たかと思うんですけれども、いかがですか。
#28
○政府委員(近藤道生君) その点は、いきさつから申しますと、実は逆でございまして、先ほども申し上げましたように、実際に破綻の事例というのは、信用組合あるいは信用金庫というようなところに非常に多いわけでございます。そこで、今回の機構は、できるだけ自主的にいろいろな業界の判断を取り入れて案をつくったわけでございますが、その過程におきましては、むしろ、都市銀行とか地方銀行とかいうようなところは、破綻の事例が全然ないではないか。したがって、そういうところも同じ料率を払うということはいかがであろうか。ことに、かりに十万分の六という数字でまいりますと、一番大きな銀行が年間に払います保険料が一億四、五千万円、それから一番小さな信用組合が払います保険料が年間千三、四百円でございます。これぐらいに違いますので、むしろ、途中のいきさつといたしましては、もうちょっと危険性の多い金融機関がよけいに払うべきではないかといったような議論があったというのが実情でございます。しかしながら、その点は、先ほども申し上げましたように、全部一体となって信用秩序の育成保持に当たるべきであるという観点から、全部一律にするということにいたしております。
#29
○松井誠君 貸付信託法の改正案について一、二お伺いいたします。
 この貸付信託の貸し付け先が中堅企業や中小企業に少ないというようなことは審議会の答申の記録にも出ております。これはどういう原因で中小企業向けの貸し出しが少ないということになっているんでしょうか。
#30
○政府委員(近藤道生君) これは、昭和二十七年に貸付信託法が制定をされました際に、その主たるねらいは、資金の使途をいわゆる四大基幹産業等を中心といたしまして、法律の表現によりますれば、「資源の開発その他緊要な産業」に資金をもっぱら回すということを前提といたしまして、その前提のもとに資金吸収についてのある程度のメリットを与える、言いかえれば高利回りの受益証券というものを認めるという形で発足をいたしたわけでございます。したがいまして、資金の使途につきましては、資源の開発その他緊要な産業に限るということでございましたために、勢い中小企業に対する融資というものはただいま御指摘のとおり少なくなっておりまして、現在で一・八%ぐらいという状況になっておりますのはそういう理由に基づくものでございます。
#31
○松井誠君 信託銀行というのは、普通銀行の仕事もやるわけです。したがって、経理のうちでも銀行勘定と貸付信託勘定というものが別々に形成されている。統計によりますと、銀行勘定のほうもやはり中小企業向けの貸し出しが少ないという数字があるようでありますけれども、もしお持ちでありましたならば……。一・四%というものは、これは貸付信託勘定のほうのパーセンテージですね。
#32
○政府委員(近藤道生君) 一・八でございます。
#33
○松井誠君 一・八ですか、貸付信託のほうのパーセンテージは。信託銀行が営んでおる普通銀行の業務における中小企業に対する貸し出しの比率というのはどうなっていますか。
#34
○政府委員(近藤道生君) 信託銀行全体といたしまして、つまり銀行勘定と信託勘定を含みまして七・一%、それからその内訳は、銀行勘定が一三・二%、信託勘定が五・三ないし四%、それから貸付信託勘定がそのうちで一・八%ということに相なっております。
#35
○松井誠君 信託銀行というのはいわば大銀行が多いと思うのですね。大銀行の貸し出し先というのは、どうしてもやはりいろいろな統計を見ますという、大企業向けの貸し出しが圧倒的です。いま聞きますというと、信託銀行の銀行勘定のほうの中小企業向けは確かに貸付信託勘定よりもはるかに多いと思うのですけれども、しかし、全体として見ると、やはり中小企業に対する貸し出しというのが大企業から比べれば相当冷遇をされている。これは大銀行共通の性格のようですね。そこで、今度貸し出しの範囲を拡げるということでありますけれども、それがほんとうにいままでの中小企業向けの貸し出しの比率というものを相当大幅に変えるようなそういう貸し出し先の変更というものが実際に保証されるかどうか、お伺いいたします。
#36
○政府委員(近藤道生君) 一つには、長期資金を取り扱います銀行におきましては、比較的中小企業貸し出しが少なくなるという傾向は、長期信用銀行並びに信託銀行に共通の現象でございます。それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、特に貸付信託の場合におきましては、資源の開発その他緊要な産業ということで従来縛られておりましたために、中小金融が比較的ウエートが少ないといった状況であったわけでございますが、この点につきましては、信託銀行自身もむしろもっと中小企業向けの貸し出しをしたいという気持ちがかなり強いわけでございます。そこで、今回この法律の改正をお認め願いますれば、「国民経済の健全な発展に必要な分野」ということに表現が改まりますので、この「分野」ということばは、いままでの「緊要な産業」ということばよりもはるかに広く、中小企業、さらには個人をも含み得ることになるわけでございます。それからまた、一方におきまして、支払い準備についての改正を行なうということになりますれば、中小企業に対する融資も従来よりははるかに安心して出せるというような点もございまして、信託銀行としては、今回の改正が行なわれますれば、それを契機に相当活発に中小企業金融に乗り出すであろうというふうに私ども予想をいたしております。ただ、その状況を見ながら、必要があれば行政指導等をもさらに行なうつもりでございます。
#37
○松井誠君 この審議会の答申についております統計を見ますというと、いままでも、卸小売り業、サービス業、そういうものに非常に少ないのでございますけれども貸し付けがされておるわけです。ですから、現行法のもとでも必ずしもそれが不可能ではなかったのであるとすれば、いまこういう形でわざわさ改正をしなきゃならぬという理由は一体どういうことなんですか。
#38
○政府委員(近藤道生君) 一番はっきりいたしますのは、たとえば個人に対します住宅ローン、こういうものは従来の法律ではどうしても読めなかったわけでございます。「緊要な産業」ということになっておりましたために、個人に対する住宅ローンのようなものはどうしても読めなかったわけでございますが、今回、「必要な分野」という表現に改められますと、個人に対する住宅ローンなどもはっきり認められるわけでございます。それから、卸・小売り業等につきましても、ただいま御指摘のとおり、従来は非常に少ない、一・二%程度のシェアであったわけでございますが、これはやはり「緊要な産業」という法律のたてまえに縛られまして、たとえば流通部門というようなものは生産業よりも後順位のものというふうに考えられておったわけでございます。したがって、事実上は、輸出入銀行との協調融資といったような特殊なものを除きましては、融資が行なわれていなかったというのが実情でございますが、今回は、これらのものにつきまして、「国民経済の健全な発展に必要な分野」ということになりますと、当然、流通部門の重要性から申しまして、いままでよりははるかに融資のウエートが多くなってくるというふうに考えております。
#39
○松井誠君 直接のきっかけが住宅ローンということであったというように伺っておりますので、それが今後伸びていくということはわかりますけれども、少なくともいままでそれ以外の中小企業向けの融資というのは制度的に道がふさがれておったということでも私はないと思うのです。それだけに、いまの御答弁にもありましたように、中小企業向けの貸し付けというものに行政指導を通してひとつ積極的にやってもらいたいということをお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、この貸付信託法の提案理由の説明の中で、有価証券を保有する道を開くということの中に、その理由の一つに「景気調整上の観点」ということが書かれておる。これだけでは、全く判じものみたいで、何を意味するのかわかりません。どういうことですか。
#40
○政府委員(近藤道生君) 具体的な事例で申し上げますと、たとえば昭和四十年、四十一年といったような時代、非常に金融緩慢の時期におきまして、信託銀行貸付信託部門におきまして有価証券を購入するということが、利回りから申しまして、受益者に対してつまり委託者に対して非常に有利であるということを考えましても、その場合に貸付信託部門といたしましては本運用充足の原則というものがございますために、従来は本運用といたしましては有価証券は認められておらなかったわけでございます。今度の改正で本運用の中に入るというたてまえをとっておりますが、従来はそれが認められておらなかったために、そういう時期におきまして有価証券運用のほうが有利でありましても、これが間もなく金融が締まってまいりました場合に処分しなければならないということが予想されたわけでございまして、処分をするような時期には、たいていいわゆるキャピタルロスを生ずるというようなことから、そういう際に有価証券を購入をせずに、コールローンなどに――コールローンのほうがレートが低かったわけでございますが、あえてコールローンのほうに回しておったというのが実情でございます。そういたしますと、今度は金融が締まってまいりました場合に、そのコールローンを引き揚げて貸し出しのほうに回すということになりまして、そこで金融を引き締めなければならないという時期にコールローンに出ておった金が回収されて貸し出しに回ってくるということで、引き締めに逆行するような結果、つまり、景気のブレを激しくするような結果をもたらすということであったわけでございます。今回の改正によりまして、これが、本運用の中に有価証券の保有が認められるということになりますと、たとえ景気がゆるんでまた締まってまいりましても有価証券の売却をする必要がないということになりますので、コールローンよりも有価証券のほうが有利であるというような場合には、当然委託者の利益のためにも貸付信託勘定としては有価証券を保有するということになりまして、それがまた景気の変動のブレを少なくすることに役立つということにもなる、そういう意味でございます。
#41
○松井誠君 いま何分かかかって説明を受ければ、なるほどそういうことかということがわかります。しかし、この提案理由の説明を読んだだけでは、全然見当がつかない。ですから、少なくとも何とか平均的な常識を持っている人が読めばどうなのかわかる程度の提案理由をひとつやってくださいよ。なぜ二、三分の説明を省いたのかわかりませんけれども、景気調整上の観点で有価証券を持たなきゃならぬということだけでは、いまのようなやっかいな仕組みなどというものは全然浮かんでこない。そのことをひとつお願いしたいと思います。
 最後に、さっきちょっと聞き忘れましたので、もう一度預金保険のほうに戻って一点だけお伺いしたいのですが、この預金保険で保護される「預金者等」というのは、この条文によれば、預金者とその債権者というふうになっていますね。これはどういうことですか。
#42
○政府委員(近藤道生君) 「等」ということばの中身についての御質問かと思いますが、これは定期積み金、相互銀行の掛け金、それらのものをさして「等」と、それから貸付信託の受益証券、それらのものをさして「等」と言っておるわけでございます。
#43
○松井誠君 いや、私の聞いたのは、「預金等」の話ではなくて、「預金者等」というのは、この条文の二条によりますと、「預金者その他の預金等に係る債権者」と書いてあるんですけれども、この意味を聞いたんです。
#44
○政府委員(近藤道生君) ただいま御説明申し上げましたのは「預金等」の御説明であったわけでございますが、「預金者等」という場合には、それらの保有者、つまり、定期積み金をしている人、あるいは貸付信託の受益証券を保有する者という意味でございます。
#45
○松井誠君 そうですか。預金者に対する債権者という意味ではないんですね。預金というものを持っておる債権者という意味ですね。
#46
○政府委員(近藤道生君) そのとおりでございます。
#47
○鈴木一弘君 最初に、預金保険のほうを伺いたいと思います。
 この制度が起きてきたのは、こういう提案になってきたのは、いままで叫ばれてきた金融のいわゆる自由化、いわゆる金利の自由化の問題と銀行業務の拡大という二つの問題からこういう預金者保護がなされなければたいへんなことになると、まあこの大蔵委員会でもそういう質疑は行なわれてきたわけでありますけれども、そういうことから設けられたということだと思うんです。そういう理解を一応しておりますけれども、逆に、今度は、ではこの預金者保険という預金者保護に対しての制度というものが誕生してくるということは、これからの金融の自由化、いわゆる競争条件の整備といいましょうか、競争秩序の確立というか、そういうことが今後急速度に展開されて拡大していくと、こういうことに見ていいのかどうか、その辺のことをお伺いいたしたいと思います。
#48
○政府委員(近藤道生君) この点は、ただいま松井委員にも御答弁申し上げましたように、預金保険法案の預金保険機構の最大の眼目は、直接に預金者を保護するということと、それによりまして信用秩序の維持育成に役立てるということ、その両方を目的といたしておりまして、いわゆる効率化、自由化、それらの行政の推進によって今後金融機関の破綻の頻度が多くなるということを予想して、それに対する備えとしてこの機構を設けたという趣旨は全くございません。
#49
○鈴木一弘君 法案のその趣旨についての考え方はわかったですけれども、しかし、一方では、金利の自由化あるいは業務内容の拡大ということが多くの場合によれば金融機関の破綻を招きやすいということ、それはわかっております。そういう点の処置というものがなければ、これはとてもではないがわれわれも自由化を進めろと言えないわけです。しかし、一方のこういうものができたと。法案のほうは金融の効率化の問題であるとか預金者保護ということがあくまで目的であるということを言われたことはよくわかります。しかし、一たんこれができれば、それじゃ自由化のほうはぐいぐい進むのかと、こういう問題があると思うんです。スケジュールがもしあれば伺っておきたいと思います。
#50
○政府委員(近藤道生君) ただいまお示しのとおりに、効率化、自由化ということのほうは、これはぜひとも推進をしてまいらなければならない。それによりまして金融機関の体質を強化いたしまして国民経済全体に裨益するという方向の施策を進めてまいらなければならないと存じます。そして、それをやることによって金融機関が破綻に瀕するというようなことが頻度が特に多くなりませんように、これは金融機関自身がまず第一義的には支払い準備を厚くするといったような方法で努力をしなければならないのはもちろんでございますし、また、金融機関の各業種ごとに現在の保障制度、相互援助制度、これらの制度の拡充をはかってまいらなければならないということも必要でございますし、それからまた、政府側といたしましても、監督、指導、検査等を通じまして破綻のないように努力をいたしてまいる。そして、預金保険は、これらに対するいわば伝家の宝刀とでも申しますか、最後のささえとして働くという形になることが一番望ましいことであろうかと思います。
 それから今後の自由化のスケジュールというお話でございます。これは金利、配当、店舗、それらのものにつきまして徐々に規制を緩和しつつあるのが現状でございます。この方法は今後とも進めてまいりたい。ただ、その場合に、それが一般の取引先や預金者に迷惑を与えるという形で行なわれることは、銀行の公共性から申しましてぜひ避けてまいらなければならない。それを避けながら、ただいま申し上げましたような金利、配当、店舗等の弾力的な運用、かたがた、その前提といたしましての経理基準の完全実施、そういうような方向で今後とも努力してまいりたいと考えております。
#51
○鈴木一弘君 この保険制度については、これは私はいいと思うんですけれども、一方では、いま、いわゆる金融界の再編、つまり合併問題ということが非常に大きな焦点になっているわけです。いろいろあちらこちらの銀行がくっつくとかくっつかないとか、話がだめになったとかいうことがあるわけでありますけれども、これはかなり機運が醸成されてきている。おそらく銀行局等でもそういう機運の醸成をしていると思うのですけれども、それと、いま一つは、いわゆる都市銀行が信託業務をやるとかやらないとかいう問題、あるいは長期信用業務をするとかしないとかいう問題、こういうこともみなからみ合ってきているわけです。そういう点については、どういうふうにいまのところ考えているのか、また、見通しはどうなのか、それを伺っておきたいと思います。
#52
○政府委員(近藤道生君) まず、再編成問題、つまり、合併、提携というふうなことにつきましてでございますが、金融機関の合併につきましては、金融制度調査会の答申におきましても、国民経済的観点から見て規模の利益を生かすような合併は望ましい。特に、都市銀行などについてはそれが望ましい。ただ、あくまでも金融機関の自主的判断に待つべきであるということを述べております。それからまた、合併につきましては、寡占化が進むとか有効競争が阻害されるというふうな弊害が生じては困るから、その点は十分に配慮するようにということが述べられております。それから業務の提携につきましては、特にこれは合併よりも人事とか給与とかにまつわる問題を回避しながら、合併と同様、あるいはそれ以上の効果をあげ得るから、ぜひこれを推進するようにということが述べられております。私どもといたしましても、このような基本的な方向に沿って行政指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、ただいまお触れになりました都市銀行の信託業務等についての問題、これも、御承知のように、いろいろ議論がなされまして、結局、最後におきまして結論的に出されましたものは、各金融機関がそれぞれいわゆる業務分野の相互乗り入れを行なうということは方向としてはけっこうでありますけれども、ただ、それはそれぞれの金融機関の在立の根基を脅かさない範囲で周辺分野での相互乗り入れ、そういう方向で行くべきであるという結論が出されております。私どもも、そういう方向で行政指導に当たりたいと考えております。
#53
○鈴木一弘君 あまり議題からはずれちゃいますから、あれですが、合併のいま大きく問題になりつつあるのは、どことどこですか。
#54
○政府委員(近藤道生君) 現在は、合併問題は、あくまでも金融機関の自主的判断に待つというたてまえでおりますが、自主的にそのような機運のあるところは、いまの段階では全くございません。
#55
○鈴木一弘君 その問題で、寡占化を避けなければならない、あるいは有効競争を妨げるようではならないということがあったんですが、寡占化あるいは有効競争を排除してしまったということに至るというように大蔵省が判断をしたら、何かの会議もあると思いますし、強力な指導もされると思いますが、その基準はどの辺にあるのですか。
#56
○政府委員(近藤道生君) この点につきましては、どことどこがそういう動きをするかというような具体的な事例に即しまして、ケース・バイ・ケースで考えてまいりたいと思っております。ただ、一般的に、たとえば都市銀行の数というようなことにつきましては、金融制度調査会の答申におきましても、わが国の現状から申しまして少し数が多過ぎるのではないかというような指摘はいたしておりますが、その具体的な寡占化になるかどうかというような判断は、ケース・バイ・ケースで判断してまいりたいと考えております。
#57
○鈴木一弘君 十分寡占化にならないようにだけは見てほしい、これだけはお願いをしておきたいと思います。
 それから法案の中身に入りたいと思いますが、この政策目的は、先ほど答弁がありましたように、預金者保護、効率化という二つの問題があるというお話ですけれども、先ほどの御答弁からも、保険金の額は、政令で定める範囲ということで、限度が大体百万円になるであろう、こういう答弁でありました。先ほどの答弁での、口数でカバーできる率が九七、金額でカバーできる率が八三と、こういうような話だったんですが、本来の目的でいえば、全預金者ということでなければこれはならないわけですね、法をつくるからには。それが一ぺんにはいかないから、百万円という限度額を大体考えて、ある一定の限度額でカバーをしようと、それが大体金額で八三ということで、一七%はこれは個人の債権としてその金融機関に対しての措置をする以外にないわけでしょう。そういうことになってくると思うのです。これは、本来の預金者保護というたてまえから見ると、ちょっと解せない面がある。その点をどういうふうに考えているのか。
#58
○政府委員(近藤道生君) その点につきましては、片方におきまして保険料率をどのくらいに定めるかという問題とも関連いたしてまいるわけでございまして、保険料率があまり高くなりますと、これはやはり金融機関の経理を圧迫するということにもなりかねません。まず、預金者保護の第一義的なつとめといたしましては、各金融機関が十分経営内容をよくいたす、そうして、それによりまして預金者の保護に遺憾なきを期するということでございますので、保険料率を全般的にあまり高めない範囲で、しかも相当程度のものをいざという場合にはカバーできるという程度が問題になってまいりますので、各国ともこの制度におきましては保険金の金額に限度を設けておるのが実情でございます。ただ、ただいま御指摘のように、一〇〇%カバーしたいということは当然の要請でございますので、その点につきましては、それぞれの業界におきまして自主的な相互援助制度、そういうものをますます拡充をいたしますことによりまして、この預金保険機構でカバーできない部分は、それぞれの業界の相互援助制度を円滑に発動して一〇〇%カバーができるような体制をとるように各業界の自発的努力を望むとともに、その行政指導にもつとめたいというふうに考えておる次第でございます。
#59
○鈴木一弘君 先ほどの御答弁を聞いていると、保険料率が一万分の一を予定していたが、十万分の六くらいまでいくのではないかというお話ですね。いまの金額でいって八三%ということは、あと一七%残っている。その一七%全部をカバーしても、八三%に対しては五分の一くらいのものですから、そうすると、十万分の七か八あれば完全にカバーできるということになる。その程度ならば、先ほどの御答弁から見ていていて、私は、金融機関に対して保険料率が高過ぎる、いわゆる預金コストを引き上げることはないのではないかという感じが若干するわけでありますけれども、その点はどうなんでしょうか。
#60
○政府委員(近藤道生君) その点につきましては、二つの観点があるわけでございます。一つは、これは大衆預金者の保護ということが重点でございまして、一部高額の預金者に対する保護ということはあまり考えないでもいいのではないかということが一つと、もう一つは、この制度と申しますか、信用秩序の保持育成ということに対しましての責務は、これは第一義的には民間金融機関、それから第二義的と申しますかその次には中央銀行、それからさらに最終的には政府、この三者が一体となってその責に任ずべきものであるというたてまえからまいりまして、ただいまのこの制度におきましては、九七%を占めます大衆預金者というものを対象として、それをこえる部分につきましては、やはり業界自体の自発的努力によってこれを行なうということが好ましいのではないかということで金額の限度が設けられているわけでございます。
#61
○鈴木一弘君 その答弁はよくわかります。私もそういう意味ではいいと思うんです。しかし、つくるからには、民間が第一である、二番目は中央銀行である日銀である、三番目は政府である、その趣旨が初めからあるならば、おのおの一億五千万の出資というのはよくわからないんですね。民間のほうで二億出して、日銀で一億五千万で、政府一億というならわかるんです。ですから、そういう一億五千万ずつなぜ出すかという根拠がおかしくなる。あくまでも大衆を保護する、こういう意味であるというなら、しかも、その責務が民間が最初であるというなら、その点をほんとうは考えるべきではないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがですか。
#62
○政府委員(近藤道生君) ただいまお示しのとおりでございまして、民間が非常に多くの部分を負担しなければならないということは、そのとおりであろうかと思います。したがいまして、一たん破綻が生じました場合には、預金保険機構が発動をいたしまして、これで足りない部分は民間の相互援助協定等の発動によってできるだけ一〇〇%カバーするというたてまえをとっているわけでございます。
#63
○鈴木一弘君 私も、大衆預金の保護ということは、これは当然だと思います。しかし、さらにそれを上回る分についてはカバーするわけですが、その場合問題になってくることが一つあるんです。いわゆる架空名義、無記名預金、こういう二つの性格のものがある。この架空名義については、当然これは百万円の限度云々というのは抜かなきゃならないと思いますし、これはやりようがないだろう。もう一つの無記名についても同じように考えなきゃならないのではないか。悪いけれども、この二つはどう見ても脱税のためとしか考えられない。国民として行なわなければならない義務を果たしていないということがあるわけでありますけれども、これは金融機関に対しては債務はあるでしょう。しかし、政府までが出資するものについてはそういうものは認めるべきではないだろうと思うのですけれども、その点はこれは政令段階でなされることですけれども、どういうふうになされるのか。証明書をつけさせるとか、戸籍謄本をとらせるとか、何かの措置というものがなければならないと思うのですけれども、その点について伺いたい。
#64
○政府委員(近藤道生君) 無記名預金、架空名義預金につきましては、ただいま仰せのございましたような趣旨にのっとりまして、政令段階でこれを除くということで考えております。
#65
○鈴木一弘君 どういうような書類を用意させる予定ですか、大体。
#66
○政府委員(近藤道生君) その点は今後の検討に待つわけでありますが、ただいま大体考えておりますことは、印鑑、通帳、住民票その他で架空名義をチェックするということを考えておりますが、これは機構が自主的にきめるということになろうかと存じます。
#67
○鈴木一弘君 わかりました。そのとおりやっていただきたいと思います。
 もう一つ、ここに、日銀からの借り入れの問題があるわけですね。「政令で定める金額の範囲内において、大蔵大臣の認可を受けて、日本銀行から資金の借り入れをすることができる。」と。大体、どういう程度のものを考えているのですか、その政令委任の内容でありますが。
#68
○政府委員(近藤道生君) これは、ただいまの段階では、五百億円を限度とするということを考えておるわけでございます。その点の根拠は、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、従来の実績でまいりました場合にどのくらいの金額が必要であるかということをごく大胆な試算をいたしまして、それに対しまして五百億を限度とすればまず十分であろうかということでございます。
#69
○鈴木一弘君 それから機構の業務の運営に関しての運営委員会の問題でありますが、これが七人以内並びに理事長及び理事をもってということですが、
  〔委員長退席、理事玉置猛夫君着席〕
いままでの衆議院の答弁等を見ますと、これが大体業界代表七名というようなことのようでありますが、そうすると、あとは、大蔵大臣が指名する職員というのが意見を述べることができるということでその委員会へ出られる。銀行局のほうから出られるのだと思いますけれども、その場合、この大蔵大臣が指名する職員というのは、どういうふうな形なんですか。これは代表といいましょうかね。たとえば、片方のほうが、業界代表七名、理事長は日銀の副総裁、これはわかります。委員長が理事長で副総裁、理事が業界代表である。そうすると、大蔵大臣が指名する職員というのは、これは政府代表です、出資者ですから。預金者代表とかそのほかの代表というのは一体どこにいく予定ですか。
#70
○政府委員(近藤道生君) ただいまのところ、大蔵大臣の指定する者というものは、銀行局長の職にある者を予定をいたしております。その趣旨は、このような金融機関の破綻というような事例が不幸にして起きました場合に、その内容、実情というものはやはり検査を通じて知る以外にないわけでございまして、その検査の結果を十分にわかる立場におる銀行局長がこの席に出席をいたしまして、当該金融機関の内容について十分に必要な範囲で説明をするということによりまして、必要な手段が講じ得るように、特に第一種保険事故のような場合におきましては、当該金融機関の実情を十分に知った上で行なわないといけないわけでございます。その意味におきまして、この構成は、当該金融機関のかなり細部にわたる機密事項についてまでも立ち入って論議をするということになりますので、いわゆる学識経験者というような第三者をこれに入れるということはあまり適当ではないのではないというたてまえから、自主的な各金融機関の寄り集まりであるという意味で、各金融機関の代表と、それから中立的な立場におきましての日銀の副総裁、それから専門にそれに当たります理事、あるいは大蔵省の局長といったような者の中でそれらのことの処理を行ない得るような体制をとったわけでございます。
#71
○鈴木一弘君 その辺が、ちょっと、第三者的立場のいわゆる学識経験者等はないかもしれないけれども、第二者の立場の預金者、そういう者を代表するというのは一体だれが代表するのか。業界の代表七名、日銀、政府、こうなると、出資したところだけということですからね。それでは、被害を受けるところの預金者、そういう者の声というものは一体どこへ行くのですか。その代表というものはどうして考えられなかったのですか。
#72
○政府委員(近藤道生君) 理事長でございます日本銀行副総裁が最も強く預金者の代表になる、
  〔理事玉置猛夫君退席、委員長着席〕
そしてまた、そこに出席をいたします銀行局長も預金者の代表としての発言をいたすということによりまして、預金者の立場を十二分に反映するようにということを考えておるわけでございます。
#73
○鈴木一弘君 私は何も金融機関に対して不信を持つわけじゃありませんけれども、いざとなったときに、いわゆる債権問題であるとかそういったことのほうにウエートがかかってきて、逆にいま申し上げたような預金者の立場に立つ発言というものは薄くなるのではないかという心配をしているわけです。これは預金保険に対するところの運営委員会ですからそういう心配はありませんと言われれば別問題ですけれども、その点は十分に心してほしいと思うのですね。この点、よろしく答弁をお願いしたいと思います。
#74
○政府委員(近藤道生君) ただいまお示しのような危惧が現実に起こってまいりましたような場合には、御指摘の御趣旨に沿いまして、公益代表としての理事長あるいは大蔵省銀行局長において十分配慮いたしてまいりたいと考えております。
#75
○鈴木一弘君 私はその点が非常に不満なところなんですけれども、ほんとうに心していただきたい。
 それからもう一つ、この機構が余裕金を持ちます。余裕金を持ったときの預ける先でありますけれども、運用の方法が三つある。一つが、「国債その他大蔵大臣の指定する有価証券の保有」ということであります。有価証券はどういうものを保有するつもりかということ。それからいま一つは、「大蔵大臣の指定する金融機関等への預金」ということがあるわけであります。そうすると、その金融機関からは一定の保険料をいただいている、それを預けるということになるわけですか。一たん吸収してから預けるのか、預けたことにしておくということにするのか、その辺になあなあがあるといけないということ。いま一つは、その該当している金融機関というのを幾つ設けるつもりなのか。全部にばらまいてしまったら、その中でいわゆるこの預金保険だけを適用されるような金融機関も出てこないとも限らない。破産宣言されるようなやつが出てくる。そうなると、そこへ預けておいたらどうなるかということが起きてくるわけであります。そういう点についてはどう考えますか。
#76
○政府委員(近藤道生君) まず、最初の、保有する有価証券の種類でございますが、これは、国債、政保債、事業債を考えております。
 それから次の、大蔵大臣の指定する金融機関につきましては、まず機構のほうで自主的に考えてくるというたてまえでございますが、現在のところ各金融機関のすべてということで考えております。ただ、場合によりましては、たとえば信用金庫の場合に信用金庫連合会というような案が出てまいるかもしれませんが、そのような案の具体的な決定を見た上で大蔵大臣が指定を行なうということになろうかと思います。いずれにいたしましても、趣旨といたしましては公平にやるということをたてまえとしてやるわけでございます。
#77
○鈴木一弘君 公平にやるというのはわかるんです。そうすると、これはすべての金融機関が対象である。そうすると、単一の一つ一つの金融機関に入れるということなのか、いまの連合会のようなところに行くのか、そういう受け方やなんかによっては、保険料を出しました、それに見合うから何%はうちへ預けていただきたいということになりかねない。そういうときには、もしもというときにはどうなっちゃうのだろうと、これはたいへん大きな問題だと思います。
#78
○政府委員(近藤道生君) 一度全部機構に吸収をいたしまして、その上でそれぞれの金融機関に分けるということになりますが、これは全体のたてまえが自主的な立場を重んずるということでやっておりますので、まずこの機構内部の意思決定を行ないまして、それを受けて大蔵大臣が先ほど申し上げましたようなできるだけ公平なという立場から、場合によってはその機構の案に若干の修正を求めるということもあろうかと存じます。いまのところ、まだ具体的な決定はしておりません。
#79
○鈴木一弘君 そうしますと、余裕金を預金してもらえない金融機関というものも出てくるということになりますね。
#80
○政府委員(近藤道生君) そういう場合もあり得ると思います。
#81
○鈴木一弘君 そうすると、そういう余裕金が預金されない金融機関というのは赤字信号であるという印象はどうしても免れない感じになるわけです。そうすると、これは整理をしろというようなことになってくる感じもするから、預金者はおっかないから、そういうところへは入れたくないというようなかっこうになってくる、そういう面が出てくると思います。
#82
○政府委員(近藤道生君) その一度吸収いたしましたものを預託をいたします際の基準を公平にと申しました意味は、たとえば現実にすべての金融機関に預託が行なわれませんでも、ある業種につきましてはその代表としてその協会に預託をするとか、協会と申しますか、たとえば、信用金庫のような場合には、全国信用金庫連合会というようなところに預託をするというような形でまいります場合に、具体的に預託が行なわれない金融機関が出てくる可能性はあるわけでございますが、その場合に、その金融機関が預託を受けないからといって、これが非常に信用を失うというようなことはないような十分な配慮が望ましいことは申すまでもないわけでございます。預託の際の基準は、あくまでも全金融機関にばらまくか、あるいはある部分についてはその代表にばらまくか、そういう技術的な違いはございますが、いずれにいたしましても、できるだけ公平にやりたいということを考えておるわけでございます。
#83
○鈴木一弘君 どうも、その辺が納得いかないのですけれどもね。そういうところを、もし預託のないところについては心配のない手を打たねばならないと思うというお話なんですが、預金者のほうからすれば、預金保険の余裕金が預けられないというような金融機関であれば、これはあぶないですよという信号にとらざるを得なくなるだろうと思うんですね。私が預金者だったら、おそろしいからほかへ回しますね、おろして。そうならざるを得ないだろうと思う。
#84
○政府委員(藤田正明君) おっしゃる意味はよくわかります。局長が先ほど来答弁しておりますように、公平にやろうということで、具体的なことはまだできておりませんので、おっしゃる趣旨を生かしまして、そのような第三者から見て、この金融機関は危険であるというふうなことになりますれば、それはもう不公平な処置だと思いまするし、具体的にはおっしゃる趣旨を生かして公平にやっていきたい、かように思います。
#85
○鈴木一弘君 それからこの保険制度の対象とならないところの金融機関はどことどこですか。
#86
○政府委員(近藤道生君) たとえば農協、漁協、労働金庫、政府関係機関、それらのものが対象からはずされるわけでございます。
#87
○鈴木一弘君 その労働金庫等がはずされておる。これは衆議院でも質疑があったようですけれども、これははっきり申し上げて現在政府の監督下にあるわけですよね。そういうところはどうしてはずされたんでしょうか。
#88
○政府委員(近藤道生君) 今回の預金保険制度の対象としての金融機関の考え方につきましては二つの面があるわけでございまして、一つは、政府といたしまして信用秩序に関係のあるようなところをできるだけ網羅したいという気持ちと、それから片方において、自主性を尊重するという立場から、それぞれの金融機関の間において、いわゆる一般金融機関性を持ったもの、一般預金者をかかえておる金融機関、それらが全部一体となってこの制度をつくるという自主的な相互の間の考え方、それを尊重してまいるという考え方、その両方で案がつくられたわけでございます。
 そこで、たとえば労働金庫の場合におきましては、一般金融機関性という点につきまして、いわゆる団体主義をとった機関でございまして、原則として団体がこの労働金庫の構成預金者になるということでございます。例外として個人の預金もございますが、そのシェアはきわめて少ない。したがいまして、一般の不特定多数の預金者を相手にいたします金融機関とは若干趣を異にする。まあそのような点から、労働金庫自体といたしましてもこれに加入することに対して消極的であったわけでございますが、私どもといたしましてもこれについては消極的に考えておるわけでございます。
#89
○岩動道行君 関連して。ただいま鈴木委員の質問に関連して私も伺っておきたいのですが、法案の第二条では対象の金融機関が掲記されておりまするが、信用協同組合まででとまっておって、鈴木先生が御指摘になったように、農協、漁業協同組合等が抜けておるわけであります。これはいろいろな審議の経過の過程におきましては議論のあった点でもあることは承知いたしております。しかし、本来、この預金保険制度というのが、預金者を保護する。しかも、農協、漁協等は相当の預金者の数があり、かつ、農協等においては非常に巨額の預金を扱っておる。農協につきましては、ある程度自発的に自己防衛的にある制度を内部体制としてやってはおります。しかし、これは、法律の問題として、あるいは国のたてまえから正式の制度としては認められていない。そこで、それを何かしてもらいたいという要望も出ておったわけでありますが、ことに漁業協同組合については全くそういう似たような制度もないわけでございます。最近、農協等においても、はなはだ遺憾なことには、かなり不正の貸し出し、あるいは不正事件等が起こっておりまして、非常に農民自体が不安な状況になっておる事例が多発いたしております。かような意味におきまして、私は、農協あるいは漁業協同組合等につきましても同様の制度を導入してあげることが、特定の団体的なものであるにしましても、前向きに考えていくべきものでないだろうかと、かように考えまするが、大蔵省の御所見をこの機会に承っておきたいと思います。
#90
○政府委員(近藤道生君) 農協、漁協につきましての議論の経緯等は、岩動委員先刻御承知のとおりでございます。ただいま御指摘のように、これら農協、漁協についての預金者保護も、一般金融機関の場合と同様にきわめて必要であるということは、そのとおりであろうと私どもも存じます。したがって、お示しのように、農協、漁協につきまして預金保険制度類似の制度を一体となってつくられるということであれば、これはきわめて好ましいことと考えますので、今後とも農林省と協議の上でできるだけ前向きで検討をいたしてまいりたい、また、協力もいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#91
○鈴木一弘君 いまの岩動委員の質問のように、ひとつ、個人の問題がからんでおります問題については、これは真剣になって考えていただきたい。
 次に、貸付信託法について若干伺いたいのですけれども、有価証券の取得の道を開いたということでありますが、大体どのくらい考えているのでしょうか、この取得の額についてですが。
#92
○政府委員(近藤道生君) これはまだ今後の検針でございますが、いまのところ大ざっぱに考えておりますのは、貸付信託の信託財産に対しまして大体二割程度を考えておるわけでございます。したがいまして、四兆円に対する二割ということで、約八千億円ぐらいを限度として考えておるわけでございます。
#93
○鈴木一弘君 この運用方法にこういうふうに右価証券を加えた。そういうものは、景気調整上の問題もあるし、公社債市場の育成にもなるであろうという、そういうような考えもあるようでありますけれども、公社債市場にこういう信託が、はっきり申し上げて、機関としての参加ということが行なわれてくる。その点で、二〇%というのは、へたに運用を誤りますと、育成ではなくて逆に衰微させることにもなりかねない。その辺のかね合いのところですが、どういうふうに考えてこの二〇%になったのですか。
#94
○政府委員(近藤道生君) この点につきましては、おっしゃるとおり、できるだけ機関投資家としての活動に期待をいたしたいわけでございますが、同時に、公社債投資信託との業務上の競合の問題もございます。その辺のかね合いを考えながら、大体二割ぐらいというところをただいまのところ考えているわけでございます。
#95
○鈴木一弘君 投資信託制度と公社債市場の育成、その業務内容というものがぼやぼやっとしていますと、これはどこまで行っても公社債市場の育成にはならない。これは銀行のほうにとっては、「銀行よ、さようなら」になるかもわかりませんけれども、本来の金融のルートとしたらば、公社債市場の育成ということがしっかり行なわれなければならない。先日の証券二法のときの質疑でわかったのですけれども、大阪、東京、名古屋とあるけれども、名古屋等はほんの僅かしかやっていないというような、そういうような状態でもある。そのときに、これが育成上必要である、寄与できるということであれば、どういうふうに寄与ができるのかという問題があるわけです、一面に。一方で、いまの投資信託の問題と二つが引っかかるわけです。その辺の運用はどういうふうに今後はっきりと分けさしていくのか。この辺の指導を誤るとたいへんなことになるのではないかという感じがするんですが、その点を伺いたい。
#96
○政府委員(近藤道生君) 機関投資家としての比重という点から申しますと、従来の実績は、信託財産につきまして二・五%ぐらいしか有価証券の保有をいたしておりません。したがいまして、これが二割ということになりますと、かなり従来よりも機関投資家としてのウエートは増すわけでございます。金額で申しますれば、七百億円ぐらいでございましたものが八千億ぐらいまでは持ち得るということになりますので、機関投資家として十分その働きを行ない、なおかつ、一方において公社債投資信託の分野をも基本的に脅かすということのない程度、それがこの程度であろうかというふうに考えておるわけでございます。
#97
○鈴木一弘君 その点は、これから運営していってみないとちょっとわからない点もあるような感じがするんです。ここで図上だけで論ずるというわけにもいかないと思いますから、推移を見て私は聞いていきたいと思いますが、有価証券の中身はどういう種類があるのでしょう。
#98
○政府委員(近藤道生君) 主として事業債を考えております。
#99
○鈴木一弘君 主として事業債……。
#100
○政府委員(近藤道生君) 株式は除くことを考えております。
#101
○鈴木一弘君 それからちょっと先ほどの法律に戻りますけれども、あの場合に有価証券の中に事業債というのがございましたが、この事業債の場合、どういうところを銘柄として考えておりますか。それからこの場合はどうなのか。二つの法律にかかっているのですが……。
#102
○政府委員(近藤道生君) 両方の法律を通じまして同じようなものを考えているわけでございまして、貸付信託につきましては、第一条に「国民経済の健全な発展に必要な分野」という表現がございますが、それにふさわしい事業を行なっている会社の発行する事業債というものを考えているわけでございます。
#103
○鈴木一弘君 預金保険法のほうのも同じですね。
#104
○政府委員(近藤道生君) 同様でございます。
#105
○鈴木一弘君 そうすると、おもにいままでの貸付信託法でやってまいりました重点業種が四つございます。鉄鋼、電力、海運、石炭というのがあったわけでありますが、そういう銘柄業種のいわゆる事業債、あるいはそれに加えるとすれば製造業ならどういうものなのかという大体のあれはわからないですか。
#106
○政府委員(近藤道生君) 製造業といたしましては、たとえば化学工業あるいは私鉄――輸送機器でございます。それからあとは、運輸・通信業、電気・ガス・水道業、建設業、不動産業、卸・小売り業、そういったようなものについて広く考えられるわけでございます。
#107
○鈴木一弘君 特に預金保険法の場合の事業債の中身によっては、その事業が順調にいく場合もあるでしょうけれども、業種によっては不安定なものも出てくる。特に景気の変動を非常に受けて、そのためにその企業が合併したり倒産したりということもあり得ないとは言えないわけですね。そういうような危険、リスクというものをおかすとかおかさないということもあるわけでして、非常に選定はたいへんだろうと思うのですけれども、そういう場合は、どんどん買いかえていってしまうのか、一たんそういうものを取得した場合に、これを半永久的に保有していくのか、いわゆる社債の期限が来るまで保有しているのか、そういう運用の問題もこまかい点が残っていると思うのですが、その点はどういうふうに考えておりますか。
#108
○政府委員(近藤道生君) ただいまお尋ねの点につきましては、機構が安全、有利、確実という観点から自主的に運用に当たってまいるということになろうかと存じます。
#109
○渡辺武君 最初に、預金保険法案について一、二点伺いたいと思います。
 この法案の四十九条の第二項に、今度の保険機構によって保険される保険事故ですね、これが規定されております。申し上げるまでもなく「預金等の払戻しの停止」、つまり、部分的かどうか知りませんが、いわばモラトリアムというような事態ですね。それから「営業免許の取消し」「破産の宣告又は解散の決議」というようなことが盛られておりますけれども、現在このようなことが予想されるような事態が金融業界の中にあるのか、あるいは近い将来こういうようなことが頻発するようなことが予想されるのか、その点をまず伺いたいと思います。
#110
○政府委員(近藤道生君) まず、現在までのほうでございますが、これは先ほど来申し上げましたように、信用金庫の場合におきまして、これは該当いたしますような事例は、平均いたしまして五年に一ぺんぐらい起こってきております。それから信用組合につきましては二年に三回ぐらいという、一年に一・五回という割合で起こってきております。将来はこれをできるだけ少なくしていきたいということを考えておるわけでございます。できれば絶滅、絶無にいたしたいというのはもちろんでございますが、ただ、従来の傾向からまいりまして、ただいま申し上げました程度の事例はあるいは起こるかもしれないというふうに考えております。
#111
○渡辺武君 国民の大事な預貯金が、これが私企業である銀行その他に集められる、そうして営利を目的として運用されるということは、非常に危険なことだと思うのですね。したがって、国民の預金に対する確実な保障制度、これが必要であることは、これは当然のことだと思うのです。したがって、今回の措置が、従来の相互銀行、あるいは信用金庫などの相互保障援助制度ですね、これらに比べて一歩前進した制度ではないかというふうに私ども考えているわけですけれども、しかし、今回のこの預金保険制度を考えてみますと、何か裏があるのじゃないか。これは松井委員も鈴木委員もそのような見地から御質問になりまして、あるいは質問の趣旨が同じようなことになるかと思いますけれども、私どももどうもそんな気がしてならないんですよ。で、端的に言えば、今後起こり得る金融機関の激しい競争ですね、このための前提条件を預金者保護という形でつくっていこうというところにあるんじゃないかという懸念が非常に強いわけです。先ほどほかの委員の御質問に対する御答弁の中でも、店舗の配置転換の規制の緩和だとか、あるいは特に配当規制の緩和ですね、あるいは金利規制の緩和など、金融制度調査会が答申している内容を逐次実施に移していきたいというような御答弁があったわけですけれども、こういうことになりますと、これはもう金融機関相互間の競争が非常に激しくなるということは、これは避けることはできないだろうというふうに見られますね。そうして、その中で、すでに富士銀行の例の不祥事件があったように、もう預金獲得のための不正事件まで起こっているというような事態ですから、こういうような事態が今後頻発するという可能性も当然ありますし、特にわれわれが考えなきゃならぬことは、この競争激化の中で当然大銀行による中小金融機関に対する系列支配というものが必然的に強くなる。最近の新聞などでも、特に合併機運というのが金融界に盛り上がっているというようなことが盛んにいわれております。そういう事態が非常に強化されていると思うのですね。特に資本取引の自由化で外国から巨大銀行が乗り込んでくるというような事態のもとでは、おそらくそういう事態は避けることはできないだろうというふうに思われるわけです。今度の措置がそういうことを背景にしてまでできているということから見ますと、預金者保護という一面が確かにある、あることは認めますけれども、しかし、むしろほんとうのねらいは、一方でこういう制度をつくって預金者に安心感を与えておきながら、他方では競争原理を導入して、適正な競争と言うけれども、しかし、大資本と小資本があるわけですから、その帰結というものはこれは適正なところでとどまるということじゃなくて、当然先ほど私が伺ったように、あるいは部分的なモラトリアムだとか、あるいは解散だとか、その他等々のまことにきなくさい事件が頻発する。そのための前提条件に今度の措置があるのではないかというふうに思うわけでありますが、その点はどうですか。
#112
○政府委員(近藤道生君) その点は、先ほど来たびたび御答弁申し上げましたように、ほんとうのねらいが預金者保護であり、信用秩序の保持育成でございまして、いわゆる裏の含みというようなものは全くないわけでございます。そこで、その適正な競争原理ということは、やはり現実にぜひとも私どもも行政指導上考えてまいらなければならないと思っておりますのは、たとえば地域金融機関、それらが弱肉強食の形で都市銀行などに吸収合併をされるという場合におきましては、その地域におきましての取引先などに非常な迷惑をかけるということがあり得るわけでございます。その辺のところを考えまして、競争原理の導入とただ言いっぱなしにせずに、適正なということを言い、また、公共性ということを特に昨年来強調しておりますのも、その辺に対する配慮からでございまして、弱肉強食的なことによりまして社会的な不安を引き起こすというようなことにつきましては、私どもといたしましてもぜひこれを避けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#113
○渡辺武君 ぜひ避けていきたいとおっしゃるのなら、どのような措置を考えておられるか。この預金保険機構のほかに、預金者保護についてどんなふうに考えておられるか。それからまた、相互銀行その他の中小金融機関ですね、これの保護のためにどういうことを考えておられるか、その点を伺いたい。
#114
○政府委員(近藤道生君) まず、預金者保護のための預金保険制度、預金保険機構以外の手段といたしましては、まず、第一義的には、それぞれの業界におきまして自主的な体制を整える必要があるわけでございます。それを信用組合も信用金庫もあるいは相互銀行も、そういう中小金融機関相互の援助体制の整備という形でできるだけ促進するように、現在そういう機運も盛り上がっておりますが、私どもといたしましてもそれをできるだけ側面から援助し、促進するということでまいりたいということを考えております。それから中小金融機関に対する一般的な助成の制度というものにつきましては、御承知のように、現在、金利配当等につきまして大銀行とあるいは地方銀行と違う方法で、きめこまかい指導を行なっているわけでございます。
#115
○渡辺武君 その点についてはなお機会を得てもう少し詳しく伺いたいと思う問題が幾つかございますが、質問は次の問題に移りたいと思います。
 法案の具体的条文について幾つか伺いたいのですが、五十三条の第一項ですね、一応保険金の支払いは預金者等の請求に基づて行なうことになっております。そうして、第三項で「第五十七条第一項又は第三項の規定により公告した支払期間内でなければ、することができない。」というふうになっておりますね。そこで伺いたいんですが、この支払い期間はどのくらいな期間をお考えになっておられるのか、これは政令できめる事項なんでしょうか、その点をまず伺いたいと思います。
#116
○政府委員(近藤道生君) 政令ではきめないことに考えております。そして、したがいまして、まだ支払い期間を具体的に何日にするかということはもちろん先の話になるわけでございますが、あまり短くない期間を設けたいというふうに考えております。
#117
○渡辺武君 政令できめないとなると、どこできめることになりますか。
#118
○政府委員(近藤道生君) 機構が自主的に定めることになります。
#119
○渡辺武君 それでは、次に、第三項のただし書きで「災害その他やむを得ない事情」というのがありますが、具体的にはどういう状態を想定されておられるのか。
#120
○政府委員(近藤道生君) 災害で長期に交通が途絶したような場合、特に離島などでそういう事例があるかと思います。それからあるいは本人が外国旅行中で公告などを知る機会がなかったというような場合、そういう場合を想定いたしておるわけでございます。
#121
○渡辺武君 次に、五十六条について伺いますが、この預金保険機構は、先ほど申しました第一種保険事故――払い戻しの停止ですね、に関して当該金融機関からその旨の通知があったとき、それをまた機構が知ったときから、一カ月以内に、保険金の支払いをするかどうかを決定しなければならないということになっております。その決定かあった後に、機構は、預金者等に対して、その請求に対して、前に述べた支払い期間内であれば、保険金の支払いをすることになっております。これはそのとおりに理解していいですか。
#122
○政府委員(近藤道生君) そのとおりでございます。
#123
○渡辺武君 そうしますと、個人の預金者の場合を考えてみますと、緊急に預金をおろさなければならぬというような事態が起こり得ることも考えられるわけですね。たとえば病気になってそして入院するとか、あるいは交通事故などにあって緊急に入院しなきゃならぬというようなことが起こる場合がしょっちゅうあるわけですね。そういう事態が起こっても、一カ月間は保険金が手に入らないというような事態になるおそれがあると思いますが、その点はどうでしょうか。
#124
○政府委員(近藤道生君) この五十六条に一カ月と申しますのは、最大限一カ月という意味でございまして、当該金融機関が立ち直るかいなかの判定を最大限一カ月の間に判定をするということでございますので、できるだけ早く短い期間に判定をいたしまして、ただいま御指摘のございましたような不便のないように取り計らうということを実際の運営上はやってまいりたいと考えております。
#125
○渡辺武君 そういう緊急な事態に対して、何か特別な救済措置というようなものはお考えになっておられますか。
#126
○政府委員(近藤道生君) 法文上は「一月以内」でございますが、実際の運営は非常に短期に行なわれるであろうということを前提といたしまして、ただいまお示しの点につきましては、特別の措置は現在のところは考えておりません。実際に機構が発足いたしました後においてはあるいは何らかの方法が講ぜられるような場合もあるかもしれませんし、また、現状におきましては、それぞれの業界内の相互援助協定がございますので、それらのものの活動があり得るわけでございます。
#127
○渡辺武君 私は個人の預金者について伺ったのですが、交通事故にあうとか、あるいは特別に緊急に病気になるというようなことは間々あることですけれども、しかし、日常生活からすれば若干例外的だと見てさしつかえないと思いますが、特に中小企業、零細企業のような場合には、最大限一カ月この決定が延びてくる。できるだけ短い期間と言われますけれども、日常毎日毎日取引しているわけですから、これはもう待ったなしに大きな影響があるわけであります。そういうような場合はどんなふうに考えておられますか。
#128
○政府委員(近藤道生君) その点につきましても、一カ月以内というのをできるだけすみやかにやることによって救済をいたしますほかに、本来このような制度ができません場合におきましては支払い停止の状態が続いてしまうということでございますので、そういう状態に比べればはるかに改善されるということになろうかと思っております。
#129
○渡辺武君 その保険機構が決定をまだすることができないでいるような事態で相互銀行なり信用金庫なりの相互援助機関が発動して、そうしていま言った中小、零細企業の場合だとか個人の緊急な場合だとかというのに救済措置を講ぜられるというようなことが考えられましょうか。
#130
○政府委員(近藤道生君) ただいま御指摘のような場合には、相互援助協定の発動の結果、金融機関に対して金が出るという形になります。したがって、預金保険機構の場合には、直接預金者ということになりませんので、その前段階として、かりに保障協定が発動を見るという場合には、当該金融機関のほうに対して資金援助等の方法が行なわれるということになります。
#131
○渡辺武君 そうすると、その場合、そういう特別緊急な、あるいはまた中小企業、零細企業などの場合には特別緊急じゃない日常必要な運転資金のことですから、そういうことを解決するためだという特別な条件をつけてやっていかないとYまた別途ほかのところに利用される、金融機関が利用しちゃうという可能性もあるわけですね。その点は、したがって、そういうことのないように、目的に合致するような資金の運用になるようにやらせる必要があると思いますけれども、そういう点はどんなふうにお考えになっておりますか。
#132
○政府委員(近藤道生君) それらの点を見きわめますために最大限一カ月の期間を置いたわけでございまして、もしそのようなことによって当該金融機関が立ち直ってしまうということでございますれば、この機構は発動しないということでございます。それらのことによりましてもどうしても預金者の保護に事欠くということの見定めがついた場合にだけこの機構が発動するということでございまして、その辺は支払い停止というような事態が起こりましたら、直ちにその実情を調べまして、ただいまお示しになりましたようなことがないようにやってまいるわけでございます。
#133
○渡辺武君 ちょっと私の伺ったのと何かはずれたような御答弁だったと思いますが、つまり、個人の預金者が預金の支払い停止というような事態になった。これはいずれ最大限一カ月のうちには何とか保険機構が最悪の場合でも発動できるだろうという予想はつくとしても、しかし、交通事故にあったとか、あるいは緊急に病気になってどうしても金が要るというようなときにはやはり救済措置がなきゃならぬし、それからまた、繰り返して申しますけれども、中小企業、零細企業などの場合は日常の資金としてどうしても必要なんですね。その場合に、業界の相互援助機構が発動して金融機関に一定の救済措置を加えるとおっしゃいましたから、その救済措置の資金の使途ですね、これをそういう場合に使いなさいというふうに厳密に向けさせなきゃならぬと、その点をお考えになっておられるかということなんです。
#134
○政府委員(近藤道生君) そのような場合におきましては、これは従来から実例があるわけですが、その当該業界の連合会等から必ず管理者がその金融機関に派遣をされまして、その援助された資金の使途につきましては厳正な管理を行なうというのがたてまえになっております。したがって、そのような金融機関の経営者が従来のままの権限を持って運営を行なうということは全くございません。
#135
○渡辺武君 それでは、その辺は十分ひとつ考慮して、よく考えていただきたいと思います。
 次に、五十四条について伺いたいのですが、保険金の額は大体まあ百万円という御答弁がありましたけれども、この百万円で特に中小企業、零細企業などの預金者、これが十分にカバーできるだろうかという疑問があるのです。先ほどは金額の八三%くらいは百万円でカバーできるという御答弁がございましたけれども、
  〔委員長退席、理事大竹平八郎君着席〕
個人の場合は大体預金百万円というのが税金のかからない限度で、おそらく一人百万円程度だろうと思いますけれども、中小企業や零細企業の場合はそれ以上に預金している場合が多いのじゃないだろうかという気がします。私、実情はわかりませんので、中小企業、零細企業などは大体平均してどのくらいの一人預金額なのか。そしてまた、それの占める比重は一体どのくらいなのか、お調べになった資料がありましたら、お知らせいただいきたい。
#136
○政府委員(近藤道生君) 金融制度調査会の資料によりますると、法人の預金者のうち、約七八%が百万円以下の預金者でございます。
#137
○渡辺武君 それでは、その辺はあとのほうでもう少し論議したいと思いますけれども、五十一条の保険料率ですね。先ほど十万分の六というふうに伺いましたけれども、この保険料率でいった場合に、大体、一年間にどのくらいの保険料が入るものなのか。
#138
○政府委員(近藤道生君) ただいまの預金残高で試算をいたしますと、平年度で三十六億円ぐらい、まあ四十億円弱というものが入ってまいると予想されます。
#139
○渡辺武君 そうしますと、年々この保険料が入ってくると、相当の額が保険機構に蓄積されていくということになろうかと思うのです。先ほど、最高額は約五百億円程度考えておられると私は伺いましたけれども、そうでございますか。
#140
○政府委員(近藤道生君) 五百億円と御答弁申し上げました数字は、日本銀行からの借り入れ金の最高限度でございまして、この保険料率につきましては、それほどたまらないように料率をきめるというたてまえで、先ほど来申し上げましたような過去の実際の事例、それらの傾向が今後も続くといたしました場合に。まあ五年間に二百五十億円くらい必要になるということを前提といたしまして、保険料がちょうど保険金をまかなうに足る、そういう限度で考えておるわけでございます。
#141
○渡辺武君 そうしますと、保険料が五年間二百五十億円程度に累積していったといたしますね。そうすると、その場合に、この保険料の累積されたものでいわば剰余金としてあるものですな、これの運用の道なんですけれども、三十四条でそれを規定しておりますけれども、私が申し上げるまでもなく、アメリカの連邦預金保険会社ですね、これがこういう剰余金などをどういうふうに運用しているかという点で若干調べてみましたが、保険金の支払いに使うことはもとよりのことですけれども、特に経営困難な銀行に対する貸し付けというようなことをやっているようですね。あるいは加入銀行の経営状態の検査だとか監督だとかいうような業務まで行なっているというふうに聞いております。実情がそうなのか、そして日本の保険機構もそういうようなことを今後予想しているのかどうかですね、その点をあわせて伺いたい。
#142
○政府委員(近藤道生君) 今回の預金保険機構の法案がアメリカの制度と違います一番大きな特色は、最も簡素な形態をとったということでございます。保険料の徴収と保険金の支払い、その両者に限ってしまう、それ以外のことは一切やらないたてまえで、それによって保険料率を安くして自主的な機構にしてまいるということ、それが今回のこの案の非常に大きな特色であろうかと存じます。したがって、その点は、アメリカの場合と全く違うわけでございます。
#143
○渡辺武君 その点は、はっきり私は確認しておきたいと思うんですよ。たとえば経営状態の悪化している金融機関に保険機構が融資をする。先ほど、金融機関になるべく公平に預金するというような御趣旨の答弁がありましたけれども、そういう方向がすでに出ているとして見れば、私はこれはもうかなりあぶなっかしいところがあるのじゃないか。いま言ったように、経営状態が悪いので、その点を考慮して余裕金を預金して、その経営状態を救う。そうなってきますと、当然のことながら、会社の経営状態の監査というようなこともやらざるを得なくなるわけですね。そうしますと、これは本来の趣旨からはずれてくる。預金者保護ということを言いながら、これは金融機関保護ということになっていくわけですね。そういうことのないように、特に私はもう一回確認を求めたいと思う。
#144
○政府委員(近藤道生君) その点は、ただいま御指摘のとおりでございまして、保険料を徴収して保険金を払うという事務に限定いたします以上は、いわゆる余裕金的なものも極力少なくするような料率にしてやる。したがって、まあ望ましいことではございませんが、かりに過去の実績のような金融機関の破綻が生じてくるといたしますれば、むしろ日本銀行からの借り入れが途中で必要になる程度の金しかたまらないということになるわけでございます。そこで、運営全体の態度といたしましては、ただいま御指摘になりましたとおりの方向に必然的になってまいるというふうに考えております。
#145
○渡辺武君 ただいま御答弁の中で、保険料がだんだん累積していくにつれて保険料率を引き下げるというような御答弁がございましたが、実際そう理解していいかどうか、これが第一点です。
 それからもう一つ伺いたいのは、保険料が累積するにつれて、保険金の限度額百万円というのを、先ほど申しましたように、中小企業、零細企業などの法人の中に占める比率が七〇何%と言われましたね、七八%ですか、ということでございましたけれども、その平均の預金額ですな、これはどのくらいなのか。そうして、私は、百万円以下といえば個人が多いのじゃないかというふうに思いますけれども、中小企業、零細企業などの点についても十分に考慮してその預金を保険するということを考えていく必要があるのじゃないか。特に今後物価が上がってきますから、貨幣価値は下がるわけですよ。そうしますと、やはり預金の額も百万円以上になってくるということは十分予想されるわけですから、その辺はどんなふうにお考えなんでしょうか。
#146
○政府委員(近藤道生君) 全部の平均の数字を手元に持ち合わせませんで恐縮でございますが、いわゆるばらつきから見ますと、法人の場合、預金者数は、五十万円以下が六七・七%、それから五十万円超百万円以下が一〇・八%、百万円超二百万円以下が七・七%、二百万円超三百万円以下が四・六%、三百万円超が九・二%という構成になっております。
 それからただいまお尋ねの百万円の限度、あるいは保険料率について、将来検討をする用意があるかどうかというお尋ねに対しましては、これは将来の情勢に応じて検討をする用意がございます。
  〔理事大竹平八郎君退席、委員長着席〕
#147
○渡辺武君 次に、貸付信託法について一問だけ伺いたいと思います。
 先ほども他の委員から質問がありましたが、十三条の第二項ですね、貸付信託の元本で有価証券を取得することができるように改められました。この有価証券は主として事業債であるというような御答弁がありましたけれども、国債ですね、あるいはまた政府保証債、こういうようなものはこの有価証券の中に入っているのかどうか。
#148
○政府委員(近藤道生君) 含まれることは含まれておりますが、ただ、当面新発の国債を引き受けさせるというつもりは全くございません。
#149
○渡辺武君 その新発の国債を引き受けさせないとおっしゃったけれども、それじゃどの程度の――つまり、もう以前に発行されたものは引き受けてもよいということなんですか。
#150
○政府委員(近藤道生君) これは、信託財産の運用にあたりましては、できるだけ有利な運用をするということが委託者に対する責務として当然に出てまいりますので、おそらく国債に運用するということはほとんどないであろうと考えております。
#151
○渡辺武君 いや、つまり、新発の国債を引き受けさせないとおっしゃったけれども、旧発の国債ですね、これは引き受けてもいいということになっているわけですね。それから政府保証債についてはどうですか。
#152
○政府委員(近藤道生君) 法文の解釈上は、それらすべていいというたてまえでございますが、ただ、実際の運用といたしましては、できるだけ有利なものということになりますので、新発も既発も含めまして、国債、政保債に回るものはきわめてわずかであろうというふうに考えております。
#153
○渡辺武君 同じくこの十三条で、景気調整政策の上からもこういうことが必要だという趣旨のことが出ておりますが、これは一体どういうことを意味するのか。景気調整政策の上から必要だということ、この点について……。
#154
○政府委員(近藤道生君) この点は、先ほども実例をあげて御説明申し上げたわけでございますが、たとえば、非常に金融緩慢な時期におきまして、貸付信託が本運用といたしまして有価証券の保有を許されておりません場合には、有価証券保有が有利であると思いましても、これを持つことをためらうわけでございます。と申しますのは、金融が締まってまいりました場合に、本運用としては当然貸し出しが主になりますから、有価証券は処分をしなければならない。ところが、そういう場合には、大体においていわゆるキャピタルロスを生ずるわけでございます。その辺を予想いたしますと、どうしても金融緩和の時期にも有価証券の保有ができないということになりまして、その金がどこに向かいますかと申しますと、たとえばコールローン等に回るということが過去の事例であったわけでございます。そこで、そのコールローンに回っておりました分が、金融が締まってまいりました場合に回収されて貸し出しに回る。それによって一そう景気のブレを激しくさせるということでございましたので、今回これを本運用に認めることにいたしますれば、金融が詰まってまいりましても、あえて有価証券は売らなくても本運用でそのまま持っておればよろしいということになりますので、金融緩和期に安んじて有価証券を保有できる、取得できる。そういう形を通じまして景気のブレを少なくするということを意味するわけでございます。
#155
○渡辺武君 いままでコールに回してた金を、これを有価証券のほうに回させるということなんですか。
#156
○政府委員(近藤道生君) 過去の事例におきましては、コールに回しておりました金を、金融が締まってまいりますと、貸し出しに回すという形をとったわけでございますが、今度は、おっしゃるように金融緩慢期にコール等に従来回しておりましたものを有価証券のほうに回し得るということによって景気のブレを少なくするということを意味するわけでございます。
#157
○渡辺武君 そうしますと、景気調整という面からいえば有利になるかと思いますが、しかし、貸付信託会社そのものにとってみると不利になりはしませんか、 コールでいままで回して、比較的コールですから金利は高いはずですよ。これが事業債のほうに金を回す。そうして金融が引き締まってから、ある場合には事業債を手離して貸し付けのほうに回す、こういうことになるわけですね。そうしますと、何でしょう、金融が引き締まってきたときに事業債を手離すわけだから、ロスはかえって出てくるでしょう。そうして、コールでいままでかなり高い金利でもって貸し付ける、あるいは運用することができたのが、これが事業債に出すということで、その辺でもロスが出てくるというふうなことになりはしませんか。
#158
○政府委員(近藤道生君) ただいまの事例、四十年、四十一年ごろの実例でございますが、そのときにおきまして、コールローンのほうが有価証券の利回りよりも低いわけでございます。その場合に、あえて低いコールローンのほうに回さざるを得ないということは、本運用といたしまして有価証券の取得保有を認められておらないということから生じたわけでございます。その場合、委託者の利益を守りますためには、当然有価証券の保有のほうにいかなければならないにもかかわらず、あえてそれが向き得ませんのは、あとでキャピタルロスを生じますことによって委託者の利益を失うことをおそれるということでございますので、第一義的な目的はあくまでも委託者の利益を守るということでございます。そうして、それが副次的に景気のブレを少なくする、そういう意味でございます。
#159
○渡辺武君 わかりました。
 最後に、一問だけ聞きたいと思うのです。
 先ほど、公社債市場の育成にも役立つだろうというおことばがありました。いま、他方で貸付信託会社に国債保有の道を開いていくということなんでございますけれども、一方で公社債市場が育成されて、そうして公債がさまざまな形ではありますけれども、とにかく流通できるような事態が出てくる、そういう条件が整備されてくる。他方で貸付信託会社が国債あるいは政保債を引き受けることができるというような条件もできてくるということになりますと、私は、いますぐにではないにしても、将来ちょうど満州侵略戦争当時から引き続いて、こういう地方銀行なりあるいはまたそのほかの金融機関が政府の国債引き受け機関にだんだん転化していったという経緯から考えてみまして、そのおそれが――いまは、おっしゃるようなことで、金利その他の事柄からしましても、国債なんというのはそう有利な物件じゃないわけですから、その心配はないとしても、将来その可能性が十分出てくるのじゃないか、その点を十分おそれるわけです。そういう点についてどんなふうなことをお考えになっておられるか、伺いたいと思います。
#160
○政府委員(近藤道生君) その点は、二つの面から以前とは違うということを申し上げて差しつかえないと思いますが、一つは、この貸付信託財産の運営に当たるほうから申しますと、あくまでも委託者の利益というものを第一に考えてまいる、その点から申しまして、利回り等についてなかなか国債保有に向かうことが将来ともそう大きなシェアを占めるとは思われないということが第一点でございます。それからもう一方は、今度は国債発行側の立場から申しましても、ただいま御指摘になりましたような時期の国債と現在の国債と制度的にもあるいは発行の意義におきましても大きな変化がございますので、そのような事態になるおそれはないというふうに考えておるわけでございます。
#161
○松井誠君 すみません、いまちょっと気がついたものですからお尋ねしたいのですが、預金保険法の五十四条の二項の保険金の額の問題です、特に担保に入っている場合の。これはこのように理解していいのですか。たとえば預金が二百五十万円あります。二百五十万円のうち、百二十万円が担保に入っていると。そうすると、それを差し引いた百三十万円のところを百万円の頭打ちで百万円だけ払い戻しをする、そういうように理解していいんですか。
#162
○政府委員(近藤道生君) そのとおりでございます。
#163
○松井誠君 そうしますと、払い戻しを受けるのは百万円ですけれども、担保に入っておる百二十万円というのは、これはどうなるんですか。担保権者に対してどうなるのかというのが一つですね。
#164
○政府委員(近藤道生君) 預金者がそのままの形で金融機関に対して債権を持ち続ける、担保についても同様であるということでございます。
#165
○委員長(柴田栄君) 両案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。次回の委員会は三月二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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